平成三十年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第六号

令和元年十月三十日(水曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長大場やすのぶ君
副委員長加藤 雅之君
副委員長森村 隆行君
けいの信一君
平  慶翔君
白戸 太朗君
山崎 一輝君
とや英津子君
鈴木 邦和君
和泉なおみ君

欠席委員 なし

出席説明員
労働委員会事務局局長松山 英幸君
産業労働局局長村松 明典君
次長十河 慎一君
総務部長坂本 雅彦君
産業企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長成長戦略担当部長兼務武田 康弘君
商工部長土村 武史君
金融部長加藤  仁君
金融支援担当部長井上  卓君
観光部長松本 明子君
観光振興担当部長鈴木 誠司君
農林水産部長上林山 隆君
安全安心・地産地消推進担当部長龍野  功君
雇用就業部長篠原 敏幸君
事業推進担当部長村西 紀章君

本日の会議に付した事件
平成三十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
労働委員会事務局関係
・平成三十年度東京都一般会計決算(質疑)
産業労働局関係
・平成三十年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成三十年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算(質疑)
・平成三十年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算(質疑)
・平成三十年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算(質疑)

○大場委員長 ただいまから平成三十年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、労働委員会事務局及び産業労働局関係の決算に対する質疑を行います。
 質疑は、平成三十年度決算の審査から逸脱しないよう、委員長として特にお願いいたします。
 また、理事者におかれましても、答弁は簡潔明瞭に行っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 これより労働委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成三十年度東京都一般会計決算中、労働委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松山労働委員会事務局長 去る十月十一日に当分科会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の平成三十年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくりください。目次にありますとおり、要求のございました資料は三件でございます。
 一ページをお開きください。1、職員の定数の推移、平成二十六年度から平成三十年度でございます。
 この表は、管理職を除く職員の定数について、平成二十六年度から平成三十年度までの推移を記載したものでございます。
 二ページをお開きください。2、職員の平均局在職年数の推移、平成二十六年度から平成三十年度でございます。
 この表は、管理職を除く職員の平均局在職年数について、平成二十六年度から平成三十年度までの推移を記載したものでございます。
 三ページをごらんください。3、東京都労働委員会機能別取扱件数、平成二十一年度から平成三十年度でございます。
 この表は、東京都労働委員会における判定的機能、調整的機能、それぞれの区分ごとの取扱件数について、平成二十一年度から平成三十年度までの実績を記載したものでございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大場委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大場委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大場委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で労働委員会事務局関係を終わります。

○大場委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成三十年度東京都一般会計決算中、産業労働局所管分、平成三十年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算、平成三十年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算及び平成三十年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○坂本総務部長 去る十月七日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の平成三十年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料の表紙をおめくりください。
 目次でございます。資料は全部で十二項目ございます。
 一ページをごらんください。このページから三ページにかけまして、中小企業対策、農林水産対策、雇用就業対策の過去五年間の予算額、決算額の推移をそれぞれお示ししてございます。
 四ページをお開きください。新・元気を出せ商店街事業及び商店街チャレンジ戦略支援事業につきまして、実績の推移をお示ししてございます。
 五ページをごらんください。小売商業後継者育成・開業支援事業、商店街パワーアップ基金事業、商店街起業促進サポート事業につきまして、過去五年間の実績をそれぞれお示ししてございます。
 六ページをお開きください。商店街パワーアップ作戦につきまして、過去五年間の支援実績をお示ししてございます。
 七ページをごらんください。東京都における新規就農者数の過去五年間の推移をお示ししてございます。
 八ページをお開きください。正規雇用等転換促進助成事業につきまして、平成二十七年度以降の実績をお示ししてございます。
 九ページをごらんください。多摩産材取扱量の過去十年間の推移をお示ししてございます。
 一〇ページをお開きください。ものづくり企業グループ高度化支援事業につきまして、過去五年間の当初予算と実績の推移をお示ししてございます。
 一一ページをごらんください。クラウドファンディングを活用した資金調達支援につきまして、当初予算と実績の推移をお示ししてございます。
 一二ページをごらんください。金融機関と連携した事業承継支援の当初予算と実績の推移をお示ししてございます。
 以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大場委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○白戸委員 東京には、江戸の時代から受け継ぐ伝統のたくみのわざ、食の文化を生かした宝物ともいえる逸品を持つ老舗企業が多く存在しています。また、東京には、有望なビジネスプランを持つスタートアップや、すぐれた技術を持つ中小企業、さらには投資家や研究機関などが数多く集積し、イノベーションが次々と生み出されています。
 東京が激化する国際競争に打ち勝ち、我が国の発展を牽引していくためには、今申し上げたあらゆる産業の集積を生かし、稼ぐ力をさらに高めていくことが不可欠であります。
 そこで、私からは、この稼ぐ力を高めるためのこれまでの取り組みについて、何点か伺ってまいります。
 伝統のわざや老舗の逸品をブランディングの手法を用いて磨き上げ、その魅力を国内外に発信する江戸東京きらりプロジェクトは、東京の産品のブランド力を高め、海外に向けて売り出していく取り組みであり、非常に重要なものです。
 このプロジェクトのこれまでの取り組み状況、さらに、取り組みを通じて明らかになった課題について伺います。

○武田産業企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長成長戦略担当部長兼務 江戸東京きらりプロジェクトでは、平成二十九年度からこれまで十七のモデル事業者を選定し、豊富な知見を有する専門家のチームによる支援体制を構築するとともに、海外展開に向けたサポートや、デザイナーとの連携による商品開発を進めてまいりました。
 また、本プロジェクトの認知度向上に向け、平成三十年度から、雑誌媒体を活用した記事広告の掲載を初め、ユニークベニューを活用した体験イベント、パリでの展示実演など、国内外でのプロモーションを実施いたしました。こうした取り組みを通して、モデル事業者と大手ブランドとの連携が実現するなど、ブランド力を高めてまいりました。
 その一方で、イベントやプロモーションを通じて得られた消費者の理解や共感を実際の商品購入に結びつけていく仕組みづくりが必要と認識してございます。このため、これまでの取り組みに加えまして、今年度新たに、越境ECサイトを活用した販売を開始するなど、モデル事業者の収益につながる取り組みを強化しているところでございます。

○白戸委員 このプロジェクトは、今まさに、プロモーションと販売に力を入れているということを確認させていただきました。
 今後、重要となるのは、これらの取り組みを一過性のものにすることなく、しっかりと効果検証を行い、改善につなげる、いわゆるPDCAの視点に立って展開することだと考えます。
 例えば、販売で得られたデータを活用して、マーケティングの実効性を高めていくなどの取り組みを進めまして、海外から多くの方々が集まる二〇二〇年、来年になりましたけれども、二〇二〇年に向けて、東京ブランドとしての地位を確立していただきたいと思います。
 東京の稼ぐ力を高めて技術的発展を実現していくためには、革新的なイノベーションにより、新たな市場の創出にもつながる製品、サービスを生み出していくことも重要です。
 そのためには、独自の技術やアイデアを有するベンチャー企業や中小企業が多様な主体を巻き込み、広く世の中に変革をもたらす事業を展開していくことも必要です。
 一方で、資金面や販路等で課題を抱えているベンチャー企業が、広く波及効果のある新たなビジネスを創出していくためには、知見や経営資源を有する大企業も活用したオープンイノベーションが効果的でもあります。
 そこで、こうしたオープンイノベーションの促進に向けて、昨年度どのような取り組みを行ったのか、その具体的な実績について伺います。

○土村商工部長 都は、すぐれた発想や技術力を持つベンチャー企業が、人材や販売力、必要な資金を提供できる大企業等の力を活用して取り組む大規模プロジェクトを支援する取り組みを、平成三十年度から新たに実施いたしました。
 このプロジェクトは、革新的なサービスや製品等の開発に要する経費の一部について、大企業等の出資を受けることを条件に、限度額五億円、助成率二分の一、対象期間を三年三カ月として支援するものでございます。
 平成三十年度は、人を乗せて安全に飛行することができる空飛ぶ車の開発や、ブラックアウト等を想定しました急速充電、急速放電が可能な次世代蓄電池の開発の二件を採択いたしました。
 これらの取り組みを通じまして、中小企業やベンチャー企業のイノベーションへの挑戦を加速化し、広く波及効果のある新たなビジネスを創出してまいります。

○白戸委員 この事業では、プロジェクトに参画する大企業からも一定額の出資を受けることが条件になっているようです。
 このスキームによりまして、すぐれた技術を持った中小企業が大企業の資源を有効に活用し、成長に結びつく大型のプロジェクトを実現することができると考えます。プロジェクトの成功、さらには東京の稼ぐ力の強化に向けて、しっかりと支援を進めていただきたいと思います。
 ここからは観光振興について伺います。
 ラグビーワールドカップでは、日本チームが決勝トーナメントに進出し、東京のみならず、開催都市、そしてひいては日本全体で、本当に大きな盛り上がりを見せました。多くの方が改めてラグビーの魅力、そしてトップスポーツのだいご味を認識していただいたというところではないでしょうか。
 また、このラグビーワールドカップは日本各地の十二の会場で開催されるため、共存共栄の一環として、地方と東京が手を携え、連携して観光のPRを進めていくことが大切です。
 こうした観点から、我が党は、平成三十年第一回定例会の予算特別委員会にて質問させていただき、地方と東京の観光動線の強化を求めたところですが、改めて、昨年度、ラグビーワールドカップに向けて、どのように外国人旅行客の誘客策に取り組んできたのか、伺います。

○松本観光部長 都は、平成三十年十月から、ラグビーワールドカップの開催都市と連携しまして、多くの来訪が期待される欧米豪地域向けに、東京及び開催都市の観光情報や試合会場までの交通情報を発信するウエブサイトを開設しておりまして、年度末までに二十八万件を超えるアクセスがございました。あわせて、欧米豪地域の有力なラグビー専門誌などに開催都市の魅力を伝える記事を掲載しまして、PRを行いました。
 こうした取り組みの効果をはかるために行ったインターネット調査では、東京の旅行地としての評価とともに、全国の開催都市への興味や訪問意向も高まる傾向が見られました。
 また、海外の旅行事業者に対しましても、国及び神奈川、埼玉の開催都市とともに、イギリスで開かれた欧州最大級の旅行博に出展して、観光PRを行いました。
 なお、今年度も各地と連携した魅力発信を続けておりまして、外国人旅行者の誘客につなげております。

○白戸委員 本当に都内だけでも、いつもにも増して外国人旅行者がふえているのを、私だけではなくて皆さんも実感されたと思います。友人の飲食店なんかも非常にふえたというお話もありましたし、おもしろかったのは、美容室なんかでも、英語対応に追われて大変だったというようなお話も聞いております。
 いずれにしても、この機運を我々東京都だけではなくて地方にいかに広げていくか、非常に大切な視点だというふうに考えます。
 次に、区市町村における外国人旅行者の受け入れ環境の整備について伺います。
 ラグビーワールドカップでは、多摩地域にも多くの外国人が来訪しており、これを契機に、多言語による案内サインを設置するなど、さらなる受け入れ環境整備が必要と感じる自治体も多いと推測しています。
 また、東京二〇二〇大会の開催も来年に迫りまして、世界中の観光客を、会場周辺にはとどまらず都内各地に訪れてもらうためには、地域における外国人旅行者の受け入れ環境の整備を進めていく必要があります。
 都では、区市町村における外国人旅行者の受け入れ環境の整備を支援する補助制度を実施しておりますが、平成三十年度の支援実績や自治体の取り組み状況について伺います。

○鈴木観光振興担当部長 都では、地域の特色を生かした外国人旅行者の受け入れ環境整備を進めるため、区市町村が計画を策定して取り組む場合、事業経費の二分の一を五年間の合計で一億円を上限に助成しております。
 平成三十年度は、四十の自治体に約三億五千万円の支援を行っており、事業開始の平成二十七年度から昨年度までに、四十八の自治体に対して、累計で約十億円の支援を行っております。
 具体的には、観光スポット等を紹介したガイドマップの作成や、案内看板の整備などの多言語対応のほか、Wi-Fi環境整備等に多く活用されております。
 また、自治体によっては、観光案内所の開設や観光ボランティアの育成、地域の住民や事業者を対象としたおもてなし講座を実施するなど、地域の実情に応じた多様な取り組みに対して支援を行っております。

○白戸委員 今ご説明いただいたように、都が地域のさまざまな取り組みに対しまして、既に支援をされており、また、多くの自治体でこの制度が活用されていることがわかりました。
 しかし、一方では、一部の自治体では、受け入れ環境の整備に向けた取り組みが十分に進んでいないというところもあると思います。東京二〇二〇大会やその先を見据えて、都内各地域に誘客するためには、旅行者が快適に観光を楽しめるよう、多言語による表示をさらにふやしたり、観光案内を充実するなど、一層の基盤整備に向けた支援が必要です。
 区市町村における外国人旅行者の受け入れ環境の整備を進めていく上での課題と今後の方向性について、あわせて伺います。

○鈴木観光振興担当部長 各自治体における外国人旅行者の来訪の多い少ないといった状況や財政状況等により、受け入れ環境整備に取り組む時期や事業内容、規模がさまざまであるなど、取り組みに差が見られるほか、自治体によってはノウハウ不足なども課題となります。
 現在開催中のラグビーワールドカップ時には、これまで以上に多摩地域への来訪が見られておりますが、今後の旅行者のさらなる増加や行動の多様化に伴い、より多くの場所に旅行者が訪れることも想定されるため、都内各地での受け入れ環境の整備をさらに進めていく必要がございます。
 そのため、先進的な取り組み事例の紹介により、受け入れ環境整備に向けた機運醸成を図るとともに、各自治体や観光協会等からの相談対応を一層きめ細かく行うことなどにより、本制度の活用を促してまいります。

○白戸委員 来年に迫りました東京二〇二〇大会までに、外国人旅行者の滞在を支える基盤を整備していくためには、区市町村による取り組みを促進することが非常に重要です。都内全域で外国人旅行者の受け入れ環境整備がさらに進むよう、地域の実情も踏まえまして、きめ細やかな対応をしていただくとともに、支援の充実を要望するものです。
 次に、農林水産業について伺います。
 近年注目されております持続可能な開発目標、いわゆるSDGsの目標達成に向けた項目の一つに、持続可能な農業の推進が挙げられております。
 持続可能な農業の実現に有効なものとして、GAPがありますが、東京二〇二〇大会では、農産物の調達要件として、その認証取得が求められています。
 都は、都内農業者のGAP認証取得を促進するために、都市農業の特徴を加味し、農業者の負担軽減にも配慮した東京都GAP認証制度を平成三十年度から開始していますが、これまでの取り組み状況と成果について伺います。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長 都は、GAP認証の取得促進のため、農業者の理解促進と消費者の認知度向上に取り組んでおります。
 平成三十年度は、農業者の理解促進に向け、都の普及指導員二十六名にGAP指導員の資格を取得させ、農業者等六十一件に対し、農薬の適正使用や危険箇所の表示など、認証取得に求められる事項について、きめ細かな指導を実施した結果、二十二件の東京都GAP認証取得者が誕生いたしました。
 また、都庁職員食堂において、認証農産物を使用した期間限定メニューを二月と三月に計約三百食提供するとともに、東京都農業祭等において、GAPに関するパネル展示を実施いたしました。
 さらに、東京二〇二〇大会への農産物供給に向け、大会で食文化を発信するための関係省庁連絡会議において、東京都GAPや東京産農産物のPRを実施いたしました。

○白戸委員 来年の東京二〇二〇大会で、多くの人が東京の農産物を味わっていただけるよう、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 持続的な東京の農業の実現に向けては、東京二〇二〇大会以降も引き続き、GAP認証の取得を図っていただくことが必要であります。GAP認証が東京二〇二〇大会のレガシーとなるよう、認証取得の推進に加えまして、都民の認知向上に向けた取り組みも期待するところでございます。
 そして、東京農業の持続的な発展には、農業の振興に加えて、都民の皆様へ東京農業の魅力を伝えていく必要もあるかと思います。
 私が生まれ育ちました京都においては、伝統野菜である京野菜がブランド農産物として全国的に知られておりますが、東京にも伝統野菜である江戸東京野菜があり、その魅力を発信していくことが、東京産農産物のPRに大変効果的だと考えます。
 しかし、江戸東京野菜は、江戸時代から昭和四十年代前半までに主に栽培されていた品種改良されていない在来種であり、栽培手法が確立していないために、安定した生産が難しいという声も聞いております。
 都は、この江戸東京野菜の普及拡大に向けて取り組んでいますが、その取り組み状況について伺います。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長 都は、江戸東京野菜を東京産農産物のシンボルとして活用するため、その生産振興や販路拡大、認知度向上に取り組んでおります。
 平成三十年度は、病害虫などに弱い江戸東京野菜の生産を安定させるため、飲食店等での利用が期待できる寺島ナスや馬込半白キュウリなど五品目について、栽培マニュアルの作成に取り組みました。
 また、飲食店や流通業者を対象とした生産現場の見学会や試食イベントを八月と十二月に開催いたしました。
 加えて、仲卸業者等の運搬車に江戸東京野菜の広告ステッカーを掲出するとともに、十一月に開催された東京都農業祭で、ごせき晩生コマツナや亀戸大根の種を配布するなど、都民の認知度向上に取り組みました。

○白戸委員 江戸東京野菜の普及拡大には、これまで江戸東京野菜を栽培したことがない農業者へのアプローチはもちろんですが、飲食店、流通業者への浸透、さらに都民へのPRなど、認知向上が重要であるため、引き続き取り組みを進めていただきたいと思います。
 もっとも、京野菜ほどメジャーになると、逆に京都の人はなかなか食べられないという現状もあるので、そのぐらいになるまで頑張っていただきたいと思います。
 次に、林業振興、そして昨年度実施しました全国育樹祭について伺います。
 我が国では、昭和三十年代、四十年代に、森林整備の促進と木材の安定供給を目的に、多くの杉やヒノキを植えてきました。この杉やヒノキの多くは植えてから五十年以上が経過し、木材として利用できるまで育っています。
 しかし、その後、金属やプラスチックなどに押されまして、木の使用量が少なくなるとともに、長引く木材価格の低迷等から、林業は不振となり、森林整備が十分にできない状況になっております。
 健全な森林を維持していくためには、森林循環を促進させていくことが非常に重要であり、そのためには、木材を使うことによって、森づくりを促進していくことが求められています。
 こうした中、都は昨年の十一月に、都民の木材利用と森林整備の機運を高めるために、全国育樹祭を開催し、大成功をおさめたものと承知しています。
 そこで、全国育樹祭で高まった機運をレガシーとしてどのように引き継いでいくのか、伺います。

○上林山農林水産部長 都は、森林整備、木材利用の機運を広げていくため、昨年十一月に開催した第四十二回全国育樹祭において、五十年、百年先の東京の森林の将来展望を取りまとめた東京フォレストビジョンをメッセージとして発信いたしました。
 また、育樹祭の機運をレガシーとしてつなげるため、事業者の経営基盤強化や木材の利用拡大、森林整備の担い手育成を総合的に推進する取り組みを開始いたしました。
 平成三十年度は、林業事業体九社に対し、チェーンソー等の林業機械や安全用具の導入費を助成するとともに、本年一月には、四十都道府県の参加によります木材の展示商談会として、モクコレを開催いたしました。
 加えて、都内の小学生などが森づくり体験や学習活動を通じて緑の大切さを学ぶ緑の少年団十団体に対し、その活動費を支援いたしました。

○白戸委員 森づくりは一朝一夕にはできないことは承知しております。私も東京フォレストビジョン、読ませていただきました。百年先の東京が木の都市として生まれ変わることを期待しております。その実現に向けまして、この全国育樹祭を契機とした長期的な視点を持った木材利用の促進と林業振興に取り組んでいただきたいと思います。
 ここからは働き方改革について伺ってまいります。
 都は、二〇二〇大会の交通混雑緩和に向けた交通需要マネジメント、TDMとテレワーク、そして時差ビズなどの取り組みを、スムーズビズとして一体的に推進しています。
 この中でも、テレワークは、在宅での勤務を可能にするなど、働き方改革を進める上で最も重要な取り組みだと考えています。また、先日の大型台風の際は、鉄道の計画運休が行われるなど、企業活動への大きな影響がありましたが、このような自然災害時においても、テレワークで在宅勤務ができれば、業務の継続が可能となるわけです。
 今後、都内企業にテレワークの導入を強力に進めていくためには、まずは普及啓発により、テレワークについて知ってもらい、そのよさを理解してもらうこと、次に具体的な導入が進むように支援すること、この二つが非常に大切であると考えます。
 都は、テレワーク普及に向けて、中堅、中小企業のテレワーク導入拡大を支援し、その効果を検証するテレワーク活用モデル実証事業を行っていますが、改めて事業の概要と平成三十年度の実績について伺います。

○篠原雇用就業部長 テレワーク活用モデル実証事業でございますが、在宅でのテレワークやサテライトオフィスの活用など、テレワークの導入に取り組む企業を支援いたしまして、この過程で得た課題の検証結果やノウハウなどを事例集にまとめて、その普及を図るという事業でございます。
 平成三十年度は、製造業、情報通信業など二十一社を対象といたしまして、がん治療と仕事の両立、あるいはコールセンター業務のテレワークなど、特色のある取り組みについて検証を行いました。
 また、平成二十九年度に実施いたしましたモデル事業の事例集を八千部作成し、東京テレワーク推進センターなどで配布するほか、ホームページでも公開するなど、テレワーク導入に向けて広く発信を行っております。

○白戸委員 テレワークの導入状況は業界によってかなり異なっており、優良な事例を同業種の企業に周知することが、テレワークの裾野を広げていく上で効果的と考えます。
 都は、モデル実証事業の事例を踏まえまして、業界ごとの課題や状況を踏まえました業界別ハンドブックを作成していますが、その内容や周知の状況について伺います。

○篠原雇用就業部長 業界別ハンドブックは、テレワークの導入による効果などをわかりやすく周知するため、業種ごとの導入事例や効果的な運用ポイントなどを整理した冊子でございまして、平成三十年度は、製造業、建設業、卸売・小売業の三業種につきまして、各一千三百部を作成いたしました。東京テレワーク推進センターでの配布や、業界団体を通じた配布などを行うほか、ホームページでも公開しております。
 さらに、このハンドブックを活用いたしまして、業界別のテレワーク体験セミナーを各業種で二回、合計六回を開催し、五十九社の企業に参加をいただいております。

○白戸委員 私も建設業の業界別ハンドブック、拝見させていただきました。テレワークを経営戦略の一つと捉え、取り組んでおられる企業では、ノートPCなどの整備や、現場につくられた事務所をサテライトオフィスとして活用することで、移動時間が大幅に短くなり、ガソリン代の削減等のコスト削減や、職場環境の改善による女性社員の増加にもつながっているということです。
 今まで、建設とテレワークというのは余り結びついていないようなイメージがあるんですが、具体的な事例を発見することで、かなりイメージも湧くのかと思います。こうしたテレワークの導入の効果をしっかりと周知していくことが、これが重要ではないかなと考えます。
 引き続き、企業、業界の声を聞きながら、きめ細やかな普及啓発を進めていただきたいと思います。
 次に、具体的なテレワーク導入に向けた支援について伺います。
 都は、中小企業のテレワーク導入を支援するために、企業に専門家を派遣するワークスタイル変革コンサルティング事業を平成三十年度より開始しています。この事業の概要と実績について伺います。

○篠原雇用就業部長 ワークスタイル変革コンサルティング事業は、企業がテレワークを導入するに当たり、前提として必要となります業務の洗い出しや業務プロセスの見直しを行っていただくため、テレワークの導入を目指す中堅、中小企業を対象として、業務改善あるいはICTに精通した専門家を派遣する事業でございます。
 一社当たり最大五回まで無償で専門家を派遣しておりまして、平成三十年度に支援した企業数は二百九社、専門家の派遣回数は延べ七百二十五回でございます。

○白戸委員 冒頭にも申し上げましたが、テレワークの推進には、普及啓発、そして導入に向けた支援、この二つが大切であり、今回、平成三十年度における都のこの二つの取り組み、確認ができました。
 都内の従業員三十人以上の企業を対象に行っているテレワーク導入状況調査では、導入していると回答した企業が、平成二十九年六月末の時点では六・八%でしたが、平成三十年度には一九・二%、先月公表されました一番近いところでは二五・一%となっており、着実に進展していることはうかがえます。
 都は、二〇二〇大会前のテレワーク導入率三五%という目標達成を挙げていますけれども、テレワークの導入、活用をさらに進め、企業の働き方の見直し、生産性の向上につなげていくことが重要であります。
 このために、ICTに精通した専門家の活用はもちろんですが、企業が新たな働き方を取り入れる際には、それぞれの企業の状況に合わせた業務改善や就業規則の整備を行う必要もあることから、実務に精通した社会保険労務士とも連携を図りながら、進めていただくことを要望しておきます。
 今後も、テレワーク導入を推進し、多くの中小企業の働き方改革が進むよう期待しております。
 最後に、高齢者の就労支援について伺っていきます。
 少子高齢化が進む中で、人手不足に苦しんでいる事業主は多いようですが、高齢者を積極的に採用しようという動きは、まだまだ鈍いといえます。高齢者の採用に当たっては、体力面の不安や、若年者を優先したいという意向もあって、二の足を踏んでいるという状況ではないでしょうか。
 その一方では、高齢者の方でも、定年後のセカンドキャリアに向けた準備不足、さらに現役時代の職種にこだわる傾向もあります。まさにこれが高齢者雇用のミスマッチの一因であり、このような課題への手だてが求められています。
 こうした中で、都は、企業における高齢者の活用と高齢者の就労機会の拡大を促進するために、昨年度より、東京キャリア・トライアル六十五を開始しています。その具体的な実績について伺います。

○篠原雇用就業部長 東京キャリア・トライアル六十五でございますが、この事業は、六十五歳以上の高齢者を企業に派遣いたしまして、一週間から二カ月程度、短期間就業していただくという事業でございます。
 このトライアルの就業を通じまして、高齢者の方には派遣先の企業や業界で働くスキルを身につけていただく。一方で、企業の方では高齢者を受け入れるノウハウを習得していただくということを目的としております。さらに、派遣した高齢者をそのまま派遣先の企業に直接雇用していただくということも狙いの一つとしております。
 昨年度の実績としましては、高齢者を受け入れていただいた企業数が百二十二、派遣した高齢者が延べ三百五名でございまして、このうち、派遣終了後に派遣先の企業に採用された者は百四名でございます。この採用された者の職種として多かったものは、電話オペレーター、一般事務、営業などでございます。
 派遣した高齢者の約三分の一が就職するに至っておりまして、本事業は、企業の人材確保や高齢者の活躍の場の拡大に寄与したものと考えております。

○白戸委員 この東京キャリア・トライアル六十五が、人手不足に悩む企業の側、そして、六十五歳を超えてなお働き続けたいという就業意欲の高い高齢者の側、この双方のニーズに応えている。双方をしっかりと応援しているということがよくわかりました。
 このように、一度引退してもブランクをあけずに働き出したいという高齢者の方が、今、非常にふえておられます。その一方、地域課題の解決のために、ボランティアやNPO活動に関心を持っておられる方もいれば、新しいことにチャレンジをしたいという希望を持ちながらも、何を始めればいいのかという、迷っている方もおられるのが現状です。
 こうした多様なニーズを持つ高齢者の方には、現役時代とは異なる業界や職種に目を向けることや、新しいICT技術などに触れることで、みずからの新しい可能性を探っていただくこと、いいかえれば、セカンドキャリアに向けたマインドチェンジの機会が必要であります。
 そこで、都が、就職だけではなくて、幅広いセカンドキャリアの第一歩を踏み出すきっかけづくりの場として、昨年度から東京セカンドキャリア塾を開講していますが、その狙いと実績を改めて伺います。

○篠原雇用就業部長 東京セカンドキャリア塾は、六十五歳以上の高齢者を対象とした六カ月間のセミナーでございまして、就職や起業などに必要な知識などを楽しみながら学んでいただくことに加えまして、受講生同士の交流などを通じて、就業や地域活動への意欲の向上を図るということを狙いとしております。
 事業の初年度に当たります三十年度は、受講生が百十五名、このうち、新たに企業に就職した者あるいは継続しての就業が決まった者が三十七名、NPO法人の設立やボランティア活動などに携わるとした者は二十一名などの実績がございます。
 この事業では、実習による体験を重視した多彩なプログラムを高齢者に提供することで、企業への就職にとどまらず、幅広い進路の開拓に寄与できたものと考えております。

○白戸委員 ことしの七月に、都が策定しました重点政策方針二〇一九において示した戦略的視点には、キーワードとして、やはり長寿が盛り込まれております。人生百年時代を生涯現役として元気に過ごしていただくためにも、今回の質問で取り上げました東京キャリア・トライアル六十五、そして東京セカンドキャリア塾をさらに充実させて、実施していただくことを要望し、私の質問を終わらせていただきます。

○加藤委員 最初に、技能検定について伺います。
 技能検定は、労働者が働く上で身につける、または必要とされる技能の習得度合いを評価する国家検定制度であります。
 機械加工、建築大工など各職種において、特級から三級などの技能レベルに応じて検定試験が実施されております。この検定試験に合格すると、技能士と称することが認められるなど、労働者の技能向上への意欲喚起はもとより、企業にとっても、技能人材育成のための重要なツールとなっております。
 また、我が国の技能人材に加えて、開発途上国等の外国人である技能実習生も、技能検定を受検し、企業での現場実習を通して、技能の習熟レベルを向上させていくこととなっています。
 そこでまず、技能検定の意義や重要性とともに、技能検定試験の受検申込者数など、その実施状況について伺います。

○村西事業推進担当部長 技能検定は、職業能力開発促進法に基づきまして、技能の評価、認定を通じて、労働者の技能の向上と、その経済的、社会的地位の向上を図る国家検定制度でございます。
 検定は、学科試験と実技試験の二つの試験で構成されており、特級から三級までの区分などに応じて、受検者の知識や実務の習熟度合いを評価しております。
 技能を段階的に評価することで、労働者の技能の向上への意欲を高め、多様な技能の定着を促しながら、処遇の改善や地位の向上につなげるなど、東京におけるものづくり分野の技能人材の確保、育成に大きな役割を果たしております。
 技能検定の昨年度、平成三十年度の受検申請者数は一万三千三百七十六人でございまして、そのうち外国人技能実習生は、全体の約二六%に当たる三千五百三十人となっております。外国人技能実習生の受検申請者数は、三年前の平成二十八年度と比較しまして、約九百人の増加となってございます。

○加藤委員 今の答弁にもありましたとおり、技能検定は年間一万三千人を超える受検者がおり、まさに東京の産業を支える技能人材の育成に重要な役割を果たしているといえます。
 また、近年、外国人の技能実習生の受検者が増加しています。技能検定試験を実施している現場の東京都職業能力開発協会によると、外国人の実技の検定に際して、検定会場の確保が困難なために、その都度、個別の受け入れ企業に検定員や職員を派遣して試験を実施せざるを得ないため、負担も大きいものとなっているとのことであります。
 技能実習生は、本年四月から開始されている外国人材の受け入れの在留資格である特定技能制度にも移行できることとなっているため、技能検定の受検ニーズは今後一層高まることも予想されます。
 先日、報道によりますと、出入国在留管理庁の発表で、二〇一九年六月末の在留外国人が、速報値で約二百八十三万人、前年末比三・六%増の過去最高を更新したとのことでした。特に人手不足を背景に、この技能実習は一二%増で、在留資格別で一番増加しているとのことであります。
 そこで、都は、東京都職業能力開発協会に対して、これまでどのような支援を行ってきたのか、あわせて、今後の外国人の技能実習生など、技能検定に対する受検ニーズの高まりに的確に対応していくべきと考えますが、見解を伺います。

○村西事業推進担当部長 都は、近年増加している外国人の技能実習生等の受検ニーズに応え、検定を円滑に実施していくため、検定会場として、都の職業能力開発センターの活用を進めるとともに、職業訓練指導員を検定員として派遣するなど、検定試験の実務を担っている職業能力開発協会を支援してまいりました。
 具体的には、昨年度、複数の業界団体や中小企業等が八カ所の職業能力開発センターを検定会場として、延べ七百七十七回利用してございます。また、職業訓練指導員につきましては、延べ五十二名を検定員として派遣しております。
 今後は、こうした取り組みに加えまして、年間を通じて幅広い職種の検定を効率的、安定的に実施できるよう、職業能力開発センターの活用に加えまして、新たな検定会場の確保を図るなど、検定の受検ニーズに的確に対応した実施体制の強化に向けまして、検討を進めてまいります。

○加藤委員 受検者の増加に対する対応としては、まず何よりも、検定試験会場の確保が解決すべき第一の課題であります。ただいまの答弁にもありましたが、技能検定を将来にわたって安定的に実施していく観点から、職業能力開発センターの活用などとともに、新たな検定会場等の確保に向けて、さらなる検討を進められることをお願いしておきます。
 また、新たな検定会場の確保は、外国人の技能検定の円滑な実施にとどまらず、作業スペースを初め、特殊な設備、器具の調達などの制約から、受検者の人数制限を設けている職種の受検者拡大にも大きな効果があり、業界団体からの期待があることにも留意していただきたいというふうに思います。
 次に、観光振興に関連しましてナイトライフの充実について質問いたします。
 私はかねてより、観光振興の分野で海外に比べておくれている部分として、ナイトタイム観光の充実を訴えてまいりました。特に、治安のよい東京の夜間観光を、食、自然、歴史に続く第四の柱に位置づけ、その魅力を海外に向けてわかりやすく発信していく取り組みが必要だと主張してまいりました。
 都内には、多くの夜の観光スポットが存在しますが、一部の外国人旅行者からは、東京のナイトライフに関する情報が不足しているとの声もあります。
 そこで、三十年度のナイトライフを満喫してもらうための情報発信の取り組みについて伺います。

○松本観光部長 都は、平成二十九年度から、東京で夜景を楽しめるスポットを掲載した冊子を多言語で作成しまして、観光情報センターや宿泊施設等で配布しております。
 平成三十年度は、新たに、外国人に人気の飲食店街や夜間にスポーツ体験のできる施設などを加えまして、合計百件を超えるナイトライフスポットを掲載して、内容を充実させました。
 また、都は、ヘリコプターからの夜景観賞や、川でカヌーに乗りながら東京スカイツリーを眺める体験など、東京の多彩な夜の過ごし方を楽しめるモデルルートを作成いたしました。
 これらのモデルルートに、外国人ブロガーやメディア記者を招聘しまして、東京の夜の観光の楽しみを世界に発信していただくとともに、前年度作成分と合わせまして、十二種類のルートの旅行記を東京の観光公式サイト、GO TOKYOにも掲載しております。

○加藤委員 私もその冊子を拝見しましたが、三十年度のものは確かに内容がグレードアップして、魅力あるものになったなというふうに感じました。
 また、特に外国人観光客は、SNSを利用して話題となっている観光地に出かけることが多いので、今後もSNSをうまく活用してもらいたいというふうに思います。
 次に、今後も東京を訪れる旅行者をふやし、リピーターを多くしていくためには、旅行者に感動を与える情景とともに、外国人旅行者の声を踏まえた夜間の観光振興が必要であります。
 特に、地域におけるライトアップなどの光の演出の活用は有効な取り組みと考えます。都では、かねてから行ってきたライトアップの支援を拡大、充実するとともに、新たにプロジェクションマッピングを活用した支援も実施したと伺っております。
 そこで、三十年度の支援の実績について伺います。

○松本観光部長 都は、身近な自然である春の桜や秋のもみじ、運河の橋梁などの特徴的な建造物等をライトアップして集客効果を高める観光協会等の取り組みへの支援を行っております。
 平成三十年度は、こうした取り組みの裾野を広げるため、イベント開催時など一時的に建造物等をライトアップする場合にも、助成の対象を拡大しまして、合計二十三件を支援いたしました。
 また、平成三十年度から新たに、区市町村等がプロジェクションマッピングを活用して新たな観光スポットをつくり出す取り組み二件に対しても、支援を行いました。そのうち、例えば葛飾柴又の帝釈天における取り組みでは、二日間で延べ約一万人の夜間の来場があったと聞いております。
 都は、このような取り組みにより、外国人旅行者が夜間に楽しめる観光の選択肢をふやし、旅行者誘致につなげております。

○加藤委員 都庁から地元に帰るときに隅田川を渡るんですけれども、各橋梁にライトアップが施されて、大変きれいになっております。さらに、静的なライトアップに対しまして、動的なプロジェクションマッピングが加わることで、一層、観光スポットの魅力が増してまいります。
 今後も、観光協会や区市町村を一層支援して、東京の観光をますます魅力あるものに高めていただきたいと要望いたします。
 最後に、伝統工芸品産業の振興について伺います。先ほど少しやりとりがありまして、少し重なる部分もありますけれども、よろしくお願いをします。
 東京にはすぐれた伝統工芸品が多く存在をいたします。墨田も古くから、職人がすばらしい芸術作品ともいうべき伝統工芸品を生み出してきました。手づくりということもあって大量生産できず、また、後継者不足も相まって、中にはすぐれた伝統工芸品が途絶えてしまう危機にもあります。こうした伝統工芸品産業のさらなる振興を図っていくためには、海外の富裕層を初め、新たな購買層の拡大を図っていくことが重要です。
 幸い、外国人は、日本の特徴ある伝統工芸品に魅力を感じております。東京二〇二〇大会を控え、国内外から多数の方が東京を訪れるこの好機を逃すことなく、伝統工芸品に触れる機会をつくり、ファンを着実にふやしていくべきと考えます。
 都は、来年の二〇二〇大会に訪れるVIPに、お土産として伝統工芸品を贈呈する事業を行うと伺っておりますが、すばらしい取り組みで、評価しております。
 冒頭にも触れましたが、伝統工芸品の職人は、未来に引き継いでいくべきすばらしい技術を有しているものの、その多くは小零細の職人であり、独力でPRすることや販路を切り開くことは容易ではありません。
 そこで、都では、国内外に伝統工芸品の新たなファンや購買層を広げるべく、海外での市場も意識したPRや販路拡大に向けた支援を行っていると思いますが、その具体的な内容と平成三十年度の実績について伺います。

○土村商工部長 都では、百貨店での展示販売のほか、職人とデザイナーとが連携して開発した商品の国内外に向けたPRや展示会出展支援など、伝統工芸品の魅力や関心を高める取り組みを実施しております。
 これに加えまして、三十年度からは、外国人や子供たちが伝統工芸品に関心を持つよう、夏休み期間中に、羽田空港において、伝統工芸品十三品目の展示や職人による実演を行っております。これに合わせまして行いました制作体験につきましては、一週間で延べ二百十人の方のご参加をいただいたところでございます。
 また、伝統工芸品のウエブサイトにおきまして、制作のプロセスや職人へのインタビューを動画で掲載するとともに、英語版も追加するなど、国内外へのPR強化も開始いたしました。
 さらに、海外展開に意欲ある職人が、現地の市場に関する知識や商慣習等を習得できるよう、ニューヨークでの研修会を行ったことに加えまして、海外への販路拡大に向けた専門家によるアドバイスや指導などを新たに実施いたしました。

○加藤委員 来年に二〇二〇大会を控え、伝統工芸品について海外からの注目も、より一層集まることが期待できる中、海外市場をターゲットとした販路拡大に取り組む意欲のある職人に対する支援に、引き続き積極的に取り組んでいただくことを要望します。
 特に、二〇二〇大会後においては、訪日して伝統工芸品に触れた方々などが、自国や渡航先で商品を購入できる体制を整えることが大事だというふうに思います。例えば、日本の百貨店で伝統工芸品の展示会を行っておりますけれども、その支店が海外にもあるわけで、そこで展示会や常設の販売コーナーを設けるなどの支援を行っていただき、さらなる伝統工芸品の振興をお願いしたいと要望しまして、質問を終わります。

○山崎委員 私からは、本日は中小企業振興にポイントを絞って伺っていきたいと思います。
 東京を世界で一番の都市に押し上げていくためには、東京の産業の屋台骨ともいえる中小企業の振興を図ることが不可欠であることは、いうまでもありません。であればこそ、都政に求められるのは、四十五万に及ぶ東京の企業の実に九九%を占める中小企業の、その現場の実態をしっかりと把握をし、現場目線に立った施策を実行することであります。
 我が都議会自民党は、都民のための都政実現に尽力する立場から、これまでも中小企業の現場の目線に立ち、守るべきものと変えるべきものを実効性のある施策として提言をし、議会と議論の中で、都民の理解を得ながら事業を進めていくという堅実な都政運営の実現に責任を果たしてまいりました。
 今回は、こうした中小企業の経営を下支えしている重要な施策を中心に、昨年度の取り組み状況をなどをまず伺っていきたいと思います。
 初めに、中小企業経営基盤の強化について伺います。
 多くの中小企業は、生産性の向上や人材の確保や販路開拓等、多くの経営課題に直面しております。東京のさらなる成長を実現するためには、中小企業がこうした課題の解決に向け、経営内容の見直しを図るなど、経営力を強化し、業績の改善を実現していく必要があります。
 しかしながら、こうした課題の解決を、経営資源の限られた中小企業がみずからの力のみで図っていくことは、困難といわざるを得ません。
 都は、厳しい経営環境に置かれている都内の会社が、将来に向けて経営上の的確なアドバイスを受けられる仕組みを、商工会議所などさまざまな中小企業の支援機関との協力のもとに構築をし、多くの中小企業の経営基盤の強化を支援しておりますが、昨年度の実施状況について伺います。

○土村商工部長 都は、中小企業の経営力の向上を後押しするため、東京商工会議所等と連携しまして、企業の経営課題の発見から解決までのきめ細かい伴走型の支援を実施しております。
 平成三十年度は、ホームページやPR動画によりまして、本事業の活用の呼びかけを強化したことで、過去二年を上回る千四百三十二社が経営診断チェックを実施するとともに、二百八十九社が中長期的な経営プランの策定等の支援を活用いたしました。
 また、経営診断チェックにより把握できた課題の解決に向けましては、専門家によるアドバイス、融資や助成事業といった他の事業との連携により、例えば、飲食店のレジの売り上げデータを活用したメニューの改善により客単価の向上につながったケースや、効果的な情報発信により宿泊施設の稼働率の向上が図られたケースなど、中小企業の業務改善に着実につなげたところでございます。

○山崎委員 経営基盤の強化に取り組む中小企業において、売り上げに直結する販路の開拓は特に重要な課題です。
 中でも展示会への出展は、自社の製品を直接PRできる貴重な機会であり、新たな顧客の獲得に欠かせないものとなっておりますが、費用の問題から、希望する展示会への出展の機会を逃してしまう場合もあります。
 都は、中小企業の販路開拓を支援するため、こうした展示会出展等に係る経費などを助成する新・目指せ中小企業経営力強化事業を実施しておりますが、平成三十年度の実績についてもお伺いいたします。

○土村商工部長 都は、中小企業活力向上プロジェクトによる経営診断により、販路の開拓が必要と判断された中小企業に対しまして、国内外の見本市に出展する経費などを対象に、上限を百五十万円とし、小規模企業者には三分の二を、その他中小企業者には二分の一を助成しております。
 平成三十年度には三百三十九社を採択しまして、展示会への出展を通じた新たな取引先を発掘して、売り上げを伸ばす取り組みを支援いたしました。
 その結果、卵の殻の加工品を原材料とした壁紙を出展した中小企業が新たな取引先を獲得したほか、新たな事業展開を図る老舗の人形製作会社が、企業のイメージマスコットや販促用ノベルティーなどの縫いぐるみをオーダーメードで生産する商品を出展し、受注につながった事例などが生まれております。

○山崎委員 次に、下請企業に対する支援について伺います。
 私たちが地元で話を聞く中小企業のほとんどは、社員数名から、多くても十名程度の零細企業であります。これから小規模の企業、特に下請取引が中心の受注型企業では、厳しい競争環境の中、コストダウンや納期の短縮など、取引先からの要求に応えていかなければならない状況にあります。受注型の中小企業がこうした要求に応えていくためには、新たな技術開発や設備導入を不断に続けていくよりほかないというのが現実であります。
 我が党は、このような実態を踏まえて、かねてより、受注型企業の積極的な取り組みに対して助成を求めてまいりました。
 厳しい経営環境が続く中小企業において、この受注型中小企業への支援がどのように利用されたのか、昨年度の執行状況をお伺いいたします。

○土村商工部長 都では、受注型の中小企業のさらなる競争力の強化などを目的として、製品やサービスの高度化や高付加価値化に向けた設備投資や技術開発への取り組みを支援しております。
 平成三十年度においては、こうした取り組みへの支援としまして、二百四十六件の申請に対して六十四件を選定採択しまして、合計で約七億円の助成を行いました。
 具体的には、この事業を活用して、カメラと無線機、映像機を組み合わせた新たな調査技術を開発することで、調査精度を向上させるなどのサービスの高度化を図った事例や、新たな加工機械を導入することで、外注していた業務をみずからできるようにしたり、新たな顧客の獲得を行うなど、売り上げの増加につなげた事例等がございます。

○山崎委員 次に、中小企業団体等に対する支援についても伺います。
 厳しさを増す国際競争の中、都内企業は厳しい経営環境にありながら、それぞれの業界が抱える課題を業界団体としても解決に向け、取り組んできました。
 都では、東京大会の開催を見据え、団体などが団結して業界のさらなる活性化を行えるよう、平成二十八年度から、こうした団体向けの課題解決に向けた取り組みを支援するための助成を行ってまいりました。実際、これまでこうした取り組みの中、各団体は、業界ごとの人材育成や販路開拓など、団体独自の取り組みを行い、成果を上げてきています。
 昨年度において、具体的にはどの程度の数の団体がこうした取り組みを進めてきたのか、その執行状況についてもお伺いいたします。

○土村商工部長 都では、平成二十八年度から、中小企業団体などが取り組む業界活性化に向けた共同事業への支援としまして、団体向け課題解決プロジェクト支援事業を開始し、平成二十九年度からは、重点的な取り組みとして、業界再生活性化のモデルケースとなるような先進事例などの支援も行っております。
 平成三十年度は、共同事業への支援として、六十二の団体などに対して延べ五百十八回の専門家等の派遣による支援を実施したほか、団体としての展示会への出展などの販路開拓や、事業承継、外国語対応などをテーマとした人材育成事業などに対し、二十九件の助成を行っております。
 また、先進事例ヘの取り組みにつきましては、二団体を採択しまして、平成二十九年度から継続している一団体と合わせて三団体を対象としまして、業界独自のブランド認証制度構築の取り組みや技術伝承の向上、海外向けPRの強化等の取り組みを支援してまいりました。

○山崎委員 最後に、中小企業、とりわけ小規模零細企業への支援について伺います。
 我が国の経済は、緩やかな回復を続けているといわれておりますが、中小企業の経営者の方々からは、これとは裏腹な厳しい状況についての声が多く寄せられているのが実情であります。
 とりわけ、都内の中小企業の八割以上を占める小零細企業の事業者は、その多くが深刻な人手不足や後継者の不在など、自力ではなかなか解決が難しい、厳しい課題に直面をしております。こうした小零細事業者こそが地域の経済と雇用を支えている存在であり、日々、額に汗を流しながら懸命に頑張られているのであります。その経営の安定と発展を後押しすることなしに、東京の持続的な成長の実現はなし得ないものであります。
 都は、商工会議所等とも連携をし、こうした小零細企業が円滑に事業継承を行い、地域で絶えることなく、持続的な経営を続けられるよう支援を行っておりますが、昨年度の具体的な取り組み状況について伺います。

○土村商工部長 都は、小規模企業の事業承継を後押しするため、商工会議所等と連携しまして、都内に支援拠点を設けまして、窓口での相談に対応するほか、企業に出向いて、現場の実情に応じた専門的な助言を実施しております。
 平成三十年度からは、多摩地域の支援拠点を二カ所にふやしまして、都内全体で七拠点としまして、延べ一千百七十三件の窓口相談に対応するとともに、延べ三千四百七十六回の専門家派遣を実施いたしました。
 さらに、商工会の連合組織と協力しまして、小規模事業者の後継者が事業を承継した後も持続的な発展を図っていけるよう、承継準備段階の事業の磨き上げに要する経費を支援いたしまして、円滑な事業承継モデルを創出する取り組みを開始いたしました。
 三十年度は、事業承継計画、六社認定しまして、コーディネーターが計画推進に向けた必要なサポートを行うとともに、実施段階に進んだ二社に対しましては、試作品の開発や技術の伝承に必要なマニュアル作成に係る経費を支援するなど、取り組みの充実を図ったところでございます。

○山崎委員 まとめに入りたいと思いますけれど、今の質疑を通じて、産業労働局が、中小企業の皆さんに真摯に向かっていただきながら、本当にきめの細かい、また、現場をしっかりと捉えていただきながら、今まで進めてきた。これは、もちろん一年一年で決められることではなくて、数年前から、また十年前から、五年前から、さまざまなそういったことを積み重ねてきているからこその今の実情だと思います。
 中小企業の振興に必要なものは、もちろん抽象論や観念論ではありません。理念を幾ら訴えても、経済の実態は何ら変えることはできません。
 我々都議会自民党は、これまでの都政において、中小企業にしっかりと寄り添い、その声に真摯に耳を傾けることで、現場で起きていることをつぶさに把握し、その実情を捉えた具体的な施策を提案し、また実現をしてまいりました。
 これまでの質疑を通じて、そうした中で脈々と実施されてきた施策が、中小企業の成長をしっかりと下支えしている状況についても、今の答弁、今の質疑によって、伺うことができました。
 今後とも、中小企業の現場の目線に立った施策をしっかりと展開していただくことを要望し、私の質問を終わります。

○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
 初めに、都市農業振興について伺います。
 新鮮な農産物の供給と体験交流、防災など、大切な役割がある都市農業と農地が、後継者不足、また、開発優先のもとで減り続けています。市街化区域は高い固定資産税と相続税がかけられて、農家は農業収入だけで生活ができないために、農地の一部を貸すなどして税金を納めているのが現状です。
 全国にある市街化区域の農地、この二十年間で半減しています。東京でも約四割がなくなりました。
 私の地元練馬区は、二十三区内では、農地の約四割を占めていて、平成二十九年度の農地面積は二百十五・六ヘクタールと一番多い面積を有しています。農業体験農園や果樹あるファームなど、都民のニーズに応え、大都市にあっても大変貴重な取り組みを行っているのが特徴です。
 こうしたもとでも、練馬区も深刻な状況を抱えておりまして、私、実は練馬区の農業委員を二期やっておりました。納税猶予の承認、それから買い取り申し出が、毎回のように委員会の議題に上がって、買い取り申し出については自治体もほとんど買い取らない、結局、マンションや住宅、駐車場になっていきました。
 二〇二二年には、生産緑地面積の八割で三十年の期限が来ます。十年の延長ができるわけですが、市町村に買い取り申し出もできると。しかし、財源がなくて企業が買うという状況は、まだまだ危惧されるところであります。
 こうしたとき、二〇一五年四月に、多くの当事者、関係者などの声で、農地は、これまでの宅地化すべきものからあるべきものとして振興を目的とする都市農業振興基本法が制定をされております。自治体が都市農業振興基本計画を定めることになっていて、東京都もプランを策定していらっしゃいます。こうしたときに、どうしたら都が都市農業を守り生かすことができるのか、これを考える上で、都の役割、とても重要だと思っています。
 まず、都の農業の実態から伺っていきたいと思います。
 東京都の農業生産者の推移について伺います。

○上林山農林水産部長 国が五年に一度公表しております農林業センサスによりますと、都内の農家数は、平成十七年に一万三千七百戸、平成二十二年に一万三千九十九戸、平成二十七年に一万一千二百二十二戸となっております。

○とや委員 年々減っているというのが現状です。
 ことしの予算特別委員会の資料を拝見したところ、生産緑地面積は、区部、多摩地域ともに減少していて、十年前の平成二十一年は都内合計で三千五百六十五ヘクタールだったものが、昨年度の平成三十年度は三千百ヘクタールに減っています。
 都市農業振興基本法では、自治体として、先ほども申し上げましたが、都市農業振興基本計画を策定することとされ、東京都も都市農業振興プランを策定しているわけですが、このプランで、小池都知事は、都市に潤いと安らぎを提供する農地の緑は都民の貴重な財産とおっしゃっています。都市農業を守り、発展させることが重要です。
 改めて、都市農地について、産業労働局の認識、そして課題について伺います。

○上林山農林水産部長 都市農地は、食料を生産するほか、災害時の避難場所としての防災機能など、多面的な機能を有しており、都市におけるその重要性が高まっております。
 一方、農業者の高齢化や後継者不足による農家数の減少に伴い、農地面積も減少しているため、今後、農地の保全に取り組むことが、東京の農業振興にとって重要であると認識をしております。

○とや委員 農地の保全に取り組むことが東京の農業振興にとって重要とのご答弁でありました。とても大事だと思います。
 問題は、農地をどう保全していくか、そして発展させていくかです。
 都として、農家、生産者への支援として、都市農業活性化支援事業を区市を通じて行っていると思います。平成三十年度の実績について伺います。

○上林山農林水産部長 都は、農業者の経営力強化に向け、農業用の生産施設や農機具の導入経費を支援する都市農業活性化支援事業を実施しております。
 平成三十年度は、二十区市町の農業者等に対し、パイプハウスやトラクターの導入に係る経費を支援いたしました。

○とや委員 私、この農業問題の質問をするに当たって、改めて練馬区内の、区や、また農協などの関係者にお話を聞いてまいりました。都の支援は、いろいろメニューがあって助かっている、そうした部分が多いというお話を伺いました。この点は、ぜひ大いに宣伝し、充実をしていただきたいと思います。
 二〇一五年の法改正は、都市農業、農地を、環境保全や防災、教育等の多面的機能を有するとして、都市住民への地元産の新鮮な農産物の供給、良好な環境の形成並びに国土及び環境の保全、都市住民が身近に農作業に親しむとともに、農業に関して学習することができる場の提供、都市農業を営む者と都市住民及び都市住民相互の交流の場の提供、都市住民の農業に対する理解の醸成、そして都市における防災と、機能を位置づけています。大変多岐にわたって機能を持っているということが法律で位置づけられたわけです。
 そこで伺いますが、農地の多面的活用の一つに防災機能があります。防災兼用井戸等の整備に取り組む区市町や、あるいは農業者を支援する都市農地保全支援プロジェクトの実績について伺います。

○上林山農林水産部長 都は、都市農地の保全に向け、農地の多面的機能を発揮させるために、区市町が行う施設整備に対して支援する都市農地保全支援プロジェクトを実施しております。
 平成三十年度には、十九区市の防災兼用井戸や土どめ、農薬飛散防止フェンス等の整備に対して支援を実施いたしました。

○とや委員 防災井戸や土どめ整備は、都市にある農地が、地域の住民にとって共存していくためにもなくてはならない事業だと思います。それは農薬の飛散防止フェンス等も一緒だと思うんですけれど、今回の台風でも、災害がいつ起こるかわからない、そういったときに防災井戸は貴重です。
 さらに住宅街にある農地にとって、土どめの設置は、今申し上げたように住民と共存していく上でも、また、土の流出を防ぐ意味でも大切な取り組みだと思います。このプロジェクトの拡充を要望しておきます。
 さらに伺いますが、Uターン農地の整備と農地を創出するための支援として、農地の創出・再生支援事業を実施していますが、その概要と実績について伺います。

○上林山農林水産部長 都は、市街化区域の農業者が所有する宅地等を農地に転換する際の農地整備や、市街化調整区域などの農業者等が規模拡大や新規就農する際に、遊休農地を借り受けて再生利用する取り組みを支援する農地の創出・再生支援事業を平成三十年度から実施しております。
 平成三十年の実績といたしましては、三区市で三件の農地を創出し、五市町村で十四件の農地を再生いたしました。

○とや委員 今回いただいた資料を見ますと、新規就農者、平成二十六年度からいただいたわけですけれども、二十六年当時は五十五人、それが平成三十年度の実績ですと四十三人に減っております。この制度自体は始まったばかりの制度ですから、これからも周知して、ぜひ実績を伸ばしていただきたいと要望しておきたいと思います。
 ただ、後継者がいても、あるいは新規就農者がいても、どうやって都市農業を続けていくか農地を保全していくか、技術支援など課題があります。
 東京都には、生産者を支援して技術支援を行う普及員がいますけれども、この普及指導員の十年間の人数について伺います。また、平成三十年度の活動実績についてもお示しください。

○上林山農林水産部長 平成三十年度の普及指導員の人数は三十九人で、この十年間に増減はございません。
 平成三十年度の活動実績といたしましては、意欲ある担い手の確保、育成や、都内農畜産物の地産地消に関する支援等に取り組んだほか、東京都GAP認証の取得を目指す農業者に対しての指導を実施いたしました。

○とや委員 普及指導員の仕事は本当に重要です。私も、聞き取りを行った際にとても頼りになって、ぜひふやしてほしいと、引っ張りだこで足りないんだという声を伺ってきました。
 東京の農業振興を図る上で、普及指導員の役割、そして課題について伺います。

○上林山農林水産部長 普及指導員は、農業者の意欲や技術力、経営力を支援し、それを補完する新たな技術などを現場へ普及する重要な役割を果たしております。
 農家への指導力を向上させるため、高度な専門技術や経営感覚を磨く長期派遣研修に派遣するなど、普及指導員の資質向上に今後とも努めてまいります。

○とや委員 この普及指導員なんですけれども、とにかく足りないんですよね。ですから、ぜひ局としても認識していただいて、増員のために努めていただきたい、努力をしていただきたいと思います。
 練馬区が行った区民意識意向調査があるんですが、重要だと思う農業施策の一番が、意欲ある農業者の取り組みに対する支援となっています。こうした要求に応えていくためにも、普及員の拡充、最優先で取り組んでいただきたいと思います。
 さて、都民が都市農業を身近に感じることができる環境を整えていく、これも大変大事だと思っています。練馬区でも生産者と学校給食のマッチングが行われていて、この野菜は近所の農家で育った野菜だと、この人が育てた野菜なんだよ、通学路の途中で農家の人たちに会うとそれを身近に感じる、そういった子供たちがふえてきています。農家と、顔の見える関係も少しずつ広がっています。
 東京都における地場産野菜、学校給食への活用の取り組み実績、どうなっていますでしょうか。教えてください。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長 都は、農地のない区などの小中学生に東京産農産物を味わってもらうため、八王子市内の都有地において農産物を生産するほか、各JAと連携した学校給食への東京産農産物の供給を推進しており、平成三十年度は、十六区の小中学校に、大根やジャガイモなどの農産物を約四十一トン供給いたしました。

○とや委員 ぜひこの取り組みは都内全域に広げていっていただきたいと思います。農地のない自治体もございますので、そういうところへの支援を強めていただきたいなと思っております。
 地場産野菜の中、東京で生産している野菜の中には、古くから伝わる江戸東京野菜がございます。私も、JAの方とか農家の方とかお話を毎年するんですけれども、その際にも、ぜひ江戸東京野菜をもっと重視してほしい、こういった声が上がってきております。
 江戸東京野菜、ブランド化が求められていると思いますが、このブランド化についてお考えを伺います。

○龍野安全安心・地産地消推進担当部長 都は、江戸東京野菜のブランド化に向けて、生産振興や販路拡大、認知度向上など、さまざまな取り組みを実施しております。
 平成三十年度は、生産を安定させるための栽培マニュアルの作成、流通業者や飲食店などを対象とした生産現場の見学会や試食会を開催するとともに、イベントにおいて種を配布するなどを行い、都民への認知度の向上を図りました。

○とや委員 江戸東京野菜を生産していく、それを継続して広げていくということ、それをブランド化するというのは、それなりの技術も必要だと思いますので、ここについても支援をお願いしたいというふうに思います。
 次に、都市農地の新たな制度ができて、その広報についてなんですけれども、生産緑地法の改正を初め、都市農地の新たな制度の制定によって、土地を貸せる、貸借による学童農園や福祉農園など、さまざまな形で農地の活用ができるようになりました。
 普及促進のため、制度の広報の強化が求められていますが、この間どんな取り組みをしてきたのか伺います。

○上林山農林水産部長 都は、都市農地に関する新たな制度の制定等を受け、農業者の理解を促すための説明会等を農業会議に委託して実施をしております。
 平成三十年度は、生産緑地を持つ二十二区市において五十三回説明会を開催いたしました。
 今後も引き続き、児童が農業に親しむための農園などを含め、都市農地の活用が進むよう制度周知に努めてまいります。

○とや委員 練馬は農地が多いので、あと学校の敷地も広いものですから、その敷地の中に農地を持って、子供たちが農業を楽しむということができている学校もあるんですけれども、そうでないところもあって、そうしたときに農家の方々に技術を教えていただいて子供たちが農業に親しむ、あるいは、今、高齢化で福祉施設も多くできています。そういった方々、そこの施設に入っている人たち、あるいは通っている人たちが農業に親しむ、そのきっかけになるんじゃないかと思います。
 こうした取り組みが進めば、地域の中で農地がより身近に感じられることになります。それが農地をあるべきものとして捉え、都市農業の継続、発展につながるのではないかと思います。制度のさらなる周知を求めておきます。
 この問題での最後に、台風被害について伺いたいと思います。毎年続く台風の被害、甚大です。皆さんもご存じだと思います。
 昨年も十月に発生した台風二十四号により、農業被害を受けた農地がございました。そのときに行った支援策について伺います。

○上林山農林水産部長 被災したパイプハウスなどの農業施設を修繕、再建する被災農業者向け経営体育成支援事業を国の補助を受けて実施をいたしました。
 十七区市町において、被災した施設に対し、修繕や再建、撤去に係る経費の一部を補助いたしました。

○とや委員 十七区市町において、被災した施設を修繕したり再建したり、撤去に係る経費の一部を補助してくださったということです。
 ことしもひどい被害があって、私も十五号のとき大島に行きました。農地でいえば、パイプがゆがんだり、産地であるツバキの木もなぎ倒されて復旧には、大変時間がかかるということを実感しました。奥多摩でも被害が大変深刻です。
 こうした台風被害のために、営農を諦める、農家で生産することを諦める、そうした人が出ることがないよう、産業労働局としても全力で支援していただきたいと強く要請しますが、局の決意を伺います。

○上林山農林水産部長 本年の台風につきましても、国や区市町村と連携して引き続き適切に対応してまいります。

○とや委員 ぜひ農業を守って発展させるためにも、台風被害については、昨年と同様、支援をしていただきたいと要望しておきます。
 農地を守り都市農業を発展させる、東京はいろんな自治体がありますから、自治体によって条件も違い、その自治体の認識も違うと思います。
 練馬では昨年、区内の農地所有者に対する意識意向調査を行っています。生産緑地の生産者と宅地化農地のみの所有者に向けての調査ですが、特に宅地化農地への調査では、とても興味深い結果が出ています。
 宅地化農地を今後生産緑地に指定する意向の有無、これは八割の方が指定しないと答えているんですが、その一方で、七・一%の人が生産緑地に指定することを希望しています。これは、今の情勢から考えると、まず、いないんじゃないかなと私は思っていたんですけれども、やっぱり後継者不足あるいは農地保全が困難なときに、本当に貴重な人たちなんじゃないかなと思っています。こうした方々の願いに応え、都市農地を保全、都市農業発展に努めていただくよう改めて強く要望して、次の質問に移ります。
 次に、林業、治山事業についてです。
 一昨年に起きた、これも台風ですね、九州北部豪雨によって、多数の山腹崩壊、流木などが発生し、その流木が原因で橋の決壊や河川に流木が堰のように詰まる、溢水が引き起こされて福岡県の朝倉市などは甚大な被害が起きました。この多数の山腹崩壊は、人の手が入らなくなって山地が荒廃したことが原因と林野庁も指摘しています。
 昨年の西日本豪雨でも同様の被害があって、先日の台風十五号でも、新島、そして先ほど紹介しました大島などで多数の倒木、台風十九号では、奥多摩町など西多摩の町村で倒木や土砂崩れがありました。こうした災害が毎年のように発生している状況を鑑みて、東京都が行っている治山事業の重要性はますます高まっております。
 そこで伺いますが、都は、東京都山地災害危険地区マップを作成して土砂災害等の危険箇所を示しています。これらの地域での治山について、都の計画と昨年度の進捗状況を伺います。

○上林山農林水産部長 都では、山地災害のおそれのある地区を調査し、山地災害危険地区として五百十四カ所を指定しており、このうち現在、約九割の箇所で治山事業に着手しております。
 平成三十年度は、二十八カ所で治山事業を実施いたしました。

○とや委員 土砂災害の危険地区を指定し、治山事業を推進する取り組み、近年の山地災害を防ぐ上でもとても大事です。ただ、この間の台風で思わぬところで被害が出ている場合もありますので、継続した詳細な調査を要望しておきます。
 治山事業を進めていく上で鍵を握るのは、何といっても人です。そこで、都内市町村における林業の就業者数の推移について教えてください。

○上林山農林水産部長 国が五年に一度公表しております国勢調査によりますと、都内市町村における林業の就業者数は、平成十七年に二百三人、平成二十二年に三百八十人、平成二十七年に三百二十四人となっております。
 なお、平成二十二年の調査からは、森林組合職員等が林業就業者に含まれております。

○とや委員 平成二十二年度から森林組合の職員等も含まれるとの答弁でした。つまり、実際に山に入り、作業を行う方の正確な人数はつかんでいないということであります。
 平成十七年の二百三人は、実際に山に入っていた方々の数です。現在はこの数よりも減っている可能性もあり、大変危惧をしております。都として、山で作業を行う実際の方々の数を調査していただきたいということを求めておきます。それが、実態をつかむことによって課題が明らかになって、次、どうしたらいいかということにつながるんじゃないかと思います。
 続いて、これも人の話なんですが、森林事業者の育成支援についてです。昨年度の実績について伺います。

○上林山農林水産部長 都は、林業に就業してから五年目までの作業員に対し、毎年、チェーンソーの操作や間伐方法等の基礎的な技術を学ぶ技術者育成研修を実施しており、平成三十年度は八名の方が受講いたしました。

○とや委員 八名の方も大変貴重だと思います。森林事業者は一産業の担い手にとどまらず、治山事業の担い手として極めて公共性の高い職業です。
 都も、西多摩や島しょ地域など荒廃した山地、非常にいまだに多くあります。森林事業者の育成は都の事業においても重要です。また、森林事業者は、自然を相手にしているだけに苛酷な仕事も多い反面、やりがいの持てる仕事ではないかと思います。それでも、年収は全産業平均よりも低くて、経済的に自立できないという方々もいて、離職する人、後継者がいないなどの課題があるのではないかと思います。
 私は、治山事業の重要性を、産労局としてさらに認識をしていただきたいと思っています。そのためにも、就業者の実態を局として具体的につかんでいただきたい。強く要望しておきます。そして、引き続き担い手の育成に力を注いでいただく、定着についても支援していただくことを求めておきます。
 次に、多摩産材についてお聞きします。
 多摩産材の活用について、昨年度の実績をお答えください。

○上林山農林水産部長 平成三十年度の都関連施設におけます多摩産材の活用実績は、一千百三十九立方メートルとなっております。

○とや委員 一千百三十九立米、まだまだではないかなと思います。
 間伐や枝打ちなどで出た木材、あるいは加工後の端材は、木質バイオマス等に活用できます。これについてはどのように活用しているのでしょうか。教えてください。

○上林山農林水産部長 都では、主伐事業や間伐等から生じる、曲がりや傷があるため建築材等に利用することが困難な低質材について、製紙原料として原木を販売するとともに、チップ化し、温浴施設等での補助燃料として活用しております。
 平成三十年度は、低質材六千五百九十二立方メートルを原木やチップとして供給いたしました。

○とや委員 山地の維持管理は、事業者の育成とともに積極的な活用が欠かせないと思います。多摩産材の活用について、都の施設のみならず、区市町村あるいは民間の住宅や、まきストーブ、ペレットストーブ等の普及にも力を入れていただきたいと思います。
 私、以前、高知でペレットの活用についても調査に行ったことがあるんですけれども、ちょっと規模は違うんですけれども、ぜひ力を入れていただきたいなと思います。
 最後に、森林関連の産業労働局と水道局の連携について伺っておきたいんですが、水道局においても、水源管理の観点から、民有地も買い取ったり、あるいは荒廃地の再生を行っています。産業労働局と水道局の連携について、どのように行われているのか伺います。

○上林山農林水産部長 産業労働局では、多摩地域の森林での治山事業の実施や獣害対策等について、水道局等の実務担当者との定期的な連絡会議を開催することで、情報共有を図っております。

○とや委員 治山事業は、災害を防ぐ観点から極めて重要ですが、それをしっかりと行う上でも、産業労働局のみならず、環境局、建設局、水道局などとも連携して事業を発展させていくことが重要と考えます。
 山地の荒廃は、野生の鹿などによる木の皮や若い木などの食害でも起こります。連携した治山事業とあわせ、獣害対策についても、各局連携で取り組みを強めるよう求めておきます。
 毎年のように起こる台風などの風水害により発生する山腹崩壊、あるいは広範囲の倒木等の被害を防ぐ治山事業です。命や財産を守ると同時に、発災後の復旧に係る予算、時間、人手などを考えても、極めて重要です。そのためにも、若い担い手育成や木材の積極的活用など、これまでの事業をさらに拡充することを求め、質問を終わります。ありがとうございました。

○けいの委員 稼ぐ東京の実現に向けた取り組みとして、産業振興について、中小企業や商店街への支援を中心に伺います。
 世界有数の経済都市である東京では、四十五万にも上る数多くの企業の集積が東京の多様な産業を形づくっております。東京の活力を支えるこれらの企業の実に九九%に上る中小企業が、多くの雇用や経済を支え、地域に活力をもたらす源泉となっております。
 急速に進展する経済のグローバル化やICT技術の進展など、中小企業を取り巻く状況が大きく変化する中で、こうした中小企業がすぐれた技術やアイデアなど自社の強みを生かし、国際的な競争をも勝ち抜いていくことが、東京の持続的な成長につながります。その鍵を握るものの一つが知的財産の活用です。
 そこで、海外市場での知的財産保護についてお伺いします。
 東京二〇二〇大会、そしてその先の十年先を見据えれば、中小企業の海外市場での活動機会がさらにふえ、また、技術進歩のスピードもふえていくことは確実です。
 そうした中、既にインターネットの世界的な普及と電子商取引の発展とも相まって、外国企業による模倣品、海賊版被害が拡大している状況もあります。こうした状況をそのまま放置すると、本来得られた利益が剥奪され、さらには、企業のブランドイメージをも悪化させるおそれもあります。
 人員や資金など、限られた経営資源で懸命に事業を展開している中小企業が、世界市場での競争を勝ち抜いていくためには、こうした商標権等の権利をしっかりと守っていけるよう支援をしていくことが重要です。
 都はこれまでも、海外での商標権などの取得を支援してまいりましたが、平成三十年度の具体的な取り組みの状況をお伺いいたします。

○土村商工部長 中小企業が海外での知的財産のトラブルに巻き込まれるリスクを低減するためには、手続に時間のかかる商標権等を取得する前に、短期間かつ廉価で模倣品を排除することが可能であります著作権を取得することが効果的でございます。
 このため、平成三十年度からは、これまでの外国特許や外国商標の出願費用の助成に加えまして、新たに著作権登録手数料、弁理士費用など、海外における著作権登録に要する経費の助成を開始いたしました。
 平成三十年度におきます海外等での知財戦略支援事業全体では、著作権登録助成を含めまして二百三十件を採択いたしました。

○けいの委員 海外市場における取り組みについて、対応が進んでいる状況をお伺いさせていただきました。
 こうした中小企業における知的財産の保護は、地域の中小零細企業が独自のノウハウを守るために、海外のみならず国内においても重要であります。
 我が党は、外国のみならず国内であっても、中小企業が知的財産を模倣されないよう都が支援すべきであると提言し、局長からは、創業期において特許申請等の経費に対する支援を検討するとの答弁がありましたが、平成三十年度の都の取り組み内容についてお伺いいたします。

○土村商工部長 都はこれまで、中小企業の新たな技術や製品の開発を支援する取り組みの中で、特許や商標などの申請に係る経費の一部を助成してまいりました。
 一方で、都内中小企業の知的財産に関する総合支援機関であります東京都知的財産総合センターにおける相談件数は、年々増加傾向でございまして、平成三十年度は、前年度と比べて二百四十五件増加し六千五百七十七件と、知的財産への関心が高まっている状況でございます。
 そのため、平成三十年度からは、創業期の資金繰りを考慮し、創業に必要となるさまざまな費用を助成している創業助成事業におきまして、新たに特許や商標などの出願に要する経費等を補助対象に追加いたしました。
 創業助成事業において、平成三十年度に採択した百五十一件のうち、約二割に当たります二十七件が、創業期における特許出願経費等を利用してございます。こうした取り組みを通じまして、中小企業の知的財産の保護を着実に支援してまいります。

○けいの委員 知財の活用等について、中小企業における関心も高まっている状況が明らかになりました。東京の中小企業がさらに成長を遂げられるよう、しっかりと支援を展開するとともに、こうした支援をより多くの中小企業が使ってもらえるよう、支援内容の周知、情報発信に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、商店街振興の活性化についてお伺いいたします。
 地域の活力を支える商店街の活性化に向けた支援について、商店街は、地域住民の買い物を支える場として、また、地域コミュニティの担い手として求められる期待が大きい一方で、大型店との競合やネット通販など消費行動の変化なども相まって、厳しい経営環境にある店舗も少なくありません。
 経営者の高齢化も進む中、魅力ある商店街をつくり出していくには、その担い手を育てていくことが不可欠であり、我が党はこれまでも、経営難に苦しむ店舗の新たな担い手の育成の必要性を主張してまいりました。
 昨年の第一回定例会の代表質問でも、新たな購買層という集客への増強のために、新たな発想を持った若者や女性の開業支援の充実を求めてきました。
 そこで、商店街での開業に対する支援について、都の平成三十年度の取り組み状況をお伺いいたします。

○土村商工部長 都では、独創的なプランを持ち、将来、商店街のリーダーとしての活躍が期待できる若者や女性の開業を支援するため、店舗の家賃や改装費など、開業に必要な経費への助成を行っており、平成三十年度からは、こうした取り組みを後押しするため、支援枠を三件から十件に拡充いたしました。
 三十年度採択いたしました事例といたしまして、オーガニック野菜を扱い、マルシェなどの食の魅力を伝えるイベントも実施する青果店や、ダーツ等のスポーツが楽しめるカフェなどがあり、創意工夫を凝らした九件の開業を支援しております。
 また、若者や女性が商店街で店舗経営のノウハウや経営の経験を積むためのチャレンジショップ創の実を、平成二十九年十二月に開設した自由が丘に加えまして、新たに平成三十年十一月に多摩地域の吉祥寺にも開設し、取り組みの充実を図ったところでございます。

○けいの委員 ありがとうございました。
 地域から東京をさらに元気にしていくためにも、商店街の活性化は不可欠です。商店街の担い手として活性化の鍵を握る若者や女性が、都の支援を活用し、独自のアイデアを生かして、新規出店を実現された状況を伺うことができました。
 地域をますます元気にしていくために、こうした意欲ある方たちが商店街の担い手として新たな出店を実現できるよう、今後とも、都としてしっかり支援を行っていただくことを要望し、私の質問を終わります。ありがとうございます。

○和泉委員 私も、まず初めに中小企業支援について伺いたいと思います。
 私の地元葛飾区は、都内有数の町工場のまちとして、ピークの昭和五十八年には八千を超える工場があり、そこで五万人以上の人が働いていました。しかし、平成二十八年には工場数が二千百三十一まで減り、働く人も一万一千八百六十七人と激減してしまいました。それに伴って、昼間人口、昼間の人口が減っています。区内で重要な雇用の場を提供していた町工場が減り、区外に雇用の場が移ったことが要因の一つになっていると思います。働く世代が昼間の時間、区内に少なくなっているということは、地域コミュニティにも大きな影響を及ぼしているんではないかということを感じています。
 地域で育ち、働き、結婚したり子供を育てたり、地域の方たちとのコミュニティの中で支えられ、助け合いながら暮らしていく、それは地域の防災力を高め、地域経済の循環にも寄与します。その点で、地域で働く環境を確保し、まちのコミュニティの構築に貢献してきた町工場や地域の商店街など、その地域でなりわいを立ててきた方たちの役割というのは、とても大きなものがあるというふうに思います。
 このような中小企業、小規模企業の振興のために、都はどのような役割を果たしているのかについて伺います。地域工業のうち、ものづくり企業支援に係る平成三十年度の取り組みと実績について、まず伺います。

○土村商工部長 都では、成長分野への参入等を目指し、高度な技術、製品開発に取り組むものづくり中小企業グループを支援しております。
 昨年度は、光触媒を活用した少ない水量での養殖技術の開発など五事業に対して、専門家によるサポートに加え、費用の助成を行いました。また、東京ならではの特色を持つ生産物や伝統的な加工技術といった地域資源を活用した新製品の開発や改良に取り組む中小企業への支援も行っておりまして、四十一社に対してその費用助成を行いました。

○和泉委員 成長分野への参入でなくても、特色や伝統的な加工技術で新製品の開発や改良などに取り組んでいなくても、営々といいものをつくり続けている企業はたくさんあります。そういったところが助成の対象にはならないということになるんだと思います。
 私は、もちろん発展させる観点、大事ですけれども、そういうものづくりの技術を途絶えさせない、維持して次につなぐ、ここに行政の大きな力を発揮すべきときが来ているんじゃないかというふうに思っています。
 私の家の近所には、溶接の高い技術を持った鉄の医者といわれる職人さんがいます。テレビにもたびたび紹介されて、関東一円からお客さんが来ます。このような高い技術を次につなぐために、都はどのような支援を行っているんでしょうか。
 都の中小企業、小規模企業の事業承継に係る平成三十年度の取り組みについて伺います。

○土村商工部長 都では、中小企業の円滑な事業承継を促すため、セミナー等による普及啓発を促進するとともに、中小企業振興公社に配置した相談員による巡回を通じて、ニーズの掘り起こしを行い、平成三十年度は七百九十九社に事業承継の助言や情報の提供を行いました。
 そのうち、特に重点的な支援が必要な企業に対しましては、最長三年間にわたりまして支援を継続しております。
 また、後継者等を対象としまして、事業承継の知識を学ぶ短期集中講座を年二回実施し、延べ二百七十五名が参加いたしました。
 さらに、地域の小規模企業の事業承継等を後押しするため、都は経済団体と協力して設置した七つの拠点によって、延べ一千百七十三件の窓口相談に対応したほか、延べ三千四百七十六件の専門家派遣の支援等を行ったところでございます。

○和泉委員 事業承継を促すためのセミナー、相談員の巡回、そして後継者向けの短期集中講座、いずれもそれぞれ重要だというふうに思います。ぜひ頑張っていただいて、実効性を高めていただきたいというふうに思います。
 あわせて、小さな工場で高い技術を持ちながら後継者がいなくて事業の承継ができない、このようなところには、仕事の掘り起こしへの支援や、人を雇い入れて育てるための息の長い支援が必要です。ものづくり企業を生かし続ける取り組みというのは、なりわいだけではなく、技術を途絶えさせないという取り組みでもあります。
 ぜひこの立場から、新しいものに取り組んで頑張っている企業だけではなくて、営々といいものをつくり続けてきた、そういう企業への都の積極的な支援を求めておきたいと思います。
 事業承継融資についてですが、経営者の個人保証、これが高いハードルになっているという問題で、一定の財務要件を満たした場合には、経営者個人保証を不要とするという特例メニューが、平成三十年度から設けられたというふうに聞いています。この特例メニューの平成三十年度の実績について伺います。

○加藤金融部長 中小企業制度融資の事業承継融資メニューは、後継者への引き継ぎを予定している企業や、承継後間もない企業の幅広い資金需要に活用できるものであります。
 都は、平成三十年度から、この融資メニューにおいて、純資産額や自己資本比率などの一定の財務要件を満たした場合に、経営者の個人保証を不要とする特例を設けており、その融資実績は一件、五千万円でございました。

○和泉委員 この事業承継メニューは、あくまで新規の融資が対象というふうに聞いています。
 例えば、先代の経営者が個人保証している場合に、事業承継に伴ってその個人保証を引き継がなければならないとしたら、それは、商売を継ごうとする人にとっては高いハードルになるんじゃないでしょうか。新規融資に限らず、引き継ぐ場合にも個人保証を不要とするよう求めておきたいと思います。
 また、純資産額や自己資本比率などの財務要件、この緩和もあわせて検討していただいて、より事業承継がスムーズに進むような都の積極的な支援をお願いしておきたいと思います。
 雇用対策についても伺います。
 都が実施してきた正規雇用等転換促進助成事業が平成二十九年度で終了になりました。その後、雇用定着に向けて取り組んでいると聞いています。
 平成三十年度における都の雇用定着に向けた事業の実施状況について、まず伺います。

○村西事業推進担当部長 都は、平成三十年度から、非正規雇用労働者の正規雇用化後の定着を見据えた質のよい転換を促進していくため、正規雇用等転換安定化支援事業を実施しております。
 本事業は、正規雇用に転換した従業員のキャリアアップに向けまして、三年間の育成計画を策定し研修を行うなど、安心して働き続けられる労働環境の整備に取り組む中小企業に対しまして、最大七十万円の助成金を支給する事業でございます。
 平成三十年度における助成金の支給件数は一千百二十一件となっております。

○和泉委員 非正規雇用から正規雇用への転換に都は一万五千人という目標を掲げて取り組んで、目標を達成したので今度は定着だということで、安定化支援事業を平成三十年度から実施して実績を上げていると、そういうご答弁でした。
 もちろん定着は重要です。そのために育成計画を策定し、研修することも必要だというふうに思います。けれども、私は、正規雇用への転換を一万五千人分取り組んで終わりにしてよかったのかと、このようにも思っています。
 都内における非正規雇用者数の直近三年間の推移について伺います。

○村西事業推進担当部長 総務省の労働力調査によりますと、都内における非正規の職員、従業員数は、平成二十八年は二百二十四万八千人、平成二十九年は二百二十八万一千人、平成三十年は二百三十八万六千人となっております。

○和泉委員 都が正規雇用への転換に取り組んでいる最中にも三万三千人、事業を終了してから九万五千人、非正規雇用がふえているわけです。
 正規雇用への転換を促進するという都の重要な事業、これは確かに数値としての目標は達成したかもしれませんけれども、非正規雇用はふえているわけですから、この事業が役割を終えたといえるような状況じゃないというふうに思います。
 都は、掲げた目標を引き上げて、引き続き正規雇用への転換を促進するために力を尽くすべきじゃないでしょうか。正規雇用への転換をふやしながら定着を図る、そして一層、都内で働く方たちの生活の安定、仕事の安定に主体的な責任を果たしていただくように、強く求めておきたいというふうに思います。
 続いて、TOKYO働き方改革宣言企業制度について伺います。
 事業の概要と平成三十年度の実施状況を教えてください。

○篠原雇用就業部長 TOKYO働き方改革宣言企業制度でございますが、より多くの企業に働き方改革に取り組んでいただくことを目的といたしまして、長時間労働の削減や年次有給休暇の取得促進などを進める企業を支援する事業でございます。
 この宣言を行った企業は、従業員の勤務実態を把握した上で、みずからの企業の課題などを分析いたしまして、二年後あるいは三年後の目標を設定して改革に取り組むこととしております。こうした取り組みは、企業にとって時間と人手を要するものでございますので、改革を後押しするため奨励金を支給しているものでございます。
 平成三十年度の宣言企業数は一千三百八十六社、このうち奨励金を活用した企業は千三百五十八社でございます。

○和泉委員 私は、長時間過密労働の解決を労働者の働き方の問題にすりかえて、長時間労働を助長する懸念が拭えない、雇用の性質を本質から変えようとする国の働き方改革は到底是認できません。
 一方、都のTOKYO働き方改革宣言企業制度が、長時間労働の削減や有給休暇の取得促進について、企業が目標を定めた計画をつくって自主的な取り組みを促すと、この趣旨は理解できます。
 しかし、その計画さえ立派ならよいということにはならないのではないか、そのようにも思っています。
 例えば、宣言企業になっているJALは、二〇一〇年の大みそかに、キャビンアテンダントやパイロットを百六十五人も解雇して、争議はいまだに解決していません。
 働き方の問題は働かせ方の問題なのですから、計画の中身とともに、労働問題で係争を抱えていないか、労使トラブルを抱えていないか、労働法各法に違反はないか、こういったことも宣言企業の事前審査の対象にするべきではないでしょうか。
 そもそも働かせ方に問題のある企業は、働き方改革宣言の前に、これまでの働かせ方を是正するという当たり前のことをやらなければいけないはずです。これは奨励金を受け取る資格にかかわる問題だというふうに私は思います。その上で、宣言企業の計画が実現に向けて実践されているかどうかが重要です。
 宣言企業の目標達成を検証する仕組みになっているのかについて伺います。

○篠原雇用就業部長 この事業で宣言を行った企業につきましては、都の専用のウエブサイトによりまして、宣言した内容を広く外部に公表しております。
 また、宣言後、約半年後に、社会保険労務士などの専門家が企業を訪問いたしまして、取り組み状況を確認し、今後の進め方について助言を行っております。
 さらに、従業員の働き方の改善だけではなく、生産性の向上を図る企業には、経営コンサルタントなどを派遣いたしまして、業務改善やIT推進などについて具体的なアドバイスを行っておりまして、こうしたこれらの取り組みによりまして、事業の実効性を高めているところでございます。

○和泉委員 私も、開業の社会保険労務士として中小企業の相談に乗ってきました。社会保険、労働保険関係の手続だけではなくて、労使紛争を未然に防止するために、会社として整えなければならないことを提案し、時には労使間の紛争の解決のために働くこともあります。新たな労務管理のシステムの構築のために、生産の現場に入って従業員の方たちの聞き取りを行うこともありました。また、メンタルを病んでしまった従業員の主治医とやりとりをして、障害年金受給の手続を行ったり、雇用を継続するための具体的提案を会社に行うこともあります。
 社会保険労務士には、労働各法に精通しているだけではなくて、経験値、高いカウンセリング能力が求められます。先ほど白戸委員の質疑の中でも、テレワークの推進に社会保険労務士の活用をというお話もありました。
 このような社会保険労務士などの専門家が、働き方改革宣言をした会社に半年たったところで訪問し、取り組みを確認し、助言を行っているということですけれども、このフォローアップの実績について伺います。

○篠原雇用就業部長 平成三十年度は、宣言企業の取り組み状況の確認や助言を行うため、社会保険労務士などが九百四十六社に訪問を行っております。

○和泉委員 半年後の巡回だけではなくて、特に中小企業、小規模企業には、計画達成まで息の長い、そして手厚い支援が必要です。専門家の力をかりて、人材の確保、健全な企業発展に寄与するような取り組みにしていただきたいと思います。
 そして、少なくとも、もう一度いいますが、労使紛争を抱えている企業を働き方改革宣言企業に認定しないような事前審査を行うよう改めて強く求めて、私の質疑を終わります。

○大場委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大場委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 以上をもちまして第三分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第三分科会を閉会いたします。
   午後三時十分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る