平成三十年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第三号

令和元年十月十八日(金曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長大松あきら君
副委員長関野たかなり君
副委員長里吉 ゆみ君
後藤 なみ君
舟坂ちかお君
栗林のり子君
木下ふみこ君
つじの栄作君
清水 孝治君
中村ひろし君

欠席委員 なし

出席説明員
病院経営本部本部長堤  雅史君
経営企画部長児玉英一郎君
サービス推進部長西川 泰永君
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務樋口 隆之君
計画調整担当部長船尾  誠君
福祉保健局局長内藤  淳君
次長松川 桂子君
技監矢内真理子君
理事後藤 啓志君
総務部長雲田 孝司君
指導監査部長本多由紀子君
医療政策部長矢沢 知子君
保健政策部長成田 友代君
高齢社会対策部長村田 由佳君
少子社会対策部長谷田  治君
障害者施策推進部長松山 祐一君
健康安全部長高橋 博則君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長高齢者施策推進担当部長兼務奈良部瑞枝君
事業推進担当部長池上 晶子君
医療改革推進担当部長田中 敦子君
医療政策担当部長櫻井 幸枝君
地域保健担当部長上田 貴之君
事業調整担当部長生活福祉部長事務取扱藤井麻里子君
子供・子育て施策推進担当部長遠藤 善也君
障害者医療担当部長石黒 雅浩君
食品医薬品安全担当部長花本 由紀君
感染症危機管理担当部長吉田 道彦君

本日の会議に付した事件
平成三十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
病院経営本部関係
・平成三十年度東京都一般会計決算(質疑)
福祉保健局関係
・平成三十年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成三十年度東京都国民健康保険事業会計決算(質疑)
・平成三十年度東京都母子父子福祉貸付資金会計決算(質疑)
・平成三十年度東京都心身障害者扶養年金会計決算(質疑)

○大松委員長 ただいまから平成三十年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別質疑を行ってまいります。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部及び福祉保健局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成三十年度東京都一般会計決算中、病院経営本部所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○児玉経営企画部長 去る十月七日の本分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます平成三十年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 資料は、目次にございますように、合計四件でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、各公社病院の経営指標の推移でございます。
 各公社病院における経営指標の推移を平成二十六年度からの五カ年にわたり、入院、外来別に記載しております。
 二ページをお開き願います。2、各公社病院における医師・歯科医師(診療科別)及び看護職員の定数及び現員の推移でございます。
 このページの(1)から六ページの(5)までは医師及び歯科医師、七ページの(6)は看護職員に関して、過去五年間の定数と現員の推移を記載しております。
 八ページをお開き願います。3、公社病院における看護職員の中途退職者数の推移でございます。
 公社病院における看護職員の四月一日から三月三十日までの退職者数と三月三十一日の退職者数の推移について、それぞれ記載しております。
 九ページをごらんください。4、公益財団法人東京都保健医療公社における障害者雇用率の推移でございます。
 公社における各年度六月一日現在の障害者雇用率について、その推移を記載しております。
 簡単ではございますが、以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○大松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○つじの委員 私からは、公社病院及び東京都がん検診センターについてお伺いしていきたいと思います。
 まず、公社病院についてですが、事業の概要として、急性期医療を担う地域の中核病院として地域の医療機関との機能分担と連携を図りながら住民に適切な医療を提供、また、都立病院と協力して、救急医療、精神科医療、感染症医療などの行政的医療を提供するとあります。
 また、東京都がん検診センターにおいて、がんの予防と早期発見等に関する健康増進推進事業があります。具体的には、多摩地域を中心にがん検診事業を実施するとともに、がん専門医療技術者の教育指導、がん予防の普及啓発、がんに関する調査研究を実施とあります。これらについて詳細を質問したいと思います。
 初めに、公社病院の機能面について質問いたします。
 公社病院は、地域の医療機関との機能分担と連携を図るとあります。六つの公社病院があるそれぞれの地域特性と機能分担のあり方があると考えますが、公社病院の地域医療について果たす役割についてお伺いします。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 これまで公社病院は、医療機能の拡充を図り、全六病院で地域医療支援病院の承認を受ける等、地域医療システムの構築を先導してまいりました。
 現在、病院完結型から地域完結型医療へと、地域医療の提供のあり方が変革していく状況におきまして、公社病院には地域医療構想の実現に貢献する役割も期待されております。
 公社が平成三十年三月に策定いたしました第四次中期経営計画におきまして、こうした環境の変化に対応するため、公社病院の果たすべき役割として、これまでの役割を拡充させ、介護等の保健福祉を含めた連携を進め、区市町村が行う地域包括ケアシステムの構築に貢献すること。
 また、これまでのノウハウも活用しながら、地域の医療機関等との医療機能を重視した連携や事業ごとの柔軟な連携に取り組み、切れ目のない医療提供体制の構築に貢献すること。
 さらには、引き続き地域の医療ニーズを的確に捉え、地域に必要とされる医療の提供に対応していくことを掲げております。

○つじの委員 ご答弁いただきありがとうございます。
 次に、地域住民に適切な医療提供とありますが、具体的には何がどうあれば適切であると考えていらっしゃるのか都の見解をお伺いします。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院は、地域の急性期医療の中核病院として、地域の医療機関との機能分化と連携を図ることにより、都民が身近な地域で適切に医療を受けられる効率的な医療システムの構築に努めております。
 具体的には、六病院は、それぞれが有する専門性を活用し、地域の実情に応じながら、重点医療や特色ある医療、行政的医療、五疾病五事業等の地域に必要とされる医療の提供に取り組み、地域の医療水準の向上に貢献しております。こうした公社病院が果たすべき役割や発揮するべき機能を担い続けることが重要であると認識してございます。

○つじの委員 東京都の考える公社病院の提供する適切な医療について、確認できたところでございます。
 次に、現在、公社病院は、葛飾区、多摩市、新宿区、東村山市、大田区、板橋区にありますが、それぞれの病院でその診療圏をご説明いただきたいと思います。
 例えば、私の地元の選挙区の小金井市には公社病院は存在しません。小金井市の住民の方々のように、公社病院がその地域にない都民の皆様に対する公社病院のあり方、果たすべき役割についてお伺いします。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院は、二次医療圏を中心といたしまして、地域に必要とされる医療を提供しております。
 一方、精神科医療、感染症医療、災害医療、周産期医療等の行政的医療を都立病院等と連携しながら提供しており、広く都民の生命と健康を守ることに取り組んでおります。
 例えば、感染症医療を担う荏原病院、豊島病院では、緊急対応病床を確保するとともに、有事に備えた実効性のある訓練を継続して実施するなど、受け入れ体制を整備してございます。

○つじの委員 ご答弁いただきありがとうございます。
 ただいまのご答弁の中で、行政的医療についての言及がありました。行政的医療について改めてお伺いします。
 東京都保健医療公社のホームページの中で、理事長は、公社病院における行政的医療は、現行の診療報酬制度では採算のとれない医療や地域に不足する医療などを都立病院とともに提供し、都の医療政策における重要な役割を果たしてきたと述べられております。
 行政的医療に関しては、私自身が都内で精神科診療所を運営している経験から、精神科医療に高い関心があるところですが、豊島病院の精神科救急について、昨年度の入院患者数など、実績についてお伺いします。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 豊島病院は、精神科救急医療に取り組むことなどで地域の精神科医療を支えてございます。
 例えば、精神科夜間休日救急医療は、東京都全域を四ブロックに分けて体制が整備されてございますが、豊島病院は、都立墨東病院、多摩総合医療センター、松沢病院とともに、この体制の中で、区部北西部地域の七区における受け入れ病院として役割を果たしてございます。
 豊島病院におきます平成三十年度の精神科夜間休日救急医療の受け入れは二百七十八人でございまして、そのうち二百十五人が緊急措置入院となってございます。
 最新であります平成二十九年度のデータによれば、豊島病院の精神科夜間休日救急医療におきます緊急措置入院件数は都内全体の二割強を占めてございます。

○つじの委員 ご答弁いただきありがとうございます。
 私自身が、二年前まで都内で東京精神神経科診療所協会の初期救急医療事業に医師として携わっていた経験があります。主に夜の時間帯を担当させていただきましたが、時間外に相談、受診される患者さんに対して、少しは私がお役に立てたかなというふうな自負もあります。
 翻って、豊島病院の緊急措置診察の受け入れも含む精神科二次救急の受け入れ実績を改めて説明いただき、豊島病院精神科は、都民の皆様にとって大変頼りになる病院であると実感いたします。今後も東京都の精神科医療に貢献していただきたいと存じます。
 行政的医療について、さらに質問してまいりたいと思います。
 さきの答弁にありました精神科医療、感染症医療、周産期医療などとともに、公社病院の担う重要な役割に災害医療が挙げられます。
 折しも千葉県に大きな被害をもたらした台風十五号、また、このたびの甚大な被害をもたらした台風十九号などあり、近年では自然災害の発生頻度や被害規模が大きくなっている印象があります。また、近い未来に必ず発生するといわれている首都直下地震など、都民の皆様の健康と生命と財産を守るためには、平時から不断の準備が必要と考えます。
 全公社病院が東京都災害拠点病院となっておりますが、具体的な災害時対策についてご説明願います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社六病院では、東京都災害拠点病院設置運営要綱に基づきまして、自家発電機等を設置し、三日分程度の燃料を確保するとともに、食料、飲料水、医薬品等について三日分程度の備蓄等を行ってございます。
 また、事業継続計画、いわゆるBCPの策定や、日本DMATの隊員養成研修や訓練への参加等を通じまして、危機管理体制を整備しております。
 さらに、各病院におきまして定期的な研修や災害訓練を行っており、例えば多摩南部地域病院は、平成三十年十月に多摩市医師会が実施された医療系防災訓練に参画し、自治体や地域の医療機関と連携した訓練を行うなど、災害対応力の強化に取り組んでございます。

○つじの委員 ご説明いただきありがとうございました。
 今の説明にありましたように、公社病院における災害時に被災された都民の皆様に提供する災害医療、また、さきの質問の豊島病院の精神科救急、さらに救急医療、感染症医療など、民間病院では担えない行政的医療ですが、地域の皆様にとって、行政的医療を提供し、地域に根づく公社病院は、重要かつ頼りになる受け入れ先になります。
 行政的医療は、都民の皆様にとってなくてはならないものですが、一方、その質、量を維持するのに、無尽蔵に予算があるわけではありません。
 そこで、運営費補助金の推移について質問いたします。
 資料を見ますと、平成二十六年度から四年ほど、都が支出する運営費補助金は減少が続いていましたが、昨年度は運営費補助金が増額となっております。その理由について都の見解をお伺いします。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都から公社に対する運営費補助金は、都立病院に準じまして、精神科救急医療等の行政的医療に係る病院運営費等に対して、入院、外来収益などの関係収入を差し引く方法で算出してございます。
 その結果、平成三十年度の補助金額は、総額約九十億百万円でございまして、平成二十九年度と比較いたしまして、約二億五千三百万円増加しております。
 補助金額増加の理由は、主に給与費の増加のほか、高額医薬品等の購入などによる材料費の増加などの影響によるものでございます。

○つじの委員 ご説明いただきありがとうございます。
 引き続き昨年度の公社病院の収支についてお伺いしたいと思います。
 昨年度の公社病院の収入及び支出、自己収支比率、入院患者数、外来患者数についてお尋ねします。また、東京都がん検診センターについても同様に、収入及び支出、自己収支比率、また受診者数を明らかにしていただきたいと存じます。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社六病院の補助金を除いた収益は約四百六十四億九千百万円、経常支出は約五百十六億八千七百万円であり、自己収支比率は八九・九%でございました。
 また、患者数につきましては、延べ入院患者数は五十六万三千九百人、延べ外来患者数は八十二万五千五百五十三人でございました。
 次に、がん検診センターにおきます補助金を除いた収益は約七億九千百万円、経常支出は約十三億円でございまして、自己収支比率は六〇・八%でございました。
 また、がん検診センターにおきます一次検診受診者数は四万八千五百五十八人、精密検診受診者数は二万九千九百十七人、がんドック受診者数は八百六十三人でございました。

○つじの委員 詳細かつ具体的な数字のご説明をいただきありがとうございます。
 とりわけ自己収支比率については、昨年度を含む過去五年間のそれぞれの推移を見てみますと、二十六年度の八八・九%から二十九年度の九〇・一%まで徐々に改善しているのがわかると思います。平成三十年度では八九・九%と微減しております。
 私は、都内で精神科診療所の運営経験が十年余りございます。医療機関の経営の視点から、この何年間かの診療報酬改定の際、診療報酬全体では増額があるのですけれども、近年の人件費の高騰、物価の上昇の程度には追いついていない印象があります。
 このことを踏まえて、また、公社病院の役割として、行政的医療の提供、質、量を鑑み、公社病院の経営の実態を知る都として、自己収支比率の視点から、公社病院の経営のあり方について見解をお伺いします。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 費用に対しての補助金等を除いた収益の割合をあらわす自己収支比率は、通常の病院活動による収益状況を示す重要な指標でございます。
 平成三十年度の自己収支比率は、前年度比マイナス〇・二ポイントであり、微減とはいえ四年ぶりに減少に転じましたが、これは、先ほどもご答弁申し上げましたが、非常勤医師の増加による人件費増や高額医薬品の使用増によります材料費増等により、医業支出が医業収益を上回る増加となったことによると考えられます。
 公社病院の使命を将来にわたって果たし続けていくためには、良好な経営基盤が不可欠でございまして、的確な経営分析と分析に基づく経営努力を重ねながら、収支改善を図り、自律的経営を追求してまいります。

○つじの委員 ご答弁いただきありがとうございます。
 ただいまの答弁の最後に、自律的経営を追求という力強い言葉がありました。重ね重ね、昨今の診療報酬の体系の中で、患者さんのニーズに応えるべき医療の質、量を維持することは大変な困難を伴いますが、都民の一人として、また、小さいながらも医療機関を経営してきた経験者として、答弁にありました都の姿勢に大いに期待したいところでございます。
 さて、何度も強調しますが、行政的医療を提供する公社病院の存在は、多くの都民の皆様にとって大変心強い存在であります。
 一方、患者さんとして病院を受診する都民の皆様を支える医療従事者の方々は、都民の皆様の健康と生命を守るため、意欲と患者さんに対するホスピタリティーを持って公社病院で勤務しなくてはいけません。私自身も医師であり、医療従事者であります。
 視点を変えて、公社病院で働く医療従事者についてお伺いします。
 公社病院の医療従事者の中にも、多くの都民の方々がいらっしゃると思います。ここでもそういった方々に対する都民ファーストの視点が重要だと考えます。
 医療現場でも働き方改革の推進があるようですが、公社病院における医師、看護師、薬剤師など、医療系の専門の有資格者が職場で働くことの満足度についてお伺いしたいと思います。
 公社病院での働きやすさなど、医療スタッフの仕事、職場に関する満足度に関する調査、指標があれば、明示していただきたいと存じます。また、そのような調査結果を鑑み、都の見解をお伺いします。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社では、毎年、職務を遂行するに当たりまして、職員の満足度や問題意識を把握することを目的として、職員満足度アンケートを行ってございます。
 アンケートの質問項目であります当院で働くことにやりがいを感じていますかにつきましては、約六割の職員が、そう思う、ややそう思うと回答してございます。また、仕事を通じて自分の能力が向上していると思いますかについては、約七割の職員が、そう思う、ややそう思うと回答してございます。
 引き続き、職員が働きやすい環境の整備に取り組み、満足度の向上に努めてまいります。

○つじの委員 ご答弁いただきありがとうございます。
 公社病院の医療従事者が満足感を持って充実して仕事をこなすことは、極めて重要であると考えます。つまり、公社病院の職員が自分の仕事に誇りと充実感を持って働くことが、結局は患者さんの立場で受診される都民の皆様の利益になると考えるからでございます。
 また、医療従事者は、絶えず切磋琢磨、自己研さんを積んでいかなくてはいけません。公社病院の医療スタッフが、公社病院で働くことで自分自身の技術、見識を高めていくことができればと思いますが、都は引き続き働く環境の整備に努めていただきたいと存じます。
 また、近年、女性の社会進出がうたわれるようになり、我が会派でも女性活躍推進を主張しているところでございます。
 そこで、公社病院の中で医療職の女性の占める割合を明示していただきたいと存じます。
 もともと医療業界は女性の就労者が多いといわれております。また、女性が働きやすい職場は男性も働きやすい職場であるとの意見があるようです。男女問わず医療従事者が働きやすい環境となるように、公社病院ではどのような取り組みをなされているのか。福利厚生の一環として、育休、産休の取得などさまざまありますけれども、とりわけ有給休暇の取得の実績についてお伺いしたいと思います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成三十年四月一日時点の公社病院医療職におきます女性の割合については、医師は二八・三%、看護師は九二・八%、臨床検査技師などのコメディカルは六一・九%でございました。
 また、平成三十年一月一日から十二月三十一日までを対象とした公社病院におきます医療職の年次有給休暇の平均取得率につきましては、医師は三〇・一%、看護師は五三・一%、臨床検査技師などのコメディカルは六五・一%でございました。
 引き続き、職員のライフワークバランスに配慮した働きやすい環境の整備に向け、取り組んでいくこととしてございます。

○つじの委員 ご答弁いただきありがとうございます。
 明示していただいた数字が適切なものであるのかどうかを判断するには、すぐには難しいとは思います。医療の現場の働き方改革にはいろんな意見があり、一朝一夕に解決するものではないかもしれませんが、ただいまの答弁にありましたとおり、職員を守るためにも、都としては、引き続き働きやすい環境づくりに取り組んでいただきたいと要望いたします。
 最後に、がん検診センターについてお伺いします。
 私は、本年八月二十八日、都民ファーストの会厚生部会の都議らとともに、東京都がん検診センターを視察に行ってまいりました。
 そこでは、担当者から、がん検診センターは、将来的には住民検診等の一次検診を縮小、廃止するとともに、精密検査部門を多摩総合医療センターに統合、仮称ですけれども、新たに外来がん検査・治療センターを整備し、より早期の段階のがんを発見、診断するための体制を整備するとの説明を受けました。
 一方、資料などによりますと、経営面から見ますと平成三十年度のがん検診センターの自己収支比率は、他の公社病院と比較して六〇・八%と低い状況でございます。受診者数をふやし、多くの都民の皆様の健康と命を守るという視点とともに、経営面からも、受診者の視点で、多くの都民の皆様が受診しやすい環境をつくることが大切であると考えます。例えば、一次検診で要検査の結果が出た受診者の方々に二次検診を受診していただくなどの工夫が必要と考えます。
 仮称ですけれども、外来がん検査・治療センターを整備する間にも、がん検診センターにおける精密検査の受診者数をふやすことが大切だと思いますが、都の取り組みについてお伺いします。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 がん検診センターにおきます検診事業は、平成三十年一月策定の多摩メディカル・キャンパス整備基本構想に基づき、精密検査機能に重点化の上、ご質問いただいたとおり、こちらは仮称になってございます、外来がん検査・治療センターに機能統合していくこととしてございます。
 平成三十年度は、関係自治体や地区医師会に対しまして、こうした方向性について説明を行うとともに、精密検査が必要だと判定された受診者の一層の受け入れに努めたことによりまして、精密検査の実績は二万九千九百十七件と、前年度比で二千七件の増加になってございます。
 今年度から、新たにがん検診センターにおきまして地域連携担当を設置し、地域の医療機関との連携強化を進めることで、引き続き精密検査の受け入れの促進を図ってまいります。

○つじの委員 ご答弁いただきありがとうございます。
 がん検診センターは、自己収支比率が公社病院に比較して低いのですが、ただいまの答弁の中で、平成二十九年度と比較して、昨年度は精密検査受診者数がふえている実績を明示していただきました。
 精密検査が必要な一次検診受診者の皆様に、実際、精密検査を受けていただくことは、がんの早期発見、早期治療につながり、受診者の皆様にとっても、自分自身の生命と健康を守るために必要なことであることは、いうまでもありません。
 一方、経営面からの視点で、精密検査受診者数がふえることは、がん検診センターの収入増につながり、自己収支比率の改善に貢献いたします。
 がん検診センターの検診事業は、多摩メディカル・キャンパス整備基本計画に基づき、精密検査機能に重点化の上、仮称ですけれども、外来がん検査・治療センターに機能を統合されますが、都はその間にも引き続き、がん検診受診、特に二次検診での精密検査を受けるよう都民の皆様に呼びかけ、啓蒙していくことを望みます。
 がん検診のそうした姿勢が、最終的には都民の皆様の健康と生命を守ることにつながることを強く強調して、私の質疑を終わりにします。ありがとうございました。

○栗林委員 それでは初めに、公社病院における外国人対応のことから質問させていただきます。
 現在もラグビーワールドカップで多くの観光客が来日をされております。東京を訪れる外国人旅行者数は、この十年間で約二・六倍に増加をし、二〇一八年には過去最高の約一千四百二十三万人となったところでございます。東京二〇二〇大会を控え、今後もこうした傾向は拡大するものと予想されております。
 東京都が推し進めている国際金融都市東京構想などの進展に向けて、外国人人材の集積を視野に入れる必要もあります。また、国際的な政治経済動向が多様な変化の様相を呈する中で、産業、経済、文化など、あらゆる分野でのグローバル化が進むところでございます。
 東京が外国人旅行者や外国企業等から選ばれ続ける都市としてあり続けるためには、東京都の総合力が試されます。その中で、安全・安心の根幹でもある医療が果たす役割は、極めて大きいものです。
 公社病院は、都立病院とも連携をして、外国人患者の受け入れ体制のさらなる整備に取り組む必要がございます。
 医療機関における外国人患者の受け入れ体制整備のために、厚生労働省が推奨する認証制度として、外国人患者受け入れ医療機関認証制度、いわゆるJMIPがございます。国際化の潮流において、人々の生命や健康を守る取り組みは最優先課題でありまして、国内の医療機関において、外国人患者の受け入れ体制は急務でございます。
 JMIPは、外国人に安心・安全な医療を提供する環境を構築して、言葉、宗教、文化の壁を超えた医療サービスを提供することにつながってまいります。JMIP認証の取得に当たっては、ソフト、ハード両面での外国人患者受け入れに関しての適切な対応が求められます。
 そこで、公社病院におけるJMIP認証の取得に向けた外国人患者受け入れ体制の整備状況についてお伺いします。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院では、東京二〇二〇大会開催までに全病院でJMIPの認証取得を目指し、院内表示やホームページ、患者向け文書類の多言語化などを推進してございます。
 平成三十年度には、荏原病院、豊島病院に映像通訳サービス利用のためのタブレット端末や音声翻訳アプリなどを導入し、受診時や医療制度の説明などを行う際に活用してございます。
 また、全ての公社病院の患者支援センターにおきまして、外国人患者受け入れ担当者の配置を進めてございまして、特に外国人患者が多い大久保病院では、英語、韓国語に対応可能な通訳支援看護師を置くなど、きめ細かな対応を行ってございます。
 このような取り組みによりまして、平成三十年度は、大久保病院、荏原病院の二病院がJMIPの認証を受けてございます。また、今年度に入りまして、豊島病院が既に認証を受け、残る三病院につきましても、今年度中に受審することとしてございます。
 このことによりまして、東京で暮らす外国人や海外から訪れる多くの旅行者などに対しましても、安全・安心で質の高い医療を適切に提供する体制を整備してございます。

○栗林委員 着実に認証の準備にも入られて、公社病院が外国人患者の受け入れのための体制をしっかり整える準備に入っているということは理解できました。
 外国人患者に対応するに当たり、患者の症状を正確に把握して、的確に治療につなげるためには、双方のコミュニケーションが非常に大事であり、通訳のためのツールなど、今後とも確実に整備を続けていただきたいと思います。
 外国人旅行者が多くなることで一つ心配なのが、保険に加入していないという、そうした外国人患者の未払いによる病院の未払い金がふえるのではないかという一つ心配もございます。実際の医療現場ではどのような状況になっていますでしょうか。
 公社病院における平成三十年度末の未収金残高と、そのうちの外国人患者に対する未収金の額についてお伺いします。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社六病院におきます平成三十年度末の未収金残高は、約九千九百万円となってございます。そのうち外国人患者に対します未収金は約二百二十万円でございます。
 なお、外国人患者に対します未収金の金額につきましては、病院の担当者が氏名や面談から外国人と判断し、集計したものでございます。

○栗林委員 未収金の中での外国人患者による比重は、そんなに大きくないということがわかりました。今後、そういった未収金が発生しないようなさまざまな対応、工夫ですね、そういうものも図っていただきたいと思います。
 今、全体の未収金額は約九千九百万円というご答弁ございましたけれども、こうした未収金全体を削減していくことは、病院の経営にとっても大変大事な観点でございます。公平性という観点からも、たゆまぬ取り組みが求められるものではないかと思います。
 さまざまな工夫もされていらっしゃると思いますけれども、公社病院における未収金削減の取り組みは、どのような取り組みをされているでしょうか。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社では、未収金の発生を予防することが重要と考えまして、各病院において、日々、未収金の発生防止を図るとともに、速やかな回収に努めてございます。
 例えば、経済的な問題を抱えている患者への対応として、入院時から患者の抱える課題について早期把握を行い、医療ソーシャルワーカーと連携し、公的な医療費助成制度を紹介するなどの丁寧な対応を行ってございます。
 また、支払い方法拡充のため、これまでの現金、クレジットカード、デビットカードによる支払いに加えまして、平成三十年度から、全病院で交通系ICカード等の電子マネーによる支払いを導入してございます。
 さらに、未収金が発生した場合には、速やかに催告等を行っております。
 また、毎年十二月を未収金対策強化月間とし、集中的に催告を行い、その上でもなお回収困難な場合には、弁護士への債権回収委託を実施するなど、その回収に努めてございます。

○栗林委員 しっかり回収もしなければいけませんが、さまざまなご事情を抱えている方もいらっしゃるということで、丁寧さということもあわせて進めていただきたいと思っております。
 こちら、いただいた表の主な事業実施状況の中でも、過年度未収金残高も、本当に取り組みを強化していらっしゃるその対策の成果があらわれているように、大分、未収金の残高も減少してきているという結果もございますので、その辺に配慮した上で進めていただきたいと思います。
 次に、地域医療についてお伺いします。
 公社病院は、地域の中核病院として、地域の医療機関との役割分担と連携を通じて、効率的な地域医療システムの構築に努めてきていただいているところでございます。地域医療機関との連携に関する重要な指標として、紹介率、返送、逆紹介率があると聞いております。
 そこで、公社病院における紹介率、返送、逆紹介率の推移と、それら紹介率、返送、逆紹介率の向上に向けた取り組みについてお伺いします。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院全体での他の医療機関からの患者の紹介率は、平成二十八年度は七二・二%、二十九年度は七二・〇%、三十年度は七五・二%でございまして、前年度比三・二ポイントの増となってございます。
 一方、公社病院から他の医療機関への返送、逆紹介率は、平成二十八年度は七八・二%、二十九年度は八〇・三%、三十年度は八三・五%でございまして、前年度比三・二ポイントの増となってございます。
 地域におきます医療連携を一層強化するため、かかりつけ医等を対象とした連携医登録の促進や医療機関への個別訪問の実施のほか、医師向けの症例検討会の開催などを通じた顔の見える関係の構築、加えて、連携医との共同診療やCT、MRI等の高額医療機器の共同利用等による協力体制の強化に努めてございます。
 平成三十年度は、地区医師会と協働し、市民公開講座等を活用したかかりつけ医制度の普及啓発を行うなど、地域の方々に対しても、医療の機能分担に関する情報提供を行うといった取り組みを実施してございます。

○栗林委員 年度を見ても、着実にアップしているということが確認ができました。
 しかし、高齢化の進展によりまして、ますます医療、介護の需要が求められますし、増加するというところに来ております。
 住みなれた地域で自分らしい暮らしを最後まで続けられるよう、東京都は二〇二五年に向けて、地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みを進めているところでございますが、その中であっても、公社は先頭に立ってその構築に貢献をしていただきたいと思います。
 また、高齢による合併症とか、また、最近ふえている単身世帯が急増していることから、在宅復帰が困難なケースも、今出てきております。
 公社病院における在宅療養支援の取り組みは、どのような取り組みをされているか伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 患者や家族が安心して在宅療養生活を送るためには、急変時にも適切に入院治療等を受けられることや、医療、介護とのさまざまな連携が重要であると認識してございます。
 公社では、全病院が平成二十八年度までに在宅療養後方支援病院の施設基準を取得し、地域の実情に応じて、診療所や療養病床を持つ病院などと積極的に連携し、退院患者の急変時の受け入れや紹介された患者の緊急受け入れなど、在宅療養支援を行ってまいりました。
 また、患者支援センターを中心に、訪問看護ステーションなどと連携し、技術支援や退院後の具体的な支援計画の作成を支援するなどの取り組みを実施してございます。

○栗林委員 今お話しございましたように、支援計画作成、これは本当に大事で、その方をどう支えていくかとか、ケアプラン、それをどう構築してあげるかというのが、一番安心を提供することにつながると思いますので、しっかり対応をお願いしたいと思います。
 公社が、在宅移行支援の中で、患者支援センターが重要な役割を果たしてくださっているということはわかりました。患者支援センターは、患者個々の状況に寄り添った支援を行うため非常に重要であり、とりわけ地域医療を担っている公社病院のような公的病院では、さらに力を入れていただきたいと思っています。
 患者支援センターの機能の充実に向けた具体的な取り組みがありましたら、教えていただきたいと思います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社では、平成二十七年度までに全病院に患者支援センターを設置しております。地域包括ケアシステムの構築が急務となっている中、平成三十年度には、大久保病院と豊島病院の患者支援センターに、看護師、医療ソーシャルワーカー、事務に加えまして、退院後の適切な栄養管理の継続を視野に管理栄養士を配置するなど、機能の拡充を図ってございます。
 看護師、医療ソーシャルワーカー、管理栄養士、事務といった多職種が協働した患者支援を行うとともに、在宅医療機関や介護福祉施設等と顔の見える関係をより一層強化しながら、患者、家族及び地域の関係機関に対する窓口としての機能を充実させてございます。
 今後、患者支援センターの充実を全ての公社病院に広げ、地域の中核病院としての役割を一層果たしてまいります。

○栗林委員 これからの高齢社会、長寿社会を考えたときにも、この地域包括ケアシステムというものが大変重要でございますが、まだ、制度はあっても目に見える形での構築というところに、それぞれの地域が課題を抱えております。
 今お話にございました顔の見える関係、これをつくるために、ぜひ公社病院のこうした取り組みが地域の医療機関にとってもモデルとなりますよう、一層の推進をお願いいたしまして、質問を終わります。

○里吉委員 それでは、私からも質問を行っていきたいと思います。
 公社の荏原病院、豊島病院は、長年にわたって休止していた病棟の分の許可病床を返還、つまり今後再開しないこととしました。荏原病院は看護師不足、豊島病院は医師不足が休止の理由とされてきました。
 しかし、今後、高齢化も進む中、公的な病院の果たすべき役割はますます大きくなっていきます。返還という判断が都民の医療需要に照らして適切だったとは思えません。同時に、長年にわたって続いてきた職員不足について、どう対応してきたのかも問われています。
 本日は、荏原病院の方を中心に質問をしていきたいと思います。
 まず、資料も出していただきましたけれども、看護師不足、ここ数年ずっと荏原病院が不足、ここだけ不足が続いているということが明らかになっていますが、荏原病院の看護師の確保について、これまでどのような取り組みを行ってきたのか伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 荏原病院の看護師の確保については、公社として、インターンシップ制度の導入、創設や二交代制勤務職場の拡大、育児短時間勤務制度の導入等を行い、働きやすい職場環境の整備を進めてまいりました。
 また、公社事務局によります一括採用や募集媒体の拡大、看護学校訪問、地方選考の実施、病院独自の採用活動、人材紹介会社の活用といった取り組みにより、確保に努めてまいりました。

○里吉委員 この問題、繰り返しさまざまな場で質疑を共産党として行わせていただいているんですが、大体ずっとこのことをやってきているわけですよね。
 一点だけ申し上げたいんですけれども、二交代制勤務については、長時間にわたって夜勤を行うものですから負担も重い。これは勤務条件の改善とはいえないと思っております。
 そして、ほかにさまざま努力しているということはあるわけですけれども、いずれにしても、今、いろいろ努力されたことも含めて取り組んでいても、欠員が続いているという状況が改善されていないわけです。
 長年にわたって看護師の不足が続いている、このことについてどのように分析しているのか伺いたいと思います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 荏原病院においては、近隣の住宅状況や交通事情、同規模病院の近接などの状況が複合的に影響し、相対的に人材確保が難しい状況であると考えてございます。

○里吉委員 以前、七対一看護基準ができて、全国的な看護師不足が生じていることが理由ということをいっていたときもあったんですけれども、今は同じようにいえる状況ではないということだと思います。
 しかし、ほかの公社病院、私も改めて調べてみましたけれども、駅から十分歩いて行ける場所ですし、同規模病院の近接というのも、荏原病院だけのことなのかという疑問も残ります。今、さらっと理由について述べられましたけれども、これだけ何年もにわたって看護師が不足しているという状況が続いているわけですから、より踏み込んだ分析が必要なのではないかというふうに思います。
 昨年策定された東京都保健医療公社の第四次中期経営計画では、公社の果たすべき役割として、地域に必要とされる医療の提供が掲げられております。そうした役割を果たすことは、職員の確保なしにはできないというふうに考えます。
 今までの対策では看護師不足が解消していないことからしても、より抜本的な対策を考えるべきと思いますが、見解を伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 地域医療構想の実現に向けた病床の機能分化、高齢化の進展に伴う介護や在宅ニーズの増加、さらに医療技術の高度化や専門化等により、都内での看護業務の需要は一層増加してございます。
 荏原病院におきましては、引き続き、看護学校訪問、地方選考の実施、病院独自の採用活動、人材紹介会社の活用等による採用確保策と、インターンシップの活用などの定着対策を着実に取り組んでまいります。

○里吉委員 今いろいろご答弁いただきましたけれども、努力していないというつもりは全くございません。皆さん本当に頑張って、職員確保のためにやられていると思うんですけれども、それでもずっと、いってしまえば、都立病院から公社になってから看護師不足が続いていて、ほかの病院では解決されたけれども、ここでは解決されていない。結局、今までの延長線の努力だと展望が見えないのではないかということが、率直な思いなんです。
 労働条件の課題はないかということや、そもそも公社化で病院がよくなったのかということも含めて、改めて抜本的な検証や、それに基づく対策を行うべきだというふうに思います。
 現在の保健医療公社の第四次中期経営計画では、病床利用率や経営状況、地域の医療需要等を踏まえながら、適切な病床規模について適宜検討するとされていますが、病床規模は何より医療需要によって定められるべきであり、経営の観点で縮小するなどということがあってはならないと思います。
 今後、高齢化も進んでまいりますし、都内には、経済的理由で受けるべき医療を十分受けられない方も少なくありません。都民の状況を考えれば、公社病院はますます充実することが求められております。そのために、職員の確保の取り組みを一層進めていただくことを求めまして、私の質問を終わります。

○中村委員 病院経営本部の一般会計決算について、最初に、公社病院の運営を行っている東京都保健医療公社の経営について質問します。
 決算説明書を見ると、保健医療公社への運営費補助金として、九十八億五千七百五十四万円の予算額に対し不用額が七億八千八百十万円余、九二・〇%の執行率とのみ記載されております。もちろん、個別に積み上げた結果としての予算額であり、決算額であると思いますが、この九十億円の内訳、つまり公社病院の運営状況等について詳しく見てとることができず、今後、より詳しい説明をしていただきたいと思っています。
 さて、平成三十年三月に東京都保健医療公社は、第四次中期経営計画、二〇一八年度から二〇二三年度、二〇二五年に向けた行動指針を策定し、その中では、平成三十年度は、新入院患者数五万七百人、病床利用率七四・四%、医業収支比率は九〇・九%と見込んでいます。
 公社の見通しは達成できたのでしょうか。達成状況と、未達成の場合、その要因を伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 保健医療公社の第四次中期経営計画でお示しした計画指標の平成三十年度の目標値とそれに対する実績は、まず新入院患者数でございますが、平成三十年度の目標値五万七百人に対しまして実績五万一千百七十二人と、目標を四百七十二人上回る数値を達成してございます。これは、公社病院での地域の医療機関訪問による連携強化や、断らない救急の徹底等に取り組んだ結果によるものと考えてございます。
 一方で、病床利用率でございますが、平成三十年度の目標値七四・四%に対しまして実績が七一・八%と、目標を二・六ポイント下回ってございます。これは、今申し上げましたとおり、新入院患者数が増加した一方で、地域の病院や診療所と医療連携を進めるなど、退院支援を推進したことなどにより、平均在院日数が短縮傾向にあることが主な要因であると考えてございます。
 次に、医業収支比率は、平成三十年度の目標値九〇・〇%に対する実績ですが、目標を〇・六ポイント下回る八九・四%となってございます。これは、医業収益が対前年度比で約六億円増加した一方、医師不足に対応するための非常勤医師の増加によります人件費増や、高額医薬品の使用増等によります材料費増などにより、医業支出が医業収益を上回る増加となったためでございます。

○中村委員 公的な病院としての役割がありますので、数値だけでは判断できないわけですし、各病院の地域事情もあるとは思っています。患者を大切にした医療サービスを提供するとともに、経営的な視点の両立を図っていくことが重要です。
 決算を踏まえた公社病院の今後の経営について、改善に向けた取り組みを伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 患者や地域のニーズに的確に対応するため、収入の確保と支出削減の両面から取り組み、良好な経営基盤を構築する必要がございます。
 医業収入の増加に向けては、厚生労働省が公開していますDPCデータの分析等を通じた戦略的な連携医訪問や断らない救急など、入院患者の確保に取り組んでまいります。
 一方、支出につきましては、従来、各病院がそれぞれ行っていた高額医療機器等の保守委託の一括化や医薬品等の共同購入等のスケールメリットを生かした契約手法の活用、あるいは入札後に価格交渉を行う契約交渉権獲得入札の導入などにより、さらなる削減に取り組んでまいります。

○中村委員 次に、看護職について伺います。
 医療が日々高度化、複雑化している中、ケアの時代ともいわれ、看護師の仕事はますます重要となっています。一方では、離職率が高い、命を扱う重責の割にその報酬や地位は余り高くないともいわれています。
 保健医療公社が運営する地域病院などにおいても、離職防止や労働環境、キャリア形成やモチベーションアップについて見直し、改善する点があれば、決算審査を通じて来年度予算に反映し、都が支援をし、公社に指導もしていただきたいと思います。
 各病院等での看護職員の充足状況はどうなっているのか、また、看護師の離職率、中でも新卒看護師の入職一年目の離職率はどのようになっているのか伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院の看護要員の充足状況は、平成三十年四月一日現在で、定数一千六百八名に対しまして現員一千六百八十八名で、八十名の過員となってございます。なお、平成三十一年三月三十一日現在では現員一千五百七十八名と、三十名の欠員となってございます。
 次に、平成三十年度の看護要員の離職率でございますが、一五・二%となってございます。その中で、平成三十年度の新卒採用者数百七十一名のうち、平成三十年度中の退職者は二十三名であり、離職率は一三・五%となってございます。

○中村委員 数字を見ると、年度の最初には八十名の過員だったのが、その末には三十名の欠員となるということで、本当にこの問題というのは大変な問題だと思っています。
 まだ年の若い方が、命の現場で患者さんと直接向き合うというのは、本当に大変なことだと思います。新卒の看護師をどのように育てるのか、どの現場でも心を砕いていると聞きます。パートナーシップ・ナーシング・システムとして、一対一で新卒看護師の指導を行い、さらにそれを支援する看護師、教育係の看護師、また看護職の副院長など、一丸となって新人をバックアップする体制をとって、新人の離職率ゼロを何十年も続けている病院もあると聞きます。
 公社病院における新卒看護師の離職防止、育成について、どのように取り組んだのか伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 新卒看護師の退職を防止するために、採用前から実践的な看護業務や現場環境を体験してもらうインターンシップ制度を導入してございます。
 さらに、六病院全てで、平成二十五年度からパートナーシップ・ナーシング・システムを導入し、先輩看護師が新卒の看護師とペアになって、職務に関する助言指導を行うとともに、さまざまな悩みの相談相手となることで、新卒看護師をできるだけ早く職場環境になれ親しませるとともに、OJTにより看護能力の育成、向上を図ってございます。

○中村委員 長く仕事を続けて、プロフェッショナルとして定着していくためには、仕事と家庭の両立環境が欠かせません。
 離職の危機としてもう一つ大きいのは結婚や出産と聞きます。産休、育休はもちろん、復帰に際しての支援も欠かせません。子育て中の看護師への支援や離職防止についてどう取り組んだのか伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院におきます子育て中の看護師等に対する支援につきましては、夜勤の従事が困難な職員に対しまして、子供が小学校就学始期に達するまで日勤での勤務が可能となる子育て日勤制度や、育児短時間勤務制度といった勤務軽減制度を導入してございます。
 なお、育児短時間勤務制度につきましては、平成三十年度に制度改正を行いまして、対象となる職員の子供の年齢を、それまでの小学校就学始期に達するまでから、中学校入学始期に達するまでと拡大を図ってございます。
 また、子供一人当たり月額五万円を上限に、保育料の二分の一を助成する保育料助成制度等がございます。
 これらの支援策を通じまして、子育て中の看護師等の離職防止策に取り組んでいると考えてございます。

○中村委員 思いを持って資格を取って入職した人が、やめたり看護に従事しなくなることは大きな損失です。優秀で意識の高い看護師をしっかりと育て、キャリアアップを支援し、地域医療、行政的医療に貢献する人材を確保していくべきです。
 認定看護師などの資格取得支援など、キャリア形成に対する取り組みは重要です。公社病院に認定看護師はどれくらいいるのでしょうか。また、資格取得に対する支援などはどのように行っているのか伺います。また、認定看護師の積極的な活用など、モチベーションアップにつながる活躍の場などはどのようになっているのか伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成三十一年一月一日現在の認定看護師は、緩和ケア認定看護師十一名、皮膚、排せつケア認定看護師十名など、合計七十五名となってございます。
 認定看護師の資格取得支援として、認定取得に係る授業料及び実習料等の費用負担を行うとともに、専門課程の受講及び認定審査の受験に必要な期間を特別休暇として認めるといった支援を行ってございます。
 認定看護師は、それぞれの専門的知識、技術を生かして、病院内外において活動できるよう配置してございます。
 その具体的な活用につきましては、例えば東部地域病院では、看護専門外来におきまして、認定看護師が皮膚、排せつケアや摂食、嚥下など、それぞれの専門分野を生かして日常生活指導などを行ってございます。また、多摩南部地域病院や大久保病院におきましては、地域の訪問看護師に同行し、在宅療養における患者のケアに関するアドバイスを行ってございます。
 このように、六病院がそれぞれの地域の要望や状況に応じた取り組みを行っております。

○中村委員 キャリアやモチベーションという意味では、病院経営にかかわる立場になれるということも大変大きいと思います。
 そこで、看護職の副院長選任を進めるべきとも考えます。病院業務の多くを担い、人員も多い看護職から副院長を選任する病院がふえていますが、公社病院ではどうなっているでしょうか伺います。

○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 看護部門を総括する看護部長職には、六病院におきまして、都からの派遣職員または都を退職した職員がついてございます。
 今後、東京都職員の派遣解消を進め、まずは看護部門の運営を担える固有職員の看護部長職を育成することが重要であると認識してございます。このため、マネジメント力を醸成する研修等を実施する等、人材育成策を充実させていくこととしてございます。

○中村委員 まだ公社病院の場合は東京都職員の派遣があるということで、少し特殊な状況ではあるようなんですが、これは看護職の方のキャリアという問題でもありますけど、一方で、そういった知識を病院の経営に生かすということにもなりますので、今後検討していただきたいというふうに思っています。
 今、るる、いろいろと看護職についても質問させていただきました。看護大学や大学院を修了する方もふえて、看護という仕事自体が、全人的ケアを担う観点から理論的にも高度化してきている中、それに見合った立場を担うべくキャリアプランを描けるかどうかで、日々の仕事に対する視点もモチベーションもおのずと変化をします。ある程度のキャリアを積んだら経営について学ぶチャンスも必要です。
 離職防止や両立支援、リクルートによる人材確保はもちろん、優秀な方から一生の仕事として選ばれるような取り組みを公社病院の看護職についても進めていただけるように、都としてしっかりバックアップしてほしいと思います。
 きょうは、ここは各決の質問ということだったので、公社病院のことではありましたけれども、これはもちろん都立病院のことにも当然かかわることですから、きょうは経営本部の皆さんいらっしゃいますので、公社病院と、そしてまた都立病院ともに、看護職について、より一層働きやすい職場環境ができるように取り組んでいただきますことを要望いたしまして、質問を終わります。

○大松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大松委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。

○大松委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 福祉保健局の坂本生活福祉部長は、病気療養のため、本日の分科会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 決算の審査を行います。
 平成三十年度東京都一般会計決算中、福祉保健局所管分、平成三十年度東京都国民健康保険事業会計決算、平成三十年度東京都母子父子福祉貸付資金会計決算及び平成三十年度東京都心身障害者扶養年金会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○雲田総務部長 十月十一日の当分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元の平成三十年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんください。資料は、目次にありますように、全部で十六項目でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、福祉保健費の予算及び決算の推移といたしまして、福祉保健費の予算現額、決算額、それぞれの一般会計に占める割合などの平成二十六年度から三十年度までの五年間の推移を記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、福祉保健局予算・決算額の推移(一般会計)といたしまして、一般会計のうち、福祉保健局所管分の予算現額及び決算額の推移を、表側にあります区分ごとに平成二十六年度から三十年度にわたり記載してございます。
 三ページをごらんください。3、シルバーパス発行状況の推移といたしまして、シルバーパスの費用別発行実績数、七十歳以上人口及びその人口に占める発行実績数の割合の推移を平成二十六年度から三十年度にわたり記載してございます。
 四ページをお開き願います。4、平成三十年度における福祉保健区市町村包括補助事業の補助額といたしまして、五つの包括補助事業別に、区市町村ごとの平成三十年度の補助額の実績を五ページにかけて記載してございます。
 六ページをお開き願います。5、区市町村地域生活支援事業等の実施状況といたしまして、区市町村地域生活支援事業と区市町村地域生活支援促進事業につきまして、それぞれの事業ごとの平成三十一年三月現在の実施区市町村数を記載してございます。
 七ページをごらんください。6、認可保育所の屋外遊戯場の状況といたしまして、平成三十年度に東京都が認可した保育所につきまして、敷地内のみ、敷地内及び代替遊戯場、代替遊戯場のみのそれぞれの施設数を区市町別に記載してございます。
 八ページをお開き願います。7、認可保育所、認証保育所及び認可外保育施設の施設数並びに指導検査件数及び文書指摘施設数の推移といたしまして、表側の施設種別の区分ごとに、施設数、指導検査件数及び文書指摘施設数を平成二十八年度から三十年度にわたり記載してございます。
 九ページをごらんください。8、認可保育所、認証保育所及び認可外保育施設の改善勧告数、改善勧告の公表数、事業の停止命令数、施設閉鎖の命令数等の推移といたしまして、表側の施設種別の区分ごとに、改善勧告数、改善勧告の公表数、事業の停止命令数並びに認可、認証の取り消し数及び認可外保育施設に対する施設閉鎖の命令数を平成二十六年度から三十年度にわたり記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。9、東京都介護職員キャリアパス導入促進事業の当初予算額及び決算額の推移といたしまして、区分に記載した事業ごとに、当初予算額及び決算額を平成二十八年度から三十年度にわたり記載してございます。
 一一ページをごらんください。10、東京都介護職員キャリアパス導入促進事業の規模の推移(当初予算及び決算)といたしまして、当初予算及び決算における事業ごとの対象となる事業所数、レベル認定者数及びアセッサー数を平成二十八年度から三十年度にわたり記載してございます。
 一二ページをお開き願います。11、都内における介護プロフェッショナルキャリア段位制度のレベル認定者数の推移といたしまして、レベル二からレベル四に認定された人数を平成二十八年度から三十年度にわたり記載してございます。
 一三ページをごらんください。12、都内における介護プロフェッショナルキャリア段位制度のアセッサー登録者数の推移といたしまして、アセッサーに登録された人数を平成二十八年度から三十年度にわたり記載してございます。
 一四ページをお開き願います。13、都内の介護職員数の推移といたしまして、都内の介護職員につきまして、厚生労働省が推計した人数を平成二十四年度から二十七年度にわたり記載してございます。
 一五ページをごらんください。14、平成三十年度国民健康保険事業費納付金算定に用いた被保険者推計数及び給付費推計額の内訳(年齢区分別)といたしまして、年齢区分ごとに、平成三十年度の被保険者推計数及び給付費推計額を記載してございます。
 一六ページをお開き願います。15、平成三十年度国民健康保険事業費納付金算定における一人当たり医療費の伸び率(推計)といたしまして、平成三十年度の一人当たり医療費推計につきまして、平成二十八年度実績からの二カ年分の伸び率を単年度換算した値を記載してございます。
 一七ページをごらんください。16、平成三十年度保険給付費等交付金決算額の内訳(普通交付金及び特別交付金)といたしまして、保険給付費等交付金の普通交付金及び特別交付金につきまして、平成三十年度決算額の内訳を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求資料のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大松委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○後藤委員 まず、東京都におけるベビーシッター利用支援事業についてお伺いをします。
 都は、平成三十年度より、待機児童対策の一環としてベビーシッター利用支援事業を新たに開始いたしました。
 本事業は、待機児童の保護者または育児休業を一年間取得した後に復職する保護者が、お子さんが保育所に入所できるまでの間、東京都の認定を受けたベビーシッター事業者を利用する場合の利用料の一部を助成するというものでございます。
 現在、都では、待機児童ゼロに向けて、保育所の施設整備等、さまざまな施策を講じておりまして、昨年度の待機児童数も十年ぶりの五千人台ということになるなど、目覚ましい成果を上げる一方で、いまだ都内で五千人が待機児童となっているという状況もあります。こうした意味からも、その間をつなぐ形で、すぐに利用できるベビーシッター助成を創設したということは、非常に意味のあることだというふうに思っています。
 そこで、都として本事業を開始した目的と狙いについて伺います。

○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 本事業は、待機児童対策を一層進めますとともに、多様な保育ニーズに対応するため、ベビーシッターの利用にかかわる助成を行う事業でございます。
 待機児童は、ゼロ歳から二歳までが九割以上を占めますことから、対象年齢をゼロ歳から二歳までとし、これまで支援の手が届きづらかった短時間勤務の保護者等のベビーシッター利用を支援することといたしました。
 また、一年間の育児休業を希望する保護者の多くが、実際には育児休業を早目に切り上げていることから、安心して一年間の育児休業を取得できますよう、年度途中に育児休業から復職する際のベビーシッター利用を支援することといたしたものでございます。

○後藤委員 ありがとうございます。
 待機児童対策だけではなく、短時間勤務の保護者や年度途中の利用など、多様なニーズに応えるというようなご答弁がありました。
 ベビーシッターを一日八時間、月二十日程度利用した場合は、最大で二十八万円の補助となり、利用者の自己負担は四万円で済むということからも、私のところにも、事業開始直後から多くの保護者から問い合わせがありました。
 その一方で、事業がスタートした平成三十年度では、執行率が〇・八%と非常に低い状況となっており、今後に向けても、なぜそのような結果になったのかということを正しく整理をする必要があると考えます。
 まず、予算の執行率が低くなった理由として考えられるのは、事業執行のタイミングにあると考えています。
 本事業の告知がスタートしたのは、四月に年度が始まってから八カ月後の十二月末ということで、通年事業としては余りにも遅いスタートでありました。区市町村が事業を執行できる期間が四カ月程度と実質的に非常に短かったということもあり、手を挙げることにちゅうちょする自治体も多くあったのではないかと考えます。
 そこで、そうしたことも踏まえ、事業の執行率が低い理由を都としてどのように捉えているのか見解を伺います。

○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 本事業の実施に当たりまして、日本ではベビーシッターの利用が広く普及していないことから、保育の質を確保し、安心してサービスを利用できますようにするとともに、区市町村における活用が進むよう準備を進めてまいりました。
 具体的には、都がみずから、事業に参画いたしますベビーシッター事業者の審査、認定や、悉皆研修の実施によりますベビーシッターの育成等を行うとともに、都、区市町村、事業者、事業者団体が連携いたしまして、円滑に事業を実施するスキームの構築を行いました。
 参画事業者の審査、認定につきましては、安定的に保育サービスを提供できるよう、また、利用者が安心して利用できますよう、独自の認定基準を定めまして、事業者向けの説明会を開催の上、平成三十年度中に十二の事業者を認定いたしました。
 また、保育に従事するベビーシッターにつきましては、保有する資格等に応じまして、認可型のベビーシッターに準じた研修を義務づけることといたしまして、有識者等と議論を重ねながら、研修カリキュラムの策定の上、計二十七回の研修を実施いたしました。
 さらに、区市町村に対しまして、事業説明会等により事業内容等を丁寧に説明するとともに、寄せられた質問や意見等につきましては、その内容を取りまとめました質疑応答集を五回にわたり作成、更新をし、全区市町村に提供するなど、きめ細かな情報提供によりまして、本事業に対する理解を促進いたしました。
 また、区市町村負担金の精算方法など、事業の運用に関しまして区市町村から要望があった事項につきましては、可能な限り反映をいたしました。
 本事業は、こうした区市町村や事業者団体との調整に時間を要したため、ご指摘のように、昨年十二月から運用を開始することとなりまして、当初は、都内の半数の区市町村が本事業を活用すると見込んでおりましたが、平成三十年度は五区市の活用にとどまったものでございます。

○後藤委員 ありがとうございます。
 今るる安全性確保のためというところと事業の調整に時間がかかったというお話がありましたけれども、それにしても、ほかの事業と比べると、ちょっと余りにも準備に時間がかかり過ぎているのかなと、これはいわざるを得ないかなと思います。
 当時、多くのメディアでもこの事業は報道をされておりましたから、待機児童になった親御さんたちが、本事業のスタートを今か今かと待ちわびていたことを考えると、利用者ファーストとはかけ離れた結果となってしまったと思います。事業の適切な執行に向けては、今後このような遅滞がないように改善することを強く求めます。
 一方で、保護者からのニーズも一定数ある事業でございますので、今後は、より多くの区市町村に事業の実施をしていただけるように、対策を講じる必要があると考えます。
 そこで、区市町村が本事業をより利用しやすい制度にするために、今後どのような対策を行うのか伺います。

○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 昨年度実施をいたしました区市町村向けの事業説明会等におきまして、利用時間の設定がフルタイム就労の保護者に対応していない、ベビーシッターの交通費を実費負担することが保護者には重荷になっているなどの意見が寄せられました。
 これらの意見を踏まえまして、本年度は、一日の利用時間の上限を八時間から十一時間に拡大をいたしますとともに、利用可能な時間を午後八時までから十時までに拡大をいたしました。
 また、早朝、夜間にサービスを提供する事業者への交付額を上乗せいたしますとともに、交通費の負担軽減に取り組む区市町村に対しましては、一児童当たり月額二万円を上限に、その二分の一を補助するなど、事業内容を充実いたしました。
 本年度は、十月一日現在、昨年度より九区市多い十四区市が本事業を活用しており、引き続き区市町村に対しまして本事業の活用を働きかけてまいります。

○後藤委員 ありがとうございます。利用時間の拡大や交通費の支給など、利用者にとっても使いやすい制度に変わっているということがわかりました。
 導入に二の足を踏んでいる自治体に関しては、丁寧に説明を行っていただき、住んでいる区市町村に限らず、誰もが利用できるベビーシッター制度にしていただくことを要望し、次の質問に参ります。
 次に、ファミリー・サポート・センター事業及びとうきょうチルミルについて質問します。
 ファミリー・サポート・センター事業とは、子供の送迎や預かりが必要なときに、地域の協力会員が有償で預かってくれる制度になります。平成九年度から事業がスタートして、そろそろ十年が経過する本制度でございますが、核家族がふえ、子育てを親だけで担う家族がふえる中で、手が足りないときにちょっと送り迎えをしてほしい、ちょっと預かってほしいという希望に応えてくれるファミリーサポート事業は、保護者からの認知度もニーズも非常に高い事業となっています。
 一方で、都内では、需要と供給のミスマッチから、利用したいときに利用できないとの声も聞いています。
 私自身、地元の足立区で、登録説明会に以前参加したことがあるんですけれども、二時間ほどの説明を聞いた最後に、協力会員の三倍、依頼会員がいるという状況のため、登録しても紹介できない可能性が高いですよと説明をされ、釈然としない気持ちで帰ってきた経験がありますが、都では、ファミリー・サポート・センター事業の提供会員の量的拡大を図るために、平成三十年度より、一時間当たり千円を上限とした報酬の上乗せを行うことや研修事業の強化などを行うとうきょうチルミルを創設、課題の解決に向けて大きくかじを切ったことについては、非常に高い評価をするものです。
 そこで、平成三十年度のファミリー・サポート・センター事業の提供会員数と依頼会員数及びとうきょうチルミルの人数についてお教えください。

○谷田少子社会対策部長 ファミリー・サポート・センター事業は、子供の一時的な預かりや保育所等への送迎など、子育ての援助を受けたい人とその援助を行いたい人が、それぞれ依頼会員、提供会員になり、地域で子育てを支える取り組みでございまして、都はその立ち上げや運営を支援しております。
 平成三十年度の都内のファミリー・サポート・センター事業の提供会員は一万五千三百二十四人、依頼会員は十一万二千六百三十三人、提供会員と依頼会員の両方に登録しています両方会員は二千百四十九人でございます。
 このうち、国のカリキュラムに都独自に児童虐待防止に係る事項を加えた研修を受講した提供会員を、お話しのありましたように、とうきょうチルミルとして報酬の上乗せを行っておりまして、その会員は五十人でございます。

○後藤委員 ありがとうございました。提供者に対して依頼者がかなり多いということで、高倍率であるということがわかりました。
 さらに、平成三十年度から始まったとうきょうチルミルによってふえた会員が五十人というお話でございましたが、これは少々少ないかなという気がいたしまして、理由としては、採用された区市町村が一市のみだったということにあるというお話ですけれども、これだけ提供会員が足りない状況なわけですから、さらに多くの自治体に本事業を採用していただいて、提供会員の拡大を図るための施策が必要だと考えます。
 そこで、今後は、ファミリー・サポート・センター事業の提供会員の確保と、とうきょうチルミル実施自治体の拡大に向けて、区市町村と連携をし、取り組みを強化すべきだと考えますが、見解を伺います。

○谷田少子社会対策部長 都は、ファミリー・サポート・センター事業及びとうきょうチルミルが区市町村において効果的かつ積極的に実施されるよう、会員相互の調整事務を行うセンター職員に対する研修や、区市町村の事業担当者向けの説明会などを実施してまいりました。
 今後は、これらに加えまして、とうきょうチルミルの効果的な取り組み事例を紹介するなど、事業の実施を区市町村に積極的に働きかけるとともに、区市町村と連携し、提供会員の活動の魅力をホームページ等を通じて広く周知してまいります。

○後藤委員 今後、しっかりと対策を行っていただけるというご答弁がありました。ありがとうございます。
 自治体が参加をしない理由として、とうきょうチルミルで行っている報酬の上乗せにかかわる事務負担、多くは地元の社協さんなんかが事務負担を担っている場合が多いと思いますが、これが重いという声が上がってきているようです。さらなる利用自治体の拡大に向けては、自治体側の事務費を負担するなど、実効性のある対策をお願いしたいと思います。
 そしてさらに、今ご答弁をいただきましたけれども、ファミリーサポート事業の提供会員となる元気高齢者の中には、地域の子供たちのために何か力になりたいというふうに考えていても、ファミリーサポート事業を知らない方も多くいらっしゃると思います。
 今回、ホームページ等の周知をいただけるというお話がありましたが、例えば地域の高齢者が集まる場所などでも周知をしていただくなど、潜在的な提供会員への普及啓発というものを強化していただくことを要望し、次の質問に参ります。
 次に、子育て応援とうきょうパスポート事業について質問をいたします。
 突然ですけれども、皆様、こちらのマークというのをまち中で見たことはありますでしょうか。(実物を示す)これは……(「ない」と呼ぶ者あり)ない。ない方、多いですかね、どうでしょうか。
 これは、子育て応援とうきょうパスポート事業といって、このステッカーが張ってある店舗では、おむつがえのスペースが完備されていたり、あとは、粉ミルクのお湯を提供してもらえたり、割引サービスが受けられるというものでございます。
 本事業で、都は、社会全体で子育てを応援する機運を醸成することを目的に、十八歳以下のお子さんがいるご家庭や妊婦さんに対して、事業趣旨に賛同した協賛店がサービスを提供するというものになります。
 私自身も一昨年出産をし、子供と外出するときに困ったものの一つが外出先の店選びでした。乳幼児を連れて外出する際、多くの保護者は、ベビーカーで入店できるお店なのか、また、おむつがえのスペースがあるかなどを事前にリサーチをしてから外出をしています。そもそも乳幼児を連れての入店はお断りのお店も多く、子育て家庭の外出を支援するという観点からも、本事業を通じて、子供にフレンドリーな店舗をふやす本事業の取り組みは、非常に重要であると考えます。
 ただ、私も、この事業については、妊娠届を提出したときに、この案内を区市町村からいただいたんですけれども、日々意識をしていても、このステッカーをまちで見ることが少ないなというふうに感じます。
 また、周囲の保護者に聞いても知らない方が多く、今、委員からも知らないというお声がありましたけれども、本事業の認知度の低さというのは課題の一つであると感じております。
 そこで、本事業の協賛店の登録件数、現時点について伺います。また、平成三十年度時点の本事業の協賛店登録件数について伺います。また、近隣県の実績もあわせて伺います。

○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 都内では、区市町村独自の取り組みといたしまして、子育て家庭に対する各種割引等のサービスを提供する事業が行われてまいりましたが、平成二十八年度から、国が都道府県の子育て支援パスポート事業を全国共通の制度として開始をいたしましたことを契機として、都は同年十月から、子育て応援とうきょうパスポート事業を開始いたしました。
 都事業における協賛店登録数でございますが、平成三十年四月一日時点で二千三百八十八件、平成三十一年四月一日時点で四千三百八十二件、直近の十月一日時点で四千六百九十一件となってございます。
 近隣県の直近の実績につきましては、平成十九年に事業を開始いたしました埼玉県が約二万二千件、平成二十四年に事業を開始いたしました千葉県が約八千件、神奈川県が約三千五百件となってございます。

○後藤委員 ありがとうございます。
 平成三十年度時点の協賛店の数が約四千七百件ということですけれども、市区町村単位で割ると、一区市町村ごとに七十五件程度ということで、やはりこれも少々協賛店の数が少ないかなというふうに感じました。
 先行して平成十九年度から取り組みを進めている埼玉県では、二万二千件と四・五倍近くの協賛店があります。私自身も埼玉県のお店にふらっと以前入ったときに、本事業と同じようなステッカーが大きく張られている店舗を何度か目にしたことがありまして、やはり数の意味からも、先行している道府県などでは、こうしたことが進んでいるということからも、一定の認知度を高めるという意味においては、協賛店の拡大が必要であるというふうに感じております。
 そこで、協賛店をふやすためにどんな取り組みをされてきたのか伺います。

○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 都はこれまで、東京商工会議所、日本フードサービス協会などの団体や区市町村を通じまして、協賛を呼びかけるとともに、「広報東京都」やホームページにより、広く協賛店を募集してまいりました。
 平成三十年度には、民間のノウハウやネットワークを活用し、協賛店拡大を図るため、本事業の普及啓発のための企画、運営を民間委託いたしました。委託業者によります店舗等への直接訪問や、飲食店オーナー等へのSNS広告の配信などによりまして、協賛店が千四百七件増加をいたしました。
 同時に、事業内容をPRする動画を作成いたしまして、トレインチャンネルを活用して配信をするとともに、情報誌への広告掲載など、利用者向けの広報も展開をいたしまして、協賛店にとって魅力ある事業となるよう、認知度向上の取り組みを推進いたしました。

○後藤委員 平成三十年度より民間委託にしたということで、飛躍的に協賛店がふえたことがわかりました。
 そこで、今後、利用者のニーズを踏まえて、一層の協賛店拡大を図ることが必要だと考えますが、都の見解を伺います。

○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 社会全体で子育てを応援する機運を高めることを目的といたしまして、平成三十一年一月に開催をしたイベント、子育て応援Tokyoプロジェクトにおいて実施をいたしましたアンケートの結果によりますと、今後ふえてほしい協賛店は、レジャー施設がトップでございました。
 都はこれまで、子育て家庭の外出がふえる夏休みの時期に、協賛店によります期間限定の特別サービス提供などの取り組みを行ってまいりました。
 今後、飲食店などの店舗等への働きかけに加えまして、子供連れで遊べるレジャー施設等の協賛店への参画を一層進めるため、企画、運営委託による取り組みを推進してまいります。

○後藤委員 協賛店の数に加えて、ニーズの高い店舗種別を把握し、施策に反映されるということで、ぜひお願いをしたいと思います。
 また、数の拡大も重要ですが、サービスの利用のしやすさも重要だと考えます。保護者が外出先の検索を行うのは、主にスマホを使ってのインターネットが多いと思いますが、例えば、足立区、子連れ、レストランというふうに検索をしても、子育て応援とうきょうパスポート事業の検索結果ページが、きのう検索したところ出てこなかったということで、ぜひ、こうしたサービスを皆さんに使っていただくためには、SEO対策なども行っていただいて、より利用者の方々が閲覧しやすい状況にするサービスということで、使いやすいサービスの改善を求めて、次の質問に移ります。
 次に、介護職員の定着支援に関する取り組みとして、本年度新規事業として開始された二つの事業についてお聞きをいたします。
 私自身は、前職で介護業界の雇用をふやすということをミッションに仕事をしていたわけなんですけれども、よくそのときにいっていたのは、介護の雇用問題を解決していくためには、一つは介護業界に入る人をふやす、そして二つは介護業界から出ていく人を減らす、そして三つ目は生産性を上げて必要となる人を減らす、この三つが重要であるということをよくお話をしておりました。
 採用については、現在、東京都の介護職の求人倍率は六倍近くと、他県と比較しても圧倒的に高い状況が続いているため、求人環境が落ちつく間は、特に定着支援と生産性向上の取り組みが重要になると考えています。
 そんな中、若者の定着支援に資する取り組みの一つであるのが、平成三十年度より開始した介護職員奨学金返済・育成支援事業です。
 この事業は、介護の現場で働きながら奨学金を返済する新卒者を育成する事業所に対して、奨学金の返済分の助成を行うものです。現在、二・六人に一人が奨学金の貸与を受けているという状況や、他県より物価が高い東京において、本事業は、新卒者等の処遇改善にも資する重要な事業であると考えます。
 そこで、本事業の目的と内容について伺います。

○村田高齢社会対策部長 介護職員奨学金返済・育成支援事業は、若い世代の介護職員の確保、定着を図るとともに、介護事業所の人材育成の取り組みを支援し、質の高い介護サービスを長期的に提供することを目的としております。
 具体的には、事業者が、在学中に奨学金の貸与を受けました新卒者等を常勤職員として雇用し、その返済金相当額を手当として支給をした場合に、一人当たり年間六十万円を上限として、事業者に補助をしているものでございます。
 補助に当たりましては、対象となる職員が計画的に介護職員初任者研修の受講や介護福祉士資格の取得を目指すなど、キャリアアップが図られるよう、事業者に育成計画の作成を義務づけているものでございます。

○後藤委員 ありがとうございます。年間上限六十万ということで、これは大変大きい金額だと思います。
 実際、補助に当たっては、育成計画の策定などが義務づけられておりますけれども、平成三十年度に実際利用した事業所数と利用人数についても教えてください。

○村田高齢社会対策部長 平成三十年度は百二十七の事業所が本事業を活用しておりまして、百六十九人の方が奨学金返済額相当の手当を受給されたところでございます。

○後藤委員 ありがとうございます。初年度とはいえ、予算の執行率も二二%ということで、予算見積もり時の想定よりも低い状況となっているのかなと思います。
 私自身、この事業がスタートした当時に、都内の多くの介護事業所を実際に回って、チラシを持って事業のPRに伺ったんですけれども、そのときの反応としては、皆様一様に非常に反応がよくて、ぜひ使いたいという話を伺っておりました。
 非常に現場の反応がいいということに反して、この予算の執行率は意外だなと思って見ておったんですけれども、そこで、本事業の執行率が低い理由について、都はどのように捉えているか伺います。

○村田高齢社会対策部長 予算の執行率が二二・五%にとどまった理由としまして、新規事業であり、事業が浸透するのに時間がかかったこと、事業者が手当の支給制度を整備するのに期間を要したこと、また、奨学金返済額が想定よりも低かったことなどが挙げられます。
 お話のとおり、導入した事業者の方々からの評判はよいことから、都は引き続き、学生、事業者それぞれに、この事業の趣旨や内容をわかりやすく紹介したリーフレットを作成、配布するとともに、事業者説明会を実施するなど、多くの事業者が本事業を活用できるよう周知を図ってまいります。

○後藤委員 ありがとうございます。周知徹底をさらに図っていただけるということなので、ぜひお願いをいたします。
 特に、介護業界の人事は、動きとして、来年度の予算編成に向けて年度末ぐらいから動き出して、それまでに就業規則の改定が必要なものや育成計画の策定など、理事長決裁等の社内稟議が必要な準備を始めるというスケジュールで動いています。ぜひ、検討中の事業者が来年度から事業を応募できるように、早目の告知をお願いし、次の質問に参ります。
 次に、介護現場におけるICT活用について伺います。
 都は、平成三十年度、介護職員向けのICT活用事業として、介護施設やグループホームなどを対象とした次世代介護機器の活用支援事業と訪問介護事業者に向けたICT機器活用による介護事業所の負担軽減支援事業を開始いたしました。これは事業が二つありますけれども、ともに介護事業所において、介護ロボットや記録タブレットなど、ICT機器の導入に関する費用の助成を行うものであります。
 どちらも介護現場の生産性向上と職員定着に資する取り組みであり、多くの介護事業者に導入されることを願うものでありますが、一つ気になるのは、介護事業者等が対象となっている、特養等が対象となっている次世代介護機器助成の執行率が九六%ということで、非常に執行率が高かったことに対して、訪問介護事業所が対象となっているICT機器活用による介護事業所の負担軽減支援事業は、執行率が一八・二%と低い執行率になっていて、かなり大きな乖離があるということがちょっと気になりました。
 同じようなICT活用助成事業の執行率にこれだけ差が出るということは、いいかえると、特養等の介護施設等と訪問介護事業所におけるICT活用の意識に差があるというふうにもいえるのではないかと思います。
 訪問介護事業所におけるICT活用の取り組みは、ほかの事業形態と比較をして課題があるというふうに考えることもできますが、そこで、次世代介護機器助成に比較をして、訪問介護事業所向けのICT機器活用による介護事業所の負担軽減支援事業の執行率が低い理由をどのように捉えているのか見解を伺います。

○村田高齢社会対策部長 ICT機器活用による介護事業所の負担軽減支援事業は、訪問介護事業所のICT化を推進し、介護業務の負担軽減を図り、介護人材の定着に資することを目的としておりまして、タブレット端末やソフトウエア等の導入費、リース料、保守料等を補助しております。
 予算の執行率が一八・二%にとどまった理由としましては、訪問介護事業所は事業規模が小さく、ICT機器の活用に関する知識や理解が不足していることが挙げられます。

○後藤委員 ありがとうございます。執行率が低い理由としては、訪問介護事業所がほかの介護事業所に比べ小規模であるという話や、知識や理解の不足が挙げられるというご答弁がありました。これは、訪問介護事業所におけるICT活用の課題であるとも思います。
 一方で、今後、地域包括ケアシステムの構築に向けて、在宅支援がより強化されることが予想されており、訪問介護事業のニーズは今後さらに高まってくると考えます。訪問介護事業所における生産性向上は喫緊の課題であると考えており、加えて、訪問介護事業所は、施設系に比べると、介護職員の方々の平均年齢も非常に高いかなと思っておりまして、事業規模の問題だけでなく、ICTに関するリテラシーをどのように底上げしていくのかという課題もあるというふうに、現場からよくお聞きをしているところです。
 そうしたことからも、今後、本事業のさらなる活用に向けて、どのような取り組みを行っていくのか見解を伺います。

○村田高齢社会対策部長 ICT機器を有効に活用し、訪問介護事業所の負担軽減を図るためには、事業所の実情に応じた専門家による支援が必要でございます。
 このため、今年度からICT機器等に関するコンサルティング費用を補助対象に加えまして、事業所に入れる機器の選定や業務改善を支援しております。

○後藤委員 ありがとうございました。
 コンサルティングなどを行うというお話がありましたけれども、まさに本年度行っているコンサルティング事業において出てきた課題については、ぜひ局の方で分析をしていただいて、事業改善につなげていただくようお願いをし、次の質問に参ります。
 最後に、重度心身障害児者の通所事業について伺います。
 先日、都民ファーストの会東京都議団の東部地域選出の有志議員で、重度心身障害児者の医療と療育を総合的に行う東部療育センターに視察に行ってまいりました。
 その際に、利用者の保護者からは、慢性的に入所施設のあきがない状況や、通所で通わせているものの、現場では、通所回数の制限や分散化などの対応が行われているという話をお聞きいたしました。まさに、ふえ続ける重度心身障害児者の利用ニーズに、受け皿となる施設は圧倒的に足りていない状況だと考えます。
 そこで、東部療育センターの通所事業について、平成三十年度の通所定員と登録者数、利用日数を伺います。

○松山障害者施策推進部長 東部療育センターの通所定員は三十五名、登録者数は平成三十年度末時点で六十三名、利用日数は平成三十年度延べ日数で六千三百三日でございます。

○後藤委員 ありがとうございます。三十五名の定員に対して六十三名と、二倍近くの方が登録していることがわかりました。
 入所だけでなく、通所施設についてもあきがなく、利用日数が減らされているということがわかりましたが、都は解決策の一つとして、手厚い医療的ケアを必要とする重症心身障害児者については既存の施設ということで、そして、比較的軽度な医療的ケアを必要とする重症心身障害児者については、地域の中に既にある障害児、障害者施設を活用して医療的ケアを行う地域施設活用型という補助を行って、その運営を促進するという事業を行っています。
 そこで、平成三十年度の医療型施設と地域施設活用型のそれぞれの施設数と定員数を伺います。

○松山障害者施策推進部長 重症心身障害児者通所施設の平成三十年度末時点の施設数及び定員数は、医療型施設二十施設、定員四百四十九名、地域施設活用型施設四十一施設、定員二百三十八名でございます。

○後藤委員 ありがとうございます。地域施設活用型の定員は二百三十八名とのことでした。
 地域施設活用型は、平成十九年度から事業が実施をされておりますけれども、現場では、実際は医療的ケアができる医師や看護師の確保が難しく、人材難の点で、なかなか現在の需給ギャップを埋めるまでに至っていないというお話も聞きます。
 そして、日本の小児医療が進展する中で、重症心身障害児と認定される子供の数は、年々増加をしているのは周知の事実でございまして、今後さらに施設ニーズが高まるということも予想されているところでございます。そうした状況の中で、都は、今後ふえ続ける重症心身障害児者のニーズに対して、抜本的な対策を検討するタイミングに差しかかっているのではないかと考えます。
 そこで、在宅における重症心身障害児者の療育体制のためには、通所施設も重要であると考えますが、都として通所施設の充実についてどのような課題意識を持っているのか伺います。

○松山障害者施策推進部長 重症心身障害児者が身近な地域で安心して生活するために、通所施設は重要な生活基盤であり、その整備を促進するとともに、専門職の配置など事業運営体制を確保することが課題と認識しております。
 このため、都は、平成三十年三月に策定した障害者・障害児地域生活支援三か年プランにおいて、重症心身障害児者通所施設の定員を平成三十年度からの三年間で百五十人ふやすことを目標に掲げ、整備費の事業者負担を軽減する特別助成などを行うなど、整備を促進しております。
 また、国の基準に加え、都独自に手厚い医療的ケアに必要な看護師等の増配置等に対して補助を行い、運営体制の確保を支援しております。

○後藤委員 ありがとうございます。
 重症心身障害児者が地域で安心して暮らしていくためには、基盤整備はもちろんのこと、今おっしゃっていただいたとおり、課題となる人材確保などにもしっかり対策を講じていただくことを要望し、私の質問を終了します。

○栗林委員 それでは、私の方から、質問に入ります前に、この台風十九号で、私の地元世田谷区内でも、玉川、野毛、多摩堤という地域で河川の氾濫で大きな被害がございました。その地域で約二百床の病院が浸水となりまして、その際、福祉保健局の皆様、特に医療政策部の皆様のスピーディーな対応で、全員、都立病院などに緊急受け入れをしていただくことができまして、救助されました。本当に素早い対応といいますか、二百人近い患者さんたちが移ることができた、この対応に関しまして、この場をおかりして心から感謝申し上げる次第でございます。ありがとうございました。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 救急搬送患者受入体制強化事業について伺います。
 都は、指定二次救急医療機関において、医師や看護師の業務を軽減するように、医療情報提供書等の作成、また救急医療情報システムの適時入力、また患者やその家族への対応など、業務を補助する救急救命士を配置する救急搬送患者受入体制強化事業を平成三十年度から実施していると伺っています。
 この平成三十年度の執行率を見てみますと、一九・九%ということで、大変低い状況ではあるんですけれども、その理由と、また今後の取り組みについて伺います。

○矢沢医療政策部長 事業を開始いたしました平成三十年度は、救急救命士を新たに年度途中から雇用することが難しいことなどから、本事業を活用する医療機関が少なく、十病院への支援を行いました。
 今年度は、地域救急会議等において、救急救命士を配置することにより患者の受け入れが増加した事例を紹介するなど、本事業の活用を促しておりまして、二十六病院から新たに申請を受けたところでございます。
 今後とも、救急患者を積極的に受け入れる医療機関を支援してまいります。

○栗林委員 年度途中ということが背景にあったということで理解できました。既に二十六病院から申請も受けているということでございますので、大変期待が高い事業かと思いますので一層の取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、医療機関の外国人患者受け入れ体制整備支援について伺います。
 先ほどの病院経営本部の質疑でも、公社病院におけるJMIPの取り組みについて質問させていただきました。
 二〇一八年に東京を訪れた外国人旅行者は約一千四百二十三万人と、過去最高を記録したといわれています。また、東京都における外国人人口は、平成三十一年一月一日現在、約五十五万人となり、この十年間で見ても十万人以上増加しているといわれています。
 来年に控えております東京オリンピック・パラリンピック大会を考えますと、外国人旅行者はますます増加し、それに伴って、医療機関を受診する外国人患者も増加することは予想されます。
 こうした中、外国人患者が安心して医療機関を受診できるよう、外国人患者に対応可能な医療機関をふやすことが喫緊の課題となっています。そして、そのためには、これから外国人患者対応に取り組もうとする医療機関を支援して、その取り組みを促進することが重要ではないかと思います。
 国においても、今年度、外国人患者を受け入れる拠点的な医療機関の公募を実施し、都からは、現在、百五十六医療機関が選出されていると聞いております。この拠点的な医療機関は、外国人患者を積極的に受け入れる意欲のある医療機関が手を挙げて選出されるものであり、都内においても百五十六もの医療機関から手が挙がったことは、大変喜ばしいことと思います。こうした既に取り組みを進めている医療機関への支援も重要と考えます。
 都が平成二十九年度から実施している外国人患者受入れ体制整備支援事業は、外国人向けのパンフレットやホームページの作成、問診票や説明書等の翻訳、案内表示の多言語化などを行う医療機関を支援する取り組みでありますが、まず、この外国人患者受入れ体制整備支援事業の平成三十年度の実績を伺います。
 また、より多くの医療機関にこの事業を活用してもらうためには、体制整備を進めていただきたいと思いますが、医療機関の活用を促進するため、今後はどのように取り組んでいくのか伺わせていただきます。

○田中医療改革推進担当部長 外国人患者受入れ体制整備支援事業は、外国人が安心して受診できるよう、医療機関の体制整備を支援するものでありまして、平成三十年度は、十の医療機関に対して補助をしております。
 本事業は、これから取り組む医療機関だけでなく、既に外国人患者の受け入れを進めている医療機関の取り組みも充実させるためにも、効果的な事業でございます。
 このため、今後、医療機関向けの研修等において、具体的な取り組み方法や本事業について周知を図るとともに、外国人患者対応を積極的に行う、外国人患者を受け入れる拠点的な医療機関の受け入れ体制の強化に向けた働きかけを行ってまいります。

○栗林委員 外国へ行き、一番不安なのは、やはり病気になったときやけがのとき、そういうときに対応はどうなっているかが一番不安ではないかと思います。命と健康を守るという、その東京の外国人向け医療機関の体制というのは、東京のそういうメッセージが伝わるような取り組みではないかと思いますので、引き続いて取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、健康推進について伺います。
 初めに、受動喫煙対策について伺わせていただきます。
 東京都受動喫煙防止条例も平成三十年に制定され、いよいよ明年四月からが本格施行になることになっております。
 そこで、平成三十年度の受動喫煙防止対策について、予算の執行率が二七・六%と、余り高くはないというか、むしろ低いと思ったんですが、条例制定された年でもありますので、もう少し予算がどんどん使われていくのかなと思ったんですが、この執行率が低い理由はどういうところにあったのか伺います。

○成田保健政策部長 都は、みずから受動喫煙を防ぐことが難しい従業員や健康影響を受けやすい子供を受動喫煙から守るため、健康増進法改正案に上乗せ、横出しする東京都受動喫煙防止条例を平成三十年六月に制定いたしました。
 平成三十年度は、都民向けの普及啓発や相談窓口の開設を行うとともに、区市町村が地域の実情に応じて取り組む普及啓発や公衆喫煙所の整備に対する補助を開始いたしました。
 改正健康増進法につきましては、平成三十年七月に公布され、対象施設の具体的な区分や喫煙専用室の基準など、新制度の具体的な内容は政省令で定めることとされました。しかし、この政省令は平成三十一年二月に公布され、それまで新制度の具体的な内容が示されなかったため、区市町村の取り組みが進まなかったことが主な原因と考えております。

○栗林委員 健康増進法との兼ね合いがあったということで、理解はしたところでございますが、いよいよ本格施行まであと半年となってまいりました。そのことを考えますと、もうどんどん積極的に、各区市町村が取り組みを強化していただかなくてはなりませんので、一層の周知と取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、乳がんの検診受診促進について伺います。
 十月は、ご存じのようにピンクリボン月間でございます。乳がんの早期発見、治療を啓発する月間でございます。
 私ども公明党も、毎年このピンクリボン月間は、街頭演説などで皆様に周知をお訴えするような活動もしております。この月間を通して、やはり多くの方に早期発見、そして治療と、そして常に検診に行こうという、そういう情報を届けていける意識啓発の月間ですので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
 そこで、平成三十年度の乳がん月間における都の取り組みについて伺います。

○成田保健政策部長 都では、がん検診の実施主体でございます区市町村や企業などと連携し、乳がん検診の意義を正しく伝えるため、十月の乳がん月間にピンクリボンの普及啓発キャンペーンであるピンクリボンin東京を実施しております。
 平成三十年度は、板橋区や町田市とそれぞれ共催いたしまして、乳がん専門医と乳がん罹患経験のある著名人による講演とトークショーなどのPRイベントを開催いたしました。
 板橋区とのPRイベントの参加者は九十五名、町田市は九十八名でございまして、終了後の参加者へのアンケート結果では、約八割の方が乳がんに関して理解できたと回答されるとともに、約九割の方が検診受診の意思を示されております。
 また、銭湯にご協力いただいて、自己検診、自己触診の重要性やその方法などについて伝えるピンクリボンの湯や、百貨店、ホテルと連携したマンモグラフィー検診車によるデモンストレーションなどの啓発に加えまして、当初予算において、パネル展やライトアップなども実施いたしました。

○栗林委員 年々斬新な企画もしていただいておりまして、都庁のピンクの色のライトアップもそうですし、また、都庁食堂でのピンクリボンランチ、随分前でしたけれども、始まったときに楽しみに行ったら、ピンクのそぼろみたいなものをかけただけで、これがピンクリボンランチかなんていって、ちょっと要望したところ、改善されて、結構、今、ゴージャスなピンクリボンランチになっております。やっぱりこういったところから意識啓発というのはできるのかなと思います。
 また、先日、我が党ののがみ議員とまつば議員が、ピンクリボンの湯にご協力いただいている銭湯の方に行ってきました。入浴はできなかったんですが、開店前に経営者さんにいろいろお話を聞いてきたそうなんです。これは大変評判がいいようでございます。
 日ごろ銭湯に行かない若い女性も、このときは随分参加されて、図が描いてあって、自己チェックの方法だとか、また、去年は脱衣所のところに椅子を置いて、講演会をしてくださったそうなんで、そのときも大勢の方が参加されていたということ。ことしはその企画はなかったので、残念だったなんてお話も聞いてきたようでございますけれども、こうした女性向けのさまざまなイベントは、やっぱり継続をして、また拡充していってこそ、定着をしていくものだと思いますので、どうか引き続きの取り組みをよろしくお願いしたいと思います。
 また、乳がん検診の受診促進に向けた今後の啓発はどのように取り組む予定か伺います。

○成田保健政策部長 毎年十月の乳がん月間に加えまして、九月のがん征圧月間や三月の女性の健康週間におきまして、乳がん検診を初めとしたがん検診の受診促進のための啓発を集中的に展開しております。
 また、乳がん検査従事者講習会などの場を活用し、区市町村や検診機関職員の方々に対しまして、都と連携した啓発の実施について協力を依頼しております。
 さらに、今年度は有識者会議を設置いたしまして、これまでの都の施策や検診受診率の動向などを踏まえ、乳がんを初めとした女性のヘルスリテラシー向上に向けた取り組みについて検討しており、今後とも、都民に対し、がん検診の意義を正しく伝え、受診率の向上に取り組んでまいります。

○栗林委員 ありがとうございます。
 やはりしっかり民間企業とか、あと地域とか、そういったところにもどんどんどんどんそういうイベントを活発にしていくための後押しというのも、大変重要ではないかと思います。
 特に、東京都が毎年、後援をつけて後押ししている民間のイベントに、リレー・フォー・ライフというがん制圧イベントがございます。年一回、最近は上野公園で、二十四時間公園内を歩いて、がんと闘っている人を私たちは応援しているよというメッセージを送るイベントでございますが、あした、あさって、ちょっと天気が心配なんですけれども、ことしは十月十九、二十日と上野公園で企画されております。
 私たちも、毎年ボランティアで参加をさせていただいておりますけれども、やはりこういう民間が企画するイベント、こういったことにもしっかり協力体制をとりながら、多くの方に啓発していく機会だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、職域健康促進サポート事業について伺います。
 平成三十年度の職域健康促進サポート事業、執行率が四四・四%と余り高くはないんですが、この理由と取り組みについて伺います。

○成田保健政策部長 職域健康促進サポート事業は、東京商工会議所と連携の上、都がこれまで蓄積してきたノウハウに基づく研修を受講した健康経営アドバイザーが企業に対しまして、健康づくり、がん対策、肝炎対策及び感染症対策の知見の普及啓発を行うとともに、専門家派遣を通じて、健康経営に取り組む企業を支援することとしておりまして、平成二十九年度にモデル実施を開始いたしまして、平成三十年度から本格実施をしております。
 平成三十年度は、普及啓発につきましては予定の一万社を達成いたしましたが、直接企業を複数回訪問し、健康経営に向けた取り組みを支援する専門家派遣は、予定の三百社に対し、実績は百十七社となっております。
 これは、専門家派遣に対する理解が進まなかったことに加えまして、企業ごとに健康経営に対する認識に差があることや、企業が抱える健康課題も多岐にわたることから、個々の企業に丁寧に時間をかけて対応する必要が生じたためと考えております。

○栗林委員 これからの長寿社会、やはり健康で長寿ということが大変重要なテーマでございますので、身近なところでしっかり取り組みを推進していただきたいと思います。
 次に、高齢福祉に関して質問させていただきます。
 初めに、認知症に関することから伺います。
 認知症の症状を有する人は、平成二十八年に約四十一万人いるといわれて、令和七年には約五十六万人に達すると推計されています。認知症高齢者の急速な増加が見込まれる中、認知症対策は非常に重要になってまいります。
 認知症になっても地域で安心して暮らすことができるよう、認知症の初期から中重度までの段階に応じて、地域において適切な支援が受けられる体制を構築するために、東京都は、認知症とともに暮らす地域あんしん事業を実施していらっしゃいます。
 認知症の人が地域で暮らしていく中では、介護拒否や抑鬱など、認知症の行動、心理症状、いわゆるBPSDがあると、家族などの介護者にとって大変大きな負担となり、在宅生活が困難になる場合もございます。
 東京都は、地域あんしん事業の中で、独自に開発した認知症の行動心理症状の改善が期待できる日本版BPSDケアプログラムの普及を図っていますが、どのような取り組みを行ってきたか、また、プログラム利用事業者の実績を伺います。

○村田高齢社会対策部長 都は、日本版BPSDケアプログラムの普及を図るよう、平成三十年度から、区市町村が実施する介護保険事業所等でのケアプログラムの実践者であるアドミニストレーターの養成研修や、事業所への導入経費の補助などの取り組みを支援する事業を開始いたしました。
 また、こうした区市町村の取り組みを促進するため、ケアプログラムの内容や事業所における取り組み効果などを紹介する説明会を開催したほか、区市町村から推薦を受けました事業所等を対象に、合同アドミニストレーター研修を実施しております。
 さらに、認知症の方やご家族がケアプログラムを利用する事業所を選択できるよう、認知症のポータルサイト、とうきょう認知症ナビで検索できるようにするほか、事業所の窓口等に掲示ができる都の認定証を交付しております。
 こうした取り組みによりまして、平成三十年度末時点で、九区市町の八十五事業所がこのケアプログラムを利用しているところでございます。

○栗林委員 認知症予防に力を入れるとともに、高齢社会にとって認知症は特別なものではなく、誰にでも起こる可能性があるという、そうした周りの理解も重要ではないかと思います。住みなれた地域で認知症になっても住み続けられるよう、私たちは、目指すは、認知症になって徘回しても安心なまちというか、そういうものを構築したいねと話しているんですけれども、そういった環境整備のために、一層の取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、やはり介護現場での人材確保というのが大変難しい状況でございますけれども、東京都における介護人材確保対策事業がございます。
 その平成三十年度の取り組み状況、伺います。

○村田高齢社会対策部長 介護人材確保対策事業は、介護サービスを担う多様な人材の参入促進を目的としまして、職場体験事業、資格取得支援事業、就業促進事業の三つの事業から成っております。
 職場体験事業では、介護職員として就労を希望する学生、主婦、離職者等に、施設等で最大三日間、職場を体験できる機会を提供しておりまして、八百九十四人の申込者を延べ千三百五日受け入れをいたしました。
 資格取得支援事業では、職場体験事業終了者に対して、介護職員初任者研修を無料で受講できる講座を百五十一設けまして、六百三十九人が受講をいたしました。
 就業促進事業では、介護業務への就労を希望する者が介護事業者と六カ月以内の有期雇用契約を締結し、働きながら介護職員初任者研修を受講することを支援しており、平成三十年度は、労働時間の要件を緩和して短時間勤務の職員も対象とするなど、事業の再構築を図った結果、平成二十九年度の二百二十二人を上回る七百九十四人が有期雇用契約を締結したところでございます。

○栗林委員 成果も出ておりますので--人材確保、どこも皆さん苦労されています。一層の取り組みをよろしくお願いしたいと思います。
 次に、介護職員奨学金返済の取り組みを伺おうとしましたが、先ほど後藤委員から質問がありましたので、これは省略させていただきます、同じことになりますので。
 それでは次に、みとり環境の整備事業について伺います。
 高齢者が住みなれた地域で安心して終末期を迎えることができるように、特別養護老人ホームなどの介護施設とか、また、地域の暮らしの場におけるみとりの環境を整備することが大変求められております。
 このみとり環境の整備事業、昨年度の実績を伺います。

○村田高齢社会対策部長 都は、特別養護老人ホームなどで、みとりのために必要となる個室や家族のための宿泊室の確保など、人生の最終段階におけるケアを行うための環境整備に要する改修経費を補助する区市町村への支援を行い、平成三十年度は三区市が活用いたしました。
 また、みとり期まで対応できる定員九人以下の小規模な有料老人ホーム等の開設経費や運営に要する費用を補助しておりまして、昨年度は六カ所の施設が活用しております。
 さらに、介護施設の医療介護職等を対象とした研修を実施しておりまして、人生の最終段階における意思決定支援や家族等への対応、職員の精神的ケアなどを盛り込みまして、みとりの理解を深め、施設における対応力の向上を図っております。

○栗林委員 それぞれの施設で設置できるスペースがあるとかないとか、さまざまな状況は異なりますので、一気にふえていく事業ではないと思いますが、求められている取り組みではないかと思います。
 最後、暮らしていた場所で親しい方たちに見守られて生涯を終えるという、本当に誰もが望むところではないかと思います。高齢者の尊厳ということからも、施設職員の対応力も求められます。研修も実施されているということでありますので、そういったハード、ソフト両面での支援をより一層お願いしたいと思います。
 続きまして、少子社会政策に関して伺いたいと思います。
 初めに、子育て支援員研修について伺います。
 これは大変期待される制度で、制度スタートの平成二十七年から、私たち公明党もずっと拡充を求めてまいりました。
 研修も無料で受講できて、受講修了後は修了証書を交付されて、地域で、保育や放課後児童クラブとか、乳児院とか、養護施設とか、そういったところで働くことが可能になります。
 申し込みも年々増加していると思い、拡充も求めてきたところでございますが、平成三十年度の決算の執行率が七割程度にとどまっています。これは本当に人気だったので、足りないから拡充、足りないから拡充というふうにしてきた事業かと思うんですが、七割でありました。
 そのことから、平成三十年度の子育て支援員研修の実績もあわせて伺います。

○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 子育て支援員研修は、地域におけます子育て支援の担い手を確保するため、平成二十七年度から、東京都福祉保健財団に委託をして事業を開始いたしました。
 平成三十年度からは、受講定員の拡大に伴いまして、一部のコースを民間事業者に委託をすることといたしました。入札の結果、契約差金が発生したため、決算の執行率が低くなったものでございます。
 平成三十年度は、受講定員を前年度から千四百四十四名増員をし、四千名といたしました。この定員に対しまして、申込者数は三千五百二十六名、受講決定者数は三千二百三十九名でございました。

○栗林委員 契約差金があって、申込数は増加していると伺って安心をいたしました。修了者数も倍増しているということで、今後も取り組みをお願いしたいと思います。
 また、事業開始以降、多くの子育て支援員が認定されて、実際に子育て支援の現場でどう活躍していらっしゃるか伺います。

○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 子育て支援員として認定された方のうち、約七割の方が地域型保育などの子育て支援の現場で活躍をしております。
 都は、子育て支援員の就労に向けたマッチングを一層促進するため、平成三十年度から就職相談会を開催しております。この相談会には、保育人材・保育所支援センター、ハローワークに加えまして、子育て支援員の採用を予定しております十八の民間事業者がブースを出展いたしまして、就職を希望します二百五十四人の子育て支援員が来場いたしました。
 今後とも、子育て支援員の活用が一層広がるよう、保育の実施主体であります区市町村や関係機関とも連携をしながら、取り組みを進めてまいります。

○栗林委員 ぜひ、一番身近な窓口である区市町村への認知がしっかり進むように取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、子供が輝く東京・応援事業について伺います。
 これは、この事業もスタート時より注目をし、応援をさせていただいておりました。子供を産み育てたいと望む人たちが安心して子育てをして、子供たちが健やかに成長していく環境整備をしていくには、行政だけではなく、NPOとか企業とか、そういったことも含めた社会全体で取り組んでいくことが重要でございます。
 東京都は、こういったことを社会全体で子育ての応援をすることを目的として、平成二十七年度から、都の出捐及び企業等の寄附による東京子育て応援基金--現在は子供が輝く東京・応援基金というふうに名称は変わりましたけれども--活用して、地域のNPO法人が創意工夫を凝らして取り組む先駆的、先進的な事業に対して助成する事業が、東京都福祉保健財団において実施されております。
 具体的には、出会い、妊娠、出産、育児期における親や子供に対する支援から、病気や障害を抱える子供への支援、若者が社会的に自立した生活を営むための支援とか、ライフステージに応じた幅広い取り組みを対象としておりまして、非常にいい制度ではないかと思っております。
 この事業で、私がずっと求めてきた婚活支援、どこの政策にも入れてもらえなかったんですが、この事業で初めて、出会いの場の事業というのもここで初めて入れていただいたという、そういう経緯もありまして、新しい、民間の力こそ発揮できる、そういう事業をここでは応援している制度でございます。
 平成三十年度に事業を再構築して、新たに実施する事業を対象とした定額助成と、既存事業のレベルアップにつなげる事業を対象とした成果連動型助成、この二種類の方法で、法人に対して助成を行っていただいています。
 そこでまず、定額助成における昨年度の申請状況について伺います。

○池上事業推進担当部長 平成三十年度は百十の法人から申請がございました。
 内訳は、七つの事業区分がございまして、地域の資源等を活用した結婚支援が三件、妊娠、出産、育児期における親や子供に対する支援が三十件、多世代交流や地域との連携等による子育て支援が二十六件、病気や障害等を抱える子供への支援が十件、社会的養護に係る取り組みが五件、学齢期の子供に対する各種支援が二十七件、若者が社会的に自立した生活を営むための支援が九件となっております。

○栗林委員 昨年度は百件を超える申請があり、この助成を活用して多くの法人が子育て支援などの取り組みを進めることができております。
 一方、法人の取り組み内容はさまざまで、より効果、成果が期待できるものに対して支援をしていただかなければなりません。
 そこで、審査方法及び昨年度の採択件数、採択率について伺います。

○池上事業推進担当部長 まず、審査方法でございますが、初めに応募書類に基づく資格審査及び法的審査を実施しております。その後に各分野に造詣が深い学識経験者等で構成された審査会におきまして、応募書類やプレゼンテーションの内容をもとに、事業の先駆性、先進性や波及効果など、事業企画審査を実施しております。
 平成三十年度は、百十の法人の申請に対しまして十四の法人を採択し、採択率は約一三%となっております。

○栗林委員 外部の有識者も入れていただきながら、厳正な審査が行われて、質の担保も図られていることが確認できました。
 福祉保健財団が実施しているとはいっても、助成金の大半を公費で負担していることから、引き続き適正な審査を行い、事業を進めていただきたいと思います。
 そうしたことから、最近は、関心を持っている方から、この事業はかなりハードルが高いという、そういう認識も広がっているようでございますので、目指すはというところで、目標にもなってきているようでございますので、大変効果はあるのかなと思います。
 また、採択された十四の法人は、それぞれすばらしい取り組みをされている一方で、単体の法人への支援にとどまらず、それぞれの法人の取り組みを積極的に発信をして、ほかの法人にも波及できるような取り組みも重要であると考えます。現状を伺います。

○池上事業推進担当部長 東京都福祉保健財団では、子育て支援に関心のある法人や、今後本助成事業への応募を検討している法人などを対象に、助成団体成果報告会を実施しております。報告会では、助成を受けた法人が助成事業の取り組み内容や成果を発表しております。
 また、同じ会場において法人のブースコーナーを設けまして、各法人が助成事業のほか、団体の取り組み内容や活動などを幅広く紹介をしております。
 今年度の報告会では、八法人が成果報告を行い、二十三法人が活動の紹介を行っております。

○栗林委員 法人が成果を発表したり、自分たちの活動を紹介する場があるということは、団体にとっても非常に有意義であり、法人などに波及される上でも必要だと思います。引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 私も何年か前に説明会を視察させていただきましたが、本当に会場いっぱいで、プレゼンを聞く真剣な来場者が集まっていらっしゃったという、大変印象に残っております。
 こういう制度をさらにレベルアップさせるために、成果連動型の意義、また昨年度の申請、また助成件数について伺いたいと思います。

○池上事業推進担当部長 各法人が実施している既存の取り組みの中にも、結婚、子育て、学び、就労を目的として行っているものがございまして、その成果が期待できるものも多くございます。
 こうしたことから、成果連動型事業は、新たな取り組みに対して助成を行う定額助成事業とは異なり、既存の取り組みにおいて、拠点や対象者の拡大、サービス内容の拡充などを行う場合に、助成の対象としております。また、助成金の助成率を事業の成果に連動させており、事業の強化に取り組む法人のインセンティブにつながる仕組みとして実施しております。
 平成三十年度は、五十六件の申請を受け、七件の採択となっております。

○栗林委員 初年度にもかかわらず、多くの法人が申請しているということは、大変期待がされている事業ではないかと思います。
 NPO法人は、財政力が決して豊かではないというところが多いので、こうした支援は大変重要ではないかと思います。法人の活動も後押しすることも期待できます。引き続き、こうした法人を支援しながら、地域共生社会、このすき間を埋めていくような事業が大変多くございますので、社会全体で子育て支援を進める機運が醸成されるよう、一層の取り組みをお願いしたいと思います。
 続きまして、ゆりかご・とうきょう事業について伺います。
 私ども都議会公明党は、安心して出産、育児ができるよう、東京版ネウボラを政策提案し、平成二十五年、二十六年と質問を通して取り上げ続けてまいりました。
 ご存じのように、ネウボラとは、フィンランドで実施されている切れ目のない子育ての名称であります。都ではそれを受け、妊娠から出産、子育てに至るまで切れ目のない支援が行えるよう、平成二十七年度より、東京版ネウボラであるゆりかご・とうきょう事業を実施しています。
 そこで、本事業の平成三十年度の実績を伺います。まず、ゆりかご・とうきょう事業の利用実態数とその推移を含めて伺います。

○谷田少子社会対策部長 都は、ゆりかご・とうきょう事業におきまして、区市町村が全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握し、継続した支援が行えるよう、保健師等の配置や育児パッケージの配布を支援しているところでございます。
 本事業の実施区市町村数は、事業開始初年度であります平成二十七年度は十三、二十八年度は三十二、二十九年度は四十一、そして昨年度、平成三十年度は四十三となっておりまして、年々増加しているところでございます。

○栗林委員 これまでに着実に実施する自治体がふえているということは、本当に喜ばしいことでございます。また、その中で育児パッケージ配布は、妊婦面接のきっかけとして大変有効でないかと思います。
 そこで、育児パッケージについて、区市町村の具体的な取り組みについて伺います。

○谷田少子社会対策部長 育児パッケージは、行政とつながる一つのきっかけとするため、面接を受けた妊婦に対して配布しているものでございます。
 育児パッケージの内容でございますが、区市町村によりさまざまでございまして、具体例といたしましては、子供用の肌着や木のおもちゃ、絵本等の子育て用品、地域の子育て支援のサービスに使えるチケットなどが挙げられます。
 配布方法につきましては、面接終了後に直接手渡しをする区市町村が多く、産前、産後と複数回に分けて配布をして、家庭の状況を把握する機会をふやすなど、独自の工夫を行っている区市町村もございます。

○栗林委員 それぞれの地域の実情に応じた取り組みをしているということがわかりました。
 そこで、事業実施の効果として、妊婦との面接率というものは上昇したか、妊婦との実施面接率は上がってきているのか確認させてください。

○谷田少子社会対策部長 保健師等の専門職による妊婦との面接実施率は、本事業開始前でございます平成二十六年度は都全体で一九・一%でございましたけれども、事業開始後に年々上昇しておりまして、最新の統計であります平成二十九年度は七六・二%となったところでございます。
 本事業を実施する区市町村からは、面接実施による効果といたしまして、支援の必要な妊産婦を早期に把握できる、妊娠中から関係を築くため産後の支援が行いやすい、支援から孤立する家庭への予防的介入のきっかけとなったなどの声を多数いただいております。

○栗林委員 今の一九・一%から七六・二%ということで、ゆりかご・とうきょう事業は大変効果があったということが認められたような気がいたします。
 このように、妊娠期から切れ目のない支援に取り組む区市町村にとって、この支援は大変重要な事業であると思います。来年度以降も、全ての妊婦を対象とした面接等により、多くの自治体が取り組めるよう、本事業の継続を要望させていただきます。
 次に、予期しない妊娠について伺います。
 今までは、望まない妊娠という言葉が使われていましたけれども、生まれてくる子供に対して、望まれなかったという、子供の命を軽く見るのではないかという危惧があり、平成二十九年度の第三次報告から、中立的に客観的に表現すべきということで、予期しない妊娠、計画していない妊娠ということに表現が変わったということを確認いたしました。
 そこで、予期しない妊娠についてでございますが、令和元年八月、国が発表した第十五次子ども虐待による死亡事例等の検証結果によると、二十九年度の心中以外の虐待死事例は五十例、五十二人であったということでございます。子供の年齢はゼロ歳が最も多く、実母の抱える問題も、予期しない妊娠、計画しない妊娠等が高い割合を占めていました。
 このような事例を予防するためには、予期しない妊娠があったときに相談しやすく、支援が可能な機関につなげられる窓口が重要である、そういうことからも、我が党も、平成二十五年の議会質問より一貫して相談窓口の設置を求めてきたところであります。
 都は、予期しない妊娠を含め、妊娠や出産に関する悩みについて、匿名で相談できる妊娠相談ほっとラインを設置していますけれども、平成三十年度の相談実績と利用窓口の周知について伺います。

○谷田少子社会対策部長 都は、平成二十六年度に妊娠相談ほっとラインを開設いたしまして、妊娠や出産に関する悩みを抱える女性の相談に対し、看護師等の専門職が電話やメールで対応しております。
 平成三十年度の相談件数は三千八十六件でございまして、前年度の二千七百三十九件に比べ一三%増加しております。
 このホットラインを広く都民に周知するため、都は現在、区市町村や医療機関、大学等でリーフレットを配布するほか、区市町村の窓口で母子健康手帳の交付時にも、普及啓発カードを渡しているところでございます。
 昨年度は、こうした取り組みに加えまして、埼玉県、千葉県、神奈川県と連携して、共通のポスターを作成いたしまして、中央線、都営地下鉄、東京メトロに掲出をして、啓発を図ったところでございます。

○栗林委員 ありがとうございます。
 先日、あるセミナーで、日本は子供の虐待死が年間五十人以上、それに比べてフィンランドはほぼゼロという、何が違うのか、それを支えているのがネウボラという、そういう発表がございまして、歴史も違うんですね。虐待は犯罪と、そういうふうに定めたのは一九八〇年代から、もう犯罪だということで法律で定めておりますし、また、虐待死をなくすために、フィンランドでは、ネウボラとは助言の場、妊娠、出産後は未就学児まで、子供、家庭、あらゆる相談がワンストップで、育児支援は全部無料、あと妊娠から出産にかけての相談も二十回以上、保健師とか助産師らが定期健診や発達相談も行い、その利用率はほぼ一〇〇%ということで、そういう制度が定着をして支えているということでございます。
 ですから、ゆりかご・とうきょう事業も、今、スタートして定着するまでには、かなり時間もかかるかもしれませんが、虐待で亡くなる子供をなくす、一番の必要な制度がネウボラではないか、これをフィンランドが証明しておりますので、しっかりご対応よろしくお願いいたしたいと思います。
 また、福祉保健局だけではこれは対策はできません。教育とか、そういったさまざまな機関との連携も重要でございます。フィンランドでは、中学、高校の保健授業で、保健師が、予期しない妊娠をしてしまった場合はどうしたらいいかとか、また、学校保健師が、親にもいわないでサポートができる体制だとか、無料で中絶できる仕組みがあったりとか、そういうところまでしっかりサポート体制が組まれているというお話もございました。
 一歩一歩かと思いますけれども、しっかりゆりかご・とうきょう事業の一層の取り組みをお願いしたいと思います。
 続いて、先ほど、ベビーシッター利用支援事業は後藤委員からも質問がありましたので、これも省略させていただきますが、一つだけ要望いたします。
 大変これ求められているんですね、ベビーシッター事業というのは。ところが、手を挙げないとその区民は使えないんです。
 私の地元世田谷区も、利用したい人、たくさんいるんですが、世田谷区は手を挙げていませんので、皆さん苦情が来ています。世田谷区は待機児童が多いので、大きい認可園をつくることに向いていまして、こういう多様なというか、本当に一人一人きめ細かに、いろんな多様なサービスをというところが、ちょっと余りいっていないということから、でも区民のニーズ、非常に大きいので、多くの区市に利用していただけるように、でなければ望んでいる人に届けることはできません。よろしくお願いしたい、要望だけさせていただきます。
 少子化の最後で、待機児童関係でございますが、一歳児の緊急受け入れ事業について伺います。
 待機児童は一歳児に集中しております。そのことを踏まえた効果的な対策が必要であり、都は平成三十年度から緊急一歳児受入事業を開始いたしました。その実績を伺います。

○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 緊急一歳児受入事業は、待機児童の半数以上を占めます一歳児を、新設の認可保育所の空き定員や余裕スペースを有効に活用いたしまして緊急的に受け入れ、一歳児に対する保育サービスの拡大を図る区市町村の取り組みを支援するものでございます。
 平成三十年度は、五区市、二十施設におきまして百六人の児童が利用してございます。

○栗林委員 入園先が見つからず困っている人を一人でも救うために、さまざまな工夫で待機児童を解消していただきたいと思います。
 この事業は待機児童解消に有効な事業であり、より多くの区市町村で活用促進を図っていただきたいと考えますが、都の取り組みについて伺います。

○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 待機児童解消に向けた取り組みといたしまして、本年七月、待機児童数が多い自治体を中心に、都はヒアリングを実施いたしました。緊急一歳児受入事業につきましても、この際、活用促進の意見交換を行いました。
 自治体からは、開設後三年以内の施設に対象が限定されているために事業を活用しづらいといった意見や、一歳児のみの利用のため、保護者がその後の転園先等に不安を抱え、利用が進まないといった意見がございました。
 そのため、本年九月から、対象施設につきまして、開設後三年以内の要件を撤廃し、全ての認可保育所を対象とするとともに、二歳児につきましても、本事業の利用が引き続き必要な場合は対象とする要件緩和を行い、区市町村との協議会等を通じまして、事業の活用を働きかけております。

○栗林委員 この課題は待ったなしでございますので、一層の取り組みをお願いしたいと思います。
 残り、持ち時間十分になっちゃったので、済みません、超特急でさせていただきます。
 障害福祉について質問させていただきます。
 障害福祉サービスにかかわる人材の確保について伺います。
 私の地元世田谷区では、成育医療研究センターとか都立の光明学園など、障害児に専門的な医療や教育を提供する施設が多くございます。これらの施設にかかわりを持った方の、住みなれた地域で生活を送りたいという、そういうニーズに、さまざまな事業者から、日中活動の場や居住の場の整備に取り組んでほしい、そして、今取り組んでいるところですが、多くの事業者は、支援員を初めとした従事者の確保に大変苦労しております。
 障害福祉分野において、人材の確保、育成、定着を進めるべきでありますけれども、都の取り組みを伺います。

○松山障害者施策推進部長 都は、障害者・障害児施策推進計画において、サービスを担う人材の養成、確保を施策目標の一つとして位置づけ、平成三十年度から新たな事業を開始しております。
 具体的には、労働環境の改善を目的とした職員宿舎借り上げ支援事業、職員の資質向上を目的とした代替職員の確保による研修支援事業や、資格取得支援事業などの対策を総合的に進めております。

○栗林委員 三十年度から新たな事業を開始したというお話ございましたけれども、比較的実績が伸びていないのかなと思います。
 特に、職員の宿舎借り上げ支援事業については、家賃が高い東京に勤務する職員にとっては、大変魅力的な支援策と思われますが、余り執行率がよくありません。
 改めて、本事業の目的と平成三十年度の実績について伺います。

○松山障害者施策推進部長 職員宿舎借り上げ支援事業は、障害者施設、事業所に対して、住宅費負担の軽減等による働きやすい環境整備の確保と災害時の運営体制の強化を図ることを目的として、福祉避難所の指定を受けた施設等の運営事業者が、施設周辺で職員用の宿舎を借り上げる場合に支援する事業でございます。
 平成三十年度の実績は、予算規模百二十戸に対して三十四戸となっております。

○栗林委員 予算規模に対しては約三割の実績ということでございますが、当初予算に対する執行率が一三・三%となっているということでございました。
 この低調な実績となったのは、どういう要因によるものなのか、また、今後、本事業を有効に利用してもらうためには、どのように取り組んでいくのか伺います。

○松山障害者施策推進部長 予算の執行率が一三%となっている主な理由としては、宿舎借り上げに実際に要した費用が補助基準額の八万二千円より安かったことや、事業開始初年度であったことから、宿舎を借り上げた時期が年度途中であったことなどが挙げられます。
 今年度は、事業者にこの事業をより活用してもらうため、説明会の回数を昨年度の四回から九回にふやすとともに、東京都社会福祉協議会等の関係団体とも連携し、事業の周知を図っております。

○栗林委員 単に住宅費負担軽減するのではなく、災害時の運営体制の強化を図ることを目的としたということでございます。今回の大型台風等の被害を考えると、事業の目的は大変重要ではないか、必要ではないかと思います。
 本事業が有効に活用されるように、より一層事業周知を図るとともに、事業者に対しましても丁寧に申請にかかわる助言を行っていただきたいと思います。
 次に、福祉・トライアルショップKURUMIRUについて伺います。
 私も平成二十二年度の第三回定例会で、常設展とか、あとブランド化をするべきだという提案をずっとさせていただき、我が党の斉藤議員と一緒に、KURUMIRUの応援団のような気持ちで、ずっと応援させていただいております。これもKURUMIRUです。(実物を示す)こんなかわいいのが五百円で--もう、宣伝しております。
 職員の皆さんも、パスカードとか、KURUMIRU製のものをおつけになったり、本当に皆さんで盛り上げて、今、すてきなショップとして有名になってきています。外観もブランドショップのようなすてきな、おしゃれな構えになっております。本当に感謝申し上げます。
 そして、KURUMIRUは、就労継続型Bの事業者の自主製品を販売する店舗として、都庁の地下と三店舗運営していますけれども、自主製品の販路拡大、魅力発信に大きく寄与しており、最近は人気の商品も出てきているのではないかと思います。
 そこで、平成三十年度の売り上げ等の実績と、二十九年度からの伸び率について伺います。

○松山障害者施策推進部長 KURUMIRU三店舗合計の平成三十年度の売上額は約三千百万円、販売点数は約四万七千点であり、出品事業者数は平成三十一年三月末現在で百七十七事業所となっております。
 平成二十九年度と比較すると、売上額は約八%増、販売点数は約六%増となっております。

○栗林委員 ぜひ引き続きのご支援をお願いしたいと思います。工賃が少しでも上がっていくような、そういう取り組みになることを期待しております。
 最後に、ぎりぎり間に合ったと思います、動物愛護に関して伺います。
 動物譲渡推進事業について伺います。
 殺処分ゼロを持続していくためには、保護された動物の譲渡事業が大変重要でございます。
 動物譲渡推進事業について、平成三十年度決算では執行率が六五・四%となっていますが、その内容について伺います。

○高橋健康安全部長 動物譲渡推進事業では、飼育に手間がかかる離乳前の子猫を育成して譲渡するボランティアに対し、ミルクや哺乳瓶などを提供する取り組みや、負傷動物を飼育し譲渡するボランティア団体に保護用具等を提供する取り組み、譲渡事業の拡大、認知度向上のためのPRイベントなどを実施しております。
 執行率が約六五%となった主な要因は、離乳前子猫の育成、譲渡について支援を想定した物資のうち栄養補給食等の需要が少なかったこと、譲渡可能な負傷動物が少なかったこと、譲渡事業のPRイベントの開催場所を一部見直したこととなっております。

○栗林委員 引き続きの取り組みをお願いしたいと思います。
 今までのボランティアさんへの支援というのは、ミルクだとか物資的なところへの支援が大きかったんですけれども、実際、大変費用がボランティアさんかかります。
 昨日、私、三定で質問させていただき、知事の方から、来年度からボランティアに対する支援を拡充するという、そういう前向きなご答弁もいただいておりますので、人と動物との共生社会を築くために、一層の取り組みをお願いしたいと思います。
 もうぎりぎりで申しわけございません。一時間ぎりぎり使ってしまいましたが、昨年一年間、委員長で質問ができなかったものですから、まだまだ聞きたいことはたくさんあるんですけれども、以上をもちまして質問を終わります。ありがとうございます。

○大松委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時五十二分休憩

   午後四時十分開議

○大松委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。

○清水委員 それでは、よろしくお願いいたします。
 小池都政になりまして丸三年が経過をいたしました。就任当初、劇場型といわれたその政治手腕は、都政の専門誌によりますと、職員向け調査によりますと平均評価は四十六・六点と大変厳しいものでございましたが、最近は、保育園待機児童対策や都庁の働き方改革など、推進力を評価する声も出てきたのかなというふうに私も感じているわけでございます。
 確かに、肌感覚といたしまして、小池知事は、子供、家庭関係施策に関しましては非常に熱心だなというふうな印象がある一方で、高齢者関係施策は余り目立たないなというふうなイメージがございます。
 実際、数字としてどのように今回の決算にあらわれているのかお伺いしたいと思うんですが、小池知事就任以来の子供、家庭関係と高齢者関係の新規事業の状況を金額あるいは事業でお示しをいただければなと思います。

○奈良部企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長高齢者施策推進担当部長兼務
小池知事就任以降に編成しました予算は、平成二十九年度、三十年度、令和元年度の三カ年度でございます。
 平成二十九年度は、少子社会対策分野の新規事業は十四事業で、当初予算額の合計は約百十八億二千万円、高齢社会対策分野の新規事業は四事業で、当初予算額合計は約四億六千万円となっております。
 同様に、平成三十年度は、少子社会対策分野は十七事業、約八十六億一千万円、高齢社会対策分野は十三事業、約十六億一千万円。
 令和元年度は、少子社会対策分野は十八事業、約八十七億七千万円、高齢社会対策分野は十二事業で約二十三億二千万円となっております。

○清水委員 ありがとうございました。
 小池知事が就任なさってからの三年間の決算をお示しいただいたわけでございますが、それぞれ違いがあったことも皆さんお気づきなのかなと思いますが、これ、足してみると結構大きく違いがあらわれてくるんですよね。
 新規事業ですと、三年間足し込みますと、少子関係の新規事業が四十九事業、高齢関係が二十九事業なんですね。金額ベースでいきますと、少子社会対策分野が二百九十二億一千万円、高齢者の方が四十三億九千万円というふうなことでございまして、これ、一概に数字だけで評価できるわけではないというのは重々承知をしているわけでございますが、やはりこれ、執行率のインパクトの影響ですとか、あるいは施策の効果の測定など、大変、なかなか難しい測定が出てくるのかなと思いますので、こういったところを考えると、小池知事にも高齢者関係の施策、もっと頑張っていただきたいなというふうな思いがありますので、ぜひとも局長、お伝えをいただければなと思います。
 そんな下地がある中で、平成三十年度の事業について具体的にお伺いしたいと思うわけでございますが、数ある子供、家庭関係の新規事業の中でも、やはり目にとまってしまうのが、先ほど来、委員の方からご質疑がありましたベビーシッター利用支援事業でございます。
 私、お二人とちょっと会派が違うものでございまして、ちょっと角度の違う形で質問をさせていただくことをお許しいただきたいと思うわけでございますが、何といっても本事業の特徴は、振り返りますと、平成三十年度の予算編成過程におきまして、福祉保健局の要求額が約六億円だったものが、知事査定になったら急に約五十億円に膨れ上がったというふうなものであります。
 これ、まさに小池知事の肝いりの事業なんだなというふうな印象が強いわけでございますが、確かに小池知事のいわゆるさまざまなゼロ公約の一つに、待機児童ゼロというものが挙げられているわけでございまして、その一環あるいはその補完的な事業なのかなと思うわけでございますが、本事業が何でこれだけ知事査定後に予算が増額になったのかというのが、やはり非常に興味深いところでございまして、振り返りの意味も含めまして、その理由をお示しいただければなと思うわけでございます。

○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 待機児童数が平成二十九年四月時点で八千人を超え高どまりをする中、その解消に向けまして、あらゆる手だてを尽くす必要がございました。
 局の予算要求時は、対象児童数を平成三十年度末の認可型のベビーシッター利用児童の見込み数と同規模の三百人としてございました。その後の予算編成過程の中で、待機児童対策を一層推し進めるため、保護者や区市町村が事業を活用しやすくなるよう、積算などの見直しを行いました。
 具体的には、保護者や区市町村の負担をさらに軽減するために、補助基準額を千円から千七百五十円、都の補助負担割合を二分の一から八分の七に引き上げ、それにより利用自治体が都内の約半数になることを見込み、対象児童数を千五百人といたしました。

○清水委員 ご説明いただきまして、ありがとうございました。
 局予算の要求の時点と知事査定の時点で、その対象者ですとか、あるいは補助額が拡大されたからだというふうなことでございます。
 確かに、平成三十年度東京都一般会計当初予算知事査定結果という資料を拝見しますと、ベビーシッター利用支援事業の増額理由には、事項の追加等による増額というふうなことになっておりまして、今、部長から説明があったことなのかなと思うわけでございます。
 そこで聞きたいんですけど、時間差があったからこのように条件が変わってきたので、約九倍ぐらいの予算になったわけでございますが、これ、知事の希望でこのように大きくなったのか、それとも局の方でもう少し拡大した方がいいのかなと思われたのかというふうなところが、私、一番聞きたいところでありまして、どちらかがいっていただかないと、このような大幅な増額にならないかと思うんですが、どちらの希望で--知事なのか、それとも局の希望なのかというのをちょっとお聞かせをいただければなと思いますが、いかがでしょうか。

○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 待機児童数が、平成二十九年四月時点では八千人を超えておりまして高どまりをする中、その解消に向けてあらゆる手だてを尽くす必要がございました。
 そうした状況を踏まえまして、予算編成過程の中で積算などの見直しを行ったものでございます。

○清水委員 ありがとうございます。
 今の部長の答弁聞かせていただきますと、素直に聞くと、局の方でもう少し増額をした方がいいんじゃないかというふうなことに聞こえたんですが、もしそうであったらお答えは要りませんので、このまま話を進めさせていただきたいと思います。
 そういうわけで、非常に大きな予算に膨れ上がったこのベビーシッター利用支援事業でございますが、先ほど来、執行率の話が出ておるわけでございます。このことにつきまして、大変恐縮なんですが、お答えをいただきたいと思うわけでございますが、もう一度、私にもお答えをいただければなと思います。

○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 平成三十年度は、予算額約五十億二千五百万円に対し、支出済額は約四千百万円でございまして、執行率は〇・八%でございます。

○清水委員 ありがとうございます。同じ質問だから同じ答えというのは、これは当たり前だと思うわけでございますが、部長、ただいま〇・八%の執行率というふうなお話がございました。
 それでも、普通、この議会に身を置いていますと、非常にちょっと考えられないような極端に低い執行率でございますが、もう少しこの事業について詳しく分析をしてみますと、実はこの〇・八%の執行率のうち、ほとんどが研修ですとか審査の事務の委託料というふうなことに充てられているわけでございまして、実際、ベビーシッター利用のための負担の軽減というふうなことの中身の執行率ということになりますと〇・一四%です。この五十億の中の〇・一四%というのは、ほとんどやっていない、執行といえるのかなというふうな印象があるわけでございます。
 改めて、これだけ極端に低い理由、先ほどもございましたが、もう一度今の数字も含めてお答えをいただければなと思います。

○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 本事業の実施に当たりましては、日本ではベビーシッターの利用が広く普及していないことから、保育の質を確保し、安心してサービスを利用できるようにするとともに、区市町村における活用が進むよう準備を進めました。
 具体的には、都がみずから、事業に参画するベビーシッター事業者の審査、認定や、悉皆研修の実施によるベビーシッターの育成等を行いますとともに、都、区市町村、事業者、事業者団体が連携をいたしまして、円滑に事業を実施するスキームの構築を行いました。
 参画事業者の審査、認定につきましては、安定的に保育サービスを提供できるよう、また、利用者が安心して利用できますよう、独自の認定基準を定めまして、事業者向けの説明会を開催の上、平成三十年度中に十二の事業者を認定いたしました。
 また、保育に従事するベビーシッターにつきましては、保有する資格等に応じまして、認可型のベビーシッターに準じた研修を義務づけますとともに、有識者等と議論を重ねながら、研修カリキュラムを策定の上、計二十七回の研修を実施いたしました。
 さらに、区市町村に対しまして、事業説明会等により事業内容を丁寧に説明するとともに、質疑応答集を作成、更新いたしまして、全区市町村に提供するなど、きめ細かな情報提供により、本事業に対する理解を促進いたしました。
 本事業は、こうした区市町村や事業団体等との調整等に時間を要しましたため、昨年十二月から運用を開始することとなり、当初は、都内の半数の区市町村が本事業を活用すると見込んでおりましたが、平成三十年度は五区市の活用にとどまったものでございます。
 昨年度に実施をいたしました説明会等では、区市町村から、事業活用の課題といたしまして、利用時間の設定がフルタイム就労の保護者に対応していない、ベビーシッターの交通費を実費負担することが保護者には重荷になっているなどの意見が寄せられております。

○清水委員 お答えいただきまして、ありがとうございます。
 今、るる部長の方からご説明がありました。このベビーシッター利用支援事業につきましては、私ども都議会自民党といたしましても、平成三十年の第一回定例会の代表質問で、本事業については都民の疑問や不安、これは例えばベビーシッターさんというのは、多分、非常にいい方だと思うんですが、やはり留守中に家に入られる抵抗感ですとか、あるいは私もそうなんですが、部屋が汚かったりすると、なかなか抵抗があったりなんかするというふうなこともあったり、そもそもこのベビーシッターに対する考え方というのが、他国と文化の違いもあるんじゃないかということをご指摘させていただきまして、これは余り拙速な対応は、かえって保育の質の低下につながってしまうんじゃないかなというふうなことを申し上げたわけでございます。
 今、部長からもいろいろと説明がありました。なぜ執行率がこれだけ低かったのかというふうなことでございます。さきの二人の委員の方からも、そのことについてお尋ねがありまして、私、ちょっと済みません、新たな疑問が湧いてしまったんですが、本当の理由ですかね。
 ベビーシッターを安心して利用してもらう準備のために時間がかかってしまったんだよとか、あるいは制度そのものに、利用時間の制限ですとか、あるいは保護者負担があったから使い勝手が悪かったというふうなお話だったんですが、自治体はそのことによって手を挙げづらかったのか、それとも利用者側は、先ほど来の委員の皆様方のお話ですと、需要はあるんです、要求はあるんですけど、自治体が手を挙げてくれなかったからこの制度が伸びていかなかったり、執行率が伸びていかなかったのか、それとも今いったような理由があって、制度そのものの組み立てにちょっと無理があったのかというところ、どちらなんですかね、これ。お答えいただければなと思います。

○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 保育サービスの実施主体は区市町村でございまして、区市町村がまず事業を開始していただかないと、保育サービスを提供するということには至らないと考えてございます。
 都は、区市町村への働きかけ、取り組みとあわせまして、利用者の方も安心してベビーシッター事業を活用していただけますよう、ベビーシッターの質の確保、また事業者の認定等、安心して利用いただける仕組みづくりを同時に進めてきたところでございます。

○清水委員 じゃ部長、もう少し利用者、都民の方が利用しやすいような制度、ハードルを、例えば交通費の負担ですとか、先ほどおっしゃっていましたよね、追加でこういうことをやっているんだと。あるいはその補助率の話もいたしました。
 そういったことを利用者の人が使いやすくすることによって、自治体が手を挙げやすくなるんですか。それともほかに、自治体が何か違った要因があって、手を挙げて採用していただけないんですか。どちらなんでしょう、お答えいただければと思います。

○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 保育サービスの実施主体は区市町村でございまして、区市町村は、認可保育所、認証保育所、また家庭的保育、居宅訪問型保育など、地域の実情に応じまして、さまざまな保育サービスの拡充に取り組んでいると考えてございます。
 都といたしましては、さまざまな補助メニュー、支援メニューをそろえまして、そうした区市町村の取り組みを支援してまいります。

○清水委員 なかなかストレートにお答えしていただけないような感じがしますので、ちょっと違った聞き方をさせていただきます。
 先ほど部長の方の答弁の方で、ただいまの活用状況のお話がございました。幸いなことに九自治体も活用がふえまして、十四区市町村で、今この事業が活用されているというふうなことでございます。
 それだったら、現在の二十二億円--平成三十一年度あるいは令和元年度の予算に対する現在の執行率も教えてください。

○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 ベビーシッター利用支援事業につきましては、区市町村から補助金の交付申請等の事務手続は、年度末に一括して行われることとなってございます。現時点で見込み額等をお答えするのは難しいと考えてございます。

○清水委員 前代未聞ですよ、〇・一四%の執行率というのは。これ、例えるなら、大盛りを頼んで残しちゃうようなことですよ、失礼な話です。普通盛りを食べればいいのに大盛りをわざわざ頼んで、それで残しちゃうようなものですよ。ぜひともそんなことがないようにしていただきたいと思います。
 これだけ低い執行率、それでまた新たに、今年度の話になってしまいますけど、二十二億の予算をつけているというわけじゃないですか。私も市議会議員を経験していますけど、二十二億という福祉の予算というのは本当にかけがえのない予算であります。
 それでまたさらに追加策として、利用しやすいようにかもしれませんけど、さまざまな上乗せのサービスをしてくるというふうなことでありまして、これは後で聞こうかなと思ったんですけど、福祉なのか、サービスなのかと考えると、本当に限りなく福祉を超えた事業になってしまっているんじゃないかなというふうに思っているわけでございまして、ほかにも福祉に予算をつけてくださいという、先ほどもいろんな委員の方からお話がありますけど、今回の反省をもって、反省していただけるんだったら、本当に必要なところに、次の予算編成にまさにつなげていただければなと思うわけでございますが、このことについては、おいおいとまたお聞かせをいただければなと思います。
 その一方での話をこの後ちょっと、時間もないんでさせていただきたいと思うんですが、先ほど冒頭で、高齢者関係の施策のことについては、ちょっともう少し頑張っていただけないかなというふうな話をさせていただきました。
 さまざまな高齢者の施策については、皆さん、サービスの提供事業者から本当に悲鳴のような声をいただいているかと思うわけでございます。このままでは施設の経営がパンクしてしまうのではいかというふうな、そのくらい深刻だそうであります。
 例えば、東京都の高齢者福祉施設協議会の調査なんですが、都内特別養護老人ホームの経営は、経営支援補助金を除くと約三分の一の施設が赤字になってしまうんだと、それだけ高齢者施設の経営状況は自転車操業であって、本当に厳しいものなんですよというふうなことでございます。
 ですから、東京都の実施していただいています経営支援補助金というのは、欠かすことのできないような大切な補助金だと思うわけでございますが、そこでちょっと今の状況をお聞かせいただきたいと思うんですけど、都内の特別養護老人ホームに対する経営支援補助金の直近五年間の決算額と、どれだけの施設が使われているのかをお示しいただければなと思います。

○村田高齢社会対策部長 特別養護老人ホームは、介護報酬で運営されることが基本でございますが、都は、経営支援事業によりまして、島しょなど地理的条件で厳しい経営環境にある施設や、サービス向上に資する取り組みを行っている施設に対しまして支援を行っております。
 過去、直近の五年間の決算の推移を申しますと、平成二十六年度は約三十三億一千五百万で三百七十二施設、平成二十七年度が約三十三億五千万円で三百八十一施設、平成二十八年度は約三十三億一千万円で三百九十七施設、平成二十九年度は約三十三億三千万円で四百十四施設、平成三十年度は約三十三億二千九百万円で四百二十四施設に対して補助を行ったところでございます。

○清水委員 ご答弁ありがとうございます。
 今、委員の皆さんもお聞きいただいてわかったと思うんですが、施設は平成二十六年から三十年度にかけて五十以上ふえているわけでありますが、補助金の金額はほぼ三十三億円と変わらないわけであります。そうしますと、誰が見ても、施設当たりの経営支援補助金が少なくなっている現状というのがこれで読み取れるわけでございますが、そうなりますと、ますます施設の経営は厳しさを増してくるんじゃないかなと思います。
 ましてや東京都は、今後も増加傾向にあります施設利用ニーズに応えるように、整備率の低い地域に特別養護老人ホームをつくるですとか、あるいは、それとあわせて令和七年までには六万二千床のベッドを確保するんだというふうな目標があるわけでございます。
 幾らこの経営支援補助金が、平成十二年度の介護保険制度の導入時のときに経過措置として始まったとはいえ、三十三億円のパイをこれから奪い合うというふうなことにならないように、経営支援補助金制度を存続するだけではなくて、ぜひとも充実を図っていただきたいのと、抜本的に特別養護老人ホームのあり方、経営のあり方というのは、国に対して改善の要求をすべきだと思いますので、これは要望とさせていただきたいと思います。
 もう一つ、施設経営の中で大きな課題は、先ほど来、障害者福祉の方でも出てまいりました人材確保あるいは定着の問題であります。
 ここ数年、日本の労働環境というのは超売り手市場でありまして、最近は、ある求人雑誌で、アルバイトが成就すると、そのアルバイトに行く人に最高三万円差し上げますというふうな制度ができてしまうぐらい超売り手市場であります。
 これは、多くの業界ですとか、あるいは企業が人材不足に悩まされている、これの証左だと思うわけでございますが、特に介護の現場では慢性的な人材不足の状態が続いている中で、他業種との人材獲得競争、これが非常に激しいということで、採用困難が発生しているような状況であります。また、処遇ですとか人間関係による離職者も多いというのが介護現場の特徴であります。
 そこでお伺いしたいと思うんですが、東京都は、平成三十年度に新規事業といたしまして、区市町村介護人材緊急確保対策事業を実施いたしまして、地域の介護人材の確保、定着、育成を図るといたしましたが、その実績をお伺いしたいと思います。

○村田高齢社会対策部長 都は、介護人材対策に取り組む区市町村を支援することを目的としまして、区市町村介護人材緊急確保対策事業費補助金を平成三十年度に創設をいたしました。
 この補助金は、介護未経験者に対する研修支援事業など八つのメニューを掲げまして、これらに取り組む区市町村に対しまして、一区市町村当たり二千万円を上限に四分の三補助を行うものでございます。平成三十年度は、三十五区市町が八十四の事業を実施しております。
 本事業では、多くの区市町が地域の実情を踏まえまして、中高年者等の介護未経験者が介護に関する基本的な知識、技術を習得するための研修事業や、中堅職員向け等の介護職員の資質向上やキャリアアップに係る研修事業などに取り組んでいるところでございます。

○清水委員 ありがとうございます。対象事業といたしまして八つのメニューが用意されているということでございますが、特に介護の未経験者に対する研修ですとかキャリアアップの研修に、多くの区市町村が取り組んでいただいたというふうなご説明だったと思います。
 今ご説明がありました本事業の八つのメニューは、研修や実習、実態調査等、どちらかといいますと、介護人材の定着だとか育成に力が注がれているように思われるわけでございますが、最後の八番目の研修修了者と介護施設等とのマッチング支援、これが非常に、直接介護人材の確保につながるものだと思うわけでございます。
 今、介護現場での人材の確保は喫緊の課題であります。本事業名も介護人材緊急確保対策というふうな事業名でございますので、事業がどのように人材確保につながったのか事業効果についてお聞かせを願いたいと思います。

○村田高齢社会対策部長 幾つかの区市町の取り組みがございますので、一つの事例でお話をさせていただきたいと思います。
 ある市では、就労していない介護福祉士や看護師等の有資格者を対象といたしまして、介護知識や技術を再確認する研修を実施することで、介護現場への復職を支援いたしまして、市内の介護人材の確保を図っております。この研修には十六名の方が参加をされまして、うちお一人が就労につながっております。

○清水委員 数は少ないかもしれませんけど、非常に貴重な人材かと思うわけでございます。本事業が本当に人材確保につながることを心から願うものでございます。
 介護福祉士という資格を持ちながら、実は介護現場に従事していない、いわゆる潜在介護福祉士といわれている方は、平成二十八年度の、厚労省ですとか、あるいは社会福祉振興・試験センターというところがあるそうでございますが、そこの調査によりますと、今いった潜在介護福祉士は平成二十八年で八十二万人いらっしゃるそうなんです。従事率も年々減少傾向にあるそうでございまして、来年はいよいよ、潜在介護福祉士、百万人を超えてしまうんじゃないかというふうな予想がされているわけでございます。
 ぜひ、希望を持って介護現場で働けるよう、今後も業界団体の皆さんとよく連絡を密にとり合いながら、市の支援を望むものであります。よろしくお願いしたいと思います。
 次に、介護職員宿舎借り上げ支援制度について伺いたいと思います。
 先ほども栗林委員の方から、障害者の方で同じような趣旨のご質問がありましたが、もう少し詳しくお聞かせをいただければなと思うわけでございます。
 本事業の場合は、現在も介護人材の確保の一つとして、また、災害時において、福祉避難所としての位置づけもある特別養護老人ホームとして、非常に重要な取り組みになっているわけでございまして、まずは、介護職員宿舎借り上げ支援制度の平成三十年度の実績について、借り上げの戸数ですとか内訳も含めて、お示しをいただければなと思います。

○村田高齢社会対策部長 介護職員宿舎借り上げ支援事業は、住宅費の負担軽減等による働きやすい職場環境の確保と、災害時における福祉避難所の運営体制の強化を図る事業所を支援することを目的としておりまして、昨年度、百二十二事業所に対して三百七十一戸の補助を行ったところでございます。
 また、事業所ごとの宿舎の借り上げ戸数の内訳でございますが、一戸が二十三事業所、二戸が十五事業所、三戸が十八事業所、四戸が六十六事業所となってございます。

○清水委員 ありがとうございます。
 例えば、都内の特別養護老人ホームだけでも、施設数が大体四百ちょっとあるそうでございますが、その中で百二十二施設が利用されているというふうなご答弁でございましたが、できたらもう少し利用していただけないかなというふうな気持ちがあるわけでございます。
 また、業界の方からお聞きしますと、使う法人と使わない法人と二極化が進んできたというふうなことでございますので、なぜそういうふうなことになったのかという分析も、これ、ぜひともしていただければなと思います。
 なぜならば、先ほど来もお話がありましたけど、福祉避難所は特別養護老人ホームに限らないわけでございますけど、高齢者ですとか、あるいは障害者など、避難生活に配慮が必要な方がどんどんどんどんふえているわけでございますので、先日の台風の被害を考えますと、さらなる拡充が必要だと思うわけでございます。
 そこでなんですけど、何が制限をしているかということをちょっと調べさせていただきました。現在、介護職員宿舎借り上げ支援制度の助成要件として、一つの避難所につき四戸が上限だと定められているそうでございます。
 なぜ上限が四戸なのか、その上限設定の考え方についてお聞かせを願いたいと思います。

○村田高齢社会対策部長 内閣府が実施をいたしました福祉避難所の運営等に関する実態調査や、厚生労働省の福祉避難所設置・運営に関するガイドラインを参考に、一施設当たり四人の災害対応要員が必要と推計をいたしまして、補助の上限として設定しているものでございます。

○清水委員 上限設定の考え方につきましては、今、部長のご答弁でわかった次第でございます。
 しかしながら、当然のことながら、都内の特別養護老人ホームの定員は、五十人規模のところから、大きなところはもう二百人を超えているような施設もあるわけでございます。さまざまな施設があるわけでございます。
 福祉避難所の体制強化ですとか、または介護人材の確保のためにも、この戸数の上限設定を柔軟にしていくべきと考えますが、ご見解をいただければなと思います。

○村田高齢社会対策部長 都は今年度、介護人材総合対策検討委員会を立ち上げまして、都における介護人材の確保、定着、育成に向けた効果的な対策の検討を行っております。
 委員会には、学識経験者や区市町村とともに、介護事業者の代表にも参画いただいており、本委員会での議論を踏まえ、次期の高齢者保健福祉計画を策定する中で、より効果的な介護人材対策の取り組みを検討してまいります。

○清水委員 ありがとうございました。
 ぜひとも--局長もよく聞いていただいていると思うんですが、ちょっとベビーシッターの件につきましては執行率が低過ぎますよ、どう考えてみても。今回の決算では、その他にも執行率ゼロなんていう事業もあるやに聞いていますが、これは議会としても、ゼロの執行率というのはどういうふうな予算の組み立てをしてきたんだ、またそれを、包括的な予算の審議でありますから、認めざるを得ないようなところもあるという非常に歯がゆいところであるんですが、ぜひとも、特に福祉の分野でございますので、これからも必要なところにしっかりとつけていただくよう要望いたしまして、質疑を終わりたいと思います。
 以上です。

○里吉委員 では、私からの質疑、始めていきたいと思います。
 まず初めに、国民健康保険の問題について伺います。
 昨年度から国民健康保険制度が変更されました。都道府県が保険者となりました。これによって東京都は財政運営の責任主体となり、国保運営の中心的な役割を担うこととなりました。三百万人が加入する東京の国保にとって、都の果たす役割は非常に大きいわけです。
 昨年度は、都が保険者となって初めての年ですので、具体的に確認していきたいと思います。資料も幾つか出していただきました。
 新しい制度では、区市町村は都に対して納付金を出す必要があります。この納付金が多くなると、住民が負担する保険料、保険税の水準が上がることにつながるため、納付金の水準は住民にとって非常に大きな意味を持ちます。
 そこで、昨年度納付金とそのもととなる被保険者数、一人当たりの医療費、給付率などはどのように推計したのか伺います。

○上田地域保健担当部長 お話の国民健康保険事業費納付金は、一人当たり医療費の伸びや被保険者数等を推計して積算した保険給付に要する費用等の総額から、国や都道府県が負担する公費等を差し引いて算出をしております。
 都は、平成三十年度の納付金の算定に当たり、国通知で示された推計方法を参考に、被保険者数、一人当たりの医療費及び給付率を推計、算出しております。
 具体的には、被保険者数について、平成二十九年度の推計被保険数に平成二十七年度から平成二十八年度の伸び率を乗じる方法を用いております。また、いわゆる団塊の世代が平成二十九年度から七十歳に移行していることを踏まえまして、被保険者数の推計値の補正を行っております。
 また、一人当たりの医療費につきましては、平成二十八年度の一人当たり医療費の実績に平成二十七年度から平成二十九年度までの一人当たり医療費の伸び率を乗じる方法を用いております。
 さらに、給付率につきましては、納付金算定時の直近実績であります平成二十八年度の給付率を用いております。

○里吉委員 具体的な丁寧なご説明ありがとうございました。
 初めてのことなので、国が提案しているやり方も参考にしながら、東京都としてきちんと算定をしてきたということでご説明いただいたと思います。
 それで、資料もいただいているんですけれども、今、医療費というのは年々伸び続けているわけですよね。この伸び率がどうなっているのかというのも、非常に重要な基礎となる数字になっていくわけです。
 例えば、さっきもご説明あったかもしれないんですけど、改めて、平成二十八年度実績と比較した一人当たりの医療費の伸び率は幾らなのかということについて伺います。

○上田地域保健担当部長 平成三十年度の一人当たり医療費推計額は、平成三十年度の都全体の医療費推計額を、同じく平成三十年度の都全体の被保険者推計数で除して、割り算をいたしまして算出いたしました。
 お話の平成二十八年度の一人当たり医療費実績と比較した平成三十年度の一人当たり医療費推計額の伸び率は、単年度に換算いたしますと年二・六%でございます。

○里吉委員 ありがとうございました。そうやって、医療費がどれくらい伸びていくかということも含めて、今計算しているということです。今ご説明いただいたような推計をして、できるだけ正確な推計をすること、そして国保制度を運用する必要があるわけです。
 国民健康保険事業会計の決算説明書によれば、今回のいわゆる剰余金は約二百十九億四千万円と示されておりますが、この剰余金が生じた要因について伺いたいと思います。

○上田地域保健担当部長 平成三十年度の国民健康保険事業会計におきまして、決算剰余金が発生した主な要因といたしましては、平成二十八年十月からの被用者保険の適用拡大の影響によります国民健康保険の被保険者数の減少に伴いまして、保険給付費が減少したことが考えられます。

○里吉委員 保険給付費が推計よりも少なかったということであり、結果的には納付金もそれに対応する分、少なくてよかったということになるわけです。
 もちろん、完璧な推計をすることは不可能です。しかし、この金額が住民の保険料、保険税につながるということですから、給付に必要な費用について、実際の額を可能な限り上回らないように推計することが重要であると考えますが、都の見解を伺います。

○上田地域保健担当部長 給付費等の推計につきましては、社会情勢や経済状況の変化など予期できない要因によりまして、実績とは乖離が生じ得るものでございますけれども、安定的に国民健康保険財政を運営するためには、精度の高い推計を行うことが重要でございます。
 そのため、都は、国が示す推計方法を踏まえまして、過去実績の推移や団塊世代の高齢化など直近の動向等を反映させるとともに、推計方法につきまして、毎年度、区市町村と協議を行っておりまして、引き続きこうした形で適切に対応してまいります。

○里吉委員 適切に対応するということで確認をさせていただきました。昨年度は給付費が推計より少なかったということを踏まえた対応をぜひ重ねて求めておきたいと思います。
 また、結果的に生じた剰余金についてですが、国に返さなければいけない部分もあると思いますけれども、できる限り今後の保険料、保険税の負担軽減に使われるべきであると思います。
 今回の剰余金はどのように使用するのか、また、この剰余金の活用方法についてはどこでどのように決定をしたのかについて伺いたいと思います。

○上田地域保健担当部長 平成三十年度の特別会計におきまして生じた歳計剰余金は、その全額を平成三十一年度の特別会計へ繰り越しております。その繰り越した剰余金を財源といたしまして、副委員長からお話ありましたけれども、国庫支出金等の精算に伴いまして返還等を行います。これらの精算に伴う返還額を除いた額につきまして、令和二年度の納付金全体から減算することといたしております。
 この対応方法は、国のガイドラインで示されたものでございまして、都におきましては、区市町村の代表等で構成されます東京都国民健康保険連携会議において協議をいたしまして、全区市町村への意見照会を経て決定しております。

○里吉委員 返還した残金を納付金から減算するということで、その分は負担軽減につながり得るということだと思います。
 もともと高過ぎる国民健康保険料、大きな問題です。全国知事会でも、国保料は協会けんぽ並みに引き下げるため、一兆円の公費投入を求めてきました。また、特に、子供が多い家庭は、その分、均等割負担がふえるということについては、区長会からも改善の要望が出されてきました。
 今回質問したことに加えて、国に先駆けて子供の均等割の減額を行うなど、国民健康保険料の負担軽減のために、都の責任を果たしていただくことを求めて、次の質問に移ります。
 次は、先ほど来議論がありますけれども、介護職員宿舎借り上げ支援事業について、私も別の角度から伺っていきたいと思います。
 今、清水委員からもお話ありましたけれども、全都的にも全国的にも、介護職、本当に不足していて深刻な事態です。
 私の住む世田谷区でも、特養老人ホームなどの介護職員不足、大変深刻で、栗林委員からもその質疑がございました。世田谷区では、今年度は実は四カ所の特養老人ホームの開設が計画されております。既に一カ所は開設しております。ところが、いまだに介護職員不足のために、全てのベッドを回すことができないという事態になっております。
 世田谷区では、介護人材確保のためにさまざまな対策に取り組んでおりますけれども、東京都のこの介護職員宿舎借り上げ支援事業の活用も、さまざまな施策の中の一つとして、積極的に使いたいということが議会でも議論されております。
 そこで、今回の事業について、改めて介護職員宿舎借り上げ支援事業の目的について伺います。

○村田高齢社会対策部長 本事業は、住宅費の負担軽減等による働きやすい職場環境の確保と、災害時における福祉避難所の運営体制の強化を図る事業者を支援することを目的としております。

○里吉委員 職員の働きやすい職場環境の確保と、災害時にもきちんと特養老人ホームが福祉避難所として役立つようにということで取り組まれているということです。
 これの執行率、先ほど幾つの住宅が確保されたかという話がありましたけれども、三年間の予算現額と決算額、執行率、平成二十八年から三十年度までお示しいただきたいと思います。

○村田高齢社会対策部長 平成二十八年度は、予算現額一億九千七百五十四万五千円、決算額二千七百八十万五千円、執行率が一四・一%、平成二十九年度は、予算現額一億九千四百五万九千円、決算額一億一千九百四十四万二千円、執行率は六一・五%、平成三十年度は、予算現額三億四百一万一千円、決算額二億二百七十四万四千円、執行率は六六・七%となっております。

○里吉委員 平成三十年度、予算現額三億四百一万一千円ということでしたが、これも実は当初予算の額は約四・八億円でした。それに比べると半分も使われていない。補正して減らした後の額との関係でも三分の二程度だということだと思うんです。
 ただ、予算そのものは毎年ふえていますし、決算額もふえていますので、これは大変喜ばれている制度なのではないかというふうに思うわけです。
 しかし、執行率は六割台ということで、この原因についてどう分析しているのかと聞こうと思ったんですけれども、先ほど来議論がありましたので、障害者のときもそうでしたけれども、宿舎借り上げに要した費用が補助基準額の八万二千円よりも低かったとか、宿舎を借り上げた時期が年度途中であったことなどが原因だというふうに、局の方では分析しているということでございました。
 ただ、それ以外にも私は理由があるのではないかと思います。先ほど、上限四戸までしか借りられないということについてはいかがなのかという議論もありましたけれども、この間、区市町村などを通じてでも構いませんけれども、実際、施設長や法人の方々から、制度の改善を求める声は出ていないのでしょうか。出ているとしたら、具体的にどのような要望が出ているのでしょうか、伺います。

○村田高齢社会対策部長 施設の方々からは、対象事業所及び支給要件の緩和、手続の簡素化を求める声が上がっております。

○里吉委員 今、対象事業所と支給要件の緩和という話があったんですけれども、対象事業所の緩和とは具体的にどういうことなんでしょうか。支給要件の緩和というのはどういうものをどういうふうに緩和してくださいという要望が出ているんでしょうか、お伺いします。

○村田高齢社会対策部長 私ども都としてお伺いをしておりますのは、対象事業所及び支給要件の緩和というお話でございます。

○里吉委員 そういう言葉で要望は上がってきていないんじゃないかと思うんですよね。そうだとしても、それはどういうことなのかと聞いていると思うんです。
 私は世田谷区で具体的に聞いてきましたけれども、世田谷区は、実は特別養護老人ホームは全部福祉避難所になっています。ですから、福祉避難所に指定されていないところも、対象事業所の緩和というのはそういう意味だと思うんです。福祉避難所に指定されていないけれども、そこも対象にしてほしいということじゃないかなと思うんですけれども、世田谷区の場合は福祉避難所には全部指定していますから、そこは要望は出ていません。
 ただ、介護職員だけが対象になっているんだけれども、本当に福祉避難所として開設をした場合には、必要な職員はほかにもいるんだ、だから、介護職員以外にも対象を広げてほしいという要望が世田谷区からは出ております。
 また、一施設四戸までという上限になっていますが、これについても、じゃ、どなたに入ってもらうかということについてはなかなか悩ましい、これも広げてほしいという要望も出ております。多分そういう話が東京都にも行っているのではないかというふうに思います。
 それから、二年前、私たち日本共産党は、この各決の場で、この制度、介護職員宿舎借り上げ支援事業について、地域密着型サービスにも補助対象を拡大してほしい、それから、福祉避難所としている要件も緩和してほしいということを要望いたしました。
 昨年度から、地域密着型の介護サービス事業所で活用が開始されたと伺っておりますが、その具体的な内容と昨年度の実績について伺います。

○村田高齢社会対策部長 高齢社会対策区市町村包括補助事業では、区市町村が、地域密着型介護サービス事業所に対しまして、介護職員の宿舎借り上げを支援するとともに、地域の防災拠点として位置づける場合に、その費用の二分の一を補助しております。
 平成三十年度の実績でございますが、五事業所、十戸となっております。

○里吉委員 地域密着型の介護サービス事業所の場合は、福祉避難所に指定されていなくても、地域の防災拠点に位置づければ補助が出るということです。ただ、制度としては、今ご説明ありましたように、区市町村の包括補助の事業ですから、二分の一というわけです。
 先ほど今年度の実績も伺いましたけれども、昨年度が五事業所、十戸、今年度は現在、十四事業所、六十六戸とふえているということも伺いました。ですから、この制度も、知られていけばもっとふえていくのではないかなというふうに思います。
 先ほど申し上げましたけれども、繰り返しますけれども、この制度スタート時から、福祉避難所としている要件を緩和してほしい、あるいはなくしてほしいという要望は、繰り返し出されていました。住宅費の負担軽減等による働きやすい職場環境の確保という制度の目的に照らしても、地域密着型の介護サービス事業所のように、要件も緩和できるのではないでしょうか。
 また、先ほどいった、世田谷区で要望があったように、対象を介護職員以外にも広げるだとか、一施設四戸の上限を撤廃するだとか、ほかにも一戸当たり四年間という上限が決まっているんですが、これも撤廃してほしい、地域密着型は包括補助ではなくてこの制度に入れてほしい、補助率を上げてほしいなどなど、実にさまざまな要望が出ております。
 介護人材不足が深刻な中で、さまざまな人材確保の対策がとられておりますが、その中の一つとしても、重要な役割を果たしている制度にもなってきていると考えます。こうしたさまざまな要望を踏まえて、使いやすい制度にぜひ改善していただきたいと思いますが、見解を伺います。

○村田高齢社会対策部長 平成三十年度からは、申請様式や記載事項を減らしまして、申請手続の簡素化を行っているほか、高齢社会対策区市町村包括補助事業によりまして、地域密着型サービス事業所を対象としております。

○里吉委員 少しずつ改善しているよということだと思うんですけれども、保育園で働く保育士に対して始まったこの宿舎借り上げ事業ですが、本当にいろいろなところで求められている事業だなというふうに実感しております。介護職場で働く人材確保にとっても、ぜひこの制度の拡充をしていただきたいということを求めて、次の質問に移ります。
 次に、保育現場での死亡事故防止のための対策について伺います。
 都内で認可外保育施設、ベビーホテルなどでの死亡事故が相次ぎ、都は認可外保育施設の巡回指導チームをスタートさせました。
 私は、二年前の各決の質疑で、認可外保育施設の巡回指導チームについて質疑を行わせていただきましたが、そのときは制度が始まったばかりでしたので、昨年度の実績なども含めて具体的に伺っていきたいと思います。
 まず、保育施設への調査ですけれども、これには立入調査と巡回指導があります。立入調査とは具体的にどのようなことを行うのか、巡回指導との違いは何なのかについて、まず初めに伺います。

○本多指導監査部長 認可外保育施設に対する立入調査は、児童福祉法に基づき、認可外保育施設指導監督基準に規定する全ての調査事項、調査内容について、基準の適合状況を確認しております。
 一方、巡回指導は、この認可外保育施設指導監督基準のうち、職員配置、保育内容、健康安全の管理など子供の安全に直結する事項について、確認内容を絞って重点的に指導助言を行っております。

○里吉委員 立ち入りの方は、児童福祉法に基づく基準がある、巡回指導については、その中でも特に子供の安全に直結する事項について重点的に指導するということでした。
 それでは、児童福祉法に基づく立入調査、そして巡回指導、それぞれ職員が何人いらっしゃるのか、どのような人が担当しているのか伺いたいと思います。

○本多指導監査部長 児童福祉法に基づく保育施設への立入調査は、常勤、非常勤職員二十四名を配置し、このうち、調査対象となる認可外保育施設については、その規模等に応じまして、一班二名から四名の体制で実施しております。
 また、巡回指導チームの体制でございますが、昨年度は、非常勤職員を二十名配置しまして、一班二名による十班体制で実施しております。巡回指導員は、認可保育所の園長OBなど保育所等において勤務経験があり保育士資格または看護師の資格を有する者や、行政機関等において社会福祉施設等の指導業務に従事した経験のある者などで構成されております。

○里吉委員 児童福祉法に基づく立入調査を行う指導検査の方たちは二十四名、それから非常勤の巡回指導チームで分かれて、それぞれ都内の保育施設を回っていらっしゃるということだと思います。
 この児童福祉法に基づく立入調査は、原則年一回行うこととなっています。認可外保育施設に対しての立入調査は、昨年度は何施設だったか、全体に占める割合はどれくらいだったか。また、文書指導なども行っていると思いますけれども、主にどのような違反だったのか伺います。

○本多指導監査部長 平成三十年度の認可外保育施設に対する一般立入調査は、千百八十三施設のうち二百二十五施設に対して実施し、実施率は一九・〇%でした。また、一般立入調査のほか、二十九施設に対して特別立入調査を実施しております。
 一般立入調査における主な文書指摘の内容は、入所児童の在席時間帯に一人勤務の時間帯があるので是正すること、労働基準法等により備えつけが義務づけされている帳簿を適切に整備すること、入所後の児童の健康診断を実施すること、保育従事者のうち必要な有資格者が配置されていないので是正することなどでございます。

○里吉委員 一人しか見ている人がいないとか、有資格者の人数が少ないとか、本当に大変な、放置しておくことのできない現状が見つかり、そういったところに対して文書指導しているということだと思います。
 今答弁いただいたように、この立入調査、年一回以上とされているにもかかわらず、認可外保育施設、実際には二割以下しか実施できていないということは、大変問題だというふうに思うわけです。
 現在の人の配置では、とても全ての保育施設を年一回調査することはではないと思います。ですから、ここはどうするのかということを真剣に考えていただきたいんです。
 乳幼児を含む子供たちが一日の大半を過ごすのが保育施設ですから、それは認可施設であろうと認可外施設であろうと、ここでの子供の命の安全を守るのは私たちの責任です。ここへの立入調査は年一回以上というふうに決まっているわけですから、年一回できるようにするべきだと考えますが、都の見解を伺います。

○本多指導監査部長 都は、年一回、都内全ての認可外保育施設を訪問する巡回指導を行っておりまして、この結果等を踏まえ、立入調査を機動的に実施しております。
 立入調査の結果、指導監督基準に適合しない場合には改善を指導するとともに、その後も改善されない場合は改善勧告を行い、勧告に従わなかった場合は施設閉鎖命令等も含め厳正に対処しております。
 立入調査と巡回指導との連携により、今後とも認可外保育施設の指導監督を行ってまいります。

○里吉委員 この後、巡回指導についての話だとか、子供の安全を守るための話は、私も質疑したいと思うんですけれども、安全性を守ることはもちろん大事ですが、同時に、保育の質を保障するために必要な立入調査で、だからこそ巡回指導とは同一のものではないわけです。立入調査を年一回行うという大前提をきちんと位置づけていただきたいということは、改めて強く要望をしておきたいと思います。
 その上で、今ご説明いただいたように、新しくできた巡回指導チームは、立入調査の指導項目の中でも、特に職員配置だとか保育内容、健康安全の管理など、子供の安全に直結する事項について重点的に指導するところとして始まっているわけです。
 ここは、認可外保育施設、年一回必ず行くようになっていると伺っておりますけれども、昨年度の実績はいかがだったのか伺います。

○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 都内には、認証保育所を除いた認可外保育施設は、平成三十年四月一日現在、千百七十一施設ございます。
 都は、巡回指導チームを編成いたしまして、年度途中で廃止された施設や新設された施設の一部を除きまして都内全ての認可外保育施設に対し、年一回、巡回指導を実施しております。
 平成三十年度の実績は延べ千三百二十九回の巡回指導を実施しておりまして、年度当初の施設数に対する実施率は一一三・五%となってございます。

○里吉委員 巡回指導チームができるまでは、保育施設全体の二割程度しか行くことができなかったわけですから、これは一歩前進ではあるというふうに思います。
 この巡回指導チームですけれども、具体的には訪問してどのような指導を行ってきたのか、その実績、具体的に伺いたいと思います。

○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 巡回指導は、認可外保育施設の保育サービスの質の向上を図り、児童の安全と保護者の安全を確保することを目的といたしまして、職員配置、災害対策、保育内容、健康安全の管理などにつきまして、都が独自に作成をした認可外保育施設巡回指導チェックリストをもとに確認を行っております。
 平成三十年度の主な指摘事項といたしましては、物の落下防止策の不備、調理、調乳担当者の健康チェックの未実施、施設及びサービスに関する内容の見やすい場所への掲示などでございました。

○里吉委員 今いろいろご説明いただきましたけれども、その中で、特に問題が認められた場合、再度の指導に入ったり、重大な場合は立入調査につないでいるだとか、そういうことをやっているのではないかと思うわけです、先ほどの説明にもありましたけれども。
 この立入調査につないだ数というのは、実際には昨年度どれくらいあったのでしょうか。それから、立入調査につないだ事例というのは、具体的にどのような内容だったのでしょうか、伺います。

○本多指導監査部長 巡回指導の結果を参考に、立入調査の対象施設として選定した施設は、平成三十年度は五十五施設でございました。
 特に重大な問題があるとして、早期に立入調査を実施した事例としては、一人で複数の児童を保育している場合、乳幼児突然死症候群の予防への対策が不十分であり、複数回の巡回指導においても改善されなかった場合などでございます。

○里吉委員 立入調査が全部できないもとで、巡回指導で見つかったこういった重大な問題について、立入調査につないだという例が五十五件あったということは、大事な一歩で、前進だというふうに思います。
 一方で、二〇一六年の大田区のベビーホテルでの死亡事故のケースは、立入調査の結果、毎回注意していたけれども、改善が見られないまま死亡事故に至ってしまった、こういうケースもあったわけです。ですから、立入調査までつなぐことも大事ですし、その次に、立入調査をしても、そこで改善しなかった場合どうするのかということも考えなきゃいけないことだと思います。
 資料を新しくつくっていただきましたけれども、ベビーホテルへの改善勧告数というのが、平成二十八年度は二件、平成二十九年度も二件だったんですけれども、昨年度、三十年度は改善勧告数が一気に十三件とふえております。
 これまでも痛ましい、悲しい、あってはならない事故があって、過去の事故のことも踏まえて、対応を強化したのではないかというふうに思いますが、対応について伺います。

○本多指導監査部長 都は、平成二十九年三月から巡回指導チームによる指導を開始し、全ての認可外保育施設に対し、年一回の巡回指導を実施しております。
 児童福祉法に基づく立入調査は、巡回指導の結果を踏まえて機動的に実施するとともに、課題のある施設については複数回立入調査を行うなど、重点的に改善を指導しております。
 また、是正状況を確認するため、再度の立入調査や巡回指導を行うなど、指導監督を強化しており、こうした取り組みによりまして、平成三十年度は十三件の改善勧告を実施いたしました。

○里吉委員 以前より機動的に調査に入ることができたこと、立入調査と巡回指導チームが協力することで十三件の改善勧告につながったということだと思います。
 最優先で大事なことは、子供たちの命、安全を守ることです。改善勧告の後、必要な場合は施設閉鎖命令も行うこと、また、虐待などの案件については、文書指導など行った後、間をあけずに、改善されているかどうかを確認に入るなどの対応を行うことを改めて強く求めておきたいと思います。
 次に、前回の決算質疑のときに、私は、さいたま市でうつ伏せ寝防止のために抜き打ち調査などを行っていることを紹介し、都でも、突然死防止のためにぜひ取り組んでいただきたいと要望させていただきました。
 うつ伏せ寝や午睡室の無人化による事故を防ぐために、抜き打ち調査などを行う独自の対策について、都として現在とっているのかどうか伺います。

○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 巡回指導は、都が独自に作成をした認可外保育施設巡回指導チェックリストをもとに、保育施設の日常的な保育の様子を確認しており、午睡時の対応等につきましても指導助言を行っております。
 また、巡回に当たりましては、事前通告なしで訪問する場合があることをあらかじめ施設に通知をしておりまして、平成三十年度は、延べ千三百二十九回のうち、約五割は事前通告なしで実施をしております。

○里吉委員 うつ伏せ寝や午睡室の無人化は、乳児の死亡事故につながる危険が多いことから特に注意が必要です。さいたま市でも、何年か実施する中で本当に改善してきた、見られたということを伺いました。引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 世田谷区では、二十人の巡回指導員が、区内の私立認可保育園や小規模保育など、訪問指導を行っております。開設した年には年二回、そのほかは年一回訪問し、必要があれば繰り返し訪問しております。その一方で、こうした巡回指導が十分行えていない自治体もあると伺っております。
 今、区市町村で行う巡回指導員への補助制度、平成二十九年度から始まったと伺っておりますが、その概要と三十年度の実績について伺います。

○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 重大事故防止のための巡回支援指導事業は、国の制度を活用して、区市町村が、認可保育所はもとより、認証保育所など認可外保育施設に対して巡回指導を行うために配置をいたします巡回支援指導員にかかわる経費を補助するものでございます。
 この事業の補助基準額は、巡回支援指導員一人当たり年額四百六万四千円でございまして、負担割合は、国二分の一、都四分の一、区市町村四分の一となってございます。
 平成三十年度は、十一区三市で本事業が活用されております。

○里吉委員 まだ区の中でも半分程度、三多摩では三市しか使われていないということです。
 これから幼児教育無償化との関係で、こういった認可外施設などに入る指導、東京都とともに区市町村もその権限が付与されると伺っております。この制度を周知していただいて、どこの自治体でも全保育施設への巡回指導ができるようにしていただきたいというふうに思います。
 区市町村の巡回指導員の拡充のために、補助制度の拡充や改善などもぜひ行っていただきたいと思いますが、見解を伺います。

○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 都は、区市町村からの研修生の受け入れ、研修会、連絡会の開催、都の指導検査への立ち会い、区市町村との合同検査の実施などを通じまして、区市町村を支援するとともに、指導状況につきましては、相互に情報共有を図っております。
 また、巡回指導員への配置に対する支援に加えまして、区市町村が行う福祉サービス第三者評価の受審促進や、認可外保育施設から認証保育所等への移行支援などの取り組みなどを支援しております。
 今後とも、認可外保育施設の質の向上に向けた区市町村の取り組みが進みますよう、区市町村向けの事業説明会等を通じまして働きかけを行ってまいります。

○里吉委員 今、いろいろご努力されているということを伺いました。おっしゃるように、巡回指導の方、福祉、保育の専門家であっても、巡回指導するためには、どういったところを見たらいいかとか研修していただくことや、連絡会で情報を共有することだとか、未然に事故を防止するために行わなければいけないスキルを上げていくということも、大変重要だというふうに思います。そうしたこともぜひ行っていただきながら、できましたら、そういうところで動く方がふえていくように、都としても応援していただきたいというふうに思います。
 そして、今、二年が経過して二十名になって、三年目に入りました東京都の巡回指導ですけれども、保育事業者からは喜ばれていると伺っております。もちろん、指導に来るというふうに見ると、嫌がられるというふうに考える考え方もありますけれども、保育の資格を持っていない方が結構いらっしゃる職場ですから、きちんとした保育の専門家に来ていただいて、いろいろ援助していただくということで、これは年一回ではなくて、もっと巡回に来てほしい、助言してほしいという声も伺っているところです。
 ですから、そうした声に応えられるように、今、二十人の巡回指導員、東京都の巡回指導員も、さらに増員していただきたいというふうに思うのですが、いかがでしょうか、伺います。

○遠藤子供・子育て施策推進担当部長 都は、全ての認可外保育施設に対しまして、年一回、巡回指導を実施しており、改善状況を確認すべき施設、助言すべき事項が多い施設につきましては再巡回を行い、必要に応じ、再度の指導を実施しております。巡回指導には、原則といたしまして区市町村も同行しており、指導内容は共有をしております。
 また、今月から開始されました幼児教育、保育の無償化に伴いまして、子ども・子育て支援法に基づき、区市町村も認可外保育施設に対する指導監督権限を持つことから、今後とも区市町村と連携をし、指導監督を強化してまいります。

○里吉委員 東京都が行う立入調査と巡回指導について質疑を行ってまいりましたが、この体制ができるまでには、都内で幼いとうとい命が幾つも犠牲になっていることを忘れてはならないと思います。
 認可外保育施設、特にベビーホテルなどは、そもそも保育士の資格を持った職員が半分以下でも開設できてしまいます。届け出制なので、開設されてもどこにあるかわからない場合もあると伺っています。認可保育園の増設も進んでおりますけれども、保育待機児はまだまだたくさんいる中で、ベビーホテルなどにも頼らなければならないという現実があります。保育の質を守った認可保育園のさらなる増設が必要です。
 同時に、どの保育施設に預けられているお子さんも、どの保育施設に行っている子供の命も安全も守る、その立場に立った体制をさらに強化していただくことを求めて、私の質問を終わります。

○中村委員 それでは、福祉保健局の平成三十年度決算について質問します。
 初めに、施設の災害対策について伺います。
 さきの台風十九号は各地に甚大な被害をもたらしました。都でも台風、地震などの災害に備えることは極めて重要です。
 決算報告書を見ると、社会福祉施設の耐震化の推進が予算では二十三カ所となっていますが、決算ではわずか一カ所で、執行率は四・四%になっています。また、医療機関の耐震化は、予算では執行率こそ九二・三%と高いものの、百二十一カ所の見込みが、決算では四十五カ所となっています。とりわけ医療機関においては、災害時における医療の確保、入院患者の安全確保が重要になります。
 災害拠点病院を初めとする都内全ての病院を対象に、耐震診断、新築、建てかえ、耐震補強などを支援する耐震化補助事業の平成三十年度の実績と、昨年来の台風などに備える病院の災害対策を支援する都の取り組みについて伺います。

○矢沢医療政策部長 都は、病院の耐震化を促進するため、耐震化補助事業を実施しておりまして、平成三十年度は十五の施設に対して補助を行いました。
 また、今年度から、災害拠点病院等に対しまして、水害による自家発電装置の浸水対策として、地下に設置してある自家発電装置の移設などの経費や、地震の揺れによる損傷対策として、燃料配管の補強のための経費を支援する事業を進めております。
 今後とも、都内病院の災害への備えが一層進むよう支援してまいります。

○中村委員 耐震診断や耐震化はすぐにできるわけでもなく、また、病院の経営判断にもよるとは思ってはいます。とはいえ、病院ですから、本当に都民の皆様の安全・安心のために、医療機関の耐震化に向けて、できれば、例えば目標数値等を定めるなどもして、一層の取り組みということをしていただければということを求めたいと思います。
 次に、高齢者施策について伺います。
 かねてから私は、都の最重要課題の一つとして、超超高齢社会ではないかというふうに、質問するたびに申し上げてはいるんですが、なかなか知事の所信表明などを聞いていても、扱いなどを見ても、知事にはもっと積極的に取り組んでいただきたいというふうに思っています。
 決算年度でもある平成三十年九月には、専門家による超高齢社会における東京のあり方懇談会から、知事は政策提言を受けました。私はこれを機に全庁的に取り組むことを期待したんですが、残念ながら各局に配られたという程度の扱いのようです。
 知事は公約に介護離職ゼロを掲げました。これはどちらも大事なんですが、同じ公約である待機児童ゼロへの取り組みに比べると、十分とはいえないような気がします。
 介護離職ゼロは、職場環境や介護休暇という就労という観点からすれば、産業労働局が担当するのかもしませんが、一方では、介護施策が充実していないと、そもそも仕事と介護の両立はできないため、離職を余儀なくされてしまいます。都としての目標を定め、関連部門が協力して実現すべき課題でもあります。
 この決算書を見ると、昨年度、高齢保健福祉施設は、特別養護老人ホームが、予算では八十八カ所が決算では五十九カ所、老人保健施設は、予算では十三カ所が決算では七カ所、認知症グループホームは、予算では百十三ユニットが決算では三十一ユニットとなっており、平成三十年度の包括外部監査で目標が達成できないと指摘されましたが、このままでは本当に達成しないのではないかと懸念されます。
 介護は施設と在宅の両方のサービスの充実が重要ですが、とりわけ整備に予算も時間もかかる施設の整備は、計画的に進めていただくことが重要です。
 介護離職ゼロを達成するには、介護施策の充実が必要であり、とりわけ特養などの整備に加えて、グループホームのような身近な地域で支援を受けられるサービスの充実が重要です。
 介護基盤整備の状況と取り組み、あわせて計画に対する達成状況への認識を伺います。

○村田高齢社会対策部長 都は、二〇二五年度末までに、特別養護老人ホームを定員六万二千人分、介護老人保健施設を定員三万人分、認知症高齢者グループホームを定員二万人分の整備目標を掲げております。
 平成三十年度末現在、特別養護老人ホームは、第七期高齢者保健福祉計画に定める必要入所定員総数四万九千八百四十一人に対し、実績は四万八千四百二十九人、介護老人保健施設は、必要入所定員総数二万三千百二十五人に対し、実績は二万一千六百三十五人、また、認知症高齢者グループホームは、一万一千九十三人分を整備しております。
 整備に当たりましては、都有地の減額貸し付けや都独自の整備費補助など、多様な手法を活用しておりまして、今後も介護基盤の整備を進めてまいります。

○中村委員 一生懸命取り組んでいただいていることはわかりますし、目標年次というのはまだ二〇二五年だということではあるんですけれども、途中経過とはいえ、昨年度の決算の数字でいえば、目標に達成していないということになります。
 これからオリンピック等、いろいろと建築の関係でなかなか逼迫しているところもあるということなので、加速していただきたいという期待はしたいと思うものの、こういう施設の整備というのは、おくれる要因はあっても、なかなか前倒しというのは難しいところもありますので、本当に目標を達成しようと思うと、かなり急ピッチで進めなきゃいけないというふうに思いますので、私はこれ局の皆さんも一生懸命取り組んでいらっしゃると思うんですが、もっと保育園同様、知事も先頭に立って旗を振っていただいて、高齢者の施設についても目標を達成するように取り組んでいただきたいというふうに思います。
 次に、介護人材について伺います。
 介護施策の充実には介護サービスを担う人材が必要です。ところが、介護職場では常に人材不足がいわれ、都としてもさまざまな施策に取り組んでいることは承知をしています。
 ところが、例えば昨年度の東京都介護職員キャリアパス導入促進事業は、さまざまなメニューがあるのですが、いずれも執行率が低く、合計では五六・八%となっています。
 都は、第七期高齢者保健福祉計画で、二〇二五年に介護職員が三万五千人不足すると推計していますが、この需給ギャップを埋めるため、積極的な取り組みが必要です。昨年度における介護人材確保のための事業の取り組み状況と課題を伺います。

○村田高齢社会対策部長 都は、第七期高齢者保健福祉計画において、介護人材対策の推進を重点分野の一つとして位置づけておりまして、職場体験事業などの多様な人材の参入促進、介護職員宿舎借り上げ支援事業などの労働環境の改善、現任介護職員資格取得支援事業などの資質の向上の視点からの対策を進めてございます。
 平成三十年度からは、企業等が従業員に対して介護に関する研修を実施する場合に、実務や指導経験の豊富な講師を派遣する介護講師派遣事業や、奨学金返済相当額の手当支給と計画的な人材育成に取り組む事業者を支援する介護職員奨学金返済・育成支援事業など、新たな取り組みを開始しております。
 一方、少子高齢化による労働力人口の減少や、他の業種の求人状況の動向にも影響されまして、平成三十年度の東京都における介護関係職種の有効求人倍率は六・七七倍と、全職業平均の一・八七倍を大きく上回ってございます。
 都は引き続き、介護人材の確保、定着、育成に向けて、介護人材対策を総合的に進めてまいります。

○中村委員 本当に人が一番大事なかなめになると思いますので、介護人材の確保、取り組んでいただいていると思いますけれども、さらにやっていただきたいというふうに思っております。
 とりわけ都の方の計画になれば、サービスの見込み量の方が計画の数値になっていくので、必ずしも職員が三万五千人不足しているということは、直接的に目標とはリンクしていないようなんですけれども、それでも、当然、人がいてサービスを供給できるわけですから、私はできればここは当然関係づけをさせて、どのくらいの人数を確保しなきゃいけないのかということの目標を立てていただいて、その目標に向けて取り組んでいただければというふうに思います。
 さて、先ほど述べた懇談会の提言書の中でも、ポイントとして、多様で持続可能な地域づくりに取り組むことが重要とありました。そうした点では、昨年度、住みなれた地域での居場所づくり事業に注目していたのですが、残念ながら、これも執行率はわずか二〇・〇%と十分ではありませんでした。
 地域における居場所づくりの必要性は、誰もが認めるところでありながら、この住みなれた地域での居場所づくり事業についての執行率が低かった原因と、今後、地域における居場所づくりをどのように推進していくのか伺います。

○村田高齢社会対策部長 お話のありました住みなれた地域での居場所づくり事業は、都民からの提案を踏まえて、地域で暮らす高齢者や障害者、子供など多世代が交流でき、高齢者を中心としたボランティアが運営する居場所づくりを進める区市町村の支援を目的としております。
 本事業については、平成三十年度、五区市町、六つの居場所で活用されておりますけれども、この居場所を運営する担い手の確保等が課題であると考えております。
 このため、本事業につきましては、本年度から、人生百年セカンドライフ応援事業に統合いたしまして、引き続き居場所づくりの改修費用や運営経費を補助しているところでございます。
 また、地域の担い手づくりに向けて、社会福祉協議会等と連携して、地域活動の担い手の掘り起こしなどを行う生活支援コーディネーターの養成研修のほか、住民が主体となって体操等を行う通いの場の運営ノウハウの提供や、ボランティアの養成などを行う介護予防による地域づくり推進員の配置等により、区市町村の取り組みを支援しておりまして、今後とも、これらの事業を活用して、地域の実情に応じました居場所づくりを推進してまいります。

○中村委員 これからの社会の中で、居場所づくりというのは大変重要なキーワードになっていくと思うんですけれども、いろいろと場所の確保とかお金の問題でいろんなことが出てくるんですけれども、地域を見ていると、やはり一番大事なのは担う人なのかなと思っています。中心になって引っ張っていただける人がいると、かなり進むところもありますし、とはいえ、人だけに依存するわけにいかないところもありますので、都としても、地元のそれぞれの市区町村と連携しながら、そういった担い手の発掘や育成の方をお願いしたいと思います。
 次に、生活福祉について伺います。
 福祉保健局の資料によると、都における高齢者、六十五歳単身世帯のモデルケースでは、最低生活費として、生活扶助七万八千四百七十円、加えて住宅扶助費が五万三千七百円となっています。しかし、老齢基礎年金は六万四千九百四十一円で、不足額は六万七千二百二十九円となるとのことです。これでは、年金を満額もらっていても民間賃貸住宅では暮らしていけず、都営住宅も何十倍もの倍率で、ほとんどの人は当たりません。
 国では、人生百年時代には二千万円でも不足するとして大問題になっていますが、この二千万円のモデルケースでも、夫婦二人世帯で厚生年金を受給して、持ち家の家庭がモデルになっているわけです。
 国では社会保障制度を真剣に考えていただきたいと思います。そして、都としても、格差や貧困の解消に取り組むとともに、低所得者の生活支援に取り組むことが重要です。
 そこで、最初に、ホームレスの支援について伺います。
 まず、都はホームレスの方の人数をどのように調査し、何人と認識しているのか伺います。そして、都の支援を受けて自立に向かって地域生活を始められた方は何人いるのか伺います。

○藤井事業調整担当部長 都では、平成七年より毎年、冬季の一月と夏季の八月の年二回、都内の道路、公園、駅舎、河川敷等において、日中の時間帯のホームレスの概数調査を実施し、人数を把握しております。
 平成三十一年一月時点での概数調査結果では、ホームレスの人数は千百二十六人、その内訳は、国管理河川で五百十四人、国管理河川以外の二十三区内で五百九十四人、市町村で十八人でありました。
 また、ホームレスに対する支援といたしましては、都は特別区との共同事業として、二十三区を五つのブロックに分け、五カ所の自立支援センターを設置し、緊急一時保護から職業紹介などの就労自立に向けた支援まで一貫した取り組みを実施しております。この取り組みによりまして、平成三十年度は五百十二人の方が就労による自立に結びついております。

○中村委員 毎年行っている国の概数調査に都も協力をしていますが、平成三十年度に行った調査では全国的に減少しているとされています。
 ホームレスの数が都道府県中で最も多かったのは、東京都で千百二十六人とのことですが、この数字をどう捉えるかなんですけれども、東京全体でですから、実際に本当にそういう方が少ないのならいいんですけれども、もう少しいるんじゃないかなという感じもするのではないかと思います。そう感じる理由は、調査方法と時間にあるのではないでしょうか。
 例えば、都議会から新宿駅までの通路とか西口の広場あたりを帰りに通るだけでも、夜になると、段ボールなど敷いて寝ていられる方がいますが、先ほどの答弁でも昼間に調査しているということなので、こういった方は昼間にそこにいないわけですから、現在の調査は昼行っているとすると、数に入っていないということになります。
 支援を行うには実態の把握がまず必要です。数が減ったとのことですが、調査は昼間でなく夜やるべきだと思います。昼間、公共施設やインターネットカフェにいる可能性もあります。調査方法を変える必要があると思いますが、見解を伺います。

○藤井事業調整担当部長 夜間の時間帯では、昼間の概数調査結果に比べホームレスの人数が多い傾向にあることにつきましては、巡回相談を委託している社会福祉法人を通じまして把握をしているところです。
 こうしたホームレスの方々に対しましても、特別区等と連携し、夜間の時間帯においても、巡回相談によるアウトリーチを実施するなど、実態を把握するとともに、関係を構築し、ホームレスの方々が路上生活からの脱却を図れるよう、支援に取り組んでいるところです。

○中村委員 この調査方法の問題は、かねてから指摘をしているんですが、調査方法は残念ながらずっと変わってはいません。数字で見れば、だんだん減ってきているという発表があるんですけれども、実際に本当にそうならいいんですけれども、そうじゃない実態の中で対策をしているということであれば、これはやはりちゃんと調査した方がいいのかなという思いはします。
 ただ、調べていらっしゃる方も、もっと多くいるんじゃないかと感じているということですので、対策はしっかりしていただいているんだろうなとは思うんですけれども、ぜひこれは実態の把握をちゃんとすることは大事だと思いますので、毎年毎年、定点で観測していくので、途中で変えてしまうとわかりづらくなるということなのかもしれませんけれども、そしたらいつまでたっても変えられませんから、やはり一度どこかできちんと調べて、実態の把握をきちんとしていただいた上での対策を立てていただきたいというふうに思います。
 さて、近年、ホームレス支援の新たな課題として、さらに、長期化や高齢化もいわれています。ご本人の価値観、人生観などもありますが、長期化、高齢化に対して、アウトリーチなど支援側から働きかける取り組みの強化も必要と考えますが、見解を伺います。

○藤井事業調整担当部長 平成二十八年十月に国が実施しました生活実態調査では、二十三区のホームレスのうち、路上生活期間が五年以上の者が六三・四%、また、七二%が六十歳以上であり、平成二十四年度に行った調査と比べ、長期化、高齢化が進んでおります。
 都は、特別区との共同事業といたしまして、路上生活が長期化、高齢化したものに対して、重点的な巡回相談や借り上げアパート入居後の見守り支援等を行う支援付地域生活移行事業を平成二十九年度からモデル事業として実施し、今年度からは二十三区全体で実施しているところです。
 引き続き、ホームレスの方々に対し、アウトリーチによる丁寧な相談を行い、状況に応じた支援を行ってまいります。

○中村委員 次に、低所得高齢者等の住まい対策について伺います。
 都では、無料低額宿泊所の支援に取り組んでいますが、さらに、介護が必要な方が施設に入るまで暮らせるよう、機能を強化した寄りそい型宿泊所事業も行っています。
 昨年度の決算では、寄りそい型宿泊所事業は、予算では七件とありましたが、決算で五件となっています。
 需要はあると思うのですが、予算どおりにいかなかった原因を伺います。

○藤井事業調整担当部長 都では、平成二十六年度から、居宅生活が困難な、または住居を喪失した低所得の高齢者などが不安なく居住できるよう、生活支援のための職員を配置するなど、一定の条件を満たした無料低額宿泊所を支援する区市に対しまして、寄りそい型宿泊所事業として、開設準備経費などの初期費用や運営経費について補助を行っております。
 平成三十年度予算では、平成二十九年度末までに開設している五カ所の運営費に加えまして、新たに二カ所開設することを見込んで予算を計上したところです。しかし、平成三十年度に新規開設する寄り添い型宿泊所はなかったため、五カ所の運営費補助の支出にとどまったものでございます。

○中村委員 どうしても新規開設していただかないと補助ができないわけなんですけれども、こういった施設が必要だと思いますので、より一層ちょっと工夫をしていただいて、施設の拡充に努めていただきたいと思います。
 次に、同じ生活福祉の中から、中国帰国者等の援護について伺います。
 戦後七十四年が経過し、最も若い中国残留邦人は七十四歳となるわけです。いわゆる一世と同伴して、二世は、国家賠償請求訴訟の結果制定された法律により国の支援が受けられます。しかし、どういうわけだか、呼び寄せ家族については支援の対象となっていません。戦争がなければなかった悲劇だけに、その差は全く理解できません。
 中国残留邦人の二世ともなると高齢化が進み、ほぼ、孤児一世と年齢も近くなっています。今後、当事者が仮に亡くなったとしても、家族の別離から始まった問題だけに、家族がともに暮らすために日本に帰国した二世、三世の家族への支援は、継続する必要があると思います。
 都は、呼び寄せ家族を含めた中国残留邦人の支援にどのように取り組んでいくのか伺います。

○藤井事業調整担当部長 中国帰国者等への支援は、国の制度に基づいて、区市が実施主体として行われておりますが、後から帰国した二世等の家族、いわゆる呼び寄せ家族につきましては、国の支援対象となっていないところです。
 都は、呼び寄せ家族につきましても、言葉や生活習慣などの違いから生じる生活上の困難があることから、その自立、定着の促進を図るため、独自に生活相談員制度を設け、区市町村に相談員を派遣し、通院や都営住宅入居手続に同行するなど、日常生活の諸課題に関する相談、助言を行っております。
 また、中国帰国者相談窓口を設置し、親族間の悩み事の相談や福祉サービス、住宅、日本語学習などに関する制度案内などを電話及び来所により行っております。

○中村委員 これは国の方では援護ということで、どこまでの範囲を支援しようかというところで線を引いてしまっているんですけれども、自治体のように地域になれば、困っている方がいれば救わざるを得ないところがあるんだろうと思っています。
 ですから、都としても、自治体として現場で困っていらっしゃる方の状況を見ていただいて、国に対して、逆にこういったところまで範囲を広げるべきではないかということを意見をいっていっていただきたいと思いますが、当面、とりあえず都がこの部分まで支援していただいていることは評価したいと思いますので、引き続き継続して行っていただきたいと思います。
 次に、ひきこもり対策について伺います。
 ひきこもりは若者特有の問題ではなく、さまざまな要因による社会的孤立に対する福祉の課題との認識があり、これまで青少年・治安対策本部が行っていたのが、福祉保健局に移管した方が望ましいと主張もしてきましたが、年齢制限をすることなく相談を引き受け、ひきこもりご本人やご家族に寄り添った相談支援体制へと発展していくことを期待します。
 八〇五〇問題に代表されるように、かなり高齢の親や親亡き後の兄弟姉妹が、五十代、六十代のひきこもりにSOSを発するケースもふえていると聞いています。家庭内暴力や心の問題、発達障害、経済的な困窮など、福祉保健分野と親和性が高く、福祉保健窓口での対応が妥当であると思われる問題を抱える家族も多いと思います。
 ひきこもりの所管がえ前の平成三十年度において、生活困窮者自立支援法に基づく支援や保健所などでの対応で、背景にひきこもりがあるなどの状況はどうであったのか、そしてどのように対応してきたのか伺います。

○藤井事業調整担当部長 都は、ひきこもりに係る相談窓口である東京都ひきこもりサポートネットにおきまして、電話、メール、家庭への訪問により、悩みや相談を受け付け、区市町村などと連携し、適切な支援につなげてまいりました。
 一方で、自立相談支援機関や地域包括支援センターなど、区市町村の相談窓口において受けているさまざまな相談の中には、相談者のご家庭にいらっしゃるひきこもりの方の存在が判明するケースもあります。そうした場合には、本人や家族の状況に応じて、ひきこもりの専門相談機関やハローワーク、保健所などの関係機関と連携し、きめ細かい支援を行っているところでございます。

○中村委員 生活の困窮や心の問題、発達障害など、これまでの福祉保健分野における対応実績を生かし、さらには、中間的就労を含む居場所づくりといった地域と協働した相談支援体制が、都内どの自治体に住んでいても年齢制限なく受けられるよう、都としても早急に取り組みを進めていっていただきたいと思います。
 次に、少子社会対策として質問します。
 この分野で、保育園の待機児童とか児童虐待、子供の貧困などが大きく注目されています。この委員会でも、今までの議論の中で、ベビーシッターのことについてはさまざま議論があったので、ここでは質問はせず、意見だけは述べさせていただきますが、このベビーシッター利用支援事業については、利用者の目標の千五百人が、実際の利用者はわずか十四人、執行率にするとわずか〇・八%という結果ではありました。
 私たちはもともと、保育園の待機児童の解消を求めるとともに、解消までの期間は何のサービスも受けられない家庭に対して、経済的な支援をすべきだという提案もしたんですが、それが現金支給ではなくて、ベビーシッター利用支援に形を変えたものとして、この事業には一定の理解はしています。
 ただ、保育園に入れず働くことができないという悲鳴に近い声を真摯に受けとめて、早期の待機児童解消とともに、このベビーシッターの制度も、よりニーズに合った取り組みへと改善をしていただくことも含めて、解消までの期間に子供を預けて働けるような制度の充実を求めます。
 さて、先ほど問題になった別の話で、また児童虐待についてなんですが、昨年、目黒区で起きた児童虐待死事件の判決が今週出されたなど大きな問題になっています。これまでも主張してきたように、児童相談所の体制強化を引き続き要望します。
 ここでは、虐待を受けた後の社会的養護について伺います。
 虐待だけではないのですが、都内には、親の病気や虐待等の事情で親元で暮らせない子供が四千人もいるとのことです。養護施設も大切ですが、家庭的な環境のもとで暮らせる里親の存在が欠かせません。
 そこで、社会的養護のうち、家庭的養護といわれる里親、ファミリーホーム委託が占める割合について、直近の三年間の推移を伺います。

○谷田少子社会対策部長 社会的養護のもとで生活する児童のうち、里親及びファミリーホームへの委託率は、平成二十八年度は一二・六%、二十九年度は一三・五%、三十年度は一四・三%となっております。

○中村委員 少しずつふえているとはいうものの、まだ一〇%台ということで、都における値は大変低くて、これにグループホームを加えても三五・六%ということだそうです。
 ところが、他の先進諸国に比べ、里親のもとで暮らす子供の割合は著しく低く、これは何も日本だからということではなくて、国内では五割を超える自治体もあるようです。今後、国の方針も変わり、里親、ファミリーホームだけでも、二〇二一年には七五%を目指すとのことで、大変高い目標になりますが、もちろん子供のためには高くても超えなければならないと思っています。
 しかし、里親のなり手が大変不足しています。毎年、都も市区町村と協力し、里親発表会をやっています。私の地元三鷹市でも毎年行われているので、参加をしているんですが、今年度初めて週末の開催にしたところ来場者が多くなりました。やり方の工夫では、まだまだ余地はあるのかなと思います。
 一方では、子供のいない家庭などでは、本来、子供のための制度ではあるんですが、どうしても育てるためにということもあるんだと思いますが、乳幼児への希望が多く、マッチングが難しいという状況にあります。
 そこで、養親家庭等の登録拡大に向けて、どのように普及啓発を進めてきたのか都の取り組みを伺います。

○谷田少子社会対策部長 都は、養育家庭の登録数をふやすため、十月、十一月の里親月間を中心に、区市町村や民間団体と連携して、養育家庭体験発表会を実施しておりまして、平成三十年度は都内五十二会場で開催をいたしました。
 また、養育家庭等の里親制度を広く都民に周知するため、新宿駅でのデジタルサイネージの掲出、都営地下鉄全駅や民間企業約八千五百社へのフリーペーパーの配布、医療機関や薬局でのポスターの掲示等を実施しております。
 加えて、里親支援機関が、小中学校、高校等の教員や子育て支援の社会貢献活動を行う企業の社員に向けた説明会を開催しております。
 さらに、平成三十年度から新たに都が指定している特定不妊治療を実施する医療機関へリーフレットを配布しているほか、平成三十年十月には、里親家庭の体験談や登録希望者向けのQアンドAを主な内容といたします、ウエブサイトTokyo里親ナビを新たに開設しておりまして、養育家庭等の登録数の拡大に取り組んでおります。

○中村委員 児童虐待などでは、最近では、やっぱり社会全体で、多くの目で早く通報していただいて、子供たちの命を守ろうということをやっていただいているんですけれども、その後でも、社会全体の中で子供たちが育つ環境をつくっていこうというムードをつくっていただくなど、いろんな取り組みをしていただければと思っておりますので、今後の取り組みに期待したいというふうに思っています。
 次に、子供の貧困対策として広まった子供食堂について伺います。
 とはいえ、最近では、貧困家庭と普通の家庭を分けることにもいろいろ課題があるため、どちらかというと、子供の居場所事業として広がっているという感もあります。市民団体が先行して取り組んできていることから、都も支援を行いました。
 そこで、子供食堂推進事業について、自治体間に取り組みへの温度差はあるとはいえ、かなり多くの団体が取り組みをしています。
 平成三十年度決算は執行率が八七・二%と高くなっていますが、その理由を伺います。

○谷田少子社会対策部長 平成三十年度の子供食堂推進事業の当初予算額は一千二百万円でございましたが、予算規模の五十カ所を大きく上回る百十七カ所の交付決定を行うに当たりまして、不足額を転用したため、予算現額は一千六百三十九万二千円となったところでございます。
 その後、実績に基づきまして精算を行いました結果、約二百万円の返還金が生じまして、執行率は八七・二%となったものでございます。

○中村委員 先ほど、八七・二と高いとはいったんですが、当初予算で見ると、転用しているので一〇〇%を超えるという状況で、本当に多くの取り組みがなされたということだと思います。
 ただ、今述べたように、各市区町村での対応で違いが出てきています。明確な定義もないということもありますし、支援の対象範囲で意見が分かれるということもあり、自治体ごとに取り組み状況に温度差がまだあります。
 私は、社会全体で子供を育てるという観点から、幅広い支援を行うことで、貧困対策を包含した子供の居場所づくりとなるため、積極的な取り組みは重要だと思っています。
 子供食堂の質の担保と取り組みの底上げに向け、都は、事例集の作成や市町村に対して公共施設の活用を働きかけるなど、より積極的な支援が必要と考えますが、見解を伺います。

○谷田少子社会対策部長 都は、子供食堂推進事業を活用する民間団体等に対し、事業の開始前に、管轄の保健所に相談し、指導助言を求めること、食品の安全確保を図るため適切な衛生管理体制を構築すること、参加する子供の食物アレルギーの有無を確認すること、事故発生時の対応のために保険に加入することなどを義務づけておりまして、本事業を推進することで、一定の質と安全性が担保された子供食堂の確保につながるものと考えております。
 また、子供食堂の取り組みが地域において効果的に行われるよう、都は、子供食堂推進事業を実施する際の留意点や取り組み事例をホームページを通じて広く周知しております。
 引き続き、公共施設の活用も含めまして、子供食堂に対する支援について、区市町村に働きかけてまいります。

○中村委員 次に、障害者施策について質問します。
 障害児の居場所として、放課後等デイサービスの制度が行われています。しかし、地域によっては、事業者が急増し、サービスの質の担保が課題になったり、重い障害児の施設が足りていないなどの課題もあります。
 一方、障害児の居場所はありますが、成人した障害者の居場所は十分ではありません。都としても、包括補助事業により市区町村の補助をしていますが、取り組みをしている自治体は一昨年度でわずか七自治体とのことでした。
 そのため、昨年、文書質問でこの問題を取り上げたところ、都から多くの区市町村において実施されるよう働きかけていますとの答弁がありました。
 改めて、障害者施策推進区市町村包括補助事業などで行われる青年、成人の障害者の余暇活動の充実を図る居場所づくりの実績を伺います。あわせて、青年、成人の障害者の余暇活動の充実を図るため、より一層の取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。

○松山障害者施策推進部長 青年、成人の障害者の余暇時間における交流や集団活動は、障害者総合支援法に定める地域生活支援事業の日中一時支援や、地域活動支援センターとして区市町村が実施しておりますが、国から事業実績に応じた財源が交付されないため、都は国に対し、十分な予算措置を講じることを要望しております。
 お尋ねの包括補助事業による青年、成人期の余暇活動支援は、地域生活支援事業と重複しない、地域の実情に即した区市町村の取り組みを支援するものであり、平成三十年度は八区市が実施しております。
 今後も、区市町村に対する説明会等において、地域における実践事例を紹介するなど、青年、成人の障害者の余暇活動の居場所づくりに向けた取り組みが、より多くの区市町村で進むよう働きかけてまいります。

○中村委員 障害のある子供の親からすると、十八歳までは法で使えて、そこから使えなくなるとかいうことで、かなりそこで差がある、大変だという声も聞こえてきます。
 とはいえ、市区町村が手を挙げなければということなんですけれども、その親が一人で頑張ろうと思っても、市や区がなかなか動くわけでもないところもありますから、東京都の方からももう少し積極的に働きかけていただいて、いろいろ自治体ごとの取り組みというのはあるとは思うんですけれども、できるだけこういった動きが広まっていくように取り組んでいただきたいというふうに思っております。
 次に、障害者の介護サービスについて伺います。
 障害者が日常生活を送っていると介護サービスを受けられますが、就労すると事業主の負担になるため、就労中は介護サービスを受けられなくなってしまいます。
 以前からこの問題はいわれていましたが、障害者が国会議員に当選したことで注目されました。参議院では介護サービスの費用負担はできますが、障害者を雇用する中小企業や福祉施設では費用負担が重く、障害者の就労を妨げてしまいます。
 現在、国で議論しているとはいえ、現場では問題に直面し困っている方がいるため、都からも早急に国に改善を要望するとともに、対応までの間、都独自の対策をとる必要があるかと思います。
 そこで、障害者が就労中に介護サービスを受けられないことについて、都は課題をどう認識し、取り組んできたか伺います。

○松山障害者施策推進部長 障害者の就業中の支援については、障害者雇用促進法の規定に基づき、事業主が、障害者である労働者について必要な措置を講ずることとされております。
 一方で、重度訪問介護は、就業時間中には利用することができないことから、重度障害者は、雇用主からの援助がない場合には、在宅勤務が困難になるなどの事例が生じているため、支援のあり方が課題となっていると認識しております。
 このため、都は、制度を所管している国に対して、福祉施策と労働施策との役割分担を踏まえ、障害者の在宅勤務への支援のあり方について検討し、必要な措置を講ずるよう提案要求を行っております。
 なお、現在、国においては、本年六月に成立した改正障害者雇用促進法の附帯決議において、通勤にかかわる障害者への継続的な支援や、職場等における支援のあり方等の検討を開始することとされたことを踏まえ、障害者にかかわる雇用施策と福祉施策の連携強化に向けたプロジェクトチームを立ち上げて検討を開始しており、都としてはその動向を注視してまいります。

○中村委員 今の法律でいえば、事業主が措置をとるということだということは理解はしているんですけれども、そうするとやっぱり、障害のある方が、自分が行動していて普通のときは介護サービスを受けられて、仕事になるとそうじゃなくなるというふうになってしまいます。そうすると少し何か、普通の健常者であればそういうことはないわけですから、企業主に利益があるからといって、障害者だけがそこでおかしな取り扱いをするというのは少し変な気もしています。
 私はこれ、自治体として、やはり国の状況を注視するだけではなくて、現場でそういった方々がいらっしゃれば、自治体としてそういう声を聞いて、積極的に国に対して意見を出していただければなというふうに思っていますので、今、福祉の施策と労働施策との関係でということなんですけど、できれば私は、福祉施策の方からの解決が望ましいんではないかというふうには思っていますが、今後、都の方では、現場から、また、当事者の声を聞いていただいて、国に意見を出していただければというふうに思っています。
 さまざま質問させていただきましたが、今後とも、局の皆様にはさまざまな福祉政策の取り組みを進めていただくことをご要望しまして、質問を終わります。

○大松委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大松委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑が終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後六時七分散会

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