平成二十九年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第五号

平成三十年十月二十四日(水曜日)
第十一委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長馬場 信男君
副委員長おじま紘平君
副委員長高橋 信博君
古城まさお君
藤井とものり君
奥澤 高広君
森口つかさ君
大場やすのぶ君
上野 和彦君
里吉 ゆみ君

欠席委員 なし

出席説明員
収用委員会事務局局長佐藤  敦君
人事委員会事務局局長砥出 欣典君
任用公平部長矢岡 俊樹君
審査担当部長神山 智行君
試験部長田中 宏治君
監査事務局局長岡崎 義隆君
監査担当部長池田 美英君
選挙管理委員会事務局局長澤   章君
総務局局長遠藤 雅彦君
危機管理監小林  茂君
次長榎本 雅人君
理事情報通信企画部長事務取扱久原 京子君
理事箕輪 泰夫君
総務部長西山 智之君
企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
池上 晶子君
調整担当部長小菅 政治君
訟務担当部長江村 利明君
復興支援対策部長復興支援調整担当部長
被災地支援福島県事務所長兼務
伊東みどり君
行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務小林 忠雄君
都政改革担当部長小笠原雄一君
都政改革担当部長豊田 義博君
情報企画調整担当部長戦略政策担当部長兼務山田 則人君
情報政策担当部長沼田 文彦君
情報政策連携担当部長藤原 知朗君
人事部長栗岡 祥一君
労務担当部長木村 健治君
コンプライアンス推進部長主席監察員
政策法務担当部長訟務担当部長兼務
貫井 彩霧君
行政部長野間 達也君
多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務
高崎 秀之君
都区制度担当部長浦崎 秀行君
総合防災部長有金 浩一君
防災計画担当部長西川 泰永君
防災対策担当部長和田 慎一君
物資調整担当部長大澤 洋一君
統計部長熊谷 克三君
人権部長仁田山芳範君

本日の会議に付した事件
平成二十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
収用委員会事務局関係
・平成二十九年度東京都一般会計決算(質疑)
人事委員会事務局関係
・平成二十九年度東京都一般会計決算(質疑)
監査事務局関係
・平成二十九年度東京都一般会計決算(質疑)
選挙管理委員会事務局関係
・平成二十九年度東京都一般会計決算(質疑)
総務局関係
・平成二十九年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十九年度東京都特別区財政調整会計決算(質疑)
・平成二十九年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算(質疑)

○馬場委員長 ただいまから平成二十九年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、収用委員会事務局、人事委員会事務局、監査事務局、選挙管理委員会事務局及び総務局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十九年度東京都一般会計決算中、収用委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○馬場委員長 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十九年度東京都一般会計決算中、人事委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○馬場委員長 これより監査事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十九年度東京都一般会計決算中、監査事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○藤井委員 私から、監査全般についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 昨年度の審議等を通じましても、例えばこの盛り土問題といったものについて、第一義的には所管局に責任があるものも、監査事務局においてもそれを見抜けなかったということの責任については、私たちの会派からもこの点厳しく指摘をさせていただきました。
 やはりこの監査の実効性というものを高めていくということが大きな課題だと思っています。
 私は、東京都の監査委員会、監査事務局、よく頑張っていただいているというふうな認識を持っていますけれども、より一層実効性を高めていただきたいという趣旨から、今回の質問をさせていただきたいと思います。
 やはりこの監査を進めていく上で大切なのは、一つは独立性。東京都という監査対象から監査を実施する側が独立をしているということは大切であると。もう一つは専門性でありまして、監査をする側においてはしっかり知識を習得し、維持向上させて、より効率的で効果的な監査を実施していくということがやっぱり大切だというふうに思います。
 まず、独立性という観点についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 これはどちらかというと、知事や、あるいは議会マターという話になってくるのかなと思うんですけれども、この地方自治法の改正によって、今これは東京都で二名の議会選出の監査委員を選んでおられると思うんですけれども、この地方自治法が改正されまして、この議選の監査委員を選ばなくてもいいというような法改正が行われたというふうに認識をしております。
 この動きについて、恐らく最初に申し上げました独立性がやっぱり課題だということで、そういう自治体の判断で議選の監査委員を選ばなくてもいいというような法律改正をしたというふうに認識をしているわけでありますけれども、この動きについて、そしてまたこれまで議選の監査委員さんが担ってきた役割について、都の監査事務局としてどのような評価をされているのか、まずお伺いをしたいと思います。

○池田監査担当部長 議選監査委員につきましては、実効性ある監査を行うために必要であるとの考え方に基づきまして、これまで地方自治法において選任が確かに義務づけられておりました。
 平成二十九年の六月の法改正に向けた議論では、監査委員はより独立性や専門性を発揮した監査を実施し、議会は議会としての監査機能に特化すべきであるとの考え方もある一方で、議選監査委員がこれまで果たしてきた役割も評価され、改正法では、ただし書きで、各自治体は議選監査委員を選任しないこともできることとされたところでございます。
 監査委員の選任につきましては知事が権限を有するものでございますけれども、議選監査委員は、議会経験等を通じて都の政策や実務に精通しており、また都民の代表として都民目線でチェックを行うなど、監査委員として執行機関に対する牽制機能を十分に発揮していただいているところでございます。

○藤井委員 この改正法では議選の監査委員を選ばないこともできるということで、あくまでも例外規定だというお話もございました。
 私が調べたところでは、大阪府や、あるいは滋賀県大津市では、このただし書きの方を活用して、これは議選の監査委員を選ばないというようなことを行ったそうでございます。これはもう監査事務局さんの方の、事務方の見解を聞くような話ではないと思いますけれども、今後、私たちとしてもしっかり、どうやってこの監査における実効性を高めていくのか、とりわけ独立性を高めていくかという観点で、この点はしっかり私たちとしても研究をしていかなければいけないかなというふうに思っています。
 次に、監査事務局の職員さんの専門性に関連をしてお伺いをしてまいりたいと思います。
 この専門性と独立性についてちょっとお伺いをしたいと思うんですけれども、やはりどうしても監査事務局の職員さんは、数年たつとまた監査を受ける側に、通常の部署に戻っていくということでございまして、なかなか監査事務局の一員として監査をしているときは、それは厳しい監査をしなければいけないということでありますけど、一方、やっぱり数年たてばまた監査を受ける側に回るということで、これは手心を加えるということは当然ないにしても、どうしても指摘が鈍ってしまうというか、そういった嫌いが出てしまうのではないのかということが、やっぱり心配をされるわけであります。
 この点について、例えばこの監査事務局における、継続してその部署にいる年数をふやしていくとか、ある程度、一般の部署とはこのローテーション、人事ローテーションを切り離してやっていくといった、この監査事務局としての体制強化みたいなものもやっぱり考えていく必要性があるのかなと思うんですけれども、これまでの都の取り組みについて簡単にご説明をいただきたいと思います。

○池田監査担当部長 監査業務を実際に行う事務局職員ですけれども、比較的他の自治体と比べますと在籍年数が長い状況にございまして、平成三十年三月三十一日現在では七・二年となってございます。また、在籍年数の長い職員もかなり多く、十五年以上の職員が一八・二%というような状況になってございます。
 そういった意味で、比較的東京都では経験年数の長い職員もおりまして、専門性も一定程度確保されているというふうには考えておりますけれども、質の高い監査を実施するためには、若手職員を中心に、監査や会計制度等に関する知識の習得など、専門性を培っていくことが重要であると考えております。
 こうしたことから、監査事務局では、他局から転入した職員一人一人に対し、局在職四年以上の職員をインストラクターとして指名しまして、監査実務の進め方等につきまして、日々の業務の中でアドバイスを行っております。
 また、公認会計士を任期つきで採用いたしまして、効果的な監査の進め方について助言を得ているほか、財務諸表分析や簿記等の研修を実施しております。また、今年度から新たに監査実務研究会を設置いたしまして、すぐれた監査事例の分析を行うなど、専門的かつ高度な監査を担う職員の育成に取り組んでおります。
 今後とも、さまざまな手法を活用して、質の高い監査を実現するため、また職員の専門性を強化するための人材育成に取り組んでまいります。

○藤井委員 一層この職員さんの専門性を高めていただいて、本当に監査の品質の向上に向けてしっかり取り組んでいただきたいと思うわけであります。
 民間の会計ですと、いわゆるICTを使った監査というものが、今、急速に普及をしておりまして、この監査手法というか、監査の現場におけるやり方について、ちょっと一問伺いたいと思うんですけれども、伺うところでは、こういったエクセルデータ、東京都というのは十四兆円の予算がある、まさにビッグデータというか、データを定量分析等を行うことによって異常点を発見したりだとか、そういったことをやる効果が生まれやすい、そういう役所だというふうに思っているわけでございます。
 一方では、監査の現場においては、そういうデータを活用して、ICTを活用してというよりは、紙ベースのものを持ってきて、紙ベースでいろんな問題点を探し出すというような監査をやられているというふうに伺って、この民間の監査の技術が進んでいるのに対しまして、紙ベースでやっているというのはちょっと、それはそれで役所のやり方ですから有効だとは思うんですけれども、こういったものも民間の手法に学んでやっていくということも、とりわけ財政規模の大きい、職員の数も多い、そういう東京都でありますので、ぜひこういった手法も考えていただきたいなと思うんですけれども、そういった提案に対して、都の取り組み状況だとか、今後に向けての決意を伺いたいと思います。

○池田監査担当部長 先生ご指摘のとおり、現状では、都に多くの業務がシステム化されているにもかかわらず、各局のシステムからデータの一部を紙資料としていただいて、それを印刷したものを分析、検証しているというところがございます。
 しかしながら、今後はより質の高い監査の実現に向けまして、民間企業の内部監査などで導入されておりますICTを活用した電子データの多角的な分析に基づき、短時間で対象案件を抽出して監査の端緒とする、いわゆるICTを活用した大量データ分析型監査の活用を検討してまいります。

○藤井委員 ありがとうございます。ぜひ今後ともその点、検討、研究を進めていただきたいと思います。
 私、この決算の審議をしておりましても、資料が全部紙ベースで出てくるということで、データの分析をしたりとかは、やっぱりエクセルだとか、そういったのがすごく活用可能性の高いものでありまして、これもうちょっとデータとかでもらえればうれしいなと思うわけでありますけれども、監査の方でもそういった現状があるということで伺いましたので、この点、ぜひ工夫をしてというか、もうまさにITだとかエクセルだとかという手法とはもう無縁ではいられないと思いますので、この点、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。
 ちょっと時間もあれなんですけれども、最後に、外部監査との連携についてお伺いをしたいと思うんです。
 東京都としては、監査委員による監査と、外部監査、包括外部監査とか、二通りあると思うんですけれども、この両者というのは、意外とその役割というか、その境目が見えづらい点もあって、連携をすべきところは連携をしていくべきだし、そして違いがあれば違いの中で、より有効性を高めていくということが大切だと思うわけでありますけれども、この外部監査との役割分担なり連携なりということについて、東京都として気をつけられていることがあればちょっと伺えればと思います。

○池田監査担当部長 包括外部監査は、毎会計年度、公認会計士など特定の個人と包括外部監査契約を締結して監査を実施するものでございます。監査委員監査は、都の行財政全般に対して幅広く監査を行うのに対し、包括外部監査は、包括外部監査人みずからが選定した特定のテーマについて、専門的な視点から監査を実施しております。
 監査の実施に当たりましては、相互に情報提供を積極的に行うとともに、包括外部監査結果につきましては、包括外部監査人が監査結果をみずから監査委員に報告して意見交換を行い、着眼点の理解や問題意識の共有に努めるなど、連携を図っているところでございます。
 今後も引き続き、法の趣旨を踏まえ、監査委員監査と包括外部監査が相まって公正で効率的な行財政運営を担保し、今後の都政に資するよう、適切に連携協力に努めてまいります。

○藤井委員 監査員監査は行政の内部からの監査ということでございますし、包括外部監査というのはまさにその名のとおり、外部からの監査ということでございます。それぞれ行政の専門、そして外部監査ということでは会計の専門ということでございますので、その専門分野も違うということでございますので、ぜひ両者の連携をしっかり図っていただいて、より実効性ある監査を進めていただければと要望いたしまして、私からの質問を終わります。
 ありがとうございました。

○馬場委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○馬場委員長 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十九年度東京都一般会計決算中、選挙管理委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取いたしておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○古城委員 私からは、平成二十九年度東京都一般会計決算のうち、選挙管理委員会事務局所管分に関連して、選挙の啓発について質問をいたします。
 十八歳選挙権が施行されてからの都全体の投票率でございますけれども、これについては都選管のホームページでも公表をされているわけですが、一昨年、平成二十八年に行われた参院選においては、都平均実投票率で五七・五〇%、同じく二十八年の七月に行われた都知事選挙においては五九・七三%、そして昨年行われた都議選は五一・二八%、そして衆院選については五三・六四%であったと、こういう数字が公表をされているところであります。
 特に着目をしたいのは、一昨年の七月、参議院選挙が行われましたけれども、これはまさに十八歳選挙権として全国的にも選挙権年齢が引き下がっている、こういうことで大々的な報道も行われましたし、また各地の選管においてもさまざまな取り組みが行われたかと思うんですが、東京都においては、この十八歳選挙権のPRキャンペーンとして、TOHYO都ということで、特にご承知の方、ご記憶にある方も多くいらっしゃると思いますが、PR映像に大変若年層に人気のあるタレントのお二人を起用されて、十八歳から選挙権、こういうフレーズを連呼する大変注目を集めた動画を公開されて、選挙の啓発に取り組まれてきたわけですけれども、この取り組みに対しては、大変刺激的であったということもあろうかと思いますけれども、辛辣な批判、非難であるとか、報道も批判的なものが散見されたかというふうに思います。
 また、政治学の大学の教授からのご意見として、十八歳、十九歳への周知徹底という、その動機については理解できるという見解を示された上で、なぜ選挙が必要かなど大切な説明がないと、こういうご指摘もございました。
 このような指摘については真摯に受けとめていく必要があると私は考えるわけですけれども、じゃあ実際にこれらの取り組みがどのように数字として反映をされたのか、投票率としてあらわされているのかというのを確認をしましたところ、この取り組み、キャンペーンが行われた一昨年、平成二十八年七月の参院選挙においては、東京都の投票率、先ほど申し上げました五七・五〇%に対して、十八歳、十九歳の投票率、十代の投票率は五七・八四%でありまして、都の平均も全世代の平均も上回っている上に、全国平均も上回っていたと。十代の全国平均を上回っていたということでありますので、先ほど申し上げた取り組みについても投票率向上の一翼を担っていたと、こういう評価もすることができるかと思います。
 しかしながら、今、参議院選挙は大変効果があったということが投票率からもわかるわけですが、それ以外の、それ以降の都知事選、都議選、そして衆院選においては、十代、二十代の投票率は、このいずれの選挙も都全体の投票率を下回ってしまっていると。都知事選については四七・五八%、都議選については三九・〇三%、衆院選については四三・五九%、全世代から比べて一〇ポイント程度乖離があるということがわかっているわけでございます。
 やはりこれからのことも踏まえますと、当然、子供たちに対するアプローチというのも大切であろうと思いますし、決してこの投票率の数字というのは、子供たちだけが低い傾向にあるわけではなくて、もともと選挙権を持っていたというか、これまでの二十歳以上の方々についても押しなべて投票率が下がっている傾向にあることは間違いないわけでございます。
 そこで、やはり全世代的に主体者としての意識を持ってぜひとも選挙に参画をしていただいて、そして投票行動、投票という大事な権利を行使していただくと、こういう意識を社会として育んでいくことが大変重要であると考えますけれども、特に若年層の啓発の必要性について、都の見解を求めます。

○澤選挙管理委員会事務局長 選挙に関する啓発や周知等は、公職選挙法第六条に基づく選挙管理委員会の仕事でございます。
 若年層の投票率につきましては、平成二十八年施行の法改正により、選挙権年齢が十八歳へと引き下げられたところでございますけれども、それ以降も、全国的に見ますと、他の年代と比較をして低い傾向が続いております。
 このような状況を改善する上で、若年層啓発は、選挙権年齢前の年代も含め、政治や選挙への興味や関心を高めるとともに、政治や社会の課題についてみずから考え、そして投票行動へと結びつけていくために必要なものであるというふうに考えております。
 都選挙管理委員会といたしましてもそのように認識をしておりまして、積極的に事業に取り組んでいるところでございます。

○古城委員 今のご答弁で触れておられましたけれども、やはり若年層については、選挙権を持つタイミングからのアプローチだけではなくて、やはり学校教育における取り組みも大変重要であると。そうしたことに積極的に取り組んでいく、こういうことであろうかと思いますけれども、先日も主税局との質疑の中でご紹介をした、私の地元新宿区の取り組み、新宿区教育ビジョンというものを掲げております。
 ことしの二月に区の教育委員会が策定をしたものなんですが、この中で、豊かな人間性と社会性を育む教育の充実ということをテーマに掲げています。この豊かな人間性と社会性を育む教育の充実の中に主権者教育が、これをしっかり推進していくということも掲げられておりまして、特に選挙に関する取り組みについても、実際に現場、現場でさまざまな工夫を凝らしながら行われております。
 もちろん、これは区選管の取り組みでありますし、区の明るい選挙推進協議会の取り組みというわけではありますが、例えば学校に出向く出前授業、さらには、全国的にも行われていると思いますが、模擬投票、投票体験、それから選挙機材の貸し出し、さらには配布資料や選挙素材の提供ということで、大変具体的に、実際の選挙をほうふつとさせるようなさまざまな工夫を凝らしながら行っているところであります。
 さらには、新宿区も大学が大変多くありますので、ある私立大学のゼミのご協力をいただいて、実際に学生さんにも出前授業に出向いていただいて、子供たちにさまざま工夫を凝らした授業を行っていただいているんですが、その中の声をちょっと聞きますと、例えば、周りの人の気持ちも考えて投票しなければならないと緊張しましたということで、大変子供らしい新鮮な、投票という行動に対する真摯な気持ちというのもあらわれている。こういう取り組みを、今、新宿区としても行っているところでございます。
 主権者として社会の中で自立をしていく、これからそういう役割を担っていく子供たちにとって、自分と社会、また社会の中での自分というもの、そういう意識を育んでいくこと、大変重要だと考えますけれども、特にこの選挙権の行使、また投票行動に結びつけるための子供たち、また若年層への啓発について、平成二十九年度の具体的な取り組み状況を確認させていただきます。

○澤選挙管理委員会事務局長 選挙管理委員会が行う啓発事業には二種類ございます。平常時に行う常時啓発と、選挙時に行う選挙時啓発でございます。
 平成二十九年度に取り組みました啓発事業のうち、常時啓発として、将来の有権者である小学生、中学生及び高校生を対象とした明るい選挙ポスターコンクールの実施、都内在学の中学三年生全員を対象に、選挙の制度や仕組みをわかりやすく解説をした選挙学習冊子「Let's study選挙」の作成及び配布などを行いました。また、出前授業及び模擬選挙を中学校、高等学校、特別支援学校、大学など、延べ十四校、約三千三百人に対し実施をし、授業を受けた生徒などからは、投票は思ったより簡単だった、選挙の重要性が理解できたといった感想が寄せられております。
 一方、選挙時啓発といたしましては、昨年七月に行われました東京都議会議員選挙において人工知能の技術を活用したイベントを、また十月に行われました衆議院議員選挙におきましてはeスポーツを活用したイベントを開催し、主に若い人たちを対象とした投票日の周知や投票参加の呼びかけなどを行っております。
 今後とも、若年層の政治や選挙への興味、関心を高め、投票行動へとつなげるべく、さまざまな工夫を加えまして、より効果的な若年層啓発に取り組んでまいります。

○古城委員 都選管としてもさまざまな工夫、取り組みを行っていただいている、またこれからも取り組んでいただくということでございましたけれども、実際の啓発活動として、今、常時啓発と選挙時啓発という二つの取り組みがあるというふうに伺いました。
 特に昨年の平成二十九年については、都議選の直後によもやの解散で衆院選挙が行われたということで、なかなかこの常時啓発というものの取り組みが難しかった側面も恐らくあるかとは思いますけれども、やはり選挙のときだけ何かキャンペーンが行われるということではなしに、常日ごろからさまざまな形で選挙権の行使、主権者としての大事な一票を投じるという行動のその意義について周知をしていただくということを、これからもお願いをしたいというふうに思います。
 また、加えて申し上げますと、選挙時の啓発の一環というか、関連になるかと思いますが、今、いずれの選挙においても、期日前投票の投票率の向上ということが顕著な状況にあろうかと思います。それは、実際には基礎自治体の選管の方で投票所の設置であるとか、そういう工夫を凝らしておられると思います。
 例えば、駅近、至便の投票所であるとか、また多くの方が集まるショッピングモールに投票所を設置すると、こういうさまざまな工夫もされておりますけれども、今回の質疑では、特に若年層に絞った形で伺わせていただきましたが、やはり全世代的にこの投票率の向上を目指して取り組んでいく必要があると思いますので、今後ともさまざまな施策を都として、また区市町村の選挙管理委員会とも協力をしながら、それぞれの立場で積極的に取り組んでいただきたい、このように改めて求めまして、私の質問を終わります。

○里吉委員 私からは、障害者や高齢者の方々の選挙の投票にかかわって伺ってまいります。
 投票所のバリアフリー化については、それぞれの自治体でも努力をされていると思いますけれども、昨年二回の選挙があったということもありまして、地域の方々から、地元の小学校や併設されている区民センターだとか、そういう投票所に行くことが大変困難だった、さまざまなご相談を受けました。
 そこでまず、選挙管理委員会として、それぞれの区市町村が行っていることとは思いますが、投票所の会場の選定についてどのような対応を行っているのか伺います。

○澤選挙管理委員会事務局長 各選挙において、投票所として使用する施設の選定やその管理運営は、区市町村選挙管理委員会が行っているところでございます。
 各区市町村選挙管理委員会におきましては、投票所のバリアフリー化に向けまして、投票所を建物の二階以上に設置する場合はエレベーターのある施設を選択し、また出入り口などに段差がある場合には、その解消のためのスロープを設置しております。
 さらに、車椅子や、車椅子に対応した投票記載台、老眼鏡などの配備や介助職員の配置、障害者用駐車場の確保など、さまざまな取り組みを行っているところでございます。

○里吉委員 以前に比べまして、障害者、高齢者の方々へのさまざまな対応がされているということは私も実感しているところなんです。
 しかし、実際に使っている方にお話を聞きますと、駐車場のスペースがあるといっても、実はスペースが狭くて、介護タクシーとしてはとめる場所が足りないだとか、それから会場そのものも、私たちは余り感じないんですけれども、車椅子で入って移動して、投票所のところを移動しようとすると、実は大変狭くて、車椅子で投票行動を行うのは大変難しい、車椅子が大型化しているという場合もあるのかもしれませんけれども、そういうさまざまな要望が寄せられております。
 これはなかなか、声を聞いて、そしてまた改めて対応するということになると思いますけれども、ぜひ引き続き、そういった会場の整備についてもご努力をお願いしたいと思います。
 また、これもずっといわれていることなんですけれども、郵便での投票制度がありますけれども、これが大変使い勝手が悪い、特に使える対象が狭いのではないかという声も、これも今回また改めてたくさん出されました。これは、都には制度の改善を求める声が上がっているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○澤選挙管理委員会事務局長 郵便等投票は、投票所への移動が困難な有権者のための投票制度でございまして、主に身体障害者福祉法に基づく身体障害者手帳の交付を受けた有権者で一定の障害の程度を有する方や、介護保険法に基づく被保険者証の要介護状態区分が五の方が対象となっております。
 都や区市町村の選挙管理委員会に対しまして、郵便等投票を行うことができる対象者の範囲の拡大を求める意見が寄せられていることは認識をしてございます。
 また、総務省が設置する投票環境の向上方策等に関する研究会におきましては、昨年六月、郵便等投票の対象者の範囲を要介護状態区分三までとすることが適切であるとの報告がなされております。
 郵便等投票の対象者の拡大につきましては制度改正を伴うものでございまして、国の動向を見守ることが必要であるというふうに認識をしております。

○里吉委員 ありがとうございます。
 意見が寄せられてはいるけれども、国の制度ということで、都の選管として何か対応するということはできないということだと思うんですけれども、郵便等の投票のやり方も、今、検討もされているということだと思いますので、私たちもしっかり意見を上げていきたいと思います。
 私のところに相談に来た方は、障害のある方なんですけれども、車椅子がないと移動できないという方なので、介護度でいうと、手足も動きますし、五ではないけれども、三以上ではないかと思われるんですね、介護保険でいうと。この方、介護タクシーを使って毎回投票に行かれるんですが、前は一緒に住んでいる夫さんが介助してくれたんですけれども、だんだん高齢になってきて、今は介助も含めて介護タクシーをお願いすると。すぐ地元の投票所に行くだけなんですけれども、歩いたら十分程度で行けるところなんですけれども、そこまでタクシーを使っていくと六千円から八千円かかったということなんです、今回の都議選のとき、総選挙のとき。ということでは、本当にこういう方々がもっときちんと投票行動をできるような体制が必要ではないかなというふうに思いました。
 それから、これも実際に投票に行かれていろいろ出された声なんですけれども、投票所で付き添う係の方がいて、障害のことを理解していないんじゃないかという声が寄せられて、例えば車椅子のブレーキのかけ方がその投票所の方がわからなかったとか、字は書けますといったんだけれども、後ろにずっと立っていらっしゃって落ちつかなかったとか、その人、その人でいろいろ対応はされていただいて、勘違いだとかいろいろあるとは思うんですけれども、そういう声が毎回必ず出てくるわけなんですね。
 職員の方も本当に、以前に比べましたらいろいろ勉強もされて、そしていろんな方が投票できるように努力されているなということを、私自身も感じているんですけれども、こうした投票所でのさまざまな障害を持った方、それからお子さんを連れた方、こういった方への研修などは都の選管としてどのようにされているのか伺います。

○澤選挙管理委員会事務局長 障害者や高齢者が投票する際に必要な支援はさまざまでございまして、投票所の事務に従事する区市町村職員が、有権者それぞれの障害などの特性に応じた対応を心がけることが大変重要であるというふうに考えております。
 都選挙管理委員会では、区市町村選挙管理委員会職員を対象として、毎年、東京都心身障害者福祉センターから講師をお招きしまして、投票所における障害者や高齢者への接遇などについて研修を実施しております。
 今年度は、投票所における視覚障害者への対応をテーマといたしまして、視覚に障害のある講師による実務的な接遇方法などの講義を実施したところでございます。

○里吉委員 具体的な研修をやっていらっしゃることがわかりました。実際に視覚に障害のある方を招いての研修ということですので、どういうことが困っているのか、ペーパーで、本で勉強するのではなくて、実際に生きた勉強ができるんじゃないかなというふうに思いました。
 東京都の選挙管理委員会としてできることというのは限りがあると思いますが、今ご紹介していただいたような研修について、さまざまなテーマで毎年行っているということがわかりましたので、ぜひ今後も、投票することに困難を抱えている方への対応についての研修を充実させていただきたい。このことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

○馬場委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○馬場委員長 これより総務局関係に入ります。
 初めに、過日の分科会で紹介できませんでしたので、遠藤総務局長を紹介いたします。

○遠藤総務局長 総務局長の遠藤雅彦でございます。
 去る十月十二日の当委員会をけがの療養のために欠席をさせていただきました。大変ご迷惑をおかけいたしました。この場をおかりしましておわびを申し上げます。
 それでは、一言ご挨拶を申し上げます。
 馬場委員長を初め委員の皆様方には、日ごろから当局の事務事業につきまして特段のご指導を賜りまして、まことにありがとうございます。当局の事務事業の適切かつ円滑な執行に当たりまして、今後とも総務局職員一同、全力を挙げて取り組んでまいりますので、一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願いを申し上げます。
 どうぞよろしくお願いいたします。

○馬場委員長 挨拶は終わりました。

○馬場委員長 決算の審査を行います。
 平成二十九年度東京都一般会計決算中、総務局所管分、平成二十九年度東京都特別区財政調整会計決算及び平成二十九年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○西山総務部長 十月十二日の当分科会におきまして要求のございました資料についてご説明を申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます平成二十九年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をお開きください。
 都における公益通報の受理件数でございます。平成二十七年度から二十九年度までの実績を掲げてございます。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。

○馬場委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○森口委員 私からは、平成二十九年度に行われた総務局所管の防災関連事業を中心に伺ってまいります。
 昨今の激甚化する自然災害や切迫性が高まる首都直下地震など、大規模自然災害の脅威が懸念をされている中、都民の安全・安心の確立のため、防災対策の強化は都としても大変重要な課題と考えております。
 まずは、平成二十九年度に行われた事業であります、このピンク色の表紙、「東京くらし防災」についてお伺いをいたします。
 この防災ブックは、これまで都の防災事業や避難所運営に関して、女性の視点が十分に生かされてこなかったとの課題認識から、日々の暮らしの中でできる防災対策を盛り込み、災害に対する備えや発災時の身の守り方、被災後の暮らし方などの情報をまとめたものであると理解をいたしております。
 防災ブックにつきましては、都は平成二十七年度にも「東京防災」といった黄色い冊子を全戸配布いたしております。
 そこで改めて、平成二十七年度に都内七百五十万世帯、全戸配布をした「東京防災」と、今回の「東京くらし防災」はどのような違いがあり、どのように使い分けるのかお伺いをいたします。また、平成二十九年度の本事業の実績についてもあわせてお伺いをいたします。

○有金総合防災部長 「東京防災」は、各家庭におきまして災害への備えが万全となるよう、災害発生時にとるべき行動や事前の備えなどを幅広くまとめたものである一方、「東京くらし防災」は、女性の視点を生かし、きめ細やかな災害の備えを促進するために作成したものでございます。
 「東京くらし防災」は、日常の暮らしの工夫で実践できる備えをまとめた冊子として、「東京防災」とセットで活用してもらうために作成をいたしました。平成二十九年度の印刷部数は百十万部でございます。全体の執行額は約一億五千六百万円でございます。

○森口委員 この防災ブックは、防災への参画を女性に促すとともに、都民に対して一層きめ細やかな災害への備えを促進することを目的として、女性のさまざまな視点から作成をされたわけであります。
 「東京くらし防災」は全戸配布ではなく、都や区市町村などの公的施設、郵便局や鉄道会社など都民の身近な生活圏にある事業者や、美容院やネイルサロンなど多くの女性の来訪が見込まれる事業者、さらにベビー用品店やスーパー、ホームセンターなど、暮らしの中で防災対策に取り組んでいただく上で効果的と考えられる事業者などに対しても配布をしているとのことですが、多くの都民に知ってもらい、読んでもらうために、本事業をどのように広報しているのかお伺いをいたします。

○有金総合防災部長 「東京くらし防災」は、都立施設のほか、民間事業者などの協力を得まして、ポスターの掲示とあわせまして都内約一万カ所に配布場所を設置いたしました。設置に当たりましては、多くの方に冊子を手にとっていただけるよう、「東京くらし防災」のデザインを生かした目につきやすい専用ラックを作製いたしました。
 また、ホームページ上でも設置場所の周知を図っているほか、広報動画のSNSでの発信、防災ひな祭りなどのイベント開催時の配布など、幅広く広報を行っております。

○森口委員 ご答弁のように、さまざまな効果的な周知、広報を行っていただいているわけではありますが、過去の「東京防災」については、都内七百五十万世帯、全戸配布ということもあり、多くの都民に認知をされている一方で、「東京くらし防災」については、平成二十九年度に百十万部、本年度は七十万部発行されていると伺っておりますが、まだまだ十分認知がされていないのではと感じております。都民の認知度がどのようなものであるか検証も必要であるというふうに思われます。
 また、本事業は冊子を受け取って終わりではなく、災害への備えを実践していただくことが重要と考えております。女性の防災への参画を促すとともに、都民の一層きめ細やかな災害への備えを促進するといった事業の目的を達成するために、本事業の検証はどのように行うのでしょうか。今後の展開もあわせてお伺いをいたします。

○有金総合防災部長 「東京くらし防災」に対するさまざまなご意見を集めていくことは大変重要と認識しております。
 今後は、都民の防災意識に関するアンケート調査におきまして、新たに「東京くらし防災」に関する項目を設け、読みやすさや掲載内容のわかりやすさ、どの程度役立ったかについて都民から意見を求めてまいります。また、「東京くらし防災」を活用した普及活動の中でもさまざまな声を吸い上げ、今後の検証に生かしてまいります。

○森口委員 「東京くらし防災」は、今後も一定期間、配布を続けると伺っております。事業の検証を行っていただき、今後の取り組みにつなげていただければと思います。
 次の質問に移ります。
 続いて、新規事業であります東京都防災アプリについてお伺いをいたします。
 平成二十九年度末にリリースされたアプリですが、これまで発行された防災ブックである「東京防災」と「東京くらし防災」、それぞれの内容が収録されているとともに、気軽に防災について学び、体験できるクイズや、災害シミュレーションゲームも登載されております。また、オフライン時でも使える防災マップや、災害時には防災情報がプッシュ配信され、リアルタイムに災害情報を受信することができるなど、まずはアプリを気軽に使ってみて、自然と防災を学ぶことができ、そして有事の際に役立つという、非常に考えられたアプリであると評価をいたしております。
 改めて、まずはどのような目的で本アプリがつくられたのかお伺いをいたします。あわせて、平成二十九年度の決算額を含めた本事業の実績についてもお伺いをいたします。

○有金総合防災部長 都は、平成二十七年度、防災ブック「東京防災」、こちらを作成いたしまして、セミナーや防災関連のイベントなど、さまざまな機会を捉えまして活用促進の取り組みを進めてまいりました。
 一方で、都民の防災意識に関するアンケートでは、相対的に若年層、若者の認知度が低く、一層の浸透が課題であるということがわかりました。
 スマートフォンアプリは若者世代に広く利用されていることや、楽しみながら防災に対する備えを学習できるさまざまな機能を付加できることから、東京都防災アプリとして作成をすることといたしました。
 平成二十九年度の東京都防災アプリのダウンロード数につきましては、平成三十年三月の一カ月間で約五万四千件でございます。また、開発費と広報関連経費等を合わせました全体の執行額は約四千二百万円でございます。

○森口委員 本年三月にリリースされて以降、知事会見やSNSなどさまざまな媒体での露出により認知が広がるとともに、本年のたび重なる自然災害の発生によりアプリのダウンロード数が着実に伸びており、現時点でのダウンロード数は十六万件と伺っております。より多くの都民の防災意識の向上、安全・安心のためにもさらなる普及が求められております。
 そこで、多くの都民に利用してもらうためにも、アプリのダウンロード数増加のための取り組みや、またダウンロード数の目標設定をするべきと考えますが、都の見解について伺います。

○有金総合防災部長 東京都防災アプリは、都民の防災意識の向上を全般的に図るという観点から作成をし、ダウンロード数につきましては目標設定は行っておりませんが、できるだけ多くの都民に活用してもらうことを目標としております。
 そのため、東京都防災アプリの周知を図るため、広報用動画を作成し、SNSで発信をするとともに、ポスター及びリーフレットを都立施設、区市町村等に配布するなど、さまざまな取り組みを行っております。
 多くの都民に東京都防災アプリをダウンロードしていただけますよう、引き続きさまざまな手法で周知を行ってまいります。

○森口委員 実際に私も周りの方々に東京都防災アプリのことを伝え、利用を促しておりますが、まだまだ知っている方は少ないという印象があります。一般的に、アプリの開発に関してですが、私も少し勉強したところ、ダウンロード数を評価するというのはもちろんのこと、アプリをダウンロードして終わりではなく、実際にどれくらい頻繁に利用がされているか、活用がされているかといった指標でありますアクティブ率というのも非常に重要な評価指標であります。
 また、これはアプリケーションであるので、動的な数値の集計と評価が容易であると思いますので、ダウンロード数など定量的な数値の指標をまずは目標設定をし、限られた予算の中で効果的な広報につながるよう、PDCAを回していただくことを要望したいと思います。
 また、都民の防災意識の向上、災害対応力の向上といった目的達成のためにも、このアプリは一度論じて終わりではないと思っております。実際、このアプリがどのように活用されているのか、災害時に必要な情報を得ることができたのか、災害への備えとしてどのようにこのアプリが活用されているのかなど、利用者の声を集め、より有用なアプリに改善していく必要があると思いますが、今後の展開も含め、都の見解をお伺いいたします。

○有金総合防災部長 東京都防災アプリには問い合わせの機能があります。ご意見、ご質問等を電子メールで簡単に送ることができるようにしてあります。また、この機能を使うほか、さまざまな手段で担当部署にご意見、ご質問が寄せられており、今後、改修の機会に合わせまして、改善につなげてまいります。
 さらに、これらのほかに、都民の防災意識に関するアンケート調査につきましても、新たに東京都防災アプリに関する項目を設けるなど、ご意見等を踏まえながら、さらに使いやすい改良を加え、都民一人一人の災害対応力の向上を図ってまいります。

○森口委員 先ほども申しましたが、アプリのダウンロード数やアクティブ率といった定量的な評価とともに、実際どのように活用されているのか、利用者の声を集め、定性的な評価、検証を行うことで、東京都防災アプリのさらなる改善、効果的な広報、周知を進めていただきたいと思います。
 本アプリは多言語対応しているわけでありますが、東京二〇二〇大会に向けて訪都外国人がふえる中、災害弱者である外国人に対して東京都防災アプリの告知、ダウンロードを促すことも、セーフシティー東京の実現に有効と思われますが、都の見解をお伺いいたします。

○有金総合防災部長 東京都防災アプリは、日本語版のほか、英語、中国語、韓国語でもコンテンツを作成し、多言語化に対応しております。
 日本を訪れる多くの外国人にも東京都防災アプリを活用してもらうため、英語、中国語、韓国語の広報用のチラシを作成し、都内区市町村や都内観光情報センターなどで幅広く配布し、周知を図っております。
 今後も、外国人の方も使いやすい東京都防災アプリとして充実を図ることにより、東京二〇二〇大会に向け、防災意識、災害対応力の向上を図ってまいります。

○森口委員 今回、都の防災に関する知見やノウハウを東京都防災アプリに集約をしたことで、これまでの防災ブック、紙媒体では不可能であった、スマートフォン、タブレット端末を通じて、世界中あらゆる人々にこの都の防災に関する知見やノウハウを容易に伝えることができるようになったわけであります。
 このアプリは、災害に対する備えとして、東京都は、在住外国人だけではなく、訪都外国人の安全・安心にも配慮しているといったことを世界に向けて強烈にアピールができるツールであるというふうに感じております。東京二〇二〇大会に向けましても、こういったきめ細やかな配慮こそ日本人の美徳やおもてなしであり、世界からの日本人の評価につながる点だと感じております。
 引き続き、都の戦略的な東京都防災アプリの活用、今後の改善を求め、次の質問に移ります。
 次に、女性の防災人材の育成についてお伺いをいたします。
 これまで、過去の災害において、避難所運営等の意思決定の場に女性が少なかったために女性の声が届きにくく、避難所での着がえや授乳の問題など、さまざまな場面で女性の視点を踏まえた取り組みが十分なされてこなかったと伺っております。また、現代社会において多様化する被災者のニーズによりきめ細かく対応していくためには、家庭や職場等で活躍をしている女性の声を生かし、防災分野においても発揮されるよう取り組んでいくことが重要であります。
 こうした課題認識のもと、災害時に地域や企業で防災活動の中核となって活躍していただくことを想定した女性の防災人材の育成を平成二十九年度より進めているところであります。
 昨年度は、有識者を委員とした女性の視点から見る防災人材の育成検討会議を計四回実施し、被災地の経験や災害医療の知見を生かした女性防災人材の育成カリキュラムを策定しております。
 昨年度は、人材の裾野を広げるための防災ウーマンセミナー事業を実施しておりますが、改めて、本事業はどのような視点、目的で行っているのかお伺いをいたします。あわせまして、平成二十九年度の実績についてもお伺いをいたします。

○和田防災対策担当部長 災害時の活動に女性の視点を反映するためには、防災分野で活躍する女性の人材を育成していく必要がございます。
 防災ウーマンセミナーは、受講者が基礎的な防災知識を習得することを狙いとしており、防災活動にかかわる女性人材の裾野を広げていくことを目的としております。
 平成二十九年度は、地域生活という切り口から女性が防災について学ぶ第一回防災ウーマンセミナーを開催しております。第一回防災ウーマンセミナーの決算額は約二百万円でございます。

○森口委員 女性防災人材の育成カリキュラムとして、リーダー的人材の育成に加え、まずは女性が気軽に防災の講習会やセミナーに参加しやすくなるような工夫をし、防災活動にかかわる女性の裾野を広げていく取り組みが重要であるとして、人材の裾野を広げるための防災ウーマンセミナー事業を実施しているわけであります。
 そこで、防災ウーマンセミナーの募集方法についてもお伺いをいたします。

○和田防災対策担当部長 平成二十九年度に開催した防災ウーマンセミナーは、地域生活を切り口としており、地域に居住している女性に多く参加していただくためには、地域の状況を把握している区市町村との連携が欠かせません。
 そこで、募集に当たりましては、都の広報紙やホームページなどによる広報に加えまして、区市町村と連携してポスターの掲示やチラシの配布などの広報活動を行い、防災に関心のある都民から直接申し込んでいただく公募形式により参加者の募集を行いました。

○森口委員 昨年度開催したセミナーは百六十名ほどの参加者であったと伺っております。本年度も、地域生活編と職場編に分けて計四回計画がされており、一般公募しているものはそれぞれ二百五十名ほどの募集になるようです。また、防災に関心を示す都民を後押しするためにも、平日夜間や休日に開催をするなど、多様なライフスタイルに応えられるよう計画をいただいているのだと思います。
 また今後は、一歩進んだ応用編として、職場や地域の避難所で災害時に活躍できる女性人材、防災コーディネーター育成事業も計画をされていると伺っておりますが、地域や職場には消防団初め既存の防災リーダーがいるわけですが、今後、都が育成を進める防災コーディネーターと既存の防災リーダーの役割の違いについてお伺いをいたします。また、災害時にどのように連携をするのか、あわせてお伺いをいたします。

○和田防災対策担当部長 防災コーディネーターは、発災時に地域や職場において、身につけた知識に基づき、リーダー的人材として行政や関係機関などと連携して周囲の人を牽引していく役割を果たすことができる人材でございます。
 一方、地域における防災リーダーは、平時から地域の災害危険の把握や防災訓練の実施など、災害による被害を予防し、軽減するための地域活動を率いるとともに、災害時は、初期消火や住民の避難誘導、避難所の運営などの地域の防災活動を率いている人材でございます。
 発災時、防災コーディネーターは、避難時や避難生活において発生するさまざまなニーズを把握し、地域の防災リーダーを初め、行政や消防団など関係する機関と連携して、被災者のさまざまなニーズの改善に向けた提案や交渉を行い、対応に当たることを想定しております。

○森口委員 都の防災力の向上に向けましては、防災コーディネーターの活躍が非常に期待されるところでございます。
 そこで、女性の防災人材をふやすために、今後どのような工夫を行い、女性の防災人材の育成事業を展開していくのかお伺いをいたします。

○和田防災対策担当部長 女性の防災人材の数をふやすためには、防災に関心のある女性が地域で暮らしながら、また働きながら参加しやすい環境でセミナーや研修会を展開していくことが重要であります。
 平成二十九年度はセミナーを一回開催しておりますが、三十年度はセミナーを四回、研修会を二回開催することで受講の機会をふやしてまいります。また、開催に当たりましては、多様化する女性のライフスタイルを考慮いたしまして、引き続き託児サービスを提供するとともに、区市町村や企業と連携し、開催日や開催場所を設定するなど、女性が参加しやすい工夫をしながら事業を展開してまいります。

○森口委員 今後、セミナーや研修を受けた方々が、その一回の受講で終わることなく、防災コーディネーターとして継続的に研さんを積む仕組みづくりや、そもそも多くの方々が防災コーディネーターになりたいと思うインセンティブの設計が必要だと考えます。
 以上を要望して、次の質問に移ります。
 次に、帰宅困難者対策についてお伺いをいたします。
 震災時には多くの帰宅困難者が発生いたします。都の被害想定では、首都直下地震の発生時に約五百十七万人の帰宅困難者が発生すると見込まれております。このうち、行き場のない帰宅困難者は九十二万人発生すると推定されておりますが、これらの帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設につきましては、平成二十九年七月時点ですと約三十二万八千人分、必要数の三分の一の確保にとどまっていたと認識をしております。
 そこで、平成二十九年度の都の帰宅困難者対策の実績についてお伺いをいたします。

○和田防災対策担当部長 都はこれまで、東京都帰宅困難者対策条例に基づき対策を推進してまいりました。行き場のない帰宅困難者を原則として三日間受け入れる一時滞在施設につきましては、区市町村や国、民間事業者の協力を得ながら確保を進めてきております。
 その結果、これまでに合計九百六十八施設、約三十四万人分の一時滞在施設を確保しております。
 また、事業者や都民に対する普及啓発として、経済団体が主催をする講演会やポスターの掲出により、一斉帰宅抑制など帰宅困難者対策に必要な取り組みを広めるとともに、台東区と合同で実動訓練を実施いたしました。

○森口委員 一時滞在施設の確保につきましては、都は、各事業所において帰宅困難者の受け入れを進める上で参考となるハンドブックを作成し、民間事業者の共助を促すとともに、備蓄品購入費用につきましても六分の五の補助を行うなど、民間事業者、区市とも連携を進めていただいており、現在、毎年四万人弱の受け入れ数が増加をしているというふうに伺っております。
 一方で、帰宅困難者対策をより実効性の高いものとする上で、障害者など要配慮者や外国人への安全確保なども想定をした訓練を重ねることが重要であると考えます。
 これまで都が行ってきた帰宅困難者対策訓練の取り組みの成果や課題、改善策についてお伺いをいたします。

○和田防災対策担当部長 都は、平成二十六年度から毎年度、駅周辺の事業者などと連携した訓練を区市町村と合同で実施をしております。これまでの訓練では、要配慮者向けの訓練として、車椅子利用の帰宅困難者の避難誘導や、外国人向けに大型ビジョン等を活用した多言語による情報提供など、発災時を想定したさまざまな取り組みを実施してきております。
 これらの取り組みによりまして、障害者や外国人など、さまざまな配慮を要する帰宅困難者に対する情報発信や、避難する際の支援の必要性などが検証できたと考えております。
 特に、急増する訪都外国人に対する情報提供の方法につきましては、さらに工夫が必要であり、今後、技術の進展に合わせ、最新の情報提供ツールを活用するなど、よりわかりやすい情報提供に努めていくとともに、その方法につきまして、事業者や区市町村などの関係者と情報共有を進めてまいります。

○森口委員 毎年行っている都の帰宅困難者対策訓練で培われた課題やノウハウを集め、多くの鉄道事業者や周辺の民間事業者に共有することで、より実効性の高い対策が実現するのだと思われます。
 一時滞在施設の確保には、発災時の受け入れ事業者の二次災害における損害賠償責任がボトルネックであるといわれております。
 都は、平成二十四年十一月に、国に対して、発災時の損害賠償責任が事業者に及ばない制度創設の要請を行い、その後も国と協議を重ね、平成二十七年二月には、首都直下地震帰宅困難者等対策連絡調整会議にて、一時滞在施設の確保及び運営のガイドラインを改定し、一時滞在施設は、災害時に共助の観点から善意で開設されたものであるため、施設管理者は施設内における事故等、建物、施設の瑕疵による事故を含むについては、故意または重過失がない限り責任を負わないこととする、施設管理者の免責にかかわるような運用方針を示すなど、取り組みを進めていただいているものと理解をいたしております。
 そこで、改めてになりますが、都は、民間事業者の一時滞在施設をふやすためには、やはり事業者免責につながる国の法改正が必要であるとの認識でしょうか。

○和田防災対策担当部長 民間一時滞在施設において、発災時に余震等で施設が損壊したことなどにより受け入れた帰宅困難者がけがなどをした場合には、施設側が民法に基づく損害賠償責任を負うリスクがございます。この問題は東京のみならず、全国的な課題であることから、法改正による全国共通の制度の創設が必要であると考えております。
 このため、都は、発災時の損害賠償責任が事業者に及ばない制度の創設に向け、国に対して法改正を実施するよう提案要求を行ってきております。
 今後も引き続き、その実現に向け、さらに強力に国に対して働きかけを行ってまいります。

○森口委員 次に、行き場のない帰宅困難者が安心して一時滞在施設に滞在するためには、施設が安全であることが最も重要であると考えます。そのために都ではどのような取り組みをしているのかお伺いをいたします。

○和田防災対策担当部長 都は、一時滞在施設の施設管理者に対して、施設の安全確保のため、平時からオフィス家具類の転倒、落下、移動防止やガラス飛散防止対策などを行うとともに、発災時の建物の点検箇所や方法をあらかじめ定めておくなどの備えを求めております。
 大規模な災害が起きた場合、都または区市町村から一時滞在施設の開設要請があった際、施設管理者は、発災後六時間後までを目安に施設の点検、確認を行い、安全と判断した場合に限り帰宅困難者を受け入れることとしております。
 そのため、都では、平時及び発災時の安全確保や確認方法をハンドブックにチェックリスト形式により施設管理者に示すとともに、アドバイザーの派遣により施設に応じたきめ細かな助言をするなど、施設の安全確保に向けた取り組みを推進しております。

○森口委員 過去の都議会の議事録を拝見していても、平成二十三年三月の東日本大震災後、この帰宅困難者問題が大きく取り上げられて以降、都として事業者免責の法改正に向けて国と協議を進めていただいており、なかなか民間事業者としては、二次災害などリスクがあり、受け入れが進まないという困難な中で、さまざまな取り組みを行い、民間一時滞在施設の確保、整備を進め、現時点でも毎年四万人弱ほどの受け入れをふやしていただいていることに大変感謝をいたしたいと思います。
 九十二万人の確保にはまだまだ道半ばではありますが、いつ起こるかわからない災害に備え、スピード感を持って引き続きの取り組みをお願いをいたします。
 次に、セーフシティ東京防災プランについてお伺いをいたします。
 都はことし三月に、地震、風水害及び火山などの防災対策を迅速に進めていくための事業計画として、本年度から平成三十二年度の三年間を期間とするセーフシティ東京防災プランを策定しております。いつ発生するかわからない首都直下地震、近年全国で激甚化している台風やゲリラ豪雨など風水害への対策に万全を期すためには、本プランを着実に実行していくことが重要であります。
 そこで、一度策定したセーフシティ東京防災プランを今後どのように進めていくのかお伺いをいたします。

○西川防災計画担当部長 セーフシティ東京防災プランは、東京二〇二〇大会の開催を見据えたスピード感ある防災対策の推進と、都民の理解と共感に基づく自助、共助のさらなる進展を図ることを目的としてございます。
 また、本プランは、三カ年の工程表と到達目標をお示しした上で、その特徴の一つといたしまして、計画的な進捗管理の実施を掲げております。
 このため、本年度末に個々の事業の成果や実績を取りまとめまして、セーフシティ東京防災プラン進捗レポート二〇一九、名称についてはまだこちらは仮称でございますけれども、こうしたレポートを公表する予定でございます。
 この取り組みを毎年度継続して実施いたしましてPDCAサイクルを推進していくことで、本プランの最終年度である二〇二〇年度に向け、東京の防災力の向上を一層加速させてまいります。

○森口委員 都の災害対策につきましては各局に横断をしており、本プランで一元進捗管理を行い、都民に対して見える化を行うことで、都民の目線でわかりやすく理解をされ、チェックを受け、時には議論を喚起することで、スピード感を持ってよりよい政策に改善がされ、事業が進んでいくものであると理解をいたしております。
 本日質問を行っている各事業につきましても、このプランに取りまとめられているわけであります。引き続きの取り組みをお願いいたします。
 最後に、消防団支援、とりわけ消防団員の確保策についてお伺いをいたします。
 政策企画局の実施している実行プランレビューにおきましては、特別区における消防団員の充足率は、平成二十八年が八四・五%であったのに対し、昨年は八三・〇%となっており、消防団員の減少は喫緊の課題といえます。
 総務局では、市町村の取り組みを支援することが中心になるのかもしれませんが、同様の危機感を持って取り組んでいただきたいと思います。
 本年六月の第二定例会総務委員会において、我が会派の福島議員から、消費行動モデルであるAIDMA、つまりアテンション、インタレスト、デザイア、メモリー、アクションの各段階において工夫をすべきとの提案を行いました。ご答弁におきましても、東京消防庁や市町村と連携をしながら、より効果的に訴えかける手法、こういったものを検討しつつ団員確保策に取り組んでまいりますという前向きなお話があったと理解をいたしております。
 平成二十九年度の消防団支援を見ますと、執行率が六〇・八%となっております。課題を認識しながら予算を適切に執行する必要があり、この原因を探る必要があると私は考えます。
 支援の内容は市町村が望むものになっているのか、PR内容は届けるべき相手に効果的に届いているのかという二点から検証すべきであり、本日は後者についてお伺いをいたします。
 PRの支援として約七百七十九万円を支出しており、これはポスター掲出となっておりますが、具体的にどのようなPRを行ったのかお伺いをいたします。

○有金総合防災部長 市町村地域の消防団確保のため、多摩地域に路線を持つ鉄道に約二千二百枚の中づり広告、またTokyo消防団の日である一月十五日を含む一週間、集中的に掲出をいたしました。
 そのほか、多摩地域と結ぶ路線が多い新宿駅などターミナル駅周辺の大型ビジョン等を活用し、広報を行っております。また、「広報東京都」や防災ツイッターを活用するなど、さまざまな手法で団員確保に取り組んでおります。

○森口委員 中津川市消防団のホームページで女性団員のインタビューがあり、興味深かったのは、入団の理由として、消防団の制服をちょっと着てみたかったからですというのが挙げられていることです。消防団は地域防災のために欠かせない組織であり、強い責任感や奉仕の精神が求められているのは間違いありませんが、入団の動機になるのは意外なところにあるのかもしれないなと感じた次第であります。
 平成二十四年の内閣府の調査では、消防団自体を認知している人は九一・一%である一方で、七二・六%が入団しないと考えているとのことです。つまり、ポスター等の啓発においては、消防団の存在自体のPRよりも、動機づけ、AIDMAでいえばデザイアに力点を置くべきではないかと考えます。
 そこで、平成二十九年度に作成したポスターに込めたメッセージと、そのメッセージをどのようなターゲット層に届けようとして掲出先選定を行ったのか見解を伺い、私からの質問を終わります。

○有金総合防災部長 発災時に地域を熟知し即時対応力のある消防団への期待は高まっており、その活動を支えるための団員確保は重要でございます。
 そのため、ポスターにつきましては、消防団の力強さとともに、消防団が真に地域住民等から親しまれ、憧れられる組織であることをデザインテーマとし、鉄道を活用して通勤通学する、主として若年層に対しまして入団をアピールするためのキャッチコピーを作成いたしました。
 今後は、これまでのテーマに加えまして、消防団に関心を持ち、入団したいという気持ちを一層喚起させるようなデザインテーマの追加など多様化を図り、消防団員の確保に資する広報を実施してまいります。

○大場委員 私からは、総務局所管会計の平成二十九年度決算審査に当たりまして、島しょ地域を初めとする市町村振興並びに防災対策に関する事項などにつきまして何点かご質問させていただきたいと思います。
 初めに、島しょ五村六島における超高速ブロードバンドの整備についてお伺いさせていただきます。
 我が都議会自民党は、島しょ地域における情報通信格差の是正を図る必要があるとの認識のもと、光ファイバーケーブルが敷設されていない五村六島、利島村、新島村、神津島村、御蔵島村、青ヶ島村への整備を速やかに進めることを政策の提言の一つとして掲げております。当局に対しまして早期整備の実現を強く訴えてまいりましたが、それにとどまらず、国に対しても財政支援を求める緊急要望を実施するなど、財源の確保にも精力的に取り組んできております。
 こうした活動が実を結びまして、平成二十八年度から、五村六島に対して海底光ファイバーケーブル整備工事が始まりました。
 昨年の本分科会では、我が党所属委員の質問に対しまして、平成二十九年七月より、神津島、御蔵島において超高速ブロードバンドサービスの提供が開始され、島民生活の利便性が改善されたとのご答弁をいただきました。また、利島、新島、式根島の三島におきましても、海底光ファイバーケーブルの整備を進めている最中であるとのご答弁もございました。
 そこでまず、五村六島における超高速ブロードバンドサービス整備の進捗状況とご認識についてお伺いさせていただきたいと思います。

○久原理事 超高速ブロードバンドの整備につきましては、島民生活の向上及び産業振興等の観点から早期整備が重要であると認識しております。
 お話のとおり、神津島、御蔵島につきましては、平成二十八年度に整備を完了し、平成二十九年七月一日から超高速ブロードバンドのサービスが提供されております。新島、式根島につきましても、平成二十九年度に整備を完了し、本年六月一日から超高速ブロードバンドのサービス提供が開始されております。利島につきましては、平成二十九年度に既に整備に着手しております。青ヶ島については、技術的課題が多いことから、現在、慎重に現地調査を行っております。
 引き続き、全島整備に向けて着実に取り組みを進めてまいります。

○大場委員 神津島、御蔵島に続きまして、新島、式根島につきましてもサービス提供が開始されたとのことであり、この事業は着実に進んでいることが確認できました。既に四島で超高速ブロードバンドのサービスが提供され、特に神津島、御蔵島ではサービス開始から一年がたったわけでございます。
 それでは、具体的に島民の皆さんの生活は、超高速ブロードバンドサービス整備が進んでどのように変わったのか、その効果につきましてもお伺いいたします。

○久原理事 超高速ブロードバンドの提供開始によりまして、四島においては高速かつ大容量の通信が可能になりました。
 具体的な効果の例を挙げますと、村役場での住民票の発行については、本土に設置されたデータセンターから情報を取得しているため、以前は発行に一時間以上かかる場合もございましたが、現在は即時発行が可能となりました。台風等による波浪状況のライブカメラ映像を漁師の方が自宅で確認することができるようになりましたので、港まで行く必要がなくなっております。タブレット端末によるインターネットを活用した授業が可能になっております。島の医療機関は、画像伝送システムで大容量のデータを送信できるようになりまして、広尾病院と治療方針など詳細な相談が可能となっております。こういった例がございます。
 今後、観光情報の発信、産業振興などさまざまな分野でさらに利用されることで、島の持続的発展に大きく寄与していくものと考えております。

○大場委員 島民の生活が飛躍的に向上している旨の大変具体的な話を聞くことができました。これも我が党が力を注いできた島しょ振興に関する要望活動により達成された成果であると考えております。
 残る利島、青ヶ島につきましても、可能な限り早期に整備を図り、伊豆諸島五村六島の情報通信格差是正を確実になし遂げていただくようお願いを申し上げます。
 さて、本土から約一千キロ離れた小笠原諸島へのアクセスは、現在「おがさわら丸」だけであり、さらには父島と母島のアクセスも、「ははじま丸」による航路のみに頼っている状況です。島民生活の安定と産業振興を進め、さらに世界自然遺産登録に伴う観光客のニーズに対応する上で、これらの航路の果たす役割の重要性は言をまちません。
 平成二十八年七月に就航した両船の就航から約二年が経過しておりますが、新しい船が村民や島を訪れる観光客を初めとする利用者にどのように受けとめられているのかをお伺いいたします。

○高崎多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 「おがさわら丸」、「ははじま丸」については、両船とも平成二十八年七月の更新によりバリアフリー化に対応するとともに、大型化、高速化が図られ、旅客定員数及び貨物積載量が拡大いたしました。
 毎年度、小笠原村が実施する観光マーケティング調査において、「おがさわら丸」については、満足度が新船就航前と比較して約二倍と大幅に上昇し、自然景観やおもてなしと並び、高い満足度をいただける旅の要素の一つとなりました。
 「ははじま丸」については、アンケートなどは実施しておりませんが、利用者数は就航後二年間で一便当たり約七%増加しており、船への乗降がスムーズになったことや、荷物スペースの創設、また、船内での快適性が向上したことで、利用者に好評をいただいていると聞いております。

○大場委員 新しい「おがさわら丸」、「ははじま丸」の両船が利用者に大変好評であり、その利用者数が増加したということは大変喜ばしいことであります。
 ところで、今月初め、長崎五島列島と長崎、佐世保両市を結ぶ定期便などを運航していた事業者が突然運休し、経営破綻したとの報道がございました。島民にとって生活の一部になっている離島航路の突然の運休は、大変な不便と困惑を島民に与えることは想像にかたくありません。
 本土と小笠原を結ぶ航路は、人や物資の流れの大半を担う生活航路という点でひとときもとめることができません。先日の長崎のような不幸な事態が、より遠く離れた小笠原の航路で万が一生ずることになりますと、島民の死活問題に直結することは必至です。
 先日の本分科会で配布されました決算説明書を見ますと、小笠原定期航路補助等という項目が掲載されていますが、この補助金の概要と平成二十九年度の決算内容についてご説明いただきたいと思います。

○高崎多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 小笠原航路は、島民や観光客の移動だけでなく、村の生産物や生活物資の輸送を一手に担う生命線であります。現在、「おがさわら丸」は小笠原海運株式会社、「ははじま丸」は伊豆諸島開発株式会社の二社により運航されておりますが、遠隔離島であります小笠原航路という状況から、経営努力を行ってもなお欠損が生ずる場合があります。
 そこで、都は、小笠原航路を維持し、島民生活の安定及び向上に資することを目的に、事業者の運行欠損額のうち国の補助額を除いた額を補助する離島航路補助などを実施しております。
 平成二十九年度の決算においては、「ははじま丸」に関して、建造に伴い平成二十八年度に納付した消費税額約一億二千万円の還付があり、営業外収益として計上されたため、予算計上額の想定額より少なくなりましたが、欠損額が生じたため補助を実施しております。
 一方、「おがさわら丸」は、黒字が確保できたため補助の対象外となっております。

○大場委員 ただいまのご説明わかりました。
 さて、小笠原諸島は本年六月で返還から五十周年を迎えましたが、返還以来、都は、小笠原諸島振興開発特別措置法に基づき、社会資本の整備や産業振興を図ってきました。今年度末で現在の法は失効されます。
 小笠原諸島には、島内産業の活性化を初めとする残された課題や、島民生活のさらなる安心、安定のための課題が存在します。
 都議会は、本年三月の第一回定例会にて、小笠原諸島振興開発特別措置法の改正・延長に関する意見書を全会一致で可決し、国に対し提出しました。その後、国の小笠原諸島振興開発審議会も開催されたと聞いていますが、法の改正に向けた現在の状況についてお伺いします。

○高崎多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 小笠原諸島につきましては、昭和四十三年の返還以降、小笠原諸島振興開発特別措置法に基づき生活基盤や産業基盤などの整備を行い、相応の成果を上げてまいりました。
 しかしながら、生活基盤の整備、島内産業の活性化を初めとする課題のほか、返還当初に建設された施設の更新などの課題も発生しております。
 これらの課題の解決には法の延長が必要であるため、都は本年五月、法の改正、延長についての要望書を国土交通大臣及び小笠原諸島振興開発審議会会長宛てに提出いたしました。そして、本年八月末には、都の要望内容を反映した形で審議会会長から国土交通大臣宛てに、平成三十一年度以降も法的枠組みのもと、同諸島の振興開発を積極的に推進していくべきである旨の意見具申が行われました。現在、国において法の改正、延長に向けた検討が行われている状況であります。
 今後も、法の改正、延長に向けた状況を注視してまいります。

○大場委員 特別措置法が延長された際には、都は、村の意向も踏まえながら、新たな小笠原島諸島振興開発計画の策定に向けて、全庁一丸となった取り組みを進めていただきますよう要望して、次の質問に移ります。
 市町村総合交付金についてお尋ねします。
 市町村総合交付金は、市町村が実施する各種事業に要する一般財源の不足を補完するものとして、平成十八年度にこれまでの振興調整交付金などを統合して創設されたものでございます。その予算額は年々増加し、平成二十九年度には五百億円に達しております。
 この間、景気低迷による地方税の減少など、市町村財政が厳しい状況に置かれた時期もございましたが、市町村総合交付金が多摩・島しょの市町村財政にとって極めて重要な役割を果たしてきたものと考えております。
 そこでまず、市町村総合交付金の果たすべき役割につきまして、改めてお伺いいたします。

○野間行政部長 市町村総合交付金は、市町村に対する包括的な財源補完制度といたしまして、市町村の自主性、自立性の向上に資するとともに、市町村の行政水準の向上と住民福祉の増進を図ることを目的とするものでございます。
 この交付金は、平成十八年度にこれまでの市町村振興交付金、市町村調整交付金、多摩島しょ底力発揮事業交付金を統合いたしまして、投資的経費、経常経費の区別なく柔軟に活用できる、市町村にとって使い勝手のよい制度としたものでございます。
 その構成は、平成二十九年度におきましては、財政規模や財政力等の指標により算定される財政状況割、市町村の行財政努力の成果をもとに算定される経営努力割、市町村の行うさまざまな地域振興の取り組みを支援する振興支援割となってございます。

○大場委員 市町村総合交付金が市町村の行財政運営を支える財源補完制度として重要な役割を果たすものであることを、改めて確認できました。
 それでは、市町村総合交付金による財政支援により、これまで具体的にどのような成果につながったのかをお伺いします。

○野間行政部長 市町村総合交付金を活用いたしました財政支援によりまして、市町村の安定的な行財政運営に寄与するとともに、市町村が行いますごみ処理施設や保育所などの公共施設の整備、防災対策や定住促進、市町村間の広域連携の取り組みなど、地域の特性を踏まえましたまちづくりの推進等、市町村の行うハード、ソフトの事業で有効に活用されたと認識してございます。

○大場委員 市町村総合交付金は、これまで一般財源を補完する制度として、多摩島しょの市町村の財源、財政運営を支えてきました。交付額の充実はもちろんですが、交付金の内容が各市町村の財政運営に役立つものであることが大切です。
 今年度は、交付金が五十億円増加され、政策連携枠が創設されました。振興調整交付金の時代から長年にわたり、都独自の市町村のための交付金として、都と市町村とで育ててきた交付金に大きな変化が加えられました。
 市町村総合交付金は、地域によって異なるさまざまな財政事情を踏まえた市町村にとって使い勝手のよい交付金であることが肝心です。市町村の財源不足を適切に補完する交付金として、市町村の意見をよく聞きながら、今後も安定的な財政確保、交付金額の充実、そして内容の改善に努めていただくことを強く要望しておきます。
 最後に、防災対策について何点か伺います。
 ここ何年か、日本各地で自然災害が頻発しており、全国的に甚大な被害が発生しております。都内でも、本年に入って台風による浸水等の被害を受けておりまして、実際、私の地元の世田谷区では、八月下旬の集中豪雨によりまして五十戸を超える床上浸水被害が発生いたしております。
 一たび大規模な災害が起きれば、火災の初期消火から避難所の運営などのさまざまな場面におきまして、地域住民同士が互いに助け合う共助が欠かせません。それぞれの地域における防災活動は町会や自治会が主に担っておりますことから、都民の防災意識や知識を向上させ、共助につながっていくためには、町会や自治会の果たす役割は極めて重要と考えます。
 都は、地域の防災活動の担い手である町会、自治会を対象とした東京防災学習セミナーを実施しておりますが、その目的、狙いにつきまして具体的にお伺いします。

○和田防災対策担当部長 地域において防災活動を行う町会、自治会などの自主防災組織は、地域の実情を熟知している一方で、災害への備えについての知識が不足しているなどの課題を抱えております。
 その課題解決のため、自主防災組織に対して、防災について学ぶ機会を提供することにより地域住民の防災意識の向上を図るとともに、地域の防災活動を後押しすることが必要であります。
 そのため、町会、自治会などの自主防災組織を対象に防災の専門家を派遣し、地域で想定される災害や対応について学ぶ機会を提供することにより都民の防災意識を高め、地域の防災力の向上につなげております。

○大場委員 それでは、この東京防災学習セミナーのもたらした成果と今後の方向性についてお伺いします。

○和田防災対策担当部長 平成二十九年度の東京防災学習セミナーは、受講を希望する団体が多いことから、回数を前年度の年間二百五十回から三百回にふやして実施し、防災の専門家を各団体に派遣して、各地域で想定される災害について学ぶ場を提供しております。
 このセミナーは、受講する団体が地域の課題に対応した複数のコースから内容を選択して実施しておりまして、二十九年度は新たに風水害対策をテーマとしたコースを加え、全七コースを設定して実施をしております。
 参加者のアンケートでは、家族で防災や備蓄について話し合ってみようと思った、町会の方たちとまず顔見知りになり、いざというときに助け合いたいといった声があり、自助、共助の意識向上につながっていることがうかがえます。
 引き続き、受講団体のニーズ等を踏まえてコースの見直しや充実を図りながら、町会、自治会などによる地域防災活動の支援を通じて、都民の防災意識を高めてまいります。

○大場委員 町会や自治会向けの取り組みはわかりました。
 都は、こうした取り組みを通じて町会、自治会に対する支援の実施を継続し、地域における意欲的な防災活動が盛んになり、共助の輪が広がっていくように、より一層取り組んでいただきたいと思います。
 この東京防災学習セミナーは、区部や多摩地域の町会、自治会向けの取り組みとのことでありますが、島しょ地域では、住民に向け、防災について学ぶ別の事業を実施していると伺っています。
 そこで、島しょ地域における防災学習事業の具体的な取り組み状況と、その狙いについてお伺いします。

○和田防災対策担当部長 島しょ地域におきましては、地震や風水害に加え、津波や火山噴火など島しょ特有の自然災害のリスクがあることから、住民がみずからの住む地域特有の自然災害のリスクについて知識を深め、防災対策を進めることは重要であります。
 そのため、都は、島しょ地域の住民を対象とした防災の専門家を派遣するセミナーを平成二十八年度から開催しており、二十九年度は、新島、式根島、神津島の三島で実施をしております。
 このセミナーは、島しょ地域特有の災害リスクや必要な備えについて学ぶ場としており、参加者のアンケートからは、わかりやすく参考になったとの声をいただいております。

○大場委員 都は引き続き、島しょ地域におけるセミナー開催を通じまして防災知識などの情報提供を行い、島しょ住民の防災意識を高める取り組みを進めていただきますよう要望しておきます。
 さて、町会や自治会を通じた防災学習事業により都民全体のレベルアップを図ることは大変重要です。
 その一方で、町会、自治会がそれぞれの地域特性や各団体の置かれた状況などから、例えば防災訓練の参加者がいつも同じ人になるなど、問題を抱えています。共助の意欲はあるものの、個々の団体で問題を抱える自主防災組織に対する個別的な支援を充実していくことも、地域防災力の向上のためには必要と考えます。
 平成二十九年度から新しく開始された自主防災組織活動支援事業の狙いと、その取り組み内容についてお伺いします。

○和田防災対策担当部長 地域防災力を向上するためには、災害時に避難所運営などの共助の担い手となる自主防災組織の活動が活発化していることが重要であります。
 しかしながら、自主防災組織の多くが地域の防災活動における参加者の高齢化、活動内容の硬直化、知識、経験の不足といった課題を抱えております。
 平成二十九年度から新たに試行的に開始をいたしました自主防災組織活動支援事業は、自主防災組織が抱える個別の悩みや課題に即して防災の専門家が実践的なアドバイスを行うことにより、団体の活動をきめ細かく支援し地域の防災活動の活性化を図るもので、二十九年度は十団体に専門家を派遣しております。

○大場委員 お困り事を抱えた自主防災組織の活動をきめ細かく支援することは有意義であり、こうした取り組みはさらに充実させていくべきと考えます。
 そこで、この自主防災組織活動支援事業の成果と、事業の充実に向けた方向性についてお伺いします。

○和田防災対策担当部長 平成二十九年度に実施した自主防災組織活動支援事業では、例えば活動への若年層の参加者が少ない自主防災組織に対して、子育て中の若い世代向けのセミナーの開催を支援したところ、地域の防災活動に若年層が新たに参加するようになったという事例がございました。
 また、防災訓練のマンネリ化に悩む団体に対して、これまでの避難訓練に加え、新たに災害対策本部を立ち上げる図上訓練を提案し、実施したところ、当該団体の防災マニュアルの改善につながった事例もございます。
 自主防災組織が抱える悩みや課題は、地域の状況などに応じて団体ごとに異なることから、求められる支援内容や実施方法などにつきまして、各団体のニーズを踏まえて見直すなど、やり方についても工夫をしながら、きめ細かな支援を行い、地域防災活動の活性化につなげてまいります。

○大場委員 地域の自主防災組織の活動に対する支援は、地域の実情に詳しい区市町村が中心となって行っており、都は、自主防災組織をさまざまな形で補完的に支援することで、総合的に地域防災力を向上させていかなければなりません。
 災害に強い都市東京をつくり上げるために、この取り組みの一層の充実を求めまして、私からの質問を終わります。

○古城委員 私からは、平成二十九年度東京都一般会計決算のうち、総務局所管分に関連して、人権施策の推進に関して質問をいたします。
 二〇二〇年に向けて東京への関心が一層高まる中、人権尊重の機運を高め、そして誰もが生き生きと活躍できる社会を実現していくことが求められています。
 都はこれまで、東京都人権施策推進指針に基づき、十七の人権課題を掲げて取り組みを進めてきております。今般成立した東京都人権尊重条例は、性自認や性的指向から生じる差別や本邦外出身者に対してのヘイトスピーチなど、新たな人権課題について個別に章が設けられています。
 今後は、十七の人権課題に加えて、時代や社会の変化に応じて生ずる新たな人権課題についても条例に位置づけていく必要がある、このように私たち公明党は、第三回定例会の代表質問において訴えさせていただきまして、また知事からも大変前向きな答弁があったところでございます。
 今後、これらの取り組みを推進するに当たって、今回の質疑では、これまでの取り組みを確認しつつ、順次具体的に申し上げてまいります。
 まず、一昨日でございますけれども、私は、渋谷区内の区立小学校で行われました東京二〇二〇算数ドリル、これは二〇二〇大会の組織委員会が発行しているものでございますが、この下巻のパラリンピック編の実践学習会を視察してまいりました。
 なお、四月に行われたオリンピック編も視察させていただいているわけでございますが、算数とパラリンピック、これを大変工夫を凝らして、子供たちに、算数ももちろん学習をしてもらいますが、オリンピック・パラリンピックの東京におけるエンゲージメント、これを高めていきたい、こういう思いで作成をされているものですが、一昨日二十二日のパラリンピックのドリル贈呈式、実践学習会には、二〇一六年リオデジャネイロ・パラリンピック大会で銀メダルを獲得した、ボッチャの日本代表、廣瀬隆喜選手らが参加をしておられました。
 実際に、お手本として、子供たちの前で廣瀬選手が、目標となるジャックボールに自分の手玉、球を、ボールをいかに近づけるか、寄せることができるかということを実際に実践していただいて、まさに真横につける、そういう投てきを連続して行われておりましたけれども、子供たちはその様子を見て大変感動というか、歓声を上げておりました。
 さらには、実際にパラリンピック、またボッチャを皆様も体験されていること多いかと思いますが、この目標となるジャックボールの周囲を、さまざま青、赤、球が囲んでしまって、これ以上どういうふうに近づければいいのかとなったときに、廣瀬選手いわく、この並んでいるボールの上に自分のボールを落とすと。ボールの上に重ねるわけですね。なかなかちょっと今、具体的にお示しすることができないのでわかりにくいかもしれませんが、大変高度な技術を必要とする、そういう投てきも実際に一発で成功して見せていただきました。
 私も本当に思わずおおっと、そういう声を上げてしまうぐらい、まさにパラリンピアンの技術、またそういう思いというものを間近で体験をしてきましたし、また実際に間近で見た子供たちにとっても、そのパラリンピアンの思い、技術、そういったものを間近で体験できたことは本当に大きな貴重な機会になったのではないかと、私は実感をするところでございます。
 また、ことしの三月に行われました平昌のパラリンピック大会についても、私も都議会公明党の一員として視察をしてまいりました。
 いわゆる車椅子ホッケーについて、実際の競技も拝見をしてまいりましたけれども、いわゆるアイスホッケー、オリンピック競技のアイスホッケーは非常に肉弾戦があります。一方で、パラスポーツとしてのホッケーについても、これは車椅子同士がぶつかる、大変これも激しい戦いなんですが、独特の技術、いわゆるブレードの間を通すショットがあると。こういったこともやはり間近で見ないとわかりませんし、今後、二〇二〇年大会の成功は、やはりパラリンピックの成功なくして二〇二〇年大会の成功なし、これは私どもも前から申し上げておりますし、知事も訴えられているところですが、やはりパラリンピックへの興味、関心というのを高めていく必要があろうかと思います。
 重ねて、このパラリンピック、またパラスポーツへの理解を進めていくということは、東京都における人権施策を推進していく上でも大きな意味があろうかというふうに感じているところでございます。
 このパラスポーツを周知していくという点について、東京都が設置をしております東京都人権プラザ、先日も私、このプラザもお邪魔をしてまいりましたけれども、大変広々とした間口の一番最初、入り口のところに、パラリンピックの実際の種目の道具、これが展示をされておりましたし、触れてみることができる、実際に選手が競技で使っているそういったものが展示をされている、そういう状況も確認をさせていただきました。
 特にこの人権プラザについては、浜松町駅、それから大門駅、そして一番の最寄りが芝公園駅でありますけれども、プラザの案内を見ますと、しっかりとルートが、もちろん載っていることは当然そうなんですが、どなたでも来やすいように、特に芝公園駅のエレベーターが設置されている出口の箇所についてもこの案内図に表記をされている、こういう配慮が確認できましたし、また誰でもトイレ、大変きれいな誰でもトイレも設置されていることから、多くの皆様にぜひとも来館をしていただきたい、こういう思いを強くして、私は帰ってきた次第でございます。
 ぜひとも今後、この人権プラザを人権啓発の拠点としてさらに活用をしていただきたいと思いますし、幅広い層の都民を対象として、わかりやすく利用しやすい取り組みを行っていくべきであると考えます。
 また、この人権プラザの二階には図書資料室が設置をされておりました。さまざまな人権に関する貴重な蔵書がございましたけれども、昨年の総務委員会、また決算特別委員会でも指摘があったかと思いますが、近接に財団法人人権教育啓発推進センターの人権ライブラリーが設置をされております。当然、これらの施設とともに連携をする中で、人権意識の啓発、こういったことをこれからも図っていかなければいけない、そういう距離感にもあろうかと思いますが、特にこの図書資料室につきましては、子供たち、また家族連れで来られるお母さんが読み聞かせをする、そういう子供向けの絵本であるとか、四十冊ほどの蔵書がありましたけれども、ぜひとも差別化を、特徴を出していくためにも、そういった取り組みも行っていただきたいと要望させていただきまして、この人権プラザにおける子供や若年層に向けての啓発事業について見解を求めます。

○仁田山人権部長 東京都人権プラザは、平成二十八年度の港区芝への移転を契機にいたしまして、次世代を担う子供や若者がより一層わかりやすく親しみやすい施設として整備を行ったところでございます。
 例えば、タブレット端末を使い、クイズ形式で人権を学べる展示や、パラリンピック競技用の車椅子やボールなどの展示を導入したことに加えまして、実際に車椅子やパラリンピック競技であるボッチャの体験などができる学習会も実施しているところでございます。
 平成二十九年度では、小中学校を初め、年間百十団体に利用していただいたところでございます。
 また、プラザのセミナールームを活用いたしまして、子供向けの講座の実施にも取り組んでいるところでございます。
 平成二十九年度では、港区芝周辺を視覚障害者のある方と子供とが実際に一緒に歩きまして、音声による道案内情報を作成するなど、ワークショップ形式により年二回開催いたしているところでございます。
 こうした取り組みを通じまして、プラザが子供や若者に人権について考えていただける気づき、学びの場となるよう、努めているところでございます。

○古城委員 今の答弁でございましたその気づき、学びの場という位置づけであるこの人権プラザでございますけれども、やはりこれからの社会を担っていく子供たち、また若い世代に向けた啓発は大変重要であるというふうに思います。私も人権プラザを訪問させていただいて、その気づきを得ることができました。
 今、ちょうど十一月十七日までの予定で行われている企画展、ミリキタニの猫という展示でございますけれども、ぱっと見ると猫の絵が掲げられていて、人権とこの企画、どういう関連性があるのか、一旦は不思議に思ったところはありましたけれども、このミリキタニのジミー・ツトム・ミリキタニさんでございますが、日系二世としてアメリカに生まれて、そして広島で育ち、また戦時中は日系人の収容所において暮らされたと。また、戦後は、路上で絵を描きながら暮らしておられた。こういうミリキタニさんの人生の説明もございました。
 これを拝読しますと、やはりそこにどういう意味があるのかという気づき、絵を通じた、例えば外国人への差別であるとか、また路上生活者に対する視線、目線であるとか、そういったものについて深く考えさせられる、そういう企画展であろうかと個人的には考えておりますが、その企画展も含めて、施設として気づきを得られる、そういう場所であったというふうに実感をしているところでございます。
 やはり人権感覚というのは、そういう気づきも大変大事でありまして、子供のころから形成をされていくものだと思いますし、また大人になっても、今申し上げた生活や暮らしの場の中で気づき、またそして学んでいくことが大変重要であるというふうに思います。
 この第一分科会で何度も何度も取り上げて大変恐縮ですが、私の地元新宿区で、先ほども申し上げました新宿区教育ビジョン、この中に、豊かな人間性と社会性を育む教育の充実として、人権教育の推進、そして障害者理解教育の推進が、これも明記をされて、今、区としても取り組んでいるところでございます。
 こういった取り組みを通じて、特に家庭の中での、また家族の団らん、会話の中で人権感覚が育まれる、養われていくことを期待したいと思います。
 そういう意味では、家族連れも多く訪れるであろうプロスポーツ観戦の機会を捉えて、都では、プロ野球やJリーグなどのプロスポーツチームと連携した啓発活動を実施していると聞いております。若年層を引きつけるための取り組みとしてプロスポーツ選手を起用する、こういう考えであろうかと思います。
 そこで、都が実施をした、スポーツ組織と連携した人権啓発活動の目的と実績について伺います。

○仁田山人権部長 若年層を中心といたしました年齢層に人権問題に対する理解を深めてもらうためには、子供や若者が集まるスポーツ会場において、PR効果の高いプロスポーツ選手等を起用した啓発を行うことが有効であることから、都では、法務局や人権擁護委員連合会との共催によりまして、スポーツ組織と連携した人権啓発活動を実施しているところでございます。
 平成二十九年度は、Jリーグやプロ野球の選手が、多様性の尊重やいじめ撲滅などの人権メッセージを訴える啓発映像を作成し、東京を本拠地としているJリーグ三チーム及びプロ野球一チームの合計四チームの試合会場で放映したほか、動画サイトや映画館においても放映をいたしました。また、試合会場では、チームロゴなどをプリントいたしましたショルダーバッグに啓発リーフレットを封入して、配布したところでございます。

○古城委員 プロスポーツチームと連携をして、そしてそのチームに所属する選手を動画に起用されるということで、より親しみやすく、またその啓発活動に目を向けてもらいやすくしていくと、そういう努力をされているものだと思います。
 また、東京都のユーチューブの動画チャンネルには人権部チャンネルが設けられておりまして、こちらにも、今、答弁にありました動画が実際に載って、見ることができるわけですけれども、もしかしたらちょっと耳の痛い話かもしれませんが、このJリーガー、またヤクルトスワローズの選手、それから、つば九郎も出ている動画なんですが、やはりヤクルト、つば九郎は人気かなと。これはことし掲載をされていますけれども、一方で、昨年啓発で撮られた動画については、一年経過をしていますが、一つは三百四十八回の視聴回数、もう一つは五百三十九回の視聴回数ということで、もちろんこの人権部チャンネルのために撮っているものではないと理解をしておりますけれども、より効果的な啓発の取り組みというものもぜひともお考えをいただきたいと思います。
 そうした取り組みの一つとして、多くの人が集まる、また先ほど来申し上げておりますように、家族連れ、全世代的に集まるような場面として映画館が考えられるかと思います。
 私自身も、これまでの仕事の経験上、映画館における広告というものは大変訴求効果が高いというふうに考えておりますし、また実際に効果測定も大変行いやすいというふうに認識をしているところであります。
 そこで、映画館における人権啓発映像の放映について、実績を伺います。

○仁田山人権部長 平成二十九年度の放映実績でございますが、十二月の人権週間の後、二週間にわたりまして、都内十五カ所の映画館におきまして、Jリーグの試合会場において放映いたしました啓発映像をスクリーン広告としても上映いたしました。
 なお、スクリーン広告の実施に当たっては、より多くの子供や若者の来場が期待できます映画を選定いたしまして、約二十一万人の入場者があったとの報告を受けているところでございます。

○古城委員 今回、この昨年度の取り組みとして映画館で実施をされた人権啓発映像の放映については、スポーツ会場で実際に行われた同じものが動画として流されているということでございましたけれども、やはりより効果を高めていくためには、また別の動画として作成するなり、また、これまで都が作成をしてきたものについても検討していただきたいというふうに要望をさせていただきます。
 最後に一つ、人権啓発、また人権意識の啓発ということについてこれまで伺ってまいりましたけれども、具体的な人権問題への取り組みについて確認をさせていただきたいというふうに思います。
 この都議会議事堂の一階の都政ギャラリーでは、さまざまな催し、展示が行われております。今まさに二十六日までの予定で、小学生人権啓発ポスター展が行われているわけでございますが、私も登庁する際、また帰る際にもさまざま絵を拝見しております。
 また、ことし六月であったかと思いますけれども、拉致問題に関する啓発の展示が行われておりました。夜間に退庁する際、帰宅をする際に、既にライトが落ちておりますので、なかなか見えにくかった部分もあったんですが、拉致に実際に使用された一つの手段として水中スクーターがあるわけですけれども、この水中スクーターが展示をされておりました。この水中スクーターについては人権プラザでも展示をされておりましたが、ちょっとライトが落ちた中だからこそ感じたのかもしれませんけれども、やはり暗がりの中で見ますと大変恐怖感を覚えました。もしかしたら、拉致をされた被害者の皆さんは本当に怖い思いをしておられたのではないか、そういうことも自分の身に置きかえて実感をすることができた次第であります。本当に重大な人権侵害であるという認識を一層深くさせていただきました。
 この拉致問題の解決には、国民世論を結集して国を後押ししていく姿勢が大変重要でありますので、都の果たすべき役割というのは大変大きいと考えます。また今、国際情勢でも、米朝の首脳会談、さらには韓国、北朝鮮の首脳会談が二度にわたって行われるなど、大きな変化の兆しがあるところでございます。
 こういう機会を捉えて、拉致被害者の皆さんの救出、またこれからの施策展開も踏まえますと、やはり全世代的に改めて意識の啓発を行っていく必要があると思いますし、特に、帰国されたときのことを余り記憶にない若い世代の皆さんへの啓発も、大変重要であると考えます。
 そこで、平成二十九年度に都が実施をしました拉致問題に関する啓発事業の実績を踏まえて、見解を求めます。

○仁田山人権部長 都では、北朝鮮拉致問題解決に向けまして、世論の喚起を目的として、国や民間の支援団体とも連携して啓発事業を実施してきたところでございます。
 平成二十九年度では、若者を含む幅広い層の方々の感性に訴え、より具体的なイメージを持ってもらえるように、国などと共催し、舞台劇の公演やドキュメンタリー映画の上映会を実施してまいりました。
 また、十二月の北朝鮮人権侵害問題啓発週間では、民間の支援団体などと共催いたしまして実施している写真パネル展において、より多くの集客に結びつくように、新たにデジタルサイネージを利用したPRを実施したところでございます。
 ほかにも、北朝鮮の工作員が使用したとされる、先生お話のありました水中スクーターのレプリカの展示や都庁ライトアップなどの実施をして、若年層を含む多くの都民の関心を引きつけるような工夫を行ってまいります。

○古城委員 先ほども申し上げました、今まさにこの一階の都政ギャラリーで行われている小学生人権啓発ポスター展に出ている小学生のポスターの中の一つの標語として、声をかけるとみんなが笑顔、こういうものがございました。
 本当に誰もが笑顔になる、そういう社会をつくっていくために、ぜひとも多様な人々の人権が誰一人として取り残されることがない、またしっかりと尊重される都市東京を目指して、これからも人権施策の推進に取り組んでいただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わります。

○馬場委員長 この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時十一分休憩

   午後三時三十分開議

○馬場委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○里吉委員 私からは、公益通報制度について質問を行ってまいります。
 資料をご用意いただきましたけれども、ありがとうございます。
 二〇一六年十一月から、外部窓口を設置して都民など広く通報を受け付ける新しい公益通報制度がスタートしております。
 そこでまず、この制度変更の目的と特徴について伺います。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 平成二十八年十一月の制度改正は、利用しやすい制度となるよう、公益通報制度を拡充したものでございます。
 主な改正内容として、新たに弁護士による外部窓口を設置するとともに、広く法令違反行為を対象に都民からの通報も受け付け、対応状況を公表することといたしました。

○里吉委員 今、簡単に特徴を教えていただきましたけれども、それまでは東京都の通報は公益通報制度に規定された法律違反に限定していたものを法令違反全般に対象を拡大したこと、それから、通報窓口が都の内部職員のみだったものを、通報を受け付ける窓口ですね、弁護士による外部窓口も設置するということで拡大したこと、それから、通報する側の人間も東京都の職員に限定していたものから、広く都民等から通報を受けられるようにしたこと、そして、お話ありませんでしたけれども、通報への対応についても、通報本人に伝える、通報を受けてそれを受理したかどうかという中身について通報本人に伝えるだけでしたけれども、全体の状況や年間の処理状況についてもホームページで公表する、こういった改善が行われております。
 そこで、この公益通報制度、新たな形でスタートしているわけですが、昨年度の予算額と決算額について伺います。
 また、弁護士窓口がスタートしておりますので、ここで対応している弁護士の方、何人いらっしゃるのか、弁護士窓口業務についての予算額、決算額について伺います。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 昨年度の公益通報制度についての歳出予算額は一千九百八十三万五千円、同じく決算額は一千二百四十四万六千円でございます。
 また、昨年度の弁護士窓口に係る予算額は一千六百八十四万円、決算額は九百八十九万円でございまして、四人の弁護士に委嘱しておりました。

○里吉委員 弁護士窓口がスタートしたわけですけれども、この外部窓口は四人の弁護士の方にお願いしていると。そして、決算としては九百八十九万円かかったということでした。
 それでは、この弁護士の方々なんですけれども、どういう方を選ばれているのか、また、任期についてはどのようになっているのか伺います。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 昨年度は、東京弁護士会から推薦のあった弁護士に、主席監察員の決定により弁護士窓口の業務を委嘱してございます。任期は一年であり、再任は可能でございます。

○里吉委員 東京弁護士会推薦の方で四人、窓口として公益通報を受けているということです。
 東京都の公益通報の窓口としては、ほかに各局窓口と全庁窓口というのがございますので、全部で三つの窓口がありますけれども、昨年度、公益通報を受理されたもの、資料によりますと二十件とありますけれども、では、実際に公益通報として通報を受け付けたのは何件であったのか伺います。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 昨年度、公益通報窓口が処理した件数は、公益通報制度についての相談、都に対する苦情や意見、他の機関に関するものや、同一通報者から複数回にわたる同内容のメール着信などを含め、四百七十三件でございます。

○里吉委員 四百七十三件の通報があって、そのうち四百五十三件は受理されなかったということだと思います。
 今ご答弁ありましたように、相談に類するものやほかのところに通報した方がいいようなもの、同じ方から何回もあったということで、そもそもこの窓口に電話をしても、なかなか受理できないというものもあったかと思いますけれども、そうではないものもあったのではないかと思うんですね。
 具体的にどういったものが受理されなかったのか、お答えいただきたいと思います。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 先ほどもお答えしましたような相談、苦情、意見などのほかに、この公益通報の要件といたしまして、通報された具体的な事実が法令に違反するなどの要件がございますが、そういった要件に該当しないものが受理されなかったものでございます。

○里吉委員 ちょっと確認なんですけれども、法令違反があったと思って公益通報すると思うんですね。それが、公益通報したものが法令違反かどうかを調査するのが受け付けた後のお仕事だと思うんですけれども、法令違反かどうか、通報した本人は法令違反があると思って通報したと。受け付けのところでは、法令違反がないということで、受付窓口で受理しないでしまうということがあるということなんでしょうか。確認します。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 通報された具体的な事実が真実かどうかという調査ではなく、通報された事実が真実であったとした場合であっても法令に違反しないというようなものについては、受理しないこととしております。

○里吉委員 わかりました。
 それで、そういったいろいろなものが通報されて、多くが、四百七十三件中四百五十三件は、通報はあったけれども、相談も含まれているし、さまざまなものもあって、受理されなかったということなんですけれども、今、新たにスタートしている弁護士窓口、ここに通報されたもので公益通報に当たらない場合は、原則として、その弁護士の判断で公益通報に当たらない旨の返答をするものなのか、それとも、一応都の職員、全庁窓口のところに内容を伝えて判断するものなのか、その点について確認いたします。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 公益通報の要件該当性、先ほども申し上げましたけれども、通報された具体的な事実が法令に違反するかなどにつきましては、法律の専門家である弁護士が判断して返答することとしております。

○里吉委員 弁護士が判断して返答するということでした。
 それで、例えば、そこで公益通報として受理されなかったことについて、通報した方が不服を申し立てるような仕組みは存在するのかどうか伺います。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 公益通報者保護法にも不服申し立ての規定はございませんが、都においても、その仕組みは設けておりません。

○里吉委員 不服申し立てすることはできないということがわかりました。
 なぜこのようなことを質問したかといいますと、私のところに、弁護士窓口を利用して、昨年度公益通報したけれども、五カ月間待たされた後、公益通報に当たらないといわれたというお話があったわけです。昨年受理されなかった四百五十三件のうちの一件に入っているんだと思うんですが、今いろいろお話ししましたけれども、公益通報に当たらない、つまりそういう判断をして、当たりませんというお返事をした中にも、今後の都のさまざまな施策を拡充していくのに役に立つ、そういう情報もあるのではないかというふうに思うわけです。
 通報したけれども受理されなかったケース、いろいろなものが入っているので、その全てとはいいませんけれども、その通報者の意図を酌み取って、さまざまな対応ができるのではないかと思いますが、現在、東京都では、通報されなかったケースについてはどのような対応をされているのか伺います。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 申しわけありません、通報されなかった事実というのは、弁護士窓口から私どもの方にお知らせされなかった、つまり受理をされてこなかったというものについてという理解でご答弁申し上げますけれども、弁護士窓口の方で、要件に該当していない通報につきましても、私どもの方に知らせておく必要のある情報につきましては、適宜、情報提供いただくという取り扱いとなっております。

○里吉委員 要綱なんですね、公益通報制度というのは。要綱を読ませていただきますと、公益通報の受理というところに、こういう場合が受理できますよというのがありまして、それから、受理できなかった場合は、公益通報に該当しない通報のうち、その内容について全庁窓口に報告する必要があると認められる通報については、当該通報について全庁窓口に情報を提供するものとするというふうにございます。
 今回、この件数についても出していただこうと思っていたんですが、ちょっと時間がなくて、出していただけていないんですけれども、通報を受けた四百五十三件のうち何件かは、受理はしていないけれども貴重な情報だということで、全庁窓口に上がっているものがあるのかどうか。件数は結構ですので、そういう事例があるのかどうかだけ確認させていただきたいんですが、いかがでしょうか。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 情報提供いただいたものはございます。

○里吉委員 公益通報の制度、まだ始まったばかりですし、外部の方からの通報を受けるようになったのも、それから弁護士対応になったのも、まだそんなに時間がたっていないので、私は、この公益通報の制度をよりよく活用していただきたいという立場から申し上げたいと思うんですけれども、いろいろホームページなどで他県の状況を見ていますと、まだ一般から広く公益通報を受けている自治体そのものが、都道府県でも大変限られている。そういう意味では、先進的な取り組みを東京都としてはやっているというふうに理解しております。
 その上で、これは佐賀県のホームページだったんですけれども、公益通報の結果がどうなったのか詳しく報告しているんですね。そこでは、一般県民からの通報で、必ずしも具体的な違法行為としては認められないものであっても、是正措置という言葉で対応がとられている、こういうケースが紹介をされておりました。
 そういう意味では、公益通報制度を使って通報されたものが該当するのかしないのかということを判断するのもすごく大事なことなんですけれども、判断して、公益通報に当たらなかったものについても、そこに、今後の東京都の施策をよりよいものにする種みたいなものがあるのではないかと思いまして、そこについてしっかりと目を向けていただきたいということを要望したいと思います。
 それから、これについては今後議論をしていきたいと思うんですけれども、きょうは質疑はいたしませんけれども、弁護士だけで判断するということについて、公益通報として受理するか否かという大変大事な判断を外部の弁護士の方一人に任せていいのかということについて、疑問だという声も聞いていて、私、まだ勉強不足で、そこまで、それがいいのかどうかということは、私自身は結論は出ていないんですけれども、いずれにしても、こうした制度が始まったばかりですので、必要な部分については改善していただきたい。
 最後に要望を一点だけ申し上げます。
 今回質疑をするに当たり、実は資料として受理件数を出していただきましたけれども、通報件数も出していただきたいということでお願いしたんですが、なかなか出していただくことができなかったわけです。ホームページに受理件数だとか審査状況なんかも出ているんですけれども、今後は、あわせて通報件数もぜひ示していただきたいということも要望させていただきます。
 そして、せっかく外部窓口をつくったことで、職員、住民とも通報しやすい環境が整備される、それから、通報者を都の職員から広く都民にも窓口を、通報者の枠を広げたことによって、都民の視点に立った広範な通報が寄せられる、通報による調査の結果、違法、不当とは認められなかった場合でも、さまざまな指導など改善が可能というふうに、議論が都庁内でもされていたということも読ませていただきましたので、ぜひそういうふうに改善していただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○貫井コンプライアンス推進部長主席監察員政策法務担当部長訟務担当部長兼務 今、委員から、通報件数についてなかなか教えていただけなかったというご指摘がありまして、先ほど私が答弁申し上げました四百七十三件について、そのようにおっしゃられているということであれば、済みません、私の先ほどの答弁が言葉足らずだったのかと思って、ご説明をさせていただきますが、先ほどの四百七十三件には、相談や苦情、意見など、通報件数という件数として計上すると著しい誤解を招くようなものが含まれている件数でございまして、こちらを通報件数という形でまとめるのは適切でないというふうに考えているところでございます。

○里吉委員 どういう形で通報件数を分けるかというのは、今後だと思うんですが、計上しているところもあるんですね。ただし書きで、こういうケースも、こういうケースも、こういうケースもあると書くやり方もいろいろあるんじゃないかと思いますけれども、これだけですと、何件受理したかというのは確かにわかるんですけれども、広く都民の皆さんから寄せられているものがどれくらいあるのかというのが全くわからないわけです。
 今回いろいろご苦労して精査をしていただいたということは理解しております。ですけれども、私は、三年間分の受理件数と通報件数ということで、資料要求を委員会の資料としてさせていただきました。お話し合いの結果、今お答えいただいたように、さまざまな雑多なものが入っているので、なかなかそれは答えにくいということで、そういう中でも、今回答えていただいたということで、私は大変苦労していただいたというふうに理解はしますけれども、それであれば、どういう形だったら出せるのかということをぜひ検討していただいて、どれくらいの都民の方や職員の方からこの公益通報制度に通報が寄せられているのかというのを、ぜひ都民の目にわかるようにしていただきたいということを申し上げておきます。
 以上です。

○藤井委員 私からは、都の職員数の推移等についてまずお伺いをしてまいりたいと思います。
 東京都、これから二〇二〇年は、東京オリンピックの開催の年ということでありますけれども、一方では、二〇二〇年から人口も減り続けるというような予測も出ております。そういう意味では、行政のスリム化を進めていくということが都の重要課題であると思っています。この行政のスリム化を進めていく上で非常に重要であると私が考えておりますのは、やはり職員の定数の管理だというふうに思います。
 よく、仕事量をまず決めて、仕事量によって職員数が決まるんだという、一般的にはそういう話になるんでしょうけれども、実は私、逆の側面があると思っていて、職員数が決まって仕事量が決まるというようなところがあって、私は、職員数というものを削減していくことによって、例えば三人でやっていた仕事を二人でやるようになるとか、なかなか労働というか、仕事の仕方、厳しくなってくると、例えば民間に任せようとか、地域に任せようと、やはりこういった発想が多分生まれてくるんだと思いますので、そういう意味では、職員定数の管理というのは極めて重要ですし、行政のスリム化のまさにこれは核になるというか、本丸というか、そういったものではないのかなというふうに思います。
 事前に資料をいただきまして、過去からの東京都の職員数について、これは学校の職員さんとか警視庁も含めての数字なんですけど、私、過去の数字を聞いて大変驚いたんですけれども、昭和五十四年代は二十二万人ということでございまして、平成十一年になると十九万人と、平成二十九年度については十七万人弱ということでございまして、過去四十年で五万人削減をしてきたということでございます。年度に直せば一万人以上ですか、削減をされてきたということでございますので、この点は評価をしたいと思いますけれども、今後、職員の定数管理は厳しく私はやっていくべきだと思っているんですけれども、直近の流れなり、今後の推移について、予測について、もし都として見解をお持ちであれば伺いたいと思います。

○栗岡人事部長 知事部局等や公営企業、学校職員、警視庁及び東京消防庁を合わせました東京都職員定数は、平成十一年度におきまして十八万八千八百十九人でございましたけれども、平成二十九年度には十六万七千五百七十七人となってございまして、二万一千二百四十二人の削減となってございます。
 このうち、知事部局等の職員定数につきましては、平成十一年度の四万四千七百九人から、平成二十九年度には二万五千三百二十五人となってございまして、四割を超える削減を行っているところでございます。
 この間、事業の区移管や独立行政法人化等に加えまして、徹底した事務事業の見直しや内部努力により、簡素で効率的な執行体制の確保に努め、その結果として大幅な定数削減が実現できたものと考えてございます。
 しかし、一方、平成二十六年度以降は、東京二〇二〇大会や児童虐待対応などにより職員定数が増加してございますが、これまで同様、個々の職務内容や業務量等を十分に精査し、削減すべきところは削減することで、めり張りのきいた執行体制を構築しているところでございます。
 今後とも、こうした考えのもと、常に最少の経費で最大の効果を発揮できるよう、職員定数のさらなる適正化に努めてまいります。

○藤井委員 平成十一年から十二年にかけて、かなり職員数が減っているということで、やはり平成十二年の清掃事務移管、特別区への移管というのが大きかったのかなと思うわけであります。
 最後に答弁がございました、直近はちょっとふえてきているということでございまして、昨今の課題である児童相談所の職員の増加、増員というのもそうでしょうし、やっぱり気になるのは、オリ・パラ準備局における職員数の増加ということで、これは何百人という、数百人という単位でふやしているそうでありまして、これは二〇二〇年が終われば全ての行政需要がなくなる、仕事がなくなるというわけじゃないですけれども、かなりの部分がなくなっていくと。
 しかしながら、都庁は役所の一つですから、基本的には終身雇用で、何十年は、基本的には職員さんは残って働かれるということでございますので、例えば四十年なりずっと働いて、平均で八百万円近くの職員給与を払うということでございます。これは都税の負担ということでもございますので、この点、しっかり職員の管理ということは、きょうは個別のことを伺うつもりはありませんけど、ぜひ取り組んでいただければなというふうに思っています。
 この職員数、東京都の職員数については、一定、今お話あったとおりなんですけれども、理解したつもりなんですけれども、一方で監理団体の方がどうなっているのかと。東京都の職員数は減っているけれども、じゃ監理団体の方は、ちょっと言葉は悪いですけど、焼け太りみたいな形になってふえていってしまっていますと、やっぱりそれはそれで問題なのかなと思います。
 こうした監理団体についてはどうなっているのか、職員数の推移について都のお考えをお聞かせください。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 監理団体の所要人員につきましては、平成十一年度の九千五百五十二人から、平成二十九年度には一万一千六百八十人と、二千百二十八人の増となってございます。
 平成十一年度以降、都財政の危機を克服するため、団体の統廃合や役職員数の削減などを通じまして、団体の職員数を縮減してまいりました。
 一方で、都財政危機を脱した平成十七年度以降も、都庁のスリム化を図る中で、新たな都政課題や都民ニーズへの対応を監理団体が担うケースがふえたことに伴いまして、事業の展開に必要な職員数が増加に転じたということでございます。
 なお、都の派遣職員数及びその都派遣職員数が団体常勤職員に占める割合につきましては、それぞれ、平成十一年度は四千五百九十人、四八・一%に対しまして、平成二十九年度は二千六十七人、一七・七%と、人数、割合ともに半数以下に削減してきているところでございます。

○藤井委員 今お話があったとおり、監理団体の方の職員数はふえているということでございまして、かつて小泉内閣で官房長官を務めた塩川さんは、母屋でおかゆをすすって離れでぜいたくをするみたいな、ちょっとそんな大げさな話ではないと思うんですけれども、そういった状況にならないように、監理団体の職員数についても厳しく、この点は管理をしていっていただければなと思います。
 私、この職員数の削減について、あるいは監理団体の職員数の推移について、ここで質問させていただいている趣旨というのは、これから抜本的な行政改革というものをぜひ進めていっていただきたいというふうに思っていまして、先日、二〇二〇改革プランについて質問させていただいたんですが、この中身一つ一つ見れば、うなずけるものもやっぱり多いんですけれども、日常業務の改善レベルの話が多いようにも、どうしても感じてしまうわけでありまして、抜本的な行政改革をしていこうとすれば、例えばこれまで東京都がやってきた仕事を民間に任せていくとか、あるいは、特別区も含めての基礎自治体に任せていくといった、結果として職員数の削減にもつながっていくような、行政のスリム化につながっていくような改革というのも、ぜひ取り組んでいただきたいと思うわけでもあります。
 その点で、次に質問なんですけど、見える化改革について質問させていただきたいと思うんです。
 いわば外部から来た顧問さんがさまざま提案をされて、その外部顧問の方がいっていたことって、中にも、うまくいかなかったことも結果としてはあったんでしょうけれども、私、うなずけるものも結構あったというふうに思っていまして、例えば工業用水道の廃止とか、あるいは下水道については、さまざま賛否両論はありますけど、コンセッション方式といった、やっぱり行政の発想ではないものというものをご提案いただいたということで、ユニット分析も途中で何か終わってしまったという点は、ちょっと残念に思うわけであります。
 こういった特別顧問さんは、このような形で退任をされたということでございますけれども、役所の中からはなかなか生まれづらい発想というのは、しっかり東京都としても引き継いでいただきたいということを思うわけでありますけれども、見える化改革の進捗管理も含めて今どうなっているのか、そして今後行政改革をどう進めていくのかについて、都の見解を伺いたいと思います。

○小笠原都政改革担当部長 昨年度から、都民ファースト、情報公開、賢い支出の改革の三原則に基づきまして、各局の主要事業の総点検を行い、局事業の自律的な見直しにつなげていく取り組みとして、見える化改革を開始いたしました。
 見える化改革におきましては、一定の行政活動のまとまりである事業ユニットを設定しておりまして、昨年度は、十五の事業ユニットについて点検、評価の結果を都政改革本部会議に報告いたしました。また、本年度についても、残りのユニットについて、既に報告したもの、今取り組み中のものがございます。
 報告後の進行管理につきましては、毎年度、各局が改革の取り組み状況や目標の達成状況を自己点検いたしますとともに、都政改革本部会議におきましても進捗状況を検証していくこととしております。また、各分野の専門家から構成される都政改革アドバイザリー会議からも、必要な事項について客観的な助言をいただき、改革の実効性を高めてまいります。

○藤井委員 事業ユニットについては、まだ行っているさなかということとして受けとめさせていただきました。当初の予定どおり、全ての事業において分析をしっかり行っていただいて、我々都議会に対してもご説明をいただきたいということを要望させていただきたいと思います。
 次に、監理団体との契約のあり方について伺ってまいりたいと思います。
 監理団体とのいわゆる特命随意契約の話なんですけれども、特命随意契約、私、仄聞するところですと、一千億円以上の契約額があるということでございまして、通常、一般競争入札にかけるというのが、これはあくまでも原則であると私も思うわけでありますけれども、今の契約の状況、どうなっているのか、金額なり件数なり、おわかりであればお答えをいただきたいと思います。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 平成二十九年度に監理団体が都から受託した特命随意契約についてでございますが、四百五十五件、約千三百六十億円で、監理団体三十三団体のうち、二十一団体が東京都と特命随意契約を結んでございます。

○藤井委員 特命随意契約の多さって、すごく私も、地元の練馬区の区議会で仕事をしていて、基本的には一般競争入札にかけると。練馬区という地元でも幾つか、外郭団体というんですけれども、団体があるので、その仕事を任せるときも基本的には一般競争入札にかけると。指定管理者を選ぶときも、ほかの業者さんと比較をした上で指定をするというのがしっかり行われていたわけでありまして、東京都は東京都の事情はあるにせよ、これは都民の視点から見ると、何か監理団体を守るということの方を優先させてしまっているかのように感じるわけでありまして、これはあくまでも一般競争入札を原則にすべきだというふうに思うわけでありますけれども、現状、特命随意契約が多いということも含めての都の何らかの見解なりお考えなりがあれば、お伺いをしたいと思います。

○小林行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 都から監理団体への契約についてでございますが、公共性や公益性を確保しながら、質の高い公的サービスの提供が可能となる点におきまして、都庁グループの一員である監理団体への委託は有益との認識のもと、活用を図ってございます。
 一方で、特命で委託する事業等につきまして、事業効果や効率性、妥当性といった観点からの検証は必要でございまして、これまでも、人員配置や事業評価等の機会を捉えながら、必要な検証、見直しなどを実施してきたところでございます。
 また、社会情勢変化などを踏まえまして、民間活用の可能性や他事例との比較検討など、団体の戦略的活用に向け、各局等におきまして点検、検証を実施しているところでございます。
 今後とも、業務委託のあり方につきまして不断の検証を進めながら、団体を戦略的に活用してまいります。

○藤井委員 いろいろ事前にお話も伺ったんですけれども、業務の中には、例えばアパートの管理とか駐車場の管理といった、まさに民間の事業者さんが得意とするような部分もたくさんあるわけでございまして、こういったものは、どんどん民間を活用していくということをぜひ基本原則としていただきたいと思うわけであります。
 その関連なんですけれども、都庁の職員さんのOBの監理団体に対する再就職についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 こちらも、何か東京都として隠しているというわけではなくて、ホームページでも幹部職員の再就職状況というものを発表されておられまして、平成二十八年の八月から一年間のうちに、都を退職した課長級以上の職員さんのうち二三%に当たる三十一名が、監理団体に再就職をされておられるということでございます。
 これは、都と何か監理団体とのなれ合いの中で、監理団体を守り、そして都の幹部職員さんを再就職させるための受け皿づくりに利用してしまっているんじゃないかと、そういうやっぱり都民の視点からの疑念を招きかねないというふうに思うわけでございますけれども、都の職員OBさんの監理団体に対する再就職のあり方について、都がこれまで見直してきたことだとか、あるいは現状の都の認識について、問題意識について伺いたいと思います。

○栗岡人事部長 都政への支援、補完機能を担う監理団体におきまして、都政に対する豊富な知識、経験を有する都の幹部職員が再就職することは、団体の適切な運営に寄与するとともに、効率的、効果的な事業展開を図り、都政全体の執行力を高めていくという観点からも有効であるものと考えてございます。
 一方で、職員の再就職によって公正な都政運営が損なわれているということがあってはならないというのは当然のことでございます。
 都はこれまでも、再就職情報を一元管理する都庁版人材バンクを独自に設置しまして、再就職の状況を公表するとともに、外部の有識者で構成される退職管理委員会を設置し、再就職状況を第三者の目を通してチェックするなど、再就職のより一層の公正性、透明性の確保に努めてまいりました。
 今後とも、退職管理につきまして厳格な運用を図りつつ、人材の有効活用をさらに進めてまいります。

○藤井委員 今答弁があったとおりなんだと思いますけれども、世間から見れば、私はあえて表現しませんでしたけど、これは一般的にいわれる天下りだというふうに思うわけでありまして、都の幹部職員さんを初めとした職員さんの再就職に対しまして、そういう疑念を持たれないようにぜひしていただきたいなと思います。
 特命随意契約の話とも関連してくるんですが、特命随契のあり方も、過去何十年にもわたって入札にかけないとか、あるいは一千億円単位で契約をするというのは、やっぱり普通、通常の感覚からいえば、これはしっかり見直していただかなければならないことでもありますので、再就職の問題、そして監理団体との関係、こういったものをこれから東京都としてしっかり見直していただくようにお願いをいたしまして、私からの質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○奥澤委員 よろしくお願いいたします。
 まず、私の東京都の今の現状認識ということからお話しさせていただくと、日本を牽引する首都として、今後ますます発展し続けなければいけない宿命みたいなものを有していると同時に、待機児童問題とか高齢化の進展だとか、課題先進都市でもあるという、そういった両面を持っているという認識のもとで、きょうは質疑をさせていただきたいと思います。
 観点でいうと四つです。まず、社会課題を解決するための都の役割という観点からとちょう保育園のこと、それから首都大学東京の取り組みについて、それから、課題解決を今度は官民連携あるいはノウハウを都民に還元していくという広報のあり方の観点から、多摩の魅力発信プロジェクトとオープンデータの活用についてお伺いいたします。一つ一つ結構細かい質疑になりますけれども、どうぞよろしくお願いします。
 まず、とちょう保育園の取り組みについてお伺いいたします。
 小池知事就任後の取り組みの強化によって、平成三十年四月一日時点での保育所等待機児童数は五千四百十四人ということで、昨年の同じ時期から三千百七十二人の減少になりましたと。施設整備を促進する予算措置とか、未利用の都有地の活用あるいはポータルサイトの開設だとか、幾つもの工夫を重ねたことが成果につながったものというふうに理解しています。
 このような工夫を進めて待機児童解消を進めるシンボル的な事業として、とちょう保育園というものが開かれたというふうに認識をしています。お話を伺いますと、都庁職員や近隣企業で定員二十四名、地域枠として定員二十四名、これは、制度上は四分の一でいいところを二分の一にふやして、地域の枠をふやしているということも伺っています。
 加えて、一時保育を最大六名受け入れる環境を整えて、都庁の一部を利用して、職員の皆様だけじゃなくて、近隣企業、地域とのつながりを深めるという点でも、効果を上げているものというふうに思います。
 そこで、まず一点目の質問です。平成二十九年度におけるとちょう保育園の利用状況について確認です。お伺いいたします。

○木村労務担当部長 とちょう保育園は、平成二十六年十二月に策定された東京都長期ビジョンに基づき、民間事業者等における地域に開放した事業所内保育所の設置を促進し、待機児童解消を進めるためのモデル事業として、また、育児期にある職員が仕事に専念できる職場環境づくりのため整備し、平成二十八年十月に開設いたしました。
 対象はゼロ歳児から二歳児、基本保育の定員は四十八名となっておりまして、平成二十九年度の入所児童数は月平均四十五名で、当初の想定を上回る利用がありました。
 その他特別保育といたしまして、延長保育、一時預かり保育を実施しております。平成二十九年度は、延長保育では、定期利用及びスポット利用合わせて定員十八名のところ、一日当たり平均七・六名、一時預かり保育は、定員六名のところ、一日当たり平均五・七名の利用がございました。

○奥澤委員 ありがとうございます。
 ちょっと決算額を見ますと、執行率が低いので少し心配になったところであったんですけれども、想定を上回る利用者数ということで、ひとまず安心をしております。
 年度ごとに利用者数というのは当然変動するということであると思いますので、予算の策定、大変難しいとは思うんですけれども、この辺、精度を上げてやっていくことというのも重要だと思いますので、これからよろしくお願いいたします。
 今答弁の中で、育児期にある職員の方々が仕事に専念できる職場環境というお話があったんですけれども、これは保護者の目線だけでなくて、子供の目線でもいいなと思う取り組みがありました。
 朝七時、これは通勤ラッシュを避けた時間帯から子供を預かってくれるということで、一つ、連れてくるところでのハードルを避けられるのかなと。遅い時間も、最大十時まで延長保育をやっているということも伺いました。一緒に朝食をとることのできるモーニングカフェというのも実施していたり、荷物の軽減サービスもやっていると。着がえとかおむつとか、そういったことの心配もしなくていいよというようなことも、評価したいなというふうに思っています。
 あるいは常駐の看護師さん、あるいは、これは私も実際見させていただいてびっくりしたんですけれども、ライブカメラを通じて遠隔地の医師の助言を得られるサービスを行っているということで、これは保育施設だけじゃなくて、高齢者の施設であったりだとか、さまざまな場所で生かせる仕組みなんじゃないかなというふうなことを思いました。
 どうも医師側の話を聞くと、それだけだと心配だという話もお伺いはしているところなんですけれども、これから広がっていける、これは保育施設だけじゃなく、いろいろと汎用性のあるものなんじゃないかなというふうに思っていますので、ぜひここでノウハウを蓄積して、社会に還元していただきたいというふうに思っています。
 今のも関連するんですけれども、モデル事業ということもありますので、運営する中で見えてくる課題、それを抽出して、的確でスピーディーに対応していくこと、ノウハウを蓄積して社会へ還元するという、この一連の流れが、そういう役割が求められているというふうに思っています。
 まだ始まってから二年ほどのタイミングですので、まだまだというところかもしれないですけれども、これまでに課題と対応、いかに蓄積してきたのか、これが今後の取り組みを広げていくというふうに認識しています。
 特に、保護者目線、子供目線ということで工夫を重ねていただきたいところなんですけれども、今の時点で見えてきている運営上の課題、それにどう対応しているのかお伺いいたします。

○木村労務担当部長 とちょう保育園の運営実績につきましては、地元新宿区や従業員枠の共同利用に関して協定を締結している近隣企業の協力もあり、事業所内保育所としては、比較的順調な滑り出しであると認識しております。
 一方で、開所後一年半の運営期間を経て、現場の声などによって実務面での課題も見えてきたところであり、こうした改善点への対応に努めているところでございます。
 これまで、例えば、利用者及び保育士の意見を反映し、一時預かり保育の利用申し込み方法の改善を図りました。具体的には、それまで電話予約制であったため、電話が集中し、回線がつながりにくくなるとともに、利用者は予約開始の時間に電話をかけなくてはならないという状況がありました。
 そこで、より申込者の利便性を考慮し、本年二月利用分からメールでの利用申し込みとし、予約調整の連絡の順番は厳正なる抽せんで決定することといたしました。
 今後も、事業所内保育所としてのニーズや課題をきめ細かく把握しながら、保育の質のさらなる向上を図っていくとともに、視察受け入れ等を通じ、とちょう保育園運営から得られた経験を発信するなど、設置目的に沿った役割を適切に果たしてまいります。

○奥澤委員 ありがとうございます。
 そのほかにも、子供たちの姿を見ると、ふと笑顔になっちゃうんだなんていう職員の方々のお話も伺ったり、あるいは、我が会派都民ファーストの会には小さいお子さんがいる方もいるんですけれども、控室の方で、子供が一緒にいながら働いたりしているのを見ると、なかなか議会の方も殺伐とした雰囲気があるんですけど、その辺がふと和むような、いいコミュニケーションが図っていけるような、そういったメリットもまたあるんじゃないかなと思いますので、ぜひそういった見えない効果も見ながらやっていってほしいなというふうに思います。
 今、視察の受け入れという話があったんですけれども、どちらかというと、受け入れるとこちらから伝えることが多くなってしまうように思うんですけれども、そこでコミュニケーションを大切にしてほしいなというふうに思います。
 事業者の方が何をネックにして一歩踏み出せないのか、あるいはどうしたら解決できるのかということをしっかりと聞き出していただく、そこで得られた課題を今度は持ち帰ってきて、ほかの局で支援ができないかどうかとか、あるいはこの総務局の中で何かできないかということに還元してほしいなということを要望しておきます。
 続いて、質問を首都大学東京の取り組みにかえさせていただきます。
 アジアと日本の将来を担う医療人材の育成事業についてお伺いいたします。
 もちろん、東京都を初めとする日本全体で高齢化が進んでいて、看護や介護の人材不足が顕在化しています。
 EPA制度を利用して来日するインドネシア、フィリピン、ベトナムの看護師、介護福祉士候補者の国家試験合格についても、国の支援に上乗せした形で都が支援をしているということ、これは意義深いものであるというふうに考えています。
 一方で、国家試験の合格率の低さ、資格取得後の就労先とのマッチングなどの課題も指摘されていて、平成二十九年度をもって首都大学東京の支援事業というのは終了したということで伺っております。
 これまでの取り組みの中で、看護師候補者向けの日本語教育及び国家試験対策講座、そして、介護福祉士候補者向けには日本語教育を担ってきたというふうに伺っておりますけれども、まずは確認をさせてください。
 平成二十七年から二十九年度の三カ年、看護師の国家試験、介護福祉士国家試験の平均合格率について、受験者全体、それからEPA候補者全体、そして都の支援者、それぞれお伺いをいたします。

○池上企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 EPA、経済連携協定に基づき、インドネシア、フィリピン、ベトナムから来日した外国人看護師、介護福祉士候補者は、言葉の壁の問題などから所定の期間内に国家試験に合格できずに帰国する例も多いため、東京都では平成二十四年度から、首都大学東京と連携し、国が行う研修事業に上乗せする形で、日本語教育や国家試験対策のための支援を行ってまいりました。
 平成二十七年度から二十九年度までの合格率を三カ年平均で見ますと、看護師国家試験は、日本人を含む受験者全体では八九・七%でございました。そのうち、EPAに基づき来日した候補者全体の合格率は一四・四%、うち都の事業により支援した候補者については、その二倍近い二六・四%となっております。
 また、介護福祉士国家試験は、日本人を含む受験者全体の合格率が六五%でございました。そのうち、EPAに基づき来日した候補者全体では五〇・五%、うち都の事業により支援した候補者については、やや高い五四・四%となっております。

○奥澤委員 ありがとうございます。
 今のお話を聞くと、一定の成果は出ていたということは、確かに評価していくべきものだというふうに思います。ただ一方で、難解な日本語も医療用語も出てきますので、国家試験としては、なかなか一筋縄ではいかないんだなということも思った次第です。
 とはいえ、高齢社会においての看護や介護人材の不足というのは解消されるわけではありませんし、国のいわゆる骨太の方針の二〇一八年のものでも、これまで以上に外国人材を受け入れるという検討が進められていくんだと、国の方でも進めていく旨が記載されていまして、こういった社会情勢に鑑みますと、本事業で得られた知見をしっかりと生かしていく、社会に還元していくことというのが、今後問われているのかなというふうに思います。
 そこでお伺いしますけれども、首都大学東京で、本事業で得られた知見をどのように生かしていくべきというふうに考えているのか、見解をお伺いしたいと思います。

○池上企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 首都大学東京では、この事業による看護師及び介護福祉士候補者の支援に平成二十四年度から二十九年度まで六年間取り組み、医療や介護の現場で用いられる日本語などに関する教材の作成を行うなど、外国人に対する日本語教育についての知見を蓄積してきたところでございます。
 これらの教材等の成果物は、関係機関に提供したり、一部をホームページで閲覧できるようにしたりするなどして、活用を図っております。
 また、介護福祉士候補者を受け入れている施設から、従前と同様の講座の実施を望む声があったことから、平成三十年度は大学独自に、生涯学習講座であるオープンユニバーシティーにおいて、介護の専門日本語講座を有料で実施しております。
 今後とも、首都大学東京と協議しながら、その専門的な知見をさまざまな形で社会へ還元していけるよう努めてまいります。

○奥澤委員 ありがとうございます。
 専門の日本語講座を求めに応じて、また有料ですけれども開いていくと、そういった対応をされているということは、これからも続けていただきたいなというふうに思います。
 やっぱりこういった取り組みをすると、いい結果も出れば悪い結果も当然出てくると思うんですね。でも、その両方がこれから次の事業をつくっていく、次の社会をつくっていくことに生かされることだというふうに私は考えています。
 首都大学東京で求められている使命というのは、そこにチャレンジをして、その成果を還元していくということだと思いますので、常にみずからの存在意義といいますか、役割を自問自答しながら事業に取り組んでいただきたい、そういった目線で見ていただきたいなというふうに思っております。
 続いて、少し観点を変えまして、多摩の魅力発信プロジェクト事業についてお伺いをいたします。
 多摩の魅力発信プロジェクトは、多摩地域にある地域資源を生かして、生活者目線の魅力を発信することを目的とした事業で、市町村と連携した取り組みを進めているというふうに伺っております。私も多摩地域選出の議員の一人として、東京都が主体的に多摩地域の魅力を発信してくれること、これは大変歓迎しております。
 平成二十九年度の取り組みで注目しているところが、ブロガーを活用した発信というところを、私、注目しております。
 近年の、特に民間企業の情報発信が、これまでのマスメディア、四大メディアのテレビ、新聞、雑誌、ラジオというところではなくて、ソーシャルメディアですね、インフルエンサーとかブロガーといったことの協力を得て、ツイッターとかフェイスブックとか、そういったところで発信していくような、そういった形に変わりつつあります。
 マスメディアが一方的な情報発信であるのに対して、ソーシャルメディアは、双方向のコミュニケーションが起きるというのもすごく特徴的で、口コミの効果、SNS内での口コミが起こっていく、そういったことも特徴的かなというふうに思っています。
 東京都の広報というものを見ていくと、結構、ポスターだったりだとか大型のビジョンだったりだとか、そういった形で一方的に流していることが多いなという一方で、今回の多摩の魅力発信プロジェクトというのは、ブロガーを使ってというところで、一つの試金石にもなるんじゃないかなということを感じています。
 そこでお伺いいたします。今お話をしたブロガーによる発信というものを念頭にして、多摩の魅力発信プロジェクト、どのような成果を上げているのかお伺いをいたしたいと思います。

○高崎多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長事業調整担当部長兼務 都は、平成二十五年度に多摩の魅力発信プロジェクトを立ち上げ、ホームページやテレビ、雑誌など幅広い媒体により多摩の魅力を発信してまいりました。
 また、平成二十九年度から新たに、最大数千人規模のフォロワーを有する訴求力の高い六名のブロガーを起用し、地域資源や日常生活の延長線上にある多摩の魅力を発信することにより、さらに多くの方々に多摩の魅力を伝えることができました。
 こうしたさまざまな取り組みにより、平成二十九年度に実施したアンケートでは、多摩地域に対する子育てや通勤通学にふさわしい地域としての評価などが向上したという結果も得ております。
 今後とも、多くの方々に多摩の魅力を知っていただくため、さまざまな手法を活用し、工夫を凝らしながら、多摩の魅力の発信に努めてまいります。

○奥澤委員 アンケートの結果も上々の評価が出ているということで、私、実は以前、SNSの運用に携わる会社で働いていたことがあるんですけれども、一方的にばあんと大きくみんなに語りかけるというよりは、一人のファンができると、そこからファンが広がっていくというのが、今の情報発信というか、広報のあり方なんだというのをやっていました。
 その中で、今回もブロガーさんの記事も見させていただいたんですけれども、なかなか本当に、そこに住んでいないとわからないような情報が結構あったりして、なるほどおもしろいなということで思わせてもらいました。
 実際、ここで私、前の仕事のときに大切にしていたことというのが、どの記事がどういった方々に響いたのか、それがどんな行動につながったのか、これが、例えばホームページのアクセス数ということだけじゃなくて、どのページを見にいったのか、何に興味を持ったのかというところをきちんと分析、アクセス解析をしていくということが、さらなる魅力の発信だとか魅力の向上につながっていくということをやっておりました。そういった観点をこれからはぜひ持っていただきたいなというふうに思っています。
 今年度も今、事業を実施しているというふうに思いますけれども、そういったアクセス解析のレポートみたいなものを作成して、例えば多摩の市町村に対して、皆さんにお知らせするとか、そういったことも一つの方法としてあるんじゃないかなというふうに思います。
 多摩地域の定住人口が増加したり、観光産業が発達していくことというのは、これは東京都がさらなる発展を目指していく上で不可欠だし、私は起爆剤の一つになるというふうに思っています。ぜひともさらに魅力を発信できるように、期待をしたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 最後に、東京都のオープンデータの活用についてのお伺いをしたいと思います。
 オープンデータといいますと、あるデータについて、著作権や特許などの制御メカニズムの制限なしに、全ての人が望むように利用できるようにすべきであるという考え方でありまして、東京都ICT戦略においても、オープンデータ化を推し進める旨の記載がされています。
 オープンデータカタログサイトの開設だったり、各種イベントの開催、そういった取り組みを推進していて、公共データをオープンデータ化することで、地域課題の解決あるいは新しいサービスの創出につながるというふうにされております。
 都の保有するデータというのは、未知の可能性にあふれているなというふうに私は思っていまして、例えば、先日、自動運転の実証実験、公道を走る実験の方に参加したんですけれども、そこで事業者さんが話していたのが、公道での自動運転をやろうと思ったときに、最初にネックになるのが道路情報なんだと。白線の位置、標識がどこにある、信号が何メートルの高さにあるという、この精緻な情報をとることがスタートラインになるんだというお話がありました。
 もしかすると、行政側からすると何げなく扱っているような情報というのが、そういった先端技術の開発を大きく後押しする可能性もあるということを改めて実感しましたし、都が積極的に取り組んで、民間事業者あるいは住民の皆さんのアイデアを喚起することにつなげていただきたいなというふうに強く思っています。
 ここで質問なんですけれども、昨年、イベントとして、オープンデータアイデアソンキャラバンというものとオープンデータアプリコンテストというのを実施していると思いますけれども、両イベントの概要と運営方法についてお伺いをいたしたいと思います。

○久原理事 東京都におきましては、都のオープンデータへの取り組みの浸透と一層の利活用促進を図ることを目的に、平成二十八年度からアイデアソン及びアプリコンテストを実施しております。
 オープンデータアイデアソンは、行政が保有する公共データを活用しまして、地域の課題解決のためのアイデアを参加者同士の議論を通じて創出するイベントでございまして、平成二十九年度は、特別区、多摩、島しょの都内各地域を巡回するキャラバンとして実施したものでございます。
 オープンデータアプリコンテストは、アイデアソンにおいて創出されましたアイデアを参考に、オープンデータを活用したウエブサービスやスマートフォンアプリケーションを広く募集したものでございます。
 いずれも、その運営につきましては、事前の広報周知や会場設営など当日の運営におきまして、外部委託も活用しながら実施いたしました。

○奥澤委員 ありがとうございます。
 両イベントのレポートも拝見させていただきました。地域に根づいた住民の方だからこそという興味深いアイデアがたくさん出ているなというふうに見させていただきました。また、そのアイデアをアプリとして実用化していくという、この流れができつつあるというのは、これは評価すべき点だなというふうに思いました。
 とはいえ、東京都のオープンデータの活用、これはまだまだ緒についたばかりということで、今後の可能性の広がりを期待して、幾つか質問を続けさせていただきたいと思います。
 先ほどのご答弁で、外部委託も活用しながらということでしたけれども、業務内容及び本イベントの実施に係る経費についてお伺いをしたいと思います。

○久原理事 業務委託の内容につきましては、オープンデータアイデアソンキャラバン、アプリコンテストともに、主に事前の広報周知業務や開催日当日の会場設営及び撤去、物品の準備、運搬、開催記録の作成など、運営に係る業務を委託しております。
 イベント実施に係る決算額は、オープンデータアイデアソンキャラバンにつきましては一千百四十九万余円、アプリコンテストは一千九十万余円でございます。

○奥澤委員 ありがとうございます。
 アイデアソンキャラバンのレポートの方にも集合写真が載っていたんですけど、なかなか参加人数も上々で、熱気があるなと感じました。
 ただ、オープンデータの活用というのは、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、民間事業者とか住民の方々で、まだそこにチャンスがあると気づいていない人たちにも周知をしていくことで、さらなるアイデアが掘り起こされていく、周知する段階、アイデアを掘り起こす段階、そしてそれを実現する段階というふうに、それぞれの段階があるというふうに思っていまして、まだまだ周知の部分では課題があるんじゃないかなというのも思っているところです。
 そこでお伺いいたします。広報周知に関してはどのような周知を行ったのか、その内容についてお伺いをしたいと思います。

○久原理事 都ホームページやプレスリリース配信サイトを活用したほか、チラシ、ポスターを区市町村や関連団体に配布するなど、幅広い都民に対するPRを実施いたしました。
 また、イベントテーマである子育てや障害者福祉、観光、その他オープンデータの取り組みに関心を有する方々に向けて、ツイッター及びフェイスブックを活用したSNS広告を配信いたしました。
 さらに、開催自治体近辺の理工系大学やIT系専門学校に参加を呼びかけるなど、対象の方をある程度特定させていただいた、きめ細かなPRもあわせて実施いたしました。

○奥澤委員 今のご答弁の中で、広報周知に関して一点だけ気になっている部分がありまして、それが、SNSの広報ですね、SNS広告の配信をしたというお話が出たと思うんですけれども、ツイッターのフォロワー数を見ますと、両イベントのツイッターアカウントが開設されているんですけれども、どちらも三十名ほどしかフォロワーがいないというようになっていまして、先ほど触れた多摩の魅力発信プロジェクトのツイッターもあるんですけど、ここは四千人以上のフォロワーがいるという状況でした。
 これは一概に比較することは当然できないんですけれども、率直にもったいないなと感じています。都民一人一人がアイデアを出して、それがアプリになって、アプリを通じてまた自分の暮らしが豊かになっていくということ、これに参画して、一連の流れの好循環を生み出していくためには、広報、そしてその後の、せっかく集まってくれた人たち、興味を持ってくれた人たちに常に投げかけていく、情報を発信していくということが、すごく重要な要素であるというふうに思っているんですけれども、先ほどのご答弁、SNS広告の配信、この実施方法と表示数、クリック数、これについてお伺いをしてもよろしいでしょうか。

○久原理事 SNS広告につきましては、広告用アカウントの取得及び配信を毎年度事業者に委託し、実施しております。
 各イベントにおける表示数、クリック数でございますが、まずアイデアソンキャラバンにつきましては、ツイッターによる表示数及びクリック数は、それぞれ約二百五十七万八千二百件と約七千五百件、フェイスブックによる表示数及びクリック数は、それぞれ約百五万二千四百件と約七千九百件となっております。
 アプリコンテストの方でございますが、こちらツイッターによる表示数及びクリック数は、それぞれ約三百十六万九千五百件と約三千九百件、フェイスブックによる表示数及びクリック数は、それぞれ約百三十万二千九百件と約六千二百件となってございます。

○奥澤委員 ありがとうございます。
 今、数字を聞いて、ますますもったいないなというふうに思いました。
 私も、政治活動の中でフェイスブックでの広告配信とかやるんですけど、正直、千件ぐらいしか表示もされなかったりだとか、クリックなんて十件とかしかつかないぐらいなんですね。せっかくいいものがあって、興味を引くものを出しているから、それだけクリックにつながったりだとか、見られているということ、あるいは、これは当然費用もしっかりとかけてやっているということだと思うので、その興味を持ってくれた方々がちゃんととどまってくれる、今後もかかわってくれるという仕組みをしっかりとつくっていただきたいというふうに思っています。
 今、毎年度の事業実施ということで、期間限定で取得しているアカウントということで、そこの部分ではいたし方ない部分もあるのかなと思うんですけれども、今後に期待したいというふうに思っています。
 今の活用方法でいうと、例えばですけれども、イベントをやりますよだけではなくて、報告書ができましたよと、あるいは実現化したアプリを皆さん知ってくださいねと伝えること、あるいはオープンデータカタログサイトも随時更新をしているというふうに、ホームページを見ますとわかりますので、更新情報をお知らせしていくとか、あるいはその中で常にアイデアを募集しておくようなことも、一つおもしろいんじゃないかなというふうに思います。
 広報周知、イベント実施、その先には、都民の皆様とともにオープンデータを活用していくという、その段階があることをきちっと見据えて事業戦略を描いていただきたいということを強く要望しておきます。
 これは、ことしも両イベントが開催されていることというふうに伺っています。昨年度の広報、PRも踏まえまして、本年度のイベントではどのような工夫を行ったのかお伺いして、質疑を終わりたいと思います。よろしくお願いします。

○久原理事 今年度のアイデアソンキャラバンでは、昨年度のようなチラシ、ポスターによる広報に加えまして、新たに「広報東京都」に募集記事を掲載したほか、日常的に目に触れ、訴求効果が高いとされている電車車内の中づり広告の掲出を、開催自治体沿線の地下鉄及び私鉄において新たに実施するなど、広報活動を充実させてまいりました。
 さらに、今年度から、都内複数自治体が参画できる仕組みにいたしましたことから、参加自治体のホームページや広報紙を活用するなど、自治体と連携したPRも実施いたしました。
 今後、実施を予定しているアプリコンテストにおきましても、引き続き積極的な広報活動を実施してまいります。

○上野委員 私からは、初めに、我が党が一貫して推進してきました震災時の帰宅困難者対策について質問いたします。
 ことしの六月に発生しました大阪府北部を震源とする地震では、長時間にわたり鉄道が運行を見合わせたことなどから、改めて帰宅困難者対策の重要性というものが浮き彫りになったところでございます。
 そこでまず、帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設の確保について、平成二十九年度の成果と課題についてお尋ねします。

○和田防災対策担当部長 都はこれまで、東京都帰宅困難者対策条例に基づき、国や区市町村、民間事業者の協力を得ながら、一時滞在施設の確保を推進しております。
 平成二十九年の一年間で七十九施設、約三万九千人分の一時滞在施設を確保いたしました。
 民間事業者に対しては、経済団体や企業が開催する防災に関する講演会など、さまざまな機会を捉えまして協力を要請するとともに、帰宅困難者向けの備蓄品の購入費用を補助する制度などを通じて、取り組みを後押ししてまいりました。
 公的施設の確保には限界があることから、今後は、より一層民間事業者の協力を得ていく必要があると考えております。

○上野委員 ところで、都は、今後の帰宅困難者対策についての方向性の検討と取り組みの推進に向けた課題整理のために、昨年九月に有識者による今後の帰宅困難者対策に関する検討会議を設置いたしました。その後、検討を行った結果、ことし二月に報告書を公表したところであります。
 そこで改めて、検討会議の設置目的と示された方向性をお尋ねします。

○和田防災対策担当部長 多くの帰宅困難者が発生した東日本大震災から数年が経過し、当時の記憶が薄れつつあることから、今後の対策の方向性と取り組みの推進に向けた課題整理を目的として、有識者による検討会議を設置いたしました。
 その報告書では、今後の取り組みの方向性として三つの基本的な考え方を示しております。
 一つ目は、助け合いの意識を広く社会全体に根づかせるための取り組みを推進すること。
 二つ目は、一時滞在施設の確保を基本としつつ、帰宅困難者や事業者による助け合いを後押しする取り組みを通じて、その安全を確保すること。
 三つ目は、乳幼児や障害者などの要配慮者が、それぞれの退避先で安心して滞在できる環境整備を進めることであります。

○上野委員 帰宅困難者対策には十分な一時滞在施設の確保が必要であります。また、特に要配慮者に対する支援や配慮も重要と考えています。
 そこで、このたびの検討会議で示された基本的な考え方を踏まえまして、今後どのような取り組みを行っていくのかお尋ねします。

○和田防災対策担当部長 検討会議の報告書の中では、一時滞在施設の確保について、戦略的な取り組みを進めることとしております。
 このため、私立大学連盟など多くの施設を傘下に持つ連合組織に協力要請を行っておりまして、引き続き民間事業者の協力を得て、大規模施設を重点的に確保してまいります。
 また、要配慮者が安心して滞在できる施設の整備につきましては、検討会議の報告書を受けて、今年度から、おむつに加え、粉ミルクを新たに民間事業者向けの備蓄品用補助の対象にするなど、乳児が安心して滞在できるようにしております。
 今後も、高齢者や障害者などの要配慮者が滞在できるよう、備蓄品配備などの取り組みを着実に進めてまいります。
 また、報告書では、東日本大震災の教訓が薄れる中、改めて都民がお互いに助け合う意識が重要だとしております。
 そのため、今年度作成をいたします都民向けの啓発用動画の中で、避難時における要配慮者への支援行動を盛り込むなど、共助の機運醸成に向けた普及啓発を図ってまいります。
 今後も、自助、共助の機運醸成を初め、さまざまな取り組みを複合的に実施していくことで、帰宅困難者対策の取り組みを充実強化してまいります。

○上野委員 しっかりと充実に取り組んでいただきたいと思います。
 東日本大震災、平成二十三年三月十一日、この大震災はさまざまな、私たちにいろんな課題を突きつけてきたわけでございます。その一つが今いった帰宅困難者対策でありましょう。
 また、被災地におきましては、避難所生活ということ、これが長期にわたったということもありますけれども、大変な苦労をされたのが女性の方なんです。大変な思いをされた。避難所で女性用の物資がまず不足していた。それから、授乳させたいけど授乳させる場所がない。みんなから見られるところで授乳しなきゃならなくなった。あるいは着がえる、これも着がえる場所がない。一生懸命隠して、そして着がえたりするという、こういう状況、またトイレの問題もそうでした。
 こういった避難所で一番困っている女性、どうしてこういうふうな避難所になっているのか、対策になっているのか、私たち公明党は、我が党のネットワーク、これを生かしまして、全国六百五十八自治体ですけれども、防災担当者、防災担当部署にヒアリングをしたわけです。
 そうした中で、いろいろ出ましたけれども、大きな原因の一つというのは、これは地方の防災会議の委員に女性がいないということです。男性の視点で防災対策計画を立てていたわけです。女性の視点が入っていなかったんです。
 それが明らかになって、我が党は、まずは女性を登用しやすくなるようにするため、災害対策基本法、これを改正しようということで動いて、平成二十四年、そうしたことが功を奏しまして、平成二十五年四月には、防災会議に女性委員がいない都道府県はゼロになったんです。
 こうした状況の中で、現在、東京都の防災会議は女性委員が何人いらっしゃるのかお尋ねします。

○西川防災計画担当部長 今お話もございましたように、平成二十四年に災害対策基本法が改正されまして、それを受けまして、平成二十五年に東京都防災会議条例を改正させていただきまして、その中に、知事が任命する委員といたしまして、自主防災組織を構成する者または学識経験者を盛り込みました。現在、学識経験者としてお二方の女性を任命して、就任をしていただいているところでございます。
 その一方で、防災会議の委員には、指定地方公共機関あるいは指定公共機関等の職員などについて、その職名をもって充てられている委員もいらっしゃいます。その職に女性がついた場合には女性の防災会議の委員になります。その委員の方が現在五名いらっしゃいます。
 したがいまして、先ほどの学識経験者のお二方と合わせまして、現在、防災会議、委員の方が六十五名、全体でおりますけれども、そのうち七名の方が女性の委員というふうになっております。

○上野委員 今の構成の中から、避難所などの女性の視点からの防災対策というものをぜひとも進めていただきたい、このように思うわけでございます。
 そうした中で、被災者のニーズというのは、現在は非常に多様化しております。こうしたきめ細かい対応、これをしていくために、先ほども質疑がありましたけれども、女性防災人材の育成、これが不可欠だと、このように思うわけでございます。
 先ほど、森口委員からの質疑がございました。そのときに、平成二十九年度の具体的な事業として、キックオフイベントと防災ウーマンセミナー開催という話がございました。
 そこで、キックオフイベントですけれども、ことし三月に開催されました。これには我が党の議員も参加しましたが、若い女性が多く参加した、いい取り組みであったと聞いています。このキックオフイベントの成果と今後の方向性についてお尋ねします。

○和田防災対策担当部長 平成二十九年度に実施をいたしました女性防災人材育成事業のキックオフイベントでは、防災に関するトークショーや避難所での健康維持のためのヨガなど、防災に関心の薄い女性が気軽に参加していただけるような内容を工夫したところ、約三百人が参加をしていただきました。
 参加者からは、何かしなければと思っても、実際に何から始めていいかわからず対策をしていなかった、きょうをきっかけに外出時の備えを含め対策をしたい、会社の防災としても取り入れたいなどの声があり、これまで防災に取り組んでいなかった方が関心を持つ契機となったことがうかがえ、一定の成果があったものと認識をしております。
 今後も、今まで防災に関心の薄かった女性が防災に関心を持ち、対策を進められるよう、継続的に女性防災人材の育成に取り組んでまいります。

○上野委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 災害がいつ発生してもおかしくありません。女性の防災人材の育成というのは本当に急務であります。都においては、引き続きさまざまな工夫をしながら、防災に関心を持ち、必要な知識などを備えた女性防災人材の裾野をさらに広げていただくよう期待いたします。
 これに関連いたしまして、平成二十九年度末作成されました「東京くらし防災」、このことについて質問をしていきたいと思います。
 この「東京くらし防災」がなぜつくられたのかというような、そういった話もございましたけれども、平成二十七年九月に、舛添知事のときですが、「東京防災」、こういうハンドブックが全世帯に配布されました。
 しかし、その内容をもう一度、我が党の女性議員を初めとしてチェックをしていったら、やはり女性の目から見ていくと、その女性の視点からの防災対策というのはまだあるよと、もっとわかりやすくつくったものをやっぱり配布すべきだと、そういったことから、あの平成二十八年の十二月ですけれども、来年度予算要望のときに、私も同席しましたけれども、女性議員と、小池知事に直接そういった旨の話をして、ぜひとも女性視点の防災ブックというものを新たに作成してはどうですかということを要望したわけです。その場で知事は、もう即ですよ、それはいい話ですね、すぐにやりましょうと、こういった言葉が返ってきたわけでございまして、平成二十九年度予算にその「東京くらし防災」予算が盛り込まれたと、こういうわけでございます。
 そうした我が党の提案を受けて作成された「東京くらし防災」については、平成二十九年度の防災普及広報の主要な事業として重点的に取り組まれてきました。この取り組みは、都民の防災意識を高めるなど、東京の防災力向上にとって大きな価値のあるものだと考えます。
 さらに、これを無償で配布したことや多数の配布箇所を設けたこと、内容もきめ細かく、使いやすい配慮もされていることから、改めて「東京くらし防災」の作成の狙いについてお尋ねします。

○有金総合防災部長 「東京くらし防災」は、女性の防災への参画を進め、都民の一層きめ細かな災害への備えを促進するために作成したものであり、多くの都民に読んでいただくことが重要でございます。
 そのため、作成に当たりましては、女性の有識者による委員会を立ち上げたほか、女性消防団員等との意見交換会や都民アンケートを実施するなど、さまざまなご意見を踏まえて作成をいたしました。
 内容につきましては、生活の場面ごとに暮らしの中でできる防災対策を紹介するとともに、被災生活でのさまざまな課題への対処法を具体的かつわかりやすく掲載をいたしました。

○上野委員 読まれた方はわかると思いますけれども、本当におっしゃるとおり、日々の暮らしの中でできる防災という、こういった斬新な発想でつくられましたこの「東京くらし防災」は大変意義のあるものだと考えております。
 さらに、この冊子をつくるに当たっては、さまざまな工夫も凝らしたと聞いております。そこで、「東京くらし防災」を作成する際に工夫した点についてお尋ねします。

○有金総合防災部長 防災への関心が高くない方にも手にとっていただけますよう、親しみやすいイラストやキャラクターを新たに取り入れたほか、覚えておきたいページなどに自由に張ることのできるシールを巻末につけるなど、さまざまな工夫を凝らしております。
 また、配布に当たりましては、専用のコールセンターを設け、配送の受け付けやご意見を伺うなど、きめ細かく対応するとともに、都立施設のほか、民間事業者や区市町村等の協力を得まして、当初、都内約一万カ所の配布場所を設けました。とりわけ、都民の暮らしに身近な区市町村の図書館等の施設、郵便局、東京地下鉄の駅、小売店など、幅広くご協力をいただいたところでございます。
 また、紙の冊子以外に電子版をホームページに掲載するとともに、電子書店を通じて無料で配布もしております。

○上野委員 今のご答弁にありますように、実に多くのきめ細かい工夫がされておりまして、我が党も高く評価しているところでございます。このように質の高い冊子ですから、多くの都民にこの内容を知ってもらい、防災対策を実践してもらって、都民の防災への備えが進むことを期待するものでございます。
 そこで、今後、さらに「東京くらし防災」について都民に幅広くPRし、活用してもらうべきと考えますが、今後の取り組みについてお尋ねします。

○有金総合防災部長 今年度、新たな取り組みといたしまして、民間事業者と連携し、生活情報雑誌に読者が実際に取り組んだ防災対策の事例を幅広く紹介する記事を掲載するとともに、「東京くらし防災」を挟み込んで配布をするなど、多くの都民に身近な防災対策を一層実践いただく取り組みを進めております。
 また、都内を初め全国の区市町村や地域組織、民間企業等が独自に行う広報におきましても、「東京くらし防災」を活用していただいております。
 さらに、「東京くらし防災」の内容につきまして、東京都防災アプリのコンテンツとして取り組むことで、幅広い世代に普及を図っております。

○上野委員 現在、スマートフォンなどの情報通信端末の保有率は高まってきており、さまざまな形で利用されているところでございます。
 平成二十九年度に、スマートフォンなどで使うアプリとして東京都防災アプリも作成し、配信されております。
 そこで、東京都防災アプリの作成の狙いとその機能についてお尋ねします。

○有金総合防災部長 スマートフォンアプリは若者世代に広く利用されており、過去の調査では、五割を超える都民がアプリでの情報提供を望んでいることなどを踏まえ、昨年度、東京都防災アプリを作成いたしました。
 内容は、「東京防災」や「東京くらし防災」の内容をスマートフォンで簡単に閲覧、検索できる機能のほか、災害の備えを学べるゲームや防災クイズ、地域危険度を知る最新のマップなど、防災を身近に感じながら、日ごろからの活用につながるコンテンツを盛り込んでおります。
 また、防災マップや指定した区市町村の災害情報のプッシュ配信機能などを掲載することで、災害時に活用できるよう充実を図るとともに、アプリのお知らせ機能を活用し、防災関連イベントの周知を行うなど、都と都民をつなぐ機能も果たしております。
 さらに、避難生活以外に、日常でも使える安心機能として緊急ブザーもあり、タップすることでブザーが鳴り、あらかじめ登録した家族などへ位置情報つきの電子メールを配信することもできます。
 平成三十年三月に配信して以来、現在までに、ダウンロード数は約十六万件となっております。

○上野委員 非常にいろんな機能があるということでございまして、知られていないのが安心機能としての緊急ブザーですね。防犯機能があるという、意外と知らないんですね。
 私もそれ、家族のために登録しました。実際鳴るのかどうかという心配もあって、ボタンを押したら、本当に防犯用のブザーと同じようなブザーが鳴るんですね、ビビビビビーと。これはいいなということで感心したところ、すぐに電話がうちの奥さんから来まして、何があったのと来ましてね、私もびっくりしましたけれども、ちゃんと位置情報もわかるように行っているんだなということもそこで確認できたわけでございまして、これをもっと大いに広めていくべきだと思うんですね。
 私の江戸川の区民の方に聞いても知らないんです。そんな機能があるんですかと、ただ防災の関係の話だけかと思っていたというので、これは非常に使える話だと思いますので、ぜひともこれも広めていただきたいと思います。
 次に、平成二十九年度決算説明書によりますと、初動・情報連絡体制の強化とあります。工事費等約五・五億円を支出しており、事業の実績として防災センター改修工事などとの記載があります。
 そこで、防災センター改修工事の内容についてお尋ねします。

○有金総合防災部長 本工事は、平成二十九年度から平成三十一年度にかけまして、第一本庁舎にあります東京都防災センターを改修するものでございます。
 平成二十九年度は、災害対策本部室の映像設備等の移設及び八階、九階中央部分の内装、空調、電気設備等の改修を実施いたしました。

○上野委員 東京都防災センターは、地震、風水害などの災害発生時に防災機関の情報連絡、情報分析及び災害対策の審議、決定、指示を行う中核の施設であります。
 昨今は、大阪北部地震や西日本の集中豪雨、台風二十一号、そして北海道胆振東部地震など、各地で相次いで災害が発生していることから、いつ災害が発生しても不思議ではないという状況であります。
 そこで、改修工事を施行するに当たって、東京都防災センターの機能をどのように確保しているのか、その状況をお尋ねします。

○有金総合防災部長 いつ起こるかわからない災害に備えるため、工事中でありましても、本センターの機能を常に確保することは重要であると考えております。
 そこで、事前に、本センターの災害対策本部室の機能、こちらを七階特別会議室へ仮移転をし、災害の発生に備えまして本部機能を維持しております。
 その上で、災害対策本部室を移転後の空きスペースを改修工事用として有効に活用し、発災時の本部要員の業務スペースや、本センターの機能を支えるシステム、無線、設備の機能を確保しながら工事を進めております。

○上野委員 改修に際し、機能を維持しながらの工事を実施しているとのことでありますが、本改修工事は、都庁が新宿に移転した後、初めての大規模な改修工事であります。
 これまでの運用実績に基づく工夫や最新の技術を踏まえ、東京都防災センターの機能向上につながるよう、しっかりと取り組むべきと考えますけれども、都の見解を求めます。

○有金総合防災部長 発災時には、各関係機関を含め、多数の職員による災害対策活動を実施することから、十分な活動スペースが必要になります。
 そこで、本センターをより効果的かつ効率的に使用するため、フロアのレイアウトを変更し、災害対策活動を行うオペレーションスペースを拡大することで、より機動的な空間を確保しております。
 さらに、災害情報の共有を強化するため、複数の情報をより多く表示できるように、機器の処理能力の強化やモニターを大型化するなど、発災時の機能強化も図っております。
 これらの取り組みによりまして、迅速かつ機動的な災害対策活動を行える防災センターとしてまいります。

○上野委員 防災関係機関など多様な主体との連携と活動を支える拠点の整備というのは、防災対策上重要であります。都においては、東京全体の防災力の強化を図るべく、引き続き活動を支える拠点の整備に取り組んでいただくことを要望いたしまして、最後の質問に移りたいと思います。
 西日本を中心に大きな被害をもたらしました平成三十年七月豪雨、避難勧告などが住民の避難につながらず、多くの住民が犠牲になりました。
 例年のように各地で大規模水害が頻発している現況を見ますと、東京もこのような水害にいつ見舞われてもおかしくないという状況にあります。都民が逃げおくれることがないよう、普及啓発を進めていくことは極めて重要であります。
 都においては、水害に対する都民の意識啓発を目的としたワークショップを、区部東部の地元区との共催で、マイタイムラインの作成など、地域の特性に応じた内容で実施しているところであります。
 そこで、平成二十九年度、このワークショップをどのように実施し、今後、都民のさらなる意識向上に向けてどのように展開していくのかお尋ねいたしまして、私の質問を終わります。

○西川防災計画担当部長 都は、水害リスクに対する認識を向上させ、適切な避難行動につなげるため、ワークショップを平成二十八年度から開催をしておりまして、昨年度は、墨田区、荒川区、そして足立区で実施し、延べ百七十一名の住民の方々にご参加をいただきました。
 実施に当たりましては、避難行動などを専門とした学識経験者、気象庁や荒川下流河川事務所の職員が参加いたしまして、それぞれの専門分野から、水害からの避難に必要な知識や情報について詳しく解説をしていただいているところでございます。
 また、今お話のございましたマイタイムラインの作成や、参加者同士のグループワークでの意見交換、さらに、まち歩きによる危険箇所の確認などを通じまして、住民の方々にそれぞれの避難行動について具体的に検討していただいております。
 来年度につきましては、都が独自に開発を進めます、簡単にマイタイムラインを作成できるツールを活用いたしまして、ワークショップを実施してまいります。
 また、区市町村を初めとしたさまざまな団体で水害に関するワークショップが開催できるよう、ワークショップの企画、運営の手引の内容につきまして、気象情報へのアクセス方法や警報等への対処方法を加筆するなど、その内容を充実させ、広く公開してまいります。

○馬場委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後五時九分散会

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