委員長 | 米川大二郎君 |
副委員長 | 川松真一朗君 |
副委員長 | 中山ひろゆき君 |
菅野 弘一君 | |
池川 友一君 | |
うすい浩一君 | |
森澤 恭子君 | |
斉藤やすひろ君 | |
増田 一郎君 | |
入江のぶこ君 |
欠席委員 なし
出席説明員東京消防庁 | 消防総監 | 安藤 俊雄君 |
次長兼オリンピック・パラリンピック競技大会対策本部長事務取扱 | 清水 洋文君 | |
理事兼警防部長事務取扱 | 柏木 修一君 | |
企画調整部長 | 吉田 義実君 | |
総務部長 | 鈴木 浩永君 | |
人事部長 | 佐々木直人君 | |
防災部長 | 青木 浩君 | |
救急部長 | 森住 敏光君 | |
予防部長 | 山本 豊君 | |
装備部長 | 石川 義彦君 | |
企画調整部企画課長 | 市川 博三君 | |
企画調整部財務課長 | 西原 良徳君 | |
主税局 | 局長 | 塩見 清仁君 |
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 大久保哲也君 | |
税制部長 | 副島 建君 | |
税制調査担当部長 | 長田 稔君 | |
調整担当部長 | 菊澤 道生君 | |
課税部長 | 萱場 明子君 | |
資産税部長 | 池田 美英君 | |
徴収部長 | 川上 秀一君 | |
特別滞納整理担当部長 | 蓮沼 正史君 | |
政策企画局 | 局長 | 山手 斉君 |
外務長 | 一方井克哉君 | |
次長理事兼務 | 栗岡 祥一君 | |
技監 | 福田 至君 | |
理事報道担当部長事務取扱 | 河内 豊君 | |
理事 | 横山 英樹君 | |
理事 | 寺崎 久明君 | |
理事 | 関 雅広君 | |
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 小沼 博靖君 | |
渉外担当部長 | 村上 章君 | |
政策調整部長 | 小笠原雄一君 | |
政策調整担当部長 | 松崎伸一郎君 | |
政策調整担当部長都市施設政策担当部長兼務 | 小泉 雅裕君 | |
技術政策調整担当部長 | 三木 健君 | |
戦略広報担当部長 | 浅井奈穂子君 | |
海外広報担当部長 | 梅田 弘美君 | |
ホストシティプロジェクト推進担当部長政策調整担当部長兼務 | 小野 由紀君 | |
大学連携担当部長政策調整担当部長成長戦略担当部長兼務 | 蜂谷 典子君 | |
計画部長 | 吉村 恵一君 | |
外務部長 | 加藤 英典君 | |
外務担当部長 | 丹羽恵玲奈君 |
本日の会議に付した事件
平成三十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
東京消防庁関係
・平成三十年度東京都一般会計決算(質疑)
主税局関係
・平成三十年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成三十年度東京都地方消費税清算会計決算(質疑)
政策企画局関係
・平成三十年度東京都一般会計決算(質疑)
○米川委員長 ただいまから平成三十年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、東京消防庁、主税局及び政策企画局関係の決算に対する質疑を行います。
これより東京消防庁関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成三十年度東京都一般会計決算中、東京消防庁所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○斉藤委員 よろしくお願いします。
消防団は、自営業や会社員、主婦や学生など、それぞれの職業などにつきながら、我がまちは我が手で守るという使命感のもと、防災リーダーとして地域防災力の向上を図る重要な存在でございます。大変敬意を持って、私も地域で接しております。
消防団は、日ごろの火災はもちろんのこと、首都直下地震への備えや、今月立て続けに来襲した台風十九号などの風水害におきましても、徹して我がまちを守っていただいております。
今週の十月二十七日の日曜日には、安藤消防総監にも点検、視察にお越しいただきまして、規律厳正にして士気旺盛に目黒消防団団点検が挙行されたところでございます。私も参加をさせていただきました。ありがとうございます。その姿を拝見して思ったことは、この消防団の皆様が健康であってこそ、初めて地域が守られていくんだという、この事実でございます。
消防団活動を行うためには、消防団員の皆様の健康管理は極めて重要であることはいうまでもありません。特別区消防団におきましては、入団時の健診のほか、三十五歳以上の消防団には、昭和五十四年度から定期健康診断を実施されておりまして、また、平成二十四年度からは全消防団員に拡大、昨年からは最近、女性の消防団員もふえておりますので、婦人科検診を導入することで消防団員の健康管理に万全を期していると聞いております。
そこで、婦人科検診を新たに取り入れたことは非常によいことであると思いますけれども、その導入目的についてお伺いしたいと思います。
○青木防災部長 特別区の女性消防団員は、さまざまな消防団活動におきまして重要な役割を担っており、近年、増加傾向にあります。
このため、東京消防庁では、平成三十年度から、女性消防団員の健康増進と入団促進を目的に、無料で受診できる婦人科検診として、子宮がん検査及び乳がんエックス線検査を取り入れてまいりました。
○斉藤委員 この女性特有のがんにつきましては、代表的なものとしては子宮がん、そして乳がんというがんがございますけれども、がんの検診率を、受診率を高める課題というのは、これは日本全体で大変大きな課題となっているわけでありますけれども、一般的にも、このがん検診受診率の低さが問題となっております。救える命があるということで、ぜひとも検診率を高めていきたいということで、いろんな努力をしております。
東京消防庁が、独自に消防団員婦人科検診を平成三十年度新規事業として導入したことは、すばらしいことだと思います。しかしながら、昨年の婦人科検診の実施率は二一・五%と聞いております。非常によい取り組みなわけですから、幅広い女性団員にぜひとも活用していただきたいと思います。
そこでお伺いしますが、女性消防団員の婦人科検診の受診率を、これは始まったばかりですから、これを上げていくための取り組みについてお伺いをしたいと思います。
○青木防災部長 婦人科検診の受診につきましては、各消防団の分団会議や各種研修会において、パンフレット等により広く周知しております。
今後、さらに女性消防団員から広く意見を聞き、実施方法の見直しなど受診しやすい環境づくりに配意し、受診率の向上に努めてまいります。
○斉藤委員 この受診率向上のためには、やっぱり現場のお話をしっかり聞いていただいて、受診しやすい体制というものを工夫していただくことも大事だと思います。ただいまご答弁にございましたけれども、女性消防団員の皆さんから広く意見を聞きながら、実施の方法の見直しにも努めるとのお話もいただいたわけでございます。ぜひともよろしくお願いいたします。
質問は以上なんですけれども、私は、なぜきょうこの質問をするに至ったかといいますと、知人で女性の消防団員がおります。ことし実施されたがん検診をご自身は受けることができたということで、大変喜んでおられたわけでございます。実は、彼女は--これは自分でいっていいということで皆さんに聞いてほしいんですけれども、平成十八年ごろ、乳がんに罹患いたしまして、早く見つかったわけですので、元気に消防団員として活躍されている方です。手術を受け、がんを克服しつつ消防団員として皆さんのために働いている、非常に使命感を持ってやっておられます。
彼女から、自分で実感したんだけれども、希望した方が本当にできるだけ手を挙げてもらいたいんだと、そういうメンバーが、若い方も含めて多くなっていくことがとても大事だというご関心の中で、私にそのお話があったわけでございます。
声をかけていただいたので、その女性の友人は、私がこういう検診ができたよという話をしたものですから、そういうことがあったらぜひやりたいということで、随分声を出していたようです。ですから、彼女はやっとできたということで喜んでいたわけですが、ほかの方はやっぱり、なかなか声をかけられているのかどうか、仕組みはよくわかりません。各現場によって、やり方も違うんだと思いますけれども、できれば子宮がんの検診につきましては、二十歳以上、偶数年齢の女性団員が受診できるというふうに決めておられるようでございますし、すばらしい取り組みですので、希望する女性団員が一日も早く全員検診が受けられるような、そういった制度の見直しをご検討いただきたいという希望があったんです。そういうことを、都民の声としてございましたので質問をさせていただきました。
以上、受診率の向上について強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○川松委員 今般の台風直撃に伴いまして、消防庁の皆様におかれましては、さまざまな場面で緊張感を持ち、各任務に当たられております。その中で、私は消防ヘリコプターの存在に注目をいたしました。
平成三十年度の決算表でも、このヘリコプターにかかわる経費の数字が出ているわけですが、実際に、消防ヘリコプター一回の運航に関する費用について教えていただきたいと思います。
○石川装備部長 当庁で運航する消防ヘリコプター八機の想定で、昨年は一千七百五十五回、二千百六十時間飛行し、平均すると一回当たりの飛行時間は約一・二時間でございます。
機体の種別や気象状況、積載重量などにより異なりますが、一回当たりの燃料費は、現在の単価をもとに算出すると約十万六千円でございます。
○川松委員 ありがとうございます。
今お話ございました、平均的な数字というのを出してみると一回当たりおよそ十万六千円という数字が出てまいりました。これには当然、実際に災害が起こったときの救出作業に当たった分だけではなくて、ふだんの訓練にかかわる費用、あるいは日常の防災活動に関して調査等を含めた、そういったことに関しての飛行に係る費用も含まれることだと思いますけれども、消防ヘリコプターには大きな役割があると思います。
今回の台風のように、夜間にこういう自然災害が起こって、避難し切れなかった方が、真っ暗闇の中、一晩過ごして、朝日が出てきたと同時にヘリコプターの音が聞こえてきて、わあっと助かったんじゃないかと手を振る、そういった、いろんな人たちに希望を与える意味でもありますし、それには日ごろ皆さん方が調査で飛んでいるからこそ、それぞれの地域がどうなっているかということをチェックしているから、そして、また今話しましたけれども、訓練をしているからということで、実際に複合的に生きてくるわけであります。
今回の自然災害を目の当たりにして、消防庁の皆様におかれましては、私はここにかかわる費用というのは、これは今聞くと一回当たり十万円、確かに高いんですが、この高い投資が本当の意味での多くの人たちを救う、まちを救うということの観点からすると、ぜひ消防総監、このあたりの予算をもっととっていただくような作業にして、常に、何があっても万全の体制の東京消防庁というもので臨んでいただきたいと思います。
以上で私の質問を終わります。
○池川委員 東京消防庁の皆様方には、日常から都民の命、財産を守る仕事に取り組まれていることに敬意を申し上げたいと思います。
本日、私からは救急の問題について質問をさせていただきます。
東京消防庁は、二十三区及び二十五市三町一村を管轄としており、東京の消防白書二〇一九によると、救急隊員は二千五百十人、救急隊は二百五十九隊となっています。また、救急出場件数は昨年度八十一万八千六十二回と、過去最多となったことが記されております。
救急は一刻一秒を争うわけですが、地域的な特徴、昼夜間の人口の動き、またさまざまな要因に応じて対応することが求められており、常に見直しを図り、改善を行っていく必要があると思います。
そこでまず、救急需要に応じて待機場所を変更する救急隊の運用がされていると思いますが、導入した目的及びこれまでの運用方法についてお伺いをいたします。
○吉田企画調整部長 近年、救急隊の現場到着時間が延伸傾向にありますことから、救急隊を効率的に運用し、現場到着時間を短縮することを目的に、機動的運用を実施しております。
この運用は、時間帯により需要が大きく異なる地域において、需要に応じて待機場所を変更するものであり、これまで東京駅、西新宿及び町田駅の近くに待機場所を設け、実施してまいりました。
○池川委員 時間帯別の年間出場件数を見ると、午前九時から午後七時台までは四万件以上となっており、全体としても日中に出場件数が多いことがわかります。昼間人口が多い東京の特徴があらわれたものだと考えますが、一方で、夜間の対応が迫られるエリアがあると思います。ポイントを絞り、需要に応じた対応をして待機場所を変更してきたのが、今答弁があったとおり、東京駅エリア、西新宿エリア、町田駅エリアだということであります。
私も昨年五月に、地元町田市で原町田分駐所の開所式に出席をさせていただきましたが、その際、さまざまな機能等、またその狙い等についてもお話を伺いました。
町田市の場合は、町田消防署の移転に伴って、町田駅中心市街地エリアの救急需要をカバーするなどの理由から、この分駐所を配置したことが主な目的となっていますが、実際に一年半の運用を通じて、現場の方々からは機動的な運用が行われているという話もお伺いをしております。
そこでお伺いをしますが、それよりも以前から運用をされていた東京駅エリア及び新宿エリアでの、救急隊の機動的運用の効果がどのようにあったのかお伺いをいたします。
○吉田企画調整部長 救急隊の増隊に加えまして、日中の救急需要が多い東京駅と、夜間の需要が多い新宿の繁華街に対応する救急機動部隊を、平成二十八年六月に運用を開始した結果、近隣救急隊の平均現場到着時間が、平成三十年中は運用開始前と比較して、東京エリアで一分四十八秒短縮し六分ちょうど、新宿エリアで四十二秒短縮し六分十二秒となりました。
○池川委員 東京エリアでは、一分四十八秒短縮し六分ジャスト、これは全体でいうと二四・一%短くなったということです。また、新宿エリアでは四十二秒短縮をし六分十二秒となり、一〇・八%短くなった、本当にこれはすごいことだと感じます。
昨年度の現場到着時間が平均で七分二秒であったことからしても、この機動的運用が大きな効果を発揮しているということは明らかだと思います。こうした視点を踏まえれば、救急隊の増隊とともに、機動的な運用を積極的に行い、現場到着時間の短縮につながる取り組みを引き続き行うことが重要だと思います。
そこで伺いたいと思うんですが、救急隊の現場到着時間の短縮に向けてどのような取り組みをされているのか、また、今後ともこの時間短縮に向けた取り組みを進めていただきたいと考えますが、消防庁のご見解を伺います。
○吉田企画調整部長 本年五月には、日中の救急需要が多い池袋消防署に、救急資格を有する育児中等の職員が活躍できるデイタイム救急隊を発隊いたしました。また、本年十月には、計画的に消防署の救急隊を六隊増隊いたしました。さらに、救急機動部隊の救急隊を二隊から四隊に増隊するとともに、日中の救急需要が多い幡ヶ谷エリア及び夜間の救急需要が多い六本木エリアに待機場所を整備し、運用エリアを拡大いたしました。
○池川委員 計画的に救急隊の増隊を進めるとともに、機動的運用を拡大する運用を行っていただいているということであります。
私は、デイタイム救急については本当に重要な視点だなと感じています。育児や介護など、さまざまな事情から交代制の勤務が厳しいという声は、私自身も直接いただいているところでありますが、こうした職員の方々が働き続けられるような環境整備としても、とても有効であり、ぜひ今後とも、この運用については現場の、それこそ職員の皆さんのニーズを伺いながらやっていただきたいと思うんです。
それから、エリアごとの救急需要等の分析、これまでの蓄積、そしてノウハウを発揮していただくとともに、こうした新しい視点で取り組んでいただいて、現場到着時間の短縮に努めていただくとともに、消防署員の職員の皆さんのさらなる体制の強化を求めて、質問を終わりたいと思います。
○米川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○米川委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で東京消防庁関係を終わります。
○米川委員長 これより主税局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成三十年度東京都一般会計決算中、主税局所管分及び平成三十年度東京都地方消費税清算会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○入江委員 私からは、都税収入について伺います。
今日の都政では、東京二〇二〇大会の確実な成功や首都直下地震への備え、年々激しさを増す豪雨への対策、人口減少とさらなる少子高齢化への対応など、誰もが安心して暮らし活躍できる社会を築くための施策を、着実に推進していかなければなりません。加えて、国際金融都市東京やソサエティー五・〇の実現、起業、創業やイノベーションの活性化など、東京の稼ぐ力に磨きをかけ、東京、ひいては日本の持続的成長につながる施策も積極的に展開していく必要があります。
このような施策展開の財政基盤となるのが都税収入です。そこで、平成三十年度決算概要、参考資料1、都税収入の推移を見ますと、平成三十年度については、昨年度と比較して増収となっています。しかも、都税総額で比較すると、過去二番目に高い水準です。皆様のご努力に感謝申し上げます。
しかしながら、平成元年以降の三十年間では、増収が続いた後、減収が続くなど、減収から増収を過去数回繰り返しています。
そこで、どのような要因があって、このような推移になっているのか、分析と見解を伺います。
○副島税制部長 平成元年以降の都税収入につきましては、平成十九年度が過去最高で、平成六年度が最低となるなど、大きく増減しております。
まず、平成元年度からは、平成三年度を頂点といたしまして、バブル経済崩壊の影響を受け、平成四年度以降は減収に転じまして、その後も世界景気低迷の影響等を受け、増減はあるものの低調となっておりました。平成十六年度以降は、世界経済が堅調に回復するとともに、国内経済においても企業収益が大きく伸び、税収規模も拡大が続きました。平成十九年度には、所得税から個人住民税への税源移譲も加わりまして、都税収入は五兆円を超えました。
しかしながら、平成二十年秋のリーマンショックを契機に都税収入は減収に転じ、平成二十一年度は、法人事業税の暫定措置の影響も加わりまして、前年度より約一兆円の減収となるなど、極めて厳しい状況となりました。その後、平成二十三年度に底を打った後には景気回復基調となり、都税収入は七年連続の増収となっております。
このように、都税収入は景気の動向に左右されやすい構造となっておりまして、特に、都税収入の四割弱を占めます法人都民税及び法人事業税につきましては、景気変動により大きく増減を繰り返しております。
○入江委員 都税収入の中でも、特に法人都民税及び法人事業税が、景気変動による企業収益の動きや税制改革などにより、不安定な動きを繰り返しているというご回答でございました。
都税収入については、短期的ではなく中長期を見据えて考えていくべきだと思います。この数年の都税収入は好調を維持しているものの、今後リセッション、景気後退の局面があれば、法人都民税及び法人事業税が大きく落ち込むことも想定されます。
そこで、まず、今回の平成三十年度都税収入における法人都民税及び法人事業税などの主要税目の具体的な状況について伺います。
○副島税制部長 平成三十年度の都税収入総額でございますけれども、対前年度一千七百三十三億円増の五兆四千四百六十四億円となりました。
主な増減についてでございますが、法人都民税及び法人事業税は一千九百三十八億円、一〇・五%の増、固定資産税、都市計画税は五百九十九億円、四・二%の増、個人都民税は八十五億円、〇・九%の増となったものの、繰入地方消費税につきましては九百五十一億円、一四・七%の減となりました。
○入江委員 好調な企業収益を反映しているもので、増収の部分が多いんですけれども、やはり繰入地方消費税が減収ということもありまして、主要税目の中でも増減が混在しているというわけでございます。
この都税収入への影響が大きい主要税目については、どのような原因があって、増収や減収という結果となったのか改めて伺います。
○副島税制部長 法人都民税及び法人事業税は、各業種とも好調でございまして、中でも商社などの卸売業、不動産業、通信業が堅調に伸びたことから増収となりました。固定資産税、都市計画税につきましては、基準年度の評価替えによりまして、土地の固定資産評価額が約一五%上昇したことから増収となりました。個人都民税は、都内雇用者数の増加に伴いまして、総所得金額が増加したことから増収となりました。
一方で、繰入地方消費税につきましては、平成三十年度税制改正における清算基準の見直しにより減収となりました。
○入江委員 現在の我が国の経済というのは、十月の月例経済報告によれば、緩やかに回復しているものの、輸出を中心に弱さが長引いています。通商問題をめぐる緊張、中国経済の先行き、英国のEU離脱問題の行方などの海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響などに、十分に留意する必要がございます。また、令和元年の台風十九号など、相次ぐ甚大な自然災害による経済に与える影響も、十分に考えていかなければなりません。
このような景気動向の不透明さはあるものの、都政が直面する多岐にわたる課題への対応など、さまざまな施策の展開を財政面から支えるため、都税収入の安定的な確保は不可欠でございます。
そこで、安定した都税収入確保に向けて、歳入所管局としての所見を局長にお伺いします。
○塩見主税局長 繰り返しになりますが、都税収入は、法人都民税及び法人事業税を中心に景気の動向に左右されやすい、そういう構造になっておりまして、また加えまして、国の税制改正の影響も過去ずっと受けてまいりました。
これまで、地方消費税の清算基準や法人事業税の分割基準の見直し、法人事業税の暫定措置など、都の財源を標的とした税制度の見直しが行われてまいったところでございます。
加えまして、昨年度の税制見直しによりまして、この十月一日からは法人事業税の一部を再び国税化し、特別法人事業税を創設するなどの不合理な措置により、令和二年度以降、巨額の減収が見込まれているところでございます。
そうした中におきましても、我が主税局といたしましては、税収確保に向けまして、例えば法人事業税や事業所税などの申告税目に関しましては、法人の事務所等に出向き、帳簿等を確認する実地調査を行うなど、税収確保に努めているところでございます。さらに、納税に関しましては、いつでもどこでも納税できるよう、クレジット納税の導入など納税手段の拡大を図っておりまして、都民の利便性向上を図ってきているところでございます。
都の歳入の七割強を占めております都税収入は、都財政を支える基幹的な財源でございます。都が重要施策を初め、さまざまな施策を展開していく上で、その原動力となる都税収入を確保し、都政を財政面から強力に支えていくため、主税局職員が一丸となって、歳入所管局としての責務を今後もしっかり果たしてまいります。
○入江委員 ありがとうございます。
国の税制見直しによる不合理な措置等には、都としてはしっかりと見解を述べていかなければならないと思っておりますけれども、いずれにせよ、この都の税制構造は不安定であるということで、そして不透明な世界経済の動向など、この都税収入の先行きは予断を許す状況にはないと考えます。
そして、グローバル化やデジタル経済の進展のもと、取引形態や資産所有形態の多様化など、変化に適切に対応し、税に対する都民の納得感を得ることは、東京がさらなる成長を遂げるためにも必要でございます。
特に、私は、国際金融都市東京の実現においては、東京都が世界的な都市間競争に打ち勝っていくために、資産運用業及びフィンテック企業の新規参入促進につながるような政策減税を含む各種施策について、検討を深めていただきたいと強く要望をいたします。
今後も、東京が抱える課題を解決し、誰もが安心して希望を持って暮らすことができる社会の構築や成長促進に向けて、必要な諸課題の裏づけとなる都税収入を確実に確保し、財政基盤を堅持いただけるよう強くお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございます。
○斉藤委員 私の方からは、最初に、条例減額制度について質疑をしたいと思います。
地方税の課税自主権という観点から、三十年度決算を概観した質疑になると思います。二十九年度決算特別委員会のこの場で、私からは、都独自の固定資産税の軽減措置、とりわけ、自治体独自の条例で減額措置を設けられる、この条例減額制度について質疑をしたところであります。
都は、過重となっています二十三区の税負担を緩和するために、この条例減額制度を活用した負担軽減措置を設けているところでありまして、まさに地方のことは地方が一番よくわかっているという、そういった思想のもとでつくられた課税自主権を行使した、典型的な制度だと思うわけです。
一方で、さきの質疑にもございましたけれども、国は三十年度税制改正においては、こうした条例減額制度の継続が議論の俎上に、国の方ではのせられまして、都議会公明党や都からは強い働きかけがありました。令和二年度までのその制度継続が実現、これをかち取ったところでございますけれども、今後、同様の改正が提案される可能性は十分あります。
そこで、都で実施している条例減額制度について、平成三十年度の適用実績とそれに対する都の考え方をお伺いしたいと思います。
○副島税制部長 都で実施しております二つの条例減額制度のうち、土地の評価額に対する前年度の課税標準額の割合でございます負担水準の上限を、七〇%から六五%に引き下げる措置の、平成三十年度におけます適用実績は約七億円でございます。一方、税額が前年度の一・一倍を超える場合に、一・一倍まで税額を減額する措置の、平成三十年度における適用実績は約五十二億円でございます。
二つの条例減額制度についてでございますが、商業地を中心といたしました地価の上昇に伴いまして、固定資産税等の負担が増加する中にあり、平成三十年度においても措置を継続したことにより、税負担の緩和に寄与しているものと認識しております。
○斉藤委員 商業地では、都心区を中心に地価はいまだに上昇傾向にありまして、ことし七月一日時点の基準地価格は、区部において前年比八・四%の上昇が認められているところです。地価上昇に伴い、中小企業はさらなる固定資産税負担増に対応せざるを得ない。こうした実態を踏まえた施策の構築という観点からも、この課税自主権という観点からも、その両サイドから極めて危惧する事態、これを奪っていくということは絶対に許してはならないわけであります。
そこで、こうした商業地等の税負担のあり方につきまして、主税局の認識を伺いたいと思います。
○副島税制部長 商業地をめぐります地価の状況は、地方圏では下落している地域が多い一方で、大都市圏を中心に上昇基調を強めておりまして、その動向は自治体ごとに異なっております。
商業地等の固定資産税等の税負担のあり方を検討する際には、税負担の増加や自治体ごとに異なる地価の状況等に、十分に配慮することが必要であり、とりわけ、商業地を中心に地価の上昇が顕著な区部におきましては、条例減額制度は引き続き重要な役割を担っているものと認識しております。
○斉藤委員 この条例減額制度は、措置を設けるかどうかというのは、みずからが、地方自治体が決めていくところに、このすばらしさがあるわけですね。地方自治体の裁量で決められている点で、地方分権を具現化した制度というふうに見れるわけです。
税は公平というのは非常に大事ですけれども、全国的な負担の公平さももちろん重要ですけれども、地価の状況やまちのあり方、まちづくり、東京のまちというのがあります。まちづくりのあり方は、地方によってさまざまある実情に合わせまして、東京の実情に合わせて、この課税負担のあり方を地方自治体、東京が独自に措置できる、この条例減額制度のような制度を拡充していくことこそが、地方分権に資するものと考えます。
都においては、中小企業の厳しい経営環境を踏まえまして、来年度の固定資産税等の負担軽減措置を継続することはもとより、次の評価替えにおける議論に向けて、条例減額制度の確実な継続を国に強く要望していただきたいと思うわけであります。
次に、自動車関係税について伺います。
これまで都では、大気汚染、大気環境の改善と低公害車の普及に向けまして、自動車税の超過不均一課税を国に先駆けて創設いたしまして、その後の国による全国措置の導入の先鞭をつけるなど、税制のグリーン化において先導的な役目を果たしてまいりました。
また、電気自動車や燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車に対する都独自の税軽減策である次世代自動車導入促進税制--次の世代の新しいタイプの自動車ですね、これに対しましての促進税制は、自動車税について、取得年度を含め六年間にわたり一〇〇%軽減するなど、取得の翌年度のみ七五%軽減するという国の制度を大きく上回るインセンティブを設けているわけであります。
これらの自動車は、走行中にCO2を排出しないことからゼロエミッションビークルとも呼ばれておりまして、都が目標に掲げている、二〇五〇年におけるCO2排出量の実質ゼロに貢献する、ゼロエミッション東京の実現にも大いに貢献する税制だというふうに思うわけであります。
そこで、次世代自動車導入促進税制につきまして、平成三十年度の実績とこれまでの推移、自動車全体における次世代自動車の普及状況を伺いたいと思います。
○萱場課税部長 平成三十年度における次世代自動車導入促進税制の実績でございますが、まず、自動車税は適用台数約一万八千台、免除額約三・九億円であり、また、自動車取得税は適用台数約九百台、免除額約五千万円でございます。制度が創設された平成二十一年度以来、適用台数及び金額ともに毎年度一貫して上昇してございます。
また、都内の乗用車全体における次世代自動車の普及状況につきましては、国の自動車検査登録行政の円滑な遂行に協力している一般財団法人自動車検査登録情報協会などの統計資料によりますと、平成三十一年三月末時点で、乗用車全体約二百六十四万台のうち、次世代自動車は約一万七千七百台でございまして、その割合は約〇・七%でございます。
○斉藤委員 決算ですので数字をつまびらかにしていただきましたけれども、まだまだ、この次世代自動車の普及という点では、この数字的には少ないというふうに思うかもしれませんけれども--この適用実績、もっと多くの都民にぜひ利用していただきたい政策減税であります。
このような税制措置も購入を検討している方々に届かなければ、せっかくあるインセンティブ、これ、効果というのは出てきませんので、ぜひとも、次世代自動車のより一層の普及に向けて、関係団体、関係局などと協力しながら周知徹底に努めていただきたいと思うわけであります。
さて、この自動車に関連して申し上げますと、環境面に加えて、最近は安全面の技術も目覚ましく向上しています。昨今多発する高齢ドライバーによる交通事故を踏まえまして、都は、都議会公明党の要望も踏まえて、緊急措置として、アクセルとブレーキの踏み間違い防止装置の取りつけについて九割補助をする画期的な制度を、今年七月に導入したところです。これは税制ではありません。
交通事故のさらなる防止に向けては、衝突被害軽減ブレーキや車線の逸脱を防止する装置などが搭載された安全運転サポート車、いわゆるサポカーの普及も望まれているところであります。しかしながら、この安全性能が充実している自動車は、他の自動車と比較して価格がやはり高いため、購入を促進していくためには、税制を含めたインセンティブが重要となるのではないかなと、このように考えているわけでございます。
税負担の軽減に向けては、安全性能について、これは全国一律の基準がありません。基準がないことなど、また、個別の自動車への搭載状況は、把握において技術的な課題もあるということは認識しておりますけれども、国への働きかけを含めまして、都でできることはぜひ都で進めていただきたい、このサポカーの普及に取り組んでいただくことを強く要望しておきたいと思います。
ちょっと話題を変えまして、次に、納税者の利便性向上ということについて質問したいと思います。
平成三十年度決算における都税の徴収率は過去最高を更新いたしまして、九九・一%を達成いたしました。これはすばらしい数字だと思います。これだけ納税者が多い中で九九・一%を達成されております。
戦後税制は、民主化を図る中で、申告納付を基本とする制度に再構築されまして、納税環境の整備や納税者教育が行われてまいりました。この点を鑑みますと、国や都は、こういった納税をしていく--これは義務ですけれども、法人会や青色申告会などの皆さんの取り組みにも、ぜひ感謝というか、協力をしてくれていることに対して、思いをいたしてほしいわけでございます。ちなみに、青色申告制度は目黒が発祥の地であるということを、税務大学校で教科書に書かれているようでございます。
一方、この主税局においても、納税機会を拡大し、納税者が納税しやすい環境を整えてきたことで、現在の高い徴収率が実現できているものと考えるわけであります。
そこで、納税者が高い納税意識を持ち、納税義務を自主的に履行するという納税秩序を維持していくためにも、納税しやすい環境整備を実現することが必要であると考えますが、これまでの主税局の主な取り組みについて伺いたいと思います。
○川上徴収部長 都税の納付には、銀行、郵便局などの金融機関での窓口納付、コンビニエンスストアでの納付、口座振替による納付、インターネットやATMを利用した納付、クレジットカードによる納付などがございます。
このうち、コンビニエンスストアでの納付では、納税者が曜日や時間を気にせず、いつでも納付ができることから、平成十六年度に、全国で初めて開始したものでございます。
また、平成二十三年度から自動車税に導入したクレジットカード収納につきましては、他の税目でも利用したいという納税者の声を受けまして、平成二十七年度には、全国に先駆け、クレジットカード収納をほぼ全ての税目に拡大したところでございます。
○斉藤委員 このクレジットカード収納につきましては、これまでも一貫して我が党が導入を推進してまいりました。窓口での現金納付による手間を省きまして、二十四時間三百六十五日利用できることは、キャッシュレス納税につながっておりまして、納税者の利便性向上につながっているわけであります。今後も利用拡大に努めていただきたいと思うわけであります。
そこで、クレジットカード収納につきまして、具体的にどのような税目で利用されているのか、また年間利用件数、利用金額と導入当初からの伸び率、今後の見通しなどについて伺いたいと思います。
○川上徴収部長 クレジットカード収納は、自動車税種別割や固定資産税、不動産取得税、個人事業税での利用率が高くなってございます。
クレジットカードによる納付件数は、平成三十年度で約六十七万件でございまして、伸び率については、導入当初の平成二十三年度と比べますと約七・七倍となってございます。金額につきましては約三百五億円で、伸び率につきましては、平成二十三年度と比べると約七・八倍となってございます。
最近のキャッシュレス決済の広がりに伴い、クレジットカード利用のハードルが下がっていくことで、今後もクレジットカード収納の利用が拡大していくものと考えてございます。都としても、都民へのさらなる周知を図り、利用拡大に努めてまいります。
○斉藤委員 私の初当選が平成二十一年でございましたけれども、この十年間、本当にこの納税環境というのは変化してきたなと、本当に東京都の主税局の徴税部門の取り組みはすばらしい、納税しやすい環境を積み上げてこられた成果が今、出てきていると思います。
平成二十三年度の導入当初と比べると、八倍近くも利用件数、金額が伸びておりまして、多くの都民に利便性を感じてもらっていると--これは感じてもらうことがとても大事なものですから、納税者にそれが伝わっているということでありまして、便利になったと思っていただいていることが数字で明らかになっております。
十月の消費税増税に伴うキャッシュレスポイント還元事業によるキャッシュレス決済の普及、こういったことも今、風になっておりますけれども、今後より一層見込まれる中で、社会状況やライフスタイルの変化に合わせて、クレジットカードを初め、全体的にこのキャッシュレス納税の利用者の増加が期待できるわけであります。都民の利便性向上の一層の取り組みを求めたいと思います。
固定資産税の納税では、口座振替による納付も、納税し忘れや現金持ち運びリスクといった観点から見ても、納税者にとって大変利便性の高い納付手段であります。口座振替を利用するに当たっては、都や金融機関に対して事前の手続が必要になりますが、デジタルガバメントの視点で見ますと、こうした手続の電子化も重要であります。
そこで、主税局における口座振替の申込手続の現状について伺います。
○川上徴収部長 主税局では、本年四月から、口座振替の申込手続がパソコンやスマートフォンを使用してインターネット上で行うことができる、Web口座振替申込受付サービスを開始したところでございます。
従来は、申込書に記入、押印して、金融機関や都税事務所に郵送などにより提出する必要がありまして、手続が非常に煩雑でございました。一方、本サービスでは、自宅にいながらペーパーレス、判こレスでの手続が可能となりまして、納税者の利便性は大きく向上したものと認識してございます。
また、申し込みから口座引き落としまでの期間も、これまでの五十日程度から二十日程度まで短縮されまして、納税通知書が届いた後でも、第一期の納期からの利用が可能となりまして、電子化に付随してサービスの向上も図られてございます。
○斉藤委員 今、ご答弁の最後にありましたけど、申し込みをして、口座引き落としが最初から使えないという--五十日間かかってしまったので、第一期の納付ができなかったわけですけれども、それが二十日間程度に短縮されることによって第一期の納付から可能になると、これは非常に、使う側からすれば気持ちがなえないというか、非常にストレスを感じないサービスで、すばらしい改善だと思います。
税に関する手続は多岐にわたりまして、こうした手続の電子化は、これからのデジタル社会におきましても必要不可欠であることから、今後とも、電子化に向けた取り組みを着実に進めていただきたいと申し上げておきます。
これまで、個人の納税者の納税環境の整備、利便性向上について質問してまいりましたけれども、都税収入で大きな割合を占める法人二税、この納税に係る利便性向上、そしてキャッシュレス化の推進も重要であります。多くの会社は、法人都民税や事業税、事業所税、また、会社従業員の給与から天引きする個人都民税の特別徴収というのがあります。この複数の都税を納付しなければなりません。
特に、この個人都民税の特別徴収につきましては、原則として毎月納付しなければならず、経理担当者の事務負担も重いと現場からはお話を聞いております。また、法人二税などは、複数の地方公共団体に納付する必要があることから、電子的な納税が進んでこなかった実態があるということも承知しております。
こうした状況を変えるべく、まさに今月から、地方税共同機構が新たにスタートさせた地方税共通納税システム、これに注目が集まっているところであります。
そこで、このシステムによって、法人納税者の利便性や現金主体の納税がどのように変わるかを伺いたいと思います。
○川上徴収部長 十月一日にサービスが開始された地方税共通納税システムの利用によりまして、法人二税などの対象税目では、全ての地方公共団体に対して、一度の手続で複数団体への電子納税が可能となりました。
また、あらかじめ納税用の口座をシステムに登録しておくことによって、指定した期日に口座から引き落とされることにより納付する、いわゆるダイレクト方式という新たな仕組みが地方法人関係税で初めて導入されました。
これらの新しい機能により、全国全ての地方公共団体に対して、申告から納税まで、現金を介さずワンストップで電子的に手続が行えるようになりまして、法人納税者の利便性向上につながるものと考えてございます。
○斉藤委員 デジタル化の進展など、東京都を取り巻く環境の変化に的確に対応していくために、今後より一層、ペーパーレス、キャッシュレスによる納税の推進に取り組んでいくべきであると思います。
その点、今年度に開始したWeb口座振替申込受付サービスや、ただいまご答弁ございました地方税共通納税システムの導入にとどまらず、ICTを活用した納税環境の整備を一層推進していくことを要望しておきます。
また現在、国では、二〇二五年までにキャッシュレス決済比率を四〇%にするなど高い目標を掲げて、普及に向けたさまざまな施策展開をしているところでございます。ソサエティー五・〇とか、SDGsとかいろいろいっていますけれども、具体的な、都民からすれば、そういう身近な納税の仕方にこのような新しい仕組みが出てくることで、実装化といいますか、そういったことを実感するわけでございまして、主税局においても、そういったものに沿った施策を展開しているということを、私もPRをしていきたいと思っております。
都も、こうした国の全体の動きに歩調を合わせながら、一方で、東京都ならではのスケールメリットを生かした事業展開を進めまして、キャッシュレス納税など、納税者の利便性を向上させるよう、引き続き積極的に取り組んでいただきたいということで、私の質問を終わりたいと思います。
○川松委員 私からは、平成三十年度の決算審議に当たりまして、主税局の皆さんと税制等、こういった取り組みが、東京のみならず日本全体の行政機構にかかわってくるんだという視点で、幾つか質問させていただきます。
まず、平成三十年度の東京都税制調査会におきまして、今回--今もお話が出ていましたけれども、新たに講じられた法人事業税の不合理な措置に関して、どのような答申がされていたのか確認をさせていただきたいと思います。
○長田税制調査担当部長 令和元年度の税制改正におきまして、国は、地方法人課税の措置として、法人事業税の一部を国税化し、特別法人事業税を創設いたしました。
こうした手法に対し、東京都税制調査会の平成三十年度答申では、まず、法人が受けた行政サービスに応じて負担する地方税を財政調整の手段として国税化し、応益関係のない地方に配分することは、受益と負担という地方税の重要な原則に反するとしております。
その上で、こうした地方自治体の自主財源である地方税を縮小させる手法は、地方税の存在意義そのものを揺るがし、地方自治の根幹を脅かす行為にほかならず、新たな偏在是正措置を行うべきではないとしております。
○川松委員 これは当然といえば当然の内容だったと思いますが--強く出したと思われますけれども、しかしながら、この都税調の答申がなかなか国の皆さん方には届かなかったということであります。
そもそも、平成二十八年度の税制改正において、暫定措置として導入されたのが地方法人特別税でありますが、このときに、消費税を一〇%にしたら--税と社会保障の一体改革とも一緒になってきましたけれども、一〇%の引き上げになったらこれは廃止にするんだという約束があって、時の内閣も、そして東京都の都知事もわかった上で進めてきたにもかかわらず、この令和元年度の税制改正においては、これまでの暫定措置にかわる--つまり消費税一〇%になったからこの特別税はやめるんだけれども、全く、ただこれは横にスライドするかのような新しい措置が講じられたわけですね。
こういった国のやり方について、都税調はどんな見解を述べているのか教えていただきたいと思います。
○長田税制調査担当部長 平成二十八年度税制改正に対して、都税調は、まず、消費税率の引き上げ及び地方法人税率の引き上げに合わせて、地方法人特別税、同譲与税の廃止、法人事業税への復元が決定されたことに鑑みれば、十年に及ぶ一連の暫定的な偏在是正措置は、これをもって終結したと見るのが妥当としております。
その上で、それにもかかわらず、この廃止と引きかえに新たな偏在是正措置を行うのであれば、それは事実上の廃止決定の撤回であり、地方財政運営の予見可能性を損なうとしております。
○川松委員 これも当然な話だと思うんですね。
ところが、首都東京富裕論があったり、東京都とほかの地方とが、本来は違う構図だったはずが、なぜか東京と地方の戦いになってしまって、この流れになったというふうに誰もが思うわけでありますが、東京の財政というのは、今見れば、それはほかの自治体に比べたらすごいなといわれるかもしれませんが、歴史を見れば、そう簡単に、ただ首都東京だからといって税制が安定しているわけではありません。
これまで美濃部都政で増となっていた職員定数を、鈴木都政、青島都政、石原都政で減として、経常収支比率も美濃部都政のときに、昭和五十三年で一〇六・一%だったと、これを猪瀬都政、舛添都政のときに八〇%までに下げてきた、それだけ苦労をしてきたと、整えてきたわけであります。
一方で、ちょっとお話もありましたけど、平成十七年には財政危機を克服した。これで今に至るわけであって、決して、首都東京だからという単眼的な要因で財政が安定しているわけではありません。今お話ありました、消費税が一〇%になったらこういった特別税などは廃止すると決まっていたのに、どう見ても今回の措置というのは新しい措置なわけですよ。
こういうことが総務省あたりから出てきたときに、雰囲気が出始めたときに、私たち都議会自民党は、さまざまなチャンネルを使って、この流れを食いとめるべく努力をしてきたわけであります。
ところが、今、都税調の見解もお伺いしましたけれども、これを、都税調の事務局機能である主税局の皆さんや、あるいは都知事含めて東京全体が東京富裕論に対して、どんなメッセージを発信できたか。要は、世間的に見て、我々のいっていることよりも総務省のいっていることの方が正しいという雰囲気が流れてしまったからこそ、この税制というのは国会でも決議されてしまったということになります。
私は、都政の先人たちが取り組んできた地方自治体の財政自主権の強化、さらには地方分権の流れに反するものであると--この課税自主権の強化ということを考えれば、今回の措置というのは、全くもって地方分権の流れに反するものだといわざるを得ません。
今、こうなった以上どうするかというと、次の十年、二十年に向けて改めて、この日本全体を含む我が国の大きな課題である中央集権システムがもたらしているアンバランスな状況というものを、もっと広くメッセージを発信して、改善させていく必要があります。今の状態は、このアンバランスを改善させるどころか、より悪くさせているんじゃないかということを主張していかなければならないんだと思います。
この地方自治制度も明治の時代以降につくられてきたわけですが、時代を経るごとに、その地方が持っている制限の幅というのは広がってはいます。広がっているけれども、まだまだ足りないというのが私たちの思い。そして、このことは、明治七年に福沢諭吉が地方分権の必要性を訴えて、明治十三年にはアメリカのフランシス・リーバーが「自治論」の中で、英米の自治制度において、地方政府はただ国に頼っていては、その自治は不十分だというふうにされていたんです。
日本も英米も、明治時代の、このころからの課題がまだまだ残っているんだというのが、今の、ふだん生活している人たちにはわからないわけです。今、当たり前のように、朝起きて、学校に行ったり出勤したり戻ってきて、その生活スタイル自体には何も困っていないよという方が多いからこそ--でもこの制度を続けていくと、実はまちづくりだとか、いろんなことに困っていくんだというメッセージを私たちは発信していくべきだと考えています。
今の話は明治ですけれども、それから明治、大正、昭和、平成と経て、この今の令和において、改めて今、私がお話ししたような根本原則を見詰めていく、そのきっかけが税調の発信の仕方ということにもなるのではないかなと思います。
また、消費税の議論になりますと、東京で消費する人が多いから、東京で消費税がいっぱい集まるんじゃないのという指摘があるわけですが、これは、ほかから考えると当然で単眼的に見るとそうなんですが、ただ、東京だけ税収がふえるよねという考え方でですね、一方的にとられてしまうようなルールができるというのは、実は、より都を強くするための社会制度、社会保障整備の邪魔をする。
これは何かというと、東京に住んでいる人たちだけが、別に東京で消費税を使っているわけじゃなくて、東京には昼間人口という表現もありますが、首都圏って多くの人たちが日々通勤されているわけですね。でも、通勤されているけれども、さらにまた首都東京だからといって人や会社が集まってくると、どんどんどんどん、東京は今、過密性が増していると。都にいる人、そして来られる人たちが、この過密性の中でより快適な東京をつくるためには、それなりの投資が必要なんですよと。皆、今、通勤電車、満員電車の話をされていますが、別にこれは都の政策として満員電車を解消するというだけではなくて、やっぱり、満員電車は他県から入ってくる人たちがいるから、都の人たちが乗ろうと思うといっぱい乗っているという側面も含めて、さまざまな方策を打ち出す時期に来ているんだと思います。
ですから、今後、総務省等とのやりとりの中で、ただ税金の数字だけを見て、こっちはこっち、あっちはこうなんだとかいう議論に終始することなくて、今述べたような本来の自治論、都市論、あるいは首都圏論、この機能というものを語る機会をどんどん多くの人たちに知っていただいて、わかりやすく説明していかなければならないと思います。
そんな中で、今ちょっと課税自主権の話もありましたが、国際金融都市構想というのが一気に進んでいく状況を迎えています。例えば、国家戦略特区として来るならば、私は特区として、減税とか免税の制度をあわせて、この都市構想を進めていくべきだと思いますが--もちろん租税だけが企業を誘致する要因じゃないと思いますけれども、多少はこういう議論が必要だと思います。
特区といっても、これは政府への納得、これも必要でございますけれども、逆に、今話に出た課税自主権のようなものが拡充されていけば、違うアプローチで、この国際金融都市構想を盛り上げていくことができるんじゃないかなと思います。
つまり、より地方自治権の拡充をセットにした上で、課税自主権が伸びていくんじゃないかなと思うんですが、そこでお聞きしますが、課税自主権の都における主な活用事例と平成三十年度の実績をお伺いいたします。
○副島税制部長 課税自主権の主な活用事例を申し上げますと、大都市特有の膨大な財政需要に対応するため、昭和四十九年から法人事業税、昭和五十年から法人都民税において、大企業等に対します超過課税を実施しておりまして、これらによる平成三十年度の増収額は約二千五百億円でございます。また、平成十四年には、観光振興施策の財源に充てるため、法定外目的税である宿泊税を創設しておりまして、平成三十年度の税収は約二十七億円となっております。
一方、税を軽減する措置といたしましては、都民の税負担感に配慮するために、固定資産税や都市計画税の軽減を図っているほか、燃えにくいまちづくりを税制面から支援するために、不燃化特区支援税制などを行っております。
これらの措置による平成三十年度の減収額は、固定資産税等の軽減措置では約六百三十億円、不燃化特区支援税制では約二億円となっております。
○川松委員 ありがとうございます。
いわゆる課税自主権もさまざまな議論を経て創設してきたと。今お話のあった不燃化特区支援税制も平成二十五年創設でありますけれども、これは、空き家があって老朽化して、取り壊しちゃうと固定資産税額が上がるから取り壊さないから、残しておくと危ないというようなところから、多くの人たちに納得をしていただいて、創設をしてきた制度だと思います。
ぜひ、ここでそういったことを考えると、これは東京のみならずだと思います、区市町村も含めて、各地方自治体は、今後ますます課税自主権を活用することが、それぞれの地域にとっていいことになる、それがまたプラスの作用を生むと私は考えておりますけれども、都の見解をお伺いします。
○副島税制部長 課税自主権は、地方自治体が地域の実情に応じて必要な財源をみずから調達できる権限であるとともに、特定の施策を誘導する手段にもなり得るものでございます。
各地方自治体が、みずからの責任と権限において、自主、自立的な行財政運営を行っていくためには、国から地方への権限や税源の移譲とあわせて、地方自治体がみずからの権限に基づいて課税内容を決定する課税自主権の活用も重要でございます。
主税局では、引き続き、都税の歳入確保に努めるとともに、税の公平性等も考慮しつつ、都の重要施策について税制面からの支援も検討するなど、課税自主権の活用に取り組んでまいります。
○川松委員 ありがとうございます。ぜひ、この取り組みを強化していただければと思います。
今の憲法や地方自治法のもとでは、最初にいった、明治に比べたら権限というのは広がっているかもしれませんけれど、かなり制限された状態にある東京都であります。我々東京がその風穴をあけると、ほかの自治体もついてくるんじゃないかなと。つまり、国からいろんな権限を--今お話ありましたが、移譲してくる、とってくるということと同時に、我々自身も、各自治体も、自分たちで自主運営していくための力の強さをつけていくために、課税自主権を広げていくという議論が必要なんだろうと思います。
さっきの特区の話でもありますけれども、税制、これはプラスの課税もあればマイナスの課税もある、減税、免税も考えていくと、そのことによって一義的には税収は減るかもしれないけれども、さらにその投資がプラス、プラスに転じていくということもありますので、ぜひ法人や、あるいは住民の皆さんが、この地がいいんだと思ってもらえるような自治体をつくっていく、長い目で見て、各地方自治体のサステーナビリティーが自力でつくられていく、そして独自性を持ってつくられていく、そういった取り組みになると私は思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
あと、最後に一言申し上げますが、今後、租税負担の適正化というのはもちろん、今も都税調の課題になっているとお聞きしましたけれども、GAFAを初めとしたデジタルサービスを提供する企業に対しての、新たな課税ルールを設けていく必要があるんだろうと思います。
東京都もソサエティー五・〇を目指す中で、都が、時代に合った制度を声を大にして整備していく必要があります。主税局の皆さんは--私はきょう、ちょっといろいろと語ってきましたけれども、東京都だけでなくて日本全体の活性化の鍵を握られている局であると私は認識しておりますので、ぜひ今後も、そういった気概を持たれて職務に専念されていただきたいということを強く要望しまして、質問を終わります。
○池川委員 私からは、都税の滞納整理及び納税相談等について質問したいと思います。
税の徴収は都政の中でも極めて重要な仕事であり、都税収入を確保していくことは、もとより大切であります。ただ、それは同時に、都民生活にしっかりと寄り添い、踏まえた上で行われるべきものであります。
この間、主税局は徴収率の向上を強力に進め、昨年度実績で都税の徴収率は九九・一%、個人都民税の徴収率は九七・一%と、過去最高になったということであります。一方、都民生活がどうなっているのかといえば、依然として厳しい状況が続いていると思います。
都民生活に関する世論調査の最新版である、昨年七月に調査をされ、十一月に公表されたものがありますが、この中には、暮らし向きの変化という項目があり、お宅の暮らしは昨年の今ごろと比べて楽になりましたか、苦しくなりましたか、それとも変わりませんかという設問には、苦しくなったが二四・四%、変わらないが七〇・七%、楽になったは三・二%というふうになっており、苦しくなったと答えた方のうち、トップは、税金や保険料の支払いがふえたで三七・五%が回答されています。実際には、都民生活が好転しているとは、この調査からはいいがたいというふうに思うんです。
私は、滞納されている方々に対してどのように向き合っていくのか、ここが重要だと思います。滞納された方々に対して、換価の猶予、滞納処分の執行停止など、こうした制度を活用することができるわけですが、国税徴収法の中で換価の猶予、また滞納処分の執行停止を設けられている理由について、都はどのように認識をされているでしょうか。
○川上徴収部長 換価の猶予は、税の納付について誠実な意思を持つ滞納者が、その税を一度に納付することで事業の継続や生活の維持を困難にするおそれがある場合に、滞納処分による財産の換価を猶予することができるものでございます。
滞納処分の執行停止につきましては、滞納者に滞納処分ができる財産がないとき、滞納処分をすることで滞納者の生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき、滞納者の所在及び滞納処分できる財産が不明であるときのいずれかに該当する場合に、滞納処分の執行を停止するものでございます。
いずれも、納税者の個々の実情に即した適切な措置を講ずることによりまして、納税者との信頼関係を醸成し、税務行政の適正かつ円滑な運営を行うために設けられたものと認識してございます。
○池川委員 換価の猶予や滞納処分の執行停止という言葉の解説もしていただきましたが、率直にいって、この言葉の意味--専門的に税を扱う仕事をされている方であれば別ですが、こうした分野に接していない方々にとってはなじみもなく、とにかく言葉が難しい。実際に都民の人がわかるように説明していくことが必要であるというふうに思います。
滞納してしまった人は、ただでさえ、どうしようかと不安を抱えているわけで、そうした中で、相談に行ったときに、難しい専門的な言葉が次々と出てくれば、相談に行く気持ちをそがれてしまうことになります。そういうときに、基本的な姿勢としてどう向き合うかが重要だと思います。
先ほどの答弁の中で、個々の実情に即した措置を講じることによって、納税者との信頼関係を醸成するという答弁がありました。この信頼関係を醸成するというのはとても重要だと私は思います。ただ実際に、私たちのところに寄せられる相談内容を聞いていると、機械的な対応に当たられたとしか思えない事例や、税務行政の論理が優先をされ、率直にいって、その相談に行った方々の実情をうまく酌んでいないという事例も、少なからずあると思います。
学ぶべき自治体の一つに、滋賀県野洲市があります。野洲市では、ようこそ滞納いただきましたと、滞納は生活状況のシグナルだと捉え、相談に当たっています。滞納者の不安を取り除き行政との信頼関係をつくり出す、ここに大きな目的があると伺いました。都としても、こうした、ようこそ滞納いただきましたという視点を持って、対応していただくことが必要だと思います。
私がこの問題を改めて強調したのには理由があります。新国税徴収法の改正作業に当たった租税徴収制度調査会の会長を務めた我妻栄氏が国税徴収法精解という著書の中で、次のように述べていることがあります。少し長いですが、重要な部分なのでご紹介をさせていただきたいと思います。
ただ、この際ぜひ述べておかなければならないことがある。それはほかでもない。新国税徴収法の認める租税債権の優先的効力も、その徴収に当たって用い得る強制力も、その運用を極めて慎重にすべきだということが了解されているということである。私債権が他の債権に優先する効力を与えられる場合には、法律にその要件が極めて正確に定められている。また、その執行のために認められる強制力については、極めて慎重な規定がある。それに反し、租税債権については、優先的効力の範囲にも、その用い得る強制力の程度にも、徴税当局の認定と裁量に任されている幅が相当に広い。このことは、単に近代私法取引に対する例外であるだけでなく、近代法治国家の公権力の作用としても、異例に属する。にもかかわらず調査会がこれを承認したのは、納税義務者の態度いかんによってはかような制度を必要とする場合があることを認めていたからである。いいかえれば、優先的効力の主張も、強制力の実施も、真にやむを得ない場合の最後の手段としては、これを是認せざるを得ないと考えたからである。したがって、徴税当局がこれらの制度の運用に当たっては慎重の上にも慎重を期することが、当然の前提として了解されているのである。このことは、この書を熟読すれば直ちに理解されることである。いや、私は、徴税の仕事に携わる人々にこの点を了解させる資料をおさめることに、この書の最も大きな値打ちがあるとさえ考えている。徴税事務の第一線で働く人々が、万一にも、調査会の到達した結論だけを理解して、そこに到達するまでに交わされた議論と費やされた配慮の持つ意義を知ることを怠るようなことがあっては、調査会の三年にわたる苦労は生命を失うことになる。よく切れる刀を持つ者が、必要以上に切らないように自制することは、すこぶる困難である。不必要に切ってみたい誘惑さえ感ずるものである。本書がこれを戒めるために役立つことを希望してやまないと。こういう文章であります。
ここには、私は、税務行政がみずから持っている巨大な権力をしっかりと戒め、そして常に立ち返るべき原点があると考えます。このプロセスを理解し、自制することをもって対応する必要があると思うわけです。先ほど紹介した滋賀県野洲市のように、滞納した方々をどう見るのかという基本的な問題が問われると思います。
都として、この書の中でもいわれている、慎重の上にも慎重を期して対応することが必要だと思いますが、都としてはどのように認識をされているでしょうか。
○川上徴収部長 主税局では、法令に基づく適正な事務執行により税負担の公平性を確保するとともに、納税者の実情を踏まえたきめの細かい滞納整理を実践しております。
都税が納付期限内に納付されない場合、一定期間経過後に、法に基づく督促状を送付いたします。それでも納付されない場合には、電話や訪問等により納税者との接触を図り、自主納税を促します。それでもなお納付されない場合、調査によって納税者の生活状況や納税資力を把握し、資力があるにもかかわらず納税に誠意のない場合には、差し押さえ等の滞納処分を行っております。
また、調査の結果、納税資力がないと認められる納税者につきましては、換価の猶予や滞納処分の執行停止といった徴収緩和措置を適用するなど、納税者の実情に即したきめの細かい対応を行っているところでございます。
○池川委員 きめ細かく対応しているということであります。
このきめ細かく対応するという姿勢は大事ですが、そのきめ細かく対応する、その前段としての基本的な姿勢がとても大事だと思うわけです。
これは、税でなく国民健康保険の話ですが、横浜市では、国民健康保険料の滞納などを理由に発行されていた短期保険証の交付について、これをやめる決断をしました。つまり、滞納を理由にしたペナルティーをやめるということにしたわけであります。
横浜市の担当者の方は、この対応について、法や政府の国会答弁、厚労省の通知などの趣旨に基づく対応だと述べ、意図的に支払わない人という人はほとんどおらず、適切に判断すれば交付はゼロになるという説明をされています。
この問題は、何かのペナルティーをもって対応することが本当にいいのかということを投げかけている一つの例だと考えます。
先ほど、我妻栄氏の指摘を紹介しましたが、この国税徴収法ができる過程の中で考えられてきた精神、また、そこで議論が交わされたことについて、改めて、そうしたものを踏まえた対応をしていただきたいということを求めておきます。
次に、相談の問題について伺います。
納税相談があった場合の対応について、どのように連携をし、情報共有をしているかということであります。納税相談があった場合には、都税事務所では、基本的にどのような情報共有をされているんでしょうか。
○川上徴収部長 都民から納税相談があった場合に、個々の状況に応じた制度を案内するなど、相手の立場に立った親切丁寧な対応を心がけているところでございます。
また、担当者不在などで対応する職員がかわっても、これまでの経緯や相談内容が引き継がれるよう、税務システムに日付や相談内容等を記録して、職員間で情報共有をする仕組みとなっているところでございます。
○池川委員 税務システムに日付や相談内容等を記載して、職員間で情報共有を図っているということで、これは、基本的にはそういう対応をされていることだと思います。
ただ実際、私のもとに寄せられた事例の中には、窓口に相談に行き、担当者とやりとりを重ねて分納する約束をして、納付期限を決めたと。ところが、その期日を待つことなく差し押さえの通知が送られてきたという事例があり、これはもう、信頼関係を大きく損なう重大な問題だと思うんです。
結果として、差し押さえは回避をされたわけですが、こうした職員間の連携をきちんと密にとることは先ほど紹介したとおりで、しかも答弁があったとおり、納税者との信頼関係をきちんと築き上げていく、構築していく上で、とても重要な課題だというふうに思います。
こうした連携を密にとっていただき、先ほど紹介したとおり、この国税徴収法を定めるに当たって議論をされ、その中で慎重にも慎重を期して、この制度を運用しなければならないという、その基本的な姿勢にぜひ立ち返って、この税務行政に当たっていただきたいということを述べて、質問を終わります。
○森澤委員 私からは、二つのテーマについてお伺いをいたします。
まずは、子育て支援に向けた税制支援についてお伺いをいたします。
待機児童対策においては、都は、区市町村への支援のみならず、都有地の活用や税制など、あらゆる側面から取り組みを進めていることと理解をしております。その中でも、保護者の多様な保育ニーズに応える、東京都独自の制度である認証保育所の活用は重要であると考えます。一方で、認可保育所との間に公的補助の差があり、その整備に二の足を踏む事業者がいるのもの現状です。
主税局は、待機児童解消のために都独自の減免措置を行っています。その一つが、認証保育所に対する不動産取得税、事業所税、固定資産税及び都市計画税の減免措置であり、もう一つが、有料で借り受けた者が保育所等として使用する土地に対する、固定資産税及び都市計画税の減免措置であります。
それぞれの減免措置について、直近の実績をお伺いいたします。
○池田資産税部長 認証保育所に対する減免は、認証を受けた設置者が直接認証保育所の用に供している場合に、固定資産税等を全額減免するものです。
直近の実績ですが、不動産取得税は平成三十年度で二件、約百四万円、同じく事業所税は三十五件、約四千八百九十七万円、固定資産税及び都市計画税は、令和元年度定期課税ベースで千四百三十五件、約六千六百十三万円となっております。
有料で借り受けた者が保育所等として使用する土地に対する減免は、平成二十八年十一月一日から令和三年三月三十一日までの間に、所有者と保育所等の設置者が土地に係る賃貸借契約を新たに締結し、かつ、その締結後に保育所等を新規開設した場合に、固定資産税等を五年間、全額減免するものでございます。
直近の実績ですが、固定資産税及び都市計画税が、令和元年度定期課税ベースで二百四十一件、約一億九千九百六十四万円となっております。
○森澤委員 ありがとうございます。
この実績を踏まえ、これらの減免措置の意義とその成果についてどう捉えているのか見解を伺います。
○池田資産税部長 認証保育所に対する減免につきましては、東京都が認証する保育所の設置を税制面から支援することを目的として、平成十三年度に創設されたものでございます。
また、有料で借り受けた者が保育所等として使用する土地に対する減免につきましては、保育所等への民有地の供給を税制面から促進するため、平成二十九年度に創設されたものでございます。
これらの減免措置は、税制面でのインセンティブを働かせることにより、待機児童解消に向けた保育所等の整備を後押ししているものと考えております。
○森澤委員 保育所等の整備を、この税制によって後押ししているということがわかりました。税制のインセンティブによって、政策誘導が有効に機能しているという認識をいたしました。
不足しているといわれている福祉施設などはほかにもあり、あるいは、先ほどもお話が出ましたけれども、外国企業の誘致など都が力を入れている政策、税制面でのインセンティブが必要だと思われる課題は多くあると考えられます。都における諸課題の解決に向けて、税のインセンティブ付与が有効に機能する施策を、今後も積極的に考えていただくことを期待しまして、次の質問に移ります。よろしくお願いいたします。
次に、ふるさと納税についてお伺いをいたします。
ふるさと納税は、都会に住んでいても、自分を育んでくれたふるさとに、自分の意思で幾らかでも納税できる制度があってもよいのではないかという問題意識から生まれ、また、日本に寄附文化を醸成させることも目的の一つとされておりますが、当初の趣旨とずれが生じ、返礼品競争になってしまったのは周知のとおりです。
そういった中で、都に入るべき税が本来の趣旨とは違った形で地方に流れ、その結果、都内における適切なインフラ整備や行政サービス提供などに影響が及ぶということは、ゆゆしき問題だと考えます。
そこで、都内における、平成三十年度のふるさと納税による影響額についてお伺いをいたします。
○副島税制部長 都内区市町村を含めました都域全体の影響額でございますけれども、総務省によりますと、平成三十年度見込みで、都税で約二百五十八億円、都内区市町村で約三百八十八億円、合わせて約六百四十六億円でございます。
また、制度創設から影響額は増加傾向にありまして、平成二十一年度から平成三十年度分までの累計は、都税で約六百十三億円、都内区市町村で約九百二十三億円、合わせて千五百三十六億円に上っております。
○森澤委員 年々増加傾向にあり、平成二十一年度から平成三十年度までが約千五百三十六億円に対して、平成三十年度の金額が約六百四十六億円ということで、看過できない数字であると考えます。
令和元年度税制改正により、ふるさと納税制度の見直しが行われる中で、都は、新たなふるさと納税に参加しなかったというふうに聞いておりますが、その理由をお伺いいたします。
○副島税制部長 ふるさと納税制度は、ふるさとを応援したい、被災地を支援したいなどの気持ちからなされるものでございまして、寄附という行為を通じて自治体の取り組みを後押しすることを目的に、創設されたものと認識しております。
しかし、現状におきましては、地域活性化に資する面もある一方で、依然として、より多くの寄附金を集めるための返礼品競争が続いておりまして、寄附本来の趣旨を促す制度となっておりません。
また、税制面から見ましても、本来、行政サービスを受ける自治体に入るべき税収が、寄附金を通じて他の自治体に移転しておりまして、受益と負担という地方税の原則に照らして適当ではございません。
さらに、高所得者ほど控除額の上限が高くなることから、公平性の観点においても問題があると考えております。
令和元年度税制改正におきまして、返礼品は返礼割合三割以下の地場産品に限るなど、一定の見直しが行われたところでございますが、こうした問題点は解消されていないといったことから、都は、ふるさと納税の対象になるための申し出は行わないことといたしました。
○森澤委員 都の問題意識、よくわかりました。ありがとうございます。
寄附行為という行為を通じて、自治体の取り組みを後押しすることを目的とすることには賛同する一方で、その趣旨がゆがめられてしまっている本制度に対して、都が反対の姿勢を示したことは、勇気ある行為であると考えます。
税金が地方に流れていってしまう現状について、さらに、本来あるべき地方との関係性について、政策企画局など関係局と連携し、今後も積極的な情報発信と仕組みの提案を行っていくことを期待し、質問を終わります。
ありがとうございます。
○うすい委員 まず、都税収入確保の取り組みについて質問をいたします。
歳入の根幹をなす都税収入確保の取り組みは、都政におけるさまざまな課題を解決し、都民福祉向上のための施策を前に進めるための前提となる、大変重要な取り組みであります。
平成三十年度決算における都税の徴収率は過去最高を更新し、九九・一%となりました。さまざまな状況を抱える納税者も多いと考えられる中ではありますが、感覚的に捉えまして、非常に高い率ではないかと考えるわけであります。
そこで伺いますが、国や他の自治体などと比較をしまして、都の徴収率がどのような状況なのか、また、最も徴収率が高い自治体との違いをどのように分析をしているのか、あわせて見解を伺います。
○川上徴収部長 他の自治体とは、徴収する税目や規模が異なるために単純比較はできないものの、現在公表されている平成二十九年度の全国地方税の実績資料から算出した、都道府県と市町村を合わせた地方税全体の徴収率は、九七・七%となってございます。
都道府県で比較すると、都を上回る徴収率の自治体は四団体ございまして、最も高い島根県の徴収率は九九・二%でございます。ウエートの大きい個人県民税の徴収率が都よりも高いことが特徴でございます。
なお、同じ平成二十九年度の国税の徴収率は九七・七%でございます。
○うすい委員 国や他県とは、扱っている税の性質や規模が違っていて、一概に比較はできないということでありますが、扱っている税目が多い、また人の移動が多いなど都の特有の困難さを踏まえますと、極めて高い水準を維持していることは、率直にいって評価をしたいと思います。
一方で、都税徴収率は、過去から高い水準を確保していたのではなく、バブル崩壊後の平成七年には九〇・二%と、過去最悪の水準にまで低下をし、全都道府県で最下位だったと聞いております。
高い徴収率を達成するには、先ほどの質疑にもありましたが、納税環境の整備に加えて、主税局職員による徴税努力も大きいものと思います。徴税部門が行う滞納整理はいうまでもありませんが、期限までに納税されず、滞納となった都税を回収する取り組みでありますが、ある意味で、納税資力のある人にとっては、これが抑止力となって新たな滞納の発生を防いで、徴収率を支える面もあるのではないかと考えます。
そこで、都税徴収率が最悪を記録した平成七年度以降、どのように滞納整理の取り組みを強化してきたのか見解を伺います。
○川上徴収部長 滞納整理に当たりましては、文書や電話、訪問など、きめ細かい納税催告を行う一方、納税資力があるにもかかわらず納税されない場合には、差し押さえ等の滞納処分を行うことなどにより、都税収入の確保に努めてまいりました。
徴収率が最低水準となった平成七年度以降、滞納整理をより効果的に行うため、機能的な組織への転換や進行管理の徹底など、徴収部門の組織体制と業務運営の両面を強化するとともに、差し押さえ財産を効果的に換価できるインターネット公売や、差し押さえた自動車の運行を抑止するタイヤロック、ミラーズロックを全国に先駆けて導入するなど、創意工夫を凝らした先進的な取り組みを進めてきたところでございます。
○うすい委員 今、答弁でインターネット公売の話がございましたが、先週、都がインターネット公売にかけていたプレジャーボートが、動産としては過去最高額の三千三百八十万円で落札したという新聞記事を目にいたしました。しっかり取り組んでいることを心強く感じました。
滞納整理には、都税収入の確保という側面と、納税秩序を維持するという二つの役割があると考えております。地道な取り組みを徹底するとともに、積極的な新たな手法を導入してきたことが、都税収入の確保という直接的な効果にとどまらず、自主納税による高い水準の徴収率を支えてきたものと考えております。今後も引き続き、たゆまぬ徴税努力を、さまざまな工夫をしながら行っていただきたいと思います。
しかしながら、足元の景気は、米中貿易摩擦の長期化によりまして外需の縮小が懸念されるなど、今後の景気動向には引き続き注視が必要であります。都税収入が構造的に不安定な中にあっても、都の財源を確実に確保していくためには、徴税努力や納税環境の構築に加えて、納税について都民の理解を促進して、自主納税の意識醸成を図る租税教育が、極めて重要な要素となると思います。特に、未来を担う若い世代に対する租税教育は、これからの社会を担う主権者教育としても重要であります。
そこで、都内における、租税教育の実施体制と平成三十年度の取り組み実績について説明を求めます。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 租税教育の実施体制につきましては、従来から実施していた租税教育をさらに充実させるため、平成四年に、都内の学校教育関係者、都税事務所を初めとする税務関係機関及び税理士等の民間団体で構成される東京都租税教育推進協議会が設置されました。
都におきましては、同協議会が推進母体となりまして、出前授業であります租税教室や、都内小中高等学校の授業などで活用される副教材の作成など、さまざまな租税教育活動を展開しております。
そのうち、租税教育でございますが、都税事務所や税務署、税理士会などの各団体によりまして、平成三十年度は都内全体で千四百五十四校で実施しておりまして、今年度も同様の規模で行っているところでございます。
実施後に行っているアンケート調査では、税金がめぐりめぐって、私たちのもとへ形を変えて返ってくることがわかったなどの声が多く、税の理解を深めることにつながっているものと考えております。
また、学校などで使用する租税教育用副教材につきましては、現場の先生などと綿密な意見交換を行いまして、例えば、高校生の副教材では、税金の公平な負担のあり方を対話方式で解説するなど、毎年ブラッシュアップを重ねた上で、都内の全小中学校及び高校へ配布しているところでございます。
○うすい委員 今、東京都内の租税教育は、教育関係者や国、税理士会などの民間団体との連携を密にしながら、都としてもその活動をバックアップして、地域密着型の充実した教育の機会を提供されているとのことでありました。
学校の中における租税教育を主に紹介をしていただきましたが、机上における学習のみではなくて、例えば、税を楽しく学ぶためにゲームなどを通して税を学ぶなど、体験型の学習も、自然に税の知識が身につく手法の一つではないかと考えます。
未来を担う若い世代の方たちに、税に対する理解が促進されるように、こうした体験型の租税教育も充実をさせていくべきと考えますが、今後の租税教育の取り組みについて見解を求めます。
○大久保総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 児童生徒がみずから能動的に学びに向かう、いわゆるアクティブラーニングの手法などを通じまして、自然に税の知識を身につけるということも、租税教育において重要な要素であると認識をしております。
そこで、都では、租税教育におきまして、税が生活に密接にかかわっていることを実感しやすいよう、地域の公共施設など、身近なものを題材に取り上げた授業を行っております。
例えば、地域のまちの簡易な模型を作成しまして、どの建物や施設などに税が使われているのか、クイズやグループワークを取り入れながら、税の使い道などの理解を促す工夫を行っております。また、夏休みを利用した親子税金教室では、公園などの公共施設整備の財源となる税の負担をどう分け合うか、親子で話し合う機会を創出しているところでございます。
今後も、社会を支える税の意義や役割を深く理解していただくために、税に関する知識が自然と身につくような体験型の要素も取り入れた租税教育を行ってまいります。
○うすい委員 足立でも年に一回、足立区のお祭りがありまして、そこで河川敷のところでブースを出して、親子連れが行って税の知識をゲームをやりながら学んでいくというような、そういう場面もありました。ぜひ、そういうことも工夫をして取り組んでいただきたいと思いますし、税を通して、私たちが暮らす社会の成り立ちを学習して、理解をして、そしてこの社会にどのような公共サービスが必要で、そしてその負担をどのようにしていくのかという、自然と自分で理解をしていく、そういう取り組みを強めていただきたいと思います。これが本当の民主主義の原点であるとも考えます。
今後も、税に関する知識が自然と身につく体験型の租税教育を行っていただくとともに、租税教育をさらに充実をさせていただき、そして自主的に納税する国民を育て、徴税努力もしっかりと進めていただき、都の財源をこれからも確実に確保していくことを求めまして、私の質問を終わります。
○米川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○米川委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で主税局関係を終わります。
○米川委員長 これより政策企画局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成三十年度東京都一般会計決算中、政策企画局所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○入江委員 私からはまず、先日、政策企画局より提出のありました平成三十年度決算説明書の中で、長期計画の企画立案の項目に記載がある、東京ベイエリアビジョン官民連携チームの取り組みについて質問いたします。
現在、都は、東京二〇二〇大会後を見据え、東京、ひいては日本の今後の成長を牽引するベイエリアの将来像を描くため、東京ベイエリアビジョンの策定を進められています。ベイエリアビジョン自体は、港湾局を中心に検討をされているわけですが、この一連の流れの中で、昨年十月に、東京ベイエリアビジョンの検討に係る官民連携チームが立ち上がり、この官民連携チームの事務局については政策企画局が担当されていまして、私もその動向を注視してまいりました。
官民連携チームからは、これまで、東京ベイエリアビジョン庁内検討委員会に対して、昨年十二月と本年三月の二回にわたって提案がなされ、そして先週の二十一日には、最終提案が都に提出されたと聞いております。
都の行政計画を策定するに当たり、今回このような官民連携チームを設置し、民間からの提案を受けて検討を進めていくことは、これまでの都政にはない大変斬新な取り組みだと思います。
改めて、この官民連携チームを設置した趣旨について伺います。
○吉村計画部長 東京ベイエリアビジョンは、東京二〇二〇大会後の成長モデルを国内外に示すものとして、ベイエリア全体を俯瞰しまして、これまでの枠を超えた総合的なビジョンを策定することとしております。
本ビジョンの策定に向けた基本コンセプトの一つといたしまして、官民連携のもと、次世代を担う若手の視点や自由な発想を生かすことを掲げてございます。
官民連携チームは、都庁の若手職員とともに、まちづくりや文化、先端技術などにおける民間企業の精鋭や新進気鋭の研究者、有識者などに参画していただきまして、行政の枠を超えた発想や手法を積極的に提案していただくことを目的に設置いたしたものでございます。
○入江委員 このベイエリアには広大な都有地がございます。そして、東京港の美しい眺望、また、民間企業による多様なエンターテインメント施設等もございます。さらなる発展に向けた高いポテンシャルを有していると考えます。このベイエリアの未来を描くに当たって、行政にはない斬新な発想を積極的に取り入れることが大変重要だと考えるわけでございます。
これまで、官民連携チームにおいて、精力的に議論が重ねられたと聞いておりますが、昨年度は具体的にどのような活動が行われたのか伺います。
○吉村計画部長 昨年十月の官民連携チームの設置に合わせまして、チームのもとに、まちづくり、観光・文化・スポーツ、先端技術の三つのワーキンググループを設けまして、それぞれの観点から検討を行っていただきました。
昨年度は、テレビ会議などを活用した機動的な運営を図りながら、おおむね月一回のペースで検討を進め、ベイエリアの現地視察、関係者へのヒアリングなども行いまして、精力的に検討を進めていただいたところでございます。
三つのワーキンググループの検討内容につきましては、適宜総括会議に報告いたしまして、全体を取りまとめるコーディネーターと各ワーキンググループの座長が議論を重ねることで、官民連携チームとしての提案をまとめていただきました。
○入江委員 官民、東京都と民間企業各分野あるいは有識者、活躍している新進気鋭のメンバーの皆さんが集まって、一年の間、活発に議論を行っていただいた、そして同時に、民間企業など関係者からもヒアリングをしていただいた、そして検討を深めていただいたことは、大変有意義なことだと私は考えます。
官民連携チームの提案には、行政にはない斬新な発想が大変多く盛り込まれておりまして、都民だけではなく、世界中の人々に対しても、東京のベイエリアが秘めている大きな可能性を感じていただけるものになっていると思います。
そこで、官民連携チームの提案を受けて、今後どのようにベイエリアビジョンの策定に生かされていくのかを伺います。
○吉村計画部長 官民連携チームの提案につきましては、去る十月二十一日に開催されました、副知事をトップといたします東京ベイエリアビジョン庁内検討委員会に報告されまして、庁内で共有されたところでございます。
ベイエリアビジョンにつきましては、今後こうした提案を十分に参考にしながら、東京二〇二〇大会のレガシーを踏まえた東京の新たな将来像を示します都長期戦略と調整を図りながら、来年度の策定に向けて検討を進めてまいることとしてございます。
○入江委員 来年度に策定されるということで、もちろんこの提案の中には、大変夢のある大胆なアイデアも多く取り込まれておりまして、行政として直ちに実現することが困難なものもあるかとは思います。
ただ、先ほどの答弁は、この提案を十分に参考にするということでしたけれども、民間からは、十分に実現可能で、経済的効果が非常に大きいと試算した上での提案でございますので、そのあたりは十分に考慮していただきたいと思っております。
このベイエリアが持つポテンシャルを、東京二〇二〇大会後、レガシーも含めて最大限に引き出していくということによって、現在、世界都市総合ランキング--これは森記念財団都市戦略研究所が発表しているものですけれども、東京はロンドン、ニューヨークに次いで三位、また四位であるパリにもすごく追ってきてもらっているという状況の中で、このベイエリアを最高に利活用というか、最大限の力を発揮するように開発していくことによって、一挙に世界ナンバーワンへと駆け上がることができるのではないかと考えております。
そして、東京二〇二〇大会では、まさにこのベイエリアが中心となってまいります。そして同時に、新国際ターミナルも開業いたします。そうした中、その先のこのベイエリアの計画が、とにかく持続可能な成長を遂げる日本、そして日本の成長を牽引するエリアとして、大きく大きく生かされることを心から望むわけでございます。
また、既にそこにお住まいの方、働いている方、訪れる方々を魅了し続けるエリアとして、まさに、さらに発展していくために、大胆な発想を持って、そしてそれを実現していくために議論を重ねていただきたいと改めて要望して、この質問は終わらせていただきます。
次に、平成三十年度、政策企画局が実施した事業について、続いて質問するわけですけれども、PDCAの概念、民間企業と同じく、目標の達成に向けては、P、プランで計画を立て、D、ドゥーで事業を実施し、C、チェックで事業の実施状況から課題を抽出し、A、アクションで事業の見直しや新たな事業の構築につなげていくというPDCAサイクルを、しっかりと根づかせていくことが欠かせないということでございます。
八月に公表された、二〇二〇年に向けた実行プラン事業実施状況レビューでは、小池都知事のリーダーシップのもと、PDCAサイクルの運用を徹底し、政策目標の実現に向けて着実に取り組みが進んでいることが示されました。
こうしたPDCAの概念は、二〇二〇実行プラン事業に限ったものではございません。各局事業においても、決算審査においてしっかりとチェックを行い、次の一手につなげていくことが大切だと考えています。
この観点から、二つの事業についてお伺いします。
まず、Old meets New東京百五十年事業について伺います。
昨年は、一八六八年に江戸を東京と改名する詔書が発せられてから、ちょうど百五十年の節目の年でございました。都は、平成二十九年度から準備を進め、Old meets New東京百五十年事業を展開しましたが、その実施状況について伺います。
○小泉政策調整担当部長都市施設政策担当部長兼務 Old meets New東京百五十年事業では、江戸から東京への改称、東京府開設から百五十年の節目を、都民の皆様と一緒にお祝いするとともに、東京の魅力を再発見、再認識し、東京への愛着や一体感を高めていくことを目的として、さまざまな取り組みを展開いたしました。
主な取り組みといたしましては、平成三十年十月、浜離宮恩賜庭園でメーンイベントとなる東京百五十年祭を開催し、会場のロケーションを生かしたプロジェクションマッピングを初め、最新技術を活用した東京百五十年を楽しめる多彩なコンテンツにより、東京の魅力である伝統と革新をPRいたしました。
また、過去の東京を振り返る内容といたしまして、都庁南展望室でイベントを開催し、明治時代の東京の風景をVR体験できる双眼鏡を期間限定で設置するとともに、未来の東京に目を向ける取り組みといたしましては、次世代を担う小学生を対象に、五十年後、百年後の東京をテーマにした記念絵画コンテストを実施いたしました。
さらに、統一的なデザインにより、事業の内容や東京百五十年の歩みを紹介するリーフレット、東京百五十年の歴史や文化をイメージできるポスター、ポストカードなどの各種グッズを作成、配布するとともに、公式ホームページやツイッターアカウントを開設し、積極的に事業のPRを図ったところでございます。
○入江委員 まず、このロゴが大変デザイン性がよかったという声を聞いておりますし、ポストカードなど私も随分活用して、受け取った方には喜んでいただきました。そして、本当にさまざまなイベントを実施したとのご答弁で、このOld meets New東京百五十年事業というのは、記念の節目を都民の皆様と一緒にお祝いをすることが大きな目的であるということがわかったわけでございます。
さて、実施されたイベントについては、その結果を確認することが重要でございます。そこで、東京百五十年祭メーンイベントを初めとして、主なイベントの実績について具体的に伺います。
○小泉政策調整担当部長都市施設政策担当部長兼務 主な取り組みの実績といたしまして、東京百五十年祭には、三日間で延べ二万人以上の方々にご来場いただき、メーンプログラムであるプロジェクションマッピングを初め、最新技術を活用した多彩なコンテンツを体験していただきました。
都庁南展望室のイベントでは、約三千人の方々に明治時代の東京の風景をVR体験いただくとともに、小学生対象の絵画コンクールでは、二千作品を超える応募をいただきました。
また、東京全体の盛り上げを図るため、庁内各局や区市町村、民間団体等への働きかけや、連携できる事業の掘り起こしなどを積極的に進めまして、江戸東京博物館における東京百五十年の歴史を振り返る企画展など、さまざまな団体と三百を超える事業、イベントにて連携したことにより、多くの方々に東京の魅力を再発見、再認識していただく機会を創出いたしました。
○入江委員 各種イベントについて、多くの方に参加していただいたということでございました。
特にメーンイベント、東京百五十年祭について、浜離宮恩賜庭園の来場者数なんですけれども、通常は一日で平均二千人ということですので、三日間で延べ二万人を超えるということは、大変、広報やPRが多くの方々に届き、魅力あるイベントとして受けとめられた結果であると思います。
内容についても、浜離宮恩賜庭園という大変歴史的な文化遺産の中に、最先端のウオータースクリーンを活用した、華やかなプロジェクションマッピングショーなどというコンテンツを配したということは、まさにオールド・ミーツ・ニューを体現したものでございます。
長期戦略の策定に向けて本年八月に公表された未来の東京への論点において、目指すべき未来の東京の姿の一つとして掲げられているのが、東京の文化、エンターテインメントは、常に世界の注目を集めるコンテンツになるというところがございますけれども、まさにそこにつながる一歩であったのではないかとも考えます。
また、東京の魅力を再発見、再認識して、東京への愛着や一体感を高めるという事業の目標を達成するために、東京全体での盛り上がりに向け、さまざまな団体や民間企業を巻き込んで、三百を超える関連事業を展開したことは高く評価いたします。
一方で、今回のOld meets New東京百五十年事業は、東京の魅力を海外にもPRする絶好の機会だったと思いますが、海外へのPRに関する実施状況について伺います。
○小泉政策調整担当部長都市施設政策担当部長兼務 東京の魅力を海外にPRする取り組みといたしまして、東京百五十年事業の公式ホームページにおきまして、日本語ページに加えて、英語ページと中国語ページを開設し、多言語化を図りました。
また、海外広報事業と連携いたしまして、海外向けSNSを活用した情報発信を行うとともに、海外向けPR冊子、Tokyoの中に、東京百五十年事業のポスターや記事を掲載いたしました。
加えまして、東京百五十年祭のプレオープンイベントに、各国の駐日大使などをお招きいたしまして、プロジェクションマッピングを初めとする多彩なコンテンツを通じて、東京の歴史や魅力を実際に体験していただいております。
こうした取り組みを通じまして、海外の方々にも、東京の魅力である伝統と革新をPRすることができたと考えております。
○入江委員 海外に対しても、PRをしっかり行っていただいたということでございました。
Old meets New東京百五十年事業は、東京の魅力の再発見、再認識を通じて、とにかく東京への愛着、そして一体感を高めるとともに、その東京の魅力、ポテンシャルを広くPRする契機となったと私は考えます。そして、ことしのラグビーワールドカップや来年の東京二〇二〇大会に向けた連続した取り組みとしても、非常に意義があったと考えるところです。
そして、今お話にもありました海外広報事業についてもお伺いします。
来年、東京二〇二〇大会、これは何度も申し上げておりますけれども、大変、世界中のメディアがこの東京に集まるわけでございます。そして、まさに長い期間、遠いところから費用をかけて来るわけで、決して競技だけの取材ではなくて、さまざまな東京の顔、東京というものがどんなものか、皆さん取材したいと考えていらっしゃいます。
そして、私どもとしては、とにかく二〇二〇大会のみならず、その先も、何度も東京を訪れてみたい、あるいは東京でビジネスしてみたい、あるいは東京に暮らしてみたいと思っていただけるような東京のPR、広報戦略をしていかなければならないと考えるところでございます。
とにかくそうした意味で、世界の中で輝き続けるメガシティーとして、東京が国際社会におけるプレゼンスを向上させていくためには、東京都の施策や東京の魅力を海外に発信していくことがますます重要になります。
そこで、まず、昨年度の海外広報事業の企画立案、運営業務委託の概要について伺います。
○梅田海外広報担当部長 海外広報事業は、主に、アメリカやイギリスなど欧米の英語圏をターゲットに、都の施策や東京の魅力を海外に向けて効果的に発信するため、民間事業者のノウハウを活用しながら情報発信に取り組んでいるところでございます。
昨年度の主な取り組みといたしましては、コンテンツの制作及び発信につきましては、SNSを活用した情報発信、あるいは都の海外向けPR冊子、Tokyoの制作などを行いました。
また、海外メディア等への情報発信に関する各局への支援といたしましては、プレスリリースの英語化、そして、メディア対応力向上のための職員向け講習会などを実施したところでございます。
○入江委員 海外広報事業として、さまざまなお取り組みをされているということはわかりました。
この海外広報事業の予算規模は、政策企画局の中でも比較的大きいこともございますので、費用対効果の観点を持って事業を進めることが求められます。効果的な事業運営のためには、目標指標の設定が大切だと考えます。
海外広報事業では、昨年度どのような目標指標を設定したのか伺います。
○梅田海外広報担当部長 海外広報事業におきましては、できる限り数値による指標を活用し分析を行うなど、費用対効果の視点も踏まえまして、年間を通じてPDCAサイクルにより事業を行っているところでございます。
昨年度は、東京のファンをさらにふやすために、SNSにつきましては、利用者の増、あるいは投稿に対してリツイートなどを行いました閲覧者数の割合などを示しますエンゲージメント率、また、海外向けPR冊子につきましては配布部数の拡大、そして読者アンケートに基づく満足度、さらに、海外メディアなどへの情報発信に関する取り組みにつきましては、海外メディアによる取材件数や報道件数などの目標指標を事業者と協議の上、新たに設定し、より効果的に事業を実施したところでございます。
○入江委員 目標指標を新たに設定して、PDCAサイクルを取り入れた効果的な事業運営を行っているということがわかりました。
モバイル端末の普及で、場所や時間に制約されずに、いつでもどこでも情報収集できるのは、今やSNSでございます。あらゆる、若い方から老年の方までにとって、欠かせないツールとなっておりますが、海外広報事業で行っているSNSの目標達成状況について伺います。
○梅田海外広報担当部長 海外広報事業におきましては、ツイッターやフェイスブックを活用しまして、海外の英語圏向けのSNSアカウントとして、Tokyo Govというものを運営しております。
都の施策を初めとしまして、海外ユーザーの興味を引きつけるよう、記念日や季節行事などの投稿を織りまぜながら、事業者と協議の上、投稿テーマを選定しております。また、画像や情報を視覚化したインフォグラフィックあるいは動画などを活用しながら、投稿を作成しております。
昨年度の実績でございますけれども、目標指標のうち、特にSNSの利用者につきましては、年間三〇%増という目標を設定しましたところ、ツイッターのフォロワー数は約五万から九万となりまして、約八〇%増となりました。また、フェイスブックのファン数は約十五万から二十三万となりまして、約五〇%増となったところであり、ツイッター、フェイスブックともに、年度当初の目標を達成しております。
このように、都の海外向けSNSアカウント、Tokyo Govにおきましては、着実にファン数やフォロワー数をふやしているところでありまして、都の海外に向けた広報ツールとしての発信力を有していると認識しております。
○入江委員 フェイスブックやツイッターのファン、フォロワー数が伸びているということでございます。来年の二〇二〇大会を控え、都の海外広報の取り組みが着実に推進されていることはわかりました。
先ほどのご答弁に、主に、アメリカやイギリスなど欧米の英語圏をターゲットに、情報発信に取り組んでいるということでございましたが、世界的な世論形成力を持つ英語圏に対して重点的に情報発信を行うことは、広報の波及効果を考えますと大変効果的ではありますが、しかし現在は、欧米外国人旅行者の中で多くを占める中国またはアジアの皆様の方々をターゲットに、広報していくことも重要ではないかと考えております。
そして、ツイッターやフェイスブック以外にも、ユーチューブ、そしてインスタグラムなど、世界的に多くのユーザーに支持されているSNSはさまざまございます。
そこで、この三十年度の取り組み、そしてフォロワー数等が伸びていることを踏まえた上での、さらなるSNSの取り組みについて充実を図るべきだと考えておりますけれども、所見をお伺いいたします。
○梅田海外広報担当部長 SNSは情報拡散力にすぐれておりまして、都の施策や東京の魅力を世界に向けて発信する広報手段として有効であると考えております。
特に、動画を活用しました情報発信は、多くの海外ユーザーの興味を引きつけることから、今年度、都の海外向けユーチューブチャンネル、Tokyo Govを新たに開設したところでございます。
また、訪日外国人旅行者の中で多くを占めております中国の方々をターゲットに、情報を発信していくことも必要かと考えております。そのため、中国で主要なSNSでありますウエイボーの活用に向けまして、準備を現在進めているところでございます。
今後も、SNSを活用した情報発信など、海外広報の取り組みを一層推進してまいります。
○入江委員 とにかく来年、東京二〇二〇大会時、東京のパフォーマンスが最大限に発揮される時期でございます。そこに向けて、より都の海外広報、力を入れていただきたい、そしてアンテナを広く広げていただきたいと思う次第でございます。そこは強く要望させていただきます。
さて、この質疑を通しまして、政策企画局において、昨年三十年度は東京百五十年事業を通じて東京の魅力を広くPRするとともに、海外広報事業ではPDCAサイクルの運用が徹底され、実績を上げているということは確認できました。これらの成果を次の展開にしっかりとつなげていっていただきたいと思っております。
最後に、政策企画局に期待される役割は、知事のトップマネジメントを補佐し、総合調整力を発揮し、局横断的にスピード感を持って政策を展開していくことにございます。
とりわけ、年末に策定する予定であります長期戦略ビジョンにおいては、政策企画局が全庁的な視点に立ち、各局事業間の有機的な連携を図って、成長と成熟が両立し、誰もが笑顔になれる明るい東京の未来をしっかりと描いていっていただきたいと強く要望しまして、私の質疑を終わらせていただきます。
○斉藤委員 私の方からは、都市外交について簡単にお伺いしたいと思います。
三十年度決算ですと、知事が訪問された出張先はロンドンとパリがございました。その二都市に関して中心に質問をいたします。
東京が持続的な発展を遂げていくためには、二〇二〇大会の成功、そしてそのレガシーの活用やSDGsの達成はもとより、経済の活性化やビジネスのしやすい環境の整備、稼ぐ東京というのを目指しておりますけれども、東京としての都市の魅力を高め、世界中から人々を引きつけることが求められます。
都市間競争が激化する中で、東京がこうした目標を達成するために、競争にしのぎを削るという、そういう側面だけでなくて、今求められていることは、世界の大都市に学ぶところはしっかり学びまして、お互いに都市の魅力を高めていくこと、こういったことが必要だと思います。
そして、このような都市間の交流や協力、そして切磋琢磨によりまして初めて、SDGsなどという包括的な、非常に包摂的な、大きな地球の課題とか、そういったものに対しての大都市共通の責務というものも果たせるというふうに思うわけであります。人類の持続可能性を担保するための大都市の責務というものは、とても重要であるということが指摘されております。
こうした都市間の競争、協力のためには、知事みずからが海外の都市との交流を深め、同時に、東京の魅力をアピールしていくことが重要だと考えます。ただし、前知事が都民から厳しい批判にさらされたように、また都議会議員も同様ですけれども、このコスト、税金の使途に関しては、都民目線に立ったコスト感覚が重要なことはいうまでもございません。
知事は、昨年十月三十日から十一月四日まで、ロンドン、パリを訪問されておられます。まず、この出張の目的とその成果について伺いたいと思います。
○加藤外務部長 昨年の出張の目的につきましては、シティー・オブ・ロンドンにおける金融プロモーション、友好都市であるロンドン市、パリ市との一層の連携強化を図ることでございました。さらに、ロンドンは二〇一二年、パリは二〇二四年のオリンピック・パラリンピック競技大会の開催都市であり、知見の共有を図ることといたしました。
ロンドンにおきましては、シティー・オブ・ロンドンにおいてプロモーション活動を実施し、ロード・メイヤーとは、さらなる連携強化で合意をいたしました。また、ロンドン市長とは、オリンピック・パラリンピックなどについて意見交換をするとともに、ロンドン大会の関係者とも会場を視察することで、先行事例を学んでまいりました。
パリにおきましては、パリ市長と会談し、オリンピック・パラリンピックなど、さまざまな分野での連携を深めることで合意をいたしました。さらに、東京二〇二〇大会等のPRブースにおいて東京の魅力を発信いたしました。
今回の出張を通じまして、東京の取り組みや魅力を伝え、関心を高めるとともに、両都市との連携を深めることができました。
なお、出張の経費につきましては、十分に精査し、最少の経費をもって最大の効果を上げるよう工夫をしております。
○斉藤委員 三十年度の決算の審議ですので、行かれた都市としてはロンドン、そしてパリということでございましたが、確かに、訪問された都市において、例えばロンドンでは、シティー・オブ・ロンドンにおいてプロモーション活動を行って、ロード・メイヤーとさらなる連携強化で合意したと。ロンドンというと、世界の金融の中心ですけれども、今進められている施策の展開を見ますと、そういった海外の訪問後の--さまざまなアドバイスや知見を深めたことによって、政策にそれが反映されているということも、その一端が今わかってきているところでございますが、これは中身については、議論がちょっと今できないわけですけれども、そういったことが感じられます。
さらにさかのぼって二十九年度ですね、一昨年ということになりますけれども、知事は平成二十九年の十月にもパリを訪問されておられます。二年続けてパリ出張となったわけですけれども、一昨年のパリ出張の成果、その後の都の事業にそれをどう生かされているかを伺いたいと思います。
○加藤外務部長 平成二十九年度のパリ出張では、C40の会議に出席し、都の環境施策について発信したほか、シティーラブ二〇一七に参加し、世界の都市の市長らと意見交換を実施いたしました。
また、パリ市長と会談し、オリンピック・パラリンピック、環境、文化、観光という四つの分野で友好協力関係を深めることを確認する共同コミュニケに署名いたしました。この共同コミュニケに基づきまして、昨年、風呂敷をテーマにしたアートイベント、FUROSHIKI PARISを開催いたしました。イベント開催期間中には八万人以上の方にご来場いただき、東京のPRを行うことができました。
このほか、パリ市職員が来日し、お台場海浜公園における水質改善の取り組みを中心に、廃棄物対策、雨水管理等に関する実務者の交流を実施いたしました。
今後も、知事の海外出張の成果を、東京のプレゼンスの向上や東京が抱える課題の解決に生かしてまいります。
○斉藤委員 一昨年のパリ出張の成果、その後の都の事業に、知事がその成果をどう展開されるかということを簡単にちょっとお伺いをしたわけでございますが、あえて今このような質問を申し上げたのは、そもそも知事の海外出張は、その成果を持ち帰って、都の施策に生かすことが重要なことはいうまでもないんですが、それが重要だからというわけでございます。
知事のご出張は、海外に行かれてさまざまな、メイヤーとかトップなどとお会いすること、それ自体に目的があるというよりも、むしろ都の施策の立案、実行の前進に、そういったことを役立てていくことが意義ということになるんだと思います。
ロンドンであれば金融、パリであれば文化や、今は環境施策についてはパリは非常に熱心でございます。これらの分野は、そのほんの一部かもしれませんが、それぞれの都市には、それぞれの強みや課題があります。東京にも課題はあります。
東京がどんなに世界一を目指そうと思っても、災害ということのリスクを抱えている都市としては、それは大変、東京は厳しい環境にあることはいうまでもないんですが、それをどう乗り越えていくか、レジリエンスですね、そういったものを克服していくかということも、各都市も見ていると思います。
また、少子高齢社会といわれますけれども、高齢社会というのは、世界が、少なからず皆さん、各都市迎えていくわけですけれども、その先頭に立っている厳しさが東京にはございますが、東京がどう課題を解決するかということもまた、海外から見られているということもあると思います。
それぞれの強み、そして特徴というものが都市にはございます。この海外出張を通じて、そしてこれから職員の方もどんどん各都市に行かれて、知見を広められると思うんですが、トップが動くことによって、非常に行政全体がそういった動き、加速するということがございます。
国内においても、国とももっと交流をするべきだと私は思っていますけれども、霞が関にいる本当にそういう官僚の方とも都の職員の方はもっともっと交流して知っていくと。
そして世界に向かっても、ニューヨークなどは私もまだ行っていないので大きなこといえませんけれども、ハイラインですね、今ちょうど東京駅の周辺、これから日本橋とかさまざま変化していくと思うんですけど、日本橋川がいよいよ地下から、暗渠から解放される、そして高速道路が地下化されていく。その上の部分の都市をどうするかということについては、ニューヨークなどは非常にすばらしい、人を中心とした空間というものを創出しているというふうに聞いています、一緒に行きたいものでございますが。
そういったニューヨーク、そしてさまざまな都市というものの現場を見て、東京都の施策にそれを展開していくということ、これが重要だと思います。都の施策の充実を可能とするだけでなく、都市間の連携によってSDGs--私はSDGsに大変固執しているように見えるかもしれませんけれども、きょうは吉村部長には質問はできませんけれども、長期戦略というか長期計画、新たな計画を策定している最中でございまして、来年のちょうど今ごろは大変、佳境に入っていると思いますけれども、こういったものを今、東京都を挙げてつくっている、そういった時を迎えております。
真に都民のためになる施策を練り上げていくためにも、都市外交もまた戦略的に行っている、都民のために成果を上げるという観点でぜひ進めてもらいたいことを強く要望して、質問を終わります。
○森澤委員 私からは、既に出ている質問を割愛しながらご質問をさせていただきます。
政策企画局は、事務事業概要にもありますが、全庁的な視点に立ち、各局実施事業間の有機的な連携を図り、各局が都民生活の向上につながる先進的な施策を積極的に展開できるよう支援するというのが役割の一つです。
東京都が取り組むべき行政課題が刻々と変化し、都民ニーズも多様化している中では、都庁内の組織横断のみならず、民間企業やNPOなどの民間団体とタッグを組んで、お互いの強み、弱みを補完しながら、社会課題の解決に取り組んでいくことが求められています。その点から、民間企業と協働する取り組みについて注目するところです。
政策企画局は、平成二十九年三月から複数の分野で、民間企業のCSRやCSV活動と協働する新たな官民連携をワイドコラボ協定として取り組んでいますが、平成三十年度の実績についてお伺いをいたします。
○蜂谷大学連携担当部長政策調整担当部長成長戦略担当部長兼務 都は、企業等と複数の政策分野にまたがる包括的、横断的な連携や協力を行っていくため、ワイドコラボ協定を締結し、地域社会の発展と都民サービスのさらなる向上を図っております。
平成二十九年三月に一社と協定を締結して以降、現在までに八社とワイドコラボ協定を締結し、企業等のアイデアやノウハウ、組織などを活用しながら、健康増進に関することや地域の安全・安心に関することなど、都民の視点に立った施策を効果的、効率的に推進しております。
平成三十年度は、朝の通勤ラッシュを緩和する時差ビズへの参加や、都立病院と連携したがんに関するセミナーの開催、それから個人一人一人の消費行動を変えていくことを目的とした活動でございます、チームもったいないへの参加を初め、庁内各局が実施する事業への協力をいただいております。
○森澤委員 平成三十年度、時差ビズやチームもったいないなど、庁内各局が実施する事業への協力をいただいたということがわかりました。大変よい仕組みだと思いまして、ぜひ積極的に活用していただきたいと思う一方で、東京には国内有数の企業本社が集積している中で、締結企業が八社というのは若干寂しく感じるところであります。
今お話もありました時差ビズでは、都市整備局の皆さんが各企業に働きかけをするなどして、現在約千四百社ほどが参加しているということです。例えば、そういった企業ともワイドコラボ協定を締結し、今後のほかの都政の課題の解決にもご協力いただけるよう、政策企画局がコーディネートをしていくことも考えられるのではないかというふうに思います。
企業数や業種の幅がふえれば、庁内各局の事業と民間企業との有機的なつながりを生み出し、結果として、政策企画局が求められている、各局が都民生活の向上につながる先進的な施策を積極的に展開することにつながることと考えるものです。
今後、協定の存在について知ってもらうべく周知など、これまで以上の積極的な働きかけを期待したいと思います。よろしくお願いいたします。
続いて、戦略広報についてお伺いいたします。
広報は、企業においては、ただ数、リリースを発信すればいいということではなく、それによりレピュテーション、ステークホルダーにおける認知がいかに高まったかという結果が重要視されます。企業の認知度を高めることは競争力の向上につながり、経営戦略の一つとして重要な要素と捉えられています。
一方で、都政に置きかえてみると、その情報を必要とする都民に、情報が正確に届いたか、そしてその事業や制度が認知されたかという結果を見なければなりません。行政サービスは国、区市町村、さまざまな主体が担っており、情報が多いということもありまして、都民にとって有益な事業、制度であっても、正しく認知がされていないがゆえに、実際のサービス、制度利用につながらないケースもあります。その意味で、都政において戦略的に広報を行っていくことは重要だと考えます。
平成三十年度、戦略広報の業務委託経費として約五千万円ほどが決算されておりますけれども、外部委託を行ったということですが、平成三十年度で業務委託で得られた広報のノウハウを今後活用していくべきと考えます。その取り組み状況を伺うとともに、各局の広報力をどう底上げしようとしているのかお伺いをいたします。
○浅井戦略広報担当部長 昨年度、都といたしましては、強く訴えたい取り組みにつきまして、民間の知識やノウハウを取り込み、効果的な広報を展開できるよう、広告代理店への外部委託を実施いたしました。
具体的には、都の重要施策である受動喫煙防止対策等につきまして、広報の充実に向けた助言や、アンケートによる都民の意識調査も行ってまいりました。
今年度につきましては、民間企業の広報実務に精通した人材を採用することで体制を強化し、外部委託を通じて吸収した専門的な知識やノウハウを踏まえまして、スムーズビズなど重要施策の広報について関係局に助言をしております。
また、幅広く各局の相談に対応するとともに、各局の広報担当職員等に向けた講習会を開催し、都の広報力の強化に向けて取り組んでおるところでございます。
○森澤委員 都の広報力の強化においても、取り組みを支えているということがわかりました。
政策企画局の戦略広報においては、重要施策を優先的に行っていくことだということは認識をしておりますが、各局では、広報に初めて取り組む方も多いのだと推測されます。というのは、その発信の先を見据えずに動画やリーフレットなどを作成したり、SNSで発信すること自体を目的としているような取り組みも散見されます。今年度は、民間企業の広報実務に精通した人材を採用することで体制を強化し、各局の相談にも乗っているということですので、各局の広報の底上げを期待するところであります。
また、都庁はその取り組みの数や規模も多いので、全体をチェックするのは難しい側面はあると承知します。だからこそ、全庁で統一的なメッセージを発信していくことが力になると考えます。都全体で広報啓発活動が有効に機能するよう、広報広聴を担っている生活文化局と連携し、引き続き、ぜひご尽力いただけますようお願いいたします。
東京二〇二〇大会を来年に控え、また、国際金融都市構想や外国企業誘致やインバウンド施策などを進める東京にあっては、都市間競争の中で東京のプレゼンスを高めていくことは非常に重要です。そういった中で、海外広報の担う役割は大きいと考えます。
海外広報の企画立案、運営業務委託の内容につきましては、先ほどご答弁ありましたので割愛をさせていただきますが、一点、この委託の成果をどのように図り、その成果をどのように捉えているのかをお伺いいたします。
○梅田海外広報担当部長 海外広報事業におきましては、できる限り数値による指標を活用しまして、年間を通じてPDCAサイクルにより、事業の進行管理を行っているところでございます。例えば、海外メディアなどへの情報発信に関する取り組みに関しましては、事業者と協議の上で、海外メディアによる取材件数や報道件数を目標指標として設定しております。
昨年度につきましては、海外メディアによる取材件数八十件、報道件数五十件を目標としておりましたところ、取材件数が百二十三件、報道件数が百六十件という実績でございまして、例えば東京百五十年事業のイベントの際には、世界の主要メディアが取材を行い、報道されたという実績もございます。こうしたことから、本事業によりまして、海外に向け、都の施策や都の魅力を発信することはできたというふうに認識しているところでございます。
今後ともPDCAサイクルを活用しまして、効率的かつ効果的な情報発信に努めていきたいと考えております。
○森澤委員 実績については理解をいたしました。ありがとうございます。
海外広報であっても、誰に何を届けるという観点は同じであるものの、海外広報をした結果、何を得るかというのは、国内広報と異なります。結果として、東京のプレゼンス向上につながっているのかというのを、はかっていく必要があると考えます。
森記念財団の都市戦略研究所の都市のイメージ調査によりますと、東京のイメージのランキング一位はクラウディッド、二位はテクノロジー、三位はモダン、そういうイメージを海外の方が持たれているということでした。
一方で、パリは一位がエッフェル塔、二位がロマンチック、三位がビューティフル、そういったイメージを持たれているということです。東京に関しては、一番がクラウディッドというイメージを持たれているということで、今、海外誘致やインバウンド観光の促進などを行っている中で、東京がどんなイメージを持ってもらいたいのか、そういったものを考えて、戦略的にメッセージを発信していくことが重要だと考えます。
そういった観点からも今後取り組んでいただくことを要望し、次のテーマに移ります。
次は、Old meets New東京事業についてなんですが、先ほど内容や実績については答弁がありましたので、割愛させていただきまして、意見のみ述べさせていただきます。
Old meets New東京事業の目的は、百五十年の節目を都民の皆様と一緒にお祝いするとともに、東京の魅力を再発見、再認識するということで、東京への愛着や一体感を向上させるということでありました。
例えば、企業において周年行事等を行う場合、関係者への感謝とともに、これからの発展に協力を促すことを念頭に、企業の理念やビジョンを改めて発信する機会となります。先ほど、二万人を超えるメーンイベントの来場者数や、三百を超える連携事業の実施について答弁があり、今回の事業について一定の成果があったというふうに理解します。
一方で、成果をはかる意味では、事業の評価の仕方にはさまざまありまして、例えば、来場者に対するアンケートの実施なども考えられるところであります。
Old meets New東京百五十年事業は単年度事業ではありますが、今後行われる似たような事業において、今回の成果と課題がしっかり生かされるよう、そして今後の政策企画局の役割に期待をして、私の質疑を終わります。
ありがとうございました。
○うすい委員 私からは、PDCAサイクルのチェックにおける決算状況の活用について質問をいたします。
今、まさに平成三十年度の決算審査を行っているわけでございますが、予算の視点はもとより、適正な執行状況のチェックを行い、翌年度の予算に連動させていくために、決算は重要であります。
そのことを踏まえてお聞きをしますが、現在、政策企画局におかれましては、都庁全体の政策の方向性を取りまとめた二〇二〇年に向けた実行プランを推進しておりますが、いよいよ来年と迫りました。実行プランに掲げた政策を確実に実行し、成果を出すために、決算をどう生かして取り組んでいるのか説明を求めます。
○吉村計画部長 二〇二〇年に向けた実行プランでは、それぞれの政策を着実に推進するため、PDCAサイクルの運用を徹底しております。
実行プランの進捗状況をチェックする事業実施状況レビューの取りまとめに当たりまして、各施策に関連する事業の執行額を、施策の進捗状況を把握する重要な要素として活用しております。この事業実施状況レビューで明らかになりました進捗状況や課題、そして決算の状況も踏まえた上で、次年度以降の取り組みの加速化や見直しなどにつなげてきたところでございます。
○うすい委員 実行プランの推進に当たっても、決算を生かしているとのことでございました。
しかし、政策企画局が単体で決算状況を見るだけではなく、財政当局との連携が欠かせないと考えます。政策目標の実現に向けた取り組みの進捗管理と、各事業の予算執行に関する財政的観点からの検証とか、しっかりと連携している必要があると考えております。こうした観点について、政策企画局の見解を伺います。
○吉村計画部長 委員ご指摘ございましたPDCAサイクルの運用に当たりましては、政策目標の進捗管理と、それから財政的観点からの各事業の検証が連携して行われることが重要であると認識してございます。
そのため、事業実施状況レビューにおきましては、各事業の執行状況や政策目標の達成状況、それから達成に向けた課題を財政当局とも共有いたしまして、意見交換を行うなど、財政的な観点からもしっかりと検証した上で、取りまとめを行っているところでございます。
○うすい委員 政策目標の進捗管理に当たって、財政当局と連携をしっかりととっているとのことであります。
政策の推進とそれをバックアップする予算は、都政を前に進めるための両輪であります。今後もその両輪がうまく回るように、両局でなお一層の綿密な連携をとっていただくことを要望しておきます。
続きまして、長期計画の企画立案ということで、懇談会について伺いたいと思います。
今回示された決算書には、一四ページに超高齢社会における東京のあり方懇談会の記載がありました。まずは、この懇談会の成果について伺いたいと思います。
○吉村計画部長 超高齢社会における東京のあり方懇談会は、世界に例を見ない速度で高齢化が進む東京におきまして、誰もが安心して暮らし、希望と活力を持てる都市を実現するために必要となる地域のあり方を検討し、今後の政策展開に資することを目的に、平成二十九年十一月に設置いたしました。
同懇談会は計六回開催されまして、平成三十年九月に、多世代、多種多様な人材が活躍できる地域づくりなどを主な内容とした政策提言を取りまとめていただきました。この提言を踏まえまして、関係各局も含めて議論、そして検討を重ねまして、本年度の予算にさまざまな事業を盛り込んだところでございます。
○うすい委員 今年度の予算に成果を反映したということでございました。
この懇談会を初め、政策企画局では、有識者から成る懇談会を幾つか運営してきたと認識をしております。こうした懇談会の成果は、現在、政策企画局が中心になって検討を進めている長期戦略にどのように生かしていくのか見解を求めます。
○吉村計画部長 これまで開催してまいりました各種の懇談会では、それぞれのテーマに応じまして、さまざまな有識者によるご議論を通じまして、東京の輝かしい将来に向けた重要なご示唆をいただいてまいりました。
こうした成果は、政策企画局内での政策検討における重要なベースとなっておりまして、ご提言などを踏まえながら議論を重ねまして、本年八月にも未来の東京への論点を取りまとめたところでございます。
本年末を目途といたしまして取りまとめる予定になっております長期戦略ビジョンの策定に向けましても、これらの懇談会の成果を十分に生かしてまいりたいと考えております。
○うすい委員 各種の懇談会の成果を、来年度の予算や取り組みだけではなくて、長期戦略にも生かしていくということでございました。そうした大所高所からの有識者の意見もしっかりと生かしていってもらいたいと同時に、加えて、都民の意見も聞いていく必要があります。
先日、生活文化局が発表した都政モニターアンケートでございますが、長期戦略の策定に向けてと題したものでございまして、東京二〇二〇大会後の新たな羅針盤となる長期戦略の策定の参考にするとありました。
この中身を見ますと、例えば、次世代に残すレガシーはとの問いに対しまして、治安や災害に不安を感じることのない安全・安心な東京、快適に移動、通勤ができる東京、バリアフリー化が進み、誰もが快適に安心して暮らせる東京などが上位に挙げられておりました。
こうした都民のニーズもしっかりと踏まえることを初め、さまざまな人の意見を取り入れた長期戦略をぜひとも作成していただくことを要望しまして、私の質問を終わります。
○米川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○米川委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で政策企画局関係を終わります。
以上をもちまして第一分科会における決算の審査は終了いたしました。
なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
これをもちまして第一分科会を閉会いたします。
午後三時三十八分散会
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