平成二十九年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第五号

平成三十年十月二十四日(水曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長のがみ純子君
副委員長とや英津子君
副委員長米川大二郎君
伊藤しょうこう君
細田いさむ君
斉藤れいな君
龍円あいり君
清水 孝治君
鳥居こうすけ君
和泉なおみ君

欠席委員 なし

出席説明員
教育庁教育長中井 敬三君
次長西海 哲洋君
教育監増渕 達夫君
総務部長早川 剛生君
都立学校教育部長江藤  巧君
地域教育支援部長太田 誠一君
指導部長宇田  剛君
人事部長安部 典子君
福利厚生部長浅野 直樹君
教育政策担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
古川 浩二君
企画調整担当部長谷 理恵子君
教育改革推進担当部長増田 正弘君
特別支援教育推進担当部長小原  昌君
指導推進担当部長藤井 大輔君
人事企画担当部長黒田 則明君
担当部長川名 洋次君

本日の会議に付した事件
平成二十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
教育庁関係
・平成二十九年度東京都一般会計決算(質疑)

○のがみ委員長 ただいまから平成二十九年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の決算に対する質疑を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員について、教育長から紹介があります。

○中井教育長 去る十月十日の当分科会を欠席させていただきました幹部職員をご紹介申し上げます。
 教育改革推進担当部長の増田正弘でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○のがみ委員長 紹介は終わりました。

○のがみ委員長 決算の審査を行います。
 平成二十九年度東京都一般会計決算中、教育庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○早川総務部長 去る十月十日の当分科会において要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の平成二十九年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の表紙をめくり、目次をごらん願います。
 今回要求のございました資料は十二件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、都立高等学校等における高等学校等就学支援金の歳出予算及び決算(平成二十九年度)でございます。
 平成二十九年度の高等学校等就学支援金の歳出における、予算につきまして受給対象者数と支給額を、決算につきまして受給者数と支給額を、区分別にそれぞれ記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、高等学校等における奨学のための給付金の給付区分ごとの歳出予算及び決算(平成二十九年度)でございます。
 平成二十九年度の奨学のための給付金の歳出における、予算につきまして給付対象者数と給付額を、決算につきまして給付者数と給付額を、給付区分別にそれぞれ記載してございます。
 三ページをごらんください。3、都立学校等給付型奨学金の給付区分ごとの歳出予算及び決算(平成二十九年度)でございます。
 平成二十九年度の都立学校等給付型奨学金の歳出における、予算につきまして受給対象者数と予算額を、決算につきまして受給者数と支給額を、区分別にそれぞれ記載してございます。
 四ページをお開き願います。4、都立高等学校等の授業料減免の実績(全日制・定時制)(平成二十五年度から平成二十九年度まで)でございます。
 平成二十五年度から平成二十九年度までの間で、授業料を減免または減額した人数につきまして、区分別、課程別、年度別にそれぞれ記載してございます。
 五ページをごらんください。5、東京都立高等学校入学者選抜応募倍率の推移(平成二十一年度から平成三十年度まで)でございます。
 平成二十一年度から平成三十年度までの間における入学者選抜に係る校数、募集人員、最終応募人員、最終応募倍率について、五ページから九ページにかけまして、学科、区分別、年度別にそれぞれ記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。6、平成二十九年度及び平成三十年度東京都立高等学校入学者選抜((分割後期募集・第二次募集)及び(第三次募集))実施校(全日制)でございます。
 一〇ページから一二ページにかけまして、平成二十九年度及び平成三十年度の入学者選抜において、分割後期募集、第二次募集を実施した全日制都立高校の学校名及び募集人員を、一三ページには、平成三十年度の入学者選抜において、第三次募集を実施した全日制都立高校の学校名及び募集人員を、学科ごとにそれぞれ記載してございます。
 一四ページをお開き願います。7、都内公立中学校夜間学級卒業者の進路状況(平成二十八年及び平成二十九年)でございます。
 平成二十八年三月及び平成二十九年三月の都内公立中学校の夜間学級の卒業者の人数につきまして、卒業後の進路状況の区分ごとにそれぞれ記載してございます。
 一五ページをごらんください。8、都内公立中学校夜間学級在籍者のうち、中学校を卒業している生徒の数(平成二十九年度及び平成三十年度在籍者)でございます。
 平成二十九年度及び平成三十年度における都内公立中学校の夜間学級に在籍していて、既に中学校を卒業したことがある生徒の人数、その人数を含む全体の在籍者数をそれぞれ記載してございます。
 一六ページをお開き願います。9、東京都公立小・中学校の情緒障害等通級指導学級及び特別支援教室設置校数・児童生徒数・教員数・専門員数(平成二十六年度から平成三十年度まで)でございます。
 一六ページ及び一七ページに、公立小学校における、二十六年度及び二十七年度につきましては情緒障害等通級指導学級の、二十八年度及び二十九年度につきましては従来型の通級指導を含む特別支援教室の、平成三十年度につきましては特別支援教室の、設置校数、児童数、教員数、専門員数について、一八ページには、公立中学校における情緒障害等通級指導学級の学校数、生徒数、教員数について、区市町村別にそれぞれ記載してございます。
 一九ページをごらんください。10、コミュニケーションアシスト講座の実績(平成二十九年度)でございます。
 平成二十九年度に実施したコミュニケーションアシスト講座について、講座ごとに会場、定員、参加人数、実施回数、一回当たり指導時間、実施期間等をそれぞれ記載してございます。
 二〇ページをお開き願います。11、都立学校「自立支援チーム」の実績とユースアドバイザー、ユースソーシャルワーカー(主任)及びユースソーシャルワーカーの新規採用人数でございます。
 (1)は、都立学校自立支援チームが平成二十八年度から平成三十年度までにおいて、三十年度は九月末まででございますけれども、支援を行った学校数、支援対応した生徒数、支援累計回数について、区分ごとにそれぞれ記載してございます。その下、(2)は、ユースアドバイザー、ユースソーシャルワーカー(主任)及びユースソーシャルワーカーの新規採用人数について、採用年月ごとに職種別にそれぞれ記載してございます。
 二一ページをごらんください。12、平成二十九年度教育庁減額補正額一覧でございます。
 平成二十九年度教育庁予算において減額補正を行った事項について、当初予算額、補正予算額、予算現額をそれぞれ記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。

○のがみ委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○斉藤委員 東京の防災プラン進捗レポート二〇一八によると、東京都の公立学校施設の耐震化率はついに一〇〇%を達成し、これまでの関係各位の皆様の並々ならぬご尽力により耐震化を実現してこられたということがわかります。
 一方、屋内運動場等のつり天井等の落下防止については、対策未実施のつり天井等を有する小中学校屋内運動場等の数が、東京都は二十八棟ありまして、全国で現在五位となっております。これは、前年度が七十四棟で、全国一位だったことを鑑みますと、大変、関係者の皆様がご尽力くださったということもわかります。ですが、いまだ対策未実施の棟が残されているということも事実でございます。
 さらに、これら以外の非構造部材の耐震対策実施率は四九・五%であり、いまだ課題が残っていることもわかります。特に、屋内運動場は発災時の避難所指定を受けているものがあり、早急に耐震化が実施できるように、引き続きお取り組みいただきたいと思います。
 また、ことし六月に大阪府北部地震で、倒壊した小学校のブロック塀に挟まれ、通学中の女児が死亡したという、大変痛ましい事故がありました。各自治体は予備費を投入して、ブロック塀の撤去を実施しています。施設整備が地域で円滑に進むように、東京都から国へも、ぜひ予算措置を要望していただきたいと思います。
 それでは、決算書の数字から質疑をさせていただきます。
 平成二十九年度決算書によりますと、公立学校施設耐震化支援事業は、執行率が四六・六%とやや低いんですが、この理由を伺います。

○太田地域教育支援部長 公立小中学校の施設等の整備については、学校設置者である区市町村が整備を行うものでございまして、区市町村が平成二十八年度に策定した建築計画等に基づき、都は、平成二十九年度予算を算出してございます。
 平成二十九年度予算執行に際しましては、区市町村において計画していた事業の取りやめや契約落差金の発生などにより、執行率が低くなってございます。
 予算額の算定に当たりましては、区市町村の建築計画等のほか、意向確認や個別のヒアリング等を行い、適切な積算に努めてまいります。

○斉藤委員 財政的に余裕がないという自治体の関係者からは、国と都から補助をいただいたとしても、残りの予算を自治体で負担することが難しく、事業を実施することができないというようなお話も伺っております。積算に当たり、そういった自治体の事情や意向をぜひ丁寧に聞き取っていただきたいと思います。
 一方で、避難所や災害時復旧拠点施設などのトイレ機能確保率は、二〇一六年度で、前年度比七ポイント改善の七五%にとどまっています。
 東京都は、平成二十九年度に、公立小中学校のトイレ洋式化に十三億二千六百万円を投入されまして、二〇二〇年度までに八割の整備を完了するということを目指すとされておりまして、大変、各所から大きな期待が寄せられておりました。
 決算書で公立学校施設トイレ整備支援事業の執行率は六八・三%ということで、これもかなり不用額が出ております。
 教育庁の公式ホームページによりますと、平成二十九年四月一日時点で、公立小中学校のトイレ洋式化率は、現在、五七・二%となっておりまして、いまだ洋式化が完了していない学校が四割以上に上ります。ちなみに、私の地元多摩市、稲城市はともに、いまだトイレ洋式化率は五〇%程度にとどまっております。
 学校における洋式トイレへの改修、また誰でもトイレやマンホールトイレの設置等も含む公立学校施設のトイレ機能の向上について、都の取り組みを伺います。

○太田地域教育支援部長 公立小中学校の施設等の整備につきましては、学校設置者である区市町村が整備を行うものでございまして、トイレ整備については、平成二十九年度から、都独自の補助を開始いたしました。トイレ整備事業では、トイレの洋式化、誰でもトイレやマンホールトイレの設置等についても補助対象としているところでございます。
 都教育委員会は、公立小中学校のトイレ整備を促進するため、引き続き支援を行いまして、平成三十二年度までに、学校トイレの洋式化率を八〇%とすることを目指してまいります。

○斉藤委員 平成三十二年度までにトイレ洋式化率八〇%を目指していかれるということで、ぜひ目標を達成していただきたいと思います。
 地元では、トイレの洋式化は、学校施設の老朽化に対応する大規模改修等の工事で対応されていくということを伺っておりまして、なかなかトイレだけを改修していくような自治体は少ないのであろうということも想像ができます。ですが、学校施設は、高齢者の方や障害のある方が震災の発生時に避難所として使う可能性があるからこそ、なるべく早期に区市町村がこの事業を進めることができるように、引き続きご支援をよろしくお願いいたします。
 東京都はこれまでに、普通教室の空調設備設置を進めてこられまして、都内公立小中学校の普通教室、特別教室の冷房化状況は、普通教室についてはほぼ一〇〇%を達成されております。
 一方、特別教室は、東京都としても積極的に冷房化を推進されておりますが、いまだ一〇〇%には到達しておらず、体育館への設置はこれまで積極的に進められておりませんでしたが、さきの定例会でもさまざまな議論や提言がありまして、来年夏までに体育館への空調設備設置を進めるために取り組まれるということで、大変心強く感じております。
 地元の学校では、教員の方々がこのニュースをテレビで見て、大変お喜びになったという話も伺ってきております。
 一方、東京都からの補助、また国からの補助がついてもなお、工事費の二分の一は区市町村が負担しなければならないということで、地元市からは不安の声も上がっております。企業や法人等の少ない三多摩の自治体には、そういった意味で、学校体育館への空調設備設置にも一定の課題があると認識しております。
 平成二十九年度公立学校施設冷房化支援事業は、最終的に予算の三割以上を残してしまっているようですが、これはどういった理由からですか。

○太田地域教育支援部長 公立小中学校の施設等の整備につきましては、学校管理者である区市町村が整備を行うものでございまして、区市町村が平成二十八年度に策定した建築計画等に基づき、都は平成二十九年度予算額を算定しております。
 平成二十九年度予算執行に際して国の予算が措置されなかったため、事業が一部、次年度に繰り越されたものもございます。また、区市町村において冷房化の予算が十分に確保されず、計画していた事業の全部または一部を取りやめた事例もございました。
 予算の算出に当たりましては、区市町村の建築計画等のほか、意向確認や個別のヒアリング等を行い、適切な積算に努めてまいります。

○斉藤委員 国の予算がつかなかった場合、やはり区市町村が取り下げるということもあるということでしたので、年々予算が厳しくなっているという国への要望を、引き続き行っていただきたいと思います。
 次に、緑の学び舎づくり事業について伺います。
 東京都は、教育環境の一層の充実のため、緑の学び舎づくり事業を行っておられます。補助対象は、芝生化面積が二百五十平方メートル以上を基本としておりまして、一定の要件を満たせば百平方メートル以上でも対象となるということや、補助金は対象経費の二分の一でありますが、また、芝生の維持管理を地域協働で行うというような場合は補助金の全額を負担するというようなことが、東京都のホームページの事業概要でも確認することができます。また、屋上の緑化や壁面の緑化も全額補助対象となっていることでございます。
 この事業は、以前は環境局の方で、ヒートアイランド対策及び緑化対策ということで、公立学校校庭芝生化事業として行われていたものだと認識しております。
 さらにさかのぼりますと、平成十七年度の重点事業として、公立学校校庭の芝生化等をモデル的に実施され、公立小中二十七校と都立学校六校の校庭を芝生化したのが最初のことだったと記録に残っております。
 このモデル事業を経て、平成十八年十二月に策定した「十年後の東京」で、八つの目標が設定されまして、そのうち、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させる、世界で最も環境負荷の少ない都市を実現する、スポーツを通じて次代を担う子供たちに夢を与えるという三つの大きな目標にかわる事業として、都内の公立小中学校、都立学校等の校庭を芝生化し、約三百ヘクタールの緑を生み出すというふうにしていたという経緯があったことを、先に述べさせていただきます。
 まず、この緑の学び舎づくり事業の目的を伺います。

○太田地域教育支援部長 緑の学び舎づくり事業は、校庭芝生化を推進するものであり、子供たちの外遊び、自然体験、運動などが活発化するなど、児童生徒の健やかな成長にとって望ましい教育環境の整備を目的としております。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 ちなみに、私の地元多摩市では、私の卒業した東寺方小学校を初めとしまして、校庭の芝生化がまだ採用されていない学校も非常に多いです。
 校庭を使って、サッカー少年団やキックベースなどのさまざまな競技をする児童の姿が今でも見られておりまして、スポーツを通じて子供たちに夢を与えるという点は、芝生化をせずともクリアできているのかなというところは感じているところでございます。さらに、校庭の真後ろに緑の野山がありまして、そこはよくアオダイショウが出るということで、逃げ惑う女子たちと、対照的に喜んで野山に入って探し回っていた男子の姿を、私は思い出します。
 水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京は、多摩市部においては、今も変わらず存在しているというふうにも考えられます。ただ、二十三区内の商業地などで、近隣に公園がない小学校などもございまして、この校庭芝生化は、地域によっては、大変保護者の皆様からも喜ばれている事業だということも認識をしております。
 東京都のホームページによりますと、平成二十八年度の補助実績は、公立小中学校の校庭芝生化が二十五校、屋上緑化が十二校、壁面緑化が二校でした。平成二十九年度の執行率が低い理由を伺います。

○太田地域教育支援部長 緑の学び舎づくり補助事業は、予算要求時に、各区市町村教育委員会に意向調査を行い、予算化しております。
 平成二十九年度予算執行に際し、区市町村において計画していた事業の取りやめや規模の縮小により、執行率が低くなってございます。

○斉藤委員 区市町村において計画していた事業が結局取りやめになった、また、行われたが規模が縮小されたということですが、その原因をしっかりと考察すべきかと考えております。
 既に校庭芝生化の一〇〇%を達成している瑞穂町に視察に伺った際に、話を伺ってまいりました。瑞穂町としては、米軍基地があるということから、国の方からさまざまな補助金をいただいておりまして、それを活用することもありまして、校庭芝生化を進めることができたということですが、維持管理費の高さや管理の人手が必要なことを考えると、ほかの自治体も瑞穂町のようにはいかないかもしれないなというようなお考えを伺ってまいりました。
 人工芝ではない天然芝の芝生は、週に三日ほどの定期的な雑草の処理、また除草剤の散布や肥料を与えることなどが維持管理のために必要であり、導入時の費用は人工芝よりも安くなっておりますが、管理に必要な資材に費用が必要というふうになっております。
 また、二年に一度ほどは、踏み固められた土をほぐして、空気がまた含まれた栄養分の多い状態の土に戻すという、エアレーションという作業も必要となっておりまして、これらを担う担い手の確保は、瑞穂町でもやや課題があったというふうに伺っております。
 芝生化を検討されていた区市町村も、このあたりの課題を感じたことも取りやめや規模縮小された理由の一つではないかなということも考えております。
 東京都の平成二十九年度芝生化維持管理経費について伺います。

○太田地域教育支援部長 緑の学び舎事業では、芝生化後五年間、芝生化維持管理経費の二分の一を補助しております。
 平成二十九年度は百二校に対し補助し、その決算額は約三千九百万円でございます。

○斉藤委員 維持管理経費補助金は、芝生化以降五年間、経費の二分の一補助が出るということです。導入は全額補助をいただいたとしても、維持管理に実費の半額分の費用がかかり、また五年が過ぎると全額負担をしていかないといけないということで、二の足を踏んでしまわれることがあるかもしれません。
 そこで、この課題についてや、今後の取り組みの方向性について伺います。

○太田地域教育支援部長 校庭芝生化における課題は、土壌や日照、校庭の活用状況、整備後の維持管理の費用負担や維持管理の担い手の不足などでございます。
 都教育委員会といたしましては、区市町村の整備方針に基づき財政支援を行うほか、専門家による知識、技術に関する助言指導の実施等にも取り組んでおります。

○斉藤委員 おっしゃっていただいたように、維持管理の費用のみならず、維持管理の担い手不足や、各学校における校庭の活用状況など、さまざまな理由があることがわかりました。
 校庭芝生化の当初の目標は、都内全校芝生化だったと伺っておりますが、そもそも校庭がほとんどない学校などもあるということもあり、現時点でこの事業の目標設定は、明確に全校芝生化を目指しているものではないというふうに認識をしております。
 少し前のことになりますが、二〇一五年に記録的に四年間続いた干ばつの影響で、芝生の先進国ともいえると思いますけれども、多くの住民が自宅の庭に青々とした美しい芝生を持つことで有名なアメリカのカリフォルニア州では、二〇%の節水制限が発令されまして、芝生への水やりが規制をされて、そのときに枯れて黄色く変色してしまった芝生を、今では緑色に色を塗るというような企業が成功しているということがニュースになっておりました。
 景観を守ることは非常に大切と考えておりますけれども、公立学校、都立学校の校庭を芝生化することの具体的な政策効果や教育効果も、しっかりと検証されていくことを要望いたします。
 同じ金額で一体何ができるのか、一人一台のタブレット等のICT整備支援や、外部人材活用から教員の働き方改革を進めていくことも、現在の社会の要請が強くあるというふうに感じております。
 そのような要請に応じる柔軟性を有していただける取り組みを検討していただきまして、維持管理等についての区市町村の課題を聞き取りながら、都としても、今後の目標を定めていっていただきますようにお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。
 次に、小学校教員の英語免許状の取得推進について伺います。
 平成三十二年度からの小学校英語教科化に向けまして、英語専科教員をふやしていくことや、ALTなどの外部人材を活用して英語教育の質の向上に取り組んでいくことは、重要な課題であると考えております。昨年の事務事業でも取り上げさせていただいたテーマですが、今回は決算ということで、特に執行率の低い事業について何点か確認をさせていただきます。
 平成二十八年、全国連合小学校長会が実施した英語の指導についての調査結果によると、英語の教科化に当たり専科教員を配置して指導に当たることが望ましいと考える教員が約七三%と、大半を占めていることがわかっております。
 けれども、都内に千二百八十校ある小学校に対して、平成二十九年度に英語専科モデル事業として配置されている教員の数は四人であり、また、教員採用選考に新たに設けられた小学校全科の英語コースは、毎年三十人の募集に対して、昨年度までで、初年度が九名合格、二年目が八名合格と、人材確保は決して十分とはいえないという現実があることがわかっております。
 中学の英語免許を持つ人材確保のための英語免許状取得推進事業は、最終的に合格された方を対象に、上限二十万円で補助をしている事業でありまして、働きながら免許取得を目指しておられる教員の皆様が、より補助を受けられるよう、昨年も質疑をさせていただきました。執行率も大変注視されるところだったのですが、そこで、質問させていただきます。
 まず、平成二十九年度の小学校教員の英語免許状の取得促進事業について、執行率が四二・七%、不用額が一千三百九十一万余円となっております。
 まず、当初想定をしていた免許取得者数と、実際に補助を申し込んだ教員の数を伺います。

○安部人事部長 小学校教員の英語免許取得促進事業は、平成三十二年度からの小学校における英語教科化に向け、小学校の教員が新たに中学校英語の教員免許状を取得した場合に、取得にかかった費用を補助するものでございます。平成二十九年度予算では、百二十名の免許取得を想定しておりましたが、これに対して、補助の申込者の総数は百三十五名でございました。

○斉藤委員 百二十名の免許取得者を想定され、昨年度の申込者数は百三十五名であるということで、申込者数が想定免許取得者数よりも多いということですので、この取得促進事業のニーズはやはり高いというふうにいえると思います。
 ですが、一方で、実績は決算説明書にあるとおり六十五人となっています。実績が低い理由について伺います。

○安部人事部長 小学校全科の免許状所持者が、中学校英語の二種免許状を取得するには、大学において十四単位の修得が必要となってまいります。本事業では通信制大学を利用しておりますが、教員が単位修得のためにみずからの勉強時間を確保したり、授業や試験のためのスクーリングを行う必要もあり、小学校教員としての勤務との両立には一定の困難が伴うものと思われます。
 そのほか、申込者には若手教員が多いこともあり、申し込み後に発生した出産、育児など家庭の事情などが、免許取得に至らなかった具体的な理由として挙がっております。

○斉藤委員 ご説明ありがとうございます。実際には、免許取得がかなわなかった、また単位取得がかなわなかったということなどもあり、免許状の取得を断念した方の数が一定数いたというご説明でございました。
 取得促進事業への申込者数の約半数が、免許取得そのものがかなわなかったもしくは断念せざるを得なかったということは、注目すべき点であるというふうにも感じております。
 小学校教員が業務と両立をさせながら、また出産、育児などを経た上でも、免許取得まで取り組んでいただけるためには、どのような対策が必要か検証し、今後の改善につなげていくことも要望させていただきます。
 小学校英語教科化に向けまして、各区市町村の考え方や準備の進みぐあいもさまざまではないかというふうに考えております。
 この件について、東京都英語教育推進地域に、平成二十八、二十九年で指定されている福生市の方に視察に伺いまして、関係者の皆様からお話を伺ってまいりました。東京都英語教育推進リーダーと指導主事が市内全小学校、中学校の英語授業を観察し、指導を行っておりまして、おもしろいのは、福生市独自の小学校英語授業十のルールというのを設けています。
 基本的に、授業はホームルームティーチャー、担任の先生ですね、こちらが行いまして、児童への指示は原則全て英語で行う、安易に日本語に訳さない、難しい表現はALTを活用する、また、単元の終わりには児童が表現したいことを伝える活動を行うなど、まさに実践的な英語教育に取り組まれておりまして、取り組み当初はやや不安そうにしていた教員たちも、児童生徒とともに、今では英語を愛し、何よりも英語を使ってコミュニケーションをとることを楽しんでおられまして、平成二十九年には、福生市では、小学生の二人に一人が英検を受験しているそうです。
 まさに英語嫌いを生まない指導が功を奏しているということで、これから英語指導力の向上を図っていく全ての教員や学校関係者の皆様にも、ぜひ英語を嫌いにならず、児童生徒にもコミュニケーションをとることの楽しさを教えていただければというふうに考えております。
 先生方が楽しいと思ってくだされば、生徒たちにも楽しさが伝わると思います。英語教科化が、教員の皆様にとって、厳しい課題山積の出来事ではなく、新たな可能性を生徒とともに積み上げていく充実した時間となるように、都としてもぜひご支援いただきますよう、お願いを申し上げます。
 東京都が、平成三十二年度の小学校英語の本格実施に向けて、今後、英語指導にたけた教員の確保、育成にどのように取り組んでいくのか伺います。

○安部人事部長 小学校での英語教科化に向けて、教員の指導力の向上が求められることから、都教育委員会では、本事業だけではなく、教員採用選考における小学校全科の英語コースの設定、小学校教員の海外派遣研修の実施、大学と連携した英語教育の中核となる教員の養成など、さまざまな事業を実施しております。
 今後も、平成三十二年度に向けてこれらの取り組みを着実に進めていくことで、小学校における英語教育を推進する教員を確保、育成してまいります。

○斉藤委員 さまざまな事情や課題を持つ教育現場の状況に際して、その都度、都として適切な支援を行っていただくことを期待しまして、次の質問に移ります。
 最後に、給付型奨学金について伺わせていただきます。
 都立高校等の支援制度の一つである給付型奨学金について伺います。
 名前からだと少し違うものをイメージしてしまうかもしれませんが、これは、例えば資格検定試験の費用や講座等受講費用、インターンシップ等の経費、またTOKYO GLOBAL GATEWAYの利用料などの教育活動に参加する費用を、東京都が保護者にかわり支払うというもので、制度の対象は、就学補助のそれに準ずるものとなっておりまして、都立高校生約十一万人中三万二千人がこの制度の対象というふうになっております。
 家庭の経済的な状況により、さまざまな教育活動への参加がかなわないようなことがある生徒に対して、所属する学校を介して、しっかりとさまざまな活動へ参加していただけるように制度を構築されたことは、称賛に値すると思っております。
 まず、この制度の狙いについて教えてください。

○江藤都立学校教育部長 本制度は、都立高校生等が家庭の経済状況にかかわらず安心して学び、持てる可能性を最大限伸ばすことができるようにすることを狙いとして、都が参加費等を負担することにより、これまで経済的な理由により参加を諦めていた教育活動を現物給付するものでございます。
 また、本制度により、生徒の家庭の経済的負担が軽減されるため、学校は、多くの生徒が参加できる行事をこれまで以上に計画することができるなど、積極的に教育活動の充実に取り組むことができるようになることも、狙いの一つでございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。東京都が生徒の教育活動の費用を負担するということ、しかも現金給付ではなく、都立学校を通して参加費等を負担するということで、実際に給付金が何に使われたか不明であるようなこともなく、これは制度として本当にすばらしいものだと思います。
 高校生くらいの年代の生徒さんたちにとっては、一日一日の体験が出会いであり、学びであり、人生の師となり得るものだと考えております。あと一つの体験があるかないかによって、その生徒さんの将来が大きく変わる可能性もあると考えられます。中には、実になるものもあれば、余りその後の生徒さんの将来に直結しないものもあるかもしれません。けれども、さまざまな学校以外の活動、講座等の受講などを経て、生徒さんたちは見る目と選ぶ目をきっと身につけていくと考えております。
 自分自身で自分の将来をしっかりと選択していくことができる力をつけるためにも、この事業の活用をぜひ進めていただきたいと考えております。
 二十九年度は残念ながら執行率が二〇・四%と、とても低い結果に終わってしまっておりますが、この理由を教えてください。

○江藤都立学校教育部長 本制度は、平成二十九年度から新たに事業を開始したものでありますが、その決定を都立学校等に周知した予算案発表時点において、各学校では既に平成二十九年度の教育課程が編成されていたことから、ほぼ従前からの教育活動の範囲での活用にとどまり、一人当たりの支給額が限度額に及ばなかったという事情がございます。
 加えて、初年度のため、全学年の生徒を対象に給付認定を行う必要があったことから、事業対象期間が十分確保できなかったという制度開始時特有の理由もございました。

○斉藤委員 この制度がまだ初年度であり、各学校の次年度の教育課程の編成が終わっていたということで、なかなか生徒が使いたいという項目やニーズとのマッチングがまだまだ途中段階であったのかと理解をしております。
 先日、自治体で進める子供の貧困対策についてのあすのば地方議員フォーラムというものに参加をしてまいりました。ここでは、子供の生活と声一千五百人アンケートというものの検証を行い、また、内閣府の子供の貧困対策担当企画調整官の方からさまざまな事例の紹介がありましたが、やはり実際の声として、高校生などの青少年期のお子さんの貧困が、助けてもらえていない感があるというようなお話がありました。
 母子家庭や貧困状態にある家庭で学生生活を送っている生徒さんの中には、見えにくい貧困というものがあるという話を聞いたことがあります。制服を着て、家から学校に普通に通っておりまして、見た目では貧困というのがわからない。けれども実際は、友人たちが普通に親から出してもらえるような教育活動の費用が工面できなかったり、中には、スマホなどを持っていないという理由で人間関係を形成することに難しさを感じているという例もあるということです。
 少し前まで、スマホやタブレット、PCなどは、一人一台持つなんてぜいたくだというような考え方もあったと思います。けれども実際に、都立高校では現在、私物のスマホやタブレットPCを活用した授業を行うことも日常的にあると伺っております。そのような高校生活の中で、生徒さんが保護者の経済状況について負い目を感じたまま、教育活動に支障を来したままでは、失われてしまう部分が非常に大きいと考えております。
 この点についてのニーズの検討も含めまして、今後の制度活用推進のための都の取り組みについて伺います。

○江藤都立学校教育部長 都教育委員会は、本制度のさらなる活用に向け、学校、生徒、保護者等への広報活動の充実のほか、生徒や教員からの要望を把握し、ニーズの高い新たな事業への活用を積極的に検討しているところでございます。
 ご指摘のタブレットPCにつきましては、購入費を既に支給対象としているほか、タブレットの活用に係る通信費についても、一定の条件のもと支給対象としております。
 今後も、都立高校等が計画する給付対象事業を多様化させるとともに、対象事業に多くの生徒が積極的に参加するよう呼びかけ、本制度がより有効に活用されるよう取り組んでまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。タブレットの通信費についても、条件はあるということでしたが支給対象となるということで、これは本当にありがたいことだと考えております。
 引き続き、生徒や教員からのさまざまな要望も聞き取っていただきながら、対象事業をさらに多様化させる取り組みの方にも期待をさせていただきまして、私からの質問を終わります。ありがとうございました。

○伊藤委員 それでは、まずは、オリンピック・パラリンピック教育の推進についてお尋ねします。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会に向けて、オリ・パラの歴史や意義、また国際親善に果たしてきた役割などをより深く理解し、国際的な視野を持って世界の発展に貢献できる人材の育成が求められています。
 そうした中、平成二十八年に策定した東京都オリンピック・パラリンピック教育実施方針に基づき、都内全ての公立学校で、オリ・パラの精神、スポーツ、文化、環境の四つのテーマと、学ぶ、見る、する、支えるの四つのアクションを組み合わせた取り組みを展開しております。そして、それらの教育内容を具体化するため、五つの資質の育成に重点を置くこととしています。
 そこで、オリンピック・パラリンピック教育の意義や目的について伺います。
 幼稚園から小中高、そして特別支援学校まで、約百万人、約二千三百校の児童や生徒が対象となっているオリ・パラ教育については、多種多様なテーマと取り組みがなされておりますが、その意義や目的はどのようなものなのか、まず伺います。

○藤井指導推進担当部長 オリンピック・パラリンピック競技大会の究極の目的である平和でよりよい世界の構築に貢献することは、教育基本法及び学校教育法における教育の目標と深い関連があり、東京二〇二〇大会に向けた取り組みを通して国際社会に貢献できる人材を育成することは極めて重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、子供たちにボランティアマインド、障害者理解、スポーツ志向、日本人としての自覚と誇り、豊かな国際感覚の五つの資質を育むとともに、その後の人生の糧となるようなかけがえのないレガシーを残すことを目的として、平成二十八年度から、東京都オリンピック・パラリンピック教育を都内全公立学校で実施しております。

○伊藤委員 ただいま、オリ・パラ教育の意義や目的について確認をいたしました。
 さて、一九六四年の東京大会においては、オリンピックの基礎知識や精神を普及させるため、オリンピック教育を全国で展開しました。また、一九九八年の長野冬季大会では、長野市内の小中学校、特別支援学校の各校が応援する国や地域を決めて国際交流に取り組んだ一校一国運動は、IOCからも高い評価を受けたそうです。
 そこで、現在行われているオリ・パラ教育について、具体的な活動の実績や内容について、何点か伺います。
 まず、先ほどのご答弁にもありましたボランティアマインドの育成について伺います。
 中高生の主体的な自主的なボランティア活動を支援するための仕組みを構築するとともに、ボランティア情報を積極的に発信しているとのことですが、この取り組みや実績、またその成果はどうなっているのか伺います。

○藤井指導推進担当部長 都教育委員会は、生徒にボランティアマインドを醸成することを目的として、平成二十九年六月に、都内公立学校向けに情報発信を行う東京ユースボランティア・バンクを開設しております。平成二十九年度末までに、都関係各局や区市町村のボランティアセンター等、六十を超える関係団体と連携し、スポーツ大会の運営や環境美化活動、また高齢者施設訪問等、合計七十四件のボランティアの募集情報を発信いたしました。
 生徒からは、ボランティアは初めてだったが思っていたよりも気軽に参加できた、相手の立場で考え、相手にとって最もよい形で手伝うことの大切さを学んだ等の感想が寄せられております。また、教員からは、地域行事のボランティアに参加した生徒は、その後、感謝の気持ちを持って地域の方々と接するようになった等の報告を受けております。

○伊藤委員 ボランティアと一口にいいましても、多種多様なボランティアがあります。情報発信をただいま行っているとのことですが、引き続き、中高生が自主的に参加できるようなきっかけづくりをお願いしたいと思います。
 次に、障害者スポーツへの理解の促進と普及啓発を図るための取り組みについて伺います。
 障害者スポーツについては、以前と比べればメディアの露出もふえていますが、身近な場所で見る機会があるかといえば、いまだに少ないのが現状です。
 今から五年前の平成二十五年に、多摩地域を中心に東京多摩国体が開催されました。その中で、デモスポ行事の一環としてのブラインドサッカーを初めて観戦しました。大きなアイマスクをした選手たちが、仲間の声や自分の感覚を頼りに激しいプレーを連発していて、すごいなと実感をいたしました。
 それでは、学校における障害者スポーツへの一層の理解の促進と、パラリンピック競技の観戦、体験やボランティアなどを行うパラリンピック競技応援校の指定や、パラの正式種目であるボッチャの交流大会などを行っていますが、その内容や実績はどのようなものなのか伺います。

○藤井指導推進担当部長 都教育委員会は、子供たちが障害者スポーツ競技の観戦や体験、また、ボランティア等を通じて、障害者スポーツに対する理解を深めることができるよう、平成二十九年度に、パラリンピック競技応援校として小中学校十校を指定いたしました。応援校の子供たちは、パラリンピアンとの交流等を通して、障害者スポーツの楽しさを実感するとともに、困難を克服することの大切さなどを学んでおります。
 また、都教育委員会は、特別支援学校と小中高等学校との交流の促進及び障害者スポーツの普及を目的として、平成二十九年度に初めて、東京都公立学校ボッチャ交流大会を開催し、二十五校、三十五チームが参加しております。特別支援学校と小中学校の子供たちは、事前に合同練習をするとともに、大会当日に混成チームで競技を行ったほか、都立高校生が競技用補助具の製作や当日の大会運営に携わるなど、活発な交流が図られております。

○伊藤委員 さまざまなパラリンピック種目を観戦し、またその競技を体験すること、そして時には運営のサポートを実体験することは、まさに百聞は一見にしかずでありますので、子供たちにも貴重な経験になっていると思います。
 さて、我が党はこれまで、子供たちに障害者スポーツへの理解を促進すべきと主張してまいりました。より多くの学校で、障害者スポーツを広く普及していくことが必要と考えますが、これまでどのように取り組んでいるのか伺います。

○藤井指導推進担当部長 都教育委員会は、パラリンピック競技応援校の取り組みを通して、さらに多くの学校で障害者スポーツへの理解を進めるため、応援校の指定を平成二十九年度の十校から、平成三十年度には倍の二十校に拡大いたしました。
 また、障害者スポーツを広く普及するためには、障害者スポーツについて直接指導できる教員を養成することが有効であることから、ボッチャやブラインドサッカーなどの指導者講習会を、平成二十八年度に三回、平成二十九年度には十回、平成三十年度には十四回と拡大して実施しております。受講した教員からは、この体験を子供たちに伝えたい、他の障害者スポーツも体験してみたいといった感想が多く寄せられているところでございます。

○伊藤委員 以上、多岐にわたるオリ・パラ教育の推進における具体的な取り組みや実績について、何点か確認しました。
 オリンピック・パラリンピックを自国で開催できるのは、ほぼ一生に一回あるかないかです。オリ・パラは大会期間だけの一過性のものではなく、そのレガシーをどのように残すのか、また継続発展していくのかが問われます。
 オリンピック・パラリンピック教育を通じて、東京の未来を担う子供たちにどのようなレガシーを残していきたいのか伺います。

○藤井指導推進担当部長 都教育委員会は、共生社会の実現に必要な資質であるボランティアマインド、障害者理解、豊かな国際感覚を子供たちに身につけることが重要と考えており、各学校において、東京二〇二〇大会以降もその育成が続くよう支援してまいります。具体的には、ボランティア情報を発信する東京ユースボランティア・バンクを充実させ、学校におけるボランティア活動の継続を支援してまいります。
 また、パラスポーツ指導者講習会により、指導できる教員を数多く養成し、学校における障害者スポーツ体験等の取り組みの定着を図ってまいります。
 さらに、国際交流コンシェルジュ事業により、在京大使館との連絡調整や海外の学校との交流の場を設定するなどして、各学校の国際交流を推進してまいります。

○伊藤委員 オリ・パラ教育の五つの資質となります、ボランティアマインド、障害者理解、スポーツ志向、日本人としての自覚と誇り、豊かな国際感覚は、いつの時代も大事な要素であると思いますので、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 続きまして、特別支援教育の推進についてお尋ねします。
 いわゆる発達障害と呼ばれる児童や生徒の相談を、最近はよく受けます。発達障害とは、法の定義によれば、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害とされており、人への反応やかかわりの乏しさや、気が散りやすく注意を集中させることができないなどの特徴が見られます。
 発達障害によるさまざまな生活上の困難さを改善、克服するには、当事者を初め家族に対しても、どのようにサポートしていくかが大切であります。過去または現在も活躍している有名なスポーツ選手や芸術家、科学者なども、今の判断では発達障害と診断される方もいるそうです。
 よって、その子たちの苦手なところを無理のない範囲で解消し、生活環境を整えることや適切な支援をすることにより、個性や長所を伸ばすことも可能であるそうです。
 さて、東京都教育委員会は、共生社会の実現に向けて、東京都特別支援教育推進計画第二期、第一次実施計画を策定し、さまざまな取り組みを行っているようです。
 それでは、特別支援教育推進の目的や取り組み内容はどのようなものなのか、確認のため伺います。

○小原特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、東京都公立学校における特別支援教育を推進するに当たりまして、共生社会の実現に向け、障害のある幼児、児童生徒の自立を目指し、一人一人の能力を最大限に伸長して社会に参加、貢献できる人間を育成することを目的といたしております。
 お尋ねの東京都特別支援教育推進計画第二期、第一次実施計画では、第一に、共生社会の実現に向けた全ての学びの場における特別支援教育の充実に関する取り組みといたしまして、知的障害特別支援学校の新設校の整備や、スクールバスの充実、都立高校等における発達障害教育の推進などに取り組んでおります。
 第二に、未来の東京を見据えた特別支援教育の推進に関する取り組みといたしまして、障害者スポーツの振興に向けた施設設備の充実や、芸術教育推進校の指定などに取り組んでおります。
 第三に、特別支援教育を支える基盤の強化に関する取り組みといたしまして、特別支援学校教諭免許状の取得促進や、特別支援学級の専門性向上に向けた支援などに取り組んでいくことといたしております。

○伊藤委員 それでは、これまで我が党は、特別支援教育の充実につきまして、現場の声を受けとめ、さまざまな課題の解決に向けて提案や議論をしてまいりましたので、その成果について順次確認をいたします。
 まず、知的障害特別支援学校の教室確保について伺います。
 知的障害特別支援学校の在籍者数の増加に伴い、普通教室が不足しており、教育環境の改善は喫緊の課題であります。
 我が党は、平成二十八年六月の第二回定例会で、特別支援学校の教室確保を求める請願を取り上げるとともに、代表質問において、教育環境の充実を求めました。
 これらの要望を受けて、東京都教育委員会は、平成二十九年二月に特別支援教育推進計画、第一次実施計画を策定しておりますが、計画では、教室不足についてどのように改善することとしているのか伺います。

○小原特別支援教育推進担当部長 これまで都教育委員会では、知的障害特別支援学校の在籍者数の増加や児童生徒の障害の重複化に適切に対応するため、特別支援学校の規模と配置の適正化を計画的に実施いたしました。
 一方で、知的障害のある児童生徒は増加傾向にあり、今後も在籍者数が増加していくと見込まれており、教育環境の充実に向けたさらなる取り組みが必要でございます。
 このため、東京都特別支援教育推進計画第二期、第一次実施計画では、学校の新設や増改築など多様な方法によりまして、特別教室等から転用した普通教室や、間仕切りした普通教室を解消し、平成三十八年度までに学級数分の普通教室を確保していくことといたしております。

○伊藤委員 学校の新築や増改築を初めとした多様な方法で教室数を確保するということでありましたが、新築や増改築は多くの月日を要しますので、着実な事業の実施が求められます。
 それでは、平成二十九年度に施設整備による教室数の確保が何校で行われ、どれだけの地域で改善が見られたのか、昨年度の実績を伺います。

○小原特別支援教育推進担当部長 東京都特別支援教育推進計画第二期、第一次実施計画では、今後の特別支援学校の改築及び増改修に関する施設整備計画を示しております。
 本施設整備計画のうち、平成二十九年度末には、小金井特別支援学校の新校舎が完成し、本年度四月から供用を開始いたしました。また、水元特別支援学校及び七生特別支援学校におきましては、校舎の増改築工事に先立ち設置いたしました仮設校舎で教室増を行い、平成二十九年九月から供用を開始しております。
 これらにより、平成二十九年度には、以上の三校において施設整備が進み、現在、各校の通学区域に当たる葛飾区や小金井市など、二区四市で教室数の確保について改善いたしたところでございます。

○伊藤委員 昨年度の実績と改善効果をお答えいただきました。
 さて、私の地元八王子市にも、知的障害特別支援学校である八王子特別支援学校が設置されていますが、児童生徒の増加による過密化が深刻であります。
 それでは、八王子市内における知的障害特別支援学校の教室確保に向けた、今後の主な整備予定について伺います。

○小原特別支援教育推進担当部長 八王子特別支援学校は、現在、児童生徒数が増加し、特別教室等から転用した普通教室や間仕切りした普通教室により教室数を確保している状態でございます。
 こうした状況を解消するため、八王子市の東浅川町におきまして、知的障害教育部門小中高等部を設置いたします八王子地区第二特別支援学校(仮称)の平成三十二年度開校を目指して、現在工事を進めているところでございます。
 また、八王子市鑓水に、知的障害教育部門高等部を設置いたします南多摩地区特別支援学校(仮称)を平成三十六年度に新設することといたしておりまして、これにより、近隣の特別支援学校のさらなる過密解消を図ることといたしております。
 都教育委員会は、今後とも、教育環境の充実を図るため、特別支援学校の規模と配置の適正化の取り組みを着実に進めてまいります。

○伊藤委員 引き続き、都内全域の知的障害特別支援学校の教室の確保に向けて、着実な取り組みを要望いたします。
 次に、特別支援学校のスクールバスについても伺います。
 障害のある子供たちの通学環境を改善し、健やかに学ぶことができるようにするために、子供たちが毎日乗車するスクールバスの乗車時間を短縮することは重要です。
 我が党は、平成二十八年第四回定例会の代表質問において、特に肢体不自由特別支援学校の子供たちが乗車するスクールバスについて、身体への負担軽減を図るため、乗車時間のさらなる短縮を求めました。これに対し、東京都教育委員会は、肢体不自由特別支援学校の全ての子供の乗車時間を六十分以内にすることを新たな推進計画に位置づけ、計画的に取り組んでいくことを明らかにいたしました。
 それでは、肢体不自由特別支援学校におけるスクールバスの乗車時間の短縮について、どのような状況か伺います。

○小原特別支援教育推進担当部長 都教育委員会ではこれまで、特別支援学校の配置の適正化やスクールバスの増車、運行コース設定上の工夫などにより、乗車時間の短縮に努めておりまして、平成二十七年度には、肢体不自由特別支援学校のスクールバスの平均乗車時間は、特別支援教育推進計画上で目標といたしております六十分でございました。
 そうした中で、一部の運行コースには、乗車時間が六十分を超える児童生徒もおりますことから、車両の小型化やコース設定の見直しなど、一層の取り組みにより乗車時間を短縮してきております。その結果、乗車時間が六十分を超える児童生徒の割合は、平成二十八年度には全体の一一・二%であったところ、平成二十九年度には七・七%、平成三十年度には四・四%まで減少しております。
 引き続き、乗車時間が長いコースから見直しを進めまして、今後、全てのコースにおいて乗車時間を六十分以内とすることで、児童生徒の通学負担を軽減してまいります。

○伊藤委員 着実に乗車時間が短縮されておりますので、あと残り四・四%ということですので、早期に解決していくことを求めます。
 さて、都は、特別支援学校に在籍する児童生徒のすぐれた芸術的才能を伸ばすため、アートプロジェクト展を開催しています。障害のある子供たちが制作した絵画や工作などの芸術作品をより多くの都民に鑑賞してもらうことは、子供たちの創作意欲の促進と社会の理解促進を図る上で重要であると同時に、子供たちやご家族にとっても大きな励みになると思います。
 我が党は、子供たちのすぐれた芸術作品をより多くの都民に鑑賞してもらえるように、スクールバスにアートプロジェクト展の作品を掲載するラッピングバスの運行を提案しましたが、現在の実施状況について伺います。

○小原特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、平成二十八年度にラッピングバスの運行を十三コースで開始いたしました。平成二十九年度の運行コースは五十コースとなっており、現在は九十二コースまで拡大いたしております。
 今後も、子供たちの作品をより多くの方に見ていただけるよう、車両事業者の理解と協力も得ながら、ラッピングバスの運行の拡大に努めてまいります。

○伊藤委員 ラッピングバスは九十二コースまで拡大しているとのことでした。まち中を走るスクールバスは、多くの都民の目にとまりますので、さらなる拡大に向けて、諸条件を整えながら対応をお願いしたいと思います。
 子供たちの作品を広く都民が見ることは、子供や保護者にとっても大きな喜びとなります。私の地元でも、子供たちの描いた絵を各店舗に掲示してもらう取り組みを行っていますが、ご家族で鑑賞に来たり、掲示した絵を背景に写真撮影をしたり、大変喜ばれると同時に、店舗の集客の一助ともなっています。みずからの作品を掲示して走っているバスがどこを走っているのかを、子供や保護者がわかるように情報提供することで、子供たちへの大きな励みとなると考えますが、どのように取り組んでいただけるのか、最後に伺います。

○小原特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、今年度、都内九十二コースを走るラッピングバスにつきまして、制作した児童生徒名、作品、バスが走る学校、コースを一覧にいたしましたチラシを作成し、各特別支援学校に保護者への情報提供を促しております。
 今後は、さらにこの取り組みを充実いたしまして、ホームページに掲載するなど児童生徒の作品を広く情報提供するように努めてまいります。

○伊藤委員 以上、知的障害特別支援学校の教室の確保や、スクールバスについての状況を確認しました。
 引き続き、特別支援教育推進計画に掲げた各施策を着実に実施することを求め、質問を終わります。

○細田委員 何点か重なるところがあるかもしれませんが、なるべく重ならないように、私からも質問させていただきます。
 まず、英語教育の推進についてお尋ねします。
 本年三月の予算特別委員会で、我が党の橘委員が英語教育について質問しました。概要ですけれども、二年後の二〇二〇年度に、小学校五年生、六年生で英語が正式な教科になる、このことに関して、小学校の英語教科化に向けて、指導体制について見解を求めたわけであります。これに対して中井教育長は、三点にわたって、都教育委員会は、来年度、学習指導要領の改訂を踏まえた英語教育を先行実施する小学校で、二十二学級以上の大規模校のうち三十五校に英語の専科指導教員を配置すること、また、それ以外の学校についても、英語指導にたけた教員がほかの学級の英語の授業も担当する場合には、当該教員の受け持つ授業の一部を担う時間講師を措置すること、そして、順次、専科指導教員の配置や時間講師の措置を進めることなどにより、全ての小学校において、英語教科化に向けた指導体制を整備していくことを、今年度のことですけれども、答弁されました。
 二〇二〇年度から始まる小学校教育における初めての外国語、初めての専科教員という、ある面、転換点のときであると思います。学校現場も、区市町村の教育委員会も、万全なバックアップを都教委に求めていると思います。私のところにも、実際そういう声が届いております。
 さて、今申し上げたこの質疑は、これに向けて三十年度から小学校英語教科化の先行実施とのことですが、これに関係する事務事業もさまざま二十九年度に実施されているわけでありまして、この点についてお聞きしますが、まず、使える英語を習得させる実践的推進の件です。
 英語教育推進リーダーを、新たに三十六人加えて七十六人配置し、各地区の教員研修を実施するとともに、みずから手を挙げて選ばれた小学校の教員が中学校の英語の免許状を通信教育を通して取得している、このことを支援して、百二十名の質の向上を本年度図られたと。また、この英語教科化の活用にかかわるモデル事業を実施して、指導体制のあり方について検証された。
 このような報告が都教委の方からありますけれども、さて、この英語専科教員の活用にかかわる英語専科教員の配置モデル事業の取り組み、この取り組みはどのような取り組みであったのか、また、検証したというふうにいっているわけでありますから、この取り組みと成果についてご答弁を求めます。

○宇田指導部長 都教育委員会は、平成二十九年度に、小学校における英語の教科化に向けたモデル事業として、都内公立小学校四校に、複数学年の外国語活動の授業を担当する英語専科教員をそれぞれ一名ずつ配置いたしました。
 また、都教育委員会は、配置校がある地区の教育委員会や配置校と連携いたしまして、英語専科教員の有効性や学校における具体的な指導体制のあり方等について検証いたしました。
 その検証結果からは、英語専科教員の専門性を生かした指導を行うことで、どの学級も英語によるやりとりがふえるなど、授業内容が高い水準で均一化されることや、学年間で系統性のある指導を行うことが可能になるとともに、児童の英語学習に対する意欲が向上するといった成果が明らかになりました。

○細田委員 今ご答弁された検証、いかに取り組めばよいのか、また、よりよい教育効果を生むことができるのか、そして、それが児童の中に入っていくのか、そういうことが現段階で検証されて、方向性の判断ができたことが、今年度以降の施策につながっていく、このように私は理解をさせていただきます。着実に歩みを積み重ねていっていただきたい、このように思います。
 次に、小学校教員の海外派遣の研修についてです。
 二〇二〇年度からの小学校の英語教科化への対応とグローバル人材を育成するために、英語科教員と英語教育推進リーダーとして指定された小学校教員を、三カ月間にわたり、英語圏の大学に、覚書を結ばれている交流のある大学ですけれども、派遣して、英語の四技能にすぐれた専門性の高い教員を育成していく研修であります。
 教員の指導力のさらなる向上を図って、児童生徒にこれを還元しなければならない、こういう使命があって、これが求められているわけでありますが、この海外派遣研修の実施状況とその成果についてお尋ねします。

○藤井指導推進担当部長 都教育委員会は、平成二十六年度から、英語の指導力の向上と異文化理解の促進による授業改善を図ることを目的として、中学校、高等学校英語科教員等を海外の大学に約三カ月間派遣する研修を実施しております。
 平成二十八年度からは小学校教員の派遣を開始し、二年間で合計七十七人を米国やオーストラリアの大学に派遣いたしております。
 派遣された教員は、最新の英語教授法を学んだり、現地の学校で授業を行ったりして、英語の指導力を高めるとともに、現地の大学生等との交流やホームステイを通して、異文化理解を深めております。
 帰国した小学校教員からは、自信を持って授業を進められるようになったなどの声が寄せられ、学校の管理職からは、児童の発話量がふえた、児童が意欲を持つ指導を行うようになり他の教員へのよい手本となっているといった成果が報告されております。

○細田委員 おおむね大変好評であるという、こういう形で進んでいるというふうに、今のご答弁でわかりました。
 小学校教員の海外派遣研修を、それでは今後どのように進めていくつもりなのか、都教委に見解を求めます。

○藤井指導推進担当部長 小学校教員の多くは学級を担任しており、これまでの派遣期間では、夏季休業日前の約四週間不在となり、学級の児童の不安や周囲の教員の負担が懸念されておりました。
 そのため、今年度から、派遣期間を夏季休業日中の約四週間に集中させております。
 今後とも、多くの小学校教員が参加しやすくなる取り組みを進め、小学校における英語教育の核となる教員を育成してまいります。

○細田委員 質の向上を図っていただいて、また教員の方々にスキルアップしていただいてほしいですが、そうでなくても、多忙な先生方、教員です。さらに時間を削って取り組んでいく、こんなことになります。夏休みですから、夏休みといっても、自分たちでさまざまな取り組みをしている。その中で海外に研修に行く。
 ただ、帰ってこられた方からは、行かせてもらってよかったという声が多く聞かれる、このようにも聞いていますし、また、それを出迎える教員の方々も、いい顔になって帰ってきたと成長を喜ぶ、こんな声も多いと聞きます。
 そして、不在中には当然、その穴を埋めるというんでしょうかね、先生方がチームワークでそれを支えていくということが、学校経営上は必ず必要になってくる。そういう中で、人数は限られている、こんな状況があります。
 どうぞ教職員の方々が健康を維持されるよう、都教委も、区市町村の現場、区教委ともよく連携をとりながら、配慮を持った対応をしていただくよう要望しておきます。
 さて、続きまして、給付型奨学金についてお尋ねします。
 公明党はこれまで、家庭の経済的な事情による教育格差をなくすために、給付型奨学金の実現を求めて、さまざまに教育費負担軽減の着実な実施を求めてきています。
 まず、平成二十九年度から開始したこの給付型奨学金ですけれども、その制度内容と意図する目的、先ほど狙いという質問もありましたが、意図する目的は何であるのか、この点をもう一回明らかにしていただきたく、所見をお聞きします。

○江藤都立学校教育部長 本制度は、都立高校生等が家庭の経済状況にかかわらず安心して学び、持てる可能性を最大限伸ばすことができるようにすることを狙いとして、都が参加費等を負担することにより、これまで経済的な理由により参加を諦めてきた教育活動を現物給付することでございます。
 また、本制度により生徒の家庭の経済的負担が軽減されるため、学校は、多くの生徒が参加できる行事をこれまで以上に計画することができるなど、積極的に教育活動の充実に取り組むことができるようにすることも狙いの一つとしております。

○細田委員 積極的に生徒が教育活動に参加できる、そういうこと、また直接、何というんですかね、現金が動くわけではないですから、学習能力の向上に生徒たちも役に立てていく、こういうふうな形の奨学金だというふうに思います。狙いは、その目的は、意図はわかりました。
 そして、きょうの要求資料にもありますので、受給者の状況というのは一応、資料により確認しましたけれども、伺いたいことは、都立高校生全体における割合はどのようになって、どんな状況なのかということを確認したいと思います。
 そして、先ほど低いと、二〇%ちょっとといっていましたけど、この三ページ、3の都立学校等給付型奨学金の給付区分ごとの歳出予算及び決算(平成二十九年度)、この数字から割り返すと一九・五六%という、この数字でいいんですかね、まあ、同じ二割ですけどね。そして、この一九・五六%で--まあ、低かったという話でした。初年度を経て二年目になる本年度、この執行率の割合はどんな見込みになるのか、先ほど、まだまだその計画が現場の学校の方には届いていなかったという話もありましたし、当然、今年度はどんなふうになる見込みを持っているのか、このことについて、理由を含めてお尋ねします。

○江藤都立学校教育部長 平成二十九年度の都立学校等の受給者数は、生活保護受給世帯と区市町村民税所得割非課税世帯を対象とした交付限度額五万円の対象者が一万九千九百三十二人で、都立高校生等の全体に占める割合は一四%でございます。
 義務教育における就学援助制度の対象世帯と同等の世帯を対象とした交付限度額三万円の対象者は一万一千七百三十人で、全体に占める割合は八%となっております。
 事業全体の合計は三万一千六百六十二人で、二二・三%でございます。
 また、この制度の推進策でございますけれども、学校、生徒、保護者等への広報活動の充実のほか、生徒や教員からの要望を把握し、ニーズの高い新たな事業への活用を積極的に検討していくとともに、都立高校等が計画する給付対象事業を多様化し、生徒が積極的に参加するよう呼びかけ、有効に活用されるよう取り組んでまいります。

○細田委員 今年度どんな見込みですかという点については、さっき、二〇%だったということですよね、二割ぐらい。それが、今年度はもう初年度じゃないんだから、もう学校の現場に行っているわけでしょう。だとすると、二割なんてことはないと思うんですけど、今年度はどうなのかと、この点についてご答弁願います。

○江藤都立学校教育部長 平成三十年度の見込みでございますが、事業計画ベースで約八〇%を見込んでおります。

○細田委員 今の、現段階で四倍近くに上るだろうと推測されると、このように理解しておいてよろしいですね。実際には三十年度の話ですから、これ以上触れないようにいたしますけれども。
 給付型奨学金は、この受給対象者、この資料によりますと三万四千四百五十人に対して三万三千二百五十二人、マイナス千百九十八人だったから、実際に受給された方は九六・五%に上っているわけです。多くの対象者が利用できたということが、執行率は低かったけれども、わかりました。少しでも早く、少しでも多くを子供たちの学力向上のための援助につなげていく、こういう対応だったんだと思います。可能性を生徒に与えた対応だったと理解をいたします。
 そして、この給付型奨学金は、生徒の選択的な教育活動に対して、現物給付により支給をするということでありますけれども、なぜこの選択的な教育活動を支給対象としているのか、この点についてもちょっと明らかにしたいなと思うんですけれども、この見解を都教委に求めます。
 それから、今後、限定するんじゃなくて、さらに、このメニューもふやした方がいい、これは使えるよねということを生徒が利用できるように拡充していくべきですよね、当然。支給対象、拡充、拡大をしていかなくてはいけないと私は思うんですけれども、都はいかに考えていらっしゃるのか、この点についての見解を求めます。

○江藤都立学校教育部長 保護者等が負担する教育費のうち、授業料につきましては就学支援金、授業料以外の通学に必要となる経費につきましては奨学のための給付金により、既に支援を行っております。そのため、そのいずれの事業の対象ともならない、生徒がみずから選択して参加する検定試験や語学研修等の学習活動に必要な経費について、支援を行うこととしたためでございます。
 今後でございますけれども、生徒や教員からの要望を的確に把握し、ニーズの高い新たな事業への活用を積極的に検討してまいります。

○細田委員 ニーズの高い新たな事業への活用を積極的に検討してくださる、大変いいご答弁だと思います。
 ぜひ、一生懸命頑張ってスタートできた、そして、今年度はさらにそのベクトルの角度が上がって、多く利用されるであろう、それをさらに、今度は選択肢もふやして、使い勝手がいい方向に積極的に検討していくと。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、オリ・パラ教育についてお尋ねします。
 多くの外国人が日本を訪れるようになり、子供たちが外国語で交流する機会もふえています。子供たちが世界各国の人々と臆せずに積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度を育成するとともに、豊かな国際感覚を醸成して、世界の多様性を受け入れる力を身につけることは、大変重要であります。そのためには、実際に海外の方々と交流を図ることが必要不可欠であると考えます。
 私も、二〇一六年の東京オリンピック・パラリンピック招致活動をしているときに、冬季五輪大会を開催した長野市を訪れて、一校一国運動、この状況がどうだったのかということをヒアリングさせていただいて、視察させていただいて、確認をさせていただきました。
 東京二〇二〇大会まで一年半余りとなって、東京都オリンピック・パラリンピック教育で取り組んでいる豊かな国際感覚を醸成する世界ともだちプロジェクト、この取り組み内容とその実績についてお尋ねします。

○藤井指導推進担当部長 世界ともだちプロジェクトは、子供たちが大会参加予定の国や地域について学ぶとともに、海外の人々と交流することにより、世界の多様性や価値観を尊重する態度を身につけることを目的としております。
 都内全ての公立学校では、大会参加予定の国や地域の五カ国について調べ学習をしており、その学習をきっかけとして、地域の留学生や外国人等と積極的にコミュニケーションを図っております。
 都教育委員会は、学校の国際交流機会をより多く創出するため、在京大使館等に学校との交流を依頼し、平成二十九年度、四十七カ国の在京大使館等から協力を得ることができております。

○細田委員 それでは、学校の国際交流機会を多く創出するために、今後、都教委はどのように取り組んでいくのでしょうか。今、大使館四十七カ所、大変積極的に取り組んでいるというご報告、ご答弁ありましたけど、これからのご所見をお聞きします。

○藤井指導推進担当部長 子供たちが外国人と交流することは、その国の言語や文化が体感できるという貴重な機会となるが、一方で、学校が独自に交流先を開拓し、連絡調整することは、大きな負担がございます。
 そのため、都教育委員会は、平成三十年度に、在京大使館との連絡調整や海外の学校との交流の場の設定といった業務を専門的に運営する国際交流コンシェルジュ事業を開始し、学校における国際交流を一層推進してまいります。

○細田委員 学校の負担軽減となる、さらなるオリンピック教育の推進に向けて、今、連絡調整や海外の学校との交流の場の設定業務を運営する国際コンシェルジュ、大いに期待しています。
 さて、続きまして、私からも、緑の学び舎づくり事業、校庭芝生化事業について質問をさせていただきます。
 校庭芝生化事業、昭和四十五年から五十五年にかけて、東京、千葉、愛知、鹿児島などを中心に、全国的に普及をした事業であります。その後、平成の初めから屋外教育環境整備事業となって、より活発化してきた。
 また、平成九年ぐらいからは、結構芝生化もふえてきているというような状況の中で、十七年度からは、先ほどもありましたけど、環境局が補助を実施していて、平成十九年度、芝生化の整備が本格実施された。二十四年度、また教育庁がしっかり取り組んでいると、こんな状況であると思います。
 維持管理、保全に関しては、平成二十年度から始まっている、このように理解しております。この約十年間、維持管理も進んできている、こんな実情なんだと、こんなふうに認識しています。
 さて、緑の学び舎づくり事業の平成二十九年度の執行率と、その原因についてお尋ねします。

○太田地域教育支援部長 緑の学び舎づくり事業の平成二十九年度の予算執行率は七三%でございます。緑の学び舎づくり補助事業は、予算要求時に、各区市町村教育委員会に意向調査を行い、予算化しております。
 平成二十九年度の予算執行に際し、区市町村において計画していた事業の取りやめや規模の縮小などにより、執行率が低くなっております。
 以上でございます。

○細田委員 都から区市町村への維持管理費の助成期間が五年間であるということなど、先ほどもありましたけど、二分の一の補助が切れて、財政的な懸念が影響している、こんなふうにも考えているんですが、一方、積極的に展開が進んでいる自治体、消極的なところ、進捗に差が出ているように思います。この状況はいかがなんでしょうか。
 緑の学び舎づくり事業のこれまでの実績、そして課題についてお伺いします。

○太田地域教育支援部長 これまで、五百七校において校庭芝生化を実施しております。校庭芝生化における課題は、土壌や日照、校庭の活用状況、整備後の維持管理の費用負担や維持管理の担い手の不足などでございます。

○細田委員 土壌や日照というのは、専門的な育成を図っていくこと、先ほども枯れたという話もありましたけれども、まさに冬芝から夏芝に変わるときだとか、芝によって、野芝を使っている学校もあるし、ティフトンを使っている学校もあるし、生分解マットロールを使っている学校もありますし、そういうものをどういうふうにしたらいいのかというのは、当然、専門家のご意見を聞かなくてはいけないというふうに思います。
 そして、この活用の状況、これもさまざま違いますよね。学校においては違う、小学校と中学校も当然違う、幼稚園も違う。幼稚園なんて、私の地元のところはもう完全にはげちゃったりしていますからね。
 中学校の場合は、特にスポーツが部活動で盛んですから、サッカーをやるところ、野球をやるところ、陸上をやるところで、全面芝生化じゃなくて、私たちの学校はこうするよという、こんなふうになっていたり、さまざまな要望の差もあるんだと思います。
 そして、整備後の維持管理、費用負担、担い手の問題、この点もあるのだと思います。
 いろんな意見があります。鳥取方式のように、全部業者がやりますよという方法でもって進めてきているところ--ところが、私が理解するには、東京都はそうじゃなくて、地域を育てて、基本的には連携して、地域があって、そして学校があって、PTAとかがあって、専門家があってという、この輪をつくって育てていこうよという歩みを続けてきてくれているんじゃないのかなと思いますし、私は、それが何よりこの校庭芝生化を進めていく上で重要なポイントなんだと、このように思っています。
 少し前の調査なんですが、ある地方のところで、学識経験者の方が七十二校の学校にアンケートをとって、そのうち五十四から回答があった中で、やはり自分たちが主体となって管理したいというのが、その五十四校のうち三十校と、五六%の回答があって、自分たちで支えていきたいよねと、こういうような声が大変に多い。
 私も、自分の地元の江東区で校庭芝生化研究会ってやっていまして、行政もいるし、業者もいるし、PTAもいるし、議員もいるし、みんなでどうしたら校庭芝生化は進むんですかねということを話しながら、ここは学校の使い勝手はこうで、管理が余りよくないよねとか、うまく成功しているね、近隣の行事でも使えますねと、こんな成功している例もあったりして、千差万別です。
 だから、その状況を見ながら、こうしたらいいよねということを、さっきいった支援を、適切にやっていっていただきたい。そして、当然押しつけはうまくいかないから、バックアップをするんだという方策でもって、目標値は、もともとあった三百ヘクタールを目指して全校、でも、それは現実的じゃないから、実際問題としてはみどり率、緑被率も上げていく、そして、二〇二〇に向かって本当に緑豊かな環境先進都市を、SDGsのもと東京都は進めていくんだと、こういう流れの中で発展しているというふうに理解しておりますから、ここを支えていくという、こんな取り組みをさらに続けていただきたいと私は願います。
 東京都からいただいている中でも、随分先進的な事例で、PTAが活躍していたり、造園の専門の事業者の方々に相談したり、そして事業の内容に対して、地域連携事業で一校当たり三十万円を上限に支えたりとか、結構、盛りだくさんのメニューをやっていらっしゃるじゃないですか。だとすると、それぞれに合わせて着実にこれらを、レベルダウン事業じゃなくて、これはこれで大変に大切な事業だから、なかなか前に進まないかもしれないけど、確実に進めていく。
 学校においては、手を挙げてくださいよといわれて、嫌なんだけれども手を挙げちゃってなんていうふうに感じられてしまうような学校もあるかもしれません。
 けれども、本当に支える学校は、一年とか二年前からそれを支えていくという体制を地域やPTAやみんなでつくって、そこでやっているのは本当に成功していますから、そういうものをよく区市町村とも相談しながら、こうやったらここ進むんじゃないですか、こうしたらいいですよねみたいな--支援はするんだけどお金だけ出すんじゃなくて、ちゃんと都教委は区教委とも連携をとって進めていっていただきたいなということを要望いたします。
 この校庭芝生を維持するためには地域との連携が必要ですが、東京都はどのように思っているんでしょうか。その見解を求めます。

○太田地域教育支援部長 都教育委員会は、学校と地域とのコミュニティ形成の支援といたしまして、校庭芝生化地域連携事業を実施しております。
 具体的には、地域との協働による維持管理や、芝生を活用したスポーツ大会など、地域行事の開催等の活動に対する支援を行っております。
 平成二十九年度の支援の実績は三十九校でございます。
 以上でございます。

○細田委員 目標を含めて、校庭芝生化の今後の方向性について、見解をお尋ねします。

○太田地域教育支援部長 都教育委員会は、区市町村の整備方針に基づき財政支援を行うほか、地域と学校が交流できることで、地域住民に芝生の維持管理への協力を促す仕組みづくりを支援していきます。これらに加え、専門家による知識、技術に関する助言指導の実施にも取り組んでおります。
 以上です。

○細田委員 わかりました。よろしくお願いします。
 続きまして、島外生徒の受け入れ事業、島しょ留学について伺います。
 まず、島外生徒の受け入れについて、これまでの受け入れ状況はどうなっているのでしょうか、お尋ねします。

○江藤都立学校教育部長 島しょの高校は、在籍生徒数が少ないことなどの状況から、生徒同士が切磋琢磨する環境が生まれにくいなどの課題が生じておりました。
 そのため、島外の生徒でも島しょの高校に進学できるよう、平成二十八年度から神津高校において、平成二十九年度から八丈高校において、島しょの町村と連携しながら、島外生徒受入事業を開始したところでございます。
 神津高校につきましては、平成二十八年度が、募集人員一名に対して三名の応募があり、一名が入学。平成二十九年度が、募集人員三名に対して四名の応募があり、三名が入学。平成三十年度が、募集人員四名に対して二十名の応募があり、四名が入学しております。
 また、八丈高校につきましては、平成二十九年度が、募集人員二名に対して五名の応募があり、二名が入学。平成三十年度が、募集人員一名に対して四名の応募があり、一名が入学しております。

○細田委員 二十八年度からスタートした、そして人数もふえている、こんな状況が確認できました。
 私もまた、都議会公明党の議員団として、四名で本年の五月に神津島を視察してきました。その際に、この神津高校と神津島村が設置、運営している島外生徒受入事業の寮であるしらすな寮、これを視察してきました。神津島村教育委員会の皆さんや神津高校の先生方はもちろんですし、しらすな寮で生活する生徒の方々とも懇談をさせていただきました。
 生徒たちは、海や山などが間近に迫り、都心にはない大変に豊かな自然の中で、地元から通う神津高校の生徒とともに大変に生き生きと、また伸び伸びと高校生活を送っていました。私の地元の中学校からここに入っている子供もいたりして、本当に元気に、そして頑張っていました。また、いろいろな、地域に協力する活動をしていたり、この子供たち、生徒の中には、将来神津島に帰って、この島が発展していくように、この島のためになるような人生、自分の仕事を選んで、頑張っていきたいんだという生徒もいて、すごいなという、すばらしいなと感動して帰った次第であります。
 また、寮長のもとで、寮生活も厳しくも楽しんで生活しているということでございました。
 生徒たちが地域、地元の皆様とさまざまな場面で交流を持つことで、地域、地元の方にも、島の住民の方々にも活力を与えているようにも感じられました。
 こうした魅力ある島外生徒の受け入れ事業について、受け入れ校での教育活動や本事業の特徴に関して、教育庁の見解を求めます。

○江藤都立学校教育部長 島しょの高校では、生徒が少人数であることを生かし、個々の生徒にきめ細かい指導を実施しております。
 神津高校、八丈高校、どちらの高校におきましても、きめ細かい指導に加え、島民の方を講師として島の文化や歴史について学んだり、島の老人ホームなどでのボランティア活動等を通して島民の方と身近に触れ合う機会を創出したりするなど、島しょの高校ならではの教育活動を展開しております。
 また、生徒は、ホストファミリーや神津島村が運営する寮での生活を通じ、自主性や規律性などを身につけております。
 このように、島の自然豊かな環境のもとで、親元を離れて、得がたい経験をしながら、地元地域から通う生徒とともに互いがたくましく成長していくことなどが特徴でございます。

○細田委員 よくわかりました。引き続いて発展していくよう、また支えていっていただくよう要望いたします。
 続きまして、高校のグラウンドの夜間照明設備について伺います。
 私、以前、中学校のPTAの会長をしていたときがありまして、防災、防犯、地域社会の健康、スポーツの取り組みのために、学校の夜間照明設備の設置を推進してきた、こんなこともちょっと活動させていただきました。
 その中で、ちょっと今伺いたいのは、都立高校のグラウンドの夜間照明、これはどうなっているのか、どのような学校に整備しているのか伺います。

○江藤都立学校教育部長 都立高校のグラウンドの夜間照明設備は、全日制課程と定時制課程を併置する学校や、午前、午後、夜間の三部制をとる昼夜間定時制単独校などに整備することを原則としております。
 現在、こうした学校は五十五校あり、夜間における教育活動上の必要から設置しております。

○細田委員 夜間における教育上の必要から整備している、五十五校あるということです。
 さて、この夜間の定時制の教育活動に資するため、グラウンドの照明を整備していることはわかりましたが、今、私の地元の江東区にあります都立城東高等学校、これは全日制の学校なんですけれども、既存の設備としてグラウンドの夜間照明の設備が設置されています。
 今後、グラウンドの改修工事を行う予定だと聞いているんですが、この照明設備、これはどうされていくのか、この点についてお尋ねします。

○江藤都立学校教育部長 都立城東高校では、現在、校舎の大規模改修工事を実施中でありますが、来年度はグラウンド外構工事を予定しており、現在設計を行っております。
 本校は、定時制課程を設置していないものの、運動部活動で顕著な実績を上げたことから、学校の特色化を図るため、施設面の配慮として、平成十五年度に夜間照明設備を整備しております。現在においても、競技力の高い運動部活動のある学校としてスポーツ特別強化校に指定しており、今後のグラウンド外構工事の際、夜間照明設備の改修もあわせて行う予定でございます。

○細田委員 よろしくお願いします。過去に、平成十一年、十三年でしたか、甲子園に出ていて、都立の星なんていわれている学校でもありますし、いわれたこともある学校でもあります。ぜひ、今おっしゃっていただいたように、学校の要望にも応えて、夜間照明を設置していただけるよう、要望をしておきます。
 さて、次に、学校問題解決サポートセンターの役割と平成二十九年度の実績についてお尋ねします。

○宇田指導部長 学校問題解決サポートセンターの役割は、学校と保護者や地域住民との間で生じた学校だけでは解決困難な問題について、公平、中立的な立場で、よりよい解決策を提案することでございます。
 平成二十九年度は、六百五十四件、延べ回数にして八百五回の相談に対応いたしました。

○細田委員 六百五十四件、八百五回の相談に対応したということですけれども、このサポートセンターは、学校と、それからまた保護者と学校にさまざまな問題があるときに、その仲介となってお話を聞いて、助言をしていく、こういう機能を持っている大切な大切なセンターであると、このように理解しております。
 今後、学校、保護者等に学校問題解決サポートセンターの活用を一層促していくことが必要だと思うんですが、都教委はどのように取り組んでいくのか、この点について見解を求めます。

○宇田指導部長 都教育委員会は、毎年、学校問題解決サポートセンターの役割や連絡先の電話番号、相談の流れなどをわかりやすくまとめたリーフレットを、都内全ての公立学校に配布しております。
 また、サポートセンターの担当職員が、都立学校の校長連絡会や区市町村教育委員会の管理職連絡会でこのリーフレットを配布いたしておりまして、サポートセンターの活用を促しております。
 今後は、区市町村教育委員会の担当者連絡会におきまして、サポートセンターが業務を委嘱している弁護士や精神科医等の助言により、実際に学校と保護者等の関係が改善した事例を紹介するなどして、サポートセンターの一層の活用を促してまいります。

○細田委員 よろしくお願いします。
 相談者の割合は、保護者の方が六割というふうに聞いています。また、その他の四割には、私立の方もいらっしゃるし、学校からの相談というのもあるというふうに聞いています。
 先ほども申し上げましたが、中立の立場で、保護者の方々のご相談に応じて適切な助言がなされるように、また学校の方の場合には、真摯に取り組む教員の方々の助けとなって負担を軽減して、良質な教育業務に邁進できるように、都教委の方、ご尽力をお願いいたします。要望をしておきます。
 続きまして、体力の向上について伺います。
 体を鍛え、健康に生活する力を培うため、都はアクティブプランto二〇二〇、これを実施いたしました。決算額は二億四千三百万ですか。
 この体力向上について五年間の目標がありまして、例えば、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催都市にふさわしい、運動、スポーツに親しむ元気な児童生徒を育成していくこと。また、区教委と学校は、それぞれ体力向上の具体的な目標を定めて取り組みを計画するとともに、実践、評価、検証のPDCAサイクルにより体力向上を推進する、そういうようなこと。あともう一つ、低下傾向を示している握力については、小学生は男女ともに一キロ、中学生、高校生男子は三キロ、女子は二キロ増を目指す。投げる力については、小学生男女ともに低学年は一メーター、高学年は二メーター、中学生、高校生は男女ともに二メーター増を目指し、推進をすると。こんなふうなかなり具体的な目標も出ております。
 都内の公立小中学校の児童生徒の体力の現状と、その現状をどう分析しているのでしょうか、その点についてお尋ねします。

○藤井指導推進担当部長 平成二十八年度に都教育委員会が実施した東京都児童・生徒体力・運動能力、生活・運動習慣等調査結果では、小学生の体力は男女とも全国平均値を上回っているが、中学生の体力は男女とも全国平均値を下回っております。
 小学生の体力が良好な状況にある理由として、体育の授業以外にも十分に運動時間が確保されていることなどが挙げられる一方、中学校においては、体育の授業や部活動以外での運動時間が十分に確保できていないことや、学年が上がるにつれ、運動する生徒としない生徒の二極化傾向が顕著になっていることなどが、全国平均値を下回った原因と考えられております。

○細田委員 瞬発力はあるけれども、持久力や遠投だとかそういうのは、体力的には、他道府県と比べたときに、東京都はその点が低いと、こんな傾向が以前より続いているというふうに理解しています。
 今、中学生は男女ともに全国平均以下とか、こんなご説明もありましたし、二極化の傾向が続いている、こんな話もありました。
 じゃ、これまで、中学生の体力向上に向けてどのような取り組みを行ったのか、この点について伺いたいと思います。

○藤井指導推進担当部長 都教育委員会は、平成二十七年度に体力向上計画を策定し、東京二〇二〇大会までに中学生の体力を全国平均まで向上させることを目標として、六十二校の推進校を指定しました。これらの推進校では、運動が苦手な生徒でも楽しく参加することができる運動プログラムや、大学と連携しながら持久力、投げる力を高める指導方法を開発するとともに、朝の授業前の時間や昼休みを利用した体力向上トレーニングを実践し、その成果について中間報告会等を実施し、普及啓発を図っております。
 その結果、平成二十九年度の東京都児童・生徒体力・運動能力、生活・運動習慣等調査の結果によると、中学生の体力は、平成二十八年度と比較して、下位層が減り上位層がふえ、全体として向上傾向にあります。

○細田委員 これまでの取り組みが、今度、向上傾向にある、これを促進するように支えていっていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 さて、最後に防災教育の推進、このことについて伺います。
 防災ノート「東京防災」の活用についてです。
 発生が予測されている首都直下地震などの自然災害において、児童生徒が自助、共助の精神に基づいて適切に行動できるよう、防災ノート「災害と安全」の活用をさらに促進していくこと、そして、親子の防災体験や、防災標語コンクールを実施して、学校と家庭が一体となった防災教育の一層の充実を図る、これが東京都の推進のメルクマールとなっている、このように理解しております。
 各学校では、防災ノート「東京防災」をどのように活用しているのでしょうか、この点について伺います。

○宇田指導部長 都教育委員会は、学校と家庭が一体となって防災教育に取り組むことができるよう、平成二十七年度から、防災ノート「東京防災」を作成し、都内全ての児童生徒に配布してまいりました。
 各学校では、避難訓練や防災学習の際にこの防災ノートを活用し、地震発生時に安全に避難する際のポイントや、大雨や台風による風水害が発生したときの安全な行動について指導しております。
 また、都教育委員会は、都立高等学校において、この防災ノート「東京防災」を活用した宿泊防災訓練を実施するとともに、毎年七月から九月までを防災ノート活用促進月間として位置づけまして、小学校を対象に親子防災体験を、中学校を対象に防災標語コンクールを実施しております。

○細田委員 今のご説明で、非常に多くの学校で、ほとんど、九七%を超えるところで使われているんだというのが、今回の決算の報告でもありますが、それでは今後、防災ノート「東京防災」をどのように活用していくのか、ほかのノートもあるわけですけれども、どういうふうに活用していくのか、この点について伺います。

○宇田指導部長 都教育委員会は、平成二十九年度まで、防災ノートのほかに、防災学習の補助教材として、「三・一一を忘れない」と「地震と安全」を作成、配布してまいりましたが、学校からの要望を受けまして、今年度、三冊を統合した防災ノートである「災害と安全」を新たに作成し、都内全ての児童生徒に配布いたしました。
 この「災害と安全」は、地震災害のほかに、風水害、火山災害等、さまざまな災害を網羅した防災教育の総合的な教材集となっておりまして、学校における防災学習はもとより、地域の防災訓練でも活用できるものとなっております。

○細田委員 わかりました。
 異常気象が、異常じゃなくて通常になってしまうのかということを危惧するような、ことしの夏でありました。地震、そして高潮、また局地的集中豪雨、台風、さまざまな災害があります。この防災ノート、また過去の震災からの復興の状況、さまざまな点を、命を守るために、子供たちによく学んでいっていただけるよう、今後とも引き続いて、都教委のご尽力に期待をいたします。
 以上で質問を終わります。

○のがみ委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時休憩

   午後三時十五分開議

○のがみ委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○和泉委員 私は、発達障害のある子供への支援について伺います。
 私ごとなんですが、我が家の次男が学習障害です。一九八五年、妊娠二十九週、千百三十グラムで、極小未熟児で生まれました。小さく生まれた以外は、大きな病気をすることもなく至って健康に乳児期を過ごしてまいりましたけれども、三歳ごろから、とても育てづらさを感じるようになりました。
 しょっちゅう迷子になり、一度迷子になると何時間でも迷子になりっ放しです。人並み外れて頑固でこだわりが強く、座り込んだらてこでも動かなくなります。小学校に上がるころになっても、文字に一切興味を示しません。就学してからも、宿題をやらない、忘れ物も平気、夏休みの最後の日は夫が首根っこを押さえつけるようにして宿題をやらせる、これが毎回の恒例行事でした。
 さすがにちょっとこれはおかしいと思って診断をしてもらった結果、学習障害だということがわかりました。
 当時は、学校の現場にも発達障害のことは余り知られていなかったために、先生にさまざまな資料や本なども渡して学習障害を知ってもらい、協力をしていただきましたが、支援の体制がなかったために、対応は先生任せにならざるを得ませんでした。その結果、中学三年生でいじめに遭い、それが決定的な劣等感となって、いまだに彼が社会を遠ざける要因となっています。
 発達障害者支援法が平成十七年に施行され、この間の発達障害に対する認知は目覚ましく進んだと思います。障害者権利条約の批准で、障害のある人の社会的障壁を取り除く具体的な取り組みも進んできています。
 都は、平成二十八年二月に策定した発達障害教育推進計画の中で、発達障害の全ての児童生徒が、その持てる力を最大限に伸ばし、将来の自立と社会参加を実現できるよう、適切な教育的支援を行うことなどを基本理念とした施策の展開を行うとなっています。また、インクルーシブ教育システムの構築に向けた国の組織の考え方を踏まえながら、都の実態に応じた基本理念及び計画の策定の視点を定めたとあります。
 そこで伺います。都が構築するインクルーシブ教育システムとはどのようなものでしょうか。また、発達障害教育とはどのようなものと考えているのか、あわせて伺います。

○小原特別支援教育推進担当部長 インクルーシブ教育システムに関して、障害者の権利に関する条約では、第二十四条に、障害者が障害を理由として教育制度一般から排除されないこと等とございまして、ここでいう教育制度一般には特別支援学校も含まれております。
 都教育委員会は、小中学校における通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった連続性のある多様な学びの場における教育の充実等を図るとともに、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒の交流活動を推進いたしております。
 また、発達障害教育は、知的発達におくれはないものの、学習上または生活上で著しい困難を示す、発達障害のある児童生徒に対する特別な指導、支援でございます。障害の状態に応じまして、通常の学級や特別支援教室など、多様な学びの場での適切な教育的支援を行うべく、区市町村教育委員会と連携して取り組んでおるところでございます。

○和泉委員 インクルーシブ教育システムというのは、障害を理由として教育制度一般から排除されない仕組み、そして、発達障害のある児童生徒に対しては、その仕組みの中で特別な指導、支援を行って、障害の状態に応じて適切な教育的支援を行っていくということだというふうに思います。
 では、小中学校、高等学校における発達障害のある子供への支援の方向性、そして、重点的取り組みについてはどうなっているのか伺います。

○小原特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、発達障害のある児童生徒が、その障害の状態に応じた適切な教育的支援を受けられるよう、多様な学びの場の整備を進めております。
 具体的には、在籍学級での指導の充実の支援に加えまして、区市町村教育委員会による特別支援教室の導入を支援しており、区市町村教育委員会は、小学校で平成三十年度までに全校での導入を完了し、中学校でも平成三十年度から順次導入しておるところでございます。
 高等学校におきましては、平成三十年度から、都立高校一校を通級による指導のパイロット校として検証を行っております。このほか、全ての都立高校生を対象といたしまして、学校外で特別な指導を受けられるコミュニケーションアシスト講座を、特別区と多摩地域の二カ所で実施いたしております。

○和泉委員 一人一人の障害の状態に応じて、多様な学びの場で適切な支援ができる体制が重要と。この多様な学びの場でというのは、非常に重要な視点だというふうに思います。けれどもその割には、その重点的取り組みが特別支援教室とコミュニケーションアシスト講座というのが気になるところです。
 この講座の平成二十九年度の実績は、いただいた資料によれば、百二十人の定員に対して六十六人。今年度はといいますと、百二十人に対して七十一人。若干ふえてはいますが、四十九人のあきがあります。もっと身近なところでも受けられるようにすること、あるいは周知することなどが必要ではないでしょうか。
 また、学習や生活上の困難への特別な指導、支援ということで、できないこと、苦手なことへの支援にやはり重きが置かれていると感じます。
 発達障害のある児童生徒の発達の極端なばらつきは、できないところ、おくれているところだけではなく、すぐれているところ、突出しているところを大いに伸ばして自信をつけさせることも重要だというふうに思いますが、この点について、都の見解を伺います。

○宇田指導部長 発達障害のある児童生徒が、その能力や可能性を最大限に伸ばし、自立し、社会参加していくためには、まず、自分で解決できる課題から取り組むことで成功体験を重ねるとともに、得意なことを通して他者から認められ、また褒められ、自分ならできるという自信を持つことが極めて重要であると考えております。

○和泉委員 自分ならできるという自信を持つこと、本当に重要だと思うんです。
 私が学習障害児を育てた経験に照らすと、学習面でのおくれを補うために一生懸命教えれば教えるほど、かたくなに拒否するようになります。勉強することは、自分ができないことを確認する作業になってしまって、本人にとってはとてもつらいことだったんです。彼らができないのは、努力が足りないからではありません。脳の機能の問題です。
 しかし、大人になってからの彼は、自分の興味、関心のあることには、私たちが舌を巻くほどの集中力と吸収力を発揮します。学校に通っているときに彼に合った方法で学習する機会があったら、今のように家から一歩も出られないということにはなっていなかったのではないかと思います。
 どこが突出しているか、秀でているかは、まさに一人一人違っています。オーダーメードの教育が殊さら求められていると思いますが、そのためにも、早い段階で一人一人の実態を把握する必要があります。この点について、これまでの取り組みを伺います。

○宇田指導部長 都教育委員会は、平成二十八年度に、発達障害のある児童生徒の読むこと、書くことの習熟状況を把握することにより適切な教材を提供することができる小学校用の指導資料を開発いたしました。平成二十九年度には中学校用の資料も作成し、全ての都内公立小中学校に配布することにより、各学校において、早い時期から実態調査、実態把握に基づき個に応じた指導ができるよう支援してまいりました。
 また、都教育委員会は、平成十八年度から、発達障害の理解に関する講習会を継続して開催しておりまして、平成二十九年度は特に、聞くこと、話すことが得意な発達障害のある児童生徒の事例を取り上げ、一人一人のすぐれた点に着目した指導内容、方法について、教員の理解啓発を図ったところでございます。

○和泉委員 都の発達障害教育推進計画を見ますと、小中学校、高校の全てで、発達障害に関する知識はあるが具体的にどう対処すればよいかがわからない、発達障害に関する知識がなくて対処できないと回答している教員が約六割という意識調査の結果が紹介されています。基礎的知識、対応力を身につけることが急務だという指摘も行われています。
 そうしたことを受けて、ご答弁にあったような指導資料の開発や講習などを行ってきたんだというふうに思いますが、ただでさえ、教員の長時間労働が大きな課題となっています。対応力を上げることが、教員の力量にだけ頼るということになったのでは、その負担はさらに重くなります。
 教育の現場全体で、発達障害のある子供への基礎的知識、対応力を上げていくためには、都として、専門教員の配置も含めた学校への支援が必要なのではないでしょうか。検討を求めておきたいというふうに思います。
 すぐれた点に着目して指導をすることは、発達障害児だけではなく、全ての子供にとっても、自尊感情を高める上で重要な視点であり、教育の基本だと思います。とりわけ、発達障害のある児童生徒の場合には、決定的な劣等感を持ってしまってからでは、自尊感情を取り戻すのは容易なことではありません。
 総務省が昨年一月に出した発達障害者支援に関する行政評価・監視結果に基づく勧告でも、早い時期からの実態把握が必要であることが示されています。
 発達障害の発見のおくれが鬱病や不登校、暴力行為などの二次障害を生じさせた事例があったと報告がされています。また、調査を行った七十校の小中高等学校における発達障害が疑われる児童生徒が不登校となった割合が、全国の小中高等学校と比較しても高くなっています。高等学校での中途退学の割合も、全国の高等学校における中途退学率の約六倍も高くなっているという報告もされています。
 だからこそ、現状のような、できないことへの支援の枠を超えて、すぐれた能力を早い段階で見つけて伸ばす教育が、小学校、中学校、高校へと切れ目なく引き継がれていくことは重要だと思いますが、いかがでしょうか。

○宇田指導部長 発達障害教育においては、早期から児童生徒一人一人の実態を把握することに加え、進級や進学時にすぐれた能力や得意なことについての情報を確実に引き継いでいくことも重要であります。
 そのため、都教育委員会は、学校や関係機関が児童生徒に関する情報を共有することができるよう、平成二十五年度に、児童生徒の得意なこと、頑張っていることを記載する項目を含む学校生活支援シートを開発いたしました。
 そして、平成二十九年度の特別支援教育担当者の連絡協議会におきまして、児童生徒のすぐれた能力や得意なことを伸ばすために、このシートを活用して学校間や関係機関との十分な引き継ぎを行うよう、改めて指導いたしました。

○和泉委員 本人が自尊感情を持つこと、自信を持つこと、そういう指導はとても大事なんですが、すぐれたところを早い段階で見つけてあげて、ちょっと変わっているけど、ここは誰もかなわないくらいすごい、そういう評価を先生や友達が共有してあげることは、できないことへの劣等感を乗り越えていくとても大きな力になります。
 学校教育の全ての現場でこのような取り組みが進んでいくことを望みます。それは恐らく、発達障害のある子供もそうでない子供も、お互いの違いを認め、価値を認め、尊重し合う多様性のある社会を構築していくための確かな萌芽になると考えます。
 そして、そのためには何より、先生方が時間的にも精神的にもゆとりを持って子供たちと向き合えるような環境が必要です。
 ぜひ、取り組みの強化とともに、教員の配置をふやしていただくことも強く求めて、質問を終わります。

○米川委員 私からは、進学指導重点校について伺わせていただきます。
 都立高校には、さまざまな能力を持った生徒たちが学んでおります。この生徒一人一人が目標に向け充実した学校生活を送るためには、さまざまな場を提供していくことが都教育委員会に求められていると考えております。
 第三回定例会での一般質問では、スポーツ特別強化校を取り上げさせていただきましたが、この決算分科会では、勉強を頑張りたいという生徒に焦点を当てて伺います。
 都教育委員会は、生徒一人一人の能力を最大限に伸ばす学校づくりの一環として、進学指導重点校を指定しておりますが、改めてどのような事業なのかを伺います。

○江藤都立学校教育部長 都教育委員会は、将来の日本のリーダーとなり得る高い資質を持った生徒に対し、難関国立大学等への進学希望も実現させる学校として、都立高校の中から進学指導重点校を指定しております。
 平成十三年九月に、日比谷高校、戸山高校、西高校、八王子東高校の四校、平成十五年十一月に青山高校、立川高校、国立高校の三校、合計七校を指定し、生徒の進学希望を踏まえた指導内容及び指導方法の工夫、改善を図り、生徒の進路希望を実現できるよう、進学指導を推進してまいりました。
 指定に当たりましては、センター試験の受験率と得点状況、難関国立大学等の現役合格者数の三つの基準の適合状況を踏まえ、これらの実績とともに、進学指導の組織的、計画的な取り組み状況など、総合的に勘案して決定しております。

○米川委員 ありがとうございます。選定基準を踏まえての取り組み状況について理解させていただきました。
 しかし、このような取り組みは、進学実績など数値による結果だけを評価しがちでありますが、個々の生徒の進学データや学習状況について把握し、その結果や取り組みの状況を分析するなど、細かく検証しながら進学指導体制を整えることが重要と考えております。
 そこで、どのような取り組みを行ってきたのか伺います。

○江藤都立学校教育部長 進学指導重点校では、大学入試を見据えた三年間の指導計画を定め、生徒一人一人の学習状況や学力の把握、分析を行い、それらを個別学習指導に活用するほか、授業改善や土曜、長期休業中の補習、補講に取り組んでまいりました。
 さらに、難関大学の学生等の外部人材を活用した生徒の自主学習の支援や難関国立大学教授等の講演会などを実施しております。
 このような取り組みの結果、七校の難関国立大学等の現役合格者数は、指定当初の平成十六年度入試における百一人から、平成三十年度入試では百九十七人となり、二倍近くの増加を示しております。

○米川委員 ありがとうございます。ここまでの質疑で、さまざまな取り組みを行い、実績を伸ばしていることを理解しました。
 その上で、これら進学指導重点校の取り組みの中で蓄積された知見やノウハウは、進学指導重点校にとどまらず、その他の都立高校の生徒や教員にも還元していくことが必要と考えております。どのような取り組みが行われているのかを伺います。

○江藤都立学校教育部長 都教育委員会は、進学指導重点校に次ぐ学校として、進学指導特別推進校七校、進学指導推進校十三校を順次指定するとともに、今年度、新たに進学指導研究校十五校を指定し、進学対策を進める都立学校の裾野を広げております。
 また、進学指導重点校、進学指導特別推進校、進学指導推進校等が参加する進学指導研究協議会を設置するとともに、進学指導重点校等を経験した退職校長が各校を巡回指導する体制を構築し、他の学校に進学重点校の取り組みやノウハウを普及、還元しております。
 さらに、都立高校の意欲ある生徒を対象として、将来の進路に向けての動機づけの機会となる最先端の科学技術に関する講演会、首都大フォーラムや東工大フォーラムなどを実施しております。進学指導重点校におきましても、他校の教員の授業見学をみずから積極的に受け入れるなどにより、他の都立高校の進学指導の充実に寄与しております。

○米川委員 ありがとうございます。今ご説明いただいたよう取り組んでいくことで、東京都の教員の授業力向上、それと生徒の意欲を高めることに、このような事業もつながっていくと考えております。
 最後に、進学指導重点校は、先ほどの答弁にもありました、将来の日本のリーダーとなり得る高い資質を持った生徒に対し、進学希望を実現していくともあります。このような方たちには、学力以外に人間力を高める特色ある取り組みも同時に実施されるべきと考えておりますが、七つの指定校ではどのような取り組みが行われているのかを伺います。

○江藤都立学校教育部長 都教育委員会では、知、徳、体の調和がとれ、社会人としての自覚や働く意欲を持ち、グローバル化が進む社会で活躍できる人間を育成することを目標に掲げております。
 進学指導重点校におきましても、文武両道、知、徳、体の均衡ある全人教育などを目標に掲げ、学校行事や部活動、生徒会活動など、さまざまな教育活動に活発に取り組んでおります。
 例えば、遠泳や古式泳法を学ぶ臨海合宿、同窓会と連動したジョブシャドーイングなどのキャリア教育、海外交流事業などがあり、伝統行事となっているものもございます。

○米川委員 まとめます。
 現在、大学入試改革や新学習指導要領の開始など、進学をめぐる状況は大きな変化の時期となっております。生徒の進学希望を実現するため、新たな課題に速やかに対応していくことが必要であります。
 勉強で頑張りたいと考えている生徒の思いに応えるため、これからも、進学指導重点校を通して都立高校全体の進学指導を充実していくことを求め、質問を終わります。

○清水委員 よろしくお願いいたします。
 本決算委員会の質疑に当たりまして、私ども都議会自民党は、我が党がこれまで取り組んできた事業、そして小池知事が誕生してから新たにスタートした事業、この二点に焦点を当てながら、絞りながら、質疑を行ってまいりました。本日は、我が党がこれまで継続して取り組んできました事業につきまして、二点お伺いをしたいと思います。
 まずは、道徳心や社会性を身につける教育の推進について伺います。
 我が党は、知、徳、体の基礎的な力を全ての子供が習得できるようにするという公約を掲げまして、道徳教育のさらなる推進を都に求めてまいりました。国におきましても、平成二十六年十月の中央教育審議会におきまして、道徳に係る教育課程の改善等についてという答申がなされまして、いわゆる道徳の教科化が段階的にスタートしたわけでございます。
 都は、平成三十年の小学校、三十一年の中学校の教科化実施に先立ちまして、道徳教育推進拠点校やモデル校を指定し、道徳の教科化に向けた取り組みを推進してまいりました。
 特に、各小中学校で開催されてまいりました道徳授業地区公開講座は、児童生徒を取り巻く学校、家庭、地域が一体となって、道徳について意見を交わすことができる貴重な機会であると思うわけでございます。これからも一層の充実を求めるわけでございます。
 そこでお伺いいたしますが、都内公立小中学校における学校、家庭、地域が一体となった道徳教育の推進に関する都教育委員会の取り組みについてお伺いします。

○宇田指導部長 都教育委員会は、学校が道徳授業を公開した後、教員、保護者、地域が道徳にかかわるテーマで話し合うという道徳授業地区公開講座を、平成十四年度から、区市町村教育委員会と連携して都内全ての公立小中学校において実施しておりまして、平成二十九年度は約五十万人の参加がございました。
 また、平成二十四年度から、独自の道徳教育教材集を作成しておりまして、その中に、例えば、働くことの大切さ等について保護者が思いを書き込む欄を設けるなどして、家庭内で道徳に関する話題が生まれる工夫をしております。
 さらに、平成二十九年度には、道徳授業地区公開講座における意見交換会を一層活性化することを目的といたしまして、公共交通機関におけるマナーといった身近な道徳的な題材を映像化したDVD資料を作成いたしまして、配布いたしました。

○清水委員 ありがとうございました。具体的に、事細かにご答弁を頂戴いたしました。
 私の地元立川市でも、道徳授業地区公開講座は熱心に行われております。私自身も何回か参加をさせていただきましたが、何より、いまだに忌避されがちな道徳教育でありますが、実際、子供たちがどのような授業を受けているのか、この目で確認することができたわけであります。とともに、その後開催される意見交換会では、先生、保護者の皆様と一緒になって、地域の子供たちや道徳について、いつになく真面目に意見交換ができたのかなと思い、有意義な時間を過ごしたわけでございます。
 しかし、この意見交換会の企画や運営に、各校、大変苦慮していると伺っております。確かに、私の体験談で恐縮ではございますが、参加者は授業参観者のごくごく一部の方にとどまっておりまして、それもいつもの地域の役員をやっている方といった顔ぶれでございました。また、意見交換会の司会進行も大変難しいということでございます。
 そこで、ただいまご答弁がありましたとおり、平成二十九年度は、我が党の質問で要望させていただきましたDVD資料を作成していただきまして、意見交換会のきっかけづくりを行ったということでございます。私もこのDVDの資料を拝見しましたが、これはまことによくできていると思います、率直に。
 まず、道徳教育の解説がそのDVDの冒頭でなされまして、その後、六本の考えさせられる事例のドラマが収録をされております。それも、それぞれに問題提起編と、その後の展開編で構成されておりまして、さまざまな形での活用が可能となってくるんじゃないかなと思いました。
 ここで、せっかくでございますので、この六本のドラマのうちの一つ、皆さんに紹介させていただきたいと思いますので、ぜひとも一緒にお考えをいただければなと思います。
 親切なことをしたのにというタイトルでありまして、サブタイトルに、決まりを守ること、親切にすること、どちらが大事というふうなタイトルでございました。
 まず、問題提起といたしまして、これ、約五分間あるんですが、とある路線バスの運転手さんが、停留所でおくれてきた年配の男性に気づきまして、発車時刻を過ぎておりましたが、この男性を待ってバスに乗車させたわけでございます。しかしながら、そのことがもとで会社にクレームの電話が入り、規則を破ることが駆け込み乗車などの危険な行為を増すことにつながると、上司から注意を受けたわけなんですね。そうしたら、またこの運転手さん、別の日に、ベビーカーを押して走ってくる母親に気づきながらも、今度は待たずに、定時定刻どおりバスを発車させたわけでございます。
 その様子をたまたま小学生の女の子が、両方を見ていたわけでございまして、その運転手さんに問いかけたわけでございますね。なぜ待ってあげなかったのと。前回のおじいさんは乗せてあげたじゃないのというふうな問いかけをしたんですね。そうしたら、この運転手さん、これはルールだから仕方がないんだと答えたんですが、女の子は、親切なことをしたのになぜいけないのというふうにまた答えたんですね。これが問題提起編でございます。
 その後、今度は展開編という形になりまして、これ約三分三十秒あります。バス会社にクレームの電話を入れた会社員の方がいたんですね。会議におくれたことをこのバスの遅延のせいにするのは間違っているんじゃないかと先輩に諭されるわけなんです。バスだっておくれることがあるんだから、そのくらいの時間を見計らって出てくるものじゃないか、私なんかもよくいわれるんですが、そのようなことを先輩にいわれたそうであります。
 そして、たまたま同じくこのバスに乗車していたこの先輩の恋人が、誰なら待ってくれるの、あるいは何のために待つの、私だったら待ってくれるのと、話を難しくしちゃうんですが、ここでまた問題提起があります。そしてまた、今度、この運転手さん、また別の日にバスを発車させようとすると、停留所に走ってくる女性の姿がありましたと。さて、皆さんはどういたしますかということなんですが、どうでしょうかね。なかなか難しいドラマでございますね。
 それで、解説もございまして、こう書いてあります。思いやりの心を持って人に接すること、ルールや決まりを守って安全や秩序を保つこと、どちらも大切で、どちらも正しいことですと。目の前に二つの正しいことがある、でも、その二つを両立させることはできない、日常でもよくあることです。子供たちがそんな悩みに直面しているとき、大人にできることは何なのか、どのように子供たちに接すればよいのかを話し合ってみましょうというふうなことでございます。
 大変よくできたストーリーだと思いますし、これ、私も考えに窮するような事例であります。大人が考え、議論したくなるという、確かにきっかけになるのかもしれませんが、その意見交換会の会場にいらした大人の人たちは多分、困った顔が私は想像できるわけでございまして、このきっかけづくりのDVD資料としてはでき過ぎているのかなと思うぐらい、これ褒めているんですけど、すばらしいDVDができたわけでございます。
 そこでお伺いしたいと思うんですが、このDVD資料についてですが、このDVD資料の作成費用と配布実績、また実際に活用した学校からはどのような効果あるいは成果が報告されているのか、伺いたいと思います。

○宇田指導部長 DVD資料は約九百九十万円で作成いたしまして、平成二十九年度末に特別支援学校を含め都内全公立小中学校を対象に、約二千二百枚を配布いたしました。
 意見交換会で資料を活用した学校からは、具体的に何について話し合えばよいのか明確になり、例年に比べ意見交流が盛んになった、また、子供たちが思いやりのある人に育ってくれるためにはどうしたらよいか、学校、家庭、地域それぞれの立場から具体的に話し合うことができたといった声が寄せられております。

○清水委員 ありがとうございました。
 ただいま事業費についての答弁がございまして、これ、単純になんですが、割り返しますと一校当たり五千円にも満たないような事業費で、これだけのDVD資料が都内全小中学校に配布できたことは、これはすばらしいの一言なのかなと思います。
 先日、生活文化局の質疑で、結婚機運醸成の動画作成について取り上げさせていただきましたが、そちらの実績は三千万円の事業費で約十二万回の視聴回数でありましたが、どうでしょう、事業成果としては、私は、このDVD資料に軍配が上がるんじゃないかなと思いました。何よりも、この映像の中身が大切なのかなと思った次第でございます。
 いずれにいたしましても、このDVD資料の活用によりまして意見交換会が盛り上がり、道徳授業地区公開講座がより充実することを期待申し上げまして、次の質問に移りたいと思います。
 次に、都立高校に対する主権者教育について伺います。
 この件につきましては、平成二十八年第二回定例会における我が党の代表質問で取り上げさせていただきました。いわゆる十八歳選挙権の開始に伴いまして、その権利と義務、これを自覚する観点から、子供たちが良識ある公民として必要な能力と態度を身につけられるよう、先哲の思想や民主主義の基本原理を学ぶことが重要であると、我々は指摘をさせていただいたわけでございます。
 その結果、民主主義学習用リーフレット、これ皆さんご存じですかね。今持ってきたんですが、こういったものが今、都教育委員会で作成されているわけでございまして、現実に、現在も配布されているわけでございます。これは高校生向けというよりも、大学の講義で資料として活用しても十分通用するような中身でございますので、機会がありましたらご一読いただければなと思うわけでございますが、こういったリーフレットの配布ですとか、複数の全国紙、一般紙を全ての都立学校の図書室に設置するなどの取り組みを行ったわけでございます。
 そこでお伺いしたいと思いますが、現在、全ての都立高校におきまして、生徒が新聞六紙を活用できる取り組みを行っておりますが、その目的についてお示しをいただきたいと思います。

○宇田指導部長 公職選挙法の改正により、選挙権年齢が十八歳以上に引き下げられたことを受けまして、これまで以上に生徒が社会の問題を多面的、多角的に考察し、判断する力を身につけることが必要となっております。
 そのため、都立高校におきましては、生徒が現実に起こっている政治や経済等の問題に関する多様な考え方に触れ、分析したり議論したりできるよう、校内の図書館等に全国一般紙六紙を配置しているところでございます。

○清水委員 ありがとうございます。その目的についてご答弁いただいたわけでございますが、高度情報化社会といわれている現在でございます。高校生も、大量に氾濫する情報を選別し、主権者としてみずから考え、判断しなければならない中で、新聞六紙を読み比べるというのは、これはまず、よい機会ではないかと思うわけでございます。
 例えば、今お示しになりました都内全校に配置されている六紙の社説を読み比べてみたいと思いますが、違いは明白であります。本日、これだけ資料を持ってきたわけですが、皆さんにちょっとごらんいただきたいと思います。
 これは、今月十五日の臨時閣議で安倍首相が消費税率を来年一〇%に引き上げる考えを正式に表明した翌日、十六日の朝刊の社説の見出しでございます。
 それでは、六紙、皆さんに見ていただきたいと思いますが、まずは、読売新聞でございます。
 読売新聞は、実施への首相の覚悟が問われるという見出しをつけまして、値上げの方針を示したことを評価する上で、深刻な景気悪化が起きない限り、確実な消費増税を求めるというふうな内容でございました。これ、読売新聞。
 続きまして、朝日新聞でございます。朝日新聞は、増税対策、何でもありは許されぬと見出しをつけまして、消費増税の是非については言及を避ける一方、増税対策を理由にばらまきの道に進むことは許されないと主張されています。これは朝日新聞。六紙ありますから。
 続きまして、毎日新聞でございます。毎日新聞は、過剰な景気対策は禁物だという見出しをつけまして、消費増税の予定どおりの実施を妥当とした上で、景気対策の必要性を過剰に強調すれば、与党の要求に拍車をかけるだけだと言及をされております。
 続きまして、産経新聞でございます。産経新聞は、混乱回避へ万全な対策をと見出しをつけまして、現役世代が一定の負担増を受け入れることを容認する上で、軽減税率の導入により、複数税率になることから、導入に向けて準備の徹底が不可欠と指摘をされております。
 あと二つですね。次は日本経済新聞です。日本経済新聞は、反動減対策の歳出は厳選せよとし、駆け込み需要に対する反動減を心配し過ぎて不効率な歳出をふやすのでは、財政健全化に逆行するという、これは経済紙らしい指摘があります。
 最後に、東京新聞です。東京新聞は、無駄遣いをまずやめろとし、増税実施まで一年を切っての表明は遅過ぎると苦言を呈した上で、国民に増税を頼む以上は、第一に無駄遣いを徹底的になくすことと、独自の見解をお示しになっているわけでございます。
 今、六紙、皆さんに時間をとっていただきまして、お聞きしていただいたわけでございますが、この六紙だけでも、これ全て、実際に都内全都立高校に配布がされている新聞でございますが、これだけ違うわけでございますね。
 そこで伺いたいと思いますが、都立高校では、新聞六紙を具体的にどのように活用して、どのような成果が上がってきているのかなというところをお示し願いたいと思います。

○宇田指導部長 都立高校では、校内の図書館に新聞活用コーナーを設置し、六紙のスクラップ記事を掲示したり、職員室前の廊下など日常的に生徒の目に触れやすい場所に新聞を置いたりする工夫をしておりまして、生徒は、調べ学習での情報収集や発表学習での根拠資料として活用しております。
 また、公民科の授業において、生徒は六紙に掲載されている具体的な社会的事象の見出しや記事を読み比べ、多面的、多角的に考察したり意見交換をしたりしております。
 学校からは、生徒がこれらの取り組みを通して、異なる意見を理解し、議論できるようになり、社会的事象に対する興味、関心を高めるとともに、主権者に必要な論理的思考力や、公正な判断力を身につけているといった成果が届いております。

○清水委員 ありがとうございました。大分成果が上がっているんじゃないかなと思います。新聞の違いだけでも、これだけの違いがあるわけでございますから、メディアの違い、テレビやあるいはインターネット等の違いでも、大分異なってくるのかなと思います。
 このような取り組みによりまして、次代を担う都立高校生が真の民主的な主権者として、あるときは権利を行使、またあるときはしっかりと義務を果たすことができるよう、都教育委員会の引き続きのご努力を期待したいと思いますので、今後とも、どうぞ頑張ってください。
 以上で質問を終わります。

○とや委員 よろしくお願いします。
 まず、資料の作成、ありがとうございます。
 私からは、先ほど和泉委員からもお話がありました、発達障害児を含む情緒障害等通級指導学級と特別支援教室について、ここから伺っていきたいと思います。
 学校教育法第二十五条の改正によって、二〇〇七年度より特別支援教育が始まりました。広く通常学級に在籍する発達障害がある児童生徒を初め、特別なニーズを持つ子供たちを視野に置いた教育です。特別支援教育の理念は、ノーマライゼーションの思想に基づいて、障害者も健常者も共生していく平等な社会を目指して、学校教育の場で発達保障を実現していく、特別に手厚い教育です。
 東京都では、発達障害、情緒障害を持つ子供を対象に、長く通級指導学級が各自治体に置かれ、個別指導や集団指導、小集団指導など、子供たちにきめ細かな支援を行い、成果を上げてきました。
 こうしたもとで、都の教育委員会は、二〇一六年度から各小学校に特別支援教室を設置しています。特別支援教室とそれまでの通級指導学級との違いについて、まずお聞きします。

○小原特別支援教育推進担当部長 いずれの制度も、通常の学級に在籍し、知的障害はないが発達障害または情緒障害があり、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度の児童を対象とする通級による指導を行うものでございます。
 従前の制度では、おおむね六校に一校程度の通級指導学級設置校に児童が通っておりましたが、特別支援教室では、巡回指導教員が各校を巡回し、在籍校で特別な指導を受けられるようにいたしました。
 これによりまして、他校への移動時間や移動時の安全確保といった児童及び保護者の負担を軽減いたしますとともに、在籍学級での授業のおくれに対する児童の不安軽減を図っております。
 さらに、巡回指導教員と在籍学級担任との連携が進むことで、在籍学級におきましても、児童の個別の課題に応じた指導を適切に実施することが可能となっております。

○とや委員 東京都は、特別支援教室を設置するに当たり、発達障害の児童生徒は全ての学校に在籍していると推測されている中、情緒障害等通級指導学級で指導、支援を受けているのは一部の児童生徒にとどまっていると、発達障害の児童や生徒にとって、必要な指導、支援を実施するための施策が必要であるとしています。
 通級指導学級から特別支援教室に移行したことによって、在籍児童はどのように変化をしたのか教えてください。

○小原特別支援教育推進担当部長 小学校における特別支援教室の児童数は、平成二十八年度は九千四百六十九人、平成二十九年度は一万二千九百八十七人、平成三十年度は一万六千九百三十五人となっております。

○とや委員 済みません、教員数も聞いたつもりでいたんですけれども、お願いします。

○小原特別支援教育推進担当部長 教員数でございますが、平成二十八年度は千百三十二人、平成二十九年度は千三百七十五人、平成三十年度は千七百四十四人でございます。

○とや委員 済みません、私がちゃんと質問していませんでした。
 実際、二〇一二年の文科省の調査では、小中学校全体で九三・三%が当時、通級による指導を受けていないという結果を発表しています。
 特別支援教室の在籍児童数の増加は、潜在的に指導や支援を必要としている子供たちがいることを裏づけているのかなと思います。今後も児童数は増加することが予想されるような数字だと思いますけれども、子供たちにきめの細かい指導を行っていくことが必要だと考えます。
 東京都は、特別支援教室を始める際の保護者への説明で、特別支援教室導入により期待される効果として、これまでの通級指導学級による指導を全ての小学校で実施することで、より多くの児童が支援を受けられるようになる、在籍校での個別指導や小集団指導を通して、児童の学力や在籍学級における集団適応能力の伸長が図られる、在籍学級担任と巡回指導教員との連携が緊密になり、指導内容の充実が図られると説明しています。
 教育委員会が特別支援教室を設置する際に表明をされました趣旨としては重層的な指導が可能になる、さらに教育水準はこれまでと同じだということが、保たれているという認識でしょうか、よろしくお願いします。

○小原特別支援教育推進担当部長 特別支援教室の開始によりまして、通常の学級、特別支援教室及び固定学級の役割分担を明確にいたしました重層的な支援体制が整備されているところでございます。
 また、特別支援教室における指導に当たりましては、対象児童一人一人の障害の状態などを的確に把握し、これに基づく指導目標、指導内容及び指導形態に関する方針などを個別に確定いたしております。この点は、従前の情緒障害等通級指導学級と変わっておりません。

○とや委員 東京都は、二〇一〇年に発表した特別支援教育推進計画第三次実施計画で重層的な支援体制として記載されておりました、第一層目として、特別支援教室、在籍校における支援体制の整備、二層目は、通級指導学級、情緒障害等通級指導学級が巡回指導の拠点になるとともに従来どおりの教育機能、小集団機能をも堅持する、第三層として、固定学級としておりました。
 ところが、実際には、二〇一六年度に特別支援教室を導入した際に、通級指導学級をなくしてしまいました。その理由は、モデル事業で情緒障害等通級指導学級の抱える課題を解決する成果が得られたということでした。
 しかし、資料によれば、通級指導学級のときと比べて、教員一人当たりの児童数は年々増加しています。
 教員にとっても、児童にとっても、負担が重くなっているように思いますが、教育委員会として、実際に学校の様子を見るとか、状況を把握しているのでしょうか。

○小原特別支援教育推進担当部長 特別支援教室の運営実態につきましては、今年度、区市町村教育委員会に対する書面調査及びヒアリングを実施いたしますとともに、一部の学校で現場調査を行っております。
 調査によりますと、児童の週当たりの指導時間は、通級指導学級のときには四単位時間が最も多い値であったのに対し、特別支援教室導入後には二単位時間と減少いたしております。
 これは、児童が在籍校で指導を受けられるようになったことによりまして、在籍学級を離れなければならない特別支援教室での指導時間をきめ細かく最小限に設定することが可能になったためでございまして、児童数がふえたから指導時間を減らしたということではございません。
 指導対象児童数に応じて教員配置を行っており、児童数が増加いたしましても適切に特別支援教室が運営されるよう、引き続き、実態把握に努めてまいります。

○とや委員 実際に確認していると。児童数がふえたから指導時間を減らしたという事実はないとお答えになりました。
 しかし、全ての学校の特別支援教室を確認したわけではないと思います。
 さらに、四単位が二単位に減っているわけですから、指導時間は減っているんですよ。本来、在籍校に教室があれば、通学に要する時間が短縮されるわけだから、よりきめ細かく、充実し、たっぷり時間をとることができるのに、それがされていないと思います。
 また、いただいた資料をさらに見ましたら、通級学級のときには教員一人当たりの児童数は六・七人でしたけれども、特別支援教室に移行して二年目の平成二十九年、二〇一七年では既に、教員一人当たりに対して児童は九・四人、今年度は九・七人にふえています。
 教員の配置基準は十対一、一人の教員に対して十人の子供たちですから、この基準は守っているというふうなことになると思いますが、本当に、対象児童十名で教員一人という配置基準がきちんと守られているのか、確認をさせていただきます。

○小原特別支援教育推進担当部長 特別支援教室の教員につきましては、週当たり一時間以上の指導を受ける年度当初の児童数を区市町村ごとに算定いたしまして、児童十人につき一人の教員を配置いたしております。
 年度当初の指導児童数に基づき教員数を決定するという点につきましては、従前の通級指導学級と同様でございます。

○とや委員 いただいた資料でも、対象児童十名につき一人の教員配置という基準は、自治体ごとに見ると守られているように見えます。
 しかし、学校ごとに見るとどうでしょうか。十人に一人が必ずしも配置できていないという実態があります。学校ごとのアンバランスもあります。年度途中で入っている子供もいるので、年間を通じて教員一人当たり十名が堅持できていません。
 私たち、校長会とか、副校長会からもお話を伺う中で資料もいただきましたが、例えば、四月から七月までの間に何と六十八人の子供たちがふえたから、既に教員が不足しているという学校があって、とっても大変だという声が届いています。教育委員会にも届いているはずです。
 こうした、子供がふえているために配置基準が守られていないという状況を、東京都として把握しているのでしょうか、もう一度お答えいただきたいんですが。

○小原特別支援教育推進担当部長 先ほど答弁したものの繰り返しになるんですが、特別支援教室の教員につきましては、週当たり一時間以上の指導を受ける年度当初の児童数を区市町村ごとに算定して、児童十人につき一人の教員を配置いたしております。これは、年度当初の指導児童数に基づき教員数を決定するということでございまして、この点は従前の通級指導学級と同様でございます。

○とや委員 聞いたことにちゃんとお答えになっていないんですよね。教員の配置については、校長会とか、副校長会からも要望が出ています。私は看過できない重大な問題だと思っています。
 特に、特別支援教室に通ってくる子供たち、この教室の特性として、授業の中でこの子は特別な指導が必要じゃないかと気がつくことが、担任の先生であったり、周りの大人たちだったり、保護者であったり、多々あります。だから、年に数回、判定会議が行われて、その都度子供たちの入室あるいは退室が決まっていくと。年度の途中でいろんな動きがあるということを、教育委員会もわかっているはずです。
 ぜひ、年度当初からゆとりを持って教員を配置する、あるいは期限つき教員制度を活用して年度途中にでも教員を配置すべきではないでしょうか、お答えください。

○小原特別支援教育推進担当部長 ただいま二点、あったと思います。
 まず、年度当初から児童数の増加を見込んで多目に教員を配置しておくという質問があったかと思います。この点でございますが、特別支援教室の教員の配置は、学校職員の定数に関する条例に基づき行われておりまして、教員の人件費負担につきましては、国庫負担にも関係いたしますことから、教員定数の積算には明確な根拠が必要でございます。
 したがいまして、明確な根拠を欠いて、多目に見込んでおくということはできないものでございます。
 また、期限つき教員制度を活用して年度途中にという点でございますが、これも先ほど答弁したとおりでございますが、年度当初の指導児童数に基づき教員数を決定するという点は、多目に見込むというところの答弁も含めてお考えいただければ、動かすことができないということでございますので、同じ答弁になります。

○とや委員 教育委員会は、今までの水準を確保する、維持するといって、特別支援教室を開始しました。教員が不足していれば、年度途中にでも配置すべきです。この問題については重ねて要望をしておきます。
 次に、指導とか支援の内容について、どういうふうに教員や子供たちに影響しているのかという問題について伺います。先ほども申し上げましたが、児童の数がふえれば、巡回指導を受ける時間が当然減っていきます。それは物理的に歴然とした事実です。質、それから量ともに、十分でなくなるというふうに思います。
 これまで成果を上げてきた小集団指導と個別指導などを組み合わせた指導も不可能になるのではないか、そうした危惧があります。お答えください。

○小原特別支援教育推進担当部長 特別支援教室における指導時間や指導内容は、これまでの通級指導学級と同様、児童の障害の状態などの的確な把握に基づく各校の校内委員会や区市町村教育委員会の判断により、適切な指導時間と指導内容を設定することといたしております。
 このため、児童数がふえれば指導時数が減るということはございません。
 また、小集団指導と個別指導を組み合わせた指導につきましても、児童の障害の状態などに応じて、これまでどおり行われております。

○とや委員 私も実際、学校の指導について調査をさせていただきました。児童がふえる中、巡回は週に一回、行けて二回だということですから、子供の指導を受ける時間がどんどん減っている、巡回できる日が決まっていて、相性の合う子とそうでない子の日をかえたりもできない、これまでの指導時間も確保できていない現状があることがわかりました。
 専用教室も確保できていないところは小集団指導もできないし、個別指導は、パーティションで区切っても隣の声が聞こえて子供たちが落ちつかないという実態もあります。
 これでは、これまでの通級と同じ指導が可能とした内容について、約束が守られていないのではないでしょうか、お答えください。

○小原特別支援教育推進担当部長 先ほども答弁いたしましたとおり、特別支援教室における指導時間や指導内容は、これまでの通級指導学級と同様、児童の障害の状態などの的確な把握に基づく各校の校内委員会や区市町村教育委員会の判断により、適切な指導時間と指導内容を設定することといたしております。

○とや委員 さっきと答弁が同じで、約束は全く守られていないことは事実だと指摘しておきたいと思います。
 物理的に無理があるんですよ。ぜひ改善していただきたいと要望しておきます。同じ答弁になるから、もういいません。
 それから、そもそも全都的に教員は不足しています。大変深刻になってきていますが、特別支援教室に配置される教員は本当に足りているのか、この問題については、発達障害や情緒障害の専門的分野を経験している教員がきちんと配置されることが必要だと思っています。
 経験の浅い教員や初任者が子供たちを十分指導することは大変難しいのじゃないかと思いますが、現状についてお答えください。

○安部人事部長 特別支援教室の教員については、児童生徒数に応じて必要な定数を措置しております。
 また、区市町村教育委員会の要望を踏まえ、特別支援教育の指導経験がある教員と経験のない教員を組み合わせるなど、今後の教員の育成も加味しながら、適材適所の配置に努めているところでございます。
 さらに、特別支援教室の円滑な運営と教員の指導力の向上を目的に、実践事例集を全小学校へ配布するとともに、新たに特別支援教室担当になる教員などを対象に講習会も開催するなど、専門性の高い人材の育成と確保を図っているところでございます。

○とや委員 やっぱり専門的な知識や経験がある教員が配置されるというのは、子供たちにとっても非常に大事だと思っています。にもかかわらず、初任者を配置せざるを得ないといった学校もあるというふうに聞いています。そういった点ではやはり、教員任せにしないで、東京都としても、ぜひ支援をしていただきたいと思っています。
 発達障害は、専門的知識や経験がないと、子供にとっても、教員にとっても、成果を上げることができない、そうなれば、苦しむことになるし、ストレスもたまります。今答えていただいた、ベテランと初任者を組み合わせて経験を積んでもらうというふうにありましたが、ぜひここを徹底していただきたいと思っております。
 また、教員の働く環境が大きく変わりました。そのことで問題も起きています。制度発足時、教員が各校を巡回することで、所属意識、意欲を持ち続けていけるよう配慮すると説明を受けていましたが、現在、学校で孤立するなど困難な状況があるということです。改善すべきではないでしょうか、お答えください。

○小原特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、平成三十年六月に改定いたしました小学校における特別支援教室の導入ガイドラインの中で、拠点校における巡回指導教員同士の情報共有や業務に係る調整のための時間の設定の必要性について記載しております。
 また、巡回校におきましても、巡回指導教員が、巡回校の教員として当該校の職務に専念できるようにするため、職務環境を整えるとともに、巡回校の校長は、巡回校の全教職員に対して、巡回指導教員が勤務する日は当該校の教員であるという意識を持たせるよう努めております。
 都教育委員会は、今後も引き続き、巡回指導教員が拠点校及び各巡回校において所属意識を持てるよう配慮に努め、区市町村教育委員会に対して助言をしてまいります。

○とや委員 中には、先生が休憩時に給湯設備を使うこともはばかられるとか、水筒を持ち歩いているという話も伺いました。ぜひしっかりと助言、支援もお願いします。
 教員の働き方について、もう一つ伺いたいと思います。
 通常学級の場合認められている体育軽減、あるいは妊娠した際に認められている通勤軽減も曖昧になっている現状があります。教育委員会の考えをお聞きします。

○安部人事部長 特別支援教室の巡回指導教員においても、教員が妊娠し、体育実技に準ずる授業を軽減する必要がある場合は、授業時数の軽減を行えることとなっており、その旨、毎年度、各区市町村教育委員会に対して周知しております。
 また、自宅から特別支援教室の置かれている勤務校に往復する場合も、管理職の判断により、他の教員と同様に妊婦通勤時間を取得することが可能であり、このことについても各区市町村教育委員会に対し周知を行っているところでございます。

○とや委員 現場の先生方などに話をお聞きしますと、実際には、体育軽減も通勤軽減もとれずに体を壊してしまった、あるいは流産してしまったという例を聞いています。
 制度があるのであれば、活用できる条件を整えていただきたいと思っていますが、これは確認ですけれども、条件に該当する人が申請すれば、代替の教員は必ずつけてもらえる、こういう理解でよろしいでしょうか。

○安部人事部長 体育実技に準ずる授業を軽減する場合があると認める場合には、軽減を行えるとなっておりますので、そうした手続を区市町村教育委員会を通してやっていただく形になるかと思います。
 また、妊婦通勤時間の方につきましても、母体保護の関係で行っているものでございますので、そうした趣旨にのっとって判断していくことが適切であるというふうに考えております。

○とや委員 仕事の性質上、大変難しいんじゃないかなと私も思っていまして、実際は、なかなかとれていないという現状があります。こういう点からも、ぜひ区市町村にこの制度について徹底をしていただき、実際にとれるように条件を整えていただきたいと要望しておきます。
 次に、特別支援教室の教育環境についてですけれども、特別支援教室の設備や物品の購入について、東京都のガイドラインでは、教材等の主な対象としては、机や椅子、ホワイトボード、学習用教材等であるということ、それから、必要な物品の購入により、それぞれの障害の状態に応じた教材等が各小学校で共通して使用できるようになり、巡回指導教員が巡回するたびに教材等を持ち歩かなくてもよい環境を整えていくとなっていますが、実際どのように予算がつけられているのでしょうか、教えてください。

○小原特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、区市町村教育委員会における特別支援教室の円滑な導入を支援するため、小学校については、平成二十七年度から平成二十九年度までの間に、教材等の物品購入に要する経費を一校当たり三十万円、教室環境の整備に要する簡易工事相当の経費について一校当たり七十万円をそれぞれ上限とした全額を補助いたしております。

○とや委員 三十万円と七十万円の補助を初年度にしたということですけれども、現状はどうかというと、大変な困難を抱えています。巡回教員の方々は、教材は自分で持っていかなければならないし、必要なパソコンもないし、電話もないし、教材のコピー一つとるのも大変だという環境です。
 東京都として、改めて調査の上、支援すべきではないかと思います。
 さらに、現場の声をよく聞いて、最低限必要な設備の基準をつくるべきと考えますが、いかがでしょうか。

○小原特別支援教育推進担当部長 小学校におけます特別支援教室の施設や設備につきましては、各校の実情に応じて、設置者である区市町村教育委員会が適切に判断し、整備するものでございます。
 なお、文部科学省が発行いたしました障害に応じた通級による指導の手引には、通級指導教室を設けるに当たり考えられる教室環境の整備につきまして、障害種別ごとに示されているところでございます。

○とや委員 余りいい答弁ではなかったんですけれども、時間がないので、意見をいいます。
 教育委員会は、これまでと変わらない、むしろよくなると、通級指導学級を廃止して特別支援教室を導入しました。私たちはこのとき、新しい教員配置基準では三割も教員が減らされることを確認し、これまでの通級指導ができなくなることを厳しく批判しました。
 現在、今まさに、教員の負担はこれまでと比較にならないほど重くなって、子供たちに対しては、通級指導学級の当時可能であった小集団指導、個別指導など、一人一人に合った指導もできなくなっている学校があります。
 教室も、専用室があればいいですが、ないところは兼用ですから、必要な備品をそのままにしておくこともできないし、学校の理解が不十分なところでは、先生が孤立してしまったり、教員同士の交流も困難になっています。
 もともと教育委員会は、発達障害を持つ子供たちが増加するもとで、特別支援教室に教員を巡回させるやり方を採用して、子供の増加に合わせた教員数の増加をせずに済むという仕組みをつくったのです。そして、そのしわ寄せは、全て教員や子供たちが今こうむっております。
 今後、中学校も、条件の整ったところから順次特別支援教室に移行するとのことですけれども、中学生は特にデリケートな年齢でもあります。巡回指導については、いま一度見直していただいて、通級指導学級も復活して、子供一人一人に合った指導が可能となるよう教育環境を整えることを強く要望して、次の質問に移ります。
 夜間中学校についてです。
 二〇一六年、教育機会確保法が成立し、中学校夜間学級は法的な位置づけが与えられました。戦後の混乱期に、昼間、学校に通えない状況の子供たちを夕方から教える夕間学校として、夜間中学が始まったと聞いています。
 中国残留邦人の帰国者を初めその関係者や、結婚によって日本に来た外国人の方々など、さまざまな国の人たちも迎えて、二〇一五年には形式卒業者の入学も始まりました。今後、夜間中学の果たす役割はますます重要になると思います。
 そこで伺いますが、現在都内に八校ある夜間中学校の概要と生徒の在籍人数、そして中学校既卒者の人数についてお示しください。

○太田地域教育支援部長 中学校夜間学級は、義務教育の機会の保障を目的として設置され、学齢期を超過した義務教育未修了の方等が学んでおり、就学の機会を提供しています。在籍人数は、平成三十年五月一日現在、八校で三百四十人でございます。
 また、平成二十八年の義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律の制定を受けて、都内の夜間学級においても、不登校などにより中学校で十分学べなかった方々が毎年入級しております。平成三十年五月一日現在の在籍者中、中学校既卒者は三十人でございます。

○とや委員 不登校などで中学校で十分学べなかった、そういった方々が毎年入級してきて、既卒者もふえて、三十人ということです。
 そこで伺いたいんですが、教育委員会として、夜間中学に配置をしている養護教諭は、現在、非常勤または年間五十日二百時間勤務の一般賃金職員が配置されていると聞いていますが、どのような状況なのか、なぜ正規の養護教諭が配置されていないのか、教えてください。

○安部人事部長 国のいわゆる標準法におきましては、夜間学級は独立した学校ではなく、昼間の学級と合わせて一つの学校として教職員定数を算定しており、養護教諭については、学校全体で一名となっております。
 都教育委員会では、昼間の中学校の養護教諭の配置に加えて、夜間学級に対する措置として、非常勤教員の養護教諭の配置、または設置区市に対する臨時職員の賃金等の予算措置により対応しているところでございます。

○とや委員 標準法で学校に配置しているからということですけれども、現在、都内の公立学校で養護教諭が配置されていない学校は、夜間中学以外にありますか。

○安部人事部長 平成三十年度において、都内公立学校で養護教諭が配置されていない学校は、島しょ地域等の小中学校や通信制高校などでございます。小中学校の養護教諭については、相互に兼務するなど適切に対応しております。
 また、通信制高校につきましては、国の基準に定めがなく、日常的に生徒が通学してはいないことから、未配置となっているものでございます。

○とや委員 島しょ地域の小中学校は、同じ敷地内であったり、近隣であると聞いています。もちろんそれぞれの学校に養護教諭が配置されるべきと考えますけれども、夜間学級、夜間中学との違いは、生徒が学校に来ている時間帯に養護教諭がいるかどうかです。夜間中学に通う生徒は、その学校の生徒であります。
 例えば、生徒が授業中に気分が悪くなったり、保健室に行ったとき、養護教諭がいない場合、どうしたらいいのか、ぜひお答えになっていただきたいと思います。

○安部人事部長 先ほどもご答弁いたしましたが、都教育委員会では、昼間の中学校の養護教諭の配置に加えて、都独自として、夜間学級に対する措置として、非常勤教員、もしくは賃金による対応を行っているところでございます。
 また、具体的には、夜間学級では、この非常勤教員の養護教諭や臨時職員が不在の場合であっても、他の公立学校で養護教諭等が出張で不在の場合と同様に、副校長や担任、保健給食主任などが急病等の生徒に対応することとしており、緊急時にも適切に対応できる校内体制を整えているところでございます。

○とや委員 聞くところによると、結核によって吐血した生徒もいたと聞いています。
 学校保健安全法では、養護教諭その他の職員は、相互に連携して、健康相談または児童生徒等の健康状態の日常的な観察により、児童生徒等の心身の状況を把握し、健康上の問題があると認めるときは、遅滞なく、当該児童生徒等に対して必要な指導を行うとあります。
 同じ学校の生徒なのに、月十六日の非常勤の職員とか、年五十日一日四時間の一般賃金職員では、生徒のいる時間帯全体をカバーすることはできません。正規の養護教諭の配置を強く求めておきたいと思います。
 また、もう一つお聞きしたいと思います。教育環境にかかわってですが、公立学校には現在、スクールカウンセラーが配置されていますが、夜間中学はどうなっているのか、配置状況をお示しください。

○宇田指導部長 東京都公立学校スクールカウンセラー設置要綱におきまして、スクールカウンセラーは、区市町村立の小学校、中学校並びに都立中学校、高等学校などの学校に設置することとしておりまして、特別支援学級や夜間学級といった学級への配置は行っておりません。
 夜間学級の生徒がスクールカウンセラーとの面接を希望する場合は、通常よりも早い時間に登校し、カウンセリングを受けているといった例はございます。

○とや委員 夜間中学によっては配置されている学校もあると聞いています。スクールカウンセラーについても、養護教諭と同じことがいえると思います。学校に配置されているからいいんだというのはおかしいと思います。わざわざ早く来なければカウンセリングを受けられないと。早く登校できない生徒はどうするのかと私は思います。
 ぜひ全校に配置していただきたいというふうに思いますが、どうでしょうか。

○宇田指導部長 学校における相談活動は、スクールカウンセラーのほかに、担任、また学年の教員等もおります。そういった形でもって複数の人間、また、先ほど答弁いたしましたけれども、通常よりも早い時間に登校することが可能な生徒はカウンセリングを受ける、そういった形が望ましいと考えております。

○とや委員 早く登校できない生徒はどうするのかと私は思いますよ。夜間中学には、特別支援学校を卒業した、そういった生徒さんも来ているというふうに聞いています。そういった中で、本当に、特支を卒業した生徒さんにどう対応していいかわからないと担任の先生からの悩みも寄せられています。こういうところにぜひ心を寄せていただきたいと思います。
 次に、日本語学級について伺います。
 現在、夜間中学には外国人の人たちも多く通学しておりますけれども、全く日本語を話すことができない人たちが日本語学級で学んでいます。
 学級の設置状況、教員の配置状況をお示しください。

○太田地域教育支援部長 中学校夜間学級の学級編制は、通常学級の学級編制と同様に学年ごとに編制されており、また、日本語学級を設置する場合の編制基準は、一学級二十人でございます。
 日本語学級は、八校中五校に設置され、二学級の学校は四校、三学級の学校は一校であり、全校で十一学級でございます。
 教員の配置は、教員配置基準により、必要な定数を適切に措置し、二学級の学校は三人配置、三学級の学校は四人配置であり、全校で十六人でございます。

○とや委員 一定の教員の配置はあるということですけれども、日本語学級は、夜間中学に通う日本語を全く話すことができない人たちにとって、生きていく上で、また日本で働いていく上でも大変重要です。国の調査では、日本国籍を有しない人が夜間中学に入学した理由で一番多いのが、日本語が話せるようになるためで、三三・三%に上っています。
 夜間中学は、義務教育を修了していない人たちに教育を保障しているわけですが、当事者の人たちにとっては、日本語の習得の勉強のためにも、生きる上でも、大変切実な問題となっています。
 ぜひ加配で教員をつけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○安部人事部長 公立中学校夜間学級の教職員定数につきましては、国のいわゆる標準法に夜間学級の規定がないことから、夜間学級の実情を勘案し、都独自に一校当たり七人を措置しております。
 さらに、日本語学級につきましては、現在、八校の夜間学級のうち五校に設置されておりますが、都独自に合計で十六名の教職員定数を措置しております。
 教職員定数の改善につきましては、国に対し要望しているところであり、引き続き、国の動向を踏まえ適切に対応してまいります。

○とや委員 夜間中学は、幅広い年齢層の生徒さんが通っているという特徴を持っています。日本語学級の話を聞くと、若い人の吸収力とか記憶力と、五十代、六十代の人の記憶力とかでは大きく差があって、なかなか覚えることができなくて、自信がなくなって、来なくなってしまった人がいると聞いています。
 せっかくある日本語学級が、生徒さんたちの自信につながるよう、環境を整えていただきたいと思います。ぜひ加配についても今後検討してください。
 次に、夜間中学のPR、広報について伺います。
 二〇一六年の内閣府の調査によると、全国のひきこもりの方々は、十五歳から三十五歳で五十四万人を超えるといっております。不登校を機に長期にひきこもりになることが多いと分析していますが、不登校やひきこもりのある人たちも、夜間中学の存在を知って、通うようになっていて、社会復帰できているということもあります。
 現在の夜間中学紹介ビラをさらに工夫して、幅広い人たちに来てもらえるようにしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。

○太田地域教育支援部長 都教育委員会は、毎年、あなたも公立中学校夜間学級で学びませんかという夜間学級を紹介するチラシを作成しており、区市町村立図書館を初め、ボランティアセンターや生涯学習センター、社会教育会館や公民館、都立図書館を初め都立の教育関係施設等に配布し、広く掲示、配布の依頼を行ってまいりました。今年度も、四千三百枚作成予定でございます。
 また、夜間学級につきましては、都教育委員会のホームページにおいて、平仮名と英語の併記により紹介してございます。
 引き続き、不登校などさまざまな事情により中学校で十分学べなかった方に対し、夜間学級に関する広報に努めてまいります。

○とや委員 この夜間中学の最後の質問ですけれども、夜間中学卒業後の進路なんですけれども、進路状況については、お聞きすると、二十八年の三月の卒業者総数百二十四名のうち、全日制が二十二名、定時制四十九名、各種学校への入学者が一名、就職者は三十五名ということです。
 また、昨年は、百六十二名の生徒さんたちが、全日制高校に十四名、定時制高校への進学者は七十二名ということでした。
 現在、東京都は定時制四校を廃止しようとしておりますけれども、定時制高校は夜間中学校の卒業生の進学先でもあります。廃止をすれば、選択肢を狭めてしまい、進学を諦める人も出てくるのではないでしょうか。この点についてお答えください。

○増田教育改革推進担当部長 夜間学級の生徒の進路は多様であり、高等学校への進学は夜間定時制課程だけではなく、全日制課程や昼夜間定時制高校にも進学しております。
 都内で夜間学級を設置している中学校が八校であるのに対し、都立夜間定時制課程の平成三十一年度生徒募集は四十一校で実施することとしており、夜間学級から夜間定時制課程への進学を希望する生徒の選択肢は十分確保されているものと考えております。

○とや委員 選択肢は十分あるということですが、私は、夜間中学に通う人から相談を受けたことがあります。その方は八十歳を超えてから夜間中学に通いました。家が貧しくて中学に行くことができなかったからです。この方はニュースでも大きく取り上げられて、生き生きと夜間中学に通って、若い人たちと一緒に学ぶことができることが本当にうれしいといっていました。卒業式には着物を着て出席しました。
 そして、もっと学びたいと夜間の定時制高校を受けて合格し、学習内容は大変高度になっていますから苦労もしていますが、卒業することができました。その方が夜間定時制に行こうと思えたのは、通える範囲に夜間高校があったからです。
 こうした人たちの道を都の教育委員会は閉ざしているといわざるを得ません。教育委員会は、進学を希望する生徒の選択肢は十分確保していると、ただただ数のみで判断をしています。このような機械的な発想では、教育委員会としての役割を果たしているとはいえないと思います。
 夜間定時制高校の廃止は撤回し、これまでどおり誰もが通える範囲に設置することを強く要望して、次の質問に移ります。
 給付型奨学金についてです。
 私ども共産党の都議団は、これまで繰り返し、高校生の学費の無償化、負担軽減を求めてまいりました。
 二〇一七年度は、小池都知事が都民の要望を受けて、私立高校生への授業料負担軽減補助制度を拡充し、都立高校などの生徒に対しては独自の給付型奨学金制度を創設しました。世帯年収約三百五十万未満の生徒に対し、学校の教育活動として行われる資格試験の受験や合宿などの費用を給付する制度であります。
 まず、この都独自の給付型奨学金について、きょうは資料もつくっていただきましたが、改めて、都立高校と特別支援学校それぞれの予算額、決算額、それから執行率について伺います。また、具体的にどのような使われ方をしたのか、また、給付型奨学金制度を設けたことでどんな効果があったのか、生徒や学校からの声があれば教えてください。

○江藤都立学校教育部長 平成二十九年度の給付型奨学金につきまして、都立高校等は、予算額が十三億五千百八万円、決算額が二億七千五百九万九千二百九十三円、執行率二〇・四%となっております。都立特別支援学校は、予算額七千四百万円、決算額は三百六十五万一千六百三十九円で、執行率は四・九%でございます。
 本制度を活用した学校では、模擬試験や英検等の各種検定試験の受験料や勉強合宿や語学学習にかかわる経費に支出いたしました。学校からは、新入生全員へのタブレットPC導入に際して保護者の理解を円滑に得られることができたや、TOKYO GLOBAL GATEWAYでの語学研修を新たな学校行事にすることができたなどの声が届いております。

○とや委員 先ほどもこの質問は出ておりまして、執行率は、都立高校は二〇・四%、都立特別支援学校は四・九%と非常に低い状況です。
 資料によりますと、受給者数はほぼ見込みどおりなのですが、申請者数が少ないというより、一人一人に給付された金額が少なかったということだと思います。計算しますと、一人当たり都立高校では約八千七百円、特別支援学校で二千三百円しか給付されておりません。
 所得によって、五万円、または三万円まで給付できるのに、どうしてこんなに少ないのか、理由を伺います。

○江藤都立学校教育部長 本制度は、平成二十九年度から新たに事業を開始したものでありますが、本決定を都立高校等に周知した予算案発表時点において、各学校では既に平成二十九年度の教育課程が編成されていたことから、ほぼ従前からの教育活動の範囲の活用にとどまり、一人当たりの支給額が限度額に及ばなかったという事情がございます。
 加えて、初年度のため、全学年の生徒を対象に給付認定を行う必要があったことから、事業対象期間が十分確保できなかったという制度開始時特有の理由もございました。

○とや委員 せっかく都として都立学校の生徒の学びを支えるために予算をとったのですから、しっかり給付されるようにしていただきたいと思っています。
 決算を踏まえ、どのような対応をするのか伺います。給付型奨学金の支給対象となる教育活動についても、ニーズを踏まえ、幅広く認めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○江藤都立学校教育部長 都教育委員会は、本制度のさらなる活用に向け、学校、生徒、保護者等への広報活動の充実のほか、生徒や教員からの要望を把握し、ニーズの高い新たな事業への活用を積極的に検討しているところでございます。
 今後も、都立高校等が計画する給付対象事業を多様化させるとともに、事業対象に多くの生徒が積極的に参加するよう呼びかけ、本制度がより有効に活用されるよう取り組んでまいります。

○とや委員 ニーズの高い事業への活用を積極的に検討するということです。生徒や先生の意見もよく聞いていただいて、より役に立つ制度に改善していただくことを要望します。
 文科省の子供の学習費調査を見ると、保護者が負担している公立高校の学校教育費用は、全国平均ですけれども、授業料を除いても二十五万ほどかかっています。
 国の奨学のための給付金でカバーできる費用は最大で十三万円弱ですし、奨学のための給付金の対象外の生徒もおります。修学旅行や校外学習、定時制の給食費、教科書や教材費なども含め、支給対象の拡大の検討をお願いします。
 また、学校によっては、年度初めに受給申請をして認定されても、さらに、パソコン検定などを受けるたびに、この試験の受験料は給付型奨学金を充ててくださいと希望を出さなければならない、大変だというお話も伺いました。そうしたことも含めて、ぜひ給付を受けやすい仕組みを工夫していただきたいと思っています。
 対象者の拡大についても要望をいただいております。給付型奨学金の対象となるのは、都立高校生の二割強にすぎません。PTAなどからは、対象者がもっとふえるように所得制限を引き上げてほしいという要望も伺っていますが、いかがですか。

○江藤都立学校教育部長 給付型奨学金は、奨学のための給付金の対象となっていない、義務教育における就学援助制度の対象世帯と同等の世帯まで対象としており、適正な支給範囲と考えております。

○とや委員 奨学のための給付金よりも対象範囲が広いことはとても重要なんですけれども、保護者からの要望もありますので、ぜひ拡充をお願いしたいと思います。
 最後に、現在、都立高校生が受けられる給付制の学費支援として、国制度の高校就学支援金、奨学のための給付金、そして都独自の給付型奨学金と三種類があります。貸与制の育英資金も入れれば四種類になります。
 名前も似ていて、どう違うのか、自分がどれの対象になるのかわかりづらい、よくわからないとの声もあります。わかりやすい説明に、より一層努めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 また、奨学のための給付金については、申請期間が短くて、特に自営業の場合は大変だと申請期間の延長を求める声をいただいていますが、いかがでしょうか。

○江藤都立学校教育部長 都立学校等の支援制度について、わかりやすく一つにまとめたリーフレットやホームページにより周知するとともに、個別に申請意思の有無を確認するなど、申請漏れの防止についても徹底を図っております。
 奨学のための給付金の申請に当たりましては、国の定めにより、七月一日時点での状況で申請書等を提出していただくことになっておりますが、七月一日以降、提出期限までは約一カ月半を確保しております。
 なお、入院や長期出張などやむを得ない理由により申請者から連絡があった場合に限り、申請期限を過ぎてからの申請書の提出を認めております。

○とや委員 学費の負担が軽くなるのはとても重要ですけれども、授業料についてはこの制度、この費用については別の制度と、複雑であります。私も勉強しましたが、大変難しいなと思いました。特に、奨学のための給付金は、申請時期がほかの二つの制度より遅いので、前に提出したのではないかと思ってしまったり、とてもややこしくなっています。
 いただいた資料を見ても、都の給付型奨学金の交付限度額五万円の受給者数と奨学のための給付金の受給者数は同じになるはずですが、奨学のための給付金の受給者数の方が二千人近く少なくなっています。申請できていないのではないかと気になります。
 制度が複雑になると、弱い立場に置かれている生徒やご家庭は置き去りになりやすいので、申請漏れが生じないよう、より一層の配慮をお願いしたいと思います。
 高校生の教育を受ける権利を保障し、経済格差を教育格差にしないために、高校生の学費無償化は大変重要です。授業料を無償にする高校就学支援金についても、今の所得制限は、子供の人数についての配慮が少ない、子供が二人いれば教育費は二倍、三人いれば三倍かかるのですから、そこを考えて、都独自に拡充してほしいとの要望もいただいておりますので、ぜひ検討していただきたいと思います。
 そもそも、全員無償にすればそうした問題も生じませんし、子供の教育を受ける権利を保障するという点では、それが本来のあり方だと思います。
 いずれにしても、都独自の給付型奨学金制度の拡充、また学費無償化に向けた制度の拡充を要望いたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○のがみ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○のがみ委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時五十九分散会

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