平成二十九年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第六号

平成三十年十月二十六日(金曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長のがみ純子君
副委員長とや英津子君
副委員長米川大二郎君
伊藤しょうこう君
細田いさむ君
斉藤れいな君
龍円あいり君
清水 孝治君
鳥居こうすけ君
和泉なおみ君

欠席委員 なし

出席説明員
オリンピック・パラリンピック準備局局長潮田  勉君
次長理事兼務延與  桂君
次長岩瀬 和春君
技監相場 淳司君
理事西村 泰信君
理事中澤 基行君
総務部長中村 倫治君
調整担当部長雲田 孝司君
大会企画調整担当部長中嶋 初史君
自治体調整担当部長小池 和孝君
計画推進部長根本 浩志君
運営担当部長田中  彰君
競技・渉外担当部長川瀬 航司君
事業推進担当部長丸山 雅代君
パラリンピック部長萱場 明子君
障害者スポーツ担当部長越  秀幸君
大会施設部長鈴木 一幸君
開設準備担当部長鈴木 研二君
施設担当部長砂田  覚君
施設整備担当部長草野 智文君
施設調整担当部長湯川 雅史君
選手村担当部長斉藤  有君
スポーツ施設担当部長藤木 仁成君
輸送担当部長片寄 光彦君
スポーツ推進部長小室 明子君
ラグビーワールドカップ準備担当部長篠  祐次君
ラグビーワールドカップ会場運営担当部長
国際大会準備担当部長兼務
田中 愛子君

本日の会議に付した事件
平成二十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
オリンピック・パラリンピック準備局関係
・平成二十九年度東京都一般会計決算(質疑)

○のがみ委員長 ただいまから平成二十九年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、オリンピック・パラリンピック準備局関係の決算に対する質疑を行います。
 これよりオリンピック・パラリンピック準備局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十九年度東京都一般会計決算中、オリンピック・パラリンピック準備局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○中村総務部長 去る十月十日の当分科会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます平成二十九年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくりください。資料1、スポーツ振興事業に係る予算及び決算の推移でございます。
 都のスポーツ振興事業に係る予算額及び決算額について、平成二十五年度から平成二十九年度までの五年間の推移について記載してございます。予算額は、いずれも当初予算額となっております。
 一枚おめくりください。資料2、都立スポーツ施設の指定管理料の推移でございます。
 九つのスポーツ施設の指定管理料につきまして、平成二十六年度から平成三十年度までの五年間の推移を記載してございます。なお、平成二十六年度から平成二十九年度までは決算額、平成三十年度は当初予算額となっております。
 一枚おめくりください。資料3、平成二十九年度武蔵野の森総合スポーツプラザの利用実績でございます。
 団体使用及び個人使用のそれぞれの利用実績を記載してございます。なお、これらの利用実績は、いずれも武蔵野の森総合スポーツプラザが開設されました平成二十九年十一月二十五日から平成三十年三月三十一日までの実績となっております。
 一枚おめくりください。資料4、東京都が支援するスポーツの世界大会の開催状況でございます。
 都が後援または共催により支援を行った世界大会の件数及び主な大会名を記載してございます。
 一枚おめくりください。資料5、平成二十九年度二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの成功に向けた区市町村支援事業実績でございます。
 スポーツ振興等事業及びスポーツ施設整備事業につきまして、平成二十九年度の事業実績及び予算額、決算額を記載してございます。
 一枚おめくりください。資料6、区市町村別スポーツ推進委員委嘱数及び都内障がい者スポーツ指導員登録者数でございます。
 上段の表に平成二十五年度から平成二十九年度までの区市町村別のスポーツ推進委員の委嘱数、下段の表に同じく平成二十五年度から平成二十九年度までの都内の障害者スポーツ指導員の登録者数を記載してございます。
 一枚おめくりください。資料7、平成二十九年度スポーツ振興費の減額補正の内訳でございます。
 平成二十九年度は、管理費、オリンピック・パラリンピック準備費、スポーツ推進費の各目におきまして減額補正を行っております。減額補正の内訳につきましては、表に記載のとおりでございます。
 以上、簡単ではございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○のがみ委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○龍円委員 私は、障害者、スペシャルニーズのある方々のスポーツ振興について伺います。
 東京都は、都立の恒久施設の整備に当たって、全ての人にとって利用しやすい施設となるよう、設計段階でスペシャルニーズのある方々や有識者らから意見を聞くアクセシビリティ・ワークショップを平成二十八年の三月から実施しておられます。
 平成二十九年は武蔵野の森総合スポーツプラザ、東京体育館、東京スタジアムなどで三回開催したと伺っております。
 都の職員以外の委員として、どのような方が延べ何人参加したのか、参加実績を伺います。

○萱場パラリンピック部長 アクセシビリティ・ワークショップは、都が整備する恒設の競技会場について、Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインの適切な反映に加え、より障害者の目線に立った施設となるよう、障害のある方などから直接意見を伺う場として設置したものであり、委員がおっしゃったように平成二十八年三月より開催しております。
 ワークショップには、ユニバーサルデザインのまちづくりを推進する東京都福祉のまちづくり推進協議会から八名、日本障がい者スポーツ協会から一名、計九名の外部委員を推薦いただき、参加いただいているところでございます。
 東京都福祉のまちづくり推進協議会から推薦いただいた八名の委員の内訳は、障害者団体五団体から一名ずつ計五名と学識経験者三名であり、委員が代表する障害者団体の障害種別は、肢体不自由、聴覚障害、視覚障害、精神障害、知的障害などでございます。
 また、平成二十九年度はワークショップを三回開催しており、外部委員の参加延べ人数は二十六人、九名掛ける三回で計算いたしますと、すなわちお一人が一回欠席されただけという、大変積極的なご参加をいただいたところでございます。

○龍円委員 多様なスペシャルニーズのある方々からお話を聞いているということがわかりました。
 東京体育館では、現地を訪れてワークショップを開催したとも聞いています。
 東京体育館も含めて、これまでのワークショップでは、参加者からどのような意見や要望が出て、それがどのように設計に反映されたのか伺います。

○萱場パラリンピック部長 ワークショップでは、施設の設計段階で、都がその検討状況をご説明し、委員からご意見をいただきながら、施設整備への反映を検討してまいりました。平成二十九年度は、それまで行ってきた会議室での議論に加えて、現地視察も行い、障害のある委員にも会場を実際に歩いて確認をいただくことによって、一層具体的なご意見を伺いました。
 例えば、トイレについては、委員のご意見を踏まえて、車椅子使用者、オストメイト、乳幼児連れといった利用者ごとに使用できるトイレを分散して用意するなど、全ての施設において設計への反映を行ったところでございます。
 また、東京体育館では、補助犬を連れている方などのために、席の周囲に余裕のある付加アメニティー席を観客席エリアの前方に用意することとしておりましたが、実際に現地を歩いてくださった委員より、むしろ観客エリアの後方のコンコース上からアクセスしやすい場所にした方がよいという意見があったため、設置位置を後方に変更したところでございます。

○龍円委員 今、トイレについても意見があったということでした。トイレというと、華やかな会場の中では、さほど注目が集まらない脇役ともいえますが、訪れる人の多くが利用する施設です。
 私も、海外を訪れたときに、トイレの事情の違いに驚き、戸惑うことがありました。例えば、トイレの個室のドアが便座に座っているときに胴体が隠れるくらいしかなくて、使用している人同士が会話しているというようなことですとか、使用したトイレットペーパーを流さずにバケツに入れることになっているなどには、抵抗を感じたり、戸惑ったりしました。
 会場では、全ての方がスムーズに安心して快適にトイレを利用できる整備が必要です。私の地元渋谷区では、みんなが安心して快適に使えるトイレを整備するために、およそ一年にわたって審議を進めております。
 トイレは生活の中で必要不可欠な場所であるにもかかわらず、とてもプライベートなことですので、そこに感じている不都合やニーズについて人と話すことは少なく、多様な人たちによるトイレニーズを把握するのは簡単ではないということで、丁寧に聞き取りや調査などを進めていると聞いています。
 トイレに対するニーズは本当に多種多様であります。
 また、ある方にとっては便利なものが、ほかの方にはバリアになってしまうことがあります。
 例えば、オストメイトは対応器具がないと排せつ物を処理できませんが、視覚障害者にとっては、手洗いと勘違いしてしまって、混乱することがあります。
 また、大型ベッドは、おむつの交換や着がえのために必要としている人がいる一方で、ベッドが開いた状態のままだと車椅子利用者や視覚障害のある方は困ることがあります。
 また、男女の別を示す赤と青に色分けがされていることが多いのですけれども、トランスジェンダーの方にはそれに抵抗感を感じる方もいます。一方で、知的障害者や視覚障害者の方の中には、青と赤の識別がないと、どちらに入ればいいのかわからないという方もいます。また、Xジェンダーの方には、性別を選ばないとならないこと自体が苦痛であると感じる方もおられます。
 さらには、発達障害のある方の中には、例えばハンドドライヤーの音でパニックになってしまうような、音に敏感な方もおられます。
 また、海外から訪れる方々は、例えばイスラム教徒の方は排せつ部位を洗う習慣があるなど、さまざまな文化や宗教的背景がある方もおり、それぞれニーズが違ってまいります。
 そんな背景もあって、昨今は、多機能トイレに機能が集中し過ぎていて、利用するのにかなり待つことになるなどの問題も浮上していて、今後は、機能を分散させ、それぞれのニーズに合わせてトイレを選んで利用できるようにしていく必要もあります。
 オリンピック・パラリンピックの会場には、多様な方が訪れます。東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会持続可能性に配慮した運営計画にも、ダイバーシティー・アンド・インクルージョンを可能な限り最大限確保することが明記されました。トイレについても配慮の行き届いたものを設置していただきたいと思います。
 都立競技施設のトイレは、スペシャルニーズのある方々やトランスジェンダーである方々など、みんなが快適に使える配慮はされているのでしょうか、伺います。

○萱場パラリンピック部長 トイレは、とりわけ障害のある方々にとって、外出の妨げの一因となっている切実な問題といわれており、これまでのワークショップにおいてもさまざまなご意見をいただきました。
 例えば、ワークショップではこれまで、トイレの機能を分散する議論を行ってまいりましたが、機能の分散に伴って、各便房に備わっている機能もわかりやすく表示してほしいとの意見があったことから、トイレの入り口などにピクトグラムなどで機能表示を行うことといたしました。
 また、異性介助のためのトイレ、例えばお母様が男のお子様のトイレの介助を行うなどのために、一緒に入れるトイレを設けてほしいとのご意見をいただきました。そこで、都が新設する会場については、共用スペースにそのような男女共用のトイレを整備し、さまざまな方にとって使いやすい環境となるよう配慮を行ったところでございます。

○龍円委員 トイレについてもいろいろな配慮がされていることがわかりました。
 トランスジェンダーの方々は、トイレの利用によって、周囲に当事者であることが知られることなどに抵抗を感じている方もおられます。男女共用トイレは、ほかのトイレから離して設置するなどの配慮も必要になってくるかと思います。
 次に、競技者スポーツの競技団体について伺います。
 スペシャルニーズのある方々が競技力を向上させていくためには、障害者スポーツの競技団体が担う役割は非常に重要です。東京二〇二〇大会に向けて、これらの団体にはさらなる積極的な活動が求められています。
 しかしながら、障害者スポーツはまだまだ発展途上の分野ということもあって、各団体の自主性を尊重しながらも、サポートが必要であると思います。
 都は、競技団体の活動活性化に向けてどのような支援を行ったのか、取り組みを伺います。

○越障害者スポーツ担当部長 都は現在、選手層の拡大や競技力の底上げなどを目的として、障害者スポーツの選手育成を担う都レベルの競技団体の活動を支援し、その活性化を図っております。
 具体的には、平成二十三年度から開始した東京都障害者スポーツ強化練習会事業では、全国障害者スポーツ大会に向けた選手の育成を担う団体の取り組みに対する補助を行っております。
 二十九年度は、十団体に対して強化練習会や交流試合の遠征費用等の補助を実施いたしました。
 また、二十七年度から開始した障害者スポーツ競技活動支援事業では、パラリンピック競技種目の団体の取り組みを支援し、二十九年度は十四団体を対象に、大会参加や指導体制の強化などに対して費用を助成しております。
 こうした制度の活用により、各団体は、練習会の開催数の増加や競技活動環境の整備などを進めており、所属選手からも、練習環境が改善された、遠征への参加が容易になったなどの声が寄せられております。
 今後とも、こうした取り組みにより、競技団体の活動を積極的に支援し、その活性化を通じて、選手の競技力の向上などを図ってまいります。

○龍円委員 ありがとうございます。競技団体支援を積極的にしていることがわかりました。これによって、選手たちが好成績を出すようになったりなどの成果もあらわれていると聞いております。今後とも、このように取り組みを続けていただけたらと思います。
 さて、私は、パラリンピックを契機として、多くのスペシャルニーズのある方たちが自分でもスポーツを地域で継続的に楽しめるようになることが、とても重要だと考えています。七月の特別委員会でも質問させていただき、いろいろな取り組みをしていることを確認させていただきました。
 私の地元、代々木公園では、視覚障害、聴覚障害、知的障害など本当にいろんなスペシャルニーズのある方々が、伴走者とともにジョギングをしている姿を日々目にします。一緒に走ってくれる方がいなければ、なかなか一人でジョギングするのは難しいと思われますので、これらの方々の取り組みはすばらしいなと感じました。
 そこで、スペシャルニーズのある方たちのスポーツをサポートする人材の育成として、障害者スポーツ指導員の育成というのはとても重要で、大切な事業だと思います。
 同じ会派の斉藤れいな都議が東京都多摩障害者スポーツセンターを視察した際に、センター所長から、都の障害者スポーツセンターは二カ所のみであるために、かなり遠方から訪れる方が多い現状を聞いたということです。スペシャルニーズのある方がより身近な地域でスポーツを継続的に楽しめるようになるためには、スポーツ指導員が地域の施設に、より配置されるような取り組みが必要だと思います。
 また、スポーツ指導員の資格を取ったものの、活動する場がほとんどないという声もいただいております。スポーツ指導員が各地域でもっと活躍できる場を創設していくことも大切です。
 都が、障害者スポーツ指導員の育成、支援に向けて、どのような取り組みをしたのか伺うとともに、活躍の場を周知していくためにどのような取り組みをしているのか伺います。

○越障害者スポーツ担当部長 障害者スポーツの現場を支える中核的な人材である障害者スポーツ指導員の育成に向けて、都は、平成二十六年度から、初級及び中級の指導員養成講習会を開催しており、二十九年度は、初級については三十五名、中級については三十一名が受講し、それぞれ資格を新たに取得いたしました。
 また、都内には二十九年度末現在、障害者スポーツ指導員が約二千六百名おりますが、中には、障害者スポーツの指導や支援に継続的には携わっていない指導員もいることから、その活動を促すため、区市町村等が実施する障害者スポーツの事業やイベントを情報紙に取りまとめ、年四回、情報提供を行ったほか、活動に不安がある方を対象に、リ・スタート研修会を開催いたしました。
 さらに、障害者スポーツに関する最新情報の提供や指導者間のネットワーク構築を図るため、障害者スポーツ指導員などが一堂に会するフォーラムを開催いたしました。
 今後もこうした取り組みを通じて、障害者スポーツの裾野を支える障害者スポーツ指導員の着実な育成とその活動の活性化を図ってまいります。

○龍円委員 ありがとうございました。
 最後に、大会成功に向けた区市町村支援の中の障害者スポーツ地域振興事業について伺います。
 この事業は、身近な地域で障害者スポーツの振興を図り、スペシャルニーズのある方々が継続的にスポーツを楽しめる環境を整備することを目的として、平成二十七年度から実施されています。
 スペシャルニーズのある方たちが、スポーツをするのに特別な器具や用品が必要となる場合、それらがネックとなって踏み出せないでいることもありますが、区市町村が障害者スポーツ事業を実施する際に必要な備品購入経費もこの補助の対象としていることから、よい取り組みだと評価させていただいております。
 七月の特別委員会では、申請の受け付け回数を今年度はふやしていること、備品購入に伴う申請なども来ていることを確認させていただきましたが、障害者スポーツ振興に向けた区市町村補助事業について、平成二十九年度はどのような事業に支援をしたのか伺います。

○越障害者スポーツ担当部長 都は、障害のある方が身近な地域で継続的にスポーツを楽しむ環境の整備を促進するため、平成二十七年度から、区市町村が主体的に取り組む障害者スポーツ事業に対する補助を行っております。
 本事業は、障害者が参加できる継続的なスポーツ教室や体験イベントのほか、各区市町村が障害者スポーツ事業を実施する際に必要な備品購入経費も補助対象としており、区市町村の職員に対する補助金説明会やスポーツ主管課長会など、さまざまな機会を捉え、積極的に周知をしてまいりました。
 二十九年度は、知的障害者サッカー教室やボッチャ教室など障害者が参加できるスポーツ教室のほか、地域の福祉施設の合同運動会などの大会、さらには障害者スポーツを支える人材を養成する講習会など、四十二区市町村が実施する合計百六のさまざまな事業に対し補助を行ったところでございます。
 今後とも、こうした取り組みなどにより、身近な地域における障害者スポーツ環境の整備促進に向けて、区市町村の取り組みを後押ししてまいります。

○龍円委員 ありがとうございました。この事業は、大会成功に向けたものだとは理解していますが、障害者スポーツの振興のために、どうぞ大会の後もこういった事業を継続していっていただけますようお願いします。
 パラリンピックを契機として、スペシャルニーズのある方々がより身近な地域で継続的に、日常的にスポーツを楽しめるよう、今後とも取り組みを進めていただきますようお願いしまして、質疑を終えます。
 ありがとうございました。

○伊藤委員 それでは、障害者スポーツの振興について伺います。
 都議会自民党は、障害者スポーツが東京二〇二〇大会のレガシーの最たるものとなるよう、さまざまな取り組みを効果的かつ重層的に展開することを求めてまいりました。
 こうした中、都がことし三月に策定をいたしましたスポーツ推進総合計画では、三つの政策目標の一つとして、スポーツを通じた共生社会の実現が掲げられ、政策指針として、障害の有無にかかわらないスポーツの振興、障害者スポーツのさらなる魅力発信、多様なスポーツ振興に向けた人材の育成などに取り組むことになっています。
 そこで、平成二十九年度の障害者スポーツ施策の実績を伺う前に、まず、昨年度策定したスポーツ推進総合計画で掲げた障害者スポーツ振興に当たっての政策目標並びにその達成に向けた取り組み内容について伺います。

○越障害者スポーツ担当部長 東京都スポーツ推進総合計画では、スポーツ振興全般について、障害のある人に配慮した視点を持って普遍的に展開することとし、障害者スポーツを含めたスポーツ施策を一体的に推進していくこととしております。
 計画においては、障害の有無にかかわらずスポーツに親しめるスポーツ都市東京の実現を目指し、二〇二一年までに障害のある十八歳以上の都民のスポーツ実施率四〇%の達成を目標の一つとしております。
 目標の達成に向けては、市区町村や関係団体等と連携し、障害者スポーツに関心を持ってもらうための理解促進、普及啓発、一人でも多くの障害のある方をスポーツ実践につなげる場の開拓、支える人材の育成、高みを目指す選手を発掘、育成、強化する競技力向上などの取り組みを、着実かつ積極的に進めてまいります。
 今後、スポーツに関する障害者の意識や実態などを把握し、施策の充実を進め、障害のある都民のスポーツ実施率四〇%を達成するとともに、スポーツを通じた共生社会の実現を目指してまいります。

○伊藤委員 ただいまご答弁いただきました目標や取り組みの達成のためにも、身近な地域における障害者スポーツの場の拡大は必要です。
 そこで、特別支援学校を活用した障害者スポーツの場の拡大について伺います。
 障害者スポーツの振興に欠かせない取り組みの一つが、スポーツの場の提供であります。都内には、現在改修中ですが、二カ所の障害者専用のスポーツセンターがあります。こうした拠点となる施設整備も大事ですが、我が党はかねてより、都立特別支援学校の体育施設の活用を提案してまいりました。
 これを受け、東京都は、平成二十八年度から、学校教育活動に支障のない範囲で体育施設の貸し出しなどを行う都立学校活用促進モデル事業を始めたところです。
 この事業は、障害のある人もない人も、ともに身近な地域でスポーツに親しむために非常に有意義な取り組みであり、場の拡大に向けて、積極的な推進が望まれます。
 それでは、都立学校活用促進モデル事業における平成二十九年度の体育施設の貸出実績を、二十八年度との比較とともに伺います。

○越障害者スポーツ担当部長 都は、平成二十八年九月から、障害のある方や障害者スポーツ競技団体等が身近な地域でスポーツ活動ができるよう、都立特別支援学校の体育施設を障害者スポーツの場として活用の促進を図っております。
 具体的には、特別支援学校の体育館やグラウンド等の体育施設を学校教育活動に支障のない範囲で、平日夜間や土曜日、日曜日、祝日に貸し出ししております。
 モデル事業は、二十八年度は五校で事業を開始し、二年目となる二十九年度は新たに五校を加え、合計十校の特別支援学校の活用促進を図ったところでございます。これらの学校において、活用対象となる体育館やグラウンド等の施設数は、二十八年度の八施設から七施設ふえ、合計十五施設でございました。
 施設の貸出可能な日数は、二十八年度八施設合計で六百二十九日であったのに対して、二十九年度は実施校の増加と学校の協力があり、千五百四十三日増加し、十五施設合計で二千百七十二日となりました。
 実際に貸し出しを行った日は、二十八年度は二百六十六日であったのに対して、二十九年度は七百三十一日増加し、九百九十七日でございました。
 また、事業に登録している団体は、障害者スポーツ競技団体のほか、青少年スポーツ団体など健常者団体を含め、二十八年度末現在、百二十団体でございましたが、二十九年度末には六十九団体増加し、合計百八十九団体となっております。
 今後とも、これらの施設の一層の活用促進に努めるなど、身近な地域における障害者スポーツの場の確保を進めてまいります。

○伊藤委員 平成二十九年度は、前年度と比較して実施した期間や規模が異なっており、単純には比較しにくいところですが、実績だけを聞くと、実際貸し出しを行った日も、施設の登録をする団体も、前年度に比較して大幅に増加したことが確認できました。
 これは、特別支援学校が地域におけるスポーツの場として、地域や団体に着実に浸透しつつあることの証左であり、また、身近な地域にスポーツの場を求めているニーズがあることのあらわれとも思います。
 すなわち、都立特別支援学校の体育施設は、障害のある方のスポーツ活動にとって貴重な資源になり得るものです。
 特別支援学校が障害者スポーツの場として活用されるよう、今後もより一層その充実に向けて取り組んでいただくことを強く要望いたします。
 そして、このモデル事業では、障害の有無にかかわらず誰もが障害者スポーツを体験できる体験教室も実施しています。
 そこで、次に、平成二十九年度の体験教室の実績について、こちらも二十八年度の実績と比較して伺います。また、あわせて、どのような方が体験教室に参加されているのかも伺います。

○越障害者スポーツ担当部長 都立学校活用促進モデル事業では、体育施設の貸し出しに加え、障害の有無にかかわらず個人で参加が可能な障害者スポーツを初めとするスポーツやレクリエーションの体験教室を実施しております。
 平成二十八年度は、五校において、ボッチャやフライングディスクなど、延べ十六回の体験教室を開催いたしました。二十九年度は、十校において、車椅子テニスや知的障害者ダンスレッスンなど新たな種目を取り入れ、延べ五十五回の体験教室を開催したところでございます。
 実施回数が三十九回ふえたことにより、障害のある方やボランティアなどの参加した方は、二十八年度の延べ四百九人から九百四十六人増加し、合計で延べ千三百五十五人でございました。
 実施後のアンケートによると、参加者のうち、これまでのスポーツ経験はなしとの回答は約三割であり、また、過去一年間のスポーツ実施頻度の問いに対しては、していないとの回答は約二割でございました。
 こうした中、今後の障害者スポーツイベントへの定期的な参加を希望しているとの回答は約九割ございました。
 一方、ボランティアに参加した半数以上の方が、これまでの障害者スポーツとのかかわりはなしとの回答でございましたが、ボランティアに参加したほぼ全員が、今後、障害者スポーツのボランティアに参加したいと回答しておりました。
 このように、体験教室は、障害のある方がスポーツを始めるきっかけになっているばかりでなく、障害者スポーツを支えるボランティアを確保、育成していく有効な機会となっております。

○伊藤委員 特別支援学校を活用した体験教室は、障害者スポーツを支える人材の育成の場としても活用されているとのことでした。障害のある方が身近な地域でスポーツをするためには、場所や支える人材という環境整備が重要です。
 体育施設の貸し出しによる場所の確保に加え、支えるボランティアの育成にも資するという特性を持つこの事業は、障害者スポーツの振興のために意義のある事業と考えます。こうした取り組みがあってこそ、裾野の拡大はもとより、障害者スポーツの実施率の向上、さらにはスポーツを通じた共生社会の実現が図られていくものと考えます。
 都立の特別支援学校は都内全域で五十七校あるとのことですので、都立学校活用促進モデル事業の今までの成果や課題を整理し、こうした障害者スポーツの拠点が身近な地域でさらに広がるよう、このモデル事業の活用を一層進めていくことを重ねて要望いたします。
 次に、障害者スポーツの競技力向上についても伺います。
 東京大会まで二年を切り、パラリンピックをめぐる動きもいよいよ本格的になってきました。
 今月、インドネシアで開催されたアジアパラ競技大会には、日本からも、海外の大会では過去最多の三百名を超える選手が参加しました。
 東京パラリンピックの前哨戦ともいわれたこの大会では、日本は前回を上回る四十五個の金メダルを獲得し、また、車椅子テニスの男女各シングルスで優勝した国枝選手や上地選手は、早くも東京パラリンピックの出場内定が決まるなど、その様子は連日メディアでも取り上げられました。
 こうした報道がふえることで、障害のある方の中にも、自分もスポーツに挑戦しようという方もおられると思います。
 一人でも多くの障害者アスリートがパラリンピックで活躍し、広く都民や国民に勇気や感動をもたらすことは、以前からの我が党の願いでもあります。このため、開催都市として、都も積極的に選手の発掘や支援をすべきと、これまで求めてきました。
 これを受け、都は、平成二十七年度から、パラリンピック選手発掘プログラムを開始して、パラリンピックなどを目指す障害のある方へ競技スポーツ挑戦の機会を提供しています。
 それでは、このパラリンピック選手発掘プログラムではどのような成果が出ているのか、昨年度の取り組みを伺います。

○越障害者スポーツ担当部長 都が平成二十七年度に開始したパラリンピック選手発掘プログラムは、多くの障害のある方々にご参加いただいており、東京二〇二〇大会への期待と競技志向の高まりを実感する場となっております。
 二十九年度は、さらなる参加促進に向け、PR動画や障害者スポーツ特有のクラス分けを説明するリーフレットを作成して本事業の周知に回ったほか、教職員やスポーツ関係者などからの要望に応え、パラリンピック競技への理解を深めてもらえるよう、各競技で求められる選手像などをまとめたパラリンピック選手発掘BOOKを作成いたしました。
 これらを活用して、一般校に通う生徒などへの周知をさらに強化したことで、新たな参加者の掘り起こしにもつながり、アーチェリーや陸上競技など計十六競技で実施した四回のプログラムには、延べ二百三名が参加し、過去三年間でも延べ九百名を超える参加者数となっております。
 過去の参加者の中からは、競技大会で活躍する選手が誕生しており、今月インドネシアで開催された二〇一八アジアパラ競技大会にも四名の選手が出場し、早くも金メダルを獲得する選手が出るなど、成果も上がっております。

○伊藤委員 既に国際舞台で活躍する選手もあらわれているとのことで、驚くと同時に、東京大会も楽しみです。また、発掘事業をきっかけに競技を始めた人たちのさらなる飛躍を期待しております。
 さて、選手の成長や競技力の向上については、本人の才能はもとより、血のにじむような努力のたまものであることは当然のことですが、同時に、競技団体などのよりよい指導者にめぐり会うことも重要です。
 都は、発掘事業で競技団体への選手の橋渡しを行っていますが、特に競技経験の浅い選手にとっては、その種目を熟知した指導者からの適切なサポートやケアが大切です。才能あふれるアスリートの原石に対して、その後の育成指導を効果的に支援する仕組みがあれば、さらなる成長につながります。
 そこで、都は、競技力向上に向け、選手育成を支える上で、昨年度はどのような取り組みを行ったのか、最後に伺います。

○越障害者スポーツ担当部長 都は、平成二十七年度から、障害者スポーツ競技活動支援事業を実施し、都レベルのパラリンピック競技団体を対象として、団体が行う競技力向上に資する活動に対し補助を行っております。
 二十九年度は十四競技団体を対象に、団体が行う合宿や強化練習会などの選手育成に資する活動を支援したところでございます。
 さらに、選手育成の質の向上のため、二十九年度に、障害者スポーツ選手育成事業を立ち上げ、団体が行う競技スキル指導に加え、団体個々では取り組みがたいスポーツ科学に基づく知識や技術を、団体の枠を超えて横断的に習得できる機会の充実を図ったところでございます。
 本事業では、短期間で強化、育成指定レベルへの成長が期待できる選手を対象に育成プログラムを提供し、栄養学、睡眠学など専門知識を提供する座学講習を八回実施したほか、競技スキルやフィジカルの向上につながるトレーニング実技を四回実施しております。
 今後とも、こうした取り組みなどを通じ、競技団体と連携して、選手の育成支援に努めてまいります。

○伊藤委員 競技を始めたばかりの選手をサポートする環境が着実に整備されていることを評価いたします。地元東京開催というチャンスに、多くの選手がパラリンピック出場の目標を果たし、大舞台で活躍することを期待しています。
 東京パラリンピック大会での選手の活躍が、障害がある方にとっても、健常者にとっても、スポーツを始めるきっかけや、より楽しむ機会がふえれば、大きなレガシーとなります。
 引き続き、障害者スポーツのさらなる支援を求め、質問を終わります。

○細田委員 東京二〇二〇大会まで、あと一年九カ月となりました。大会の準備、いよいよ本格化しております。
 さて、今月の初めに会計検査院より、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取り組み状況等に関する会計検査の結果について報告書が出されました。
 会計検査院は、国に対して、東京オリンピック・パラリンピックの大会経費について、今後も大会の開催に向けて多額の支出が見込まれるとした上で、国民の理解を求めるために、公表されているものはもとより、そのほかの経費も含めて、運営に資すると認められる国の業務については、経費の規模などの全体像を示すことを検討することを求めています。
 東京都オリンピック・パラリンピック準備局は、都は既に大会関連経費も公表しており、大会の成功と大会後の東京の発展を見据えた事業ということを都民に理解してもらえるよう、引き続いて情報を伝えたい、このように表明をしています。
 平成二十九年十二月に、東京都、そして組織委員会、国は、負担分を含めた大会経費のバージョンツーを試算、これでは、組織委員会と東京都が六千億円ずつ、政府が一千五百億円で、合わせて一兆三千五百億円ということであります。このことを改めて整理、確認させていただきたい、このように思います。
 まず、平成二十九年度は、大会にかかわる経費について、大枠の合意や大会経費バージョンツーの策定などがなされております。どのような取り組みを行ったのか、ご答弁を求めます。

○雲田調整担当部長 平成二十八年十二月に組織委員会が公表いたしました大会経費バージョンワンをベースに、東京都、国、組織委員会の三者で経費精査と分担議論を進め、平成二十九年五月、役割、経費分担に関する基本的な方向につきまして、大枠の合意がなされました。
 この際、経費につきましては、バージョンワンから一千億円以上の経費圧縮を図る一方で、組織委員会収入の一千億円増を見込み、初めて三者の分担試算額をお示ししております。
 また、大会準備におきます進行管理といたしまして、組織委員会が東京都や国の負担する資金を使用して実施する共同実施事業につきまして、コスト管理、執行統制の強化を図るため、共同実施事業管理委員会を設置するとともに、この共同実施事業を一元的に執行管理するため、組織委員会に特別勘定を設置し、区分経理を行うことといたしました。
 その後、この大枠の合意を踏まえまして、組織委員会が経費を見積もり、東京都や国と調整の上、昨年十二月に大会経費バージョンツーとして作成、公表したところでございます。

○細田委員 今、答弁にありましたように、平成二十九年五月の大枠の合意を踏まえて、組織委員会、東京都、国の分担、負担額を初めて示して、そして都や国が役割、経費分担に応じて費用を負担して、組織委員会がその資金を使用して実施する事業、すなわち今答弁された共同実施事業が位置づけられたと確認いたしました。
 そこで、平成二十九年度決算でこの共同実施事業が計上されていますが、それでは、この実績と主な内容はどうだったのか、この点についてお尋ねします。

○雲田調整担当部長 平成二十九年度におきます共同実施事業につきまして、東京都から組織委員会に約四十九億三千四百万円を支出いたしました。
 その内訳は、会場関係では、各競技会場における仮設整備に係る設計業務など仮設等で約四十五億二千万円、LAN設備などの通信インフラ整備に係る設計業務などテクノロジーで約二億四千百万円、配電計画等の策定業務などエネルギーで約九千万円となっております。
 また、大会関係では、関係者輸送用バスの調達及び運用に係る検討業務など輸送で約四千五百万円、セキュリティーで約七百万円、ドーピング分析ラボ運営委託などオペレーション等で約三千百万円となっております。

○細田委員 今のご答弁で、共同実施事業は約五十億、四十九億三千四百万円なんだということでありまして、平成二十九年度に実施した主要事業の東京二〇二〇大会の開催準備の額は、競技施設の整備だとか開催都市のPR、また大会の普及啓発、機運醸成など、二百二十億四千六百四十二万円であったと、こういうことがわかります。
 さて、会計検査院より公表された報告書では東京二〇二〇大会に関連する経費が総額三兆円に及ぶ、こんな報道もありました。バージョンツーの試算一兆三千五百億円に加えて、大会に関連する国の五年間の支出が八千億円という会計検査院の調査結果も含まれているようであります。これを足しますと二兆一千五百億円となります。
 東京都は、平成三十年度東京都予算公表時に、大会に関連する事業に係る経費を公表していますが、都としての大会経費に対する認識--三兆円という報道もありました。今いったように二兆一千五百億円に上る、こういうようなことにもなります。
 じゃ、東京都は大会経費に関する認識、これをいかがお持ちなのでしょうか、見解を求めます。

○雲田調整担当部長 大会に係る経費につきましては、まず仮設整備や大会運営といった大会に直接必要となる経費に新規恒久施設整備費を加えたものを大会経費として計上しております。その額は一兆三千五百億円でございまして、昨年十二月にバージョンツーとして作成、公表いたしますとともに、組織委員会がIOCに報告をしてございます。
 また、平成三十年度東京都予算案公表時に、この大会経費以外に大会を契機に取り組む事業を、大会に関連する事業として、平成二十九年度から三十二年度までの四年分の大枠を八千百億円とお示ししてございます。
 これは、もともと本来の行政目的のために行われるものでございますが、大会を契機に重点的に取り組むことで、大会後の東京のさらなる発展につながるレガシーになるものと考え、取り組んでいくこととしているものでございます。
 今後とも引き続き、節目節目で都議会や都民の皆様に状況をお伝えし、ご理解を得ながら、大会準備や大会に関連する事業を進めてまいります。

○細田委員 平成二十九年度から三十二年度までのこの四年分を大枠八千百億円として、大会後のレガシー、遺産ですよね、これを残して、都民が恩恵を受けられる大会に関連する事業は、大会の経費と異なる、このことが今のお話でわかります。二十九年度の一千九百億円、それから三十年度二千三百億円、三十一年度二千五百億円、三十二年度一千四百億円と、インフラ等の整備を進めていく、こういうふうな経費であります。
 競技会場として使用される既存体育館の改修や輸送インフラ、そしてセキュリティーの対策、空港、駅、会場近くなどの無電柱化、そして大会を支え活躍する都市ボランティアの方々の育成、多言語化を図らなくてはいけないこと、そして観光の振興、また東京、日本の魅力の発信などに幅広く利用されるということで、支出の性格上、三十一年度がピークになると聞いております。大会に係る経費についての捉え方が異なれば、誤解を生んでしまうことにつながってしまう、このように私は思います。
 さきの二兆一千五百億円に、大会に関連する事業の八千百億円を加えれば、まさに二兆九千六百億円で、約三兆円ということになります。
 しかしながら、大会にかかわる経費については、大会時に直接必要なものか、大会が終わった後も東京や都民の皆さんに影響をもたらすものか、レガシーを残せるものなのか、ハードにおいても、ソフトにおいても、ちゃんと時代をつないで伝えていくことができるものなのか、性格が異なるものをまとめて公表しますと、かえってどういうことなのかわかりにくくなりますし、正確に、また透明に伝わりにくくなる、このように私は思います。
 大会の開催都市としての責任を果たす役割を持つ東京都、そして大会の運営主体としての役割を担う組織委員会、また大会の円滑な準備、運営の実現に向けて関連施策を実施する国、そして大会開催に向けて円滑な準備及び運営に協力をする関係である自治体の四団体で行う、まれなやり方でありまして、アカウンタビリティーが大変に重要になります。
 経費の効果や性質に応じて区分けをして、わかりやすく、そして透明感を持って伝えていって、都民の皆さんのご理解が進むよう、その取り組みをしっかりと行っていただくことを要望いたします。
 さて、今の質疑の延長線上でもありますけれども、大会経費の一部として、新規恒久施設の整備費が含まれており、これによりまして、東京都においては競技会場の整備が進められております。
 その中でも規模の大きな施設の整備は、整備費も多額なものになってきます。整備スケジュールも長期にわたります。
 例としましては、私の地元江東区の施設についてお聞きしますけれども、大規模な施設である東京アクアティクスセンターでは、昨年度に、敷地内で土壌汚染が見つかったとの発表もありました。想定外の事態にもしっかりと対応して、大会の開催に支障がないよう工事を進めるためには、整備費の管理に加えて、適切に工程の管理を行っていくこと、これが大変に重要になります。
 そこで、新規恒久施設の中でも特に大規模な建設工事であります東京アクアティクスセンターと有明アリーナの工事について、平成二十九年度は具体的にどのような進捗があったのでしょうか、答弁を求めます。

○草野施設整備担当部長 東京アクアティクスセンターと有明アリーナは、平成二十八年三月に設計施工一括発注方式、いわゆるデザインビルド方式によります工事の契約を締結し、実施設計を経て、平成二十九年度に本体工事に着手をしております。
 東京アクアティクスセンターにつきましては、平成二十九年度は、くい工事を実施した後、ろ過機械室を含みます先行部分を掘削して、基礎躯体を構築するとともに、メーンアリーナの屋根につきまして、平成三十年度のリフトアップに備え、地上で屋根の組み立てを実施いたしました。
 この間、想定していなかった汚染土壌の存在が判明したため、その適切な処理などのため、工程の見直しを行うとともに、関係者間で調整を図り、大会準備に影響のないよう、竣工見込みを変更しております。
 また、有明アリーナにつきましては、平成二十九年度に、くい工事及び掘削を実施した後、メーンアリーナ及びサブアリーナ棟の基礎工事を進めまして、地上躯体工事に着手いたしました。

○細田委員 着実に工事が進められてきているということが確認できる答弁でありました。
 アクアティクスセンターについては、私もその前を通るたびに--また、先日、水上から別なところの視察、点検、確認に行ったんですが、本当に立派に屋根がついている。通るたびに、近くに行くたびに様相が変化していまして、この七月には屋根のリフトアップ、これも完了するなどの工事の進捗を実感しているところであります。
 どうぞ引き続いて、万全の体制で東京二〇二〇大会本番が迎えられるよう、完成までしっかりと工程管理を行ってください。
 さて、この東京アクアティクスセンターと有明アリーナの整備に関して、今般、検査データが偽装された免震、制御用ダンパーが使用されている可能性があることが報道されています。アクアティクスセンター、三十二ついているという報道もありますし、つけるのは簡単だけれども外すのは大変だと、こんな報道もあったりします。これらの施設の整備への影響を懸念しております。
 そこで、改めて、免震、耐震用ダンパーについて、現在はどのような状況になっているのか、この点についてお尋ねします。

○草野施設整備担当部長 免震、制振用のダンパーにつきましては、地震のエネルギーを吸収することで、建物が受ける影響を抑える効果を持つ装置でございます。
 今回、国が大臣認定もしくは顧客の要求水準に不適合であるとして発表した製品と同型のダンパーが、東京アクアティクスセンターでは既に取りつけが終わっておりまして、有明アリーナにおきましては、一部が現場に搬入されたところでございます。
 現在、執行受任局を通じて、これらのダンパーが不適合であるかどうか確認しているところでございます。
 仮にこれらのダンパーが不適合なものであった場合につきましては、執行受任局と協力し、竣工時期に影響を与えないよう、全体工期の中で当該ダンパーの交換等の対応を求めまして、東京二〇二〇大会に支障がないよう、そして都民の安心・安全を確保していくよう、適切に対応してまいります。

○細田委員 これらの施設は、東京二〇二〇大会の成功はもとより、新たな恒久施設をレガシーとして末永く愛されるものとしていくためにも、都民の安全・安心を絶対に確保していくことが必要なところであります。
 有明アリーナは、今、搬入中で取りつけていないので、規格を満たした安全・安心な製品で、いわれているようにオリンピック・パラリンピックに差しさわりがないよう仕上げていただきたい。
 また、取りつけ済みの東京アクアティクスセンターも同様でありまして、今のご答弁どおり、オリ・パラ局には関係局とも連携をしていただいて、仮に不適合なダンパーが使用されていた場合には、確実に交換させるなどして、今のご答弁どおり適切に対応の上、安全・安心を確保していただくことを要望させていただいて、私の質問を終わります。

○とや委員 よろしくお願いします。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの準備に当たりましては、無駄を省いて、簡潔に、簡素に努めることが求められております。あらゆる段階で透明性、公正性の原則を貫き、国民、都民に開かれた大会を目指していただきたいと思います。
 東京都のホームページを見ますと、クーベルタンが唱えたオリンピズム、オリンピックの精神が掲載されております。スポーツを通して心身を向上させ、文化、国籍などさまざまな違いを乗り越え、友情、連帯感、フェアプレーの精神を持って、平和でよりよい世界の実現に貢献すること、このようにいっています。ぜひこの立場でオリンピック・パラリンピックを開催していただきたいと思います。
 同時に、東京大会を契機に、さらに都民がいつでもどこでもスポーツを楽しめるよう、施策の推進が求められていると思います。
 本日は、まず、二〇一七年度決算で、五輪会場となる既存施設の改修費の金額について伺います。お答えください。

○藤木スポーツ施設担当部長 東京二〇二〇大会の会場となります既存都立スポーツ施設は、有明コロシアム、東京体育館、東京スタジアム、東京辰巳国際水泳場でございまして、改修工事につきましては、大会後の都民利用を見据えて、長期的な観点から、老朽化対応やバリアフリー化に取り組んでおります。
 この四施設にかかわる平成二十九年度決算の改修費は、工事請負費が十三億円、設計等の委託料が四・四億円でございます。

○とや委員 今、四施設についての経費についてお答えいただきました。
 では、その四施設について、各施設の内訳を伺います。

○藤木スポーツ施設担当部長 平成二十九年度の決算の実績につきましては、工事請負費は、有明コロシアムで十二億円、東京体育館で一・二億円、設計等の委託料は、有明コロシアムで一・七億円、東京体育館で一・三億円、東京辰巳国際水泳場で〇・三億円、東京スタジアムで一億円でございます。

○とや委員 有明コロシアム、東京体育館、東京辰巳国際水泳場、東京スタジアムの改修工事に取り組んで、二〇一七年度は合計十七億四千万円の支出をしたとのことです。
 これらの施設は、二〇二〇大会ではそれぞれ、有明コロシアムについてはテニスと車椅子テニス、東京体育館は卓球、辰巳国際水泳場は水球、東京スタジアムはサッカー、近代五種、ラグビーの会場となるわけですが、各施設の改修に要する全体の経費、工事の内容、工期はどれくらいになるのでしょうか、お示しください。

○藤木スポーツ施設担当部長 平成二十九年度に設計や工事を行いました施設の改修工事の現時点での契約金額につきましては、東京体育館で五十七億円、東京辰巳国際水泳場で八億円、東京スタジアムの第一期工事分については六十二億円でございます。また、有明コロシアムは、有明テニスの森公園の改修工事と一体で工事を進めておりまして、全体で百七十六億円でございます。
 これらの工事の主な内容は、いずれも老朽化している施設や設備の更新とアクセシビリティ・ガイドラインへの対応を図るためのバリアフリー改修でございます。工期につきましては、いずれも東京二〇二〇大会前に竣工するように設定をしております。

○とや委員 現時点での契約金額は、東京体育館、東京辰巳国際水泳場、東京スタジアムで合計百二十七億円とお答えいただきました。有明コロシアム、有明テニスの森公園は百七十六億円とお答えいただきましたが、合計三百三億円です。
 ここで確認をしたいんですが、このうち新規建設扱いの有明テニスの森の工事費百十億円を除くと百九十三億円になると思いますが、間違いないでしょうか、確認させてください。--もう一回、いいましょうか。

○のがみ委員長 もう一回、いってもらえますか。

○とや委員 済みません、確認です。先ほど合計額、有明コロシアムと有明テニスの森を除いた施設の合計は百二十七億円でした。それプラス、有明コロシアムと有明テニスの森公園の金額、百七十六億円を足しますと、合計三百三億円になります。そこから、今回、新規建設扱いの有明テニスの森の工事費は百十億円といわれていますので、それを引くと百九十三億円になりますよね、確認をさせてください。

○藤木スポーツ施設担当部長 今ご質問のございました百十億円、有明テニスの森のですね。それに関しては整備費でございまして、工事費ではございませんので、ちょっと性格が違う、単純に差し引きはできないかというふうに考えます。

○とや委員 整備費は、工事費が含まれていると思いますので、百十億円を引くと百九十三億円になります。この百九十三億円に、先ほどお答えいただいた設計委託料四・四億円を加えますと百九十七・四億円、約二百億円となります。東京スタジアムは今後、二期工事も行うと聞いておりますけれども、これらはV2予算に含まれているでしょうか、お答えください。

○藤木スポーツ施設担当部長 既存施設の改修費がⅤ2予算に入っているかというご質問だと思いますけれども、東京二〇二〇大会の会場となります既存都立スポーツ施設の改修工事につきましては、大会後の都民利用も見据えまして、長期的な観点から、先ほどもご答弁申し上げたとおり取り組んでおります。
 これらの工事の内訳といたしましては、施設の機能保全のために老朽化した施設や設備の更新を行うとともに、実行プランに基づきまして、施設のバリアフリー改修や照明のLED化など、施設の機能向上を行っているところでございます。
 これらの工事費は、老朽化した既存施設の改修費でございまして、大会開催の有無にかかわらず必要な経費でございまして、東京二〇二〇大会における大会経費には含まれないというふうに整理してございます。
 改修工事によりまして、都民がスポーツに触れて楽しむ場をより快適に利用できるよう更新いたしまして、誰もがスポーツに親しめる社会の実現を目指してまいります。

○とや委員 今、いろいろお答えいただいたんですけれども、Ⅴ2予算に含まれるか含まれないかで簡単にお答えいただけませんか。

○藤木スポーツ施設担当部長 今もご答弁申し上げましたけれども、こちらの既存施設の改修費に関しましては、Ⅴ2予算には含まれてございません。

○とや委員 大会経費であるV2予算に含まれておりません。その金額は約二百億円というふうになると思います。
 先ほどの答弁では、四つの施設について、老朽化している施設や設備の更新と同時にアクセシビリティ・ガイドラインへの対応を図るためのバリアフリー改修と答弁されましたが、四つの施設はいずれも、オリンピック・パラリンピックの会場です。
 また、アクセシビリティ・ガイドラインを私も読ませていただきましたが、その前文では、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けたアクセスの機会を確保するべく環境整備を図るとなっています。どこから見ても大会のための改修工事となっています。
 さらにお聞きしたいんですが、大会会場となる各施設、既存施設で、過去十年間に行われた休館を伴うような大規模改修工事の工事費、工事内容、目的について伺います。

○藤木スポーツ施設担当部長 過去十年間に行われました大規模な改修工事は、老朽化しております施設や整備の更新と、都立建築物のユニバーサルデザイン導入ガイドラインに基づいたバリアフリー改修につきまして、平成二十四年度から二十五年度に三施設で行っておりまして、その工事費は、東京体育館で三十九億円、東京辰巳国際水泳場で十五億円、東京スタジアムで三十一億円でございます。このほかに設計等の費用を要してございます。

○とや委員 先ほども国の会計検査院のお話がございました。直近の五年間に国が支出した五輪の関係施策費八千十一億円と発表しましたが、二〇二〇東京大会の総費用は幾らかかるのかは、都民の大きな関心事でございます。
 東京都は、都立の新恒久施設については、それぞれの施設の整備費も発表して、合計額も一千八百二十八億円と発表しておりますが、既存施設の改修費については発表してきませんでした。
 都民からは、既存施設を使うのがよいけれども、それもオリンピックに合うように改修するんだよねと、それには一体どれくらい費用がかかるのだろうかと、それを知りたいという当然の声をいただいております。
 百七十六億円かけて改修する有明コロシアムは屋外のテニス場と一体で有明テニスの森であるにもかかわらず、なぜコロシアムだけ五輪の経費、Ⅴ2予算から外されているのだろうと。一般の都民から見れば、不思議な仕分けがされているわけであります。
 既存施設の改修費の中には、IOCの求める規格に合わせるなど、オリンピック・パラリンピックのためだけに行う改修もあるし、アクセシビリティーの改善など、五輪のために行うけれども五輪の後もより都民が使いやすくなる改修もあると思いますし、また、五輪がなくても必要な部分もあると思います。
 いずれにしても、その改修を幾らで契約し、これまでに幾らかけたのかの全体は、きょう改めて、初めて明らかになりました。しかも、その金額は、先ほど整備費と工事費は性格が違うとおっしゃいましたけれども、かかる費用という意味では同じです。それが、約二百億円という無視できない大きな金額となっています。
 持続可能な五輪にしていくために、既存施設の活用がいわれておりますが、既存施設を利用した場合の経費はこれくらいかかるということもしっかり明らかにしていくことは、都民にとっても、オリンピック・パラリンピックの今後にとっても、重要なことだと思います。
 きょうは既存施設について伺いましたが、ほかの費用についても同様に、都民の皆さんに明らかにしていただきたいと思っています。
 そこで伺いますが、Ⅴ2予算に含まれない四施設の経費も含め、その見込みの内訳や支出を都民に公表していくことは重要だと思いますが、見解を伺います。

○雲田調整担当部長 大会経費につきましては、昨年十二月にバージョンツーとして公表した際、会場関係は恒久施設、仮設等、エネルギー、テクノロジーごとに、また大会関係は輸送、セキュリティー、オペレーション、管理広報、マーケティング、その他ごとに、組織委員会、東京都、国の負担者別に金額をお示ししております。
 また、この大会経費以外に、大会を契機に取り組む事業を大会に関連する事業といたしまして、平成二十九年度から三十二年度までの四年分の大枠の金額を平成三十年度東京都予算案公表時に、その内訳を予算特別委員会にお示しをしてございます。
 今後とも引き続き、大会経費バージョンスリー策定時などの節目に、都議会や都民の皆様に状況を公表し、ご理解を得ながら、大会準備や大会に関連する事業を進めてまいります。

○とや委員 大会経費については、バージョンツー予算として公表していると。平成三十年度東京都予算案公表時に、この大会経費以外に、大会を契機に取り組む事業を大会に関連する事業として、平成二十九年度から三十二年度までの四年分の大枠を示したということですが、大会に関連する事業では、既存体育施設の改修にしても、その内訳などは今も公表されておりません。
 本日質疑をさせていただく中で、四施設については金額を明らかにしていただきましたが、これらの経費以外にも全庁で議論していただき、都民や議会に公表をしていただくことを要望しておきます。
 東京大会をアスリートファースト、そして都民や観戦する人々が楽しめる大会にしていくことはとても重要だと考えます。
 同時に、毎回肥大化する大会規模、あるいは商業主義への批判、開催都市の巨額の経費負担などへの危機感もございます。
 オリンピックは、単に競技大会を開催して、成功することだけが目的ではなくて、開催によって、次世代に何を残すか、何が残せるかという理念と計画性も必要と考えます。
 そこで伺いたいんですが、東京都は二〇一七年度に大会を契機としたレガシーの形成に関連し、リオ五輪のレガシーについて調査委託をしたとお聞きしていますが、その事業費は幾らでしょうか。また、どのようなことを委託されたのでしょうか、お答えください。

○根本計画推進部長 都は、東京二〇二〇大会の開催準備及びレガシー創出に向けた取り組みの参考とするため、リオデジャネイロ二〇一六大会のレガシーに関する調査分析等業務委託を実施いたしました。その事業費は六百万と五千円でございます。
 委託内容は、リオ大会における競技関連施設、社会インフラ整備、機運醸成の取り組み等につきまして、レガシーに係る計画や報告の調査分析及び関係者へのヒアリングの実施等でございます。

○とや委員 委託経費が六百万五千円で、レガシーに係る計画や報告の調査分析、関係者へのヒアリング、また現地での調査も行ったということですが、リオ五輪の施設の後利用などについては、大会時には大々的にPRされていましたが、その後、うまく活用されていないとの報道もあります。どんな現状なのでしょうか、お答えください。

○鈴木開設準備担当部長 リオ大会での施設の後利用は計画どおりに進展しておらず、新設された競技施設の一部は閉鎖された状況にあると聞いております。
 例えば、デオドロ・ラジカルパーク内にあるBMXオリンピックセンターやマウンテンバイクセンターは、二〇一六年十二月にそれまでの民間委託契約の期限が切れ、その後、新たな運営事業者が見つからず、閉鎖になったとのことでございます。
 なお、同パーク内にございますカヌースラロームスタジアムも、大会後、運営事業者が決まらなかったことから、一時利用がなされていない状況でございましたが、報道等によりますと、ことし九月にカヌースラローム世界選手権大会が開催され、一定の利用がされているものと聞いております。
 また、ハンドボール会場でありましたフューチャーアリーナは、当初の計画では、施設を解体し、四つの市立学校の建設資材に利用する予定でございましたが、財政危機を理由に解体は延期され、昨年度の調査時点では放置されているとのことでございました。

○とや委員 こうした現状は、リオ五輪だけでなくて、北京やトリノ、アテネなどの大会で整備された施設が大変無残な形で放置されているというふうにも報道がされております。
 今回、調査されていますが、リオ五輪から何を学び、教訓として何を生かすのか、お答えください。

○鈴木開設準備担当部長 先ほどお答えいたしましたとおり、リオ大会では競技施設の後利用が十分に行われていない施設が複数あると聞いておりますが、その主な原因は、大会後の施設の運営方法や運営事業者が早期に決まらなかったためと認識しております。
 このことから、競技施設を大会後、レガシーとして有効に活用するためには、大会後の後利用の計画や運営体制を早期に確立することが重要であると考えています。
 そのため、都では昨年四月に、まず、大会後の施設運営の指針となる新規恒久施設の施設運営計画を策定し、早期に運営事業者を決定し、大会後の後利用にスムーズに移行できるよう計画的に取り組んでおります。
 東京アクアティクスセンター等について、指定管理者を指定するなど、着実に準備を進めておりまして、引き続き、競技団体等とも協力しながら、大会後、多くの競技大会や都民利用でにぎわう施設となるよう取り組んでまいります。

○とや委員 新規恒久施設の運営計画を策定されたということですが、各施設の管理運営では、指定管理や、今回、コンセッション方式も取り入れているというふうに聞いております。年間利用者の試算が粗いのではないかと意見もあります。
 ぜひ後世に負のレガシーとして残すことのないよう、施設の後利用については、貴重な財産として幅広く都民に役立つものにしていくこと、また、都や国、民間、それぞれの責任を明確にして、都民が過度な負担をかぶるようなことにならないよう、慎重に進めていただくことを改めてお願いをしたいと思います。
 ことしの冬季五輪は、韓国の平昌で開催をされました。次の開催国である日本は、現地で、平昌でPR活動を行い、次の大会につなげる取り組みを行ったと聞いております。
 そこで伺います。平昌五輪のジャパンハウスなどの、開催都市PR経費の執行率が六五%弱となっていますが、予定より下回ったのはなぜでしょうか、その理由をお答えください。

○丸山事業推進担当部長 開催都市PR事業の執行率が約六五%であった主な要因としては、平昌二〇一八冬季大会時に設置した東京二〇二〇ジャパンハウス事業費の精査による支出額の節減が挙げられます。
 ジャパンハウスは、東京二〇二〇大会及び開催都市東京のPRを担う施設として、平昌大会期間中、現地に都と組織委員会が共同で開設いたしました。
 ジャパンハウス事業費については、平昌組織委員会側から、江陵オリンピックパーク内に用地の提供があったことや、コンパクトな仮設パビリオンでの実施としたこと、加えて、既存PR映像の有効活用等、実施内容を工夫したことなどから、予定よりも節減することができました。
 費用対効果を重視した企画運営に努めた結果、当該事業の予算額五億円に対し、都の負担額は一・九七億円余となりました。

○とや委員 それでは、お聞きしたいんですが、平昌五輪ではどのようなPR活動を行ったのか、具体的に教えてください。

○丸山事業推進担当部長 ジャパンハウスは、スケート等氷上競技の会場が集積し、高い集客力とPR効果が期待できる江陵オリンピックパーク内に設置いたしました。
 実施内容としては、大会や開催都市東京のPR展示だけでなく、体験型のメーンプログラムとして、来場者の等身大アバターが都内の主要観光地をめぐり、東京の疑似観光体験ができるコンテンツを実施し、多くの大会観戦客や関係者に体験していただきました。
 また、折り紙体験や追加競技フォトコーナー等、体験型の効果的なPRを実施いたしました。
 こうした取り組みにより、二十七日間の大会期間中に十五万人を超える多くの大会観戦客や関係者等が来場し、PR拠点としての役割を十分に果たしたと考えております。
 また、日本のメディアや海外メディアによる取材が百回以上あり、次回開催都市東京の魅力を世界に向けて発信することができました。
 加えて、体験型コンテンツの実施を通じて、参加者によるSNS発信も多数行われ、世界発信の効果がより高まったと認識しております。

○とや委員 ご答弁ありがとうございました。
 最後に意見を申し上げます。
 来場者の等身大のアバターが都内の主要観光地をめぐって、東京の疑似観光体験ができるコンテンツを実施し、二十七日間の大会期間中に十五万人の人たちが訪れたということでした。多くの国の人たちが日本に関心を持ち、東京大会への期待が高まったということだと思います。それだけに、開催都市である東京都の役割は大変重要だと考えます。
 平昌大会の開会式のテーマは、平和でした。韓国と北朝鮮がともに行進した際、会場は総立ちで、大歓声になりました。
 さらに、国際オリンピック委員会のバッハ会長が、南北の共同入場について、南北朝鮮の選手団は平昌から全世界に向けて力強い平和のメッセージを送ったとたたえ、多様性の中での結束は、分断しようとする力よりも強いと強調をしています。
 その後、南北の対話が進んで、朝鮮半島の平和と非核化が前進したことは、皆さんもご存じだと思います。
 二〇二〇年は東京五輪パラリンピックが、その二年後には北京の冬季五輪が開催されます。オリンピズムの目標は、スポーツを人間の調和のとれた発達に役立てることにある、その目的は、人間の尊厳保持に重きを置く平和な社会を推進することにあるとあります。
 私は、東京でも、このオリンピックのそもそもの意義を改めて中心に据えていただきたいと思います。東アジア大会を経るたびに、平和のとりでが築かれ、政治の世界に波及していくような貢献ができるよう、東京二〇二〇大会でも平和の祭典として全世界にアピールできるように、都として最大限の努力をされることを要望して、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○斉藤委員 東京都は、オリンピック・パラリンピック二〇二〇大会に向けて、二〇二〇年に向けた実行プランに沿って、大会競技会場の施設整備のみならず、既存の体育施設等の整備やバリアフリー化、スマートエネルギー化、また障害者スポーツの推進や被災地復興支援、大会開催機運の醸成など、実にさまざまな取り組みを推進されております。
 二〇二〇大会が終わってからも、この大会によって開かれた未来がさらに大きく広がっていきますように、さまざまなレガシーを各所に残してくださることを心より期待しております。
 その観点から、きょうは、その中で既存体育施設等の整備についてと大会機運醸成について質問させていただきます。
 まず、平成二十九年度における体育施設等の整備について、執行率が上がらなかった理由について伺います。

○藤木スポーツ施設担当部長 主な理由といたしましては、障害者総合スポーツセンターの増築棟工事におきまして、地中から旧建物の基礎部分が見つかり、撤去が必要となったことに伴いまして、三カ月程度、工期を延伸しております。このため、竣工が翌年度となったことで、二十三億円の不用額が生じておりまして、体育施設等の整備の全体の不用額四十六億円の半分を占めることとなったものでございます。
 また、有明コロシアム改修工事等の契約差金が発生したことによるものでございます。

○斉藤委員 障害者総合スポーツセンターは、多摩障害者スポーツセンターと並んで、団体利用や宿泊利用も含めて、大変人気のある施設だと伺っております。
 三カ月工期が延長されたということで、竣工の開始が延びたということですが、現在では既に、屋内施設や宿泊施設などは利用も再開されておりますので、むしろ迅速にしっかりと対応してくださったというふうに考えております。
 この障害者総合スポーツセンター以外にも、都内には、東京体育館、駒沢オリンピック公園、味の素スタジアムなど、さまざまな施設があります。
 実行プランのスマートシティーに対応した取り組みの一つに、都市のスマートエネルギー化を推進するというものがありますが、未来の低炭素社会を実現していくために、再生可能エネルギーの活用をより身近に、実践的に、また効率的に行っていくことは、東京都の都立施設でこそ、ぜひ高い目標を持って取り組んでいただきたいと考えております。
 日本の再生可能エネルギー導入状況は、欧米各国に比べてもまだ余り高いとはいえませんが、そんな中でも日本を代表するといわれる再生可能エネルギーが太陽光発電です。
 電力発電に燃料を必要としない、また災害時には非常用電源として使うことができるなどの利点がありまして、国内における導入量は、平成二十八年度末で三千九百十万キロワットに達しておりまして、これは、太陽光発電導入の実績では、中国、ドイツとともに世界をリードしているということです。
 ぜひ東京都の施設には積極的に、さらなる導入と活用を推進していただきたいと考えております。
 そこで、新設される施設には、再生可能エネルギーの活用や省エネを行う、施設の機能向上が既に行われていると思いますので、本日は既存施設についてお伺いをいたします。
 既存都立体育施設の再生可能エネルギーについて、平成二十九年度における太陽光パネル設置の取り組み状況を伺います。

○藤木スポーツ施設担当部長 既存都立体育施設の改修に当たりましては、施設の機能保全のための老朽化対応や施設のバリアフリー改修を行うとともに、平成二十六年に財務局が改正した省エネ・再エネ東京仕様にのっとりまして、再生可能エネルギーの導入や照明のLED化等による省エネ化などの施設の機能向上を図っております。
 平成二十九年度は、障害者総合スポーツセンターに太陽光発電設備を設置しております。また、平成二十九年度に契約し、現在工事を進めております多摩障害者スポーツセンターや駒沢硬式野球場におきましても、太陽光発電設備を整備していく予定でございます。

○斉藤委員 ご説明ありがとうございます。
 また、先ほど申し上げました災害時の非常用電源としての活用については、いまだ現実的には難しい部分もあると伺っております。気候条件により発電の出力が左右されることもあるため、災害時に非常用電源として活用するには、昼間や晴天時に発電した電力をためておく蓄電池が必要になるからです。
 現在、都立施設の太陽光発電設備は、自立運転型のものが多いと認識しておりますが、将来的には、電気自動車を蓄電池として活用する手法などを検証されまして、太陽光発電設備の最大限の活用を推進していかれますように要望させていただきます。
 また、例えば、電気自動車を都が所有しておらずとも、各自治体が所有している、もしくは、個人や企業が所有している電気自動車を活用するという手法も先ごろ練馬区で始まったというふうに伺っております。
 あるものを賢く使う、まさにワイズスペンディングの観点からも、このような可能性にもぜひ思いをめぐらしていただきますよう、よろしくお願いいたします。
 次に、既存施設のアクセシビリティーの状況について伺います。
 先ほど龍円都議からも質問がありましたけれども、障害の有無にかかわらず全ての人々にとってアクセシブルでインクルーシブな東京オリンピック・パラリンピック大会を実現することは、この大会が開催都市に残してくれる最も大きなレガシーの一つといっても過言ではありません。
 東京都内では、いまだ至るところで障害のある方や車椅子、またベビーカー等を利用している方が、エレベーターで移動ができずに、大きく迂回をして回らなければならないエリアや、利用できるトイレを探すことにもご苦労され、またそのような不安を抱えて、あえて都心部への外出を一人ではしたくない、そのようなお気持ちを持つ方もいると伺っております。
 一方で、例えばイギリスなどでは、ロンドン大会を経ても、道路や通行途中の段差は今現在も数多く残されているということも伺っておりますが、車椅子やベビーカーを利用する方が困っている様子を見れば、誰からともなく、市民の方、近くにいる人が手助けをするというようなことが通例なようです。
 東京都も、ハード、ソフトの両面でバリアフリーを目指していかなければならないということを強く感じております。
 特に、ソフト面でのバリアフリーがしっかりと進んでいったならば、例えば都内の至るところで一〇〇%段差が解消されていなくても、ある程度は人の手をかりて段差を越えることができるということを考えますと、スロープなどの整備ももちろん大切とは思いますが、何よりも、誰でもトイレ等の設置についての整備状況が大変気になるところです。
 既存都立体育施設のアクセシビリティー向上の観点から、平成二十九年度における誰でもトイレなどのトイレ機能向上の取り組みについて伺います。

○藤木スポーツ施設担当部長 既存都立体育施設の改修に当たりましては、Tokyo二〇二〇アクセシビリティ・ガイドラインを踏まえまして、より高いレベルのバリアフリー化を目指しております。
 平成二十九年度は、有明コロシアムについて改修工事に着手し、トイレの機能向上に取り組んでおります。さらに、東京体育館、東京スタジアム、東京辰巳国際水泳場におきましても、機能向上に対応するための設計を行ったところでございます。
 具体的には、車椅子対応トイレに関しましては、車椅子使用者十五人につき一カ所というガイドラインの基準を踏まえまして、限られたスペースを有効に活用して増設することとしたほか、男子トイレ、女子トイレそれぞれに、オストメイト対応便房、乳幼児対応便房、ベビーベッド等を分散して設けるなど、さまざまな利用者ニーズに対応してまいります。

○斉藤委員 本日質問は予定しておりませんが、障害のある方や高齢者、または小さなお子さんや赤ちゃん連れの方に対する配慮というものは、整備された施設があればそれでいいというわけでもないと考えております。
 整備された施設があることが望ましいのは当然ですが、施設にもしも完璧な配慮がまだ備わっていなかったとしても、そこを補う私たち一人一人の意識、思いやる心が、社会に本当のバリアフリーをもたらすものであると考えております。
 東京二〇二〇大会の準備に当たっては、そういった観点から、今後はより一層、互いの違いを知り、その上でお互いを認め合うダイバーシティー・アンド・インクルージョンの実現に向けて、特にソフト面の取り組みを加速化させていただけますよう要望申し上げまして、次の質問に移ります。
 大会機運醸成事業について伺います。
 東京にとって二度目のオリンピック開催、また初のオリンピック・パラリンピック同時開催という記念すべき大会に向けて、関係局の皆様の取り組みもいよいよ大詰めとなっていくことと思います。
 歴史的な、そして個人個人の人生においては恐らくまたと来ないような瞬間がやってこようとしています。大会まであと二年を切っておりますが、実際に大会都市ボランティアの募集なども始まり、ますますの国民への機運醸成が必要であり、大会に付随するさまざまな変革についても期待していただけるような発信が、今後も求められていると考えております。
 民間企業等の各社が行っている二〇二〇東京大会に対する意識調査を見てみますと、しかし、国民の関心はまだまだ総じて高いとはいえません。特に五十歳未満の世代はやや関心が薄れ、関心がない、どちらかというと関心がないと答えた層が、三十代では約三六%に及んでおります。ほかの類似調査を幾つか見ておりましたが、押しなべて四割程度が、どちらかというと関心がないと返信していることがわかりました。
 この関心がないという層をどれだけ引き込んでいけるかというのが、まさに準備局の皆様のさまざまなアピール、機運醸成事業にかかっていると思います。
 オリンピック大会は国際大会ですが、開催都市である日本特有の気質や性質を熟知しているのは私たち日本人でありまして、まさに国内を対象とした機運醸成事業は、準備局の皆様にとっては何よりも腕の見せどころとなる、かゆいところに手が届くといった施策が期待できる分野なのではないでしょうか。
 さまざまな調査の傾向を読み取りながら、また、実際に事業を行いながら得た知見を今後にぜひ生かしていただきたいと思います。
 まず、大会機運醸成事業のオリンピック三年前イベントの実施内容と、その実績について伺います。

○丸山事業推進担当部長 昨年七月二十四日に東京二〇二〇オリンピック競技大会の三年前を記念し、大会機運醸成を図るため、都民広場においてカウントダウンイベントを実施いたしました。当日は、全国巡回の本格的なスタートとなるフラッグツアーの盛り上げイベントも同時開催し、効果的な盛り上げを図りました。
 主な実施内容としては、オリンピアン、パラリンピアン、二十七名が参加したトークセッションを通じて、大会開催への期待感を盛り上げるとともに、フラッグツアーの次の訪問県の代表であるアスリートにオリンピック・パラリンピックフラッグを手渡すセレモニーを実施いたしました。その際には、全国の道府県から百名を超える職員の方々も来場し、盛り上げに参加していただきました。
 当日は約五千人が来場するとともに、多くのメディアで取り上げていただき、大会三年前の節目に東京二〇二〇大会を国内外に強く印象づけ、大会機運の盛り上げを図ることができたと考えております。

○斉藤委員 こちら都民広場で行われた三年前イベントは、都議になりたての自分も参加させていただきました。平日夜間にもかかわらず、非常に多くの人が来場されており、大会に向けての期待や熱気が、その場所にはいなかった地方や海外の方にもきっと伝わったのではないかと考えております。
 また、ただいま説明もありましたけれども、実際には、当日いらしてくださった方に加えて、その様子をテレビや動画中継で見た、もしくはツイートやインスタグラムなどSNSで見たという方の数は、数えようとすれば、恐らく桁違いにはね上がるものであると思われます。
 このイベントを動画で見て、何だろう、実際にその場所に行ってみたかった、次は行ってみよう、大会のときは行ってみようと思っていただけることも多数あるはずですので、今のご答弁では少しご謙遜が過ぎるような気もしております。
 大会にかかわる、大会を応援するという意味では、その場所にいなければいけないということは必ずしもないというようにも考えております。
 ただ、できる限り、本大会開催のときには、実際に会場に来ていただいたり、ボランティアなどの活動にも参加をしていただきたいと思うと、大会が開催される期間には家族の休みを調整して会場に行こうと、今から話をしてもらったり、奥様がボランティアをやりたいから、それに向けてご主人も簡単な料理ぐらいできるようになって、お子さんを長時間でも面倒を見られるようにしておこうなど、今からさまざまな準備をご家庭やそれぞれの生活の中で始めていただくことも必要だと考えております。
 そのため、今の段階で、それくらいの熱い思いを持っていただけるように、都内や全国各地でオリンピック大会を少しでも体感できる場所が必要です。
 そこで、平成二十九年度は平昌冬季五輪大会がありましたので、その大会時に行った東京二〇二〇ライブサイトイン二〇一八という事業がございましたが、ここではどのような取り組みを行ったか伺います。

○丸山事業推進担当部長 ライブサイトは、東京二〇二〇大会における盛り上げの核となる取り組みであり、平昌二〇一八冬季大会期間中には、機運醸成と本番に向けたトライアルの目的で、都内三会場、被災地である東北三県と熊本県で開催いたしました。
 各ライブサイト会場では、大画面での平昌大会の競技の生中継を初め、競技体験、アスリートのトークショー、地域の学校や団体等によるステージプログラム、大会パートナーによる出展など、多様な内容を実施いたしました。
 実施に当たり、競技中継では、日本代表の活躍が期待される競技を中心に放映を行い、盛り上げを図ったほか、競技体験では、東京二〇二〇大会の新種目も加えたオリンピック・パラリンピックの十二競技を実施いたしました。
 また、大会パートナーによるブースやステージイベントなども実施されました。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 ちょっとこの予算が、非常に経費が高いということも気になるところではありますが、あえて大画面というところが一つポイントでもあると考えております。
 そこで、この平昌大会のライブサイトの実施により、どのような効果があったのか伺います。

○丸山事業推進担当部長 平昌大会時に都が実施した都内三会場及び被災地四会場のライブサイトは、来場しやすい土日を中心に延べ十二日間開催し、約十五万人の来場者がございました。
 ライブサイト会場で実施したアンケートでは、東京二〇二〇大会でもライブサイトで競技観戦したいという回答が九割、東京二〇二〇大会への期待が高まったとの回答が八割という結果でございます。
 また、テレビや新聞、雑誌等、各種メディアで多数取り上げていただき、大会開催機運の醸成に大きな効果があったと考えております。
 加えて、大会本番に向けたトライアルとして、ボランティアの公募を行い、都内会場における会場案内や競技体験補助などの活動を行っていただきました。
 また、セキュリティーカメラによる監視を取り入れた警備を行うなど、運営上のノウハウを蓄積することができました。
 今後、こうした取り組みを踏まえ、東京二〇二〇大会のライブサイトの準備を着実に進めてまいります。

○斉藤委員 私は先日、八月の二十一日、二十二日と、かねてから予定していた文教部会の視察で、こちらにおります米川都議を初め総勢六名で、秋田県に伺っておりました。
 視察目的は、性教育の内容や文化施設ということだったんですが、本当に奇跡的なことなんですけれども、この二十一日は秋田県立金足農業の高校野球の決勝戦が、遠いところ、甲子園で行われておりまして、重ねてになりますが、それは全くの偶然でありまして、私たちは金足農業の地元を視察するために伺ったわけではございません。
 けれども、この日、到着してからすぐに、まちの空気が非常に高揚しているということに気がつきました。視察の最終地は県立の文化施設だったんですが、まさにその施設の横の広場スペースがライブサイトと化しておりまして、ここには老若男女、興奮して、全身金足農業カラーの紫で駆けつけたかのような人たちもたくさんおりました。
 視察の終了後、広場に出てみると、ちょうど試合が終わるところで、試合は残念ながら金足農は敗退してしまったわけですが、そのとき皆さん、立ち上がって、大きな声で大画面に向かって、口々にありがとう、ありがとうと叫んでおられました。タクシーの運転手さんは、もう仕事なんてしていられないと、皆さん早目に切り上げて応援するんだとおっしゃっておりました。
 負けてしまったけれども、秋田県の誇りをつくってくれてありがとう、頑張ってくれてありがとうと、知らない人とも背中をたたき合い、画面の選手たちに届けとばかりに大きな拍手を送っておられました。それは決して、ご自宅で一人で観戦していたのでは得られない衝撃的な感動であったと私は認識しております。
 スポーツは、勝ち負けももちろん大事ですが、それと同じくらい大切なことがあるとすれば、それは、見る人の心に与えてくれる勇気や感動、また記憶だと思います。そして、与えられる勇気や記憶は、自分一人で抱いていくよりも、人と共有することで何倍にもなるものだと考えております。
 ライブサイトは、今、一人一台スマホを持ち、好きにいつでもどこでも映像を見られるというこの今の時代にこそ必要なものといえるかもしれません。スマホを一旦しまってもらって、みんなで一緒に見上げる大画面があるということで、自分が得ている感動を隣にいる人ともリアルタイムに共有することができます。
 局の取り組みは、大会の効果を何倍にも広げて波及させていくことにつながると信じております。どうか今後とも、さまざまな機運醸成事業に取り組んでいただきますようよろしくお願いいたします。
 以上で私の質問を終わります。

○清水委員 よろしくお願いいたします。
 私からは、区市町村スポーツ施設整備費補助について伺いたいと思います。
 本制度は、大会成功に向けた区市町村支援でございまして、身近な地域におけるスポーツの場の拡大を目的として、平成二十六年度から実施しているものであります。
 平成二十九年度からは、公園内に運動器具、これは遊具じゃなくて、運動器具を整備する工事を補助対象としております。
 私はこういった公園整備といいますと、黒澤監督の「生きる」という映画を思い出すわけでございまして、がんで余命幾ばくもないと悟った市役所の課長さんが、これまでの無意味な人生を悔い、最後に市民のための小さな公園を建設しようと奔走するという内容でございました。皆さん、多分ごらんになった方は多いかと思います。
 最後の、ブランコに一人揺られているシーンを見ますと、人生というのはどんなものなのかなとしみじみ考えてしまうわけでございますけど、私もこういった地域のまちづくりに携わる者の一人として、この主人公の方と同じような情熱を持って取り組んでいきたいなと思っているわけであります。
 本事業につきましては、我が党もリオデジャネイロ大会の現地視察を契機に、一般質問で取り上げさせていただきました。リオでは、まちじゅう至るところに運動器具が整備されていることを目の当たりにいたしまして、本事業は大会後の重要なレガシーに結びつくのではないかと、事業の加速化を要望したものでございます。
 そこでお伺いしたいと思いますが、公園内に運動器具を整備する工事を補助対象に加えられた狙いと平成二十九年度の補助実績や執行状況について伺いたいと思います。

○小室スポーツ推進部長 区市町村に対するスポーツ施設整備費補助制度は、二〇二〇年までに都民のスポーツ実施率七〇%を達成するために、スポーツ環境の充実、拡大を図ることを目的として、平成二十六年度より実施しております。
 平成二十九年度からは、身近な憩いの場である公園を活用し、区市町村による、主として大人を利用対象とする公園内運動器具整備事業を補助対象に追加したところでございます。
 平成二十九年度は八地区をモデル地区として認定し、ストレッチや筋力アップ、バランス機能向上のための運動器具の設置などについて、約一千九百万円の補助を行い、執行率は五〇・二%でございました。

○清水委員 ありがとうございました。二十九年度は八地区で本制度が活用されたとのことでございます。懸垂棒ですとか、あるいは腹筋台といった、そういった運動器具が整備されていることによりまして、地域の公園で、高齢者にとっても身近な体力づくりの場になったんじゃないかなと思うわけであります。
 しかし、ただいま部長からご答弁ありましたとおり、平成二十九年度の本事業の予算は三千七百五十万円でしたが、千九百万円ぐらいだというふうな実績でありまして、事業の執行率も残念ながら五〇%ちょっとだということでございました。
 そこで、この事業執行率が余り上がっていない、その要因について伺いたいと思います。

○小室スポーツ推進部長 公園内運動器具整備事業は、区市町村が既存の公園に運動器具を設置する際に、一公園当たり七百五十万円を上限とし、運動器具購入費、設置工事費等の二分の一を補助するものでございます。
 平成二十九年度につきましては、工事一件当たりの規模が少額であったことや、複数年度にまたがる事業について、例えば地域住民との調整に時間がかかった等の事情により、当該年度の補助対象工事が執行されなかったこと等が要因として挙げられます。

○清水委員 ありがとうございます。確かに区市町村それぞれの地域事情もありまして、思いどおりに事は運ばないのかなと思うわけであります。
 まして本事業があくまで既存の公園を対象にしていることを鑑みますと、子供たちが使っている遊具を撤去してまで運動器具を設置するには、やはり二の足を踏んでしまうんじゃないかなということもあったのではないかと推察されるわけでございます。
 そこで、改めて確認したいと思うんですが、平成二十九年度、本事業について具体的にどのような成果や感想が寄せられているのか、お伺いしたいと思います。

○小室スポーツ推進部長 区市町村に対し、効果検証のための調査を行いましたところ、地域住民の運動習慣、意識の向上について、一定の効果がございました。
 例えば、ある自治体では、公園内に複数の運動器具を設置し、それらを活用した運動教室を定期的に開催したところ、参加者の多くに運動の習慣化が見られた、参加者の体力年齢が実年齢より若くなったなどの報告がございました。
 また、別の自治体では、本補助制度により運動器具を設置した公園を、既存のウオーキングマップの中で紹介する取り組みを実施し、高齢者が散歩の途中で運動器具を活用することで、運動に対する意欲が向上した、他世代との交流やコミュニケーションの機会が増加したとの声が寄せられました。

○清水委員 ありがとうございます。若返りや運動意欲の向上など具体的な成果や意見が寄せられ、しっかりと本事業は効果があらわれていると思うわけであります。まさに二〇二〇年大会のレガシーに結びつく取り組みの一つになるのではないかなと思うわけであります。
 また、近年、公園活用のあり方に対する検討が各所でなされているわけでありまして、ボール遊びが、植栽の保護や一般来客者の危険性を考慮し、原則禁止されている一方で、本事業のように公園を活用した健康づくりも実施されているわけであります。
 他方、地域では、宅地やマンションの開発行為が行われるたびに、それに伴います提供公園が多数設置されておるわけであります。
 ちなみに、提供公園の研究をなさっている機関がございまして、提供公園、いわゆるポケットパークみたいな小さな公園ですね、これが周辺の地価にどのような影響を与えるかというふうなことなんですが、どうやら二百平米以下だと地価にはマイナスになる、五百平米を超えるとプラスになるという研究成果があるそうです。
 これは、住宅の密集地と、どっちかというと郊外では、やはり使われ方が違うと思うんですが、そのような研究がある中で、どこでも一様に提供公園が、象さんの滑り台ですとか、最近はブランコみたいに動くものも置かなくなってきたそうなんですね。ジャングルジムみたいに動かないものの方が安全だということで、何の公園だかわからなくなってきたんですが--そういった一様な、一律的な整備をするのではなくて、例えばボール遊びができる公園ですとか、本事業のような健康増進の運動器具が整備される公園など、地域に散在する公園に機能別に特色を持たせていただけるよう、区市町村の取り組みを東京都が背中を押してあげられるような、そういった事業にしていただければありがたいなと、ちょっと建設局っぽいような質問になってしまいますが、そのようなことを考えておるわけであります。
 そういった意味では、本事業は絶対、この大会終了後のレガシーにつなげていただきたいような事業の一つであるかと思うわけでございます。
 そのためには、本事業の目的をしっかりと捉え、この事業の正当性を証明しなければならないかと思うわけであります。
 そこで、本事業の目的は、身近にスポーツを楽しむことのできる場の確保、ひいては二〇二〇年までに都民のスポーツ実施率七〇%の達成ということでございますが、この目標達成に向けて、これまでの取り組みと今後の対応について伺いたいと思います。

○小室スポーツ推進部長 スポーツ実施率七〇%の達成に向けましては、身近でスポーツに親しむことができる場の確保や機会の創出を行うとともに、世代別の特性に応じたきめ細かな施策の展開が重要でございます。
 そのため、場の確保としては、公園内運動器具整備事業を初め、スポーツ施設整備費補助制度により、身近な地域でのスポーツの場の拡大に努めているところでございます。
 また、機会の創出としましては、スポーツの感動を伝えるとともに、都民のスポーツへの興味、関心を喚起するため、スポーツ博覧会やTOKYOウオーク等のイベントを実施しております。
 世代別の特性に応じた施策としましては、働き盛り世代のスポーツ活動を推進する東京都スポーツ推進企業認定制度や、子育て世代が親子で気軽にスポーツを楽しむことができるファミリースポーツ促進事業などを実施しております。
 こうした取り組みを通じて、スポーツ実施率七〇%の達成を目指してまいります。

○清水委員 ありがとうございました。
 申すまでもなく、都民のスポーツ実施率七〇%の達成は、関連いたします東京都の幾つかの施策、また区市町村の協力によってなし遂げられるものだと思うわけでございます。
 ご答弁のように、利用者の体力向上を初め、さまざまな面で大きな成果があったということでございますが、今後もこの効果を都内の自治体に広く周知をしていただきまして、身近な地域におけますスポーツの場がさらに拡大するよう、東京都としても積極的に取り組んでいただきますようお願い申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○のがみ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○のがみ委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上でオリンピック・パラリンピック準備局関係を終わります。
 以上をもちまして第二分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第二分科会を閉会いたします。
   午後二時五十七分散会

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