平成二十九年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第四号

平成三十年十月二十二日(月曜日)
第十一委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長馬場 信男君
副委員長おじま紘平君
副委員長高橋 信博君
古城まさお君
藤井とものり君
奥澤 高広君
森口つかさ君
大場やすのぶ君
上野 和彦君
里吉 ゆみ君

欠席委員 なし

出席説明員
東京消防庁消防総監村上 研一君
次長安藤 俊雄君
理事兼警防部長事務取扱松井 晶範君
企画調整部長清水 洋文君
総務部長柏木 修一君
人事部長佐々木直人君
防災部長鈴木 浩永君
救急部長森住 敏光君
予防部長山本  豊君
装備部長阿出川 悟君
企画調整部企画課長川田  進君
企画調整部財務課長西原 良徳君
主税局局長目黒 克昭君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務小山 明子君
税制部長副島  建君
税制調査担当部長栗原 哲治君
調整担当部長菊澤 道生君
課税部長安藤 敏朗君
資産税部長大久保哲也君
徴収部長川上 秀一君
特別滞納整理担当部長新井 裕二君
政策企画局局長梶原  洋君
外務長山元  毅君
次長理事兼務福田  至君
次長戦略政策担当部長事務取扱松下 隆弘君
理事河内  豊君
理事横山 英樹君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務小室 一人君
調整部長佐藤 智秀君
政策担当部長古屋 留美君
政策担当部長松崎伸一郎君
技術政策担当部長三木  健君
戦略広報担当部長報道担当部長兼務古川 吉隆君
海外広報担当部長梅田 弘美君
ホストシティプロジェクト推進担当部長小野 由紀君
渉外担当部長裏田 勝己君
国家戦略特区推進担当部長米津 雅史君
戦略事業担当部長田尻 貴裕君
計画部長宮澤 浩司君
外務部長加藤 英典君
外務担当部長丹羽恵玲奈君

本日の会議に付した事件
平成二十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
東京消防庁関係
・平成二十九年度東京都一般会計決算(質疑)
主税局関係
・平成二十九年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十九年度東京都地方消費税清算会計決算(質疑)
政策企画局関係
・平成二十九年度東京都一般会計決算(質疑)

○馬場委員長 ただいまから平成二十九年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、東京消防庁、主税局及び政策企画局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより東京消防庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十九年度東京都一般会計決算中、東京消防庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で東京消防庁関係を終わります。

○馬場委員長 これより主税局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十九年度東京都一般会計決算中、主税局所管分及び平成二十九年度東京都地方消費税清算会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○おじま委員 よろしくお願いいたします。
 決算ということで、まずは大枠のところから伺ってまいりたいと思います。
 これは改めて申し上げることでもないんですけれども、決算において何に使ったか、この出の部分と同じく大事なのは入りの部分であると思います。その大きな部分を占めているのが都税収入ということで、この一義的な責任を負っているのが主税局ということであります。
 先日発表になった平成二十九年度普通会計決算によりますと、都税収入の歳入に占める割合は七割ということでございまして、都の事務事業を安定的に、かつ着実に進めていく上で、この都税収入の重要性はいうまでもないと思っております。
 我が国の景気を見てみますと、緩やかな回復傾向が続いてきております。一方で、海外の、例えば経済摩擦だったり金融資本市場の変動があったりして、こういう影響もかなり受けやすいものであると認識をしております。実際、今月の初めにも日経平均株価が一気に千円以上値下がりをしてしまったということもございました。
 過去に学べば、この都税収入については、かつて一兆円近くの減収という事態もございました。特に、この主要税目である法人二税のウエートが、平成二十九年度だと三五%ということでございまして、非常に大きいと思います。同時に、景気変動の影響を大きく受けるがために先の見通しが立ちにくいというのも、この法人二税でありまして、その意味においても他の自治体よりも比較的不安定な構造だといえると思います。
 この景況が穏やかである一方で、東京都の税収動向は正念場、ある意味では修羅場を迎えているのではないかと思っております。これは報道もされておりますけれども、国では、新たな偏在是正措置というのを打ち出しまして、平成三十一年度の税制改正についての検討と準備がただいま行われているということであります。都の税収の動向に全国の注目が集まっているのではないかと思っております。
 そこで、まずは平成二十九年度の都税収入の全体的な状況と傾向について伺いたいと思います。

○副島税制部長 平成二十九年度の都税収入総額は、対前年度三百七十億円増の五兆二千七百三十億円となりました。主な増減でございますが、法人二税は四百十八億円、二・二%の減となったものの、個人都民税は四百二十五億円、四・八%の増、繰入地方消費税は百四十七億円、二・三%の増となりました。

○おじま委員 都税収入全体としては、今ご答弁いただきましたけれども、対前年度で三百七十億円の増収ということでありました。個人都民税も繰入地方消費税も、これも増収ということで、一定の安堵感はあるんですけれども、一方で、先ほど触れました法人二税に関しては、これが減収ということであります。
 これは主要税目の中でも増減が混在しているということであります。特に占めるウエートが大きいような税目については、どんな背景で増収になったのか、あるいは減収になってしまったのか、このところも確認をしておきたいところでございます。
 そこで、主要税目について、まず、それぞれ増収あるいは減収の要因が何だったのか伺いたいと思います。

○副島税制部長 法人二税は、卸売業、建設業などの企業収益が堅調に推移したものの、金利低下に伴い、都においてシェアの高い金融業において、大手金融機関の収益が悪化したことなどにより減収となりました。
 一方で、個人都民税につきましては、都内雇用者数の増加及び給与所得の上昇、加えて株価が年末にかけて上昇したことなどに支えられ、増収となりました。また、繰入地方消費税は、個人消費の持ち直しと設備投資の増加など、好調な消費動向により増収となりました。
 平成二十九年度、一年を通じて見ますと、雇用、所得環境の改善の継続などを背景に、景気は緩やかな回復が続いておりまして、都税収入は六年連続の増収となりました。

○おじま委員 今、六年連続の増収というご答弁もありました。景気動向にもちろん左右されることもあるんですけれども、この調子を堅持していただきたいと思います。
 都税収の安定的確保に不可欠であることは、税が正しく確実に納められることであると思います。徴収率を高めて、滞納も着実に一つ一つ解消していくことが、税負担の公平性の担保という観点からも必要であると思います。
 そこで、この都税全体としての徴収率を見てみると、平成二十三年度以降、七年連続で上昇を続けてきていて、平成二十九年度はついに九九・〇%という数字になりました。当然ながら、これも過去最高の数字であります。滞納繰越額というものを見てみますと、比較的高くなってしまったのが、平成二十年、リーマンショックの後であります。そこから九年、順調にこれは減ってきて、平成二十九年度が百四億円、前年度比較でも九億の減ということであります。これらも努力のたまものではないかと思っております。
 一方で、まだ百四億の滞納繰り越しがあるということでもありますけれども、直近、平成二十九年度の滞納の特徴と要因、滞納について主税局がとってきた対応、滞納圧縮の取り組みですね、これについて伺いたいと思います。

○川上徴収部長 これまでの滞納繰越額の圧縮及び多様な納税手段による新規滞納抑制の取り組みの結果、平成二十九年度の滞納額は引き続き減少いたしました。
 平成二十九年度の特徴といたしましては、当該年度に課税した法人二税の滞納額が増加したことが挙げられます。これに対しては、納税交渉を速やかに開始するとともに、経営状況の調査を進め、資力がありながら納税に誠意のない法人に対しては、迅速かつ的確に滞納処分を執行するなどの取り組みを通じて、滞納の早期解決を図りました。
 このほか、滞納圧縮の取り組みといたしましては、文書や電話、訪問などによる納税催告を行うとともに、納税資力の把握に努め、納税者の実情を踏まえた親切できめ細かな対応を図っております。
 さらに、インターネット公売の活用、差し押さえた自動車の車輪に車どめ装置を装着するタイヤロック、同じく差し押さえた自動車のドアミラーに運行を禁ずる旨の公示書を取りつけるミラーズロックなど、創意工夫を凝らした取り組みも積極的に実施してございます。

○おじま委員 今、創意工夫ということで、インターネット公売、タイヤロック、ミラーズロック、こういうさまざまな取り組みもご紹介いただきましたけれども、これも日々進化してきているということで、引き続き努力を重ねていただきたいと思います。
 次に、個人都民税の税収確保についてであります。
 個人都民税については、平成十九年に所得税から住民税へと税源移譲が行われて、都税に占めるウエートも高くなっておりまして、これもまた重要な税目だと思います。この個人都民税の徴収率というのは、平成二十九年度の決算で九六・八%となっているようであります。これも平成二十四年度から上昇を続けてきておりまして、現在、過去最高ということでありますけれども、これも区市町村との連携が重要な税目でもありまして、ご努力の成果も見られているのではないかと思います。
 しかし一方で、都税全体の徴収率、先ほど触れました九九・〇という数字からすると、九六・八、悪くない数字ではあるんですけれども、ちょっと低目になっているということも事実であります。パーセンテージにすれば二・二%の差なんですけれども、額としては大きいのではないかと思います。
 二・二ポイントのこの要因、個人都民税については何でこの二・二ポイントだけ落ちてしまうのか。その分析について都の見解を伺いたいと思います。

○新井特別滞納整理担当部長 個人都民税は、区市町村が区市町村民税とあわせて個人住民税として課税、徴収し、都に払い込んでいるものでございます。
 個人都民税の徴収率が都税全体の徴収率と比べて低い理由は幾つか考えられますが、主な理由といたしましては、区市町村においては、滞納整理ノウハウが蓄積しづらいことが挙げられます。
 都におきましては、税務専門職である滞納整理専門課長が徴収所管課に配属されており、専門知識の維持と継承が制度上図られているところでございます。
 また、本庁及び都税事務所が二十五所ございますので、徴収部門内での人事異動が可能であり、一般職員も継続的に徴収事務に従事することができ、ノウハウを蓄積する環境が整備されております。
 一方、区市町村におきましては、滞納整理専門課長のような職が設置されている職場は多くはなく、税務部門に属する職場が少ないため、税務部門外への人事異動が比較的多くなります。その結果、専門性の蓄積と継承が難しくなる傾向がございます。

○おじま委員 今、人事面のお話もいただきまして、ノウハウの蓄積の話、ノウハウが区市町村においては蓄積しづらいということでありまして、一方で東京都においては滞納整理専門課長という役職もあるということであります。これも制度と組織の規模の差、マンパワーの差ということもあると思います。
 特に、区市町村の小さなところに関して、この人事面について、どうにかしろということを、都に倣おうとしても、これはちょっと難しいこともあると思います。どうしても厳しいところがあると思います。しかし、いずれにせよ、個人都民税については、区市町村が区市町村民税とあわせて徴収している税ということなので、それぞれの区市町村の状況を踏まえた取り組みを、これは適宜、都がサポートをしていくということでしかないと思います。
 そこで、個人都民税の徴収率の向上に向けた都の取り組みについて伺いたいと思います。

○新井特別滞納整理担当部長 都ではこれまで、区市町村から実務研修生の受け入れや区市町村への都職員の派遣とともに、困難事案の引き受け等の取り組みを行ってまいりました。実務研修生につきましては、区市町村から引き受けた困難事案を都職員とともに処理することで、都の滞納整理ノウハウを習得し、派遣元自治体へ還元しているものでございます。
 平成二十九年度は、二十自治体等から二十六名の受け入れをいたしました。都職員の派遣につきましては、都職員が派遣先職員の身分を併任し、派遣先の職員と共同で滞納整理に当たることで、都の滞納整理ノウハウの提供を行っております。
 平成二十九年度は、四自治体へ派遣いたしました。また、平成二十八年度の地方税法の改正により、現年度課税分のみの滞納につきましても、区市町村から早期に引き受けができるようになり、平成二十九年度は百十八事案を引き受けました。
 今後とも、区市町村との連携を強化するとともに、さまざまな取り組みを通じて個人都民税の徴収率向上に努めてまいります。

○おじま委員 今、区市町村から実務研修生の受け入れ、あるいは都からの派遣、人材交流のお話もいただきましたけれども、こういうものもノウハウだとか情報の交換も含めて、区市町村の効果的なサポートにつながっていくものだと思います。引き続き、これらについても取り組みを強化していただいて、個人都民税についても、これは全体水準の九九・〇%というのがありますので、そこをぜひ目指していただくことをお願い申し上げまして、また次の質問に移りたいと思います。
 ふるさと納税についてであります。
 総務省のポータルサイトによりますと、今は都会に住んでいても、自分を育んでくれたふるさとに、自分の意思で、幾らかでも納税できる制度があってもよいのではないか、そんな問題提起から始まって、数多くの議論や検討を経て生まれたのがふるさと納税の制度でありますと、このように書いてあります。
 生まれ育ったふるさとに貢献できる制度、あるいは自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度、この本旨が書いてあるわけであります。これは納税という言葉が、この制度についているんですけれども、実際には寄附扱いになっているということでありまして、一般的には、自治体に寄附をした場合には、確定申告を行えば、その寄附金額の一部が所得税及び住民税から控除されると。ふるさと納税では、原則として自己負担額の二千円を除いた全額が、これは一方では控除の金額と、対象となるということであります。
 この制度の一つのポイントとなっているのが、返礼品がもらえることだと思います。上限があるんですけれども、それはあるものの、自己負担額を超える部分の税金については、これは全額の控除、裏を返せば、二千円を払えば、二千円を自己負担すれば、ただで返礼品がもらえると、そういうふうにやゆをされていることもありました。実際にそういうふうに触れ込んでいるポータルサイトもありましたし、あるいは、これは無料のネットショッピングだというふうにいわれてしまっているということもあったと思います。しかし、これが一種のブームとなったことで、利用額については右肩上がりを続けているところであります。
 まず、この前提から申し上げますと、先ほど最初に申し上げましたような本旨、制度の本旨自体には、私は反対するものでもないし、否定するものでもないんですけれども、一方で、この制度そのものには、なかなか問題が多いのではないかと思っておるわけであります。
 そこで、まずは東京都への、このふるさと納税による影響、ふるさと納税の制度を利用した都民の数と影響額、ここ三年分ですね、平成二十九年度までのデータを伺いたいと思います。

○副島税制部長 ふるさと納税による都内の適用者数でございますが、平成二十七年度分で約九万人、平成二十八年度分で約二十七万人、平成二十九年度分で約四十九万人でございます。
 また、都内区市町村を含めました都域全体の影響額は、平成二十七年度分で約四十九億円、平成二十八年度分で約二百六十三億円、平成二十九年度分で約四百七十六億円でございまして、三年間で九倍以上増加しております。
 なお、平成二十九年度分におけます都税への影響額でございますけれども、約四百七十六億円のうち約百九十億円となっております。

○おじま委員 四百七十六億円ということでありまして、三年間で九倍というお話もありましたけれども、これは特に平成二十八年度分からは、ふるさと納税ワンストップサービスというものが適用されまして、それ以来、また増加の傾向が著しくなっておるわけでございます。この四百七十六億円のうち約百九十億円が都税の影響額というお話もありましたけれども、これも決して無視をできない数字にもうなってきている段階だと思っております。
 返礼品競争という言葉が最近よく聞かれるようになったと思うんですけれども、この返礼品のあり方自体も大きな問題となっていると思います。もちろん公共性の高いプロジェクトがあって、そこに寄附を募集するクラウドファンディングの活用だったり、あるいは本当に応援をしたい自治体にご厚志を払うなり、ふるさと納税自体には、この寄附文化の醸成に寄与をする面もあることも、これは承知をしていますけれども、やっぱりこの返礼品競争という話になってくると、別なのではないかと思います。
 例えばひどい例を挙げると、先日報道にあったんですけれども、返礼品として寄附額の半額に当たる日本旅行の旅行券、ギフトカードを返礼すると、さらにカード決済を使えば寄附額の一割に当たるアマゾンのギフトカードを送るという、こういうものもありました。
 こういう状態については、さすがに総務省も見かねまして警告を行ってきたということでありますけれども、よりお得な返礼品を求めるということ自体については、理解ができないわけでもないですけれども、税の原則というものだけを切り取ってみれば、お得だとか、お得じゃないとか、そういうことではないのではないかと思っております。
 先ほど申し上げたようなプリペイドカードだったり、宝飾品のたぐいを返礼品として送るというのは、やっぱりこのふるさと納税の趣旨に合致をするとは、本旨に合致をするとは思えないと思っております。
 実際、これは受益者負担の原則という話もありまして、納めるべきところに納めていないと。自分だけが得をする、サービスを受けているところには税を納めない、地方税収の全体から見れば決して好ましい状況にはないということも、これは都民と認識をしていかなければならないのではないかと思います。
 一方で、この返礼品競争について過熱がしてきましたから、国がふるさと納税の健全な発展という観点からも、各地方自治体に対して三割以内という基準を定めまして、あるいは地場産業の返礼品というものに限定をしていくだとか、この一定の見直しを求める通知も出されております。
 しかし、依然として、先ほども申し上げたような例もありますから、通知に沿った対応をしていない、依然としてまだ直っていない自治体もあるということでありまして、先月、そういったところについては対象外とすることもできるよう制度の見直しを検討していくとの総務大臣発言というものもありました。
 そこで、返礼品による寄附の獲得競争、返礼品競争が過熱をしている状況について、東京都としてはどのように認識をしてきているのか、これについて伺いたいと思います。

○副島税制部長 ふるさと納税につきましては、諸外国と比べおくれているとの指摘もございます寄附文化の醸成に一定程度寄与する面があるものと認識しております。
 一方で、副委員長ご指摘のとおり、過熱する返礼品競争や高額納税者ほど控除額が大きいことなどのさまざまな課題に加え、ふるさと納税の利用者拡大に伴い減収を強いられる自治体の財政運営に支障が生じることも考えられるところでございます。
 本来、ふるさと納税は、ふるさとを応援したい、被災地を支援したいなどの気持ちからなされるべきものでございまして、ふるさと納税本来の趣旨に沿った見直しがなされるべきと考えております。

○おじま委員 今、減収を強いられる自治体の財政運営に支障が生じる、本当にもうそこまで考えなければならないフェーズまで、このふるさと納税制度についても来ていると思いますので、これについては東京都としても、断固国と話をしていかなければならないと思いますし、今、私が申し上げてきたようなさまざまな課題についても、これは国と都で共有をしていくというのも必要だと思います。
 一方で、被災地というお話もありました。ふるさとを応援したいだとか被災地を支援していきたいというところも、これもありますので、この制度そのものの本旨に照らし合わせた運営というのを求めていくというのも当然ですし、あるいは、それに沿った改善といえるような抜本的な、本質的なスタンスに立った見直しというところを、ぜひ国に求めていくというのもしかり、国と都でしっかり話し合いをしていくということを求めまして、私からの質問を終わりたいと思います。
 以上です。

○古城委員 私からも平成二十九年度東京都一般会計決算のうち、主税局所管分に関連して、租税教育と納税者の利便性向上について質問をいたします。
 まず、租税教育について質問いたします。
 平成二十九年度の都税の徴収率は九九・〇%と大変高い数値であることが、先日の説明及び資料においても示されているところでありまして、加えて、この都税の徴収率は、近年上昇の一途をたどっており、九八・八%であった昨年度に引き続いて、過去最高を更新しているとのことでありました。
 このような高い水準を更新している背景には、コンビニエンスストアでの収納であるとか、またクレジットカードでの収納、さらにはさまざまな納税手段が充実をしてきている、こういったことによって、都民の皆様にとって納税しやすい環境が整備されてきている、このように考えられます。
 皆様ご承知のとおり、納税は日本国憲法に定められた国民の義務であるとともに、自分たちの社会にどのような公共サービスが必要か、そして、その負担をどのように分かち合うのかについて住民がみずから決めること、このことは民主主義の原点であると思います。行政としても、住民が納めた税金がどのように地域社会を支えているかということをわかりやすく伝え、住民が納得して納税できる説明を行っていくことも大きな役割であると考えます。
 消費税の税率引き上げを来年の十月に控え、さまざまな議論が今行われているところでありますけれども、特に今般、軽減税率について、さまざまな形で取り上げられております。平成二十四年六月の三党合意によって、選択肢として、給付つき税額控除とともに複数税率、いわゆる軽減税率が社会保障と税の一体改革の関連法案に明記をされたところでございます。
 私たち公明党といたしましても、この点について推進をさせていただき、また、しっかりとした準備をしなければならない、改めてこのように強く訴えているところでもございます。
 あわせて、選挙権の年齢が十八歳に引き下げられたことに伴う有権者の拡大も相まって、都民の皆様の税に関する関心、これは今まで以上に高まっていると思われます。
 こうした中で、租税教育は、次代を担う児童生徒が、国や地域を支える租税の意義や役割を正しく理解し、その使い道に関心を持ってもらって、税を通じて社会のあり方を主体的に考える取り組みを進めていくためにも、その役割は大変重要であると考えております。
 私の地元新宿区では、学校現場における租税教育の機運が大変高く、ことしの二月に策定された新宿区教育ビジョンにも、豊かな人間性と社会性を育む教育の充実として租税教育が掲げられています。
 いずれの学校においても、学習カリキュラムが大変タイトな中ではありますが、税理士会の先生など外部講師を招いて、区内の小学校、中学校などで租税教室も多く行われております。都立の戸山高等学校、またさらには私の出身母校でも、この租税教室が行われております。
 東京都の租税教育の取り組みは、全国と比べても工夫を凝らして積極的に取り組んでいると聞いておりますけれども、そこで、税の意義や役割を都民の皆様に正しく伝える都の取り組みの中でも、租税教育の実施状況について説明を求めます。

○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都におきましては、都内の教育関係者や税務関係機関、税理士会や法人会といった民間団体で構成される東京都租税教育推進協議会が平成四年に設置されておりまして、同協議会が推進母体となり、出前授業である租税教室や都内小中高等学校の授業等で活用される副教材の作成など、さまざまな租税教育活動を展開しております。
 租税教室は、東京都租税教育推進協議会を構成している税務署、都税事務所、税理士会や法人会等の各団体が実施しておりまして、東京都全体では平成二十九年度に千四百五十一回の授業を実施し、今年度も同様の規模で行っているところでございます。
 学校で使用する租税教育用副教材につきましても、昨年九月、東京都租税教育推進協議会におきまして、全国に先駆けて高校用副教材を作成し、都内全高校へ配布いたしました。今年度も現場の先生の意見を取り入れながら、さらにブラッシュアップした上で、九月に都内全高校へ配布したところでございます。

○古城委員 今ご答弁の中にありました東京都租税教育推進協議会でございますけれども、これについては都教委を初めとする教育関係者、また、都としては主税局、それ以外には生活文化局も参画していると聞いておりますけれども、また、東京国税局などの税務関係者に加えて民間団体も協力をしていると、こういうふうに聞いておるところでございます。
 自治体や行政、国のほかに、税理士会ですとか法人会という民間の団体、こういう枠組みについては、やはり官民がしっかりとタッグを組んで協力連携しているという形がとられたことによって、子供たちにとってもより充実した副教材が提供されている、このことにつながるのではないかと思います。今後とも各団体との連携を深めて、租税教育を進めていくことを期待したいと思います。
 先ほども申し上げましたけれども、十八歳選挙権が導入されたこともあり、小学生、中学生だけではなくて、社会に出る直前の世代である高校生に対しても、税の重要性や税を通じた社会とのかかわりを伝えていくことが重要視されています。
 ご説明にもありましたけれども、租税教育用副教材、こちらですけれども、私も拝見をしましたが、特に小学生向けの内容については、これは小学校六年生だけではなくて私たち大人も、しっかりもう一度、学び直さなきゃいけないんじゃないかと、そういう非常にわかりやすくまとめられているものだなというふうに思いました。
 さらには、全国に先駆けて作成されたという高校生の副教材ですけれども、これも拝見をしますと、なかなか難しいなというのが率直なところで、私の個人の意見ですけれども思います。これを理解していくに当たっては、子供であろうが大人であろうが全世代的に、税金というのはどういう仕組みであるのか、どういうふうに納めていくのか、またはどういうふうに使われていくのか、こういったことがわかりやすく周知される、こういう機会を、やはり都においてもつくっていっていただくということが大変大事なのではないかなというふうに思っているところでございます。
 ぜひとも、こうした取り組み、主権者教育の面からも進めていっていただきたいと思うんですが、子供たち、児童生徒の中で、どのように理解をしてもらっているのか、また、児童生徒たちは、この租税教室、出前教室や、こういう副教材を通じて、どういうふうに受けとめて、どういうふうに考えてきたのか、そういう意見や要望をぜひとも都として、また、協議会としても受けとめていただいて、今後の取り組みに反映していくべきと考えます。
 そこで、租税教育にどのような工夫を行って、そして、その結果をどのように確認しているのか。また、今後の取り組みについて見解を求めます。

○小山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 主税局が主催する租税教室では、事前にふだん児童生徒たちと接している学校側と綿密な打ち合わせを行いまして、授業への興味が高まるよう内容の構成に工夫をしております。
 例えば一億円分のお札のレプリカを使って、見た目や重さを実感してもらう体験コーナーは大変好評でございます。
 その上で、税がどのように自分たちの地域社会を支えているのか、生活に密接にかかわっているかなど、身近な事柄を題材とすることにより理解しやすい内容となるよう努めております。
 また、租税教室終了後には、どのような内容が効果的であったのかを確認するために、児童生徒にアンケート調査を行っております。
 例えば、小学生では税金はない方がいいと思っていたが、私たちが住んでいるまちがきれいな方がいいので、税金が必要なことがよくわかった。中学生では教わったことを家で話し、家族で税について考えてみたいと思った。高校生では選挙権を得たら候補者の税に関する考え方をしっかり理解し、責任を持って投票したいなど、税に対して関心を寄せる声を多くいただいております。
 こうした意見を今後の租税教室に生かしていくとともに、学校や関係団体等と意見交換を重ね、より効果的な租税教育を実施してまいります。

○古城委員 今、高校生のアンケートの結果として、候補者の税に関する考え方をしっかり理解をして責任を持って投票したい、こういうアンケートの結果でございましたが、これは私たち都議会議員にとっても大変重要な、高校生からのご意見であるというふうに思いますので、しっかり私たちも取り組んでいかなければならないと思った次第でございます。
 ぜひとも、今お答えいただいた児童生徒からの意見、アンケート、さらには現場の先生方のご意見、そして協議会の中でご協力をいただいている税理士会、法人会等の皆様のご意見も、今後の副教材や租税教室に還元をしていただきながら、さらなる充実に努めていただきたいと思います。
 加えて、教室外の取り組みとして広く都民の皆様にお伝えをしていくツールとして、LINEですとか、またツイッターなどのSNSを用いた広報宣伝活動も有効であろうと私は考えております。先ほどご紹介をした副教材の中身、これは著作権ですとか、さまざまな関係があって難しいという部分もあろうかとは思うんですが、私としては、この中身というのは非常にわかりやすくて、これを大人たちこそ知っていかなければいけない、そういうふうに思うところもございましたので、提案として述べさせていただきたいと思います。
 ぜひとも近い将来、主体的な納税者として社会を担う子供たちにとって、税の課税や徴収のみならず都民生活に身近な税への関心を高めていただいて、正しい理解を進める租税教育や広報活動などの地道な取り組みを、これからも積極的に進めていただきたいと要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、納税者の利便性の向上について質問します。
 実際に納税をする側の立場に立ちますと、納税者の利便性の向上、これが大変重要でございます。都においては、都税の納付方法について、コンビニ納税、インターネットバンキングやATMでの納税、クレジットカード納税と、多様化を進め、都民が納付しやすい環境を整備しているというところでございますけれども、この納税の部分について、さまざまな課題が挙げられています。
 例えば、これは事業所、事業者さんにとってですが、納付書の形式が地方公共団体ごとに異なるですとか、また同様に、取扱金融機関も自治体ごとに異なる、さらには、身近にその取扱金融機関がない、そして、取扱時間帯が大変混雑をし窓口に並んでしまう、こういった課題は、やはり残っているわけでございます。
 また、加えて申し上げますと、今月、東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例が施行されましたけれども、この条例の中には、手話のほか、筆談、点字、拡大文字、読み上げなど、障害者に配慮した情報提供を明文化しております。
 これまで我が党は、障害をお持ちの方への情報保障の具体策として、文字を大きく見やすくする大活字化、動画への字幕の付与などとともに、都民向けの出版や配布物、水道検針票などに加えて、都税納付書に文字を音声化する音声コードを添付することを推進してまいりました。
 ことし三月の予算特別委員会では、視覚障害者の皆様に向けた音声コードを都の納税通知書へ早期に導入するよう求めた我が党の質問に対しまして、目黒主税局長には、ことし八月から個人事業税の定期課税に導入することを手始めに、二〇一九年度には、固定資産税、自動車税にも拡大していくとお答えいただいたところでございます。
 しかし、先ほども申し上げましたように、全国の地方公共団体の納税環境は、まさに自治体ごと、地方公共団体ごとに大きく差があるという状況にありまして、特に法人の電子納税利用率は全国で一%程度であると、大変少ないというふうに聞いております。
 この点については、やはり先ほど課題としても申し上げましたように、納付書の形式が自治体ごとに異なると、複数の地方公共団体に特別徴収や法人関係税などを納付する、こういう事業所、事業者にとっては作業が発生をするわけでありまして、全ての納付先で電子納税ができなければ、法人はその納付手段として電子納税を選択することができない、このことが理由として考えられると思います。
 したがいまして、今、現状では、法人が納付先ごとに納付書を作成して、それぞれの地方公共団体が指定する金融機関等で納付するという大変煩雑な事務手続、事務負担が発生をしております。
 全国的な視点で、この地方税の納税について考えますと、納税は地方公共団体ごとに個別に手続をする必要というのはあるわけでありまして、支払う段階においては、一括して納税することができないという課題が残存をしております。
 こうした課題、これは長年の課題であったわけですけれども、平成二十九年度の税制改正大綱において、電子的な納税によって地方公共団体が共同で収納を行う方針が定められた、今状況でございます。
 そこで、この共同で収納を行う方策に関する現在の取り組み状況について、都の説明を求めます。

○川上徴収部長 地方税の電子化につきましては、電子申告を中心に進めてきておりまして、納税手続という点では課題があると認識をしてございます。
 このため、地方税の電子申告等システム、eLTAXを運営する一般社団法人地方税電子化協議会では、国や地方公共団体、金融機関等、関係団体と協議を重ね、共通の収納チャネルの構築を進めてまいりました。
 来年十月一日から、全ての地方公共団体共通の電子納税の仕組みでございます地方税共通納税システムが稼働する予定でございます。このシステムを利用いたしますと、法人関係税などのeLTAX取扱税目につきましては、納税者は電子申告を行った後、一度の手続で複数の地方公共団体への電子納税が可能となります。
 個人住民税の特別徴収につきましても、各地方公共団体の個別の納付から一括納付へと、煩雑な手続が簡素化いたします。このシステムの導入によりまして、納税手続の効率化が図られ、納税者の利便性は大きく向上するものと考えてございます。

○古城委員 この地方税共通納税システムが構築をされることで、全ての地方自治体、地方公共団体への電子納税が可能となるということでございますけれども、共通の口座に入金をして、それぞれの地方公共団体に送金する仕組みということになるわけですけれども、それぞれ個別の自治体が電子納税に個別で対応するということではなくて、電子納税が可能になるという状況かと思います。
 一方で、納税者にとってみても、一度の手続で複数の地方自治体に納税ができるということでありますので、納税者にとっても、また自治体側にとっても、この納税手続の効率化につながろうかと思います。格段に納税環境が改善していくことを期待したいと思います。
 今ご説明にありました地方税電子化協議会でありますけれども、地方税共通納税システムの導入に、今準備に当たっておられるということでありますが、やはり東京都も、都民税、全国で見ますとその収納額というのは一番大きくなるわけですから、東京都がしっかりと動けば国も動く、こういうことにつながろうかと思いますけれども、この地方税電子化協議会に対して、東京都として具体的にどのような協力を行っているのか伺います。

○川上徴収部長 平成二十九年度のeLTAXを利用いたしました電子納税の件数は、約一万六千件、これは都税収納件数全体の約〇・一%にとどまっております。
 都といたしましても、全ての地方公共団体で電子納税を利用できなければ電子納税が普及しないという問題意識を持っておりまして、改善の必要性を認識していたところでございます。
 このため、地方税共通納税システムの構築に当たりましては、東京都も構想当初から実務的な作業に参加いたしまして、納税者が使いやすい仕組みになるよう国や関係団体等とともに検討を行ってまいりました。また、地方税電子化協議会には、主税局から理事長以下職員四名を派遣しております。地方公共団体との調整などシステムの円滑な運用準備に当たってございます。

○古城委員 都では、既にeLTAXを活用してインターネットバンキングによる電子納税ができる仕組みにあるということでしたけれども、昨年度、平成二十九年度においては、その収納件数でいうと全体の〇・一%であったということであろうかと思います。こういう数字にとどまっているその背景としては、インターネットバンキングは、インターネットを利用して納付ができる、銀行によって設けられた仕組みでありますけれども、当然このインターネットバンキングを利用するには、それぞれの暗証番号が必要となるわけであります。個人であれば、その暗証番号を入力すれば、当然、手続が進んでいくわけでありますけれども、法人においては、法人外の税理士の方であるとか、また、内部であっても一社員の方が電子申告を行うという立場になった場合に、今の仕組みでは、やはり代理として納付をするというのは大変困難な状況があったのではないかと思います。
 やはり納税者にとって、また、自治体にとっても、この利便性の向上というのは大変大きな課題でありますし、今後、地方税共通納税システムについては、この利便性の向上に資する、そういうふうに取り組んでいくべきであると考えますけれども、税理士等の方々が電子申告から納付まで一連の手続ができるようになるのか、都の見解を求めます。

○川上徴収部長 地方税共通納税システムにおきましては、事前に金融機関口座を登録しておくと、税理士等の代理人が申告から納付に至るまで一貫して効率的に手続を行うことが可能となります。これは、電子申告後に納付方法を選択する際に口座引き落としを選択すれば、登録した口座から税額が指定した期日に引き落とされる納付方法で、いわゆるダイレクト方式でございます。
 さらに、登録は複数の口座が可能であり、納付する際に引き落とし口座を選択することができます。
 このように、納税者や税理士等にとって利便性が高い納付方法でございます。地方税では初めて導入する納付方法でございまして、都としても利用促進を図ってまいります。

○古城委員 この地方税共通納税システムは、地方公共団体別に分けることなく一括で納付ができる上に、納付日を指定して口座引き落としもできるなど、納税者の利便性向上に大きく寄与していくものと期待をさせていただきます。
 今後も地方税の電子化について、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思いますし、この地方税共通納税システムで、ぜひとも対象税目の拡大ですとか、また、納付方法の多様化についても検討をしていただいて、さらなる納付しやすい環境づくりの構築を求めまして、私の質問を終わります。

○藤井委員 私からは、固定資産税と都市計画税の軽減措置というものについてお伺いをしてまいりたいと思います。
 毎年この軽減に関して、都民から陳情が出されて、議会からも要請があると思いますけれども、この点についてお伺いをしてまいりたいと思います。
 一番大きなところでは、小規模住宅用地に係る都市計画税の軽減ということでありまして、これは二分の一の軽減で影響額としては三百二十三億円という、すごい金額でありますけれども、こういったものであります。
 もう一つが、小規模非住宅用地に係る固定資産税、都市計画税の減免ということでございまして、こちらは二割軽減ということで、影響額がこちらも二百五十億円ということで非常に大きな金額になっているわけであります。
 これは、とりわけ二十三区において地価が高いということに関連をした措置であるということは承知をしているつもりではありますけれども、こうした軽減を進めている東京都の見解というか考え方について、まず趣旨について伺いたいと思います。

○副島税制部長 都独自に実施しております固定資産税等に係る三つの軽減措置の趣旨について、それぞれ申し上げますと、第一に、小規模住宅用地に係る都市計画税を二分の一とする軽減措置は、都民の定住確保及びバブル期の異常な地価高騰に伴う税負担の急増を緩和することを目的として、昭和六十三年に創設したものでございます。
 次に、個人または中小企業者が所有いたします小規模非住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税を二割減免する措置は、非住宅用地の過重な税負担を緩和するとともに、厳しい経営状況にある中小企業に対する支援を目的として、平成十四年度に創設したものでございます。
 最後に、商業地等に係る固定資産税及び都市計画税について、負担水準が六五%を超える場合に、六五%の水準まで税額を減額する措置につきましては、全国に比べ過重となっております二十三区内の商業地等の負担の緩和等を目的といたしまして、平成十七年度に創設したものでございます。

○藤井委員 地価が高いからという、端的なそういう話だと思うんですけれども、二十三区における商業地の評価額は、都内の市町村や全国の他の自治体等と比較をして、現在どのような水準になるのか、数字を把握されていらっしゃいましたら伺いたいと思います。

○副島税制部長 平成二十九年度における商業地等の一平方メートル当たりの評価額を申し上げますと、二十三区平均は約六十万円、都内市町村平均は約十一万円、全国平均は約三万円となっております。

○藤井委員 全国平均に対して二十倍だから、どうしても負担が重たくなってしまうという話でもあります。
 その一方において、毎年陳情が出されて、そのたびに例外措置として軽減をしていくというあり方に対しましては、それはどうなのかと、例外であるべきものがずっと原則かのようになってしまっているというのは、やっぱりこの本来の税のあり方をゆがめてしまうというふうにも考え得るわけであります。
 その点について考慮をすれば、やっぱり毎年毎年、こうやって緊急的にじゃないですけど、臨時的に措置をするということではなくて、固定資産税の税率なり都市計画税の税率というものに対しましては、東京都としての、自治体としての考え方はこうだということをしっかり、やっぱり示していくべきだというふうに思っています。
 これは私の意見なんですけれども、税というのは、しっかり軽減をしていくということは、やっぱり大切だというふうに思っていますので、そういった私の考え方は考え方としてあるとして、東京都として、もう毎年毎年こういった形で臨時的な対応をするというのは余りふさわしくないと思うんですけれども、これからの定例会で、またこの点は審議されるかと思いますけれども、見解を伺いたいと思います。

○副島税制部長 先ほど申し上げました三つの軽減措置でございますけれども、繰り返しになりますが、全国に比べ極めて高い地価の状況に鑑みまして、都民の税負担感に配慮する観点から、平成三十年度においても継続することとしたものでございます。
 これらの軽減措置につきましては、社会経済状況の変化や景気の動向に加えまして、都の財政状況などを踏まえ、税負担の公平等の観点からも不断の見直しが必要であると認識しております。平成三十一年度以降の取り扱いにつきましては、そうした状況の変化等を勘案いたしながら、今後検討してまいりたいと思っております。

○藤井委員 答弁の内容としては理解をしたつもりなんですけれども、先ほどの答弁にありましたとおり、平成十年代からずっと続けている措置だということでありまして、その間、リーマンショックもありましたし、経済状況もさまざまだと。この直近は、地価は六年間伸び続けているというお話もありましたけれども、やっぱりずっと続けてきた措置でもありますから、この点、東京都として一定の考え方を示す、恒久的な考え方をしっかり示していくということも必要だと思いますので、ぜひその点、しっかりご検討いただきたいと思います。
 この固定資産税に関連をいたしまして、納税通知書について、次に伺ってまいりたいと思います。
 この納税通知書なんですけれども、共有者の場合は、代表者のみに送付をされているということでございまして、一方で、仮にこの共有者の中で払われない方が出てしまいますと、筆頭者も含めてほかの共有者の方に支払い義務が生じてしまうということでございまして、これは見方によっては、徴税の事務を筆頭の方に負わせてしまっているとも捉え得るわけでありまして、この通知に関しましては、先ほど来サービスの話もありましたけれども、共有者全員にしっかり通知書を出していく、税額を計算して、標準税額を計算して、そして幾ら幾らの税額ですということで通知をしていくということが、私は親切なサービスでもあるのかなと思うんですけれども、そういったことは都として検討されたことはおありなんでしょうか。

○大久保資産税部長 共有の資産に対する固定資産税につきましてでございますけれども、地方税法では、この共有物につきましては、共有者が連帯して納税する義務、いわゆる連帯納税義務を負うこととされておりまして、実務的には登記簿上の筆頭者に対して納税通知書を送付させていただき納税をいただいております。
 これは、いわば所有権を共有する方々には、納税の義務をも共有をしていただくという仕組みになっているということでございまして、主税局としましても、租税の確保を図る観点から必要な制度であるというふうに考えてございます。
 ただし、都におきましては、特に納税者からのお申し出をいただいた場合には、共有者全員の合意に基づきまして、それぞれに全税額を記載した納税通知書を送付した上で、持ち分に応じた納付ができる取り扱いを設けているところでございます。

○藤井委員 本当に家族関係もさまざま複雑になってきている昨今でございます。相続等の話もありまして、やっぱり筆頭の方だけに送ってという対応では非常に困る、納税をされる方にとってみても、やっぱり困る話というのは私も伺っていますので、こういった申し出の場合は別々に送るという制度があるというお話もありましたけれども、そういった制度もご存じではないという方もいらっしゃると思いますので、ぜひ、この点、東京都として親切な説明も含めて、しっかりこの点に取り組んでいただきますようにお願いをいたしまして、私からの質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○馬場委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。

○馬場委員長 これより政策企画局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十九年度東京都一般会計決算中、政策企画局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料等は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小室総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 要求資料のご説明に入ります前に、去る十月十日の当分科会におきましてご報告いたしました資料の一部に記載漏れがございました。
 委員の皆様にご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げます。資料につきまして訂正させていただき、その内容についてご説明させていただきます。
 恐縮でございますが、お手元にお配りしてございます平成二十九年度東京都一般会計決算説明書の一五ページをお開き願います。中段(5)、政策の立案及び総合調整に関してでございますが、結婚等に係る機運醸成の動画作成等につきましては、平成三十年四月一日付で生活文化局に事業移管をいたしましたので、その旨、網かけで追記訂正させていただいております。
 なお、当該事業の詳細につきましては、移管先でございます生活文化局より、第二分科会においてご説明をさせていただいております。
 資料の訂正内容につきましては、以上でございます。大変申しわけございませんでした。
 続きまして、同日の当分科会におきまして要求のございました資料につきまして、お手元の平成二十九年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料によりご説明申し上げます。
 初めに、一ページをお開きください。五年間の知事海外出張の状況でございます。
 平成二十五年度から平成二十九年度までの各知事の海外出張につきまして、二ページにかけまして、出張先、期間、宿泊部屋タイプ、航空機の座席クラス、参加人数及び費用を記載してございます。
 次に、三ページをお開きください。長期計画の企画立案に係る予算現額、決算額、平成二十五年度以降でございます。
 平成二十五年度から平成二十九年度までの予算現額及び決算額を記載したほか、備考欄には各年度に開催した懇談会等の運営経費を記載してございます。
 以上、簡単でございますが、資料についてご説明させていただきました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○馬場委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○奥澤委員 それでは、私は昨年一年間も総務委員会の方で政策企画局の皆さんとはやりとりさせていただいたんですけれども、そういった経緯も含めて、また質問をさせていただきたいと思います。
 私は、政策企画局の役割というものについて、まず、目まぐるしく変化し続ける東京都において、その行政課題を的確に捉えてスピード感を持って戦略的にチャレンジをしていくこと、これが一番大事なことだと思っています。課題解決の種、これを各事業部に届けていく、その種づくりというものがすごく重要であるというふうに思っています。
 そのためには、各事業の成功のために最善を尽くす、これが当然のことですけれども、その結果に対しても厳しい目を向けていくこと、エビデンスに基づいて適宜改善を図ることが肝要だと考えております。
 昨年から実行プランのレビューというものも始まりまして、全庁的にPDCAサイクルを回して、それを定着させていくかじ取りをしている政策企画局だからこそ、厳しくみずからをチェックしていただきたいということを要望をした上で、質疑に入らせていただきたいと思います。
 まず、アクセス・ツー・トウキョウの取り組みについてお伺いいたします。
 東京都では、国際金融都市構想を掲げまして、平成二十三年からアジアヘッドクオーター特区で、外国企業五百六社の誘致に成功していて、また昨年度から二〇二〇年に向けて、金融系外国企業四十社、それから第四次産業革命関連企業四十社を含む外国企業四百社の誘致を目標に掲げています。
 実行プランのレビューを見ますと、平成二十九年は、金融系企業、第四次産業革命関連企業、それぞれ十社、計二十社の誘致に成功しております。これは順調な滑り出しをしているのかなというふうにも考えているところなんですけれども、東京都の外国企業向けの情報サイトのInvest Tokyoの方を拝見いたしますと、進出企業の声が寄せられておりますので、こちらをまずは紹介しながらお話をしたいと思います。
 ある進出企業のお言葉ですと、定刻どおりに運行される公共交通機関、維持管理の行き届いたインフラ、東京では当たり前だと思われていることが、国際的には比類のない強みである。あるいは、今後、高齢者のニーズが高まると見込まれている中で、床ずれケア製品や人工肛門など、日本では未発売の高機能商品で安価な製品を都内の企業と共同で、日本の患者ニーズに合わせて開発、販売をしていきたい、そういったお声があります。
 これらを見ますと、日本人が当たり前である、あるいは課題ではないかと、なかなか解決できないと思っているようなことほど、外国企業にとってはビジネスチャンスだと思われているのではないかということがうかがえます。
 今後、さらなる経済発展を目指す上で、東京に暮らす私たちでは気づきにくい東京の魅力にスポットライトを当てることと、東京の弱みを解消していくこと、これを両立させていかなければいけないというふうに考えています。
 その点で、平成二十九年度に開始をしたアクセス・ツー・トウキョウ、これには私は大変期待をしておりまして、まず、その事業は、ロンドン、パリ、サンフランシスコ、そして、今年度からシンガポールでも始まっているということですけれども、現地に相談窓口を開設する中で、東京進出を希望する、そういった有望企業の発掘などを行っているというふうに伺っています。
 もちろん、成果目標としての誘致企業数というものも大事なんですけれども、それらの企業からどういった声が出ているのか、何を解決すればいいのかというヒントをいただくことというのが一番重要なことだというふうに思います。そこで、どれだけの企業にアプローチしているのか、そして、どういった企業が興味を持っていただいているのか、そういったところが今後の事業の成否を占うといっても過言ではないというふうに考えております。
 そこでお伺いしますのは、現地窓口を開設したからこそ得られた成果、特に誘致に至った企業数に加えまして、接触した企業数、面談した企業数、これらに触れながらお伺いいたします。

○米津国家戦略特区推進担当部長 今、委員お話しのとおり、東京都では、海外誘致窓口アクセス・ツー・トウキョウをロンドン、パリ、サンフランシスコ、シンガポールの四拠点に設置いたしまして、現地の誘致活動を実施しております。
 平成二十九年度においては、委員ご指摘のアクセス・ツー・トウキョウにつきましては、三千三百二十一社の外国企業へのコンタクトを行いまして、そのうち百五十六社との面談を実施したところでございます。そのうち三社の外国企業の誘致を実現いたしましたほかに、二十九社の方からは、東京都アクセラレータープログラムへの応募はございました。
 アクセス・ツー・トウキョウでは、東京のビジネスの魅力を現地時間、現地言語でタイムリーに発信することができるというふうに考えてございます。また、最先端の技術を有する外国企業の情報を現地でいち早く取得し、直接当該企業に接触できるということでございますので、有望な外国企業のスピーディーな誘致に貢献していると認識しております。

○奥澤委員 ありがとうございます。具体的な数字をもって見ていくこと、これからつながっていくと思うんですけれども、今の話ですと、コンタクトをとれたところは三千社強、そして誘致まで至ったところは三社ということで、なかなか難しさもあるのかなというところも感じているところであると思います。
 ただ、ここで大事なのは、誘致に至らなかった原因、これを探って、全庁的にこの原因を取り除いていく努力をしていく、これが重要であると思っています。ある意味では、東京の本気度が試されているところだと思いますし、環境整備を進めていかなければ、国際金融都市構想、これは夢に終わってしまうんじゃないかという強い危機感を持って、今後も取り組んでいただきたいというふうに思っています。
 そこで、二つ目の質問になるんですけれども、現地窓口から見た外国企業の誘致における課題、それから対応策について見解をお伺いいたします。

○米津国家戦略特区推進担当部長 今、委員ご指摘のように、アクセス・ツー・トウキョウ、現地窓口でございますけれども、こちらからの報告によりますと、言語障壁による知識、情報不足、それから日本の独特な商慣習に関するマイナスイメージでございますとか、また、日本人、日本企業とのコネクションの、そもそもの少なさといったことが要因となりまして、東京が魅力的な市場として十分認識されていないというふうに聞いております。
 このため、アクセス・ツー・トウキョウでは、外国企業を対象にしたミニセミナーの開催や外国企業が多く集まる展示会等への参加を通じまして、正しい知識、情報を現地の言語で伝えまして、東京でのビジネスの魅力をアピールしているところでございます。
 また、今後でございますけれども、外国に駐在する日本企業関係者との連携を強化するなどいたしまして、コネクションの構築に向けて取り組みをさらに行いまして、外国企業の誘致を加速させてまいりたいというふうに考えております。

○奥澤委員 先ほどご答弁の中で、大きく三つの課題が挙げられたことと思います。言語障壁による知識、情報不足、日本企業とのコネクションの強化、これにおいてはアクセス・ツー・トウキョウの役割は非常に重要であるというふうに私も認識しています。ますます取り組みを強化していただきたいと思っております。
 日本国内での取り組みとして、誘致した外国企業と日本企業のマッチング支援も行っていると伺っております。平成二十九年度の引き合わせ件数二百七十七件であったということで、これはたしか二〇二〇年までに千件というのが一つ目標にあったかと思いますけれども、これらのマッチングした企業がどのようにビジネスとして成長していくのか、ここもきっちりとウオッチしていっていただきたいということも要望しておきます。
 一方で、言語障壁、要は誘致後の日本でのビジネス、あるいは暮らしの全般に及ぶものでありますので、誘致した外国企業や従業員の方々が東京で持続的に発展していただけるように、生活環境あるいはビジネスの手続、外国の方々の視点を大切にした取り組みをしていただきたいというふうに思います。
 また、日本独特の商慣習というお話もありました。意思決定の遅さ、税制度、あるいは手続の煩雑さ、そういったことも指摘がされているところであると思います。
 ちょうど先週、報道でもあったんですけれども、森記念財団都市戦略研究所が出している世界の都市総合力ランキング二〇一八が発表されまして、順位としては東京は三位で変わらないんですけれども、二位のニューヨーク、あるいは一位のロンドンとまた差が拡大しています。この影響にあるのが外資系企業の誘致、あるいは企業支援、空港アクセス、そういったところでの課題が改めて認識されたということが報道されているところです。
 こういったところの課題を一つ一つ埋めていかなければ、これからもどんどん離されていってしまうということをきっちりと認識していかなきゃいけないというふうに思っています。とにかく関係各局との連携、あるいは国への働きかけ、こういったことを通じて、東京のビジネスをアップデートしていただきたいということを要望しておきます。
 続いて、都市外交、とりわけ知事の海外出張についてお伺いしたいと思います。
 先ほども資料の説明がありましたけれども、以前の知事と比べて今の小池知事になってから、かなりの工夫、特に費用面での工夫が見られるところかなというふうに思います。同じパリに舛添知事が行っていたときと、昨年、小池知事が行ったときで、大分金額も、これを見るだけでも五千万近くだったのが六百万とか、あるいは韓国に行っているものも六百万だったのが百六十万とか、そういったかなりの工夫をされているのかなというのが見えます。
 ただ、私は、最も大事なのは、費用を安くしようという議論よりも、その成果をどう都政に結びつけるかということが一番重要であって、どれだけの実りを得たかということが大事だというふうに思っています。庁内で生かすこと、これはもちろんですけれども、都民の皆様への説明責任を果たしていくこと、そして都民の暮らしに還元することが肝要であるというふうに考えております。
 そういった観点からお伺いします。知事の海外出張の成果について、どのように説明してどのように生かしているのかお伺いいたします。

○加藤外務部長 知事の海外出張につきましては、重要な国際的行事、会議への出席や姉妹友好都市などとの友好協力関係の強化、東京都の魅力の発信や重要施策の推進を目的として実施しており、その成果につきましては、帰国後、東京都公式ホームページの知事の部屋にわかりやすく掲載し公表しております。
 平成二十九年度のパリ出張では、気候変動に関する世界の大都市のネットワークであるC40の会議に出席し、都の環境施策について発信いたしました。また、パリ市長と会談し、オリンピック・パラリンピック、環境、文化、観光の四つの分野で、友好協力関係を深めることを確認する共同コミュニケに署名いたしました。
 この共同コミュニケに基づきまして、ことし、パリと東京で、パリ東京文化タンデム二〇一八として多彩な文化イベントを実施しているほか、東京二〇二〇大会及びパリ二〇二四大会の成功に向けて、両都市の間で連携強化を図っております。
 今後も、知事の海外出張の成果を東京のプレゼンスの向上や東京の抱える課題の解決に生かしてまいります。

○奥澤委員 ありがとうございます。東京のプレゼンス向上や課題解決へ生かすということで、これはちょっと例えばということで、大阪市の取り組みは、私はなかなかおもしろいなと思っていまして、大阪市長の海外出張報告会を、これは市民向けでやっているんですけれども、意見交換の内容がなかなか興味深くて、万博誘致の話が起点だったんですけれども、医療の話とかビジネスチャンスの話、あるいは市民に理解を得るための機運醸成をどうやってやっていくのかという、なかなか活発な議論がされているようです。
 あるいは、国では首相の外遊に合わせて多数の企業が同行してビジネスチャンスを生み出しているということもありまして、東京都、とりわけ小池知事のプレゼンスというものをもってすると、今紹介したような取り組みを効果的に進められるというふうに考えております。
 十月三十日から、またはロンドン、パリの出張があるというふうに伺っておりますので、さまざまな側面から都民へ還元していただきたい、より効果的な発信方法についてもぜひ検討いただきたいということ要望しておきます。
 最後の質問なんですけれども、Nature Tokyo Experienceについてお伺いいたします。
 この事業は、多摩・島しょの自然を活用した新たな体験型エンターテインメントの創出を目的として、民間の自由な発想を最大限活用するプロジェクト支援、モデル事業として成果を普及拡大していくというものですけれども、私も町田市ということで、多摩の自然をぜひ生かしていきたいなというふうに思っている中で、二〇一七年度、平成二十九年度の単年度でこの事業は終了いたしました。
 この取り組みを参考にして、ことしは産業労働局で新たな事業が再構築されたというふうには認識しているんですけれども、こういった一つの種をつくって、これを各事業部に広げていくというところは、これは政策企画局の、私はあるべき姿なんじゃないかなというふうにも思っていますし、この取り組みから得られた知見とか経験をぜひ最大限生かしていただきたいというふうに考えています。
 今、自然というのは、なかなか意識して身を投じないとできない体験でして、一つ工夫を加えることというのが大変重要なことだというふうに思っています。
 その一工夫というのは、例えば道路整備などのアクセシビリティーの向上なのか、あるいはWi-Fi環境とかそういったものなのか、それとも施設そのものの魅力向上をしなきゃいけないのか、あるいは発信方法を変えるだけで事足りるのか。一事業者では気づきにくい視点というものを、さまざまな先進事例など通じてアドバイスを送ったこの事業、これは価値が大きかったんじゃないかというふうに思っています。
 事業をスタートさせた企業については、今後さらなる発展を期待して、その事業で得られたノウハウを還元してほしいというふうに願っているところなんですけれども、ここで都側の視点から見ると、本事業から何を得られたかという視点について、改めてフォーカスする必要があると考えていまして、成果の一つである先進事例集というものを見ますと、事業立ち上げにぶつかった困難の乗り越え方とか、例えば資金調達とか、地元関係者との調整方法とか、そういったものが先進事例集に入っているんですけれども、多摩・島しょの魅力を高めて伝えて活性化を図ること、これは、都民の皆様の暮らしを豊かにすることにつながるわけなんですけれども、それと同時に、事業者の方々へどういった情報を提供していくかというのも、これも都の大きな仕事の一つだというふうに思っています。
 そういった点では、本事業の取り組みは都民だけでなく事業者、さまざまな主体に対して効果的だったと思うんですけれども、この事業を通じて得られた成果について見解をお伺いいたしたいと思います。

○田尻戦略事業担当部長 本事業では、多摩・島しょの注目度や集客力を一層高めるために、これらの地域の魅力ある自然を活用した新たな余暇の過ごし方につながるプロジェクトを掘り起こし、事業化に向けた支援と成果の普及を行ったものでございます。
 年度末には、実施に当たっての課題や対応策など、本事業で得られた経験を広く共有する成果報告会を開催するとともに、全国各地で展開するプロジェクトを取りまとめた先進事例集を作成、配布したところでございます。
 これらの取り組みを通じて、プロジェクト実施者と地元事業者や自治体などとの連携、訪問者と地元住民との交流というものが生まれたほか、それぞれのプロジェクトは多くのメディアにも取り上げられるなど、新たな魅力の創出と発信に効果があったと考えているところでございます。
 今年度からは、本報告会や事例集をきっかけとした新たなプロジェクトを支援するため、産業労働局で補助事業などが開始されたところでございまして、これらの取り組みを通じまして、今後も引き続き、多摩・島しょの振興に取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

○奥澤委員 ありがとうございます。先ほどの先進事例集の中に、サーカス・アウトドア・トウキョウのグランピング事業というのが掲載されているんですけれども、この今後の展望というところが、私、大変興味深いと思っていまして、読み上げますと、サーカス・アウトドア・トウキョウの運営を地元住民、関係者にバトンタッチしていくことを目指している、我々がずっと運営をしていたら、いつまでたっても地元の雇用も広がらず、地元に根づかないということです。
 東京都がきっかけになって事業が生まれ育って、地域に還元されていく、この流れが生まれようとしていることは、大変な成果であるというふうに私は考えています。
 このような種を育てる事業は、投資とリターンというのが必ずしも合致しない、あるいは時差が生まれてくる、そういったものなんだというふうに思っています。ですので、今後も各事業の行く末をしっかりと注視していただきますとともに、さらなるチャレンジをしていただきたい、そのようなことにエールを送らせていただいて、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○高橋委員 それでは、私の方からは、危機管理及び防災対策におけるアジアを初めとする海外都市や在京大使館等との連携、つまり在京大使館等の連携の重要性について伺いたいと思います。
 ことし我が国では、大地震や豪雨などの自然災害、非常に多く発生いたしましたが、特に最近では北海道胆振東部地震だとか、その前の西日本の豪雨災害あるいは大阪の北部地震だとか、また台湾にも地震がありました。一昨年は熊本です。そういうふうに多く発生したわけでございます。
 世界を見てみると、世界中どこの地域でも起こり得るということであり、他国にとっても大きな関心事であると思います。
 災害に対する日ごろの備えが肝要ではありますが、いざ災害が起こったときには、海外から支援をいただく、反対に東京が海外の都市を支援するといった相互協力もまた、これは本当に重要であると考えております。
 東京都は、現在は休止しておりますアジア大都市ネットワーク21の共同事業の一つとして、平成十四年度に危機管理ネットワーク事業を開始いたしました。この事業は、アジアを中心とした海外の諸都市が連携し、自然災害だけではなく、大規模な事故、テロなどの危機に対する各都市の危機管理能力の向上に取り組むというものであります。
 それでは質問なんですが、最初に、昨年度の危機管理ネットワークの活動実績について伺います。

○丹羽外務担当部長 危機管理ネットワークには、現在、ソウルやシンガポール、台北などアジアを中心に十四都市が参加しており、年一回の危機管理会議の開催や、各都市が主催する防災訓練や研修事業への相互参加、各都市の防災担当者を結ぶ連絡網の運営等を行っております。
 平成二十九年度は、十一月にソウルで通算十五回目となる危機管理会議が開催され、東京を含む九都市が参加いたしました。
 また、九月の東京都・調布市合同総合防災訓練に、新北、ソウル、シンガポール、台北の四都市の救助隊が参加し、国内関係機関と連携した訓練を行いました。
 これらの取り組みにより、参加都市が有する経験やノウハウの共有と蓄積を図るとともに、危機管理に携わる人材の育成に取り組んでおります。

○高橋委員 次に、都内に目を向けてみますと、在住外国人の数も、そしてまたインバウンドで入ってくる外国人観光客の数も、大変な勢いで増加しております。
 災害はいつ起こるかわかりません。東京においても、直下型地震が今後三十年以内に七〇%の確率で起こるといわれております。きっと大丈夫だろうではなく、当然起こる、必ず起こるという前提に立つ必要があります。
 特に、外国人は日本語の不得意な方もおられるだろうし、また地震や台風など、日本でよく見られる災害に関する知識をお持ちでない方も多いと思われ、災害の発生時には災害弱者となるおそれがあります。外国の方々に安心して東京を訪れていただき、滞在してもらうためにも、発災時の外国人支援を充実させる必要があります。
 災害が起こった直後の対応は特に重要であり、自国民保護を仕事とする在京大使館等がどのように被害状況を把握するのか気になるところであります。
 そこで、在京大使館等との防災に関する連携と昨年度の実績について伺います。

○丹羽外務担当部長 発災時の外国人観光客や在住外国人の支援において、在京大使館等が果たす役割は大きいものとなっております。
 そのため、平成二十七年度から、防災分野における在京大使館等と都の連携強化を目的に、在京大使館等の防災担当官を対象とした防災連絡会を実施しております。その中では、防災施策説明会、防災関連施設の視察、また、発災時の情報連絡体制を確保するための通信訓練を行っております。
 平成二十九年度の防災施策説明会では、庁内の関係各局、外務省及び民間鉄道事業者から、防災対策や大規模災害時の対応などについて説明いたしました。
 また、視察では、東京消防庁の本所防災館を訪問し、災害の疑似体験をしていただきました。
 さらに、通信訓練では、平日昼間の訓練に加え、参加を希望する大使館等を対象に、夜間通信訓練を試行いたしました。

○高橋委員 平成二十七年度からこの事業を強化してきたことがわかりました。
 非常時に物をいうのは日常の備えであります。その意味で、在京大使館等と日ごろから密に連携しておくことは大変結構なことであります。
 都の災害対策の取り組みを大使館にPRすることで、大使館から各国の人に伝えてもらうこともできる。東京には百五十以上の大使館等が集まっており、都が積極的に協力、連携を進めることは、非常に重要だと考えております。
 ただいまの部長の答弁にあったように、発災時の外国人支援において在京大使館等の果たす役割は大きいと。そしてまた、昨年、二十九年度の防災施策説明会では外務省や民間事業者も施策説明、視察では本所防災館にて災害を疑似体験、通信訓練では平日昼間の訓練に加え、夜間通信訓練を試行したということでございます。
 そこで、最後の質問でございますけれども、在京大使館等との防災分野での連携を引き続き強化していただきたいと思いますが、今後の取り組みについて、どのように考えているのかお聞きします。

○丹羽外務担当部長 東京二〇二〇大会に向け、訪都外国人の大幅な増加が見込まれていることから、大使館等との連携はますます重要となってまいります。
 そこで、今年度から防災連絡会を拡充することとし、施策説明会を年二回にふやすとともに、防災施設の視察について、より多くの方が参加できるようにいたしました。また、夜間通信訓練を、昼間の訓練と同様に在京の全大使館等との間で実施することにいたしました。
 今後とも、これらの事業を通じ、防災分野における在京大使館等との連携強化に努めてまいります。

○高橋委員 東京二〇二〇大会に向け、訪都外国人の増加が見込まれることから、大使館等との連携はますます重要であるというような答弁がありました。
 そんな中で、来年はラグビーのワールドカップがあるわけですし、その後は二〇二〇大会がある。訪都外国人がどんどんどんどん入ってくるわけでございます。
 そこで、大使館等の役割というか、大使館については、それぞれの国の状況というのは一番よくわかっているわけです。日本人が外国へ行ったときに、日本人は向こうでどうなっているかという、逆にいうと、大使館の方は、その国の国民の人が、こちらで、日本で災害があったときにどうなっているんだろうと。そういう意味で、やはり新しいチャンネルというか、外交というか、災害チャンネルというのは、ただただ外務省頼りではなく、東京都として外務部があるんだから、しっかり連携をとる、相互連携をとるということも、これからは非常に大事だと思います。
 災害というか、首都直下型地震が三十年以内に七〇%とか、あるいは大島の土砂災害についても、五十年に一度の災害だといったって、それが年間三回も四回も離島で起きているわけで、それがいつもの情報のように、まあ大丈夫だろうというのが一番危険であります。
 必ず起こるということを前提にして、日ごろから大使館等との連携をしっかりとっておかなければいけないと、それがますます重要であると私は思います。
 そういうことで、東京都の外務の方のチャンネルも、一つ活用する、これからは大変重要であると思います。いつもの情報に惑わされることなく、東京都として、しっかりその辺の連携を、相互連携をとっていただきたいということを、要望というか、私の意見として申し上げて、質問を終わります。

○上野委員 私からは、まず国際金融都市東京構想について質問をいたします。
 昨年十一月に都が策定しました国際金融都市東京構想においては、金融関係の人材、資金、情報、技術が集積いたします国際金融都市東京を目指すと、このようにされているわけであります。
 そのためには、海外から金融系企業の誘致を進めることが重要であります。平成二十九年度は着実に誘致実績が出ていると、このように聞いているところでありますが、金融系外国企業誘致の取り組み状況について、まず最初にお尋ねします。

○田尻戦略事業担当部長 東京の金融市場を活性化し、事業者間の競争を促すためには、海外から金融企業の誘致を進めることが重要であると考えております。
 このため、ほかの都市と比べて規模が劣るといわれております資産運用業者や、金融サービスの高度化につながるフィンテック企業に焦点を当てまして、平成二十九年度から四年間で、合計四十社の金融系外国企業の誘致を目標としているところでございます。
 誘致を初めて取り組みました平成二十九年度は、資産運用業者五社及びフィンテック企業五社の合計十社の誘致に成功いたしまして、都内企業との連携が進むなどの成果が出ているところでございます。
 誘致企業に対する支援策といたしまして、市場調査、ビジネスプラン策定に関する無償コンサルティングなどの取り組みを引き続き行いながら、金融系外国企業の東京への誘致を促進してまいります。

○上野委員 ぜひとも二〇二〇年度までに、海外金融系企業約四十社の誘致を促進していただきたいと、このように思います。
 特に、フィンテック産業の育成は、各国しのぎを削って取り組んでおります。東京も決しておくれをとらないよう取り組んでいただきたいと思います。
 フィンテック産業は、都民の金融取引の利便性向上や都内経済活性化につながります。そのため、都は海外のフィンテック企業を招くアクセラレータープログラムを実施していると聞いておりますが、その実施状況についてお尋ねします。

○田尻戦略事業担当部長 フィンテックのアクセラレータプログラムでございますフィンテックビジネスキャンプ東京につきましては、海外の先進的なフィンテック企業を対象に、都内企業とのマッチングなどを通じまして、東京でのビジネス展開を促進することを目的として、平成二十九年度に開始をした事業でございます。
 昨年度は、本プログラムに十六カ国五十二社の海外フィンテック企業から応募がございまして、七カ国八社が参加をいたしました。都内の金融機関等が相談役となり、参加企業がビジネスプランを磨き上げるというものに対しての支援を行うとともに、都内企業などとのマッチングの機会を提供いたしまして、計百四十回を超えるマッチングなどが行われました。
 参加企業のうち、フランスの一社につきましては、本年一月に都内に拠点を設立して事業を開始しており、その他の参加企業も都内企業との協議が行われているところでございます。
 今年度もまさに現在、十一社の海外フィンテック企業が参加した本プログラムが進行中でございまして、これらの取り組みを通じまして、先進的な技術やビジネスモデルを持つ海外企業を呼び込み、東京におけるイノベーションを促進してまいりたいと考えているところでございます。

○上野委員 しっかりと頑張っていただきたいと思います。
 次に、国際金融都市東京構想に基づき、今年度創設されました金融事業者を表彰するという、目玉事業の一つである東京金融賞について質問いたします。
 東京金融賞は、昨今、国際的に注目されているESG投資などについて、すぐれた取り組みを行う国内外の金融事業者を表彰するものであると聞いておりますが、この賞が国際金融都市としてのプレゼンスの向上につながることを期待するところでございます。
 そこで、この東京金融賞の現在の進捗状況についてお尋ねいたします。

○田尻戦略事業担当部長 東京金融賞は二つの部門から成り、一つは、都民のニーズや課題解決に資する画期的な金融商品、サービスの開発、提供を行う金融事業者を表彰いたします都民ニーズ解決部門、もう一つは、環境、社会、企業統治の視点を重視するESG投資の普及を実践する金融事業者を表彰するESG投資部門でございます。
 表彰に向けまして、まず本年七月に、日常生活において解決をしてほしい金融サービスにおける課題や、ESG投資に関するニーズなどを都民から募集をいたしまして、千件近い応募がございました。
 九月には、これらの課題やニーズを取りまとめてテーマ等を発表するとともに、両部門において、国内外を問わず金融事業者の募集を開始したところでございます。
 今後、応募のあった金融事業者について、外部有識者で構成される審査委員会で審査を行い、表彰企業を選定いたしまして、来年二月に表彰式を開催する予定でございます。
 東京金融賞を通じまして、都民の利便性の向上や金融の活性化というのを実現していくとともに、この賞を国際金融都市東京の象徴としていきたいというふうに考えているところでございます。

○上野委員 アジアのライバルでありますシンガポール、これはもう既に表彰制度があるわけでありますけれども、決してこれに負けないように推進していただきたいと、このように思います。そして、国際金融都市としてのプレゼンスを向上させ、国外受賞者の東京への誘致につながることを期待するところであります。
 次に、このような構想に掲げられた施策の実効性を高めるためには、日銀や東京証券取引所を初め、銀行、証券会社などの大手金融機関が立地している大手町、日本橋兜町など、この東京駅周辺エリアなどにおいて国際的なビジネス環境を戦略的に整備し、国内外の金融系企業のさらなる集積につなげていくことが重要であると考えます。
 そこで、国家戦略特区制度を活用した国際的なビジネス環境整備に関する取り組みについてお尋ねいたします。

○米津国家戦略特区推進担当部長 東京都では、国や民間事業者との連携のもとに、委員ご指摘の国家戦略特区を活用した国際的なビジネス環境の整備に取り組んでおります。
 具体的には、都市計画法の特例の活用によりまして、委員お話のございました大手町、日本橋兜町地区などにおける金融ビジネス交流拠点の整備を促進しております。
 また、東京開業ワンストップセンターのサテライト窓口を丸の内に設置いたしまして、外資系企業等の設立に必要となる行政手続のサポートも行っております。
 また、東京都独自の取り組みといたしましても、丸の内にビジネスコンシェルジュ東京を設置いたしまして、金融系外国企業を対象とした日本の金融関連の法制度の情報提供でございますとか、金融ライセンス取得手続のサポートなどを行います金融ワンストップ支援サービスを行ってございます。
 こうした取り組みによりまして、国内外のフィンテックや資産運用業等の金融系企業の集積を促進してまいりたいというふうに考えてございます。

○上野委員 ご答弁にありましたように、こうしたビジネス環境の整備に加えまして、国際金融都市にふさわしい、外国人も安心して暮らせる生活環境を整備していく視点も大変重要でございます。
 そこで、国家戦略特区制度を活用した医療、教育分野などにおける外国人向けの生活環境整備の取り組みについてお尋ねします。

○米津国家戦略特区推進担当部長 東京都におきましては、委員ご指摘の国家戦略特区を活用いたしまして、さまざまな生活環境の整備に取り組んでおります。
 具体的には、都市計画法の特例を活用いたしまして、東京駅周辺、それから虎ノ門・麻布台地区におきまして、インターナショナルスクールや医療を含む多言語対応の生活支援等の整備が進んでいるところでございます。
 また、大手町などの医療機関におきましても、外国人医師が、自国民に限らず外国人一般に対する診療を可能とするような特例も活用されているところでございます。
 さらに、家事支援外国人材の受け入れに関する特例を活用いたしまして、英語が話せる人材によります家事支援サービスの提供も促進しております。
 こうした取り組みによりまして、外国人が安心して東京でビジネスができるような生活環境の充実に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

○上野委員 これまで、国家戦略特区を利用して進める国際金融都市構想、これについていろいろと質疑を交わしてきたわけでございます。
 小池百合子東京都知事は、国際金融都市構想、二〇二〇年度までに、先端ITを用いたフィンテック企業、また外資系企業など約四十社を東京に誘致して、永代通りでしょうね、メーン通りという形にした大手町から日本橋兜町に至る地域を中心に進めて、東京をアジアナンバーワンの金融センターにしていこうと、こういったことだと思います。そして、そのシンボルとして日本橋を復活させようということでもあると思います。
 その証拠というのはおかしいかもわかりませんけれども、昨年の七月二十一日の、小池都知事が石井国交大臣と同日に発表いたしました記者会見で、首都高速の地下化によって、国際金融都市にふさわしい品格のある都市景観の形成、それから、歴史、文化、さらには水辺を生かした日本橋の顔をつくっていくと、こう記者会見で述べられました。
 まさにこの日本橋を江戸文化の象徴として復活させて、国際金融都市の顔をつくると、こういったことを明言されたのではないかと、このように私も理解しているところでございます。
 先ほどのご答弁に、安心して東京でビジネスできる生活環境の充実というご答弁がありました。この安心してに、そこにまたプラス、今の知事の話からいっても、快適なという、やはり快適に生活できる、そしてまたビジネスができる、そういったことが大事になってくると。
 そこで、私が注目しているのは、やはり川なんですね。川の存在というのが非常に大事だというふうに思っております。この川を利用していけば、三つの街区、これが非常に驚くほど近いんです。地上よりも近くなってくる。時間も早くなる。大手町も日銀も日本橋川でつながっておりますし、日本橋川を下っていって隅田川を渡っていくと、MICE拠点化を行うお台場、こちらとも、臨海副都心ともつながっていく。非常にこれは、通勤もそうですし、いろんな意味での便利さというのがここに出てくる。まさに水辺を利用した国際金融都市、そして水の都東京、これが誕生するという、こういうきっかけにもなると、このように思っているところでございます。
 ちょっと脇道にそれるかもわかりませんけれども、つながりがあるものですから、首都高を地下化するというのがオリンピック後だという話で、十年から二十年ぐらい工事はかかるんじゃないかといわれています。そうすると、日本橋そのものが青空のもとにぱっとあらわれてくるのは、二〇三〇年代ということになるかと思いますけれども、その日本橋ができて、またそこを船が使えるようにしたとしても、この日本橋川が、皆さんもご存じのとおり非常に汚い、臭い、アオコが流れている、夏は特にそうですね。こういったものが表に出た場合には幻滅されるんじゃないかと思うんですよ。そうしたこともやっぱり見直していかないといけない。
 そのアオコはどこから来ているかというと、何と外堀なんですね、外堀で発生したものが神田川に入って日本橋川に流れてきている、こういった意味で外堀もきれいにすべきだと、日本橋川をきれいにするのは、外堀をまずきれいにしなきゃいけないということで、玉川上水の案も提案させてもらったわけでございますけれども、こういったことでのきれいな川を実現する、まさにそこは快適になっていくと思いますけれども、このあたりについては、宮澤計画部長は元環境局でもいらっしゃいますから、一番詳しいんじゃないかなと思うんですけれども、しっかりとそういった面も含めて、やはり計画を立てていただければなと思っているところでございます。
 大規模な再開発というのが、この日本橋川沿いに今始まろうとしているわけであります。日本銀行近くの常盤橋街区、皆さんもご存じのとおり、三菱地所が何と三百九十メートルの日本一高いオフィスビルを二〇二七年度完成予定の建設ということもありますし、また鎧橋付近では、東京証券取引所のビルを所有している平和不動産、この平和不動産が中央区と一緒になって、再開発をここは予定しているわけでございます。
 そうした中、先ほどの答弁にありましたように、国際金融都市を目指す上で、外国人が住みやすい環境整備は大変に重要であると、このように思っているところでございます。ぜひとも、外国人が安心して、そして快適に、東京ビジネスができる生活環境の充実が実現できることを期待いたしまして、私の質問を終わります。

○里吉委員 私からは、昨年度発表した三つのシティー実現に向けた政策の強化について伺います。
 一昨年に公表いたしました二〇二〇年に向けた実行プランの策定に当たっては、未来の東京を担う若者の意見を多く聞くということが重要だという認識から、都立高校の出前授業などを実施して、多くの高校生から意見を出してもらったと伺っております。
 都の計画を策定するのに、都民からの意見を集めるというのはもちろんのことなんですが、それとは別に、意識的に政策企画局として高校生から意見を募集したということに、私、大変注目をいたしました。
 これは主権者教育という観点からも重要だと思いますが、昨年度策定した三つのシティーの実現に向けた政策の強化では、どのような取り組みを行ったのか伺いたいと思います。

○宮澤計画部長 三つのシティーの実現に向けた政策の強化の策定に当たりましては、都民や区市町村等からの意見、アイデアを反映するための工夫を行っているところでございます。
 特に、未来の東京を担う若者の貴重な意見を聞くとともに、その社会参画意欲を育むことを目的といたしまして、昨年度に引き続き、都立高校の生徒からの意見聴取を行ったところでございます。

○里吉委員 先ほど税の教育の話もございましたけれども、都立高校では、地球環境や税金や社会保障、労働者の権利など、教科学習とは別に、その時々の社会情勢や政策に関するさまざまな授業が行われています。そうした中で、こういった時間をつくるというのも大変だというふうに私、感じました。
 こうした協力を学校の方々に得るのも簡単ではないというふうに思ったわけですが、都立高校の生徒からの意見を収集するに当たってはどのように行ったのか、教育庁との連携も重要だったのではないかと思いますが、その点について伺いたいと思います。

○宮澤計画部長 都立高校の生徒からの意見の収集に当たりましては、若者の意見の収集、政策への反映、社会参画の促進という趣旨及びその重要性を教育庁と共有しております。その上で、都立高校との調整などの協力をいただいたところでございます。

○里吉委員 十八歳選挙権がスタートしたということもあって、各学校では、主権者教育ということにどのように取り組むかということも課題になっていたと思うんですね。そういう中で、政策企画局の方から、こういった生きた主権者教育の一環ともいえるような中身で提案があって、一緒に取り組めたということは、本当に重要なことだったのではないかなというふうに思います。
 こうした都立高校生からの意見も含めて、パブリックコメントなど一般の都民からも政策に向けて意見を集めたと思います。また、区市町村からも意見を収集したと思いますが、寄せられた意見はそれぞれ何件ずつだったのか伺いたいと思います。

○宮澤計画部長 高校生の意見百五十八件を含め、個人、法人からの意見として、合計百八十五件の意見が寄せられました。また、区市町村からの意見は八十八件でございました。

○里吉委員 百八十五件寄せられて、そのうち百五十八件が高校生ということで、圧倒的に高校生から、大変積極的に意見が寄せられたということだと思います。
 パブリックコメントについては、意見募集の期間が短いのではないかという議論もあって、今後ふやすということになっていますから、そういう意味では、一般の都民からの意見もさまざまな政策策定の過程でふやしていただきたいと、一般の方々の意見も大いに出していただけるように工夫していただきたいと思いますが、それにしても、高校生など若い世代から積極的に意見が出されたということは、意識的に行政の側が働きかければ、若い世代はそれに応えてくれるということで、今後は、高校生などの若い皆さんの意見がどう行政に生かされたのか、これを具体的に返していくことなども積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 それでは、政策企画局として、ほかにもさまざまな政策、企画を行っておりますけれども、ほかに若い世代の意見を聞く取り組み、行ったものがあったのか伺います。

○宮澤計画部長 政策の検討に際しては、例えば東京未来ビジョン懇談会では、高校生や大学生に懇談会メンバーとして参画いただいたほか、超高齢社会における東京のあり方懇談会では、大学生に直接話を聞く場を設けるなどの取り組みを行ったところでございます。
 今後とも工夫を重ねまして、若い世代の貴重な意見を収集し、政策強化につなげてまいります。

○里吉委員 今、長期計画の企画立案で、先ほど資料を出していただきましたけれども、昨年度行ったこの二つ、どちらも若い世代の意見を聞く取り組みをされていたということでございました。そういう意味では、さまざまな意見を若い人から聞く工夫を引き続き行っていただいていることがわかりました。
 私、大事だと思いますのが、こういう超高齢社会における東京のあり方懇談会、今、自分自身には直接かかわらないことだけれども、やはり自分が生きていくこれからの日本、超高齢化社会という中で、そのことについてどう考えるのかということを若い皆さんに聞いていただくということは、大変重要なことだと思います。そういう意味で、主権者として社会にどうかかわっていくのかということを若い皆さんが考えていく、そういうきっかけを与えることにもなったんじゃないかなというふうに思います。
 これからも、若い世代が直接かかわる課題やテーマはもちろんなんですけれども、今、社会問題になっていること、これから東京の課題として避けては通れない課題などについて、当事者の方々はもちろんですが、これからを担う若い皆さんの意見を収集する、そういう取り組みをさらに進めていっていただきたいと思います。
 先ほども申し上げましたけれども、十八歳選挙権がスタートして、高校で主権者教育が改めて今課題になっています。また、日本も批准しております子どもの権利条約には、子供の意見表明権というものが明記されていますけれども、日本での取り組みは、残念ながらなかなか進んでおりません。若い世代が、自分たちの暮らしている東京のさまざまな政策や計画について直接意見を述べる、こういう取り組みがもっともっと進んでいく必要があるというふうに思います。
 子どもの権利条約は、子供たちが自分にかかわることについて意見を聞いてもらえる権利ということで、もっと小さいお子さんからの権利を保障しなければならないということが書いてあるわけですが、今、政策企画局で進めていただいている、今お伺いしましたような取り組みは、他の局でも若者からの意見収集に取り組めるように、こういう取り組みをしたよということを、ぜひ情報発信していただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○藤井委員 私からは、二〇二〇年に向けた実行プランについてお伺いをしてまいりたいと思います。
 この実行プランの冒頭に、Challenge4という名称で東京の成長戦略というものを掲げておられます。四つの目標というものがあるんですけれども、その中で、都内GDPを現状の九十五兆円から百二十兆円を目指すということで、なかなか具体的な数値目標を示さない行政の中で、とても意欲的な取り組みですばらしいなと思って、私、見ていたんですけれども、このChallenge4、GDPも含めての考え方というんですか、これはどういった位置づけになっているのかについて、まず伺いたいと思います。

○宮澤計画部長 二〇二〇年に向けた実行プランでは、東京二〇二〇年大会の成功と、それをてこにした東京、ひいては日本全体の持続的成長の実現を目指すため、東京の成長戦略の方向性として、Challenge4、東京の挑戦をお示しいたしました。
 これらは、目標年次等を示す個別の政策目標とは異なりまして、都のみならず、都民や民間事業者、国など、さまざまな主体が相互に連携して取り組みを進めた、その先に開かれる展望として掲げたものでございます。
 この戦略を踏まえ、国際金融都市東京構想の策定や、特区制度等の活用による外国企業の誘致を進めるとともに、都内中小企業の成長産業への参入支援や、多くの外国人観光客を呼び込む政策を推進しているところでございます。

○藤井委員 今のご答弁の中で、目標年次を示す個別の目標とは異なって、あくまでも東京都としての開かれた展望を示すものであるというお話で、私なりに翻訳をすると、これ、あくまでも期限がないと、あくまでも姿勢だみたいに、やっぱり映ってしまいます。
 小池知事も、PDCAサイクルを回していくということをおっしゃっておられる以上、そもそものPという目標値が、曖昧といったらちょっと失礼かもしれませんけれども、いかがなものかなというふうに、私、すごく数字を見てすばらしいなと思ったものですから、一方で、聞いてみると、あくまでも姿勢だみたいなことをいわれちゃうと、どうなのかなと思いますので、それだけしっかり高い数値目標を掲げたということは、それ相応の責任が伴ってこないと、これは余り意味がないと思いますので、この点は、ちょっと生意気ないい方かもしれませんが、強く反省をしていただきたいなということを率直に感じるわけであります。
 ほかに、都市ランキングを一位にするとか、あるいは訪日の外国人、東京の外国人を現状の一千百八十九万人から二千五百万人にふやしていくと、本当にいいことを書かれていますので、ぜひこちらは、数値目標の再設定も含めて、東京はこれを目指していくんだと、この数字を絶対実現するんだということを、今後考えていっていただきたいなということを申し上げたいと思います。
 ちょっとこれ関連の話なんですけれども、保育園の待機児童に関連をいたしまして、二〇二〇年四月に待機児童ゼロをやるということでありまして、きょうは、おじま委員もいますけれども、私の地元の練馬区でも待機児童のゼロ作戦というのをやっているんですけれども、やっぱり保育園をふやしても、まさにイタチごっこみたいになっちゃって、やっぱりゼロにはなかなかならないんですね、ちょっと表現としては適切ではない部分もあるんですけれども。
 二〇一七年度末五千四百十四人ということで、これでも相当減っているということで、一方で評価をしつつ、本当にこれゼロになるのかなというところは、ゼロという目標を掲げた以上、やっぱり責任を負っていただくということも大切なのかなというふうに思うわけでございますけれども、これ、今後どうやって検証というか、数値の妥当性も含めて考えていかれるのか伺いたいと思います。

○宮澤計画部長 実行プランにおきましては、計画の策定、政策事業の実施、進行管理、評価、改善、見直しというPDCAサイクルの概念を強く意識しまして、策定段階から取り組みを進めております。
 具体的には、可能な限り数値化しました約五百の政策目標を定めるとともに、四カ年の政策展開について具体的な工程を示し、各年度における年度別の進行を明瞭化したものでございます。
 事業所管局におきましては、政策目標の達成に向け、それぞれの取り組みを進めており、また政策企画局では、こうした都庁全体での政策目標や年次計画の進捗状況について、毎年、実行プラン事業実施状況レビューを実施し、都民に公表しているところでございます。
 また、先ほどご意見ございました高い目標の設定でございますが、現時点での直近の目標よりも先にある目標をあえて掲げて、それに向けて全庁挙げて取り組んでいくという姿勢をお見せすることも、我々政策企画局の強い使命だろうと認識しているところでございます。

○藤井委員 長期の目標が必要ですという話で、私もそれを全然否定するものじゃないんですけれども、これは二〇二〇年のプランですから、二〇二〇年段階で、じゃあどういう数字を目指すのかということをやっぱり示していただきたかった。何かいちゃもんのように聞こえちゃうかもしれませんけど、これは計画を立てた信頼性にもかかわる部分でありますので、ぜひ取り組んでいただきたいなと思います。
 この経済関連の指標では、開業率というのを示しておられまして、先ほど来、金融の誘致等の話があったと思います。二〇一六年度において六%で、長期的には開業率一〇%を目指すと、この一〇%って、私、ちょっと調べてみたら、アメリカだとかイギリスだとか、そういう欧米並みの開業率ということでありまして、こちらも意欲的な目標を掲げるというのはいいことなんですけれども、じゃあ実際問題これを実現できるんですかというところが、やっぱり問われてくるんだと思います。
 私、経済とか産業というものに対して、余り行政だとか政治がとやかく口を出すというのは、慎重であるべき立場なんですけれども、やる以上はしっかり目標を掲げてやっていくと。税金を多額に投入するわけでありますから、これはしっかりやっていただきたいなと思います。
 最後の質問なんですけれども、民間の会社なんかですと、ローリング方式といわれる目標値の設定の見直しみたいな、年度ごとに行っておりまして、例えば企業でも、五年の長期計画だとか、四年の長期計画を立てた場合にも、PDCAの中で、PDCAを回していくというけど、だけど、まさに環境を取り巻く変化というのは非常に激しい中にあって、そのPというそもそもの目標自体が、もう一年ちょっとで陳腐化しちゃうというようなこともあって、じゃあそのPを目指していく観点でPDCAを本当に回していくのかみたいなところもあって、ローリング形式といわれる、その都度その都度で計画を見直していくという必要性もあるのかなと思うんですけれども、私は、二〇二〇プランも、実現の可能性という観点でなかなか難しいという段階だったりだとか、よりもっと高い目標を掲げてやっていくんだという判断をしたときは、Pの部分をやっぱり見直していくということも、これは柔軟に考えていくべきなのではないかなと思うんですけれども、こういった提案に対する都の見解を伺いたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○宮澤計画部長 三つのシティーの実現に向けた政策を取りまとめました実行プランは、平成二十八年十二月に策定したものでございますが、計画は一度つくって終わりではございません。社会情勢の変化や都民ニーズの変化などに対応しまして、適宜ブラッシュアップを図っていく必要があると考えております。これは短期の目標だけではなくて、長期の目標も同様でございます。
 そのため、毎年、実行プランの事業実施状況レビューを実施し、各政策目標や事業の進捗状況を把握するとともに、それらの達成に向けた課題を財政当局や事業所管局と共有し、全庁横断的な検討のもと、三つのシティーの実現に向けた政策の強化を行っております。
 引き続き、こうした観点から全庁一丸となって取り組みを進めてまいります。

○馬場委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で政策企画局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時十二分散会

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