委員長 | 小宮あんり君 |
副委員長 | 村松 一希君 |
副委員長 | 伊藤こういち君 |
藤井あきら君 | |
菅野 弘一君 | |
小林 健二君 | |
原田あきら君 | |
上田 令子君 | |
入江のぶこ君 | |
森村 隆行君 |
欠席委員 なし
出席説明員産業労働局 | 局長 | 藤田 裕司君 |
次長 | 十河 慎一君 | |
総務部長 | 寺崎 久明君 | |
産業企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 武田 康弘君 | |
商工部長 | 坂本 雅彦君 | |
金融部長 | 加藤 仁君 | |
金融支援担当部長 | 川崎 卓君 | |
観光部長 | 小沼 博靖君 | |
観光振興担当部長 | 鈴木 誠司君 | |
農林水産部長 | 上林山 隆君 | |
安全安心・地産地消推進担当部長 | 龍野 功君 | |
全国育樹祭担当部長 | 村西 紀章君 | |
雇用就業部長 | 篠原 敏幸君 | |
事業推進担当部長 | 蓮沼 正史君 |
本日の会議に付した事件
平成二十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
産業労働局関係
・平成二十九年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十九年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算(質疑)
・平成二十九年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算(質疑)
・平成二十九年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算(質疑)
○小宮委員長 ただいまから平成二十九年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会します。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、産業労働局関係の決算に対する質疑を行います。
これより産業労働局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十九年度東京都一般会計決算中、産業労働局所管分、平成二十九年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算、平成二十九年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算及び平成二十九年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算を一括して議題とします。
本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求した資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○寺崎総務部長 去る十月十二日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の平成二十九年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料の表紙をおめくりください。
目次でございます。資料は全部で二十項目ございます。
一ページをごらんください。このページから三ページにかけまして、中小企業対策、農林水産対策、雇用就業対策の過去五年間の予算額、決算額の推移をそれぞれお示ししてございます。
四ページをお開きください。就職困難者緊急就職支援事業につきまして、過去五年間の雇用形態別就業実績の推移をお示ししてございます。
五ページをごらんください。新・元気を出せ商店街事業につきまして、過去五年間の実績をお示ししてございます。
六ページをお開きください。小売商業後継者育成・開業支援事業、商店街パワーアップ基金事業、商店街起業促進サポート事業につきまして、過去五年間の実績をそれぞれお示ししてございます。
七ページをごらんください。商店街パワーアップ作戦につきまして、過去五年間の支援実績をお示ししてございます。
八ページをお開きください。東京都における新規就農者数の過去五年間の推移をお示ししてございます。
九ページをごらんください。正規雇用等転換促進助成事業につきまして、平成二十七年度以降の実績をお示ししてございます。
一〇ページをお開きください。多摩産材取扱量の過去十年間の推移をお示ししてございます。
一一ページをごらんください。都内の民間企業における障害者雇用の過去五年間の推移につきまして、障害種別等の区分別にお示ししてございます。
一二ページをお開きください。女性しごと応援テラスの新規利用者数、就職者数、延べ利用者数の推移及び女性の就職支援の数値目標と達成状況をお示ししてございます。
一三ページをごらんください。このページから一四ページにかけまして、労働相談情報センターに寄せられた相談の内訳と過去五年間の推移をお示ししてございます。
一五ページをごらんください。東京都中小企業制度融資保証債務履行補助金につきまして、過去十年間の実績をお示ししてございます。
一六ページをお開きください。中小企業向けファンドへの都の出資額及び支援企業数をお示ししてございます。
一七ページをごらんください。金融機関と連携した事業承継支援につきまして、平成二十八年度以降の実績をお示ししてございます。
一八ページをお開きください。東京ビッグサイトの利用制約等の状況をお示ししてございます。
一九ページをごらんください。有明体操競技場の後利用に関する検討経緯及び調査の概要をお示ししてございます。
二〇ページをお開きください。産業労働局所管の附属機関の委員報酬額及び過去三年間の開催状況をお示ししてございます。
二一ページをごらんください。このページから二三ページにかけまして、監理団体及び報告団体の職員構成の過去五年間の推移につきまして、都派遣職員、固有職員、都退職者の区分別にお示ししてございます。
以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○小宮委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○藤井委員 産業労働局の平成二十九年度決算について質疑をいたします。
産業労働局の一般会計歳出は三千七百五十三億四千九百万余円で、執行率は七九・三%でした。予算で計画されたとおり、東京の産業の持続的な発展に向けた施策を計画的に実施いただいたと理解をしております。
事前にご説明いただいた決算概要から、平成二十九年度の産業労働局の主要事業のうち、以下の四点を中心に質疑をさせていただきます。
柔軟な働き方を実現する環境整備への支援強化、つまり働き方改革やテレワークなどに関してです。二点目が起業、創業の一層の促進に関するもの、三点目が外国人旅行者のさらなる誘致や受け入れの環境の整備に関するもの、四点目が地域経済を支える農林水産業の活性化に関するものです。
都民ファーストの会東京都議団が進める都民一人一人がその人らしく活躍できる都市東京の実現に向けて、人に着目した質疑を行ってまいります。
まず、都の働き方改革に関する取り組みについてお伺いしてまいります。
働き方改革は、少子高齢化、人口減少が進む日本において、労働生産性を高めるために非常に重要な取り組みです。さらに、育児や介護と仕事の両立など、働き方へのニーズは多様化しています。労働力人口不足に対応するためには、高齢者や女性など、これまで働いてこなかった層への就業機会の拡大や、意欲、能力を存分に発揮できる環境をつくることが重要になります。
国でもことし六月、働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律が成立をいたしました。
私の昨年平成二十九年第三回定例会の一般質問において小池知事は、誰もが生き生きと活躍できるダイバーシティー東京の実現に向けては、働き方改革は不可欠とご答弁をいただいております。
平成二十九年の主要な施策の一つに働き方改革推進事業があります。約五億二千万円の予算に対して執行率は九三%でした。この働き方改革推進事業、TOKYO働き方改革宣言企業の内容と目的、その実績についてお伺いいたします。
○篠原雇用就業部長 TOKYO働き方改革宣言企業制度でございますが、この事業は、より多くの企業に働き方改革に取り組んでいただくために、長時間労働の削減や有給休暇の取得促進などを進める企業を支援するものでございます。
宣言を行った企業では、従業員の勤務実績、実態を把握した上で、原因や課題を分析し、二、三年後の目標を設定して、みずからの改革に取り組んでいただいております。
こうした作業は、企業にとりましては時間と人手を要するものでございますので、都は、中小企業でもちゅうちょなく取り組めるように、奨励金による後押しを行っております。
この事業の昨年度の実績でございますが、宣言企業数は千二十一社、そのうち奨励金を活用した企業は九百七十八社でございます。
○藤井委員 私、以前、IT企業で法人担当の営業をしておりました。当時、まさにやっていたのが、お客様の働き方をITツール等を使って改革するということでした。もう五年以上前のことですので、まだ働き方改革という言葉がそんなに出てこなかったころだったと記憶をしております。
ITツールの導入プロジェクトを実施する際に、常に気をつけなければいけないのは、導入自体が目的となってしまうことです。ITツールの導入はあくまで手段でございます。実は働き方改革も、この手段である点に注意をしなければなりません。
現場からすると、社長から、はやりの働き方改革や、この後質問させていただきますテレワークを進めるようにといわれ、導入自体が目的となってしまうケースはよくあります。
しかし、働き方改革を実施することによって、労働時間の削減や、育児、介護に直面した人も働き続けられる環境を提供するなど、目的ごとに取り組む内容もさまざま変わってまいります。ですので、働き方改革に向けて、各企業が、まず目標、取り組み内容を設定して、制度を整備するためのサポートをする本事業、大変意義深いものであると考えております。
働き方改革はあくまで手段であるということを前提に、より一層の普及、そして、さまざまな目的に応じた働き方改革をサポートするよう期待いたします。
さらに、働き方改革を進めるためには、既に取り組みを進めている会社の事例を幅広く共有することなど、重要であると考えております。
働き方改革の推進に向けて、平成二十九年度の取り組み状況を踏まえ、今後の展開、方針についてお伺いいたします。
○篠原雇用就業部長 働き方改革の推進に当たりましては、委員のお話にもございましたように、本年六月に働き方改革関連法案が成立するなど、働き方改革に向けた社会的機運が高まっているこの機会を捉えまして、改革に取り組む企業の裾野の拡大を図りますとともに、既に取り組みを始めている企業に対しても、さらなる改革を促すことが重要と考えております。
これまで都は、経済団体とも連携しまして、その会員企業などに対して改革に向けた啓発を行ってまいりました。今後は、新たに連携協定を締結しました金融機関とも連携協力し、都内企業に都の施策を紹介しますとともに、必要な支援を提供してまいります。
また、企業においてさらなる改革を促していくために、働き方改革宣言企業の先進的な取り組み事例を取りまとめまして広く配布しますほか、企業が相互に情報交換できる場を提供するなど、引き続き企業の取り組みを後押ししてまいります。
○藤井委員 働き方改革への機運の高まりを捉えての施策、期待をしております。
働き方改革は、目的そのものではなく、あくまで手段であることを忘れることなく、さらに施策を推進していただくことを要望いたします。
続きまして、女性の就労支援についてです。
平成二十九年三月二十八日に発表された国の働き方改革実行計画では、多様な女性活躍推進が一つの大きな柱となっております。
これも昨年の私の一般質問で取り扱ったものですが、都も、飯田橋にある東京しごとセンター、女性しごと応援テラスで、出産や育児などで一旦退職をした女性が再び社会で活躍できるよう、再就職に向けた支援を行っております。
実は、私には妹が二人おりまして、そのうちの一人がつい先日、十二年間の専業主婦生活を経て再就職いたしました。その際、試しに女性しごと応援テラスの方も利用をしてもらいました。タイミングもあり、最終的にはハローワーク経由で仕事を見つけましたが、感想を聞いたところ、仕事を見つけるという目的に対しては、女性しごと応援テラスよりもハローワークの方が企業数、登録数が多かったりして、選択肢が多いと感じたそうでございます。
女性の再就職支援をさらに進めるためには、国のハローワークと連携することは重要と考えますが、平成二十九年度の取り組み状況をお伺いいたします。
○篠原雇用就業部長 女性の再就職支援におきましては、都の特色である、きめ細やかなキャリアカウンセリングやセミナー等の企画力を生かしながら、都内十七カ所のハローワークが持つ発信力や膨大な求人情報、膨大な求職者の情報を適切に活用していくことが効果的であると考えております。
このため、昨年度は、求職者セミナー、講演、合同就職面接会、キャリアカウンセリングなどを一体的に行いますイベントをハローワークと連携して四回開催し、千二百十九名の方にご来場いただきました。
また、多摩地域の女性再就職支援に向けまして、セミナー、職場体験、マッチングなどを組み合わせた多摩地域女性就業支援プログラムを多摩地域のハローワークと連携して新たに実施いたしまして、三十四名の方に受講いただいております。
○藤井委員 ぜひ今後とも、長期間離職し、職場復帰に不安がある方に対しまして、キャリアカウンセリングや就職活動の進め方や、就業に必要なスキルを学び直すセミナーなどを通じて、女性の再就職支援を進めていっていただきたいと思います。
働き方改革の起爆剤としてテレワークがございます。テレワークを活用した柔軟な働き方が広がることで、育児や介護をしながら働き続けることができる、企業においても人材の確保、人材の活用に選択の幅が広がってまいります。
小池知事も、テレワークがレガシーとなったロンドン大会のロンドンのように、二〇二〇東京大会のソフト面でのレガシーとして、テレワークを定着されるという発信をしております。
都の二〇二〇年に向けた実行プランの政策目標では、テレワークの導入を、二〇一七年の六・八%から二〇二〇年に三五%にするという挑戦的な目標を掲げております。都としてどのようにこの目標を達成しようとしているのか、取り組みの考え方と平成二十九年度の事業の概要についてお伺いいたします。
○篠原雇用就業部長 テレワークの目標達成に向けましては、まず普及啓発によりテレワークを知ってもらうこと、二点目に、実際の機器やツールに触れていただいて体験してもらい、テレワークのよさを理解してもらうこと、そして三点目に、必要な情報を得て、実際のテレワーク導入に着手してもらうことが重要だと考えております。
このため、都は、昨年度、イベントやさまざまなメディアを通じまして普及啓発を行ったことに加え、東京テレワーク推進センターに機器などを設置して、体験の機会を提供してまいりました。
さらに、業種業態ごとに異なるテレワークの課題やノウハウを収集し、提供していくためのモデル実証事業を実施しましたほか、テレワーク導入経費に対する助成などにも取り組んだところでございます。
○藤井委員 私、IT企業で働いていましたころ、入院する妹、先ほどの再就職した妹とはまた別の妹なんですが、看病しながら、テレワークの仕組みやフレックスタイムの制度を活用して、病院やカフェなどの一室から社内の会議に参加したり、そのまま直接お客様先に訪問したりという柔軟な働き方をしてきた経験がございます。家族との時間を大事にしながら働くことができて、大変助けられたことを覚えております。その経験から、制度とITの仕組みを整えて、社内の風土や文化などの環境が整うことで、テレワークは実現可能だと確信をしております。
企業の皆様が、自分たちもテレワークを利用できると考えてもらうためには、体験できる機会は大変重要だと考えております。
平成二十九年度、都が取り組みました東京テレワーク推進センターの設置についてお伺いします。
二十九年度の予算額約一・二億円に対し、執行率はほぼ一〇〇%となっております。この平成二十九年度の東京テレワーク推進センターの概要、利用者数、実施内容についてお伺いをいたします。
○篠原雇用就業部長 昨年七月に開設しました東京テレワーク推進センターでは、来訪者が気軽にテレワークを体験いただけるように、最先端の機器やツールを展示しております。
また、年間を通じてさまざまなテーマでセミナーを開催するほか、文献や導入事例のパネルなどを備えておりまして、情報提供やノウハウの紹介を行っております。
さらに、業務改善やITに精通しましたコンシェルジュを配置しておりまして、労務管理や情報セキュリティーの問題など、広く企業の相談に応じております。
昨年度は、七月の開設以来、こうしたサービスを提供してまいりまして、幅広い業種や規模の企業などから、三千五百五十五名の方に来場いただいております。
○藤井委員 気軽にテレワークが体験できるように、最先端機器を整えて、セミナーなどを通じて集客をされているということがよくわかりました。ぜひ今後とも、周知に力を入れるなど、東京テレワーク推進センターが、より多くの方々に利用されるよう推進をお願いいたします。
テレワークも、導入すること自体が目的ではなく、解決したい課題に対する手段の一つであります。そのため、事情の異なるさまざまな企業のそれぞれの目的に応じたテレワークの活用の事例を、ほかの会社に共有することは重要だと考えております。
平成二十九年度、テレワーク活用推進モデル実証事業に一億一千三百万余円の予算がつき、こちらもほぼ一〇〇%執行されていることを確認しております。このテレワーク活用推進モデル実証事業の内容とその成果についてお伺いをいたします。
○篠原雇用就業部長 企業におきますテレワークの導入に関しましては、業種、職種や企業規模によって、活用方法や課題も異なっているものでございます。
このため、東京都は、さまざまなテレワーク導入の事例、それぞれの課題やノウハウを収集し、これを広く発信するために、テレワークの活用を実証するモデル事業を実施してまいりました。
昨年度は、七業種、十九の企業に参加いただき、労働環境の整備から機器の導入、運用までを一貫して都が支援いたしまして、在宅勤務やサテライトオフィスの活用など、企業の実情に応じたテレワークに取り組んでいただいたところでございます。
この事業の結果から得られたノウハウや企業ごとの課題につきましては、今年度、事例集として整理し、企業などに向けて広く発信しますほか、セミナー等で活用してまいります。
○藤井委員 企業の業種や規模、その目的に応じたテレワークの活用事例をつくり、ノウハウや課題を広く共有することで、テレワークの推進に向けて取り組んでいることが理解できました。
私は、テレワークを実現するITのシステムも販売していたことがございまして、いろいろと話を聞いておりますと、経営に余力のある大手企業や採用に力を入れているベンチャー企業では、どんどんと導入が進んでおります。一方で、企業数では多数を占める、いわゆる中小企業での導入というのはなかなか難しい様子が見てとれます。
ぜひ今後は、そういった中小企業でも導入が進むように、事例の共有など普及啓発により一層努めていただきたいと思います。
昨年の私のまた一般質問でも触れましたが、テレワークは認知度が低く、普及がいまいち進んでいないという課題がございました。その際の答弁で、国のテレワークデーと連携した機運醸成のイベントや、民間での導入事例、成果等を多面的に発信することで、認知度を高めて普及を促進していくという回答をいただきました。
その後の普及啓発の実施状況、成果などをお伺いさせていただきます。
○篠原雇用就業部長 普及啓発の昨年度の取り組みについてでございますが、まずテレワーク推進センターにおきましては、導入事例やノウハウを提供するセミナーを三十三回実施しましたほか、さまざまな相談に応じ、都内二十カ所で出張型の体験セミナーを開催いたしました。
次に、メディア等での発信については、PR動画をトレインチャンネルなどで放映しましたほか、企業の取り組み事例を新聞やビジネス雑誌、ウエブサイト等を通じて紹介いたしました。
このほか、国と連携したイベントにつきましてですが、本年七月に、国の取り組みであるテレワークデーズの初日に合わせまして、丸の内において開催し、テレワークの導入のメリットや好事例の紹介などを行っております。
こうした取り組みの成果としまして、都内の企業のテレワーク導入率は、都が従業員三十人以上の企業を対象に実施した調査では、昨年度の六・八%から、今年度は一九・二%に拡大しております。
○藤井委員 昨年度の六・八%から、今年度は一九・二%に拡大している、大幅な拡大をしているということで、大変期待が持てる結果が出ているなと思いました。
知事も、メディアなどでテレワークについて発言をされておりますし、都庁が一丸となって積極的な普及啓発をすることで、企業におけるテレワークの導入が急拡大しているということが確認できました。
引き続き、ロンドンのように、テレワークを二〇二〇東京大会のレガシーとすべく、取り組みを続けていただきますよう強く要望いたします。
続きまして、創業支援に関してお伺いをいたします。
創業のしやすさは、都市の魅力の一つになってきております。意欲や能力のある人材を引きつけ、自由な発想でビジネスを通じて新しい価値を創造していく、これは経済の発展にとって不可欠でございます。
今月十八日、森記念財団都市戦略研究所が世界の都市総合ランキング二〇一八を発表いたしました。東京は三年連続の三位になりましたが、二位のニューヨーク、一位のロンドンとの差は拡大しております。
その要因の一つが、今回新たに追加されたスタートアップ環境です。スタートアップとは、いわゆるベンチャー企業のことですが、スタートアップ企業数や投資額、ベンチャーキャピタル数などを分析した指標で評価が高かったニューヨークは、研究、開発の分野、そして経済分野でも高スコアを獲得しています。創業のしやすさは、都市の魅力をはかる指標の一つともなっている現状でございます。
二〇二〇年に向けた実行プランの政策目標では、都内の開業率を、二〇一七年度の五・九%から、二〇二四年度には米国、英国並みの一〇%台にすることを掲げています。
最初に、この目標を達成するための都の取り組みをお伺いいたします。
○坂本商工部長 都は、創業の活性化を図るため、起業とその後の経営の安定や発展に向けたさまざまな支援を行っているところでございます。
具体的には、創業希望者の掘り起こしを図るため、各種のイベントやセミナーによる普及啓発のほか、意欲ある若者のすぐれたアイデアを表彰し、起業に結びつける後押しなどにより、創業に向けた機運の醸成に取り組んでいるところでございます。
また、起業に関する相談や助言などの支援に加え、低廉な家賃によるスペースの提供のほか、開業に必要となる経費への助成や融資など資金面からのサポートも行っております。
さらに、創業後の海外展開などを支援するため、事業の拡大に必要となる知識やスキルの習得のほか、取引先の開拓や資金の確保に役立つ機会の提供などを行っているところでございます。
○藤井委員 創業希望者の掘り起こしから、情報収集やプランを練り上げる創業準備期、そして具体的な法人設立などの創業期、さらに、資金を調達して人材採用が必要となる成長期などにわたって、東京都が幅広く創業を支援していることがわかりました。
都の行うビジネスプランコンテスト、TOKYO STARTUP GATEWAYも注目を集め、応募が年々ふえていると聞いております。青山スタートアップアクセラレーションセンターにおけるプログラムを受けた企業から、次のステップへの成長のためのビジネスプランの磨き上げや人脈づくり、また、東京都から支援されているという信頼性の面でビジネスを広げるのに大変役立ったという話も聞いております。
創業支援の中でも、潜在的起業家や創業準備を進める起業家の掘り起こしは重要になります。
平成二十九年から始まったTOKYO創業ステーションなどにおいてどのように取り組んだか、お伺いいたします。
○坂本商工部長 都が設置をいたしましたTOKYO創業ステーションでは、創業を希望する方を幅広くサポートするため、事業のアイデアを具体化する上での基本的な情報やノウハウを学び、計画をつくり、その内容を実現できるよう、きめの細かいサービス提供を行っているところでございます。
具体的には、創業に関心のある来訪者のさまざまな相談について、起業の経験のある十五名をコンシェルジュとして配置して、年間二千六百九十五人に対応を行ったところでございます。
また、事業の立ち上げに成功した経営者から直接に話を聞くことのできる交流イベントなどを四百三十回開いて、一万六千六百二十四人に対して創業に向けた後押しをいたしました。
さらに、創業の準備に取り組む場合、経営の基本をセミナー形式で学ぶことのできるコースを用意し、事業の計画をまとめ上げるために、専任の専門家がサポートするプランコンサルティングも実施をしたところでございます。
これらによりまして、同ステーションには、二十九年度末までに一万四千五百八十一名が会員登録をして、一連の仕組みを利用して、年間九十九名が事業計画を完成する実績を上げているところでございます。
このほか、都からサポートを受け、事業開始のめどが立った起業家など百十五人に対して、三百万円を上限に、人件費やテナントの賃料に三分の二の助成を実施いたしました。
○藤井委員 TOKYO創業ステーションの運営は、六億五千三百万余円の予算に対し、八九%の執行率となっており、潜在的起業家の掘り起こしのための実績もしっかりと残しているということが確認できました。
創業に当たっては、金融面でのサポートも必要になります。都の行う創業時の資金面での支援にはどのようなものがあるか、お伺いいたします。
○加藤金融部長 都における創業に伴う金融支援策といたしましては、まず、都内中小企業に幅広く利用されております中小企業制度融資において、都が信用保証料の二分の一を補助する創業融資メニューを設けております。
また、新たな創業の担い手として期待されている女性などに対して、地域の金融機関などと連携して支援する都独自の融資制度である女性・若者・シニア創業サポート事業を実施しております。
さらに、これらに加えまして、昨年度には、融資ではなく、資本面からの支援を行うベンチャーファンドへの出資を行うとともに、資金調達の新たな手法であるクラウドファンディングを活用した支援も開始しております。
このように、都としましては、創業者や創業希望者のニーズに応じた資金調達の多様化を図ることで、東京における創業の促進に積極的に取り組んでまいります。
○藤井委員 直接的な融資だけでなく、ファンドへの支援なども通じて、さまざまに金融面での創業支援をしていることが理解できました。
先日、都民ファーストの会東京都議団が行った各種団体からのヒアリングで、東京都信用組合協会から、女性・若者・シニア創業サポート事業について、他の自治体にはない取り組みとして大きな評価をいただいたところでございます。
創業の掘り起こしという点からも、女性や高齢者など、これまでにはなかった層に起業という新たな選択肢を提供することは、大変重要だと考えております。
女性・若者・シニア創業サポート事業の事業内容、本事業を通じてこれまでどのような事例があったか、お伺いいたします。
○加藤金融部長 女性・若者・シニア創業サポート事業では、創業者や創業希望者を対象として、信用金庫、信用組合による低金利、無担保の融資と、地域の創業アドバイザーによる事業計画策定支援などの経営サポートを組み合わせて実施しております。
これまでには、みずからの特技である空手と書道の両方を女性や子供に教える教室を開設した三十代女性や、元気な高齢者の力を生かし、電球の取りかえなど日常生活の困り事を抱えた高齢者をサポートするNPO法人を設立した七十代男性などの事例がございます。
都は今後とも、本事業を通じまして、新たな担い手による地域に根差した創業を支援してまいります。
○藤井委員 女性、若者、そしてシニアという、これまで余り起業してこなかった層をターゲットとして、資金面だけでなく、地域の創業アドバイザーと金融機関が一体となって支援をする本事業は、大変意義深いものであると考えております。自分の持っている特技や、地域を助けるためのNPOを七十代の方が立ち上げた事例など、具体的な話が聞けて大変参考になりました。
多くの方々に、こういう選択肢もあるということを知っていただくことは大変重要で、事例集にもまとめられているとのことですので、引き続き普及啓発に努めつつ、事業をさらに進めていただきたいと思います。今後もさまざまな面で創業支援を続けていただきますよう、重ねてお願い申し上げます。
一方で、東京の産業を成長させ、さらに強力に牽引していくには、力のあるスタートアップ企業を成長する海外市場へ進出させるなど、さらなる成長を後押しする必要があります。
未上場で時価総額が十億ドル以上となる企業をユニコーン企業といいます。ある調査によると、世界のユニコーン企業は二百四十社、ただし、日本にはほとんど存在していないか、いても数社というのが現状です。
日本では、ことし六月に、フリーマーケットアプリのメルカリが上場をし、時価総額で七千百七十二億円と大変な資金を集めまして話題を集めました。しかし、その後に続く企業がいないのが現状でございます。
海外のユニコーン企業を見ると、金額、時価総額の規模も桁違いとなっております。四月に上昇しましたスウェーデン発祥の音楽配信サービス、スポティファイは三兆円、三月上場のアメリカのクラウドストレージサービス、ドロップボックスは一兆円の時価総額を誇っております。これから上場するといわれております米国ライドシェア大手のウーバーや、中国スマホ大手のシャオミは、五兆円を超える時価総額があるといわれているような状況です。
都は、グローバルな事業展開を目指す起業家を育成するためにどのような支援に取り組んでいるか、お伺いいたします。
○坂本商工部長 都は、東京のベンチャー企業による海外展開を後押しするグローバル・ベンチャー創出プラットフォーム事業を平成二十九年度から開始いたしました。
内容は、具体的には、海外進出を計画するベンチャー企業の経営者に対し、現地の法律や取引慣行に係る留意点等を学ぶ講座や、専門用語を用いたプレゼンテーションの方法などを習得するトレーニングを十五回程度行った上で、海外のさまざまな会社や投資家のほか、起業家への支援の機関であるアクセラレーターと面談や交渉を行う仕組みとしてございます。
アメリカやヨーロッパのほかアジアの市場ごとに、公募でそれぞれ五社程度を選び、三カ月間で海外企業との取引開始やベンチャーキャピタルからの出資を目指すほか、アクセラレーターから現地進出に関する助言を受ける機会を設けております。
また、ベンチャー企業の世界進出に向けた機運を高めるため、セミナーを開き、外国の著名なベンチャー経営者が現地の創業にかかわる現状について説明するほか、交流会により、国際的な市場に進出するために必要な情報交換を行う場を提供してございます。
○藤井委員 グローバル・ベンチャー創出プラットフォーム、X-HUB TOKYOの平成二十九年度の予算は約一・六億円で、執行率は九五%です。着実に取り組みが進んでいることを確認できました。
ユニコーン企業は、狙ってもつくれるものではなく、都としても、チャレンジングな課題に取り組んでいると認識をしております。一方、事業として進めるからには、着実な成果を出していくことも重要です。
グローバル・ベンチャー創出プラットフォームの平成二十九年度の実績と成果についてお伺いいたします。
○坂本商工部長 グローバル・ベンチャー創出プラットフォーム事業におきましては、アメリカのボストンなど東海岸エリアとドイツのベルリンやミュンヘンを中心とする地域への進出を目指す、各五社を三カ月にわたりサポートいたしました。
アメリカの東海岸への展開につきましては、五つのベンチャー企業が、医療関連の会社など十六社、ベンチャーキャピタル二社、アクセラレーター一機関に、都内でプレゼンテーションを行ったところでございます。
そのうち、IT関連の事業を行うベンチャー企業は、アクセラレーターからの助言を踏まえ、独自の情報提供サイトをアメリカで普及させるため、現地での支援プログラムに申請をするほか、米国法人を設ける手続を始めるなどの成果を上げたところでございます。
ドイツへの進出に関しましては、五社が、自動車関連の大手企業など十三社、ベンチャーキャピタル二社、アクセラレーター二機関にプレゼンテーションを行いました。
これによりまして、ソフトウエア関連のベンチャーが海外の事業会社からの出資に向けた交渉を始めるほか、IT関連の企業が、自社のAIシステムをドイツで広げるための支援プログラムに申請するなどの実績を上げたところでございます。
これらの取り組みのほか、海外進出に向けた機運の醸成のためのセミナーを六回開催し、世界各国の創業支援や資金調達の現状に関して、海外のベンチャー経営者などが説明するほか、外国のアクセラレーター等と二回の交流会を行い、全体で四百九十八名にさまざまな情報の提供などを行ったところでございます。
○藤井委員 私も、過去三回ほどセミナーに参加をさせていただきました。回を増すごとにイベントが改善、改良がされていて、今後に大きな期待をしております。
参加して、イベント運営などで気になったことを何点か局にお伝えしたところ、すぐに改善がなされました。イベント参加者からアンケートをとるなど、PDCAのサイクルを回すための仕組みが始まり、その後参加したイベントは、参加者と登壇者の間にこれまで以上の一体感が生まれていて、活性化していることを実感いたしました。
ユニコーン企業は、狙ってもつくれるものではないのは重々承知をしておりますが、本事業から大きな成長するスタートアップ企業が出ることを期待しておりますので、今後も日々改善を続けながら、積極的な事業の取り組みを要望いたします。
地域商業の活性化について質問します。
商店街は、地域コミュニティのかなめの一つであり、地域の活性化に向けて、商店街の果たす役割は非常に大きいものだと認識をしております。一方で、ライフスタイルの変化や消費者ニーズの多様化などの影響から、来店者の減少、売り上げの伸び悩み、後継者の確保など、課題を抱える商店街も多いと認識をしております。
商店街がこれからも地域の顔として存続していくためには、それぞれの商店街が、さまざまな課題の解決に向けて戦略的に取り組んでいくという視点が重要になります。
都は、平成二十九年度から、商店街に専門家を派遣し、その課題の解決等を支援する商店街ステップアップ応援事業や、環境負荷の低減など、都の政策的な課題の解決にも資する商店街の活性化の取り組みを支援する政策課題対応型の商店街事業を新たに実施しております。
商店街が主体的に活動していく上で役に立つ施策であり、昨年度の取り組み状況をお伺いいたします。
○坂本商工部長 都では昨年度より、商店街が直面している課題の解決を図るほか、集客に役立つ新たな企画を実現できるよう、専門家を派遣して、さまざまな知識やノウハウを提供する事業を実施しているところでございます。
年間で五十六の商店街に、経営の専門家が延べ三百四十一回の訪問を行い、商店街の意欲的な取り組みが着実に成果を上げるよう、きめ細かい助言などを実施したところでございます。
これによりまして、商店街のイベントに関して、これまで連携することの少なかった近隣の大学から集客につながるアイデアを提供してもらい、そのレベルを高める工夫のほか、来訪者が催し物の様子を写真に撮り、SNSで発信することで、効果の高いPRにつなげる手法などをアドバイスして、その実施を後押しする事例が出ております。
また、都の抱える行政課題の解決に役立つ商店街の取り組みへの支援も進め、ハード整備を対象に一億二千万円を上限に五分の四の助成を実施いたしました。
昨年度は、環境負荷の軽減に結びつく街路灯のLED化に取り組む百二十三の商店街に補助を行ったほか、海外からの旅行者の受け入れに役立つカード決済機器の導入に助成を実施するなどの実績を上げているところでございます。
○藤井委員 戦略的な新たな取り組みが進んでいる商店街が出ているということが確認できました。未来の商店街を担い、活性化させる点で、大きな期待をしております。
続きまして、観光産業対策についてお伺いをいたします。
都は、二〇二〇年に向けて、訪都外国人旅行者を二〇一七年の千三百七十七万人から二千五百万人に、さらには、一度来てもらうだけでなく、訪都外国人旅行者のリピーターを七百九万人から千五百万人の約二倍にすることを目指して、さまざまな施策を展開しております。
平成二十八年度に、PRIME観光都市・東京、東京都観光産業振興実行プラン二〇一七を策定いたしました。その後、平成二十九年度には二〇一八版の策定へとつなげており、そこで描かれたプランの着実な実行が期待されています。
二〇二〇年東京大会の誘致が決まってから、都の観光部の予算は現時点までで七倍、人員は二倍となっており、都が観光に注力していることがわかります。
そこでまず、都は、二〇二〇年の政策目標達成に向けて、平成二十九年度の取り組みをどのように位置づけているのか、実績とあわせてお伺いいたします。
○小沼観光部長 観光産業振興実行プランでは、東京二〇二〇大会を控え、外国人旅行者の急増や消費行動の変化、多摩・島しょへの誘客の必要性の高まりなど、観光をめぐる急速な環境の変化に迅速かつ的確に対応するため、中長期的な視点に立ち、観光施策の展開を図っております。
昨年度は、観光プロモーションやMICE誘致の新たな展開、外国人旅行者の受け入れ環境の向上など、六つの戦略に基づき各種施策を実施してまいりました。
具体的には、富裕な旅行者層の誘致に向けたプロモーションですとか、都立施設などにおけるユニークベニューの利用促進、多摩地域での観光情報センターの整備など、新たな取り組みを展開いたしました。
こうした取り組みによりまして、二〇一七年の訪都外国人旅行者数は一千三百七十七万人、消費額は一兆一千三百五十八億円に達し、いずれも過去最高を更新してございます。
○藤井委員 ありがとうございます。
訪都外国人旅行者数も消費額も、過去最高を更新しているということで、ますます取り組んでいく必要があると認識をしております。
都は、訪都外国人旅行者数だけでなく、先ほど出ました外国人旅行者の消費額も政策目標に掲げております。先ほどの一兆一千三百五十八億円から、二〇二〇年には二倍の二兆七千億円を目指しております。
消費額を上げるためには、訪都外国人旅行者の滞在日数をふやすことや、お土産の客単価を上げることなどが有力であると考えております。
渋谷、新宿、浅草、秋葉原などの都心での滞在を経た後に、京都、大阪、広島などを周遊する、いわゆるゴールデンルートが外国人観光客に人気でありますが、都内での消費額の増加と、その結果としての観光産業の振興という観点においては、多摩・島しょ地域への回遊が有効であると考えております。
これまで、多摩地域での観光については、都心での観光と比べて、決してメジャーなものではありませんでした。一方で、高尾山や御岳山などの豊かな自然は、東京都の誇るべき観光資源であり、財産であります。
私の地元府中では、府中駅前のケヤキ並木と武蔵国の総社で千九百年の歴史があるといわれています大國魂神社、こちらは緑にあふれて、二〇二〇年のオリンピックの自転車のロードレースのコースにも予定をされており、ぜひ訪都外国人の観光客の皆様にも見ていただきたいと、誇るべき財産であると考えております。
それ以外にも、サントリーのビール工場見学や東京競馬場などもあり、一日過ごすことができます。全国に五例しかない上円下方墳という古墳もありまして、ぜひ、ここにおられる委員の皆様にも、府中まで見に来ていただきたいなと考えております。
外国人観光客を多摩地域に回遊させるため、東京都の行っている施策について具体的にお伺いいたします。
○小沼観光部長 多摩地域は、御岳山などの山々や渓流の豊かな緑や水を初め、多様で魅力的な観光資源が数多く存在してございます。
こうした多摩地域の魅力を外国人旅行者に伝え、旅行意欲を高めるため、昨年度は、ウエブサイトやSNSのほか、海外の旅行雑誌での広告やテレビの特集番組など、多様な媒体を活用しまして、自然散策やラフティングなどの情報を発信いたしました。
また、平成二十九年六月に開設をいたしました東京観光情報センター多摩では、パンフレットの配布や特産品の展示等による観光情報の提供を行いました。
さらに、多摩地域での周遊を促進するため、日の出町の紙すき等の体験プログラムを盛り込んだルートの造成を支援するとともに、あきる野市におきましては、コケを用いた盆栽づくりや観察ウオーキングなど、新たな観光資源を盛り込んだモニターツアーを実施し、地域の観光関連事業者等と情報の共有を図り、旅行商品化を促しました。
○藤井委員 都は、昨年六月に観光情報センター多摩を立川駅ビルに設置し、多摩地域の基礎自治体等と連携したプロモーションを開始するなど、本格的な施策が稼働しており、期待をしております。
一方で、二〇二〇年まで二年を切った状況において、着実な成果につなげるために、必要な課題の抽出など、既にできているのではないかと考えております。
外国人観光客を多摩地域に回遊させるための課題について、都の見解を求めるとともに、それを解決するための施策並びに今後の方針についてお伺いいたします。
○小沼観光部長 多摩地域は、都心から電車で一時間圏内のアクセスのよさや、魅力的な自然資源や文化に恵まれているにもかかわらず、観光地としての認知度がまだ低く、外国人旅行者を受け入れられる観光コンテンツも少ないため、旅行商品が不足していることが課題であると認識してございます。
このため、今年度は、さまざまなメディアや広告媒体、VR映像を活用した国内外への情報発信や、東京観光情報センター多摩などを活用しまして、多摩地域の自治体とも連携したプロモーションを行い、多摩の観光地としての認知度を高めてまいります。
また、新たに地域に専門家を派遣することで、外国人目線で体験型コンテンツの発掘や、外国語対応など受け入れ面などの磨き上げ等に関する助言を行いまして、これを活用した旅行商品の造成に取り組んでおります。
今後は、一層これらの商品の販売を促進することで、多摩地域へのさらなる外国人旅行者の集客につなげてまいります。
○藤井委員 ぜひ観光地としての多摩地域の魅力を外国人旅行者にも伝え、都内の回遊につなげていただければと思います。
消費額を上げるための施策として、魅力的なお土産を用意することが有効であると考えております。
都は、東京の伝統工芸品などに着目して、ブランディングとマーケティングを既に行っております。東京の伝統あるわざや老舗の産品を新たな視点で磨きをかける江戸東京きらりプロジェクトが平成二十九年からスタートしております。取り組み状況についてお伺いします。
また、それらの伝統のわざを引き継ぐ若手の育成は喫緊の課題と考えますが、都の見解を伺います。
○武田産業企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 江戸東京の伝統に根差した技術や産品を対象に、その価値と魅力を国内外に発信するため、江戸東京きらりプロジェクトを実施してございます。
本プロジェクトでは、有識者から成る推進委員会を設置し、すぐれた事業者の取り組みをモデル事業として選定し、ブランディングなどの視点から磨き上げをかけていくこととしてございます。
平成二十九年度は、江戸組みひものわざを現代に生かした商品づくりなど五つの取り組みをモデル事業として選定してございます。
また、豊富な知見を有する専門家のチームによる支援体制を構築いたしまして、海外展開に向けたサポートなどを実施するとともに、十一月にはプロジェクト発信イベントを開催し、商品の展示実演を行うなど、各モデル事業の価値や魅力を広くPRいたしました。
現在、専門家のサポートのもと、デザイナーやクリエーターと連携した商品開発など、モデル事業の取り組みがそれぞれ進展しており、こうした取り組みを効果的に発信し、購入につなげる仕組みづくりに取り組んでございます。
また、事業者から、後継者の確保は深刻な問題という声もいただいてございます。わざの継承は重要な課題というふうに考えております。そこで、伝統産業分野に関心を持つ若い世代とモデル事業者などをつなげる仕組みづくりについても検討を進めているところでございます。
○藤井委員 我が会派の今ここにおります森村委員は、経済・港湾委員会の一員として、江戸指物、江戸木版画、東京手描友禅など視察を行い、いずれも熟練の職人の心意気やそのすばらしい技術、また、仕事への情熱を肌で感じて、心熱くなるものがあった、これは何としても応援しなければならないとおっしゃっておりました。
都民が誇るべき伝統的な産業として、また、未来に残していくべき技術として、改めて大切に育てていってほしいということを要望いたします。
続きまして、外国人旅行者が東京を観光する際に、円滑に情報を収集したり、仲間とのコミュニケーションをとったり、発信をするために、Wi-Fi環境の整備が重要であると考えております。
都が整備していますFREE Wi-Fi & TOKYOについては、東京都の施設やまち中の観光案内標識周辺など観光スポットなどに設置が進んでいる状況です。
先日の本特別委員会、建設局での質疑で、我が会派の入江委員は都立公園におけるWi-Fi環境の整備について質問を行い、四十七の公園で整備が進んでいることを確認いたしました。
都では、政策目標を掲げ、二〇二〇東京大会に向けて、まち中でのWi-Fiスポットを二〇一七年の二百二カ所から、二〇二〇年に七百カ所設置する政策目標が掲げられております。ことし、来年と加速して達成することが必要になると思います。
設置数の目標だけでなく、Wi-Fi利用に関する外国人の満足度を、二〇一七年度の七一・二%から二〇二〇年度の九〇%に高めていく目標も立てられております。
受け入れ環境の整備という面では、満足度を高めるということは本質的な話であり、達成がより難しく、都だけの取り組みでは厳しい面があるのではないかと考えております。
達成のために基礎自治体や民間との連携も必要になると考えますが、外国人旅行者の満足度を上げるため、都は、平成二十九年度、どのような取り組みを行ったのか、お伺いいたします。
○鈴木観光振興担当部長 都が平成二十九年度に実施した調査では、外国人旅行者の都内における無料Wi-Fiの利用環境について、満足及びほぼ満足と回答した方は七一・二%、不満及び少し不満と回答した方は一四・三%でございました。このうち、不満及び少し不満と回答した方は、つながりにくい、登録や接続方法が難しい、使える場所が少ないことを理由として挙げております。
こうした状況に対し、都は、直接Wi-Fiを整備することに加え、昨年度には、十七の自治体が実施するWi-Fi環境の整備について助成を行うとともに、交通事業者や都内の自治体等が提供するWi-Fiサービスとの提携を十五まで拡大し、一度の登録で共通利用が可能な箇所の拡充を行い、旅行者の利便性向上を図りました。
今後も、多様な主体との連携を進め、外国人旅行者のWi-Fi利用の満足度向上に努めてまいります。
○藤井委員 先ほどの調査の回答にもございましたが、フリーWi-Fiは、接続が不安定だったり速度が遅いと感じると、満足度は極端に下がりますので、そういった通信の品質にも注意を払うようにお願いいたします。加えて、さらなる普及啓発にも努めるよう、こちらもお願いをさせていただきます。
先日の第三回定例会の私の一般質問で要望させていただきましたが、フリーWi-Fiと多言語のチャットボットの提供などでサービスの向上も検討の上、外国人旅行者の満足度の向上に努めていただきますようお願いを申し上げます。
その際もいいましたが、Wi-Fiスポットを整備することは、災害時など、いざというときにも役立つものであると考えております。二〇二〇東京大会に向けて、受け入れ環境を整備し、東京の魅力を伝え、さらなるファンをつくっていくことを要望いたします。
続いて、農林水産業に関する質問をさせていただきます。
東京二〇二〇大会が二年後に迫っております。大会における物品やサービスの調達の際には、大会組織委員会が示している持続可能性に配慮した調達行動を満たしている必要があります。
調達行動は、持続可能性に関する基準と、農産物、畜産物、水産物などはそれぞれの個別基準が存在する状況です。
ちなみにですが、近年、二〇二〇年に向けて食の安全に関するさまざまな取り組みが進んでいます。例えば水産物に関しては、豊洲市場の開場に伴いコールドチェーンの対応が可能になり、畜産物に関しては、品川の芝浦と場ではHACCPの対応が進んでおり、都内農産物の供給体制についても期待が高まっているところです。
東京大会において、都内農産物を供給するためには、平成二十九年三月に示された農産物の調達基準を満たすGAP認証が必要であると聞いております。
都は、都内農業者のGAP認証取得を支援していますが、平成二十九年度の取り組みについてお伺いいたします。
○龍野安全安心・地産地消推進担当部長 農業の生産工程を管理するGAPは、農産物の安全性や品質の向上、農業経営の改善や効率化に加え、認証を取得することによる消費者の信頼の確保など、さまざまなメリットが期待される取り組みでございます。
このため、都は、都内農業者の認証取得を進めるため、GAPの意義や仕組みなどを説明する研修会を平成二十九年度に都内各地で三十六回開催しており、延べ八百二名の参加がございました。
また、グローバルGAP等の民間の認証取得を目指す六戸の農家に対して、生産工程管理や安全対策等に関する助言を行う専門家を延べ十四回派遣するとともに、審査に要する経費の助成を行い、平成二十九年度末時点で二戸の農家の認証取得に結びつけました。
○藤井委員 グローバルGAPやアジアGAPなどの民間認証は、都市農業である東京農業の実態と乖離をしている部分があり、さらに、申請から取得まで約一年かかることもあるとのことで、農業者の負担も大きいと聞いております。二〇二〇東京大会での都内農産物の供給に向けて、東京の農家が取得しやすい形を整える必要があります。
こうした状況の中、都は、二〇一八年三月に東京都GAP認証制度を公表しました。その特徴についてお伺いいたします。
○龍野安全安心・地産地消推進担当部長 都は、都内の農業者のGAP取得を促進するため、都市農業の特徴を加味し、農業者の負担軽減にも配慮した東京都GAP認証制度を構築いたしました。
具体的には、グローバルGAP等の管理基準に、都市農業に求められる周辺住宅や道路への土砂の流出防止、農作業時の騒音、土ぼこり等の低減など、都独自の点検項目を加える一方、大規模農場向けなどの都市農業に合わない項目を外しております。
また、GAP指導員の資格を持つ都の職員が、申請から認証取得まできめ細かく支援することにより、審査期間の短縮化を図るとともに、申請や更新費用を無償にすることで、農業者の負担を軽減しております。
東京都GAP認証制度の普及拡大に取り組むことで、東京二〇二〇大会やその後も見据え、持続可能な東京農業の実現を目指してまいります。
○藤井委員 東京二〇二〇大会での都内産農産物の提供に向けて、東京の農業に合う形で、都庁職員一丸となって取り組んでいることがわかりました。
新しい取り組みですので、なかなか進めるのに難しい面があるかもしれませんが、東京農業の振興のためにも、都版GAPの普及に粘り強く働きかけ、東京二〇二〇大会において、都内農産物を一つでも多く国内外から訪れる外国人観光客などに提供してほしいことを要望いたします。
続きまして、林業に関する質問を行います。
来月、十一月に東京で全国育樹祭が開かれます。大会のテーマは、健全で活力ある森林を育て、次の世代に引き継ぐことの大切さを伝えることです。
森づくりは、そこに従事する人づくりでもあり、森林を育てるために、人が輝く施策を積極的に展開していくことが必要だと考えております。
都内の林業振興には、さまざまな課題があるのも承知していますが、その一つが林業従事者不足の問題です。経験を積み、技術を身につけ、一人前の林業者になるまでには、どうしても時間がかかります。また、生活や収入面で課題も多いようでございます。
そこで、林業の人材の確保、育成に向けた平成二十九年度の取り組み状況とその課題についてお伺いをいたします。
○上林山農林水産部長 都では、林業労働力確保支援センターと連携いたしまして、就業希望者に対して、森林作業の内容や雇用条件等の情報提供を行うとともに、就労支援として、林業事業体の住宅借り上げに対する助成などを行っております。また、新規就業者の定着を図るため、作業の負担軽減に必要な林業機械の導入支援などを実施してまいりました。
平成二十九年度からは、新たに、林業に必要な知識や技術の体系的な習得を図る研修を開始いたしました。
具体的には、就業三年目までの新規就業者四名に対して、森林作業に必要な基礎的な知識、技術等の習得を図る十七日間の集合研修と、林業の現場における実際の作業を通じたOJT研修を約八カ月間実施いたしました。
また、就業四年目から五年目の中堅技術者六名に対して、現場の運営管理に必要な指導技術、マネジメントに関する知識等の習得を図る約十日間の集合研修も実施をいたしました。
今後は、こうした取り組みに加えまして、従事者を雇用し、実際の作業を担う林業事業体の強化などの課題について検討し、林業労働力の確保、育成につなげてまいります。
○藤井委員 都の林業人材の確保、育成に向けて、着実に事業が進められていることが理解できました。
林業界では、外材などに押されて厳しい環境がこれまで続いてまいりましたが、ここに来てようやく追い風が吹き、少しずつ伸びていくような機運が醸し出されていると感じております。
自然あふれる地域で生活し、森の中で汗を流しながら働くライフスタイルを選択する人も出てきていると聞いております。それ自体、とても豊かなライフスタイルで魅力的なものだと考えておりますが、あわせて、ぜひ、経済的な豊かさと安定性も享受できるような労務環境を整備することが重要であり、その環境整備を進めることを要望いたします。
最後になりますが、これまで質問してきましたように、二〇二〇東京大会を一つのメルクマールとして、二〇二〇年に向けて、働き方改革やインバウンド、創業環境の整備、都版GAPの取得の促進など、各種施策を進めていることと理解をしております。
その中で見えてきた課題も多いのではないかと考えておりますが、さらに、これらの施策は、二〇二〇年以降のレガシーとなるべき取り組みであることも重要であると考えております。
平成二十九年度の施策、取り組みを通じて明らかになった課題などを踏まえて、二〇二〇年に向けて、今後の事業展開など含めて、産業労働局をどのようにマネジメントしていくのか、局長の決意をお伺いいたします。
○藤田産業労働局長 東京が成熟都市としてさらなる発展を遂げる上で、産業振興や雇用就業の施策を着実に進めることはもとより、二〇二〇大会に向けて、これらの取り組みの充実を図ることが、私ども産業労働局の使命であるというふうに考えてございます。
平成二十九年度は、雇用就業の分野では、企業における働き方改革の取り組みを後押しいたしますとともに、飯田橋に東京テレワーク推進センターを開設いたしまして、働き方改革の起爆剤となるテレワークが広がるよう、普及啓発や導入支援を実施したところでございます。
また、起業、創業の支援につきましては、女性やシニアなど幅広い層への創業を促す融資を行いますとともに、世界に通用するベンチャー企業の創出に向けた支援も開始をいたしました。
さらに、観光業の振興では、Wi-Fiアンテナの設置など、外国人旅行者の受け入れ環境の整備に加え、観光情報センター多摩の開設など、多摩地域の観光振興にも取り組んでいるところでございます。
実行プランに掲げます政策目標の達成に向けましては、より多くの中小企業でのテレワーク導入や、東京の産業の新たな担い手となる起業家の掘り起こしを推し進めるなど、施策全般の一層のブラッシュアップを図り、取り組みを強めていきたいというふうに考えております。
本日の分科会でのご審議の内容も踏まえまして、商工業、観光、農林水産と多岐にわたる産業の振興と、都民生活に深くかかわります雇用就業の促進に向けまして、東京に集積する最先端の技術やすぐれた人材、都市の魅力を最大限生かせますよう、みずから先頭に立ちまして、局一丸となって取り組んでまいります。
○藤井委員 東京の産業の成長は、日本の成長のエンジンとなる非常に重要なものだと認識をしております。グローバルな視点を持ちつつ、きめ細やかな中小企業への配慮などを忘れることなく取り組みを進めるように要望いたします。
二〇二〇年以降も、東京の産業の持続的な発展を支える産業労働局には大きな期待をしているということを申し添えまして、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○菅野委員 それでは、私からも、決算の質問をさせていただきたいと思います。
昨年度の我が国の景気は、緩やかな回復が続いておりますが、高度成長期のいざなぎ景気を抜き、戦後二番目の長さとなりました。しかし、都内中小企業の経営者からは、その実感はないとの声を多くいただいているのも事実です。見通せない先行きに加え、足元では、伸び悩む個人消費、激しい価格競争、そして深刻な人手不足と、経営環境は依然として厳しかった一年といえます。
一方で、二十九年の訪都観光客は約一千四百万人とさらに増加しました。インバウンド需要の拡大に向けた好材料ではありますが、同時に、これをビジネスにどうつなげていくのか、東京二〇二〇大会が迫る中でより問われることになったと考えます。
東京を活力に満ちあふれた都市とするためには、その基盤として経済の活性化が不可欠です。そこで本日は、ただいま申し上げた中小企業支援や観光振興といったテーマを取り上げて、都の平成二十九年度の取り組み状況について質疑をしていきたいと思います。
初めに、中小企業の経営基盤の強化についてであります。
中小企業が厳しい環境を乗り越え、稼ぐ力をつけていくためには、直面するさまざまな経営課題の解決が不可欠です。しかし、自分自身の短所、欠点に自分では気づかない、これを直せないということが往々にしてあるように、企業においても、独力で自社の課題を見きわめ、解決することは簡単ではありません。
都は、中小企業活力向上プロジェクトにおいて、外部の目線で企業の経営課題を浮き彫りにした上で、その解決までを支援していますが、経営者に気づきの機会を提供することは、非常に重要な意味合いがあると考えます。
昨年、我が党からの施策の充実も要望していますが、まず本事業の取り組み状況について伺います。
○坂本商工部長 都は、中小企業の経営力の向上を後押しするため、中小企業活力向上プロジェクトによりまして、専門家を活用した経営診断や助言を行うことで、企業が直面する課題の解決を支援しております。
本事業では、中小企業が商工会議所等を通じて利用の申し込みを行う仕組みとしてございまして、平成二十九年度は、目標の一千三百社を上回る一千三百八十五社に対して、中小企業診断士を派遣し、経営診断を行ったところでございます。
その後に、専門家とともに経営課題の解決を図るため、販路開拓など短期間での速やかな対応を進めた事例は二百六十件となっております。また、将来の成長に向けて、中長期の計画をつくり、設備投資等の取り組みを行った事例は二百四十二社となりまして、いずれも前年度を上回る件数のサポート実績となりました。
これらの支援によりまして、工場の製造工程ごとの時間を把握して生産の効率を高める管理方式を導入した事例や、社員が職場単位で利益目標をつくり、コストを下げる仕組みをつくり上げる取り組みなどが実現をしたところでございます。
これらを含めた成果については、パンフレットや動画などにより幅広く紹介して、中小企業の経営改善に役立てる普及啓発も進めたところでございます。
○菅野委員 中小企業が直面する経営課題というのは、実にさまざまですけれども、中でも多いのは、技術やサービスのレベルには自信があるが、取引先の開拓ができない、そのやり方がわからないというものだと思います。
販路の確保は、いわば中小企業のビジネス活動のラストワンマイルであり、ここの成否が売り上げに直結してくるわけですから、中小企業の経営の安定に向けた最重要課題の一つといっても過言ではありません。
都は、中小企業の販路拡大を後押しするため、新・目指せ中小企業経営力強化事業を実施していますが、次にその実績についてお伺いいたします。
○坂本商工部長 都では、先ほど申し上げた中小企業活力向上プロジェクトによる経営診断を受けて、売り上げの回復を図るために販路の開拓が必要と判断された中小企業に対しまして、国内外の見本市に出展する経費を対象に、上限を百五十万円とし、三分の二の補助率で助成を行っております。
平成二十九年度には五百四社を採択し、新しい取引先を見つけ、受注や売り上げを伸ばす取り組みを後押しいたしました。
これによりまして、健康を維持するための器具を初めて開発した中小企業が見本市で取引先の開拓を実現したほか、食品を専門とする展示会に出展した会社が大企業等と商談を開始するなどの事例が出ているところでございます。
また、中小企業が販路の拡大に向け、取引先の意見等に応じ製品に改良を行う際や、輸出に伴い外国の規格に合わせるため、商品に加工を行う場合などに必要となる経費を対象として、五百万円を上限に二分の一の補助率で助成を行う制度におきまして、三十五社を採択いたしました。
これによりまして、例えば福祉施設で寝たきりの入居者の散髪を容易とするバリカンの改良や、スマートフォンを用いてカーテンを自動で開閉するシステムを海外で利用できるよう、認証の取得に取り組む事例などが出ているところでございます。
○菅野委員 この二つの事業ですが、これは今お話がありましたように、かなり大きな結果を生んでいるというふうに感じています。
しかしながら、この両事業については、いずれも今年度で事業終了ということを聞いていますので、厳しい状況に置かれた中小企業の支えとなる取り組みでありますから、ぜひとも継続、そして発展させていただきたい、このことを要望しておきたいと思います。
また、中小企業が直面する経営課題や支援のニーズは、時とともにどんどん変化していくと思います。現場の実情を捉えた施策のブラッシュアップもあわせてお願いしたいと思います。
次に、設備の導入に向けた後押しについてお聞きします。
積極的な事業展開を図るために、設備投資を決断し、実行していくことは、企業経営者にとっては重い課題です。しかしながら、大型の案件となれば資金負担も高額で、財政基盤の脆弱な中小零細企業にとって、先端設備などの導入に踏み切りがたいというのが実態ではないでしょうか。
そこで、意欲的な中小企業の成長のチャンスを摘み取ることのないよう、効果的な設備投資に向けた公的支援の役割が重要となります。都が実施している設備投資の助成金は応募も多く、人気の事業だとのことですが、実施状況について伺いたいと思います。
○坂本商工部長 都では、中小企業が競争力の強化や成長分野への参入を図る設備導入を行う場合の費用負担を減らすことのできるよう、中小企業振興公社に基金を設け、助成を実施しているところでございます。
平成二十九年度には、競争力を強化する取り組みに関し、一億円を上限に二分の一の補助率で助成を行う制度によりまして、二百九十三件の申請のうち七十七件の採択を行いました。
また、特に規模の小さい企業には、三分の二の補助率で三千万円まで助成する仕組みを適用し、百九十一件の申請のうち四十六件を採択いたしました。
これによりまして、小規模企業で最新の切断加工機を導入いたしまして、これまで外注により高コストとなっていた工程を社内に取り込み、受注から完成まで一貫して対応できる体制を整え、原価の引き下げを実現した事例が出てきております。
成長産業への参入を目指す取り組みにつきましては、一億円を上限に三分の二の補助率で助成をする制度によりまして、百三十四件の申請のうち四十二件を採択いたしました。
これによりまして、今後の成長の見込まれる航空機部品の製造に関して、精度の高い切削のできる加工機などを導入し、受注に向けた工程を整備する事例が出ているところでございます。
○菅野委員 ぜひとも、前向きで意欲ある中小企業の設備投資を強力にバックアップできるように、支援の充実を要望しておきます。
こうした中小企業のさまざまな活動を後押しするためには、血液ともいえる資金繰りを支援していくことも極めて重要です。
都の金融支援策の中でも、最も多くの中小企業に利用されているのが中小企業制度融資であります。実に都内中小企業の約四割、十八万社以上が利用しているとお聞きしていますが、多くの企業が利用するだけに、その資金ニーズも、前向きな投資に必要な資金、あるいは当座の決済を乗り切るための資金など多岐にわたると思います。
こうした多様なニーズに対して都の制度融資はどのように応えたのか、平成二十九年度の実績と利用動向について伺いたいと思います。
○加藤金融部長 平成二十九年度の中小企業制度融資全体の融資実績は、約八万四千件、約一兆一千百二十三億円であり、前年度とおおむね同水準でございました。
利用動向といたしましては、新たな事業展開に活用できる資金としまして、創業融資メニューが約百二十三億円で前年度比約三二%の増加、海外展開支援融資メニューが約七億円で前年度比約二二九%の増加となったほか、昨年度新設しましたビジネスチャンス・ナビ二〇二〇連携特例融資メニューが約百七億円となっております。
また、経営基盤強化のための資金といたしまして、小口融資メニューが約四百四十五億円で前年度比約二三%の増加となったほか、融資の一本化などにより負担軽減を図る特別借換融資メニューが約二千八百七十億円と、融資額全体の約三割となっております。
このように、制度融資におきましては、積極的な事業展開や経営基盤の強化に要する資金など、さまざまなニーズに対応し、都内中小企業の円滑な資金調達を支援しております。
○菅野委員 そういった融資に関して、中小企業のライフサイクルの中でも最も切実な資金ニーズがあるのは、さっきもありましたが、創業初期段階であると思います。特に近年は、若者に加えて、例えば趣味を生かしてビジネスを始める女性や、退職後の社会貢献として起業を目指すシニアの方々など、多様な層による創業が注目されています。
こうした方々へのきめ細かい資金提供の重要性を我が党が訴えた結果、平成二十六年度に創設されたのが女性・若者・シニア創業サポート事業であります。
私は、都が目標とする開業率一〇%の達成のためにも、女性や若者、シニア層による多様な創業をもっと盛り上げていくべきでありますし、こうした中から創業を志す方々がこれからますます出てくると考えております。
本事業の昨年度の融資実績は、前期よりも増加しているとのことであり、創業希望者の方々に広く知ってもらうために、新しい取り組みも実施されたと聞いています。
そこで、近年の融資実績の動向と事業周知の具体的な取り組み状況について伺います。
○加藤金融部長 女性・若者・シニア創業サポート事業の昨年度における融資実績でございますが、六百二十九件、約三十六億九千万円であり、二十七年度二百九件、約十二億九千万円、二十八年度五百五十四件、約三十五億円から、着実に増加しております。
事業の一層の周知に関する新たな取り組みとしまして、昨年度は、本事業を利用した創業者、創業希望者、金融機関及びアドバイザーが参加する交流会を四回開催しまして、延べ四百一名の参加を得ております。この交流会では、創業者が事業内容やみずからの経験などを発表するとともに、アドバイザーや金融機関が実例に即した支援内容を紹介いたしました。
また、本事業を活用した先輩創業者四名を招いたシンポジウムを開催し、企業の従業員向けメンタルヘルス対策のコンサルタント業を始めた女性などが、創業までの経緯や苦労した点、そして、その際にアドバイザーから受けた支援などについて語るとともに、パネルディスカッションを行っております。
こうした実例を紹介するなどの交流会やシンポジウムにより、事業の周知を図り、さらなる創業の後押しに取り組んでおります。
○菅野委員 事業の周知というのは本当に大事なことだと思います。ぜひとも、この事業のさらなる発展のために力を尽くしていただきたいというふうに思います。
起業初期段階のベンチャー企業を金融面から支援するもう一つの手法として、近年広がりを見せているのがファンドなどからの出資であります。
都は昨年度、IoTやAIなど先端技術を活用したイノベーションの創出に向け、新たなベンチャーファンドの立ち上げに取り組まれ、十億円を出資したと伺っています。
リスクが高く、民間からの資金調達が難しいベンチャー企業の成長をしっかりと後押ししていってほしいと考えますが、本ファンドの特徴及び昨年度の投資実績について伺います。
○加藤金融部長 都が昨年度出資しましたファンドは、創業初期の投資育成に特化し、コンセプトの段階から起業家と一体となって事業を立ち上げていく独自の支援スタイルを特徴としております。
具体的には、ファンドが事業の立ち上げから経営に参画して、事業モデルを構築し、そのネットワークを生かした事業提携や、人材、資金の確保など、さまざまな角度からベンチャー企業を手厚く支援しております。
このファンドでは、昨年度、六件の投資を行っておりまして、主な事例といたしましては、国際宇宙ステーションにおけるJAXA、宇宙航空研究開発機構の衛星放出事業の民間開放第一弾に選定された宇宙関連業務に取り組む事業者や、労働者が働いた分の給与の一部を前払いで受け取れるサービスを提供する事業者などがございます。
○菅野委員 都が中小企業向けのファンド事業を行っているということが、実は余り知られていないと思います。私は、こうしたファンド手法の有効性はもっと評価されるべきだと思います。
ファンドは、非常に専門性の高い分野でもありますが、聞くところによりますと、民間企業でそういった豊富な経験を積んだ方たちが中途で都に採用されて、ファンド事業者の選定の段階からモニタリングまで、外部の専門家の力も活用しながらしっかりと取り組んでいると伺っています。
中小企業の資金繰りの円滑化に向けた支援は、本当に非常に重要であります。今後とも中小企業の抱えるさまざまな課題解決に向け、このファンド事業を着実に進めていってもらいたいと思います。
次に、中小企業対策に関する質疑の最後になりますが、サービス産業に対する支援について伺いたいと思います。
私の地元港区でも、事業者の七割がITや飲食関係あるいは企業向けの業務サポートなど、いわゆるサービス業種であります。東京全体でもGDPの八割以上を占めるとのことで、今後、高齢化の進展や訪日観光客の増加などが新たなサービス事業をもたらすともいわれ、また、AIなどを活用したサービスの登場など市場の拡大が期待できます。
一方で、新しいサービスの開発には、アイデアを生み出し、技術を活用し、形にしていくことが必要であり、経営基盤や人材に乏しい中小企業は、大手企業に比べ分が悪いことは否めません。
都は、新しいサービスの創出などを目指す都内中小企業をバックアップする中小企業新サービス創出事業を実施していますが、支援の状況について伺います。
○坂本商工部長 都では、東京の産業の中で大きな割合を占めるサービス業種の力を高め、それが製造業におきましても、サービス提供の発想を取り入れることができるよう、中小企業新サービス創出支援事業によりまして、サポートを実施しているところでございます。
同事業によりまして、平成二十九年度は、東京都新サービス創出スクールとの名称で約五カ月ずつ、二回の講義を開催して、合計四十社を対象といたしまして、新しいサービスのビジネスモデルをつくり上げるために役立つ知識やノウハウに加え、自社の強みを生かすための方法を学ぶ機会を提供いたしました。
また、新しい中小企業のビジネスプランのレベルアップや、その実現を図るためのサポートを実施したところでございます。
具体的には、専門家が販路開拓に向けた営業ノウハウを提供するハンズオン支援に加え、サービス提供に必要となるICTのシステム開発や展示会への出展等の経費に、二千万円を上限に二分の一の補助率で助成を行ったところでございます。
この事業によりまして、百二十六社が応募してございまして、そのうちの十八社に支援を行い、専門家がアスリートの栄養管理をICT技術を活用して遠隔で行うサービスを実際に事業化するといった、このような成果を上げているところでもございます。
○菅野委員 さまざまな成果が出ているということを伺いましたが、そのサービス産業の中でも、今後大きな発展が見込まれるのが観光分野であり、ここからはその観光振興について伺っていきたいと思います。
訪都外国人旅行者が年々増加する中、東京二〇二〇大会を見据え、宿泊業や飲食業など多くの観光関連事業者が、インバウンド需要をビジネスチャンスと捉えて、サービスの質の向上などに取り組んでいます。
また、これまで観光産業に直接関係がなかった異業種の方々も、成長分野であるインバウンドビジネスを新たな事業の柱にしようと、観光分野に関する新サービスや商品などを開発する動きも活発になっています。こうした事業者の取り組みを支援することは、観光産業の裾野拡大のために重要です。
インバウンド需要を取り込みつつ、事業の生産性を高めていくなど、観光関連事業者の経営力を高めるためには、都は昨年度どのような支援を行ったのか伺いたいと思います。
○鈴木観光振興担当部長 都は、平成二十九年度より、観光関連事業者が行うICT機器等の導入による生産性向上や、観光分野での新サービスの開発等の経営力を高める取り組みに対し、経費の二分の一について、一千五百万円を上限に助成する取り組みを開始いたしました。
具体的には、宿泊施設での自動チェックイン機や電子宿泊台帳の導入等による生産性向上を図る取り組みのほか、宿泊施設以外でも、例えば食品の卸売業者が行う日本の食材を使った海外の料理を紹介する料理教室や、金属加工業者の自社製品をPRするミュージアムの開設と工場見学ツアーの企画といった、インバウンドビジネスへの新たな参入や事業拡大に向けた取り組みなど、八件の支援を決定いたしました。
さらに、本事業では、事業経費の支援に加え、中小企業診断士などの専門家を無料で派遣し、事業者が作成した計画の実現に向けた助言も行っております。
こうした事業者の積極的な取り組みを後押しし、観光産業の裾野を拡大してまいります。
○菅野委員 観光産業がより一層活性化していくためには、多様な外国人旅行者のニーズに対応することが重要です。
旅行者の消費行動も、これまでの物消費から事消費へと移りつつあります。今後、観光消費の一層の拡大につなげていくためにも、日本の伝統文化の体験など体験型サービスの創出に取り組む事業者への支援の充実を求めておきます。
訪日外国人旅行者数の増加を追い風に、都内では、新たなホテルの開業の報道を目にする機会がふえてきました。こうした中でも、東京の宿泊施設全体の客室稼働率は、ここ数年、約八割と高いレベルで推移しています。
一方で、旅館の客室稼働率は、宿泊客の獲得競争もあり約六割にとどまっているなど、中小旅館は、日本の文化や生活様式を体験できる宿泊施設として、外国人を引きつける魅力を持ちながらも、海外からの旅行者を思うように取り込めていない状況にあります。
都はこうした観点から、宿泊施設の受け入れ環境整備や外国人旅行者の誘致に向けた取り組みなど、東京の旅館の活性化のため、昨年度どのような支援を行ったのか伺います。
○鈴木観光振興担当部長 都はこれまで、外国人旅行者の受け入れに向け、館内の案内表示の多言語化やトイレの洋式化等を行う宿泊施設を支援しており、平成二十九年度は三十六件の支援を決定いたしました。
また、こうした取り組みに加えて、特に旅館における外国人宿泊客の増加のため、旅館が周辺の飲食店や商店等と協力して旅行者を誘致する取り組みへの支援も開始いたしました。
具体的には、地域の銭湯と連携し、宿泊者向けに割引入浴券を販売する取り組みや、訪日外国人向けにアプリにより地域の観光情報等を多言語で配信する取り組みなど、四つのグループに対して助成を行いました。
あわせて、東京の旅館をブランドとして世界に発信する取り組みへの支援を実施し、日本人の生活や伝統文化を体験できる場所としての旅館をPRする動画やウエブサイトの制作に対し助成を行いました。
これらの取り組みにより、東京の旅館の活性化を通じた観光振興を進めてまいります。
○菅野委員 中小の旅館を活性化させていくためには、今ご答弁にもいただいたように、外国人旅行者の受け入れ環境整備や地域との連携による旅行者誘致が必要です。また、最近では、宿泊産業の経営の効率化やサービスの一層の充実の必要性なども指摘されています。
二〇二〇年に向け、東京の宿泊需要の拡大が期待されているこの機会に、稼働率、集客力の向上などにより、宿泊施設の経営改善につなげる支援の強化を要望しておきます。
東京の観光産業を将来の有望なビジネス分野へと発展させるためには、観光産業を担う人材の質をより一層高めていくことが何より大切です。
観光産業は、宿泊や飲食などのサービス業が多くを占めることから、旅行者向けに接客などを行う人材のレベルを引き上げることが重要であります。また、人口減少に伴う国内観光市場の縮小など、観光を取り巻く環境の変化に対応していくためには、事業展開を適切に方向づけることのできる経営層やマネジメント層の育成も、観光産業の成長には欠かせません。
そこで、都は、昨年度、観光産業を支える人材の育成に向け、どのような取り組みを行ったのか伺いたいと思います。
○鈴木観光振興担当部長 都は、平成二十九年度、外国人旅行者に対するサービス提供の充実を図るため、宿泊施設や飲食店、小売店向けに、インバウンド対応の取り組み事例の紹介などを行うセミナーを開催し、九百三十五名が参加いたしました。
あわせて、アドバイザーの派遣を行い、集客や接遇サービスの方法等のアドバイスを行うなど、百二十九回の支援を実施いたしました。
また、首都大学東京と連携し、観光産業の経営やマネジメントを担う人材の育成を目的とする講座を開始いたしました。観光をめぐる市場動向や宿泊業の管理会計、またマーケティング手法等の講義のほか、地域の観光資源の商品化戦略を立案するワークショップも行い、二十六名が受講いたしました。
今後も、こうした取り組みにより、観光産業を支える人材の育成を図ってまいります。
○菅野委員 サービスを提供する、そうしたスタッフを初め、経営やマネジメント層の育成など、観光産業を支える人材の育成については、引き続きしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
これまで、中小企業支援や観光振興の観点から、産業労働局の平成二十九年度の取り組みを伺い、さらなる施策の充実について何点か要望もいたしました。
都内GDP百二十兆円の達成には、産業労働局が多岐にわたり取り組んでいる施策を総動員して、都内企業の九九%を占め、地域の経済と雇用を支える中小企業が、稼ぐ力を一層高めることが鍵となります。
そのためには、都の産業振興施策には、本格的な人口減少社会の到来という社会構造の大きな変化を見据えた取り組みが求められます。
さらに、大局的な観点に加え、現場の生の声にしっかりと耳を傾けて、刻々と変化する経済の荒波の中で奮闘する超零細事業者を的確にサポートしていくことが求められています。
東京には、中長期的な視点と足元の現場重視の視点の二つをあわせ持ち、都内のみならず、日本経済全体を牽引していくことが期待されています。
そこで最後に、私からも、この決算審議を踏まえ、産業振興にかける藤田局長の決意をお伺いして、質問を終わります。
○藤田産業労働局長 二〇二〇大会を目前に控え、インバウンド需要を初め、新たなビジネスチャンスが期待されるなど、東京の経済は、さらなる発展を遂げる絶好の機会を迎えているところでございます。
まずは、この機を確実に捉えるための施策はもちろんでございますけれども、一方で、お話のように、グローバル化の進展、人口減少社会の到来など、日本経済を取り巻く大きな環境の変化に備える産業振興施策にも、今からしっかりと取り組んでいく必要があるというふうに考えてございます。
こうした認識のもと、平成二十九年度は、事業者が社会の変化を的確に捉えつつ、足元の厳しい経営環境を乗り越えられるよう、その経営力強化につながる支援を実施いたしました。
具体的には、中長期的な視点から、ICT機器導入等の後押しや、観光産業の成長を支える人材育成に取り組みますとともに、経営基盤が確固たるものとなるよう新たな販路拡大や、観光関連事業者の経営力強化へのサポートを行ってまいりました。
本年度、こうした施策の強化を図り、取り組みを進めているところでございますけれども、景気回復の実感が東京の隅々にまで行き渡り、将来にわたって東京の産業を着実に発展させるには、さらなる充実が必要であるというふうに考えてございます。
本日の審議でのご意見も踏まえ、事業者の皆様からの声もしっかりと受けとめながら、現場を持つ産業労働局の強みを最大限に生かしまして、日本各地とも連携して、東京二〇二〇大会に向けた取り組みを加速化させるとともに、その先をしっかりと見据えて、東京の産業振興に局の総力を挙げて取り組んでまいる決意でございます。
○伊藤委員 それでは、私からは、まず中小企業支援について質問をしてまいりたいと思います。
世界有数の大都市である東京は、四十五万の企業が集積をし、総生産額は百兆円に及ぶ巨大な経済都市であります。しかし、その実情をつぶさに見れば、その九九%は中小企業と、それだけでなく、実に八割が小規模な事業所であります。日々、誠実に事業に取り組まれ、規模は小さくとも技術は一流、従業員が数名というような、こうした小規模の企業が東京の産業を支えているといっても過言ではありません。
しかし、経営基盤は脆弱であります。何か問題が起きれば、自力では解決のすべもなく、不安な、そして苦悩の日々を送ることになってしまう可能性もあるわけであります。こうした経営者の方々に寄り添い、問題解決に向けて丁寧でわかりやすいサポートを行うことは、行政の重要な役割であると考えております。
そこでまず、都は昨年度、企業からのさまざまな相談にどう対応したのか、支援の内容と実績について伺いたいと思います。
○坂本商工部長 都は、中小企業振興公社にワンストップ総合相談窓口を設け、経営コンサルタントや弁護士、ITコーディネーターなどの専門家が無料のアドバイスを実施しているところでございます。
これによりまして、平成二十九年度は一万四千三百二十九件の相談対応を行い、そのうちの三割を占める法律関係の案件では、契約内容をめぐる紛争や契約書類の作成に関して助言や専門的な知識の提供などを実施したところでございます。
また、幅広い分野の専門家約三百名を登録し、課題を抱える中小企業に派遣し、現場でアドバイス等を行い、昨年度は延べ一千七百九回の相談対応などを実施しているところでございます。
こうした専門家の派遣によりまして、小売店の現場の状況を確認し、買い物客にわかりやすいよう商品の陳列の場所を見直すアドバイスを行い、売り上げの増加を図る支援の実績を上げたところでございます。
○伊藤委員 さまざまな悩みを抱えながら、何とか時間をやりくりして、打開策を探るために相談窓口へ赴いた中小企業者にとって、幅広い分野の相談を一カ所で受けられるということは非常にありがたいことであります。また、安心感にもつながるわけであります。
私も、品川区内の小規模の事業者を何社かこの総合相談窓口につなげさせていただいて、本当に瀕死の状態の中小企業が蘇生をしていく、こうした姿を目の当たりといたしました。中小企業振興公社に置かれておりますワンストップの総合相談窓口、そしてまた専門家を派遣までしていただける、本当にすばらしい事業だと思います。ぜひともこうした取り組みをより多くの中小小規模企業者に対して広く周知をしていただくことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
中小小規模企業が抱えるさまざまな問題のうち、容易には解決できないものの一つが事業承継であります。
いうまでもなく、企業が将来にわたって安定的に事業を続けていくためには、スムーズな経営者の交代などにより、会社経営を次代の担い手に承継させていくことが不可欠であります。
しかし、さきの第三回都議会定例会で、私は代表質問でも取り上げましたけれども、経営者の高齢化が進む中、いまだ後継者候補の決定さえできていないケースが多く、事業承継への対応は喫緊の課題となっております。
都は、こうした中小企業において、事業承継が円滑に進むよう支援を行ってきていると思いますけれども、その具体的な内容と昨年度の実績を伺いたいと思います。
○坂本商工部長 都では、中小企業の円滑な事業承継を促すため、中小企業振興公社に専門の相談体制を設け、さまざまな企業にきめ細かなアドバイス等の支援を行いました。
具体的には、地域を巡回する三名の専門家によりまして、事業承継を働きかけ、現場での相談対応なども進めて、平成二十九年度は百二十二社に助言や情報の提供を実施したところでございます。
これに加えまして、事業承継に係る資金面での負担を軽減するため、昨年度は十五の企業に対しまして、承継の法的な手続などで必要となる経費に関し、二百万円を上限に助成を行っております。
また、都では、中小企業支援機関と協力して拠点を設け、専門家が会社を訪問し、事業承継にかかわる相談対応を行い、年間で六百九十七社にサポートを実施いたしました。
こうした拠点では、事業承継に関する啓発を図るセミナーも二十七回にわたり開催して、基本となる知識や情報を延べ七百七十一人に対し提供したところでございます。
○伊藤委員 東京には、小さくともオンリーワンの技術を持つ企業など、すぐれた技術やノウハウを持った中小企業が数多くあり、こうした価値ある企業を次代につないでいかなければなりません。
近年は、経営者の親族への承継のほか、後継者が見つからない場合には、新たなMアンドAも有効な手段として注目されております。こうした動向も踏まえ、引き続きしっかりと中小企業を支えていただくことを要望して、次に移ります。
次に、中小企業の防災力の強化について質問します。
近年、日本各地で大地震、また豪雨災害等が多発しております。東京で一たびこのような災害が起これば、企業活動への影響も甚大で、特に中小小規模企業にとっては、経営の存続さえ危ぶまれるおそれがあるわけであります。
それぞれの企業で、いざというときの備えをしておくことが重要であり、災害時等に速やかに事業を再開、継続するための計画、いわゆるBCPの策定は、企業活動への影響を少しでも小さくするために必要不可欠であると考えます。
とはいえ、BCPをつくるためには、その作成手順など一定の知識が必要で、中小小規模企業が取り組んでいくためには、都による積極的な後押しが必要であります。
そこで、BCPの策定に向けた支援策について、その具体的な内容と昨年度の実績を伺いたいと思います。
○坂本商工部長 都では、中小企業がBCPの必要性を理解して、その導入を図る取り組みを後押しするため、セミナーを年二回開催して、百三十五の会社に対し普及啓発を行いました。
また、事例発表会を十月に実施し、実際に事業継続計画を策定した建設会社の社長や機械メーカーの担当者などを講師として招き、二百二十四社にBCPの具体的なつくり方を伝える機会を設けたところでございます。
また、BCPの導入を希望する中小企業を対象として、その作成の基本を学ぶことのできる講座を年十回にわたり開催いたしました。この講座に参加をした百四十八の企業のうちから、六十社がコンサルタント会社のアドバイスを受け、それぞれの企業の状況に即した実効性の高いBCPの策定を実現したところでございます。
さらに、BCPを既に持っている中小企業向けのフォローアップセミナーを二回開催し、三十三社に対し、災害時の事業継続をより円滑に進めることのできるよう、ノウハウの提供等を行ったところでございます。
○伊藤委員 ただいまの答弁から、都がBCPの策定をきめ細かくサポートしてくれているということがわかりました。
小規模企業の不安を少しでも取り除いていくため、こうした施策を引き続き積極的に進めていただくことを要望し、次の質問に移ります。
次に、若年者の就業支援について質問をいたします。
新卒者の売り手市場が続くなど、若者をめぐる雇用環境は引き続き改善の傾向にあります。
そうした中にあって、一度は就職したものの、仕事内容に興味が持てない、あるいは人間関係の悩みなどから、仕事をやめてしまう若者も少なくありません。こうした状況を改善するためには、若者がやりがいと生きがいの持てる仕事や企業に出会えるかどうか、マッチングが重要な視点であります。
若者の雇用のミスマッチを解消するため、都は昨年度から、東京しごとセンターにおいて新たな支援を開始いたしましたが、その取り組み内容と実績について伺いたいと思います。
○篠原雇用就業部長 若年者の職場定着を促進するためには、その就職に当たりまして、仕事をしている自分をしっかりとイメージしていただくことや、実際の業務を事前に体験していただくことなどによりまして、ミスマッチを防いでいくことが重要と考えております。
このため、東京しごとセンターにおきましては、昨年度から、こうした観点での新たなサービスを提供することといたしました。
具体的には、求職者がみずからの将来像を考え、キャリア形成の手法を学ぶセミナーでございますキャリアデザイン講座を三回開催いたしまして、延べ百七十九人に受講いただいております。
さらに、就職に向けました企業説明会の会場内において、製品検査やプログラミングなど実際の業務を体験していただく体験コーナーつき合同企業説明会を三回実施いたしまして、延べ九十九人に参加いただいております。
○伊藤委員 少子高齢化がますます加速していく中で、若者がみずからの能力や意欲を発揮し、やりがいと生きがいのある仕事、企業に出会えることは重要なことであると思います。都は今後とも、若年者の就業支援、マッチング支援に力を注いでいただきたいと思います。
次に、非正規雇用対策の推進について質問をいたします。
働く人の四割を超えるパートや契約社員等の非正規労働者は、正規雇用と比べて、雇用が不安定であり、賃金や教育訓練の機会など処遇面でも、いまだ格差があるのが現実であります。とりわけ、正規雇用を望みながらも非正規雇用を余儀なくされている方について安心して働き続けられるよう、雇用の安定化を図ることが重要であります。
都は、都議会公明党の要請に応え、非正規雇用対策として、昨年度までの三カ年の計画でさまざまな対策を実施してきましたけれども、これまでの取り組み状況と成果について伺いたいと思います。
○蓮沼事業推進担当部長 都は、非正規で働く方々の正規雇用化に向けて、平成二十七年度から三年間で一万五千人を目標に、社内での正規雇用転換の促進を図るとともに、さまざまな理由で非正規雇用が長期化する方の正社員としての就職を推進するなど、総合的な対策を実施してまいりました。
そのうち、国の助成金に都が独自に上乗せして社内での正規雇用化を促進する助成事業では、国と連携した事業周知に努めた結果、昨年度は一万六千三百三十二人が正規雇用に転換いたしました。本事業では、人材不足が深刻な中小企業での活用が全体の約九五%を占めるなど、労働者の雇用の安定化はもとより、企業の人材確保にもつながっております。
このほか、不本意ながら非正規雇用で働く若者などを対象に、しごとセンターで実施する企業実習とセミナーを組み合わせたプログラムなどにより、昨年度は九百四十六人が正社員として就職しております。
こうした取り組みにより、昨年度までの三カ年で、目標の二倍を超える三万三千六百八十人の正規雇用化を実現いたしました。
○伊藤委員 本年四月には、有期労働契約の無期転換ルールが本格的に適用されたほか、六月に成立したいわゆる働き方改革関連法案においても、同一労働同一賃金など非正規労働者の処遇改善に関する法改正もなされるなど、非正規労働者を取り巻く環境は変化をしてきております。
今後は、こうした社会情勢の変化も踏まえ、非正規労働者の雇用の安定化に向けて、正規雇用となった社員がその企業に定着できるよう、的確な対策を展開していくことが必要であります。
そこで、今後の非正規雇用対策の展開について、局長の決意を伺いたいと思います。
○藤田産業労働局長 深刻な人手不足を背景に、企業による正社員化の流れが活発化する中で、今後は、国の助成事業により、引き続き正規雇用への転換を進めることとあわせまして、企業内で非正規から正規雇用に転換した従業員がその後も安心して働き続けられるよう、正社員としてのキャリアアップなどにつながる質のよい転換を目指していくことがより重要となってきてございます。
具体的には、正規転換した従業員に対する三年間の育成計画を策定し、専任の指導育成者が計画に基づいたサポートを行うなど、継続的な育成に取り組む企業への助成事業を開始したところでございます。
一方で、多様な働き方ということで、非正規で働くことを希望される方も大勢いらっしゃいます。そういった方々が意欲を持って働き続けられるよう、処遇改善を促進していくこともさらに重要でございます。
このため、飲食店、宿泊業や小売業など非正規労働者を数多く雇用する企業を対象といたしまして、労使双方に向けたセミナーやコンサルティングを新たに実施をいたしまして、企業の実情に応じた処遇改善策を後押しすることといたしました。
今後も、こうした取り組みを総合的に進めることで、誰もが希望や能力に応じて活躍できる雇用環境を整備してまいります。
○伊藤委員 ありがとうございました。
次に、観光施策について質問をいたします。
東京を訪れる旅行者が年々増加をしている中、旅行者の多様なニーズに対応した観光の楽しみを提供することが重要であります。
こうしたニーズの一つとして、ナイトライフ観光の充実がありますが、そのための振興策として、ライトアップの活用は有効な取り組みであります。
都は昨年度、東京ライトアップ発信プロジェクトにおいて、春の桜や秋の紅葉をライトアップする取り組みへの支援を実施いたしました。
そこで改めて、東京ライトアップ発信プロジェクトの意義、内容、実績について伺います。
○小沼観光部長 夜間に楽しむことができる観光の選択肢をふやすことは、旅行者の満足度を高め、滞在時間の延長を図る上でも重要でございます。
このため、都は、身近な自然である春の桜や秋の紅葉をライトアップし、夜間にも楽しむことができる観光スポットを創出する観光協会等の取り組みを支援してございます。
平成二十九年度は、地域の観光協会等が実施をいたしました深川や中目黒の川沿いなどの桜のほか、文京区や新宿区の公園などの紅葉をライトアップする十二件の取り組みに対しまして、ライトの購入費や設備工事費、照明デザインに係る経費などの全額を五百万円を上限として助成をいたしました。
こうした支援によりまして、例えば文京区の公園では、前年度からライトアップの規模や内容を充実させることで、約二倍の集客に結びつくなどの成果がございました。
○伊藤委員 昨年度は十二件の取り組みを支援したとのことでありましたが、都内にはまだ多くの桜や紅葉などの名所があるわけであります。こうした身近な自然をライトアップして、新たな観光資源とする取り組みが都内各地に広がれば、昼の間に多くの旅行者が訪れる桜の名所を夜桜の名所としても、多くの旅行者を引きつけることが可能となります。また、歴史的な建造物や特徴ある建造物、橋梁などもライトアップすることにより、新たな観光資源となるわけであります。
そこで、都は、ライトアップを活用して、新たな夜間の観光資源を開発する各地域の取り組みをさらに広げるための支援を拡充していくべきと考えますけれども、昨年度の実績を伺いたいと思います。
○小沼観光部長 ライトアップを活用した観光資源の開発を促進するためには、すぐれたライトアップの事例など、美しい夜景を楽しむための情報を広く発信し、集客に結びつけるとともに、周辺住民の生活への影響に十分配慮を行うことが必要でございます。
このため、情報発信のツールとして、東京で夜景を楽しむためのスポットを多言語で掲載しました冊子を六万三千部作成し、観光情報センターや宿泊施設等で配布をいたしました。この冊子では、桜や紅葉に加えまして、東京駅や浅草寺などの建造物や東京スカイツリーの展望台等の夜景スポットなど、合計約七十スポットの魅力を伝えております。
また、助成金の申請に当たりましては、取り組み内容につきまして地元区市町村と事前に協議し、推薦を得ることを要件とするなど、地域の理解を得た取り組みとなるような仕組みとしてございます。
これらによりまして、ライトアップを活用した取り組みの効果を高め、各地域での新たな取り組みの促進につなげております。
○伊藤委員 どうかこれまで以上にこのライトアップを活用した取り組みを広げていっていただきたいと要望しておきたいと思います。
次に、通信環境についてでありますが、情報通信環境が進歩する中、外国人旅行者の情報収集のあり方も大きく変化をしております。最近では、インターネット、とりわけスマートフォンやタブレットを利用した情報収集がふえており、これらに対応するためのWi-Fiが非常に重要であると思います。
都では、外国人旅行者を対象としたまち中での無料Wi-Fiサービスの提供を実施しておりますけれども、Wi-Fi整備事業について、これまでの実績と、昨年度の整備において特に工夫した点について伺いたいと思います。
○鈴木観光振興担当部長 都では、新宿や上野など外国人が多く訪れる地域の屋外で観光に必要な情報を速やかに入手できるよう、平成二十七年度から、観光案内標識周辺を中心に無料Wi-Fiの利用環境の整備を進めております。
平成二十九年度は、十七の観光案内標識周辺でWi-Fiを利用可能としたことに加え、新たな整備箇所として、三十九の電話ボックス周辺でも利用可能といたしました。
このほか、都が直接整備する以外にも、都内の自治体が提供するWi-Fiサービスと提携し、一度の登録で共通利用が可能な箇所の拡充を行い、旅行者の利便性向上を図りました。
これらにより、平成二十九年度末において、平成二十七年度からの累計で約二百カ所でWi-Fiが利用可能となっております。
今後、電話ボックスを中心としてWi-Fiの環境整備を加速するとともに、自治体との提携を拡大し、平成三十一年度までに七百カ所でのサービス提供を目指してまいります。
○伊藤委員 外国人の方が日本に、つまり外国に来て、情報の収集は、観光なり仕事なり、その目的を達成するためには、情報の収集は不可欠であります。東京二〇二〇大会とその先へ向けて、都はさらなるWi-Fi整備事業を着実に進めていただきたいと思います。
次に、食育の推進について質問をいたします。
人間として生きる原動力は食べることであり、本来、家族そろって食事をしながら、一日の出来事を話したり、家族が食べることによってつながりを深めている部分も大きいと思います。
しかし、近年では、都民のライフスタイルも大きく変化をし、家族がそろって食卓を囲むことも難しくなり、食べ物への感謝の心や正しい食べ方、また、日本人の主食であるお米を中心とした日本の食文化などについて、家庭における食事を通じて学ぶ機会が減ってきたと思います。
健全な食生活を実践するためには、子供たちを初めとしたあらゆる世代において、食に関する知識や食を選択する力を養う食育への取り組みが大切であります。
こうした区市町村や民間団体が、地域において学校への出前授業や料理教室、食に関するイベントなど、さまざまな取り組みを実施しております。
都は、都独自の食育に関する取り組みに加えて、こうした団体の取り組みを後押しすることが、今後の食育の推進において重要であると考えますけれども、二十九年度における都の取り組み状況を伺いたいと思います。
○龍野安全安心・地産地消推進担当部長 都は、東京都食育推進計画に基づき、都民一人一人が生涯にわたり健全な食生活を実践できるよう、関係局が連携して取り組んでおり、産業労働局におきましては、食育に関するイベントの開催や、区市町村や民間団体が行う食育活動への支援をしております。
具体的には、毎年秋に代々木公園で東京都食育フェアを開催しており、平成二十九年度は、食育に関するクイズやゲーム、都内産農産物の紹介による地産地消の推進、食品ロス削減に向けた意識啓発など、都民が楽しみながら食育への理解を深める機会を提供し、二日間で四万人を超える来場者がございました。
また、区市町村や民間団体が行う食育活動への支援では、農業者の協力を得て行う野菜の栽培、収穫体験、乳児や子供の成長に合わせた食事をテーマとする食育シンポジウム、魚に触れて調理の仕方を学べる小中学校での出前授業など、その開催に要する経費を助成しており、平成二十九年度は三十四区市町村、二十一の民間団体の活動を支援いたしました。
今後も、こうした取り組みを通じて東京における食育の推進を図ってまいります。
○伊藤委員 今年度は、まちのお米屋さんが都の食育推進事業を活用して、お米マイスターとして小学校に出前授業を行っていると聞いております。その事業では、お米をつくる水田にためた水が治水対策や地球温暖化対策に役立っていることや、お米の歴史からお米の種類、おいしいご飯の炊き方などを教わり、早寝、早起き、朝ご飯と生活リズムの大切さも学べる内容であると聞いております。
こうしたお米屋さんの取り組みや、先ほどの答弁にあった魚に触れて調理の仕方を学ぶ取り組みは、単に食育として食文化を継承していく学習にとどまらず、まち中から消えていく、例えば生鮮三品などの専門小売店等を守っていく上でも大変に意義のある、産業労働局らしい事業であると思います。今後も、産業労働局はぜひとも本事業を継続、発展させていただきたいと要望をしておきます。
次に、農林水産業に関連して質問をしてまいります。
今から四年前、小笠原諸島周辺海域において、外国籍密漁船による宝石サンゴの密漁が行われ、島民に大きな不安を与えました。その際、都議会公明党は即座に調査団を現地に派遣し、私と本委員会の小林委員も現地に入りました。母島の丘の上から夜の海に目を移すと、二百隻を超える船が、まるでイカ釣り漁船のようにこうこうと明かりをともし、密漁している光景が現実のものでありました。
私たちは、小笠原の治安の維持のため、警視庁や海上保安庁の警戒強化や外交を通じた警告、そして、余りにも脆弱な罰則を厳格に強化するなどを国に求め、小笠原調査の二十四日後には、約百倍の罰則金を初め厳しい処分を含む法改正が行われました。結果、密漁船は一気に立ち退き、密漁船はその後来ていないわけであります。
しかし、小笠原の漁業者はいまだに、当時の密漁船が投棄した網が島民の生活を支える漁業の釣り針にかかるなど、漁業活動に影響を受けております。
現在、都は、国とどのような役割分担を行い、密漁船の違法操業によって影響を受けた小笠原の漁業者への対応、支援に取り組んでいるのか、二十九年度の状況を伺います。
○上林山農林水産部長 都は、違法操業による漁業資源への影響を調べるため、中国漁船が多数確認された海域におきまして、小笠原の漁業者と同様の漁法により、魚の種類、数、大きさなどを把握する調査を平成二十六年十二月から行っており、平成二十九年度は十回実施をいたしました。
調査開始から平成二十九年度まで、調査データに大きな変化はございませんでした。しかしながら、水産資源への影響を評価するためには、継続的なデータの把握が必要であることから、引き続き調査を実施してまいります。
また、国は平成二十八年度から、小笠原島漁業協同組合、小笠原母島漁業協同組合が取り組む、中国漁船が不法投棄し海底に残されたサンゴ網などの回収に係る経費を負担しております。平成二十九年度に両組合は三百八十七個の網などを回収いたしました。
今後も、小笠原海域で行われた中国漁船の違法操業の影響把握と漁場の回復に向けて、国と連携し対応、また支援をしてまいります。
○伊藤委員 宝石赤サンゴは成長は極めてゆっくりで、大人の小指程度になるまで五十年はかかると聞いております。今後も、都は、荒らされた海の回復状況をしっかりと調査をしていただきたいと思います。
多数の密漁船が小笠原で違法操業を行っている時期、小笠原海域を担当する東京都の漁業調査指導船「興洋」は、内地で法定検査と必要な点検、整備を受けるため、一時、小笠原を離れなければならなかったわけであります。私も、先ほど申し上げたとおり、小笠原父島に着いて、「興洋」がいると思っておりましたけれども、あれ、いないということに気がつきました。
都の調査指導船は絶対に必要であります。都は、四隻の漁業調査指導船を所有しており、それぞれ担当海域において、水産資源調査、海洋観測、違法操業の監視活動を行っておりますが、今後、より機動的な監視体制を整え、東京の海を守っていかなければなりません。
都は、漁業調査指導船「やしお」の更新を機に、小笠原海域まで航行可能で、最新の調査、監視機器も備えた船舶の建造を進めております。
そこで、「やしお」の建造状況と建造後の活用について伺います。
○上林山農林水産部長 新たに建造いたします「やしお」につきましては、平成二十七年度に基本設計、二十八年度に実施設計を行い、二十九年十二月に契約を締結し、三十一年四月の竣工予定でございます。
「やしお」は、長距離を安定して航行できるよう船体の大型化を図り、総トン数を現在の四十三トンから百十七トンにいたします。また、海底地形を立体的に把握し、漁場開拓に有効なマルチビームソナーや、夜間や視界不良時の監視や安全な航行に役立つ高性能レーダーなど最新の機器を装備いたします。
建造後は、「やしお」が担当する大島から御蔵島周辺海域におきまして、新たな漁場の開拓や漁業者の日々の操業に役立つ水温等の海洋環境情報の観測に取り組むとともに、小笠原海域への航海訓練を定期的に行い、緊急時には「興洋」を補完し、不審船の監視を可能とすることで、都の水産業の振興と漁業秩序の維持に取り組んでまいります。
○伊藤委員 東京の宝である伊豆七島、小笠原諸島は、我が国の排他的経済水域のおよそ三分の一を占めており、国境離島でもあります。
都は、今後も、そこで暮らす島民を守り、自然を守り、また、農林水産業をしっかりと守っていただくことが、我が国を守るということに直結するとの思いで今後も、局の全事業を全力で取り組んでいただくことを期待して、質問を終わります。
○小宮委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩します。
午後三時十四分休憩
午後三時三十分開議
○小宮委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
質疑を続行します。
発言を願います。
○原田委員 それでは、私からは、建設産業の職業訓練や技能実習事業にかかわって質問させていただきます。ちょっと専門的かつ重要な話になりますので、若干前置きが長くなるかもしれませんが、ご容赦いただければと思います。
現在、我が国、特に東京都は、建設産業の大変な担い手不足に陥っています。
建設業就業者は、この二十年ほどで六百八十五万人から四百九十八万人へと、約二百万人、三〇%近くも減少しており、さらに、年齢構成の少子高齢化が深刻で、高齢就業者がふえ、全体の三四%に達する一方で、二十九歳以下の就業者は全体の一一%と極端に少ないと。
例えば未来の建築現場を担う十代の建築大工の有資格者は、二〇一五年の国勢調査で二千九百人、そして、東京都のそれは実にたった百四十人と、まさに危機的です。幾らまちづくりを計画しても、それを実現する技術を持った労働者がいない。それを補うかのようにして、外国人技能実習生が年間に万の単位でふえ続けており、国内外から研修事業が低賃金労働者の確保に利用されていると批判が起きています。
国土交通省も、このままでは熟練工から若手への技能継承がなされず、将来の建設業自体の存続が危惧される状況と警鐘を鳴らしています。
そうした一端を私も目の当たりにしました。二〇一一年東日本大震災のとき、私のもとには少なからぬ区民から、壊れた屋根や壁を直してほしいが、職人さんを紹介してくれないかと電話が来ました。都内では瓦屋さんはもちろんのこと、屋根にブルーシートを敷く一般の職人さんでさえ、頼んでも数日間にわたって来てくれない状況が続いたんです。
建設業就業者がより減少し、より高齢化が進んだらどうなるのか、そのとき大規模な震災に見舞われたらどうなるのかと。今東京都は危機的な状況にあるといっておかしくないんです。だから国土交通省も警鐘を鳴らすわけですね。
こうした建設産業の状況を改善するには、何といっても建設産業の魅力を高めること以外にありません。その際、東京都の役割は他局にまたがります。
例えば設計労務単価と現場賃金の乖離の問題について担当するのは財務局、建設産業労働者の週休二日制導入など発注工事の現場改善については建設局、そして産業労働局はというと、当該年度決算書を見ますと、技能検定にかかわる支出が記載されています。技能検定とは、働く上で身につける、または必要とされる技能の習得レベルを評価する国家検定制度で、試験に合格すると合格証書が交付され、技能士と名乗ることができます。
この事業については、当該年度、私の一般質問について、小池都知事から、東京都は将来を担う若手人材を育成する職業訓練を実施いたしておりまして、今後も業界のニーズを踏まえて進めてまいりますと前向きな答弁をいただいているわけです。
これは職業訓練ですけれども、私が聞いているのは技能検定ですが、そこでお聞きします。今日における技能検定の意義や重要性について、産業労働局の認識を伺います。
○篠原雇用就業部長 技能検定でございますが、委員からもお話のありましたように、職業能力開発促進法に基づきまして、技能者が有する技能や知識のレベルを一定の基準によって評価する国家検定でございまして、技能者の技能と社会的、経済的地位の向上を図るということを目的としたものでございます。
検定は、学科と実技の二つの試験で行われておりまして、知識や実務のレベルに応じて、特級から三級までの四段階に区分するなどの方法により評価しております。
技能者の技能を段階的に評価することによりまして、技能者の意欲を高め、多様な技能の定着を技能者に促しながら、ものづくり分野の人材育成に貢献しますとともに、技能者の就職、処遇の改善、さらには地位の向上に大きな役割を果たしているものと認識しております。
○原田委員 産業労働局としても、技能検定の意義について、技能者の意欲や働く環境の改善にとって重要な制度であると受けとめていることを確認しました。
さて、その技能検定は、今後、建設業就業者にとって賃金を大きく左右するかもしれない、今まで以上に重要な事業になろうとしています。それはキャリアアップシステムが導入されるからです。
キャリアアップシステムとは何か。これは国と日建連、日建連というのは、日本の名だたる建設業者、スーパーゼネコンも加盟する業界団体ですね。国と日建連、そして労働組合の総連合である全国建設労働組合総連合なども資金を投入してつくられたシステムです。職人や事業者がどこの事業でどれだけ働いたかといったキャリアをITで管理、クラウド化し、その後の労働者の給料や発注額に反映させるシステムです。
このシステムによって、どのような技能を持ち、どのような職場で雇用され、どれだけ働いたかが、給料に直結していくようになるわけですから、職人の働く意欲、そして技能習得への意欲も高まることになるわけです。ですから、キャリアアップシステムが導入されることになった今、技能検定は賃金に直結する重大な機会となるわけです。
ところが、現在、建設産業にかかわる技能検定において、受験希望者がいるにもかかわらず受験できない事態が発生しております。とある技能検定では、実に午前三時半に受験者が会場の前に並び、四時に来た人は受験できなかったという事態が報告されています。
産業労働局はこうした実態を把握しているか。また、問題として確認しているか。
○篠原雇用就業部長 技能検定は、先ほども述べましたとおり、職業能力開発促進法に基づく国家検定でございまして、その検定業務は、都道府県と各都道府県の職業能力開発協会が実施しております。
検定は、学科試験と実技試験がございまして、このうち実技試験は、業界団体の協力を得て実施しているものでございます。この実技試験につきましては、一定の作業スペースが必要なこと、特殊な設備、器具、材料の調達などが必要となる場合があることなどから、検定職種の一部では受験者数の制限を設けているところでございます。
都におきましては、こうした場合に、受け付け人数に制限があることを事前にお知らせしておりますほか、申し込み受け付け状況や、他県での受験可能な場合には、そうした点も周知するなど、できる限りの情報提供に努めているところでございます。
○原田委員 産業労働局も、事態は把握していることを確認しました。
技能検定は、実技試験をその業界の団体が請け負うことになっております。率直にいって運営の予算が限られており、多くの受験者を受け付けられないで、業界内の受験者だけでほとんどの受験枠が埋まってしまうというのが実態なんです。ですから、多能工となるために資格を取りに行こうとしても、受験枠が限られていて受けられない事態が発生するわけです。
ちなみに、先ほど紹介した午前三時半から並んだ技能検定は、いわゆる一般枠が三名だけでした。
そこで端的にお聞きします。技能検定の応募枠をふやしていくことは重要なことと考えますが、産業労働局の見解はいかがか。
○篠原雇用就業部長 東京都はこれまでも、技能検定の実務を担う職業能力開発協会と連携しながら、検定の実施に協力する団体に対して受験者数の拡大を要請してきておりまして、少しずつ受験可能な人数の拡大が図られているところでございます。
引き続き、技能検定の受験機会の確保に努めてまいります。
○原田委員 受験機会の確保に努めていくという前向きな点は評価できるんですが、これまでのペースでよしとする答弁であれば、これは納得するわけにはいきません。
改めて、率直にお聞きしますけれども、技能検定の運営について都の支援が必要と考えますが、いかがか。その点では運営側の要望を聞き取ることが必要と考えますが、いかがかお答えください。
○篠原雇用就業部長 東京都は、技能検定の実務を担います職業能力開発協会に対しまして、技能検定の運営に必要な補助金を交付しておりますほか、都職員を検定委員として派遣するなどの支援も行っております。
また、職業能力開発センターに設置しております人材育成プラザを実技試験の会場として有効に活用いただくようなご案内を各団体にしているところでもございます。
さらに、実技試験の判定を行います検定委員や検定に関連する業界団体の代表などを構成委員とした会議を設置しておりまして、こうした会議の場で、業界団体などの意見を聴取しているところでございます。
今後とも、団体などの意見も聞きながら、引き続き支援に努めてまいります。
○原田委員 最後におっしゃった団体等の意見も聞きながら引き続き支援という点が、私、重要だと考えます。重い答弁として受けとめますので、例えば、先ほどの答弁の中に、人材育成プラザを実技試験の会場として有効に活用していただくよう各団体に案内というのがありましたけれども、業界からは、ちゃんと優先利用させてもらいたいという声とかが上がっていたりします。こういう細かい要望もちゃんと聞き取っていただいて、今後の努力をお願い申し上げたいと思います。
さて、当該年度の決算書には、事業内職業能力開発の振興という項目もありますが、これは認定職業訓練の補助事業です。職業能力開発促進法に基づき厚生労働省が所管、業界団体が東京都の認定を受ける形で運営する短期大学校です。
私は、このたび、その一つである建築カレッジという建築大工の資格が取得できる認定職業訓練校を視察してまいりました。本校は、働きながら、週二回、二年間にわたって通い、学んでいきます。定員は二十名で、参加企業はこの間ふえてきています。自分たちの社員をこの大学校に送って成長させるということですね。
今建築現場では、ツーバイフォーなど組み立て作業が中心の建築が目立ってきています。材料は工場でつくられ、分業や効率化が進む一方で、建築全体のあり方というものが職人に見えにくくなっている。建築の知識や技術を習得することが現場では難しくなってきておりまして、建築が本来持つやりがい、あるいは美しさを現場で味わいづらくなっていると。
建築カレッジでは、そうした状況を踏まえ、学びの中心を高度な土木建築技術に置いています。働きながら学び、かつ、日本の風土が生み出した建築文化を継承、発展させるという重要な使命を帯びた、極めて重要な場となっています。
東村山市にある地域工務店の社長は、近年、建築カレッジに新入社員大工を通わせるようになりました。現場では伝えられない原理原則を学ぶことができることは大事だといいます。
大工としての自覚、自信を身につけていければ、何よりも同じ世界で頑張る仲間ができることが、その社員の人生の宝になっていると絶賛しています。離職する若者が多い現在の建設業界において、この会社では、何とやめる社員大工がいなくなったと喜んでいます。
生徒たちの声も取り上げておきたいと思います。当該年度入学した現在二年生の在校生、基本から応用まで楽しく学べて、たくさんの最高な仲間に出会える最高の場所です。
卒業生の意見も。大学生のときに三・一一の震災を経験、住宅の大切さを実感し、家づくりを学びたいと入学しました、カレッジでは木のことや構造など家づくりに欠かせないことを学べます、そして、住みやすい家の理想や一流の技術を見て感じることができます、ここでしか学べないことにあふれ、やる気のある人には持ってこい、カレッジで学び、立派な職人建築士になってすばらしい家をつくりましょうと、今度入ってくる生徒さんたちに呼びかけていると。
危機的といわれる若年建築大工の実態に反して、大変頼もしいじゃありませんか。
産業労働局は、建築カレッジのような認定職業訓練の意義についてどのように認識しているか、お答えください。
○篠原雇用就業部長 職業能力開発促進法の規定では、事業主等は、その雇用する労働者に対して職業能力の開発、資質の向上を図るために必要に応じた職業訓練の実施に努めるものとされております。
認定職業訓練は、こうした事業主や事業主団体などが行う職業訓練のうち、法が定める基準に適合する訓練を都が認定したものでございます。都が認定することによりまして、職業訓練の質的水準を確保するとともに、その社会的評価を確立することにつながることに加えまして、各種の助成、支援などを行うことによって、職業訓練が円滑に実施されることとなりまして、着実な労働者の育成、ひいては職業生活の安定などに寄与するものと考えております。
○原田委員 大変大事な、前向きな答弁だったと思います。
着実な労働者の育成、ひいては職業生活の安定に寄与する制度として重要であるとの答弁をいただきましたが、一方で、各種の援助、助成を行うことにより、職業訓練が円滑に実施されることという答弁もありましたが、この部分で現場ではさまざまな声が上がっています。この各種の助成、援助がなかなか滞って、円滑でない部分があるようなんですね。
その一つに、補助金が出ない場合があるという問題が出ています。それは、雇用保険に入れていない生徒が補助金を出してもらえないというケースです。しかも、不当に入っていないわけじゃないんです。一人親方であったり同居親子の場合は雇用保険に入れない実態があるんですね、制度上の。雇用保険に入っていないため、この生徒には補助金が出てないと。
私は制度上の設計ミスといっても過言ではないと感じているんですが、一人親方でも、技術を身につけようという若い意欲ある大工、子供が親の建設業を継ごうとしていて、かつ技術を身につけようという、今一番東京都が育てたい人材が、今まで示したような、すばらしい認定職業訓練校の補助金を受けられないと。私は深刻な矛盾だと思うんですね。
現在、こうした生徒を拒まず、補助金が出ないまま、建築カレッジが何と持ち出しで教育しています。
そこでお聞きします。認定職業訓練制度において、生徒への補助のあり方について現場の声を聞き、検討すべきではありませんか。
○篠原雇用就業部長 認定訓練への助成でございますが、国庫からの補助を受けて実施しているものでございまして、生徒一人当たりの助成額など、国が定めた基準に基づいて支給を行っているものでございます。
国が定めた基準によりますと、雇用保険に入れない一人親方であっても、労災保険に特別加入することにより補助対象となることができます。また、同居親族につきましても、一定の要件を満たす場合には雇用保険に入ることができ、補助対象となることができます。
なお、認定訓練の現場や実施団体に対しては、補助事業の検査など必要に応じて訪問を行っておりまして、そうした際に意見や要望も聞いております。補助事業の改善などの要望がございましたら、国に伝えてまいります。
○原田委員 鳥取県などでは、こうしたやむにやまれない事情で雇用保険に入れていない人たちには、県として独自に認定訓練校の補助を出しているという事例もあるそうです。ぜひ現場の声を聞いて、制度の改善に向けて努力していただきたいと思います。
ただいま答弁のありました労災保険の特別加入、あるいは一定の案件を満たした場合の同居親族の雇用保険加入というお話は、私も新たに聞くことですので、研究させていただきたいと思います。
現場の意見や要望を聞くとのことですので、丁寧に団体との交渉を行って対応し、援助することを求めておきます。
こうした建築カレッジは生徒もふえています。より充実した技術研修を行うためにも、より広い場所を現在探しています。それがさらに生徒をふやすことにもつながることはいうまでもありません。ぜひとも拡充してほしいと皆さん思うじゃありませんか。
そこで、建設産業労働の発展に向けて事業を拡大しようとしている運営者を支援するのは、都の重要な責務と考えますが、まずは現場の声を聞き、各局、関係自治体などとの意見交換の場を提供してあげるなど、産業労働局としての支援が必要ではないか。お答えください。
○篠原雇用就業部長 認定職業訓練を行っている団体などからは、先ほども述べましたとおり、意見や要望を聞く機会を設けておりまして、必要に応じて情報提供等も行っているところでございます。
○原田委員 ぜひとも、何か困ったことがあったら、あるいは事業を拡大したいとき、まず真っ先に産業労働局に相談に行こうと、そういってもらえるような温かい、かつアクティブな相談、対応を局に求めておきたいと思います。
まちそのものをつくり、一軒一軒の家庭の幸せを形づくる建設産業労働、本来やりがいに満ちたこの業界の魅力をもっと浮かび上がらせなければなりません。そうなっていないさまざまな社会的障壁を取り除く作業は、行政にも重大に求められています。そして、産業労働局が担うその役割は決して小さくありません。
その点で、本日は当局の前向きな姿勢を見ることができたと感じさせていただきまして、特に現場の声を聞き取る旨、答弁があったことを重要と受けとめたいと思います。ぜひとも関係者との懇談の場を細やかに設けていただきたいと思います。
小池都知事の本会議での答弁が本日の決算質疑にも生かされていることを確認し、今後の活躍を期待して、質問を終わります。
○上田委員 産業労働局は、労働問題から産業振興まで非常に多岐にわたる事業を持っていらっしゃるということで、端的に事業について、三十五問質問させていただきたいと思います。
創業支援全般についてです。
委託事業が大変多いんですけれども、民間に任せないで都が実施する意義を伺いたいと思います。
○坂本商工部長 東京の産業の将来に向けた発展を図る上で、創業を活性化して新規の開業をふやすためのサポートは重要でございます。
創業を希望する方を掘り起こし、開業とその後の事業の拡大を実現するさまざまなステージにおきまして、政策的な後押しの必要性なども踏まえたきめ細かい支援を総合的に実施をしているところでございます。
○上田委員 また、インキュベーション、ベンチャー施策、そして青山創業促進センターなどは、施設を伴っておりますが、税金を投入して、ある一定の事業者が対象となっております。
東京都と都民の利益にどう寄与するのか、説明してください。
○坂本商工部長 都では、事業の発展が見込まれる創業の希望者や起業家等に対して、開業に関する知識の提供のほか、会社の拡大に結びつく助言を行い、ネットワークづくりにも役立つ施設を設けております。また、経営面の資金負担を抑えるため、オフィスを低廉な賃料で提供する取り組みも行っております。
こうした重点的なサポートによりまして、リーディングケースなどを生み出し、都内で創業して事業を拡大する会社をふやし、今後の東京の産業の発展に結びつけることとしております。
○上田委員 都内で創業して事業を拡大する会社、これは本当に重要だと思います。
それでは、知事鳴り物入りの女性ベンチャー成長促進事業、Acceleration Program in Tokyo、APTですね、開始からこれまでの取り組みと選定の基準、公募はどのように広く呼びかけられたのか。APTプロジェクトそのものの総事業費と実績、そして、プロジェクトには語学とビジネスに熟達した職員が同行していたのかも、あわせて報告ください。
○坂本商工部長 都では、女性ベンチャー成長促進事業を平成二十九年度に開始し、大都市などが抱える社会的な問題の解決や、世界の市場への積極的な進出に向け、事業の拡大に意欲を持つ女性の起業家をサポートし、ロールモデルとして発信する取り組みを行っております。
昨年八月から九月にかけて、事業への参加者をホームページなどを通じ幅広く公募し、創業十年未満で、都内において事業展開をしているか、その予定のある女性経営者のうちから、事業の将来性や意欲の高さなどを踏まえ、二十名を選定いたしました。
こうした参加者に、事業を拡大するためのノウハウやビジネス交渉の方法を学ぶ講義プログラムなどを提供するほか、専門家による事業計画への助言や、お互いの事業プランを検討し合う交流会を行いました。
また、参加者のうち十名を三十年一月にニューヨークへ派遣し、英語力があり、ビジネスに詳しい専門家のサポートを受けながら、今後の取引を見込める企業や投資家にプレゼンテーションを行う機会などを設けました。担当の職員も同行して現地でサポートを行ったところです。
二十九年度は、経費一億五千五百七十万円によりまして事業を実施し、参加者の中から、海外進出やビジネスモデルの改善を実現した事例などが出ております。
三十年三月には、公開の成果報告会を行うとともに、参加者がレベルアップをした状況などをホームページで幅広く紹介しております。
○上田委員 語学、ビジネスに精通した専門家が行ったようですけれども、職員の同行もコストがかかりますので、ちょっと職員がどうであったかは、答えから見られなかったので、当然のことながら職員も語学、ビジネスに精通した人材を要望いたします。
また、今の答弁の中でもありましたが、女性起業家同士のネットワークができたということを仄聞しておりますが、その点についての評価を伺います。
○坂本商工部長 昨年度の女性ベンチャー成長促進事業の参加者は、プログラムの受講や定期的な交流会、海外への派遣などを通じまして、経営上の課題の解決に向け、相談やお互いに助言を行うことのできるネットワークを自主的につくり上げております。
これによりまして、事業をスムーズに発展させるなどの効果があらわれているところでございます。
○上田委員 商工会議所などもありますけど、やっぱりベンチャーと女性ってすごく少ないと思うので、ベンチャー、女性起業家版の商工会議所のようなネットワークができることを期待します。
また、女性起業家というと母親もいらっしゃいます。開催時間など参加に支障はなかったのか、意見などなかったか、改善したかも踏まえて伺います。
○坂本商工部長 本事業におきましては、会社の経営のほか、育児を行っている参加者もいることから、講義をインターネットで受ける方式を取り入れて、子育てと受講を両立しやすい仕組みといたしました。
また、成果報告会などの会場で託児サービスを提供して、子供と一緒に参加のできる工夫も行いました。
子育てのため事業の参加に支障のあったとの意見は、出てはおりません。
○上田委員 今後も、配慮をお願いします。
さて、都の事業なのに本店が東京にない企業が選ばれた理由と、選ばれた企業のその後の実績、事業の費用対効果を伺います。
○坂本商工部長 本事業におきましては、社会的な問題の解決や世界の市場への積極的な進出に意欲を持って取り組む事業を拡大する女性経営者のロールモデルを発信して、そうした機運を都内で醸成することを目指しております。そのため、東京で事業展開をしているか、その予定のある女性経営者も、幅広く事業に参加のできる仕組みといたしました。
平成二十九年度の事業の参加者のうち、都外の二社は東京に進出して拠点を設けて、身近なロールモデルとなっているところでございます。
○上田委員 先ほど、創業十年未満で、都内において事業展開をしているか、その予定のある女性経営者のうちからと答弁されていますが、APTのホームページの参加者一覧を確認しますと、創業十六年とか十年以上の企業も二、三社はあり、本店はいまだ関西、支店も東京に設けていないことを確認しております。
既に資金調達を何度も成功させている社歴の長い会社ではなく、資金調達の面でも、これから飛躍する可能性のある、また、東京都から世界へ挑戦したいと思う女性起業家を応援するのが本来なのではないでしょうか。
都民と都税に貢献、寄与するプロジェクトとなるよう、東京に拠点を置く多彩な起業家を中心に、トーマツ及び関係者の口コミレベルのラインナップではなく、今後はあまねく挑戦者へ広く呼びかけをお願いしたいと思っております。
次に、商店街活性化政策についてでございます。
多岐にわたる事業を展開されていますが、この取り組みによって、商店街を訪れる人口がふえた、売り上げがふえたなど、効果の検証が必要です。実施後の検証の状況と効果について伺います。
○坂本商工部長 都は、三年ごとに実施をしている都内商店街の実態調査によりまして、支援施策の効果について検証しているところでございます。
平成二十八年度に行った最も新しい調査によるところですと、都の助成事業により、イベントやハード整備を実施した商店街の九割以上から、効果があったとの回答を得ております。
また、同調査では、イベント事業を実施した商店街のうち、半数以上が継続的な集客や売り上げの向上につながったと、このように回答してございます。
都による支援は成果を上げていると考えているところでございます。
○上田委員 私は江戸川区議出身でございますが、やはり区市町村も似たような活性化政策を持っております。私は、現場を知っている区市町村に任せた方が効果的ではないかと思えてなりません。
区市町村と重なる事業はないか、都と区市町村とのすみ分けと役割分担を確認させてください。
○坂本商工部長 都は、商店街のイベントの開催やハード整備などを支援する区市町村の取り組みに対して助成を行っているところでございます。
また、区市町村に対して先導的な役割を果たす商店街振興の施策を実施するほか、都の抱える行政課題の解決に役立つ商店街の取り組みへの支援も進めているところでございます。
○上田委員 先ほど、商店街の九割以上から効果があったということですが、人口や売り上げという数字を押さえて効果を見える化して、検証をしていっていただきたいと思います。
中小企業向けファンドについてです。
資料の15をごらんください。ベンチャー企業成長支援ファンド、中小企業連携促進ファンド、ベンチャーファンドの三つの中小企業向けファンドがあります。それぞれの投資、リターンをお示しください。
○加藤金融部長 都が出資しております中小企業向けファンドからの資金回収額につきましては、他のファンドと同様に、その清算が終了するまでは確定いたしません。
○上田委員 そうなんですね。清算が終了するまで確定しないことが大変気になっちゃうんですね。
この三つの中小企業向けファンドを設立したことによって、設立目的はどのように達成されているかのところを確認させてください。具体的にお示しください。
○加藤金融部長 都は、民間資金を活用した資金供給とファンド運営事業者による手厚い経営支援によって、中小企業の成長を促進することを目的としまして、ファンドに出資しております。
ものづくりベンチャー企業を育成、支援するベンチャー企業成長支援ファンドにつきましては、ファンド専属の技術アドバイザーを派遣するなどの支援を行い、昨年度末までに投資した二十九社のうち二社が上場しております。
次に、中小企業連携促進ファンドでは、七社に投資し、投資先の小売企業同士の販売連携や新たな製品開発のために、大企業、大学、研究機関との共同研究の橋渡しなどの支援を行っております。
ベンチャーファンドでは、六社に投資し、宇宙関連業務に取り組むベンチャー企業などの経営者と、コンセプトづくりの段階から一体となって事業の立ち上げや成長を支援しております。
このように、政策目的に沿ったファンドを活用し、中小企業の成長を促進するため、資金と経営の両面から支援を行っております。
○上田委員 それでは、それぞれの中小企業向けファンドの支援企業について、どのような基準で支援が決定されるのか、また、出資後のモニタリング体制についてお示しください。
○加藤金融部長 都はこれまで、さまざまな政策目的に沿ったファンドを活用して、数多くの中小企業に対し、資金と経営の両面から支援を行っております。
個別の支援先企業につきましては、民間のファンド運営事業者がそれぞれ持つネットワークや目きき力などの独自のノウハウを使って選定されます。
都は、支援先企業を選定する投資委員会にオブザーバーとして出席し、疑問点の確認や意見表明を行うとともに、投資、会計、法律分野等の専門家を活用して、定期的に支援先企業の経営状況の確認及びファンドの資産状況や、出資目的にかなった運営がなされているかなどにつきまして、適切にモニタリングを行っております。
○上田委員 モニタリング、確認しました。
支援企業への出資後に、出資金の回収ができなかった場合が気になります。その場合、産業労働局はどのような対応をするのか、また、その責任の所在をお示しください。
○加藤金融部長 ファンド手法の活用におきましては、政策目的に沿って支援先の中小企業をいかに成長させていくかが最重要であると考えております。
出資後は、専門家を活用して、定期的に支援先企業の経営状況の確認及びファンドの資産状況や、出資目的にかなった運営がなされているかなどについて、引き続き細心の注意を払ってモニタリングをしてまいります。
○上田委員 くれぐれ、毀損がないよう、私ども議会の方からもモニタリングをさせていただきたいと思います。
次に、東京フィルムコミッション事業です。
東京ロケーションボックスにおけるロケの実績と、都民への理解促進がどう図れたかを伺います。
○小沼観光部長 都は、円滑なロケ撮影を支援するため、東京ロケーションボックスを運営し、都内での撮影に関する情報提供や施設管理者等との撮影許可の調整などを行っております。
昨年度は、ロケ撮影に適した場所などの相談件数は三千三百九十二件ございました。また、ロケ撮影の円滑化を図るため、百三件の撮影の現場に立ち会いまして、道路や庁舎などでの撮影条件が守られているかの確認などを行いました。
さらに、都民のロケ撮影への関心を高めるため、東京ロケーションボックスや地域のフィルムコミッションが支援した作品やロケ地等を紹介する季刊誌、一万六千部を発行するとともに、動画を計十本制作して情報発信することで、地域におけるロケ撮影受け入れの機運醸成を図っております。
○上田委員 都がかかったかどうかわからないですけど、先日終わってしまったNHKの「半分、青い。」で、江戸川区の新川、親水公園のところが使われました。しかし残念ながら、杉並区風の谷という、杉並区という設定で江戸川が使われてしまったのは若干残念でしたけれども、大変区民が喜んでおりました。
また、ロケたびアプリ、これはすごくまた好評であります。ちょっと質問に入れたかったんですが、どのぐらいダウンロードされているのかなというふうに気になっているところであります。
地域が主体というのがやっぱり東京都らしい取り組みだと思います。地域におけるフィルムコミッション事業の申し込み、設立から完成に至るまでの流れを具体的に説明した上、決算年度に当たる地域のフィルムコミッション設立総数と支援実績を伺いたいと思います。
○小沼観光部長 地域のフィルムコミッションの設立におきましては、地方自治体や観光協会等が運営主体となりまして、ロケ撮影に関する相談窓口の設置や、ロケ候補地等の情報の発信、撮影支援のノウハウ等の蓄積及び関係機関とのネットワークづくりができる運営体制の構築が必要でございます。
都は昨年度、こうした取り組みを促すため、地域の担当者等に対しまして、ロケ撮影の支援を通じた観光振興策や課題等に関する講習会を二回開催いたしました。
また、設立準備に関する助言やロケ撮影支援のノウハウを提言するなどのアドバイザー業務を六回実施してございます。
これらによりまして、平成二十九年度末までに十九の地域フィルムコミッションが設立されてございます。
○上田委員 折しもきのうから東京国際映画祭で大変盛り上がっていて、それも喜ばしいですが、地域シネマってすごく大事だと思います。
私ども江戸川区では、船堀駅前のタワーホール船堀で船堀映画祭を、ちょうど来月、江戸川区とともに開催したときに、やっぱりフィルムコミッションということの重要性を感じている次第でございます。
このフィルムコミッション事業が映画の振興及び観光にどう寄与したか、ご所見をお示しいただきたいと思います。
○小沼観光部長 都がロケ撮影におきまして、映像制作者の円滑な作品づくりをサポートすることによりまして、映像産業の振興を図るとともに、国内外で公開されます映画やドラマなどの映像作品が持つ発信力を活用し、ロケ地となった地域の魅力のPRにつなげております。
また、地域が一体となって作品に参加するロケ撮影の受け入れ機運が高まることによりまして、地域の活性化にも寄与しているものと思っております。
○上田委員 二十三区二十六市には、まだまだまちの映画館が残っている地域もあります。こうしたところを、地域で映画を見てもらう、私は今、DVDで見るよりも、家族で映画館に行って、地域で一緒に泣いたり笑ったりする、そういった文化が残っていくことも非常に重要なことだと思っておりますので、引き続きの取り組みをお願いいたします。
続いては、Wi-Fi環境の整備については、同僚委員から質問がありまして、こちらの方は重複するということで、飛ばさせていただきますが、やはりまだまだ達成度が低いかなと思っております。交通局、メトロとも力を合わせまして、Wi-Fi環境の整備をお願いしたいと思います。
次に、富裕者向け通訳ガイドニーズの調査、分析結果をお示しの上、都独自のガイド育成の状況を具体的にお示しください。
○小沼観光部長 欧米地域からの富裕な旅行者を誘致するためには、通訳ガイドなど東京を快適に観光していただくための受け入れ体制の充実を図ることが重要でございます。
このため、昨年度、国内外のホテルや旅行会社、通訳ガイドのほか、欧米地域からの富裕な旅行者等にヒアリングを行いまして、通訳ガイドに求められるニーズ等について調査を行ったところ、富裕層を対応するガイドには、臨機応変に旅行者の要望に応えられる高度な語学力と企画力、旅行者からの要望が高い日本の伝統文化や歴史、建築物、食等の知識に関する専門性、危機管理能力等が求められるということが明らかになりました。
こうした結果を踏まえまして、今年度は、都内在住の全国通訳案内士を対象にしまして、富裕層にも対応できるよう、スキルアップ研修を実施してまいります。
○上田委員 海外の富裕層というと桁違いのお金持ちだったりするので、大変これは東京の経済効果に寄与すると思います。そうした方々ですので、一流ホテルのコンシェルジュ並みのスキルが問われていると思います。
よい人材にはそれなりの報酬が必要で、ボランティアでは限界があると思いますので、NPOほかと協力をしながら、人材を、コストをどこから出してくるのか、民間から出してくるのか、そこら辺を検討しながら、しっかり進めていただきたいと思います。
農林水産対策です。
里山保全は喫緊の課題であります。そのためには、林業、木材産業の活性化が不可欠であります。
森林資源を活用した観光振興も担う産業労働局の課題認識と、各事業を通じて得ようとする成果、決算年度の実績をお示しください。
○上林山農林水産部長 里山を含めました多摩地域の森林は、木材生産のみならず、観光資源としても活用されるなど、都民にとって貴重な財産となっております。
しかしながら、林業の低迷から、人工林の多くは伐採が停滞し、花粉飛散量の増加や森林景観の悪化を招いてございます。
そこで、都では、林業の振興と森林保全を図るため、杉林などを伐採し、花粉の少ない杉等に植えかえる主伐事業や、民間の間伐などへの補助事業といった森林整備に加え、担い手育成や多摩産材の利用拡大など、幅広い施策を実施してございます。
このうち、平成二十九年度の森林整備に関する実績は、主伐事業により五十八ヘクタールの伐採契約を新たに締結するとともに、三十六ヘクタールの植栽、三百二ヘクタールの下草刈りを実施いたしました。また、三百二十五ヘクタールの間伐に対して補助を行っております。
○上田委員 伐採については、水道局の水道水源林を守るとか、都民のお力をかりていたりすると思います。建設局、環境局とも力を合わせながら、荒廃林を里山にするべく、引き続きまして、そのためにやはり経済的な何かがなければ人は動きませんので、引き続いてのお取り組みをお願いを申し上げます。
港湾局の決算のこの間の質疑によりますと、葛西三枚洲におけるラムサール条約湿地登録に当たっては、都として漁業関係者と協議をしたほか、国においても公聴会を実施し、さまざまな関係者から意見を伺っている、登録に反対の意見がある団体も含めて、関係者との意見交換の場を設けているということであります。
漁業関係者が、葛西にスズガモが大量にやってきて、大量に貝を食されてしまうことを懸念しているということが、声が届いております。産業労働局におけるこの問題の対応策と所見を伺わせてください。
○上林山農林水産部長 ラムサール条約湿地登録につきましては、登録に際し、所管する港湾局と漁業関係者の間で行われた協議などにおいて、登録後に漁業活動に支障がないよう配慮してほしいとの意見が出ていることを踏まえ、引き続き、漁業者を支援する立場から、状況に応じ関係局と連携し、適切に対応してまいります。
○上田委員 折り返しを過ぎました。雇用対策です。
女性しごと応援テラスについてです。
資料12の方をごらんください。こちらによりますと、新規利用者数は、数字的には上がっているんですが、営業日一日平均三人が就職ということになっています。都の女性人口を鑑みれば少ないのかなと思うんですけれども、いかがでしょうか。
数だけではなく、どのような企業に就職できているのか、就労の継続については把握しているのかなど、実績を伺いたいと思います。
○篠原雇用就業部長 女性しごと応援テラスの利用対象者でございます出産や育児などで一旦退職した方は、再就職に当たって大きな不安を抱えているケースが多いため、就職までの支援は、丁寧なカウンセリングなどきめ細やかな対応が必要となっております。
このため、比較的少人数の事業となっておりますが、利用者は高い割合で就職に結びついております。
昨年度は、この事業を新規に利用する方が千四百八十九名、就職した方が九百三十三名でございまして、利用者の就職先としては、サービス業が二二%、教育、研究が一五%、医療、福祉が一三%、卸、小売業が一〇%となっております。
なお、就職後のフォローとして個別相談には応じておりますが、就労が継続となっているかどうか具体的な人数については、把握が困難でございます。
○上田委員 やっぱり就職先、金融とか、ちょっと給料がよさそうなところが入っていないのかなというふうに見てとれました。比較的少人数の事業という見解もお持ちです。
課題と対策の所見を伺いたいと思います。
○篠原雇用就業部長 この事業につきましては、女性の再就職支援のさらなる強化に向けまして、利用者の掘り起こしが課題であるというふうに考えております。
このため、区市町村と連携いたしまして、テラスの利用につながるセミナー等を地域において実施するなど、利用者の拡大を図っているところでございます。
○上田委員 先ほども同僚委員から指摘もあったんですけれども、やっぱりハローワーク、江戸川区は船堀に女性向け、お母さん向けのハローワークがありますし、区市町村でも就労支援はやっているんですね。ちょっと二重行政、三重行政については、かねてより指摘をさせていただきますので、無理して頑張って広げるというよりは、区市町村につなげる、そうしたパイプ役というあり方もあるのかなというふうに私自体は考える次第です。
次、高校中退者に対する就労支援についてですが、どのように中退者とアクセスしているのか、青少年・治安対策本部、いろいろな事業、若者ナビとかやっておりますよね。それと、また区市町村も同じようなことをやっています。連携はどう図られているのかも含め、実績をご説明ください。
○篠原雇用就業部長 高校中退者につきましては、しごとセンターのヤングコーナーなど若年者を対象とした事業によって、受け入れて支援を行っているところでございます。
高校中退者への周知に当たりましては、都庁内の関係部局や区市町村、都内の高校、支援団体などに情報提供いたしまして、協力を依頼して行っております。
このほか、昨年度は、東京しごとセンターにおきまして、高校中退者を対象に、グループワークを通じて今後の進路や働き方を考えるセミナーを開催したところでございます。
○上田委員 実績、就労へどう結びつけたか、課題についてもお示しください。
○篠原雇用就業部長 東京都で把握しております高校中退者を支援した事例としましては、先ほども申し上げた東京しごとセンターの若者正社員チャレンジ事業という事業におきまして受け入れ、都内中小企業で職場体験実習を体験した後に就職に至ったケースがございます。
高校中退者の支援につきましては、学校と離れてしまった後に、支援に関する情報等をどう届けていくかということが課題であると考えております。
○上田委員 そうですよね。学校と離れてしまった後が課題であるし、高校中退かどうかは、個人情報もありますから利用者に聞くわけにもいかない。実績については把握は困難でありましょう。やはりこれも、生活圏のある区市町村の方が担うのが適しているのではないかというふうに思う次第でございます。
区市町村に、またこれもパイプとして、情報提供やセミナーのご案内をしていくという方が向いているのではないかというところで、次に移ります。
資料の11にもありますけれども、障害者の就労について、政府機関が水増しをした事件が世の大きな批判を呼んでおり、東京都内でも区市でも散見されている報道が近日ありました。
より具体的な就職に結びつける事業を有する産業労働局における障害者雇用向上に向けて所見を伺いたいと思います。
○蓮沼事業推進担当部長 都内の民間企業における障害者雇用率については、東京労働局の発表によれば、平成二十九年六月一日現在で一・八八%でございます。このうち、千人以上の大企業については二・一三%であるのに対し、三百人未満の中小企業については一・〇七%となっており、東京都全体の障害者雇用率を高めていくためには、都内企業の大半を占める中小企業の雇用率の向上を図ることが重要でございます。
そこで、都は、これから障害者雇用に取り組もうとする中小企業の経営者等を対象に、障害者雇用支援フェアを開催して、支援制度や支援機関の取り組みを紹介したり、障害者雇用のキーポイントを学ぶセミナーを行うなど、参加者の理解促進を行ってまいりました。
さらに、障害者の職場体験実習に向けたマッチング面談会の実施や、障害者を雇い入れた場合などの助成金の支給のほか、障害者を採用した企業の希望に応じ、東京ジョブコーチの派遣や職場内サポーターの養成を行うなどにより、障害者の職場への適応や定着を支援しております。
今後も、こうした取り組みにより、中小企業における障害者雇用の促進を図ってまいります。
○上田委員 本当におっしゃるとおりで、日本は九九%が中小企業で、ここが雇っていただければ底上げがぐっと進むということは、まさしくご答弁のとおりでございます。
また、中小企業にどう届けるかというのが課題であります。私も商工会議所の江戸川支部で講座をしたときに、障害者や女性を採用したときのメリット、産業労働局のお力をかりて、さまざまのご説明をさせていただきました。中小企業障害者雇用支援助成事業、障害者安定雇用奨励金等の活用実績と、これがなかなかやっぱり、私も講演をして、えっ、そうだったのと多くの地元の中小企業の皆さんがおっしゃっていたので、いまだ周知ができていないように考えるものでございます。
情報提供を中小企業経営者サイドにどう届けているか伺いたいと思います。
○蓮沼事業推進担当部長 都では、中小企業障害者雇用支援助成事業を実施し、国の助成期間終了後も、引き続き障害者の雇用を継続する中小企業に対して賃金助成を行っており、平成二十九年度の支給実績は六百二十七件となっております。
同事業については、国の助成金の申請があった企業に対して、直接リーフレットを送付しているほか、東京商工会議所を初めとする経営者団体や東京都社会保険労務士会、ハローワークなどにリーフレットを配布して、幅広く周知を行っております。
また、障害者安定雇用奨励事業により、障害者を正規雇用等で雇い入れる企業に奨励金を支給しており、平成二十九年度の支給実績は二百二件となっております。
同事業の周知啓発のため、都は、ハローワークや国の障害者就職面接会等でリーフレットを配布するほか、今年度は、経営者団体や東京都信用金庫協会、東京都社会保険労務士会への説明を行い、会員向け広報誌への掲載やホームページへのリンクバナー掲示、メルマガ配信等の協力を依頼しました。
さらに、新たに企業向け説明会の実施、日経新聞への広告掲載等を行うこととしております。
今後も、こうした取り組みを通じ、障害者の安定的な雇用の促進を図ってまいります。
○上田委員 実績を伺いました。ぜひ三桁から四桁になるよう、また精進していただきたいと思います。私の方も周知に協力させていただきたいと思います。
労働問題についてです。
資料の13をごらんください。労働委員会委員の任命についてですけれども、労働組合法等によりまして、使用者委員及び労働者委員につき、各団体に推薦を求めた上でその推薦に基づき、また公益委員につきましては、専門分野等を考慮の上で中立的な人物を労使委員の同意を得て、それぞれ知事が任命していることは承知しているものですが、さきの労働委員会の決算質疑で明らかにした労働委員の所属する労組の顔ぶれを見ていますと、重厚長大といいますか、現代の業界構造に合っている業界組合とは思えないように思われますが、ご所見を伺いたいと思います。
○篠原雇用就業部長 労働委員会委員でございますが、委員のお話にもありましたように、法令の規定によりまして、使用者委員と労働者委員につきましては、各団体に推薦を求めた上でその推薦に基づき、そして公益委員につきましては、専門分野等を考慮した上で中立的な人物を労働者委員、使用者委員双方の同意を得て、それぞれ知事が任命しているものでございます。
労働委員会は、労働争議の調整や不当労働行為事件の審査などの権限を有するものでございまして、これらに適切に対応できる人物が委員に任命されているものと考えております。
○上田委員 今、さまざまな労働組合、若者向けであるとか、さまざまな産業の労働組合が出ておりますので、そういったところにも私もアンテナを高くいたしまして、選ばれるのかどうなのか、こちらも定点観測させていただきます。
また、セクハラなど女性労働者の立場で判断を下す人材が、やっぱり労働委員会委員には必要だと思っております。しかし、三十九名中女性が四名です。使用者委員に至っては女性はゼロとなっております。この男女バランスで、労働争議の調整や不当労働行為の審査などの権限を有し、これらに適切に対応できるといえるのか、見解を伺いたいと思います。
○篠原雇用就業部長 現在の第四十三期労働委員会委員は、三十九名中、女性委員は五名おりまして、内訳は、公益委員が二名、労働者委員が二名、使用者委員が一名となっております。
先ほどもご答弁させていただいたとおり、労働委員会は、労働争議の調整、不当労働行為事件の審査などの権限を有するものでございまして、これらに適切に対応できる人物が委員に任命されているものと考えております。
○上田委員 済みません、カウントを間違えたようで、使用者には今年度から一名ふえたということでありますが、やはり三十九分の五というところで、引き続き女性がふえることを願ってまいりたいと思います。
また、労働相談情報センターに寄せられた資料によりますと、退職、職場の嫌がらせ、労働契約、解雇が例年多いようです。
関係法令を踏まえた対応策の助言を行うとともに、必要に応じ、労働基準監督署など関係各機関への紹介や相談者の意向により相手との調整を行い、あっせんも実施していることは承知しておりますが、解決に結びついた実績事例など具体的にお示しください。
○篠原雇用就業部長 昨年度、労働相談情報センターにおいて受けた労働相談のうち、あっせんを実施したものは四百十一件ございまして、このうち解決に至ったものは三百三件でございます。
具体的な事例としましては、退職を希望しながら人手不足を理由に慰留されていた方が、センターのあっせんにより労使間で退職日の調整がついたもの、それから、上司などからのパワーハラスメントにより出勤ができなくなってしまっていた方が、あっせんにより、本人への謝罪、それから休職期間中の賃金補償等に結びついたものなどがございます。
○上田委員 しっかりとセンターが機能して、解決に結びついているところを本年度確認させていただきました。
労働セミナーを開催し、労使双方に対してトラブルの未然防止に向けた普及啓発も行っているようですが、その成果は決算年度においてどうであったか、所見を伺います。
○篠原雇用就業部長 労働セミナーは、都内六カ所の労働相談情報センターにおいて、労働者、使用者及び都民を対象に実施しているものでございます。
このうち、お話の労使間のトラブル防止につながるセミナーは、昨年度、合計七十七回開催し、七千百八人の方が受講しております。
具体的には、使用者向けセミナーにおきましては、過重労働の防止や労務トラブル防止のための就業規則見直しなどをテーマにしまして、適切な労務管理に必要な知識やノウハウを提供しております。
また、労働者向けのセミナーでは、自分を守るための労働契約入門、ハラスメントへの対処などをテーマとして、労働トラブルの未然防止に必要な知識やノウハウを提供しているところでございます。
○上田委員 一方、職場のメンタルヘルス対策についてはどうでしょうか。福祉保健局、区市町村との連携状況、シンポジウム、相談会等、各種取り組みの成果を伺います。
○蓮沼事業推進担当部長 働く方が心も体も健康で生き生きと充実して働くには、経営者による積極的なメンタルヘルス対策の取り組みが重要でございます。
このため、都は、毎年九月から十一月に、東京労働局や経済団体等と連携して、シンポジウムやさまざまなセミナーを集中的に開催する職場のメンタルヘルス対策推進キャンペーンを実施しております。
キャンペーンの期間中は、都の精神保健福祉センターなどによる鬱病休職者の職場復帰支援を考えるフォーラムを連携事業と位置づけて同時広報するなど、福祉保健局や区市町村等とも協力して事業の周知を行っております。
昨年度のポジティブメンタルヘルスシンポジウムには四百五十三人、都が実施したセミナーには二百六十七人がそれぞれ参加し、シンポジウムと同時に実施した産業カウンセラー等による個別相談会では、十六社の相談に対応いたしました。
○上田委員 こちらも福祉保健局、区市町村、労働基準監督署なんかとも連携を図って、集約して効率化を図っていただきたいと思います。
オリ・パラの影響についてであります。
資料の17と18の方をごらんください。東京ビッグサイトは、オリ・パラのメディア施設として最長二十カ月使用の予定で、この間を過去データで換算しますと、約三百本の展示会、三兆円の売り上げが想定され、非常に大きな経済効果が期待され、逆からいえば、その間の経済損失も懸念され、中小企業にはかり知れない悪影響を与えないか、以前一般質問をし、二〇二〇大会による利用制約期間が明らかになったことを踏まえ、関係者への迅速な情報提供を行いました。今後、都は、東京ビッグサイトと連携し、展示会の開催時期や利用スペースの調整、ほかの国内展示場の紹介など、きめ細かな利用調整を行ってまいりますという答弁を得ております。
その後の対応はどうなっているのか、代替施設の紹介などのフォロー体制について説明してください。
○坂本商工部長 都は、二〇二〇年大会の開催により、東京ビッグサイトの利用に制約が生じる状況を踏まえ、中小企業の販路開拓の効果的なツールである展示会の場をできる限り確保するため、大会組織委員会と調整を行い、利用制約期間の短縮を図ったところでございます。
これによりまして、東京ビッグサイトと連携し、展示会ごとの実情を踏まえた開催時期や利用面積の調整を現在進めているほか、ほかの国内施設への受け入れ要請を行いました。
○上田委員 一般質問で伺ったことを、二十九年度ちゃんと実施していることを確認いたしました。
一方、平成二十八年三月の平成二十八年都予算特別委員会にて、大会組織委員会が負担することになっている仮設会場、有明体操競技場について、突如として都が方針を変更し、大会後は引き取り、中小企業振興の一環として展示場とし、四億八千万円を負担することが判明しました。
アンケート調査を受けて、利用企業者は納得しているのか、また要望はあったのかなかったのか、及び後利用後も活用していただけるのか、所見を伺います。
○坂本商工部長 有明体操競技場の後利用に関する調査で行ったヒアリングでは、多くの展示会主催者から、開催規模を拡大したいとの要望が寄せられたほか、後利用の施設と東京ビッグサイトを一体的に活用したいとの意向も示されたところでございます。
こうした調査のヒアリングとアンケートに基づく需要推計を踏まえると、大会後の本施設は、中小企業の展示会での適切な稼働が見込まれるものと考えているところでございます。
○上田委員 適切な稼働を、オリ・パラ後の資料要求でまた私の方も確認できるのを楽しみにしております。
監理団体、報告団体についてでございます。
中小企業振興公社、しごと財団、農林水産振興財団、東京観光財団の職員数が急増した理由、農林水産振興財団に特筆して派遣社員が多い理由について伺います。
○寺崎総務部長 当局が所管いたします監理団体につきましては、都の事務事業を補完し、都民サービスの向上に寄与することを目的として事業を展開してございます。
各団体では、中小企業の受注機会の拡大や海外向け観光プロモーションの強化、都内産農林水産物の認証取得支援、働き方改革の推進など、東京二〇二〇大会とその先を見据えた事業等を都と連携協力して実施をしております。その事業の執行に当たりましては、都派遣職員の新たな受け入れや職員の採用を行い、対応しているところでございます。
また、公益財団法人東京都農林水産振興財団は、担い手の確保、育成などに関する事業のほか、試験研究部門では、都の普及指導員と連携し、新たな品種開発等に取り組んでございます。
このため、団体では、農家への普及指導などを経験し、現場の実情を把握した専門性の高い都の農業技術職員等の派遣を多数受け入れており、都との緊密な連携のもと、効果的な事業展開を図っております。
○上田委員 人員がふえたというのは、中小企業の産業振興、観光、そして農産物の認証取得や働き方改革の推進ということは理解できました。
そのご答弁の中で、東京二〇二〇大会とその先を見据えたというところが逆に気になりまして、その見据えた先に、人員が、人口も激減してまいりますし、オリンピックもあるわけですから、人員が不要と、この外郭団体になるとなれば、すぐにも見直して、東京都の派遣等を引き揚げるようお願いをしたいと思います。
最後の項目でございます。決算書上の財政収支について伺います。
一般会計の歳入歳出を差し引きますと、三百九十二億二千二十九万九千四百十一円の赤字です。歳入と歳出の項目についてそれぞれ、以下確認と質疑をいたします。
まず歳入からです。
基金繰入金の収入額を確認させてください。また、基金繰入金の農業構造改革支援基金繰入金、おもてなし・観光基金繰入金、森林整備加速化・林業再生基金繰入金の原資とこの三事業の費用対効果をお示しください。
○寺崎総務部長 平成二十九年度におけます基金繰入金の収入済額は五十五億六千十一万三千六百十九円であり、その内訳は、農業構造改革支援基金繰入金が六百八万八千七百四十六円、おもてなし・観光基金繰入金が五十五億五千二百六十六万六千二百二十三円、森林整備加速化・林業再生基金繰入金が百三十五万八千六百五十円となってございます。
農業構造改革支援基金の財源は、国から交付された農地集積・集約化対策事業費補助金であり、当基金は、農業経営の規模の拡大、農業への新規参入の促進等による農用地の利用の効率化及び高度化を図ることにより、農業生産性を高めるとともに、農業構造の改革を推進することを目的として設置したものでございます。
おもてなし・観光基金の財源は一般財源でございまして、当基金は、東京を訪れる国内外の旅行者に対する受け入れ環境の充実及びその他観光都市としての東京の発展に資する事業に要する資金に充てることを目的として設置したものでございます。
森林整備加速化・林業再生基金の財源は、国から交付された森林整備加速化・林業再生事業費補助金でございまして、当基金は、間伐等の森林整備の加速化及び間伐材等の森林資源を活用した林業、木材産業等の地域産業の再生を図ることを目的として設置したものでございます。
○上田委員 目的と設置はわかったんですけど、ちょっと費用対効果が読み取れなかったので、また研究させていただきます。
次に歳出です。
経営技術支援費、金融事業支援費、観光産業振興費のそれぞれの支出額を確認させてください。また、三事業の費用対効果と必要性、融資をした際の貸し倒れ状況などについてお示しください。
○寺崎総務部長 平成二十九年度における経営技術支援費の支出済額は五百三十五億七千五百六十六万五千百六十四円、金融事業費の支出済額は二千五百六十八億七千六百四十五万二千七百六十五円、観光産業振興費の支出済額は百三十億六千百一万二千百六円となってございます。
経営技術支援費は、さまざまな課題を抱える中小企業の経営の安定を図るための指導事業等に充ててございまして、具体的には、中小企業振興公社の総合相談窓口において、延べ一万四千三百二十九件の経営相談を実施するなど、東京の経済や雇用を支えている中小企業に対する経営面からの支援を行ってございます。
金融事業費は、大企業と比べて信用力の弱い中小企業の金融円滑化を図るための中小企業制度融資等に充てており、具体的には、制度融資において八万三千六百三十三件、一兆一千百二十三億四千二百二十一万八千円の融資を行うなど、中小企業による事業資金の調達に対する支援を行いました。
なお、融資先企業の倒産等による平成二十九年度の代位弁済額は、五百十一億二千百七十三万四千二百五十二円でございます。
観光産業振興費は、都内の幅広い産業に経済面の波及効果と雇用の創出などを生み出す観光振興に充てており、具体的には、観光プロモーションの積極的な展開や外国人旅行者の受け入れ環境整備などを進め、訪都外国人旅行者数は一千三百七十七万人、訪都外国人旅行者消費額は一兆一千三百五十八億円と、いずれも前年を上回りました。
○上田委員 ありがとうございます。
産業労働局は三百九十二億二千二十九万九千四百十一円の赤字ということでございます。産業、雇用、就業政策や中小企業対策、観光産業振興の事業を行う必要性や効果などを、今後もさらに厳密化する必要があると思います。
観光は、本当に都も頑張ってもらいたいんですが、ある程度民間に委ねるという考え方もあるのではないかと思います。なぜなら、この約三百九十二億円の赤字補填部分は、都民の血税によって賄われているからでございます。
資料14にあります中小企業制度融資の損失補助、十年で八百六十億円となります。融資先企業の倒産等によっては、本年度約五百十一億円も代位弁済する問題についても、事業や政策の費用対効果をしっかりと検討の上、進めていくよう改めてお願い申し上げて、質疑を終わります。
○小林委員 私からは、観光振興について五問お伺いをさせていただきます。
東京を訪れる旅行者にとって、観光に関する情報を対面で入手できる観光案内所は重要な存在であります。外国からの旅行者の増加に伴い、観光客のニーズも多様化する中、都が運営する観光情報センターの今後の役割は大変重要なものになってくると思います。
実は最近、そういうことを実感する出来事がありました。先日、私が長年、文化芸術振興についてご指導いただいております歌舞伎役者の方が、国内外の方々に歌舞伎の魅力を知ってもらい、楽しんでいただけるようイベントを企画されました。
イベント当日は私も参加しましたが、羽田空港の東京観光情報センターにもこのイベントのチラシが置かれておりまして、そこで、このイベントを知った外国人の方が実際に鑑賞に来られたとのことでありました。
このように、外国人に対しては、旅行者に関心の高いイベントなどの紹介を効果的に行い、集客に結びつけていくことは、今後も、大事な課題であると思います。そのためにも、東京観光情報センターにおける観光案内機能の充実強化が重要であると考えますが、昨年度の都の取り組みについてお伺いします。
○鈴木観光振興担当部長 都では、東京観光情報センターを設置し、国内外から東京を訪れる旅行者に対して、観光スポットやイベントなど、さまざまな情報を多言語で提供しております。
平成二十九年度は、多摩地域で初となる東京観光情報センターを立川に開設するとともに、都庁の観光情報センターにおいて、パンフレットの紹介コーナーの充実といった、利用者がより使いやすくなるようなリニューアルを行うなど、全部で五つのセンターを運営いたしました。
また、各センターに日々寄せられる問い合わせの内容や傾向などを分析、共有することにより、問い合わせへの迅速な対応や、利用者のニーズに応じたプランの提案を行う際の参考とするなど、サービスの向上にも努めました。
これらの取り組みにより、昨年度は、五つのセンター全体で約百十二万人の方に利用をいただきました。今後も、引き続き案内機能の充実を図ってまいります。
○小林委員 東京観光情報センターは、まさに外国人旅行者にとっては、おもてなしの窓口ともなる場所でもありますので、機能の充実、豊富な情報の蓄積とともに、心のこもった対応をぜひともお願いしたいと思います。
次に、夜の観光についてお伺いいたします。
訪日外国人旅行者の数は順調に増加していますが、一部の外国人旅行者からは、夜間の楽しみに対する不満の声というものもございます。
都議会公明党は、本年の第一回定例会の代表質問で、治安のよい東京の夜間観光を、食、自然、歴史に続く第四の柱に位置づけ、その魅力を海外に向けてわかりやすく発信すべきと提案をいたしました。治安のよい東京の夜間の観光を振興することは、さらなる外国人旅行者の誘致につながるものと考えます。
都では、昨年度から、東京の夜の観光の魅力を発信する取り組みとして、ナイトライフ観光の構築事業を開始しましたが、その意義と取り組み状況についてお伺いいたします。
○小沼観光部長 東京には、夜間に安心して楽しむことができるさまざまな観光のコンテンツが存在しており、この情報を多くの外国人旅行者に対して幅広く伝えることができれば、さらなる外国人旅行者の誘致につなげることができます。
このため、都は、平成二十九年度から新たに、外国人旅行者が夜の東京の魅力を体験できる六つのモデルルートを作成し、海外に向けて情報を発信いたしました。
ルートの作成に当たりましては、東京タワーや東京湾の夜景観賞、秋葉原や中野、新宿ゴールデン街でのサブカルチャー体験など、外国人旅行者に人気が高いテーマを設定しまして、鉄道等を利用して効率的に周遊できるスポットを選定してございます。
このモデルルートに、欧米豪や東アジアの六カ国を対象としまして、海外在住のインフルエンサーと在京海外向けメディアを招聘いたしまして、延べ約六千万人に夜の観光の楽しみを発信いたしまして、新たな外国人旅行者の誘致につなげております。
○小林委員 昨年の公営企業会計決算特別委員会で、港湾局に質疑をした際にも触れましたが、「ゆりかもめ」に乗って見る臨海副都心の夜景が未来都市のようで大変にきれいで、そうした夜景が動画で撮影されてユーチューブに投稿されて、海外の方にも大変注目されているとのことであります。
東京の夜の魅力は、まだまだ可能性を秘めていると思いますので、さまざまな視点で、さらに夜の東京の魅力を発信していっていただきたいと思います。
次に、国内観光という点で、被災地応援ツアーについてお伺いします。
東日本大震災発災直後、都議会公明党は、岩手、宮城、福島の被災三県を訪れ、東京都が果たすべき被災地支援を現地調査しましたが、その課題の一つが、被災地での消費喚起、観光振興につながる支援であり、都議会公明党は、岩手、宮城、福島への観光を応援する提案をし、実現したのが被災地応援ツアーであります。
そこで、平成二十九年度の被災地応援ツアーの実績についてお伺いいたします。
○鈴木観光振興担当部長 都では、東日本大震災による被災地復興支援のための緊急対策の一環として、被災地応援ツアーを実施しております。
昨年度は、宿泊一万七千九百七泊、日帰り四千九百二十八人分、教育旅行三十一件について、その費用の一部を助成いたしました。その結果、二十九年度末までに、宿泊では約十七万九千泊、日帰りでは約六万一千人分、教育旅行六十五件を助成し、現地での消費を喚起するなど、観光振興による復興に力を入れて取り組みました。
○小林委員 都議会公明党は、震災以降、毎年被災地を訪れまして、復興状況の調査に取り組んでおりますが、被災地は、震災前の観光客入り込み数までにはいまだ至っておらず、風評被害に苦しんでいる現状が続いております。ぜひとも引き続き応援ツアーの実施に取り組んでいただきたいと思います。
次に、アニメを活用した観光振興についてお伺いします。
アニメなどのコンテンツは、クールジャパンとして海外でも注目され、観光資源として活用することは今や当然のことといえます。各地域に点在するアニメ資源を活用し、それらを点ではなく線として、さらに面として捉えて、国内外の方々にアニメの魅力を発信し、観光客の誘致につなげていくことが重要と考えます。
都では、二十九年度からアニメ等コンテンツを活用した誘客促進事業を実施し、外国人に関心の高いアニメなどのコンテンツを活用して観光振興に取り組む区市町村や観光協会などが行う事業への支援を開始いたしましたが、その実績についてお伺いいたします。
○小沼観光部長 都は、区市町村や観光協会などを対象に、アニメや映画等のコンテンツを観光資源として活用し、国内外の旅行者の誘致につなげる取り組みへの支援を実施しております。
昨年度は、中野区と杉並区が連携して行いました日本アニメ生誕百周年にちなんだ展示やワークショップ、キャラクターショーなどの開催のほか、葛飾区におきましては、海外でも知名度の高いアニメを活用したデジタルスタンプラリーの実施や、小金井市におきましては、観光関連団体が行った地元のオリジナルキャラクターを活用した駅前観光案内看板の設置など、十六事業に対して補助を行いました。
○小林委員 また、アニメを活用した観光振興においては、アニメ財産の活用も大切であります。
私は、平成二十八年第一回定例会の一般質問で、都がアニメアーカイブ事業として保管しているアニメ資料を広く都民に公開していくべきと提案し、アニメ関連の資料展示を実施していただくこととなりました。
そこで、アニメ関連の資料展示の平成二十九年度の取り組み状況についてお伺いいたします。
○小沼観光部長 都では、アニメのフィルムやセル画、企画書などの資料の散逸を防ぐため、約五万点のアニメーション制作に関する資料を保管してございます。
こうした貴重な資料を観光資源や人材育成に役立てるために、人気アニメのセル画や原画とともに、今と昔の制作工程を比較、紹介したパネルとあわせて展示することで、アニメの魅力を紹介しております。
昨年度は、当時、秋葉原にありました東京アニメセンターでの展示を行いまして、約一カ月の実施期間中、一万六千百十三人の来場者がございました。
また、池袋で開催されました東京アニメアワードフェスティバルや、東京ビッグサイトでのアニメジャパンといったイベントにおいて展示することで、多くのアニメファンなどにPRを行いました。
○小林委員 ありがとうございます。
この資料展示の取り組みについては、実現まで迅速に進めていただきまして大変に感謝をいたしております。今後も、アニメファンの方々を初めとして、貴重なアニメ資料に触れる機会として充実をさせていただくようお願いしたいと思います。
最後に、質問はいたしませんが、一点要望をさせていただきたいと思います。
かつて一般質問でも取り上げましたが、東京の観光公式サイト、GO TOKYOのホームページには、トーキョー・アニメ&マンガマップというコンテンツがありますが、区市町村や民間事業者とも連携をとり、このコンテンツの内容を一層充実させていくべきと提案をさせていただきました。
本委員会の質疑に当たりまして、改めて確認をいたしましたが、例えば、このコンテンツの中にイベントという項目がありまして、日本最大級のアニメイベントに行ってみようと書いてありました。そこをクリックすると、東京国際アニメフェア二〇一三が紹介されているページに行くんですね。二〇一八ではなく二〇一三です。
今は、東京アニメアワードフェスティバルやアニメジャパンというイベントが開催されていると思います。余りに古い情報なので、私のパソコンが最新の情報を読み込んでいないのではないかと錯覚するぐらいで、何度もホームページの再読み込みを行いましたが、更新日二〇一三年一月という表記は変わりませんでした。
また、まちにあるキャラクター像を紹介するページもあります。そこで紹介されているのは、世田谷区のサザエさん一家の銅像、葛飾区のこちら葛飾区亀有公園前派出所に登場するキャラクターの銅像、調布市のゲゲゲの鬼太郎の妖怪たちのモニュメントの三カ所であります。
しかし、アニメのまちとして自負をしております私の地元練馬区のものは紹介はされていないんですね。練馬区では、平成二十七年に、アニメのまち練馬を象徴する場所として、西武池袋線大泉学園駅北口に大泉アニメゲートという歩行者道路を設置しました。ここには、練馬区ゆかりのキャラクターとして五体の銅像が設置されております。
(資料を示す)ちょっと小さくて見づらいかもしれないんですけれども、一つが鉄腕アトムです。もう一つが銀河鉄道999に出てくるメーテルと、それから星野鉄郎ですね。次が、あしたのジョーの矢吹丈の銅像ですね。もう一つが、うる星やつらに出てくるラムちゃん、これの銅像。この五体が設置をされております。
また、練馬区ゆかりのキャラクターと一緒に写真が撮れるスマホ専用のARアプリも展開をしておりまして、大泉アニメゲートに来てこのアプリ起動して写真を撮ると、ここでしか撮れない記念写真が撮れるようにもなっています。
ジャパンアニメーション発祥の地でもある練馬区のこうした資源が紹介されていないのは、まことに残念な限りであります。
トーキョー・アニメ&マンガマップは、最後の更新の二〇一三年一月から五年間、時がとまっております。国内外のアニメファンのためにも、そして、アニメを重要な観光資源としてさらに活用していくためにも、時計の針を動かして、内容の充実、強化に取り組んでいただくよう改めて強く要望いたしまして、質問を終わります。
○小宮委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小宮委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で産業労働局関係を終わります。
以上をもちまして第三分科会における決算の審査は終了いたしました。
なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
これをもちまして第三分科会を閉会いたします。
午後四時五十九分散会
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