令和元年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第三号

令和二年十月十九日(月曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長小松 大祐君
副委員長大松あきら君
副委員長栗下 善行君
もり  愛君
原田あきら君
加藤 雅之君
保坂まさひろ君
森口つかさ君
とや英津子君
鈴木 章浩君

欠席委員 なし

出席説明員
中央卸売市場市場長黒沼  靖君
管理部長豊洲市場活性化担当部長兼務松田 健次君
事業部長西坂 啓之君
企画担当部長猪倉 雅生君
市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務佐々木 珠君
財政調整担当部長渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務村上  章君
移転支援担当部長石井 浩二君
施設担当部長渡辺 正信君
環境改善担当部長佐々木宏章君
港湾局局長古谷ひろみ君
技監原   浩君
総務部長相田 佳子君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務深井  稔君
調整担当部長若林  憲君
港湾経営部長戸井崎正巳君
臨海開発部長中村 昌明君
開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務佐藤 賢治君
臨海副都心まちづくり推進担当部長赤木 宏行君
臨海副都心開発調整担当部長松本 達也君
港湾整備部長山岡 達也君
計画調整担当部長薮中 克一君
離島港湾部長片寄 光彦君
島しょ・小笠原空港整備担当部長高野  豪君

本日の会議に付した事件
令和元年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
中央卸売市場関係
・令和元年度東京都と場会計決算(質疑)
港湾局関係
・令和元年度東京都一般会計決算(質疑)

○小松委員長 ただいまから令和元年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別質疑を行ってまいります。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場及び港湾局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和元年度東京都と場会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 よろしくお願いいたします。
 特別会計の市場について、と場の決算審査に当たりまして、何点か確認をさせていただきたいなというふうに思っております。
 この芝浦と場の歴史っていうのは本当に大変古いんですね。昭和十一年、東京市の芝浦と場として開設されたというふうにいわれておりますけれども、しかしながら、もっとひもとけば、一八六七年の慶応三年にイギリス公使館の関係の業者の方が、荏原郡の今里村の堀越藤吉さんという土地に、と場を開設したことから始まったともいわれています。その後、幾つかこの場所が立ち上がって廃止されたりと、いろいろ繰り返しているんですけれども、その中で、やはり排水の問題が大きな社会問題となって、今日に集約されているわけです。
 その後、国の方針で、生鮮食料品流通改善対策要綱のもと、流通過程の公正性を図るために、昭和四十一年に、この流通部門を担う卸売会社が設立されて、食肉市場が業務を開始したのに合わせまして、この芝浦と場は市場に併設されることとなって、現在の形となっている、そういうことです。以来、高度経済成長期以降の食肉需要の増加に応えるなど、首都圏の食肉供給基地という機能を果たしてきたわけです。現在も、国内最大級の取引規模を持って、価格形成機能においても、全国的に指導的役割を果たすこの食肉市場と相まって、芝浦と場というのは、都民に対する食肉供給の安定に貢献するなど、公共性の極めて高い役割を担っているというふうに思います。
 しかしながら、この近年の地産地消の進展、そして流通の合理化など、食肉市場を取り巻く環境が変化する中、市場法も改正されましたけれども、集荷量を維持して、今後もこの芝浦と場の機能を継続していくためには、施設の整備や維持も含め、本当にこれから不断の努力が求められるというふうに思います。
 まず初めに、この最近五年間の牛、豚のと畜頭数の推移についてお伺いいたします。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 と畜の頭数についてでございます。
 牛につきましては、平成二十七年度がおよそ九万三千頭、二十八年度及び二十九年度が八万八千頭、三十年度が八万七千頭、令和元年度が八万六千頭となっております。
 また、豚につきましては、平成二十七年度がおよそ二十万九千頭、二十八年度が二十万一千頭、二十九年度が十八万八千頭、三十年度が十九万五千頭、令和元年度が十九万三千頭となっておりまして、牛、豚、いずれも横ばい、もしくは微減の傾向で推移してございます。

○鈴木委員 今の答弁で、と畜頭数は横ばい、もしくは微減ということでありますけれども、全国各地で広がる地産地消の動き、そして畜産農家の高齢化や後継者不足などの影響があるんではないかなというふうに思います。
 実は私の田舎も福島にありまして、これは東日本大震災の影響も大きいというふうに思いますけれども、後継者がいないということで、本当にかなりありました畜産農家がもうやめているという現実があります。
 そしてまた、豚なんかも、よく小さな農家が兼業でやられているところもあったわけですけれども、そういったところももちろん今集約されていて、なくなりつつあります。特に、この豚に関しては、昨年来続いている豚熱、豚コレラの影響で、今後集荷への影響も危惧されるのではないかというふうにも感じるわけです。
 産地が厳しい状況に置かれている中にあっても、良好な関係を保っていくことが何よりも必要だというふうに思うんですけれども、そのためにも、芝浦と場はこれまでのと畜頭数の多さを維持することで、食肉市場を通じた購買力、販売力の向上に貢献し、全国をリードしていくことが何よりも肝要であるというふうに思います。
 生産者が丹精込めて肥育した牛や豚が消費者のところへしっかりと届くということが、産地を支えて、消費者を支えることにつながるというふうに思いますけれども、そこで、芝浦と場が全国の産地と消費者の橋渡しとして重要な役割を担っていることをまず確認する中で、東京都内の牛、豚のと畜頭数の全国シェアは今どうなっているのか。また、芝浦と場でと畜解体されている生体の産地の傾向が今どうなっているのかお伺いいたします。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 牛や豚は産地の近隣でと畜されるケースが多く、東京都におけると畜頭数の全国シェアは、令和元年で牛が八・二%、豚が一・二%でございます。
 一方、と場別に見ますと、芝浦と場の牛のと畜頭数は全国でもトップクラスにございまして、その産地は北海道、関東、東北を中心に全国の一円に及んでおります。また、豚の産地は、群馬県、千葉県や茨城県などを中心とした関東地区と東北圏の一部が中心となってございます。

○鈴木委員 全国にあると場の中で、今お話しいただきましたけれども、全国のトップクラスのと場であるということがわかりました。近江牛というこの名称も、ある意味では、この芝浦と場が発祥だと、そういった話も聞かれますけれども、一方で、と場施設も昭和六十年代の建築で今いるということで、大変老朽化が進んでいるんです。
 そこで、全国のトップクラスのと場として、これから令和元年度の芝浦と場の施設や設備の良好な機能維持のために、やっぱりしっかりと整備を行っていかなくてはならないというふうに思うんですけれども、現在の執行状況についてお伺いいたします。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和元年度は、牛の枝肉をつるして搬送するための高架レールや豚の足の切除など一連の前処理作業を行うためのコンベヤー設備など、と室内の設備の更新を行うとともに、と畜解体に伴う排水の処理に欠かせない水処理センターの設備機器の整備工事などを実施いたしました。
 こうした整備工事に、一億四千六百万円を執行いたしました。

○鈴木委員 隣接する食肉市場の運営というのは、集荷した牛や豚の生体をと畜解体する、そしてまた、芝浦と場での業務があって初めて成り立つものであるわけですけれども、と畜解体業務の円滑な実施が何よりも大切だというふうに思います。
 今の答弁の中に、水処理センターの話がありました。と室内では、高温消毒槽を初め、また、と室内の衛生環境を保持するために、大量の水の使用が不可欠だと聞いております。
 このと場というのは、歴史からも、この排水の問題というのがやはり大きな問題で大事なわけですけれども、この大量の排水を日々効果的に浄化処理することは、と畜解体業務を陰から支えて、非常に大きな役割を果たしているというふうに私は思います。
 と畜施設の排水処理は、水処理施設への負荷も大変大きいんですけれども、万が一にもこの機能が停止すれば、食肉の供給や近隣環境にも甚大な影響が出るわけです。
 そこで、芝浦と場では、作業に伴う排水処理機能の維持更新にどのように努めているのかお伺いいたします。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 と畜業務を円滑に継続していく上で排水の処理は最も重要な機能の一つでありまして、芝浦と場では、場内の水処理センターにおきまして、と畜業務に伴い発生する排水を曝気処理、この曝気処理というのは、微生物が有機物を分解するのに必要となる空気を送り込むことでございますけれども、そのような処理をいたしまして、排水基準を満たした上で場外に排出してございます。
 水処理センターは、平成十年に稼働を開始いたしまして、老朽化も進みつつあることから、令和元年度は曝気装置や脱臭設備、汚泥から水分を分離するための遠心脱水機の整備を実施いたしました。
 今後の全体的な機能更新を見据えまして、計画的に取り組んでまいります。

○鈴木委員 修繕や改修に当たっては、私も何度か行かせていただいておりますけれども、本当にあそこは大変狭い、狭隘化といった厳しい現実や、日々の業務を継続しながら工事を進めていく、この困難さが本当にあって、大変十分理解できるわけですけれども、施設設備の維持管理には、これからもしっかりと取り組んでいっていただきたいというふうに思います。
 今、若い方々がこの日本の牛や豚のブランドをしっかりとこの次の世代に引き継いでいこう、また東京都でもトウキョウXというような、そういった取り組みも始まっている中で、将来的にも日本トップクラスの取扱量を誇る芝浦と場であり続けていくことが、この業界の皆さんとの認識を共有して、さらに知恵を出し合って活性化していくことが発展につながっていくということでありますので、ぜひとも、これからもしっかりと取り組んでいっていただきたいというふうに要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございます。

○加藤委員 それでは、質問させていただきます。
 近年、食肉市場、芝浦と場を取り巻く環境は、卸売市場法の改正、食品衛生法等の改正や、集荷競争の激化など、大きく変化するとともに、厳しさを増しております。さらに、ことしは新型コロナウイルスの感染拡大により、インバウンドや外食の消費が低迷し、食肉市場内の事業者の経営環境も大変厳しいと伺っております。
 こうした中、他市場との厳しい競争を勝ち抜き、都民の旺盛な食肉需要に応えるためには、品質衛生管理の徹底が可能な設備への更新が常に求められていると考えます。
 まずは、令和元年度、と畜解体工程において円滑な作業を進めるために実施した主な設備更新の内容と執行状況について伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 令和元年度は、品質衛生管理の向上やと畜解体作業の円滑化を図るため、豚のと畜解体室で取り出した内臓を処理室へ搬送するバケットエレベーターの更新工事や、老朽化によるさびの発生が課題となっておりました牛の枝肉をつるして搬送するための高架レールの交換工事などを実施いたしました。
 これらを初めとする整備工事に、一億四千六百万円を執行いたしました。

○加藤委員 令和元年度のと場整備においては、老朽化設備の更新による作業の円滑化や衛生対策向上のための整備が進められていたことを確認いたしました。
 芝浦と場は、品質衛生管理を重視し、安全で新鮮な食肉を供給する全国トップクラスの取扱量を誇ると場であります。そうしたと場だからこそ、作業に従事する職員の安全衛生管理も極めて重要であり、また快適な作業環境は、品質の維持向上にも不可欠なものと認識しています。特に、ことしは新型コロナウイルスの感染拡大の中でも、と畜解体作業を一日も停滞させることなく継続していることは、職員関係者の努力、取り組みのたまものと高く評価をしております。
 我が会派ではこれまでも、と場で働く職員の方々の環境改善を求めてきたところでありますが、こうした職員の努力に報いるためにも、高温多湿といわれる厳しい作業環境の改善を適切に進めていくことが必要と考えます。
 そこで、令和元年度芝浦と場の作業環境において、どのような対応がなされたのか伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 と室内の高温多湿な作業環境を改善するため、これまでも冷気の行き渡らない作業スポットへの大型扇風機を設置したほか、既存の空調設備を生かし、職員に直接冷気を送る機器を設置するなどの対応をしてまいりました。
 令和元年度におきましても、天井の窓に換気装置を増設いたしまして、と室内の気流の改善を図るなど、環境の改善に取り組みました。

○加藤委員 日常的な作業環境改善を図るための努力がなされてきたことを確認いたしました。
 あわせて、そこで働く方々のために、現場の作業環境整備をしっかりとやっていくためには、今後の対応も重要です。一昨年の本委員会における我が党の質問に対しまして、と室内の作業環境調査を行っていく旨の答弁がありました。
 そこで、と室内の作業環境調査の結果と、それを踏まえた今後の対応について伺います。

○佐々木市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 と室内の作業環境の改善に向けて、令和元年度にと室内の空気調和設備の状況について現況調査を実施いたしました。
 調査の結果、換気設備が外気を直接取り入れる構造となっているため、冷房の効率が低下していること、吸気と排気のバランスが悪く、高温の蒸気が天井付近に滞留しがちであること、ナイフなどの洗浄、消毒に必要な高温水から生じる蒸気や熱気の影響が大きいことなどが明らかになりました。
 今後は、この調査結果をもとに、換気設備の改修などに向けて具体的な検討を進めてまいります。

○加藤委員 コロナ禍の中にあっても、一体となり、厳しいと室環境の中で頑張っている職員一人一人の努力が芝浦ブランドを構築していると思っております。
 施設管理者として、引き続き芝浦と場の作業環境をしっかりと整えていただくことを望みます。そうしたことが、芝浦と場を日本一にしていくものと思っていますので、ぜひとも頑張っていただきたいと念願をし、質問を終わります。

○小松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。

○小松委員長 これより港湾局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 令和元年度東京都一般会計決算中、港湾局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求をいたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○相田総務部長 十月九日開催の当分科会で要求のございました資料をご説明申し上げます。
 お手元の令和元年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらん願います。
 要求のございました資料は、表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり八項目でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。東京港における耐震強化岸壁の整備状況でございます。
 岸壁の区分を、緊急物資輸送と幹線貨物輸送の二つに分けまして、おのおのの全体計画、整備状況を記載してございます。
 二ページをお開き願います。港湾整備費におけるふ頭等の新規整備の事業費でございます。
 平成二十七年度から令和元年度までの五年間の港湾整備費につきまして、ふ頭の新規整備分と道路等の新規整備分、その他に区分し、百万円単位で記載してございます。
 三ページをお開き願います。島しょ等港湾整備費における翌年度繰越額及び不用額の推移でございます。
 平成二十七年度から令和元年度までの五年間の予算現額、支出済額と予算現額に占める割合、翌年度繰越額及び不用額につきまして、百万円単位で記載してございます。
 四ページをお開き願います。使用料及び手数料の推移でございます。
 平成二十七年度から令和元年度までの五年間の使用料、手数料につきまして、百万円単位で記載してございます。
 五ページをお開き願います。伊豆諸島各島への就航率の推移でございます。
 平成二十七年から令和元年までの五年間の就航率につきまして、大島から青ヶ島まで各島の貨客船と高速ジェット船、それぞれの就航率を記載してございます。
 六ページをお開き願います。調布飛行場の飛行目的別の離着陸回数でございます。
 平成二十七年度から令和元年度までの五年間の調布飛行場の離着陸回数につきまして、飛行目的別に記載してございます。
 七ページをお開き願います。晴海ふ頭を除くクルーズ客船寄港回数の推移でございます。
 平成二十七年から令和元年までの五年間のクルーズ客船の大井水産物ふ頭への寄港回数について実績を記載してございます。
 八ページをお開き願います。港湾局がカジノを所管してから都の職員がカジノオペレーターと面談した日付、事業者数、回数でございます。
 平成二十八年度から平成三十年度までの間に、都の職員がカジノオペレーターと面談した日付、事業者数、回数について実績を記載してございます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○栗下委員 私からは、まず、東京港の無電柱化について質問します。
 昨年の台風十五号では千葉県を中心に約二千本の電柱が倒壊し、大規模かつ長期の停電が発生をいたしました。また、首都直下地震の発生リスクの高まりなど、自然災害の脅威は、いつこの東京を襲ってもおかしくない状況にあります。
 東京港は、首都圏四千万人の生活と産業活動を支える極めて重要な役割を担っており、災害時において電柱倒壊に伴う大規模停電や、道路の閉塞による緊急物資輸送、国際コンテナ物流などの停滞があってはなりません。
 こうしたことから、我が会派はこれまで、幾度にもわたってこの東京港の無電柱化を進めるよう、提言を行ってまいりました。また、臨海部には東京二〇二〇大会の競技会場が数多く集中しており、大会開催時には、外国の方を含め多くの来訪者が見込まれることから、良好な都市景観の創出のためにも、とりわけ今力を入れて取り組んでいくべきであると考えます。
 そこでまず、東京港における無電柱化の取り組みについて、昨年度までの進捗状況を伺います。

○山岡港湾整備部長 港湾局では、平成三十一年三月に策定いたしました東京港無電柱化整備計画に基づき、東京港エリアの緊急輸送道路などを対象に、防災機能の強化、魅力ある都市景観の創出等を目的として、無電柱化を推進していくこととしております。
 そのうち、東京二〇二〇大会競技会場周辺の臨港道路などにつきましては、大会開催に向けて、最優先に取り組みを進め、大会開催までに整備を完了させることとしております。
 具体的には、競技会場周辺の七路線、約十キロメートルを対象に順次工事を進めており、令和元年度は、海の森水上競技場周辺の東京港臨海道路などにおいて無電柱化の整備を着実に進めてまいりました。

○栗下委員 大変残念ながら、東京二〇二〇大会の実施は一年延期となってしまいましたけれども、競技会場周辺の臨港道路等の無電柱化を着実に進めてきたことは、安全な大会の実現や臨海部の魅力ある都市景観の創出などの観点から大変評価できることであります。
 一方、災害発生時に必要な物流を確保するためには、災害時に緊急物資等の輸送を行うための重要な路線である緊急輸送道路において無電柱化を進めていくことが不可欠となってくるわけであります。
 そこで、今後は、東京港エリア全体を対象に、残る全ての緊急輸送道路の無電柱化を積極的に進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○山岡港湾整備部長 東京港においては、災害発生時に緊急物資の輸送や、国際コンテナ物流を円滑に行えるよう、残る二十三路線、約二十四キロメートルの緊急輸送道路を対象に、無電柱化に取り組むこととしております。
 令和元年度は、大井コンテナふ頭背後の大井一号線など十三路線、約十キロメートルで、無電柱化事業に着手いたしました。また、緊急輸送道路の無電柱化のさらなる推進のため、本年三月に、整備計画を一部改定し、令和三年度以降に順次着手することとしておりました青海縦貫線など、約五キロメートルを前倒しし、本年度に事業着手することといたしました。
 今後も東京港のさらなる防災力強化に向けて、残る全ての緊急輸送道路の無電柱化を着実に推進してまいります。

○栗下委員 ありがとうございました。
 無電柱化事業が計画的に進められておりまして、また、整備計画を一部前倒しするなど、積極的に取り組んでいることが確認をできました。
 物流の拠点である東京港が災害発生時にも確実にその機能を発揮できるよう、緊急輸送道路の無電柱化の早期完了を目指し、全力を挙げて取り組んでいただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、クルーズ客船について伺います。
 客船の寄港は、インバウンド需要を取り込み、東京の観光振興を図る上で極めて重要であることから、これまで都は、積極的に誘致活動を行うとともに、大型客船にも対応できる新たなターミナル、東京国際クルーズターミナルの整備を進め、本年開業したところであります。
 東京港では、ここ数年、寄港した客船の数が増加傾向にありました。また、東京国際クルーズターミナルについても、当初、開業後の半年間で約五十回の入港予定があったと聞いております。今後、さらに、そこから客船の寄港数が増加をしていくということを大いに期待したところでありましたが、今般の新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大によって、クルーズ業界は今大きな打撃を受けておりまして、観光業界の中においても、クルーズの分野は特に深刻な状況にあります。
 現在、世界的にクルーズの運航はほぼ停止をされている状態でありますが、ふだんはクルーズ客船でにぎわっている世界各国の港からも、その姿は今消えている状態であるというふうに聞いております。
 新型コロナウイルス感染症の終息のめどが立っていない状況ではありますが、ポストコロナを見据えた東京の観光振興を考える上で、クルーズ客船の誘致は重要でありまして、本日は、クルーズ客船の誘致の再興に向けた取り組みを進めていくべきという観点から質問をさせていただきます。
 まず、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によって、東京港への客船の寄港にどのような影響があったのかお伺いをいたします。

○戸井崎港湾経営部長 世界的に感染拡大が始まった本年一月以降、晴海客船ターミナルでは、二月に一回、三月に二回の外航客船を受け入れる予定でしたが、このうち三月の二回についてはキャンセルとなりました。
 なお、今年度は、当初七月に開業予定でありました東京国際クルーズターミナルへ半年間で約五十回の寄港が予定されておりましたが、現時点で、これらは全てキャンセルとなっております。

○栗下委員 例年、二月、三月というのは、このクルーズ客船の寄港が少ない時期であるというふうに聞いており、昨年度のキャンセルは二回にとどまったということだというふうに思いますが、多数の寄港が予定されていたこの東京国際クルーズターミナルへの影響は非常に大きいということが確認をできました。
 現在、新型コロナウイルス感染症の終息のめどは全く立っておらず、世界的なクルーズ客船の運航再開もめどが立たない状況ではありますけれども、クルーズ市場の復興に向けて一歩一歩着実に取り組みを進めていかなくてはならないと思います。
 この点で最も重要になるのが、徹底した感染症対策を実施し、安心してクルーズを楽しめる環境を整備していくことであります。
 都は、クルーズ客船の東京港への寄港再開に向け、船会社等と緊密に連携し、徹底した感染拡大防止の取り組みを進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○戸井崎港湾経営部長 客船の寄港を再開させるに当たりまして、船会社や関係行政機関と連携して、徹底した新型コロナウイルス感染症対策を実施することが必要不可欠でございます。
 現在、都は、国の指針や業界団体等のガイドラインを踏まえまして、まずは国内クルーズを実施する客船の受け入れ再開に向けた検討を船会社等と進めております。東京港へ寄港する客船については、乗船客数の抑制や乗客に対する検温の実施等、ガイドラインに基づく取り組みの遵守を要請することとしております。また、ターミナルでは、乗下船時における乗客同士の間隔の確保や設備の消毒、陽性者発生時の対応マニュアルの策定を行うなど、感染拡大防止に万全を期してまいります。
 今後、都は、これらの取り組みの徹底を図り、安心してクルーズを楽しめる環境の実現を目指してまいります。

○栗下委員 クルーズの再開に向けては、ただいまご答弁をいただいた一つ一つの取り組みを確実に実施していくことが極めて重要であります。ぜひ都として、船会社や関係機関と緊密に連携し、まずは国内クルーズの再開を第一歩として、クルーズ復興に向けた取り組みを進めていただくことを強く要望いたしまして、最後の質問、舟運の活性化に移りたいと思います。
 東京港内には、水上バスなどの定期航路が発着する複数の公共船着き場が整備をされております。一方で、都民や東京を訪れる多くの観光客が東京の水辺の魅力を楽しめるようにするためには、屋形船やクルーズ船、水上タクシー等の不定期航路の船についても、公共船着き場から発着できるようにしていくことが重要であります。
 このため、都では、舟運利用者の拡大を図るため、公共船着き場の一部を不定期航路の事業者に開放する取り組みを進めております。
 そこで、これまで公共船着き場におけるこうした事業者の利用状況について伺います。

○戸井崎港湾経営部長 都は、舟運の活性化の取り組みの一環として、平成二十六年度から、公共船着き場を不定期航路事業者に向けて開放しております。
 平成二十六年度に竹芝船着き場を開放した後、そのほかの船着き場についても順次開放しておりまして、令和元年度末までに竹芝、有明、お台場、日の出の四カ所の船着き場を、不定期航路事業者に開放しているところでございます。
 この間、船着き場の利用実績は一貫して大幅に増加し続け、平成二十六年度が五十八回であったのに対し、令和元年度は千五百九十六回となっております。

○栗下委員 これまでの取り組みの結果、利用回数が大幅に増加をしていることがわかりました。
 舟運の活性化を主張し続けてきた我が会派の要望にも応えているものであり、この点について、高く評価をしたいと思います。
 今後、利用回数をさらにふやすためには、開放する船着き場をふやすことに加え、舟運事業者にとってより使いやすい船着き場を実現させていくことが重要であります。
 そこで、公共船着き場を舟運事業者にとって使いやすいものとするために、都として、昨年度はどのような取り組みを行ってきたのか伺います。

○戸井崎港湾経営部長 公共船着き場の開放に当たりましては、複数の不定期航路事業者が船着き場を円滑かつ安全に利用できるよう、事前に予約をしていただくこととしております。
 一昨年度までは、予約は平日九時半から十七時までの間、電話とファクスのみで受け付けをしておりました。また、利用日の一週間前までの予約受け付けとしていたため、事業者から改善を求める声が寄せられておりました。
 このため、都は昨年度から、竹芝、有明、日の出の各船着き場に、新たに予約システムを導入し、ウエブによる二十四時間三百六十五日の申し込みを可能とするとともに、予約申込期限を利用日の一週間前から四日前に改善いたしました。なお、今年度は、予約申込期限を利用日の前日までへとさらに短縮するとともに、ネット予約を対象に、利用料金の引き下げを実施し、事業者にとっての利便性向上を図っているところでございます。

○栗下委員 ウエブの予約システムの導入によって、事業者のニーズに柔軟に対応できる利用予約方法へ改善したとのことでございました。これは利用者にとっては大きな改善であったのではないかというふうに思います。ぜひ、利用ニーズが高いお台場船着き場にも導入をいただきたいと思います。
 ところで、多くの人々に舟運を利用していただくためには、船着き場やその周辺ににぎわいを生み出していくことも必要であります。
 昨年度、日の出ふ頭において民間事業者との連携により、新たに開業した小型船ターミナルHi-NODEは、レインボーブリッジやお台場など、観光客に人気のあるスポットを一望することができ、芝生広場やオープンデッキを兼ね備え、そこで食事やイベントを楽しむことのできる、これまでの東京港にはないターミナルであります。多くの水上バスやレストランシップが発着し、舟運の拠点となっている日の出ふ頭のにぎわいの創出に大きな貢献が期待される施設であり、舟運活性化にはこのターミナルで開催されるイベント等と連携した取り組みが重要であると考えます。
 そこで、日の出ふ頭のにぎわい創出に向け、Hi-NODEと連携し、昨年度どのような取り組みを行ってきたのか伺います。

○戸井崎港湾経営部長 Hi-NODEの開業時には、二日間にわたり、さまざまなイベントが開催され、延べ五千人を超える来場者でにぎわいましたが、都は、このイベントに合わせ、Hi-NODEを起点とした東京港内をめぐる周遊船を十便運航いたしました。また同時に、ターミナルを運営する民間事業者も船上パーティーを楽しめる船を三便運航し、都と民間事業者の企画船を合わせて約九百人にご利用いただきました。加えて、船上から夜景を楽しめるよう、Hi-NODEの開業に合わせ、日の出ふ頭の上屋等のライトアップも開始いたしました。
 こうした企画船の運航やライトアップの取り組みにより、舟運の魅力を積極的にPRするとともに、Hi-NODEでの楽しみも含め、舟運の魅力、楽しさを実感していただけたと考えております。

○栗下委員 都心に近く、臨海副都心の眺望も楽しめる日の出ふ頭は、陸と海が一体となったイベントを行える貴重な場所であると考えます。今後もHi-NODEと連携したさまざまな取り組みを進め、舟運の活性化につなげてほしいと思います。
 さて、日の出ふ頭のさらなる活性化には、現在、時間帯によっては閑散としていることも多い船客待合所をにぎわいのある施設として再整備していくことが必要不可欠でありますが、その再整備に当たっては、日の出ふ頭周辺地区の再開発の状況を十分考慮すべきであると考えます。
 隣接する竹芝地区では、本年六月にJR東日本が船着き場を併設した複合施設、ウォーターズ竹芝を開業するとともに、同じく隣接する芝浦一丁目地区においても、水辺を生かした大規模再開発が進むなど、日の出ふ頭を取り巻く環境は今大きく変化をしているところであります。
 そこで、周辺地区の再開発動向を踏まえ、日の出ふ頭のにぎわいづくりに資する船客待合所の再整備に向けてどのように取り組んでいくかお伺いをいたします。

○戸井崎港湾経営部長 現在、日の出ふ頭周辺では、商業施設やホテル、劇場などを一体とする複数の大規模再開発事業が進められております。
 日の出ふ頭を活性化させるには、こうした再開発事業によって生まれる人の流れをいかにして呼び込むかが大きな鍵となります。
 このため、都は、再開発事業の動向を十分に踏まえながら、船客待合所の再整備の方向性について慎重に検討を進めているところでございます。
 今後も地元の意見にもしっかりと耳を傾けながら、日の出ふ頭の全体のにぎわいの創出に向けた取り組みを進めてまいります。

○栗下委員 この日の出ふ頭は、都心に近く、鉄道駅からのアクセスがよいことに加え、東京港の魅力的な景観を眺めることのできる、特にポテンシャルの高いエリアであります。ぜひ舟運事業者や周辺の民間事業者と緊密に連携し、ふ頭におけるにぎわいづくりを進めるとともに、船客待合所の再整備に向けた取り組みを加速化させるよう要望いたします。
 ここまで、昨年度における舟運の活性化に向けた取り組みに関連した質疑を行ってまいりましたが、ご存じのとおり現在舟運事業は、新型コロナウイルスの感染拡大により利用客が激減しており、大変な苦境に立たされております。
 事業者への支援策として、都は、水域の占有料や施設使用料等の支払いを最長一年間猶予しているというふうに聞いていますが、新型コロナウイルスの終息がいまだ見えず、利用客数の回復は容易ではないというふうに考えます。
 ぜひとも都には、さらなる支援を行っていっていただくということを最後に強く要望いたしまして、私からの質問を終わります。

○鈴木委員 それでは、私からは、島しょ地域における港湾施設等の災害復旧の対応についてお伺いしたいなというふうに思います。
 この件については、この委員会や、そしてまた議会においても、再三質疑をされました。しかしながら、やはり島しょ地域の皆様にとっての生活と密接しているこの港湾施設整備、そしてさらに、今新型コロナウイルスで大変打撃を受けている島しょ振興にもつながっていく大切な話だという思いで確認をさせていただきたいなというふうに思います。
 近年、線状降水帯といわれるような、本当に今まで聞いたことのないような、梅雨前線が長引いて停滞して、地球温暖化による台風の大型化などにもよって、日本各地で大規模な風水害が発生しています。河川の氾濫で水につかったまちの映像がニュースで流れるなど、被害の甚大さが深刻になっております。
 つい十日ほど前にも、台風十四号が伊豆諸島を襲ったところでありますけれども、特に、昨年、都内においても九月から十月にかけて、台風十五号や十九号による記録的な風水害があって、とりわけ気象、海象が厳しいこの島しょ地域では、例えば神津島で最大瞬間風速が秒速で五十八・一メートルに達し、観測史上最大の記録を更新したということはまだ記憶に新しいことです。島しょ地域の港湾、漁港施設においても、これまでにないような台風の被害を受けました。これら港湾施設等は、島民の生活と産業を支える非常に重要な施設でありますので、台風などにより被災した場合は、迅速に災害復旧を進める必要があるわけです。
 そこで、昨年の二つの台風による島しょの港湾施設等の災害復旧の対応について、まず具体的に確認したいと思います。改めて、昨年の台風十五号及び十九号によって港湾施設等の被害状況がどうなっているのかお伺いいたします。

○片寄離島港湾部長 昨年の台風十五号におきましては、記録的な暴風雨により、新島の各港の施設が被災いたしました。
 主な被害といたしましては、新島港では、船客待合所の正面玄関が破損し、出入りが一部できなくなりました。また、若郷漁港では、日よけ施設の屋根の大半が吹き飛ばされるなどの被害が発生いたしました。
 一方、十九号では、台風による波浪等により、大島、神津島、八丈島などの漁港施設が被災し、ここ数年の台風被害の中でも、広範囲に影響を受け、被害規模も大きいものでございました。
 主な被害といたしましては、大島の差木地漁港では、護岸前面の消波ブロックが飛散、神津島の三浦漁港では、防波堤のケーソンが破損し、中詰め材が流出、八丈島の八重根漁港では、防砂堤の一部が倒壊、また、洞輪沢漁港では、防波堤の先端部のケーソンが陸側に移動するなどの被害が発生いたしました。

○鈴木委員 我が会派でも、発災直後に三宅都議が現地に行きまして、そしてその後も、何度も現地の人たちと、そして町村の方々ともお話をさせていただく中で、この対応をさせていただいているわけですけれども、私も同僚議員としていろいろ話を聞いている中で、消波ブロックがもう飛散してしまう、そしてまた、護岸が、コンクリートがもうすっ飛んでしまうと。ケーソン--このケーソンというのはよく防波堤だとか、この地下構造物に使われているコンクリートや鋼鉄の大型の箱なわけですけれども、これが動いてしまうような、本当にすごい台風だったんだなというふうに思うわけですけれども、さまざまな被害を受けたわけです。特に八丈島の洞輪沢漁港では、港の沖合にあったこのケーソンがさっきもいったように移動したっていうような、本当に物すごい威力だったわけですけれども、これまでにない台風だったことから、令和元年第四回定例議会においても、災害復旧に係る費用の補正予算が議決をされました。
 そうしたことに向けて、この復旧に向けた都の対応状況についてお伺いをいたします。

○片寄離島港湾部長 昨年の台風により被災した新島港の船客待合所や若郷漁港の日よけ施設におきましては、乗船客の利用に影響が出ないよう、昨年度直ちに工事を実施し、船客待合所につきましては昨年度内、日よけ施設についてはことしの七月に復旧を完了いたしました。
 また、差木地漁港や三浦漁港につきましては、台風後の冬季風浪によりさらなる被害の拡大が発生する可能性があったことから、発災後、直ちに緊急工事に着手し、ことしの八月までに復旧を完了いたしました。
 八重根漁港と洞輪沢漁港につきましては、被害規模が甚大であったものの、漁港機能への直接的な影響や被害拡大のおそれが比較的小さかったこともあり、国の公共災害復旧事業を活用いたしまして、抜本的な対策を実施することとし、今年度末に復旧が完了する見込みでございます。

○鈴木委員 七月までに日よけ施設、待合所など復旧が完了したということは、本当に夏の観光客等も含めて、本当に早急な取り組みをしていただいたというふうに思いますけれども、ことしはコロナということで、大変残念なところもあるわけですけれども、しかしながら、島民の皆様にとってみれば、大変な安心につながったというふうに思います。
 これまでにも幾つかの港の災害復旧工事が完了しているのがわかったわけですけれども、八重根漁港と洞輪沢漁港についてはまだ事業中だと。気象、海象が大変厳しい中での復旧工事で困難だという話も聞いております。
 特に八重根漁港においては、外側に防波堤があって、静穏度が高く、青ヶ島港までの所要時間が短縮されるということから、今後、定期船の「あおがしま丸」の拠点としても、施設整備を進めていっていただきたいという要望があるというふうにもいわれておりますけれども、岸壁から都道に通じる接道道路の整備とか、乗降客や荷役に必要な駐車場や荷さばき所、またトイレ等の整備も計画されているということですので、あわせて一日も早い着実な整備をしていただきたいなというふうに思います。
 また、この二港については、現在、国の公共災害復旧事業として実施しているというふうな答弁があったんですけれども、こうした甚大な被害を受けた施設について、早急に復旧を完了させていくためにも、この国とより一層連携を密にしていくべきだというふうに思っているんですけれども、その点についての見解をお伺いいたします。

○片寄離島港湾部長 島しょ地域の港湾漁港施設は、島民の生活と産業を支える上で非常に重要な施設であり、良好に保全し、災害による被害を受けた場合にも早期に復旧することが重要であると認識しております。
 国の災害復旧事業におきましては、国に被災状況を報告し、復旧方法や事業費等の協議を行った上で、災害査定を受けることとなるため、早期に復旧できるよう、より国と連携を密にして、手続を進める必要がございます。
 そのため、都としても、被災状況の迅速な把握に一層努めるとともに、より効果的な施工方法を提案するなど、国と円滑に調整を行い速やかに復旧が完了するよう尽力してまいります。

○鈴木委員 ありがとうございます。ぜひ国としっかりと連携を密にして、迅速に進めていただきたいなというふうに思います。
 昨日の台風十四号では、伊豆諸島南部地域において、大雨による土砂崩れが多数発生しており、幸いにして、人命被害はなく、また定期船等の就航に影響するような港湾施設等の被災はなかったと聞いておりますけれども、まだまだ油断ができない状況が続いているというふうに思います。
 島しょにおける港湾施設などは、災害時の緊急物資を運ぶ拠点でもある重要な施設であるため、今後も島民が安心して生活ができるような着実な災害復旧を進めていただきたいなというふうに思います。
 さらに、港湾施設などは、島しょ地域と本土を結ぶ重要な交通インフラでありますので、施設を復旧するだけでなく、乗降客の利便性を高めるということもまず必要だというふうに思います。
 例えば、先ほど新島の船客待合所や日よけ施設の復旧の話も出ておりましたけれども、どこ行っても意外と老朽化が進んでいる施設が多くて、地元からもやはりどうにかしていただきたいという要望があります。
 今後、島と本土の往来が増加するということも見据えて、島民や観光客がより利用しやすくすることが大切だというふうに思うんですけれども、島しょ地域の振興のために、船客待合所など港の利便性を高めるための施設整備について、これまでどのような取り組みをしてきたのか、そして今後どうするのかお伺いいたします。

○片寄離島港湾部長 島の玄関口でございます島しょ港湾施設等は、多くの観光客や島民が利用する施設であり、乗船客にとって利用しやすいことが重要でございます。これまでも岸壁等の整備に加え、地元の要望を取り入れながら、船客待合所や日よけ、雨よけ施設などの整備を計画的に進めてまいりました。
 現在、式根島野伏漁港や三宅島三池港の船客待合所、八丈島神湊港の日よけ、雨よけ施設などの整備に向けて取り組んでいるところでございます。
 具体的には、利用者の利便性向上の観点から、野伏漁港では多機能トイレやエレベーターを設けるなど、バリアフリー対応をするとともに、お子様連れに配慮した授乳室等を設置し、誰にでも利用しやすい施設とすることに加え、地元の要望を踏まえ、売店や食堂を併設することとしております。
 今後とも島しょ振興に資するよう各島の実情などを考慮しながら地元町村と協力し、快適で利用しやすい港湾施設等の整備を着実に進めてまいります。

○鈴木委員 島しょ地域においては、本当に、今毎年のように大型の災害に見舞われていて、大変予算的にも財政的にも厳しい状況の中で、やはり東京都がしっかりと連携を密にして、島しょ振興に努めていただきたいなというふうに思います。
 今ご答弁いただいた中で、野伏漁港、多機能トイレやエレベーターを設置する、そして、バリアフリー対応等もすると。お子様連れに配慮した授乳室も整備して、誰にでも利用しやすい施設にして、そして売店や食堂も併設するということで、これはすばらしいありがたい答弁だなというふうにも思います。ぜひこの部分も進めていただきたいというふうに思います。
 また、三宅島の三池港、これは大型定期船の就航率向上を目指して、港内の静穏度を高めるための今防波堤の整備を進めているというふうに聞いているんですけれども、やはりここ、水深が大変深くて、大変厳しい工事だというふうにも聞いております。
 そういった部分で、その部分もあり、そしてまた二〇〇〇年には雄山の噴火によって、大変な状況になったわけですけれども、ぜひまたどういうような災害が起きるかわからない中で、しっかりとそうしたことも考慮して取り組んでいただきたいというふうに思います。
 島しょの港湾施設等は、島民や観光客などの交通の拠点として重要な役割を担っていて、小さな子供からお年寄りまで多くの方が利用しやすい施設にしていくことが何よりも大切です。
 これからも島しょ振興を進めていくためにも、地元の要望をしっかりと聞いて、利便性の高い港湾施設等の整備を進めていただきたいなというふうに思います。
 次に、東京港の機能強化についてお伺いいたします。
 我が国最大のコンテナ港である東京港、これは首都圏四千万人の生活と産業を支える社会インフラとして、日本の成長に欠かせない重要な役割を担っているわけです。
 一方で、近年、生産拠点の海外移転などに伴って、アジア地域からの輸入貨物が急増している。その結果、ふ頭周辺では慢性的な交通渋滞が発生しております。
 また、世界的なコンテナ船の大型化が進行している中で、東京港に入港するコンテナ船についても、同様な状況となっています。特に東京港は、立地的にもアジアにおいて最も東側に位置する重要な港であります。
 ですので、アジアから北米に向かう基幹航路の最終寄港地及び北米からアジアに向かう最初の寄港地として、多くの船舶に利用されておりますけれども、これらのコンテナ船の大型化というのが顕著であるというふうに聞いております。
 このような課題に適切に対応して、今後も東京港が我が国の生活、そして産業を支える物流の一大拠点としての機能を最大限に発揮し続けていくためには、ハード、そしてソフトの双方の取り組みを積極的に推進して、東京港の機能を強化する必要があります。
 これまで我が党も、中央防波堤外側地区に新たなふ頭を整備することで、東京港の抜本的な機能強化を図るべきであると強く主張して、本年三月には、待望のY1に続いて、待望のY2ターミナルが供用を開始しました。
 そこでまず、Y2のターミナルについての特徴を伺います。

○戸井崎港湾経営部長 中央防波堤外側Y2ターミナルは、東京港で初となる延長四百メートル、水深マイナス十六メートルの岸壁を備えた高規格バースでございまして、大型コンテナ船にも対応可能となっております。
 また、一バース当たりのターミナル面積が東京港で最大であり、今まで以上に大量の貨物を効率的に処理することができます。
 年間に約四十五万TEUの貨物処理能力を有しておりまして、東京港が昨年一年間に取り扱った外貿コンテナ個数の約一割に相当する量を扱うことが可能でございます。

○鈴木委員 東京港が昨年一年間に取り扱った外貿コンテナの一割に相当する量を扱う、これは本当にすごいことなわけですけれども、私も現地を視察しました。海外の広大な港と違って、都心に近い狭いエリアに立地するという制約がある中で、多くの貨物を効率的に取り扱っているところを目の当たりにして、大変感銘を受けました。
 この高い処理能力を備えたY2を稼働することによって、東京港の物流機能が大幅に強化されることを期待しております。
 そこでまた、改めてお伺いいたしますけれども、Y2が稼働して半年がたちました。東京港の物流機能強化という観点で、今現在どのような効果が出ているのかお伺いいたします。

○戸井崎港湾経営部長 ふえ続ける貨物量と船舶の大型化に対応するためには、都は、中央防波堤外側地区に新たなコンテナふ頭を整備するとともに、既存のコンテナふ頭については、新たなふ頭へ取扱貨物の一部を移転させた後、再編整備を進めるというふうなこととしております。
 本年三月に供用を開始した中央防波堤外側Y2ターミナルは、昨年度まで青海ふ頭A3コンテナターミナルを運営していた事業者等が移転して、ターミナルの運営をしております。
 これに伴いまして、A3に寄港していたアジア航路等の貨物船もY2に移転したところでございます。これらの航路で取り扱っているコンテナの貨物量は、Y2への移転後、大幅に増加している状況にございます。
 また、A3に隣接する青海公共コンテナターミナルの取扱貨物の一部もY2へ移転しておりまして、これによりまして、青海ふ頭全体の交通混雑の緩和にもつながっているものと認識しております。

○鈴木委員 昨年まで青海ふ頭のA3コンテナターミナルを運営していた事業者等が移転して、今現在、ターミナルを運営しているという話なわけですけれども、Y2では従来と比べて、より多くの貨物を処理しているということと、今いったような青海ふ頭の交通混雑の緩和にも寄与しているということは評価できるんですけれども、一方で、ただいまご答弁ありましたように、Y2における取扱量は従来の青海ふ頭A3ターミナルに比べて増加しているということですので、Y2での取扱貨物量が増加するということで、ターミナルへ来場するコンテナ車両の数も、ほかのターミナルに比べて多くなることが予想されますよね、これは。
 Y2ターミナル周辺における交通混雑も、また新たな課題になるわけですけれども、どのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。

○戸井崎港湾経営部長 貨物処理能力が高いY2には、多くのコンテナ車両が来場することが見込まれますことから、あらかじめ周辺の交通負荷への影響を考慮した整備を行ったところでございます。
 具体的には、コンテナターミナル内に約二百八十台分の車両待機場を整備し、ターミナルへ入場するコンテナ車両が公道上で待機しないよう配慮しております。
 また、ターミナルの背後にある道路、中防外一号線につきましても、車両通行量の増加に十分対応できるよう片側三車線に拡大しました。
 さらに、ターミナル内においても、荷役機械を東京港のほかのターミナルより比較的多く配置いたしまして、コンテナ車両への貨物の引き渡し等に要する時間を短縮させることで、交通混雑の発生の抑制を図っているところでございます。
 Y2周辺における交通混雑の発生の抑制に向け、引き続き関係者とも緊密に協力しながら取り組みを進めてまいります。

○鈴木委員 私の地元大田区ですけれども、ターミナルの車両待機しているトラックが本当に長い間、交通渋滞の大きな原因だったんです。それが今、Y2の方で、ターミナル整備に伴って二百八十台分の車両待機を整備したということは、本当に評価できるというふうに思うというよりも、本当によくやっていただいたなというふうに思います。
 特にまた、荷役機械のターミナルよりも比較的多く配置したことによって、コンテナ車両への貨物の引き渡し等に要する時間を短縮しているということも、本当に交通混雑の発生の抑制を図っているということで、これもまた評価できるというふうに思います。
 ここまでの質疑でY2の効果や重要性を改めて確認ができました。Y2が供用開始されたことによって、青海ふ頭の交通混雑が緩和されたことはいいんですけれども、ほかのコンテナふ頭である大井ふ頭や品川ふ頭において、依然として交通混雑が課題となっておりまして、東京港全体の機能強化ということを考えれば、まだ道半ばなのかなというふうにも私は思います。
 今後も東京港が物流の一大拠点としての重要な役割を果たし続けていくためには、私もそうなんですけど、我が党も繰り返し主張してきているように、中央防波堤外側Y3ターミナルの整備を早期に実現させるとともに、既存ふ頭の機能強化の取り組みを進めていくことが重要なわけですけれども、この件についての見解をお伺いいたします。

○戸井崎港湾経営部長 今後も増加が見込まれる貨物量を東京港が適切に対応するためには、中央防波堤外側Y3ターミナルを早期に整備するとともに、既存ふ頭についても貨物処理能力向上を図ることが重要です。
 Y3については、国の直轄事業であるため、早期完成に向けて必要な財源を確保するとともに、速やかに本体工事に着手し、整備の着実な推進を図るよう国としっかりと協議をしてまいります。
 また、既存ふ頭に関しましては、まずは青海ふ頭におきまして、東京二〇二〇大会の終了後、A3ターミナルの跡地を活用して、貨物処理能力の向上に向け再編整備に着手し、ヤードレイアウトの見直しや荷役機械の更新を図ってまいります。
 ほかの既存ふ頭につきましても、今後、中央防波堤外側地区への移転を契機として、再編整備に取り組んでいくこととしておりまして、事業者のご意見に耳を傾けつつ、検討を進めてまいります。

○鈴木委員 この東京港全体の機能強化を進める上でも、Y3の早期整備、既存ふ頭の再生、再編整備が非常に重要な意味を持つことが改めて確認できたんですけれども、実はこの件、菅総理、官房長官時代から大変重要性というものも受けとめていただいておりました。
 菅総理、官房長官時代からもそうなんですけれども、横浜港をよくご存じだということで、港には大変造詣が深くて、逆に私たちのこともそうですけれども、いろんなご示唆もいただいております。
 今、国との実務者協議の場においても議題の一つになっておりまして、総理みずから重要課題として認識をしていただいているというふうにも述べていただいております。
 しかしながら、近年、頻発する自然災害や新型コロナウイルスによる影響など、財務省との予算の兼ね合いもいろいろあるというふうに思っておりますけれども、しかしながら、日本の経済を牽引する重要な戦略の一つとして、私たちもこれからもしっかりと後押しをしていきたいなというふうに思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。
 ここまでハード整備に関する質問を行ってまいりましたけれども、東京港の機能強化を考える上では、次にソフト対策も大変重要な課題であります。
 これまで都は、コンテナターミナルのゲートオープン時間を早朝一時間前倒しすることで、交通混雑を緩和することを目的とする早朝ゲートオープンを実施して、ゲート前混雑緩和に一定の成果を上げてまいりました。
 そして、これに加えて、コンテナターミナルがすいている時間帯に貨物を一旦引き出して、早朝や夜間に配送するまでの間、一時的に保管する場所、いわゆるストックヤードの設置にも取り組み、交通混雑の緩和を図ってまいりました。
 特にストックヤードについては、東京二〇二〇大会に向けた交通混雑対策として、大会時には通常の一カ所から四カ所へと拡大する。これは今、整備がこれからのY3のところも使うという話を伺っておりますけれども、運用ルールの見直し等も行う予定と聞いておりますが、昨年五月、八月にトライアルも実施しているということも承知しております。
 都は、こうしたトライアルや大会時での運用で得たストックヤードの運用に関する知見を、大会時だけにとどまらず、大会後もぜひ最大限に活用して、今後の東京港の混雑緩和につなげていくべきというふうに思っておりますけれども、見解をお伺いいたします。

○戸井崎港湾経営部長 都は、早朝や夜間など、ふ頭周辺の道路がすいている時間帯における貨物配送を促進するため、平成二十九年よりストックヤードを運用しております。この間、ストックヤードの利用率は高い水準で推移しておりまして、ふ頭周辺の混雑緩和に有効な取り組みであるというふうに認識しております。
 一方で、東京二〇二〇大会時には多くの会場が臨海部に配置され、ふ頭周辺の道路がさらに混雑することが予想されていることから、より一層の早朝、夜間配送の促進に向け、昨年度は二回のトライアルを通じて、大会時の運用ルールの検証を行ったところでございます。
 具体的には、ターミナルからの貨物搬入は当日の十五時まで、ストックヤードからの貨物搬出は十八時から翌朝八時までとしたところ、貨物の多くが道路のすいている朝四時から八時の早朝の時間帯にストックヤードから搬出されていることが確認できまして、ふ頭周辺道路の交通混雑緩和に効果があったというふうに認識しております。
 こうした知見を大会後のストックヤードの運営にも生かしまして、東京港全体の交通混雑緩和につなげてまいりたいと思っております。

○鈴木委員 私も港湾物流者の方々や関係者の方々にもいろいろお話を伺いました。これは大変好評でした。しかしながら、一つ、特に今後、夜間の時間帯への一層の分散というのがやはり課題だろうというふうに話をいただきました。
 このためには、荷主への理解がやはり得られるということが何よりも大事になってくるわけですので、早朝というのは、結構皆さん仕事を前倒しでやろうという気持ちもあるんですけれども、要するに時間を遅くするという話になると、計画的にやはりやっていかなくてはならないということもあるので、これはとにかく全体の港湾の渋滞緩和につなげていけるように、今後とも港湾局が主体となって、理解が得られるように取り組んでいただきたいなというふうに思います。
 ぜひ東京港は、世界の主要港湾と比べて大変手狭なところだということも先ほど触れさせていただきましたけれども、さらなる機能強化をしていくためには、実証実験の結果を今後踏まえて、荷主、トラック事業者、船会社、港湾運送事業者など、関係者全体の協力のもとに取り組んでいくことが何よりも大事であって、大会後もぜひ継続的に進めていただきたいなというふうに思います。
 また、トラック事業者からは、効率的な貨物配送を行うために、東京港の混雑状況や待機時間などをリアルタイムに把握できるようにしてほしいとの要望も寄せられております。
 今、小池知事がデジタル化といっておりますけれども、そういったことを活用すれば、本当に私はすぐに対応できるのかなというふうにも思うんですけれども、海外の港では、ICTを活用して、待機時間などをリアルタイムに情報提供している事例もあるというふうにも聞いています。
 ぜひ都は、こうした取り組みを参考にしつつ、効率的な港湾物流が実現できるように取り組んでいただきたいというふうに思います。
 加えて、安全で快適な港の整備を進めることで、引き続き多くの利用者に選ばれる港であり続けていただきたいなというふうに思います。
 東京港は、年間約十五兆円の貿易額を誇る港であり、日本経済成長を牽引する重要な役割を担っているわけですので、東京港のさらなる発展に向けて、港湾局の皆さんにはぜひとも引き続き全力で取り組んでいただくことを強く要望して、終わります。ありがとうございました。

○加藤委員 それでは、質問させていただきます。
 令和元年度一般会計決算のうち、最初に東京二〇二〇大会に関連して幾つか確認をしていきたいと思います。二〇二〇大会を何としても開催するという思いで質問したいと思います。
 まず、海の森公園について伺います。
 以前、私はオリンピック・パラリンピック推進対策特別委員会において、海の森水上競技場の観客輸送に当たって、舟運を活用すべきと提案し、オリンピック・パラリンピック準備局から、庁内各局と連携し、海の森への観客輸送に舟運を活用できる可能性について精力的に検討していくとの答弁をいただきました。
 その後、状況を確認したところ、海の森公園を所管する港湾局において、昨年度の環境整備費の予算を活用して、整備を担うこととなったと聞きましたが、改めて確認をいたします。
 海の森公園及び海の森水上競技場には、多くの観客が来場することが想定され、観客の利便性向上のため、舟運による輸送を確実なものとする船着き場の整備を着実に進めるべきと考えますが、昨年度の取り組みについて伺います。

○佐藤開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 海の森公園は、駐車場やアクセスとなるバス路線等がまだ整備されておらず、委員ご指摘のとおり、大会時の観客の輸送手段としては、舟運の可能性を視野に入れることが有効であります。このため、オリンピック・パラリンピック準備局と調整を重ね、船着き場の整備を進めることといたしました。
 具体的には、平成三十年度から整備に着手し、海上部については幅十メートル、延長四十メートルの浮き桟橋と、これにつながる延長三十五メートルの連絡橋を、地上部につきましては階段やスロープなど、それぞれ整備いたしまして、この夏に竣工したところでございます。

○加藤委員 海の森公園や海の森水上競技場で開催される馬術、クロスカントリーコースやボート競技に来場する多くの観客には、鉄道やバスだけに頼るのではなく、東京はもとより、首都圏の産業、生活基盤を支えるダイナミックな東京港の景観を楽しみながら、会場に足を運んでいただけることが期待できます。
 あわせて、開園までは大会後、数年かかると伺っておりますが、せっかくできた船着き場については、隣接する水上競技場管理者等とも連携して、十分に活用されることを強く要望いたします。
 次に、東京二〇二〇大会では、多くの海上公園が競技会場、あるいは大会関連施設として利用されることとなりますが、先ほどの海の森公園と同様、昨年度の環境整備費において、幾つかの海上公園の再整備が行われています。
 私の地元墨田区は、隅田川を初めとする水辺空間が地域の魅力や潤いを生み出しています。先日、東京ミズマチがオープンして、より魅力が増しました。
 大会の主要会場となる臨海部においても、多くの人々に東京の水や緑の豊かさ、魅力を感じてもらえるよう、水辺に面した海上公園の拡充や快適性の向上を進めていくべきであると考えます。
 このうち、ここ数年閉鎖して、工事が行われている晴海ふ頭公園については、大会後に新たにできるまちと調和した公園として整備すべきと考えますが、整備の考え方について伺います。

○中村臨海開発部長 晴海ふ頭公園は、大会時に選手村の一部となり、選手のリラックススペースとして利用されることから、大会に向けて、面積を従前の約一・五倍に当たる三・六ヘクタールに拡張する再整備を行っております。
 再整備に当たっては、選手村を利用する選手たちが快適に体を動かせ、憩える空間とするとともに、もとより大会後にまち全体がレガシーとなる中、その先端に位置する当公園についてもレガシーにふさわしい良質な水辺空間とすることといたしております。
 このため、隣接する再開発事業者との意見交換を行い、街路とこれに続く園路の舗装材を合わせるなどデザインの調和や、まち中から公園を通じての海に開けた眺望の確保に努めるとともに、園内については、広々とした草地広場や階段、テラス、あるいは海をイメージできる大型遊具や噴水などの施設整備を行っております。

○加藤委員 先日、選手村を含めた晴海ふ頭エリアを視察した際に、広々とした空間を持つこの公園を拝見しましたが、ただいまの答弁でまちとの調和を考えたデザイン、景観としてもよく練られている公園であることが確認できました。
 さて、新型コロナウイルス感染症の影響により、アウトドアの需要が高まり、これまで以上に都民生活において公園の重要性が増していると考えます。
 その中でも特にバーベキューができることについての期待が高いと聞いており、ウイズコロナの時代において、都民が密を気にせず、開放的な公園で思い思いに過ごせる環境を確保することが求められております。
 そこで、晴海ふ頭公園内においても、再開園の際には快適にバーベキューを楽しめるようにすべきと考えますが、所見を伺います。

○中村臨海開発部長 臨海部における海を眺めながらのバーベキューは、需要が高い一方で、ごみや煙、あるいは騒音などの課題もあると認識しております。
 そこで、晴海ふ頭公園の再開園の際には、民間事業者により設置されるカフェの運営の中で、魅力的で管理の行き届いたバーベキュー利用を推進していくこととしております。
 大会後、舗装や案内板等、仕上げの工事を行い、この民間事業者によるカフェの設置オープンに合わせ、まち開きに先立って、再開園を目指し、多くの方々がウイズコロナの時代にオープンスペースでの快適な時間を過ごせるよう努めてまいります。

○加藤委員 大会を契機として、晴海ふ頭公園がすばらしい公園に生まれ変わることが確認できました。ここは間違いなく、大会のレガシーとして、末永く残っていくところであります。地域住民の期待も高いと考えられるため、早期の再開園を要望して、次の質問に移ります。
 高潮対策について質問したいと思います。
 昨年は非常に強い台風が相次いで日本に上陸し、特に台風十五号及び十九号は各地に大きな被害をもたらしました。
 東京においては、高潮被害はありませんでしたが、首都としての中枢機能が集積し、多くの人々が生活する東京で、万が一高潮被害が発生したならば、その被害は甚大なものとなってしまいます。このため、高潮対策に万全を期するために、十分な対応が行われてきていると思います。
 そこで改めて、どのように防潮堤の高さを設定し、整備を行ってきたのか伺います。

○山岡港湾整備部長 都はこれまで、台風による高潮被害が日本最大であり、潮位偏差が観測史上最大を記録した伊勢湾台風級の台風による高潮を想定して、東京港の沿岸を第一線で守る防潮堤や水門などの整備を進めてまいりました。
 防潮堤につきましては、こうした想定のもと、高潮に対して十分安全な高さを確保してございます。
 具体的には、干潮時の潮位をゼロメートルとする基準であるAP、いわゆる荒川ペールでプラス四・一メートルから五・一メートルの高潮を想定し、防潮堤はAPでプラス四・六メートルから八メートルの高さを確保しており、その整備はおおむね完了しているところでございます。

○加藤委員 一方、首都直下地震が発生する確率は、今後三十年以内に七〇%と予想されており、防潮堤等の地震に対する備えについても万全を期していく必要があると考えます。
 そこで、昨年度末までの耐震対策の取り組みについて伺います。

○山岡港湾整備部長 都では、東日本大震災の教訓を踏まえ、東京都防災会議で想定した地震への対応を図るため、平成二十四年に策定した東京港海岸保全施設整備計画に基づき、施設の耐震性を強化するため、コンクリートの増し打ちや液状化対策のための地盤改良等の取り組みを進めております。
 昨年度末までの取り組みでございますが、第一線で防護している防潮堤につきましては、全長約四十キロメートルの九五%に当たる約三十八キロメートルにつきまして、耐震性を確保してございます。
 また、水門につきましては、十五施設のうち十三施設について、耐震性を確保してございます。

○加藤委員 これまでの答弁から、東京の沿岸部を第一線で防護している防潮堤等については、観測史上最大の潮位偏差となった高潮を踏まえ、十分な高さが確保されており、その整備もおおむね完了していること、また、東日本大震災の教訓を踏まえ、その耐震性の確保についても計画的に進められていることを確認しました。
 一方で、平成二十五年にいわゆるスーパー台風がフィリピンに襲来し、想定を超えるような甚大な被害をもたらしたことなどから、平成二十七年に水防法の一部改正が行われ、一千年から五千年に一度の確率で起こるといわれている台風に備え、避難などのソフト対策の強化が盛り込まれました。
 この改正によれば、高潮氾濫危険水位を設定し、その水位に達した場合には、高潮氾濫危険情報を住民等に周知することとなっています。
 そこで、都においては高潮氾濫危険水位をどのように設定したのか伺います。

○山岡港湾整備部長 高潮氾濫危険水位とは、万が一高潮による氾濫の危険がある場合において、都民にみずからの生命を守る避難行動を促すため、高潮氾濫危険情報を発表するための指標となるものでございます。
 具体的には、高潮による浸水が発生する前に、都民が避難により身を守る時間が確保できる最終段階の水位を高潮氾濫危険水位と定め、本年四月に地域ごとの堤防の高さなどを踏まえまして、APプラス三・六メートルからAPプラス四・三メートルに設定いたしました。
 設定した水位につきましては、ホームページや報道機関等を通じて、広く都民に公表するとともに、関係地元区には個別に説明会を開催するなど、情報共有を徹底した上で運用を開始いたしました。

○加藤委員 最近、湾岸地域の高層マンションを購入した方から、高潮浸水想定区域の発表で重要事項説明も変更が生じたと心配をされておりました。一千年から五千年に一度の確率ということですが、対策は重要です。
 そこで、本年四月に高潮氾濫危険水位を設定し、運用を開始したとのことでありますが、高潮氾濫危険情報の発表に当たっては、都民の的確な避難行動につなげるために正確な情報を迅速に共有し、発信するための実効性ある仕組みの構築が不可欠と考えますが、見解を伺います。

○山岡港湾整備部長 都民に的確な避難行動を促すには、地域の実情を熟知し、避難計画を担う関係地元区と円滑な連絡体制を構築の上、情報を都民へ積極的に伝達することが重要でございます。
 浸水が予測される非常時には、早い段階から水位観測所の潮位データをきめ細かく各区へ通知するとともに、高潮氾濫危険情報の発表に当たっては、報道機関の協力を得て、広く都民に発信していくことといたしました。
 さらに、今年度末を目途に新たな情報システムを構築し、潮位の観測データに加え、海面のライブ映像や気象情報、水門の開閉状況などをウエブ上にリアルタイムで公開できるよう準備を進めております。
 こうした取り組みにより、非常時に正確かつ迅速な情報発信を行うことで、都民の的確な避難行動につなげ、高潮への備えを強化してまいります。

○加藤委員 高潮氾濫危険情報の運用や地元区との連携など、都がしっかりと対応していくとともに、高潮に関する情報を発信するためのシステムを構築し、情報発信の強化に取り組んでいることが確認できました。
 引き続き、都民の生命や財産、首都東京の中枢機能を守るため、ハード、ソフトの両面から高潮対策を進めていただくことを要望して、質問を終わります。

○原田委員 当該年度、島しょ部から声が上がっていた幾つかの課題について質疑いたします。
 まず、新島は、若郷漁港の消波ブロックについて。
 波打ち際まで家屋が迫る若郷において、波を抑える消波ブロックは極めて重要な施設ですが、この間、新島の荒波に削れるなどして機能が低下していました。
 私は二年前の決算で対策を求めましたが、昨年はそれほど進まなかったんですかね。現在、若郷の消波ブロックの修繕について、進捗状況を教えてください。

○片寄離島港湾部長 新島の若郷漁港海岸におきましては、浸食対策として、消波ブロックを用いた離岸堤の改良を進めているところでございます。
 昨年度は消波ブロックの製作と据えつけを実施し、計画延長約九百七十メーターのうち約二百二十メーターまで完了しております。引き続き、改良を進めてまいります。

○原田委員 失礼しました、しっかりと進んでいたと。入札不調もなかったと聞いておりますので、引き続きよろしくお願いします。
 若郷漁港の船客待合所ができるまでの間、仮設のトイレをつくるとの答弁をやはり二年前のこの分科会でお聞きしていました。当該年度、まだ工事が進まなかったようですが、現在の進捗について具体的に伺います。

○片寄離島港湾部長 若郷漁港におきます高速ジェット船の乗降場により近い箇所への仮設トイレの整備につきましては、今年度内の完了を予定しており、現在入札手続を進めているところでございます。

○原田委員 昨年の台風の被災対応に追われたとのことですので、やむを得ない事情と受けとめます。今年度内の完成を目指しているというのは心強い答弁です。ご努力お願いします。
 次に、式根島です。
 以前から野伏漁港の船客待合所を新たに建設する話が出ていましたが、入札の不調などが続いていたと思います。式根島の野伏漁港船客待合所の進捗状況について、入札の状況など教えてください。

○片寄離島港湾部長 式根島の野伏漁港船客待合所の建てかえにつきましては、工事の契約不調があったことから、昨年度、発注内容の見直しのための補足設計を実施いたしました。今年度内に工事の契約を予定しており、現在入札手続を進めているところでございます。

○原田委員 入札不調があったとのことですので、原因をしっかりと把握していただけたらと思います。
 ところで、地元の住民からは、船客待合所が海により近くなることで、今までの待合所より潮水をかぶることとなるのではないかなど、心配の声も上げられているようですが、そうした船客待合所に関するさまざまな声を都は確認していますか。

○片寄離島港湾部長 野伏漁港船客待合所の建てかえにおきましては、地元の新島村を初め観光協会や漁業協同組合と意見交換を行うなど、地元の意見を聞きながら検討を進めてまいりました。

○原田委員 地元の声に細やかに耳を傾けていただきたいと思います。
 野伏漁港には高さ十メートルほどの護岸がありますが、そこに波がぶつかることで、海水が舞い上がり、港に降り注ぐという海水雨、海水の雨問題が発生しています。
 地元では、護岸の前に消波ブロックを置くなど、波の衝撃を和らげる何らかの施策を求める声がありますが、都の認識を伺います。

○片寄離島港湾部長 野伏漁港では、冬の季節風により、西側からの波を受けることから、これを考慮した護岸を現在整備しておりますが、越波を一層低減するため、消波ブロックなどによる護岸の改良に向けて取り組んでいるところでございます。

○原田委員 消波ブロックの設置による護岸の改良が答弁されました。極めて重要な施設となります。ぜひとも早期の着工を求めておきます。
 野伏漁港の船客待合所ができるまでの間、現在のトイレの改修を行う話が出ています。男子トイレには洋式がなく、女子トイレにも一つしかないため、早急な改修が求められてきていましたが、現在の進捗状況をお示しください。

○片寄離島港湾部長 現在の野伏漁港の船客待合所には、男性用、女性用及び障害者用のトイレがございます。改修につきましては、今年度の工事実施に向けて、調整を進めているところでございます。

○原田委員 このトイレの改善、大変急がれておりますので、よろしくお願いします。
 島の工事は入札の不調が多く、その要因は島特有のやむを得ない面もあります。日本共産党都議団として、島の入札及び工事がスムーズに進捗するよう入札のあり方の改善を求めたところ、さまざまな工夫をしていただいたとお聞きしております。今後も都の特段の配慮を求めて、この項の質問を終わります。
 次に、IR構想についてお聞きします。
 当該年度、港湾局は特定複合観光施設等に関する調査委託というのをみずほ総合研究所株式会社に行っています、委託をしているわけですね。
 この報告書では、主にギャンブル依存症についての調査が行われていたようです。この報告書を受けてのカジノ運営におけるギャンブル依存症問題に対する局の認識を求めます。

○若林調整担当部長 令和元年度の調査では、ギャンブル等依存症対策における自治体、民間団体、業界団体における取り組み事例などについて調査を行いました。
 ギャンブル等依存症とは、ギャンブル等依存症対策基本法において、ギャンブル等にのめり込むことにより、日常生活または社会生活に支障が生じている状態とされております。
 IRにつきましては、日本の経済成長や国際競争力を高める観光拠点として期待される一方で、ギャンブル等依存症などの懸念の声もあると認識をしております。

○原田委員 このみずほ総研の報告書を見ますと、各自治体でギャンブル依存症の対策がとられていることが紹介されています。そして、依存症対策のポイントがまとめられているのがこの報告書の内容なんですね。
 現状のギャンブル等依存症対策の課題整理として、フローみたいなのが掲げられているわけですけれども、それ見ますと、利用前調査とか研究、普及啓発、注意喚起、適切な利用っていって、プレーヤーの自己抑制の促進、入場制限って書いてあって、結果は、最後は治療、回復と書いてありまして、依存症の早期発見、治療強化と。
 最初から、ギャンブル、カジノをやったら--カジノにしても、ギャンブルの場をつくったら、結局この調査でも、治療、回復の問題まで行かざるを得ない。矢印が書いてあるんですけど、利用前からね。
 何か結局、事実上、カジノを運営する上で行う依存症対策が示されているわけで、それを受けての先ほどの答弁ですと、まるで対応をきちんとすれば、カジノ運営は問題ないと。ギャンブル依存症対策をしっかりとすれば、カジノ運営には問題がなくなるんだとでもいいたげに聞こえるわけですけど、改めてそういうことなのか、お聞かせください。

○若林調整担当部長 ギャンブル等依存症対策につきましては、IR整備法や基本方針案にさまざまな規定が盛り込まれているほか、実際のカジノの運営につきましては、カジノ管理委員会が今後定める規則に基づきまして実施がされるものと認識をしております。

○原田委員 まさに、カジノ運営は問題ないとでもいいたいんですかと聞いたら、カジノ運営のさまざまな法律だったり、基準だったりに沿って実施されるんだと。最初からカジノの依存症が出ること前提の話になっているわけですよね。
 それに対して、このみずほ総研に出した委託調査のように、どういう対策をすればやってもいいかということを探していると。これが実態なわけですよね。
 知事はIRに対して、メリットもあり、デメリットもありということで検討していくと答弁されてこられましたが、当該年度は、IR担当の内閣府副大臣も務めた秋元司衆院議員が収賄容疑で逮捕されています。
 カジノがこうした犯罪の温床になるということをカジノのデメリットとして認識していますか。

○若林調整担当部長 IRには日本の経済成長や国際競争力を高める観光拠点として期待されるメリットがある一方、デメリットとして、ギャンブル等依存症などへの懸念があると認識をしております。
 デメリットに対しましては、IR整備法において、カジノへの入場回数制限や貸付業務の規制、マネーロンダリング対策などが規定されております。先日出された国の基本方針案におきましても、IR事業者等との接触ルールの策定、IR事業者のコンプライアンスの確保等が新たに追加をされております。

○原田委員 当該年度、カジノをめぐって、現職の衆議院議員で元IR担当の内閣府副大臣が逮捕されるという前代未聞の事件が起きているのに、答弁でこの事件に触れることさえできない。そういう姿勢は問題なわけですよ。
 我が党都議団が入手した二〇一八年の資料を見ますと、都はこういっているんですね。
 IRはカジノの高い収益性を生かして、大規模投資を伴う観光施設の採算性を確保する事業スキームである、そういっているわけです。
 しかも、この二〇一八年の調査委託のときは、実はこの調査委託された会社は、当初は違う文言を使ってIRを説明していたんですよ。単にIRの文言説明だけだったんです。
 IRとは、カジノ等中核施設から構成される一群の施設とこれらと一体的に設置されるその他の施設であって、民間事業者によって設置及び運営されるものを指すと、当たり前のIRの説明が行われていたんです。
 それが東京都がこう書き直してくださいといって、先ほど示しました、IRはカジノの高い収益性を生かして、大規模投資を伴う観光施設の採算性を担保する事業スキームというふうに極めて前向きにカジノの高い収益性を強調したわけです、東京都が。書きかえさせたわけですよね、調査報告書を。
 カジノの高い収益性という言葉は、ひとえに国民、都民がカジノにお金をつぎ込むということを意味します。ギャンブル依存に陥ってしまった人たちの不幸を踏み台にして、金をもうける仕組みづくりは、政治や道徳などあらゆる場面で人間性がゆがめられるわけです。カジノをつくろうとするからこそ起きた事件だったと私は思うわけです。
 そこで、改めてなんですけれども、カジノを含むIRのメリットの部分についても改めて港湾局の認識、お聞きしておきたいと思います。

○若林調整担当部長 IRにつきましては、日本の経済成長や国際競争力を高める観光拠点として期待されるものと認識をしております。
 なお、先ほどお話のありました報告書案文の修正につきましては、これは調査委託業務を進める過程で、例えばIRの意義について、国の会議での議論に沿って文言を修正したり、反社会的勢力の排除といったデメリット面についての文言を追加するなどをしたものでございます。
 報告書の内容をブラッシュアップするために行った変更でありまして、ご指摘のようなことには当たらないものと考えております。

○原田委員 聞いてもいなかったそこの調査報告書の書きかえについて、わざわざ言及がありましたけど、ブラッシュアップをして、単にIRの説明をしていた調査報告書を訂正をさせて、わざわざカジノの高い収益性を強調しろと書かせたわけですよね。
 私の指摘は何ら間違っていないと思いますけれども、今、答弁でメリットを聞いたところ、カジノの高い収益性とまではいいませんでした。しかし、いっていることは一緒ですよね。日本の経済成長や国際競争力を高める観光拠点だと。カジノを誘致することによる経済成長を期待しているわけですよ。人の不幸の上に成り立つ経済成長って本当おぞましいと思うんですけれども、それを行政が口にすることのモラルハザードを私は嘆かざるを得ません。
 しかし、カジノが高い収益性をうたえたのは、正直当該年度まででして、コロナの影響でカジノはどの国でも大変な不況に襲われていると聞いています。
 そこで、お聞きしますが、コロナ禍を受けてもカジノを含むIRのメリットの認識、変わることがないのかお答えください。

○若林調整担当部長 IRにつきましては、さまざまな社会経済情勢の変化などを踏まえながら、今後引き続き総合的に検討を行ってまいります。

○原田委員 今後総合的に判断するという答弁だったんですが、コロナ禍の影響を受けてもなお判断がつかない、あるいはコロナの影響というものについて、つまびらかにした答弁ができないと。どこでもカジノはコロナで深刻な影響を受けて、どんな対策を施したとしても、ギャンブル依存症を克服できたカジノなんてないわけですよね。
 それでもなお見直す、断念するという判断がつかないというのは、私は本当に問題だと思っていまして、そこでお聞きしますけれども、その総合的な判断の中には、せめてカジノを含むIRの誘致をしないという方向性ぐらいは含まれているんでしょうね。

○若林調整担当部長 IRにつきましては、日本の経済成長や国際競争力を高める観光拠点として期待される一方で、ギャンブル等依存症などの懸念の声があることは認識をしております。都としては、IRのメリット、デメリットの両面から引き続き総合的に検討を行ってまいります。

○原田委員 メリットがある、デメリットがあるというのを聞いたわけじゃないんですよ。総合的な判断の中身として、当然--今までは東京都は、もう押せ押せだったわけですよ、IR誘致するぞと。先ほどの委託調査報告書をカジノの高い収益性だと書きかえさせるぐらい、相当前のめりだったわけですよね。
 だから、私は、そのメリット、デメリットを総合的に検討していくんだということなんですけど、当然その総合的な判断、検討の中には、ここまで来たら、IRの誘致をしないという方向性も含まれているんですよねと聞いたんです。もう一度お答えください。

○若林調整担当部長 都としては、IRのメリット、デメリットの両面から、引き続き総合的に検討を行ってまいります。

○原田委員 やる方向というのを打ち出しているのはもう目に見えているわけですけど、いろんな資料を集めると。やらないという方向も、誘致をしないという方向ぐらいは、どっちも検討していきますと。メリット、デメリットをずうっと勉強しているわけですけど、そろそろやらないという方向も含めて検討していくというのは、ちゃんと検討項目の中に入っているんですかと聞いたんですけど、絶対にそのことについてだけは口にしないと。曖昧な答弁を繰り返すと。
 あくまで可能性の話なのに、ここまでかたくなにお答えいただけないのは、やはり都はカジノ誘致に前のめりなんだなというふうに指摘せざるを得ませんよね。
 そして、カジノ反対の立場の学者や有識者、団体の方から意見を聞いたりとか、もうちょっとオープンな場でちゃんと議論していただきたいなというふうに思うんですけど、そういうことも一切するような気配は感じられないと。
 あくまでも水面下でこうやって我々が情報公開請求しないと出てこないような資料の議論の中でカジノの話がされている、本当に問題だと思うんですけれども、カジノオペレーターとは繰り返し面談を行っていることが、きょう皆さんも、委員の皆さんも手にした資料でわかりました。
 いただいた資料から質問します。港湾局がカジノを所管した年から--平成二十八年ですよね、これまで都の職員とカジノオペレーターが面談した日付と回数の一覧いただきましたが、これによると、カジノを所管した最初の年である二〇一六年から早速五回、二〇一七年には四回、二〇一八年には八回と、ある意味で順調に面談を繰り返し、なぜかわかりませんが、当該年度はゼロ回だったんですね。
 その年度の終わりには、秋元司衆院議員が逮捕されるわけですけれども、四年間に六事業者と計十七回、面談をしていたわけです。海外のオペレーターも含まれているでしょうから、海外での面談もあるのかと思いますが、面談した場所はどこなのか、まずお答えください。

○若林調整担当部長 面談の場所につきましては、全て都庁内の共用会議室でございます。

○原田委員 面談した六者の事業者名を教えてください。

○若林調整担当部長 個別事業者の面会の実績、内容等につきましては、各事業者の競争または事業運営上の地位を損なうおそれがあるため明らかにはできません。

○原田委員 事業者名は公表できないと。面談の内容はどのようなものだったのか、事業者名、百歩譲っていえないとしても、面談の内容はいえないということになると、カジノの問題で面談の内容さえ議題も明らかにならないことになったら、これなかなか事だと思うんですけれども、お答えください。

○若林調整担当部長 面談した事業者から、会社案内や自社の海外における実績のPR、日本のIR制度に関する意見などを伺い、メリット、デメリットの検討における参考にしております。

○原田委員 今の答弁ですと、メリット、デメリットのサンプルのために、その企業のPRだとか、IRに対する考え方だとかを聞いているんだということなんですけど、海外の事業者が含まれているわけですよね。
 PRだとか、メリット、デメリットのサンプルにするためなんだといって、こっちから呼びつけて、わざわざ来るものなんですかね。
 かなり乗り乗りで向こうが本当に売り込みに来ているという部分もあるのかなと思うんですけど、改めてこの面談は都側の要請によるものなのか、オペレーター側の要請によるものなのか、お答えください。

○若林調整担当部長 面談に至った経緯としましては、事業者から連絡があった場合や都から連絡した場合がございます。

○原田委員 向こうから売り込みに来ている場合もあれば、東京都からわざわざ来てくださいと要請したという話もあるということがわかりました。
 これからこの資料に基づいては、一体どういう議論であるとかがされたのか、成果物なんかもこれから皆さんからいただいていきたいなと思っております。
 あと、やはり気になるのでお聞きしたいんですけど、当該年度、なぜ面談が、それまで順調にじゃないですけれども、五回、四回、八回と、面談を毎年やってきたんですけど、突然当該年度、面談が一度もなくなったわけですけど、その理由や原因があると思うんですが、港湾局の考えるところをお聞かせください。

○若林調整担当部長 昨年度につきましては、事業者と面談する機会はございませんでした。

○原田委員 それはなぜなんですか。いろいろ聞き取りが大体終わったからなんですか。向こうからの売り込みがなくなったという、向こうから来たというのもあったわけですけど、それもなくなっていると。何でなんでしょうか。

○若林調整担当部長 昨年度につきましては、事業者と面談する機会はなかったということでございます。

○原田委員 当都議団が入手した資料には、二〇一八年六月、当該年度の前の年ですけれども、これはIR整備法が成立した月なんですが、港湾局は知事に対して、IRの整備について、ブリーフィングしています。
 そこには何と開業までのスケジュールという資料が添えられていまして、当該年度は基本方針案を受けると。その後、都による実施方針の策定、IR事業者の公募と続いて、区画整備計画の申請においては、勝手に、都議会の議決というところまで書かれてしまっているわけです。
 やるかやらないかもわからないと濁したいい方をしておいて、その実、都としてはもうやる気満々なんですよね。勝手に、都議会の議決まで書いてあるんです。しかも、コロナ禍を経ても、なお総合的に判断がつかない。もう東京都自体が既にこの時点でカジノ依存症にかかっているようなものなんです。
 当該年度と今年度を境に、カジノをめぐる情勢は激変しました。今年度の調査費は執行することなく、カジノに向けてきた情熱と労力をコロナ禍で苦しむ都民救済の方向に向け直すことを求めて、質疑を終わります。

○小松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小松委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時二分散会

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