平成三十年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第三号

令和元年十月十八日(金曜日)
第十一委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長米川大二郎君
副委員長川松真一朗君
副委員長中山ひろゆき君
菅野 弘一君
池川 友一君
うすい浩一君
森澤 恭子君
斉藤やすひろ君
増田 一郎君
入江のぶこ君

欠席委員 なし

出席説明員
会計管理局局長佐藤  敦君
管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務松丸 俊之君
警察・消防出納部長加藤 政弘君
会計制度担当部長斎田ゆう子君
選挙管理委員会事務局局長黒田 祥之君
戦略政策情報推進本部本部長松下 隆弘君
理事小室 一人君
戦略事業部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務松永 竜太君
特区推進担当部長米津 雅史君
戦略事業担当部長小川 祥直君
ICT推進部長戸井崎正巳君
情報企画担当部長荻原  聡君
情報基盤担当部長沼田 文彦君
財務局局長武市  敬君
経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務初宿 和夫君
契約調整担当部長新田見慎一君
主計部長山田 忠輝君
財産運用部長五十嵐 律君
利活用調整担当部長鈴木 光祐君
建築保全部長佐藤 千佳君
技術管理担当部長飯泉  洋君
庁舎運営担当部長後藤 徹也君
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長小野寺弘樹君

本日の会議に付した事件
平成三十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
会計管理局関係
・平成三十年度東京都一般会計決算(質疑)
選挙管理委員会事務局関係
・平成三十年度東京都一般会計決算(質疑)
戦略政策情報推進本部関係
・平成三十年度東京都一般会計決算(質疑)
財務局関係
・平成三十年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成三十年度東京都用地会計決算(質疑)
・平成三十年度東京都公債費会計決算(質疑)

○米川委員長 ただいまから平成三十年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する質疑を行ってまいります。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局、選挙管理委員会事務局、戦略政策情報推進本部及び財務局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成三十年度東京都一般会計決算中、会計管理局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○増田委員 それでは、私の方からは、今回の決算の中での公金の運用状況について質問をさせていただきます。
 質問に入る前に、まずこちらで、今現在の金利のマーケットの状況を確認しておきたいと思います。
 こちらは、いわゆる長期金利の一般的な指標である十年物の国債の利回りの過去十年間のグラフでございます。もともと十年前は一・五%ぐらいあったものが、二〇一六年に量的緩和によりまして、初めてマイナスの領域に行きまして、その後、〇%--この赤いラインが〇%なんですけれども、〇%を挟んで推移していたものが、昨年からまたかなり緩みまして、マイナス幅が大きくなってきたというような状況です。
 こちらのグラフは、この一年間のグラフなんですけれども、同様に、先ほどの最後のところを大きくしたものですけど、昨年一年間でも非常にマイナスの幅が大きくなっておりまして、一番の底のときはマイナス〇・三%ぐらいになっていると。こういうような非常に特殊なマイナス金利が続いているというところでございます。
 そのような状況でございますので、金融機関も、かつてはメガバンクも地銀も信金もこぞって、例えばボーナスの時期になりますと預金集めなんていう、そういう競争があったわけですけれども、昨今は預金しますよといっても、ううんと、ちょっと遠慮しておきますよという、そういうような状況になっているんじゃないかと思います。
 そういった意味では、年度末時点で四兆を超える公金、基金を運用している東京都としても、どういうふうに安全性を確保しつつ利回りを求めていくかという、その運用方法、運用先の選定等について非常に苦心をされているんじゃないかと、このように理解するところであります。
 そこで最初は、このようないわゆる超低金利のマーケット下の、現在の公金の運用状況について伺います。

○松丸管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 今先生がお示ししていただきましたパネルにありましたとおり、日本銀行の大規模な金融緩和政策の継続によりまして、市場金利は歴史的に見ても極めて低い水準で推移しております。
 この超低金利の状況のもと、多くの金融機関が預金の活用先に窮し、慢性的な資金余剰状態にあるため、新たな預金の受け入れを回避する傾向があり、公金の運用にとって困難な状況が続いております。
 こうした中、預金での運用に関しましては、リスク管理の視点から個別金融機関の情報をしっかりと把握し、預け入れ期間を工夫するなど、きめ細やかな対応に努め、なるべく利回りの有利な金融機関で預金を設定しております。
 次に、債券につきましては、長期金利の指標となる、先ほどお示しいただきました日本国債十年物利回りがいまだマイナス圏で推移していることから、運用に当たりましては、比較的利回りが見込める地方債や財投機関債での運用に重点を移すなど、運用債券のポートフォリオを適時適切に見直ししております。
 こうしたことにより、平成三十年度の運用収入は前年度並みの水準を確保いたしました。

○増田委員 ありがとうございます。何とか前年並みの運用益を確保しているというご説明でございました。
 マイナス金利ということですので、理論的には、預金者が金融機関にお金を払うというようなことがあり得るわけなんですけど、現実には今そこまでにはなっていなくて、限りなくゼロに近い預金レートというものが設定され、だけれども本音としては金融機関としても受け入れたくないと、こういうような状況であることが今のご説明でもわかりました。
 また、そのような中で少しでも有利な投資先ということで、比較的利回りの高い地方債であるとか財投債であるとか、そういうところに一定程度振り向けて利回りを稼いでいらっしゃるということかと思います。
 一方で、東京都の運用方針は、何といいましても安全性第一ということで、積極的にリスクをとって利回りを求めていこうということではないと理解しております。都民から預かった大事なお金ですので、それがやはり一円たりとも欠けてはいけない、失われてはいけない、これが基本的な方針であると思いますし、私もそれは大いに賛同するところでございます。
 そのようなときに、リスク回避の基本方針としては、やはり分散投資ということになります。これは預け先、運用先であったり、あるいは商品の種類であったり、あるいは商品の期間であったり、東京都の場合は当たりませんけれども、例えば通貨の分散であったり、そういうような分散というのがリスク回避の基本的な手法であると思うわけです。
 そのような中で、公金の安全性を確保するという上で、効率的に運用するための預金先の金融機関及び対象債券の選定における基本的な考え方、方針についてお伺いいたします。

○松丸管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公金の安全性を確保した上で効率的に保管、運用していくためには、預金先金融機関や債券発行体の経営の健全性を判断することが不可欠でございます。
 まず、預金先金融機関につきましては、金融庁に登録されている複数の格付機関が付与した格付を初め、自己資本比率や収益性などを組み合わせた基準を設定し、この水準を上回ると判断した金融機関について、預金先として選定しております。
 一方、債券につきましては、運用対象を、国債を初めとする極めて安全性の高い機関が発行する債券に限定した上で、購入対象を選定しております。
 これらの選定や基準の見直しに当たりましては、金融分野の専門家等で構成される東京都公金管理アドバイザリー会議の委員の意見を聞くなど、専門家の経験や識見を活用しております。
 引き続き、預金先金融機関や債券発行体の経営状況の把握に努め、公金の安全性を確保した上で効率的な保管、運用を行ってまいります。

○増田委員 今のご説明で、預け先、あるいは運用先について一定のルールを設けて、そして必要に応じてアドバイザリー会議の意見も取り入れながら、慎重に運用しているということを確認させていただきました。
 今のところ、今の金融市場においては、かつての、例えば九七年に長銀や山一、北海道拓殖銀行が潰れたときとか、二〇〇八年のリーマンショックのように、預け先の金融機関の信用状態を懸念しなければならない状態ではないわけであります。
 一方で、昨今、地方銀行につきまして大分、今までのビジネスモデルが維持できなくなって、大分余剰感といいましょうか、過剰感があって、今後急速に統合が進んでいくということがいわれているわけであります。
 そういうことが起きますと、何といいましょうか、同じ合併でも信用力の低いところと合併してしまったところが信用力を落としたりとか、あるいは今、A銀行に幾ら、B銀行に幾らということで一定の預ける金額があるとして、合併するとそれが倍になってしまうわけです。それ一行で見たときにルールの上限を超えてしまうというようなこともあり得ますので、そういった市場の動きに機敏に対応できるように常に気をつけていただきたいと思いますし、また、同じ信用力でも商品によって利回りはいろいろ、市場のゆがみで有利、不利が出てきますので、少しでもいい利回りの出るものに、同じ信用力を維持して機動的にお金がシフトできるように、市場動向への感度を高くしていただきたいと思います。
 よく〇・〇一%のことを金融の世界では一ベーシスポイントというんですけど、恐らくご担当の方も、金融機関と話すときは一ベーシスがどうしたという話をされると思うんですけれども、仮に基金が四兆円あるとして、それが一ベーシスポイント変わっただけで年間四億円の違いになってきますので、これは本当に都民のお金がそれだけ大きく動くわけでございますので、ぜひその点を改めて念頭に置いていただいて、日々の運用に引き続き注力していただきたいと思います。
 以上でございます。

○斉藤委員 私の方からは、会計管理局の平成三十年度決算につきまして、官民連携ファンドについて、そして毎回といわれるかもしれませんが、新公会計制度の活用について質問したいと思います。
 まず、今、さきの増田委員がお話しされた適正な会計管理の確保とあわせて、会計管理局の使命は安全で効率的な公金管理ということで、リスクをできるだけ減らして、都民から預かった大事な血税をとにかくしっかりと管理していくことがまず第一ですが、官民連携ファンド、これ聞いたときに、ちょっと、えっていう感じもあるかもしれません。ファンドですから。しかし、きょうは、この官民連携ファンドの適切な監視も会計管理局の大事な職務の一つになっているという角度から、質問をしたいと思っております。
 我が党は、東日本大震災の発災後、かねて再生可能エネルギーの普及や被災地の復興支援などの観点から、この官民連携ファンドについて取り上げてまいりました。決算特別委員会の場においても質疑を行ってきたところであります。
 会計管理局が所管するこの官民連携ファンド事業は、スタートから一定の年数が経過しておりまして、既に決算結了したファンドもあると仄聞しております。投融資や出資金の回収が比較的順調に進んでいるものと仄聞しています。
 そこで、本日はファンドの実績などを中心に質問していきたいと思いますが、まずは、確認の意味を込めまして、各ファンドの目的とこれまでの投融資実績について伺いたいと思います。

○松丸管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 当局が管理しておりますファンドは三つございます。まず、官民連携インフラファンドは、東日本大震災後の喫緊の課題でありました電力の安定供給等のために、平成二十四年度に組成し、これまでに十九件、出力合計約六十二万キロワットの発電所への投融資を実施いたしました。
 次に、官民連携再生可能エネルギーファンドでございますが、これにつきましては、再生可能エネルギーの広域的な普及拡大と都内での導入促進等のために、東日本大震災の被災地を含む東北電力管内及び東京電力管内を対象といたしまして、平成二十六年度に組成し、これまでに十三件、出力合計約十七万キロワットの発電所への投融資を実施しております。
 三つ目の官民連携福祉貢献インフラファンドにつきましては、都内における子育て支援施設を含む福祉貢献型建物の整備促進等のために、平成二十七年度に組成し、これまでに三件、保育所定員計二百名の福祉貢献型建物への投融資を実施いたしました。

○斉藤委員 各ファンドについてその目的を確認するとともに、これまで確実に投融資実績が積み重なっていることを明確にさせていただいたわけであります。
 特に、官民連携インフラファンドと官民連携再生可能エネルギーファンドにつきましては、合計すると出力約七十九万キロワットに上りまして、大規模な発電プラント一基分に相当するほどの出力規模であることから、ファンドの事業が一定程度の意義を果たしていると評価できると思います。
 では次に、各ファンドの資金回収実績ですが、この実績といたしまして、今回の平成三十年度決算における回収額と、これまでの累積回収額及び回収率について伺いたいと思います。

○松丸管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 まず、官民連携インフラファンドでございますが、平成三十年度に約五千六百万円を回収し、これまでの累積回収額は約三十四億七千四百万円、出資額三十億円に対する回収率は約一一五%となっております。
 次に、官民連携再生可能エネルギーファンドにつきましては、平成三十年度に約四億円を回収し、これまでの累積回収額は約六億五千二百万円、出資額十二億円に対する回収率は約五四%となっております。
 最後に、官民連携福祉貢献インフラファンドにつきましては、平成三十年度に約二十億四千八百万円を回収し、累積回収額も同額で、出資額三十七億五千万円に対する回収率は約五四%となっております。

○斉藤委員 この各ファンドにつきまして、資金回収が着実に進んでいることが数字からも明らかになりました。
 特に、官民連携インフラファンドでは、回収率が一〇〇%を超えまして、約一一五%に達しておりまして、既に都の出資額を超える額が回収できていることは評価できると思います。
 今後も、都が出資者の立場からファンドの運営状況の適切な監視を行うことで、ファンドが適切に運営され、資金回収が着実に進んでいくことを期待しております。
 ところで、そもそも都の官民連携ファンドは、先ほどの管理部長のご答弁にありましたとおり、エネルギー分野においては、東日本大震災後の電力の安定供給や再生可能エネルギーの普及拡大という政策課題の実現を目的としまして組成されたものでありますけれども、我が党はかねて、そうした目的だけでなく、被災地の復興支援等の観点からも取り組みを進めてもらいたいと主張してきたところであります。
 そこで、東日本大震災におきまして特に被害が大きかった岩手県、宮城県、福島県の被災三県におけるファンドからの投融資実績と、発電所の整備を通じまして被災地にどのような貢献が期待されるかについて伺いたいと思います。

○松丸管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 被災三県におきましては、これまでに、官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドから、宮城県で二件、福島県で二件、計四件の太陽光発電所への投融資を実施いたしました。
 このうち、平成二十九年度に運転を開始した宮城県名取市の名取ソーラーウェイに続き、今年度には福島県南相馬市の南相馬メガソーラーが運転を開始する見込みでございます。
 この南相馬メガソーラーは、発電規模約三万六千八百キロワットを予定しており、事業用地は東日本大震災時の津波による被害を受けた田畑を活用するもので、固定資産税の支払い等を通じた地域経済への貢献が見込まれております。
 また、原発事故後に使われなくなった送電線を活用し、首都圏へ電力を供給することも予定しており、発電所の整備等を通じて、再生可能エネルギーの導入促進に加え、震災後の地域経済の振興と活性化に寄与するものと考えております。

○斉藤委員 被災三県におけるファンドからの投融資実績と発電所の整備等を通じて期待される被災地の貢献内容が確認できました。
 先日も、台風十九号の被害も広域で拡大しておりますけども、本当にこうした被災地が復興していくのは大変なことでございますが、長期的に長い目でしっかりと支援を続けていくのに、このファンドというのは非常に重要であると思うわけであります。
 我が党においては、これまでも被災地の復興支援を目的といたしまして、ただいまご答弁ありましたが名取ソーラーウェイ、これは同僚委員のうすい委員も昨年六月に現地を視察しております。そして、今年度は南相馬のメガソーラーの開始が予定されてるということでございますが、被災地の復興、経済活性化に寄与していくことを強く期待をしているわけであります。
 一方、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度につきましては、昨今の報道等を見ますと、買い取り価格が年々引き下げられておりまして、平成二十四年の制度発足当初の一キロワット時四十円から、今年度は約十四円ということで、本当に引き下げられているわけですけれども、電力を取り巻く環境は年々変化しておりまして、官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドへの影響が生じることはないか懸念をしているところであります。
 また、官民連携福祉貢献インフラファンドにつきましても、昨今の金融緩和の影響を受けて、市場における不動産投資における意欲が旺盛で、不動産価格が高騰している状況にありまして、投資のリスクについて、より一層注視が必要な環境下にあると考えております。
 そこで、官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドについて、固定価格買い取り制度の買い取り価格引き下げがファンドに及ぼす影響、それと、官民連携福祉貢献インフラファンドにつきましては、投資のリスク抑制のための取り組みについて伺いたいと思います。

○松丸管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 まず、固定価格買い取り制度の買い取り価格につきましては、国から事業計画認定を取得した時点での価格が二十年間維持されることとなっております。官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドの投融資はいずれも完了しており、各投融資案件の買い取り価格は確定しているため、買い取り価格の引き下げによるファンドへの影響は特段ないものと認識しております。
 また、官民連携福祉貢献インフラファンドにつきましては、投資のリスクを低減するため、ファンドマネジャーの選定に当たりまして、専門家から意見を聴取しながら審査を行い、リスクを抑えるノウハウのある者を決定いたしました。
 本ファンド事業におきましては、出資を有限責任の形とすることで、都のファンドへの出資に対するリスクを抑制しているほか、ファンド契約におきまして、都が優先的に配当を受け取り、出資金の毀損リスクを抑える仕組みを導入しております。
 さらに、都はファンドに対する質問権、検査権を確保しており、専門家の意見を聴取しつつこれを行使し、ファンドの運営状況を監視しております。

○斉藤委員 環境の変化というリスクにさらされている中にありましても、都の官民連携ファンドにつきましては必要な対応がなされてきています。リスクができる限り抑えられていることが確認できたと思います。
 この官民連携ファンドは、政策目的の実現と同時に、拠出した資金の回収を目指す取り組みであります。その出資金は、都民の税金を原資とするものでありますから、確実に回収することが重要であることは、これはもう明白であります。
 繰り返しになりますけれども、都は、引き続きしっかりとファンドの運営状況の監視、これ、限りもありますけれども、全力を挙げてしっかりと監視に努めていただきまして、今後とも順調に出資金が回収されることを期待してファンドの質問は終わり、次の質問に移りたいと思います。
 続きまして、新公会計制度の活用促進への取り組みについて伺いたいと思います。
 都は、平成十八年度に、全国に先駆けて複式簿記・発生主義に基づく新公会計制度を導入して十年余りが経過しております。この間、都は制度の先駆者として、全国標準たり得る会計基準の策定を総務省に要望してきたところであります。このことも功を奏しまして、国におきましても、平成二十七年一月、統一的な基準による財務書類の整備が総務省から全国自治体に要請されました。その結果、平成三十年度末までに、九四・八%の自治体が財務書類を作成済みということであります。
 この間、東京都と国との間でさまざま基準論争もございました。都の基準でいえば、例えば主要な財源である税収を収入に計上するなど、統一的基準に比べて企業会計に近くてわかりやすいという利点もありまして、日々仕訳によりまして即時に事業別財務諸表を作成できるので、マネジメントへの活用にも有効であるなどの利点があり、私としても、また会派としても、これまで財政委員会や決算特別委員会などで繰り返し主張してきたとおり、依然として都の方式がすぐれているとの考えは変わっておりません。
 しかしながら、基準の違いはありますけれども、国の統一的な基準の導入によりまして、ますます多くの自治体が財務書類から得られる情報を活用して、コスト意識をしっかり高く持っていただいて、行政施策を展開していく環境が整備されたことは大きな一歩である。東京都の力、これが大いに発揮されたと私は評価したいと思います。
 この新公会計制度が次のステージを迎えた今、都としては今後どのようにこの制度の活用促進に努めていくのか。本日の分科会では、このことをまず確認したいと思います。
 そこで、昨年度の制度推進に向けた取り組みについて伺いたいと思います。

○斎田会計制度担当部長 新公会計制度の普及を促進するため都が主導する中で、平成二十三年度に、都と同じ基準を採用する五団体により新公会計制度普及促進連絡会議が設置されました。現在は都内十一、都外六の合計十七団体で活動しております。
 昨年十一月には、当連絡会議の主催で、品川区の区民会館にて自治体関係者等を対象に公会計推進ミーティング二〇一八を開催いたしました。総務省による講演や自治体からの活用事例の報告などが行われ、都方式以外の団体からの出席者も含めまして、二百六十五名と多数の参加がございました。
 当連絡会議には、昨年度からオブザーバーとして千葉県習志野市が参加しております。同市は現在、統一的な基準により財務書類を作成しておりますが、将来的には都方式に組みかえて、日々仕訳に基づく事業別財務諸表による活用に先進的に取り組む当連絡会議と情報共有を図っていきたいとのことでございます。

○斉藤委員 新公会計制度普及促進連絡会議の活動によりまして、都方式以外の団体にも新公会計制度への関心が広がっているということは大変にいいことだと、すばらしいことだと思います。その中から今、具体的に自治体の名前が出ましたけれども、習志野市のように、新たに連絡会議の仲間に加わる自治体が出てくることが今後も期待できると思います。
 また、公会計推進ミーティング二〇一八におきましては、初めて総務省の登壇があったというふうに聞いております。都が先駆的に取り組む一方で、国がなかなか重い腰を上げなかったころの様子を知る自分といたしましては、隔世の感があるなというふうに思います。
 さて、このように公会計を取り巻く環境が変化していく中で、国や各自治体も交えた具体的な活動状況について伺いたいと思います。

○斎田会計制度担当部長 財務諸表から得られる有用な情報のあり方を研究するため、昨年度より、新公会計制度普及促進連絡会議の構成団体の連携によりまして、自治体間比較部会と事業別分析部会の二つの検討部会を設置しました。
 自治体間比較部会では、財務情報を分析の上、有用な指標を選定し、自治体間比較の精度の向上に取り組んでまいります。
 また、事業別分析部会では、自治体間における類似事業、例えば図書館事業や体育館事業などをテーマに、比較のための事業別財務諸表の作成や評価手法の確立を目指します。
 また、都は、総務省が開催する地方公会計の推進に関する研究会におきまして、先駆者として得た知見に基づき、わかりやすさや比較のしやすさなどの観点から、実務面を中心とする問題提起を積極的に行っております。

○斉藤委員 東京都と総務省が相互にしっかり連携をとっていることは、とても大事なことだと思います。
 公共施策の評価は、利益追求を本旨とする企業体とは異なりまして、全てを数字で判断することは難しいことは重々承知しておりますけれども、一方で、これまでできなかった自治体間での比較、こうした比較によって新たにわかってくることも多いと思います。
 この活動の成果によりまして、各自治体で経営感覚やコスト意識を醸成していく、醸成されていけば、納税者また各自治体の住民、さまざまな方々にとって大いに意義のある取り組みになると考えます。
 都には、連絡会議の活動が盛んになるよう、今後も横のつながりを大切にしていただきたいと、このように思います。
 また、都には、これらの活動で得たノウハウを、国に積極的に提言し続けていただきたいと思います。ほぼ全ての自治体で財務書類が作成された現在、国と協力していくことは全国への公会計制度の普及と改善に大きな推進力になると考えるものです。
 そこで、現時点でいえる統一的な基準導入の効果について伺いたいと思います。

○斎田会計制度担当部長 統一的な基準の導入の効果といたしましては、自治体間での比較可能性が高まり、さらに多角的な財務分析が行える環境が整備されたことが挙げられます。
 これを契機に、さきに述べた新公会計制度普及促進連絡会議の二つの部会におきまして、統一的な基準を採用する自治体にも参加を呼びかけたところ、現在、参加を表明する団体も出始めているところです。
 今後も、基準の違いを超えて連携の広がりに努め、豊富な事例の蓄積により、分析の精度を高めてまいります。

○斉藤委員 基準の違いを超えて広く参加を募ることこそ、まさに制度の発展に寄与するものでありまして、評価をしたいと思います。頑張っていただきたいと思います。
 都基準を採用する団体以外の参加がますますふえていくよう、積極的に呼びかけを続けてほしいと思うわけであります。
 先ほどの習志野市のように、統一的基準でつくっておいても、都の基準の方が使い勝手がいい、わかりやすい、市民のためになる、こういう判断があればこれを変えて、都の基準に変えていく自治体も出てくるんじゃないかと思うわけですし、当初からその狙いを持って総務省と粘り強く話し合いを続けてきたと思います。
 ぜひとも、今後もそういった自治体がふえていくことを推進していただきたいと思いますが、最後に、制度の活用促進に向けた会計管理局長の決意を伺いたいと思います。

○佐藤会計管理局長 公会計制度の活用促進についてでございますが、連絡会議など、いろいろな機会に各自治体の会計管理者や国の関係者、公認会計士などの方々と意見交換をいたしますが、皆さん、今や公会計は、財務書類は作成から活用へと次の段階に進んだというのが共通認識でございます。
 よって、都としましては、今後も足元の庁内における活用の促進に一層工夫を凝らしていくことに加え、国への積極的な提言、連絡会議での連携などを通じまして、全国に向けた制度の活用促進に努めてまいります。
 また、この活動の一環として今年度は、十一月十三日に、当会議主催で世田谷区の成城ホールにて公会計推進ミーティング二〇一九を開催いたします。「自治体マネジメントに活かす!財務書類『分析』『活用』の工夫」と題しまして、総務省や新たに日本公認会計士協会が登壇して行います基調講演のほか、先進的自治体の取り組み内容や自治体間連携による行政評価への活用の事例について発表を予定してございます。
 さまざまな立場の方から有用な知見を得ることのできる機会でございまして、庁内関係職員にも積極的に案内するなど、昨年にも増して広く参加者を募ってまいります。
 今後も、新公会計制度の先駆者といたしまして活用の裾野を一層広げるとともに、その成果を都の政策形成に着実に生かせるよう全力で取り組んでまいります。

○斉藤委員 公会計は作成から活用へとそのステージが変わったと。そして、東京都と総務省がともに公会計制度を全国に普及促進をしていく、連携がとれる中で、今回の、自治体マネジメントに生かすという公会計推進ミーティング二〇一九、ここには日本公認会計士協会が登壇して講演も行っていただくと。いよいよ舞台はできたわけですので、今、局長の力強いご答弁、決意がございましたけれども、ぜひともしっかりと推進していただきたいと思うわけであります。
 今後のさらなる制度普及と活用の促進を期待して、私の質問を終わりたいと思います。

○米川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○米川委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○米川委員長 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成三十年度東京都一般会計決算中、選挙管理委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○うすい委員 私から、平成三十年度東京都一般会計決算の中で選挙管理委員会事務局所管の、若者の選挙意識の向上の必要性について質疑をさせていただきます。
 二〇一六年六月十九日より、十八歳選挙権が施行されたわけでございますが、施行後において、国政選挙でも三度の経験をしたわけでございます。
 二〇一六年の参議院選挙では、全国平均で全世代を通じた投票率は五四・七%でありましたが、若い世代の十八歳が五一・二八%、十九歳が四二・三〇%、二十歳代が三五・六〇%、三十歳代が四四・二四%でした。
 また、二〇一七年の衆議院選挙においては、全国平均で全体が五三・六八%、十八歳が四七・八七%、十九歳が三三・二五%、二十歳代が三三・八五%、三十歳代が四四・七五%ということでございました。
 ことしには、四月に行われました統一地方選もありましたけれども、七月には国政で参議院選挙がありました。
 その参議院選挙の若者の投票率はどうであったのか、初めにお伺いをしたいと思います。

○黒田選挙管理委員会事務局長 本年七月二十一日に行われました参議院議員選挙につきまして、総務省の抽出調査による公表では、十八歳が三五・六二%、十九歳が二八・八三%、二十歳代が三〇・九六%、三十歳代が三八・七八%となってございます。

○うすい委員 今ご報告がございましたけれども、単純に比較はできない部分もございますが、二〇一六年の参議院議員選挙、それから二〇一七年の衆議院議員選挙と比較しても、今回の夏の参議院選挙において、若年層における投票率は低下をしております。
 選挙権年齢が二十歳以上から十八歳以上に引き下げられたことが、小学校六年生の社会の教科書でも紹介をされているところでございますが、児童にも政治参加への意識を持たせて、主権者教育を充実させることも重要でありますし、さまざまなアプローチはとても大事だと思います。
 しかし、この投票率の数字は、引き下げられた年齢層だけではなくて、もともと選挙権を持っていた二十歳以上の方々についても投票率が下がっております。
 そこで、若年層の投票率向上に向けた啓発の必要性について、都選管の見解を求めます。

○黒田選挙管理委員会事務局長 選挙におきまして、より多くの若者が投票に参加し、政治への意思表明をすることは、東京都だけではなく、国の将来にとっても重要なことと考えております。
 そのためには、選挙権年齢前から政治や選挙への興味や関心を高めるとともに、政治や社会の課題についてみずから考え、投票行動へと結びつけていくことが必要でありまして、そうしました主権者教育を行うに当たりましては、教育庁との連携も大切となるものでございます。
 東京都選挙管理委員会といたしましては、そのような認識のもと、選挙がないときであっても、啓発事業への積極的な取り組みを進めているところでございます。

○うすい委員 十八歳選挙権が導入されたときの最初の参議院選挙は、東京都の投票率は全国的にもよかったわけで、特に十八歳の投票率は全国的に一位でした。
 しかし、次の年の衆議院選挙においては、二〇一七年でございましたが、ブームが終わったように投票率が下がったわけであります。
 そして、先ほども触れましたけれども、ことしの七月の参議院選挙においては、さらに低下をしました。
 そこで伺いますが、今答弁にもあったように、積極的な啓発事業への取り組みを行っているということでありましたけれども、その見解のもと、平成三十年度は具体的にどのような取り組みを行ったのか伺います。

○黒田選挙管理委員会事務局長 平成三十年度は、都選挙管理委員会が所管する選挙が行われなかったことから、常時啓発を実施いたしました。具体的に申し上げますと、小学生、中学生及び高校生を対象として、選挙に対する関心を高めるべく、明るい選挙ポスターコンクールを実施いたしました。
 都内の中学三年生全員を対象に作成、配布する選挙学習冊子「Let's study選挙」につきましては、中学校の生徒会役員選挙と実際の選挙の共通点をわかりやすくイラストつきで解説するなど、より選挙が身近に感じられるべく改善をしているところでございます。
 選挙出前授業及び模擬選挙におきましては、従来からの選挙の仕組みや歴史の説明に加えて、春に行われました統一地方選挙前には、初めての投票を迎える生徒の方々の投票への不安に配慮しまして、実際の投票所の様子につきまして説明等を新たに取り入れたところでございます。
 また、教育庁が主催する都立学校の校長連絡会等に出席いたしまして、学校での出前授業の必要性について説明するとともに、実施に向けた協力を求めたところでございます。

○うすい委員 今答弁ありましたとおり、都選管としてもさまざまな工夫、取り組みを行っていただいているところでございます。こうした効果をさらに発揮させるには、区市町村と連携することで、より多くの若年層が啓発活動に触れることができると考えております。
 そこで、具体的にどのような取り組みを行っているのか、答弁を求めます。

○黒田選挙管理委員会事務局長 都選挙管理委員会といたしましては、区市町村との連携は啓発事業においても重要であるというふうに認識してございます。
 具体的な取り組みといたしましては、区市町村に対する支援といたしまして、技術的な助言や啓発事業の共催、啓発担当者会議を開催しての先進的事例や具体的な取り組み事例についての情報共有、意見交換などを行っております。
 また、区市町村が地域の大学と連携して行う啓発事業に対し、選挙啓発資材の貸し出しを行うなどにより協力をしているところでもございます。
 区市町村との共同事業といたしましては、若年層啓発に取り組む明るい選挙推進委員を対象とした、有識者等による講演会を開催しております。
 初めての試みといたしましては、市選挙管理委員会との共催で、中学校の生徒会選挙の投票に合わせて出前授業を実施し、将来迎える選挙の投票につなげるべく、その共通点について説明いたしましたところでございます。
 今後も、私どもが独自に行う啓発に加え、区市町村との連携も図りながら、効果的な若年層啓発に取り組んでまいります。

○うすい委員 今、今後も区市町村との連携をしっかり図って効果的に若年層の啓発に取り組むというご答弁をいただきました。
 ここ最近の選挙においては、回を重ねるごとに、期日前投票の投票率の向上ということが顕著にあらわれております。高齢化が進む中で、期日前投票の投票所が自宅の近いところにあるということは、投票率向上につながるものと考えますし、若者においてもこれは当てはまるものと考えます。
 さまざまな手だてを講じていただくとともに、今後も都選管として区市町村と連携をとりながら、それぞれの立場で積極的に取り組んでいただくことを強く求めまして、質問を終わります。

○池川委員 私からは、初めに選挙における通称使用の問題について質問をします。
 日本では夫婦同姓となっているために、法律婚を選択する場合はどちらかの氏を選択することとなっており、現状では九六%は女性が氏を変えています。生まれてから使用してきた氏を変えたくない、これまでのキャリアがなかったことになってしまうなどの理由から、法律婚でなく事実婚を選択する方もいらっしゃいます。
 選挙の際にも、戸籍名でない通称で立候補届を行う方は少なくありません。そうした場合には、さまざまな課題が生じています。その一つが当選証書です。当選証書は、有権者の皆様から一票一票投じていただき、当選したあかしそのものです。しかし、その当選証書には、選挙時に使用していた名前ではなく戸籍名が記されています。
 私はこの問題について、二つの角度から課題があると思います。
 一つは、選挙の際に一票を投じた有権者との関係です。
 例えば、自分が投票したのはサトウさんなのに、当選証書にはスズキさんと書かれている。こういうことが通称使用で立候補届をされた方では起こるわけです。実際に通称使用で選挙に出られて当選をされた方から、戸籍名で書かれた当選証書は訪れた人が何でだろうとなるので、とても事務所などに置いておくことはできないというお話をお伺いしました。これは本当に切実だと思います。
 そしてもう一つは、個人の尊厳という問題です。
 生まれつきの名前を使用したいということは特別なことではありません。しかし現在、選択的夫婦別姓の議論については国会内外でも議論がされ、また都議会でも、選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書の提出に関する請願が賛成多数で採択されるなど、議論は行われていますが、まだ法改正等が行われているわけではありません。
 夫婦同姓を法律で義務づけている国は、世界の中で日本だけです。国連の女性差別撤廃委員会も、法律で夫婦同姓を義務づけていることは女性差別で、改正すべきだという勧告があります。
 そうした中で、今現状としては、せめて当選証書に立候補届をした名前、すなわち通称等の名前を記してほしい、こう考えるのは当たり前の話だと思います。
 そこでお伺いをしたいと思いますが、当選証書の通称使用について、東京都選挙管理委員会の認識と取り組み、これがどのようになっているでしょうか。

○黒田選挙管理委員会事務局長 当選証書に記載する当選人の氏名につきましては、当選証書が当選人としての身分を公証する公文書であることから、戸籍簿に記載された本名を記載することを原則としております。
 一方で、当選人から申し出があった場合には、戸籍名を記載した上であれば、追加情報として通称を付記することも可能でございます。
 都が執行する選挙では、平成二十四年十二月十六日執行の衆議院議員選挙から、当選証書に戸籍名を記載した上で、その左横に括弧書きで通称を付記する対応を行っているところでございます。

○池川委員 東京都選挙管理委員会としては、二〇一二年の衆議院選挙から当選証書に通称を付記しているということです。
 お伺いしたところによると、直接ご本人が通称で立候補した場合には、この括弧書きを適用するという話だったということでございます。しかし、実際は追加情報として通称を付記することが可能だと。これは総務省が見解も示しているところではありますが、この追加情報というのは表現としてどうなのかなと率直にいって思います。
 都選管には、同時に、直接東京都選挙管理委員会が執行する選挙以外に、区市町村の選挙管理委員会に対して助言をするという役割がございます。
 そこでお伺いをしますが、都内六十二区市町村における当選証書の通称使用の取り扱いの状況について、どのようになっているでしょうか。通称を付記している自治体数は幾つなのか、東京都選挙管理委員会としてどのような助言等を行ってきたのかについてお伺いをいたします。

○黒田選挙管理委員会事務局長 都選挙管理委員会におきまして調査を実施しましたところ、現在、都内六十二区市町村のうち、十三団体が当選証書に通称を付記しているところでございます。
 また、衆議院、参議院の国政選挙が行われる際には、総務省選挙部より、当選証書への通称付記が可能である旨の通知を受けておりまして、都といたしましては、そうした機会を捉えて、都内の全区市町村に周知を行っているところでございます。

○池川委員 当選証書の通称付記については、都内六十二区市町村のうち、十三団体で実施されているということです。率直にいって少ないというふうに感じます。
 総務省が実際に通知を出しているわけですから、都の選挙管理委員会としても区市町村の選挙管理委員会に対して、あらゆる機会を捉えて、付記ができるということについて周知、助言をしていただきたいということを求めておきます。
 当選証書には、通称が付記をされますが、公報には戸籍名しか載りません。例えば、二〇一七年の東京都議会議員選挙の当選者を知らせる東京都公報も、全て戸籍名のみの記述になっています。選挙の際に通称で立候補された方に投票した有権者が公報を見たとき、当選をしたのに、自分が投票した方の名前がないと感じても不思議ではありません。
 東京都公報における当選人の告示について、通称使用の取り扱いについてはどのようになっているのかお伺いします。

○黒田選挙管理委員会事務局長 当選人の氏名の告示につきましてでございますが、都におきましては、法令及び旧自治省の通知に基づきまして、戸籍名のみを記載しておりまして、通称は付記してございません。

○池川委員 現状は通称付記はされていないということなんです。これは変えていかなければならないと私は思います。
 公報にも、少なくとも通称が付記できるように、都選管としてもさまざまな角度から検討するとともに、これは国に対してもぜひ意見を上げていただきたいということは求めておきます。
 次に、選挙啓発事業について伺います。
 決算当該年度は、次年度に統一地方選挙と参議院選挙が定例で行われることが明らかな中、通常時から選挙啓発事業をどのように行ったのかが問われたと思います。
 さきの参議院選挙は、全国の選挙区選挙で四八・八%、東京都選挙区は五一・七七%と、大変低い投票率としても大きな話題になりました。とりわけ若い世代の投票率が低い状況となっています。
 投票率にはさまざまな要因がありますが、学校教育などと連携をして、主権者教育をいかに進めていくのかが重要だと考えます。
 決算当該年度、東京都選挙管理委員会として選挙啓発の取り組みがどうだったのか、特に若い世代への啓発の取り組みがどうだったのか確認をさせてください。

○黒田選挙管理委員会事務局長 都選挙管理委員会では、有権者の政治意識の向上等を投票率へとつなげるべく、さまざまな啓発事業に取り組んでおります。
 若い世代を対象とした事業といたしましては、小学生、中学生及び高校生を対象に、選挙に対する認識の向上を目的とした、明るい選挙ポスターコンクールを実施しているところでございます。
 また、都内中学三年生全員を対象に、選挙の制度や仕組みをわかりやすく解説した選挙学習冊子「Let's study選挙」の作成及び配布を行っているところでございます。
 さらに、学校での授業の一環として、政治や選挙をわかりやすく説明し、実際の投票を体験していただく選挙出前授業や模擬選挙の実施がございます。
 都選挙管理委員会といたしましては、若い世代の政治意識の向上が図られ、投票率へとつながるよう工夫を重ねつつ、さまざまな取り組みを通じて引き続き啓発事業に取り組んでまいります。

○池川委員 この間、さまざまな自治体やいろいろな団体が選挙啓発、また若い世代への投票率の向上について先駆的な取り組みを行っております。
 ぜひそうした事例についても収集をし、普及をしていただく、そのこともあわせて求めておきたいと思います。
 そして、若い世代への選挙啓発という上で重要な視点として、私は、例えばこういうことができますよとか、こういう取り組みが大切ですよというポジティブにメッセージを出していくことがとても重要ではないかと思っています。
 しかし、東京都教育委員会と東京都選挙管理委員会が出している、例えば選挙啓発カードを見ると、選挙期間中にやってはいけないこととして禁止事項が列挙されています。選挙にかかわる取り組みをやったとしても、実際に選挙前に禁止事項が並んだカードを受け取れば、なかなかその話題に触れて話をするということは起こりにくいというふうに思うんです。これでは、やっぱり啓発というよりは、どちらかというとやってはだめなことがインプットされてしまうということになります。
 もちろん、これは現行の公職選挙法とのかかわりで、何をやってはいけないかということを学ぶこと自体はとても大事だと思いますが、それだけになってしまわずに、きちんとこういうことも取り組むことができるとか、こういう視点で見るのが大事だということがあわせて情報としてなければいけないんじゃないかと思います。
 そういう意味で、禁止事項のみが列挙されている選挙啓発カードというのは見直しが必要なのではないかと、このことは求めておきたいと思います。
 それから、内閣府が二〇一三年に実施した、我が国と諸外国の若者の意識に関する調査というものがあります。これは十三歳から二十九歳を対象に行われたものですが、ここに一つの特徴があらわれています。
 日本も含めて幾つかの国の意識調査となっていますが、その中には、国民の投票率が八五%、また三十歳未満の投票率を見ても八〇%を超えるスウェーデンがあります。
 あなたは今の自国の政治にどのくらい関心がありますかという質問に対しては、非常に関心がある、どちらかといえば関心があるという数を足し合わせた割合では、スウェーデンが四六・四%に対して日本は五〇・一%、日本の方が上回っています。
 一方で、私個人の力では政府の決定に影響を与えられないという設問がありますが、その設問に対しては、そう思わない、どちらかといえばそう思わない、すなわち影響力があると思っている割合を足し合わせると、スウェーデンが四八・九%なのに対して日本は半分の二四・三%となっています。
 そういう意味で、関心はあるけどなかなか投票に向かないような作用がここで働いていることが調査結果からわかります。
 明治大学の鈴木賢志教授は著書の中で、このような意識の差は、目先の政治に対する関心などというレベルではなく、政治とは何か、社会とは何か、それは自分とどのようなかかわりを持つかという、より根本的なレベルの認識が日本とスウェーデンでは大きく異なることを示しています、端的にいってしまえば、スウェーデンは特に政治に関心を持っていなくても選挙には行くということですと述べておられます。
 根本的なレベルの認識という表現を用いていますが、こうした根本的なところから迫っていくことが必要だと思います。
 第二回定例会で、私は一般質問でこの問題を取り上げて、あらゆる場面で子供は権利の主体で尊重される必要があるということを知事に聞きましたら、知事もそういうふうに答弁がありました。
 子どもの権利条約にある意見表明権を最大限に尊重し、子供たちが自分にかかわる問題について参加をできるようにしていく取り組みを行うなど、主権者教育を東京都選挙管理委員会としても充実していただきたい、そのことを求めて質問を終わります。

○森澤委員 私からも、うすい委員、池川委員と同じく、若い世代への選挙啓発についてお伺いをしたいと思うんですが、その前に今、池川委員から選挙における通称使用の話がありましたが、私自身も実際、旧姓を通称として使用して、当選証書に大きく戸籍名が明記されていて、そこに旧姓が併記され、通称が併記されるというところで、私の事務所に置いてありますけれども、結構驚かれる、やはり実際驚かれるものであるなというふうには思っています。
 やはり当選証書や公報において通称がメーンの記載となるよう、これから女性の政治参画ということも進めていくという中では、ぜひ都として働きかけ、取り組んでいただきたいなということを私からも申し述べておきたいというふうに思います。
 さて、質問を二問させていただきます。
 平成三十年度は、国政選挙や知事選、都議選といった都内大型選挙がない年でありましたが、その分、常時啓発に腰を据えて取り組むことができる年であったと考えることができます。
 投票率はそのときの社会情勢や争点、報道量などに左右されることは重々承知しておりますが、本年行われた参議院議員選挙の投票率は五一・七七%、先ほどもありましたが、十代、二十代は三〇%台と低調であったというふうに認識をしております。
 また、統一地方選挙の投票率は全体でも四三・六七%とさらに低調であり、有権者にとって選挙や政治が身近な暮らしと結びついていないことは危惧すべきことであり、投票率の向上を目指す取り組みや主権者教育については、より一層力を入れていく必要があると考えます。これは議員自身の課題でもあるというふうに、私も取り組んでいかなくてはいけないというふうには考えております。
 決算資料を見ますと、選挙常時啓発普及事務は、平成三十年度、千九百六十五万八千六百四十八円となっておりますが、中でも若者に対するアプローチは重要だと考えます。
 若者のコミュニケーションツールであるツイッターなどのSNSを活用した取り組みについて、実績と取り組みにおいて工夫している点についてお伺いをいたします。

○黒田選挙管理委員会事務局長 ツイッターなどのSNSは、発信した情報が拡散され、若年層を初め、多くの有権者の目に触れることが期待できる媒体であると考えております。その利点を生かし、選挙時にはツイッターを活用した広告を実施することにより、広く投票日の周知や投票参加の呼びかけを行うとともに、選挙時に都選挙管理委員会が開設する特設ホームページへの誘導も行っているところでございます。
 常時啓発におきましては、都選挙管理委員会の公式ツイッターによりまして、明るい選挙ポスターコンクールを初めとする各イベントのタイムリーな情報発信に努めておるところでございます。
 SNS等につきましては、情報セキュリティーにも十分配慮しながら、より効果的な啓発が可能な媒体について検討の上、活用してまいります。

○森澤委員 SNS等効果的な媒体を活用していくということでしたけれども、ツイッターなどのSNSは、チラシや冊子などの紙媒体に比べて若者にリーチできる可能性が高いわけですが、一方で、ただその媒体を使っていればいいというわけではなくて、興味を持ってもらえるようなコンテンツを発信していかなくては意味がないと考えます。
 ちょっと直近のものを見させていただいたんですが、残念ながら、ファクトは発信しているものの、それが若者に興味を持ってもらえるような中身にはなっていないのではないかなというふうに感じたところではあります。
 民間の事例ではありますが、広告費に大きな予算をかけることなく、いわゆるSNSの中の人、発信する人の努力、工夫次第で若者へのリーチ向上につながった事例はあり、研究を進めるとともに、ぜひ、選挙管理委員会事務局の若手職員の奮起も期待したいというふうに考えております。
 その際、出前授業で実際に学生たちに話をしている内容や、これまで若者向けに制作した動画や制作物なども利活用しながら、より効果的な発信をするよう工夫を重ねていただきますよう要望いたします。
 次に、主権者教育についてお伺いをいたします。
 自治体の選挙管理委員会と連携をして主権者教育を行っているNPO等も存在します。そういった団体との連携を深め、積極的に若者への啓発を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。

○黒田選挙管理委員会事務局長 都選挙管理委員会といたしましても、NPOとの連携は、若年層啓発を広げていく上で効果的と認識しておりまして、これまでにおきましても、NPO等に対する指導や助言及び投票箱や記載台の貸し出し等を行ってまいりました。
 また、NPO等が選挙出前授業や模擬選挙を開催する際に役立つ動画を初めとするコンテンツをホームページに掲載し、提供しております。さらに、明るい選挙ポスターコンクールにおきましては、主権者教育に取り組んでいただいております団体に、若年層からの審査員を依頼いたしまして、参加をしていただいているところでございます。
 都選挙管理委員会といたしましては、他自治体選挙管理委員会の取り組みも参考にしながら、今後、NPOとの連携に努めてまいります。

○森澤委員 例えば、大学生が中心となって中高生向けの主権者教育と投票率向上に取り組んでいる団体に話を伺うと、近しい世代の大学生がふだん着でグループに入ってきてファシリテーター役をするので、学生の抵抗感が少なかったりですとか、あるいは、学生と同じ目線で、興味を引くエンターテインメント性を重視した授業を行うということができるという利点があり、参加者からも好評というふうに聞いております。
 この団体は、既に都内複数の自治体の選挙管理委員会と連携した取り組みをしているということですが、答弁にありましたが、こうしたいろいろな団体との連携を進め、ぜひ、都の実施する啓発事業に広がりを持たせていただければと思います。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございます。

○米川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○米川委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○米川委員長 これより戦略政策情報推進本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成三十年度東京都一般会計決算中、政策企画局及び総務局移管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○増田委員 それでは早速、私の方からは国際金融都市東京構想に関連する事業について質問させていただきます。
 国際金融都市東京構想は一昨年の十一月に発表されたものでありまして、これは知事のお声がけのもと、金融界の中の各分野のトップ、例えば銀行、証券、生損保、そして資産運用業など、そういったトップの方、それに加えて学識経験者、日銀の方、それから外資系、外銀協会のトップ、そしてシティー・オブ・ロンドンのメイヤー、そういった方々が参集されまして、そしてあらゆる角度から、東京の金融都市としての地位復活のために知見を出し合ってまとめられた構想でございます。
 これは私も関心を持って、この二年間、機会あるごとにその進捗についてお尋ねをさせていただいてきたわけでありますけれども、あるシンクタンクがまとめております国際金融都市ランキングというのがあるわけですけれども、かつては、東京は何しろニューヨーク、ロンドンと並ぶ三大金融拠点の一つといわれておりましたけれども、リーマンショック等々の後、外資系金融がずっと抜けていってしまって、その後は香港やシンガポールといった新興都市の後塵を拝するようになって、しばらくそのランキングでは五位という位置にいたんですけれども、昨年、いよいよ北京にも抜かれてしまいまして、六位になりましたと。
 また、ことしも九月に最新のランキングが発表されましたけれども、やはり六位。そして、それ以外のシドニーですとかソウルですとか、そういうところも後ろに迫ってきているということで、何といいましょうか、喫緊の課題になってきているというところであります。
 もちろん、金融は産業の裏側にあるものですので、そこに必ず人、物、金、そして情報、最新のテクノロジー、これはもう必ず金融センターのあるところにはそういったものが集まってくるものでありますので、今のこのままでいいというはずがないわけでありまして、この取りまとめられました、極めて高い知見を持った人たちによって提言された国際金融都市東京構想、その中にはさまざまな打ち手がうたわれておりますので、ぜひとも進めていっていただきたいと、このように私は思っているわけであります。
 その構想の中では、特に二つのことが強調されておりまして、一つが資産運用業です。
 日本の場合、非常に金融機関は多いんですけれども、個人のお金がたんすに眠ったままになっているということはよくいわれているわけで、それを市場に引っ張り出してきて、そしてさまざまな投融資に向ける、そういう役割を果たす資産運用業、これが東京では確かに弱いといわれておりまして、そこに注力をすべきであるということが一ついわれておりました。
 そしてもう一つが昨今、何しろ大変な勢いで伸びてきておりますフィンテックです。技術をもって、それまで金融界の外にいた人がどんどん今までになかった新しいサービスを金融界に提供し始めてきているという、そういうフィンテック。この海外からの誘致及び国内での育成、こういったこともこの構想の中では強調されているわけであります。
 そのような構想の中でうたわれた打ち手について、この二年間、一つ一つ着実に推進してきているものと伺っておりますけれども、それらについて改めて確認をしてまいりたいと思う次第であります。
 まず最初に、昨年度の金融系外国企業誘致の取り組みにつきましてお伺いしたいと思います。

○小川戦略事業担当部長 金融系外国企業発掘、誘致事業でございますが、東京の金融市場活性化のため、他都市と比べて規模が劣るといわれている、ご指摘の資産運用業者や、あと、金融の高度化につながるフィンテック企業の誘致に焦点を当てた事業でございます。
 事業開始二年目となる平成三十年度事業につきましては、目標企業数十社に対して、資産運用業者五社及びフィンテック企業五社の合計十社を誘致いたしまして、目標を達成いたしました。
 さらに誘致活動を加速するため、都は、今年度から誘致目標を年間十五社に引き上げました。今後とも、多くのすぐれた金融系外国企業の誘致を図ってまいります。

○増田委員 ただいまのご説明で、具体的な数値目標を設定して、資産運用業者、そしてフィンテック企業を中心に誘致活動に注力をされているということ、そしてまた、今年度はさらに積極的にその目標も引き上げられているというところを確認させていただいた次第であります。
 その中での、特にフィンテックにつきましては、成長の可能性も非常に大きいわけでありまして、今は一歩、やはり海外勢が進んでいると思うんですけれども、今後は海外からの誘致のみならず、国内のフィンテック産業の育成というものも重要な課題になるというふうに考えます。
 現在、都は、海外のすぐれたフィンテック技術を取り込んで、国内のフィンテック産業に火をつけるといいましょうか、振興するためのアクセラレータープログラム、これを実施していると理解しております。
 そこで、平成三十年度のフィンテック分野におけるアクセラレータープログラムの取り組み状況について伺います。

○小川戦略事業担当部長 平成二十九年度に開始したフィンテック、アクセラレータープログラムでございます。先進的な技術やビジネスモデルを有する海外のフィンテック企業を対象にしまして、都内の金融機関等とのマッチングなどを通じてビジネス展開を促進して都内経済の活性化を図ると、こういうことを目的としております。
 平成三十年度については、二十二カ国七十七社の海外フィンテック企業からの応募がございまして、参加企業十一社を選定いたしました。
 そして、これらの参加企業が都内の金融機関等の協力を得て、ビジネスプランのブラッシュアップを集中的に行う機会を設けまして、都内企業とのビジネスマッチング、ネットワーキング、ビジネスプラン発表などを行いました。その結果、東京でのビジネスを開始した企業も生まれてきております。

○増田委員 ただいまのご説明で、アクセラレータープログラムによりまして、海外勢と、そして国内勢のマッチングといいましょうか、いろいろ成果の芽が出始めてきているというようなところではないかと思います。
 やはり重要なことは、非常に新しい分野でもございますし、私自身もちょっと正直、もう最近ついていけてないなというところがあるんですけれども、新しいこと、未知のことでございますので、極力その可能性を殺さないように受け入れる行政の懐の深さといいましょうか、柔軟性といいましょうか、そういったものを大事にして、そういう新しい感性を発揮しながら、東京の先進性をうまく融合させて、新しい市場を育てていってほしいというふうに思います。
 そして、次にもう一つ、その構想の中で一つのアイデアとして出されていたものの中に東京金融賞の創設というものがございました。
 これは、国際都市としての一つのプレゼンスを向上するためのものでありますし、東京のそういった取り組みを海外に向けて発信するための一つのツールであると理解するところでありますけれども、昨年度が初年度でありました東京金融賞の創設初年度の取り組み状況について伺います。

○小川戦略事業担当部長 東京金融賞につきましては、都民のニーズ等の解決に資する金融商品、サービスなどの提供、開発を行う金融事業者や、世界的に注目されておりますESG投資の普及を実践する金融事業者を表彰するものでございます。
 創設初年度となる平成三十年度でございますが、外部有識者で構成される審査委員会の審査を経まして、都民ニーズ解決部門においては、例えば、保険金請求の手続が煩わしいといったテーマに対する解決策を提案した金融事業者など三社、ESG投資部門では、八十年近くに及ぶ投資実績を持っている金融事業者など四社を表彰いたしました。
 今後とも、東京金融賞を通じて都民の利便性向上と金融の活性化を実現していくとともに、この賞を国際金融都市東京の象徴にしていきたいと考えております。

○増田委員 ありがとうございます。
 金融賞の内容については、東京の金融当局がどういうことを重視しているのか、あるいはどういう市場をつくろうと目指しているのかということを国内外の金融関係者に伝える、非常に重要なメッセージとなるわけであります。
 そういったものに共感が得られれば、自然と新しい業者は東京の方に目を向けてくれるというか、集まってくるわけで、そういう呼び水にしていただきたいと、こういうふうに思います。
 少なくとも、今ESG、すなわち環境、社会、企業ガバナンス、こういった視点は世界的にも不可欠でありますし、そして人々の利便に供する新しいイノベーションを促すという視点も、これも重要であります。
 その時々の世界のトレンドを意識して、創造的、意欲的なテーマをその都度見直して、設定して、発信していっていただきたいと思います。
 質問としては最後になりますけれども、その構想の中で提案されましたものの一つが、官民連携の金融プロモーション組織であります。これは一般社団法人東京国際金融機構、フィンシティー・トーキョーといわれまして、今年度設立をされました。
 今回の決算の年度中でいいますと、準備が行われたということで、本格的な稼働は今年度からということになりますけれども、この金融プロモーション組織、今後の外資系金融の誘致において革新的な役割を果たしてくれるということは期待されているわけですけれども、昨年度、その設立に向けてどのような検討、取り組みが行われたのかをお伺いします。

○小川戦略事業担当部長 ロンドンやパリなど主要な金融都市では、ご指摘の官民一体のプロモーション組織というものが存在しておりまして、東京が今後、世界に冠たる国際金融都市として輝くためには、同様の組織による積極的なプロモーション活動が必要でございます。
 そのため、都は、国際金融都市東京構想発表後、金融機関及び金融業界団体と組織体制や業務範囲など、プロモーション組織設立に向けて実務的に検討を重ねてまいりました。そして本年四月、前日銀副総裁の中曽宏氏をトップとする一般社団法人東京国際金融機構、フィンシティー・トーキョーを設立し、現在三十四者の金融関連企業、団体が参加する組織となっております。
 今後、フィンシティー・トーキョーは民間の知見やノウハウ、ネットワークを活用しまして、戦略的かつ効果的に国際金融都市東京の魅力の発信や金融系外国企業誘致などの取り組みを進めることで、都とともに国際金融都市東京の実現を目指してまいります。

○増田委員 私もフィンシティー・トーキョーには大いに期待するところでありまして、今後の動向につきましては密にフォローさせていただきたいと思います。
 幾つか質問させていただいてまいりましたけれども、金融センターというのは、そういった外資系の金融機関関係としては、来てくださいといわれなくても本当は自然に集まる、そういうような土壌といいましょうか、下地をつくるのが本当は望ましいわけでありますけれども、いろんな仕掛けですとか呼び水ですとか、それは必要であると思いますが、そういうふうに自然にいろんな関係者が集まってくるマーケットにするためには、やはり最低限、透明な情報開示であったり、あるいは信頼のできる法規制の制度であったり、あるいは東京都とはちょっと関係ありませんけど、信頼できる裁判制度があったりとか、もちろん、そういった海外の高度人材の方々が安心して暮らせる住環境があったりとか、欲をいえば行政手続の英語化の対応が進んでいるとか、そういうような積み重ねが大事なのではないかと思います。
 今、たまたまといいましょうか、先ほどのランキングでいうところの上位の都市のうち、ロンドンは今、ブレグジットで大変なことになっておりますし、ロンドンからほかのヨーロッパの都市の金融機関が逃げていこうかという、そういう状況になっておりますし、また香港は連日報道されているように、民主社会維持に向けてのデモが連日繰り返されているということで、これも皆さん非常に不安に思っていて、ほかに移った方がいいんじゃないかと思っている金融機関もたくさんいるわけでありまして、ある意味チャンスなんです。
 そういう中、東京の今の安定ぶりというのは非常に際立つというか、やっぱり東京いいよねというようなところもあるかと思いますので、そういったことも踏まえて、各打ち手を実践していっていただければと思います。
 最後に一つ、私が最近ちょっと気になっていることは、今いろいろと5Gですとか、いろいろなテクノロジーに関連する政策もさまざまなものが今、盛りだくさん進んでいるわけですけれども、最近、金融という視点がちょっと薄れてきちゃっているんじゃないかなというところが少し懸念しているところでございます。
 もちろん金融そのものはいろんなテクノロジーと親和性が高いので、またフィンテックなんかもその垣根がちょっと曖昧なところもあるんですけれども、やはり金融というくくりは非常に大きな市場ですし、その地位を取り戻すということは、もうそれそのものが最初からすごい大変な成長戦略のそのものでありますので、もちろん、ほかのテクノロジーも非常に大事なんですけれども、ぜひここは曖昧にせずに、金融という切り口を明確に維持していただいて、国際金融都市東京構想、まだまだ進めていっていただきたいと思います。
 そのことを希望いたしまして、要望いたしまして、質問を終わります。

○斉藤委員 私も引き続き、東京の稼ぐ力という観点から、東京を世界のナンバーワンの国際金融都市にしていきたいという、そういう思いも込めまして、呼び水の典型では補助金ですけれども、この補助金の執行率をしっかり見ていくのも決算の重要な役目でございます。そうした角度から、私は質問の重なりを避ける意味で、EMPファンドについて絞ってお話を進めていきたいと思うわけでございます。
 一昨年の十一月に取りまとめられました国際金融都市東京構想は、まさにこのような問題意識に基づくもので、要するに東京を国際金融都市、アジアナンバーワンを目指していこうということでありますけれども、大変野心的な、とても成長戦略として重要な視点だと思いますが、同構想に基づいて、これまで資金運用業者の育成、そして海外金融系企業の誘致、そして東京金融賞の創設、シティー・オブ・ロンドンとの連携など、さまざまな取り組みが展開されてまいりました。
 しかしながら、資産運用業者の育成に係る主な取り組みであります東京版EMPファンド創設に係る補助金事業につきましては、平成三十年度の決算の数字を見ますと、補助金の執行がなく、このことが本部の執行率全体が低くなっている要因になっていると仄聞しておるところであります。
 そこでまず、東京版EMPファンド創設に係る補助金とはどのような事業かを確認したいと思います。

○小川戦略事業担当部長 EMPでございますが、これはエマージング・マネジャーズ・プログラムの略でございまして、新興資産運用業者の育成プログラムのことでございます。これは、機関投資家が新興資産運用業者に投資資金を拠出することで、新人のファンドマネジャーを長期的な視点で育成するために、米国、シンガポールなどで実施されているものでもございます。
 東京都では、国際金融都市構想における取り組みの一つとして、日本におけるEMPの導入を目指しまして、東京版EMPファンド創設に係る補助金制度を創設しております。本制度は、新興資産運用業者向けに運用資金を提供する東京版EMPファンドの運営事業者を募集して、そのファンドから新興資産運用業者に投資が行われた場合に、国内機関投資家の投資額に応じて、東京版EMPファンドの運営費用の二分の一を国内機関投資家等に補助するものと、こういうものでございます。

○斉藤委員 東京版EMPファンドが新興資産運用業者向けに投資が実施されるための呼び水、インセンティブとしてこの補助金--都民の税金です、この補助金を支給する事業であるということは理解できます。
 しかしながら、補助金の執行がないのであれば、その目的を達成できていないのではないかと、都民の目線から見ると指摘しておきたいところなんです。
 そこで、二つ目の質問ですけれども、東京版EMPファンドにつきまして、平成三十年度の新興資産運用業者への投資実績と補助金の交付がなかった理由、それを伺いたいと思います。

○小川戦略事業担当部長 平成三十年度に東京版のEMPファンドの運営事業者、ライトハウス・インベストメント・パートナーズ社が東京版EMPファンドを通じて、約十七億円の投資を都内の新興資産運用業者に対して実施しております。これで、新興資産運用業者への投資が実施されるという、本事業の一つの目的は達成されております。
 しかしながら、投資資金の拠出元が、補助金の支給対象外でございます海外機関投資家であったことなどから、平成三十年度においては補助金の交付実績がなかったものでございます。

○斉藤委員 東京版EMPファンドを通じまして、新興資産運用業者への投資が実施されるという本事業の一つの目的、これ、十七億円投資がされているわけですから、それが達せられたということの確認は今できました。これは評価できると思います。
 一方、資金運用業の育成のためには、補助金交付が呼び水となりまして、国内の機関投資家による新興資産運用業者への投資が促進されることが重要であると、そういうことも重要であると思います。まあ、お金には国境ございませんけれども。
 そこで、東京版EMPファンドにつきまして、今年度の新興資産運用業者への投資実績と、そして補助金の交付見込みを伺いたいと思います。

○小川戦略事業担当部長 今年度も、東京版EMPファンドの運営事業者となっておりますライトハウス・インベストメント・パートナーズ社というものがございまして、本年八月に同ファンドを通じて、昨年度とは別の新興資産運用業者に対して約三十六億円の投資を実施しております。
 また、今年度から新たに運営事業者として認定しているキャピタルアセットマネジメント社が、本年九月に東京EMPファンドを設定しまして、約一億円の投資を、これまでとはまた別の新興資産運用業者に対して実施しておりまして、このファンドについては補助金の交付が見込まれております。

○斉藤委員 決算ですので、今後のことについては事務事業等、ほかの委員会にお任せしますけれども、引き続きまして東京版EMPファンドを通しまして新興資産運用業者向け投資が実施されたこと、ことし、ライトハウス・インベストメント・パートナーズが十七億円に引き続き三十六億円、こうした投資を実施されたし、また、新たにキャピタルアセットマネジメント社が加わってきたということで、今年度については、しかも補助金の交付が見込まれると、それから国内という視点で補助金の交付対象になることが見込まれるということを確認させていただきました。
 このEMPは、東京が国際金融都市として成長していくために大変重要な取り組みである、その考え方は非常に野心的でありますし、ぜひ成功させたい、このように思います。しかしながら、今後も国内機関投資家から大きな投資がなければ、補助金の執行というのが伸び悩むことは、これはもう明確なのであります。
 そこで、東京版EMPファンドにつきまして、これまで補助金の支給が進んでいなかった理由をちょっと明らかにしてもらいたいと思います。

○小川戦略事業担当部長 新興資産運用業者への投資が実施されているにもかかわらず補助金の支給が進んでいないと、この理由でございますが、主な投資資金の拠出元が補助金の支給対象外である海外機関投資家でありまして、国内機関投資家の資金拠出が余り進んでいないというためでございます。
 国際金融都市東京構想は、我が国の金融をエクイティーファイナンスへ移行させてリスクを適切にとる金融マインドを醸成することを目的の一つとしております。しかし、これまでの期間においては、原則として運用実績のないという新興資産運用業者への投資は実施しませんという、国内機関投資家の投資スタンスを転換させるまでにはまだ至っておらないと、こういう状況でございます。

○斉藤委員 都市として東京都ができることには限界がございますが、執行率が低いことの理由の課題として今答弁ございました資産運用業者の育成に向け、補助金以外の方法を含めて、EMPの普及促進、これやっている以上はぜひとも成功させたい、させなければならない、そう取り組むことが重要であると考えます。
 そこで、今後のEMPへの取り組み方を伺いたいと思います。

○小川戦略事業担当部長 EMPは、新興資産運用業者育成のための重要な取り組みの一つでございます。そのため、国内機関投資家による新興資産運用業者への投資が促進されるように、引き続きEMPに関してのセミナーを開催するとともに、補助金制度にとどまらず、EMPの普及促進のためにはどのような取り組みを行うことが効果的なのか検討してまいります。
 また、本年四月に発足しました東京国際金融機構、フィンシティー・トーキョーとも連携しながら、EMPを含め、新興資産運用業者の育成に向けた取り組みを推進してまいります。

○斉藤委員 今後のEMPの取り組みの方向について決意を伺ったわけでございますが、東京におきまして、先ほどの増田委員ではございませんけれども、総合的に、これは呼び水であって、お金はもうかるところに集まってきますから、人は集まってきますから、そういう面では黙っても集まってくるその呼び水として、今最大限ぎりぎりのところまで東京は頑張っているんだなと、このように皆さん、都民にもご理解いただきたいところでございます。
 東京において、新興資産運用業者を育成することは重要だということを確認させていただきました。引き続き、EMPの普及促進を含め、資産運用業者の育成に取り組んでいただくことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
 自動運転について、最後質問したいと思います。
 自動運転につきましては、近年、高齢者などの移動制約者、これは高齢者だけではありません、障害のある方も含めまして、移動制約者といわれる方々がおられますが、その交通手段ともなっているタクシー、バス、こうした公共交通の担い手であるドライバーの方、この方々も高齢化が進んでおりますし、また、今は人口減少ということで、今後のドライバー不足ということは、これはもう人口の動態を見ると非常にはっきりした数字が出てきているわけでございますが、こうしたドライバーなどの担い手不足が顕在化しています。
 こうした社会課題を解決する手段として、自動運転技術には大きな期待が寄せられているわけであります。このことは、私は平成三十年の第一回定例会総務委員会の質疑におきましても確認をさせていただきました。
 私は、自動運転の技術はまさに公共交通の--ひいてはまちづくり全体ですね、そのものの持続可能性、これはいわゆるSDGsにも通ずるものだと考えておりまして、人を中心とした、こうした先端的な技術を一つのツールといたしまして、接続可能な社会を実現していくということは、これは都民にも理解がいただける、非常に重要であると考えています。
 そして、技術開発のスピードも重要でありまして、いつまでも実験段階ではいけません。実験に時間を費やすことだけでなく、できるだけ早期に、得られた研究成果を都民が抱えている社会問題解決のために応用、展開すること、これが重要であると。実体経済や暮らしの中で実際に活用できるようにしていく、いわゆるこれを社会実装というふうに今呼んでおりますけれども、社会実装が求められていると思います。
 そこで改めて、都が自動運転の社会実装に向けた取り組みを実施する意義について確認しておきたいと思います。

○小川戦略事業担当部長 自動運転システムでございますが、渋滞の解消や交通事故の減少が期待できるほか、高齢化に伴う移動制約者の増加や深刻化するドライバー不足への対応など、多くの社会的課題を解決できるポテンシャルを有しております。また、日本の基幹産業である自動車産業の競争力向上や関連市場の拡大など、我が国の成長戦略として大きな意義がございます。
 国内外の開発競争が激化する中、自動運転に関係する多くの民間事業者が集積して、解決すべきさまざまな課題を有する東京において、最先端技術の実証実験を円滑に行うことができる環境づくりを進めることは、極めて重要な意義を持つと考えます。
 また、東京二〇二〇大会を見据えて、競技会場や選手村に近い臨海副都心や、日本の玄関口である羽田空港周辺地域などで自動運転の実証実験を行うことは、我が国の最先端技術を国内外に発信する絶好の機会になると考えます。

○斉藤委員 ただいま答弁いただきましたとおり、国と連携しつつ、東京都が自動運転に取り組む意義は大きいと考えております。
 自動運転が社会実装されていくには、技術開発だけじゃなくて、例えば法律ですとか規則などの制度の部分もありますし、また、事業者の技術の向上というものが非常に重要であります。
 それと同時に、社会や暮らしの中に受け入れられていくこと、こういうことが重要であるとも考えているわけであります。
 東京都では、平成二十九年に自動走行ワンストップセンターを開設いたしまして、事業者が実証実験をいろいろやっていく後押しをしております。
 東京自動走行ワンストップセンターの意義と実績について伺いたいと思います。

○小川戦略事業担当部長 自動運転の実証実験は各国でも積極的に取り組まれておりまして、日本もそれにおくれることなく取り組む必要がございます。
 最先端の自動運転システムの実証実験を実施するには、一定の安全性の確保が求められまして、関係機関などとの個別の調整が必要なことから、平成二十九年九月に、国と共同で東京自動走行ワンストップセンターを設置しまして、技術の精度向上を目指す民間事業者などからの相談などを一括して受け付けております。
 令和元年九月末現在、六十四団体の事業者から、延べ五百十七回の相談などを受けておりまして、例えば、実証実験に必要な手続のアドバイス、関係機関への橋渡しなどへの対応を実施しております。
 こうした支援を実施した結果、全国初となる遠隔型自動運転システムの公道実証など、計二十五件の実証試験が具体化されることに成功いたしました。
 ワンストップセンターの利用者からは、実証実験において求められる関係機関などへの調整をかわりに行っていただき、手続の迅速化につながったと、こういったことなど高い評価をいただいております。
 引き続き、関係機関の協力のもと、実証実験の相談などにスピーディーに対応してまいります。

○斉藤委員 ただいまご答弁ありましたとおり、ワンストップセンターによります後押し、事業者に対する支援、これによりましてスムーズな実証実験が可能となっていると。ストレスをできるだけ周りでサポートして、本来あるべきところに資源とエネルギーを集中していくこと、これは非常に重要なことになるわけですが、そういったことがうまくいっているというお声も上がっているというふうに、今伺ったところであります。
 こうした取り組みが、世界を舞台に競争している自動運転技術の向上につながっているというふうに認識をいたしました。
 技術の向上が図られ、これが社会に実装されることによりまして社会課題の解決に資する、それが都民生活の向上につながっていく、こうなっていくんだと思います。
 社会実装を加速させ、また、こうした技術が都民の方々に理解され、受け入れられていくことが重要であると思いますが、そこで平成三十年度に取り組んだ施策の内容について伺いたいと思います。

○小川戦略事業担当部長 平成三十年度は、ビジネスモデルの構築に向けた調査を行いまして、自動運転技術とIoTなどの先端技術を組み合わせたサービスにつきまして、事業可能性などを検証しまして、サービス提供者の発掘、育成を行ってまいっております。
 具体的には、民間事業者から自動運転プロジェクトを公募しまして、二件選定した上で実証実験を行いました。二件のうち一件は、都心部において、世界初の自動運転タクシーによる営業走行の実証実験を行いました。
 もう一件は、多摩ニュータウンにおいて、既存のバス路線を補完する自動運転バスの運転実験を行いまして、起伏が多い地域での住民などの移動を支援いたしました。
 乗車された方々には、思ったより安心と、または自動運転車のサービスがありましたら利用したいと、こういったおおむね好評でございました一方、補助が必要な乗客の対応はどうするのか、ドライバーがいない状況でトラブルが起きたときが不安だといった声も一定程度ございまして、特に高齢者の方には、ドライバーが同乗していると安心という意識が高いことがわかりました。
 このように、自動運転という新しい技術が都民の理解、賛同を得て、地域社会の中で受け入れられることは、自動運転システムの実用化を促進するための不可欠な要素でございます。
 このため、一般都民向けに自動運転車の試乗会を行うとともに、最新の技術動向や利便性、安全性などを紹介するシンポジウムを開催いたしました。
 こうした取り組みを通じまして、自動運転システムを理解、体感いただくことで、都民の不安をできる限り解消し、自動運転の実証実験を円滑に進めるための環境づくりを行ってまいります。

○斉藤委員 質問は以上なんですが、平成三十年度は自動運転技術の社会実装を加速させるために、さまざまな事業が展開していることを確認させていただきました。
 感想の中に、ドライバーが同乗していると安心だという意識が高いと。確かに、ハンドルを握ってる人がいないと不安なのは当たり前なんですけれども、それもやがて技術の信頼が上がっていくと、別な意味で--見守りは大事です、高齢者に寄り添うという意味で、誰かが世話をしてくれる、会話の相手をしてくれる人が必要だ。これはドライバーじゃなくてもできるわけです。これは、コミュニティバスとかデマンドバスとかタクシーとか見てくとよくわかるんです。もう本当に、地域を巡回してるバスの中になじみができまして、コミュニティが造成されていくわけですが、本当にこういう自動運転などを契機に、運転する手段とまちづくりが融合して都民に受け入れられているような環境をつくっていく、その先端に東京都がいるんだということを都民の方にぜひご理解いただきたいと思います。
 国が二〇一六年一月に閣議決定した第五期科学技術基本計画において、これはもう皆さんよくわかるようにソサエティー五・〇のことですけれども、未来の産業創造と社会変革に向けた新たな価値創出の取組という表題のもとにさまざま書いてあります。ソサエティー五・〇って何なんだと。その社会というのはサイバー空間、仮想的なサイバー空間とフィジカルな現実の空間を高度に融合させるシステム、いろんなことが書いてありますけれども、実際は、この自動運転に参加した方の声に象徴されるように、暮らしの中にそれが受け入れられていることが一番政策的に重要でございますので、ぜひとも、このソサエティー五・〇--これ5Gもそうですから、5Gは非常に大きな話ですけれども、まさしく5Gはその柱でございますが、そういったことに東京都が挑戦する、社会実装を決意していただきまして、専任の副知事も誕生したわけでありますが、こうしたこともあわせてです。少子高齢、人口減少など、東京が今後も持続可能な発展を遂げるためにはどうしても克服しなきゃいけないこういった課題、乗り越えていく課題、こうしたことに挑戦をし続けていただきたいとも思います。
 移動制約を受けた高齢者など、高齢者が一つの先駆となって、障害のある方も、またその恩恵をこうむることもできます。こうした移動支援のツールの確保としての自動運転のバス、タクシーなどが、できるだけ持続可能であり都民の暮らしに実装されていく、自動運転のバスやタクシーが実装されていくことが、ひいては都民に対して東京都が果たすべき責務だともいえると思います。
 東京二〇二〇大会がもう間近でございますので、令和二年度に向けてしっかりと取り組んでいただきたいことを要望して、質問を終わりたいと思います。

○菅野委員 私からも、今の斉藤委員の東京版EMPに関連--まあ、同じような質問になるんですけれども、伺いたいと思います。
 まず、今開催されているラグビーワールドカップ、そして来年の二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会に向けて、世界中が今東京に注目をしているわけであります。そして、海外から訪都外国人の数が非常に増加を続け、東京の都市ランキングも世界第三位ということで、今そういった立場にはあるわけです。
 一方で、先ほども増田委員のお話もありましたけれども、東京の国際金融都市としてのステータスというのは、徐々に低下をしてきているといわれています。アジアの中でも、かつては非常に優位性があったんですが、今はそのアジアの中でも優位性が低下している。国際金融都市のランキングである国際金融センターインデックスでは、東京は香港、シンガポール、上海よりも下位の六位に甘んじているという状況であります。
 そうした状況を受け、都では、アジアナンバーワンの国際金融都市を目指して、おととし国際金融都市東京構想を発表しております。
 その中で、東京市場に参加するプレーヤーの育成を施策の一つに掲げて、東京版EMPファンド創設に係る補助金制度など、エマージング・マネジャーといわれる新興資産運用業者の育成に関する具体的なアクションを行ってきているということであります。
 そこでまず、改めて都がEMPを支援する必要性、意義について何なのかお伺いしたいと思います。

○小川戦略事業担当部長 海外では、次世代の資産運用業者の発掘、育成や運用先の多様化という目的で新興資産運用業者に運用資金を拠出するEMP、エマージング・マネジャーズ・プログラムが推進されております。しかし、日本ではEMPが導入されていないため、海外で行われているEMPを参考にしつつ、国内機関投資家にEMPの活用を促進するインセンティブを付与することで、東京版EMPの導入に取り組むことといたしました。
 東京版EMPの導入によって、資産運用業の裾野を広げて業者間の競争を活性化することによって、資金を預ける都民やリスクマネーの供給を受ける都内中小企業などがメリットを受けられる環境を創出してまいります。

○菅野委員 都がEMPを直接支援するという意義は理解できるんですが、先ほどの斉藤委員のお話じゃないですけど、この事業の執行率という点を見ますと、平成三十年度において、運営事業者の一社が東京版EMPを導入し、新興資産運用業者への投資は実際に行われたと先ほども答弁がありました。しかしながら、補助金の支給がなかったようであります。
 制度の目的の一つである国内機関投資家からの投資がなかったことが、恐らく理由であったようですが、そこで、東京版EMPについて補助金支給に至らなかった背景、そして、EMPを普及させるために都がこの間行った取り組みについて伺いたいと思います。

○小川戦略事業担当部長 平成三十年度につきましては、東京版EMPファンドを通じて新興資産運用業者への投資が行われましたが、運用資金の拠出が補助金の支給対象外である海外機関投資家であったため、補助金を執行することができなかったと、こういうものでございます。
 その背景でございますが、国内機関投資家は、過去の運用実績を重視するケースが多うございまして、新興資産運用業者に運用資金を拠出するのは難しいためと、こう考えております。そのため、都では、EMPの認知度向上を図るべく、EMPへの資金の出し手となる国内機関投資家などにセミナーを開催するなど、EMP導入の必要性を発信して啓蒙活動を行ってまいりました。
 今後も引き続き、国内機関投資家に対してはEMP導入の働きかけを行ってまいります。

○菅野委員 補助金の支給には至らなかった背景、これはおおむね大体そうだろうなということで理解はできているわけですが、やはり、せっかくこれだけの制度をつくるわけですから、構築する上での見きわめが少し甘かったのではないかというふうにいわざるを得ません。
 その上で、この補助金制度の創設や都のアナウンスメント効果によって、東京版EMPの導入と新興資産運用業者への運用資金の拠出を実現したことについては、評価できるものと考えます。
 東京版EMPのように、新興資産運用業者を育成することは重要な取り組みであると考えますが、対象が、ものづくりなどを行う事業会社ではなくて資産運用会社という、一般の都民には余りなじみのない業態であることから、都事業として都民や都内中小企業へのメリットがわかりにくいと思います。
 そこで、東京版EMPの導入など、新興資産運用業者を育成する取り組みにより、都民や都内中小業者には具体的にどのようなメリットがあるのかお伺いしたいと思います。

○小川戦略事業担当部長 新興資産運用業者を育成することで、資産運用業者が増加しまして、都民により魅力的な運用商品が提供されて選択肢が広がると、こういうメリットがございます。
 さらに、国の進める貯蓄から投資への流れを後押ししまして、都民の健全な資産形成への寄与も期待できます。
 都内の中小企業にとっては、特に設備投資など、前向きな資金需要に際して、銀行借り入れ以外にも出資の形で資金供給を受けられるというような形になりまして、資金調達の選択肢が広がると、こういったものと見込んでおります。

○菅野委員 新興資産運用業者を育成して、今ご答弁いただいたような、さまざまメリットがあるわけですが、それを着実に生むためにも、もう一つは、お金をしっかりと回すというか、さっきのお話じゃないですけど、たんす預金じゃないけど、そういったものをしっかりと市場に出してもらう。そのためにも、制度の目的の一つである、国内機関投資家からの資金をしっかりと取り込んでいけるかが重要だと思います。
 そのためにも、国内投資家たちにこの制度がもっと響く、そのことが必要じゃないかと思います。
 ちょっと残念ながら、昨年度に比べ、この補助金支給に係る今年度の予算については減額をされております。
 多分執行率が低かったとか、なかったということで、そういうことであろうかと思いますが、この制度自体は、先ほどの斉藤委員のお話じゃないですけど、やはり重要な制度だと思いますし、しっかりと取り組んでいただきたいという気持ちからも、制度をさらに推し進めるために、今後も引き続き、海外だけではなくて、国内の機関投資家からの投資が行われるように、啓蒙活動などさらに工夫をして、一層尽力をしてほしいと思います。そのことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
 次に、島しょの超高速ブロードバンドサービスの整備状況について伺いたいと思います。
 我が党は、島しょ地域における情報通信格差を是正するために、光ファイバーケーブルが敷設されていない地域である伊豆諸島の利島村、新島村、神津島村、御蔵島村及び青ヶ島村の五村六島への整備を速やかに進めることを、政策提言の一つとしてこれまで掲げてきました。そして、提言の実現に向けて、これまで都に対して超高速ブロードバンドの早期整備実現を強く訴えるとともに、国に対して財政支援を求める緊急要望などを実施し、財源の確保にも精力的に取り組んでまいりました。
 こうした活動が実を結んで、国の平成二十七年度補正予算において補助財源が確保され、平成二十八年度より海底光ファイバーケーブル整備工事が始まったところであります。
 昨年の本分科会で、我が党の大場委員の質問に対し、平成二十九年七月から神津島、御蔵島、平成三十年六月からは新島、式根島において、超高速ブロードバンドサービスの提供が開始されたとの答弁がありました。
 また、利島、青ヶ島においても、海底光ケーブルの整備を進めているとの答弁もいただいております。
 そこで、まず五村六島における超高速ブロードバンドサービスの整備の進捗状況について伺いたいと思います。

○戸井崎ICT推進部長 今お話がありましたとおり、神津島、御蔵島、新島及び式根島では、既に超高速ブロードバンドサービスを提供しております。また、利島では平成二十九年度から、青ヶ島では平成三十年度から整備に着手しております。
 しかし、利島及び御蔵島におきましては、昨年の九月、台風二十四号の接近によりまして被害が発生したために、被害状況の確認等再発防止に向けた検証を実施いたしました。
 このため、御蔵島においては復旧工事を行うとともに、利島においては工事予算の事故繰越を行ったところでございます。

○菅野委員 今答弁があったとおり、昨年の台風二十四号により被災をして、利島での工事がおくれているとのことであります。また、先週の台風十九号においても、NTTの海底光ケーブルが故障し、新島、式根島、神津島では、インターネットや携帯電話がつながりにくくなった状況になり、十五日には復旧したと聞いています。
 光ファイバーケーブルが断線するということは、島民生活に多大なる影響を与えるとともに、その影響は島への旅行など、島外にまで及ぶものであります。
 いうならば、光ファイバーケーブルは今や、水や電気などと同様に、島しょ生活や地域産業を支える重要なライフラインであります。
 そこで、昨年の台風二十四号の被害の状況を踏まえた対策と今後の対応を伺いたいと思います。

○戸井崎ICT推進部長 台風第二十四号による被害内容は、台風を起因とした転石により、海底から陸上へのケーブル陸揚げ区間におきまして、ケーブル防護管が損傷し、利島では断線が発生いたしました。
 この台風被害を踏まえまして、利島及び青ヶ島につきましては、台風の影響を受けない工法で施工していくことといたしました。
 具体的には、海底地下部を掘削しケーブルを通す工法へと変更をして、地盤の状況を慎重に確認しながら工事を進めてまいります。
 引き続き、災害に強い安定した通信環境の実現に向け、努めてまいります。

○菅野委員 我が党の島しょ出身の三宅正彦議員のスローガンは、島は東京の宝であります。今後、ADSL回線が光アクセス回線に切りかえられていく中で、島しょの光ファイバーケーブルは、一般島民にとって極めて重要な通信手段となります。
 残る利島、青ヶ島についても、可能な限り早期に整備を図り、伊豆諸島五村六島の情報通信格差是正を確実になし遂げることを強く要望して、質問を終わります。

○池川委員 私からは、自動運転について質問したいと思います。
 自動運転技術については、期待の声とともに、安全面を中心に課題も指摘をされているところです。
 東京都は昨年度、ビジネスモデルの構築に向けた調査検討の中で、大手町-六本木間で都心部における自動運転タクシーの営業運行、多摩ニュータウンでの自動運転バスによる移動手段創出に係る実証の、二つのプロジェクトを行いました。
 二つのプロジェクトがありますが、多摩ニュータウンで行われた自動運転バスの問題を中心にお伺いしたいと思います。
 初めに、昨年度行われた自動運転バスの実証実験の概要と得られた知見はどのようなものだったのか、その内容についてお示しいただきたいと思います。

○小川戦略事業担当部長 昨年度のプロジェクトでは、自動運転車両に乗車された方々から、思ったより安心、自動運転車のサービスがあれば利用したいといった反応を得ることができました。
 一方で、路上駐車車両などを回避するための、予期しない走行ルートの変更や、急ブレーキのときのぎこちない挙動、GPSが届きにくい場所での通信の安定性の確保など、技術面での改善の必要性も課題として得られたところでございます。

○池川委員 私も実際に試乗された方からお話をお伺いしましたが、起伏に富んだ地形の中で、どこに行くにも基本的には行きは下りで、帰りは上りで帰ってこなければならない、買い物などにも困難を抱えている、この解消につながるという、大変期待の声もありました。同時に、今答弁にもありましたが、走行そのものについてはもっと改善してほしいと、素人レベルから見てもそのように感じるところが幾つも意見としてありましたので、お伝えをしておきたいと思います。
 特に、安全性の確保については、乗った立場からも、やっぱりここがなければ安心して地域で走るというのは、なかなか難しいんじゃないかという声もいただいております。
 国の自動走行ビジネス検討会が採用しているSAE、ソサエティー・オブ・オートモーティブ・エンジニアーズの自動走行レベルの定義によると、レベル一が運転支援、レベル二が部分運転自動化、レベル三が条件つき運転自動化、レベル四が高度運転自動化、レベル五が完全運転自動化と定義づけられております。
 レベル一からレベル二までは、運転者が一部または全ての動的運転タスクを実行するのに対し、レベル三以上になると、自動運転システムが全ての動的運転タスクを実施するという内容でございます。
 すなわち、レベル三以上の自動運転、ここの安全面の課題がとても重要になってきます。
 例えば、条件から外れたら直ちに運転者がシステムを引き継ぐことができるのかという点について、運転の安全性を確保ができるという明確さがまだ足りないという指摘がございます。
 一方で、システムから引き継ぎの要請があれば、何秒あれば十分な対応ができるのかについては、国際的にも今議論が行われているところで、現状では安全な引き継ぎを確立できていない。このことをきちんと踏まえた対応が必要だと思います。
 また、運転者に引き継がれるまでの減速の運転などで、安全に自動運転を継続することや、車両を自動で安全に停止させる機能などは、自動運転を実用化する上で必須になってまいります。
 自動運転を適切に行うためには、当然、自動運転装置を備えた車両が要るわけです。
 しかし、現段階では、各メーカーとも確実な安全運転車の開発を、率直にいって見通せるという状況にあるとはいいがたく、このような開発状況、国際的議論の状況で、レベル三の自動運転を実用化することには慎重さが必要だという意見があり、例えば期限を決めて実用化するということになると、やっぱり安全確保を第一に取り組まなければならないということは申し上げておきたいというふうに思います。
 今回のプロジェクトの中で得られた知見をどのように活用していくのか、その方策について伺いたいと思います。

○小川戦略事業担当部長 今年度も引き続き実証実験を実施いたしまして、移動サービスの事業可能性、そして先生ご指摘の技術的な課題などを明らかにいたしまして、早期の事業化を後押ししてまいります。
 また、一般都民向けに自動運転車の試乗会を行うほか、最新の技術動向、利便性、安全性をご紹介するシンポジウムを開催して、機運の醸成を図ってまいります。

○池川委員 引き続き、実証実験等を重ねて行い、課題を明らかにしていくということです。
 試乗会、最新の技術動向、シンポジウムの開催等、こうしたものをきちんと広く都民に周知していくのはとても重要だと考えます。
 民間シンクタンクの意識調査の中でも、自動運転に不安があると答えた方の割合が約半数となっているものもあります。
 そこで、きちんと都として得られた知見について情報提供をしていく。実際に使うことと技術の紹介というのは、やっぱり技術の紹介がきちんとなければ、実用化を受け入れるとなかなかならないと思いますので、情報提供については、都としてもぜひ得られた知見を活用していただきたいと思います。
 国の自動走行ビジネス検討会の座長を務められている東京大学の鎌田実教授は、移動できることによって、特に高齢者が家に閉じこもりがちにならずに、外でいろいろな刺激を受けること。また、移動手段があると出かけた先で歩くことが多くなる、健康増進が期待できるなど、移動手段の整備が医療費、介護費の削減につながるだろうと考えられています。この相関性がもっと大規模に実証できれば、自治体が移動手段整備に対してもっと予算を投資しても、トータルで見れば、医療費削減や市民のQOLが向上するなどメリットが得られると思いますので、いずれきちんとエビデンスをとる必要があります。また、あくまで自動運転は移動するための手段であることを再認識すべきです。自動運転の技術革新はもちろん重要ですが、そもそも自動運転によって移動手段を確保する目的がないといけません。そしてこの目的こそ、まちづくりですというふうに述べられていらっしゃいます。
 私は、自動運転は手段であり、新しい技術を徹底的に暮らしの役に立つ方向に使っていくことが必要だと考えます。そこでも当然、安全確保を第一にしながら、特に、都内でも課題となっている移動保障、移動支援の取り組みを中心として、立体的に問題を解決していく方向に進む必要があると考えます。
 そこでお伺いをしますが、自動運転技術を含めた新たなモビリティーについて、特に移動制約者の移動保障、移動権という視点が重要だと考えますが、都としてはどのように認識をされているでしょうか。

○小川戦略事業担当部長 委員のお話のとおり、超高齢化社会などを迎える東京にとって、移動制約者の移動手段の確保は重要な課題でございます。自動運転技術は、移動制約者の増加や深刻化するドライバー不足などの課題を解決する技術として期待されております。
 こうしたことから、引き続き、自動運転技術を活用した交通サービスの実証実験を支援してまいります。

○池川委員 移動制約者の移動手段の確保は重要な課題だと認識されているということ自体、大変重要だと思います。
 今、CASEやMaaSなどの議論が活発に行われておりますが、社会課題になっている問題をクリアしていくために、新しい技術を活用していくことが期待されます。この自動運転も、その手段の一つだと思います。その技術を暮らしている人たちに役立つように変えていく。これをしっかりと都としても見ていただきたいと思います。
 その意味で、現実に都内各地で移動手段に困っている方々、また、現時点では困っていなくても、この先困難になることが予想される方々と問題意識を共有していくことが、この分野はとても重要だと思います。
 また、誰もがこうした新しいモビリティーにアクセスできるようにしていくことが必要です。
 国の議論の中でも、交通と福祉の連携ということが、自動運転の問題を中心に議論をされているところでありますが、こうした視点も都政としてしっかりと持ち、移動保障、移動手段の確保という切り口から議論を行っていただきたいと思います。
 繰り返しになりますが、これを行う上でも、やはり安全確保が第一だということだと思います。これがなければ、やっぱり信用が得られないというふうに考えますので、その点に留意して、引き続き取り組みを進めていただきたいということを求め、質問を終わりたいと思います。

○森澤委員 私たち東京みらいは、東京大改革の先にある東京の未来、すなわちそれは多様性に支えられた活力ある東京だと考えます。その実現に向けては、都の限られたリソースの選択と集中により、世界から人、物、お金、情報を引きつける磁力につなげ、真の稼ぐ力をつけていくことが必要です。
 そういった中で、民間の力が最大限生かされるよう取り組みを進めていくこと。とりわけ外国企業誘致の重要性は認識するところです。
 外国企業発掘・誘致事業について伺います。
 改めてこの事業の目的は何か。つまり、外国企業発掘、誘致した先にどういった東京を見据えているのかお伺いをいたします。

○米津特区推進担当部長 東京が世界のメガシティーといたしまして、また日本の首都、経済のエンジンといたしまして、国際的な都市間競争に勝ち抜く成長を生み続けるためには、ご指摘の外国企業誘致により経済の活性化を図っていく必要があると、このように考えております。
 とりわけ、第四次産業革命関連企業や金融系外国企業の誘致を加速させまして、都内企業との協業などによりまして、外国企業の持つすぐれた技術やノウハウの活用を促進します。さらに、そうしたことによりまして、生産性向上や新事業の創出、イノベーションの活性化などを目指しているところでございます。

○森澤委員 イノベーションや新たな価値創出は、開かれた、オープンな競争環境で生まれていくことは事実であり、そういった意味で、外国企業の参入を促すことは非常に大切です。
 一方で、億単位のコストをかけて行っている事業であり、外国企業を発掘、誘致した先に、東京のどのような未来像が見えるのか、都民の皆様にとってどのような豊かな生活につながるのかといったことも示していかなくてはいけないと考えるところです。
 先般、未来の東京への論点で示された二〇四〇年代を想定したイメージには、世界をリードする東京の中で目指す東京のイメージ例として、ソサエティー五・〇が実現した世界一のデジタル都市東京、世界中から人、物、金、情報が集まる世界一オープンな東京、次々と新しい産業が生まれる世界一のスタートアップ都市東京、世界一の高い生産性を実現した世界経済を牽引する東京が示されています。
 もちろん、皆さんの事業、こういった目指す方向性と連動させて遂行されていくのだと思いますが、実際に誘致した企業がそういった目指す東京に寄与しているのか、また、時代の変化が早い中で、どういった企業を誘致するべきなのかは適宜見直していっていただきたいというふうに考えます。
 さて、外国企業発掘・誘致事業では、二〇一七年から二〇二〇年度の四年間で、外国企業を、四百社以上の誘致目標を設定しています。平成三十年度は、第四次産業革命関連分野十社、金融系分野十社の、合わせて二十社の実績と聞いています。この実績はどのタイミングで誘致できたとカウントしているかというと、その企業の投資計画の中で、社として日本に進出する意思決定をしたタイミングと捉えているというふうにお伺いをしております。
 一方で、拠点を設立したものの、本国の経営方針の転換等により、短期間で撤退するといったようなことも考えられると思います。
 進出した外国企業の都内への定着支援のために、どのような取り組みを行っているのかお伺いをいたします。

○米津特区推進担当部長 進出外国企業の都内でのビジネス展開を支援するため、東京都では、平成三十年度より、専門のコーディネーターが外国企業と都内企業のニーズをきめ細かく把握いたしまして、効果的な引き合わせなどを実施しますパートナーシップ支援事業というものを開始しております。
 本事業におきましては、都内企業との引き合わせ機会の提供だけではなく、その後の協業に向けました提携や交渉といったものの継続的なフォローアップなどの支援も実施しております。
 さらに、今年度から事業を本格稼働させておりますけれども、いわゆるエコシステム形成促進事業におきましては、支援対象となった大手町、丸の内、有楽町、渋谷、虎ノ門、赤坂、六本木といった各エリアが取り組む実証実験等の共同プロジェクトの実施に当たりまして、外国企業の参画を要件とするなど、外国企業と都内企業が円滑に協業などを進めるための支援を行っているところでございます。

○森澤委員 継続的なフォローアップ等を実施されているということです。
 本国の経営方針の転換など、やむを得ない部分もあるとは思いますが、ぜひ行政、都の取り組みによって取り除ける壁は取り除いていっていただきたいと期待するところです。
 もしも撤退してしまった場合でも、その要因を分析することは、東京のビジネス環境をブラッシュアップする種ともなり得るわけですので、ネガティブに捉えずに、ぜひ生かしていただきたいと感じるところであります。
 外国企業発掘・誘致事業について、平成三十年度の決算数値は三億八千万円余りであり、誘致実績は先ほど二十社ということでしたが、この費用対効果というのは、なかなか判断するのは難しいとは感じるところではありますが、実際に経済的効果はどれくらい出ていると捉えているのかお伺いをいたします。

○米津特区推進担当部長 都では、平成二十四年度から平成三十年度までの七年間の事業を通じまして、計百二十社の外国企業を誘致しまして、累計事業費は約二十五億円ということになってございます。
 これに対しまして、ご指摘の誘致外国企業の人件費などを含む直接的な投資額でございますけれども、三百八十五億円余りと、このように試算しておりまして、約十五倍の経済的な効果となっているというふうに考えてございます。

○森澤委員 約十五倍の経済効果が出ていると捉えているということ、一定の実績というか、効果ということですけれども、現在この経済効果、波及効果を投資額で捉えているということですが、恐らく税収入の増なども一つの成果としてはかっていけるものではないかと思いますので、そのあたりの数字を成果として捉えることもぜひ検討していただければというふうに思います。
 続きまして、外国企業誘致の主な取り組みの一つに、海外で現地企業に東京への進出を積極的に働きかけし、発掘、相談に乗る活動拠点としてアクセス・ツー・トウキョウがあります。ロンドン、パリ、サンフランシスコの三カ所に加えて、平成三十年度からはシンガポールも加わり、四カ所に窓口を設置しているということです。
 平成三十年度の決算額は、この四拠点合わせて約一億円ということですが、アクセス・ツー・トウキョウの平成三十年度の実績についてお伺いをいたします。

○米津特区推進担当部長 平成三十年度におきましては、アクセス・ツー・トウキョウを通じまして四千二百二十九社の外国企業へのコンタクトを行いまして、三百六十八社との面談を実施いたしました。
 そのうち九社が都の誘致事業の対象外国企業となってございまして、また、八十七社から東京都アクセラレータープログラム、いわゆるビジネスキャンプ東京でございますけれども、こちらへの応募があり、東京進出を検討していると、このように考えております。
 またさらに、本年八月のInvest Tokyo セミナー in 香港の実施に合わせまして、香港スペシャルウイークと題しまして、アクセス・ツー・トウキョウによる集中的な現地プロモーションを実施いたしまして、約十社の現地ハブ機関や企業などとの面談を行うなどの取り組みも進めているところでございます。

○森澤委員 前年度の平成二十九年度の実績では、三拠点、三千三百二十一社とコンタクトし、百五十六社と面談、三社を誘致、さらに二十九社がアクセラレータープログラムへの応募をしたということだったので、平成三十年度は拠点が一つふえているので、一概に比較はできないとは思いますが、その拠点、アクセス・ツー・トウキョウの拠点としての機能を着実に発揮しているのかなと感じるところではあります。
 一方で、シンガポールに先日行った際に、ちょっとインターネットに出ている住所を頼りにアクセス・ツー・トウキョウを訪れようとしてみたんですけれども、業務委託先のオフィスがあるのみで、表示なども出ておらず、まあ、そういうものではないといわれてしまえばそうなんですが、せっかく拠点を東京として置いているものですから、あらゆる機会を捉えて、現地企業に東京を進出先として認識してもらえるような存在感を発揮していただきたいなというふうに思ったところでありますので、そのあたりちょっと検討いただければと思います。
 昨年の決算特別委員会の奥澤都議の答弁の中で、外国に駐在する日本企業関係者との連携を強化するなどして、コネクションの構築の取り組みを行うというふうに答弁がありましたけれども、実際、平成三十年度はどのような取り組みを行ったのか、その結果どのような成果につながったのかお伺いをいたします。

○米津特区推進担当部長 アクセス・ツー・トウキョウでは、在外公館やジェトロといいます現地の日系関係機関と連携いたしまして、日ごろからイベントのPR協力などの取り組みも実施しております。
 こうした支援活動が、実際の有望な外国企業の東京でのビジネスにつながってきていると、このように認識しております。
 また、各拠点で年三回程度でございますけれども開催する現地の外国企業向けのミニセミナーなどを行ってございますけれども、これにおいては、今年度新たに外国駐在の日系金融機関などと連携したミニセミナーを実施してございます。
 その結果、約二十社の外国企業が参加いたしまして、日本企業とのネットワーク構築が行われたほか、多くの有望な外国企業の発掘につながったところでございます。

○森澤委員 さまざまな取り組みにより、実際、有望な外国企業の東京でのビジネスにつながってきたりですとか、あるいは有望外国企業の発掘につながってきているということを理解いたしました。
 一方で、今後この成果をはかる指標として、こういった取り組みによって、ほかのライバル都市に比べて東京が存在感を出しているのかどうかということに着目すべきではないかと思うところです。それぞれの都市での、企業の海外進出先としての東京の認知度、進出意向などを定期的にはかるなどして、成果をはかっていくことも重要であるというふうに申し述べておきます。
 また、外国企業が実際に東京に進出してきたときの受け皿として、当面のオフィスの確保なども課題になると思います。都では、そういった相談にも応じ、紹介などを随時しているということですが、現在、インキュベーション施設の補助をしている産業労働局などと連携して、例えば、多言語対応可能なインキュベーション施設の整備を支援する、そういった取り組みも検討いただければというふうに思います。
 次に、アクセラレータープログラムについてお伺いをいたします。
 平成三十年度の外国企業向けアクセラレータープログラム、ビジネスキャンプ東京では、テック分野で十三社、先ほどありましたが、フィンテック分野で十一社の参加があったというふうに聞いています。
 本プログラムは、先進的な技術を有する外国スタートアップ企業と都内企業とのマッチングを通じ、東京におけるイノベーションの創出と都民生活の利便性向上、都内経済の活性化へとつなげることを目的としていることですが、参加した外国企業の都内でのビジネス展開も重要であると考えます。
 このためにどのようなことを行っているのか、平成三十年度の実績、都の取り組みについてお伺いをいたします。

○米津特区推進担当部長 参加外国企業の都内でのビジネス展開につながるよう、プログラムの実施に当たりましては、都内企業とのマッチングを重視しておりまして、平成三十年度は、外国企業と都内企業との間で延べ百六十四件の提携に向けた交渉、面談が行われているところでございます。
 また、大手企業の協力もいただきまして、メンタリングなども行っているほか、都内のスタートアップ支援機関と連携いたしまして、PR機会を提供するピッチなどのプログラムを実施しております。
 また、約二カ月のプログラムの期間の終了後でございますけれども、同一年度内におきましては、フォローアップ期間といたしまして、参加外国企業と都内企業とのマッチング支援を実施しております。
 さらに、翌年度以降は、ビジネスコンシェルジュ東京が本プログラムに参加いたしました外国企業の情報、ニーズや都内企業とのマッチング状況などを適切に引き継ぎまして、継続的なサポートを行っているところでございます。

○森澤委員 実際にビジネス展開につながっている企業が数社あるというふうに聞いています。ご答弁にありましたが、参加した外国企業は、ビジネスコンシェルジュ東京に引き継ぎ、継続的なサポートを行っているということですが、せっかく日本に来て活動した企業を逃さず、実際のビジネス展開につながるよう、コミットメントをぜひ強めていただきたいなというふうに考えます。
 また、そもそもアクセラレータープログラムは民間企業においても数多く実施されている中で、どこまで行政が主体的に取り組むのかという役割分担が非常に難しいと考えるところでもあります。今後のビジネス支援における官民連携においては、この事業での成果と課題を含め生かしていけるように、しっかりと検証と議論を重ねていただきたいというふうに考えます。
 ここで、外国企業誘致に関して、総論として最後に意見を述べさせていただきたいと思います。
 先ほど増田委員からも、自然に金融に関して流入できる環境をというようなご指摘であるとか、斉藤委員から、あくまでも呼び水としてというようなお話もありましたけれども、未来の東京への論点での、将来を見据えた場合の東京の強みと弱みの中でも、国際競争を勝ち抜くビジネス環境が整っていないという指摘が東京についてされています。世界中から人や企業を呼び込む環境づくりが不十分として、各種規制を初めとした制度上の問題、外国のエグゼクティブクラスの滞在環境に課題、英語が公用語でないなどが挙げられています。
 これは、これまでもたびたび指摘されていることで、皆さんも重々承知の事実だとは思いますが、また地震や先日の台風のような自然災害が頻発することは、外国企業においては残念ながらリスクと捉えるところもあります。
 現時点では、予算をかけて外国企業を誘致していくことは一定の理解をし、また成果は出ているということは認識するものの、誘致を加速度的に進めるためには、やはり東京が先ほどのような課題を克服する以外にはないと思います。
 こういった課題がクリアされれば、正直それほどの予算をかけなくとも、市場原理によって、東京をビジネス環境として魅力的だと感じ、外国企業が積極的に参入してくるというのは、いうまでもないことでありますが、その環境整備こそ行政、東京都にしかできないことであり、国への要望も含め、ぜひとも注力していっていただきたいと改めて申し上げておきます。よろしくお願いいたします。
 続きまして、自動運転の社会実装に向けた取り組みにつきまして、少しかぶってしまう部分もありますが、割愛しつつ質問させていただきます。
 昨年実施された公道における自動運転タクシーによるサービス実証実験に、私も参加をさせていただきました。
 この実証実験は、自動運転の車に有料で人を乗せて公道を走るという点で、世界初の取り組みということでした。肝心の乗り心地はといいますと、大手町、六本木というかなり交通量の多いルートにおいても、急な割り込みや車線変更にも対応していて、かなりの精度だなというふうに感じました。
 周囲の交通状況によって左右されるものですが、時折ブレーキがきついと感じる場面もありましたが、それは、普通にドライバーが運転している通常のタクシーでも起こり得る程度だなという感覚でした。
 タクシー会社としては、ドライバーの高齢化や人手不足への対応に苦慮しており、例えば、決められた二地点間の往復であったり、体力的な負担が大きい深夜の走行などにおいて自動運転を活用できないかという声が出ているということでした。さらに、高速道路の走行などにも有効ではないかと指摘する声もあります。
 また、先ほどドライバーがいないから心配という声が上がっていたという話がありましたが、一方で、乗る側からすれば、車内でドライバーを気にせずに仕事をしたりとか電話をすることができる、それに集中できるというのもメリットだというふうに考えます。
 平成三十年度の決算では、ビジネスモデルの構築に向けた調査検討費用が三千九百九十二万七千六百円ということですが、取り組みの中でどのような課題を把握することができたのかお伺いをいたします。

○小川戦略事業担当部長 昨年度のプロジェクトでは、自動運転車両に乗車された方々から、思ったより安心と、サービスがあれば利用したいと、おおむね好評の反応を得られました一方で、お話しいただきましたとおり、ドライバーがいない状況で体調が悪くなったりしたら不安だと、こういった声が一定程度ございまして、特に高齢の方には、乗務員などがいらっしゃると安心だという意識が高いということがわかりました。
 また、路上駐車車両などの回避や急ブレーキ時の挙動、通信の安定性など、技術面での改善の必要性も見つかったところでございます。

○森澤委員 では、今把握したような課題を今年度のプロジェクトにどう生かしていくのかお伺いいたします。

○小川戦略事業担当部長 今年度も引き続きまして、民間事業者から自動運転技術を活用したプロジェクトを募りまして、都心部での自動運転タクシーの実証実験と、観光客の移動手段としての有効性を検証する八丈島での自動運転バスの実証実験の二件を実施いたします。
 今年度の実証では、自動運転車両のセンサーやカメラの精度を高めて、スムーズで快適な走行を目指して実施いたします。
 乗務員の方がいた方が安心だという声については、AIカメラなどを活用した車内の監視によって、緊急時に外部とすぐにつながったり、乗客が不安を払拭できるような技術の実証実験を今後も引き続き検討してまいりたいと思っております。
 また、今年度はMaaSの視点を新たに取り入れまして、スマートフォンのアプリ一つで複数の交通サービスの予約、決済から乗車までシームレスに行えることでさらなる利便性の向上を目指せないかと、こういったプロジェクトを行う点に特徴がございます。
 このように、昨年度からステップアップした内容で事業可能性をより高めて、早期の事業化を後押ししてまいります。

○森澤委員 今回やったこの実証実験、平成三十年度に行ったタクシーの実証実験は世界初の取り組みで、海外メディアによる発信もあり、海外からの問い合わせもあったというふうに聞いています。この取り組み自体が海外に向けて東京の先進性をアピールすることにつながっているというふうに考えます。
 自動運転に限らず、世界に発信できる先進的かつ社会課題の解決に資する実証実験を今後も積極的に行っていただき、東京のプレゼンスを高めていただきたいというふうに要望をいたします。
 続きまして、自動運転の社会実装に向けた取り組みについて大きな役割を果たしている自動走行ワンストップセンターについては、先ほど質問がありましたので、こちらも意見だけ述べさせていただきます。
 実績としては、六十四団体の事業者から延べ五百十七回の相談、そして実証実験二十五件につながったということで、着実に成果が上がって、こちらは外部委託ではなく職員の皆様が電話を受けられているということで、本当にすばらしいなというふうに思うんですけれども、私たちのもとにベンチャー企業などから、現在の法律や制度の中では明確に規定されていることがなくて、つまり現時点ではグレーな業態であったりとか、これはどうやったら実現できるだろうというような、そういうケースの相談が寄せられているんですが、これは自動運転に限らず、こうしたベンチャー企業等の相談に行政が窓口を開き、アクセスしやすい環境をつくることが求められているというふうに考えます。
 裏を返せば、自動運転に本当に限らずなんですが、適切な解決策にたどり着かず、社会の変化に合わせて考え出された新たな事業やサービスを断念してしまっているベンチャー企業や起業家が多くあると推測されて、東京にとって大きな損失となり得るというふうに考えます。
 ベンチャー企業を年間千社支援する、ユニコーン企業を生み出す東京をつくっていきたいと打ち出している東京にあって、ぜひ、自動走行ワンストップセンターのような取り組みの分野を広げていただくとともに、ここで得たノウハウを組織横断で共有していただきたいと強く要望いたしまして、質問を終わります。よろしくお願いいたします。

○うすい委員 私からは、国際金融都市東京構想の中の、金融ワンストップ支援サービスと国家戦略特区の活用に関連して質問をいたします。
 国際金融都市東京構想に述べられているように、我が国において、少子高齢化の進展により人口減少社会が今後本格的に到来する中で、東京が持続的な経済成長を実現していくには、先ほどから議論にありますように、国際金融都市としての地位を取り戻すことが必要と考えます。
 日本銀行が昨年発表した資金循環統計によりますと、家計が保有する金融資産残高は、二〇一八年三月末時点で前年比二・五%増の千八百二十九兆円であり、年度末の残高として過去最高を更新したとあります。
 この千八百兆円のうちの一%、十八兆円でも市場に出て購買に回ることになれば、消費税を七%減額したのと同じ効果があるともいわれておりますが、日本には、この千八百兆円に及ぶ個人資産の多くが現在、現金、預金に滞留しているのが現状であります。
 これらの金融資産を有効に活用するには、資産運用の主体である金融産業の活性化や、金融サービスに革新をもたらすフィンテック産業の成長は不可欠であると聞いております。
 そして、金融産業が集積するこの東京において、金融系外国企業の進出を促進することで、金融産業の裾野をより広げ、金融事業者間の競争を活性化させることが重要であるとも考えます。
 国際金融都市東京構想にも、金融系外国企業の東京進出を後押しするための課題である言語や日本進出に際しての行政手続や生活環境などの面で、悩みや課題を抱えることが多いと思います。
 その解決に向けた一体的な支援が必要であり、金融系外国企業の東京進出を後押しするために金融ワンストップ支援サービスを実施しているとのことでありますが、そのサービス概要と昨年の取り組み状況をお伺いいたします。

○小川戦略事業担当部長 金融ワンストップ支援サービスにつきましては、金融系外国企業の東京進出に際してビジネス面、生活面に関し、さまざまな悩みや課題の解決を支援する相談窓口として、平成二十九年四月に丸の内に開設いたしまして、運用を開始したサービスでございます。
 また、同時期に金融庁が開設しました金融業の拠点開設サポートデスクというものと連携しながらサービスに取り組んでおりまして、金融業の登録手続などをスムーズかつ迅速に進めるファストエントリーといわれるものに努めております。
 相談窓口におきましては、金融関係で豊富な業務経験があります専任の相談員が課題解決のための支援を行っておりまして、また、専門家の紹介なども行っております。
 具体的な相談内容としましては、規制に関すること、日本におけるビジネス展開などといったものが多くございました。
 昨年度は、延べ百五十五件の利用実績がございましたけれども、サービスを利用した外国企業からは、英語でかつ無料で相談できるといったことや、必要に応じて金融庁といった規制当局に同行してもらえるといったところなどの点において高い評価をいただいていると、こういうところでございます。

○うすい委員 今ご答弁いただきました金融ワンストップ支援サービスについて、利用者にとっての利便性及び昨年の実績を確認させていただいたところでございますけれども、また答弁では高い評価を受けているとのことでございました。
 そこで、サービスのより一層の利用促進を図るために、今後どのような取り組みを行っていくのか見解をお伺いいたします。

○小川戦略事業担当部長 金融ワンストップ支援サービスにつきましては、これまで、国内の大使館や法律事務所などに加えまして、海外四カ所において企業誘致を行うアクセス・ツー・トウキョウなど、国内外で周知の拡大に努めてまいってきたところでございます。
 今後は、今年度に官民一体で設立しました金融プロモーション組織、一般社団法人東京国際金融機構、フィンシティー・トーキョーとも連携いたしまして、東京への進出に関心のある金融系外国企業を掘り起こして、積極的に周知して利用を促してまいります。
 また、既に利用した経験のある外国企業、こういったものをネットワーク化して、それを活用して、さらなる利用の拡大を図ってまいりたいと思います。

○うすい委員 ありがとうございます。
 今答弁いただきまして、積極的な周知をし、二年半の実績をもとにした利用経験のある企業の紹介、また、東京進出の外国企業のネットワークを活用した利用促進を今後も図っていくという、そういう確認もさせていただきました。
 次に、国家戦略特区制度の活用について伺いたいと思います。
 都市間競争力を高め、金融系外国企業の集積を図るためには、先ほどのようなきめ細かな相談業務に加えまして、国際的なビジネス環境、そして生活環境を戦略的に整備をしていくことが重要であると考えております。
 そこで、国家戦略特区制度を活用したビジネス環境、生活環境の整備の取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○米津特区推進担当部長 都では、国や民間事業者などとの連携のもとに、国家戦略特区を活用しました国際的なビジネス環境、生活環境の整備を促進しております。
 具体的には、都市計画法の特例の活用によりまして、例えば大手町や兜町地区などにおきます金融ビジネス交流拠点の整備を支援しております。
 また、インターナショナルスクールや医療を含む多言語対応の生活支援施設等の整備促進にも取り組んでいるところでございます。
 さらに、直近の動向といたしましては、高度金融人材の出入国管理上の優遇措置を行います高度人材ポイント制に係る特別加算が、全国で初めて先月三十日に認定されたほか、高度金融人材サポート施設を整備する八重洲一丁目北地区の再開発プロジェクトも同日付で認定されたところでございます。
 引き続き、ご指摘の国家戦略特区を積極的に活用いたしまして、国内外のフィンテックや資産運用業等の金融系外国企業の集積を後押ししてまいりたいと、このように考えております。

○うすい委員 今世界では、企業や高度人材の獲得競争が繰り広げられる中で、国家戦略特区制度を活用しましてビジネス環境、生活環境を整備することは、国際金融都市東京に必ずつながるものと思います。やはり人材が大事です。
 国際金融都市東京構想にもありますように、かつてロンドン、ニューヨークと並ぶ国際金融都市であった東京が、世界に冠たる国際金融都市としての地位を取り戻すためにも、今回がまさにラストチャンスと捉えて、危機感を持ってぜひとも取り組んでいただきたいことを強く要望しまして、質問を終わります。

○米川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○米川委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で戦略政策情報推進本部関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時四十分休憩

   午後三時五十六分開議

○米川委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 これより財務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成三十年度東京都一般会計決算中、財務局所管分、平成三十年度東京都用地会計決算及び平成三十年度東京都公債費会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○増田委員 それでは、私の方からは都債に関連して幾つか質問させていただきます。
 平成三十年度の一般会計における都債の発行額、年間の発行額は千百二十三億円でありまして、年度末の発行残高は五兆五百五十一億円となっております。これは、平成最後の決算におきましては、平成の時代を通じて最も少ない発行額となりました。
 都債というのは当然、都にとっては負債、借金でございますので、いたずらに発行額をふやすことはコストの増大にもつながりますので、いいことではないと。そういう中では、抑制的に都のバランスシートを健全な姿に保っておくということは非常に重要なことであると思います。
 一方で、都債は単に発行額を減らせばいいというものでもなくて、出したいときに出せるという状態を常に保っておく努力が非常に重要だと思います。
 過去を振り返ったときに、例えば平成二十一年度、リーマンショックによる大幅な税の減収があったときには、蓄えてきた基金を取り崩すとともに、それまで発行を抑制していた都債に財源を求め、四千五百億円を超える発行を行ったこともあるわけであります。
 そのような税収の不安定な増減を埋める役割、そういったものが都債にはあるわけであります。
 景気の動向など、外部的な要因によりまして都債の積極的な活用が必要となる局面が、またいつ訪れるとも限りません。そのような局面においても、都債を活用しながら安定的に行政活動を行うためには、都債に対する投資家からの信認が不可欠であります。
 このような見地から、都債の発行について伺っていきたいと思います。
 まず、都財政にとって都債の果たす役割は、今申し上げたように非常に大きいものと考えるわけですけれども、平成三十年度決算において、都債がどのような考え方に基づいて発行されたのか伺います。

○山田主計部長 都債を初めといたします地方債でございますけれども、将来にわたり使用される施設等の整備費用について、その恩恵を受ける将来世代にも負担を求める、いわゆる世代間の負担の均衡を図る機能を有するとともに、年度間の財源調整や一般財源の補填等の観点からも重要な役割を果たすものでございます。
 そのため、地方債は将来世代の負担を考慮しつつ、世代間の負担の公平性という観点にも十分留意しながら計画的に活用していくことが重要であると考えております。
 こうした考え方のもと、平成三十年度は、都税収入の増加に加えまして、基金を積極的に取り崩す状況なども踏まえて、都債を活用いたしました。
 具体的には、都債の新規発行額を引き続き一千億円台とし、都債残高を平成二十九年度決算と比べまして約一千八百億円減少させるなど、都債を都財政を支える貴重な財源として活用しながらも、将来に向けた発行余力を培うこととしたものでございます。

○増田委員 将来を見据えて、都債の発行余力、これを培うことは大変意義のある取り組みだと評価するところであります。
 この取り組みが真に効果を発揮するためには、現実に都債の発行による資金調達が必要になった際に、都債が安定的に投資家によって購入される、消化される必要があるわけです。
 さきに指摘をしましたとおり、都債にまた再び財源を求める局面が訪れるということは、これは大いにあり得るわけでありまして、平常時においてこそ、都債の安定消化に向けた取り組みに注力をしていかなければならないと思います。そのためには、日ごろから投資家に対して、堅実な都の財政運営を背景とした東京都債の信用力をしっかりとアピールしておくことが重要だと考えます。
 そこで、投資家に都債の理解を深めてもらうために、どのような努力を行っているのか伺います。

○山田主計部長 都債を財源として戦略的に活用していくためには、都債に対する投資家からの信頼を得て、いかなる市場環境においても安定的に資金調達ができる環境を整えることが重要であると考えております。
 こうした観点から、都は、投資家に対しまして、投資判断に必要な財務情報を提供するIR活動に積極的に取り組んでおります。
 具体的には、多くの市場関係者を招いて行う都債説明会や個人投資家向けの充当事業現場見学会など、多様なIR活動を継続的に実施をしております。
 平成三十年度は、これらの取り組みに加えまして、市場公募債発行団体が合同で行う合同IR、証券会社と共催のESGセミナーをそれぞれ年一回行ったほか、海外IRを年二回、国内機関投資家十数社への個別訪問を行っております。
 こうした都のIR活動を契機といたしまして、新規の投資家が都債を購入するなど、投資家層の拡大、都債の安定消化に着実につながっているものと考えております。

○増田委員 いわゆるインベスター・リレーションズ、IRの話について確認をさせていただいたわけです。
 今、このマーケット環境下は、都債が売れないとか、出そうと思って買い手がつかないとか、売れ残るとか、これは考えにくいわけなんですけれども、実際に起こったこととして、例えば一九九七年に、いわゆる金融危機が起きましたときに、日本の銀行というのは、アメリカでCP、コマーシャルペーパーという短期資金調達用の手形をどんどん出していまして、非常に安い金利で調達ができて、それで調達したお金で、長い期間のいろんな投資に充てていたということがあったんですけれども、金融危機が起こって長銀が倒産したり、北拓が倒産したり、山一が倒産したりというときに、もう一気に、それはもういわゆる十把一からげの状態で、日本の金融機関にはもう一切お金を出せないということになってしまったんです。
 それで、それまで〇・二、三%でCPが調達できていたものが、五%出しても六%出しても買い手がつかない。もう本当に、それで十二月三十一日の期越えができないという、いわゆるジャパン・プレミアムという問題が生じて、本当に、ほかの日本の銀行も資金繰りでばたばたいくんじゃないかというぐらいの危機を経験したことがありました。
 結局、もういろんなとこからドル資金をかき集めて、それは回避したんですけれども、それまで当たり前に出せていたものが、ちょっとしたことをきっかけに全く買い手がつかなくなってしまうということは、これはあり得ることでございまして、東京都も今後何が起こるかわからないということはいえると思います。
 そのために、日ごろ投資家に対してさまざまな形で透明な情報をできるだけ多く開示して、安心感を与えておくという努力は、緊急時のために非常に大事でございまして、これはぜひ継続をしていただきたいと思う次第であります。
 そして、機関投資家、あるいは個人の投資家ですけれども、いろんな属性を持っておりますし、また、いろいろな投資のニーズを持っています。中には、三十年とか長い投資を好む投資家さんもいれば、やや短目、五年とか一年とかいう投資家さんもいれば、中には外債、外貨建てがいいという人もいれば、やはり円がいいという人もいますし、いろんなニーズを持っています。
 情報共有すると同時に、そういった投資家のニーズをなるべく広く満たす品ぞろえを用意しておくことも、これもまた重要であります。
 そこで、都債の商品性を高めるためにどのような取り組みをしていらっしゃるかお伺いします。

○山田主計部長 都債でございますけれども、都の強固で弾力的な財政基盤、投資家との対話を重視した丁寧な起債運営などが好感されまして、これまでも市場から高い評価を獲得しておるところでございます。
 一方で、引き続き投資家からの評価を維持していくためには、個々の投資家によって異なるさまざまな資金運用ニーズを的確に捉え、商品性を高めることが重要であると考えております。
 これまでも、都債の基幹年限であります十年債の発行に加えて五年債、二十年債、三十年債など発行年限の多様化を進めることで、さまざまな業態の機関投資家から都債が広く選ばれるように努めてまいりました。
 また、国内の地方自治体で唯一、グローバル市場で外債を発行しており、海外の多様な投資家の参入も可能としているところでございます。
 今後とも、投資家のニーズや地方債市場の動向などをしっかり踏まえながら、都債の商品性をより高めるための取り組みを積極的に進めていきたいと考えております。

○増田委員 伺ってまいりましたIR活動、そして品ぞろえの努力ということで、安定的な投資家を常に確保しておくという、そういう努力をぜひ、今やっていらっしゃる努力を継続していただきたいと思います。
 これは私、いろんなところでいっておりますけれども、本当にわずか〇・〇一%でも、例えば千億の十年債を発行したとしましたら、〇・〇一%の違いが年間で一千万円、十年間で一億円と、これだけのコストの負担につながってくる、それだけ大きな金額を扱っているということで、ぜひ、そういった少しでもいい条件で都債が発行できるという努力を続けていただきたいと思います。
 そして、質問は以上なんですけれども、一つ最後に要望として申し上げたいのは、これは都債の格付についてでございまして、これは私、去年の第二定例会の一般質問で申し上げたところなんですけれども、今の都債の格付というのは、大手の格付機関であるスタンダード・アンド・プアーズ社からシングルAプラスという格付がついていますと。
 ところが、これはもうスタンダード・アンド・プアーズ、SアンドP社が自分でいっているように、東京都の実力というのは、それより上のダブルAプラスであると。公表されている格付は、それよりも--まあ、ダブルAプラスですから、その下がダブルA、その下がダブルAマイナス、その下がシングルAプラスですので、三段階低い格付に今なっています。それはなぜかというと、日本の国債の格付がシングルAプラスだから、そこが上限ですよというルールになってしまっているんです。だけど、実力はもうご案内のとおり、東京都はもうはるかに国の財政よりも財政がいいわけで、今ダブルAプラスと。これはSアンドPもそういうふうに実際いっているわけです。ところが、ルールがそれを許さない。あらゆる地方債というのは、国の国債の上限金利でそこまでですよというルールになってしまっているんです。
 ただ、これはあくまでも民間企業である格付機関が自主的につくった基準に基づいてそうなっているだけで、別にそれが動かせないものでも何でもなくて、考えてみたら、例えば海外の投資家が国債を百億円持っています、都債を百億円持っています。何かの理由で国債が金利と元本の支払いをデフォルトを起こしました、払えなくなりました。じゃ、そのときに東京都の元利払いもとまるでしょうかと、とめなきゃいけないでしょうかというと、そんなことはないと思うんです。そこの理屈なんです。
 要するに、格付機関の理屈は、国債がデフォルトを起こしたら、地方債もみんな一緒にデフォルトを起こすでしょう、だから国債の格付を上限にしますと、こういうルールなんですけれども、そこのストーリーをうまくつくって正面突破をすれば、そこのルールを変える余地というのは十分にあると思うんです。
 ですから、これは本当に、東京都の格付が国の格付を上回りましたので、これはもう非常に大きなニュースにもなりますし、それが実態なので、ぜひこれはトライをしていただきたいと思います。
 今の格付制度がちょっとおかしいんです。それは、リーマンショックの後に、格付機関がトリプルAという最上級の格付を乱発し過ぎたことを批判されて、本当に格付機関そのものが傾きかけたんです。そのときに、彼らが基準を物すごく保守的に変えちゃったんです。その中の一つが今のルールで、これはおかしいんです。東京都の信用力の方が国よりも高いというのは、これはもう明らかで、格付機関もそれを認めていて、だけれども、正式な公表する格付は彼らがつくったルールによって抑えられてしまう。そこを変える余地はあると思いますので。
 今はコストが、金利がすごく低いので余り違いは感じませんけれども、これから金利が上昇してきたら、その辺の、ダブルAとシングルAの違いって如実にコストになってあらわれてきますから、そのときは余計なコストを東京都が払わされるということになりますので、今こういうときに、ぜひそういう交渉の努力をしていただきたいというふうに思いまして、これを要望しまして、質問を終わりたいと思います。

○斉藤委員 私の方から、平成三十年度決算の審議に当たりまして、昨年度の財政運営に関して確認をしていきたいと思います。
 私は、財政運営というのは、三年を一つのサイクルとして進んでいくというふうに見ることができると考えています。つまり、予算編成があり、事業執行があって、決算の分析のPDCAサイクルということになります。
 まず、東京の発展や都民の安全・安心の確保に向けて、どのような事業を行っていくべきか、財源はどう確保していったらいいのか、そういった観点から予算編成を行いまして、予算特別委員会を含め都議会でその内容をしっかりと審議していく。
 そして二年目は、こうして成立した多種多様な事業を盛り込んだ予算をしっかりと執行していくこと、それをしっかり見ていくこと。
 そして三年目に、事業執行の結果を決算という形でまとめて、その内容を--まあ、きょうがそうですが、決算特別委員会を含めさまざまな場で検証して、さらに翌年度の事業の展開や中期的な財政運営に反映していく。無駄なものは削り、必要なものは拡充していく。執行率が悪い原因を分析しながら、都民によりいいサービスを提供していく。そういったサイクルが重要です。
 元来、他の自治体に比べまして税収構造が不安定であり、地方交付税による財源保障が望めない東京都におきましては、各事業について、予算の執行段階はもとより、編成時からみずからを律しまして、最少の経費で最大の成果を生み出すための検証と創意工夫を重ねていくことが、安定的な都財政の運営を実現していくためには極めて重要であると考えております。
 こうしたことからも、都にとって、特に各事業の決算を分析して、捉えられた課題を速やかに翌年度の予算に反映していくことが重要でありまして、具体的な取り組みとして、平成十九年度より、予算編成のプロセスの一環として事業評価の取り組みを実施しているわけです。
 我が党が主導して導入してきた複式簿記・発生主義会計の制度を活用しながら、事業評価が財政運営上重要であるということ、この十年間でしっかりと私たちも訴えてまいりましたが、この十年間一貫してその活用、事業評価というものを見てきたわけでございます。
 そして、平成二十九年度予算からは、全ての事業に終期を設定いたしまして、事業評価の徹底を図る見直しを行うなど、制度の改善に取り組んでいるものと認識しています。
 そこで初めに、今回の平成三十年度決算の対象事業、それ以前の年度の決算分析が、それにどのように事業評価として反映されたものなのか、その具体例とこれまでの事業評価の成果について伺いたいと思います。

○山田主計部長 都は、予算編成の一環といたしまして事業評価を実施し、一つ一つの事業の実効性、効率性の向上に取り組んでおります。
 事業評価にはさまざまな評価手法がございますけれども、各事業の成果や決算状況を評価する手法といたしまして、事後検証による評価がございます。
 具体例といたしましては、産業労働局の女性の活躍推進加速化事業というものがございました。これは、女性の活躍推進に向けて責任者を設置する中小企業に対しまして、奨励金を支給している事業でございましたけれども、平成二十八年度の事業実施を踏まえてこの事業の実績を分析した結果、責任者を設置したものの、行動計画の策定や計画の実行に至らない企業が多いということがわかりました。
 そのため、平成三十年度予算では事業を再構築いたしまして、企業の取り組み段階に応じた研修やアドバイザーの巡回訪問など、中小企業のステップアップに合わせて、よりきめ細かな支援を行う事業へと見直しを行ったところでございます。
 これによりまして、実効性の向上を図りつつ、約二・七億円の財源確保につなげることができたものでございます。
 こうした取り組みによりまして、平成三十年度予算全体では約八百七十億円の財源を確保しており、事業評価の取り組みを開始いたしました平成十九年度から令和元年度予算までの財源確保額は、累計で一兆三千億円に上っているところでございます。

○斉藤委員 三十年度の単年度では約八百七十億円の財源確保、そして十九年度から令和元年度までを総計すると一兆円を超えたという、そういった結果が出ているということでございます。この財源を確保したこと自体、都財政として重要な、大きな成果であると思います。
 令和二年度予算編成におきましても、当委員会でも審議する平成三十年度決算を丹念に分析をいたしまして、新年度予算にしっかりと反映していくことで、無駄がなく実効性の高い事業を構築していただきたいと思います。
 今のように、女性の活躍推進といっても、その執行に問題があれば、そこの原因を分析して、それをよりよく活用できるようにしていく、そういった事後検証、非常に重要であるというふうに思うわけでございます。
 今後の東京の未来を見据えますと、先般、長期戦略の策定に向けまして発表された未来の東京への論点にもありますように、さまざまな課題の解決に向けた施策の展開が不可欠でありまして、こうした積極的な施策展開のためには、しっかりとした財政基盤を構築していくことが不可欠であることはいうまでもありません。
 来年に差し迫りました東京二〇二〇大会の成功に向けまして、着実かつ効果的に準備を進めていかなきゃなりません。というよりも、この招致に成功した背景にも、こうした都の財政基盤というものが評価されているということもあわせて評価しておきたいと思います。
 急速に進む少子高齢化への対応や子育てがしやすいまちづくり、誰もが安心して暮らせるまちづくり、さらには首都直下地震への備えなど、都政が解決に向けて取り組まなきゃならない喫緊の課題は多岐にわたります。不安定な収入構造の中で、このように大会準備に向けて必要となる歳出が増加する中にありましても、都政の重要課題の解決に向け、手を緩めることなく、安定的かつ積極的な事業展開を図るためには、基金を財源として戦略的に活用していくことが重要であります。
 そこで、平成三十年度決算における基金の活用状況について伺いたいと思います。

○山田主計部長 平成三十年度決算では、本格化する東京二〇二〇大会の開催準備と二〇二〇年に向けた実行プランに掲げる施策の実施に必要な財源といたしまして、三つのシティー実現に向けた基金を取り崩しております。
 具体的には、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金を三百九十三億円、水素社会・スマートエネルギー都市づくり推進基金などスマートシティーの推進に一千九百九十一億円、防災街づくり基金などセーフシティーの推進に一千二十二億円、福祉先進都市実現基金などダイバーシティーの推進に五百七十三億円をそれぞれ取り崩しており、三つのシティー実現に向けた基金全体では三千九百七十九億円を財源として活用したところでございます。
 このように、都民生活を守る施策を初めといたしまして、喫緊の課題に着実に対応するために基金を活用したところでございます。

○斉藤委員 都政の重要課題の解決に向けて、基金が着実に活用されていることが確認できました。また、きょうは決算ですので、政策のこれからの展開についてはほかの委員会に譲りたいと思いますが、地中化の基金とか鉄軌道について推進する基金とか、さまざまなそういった財源を確保して、安定的に政策、施策の実現に向けて前へ進めていくこと、非常に重要な基金でございます。この基金が、必要な施策として切れ目なく継続的にその事業を支えていくために活用されていくこと、そして将来の税収減のリスク、いつ直下地震が起こるかわかりませんし、経済は世界が一つですから、どのようなリスク要因によってそれが税収にはね返ってくるかわからないという、そういった将来の税収減のリスクなども想定しまして、めり張りのある財政運営を行い、単にためるだけじゃなく、必要なときには積極的に活用する。このタイミングを見誤ることなく、来るべき令和二年度予算についても基金の戦略的な活用を図っていただきたいと思います。
 続きまして、グリーンボンドについて話を進めていきたいと思います。
 都財政における財源確保策として、基金と並んで重要な役割を果たす、先ほど増田委員のお話にもありました都債でございます。都債についてもその状況を確認しておきたいと思います。
 第二回都議会定例会での我が党の代表質問に対する小池知事のご答弁にもございましたけれども、新たに策定される長期計画には、国連が採択した持続可能な開発目標であるSDGsの視点が盛り込まれる予定でありまして、今後、この視点に立った事業の推進はますます重要となると思います。ESG投資ということもありますが、政策としては、SDGsと三つのシティーの政策がどのように関連づけられていくのか、それを内外に示していくことが重要だという視点であります。
 SDGsでは、エネルギー問題や気候変動への対策、貴重な資源の保護など、さまざまな環境課題の解決に向けた目標が掲げられていますが、都においても、環境施策の推進は重要なテーマであります。東京が将来にわたりまして国際都市として輝き続けるためには、快適で豊かな都市環境の形成が不可欠であります。
 こうした環境施策の推進には、行政の努力に加えまして、都民や企業の自発的な取り組みも大きな役割を果たすものと考えています。こうした機運の醸成が重要であります。
 都が全国の自治体に先駆けて発行を開始したグリーンボンドは、環境施策の財源として充当するものであり、従来から都債が有してきた財源の年度間調整などの伝統的な本来の効果に加えて、投資を通じて都民や企業の環境貢献への意識啓発へつなげる、参加意識を醸成していく、SDGsの推進に資する先見的な取り組みであると認識をして、評価をしております。
 そこで、グリーンボンドの発行の意義と実績について伺いたいと思います。

○山田主計部長 東京グリーンボンドの発行意義といたしましては、五点挙げられるかと考えております。
 第一に、都民や企業から投資を通じた後押しを受け、環境施策を強力に推進すること。
 第二に、市場の活性化と他発行体の参入促進によりまして、国内の環境対策に資金が向かう流れを創出すること。
 第三に、都民への投資の機会を提供することによりまして、事業への理解を通じたオーナーシップ意識を喚起すること。
 第四に、企業の環境配慮意識の醸成に寄与するとともに、社会的な評価を受けられる環境の整備を促進すること。
 そして第五に、新たな投資家へのアクセスを通じた投資家層の多様化を図ることでございます。
 平成二十九年度から発行を開始いたしまして、二回目となります平成三十年度は、個人投資家向けに百億円相当、機関投資家向けにも百億円相当を発行いたしたところでございます。
 投資家からの反応といたしましては、個人投資家向けでは、広報媒体を活用したPR活動や購入できる最低金額を低く設定したことなどが奏功いたしまして、幅広い年齢層に購入していただくことができました。
 また、機関投資家向けでは、応募倍率、投資表明件数が平成二十九年度よりも増加したところでございます。
 また、本日、令和元年度の機関投資家向けにつきまして百億円を発行したところでございます。応募倍率は約六・九倍、投資表明件数は三十六件と、どちらも平成三十年度を超えて過去最高となり、改めて、グリーンボンドへの旺盛な需要や、企業の環境配慮意識の高まりが確認できる結果となったところでございます。
 都民や企業にグリーンボンドを通じた投資機会を提供することで、都の環境施策への関心や参加意識をより高めることにつながったと考えているところでございます。

○斉藤委員 第三回目の発行がきょう発表されたということでございますが、数字を見ますと、大変な競争倍率というか、応募の関心が高まっていることは数字でも明らかになっております。都民の参画が大変うれしい、また企業の参画等、本当に期待されるところでございます。
 都がグリーンボンドの発行を着実に継続していることで、企業のみならず個人レベルでも環境貢献の意識は高まっておりまして、東京グリーンボンドの意義がしっかりと果たされていることが確認されます。
 このように、東京グリーンボンドは環境貢献への意識啓発に有用なツールでありますけれども、一方で、都の環境施策を強力に推進していくための資金調達手段との側面もございます。この点は、先ほどの答弁の中でも、発行意義の一つとして挙げられたところであります。
 そこで、具体的にどのような事業にグリーンボンドが充当され、環境施策の推進につながったのかをお伺いしたいと思います。

○山田主計部長 東京グリーンボンドを購入していただいた都民の負託に応えるために、グリーンボンドの充当事業は、各局が実施する事業の中から、より高い環境効果が想定されるものを選定しているところでございます。
 具体的には、緑地の整備や都有施設への太陽光パネルの設置、照明のLED化など、CO2やエネルギー使用量の削減に寄与する事業や、河川の護岸や防潮堤の整備など、気候変動への適応に向けた事業などに充当しているところでございます。
 また、スマートシティーの実現に向けて平成三十年度においては、新たに自転車走行空間の整備にも充当しております。
 今後とも、東京グリーンボンドの発行意義がしっかり果たされるよう検証を重ねながら発行を継続することで、都の環境施策の強力な前進につなげていきたいと思っております。

○斉藤委員 平成三十年度においては、新たに自転車の走行空間の整備にも充当されていると。隔世の感がございます。
 また、直近では、台風十九号の猛威によりまして、都内でも多摩川が溢水をするということもございましたけども、河川の護岸の整備、あるいは防潮堤の整備などにもグリーンボンドが充当される、そういうお話でございました。
 東京二〇二〇大会の開催を間近に控える中で都政に求められているものは、大会の成功はもとより、大会後の東京の未来が国際社会の中で将来にわたり輝き続け、都民が安全・安心で快適に暮らし続けることができる明るいものとなるように、積極果敢な施策の展開をしていくことが重要であると思います。
 積極的な施策展開を継続していくためにも、今後も事業評価の手法を用いまして事業の効率性、実効性を高めていくとともに、基金や都債の戦略的な活用によって安定的な財源確保をしていくことを求めまして、次のテーマに移りたいと思います。
 次に、財産運用の有効活用について質問したいと思います。
 都は、財政再建達成後、未利用地を単に売却するだけでなく、都政の課題解決に向けて、民間の力も活用した施策連動型の財産利活用を推進してきました。ステップアップ・プロジェクトなども今までも議論してまいりましたが、売却するだけでなくて活用していくということです。その中心的な取り組みであります都有地を活用した福祉インフラ整備事業は、都が直接利用する予定のない未利用都有地を民間事業者に貸し付けまして、地域の福祉施設の整備を促すものであります。
 当初は、高齢者施設、障害者施設を対象として平成十五年度から実施され、平成十九年度には保育所などが対象に追加されました。我が党もこういった追加に尽力してきたわけでございます。
 さらに、平成二十六年度には、都特有の地価が高いという、そういう状況への対応策として、土地貸付料の新たな減額制度を導入するなど、制度を充実してきたわけでございます。
 まず初めに、都有地を活用した福祉インフラ整備事業のこれまでの実績について伺いたいと思います。

○五十嵐財産運用部長 都有地活用によります地域の福祉インフラ整備事業は、地価の高い都市部で不足する福祉サービス提供施設の設置を進めるため、財務局と福祉保健局が連携し、区市町村と協議の上で、民間事業者に未利用都有地を減額して貸し付ける制度でございます。
 委員お話しのとおり、平成十五年度の創設後、この間、対象施設の拡大や地価の高い地域における貸付料の減額率の拡充など、制度の充実を図ってまいりました。
 平成三十年度末までに本事業により事業者が決定したのは、高齢者施設で二十九件、障害者施設で十五件、保育所等二十四件で、合計六十八件となっております。

○斉藤委員 都議会公明党はこれまでも、福祉施設の整備における都有地の活用を都に求めてまいりました。私も、平成二十一年の初当選以来、都有地の有効活用を求めさせていただきました。
 具体的には、目黒区内では、都有地活用初となります柿の木坂というところに、都有地を活用して柿の木坂保育園を二〇一六年の四月に開園。これを支援することができたわけであります。都有地を活用した福祉インフラ整備事業が着実に成果を上げていることを、改めて確認することができたわけであります。
 近年の都政の最重要課題の一つであります待機児童問題、こういった待機児童の対策におきましては、保育所の整備推進が重要であることはいうまでもありません。
 小池知事就任後、待機児童解消に向けた喫緊の緊急対策の一環としまして、都有地を活用した保育所整備の一層の推進を目的に都有地活用推進本部、こういった本部が発足したわけであります。その取り組みといたしまして、全庁を挙げた未利用都有地の洗い出しと区市町村への情報提供等が行われています。
 私はかねてから、都有地の有効活用に向けて、区市町村への積極的な情報提供の必要性を主張し、その充実を求めてまいりましたが、この取り組みは、これまでの主張と軌を一にするものであります。
 そこで、これまでの都有地活用推進本部の取り組み状況とその成果について伺いたいと思います。

○五十嵐財産運用部長 都有地活用推進本部では、保育所等の用地として活用可能な土地を、公営企業所管の土地を含め全庁的に洗い出し、平成二十八年九月から平成三十年度末までに、九回にわたり二百五十八件の都有地の情報を区市町村に提供してまいりました。
 加えて、民間保育事業者や区市町村からの照会等を受け付ける窓口を整備し、問い合わせ等に対してきめ細かく対応するとともに、都有地活用の取り組みの一つとして、区市町村を介して民間事業者に都有地を貸し付けることのできる転貸方式を導入し、迅速な整備や区市町村の主体的な取り組みを促すことといたしました。
 こうした取り組みの結果、本部設置以前の福祉インフラ整備事業のスキームを活用した保育所等整備の事業者決定件数は、九年半で十二件であったのに対し、本部設置後は二年半で十九件となっており、保育所等の整備は確実に加速していると考えております。

○斉藤委員 本部設置後は、九年半で十二件であったのに対して、二年半で十九件、大変加速していることが数字上明らかであります。
 また、公営企業等の土地も含めまして全庁的に洗い出しを行っている。窓口を明確にすることで、区市町村が非常に利用しやすい、その情報も利用しやすい形にしていく努力もしているのがわかります。
 また、転貸方式を導入したというのは大変大きなアイデアでございまして、こうしたことを活用して、各地域で整備が進んでいるというふうに認識しております。
 この間の福祉インフラ整備事業の制度の充実の上に、都有地活用推進本部の取り組みを通じた区市町村へのきめ細かな情報提供等の効果が相まって、保育所等の整備が大幅に進展しているということを確認させていただきました。
 都民から負託を受けた都有地を最大限有効活用していく上では、全庁的な利活用を進めることはもちろんのこと、庁内の活用見込みがない場合において、地元区市町村の主体的な取り組みを促しまして、地域の課題の解決へつなげていくことが重要であります。
 そこで、都におきまして、活用見込みのない未利用都有地について、地域の課題解決に向けて区市町村における自発的な活用の検討を促すには、私は、都有地情報を一層わかりやすく提供していくべきと考えるわけですが、見解を伺います。

○五十嵐財産運用部長 都はこれまで、都有地活用推進本部を通じ、保育所用地として活用可能な都有地の情報提供のみならず、都のホームページにおける公有財産検索機能の導入など、未利用都有地に係る情報提供の充実を図ってまいりました。
 しかし、都有地については、位置情報が住居表示ではなく地番表記であり、わかりづらいとの声があったことから、都有地の場所や現地の情報をよりわかりやすくするため、平成三十年度末に都有地の地図情報機能をウエブ上に構築いたしました。
 現在、都有地活用推進本部における情報提供案件について地図情報を提供しており、区市町村や民間保育事業者などが視覚的に都有地情報を取得可能になっているところでございます。
 今後とも、保育所の整備を初め、都有地の一層の活用に向けて、都有地に関する情報提供の充実に努めてまいります。

○斉藤委員 区市町村への情報提供というのは、やる気になってもらうためには非常に重要でございまして、こういった本部が立ち上がるまでは皆さん各委員がそうであると思いますが、この土地は何の土地と、使われていないんだけどと。最初は草刈りの話から始まって、ぜひ福祉インフラに利用したいと。保育所が必要であればその土地を活用できないのかと。そういう問い合わせをそれぞれ個別に受けていたわけですが、それが一元化されて、しかもわかりやすく、地番表記から住所表記に変わっていく。もうこれからは、わかりませんとか、探すの大変ですといわせないような、そういった雰囲気をつくって、ぜひとも各地域で都民のニーズに応えていきたいと、このように考えております。
 都有地の一層の有効活用に向けまして、情報提供のさらなる充実に取り組むことを要望して、最後のテーマに移りたいと思います。
 最後のテーマは、都庁舎の省エネ、再エネのお話でございます。
 平成三十年度決算説明書に記載されている都庁本庁舎の光熱費に関して質問したいと思います。
 この決算説明書を見ますと、平成三十年度の都庁本庁舎の光熱水費の決算は約十二億七千五百万円と記されています。このうち、電力費の推移及び電力使用量の推移について伺いたいと思います。

○後藤庁舎運営担当部長 都庁本庁舎の電力費の推移でございますが、平成三年度の都庁開庁時には約十三億三千万円であったものが年々減少傾向にございまして、平成三十年度には約五億九千二百万円と開庁時の半分以下となってございます。
 都庁本庁舎の電力使用量の推移についても同様の傾向にございまして、平成三年度には約六千七百万キロワットアワーであったものが、平成三十年度には約三千四百万キロワットアワーと、開庁時の約五一%にまで低下しております。

○斉藤委員 電力使用量を開庁時の約半分まで半減したという話でございます。都民の方にぜひこれを知っていただきたいと思うわけですが、私はこれは大変すばらしいことと評価したいと思うんです。
 このように、削減するためにはさまざまな創意工夫を行ったのではないかと思いますけれども、具体的に、半減させるためにこれまで行ってきた省エネ対策について説明をいただきたいと思います。

○後藤庁舎運営担当部長 省エネ対策についてでございますが、都庁舎におきましては、開庁当初から地域冷暖房の活用のほか、昼休みや夜間の事務室の一斉消灯、クールビズによる温度設定の変更、エレベーターの夜間運行停止など、さまざまな省エネルギー対策に取り組んでまいりました。
 現在は、都庁舎の設備機器等の更新時期を迎えて大規模改修工事を行っているところでございますが、その中でLED照明、高効率ポンプや大温度差空調システムの採用など、省エネ・再エネ東京仕様に基づいた取り組みを進めているところでございます。
 これらの積み重ねが電力使用量半減という結果につながっているものと考えております。

○斉藤委員 金額も、それから使用量も半減したということの数字の確認、改めてあったわけですが、省エネに積極的に取り組んでいることは理解できました。今後とも継続して省エネに向けた取り組みを進めてほしいと思います。
 一方、近年は世界的な脱炭素化への流れがございます。そうした中、企業においては、RE一〇〇など再エネの利用に積極的に取り組む動きが拡大、加速しています。
 都庁舎でも都庁舎版RE一〇〇に取り組んでいるようでございますけれども、その取り組み状況について伺いたいと思います。

○後藤庁舎運営担当部長 現在、都庁舎で使用する電力を全て再生可能エネルギーとする都庁舎版RE一〇〇の取り組みを進めているところでございます。都庁第一本庁舎において年間約三千万キロワットアワーの電力を受電中でございますが、この電力を本年八月から再生可能エネルギー一〇〇%の電力に切りかえました。
 この結果、都庁舎で使用している電力の八割以上が再生可能エネルギーとなっております。
 今後引き続き、結果の検証を行いながら省エネルギーの推進、再生可能エネルギーの活用に取り組んでまいります。

○斉藤委員 質問は以上でございます。
 最後に一言だけ。都庁舎の電力の八割以上が再エネになったことを高く評価したいと思います。
 我が会派では小磯委員がRE一〇〇についても非常に詳しく、せんだっての委員会でも質疑させていただいたところでございます。
 残りの二割、この二割の電力は、地域冷暖房センターにおきまして、災害対策ですね、地震に強い中圧ガスを燃料として発電した電気を第二本庁舎で受電しているというふうに聞いております。これは、災害時のリスク分散等を目的としておりまして、また、二〇三〇年三月までの長期契約であるとも確認をさせていただいております。
 第一本庁舎のように再エネに切りかえることには検討が必要とは思いますけれども、未利用の都有地を活用するなどして再エネを新たに創出するなど、都庁舎版のRE一〇〇の取り組みを着実に進めることを要望して、私の質問を終えたいと思います。

○川松委員 私からは、三十年度の決算審議をして、そして令和元年度につながっていく事業について、三つの事業について質問をさせていただきます。
 まず、入札契約制度改革についてです。
 東京都は、平成二十八年度の末に、入札契約制度改革の実施方針を突然に発表をされまして、二十九年六月から準備期間もないまま、この試行を開始したということになっています。
 改めまして、入札契約制度改革はいつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように決めたのか、ここをおさらいさせてください。経緯を教えてください。

○新田見契約調整担当部長 平成二十八年九月の都政改革本部会議におきまして、内部統制プロジェクトチームの中で特別顧問と財務局により今後の入札契約制度のあり方を検討し、改革を取りまとめることになりました。
 PTでは、豊洲新市場や東京二〇二〇大会に係る施設の工事を中心に議論がありまして、一者入札かつ九九・九%落札のような入札結果があったことを踏まえて、都民に疑念を抱かせることがないよう、より多くの入札参加者を確保し、競争性や透明性を高めることを主眼に検討を行っております。
 都政改革本部会議における四回の報告を経まして、平成二十九年三月三十一日に開催された都政改革本部会議におきまして、入札契約制度改革の実施方針を公表したものでございます。

○川松委員 そういう前提の中で制度改革、これまず一個動きます。動いた後の豊洲の追加工事におきましては不調が続いた。一者入札の中止ということをこの事業は掲げていたわけですが、こういったことの制度改革があだとなったのではないかという指摘がありますけれども、見解を教えてください。

○新田見契約調整担当部長 入札契約制度改革は、より多くの入札参加者を確保し、入札の競争性や透明性を高めることを主眼として実施したものでございます。
 豊洲の追加工事の不調の主な原因は、予定価格と入札金額との乖離であると考えております。
 入札という仕組みの中では、こうしたことは一定程度避けられないものでありまして、入札契約制度改革とは関係ないものと考えております。

○川松委員 実勢価格と都が積算の予定価格に乖離があったということは、何度もこの議論してきたと思いますけれども、不調が起きて次があると高くなるから、この高くなった分が不正だという意見を見れば、皆さん方の積算が合っているという前提です。逆にいうと、一回目の皆さん方の積算が間違っていたから二回目で上がったという見方、これ、両方の見方を検証していかなければならないわけです。
 ただ、今のような、何となく現場の職員の皆さんがそれぞれの各事業者と接点を持って話を聞いていると、その時点で癒着だといわれるような社会ですから、この難しさの中で皆さん方は積算をしていく、あるいは実勢価格を調査していくということになりますけれども、不正がないならば、正々堂々と事業者の皆さんとも意見交換をされたらいいんじゃないかと思います。
 この、いわゆる試行の入札契約制度改革の中で象徴的であったことは、不調が続いて指名停止中の業者と契約を結んだと、そういうことまであったわけです。だからこそ、この契約制度改革はおかしいんじゃないかということが各所でいわれてまいりましたが、その後の本格実施においては、予定価格の事後公表から、これを事前公表に戻すといった、制度がもとに戻っただけじゃないかという印象が強いのが我々でありますが、制度改革は業界を混乱させただけで、いわゆる試行でやってきたこの間というのは失敗だったのではないかという指摘がありますけれども、これについての見解を教えてください。

○新田見契約調整担当部長 繰り返しになりますが、入札契約制度改革は、より多くの入札参加者を確保し、透明性や競争性を高めることを主眼として実施いたしました。制度改革の試行におきましては、混合入札案件における入札参加者が増加するなどの一定の成果はあったと認識しているところでございます。
 ただし、予定価格の事後公表に伴う中小企業の積算の負担など、一年間の試行を通じまして明確になった課題がありまして、一部見直しをした上で本格実施に至ったものでございます。
 今後も応札者数など応札状況をよく把握し、分析し、入札監視委員会の場などを通じて改革の状況を検証してまいります。
 また、引き続き業界団体との意見交換を行い、中小企業を初め現場の声の把握に努めるとともに、都議会でのご議論を踏まえながら、時代時代に合わせて、よりよい入札契約制度になるよう不断の見直しを行ってまいります。

○川松委員 一問目、今の話を聞いていると、何か疑惑があったから入札契約制度改革に手をつけた。一方で、僕らがもとに戻ったんじゃないかという指摘に対しては、競争性や透明性を高めることを主眼としているんだということでしたけれども、もともと大まかに考えれば、試行する前、試行中、あるいはその後の本格実施って、小池都政下における入札契約制度の変化を三期、三つの期間に分けたら、一期と三期はほぼ中身が一緒で、二期の試行中だけが現場が混乱しているわけです。そもそも競争性もあって、透明性もあって、入札に不正もなかったという状態に戻っているのに、それでもまだ改革してますよと。しかも、今、入札に参加する機会がふえたんだ、これはいいことだといってますけれども、入札機会はふえたかもしれませんが、落札機会がふえたわけになっていないわけです。
 よりよいものを考えていくということは大切だと思いますけれども、そういったいろんな指摘を皆さんが踏まえた上で、皆さん方の先人たちはこの制度が正しいんじゃないかと思ってやってきたことを一度は否定された。やってみたけれど、やっぱりそっちがだめだったということで、もとに戻ったということは、都知事の周辺におられる方々がこの三つの期間を通して改革をした、改革したといいますけれども、実際には何も変わっていなかったんじゃないかなと考えています。
 つまり、我々都議会自民党はイコール悪だとレッテルが張られている一つの要因が、一番最初に答弁があった、九九%の落札がおかしいとか、オリンピックの施設だ、豊洲の市場がどうなっているんだということから始まっているわけですけれども、一方的に押しつけられたレッテルによって我々は大変な思いをしたわけですが、何ら問題がなかったということが皆さん方の行動によって証明されたことになります。
 結局、小池都政下の一連の改革というのは、それまでの実態をわかっていない、現場感覚のない外部の顧問団がただただ混乱を招いたというだけだったわけであります。
 先ほどもいいましたけれども、試行前までの制度をつくり上げてきた先人の知恵、あるいは努力に対して改めて敬意を表し、そして即応してきた皆さん方に対しては、いま一度大きな反省をしていただきたいということがよくわかりました。
 さて、次は築地市場用地の有償所管がえについて伺います。
 昨年度末が近づいたタイミングで、突如として最終補正予算に計上することが発表をされたわけであります。
 仮に、築地市場跡地について、そのまま都が主導でまちづくりを進めるにしても、民間に売却をするにしても、この有償所管がえというのはどこかで必要な作業であったわけでありますが、およそ五千四百二十三億円の話でして、当時、我々ももっと丁寧に進めるべきではないかという指摘をしたのでありますが、まず、最終補正予算に計上することを決定したのはいつのことでしょうか。

○山田主計部長 本年一月の知事査定の場におきまして、当時検討段階にありました築地まちづくり方針素案の方向性や考え方に今後変更がない場合には、有償所管がえに係る経費について最終補正予算案に計上することといたしまして、まちづくり方針の素案が確定した段階で最終補正予算案への計上を決定することとしたものでございます。
 その後、一月二十三日の関係局長会議におきまして築地まちづくり方針素案が取りまとめられたことから、一般会計への有償所管がえ及び最終補正予算案への計上を決定したものでございます。

○川松委員 一月の知事査定で計上することを決めた、さらに一月二十三日の関係局長会議で築地まちづくり方針素案がまとめられたからだという話がありましたが、一般的な感覚では、一月初旬の知事査定に間に合うように関係局長会議--会議までいかなくても関係局長で検討を早めて、次年度の予算に計上することはできなかったのかというのが、この年度末の議論でもあったわけですけれども、改めて、今いった一月二十三日、この二十三日まで待って決めたといいますが、翌日の二十四日には予算大綱が冊子となって配布されているんです。しかも、二十三日には、小池都知事は来年度予算について、各種団体の方々に事前に査定結果を教えているわけです。予算大綱発表前日の二十三日まで関係局長会議を開かずに、その場で三十年度補正予算が決まったということにして、翌日には既にでき上がっていた印刷物を配布する。
 こうした流れから判断しますと、三十年度の補正予算に計上することは既に決まっていたのに、関係局長会議を口実に、その事実を二十四日の発表直前まで隠した、そんな様子が見てとれるわけであります。
 改めて聞きますが、補正予算計上をすることは誰が決めたんですか。

○山田主計部長 本年一月二十三日の関係局長会議の場におきまして、財務局が報告いたしまして、知事の了承を得たものでございます。

○川松委員 財務局が提案したということでありました。
 冒頭にお話ししましたように、仮に民間への売却だったとしても、今都がやろうとしているまちづくりであっても、市場会計で持ち続けることが現実的でない以上、どこかで有償所管がえというのは必要な作業だったわけです。
 では、なぜ、当初予算ではなくて最終補正で計上したのか、この判断を財務局がされたのか教えてください。

○山田主計部長 最終補正予算に計上することとした理由といたしましては、第一に、築地市場跡地の再開発の将来像を示す築地まちづくり方針の素案を取りまとめ、都として再開発を進める方針を固めたこと、また、決算剰余金や予算の執行状況の精査によりまして、他の都民サービスに影響させることなく財源のめどが立てられたことがあります。
 また、当時、税制の問題でさまざまな議論が国と行われていたところでございますけれども、仮に最終補正予算案ではなく、今年度当初予算で予算措置を行うとした場合には、有償所管がえに充てるべき財源を、最終補正で一旦基金に積み立て、その上で今年度に基金を取り崩して支出することとなります。この場合、当初予算の一般会計総額は八兆円の大台を超え、一般歳出も前年度比で約二〇%の増加になるなど、実態とはかけ離れた姿になるということがありました。また、三十年度末の基金残高も一時的に大きく積み上がるということもございました。
 財政当局といたしましては、このような観点も含めて総合的に判断した結果、有償所管がえに係る経費を最終補正予算に計上することとしたものでございます。

○川松委員 決算剰余金が出たからだ、あるいは税制の問題で将来不安定な状況だから今だと思ったという答弁でありましたけれども、これは一見聞くと正しいと思うんですが、ある意味、これ逆側で見れば少々乱暴だといわざるを得ないんです。
 今いったように、基金を積み立てたら見た目が大きくなったりしてたたかれるんじゃないかといいますが、ただ、五千四百億円を使うのは一緒なわけです。しかも、三月三十一日までに使わないとこの五千四百億円はなくなるわけじゃないわけですから、別に急がなくてもよかったんじゃないかなと、四月一日になったら消えてしまうわけじゃないですね。これはこの後の質問にもつながってきますけれども、何でそこを急ぐことになったのか、ここを考えなければいけません。どうして、しかもこの五千四百億円を一括計上--平準化した方がいいんじゃないかという意見もありました、分割した方がいいんじゃないかという意見もありましたけれども、一括計上とした理由を教えてください。

○山田主計部長 有償所管がえの方針を固めた中で、決算剰余金や予算執行状況の精査によりまして、都民サービスに影響を及ぼすことなく財源のめどが立てられたことから、最終補正予算に五千四百二十三億円を計上したという説明をしたところでございますけれども、国の税制改正、税制制度の見直しによりまして税の減収が今後見込まれるという中、また、さらには増大する社会保障関係経費などの財政需要、今後の財政需要を踏まえたときに、将来の財政支出につきましては、可能な限り軽減をしておくことが必要であるというような判断をしたものでございます。
 いわば今回の措置は、今後の持続的、安定的な都民サービスの提供ということを目指した措置であると考えております。

○川松委員 今、今後の持続的、安定的な都民サービスの提供に資するやり方というお話でしたけれども、それだったらお金とっておいた方がよかったんじゃないかと思うんです。しかも、可能性とすれば、まだ売却すればまたそのお金が別に入ってくるから、いろんな方法があるのに急いでしまったことに対して、なぜなんだろうかという疑問を我々はいっているわけです。
 優秀な財務局の皆さん方が考え出した理由が本当に正しかったかどうかというのは、これから未来が証明してくれると思いますけれども、じゃ、急いで、大変に急いで年度末に最終補正予算案に計上したことになりますけれども、皆さん方が急いで五千四百億円使ったその後、今の築地市場跡地はどういう状態で、どこが管理しているんですか。

○五十嵐財産運用部長 平成三十一年三月六日における最終補正予算案の可決後、三月十五日に財務局、中央卸売市場、都市整備局の三者で土地の有償引継ぎ・引受けに関する覚書を締結し、これに基づき年度末、三月二十九日に約五千四百二十三億円を支出いたしました。
 現在は、中央卸売市場が所管しており、東京二〇二〇大会の利用後以降、建物及び工作物の撤去が終わった後に財務局に引き継ぎ、都市整備局などへ所管がえを予定しているところでございます。

○川松委員 つまり、三月末に急いで五千四百二十三億円を支出したものの、今十月ですけれども、現時点において所有は中央卸売市場のまま。今のお話では、二〇二〇年以降に、以降ですから、いつとはいっていませんね、二〇二〇年以降に都財務局の所有になるという説明でありました。
 お金だけは動かしたけれども、土地自体は動いていないというのは、普通に考えたらおかしいと思いますけれども、財務局、どんな見解なんでしょうか。

○五十嵐財産運用部長 土地の有償所管がえは、既に都が所有している都有地について、土地評価、土地境界や埋設物等の確認、金銭の支払いなどの一連のステップを経て、最終的に引き継ぎを行った段階で所管をかえる手続でございます。
 本件地につきましては、建物及び工作物が撤去された後、財務局で引き受けることとしており、具体的な引き継ぎ時期については先ほど申し上げたとおり、東京二〇二〇大会以降を予定しておりますが、覚書の中で、こうした引き継ぎ条件を満たした後、協議の上、具体的な日時を定めることとしております。

○川松委員 建前論はわかるんですけれども、それを本当に、丁寧に都民の皆さんに説明したときに、理解を得られるかということを私はいってるわけです。今、一連のステップをたどるということでありましたが、じゃ、何でもっと早く--最終補正にのせるということを思い立っていたんだったら、早くいって、もっと審議時間を長くできなかったのかなと。二〇一八年度中のわずかな審議時間で五千四百億円の出金を決めちゃったわけですよ、東京都は。これは一九年度でも、僕らは当初予算案でしっかり、予算の特別委員会でも議論できたじゃないかとは思うわけですが、しかも、築地まちづくり方針というのが出されましたけれども、これ、各エリアをゾーニングしていて、本当にあのとおりできていくのかなと。まだ不透明な部分も多いわけです。およそ二十三ヘクタールにも及ぶ隅田川の内側の都内有数の土地であって、一体性があるものができるのか、さらにほかの周辺地域を巻き込んだ、何ができるのか見えない中で、都知事個人、あるいは周辺におられる人たちの思いをそんたくするために財務局が知恵を働かせたかのように見えてならないわけでありまして、本当に大丈夫なんでしょうかねと、今後推移を見守っていかなきゃいけないと思いますが、最後にお聞きしますけど、築地まちづくり方針において、都が土地を保有するという前提になっていますが、今の現状において、この都の仕組み上あるいは契約の仕組み上において、民間売却をするという余地はもうないんでしょうか。

○五十嵐財産運用部長 まちづくりに当たりましては、土地を民間に売却することなく、都が保有し、本年三月に策定されました築地まちづくり方針に沿って有効活用することとされております。
 具体的には、事業者を募集し、定期借地により活用を行うことが想定されているところでございます。

○川松委員 私は原則論を聞いたんです。民間売却の余地はないんですかと聞きましたが、答弁はかみ合っていませんでした。
 制度上は、まだまだ引き続き民間売却するという選択肢が残されているというふうに私は捉えておりますので、強調しておきます。
 次に、旧こどもの城についてお聞きします。
 広尾病院の移転撤回から検討に時間を要したため、土地が大幅に値上がりをしました。平成三十年度、どのような検討を行い、誰が、いつ、どのようにしてこの事案について決めていったのか教えてください。

○五十嵐財産運用部長 国有財産を随意契約によって国から取得するには、その財産の利用に関する計画を定め、事業の公共性や必要性、関係法令との整合などを示した上で、国の審査を受ける必要がございます。
 平成二十九年九月に広尾病院を現地建てかえするとの方針が示された時点では、都として、直ちに具体的な利用計画を示して国から購入することは困難であり、知事からの指示により、改めて公共的な用途での活用可能性について検討に着手いたしました。
 こうした中、庁内関係局との調整、国との協議、既存建物の活用可能性などについて検討を重ね、昨年十月に、国に対して土地建物の取得要望を行うことを知事に報告し、決定いたしました。
 その上で、本年第一回定例会において、いわゆる都民の城としての活用の基本的考え方をお示しするとともに、財産取得に係る予算をご審議いただき、今年度取得することを最終的に決定したところでございます。

○川松委員 今のお話はわかりますけれども、原則に対しては例外があるわけですが、先ほどの築地市場跡地の所管がえでは、とにかく急いで五千四百億円を強引に推し進めて使うことになりました。一方で、旧こどもの城は、早く決められないで先に延ばしていたら金額がアップしてしまったと。そこでまた、でも高くなったけど使うって。五千四百億円は、急いで使ったら、東京は金あるなってまた批判されるかもしれないというさっきの築地の話。でも今回、旧こどもの城は先延ばしにしていたらお金が上がっちゃった。でも買うなんて、それでも金あるなっていわれるわけです。
 築地に関しては、財務局が提案をしましたよと。有償所管がえがいいんじゃないですかと知事に提案したという答弁がありました。逆にこちらは、去年九月の知事の指示を受けていたという答弁だったわけです。
 二つの土地にかかわることですけれども、単純に比較しますと、財務局としては、もともとこの土地は取得しなくてもいいと思っていたんじゃないんですか。本当に必要だと思っていたら、知事の指示がなくたって、焦点に上がっているんだから、国だとかほかの関係機関と調整していたんじゃないのかなと。そして、もうちょっとできるだけ、お金が上がるなんて皆さん方はプロなんだから、わかってるんだから、早目早目の作業ができたんじゃないんですかということを指摘しておきます。
 また一方で、実際に東京都が取得することになりましたけれども、未来図を考えたときに、例えば国連大学との調整なんて、想像以上の困難さがあるのを皆さん方わかっていた中で、今後どうしていくのか。
 いずれにしても、知事の決断、あるいは財務局の判断には疑問の残ることも多いことでありまして、今後--今、これは決算の場でありますけれども、例えば常任委員会、財政委員会等を含めていろいろと質疑を重ねていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。

○池川委員 私からも、最初に、築地市場跡地の有償所管がえについて質問いたします。
 築地市場跡地を市場会計から一般会計に有償所管がえする予算がことし三月、昨年度末の最終補正予算として計上されました。
 我が党は、この補正予算に対して第一に、知事の公約違反、方針転換が質疑を通じてはっきりしたにもかかわらず、大きな方向性は変わっていないなどという、ごまかしと居直りを知事が続けていること、第二に、有償所管がえを補正予算で急いで決める必要は全くないということ、そして第三に、築地まちづくり方針がその時点でまだ素案にすぎないこと、この三つの点を指摘いたしました。このとき補正予算で執行しなければならなかったのかについて、確認も含めて聞いていきたいと思います。
 まず初めに、若干重複するところもありますが、築地市場の有償所管がえを最終補正予算として計上した、その経過について時間を追ってお答えいただきたいと思います。

○山田主計部長 築地市場跡地の取り扱いでございますけれども、昨年十一月の市場移転に関する関係局長会議におきまして、中央卸売市場会計の収支試算を行う中で、築地まちづくりの検討状況を踏まえ、一般会計への所管がえも視野に入れて検討を進めることといたしたところでございます。
 その後、第四回定例会において、一般会計への有償所管がえを軸に検討を加速する旨を表明するなど、各段階において状況を明らかにしながら検討を進めてまいりました。
 その上で、本年一月の関係局長会議において、東京全体としての価値の最大化を目指すまちづくりを見据え、市場会計の収支試算を踏まえて、市場会計から一般会計へ有償所管がえを行うこととしたものでございます。
 有償所管がえに当たりましては、平成二十九年度決算剰余金や予算執行状況の精査によりまして、都民サービスに影響を及ぼすことなく財源のめどを立てることができたことから、平成三十年度最終補正予算案において速やかに対応することとしたものでございます。

○池川委員 改めて今、経過についてお答えいただきましたが、なぜ最終補正予算で対応したのかの肝は、決算剰余金と予算執行状況の精査、これによって財源が生まれたということだと思います。
 先ほども、東京全体としての価値の最大化を目指すまちづくりということがいわれました。予算案の審議の際には、一般会計に移す理由として、民間事業者の参画意欲を引き出すことが理由とされておりました。
 しかし、ここでいわれる築地まちづくり方針のパブリックコメントには二百二件の意見が寄せられましたが、築地を守るという基本方針を維持し、市場関係者や都民に対する公約を守るべきです、今回示された築地まちづくり方針素案は直ちに撤回すべきだと考えます、築地のまちは市場があればこそ世界の築地だったのです、築地場内市場の再整備を本気で考えてくださいなど、知事の公約違反を指摘するもの、築地での市場の再整備を求めるなどの意見が七十件以上に及んでおります。
 ところが、築地まちづくり方針は、食文化という言葉は少しふやしましたが、内容は国際会議場を中心とした再開発という内容になっており、築地に都として卸売市場を整備する考えはないということが加筆をされ、知事の公約違反が一層明確になるものとなっています。
 それでは、実際に築地市場の跡地がどのようになっていくのか、一般会計に所管がえが行われるのはいつごろの見通しなのか、現時点の見通しがどうなっているか伺います。

○五十嵐財産運用部長 現在、築地市場は解体工事中でございまして、神田市場と同様に、土地上の建物及び工作物が解体撤去された後に、一般会計に土地が引き継がれることを想定しております。具体的には、東京二〇二〇大会以降となる見込みでございます。

○池川委員 先ほどの答弁とも重なりますが、補正予算で有償所管がえをしても、結果として移るのは二〇二〇年以降ということです。
 しかも、その後に埋蔵文化財等の調査が行われることになり、先ほど、民間事業者の参画意欲を引き出すために補正予算で急いでやるんだということがありましたが、実際には、埋蔵文化財というのは掘ってみなければわからないわけで、何年かかるかという見通しがない中で今、これが進められているということであります。
 こうしたことを踏まえるならば、やはり最終補正予算で急ぐ必要があったのか。このことについては急ぐ必要がなかったんじゃないかということだと思います。
 重要な政策決定については、やはり知事と一問一答ができる予算特別委員会など、こういう場所で議論をすべきだったということを改めて指摘をしておきたいと思います。
 次に、昨年度の決算の収支等について伺いたいと思います。
 築地市場跡地の有償所管がえの際にも、決算剰余金と予算執行状況の精査が一つの理由とされました。築地市場の跡地の有償所管がえ、五千四百二十三億円を支出してもなお、形式収支が四千八百九十七億円、実質収支が一千二百七十三億円の黒字となっていますが、なぜこうした状況になったのか、その認識についてお伺いをいたします。

○山田主計部長 まず形式収支でございますけれども、形式収支は出納閉鎖期日における当該年度中に収入された現金と支出された現金の差額、すなわち現金ベースでの単純な差引収支を示すものでございまして、平成三十年度決算は約四千九百億円の黒字となっております。
 また、平成三十年度決算の実質収支が一千億円を超える黒字となった要因でございますけれども、都税の増収に加えまして、基金を積極的に取り崩したことや、将来を見据えて無駄の排除を一層徹底したことなどによるものでございます。
 具体的には、歳入については、歳入全体の約七割を占める都税収入が、企業収益が堅調に推移したことなどによりまして前年度比三・三%増となったほか、三つのシティー実現に向けた基金の積極的な活用により繰入金が増加したことなどから、前年度比七・七%増の七兆八千六百八十八億円となっております。
 歳出につきましては、歳出の精査を徹底しつつ、東京二〇二〇大会の開催準備を着実に進めるとともに、待機児童対策を初めとした福祉施策や災害に強い都市づくりなど、都が直面する課題への対応にも積極果敢に取り組み、前年度比八・一%増の七兆三千七百九十億円を計上しております。
 このように、平成三十年度決算におきましては、施策の積極的な展開と財政の健全性の確保という、二つの目標を両立させることができたものと考えております。

○池川委員 今の答弁があった施策の積極的な展開という点では、例えば、昨年度は夏の猛暑を受けて、年度途中であっても学校体育館へのエアコン設置などの予算を初め、暑さ対策、防災対策について機動的な補正予算を組むという重要な対応もありました。
 ここに、東京都財務局長監修の都財政用語事典というものがありますが、この都財政用語事典には、決算の意義について、当初の予測に対する実績を明確にしてこれを確定するとともに、財務上の説明責任を明らかにすることにある、すなわち決算は、予算の執行の事実をありのままに示すことにより、予算の見積もりに遺漏がなかったか、財政の健全性の原則により、かつ議会の議決に従って執行されたかを、実績によって検討するために調製される資料である、また、この期間における行政活動の結果が集約的に表現されているため、議会及び住民による行政監視の最も重要な資料となるというふうに示されております。
 そういう意味では、この決算において住民の福祉の増進に役立ったかどうかをきちんと検討することが重要だと思います。
 そうした視点から見ると、例えば、強い住民の反対がある特定整備路線の推進の予算が、不用額が多額になっている問題や、また、ベビーシッターの利用支援事業も予算のほとんどが不用額となっている問題など、検証すべき課題がたくさんあるというふうに考えます。
 ここでは各局事業のあれこれについて取り上げるものではありませんが、予算ベースでの見積もりが本当に適切であったのか、事業内容が都民ニーズを捉えた、また使い勝手のよいものであったのか決算を通じて改めて検証し、次年度の予算編成に生かしていくことが必要であります。
 財政運営上の視点から、不用額が多かった事業については、財務局としてどういう見直しを図っていくのかお伺いをいたします。

○山田主計部長 都はこれまでも、東京が抱える課題の解決と、より一層の成長促進に向けて必要な施策を積極的に展開しつつ、見直すべきものは見直すというワイズスペンディングの視点に立ち、将来を見据えた財政運営を行っております。
 具体的には、事業評価の取り組みによりまして、事業の成果や決算状況を厳しく検証した上で、効率的で実効性の高い施策の構築につなげ、翌年度の予算に反映をしております。
 今後とも、個々の事業の必要性や有益性を絶えず厳しく検証いたしまして、より一層無駄の排除を徹底していきたいと思っております。

○池川委員 しかるべきタイミングできちんと見直すことは、とても重要なことだと考えます。特定整備路線等の道路整備については、知事も見直すべきは大胆に見直すという発言をされていますが、そういう意味で、住民が強く反対している事業については、多額の予算をつけることを改めるべきだということを求めておきます。
 同時に、都民の暮らしや区市町村の施策展開等を考えると、事業の継続性を見通すことが必要であり、この点からも、住民福祉の増進という立場から財務局としても取り組んでいただきたいということを求めて、質問を終わりたいと思います。

○森澤委員 今回決算審査を行うに当たり、改めて、各局が出している決算説明書の情報や数字の粒度にばらつきがあることに課題を感じました。また、事業の成果としてはかる指標がアウトプット指標と執行率となっているものが多いのですが、各事業について、具体的にどういったことに使われているのか、成果はどうだったのかという情報こそが、都民の皆様に税の使い方をご理解いただく上で、より重要な情報なのではないかと思うところです。
 予算案のときには、東京都がこれからどういったことに注力していくのかといったメッセージ性を持って、わかりやすく都民に伝えていこうという意図が伝わります。
 一方で、決算資料においては、そういった意図を残念ながら感じにくい状況であります。
 情報公開とは、行政機関等が保有する情報を住民等の請求に応じて提供することを定義する場合もあるそうですが、今求められている情報公開とは、行政機関みずからが主体的に説明責任を果たすとともに、住民参加を促すような姿勢だと考えます。
 そういった意味でも、都民にとって、よりわかりやすい決算資料を示していくべきではないかと考えます。
 財務局では、地方自治法に基づく主要施策の成果や東京都年次財務報告書を決算のタイミングで発行しているということですが、都民の皆様に税の使い方がうまく伝わるよう、どのように工夫をしているのか、取り組みを伺います。

○山田主計部長 会計別、局別に主要事業の概要をまとめた主要施策の成果では、予算と決算を対比して示すとともに、事業の成果がより明確となるよう、事業ごとに財務諸表から得られる情報を取りまとめ、議会に提出、公表しているところでございます。
 また、東京都年次財務報告書では、普通会計決算や健全化指標の掲載にとどまらず、都民一人当たりの歳出について過去と比較しているほか、歳入歳出の構成比を他の道府県と比較いたしまして、都の財政構造の特徴を明らかにするなど、都民の皆様が実感を持って税の使い方について理解できるよう、工夫を凝らしているところでございます。
 都財政に関するアカウンタビリティーを確保する観点から、引き続き、よりわかりやすい説明に努めていきたいと思っております。

○森澤委員 引き続き、よりわかりやすい説明に努めていくという答弁をいただきました。一般の都民の目線でぜひ進めていただきたいというふうに考えます。
 この委員会でも過去何度も取り上げられていますが、町田市では、財務情報と事業の成果をあわせた課別、事業別行政評価シートにより、事業の成果が上がっているか、税金が効果的に使われているかなどを明らかにし、市民に対し市政運営への関心を促す姿勢を示しています。さらにこの取り組みは、議会対応や市民の問い合わせに対する効率的で効果的な対応にもつながっているということです。
 都でも事業評価が行われており、今年度から政策評価の取り組みもスタートしましたが、内容をブラッシュアップしていくとともに、決算審査を深めるという意味でも、この事業評価、政策評価は、予算編成の時期ではなく決算の時期に合わせて公表していただくよう、強く求めるものです。
 次に、都政への都民参加を促すという観点から、都民提案制度について伺います。
 ことしが三回目の提案募集を迎えた本事業ですが、平成三十年度では初めて予算に組み込まれました。通常の、都庁から上げていく施策とは違い、都民提案制度により、どのような観点から成果が得られたと考えているのか見解を伺います。

○山田主計部長 都民による事業提案制度は、都民の皆様の声を直接施策に反映させることで、行政にはない新たな発想の活用を図るための新しい予算編成の手法といたしまして、平成三十年度予算編成から導入したものでございます。
 初年度となります平成三十年度予算におきましては、二百五十五件の提案をいただき、都民の皆様による投票を経て九事業を選定し、例えば、働く人のチャイルドプランサポート事業では、不妊治療と仕事の両立に向けた都民向けセミナーを開催するなど、実績を上げているところでございます。
 事業提案制度の導入によりまして、都民の身近な視点などによる提案が都の政策立案に生かされ、都民に還元されていくという新たなサイクルが生まれているものと考えております。

○森澤委員 行政では気づかない発想から事業を構築するという点と、都民参加を促すという点、その両輪で動いている事業であるとも考えます。
 そういった意味では、提案数、投票数もまだまだ改善の余地があるのかなというふうに捉えているわけですが、今後さらなる都民参加を促すために、この都民提案制度、公募周知の工夫、投票数向上のための施策に今後どのように取り組んでいくのか見解を伺います。

○山田主計部長 都民提案制度の普及促進のためには、より制度を利用しやすい環境づくりや、都民の皆様に対する周知、広報が重要であると認識しております。
 こうしたことから、環境づくりに関しましては、平成三十年度から、事業提案の応募に際しまして、スマートフォンやパソコンから直接事業提案を行うことができるシステム環境を整備し、そのデザインについても都民の皆様にとって使いやすいものとするなど、工夫を重ねているところでございます。
 また、制度周知や提案促進に向け、「広報東京都」やSNSによる情報発信を行ったほか、ポスターやデジタルサイネージの掲出も実施しており、今年度は、新たに都内区市町村にポスター掲出やチラシ配布への協力を依頼するなど、さまざまな機会を捉えた広報活動を行っております。
 今後もさらなる制度の普及に向けた取り組みを行っていきたいと思っております。

○森澤委員 システムや画面デザインの改善や、さまざまな機会を捉えた広報活動をされているということはわかりました。
 以前視察したシンガポールで、都市の将来像と計画というところを、多くの人が行き交うオフィス街に模型やパネル、映像などを通じて、一般の方々にもわかりやすく示すとともに、テル・アス・ホワット・ユー・シンク、あなたの考えを教えてくださいということで、都市の将来像とか計画について意見を出してくださいと、その場で意見を受け付けるような仕組みになっていました。
 例えば、都民提案の募集や投票期間において都が活用できるところといえば、都庁一階のパブリックスペースなどにおいて、都民提案の説明パネルを置いて、そこで応募、投票できるような取り組みもできるのではないかと思いますので、ぜひそういった取り組みも検討いただきたいというふうに思います。
 また、特に投票数を上げていくという観点からは、都が主催、もしくは後援するイベント等に出ていって、その場で投票していただくような、積極的なアピールが重要であると考えます。
 ちょっと趣旨は違うんですけれども、今まさに盛り上がりを見せているラグビーワールドカップで、事前の盛り上げに寄与しようと、カウンターボールを持って都内のあらゆるイベントを駆け回る都庁職員の方の姿をすごく見かけまして、百万カウントを三カ月で集めるということを都庁職員の方の熱意でなし遂げたというところは、率直にすばらしいなと思いまして、こういったことをやってくださいと、いわゆる熱意を持って、ぜひ都民の参加を促していただきたいということをお伝え申し上げたいと思います。
 次に、都庁全体の業務委託契約についてお伺いをいたします。
 決算審査に当たり、改めて各局事業を見ていきますと、啓発やイベント事業などを一括して業務委託をしている事業について、億単位など、余りに大まかな決算数字しか出ておらず、その内訳がわからずに、さらに成果が見えにくく、妥当性を判断するのが難しいと感じることが多くありました。
 平成三十年度の契約実績のうち、業務委託が五百十五億一千二百四十万円でありますが、建設工事のように単価を積み上げられないイベントや啓発活動のようなものの場合、業務委託契約の価格の適正性をどう担保するのかという視点が大切だと考えております。
 業務委託契約の効果など、品質の確保と価格の適正性を担保するという意味で、予定価格はどのように設定をしているのか伺います。

○新田見契約調整担当部長 業務委託契約についてでございますが、業務委託の品質確保には、業務内容を仕様書等に明確に示すことのほか、適切な業務の履行を担保するに足る予定価格を設定することが重要でございます。
 これまで財務局では、品質確保のために適切に予定価格が設定されるよう、予算要求の時期に、適切な積算及び予定価格の設定を求める通知を各局に発出しております。
 都の業務委託の内容は多岐にわたり、反復継続するものなど、さまざまなものがあるため、全ての業務に共通した基準を設置することはいろいろと課題がございますが、イベントなどの業務委託については、委託する業務内容をもとに、複数の業者からの参考見積もりを踏まえ経費を精査することなどにより、適正な積算及び予定価格を設定しております。
 今後とも、総合評価方式や企画提案方式などの方法も適宜活用し、業務委託契約の品質を担保するとともに、適切な予定価格の設定に取り組んでまいります。

○森澤委員 複数の業者から相みつをとるなどして、契約段階では適切な予定価格の設定に取り組んでいることは理解しました。
 一方で、意見として申し述べておきたいんですけれども、そもそも契約に至る前、各局が啓発事業やイベントの事業計画を立てる際に、例えばチラシを何万部配る、イベント集客に何人呼ぶといった本来手段であるべきことが目的、目標、アウトプット指標になってしまっていることが見受けられます。
 事業計画の段階から、その先にある効果や成果を目標として設定することが非常に重要だというふうに考えます。
 成果や取り組みの見える化を図り、客観的に評価できる仕組みを導入すべきで、その前提で事業計画を立てるよう、予算の段階で財務局の皆様には、そもそもの目標設定の妥当性についても、さらにしっかりと見ていただきたいと思いますし、これは、私たち議員も予算の段階でしっかりと注視しなくてはいけないというふうに考えております。
 では、次に障害者優先調達についてお伺いをいたします。
 障害のある方が、就労によって経済的な基盤を確立して自立した生活を送るためにも、障害者就労施設等から優先調達を行っていくことは重要であると考えます。
 まず、平成三十年度の障害者優先調達にかかわる都の実績についてお伺いをいたします。

○新田見契約調整担当部長 障害者就労施設等からの優先調達については、福祉保健局、産業労働局と連携して、平成二十五年度から毎年度、調達方針を定めて取り組んでいるところでございます。
 その中では、各局が具体的な数値目標を掲げた調達計画を策定するとともに、物品等の調達については、随意契約を積極的に活用することとし、また十万円以下の印刷請負については、原則として障害者就労施設等へ発注することとしております。
 平成三十年度における都の障害者就労施設等からの物品等の調達実績については、約五億二千二百万円となっております。

○森澤委員 一定の優先調達というのがなされていることはわかりました。
 一方で、障害のある方の仕事の範囲は広がっていまして、例えば、以前視察をしました障害者就労施設、A型では、民間の老人ホーム入居者の私物やホームのタオル等の洗濯、乾燥、畳み--つまりクリーニングですね、などを行っていました。物品や印刷などだけでなく、新たな仕事の範囲が広がっているという視点も踏まえて、障害者優先調達の今後のあり方をぜひ検討していただきたいと思います。
 先般、都民の就労を応援する条例の考え方が示されました。その柱の一つがソーシャルファームであり、その有効な施策の一つとして優先調達という考え方があります。その対象は障害者のみならず、ひきこもりやシングルマザー、刑余者、がん患者など幅広く議論がなされているところです。
 今後、産業労働局や福祉保健局との連携を深め、優先調達の基準を改めて見直していくべきと考えますが、今後の考え方についてお伺いをいたします。

○新田見契約調整担当部長 ソーシャルファームからの優先調達についてでございますが、地方公共団体が締結する契約の方法や相手方の決定方法は、地方自治法等に規定されておりまして、競争性、公平性、透明性の確保の観点が要請されております。
 ソーシャルファームからの優先調達といった政策目的の発注においても、法令の範囲内で、こうした観点とのバランスを考慮しながら制度を運用していく必要があります。
 契約制度における対応を検討するに当たりましては、その前提となるソーシャルファームの定義や範囲等が明確であることが必要であり、今後も、条例化に向けた議論などを注視しながら、事業所管局の取り組みに協力してまいります。

○森澤委員 ソーシャルファームの定義や範囲等が明確になった折には、前向きに取り組んでいただけると理解をいたしました。
 ぜひ、国の指針や法整備を待つのではなく、都みずからがソーシャルインクルージョンの理念を体現していただきますよう、重ねてお願いを申し上げます。
 次に、ワイズスペンディングという観点から伺います。
 ワイズスペンディングには、より効果の高い方法で、限られた予算を使い有効活用すると同時に、時に賢くため、将来起こり得る支出に備えるという意味合いがあると考えます。その点で、都有地や都の施設などの有効活用は重要です。
 先ほども出ましたけれども、都はこれまで、都有地活用による地域の福祉インフラ事業により効果を上げてきていて、待機児童解消に向けても保育所等の整備を促進してきたと認識をしております。
 一方で、待機児童など以外にも、それぞれの区市町村が抱える課題は多様であり、保育など以外での分野についての活用についても、区市町村の相談に積極的に乗るべきと考えますが、取り組みの状況、平成三十年度の実績についてお伺いをいたします。

○五十嵐財産運用部長 都はこれまでも、庁内利用が見込まれない都有地につきましては、地元区市町村の意向を踏まえながら利活用を図っているところでございます。
 平成三十年度におきましては、例えば、学校用地や公園用地として売却した事例や、運動用地として貸し付けを行った事例など、区市町村に対する利活用実績は合計十件となってございます。
 いずれも、都有地の活用を通じて、地域の課題解決に向けた区市町村の主体的な取り組みを支援しているところでございます。

○森澤委員 区市町村の地域課題を解決するような都有地活用を進めていることがわかりました。
 引き続き、区市町村の意向を積極的に酌み取っていただくと同時に、例えば、区市町村が所有している土地と隣接している場合など、地域住民の目線で、よりよい都有地の活用となるよう主体的に考えていただくことも期待したいというふうに思います。
 都有地の活用という観点から、都民広場も価値のある場所だと考えます。公共空間において民間の力を活用し、にぎわいを創出したりコミュニティをつくっていくような動きはトレンドになりつつあり、有意義なことであると考えます。
 そういった意味では、交通利便性が高く、多くの都民や観光客が行き交う都民広場についても、もっと有効活用するべきではないかと考えるところです。
 都民広場の平成三十年度の利用実績と、現在の利用の仕組みについてお伺いをいたします。

○後藤庁舎運営担当部長 都民広場は有効空地として都市計画法の適用もあることから、年間の使用期間が百八十日を超えないことや、使用に当たっての行為について制約がございます。利用に当たりましては、利用を希望する局からの申請を受けまして、その適否を審査した上で承認を行っているところでございます。
 平成三十年度におけます都民広場のイベントでの利用実績でございますが、三十六日でございます。

○森澤委員 都市計画法の有効空地という位置づけであり、利用に制限があるということは認識しましたが、ぜひ、都有地の有効活用という観点からは、まだまだ活用の余地があるのではないかと感じるところです。
 ある自治体では、一時占有の届け出によって、芸術の鑑賞等、公衆のレクリエーションに寄与する行為、地区のにぎわい創出に寄与する行為等を認めているようですが、局から申請を受けるという仕組みはどのような考え方から行っているのかお伺いをいたします。

○後藤庁舎運営担当部長 都民広場の利用に当たりましては、円滑な公務に支障を及ぼさないことや、公共性、公益性が求められておりまして、都が主催、共催する行事の利用においては、各局からの使用承認申請を受けております。
 また、都民が主体的に実施する行事に対しましては、都が後援することによりまして、公益性のある行事として使用許可を行っております。
 これまで都の後援した行事といたしましては、不動産無料相談会や東京大薪能などを開催しておりまして、今後も、都民広場管理運営要綱などに基づきまして、適切に運営してまいります。

○森澤委員 ありがとうございます。今のご答弁を聞きますと、これまでの都立公園の活用と近しい考え方かなというふうに受け取りました。
 今、公園についても、民間活力を踏まえた多様な活用方法を模索しているところでもあります。もちろん同じようにはいかないとは思いますが、ぜひそういった発想も視野に、今後の活用について検討いただきたいと要望をしておきます。
 最後に、災害後の都市復興における財政的根拠についてお伺いをいたします。
 平成二十九年度決算の審査における認定意見の措置状況調には、大規模災害が発生した際には、財政当局としては、これまで築き上げてきた財政対応力を最大限に活用し、必要となる需要を財政面からしっかりと下支えするべく全力を尽くすとあります。
 都市整備局においては先般、都市復興の理念、目標及び基本方針が策定されましたが、いざというときに即座に対応できるよう、財政的な備えを進めていくべきと考えます。
 都市復興という観点から、財務局としての基金の積立状況についてお伺いをいたします。

○山田主計部長 都市復興を含めまして、都が直面する課題に的確に対応していくためには、強固で弾力的な財政基盤を確立することが何より重要であると考えております。
 このため、都の財政運営におきましては、都債の発行額を抑制し、将来に向けての発行余力を培うとともに、基金を戦略的に活用するなど、財政対応力の向上に努めているところでございます。
 基金につきましては、これまで事業評価の取り組みを通じて生み出してきた財源などを、計画的に防災街づくり基金などに積み立ててきており、平成三十年度においては、社会資本ストックの維持更新や耐震化、不燃化などの防災対策など、喫緊の課題の解決へとつながる施策の財源として積極的に活用しているところでございます。
 その結果、三つのシティー実現に向けた基金全体の残高は、平成三十年度末時点で、前年度比三千四百七十八億円減の一兆五千百八十九億円となっております。
 一方、財源の年度間調整のかなめとなります財政調整基金につきましては、都税収入の増などに伴い積み立てを行っており、平成三十年度末時点で、前年度比で一千二百六十三億円の増となります八千四百二十八億円の残高を確保しているところでございます。
 引き続き、基金の戦略的活用を図り、強固で弾力的な財政基盤を堅持していきたいと思っております。

○森澤委員 この二カ月で台風十五号、十九号と続けざまに大きな被害がもたらされました。地球温暖化の影響か、日本にも気候変動は例外なく降りかかっており、今後もこうした自然災害が起こる可能性があると認識を強くしなければなりません。
 さらに、首都直下地震はいつ起こるかわからない状況といわれており、ご答弁にありました強固で弾力的な財政基盤というのは、都市としてのレジリエンス、つまり強靱さのみならず回復力を高める取り組みであり、大変重要です。
 引き続き、都市整備局を初めとした関係各局と連携して、ワイズスペンディングの取り組みをさらに強め、将来の財政需要に対する備えを進めていただきますよう強く要望し、質問を終わります。ありがとうございました。

○うすい委員 私で最後ですので、よろしくお願いいたします。
 私からは、平成三十年度における各事業の決算審議に当たって、まず、昨年度の財政運営に関して確認をしたいと思います。
 現在の都が置かれた状況を俯瞰して見ますと、東京二〇二〇大会に向けた準備の総仕上げを行う時期に当たり、そのための財政需要もピークを迎えております。
 その一方で、大会後の東京が都民の暮らしを守り、豊かな生活を送ることができる成熟都市として一層の発展を遂げていくためにも、新たな長期計画や新たな都政改革の指針などの策定に向けて、今まさに議論を進めている重要な過渡期にあるように思えます。
 こうした中、本委員会において平成三十年度決算を分析することで、現在の都財政の立ち位置を確認するとともに、都が抱える喫緊の課題に対してどのように取り組んできたのかを、しっかりと検証させていただきたいと思います。
 そこでまず、東京都の平成三十年度決算における、財政の健全性をはかる各種指標の推移について、他自治体との比較も行いながら説明をいただきたいと思います。

○山田主計部長 財政の健全性をあらわす指標は複数ありますけれども、財政構造の弾力性を示す代表的な指標といたしまして、経常収支比率と公債費負担比率があります。
 まず、経常収支比率でございますけれども、人件費、扶助費、公債費などの容易に削減することが困難な経費に、地方税などがどの程度充当されているかを示すことで、財政の弾力性を測定する指標でございます。比率が低いほど弾力性が高いということを示しております。
 都の経常収支比率は、近年では、平成二十一年度の九六・〇%をピークといたしまして改善傾向で推移しており、平成三十年度は、前年度から四・七ポイント改善し、七七・五%となっております。
 都道府県全体の近年の平均が一〇〇%を超えていることと比べまして、都の財政構造は高い弾力性を確保しているといえると思います。
 また、公債費負担比率は、地方債の償還に一般財源がどの程度充当されているかを示す指標でございまして、こちらも、比率が低いほど財政の弾力性が高いことを示しております。
 公債費負担比率についても、都においては、平成十八年度の一五・五%を直近のピークに改善傾向にございまして、平成三十年度は、前年度から一・七ポイント改善し、六・八%となっております。
 都道府県全体では、近年約一九%程度で推移していることと比べても低い水準となっており、都財政は弾力性が高い状況にあるといえると考えております。

○うすい委員 都の財政状況は、引き続き健全な状況にあることを改めて確認をさせていただいたところであります。
 しかしながら、今後は、さきの令和元年度税制改正における地方法人課税のいわゆる偏在是正措置による減収が発生するということが見込まれております。
 これまでしっかりと基金への積み立てを行ってきたことで、東京二〇二〇大会の開催準備などにより歳出が増加する中においても健全な財政運営が堅持できているように、二〇二〇年のその先も都民が安心して暮らせるよう、中長期的な視点に立った戦略的な財政運営を行っていただきたいと思うところでございます。
 都民の暮らしをしっかりと守っていくために何よりもまず重要なことは、防災、減災対策であります。
 中でも、水害、豪雨災害は、近年の気候変動などにより激甚化、頻発化しており、先日の台風十五号、十九号の本州直撃に際しても、河川の氾濫や倒木、停電など日本各地で大きな被害が出ており、都においても、災害対策本部が設置される事態となりました。
 私の地元足立区も東部低地帯に位置しており、地域住民の皆様は本当に今回不安な思いでいっぱいだったと思います。台風が去った後の荒川の水位を見ましたら、本当に紙一重で助かったことを実感いたしました。
 一口に防災、減災対策といっても、足立区で実施している水害リスク動画による防災意識の啓発といった、いわゆるソフト事業から、豪雨に備えた調節池の整備や不燃化まちづくりのような完成まで時間を要するハード整備まで、その手法や効果はさまざまであります。しかし、こうした一つ一つの事業を組み合わせ、積み重ねていくことで、初めて大都市東京の安全は担保されるものでありまして、その取り組みには継続性が重要であります。
 こうした防災、減災対策の継続性を財政面から支えていくために、都では、先ほども話が出ましたけれども、防災街づくり基金を設置し、財源の確保を図っております。
 そこで、この防災街づくり基金の活用状況について確認をさせていただきたいと思います。
 防災街づくり基金の設置目的と、これまでの積み立て、取り崩しの状況について説明を求めます。

○山田主計部長 防災街づくり基金でございますけれども、東京を高い防災力を備えたまちとするための取り組みを戦略的に展開していくために、平成二十六年度補正予算において設置した基金でございます。
 設置当初は、一千億円の積み立てを行ったものでございます。平成二十七年度には、災害に強いまちづくりを加速させる観点から、それまでの木密対策、耐震対策に加えまして、津波、高潮対策や豪雨対策を新たに充当対象といたしまして、あわせて事業費の拡大が想定されますことから、最終補正予算で二千億円の積み増しを行いました。
 これらの結果、平成三十年度までの累計で約三千億円の積み立てを行っているところでございます。
 積み立てた基金につきましては、平成三十年度から活用を開始いたしまして、八百九十九億円を取り崩した結果、平成三十年度末時点での残高は二千百二億円となっているところでございます。

○うすい委員 都民の暮らしを守るために、東京二〇二〇大会の開催準備のみならず、防災、減災対策に特化した基金を設置し、継続的な取り組みのための財源としていることは、率直に評価をしたいと思います。
 あわせて、実際にどのような取り組みの財源として活用されているのか、その点をしっかりと確認をしておきたいと思います。
 そこでまず、この基金を活用して平成三十年度はどのような事業を実施したのか説明を求めます。

○山田主計部長 平成三十年度におけます防災街づくり基金の具体的な活用状況でございますけれども、東部低地帯における河川施設の耐震、耐水対策に百七十五億円、豪雨対策といたしまして調整池等の整備に二百五億円、都立学校の耐震対策に十一億円、木密地域におけます特定整備路線の整備推進に二百四十四億円、不燃化対策として地域と連携した延焼遮断帯形成事業に十六億円を活用しているところでございます。
 また、避難所にもなる区市町村立小学校の屋内体育施設などへの空調設備の設置を速やかに進めるため、昨年十二月の補正予算において計上した公立学校施設冷房化支援特別事業に対しましても八十一億円を充当するなど、活用を図ったところでございます。

○うすい委員 今のご説明で、防災街づくり基金が耐震対策、水害対策など多岐にわたる事業に充当され、継続的な取り組みが進んでいることが確認ができたわけでございます。
 しかし、首都直下型地震、またゲリラ豪雨、台風などの自然災害に対しては、あらゆる状況を想定する必要があります。
 今回の台風十九号以上の強い台風が今後も起こり得るわけでございまして、二〇二〇年のその先も見据えた都民の安全・安心を守るため、引き続き、防災街づくり基金をしっかりと活用し、手を緩めることなく取り組みを進めていただくことを改めて強く求めておくものでございます。
 続いて、防災対策について、本日は都有施設に関する財務局の平成三十年度の取り組みを確認させていただきます。
 着実に防災対策を進めていくためには、地域におけるさまざまな主体による自主的な取り組みだけではなく、自治体自身が常に公共施設の安全・安心を確保していくことが必要不可欠であります。
 都有施設は、災害発生時には、利用者の安全を確保することはもちろん、防災活動拠点及び帰宅困難者受け入れ施設としての役割を担っており、老朽化等により機能や安全性が低下しないよう、適切に維持更新を行うことが重要であると考えます。
 これまでも都は、都民にとって身近な存在である都有施設の維持更新の計画を定め、計画的に施設の改修などに取り組んでいると思います。
 そこで、都が現在取り組んでいる第二次主要施設十か年維持更新計画の実施状況についてお伺いいたします。

○佐藤建築保全部長 第二次主要施設十か年維持更新計画につきましては、都民の安全・安心を守る拠点や都民サービスを提供していく上で必要な主要施設につきまして、計画的に維持更新を行うものでございます。
 具体的には、庁舎、警察署、消防署、都立学校、体育、文化施設など一般会計の都有施設のうち、築年数と延べ床面積の規模を踏まえまして、全体で三百五十六施設を対象としてございます。
 計画期間は、平成二十七年度からの十年間でございまして、第一期から第三期までのうち、平成二十七年度から平成三十年度までの第一期が経過しておりまして、現在は第二期を迎えております。
 第一期の執行状況につきましては、全体の三百五十六施設のうち、既に完了した施設や設計、工事段階の施設などを含め、二百三施設を事業化したところでございます。

○うすい委員 現在進められている第二次の維持更新計画の、第一期は六割弱が着手をされ、順調に事業に着手できていることを確認することができました。
 しかしながら、計画予定地を含め、設計に着手するためのさまざまな与条件が整っていない施設もあるとのことで、今後の計画の進捗が危惧されるところであり、引き続き、事業所管局とともに財務局としてもサポートをしっかり行っていただき、事業を進めてもらいたいことを強く要望させていただきます。
 また、先ほども話をさせていただきました台風十九号の通過の際には、私の地元足立区では、都民の安全確保のため、都立高校は震災時の避難所に指定はされておりますけれども、水害時の避難所には指定されておらず、都有施設である東京武道館及び都立高校を、区の要請もございまして、我が党としても要望させていただき、急遽、避難所として開放していただいたところであります。この場をおかりしまして、ご尽力いただきました皆様に深く御礼を申し上げます。
 災害時に避難所ともなる都有施設の維持更新は、安全確保のためにも、計画に沿って着実に進めてもらうことを重ねて求めさせていただきます。
 今回の台風災害のように、激甚災害はいつ起こるのかわからないものであり、一たび発生をすれば、多くの方々の人命、暮らしが危険にさらされかねないものでございます。そうであるからこそ、その被害を未然に防ぎ、最小に抑えるとともに、避難所となる都有施設の機能や安全の備えを怠ることなく進めなければならないと考えます。
 都民が安全・安心を実感することができる都市東京を実現するためにも、今後も防災対策を一層推進していただくことを強く求めまして、質問を終わります。

○米川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○米川委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後五時五十七分散会

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