平成三十年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第五号

令和元年十月二十八日(月曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長大場やすのぶ君
副委員長加藤 雅之君
副委員長森村 隆行君
けいの信一君
平  慶翔君
白戸 太朗君
山崎 一輝君
とや英津子君
鈴木 邦和君
和泉なおみ君

欠席委員 なし

出席説明員
住宅政策本部本部長榎本 雅人君
技監都営住宅経営部長事務取扱久保田浩二君
住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務佐々木秀之君
連絡調整担当部長水野  剛君
住宅政策担当部長澁谷 浩一君
民間住宅施策推進担当部長栗谷川哲雄君
経営改革担当部長土屋 太郎君
再編利活用推進担当部長中山  衛君
建設推進担当部長妹尾 高行君
営繕担当部長金子 陽子君
環境局局長吉村 憲彦君
次長奥田 信之君
総務部長谷上  裕君
環境政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務若林  憲君
政策調整担当部長和田 慎一君
地球環境エネルギー部長小川 謙司君
次世代エネルギー推進担当部長山田 利朗君
環境改善部長筧   直君
環境改善技術担当部長志村 公久君
自然環境部長近藤  豊君
資源循環推進部長宮澤 浩司君
調整担当部長風祭 英人君
資源循環計画担当部長金子  亨君

本日の会議に付した事件
平成三十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
住宅政策本部関係
・平成三十年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成三十年度東京都都営住宅等事業会計決算(質疑)
・平成三十年度東京都都営住宅等保証金会計決算(質疑)
環境局関係
・平成三十年度東京都一般会計決算(質疑)

○大場委員長 ただいまから平成三十年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、住宅政策本部及び環境局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより住宅政策本部関係に入ります。
 初めに、過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員について、本部長から紹介があります。

○榎本住宅政策本部長 過日の分科会において紹介できませんでした当本部の幹部職員を紹介させていただきます。
 住宅政策担当部長の澁谷浩一でございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○大場委員長 紹介は終わりました。

○大場委員長 決算の審査を行います。
 平成三十年度東京都一般会計決算中、都市整備局移管分、平成三十年度東京都都営住宅等事業会計決算、平成三十年度東京都都営住宅等保証金会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○佐々木住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る十月十一日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております当本部の平成三十年度各会計決算特別委員会第三分科会資料の表紙をおめくりいただきまして、目次をごらんください。
 資料は、1の都営住宅建設事業に係る中小企業への工事発注実績から、9の政策連携団体・事業協力団体の職員構成(都派遣職員・固有職員・都退職者別)(過去五年分)までの九件でございます。
 それではまず、一ページをお開き願います。1、都営住宅建設事業に係る中小企業への工事発注実績でございます。
 工事発注実績及びそのうちの中小企業への発注実績につきまして、件数並びに金額を、年度別、財務局契約及び都市整備局契約別に記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、都営住宅の管理戸数、空き住戸数(事業用・募集用)、募集停止戸数でございます。
 平成三十年度末の各戸数について記載してございます。
 三ページをごらんいただきたいと思います。3、既設都営住宅のエレベーター設置状況(過去五年間)でございます。
 既設の都営住宅について、過去五年間のエレベーター設置状況を年度別に記載してございます。
 四ページをお開き願います。4、都営住宅の空き住戸数の割合、入居者の年齢別世帯数、平均居住年数、使用料の収入未済率(過去三年間)でございます。
 (1)では空き住戸数の割合、(2)では入居者の年齢別世帯数、(3)では入居者の平均居住年数、(4)では使用料の収入未済率を記載してございます。
 六ページをお開き願います。5、区市町村居住支援協議会の一覧と各居住支援協議会の構成メンバーでございます。
 平成三十一年三月三十一日までに設立された区市町村の居住支援協議会について、協議会名と構成メンバーをそれぞれ記載してございます。
 八ページをお開き願います。6、住宅確保要配慮者向け賃貸住宅の登録戸数でございます。
 平成三十年度末の登録戸数を記載してございます。
 九ページをごらんください。7、住宅確保要配慮者向け賃貸住宅に係る家賃低廉化補助を実施している自治体及び補助実績でございます。
 平成三十年度の補助実績を実施自治体別に記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。8、住宅政策本部所管の附属機関の委員報酬額及び開催状況(過去三年分)でございます。
 (1)では委員報酬額、(2)では各附属機関の開催状況を記載してございます。
 一一ページをごらんください。9、政策連携団体・事業協力団体の職員構成(都派遣職員・固有職員・都退職者別)(過去五年分)でございます。
 政策連携団体及び事業協力団体の職員構成について、過去五年分の状況を年度別に記載してございます。
 なお、政策連携団体及び事業協力団体の指定は平成三十一年四月一日からであるため、政策連携団体については監理団体として指定されていた当時の内容を、また事業協力団体については報告団体として活動していた当時の内容を記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○大場委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 私からは、都営住宅の空き住戸率と創出用地の活用について質問をいたします。
 都営住宅は近年、居住者の退去や死亡が増加しており、募集戸数をふやしているものの、入居世帯数は横ばいとなっております。現時点の最新データである二〇一七年度は、退去世帯数八千六百七十六件に対して入居世帯数は五千九百十件でした。
 そこで、初めに、都営住宅の空き住戸率の推移について、十年前の平成二十年度末から平成三十年度末までの傾向について伺います。

○土屋経営改革担当部長 平成二十年度末現在の空き住戸率は五・〇%、その後、各年度の空き住戸率は上昇基調にあり、平成三十年度末現在の空き住戸率は一〇・一%となっております。

○鈴木委員 私も長期的な傾向を拝見しまして、特にこの五年間の退去世帯数の増加は非常に顕著だなと感じております。現在、都営住宅における六十五歳以上の世帯は約六六%に達しており、今後、退去世帯数のさらなる増加も見込まれます。
 住宅政策本部としては、もちろん入居世帯数をふやすためにさまざまな努力をしていただいていると思いますが、都内の民間の空き家数も既に八十万戸ほどある中で、都営住宅としては、やはりこの既存ストックの活用というのをさらに図っていかなければいけないと考えております。これは公営住宅に限らず、今後長期的な人口減少を迎える日本で、あらゆる分野、事業が直面する課題です。
 現在、都営住宅は全体で二十六万戸のストックがあり、このストックを有効活用するために計画的に建てかえを行っております。建てかえは、耐震化やバリアフリー化、居住環境の改善などのために重要ですが、それとあわせて、創出用地を生み出し、都民のために効果的に活用することはさらに重要な施策です。
 現在、創出用地をどのように活用しているのか、基本的な考え方を改めて伺います。

○中山再編利活用推進担当部長 都営住宅の建てかえに当たっては、中層の住棟を高層化するなど敷地の有効利用により創出した用地を活用し、子育て支援施設や高齢者福祉施設等の整備、道路、公園の整備や緑の充実、防災性の向上にも努めております。
 さらに、地元区市や関係局と連携し、民間活用プロジェクトにより東京の魅力や活力を高めるまちづくり、商業、医療、福祉等の生活支援機能が整った生活の中心地を形成するなど、都の政策目的の実現や地域の課題解決を図るために効果的な活用を進めております。

○鈴木委員 都民共有の財産である創出用地を民間の力も活用しながらまちづくりに生かしていくということは大変重要な取り組みだと考えています。
 最近では、北青山三丁目地区や八王子市の長房地区でまちづくりプロジェクトを進めております。
 特に、平成三十年九月に事業予定者が決定した八王子市長房地区は、商業、医療などの生活支援機能が整った生活中心地を整備し、高齢化が進む都営住宅や周辺地域の課題解決に取り組む民間活用プロジェクトとのことで、私も大変注目をしております。
 そこで、八王子市長房地区で進めるプロジェクトの具体的な内容と進捗状況について伺います。

○中山再編利活用推進担当部長 八王子市長房地区では、団地の周辺を含めた地域の身近な生活やコミュニティを支える、誰もが暮らしやすい生活の中心地を形成するため、民間のノウハウを活用したプロジェクトに取り組んでおります。
 約三・一ヘクタールの創出用地に、スーパーマーケットやホームセンターなど日常生活をサポートする店舗が複合した施設を設置し、宅配サービスなどを展開するほか、在宅療養支援機能を備えた診療所など、地域ニーズに応じた医療や介護サービスを提供することとしております。また、多世代の方が日常的に集まり交流できる屋内外の交流スペースを設け、地域団体と連携したさまざまなイベント等を実施することとしております。
 平成三十年九月に事業予定者を決定後、三十一年三月に基本協定を締結し、先月には建設期間を含めた三十二年間の事業用定期借地権設定契約を締結しました。施設のオープンは、令和三年春の予定でございます。

○鈴木委員 都営住宅や周辺地域にとって効果の高いまちづくりであり、今後の進捗を期待したいと思います。
 一方で、都営住宅の創出用地は貴重な資産でありますので、まちづくりに寄与することに加えて、しっかりと収益を上げるという経営の視点も忘れてはいけないと考えています。
 本年九月に事業用定期借地契約を締結したということですが、都の収益となる賃料について伺います。

○中山再編利活用推進担当部長 賃料は年額約一億二千五百万円でございます。この金額は、募集時の基準額約六千七百万円に対する事業者からの提案によるものです。
 なお、賃料は、物価及び地価の変動率に応じ三年ごとに改定することができます。

○鈴木委員 八王子市の長房地区は約三ヘクタールの都有地ですが、年間一・二億円の収益を上げています。三十二年間では単純計算で四十億となり、資産の運用としても効果があると考えております。
 今後も、地元区市や民間と連携をしながら、このような効果的な創出用地活用をほかの地区でもぜひ積極的に推進していただきたいと思います。
 都営住宅会計が保有する土地の価格は、東京都公有財産表において一兆二千四百億円となっております。しかし、当時の土地所有時には接道条件などを満たしておらず、この評価額以上に現在の資産価値は上がっていると考えられます。
 この資産を都民のために引き続きさらに有効活用していただくよう求めまして、私の質疑を終わります。

○加藤委員 初めに、空き家を活用したセーフティーネット住宅について質問をいたします。
 住宅セーフティーネット制度が創設されてから約二年が経過をしました。都は、平成三十年三月に作成しました供給促進計画において登録目標を設定しましたが、ところが、二〇二五年度までに三万戸の登録目標を立てたんですけれども、現在の登録戸数は約九百戸と、昨年度末時点の二百九十六戸からは増加しているものの、このままいけば目標達成に向けて安心できる状況とはいえません。
 我が党は、当初から、都民の居住安定のため住宅セーフティーネット制度の推進が不可欠であるとし、さまざまな提案を行ってきました。
 そこでまず、昨年度の登録促進に向けた都の取り組み状況について伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 セーフティーネット住宅の登録促進に向けた昨年度の取り組みといたしましては、まず国の補助制度とあわせ、平成三十年四月に改修費や家賃低廉化及び家賃債務保証料低廉化に係る補助を開始いたしました。また、申請書類の大幅な簡素化を図る同年七月の省令改正を踏まえ、十月には手数料条例の改正により登録手数料を無料化し、申請者の負担軽減を図ってまいりました。
 加えて、貸し主や住宅確保要配慮者の方々双方に向け、具体的な改修事例を写真で盛り込むなど、創意工夫を凝らしたわかりやすいパンフレットを作成し、配布してございます。
 さらに、不動産団体を通じた登録の働きかけや、適宜区市町村を対象とした説明会を開催するなど、さまざまな機会を捉え、セーフティーネット住宅の登録促進や制度の周知に努めております。

○加藤委員 制度発足以来、補助制度の創設や普及啓発等、さまざまな取り組みを実施してきたことは理解をいたします。
 しかし、行政や不動産団体と懇談する中で、なかなかメリットがないんだっていうような意見を聞いてきたことも事実です。
 さて我が党は、昨年度、住宅確保要配慮者に向けた既存の民間住戸の活用は、住宅の確保に苦慮する都民の不安軽減に資するだけではなく、空き家対策等にも有効であるとして、都知事宛てに事業改善に関する要望書を提出いたしました。
 我が党の要望を踏まえ、先ほどの答弁にあったように、登録手数料が無料化され、関係者の負担軽減が図られたことには一定の評価をいたします。
 一方で、セーフティーネット住宅の登録促進には、貸し主等の不安軽減に向けた取り組みが必要であり、このことにつきましては要望書にも盛り込んだところであります。
 とりわけ、貸し主の不安軽減については、住宅確保要配慮者に日常的に寄り添い、貸し主等との間に立つ居住支援法人の果たす役割が重要であり、これまでの定例会の質疑においても我が党は重ねて指摘をしてきました。
 そこで、居住支援法人の活用を含め、貸し主等の不安軽減に向けた取り組み状況について伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 セーフティーネット住宅の登録促進には貸し主の不安軽減を図ることが重要であり、そのためには見守りや生活相談等、住宅確保要配慮者の支援を行う居住支援法人を活用していくことが有効でございます。
 こうした観点から、都の指定する居住支援法人数が十四者となった平成三十年十一月に、セーフティーネット住宅の登録促進を図るとともに見守りなどの生活支援を一層進めていくため、居住支援法人との意見交換会を開催し、その後も居住支援協議会の場を活用して情報交換等を行っております。
 こうした意見交換や議論を重ねながら、貸し主や不動産管理者の不安軽減を図るための施策として、本年六月から、入居者の死亡時に貸し主に生じる損失を補償する保険料への補助を、さらに同年七月から見守りサービスを行う居住支援法人を支援するモデル事業を行ってございます。
 また、各区市町村や居住支援法人が実施している見守りサービスを一覧に取りまとめ不動産団体に配布するとともに、住宅政策本部のホームページにおいて当該情報を提供するなど、セーフティーネット住宅の登録促進に努めております。

○加藤委員 見守りサービスのモデル事業や入居者の死亡時の損失を補償する保険への補助はまだ緒についたばかりではありますが、引き続きしっかりと取り組むことを要望いたします。
 また、一層の登録促進に当たっては、不動産事業者から貸し主への働きかけが何よりも重要であります。
 こうした観点から、さきの第三回都議会定例会で我が党から不動産事業者へのインセンティブ付与を提案したところ、知事からは前向きな答弁がなされたところです。
 早期に提案内容を制度化し、都民の居住安定が確保されることを希望いたしまして、次の質問に移ります。
 併用店舗つきの住宅の活用という点であります。
 都営住宅のうち、再開発事業等により立ち退くことになった従前居住者の生活再建のために、都は併用店舗つき住宅を設置しておりますが、このうち店舗部分と住宅部分とが独立している、いわゆる独立型の併用店舗つき住宅の店舗部分の空き家の活用、これについて伺います。
 私は都議会定例会で、都営住宅の募集倍率が依然高い状況を鑑み、また独立型の併用店舗つき住宅が長年空き家となっている実態を踏まえ、こうした場合は店舗部分と住宅部分を分離してそれぞれ有効活用すべきと求めてまいりました。
 都では、これを受けまして、平成二十七年度から、店舗部分の用途を廃止することによって住宅部分の入居者を新たに公募する運用を開始しており、評価しております。次なる課題は残された店舗部分の活用であります。
 そこで、平成三十年度末現在で、独立型の併用店舗つき住宅のうち店舗部分を用途廃止した区画数、その店舗部分のうち活用している区画数と空き区画数について伺います。

○土屋経営改革担当部長 独立型の併用店舗は二百四十四区画ございましたが、このうち店舗部分を用途廃止した数は平成三十年度末現在で六十二区画でございます。その活用につきましては、行政財産の目的外使用に当たることから、東京都公有財産規則で、国または地方公共団体が公用または公共用に使用する場合などに限定されております。
 都では、都営住宅の事業に要する備品等の倉庫として十七区画を使用しているほか、地元区や東京消防庁に対し防災倉庫として三区画の使用を許可し、活用を図っております。その他の四十二は空き区画となっております。

○加藤委員 今のご答弁で、六十二区画が併用店舗として廃止をされ、居住募集の対象となったことがわかりました。これは非常にすばらしいことだと思います。その一方で、店舗部分は規則等の関係で一部は公共の用に回されたものの、それ自体は評価をするんですけれども、この残り四十二区画、この多くがいまだ未利用という状況で、大変これはもったいないなというふうに感じます。
 現行制度での活用策を地元自治体と協議するとともに、皆さんの優秀な知恵を働かせて、現行制度を突破する活用策を求めて、次の質問に移りたいと思います。
 創出用地の活用についてということでありますが、都営住宅等の建てかえに伴い創出される用地について伺います。
 現在、東京都では、老朽化した都営住宅の建てかえを計画的に進め、バリアフリー化や防災性の向上を図るなど、良質な住宅ストックの更新に向けた取り組みが行われております。
 建てかえに当たりましては、都民の貴重な財産として、敷地の有効活用、有効利用を図り、用地を創出し、子育て支援施設や高齢者施設など地域に貢献できる施設が整備できるよう、関係部局や地元自治体と協力していくことも重要であります。
 こうした用地につきましては、公社住宅の建てかえによるものも含め、福祉のインフラ整備事業として、二〇二〇年に向けた実行プランで令和六年度末までに計三十ヘクタールの候補地を福祉保健局に提供する目標があるというふうに伺っております。
 そこで、都営住宅や公社住宅の建てかえに伴い創出される用地のうち、福祉インフラ整備への活用が見込まれる候補地の提供について、昨年度までの実績について伺います。

○中山再編利活用推進担当部長 都営住宅や公社住宅の建てかえにより創出される用地のうち、平成三十年度末までに福祉インフラ整備の候補地として約二十二・五ヘクタールを福祉保健局に対して情報提供などを行っております。
 このうち、都営住宅では約六ヘクタール、三十五カ所、公社住宅では約二ヘクタール、四カ所で子育てや高齢者支援などの福祉施設が開設または公募により事業者が決定しております。引き続き、都営住宅の建てかえを計画的に進め、福祉保健局や地元区市などと連携して創出用地を活用した福祉インフラ整備の推進に取り組んでいるところでございます。

○加藤委員 都営住宅や公社住宅の建てかえにより、福祉関連施設の整備に寄与できる用地が着実に創出されていることは理解ができました。
 私の地元墨田区では、都営文花一丁目アパートの建てかえが近年済みまして、地域包括支援センターが合築という形で整備されました。これも創出用地の提供といっていいのかどうかわかりませんけれども、高齢者の多い地域にとっては大変ありがたいことであります。
 一方、都営住宅の建てかえによる福祉インフラとして活用可能な候補地は、地元としてはまだ生まれていない現状でありまして、他局から出されているものはあるんですけれども、地元の議員からすると使えない土地ばかり出してもらっても仕方がないんだと、こういう不満の声が実は出ているんですね。
 よって、この文花一丁目アパートの建てかえに伴う今後の用地の創出と、福祉インフラの整備に対する期待が地元では大変高くなってきておりますので、引き続き都営住宅の建てかえを着実に進めるとともに、地域に貢献できる施設の整備が一層推進されることを期待しまして、質問を終わります。

○山崎委員 私の方からは、空き家対策について何点かお伺いしたいと思います。
 今後ますます高齢化が発展をし、都内の総人口の減少も予測される中、空き家対策は住宅対策にとって重要な課題の一つであります。
 都は、この空き家対策について、これまで区市町村の補助のみならず、空き家対策連絡協議会の設置など、さまざまな方法により区市町村の支援に取り組んできたことは承知をしております。これらの取り組みは、区市町村にとって空き家対策の推進に資するものと考えます。
 しかしながら、空き家対策は住宅、建築、不動産はもとより、まちづくりや福祉等々のさまざまな分野が関係し、また個々の空き家の所有者、管理者の意向によるところが大きく、複合的な解決策が必要であると認識をしております。
 こうした視点で、平成三十年度空き家対策の決算について、特に都民提案や職員提案により平成三十年度に新たに創設された三つの事業のメニューについて質疑をしていきたいと思います。
 初めに、平成三十年度は空き家の利活用マッチングや緑化、地域活性化促進への空き家利用支援の三つの事業が空き家対策に関する都民提案事業、また職員提案事業として事業化されております。空き家対策に関するさまざまな既存事業との整合性なども含め、具体的にどのような事業を進めてきたのか、執行率も含めてお伺いをいたします。

○澁谷住宅政策担当部長 空き家対策を進めるためには、地域の実情を把握している区市町村の主体的な取り組みが重要でございまして、平成二十七年度に全面施行された空家等対策特別措置法も同じような趣旨でございます。
 そこで、都におきましては、平成二十七年度から空き家利活用等区市町村支援事業によりまして、区市町村が行う実態調査、計画作成及び空き家の除却や利用のための改修への補助等に対しまして補助を実施してございます。
 都におきましては、区市町村のニーズに幅広く対応し、各自治体が効果的な取り組みを実施できるよう、平成三十年度には都民提案、職員提案されたお話の三つの事業につきまして、これまでにない独創的な事業と認め、新たに補助対象とするなど、これまで多様な補助メニューを用意いたしまして、空き家施策の充実に努めてまいりました。
 三つの事業につきましては、各提案事業の公表後、平成二十九年度内の空き家対策連絡協議会を初め、さまざまな機会を捉えまして、区市町村に情報提供やヒアリングを行い、事業執行促進に努めてきたところでございます。
 執行率につきましては、事業開始初年度ということもありまして、空き家の利活用マッチング体制整備事業は、減額補正後の予算現額に対しまして約七六%でございます。貸し庭支援事業、地域活性化を促進する住宅への空き家利活用等支援事業につきましては、区市町村からの申請がなかったため、執行がなかったものでございます。

○山崎委員 緑化を進める貸し庭支援事業や地域活性化を促進する空き家利活用支援、この二つの事業は予算全額を減額補正してしまったため、予算現額がゼロとなっております。予算全額を減額補正するに至った経緯とその理由をお話しください。

○澁谷住宅政策担当部長 お話の二つの事業につきましては、都民提案、職員提案によりまして、平成二十九年九月から十一月の間に募集され、翌年一月末に結果が公表されたものでございます。これらの事業につきまして、空き家利活用等区市町村支援事業として予算に盛り込み、先ほどもご答弁させていただきましたとおり、事業執行に努めてまいりました。
 しかしながら、区市町村が空き家の所有者の意向確認や所有者と利用希望者間の調整に一定の時間を要すること、地域活性化住宅への改修につきましては平成三十年度当時は国費との併用を要件としておりまして、国費を受けるための要件を区市町村で充足する必要があったことなどから、区市町村から、これら二つの事業につきましては都費の活用要望が得られず、そこで平成三十年度内の執行は見込まれないものと判断したものでございます。
 そこで、予算全額を減額補正することといたしまして、平成三十一年第一回都議会定例会に補正予算案を提出させていただきまして、ご議決をいただいたものでございます。

○山崎委員 今の答弁の中で、都民提案と職員提案、平成二十九年九月から十一月の間、募集をされて、翌年の一月末に結果が公表になったわけであります。この短期間の中で都民提案や職員提案という手法を用いてやられることが本当に区市町村の皆様にとってよかったのかどうなのか、私は不安が募るわけであります。
 三十年度の住宅施策の目玉として、知事本人も施政方針の中でもいっていたのにもかかわらず、このような結果になってしまったことが、やはり議会に対しても説明がないことは本当に健全なやり方だったのか、私はそのように考えております。
 続いて、予算全額を減額補正したこの二つの事業は、平成三十一年度どのようになっているのか伺います。

○澁谷住宅政策担当部長 平成三十一年度予算におきましては、空き家利活用等区市町村支援事業を基本型と企画提案型の二つに再編いたしました。基本型は、定型的な空き家実態調査、対策計画作成、老朽空き家の除却等を支援するもので、企画提案型は、区市町村が空き家対策計画等に基づき、地域特性を踏まえながらみずからの創意工夫を生かして企画提案する各種空き家対策事業を支援するものでございます。
 その上で、新たに創設した企画提案型で、お話の二つの事業を支援することといたしました。

○山崎委員 今なぜ、三十一年度どのようになっているのか伺ったのは、やはり三十年度の中で、都民提案、職員提案というものは、先ほどもお話ししましたけれど、約二カ月足らずの公募の中で一月に決定をされたわけです。時間がない、やはりいろいろな、先ほどの答弁の中でもありましたけれど、予測される範囲、そういったものがあったと思います。
 ですから、都民提案型や職員提案型、非常にすばらしいことだと私、思うんですけれど、やはり唐突過ぎて、この三十年度に関しては最終的には非常に曖昧な結果になってしまったといわざるを得ないと思っております。ですから、三十一年度、今どのようになっているのかということも、新たにちょっとお聞かせいただいたわけでございます。
 もう一度、都民提案型の事業というものは、平成三十年の開始でございますけれど、これは制度はたしか財務局の中であったと思います。これを各事業局が割り振られ、事業化を検討、実施をしていく。先ほども話しましたけれど、平成三十年はわずか一カ月や二カ月足らずだったということであります。
 空き家対策のように、局としてこれまでさまざまな取り組みをしてきた事業がある中で、あえて都民提案事業をしたのは、区市町村の補助として潜り込ませることが多く、区市町村の予算編成がこれは終わった後にこうなってしまったということは、ですから執行率が非常に悪くなってしまった、減額補正も含めてそういうような形になってしまったのは否めないと思います。
 また、職員提案型、これに関しても、他局が事業について提案をするもので、これ、たしか職員提案という形なのに匿名なんですね。なぜ匿名なのかというのがちょっと、皆さん現場でいろいろとやられている中で、なぜ匿名で出さなきゃいけないのかなっていうのがちょっと私には理解ができません。行政として匿名で実施する点が全く理解できないんですけれど、いずれにしても、これ責任の所在というものがやはり中途半端な形になってしまっていると思います。
 そういったことも含めて、しっかりと住宅施策、空き家対策に向けてもさまざまなメニューがあると思いますけれど、その点も踏まえて今後しっかりやっていただきたいことを強く要望して、質問を終わります。

○和泉委員 私は、昨年の都市整備委員会事務事業質疑で、都営住宅の共用部分の蛍光灯の交換についてお聞きしました。階段の踊り場に脚立を立てて作業をする蛍光灯の交換を住民がやらなければならない、これは高齢の居住者にとって極めて危険であるというふうに述べた上で、何らかの工夫が必要ではないですかと質問しました。その際、東京都は、二〇三〇年度末までに共用部分のLED化の完了を目指している、そうすれば蛍光灯の交換頻度を減らせる、このような危険を少しでも減らすことができる、そのような趣旨の答弁をされました。
 そこで伺いますが、平成三十年度における都営住宅の共用部分のLED化の実施戸数は何戸でしょうか。また、これまでの累計についてもあわせて伺います。

○金子営繕担当部長 共用部分の照明のLED化事業につきましては、平成二十七年度から建てかえ事業に合わせて実施しております。平成二十九年度からは、既存の都営住宅についても実施しておりまして、平成三十年度は、建てかえと既存の都営住宅への設置を合わせて約七千百戸となっております。
 また、平成三十年度までの累計につきましては、約一万九千七百戸となっております。引き続きLED化に取り組んでいるところでございます。

○和泉委員 私、先日、北青山一丁目アパートの方に伺いました。ここは、団地の駐車場やバイク置き場、駐輪場が地下にあるために、照明は二十四時間ついたままになっています。この電気代の負担が自治会にとって極めて重いものになっているんです。LED化は、先ほどあったように、蛍光灯の交換頻度を減らして、高齢の居住者の蛍光灯交換時の危険を防止することにつながります。そして、それだけではなくて、この北青山一丁目アパートのように、団地の構造上、ほかの都営住宅よりも高い電気代が住民の負担となっている、そのような事例にも対応できるというふうに思います。
 先ほどの答弁ですと、建てかえの戸数と、大体同程度の戸数で既存の住宅のLED化を同時に進めているということになるかと思いますが、今のペースですと、都営住宅二十五万戸のLED化の完了にあと三十二年かかるということになってしまいます。住民の皆さんの今現在、この困難が一日も早く改善されるよう、ぜひ都として一層頑張っていただくよう求めたいと思います。
 続いて、都営住宅のバリアフリー化について伺います。
 既存の都営住宅における住戸内のバリアフリーについて、平成三十年度の実施状況はどのようになっているでしょうか。

○金子営繕担当部長 既存の都営住宅における住戸内のバリアフリー化につきましては、平成五年度から身体障害者や高齢者の方からの要望を受けまして、浴室及びトイレなどへの手すりの取りつけ、玄関ドアのレバーハンドル化など、住宅設備改善を実施しております。
 平成三十年度における実績は約三千八百件でございます。引き続き住宅設備改善に取り組んでいるところでございます。

○和泉委員 住戸内のバリアフリー化については、居住者からの申請があれば、手すりや玄関のレバーハンドル化など住宅設備を改善してもらえるということです。住戸内のバリアフリー化と同時に、共用部分もまたバリアフリー化が重要だと思います。
 現在は、建物そのものに入るときのスロープあるいは階段の手すり、これらは当たり前に行われるようになりました。けれども、視覚障害者の方からは、階段の手すりに点字表示板がなく、自分が何階にいるのかわからなくなることがある、階段の手すりに点字表示板をつけてほしいと要望が出されています。もっともな要望だというふうに思うんです。
 例えば、災害時にエレベーターがとまってしまって階段を使わなければならないとき、上からも下からも住民の皆さんがいろんなことをお話ししながら上ったりおりたりしてこられる。そういう中で、もし自分が今何階にいるのかわからなくなったら、目の前に迫る災害から身を守るために上ればいいのか、下ればいいのか、それがわからない。これは本当にどれほどの恐怖だろうというふうに思います。
 都の施設設備という点では、都営地下鉄では、全ての駅に階段や通路の手すりには点字シールを張りつけています。車両においても、全車両のドアに車内点字シールをつけています。
 また、最新の東京都福祉のまちづくり条例施設整備マニュアル、ここに該当するページ持ってきましたけれども、ここでも共同住宅等において参考図が示されていますが、階段の基本的な考え方の図では、やはり階段の手すりの、階段そのものの始点や終点に点字表示が描かれています。この図は、整備基準の内容の理解を容易にするための一例ということですが、都営住宅という公的施設でこそ率先して実現を目指すべきじゃないでしょうか。
 都営地下鉄の取り組み、福祉のまちづくり条例施設整備マニュアル、都が示している先例にも学んで早急に検討していただくようお願いするとともに、現在、視覚障害のある方が居住しているところには直ちに設置を検討していただきたい、このことを強く求めておきたいというふうに思います。
 続いて、住宅確保要配慮者です。
 都のパンフレットを見ますと、住宅セーフティーネット制度とは、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の供給を促進することを目的としているとあります。
 住宅確保要配慮者とは、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯と法には定められていますが、自治体がさらに要配慮者を追加できることになっています。都はさらに、外国人、中国残留孤児、児童虐待を受けた者、ハンセン病療養所入所者、DV被害者、北朝鮮拉致被害者、犯罪被害者、生活困窮者、更生保護対象者、東日本大震災による被災者、海外からの引揚者、新婚世帯、原子爆弾被爆者、戦傷病者、児童養護施設退所者、LGBT、UIJターンによる転入者、住宅確保要配慮者に対して生活支援等を行う者と、省令に加えて都独自の追加も行って対象を広げています。
 住宅確保要配慮者向け賃貸住宅の平成三十年度末の登録戸数は二百九十六戸ということですけれども、例えば高齢者や障害者などの属性ごとの登録戸数はどのようになっているんでしょうか。伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 平成三十年度末時点におけるセーフティーネット住宅の登録戸数二百九十六戸について、入居を拒まない住宅確保要配慮者の主な属性ごとの戸数は、重複はございますが、高齢者は百七十二戸、身体障害者が同じく百七十二戸、低額所得者が百七十六戸、子育て世帯が百三十四戸、外国人が百二十二戸などとなっております。

○和泉委員 まだまだ新しい制度ですから登録戸数は少ないんだというふうには思うんですが、都は、法定、省令の対象者だけでなくて、都独自に住宅の確保に配慮が必要な方たちに対象を広げて、その方たちに住宅セーフティーネット法に基づく登録住宅の供給の目標を二〇二五年度までに、先ほど加藤委員の話にもありましたけれども、三万戸というふうに掲げているわけですから、主体的責任を果たす上でも、都が住宅の確保に配慮を要するとしている方たちの願いに応えるという上でも、ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。
 また、セーフティーネット住宅には、登録住宅のうち、住宅確保要配慮者だけが入居できる専用住宅があります。この専用住宅の場合には、家主さんは改修費補助、家賃低廉化補助や家賃債務保証料低廉化補助が受けられます。
 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給促進事業のうち、改修費補助、家賃低廉化補助、家賃債務保証料低廉化補助の平成三十年度の実績戸数を伺います。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 平成三十年度のセーフティーネット住宅に係る補助制度の実績戸数につきましては、改修費補助が六戸、家賃低廉化補助が九戸、家賃債務保証料低廉化補助が三戸となっております。

○和泉委員 これは、当初予算としては二億四千八百万円計上していた事業だったと思います。けれども、実際の決算額は二千六十二万円というふうにお聞きしています。家賃低廉化の実施状況もわずか九件にとどまってしまった。そういう状況ですけれども、これはどのような原因があったというふうに都としては分析しているんでしょうか。

○栗谷川民間住宅施策推進担当部長 家賃低廉化補助は、補助対象者である貸し主に対し、区市町村の定める額を補助限度額として、都が区市町村を通じその二分の一を補助するものでございます。そのため、当該補助を活用するには、対象のセーフティーネット住宅が所在する区市町村において予算措置を行っていることが前提となります。
 平成三十年度に予算措置したのは三区一市でございまして、都は区市町村に対し補助制度の導入を働きかけてきたものの、区市町村からは、対象となる住宅の登録戸数が少ないことから予算措置の必要性が低いと聞いておりまして、これを主な原因と考えてございます。

○和泉委員 なぜこの補助対象になる専用住宅の登録が進まないのかというところをしっかり分析していただきたいなというふうに思うんです。登録戸数が少なく、さらに専用住宅ということになれば、住宅確保要配慮者しか入居できません。しかも、この補助は管理開始から十年間だけ、ですから家主さんにとってはリスクの高いものにならざるを得ません。住宅の確保に配慮を要する方たちのために、家賃の低廉化、家賃債務保証料の低廉化の制度がつくられたのに、補助の対象が家主さんで、しかもいろいろハードルの高い条件がついてしまっていて実績が上がらない。結果、区市町村も予算措置の必要性が低いと判断せざるを得ない。誰に一番しわ寄せが行くかといえば、住宅の確保に困っている方たちということになっているわけです。
 都は、せっかく独自の対象拡大も行って、補助の上乗せも行って、住宅の供給を促進していこうという計画を立てているわけですから、この制度が実効性を持ったものになるよう、制度の課題をしっかり洗い出して改善を図っていただくこと、そして国に対してもしっかりと意見を上げていただきたいというふうに思います。
 私は、家賃補助という点では、住宅確保が難しい方を専門に部屋を貸しますよと名乗りを上げた大家さんに十年に限って補助をしますよ、この制度そのものがとてもハードルが高くリスクも大きい、住まいという人権の保障の責任を民間の大家さんに担わせることに無理があるんだというふうに思います。
 住宅確保が難しい方がどんな賃貸住宅にお住まいになろうと、直接そこに支援するという仕組みに切りかえれば、大家さんが名乗りを上げ、登録住宅がふえなくても、みずから住宅確保の困難を解消することが可能になります。そうした方向に変えることに都としてもぜひ検討を始めていただきたい、そしてまた国にも働きかけていただきたい。そのことを求めて、私の質問を終わります。

○けいの委員 平成三十年度の不動産取引に関する都の取り組みについて伺います。
 都民が民間住宅市場で良質な住宅を確保するために、ひいては都民の豊かな住生活を実現するためには、誰もが安心して不動産取引ができることが重要です。
 都民が民間の住宅を探す際には、まず不動産広告を見て希望の物件を探し、条件に合った物件があれば、不動産業者の仲介により売買や賃貸などの契約を結ぶのが一般的であります。大多数の不動産事業者は良心的に業務を行っていると思いますが、中には、顧客を集めるために捨て看板やおとり広告などの不正な手段で消費者を誘い、他の物件を紹介するといった営業を行う悪徳業者がいまだに存在すると聞いております。また、通常の仲介で入居した場合でも、家主との間で修繕や原状回復、更新料などについてもめているといった相談が私のところに寄せられております。
 そこで、平成三十年度に東京都に寄せられた不動産取引に関する相談件数はどのぐらいあったのか、またどのような相談が多いのかお伺いします。

○佐々木住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成三十年度に都市整備局の不動産業の所管課に寄せられました不動産取引に関する相談は、電話及び窓口での相談や弁護士が対応する特別相談を合わせて約二万七千件でございます。
 相談の内容には、取引業者に関する照会などさまざまなものがありますが、個別の取引に関する相談について見てみますと、全体の約七割は賃貸借に関する相談であり、そのうち約半数が退去時の原状回復や入居時の修繕、家賃の支払いなど管理に関するものとなっております。
 また、売買に関する相談につきましては、ローンの不成立等による契約解除など民事に関するもの、契約前の事前相談のほか、宅地建物取引業者による執拗な勧誘や重要事項説明の不備など、宅地建物取引業法上の問題に関する相談も多く寄せられているところでございます。

○けいの委員 ありがとうございます。担当部署に年間二万七千件、相談が寄せられているということでした。これは一日当たり百件を超える相談ということで、七割が、修繕、それから退去時原状回復、こういうときに、二万七千件、そのうち七割が退去時ということですから、賃貸住宅を借りて退去する場合はほぼ確実にトラブルが起きるといっても過言じゃないんじゃないでしょうか。都民のニーズが極めて高いということがこの数字で、今のご答弁でうかがえるということになります。
 不動産取引に関連して、一部の不動産業者による路上等へのいわゆる捨て看板については、地元から苦情が私のところにも、地元業者からも寄せられております。
 不動産取引をめぐるトラブルを防止して公正な不動産取引を確保するために、不動産事業者による捨て看板への対応を含め、都はどのように取り組んでいるのかお伺いいたします。

○佐々木住宅企画部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都では、先ほどご答弁申し上げましたように、宅地建物取引業法に関する相談窓口のほか、賃貸借に関する相談を扱う賃貸ホットラインや、民事の専門的な立場から弁護士が助言を行う不動産取引特別相談室を設置して、都民から寄せられるさまざまな不動産取引に関する相談に対応してございます。
 こうした相談において、誇大広告や重要事項説明の不備など宅地建物取引業法上の問題が認められる場合には、同法に関する調査を行った上で、必要に応じ指導や行政処分を行ってございます。
 また、委員お話のございました相談の多い賃貸借契約に関しまして、法律の原則や判例等の考え方をわかりやすく解説した賃貸住宅トラブル防止ガイドラインを都のホームページで公表しており、平成三十年度には民法改正等を踏まえて改定したこのガイドラインを冊子として作成し、都内の主要な書店等で購入できるようにするなど、紛争の未然防止に向けたさらなる普及啓発にも取り組んでおります。
 お話の屋外や道路上の違法な広告物につきましては、所管局である都市整備局や建設局と連携しまして、屋外広告物のルールに関するチラシを作成し、不動産業団体等を通じまして宅地建物取引業者にルールの徹底を呼びかけるなど、是正に向けた取り組みを強化してございます。
 こうした取り組みを通じまして、トラブルの未然防止や適正な不動産取引の推進を図っているところでございます。

○けいの委員 ありがとうございました。トラブルの未然防止、これは二万七千件、毎年相談があるわけですから、これを防止していくというのは並大抵の東京都の取り組みでは難しいことなんだと思います。
 特に、今お話しいたしました捨て看板等、この看板、取引業者が、仲介業者がどこであるか調べたら、他県であるという場合も多数見受けられると。東京都内の物件、必ず都内の業者が扱っているとは限りませんので、そうした場合、東京都が他県とどういうふうに連携していけるのか、どういうペナルティーを与えていけるのか、未然防止をするということは本当に大変だと思います。
 宅建業法にのっとったさまざまな皆さんの取り組みにおいても、宅建業界独特の古くからの慣習、敷金であったり、礼金であったり、それが賃貸契約解除のときにどの程度返ってくるのか、その都度、消費者というか利用者はわからずに、いわれるままに納めた二カ月分、三カ月分がほとんど返ってこなかったなんていうふうに、そういう細かな個別なトラブルが多いことと推察されます。
 こうしたトラブル未然防止は、都民の声や現場の実態などを踏まえて、都市整備局や建設局、関係局とも連携をして、しっかり皆さんがこれまで取り組んでこられて、その上でもこのトラブル件数ですから、本年四月に住宅政策本部が発足して、引き続き都民が安心して不動産取引を行える環境の整備、不動産業界の健全な発展に取り組まれることを要望いたしまして、質問を終わります。

○大場委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大場委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で住宅政策本部関係を終わります。

○大場委員長 これより環境局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成三十年度東京都一般会計決算中、環境局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○谷上総務部長 去る十月七日の当分科会で要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の平成三十年度各会計決算特別委員会第三分科会資料をごらんください。
 表紙をおめくり願います。右側の目次のとおり十四項目ございます。
 まず、一ページをお開き願います。都内の二酸化炭素排出量の部門別推移過去五年分でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの各年度における産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量を記載しております。
 二ページをお開き願います。2、二酸化窒素、浮遊粒子状物質及び微小粒子状物質の環境基準達成状況の推移でございます。
 (1)の二酸化窒素、(2)の浮遊粒子状物質、それぞれの表におきまして、上段が一般環境大気測定局、下段が自動車排出ガス測定局でございまして、平成二十六年度から三十年度までの各年度における測定局数、環境基準達成局数及び達成率の状況を記載しております。
 三ページをお開き願います。(3)の微小粒子状物質につきまして、同様に記載しております。
 四ページをお開き願います。3、二酸化窒素、浮遊粒子状物質及び微小粒子状物質の全国上位十局の推移でございます。
 (1)の二酸化窒素につきまして、平成二十五年度から二十九年度までの各年度における全国の測定局の年平均値上位十局を記載しております。
 五ページをお開き願います。(2)の浮遊粒子状物質につきまして、同様に記載しております。
 六ページをお開き願います。(3)の微小粒子状物質につきまして、同様に記載しております。
 七ページをお開き願います。4、産業廃棄物として都内から排出されるアスベストの過去十年間廃棄量でございます。
 平成十九年度から二十八年度までの各年度における廃石綿等と石綿含有産業廃棄物の排出量を記載しております。
 八ページをお開き願います。5、緑地保全地域における公有化予算・決算額・面積及び管理予算の推移でございます。
 平成二十一年度から三十年度までの各年度における公有化の予算額、決算額及び面積並びに管理費予算額を記載しております。
 九ページをお開き願います。6、都内の土壌汚染対策法における要措置区域等の指定件数の推移でございます。
 平成二十六年度から三十年度までの各年度における要措置区域と、形質変更時要届出区域の指定件数を記載しております。
 一〇ページをお開き願います。7、大規模事業所の二酸化炭素排出量の推移でございます。
 平成二十二年度から二十九年度までの各年度における二酸化炭素排出量を記載しております。
 一一ページをお開き願います。8、大規模事業所の床面積当たりの二酸化炭素排出量の推移(用途別)でございます。
 (1)の第一計画期間につきまして、平成二十二年度から二十六年度までの各年度における事務所、情報通信、放送局等の各用途の床面積当たりの二酸化炭素排出量を記載しております。
 一二ページをお開き願います。(2)の第二計画期間につきまして、同様に記載しております。
 一三ページをお開き願います。9、中小規模事業所の二酸化炭素排出量の推移でございます。
 平成二十二年度から二十九年度までの各年度における二酸化炭素排出量を記載しております。
 一四ページをお開き願います。10、都内病院の床面積当たりの二酸化炭素排出量の推移でございます。
 平成二十年度から二十九年度までの各年度における病院、医療施設等の床面積当たりの二酸化炭素排出量を記載しております。
 一五ページをお開き願います。11、太陽光発電の普及状況(直近五年間)でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの各年度における住宅用とその他の太陽光発電の設備容量を記載しております。
 一六ページをお開き願います。12、横田基地周辺における騒音発生回数の推移でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの各年度における昭島、瑞穂、福生及び武蔵村山の各測定局の一年間の騒音発生回数及び一年間で最も騒音の発生が多かった日の騒音発生回数を記載しております。
 一七ページをお開き願います。13、六価クロム土壌汚染対策に係る滲出事案など環境局に寄せられた情報と対応状況(過去三年)でございます。
 平成二十八年度から三十年度に六価クロム土壌汚染対策に係る滲出事案など、環境局に寄せられた情報と対応状況を記載しております。
 一八ページをお開き願います。東日本大震災以降の放射能対策における区市町村等関係機関との連携及び取組状況でございます。
 平成二十三年度以降の放射能対策における区市町村等関係機関との連携状況及び取り組み状況を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大場委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○平委員 LED省エネムーブメント促進事業についてお伺いをいたします。
 都内の部門別エネルギー消費量を見ると、二〇〇〇年比で家庭部門だけが唯一増加しており、都内のエネルギー消費量の三割を占める家庭部門対策は重要です。
 こうした中、LED省エネムーブメント促進事業は、家庭の電力の約二割を消費している照明に着目し、省エネ効果の高いLED電球への交換を促すという家庭の省エネを進める上で意義のある事業だと思います。
 平成二十九年から三十年度にかけて実施しましたが、二年の実績をお伺いいたします。

○小川地球環境エネルギー部長 LED省エネムーブメント促進事業は、LED電球の交付と同時に行う省エネアドバイスを通しまして家庭における省エネ対策を進めようとしたものでございます。
 平成二十九年度及び三十年度の二カ年で、事業費としてLED電球の原資や事務経費など約二十億二千万円を支出いたしまして、この間LED電球の交付実績は七十三万九千八百二十九個でございました。

○平委員 本事業の実施期間は、当初、平成二十九年七月から一年間でした。その後一年間の課題を整理し、業界団体や都民などの意見を踏まえ、新しい方策での事業展開として、次なるLED省エネムーブメント事業を実施、平成三十年八月から新たな仕組みで事業を開始しております。
 都として、当初事業の課題をどのように整理し、新たな仕組みで事業を実施したのか伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 事業を実施いたします中で、都民からは、白熱電球を二個以上持っていないとのご意見や、まだ使える白熱電球を交換に出すのはもったいないとのご意見がございました。また、家電店等からは、交換に出す電球として電球形蛍光灯を含めてほしいとのご意見や、LEDに置きかわっていない電球の中には小型のものも多いとのご意見がございました。
 こうした意見を踏まえまして、都民に持参いただく電球につきましては、白熱電球または電球形蛍光灯一個としたほか、使用中の電球に限定していたものを、切れているものも対象といたしました。また、交付するLED電球につきましては、E26型の電球に加えまして、小型のE17型のものも対象といたしました。
 こうした対応によってより多くの都民にご参加いただけるようになり、当初一年間でのLED電球交付実績が三十六万六千六百七十三個であったのに対しまして、新たな仕組みでは、事業終了である昨年十二月までの四カ月間で三十七万三千百五十六個の交付実績がございました。

○平委員 ありがとうございます。新たな仕組みでの事業実施では、わずか四カ月で三十七万三千百五十六個の交付実績、当初の一年間と同程度のLED電球交換があったとのことです。仕組みの変更は効果的であったことがわかります。
 事業目的である家庭の省エネは、事業実施によって効果が得られたのか、CO2の削減量や光熱費の削減効果を伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 本事業の実施によりましてCO2にして年間約三万トンの削減につながり、これは一般のご家庭約二万世帯の電力使用量の削減に相当いたします。また、光熱費削減効果で見ますと年間約十七億円となります。加えまして、LED電球の交付と同時に行われる省エネアドバイスを延べ七十四万人の都民の方に行うということによりまして省エネ意識の醸成を図ることができたと考えております。

○平委員 ありがとうございます。一般家庭二万世帯分もの電力消費量に相当する省エネ効果を実現したということでございます。また、本事業のトータル事業費二十億円と比較して、光熱費削減効果が年間で十七億円ということで、一定の事業成果があったのではないかと思います。事業実施において、関係者の意見を聞くなどして課題をしっかりと整理し、改善に向けて対応したということが事業の効果につなげたのだというふうにも思います。
 年々深刻になるCO2排出量は最も重要な環境問題の一つ、環境局一丸となって地球温暖化対策にはさまざまな施策の中で頑張っておられますが、より一層気概を持ってCO2削減に取り組んでいただきたいと思います。
 次に入ります。
 ゼロエミッションアイランドについて伺います。
 自然に恵まれた島しょ地域は、再生可能エネルギーのポテンシャルが高い一方で、多くの電力をディーゼル発電に依存しており、LED化の促進などの省エネ対策とともに、再エネの積極的な導入拡大を図ることが重要です。また、電力を化石燃料に頼らない再エネで賄えるようになれば、環境負荷の低減だけでなく、地域防災力の強化にもつながります。
 昨年七月、知事は、島しょ地域においてCO2を排出しない、いわゆるゼロエミッションアイランドを目指し、小笠原諸島の母島で一年のうち半年程度を太陽光発電のみで電力供給を行う実証に向けた取り組みを開始すると発表いたしました。都が環境先進都市を目指す上でも大変意義深い取り組みだというふうに思います。
 ゼロエミッションアイランドに向けた母島での昨年度の取り組み状況を伺います。

○山田次世代エネルギー推進担当部長 ゼロエミッションアイランドの実現に向けた取り組みといたしましては、都は昨年十二月、母島での再生可能エネルギーを活用した実証プロジェクトの実施に関する協定を小笠原村及び東京電力パワーグリッドと締結いたしました。
 プロジェクトの実施に当たっては、昨年十一月に二回、現地で村民説明会を開催し、事業概要や再エネでの電力供給のイメージ、既に開発された畜産指導所の跡地等を太陽光発電の設置場所として予定していることなどについて説明し、住民の意見を聴取しております。また、自然や景観等に十分配慮していく必要があることから、本年一月から自然環境調査を行っております。
 さらに、東京電力パワーグリッドでは、電力需要と太陽光発電による出力が常に変化する中で、再エネの大量導入が可能となる系統システムの開発に着手をしております。
 今後、こうした調査等を着実に進めながら、事業の実施を目指してまいります。

○平委員 島しょ地域でゼロエミッションアイランドが実現すれば、環境や防災面でのメリットだけでなく、地域の魅力創出にもつながっていくものであると考えます。小笠原ならではの希少な植物等への配慮も重要であり、しっかり調査を行いながら着実に取り組みを進めていただきたいと思います。
 続いて、ゼロエミッションビークル、ZEVの普及促進に向けた取り組みについて伺います。
 都は、二〇三〇年の乗用車新車販売に占めるZEVの割合を五割まで高めるとの目標を定め、施策を推進してきています。ZEVは走行時に二酸化炭素を出さず、普及すればゼロエミッション東京の実現に大きく貢献することが期待されるものです。
 都では、こうしたZEVの普及促進に向け、車両を購入する経費に対する補助事業をこれまで実施してきておりますが、本事業の平成三十年度の補助実績について伺います。

○山田次世代エネルギー推進担当部長 平成三十年度の補助実績でございますが、電気自動車、EVが二百四十二台、プラグインハイブリッド自動車、PHVが九十六台、燃料電池自動車、FCVは百五十八台でございました。
 また、平成三十年度末までの補助実績でございますが、EVが千三百五十七台、PHVが八百八十台、FCVが五百二十四台となっており、二〇三〇年目標の達成にはさらなる普及拡大に向けた取り組みが必要であると認識しております。

○平委員 二〇一八年度の新車販売台数に対するZEVの割合は一・六%だと伺っております。二〇三〇年目標の達成にはほど遠いため、一層の努力が必要です。都の見解を伺います。

○山田次世代エネルギー推進担当部長 都は、これまで中小企業者を対象としておりましたけれども、今年度からは個人や大企業にも対象を拡大するとともに、補助額を拡大しております。また、普及啓発として、都民が気軽にゼロエミッションビークルを体験できるような取り組みもあわせて推進しております。
 二〇三〇年目標の達成に向け、着実に取り組みを推進してまいります。

○平委員 補助制度の拡充と普及啓発を進めているということでございます。今後の普及に期待をします。都には引き続きしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 続いては、都有施設の充電設備について伺います。
 ZEVの普及拡大を促す都として、都有施設に充電設備がない、充電設備が一つもないのは説得力に欠けるという意味合いのもとで、都有施設での充電設備の整備が必要だとこれまで環境局、常任委員会において訴えてまいりました。
 昨年実施したZEVの心配事は何かと、都民向けの世論調査においても、約半数が充電する場所が少ないことと回答していると伺いました。
 都有施設における充電設備の設置状況について教えてください。

○山田次世代エネルギー推進担当部長 平成三十年度は、城北中央公園など都立公園五カ所のほか、立川合同庁舎、檜原都民の森の合計七カ所に急速充電器を設置し供用を開始してございます。
 また、本年七月から都立舎人公園で急速充電器の供用を開始したほか、都庁第一本庁舎の急速充電機器につきましても本年十一月中に供用開始する予定で工事を進めているところでございます。

○平委員 ありがとうございます。ZEVの普及拡大を促す都の代表施設、都庁第一本庁舎にやっと充電設備が整い、本年十一月に供用開始予定ということでございます。
 インフラが整わなければ、EV等の普及は進まないと考えます。引き続き、都の施設を初め、民間施設に対する充電設備の設置について取り組んでいただき、ZEVの普及を一層進めていただくよう要望いたします。
 続いて、ユニバーサルデザインタクシー、UDタクシーについて伺います。
 従来のタクシーのセダンの形状とは異なる形の通称ジャパンタクシー、このジャパンタクシーは、LPGハイブリッド車で、従来車と比べてCO2削減効果にすぐれているということです。また、ドアが大きく乗りおりしやすいことから、地面まで床の高さが低い一方、天井が高いことなどから、車椅子の方やベビーカー、高齢者も安心して乗車できる、まさにユニバーサルデザインの車両といえます。
 私も乗ったことがございます。時間があればジャパンタクシーを待つぐらい、乗り心地もよく、これなら車椅子の方も安心して利用できるとの印象を持っております。普及が進めば、環境にやさしいとともに、誰にとっても円滑な移動環境の確保につながると期待いたします。
 都は、こうしたユニバーサルデザインタクシーの導入に対する補助を行っておりますが、導入台数の目標と、これまでの実績についてお伺いいたします。

○筧環境改善部長 都は二〇二〇年に向けた実行プランにおきまして、環境性能の高いユニバーサルデザインタクシーを一万台導入することを目標としております。タクシーは一般の車両と比べて走行距離が長く、ハイブリッド等の車両が普及すれば、環境負荷の低減に貢献することが期待できます。
 このため、都は、環境性能が高いハイブリッド自動車等であって、誰もが利用しやすいユニバーサルデザインタクシー車両を対象に一台当たり六十万円を上限として、経費の一部を助成しております。
 制度を創設した平成二十八年度から平成三十年度末までに累計で三千三百五十六台、十八億五千九百九十二万一千円の補助を実施しております。また、本年九月末までに累計約六千五百台の申請を受け付けております。

○平委員 ありがとうございます。都内のタクシーが約五万台ですので、先月末時点で既に一割以上がユニバーサルデザインタクシーに切りかわったことになり、順調に普及しているということは非常にいいことだというふうに思います。
 しかし、一方で、昨年末ごろから、車椅子の方がこのタクシーを利用しようとした際に乗車拒否にあったという報道が見かけられるようになりました。この背景には、スロープの設置方法がわかりにくく時間がかかり、ドライバーの負担になっていることが挙げられるとも聞いております。
 こうした問題について、都やメーカーがどのように対応したのか伺います。

○筧環境改善部長 車椅子利用者に対する乗車拒否問題を受けまして、メーカーでは、乗降用スロープ等の改良を行いました。これにより、当初に比べてスロープ設置が容易になったことで、乗降の所要時間も大幅に短縮し、タクシー乗務員の負担軽減につながったと聞いております。
 また、都におきましては、タクシー乗務員が車椅子の方の乗車に適切に対応できるよう、今年度の補助申請受け付けから、ユニバーサルドライバー研修の受講を義務づける等の補助条件の改正を行っております。

○平委員 車椅子利用者の声に迅速に対応し、改良を行ったということは評価できます。
 まだ三千五百台の予算が残っています。これまで研修を義務づけてきておりますが、効果はあったのか、事業者に聞き取りするなど、検証が必要ではないかというふうに考えます。
 都として、事業者に対して、今後乗車拒否が発生しないように、改めて働きかけるべきと考えますが、都の見解を伺います。

○筧環境改善部長 委員ご指摘のとおり、今になっても車椅子の方に対する乗車拒否が発生しているとすれば、早急に改善していくことが重要であると認識しております。
 都はこれまでの取り組みに加えまして、乗務員の意識向上や、車椅子利用者の乗降円滑化のための訓練の充実などにより、車椅子の方に対する乗車拒否がなくなるよう、しっかりとした対応を図ることをタクシー事業者の業界団体に対して強く要望してまいります。

○平委員 業界にとっても都民にとっても大変大きな金額の補助であり、この予算を無駄にしないためにも、事業者が何をするべきか、ユニバーサルデザインの意義をしっかりと再確認することが重要です。
 今後、都内において乗車拒否が発生することがないように、業界とも連携をして取り組んでいただくよう要望をいたします。
 続いて、新たな時代にふさわしい自然公園事業の推進について伺います。
 東京は千四百万近い人口を有する大都市である一方、標高二千メートルを超える山から千キロ離れた小笠原諸島の亜熱帯まで多様で豊かな自然環境に恵まれています。こうした都内の豊かな自然環境は次世代のために残すべきものと考えております。
 一方、東京の区部にも、かつては豊かな自然が残されていました。そのころの貴重な自然資源に関する情報が、近年急速に散逸の危機に瀕しているというふうに伺っております。
 こうした状況を都としてどのように認識しているのか、都の見解を伺います。

○近藤自然環境部長 都は、平成二十九年度に全国で初めてとなる自然公園に関する総合的なビジョンを策定し、東京の自然公園の現状と目指す姿を示しました。
 この中で、自然公園内の動植物など、都内の自然資源に関する情報は、体系的に過不足なく収集、活用されているとはいえない状況にあることを明らかにしております。自然環境の情報を的確に把握し、情報の収集、分析を行うことで、必要な施策の実施や計画の見直し等につなげ、東京の豊かな自然の魅力や価値を積極的に発信することが重要と認識しております。
 このため、昨年度、自然環境情報基礎調査を実施いたしました。

○平委員 ありがとうございます。我が党がこれまで主張してきたことと、都の見解が一致しているということが確認できました。
 平成三十年度に、自然環境情報基礎調査を実施したということですが、本調査の決算額、具体的にどういう状況と課題が判明したのか伺います。

○近藤自然環境部長 平成三十年度に実施した自然環境情報基礎調査の決算額は、九百九十三万六千円でした。本調査では、文献による調査、専門家を対象としたヒアリングを実施することで、東京の自然環境情報の所在等について取りまとめ、その上で課題の整理を行いました。
 調査の結果、東京の自然環境にかかわる資料は、主に首都大学東京等の都内の大学や、千葉県立中央博物館等の周辺県の博物館等、十施設に保管されておりますが、全体としては約百五十の施設等に散在していることが判明いたしました。それ以外に、個人の所有物として資料を保管している研究者等を約九十名確認したものの、その資料の量や保管状態等の全容が明らかでないこと等が判明いたしました。
 こうした状況を踏まえ、存在確認できた資料の価値や優先度等を精査した上で、散逸防止の方策を検討することが課題であると認識しております。

○平委員 優先度等の精査、散逸防止策の検討が課題であるということであります。
 標本は一たび散逸した場合、再度収集することは不可能ですけれども、今後標本等の散逸の防止を進めていくためには、一定の選別基準が必要と思います。
 東京の自然環境情報を収集、分析、発言するための方策について、専門家の意見も聞いて、いわゆる自然史博物館を含め、さらなる検討が進むことを強く要望いたします。
 質疑を終わります。ありがとうございます。

○けいの委員 悪質な不用品回収業者の対策についてお伺いいたします。
 一般会計歳入歳出決算説明書の四六ページ、有害廃棄物等の不適正処理対策には、不用品回収業者対策が含まれていると聞いております。これは一般家庭から出る粗大ごみや廃家電などの不用品を、郵便受けへのチラシの投函や拡声機を使ってトラックで巡回して回収する業者への対策であると思います。
 私の地元、荒川区でも、不用品回収業者のチラシをよく見かけます。こうした業者の中には、回収時に作業費として高額請求を行い、顧客とのトラブルになるなど、悪質な業者もおり、都の消費生活相談年報によると、ここ数年、年間三百件以上の苦情や相談が寄せられております。
 そこでまず、都はこれら不用品回収業者の実態をどのように認識しているのかお伺いいたします。

○宮澤資源循環推進部長 一般家庭から出る粗大ごみや廃家電等は、廃棄物処理法上、一般廃棄物となり、収集運搬するためには区市町村の許可が必要でございます。
 不用品回収業者は、区市町村から一般廃棄物処理業の許可を得ずに、処理費を徴収して粗大ごみなどを回収し、売却可能なものは関係するリサイクルショップに売り渡し、また、売却できないものは、みずからの事業における産業廃棄物として処分しているケースが多いのが現状でございます。
 中には、有害物質が除去されないまま、ヤードに野積みされ、スクラップとして海外に輸出されるケースや、悪質な場合には不法投棄されるケースもあり、国内外での環境汚染につながっているケースがございます。
 また、都内の業者の主な特徴といたしましては、複数の屋号の使用、貸し倉庫などの利用、ヤードを頻繁に変えるなどがございまして、実態解明が難しくなっていることが現状でございます。

○けいの委員 ありがとうございます。ただいまの答弁で、一般家庭から出る廃棄物を区市町村の許可なく回収する行為は、廃棄物処理法の違反行為であり、不法投棄などの不適正な処理にもつながるおそれがあることがわかりました。こうした違法行為を行う不用品回収業者に対しては厳しく対応を行うべきであります。
 ともすると、利用者が意図せずに--お金を払って処理をお願いしたのに、その業者が違法業者であったために不法投棄をするなどで、そうした環境破壊に加担させられてしまうという善良な都民が出ないようにしていくべきであります。
 違法行為を行う業者の中には、チラシに産業廃棄物処理業の許可番号などを表示し、あたかも都から許可を受けて不用品回収業を行っているように見せかけている業者もいると聞いております。こうした業者を指導する責任は、産業廃棄物処理業の許可権者である東京都にもあると思います。
 そこで、こうした悪質な業者を排除していくために、都はどのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。

○宮澤資源循環推進部長 都は、違法な不用品回収業者の横行が目立ってまいりました平成二十三年度から、産業廃棄物処理業の許可のみで一般廃棄物処理業の許可を得ていない業者を中心に立入指導を実施しております。
 また、都や区市町村の消費生活部署などと連携して、高額請求を受けた利用者にヒアリングを行うなど、監視指導に有用な情報などを効率的に収集しております。
 こうした情報などをもとに、違法な行為を行う業者に対しましては、指示書、警告書の交付などの行政指導を行い、それでも違法行為を繰り返す悪質な業者に対しましては、これまでに三件の産業廃棄物処理業の許可取り消しなどの行政処分を行いました。
 引き続き、都は無許可で一般廃棄物を回収する不用品回収業者に対しまして、区市町村や警察などとも連携し、より一層厳正に対処してまいります。

○けいの委員 古新聞、雑誌、古紙なんかは、町会で有志の方々で一生懸命集めて置いておいて、荒川区内、それを持ち去られてしまって、リサイクルに、一生懸命環境美化のために取り組んでいる方々が、気づいたら行政の車が来る前に持ち去られていたということが、恥ずかしながら我が区では、相談されることがいまだに多くあります。
 家庭から出る廃棄物に関する指導権限は、当然区市町村にありますけれども、まずは区市町村が不用品回収業者に対する取り組みをしっかり行っていかなければならないと考えております。
 しかし、不用品回収業者の多くは、広域的に事業展開しており、一つの区市町村だけでは対応に限界があります。そうした自治体に対して、都は積極的に支援を行うべきだと考えます。
 そこで、都はどのように対応しているのか、見解を伺います。

○宮澤資源循環推進部長 違法な不用品回収業者を指導するためには、まず、回収されるものが廃棄物であることを認定する必要がございます。不用品回収業者の多くは、家庭から回収した不用品をリサイクル品と主張することから、廃棄物と認定することが困難でございます。
 こうしたことから、都は区市町村に対し、行政連絡会などを通じて、廃棄物と認定するためのノウハウの提供や個別の相談、合同立ち入りなど、連携を一層強化しております。
 引き続き、区市町村が不用品回収業者に対して適切な対応ができるよう、必要な支援を行ってまいります。

○けいの委員 都がこれまで実態把握が難しい違法な不用品回収業者に対して、さまざまな手段を講じて対応していただいてきたことがわかりました。
 大型の廃棄物なんかは、固有名詞は避けますけれども、大型家具店、安くて入手しやすい、そうした業者が、先ほど住宅政策本部の質疑でもちょっと触れましたけれども、賃貸契約なんかが解消すると、容易にすぐにごみとして出されてしまう。昔のように、家具は一生もの、次世代に引き継いでいくものということではなくなっている時代で、安価に購入してすぐ買いかえるという時代になってまいりました。
 今後の超高齢社会の進展に伴い、高齢者による大型のごみ出しがしにくくなるなど、不用品回収のニーズがますます高まることが想定されております。引き続き、区市町村など関係機関と連携しながら、違法な業者に対して、厳正に対処することを強く要望して質問を終わります。ありがとうございました。

○山崎委員 私からも何点か質問させていただきたいと思います。
 まず初めに、大島におけるキョン対策について伺います。
 平成三十年三月の環境・建設委員会において、我が党の三宅議員からの質問に対し、都は平成三十年度のキョン対策費を、前年度と比べますと、約六割増しとなる六億四千万円の予算を計上して、根絶に向けてさらなる捕獲の強化に努めると答弁がございました。
 聞くところによれば、平成二十九年度は三千五百四十一頭の捕獲の成果に対し、大幅に予算をふやした平成三十年度の捕獲頭数は四千百十頭だったとのことであります。前年に比べ、捕獲頭数の増は六百頭ぐらいであったとのことですが、まずはその結果をどのように評価をしているのか、見解を伺います。

○近藤自然環境部長 都は、キョンの生息数を低減させるため、平成十九年度から捕獲を開始し、さらに平成二十八年度からは、緊急対策事業を展開し、捕獲を強化しております。
 具体的には、島内の事業者による銃器や、わな等による捕獲に加え、島の外からもハンターを導入し、捕獲圧の強化を図ってまいりました。
 その結果、平成三十年度末の推定生息数は、平成二十九年度末の一万六千二百九十七頭から、八百七頭減少した一万五千四百九十頭となりました。生息数の約二割と推定される自然増加数を上回る捕獲が効果を上げ、増加に歯どめがかかり、横ばいからやや減少傾向に転じた可能性が確認されました。
 この結果から、キョン対策事業は一定の成果を上げているものと認識しております。

○山崎委員 今、一定の成果を上げているという答弁、見解がありましたが、それでもまだキョンは約一万五千五百頭もいるという推計であります。
 昭和四十年代後半に動物園から逃げ出したという、わずかの数頭のキョンがこれだけの頭数にふえたわけでありますから、その生命力や繁殖力の強さを常に念頭に置き、特定外来生物でもある、このキョンの根絶にさらなる気合いを入れていただきたいところであります。見解を伺います。

○近藤自然環境部長 キョンの捕獲については、平成三十年度までは、主に財産区等の大規模土地所有者の土地や公有地等を中心に展開してまいりました。
 しかし、さらなる捕獲を進めるためには、土地の所有区分にかかわらず、全島において捕獲圧を高める必要がございます。このため、昨年度末から、都は全国で初めて外来生物法第十三条等の適用により、地権者が不明な土地等における捕獲に取り組むことといたしました。
 昨年度末からこの取り組みに関する手続を順次進めており、私有地も含めた全島において捕獲に必要な柵など、工作物の設置や捕獲の強化を進めてまいります。

○山崎委員 今、答弁の中で、土地の所有区分にかかわらず全島において捕獲を高めることが必要であると。また、全国で初めて、外来生物法の第十三条等の適用により、地権者が不明の土地においても捕獲に取り組むこととしたという答弁がございました。
 それでも、これだけの数がいるということと、しっかりと捕獲強化に向けた取り組みを進めていただきたいことを強く要望しておきたいと思います。
 大島の島民にしてみると、本当にその一万五千という数、日常の中での生活の中で、本当に苦労されている、その実態は恐らくもう皆さんもご存じだと思います。ですので、やはり島民の気持ちになっていただいて、夜、夜中いきなり出てきて、昼間ももちろん実際生活をしている空間にも出てきてしまっている現状を踏まえた上でのしっかりとした対策をこれからも進めていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いをしたいと思います。
 続きまして、水素社会実現に向けた取り組みについて何点かお伺いいたします。
 水素は利用時にCO2を排出しないクリーンで環境に優しい特性を有しております。加えて、再生可能エネルギーを含む多様な資源から製造でき、貯蔵、運搬も可能なため、将来に向けたエネルギー安全保障や温暖化対策の切り札となることが期待をされる、まさに次世代のエネルギーであります。
 小池知事は最近、電気自動車の普及や充電設備の拡充には非常に熱心でありますが、そのこと自体を否定するものではもちろんありませんが、国の報告書によれば、大型長距離輸送の分野では、燃料電池自動車が電気自動車に対して比較優位性があるとのことです。
 水素の活用は非常に重要であり、将来の水素社会の実現に向けた取り組みをおろそかにするようなことがあっては困ります。現在は、水素エネルギーの普及に向けて、初期需要の拡大を進める段階であり、まずは燃料電池自動車の普及や、とりわけ大きな水素需要が安定的に見込まれる燃料電池バスの普及を積極的に進めるべきです。そのために不可欠なのは、水素の供給インフラとなる水素ステーションの整備であります。
 そこでまず、これまでの都内で何カ所の水素ステーションが整備されたのか。また、そのうち、燃料電池バスに対応したステーションが何カ所あるのか伺います。

○山田次世代エネルギー推進担当部長 都内ではこれまでに、定置式十カ所、移動式四カ所の計十四カ所の水素ステーションが整備済みとなっております。このうち、短時間で多くの水素の充填が可能なバス対応ステーションは一カ所でございます。

○山崎委員 都内では、定置式と移動式合わせると十四カ所という答弁がございました。国全体では、四大都市圏を中心に、昨年度末時点で百三カ所という状況と比べても、先頭に立って進めるべき首都東京で、水素ステーションがわずか十四カ所というのは余りにも少ないといわざるを得ません。しかも、昨年度は一カ所もふえていないという現状には、強い危機感を覚えております。
 昨年度、都は水素ステーションの整備が進まない現状を踏まえて、適切な取り組みを展開したといえるのか。適切な取り組みを展開したといえるのか、見解を伺います。

○山田次世代エネルギー推進担当部長 都はこれまでも、事業者ヒアリング等により、水素ステーションの整備拡大に向けた課題を把握した上で、施策に反映してまいりました。
 水素ステーションの整備拡大に向けた課題として、用地の確保が難しい状況がございます。このため、昨年度は、都有地として初めて、下水道局が所管する葛西水再生センターの敷地の一部を活用し、バス対応の水素ステーションの整備、運営を行う事業者を公募、決定いたしました。また、民間事業者の遊休地を活用した水素ステーションの整備についても積極的に働きかけを実施いたしました。
 これらの取り組みにより、現在、バス対応の四カ所を含む計七カ所で、新設の水素ステーションが整備中となっております。

○山崎委員 整備中の七カ所を合わせても都内で二十一カ所しかなりません。都は二〇二〇年までに、たしか三十五カ所整備するとの目標を掲げているわけでありますから、水素社会の牽引役としての都の本気度が全く伝わってきません。
 そもそも狭小な都内で、これまでのようにステーション整備に適した土地を一から確保しようとしても限界があり、そこで有効となるのは既存のインフラの、もちろん活用であります。
 都内には約一千カ所のガソリンスタンドが存在をしております。都議会自民党では、かねてから水素ステーションの整備促進を図るためには、既存のガソリンスタンドへの併設も有効と主張をしてまいりました。
 都は昨年度、ガソリンスタンド等における水素ステーション導入支援事業において、水素ステーションの併設について調査を実施しましたが、具体的な取り組みについて伺います。

○山田次世代エネルギー推進担当部長 昨年度実施した水素ステーション併設についての調査では、業界団体と協力し、実在するガソリンスタンドに水素ステーションを併設した場合のレイアウトや整備費用などを取りまとめ、小冊子を作成いたしました。
 この小冊子を、都内の中小ガソリンスタンド事業者に配布することで、水素ステーション導入の検討のきっかけとしていただくなど、中小ガソリンスタンド事業者の併設に向けた検討を後押しいたしました。

○山崎委員 せっかく業界団体の協力を得て調査を実施したわけですから、間違っても、中小ガソリンスタンド事業者に小冊子を配って終わりなどということのないようにぜひしていただきたいと思います。
 中小ガソリンスタンド事業者は水素ステーションについての知識やノウハウが少ないため、配布された小冊子をきっかけに開設の検討をするためには適切な支援体制が必要であると考えます。
 都は、すいすいサポートという相談窓口を設置し、講習会や勉強会を開催するほか、ヘルプデスクでは、個別の質問も受け付けているとのことですが、有効に機能をしているのでしょうか。昨年度の利用実績、伺います。

○山田次世代エネルギー推進担当部長 水素ステーション導入に向けた講習会は、区部と多摩地域でそれぞれ一回ずつ開催し、合計七十四名に受講いただきました。水素ステーションの運営に必要となる資格取得を支援する勉強会については、一回開催し、六名に受講いただきました。また、公益財団法人東京都環境公社に設置したヘルプデスクには、五件の問い合わせをいただいております。

○山崎委員 もう一回聞きます。
 水素ステーション導入に向けた講習会、区部と多摩、一回ずつ開催をしたといわれましたけれど、合計何名か、もう一回教えてください。

○山田次世代エネルギー推進担当部長 答弁を修正いたします。
 水素ステーション導入に向けた講習会は、区部と多摩地域でそれぞれ一回ずつ開催し、合計三十四名に受講いただきました。

○山崎委員 今のこの水素ステーション導入に向けた講習会、区部と多摩で一回ずつで合計三十四名ですとか、水素ステーションの運営に必要となる資格を取得する支援に対する勉強会を一回開催して六名が参加だとか、東京都の環境公社に問い合わせが来たのが五件ですとか、このような形で本当に水素に向けての次世代エネルギー、水素ステーション導入に向けての施策というものが進んでいくのかというのが、非常に私は不安でなりません。十分ではない。まだまだこの実績にとどまっているようでは、取り組みが不十分といわざるを得ないと思います。
 中小ガソリンスタンド事業者や業界団体の声に耳を傾けながら、支援策の充実をしっかりと図り検討を後押しするように、改めて求めておきたいと思います。
 我々都議会自民党としても、国の進める施策とも、しっかりと連携を図りながら、現場の実情を踏まえた規制緩和などを求めるべきものは求めることで、東京ひいては我が国の未来を担う水素エネルギー普及に向けての取り組みを後押ししてまいりたいと思います。
 都においても水素社会実現に向けた牽引役としてのインフラ整備などの取り組みをしっかりとぶれることなく進めるよう強く要望をしておきます。
 続きまして、先ほども質問ございましたが、LEDの省エネムーブメント促進事業について何点かお伺いをいたします。
 本事業を振り返ると、知事がタレントと一緒に踊っていた印象ばかりが強く残っておりますが、成果を見ますと、LED電球の交換実績が当初予定をしていた事業期間、一年間で三十七万個にとどまり、思いつきで設定をした目標の百万個の四割に低迷するという惨たんたる結果に終わったわけであります。
 その後、事業を見直しし、最終的に七十万個のLED電球交換があったとのことでありますが、家庭の省エネ促進という目的を踏まえれば、途中で変更した内容には問題点があるといわざるを得ません。例えば、持参する電球が電球形蛍光灯を加えたことで、白熱電球からの交換よりも、省エネ効果が小さくなってしまったわけであります。また、持参する白熱電球の数を二個以上から一個でもよいとしたことで、一回の交換で回収できる白熱電球が減ることとなり、手元に残った白熱電球が使い続けられることによって、省エネ効果が減少した点も改めて指摘をしておきます。
 さらにこのように当初の事業の仕組みを大きく変更したにもかかわらず、これまで議会に対して提案説明もなされませんでした。まさに議会軽視であります。こうした対応は適切だったといえるのか、見解を伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 本事業につきましては、当初平成二十九年七月から一年間の期間で実施いたしましたが、その間、議会を初め、都民や家電店等の方々からさまざまなご意見をいただきました。こうしたご意見も踏まえまして、本事業の目的である家庭の省エネ促進に向け、予算の未執行分も活用しながら、都民が参加しやすい新たな仕組みで昨年八月から実施いたしたものでございます。

○山崎委員 私は、こうした対応が適切だったといえるのかということをお聞きしたわけなんですけれど、適切だったかどうかということはなかなかお答えにならない。そのようなことでよろしいですか。もう一度教えてください。

○小川地球環境エネルギー部長 本事業につきましては、当初平成二十九年七月から一年間の期間で実施し、議会を初め、さまざまな方からのご意見をいただき、本事業の目的である家庭の省エネ促進に向けて、予算の未執行分も活用しながら、都民の方が参加しやすい新たな仕組みで昨年八月から実施させていただいたものでございます。

○山崎委員 答弁聞いても、同じ答弁を繰り返すだけなので、続いて行きたいと思いますけれど、いろいろな意見を聞いて都民が参加しやすい仕組みにしたとのことでありますけれど、結局は家庭の省エネ促進のための本当に事業だったのか。予算消化のための何でもありの、単なる電球の物々交換事業に変節をしたということではないでしょうか。
 しかも本事業では、LED電球の原資として、当初十五億円の出捐金を本事業の事務委託先である環境公社に支出をいたしましたが、結局はそれでは足りなくなって、昨年度約一億円の追加出捐を行っております。経緯について説明を求めます。

○小川地球環境エネルギー部長 本事業では、家電店から都民にお渡しした分のLED電球代金を、後日まとめて環境公社にご請求いただきまして、請求内容に問題がなければ、公社から必要経費を支払うという仕組みといたしておりました。
 出捐金がなくなる時期を予想いたしまして、昨年十二月の事業終了をあらかじめ公表いたしましたが、その後、予想以上に電球交換が進んだため、当初の出捐金では不足が見込まれることとなりました。家電店に対しては既に都民にお渡しした分のLED電球代金を確実に支払う必要があることから、不足見込み額分を追加出捐したものでございます。

○山崎委員 一億円というのは決して小さくない金額であります。こうした対応についても議会の説明がありませんでしたが、適切だったといえるのでしょうか、見解を伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 追加出捐につきましては、地方自治法を初め、関係規定にのっとりまして、他の事業の契約差金等を適正に流用し、原資に充当したものでございます。

○山崎委員 追加出捐金の話、その事柄を聞いているわけではないです。適切だったといえるのかということを聞いているんですけれど、なかなか答弁をいただけない。ちゃんとはっきりお答えをいただけない状況であると思います。
 こういったことも含めて、これまでの質疑を通じて、本事業がいかに行き当たりばったりで行われてきたということが、今の質問、答えられない部分も含めて明らかになりました。都民に混乱を招いただけで、やってもしようがなかったのではないかといわれても仕方がありません。
 行政施策が状況変化に応じて柔軟に変動するのは当然でありますが、一方で、事業の趣旨が変わる大幅な変更がある場合には、しっかりと議会に説明をし、承認を得るべきであると思います。LEDの省エネムーブメント促進事業は、事業そのものがさま変わりしており、しかも、予算額をオーバーしている以上、議会に対して、さらにいえば、都民に対してきちんと説明をし、理解を求めるべきであったことを改めて指摘しておきたいと思います。
 また、本事業には高らかに百万個という目標を立て、しかもタレントを使って派手な広報を打った割に、結局執行率が低迷をいたしました。我が党はかねてから指摘しておりますが、重要なのは思いつきやパフォーマンスではなく、地に足のついた都民目線での具体的な取り組みが重要であります。
 環境対策は一朝一夕に進めることは難しく、地道に続けていくことが必要であります。事業の展開に当たっては、業界団体や区市町村と十分に連携を図りながら着実に取り組んでいただくことを強く要望し、質問を終わります。

○大場委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十七分休憩

   午後三時十五分開議

○大場委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○とや委員 共産党のとや英津子です。よろしくお願いします。
 国連の気候変動サミットでは、十六歳の活動家、グレタ・トゥンベリさんが演説をし、世界中から反響を呼びました。この世界をつくってきた大人たちに、痛烈なまでの批判の声を投げかけました。各国の代表を前に、温暖化対策を十分にやってきたのでしょうかと問いかけています。
 日本でも、九月に二十六都市で、気候変動をとめようと呼びかけるデモが開催されました。私たちは、この未来の世代の声にしっかりと応えていかなければならないと思います。
 問題は、地球温暖化だけではありません。ダボス会議では、今のままのプラスチックを使い続けると、二〇五〇年には海洋中のプラスチックの量が魚よりも多くなる、こういった試算が公表をされております。
 温暖化、海洋プラスチック問題など環境問題の対策に必要なものは、もはや猶予はないという危機感があります。今までのやり方では危機を回避することができるのか、それを常に問い続けていきたいと思っています。
 ゼロエミッション東京の実現、先ほども質問がありました。それ以上の高い目標を掲げていただきたいし、未来の世代に、この地球、星を残していく先頭に環境局が立つことを期待しております。
 質問に入ります。
 昨年、海洋プラスチック問題が脚光を浴び、大きく報道がされるようになりました。また、知事も都として解決策を示していく姿勢を明らかにしています。
 にもかかわらず、平成三十年度予算では資源循環の推進として二億三千万円が計上されましたが、八千万円ほどしか執行されておりません。執行率は三四・八%と非常に低くなっております。これはなぜなのか、お答えください。

○宮澤資源循環推進部長 資源循環の推進の経費の中には、海洋プラスチック問題を含むプラスチックの持続可能な利用に向けた施策のあり方について審議いたしました廃棄物審議会の検討経費等も含まれております。
 全体として執行率が低い主な理由といたしましては、まず、再生砕石利用拡大支援制度では、東京都の基準認証を希望する事業者から提出される申請によりまして、当該砕石の評価基準を外部機関に委ねて確認する費用を計上しておりますが、昨年度は、事前相談はありましたものの新規申請には至らなかったため、執行できなかったことが挙げられます。
 次に、食品ロス対策事業につきましては、普及啓発に関し、集客力の高い既存の大規模イベントへの出展などにより効果的な普及啓発を行ったほか、キャンペーンに際しましては、事業者の協力を得て、期間中の店舗における値引きイベントなどについて事業者側の費用負担によって行うなど、効率的な執行に努めました。
 さらに、スーパーエコタウン事業におきましては、環境影響評価調査に係る契約差金が生じたことなどが挙げられます。

○とや委員 再生砕石の利用から食品ロスの削減まで、広い範囲で極めて重要な事業が行われていたということがわかりました。
 ここでは、まず、都が利用拡大に取り組んでいる再生砕石について伺いたいと思います。
 高度成長期に建てられた建物、建築物などが更新時期を迎えて、その解体で大量にコンクリート塊が発生します。建築副産物は再生利用されなければなりませんが、事前相談はあったものの、新規申請には至らなかったというお答えでありました。再生砕石施設認可事業に新規の申請を呼び込み、再生砕石を普及させていくために、どのような課題があると認識をされていますでしょうか。

○宮澤資源循環推進部長 再生砕石は、建築物の基礎等のコンクリート塊を破砕してつくられるもので、自然の鉱脈から取り出すバージン材に比べまして、品質のばらつき、強度面の不安、廃棄物由来というイメージなどにより、忌避感が強いのが現状でございます。
 こうした忌避感を払拭していくためには、公共事業でさらなる活用を図るほか、民間事業においても、強度面などでの制約が少ない工種での積極的な活用を促す必要がございます。
 都は、製造者である産業廃棄物業界だけでなく、活用者である建設業界などからも意見や要望を吸い上げながら、引き続き活用促進に向け、普及啓発を図る必要があると認識しております。

○とや委員 品質のばらつき、強度面の不安、廃棄物由来というイメージなどによって、忌避感が根強いとのお答えでありました。一度使用された資材をまた使うのは、やはり不安があるように感じます。
 さいたま市では、再生砕石からアスベストが検出されたということがありました。再生するコンクリート塊にアスベストが混入をしていたわけです。
 環境局としては、申請があった場合、人体に健康被害を及ぼすアスベストのような物質を適切に、適正に分別できているかどうか、この点も厳重にチェックをしていただきたいということをお願いしておきます。
 今、ハード面の質問させていただいたんですけれども、今度は食品ロスの削減というソフトの事業の質問をさせていただきます。
 私も、家庭などで食品ロスを減らす努力を続けていますけれども、家庭での取り組みはもちろんですが、行政も都民に対して呼びかけを行っていく必要があります。
 国によると、日本で一年間に発生した食品ロスは約六百四十三万トンと推定されております。この量は、都民が一年間に食べる量に匹敵をします。こうした状況から、食品ロスの削減は喫緊の課題だと考えますが、都が昨年度実施した具体的な取り組みについて伺います。

○宮澤資源循環推進部長 都は、食品ロス削減に向けて、事業者や消費者等から成る東京都食品ロス削減パートナーシップ会議におきまして、賞味期限の長い加工食品や外食産業における食品ロス削減策等について議論を重ねてまいりました。
 また、気象情報等を用いた食品の需要予測など、ICTを活用した食品の最適発注を実現し、余剰在庫から生まれる食品ロスの削減を図る実証事業を行いました。
 さらに、世界食料デーのある十月に合わせて食品ロスの削減等に向けた行動を促す、もったいないキャンペーンの実施や、外食店舗において宴会料理の食べ切り確認で値引きをする取り組みなど、食品ロス削減に向けた機運の醸成を図りました。

○とや委員 昨年度、さまざまな取り組みをされているということはわかりました。こうした取り組みは、大変息の長い取り組みが必要とされているので、大変だと思うんですけれども、事業者や家庭が、あるいは消費者が、それぞれに食品ロス削減に向けて取り組むことも重要です。
 一方、各主体が連携して取り組んでいく必要があると考えますが、ご見解を伺います。

○宮澤資源循環推進部長 食品ロス削減をより効率的、効果的に進めていくためには、個々の取り組みのみならず、事業者や消費者等の双方向の対話を通じて、食品ロス削減に向けた連携、理解を深化させていく必要がございます。
 都では、先ほど述べました東京都食品ロス削減パートナーシップ会議におきまして、家庭における食品ロスの予防策やサプライチェーンが協力した取り組み等についての議論を進めております。
 また、事業者やNGO等々とともに立ち上げたチームもったいないの参加事業者とも連携しながら、食品ロス削減に向けた行動変容を促しております。引き続き事業者や消費者等の各主体とも連携しながら、食品ロス削減に向けた取り組みを推進してまいります。

○とや委員 都としても、事業者や消費者、広く都民に呼びかけていくというご答弁をいただきました。大変重要なことだと思いますので、ぜひ今後も力を入れて推進していただきたいということを強く要望しておきます。
 ここまで、再生砕石と食品ロス削減について質問させていただきましたが、決算説明書に記載されている広域連携事業として九都県市連携の事業があるということですが、なかなかそれだけ聞いてもイメージがつかめておりません。具体的な取り組みについて伺います。

○宮澤資源循環推進部長 九都県市首脳会議を構成する各都県市は、廃棄物の発生抑制や適正処理など共通の課題を解決するため、連携した取り組みを継続的に実施しております。
 三十年度は、スーパーなどの小売店や、食品、飲料の製造業者などと連携したキャンペーンを実施し、容器包装ごみの発生抑制に向けた広域的な普及啓発を展開いたしました。また、産業廃棄物の不適正処理防止を目的として、収集運搬車両を対象とした一斉路上調査を実施したほか、日常的な情報交換を通じて、不適正処理の監視指導を強化いたしました。
 全国の人口の約三割を占める九都県市が密接に連携することは重要であり、引き続き循環型社会の構築や適正処理の確保に向け、効果的な取り組みを進めてまいります。

○とや委員 九都県市、関東近県の県や市が一緒になって連携するということですけれども、環境問題対策では、東京都だけでなく、自治体を超えた連携はますます重要になってきています。このような連携をさらに推し進めていくことをぜひお願いしたいと思います。
 決算説明書に戻りますが、環境保全に関する普及啓発事業として計上された予算の執行率が低くなっていまして、五三・九%となっていますが、どのような理由でしょうか、お答えください。

○谷上総務部長 環境局では、環境保全に関する施策を効果的に推進するため、ホームページやツイッター、メールマガジンなどのさまざまな媒体を活用して、都の現状や取り組みについて、都民等にわかりやすく発信する事業を行っております。
 この中で、食品ロスや廃プラスチック対策等につきましては、都民や事業者の理解と協力が重要であることから、三十年八月に発足いたしましたチームもったいないに参画する事業者等にもホームページで取り組みを紹介してもらうなど、連携して情報発信を行いました。また、都の自主媒体である「広報東京都」なども積極的に活用し、広くPRを行いました。
 執行率につきましては、今申し上げたさまざまな普及啓発の取り組みの活用などを効果的に、効率的に行った結果、事業費用の抑制が図られたことによるものと認識しております。

○とや委員 事業をやっていく上で、費用をなるべく抑えていくというのは非常に大事だと私どもも思っております。今回は、「広報東京都」や連携する事業者等の協力があったために、費用の抑制ができたということですけれども、せっかくの取り組みが都民に伝わっていく、これが非常に大事だと思います。伝わらなければ、それこそもったいないということになりますので、このあたりは、そういった協力や費用の抑制も重要ではありますが、さらに効果的な普及啓発に取り組んでいくことを求めておきたいと思います。
 家庭で太陽光によって発電された電力、この問題についても伺いたいんですが、国が買い取る固定価格買い取り制度が終了するのに対して、知事は、来年度から事業者を通じて都が独自に買い取る方針を示しております。平成三十年度予算では、太陽光発電に限らず、再生可能エネルギーの導入経費の補助などを行っているのかどうか、お答えください。

○小川地球環境エネルギー部長 都では、事業所への自家消費型の再エネ発電、熱利用設備等の導入を支援するとともに、バス停留所や駅舎への太陽光発電の導入を支援する補助事業を実施しております。また、家庭を対象といたしまして、太陽熱利用設備の導入を支援する補助事業を実施しております。

○とや委員 一般の事業者や家庭に向けて、再生可能エネルギーなどの導入を支援する補助事業を実施しているということです。その事業ですが、行われた事業の件数、そして全体の額の総計をお答えいただけますか。

○小川地球環境エネルギー部長 平成三十年度の実績は、一般の事業所を対象といたしました事業では、補助申請件数が太陽光発電、太陽熱利用設備、地中熱利用設備等の十八件ございまして、補助申請額で合計が約一億九百万円でございます。
 それから、バス停留所や駅舎を対象とした事業では、補助申請件数が十二件ございまして、補助申請額が約四千五百万円でございました。
 また、家庭を対象とした事業では、補助申請件数が三十件ございまして、補助申請額が七百万円でございました。

○とや委員 東京都がやる事業としては、もうちょっと頑張っていただきたいなと思うのが感想であります。ぜひこういった事業は、大事な事業でもありますので、普及に努めていただきたいと申し上げておきます。
 それから、環境局では、環境関連の東京都の補助金、支援策ガイドとして、エコサポートという冊子、私も今回質問をつくるに当たって拝見をさせていただきました。個人や家庭向きの事業と事業者向け事業がそれぞれ紹介をされていますが、個人と家庭向きの事業では、私もお願いしたくなるような魅力的な事業も掲載をされております。先ほどお答えいただいた事業も、「エコサポート二〇一八」で紹介されていたものです。
 この「エコサポート二〇一八」、この中身についてさらに伺っていきたいんですが、ここに家庭の省エネアドバイザー制度という、家庭向けの、専門員が省エネの助言をするという事業が紹介をされています。この事業の概要、件数、反応はどういったものだったのか、教えてください。

○小川地球環境エネルギー部長 家庭の省エネアドバイザー制度は、都が、家庭とかかわりが深く、省エネに関するノウハウを持つものとして認定した団体のスタッフ、この方たちを省エネアドバイザーに登録いたしまして、このアドバイザーが都民に対し、家庭への訪問やセミナー等を通して、家庭における省エネ対策をアドバイスするものでございます。平成三十年度まで実施したものでございます。
 平成三十年度は六千六百二十四人の都民の方にアドバイスを行いました。実際にアドバイスを受けた都民の方からは、電気代が高い原因がわかり対策を考えやすくなったなどの声をいただいております。

○とや委員 この「エコサポート二〇一八」が、どのぐらい都民の人たちが知っていらっしゃるのか、事業をどのくらいの人たちが知っているのかわからないんですけれども、一般家庭って、私もそうですけれども、なかなか、どこをどういうふうにしたらエコになるのか、電気代が節約になるのかわからない部分もたくさんありますので、本当はもうちょっと続けた方がよかったんじゃないかなというふうに思っています。
 省エネに役立ち、光熱費も減らすわけです。それで、実施は平成三十年で終わってしまったということですけれども、継続して行う価値の事業だということを申し上げておきたいと思います。
 今質問した事業は家庭向けのものでしたけれども、中小企業の事業者に向けて、小規模事業所向け省エネ診断という事業が紹介をされています。この事業の概要、件数、反応を教えてください。

○小川地球環境エネルギー部長 省エネ診断は、都内の中小規模の事業所や工場等に専門員が直接訪問し、空調、照明、ボイラー等の使用状況等を実地で確認した上で、省エネに関する具体的な提案や技術的助言を無料で行うものでございます。
 都が平成三十年度に実施いたしました都内の中小規模事業所に対する省エネ診断の件数は三百九件でございました。また、これまでに省エネ診断を受診した事業所へのアンケート調査によれば、約八割の事業者の方が、省エネ診断に効果があったと回答していただいております。

○とや委員 こちらは継続して行っていくということです。
 中小のそうした規模の事業所の経営者の皆さんにとって、アンケートを行って、非常に魅力的な事業だったということがわかりました。さらに希望する方がふえるように、宣伝にも力を入れていただきたいということを要望しておきます。
 ここまで質問しましたけれども、CO2を削減させる、減少させるためには、排出を減らすということも重要なんですけれども、CO2を吸収する植物をふやすこと、緑化を進めていくことが重要だと考えます。
 東京都では、緑が地表を覆う部分に公園区域や水面を加えた面積が地域全体に占める割合として、みどり率を公表しています。平成三十年の調査では、二十五年の参考値に比べて〇・五ポイント減、五二・五%になっています。都を初め多くの方々が緑化のために努力をしているわけですけれども、成果を出すのは難しいというのが現状ではないかと思います。
 都は、緑の創出に努めている、進めていますが、そのために有効なのではないかと思われる緑化に必要な経費の補助、名称が、花と緑による緑化推進事業の概要と、これまでの件数と実績について伺います。

○近藤自然環境部長 花と緑による緑化推進事業は、自然保護条例に基づく緑化推進に加え、ヒートアイランド対策及び生物多様性に配慮した緑化を推進するとともに、東京二〇二〇大会の開催に向け、人々を魅了する美しい緑に包まれた都市東京の実現を図ることを目的とした事業で、平成二十七年度に開始いたしました。
 これまでの申請件数は、平成二十七年度から平成二十九年度まで各年度一件、合計三件で、執行額は合計三千二十万八千円でございます。

○とや委員 二十七年度から二十九年度まで各年度一件、合計三件ということで、ちょっと少ないなというのが感想であります。
 この三件の申請ですけれども、このうち、樹木や花による緑化を行う民間事業者を対象とした補助事業の件数と実績はどうなっていますでしょうか。

○近藤自然環境部長 平成二十八年度に一件申請がございまして、執行額は二百九十三万八千円でございます。

○とや委員 緑化に必要な経費の補助は、平成二十八年に一件申請があったのみだということであります。これ、今聞いてきて思うんですけれども、せっかくの制度ですけれども、申請が非常に少ないということです。申請がなかったのはどのような問題があったとお考えでしょうか。

○近藤自然環境部長 樹木や花による緑化を行う民間事業者を対象とした補助事業は、都や区市町村の条例に基づき事業者が遵守すべき基準分の緑化や、公開空地の確保など公共的な貢献を行う建築計画に対し、容積率の緩和などがある都市開発諸制度の適用を受ける新築建築物の緑化は、補助対象から除かれております。
 また、単年度の補助事業であることから、三月十五日までに緑化を完了することを要件としております。こうした要件が、事業者の事業計画と合わなかったものと考えてございます。

○とや委員 合わなかったと。簡単にいうと、非常にハードルが高いという事業なのかなと思います。これは、やはりしっかりと検証していただきたいなと思っています。緑をふやすというのは非常に大事なことだと思っていますので、検討していただきたいなと思っているんですけれども、東京二〇二〇大会開催に合わせて平成二十七年度に開始し、平成三十一年度に終了すると、つまり今年度終了するわけです。
 だけど、この事業は、都内のみどり率を高める上で大変有効なものではないかと思います。継続して行うべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○近藤自然環境部長 花と緑による緑化推進事業のうち、樹木や花による緑化を行う民間事業者を対象とした補助事業は、東京二〇二〇大会の開催に向け、人々を魅了する美しい緑に包まれた都市東京の実現を図ることを目的の一つとしており、平成三十一年度に終了する予定でございます。
 今後も引き続き、建築物の新築等における一定割合の緑化を義務づける緑化計画書制度を着実に運用するなど、都市の緑化を推進してまいります。

○とや委員 今、二〇二〇大会の開催に向けてというお話だったんですけど、人々の暮らしだとか緑が必要とされている環境というのは、オリンピックがあろうがなかろうが、それは変わらないと私は思います。
 ご答弁の中に、建築物の新設等において義務づける緑化計画書制度ということもあったわけですけれども、この事業は、それ以上に緑化を図っていくということを目的として設けられた制度のはずなんですよね。ぜひそこをしっかりと認識していただきたいなというふうに思います。
 樹齢八十年の杉一本が一年間に吸収するCO2の量は十四キログラムといわれております。都内の温室効果ガスの排出量は二〇一七年度で六千四百八十二万トン。非常に困難ではありますけれども、環境局が都内の緑化の先頭に立っていただくことを期待したいと思います。
 環境局が行っている事業や取り組みは重要なものが多いにもかかわらず、それらが十分に都民に知られているか、心もとないものを、これまで質問させていただいて感じる部分がありました。連携する事業者等との協力関係も重要ですけれど、環境局自身でも十分に都民に告知していくことも重要です。
 また、東京は、日本橋周辺あるいは新宿などで今なお大型開発の計画があります。都の他局の事業であっても、環境局としてチェックをしていただきたい。その役割が、より重要なものになる環境局への期待を申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

○加藤委員 初めに、VOC対策について伺います。
 東京の大気環境は着実に改善されてきておりますが、全ての大気測定局で環境基準を満たしていない光化学オキシダントについては、いまだ大きな課題として残っています。そのため、その原因物質の一つである揮発性有機化合物、いわゆるVOCについては、その排出をさらに削減することが重要です。そのため、私は議会質疑を通じて、低VOC対策の先を行く脱VOC対策を訴えてまいりました。
 VOCは幅広い分野で活用されており、都内では、工場等の固定発生源からの排出が約七割を占め、中小規模の事業所が多い状況であると伺っています。そこで、VOCの排出削減に向けた都の取り組みについて伺います。

○志村環境改善技術担当部長 VOCにつきましては、工場、自動車、一般家庭など、さまざまなところから排出されておりますが、都内では、工場等の固定発生源からの排出が約七割を占めております。工場等においては、排出形態が作業工程や設備構造などによりさまざまであることから、その排出を削減するためには、大気汚染防止法や環境確保条例による規制に加え、事業者の自主的な取り組みが重要と考えております。
 都は、こうした事業者の取り組みを促進するため、VOC対策ガイドの作成やアドバイザーの派遣など、区市や業界団体等と連携して中小事業者への技術支援を行っております。
 また、平成三十年度は、事業者団体等と連携し、効果的なVOC対策の普及啓発を実施するとともに、平成二十九年度に行ったVOCの削減に係るモデル事業の効果検証を実施いたしました。

○加藤委員 今、事業者団体等と連携して行ったモデル事業の効果検証を実施したということでありますけれども、それでは、その内容について伺います。

○志村環境改善技術担当部長 平成三十年度は、平成二十九年度に印刷、工場内塗装、クリーニングの業界団体と連携して実施したモデル事業について、VOC削減効果等の検証を行いました。その結果、印刷業における環境認証の取得などのソフト対策では、従業員の意識の向上につながったとの声が多くありましたが、VOC削減量との関連を定量的に示すことはできませんでした。
 一方、工場内塗装に使われる低圧スプレーガンやクリーニング液回収機能つき乾燥機の導入などのハード対策については、導入した全ての事業者において、VOC排出量の削減が確認されております。

○加藤委員 ハード対策については、効果が確認されたということですけれども、中小企業者にとって、ハード対策の導入は経営的に厳しい面もあります。こうした状況を考慮しつつ、都には、この効果検証で得られた結果も踏まえて、今後とも事業者の自主的な取り組みへの支援について、積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 ところで、VOCにはさまざまな物質があり、業種ごとに使用しているものが異なるため、削減対策を推進していくためには、物質ごとの排出状況の把握も重要と考えますが、その状況について伺います。

○志村環境改善技術担当部長 VOCの物質ごとの大気中濃度の測定につきましては、都内十五地点で月一回、約百物質の大気環境調査を行うとともに、都内四地点でトルエンやキシレン等の主要な十六物質について、一時間ごとの連続モニタリングを行っております。
 これらの調査によりますと、事業者の自主的取り組み等により、トルエンやキシレン等の物質は各地点とも逓減傾向にありますが、最近は減少幅が小さくなってきていることから、引き続きVOC削減の対策が必要であると考えております。

○加藤委員 光化学オキシダントの低減のためには、モニタリングで得た結果を発生源の解明や対策に活用することが望まれます。来年は、オリンピック・パラリンピックの開催の年です。都の大気環境をより一層改善し、都民生活の快適性をさらに向上するためにも、低VOC化を超えた脱VOC化を進めていくべきだと考えます。
 このVOCの排出量の約四割を占めるのが塗料であり、乾きが速いという特性から、溶剤系塗料が多く使われております。ぜひ塗料メーカーや研究機関と協力して、VOCのない安価で使いやすい塗料が多く使われるようになるよう、取り組みを行っていただきたいと要望いたします。
 夏は今、大変暑いという状況でありますけれども、このVOCによって光化学スモッグが発生して運動ができないと、このようなことがないように取り組みを進めていただきたいというふうに思います。引き続き中小事業者に配慮しつつ、事業者による自主的な取り組みを支援するなど、VOC対策を積極的に推進していくことをお願いしまして、次の質問に移ります。
 再生可能エネルギーの普及について伺います。
 気候変動の危機が叫ばれる中、CO2を排出しない再生可能エネルギーを身近に感じてもらい、さらなる普及拡大につなげることは重要です。そのため、都は、平成二十九年度から、バス停留所に太陽光パネル等を設置するバス事業者に対しての補助事業を行っています。
 私の地元墨田区でも、錦糸町駅前のターミナルにあるバス停に太陽光パネルを設置し、LED照明の電源としております。このバス停では、太陽光パネルで照明の電力を賄っていることをわかりやすく説明するとともに、発電量をリアルタイムで表示しており、多くのバス利用客に再エネ利用について体感していただける、とてもいい事例だと感じております。
 また、蓄電池にためた電気でスマートフォンなどへの充電ができるバス停もあると聞いております。以前所属しておりました公営企業委員会でも、交通局に対しまして、スマートフォンなどに充電できるバス停をふやすよう求めてきたところです。
 そこで、バス停への太陽光パネル等の設置について、昨年度、都ではどのように取り組み、何カ所に設置が進んだのか伺います。

○小川地球環境エネルギー部長 都は、より多くのバス停留所への太陽光パネル等の設置を進めるため、バス事業者からの要望も踏まえまして、昨年度から、上屋型のバス停への太陽光パネル等の設置に加えまして、ポール型のバス停に太陽光パネルとLED照明をセットで設置する場合についても補助の対象といたしました。
 あわせて、バス事業者等への説明会を開催いたしまして、補助制度の周知や事例紹介を行うとともに、ポール型のバス停に設置可能な太陽光パネル等のメーカーに対しましては、個別に補助制度の周知を行いました。
 こうした取り組みによりまして、昨年度は、路線バスやコミュニティバスの停留所十二カ所に太陽光パネル等が設置され、平成二十九年度からの累計で二十三カ所となってございます。太陽光パネルを設置するバス停には蓄電池も設置されることから、停電時にも継続して照明を利用でき、防災力の向上にも寄与するものと考えております。

○加藤委員 当補助事業は、今年度で終了する予定と聞いております。既存のバス停への設置には、耐荷重の問題などの制約もあるとは思いますが、バス事業者等との調整を図り、引き続き設置を進めてもらいたいと要望しまして、質問を終わります。

○大場委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大場委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時五十四分散会

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