委員長 | 大松あきら君 |
副委員長 | 関野たかなり君 |
副委員長 | 里吉 ゆみ君 |
後藤 なみ君 | |
舟坂ちかお君 | |
栗林のり子君 | |
つじの栄作君 | |
木下ふみこ君 | |
清水 孝治君 | |
中村ひろし君 |
欠席委員 なし
出席説明員教育庁 | 教育長 | 藤田 裕司君 |
次長 | 西海 哲洋君 | |
教育監 | 宇田 剛君 | |
総務部長 | 安部 典子君 | |
都立学校教育部長 | 江藤 巧君 | |
地域教育支援部長 | 太田 誠一君 | |
指導部長 | 増田 正弘君 | |
人事部長 | 浅野 直樹君 | |
福利厚生部長 | 小菅 政治君 | |
教育政策担当部長 オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 小原 昌君 | |
企画調整担当部長 | 谷 理恵子君 | |
教育改革推進担当部長 | 藤井 大輔君 | |
特別支援教育推進担当部長 | 高木 敦子君 | |
指導推進担当部長 | 瀧沢 佳宏君 | |
人事企画担当部長 | 黒田 則明君 |
本日の会議に付した事件
平成三十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
教育庁関係
・平成三十年度東京都一般会計決算(質疑)
○大松委員長 ただいまから平成三十年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の決算に対する質疑を行います。
決算の審査に入る前に申し上げます。
質疑は平成三十年度決算の審査から逸脱しないよう、委員長として特にお願いいたします。
これより教育庁関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成三十年度東京都一般会計決算中、教育庁所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○安部総務部長 去る十月十一日の当分科会において要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元の平成三十年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらん願います。
今回要求のございました資料は十二件でございます。
それでは、一ページをお開き願います。1、都立高等学校等における高等学校等就学支援金の歳出予算及び決算でございます。
平成三十年度の高等学校等就学支援金の歳出における、予算につきまして受給対象者数と支給額を、決算につきまして受給者数と支給額を、区分別にそれぞれ記載してございます。
二ページをお開き願います。2、都立高等学校等における奨学のための給付金の給付区分ごとの歳出予算及び決算でございます。
平成三十年度の奨学のための給付金の歳出における、予算につきまして給付対象者数と給付額を、決算につきまして給付者数と給付額を、給付区分別にそれぞれ記載してございます。
三ページをごらんください。3、都立学校等給付型奨学金の給付区分ごとの歳出予算及び決算でございます。
平成三十年度の都立学校等給付型奨学金の歳出における、予算につきまして受給対象者数と予算額を、決算につきまして受給者数と支給額を、区分別にそれぞれ記載してございます。
また、主な対象事業につきまして記載してございます。
四ページをお開き願います。4、都立高等学校等の授業料減免の実績でございます。
平成二十六年度から平成三十年度までの間で、授業料を免除または減額した人数について、区分別、課程別、年度別にそれぞれ記載してございます。
五ページをごらんください。5、東京都立高等学校入学者選抜応募倍率の推移でございます。
平成二十二年度から平成三十一年度までの間における入学者選抜に係る校数、募集人員、最終応募人員、最終応募倍率について、五ページから九ページにかけまして、学科、区分別、年度別にそれぞれ記載してございます。
一〇ページをお開き願います。6、平成三十年度及び平成三十一年度東京都立高等学校入学者選抜実施校でございます。
一〇ページから一一ページにかけまして、平成三十年度の入学者選抜において、分割後期募集、第二次募集を実施した全日制都立高校の学校名及び募集人員を、一二ページには、平成三十年度の入学者選抜において、第三次募集を実施した全日制都立高校の学校名及び募集人員を、学科ごとにそれぞれ記載してございます。
また、一三ページから一四ページにかけまして、平成三十一年度の入学者選抜において、分割後期募集、第二次募集を実施した全日制都立高校の学校名及び募集人員を、一五ページには、平成三十一年度の入学者選抜において、第三次募集を実施した全日制都立高校の学校名及び募集人員を、学科ごとにそれぞれ記載してございます。
一六ページをお開き願います。7、都内公立中学校夜間学級在籍者のうち、中学校を卒業している生徒の数でございます。
平成二十九年度から令和元年度までにおける都内公立中学校の夜間学級に在籍していて、既に中学校を卒業したことがある生徒の人数、その人数を含む全体の在籍者数をそれぞれ記載してございます。
一七ページをごらんください。8、東京都公立小・中学校の情緒障害等通級指導学級及び特別支援教室設置校数・児童生徒数・教員数・専門員数でございます。
一七ページ及び一八ページに、公立小学校における、平成二十七年度につきましては情緒障害等通級指導学級の、平成二十八年度及び平成二十九年度につきましては従来型の通級指導を含む特別支援教室の、平成三十年度及び令和元年度につきましては特別支援教室の、設置校数、児童数、教員数、専門員数について、区市町村別にそれぞれ記載してございます。
また、一九ページ及び二〇ページには、公立中学校における、平成二十七年度から平成三十年度につきましては情緒障害等通級指導学級の、令和元年度につきましては従来型の通級指導を含む特別支援教室の、設置校数、生徒数、教員数、専門員数について、区市町村別にそれぞれ記載してございます。
二一ページをごらんください。9、都立学校「自立支援チーム」の実績とユースアドバイザー、ユースソーシャルワーカー(主任)及びユースソーシャルワーカーの新規採用人数でございます。
(1)は、都立学校自立支援チームが平成二十九年度及び平成三十年度において支援を行った学校数、支援対応生徒数、支援累計回数について、区分ごとにそれぞれ記載してございます。その下、(2)は、ユースアドバイザー、ユースソーシャルワーカー(主任)及びユースソーシャルワーカーの新規採用人数について、採用年月ごとに職種別にそれぞれ記載してございます。
二二ページをお開き願います。10、都内教育支援センターの区市町別設置数と名称でございます。
二二ページから二三ページにかけまして、平成三十年五月一日現在における都内教育支援センターの設置数と名称について、区市町別にそれぞれ記載してございます。
二四ページをお開き願います。11、都内不登校特例校の設置状況でございます。
平成三十一年四月一日現在における都内不登校特例校の学校名、管理機関、開校年月及び業務の概要について、それぞれ記載してございます。
二五ページをごらんください。12、時間講師の任用事務手続でございます。
時間講師の任用につきまして、二五ページには区市町村立学校における事務手続を、二六ページには都立学校における事務手続をそれぞれ記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○大松委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○木下委員 グローバル化が進む現代社会において、さまざまな文化や価値観を背景とする外国人を含めた多様な人々が相互に尊敬し合いながら生きる力、自分の考えを説明し、理解し合うための資質や能力が重要でございます。
また、AIやICTを初めとした技術革新に伴う新しいコミュニケーションが求められ、急速な少子高齢化が進むこの日本において、誰も経験したことがない変化の中、持続可能な社会の発展が求められています。
こうした予測困難な時代を生きていく子供たちには、問いを発見する能力、またみずからの人生や社会における答えが定まっていない中、問いを受けとめる力、また多様な他者と議論を重ね、納得解を得るための資質や能力が求められているというふうに考えます。
おおよそ十年に一度改訂されている学習指導要領の最新版では、このような時代を生き抜く子供たちに、生きる力を育み、学びのその先へとサブテーマを添え、学校で学んだことが将来につながることに重点を置きながら、学び方の改革、これは主体的かつ対話型で学ぶアクティブラーニングの導入というお話でございますし、また学ぶ者の改革ということで、新しい領域として、プログラミング教育や外国語教育、道徳教育などに取り組むというようなお話がございます。
平成三十年度の事業について質問してまいるわけでございますが、こういった環境の中で、まず子供たちの学びの中身についてお聞きしてまいります。
英語教育における、小学校における英語の教科化への対応についてお伺いをしていきたいと思います。
令和二年度からの小学校における英語の教科化に向け、都の教育委員会では平成三十年度から英語専科指導教員の配置を進めております。これまでの専科教員の配置状況と今後の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
○浅野人事部長 都教育委員会では、令和二年度からの小学校の英語教科化に向け、授業時数の増加に対応した教員の働き方改革の推進と、英語指導の充実による教育の質の向上を図るため、平成三十年度から英語指導を先行実施する小学校のうち、二十二学級以上の大規模校を対象として、英語専科指導教員の計画的な配置等を行っております。
具体的には、平成三十年度は三十五校、令和元年度は七十校に英語専科指導教員を配置するとともに、それ以外の先行実施校についても、学級規模にかかわらず、英語指導のための必要な時間講師を配置しております。
小学校における英語の教科化に向けては、二十二学級以上校に対する英語専科指導教員の配置をさらに拡大するなど、指導体制の一層の充実に取り組んでまいります。
○木下委員 ありがとうございます。小学校での英語教科化に向けて、使える英語が小さいうちからきちっとこの日本の中で定着していくような動きに資するよう、この取り組みを一層続けていただきたいと思います。
次に、昨年、青海に開設されましたTOKYO GLOBAL GATEWAYについてお伺いをしたいと思います。
こちらも体験型の英語施設ということで、非常に人気というふうに伺っておりますけれども、まずこの東京都英語村、TOKYO GLOBAL GATEWAY、いわゆるTGGの事業の目的と、ここにかけている都の費用についてお伺いをしたいと思います。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会では、教室での授業に加え、児童生徒が英語を使用する楽しさや必要性を体感し、英語学習への意欲を向上することができるよう、TOKYO GLOBAL GATEWAY、いわゆるTGGを昨年九月に開設いたしました。
当事業の整備、運営に当たりましては、都による財政支援のもと、民間事業者が事業主体として独立採算により行うこととしております。
都による財政支援は、開設前に発生いたしました施設改修費の二分の一に相当する四億五千万円と施設賃料に相当する年間約二億六千万円を補助金として交付しております。その他の経費につきましては、事業者が利用料金等により運営しております。
○木下委員 ありがとうございました。
それでは、引き続きまして、このTGGの成果について、都はどのように把握しているのかお伺いしたいと思います。
○瀧沢指導推進担当部長 昨年九月からの初年度七カ月間につきまして、都内及び都外の学校約三百八十校、約四万五千人が利用し、個人での約五千人の利用と合わせて、合計約五万人が利用いたしました。
利用した児童生徒に対するアンケートでは、九割以上の児童生徒がとても楽しかった、または楽しかったと回答し、同じく九割以上の児童生徒がTGGでの体験は今後の英語学習の刺激になったと回答しております。
利用した学校や引率教員へのアンケートでは、約九割の教員が教員自身にとって得られるものがあったと回答しております。また、TGGの利用後、英語に対する学習意欲やコミュニケーションに対する積極性等の点で生徒に変容が見られるとの回答が寄せられております。
○木下委員 ありがとうございました。
実際こちらの開設間もないころに視察、体験をさせていただきました。生きた英語に触れられる空間として、大変エンターテインメント性にも富んでおり、また学びの観点からも非常によく練られているコンテンツが並んでいて、大変いいなというふうに感じました。
私も長年英語については個人的にも勉強してきたつもりの一人なんですけれども、こういう場所が自分が子供時代にあったらなというふうに本当に思う施設だと思っております。
また、こちらの運営なんですけれども、都は最初にお金を出して、運営費の一部を補助するけれども、民間企業にきちっと運営してもらうということでのこの事業の成り立ちというやり方、非常によいと思っております。
英語教育はエンターテインメントなどに精通した民間企業が、株式会社TOKYO GLOBAL GATEWAYを設立して運営しているということで、官民連携のいいモデルケースになっていくんじゃないかというふうに思いまして、今後も注目をしてまいりたいと思います。
次に、国際交流コンシェルジュ事業について、この取り組み内容と成果についてお伺いをしたいと思います。
○瀧沢指導推進担当部長 都教育委員会は、昨年十月に都内の学校と海外の学校との国際交流の窓口となり、学校向けのワンストップサービスの機能を持つ国際交流コンシェルジュを開設いたしました。
国際交流コンシェルジュでは、交流可能な海外の学校の情報を閲覧できるデータベースの開発、運用や国際交流に係る相談対応のほか、学校にかわって希望する交流先との連絡や交渉などを行っております。
これらを通じまして、メッセージカードの交換、インターネットを活用した対話、在京大使館との交流、学校訪問など、都内公立学校で百五十件以上の交流活動を実現いたしました。
実際に交流活動を実施した学校からは、児童生徒が交流先と日本との相違点や共通点に興味を持ち国際理解が深まった、外国との交流や語学学習への意欲が高まったなどの声が寄せられております。
○木下委員 ありがとうございました。実際、国際交流の体験に至った方々からは非常によい評価を得ているということで、都内の公立学校における国際交流をさらに進めていただけるよう、この取り組みも注視をしながら応援させていただきたいと思います。
次に、道徳教育についてお伺いをしていきたいと思います。
平成三十年四月一日から小学校、そして平成三十一年四月一日から中学校において、特別の教科道徳が全面実施となりました。これ、どういうことでこういうことになったのかなということで、ちょっと私なりにも改めて勉強させていただきました。
そもそも二〇一五年の学習指導要領の一部改正で、道徳の特別の教科化ということを受けてのことということなんですが、何でこれが一部改正で取り入れられたのかということを調べていくと、根底にはいじめの問題があったとのことでございます。
これまでの道徳教育の中には問題点があったということで、二つの大きな側面からの問題点があったという指摘がございました。
一つは、量的な課題ということで、歴史的経緯に影響されて、道徳教育そのものを忌避しがちな風潮があったり、ほかの教科に比べて軽んじられていて、ほかの教科の時間に振りかえられているというような、なかなか量的な時間確保ができてないという問題や、また、質的な問題ということで、学校の教師の間の差が大きかったり、地域によって指導方法を確立していないというような形で、なかなか道徳というのがしっかりと子供たちに教えていかれることがなかった。それをやめていくために教科にしていくというような取り組みで、こういった動きになっていったということでございました。
三十年四月一日からの小学校、そして平成三十一年四月一日からの中学校における全面実施に向けて、東京都の教育委員会として、どのような準備、取り組みを行ってきたのかお伺いをしたいと思います。
○増田指導部長 都教育委員会は、特別の教科道徳の全面実施に向け、円滑な移行ができるよう、平成二十八年三月に特別の教科道徳の指導内容に対応した都独自の教材集を作成し、都内全公立小中学校等に配布いたしました。
また、平成二十八年度から特別の教科道徳の先行実施を行い、各区市町村における核となる学校として、東京都道徳教育推進拠点校百十一校を設置し、特別の教科道徳の指導事例の普及等を通じて、各学校の先行実施の充実を支援してまいりました。
さらに、教員の指導力向上を図るために、すぐれた授業実践を公開する特別の教科道徳授業力向上セミナーを実施し、平成二十八年度から平成三十年度までに約千五百名の教員の参加がございました。
○木下委員 ありがとうございます。東京都道徳教育モデル校という事業でございます。
ご説明をいただきましたけれども、この事業の成果、効果を都の教育委員会としてどのように認識しているのかをお伺いしたいと思います。
○増田指導部長 特別の教科道徳の全面実施に向けて、前年度までに特別の教科道徳を先行的に実施した学校は、小学校で九六%、中学校で九五%でございました。
また、授業力向上セミナーの受講者アンケートでは、特別の教科道徳の指導のあり方についての理解の深まりなど、全ての項目で肯定的な回答が九六%を上回っております。
これらの事業を通じ、教員の指導力の向上を図るとともに、各小中学校等が特別の教科道徳の全面実施に円滑に移行することができたと認識しております。
○木下委員 ありがとうございます。このように準備をしてきているということでございます。
そして、特別な教科道徳がいよいよ全面実施されたということでございましたけれども、これを踏まえまして、今後どのように取り組んでいくのかお伺いをしたいと思います。
○増田指導部長 都教育委員会は、特別の教科道徳をかなめとして、学校での教育活動全体を通じた道徳教育の充実を図ることを目的として、東京都道徳教育モデル校を平成三十年度から小学校三校、平成三十一年度から中学校三校を設置し、効果的なカリキュラムの研究開発に取り組んでおります。
また、モデル校の実践事例や成果を全都に発信して普及や啓発を図るため、道徳教育の効果的なカリキュラムマネジメントを実現するためのガイドブックを作成し、平成三十一年三月に都内全公立小中学校等の全ての教員に配布いたしました。
今後も、ガイドブックを継続して作成、配布するとともに、各モデル校が開催する中間報告会や研究発表会等を通じて、都内全ての公立小中学校等における道徳教育のより一層の充実を支援してまいります。
○木下委員 ありがとうございます。先ほど私の方から指摘をしました道徳教育が抱える課題の中の、効果的な指導方法が共有されていないという質的課題の解決に貢献する取り組みであるというふうに認識をいたしました。引き続きしっかり取り組んでいただきたいというふうにお願いを申し上げます。
次に、先ほど、学習指導要領の中で新たな教育の中身ということで指摘をされておりましたプログラミング教育、こちらについて質問していきたいと思います。
企業と連携したプログラミング教育推進モデル事業についてでございます。
プログラミング教育を行う上で、学校が企業等と連携することで、質の高い教育活動を行うことができるのではないかというふうに考えます。
平成三十年度における企業と連携したプログラミング教育推進事業の具体的な取り組み内容について、まずお伺いをしたいと思います。
○増田指導部長 都教育委員会は、平成三十年度から二年間、小学校七十五校をプログラミング教育推進校に指定し、学校とICTに関連する企業等との連携により、プログラミング教育の推進を図ってまいりました。
具体的には、教員が、企業等から派遣されたインストラクターから模型自動車やドローンなどの教材を活用したプログラミング教育の指導法について、専門的な見地から助言を受けるなどの取り組みを行っております。
また、都教育委員会は、プログラミング教育推進校の取り組みを指導資料集としてまとめ、都内全ての公立小学校に配布するなどして、先進的な実践の周知を図ってまいりました。
○木下委員 ありがとうございました。企業等と組んで、その資源を活用した七十五校での推進の成果があったということでございますけれども、これをほかの小学校に確実に広げていくことが当然重要なことになると思います。
この広げていくことに関する今後の都教育委員会の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
○増田指導部長 今後、推進校が企業等と連携して開発した指導事例や教材等を他の学校でも活用できるようにするため、各区市町村教育委員会が域内の小学校の教員等を集めて、推進校の成果報告会を開催することとしております。
また、都教育委員会は、都内全ての公立小学校の担当教員を対象として、令和二年一月に開催を予定しているプログラミング教育フォーラムにおいて、推進校の研究成果について周知啓発を図るとともに、企業等が開発したロボットや電光掲示板などの先進的な教材を紹介するなどして、学校の取り組みを支援してまいります。
○木下委員 ありがとうございました。私も資料をいただきまして、小学校でどんなプログラミング教育が実際行われるのかなということで、想像もできなかったものですから、いろいろ読ませていただきました。
論理的に考えていくという、順序立てて考えていくという思考を具体的にICTツールを使わなくてもできるというような、アンプラグドというんですか、そういう取り組みと、また実際にそういうソフトを使いながら、さわってみて、やってみるという取り組みなどが行われていく流れになっているということで、これも私が子供のころにあったらなというふうに思うような内容だというふうに感じました。
日本の子供たちが小さいころからこういった能力を高めていける環境をつくっていくこと、本当に世界とのグローバルな競争環境の中で生き抜いていく力の一つとして非常に重要だと思っております。
そして、こういったことも、中身、考える力、できる力をつくるのも重要でございますけれども、ICTの環境を都立高校、また小中学校の方の中できちっと整えていくことももちろん重要でございます。
そこで、都立高校におけるICT環境について、その整備状況についてお伺いをしたいと思います。
○安部総務部長 都教育委員会は現在、都立高校の全ての普通教室に教員用のタブレットパソコン、プロジェクターなどの教育用ICT機器を配備しております。
また、生徒が活用するための機器として、共用のタブレットパソコンを平成二十七年度から三カ年で整備を進め、現在、全ての都立高校で一校当たり四十台を配備しております。
これらのICT機器は、視覚的でわかりやすい授業を行うために活用されております。
○木下委員 ありがとうございます。全ての都立高校で配備ができたということでございますけれども、一校当たり四十台ということで、一つのクラスで一回授業をやるということについては、まあできたのかなというような状況だというふうに理解をいたしました。
次に、小中学校の中におけるICT、どのようになっているのかというのを聞いていきたいと思いますが、ICT利活用モデル検証事業というのがございます。こちらの三十年度に行った内容、概要についてお伺いをしたいと思います。
○太田地域教育支援部長 ICT利活用モデル検証事業は、国の平成三十年度以降の学校におけるICT環境の整備方針を踏まえた、都内全公立小中学校において展開可能なICT環境整備モデルを検証、分析の上、区市町村に対して提示し、ICT環境整備に係る取り組みの促進を図ることを目的としております。
このため、都教育委員会は、平成三十年度にICT利活用モデル検討委員会を設置し、一人一台、持ち帰りを含めた学習用コンピューターの活用を想定した効果的な活用方法と教育効果、情報セキュリティー確保等の諸課題について、有識者や学校関係者等を交えて議論を行い、都が区市町村に示すべき七つの方向性について、本年三月に最終報告を行いました。
○木下委員 ありがとうございます。引き続きまして--ICT利活用モデル検討委員会最終報告が行われたというご答弁でございました。これを踏まえまして、今後どのように公立小中学校におけるICT環境整備の推進に向けた取り組みを充実していくのか、この点についてお伺いをしたいと思います。
○太田地域教育支援部長 都教育委員会は、ICT利活用モデル検討委員会の最終報告で示されたICT機器整備やICT化の支援体制などの都が示すべき七つの方向性を踏まえ、本年度から国内外のさまざまなICT機器整備状況の事例分析や、ICT機器の整備に着手している地区における実践研究に向けた取り組みを進めています。
今後は、これらの取り組みで得られた成果を取りまとめ、区市町村が環境整備の推進に必要な情報提供などを行い、取り組みを支援してまいります。
○木下委員 ありがとうございました。小学校におけるICT利活用が進むよう、このモデル検証事業をしっかりと次に生かしていただきたいというふうに思います。
先ほど都立高校におけるICT環境の整備についてお伺いをいたしました。全ての都立高校で整備ができたけれども、一校当たり四十台というお話でございまして、これとは違った取り組みで、ここの中でICTの環境になれていくという取り組みが行われております。都立学校スマートスクール構想というふうな事業でございます。
この取り組みの一環として、生徒が所有するスマートフォンなどを活用したBYOD研究事業、ブリング・ユア・オウン・デバイスということで、自分の持っているデバイスを持ってきてという研究事業を行っていると聞いています。
そこで、BYOD研究事業の目的について、まずお伺いをしたいと思います。
○増田指導部長 生徒一人一人がICT機器を一台ずつ持つことは、生徒個々の能力や特性に応じた学習を進める上で有効であると考えております。
一方で、生徒全員にICT機器を配備することは、機器本体に係る経費やインターネットの通信料など、多大な費用がかかるといった課題もございます。
このような現状を踏まえ、都教育委員会は生徒が所有するICT機器を活用した学習の効果等を検証するため、BYOD研究事業を実施しております。
○木下委員 ありがとうございます。
それでは、引き続き、今度は都立学校スマートスクール構想におけるBYOD研究指定校の取り組みの概要とその成果についてお伺いをしたいと思います。
○増田指導部長 都教育委員会は、生徒が所有するスマートフォン等を活用するBYOD研究指定校十校を昨年度から二年間指定し、Wi-Fi環境を整備して、ICTを活用した学習の効果や教員の業務の縮減について成果検証を行っております。
生徒は、スマートフォン等を活用し、自学自習用の学習動画やウエブドリルで学んだり、学んだことをウエブテストで確認するほか、探究学習の際の検索や意見交換に活用するなど、個別最適化された学びや主体的、対話的な学びの充実が図られております。
また、教員は、授業の振り返りアンケートや確認テストに生徒のスマートフォン等を活用することで、集計や採点を瞬時に行い、生徒の弱点を早期に発見して指導に生かすなど、業務の効率化が進んでおります。
○木下委員 ありがとうございました。生徒の学び、そしてある意味教員の働き方改革、業務の効率化と二つの面で成果があったというふうなことをご答弁の中から把握をいたしました。
ここまでが子供たちの教育の中身に関するご質問でございました。非常にいろんな取り組みが多くの都の支援によって行われていることが確認でき、私も本当に今、自分の娘、もう一度小学校からやり直したいなと思うほどの状況だなというふうに感じているところでございます。
次に、今度は生徒への学習支援の取り組みについて伺っていきたいと思います。
まず、スタディーアシスト事業の取り組みについてでございます。
このスタディーアシスト事業は、我が会派の伊藤ゆう議員を初め、生徒への、貧困というと、ちょっと言葉があれですけれども、なかなか学習の支援の機会が得られない子供たちへの新たな支援の取り組みとして提案をし、今、都の方で実施をしていただいている事業というふうに認識をしております。
スタディーアシスト事業は、放課後等において、進学を目的に外部人材等を活用した学習支援の取り組みとして、平成三十年度から二カ年のモデル事業として今実施しているところでございますが、その事業の成果や課題についてお伺いをしたいと思います。
○太田地域教育支援部長 都教育委員会は、公立中学校三年生を対象としたスタディーアシスト事業を立川市及び青梅市の二地区で開始しました。
両市では、塾等の民間教育事業者等を活用し、希望のあった全中学校において、放課後等に英語と数学の少人数クラスの学習支援の取り組みが行われ、進学を目的とした新たな学習支援の機会を提供できたなど、高い評価を得ております。
初年度は、募集及び開始が二学期以降となり、年間スケジュールがおくれたことや定量的な成果の把握が難しいことが課題でございました。
○木下委員 ありがとうございます。このスタディーアシスト事業、家庭の財力にかかわらず、進学等を志す子供たちが学びの機会を得るという取り組みとして、非常に注目をさせていただいております。高い評価及びまた課題も浮き彫りになったというご答弁でございました。
そこで、昨年度の取り組みを踏まえた今年度の取り組み状況についても伺っていきたいと思います。
○太田地域教育支援部長 昨年度の課題を踏まえ、今年度は一学期中に募集案内を開始し、あわせて事業開始前には保護者等を対象とした事業説明会を実施するなど、生徒が参加しやすい状況を整えることで、昨年度よりも多くの生徒の参加を得て、早い時期から事業を開始しました。
また、参加生徒の学習状況の定量的な変化を把握し、進学支援策としての成果を示せるよう、当該教育委員会と学校との連携をより密にするなど、引き続き取り組みの充実を図っております。
○木下委員 ありがとうございます。二カ年のモデル事業として実施ということでございます。しっかりとこの成果を把握していただきまして、モデル事業から次のステップに行けるかどうか判断をしっかりとしていただきたいなというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
次に、子供たちへの支援ということで、給付型奨学金についてお伺いをしたいと思います。
都立学校等給付型奨学金は、都立学校の生徒が家庭の経済状況にかかわらず、みずから望む教育活動を選択することを可能とし、生徒の主体的な教育活動への参加機会を確保するため、現物給付による交付ということで、平成二十九年度から導入をしているものであるというふうに伺っております。
先ほどの提出資料の方にもございまして、いろんな模擬試験の受験料だとか、英語検定だとか、電気工事士の資格取得、またITパスポート、危険物取り扱い、また語学合宿にかかわる交通費、宿泊費など、いろんな現物支給に対して支給されているという、非常にまたこれもなかなかいい制度だなというふうに感じているわけでございます。
平成三十年度の給付型奨学金の執行額を見ますと、都立高等学校等で約四億百六十二万円で、執行率約三〇%、昨年大変多くの委員の方が実は執行率について質問していると議事録を見て感じておりまして、昨年と比べますと、執行額で約一億二千七百万円、執行率で約一〇%、去年よりは向上しているという状況でございます。
そこで、ご努力というのがあったんだろうというふうに想定しながら、さらに本制度の利用率向上に向けて取り組んでいくことが重要と考えます。都の見解をお伺いしたいと思います。
○江藤都立学校教育部長 都教育委員会では、給付型奨学金の利用向上のため、平成三十年度にはTOKYO GLOBAL GATEWAYの利用料、今年度はコミュニケーションアシスト事業等、対象事業を順次拡大してまいりました。
今後とも、学校、生徒、保護者等への広報活動の充実のほか、生徒や教員からの要望も踏まえ、新たな事業への活用を検討し、給付型奨学金がより有効に活用されるよう取り組んでまいります。
○木下委員 ありがとうございました。対象事業をふやしていっているというご答弁ですし、今後ともふやしていくことで利用率を上げていきたいというご答弁がございました。
また、それにあわせて広報活動を充実しますというお話で、実は事前に担当者の方にいろいろお話を伺って、どんな広報活動をしているのかなということをお伺いすると、入学式のときに資料として皆さんに配っているんだというお話でございました。
それは当然そこは配るべきところだと思うんですけれども、私の感覚とすると、入学のときって資料がすごく多いということがございまして、保護者の方々、そこでしっかり一度で理解ができるんだろうかというような懸念も少し感じたところでございます。
いろんな機会を通じて、保護者の方、また本人への周知啓発が届くような取り組みについても引き続き考えていただきたいというふうにお願いを申し上げます。
子供たちの学習に関する中身のお話、そしてその支援のお話をしてまいりましたが、次に、大きく子供たちにかかわる先生方の学校における働き方改革、これが非常に重要な観点であるというふうに思います。
学校を取り巻く環境は大変複雑化しておりますし、先ほど来の新たな学習指導要領などにございますように多様化しているという中で、先生に求められる役割は大変拡大しているというふうに感じます。
平成二十九年度に都が実施しました勤務実態調査におきましても、教員の長時間労働の実態が明らかとなっておりまして、このことは教員の皆さんの心身の健康のみならず、子供たちに接していく日々の教育活動の質にもかかわる重大な課題、問題であるというふうに認識をしております。
こうした状況を踏まえまして、都の教育委員会では、平成三十年二月に学校における働き方改革推進プランというのを策定されました。このプランの中では、都立学校における働き方改革を推進するとともに、区市町村教育委員会の取り組みを支援するというふうにしております。
そこでまず、平成三十年度の都立学校における働き方改革の取り組みの内容と成果についてお伺いをしたいと思います。
○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都教育委員会は、学校における働き方改革推進プランに基づきまして、都立学校の働き方改革に向けた取り組みとして、部活動指導員の配置や長期休業期間における学校閉庁日の設定などを進めてまいりました。
また、各学校におきましても、ライフワークバランスの推進を学校経営計画の中に位置づけ、校長のリーダーシップのもと、校務の改善や教員の意識改革に取り組んでまいりました。
こうした取り組みを通じまして、平成二十九年度と平成三十年度の同時期における過労死ライン相当にある教員の割合を比較いたしますと、高等学校では三一・九%から二一・三%に、特別支援学校では四三・五%から五・八%に減少するなどの成果が見られております。
○木下委員 ありがとうございました。同時期の比較において、かなり成果が出ているというご報告でございました。ありがとうございます。引き続きしっかりとやっていただきたいというふうにお願いします。
あわせまして、区市町村の教育委員会の取り組みを支援することで得られる平成三十年度の小中学校における取り組みと成果についてもお伺いをしたいと思います。
○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 小中学校における働き方改革につきましては、服務監督権者である区市町村教育委員会が主体的に取り組むことが重要でございます。
都教育委員会は、区市町村教育委員会の取り組みを後押しするため、スクールサポートスタッフの配置や出退勤管理システムの導入に係る経費の補助などの支援策を講じてまいりました。
各区市町村では、都教育委員会の支援策を活用するほか、それぞれに取り組みを展開し、スクールサポートスタッフを配置した小中学校では、教員一人当たりの在校時間が週当たり三・二時間削減されるなど、一定の成果が見られているところでございます。
こうした取り組みなどによりまして、平成二十九年度と平成三十年度の同時期におけます過労死ライン相当にある教員の割合を比較いたしますと、小学校では三七・四%から三六・三%に、中学校では六八・二%から四八・五%に減少いたしております。
○木下委員 ありがとうございました。今ご答弁いただきましたとおり、非常に大きく過労死ラインにある教員の割合を削減することができたということでございますけれども、それでもまだ小学校で三六・三%、中学校では四八・五%いらっしゃるという状況でございまして、教員の方々の悲鳴というのはまだ聞こえ続けているのかなというふうに思います。
ということでございますので、今後の取り組み、非常に重要だと思います。都教育委員会の今後の取り組みの方向性についてもお伺いをしておきたいと思います。
○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都教育委員会は、平成三十年度の取り組みとその成果を検証いたしまして、この状況については、平成三十一年二月に学校における働き方改革の成果と今後の展開として公表いたしました。
本年度は、これまでの施策のさらなる拡充を図るとともに、本年七月には学校をきめ細かくサポートする東京学校支援機構を設立するなど、多様な取り組みを重層的に進めているところでございます。
今後とも、学校現場の状況やこれまでの取り組みの成果等を踏まえながら、教員の長時間労働の改善に向け、取り組みの充実に努めてまいります。
○木下委員 ありがとうございます。重層的な取り組みを行うということ、また東京学校支援機構を設立して強化をしていくというお話でございました。この東京学校支援機構の機能、そしてまた成果については、引き続き我が会派としても注目をしていきたいというふうに思っております。
最後に、太陽光発電についてお伺いをしていきたいなというふうに思います。
U20メイヤーズ・サミットというのがことしの五月にございました。ここに出席されました小池都知事が二〇五〇年までに都内のCO2排出量を実質ゼロにするとの目標を明言されたということでございます。
これを受けまして、十二月までにゼロエミッション東京戦略というのを策定するということで、作業が進んでいるというふうに伺っております。
こういった流れの中におきましては、都立の施設におきましても、しっかりとこのゼロエミッション東京に資する、例えば再エネ施設の導入、こういったことも進めていかなければならないというふうに思います。
こういった観点で、都立学校におきまして、太陽光発電設備の整備にどのように現在取り組んでいるのか、まずお伺いをしたいと思います。
○江藤都立学校教育部長 太陽光発電設備の整備は、環境負荷の軽減や発災時におけるエネルギー供給の確保に有効でございます。このため、都立学校では、改築や大規模改修工事を行う際、あわせて校舎屋上に太陽光発電設備を整備しております。
○木下委員 ありがとうございます。
それでは、実際に太陽光発電設備を整備している学校の数と普及率及び今後の整備計画についてもお伺いをしておきたいと思います。
○江藤都立学校教育部長 都立学校では、全体の約三七%に当たる九十一校において、太陽光発電設備を整備済みでございます。
今年度は、新築や増改築を予定する都立学校五校に太陽光発電設備を整備する予定であり、今後も改築等を行う都立学校におきまして、太陽光発電設備の整備を推進してまいります。
○木下委員 ありがとうございました。全体のまだ三七%ということでございますが、伺ったところによりますと、もう既に屋根の上に設備を載せられる強度のあるところについては全て載せているということで、今後は建てかえとか、増築、改築というようなタイミングに合わせざるを得ないというような事情も伺っております。
ということでございますので、そういったもの、タイミングが来たものについては、しっかりと行っていただくことを強く要望しまして、私の質問を終わらせていただきます。
○栗林委員 それでは、私の方から初めに、教員の休職について伺います。
今お話にもございましたけれども、学校現場での教員の労働環境は大変厳しい状況でございます。長時間勤務となりがちな働き方を改善できるように、働き方改革関連法が一部改正され、施行されたところであります。
多くの教員は、子供が大好きで、児童生徒のためなら労を惜しまないという、そういう志をお持ちで教員を目指され、試験を突破して、念願の教壇に立たれていると思います。
しかし、最近、病気休職となる教員もふえている状況が大変気になるところでございます。学校現場で指導していかなくてはならない児童生徒にもさまざまな家庭環境もあり、複雑な問題も抱えている場面が多く、そういった子供たちをも指導しなければならない。
また、教員自身の学校の職場の人間関係、家庭内の問題、そして自身の心身の疾患など、複合的なことが原因で病気休職となるケースが多いと聞いております。一番本人がつらいのではないかなと思います。
初めに、都の公立学校の教員について、直近一年間の精神疾患による休職者数を校種別に伺います。
○浅野人事部長 都内公立学校教員の精神疾患による休職者数は、直近の平成二十九年度調査では、全体で六百六人であり、校種別では小学校三百十九人、中学校百五十七人、義務教育学校一人、高等学校六十三人、中等教育学校二人、特別支援学校六十四人でございます。
○栗林委員 お隣には精神科がご専門のつじの委員もいらっしゃいますけれども、やはり過去の数字を見ても、年々増加傾向であるということが大変心配するところでございます。
また、定年を迎えることなく、途中で教員をやめられる普通退職者数は平成三十年度は何人ぐらいいらっしゃったのか伺います。
○浅野人事部長 教員の普通退職者数は、平成三十年度は八百三十九人であり、校種別では小学校四百九十四人、中学校百六十四人、義務教育学校五人、高等学校八十三人、特別支援学校九十三人でございます。
○栗林委員 都全体の教職員数が約六万五千人ぐらいと聞いておりますので、一%強の方が途中で退職されているということになります。
中には、前向きに転職をされる、そういう選択をされる方もいらっしゃるかもしれませんけれども、やはり精神疾患等で教壇に立てなくなって、退職となることは大変残念なことではないかと思います。
風通しのよい、何でも相談できる開かれた人間関係、そうした予防と早期対応などを強化して、教職員の皆様が生き生きと学校現場で活躍できるよう環境整備に努めていただきたいと思います。
そして次に、教員の採用選考、特に社会人選考について伺います。
教員の労働環境は苛酷というイメージから教員採用試験を受験する人が減少してくると、ますます教員不足になってしまいます。そのような中、民間会社の経験者など、社会経験豊富な人材が教員を目指して、活躍していただくことは、若手教員にとっても、また子供たちにとっても大変有益ではないかと感じます。
しかし、民間会社の方たちにとっても、教員を目指したいと思ったとしても、実際に教員の世界に飛び込むことには不安もあるのではないかと思います。そのような不安を取り除いて、また教職の魅力というものを伝えて、民間会社などでさまざまな経験を積んだ方に広く教員採用選考に応募してもらうことが重要と考えます。
そこで、都としての昨年、三十年度の取り組みについて伺います。
○浅野人事部長 教員として備えるべき資質に加え、民間企業等の豊かな社会人経験のある優秀な人材を採用し、その能力や経験を教育に活用することは有意義なことと考えております。
これまで採用案内において、社会人経験のある教員のページをつくり、教員採用候補者選考に向けた勉強方法や民間との職場環境の違い、民間経験者から見た教員の魅力などを伝える取り組みを行っております。
また、個別相談会で専用ブースをつくり、社会人経験のある教員が直接相談を受ける機会を設定するなど、民間から教職への道を志す人の不安を取り除き、教職を目指してもらうための取り組みを実施しております。
今後も社会人経験のある者など多様な方々に選考に応募してもらえるよう、教員採用候補者選考のPRに取り組んでまいります。
○栗林委員 経験豊かな社会人採用の教員は、学校内に今まではなかった視点や、運営にも新しい風を送ることも期待できますし、いい意味で触発する機会にもなると思います。
今後もPR活動に力を入れていただいて、個性豊かないろんな教員がいらっしゃるという、そういう多様な経験を持つ優秀な教員を確保するために、一層力を入れていただきたいと思います。
続きまして、医療的ケアを必要とする児童生徒の学習機会の確保について伺います。
長年の念願だった事業がスタートいたしました。医療的ケアを理由にスクールバスに乗車できない児童生徒の通学は、長年の課題でございました。そこを、平成三十年から看護師が乗車する専用通学車両の運行が事業化されました。
都議会公明党は、議会質問や申し入れ等を通して、一貫して求めてきただけに、東京教育庁が、全ての子供たちに学習の機会を与えるこの事業に取り組んでいただいたことは高く評価いたします。
何年か前から教育長、皆様が、通学支援を求める医療的ケアが必要な児童生徒、特に人工呼吸器を必要とする子供たちの声を直接何度か聞いていただきました。
光明学園に通っているA君からは、お母さんが体調が悪いと僕まで学校を休まなきゃいけないんです、僕は勉強したいんです、そして将来は気象予報士になりたいんです、そんな言葉も教育長は直接皆さんから聞いていただいたり、また、まだ小学校のMちゃんは、私は勉強がしたい、そしてユーチューバーになりたいんだって、そんな声も教育長は聞いていただいて、本当にさまざまな課題を乗り越えながら、この事業化、踏み込んでいただきました。高く評価させていただきます。
平成三十年にスタートしたこの事業ですけれども、運行のための取り組みと運行実績について伺います。
○高木特別支援教育推進担当部長 専用通学車両の運行に当たっては、児童生徒の生命、安全の確保を基本として、慎重かつ丁寧に進めてまいりました。
具体的には、約二週間の試運行を平成三十年七月に三校で実施し、九月の事業開始時には乗車の手続、手順、緊急時対応などの必要事項をガイドラインにまとめ、学校に示しました。
また、乗車看護師を確保するため、その職責に見合う処遇改善を図るほか、募集チラシの配布や新聞広告への掲載など、募集活動を強化しております。
事業開始時の平成三十年九月には八校、十四コース、二十四名の乗車だったものが、平成三十一年一月に全校での運行を達成し、令和元年九月末現在、四十七コース、八十二名の乗車となっております。
○栗林委員 車両の手配と看護師さんを配置するまでの準備、大変なご苦労があったと思います。私のところにもたくさんの喜びの声が届いているところでございます。
医療的ケア児の専用通学車両の運行実施により、どのような反響や効果があったのか伺います。
○高木特別支援教育推進担当部長 学校からは、保護者の事情によらずに児童生徒が登校できるようになり登校日数、学習時間が拡充した、公共交通機関利用時に比べて、児童生徒の通学による負担が軽減し集中力が増した、定期的な登校で生活リズムが整ったなど、教育的効果が得られたことが報告されております。
児童生徒の保護者からは、運転しながらケアを行うことに不安を抱えていたが、今は安心して子供を送り出せている、子供が友達や看護師と一緒に通うことで、毎日の登校を楽しみにするようになったといった声が寄せられております。
児童生徒本人からは、外の景色が楽しい、お友達と同じ時間に学校へ行けてうれしいですといった感想をいただいております。
○栗林委員 子供たちにとって、お友達と一緒にいられる、そして一緒に学べる、こういったことが何よりも大事な環境でないかと思います。今後はさらに、さらにもう一歩前に進めていただけるように来年度からも準備をしていただいているようでございますが、一層の支援体制を構築していただきますようお願い申し上げます。
続きまして、小中学校における不登校対策について伺います。
先日発表された二〇一八年度文部科学省調査の結果によりますと、全国の不登校児童生徒数は、小学校四万四千八百四十一人、中学校十一万九千六百八十七人と前年度より小中ともに約一万人増加との報告がありました。中でも、九十日以上の欠席が約五八%と長期の不登校が多いとの報告結果でございました。
都の二十九年度、直近のデータが二十九年ということなので、二十九年度の不登校児童生徒の現状は、小学校三千二百二十六人、中学校八千七百六十二人との調査結果であり、年々増加傾向にございます。
子供たち一人一人の声を受けとめて、求められる学びの場を提供して、少しでも学校生活の楽しさを実感できないものかと対策を講じていただいているところでございます。
都は、教育支援センターにおいて不登校に対する取り組みを始めていますけれども、教育支援センターの目的と、また平成三十年度の状況について伺います。
○増田指導部長 教育支援センターとは、不登校児童生徒の集団生活への適応、情緒の安定、基礎学力の補充、基礎的生活習慣の改善等のための相談、指導を行うことにより、学校復帰のみならず、その社会的自立に資することを目的として、区市町村教育委員会が学校とは別の場所に設置する施設でございます。
平成三十年度には、五十一の区市町において八十カ所に教育支援センターが設置されており、都内公立小中学校の不登校児童生徒の約一八%がこれらの施設において、指導や支援を受けております。
教育支援センターでは、主に元教員など非常勤の職員が教科指導を初め、さまざまな集団活動や体験活動、個別相談など、児童生徒一人一人の実態や地域の特性に合わせた指導、支援を行っております。
○栗林委員 今ご答弁にありました学校復帰のみならずという、ここは大変大事だと思います。学校復帰を目的としてしまいますと、まだなじめていない学校に戻るということが目的にあると、その段階で支援策からも離れてしまうことになります。
教育支援センター機能強化モデル事業では、支援員の配置とか、またタブレットの導入など、対象の区市町村が希望するメニューについて、家庭にいる、出てこられない子供たちに対しても支援をしてきたと聞いています。こういったことが大変重要ではないかと思います。
そこで、教育支援センター機能強化モデル事業の実績、また今後の展開について伺います。
○増田指導部長 モデル事業実施地区からは、タブレット端末を家庭学習や担任との連絡に活用したことで、学習意欲の向上や担任との関係の構築につながった事例、また新たに配置された登校支援員による家庭訪問や心理職による面談により、子供の学校復帰につながった事例などが報告されております。
モデル地区において、平成二十八年度と平成三十年度を比較すると、教育支援センターに通う不登校児童生徒の割合が二〇%から二一・五%へと増加しており、この増加率は都内全体における増加率より高くなっております。
今後、モデル地区における効果的な事例や具体的な成果等について、区市町村教育委員会の担当者連絡会等で周知することにより、教育支援センターの機能強化に向けた取り組みを一層充実させてまいります。
○栗林委員 急激に変化をするということはなくていいと思うんですね。今ご答弁ありましたように、一・五%でも前に進んだということが大事ではないかと思います。やはりこれは持続していただきたい、継続していただきたいと思います。
不登校児、生徒とつながって、受けとめられる環境があるということが重要でございます。各区市町村の取り組みが一層進むようにさらなる支援をお願いしたいと思います。
最後に、パワハラ等、教員からの相談体制についてお伺いしたいと思います。
先日、神戸市で起きた教員のいじめ事件、神戸市立小学校の四人の教員が後輩教員をいじめたという、とんでもない、あり得ない悪質ないじめの実態に世間からの怒りも爆発をしたところでございます。
このような事例は、都では報告されていないと聞いていますけれども、ここまで悪質でなくても、多少の人間関係のトラブルは、どこの職場でも起こり得ることではないかと思います。
むしろ何もないという報告がもしあったならば、その方が、声を上げられない組織にはなっていないか、本当に風通しのよい開かれた環境になっているのか、むしろそこを心配して、丁寧に見ていく必要もあるのではないかと思います。
いずれにしても、学校現場において、ハラスメントなどの人間関係のトラブルを未然に防ぐことが重要ではないかと思います。学校というところは、教員の心が児童生徒に集中して、全ては子供たちのためにという、そういう場で活躍していただかなくてはならないと思います。学校内の人間関係などの問題で、教員の教育に対するモチベーションを低下させるようなことはあってはならないと思います。
そこで、学校においてハラスメント事案の問題があった場合、教員からの相談をどのように受けているか、また、平成三十年度の都立学校の相談受け付け件数を含めてお伺いします。
○浅野人事部長 学校においてハラスメント事案があった場合、教員は当該学校の服務を監督する管理職である校長や副校長に相談することができます。
また、管理職に相談しても解決に至らない場合や相談することがためらわれる場合には、都立学校においては学校経営支援センター、区市町村立学校においては区市町村教育委員会に設置した相談窓口等に相談することができます。
平成三十年度の都立学校のハラスメント相談受け付け件数は、セクハラ一件、マタハラ一件、パワハラ二十九件の合計三十一件でございます。
これらの窓口から寄せられた相談等について、都教育委員会は必要に応じて校長や学校経営支援センター、区市町村教育委員会等を通じて事実関係を把握した上で、指導助言を行うなど、体制を整備しております。
今後も、教育活動が円滑に行われるよう、風通しのよい職場環境を整えてまいります。
○栗林委員 体制は整備していただいているということでございますが、体制はできていても、そこにいえるかいえないか、それを変えていくのには、やはり空気を変えなきゃいけないと思います。何でも相談できる体制が重要です。
悩んでいることを相談すると、解決する力がないのかとか、そういったことから評価が下がるんじゃないかとか、そういうことを考える場合もあるのではないかと思います。また、学校での問題を報告すると、校長の学校経営力が問われるのではないかとか、そういった思いがないとはいえないと思うんですね。
ですから、そういうことを払拭する対策が大事ではないかと思います。余りよくないことであっても、どんどん報告してくださいと、むしろそういう報告をして、みずからその環境を改善しようとする、そういうことが評価される、減点法ではなく加点法で捉えてあげられる、そうした環境づくりが大事だと思います。
問題を小さな段階で報告するところから改善が生まれます。隠し続けると問題が拡大します。子供たちの多くが、多くの時間を過ごすのが学校でございます。明るく伸び伸びと風通しのよい開かれた学びの場所になるよう、全力を入れて取り組んでいただきたいことをお願いいたしまして、質問を終わります。
○舟坂委員 三十年度の教育関係の決算委員会に参加をさせていただく中で、ぱらぱらと決算を見させていただきまして、その中で感じたのは、小池都知事の思いつきや、いわゆる目立ちたがるような提案ではなく、着実に事業を組み立てて進めていると実感もさせていただきました。そのような中で質問をさせていただきたいと思います。
最初は、英語の教科化についてでありますが、先ほど都民ファーストさんから--導入部分については質問がダブりますので、そこは割愛をさせていただきます。
都教育委員会では、計画的に教員をふやして、英語専科指導教員の配置などに取り組んでいるとのことであります。来年度に向けて、さらに指導体制の充実を図ることを期待いたします。
そこで、小学校全科教員の採用選考の中に英語コースがあると聞いております。これはどのような考えのもとに実施し、平成三十年度の実績はどうであったのか、また、英語コース採用者をどのように配置し、活用していくのかをお伺いいたします。
○浅野人事部長 英語コースは、各学校における英語教育の中心を担う人材の確保を狙いとして、平成二十八年度に実施した教員採用候補者選考から設けたものでございます。平成三十年度に実施した選考では、十名が合格し、これまでに合計二十五名が採用されております。
英語コースの採用者は、指導育成体制が整っている区市町村に配置しております。採用一年目は、学級を担任し小学校全科教員として学級経営力等を身につけ、二年目以降は、研究授業を行い成果還元するなど、各教員の英語の授業力向上に寄与しております。
今後、他のすぐれた資質を持つ教員とあわせ、英語専科指導教員として配置するなど、その能力を活用してまいります。
○舟坂委員 大規模校における専科指導教員などについて、特に英語能力のすぐれた教員を活用していこうという考えはわかりました。
この英語コースの採用者には、勤務校のみならず、他の学校などへの支援を行うなど、すぐれた能力をさらに発揮してもらうことも期待がされております。しかしながら、いつの時期か、先々には他校への支援の見直しの時期もあるのではないかとも思います。
一方で、都内には、小学校が約千三百校あります。それぞれの学校において、英語教育を推進していくために、現職の小学校教員の指導力と英語力を向上させていく必要もあります。
そこで、英語指導にたけた教員の確保について、平成三十年度の実績を含めたこれまでの取り組み状況をお伺いいたします。
○浅野人事部長 平成二十八年度から、小学校の教員が新たに中学校英語の教員免許状を取得した場合に、取得にかかった費用を補助する事業を実施しており、平成三十年度は四十五名が免許状を取得いたしました。
同事業は、当初平成三十年度までの三カ年を予定しておりましたが、英語教科化に向け、さらに多くの英語指導にたけた教員を確保するため、期間を令和元年度まで一年間延長し、引き続き取り組みを進めております。
これまでに同事業で合計百七十名が免許状を取得しており、新規採用の時点で英語免許状を取得、所持していた者などと合わせて、令和二年四月には都内小学校一校一人相当の英語免許状所持者を確保できる見込みでございます。
○舟坂委員 令和二年四月には都内小学校一校一人相当の英語免許状所持者を確保できる見込みとのことであります。
どのように配置し、活用するのかをお伺いいたします。
○浅野人事部長 免許状所持者の配置数は、区市町村ごとに偏りがございます。異動を通じ人事交流の活性化を図り、英語指導にたけた教員をバランスよく配置してまいります。
また、英語専科指導教員を希望する人材を活用する目的で、今年度から小学校英語専科教員公募を新設いたしました。意欲及び能力の高い人材の情報を収集し、適材適所に配置することで、実態に応じた英語教育を推進してまいります。
○舟坂委員 令和二年度から始まる小学校英語の教科化などに向け、教員の働き方改革にも配慮しながら、都教育委員会がさまざまな取り組みをされています。大いに期待をいたします。
しかしながら、小学校の子供たちが英語に興味を持ち、英語力を身につけ、世界で活躍できる人材に育ってほしい、そのような願いも皆様にお知らせもさせていただきたいと思います。
次は、学校リーダー育成プログラム事業についてお伺いをいたします。
今回、平成三十年度の決算説明書の中から、執行率の低い事業について幾つか質問をさせていただきたいと思います。
決算説明書六三ページの学校リーダー育成プログラム事業について、文字どおり学校におけるリーダー層の育成を行っているものとも思われます。社会状況の変化に伴い、学校の教育課程もさまざま変化しております。これらの課題の解決を図っていくためには、教育管理職や将来教育管理職になる教員たちのマネジメント力を高める必要があります。
本事業において、マネジメント力を高める取り組みをどのように行っているのかなどを確認させていただきます。
まず、学校リーダー育成プログラム事業の目的及び執行率が低い理由についてお伺いをいたします。
○浅野人事部長 学校リーダー育成プログラム事業は、将来管理職としての活躍が期待される教員を対象に、リーダーとしての資質、能力を高め、学校マネジメント能力の育成を図る研修でございます。
本事業は、区市町村教育委員会や学校経営支援センター等が行う学校マネジメント講座と都教育委員会が実施する学校リーダー育成特別講座とで成り立っております。
学校マネジメント講座は、マネジメントの基礎を学ぶもので、平成三十年度は主任教諭以上の教員三百八十七人が受講しております。
また、学校マネジメント講座修了者のうち、区市町村教育委員会や学校経営支援センター等から推薦された者を対象に、宿泊研修、企業訪問を含む年間三回にわたる学校リーダー育成特別講座を実施し、百四十人が受講しております。
なお、学校リーダー育成特別講座は、運営に係る業務を委託しており、予算額に対し契約額は五一・三%と、落札差金が発生したため執行率が低くなっております。
○舟坂委員 学校リーダー育成プログラム事業において、区市町村教育委員会、都教育委員会が役割分担をしながら、系統的に若手教員のうちから学校マネジメント能力を高めた将来のリーダーの育成を目指しているということがわかりました。
次に、都教育委員会が実施する学校リーダー教育特別講座は、運営にかかわる業務を民間企業に委託しているとのことです。その効果についてお伺いをいたします。
○浅野人事部長 学校リーダー育成特別講座は、価格だけで競争させる一般競争入札とは異なり、価格競争に加えて、事業者からの提案内容も踏まえた総合評価方式により受託者を選定しております。
受託者の持つ人材育成に係る研修のノウハウを活用し、講座の企画及び運営支援、企業でマネジメントの実践経験のある外部講師の招聘、研修の一環として行う企業の訪問先の選定等を委託することで、本講座の質を高めることにつながっております。
○舟坂委員 都教育委員会が運営にかかわる業務を委託することで、民間事業者の知見を生かして、研修講座を運営しているんだなと確認はできました。
私は、学校管理職に求められる資質は、教科の指導に関する力と学校を経営していく力の二つがあると思っております。教科に関する力は十分でも、多様化する教育課題に対して、学校管理職は十分に対応できているのかと疑問もあります。神戸市立小学校の事案も、背景には校長の学校マネジメントが十分でなかったとの報道もあります。
しかし、現行制度の下では、民間人が校長とは別の立場で各学校のマネジメントを行うことは難しい。それならば、民間企業のノウハウを取り入れて、若いうちからマネジメント能力を身につけることで、学校管理職になったとき、企業マネジメントの視点から、課題解決に取り組むことができれば、学校教育の諸課題の改善に向けて前進することになるのかなとも思います。
そこで、本講座において、民間企業のマネジメントをどのように学んでいるのかをお伺いいたします。
○浅野人事部長 学校リーダー育成特別講座では、企業で経験を積んだ外部講師の講義等により、民間企業における組織運営、人材育成のコーチング、危機管理等について学んでおります。
また、そうした組織マネジメントのノウハウを生かし、学校現場における課題に対してグループで解決策を協議し、学びを深めております。
さらに、民間企業への訪問を通じて、現在、企業で組織運営や事故対応等を行っている管理職から実例を直接聞くことにより、マネジメント力を高めております。
○舟坂委員 受講生が企業マネジメントについて、企業で経験を積んだ外部講師による講義や民間企業への訪問を通じて学んでいることがわかりました。それは言葉をかえれば、都教育委員会では今の現状に対応できないことと教育委員会が理解しているともいえます。若いうちから民間の視点や発想を育成していくことは、学校の課題解決に非常に有効なのだろうとも思います。
そこで、本講座においてさまざまなマネジメントの視点がある中で、民間の視点を取り入れた研修内容の充実について、都教育委員会の考え方をお伺いいたします。
○浅野人事部長 これからの学校リーダーを育成していくためには、民間企業の取り組みや組織マネジメントの手法を学校現場に生かしていくことが重要であり、都教育委員会はこれまでも本講座の研修内容の充実を図ってまいりました。
今年度は研修のまとめとして、所属校での実際の職務の中で組織マネジメントの手法を具体的に実践し、課題解決に向けた取り組みを行っております。
今後、多様化、複雑化する職場の課題に対応できる力を身につけられるよう、講座内容をさらに充実させてまいります。
○舟坂委員 学校現場におけるさまざまな課題に対応していくためには、企業マネジメントの視点を生かして、管理職が学校経営を行うことが重要でもあります。
そのためにも、将来の管理職となる学校リーダーを若いうちから育成し、マネジメントの視点を持った管理職が多く輩出されるよう、研修内容を柔軟に見直しながら運営に取り組まれるよう要望をいたします。
次に、マイ・キャリア・ノートについてお伺いをいたします。
グローバル化や情報化が急速に進展し、子供たちを取り巻く社会は大きく変化をしております。学校教育には、子供たちがこれからの時代に対応できる力を育むことが求められており、その役割を果たすべく、教員の資質向上、指導力向上が非常に重要と考えます。
そこで、都教育委員会ではこれまで人材育成をどのように進めてきたのかをお伺いいたします。
○増田指導部長 都教育委員会は、平成二十年に東京都教員人材育成基本方針、OJTガイドライン、校長、副校長等育成指針を策定し、改定を重ねつつ、教員の育成を図ってまいりました。
その後、平成二十九年に東京都公立学校の校長、副校長及び教員としての資質の向上に関する指標を策定し、教員みずからが生涯にわたって職層や経験に応じて必要な資質の向上に努められるようにいたしました。
また、この指標を踏まえた東京都教員研修計画を策定し、意図的、計画的な人材育成に取り組めるようにいたしました。
○舟坂委員 平成二十年から計画的に人材育成を行ってきたとのことですが、東京都教員研修計画について、具体的な内容をお伺いいたします。
○増田指導部長 都教育委員会は、ご指摘の研修計画で職層や経験年数に応じて、OJTとOff-JTのそれぞれで必要な研修の内容や自己啓発に活用できる資料等を示しております。
また、この研修計画をもとに、区市町村教育委員会においても若手教員育成研修や中堅教諭等資質向上研修などの研修を企画、運営することにより、教員のキャリアに応じた人材育成を推進できるようにいたしました。
さらに、各学校において校長が、この研修計画をキャリアアップの一例として自己申告の面接等の機会に活用することにより、教員一人一人が資質、能力向上に向けての意識を高め、計画的に研修や自己啓発に取り組めるようにいたしました。
○舟坂委員 教員一人一人が資質、能力向上に向けて意識を高めることは重要であり、そのための支援ツールとしてのマイ・キャリア・ノートは有効だと思います。
そこで、マイ・キャリア・ノートの目的と内容についてお伺いをいたします。
○増田指導部長 都教育委員会は、教員がそれぞれのキャリアに応じて、計画的に研修や自己啓発に取り組み、生涯にわたって主体的に資質向上を図ることを目的として、平成二十九年度に教員がみずからの研修計画を立てる支援ツール、マイ・キャリア・ノートを開発いたしました。
本ツールでは、研修受講の申し込み、みずからの研修履歴の確認、指導資料などの教育情報の閲覧などが可能となっております。
○舟坂委員 マイ・キャリア・ノートを開発したということですが、平成三十年度にどのような改善をしたのかをお伺いいたします。
○増田指導部長 平成三十年度には、効率的、効果的な研修を構築するため、マイ・キャリア・ノートを通して動画視聴ができる環境を新たに整え、四月一日から合計五十六本の動画の配信を開始いたしました。
さらに、新しい学習指導要領に対応するため、各教科等の改訂のポイントをまとめた研修動画を平成三十年度中に新たに二十六本作成し、平成三十一年四月一日から配信しております。
○舟坂委員 教員が生涯にわたって主体的に資質、能力を向上していくための環境が整備されて進めておることがわかりましたが、本来はマイ・キャリア・ノートとともに人が人を育てる、校長先生や先輩教員、PTAの親の皆さん、そして教えているはずの子供たちが教員を育てる、そのような時代もあったのかなとも思います。
都教育委員会には、今後とも教員の人材育成に関する取り組みを充実されるよう期待をいたします。
次に、小中学校における不登校対策についてお伺いをいたします。
若干、公明党さんの質問にも重なる部分がありますが、お許しをいただきたいと思います。
これまで我が党は、不登校の児童生徒の多くが教育的支援を十分に受けられていないことを大きな問題として捉え、都として不登校の児童生徒に対する取り組みの充実に向け、区市町村を支援していくことが重要であると主張をしてまいりました。
去る十月十五日に文部科学省は、全国の平成三十年度の不登校の状況を公表しました。全国の公立小中学校の不登校の子供は十六万四千五百二十八人と、昨年度の十四万四千三十一人を大きく上回っていることが明らかになりました。
そこで、都内公立小中学校における不登校の児童生徒の実態についてお伺いをいたします。
○増田指導部長 平成三十年度、都内公立小中学校で三十日以上欠席した児童生徒のうち、不登校を理由とするものについては、小学校で四千三百十八人、中学校で九千八百七十人でございまして、平成二十五年度以降、増加傾向にございます。
○舟坂委員 不登校の子供が増加しているとのことですが、不登校の原因や背景について、都教育委員会としてどのように考えていらっしゃるかお伺いをいたします。
○増田指導部長 子供たちを取り巻く環境や状況はさまざまであり、本人の不安や家庭に係る要因、学校における友人関係の問題や学業不振など、不登校の要因は多様かつ複合的でございます。
こうしたことから、不登校児童生徒への支援に当たっては、学びの継続や社会的自立に向け、一人一人の状況に応じた対策を講じることが求められていると捉えております。
○舟坂委員 都教育委員会は、不登校対策について具体的にどのような取り組みを行っているかをお伺いいたします。
○増田指導部長 都教育委員会は、不登校の未然防止や早期対応の視点から、教員が不登校の要因や背景を正しく理解し、児童生徒への適切な支援ができるようにするためのガイドブックを作成し、全ての都内公立小中学校へ配布いたしました。
また、平成二十九年度から三年間、不登校の子供に対する在籍校への復帰や社会的自立への支援を目的として、区市町村が学校以外の場に設置する教育支援センターの機能強化に向けたモデル事業を実施しております。
さらに、不登校が長期化している子供の多様な学びの機会を確保するため、学校への移行を前提とした分教室の形の特別な教育課程による不登校特例校の仕組みを整備し、区市町村における設置に向けた取り組みを支援しております。
○舟坂委員 わかりました。教育支援センターはいつから設置されているのか、また設置当時の不登校の要因と支援の取り組みについてもお伺いいたします。
○増田指導部長 都内における教育支援センターは、平成二年度から適応指導教室の名称で設置が開始されました。当時、文部科学省は不登校を登校拒否と表現しており、その実態に関する調査では、登校拒否の主な対応として、本人の無気力や不安など情緒的混乱、遊び、非行などが挙げられておりました。
こうしたことから、適応指導教室では、登校拒否の児童生徒に対し自立を促し、学校生活への適応を図るためにさまざまな指導、支援が行われておりました。
○舟坂委員 わかりました。現在、教育支援センターではどのような取り組みを行っているのか、また、都内における教育支援センターの設置数と子供の利用状況をお伺いいたします。
○増田指導部長 教育支援センターでは、主に元教員など非常勤の職員が教科指導を初め、さまざまな集団活動や体験活動、個別相談など、児童生徒一人一人の実態や地域の特性に合わせた指導や支援を行っております。
平成三十年度には、五十一の区市町において八十カ所に教育支援センターが設置されており、都内公立小中学校の不登校児童生徒の約一八%がこれらの施設において、指導や支援を受けております。
○舟坂委員 教育支援センター機能強化モデル事業の内容についてお伺いをいたします。
○増田指導部長 ご指摘の事業は、区市町村における不登校児童生徒に対する指導の充実を目的として、平成二十九年度から三年間、十一の自治体を対象に実施しているものでございます。
具体的には、教育支援センターにおける人材の配置、職員の指導力向上、施設設備や学習環境の充実等の複数のメニューの中から、対象の自治体が希望する事業に対して支援を行うものでございます。
○舟坂委員 それでは、このモデル事業の成果についてお伺いをいたします。
○増田指導部長 平成二十八年度と平成三十年度の調査結果を比較すると、モデル地区においては、教育支援センターに通う不登校児童生徒の割合が二〇・〇%から二一・五%へと増加しており、この増加率は都内全体における増加率より高くなっております。
この結果は、モデル事業によって、教育支援センターの支援体制が整備されるなど、児童生徒が通いやすい状況になってきたためと捉えております。
また、モデル地区からは、本事業を活用して新たに配置された登校支援員による家庭訪問や心理職による面談により、子供の学校復帰につながった事例や、タブレット端末の導入により、子供の学習意欲が向上した事例などが報告されております。
○舟坂委員 モデル事業を行っている地区では、教育支援センターの体制が強化されたり、学習環境が整備されたりするなど、不登校の子供たちを支援する取り組みが充実してきたことが理解できました。
でも、現実は、小中学校で三十日以上の欠席者、児童はふえております。私たちが気づかない何かがあるのかとも考えます。一緒にまた取り組んでいきたいとも思います。
教育支援センターは、学校に行きづらい子供や、なかなか行くことができない子供にとって、よりどころとなる重要な役割を担っております。今後も都教育委員会には、各区市町村の教育支援センターの機能充実に向け、取り組みを一層支援していただくことを願います。
次は、企業と連携したプログラミング教育推進モデル事業についての質問をさせていただこうと思いましたが、先ほどこの質問が終わりましたので、これは割愛をさせていただきます。
次に、学校マネジメント強化モデル事業についてお伺いをいたします。
学校を取り巻く環境は複雑化、多様化し、予見が困難な時代になっております。
そのような中で、学校教育の質を高めていく観点から、マネジメント職である校長、副校長の役割は重要であります。一方で、副校長には校務が集中し、多忙からマネジメント職としての役割を十分に果たせない状況も指摘をされております。
そこで、副校長が学校経営により集中できる環境を整備することで、学校のマネジメント力を強化する学校マネジメント強化モデル事業について、その実績と成果をお伺いいたします。
○浅野人事部長 副校長の負担を軽減し、学校経営等に集中できる環境を整備するため、平成二十九年度から、副校長を補佐する非常勤職員を学校に配置する学校マネジメント強化モデル事業を実施しております。
本事業では、平成二十九年度は小中学校十二校、三十年度には小中学校百二十校、さらに今年度は都立学校十四校にも対象を拡大し、検証を進めております。
これまでの検証では、副校長が学校経営や人材育成など本来業務に使う時間が増加した一方で、勤務時間全体では縮減が図られるなど効果が確認されております。このことは、副校長自身のやりがいにつながっているだけでなく、一般教員においても副校長職のイメージ向上に役立っております。
○舟坂委員 本事業は副校長のイメージ向上にもつながっているということで、学校管理職のなり手不足などの対応としても期待がされます。副校長の負担軽減をより効果的に進めていく上では、この事業で学校に配置された非常勤職員が担っている業務内容に着目することも重要であると考えます。
そこで、これまでの本モデル事業の検証結果として、当初本事業において都が想定していた非常勤職員の業務と実際に学校で非常勤職員が担った業務について、どのような結果が出ているかをお伺いいたします。
○浅野人事部長 当初、都教育委員会では、本事業における非常勤職員の業務内容について、調査の集計作業や教員の出退勤の整理、施設管理などを想定しておりました。
モデル校における検証では、想定していた業務に加え、非常勤職員が副校長の代理としてPTAや地域との打ち合わせに参加したり、軽微な行政機関対応を行うなど、さまざまな業務に活用されております。
また、副次的な効果として、対外調整の方向性や業務のスケジュール等について非常勤職員の意見を聞くことで、副校長が見通しを持てるようになり、心理面を含めた負担軽減につながっているとの声もございます。
○舟坂委員 モデル事業の結果、非常勤職員を配置することで、都の当初の想定以上にさまざまな役割を果たしていることが理解できました。引き続き配置人材の活用方法の検証を進めていただきたいと思います。
さらに、本事業では、多岐にわたる副校長の業務を扱う必要があり、どういった人材が副校長の補佐を行うかも重要であると考えます。副校長の業務負担を軽減する観点から、さまざまなキャリアの人材を生かしていくことが考えられると思います。本事業での非常勤職員の任用について、現状をお伺いいたします。
○浅野人事部長 本事業では、多岐にわたる副校長の業務を即戦力として効果的に補佐する観点から、学校や行政の実務に通じた者の配置を想定しております。
非常勤職員の任用は、学校設置者である各教育委員会が地域や学校の実情に応じて行っており、実態としては、元教育管理職や教員、行政経験者、民間経験者など、さまざまなキャリアの者が任用されております。
今後は、モデル校における実績をもとに、配置人材のキャリアによる副校長の負担軽減効果の違いなどについても検証していくこととしております。これらの検証結果を踏まえて、本事業の効果的な活用の促進に努めてまいります。
○舟坂委員 学校マネジメント強化モデル事業は、今後さらに検証を進め、副校長のマネジメント力を引き出していくとのことで、引き続き取り組みを着実に進めてもらいたいと思います。
ところで、本事業は、元教員、管理職など、即戦力として活用することを想定した事業ということですが、一方で、将来的に学校における働き方改革やマネジメントの充実を考える中で、私は、古い世代の経験を生かすだけではなく、若手を配置し、育成していくという発想も必要であると考えます。
そのようなことも含め、今後、柔軟な発想で学校教育の質の向上に取り組んでいただきたいと思います。
次に、SNSを活用した教育相談体制の確立についてお伺いをいたします。
人間が生きていく上で悩みはつきものであり、子供たちも一人一人異なる悩みやストレスを抱えております。もとより、そうした悩みを克服していくことが心身の成長過程においては必要とも思います。
一方で、子供の抱える悩みや不安の深刻化を防止する観点から、教育相談体制の拡充が求められており、子供にとって相談しやすい体制を構築することは重要であると思います。
SNSを活用した教育相談における昨年度の取り組みと実績、またその成果を踏まえた本年度の取り組みについてお伺いをいたします。
○増田指導部長 子供たちが抱える不安や悩み等について、外部の相談窓口に一層気楽に相談できるようにするため、都教育委員会は昨年の八月二十五日から九月七日までの二週間、都立高校生を対象にSNSを活用した教育相談を試行的に実施いたしました。
その結果、この間に三百十五件の相談が寄せられました。これは、同時期の都教育相談センターにおける高校生からの電話相談の約三倍に当たり、SNSが若者にとって相談しやすいツールであることがわかりました。
今年度は、こうした試行の成果を踏まえ、対象を都内に在学する全ての中高生に広げるとともに、四月一日から通年で相談を受け付けるなど体制の拡充を図って実施しております。
○舟坂委員 子供たちの抱える悩みは、大人の悩みと異なり、いじめの問題や虐待など、解決の時期を失えば、その後の人生にも大きく影響するような取り返しのつかない事態になる可能性もあります。
ほんの数年前までは、SNSを活用することは考えられなかったと思います。まさにSNSの活用は始まったばかり。都教育委員会には、引き続き相談体制の充実に努めていただきたいと思います。
次に、都立高校生等のボランティアマインドの醸成についてお伺いをいたします。
今後、多様性が進む東京において、共生社会を実現させるためには、これからの社会を支える若者一人一人が相手の立場を理解し、優しさや思いやりの心を育んでいくことが重要であります。
そのために何をすべきかを考えて行動するボランティア活動を高校生が経験することによって、生涯にわたって社会貢献の意識を培養することは大切なことであります。二〇二〇オリンピック・パラリンピック開催は、ボランティアマインドを育成する絶好の機会とも考えます。
そこで、都立高校生等にボランティアマインドを醸成するための東京都教育委員会の取り組みについてお伺いをいたします。
○増田指導部長 これまで都教育委員会は、都独自の教科、奉仕や同教科を発展充実させた人間と社会を設置し、多様なボランティア活動等を体験活動に位置づけ、共生社会の担い手となる生徒のボランティアマインドを醸成するための取り組みを推進してまいりました。
また、平成二十八年度からオリンピック・パラリンピック教育の一環として、東京ユースボランティア・バンクを開設し、都内公立学校にボランティア情報を発信するとともに、平成二十九年度に都立高校六校をボランティア活動推進校に指定し、推進校それぞれが編成したボランティアサポートチームの活動を支援しております。
さらに、全都立高校等の代表が参加するボランティアサミットを開催し、推進校の生徒による発表やそれに基づいた生徒同士のグループディスカッションを通して、先進的な取り組みの共有などを行っております。
今後とも、各校のボランティア活動の一層の充実を図り、卒業後も地域や企業等でさまざまな社会貢献活動に参画できる人材の育成を図ってまいります。
○舟坂委員 東京都教育委員会がボランティアマインドの醸成に向けて取り組んでいることはわかりました。
しかしながら、予算の執行率が三七%となっております。決算説明書九三ページ、都立学校におけるボランティア活動の充実事業の執行率が低い理由についてお伺いをいたします。
○増田指導部長 ご指摘の事業は、ボランティア推進校六校の取り組みをサポートするための経費のほか、全都立高校等の代表生徒がボランティアについて考える都立高校生等ボランティアサミットを開催するための会場費等の経費や、生徒の同サミットへの参加や関係生徒が準備を行うための旅費を計上しておりました。
このうち、当初単独で開催を計画していたボランティアサミットをオリンピック・パラリンピックと関連づけて、高校生のボランティア活動への機運醸成をより一層図る大会として充実強化させるため、別途予算化していたオリンピック・パラリンピック教育シンポジウムと合同で開催することで、会場使用料等の経費について縮減を図ることができました。
また、同サミットの準備のための参加生徒の交通費についても、打ち合わせを効率的に行うことで、招集する回数も削減し、旅費の支出が少額となっております。
こうしたことから、都立高校におけるボランティア活動の充実事業の執行率が低くなっております。
○舟坂委員 オリンピックなどのボランティアは、ある意味では花形であり、話題性のあるボランティアであり、中には非常に目立たない地味なボランティアもあるでしょう。
ボランティアの意味を理解し、生徒が高校などを卒業した後でも、学校で身につけたボランティアマインドを持って地域社会を支える担い手となり社会に貢献できるよう、引き続き教育委員会による支援をお願いいたします。
次に、都立専門高校へ第一志望でなく入学した生徒の対応についてお伺いをいたします。
昨年度の入学選抜最終応募状況では、商業高校の最終応募倍率は〇・九九倍、工業高校では〇・九三倍と一部の学校では一倍を大きく割っております。
さらには、専門高校の先生方によれば、やむなく入学した生徒は、その後の学校生活を充実させる意欲も少ないため、途中で進路変更することも少なくないとも聞いております。
そこで、第一希望ではなく入学した生徒が専門高校を卒業していくためには、入学後、できるだけ早く学校生活に適応し、専門高校の授業等に専念できるようにする必要があると考えます。
都立の専門高校に第一希望ではなく入学した生徒に対して、専門高校で学ぶことの魅力を感じさせる、高校と都教育委員会の取り組みについてお伺いをいたします。
○増田指導部長 都立専門高校では、入学後の早い時期に個人面談や新入生オリエンテーションなどを実施し、学校への所属意識を高める取り組みを行っております。
また、義務教育段階の学習内容の習熟が十分でない生徒に対しては、立ち戻って丁寧に学習指導を行い、生徒一人一人の基礎学力の定着を図るとともに、外部人材等を活用したキャリアガイダンスを実施するなど、専門学科の授業への興味や関心を高める工夫をしております。
都教育委員会は、工業高校で実施する第一学年の生徒を対象とした熟練技能者による高度な技術の実演や、ものづくり企業への現場訪問及び商業高校における企業と連携したビジネス活動を実地に学ぶ事業などを支援し、生徒のものづくりやビジネスへの興味、関心を高める取り組みを推進しております。
○舟坂委員 私はテニスを以前は一生懸命やっておりまして、そのころ、いわゆる夜学の都立高校の先生が仲間におりました。テニスの休憩中に学校の話をお伺いすると、それぞれの事情を持ちながら、卒業させ、就職させるまでの話をかみしめるような語り方でお伺いをいたしました。まさに子供たちとの時間を楽しみ、ともに育っていく、そんな教育であったんだなとも感激をいたしました。
専門高校は、ものづくりやビジネスに興味や関心を持って入学した生徒に知識や技術、資格を習得させることはもちろんでありますが、第一希望ではなく入学した生徒に対しても、丁寧な学習指導や専門学科の授業への興味や関心を高めることを通して、職業意識を育成し、意欲を持たせ、卒業させることができるように、引き続き学校への支援をお願いいたします。
次は、部活動についてお伺いをいたします。
都立高校における部活動の充実に向け、どのような取り組みを行っているのかをお伺いいたします。
○瀧沢指導推進担当部長 部活動は、好ましい人間関係の構築や自己肯定感、責任感、連帯感、創造性の涵養に資するなど、教育的な意義が大きく、人間形成や健全育成の面で有益な教育活動であります。
都教育委員会は、平成三十年度、東京二〇二〇大会の開催を契機として、全国大会や関東大会出場を目指す第二期スポーツ特別強化校を四十校、令和四年度開催の全国高等学校総合文化祭東京大会に向けて、文化部活動推進のパイロット的な役割を果たす文化部推進校を十八校、それぞれ指定いたしました。
さらに、専門性の高い部活動指導員を配置するなどして、部活動の活性化を図ってまいりました。
○舟坂委員 部活動の充実に向けた具体的な取り組みと成果についてお伺いをいたします。
○瀧沢指導推進担当部長 運動部活動においては、スポーツ特別強化校として、全国大会や関東大会出場を目指し、競技力の向上を図るために二十九校四十六部、競技人口の少ない運動部活動を普及、育成するために十一校十二部を指定し、専門性の高い外部指導者の配置や練習用具、器具の充実に加え、他県で行う交流試合の遠征費等の支援を行ってまいりました。
こうした取り組みを通じ、第一期スポーツ特別強化校指定前の平成二十六年度と比較いたしますと、全国大会及び関東大会に出場した学校数や上位に入賞する生徒数が増加するなど、競技成績が向上しております。
また、文化部活動では、推進校の先導的取り組みにより、都立学校生の令和元年度全国高等学校総合文化祭佐賀大会の活躍として、五十一校が出場を果たし、同大会において最優秀賞を四校が受賞するなど、顕著な成績を出しております。
○舟坂委員 今、都立高校が佐賀大会に五十一校出場して、すばらしい活躍--子供たちも大変に部活動の充実については喜んでいるんだろうなとも思います。
今後、都立高校における部活動のさらなる活性化に向け、具体的にどのように取り組んでいくのかをお伺いいたします。
○瀧沢指導推進担当部長 今後、スポーツ特別強化校による実践報告会を開催いたしまして、トップレベルの指導者による講習を実施したり、東京の多彩で奥深い芸術文化の魅力を国内外に発信するTokyo Tokyo FESTIVALへの文化部推進校等の参加を促したりしてまいります。
また、部活動指導員を対象とした研修会を実施して指導力の向上を図るなどして、都立高校における部活動の活性化に取り組んでまいります。
○舟坂委員 文化部活動の充実においては、令和四年度開催の全国高等学校総合文化祭東京大会の位置づけが非常に重要だと考えます。
東京大会の開催に向けた取り組みと東京大会後の文化活動の充実についてお伺いをいたします。
○瀧沢指導推進担当部長 今後、文化部推進校における文化部活動の魅力や実践事例を都内全校に普及啓発するとともに、大会開催に向け、全国高等学校総合文化祭生徒委員会の取り組みを通して、生徒が創造性を発揮できるよう活動の充実を図ってまいります。
また、全国高等学校総合文化祭東京大会後、取り組みや成果を全国に広く周知するほか、学校同士で活動する機会を設けるなどして、芸術文化の継承や発展に貢献できる人材の育成に向けて、文化部活動の推進に取り組んでまいります。
○舟坂委員 令和四年度開催の全国高等学校総合文化祭東京大会、その後も引き続き大きな予算をつけて進められるよう要望をいたします。
最後の質問に移らせていただきます。
文化財情報の外国人旅行者への提供についてであります。
東京を訪れる外国人旅行者が急増しております。東京オリンピック・パラリンピックの開催を来年に控え、さらなる外国人旅行者の増加が期待されます。
東京には多くの文化財があり、これらを活用し、日本の歴史や伝統文化を伝えることは、繰り返し来訪する外国人旅行者の確保や新たな外国人旅行者の獲得につながると思います。
そこで、東京都における文化財の保存及び活用に関する基本的な考え方をお伺いいたします。
○太田地域教育支援部長 文化財は、我が国の歴史、文化等の正しい理解のために欠くことのできないものであり、かつ将来の文化の向上、発展の基礎をなすものでございます。
都教育委員会は、文化財が適切に保存されるよう、必要な経費に対する補助の実施や保存及び活用に係る専門的、技術的な指導を行い、文化財が広く一般に公開され、都民に活用されるように取り組んでおります。
○舟坂委員 文化財を積極的に公開することは重要であります。こうした文化財について、外国人旅行者が情報を得たり、内容を理解できたりすることが必要であります。
都では、文化財情報の外国人旅行者への提供に関する事業を実施しておりますが、具体的な内容についてお伺いをいたします。
○太田地域教育支援部長 都教育委員会では、外国人旅行者等が都の文化財に関する情報に簡単にアクセスできるよう、英語のほか、中国語や韓国語により都内文化財の検索ができるホームページを開設しています。
また、都内の文化財をめぐるモデルコースを案内するパンフレットの英語版を作成し、都内の観光案内所やホテル等に配布しております。
加えて、都が指定する文化財には、日本語と英語の説明板を設置するとともに、QRコードを利用して、中国語や韓国語の説明ホームページが閲覧できるようにしております。
今後も、東京の文化財への理解が進むよう、積極的に文化財情報を外国人旅行者に対して発信してまいります。
○舟坂委員 しかしながら、まあ、しかしながらといういい方は申しわけありませんが、平成三十年度決算の執行率が二五%と低い理由についてお伺いをいたします。
○太田地域教育支援部長 都内の文化財をめぐるモデルコースを案内するパンフレットの英語版の作成について、配布先の希望に基づき必要数を作成しておりますが、平成三十年度については、増刷する必要がなかったことから、これに要する予算を執行いたしませんでした。
また、文化財検索サイトの多言語対応について、翻訳後のデータを再点検するため、外部に委託を行うこととしておりましたが、契約不調となったため、予算の執行を取りやめました。
本年度につきましては、事業の見直しや効率化を図るとともに、パンフレットについては必要数を精査し、適切な予算計上に努めております。
○舟坂委員 文化財を初め多くの施設の案内表示などは、英語のほか、中国語や韓国語の対応にとどまっております。今後はアジア圏以外の旅行者も視野に入れた対応が必要と思います。
ある市では、ボランティアガイドが十数カ国語のボランティアガイドをそろえている、雇っているわけじゃなくて、そのときにお願いをする、そういう市もあるわけですから、東京のさらなる魅力向上に向けて、ヨーロッパなどさまざまな言語への対応を求め、質問を終わります。ありがとうございました。
○大松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時十七分休憩
午後三時三十五分開議
○大松委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○里吉委員 それでは、私からはまず初めに、時間講師の任用と給与の支払いについて伺ってまいります。
資料を用意していただきましてありがとうございました。資料の一番最後のところに、時間講師の任用事務手続を載せていただきました。今回は、都内公立小中学校に限ってお話をしていきたいと思います。
都内公立小中学校、高校、特別支援学校では、時間講師、いわゆる非常勤の先生方が働いています。ことしの七月一日現在でも、六千九十七人の方が任用され、一週間に受け持つ授業時間数が一時間から十一時間の方が二千五百八十三人、十二時間から十九時間の方が二千百三十一人となっています。さらに、二十時間から二十六時間と正規の先生並みの授業時間数を教えている方も千二百八十三人いらっしゃいます。
本日は、主に小中学校の時間講師について伺ってまいります。
まず、時間講師は、都内公立学校での教育の中で重要な役割を果たしていると思いますが、都教育委員会の皆さんの認識を伺います。また、時間講師は、どのようなときに任用されるのでしょうか、あわせて伺います。
○浅野人事部長 時間講師は、常勤の教員と同様に授業を行っており、児童生徒に対する教科の指導において、教育上重要な役割を担っていると認識しております。都教育委員会は、各学校に配置した教員の授業時数が講師時数算定上の授業持ち時数を超える場合や、教務主任等を担当する教員の持ち時数を軽減する場合、また病気休暇や初任者研修の実施に伴い、後補充を行う場合などに時間講師を任用しております。
○里吉委員 教育上重要な役割を担っているとのことでした。
ご答弁いただいたとおり、時間講師の先生は、中学校などで教科の先生がその学校に必要な全ての授業時間数を教え切れないときなどに足りない部分に入っていただく。また、教務主任や主幹、司書教諭などの時数軽減や初任者研修、二年次研修などで先生が授業を抜けるとき、また病気休暇の先生のかわりなどで授業に入ってくださっています。
時数軽減の対象となる正規職員は、どの学校にも必ずいますし、今、教員採用がふえ、研修に出る先生方もたくさんいらっしゃいます。まさに東京の公立学校は、時間講師の先生なくしては子供たちの教育ができません。本当に重要な役割を担っていただいていると思います。
次に、時間講師の報酬の予算及び決算、執行率を伺います。
○浅野人事部長 平成三十年度の時間講師の報酬については、小学校は、予算額が六十六億八千八百万円、決算額が五十七億一千三百万円、執行率が八五・四%でございます。
中学校は、予算額が四十四億七千九百万円、決算額が四十二億八千五百万円、執行率が九五・七%でございます。
○里吉委員 執行率がそれぞれ小学校で八五・四%、中学校で九五・七%とのことでした。
その報酬、給与にかかわることですが、学校で重要な役割を担ってくださっている時間講師の皆さんの給与の遅配があるということを伺っています。私たちの会派でもご相談をいただくことがあるのですが、自治体が雇用する職員の給与が期日どおりに支払われないなどということがあるのかと、初めて聞いたときには本当に驚きました。
資料でも出していただきましたが、時間講師の任用と給与の支払いの仕組みについて説明させていただきますと、時間講師は学校で探すことになっていますので、例えば四月一日から任用する場合、三月中には学校で面接をして、では四月一日から一年間、週何時間の授業をお願いしますということで採用されるわけです。そして、書類を整えて、学校から区市町村教育委員会に採用具申を上げる。区市町村教育委員会から、都教育委員会に採用内申を上げる。そして都教育委員会で四月一日付の発令通知書を正式に交付し、それが区教育委員会、学校を経由して、ご本人に届くという仕組みになっています。
そして、四月一日ではなく、四月の途中で採用される場合もありますので、四月分の給与の支給は、四月八日までに書類が都教育委員会に届けば五月七日、十二日までに届けば五月十三日にされるということになっています。十二日以降に届くと五月分の給与と合わせて六月五日になるそうです。そして四月一日に採用された方は、通常五月七日に支払われます。
ところが、それが支払われない、結局六月になってしまった、生活があるのにどうなっているのかという相談が時々あるわけです。
そこで、給与の遅配はあってはならないことだと思いますが、改めて認識を伺います。
○浅野人事部長 報酬の遅配は、講師の生活に影響を及ぼしかねないものであり、その発生を防止することが必要と考えております。このため、都教育委員会では、区市町村教育委員会に対して、遺漏なく任用事務手続を行うよう周知するとともに、区市町村教育委員会から採用の内申を受理した後、速やかに報酬支払いの手続を行っております。
○里吉委員 講師の生活に影響を及ぼしかねないという認識、あってはならないことだと考えていらっしゃるというふうに捉えたいと思います。
最近では、四月一日から週二十一時間の約束で採用されたのに、実際の通知が来たら、一日からの任用は十三時間、十日からが六時間、十六日からが二時間となっていた、そして給与も、五月七日には十三時間分しか支給されず、あとは五月十三日と六月になったという相談をいただきました。さらにこの方の場合は、給与支給がおくれただけでなく、二十一時間のうち八時間については、任用開始が四月十日と十六日とされてしまったため、一日から十日もしくは十六日までの間は、ただ働きに結果としてなってしまったというわけです。
この方の場合は、無事解決をしていただきましたが、手続の不備やおくれで給与が遅配となり、ただ働きまでさせかねない状況というのは、改善する必要があるのではないでしょうか。
しかも、時間講師の方々によれば、任用開始のおくれ、実際には、任用された日よりも書類上の開始日が遅くなっているとか、給与の遅配は珍しくないといいます。自分も一度経験したことがある、講師の仲間うちで話題になっているということを伺いました。
都教育委員会として、こうした件数がどれくらい発生しているのか、つかんでいらっしゃるかどうか伺います。
○浅野人事部長 都教育委員会においては、区市町村教育委員会から提出書類を受理した後、速やかに採用の決定を行い、その決定に基づいた報酬の支払いがなされるよう、事務処理をしております。
講師から学校、または学校から区市町村教育委員会への書類の提出がおくれた場合などに、区市町村教育委員会から個別に対応方法に関する協議を受けることがありまして、その件数は年間数件でございます。その場合には、現実の勤務実態を踏まえて個別に指導し、迅速に任用の発令及び報酬の支払いを行うこととしております。
○里吉委員 年に数件とのご答弁ですが、実際にはもっと多いのではないかと思うんです。やはり学校での人間関係が悪くなってしまったり、次の年度に任用してもらえなくなることを恐れて申し出ないとか、解決のためにお金や労力を費やすより我慢した方がよいと諦めてしまう方もいらっしゃるのではないか、こういう方もいらっしゃるという話も実際聞いております。先ほどとは別のある方は、何年かのうちに二回遅配があった、二回目はさすがに納得ができず声を上げたが、一回目はこの方もまあ仕方がないかと我慢した、でも、収入が一カ月滞るということは、生活に大きな影響があったとおっしゃっておりました。
こうしたことが生じる原因は、どのようなことにあると都教委は捉えているでしょうか、また、このことについて、都教委の責任をどのように考えているか伺います。
○浅野人事部長 原因としては、学校における事務手続に関する理解が不十分である場合や事務手続の進行管理が適切に行われていない場合があると考えております。
都教育委員会としては、任命権者として、学校における手続が遺漏なく行えるよう、区市町村教育委員会を通じて事務手続の周知徹底を図ってまいります。
○里吉委員 手続についての学校の理解が不十分と考えている、事務手続についての周知徹底を行っていくというご答弁でした。
そこで、手続の周知徹底のために、都教育委員会として任用事務説明会を行っていると伺っておりますけれども、任用事務説明会では、どなたを対象に、誰がどのような説明を行っているのか伺います。
○浅野人事部長 任用事務説明会は、区市町村教育委員会事務局の教職員人事事務担当者を対象に、都教育庁人事部が実施しております。説明会では、講師時数の申請手続の方法、時間講師の勤務条件の明示、任用開始日に関する注意喚起など、任用事務手続上の留意事項を説明しております。
また、説明会後にも、時間講師任用に当たっての注意事項や事務処理スケジュールなども示し、学校における手続が遺漏なく行えるよう、区市町村教育委員会を通じて事務手続の周知を図っております。
○里吉委員 区市町村教育委員会に留意事項やスケジュールなども示して周知を図っているということです。
学校に対しては、区市町村教育委員会が説明を行うと伺っております。この区市町村教育委員会や学校に、研修などで、昨年はこういう事故があったなどの事例を紹介するなど、手続をしっかり行うことの重要性を周知することも大事なことではないかと思いますが、見解を伺います。
○浅野人事部長 都教育委員会としては、説明会で事務手続上の留意点を説明しているほか、学校や区市町村教育委員会から問い合わせを受けた事項を踏まえて、配布資料の工夫、改善を行っております。
また、時間講師の任用手続に初めて携わることとなる副校長昇任予定者に対しても、教育管理職候補者研修を通じて、時間講師の勤務時間、勤務条件の明示、任用開始日に関する注意喚起など、任用事務手続上の留意事項を説明しております。
引き続き、正確な事務処理が行われるよう区市町村教育委員会に対して、事務手続に関する周知徹底を図ってまいります。
○里吉委員 学校からの問い合わせを受けた事項を踏まえた資料の改善などをしていただいているということでした。
私もご相談を受けたときに、どういう仕組みなのかということを教えていただいたんですけれども、なかなか複雑で、必要なことは全部書いてあるんですけれども、それを読み解くのにちょっと苦労いたしました。ぜひ、今おっしゃったように、学校から問い合わせを受けたケースはほかの方にもわかりにくいかもしれないということで、改善しているということでしたので、こういった現場の立場に立ったわかりやすい説明の改善を引き続きお願いしたいと思います。
そして、それにしても、手続について学校の理解が不十分なことがあるということなんですけれども、学校で任用の手続や書類の作成をするのは、具体的にはどなたになるんでしょうか伺います。
○浅野人事部長 多くの学校では、副校長が書類作成等の任用事務手続を行っております。
○里吉委員 主に副校長先生がやっているとのことです。
本当に忙しい副校長先生、この仕事も責任を持たれている。講師時間数を確定するやりとりを何件も電話をして講師を探して、面接をして、採用を決めて、そして区市町村教育委員会に提出する採用具申も細かく書かなければならない。教員免許状の写しなどの提出書類を正確にそろえなければなりません。プライバシーへの配慮も必要で、かなり気を使う仕事だと思います。
先ほど、副校長昇任予定者、つまりこれから初めて手続を行うことになる方に対しても、留意事項など説明しているということで、これは本当に大切なことだと思います。
同時に、私は、手続の理解が不十分だからだと、遅配が起きる原因を副校長先生のせいにするのはどうかなというふうに思うわけです。私たちも質問で取り上げていますし、都教育委員会の皆さんも当然認識されていることですが、今、長時間労働が問題となって、その解決が大きな課題となっている学校現場で、本当に忙しい先生の中でも一番忙しいのが、輪をかけてお忙しいのが副校長先生です。朝七時に一番早く学校に着いて、夜も十一時まで学校にいる。土日も地域の行事などに出勤する。皆さんそういう生活を送っていらっしゃる。
特に、四月は新学期で忙しい時期です。そんなときに、講師の任用手続にミスが生じることを副校長先生のせいだけにはできないと私は思います。
周知徹底は重要ですけれども、ぜひしていただきたいと思いますけれども、それだけでなくなるものではないのではないかと思うわけです。任用手続の日程や仕組みが学校の実情に即していない部分があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。任用開始日のおくれや給与の遅配が起こりづらい仕組みを何とか都教委としても考えていただきたいと思いますが、見解を伺います。
○浅野人事部長 学校、区市町村教育委員会、都教育委員会の間で、申請書類が大量に発送、収受される中で、申請書類を的確に審査し、誤りを是正しつつ、人事給与システムに情報を正しく入力して、支給日に確実に支給しなければならないという現状を前提といたしますと、現行の日程や仕組みは妥当と考えております。
都教育委員会といたしましては、学校における手続が遺漏なく行えるよう、区市町村教育委員会を通じて事務手続の周知徹底を図ってまいります。
○里吉委員 仕組みは妥当と考える、なかなかこれ、変えようという検討もしないというのは、ちょっと冷たい答弁じゃないかなと思うんですよね。
都教育委員会としては、四月八日に書類をもらえないと、五月七日には間に合わないということだと思います。都教育委員会の皆さんも、神経を使う仕事を大量にこなさなければならない、大変だと思います。しかし、しわ寄せを受けて、最後に被害を受けるのは時間講師の先生方です。四月分の給与が五月に支払われなかったので、生活のために定期預金を解約したという講師の方のお話も伺いました。
例えば、事前に都教育委員会に登録して時間講師をされている方であれば、教員免許の有効期限や経験年数などの必要な情報の確認は都教委のデータで行うなど、学校を経由せずに迅速に済ませる方法などもあるのではないか、そういうことも考えられないでしょうか。ほかにも簡素化できる部分は簡素化する、提出書類の改善の余地はあるんじゃないでしょうか。時間講師と副校長を初めとする学校の立場に立って、解決の方法を考えていただくことを強く要望いたします。
また、来年度から、時間講師の方も会計年度職員となるわけですが、その切りかわりに当たり、時間講師の方の不利益となるような条件の変更などは行わないことを強く求めて、次の質問に移ります。
次は、小学校における特別支援教室について伺ってまいります。
これも資料を用意していただきました。ありがとうございます。
かつて通級といわれた情緒障害の通級学級が、現在は特別支援教室となっております。通級のときは、拠点校といわれる学校に、その周辺校から子供が通ってくる。多くは保護者の方が送り迎えをしておりました。教員は拠点校に集団でいます。そこに子供たちが通ってくるわけですね。
拠点校には、通級専用の教室とプレールームといわれる大きな部屋があり、子供たちは、マンツーマンで教科の学習をしたり、また小集団指導で、集団でゲームなどを通じて友達とのかかわり合いを学ぶなど、子供たちに合わせた組み合わせで取り組まれておりました。
三年間かけて、この通級、全校に広がった、全都で実施が広がったと思いますが、まず初めに、この三年間の小学校特別支援教室の設置校数、児童数、教員数について伺います。
○高木特別支援教育推進担当部長 小学校における特別支援教室の設置校数は、平成二十八年度は六百二校、平成二十九年度は九百八十二校、平成三十年度は一千二百七十九校でございます。
特別支援教室の児童数は、平成二十八年度は九千四百六十九人、平成二十九年度は一万二千九百八十七人、平成三十年度は一万六千九百三十五人でございます。
特別支援教室の巡回指導教員数は、平成二十八年度は一千百三十二人、平成二十九年度は一千三百七十五人、平成三十年度は一千七百四十四人でございます。
○里吉委員 学校数も、子供の数も、そして教員の数も年々ふえていったということであります。
これ、この数字だけ見ますと、学校数がふえているので、当然子供の数も、そして教員の数もふえているというふうに思うわけですけれども、いただいた資料を見ますと、特別支援教室が設置された後、どこの自治体でも子供の数がすごい勢いでふえております。
例えば、私の活動地域であります世田谷区ですと、この一八ページの資料を見ますと、平成二十七年度は子供の数が四百一人で、先生の数五十九人でしたけれども、令和元年度は子供の数が何と千百四人、教員数百十人ということで、大変な勢いで特別支援教室に通うお子さんたちがふえているということがわかると思います。
私はこれまで、この特別支援教室の問題について議会で取り上げてきたわけですけれども、全ての学校に教室が設置されたことで、お子さんたちが通いやすくなった、送り迎えしなくてよくなったということで、ここに通う子供の数がふえたことはよかったというふうに思います。一方で、教員配置が制度が変わって削減されたり、必要なスペースが確保されないなどの課題があると思います。
そこで、私はこの間、小集団指導を行うプレールーム、これが全ての学校にはなかなか用意できないということで、小集団指導がなくなってしまうんじゃないかということを大変危惧しておりました。通級のときには、個別の指導と小集団指導を適切に組み合わせて大きな成果を上げていたけれども、これが導入されたころ、私たちいろんなところに視察に行ったんですけれども、小集団指導は行わないとか、行えないとかということをおっしゃる担当者の方も実際にいらっしゃいました。まだ混乱されていたんだと思うんですけれども、これは今いった教員の体制の問題や施設のスペースの問題などがあって、なかなかこれはできないんじゃないかというふうに、現場で考えられていたんじゃないかと思います。
そこで、昨年度、小学校における特別支援教室の小集団指導をどの程度実施されたのか、その状況について伺います。
○高木特別支援教育推進担当部長 特別支援教室の指導形態は、一対一の個別指導と複数の児童から構成される小集団指導の二つがあり、児童の指導時間の週当たり八時間を上限に、この二つの形態から選択もしくは組み合わせることにより、指導が行われております。
平成三十年度における小集団指導の実施状況につきましては、一人一人の児童に必要とされる週当たりの指導時間のうち、およそ半分までの時間数を小集団で指導を受けている児童は約五七%、半分の時間数を超えて指導を受けている児童は約一六%でございます。
○里吉委員 一人一人の子供がどれくらい特別支援教室に通っているのか、その時間数はわかりませんけれども、ともかく、その半分以上の子供が、自分が特別支援教室で過ごす時間の半分以上、小集団指導を受けているということがわかりました。
一方で、数字見ますと、残りの二七%、約四分の一はわからないということで、この子たちは、一時間も小集団指導を受けていない子も多数含まれているんじゃないかということは、私の推察ですけれども、ぜひ調べていただきたいというふうに思います。
実際にいろいろ地域でお話を聞いておりますと、拠点校には専用のプレールームなどのスペースがありましたけれども、全校ではなかなかスペースがないので、いろいろ工夫をして行っているということだと思います。
そこで、小学校における特別支援教室の小集団指導の活動場所、実際にプレールームなどない学校も多数あると思いますので、どのように工夫しているのか伺います。
○高木特別支援教育推進担当部長 小集団指導は、特別支援教室で行うほか、各学校の実情に応じて、既存施設を有効に活用して行っております。
具体的には、巡回指導教員と巡回先の学校の教員との調整による時間割の工夫などによって、多目的室や体育館、会議室などを確保しております。
○里吉委員 私もお話を伺いました。専門の方が一人各学校にいらっしゃるおかげで、何とか体育館があいている時間はないかとか、多目的室があいている時間ないかとかやって使っているというお話聞きましたけれども、本当に苦労されて、でも、頑張って小集団指導をしていただいている学校があるということだと思います。
次に、特別支援教室の専用のスペースの確保について伺います。
これも、拠点校にはきちんとした教室があったわけですが、全小学校に特別支援教室を設置するに当たって、環境整備のために、都教育委員会で補助金の制度をつくりました。三年間で全小学校、これが終わったと思いますけれども、小学校において、特別支援教室の導入当初から平成三十年度までに、環境整備のために補助金を使った実績を伺いたいと思います。
○高木特別支援教育推進担当部長 小学校の特別支援教室の導入当初から平成三十年度までの環境整備に伴う補助金の実績は、物品購入に要する経費については一千二百二十一校で三億四千八百十二万五千円、簡易工事相当の経費については七百七十四校で四億一千七百五十二万一千円でございます。
主な整備内容といたしましては、教材を初め、収納棚やホワイトボードなどの備品の購入、個別スペースを設けるための間仕切りの設置や照明の増設など、教室環境の整備に要する簡易工事でございます。
○里吉委員 今、特別支援教室の設置校が千二百七十九校と記載がありますから、物品購入はほとんどの学校で使った、簡易工事などは七百七十四校が使ったということで、大きい部屋を間仕切りで分けて、相談室だとか、いろいろ別の部屋を二つに分けて、一つを特別支援教室にして、そうすると、電気が真ん中についているので、こっちとこっちに分けたりとか、そういう工夫をされているということを私も聞きました。
でも、これぐらいしかやることがないんですよね。ですから、本当に苦労されていると思うんです。実際には、スペースをふやしているわけではないところがほとんどなので、私、現場の先生に聞いたら、特別支援教室の場所が狭くて、もともとの部屋を二つに分けたりして使っているところもあるわけですから、教材を置く場所がない、本当に困っているという話を聞きました。
現在、いろいろな改善の取り組みが行われていると思いますが、具体例を伺いたいと思います。
○高木特別支援教育推進担当部長 特別支援教室の教材につきましては、各学校の実態に応じて、特別支援教室や職員室にキャビネットを設置して保管するほか、教材室にスペースをとるなどして、保管する場所を確保しております。
○里吉委員 やっぱり特別支援教室だけでは足りなくて、キャビネットを職員室の端っこに置かせてもらったりだとか、涙ぐましい努力をされているのではないかと。それでも、子供たちの教育環境をしっかり守るために、いろいろ工夫はされているんだというふうに思います。小集団指導のためのプレールームや日々の学習のための専用の教室については、工夫はしているということを伺いましたけれども、これで何とかなっているというふうにするのは、やっぱり違うんじゃないかなというふうに思うんですね。
例えば、私の住んでいる世田谷区では、環八の外側は子供の数がどんどんふえて、教室が足りなくなっているんです。そうしますと、当たり前ですけれども、新たなスペースを確保するのは困難な学校もあって、いわゆる普通の教室、足りなくなれば増築するわけですよね。増築して教室をふやして、学校で授業を行うということをやっているわけです。
ですから、今後も特別支援教室に通う子供の数もふえていくだろうし、やっぱりプレールームや専用の教室は整備するべきだというふうに思うんですね。特別支援教室のために、新たに部屋を整備するための財政措置なども必要ではないかというふうに思います。ぜひこれは検討していただきたいと思います。
次に、教員の配置のことについて少し伺いたいと思います。
通級のときには、子供十人に対して一学級プラス一名という配置でした。つまり、子供が九人以下だと九人で一クラスですから、一足す一で二名、十人から十九人だと三名という配置でした。特別支援教室になると、これが変えられまして、子供の数十人に対して教員一人となりました。
私、この問題も質疑しましたけれども、このことによって教員数は約三割削減されることになった、このことは大問題ではないかと日本共産党都議団としてもさまざまな場で議論をしてまいりました。
都教育委員会は、経過措置として五年間は教員数は減らさないとしてきましたけれども、世田谷区では、現状を見ますと、先ほど見ましたように、子供の数四百一名に対して教員数が五十九名でした。ということは、子供の数が五百九十名になるまでは、先生の数は減らしませんよということだったんですね。
ところが、この制度を導入した二年目には、既に子供の数は七百五十人となっています。経過措置といっておりましたけれども、全く役に立たなかったといいますか、経過措置にならなかったわけです。私は、この大事な教員の配置、改めて見直していただきたいということを求めておきたいと思います。
こうして教員の配置の基準は、私からいわせれば改悪された、切り下げられたと思うわけですけれども、逆に対象となる子供がふえているために、教員数はふえ続けております。
通級だったときには、拠点校に教員集団がいたので、新しい先生が入ったり、こういった子供たちの経験の少ない教員が入っても、教員集団の中で、教員としてのさまざまな力をつけることができました。
今は、教員が各学校を巡回するという形でおりますので、教員が子供の障害などの見立てや指導のあり方について学ぶ場がどうなっていくのか、このことも、特別支援教室が導入されるときに大きな議論になったところです。
そこで、現在、教員集団で子供の障害の見立てとか、指導のあり方とか、学び合うような場があるのかどうか現状について伺います。
○高木特別支援教育推進担当部長 各学校では、経験の浅い教員と専門性の高い教員を組み合わせて巡回指導体制を編成したり、始業前や終業後に、巡回指導教員が拠点校において、互いに担当する児童の課題や指導方法について情報共有する場を設けるなど、OJTの機会を確保しております。
なお、都教育委員会や各区市町村教育委員会におきましても、子供の障害の見立てや指導方法に関する研修などを行うことにより、教員の資質向上に努めております。
○里吉委員 子供の数もふえて、そのことによって先生の数もふえたので、二人で回るということがいわれていましたけれども、もう少し複数のメンバーで回ることもあったり、それから、今お話があったように、拠点校でみんなで学び合うという努力もされているということでした。
私は、基本的には、教員数の問題や専用スペースの問題は解決されていないと思っておりますので、このことについてはまだまだ議論していきたいと思いますけれども、同時に、新しく導入された制度についても確認しておきたいと思います。
特別支援教室専門員というのが新しく導入されています。小学校の設置校一校当たり一名配置されていますけれども、これ、改めてどんな仕事をする方か。それから、この方々は非常勤職員ということなんですが、昨年度の時点で三年目になるんですが、最初からずっといていただいている三年目の方はどれくらいいるのか。また、欠員の時期などはなかったか。そして、教員免許を持っている方はどれくらいいるのか、あわせて伺います。
○高木特別支援教育推進担当部長 特別支援教室専門員は、児童の行動観察、教材制作や連絡調整など、特別支援教室の円滑な運営に必要な業務を担っております。
平成二十八年度に任用した専門員五百八十五人のうち、平成三十年度までの三年間勤務している専門員は四百十一人でございます。
また、欠員が発生した場合は、速やかに募集をかけ、補充するよう努めております。
さらに、教員免許の保有者は平成三十年四月一日付採用の合格者四百六十八人のうち約八三%でございます。
○里吉委員 この非常勤職員の方は、実は教員免許を保有していなくてもいいんですよね。非常勤職員ですし、教壇に立てるわけではありません。でも、八三%の方が、平成三十年度の採用のときには教員免許を持った方を採用できたということで、私も具体的にお話聞いてきましたけれども、この方々が、やっぱり専門性を持っている方なので、学校にいて、巡回してくるいろいろな先生の授業の教材の準備だとか、いったらすぐにわかってもらえる、きちんと、こういう授業がしたいからこういう教材が欲しいんだということを事細かに説明しなくても理解していただけて大変助かっているというふうにおっしゃっていました。
ですから、この制度というのは、本当にあってよかったなと思うんですけれども、こういうところに教員免許を持っている方がこれだけいるんだったら、やっぱり先生の数、ふやせばいいのになと私は率直に思います。
それからもう一つ、小学校の新しく始まった制度に、学校を巡回する、臨床発達心理士の方が各学校を回るという制度が始まっていると思いますけれども、これにつきましても実績を伺いたいと思います。小学校特別支援教室設置を巡回する臨床発達心理士等の活用について、昨年度の実績、そして主な取り組みについて伺います。
○高木特別支援教育推進担当部長 平成三十年度は、臨床発達心理士など三百三十一人が、小学校一千二百六十八校を一校当たり年間四十時間の範囲内で巡回いたしました。
臨床発達心理士などの主な取り組み内容は、行動観察や授業観察などにより、児童の障害の状態や困難さを把握し、教員に対して、特別支援教室での指導の必要性や、通常の学級における特別な支援が必要な児童への指導方法などについて助言することでございます。
○里吉委員 各学校を回って、授業の観察だとか、児童の障害の状態や困難さを把握するということで、専門家の方が回るということも大事な活動だというふうに思います。
こういう形で、今、各小学校の特別支援教室が進んできているわけですけれども、本当に世田谷区だけ見ても、始まった年は五百四人、その次の年が七百五十人、そして九百九人、そして千百四人と大変な数ふえているわけですよね。そういう意味では、調べていらっしゃらないということだったので、お伺いしませんでしたけれども、本当に必要な時間数、子供たちが授業を受けられているのかというのも大変気になるところなんです。
といいますのは、子供の数というのは、年度途中でふえるんですね、特別支援教室の場合は特に。年度当初から、四月一日から特別支援教室に行くと決めているお子さんもいますけれども、年度途中でやっぱり何かうまくいかないなということで、途中途中でやっぱりふえていくということなんですけれども、教員数は、一番最初の人数でしか配置されません。
その問題は、実は通級のときにもいわれていたことなんです。通級のときには、それでもクラス数プラス一というメンバーがいたので、何とか回っていた。しかし、今教員の数も減らされて、スペースも少なくて、なかなか十分な対応が難しいのではないか。活動時間、授業時間が減っているという声も一部の保護者から上がっております。
教員をふやすことや、専用の教室やプレールームなどの整備も含めて、五年の経過措置を待たずに、全体を検証していただきたいということを求めまして、次の質問に移ります。
最後の質問ですが、ちょっと長くなると思います。不登校対策について伺います。
今回、今いろいろ議論ありましたけれども、私は、昨年度、都教委が出しました児童・生徒を支援するためのガイドブック、不登校への適切な対応に向けて、この作成にかかわって伺ってまいります。
先ほど来議論がありましたけれども、小学校、中学校の不登校の子供の数は、年々ふえ続けております。このことは、私は今の学校現場にさまざまな問題、課題があることをあらわしているというふうに思います。
ガイドブックには、不登校とは、多様な要因、背景によって、児童生徒が結果として不登校状態になっているということであり、その行為を問題行動と判断してはならないと基本的な考え方で書かれています。
問題行動とは判断しないけれども、やっぱり不登校がふえ続けていることについては、何らかの対策が必要だということで、都教育委員会でも、さまざまな対策がとられてきました。
そして、昨年度は、この児童・生徒を支援するためのガイドブック、不登校への適切な対応に向けてが、主に教員向けに作成をされたということだと思います。
そこで、まず初めに、このガイドブックを作成した経緯と目的、その内容について伺います。
○増田指導部長 ご指摘のガイドブックは、平成二十八年度に設置した教育支援センター(適応指導教室)等充実方策検討委員会における提言を受け、全ての教員が、不登校の要因や背景を正しく理解し、児童生徒の豊かな学校生活の実現や社会的自立に向けた支援ができるようにすることを目的として作成したものでございます。
作成に当たりましては、まず、大学への研究委託や有識者による内容の検討を通して原案を作成し、この原案を複数の小中学校において実際に活用してもらった上で、教員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーから意見を聴取し、より実践的な内容といたしました。
○里吉委員 いろんな方の意見も聞いて作成したということで、目的については、全ての教員が、不登校の要因や背景を正しく理解し、児童生徒の豊かな学校教育の実現や社会的自立に向けた支援ができるようにすることを目的として作成したということでした。
問題は、この中身なんですね。ガイドブックの特徴は、予防科学の観点を生かした考え方に基づいて、アセスメントを活用するというものです。ガイドブックの予防科学の観点を生かした考え方とはどんなものなのか。
これ、記載されているものを読みますと、海外では、狭い意味での医療にとどまらず、心理的な問題などにおいても、予防を重視する研究や実践が盛んになっているというふうにあります。
実際に、この予防科学の観点を不登校への支援にも応用している例があるのかどうか、あわせて伺います。
○増田指導部長 予防科学は病気の発生自体を予防する医療のあり方を、心理面での支援に応用しようとする考え方でございます。
この考え方は不登校の多様な要因、背景を分析し、未然に防止する視点として有効であることから、有識者等の協議を踏まえ、アセスメントの手法の例として本ガイドブックに掲載しているものでございます。
なお、この考え方を不登校の支援に応用している事例について、都教育委員会としては承知しておりません。
○里吉委員 不登校の支援に応用している事例については承知していないということでした。
私、すごく不思議に思うんですけれども、病気の予防ということであれば、個人で食生活を気をつけるとか、手洗い、うがいをするとか、年に一回は健康診断を受けるとか、本人が努力できることがあるわけです。不登校の予防は、それとは違うんじゃないかなというふうに思うんですよね。不登校の原因が個人にあって、個人が努力すれば改善するというふうにとられかねないというふうに思うんですね。
今お話にあった不登校を未然に防止する視点とか、この予防の医療のあり方を心理面で支援しようとするというふうにいいますと、不登校を心の問題、そして本人の問題というふうに捉えてしまっているととられかねないのではないかと思うのですが、都教委の見解を伺います。
○増田指導部長 不登校は多様な要因、背景によって児童生徒が学校に通っていない状態を指すものでございまして、多様な要因の中に病気がある可能性はございますが、不登校自体を病気として扱ってはおりません。
また、このガイドブックでは、不登校の要因を、身体・健康、心理、社会・環境面から捉えることとしており、本人の心の問題として扱っているものでもございません。
○里吉委員 これ読み進めていくと、でも、すごくそういう印象を受けるので、話は次に進めますけれども、この予防科学の観点でつくられたアセスメントです。具体的に学校で取り組むアセスメントです。それから、アセスメントを活用した登校支援シートについて伺っていきたいと思います。
まず、アセスメントについては、医学や心理学の領域では、ある問題に対して、生物学、心理学、社会学的観点から多面的、多層的に捉え、対処しようとする生物心理社会モデルという考え方が注目されていますとして、児童生徒の状況を、身体・健康面、心理面、社会・環境面という三つの大きな観点から捉え、児童生徒の不登校の要因や本人の持つよさを把握し、支援につなげる考え方を示しますというふうにあります。
そこで、まず伺いますけれども、このアセスメントとは、支援の対象となる児童生徒の情報の収集、分析を行い、児童生徒の状況を把握することというふうにあるんですけれども、どのように把握するのか伺いたいと思います。
○増田指導部長 ガイドブックには不登校児童生徒の置かれている状況や不登校の要因を把握するため、アセスメントの方法の例を掲載しております。
具体的には、学級担任を中心として養護教諭、部活動顧問等かかわりのある教員や、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等が本人の様子の観察や保護者からの聞き取りによる情報等を踏まえ、ガイドブックに掲載しているアセスメントの項目に照らし、児童生徒の状況を多角的に捉えることとしております。
○里吉委員 多角的に捉えるということなんですけれども、その多角的に捉えた内容で、登校支援シートに記載していくことになると思うんですけれども、それでは、登校支援シートについては、支援に関する情報を収集すると書かれていますけれども、それは誰がどのように行うのか伺います。
○増田指導部長 都教育委員会がガイドブックに示している登校支援シートの例は、児童生徒一人一人の状況を的確に把握するとともに、子供たちの置かれた状況を教職員が共有し、学校復帰のみならず、社会的自立に向けて組織的に支援することを目的として、各学校で作成するものでございます。
この支援シートの作成に当たりましては、まず、学級担任等がただいま申し上げたアセスメントの結果を踏まえて必要事項を記入します。その上で、保護者から伝えられた情報に加え、管理職を含むかかわりのある教員やスクールカウンセラー等から構成される登校支援会議において共有された情報を、このシートに追加して記入をいたします。
○里吉委員 アセスメント、まあ見立て、評価だと思うんですけれども、この適切なアセスメントなしには、子供にとって必要な支援ができないと書かれております。
聞き取りによる情報を集めることはわかりますけれども、このアセスメント、評価の項目というのが羅列してあるわけですけれども、これが不登校になりそうな子やなっている子のアセスメントですから当然なのかもしれませんけれども、マイナスの項目だけが並んでいるわけですね。
例えば、身体・健康面、この一番最初に、睡眠という着眼点がありますけれども、ここにあるのは、〔1〕、睡眠不足である、〔2〕、寝つきが悪い、〔3〕、朝起きられない、〔4〕、寝る時間が安定しない、〔5〕、夜中に目が覚める、〔6〕、授業中に眠ることがある。ここで、該当する項目を先生がチェックしたり、お母さんから聞いてチェックしたりして、登校支援シートに記入する、入力するわけなんですけれども、このアセスメントに対する要因や支援例がガイドブックに記載されています。
そこを見ますと、こういう事態が起きている要因、危険因子と書かれていますけれども、例えば、体の面だと慢性疾患の可能性があるとか、心理面だと考え事とか悩み事があるとか、それから、社会・環境面だと夜型の家庭生活があるとか、そういうことが示されています。
具体的な支援例としては、日ごろの就寝、起床時間などを確認するとか、悩み事がないかを聞くとか、夜間の過ごし方や寝室の環境を確認するとかということが書いてあるわけです。こういっては失礼かもしれませんが、それくらいいわれなくてもわかるような話なんですよね。
そして、一つ気になるのが、児童生徒の状況を、身体・健康面、心理面、社会・環境面という三つの大きな観点から捉えると、身体・健康面と心理面の二つは児童生徒本人のことになりますから、どうしてもアセスメントを見ていると、不登校の要因が本人にあるように捉えてしまうのではないかというふうに見えてしまうというのが大変気になるところなんです。
いじめや教員の不適切な対応など、いろいろ不登校の原因はあると思うわけですけれども、都教育委員会の見解を伺います。
○増田指導部長 アセスメントは対象の児童生徒の状況や現在の様子から不登校の要因や背景を把握し、必要な支援を検討するために行うものでございます。
そのため、ガイドブックには、いじめを含む友人関係や教員との関係など、学校生活全体にかかわる要因についても、アセスメントの項目として示しております。
○里吉委員 確かに、アセスメントに、いじめを含む友人関係とか、教職員との関係もありました。しかし、教職員との関係を見ると、事例として、教職員に反発している、教職員を避ける、教職員に対する緊張が見られる、教職員の前では本音を見せないなどが挙げられていて、考えられる要因、危険因子として、身体・健康面では身体的な特徴、発達障害(疑いも含む)、心理面として劣等感、自信喪失、担任や他の教員への不信とか、教員からの圧迫感というのがあって、社会・環境面のところに担任や他の教員に対する保護者の不信とか、支援体制の未整備とか、教職員間の連携不足というふうにあるんですけれども、ここも身体・健康面と心理面もあって、本人の状況を把握する、理解するためのアセスメントですから、本人のことを書くことになるわけです。
このことについて否定するつもりはないんですけれども、なかなか専門的な方がやらないと、評価が表面的といいますか、一面的になってしまうのではないか、ゆがんだ子供像になってしまうのではないかという教育専門家の方からの意見もあるということを指摘しておきたいと思います。
次に、情報を収集するシートについて、文科省の事例では児童生徒理解支援シートとしておりますけれども、東京都のこのガイドブックでは登校支援シートとなっています。この理由について伺います。
○増田指導部長 登校支援シートの目的は、文部科学省が示す児童生徒理解支援シートの目的と異なるものではございません。このシートを掲載しているガイドブックが教職員向けに作成されたものであり、児童生徒の豊かな学校生活を実現できるようにする内容が中心となっていることから、シートの名称を登校支援シートとしております。
なお、このシートは学校に通っていない児童生徒に対する支援の充実に向けても重要な役割を果たすものでございます。
○里吉委員 ガイドブックが教職員向けに作成されたものである、ここまではいいんですけれども、児童生徒の豊かな学校生活を実現できるようにする内容が中心とあるわけですね。
ガイドブックの中にも、自分に合った道筋、歩幅で歩むという項がありまして、不登校の状態は、ある意味で、その子にとっての一つの道かもしれません、このため、不登校児童生徒の周りの人々が、それぞれの役割やかかわりの中で、社会的な自立に向けて応援することが重要です、こういうふうに記載はあるわけです。実際に不登校状態が長期化している児童生徒への支援は、学校復帰だけでなく、教育支援センターやフリースクール、また家庭で学ぶなど、そういった選択肢も示されています。
でも、先ほどの説明だと、教員側の支援としては、やっぱり学校に戻ってきてもらうことが中心というふうに読み取れてしまうわけですよね。不登校の児童生徒のその後の進路は、学校に行かないという選択肢もあるという考え、これがあると思いますけれども、都教育委員会の見解を伺います。
○増田指導部長 不登校児童生徒については、個々の状況に応じた支援を行うことが必要であり、登校という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒や保護者の意思を十分に尊重しつつ、児童生徒がみずからの進路を主体的に捉えて、社会的自立を目指すことができるようにすることが求められていると認識しております。
○里吉委員 学校に戻るだけが答えではないというご答弁だったと思います。
でしたら、やっぱりこの名称を、文科省がせっかく事例を挙げてくれているのに、あえて登校支援シートにすることないんじゃないかと思うんです。ぜひ、これは、文科省の児童生徒理解支援シートに合わせていただきたい、少なくともね。もっといい名称があるかもしれませんけれども、少なくとも登校支援シートっていうのはやめていただきたい、変えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか、見解を伺います。
○増田指導部長 繰り返しの答弁となりますが、ガイドブックは教職員向けに作成したものであり、児童生徒の豊かな学校生活を実現できるようにする内容が中心となっていることから、シートの名称を登校支援シートとしており、その目的は文部科学省の示す児童生徒理解支援シートの目的と異なるものではございません。
○里吉委員 豊かな学校生活を実現できるようにする内容が中心となっているという答弁を繰り返されました。
これやっぱりいっていることが矛盾しているのではないかと思うんですね。いろんな選択肢がある、登校という結果のみを目標にしないといっておりましたけれども、これ聞きますと、やっぱり学校復帰ありきなんじゃないかというふうに思ってしまいます。不登校は問題行動ではない、どの子にも起こり得る、ここまではいいけれども、でもやっぱり最後は学校復帰してもらえるように支援しようという目標に向かって取り組むということなのかということが問われています。
私も以前、勉強する前は、義務教育なんだから子供は学校に行くのが当たり前、だから、不登校支援というのは最終的には学校に行くこと、そのために学校の環境をいろいろ整えて、その子が気持ちよく学校に戻れるように、いろいろな努力をすることが大事なんだというふうに、勉強する前は思っていました。
しかし、小中学校は義務教育だから、学校は必ず行かなければならないと思われがちなんですけれども、実際に子供に普通教育を受けさせる環境を整備する義務があるのは、保護者と大人ですよね。子供は学校に行く権利を持っているのであり、義務を課せられているわけではありません。不登校は義務教育違反だということではありません。逆をいえば、子供は学校に行かない選択もあるわけです。
そして、先ほどの質疑で、何でこれだけ不登校がふえているのか、これ真剣に考えなければならないのではないかという質疑がありました。私も本当にそう思います。
不登校がふえた要因は、子供たちにあるわけではなく、私は、その多くは学校にあると考えます。挨拶の仕方、手の挙げ方などの行動を細かく統一する学校スタンダードといわれる指導、休み時間は自由のはずなのに、自由に遊べず、外で遊ぶことが奨励される小学校低学年、本当に小学校の低学年から、多くのストレスにさらされている子供たちがいます。
不登校が社会問題になった三十年ほど前、国連子どもの権利委員会が日本に対して、高度に競争的な教育制度によるストレスにさらされ、かつその結果として余暇、身体的活動及び休息を欠くに至っており、子供が発達にゆがみを来していることを懸念する、それらを生み出した教育制度と闘うための適切な措置をとるよう勧告をいたしました。こうした学校の抱える問題を解決、改善することもなく、不登校が減少することはないのではないでしょうか。
このガイドブックの作成に当たっては、先ほどさまざまな専門家ですとか、学校現場の方の話を聞いて作成したというご答弁がありましたけれども、不登校問題に取り組んでいる教育関係者やフリースクールの経営者、親の会、不登校経験のある方々など、こういった方の意見は聞いたのか伺います。
○増田指導部長 教育支援センター等充実方策検討委員会では、実際に不登校の児童生徒に対する支援を行っている教育関係者や民間施設団体の代表を含め、さまざまな立場から不登校対策に取り組む方々により十分に協議を行ってまいりました。
また、平成三十年度に都民や教員等を対象に実施した不登校・若者自立支援フォーラムにおけるパネルディスカッションでは、不登校経験者や不登校経験者の保護者等をパネリストとして招き、望ましい支援のあり方などについて意見をいただき、そうした意見も踏まえて、ガイドブックを作成しております。
○里吉委員 ここに至るさまざまな会議では協議をしてきたということですが、私が伺ったのは、このガイドブック、大体の形になってから、現場の先生やスクールカウンセラーの先生やいろんな方に見ていただいて、いいものに仕上げてきたというふうに答弁がありましたけど、そういう時点で、フリースクールの経営者とか、不登校問題に取り組んでいる教育関係者とか、不登校の親の会の皆さんとか、そういう方々の意見は聞いてまとめたのですかというふうに質問しているので、ぜひご答弁をしていただきたいと思います。
○増田指導部長 先ほどもご答弁させていただいたように、平成三十年度に実施しました不登校・若者自立支援フォーラムにおけるパネルディスカッションに招いた不登校経験者や不登校経験者の保護者等から、望ましい支援のあり方などについて意見をいただき、そうした意見を踏まえ、ガイドブックを作成しているところでございます。
○里吉委員 一般的な意見を聞いたのかと聞いているのではなくて、こういう冊子ができていて、大体できていたと思うんですよね。それで、こういうふうにする--例えば登校支援シートというのはいつぐらいにできたんでしょうか。担当者の方が見たら、こんなの許さないと思うんです、私は。ガイドブックのできた段階で、発行する前に見せるということはなかったんじゃないかと思うんですね。
何で、学校現場の先生に使ってもらうガイドブックの作成をするときに、不登校問題にかかわってきた専門家の意見を聞かなかったのでしょうか。
私が話を聞いた、有名なフリースクールの経営者の方ですとか、長年不登校問題にかかわってきたNPO法人の方々は、何で登校支援シートなんていう名称をつけたのかというふうに皆さん怒っていらっしゃるんです。
ですから、そういう専門家の方には話は聞いてないんじゃないかな、少なくともそういう方たちは、登校支援シートなんていう名前がつくことは知らなかったんじゃないかなというふうに思ってお伺いをしました。いかがですか、このシートというのが全部つくり終わった後に名前を決めたんですか、お伺いします。
○増田指導部長 今、副委員長からご指摘があった方々には意見は拝聴してございませんが、先ほども申し上げたように、不登校・若者自立支援フォーラムにおけるパネリストで招いた不登校経験者及び不登校経験者の保護者等には、この登校支援シートについてはお見せをしております。
○里吉委員 じゃ、後で結構ですので、その方々はどういう方々なのか教えてください。後で結構ですので。
私はいろんな方々に会うけれども、たかが名前、されど名前なんですよ、登校支援シートという名前。これ学校で使うわけですよね。登校支援シートという名称は、やはり登校を促す方向に先生たちを向けてしまうと思うんです。
不登校の理由はいろいろです。複合的な場合も多いです。いじめや教員からの体罰などが不登校の要因になっている場合、学校復帰を目指す支援は、逆に子供を追い詰めることになってしまいます。
警視庁がことし三月に発表した二〇一八年度の自殺状況によれば、自殺者は九年連続して減少していますが、十代のみ自殺死亡者がふえています。学校からの登校圧力、学校に来てください、登校を支援しますよ、こういう登校圧力が強まる中で、子供が学校を休めなくなれば、いじめや暴力から逃げられなくなる、逃げることができなくなる。このことを私は一番心配しています。
このガイドブックは、不登校を減らすために未然防止に取り組むとしています。そのために、学校が今の学校現場での学力競争を助長する全国学力テストをやめるとか、子供たちをさまざまな規則で縛る指導をするとか、息苦しい学校現場を変えることで不登校を減らそうと、そのための未然防止の取り組みだというのならわかりますが、現状はこういった学校現場の問題はそのままです。
そして、未然防止のかけ声のもと、学校に来ることを応援しようと登校圧力が強まれば、子供たちは逃げ場を失うんですよ。なぜいじめで命を絶つという選択しか選べなかったのか、学校から逃げてほしかった、不登校になってほしかった、そう思う事件が今も起きています。
登校支援シートという名称に象徴的にあらわれているのは、こうした中での学校現場の不登校に対する認識だと思います。不登校にかかわってきた教育関係者などに意見をもらっていたら、少なくともシートの名前は違っていたのではないか。もしかしたら、抜本的に違ったガイドブックになったかもしれないとさえ思います。今からでも関係者の意見を真摯に聞いていただきたいと思います。
最後に、この登校支援シートの作成について、保護者の方々や教育関係者の方から、さまざまな意見を伺っておりますので、それを踏まえて質問していきたいと思います。
支援シートを作成するときに、保護者から児童生徒の様子を聞いたり、作成したシートを保護者に見せたりすることはあるのか、保護者とのかかわりについて伺います。
○増田指導部長 今の質問の答弁の前に、先ほどの答弁について訂正をさせていただきます。
支援シートを事前に見て点検してもらったのは、学校関係者、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーで、パネリストの方には経験談を話していただいたということでございます。
今のご質問にお答えいたします。
都教育委員会がガイドブックに示している登校支援シートの例では、保護者から得られた児童生徒の状況を踏まえたアセスメントの内容をもとに作成することとしております。また、学校において作成された支援シートについては、記載された支援策について保護者と共有し、連携を図ることが必要でございます。
なお、支援シートを保護者に示すかどうかについては、個々に学校が判断することとなります。
○里吉委員 これが出る前からいろいろな自治体でもう支援シートみたいなことがつくられているんですよね。私のところに、その支援シートについてご意見をいただいたんですけれども、先生の見立てと親の見立てが全然違うと、子供に対しての。そういうことはよくあるというか、あることだと思うんです。学校での子供の態度と、家での態度が違う。それを総合的にまとめて、今この子がどういう状況にあるのかというのをまとめるためのアセスメントであり、それを支援に生かしていくためのシートだと思うので、これについては親御さんからの虐待の疑いがあるとか、親御さんに見せることが子供の不利益になるということでなければ、ぜひ保護者の方にも示していただきたいと思うんです。
この親御さんがいっていたのは、中学生のお子さんなんですけれども、学校の先生の威圧的な態度、子供からしてですね、担任の先生との関係がうまくいかなくて学校に行かなくなったんだけれども、そのことについては一切記載がなかった、そういうことも、まああり得るのかなと、わからないですけどね。ですから、自分の子供の今の状態が正しくそのシートに記載されていないんじゃないかということがあって、ぜひ見せてほしいということで--これは済みません、小学校六年生のときの話ですね--そういうことがあって、中学に上がる前に見せてもらって、返してもらったということをおっしゃっていましたけれども、そういうことがありますので、親御さんから、保護者の方からお話は当然聞くと思うんですけれども、子供のアセスメント、見立てについては、ぜひ情報を共有していただきたいというふうに思います。
そして、この登校支援シートは、学校の公文書として作成されると思いますけれども、これも文科省のシートには作成者の名前を記入する欄があるんですけれども、都教委がつくっているシートには作成者を記入する欄がありません。これはなぜなのか伺います。
○増田指導部長 ガイドブックに示した登校支援シートの例では、学校として組織的に作成することから、校長が押印することとしております。
○里吉委員 校長が押印すると。学校で組織的に作成するからということだったんですけれども、全てのいろいろな学校での出来事は、最後は校長先生の責任になるので、校長先生が最後に判こを押されるということはあるかもしれません。
でも、その子供一人一人について校長先生がどれだけ知っているのか、見ているのかといったら、それはやはり担任の先生ですとか、保健室登校しているお子さんであれば養護の先生ですとか、別にもっと責任を持ってこのシートを作成できる人がいるはずなんですね。
ですから、記載事項に責任を持つためにも、記入者の氏名はきちんと記載するべきだと思いますが、見解を伺います。
○増田指導部長 ご指摘の支援シートは、都教育委員会が例として示したものであり、記載すべき項目等につきましては、区市町村教育委員会や学校において工夫して設定すべきものと考えております。
○里吉委員 一つの例なので、現場で判断してもいいということでした。
しかし、先ほどの質疑でも明らかになりましたように、もうこれ都内各校におろしているわけですよね。このシートは子供の状況を把握し、これを関係者と共有する、そういう意味では極めて重要な個人情報となるシートとなるわけですから、組織的に作成するにしても、少なくとも作成責任者は明らかにするべきだということを--もしこれを使った場合ですよ、区市町村で別のがあるケースもあるかもしれませんが、シートをつくる場合には、区市町村教育委員会にも、作成責任者を明らかにするよう、その旨を伝えていただきたいと思います。
今回は、不登校の問題、特にこのガイドブックについて質疑をしてまいりましたけれども、繰り返しになりますけれども、不登校がふえている原因は、私は決して子供たちにあるわけではない、多くは学校現場にあると思っています。
ここにも未然防止のためのさまざまなことが書かれています。その子が活躍できる場所をつくろうとか、達成感を持てるような行事をやろうとか、何かいろいろ居場所をつくろうとかあります。 一つ一つ個別に読むと間違っていることはないと思うんです。居場所をつくろうとか、仲間とのきずながつくれるようにしようとか、いろいろ書かれています。ただ、全体が--不登校は悪いこと、学校に戻らなければならないことというふうにとられるような指導があってはならないと思うんです。
最後に、この問題ずっと国会でも議論されていて、親御さんたちも一生懸命いろいろ動いています。新しい法律ができましたよね。私は、国会の議員連絡会に保護者の方々が出した手紙を、手紙ではないんですけど、ニュースを読ませていただきました。
東京の学校全部がそうだというわけでありません、一部にこういう学校が残されているという意味で聞いていただきたいんですけれども、登校への圧力は、法施行以前と変わりなく続いており、学校現場の不登校への認識は変わっていない、不登校への認識は問題行動であり、教員にとっては迷惑な存在、不登校は悪、教室の異物という声が聞かれる、ふえ続ける不登校に対し、不登校未然防止の取り組みが強化されている、このため、いじめを受けていたり、子供の人格を傷つける体罰、暴言に傷ついている子供たちは、体は登校、心は登校拒否になり、不安定な状態で学校生活を送っているという、こういうことを書いて、無用な登校圧力、今はそれをしないということになっていますから、都教委の皆さんの理解はそうだと思うんです。
でも、学校現場では、ずっと昔からあった、やっぱり学校に行くものだということが大前提にある、そういう流れがあって変わり切れていない。そういうもとに、先生たちに、不登校対策、どういうことをやっていくかというのはしっかりと考えていただきたいということ。
もちろん学校が子供たちにとって魅力的な学校になることで不登校が減っていく、これが目指すべき方向だと思うんですけれども、その方向と、それから登校圧力はまた別のものということで、ぜひ的確に捉えて取り組んでいただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○中村委員 それでは、教育庁の平成三十年度決算について質問をいたします。
まず、年度当初の教員数の配置についてですが、児童生徒数の変動により学級数が変わる可能性がある場合は、大変判断が難しくなるということです。子供たちのことを考えると、結果として定数を超えて過剰に配置することになったとしても、定数を割り込み、教員が不足してしまう場合よりはよいわけです。
期限つき任用教員を配置するのではなく、もっと正規合格者をふやすべきですが、実態はどうなっているのか伺います。
○浅野人事部長 教員採用候補者選考の合格者数については、児童生徒数の推計や教員の退職者数等を見込んだ上で、翌年度当初に必要とする教員数を算出し、十月に決定しております。
一方で、実際に必要となる教員数は、こうした推計値の変動により、予測と異なる場合もございます。このような場合に備え、選考の結果、不合格となった者のうち、成績上位者を期限つき任用教員採用候補者名簿に登載し、必要に応じて任用しております。
○中村委員 決定する十月では、まだ半年後を見込むというのは難しいと思いますし、結果として過員になるのを避けたいというのはわかります。
とはいえ、期限つき任用教員を急に配置をして学級を任せるというのは、先生、児童も大変なことだと思います。推計値を正確にしていただくのが第一ですが、ゆとりを持った配置計画をしていただくことを求めます。
また、教員の多忙とか、教育の充実のためには、現在では小学校一年生、二年生と中学校一年生のみが三十五人学級ですが、全学年での三十五人学級の導入というのを引き続き求めていきたいというふうに思っています。
また、今も述べましたが、その教員の多忙のことなんですが、学校で教員の多忙が問題になっている中、教員と生徒が向き合う時間を確保することが重要です。
働き方改革の推進に当たり、まずは教員の勤務実態を把握することが必要であると考えますが、都が平成二十九年度に実施した勤務実態調査について伺います。また、とりわけ副校長の負担が重いと聞きますが、実際にはどのようになっているのか伺います。
○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 学校における働き方改革を進める上では、教員の勤務実態を把握することが不可欠でございまして、都教育委員会は、平成二十九年六月から七月にかけまして、都内公立学校教員の勤務実態を調査いたしました。
本調査の結果、教員は、授業や授業準備、生活指導などに加え、さまざまな校務や事務作業、部活動指導など、広範な業務に従事いたしておりまして、週当たりの在校時間が六十時間を超える、いわゆる過労死ライン相当にある教員の割合が、小学校で三七・四%、中学校で六八・二%となるなど、長時間労働の実態が明らかとなりました。
また、副校長につきましても、学校運営事務や服務、労務管理、調査等への対応など、多様な業務に従事しており、過労死ライン相当にある副校長の割合は、小学校で八四・六%、中学校で七八・六%となるなど、一般の教員と比較して長時間労働の実態が一層顕著となっております。
○中村委員 私も調査結果を拝見させていただきましたが、教員の方々、特に副校長先生が本当に今大変な状況です。
だからこそ、調査した以上は改善することが必要です。この勤務実態調査の結果を踏まえた都教育委員会の取り組みについて伺います。
○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 教員が従事いたしております業務の中には、部活動指導など教員以外でも担い得る業務や、成績処理など教員の業務であっても効率化が可能な業務なども含まれてございます。
そのため、都教育委員会は、平成三十年二月に策定いたしました学校における働き方改革推進プランに基づきまして、外部人材の活用やICT化の推進などにより、教員の負担軽減を図るとともに、小中学校の服務監督権者である区市町村教育委員会に対しても主体的な取り組みを促すなど、都全体で改革を進めているところでございます。
今後も、学校現場の実態や区市町村教育委員会の意向なども踏まえながら、引き続き取り組みを進めてまいります。
○中村委員 いろいろ改善の取り組みはしていただいているとのことなんですけれども、この教員の多忙さというのはずっとこれは大きな問題になっています。
今回この調査をしていただいたんですが、もともと調査も負担になっていますから余り調査しろというのもなんですけれども、やはりもとになる大事なものですから、この勤務実態調査というのは継続的に続けていただいて、その上でしっかりとその成果が出ているのか見ていただいて、引き続き多忙の解消につなげていただきたいというふうに思っています。
さて、副校長先生の多忙の中には、講師を探すとか、産休の代替教員を探すとか、そういったこともあるということなんですが、産休の代替教員のことも含めて少し伺います。
産休代替教員のように、月の途中で教員が採用される場合があります。しかし、通勤費は月単位で払っているため、最初の月はもらえず、二カ月目からは普通にもらえるんですが、最後の月は途中でやめても一カ月分もらえます。最初と最後で大体つじつまが合うというのは正確ではありません。
通勤費をきちんと実費精算するよう見直すべきと考えますが、見解を伺います。
○黒田人事企画担当部長 産休、育休代替の臨時的任用教職員を含む一般職である常勤の学校職員の通勤手当につきましては、学校職員の給与に関する条例、通勤手当支給規程等で規定されております。
具体的な支給につきましては、月を単位とする支給が原則となり、月の初日を除き支給の要件を具備するに至った日の属する月の翌月から支給し、また、要件を欠くに至った場合は、その要件を欠くに至った日の属する月をもって終わることになります。
これは、通勤手当が通勤に要する費用を補助する目的で支給される手当であり、実費弁償そのものではないこと及び支給方法の簡素化を考慮していることによるものでございます。
なお、このような取り扱いは、知事部局等の常勤職員や国家公務員とも同様であり、地方公務員法が求める均衡の原則に沿ったものでございます。
○中村委員 国の制度ということはわからないでもないんですけれども、常勤の職員とかに比べると、やはり産休代替の方というのは出入りが多いわけですし、また、特にそういった勤務の状態からすると、やはり給与の面でも厳しいところがあるので、細かな話のような感じもするんですけれども、実際に当事者からしてみれば、やはりこの通勤手当というのがかなり大きいという話も聞きます。
ぜひこのあたりは改善に向けて、何らか国に対しても働きかけていただきたいというふうに思いますし、そもそも産休代替の方々の待遇の面の改善ということがあればというふうに思いますので、今後ご検討をお願いいたします。
さて、次に、英語の教科化について伺います。
小学校でも今後英語の教科化がされますが、英語の専科指導教員の配置状況について、都教育委員会の取り組みを伺います。
○浅野人事部長 都教育委員会では、令和二年度からの小学校の英語教科化に向け、授業時数の増加に対応した教員の働き方改革の推進と、英語指導の充実による教育の質の向上を図るため、英語専科指導教員の配置の計画的な拡大などを行っております。
これまで、英語指導を先行実施する小学校のうち、二十二学級以上の大規模校を対象として、平成三十年度は三十五校、令和元年度は七十校に英語専科指導教員を配置し、それ以外の先行実施校についても、学級規模にかかわらず、必要な時間講師を配置しております。
小学校における英語の教科化に向けては、二十二学級以上校に対する英語専科指導教員の配置をさらに拡大するなど、指導体制の一層の充実に取り組んでまいります。
○中村委員 今までになかったものが教科化していくわけですから、もちろんこれは児童にとっての授業の内容の充実ということにはなるんですけれども、教員にとっても、先ほど多忙化の話もしましたけれども、そういった要因にもつながるので、ぜひとも配置の拡大ということをしていただいて対応していただければというふうに思っています。
さて、来年度の大学入試での、英語の民間試験の大学入学共通テストの導入について、受験生を初め、教育現場で、経済状況や地理的な状況で格差が広がるのではないかとの不安が広がっています。高等学校の校長会から文部科学省に異例の申し入れもあり、導入を一旦見合わせてはという議論もあります。
そこで、これまで高校において、英語の大学入試の変更に伴い、どのような対応をしてきたのか伺います。
○増田指導部長 グローバル化が進展する中で、高等学校教育において真に使える英語力を身につけるためには、英語四技能をバランスよく育成することが重要でございます。
都立高校等では授業の中で英語によるコミュニケーションを行う場面を設定し、生徒が日常や社会的な話題について英語で考え伝え合う活動を通して、表現力などのコミュニケーション能力の育成に取り組んでおります。
また、都教育委員会は、各学校が生徒に求められる英語力を達成するための学習到達目標の具体的な設定方法や、適切な指導と評価のあり方についての助言を行うとともに、全ての都立高校等に外国人指導者を配置し、生きた英語に触れる機会を提供したり、英語教育を推進する二十二校で実施するオンラインでの英会話の取り組みを支援したりして、英語四技能を向上させております。
○中村委員 ありがとうございました。
この入試が変わるということの不安というのは、今、大騒ぎになっていますけど、もともとこれはずっといわれていた話だったというふうに思います。
そこで、改めてこの大学入学共通テストに民間の英語資格検定試験の活用に関して、現場である自治体として、早期導入にどのような課題があったと認識しているのか伺います。
○増田指導部長 令和三年度大学入学者選抜から実施される、大学入学共通テストにおける民間の英語資格検定試験を活用した四技能評価については、学校現場から家庭の経済的負担の増大や受験機会の公平性、学習指導要領との整合性の確保などに対する不安の声があることを認識しております。
そのため、都教育委員会は、これまで文部科学省に大学入学共通テストの実施に当たり、学校現場への影響を考慮し、学校関係者の意見を聴取し反映させるとともに、わかりやすい説明の実施と十分な周知期間の確保を求めてまいりました。
また、本年九月に都立高等学校の教員を対象とし、民間の英語資格検定試験を活用した英語四技能の評価に関する説明会を、文部科学省等の関係者を招聘して実施し、学校現場に情報を提供してまいりました。
○中村委員 大きなテーマではあるんですが、決算なのでここまでにしておきますけれども、本来、生徒たちがどういうことを学ぶかということを一生懸命皆さんに考えていただいているわけですし、その学んだことを試験するわけです。ところが、なぜか試験に合わせた授業になってしまうというのはおかしな話になってしまいますから、これは教育庁としても、これからもちろん一番大事なのは生徒さんたちがしっかり学ぶことだと思っていますし、現場と、少しおかしなことがあるのであれば、その意見を取りまとめていただいて、国にもお話をしていっていただきたいというふうに思っています。
次の質問に行きます。
東京都は、中高一貫教育校について、高校の募集を停止して中学校段階での生徒募集の規模などを拡大すると計画しています。中高一貫教育校の成果に関する都教育委員会の認識と、高校募集停止及び中学校生徒募集の拡大の意図を伺います。
○藤井教育改革推進担当部長 都立中高一貫教育校では、六年間の計画的、継続的な教育や、高校受験のないゆとりを生かした特色のある教育を実施しております。
その結果、科学分野の国際的なコンテストや国内での文化、運動双方の大会等ですぐれた成績をおさめるとともに、難関大学に一定数の合格者を出すなど、多方面に、かつ多くの実績を上げております。
一方で、附属中学校を併設し、高校段階からの入学を可能とするタイプの中高一貫教育校については、高校段階からでは六年間の中高一貫教育の途中段階からの入学となることや、選択肢となる他の高校が多数あるという東京都特有の事情などから、中学生及びその保護者から積極的に選ばれていない状況がございます。
対して、中学校段階の受検倍率は、例年、五から六倍で推移しており、小学生やその保護者からの入学ニーズが高い状況にあります。
こうしたことから、六年間を一貫した教育のさらなる推進に向けて、高校段階からの生徒募集を停止し、あわせて中学校段階での生徒募集の規模を拡大することといたしました。
○中村委員 この間の中高一貫教育校の成果についてお話もいただきました。また、こういった受検の変更ということもこれからある中で、場合によっては、少しずつ人気がなくなってきたのかもしれませんが、高校から入りたいという子もいるかもしれませんから、ここのところまだ時間はあるみたいですから十分に説明していただいて、当事者に混乱が起きないようにしていただきたいというふうに思っています。
次に、スクールカウンセラーについて伺います。
いじめや体罰から子供たちを守るためにスクールカウンセラーの配置が行われています。さまざまな悩みはありますが、特に、中学校や高校へ進学したりし大きく環境が変わったりとか、また夏休み明け、長期休み明けなど、心配されることもあります。最悪のケースとして自殺などがないようにしなければなりません。
まずそこで、スクールカウンセラーの配置状況とその成果について伺います。
○増田指導部長 都教育委員会は、平成七年度から都内公立学校へのスクールカウンセラーの配置を開始し、その後、順次拡充を図り、平成二十五年度から都内全ての小中高等学校に配置しております。
また、平成二十八年度からは、高等学校全日制、定時制、通信制のそれぞれの課程別に配置するとともに、スクールカウンセラーを配置する全ての学校において、年間勤務日数をそれまでの三十五日から三十八日に拡充いたしました。
これらの成果として、学校からは、スクールカウンセラーが発達の課題がある子供との面接を繰り返した結果、落ちついて学校生活を送ることができるようになった、子供だけではなく、保護者からの相談にきめ細かく対応することで、学校に対する信頼感が高まったなどの事例が報告されております。
○中村委員 全学校に配置していただいているということと、勤務日数の方も拡充はしていただいているお話ではございました。予算の問題があるので、なかなか難しいとは思うんですけれども、子供たちがいつでも相談できるという点では、目指すところは常勤になればという思いもありますので、そこに向けて拡充を進めていただきたいというふうに思っています。
また、次に、スクールソーシャルワーカーの配置についても伺います。
福祉や医療などの専門的な知識を持つ人材としてスクールソーシャルワーカーがあるわけですけれども、この設置についても進めていると思うんですが、配置状況とその成果について伺います。
○増田指導部長 都教育委員会は、平成二十一年度から区市町村教育委員会のスクールソーシャルワーカーの配置計画に沿って、その経費を補助しており、平成三十年度は都内五十区市町が配置しております。
スクールソーシャルワーカーの配置による成果として、不登校の子供の家庭を繰り返し訪問したことにより、登校できるようになった、スクールソーシャルワーカーが子供家庭支援センターと連携して、家庭環境の改善を図ったことにより、虐待が解消されたなどの事例が報告されております。
○中村委員 ほぼ全てに近い形になっているようなんですけれども、まだのところもあるようですので、全市区町村への配置を求めるものでもございます。
さて、次に、教員のメンタルヘルスのことについて伺います。
東京都の公立学校の教員の精神疾患による休職者数及び東京都教育委員会ではどのようなメンタルヘルス対策を行っているのか、現状の取り組みについて伺います。
○小菅福利厚生部長 都の公立学校教員の精神疾患による休職者数は、直近の平成二十九年度調査では六百六人でした。
都教育委員会では、メンタルヘルス対策として、精神科医や臨床心理士等による土日を含めた相談や臨床心理士の講師派遣、新任副校長に対するカウンセリングなどを実施しております。
さらに、教員の職場復帰に向けた支援として、リワークプラザ東京を設置いたしました。このリワークプラザ東京では、臨床心理士等が支援対象の教員一人一人の状況に合わせた個別の復帰訓練プログラムを作成するとともに、職場復帰訓練の段階に応じて学校を訪問し、きめ細やかな助言指導を行い、円滑な職場復帰、再休職の防止に努めております。
○中村委員 このメンタルヘルスについては、教職員だけではなくて、児童生徒にも起こり得ます。学校において、児童生徒の精神疾患や発達障害を含む子供一人一人の状況に応じたきめ細かい支援ができるようにすることにより、不登校を未然に防止することが大切であり、そのためには、教員の資質向上や学校における関係機関等との連携が重要であると考えますが、見解と取り組みを伺います。
○増田指導部長 不登校の要因は複雑多様化していることから、学校が精神疾患や発達障害を含む子供一人一人の状況に応じてきめ細かく支援できるよう、教員の資質を向上させるとともに、学校が心理等の専門家を活用したり、福祉や医療等の関係機関と連携したりして対応することが重要でございます。
そのため、都教育委員会は、教員の経験に応じた不登校の子供への対応のあり方等に関する研修の実施や、全ての小中学校へのスクールカウンセラーの配置などを通して、学校における支援の充実を図ってまいりました。
また、子供の状況を多面的に把握する手法や、学校と関係機関との具体的な連携のあり方等を示した都独自の教員向けガイドブックを作成し、平成三十一年三月に、全公立小中学校へ配布するなどして、児童生徒一人一人の実態に応じた不登校対策の実現を目指しております。
○中村委員 不登校の要因もさまざまだとは思っていますけれども、精神疾患等も比較的早い時期になる場合もあるというようなことを聞いたことがあります。
なかなか教員も専門家ではないので、早期発見をして、早期支援につなげていくというのは難しいとは思うんですけれども、そういった子供の変化に気づきがあって、どこにつないでいければというルートがあれば早目に見つかることもあるんだろうと思っています。
不登校がそのままひきこもりになって、ずっと長期化をしていくという可能性もあるだけに、できれば、そういった研修等も、なかなか先生もお忙しいことだと思うんですけれども、こういった知識も身につけていただいて対応していただければと思います。
さて、次の質問です。
インターネットの発達やスマートフォンの普及により、大量の情報が流れるようになってきました。ネットに流れる情報は全て真実ではないとの認識に立ち、誤った情報に惑わされず、必要な情報を得ることが重要です。また、インターネット上のマナー、個人情報の扱いなど、これまでにない知識が求められてきます。
いわゆるメディアリテラシーについての教育を行う必要があると考えますが、見解と取り組みについて伺います。
○増田指導部長 高度情報化社会を生きる子供たちには、インターネットなどの媒体から得られるさまざまな情報の中から必要な情報を主体的に選択し、適切に活用できる資質や能力を身につけさせることが重要であります。
そのため、都教育委員会は、情報活用能力を育てるための補助教材、SNS東京ノートを作成し、都内公立学校の全ての児童生徒に配布し、学校における活用を促しております。
このノートには写真をインターネット上に公開する際に留意すべきことを理解する事例や、災害時にうわさに惑わされず、正しい情報を見きわめられるようにする事例などを掲載しており、各学校ではこれらについてグループで話し合うことなどを通して、メディアリテラシーの育成を図っております。
○中村委員 昨今インターネットの発達があって特にいわれるようになってきたんですけれども、もともと、そもそもインターネットというものを媒介しなくても情報そのものの扱いということを、ある意味で、普通に新聞だって新聞社の主観で書いているところがあるわけですから、そういった情報というのはどういうものなのかというところをしっかり教えていただいて、また、特に災害時のお話もありましたけれども、逆にいうと最近は転送や拡散もしやすいところがありますので、間違った情報をどんどんどんどん広めてしまえば、かえって被害を大きくしてしまうところもありますから、ぜひこのメディアリテラシーの教育について、重点的にやっていただければというふうに思っています。
さて、次の質問です。
工業高校のことなんですが、工業高校のように技術、技能を身につけ、産業界で活躍する人材の育成は大変重要です。一方で、最近は普通科の志向の高まりとともに、入学者選抜で二年連続で欠員が生じています。
工業高校の魅力について、もっと中学生に説明する必要があります。中学生に勧めるには中学校の教員が理解していることが重要です。中学校に対する工業高校のPRの状況について伺います。
○藤井教育改革推進担当部長 都教育委員会では、入学者選抜の状況を踏まえ、工業高校の校長をメンバーとする対策検討会議を立ち上げ、工業高校の魅力発信に取り組んでおります。
対応策として、全ての工業高校でPR計画を作成し、校長が直接中学校を訪問し、教員に対してトップセールスを行うほか、進路指導担当者向けの都立高校説明会で、卒業生による学校紹介等を行うことにより、実社会で活躍する卒業生の状況が中学校の教員に伝わるよう、情報発信に努めております。
また、中学生に対しては、体験入学や出前授業の充実により、学習内容への興味、関心を高めるとともに、全ての公立中学三年生に配布する広報紙に卒業生のロールモデルを紹介するなどして、工業高校の教育活動の周知を図っております。
今後とも、こうした取り組みを通じ、工業高校の魅力や特色を広く発信してまいります。
○中村委員 少し前になるんですけれども、工業高校を実際に見学もさせていただきまして、先生も非常に熱心でしたし、生徒さんも熱心に学んでいる様子も拝見させていただきました。
普通科だけということではなくて、いろいろ多様性がいわれる社会ですから、多様な進路があってもいいんだと思っています。とりわけ、ものづくりも大変重要だといわれる昨今ですから、これからも工業高校の魅力をぜひとも伝えていっていただきたいというふうに思っています。
さて、災害の対応等を含めて伺いたいと思っています。
本年八月に文部科学省が公表した避難所となる公立学校施設の防災機能に関する調査の結果によると、都内の避難所に指定されている公立学校のうち、要配慮者の利用が想定される施設では、スロープ等による段差解消率は、屋内運動場で五五・二%、校舎では六五・八%であり、多目的トイレの設置率は、屋内運動場では二九・二%、校舎では七二・三%となっています。
災害時に避難所となる学校においては、障害のある方や高齢者にも利用しやすいよう、バリアフリー化をさらに進めていく必要性があると考えます。
そこで、公立学校のバリアフリー化の推進に関する現状と対策について伺います。
○江藤都立学校教育部長 避難所指定を受けた公立学校は、非常災害時に高齢者や障害者を含む多様な地域住民が避難生活を送る施設としての役割を果たす必要があることから、都教育委員会は、都立学校につきましては、校舎、体育館等の改築、改修時に合わせて、計画的にバリアフリー化を進めております。
また、公立小中学校につきましても、区市町村に対し、国庫補助事業を活用した整備や他の自治体の学校施設の整備状況に関する情報提供を行うなど、バリアフリー化の促進を働きかけております。
今後も引き続き、こうした取り組みを通じまして、公立学校のバリアフリー化を推進してまいります。
○中村委員 もとより学校ですので、子供たちのためということになりますから、けがをする子もいれば、障害のある子もいらっしゃるでしょうから、まずはそういう視点でと思うんですけれども、昨今、本当にこれだけの大型の台風が襲来する中で、いろんな方とお会いしても、やっぱり避難するということはかなり現実味を帯びてきたことになってくる中で、皆さん避難所に対する関心ということも高まっています。
ぜひこういったことを、本当に災害はいつ来るかわかりませんので、このバリアフリー化の推進についてより積極的に進めていただきたいというふうに思っています。
さて、次に、コミュニティスクールについて伺います。
地域参加型教育のコミュニティスクールが進んできていますが、まずその普及状況を伺います。
○太田地域教育支援部長 都内区市町村立小中学校のコミュニティスクールの設置状況は、平成三十一年四月一日現在、二十一の自治体で、小学校で二百九十校、中学校では百三十八校でございます。
また、小中学校及び義務教育学校の全学校数に占める割合は、平成三十年度が二〇・三%、平成三十一年度が二二・七%でございます。
○中村委員 以前、教育庁が都政改革本部に出した資料を拝見させていただいたんですが、コミュニティスクールの推進ということで、教員の負担増への懸念があるということが書かれていました。
確かに地域との連携には手間もかかりますが、それを上回る協力が得られると思います。課題としてはあると思いますが、うまく生かせるよう取り組む必要がありますが、見解を伺います。
○太田地域教育支援部長 都教育委員会が区市町村教育委員会に調査したところ、コミュニティスクールを導入しない理由として、既に類似の取り組みがあり、地域との連携が十分に図られているや、コミュニティスクールが有する機能のうち、教員の任用に関して意見を述べることができることに対する不安などが挙げられています。
このため、都教育委員会は、学校関係者に対し、コミュニティスクールの導入の先行事例や、既にある地域連携の取り組みからコミュニティスクールに移行した事例を紹介する研修会を開催するなど、普及啓発を行っております。
○中村委員 最近では、地域の方々が学校にかかわっていくとか支援をするというのも普通の光景にもなってきております。まだまだ、なかなか進まない要因があるということなんですけれども、ぜひ普及啓発をしていただければと思っています。
さて、次に、多摩格差の問題を質問します。
多摩格差ゼロといわれていますが、都では教育内容は各市区町村の独自性を発揮しているので、地域の差はあっても多摩格差はないといわれています。しかし、これも先ほどの都政改革本部に教育庁が出した資料を見ると、一校当たりの歳出額は、区部は三億八千万円で、市部は二億七千万、町は一億五千万、村は一億三千万で明らかに差があります。消耗品や備品などでも差があると聞きます。
格差を是正すべく都が支援すべきと考えますが、見解を伺います。
○小原教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 全ての地方自治体で教育、福祉などの行政サービスを一定水準に維持できるよう、国はさまざまな地方財政措置を講じており、東京都においても、さまざまな支援を実施し、各地域の振興を図っております。
各区市町村ではそれぞれの財源の中で、小中学校の設置者としての主体的な判断に基づき、地域の実態を踏まえた特色ある教育活動を展開いたしております。
都教育委員会といたしましても、必要に応じて、学校施設の耐震化、空調設備やトイレの整備及び部活動指導員の配置など、広域行政の立場から多様な支援を行っております。
○中村委員 先ほどの数字も一校当たりの金額ですから、子供たちの数が違うところがあるので、一概に比較できないところもあるのもわかりますし、教員の配置そのものは、生徒児童の数に応じているので、それも公平なのはわかるんですけれども、ただこういう数字を並べられるとやはり違うなというのがありますし、先生たちが異動していると、肌の感覚としてやっぱり何となくお金がかかっているのが違うとか、区に行けばやっぱり充実しているけど、市町村の方では厳しいとか、そんな話も聞きます。
ぜひこれ、教育はどこの地域でも、また親の経済力の差にかかわりなく、皆さん同じように受けられればと思っていますので、こういった格差の是正ということに今後も努めていただきたいということを要望しまして、質問を終わります。
○大松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大松委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で教育庁関係を終わります。
以上をもちまして第二分科会における決算の審査は終了いたしました。
なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
これをもちまして第二分科会を閉会いたします。
午後五時二十九分散会
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