平成三十年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第四号

令和元年十月二十三日(水曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長大松あきら君
副委員長関野たかなり君
副委員長里吉 ゆみ君
後藤 なみ君
舟坂ちかお君
栗林のり子君
つじの栄作君
木下ふみこ君
清水 孝治君
中村ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
生活文化局局長浜 佳葉子君
次長武市 玲子君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務根本 浩志君
広報広聴部長久故 雅幸君
都民生活部長金子 光博君
消費生活部長吉村 幸子君
私学部長濱田 良廣君
文化振興部長古屋 留美君
都政情報担当部長稲葉  薫君
都民活躍支援担当部長馬神 祥子君
男女平等参画担当部長赤羽 朋子君
文化総合調整担当部長片岡 容子君
文化施設改革担当部長工藤 穣治君

本日の会議に付した事件
平成三十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
生活文化局関係
・平成三十年度東京都一般会計決算(質疑)

○大松委員長 ただいまから平成三十年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより生活文化局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 生活文化局の川崎魅力発信プロジェクト担当部長は、公務のため、本日の分科会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 決算の審査を行います。
 平成三十年度東京都一般会計決算中、生活文化局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○根本総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る十月七日の当分科会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布の平成三十年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の表紙をおめくり願います。
 目次に記載のとおり、今回要求のございました資料は七件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、私立高等学校等授業料軽減助成事業の所得区分別の実績の推移でございます。
 都は、私立高等学校などに通う生徒の保護者のうち、一定所得以下の保護者を対象に、所得に応じて授業料の一部を助成しております。この事業の実績として、平成二十六年度から平成三十年度までの過去五年間における所得区分別の推移を記載しております。
 二ページをお開き願います。2、私立学校経常費補助における授業料減免補助実績の推移でございます。
 都は、家計状況の急変などの理由により私立学校が生徒の授業料を減免した場合に、私立学校経常費補助の中で、学校に対して減免額の一部を補助しております。この補助の実績について、平成二十六年度から平成三十年度までの過去五年間の推移を記載しております。
 三ページをお開き願います。3、東京都育英資金一般貸付の規模の推移でございます。
 平成二十六年度から平成三十年度までの過去五年間について、(1)に貸し付けの計画額及び実績額の推移を、(2)に表の左側に記載の区分ごとに貸付人員の推移をそれぞれ記載しております。
 四ページをお開き願います。4、都道府県別私立高等学校生徒納付金平均額(平成三十年度)でございます。
 平成三十年度における授業料、入学料、施設設備費といった生徒納付金の平均額について都道府県別に記載しております。
 五ページをお開き願います。5、私立高等学校等就学支援金の予算額と決算額及び所得区分ごとの受給者数と実績額(平成三十年度)でございます。
 都は、私立高等学校などに通う生徒について、家庭の教育費負担を軽減するため、授業料の一部を各学校を通じて助成しております。この事業の実績として、(1)に平成三十年度の予算額と決算額を記載しております。
 また、(2)の所得区分ごとの受給者数と実績額については、国の制度改正に伴い、表の左側に平成二十六年四月以降に入学した生徒に係る実績を、表の右側に平成二十五年度以前から在学する生徒に係る実績をそれぞれ記載しております。
 六ページをお開き願います。6、私立小中学校等の児童生徒数及び私立小中学校等就学支援実証事業の受給者数と実績額(平成三十年度)でございます。
 表題の内容について、学校の種類ごとに記載しております。
 七ページをお開き願います。7、私立学校ICT教育環境整備費補助の実績でございます。
 表題の内容について、事業を開始した平成二十七年度から平成三十年度までの実績を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○木下委員 では、最初に、町会、自治会支援についてお伺いをしたいと思います。
 地域のお祭りや運動会などの行事の担い手、いざというときの防災拠点、安心して誰もが住みなれた地域で一生を終えることができる地域包括ケアシステムの確立など、地域課題の解決において地域コミュニティの力がますます重要になっています。
 その中核をなす一つが町会、自治会であり、平成三十一年四月一日現在で九千百二十七団体あると伺っております。
 私も議員になって、地域の行事などで町会、自治会関係の方々と接する機会は非常に多く、町会長などの役員の高齢化やなり手不足、町会、自治会自体への加入者不足、またそこでの高齢化などがどこに行っても大きな課題であると感じております。
 そこで、町会、自治会活性化支援策として実施をしている地域の課題解決プロボノプロジェクトについてお伺いをしたいと思います。
 平成三十年度の実績は何団体で、前年と比較しての推移についてお伺いをしたいと思います。

○金子都民生活部長 地域の課題解決プロボノプロジェクトの平成三十年度の実績は十九団体で、前年度から十一団体増加しております。

○木下委員 ありがとうございます。
 このプロボノプロジェクトは、企業などでのスキルを持った外部の方々からのアドバイスを受けながら自分たちの課題を解決していくというものですが、ホームページの作成の支援やアンケートの実施支援などの実績があると聞いております。
 ふだん町会、自治会の方々は、なかなか外部の人の意見を聞く場面が少ないことから、そういった意味でいい取り組みではないかと評価をさせていただいております。
 参加団体も非常にふえているということでございます。もっともっと多くの町会、自治会に活用してもらうべきだと思いますけれども、そのための課題と対策についてどのように考えているのかお伺いをしたいと思います。

○金子都民生活部長 プロボノプロジェクトを活用しホームページの作成を行った団体からは、今までイベントに来なかった人がホームページを見て新たに参加してきたなどの効果があったとの報告がございます。
 一方で、他の町会、自治会にはこのような効果が十分に伝わりづらいこともあり、申し込みにつながっていないものと考えております。
 今後は、従来の事例集等による周知に加えまして、プロボノプロジェクトの効果や成果を実感してもらえるような、きめ細かな取り組みを行ってまいります。

○木下委員 利用した町会、自治会にとっては効果があったものの、ほかの町会、自治会にその効果が伝わりづらいことで申し込みにつながっていないとのお話でございました。
 従来の成果発表会や事例集での周知に加え、区市町村からの周知の際、効果を強調した丁寧な説明など、工夫を凝らしていただきたいと思います。
 町会、自治会では、役員の高齢化、担い手不足の上、多くの仕事をこなさなければならなく、役員の方々は大変疲弊をされています。町会、自治会が行う業務を役員だけがやるのではなく、業務の棚卸しを行い、がっつり町会活動に入ることは難しいけれども、一部得意な作業であれば担えるという現役世代など地域内のほかの人に任せるなどで、役員が将来を考える余裕を持つことができるようになるのではないかと考えます。
 プロボノプロジェクトを通じて、こういった観点から支援をすることはできないかお伺いをいたします。

○金子都民生活部長 プロボノプロジェクトでは、町会、自治会の業務の棚卸しを行っております。過去に実際に棚卸しを行った団体からは、改めて自分たちの業務の見直しを行うきっかけができたとの感想をいただいております。また、業務の棚卸しに加えまして、マニュアルの作成支援も行っております。
 このような支援をもとに業務の見直しを図っていただくことも効果的であるというふうに考えております。

○木下委員 業務の棚卸しをして、必要ある行事に絞り込んで、業務の全体量を減らしたという事例があるというようなことを伺っております。
 そういった見直しも必要である一方で、業務の全体像から必要な作業に切り分けて、ちょっとしたボランティア、お手伝いでできることを明示して、その部分に手を挙げてもらえるような仕組みを導入することも大切ではないかと考えております。
 町会、自治会は入ったらがっつり手伝わなければならないというイメージで、どこまで負担が降ってくるのか怖いということも正直あるというふうに考えます。少しのかかわりで大丈夫という敷居の低さを見せていくことが、これまで町会、自治会活動に縁がなかった人たちを巻き込んでいくために必要なことだと思います。
 この点も考慮して、支援のメニューや生かし方についても一層の工夫をお願いいたしまして、次の質問に移ります。
 公衆浴場活性化について伺います。
 都内の銭湯の数は、区部と市部とでおおよそ十対一であり、平成二十九年度の総数は五百六十二軒、二十八年から二十九年にかけて四十軒も廃業している状況です。戦後のピーク時には二千六百軒ほどあったというふうに伺いますから、約五分の一にどんどん近づいている状況です。
 住宅にお風呂がつき、当初の目的を失ったことが理由の第一であると考えますけれども、一方で、スーパー銭湯の人気のように、外湯へのニーズは引き続きあると見ております。
 日本文化としての銭湯文化をどう継承していくか。地域の交流拠点としての新たな意味づけや増加している外国人観光客へのアピールなど、その存続のための魅力化には多くの工夫の余地があると考えております。
 平成三十年度からは、浴場に専門家を派遣したり、浴場経営者や後継者などに向けたセミナーを開催するなど、東京都公衆浴場活性化支援実証事業を開始したとのことでありますけれども、そこで、この実証事業をなぜ開始したのか、その目的について改めて伺いたいと思います。

○吉村消費生活部長 都はこれまでも、さまざまな補助制度を通じて多くの公衆浴場を支援してきましたが、自家風呂の普及による利用者の減少や経営者の高齢化、後継者不足などにより浴場数は減少の一途をたどっております。
 公衆浴場の事業の継続には、利用者をふやす取り組みや後継者など新たな担い手を育成する取り組みが重要であることから、平成三十年度からは、これまでの補助事業に加え、公衆浴場活性化支援実証事業、銭湯ラボを行うことといたしました。

○木下委員 ありがとうございます。知恵をつける取り組みとして、こういった実証事業が始まったということでございました。
 こちらの公衆浴場活性化支援実証事業の事業内容とその実績についてお伺いしたいと思います。

○吉村消費生活部長 平成三十年度は、十軒の浴場にコンサルタントなどの専門家を派遣したほか、浴場の経営者や後継者などを対象に、利用者が多い浴場の経営者や専門家を講師に迎え、全六回の連続セミナーを実施しました。
 また、浴場経営者と浴場の経営や運営への支援に関心がある事業者などとの交流会を三回開催しました。
 連続セミナーと交流会には合わせて百名を超える参加者があり、アンケート結果では、八割以上からよい評価をいただきました。

○木下委員 ありがとうございます。大変好評であるというアンケート結果、ご報告を受けました。
 それでは、具体的に、公衆浴場の新たな利用につながるような実績があるのかどうか、ここをお伺いしたいと思います。

○吉村消費生活部長 派遣された専門家から助言を受けた浴場では、店先に浴場名の入ったオリジナルの垂れ幕をつくって掲出したり、営業情報やイベントを案内するブラックボードを設置することにより通行者へのアピールを強化した結果、新たな利用客の開拓につながったと聞いております。

○木下委員 ありがとうございます。
 この事業を三年かけて引き続き行うということでございますけれども、この事業の今後の改善点についてお伺いをしたいと思います。

○吉村消費生活部長 参加者のアンケート結果や東京都公衆浴場業生活衛生同業組合の意見を踏まえ、事業内容の改善を図っていくこととしております。
 具体的には、専門家を派遣する浴場を二十軒程度にふやすほか、連続セミナーの中で今後浴場の経営にかかわりたい方向けに浴場での実働体験を取り入れるなど、参加者が浴場の経営、運営を具体的にイメージできるようカリキュラムを充実してまいります。

○木下委員 ありがとうございました。このような専門的なアドバイザーが入ってくる取り組み、またいろんな方々とマッチングできる取り組みというのは、銭湯の皆様にとって非常に有益であったというふうに思われます。
 銭湯の新しい取り組みや、ふだん使いで銭湯を利用する方々とは違った層の取り込みができる新たな仕組みが今必要とされています。
 先日のこの第二分科会での福祉保健局関係で栗林先生が紹介されていたピンクリボン湯は、乳がんの早期発見啓発週間に合わせての取り組みというところで、洗い場で専門家によるレクチャーが人気で、ふだん来ない女性が集まったというお話もお聞きしました。ふだんと違うルートでイベントの情報が伝わることで、違う層が集まった例と考えられます。
 また、最近のランブームに応じて、ランステーション的に銭湯を利用する取り組みも耳にいたします。私の地元板橋でも、ランイベントの後に銭湯を案内したり、マイクロブルワリーが協力して参加者にはランの後のビールを割引で提供するなどの活動を実施し、新たな客層の開拓につながる取り組みとして、こういったことも参考になるんではないかというふうに考えます。
 今回の実証事業において、浴場経営者と浴場の経営や運営への支援に関心がある事業者などとの交流会を実施した際、スポーツジム関係事業者なども参加したというふうに伺っております。新しい銭湯の利用の仕組みが生み出されるような事業者間の協力など新たな可能性を感じますので、引き続きこの事業の効果に注目をしてまいりたいと思います。
 次に、結婚支援についてお伺いをしたいと思います。
 東京都の結婚支援の取り組みと、その成果指標についてお伺いをいたします。

○馬神都民活躍支援担当部長 都は、結婚を希望しながらも一歩を踏み出せない方への後押しをするため、結婚に向けた機運の醸成に取り組んでおります。
 これまで、ポータルサイトによる総合的な情報発信やライフプランを考えるセミナーの開催、多様な主体との連携による出会いの機会の提供など、さまざまな取り組みを実施してまいりました。
 こうした取り組みを実施する中で、ポータルサイトの閲覧数や都がかかわった結婚関連イベントへの参加者数等を把握することにより、絶えず事業を評価し、改善しております。

○木下委員 ありがとうございます。都が発信するポータルサイトの閲覧数とかイベントの参加者数を把握していきながら評価をしていくということでございました。
 情報発信ということでは、こういった成果指標、一つの考え方だと思いますけれども、一方で、結婚に向けてはさまざまな障壁があるんではないかと--情報が入れば結婚に至れるのかというところですと、さまざまな考え方があると思います。出会いのチャンスが少ないということもあろうと思いますけれども、例えば非正規雇用の問題、それに伴う低い年収の問題、また女性のキャリア継続支援がまだまだ足りていないという問題、また育児への男性の参画の問題などなど、いざ結婚を考えようとしても、多くのマイナスの要因が頭をめぐる状況でございます。
 未婚率の改善のため、結婚に向けた機運醸成だけでなく、これらの不安を解消するような幅広い取り組みも必要と考えますが、都の見解をお伺いしたいと思います。

○馬神都民活躍支援担当部長 未婚率が上昇している背景には、経済面での不安など、さまざまな要因がございます。
 そのため、ポータルサイトでは、ライフワークバランスの推進や若者の就職支援など、結婚しやすい環境整備に資する幅広い都の取り組みについても情報を提供しており、庁内で連携しながら結婚を希望する方への後押しを行っております。

○木下委員 ありがとうございます。実際、このポータルサイト、TOKYOふたりSTORYを見ますと六つのコンテンツがあるんですけれども、その中の一つが行政による支援ということで、ご答弁にありましたように、若者の就職支援ですとか、安心して子育てができる住宅の紹介など、都や都内自治体による支援制度についてリンクが張られており、そういった不安を解消するという意味では、情報提供として大変頑張っていらっしゃるなというふうに感じました。
 この整理と発信自体はすばらしいんですけれども、行った先のサイトが見やすいかどうか、ここについては引き続き対応が必要というふうに感じました。全庁的な広報を支える生活文化局の広報担当の方々にも、引き続きの努力をお願いしたいというふうに思います。
 また、サイトでの情報提供にとどまらない不安解消の取り組みについても、ほかにやることがないのか、引き続き検討をお願いしたいと思います。
 次に、このポータルサイト自体のアクセス数とその評価を伺います。また、数だけでなく、コンテンツの質の改善に向けた取り組みについて都の考え方をお伺いしたいと思います。

○馬神都民活躍支援担当部長 ポータルサイトのアクセス数は十七万件を超えるなど、多くの方にごらんいただいており、結婚を希望する方が求める情報を提供できているものと考えております。
 一方、望んでいても一歩を踏み出せない方のニーズを捉えた情報を提供していくことは重要でございます。ページごとの閲覧数や都民の意見なども参考に、コンテンツのさらなる充実に努めております。

○木下委員 ありがとうございました。
 こちらに平成三十年十二月、生活文化局が実施しました都民の結婚等に関する実態及び意識についてのインターネット調査というのがございます。三千人強の都内の独身の皆様にアンケートをしている結果で、非常に興味深いものでございますけれども、今独身の方々ですけれども、その中で六七%の方が結婚することの利点、六七%利点があるといっている一方で、八三・四%の方が独身でいることが利点があるというふうに答えておりまして、非常に、揺れ動く独身心というのかな、そういったものが見てとれる調査結果だなというふうに感じております。
 結婚を望んでいても、まあ潜在的には望んでいても、一歩を踏み出すことができずにいる方々というのがたくさんいるということで、そういった方々のニーズを丁寧に酌み取り、背中を押していくことになるコンテンツの充実にしっかり取り組んでいただきたいというふうに思います。
 次に、このサイトの中のコンテンツで、イベントカレンダーというのがございます。行政やNPO主催の婚活イベントが掲載されている内容でございますけれども、ここに民間による婚活イベントを掲載できないものでしょうか、お伺いをしたいと思います。

○馬神都民活躍支援担当部長 イベントカレンダーには、都や区市町村、非営利法人等による非営利のイベントのみ掲載することとしております。
 一方、都内には、婚活関連の民間事業者が数多く存在し、多種多様なイベントが開催されていることから、ポータルサイトには民間サービスの種類や、その特徴を紹介するコラムを掲載するなど、都民が自分に合ったサービスを選択できるような情報の発信も行っております。
 今後とも、都民が民間のサービスも含め、多様なサービスを適切に選択できるよう、情報の充実を図ってまいります。

○木下委員 ありがとうございます。なかなか、民間のはそのままは載っけにくいよということでございました。
 都内には、結婚支援を行っている多くの民間事業者があります。結婚を考える方々にとって、恐れることなく、これらのサービスの利用に至れるよう、良質な事業者の情報を都として積極的に発信できるような取り組みも必要と考えてございます。業界として良質業者を認定しているマル適マークというのもあるようです。こういったマークの取得事業者の情報を発信していくなど、検討をお願いしたいと思います。
 次に、配偶者暴力防止等民間活動助成事業についてお伺いをしたいと思います。
 先日、判決が一旦出ました目黒の児童虐待事案におきましても、母親は夫からのDVの状態にあり、娘さんをかばうことができなかったとの話に、いたたまれない気持ちになりました。
 一度DV被害者になってしまうと、ストーキングの問題もあり、仕事も住居も定めることができず、大変な貧困の状態になってしまいます。被害者になるのはほとんどが女性であり、彼女たちの人生を行政としてどう支援していけるのかは大切な課題であると考えます。
 そこで、都内のDV被害者の数などの実態を都はどう把握しているのかお伺いをしたいと思います。

○赤羽男女平等参画担当部長 都内の配偶者暴力被害の状況を各相談機関における相談件数で見ますと、平成三十年度は東京都の配偶者暴力相談支援センター機能を担う東京ウィメンズプラザと東京都女性相談センターで、合わせて九千九百四十九件、区市町村が四万百九件、警視庁が八千六百十二件、合計で五万八千六百七十件でございました。
 平成十四年度の配偶者暴力防止法施行以来、相談件数は年々増加しており、過去最多となっております。

○木下委員 ありがとうございます。過去最多の五万八千六百七十件の相談が寄せられているとのこと、大変大きな数であり驚くばかりでございます。
 DV被害者への支援を行っている団体があるかと思いますけれども、そういった方々の活動を都はどのように捉え、支援しているのか、このあたりをお伺いしたいと思います。

○赤羽男女平等参画担当部長 配偶者暴力被害者の支援に当たりましては、相談から安全確保、自立に向けた支援など、さまざまな側面から息の長い取り組みが必要でございます。これらの取り組みを効果的に行うには、行政による取り組みだけではなくて、民間団体等が行うきめ細かい活動が継続的に実施されることが重要でございます。
 被害者支援に取り組む民間団体等は、相談、シェルターの運営、被害者の同行支援、就労のための講座開催など、被害者の立場に立った幅広い活動を行っております。
 都は、民間団体との連携会議の開催による団体相互の連携強化や、研修会の開催による被害者支援スキルの向上を図っているところでございます。
 また、民間団体等の自主的な活動に対しまして経費の一部を助成する配偶者暴力防止等民間活動助成事業を実施しております。

○木下委員 ありがとうございます。きめ細かな支援をしていく民間活動を支援するということで、この配偶者暴力防止等民間活動助成事業は非常に重要だと思います。その内容と実績についてお伺いをしたいと思います。

○赤羽男女平等参画担当部長 配偶者暴力防止等民間活動助成事業は、被害者が行政機関や裁判所での手続等に出向く際の同行支援のほか、暴力から逃れた被害者を保護するシェルターの安全対策、シンポジウムや講演会などの啓発事業といった民間団体等の自主的な活動に対して経費の一部を助成するものでございます。
 平成三十年度は、民間団体の要望等を踏まえまして、同行支援事業に対する予算枠を三百万円拡充し、民間活動助成事業の総額を一千二百万円といたしました。実績としましては、延べ十六団体に対し交付額は一千百六十万円余となっております。
 今後とも、配偶者暴力の被害者に対し、きめ細かく切れ目のない支援を行うため、民間団体等が活動しやすい環境の整備に努めてまいります。

○木下委員 ありがとうございます。
 DV対策は、行政が準備するシェルター等だけでは到底対応し切れないものでございます。また、国でも民間シェルターなどの事業者への支援のあり方について新たに検討しているようでございます。
 民間の方々によるさまざまな取り組みが一人一人の被害女性や親子を救っている現状を踏まえて、国の動向も踏まえ、引き続き費用の増額も含め手厚い支援を続けてほしいと、そのようにお願いをいたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 次は、東京動画についてお伺いをしたいと思います。
 東京都としてなかなか画期的な新しい取り組みというふうに認識しておりますが、この取り組みの実施の経緯と、それから実績についてお伺いをしたいと思います。

○久故広報広聴部長 スマートフォンやパソコンを利用して多くの都民に利用されている動画の配信共有サービスは、効果的に情報を伝えることができるばかりでなく、利用者の都合に合わせて、いつでも自由に視聴できるという利便性があることから、都政に関する情報を発信する上で重要な媒体となっております。
 そこで、都は、これを利用し、必要な情報を都民がワンストップで入手できる環境を整備するとともに、正確な都政情報をわかりやすく都民に伝え、都政の見える化を進めていくため、東京都の各局等が制作した動画のポータルサイトとして、東京動画を平成二十九年八月に開設いたしました。
 平成三十年度末における動画の掲載本数は約三千七百本となっており、前年度末と比較して約一・六倍となってございます。
 また、平成三十年度における東京動画の総ページビュー数は約百八十万回となっているところでございます。

○木下委員 ありがとうございます。
 東京動画は百八十万ページビュー、総ページ数としては、ページビューとしてはなかなか大きな数字になっているのかなというふうに認識をいたしました。
 これらの東京動画ですが、どのような層をターゲットとして実施しているのか、また、ターゲットに対するリーチの状況はどうなのか、このあたりをお伺いしたいと思います。

○久故広報広聴部長 動画を活用した広報は、若い世代に対する訴求力が特に期待されることから、生活文化局におきまして、この世代を主なターゲットとして東京動画の認知度向上や視聴者拡大を図るためのオリジナルのPR動画を作成しております。
 平成三十年度においては、このPR動画として八十本を制作し、このうちの十六本は、若年層に人気のあるユーチューバーと連携し、作成したものでございます。
 その訴求状況でございますが、東京動画全体のアクセスでは二十四歳以下の割合が約一〇%であることに対しまして、ユーチューバー連携動画十六本につきましては二一%以上となっており、若年者層に訴求することができており、今後、東京動画の視聴につながっていくものと期待しているところでございます。

○木下委員 ありがとうございました。やはり広報は、誰に対してどういうメッセージを届けていくかというターゲットへの訴求をしっかりと考えていくという考え方が重要かと思います。そういった意味では、こういった動画の取り組み、また若年層へのユーチューバーを起用した取り組みということで努力されている実態がわかりました。
 また、この東京動画でございますけれども、広報部門が中心となりまして東京動画自体をつくっていく作成研修を行っている、都の職員に対して作成研修を行っているとお聞きしております。優秀作品を知事が表彰するなどで、都庁職員の間で広報マインドが高まるという点でも大変よい取り組みであるのではないかなというふうに考えております。
 やはり多くの都民に、都政の、行政の必要な情報をきちっと届けていく、そのためのやり方を一人一人の都の職員が学んでいくという、そういうことで初めて全庁的な広報活動がより底上げされていくと、そのように考えるわけでございます。
 動画によっては、現在再生回数の少ないものもまだまだございますが、都庁の広報マインドの底上げ、またワンストップで、文章でなく動画で政策情報が得られる仕組みは、都民メリットもそういった意味で大きいと考えます。
 今回、台風十九号接近に当たり、改めて水害対策の動画などがSNSにアップされまして、私もたまたまアクセスをすることになりました。このように、アーカイブ的に置いておくことで、結果、必要なときにアクセスされるという例もあり、引き続き取り組みを進めていただきたいと、そのように思います。
 次に、エシカル消費の普及啓発についてお伺いをしていきたいと思います。
 SDGs、持続可能な開発目標への注目が高まっております。自分自身の買い物の選択が地球規模の課題解決につながるという意識啓発と行動喚起は大変重要であると考えております。
 そこで、都がこのエシカル消費の普及啓発に取り組む目的について、改めてお伺いをしたいと思います。

○吉村消費生活部長 近年、地球環境への配慮や社会的課題の解決への要請が高まる中、消費生活行政においても、消費者が主体的に持続可能な社会の形成にさらに貢献していくよう、消費行動の変革を促していく必要がございます。
 そのため、エシカル消費の理念の普及に平成三十年度から新たに取り組むことといたしました。

○木下委員 平成三十年度から新たにこのエシカル消費というものの取り組みが始まったということでございます。
 初年度、どのような取り組みを行ったのかお伺いをしたいと思います。

○吉村消費生活部長 都では、将来を担う若者を中心に、広く都民にエシカル消費を普及啓発し、理解の促進を図っております。
 平成三十年度は、「ちょっと考えて、ぐっといい未来エシカル消費」をキャッチフレーズとしたPR動画を作成しました。動画では、国連のサポーターなどの社会貢献活動を行うEXILEのUSAさんに、買い物におけるエコバッグの使用や被災地支援につながる商品の購入など、具体的なエシカル消費の行動例を紹介していただいております。
 この動画は、東京動画を初め、ユーチューブやインスタグラムの動画広告などを通じて広く配信しました。
 また、ホームページ、東京くらしWEB上に新たにエシカル消費を紹介するページを作成し、PR動画を初め、誰もが身近に感じて実践できる行動例や、関連するラベルやマークなどの情報を掲載しました。
 このほかにも、都民向けのシンポジウムの開催やリーフレットの配布のほか、都政広報番組でエシカル消費をテーマとして取り上げるなど、さまざまな機会やツールを活用した普及啓発活動に取り組みました。

○木下委員 ありがとうございます。初年度ということで、若い世代を中心に広くエシカル消費の概念を伝える取り組みがなされたと理解をいたしました。
 しかしながら、重要なことは、最初にも述べましたが、行動が変わること、行動喚起でございます。いかに多くの都民がエシカルな商品、サービスを選ぶに至っていくのか、ここにつながる事業をいかに都が行っていけるかが重要でございます。そのための選択を補助していく、例えばラベルやマークの認知、また活用の促進、そういったものを、ラベルやマークを活用していく事業者をふやしていく取り組みなど、もっともっと力を入れていくべき、入れていただきたいと思うところはございます。行動喚起につながる事業の実施に向けて一層の工夫をお願いしたいと思います。
 最後に、私学の振興について一連のご質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 都内の学校に在学する児童生徒のうち、私立学校に在学する割合は、高等学校で五割、幼稚園で約九割、専修学校、各種学校のほぼ十割というふうにお聞きしております。独自の教育のプログラムを展開する伝統ある学校、またユニークな学校が多く、都民の教育の選択肢を確保する意味でも、私学の振興は大変重要でございます。
 最初に、英語教育絡みで幾つかお聞きしてまいります。
 私立学校教員海外派遣研修事業補助、こういったものがこの年度行われておりますけれども、その概要と、平成三十年度の実績について予算との比較も含めてお伺いをしたいと思います。

○濱田私学部長 私立学校教員海外派遣研修事業費補助は、私立中学校、高等学校におきまして、自校の教員を一定の要件を満たした海外研修に派遣した場合に、学校に対して、その経費の一部を補助する事業でございます。
 平成三十年度の本事業の実績は、予算一億二百五十九万円に対し、一千三百三十三万三千円でございまして、執行率は約一三%でございました。

○木下委員 ありがとうございました。執行率一三%と非常に低い数値であるというふうに感じます。
 都は、本事業をどのように評価しているのでしょうか、また、今後どう取り組んでいくのかについてお伺いをしたいと思います。

○濱田私学部長 実際に本事業を利用しました教員からは、これまで経験したことのない実践的な教授法を学ぶことができた、海外研修体験を授業で話したところ生徒からも海外留学をしてみたいという声が上がったといった声をいただいております。
 このように、教員が海外研修を通じて幅広い知見を習得し、指導力向上につなげていくことは、子供たちのグローバル感覚醸成にも極めて有効な施策の一つと考えております。
 一方で、利用が進んでいないという現実も踏まえ、今年度は、例えば、実際に本事業を利用した教員の声を紹介したチラシの作成や、多くの私立中学、高等学校の教員が集まる研修会等で紹介するなどの取り組みを行っておりまして、今後も引き続き利用促進が図られるよう努めてまいります。

○木下委員 ありがとうございました。
 今、先生方が非常に忙しいという現実もそこここで課題として出ておりまして、働き方改革なくして、教員の方が海外研修に行ける機会もなかなかつくりにくいんだろうなということも感じます。そういった意味での支援というか、制度の補填ということも考えていただきたいというふうに思います。
 次に、私立高等学校外部検定試験料補助についてお伺いをしてまいります。
 こちらの概要と、平成三十年度の実績について予算との比較も含めてお伺いをしたいと思います。

○濱田私学部長 私立高等学校外部検定試験料補助は、私立高等学校が生徒の英語力向上を目的として、読む、書く、聞く、話すの四技能を総合的に測定できる外部検定試験の団体受験を行う場合に試験料相当額を補助する事業でございます。
 平成三十年度の本事業の実績は、予算額五億三千百十万七千円に対しまして、一億六千三万五千円でございました。執行率は約三〇%でございました。

○木下委員 ありがとうございます。
 来年度から実施されます大学入学共通テストにおいて外部の民間検定試験が活用されるため、こういった本事業はさらに活用されていく可能性が高まるんではないかというふうに考えますけれども、平成三十年度の執行率は、今お話にございましたとおり約三〇%と非常に低い数値となっているといわざるを得ないのかなと感じております。
 この部分に関しまして、都はどのような評価をしているのかお伺いをしたいと思います。

○濱田私学部長 補助対象となります外部検定試験にはさまざまな種類がございまして、その試験料もさまざまでございます。そうした中で、予算積算時に想定していました試験料に比べ、実際にはより低い試験料の試験を選択した学校が多かったため、執行率としては低い数値となりました。
 しかしながら、実際に本事業を利用しました学校数は、前年度の七十四校から平成三十年度は百一校へと増加し、受験した生徒も一万六千九百三十九名から二万五千七百九十八名へと増加しております。
 今後も、増加する需要に対応できるよう、しっかりと取り組んでまいります。

○木下委員 ありがとうございます。
 グローバル化に対応する生徒、そして教員の英語に絡むお話、非常に重要かなというふうに思い、質問させていただきました。執行率が低い事業が続きましたけれども、改善に向けてしっかりと頑張っていただきたいというふうにお願いいたします。
 次に、ICTの教育環境整備費補助、こちらについてお伺いをしていきたいと思います。
 私立学校ICT教育環境整備費補助の内容と実績についてお伺いをいたします。

○濱田私学部長 私立学校ICT教育環境整備費補助は、教育現場におけるICT環境の整備を進めることで、児童生徒の学習への意欲や関心を高め学力を向上させるとともに、これからの時代に求められる情報活用能力を育成することを目的に、私立学校におけるICT機器や校内無線LAN等のICT環境の整備に必要な経費の一部を補助するものでございます。
 平成三十年度は、二百三校に対し補助を行いました。

○木下委員 ありがとうございます。
 ICTの機器や校内無線LAN等の整備費補助を行うということでございますけれども、こういったことが私立学校の教育環境の向上にどのような効果が出ているのかお伺いをしたいと思います。

○濱田私学部長 学校内にICT教育環境を整備することで、デジタル教材、音声や動画などの活用、インターネットを用いた情報収集等により、わかりやすい授業や主体的、能動的な学習が可能となり、児童生徒の学習理解の促進につながっているなどの声を聞いております。
 今後も、学校現場の意見を聞きながら、私立学校におけるICT教育環境の整備に積極的に取り組んでまいります。

○木下委員 ありがとうございました。
 ICTスキルができる子供たちをつくる、また教育環境の中でそういったものを生かしていく、非常に重要だと思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 次に、平成三十年度に新設をされました私立専修学校職業実践専門課程推進補助の目的についてお伺いをしたいと思います。

○濱田私学部長 都内の専門学校は、みずから培った職業教育に関する技術や知識を活用し、さまざまな分野の専門人材の育成に大きな役割を果たしております。
 一方、東京が直面しております課題である超高齢社会への対応、待機児童の解消、産業の一層の活性化などに取り組んでいくためには各分野で活躍できる人材の育成が急務でございます。
 そこで、職業教育の質の向上を図り、多くの専門人材を育成する教育の推進を図るため、特に職業に関連した企業等との密接な連携を通じ、より実践的な職業教育を行っている職業実践専門課程を設置する専門学校に対し補助を実施しているものでございます。

○木下委員 ありがとうございます。職業実践専門課程を設置する専門学校に対して新たに補助を実施することにしたということでございますけれども、この初年度、平成三十年度における、対象となる学校数、学科数、生徒数と実際に補助をした学校数、学科数、生徒数についてお伺いをしたいと思います。

○濱田私学部長 平成三十年度の対象となる学校数は百二十七校、四百七十四学科、対象学科の生徒数は五万六千九十人でした。そのうち、実際に補助をした学校数は百二校、三百九十一学科、生徒数は四万七千七百八十一人でございました。

○木下委員 ありがとうございます。五万六千九十人の対象について四万七千七百八十一人ということで、全部が手を挙げなかったのはちょっと不思議かなと思うところでございます。一人当たりの単価が四千円ということも伺っておりまして、これで十分なのかなということも含めて検討が必要なのかなというふうに思います。
 実際にその職業実践専門課程認定校というのはどんな学校かなということでホームページなどを見させていただきますと、例えば保育士の養成ですとか、それから動物の専門を学ぶ学校ですとか、医療系の事務を学ぶ学校ですとか、ITの学校、調理師学校、専門、専修課程、いろいろ本当にさまざまな学校が指定されていることがわかります。
 東京で学ぶ子供たちの学びの機会の一つの選択肢として専修、専門学校に行く生徒さんたち、そしてその親御さんへの補助に至るような取り組みも必要かと思いますので、引き続きの取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、TOKYO子育て応援幼稚園についてお伺いをしたいと思います。
 TOKYO子育て応援幼稚園の事業の内容と、平成三十年度の実施園数、受け入れ規模についてお伺いをしたいと思います。

○濱田私学部長 都は、平成二十九年度から、年間を通じて教育時間の前後に四時間以上の預かり保育を行う私立幼稚園をTOKYO子育て応援幼稚園と位置づけ、二百園の実施を目標として都独自の支援を開始いたしました。
 事業開始二年目でございます平成三十年度は九十一園が事業を実施しており、園児の受け入れ規模の合計は五千三百人となりました。

○木下委員 ありがとうございます。
 本年の四月に待機児童は約十年ぶりに五千人台になりまして、来年三月末ゼロに向けて、全庁一丸となり取り組みが進んでいるところでございます。
 TOKYO子育て応援幼稚園の受け入れ規模の合計は五千三百人ということで、もちろん全てが待機児童の対応とカウントはできないものの、かなり貢献していることが想定できる数字ではないかというふうに感じました。
 こういった取り組みが必要だということになるわけでございますけれども、さらなる事業の拡大に向けて、都はどのように取り組んでいくのかお伺いをしたいと思います。

○濱田私学部長 本事業の開始に当たりましては、区市町村や幼稚園において実施内容の検討や体制の整備などの課題への対応が困難なケースも少なくありません。
 そのため、事業の一層の推進に向けて区市町村との意見交換や個別の状況に応じた助言、働きかけを行うなど、区市町村との連携をさらに強化していきます。
 また、幼稚園団体と協力し、各園に対して制度の理解促進や事業への協力依頼を行うとともに、ポスターやステッカーなどシンボルマークを効果的に活用した機運醸成も行ってまいります。
 こうした取り組みを通じ、TOKYO子育て応援幼稚園の着実な実施拡大を図ってまいります。

○木下委員 ありがとうございました。
 本年十月一日より、幼児保育の無償化が実施されております。その影響で、新たにまた待機児童がふえるのではないかというところも一部心配されるところでもあります。
 TOKYO子育て幼稚園の取り組みが、そういった意味での受け皿の一部を担うということも想定できますので、この取り組みがさらに前に進むよう強化をお願いしまして、私の質問を終わりたいと思います。

○栗林委員 それでは、私の方から、木下委員の質問と重なる部分もございますけれども、ちょっと違った視点から質問させていただきたいと思います。
 初めに、広報広聴に関係することから伺います。
 広報広聴、お知らせをして声を聞く、ご意見を伺う、この往復作業がやはり大変重要でございまして、何事も質を高めるための第一歩ではないかと思います。
 生活文化局の取り組みは、本当にまさに都民の生活の安全・安心の暮らしを守るために、さまざまな広報をしていただいているところでございます。
 初めに、都政に対する都民の理解と共感を得るために、都政の情報を、全世代、若い方から高齢者までのさまざまな幅広い年齢層の都民に迅速にわかりやすく知らせるため、まず広報施策の取り組み状況について伺います。

○久故広報広聴部長 生活文化局では、都政全般にわたる広報を所管する部門として、「広報東京都」、テレビ、ラジオによる都政広報番組、都庁総合ホームページ、ツイッターやインスタグラムなどのSNS、動画ポータルサイト、東京動画などのさまざまな媒体を活用し、都庁全体の広報活動を行っております。
 また、毎年度、都政の重要な課題や施策を重点広報テーマに位置づけ、各局と連携して新聞広告やデジタルサイネージなどの広報媒体も活用した重層的な広報を行っております。

○栗林委員 広報紙、テレビ、ラジオ、そしてホームページ、またSNS、動画、こういった幅広い活用を今展開しているということでございます。
 それでは、平成三十年度の具体的な取り組みの実績と、またどのような工夫をされているか伺います。

○久故広報広聴部長 「広報東京都」につきましては、平成三十年度、毎月約三百四十五万部を発行しております。新聞折り込みでの配布に加え、公共施設や鉄道駅など約四千七百カ所に配架しており、コンビニエンスストアなど、新たな配架先の拡大にも取り組んでおります。
 さらに、ホームページへの掲載や民間アプリでの配信など、新聞を講読していない都民にも届くよう、さまざまな工夫を行っております。
 テレビにつきましては四番組、ラジオについては二番組を提供しており、昨年度の各テレビ番組の平均視聴率は二%台から五%台でございました。
 平成三十年度末には放送時間帯や番組内容等を精査し、知的好奇心を刺激し、東京の多様な魅力を発信する番組へと見直しを行ったところでございます。新番組の開始に合わせ、都政のメッセージをダイレクトに届けるためのCM枠を設定し、各局が制作した事業PR用のCMを提供しております。
 若い世代への訴求力が期待できる動画を活用した広報にも取り組んでおり、動画ポータルサイト、東京動画には、各局等が制作した約三千七百本を掲載してございます。
 生活文化局では、東京動画の認知度向上や視聴者拡大を図るため、平成三十年度はユーチューバーと連携したオリジナル動画など八十本を制作したところでございます。

○栗林委員 さまざまな取り組みに工夫をしていただいていることがわかりました。やはり高齢者の方は比較的紙媒体で情報を入手され、また、若い方には、先ほどもお話ありましたように、動画等を使って若い人の感覚にフィットするような、そういう方法を工夫されているということでございますので、どんどんこういったものは進化してまいりますので、その都度リアルタイムでどんどん拡充もしていく必要もあると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 あわせまして、やはり外国人の急激な増加ということもございます。そこで、外国語による発信は、どのように取り組んでいらっしゃいますか。

○久故広報広聴部長 外国語による発信につきましては、都庁総合ホームページにおきまして、英語、中国語、韓国語で発信するとともに、東京動画には各局等が制作したさまざまな言語の動画を掲載してございます。
 提供ラジオ番組、TOKYO City Informationにおきまして、毎週土曜日、日曜日に主に在住外国人の方向けに東京のイベント情報や暮らしに役立つ情報を英語で紹介してございます。

○栗林委員 二〇二〇年を考えますと、ますます外国人観光客も増加してまいります。しっかりこの辺はより一層の充実を図っていただきたいと思います。
 次に、広聴の方を伺いたいと思います。
 都民の皆様からたくさんのご意見、ご要望が寄せられていることでありますが、そのご意見、ご要望、平成三十年度はどのぐらい実績があったか、また、そのご意見、ご要望に対しましてどのように対応されているのか伺います。

○久故広報広聴部長 都民からの都政に対する意見や要望等の窓口には、生活文化局に設置する都民の声総合窓口と各局の都民の声窓口がございます。手紙やファクスのほか、インターネット、電話や来所によって都への提言、要望等を受け付けております。
 平成三十年度に、都民の声総合窓口に寄せられた件数は約三万四千件、各局都民の声窓口に寄せられた件数は約七万七千件、合計十一万二千件でございます。
 都民の声総合窓口に寄せられた声は関係各局に速やかに伝達し、各所管において適切に対応する仕組みとなってございます。
 加えまして、内容や傾向等をまとめて、月例報告、年次報告として公表することで業務改善の参考事例として全庁に共有しているところでございます。

○栗林委員 都民の声総合窓口に寄せられた件数だけでも、約三万四千件ということでございました。これだけ非常に関心を持って意見をいってくださる、声を届けてくださる、これは大変大事にしなければならないと思います。
 平成三十年度の都民の声の内容、そのお声の中の内容について、どのような声が寄せられたのか伺わせていただきます。

○久故広報広聴部長 平成三十年度に都民の声総合窓口に寄せられた声のうち、千件以上の意見等が寄せられました分野は、知事への声、道路や公共交通施設、学校・首都大学、衛生・健康、オリンピック・パラリンピック、治安・防犯でございます。
 具体的には、児童虐待対応や豊洲市場開場に関する知事への意見や要望、都営交通の駅施設や時差ビズなどの取り組み、公立学校の運営、受動喫煙防止条例や動物愛護、東京二〇二〇大会での暑さ対策などに関する意見が多く寄せられました。

○栗林委員 中長期的なものから、また、そのときの課題になっているもの、話題になっているもの、そういったことがお声として寄せられるということがわかりました。
 次に、パブリックコメントについて伺わせていただきます。
 さまざまな各局が条例とか、また各種の計画、こういったことを策定するときに、基本的な考えを策定する際に、都民の意見を聞くパブコメ、パブリックコメントを実施されています。
 従来は、募集期間や意見提出方法がまちまち--パブコメ募集しますと出すんですが、期限はいつですよとか、提出方法とかがまちまちであったと思います。
 そこで、生活文化局の方が要綱を定めて、パブリックコメントの手続に関するルール、これを統一化したと思いますが、全てのパブリックコメントがこの要綱に基づいて実施されているのか伺います。

○久故広報広聴部長 法令等の規定によらず、東京都として各種計画等を作成する際に、都民の方々から意見を寄せやすくするため、募集期間等の統一的なルールである、計画等の策定に係る意見公募手続に関する要綱を定め、平成三十年四月一日から施行しているところでございます。

○栗林委員 三十年四月一日から施行していただいたということでございます。
 意見を寄せる方法は、わかりやすくするために、任意で実施するパブリックコメントについて手続を統一化したということでありますけれども、意見の提出方法等はどう改善されたのか、また、郵便による場合、締め切り日については消印有効なのか、必着ということなのか伺います。

○久故広報広聴部長 この要綱では、意見の提出方法は郵便や信書便によるほか、電子メールやファクシミリなどによることを定めてございます。
 募集期間につきましては、原則として、計画等の案の公表の日から起算して三十日以内とし、原則によらないときは、計画等の案を公表する際に理由を明示することとしてございます。
 また、締め切り日の取り扱いについてでございますが、特別な理由がある場合を除きまして、募集期間の末日までに出された消印のある郵便による意見を有効なものとして取り扱うよう努めることとしているところでございます。

○栗林委員 ありがとうございます。なぜこのようなことをお聞きしたかといいますと、都民の方から、さまざまな各局のいろんなパブコメの募集とか、そういうのを積極的に提出されている方なんですけれども、まだ統一されていなくて、一部必着というように出ているところもあったり、必着というと、天候状況によっては、出したつもりが三日、四日かかってしまう場合とか、また島しょの場合はそういうところにも影響すると思いますので、やはりわかりやすく、消印有効なら有効とか、そういうような統一をぜひしていただきたいというお声も、あわせてございましたので、よろしくお願いしたいと思います。
 出されたご意見がちゃんと反映されるように、提出される方も熱心に取り組んでいらっしゃいますので、間に合わなかったとか、そういうふうに、生かされなかったとかということがないように、わかりやすい表記というものをお願いしたいと思います。
 続きまして、結婚支援について伺います。
 ちょうど、東京都も平成八年の三月ぐらいまでは、これ東京都だけじゃなくて、さまざまな区市でも、行政がしっかり結婚を応援しようという相談事業というんですか、もっと具体的なお見合いに至るまでの、そういう結婚相談事業というものに行政でも比較的取り組んでいた時期がございました。でも、平成三年三月、東京都の場合も、これを終了して、なぜかというと、民間会社とか、そういったところで結婚情報サービスとか、そういう事業がどんどんどんどん広まってきて、拡充されてきて、そういう受け皿となる企業がそろってきたということで、一旦行政が担うということを一応そこで終了という時代がございました。
 そこから始まっていますけれども、終了した後、なかなか社会状況の変化で、あわせて少子化の問題等々で結婚に対する支援が必要だという、そういうご要望とか意見も徐々に高まってまいりました。
 私もそういったお声を背景に、平成二十一年度ぐらいから議会でも取り上げさせてはいただいていたんですが、一旦終了してきたという過程もありますし、また個人の生き方とか価値観に行政が余り踏み込むべきではないんじゃないかというような、そういうお声もあったりもしたものですから、なかなか形にならなかったところ、時間をかけてさまざまな困難をクリアして、そして、結婚を希望する人をしっかり応援をしていこうよということで、生活文化局の方で、結婚支援ポータルサイト、TOKYOふたりSTORYを立ち上げていただきまして、これがちょうど三十年度、三十年十一月に立ち上げていただきました。本当にさまざまな課題をいろいろクリアしていただいて事業をつくっていただいたことに感謝申し上げます。
 初めに、結婚支援ポータルサイト、TOKYOふたりSTORYの内容と、立ち上げたことによる反響について伺います。

○馬神都民活躍支援担当部長 都は、結婚を希望しながらも一歩を踏み出せないでいる方を後押しするため、結婚に向けた機運の醸成に取り組んでおります。
 昨年十一月には、結婚を希望する方にさまざまな情報を総合的に提供するポータルサイト、TOKYOふたりSTORYを開設いたしました。
 イベントカレンダーには、都が実施するイベントだけでなく、品川区や奥多摩町などの区市町村によるもの、また島根県や兵庫県といった他県が都内で開催するもの、NPO法人や一般社団法人など非営利法人によるもの、包括連携協定締結企業が都のユニークベニューで開催するものなど、さまざまな主体によるイベントを掲載し、都民の皆様に気軽に参加できる出会いの機会を提供いたしました。
 また、民間の婚活サービスの種類とその特徴を紹介するコラムや結婚について考えるきっかけとなるよう自分なりのライフプランを書くことができるコンテンツなど、これから結婚や婚活に向き合う方々に幅広く情報を提供しております。
 三十年度末でポータルサイトへのアクセス数は十七万件を超えるなど、多くの方にごらんいただいており、結婚を希望する方が求める情報を提供できているものと考えております。

○栗林委員 約十七万件を超えるアクセスもあったということで、期待が高い事業であると思いますし、私の周りからも非常に喜んでいただいている、そういうお声をたくさん頂戴しているところでございます。
 イベントカレンダー、結構これチェックを皆様してくださっているんですが、まだ情報量がちょっと足りないということと、さっき木下委員からもご指摘ございましたけれども、やはり吟味をされて、しっかり行政のちゃんとバック、共催とか後援とか、そういうものがあるものから入れていただいているとは思うんですが、やはりちょっともう少しイベントカレンダーを充実できたらいいなということと、あと、比較的年齢も若目の方のイベントが多いということで、ちょっとご年配の方といいますか、そういう方から、もう少し幅広い年齢層のイベントも上げてほしいなんていうお声もいただいております。これから人生百年という時代でございますので、やはりもう少し幅広く、いろいろなものも取り上げていただきたいと思います。
 続きまして、結婚応援イベント、TOKYO FUTARI DAYSの内容と成果について伺います。

○馬神都民活躍支援担当部長 本年二月に、結婚に関心のある方を対象に開催したセミナー、TOKYO FUTARI DAYSには定員を超える応募があり、約二百六十名の方に参加いただきました。
 イベントでは、ゲストによるトークショーや実践的な講座、各種ブースでの情報提供などにより、多くの方に結婚や婚活について学び、考える機会を提供いたしました。
 参加者のアンケートによれば、八割を超える方から結婚や婚活に対して前向きになれたとの回答があり、本イベントは結婚を望む方が一歩踏み出す後押しになったものと考えております。
 今後とも、個人の価値観や人生観に十分配慮しつつ、結婚支援に積極的に取り組んでまいります。

○栗林委員 よろしくお願いいたします。
 私もこのイベント、少しだけ参加させていただいて感じたのは、とても自然で、スタイリッシュで、何かおしゃれで、とってもすっと入っていけるような雰囲気も演出していただいて、何か行くぞという気合いを入れなくても、本当に自然に入り込める、とてもいい内容で企画していただいておりましたので積極的に展開していただきたいと思います。
 やはり多様な生き方が可能となって、さまざまな支援をしていくことが今の時代は必要でございます。また、その希望する方向に進むことも、やはり活動しなければなかなか実現できないという時代にもなってきております。就職のときは就活、そして結婚の婚活、また妊娠、出産の妊活、保育園に入るための保活等々、ずっと活動しながら、自分の選択する、そういう希望する方向性を一人一人が今歩んでいくという、そういう時代--最後は終わりの活の終活です。こういう活動、今断捨離とか、ああいうのも一つの活動だと思います。そういうふうに活動を応援していくのが結婚支援でないかと思いますので、より一層の取り組みをお願いいたします。
 十一月には、全国の結婚支援の大会が東京で、東京都の生活文化局さんが中心となり開催されるとも聞いておりますので、ぜひ大いに発信をしていただきたいと思います。
 それでは最後に、私学の助成に関係することから伺います。
 教育費の負担軽減の取り組みについてでございます。
 家庭の経済状況に左右されることなく、誰もが希望する教育を受けることができるようにするために、これからの社会を支える人材を育てる観点からも、教育費負担の軽減は大変重要な施策であることから、都議会公明党は私立高校授業料の無償化を求めてきたところでございます。
 都では、修学上の経済的負担の軽減を大きな目的の一つとして、学校に対する経常費補助を行うとともに、高等学校等の授業料軽減のための特別奨学金補助など、保護者に対する負担軽減のための助成を実施してきていただいています。
 そうした中、都は平成二十九年度から特別奨学金補助制度を大幅に拡充をして、年収七百六十万未満の世帯を対象にして私立高校授業料の実質無償化を実施していただきました。
 さらに、平成三十年度には都が認可した通信制高校に通う生徒や、保護者が都内に在住して生徒が寮などの都外に在住している場合、この場合についても新たに特別奨学金制度の対象としていただきました。これも我が党が要望させていただいたところでございます。これも大変喜ばれております。
 そこでまず、平成二十九年度及び平成三十年度の特別奨学金の受給人数について伺います。

○濱田私学部長 私立高等学校等特別奨学金の平成二十九年度の受給人数は五万四千四百七十五人、平成三十年度は五万八千四十六人でございまして、約三千六百人の増加となっております。

○栗林委員 約三千六百人増加をしているということですが、この中には平成三十年度の制度の拡充によって、通信制とか寮などの都外在住、こうした人数が含まれていると思います。
 平成三十年度に増加した受給者のうち、都認可の通信制高校に通う生徒及び都外の寮などに住む生徒の人数について伺います。

○濱田私学部長 平成三十年度の受給者のうち、東京都が認可した通信制高校に通う生徒は七百三十一人、都外の寮などに住む生徒は六百七十九人でございました。

○栗林委員 平成三十年度の制度の拡充により、新たに約千四百人が受給対象になっているということでございます。平成三十年度にふえた受給者の約四割を示しているという状況でございます。都の制度拡充がより多くの保護者の方たちの教育費の負担軽減につながっており、改めて重要な取り組みであると高く評価をさせていただきます。
 来年度は、国の就学支援金制度の拡充が予定されております。今回の消費税増税によって、私立高校の授業料の負担軽減ということで国もこれが行われますから、国から新たな財源が入ることから、その財源を生かし、次は世帯収入九百十万までをぜひ拡充していただき、九百十万未満の世帯もこの私立高校授業料無償化の対象にしていただきますよう、これも強く求めていきたいと思います。
 教育費の負担軽減というのは、これは未来への投資でないかと思いますので、しっかり取り組んでいただくことを強く要望いたしまして、質問を終わります。

○舟坂委員 まず、地域の底力発展事業助成についてお伺いをいたします。
 昨年の決算特別委員会で我が党の清水委員からの質問に、この事業をより多く町会、自治会の方に活用してもらうために、活用事例集の配布時期の前倒しやホームページのリニューアルを行い、これまで以上に働きかけるとの答弁をいただきました。
 そこで、三十年度の実績と、二十九年度からどれぐらいふえたのかをまずお伺いいたします。

○金子都民生活部長 平成三十年度の助成実績は、件数が五百七十二件、金額は約一億九千八百万円であり、二十九年度と比較いたしまして、件数で九十一件、金額で約三千万円ふえております。

○舟坂委員 この事業は、平成十九年の事業開始以来、さまざまな町会、自治会の事業に活用されており、とても重要な事業だと思います。今後ともより多くの町会、自治会に活用していただくべきだと思います。
 さて、オリンピック・パラリンピックもいよいよ来年です。町会、自治会は、招致のときには約八十五万人もの署名を集め、招致活動に大きく貢献していただいております。
 また、大会に向けて、日ごろの活動とあわせて、その盛り上げに取り組んでいただいている方も大変多く、地域において機運も大分盛り上がってきていると実感もいたします。
 都は、このような思いに応えるために、平成二十八年度から新たにオリンピック・パラリンピック機運醸成活動を助成対象事業と追加し、助成率を十分の十に、また、防災などの日ごろの活動に機運醸成活動をあわせて実施する場合も補助率を十分の十とするなど、制度の拡充を行いました。
 三十年度からは、助成した件数のうち、この機運醸成につながる活動はどれぐらいあったのかをお伺いいたします。

○金子都民生活部長 平成三十年度のオリンピック・パラリンピック機運醸成につながる事業は五百七十二件中三百五十六件で、割合としては約六割となっております。

○舟坂委員 これだけ多くの町会、自治会が機運醸成に協力をしております。それだけでなく、先日の台風十九号の被害地でも、台風が過ぎた次の日には町会、自治会が中心となって泥かきや家財の運び出しなどを行っていました。
 やはりいざというときに頼れるのは近所です。ふだんから顔が見える関係を築いていくことが大事で、その役割を担うのは町会、自治会であります。
 町会、自治会は、災害時の対応だけ行っているのではなく、このほか防犯活動や子供の健全育成、高齢者の見守りなど、地域での課題解決に重要な役割も担っております。
 しかし、加入率の低下などから財政的に大変厳しいところが多く、日ごろの活動を続けるのに苦労しているとも聞いております。
 町会、自治会からは、補助率十分の十による助成は大変ありがたく、機運醸成を図ることができるだけでなく、地域力の強化にもつながっている、オリンピック・パラリンピックが終わった後も続けてもらいたいという要望が強く出ております。
 都としても、このように都の施策の推進につながる活動を行っている町会、自治会の思いを受けとめ、しっかり応えていただきたいと思います。
 次は、地域の課題解決プロボノプロジェクトの質問の予定でしたが、都民ファーストさんと重なりますので、この質問はやめさせていただきますが、町会、自治会は災害時だけでなく、さまざまな場面で大事な役割を果たしている町会、自治会が中心となり、地域が元気になることで東京が元気になる。これらの事業を町会、自治会にとって効果的に活用してもらえるよう、実態を踏まえた取り組みの継続をしてもらいたいと要望をいたします。
 続きまして、公衆浴場に対する補助制度についてお伺いいたします。
 公衆浴場、いわゆる銭湯は日本の誇るべき文化だとも思います。裸のつき合いという言葉があるように、銭湯は公衆衛生の面だけでなく、利用者同士が一日の疲れを癒やし、世間話を楽しむ、地域住民の交流の場としての役割も担っております。
 銭湯の経営者も頑張っているな、そう感じます。私の地元の葛飾では、利用者が気軽に銭湯を利用できるよう、二十六カ所ある全ての銭湯でシャンプーやボディーソープを常設してあります。また、脱衣所での音楽コンサートを開いたり、葛飾のまち歩きの後に銭湯で一風呂浴びるといったイベントも行われ、新たな利用者の獲得につながっているとも聞いております。
 どこの市町村でもいろいろなアイデアを考え、それぞれが頑張ってるなとも感じております。
 しかしながら、銭湯の多くは経営環境が厳しく、かつてはあちこちで見られた銭湯も、最近は余り見かけなくなっております。銭湯文化をぜひ後世に残したいと考える我が党の要望を受け、都ではこれまで、銭湯に対する補助助成制度を充実させていただいたと認識をしております。
 平成二十九年度からは地域交流拠点事業補助を開始し、平成三十年度には予算額の増額も図ったと聞いております。
 そこでまず、この補助事業の実績をお伺いし、二十九年度から実施しているということなので、二年間の実績についても金額や件数とともにお伺いをしたいと思います。

○吉村消費生活部長 地域交流拠点事業補助は、東京都公衆浴場業生活衛生同業組合が地域において公衆浴場を健康増進や交流等の拠点として行う事業に対し、経費の一部を補助するものでございます。平成二十九年度の予算額は三千万円で、補助実績は十一件、約一千九百四十八万円でした。
 平成三十年度予算については、公衆浴場組合から、さらなる活性化策に取り組むための予算措置について要望があったことなどから、四千五百万円に増額しました。補助実績は十九件、約二千八百八十五万円でした。
 具体的な取り組みとしては、全浴場が参加したスタンプラリーの実施、各浴場の特色やイベント等の情報を発信するホームページ制作などのほか、平成三十年度には新たに浴場内部の様子を写真でわかりやすく紹介する看板パネルが製作され、八十一浴場に設置されました。
 公衆浴場組合からは、こうした取り組みにより、新たな利用者の開拓につながったなど、一定の成果を上げていると聞いております。

○舟坂委員 この補助事業が利用者の開拓につながったことは、平成三十年度の補助実績が前年度より上がったことから、大いに評価をいたします。
 しかし、予算の増額分に見合った実績だったとはいいがたい、一層銭湯側に利用していただかないといけないとも思います。
 そこで、都はどのように利用促進を図っていくのかをお伺いいたします。

○吉村消費生活部長 東京都では、公衆浴場において、地域交流拠点事業補助も活用して活性化策に取り組んでいただけるよう、浴場への看板設置など入りやすい外観づくりや、季節湯など年間イベント計画の作成など、具体的な事例を示した冊子を平成二十九年度末に作成いたしました。
 公衆浴場組合を通じて、この冊子を全浴場に配布するとともに、浴場経営者が参加する会議で地域交流拠点事業補助の一層の活用とあわせて周知しました。
 今年度は、昨年度設置された看板パネルの好事例などを紹介したパンフレットを組合が作成、配布するのを支援し、全浴場に対して新たな設置を呼びかけました。
 こうした取り組みに加え、今後は補助事業の活用の参考となりそうな事例を都において取りまとめ、業界内での共有を図るなど、さらなる利用促進に努めてまいります。

○舟坂委員 少子高齢化の進む中、今後ますます銭湯の地域交流拠点としての価値が高まると思います。せっかくこれを支援する補助制度があるわけですから、もっと利用してもらえるようにしていかなければいけないと思います。今後も、今答弁のあった取り組みを着実に行い、制度が一層活用されるようにしていただきたいと思います。
 次に、銭湯の耐震化に対する補助事業についてお伺いをいたします。
 九月の台風十五号、そしてさきの十九号の影響により、甚大な被害を受けた地域があったことに心を痛めております。今も避難生活を余儀なくされたり、断水や停電で苦労されている方も多くいらっしゃいます。
 こうした被害時には、これまでも各地で銭湯の経営者が被害者の安らぎになればと銭湯を無料開放し、喜ばれている姿がニュースなどで報じられております。銭湯が地域で果たす役割の大きさを改めて実感するとともに、先ほどの地域交流を進める上でも、銭湯の耐震化は非常に重要であるとの認識を深くするものであります。
 都はこれまで、耐震化促進支援事業補助を実施し、銭湯の耐震対策の促進を図ってきております。しかし、平成三十年度には予算を減額したと聞いております。
 そこで、この補助事業の平成二十九年度と三十年度、二年間の予算額と実績についてお伺いをいたします。

○吉村消費生活部長 都は、公衆浴場利用者の安全・安心の確保を図るため、浴場の耐震補強工事に要する経費の一部を補助しております。
 平成二十九年度は、予算額一億二千万円に対し、補助実績は約一億九百八十五万円でした。平成三十年度は、予算額八千四百万円に対し、補助実績は一億二千百六十万円でした。

○舟坂委員 平成二十九年度の補助金額が一億九百八十五万円だったとのことですが、にもかかわらず、なぜ三十年度の予算額を八千四百万に減額したのかをお伺いいたします。

○吉村消費生活部長 平成三十年度の予算額については、予算編成時点で判明している近年複数年の実績を踏まえ、減額となったものでございます。

○舟坂委員 実績を踏まえて減額したということですが、結果的には平成三十年度の補助金額は一億二千万を超えたということであります。簡単にいえば、見通しが甘かったのではないかとも思います。そして、予算の出し方に問題があったのかとも思います。
 都は、この重要な耐震化補助について、もっとしっかり見通しを立て、必要な予算措置を行うべきと考えますが、いかがですか。

○吉村消費生活部長 平成三十年度は、平成三十年六月に起きた大阪府北部地震や同年九月の大型台風の影響により、年度後半になって補助の申請が大きく増加しました。予算は減額となっておりましたが、実際には申請のあった浴場全てに補助を実施いたしました。
 今後は、より円滑な耐震補助が行えるよう、引き続き公衆浴場組合のご協力をいただきながら、浴場経営者に対し計画的な耐震化の取り組みを呼びかけるとともに、必要な予算額の確保に努めてまいります。
 なお、平成三十一年度においては、予算額を一億二千万円に増額しております。

○舟坂委員 申請のあった浴場全てに補助ができたということはよかったと思います。
 銭湯は、地域交流としての場を初めさまざまな役割を担っており、利用する人々が安心して訪れる場でなくてはなりません。そのためにも公衆浴場組合と連携し、銭湯側のニーズをしっかり把握して、必要となる十分な予算を確保できるようにしていただきたいと思います。最後に、今後も多くの銭湯に補助制度を活用してもらえるよう、都の一層の奮起を期待いたします。
 次に、私立学校教員海外派遣研修事業補助についてお伺いをいたします。
 日本の将来を担っていく若者が、世界で活躍できる国際感覚豊かな人材に成長できるよう支援していくことは重要であります。教員の資質向上も求められている中で、都は、私立学校教員の海外研修派遣を支援する私立学校教員海外派遣研修事業費補助を実施しております。先ほども取り上げられましたが、改めて別の視点からお伺いをいたします。
 この事業の平成三十年度における予算上予定していた人数と、実際に活用した人数についてお伺いをいたします。

○濱田私学部長 平成三十年度、本事業を活用し、海外研修に派遣される教員について、予算上は百名を見込んでおりましたが、実際の派遣人数は九名でございました。

○舟坂委員 驚きました。教員の派遣研修への派遣人数を予算上は百名で見込んでいたのが、実際には九名しか派遣されなかったとのことであります。決算としては執行率が非常に低い事業と思われます。
 本事業の活用が進まなかった理由について、どのように考えていらっしゃいますか。

○濱田私学部長 学校現場からは、研修派遣先としている海外の高等教育機関を確保する等の準備作業が大変である、原則八週間以上としている派遣期間が長く要件が厳しい、派遣期間中の代替教員の確保が難しいといった声が上がっておりました。
 こうしたことが活用が進まなかった理由であると考えております。

○舟坂委員 学校現場からさまざまな声が上がっているとのことですが、そのようなことは前もってわかっていたことじゃないんですか。何かここで初めてわかったような答弁では、ちょっと理解がしがたい。
 本事業がより多くの学校で活用されるようになるには、学校現場からのそうした声に対して真摯に対応していくことが必要。そのための新たなる見解をお伺いいたします。

○濱田私学部長 このような学校現場の声を踏まえまして、本事業の利用促進を図るため、本年度からは、過去の派遣実績などに基づく海外研修機関の情報提供や、夏休みと冬休みに分けて行う研修も認めるなど、派遣期間の弾力的運用等を実施しております。
 今後も引き続き、現場の声を聞きながら、学校にとって、より利用しやすい事業となるよう工夫をしてまいります。

○舟坂委員 本当にいい事業だなと理解をさせていただいております。でも、やっぱり活用されなければ意味がありません。活用されるためには、ただ一方的に周知するだけでなく、実際に活用する学校の意見をしっかりと聞くことが大切だとも思います。今ご答弁をいただきましたが、ぜひ学校の声にしっかりと耳を傾けていただき、学校にとって利用しやすい事業にしていただきたいと強く要望をいたします。
 続きまして、プロモーションブランディングについてお伺いをいたします。
 平成三十年度の当初予算と、その執行状況についてお伺いをいたします。若干低いように感じておりますが、予算執行率が低い場合には、その理由もお伺いをいたします。

○古屋文化振興部長 予算額は四億八千七百四万円、決算額は二億五百五十万円で、予算執行率は四二・二%でございました。
 執行率の理由といたしましては、契約手続や事業内容の見直しによりまして事業実施期間が短くなったこと、実施した取り組み内容にも変更があったことなどがございます。

○舟坂委員 契約手続を見直したとのことですが、それはなぜですか、また、どのような見直しを行ったのかお伺いいたします。

○古屋文化振興部長 契約手続につきましては、予算特別委員会におきまして、当時の統括プロデューサーの関係者が契約に関与する可能性について懸念する質疑もあったことから、より透明性の高い契約手続とするため、委託契約において統括プロデューサーの関係者が参入できないようにすることや、企画コンペ審査に外部委員を入れるなどの見直しをしていたところでございます。

○舟坂委員 今、統括プロデューサーの関係者が契約に関与する可能性があったのかなかったのかについてお伺いをしたいと思います。

○古屋文化振興部長 一般的に受託事業者が業務を遂行するために委託業務の一部を別の業者に発注することは、あり得ることと考えてございます。

○舟坂委員 何か持って回ったような答弁だと思います。一般的に、受託事業者が業務を遂行するために委託業務の一部を別の業者に受注することはあり得るというふうなお答えでした。
 ということは、統括プロデューサーは受託はしないけれども、ほかの会社が受託をして、それが回り回って統括プロデューサーが関係する会社が一部を受託することはあり得るというふうに理解をさせていただきます。
 そこで、どのような関係性に懸念を持たれたのですか。

○古屋文化振興部長 平成三十年三月の予算特別委員会におきましては、契約手続の透明性についてご指摘を受けたと理解してございます。より透明性の高い契約手続に見直しを行うことといたしました。

○舟坂委員 今、どのような関係性が懸念されたのかという質問をさせていただきました。
 そこで、統括プロデューサーの関係者とは誰のことですか。どのような立場の方と考えましたか。

○古屋文化振興部長 特定の個人、団体は想定してございません。

○舟坂委員 だんだんわかってきました。
 さきの予算委員会その他で、どうも統括プロデューサーに関する何かの会社があるのかななんてことから、特定の個人、団体は想定しないけれども、ちょっと時間をかけてしまったのかなというふうに理解もいたします。
 統括プロデューサーの関係者を参入させないように、どのような工夫をしようとしたのですか。

○古屋文化振興部長 委託仕様の中に統括プロデューサーの関係者が参入できないよう明記するほか、企画コンペの審査においては外部委員を入れるなどの見直しを進めていたところでございます。
 その後、統括プロデューサーは辞任しておりまして、見直しを進めていた内容の契約は行われてございません。

○舟坂委員 その後、統括プロデューサーは辞任をされたということですが、そこまで契約の見直しをしていたにもかかわらず、統括プロデューサーは一般的には関係がないと思われたにもかかわらず辞任をしたのはなぜですか。

○古屋文化振興部長 辞任に関しましては、プロモーションブランディング事業のあり方等に関する考え方の相違が打ち合わせを重ねる中で明らかになってまいりまして、その結果、統括プロデューサーが考えるプロデュースの実現が困難になったことなどが理由の一つではないかと考えてございます。

○舟坂委員 何かよくわからないですけど--まあ、そこで、取り組み内容にも変更があったということですが、どのような変更があったのか教えてください。

○古屋文化振興部長 当初予定をしてございましたプロモーションに特化した大規模イベントにつきましては、実施をしないことといたしました。その他のPRイベントにつきましては、多様な文化プログラムを紹介し、機運醸成を図るイベントとしまして、規模、内容を見直した上で四回実施いたしました。
 また、各文化事業の映像収録、配信に変えまして、テレビCM用のTokyo Tokyo FESTIVALのプロモーション映像を制作したほか、都内主要駅等で映像、ポスター、フラッグなどによる集中的な広告掲出を実施いたしました。

○舟坂委員 さきの予算や、その委員会の過程の中で統括プロデューサーが契約に対する疑念の可能性を持たれたということで、統括プロデューサーは辞任したと認識をしておりますが、先ほどの答弁にもあったプロモーションに特化した大規模イベントについては、統括プロデューサーのもとで実施を検討していたものと思います。それは、どのようなものだったのか、また、実施しなかったのはなぜか教えてください。

○古屋文化振興部長 プロモーションに特化した大規模イベントにつきましては、都心で人が多く集まる場所などで世間の耳目を集めるような大規模な企画を複数展開することを検討してございました。
 しかしながら、実施に向けた検討をしていた段階だったこともございまして、実施には至らなかったところでございます。

○舟坂委員 プロモーションに特化した大規模イベントの見送りのほかにも、内容を見直した上で、さきの答弁にもあったように、PRイベントや集中的な広告掲出などの取り組みを実施したとのことです。
 これらの取り組みは、どのように検討を実施されたんですか。

○古屋文化振興部長 実施内容につきましては、東京芸術文化評議会や文化プログラム推進部会のご意見を伺いながら東京都として検討し、実施したところでございます。

○舟坂委員 統括プロデューサーがおやめになった後も東京芸術文化評議会や文化プログラム推進部会の皆さんの意見を集約して実施してきたということがわかりました。
 集中的な広報を実施するほか、PRイベントを開催するなど、実施期間が短いながらもプロモーションに取り組んできたことはわかりました。しかしながら、文化の祭典の名にふさわしい盛り上がりには、これまでのところ届いていないとも感じます。
 二〇二〇年はもう目前に迫っております。これまで以上に効果的なプロモーションを展開して、東京の文化の魅力を国内外に向けて広く発信し、盛り上げにつなげてもらうことを期待いたします。
 次に、東京都交響楽団の活動についてお伺いをいたします。
 前回オリンピック大会のレガシーとして設立された東京都交響楽団--これは通称都音でいいんですか、二〇二〇年には、設立五十五周年という記念すべき年を迎えます。私も、都響、都音の活動、演奏レベルについては高く評価しております。
 東京都交響楽団は設立以来、都民のオーケストラとして青少年向けの音楽鑑賞教室など各種演奏会を区部だけでなく、多摩地域や島しょ地域でも実施しており、都民に身近な場所で良質な音楽を届ける取り組みをしてきたと思います。こうした都音の活動は、地道であるが大きな意義があるとも認識をしております。
 そこで、この東京都交響楽団が新たな活躍の舞台として平成三十年度に開始したサラダ音楽祭について、その内容と成果をお伺いいたします。

○古屋文化振興部長 サラダ音楽祭は、都と東京都交響楽団、通称都響が東京二〇二〇大会の機運醸成を図るため、東京芸術劇場や豊島区と連携して開催したものでございます。
 初開催となる平成三十年度は、メーンコンサートに加えまして、ゼロ歳児から入れるコンサートや、楽器体験や合唱体験などのワークショップ、屋内外における無料のミニコンサートなどを実施してまいりました。
 延べ八千人を超える方々にご参加いただきまして大変好評を得たため、今年度は開催日数やプログラム数をふやして実施しているところでございます。

○舟坂委員 初開催だったサラダ音楽祭の評判が大変よかったとのことであり、素直に喜ばしいと思います。今後ともさまざまな工夫をしながらサラダ音楽祭を続け、都民のオーケストラとしての存在感を示してほしいと思います。
 一方で、あえて厳しいことを申し上げますが、東京都交響楽団は都民のオーケストラであるだけでなく、世界的に存在感を放つ超一流のオーケストラであってほしいというのが私の希望であります。
 例えば、先日発表された東京都交響楽団の二〇二〇年定期演奏会のラインナップを見ると、海外の著名な国際コンクールで入賞した日本人若手ピアニストが出演したり、世界初、初演となる楽曲を演奏したりと話題性があり、クラシックファンが見ても魅力的なプログラムが多いと思います。また、二〇二〇年の大会期間中は、首都東京の音楽大使として、イギリス・エディンバラ国際フェスティバルなどの演奏にも招待されたとも聞いております。
 また、このような東京都交響楽団の活躍は都民にとって非常に光栄なことでもあり、きっとすばらしい演奏会を披露して、世界にその名をとどろかせてくれると信じております。
 そこで、叱咤激励として要望を申し上げますが、今後とも引き続き海外で活躍する一流の演奏家を日本に招くため、あるいは東京都交響楽団が海外にその名を知られ、世界に名立たるオーケストラと肩を並べるオーケストラになるため、何が必要なのか、何が課題なのか、皆さんにも考えてほしいと思っております。
 私は、都議会議員二期生、今や七年目になりますが、これはきょうは質問はしませんが、七年前に初めて予算を見たときには十億五千万でした。いまだにその予算が変わっていない、ふえていない。なぜかなと疑問にも思います。
 もしかすると、東京都交響楽団は私の思いとは違って、東京都の中でちょっと肩身の狭い思いもしているのかな。皆さんの局に移る前には十二億ぐらいあったのが、局が移って十億五千万になり、今は人件費を引いて十億二千三百万。もっと頑張ってもらいたいな、世界に名立たるオーケストラになってもらいたいなと大きな期待と応援もさせていただきたいと思います。
 次に、外国人向け伝統文化・芸能体験プログラムについてお伺いをいたします。
 ご存じのように二〇一八年は、日本を訪れた外国人旅行者は初めて三千万人を突破し、過去最高となりました。これに伴い、外国人旅行者のニーズも多様化しており、近年では物を買うだけでなく、日本でしかできない体験を求めて日本を訪れる外国人もふえております。
 その中でも日本の伝統文化を外国人に体験していただくことは、古くから伝わる日本人の知恵や考え方などを身近に感じ、より深く理解してもらうためにも大変重要だと思います。
 さらに、体験をした外国人が自国を初め、広く世界に日本の伝統文化を発信することで、東京や日本の文化的プレゼンスが高まることも期待できます。
 そのような状況の中、我が党の要望を受け、都は、平成二十七年度より外国人観光客に気軽に日本の伝統文化を体験してもらう外国人向け伝統文化短時間体験プログラムを開始されました。
 そこで、外国人向け伝統文化短時間体験プログラムについて、平成三十年度の成果をお伺いいたします。

○片岡文化総合調整担当部長 平成三十年度は、東京都江戸東京博物館、浅草文化観光センター、羽田空港国際線旅客ターミナルなど、外国人観光客が多く集まる拠点におきまして、演芸や日本舞踊、長唄三味線、華道などの日本の伝統文化を気軽に短時間で体験できるプログラムを実施し、約八千人の外国人に体験していただきました。
 参加者に対して実施いたしましたアンケートの結果では、とても満足、満足が九八・八%と大変ご好評をいただいてございます。

○舟坂委員 この事業では、多くの外国人観光客に日本の伝統文化を体験していただき好評を得ていることが今わかりました。
 平成二十七年度から実施してきた本事業のこれまでの成果を、どのように文化の祭典でもある東京二〇二〇大会の成功につなげていくのか見解をお伺いいたします。

○片岡文化総合調整担当部長 平成二十七年度から本事業を実施することで、外国人観光客が立ち寄りやすい場所や、より外国人の関心を引く体験プログラムなどにつきまして、都には多くのノウハウが蓄積されてきております。そのノウハウなどを生かし、今年度からは、外国人観光客に人気のある観光スポットであります高尾山周辺での体験プログラムを開始するなど、さらなる充実を図っているところでございます。
 これに加え、東京二〇二〇大会期間中は、多くの来場者が見込まれる都立文化施設のアトリウムやライブサイト会場等におきましても、身近な日本の伝統文化に触れていただく機会を提供してまいります。

○舟坂委員 昨日は、天皇家で催し物がございました。世界で百八十の国の皆さんがお見えになり、逆に私たちは、世界の皆さんのそれぞれの民族衣装といいますか、テレビで拝見をさせていただき、それぞれの国の伝統や文化に少しだけ触れることもできたのかなとも思います。しかしながら、世界中の注目がここ東京に集まっている今は、日本の伝統文化を広く世界に発信する絶好の機会であると思います。
 平成二十七年度から実施してきた本事業が、これまでの実績で得たノウハウでさらに多くの外国人を引きつける魅力的な文化体験を提供することで、世界中に日本の伝統文化が発信され、東京の文化的魅力がさらに高まっていくことを期待して、質問を終わります。

○大松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時七分休憩

   午後三時二十五分開議

○大松委員長 それでは、休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○里吉委員 それでは、私から、私立高等学校の保護者負担軽減制度について伺ってまいります。
 まず初めに、二〇一八年度、平成三十年度の就学支援金、都の授業料補助--特別奨学金ですね、そして奨学給付金の実績と総額、不用額、執行率について伺います。

○濱田私学部長 私立高等学校等就学支援金は月額支給でございまして、平成三十年度の延べ受給者数は百九万六千七百四十四人、補助額が約百四十九億二千万円、不用額が約十八億四千万円、執行率は八九・一%でした。
 また、私立高等学校等特別奨学金補助は年額支給でございまして、平成三十年度の受給者数は五万八千四十六人、補助額が約百三十六億七千万円、不用額が約二億六千万円、執行率は八七・七%でございました。
 さらに、私立高等学校等奨学給付金事業費補助も年額支給でございまして、平成三十年度の受給者数は一万四百六十人、補助額が約十億四千万円、不用額が約一億四千万円、執行率は八八・五%でございました。

○里吉委員 この制度がスタートしたばかりのときには、書類の出し方がわからないとか、それぞれ別々に出さなければいけないものがあるだとか、そういうこともあって書類の出し方がおくれるなどの混乱もありました。私学部の皆さんにも、書類についても改善、工夫を関係局、関係の方々としていただきまして、大分改善されてきたというふうに認識しております。
 今後も、対象の方が申請できないとか、補助金等を受け取れないといったことが起きないようにお願いしたいと思います。執行率九割程度ということで、今のところ、そういった問題は起きていないというふうに信じておりますけれども、そういったくれぐれも、毎年生徒は変わるわけですから対応をしていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 それでは、昨年度、二〇一八年度と、その前の二〇一七年度の二カ年で都内の私立高校生のそれぞれ何%の生徒がこの特別奨学金の対象になったのか伺います。

○濱田私学部長 平成二十九年五月一日現在の都内の全日制、定時制の私立高校生徒数は約十七万六千人、受給者数の占める割合は約三〇・九%でした。
 また、平成三十年五月一日現在の都内の全日制、定時制の私立高校生徒数は約十七万五千人、受給者数の占める割合は約三三・一%でございました。

○里吉委員 二〇一七年度は、その直前に決まったこともあって、既に受験校を決めていた方も多かったのではないかと思います。拡充された二年目の昨年度、二〇一八年度は、さらにふえるのではないかと予想していました。先ほどの質疑にもありましたけれども、実際には三千六百人ふえたということです。拡充されたことで、これを受ける方がふえてきたことは評価したいと思います。
 しかし一方で、低所得層への支援がいまだに不十分だと思います。資料にもいただきましたけれども、世帯収入が三百五十万円から七百六十万円までで助成を受けた生徒数はふえているんですね、どの階層も。その一方で、国の就学支援金と都の授業料補助のある低所得層、二百五十万円以下のところは補助を受ける生徒が横ばいとなっております。これは、ずっとそういう傾向が続いています。資料の最初、一ページ、一枚目ですね。一枚目の資料にいただきました。
 それで、私はこれまで繰り返し、都内で入学金は平均二十五万円ですが、ここには補助がないこと、それから、授業料の補助についても施設整備費などが加わっていない、これも平均二十一万円。このことが特に低所得層には重い負担で、私学への進学を諦めざるを得ない大きな要因であるのではないかと繰り返しここの拡充を求めてまいりましたが、東京都はこの低所得、特に生活保護世帯ですと五百四十五人、五百五十九人、五百三十七人、五百四十八人、五百四十九人と、ほとんど横ばいということで、このことについて都は要因をどう捉えているのか伺いたいと思います。

○濱田私学部長 低所得者世帯に対しましては、平成二十九年度の特別奨学金制度の拡充以前から、都内私立高校の平均授業料に近い水準まで補助を行っています。そのため、平成二十六年度以降、受給者数に大きな変動はない状況となっております。

○里吉委員 そうなんですよね。特にここに対しての補助が拡充されていないので変わっていないということだと思うんです。
 振り返ってみますと、二〇一四年、平成二十六年の四月から国で高校無償化が廃止され、所得制限が導入されました。低所得者へは手厚い支援を行うんだと、就学支援金をあわせて導入いたしました。我が党は、教育費全体の予算が少な過ぎることが問題で、高校無償化は継続するべきだ、その上で低所得者への補助を拡充するべきだと繰り返し訴えてきましたけれども、この制度が始まった、実施されたということです。
 今伺った年収二百五十万円以下については、二〇一四年の、平成二十六年の四月時点で、国の就学支援金と都の授業料補助をあわせて、既に平均授業料に近い水準まで、もう補助があったわけです。ですから、それは特に国が制度を入れたからといって拡充されたわけではないので大きな変動はなかったということだと思うんです。
 それで、私は、このことについてこのときにも質疑したんですけれども、国が補助金を出すんだから、東京都はその分さらに手厚くするべきだというふうに議論してきたわけです。
 例えば、東京都の子供の生活実態調査で、低所得層が私立高校に行くことについて検討したかどうかという調査があるんですけれども、これを世帯の生活困窮別に調査しています。一般層は、私立高校に行くことを約六割が検討しています。貧困層は、逆に六割は最初から私立に行くことを検討していないんです。その理由はやはり経済的負担です。
 公立高校を選んだ理由も、私立の授業料の高さを挙げたのは、一般層でも六一・三%います。しかし、貧困層になると八五・五%が経済的な理由で公立を選んでいる。明確に、経済的な理由で選択肢が限られてしまっているということがうかがえますと、この実態調査にも書かれています。
 そこで伺いますが、東京都は繰り返し家庭の経済状況に左右されることなく、誰もが希望する教育を受けることができる環境を整備することは重要、これ繰り返しいろんなところで答弁していただいています。改めて、そのための具体的な手だてについて伺います。

○濱田私学部長 都は、私立高校に対する経常費補助を通じて授業料等の抑制に努めるとともに、平成二十九年度に授業料の負担を軽減する特別奨学金を大幅に拡充したところでございます。
 さらに、授業料以外にも奨学給付金の支給や育英資金、入学支度金貸付などにより、保護者の教育費負担を軽減しております。

○里吉委員 特別奨学金を大幅に拡充したことは、私たちも大事なことだと思っておりますし、評価しております。しかし、特に低所得層への支援とはなっていません。入学支度金についても平均が上がっているので、貸付金額、たしか少し上げましたよね。そういうことはやっているけれども、そのことが低所得層のお子さんが私立高校に行くための支援には、残念ながらつながっていないのではないかというふうに思うわけです。
 先ほども紹介いたしました福祉保健局がまとめております、東京都の出しております子供の生活実態調査によれば、私立高校に進学した生徒の中で、一般的には、その高校の教育の質がいいと思って進学している、これがトップなんです。
 ところが、貧困層といわれる家庭のお子さんが私立高校に進学した理由のトップは、公立高校に受からなかったから、これが五四・四%です。その家計状況の調査もあるんですけれども、それを見ますと、七三・五%が赤字である。学費が家計を圧迫していることがうかがえるというふうに、その実態調査にも書かれてあります。
 高等学校授業料無償化というのであれば、貧困層、低所得世帯への補助の拡充が必ずされるべきだというふうに思うわけです。
 生活保護世帯、または年収二百五十万未満の世帯というのは、本当にぎりぎりの生活を送っている世帯ですから、一般的に進路選択の幅が狭められているということは、いわれなくても皆さんも重々承知だと思います。
 他県では、全額とはいいませんけれども、入学金の補助がある、施設整備費の補助も授業料と一緒に補助の対象にしている、実質負担を本当にゼロにしている県というのも多く生まれているわけです。
 来年度、国も改めて制度を拡充するということで、東京都の財源を利用したさらなる学費の負担軽減の拡充が期待されています。そのときに、私は施設整備費や入学金などの補助の拡充も検討するべきだというふうに考えるわけです。
 資料の四番に、都道府県別の私立高校の生徒の納付金の平均額というのが出されておりますけれども、トップが東京ですよね。全部合わせると九十一万五千二百三十七円ということで、授業料が四十五万二千四百七十六円、入学金が二十五万二百四十二円、施設整備費が二十一万二千五百十九円、合計九十一万五千二百三十七円。現在東京は、都と国の制度で授業料無償化を行っていますけれども、近県では授業料に加えて施設整備費も補助の対象にしているんです。
 改めて伺いますけれども、施設整備費を授業料と合わせて補助の対象の枠の中に入れていない、合算していないでいる根拠について伺いたいと思います。

○濱田私学部長 都は、私立高校に対する経常費補助を通じて授業料等の抑制に努めるとともに、授業料負担を軽減する特別奨学金や、授業料以外の負担を軽減する奨学給付金、育英資金、入学支度金貸付など幅広い施策を総合的に活用し、保護者負担の軽減を図っているところでございます。

○里吉委員 施設整備費を補助の対象に合算しない根拠というのを伺ったんですけれども、残念ながら明確なお答えはありませんでした。
 答弁の中でおっしゃっていた、都が経常費補助を拡充していること、これは本当に大事なことで、ここなくしては私立高校は安定的な経営ができませんから、これを拡充していただいていること、毎年努力していただいていることは、私どももよく理解しておりますし、ここの部分については評価をしているところです。
 ただ、その一方で、一人一人のお子さんにとっては、一つ一つのご家庭にとっては、その子が私立高校に行けるかどうかというところでは、そのことは残念ながら見えてこないわけです。払わなくちゃいけないお金が授業料と施設整備費と合わせて学校納付金なわけです。ところが、東京都の補助は平均授業料までだから、平均より高いところはまた別の問題がありますけれども、授業料だけしか対象になっていないので、現金の負担が必要になるわけです。入学金も丸々必要になるわけですよね。ここについては、本当にこれでは授業料無償化とは、残念ながらいえないのではないかというふうに思うわけです。
 ですから、いろいろ実質的に本当に、特に低所得者のご家庭が施設整備費も含めて学校納付金が限りなく無償に近づくように工夫をしていただきたいということを申し上げておきます。
 同時に、入学金も、これも繰り返しこの議会でも申し上げているんですけれども、この負担も大変大きいと思います、平均二十五万円ですから。
 東京都の入学金の補助を行ってくださいという質問をすると、必ず貸し付けの制度がありますからというご答弁いただくんですが、それでは、この貸付制度の利用者数、実績、三年間どれくらいあったのか伺いたいと思います。

○濱田私学部長 過去三年間の入学支度金貸付実績でございますが、平成二十八年度は六百八十七人、平成二十九年度は七百二十五人、平成三十年度は六百五十一人となっております。

○里吉委員 この制度は、無利子で貸していただける制度ではあるんですけれども、返済期間が在学中の三年間というふうに限られているんです。それで、私、入学金借りているのはここだけではないと思います。例えば、社会福祉協議会の教育支援資金の中にも入学金の枠があります。そこは入学金、入学準備のお金などで最高五十万円まで借りることができて、返済期間も十四年以内とあるんです。猶予期間が六カ月というふうになっています。
 ですから、そういった制度、さまざまな制度を使って入学金、ほかにも用意されている方がいらっしゃるんじゃないかと思います。しかし、どちらにしても貸し付けなんですよね。
 資料にもありますように、これでは--あと、それ以外にも資料の三番に育英資金の貸し付けも出していただきましたけれども、これも二千人以上、三千人から二千人台には減りましたけれども、やっぱり私立の高校生が一番多く借りているということで、これ本当に、返済しなくちゃいけないお金を高校生の時代から背負わなきゃいけないということが果たしていいのかどうか、この後、専門学校や大学の進学もあるわけですからね。そこを考えていただきたいと思うんです。
 それで、例えば埼玉県と神奈川県では、入学金の補助は十万円あります。入学金の平均額は二十万超えていますから、半額程度ということです。それから、千葉は、たしか平均ですけれども十五万程度の入学金、補助が五万円ですがあります。
 私たち共産党都議団で、神奈川県にさまざまな教育問題で調査に入ったときに、どうして私学の入学金の補助が行われているのかと伺ったんですけれども、いろいろ調べたんですけれども、授業料補助を始めたときから入学金の補助はセットだったんです。余りにも前過ぎて、資料は特に残っていないですっていわれちゃいました。
 これは、お話の中で出てきた言葉ですけれども、低所得者の皆さんへの支援ですから、最初の入り口のところの入学金の支援がないと困るでしょうというふうにおっしゃっていて、それはおっしゃるとおりですと思いました。
 ここは本当に、貸付制度がないよりはあった方がいいと思いますけれども、やはりここもぜひ工夫していただきたいと思うんです。
 いろいろやりとりさせていただきましたけれども、全部同じ答弁しか返ってこないという感じでこれまで来ているので、この問題についてはこれで終わりにしますけれども、私も区議会議員時代に、私立高校に受かったけれども入学金が準備できないで困っているという相談を結構受けてきました。入学時には、それ以外にもお金はかかります。先ほどの調査でもいったように、七三・五%の家計が赤字という低所得層があるということで、これは本当にどうにかならないのか。
 一点だけ。例えば、私たちはこれまで七百六十万まで全部補助に入れていただきたいというふうに、今授業料の補助があるところまでは--入学金の補助があるところがほとんどなんですよ、ほかの県を見ますと。そこまで一気にいかなくても、例えば、低所得者からだけでも補助を入れていただけないかということも検討していただけないかということだけ一点お伺いしておきたいんですけど、いかがでしょうか。

○濱田私学部長 繰り返しのご答弁になりますが、都は、私立高校に対する経常費補助を通じまして授業料等の抑制に努めますとともに、授業料負担を軽減する特別奨学金や、授業料以外のご負担を軽減する奨学給付金などの施策を総合的に活用しまして、保護者負担の軽減を図っているところでございます。

○里吉委員 先ほども議論ありましたけれども、今回、消費税の増税とセットで大学などの高等教育の無償化や幼児教育無償化が進むということがいわれていますけれども、文科省にも確認したんですけれども、高校授業料の無償化はそれとは別の流れで、いろいろと国でも財源確保をして取り組んでいるということで伺いました。
 国の方でも、二〇二〇年度に向けて金額がふえるということがわかったわけですから、東京都の金額はその分では負担は減るわけですから、そこを含めて、さらにふやしていただきたいです、東京都の金額も。それも含めて、どこにそれを振り向けるのかというときに、低所得者にどれだけの負担がいっているのかということについても、きちんと検討の中に入れていただきたいということを申し上げておきます。
 それでは、あと一点だけ、私立学校のICT教育環境整備の問題について、二、三質問したいと思います。
 まず、もういわずもがなですけれども、今学校教育の現場でICT教育の環境が整っているということは、これからの未来を担う子供たちにとって、なくてはならない環境整備の一つだと思います。
 今ここについて、私学でこの環境整備をするためにさまざまな取り組みが進められていると思いますが、その一つがこのICT教育環境整備補助だと思います。
 制度の内容、そして具体的にどのようなことに使われているのか、初めにお伺いいたします。

○濱田私学部長 私立学校ICT教育環境整備費補助でございます。
 私立学校におけるICT教育環境の整備に必要な経費の一部を補助するものでございまして、補助率は二分の一、補助対象限度額は一校当たり千五百万円となっております。
 具体的には、タブレット端末や電子黒板等のICT機器の整備、校内無線LAN環境の整備等に活用されております。

○里吉委員 私も私立学校の関係者の方にいろいろお伺いしましたが、いまだに普通教室に校内無線LANの整備ができていないとか、グループごとに一台で授業を受けているとか、さらに、授業でまだタブレットやノートパソコンを利用していない学校もあるというふうに伺いました。東京都として、私立高校、中学も含めてかもしれませんけれども、私立学校でICT教育の環境がどうなっているのか把握しているのかどうか伺いたいと思います。

○濱田私学部長 私立学校がそれぞれの教育活動を行うためにどのようなICT環境の整備を行うかについては、各学校の設置者において判断すべきものであると、こう考えております。
 一方で、教育現場におけるICT環境の整備が社会的に求められていることから、都としては私立学校におけるICT教育環境整備の支援を行っており、そのための需要調査等を行っております。

○里吉委員 需要調査を行って補助の金額を決めたり、いろいろされていると思うんですけれども、需要調査されると、今二分の一補助ですから、二分の一用意できないと、なかなか使いますよって手を挙げられないということもあるんじゃないかと思うんです。
 それで、私、現場から、それから私学の関係者の方からは、補助率をぜひ上げてくれと、できれば十分の十だという声もありましたけれども、本当に喫緊の課題というか、今すぐに整備しなければいけない。五年、十年かけて整備すればいいという問題ではなくて、今すぐに、なるべく早く校内に無線LANを配備したりだとか、それから、子供が持ってくるのか、学校で用意するのか--できたら私は学校できちんと用意するべきだと思いますけれども、一人一台タブレットとかノートパソコンがあって、それを使って授業を受けられるという体制をもうなるべく早く用意しなければいけないと思うので、支援の拡充が本当に必要ではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○濱田私学部長 この事業は平成二十七年度に開始した事業でございますが、平成三十年度からは、各学校におけるICT環境整備に係るニーズが多様化してきたことから、学校現場の実情等も踏まえまして補助対象を拡大するとともに、補助限度額を一千万円から一千五百万円へ引き上げを行ったところでございます。
 都としては、学校現場の意見を聞きながら、私立学校におけるICT教育環境の整備に取り組んでおります。

○里吉委員 学校現場の声を聞きながら、対象や、それから補助限度額などを引き上げていただいたということで、これは本当に重要なことだというふうに思います。
 関係者の皆さんの声を聞きながら、先ほどいいましたけれども、補助率の引き上げという声も出ておりましたので、ぜひ現状を把握していただき、ICT教育環境の整備を進めていただきたいと思います。
 最後に、消費税が一〇%になって、高等教育無償化、幼児教育無償化ということで十月からスタートしておりますけれども、そもそも低所得者に重い負担となる消費税を増税して、これを教育費に回すというのは、私はおかしなやり方だなというふうに思います。許せないなというふうに思います、それは国の制度ですけれども。
 そして一方で、高等教育の無償化が変更されて、九百十万という線が入れられて数年たちますけれども、やはり本来は誰もがお金の心配をしないで学校教育を受けられるという世界の流れに向かって日本は頑張っていかなければならないし、この首都東京で、公立であろうと私学であろうと、特に高校に行くのは、もうほぼ全てのお子さんが高校進学している、もう義務教育に近いものではないかというふうに思いますから、ここにお金のことが原因で進学を諦める、行きたい学校に行けないということのないように、特に今、制度から落ち込んでしまっている低所得の高校生の皆さんへの支援は頑張っていただきたいということを最後に重ねて申し上げまして、私の質問を終わります。

○中村委員 それでは、生活文化局の決算について、まずは消費者行政について伺います。
 高齢者人口が増し、また悪徳商法の手口も巧妙をきわめ、消費者被害が多く発生しています。注意喚起はしているのでしょうが、いまだ空き店舗に催眠商法らしき事業者が高齢者を集めてセミナーをやっている様子も散見されます。また、余りに巧妙で、だまされたことにさえ気づかないこともあるようです。
 より積極的な広報や、悪徳事業者の情報公開や共有化により、地域全体で防いでいくことが必要です。超高齢社会における消費者被害の実態と対策を伺います。

○吉村消費生活部長 高齢者は在宅している場合が多いことから、訪問販売や電話勧誘販売の際に強引に契約の勧誘をされるトラブルについての相談が多く寄せられております。
 平成三十年度に、東京都内の消費生活相談窓口に寄せられた相談件数約十三万九千件のうち、六十歳以上の高齢者の相談件数は約五万六千件と全相談に占める割合は約四割となっております。
 こうした高齢者の消費者被害を防止するため、都は敬老の日を含む九月を高齢者悪質商法被害防止キャンペーン月間とし、ポスター、リーフレット等の作成、配布や、交通広告を実施しております。
 また、宅配事業者等と連携したリーフレットの配布や、介護事業者や民生委員等を対象とする高齢者見守り人材向け出前講座を実施しております。

○中村委員 以前、都の消費生活対策審議会の答申で、高齢者を消費者被害から守るために福祉の見守りネットワークとの連携が提言されました。超高齢社会に向けて各地域では、高齢者の見守りネットワークが構築されていきますので、消費者部門とも連携ができれば、より一層被害防止につながります。
 福祉部門と消費者被害防止の連携した取り組みについて、具体的な取り組み状況と成果を伺います。

○吉村消費生活部長 高齢者の消費者被害防止のためには、地域における見守りが重要であり、福祉部門を中心に構築されている見守りネットワークに消費者被害防止の視点を取り入れることが有効でございます。
 そのため、都では、見守りネットワークのメンバーなどを対象に、高齢者見守り人材向け出前講座を平成三十年度に三百回実施しました。
 また、区市町村に対して、見守り関係者と消費生活相談窓口との連絡体制づくりなどを支援するモデル事業を実施しており、平成三十年度は五自治体で行いました。
 こうした取り組みにより、昨年度末時点で二十三自治体において福祉部門と消費生活部門の連携による見守りネットワークが構築されております。

○中村委員 高齢化がますます進んでいきますので、より一層対策をやってほしいと思います。
 最近では、いろいろ高齢者の集まりがあるところに、例えば警察であれば特殊詐欺とかの防止等があるので、来てお話をするとかいう機会もあるようですから、ぜひこちらの消費者問題の方も積極的に連携をしていただいて取り組んでいただきたいと思います。
 さて、急速なインターネットの普及により、これは年齢を問わず、新たな消費者被害も発生しています。インターネットでの取引の場合、基本的な知識が不足をしていたり、加害側の住所がわからなかったりと、これまでの消費者被害とは違った問題があります。こうした課題について、被害の特徴と対策を伺います。

○吉村消費生活部長 平成三十年度に都内の消費生活相談窓口に寄せられたインターネット通販に関する相談件数は、約三万件となっております。
 インターネット通販では、ホームページ上の情報を頼りに契約するため、トラブルになるケースも多くございます。
 具体的には、にせものが届いた、商品が届かないという相談のほか、一回のみのお試し契約のつもりが定期購入の表示を見落としてしまい解約したいという相談、返品に関する規定を確認せず返品の期限を過ぎてしまったという相談などが寄せられております。
 こうしたトラブルを防止するため、東京都消費生活総合センターでは、事業者の所在地や連絡先、キャンセルや返品条件などの確認、注文時のホームページの画面や事業者からの確認メールを保存することなどを消費者にアドバイスしております。
 このほか、具体的な相談事例や消費者が注意すべき点について、ホームページやSNSで随時発信しております。

○中村委員 民法改正により、成人年齢が二十から十八歳に引き下げられ、保護者による取り消し権も引き下げになったことから、若年層の消費者被害対策が重要になります。
 高校三年生でも、十八歳の誕生日を迎えると成人として扱われ、被害に遭っても契約を取り消すことはできなくなります。とりわけ、消費者教育、啓発活動などが重要になります。
 そこで、若年層の被害状況はどうなっているのでしょうか、また、都はそれに対してどんな対応をしていたのか伺います。

○吉村消費生活部長 平成三十年度に都内の消費生活相談窓口に寄せられた相談件数のうち、二十九歳以下の若者の相談件数は約一万三千件となっております。
 若者の消費者被害の特徴として、社会経験や知識等が少なく悪質商法の被害に遭いやすいことや、SNSがトラブルのきっかけになっていること、気軽に知人を紹介、勧誘することでみずからが加害者にもなり被害を拡大させることなどが挙げられます。
 都は、消費者教育に取り組む学校現場を支援するため、教材の作成や教員向け講座の開催、情報提供誌の発行、学校向け出前講座の実施などの取り組みを行っております。
 また、平成三十年度には、取り組みを強化するため、啓発ノートを新たに作成し、高校二年生全員に配布しました。
 このほか、一月から三月の間に悪質商法被害防止キャンペーンを実施し、ポスターの掲示やリーフレットの配布、交通広告などを実施しております。
 また、平成三十年度から、消費生活に関する情報を連載形式で掲載するコーナーをホームページ上に新設するとともに、SNSやメールマガジンでも発信しております。

○中村委員 民法の改正によって、十八歳に成人が引き下げられたということで質問したわけですけれども、もともと引き下げられていなかったとしても、消費者教育というのは大変大事なことですし、また、より一層これからインターネット等で、より巧妙化をしていく可能性もありますので、ぜひこれからも引き続き、より一層消費者教育や啓発活動などを行っていただければと思います。
 それでは次に、平和の日の事業について伺います。
 都は一九四五年三月十日に東京大空襲があったため、毎年三月十日を平和の日として式典を行っています。しかし、戦後七十四年が経過をして、その事実を知らない都民もふえてきました。式典を滞りなく行うことも重要ですが、戦争の悲惨さと平和のとうとさを都民で共有することが重要です。
 平和の日に際して、都民にその趣旨をどのように伝えているのか、また、どの程度伝わっていると認識しているのか伺います。

○古屋文化振興部長 都は、戦争の惨禍を再び繰り返さないことを誓い、東京大空襲により、一夜にして多くのとうとい命が失われた三月十日を東京都平和の日と定めております。この趣旨を広く都民の皆様にお伝えするため、毎年、平和の日記念式典を初めとした平和の日記念行事を実施しまして、式典のインターネット中継を実施しているほか、都のホームページや「広報東京都」などを活用して、平和の日の意義等について周知を図っているところでございます。
 東京都平和の日条例の制定から三十年近くが経過しまして、この間実施してきましたこれらの取り組みによりまして、都民の皆様に東京都平和の日の趣旨が一定程度浸透してきていると認識しております。

○中村委員 平和の日のそのものの趣旨を伝えるには、当日だけではなくて、平和そのものへの日常的な取り組みが必要です。
 これまでの事業を踏まえて、どのように考えるのか見解を伺います。

○古屋文化振興部長 都はこれまで、毎年継続して三月十日に記念式典を開催するほか、東京空襲資料展の開催や東京空襲関連資料の区市町村への貸し出し、東京空襲犠牲者名簿の収集、さらに都内の小中高校生等から募集したデザインに基づく東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑の花壇の制作など、年間を通じたさまざまな取り組みによりまして、都民の皆様に平和について考えていただく機会を提供しているところでございます。
 今後とも、これらの取り組みを継続的に行うことで、東京都平和の日の趣旨を都民の皆様に広く伝えていくことが重要であると考えております。

○中村委員 改めて東京都組織規程というのを見てみますと、生活文化局の分掌事務として、東京都平和の日に関することと書いてありましたが、これだけ巨大な都庁組織に平和に関連する事務として掲載されているのは唯一これだけです。私は、平和の日に限定せず、広く平和に関する事務を担当する部署が都庁にあるべきだと思っております。
 三月十日は最も被害が大きかった日ですが、ほかの日も大きな被害は出ています。今の規定でも平和の日をなるべく広く解釈して、都民に平和の大切さを広められるよう取り組んでいただきたいと思います。
 なお、現在建設が凍結されている平和祈念館のために東京都が収集し、保管している貴重な戦争関連の資料について、民間主催の展示会等に貸し出しができるようにすることも大切です。今後の検討をお願いします。
 次に、私学助成について伺います。
 私学助成は千八百三十八億円の予算に対して執行率九三・六%で、各個別の事業を見ても、おおむね高くはなっています。しかし、私立学校安全対策促進事業費補助は執行率わずか二七・〇%で、不用額が四十八億円と規模が大きいだけに巨額になっています。
 昨年度は六月に発生した大阪府北部地震でブロック塀が倒れ、小学生が死亡する事故が発生し、対応が全国的にも問われました。そのため、十二月にさらに五億円の補正予算も組み、積み増しを行ってきました。
 この事業費の執行率が低い理由を伺います。また、当初予算での耐震化、アスベスト対策工事、非構造部材耐震対策工事、防災力向上の成果について伺います。さらに、ブロック塀の倒壊の対策については、どのような取り組みがなされたのか伺います。

○濱田私学部長 執行率が低い理由でございますが、平成三十年度の当初予算では、未耐震の建物等を有する学校の耐震化に対応するために必要な予算を確保しておりましたが、各学校において耐震化に向けた検討に時間を要していることなどから、結果として補助実績が少なかったものでございます。
 平成三十年度の補助実績は、耐震診断及び耐震補強改築工事が三十校、アスベスト対策工事が四校、非構造部材対策工事が五十六校、災害時における非常用食品を整備する防災力向上が七百八十四校となっております。
 また、ブロック塀等の安全対策につきましては、大阪府北部地震が発生した昨年の六月以降、各学校におけるブロック塀等の状況調査を実施するとともに、各学校に対し、ブロック塀等を含めた学校施設及び通学路の安全確保の徹底を要請いたしました。
 さらに、昨年十二月の第四回定例会で成立した補正予算に基づきまして、新たにブロック塀の安全対策に係る補助制度を創設し、三十二校に補助を行いました。

○中村委員 私学助成事業は都にとって大変重要な事業であることはいうまでもありません。私たちの会派からも、毎年私学助成の拡充を求め、年々拡充の方向で予算が算定されてきたことは評価をします。
 私学助成は、何より子供たちの学びの機会を保障するためのもので、そのために学校、保護者に助成をするものです。そして、私学の教育内容には介入はしないのですが、民間の学校に対して税金を使って補助する以上は、都民が納得するものでなければなりません。
 そのためにも、学校には積極的な財政情報の公開が求められますが、学校における取り組み状況について見解を伺います。

○濱田私学部長 私立学校法では、学校法人は、財産目録、貸借対照表、収支計算書、事業報告書及び監査報告書を各事務所に備えておき、当該学校法人が設置する私立学校に在学する者、その他利害関係人から請求があった場合には、正当な理由がある場合を除いて、これを閲覧に供しなければならないとされております。
 情報公開につきましては、各学校法人において、私立学校法に基づき適切に対応すべきものと認識しております。

○中村委員 次に、職員の労働環境についての質問をします。
 私学助成の拡充によって、教職員がよりよい労働環境のもとで児童生徒の教育指導に当たることは、教職員のためだけでもなく、指導への意欲が向上して子供の利益にもつながります。
 私学助成の算定方法において、教職員の身分が安定し、賃金が向上するような仕組みになっているのか、そして実際に教職員に支給されているのか伺います。

○濱田私学部長 私立学校に対しましては、基幹的補助として経常費補助金を交付しておりますが、その算定に当たりましては、都内公立学校の決算値をもとに、学校として必要な標準的運営費を算出し、その二分の一を補助額として算定しております。この標準的運営費には、教職員の人件費も含まれております。
 なお、各私立学校におけます教職員への給与や雇用条件等につきましては、各学校においてそれぞれ判断すべきものでございます。

○中村委員 次に、幼稚園類似施設について伺います。
 この幼稚園類似施設の現状把握と支援についてですが、ことしの十月の消費税増税に伴い幼稚園が無償化をされましたが、法律に附帯決議が盛り込まれ、幼稚園類似施設の無償化については積み残しの課題となっています。
 しかし、子供たちが同じように安心して幼児教育を受けられるためには、施設によって差があるのは問題です。
 そこで、決算年度に至るまで、都は幼稚園類似施設について、どのように支援をしてきたのか伺います。

○濱田私学部長 都は昭和四十年代後半におけます幼稚園の不足に対応するため、教員配置数や保育室、保健設備などの一定の要件を満たした施設を幼稚園類似の幼児施設として独自に認定し、保育料等の保護者負担の軽減を行ってまいりました。

○中村委員 都が補助するという形、負担軽減を行ってきたのは、幼稚園類似施設としては十四園だというふうに事前に聞きました。ほかに何園あるか正確には把握していないようです。
 今、同じような施設であっても過去の経過で支援の方法は変わるようですが、今というときを育つ子供にとっては、経過が重要なのではありません。
 この附帯決議があるために、国は都道府県を通じて市区町村に対して調査を始めたとのことです。その結果を通じて、初めて都は実態を知ることになります。
 しかし、調査項目を伺うと、市区町村が独自で支援するか、今後支援する予定の園ということのようなので、十四園以外にも同等の施設があったとしても、そもそも市区町村が支援しない園は、今後も都や国に存在さえ認識されないことになります。
 都から国に対しては、実態が反映する調査を行うとともに、幼稚園類似施設も無償化するよう強く申し入れるよう求めます。そして、万が一、国がやらないという判断をしてしまった場合は、都が独自で無償化の仕組みをつくっていただきたいと要望します。
 さて、育英資金の返還に係る支援について伺います。
 これまで、都は、私立高校等特別奨学金補助制度の拡充など、私立高校に通う生徒の保護者の教育費負担を軽減する取り組みを進めてきました。これらの取り組みの結果もあり、学費全般を支援する育英資金事業の貸付実績は年々減少し、平成三十年度の貸付実績は三千二百六十一人に対して約十二億九千七百万円、前年度比で約八百人、約三億円の減となっています。
 一方では、育英資金は貸付制度であり、将来返還が必要です。特に教育費負担軽減制度が拡充される前に貸し付けを受けた方などが、今なお返還のために生活苦に陥る状況にあれば、返済猶予や減額なども検討してはどうかと考えます。
 現在、経済的に困窮な状況にある方などに対して育英資金の返済猶予や減額等の支援をしているのでしょうか、また、行っている場合、どのように周知をしているのか伺います。

○濱田私学部長 育英資金は、原則返還するべきものでございますが、大学等への進学や、傷病や経済上の事由などにより返還が困難な場合には、申し出により返還を猶予するなどの制度を設けております。
 また、貸し付けが終了し、返還が開始される前には、返還金の猶予手続なども記載した返還のしおりを本人に渡すほか、育英資金の申し込みや相談対応を行う各学校の担当者を対象に、年に複数回説明会を実施し、育英資金の仕組みや猶予制度などについて生徒への周知に努めております。

○中村委員 次に、国際交流について伺います。
 国際化社会が進展する中、東京に滞在する外国人も五十五万人を超えています。観光だけではなくて、日本に滞在する方々との交流や支援は重要です。とりわけ、入国管理法も改正され、ますます在住外国人はふえると見込まれます。
 都は、在住外国人を支援する事業を行う団体に対して助成を行っています。以前は年間わずか数件の応募ということもあったようですが、ここのところ件数がふえているようです。改めて、都が行った団体への支援と成果、課題を伺います。

○金子都民生活部長 東京都在住外国人支援事業助成は、民間団体が行う東京都内の在住外国人を支援する事業に対して助成するものでございます。
 平成三十年度の実績は、助成交付団体数が十六件、助成金額が二千八十七万七千円であり、平成二十九年度に比して助成交付団体数で四件、助成金額で百九十一万三千円の増となっております。
 この助成により、在住外国人の日本語習得などのコミュニケーション支援や日常生活を営むために必要な情報提供など、民間団体の活動の充実が図られたものと考えております。
 今後は、都内におけるさらなる在住外国人の増加や多国籍化を踏まえた事業の充実が重要であると認識しております。

○中村委員 次に、この支援の体制について伺います。
 これまでもたびたび取り上げてきたんですが、真に国際都市としてふさわしい体制を整備する必要がありますが、残念ながらオリンピックを前にしても十分な体制とはいえず、そこでまた質問します。
 東京都には東京都国際交流委員会がありますが、十分な規模とはいえません。都として、国際社会にふさわしい体制を構築し、多文化共生社会への取り組みをより一層行う必要があると考えますが、見解を伺います。

○金子都民生活部長 都はこれまで、外国人に対する生活や防災に関する情報の提供や、専門的な内容を含む幅広い相談に対応を行ってまいりました。さらに、区市町村における専門人材の育成や外国人支援団体への助成などを行うことで、その取り組みを支援してまいりました。
 今後は、外国人の生活支援などを担う区市町村とのネットワークを強化するとともに、東京都国際交流委員会や地域の国際交流協会、外国人支援団体との連携を密にし、都の多文化共生施策の総合的な推進を図ってまいります。

○中村委員 市区町村への支援とかということだとは思うんですけれども、それでも広域的に都がやることや市区町村へのバックアップとか、もう少し体制強化をする必要があると思っています。これは何も監理団体をつくるとか箱物をつくれということに限定しているわけではないのですけれども、少なくとも組織の強化を図って、国際社会にふさわしい広域的な行政としての体制を整えていただきたいというふうに思います。
 次に、市民活動の支援について伺います。
 都は、今後の超高齢社会に向けて、オリンピックのボランティアに期待しているようです。しかし、あくまでこれ、キーワードはボランティアではなくてオリンピックであって、オリンピックは手伝ったけれども、地域で活動するとは限りません。そもそもオリンピックのボランティアは、膨大な予算と仕組みで候補を募集、研修などの運営をしています。その人たちが何の仕掛けもなく、地域でのボランティアにかかわることにはなりません。
 とはいえ、今後の地域社会には市民の力が必要であり、多くのボランティアが必要です。昨年度は、オリンピック後を見据えた都民の活動を支援する新たな体制の検討を行う予算を計上していましたが、どのような検討結果になったのか伺います。

○馬神都民活躍支援担当部長 東京二〇二〇大会では、十万人以上の方がボランティアとして参加し活躍することで、ボランティア活動への参加機運が高まると考えられます。しかし、ボランティアに参加する方の興味、関心は多様であり、大会関連ボランティアの方がそのまま地域で活動していくことにはつながりにくいと思われます。
 このため、ボランティア機運を着実に維持、継続させ、さまざまな活動への参加につなげていくこと、また、大会を契機としてボランティア活動に参加する裾野を広げることを目指し、昨年度からそのための推進体制や仕組みなどについて検討を行っているところでございます。

○中村委員 オリンピックが即ボランティアでない、つながらないとはいいましたけれども、それでもそれだけの方々が、少なくともオリンピックに関してはボランティアとして参加するわけですから、ぜひそのことの機会をうまく捉えて、その方々が地域につながるような工夫と検討を引き続きつなげていただきたいと思います。
 さて、超高齢社会においては地域での居場所が重要になります。元気な高齢者も多いことから、活動する場が求められます。ただし、長年地域と関係がなく、家と会社の往復をするだけでは、定年後にうまく地域に溶け込むことができません。四十代、五十代から徐々に地域での活動をふやしていき、軟着陸していくことが重要です。
 都ではライフワークバランスの普及啓発に取り組んでいますが、もちろん、仕事と家庭の両立を広げるものですが、この家庭の部分に地域の活動が含まれてもよいかと思います。また、職場でのスキルを生かしたプロボノの存在も地域にとっては貴重な存在です。
 地域を見ると、まだまだ、高齢者にボランティアサービスを提供する方も高齢者になっています。働きながら市民活動ができるよう取り組むことが重要ですが、都の取り組みを伺います。

○馬神都民活躍支援担当部長 新たなボランティア参加者をふやし、共助社会づくりを進めるためには、企業への働きかけは大変重要でございます。
 企業が行う活動には、社会貢献活動の一環として、企業がボランティア活動を行ったり、社員が行うボランティア活動をサポートするなど、さまざまなケースがございます。
 そこで、企業が行うボランティア活動の事例集の作成や社会貢献表彰によって先駆的な取り組みの周知に努めております。
 また、東京ボランティア・市民活動センターにおいても、企業向けセミナーや相談、他企業の事例紹介など、社員のボランティア活動につながる取り組みを行っております。

○中村委員 少し話は違うかもしれないんですけれども、最近、企業でも副業を勧めるような企業もあるようです。これは、なかなか企業の給料だけでは難しいので副業してくれということかもしれませんけれども、ただ、そのもう一つ理由として、副業をすることによって、いろんな目で社会を見れば、本業にもいい影響があるだろうということも一つ理由としてあるようなので、例えば、副業ということよりもボランティアで地域で活動していただくことは、本業に対しても、またいろんな目で仕事を見直すことにもなれば、企業にとっても回り回っていい影響があることもありますから、ぜひ企業に対しても、社員のこういったボランティア活動の推進等を積極的に進めるように取り組んでいただきたいと思います。
 さて、NPO法人が積極的に活動するための課題の一つとして資金不足がいわれます。海外のような寄附文化が根づかず、政府のふるさと納税では、ふるさとを何とかしたいという思いではなくて、物でつるような仕組みを可能とし、違った方向へと進んでしまったのは残念なことです。
 認定NPO法人ができてから寄附金控除が受けられるようになったのですが、それほど知られているというわけではなさそうです。
 ふるさと納税であれば、自治体の存在そのものが知られていますし、結局、商業ベースに乗ったことで紹介サイトも生まれています。都が積極的に寄附文化の醸成を図るべきと考えます。
 昨年度、新たに認定NPO法人は何件認定され、それを含めて何件の認定NPO法人があるのでしょうか。そして、都はそうした制度の周知を初め、寄附文化の醸成にどのように取り組んできたのか伺います。

○金子都民生活部長 平成三十年度に、都は新たに認定NPO法人として三十四法人を認定しました。これらを含め、平成三十年度末の認定NPO法人数は二百九十九法人でございます。
 都は、運営組織及び事業活動が適正であって、公益の増進に資するNPO法人を適切な審査により、寄附者が税制上の優遇を受けられる認定NPO法人として認定しております。
 都民がこうした認定NPO法人制度を正しく理解し、法人の情報を容易に把握できるよう、都はホームページ上にあるポータルサイトで寄附者の税制優遇制度や法人の活動内容を広く公開しております。

○中村委員 NPO法人の数の中で見れば、まだまだ認定NPO法人は多いというわけではないわけです。こういった制度があるということをもっと広めていただいて取得をする法人がふえればと思っていますし、そういった法人に対する寄附が控除されるというようなことも含めて、より一層広報していただいて、市民活動がより活性化をするようにお願いをいたしまして、質問を終わります。

○大松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大松委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時二十三分散会