令和元年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第三号

令和二年十月十九日(月曜日)
第十一委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長佐野いくお君
副委員長藤井あきら君
副委員長中屋 文孝君
古城まさお君
成清梨沙子君
斉藤やすひろ君
清水やすこ君
奥澤 高広君
鈴木あきまさ君
里吉 ゆみ君

欠席委員 なし

出席説明員
会計管理局局長佐藤  敦君
管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務副島  建君
警察・消防出納部長中村 佳史君
会計制度担当部長筒井 宏守君
選挙管理委員会事務局局長桃原慎一郎君
監査事務局局長河内  豊君
監査担当部長山田 則人君
財務局局長潮田  勉君
経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務古川 浩二君
主計部長山田 忠輝君
財産運用部長五十嵐 律君
建築保全部長佐藤 千佳君
技術管理担当部長飯泉  洋君
庁舎運営担当部長鈴木 光祐君

本日の会議に付した事件
令和元年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
会計管理局関係
・令和元年度東京都一般会計決算(質疑)
選挙管理委員会事務局関係
・令和元年度東京都一般会計決算(質疑)
監査事務局関係
・令和元年度東京都一般会計決算(質疑)
財務局関係
・令和元年度東京都一般会計決算(質疑)
・令和元年度東京都用地会計決算(質疑)
・令和元年度東京都公債費会計決算(質疑)

○佐野委員長 ただいまから令和元年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する質疑を行ってまいります。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局、選挙管理委員会事務局、監査事務局及び財務局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和元年度東京都一般会計決算中、会計管理局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○成清委員 私からは、公金管理について質問させていただきます。
 会計管理局が管理している公金の総額は、令和元年度公金管理実績によると、平均残高で六兆円を超える非常に巨額なものです。これらは税金など一時的にお預かりした資金であり、都民の皆様へのサービス提供として支払うための大切な原資となることから、どのような管理がなされているか常に確認していくことが重要であります。
 九月の月例経済報告では、国内の景気は新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるが、このところ持ち直しの動きが見られるとされています。しかしながら、内閣府が十月七日に発表した景気動向指数の水準は依然低いままであり、本格回復への足取りは重いといわざるを得ません。
 金利面に目を向けますと、日銀は新型コロナ感染症や原油価格下落などの影響を受け、消費者物価が対前年比で当面マイナスで推移すると想定した上で、必要があれば追加的な金融緩和措置を講じるとしており、現在の超緩和的状態は長期化すると予想されます。
 ここで、まず初めに、こうした状況の中で、近年の公金の運用状況を伺います。

○副島管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十八年二月に導入されました日本銀行のマイナス金利政策によりまして、市場金利は歴史的に見ても極めて低い水準で推移してまいりました。
 具体的には、マーケットにおける一般的な指標である十年国債の利回りを年末時点で比較いたしますと、十年前の平成二十一年末は一・二九五%、五年前の平成二十六年末は〇・三二九%であったものが、昨年末はマイナス〇・〇一一%まで低下しております。
 こうした中、預金での運用は、個別金融機関の預金受け入れニーズ等を十分把握した上で、設定金額や預け入れ期間を工夫し、より利回りの有利な金融機関の選定に努めております。
 また、債券運用に当たりましては、期間十年以下の国債がマイナス金利となり購入できない中、国債とほぼ同等の安全性を持ちながら利回りが見込める地方債や、財投機関債等での運用を行っております。
 こうした取り組みによりまして、直近三年は、金利環境が極めて厳しい状況におきましても、年間の運用収入が二十四億円前後とほぼ同水準を確保しております。

○成清委員 超低金利のもとでも、運用収入を確保するために、さまざまな工夫をされていることを確認いたしました。
 運用により収入を確保していくことはもちろん大切ですが、冒頭で触れたように、公金は都民からお預かりした資金であり、その安全性の確保は何を置いても守らなければならない最優先事項といえます。
 公金管理実績によりますと、都は公金全体のうち約八割を預金で保管、運用しております。預金先である金融機関の経営環境に目を向けますと、コロナ禍による景気低迷を受けての不良債権の増加や、マイナス金利長期化による収益悪化といった新たなリスク要因が懸念されております。預金の安全性を確保するためには、これらのリスク要因にも耐え得る健全性の極めて高い金融機関への預け入れが必須であると考えます。
 そこで、預金先金融機関の健全性をどのように評価し、預金の安全性を確保しているのかお伺いします。

○副島管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 預金の安全性確保のためには、破綻するおそれの極めて低い金融機関への預け入れが何より重要であり、そのためには、金融機関の経営状況を的確に把握することが必要となります。
 都では、格付や自己資本比率等の安全性につきまして厳格な基準を設け、一定水準レベルをクリアした金融機関のみを預け入れの対象としております。
 その上で、対象となる金融機関につきまして、四半期ごとの収益性や預金量等の視点から財務状況を分析いたしますとともに、金融機関の財務担当者とのミーティングや決算説明会への参加などを通じまして、必要な情報の収集を行っております。
 また、金融機関の株価や社債利回り等の動向を日常的に監視いたしまして、リスクの早期発見に努めるとともに、金融分野の専門家等で構成されます東京都公金管理アドバイザリー会議におきまして意見交換等を行うなど、専門家の知見も積極的に活用しております。

○成清委員 都が預金の安全性の確保に万全を期していることを確認いたしました。引き続き、預金先金融機関の経営状況をしっかりと分析、把握していっていただきたいと思います。
 都では、預金に加え、公金の残り二割を債券で運用しております。そこで、債券の安全性を確保するためにどのような対応を行っているのかお伺いします。

○副島管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 債券につきましては、価格変動リスクを回避するため、満期までの保有を原則としておりますところから、保有期間中に債務不履行を起こさない債券発行体を選定することが重要と認識しております。
 現在は、運用対象を国債に準じた信用力を有する極めて安全性の高い機関が発行いたしました債券に限定した上で、債券発行体の経営の健全性を確認するため、格付等のチェックや財務状況の精緻な分析を行っております。
 これらの内容につきましては、預金と同様に東京都公金管理アドバイザリー会議に報告いたしまして、専門家の意見を聞いた上で検証を行い、さらなる改善を図っているところでございます。

○成清委員 都が債券の安全性の確保の仕組みをしていることを確認させていただきました。
 私は、前職で公認会計士として、企業の財務分析、監査、また指導を行ってまいりましたが、最新の決算指標の把握、分析や、直接のヒアリング、さまざまなマーケットシグナルの把握は、公金の安全性確保とリスク管理の上でも欠かせないものであると申し上げることができます。ぜひ今後も、より実効性の高い管理体制の構築を目指していただきたいと思います。
 さて、改めて現在の世界経済を概観いたしますと、新型コロナウイルス感染症拡大の影響はもちろん、大統領選を控えた米国内の分断や、深まる米中対立といった地政学的リスクが、金融市場の不確実要因として想定されます。
 国内においても、景気回復がどの程度のスピードで進んでいくのか予測が難しく、金融業界に目を向けると、独占禁止法改正等もあり、地方銀行の再編統合機運が高まりつつあるといわれております。このような環境において、公金管理には今後ますます難しいかじ取りが求められているところです。
 そこで最後に、先行きが不透明な経済、金融環境における公金管理の今後の方向性について、局長にお伺いします。

○佐藤会計管理局長 新型コロナウイルス感染症の拡大が国内外の経済にどこまで影響を与えていくのか見通すことが難しい中、当面は不透明な経済、金融環境が継続し、企業業績の低迷や雇用情勢が悪化する状況も想定されるところでございます。
 こうした観点から、これまで順調でありました法人二税を初めとした都税収入の大幅な落ち込みを招く可能性があります一方で、感染症対策に伴う大幅な支出の増加も見込まれるなど、公金管理は新たな局面を迎えつつあると認識をしております。
 このような状況の中にありましても、公金を預かる者といたしましては、多面的な視点から幅広くリスクを想定した上で、リスクが顕在化する兆しを逃さず察知し、迅速な対応をとっていく必要があると考えております。
 そのため、これまで以上に経済動向や金融情勢などに対する感度を高め、公金の預け先に対する評価、分析手法をさらに精緻化するとともに、リスクを捕捉するための指標の追加などを行いますことで、日常監視もより強化をしてまいります。
 今後、公金管理を取り巻く環境がどのように変化しようとも、安全性を最重要視し、資金元本を毀損することなく確実に管理していくことに全力を尽くしてまいります。

○成清委員 局長より、公金管理の今後の方向性について、安全性を最重視した確実な管理に全力を尽くすという力強い決意をお伺いしました。
 コロナ禍をきっかけに、生活や働き方を初め、世の中はその構造を一変させつつあります。そして、これは不可逆的なものであろうと私は考えております。困難な状況が続くかとは思いますが、引き続き確実な公金管理をお願いし、私の質疑を終了します。

○斉藤委員 私の方からは、新型コロナウイルス感染拡大状況におきますキャッシュレス決済の推進と新公会計制度の活用について伺いたいと思います。
 新型コロナウイルス感染症が世界中で猛威を振るいまして、我が国、そしてこの東京も、闘いの真っただ中にあるわけでありますが、この新型コロナウイルスの感染を防ぐには、飛沫感染のほかに接触感染を防ぐことが重要であります。
 感染者がくしゃみやせきを手で押さえたときに、その手で周りのものに触れますと、ウイルスがつくといわれております。支払いの際に、そのウイルスのついた手で現金のやりとりでもしたときには、接触感染のリスクが一気に高まるというふうに思います。
 このため、国が推奨いたします新しい生活様式や、都が同じように推奨します新しい日常には、同じ内容だと思いますが、買い物時におけるキャッシュレスの活用も含まれているところでございます。
 都民のキャッシュレス決済に対する意識が高まっております。利用もこれからふえてまいりましょう。また、十月一日からは、ゴー・ツー・キャンペーンに東京発着の旅行も対象になったことから、今後、観光客、これは大変期待されるところでもありますけれども、ふえてくることになろうかと思います。
 都におきましてはこれまでも、キャッシュレス決済の推進につきましては、さまざまな取り組みを行ってきたところでありますけれども、このようなコロナ禍の状況を受けて、非接触による決済手段の拡充という点でも、キャッシュレス決済の推進に向けた取り組みを引き続き行っていくべきと考えます。
 そこでまず、都民が多く利用する施設におけるキャッシュレス決済の推進に向けたこれまでの取り組みと進め方について伺います。

○筒井会計制度担当部長 これまで都は、都民の利便性向上等のため、動物園、美術館など、多くの方がレジャー等で訪れる七十八の施設を、いわゆる都民利用施設と位置づけまして、クレジットカードや電子マネー、QRコードなどのキャッシュレス決済の導入を進めており、二〇一九年度までに三十六施設に導入をいたしました。
 未導入の都民利用施設につきましては、コロナウイルス感染の状況を踏まえ、都政の構造改革の一環といたしまして、目標を一年前倒しして二〇二一年度までにキャッシュレス決済を導入するよう進めてまいります。
 非接触による決済手段の拡充の観点も踏まえまして、キャッシュレス決済の推進に向け、これまでに培った導入ノウハウを活用し、関係局へ働きかけ導入支援を行ってまいります。

○斉藤委員 今具体的に二〇一九年度までに三十六施設に導入した、そして目標を一年前倒しして二〇二一年度までに、都民利用施設と位置づけたものについて、キャッシュレス決済を導入するように進めていくというご答弁がございました。
 私も過日、第一回の定例会で、予算特別委員会で質疑をさせていただいたことに加えまして、さらに一歩前進して、前倒しして二〇二一年度までにキャッシュレスをさらに拡充していくというご答弁ありました。
 このキャッシュレス決済の推進は、都が進めている五つのレスの一つでありまして、時代の流れに沿った大変重要な取り組みでございます。目標に向け、さらなる進展を期待しています。
 ところで、新型コロナウイルス感染拡大の影響によりまして、収入面では都税収入の下振れが懸念される--これは間違いなくそのようなことが起こってくると思います、懸念されるわけですが、支出面では、令和二年度補正予算におきまして、九月補正予算を含め、新型コロナウイルス対策関連の予算総額は一兆円を超え、一兆六千億円超となるともいわれておりますけれども、都の財政運営は、今後一層厳しさを増すことが予想されるわけであります。
 このような厳しい財政環境におきまして、新公会計制度は、都の効率的な財政運営に寄与する有効なツールだと考えるわけでございます。
 現に、この新しい公会計制度の議論は、財政再建期を経て、賢い支出ということにつきまして、本当に無駄を削り、そして隠れ借金を見出していくような、財政の見える化に資する制度として誕生したわけでありますけれども、新公会計制度の活用が財政運営にどのように生かしていけるかについてお伺いしたいと思います。

○筒井会計制度担当部長 新公会計制度は、複式簿記・発生主義といった企業会計的手法を活用することによりまして、単式簿記・現金主義会計では見えにくい減価償却費などのコスト情報や資産などのストック情報を正確に把握することを可能とするものでございまして、これにより、より正確で精緻な決算の分析や事務事業の評価に資するものでございます。
 マクロ面から都財政全体の財務状況の健全性等の分析、評価のほか、ミクロ面からコスト、ストック分析の活用等による個別事業の適切な見直しなど、効果的な財政運営に活用を図っております。
 今後、都財政を取り巻く環境が一層厳しくなることが想定される中、限られた資源の効率的かつ効果的な活用に資するよう、新公会計制度の活用を促進してまいります。

○斉藤委員 新公会計制度が財政運営に資することを改めて確認をしたわけでございます。
 そうであればこそ、今般のコロナ禍によりまして都の財政運営が厳しくなる今、新公会計制度をさらに活用いたしまして、効率的な財政運営に役立てていくべきではないかと思っております。これは各委員もそうだと思います。そのためには、庁内での新公会計制度による財務諸表の一層の活用に向けまして、さらに積極的に取り組んでいくべきと考えます。
 そこで、新公会計制度の庁内での活用促進に向けた取り組みについて伺いたいと思います。

○筒井会計制度担当部長 会計管理局は、各局が財務諸表から得られる行政コストやストック情報を分析し、事業運営に活用できるよう、事業別の財務諸表の作成及びそれを活用した事務事業の検証等に関する支援を行っております。
 まず、各種の研修や説明会、日ごろの情報発信によりまして、事業別財務諸表の作成に必要な知識、技能の習得を支えております。
 また、財務会計システムの改修によりまして、人件費など共通経費の個別事業への案分作業をシステム化する等、作成や分析が容易にできるよう、各局の負担の軽減に取り組んでおります。
 さらに、他自治体と連携したミーティングへ各局職員の参加を促すとともに、他自治体の活用事例を積極的に情報発信するなどして、財務諸表を活用した分析の視点や手法、方向性等の提供に努めてまいります。

○斉藤委員 各局の財務諸表作成の利便性を高めるために、分析に取り組みやすい環境を整えることを評価したいと思います。
 また、その情報発信に取り組んでいきまして、庁内における活用の機運を高めていきますとともに、活用の視点、ヒントの提供を行っていることも重要なことと考えます。今後も引き続き、庁内での活用促進に向けた取り組みを期待したいところです。
 今までは、どちらかというと、東京の新公会計モデルを多くの自治体に本当に理解していただいて、利用を拡大していくという方向に注力した時期もありましたけれども、まさに今は、庁内に対して、その活用促進に向けた取り組みをしっかりしていくときだということを確認させていただいたわけでございます。
 最後に、新型コロナウイルス感染拡大に向けた新公会計制度の活用促進に向けた局長のご決意を伺いたいと思います。

○佐藤会計管理局長 公会計のトレンドは作成から活用に深化してきております。
 新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、今後、都財政を取り巻く環境が一層厳しくなることが想定されます中、財務諸表を作成するだけでなく、その分析結果を個々の事業に有効活用することが重要と認識をしてございます。
 このため、各局が活用に取り組みやすい環境を整えますとともに、各局に働きかけを行い、事業別財務諸表による事業の検証などを促してまいります。
 これにより、財政運営の透明性を高め、住民等への説明責任をより適切に果たしますとともに、財政運営の効率化に寄与してまいりたいと存じます。
 新公会計制度の先駆者としての役割を自認し、今後も、さらに新公会計制度の活用の成果を都の政策形成に着実に生かせるよう、全力で取り組んでまいります。

○斉藤委員 我が党が提唱いたしまして、提案いたしまして、当時、石原知事でございましたけれども、都が全国に先駆けて導入したこの新公会計制度は、現在のコロナ禍によりまして、都財政を取り巻く環境が一層厳しくなることが想定される中で、まさにその必要性が増しているところであり、改めて制度の導入が大いに評価されることだと思います。
 リーマンショックのときもそうでありました。今いらっしゃる委員の方が在任中も、二度にわたる財政再建期があり、それを乗り越え、リーマンショックを乗り越えて、オリンピック・パラリンピックの招致に至るまで財政基盤を強くしてきた、その縁の下の力持ちというべき新公会計制度、諸先輩たちも血のにじむような思いで、この制度を得たわけでございます。今こそ再びの財政危機において、その力を発揮するときであるというふうに思うわけであります。
 都もコロナ禍による急速な税収減、これは必至でございまして、また歳出の拡大状況にあるため、これはもう必要なところには、ため込むのでなくて、まさしくめり張りという点では、今支出をする、私は積極的に、果敢に歳出の方も考えていかなきゃいけない、賢い支出は重要でございますが、萎縮してはいけないと思っておりますが、こうした拡大状況にあるために、財政運営の効率化が喫緊の課題となっているわけであります。
 施設別や事業別の財務諸表によります事業の検証や、中長期的な視点から、例えば、こういう苦しいときになりますと、資産の売却というのが一番頭に浮かぶわけでありますけれども、売却することが都民のためになるのか、それとも、それを残して有効活用していくことが都民にとって利益を生むことになるのか、こうした判断をする上で、より高い効用を得るかどうかを見るために、比較検討というものが必要です。さまざまな面で比較検討して見きわめていく必要があり、都民にそれを提案し、決断をしなければならないと思うわけであります。
 さらなる制度の活用促進が、今後の財政運営の効率化に資することを期待いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○奥澤委員 私からは、キャッシュレスについて一問と、それから新公会計制度に関連して、ご意見をさせていただきたいと思います。
 まず、総務局が取りまとめている政策評価シートを見ましたら、都の支出は既に口座振替払いが一般的となっていて、九九%以上はキャッシュレス化されているということですけれども、現在は一件五万円以下の文房具類、日用品等を現金で直接購入するいわゆる資金前渡が約三十八億円あって、これを、キャッシュレス化を推進しているということが記載されていました。
 こうした現金支払いについては、法人向けのブランドデビットカードでのキャッシュレス決済を推進しているとのことですけれども、昨年十一月時点での導入実績は、導入可能な四百五十四部署中、三百四十七部署にとどまっているということでもありました。
 法人向けブランドデビットカードの普及促進を含めて、キャッシュレス化の利用拡大に向けた取り組み状況についてお伺いしたいと思います。

○筒井会計制度担当部長 ブランドデビットカードとは、カード利用と同時に銀行口座から代金が引き落とされるキャッシュレス決済手段でありまして、クレジットカードに対応している店舗で利用が可能となっております。
 法人向けブランドデビットカードの積極的な利用を促すため、現金の引き出しや、つり銭の持ち帰りがなくなり、安全で効率的であることなど、カード利用のメリットや利用の仕方について、庁内向け広報誌や説明会を通じて広く周知をしているところでございます。
 また、法人向けカードを発行する金融機関が限定的であることから、発行金融機関がふえるよう各金融機関に働きかけを行っております。
 引き続き、法人向けブランドデビットカードの利用拡大に向けて積極的に取り組んでまいります。

○奥澤委員 今、メリットがあるというお話と、あわせて課題もあるというお話があったと思います。
 積極的に推進していくという旨の答弁でありましたけれども、やはりこのように見える化がされていると課題がはっきりとして、何をすればいいのかということも、全庁的にというか、局内でもしっかりと共有されていくと思いますので、引き続き取り組みを進めていただきたいというふうに思います。
 これも他の総務局の事業ではありましたけれども、国際競争力強化プロジェクトの中で、海外派遣で会計管理局さんからも北京とスウェーデンを訪れて、キャッシュレス化の推進に向けた視察を行っているということで、そこにも意欲的な意見が記載されているなということを考えておりました。これもしっかりと生かしていただきたいと思います。
 ここからが、新公会計制度についての意見になりますけれども、町田市の事例を申し上げますと、決算資料として課別行政評価シートというものが公開されていて、組織の概要、所管事務、成果指標と達成度、そして課題解決に向けた今後の取り組みに加えて、各種財務情報が記載されていると。これが一枚のシートに入っているというものになっていまして、先ほども少し紹介しました政策評価シートと会計管理局が作成している財務諸表、これが組み合わさっているようなものです。
 システム構築には確かに手間がかかったそうですけれども、その一枚をもって市民の方々からの疑問に答えることになる、そして、議会での質問も的を絞ったものに集約されていくということで、かえって業務は効率的になってきているという声も聞いています。
 町田市と東京都では規模が全く違いますので、一概に比較はできませんですけれども、政策評価あるいは事業評価や実行プランレビューといった見える化の取り組みが庁内でも定着していく中で、会計管理局の役割も大変大きくなっているというふうに思っています。
 ぜひとも積極的に庁内各局の取り組みにかかわっていただいて、都政の透明化、見える化に貢献していただきたいと申し述べまして、質問を終わりたいと思います。

○佐野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○佐野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○佐野委員長 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和元年度東京都一般会計決算中、選挙管理委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○斉藤委員 私の方からは、不在者投票についてお伺いし、そして二つ目は、若年層の啓発等について、ちょっと質問したいと思います。
 初めに、不在者投票についてなんですが、令和元年の目黒区議会議員選挙の際に、病院に入院中に不在者投票を申請していた方が、不在者投票をせずにそのまま退院をした。投票日に投票しようとしたところ、選挙管理委員会に二重投票のおそれを理由に投票を拒まれたという事例の話を私が伺いました。東京都選管ではそのような事実を把握しているかを、まず最初に伺いたいと思います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 病院などの不在者投票のできる施設に入院している選挙人が施設内での投票を希望する場合には、その選挙人本人または施設長が、選挙人名簿登録地の選挙管理委員会に投票用紙等の交付を請求することとなります。
 不在者投票は、投票日当日における選挙人の方々の状態を想定して行うものでございまして、投票用紙の交付を受けた後、まだ投票を行わない間に病気が治癒して退院された場合、選挙人は投票日当日投票所に行っていただき、通常の方法による投票をすることとなります。
 その場合は、直ちに交付を受けた選挙管理委員会に投票用紙等を返納する必要がございまして、返納されていない場合には、二重投票を防ぐ観点から、選挙人は期日前投票または当日投票を行うことはできないという仕組みとなってございます。
 お話のケースでございますが、施設長が選管の方に投票用紙などを請求してあったところ、選挙人が退院した後に速やかに投票用紙等が返納されなかった、このようなケースと考えられますが、そのような事例があることにつきましては、当委員会としても承知をしているところでございます。

○斉藤委員 仮定の話じゃなくて実際にあった話ということを共通の認識として、皆様、委員にも聞いていただきたいわけでございます。選挙権がありながら実際の投票ができないというのは、こういった事態が生じていること自体、極めて問題であると考えるわけであります。
 何らかの手だてを講じるべき課題であると思いますけれども、今東京都選挙管理委員会事務局のお話ございましたが、令和元年度においてどのような取り組みを、その認識した後行ったのかということについてお伺いしたいと思います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 ただいまの議員のご指摘のとおり、選挙権がありながら投票ができない、そのようなことがあってはならないことでございまして、これを防止するためには、不在者投票を利用しなかった選挙人の方々の投票用紙を速やかに区市町村選挙管理委員会に返納するよう、指定施設に周知をすることが重要でございます。
 都選管といたしましては、令和元年に執行いたしました参議院議員選挙におきまして、選挙前に区市町村選管に対しまして、指定病院等における不在者投票の手引を配布しておりまして、その中で、投票用紙等の交付と返納に関する注意事項を掲載してございます。
 また、各区市町村選管におきましても、選挙前に指定施設の事務担当者の方々を集めて事務説明会を行うなど、そうした場で周知徹底を図ってございます。
 今後とも、区市町村選管を通じまして指定施設への周知徹底を図りまして、有権者の方々の貴重な一票が有効に行使されるよう、取り組みを継続してまいります。

○斉藤委員 私も、選管の皆様には、そういったことについてのご説明、どういう取り組みをしていますかということを伺って、その上で決算でも伺っているということで、確認をさせていただいたわけでございますけれども、当該選挙区の選挙管理委員会、これは目黒区のケースなんですけれども、一票の重みをもっと真剣に考えていただきたいというのが私の実感でございます。
 一票で当落が決まるわけですから、ですから仕組みとしてできないというのは、それは可能性の問題でありまして、それが絶対に必要であるという認識は、これは誰も争いはないと思うんです。したがいまして、重く、まず考えていただきたいというのが実感です。
 今、理由にありました二重投票の防止、確かにそういうことはあろうかと思いますが、また投票漏れということも起こっているわけですね、現実に。送った、届いていない、送りました、そういうことの中で、現に投票用紙が届いていないと。これは三票ありまして、三票あるうち一票の話が、今私が紹介した話なんですけれども、病院で期日前投票をしていた方の票もカウントされていないということが後からわかったわけです。同じ病院です。
 私は大変にこれを重く見ているわけですが、二重投票の防止と投票漏れの防止という二つの目的をカバーするために、仮投票という制度があるということを私も最近ちょっと知りまして、恐らくはこの方、有権者の方は、その制度をご存じなかったのかなと、これはまだ確認してないんです、制度を知らなかったんじゃないかというふうに考えておりますけれども、もう一歩踏み込んで、投票ができませんよということだけじゃなくて、仮投票の制度があるということをその場で伝えるなど、投票をサポートするべきだったんじゃないかなと私自身はそのように感じた次第です。都の見解を伺いたいと思います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 公職選挙法の定める仮投票でございますが、二重投票となるおそれがあると認められる場合などに、通常の投票とは異なる手順で仮の投票をしていただくという制度でございます。
 この制度は、投票管理者が当該選挙人の方の投票を拒否し、かつ、それについて選挙人の方におきまして不服があることを要件とする例外的な制度ということではございますが、選挙人一人一人の方々の状況に応じましたきめ細やかな対応が求められる中で、こうした制度のご案内をするということは、委員ご指摘のとおり重要であると私どもも考えているところでございます。
 都選管といたしましては、有権者の貴重な一票が有効に行使されるためにも、区市町村選管に対しまして、投票所におけるよりきめ細やかな対応が図られるよう周知をしてまいります。

○斉藤委員 この仮投票制度、私が知らなかったとしたら、大変私の不勉強ということで、ここでは恥をさらしていることになりますけれども、この仮投票制度というものを活用するシーンが少なくなることがまず第一でありますから、事前に手引などを使って投票を行う--お忙しい病院などはもう本当に大変な、特にまだコロナ禍でありますから、大変な激務だと思います。その中で、投票についての丁寧さがどうなのか、それは現場現場で状況は違うと思うんですけれども、やはりそうはいっても、これは不要不急だったらしなくていいわけですが、必要だから緊急事態宣言の中でも目黒区長選挙も行われましたし、そういった選挙というのは重いものでございます。
 一票の重みを本当に共有して、こういった事態が起こらないように、そういった制度もうまく知恵を活用しながら、投票漏れがないようにしていきたいと、このようにお願いをしておきたいと思います。
 次に、若者の投票率を向上させるような施策について質問したいと思います。
 今一票の重みの話をしました、投票したいのにできなかった。
 しかし、若い方は投票権があるのに選挙に行かれないという、投票率を見たときの印象なんですけれども、まず、昨年実施された参議院議員選挙における若年層の年代別の投票率の状況をお伺いしたいと思います。その結果を東京都選挙管理委員会としてどう認識しているかをお伺いしたいと思います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 昨年実施されました参院選における投票率は、全体で五一・七七%でございましたが、若年層の投票率は以下のとおりとなってございます。
 十八歳の方々については四六・四一%、十九歳の方々については三八・五二%、二十歳の方々につきましては三五・四二%、二十一歳から二十四歳までの方々については三一・五四%、二十五歳から二十九歳の方々につきましては三三・九七%、三十歳から三十四歳の方々につきましては四〇・二九%、三十五歳から三十九歳の方々につきましては四四・六三%、以上のような結果となってございます。
 二十歳代の投票率が、その前後の世代に比べまして低い状況となってございます。この傾向は他の選挙におきましても同様となってございます。
 これらの世代における関心であるとか行動様式、情報の収集手段、こうしたものの分析を今後一層進めまして、そうしたものに合致した内容や媒体、こうしたものを活用した普及啓発というものが必要となろうと認識をしてございます。

○斉藤委員 十八歳選挙権が実現いたしまして、高校生、授業で主権者教育を受けて投票する。初めての投票率、十八歳は四六・四一%、高いわけですね。ところが、その後、二十代前半にかけては約一五%も落ち込んでいく。そして、その落ち込んだ、十八歳の皆さんが投票された四六・四一%を上回る年代というのは、五十歳代ぐらいにならないとその域に至っていない。いわゆるM字曲線というのは就労の世界で有名ですけど、このV字の形が常に選挙である、最初の十八歳で来たときには投票率は高いんだけれども、二十代でがあんと落ちて、その後、非常に時間をかけて上がっていくという傾向が見られるという、その動きが見てとれます。
 こうした二十歳代にかけて大きな落ち込みはありますけれども、この世代の投票率向上に向けた取り組み--分析をして、忙しいとか、時間がないとか、さまざまあると思うんですけれども、そういったことを分析されているというお話があった上ですが、この世代の投票率向上に向けた都の取り組みを伺いたいと思います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 昨年の参院選におきましては、ツイッター広告の実施に当たりまして、東京都内の利用者に限定をいたしました配信を行う、また、そうした配信を機動的な配信として実施をする、そうしたことを実施するとともに、特設のホームページにリンクをさせることによりまして、効果的な選挙の周知を図ってまいりました。
 また、啓発のイベントにおきましては、若者の方々に人気のあるダンスパフォーマンスを行ったほか、SNSを活用し発信できるフォトスペースを設置するなど、より多彩な内容を展開したところでございます。
 今後とも、SNSであるとか動画配信、こうしたものを効果的に活用するなど、若年層の投票率向上に向けた啓発に一層取り組んでまいります。

○斉藤委員 今ご答弁いただきました二十歳代、私もいかに若い方々に関心を持っていただいて、私を選んでいただけるか真剣勝負でございます。なぜ二十代の投票が低いままなのか、その原因をしっかり分析をいたしまして初めて対策効果を検証できるものと思いますけれども、この点が、いろいろやっているんだけどだめだが常態化して、当たり前の日常になっていることは、これは菅総理のお話じゃないですけど、当たり前のままにしちゃいけないと、当たり前をそのままにしないで、ありがたいなといってもらえるようにしなければならないと思うわけでありますけれども、特にこのコロナ禍において、デジタルトランスフォーメーションなどが非常に大きく推進、加速している世の動きがあるわけですが、例えば対面型、接触型の投票制度の仕組みも、その大きな波の中にあって変わっていかなければならないのかもしれません。
 しかしながら、いろんな利便性の中では、投票行動というのは最も成り済ましの防止ですとか正確性が重要ですので、さっき一票の重みの話をしましたけど、そうであるがゆえになかなか改革がうまくいかない、検証にも時間が必要だということかもしれませんが、ただそういう大きな流れがございます。
 デジタルトランスフォーメーションが、若い世代の投票率を爆発的に上げていくような時代が来るのかもしれない。また、逆にデジタルディバイドといいますか、そういった流れについていけないような方々が投票に苦労するようなことがあってはいけないわけですね。本来その方々があるべき投票をしているんですけど、より多くの方々に参政権というか、投票を行使していただくための知恵として、そういったことがこれから待たれるわけであります。インターネット投票など、そういうものも、今注視されているところだと思います。
 いずれにいたしましても、政治活動の自由、これは当たり前だと思ったら大間違いでございます。選挙権という人権があるのに、投票の仕組みによって行使ができないということにならないように、また、行使できるのにしないという、みずから権利の上にあぐらをかくことがないように、SDGsの視点といったらちょっといい過ぎかもしれませんけど、誰ひとり置き去りにしない選挙制度、これを目指して不断の検討と工夫を要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

○里吉委員 私からも、病院内での投票行動について伺いたいと思います。
 選挙権は憲法が保障した国民固有の権利です。国民が主権者として政治に参加する機会を保障することは、国民主権、議会制民主主義の根幹だと思います。この選挙権をいかに保障するかということが選挙管理委員会に問われております。
 昨年は参議院選挙がありまして、私のところにも、投票にご苦労された方や投票することができなかった方などから、ご相談や苦情や情報提供などさまざまありました。今回はその中から二点に絞って質疑を行いたいと思います。
 一つが、今お話もありました病院や特養老人ホームなど施設内での投票についてです。
 私のところには、自分の母親が施設に入ったけれども、その施設では投票を実施していないといわれたと、おかしいのではないかという話が入りました。調べてみると、投票できる施設とそうでない施設があるということがわかりました。
 そこでまず、施設内で入所者が投票できる施設は、どのような手続が必要なのか伺います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 不在者投票を行うことができる施設の指定に関する施設側との折衝は、区市町村選挙管理委員会が実施をしておるところでございます。
 都選挙管理委員会は、区市町村選挙管理委員会からの申請を受けた場合、おのおのの施設が公職選挙法施行令等で定める指定要件を満たしていることや、不在者投票事務の処理に必要な投票場所、従事職員の体制等の確保がなされるか否かを確認の上、適正な管理執行ができるかどうかを審査し、指定の可否を決定しております。

○里吉委員 区市町村選管が施設と折衝して、指定要件を満たしたもの、適正な管理執行ができるかどうかを審査して指定するということです。ご連絡をいただいたお母様が入所した施設は、その対象になっていなかったということだと思います。
 そこで伺いますが、昨年度時点での不在者投票指定施設は幾つでしょうか。病院や特養老人ホームなど施設ごとの数を伺います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 令和元年度末時点におきまして、東京都内で合計千五百五十七件指定された施設がございます。内訳は、病院が六百八十八件、老人ホームが八百三十七件、身体障害者支援施設が二十二件、保護施設が十件となってございます。

○里吉委員 ありがとうございます。
 過去の資料とか質疑なども見てみますと、それなりに毎年指定施設がふえているということがわかります。
 改めて昨年度のふえた施設数、それから、ふやすために東京都選挙管理委員会としてどのような取り組みを行ってきたのか伺います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 平成三十年度末時点の都内の施設の数の合計は千五百二十八件でございましたので、昨年度一年間で二十九件増加したということでございます。
 都選管といたしましては、各地域における医療福祉施設の現場の状況を把握いたしております各区市町村選管に対しまして、指定に関する法令の要件を満たす施設がある場合には申請を促すよう周知をしております。

○里吉委員 区市町村選管などに対して申請を促すなどして、昨年度は一年間で二十九件増加したということでした。
 先ほどの質疑でもありましたけれども、投票所として認定したからには、そこできちんと投票行動が行われないといけないわけですけれども、もう一方で、私に相談があったお母様のところのように、そもそも指定されていないというところがまだ少なからず残っているということも、これも課題だというふうに思うわけです。
 この課題については、東京都の選挙管理委員会としてはどのように認識しているのか伺います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 施設の入居者の方々の投票を行う機会を確保し、投票環境を向上させるためにも、より多くの施設に不在者投票を行うことができる施設として指定を受けていただくことが望ましいと認識しておるところでございます。
 一方、現行の法制度下におきましては、各区市町村選管の設置、管理する投票所での当日投票が原則とされており、不在者投票を行うことができる施設としての指定を受けるためには、適正な管理執行ができる運営能力が必要とされておりまして、おおむね五十人以上を収容する施設の人員に関する要件のほか、投票場所や人員体制等の確保につきまして求められているところでございます。
 都選管といたしましては、今後とも各区市町村選管と緊密な連携をとりながら、不在者投票を行うことができる施設の指定事務を適切に遂行してまいります。

○里吉委員 指定する際の要件もあるということで、そこはきちんと守っていただく必要はあると思いますが、ご答弁の中でも、より多くの施設に不在者投票を行うことができるよう、指定を受けていただくことが望ましいという話もありました。引き続き、指定が受けられる施設がふやせるように進めていただきたいと思います。
 高齢者人口もふえておりますし、ますますこれから自力で投票所に足を運ぶことが難しい方々、ふえていかれると思います。
 そこで、施設内での投票とあわせて、現在、郵便での投票も行われておりますけれども、昨年、参議院選挙で施設内で投票された方、郵便投票で投票された方、それぞれの数を伺いたいと思います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 令和元年に執行いたしました参議院議員選挙におきます選挙区選挙における不在者投票の総数は三万八千七百六十二票でございまして、このうち、指定施設における不在者投票の数は二万六千九票、郵便等における投票は三千三百七十一票となってございます。

○里吉委員 これも、施設に比べて郵便投票がすごくまだまだ少ないなというのが率直な感想です。
 郵便投票の対象となるのが、まだまだ枠が狭いというのが、繰り返しこの場でも議論されていると思うんですが、介護保険だと介護度五しか対象にならないですとか、これについては都選管でどうこうできる問題ではありませんので、国に対して要望していただきたい、郵便投票をもっと枠を広げていただきたいということを申し上げておきます。
 そして、施設での投票については、より丁寧に区市町村選管とも連携して、指定をふやしていただくこと、そして適正な投票行動が行えるようにお願いして、次に行きたいと思います。
 次は、視覚障害者への対応についてです。
 今回は、拡大文字版選挙のお知らせについて伺います。
 この拡大文字版選挙のお知らせについては、視覚障害者の方から、特に弱視の方から繰り返し要望も出されていましたが、昨年行われた参議院選挙で初めて選挙区についても作成されました。
 改めて、拡大文字版選挙のお知らせとはどのようなものか、発行する目的とあわせて伺います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 障害を有する方々に選挙情報を的確に提供することは、投票環境の向上を図る観点から大変重要と認識をしてございます。
 都選管におきましてはこれまでも、視覚に障害を有する方々が候補者の政見等を知ることができるよう、選挙公報の全文につきまして、点字や音声にした点字版、音声版の選挙のお知らせを作成、配布してまいりました。
 委員お尋ねの拡大文字版選挙のお知らせにつきましては、弱視者向けに作成しているものでございまして、選挙公報に掲載されました文字情報の全文につきまして、文字の大きさを拡大して冊子にまとめたものでございます。
 まず、平成二十八年の参院選の比例代表選挙におきまして、日本盲人福祉委員会が作成をいたしました拡大文字版の配布を導入いたしまして、さらに昨年の参院選では、選挙区選挙におきましても、都選管が作成した拡大文字版の配布を実施しております。

○里吉委員 最初は平成二十八年の参議院選挙のときに、比例代表のときに導入して、そのときは購入という形でしたけれども、昨年の参議院選挙では、東京選挙区選挙について、東京都選挙管理委員会が作成されたということです。
 このときの作成数と配布先について伺いたいと思うんですが、なぜその数になったのか、その配布先に決めたのか、理由とあわせて伺いたいと思います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 昨年の参院選の選挙区選挙におきます作成数でございますが、六百七十八部でございまして、配布先といたしましては、各区市町村選管に二部ずつ、都内の図書館や障害者団体、施設に一部ずつ配布をしております。
 この配布先の選定に当たりましては、視覚に障害を有する有権者の方々がアクセスしやすい場所また施設であることを重視して決めております。

○里吉委員 各選管や、視覚障害者がアクセスしやすい場所に配っていただいたということで、大変喜ばれているんですけれども、拡大文字版選挙のお知らせを発行していることを知らないまま選挙が終わってしまったという声も後から伺いました。
 改めて、これまで広く都民に周知する取り組みをどのように行ってきたのか伺いたいと思います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 都選管ホームページにおきます選挙Q&A(投票)、こちらのページにおきまして、拡大文字版選挙のお知らせ発行につきましての案内を掲載し、有権者の方々への周知を図ってございます。
 区市町村選管に対しましては、選挙の前に開催をいたしております事務説明会であるとか、各種の会合等の機会を捉えて周知を図っておりまして、各区市町村選管におきましても、視覚に障害を有する有権者を初め、都民の方々に対して広報に努めてございます。

○里吉委員 いろいろ取り組んでいただいているようなんですが、その情報が当事者の方に届くことも大事ですし、それから、弱視の方の周りにいる方に広く、こういう選挙公報といいますか、拡大文字版選挙のお知らせというものがあって、東京都選挙管理委員会がつくっているよというのを知らせるというのは、すごく大事な取り組みをやっていらっしゃるので、大事なことだと思うんですね。
 例えば、広く都民に知らせるという点では、十二月三日から九日あたりだったと思うんですが、障害者週間というのが十二月にございます。こういうときにさまざまな媒体を使って、東京都選挙管理委員会として、障害者の方の投票環境の向上にこういう取り組みを行っていますよと、そういうことを広く知らせることが重要ではないかと思います。
 その中で、前回の参議院選挙から拡大文字版選挙のお知らせがあるということも知らせていただく、この取り組みもぜひ検討していただきたいと思います。
 最後ですが、視覚障害者向けには、点字版とか音声版などの選挙公報もあります。投票所には点字の選挙公報や候補者名簿があるように、弱視の方向けに拡大文字版選挙のお知らせや候補者名簿も備えてほしいという要望が出されています。配布数や配布先の拡大も含めて検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○桃原選挙管理委員会事務局長 都選管が拡大文字版の選挙のお知らせを区市町村選管に向けて配布している際には、あわせて電子データをPDF版にしてメールで送信をしてございます。
 投票所の管理運営は、区市町村選挙管理委員会の方が行っておりまして、それぞれの選管がPDF版を印刷、複写するなどいたしまして、投票所においても、視覚に障害を有する有権者の方々への情報提供に活用していただくことを想定してございます。
 今後とも、区市町村選管に対しまして、選挙の前に開催される事務説明会や各種会合等で周知を図ってまいります。

○里吉委員 電子データをPDF版にして区市町村選管に送付しているということがわかりました。これ本当に大事な取り組みだと思います。それぞれ弱視の方や関係者の方々が区市町村選管に要望していけば、必要な場で活用していただけるという可能性もあるというふうに認識いたしました。
 区市町村選管と事務説明会などの際は、ぜひ東京都選挙管理委員会の方からも、拡大文字版選挙のお知らせ等を各投票所に備えてほしいと要望が出ているということも伝えていただければと思います。
 障害者の投票については、ほかにも投票所のバリアフリーの問題など、さまざまあります。今回は二つに絞って質問させていただきましたが、国民の権利である投票権を、選挙権をしっかり保障できるように、引き続き取り組みを強化していただくことを求めて、私の質問を終わります。

○奥澤委員 私から、まず若年層の投票率の低さへの問題意識について質問させていただきたいと思います。
 恐らくここにいらっしゃる皆さんが同じ意識だと思いますけれども、昨年の参議院選挙では、二十代ではおよそ三〇%台の前半であったろうと、最も高い六十代だと六五%を超えているということと比べると、その低さがよくわかるところです。
 投票率について、上げるためにさまざまな啓発を行っていることは承知はしておりますけれども、まず若年層の投票率が低い理由については、どのように認識しているのかお伺いしたいと思います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 投票率につきましては、社会や政治の状況にも影響を受けるところでございますが、令和元年に執行した参議院議員選挙の後に実施をいたしました世論調査では、二十歳代の方々の棄権理由といたしましては、選挙に行く時間がない、政治や選挙に関心がないというような回答が上位を占めてございます。
 一方、候補者についての情報不足、選挙への参加意欲の低さを示す回答も一定数を占めてございます。選挙に関する情報の周知や選挙の意識向上に向けた啓発も必要であろうかと認識をしてございます。

○奥澤委員 今のお話を伺いますと、選挙があること自体は知っているけれども、投票に行くことの優先順位が低い、あるいは情報不足でよくわからないから行かないといった心理をうかがい知ることができます。
 啓発の目的は、行動変容、行動を変えることだと思います。行動変容の代表的なモデルにAIDMAモデルというものがありますけれども、アテンション、インタレスト、デザイア、メモリー、アクションの頭文字をとって、AIDMAモデルというわけですけれども、これまでの啓発では、アテンション、つまり注意の段階、選挙がありますよということを知らせるというところには、力を入れてきたんだと思います。
 加えて、メモリー、記憶の段階、つまり選挙に行くのを忘れないようにねというふうに喚起していくということには、力を尽くしてきたんだというふうに思います。
 しかし、関心の段階あるいは欲求の段階、つまり選挙に行こうと思わせる仕掛けがまだまだ足りていないのではないかというふうに思うわけです。
 ちなみに、昨年の参議院選挙について、同様の世論調査の中では、選挙があることを知らなかったという答えは数%にしかなっていなかったということですから、知っているけれども行っていないというのが現実なんだと思います。それを踏まえた啓発をしていかないといけないんだろうと思います。
 今の話も踏まえてお聞きしますけれども、昨年の参議院議員選挙ではダンスイベントを開催して啓発をしていると。一風変わった取り組みだなというふうに思いますけれども、どのような目的で実施したのか、また期待した成果が得られたのか伺いたいと思います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 昨年の参院選におきましては、親子向けのイベントといたしまして、子供を対象といたしましたダンスイベントを実施し、保護者に対する投票意識の向上、投票所に子供と一緒に入場できることなどの情報を周知いたしますとともに、これらの情報がSNSを通じて拡散を図られたところでございます。
 当日でございますが、ダンスパフォーマンスの観覧者は四千人を上回ったほか、模擬投票、SNS拡散用フォトブースにも多くの親子連れのご利用がございました。
 今後とも、若年層の関心や行動に合致した啓発に取り組んでまいります。

○奥澤委員 工夫を講じて意欲的に取り組んだということ、これは認めますし、また、四千名を超える参加者があったということから、期待していた以上の成果は得られたというふうにお話があったものというふうに思います。
 一方で、先ほどのAIDMAモデルに照らし合わせると、注意段階から関心段階への啓発であって、いわゆる欲求段階、つまり投票に行こうと思わせる仕掛けがそこにあったのかというと、課題も残るのではないかなというふうに思います。
 また、この委託費用をお伺いすると、二千万円強だったということで聞いておりまして、まずそもそも論として、参加をしてもらう人数という、そういったところで成果をはかっていくことで本当によかったのか。あるいは選挙管理委員会さんのさまざまな啓発活動を見ていますと、毎年毎年単発で終わっていくというか、何かやるんだけれども、次のときに何かつなげるようなことになっているかというと、やはりそうは感じないような取り組みになっていることが多いなというふうに思っています。
 投票率の向上というのは、地味というか、なかなかすぐにあらわれないものですけれども、しっかりと積み重ねていかなければいけないものだと思いますので、そういった意識を持って試行錯誤を重ねていただきたいというふうに思います。
 最初の質問の答弁で、投票率はその時々の政治事情によるところが大きいというお話がありましたけれども、これもまた欲求段階の話をしているのだと思います。つまり自分の生活に身近なテーマが争点になっていれば、投票しなければならないという気持ちが強くなるということだと思います。
 ただ、ここまで投票率が低い状況になっていることに鑑みると、選挙に行きたいと思わせる取り組みが不可欠なのではないかと思います。
 大きく分けると、罰則をつける、あるいは義務化するなどして危機感をあおっていくようなやり方、あるいはその逆で、割引ですね、投票したらば、どこか商店街で買い物ができたりだとか、あるいはノベルティーを用意してインセンティブをつけていくという、二方向が欲求を促していくということになるんだと思います。
 これは、昨年の総務局が実施している国際競争力強化プロジェクトの中で、選挙管理委員会の皆さんもニューヨークに派遣されて視察を行っていると聞いています。
 その報告書を読むと、読み上げますけれども、当局では、いかに投票へ行くかを呼びかけるかに主眼を置いて、期日前投票日や当日投票日を呼びかけている。ニューヨーク市選挙管理委員会において、投票者へリストバンドをノベルティーとして配布しており、これが投票へ行ったことの目印となってSNSで拡散されていることを知った。当局においても、投票後に実施可能な啓発事業として取り入れる余地はあるというふうに締めくくられています。
 これは非常に重要な気づきを得ていると思いますので、ぜひどうやったら実施できるのかという前向きな方向性で、検討を重ねていただきたいと要望しておきます。
 次に、話題を変えまして、障害のある方の政治参画という観点から二点質問いたします。
 まずは主権者教育に関連して、狛江市では、知的障害や精神障害のある方にも、みずからの意思を伝えることができる選挙のあり方を模索して、障害のある方向けの模擬投票や、わかりやすい広報を発行するなどの工夫を凝らしているそうです。
 東京都では、知的、精神障害のある方に対してどのような取り組みを行っているのか、令和元年度の取り組み状況についてお伺いします。

○桃原選挙管理委員会事務局長 知的、精神障害のある方々に対する啓発といたしまして、板橋、墨田、田無、光明の四つの特別支援学校を対象といたしました出前授業を実施いたしまして、政治参加の大切さや投票方法についての講習を行うとともに、模擬投票などを実施しております。
 また、区市町村選管の職員を対象といたしました研修におきまして、投票所運営における障害のある方への接遇と題しました講義を実施いたしまして、さまざまな障害の特性に応じた接遇ポイントを説明いたしまして、知的、精神障害をお持ちの方々が安心して投票できるよう周知を図ってございます。

○奥澤委員 さまざまな取り組みをしていること、特に主権者教育に加えて、投票所における接遇なども周知しているのだということがわかりました。
 例えば視覚障害のある方に対しては、音声のものを用意しようだとか、あるいは聴覚に障害のある方向けには、見やすいものを用意しようというようなことが、さまざまな工夫が重ねられているのと同様に、例えば知的障害のある方にとっては、全てが漢字で書いてあれば、これはなかなか読みにくいというか、読めないようなことも多いわけですから、もう一歩踏み込んでいただいて、情報をわかりやすくかみ砕いて伝えていく、そういった努力もぜひとも重ねていただきたいというふうに思います。
 また、一昨年でしたか、事務事業質疑において、性自認や性的指向によって投票所で差別的な言動を受けるケースがあるということを指摘いたしました。これについては、お話を伺いますと、区市町村の選挙管理委員会において、例えば性別を伏せた投票用紙にするなどの工夫をしてくださっているという話を伺いました。
 誰もがハードルを感じることなく投票所へ足を運べるような環境を整えること、その環境を周知して、ウエルカムだと、来てほしいんだという機運を醸成していくこと、そして、それが区市町村ごとにばらつきが出ないようにしていくということが、東京都の果たす役割だと思いますので、より一層の取り組みをお願いしたいと思います。
 情報をわかりやすく伝えるという観点から、聴覚障害のある方への情報保障について、政見放送においては、二〇一一年から手話通訳、二〇一三年から字幕がつくことになったとのことですけれども、政見放送のない地方議会議員選挙においては、より一層の配慮も求められています。
 もちろん、政見放送のある選挙においても、街頭演説などにおいて手話通訳士に同行いただく例などもあって、参考にすべき取り組みだとは思います。
 しかし、手話通訳者が選挙運動員とみなされたり、字幕が掲示物と見られるなどの法律上の位置づけの問題、あるいは費用についても各候補者や政党が準備することから、情報保障にばらつきがあることは否めません。
 そこで、昨年の統一地方選挙や参議院議員選挙において、聴覚障害者への情報保障という観点からどのような取り組みを行ったのか伺いたいと思います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 聴覚に障害をお持ちの方々への対応につきましては、昨年の参院選におきまして、選挙区選挙の政見放送への手話通訳付与が導入されました。このことによりまして、政見放送を行うことができる全ての選挙で手話通訳付与が可能となるなど、国におきまして制度改正が進められてございます。
 都選管におきましても、有権者が文字や映像などで候補者情報を入手する手段を確保することが重要であると考えてございまして、都が管理いたします選挙におきまして、選挙公報のPDFデータであるとか、候補者から届け出のございましたウエブサイトアドレスをホームページに掲載するなど、聴覚に障害をお持ちの方々に対して、候補者に関する情報がより容易に行き渡るよう取り組みを行ってございます。

○奥澤委員 一定の改善が見られているということはわかりました。
 しかし、当事者のお話を聞きますと、例えば聴覚に障害があるといっても、中途失聴などで、必ずしも手話通訳が可能ではないという方々もいらっしゃいますし、文字情報の充実を図ってほしいという声はたくさん聞こえてくるところです。
 先ほど街頭演説のお話しましたけれども、これは文字情報として掲示すると公職選挙法違反になってしまうという法律上の壁があるということは承知をしています。法改正の必要も含めて、誰もが選挙に関する情報にアクセスしやすい環境整備について、例えば国に働きかけることも含めて、ご尽力いただきたいということを申し述べておきます。
 続いて、インターネット投票に関連してご質問をしたいと思います。
 ことしの二月、海外在住の邦人を対象とする在外投票でのネット投票導入に向けて、総務省ではインターネット投票のセキュリティー面での課題を洗い出すなどの実証実験を行っています。これは世田谷区でも行われているというふうに聞いています。
 この動きは積極的に後押ししていきたいと思っているんですけれども、そもそもこれまで在外邦人の方々はどのような手続を経て投票してきたのか。また、令和元年度に実施された参議院議員選挙における投票実績はいかほどなのかお伺いしたいと思います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 在外邦人の方々が国政選挙での投票を行うためには、まず在外選挙人名簿への登録申請が必要となっております。申請の方法でございますが、出国前に区市町村選管の窓口で申請する方法と、出国後に在外公館で申請する方法とがございます。
 在外選挙人名簿に登録されました在外邦人の方々が投票する方法といたしましては、在外公館に出向いて投票する方法と、名簿登録された区市町村選管から投票用紙を取り寄せた上で郵便で投票する方法とがございます。一時帰国中の方々は、日本国内で投票することも可能となってございます。
 昨年の参院選におきましては、都内区市町村の在外選挙人名簿に登録された有権者の方々二万四千九百七十四人のうち、七千三十六人の方々が投票し、投票率は二八・一七%、平成二十八年の参院選での二九・七八%に対して、一・六一ポイントの減となってございます。

○奥澤委員 まず、在外邦人の方々が投票できるのは国政選挙だけであるということ、その投票をするためにも手続が必要なことがわかりました。
 在外邦人は、全国で百四十万人程度との統計調査がありますけれども、東京と日本全国の人口比から考えると、恐らくですけれども、これは東京都をルーツとする在外邦人の方々は、恐らく十五万人程度いるんじゃないかなというふうに思います。そこから所定の手続を済ませて、都内区市町村の在外選挙人名簿として登録されているのは二・五万人程度しかいない、六分の一程度になってしまっているのではないかというふうに思います。
 さらに、投票しているのは七千人程度という形ですので、実際に東京にルーツを持つ在外邦人の方々の数%、五%程度しか投票に至っていないんじゃないかというふうに懸念をしています。
 国の行った実証実験では、課題の洗い出しを行ったところでありますけれども、インターネット投票の実現に向けて、都としても積極的に協力をしていただきたいというふうに申し述べておきます。
 このインターネット投票、若年層の投票行動を増していくことにも効果的だというような意見もありますけれども、今の在外邦人の方々もそうですし、あるいは家を出るのがなかなか難しい、例えばけがをしてしまっている、入院をしている、あるいは障害があって出にくい、こういった方々、さまざまな方々にとってメリットのある制度になるはずだと思います。
 課題があることは認識しますけれども、そこでどんなメリットがあるのかということは、恐らく現場に近い都だったり区市町村の方々の方が理解していると思います。そういったことをきちんと国に伝えていく、この役目もぜひとも果たしていただきたいというふうに申し上げておきます。
 最後の質問になります。女性の政治参画という観点からご質問いたします。
 昨年の決算特別委員会で、当選証書や公報における当選人の告示において、旧姓を使用した場合の通称について、メーンの記載となるよう国に働きかけてほしいということを我が会派の森澤委員から申し上げさせていただきました。その後の取り組み状況についてお伺いしたいと思います。

○桃原選挙管理委員会事務局長 当選証書等における旧姓の記載につきましては、本年九月に旧姓の取り扱いに関する総務省からの通知が出されました。
 その中におきまして、当選人の告示及び当選証書に記載する氏名については、当選人の告示が当選人の身分を付与するものであること、当選証書が当選人としての身分を公証するものであることから、立候補の届け出書の場合と同様、本名を記載するものとしているところであるが、当選人から申し出があった場合には、本名を記載した上であれば、追加情報として通称または旧姓を付記することもできるものであるとの見解が示されてございます。

○奥澤委員 つまり、今のはメーンでの記載という形にはなかなか難しいけれども、当選証書と当選人の告示においては、申し出があれば旧姓も付記、つまりつけ加えることができるということのお答えであったと思います。
 これは、昨年他の会派の方からも同様の求めがありました。総務省が示した見解について、東京都選挙管理委員会もぜひとも実行していただきたいと思いますし、区市町村選挙管理委員会にももちろんですけれども、そこを通じて候補者に対してもしっかりと周知が行き届くように行っていただきたいということを申し述べます。
 最後に、意見になりますけれども、ことしの知事選において、世田谷区では選挙公報が届かないという苦情が百件以上あったということで、私のところにもこの意見大分寄せられました。これはゆゆしき事態だなと思っています。
 選挙公報は全戸配布が原則であると認識しておりますけれども、選挙公報の配布は区市町村の責任で行うという話と聞いています。こうした事態が起きないように取り組みを徹底することは、私は都として果たすべき役割だというふうに思います。
 きょう行ってきた質問や意見につきましては、これまでの都の選挙管理委員会がしてきた職務からは半歩踏み出すといいますか、意欲的に取り組んでいかないと、多分果たせないだろうなという内容もあったかと思いますけれども、それだけ選挙というのが民主主義の根幹をなすものであって、その意味でも選挙管理委員会の果たす役割は、もっと大きくてしかるべきだというふうに私は思っています。
 今、都庁全体では、デジタルトランスフォーメーション、デジタル化を進めていこうという流れがありますけれども、選挙管理委員会においても、デジタル化の流れで改善を図れるものはたくさんあると思います。ぜひともその洗い出しを図っていただいて、取り入れていっていただきたいということを最後に申し述べまして、質問を終わります。

○古城委員 令和元年度東京都一般会計決算中、選挙管理委員会事務局所管分に関連して、特に知的障害者の選挙権について質問をいたします。
 国連の持続可能な開発目標、SDGsは、そのターゲットの一つに、あらゆるレベルにおいて、対応的、包摂的、参加型及び代表的な意思決定を確保することを挙げております。中でも選挙権は、国民主権国家で最も重要な権利であり、我が国は日本国憲法でこれを保障しています。
 私の地元新宿区で活動されている新宿区手をつなぐ親の会が発行された「知的障害児・者の自己決定支援ハンドブック 人生の主人公として生きるための-二十六の権利-」には、選挙権の課題として次の点が挙げられています。
 制度、社会の課題として、選挙での障害のある人への合理的な配慮が不十分であること、家族や支援者からの課題として、本人が理解できるような情報提供や練習をする機会が十分提供できていないことが訴えられています。
 さて、東京都選挙管理委員会のホームページには、令和元年度に行った出前授業の一覧が掲載をされております。都立、私立の高等学校とともに、特別支援学校でも実施したとのことですけれども、特別支援学校での実施状況について、どのように工夫しているかという点も含めてお尋ねをします。

○桃原選挙管理委員会事務局長 令和元年度におきます特別支援学校への出前授業につきましては、板橋、墨田、田無、光明学園の四校の特別支援学校で実施をいたしまして、三百三十九名の生徒が参加をしたところでございます。
 この実施に当たりましては、それぞれの障害の程度であるとか理解度につきまして、事前に学校と綿密な打ち合わせを行いまして、それぞれの学校や生徒さんの状況に応じた内容を構成したところでございます。
 また、クイズや模擬投票なども組み合わせるなど、より理解が進むよう、内容につきましても工夫をしたところでございます。

○古城委員 ただいま確認しました若年層に向けた取り組みとともに、幅広い世代、全世代的な取り組みも重要であります。
 昨年の総務委員会では、新宿区での選挙学習会で投票体験をしたご本人の、選挙に行ってみてもいいかなと思ったが、やっぱり不安だとの感想を紹介いたしました。一方で選挙権があっても選挙に行かない人も多い中で、本人にとって大切な権利であり、支援を受けられれば投票できるということは、ご家族にとってもうれしいとの声も伺っているところでございます。
 さて、SDGsの観点からも、誰人でも、本人にとって投票するための情報や支援が受けられなければなりません。特に投票のロールプレーを行うなどして、投票の手続を学習できる環境づくりが重要だと考えます。
 そこで、成人に対してはどのような取り組みを行っているのかお尋ねします。

○桃原選挙管理委員会事務局長 成人の方々に対する取り組みといたしまして、清瀬市で知的障害者福祉施設を運営する社会福祉法人における出前事業を清瀬市選挙管理委員会と合同で実施をしております。十歳代後半から五十歳代にかけて約二十名の利用者の方々がご参加いただきました。
 実施に当たりましては、障害の程度や理解度に対応するとともに、選挙に行くこと自体に不安を感じている利用者の方々に向けまして、そうしたことに対する内容を盛り込むよう施設の側から希望がございましたため、わかりやすさと同時に、施設側のこうした希望に応じた独自の内容構成をしたところでございます。

○古城委員 さまざまな世代に対して工夫した選挙の啓発、こうしたことが行われているということを確認させていただきました。
 当然の、当たり前のことかと思いますが、都内の区市町村のいずれに居住をしていたとしても、選挙権の行使に当たっては同じように支援を受けられるということは、先ほど来申し上げているSDGsの理念にも合致することだと考えます。
 これまでも、各会計決算特別委員会であるとか、また総務委員会でも確認をさせていただいているところなんですが、選挙管理委員会が行う啓発事業には、平常時に行う常時啓発と選挙時に行う選挙時啓発の二種類あると。そうした中で、昨年度は統一地方選挙と参議院議員選挙が同じ年に行われる十二年に一度のい年選挙ともいわれました。
 今後は、衆議院解散総選挙であるとか、また東京都議会議員選挙も控えているところでございます。これからも区市町村とも連携した選挙時啓発の取り組みは大変重要であると考えます。
 そこで、選挙時における啓発はどのように行っているのかお尋ねします。

○桃原選挙管理委員会事務局長 選挙時におきます啓発は、各区市町村における地域の実情に応じたきめ細やかな活動が重要でございます。
 例えば新宿区では、知的障害者及びその家族の方々を対象といたしました学習会を参議院議員選挙前に実施、開催をいたしまして、投票方法や代理記載の手続などの講習に加えまして、実際の選挙で使用する投票箱あるいは記載台を使用した模擬投票を実施したところでございます。
 都選挙管理委員会といたしましては、このような取り組みを区市町村選挙管理委員会との連絡会等の場を通じて共有するとともに、都選管が実施する啓発事業への反映につきましても検討してまいります。

○古城委員 今後とも、さまざまな取り組みを区市町村の選挙管理委員会と協力しながら積極的に行っていただきたいと要望させていただきます。
 先ほど申し上げました、選挙に行ってみてもいいかなと思ったが、やっぱり不安だとの声にかわって、不安だったけれども行ってよかったという声が多く聞かれるようになることを強く望みまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○佐野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○佐野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○佐野委員長 これより監査事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和元年度東京都一般会計決算中、監査事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○佐野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○佐野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○佐野委員長 これより財務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和元年度東京都一般会計決算中、財務局所管分、令和元年度東京都用地会計決算及び令和元年度東京都公債費会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○古川経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 それでは、先日の分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元に配布してございます令和元年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をごらんください。
 最初に表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。今回要求のございました資料は、記載してございますとおり六件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。要求資料第1号、印刷請負における取組でございます。
 こちらは、平成二十八年度から令和元年度までの四年間における印刷請負における取り組みを記したものでございます。
 続きまして、二ページをお開き願います。要求資料第2号、東京都契約事務協議会等の開催実績でございます。
 こちらは、令和元年度における東京都契約事務協議会等の開催実績をお示ししたものでございます。
 三ページをお開き願います。要求資料第3号、契約事務における中小企業者のための主な施策でございます。
 こちらは、財務局が行っております契約事務における中小企業者のための主な施策をお示ししたものでございます。
 四ページをお開き願います。要求資料第4号、令和元年度に取得した土地の場所と使用目的でございます。
 こちらは、令和元年度における取得した土地の場所と使用目的をお示ししたものでございます。
 五ページをお開き願います。要求資料第5号、令和元年度国有財産管理事務で処理した土地の場所でございます。
 こちらは、令和元年度における国有財産管理事務で処理した土地の場所をお示ししたものでございます。
 六ページをお開き願います。要求資料第6号、建築保全部で昨年度調査研究した建築技術についてでございます。
 こちらは、令和元年度における建築保全部で調査研究した建築技術をお示ししたものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○佐野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○成清委員 令和元年度決算、財務局分に関して、事業評価、都有地活用、都庁舎の再エネ化に向けた取り組みについて確認をさせていただきます。
 まず、事業評価について伺います。
 都の令和元年度決算は、先日の財政委員会でも質疑をしたとおり、経常収支比率が七四・四%、公債費負担比率が五・六%となるなど、他の道府県の数値と比較しても健全な状況にあります。
 しかしながら、コロナ禍において、今後の財政環境も厳しくなることが見込まれる中、事業一つ一つについて無駄を徹底的になくし、事業評価の取り組みを強化していくことが不可欠です。
 現在、都においては、総務局の実施する東京二〇二〇改革から発展した政策評価、政策企画局の実施する実施状況レビューなど、それぞれ目的を持った評価が行われておりますが、予算編成の中で行われる財務局の事業評価は都の支出に直結するため、ワイズスペンディングという観点から、最も重要な取り組みの一つであると考えます。
 事業評価は、事業を所管する各局が主体的に実施することが基本であり、細かい金額の事業も含め、しっかりと全ての事業を網羅し実施していくことに加え、評価の方法を向上させていくことが重要です。
 そこで、事業評価の本来の趣旨は、一つ一つの事業の費用対効果を高めていくことにありますが、制度開始以来、どのように評価の質を高めてきたのかお伺いします。

○山田主計部長 事業評価は、予算編成の過程で検証を行うため、全ての事業を評価対象としており、事業所管局の自己評価を踏まえ、財務局が効果や効率性などについて評価し、その結果を次年度予算編成に活用しております。
 平成二十九年度予算からは、全事業に終期を設定し、終期を迎える事業に対しては事後検証を徹底しております。また、ICT関係評価、客観的指標による評価を新たに開始するなど、評価手法を充実させており、決算状況の分析や事業の成果検証の質を高め、一つ一つの事業の効率性、実効性の向上につなげております。
 さらには、総務局や戦略政策情報推進本部、財務局建築保全部など庁内の各部署と連携協力し、専門的視点からのチェックによる多面的な検証を行うことで、事業の改善へと結びつけております。
 加えて、各局の創意工夫を促すという観点からも、経常的、定型的な経費については、数十万円といった少額の事業も含め、各局の責任のもとで自主的、自律的な検証に基づく評価も実施しております。
 こうしたさまざまな取り組みを通じて、公表件数や財源確保額の増加へつなげるなど、毎年度工夫を凝らしながら、事業評価のさらなる深化を図っております。

○成清委員 事業評価の取り組みを年々強化したことを確認いたしました。
 令和二年度予算編成の際には、千二百六十六件の評価結果を公表し、千三十億円の財源確保額につなげたとのことですが、こうした事業評価の取り組みや成果を都民にしっかりと伝え、理解してもらうということも重要です。
 私自身も、都の事業評価の結果一覧表を毎回拝見しております。かなりご苦労されて、これだけの膨大な情報を外部に出せるレベルに整えているということや、公表件数を積極的にふやしてきたということを高く評価いたしますが、正直、一般の方が見て、わかりやすさという点では改善の余地もあるのではないかとも思いますし、また、内容にも案件によって多少のばらつきがあるようにも感じます。
 そこで、事業評価について、評価手法や視点も年々ふえ、公表件数も増加する中、評価結果を公表する際に、都民に効果的な発信をしていくべきと考えますが、公表事業の考え方も含めてお伺いします。

○山田主計部長 事業評価の実施結果について都民に向けて発信を行い、理解をしていただくことは、都政のアカウンタビリティーの向上の観点からも重要であり、現在は、終期を迎える事業や施策の実効性を高めることにつながった好事例などを中心に公表しております。
 具体的には、各年度の予算の全体像を示した冊子であります東京都予算案の概要において、公表件数や財源確保額などの事業評価の取り組みの全体像を示すとともに、主な評価事例について図や表を用いて掲載するなど、都民によりわかりやすく伝わるよう工夫を図っております。
 さらに、ホームページ等で評価結果を一覧表として公表するとともに、効果的な事例などは、評価の種類別に、現状、課題、取り組み内容などの詳細を記載した個別の評価票も公表しております。
 令和三年度予算編成では、総務局が実施する政策評価で浮き彫りになった課題を踏まえた評価を行うなど、政策評価との連携を強化することとしており、評価結果の公表に当たって、こうした新しい視点も記載内容に反映するなど、効果的な発信に努めてまいりたいと考えております。

○成清委員 現下においては、コロナ禍への対応や多岐にわたる施策を推進するための財源確保など、今後の財政運営においては、今まで以上の創意工夫が求められるものと認識しております。
 そのためには、先日の三定一般質問で我が会派の福島議員が質問しましたが、政策評価などとも十分に連携し、事業評価のさらなる強化を図り、事業一つ一つに磨きをかけていくことが不可欠です。
 また、事業評価の結果を公表する際には、どういったものを公表対象にしたのかという対象の選定の考え方も明示し、年々増加する公表件数なども踏まえ、めり張りをつけるなど、都民への情報発信を効果的に行っていくよう改めて求め、次の質問に移ります。
 次に、都有地の活用についてお伺いします。
 小池都知事は知事就任以降、待機児童の解消を都政の最重要課題の一つと位置づけ、我が会派も都有地を活用した保育所整備の促進を訴えてきましたが、都は平成二十八年九月に都有地活用推進本部を設置し、保育所等への都有地の活用に向けた全庁的な組織体制を確立しました。
 そこで、令和元年度の都有地活用推進本部による都有地の情報提供件数とその成果、また今後の見込みについて伺います。

○五十嵐財産運用部長 都は、待機児童解消に向けた緊急対策に基づき、保有する土地を最大限活用するため、副知事をトップとする全庁横断的な都有地活用推進本部を平成二十八年九月に設置いたしました。
 保育所等に活用可能な都有地の区市町村への情報提供件数は、全庁挙げて洗い出しを行ってきた結果、令和元年度末までに合計二百六十六件、今年度新たに一件を追加し、合計二百六十七件となってございます。
 情報提供した都有地の中で保育事業者の公募につながった件数は、昨年度末までで十七件となっており、このうち十二件は本年四月までに保育所等を開設済みで、残りの五件についても来年度以降の開設に向け手続中でございます。今年度においても新たに二件の土地で公募に至っており、手続中の五件と合わせ、今後七件の保育所等の開設が見込まれているところでございます。

○成清委員 都有地活用推進本部の取り組みが、着実に保育所開設に結びついてきていることを確認いたしました。
 一方、都は都有地活用推進本部を設置する以前にも、財務局所管の未利用地や都営住宅の建てかえに伴う創出用地を中心に、年一回、区市町村に情報提供を行っていたと聞いております。
 都有地活用推進本部では、この取り組みを大幅に拡充させ、公営企業所管の土地を含む全ての都有地を対象にして、全庁横断的な取り組みとして情報提供を行っていることが特徴の一つです。
 そこで、全庁横断的な取り組みの成果の視点から、活用された都有地がどのようなものなのか、その実績を伺います。

○五十嵐財産運用部長 委員お話しのとおり、都は都有地活用推進本部設置以前は、財務局所管の未利用地と都営住宅等の建てかえに伴う創出用地を中心に、年一回、区市町村に情報提供を行ってまいりましたが、本部設置以降は、公営企業の土地を含む全ての都有地を対象として、年複数回、保育所等に活用可能な都有地を洗い出し、区市町村に情報提供してまいりました。
 本部による情報提供地の中で、令和元年度末までに保育事業者の公募に結びついた都有地は、先ほど答弁したとおり十七件でございますが、このうち、こうした全庁横断的な取り組みを進めた結果として、新たに対象とした公営企業局を含む五つの部局から提供を受けました土地を活用したものが十件ございまして、事業者公募済み件数全体の約六割を占めているところでございます。

○成清委員 昨年度末までに事業者公募に結びついた土地は、従来の取り組みだけでは提供し得なかった土地が半数以上を占めているとのことです。小池都知事のリーダーシップのもと進めてきた全庁挙げての待機児童対策の取り組みの成果を確認することができました。
 現在、待機児童数は歴史的な減少を見せていますが、依然二千人を超えていることも事実です。引き続き全庁挙げての保育所の整備など、都の保有ストックを最大限活用することを求めておきます。
 続いて、都庁舎の再生可能エネルギー電力の利用についてお伺いします。
 都は令和元年度より、都庁舎で使用する電力からのCO2排出量をゼロにする都庁舎版RE一〇〇を新規事業として開始しております。
 まず、令和元年度決算書に記載されております本庁舎の光熱水費約十三億円について、このうち電力費の占める割合と、都庁舎における省エネルギー推進に向けた取り組みやその成果についてお伺いします。

○鈴木庁舎運営担当部長 令和元年度の都庁本庁舎の電力費につきましては、光熱水費の五一%を占める約六億八千百万円でありまして、CO2削減の意義からも、使用電力の削減は重要な課題と認識しております。
 このため、省エネルギーに向けた具体的な取り組みといたしましては、これまで設備更新の際のLED照明や高効率モーターなどの省エネ設備の導入に加え、空調設備のチューニングなどを積極的に行ってまいりました。
 こうした取り組みの結果、例えば令和元年度の使用電力は、五年前の平成二十六年度と比べまして約一五%減少し、また、東日本大震災前年度であります十年前の平成二十一年度の使用電力と比べましても約三六%減少となるなど、大きな成果につながっております。

○成清委員 省エネルギー推進に向けた取り組みについて確認させていただきました。地道な努力を積み重ねて、着実に効果を上げているということを評価いたします。
 都は、世界の大都市の責務として、平均気温の上昇を一・五度に抑えることを追求し、二〇五〇年までにCO2排出実質ゼロに貢献するゼロエミッション東京を実現することを宣言しています。
 隗より始めよということで、都庁舎においても、省エネルギーを推進しても削減し切れなかった電力については、CO2を排出しない再生可能エネルギーに置きかえていくことが重要で、昨年八月に都庁舎版RE一〇〇として、第一本庁舎にて受電している電力を再生可能エネルギーに切りかえたと聞いておりますが、その状況についてお伺いします。

○鈴木庁舎運営担当部長 都庁舎では、再生可能エネルギーを活用し、都庁舎で使用する電力からのCO2排出量をゼロとする都庁舎版RE一〇〇の取り組みを進めております。
 この取り組みの一環といたしまして、令和元年八月一日から、第一本庁舎において受電する電力、年間約三千万キロワットアワーを再生可能エネルギー一〇〇%の契約に切りかえいたしました。
 契約した電力につきましては、都内を含む複数のごみ焼却施設で行われているバイオマス発電による再生可能エネルギー電力であり、都庁舎における使用電力の約八割に相当いたします。価格とともに、小売電気事業者としての再生可能エネルギー電力の供給実績や、都庁舎への電力供給計画などの環境面も考慮した総合評価一般競争入札を行った結果、環境に配慮した電力を調達することができました。
 引き続き、省エネルギーの推進や再生可能エネルギーへの移行を通じまして、CO2排出実質ゼロに向けた取り組みを進めてまいります。

○成清委員 電気小売事業者の選定面でも環境に配慮する取り組みをするなど、都庁舎版RE一〇〇の取り組み状況を確認させていただきました。
 令和元年度決算はコロナ禍の影響が限定的でしたが、今年度は予断を許さない状況となっております。ワイズスペンディングを徹底する一方、都の重要な事業が今後も滞ることのないよう、財務局の主たる事業である予算編成、保有財産の管理など、重要な役割を果たし続けていただくことを要望し、質問を終了します。

○鈴木委員 都議会自民党の鈴木あきまさでございます。三年ぶりに質問させていただきます。
 私は三年間、選挙区である大田区をくまなく歩いてまいりました。また、大田区の行政の皆様とも大変多くの意見交換をしてまいりました。そんな中から、特に私は、生身に感じました課題というものを、きょうはまず最初に質問してみたいというふうに思っております。私の前の方も質問をされておりましたけれども、私は、ぜひきょうは担当部長の一歩前進した答弁を期待しているところでございます。
 さて、都有地の活用について質問をさせていただきます。
 いうまでもなく、都有地は都民共有の財産であることから、都民のために最大限の活用をされるべきものであると考えております。
 しかしながら、一口に都有地といっても、この庁舎敷地や道路、そして公園など、行政目的の達成のために所有する行政財産としての都有地から、施設の閉鎖などにより行政目的を終えた普通財産としての都有地まで、その実態はさまざまでございます。こうした中、財務局では、庁内各局における行政用途を終えた都有地を引き継いで、未利用都有地として管理をしているわけでございます。
 そこでまず、改めて確認でございますが、財務局が所管する未利用都有地とはどのような土地をいうのか、また、令和元年度末において未利用となっている都有地はどの程度あるのかお伺いいたします。

○五十嵐財産運用部長 未利用都有地とは、財務局所管の普通財産のうち、現に各局における本格的な行政利用に供していない土地で、島しょ地域の緑地等として保有されている財産を除いたものでございます。
 財務局所管の未利用都有地は、令和元年度末現在、合計で三百十件、面積は約百八十二ヘクタールとなっております。

○鈴木委員 ただいま、昨年度末時点での三百十件、約百八十二ヘクタールの土地が未利用とのことを確認させていただきました。これらの土地をいかに有効に活用していくかが重要であります。
 都有地は、庁内における活用が優先されるのは当然でございますが、土地の広さは大小あり、都にとっては使い道がなく、なかなか活用の進まない土地もあるわけでございます。
 こうした中で、昨年度は、長期間活用が図られなかった江東区塩浜の都有地が、区の障害者福祉施設用地として売却できたと伺いました。この事例のように、地元の区市町村ならば未利用都有地の活用の道が開けることも十分にあり得るわけでございます。
 そこで伺いますが、未利用都有地を区市町村が抱える行政課題の解決のために積極的に活用を図っていくことも重要と考えますが、東京都はどのような取り組みを行っているのかお伺いをいたします。

○五十嵐財産運用部長 都はこれまでも、庁内において利活用が見込まれない都有地については、地元区市町村の意向を踏まえながら、地域の課題解決のために積極的に活用を図ってきております。
 昨年度におきましては、お話にございました江東区塩浜の土地を障害者福祉施設用地として区に売却した事例などがあり、今年度においても、荒川区荒川の土地を児童養護施設用地として区に売却した事例のほか、葛飾区の西亀有の土地を区立保育園及び児童館の仮設用地として区に貸し付けた事例などがございます。

○鈴木委員 ぜひ今後も、地元区市町村の声をよく聞いて、地域に最大限貢献する活用をしていただけることを強く求めておきます。地元の区市町村のまちづくりに活用されるような、なるべく早い段階で情報提供をしていただきたいと思います。
 さて、未利用都有地の中には、狭小地や不整形地--整っていない形の土地ですが、不整形地、それから不便な立地など、都のみならず区市町村においても、なかなか行政施策の中では活用が困難なものがあると思われます。こうした土地をただ保有し続けることも、一定のコストを伴うものでございます。現下の都財政の状況を踏まえれば、こうした土地を少しでも収入を生む形に変えていくことが求められています。
 小規模な未利用都有地など本格的に行政利用することが困難な土地については、暫定活用や売却促進など進めていくべきと考えますが、都の取り組みをお伺いいたします。

○五十嵐財産運用部長 都有地は都民から負託を受けた貴重な財産であり、可能な限り活用を図りながら、財産価値の最大化を図っていくことが重要と考えております。
 都はこれまでも、小規模な未利用都有地や、次の行政利用までに一定の期間がある土地などについて、臨時駐車場や公共工事の資材置き場等の用途で、民間事業者へ一時貸し付けを行うなど、有効活用を図ってきており、令和元年度においても、延べ五十九件の貸付実績がございます。
 また、将来的にも行政用途での活用が見込めない土地のうち、狭小地や不整形地などについては隣接地権者に売却交渉をするほか、宅地等として活用可能な土地については一般競争入札を行っており、昨年度におきましては合わせて十一件を売却しております。
 今後とも、土地の形状や立地等を踏まえた都有地の有効活用に取り組んでまいります。

○鈴木委員 ただいまの答弁で、有効活用五十九件、あるいは売却交渉、一般競争入札を経ての売却が十一件あったというような報告がございました。私は、この五十九件、十一件、この評価でございますが、まあ余り多くないなというような実感を持っております。
 暫定活用や売却推進など、財務当局、大変努力をしていただいているということは、大変理解をしているところではございます。しかしながら、私がまちを歩いていて本当に実感するのは、都民から見れば、長らく更地の状態が続いているなど塩漬けになっているのではないかという、そのように感じてしまう都有地があちらこちらにあるのも事実でございます。
 財務局所管の未利用地ではなくとも、区市町村の行政需要、民間からの短期的な借用などの相談について、財務局から各局に対して助言をしてもらえるか、その辺の見解もぜひ求めておきたいと思います。

○五十嵐財産運用部長 各局が所管する財産につきましては、当該財産の所有目的に応じまして、所管する事業局の責任のもと、適切に管理運用しているところでございます。
 こうした中、行政財産として各局が所有する事業予定地など、本格活用までに一定の期間を要する都有地もございます。財務局としましては、事業局からそうした都有地の暫定活用について相談があった場合には、公有財産制度を所管する立場から、適切に助言等の支援を行ってまいりたいと考えております。

○鈴木委員 最後になりますが、私からも、もう一言申し述べさせていただきたいというふうに思っております。
 特に建設局関係なんですけれども、道路用地として買い進めている土地にポールや網かけがずっとしてありまして、覆われていて、長い期間未利用のままとなっている都有地も散見をするわけでございます。
 こういったようなところを見ると、都民から見れば、ずっとそのままで遊ばせているとしか見えないわけで、例えば、そこの道路用地等々も、そこに面しているところが病院であったり医療機関であったりというときに、救急自動車を置かせてあげたりとか、あるいは、今コロナでこういうような状況の中で、本当に必要だというところについては、積極的に貸してあげてほしいなと、そんなような感想を強く持っているわけでございます。
 ただいま財産運用部長から、公有財産制度を所管する立場から適切に助言等支援を行ってまいりたいとの答弁がありました。都の局同士の土地の借用も、実態として申し上げるならば、現実的にはなかなか大変なんです。私も中に入っていろいろと調整をさせていただいたことがございますが、公共事業を請け負った民間事業者の土地の借用はそれどころではなくて、かなりハードルが高いのが現実なんです。
 いずれにしても、未利用の都有地のさらなる活用に向けて、財務局には一層の努力を求めまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 以上です。

○斉藤委員 私の方からは、事業評価とグリーンボンドを中心に都債に関連して質問させていただきたいと思います。
 令和元年度決算は、約一千四百億円の実質収支黒字となっております。また、さまざまな指標から見ましても、昨年度末時点での都の財政状況は極めて健全な状況にあることがわかります。
 一方で、今回のコロナとの闘いでございますが、引き続き、長期化、予断を許さない状況にございまして、これまでの累計で約一兆六千億円となる新型コロナウイルス対策の補正予算編成や、景気後退に伴う都税収入への影響など、今後の都財政の運営は、さらに難しいかじ取りが求められることになること必至でございます。
 このコロナ禍に的確に対応していくためには、一つ一つの施策の課題や反省点を迅速に改善をし、次へとつなげていくこと、決算もまたそうでございますけれども、重要であります。財政運営全体としても、この決算をしっかりと分析をいたしまして、施策の実効性や効率性を向上させ、めり張りをつけた施策展開を行っていくことが、これまで以上に重要になってくると考えます。
 都はこれまで、事業評価の取り組みによりまして、我が党が推進してまいりました、全国に先駆けて導入した複式簿記・発生主義による公会計制度、先ほど会計管理局の場でも議論いたしましたが、こういった分析を活用しながら、一つ一つの施策を多面的に検証いたしまして、不断の見直しを行ってきたことと認識し、高く評価しております。
 前年度決算で得られた教訓、また、さらに一歩進んで、このコロナ禍への対応での課題や改善点などを次年度予算編成にしっかりと生かしていくために、事業評価制度のさらなるブラッシュアップが必要となってくると考えます。見解を伺いたいと思います。

○山田主計部長 財政環境が厳しさを増すことが想定される中、限られた財源で都政の諸課題に的確に対応していくためには、事業評価制度のさらなる強化を図り、これまで以上にめり張りをきかせた予算編成が必要であると考えております。
 令和三年度予算編成では、決算の分析を含め、一つ一つの事業について多面的な視点から検証し、創意工夫を行うとともに、ウイズコロナ時代における社会情勢の変化も踏まえ、行政手続のオンライン化やICTを活用した効率化など、より実効性の高い事業を構築してまいりたいと考えております。
 事業評価を通じた見直しの事例として、職員研修を対面からオンラインへ実施方法を見直したり、都民への普及啓発では、人を集めて行うイベントは規模を縮小する一方、新たに動画配信の展開による機運醸成を図るなど、それぞれの事業の対象や目的などを勘案しながら、事業の見直しにつなげていくことを想定しております。
 今後とも、事業の効率性、実効性の向上に向けて、事業の成果や決算の状況をより一層厳しく検証するなど、事業評価の取り組みをさらに深化させてまいります。

○斉藤委員 まさに今ご答弁いただきましたように、事業評価の取り組みを通じまして、各事業の決算を厳しく検証し、これまでのコロナ対策で得られたさまざまな課題や改善点を令和三年度予算にも着実に反映させることを改めて求めておきます。
 私も、今回厚生委員会の委員長を一年間務めさせていただいて、質問はできませんでしたけど、質疑を通じまして、特にこの半年間の間は、新型コロナウイルス対策の施策について、緊急性ということで、さまざまな施策が展開されてきたのを目の前で見てまいりました。
 きょう提出された資料の中に、契約についてのお話もございます、契約事務における中小企業者のための主な施策--私は二十一年の初当選ですから、リーマンショックの後を受けての景気回復の軌道の中に入っていく中で当選の機会を得ましたけれども、当時は、建築を初めとしてさまざまな契約の難しさというか、中小事業者が契約になかなか参入できないとか、大変、さまざまなご苦労があったことを見てきた者としましては、まさしくここにございますけれども、請負契約の最低制限価格の問題ですとか、あるいはきょう資料を提出されているものの中にたくさん入っております、契約事務における中小企業者のための主な施策として、分離分割発注の推進、こういった工夫ですね、中小事業者の受注機会の確保など、こういったことも、予算の歳出というか執行の話だけじゃなくて、さまざまな仕組みの中で、きちんとその制度が、この厳しい時代を乗り越えるために、適切に行われているかどうかという検証も、これから必要になってくるんじゃないかと。
 特に契約の場合は、緊急事態のときに決めた契約の価格が、納期が先に延びることによって価格が極めて下落したときに、その乖離については、履行時期のずれによって、都民から非常に不可解な、何でそんな無駄なことをやるんだというご批判も出てくることが、来年度の決算では考えられますので、令和元年度の決算はそういうことはございませんけれども、そういった視点も指摘をしておきたいと思うわけでございます。
 次に、都債のことについてお話をしたいと思いますが、特にグリーンボンドについて伺いたいと思います。
 景気後退に伴う都税収入への影響が懸念される中で、都政の喫緊の課題に取り組んでいくためには、税収以外の都債や基金といった財源を有効に活用していくことが重要です。私もかつて決算でも議論させていただいております。
 今回は、基金は置きまして、特に都債についてお話を進めていきますが、これまで発行を抑制し、着実に東京都の都債の残高を減少させるなど、発行余力を着実に蓄えてきました。大変な努力があったと思います。
 だからこそ、先般の補正予算においては、都債を財源とすることで、コロナ禍により厳しい状況に置かれた中小企業を支えるために、時宜を捉えて、制度融資を拡充することも可能となったわけでございます。預託金の積み増し一千五百二十億円、大変に評価をしているところでございます。
 今後、こうした都債の発行による資金調達を行っていく上で、発行に対して都債の安全性や流動性などを投資家にPRをし、理解、関心を得ていかなければなりませんが、毎年発行している東京グリーンボンドは、投資家から非常に高い評価を得て人気がございます。
 そこで、東京グリーンボンドの令和元年度発行実績について伺いたいと思います。

○山田主計部長 東京グリーンボンドは、平成二十九年度に都が全国に先駆けて発行を開始したもので、都の環境施策の強力な推進や、環境施策に対する都民や企業のオーナーシップ意識の喚起といった発行意義がございます。
 三回目の発行となります令和元年度は、機関投資家向けに百億円、個人投資家向けに米ドル建てで百億円相当を発行いたしました。
 機関投資家向けについては、多くの投資家から購入希望が寄せられ、発行額に対する応募倍率は約六・九倍、東京グリーンボンドの発行意義に賛同し、投資したことをホームページ等で対外的に表明する投資表明件数は三十六件と、どちらも過去最高の水準となっております。個人投資家向けについても、都民の皆様を中心に多くのお申し込みをいただき、売り出し期間の初日に完売をしております。
 国内におけるESG投資機運の高まりやグリーンボンド市場の着実な成長がうかがえる結果となったと考えております。

○斉藤委員 昨年度の東京グリーンボンドの発行に際しても、多くの投資家から理解を得まして、投資を集めることができたことを今確認させていただきました。
 今後、投資家の関心をより集めていく上では、投資した資金がどのように使われていくのかという、そうした中身につきまして、これを発信していくことが重要になってくると考えます。
 そこで、令和元年度のグリーンボンドの充当事業についてお伺いしたいと思います。

○山田主計部長 東京グリーンボンドの充当事業の選定に当たりましては、各局が実施する事業の中から、環境効果などの観点から検証を行い、環境に好影響を及ぼすものを厳選するとともに、海外の第三者機関からその適格性について評価を得ております。
 令和元年度の実績といたしましては、都有施設への太陽光パネルの設置や道路照明のLED化など、スマートエネルギー都市づくりに資する事業のほか、調節池や水門の整備といった気候変動への適応策に充当しております。また、令和元年度からは、新たに河川護岸を緑化する水辺空間における緑化の推進にも充当しております。
 今後とも、環境効果が高い充当事業を厳選していくことで、都の環境施策を強力に推進し、金融分野からのSDGs実現を推進してまいります。

○斉藤委員 この東京グリーンボンドにつきましては、投資家からも、東京都のグリーンボンドだから買いたいと、海外からもですね--この中に、海外に行ってしっかり現場の声を聞いてきた幹部もおられますけれども、今、世界を三千四百兆円といいますか、多くの資金が投資先を探してめぐっております。それをやっぱり東京の成長というならば、それをしっかりゲットして、東京の事業に投資をいただくことも非常に重要であると考えるわけであります。
 年々人気が上がってきておりまして、先週金曜日に発行した令和二年度の機関投資家向け東京グリーンボンドも、多くの投資家の人気を集めたと聞いておりますし、また、引き続き数多くの投資家が協力を表明してくると思います。都の事業の後押しをしてもらいたいと、このように心から思うわけであります。
 今後予想される厳しい財政運営ですね、これだけ社会全体が厳しいですから、当然、納められる税金、税収も厳しいものが予想されますが、こうした中にありまして、東京グリーンボンドを含めました都債は、一層重要な財源の一つとなることは間違いないわけであります。
 令和三年度の予算編成に向けて、依命通達等を拝見いたしましたし、また、長期ビジョンの視点から見ても、SDGs的な視点を持って事業を組み立てて、今までが当たり前のような要求じゃなくて、充当事業としてこういうものが充てられるというような、各事業局の努力もこれから重要になってくるのかなと思いますので、そうした令和三年度予算編成、そういった観点からも、税外収入、税以外の財源についても見詰めていきたいと考えております。
 発行に関しましては、引き続き都民の理解をしっかりと得た上で、戦略的に活用していただくことをお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。

○里吉委員 私からは、地球温暖化対策の一つとして重要なエネルギー政策、都庁舎、都有施設のエネルギー施策について伺いたいと思います。先ほど議論がありましたけれども、もう少し細かく聞いていきたいと思います。
 昨年度、都庁舎版RE一〇〇、都庁舎で使う電気を再生可能エネルギー一〇〇%に切りかえるということが提案されました。私もそのとき、昨年三月でしたけれども、環境・建設委員会で、こうした取り組みについて、環境局としても都有施設全体で取り組めるようにイニシアチブを発揮してほしいと要望したところでございます。
 本日は、財務局の決算委員会の質疑でございますので、その入札について伺っていきたいと思います。
 まず、都庁第一本庁舎受電分の再生可能エネルギー一〇〇%電力切りかえの入札結果について伺います。

○鈴木庁舎運営担当部長 都は、RE一〇〇の理念に賛同し、再生可能エネルギーを活用して、都庁舎で使用する電力からCO2排出量をゼロとする都庁舎版RE一〇〇を推進しております。
 都庁第一本庁舎で受電する電力につきましては、再生可能エネルギー一〇〇%への切りかえに当たりまして、総合評価一般競争入札を実施し、日立造船株式会社が落札いたしました。契約期間は令和元年八月一日から令和二年九月三十日まで、落札金額は約六億三千二百万円であります。
 この入札により、都庁第一本庁舎に供給される電気は、固定価格買い取り制度を利用しないCO2実質ゼロの再生可能エネルギーとなっております。

○里吉委員 RE一〇〇の理念に賛同して、都庁舎からスタートさせるということで、今お話にもありましたように、ただ金額で落札するのではなくて、この落札については総合評価方式を採用したということです。
 具体的に、その総合評価方式の狙いについて伺います。

○鈴木庁舎運営担当部長 都庁第一本庁舎受電分の再生可能エネルギー一〇〇%電力の総合評価方式では、再生可能エネルギーの供給方法が多様であることから、価格競争だけでなく、環境面も評価して落札者を決定いたしました。
 環境面につきましては、再生可能エネルギー利用率などといった小売電気事業者としての電気供給実績と、再生可能エネルギーの電源構成などといった都庁舎への電力等供給計画をそれぞれ評価いたしました。
 その結果、六者の応札があり、入札価格が三位、環境面の評価が一位の小売電気事業者が落札いたしました。

○里吉委員 総合評価方式の内容として、再生可能エネルギー利用率などの環境面からも判断したということがわかりました。
 私、六者応札があったということで、ここにも徐々に再生可能エネルギーを扱う事業者がふえているということが見てとれるなと思いました。
 同時に、そんな中で落札した事業者というのはどういうところか、具体的に環境省のホームページでも、東京都における総合評価落札方式というのが出ておりまして、そこでも紹介されておりました。環境に配慮した中身として、電源構成や再生可能エネルギーの電気の発電場所についてなど、結構細かく丁寧に中身を見て、そして判断していると。東京都のこの総合評価落札方式というのが、本当にきめ細かに環境面を配慮した落札のやり方だったなというのを確認させていただきました。
 このようなやり方で、庁舎や公的な施設への再生可能エネルギー--一言で再生可能エネルギーといってもいろいろな中身がありますので、このような中身で、再生可能エネルギーの導入がさらに進むように求めておきたいと思います。
 もう一点、省エネ・再エネ東京仕様について伺いたいと思います。
 都庁舎以外の都有建築物の省エネや再生可能エネルギーの導入については、東京都は省エネ・再エネ東京仕様を活用していくということが重要だと思いますが、見解を伺います。

○飯泉技術管理担当部長 財務局では、世界で最も環境負荷の少ない都市東京の実現に向けた都みずからの率先行動の一つといたしまして、都有建築物の新築、改築時に省エネ・再エネ東京仕様を適用し、施設の整備を推進しております。
 これまでに、東京都立川福祉保健庁舎や都立水元特別支援学校へのLED照明や太陽光発電設備の導入など、六十四件の都有建築物に適用してきました。
 引き続き、エネルギー消費量の削減や再生可能エネルギーの導入に向け取り組んでまいります。

○里吉委員 本日出していただいた資料の六ページ目にございますけれども、建築保全部で昨年度調査研究した建築技術について、ここを見ますと、省エネ・再エネ東京仕様等調査委託というのがあります。今、いろいろご答弁いただきましたけれども、これ見ますと、さらに調査研究しているんじゃないかというふうに思います。
 そこで伺いますけれども、東京都の環境に対する姿勢を示す取り組みとして、この省エネ・再エネ東京仕様をさらに充実させていくことが必要であると考えますが、見解を伺います。

○飯泉技術管理担当部長 財務局では、昨年度、事務所モデルにおける省エネ技術導入に伴うエネルギー消費量の検証などの調査を実施いたしました。その結果を踏まえまして、令和二年六月に省エネ・再エネ東京仕様を改正し、ハイグレード高効率空調機の導入など、エネルギー消費量の削減対策を強化いたしました。
 今後とも、省エネ技術の進展を踏まえ対応してまいります。

○里吉委員 検証結果を踏まえて、ことし六月に東京仕様を改正したということです。
 私も改正したものを見せていただきました。ご答弁にありましたハイグレード高効率空調機の導入のほか、外壁の断熱についても強化するなど、さまざまな対策、改正されているということで、これから建築する、建てる建物というのは、三十年、まあ五十年後ですよね、存在しているわけですから、そのときのことを考えますと、最新の省エネ、再エネの技術を生かした建物にしておくということは、本当に重要だと考えます。
 ぜひ、引き続きその方向で取り組んでいただくこと、そして、その知見をほかのところにも広げていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○奥澤委員 私からも、最初に都財政関係でお話をしていきたいと思います。
 皆さん共通の認識だと思いますけれども、新型コロナウイルス感染症の影響で、今後の都財政、これは予断を許さない状況になるであろうということは想像できるわけですけれども、これまで以上に賢い支出を行っていく中では、ただコストカットをしていけばいいということではなくて、一つ一つの事業の効果、あるいは意義、つまり本当に行政がすべきかどうかという視点からも、しっかりと見ていかなければいけないというふうに考えています。
 その意味でも、昨年の決算審議に初めて知事が出席して、単に数字を見るだけではなくて、一つ一つの事業の意義や効果についても直接聞いたことは大きいというふうに考えています。
 その際、令和二年度の予算編成におきましては、決算の状況、決算審議でのご意見を踏まえまして、明るい未来を切り開く予算をつくり上げていく考えということが示されましたけれども、昨年の決算審議をいかにして令和二年度予算に生かしていったのか、まずは伺いたいと思います。

○山田主計部長 令和二年度予算編成に当たっては、平成三十年度決算の状況や決算特別委員会で付されました事業評価によって無駄の排除を徹底するなど、引き続き堅実な財政運営に努めることを強く要望するとの認定意見も踏まえ、事業の効率性や実効性の向上に向け、施策の新陳代謝を図る事業評価の取り組みをさらに深化させ、一千三十億円の財源確保につなげるとともに、八百八十四件の見直し、再構築を行いました。
 その上で、Children、Choju、Communityの三つのCやスマート東京の実現など、過去最高の四百二十件の新規事業を立ち上げ、積極的な施策展開を図ってまいりました。
 あわせて、将来を見据え都債の発行を抑制するなど、財政の健全性もしっかりと配慮した予算編成を行ったところでございます。

○奥澤委員 しっかりと決算の付されたことを予算編成にも生かしていったということを聞くことができました。
 また、事業評価の深化、深くするという意味で深化だと思いますけれども、例えばこれは町田市の事例ですけれども、市民参加型事業評価という取り組みをしています。これは六つの事業を取り上げて、有識者に加えて、高校生を含む市内在住の一般の方が事業評価を行うというものですけれども、会場での傍聴に加えて、ユーチューブでの配信あるいはインターネット投票も取り入れています。
 改善すべき具体的な意見が得られるということ、あるいは監視機能を高めていくということも重要ですが、見える化をしていくことの最も重要な意義は、職員の皆様のマインドを変えていく、ここにあるというふうに思っています。
 今も決算の審査に当たって、各局とやりとりを重ねていますけれども、少しずつではありますが、都においても見える化の意識、例えば数値や成果を聞いたときに、すぐに答えが出てくるようなやりとりが出始めている、これは見逃してはならないというふうに私は思います。
 引き続き見える化の取り組みを強化していくべきというふうに考えますが、さらにいえば、今後厳しくなるであろう財政予測に鑑みると、都の懐事情、これを都民の皆様にもご理解いただく、あるいはご協力いただく必要性も出てくるであろうというふうに思う次第です。
 これを考えるときに、私が常に考えていることですけれども、百人の方々が、これはあったらいいなというふうに思う取り組み、これも大事かもしれませんけれども、一人の人にとって、これがなくなったら困るんだという事業、これもしっかりと見ていかないといけないものだというふうに思っています。
 つまり何がいいたいかというと、今ある事業を全てキープしていく、維持していくというのは、なかなか難しくなってくるだろうという中では、真に必要な取り組みは何なのかというのを見きわめていく、その視点を持つのが財務局の方々の務めなんだろうというふうに思います。
 そこでお伺いします。先ほども申しました、都民の皆様にもご理解いただいて、時にはご協力をいただかなければならない可能性もある、そういった中で財政全般における都民の方々への見える化について、どのように取り組んでいるのかお伺いしたいと思います。

○山田主計部長 これまでも都は、東京都年次財務報告書などで都の財政状況を明らかにするとともに、さまざまな財政指標を用いた分析を行うなど、都財政に関するアカウンタビリティーの確保、充実に努めてまいりました。
 具体的には、前年度における普通会計決算や健全化に関する指標などの決算情報の掲載にとどまらず、過去からの財政指標の推移や財政再建期以降の取り組みなども含めて分析、検証を行い、都の財政状況について説明をしてまいりました。
 特に、年次財務報告書に掲載しております都財政を考えるのパートでは、これまでの財政運営の振り返りなど、さまざまな切り口で都財政を解説するとともに、令和元年度は、これまでの新型コロナウイルス対策の取り組みを反映した直近の都財政の動向についてもお示しするなど、都民の理解がより深まる内容となるよう工夫を凝らしております。
 引き続き、その時々の状況に応じて、さまざまな数値や財政指標を用いた多面的な財政分析を行うことで、都財政の見える化を行い、都民の皆様により一層理解いただけるよう努めてまいりたいと考えております。

○奥澤委員 都民の皆様の理解が進むよう工夫を重ねているということで、ぜひとも引き続きお願いしたいというふうに思います。
 見える化を進めていくということは、一義的には監視機能、チェック機能の強化につながるものであって、理解を得ていくというためにも必要なことだというふうに思いますが、私としては、先ほど申しました職員の意識は変わっていくこと、そして効果的な政策立案、その先には都民参加を促していくという好循環が生まれていく、そこまで見据えた取り組みを期待しています。
 その意味で、事業評価の一つであるエビデンスに基づく政策立案は重要な観点でありまして、平成三十年度予算からエビデンスベース、客観的指標に基づく事業評価を実施しておりますけれども、評価手法の概要と評価に当たっての視点を確認のためにお伺いしたいと思います。

○山田主計部長 エビデンスベースによる評価は、平成三十年度予算編成から新たに導入した評価手法でございまして、施設の整備、改修や重要資産の購入、補助、委託事業の実施等について、統計データや技術的指標などの客観的事実に基づき、事業の妥当性などを検証する取り組みでございます。
 評価に当たりましては、先行事例や類似事例と比較した場合の事業費や単価の妥当性、事業実施により期待できる社会的、経済的便益を踏まえた妥当性などの視点により、評価を行っております。

○奥澤委員 まず比較をして妥当性を、これは客観的に評価をしていくということでありますから、誰の目から見てもといいますか、評価にとどまらず、どう政策立案へ生かしていくのかというのがしっかりと見てとれるものになるんだと思います。つまり、そうなると、評価をしたものが各局に対していかに展開していけるのか、落とし込んでいけるのかという部分が非常に重要だと思います。
 そこで、令和元年度予算編成において、エビデンスベースに基づく評価で得られた知見を各局に広げるために、どのように取り組んでいるのかお伺いしたいと思います。

○山田主計部長 令和元年度予算編成で実施いたしましたエビデンスベース、こちらの、例えば評価の一例といたしまして挙げられるのが、二十四時間三百六十五日税務相談の実現という事例が挙げられます。
 これは、主税局ホームページでのAI技術を活用した相談機能の導入に当たり、新しい機能により削減される納税者の検索時間を試算し、それにより生ずる便益と事業コストを比較することで、事業の妥当性を検証したものでございます。
 検証の結果、AI技術を活用することで、納税者が検索機能で情報を探し出すよりも短時間に必要とする情報を提供することが可能であることが確認できました。これによりまして、期待できる便益が事業コストを上回り、実施の妥当性が検証できたために、事業化を決定したものでございます。
 これは一つの事例でございますけれども、こうした評価事例につきましては、東京都予算案の概要の中で紹介するとともに、各局には、予算要求の前段階におきまして評価事例集を送付し、取り組み内容について共有を図ったところでございます。
 今後とも、事業評価の取り組みにより、一つ一つの事業の効率性、実効性を継続的に向上させ、限られた財源の中で都政の諸課題に的確に対応してまいりたいと考えております。

○奥澤委員 ありがとうございます。
 今、具体的にはAI技術を活用した相談事業、これはチャットボット機能の話だと思いますけれども、期待できる便益が事業コストを上回ったということで、思い切って事業化に向かっていくことができたというお話がありました。
 私も読ませていただくと、別の事業ですけれども、これは環境局になりますかね、卒FITにおける自家消費プランの推進というのも、これもなかなか興味深いなと思って読ませていただきました。
 予算という観点と、エネルギーをどう減らしていくかという観点で、一見すると別の指標になってしまって、わかりにくいかなというふうに思うところを、CO2の削減効果、あるいは光熱費の削減効果として並べて見せることで、その妥当性が理解しやすいものになっているなというふうに率直に感じたところです。
 ほかの手法、さまざまな方法論を比較して並べるという点では、まだまだ改善の余地があるのかなというところ、それから、対象とする事業もまだ二十事業ということで、少ないなというふうに思うので、改善の余地はまだまだあるんだろうというふうには思います。
 さらにいうと、取り組みの効果を最大限発揮させるための契約の面、あるいは仕様書に書き込むような、そういったところかもしれませんけれども、ソーシャル・インパクト・ボンドの導入、あるいはナッジ理論を用いた行動変容など、研究すべきことはまだまだ多いというふうには思います。
 総務局が実施している、主導している国際競争力強化プロジェクトがありますけれども、これでも昨年財務局からは、まさにEBPMの事例研究で海外に行かれているということでありました。事業評価制度の深化に生かしていただきたいというふうに要望しておきます。
 次に、都民提案事業について二点お伺いしたいと思います。
 これも、国際競争力強化プロジェクトの一環で、パリを訪れて視察をしているようなので、財務局としてもしっかり今後取り組んでいかなければならない事業だというふうに捉えているというふうに思います。
 都民提案事業については、行政では気づかない発想から事業を構築するという点と都民参加を促すという点、その両輪で動いている事業であることについては賛同いたしますが、改善の余地の大きい事業であるとも考えます。
 都民提案制度を普及促進し、今も述べた二つの目的を達成するために、令和元年度はどのような工夫を講じたのか、まずはお伺いしたいと思います。

○山田主計部長 都民提案制度は、予算編成過程に都民の皆様の声を直接反映させる取り組みでございます。
 多くの都民参加を促し、従来の発想にとらわれない新たな視点を事業の構築につなげるためには、より利用しやすい環境づくりや、都民の皆様に対する周知、広報が重要であると認識しております。
 令和元年度は、都民の皆様から幅広い分野に対してより多くの提案をいただく観点から、提案の対象分野を追加するとともに、提案の募集開始を約一カ月前倒しし、募集期間の十分な確保に努めたところでございます。
 また、投票に当たりましては、広報期間を拡充した上で、SNSによる情報発信を行うなど、投票数をふやすための取り組みを実施し、前年度の二倍超となります四千二百十三票の投票をいただきました。
 引き続き、都民の皆様が利用しやすい環境づくりや、より多くの都民の皆様にご参加いただくための工夫に努めてまいりたいと思います。

○奥澤委員 工夫を重ねていること、これは理解をしますけれども、結果を見ると、投票者が四千人強という状況は、なかなか評価できるものとはいえません。
 先ほど紹介した国際競争力強化プロジェクトの報告書を見ますと、パリ市やレンヌ市では、紙を使った投票も用いて投票数が大幅に向上した事例が述べられています。
 あと、以前本会議の討論で、私からご紹介したこともありますけれども、シンガポールでは、多くの人が行き交うオフィス街に、都市の将来像と計画、模型やパネル、映像などを通じて、一般の方々にもわかりやすく示されるとともに、その横に大きな看板で、テル・アス・ホワット・ユー・シンク、あなたの考えを教えてくださいということが大きく掲げられていて、その横には意見箱が、その場で投書できるように設置されているという工夫もされていました。
 都民提案事業に限らずですけれども、都民と進める都政を目指す上では、すぐにでも取り入れていくべきことばかりであるなと思いますし、海外での学びを早期に導入するよう期待をしたいと思います。
 また、このプロジェクトの報告書では、市民参加型事業そのものを地域の交流の場として活用しているという記載もありました。日本でも、例えばつくば市では、IT活用政策コンテストを実施した際にプレゼン大会を実施して、マイナンバーカードを使ったネット投票の実証実験を行うなどして、このコンテスト自体を意義ある事業にしています。
 都民提案事業においても同様に、事業自体にもっと付加価値をつけていくことが必要だと思います。どのように取り組んできたのか、見解をお伺いしたいと思います。

○山田主計部長 都民提案制度は、平成三十年度予算編成における導入以来、対象分野を拡充するとともに、スマートフォンやパソコン画面から直接提案を行えるシステムの構築、募集期間の十分な確保など、都民にとって利用しやすい仕組みとなるよう工夫を積み重ねてきております。
 今年度は、特別体制の実施により、例年の都民による提案は中止をいたしましたけれども、かわりに新型コロナウイルス感染症により浮き彫りとなった社会的課題解決に向けたアイデア募集を実施いたしまして、二百二十四件のアイデアが寄せられており、都民による提案と同様に、都民参加の機運が醸成されてきていると認識しております。
 引き続き、都民参加の推進という観点からも、各局とも連携してよりよい施策等につなげられるよう、都民提案制度のさらなる発展に努めてまいりたいと考えております。

○奥澤委員 今年度行ったアイデア募集の内容も読ませていただきましたけれども、興味深い提案も幾つか見てとることができました。これは、要は社会をよりよくする種のようなもので、民間から寄せられた種が花開くまで、行政はどのようにかかわっていくべきなのか、しっかりと考えていく必要があるんだと思います。
 冒頭述べたとおり、今後は財政もより一層厳しくなっていくことに鑑みますと、全てを自前でやっていくという考えは捨てた方がいいのかもしれません。
 財政のみならず、契約をつかさどる財務局において、これからの官民協業のあり方も研究していただいて、本当の意味での都民と進める都政へと都庁を発展させていただきますようお願いして、質問を終わります。

○古城委員 令和元年度東京都一般会計決算中、財務局所管分に関連して、都庁舎改修を中心に質問いたします。
 前提となる平成三十一年度予算は、平成三十年度のさまざまな出来事も考慮して編成されており、特に平成三十年六月に発生した大阪府北部地震や、十月に発覚した免震、制振オイルダンパーの国土交通大臣認定への不適合事案などを受けた建築保全事業の執行について確認させていただきたいと思います。
 初めに、都庁舎のオイルダンパーについてであります。
 都有施設につき、既存建築物の適切な維持保全と改修は、持続可能な都市づくりを目指す東京都において、国連の持続可能な開発目標SDGsの達成に貢献するための重要な取り組みであると考えます。
 完成より間もなく三十年が経過しようとする東京都庁舎は、設備更新等に関する方針が策定された平成二十一年二月から都庁舎改修プロジェクトがスタートしています。この中で、長周期地震動対策として、平成二十六年度から第一本庁舎と第二本庁舎での制振装置の工事が着手されました。
 二年前の各会計決算特別委員会第一分科会で、私は都庁舎においても不適合事案に関与したメーカーの製品が使用されていることについて質疑を行いました。その際、受注者頼みやメーカー頼みということではなしに、都の技術力を生かして安全性を確認すべきだと繰り返し訴えました。
 これに対して、都有施設の耐震性、安全性をしっかり確保し、都民の皆様にも一刻も早く安心していただけるよう、都の技術の総力を挙げ、万全を期して取り組むこと、具体的には、事業者頼みではなく、都も工場に行って立ち会う、あるいは製品の性能を確認するなど、みずから進んで対応する方針が表明されました。
 問題発覚から二年が経過した現在、都庁舎に設置されたオイルダンパーの品質は確認されたのか、都の取り組みについて見解を求めます。

○鈴木庁舎運営担当部長 都は、庁舎の長周期地震動対策を図るため、平成二十六年以降、第一本庁舎及び第二本庁舎に約三百本の制振オイルダンパーの設置を進めてまいりましたが、平成三十年十月、一部のダンパーについて、KYB株式会社とその子会社が検査データを改ざんしたものと同型のダンパーが使用されていることを確認いたしました。
 そのため、都は、ダンパーが設計どおりの性能を確保しているか確認するための方法を検討し、工事受注者の調査において性能が確認できなかったダンパー全数につきましては、新たに製作したものに交換または再検査し性能を調査した上で再設置することといたしました。
 また、工事受注者が性能を確認したと判断しているものの客観的な資料が確認できなかったものにつきましては、JIS規格に基づき抜き取り調査を実施することといたしました。
 調査に当たりましては、学識経験者の意見を聞きながら、実施要領を作成した上で、十二回に及ぶ製造メーカーの工場における検査に第三者機関とともに立ち会っております。具体的には、事前の機器の振幅や加速度といった設定確認に始まり、検査中の油漏れやダンパーの設置状況の確認、また検査後の結果確認に加え、形状や外観に傷などの異常がないことなどを調査し、設計どおりの性能を有していることを確認いたしました。
 今般、ダンパーの設置を終えたため、現在、学識経験者などへの報告を行っておりまして、今後とも、都庁舎の安全性、信頼性の確保に努めてまいります。

○古城委員 災害発生時に司令塔となるここ都庁舎を初め、都有施設の安全性、信頼性の確保については、災害に対するレジリエンスの視点、SDGsにも含まれますけれども、この観点からも大変重要になっていく、ますます重要になると考えます。
 今後も、受注者や、またメーカーもしかりですが、第三者機関も含めて、外部に頼るだけではなくて、みずからの目で、また、みずからの知見で確認するよう努めていただきたいと改めて申し上げさせていただきます。
 次に、都有施設のブロック塀等の安全対策についてであります。
 大阪府北部地震の際には、児童が倒壊したブロック塀の犠牲となりました。このような痛ましい事故を繰り返してはなりません。
 私は、発災後の平成三十年第二回定例会の本会議において、緊急に都内の通学路のブロック塀などの安全総点検を行うなど、迅速な対応を求めました。
 これを受けて、第三回定例会での都議会公明党の代表質問に対して、知事から、都有施設における通学路に面して倒壊の危険性があるブロック塀について、最優先で撤去する方針が表明されました。
 そこで、都有施設のブロック塀等の安全対策について、現在の推移をお尋ねします。

○飯泉技術管理担当部長 平成三十年六月に発生いたしました大阪北部地震によるブロック塀の倒壊事故を受けまして、都有施設を対象に緊急点検を実施いたしました。
 その後、各局と調整の上、同年十二月、通学路を含む不特定多数の人が通行する道路等に面する塀などを第一優先として、撤去などの安全対策を行う方針を都として決定いたしました。
 本対策を進める上で、入札不調によるおくれや、隣接する地権者との調整に時間を要するなど、さまざまな課題がありましたが、関係局において粘り強く取り組みを継続した結果、令和元年六月末時点の進捗約五割から、先月末時点で約八割となる見込みでございます。
 引き続き、各局と連携し対策を進め、災害に強いまちの実現に取り組んでまいります。

○古城委員 都有施設の安全確保は、地域の安心につながる幾重にも重要な取り組みだと思います。
 現行法規に適合しないブロック塀等の安全対策の早期完了を目指して、各局に対して働きかけていくこと、かつ、適時適切に進捗を確認していくことを求めさせていただきます。
 最後に、都庁……
   〔飯泉技術管理担当部長発言を求む〕
   〔発言する者あり〕

○佐野委員長 古城委員、続けてください。

○古城委員 今、都有施設につきまして、現行法規に適合しないブロック塀等の安全対策の早期完了を求めたいと申し上げたところですけれども、改めてこの点、確認をさせていただきたいと思います。

○飯泉技術管理担当部長 先ほど答弁の中で、これまで関係局において粘り強く取り組みを継続した結果、令和元年六月末時点で進捗約五割と申し上げましたけれども、令和元年九月末時点の誤りでございました。おわびして訂正いたします。
 ただいまの委員のご質問でございますが、さまざまな課題がございましたけれども、引き続き財務局として各局と連携いたしまして、一刻も早く、法律に適合しないブロック塀が撤去等されますよう、取り組みを進めてまいります。

○古城委員 都有施設の中でも、各局があわせて持っている合築のような施設であったりだとか、また、これから施設の更新、庁舎の改修等が行われる、そういったタイミングで、ブロック塀、また万年塀等の安全対策を行っていく、そういう箇所があるということも承知をしておりますけれども、いずれにしても、その場所が現時点において存在するということについては、やはりいざというときの災害対応も含めて、大変重要な課題が残っているということにもつながると思いますので、重ねてになりますが、改めて各局に対してしっかりと働きかけていただいて、そして、地域の安心・安全に資するためにも、早期の完了を求めておきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 最後に、都庁展望室についてでございます。
 この都庁展望室、改修工事が行われておりましたけれども、改修工事前の入室者数は年間二百万人を超えておりました。南北両方で全面開室となったやさきの本年二月から、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために休室となりまして、七月一日から一部再開し、十月一日からは開室時間が延長されているところでございます。
 本日の委員会開会前に、私も南側の展望室に改めて上ってまいりました。一階であらかじめ手指消毒、検温を行い、東京版新型コロナ見守りサービスにスマホでQRコードを読み取って登録し、そして係の方に一時間程度の滞在を促されまして、間隔をあけてエレベーターを待ち、そのエレベーターが到着した際には、換気される時間をとってから乗り込んで、四十五階に行ってまいりました。
 また、あわせて階下の四十四階のトイレの状況についても確認をさせていただきましたけれども、感染防止策が講じられているということが、私自身も実感をしたところでございます。
 この東京都庁の展望室は、都内の観光の中でも大変有名なスポットになっております。観光には直接的、また間接的に、SDGsの全ての目標に貢献する潜在力があるといわれております。したがいまして、この新型コロナに負けない闘い、その取り組みの中にあって、都庁舎のプレゼンスというものは、非常にこれからますます重要になってくると考えております。
 私は、二年前の第一分科会で、東京の人気スポットとして、国内外を問わず多くの来観者が訪れている都庁展望室について、夜景を初め、眺望を楽しむための取り組みや、バリアフリー対応などを質問いたしました。
 内装や照明の工夫に加え、車椅子の寄りつきスペースの増設や、誰でもトイレの増設などを行うとの答弁がありましたけれども、都庁展望室の具体的な整備状況についてお尋ねします。

○鈴木庁舎運営担当部長 都庁展望室の改修工事につきましては、南側が平成三十一年三月、北側が令和元年十二月に完了いたしました。
 改修工事における整備状況でございますが、眺望につきましては、夜間における窓ガラスへの室内の映り込みを抑えるため、内装の色調を落ちつきある色に変更し、照明もダウンライトとすることで、夜景を見やすくするとともに、車椅子の方がより窓に近づけますよう、車椅子寄りつきスペースを北側、南側で計八カ所整備いたしました。
 また、窓の高さまで上れる展望デッキにつきましては、多摩産材を使用するとともに、北側、南側に一カ所ずつ向きを変えて設置しております。
 バリアフリー対応といたしましては、誰でもトイレを北側、南側にそれぞれ二カ所ずつ設置するとともに、トイレ内には音声案内を設置することで、視覚障害者の方にも使いやすいよう配慮しております。
 また、一般トイレにおきましては、全て洋式化するとともに、ベビーチェア、ベビーベッドなどを設置いたしました。
 今後とも、子供連れの方や障害を持つ方を含め、誰もが楽しめる展望室となるよう、一層のサービス向上に努めてまいります。

○古城委員 国連世界観光機関、UNWTOは、SDGsを踏まえて、持続可能な観光には、都市のインフラ整備とバリアフリー化の促進、地域の再生の推進などの潜在力があることを訴えています。
 コロナ禍の中、全国各地の観光施設が万全の感染防止策を徹底する一方で、依然として誘客に大きな課題を抱えています。東京観光の象徴である都庁展望室もその一つであろうかと思いますが、ぜひともこの都庁展望室、新型コロナに負けない象徴となることを期待をしているところでございます。
 そこで、今後とも、都民に開かれたシティーホールとして、誰もが心軽やかに、安心して訪れることができる都庁舎であるために、適切な庁舎保全と庁舎運営を求めまして、質問を終わります。ありがとうございました。

○佐野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○佐野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時五十五分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る