委員長 | のがみ純子君 |
副委員長 | とや英津子君 |
副委員長 | 米川大二郎君 |
伊藤しょうこう君 | |
細田いさむ君 | |
斉藤れいな君 | |
龍円あいり君 | |
清水 孝治君 | |
鳥居こうすけ君 | |
和泉なおみ君 |
欠席委員 なし
出席説明員福祉保健局 | 局長 | 内藤 淳君 |
次長理事兼務 | 松川 桂子君 | |
技監 | 矢内真理子君 | |
総務部長 | 後藤 啓志君 | |
指導監査部長 | 村田 由佳君 | |
医療政策部長 | 矢沢 知子君 | |
保健政策部長 | 成田 友代君 | |
生活福祉部長事業調整担当部長事務取扱 | 坂本 尚史君 | |
高齢社会対策部長 | 粉川 貴司君 | |
少子社会対策部長 | 谷田 治君 | |
障害者施策推進部長 | 松山 祐一君 | |
健康安全部長 | 高橋 博則君 | |
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 奈良部瑞枝君 | |
事業推進担当部長 | 古賀 元浩君 | |
医療改革推進担当部長 | 田中 敦子君 | |
医療政策担当部長 | 花本 由紀君 | |
地域保健担当部長 | 本多由紀子君 | |
子供・子育て施策推進担当部長 | 加藤 みほ君 | |
障害者医療担当部長 | 石黒 雅浩君 | |
食品医薬品安全担当部長 | 野口 俊久君 | |
感染症危機管理担当部長 | 吉田 道彦君 |
本日の会議に付した事件
平成二十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
福祉保健局関係
・平成二十九年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十九年度東京都母子父子福祉貸付資金会計決算(質疑)
・平成二十九年度東京都心身障害者扶養年金会計決算(質疑)
○のがみ委員長 ただいまから平成二十九年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局関係の決算に対する質疑を行います。
これより福祉保健局関係に入ります。
初めに、理事者の欠席について申し上げます。
横手事業調整担当部長は、病気療養のため、本日の分科会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
決算の審査を行います。
平成二十九年度東京都一般会計決算中、福祉保健局所管分、平成二十九年度東京都母子父子福祉貸付資金会計決算及び平成二十九年度東京都心身障害者扶養年金会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○後藤総務部長 去る十月十二日の当分科会におきまして要求のございました資料についてご説明を申し上げます。
お手元の平成二十九年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんください。
資料は、目次にございますように全部で十二項目でございます。
それでは、一ページをお開き願います。1、福祉保健費の予算及び決算の推移といたしまして、福祉保健費の予算現額、決算額及びそれぞれの一般会計に占める割合などの平成二十五年度から二十九年度までの五カ年間の推移を記載してございます。
二ページをお開き願います。2、福祉保健局予算・決算額の推移(一般会計)といたしまして、一般会計のうち福祉保健局所管分の予算現額及び決算額を、表側にございます区分ごとに平成二十五年度から二十九年度にわたりまして記載してございます。
隣の三ページでございます。3、シルバーパス発行状況の推移といたしまして、シルバーパスの費用別発行実績数、七十歳以上人口及び割合の推移を平成二十五年度から二十九年度にわたりまして記載してございます。
四ページをお開き願います。4、平成二十九年度における福祉保健区市町村包括補助事業の補助額といたしまして、五つの包括補助事業それぞれの区市町村ごとの補助額を、隣の五ページにかけて記載してございます。
続きまして、六ページをお開き願います。5、区市町村地域生活支援事業等の実施状況といたしまして、区市町村地域生活支援事業と区市町村地域生活支援促進事業それぞれの事業ごとの平成三十年三月現在の実施区市町村数を記載してございます。
隣の七ページをごらんください。6、認可保育所の屋外遊戯場の状況といたしまして、平成二十九年度に都が認可いたしました保育所の屋外遊戯場につきまして、敷地内のみ、敷地内及び代替遊技場、代替遊技場のみの区分ごとに、区市別の施設数を記載してございます。
8ページをお開き願います。7、認可保育所、認証保育所及び認可外保育施設の施設数、指導検査件数及び文書指摘施設数の推移といたしまして、表側の施設種別ごとの施設数、指導検査件数及び文書指摘施設数を平成二十七年度から二十九年度にわたりまして記載してございます。
九ページをごらんください。8、東京都介護職員キャリアパス導入促進事業の当初予算額及び決算額の推移といたしまして、当初予算と決算とに分けまして、事業ごとの金額を平成二十七年度から二十九年度にわたりまして記載してございます。
一〇ページをお開き願います。9、東京都介護職員キャリアパス導入促進事業の規模の推移(当初予算及び決算)といたしまして、当初予算と決算とに分けまして、事業ごとの対象となります事業者数、事業所数、レベル認定者数及びアセッサー数を平成二十七年度から二十九年度にわたりまして記載してございます。
隣の一一ページでございます。10、都内における介護プロフェッショナルキャリア段位制度のレベル認定者数の推移といたしまして、レベル二からレベル四に認定された人数を平成二十六年度から二十九年度にわたりまして記載してございます。
一二ページをお開き願います。11、都内における介護プロフェッショナルキャリア段位制度のアセッサー登録者数といたしまして、平成三十年一月十一日現在、都内でアセッサーとして登録している人数を、登録した年度別に記載してございます。
一三ページをごらんください。12、都内の介護職員数の推移といたしまして、都内の介護職員の国におけます推計人数を平成二十四年度から二十七年度にわたりまして記載してございます。
以上、簡単ではございますけれども、要求資料のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○のがみ委員長 発言は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○斉藤委員 私からは、待機児童対策、介護人材定着支援、不妊検査等助成、動物愛護の四つのテーマについてご質問させていただきます。よろしくお願いします。
まず、待機児童対策について伺います。
知事就任以降、矢継ぎ早に打ち出した多くの施策が実を結び、本年四月の待機児童が三千百七十二人減と大幅に減少しております。しかし、いまだ待機児童は解消しておらず、なお全国でも最も高い五千四百十四人となっております。用地や保育士等の不足もあり、さまざまな施策についてもさらに工夫を施しながら待機児童解消に向けて取り組んでいただきたいと思います。そうした観点から質問させていただきます。
まず、平成二十九年度の保育人材の確保、定着の支援について伺います。
保育人材対策については、本年六月の第二回定例会においても私が質問をさせていただきましたが、待機児童の解消に向けた重要な課題の一つと考えております。
都の調査では、保育士の約九割が女性であり、結婚や出産に伴う休職などから円滑に職場に復帰していただくための取り組みが必要です。
都内の保育所では、施設が完成しても保育士を確保できなかったために開所をおくらせたり、定員をカットしたりするケースもあったといいます。また、自治体間で人材奪い合いの様相も呈しておりまして、人材確保への支援は、待機児童解消に向け、何よりも、保育の質の向上のためにも重要であると考えております。
そこで、産休や育休から復職する保育士等に対し、平成二十九年度、都はどのような取り組みを行ったか伺います。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 平成二十九年度の取り組みでございますが、都は、保育士の職場復帰に向けたさまざまな支援を実施しております。
まず、潜在保育士の職場復帰支援といたしましては、保育現場における実習をカリキュラムに組み込んだ復職支援セミナーの開催、都内各地域での就職相談会の実施、保育人材・保育所支援センターの保育人材コーディネーターによる就職相談などの取り組みを行っております。
また、平成二十九年四月に開催をいたしました待機児童解消に向けた緊急対策会議におきまして、保育所の入所調整に当たりまして、保育士の子供を優先的に入所させるなどの方策につきまして区市町村に働きかけを行いました。
さらに、産休や育休明けの保育士の職場復帰を後押しするため、子供が待機児童となった保育士に対しベビーシッターの利用料を支援する事業も実施をしております。
○斉藤委員 ありがとうございます。昨年度一年間で一万六千人を超える保育所等に通うお子さんが増加しておりますが、それに見合うだけの保育士が現在確保できているということから、こうした取り組みが着実に効果を上げているものと理解しております。
それでは、決算なので、答弁いただいた取り組みのうちに保育士向けの居宅訪問型保育利用支援事業がございますけれども、この執行率がやや低かった理由について伺います。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 本事業でございますけれども、対象を、産休、育休明けの保育士の子供が保育所等に入所できず認可外の居宅訪問型の保育サービスを利用して認可保育所等に職場復帰する場合に限定をしていたこと、また、保育サービスとして居宅訪問型保育サービスが浸透していなかったことなどから、区市町村において活用されなかったと考えております。
○斉藤委員 ありがとうございます。
この事業は、今年度からはベビーシッター利用支援事業として、保育士のみならず全ての待機児童のお子さんのいる方々向けの事業として再構築したと、私の方は認識をしております。
新たな事業では、保育者への研修実施など、ベビーシッターの質の確保や保護者の理解促進策など、前身事業での経験も参考にしながら進めていると伺っておりますが、都民の利用開始に向けて、都としても引き続き尽力いただくことを要望しまして、次の質問に移らせていただきます。
続いて、さまざまな保育サービスについてお聞きします。
初めに、認証保育所について伺います。
認証保育所は、直接契約で、認可保育所に比べて柔軟性があり、充実したプログラムなどの特色があるほか、フリーランスや年度途中からの復職需要に応えておりまして、依然大きな人気を得ていると考えております。入所保留となったお子さんを含め、今現在、約一万九千人のお子さんたちが通っている状況でございます。
一方、子ども・子育て支援新制度開始以降、認可保育所や小規模保育への移行が進みまして、ピークには七百カ所以上あったこの認証保育所、本年四月現在で六百十カ所となっております。また、認可保育所の急速な増加もあり、一部の認証保育所では定員に余裕が生じていることもあると伺っております。
こうした環境の変化を踏まえて、都は、認証保育所に対してどのような支援の充実を図ってきたか伺います。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 大都市特有の保育ニーズを踏まえまして、平成十三年度に創設いたしました認証保育所は、都の保育施策の重要な柱の一つでございます。
平成二十七年度には、運営費の補助単価を増額いたしますとともに、減価償却費加算、賃借料加算を創設いたしまして、保育士等のキャリアアップに向けた取り組みや、障害児やアレルギー児等に対応するための取り組みへの支援も開始いたしました。
また、保育従事職員等に対する宿舎借り上げ支援につきまして、国の事業では対象外となっている認証保育所を補助対象といたしますとともに、平成二十九年度からは、保育士等の業務負担を軽減するためのICT化の取り組みに対し補助を開始するなど、独自にさまざまな支援の充実を図ってまいりました。
○斉藤委員 この間、都として支援の充実に取り組んでこられたことがわかりました。
認証保育所を運営する事業者も、上場企業から一施設一法人の事業者まで幅広く存在しておりまして、とりわけ保育室から移行した認証保育園のB型を運営する事業者は、小規模また零細な事業者が多いという実情がございます。
要望となりますけれども、安定的な経営が続けられるように、開所時間の延長などサービスの充実に取り組む認証保育所に対して引き続き支援をお願いしたいと思います。
また、待機児童年齢のピークや高年齢児の枠に余裕がある事例もあることなどから、二歳児までとなっている年齢の上限を見直すなど、事業者、区市町村、利用者にとってのメリット、デメリットを精査した上、柔軟な運営が可能となるように、必要に応じて制度の見直しについて検討することを要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。
保育所におけるスペシャルニーズ児童の受け入れについて伺います。
厚生労働省の発表によると、平成二十八年度、都内の保育所に通う障害児は千六百一人、医療的ケア児は十八人でございます。障害児については保育所での受け入れが拡大してきておりますが、医療的ケア児については、看護師の配備が必要ということもあり、ハードルが高く、保育所に通えているお子さんはごくわずかにとどまっているということです。
都では、平成二十九年度から、保育所における医療的ケア児受け入れ促進のために看護師を配置する経費を支援する医療的ケア児支援事業を開始しましたが、その実績について伺います。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 医療的ケア児支援事業は、看護師等を配置することによりまして、保育所等において医療的ケア児を受け入れる環境の整備を図ることを目的としております。
平成二十九年度は、青梅市、町田市、日野市の三市に対して補助を行い、各市一施設が本事業を利用して、医療的ケア児の受け入れを実施いたしました。
○斉藤委員 ありがとうございます。
平成二十九年度中に三つの自治体で実施されて、今年度はさらに自治体から申請が集まっているとも伺っております。
一方で、医療的ケア児は、児童発達支援事業者からさえも通所を断られることも少なくないことから、保育所に通えるはずがないと半ば諦めてしまい、自治体の保育担当者にそもそも相談や申請に来ない方が多いと、我が会派の龍円都議が保護者からお声をいただいているということでございます。
龍円都議いわく、渋谷区では、今年度四月入園から医療的ケア児を受け入れるために、保育課では申し込みを待っていたものの、申請がありませんでした。しかし、だからといって医療的ケア児の保育ニーズがないというわけではなく、渋谷区内にある児童発達支援事業所、障害児保育園ヘレン初台には、今年度四月から医療的ケア児が通い始めたというふうに伺っております。
また、ほかの自治体では、待機児童解決の方が優先事項というふうにされていて、医療的ケア児受け入れに消極的なところもあるというふうに伺っております。
都では、今年度立ち上げた東京都待機児童対策協議会において、医療的ケア児受け入れなど、先駆的な自治体のノウハウ共有を進めていると聞いています。そういう場などで消極的な自治体に対しての普及啓発をしていただくとともに、積極的に保護者に保育担当部署へ相談するよう働きかけていただくことも大切であると伝えていただけたらというふうに思っております。
次に、病児、病後児保育について伺います。
病児、病後児保育は、どうしても仕事を休めない、頼る人がいない状況にあっては大変ありがたい存在で、さらに拡大していくことが必要です。
平成二十九年度の病児、病後児保育施設の実績について伺います。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 子供・子育て支援交付金を活用いたしまして、平成二十九年度中に新たに運営を開始した病児、病後児保育施設は、病児対応型が六施設、病後児対応型が四施設の計十施設となっております。これによりまして、平成二十九年度は病児対応型が八十施設、病後児対応型が六十四施設の計百四十四施設となりまして、二十二区、二十六市で病児保育事業が実施をされております。
○斉藤委員 ご説明ありがとうございます。実績はわかりました。
病児、病後児保育についても、先ほどの東京都待機児童対策協議会などを通じて、さらなる推進を区市町村に働きかけていただくことを要望いたします。
各種施策が着実に効果を上げ、待機児童の減少や多様なニーズへの対応も進んでいることがわかりました。
一方、さらに進む働き方の多様化に対しては、育児休業や病気休暇などを取得しやすい環境の整備とともに、休日や夜間など、これまで質の確保されたサービスの供給が少ないものもあります。小池都知事は八月に、女性の社会進出を後押しするために、二十四時間型の認可、認証保育所をふやすという方針を明らかにされました。
質の高い保育を都として推進することで、多様な働き方を選択する女性を支援され、今後とも、都民の保育ニーズ把握に努めて、的確な施策展開をしていただけることを期待して、次の質問に移らせていただきます。
次に、認可外保育施設の保育料軽減について伺います。
私は、都議になる以前から、働き方などを理由として認可保育所に入れず、やむなく認可外保育施設を利用する方が、なぜ認可保育所よりも数倍高い保育料を払わなければならないのか疑問を感じておりました。
都議になり、保育の仕組みについて理解を深める中、制度の違いなどがあり現在の状況となっていることは理解ができたものの、依然として保護者の不公平感の是正を図りたいと心から感じております。そうした観点から質問してまいります。
まず、平成二十八年度の緊急対策で開始した認可外保育施設の保育料軽減について、平成二十九年度の実績は予算比六三・七%となっております。本事業の執行率が上がらなかった理由について伺います。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 本事業でございますが、認証保育所、都制度の家庭的保育事業、ベビーホテル等の認可外保育施設等の利用者の保育料を区市町村が軽減いたします場合に、児童一人当たり月額四万円を上限に、その二分の一を補助するものでございます。
本事業の予算及び決算を比較いたしますと、予算では、都負担額を月額一人当たりの上限額でございます二万円で見積もっているのに対しまして、決算では約一万円でございました。
対象となる各保育サービス別の予算及び決算を比較いたしますと、保育料軽減額の都負担額についてはおおむね同額ではございますが、対象児童数については、ベビーホテル等の認可外保育施設におきまして予算見積もり規模等の乖離が大きかったところでございます。
○斉藤委員 ありがとうございます。
いわば、都独自に国に先駆けて無償化に取り組んだ事業であり、私もこの事業を高く評価してまいりました。
一方で、将来的な財政負担に対する懸念などから、市町村部を中心にこの事業が十分活用されていないという状況がありました。
国が来年度から開始する幼児教育、保育の無償化を開始すれば、三歳から五歳の児童は、一定の基準を満たす認可外保育施設を利用する場合、月額三万七千円が所得や住んでいる場所にかかわらず保障されます。これにより、家計負担としては今までよりも軽減されるケースが多いと考えられます。一方、認可保育所の保育料が無償となるため、認可保育所に預けられず認証保育所など認可外保育施設に子供を預ける親にとっては、自己負担が少なからず残ることとなります。
認可に預けられるか、認証や認可外に預けるかによって、そのご家庭は、ご家族は、希望する子供の数を実際には減らして将来設計をやり直さざるを得なかったり、住みたいまちや家の間取りを考え直していくという必要にも駆られるというお話を、私は、地元稲城市、多摩市でも切実な思いとして、若いお母様、お父様たちから伺ってまいりました。
財源のことや、それぞれの制度の違いはあるものの、来年からの保育の無償化に当たりましては、都独自の保護者負担軽減策の見直しに際して、ぜひとも格差是正について検討いただくことを要望しまして、次の質問に移らせていただきます。
次に、介護職員キャリアパス導入促進事業について伺います。
現役世代が今後大きく減少することが見込まれており、一方で、必要な介護職員数は倍増すると推計されております。
近年、介護業界でも需要が急激に膨らんだこともあり、介護の質の確保よりも人材確保の方に焦点が当てられてきたため、介護の現場で働く人たちは、仕事の大変さや責任の重さの割に賃金が安い、そもそも介護という仕事に対する社会的評価が低いというご不満を抱えたり、ご自身の仕事の専門性に不安を感じているという声も上がっております。
平成二十九年の介護労働実態調査の結果によると、東京都の介護職員の離職率は一六・四%となっており、五人から六人に一人が職場を離れていっているということがわかります。
同調査を見ると、介護関係の仕事をやめた理由で最も多かったものは、職場の人間関係、また、結婚や出産、職場の理念や運営のあり方に不満があった、収入が少なかったと、業界全体が持つ課題が浮き彫りになってきております。
業界の地位向上、また介護の現場で働く人々の定着率の向上に向けても、介護の質を定義し、専門性を高めていくことは非常に重要であると考えております。
東京都は、国が進めるキャリア段位制度を使って介護の質を定義し、評価者を育成して質の平準化を図っておられます。
キャリア段位制度を活用した東京都の介護職員キャリアパス導入促進事業がもっと普及してほしいと切に願うことから、幾つか質問をさせていただきます。
東京都介護職員キャリアパス導入促進について、平成二十九年度の予算執行率は二三・四%、不用額が八億一千五百十八万余円となっております。予算としてどれほどの規模の事業者への補助を想定されており、実際に補助実績がどれほどだったか伺います。
○粉川高齢社会対策部長 キャリアパス導入促進事業は、介護職員の育成、定着を図るため、国のキャリア段位制度を活用してキャリアパスの導入に取り組む介護事業者を支援することを目的に実施をしております。
本事業は平成二十七年度から実施しており、平成二十九年度の実績は、予算規模一千事業所に対して、二百三十八事業所となっております。
○斉藤委員 ありがとうございます。
用意してくださった予算規模の事業所数に対して、実際の導入事業所数が伸びなかったということで、現場では、この導入に、今の段階ではやや課題があるということがわかります。
なかなか事業所に介護職員キャリアパス導入が進まない理由について、都の見解と、事業所からどのような意見が寄せられているか伺います。
○粉川高齢社会対策部長 本事業では、介護事業者が段位制度に基づき評価を行うアセッサーを事業所に配置し、所属する介護職員が段位の認定を受けることなどが補助の要件となっております。
この段位制度について、国の検討会では、評価項目自体の見直しなどによる効率化、簡便化を進めることが必要や、レベル認定に係る事務負担が大きく、時間を要するなどの指摘がされており、段位取得者が十分に輩出されなかった要因であったと認識しております。
なお、本事業に対して事業者からは、補助対象となる職員の上限が四人であり、対象職員の選定が困難や、キャリアパス導入の成果を評価する仕組みが必要など、要件緩和等を求める意見がございました。
○斉藤委員 ご説明ありがとうございます。
今お話をいただきました要件で、アセッサーの配置というところが現場の事業所、特に中小事業所にとっては難しいというふうに考えております。
介護業界は、増大するニーズに合わせ、介護保険制度がスタートした二〇〇〇年以降は民間企業の参入も促進され、現在は主に中小企業が介護ビジネスを担っているといわれています。各社の業績、収支を見ると、売上高に対して原価が高く、利益率が低いという共通点があります。また、その原価の中で最も大きいのが人件費の割合です。
最低限の人員でやりくりをしている企業にとって、介護職員キャリアパス導入には、評価者の育成や評価者からの介護士への指導などが必要となることから、そもそも研修に人を出すのも難しいという現状があると、私も、我が会派の後藤議員が前職で見てこられたというような現場の話を伺ってまいりました。
中小の事業者でも参加しやすいような導入促進のあり方についてぜひご検討していただきたいと思いますが、今後、介護人材の定着支援の観点からも、キャリアパス導入促進に向けてどのように改善や対策を行うか伺います。
○粉川高齢社会対策部長 都はこれまで、より多くの事業者で段位制度を活用したキャリアパスの導入が進むよう、全ての事業者を対象とした説明会に加え、導入の意義や具体的な効果を理解してもらう個別相談を実施してまいりました。
今年度からは、補助の対象となる段位取得者の四人の上限人数を撤廃したほか、離職率の低下など本事業で成果のあった事業者に対する助成金制度を開始するなど、一層の普及に努めております。
また、国に対して段位取得の認定審査の効率化を図るよう求めた結果、昨年十一月から評価様式の一部が記述式からチェック式になるなど、職員の負担軽減に向け一定の改善が図られました。
さらに、段位取得者の配置等を介護報酬で評価し、職員のキャリアアップを図る仕組みとして段位制度を推進するよう、提案要求しております。
○斉藤委員 ご答弁いただきましたように、キャリアパス制度は本質的にはとても大事な事業だと考えております。先行している看護業界が歴史の中で専門性を獲得してきたように、介護業界も介護の質を定義し専門性を高めていくことは、冒頭でも申し上げましたが、介護業界そのものの地位向上の意味でも非常に大切なことです。
産みの苦しみという言葉がございます。事業所の皆様のお声を聞いていただきながら、また、きちんと人材育成に努めている事業者や法人が評価されるような仕組みをつくっていただきながら、ぜひ福祉保健局の皆様には引き続き頑張っていただきたいと思います。
次に、不妊検査等の助成についてお伺いいたします。
平成二十九年度、東京都は、不妊検査及び薬物療法や人工授精等の一般不妊治療に係る費用の一部の助成を始められました。これまでは体外受精や顕微授精といった特定不妊治療のみが助成の対象となっていましたが、これにより、治療の前段階にある検査費、初期段階の治療である一般不妊治療の費用についても助成対象になり、助成対象の裾野が広がったという点で大変評価すべき事業であると注視しております。
現在、日本は男女ともに晩婚化が進んでおります。女性の中には、三十代後半になると子供を授かれないかもしれないことを懸念したり、結婚に前向きに取り組めなくなる方もいると伺っております。
不妊の検査や治療を受けたことのあるカップルは、現在、五・五組に一組ともいわれる昨今、ぜひともこの事業を活用して、検査や一般不妊治療を受けることをさらに身近に感じていただきたいと考えております。
そこで伺いますが、不妊検査等助成事業の平成二十九年度予算の執行率が六〇・九%と、やや低いですが、この理由を伺わせてください。
○谷田少子社会対策部長 不妊検査等助成事業は、不妊検査及び一般不妊治療に係る費用につきまして五万円を上限に助成するもので、平成二十九年度から開始した事業でございます。
本事業の執行率についてでございますが、本事業では、夫婦ともに検査を受けることが必要であり、一通りの検査を行うには一定の期間を要し、申請まで時間がかかること、また、検査開始日から一年間は申請を可能としており、平成二十九年度中に検査を実施しても年度内に申請されないケースもあることなどによるものと考えております。
○斉藤委員 不妊治療は、まず不妊の原因特定のための検査から始まり、大きな原因が見つからない場合はタイミング法、人工授精、体外受精か顕微授精と、医師から勧められる治療にも段階があるということです。
そもそも、働いているカップルが、それぞれに、または一緒に医療機関で検査を受け、検査結果をもらい、男女双方の原因を探り、その後の方針についてお互いに話し合いながら生活の状況に合わせて治療を進めていくということになっておりまして、その答えや解決策は一昼夜に得られるものではありません。
今お答えいただきましたように、検査から一年間、申請を可能としてくださったことで、むしろ不妊検査等を受けるカップルにとっては大変使いやすい事業となっているといえます。また、二十九年度の執行率は六割程度ですが、年度の終わりのころに申請された方は、カップルの検査スタートから手続が年をまたいでしまうこともあると思いますので、この事業自体のニーズが低いということではなかったということが明らかになり、今後も大変期待される事業です。
そこで、平成二十九年度における想定件数と、今後の需要の推移に関する都の見解を伺います。
○谷田少子社会対策部長 平成二十九年度予算では四千二百件を計上しておりまして、二千件の実績となっております。平成三十年度は九月末までの半年間で既に二千五百十件の実績がございまして、今後もこうした傾向は続くものと考えております。
○斉藤委員 ありがとうございます。
さらに、昨年、この制度が始まった際に、不妊に悩む方々の中で懸念事項とされていたのが、対象とされたのが法律婚の夫婦のみとされていた点でした。
例えば、仕事などの事情で入籍日や結婚式が半年や一年先に決まっているんですが、時間との戦いともいわれるこの不妊治療において、妊活はなるべく早く始めたいと考えているカップルも少なくありません。ですが、不妊治療を行うクリニックの中には、治療を受ける男女に婚姻関係があることを必須条件とする場合があるため、このようなカップルが早期の妊活を諦めなければならないということになります。
二〇一七年四月に厚生労働大臣が事実婚男女の不妊治療にも助成を広げる可能性について言及したことは大変大きなことであり、これは、結婚していない男女の形の一つである事実婚にも治療の助成金を認めるということでお墨つきを得られた形になり、未婚男女の不妊治療に門を開くクリニックも今後ふえてくると期待されています。
そこで、実際に、この事業において、平成二十九年度は法律婚の夫婦のみを助成対象としていたのを平成三十年度から対象が事実婚の夫婦まで広げられたということは、都としてご英断をしたと評価したいと思いますが、これまでも助成対象拡大についてさまざまな要望があったかと思いますが、拡大するに至った経緯について伺います。
○谷田少子社会対策部長 事実婚は、年金、健康保険、児童手当など社会保障の分野では法律上の夫婦と同様に給付等の対象となっております。こうした制度とのバランスや不妊治療に対するニーズが高まっていることなどを踏まえまして、助成対象に事実婚を加えることとしたものでございます。
○斉藤委員 ありがとうございました。
長期にわたる治療等に係る費用は高額に膨らんでいく例も多いということで、助成額が現在、これは最高五万円出るという点や、検査開始当時の女性の年齢が三十五歳未満という点など、今後検討するべき点はあるかと思いますが、ぜひ今後とも、都独自のすばらしい取り組みを続けていっていただきたいと思っております。
最後に、動物愛護事業について伺います。
都知事は、二〇一六年度に東京都は、犬については殺処分ゼロを達成したと明かし、保護犬や保護猫の譲渡促進や、都民の動物との共生に関する意識向上がこのような成果につながったというふうにおっしゃっています。東京都知事として初めて、動物の殺処分ゼロを重要な政策目的の一つに掲げられており、実際に成果を上げられてきたことは大変評価すべき点であります。
一方で、犬については果たされたというこの殺処分ゼロには、そもそもの行政の引き取り数の減少、動物愛護団体等への譲渡促進といった背景もあることがうかがわれ、行政に引き取られていない動物が各区市町村でどのように暮らしているか、また、その暮らしを支える動物愛護団体やボランティアの方々がどのようなご苦労を抱えているかも同時に考えていかなければならない大切な現実です。
さらには、殺処分ゼロを目指すとともに、殺処分の原因を根幹から絶つべく働きかけを続けていくことも非常に重要です。
そこで、福祉保健局には動物愛護事業がございますので、質問させていただきます。
まず、動物愛護とはどのようなことを指すのか伺います。
○高橋健康安全部長 動物の愛護とは、愛情や優しさを持って対象である動物の習性等に配慮して取り扱い、動物とのよりよい関係づくりを目指すものでございます。
動物の愛護及び管理に関する法律等において、動物の愛護の基本は、人においてその命が大切なように、動物の命についてもその尊厳を守るということにあるとされております。また、動物の愛護に関する事項として、動物の虐待及び遺棄の防止、動物の適正な取り扱いその他動物の健康及び安全の保持等が定められております。
○斉藤委員 都民に飼い主のいない猫に対する正しい理解を普及していただくことや、飼い方における適切な知識を提供していただくことに加え、か弱き命を大切にする教育を行っていくためにも、市や区、警察などの行政との連携役などを積極的に東京都が推進してほしいと考えております。
今お答えいただいた動物愛護のまさに実践者として、無責任な飼育放棄や多頭飼育崩壊をなくすためにも、飼育者のみならず事業者に対しても、無責任な販売や動物の大量生産、安易なペットビジネスには、行政から常に厳しい目を向けていただきたいということも要望させていただきます。
次に、動物愛護推進員の活動内容について伺います。また、推進員の活動については、地元の区市町村や地域の方々に広く知っていただくことが大切と考えておりますが、都はどのように周知をされているのか伺います。
○高橋健康安全部長 動物愛護推進員は、地域の身近な相談員として、住民の相談に応じたり、犬猫等の飼い方の助言をしたりするなど、動物の愛護と適正飼養の普及啓発等の活動を行っており、平成三十年四月末現在で、都内全域で三百七名に委嘱しております。
都は、動物愛護推進員と区市町村との連携を円滑にするため、適正飼養の相談対応や飼い主のいない猫対策への協力など動物愛護推進員の得意とする活動分野を区市町村等に対し情報提供しております。また、動物愛護推進員が地域の住民の理解を得ながら円滑に活動できるよう、パンフレットや動物愛護イベントなどでその活動を広く紹介しております。
○斉藤委員 ありがとうございます。
推進員の存在があるのは大変地域にとっても心強いことですが、私の地元多摩市民の中には、推進員の顔が見えにくい、どう相談させてもらえるかわからないなどといったご不安をお持ちの方も少なからずおられます。
ぜひとも、東京都の動物愛護推進員と区市町村との連携を円滑にすると同時に、行政の役割をしっかりと打ち出していっていただきたいということを要望させていただきます。
ただいまご説明のありました都の動物愛護推進員制度とは別に、区市町村ごとに独自の市民ボランティアの制度を設けている自治体もあります。
例えば、多摩市の猫の飼い方普及員は、日ごろから飼い主のいない猫の保護や避妊、去勢といった活動を行ってきており、自治体から一定の補助も出ているとはいえ、非常にふえている地域では、飼い主のいない猫の保護活動に大変な経済的負担や物理的負担が生じているということが確認されております。
例えば、保護活動に一年間で、自費で数十万円という手術代を支払ったり、二十四時間の保護活動や病院搬送を行うために正社員の仕事をやめ、時間の融通のきく非正規の仕事に転職されているような例もございます。
このような地域における動物の保護活動を支えていくためには、それぞれ個別の活動では限界もありまして、NPO等のボランティアとの連携や情報交換も必要であると考えますが、都の取り組みを伺います。
○高橋健康安全部長 都の動物愛護管理行政のあり方等を検討する審議会において、学識経験を有する専門家のほか、動物愛護団体やNPO等からも委員としてご参加いただき、さまざまなご意見をいただいております。また、都の動物譲渡事業に協力していただいている登録譲渡団体を対象とした講習会や、動物愛護推進員相互の情報交換を行う意見交換会を毎年開催しております。
さらに、地域に根差したNPO等のボランティアは、区市町村との連携が重要なため、区市町村の担当者会議において、ボランティアとの連携、協働事業について情報提供しております。
○斉藤委員 区市町村の担当窓口からは、ますますふえつつある飼い主のいない猫対策について、ボランティアの相談対応や市民からの問い合わせ等に対応されている中で、業務時間以外に実際に地域に足を運んで市民から話を聞いたり、また市民同士のトラブルを防ぐために奔走されているというような話も伺います。
多摩市の飼い主のいない猫は、一年間で二百頭以上が交通事故等で命を落としているという現実がありまして、この対策は、動物愛護の考えのもと、早急に実行されなければならないと考えております。
市民ボランティアと連携した飼い主のいない猫対策を進めていくため、都は、区市町村に対する支援など、どのような取り組みを行っているのか伺います。
○高橋健康安全部長 区市町村では、地域における飼い主のいない猫対策といたしまして、不妊去勢手術の実施や、地域住民の理解と協力を得るための会議の開催などの取り組みをボランティアと協力して実施しておりまして、都はこうした区市町村の取り組みを包括補助事業により支援しております。
また、地域における飼い主のいない猫対策を推進するためには、ボランティア等が地域の理解を得ながら活動することが重要でございますので、都は、パンフレットやリーフレットを作成し、飼い主のいない猫対策の認知度を高めるための普及啓発を実施しています。
○斉藤委員 不妊去勢手術については、自治体によりその細かい要件が異なりますが、助成を受けられる動物病院が限られていたり、また、その助成金では手術費を賄い切れないなどの課題もあるということです。
例えば、東京都の動物愛護センターで不妊去勢手術を担っていただきたいというような要望も市民からはいただいておりますが、都としては、ぜひこの手術については区市町村を包括的に支援していっていただきまして、さまざまな都民のご意見も伺いながら、今後とも区市町村の飼い主のいない猫対策を支援していただきますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。
飼い主のいない猫対策を初め、都はさまざまな動物愛護施策を進めていかなければならないと考えております。
その動物愛護施策に関連して、去る八月、東京都動物愛護管理審議会が開催されたと聞いております。本審議会の位置づけ、役割及び今後の審議会の検討の方向性について伺います。
○高橋健康安全部長 東京都動物愛護管理審議会は、東京都動物の愛護及び管理に関する条例に基づき設置された知事の附属機関でございまして、動物の愛護及び管理に関する重要な事項について、知事の諮問に応じ調査及び審議を行います。
本年八月三十日、東京都動物愛護管理推進計画の中間見直しを行うため、審議会に対し、東京都における今後の動物愛護管理行政のあり方について諮問いたしました。
現在、現行計画に基づいて進めてきた施策の評価及び今後の取り組みのあり方や、動物愛護相談センターのあり方等について審議をしていただいているところでございます。
○斉藤委員 ただいま答弁がありましたが、動物愛護管理審議会では、東京都動物愛護管理推進計画の見直しの中で、動物愛護相談センターのあり方についても検討されております。
動物愛護相談センターは、動物愛護管理を進めていく重要な施設であり、特別区の拠点である世田谷区の本所が築四十年以上、多摩地域の拠点である日野市の多摩支所も築三十年以上経過し、老朽化が進んでおります。
現在のセンターでは、収容された動物の譲渡を促進し、ボランティア団体などとの連携を進めるなど、センターを取り巻く状況は、現センターが建設された当時とは大きく変わってきております。殺処分というイメージを過去のものとし、今後は、センターには動物と人間の共生を実現する新たな拠点として、ぜひその役割を発揮していっていただきたいと思っております。
地元の多摩市、稲城市、また近隣の府中市や調布市のボランティア、また動物愛護推進員の方たちから、この件についてはさまざまな意見を伺ってまいりました。地域で保護活動を行うボランティアの方たちの高齢化が進行しておりまして、体力的な限界、経済的な限界もあるという大変なご苦労を多々伺ってまいりました。
そのような中で、皆さんが東京都の動物愛護相談センターに抱く期待、これはとても大きなものがあります。
先ほどお話しした不妊去勢手術のほかにも、シェルター機能もしくは譲渡施設としての積極的な活用や、ボランティアや推進員の方もかかわれるようなあり方を検討していただきたいと考えております。
こうした状況も踏まえ、センターを早期に新たな施設にして、これからも動物愛護管理行政の中心的な施設としての役割を果たしていただくように要望しまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○伊藤委員 それでは、高齢者施策について伺います。
現在、東京都では、急速に少子高齢化が進んでいます。平成三十二年には後期高齢者が前期高齢者を上回り、平成三十七年には後期高齢者が百八十九万人に増加すると見込まれています。
また、後期高齢者の増加に伴い要介護者も増加しており、団塊の世代が全て後期高齢者となる平成三十七年には約七十五万人に達する見込みです。
こうした中にあって、高齢者の誰もが安心して暮らし続けるための取り組みがますます重要となってまいります。
昨年度、東京都は、高齢者の総合的、基本的な計画である高齢者保健福祉計画を改定し、新たに第七期計画を策定しましたが、その前の計画である第六期計画期間においても、計画が着実に進んできたかどうかを振り返ることも必要です。
そこでまず、介護基盤の整備について伺います。
今後、高齢者人口の増加とともに、高齢者のみの単独世帯や高齢者夫婦のみの世帯の増加も見込まれています。住みなれた地域で暮らし続けたいと希望する高齢者も多く、介護が必要となった場合に入所できる特別養護老人ホームなどの施設整備を都内全体で進めていくことが重要です。
そこで、広域的な入所施設である特別養護老人ホームや介護老人保健施設の平成二十九年度末の整備実績と、第六期計画における計画数に対する達成状況について伺います。
○粉川高齢社会対策部長 東京都高齢者保健福祉計画における特別養護老人ホーム等の必要入所定員総数は、介護保険の保険者である区市町村が地域のニーズを踏まえて算定したサービス見込み量に基づき定めております。
平成二十七年度から二十九年度までの三カ年を計画期間とする第六期計画において、平成二十九年度末の整備状況は、特別養護老人ホームが必要入所定員総数四万九千五百八十八人に対し、実績は四万七千四十八人、達成率は九四・九%となっており、介護老人保健施設は必要入所定員総数二万五千百五十五人に対し、実績は二万一千五百九十七人、達成率は八五・九%となっております。
○伊藤委員 特養、老健施設の達成状況はおおむね九割と確認をいたしました。九割とはいえ、計画目標の達成ができなかったということになります。
それでは、特別養護老人ホームの整備における課題として、土地の確保が困難であることが挙げられますが、土地確保に対する支援策と平成二十九年度の実績についても伺います。
○粉川高齢社会対策部長 都は、福祉インフラの整備を促進するため、未利用の都有地を五〇%減額して運営事業者に貸し付ける都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業を平成十五年度から実施しており、平成二十六年度には、都内平均地価を超える部分について減額率を九〇%に拡大しております。
本事業による整備実績としましては、平成二十九年度に二カ所が開設し、累計で十一カ所が運営しております。
また、土地賃借料の負担軽減を図るため、定期借地権の一時金に対し、国制度に独自に上乗せして最大五億円まで補助する取り組みや、区市町村が所有する未利用の公有地を活用した整備に対する補助を行うなど、土地確保のためのさまざまな支援策を実施してまいりました。
平成二十九年度の実績は、定期借地権の一時金補助が十六件で約六十九億六千万円、借地料の補助が二十五件で約九千七百万円、区市町村所有地を活用した整備に対する補助が五件で約七千八百万円となっております。
○伊藤委員 特養整備の課題と支援策の実績について確認をいたしました。
さて、冒頭に触れました都の計画では、地域包括ケアシステムの構築がうたわれております。地域包括ケアの実現のためには、広域的な施設に加えて、身近な地域で利用できる認知症高齢者グループホームなどの地域密着型サービスも重要です。
そこで次に、地域密着型サービスの整備への支援策と、平成二十九年度の補助実績及び認知症高齢者グループホームや小規模多機能型居宅介護の平成二十九年度末の定員数についても伺います。
○粉川高齢社会対策部長 高齢者が要介護状態になっても、可能な限り住みなれた地域で生活を継続するためには、区市町村が指定権限を有する地域密着型サービスの整備を促進する必要がございます。
都は、国制度による補助に加え、独自の補助として、土地所有者等が賃貸目的で施設の建物を整備し、運営事業者に貸し付けを行うオーナー型の整備に対しても補助対象とするなど、地域密着型サービスの整備に取り組む区市町村を支援しております。
平成二十九年度の地域密着型サービスの補助実績は、認知症高齢者グループホームは二十五件、五十三ユニットで約十三億二千四百万円、小規模多機能型居宅介護などのサービスは三十六件で約十億九千二百万円となっております。
また、平成二十九年度末の認知症高齢者グループホームの定員は一万六百六十一人、小規模多機能型居宅介護の登録定員は五千四百三十五人となっております。
○伊藤委員 介護基盤の整備に対する課題と取り組みの実績について、それぞれ確認をいたしました。
一定の成果は上がっておりますが、都内全域ではなく各地域に視点を向けた場合は、施設の偏在や市区町村における整備意欲に温度差があります。例えば、介護基盤の中でも認知症高齢者グループホームは、都の掲げた整備目標二万人に向け、実績はその半分であり、さらなる取り組みが必要です。
それでは、認知症高齢者グループホームなど地域密着型サービスの整備について、今後どのように取り組んでいくのか伺います。
○粉川高齢社会対策部長 都は、認知症高齢者グループホームの整備を促進するため、国基金を活用した補助に加え、独自の取り組みとして、一ユニット当たり二千五百万円の整備費補助を実施しており、さらに、高齢者人口に比べ整備状況が十分でない区市町村を重点的緊急整備地域に指定し、補助額を一・五倍の三千七百五十万円としております。
今年度から、重点的緊急整備地域の基準となる整備率を、これまでの高齢者人口比〇・三三%未満から〇・三八%未満に引き上げ、対象となる区市町村を三十七から四十九に拡大しております。
また、建築価格の高騰に対応する整備費補助の加算を地域密着型サービスにも拡大するなど都独自の補助を行っており、引き続き、区市町村が進める地域密着型サービスの整備を支援してまいります。
○伊藤委員 介護基盤の実績や取り組みを確認いたしました。課題については引き続き改善を図っていただきたいと思います。
次に、介護人材対策について伺います。
介護施設等からは、職員が集まらないため、派遣会社や外国人にも頼らざるを得ないなど、人材確保に大変な苦労をしているとお聞きしております。
都内の介護関連の有効求人倍率は全産業平均を大きく上回っており、人手不足が深刻化しています。そして、都が公表した介護人材の需給推計によりますと、平成三十七年度には約三万五千人もの介護職員が不足する見込みです。
このような状況を踏まえると、介護人材の確保を進めていくことは大変重要であります。
さて、この人材不足の背景として、介護職に対して、夜勤などがあり仕事がきつい、給与水準が低い、将来に不安があるなどのマイナスイメージがあり、他の業種と比べて人材の参入が進まない、また離職率が高い状態となっていることなどが挙げられます。
都においても、介護人材の確保に向けてこれまでさまざまな取り組みを進めてきていると認識しておりますが、そこで、予算規模などを見ても介護人材関係事業の大きな柱となっております介護人材確保対策事業について、その事業の目的と内容について、まず伺います。
○粉川高齢社会対策部長 今後一層の増加が見込まれる介護ニーズに適切に対応していくためには、サービスを担う多様な人材の参入促進を図ることが必要でございます。
このため、都は、介護人材確保対策事業として、平成二十六年度から職場体験事業、資格取得支援事業、トライアル雇用事業を実施いたしました。
職場体験事業は、介護職員として就労を希望する学生、主婦、離職者等が介護業務の理解を深めることを目的に、施設等で車椅子補助、食事の配膳、下膳やレクリエーションなどを最大三日間体験できる機会を提供しております。
資格取得支援事業は、将来の介護職員の育成を目的に、職場体験事業修了者に対して、介護に関する基本的な知識、技術を習得する介護職員初任者研修を無料で受講できる講座を設けております。
トライアル雇用事業は、施設等における即戦力の人材確保を目的に、離職者等が介護事業者と六カ月以内の有期雇用契約を締結し、働きながら介護職員初任者研修を受講することを支援したものでございます。
○伊藤委員 介護人材確保対策事業は、職場体験、資格取得の支援、トライアル雇用事業の三つの事業を実施しているということですが、これらの事業実施については、その成果がどれだけ上がっているかということが重要です。
そこで、昨年度の介護人材確保対策事業の実績について伺います。
○粉川高齢社会対策部長 昨年度の職場体験事業の実績は、希望する地域や介護サービス事業所を選べるよう、介護老人福祉施設や訪問介護など十九の介護サービス種別を設定し、五百四十一カ所を体験先として確保し、八百十四人の申込者を延べ千二百七十一日間受け入れました。
資格取得支援事業では、学生や就業者であっても研修を受講しやすいよう、夏休みや土日祝日を中心とした講座や通信学習を含む講座など合計百十七の講座を設け、四百六十八人が介護職員初任者研修を修了しております。
トライアル雇用事業では、希望する介護サービス事業所を雇用先として選べるよう、十八の介護サービス種別で二百六十九カ所を雇用先として確保し、二百二十二人が六カ月以内の有期雇用契約を締結するとともに、そのうち百九十四人が介護職員初任者研修を修了いたしました。なお、有期雇用契約終了後も百五十七人が継続雇用されております。
○伊藤委員 ご答弁のとおり、これまでの取り組みで一定数の人材を確保していることは評価ができます。しかし、介護人材確保対策事業の事業実績は、執行率で見ると四八・三%となっております。
この実績を踏まえ、事業のさらなる工夫が必要であると考えますが、今後の取り組みについても伺います。
○粉川高齢社会対策部長 都は、体験先や雇用先となった施設、介護事業者団体や事業を利用した学生が通う学校等に対してアンケート調査やヒアリングを実施し、事業に対する課題や要望を把握しました。
それらを踏まえ、資格取得支援事業では、高校生が受講しやすいよう夏休みに実施する講座をふやしたほか、学校で実施した介護現場でのインターンシップであっても申し込み要件に加えるなど、見直しを行いました。
また、トライアル雇用事業では、介護福祉士の受験資格に該当する実務者研修を追加したほか、労働時間の要件を週三十時間以上から二十時間以上に緩和して短時間勤務の職員も対象とするなど、事業者が利用しやすいよう事業の再構築を図り、今年度新たに就業促進事業として実施しております。
今後とも、介護人材の安定的な確保に向けて取り組みを推進してまいります。
○伊藤委員 執行率半分以下ということですから、課題について改善を図って、順次進めていただきたいと思います。
続きまして、介護人材の対策について、認知症対策についても伺います。
高齢者人口の増加とともに、認知症疾患の方も増加しております。都内の認知症患者は、平成二十八年十一月時点で約四十一万人となっております。
ご案内のとおり、認知症とは、脳や体の疾患を原因として記憶や判断力などの障害が起き、日常生活まで支障を来すようになった状態です。アルツハイマー型のほかに脳血管性認知症が有名であり、少し前のことを覚えられていない記憶障害や、日付や時間がわからなくなる見当識障害、言葉や洋服の着方がわからないなどの失語、失認、失行があります。
さて、都においても、決算説明資料を見ますと、認知症対策についてさまざまな取り組みがなされております。
そこで、認知症の方とその家族が地域で安心して生活できるよう、認知症の容体に応じて適切な医療、介護、生活支援などを受けられる体制を構築するために設置を推進しております認知症疾患医療センターの役割や、設置状況と活動実績について伺います。
○粉川高齢社会対策部長 認知症疾患医療センターの役割は、地域における認知症の専門医療機関として、認知症の原因となる疾患を見きわめる鑑別診断や専門医療相談等を実施するとともに、認知症の人と家族を支えるための人材の育成や地域連携を推進するものでございます。
現在、二次保健医療圏ごとに地域拠点型の認知症疾患医療センターを十二カ所、区市町村ごとに地域連携型の認知症疾患医療センターを四十カ所、計五十二カ所の医療機関を指定しており、地域拠点型のセンターには、圏域内の区市町村と連携し訪問支援等を行う認知症アウトリーチチームを配置しております。
平成二十九年度の活動実績は、センター五十二カ所合計で鑑別診断を約一万九千件実施し、認知症の人の家族などから約二十三万四千件の専門医療相談を受けております。
また、医療介護従事者等を対象とした研修を七百七十回実施して人材育成を図るとともに、区市町村や関係機関が開催します認知症に関する会議に約一千回参加するなど、地域との連携を促進しております。
○伊藤委員 活動実績についてお答えをいただきました。
多くの市区町村で認知症疾患医療センターの整備が進み、認知症の方や家族を受け入れる体制は整いつつありますが、さらに重要なのは、認知症の早期診断、対応であります。
現在、全ての市区町村に認知症初期集中支援チームが設置され、初期の支援を包括的、集中的に行い、早期の診断や適切な医療、介護につなげる体制が充実してきています。
その一方で、認知症初期集中支援チームは各地域の実情に応じて設置しているため、チームの設置数やその構成、活動内容はさまざまであります。
こうした状況を踏まえて、市区町村の活動を支援し、東京都として認知症の早期診断、対応を進めていくことが重要であります。
それでは、認知症の早期診断、対応の促進に向け、認知症疾患医療センターで行われている取り組み及び市区町村の活動支援についても伺います。
○粉川高齢社会対策部長 都は、地域拠点型認知症疾患医療センターに認知症専門医や看護師、精神保健福祉士等で構成する認知症アウトリーチチームを配置しており、平成二十九年度は四十三区市町と連携して認知症の疑いのある高齢者等のお宅を訪問し、早期の診断につなげるなどの取り組みを実施いたしました。
さらに、拠点型センターでは、アウトリーチチームが培ってきた訪問支援のノウハウを活用した取り組みとして、全区市町村に配置されている初期集中支援チームの訪問等の活動を支援するため、情報交換や、困難事例、好事例等の対応の検討、初期集中支援チーム員の対応力向上に向けた研修を実施しております。
こうした取り組みを通じて、引き続き区市町村を支援し、認知症の早期診断、対応を推進してまいります。
○伊藤委員 認知症の早期診断、対応についてもお伺いをいたしました。
先ほどお聞きをしたところ、現在でも都内の高齢者の約七人に一人が認知症ということになっておりますし、また今後も増加ということでありますので、安心して暮らせるように対応を引き続きお願いしたいと思います。
これまで、介護基盤の整備、介護人材対策、認知症対策について、高齢者施策としての重要な取り組みと考えてお伺いをいたしました。本年策定しました第七期高齢者保健福祉計画においても重点分野として位置づけられているものです。
今後も第七期計画に基づき、高齢者が安心して暮らし続けられる東京の実現に向け、取り組みの一層の充実を図っていただくことを要望し、質問を終わります。
○細田委員 私からも何点か質問させていただきます。
まず、都民の妊娠、出産、子育てを切れ目なく支える東京版ネウボラの事業、これは平成二十七年度、三区より開始しました産後ケア事業、ゆりかご・とうきょう事業でありますが、私も区議時代に、この事業を江東区での実現を訴えまして、翌二十八年度、江東区でもスタートすることができました。
そして、昨年の第四回定例会におきましても、産後ケア及び産婦健康診査の取り組みが広がるよう、さらなる市区町村への支援について質問をしたところであります。
まず伺いますが、二十七年度から始まりました産後ケア事業のこれまでの実施状況についてお尋ねします。
○谷田少子社会対策部長 産後ケア事業は、子供の健やかな育ちと母親の心身の健康を支えるため、退院直後の母子に対し保健指導、母親に対する療養上の世話や心理的ケア、カウンセリング、育児指導、育児サポート等を行う取り組みでございます。
都は現在、妊娠期から切れ目なく全ての子育て家庭を支援するゆりかご・とうきょう事業によりまして、専門職による妊婦への面接等とあわせて産後ケア事業を行う区市町村を独自に支援しております。
産後ケア事業の平成二十七年度の実施自治体数は三区で、いずれもゆりかご・とうきょう事業を活用いたしました。二十八年度は十区市で、このうち八区がゆりかご・とうきょう事業を活用しております。また、平成二十九年度は十六区市で、このうち十二区市がゆりかご・とうきょう事業を活用したものでございます。
○細田委員 小池知事も、子供を産み育てる喜びを感じられる社会へ、このように所信表明をしております。
平成二十九年度は、今ご答弁ありましたが、十六区市が産後ケア事業、そして、このうち十二区市がゆりかご・とうきょう事業と、この進展は喜ばしいことであると思っています。
これはこれからも確実に広がって、区市町村ごとに特徴や差はあるかもしれないけれども、広がって取り組んでいっていただきたい、このように願うわけですけれども、産後ケア事業の今年度の取り組み、この状況はどうなっているのでしょうか、お尋ねいたします。
○谷田少子社会対策部長 都は今年度から、産後ケア事業のみを実施する場合も運営費や実施場所の改修費を新たに支援する産後ケア支援事業を実施しております。
今年度は、本事業やゆりかご・とうきょう事業を活用し、二十四区市町が産後ケア事業を実施する予定でございます。
今後とも、より多くの区市町村が取り組めるよう、保健衛生主管課長会や母子保健従事者向け研修会など、さまざまな機会を通じまして積極的な取り組みを働きかけてまいります。
○細田委員 今ご答弁ありました。産後ケア事業のみを実施する場合も運営費を支援する、少しハードルを下げて、少しでも多くに広げていくと、こういうような取り組みであるというふうに思います。それがそのままゆりかごにもさらに拡大していって、積極的な働きかけを続けていくということなので、ぜひよろしくお願いいたします。
都は今後とも、この産後ケアに取り組む区市町村に対する支援をどうぞ一層強化していただきたい。
また、産婦健康診査支援事業も今年度から開始されているわけであります。積極的に希望する複数区は利用して実施できるようになっております。まだどうなっているのか私わかりませんけれども、、産婦健診は、乳児の虐待を早期発見することにもつながりますし、精神的な健康のみならず、身体的な母親の健康にもつながっていく大変に重要な目玉の事業だと思っています。
専門の先生に伺いますと、やはり産科医の産婦健診はぜひやっていただきたい、それで随分変わってきますよと。母親の実情もそうだし、子供たちの健康もそうだし、ぜひ産婦健康診査を実施できるよう、その取り組みを今年度からしっかり後押しをしていただきたい。こちらについても、引き続いて区市町村における取り組みが着実に進んでいくよう、積極的に都がリーダーシップをとって進めていただくことを強く要望して、次の質問に移ります。
私、江東区議の時代に江東区の保育行政にも触れまして、多くの保育現場の、また保護者の声に耳を傾けさせていただきました。そうした経験を踏まえて、保育の実施主体である区市町村や保育事業者、保育者、そして保護者の視点から質問をさせていただきます。
待機児童の状況についてです。
先ほど来、盛んに質疑されておりますけれども、待機児童対策は小池知事が最も力を注いでいらっしゃる課題の一つでもあります。
六月の第二回の定例会におきましても、区市町村との十分な連携を行い、保育施設の整備促進に加えて、人材の確保、定着、利用者支援の充実等の対策を積み重ねてきた結果、本年四月一日、この時点の都内の待機児童数は昨年に比べて三千百人減少し、五千五百人を下回る見込みであり、都内の認可保育所も昨年度比約二百五十増加していると、力強く所信を表明されました。そして、さまざまな施策が展開されて、予算額も充実が図られている、このように認識をしております。
さて、これまでの取り組みの結果を確認のため、本年四月の保育サービス利用児童数、待機児童数の状況についてお聞きします。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 本年四月の保育サービスの利用児童数でございますが、昨年四月と比較いたしまして一万六千五十九人増加いたしまして、二十九万三千七百六十七人となっております。
待機児童数でございますが、昨年四月に比べまして三千百七十二人減少いたしまして、五千四百十四人となっております。
○細田委員 今ご答弁ありましたけれども、一年間でこれだけの待機児童数が減少したことというのはありませんから、さまざまな取り組みの成果である、このように思います。地元の江東区でも、昨年より二百四十六人減少して七十六人となりました。
しかし、これまで、待機児童数が減ると保育所に入りたい家庭も増加していますし、再び待機児が増加する、いわゆるイタチごっこといったらいいんでしょうか、続いてきたために、このまま順調に減少していくのかということは、楽観視することはできません。
私が住んでいる江東区においては、毎年七千人ほど人口がふえていますから、お子さんも五千人弱生まれていますので、そういう点を考えますと、できてもまたふえてと、こういうことはあるかもしれませんが、それだけじゃなくて、都内全般を見た場合でも、やはりどうしても、保育所をふやしても待機児がふえている、こんな状況があります。
都は、二〇一九年度末までの待機児童の解消を目指して、さらに保育のサービスの拡充を進めています。
都の目標六万人増の考え方、平成二十九年度のこの進捗状況、今後の見通しについての答弁を求めます。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都は、昨年実施いたしました保育ニーズ実態調査の結果を踏まえまして、就学前児童の五二%が保育サービスを利用できるよう、二〇一七年度から二〇一九年度までの三年間で六万人分の保育サービスを整備する計画を本年一月に策定をいたしました。
平成二十九年度、二〇一七年度に増加いたしました保育サービス利用児童数は一万六千五十九人でございまして、目標の達成に向けましては、今年度及び来年度の二カ年で約四万四千人の拡充に取り組む必要がございます。
都は、引き続き、待機児童の解消に向けて保育サービスの拡充に取り組む区市町村を支援してまいります。
○細田委員 四万四千人の拡充、ぜひ二年後にまたこれも達成できたと、このようなお声を聞かせていただくよう要望いたします。
続いて、認証保育所について伺います。
子ども・子育て支援新制度開始以降、認証保育所の認可保育所への移行が進展しています。江東区でも、認証保育所の数が減少して認可園への移行が進んでいます。他の区でも非常に早いスピードで認可園に進んでいる、こんな区もあります。
認可保育所と認証保育所には違いがありまして、それぞれ補完し合う関係ともいえます。また、特色のある教育、保育を提供していくためにも、その地域の特性を生かしていくためにも大変に大切な園、施設であります。
ですから、引き続き認証保育制度を維持して、それをいい形で発展させていくこと、かなめとなっていただくこと、これが重要であると考えておりますが、保育の実施主体は区市町村なんですけれども、都としては今後、認証保育所制度をどのようにしていくお考えを持っていらっしゃるのか、その見解を求めます。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都は、大都市特有の保育ニーズを踏まえ、十三時間開所やゼロ歳児保育などを義務づけた認証保育所を平成十三年度に創設いたしました。
平成二十七年度の子ども・子育て支援新制度開始前後から認可保育所への移行が進んでおりますものの、積極的に新規の認証保育所開設に取り組んでいる自治体もございます。
認証保育所は都の保育施策の重要な柱の一つでございまして、今後とも、区市町村と連携しながら支援してまいります。
○細田委員 認証保育所に関する都の考え方は私と同様な方向性なんだということを確認いたしました。
保育の実施主体である区市町村や認証保育所を運営する事業者の意向を引き続き踏まえて、区市町村の実態、そして保育所の整備状況、これを注視しながら、認証保育所制度の維持充実に取り組んでいっていただくことを要望いたします。
それぞれの動きをよく見ておいていただいて、何が今必要で、どういうふうな方向に導く方がいいのかという都の保育指導というもの、そして区市町村との連携、これが非常に重要だということを申し上げておきます。
次に、多様な整備手法について伺います。
済みません、ちょっと地元のことばっかりいって恐縮なんですけれども、この間、江東区では、本園と分園の間をバスで児童を運ぶサテライト保育、ゼロから二歳の乳児は分園の方にバスで安全に運んで、そして、モニター、テレビカメラでちゃんと保護者が見られるという、こういうような形で施設を有効活用する、こんなサテライト保育園が複数でき上がって、これは有名になりましたからもう皆さんよくご存じだと思うんですけれども、また大規模な認可保育所を首都高の管理地にきれいに整備したり、また都立木場公園や、今年度に区立公園内、駅のすぐ近くの緑がいっぱいあるところなんですが、そこに認可保育所を整備するなど、土地の確保が大変困難な状況なんですが、それを乗り越えて、さまざまな整備手法を駆使して保育サービスの拡大につなげてきました。
こうした取り組みの結果、先ほど申し上げたように待機児童数が大幅に減少しているんだ、このようにも理解しています。
こうした先駆的な取り組みは各地で行われておりまして、他の自治体の参考になるもの、これが大変に多いと思います。こうした先駆的な取り組みについて、どうなんでしょう、意外にもほかの自治体がよくわかっていないというケースもあるようですので、都としては、待機児童対策の観点からも、事例の水平の展開、積極的に、こういうことがあるよ、またこういうふうなことだったらばここの例があるよということを情報提供していただいて、マッチングを進めていただいて、これらの取り組み、水平展開の取り組みをしていただきたい、そういうふうに考えますけれども、都はどのような見解をお持ちでしょうか、ご答弁を求めます。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都は毎年度、子供家庭支援区市町村包括補助事業を活用いたしました先駆的な取り組みの事例集を作成いたしまして、事例の発表会を実施いたしております。
また、本年六月には、待機児童解消に向けた課題などについて区市町村との協議を行う東京都待機児童対策協議会を設置いたしまして、今年度は多様な保育の受け皿確保や保育人材の確保、育成等の分野について協議を行っており、各分野の先駆的な取り組みについて情報を共有いたしたところでございます。
都では、こうした取り組みを通じまして、各区市町村が地域の実情に応じてさまざまな手法により保育サービスの充実を図ることができるよう支援をしております。
○細田委員 了解しました。ぜひ、その発表会もまた、積極的に意見交換が進んでいるということですので、大いに効果が出ることを期待しまして、続けていっていただきたいというふうに思います。区市町村を、運営、整備の充実を推進できるように、今のお言葉どおり支援していっていただきたいと要望いたします。
さて、育児休業等の延長にかかわるこの制度について伺います。
一部の自治体ですけれども、育児休業及び給付金の延長を目的に認可保育所の申し込みを行う方々がいることが、報道等でいわれて明らかになっております。問題となっております。こうしたことがある場合に、本来希望の園に入れるはずだった子供が待機児童となったり、区市町村の事務の負担が増加したりと、さまざまな課題が生じている、こういう状況があります。
一方、申請者の側も、育児休業延長に際し、職場の理解を得るためにこの不承諾通知が必要、こういう個別な事情があるケースも存在している、こういうような状況であります。
いずれにしても、保護者や市区町村にとってのこれは課題でありまして、都としても、この解決に向けて国に引き続き働きかけをしていくべき、このように考えますが、都はどのように考えているんでしょうか、お尋ねいたします。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都は、平成二十八年九月に開催されました第二十三回国家戦略特別区域諮問会議におきまして、育児休業の期間を延長するよう提案をいたしました。
具体的には、原則一歳の育児休業期間につきまして六カ月の延長が一回までとなっていた制度を、原則二歳まで取得可能とするとともに、期間延長の条件となっていた保育所入所不承諾を撤廃するよう提案をいたしました。
その後でございますが、国において、育児・介護休業法等の改正によりまして、平成二十九年十月から、原則一歳までの育児休業期間につきまして六カ月の延長が二回まで可能となりまして、それに合わせて育児休業給付金の支給期間も延長されたところでございます。
都は、育児休業期間延長の条件となってございます保育所入所不承諾を撤廃するなど、育児休業を希望する子育て家庭が安心して制度を利用できるよう、関係法令の改正等、必要な措置を講じるよう国に提案をしております。
○細田委員 頑張っていらっしゃると。確かに、都は国に対し、本年の六月も国の施策及び予算に対する提案の要求、施策と予算をしっかり都から国に対して提案する、これを行っています。
その中に、今答弁にあったように、具体的な要求内容に、保育所等に入所できない場合等、育児休業期間の延長の条件を撤廃すること、これを提案し要望されています。
国がこの提案を認めることを望みますが、もし否でも、この趣旨が形になるように続けていっていただきたい、このように思います。
そして、その事情がやむを得ない、よんどころのない、こういう特別な事情が保護者側に存在した場合には、その相談を別な形で受けられるような整備をしていっていただきたい、このように思います。
続いて、保育士のキャリアアップ補助、これについてお尋ねします。
保育園にとっては、採用困難職種ともいえる保育士の確保が大きな課題となっています。一方、保育士にとっては、社会のニーズ、ウオンツが高まる中で、他の仕事と比較して働きに見合った賃金が得られない、こういうような実態や、残業等が続いて働き方にさまざまな問題がある、こういう声も届いており、保育士の方々の処遇改善を続けていく政策実現の重要性はますます高まっているのが現実である、このように思います。
その重要な事業に、キャリアアップ補助による処遇の改善というのがあります。保育士が専門性を高めながらやりがいを持って働けるように、保育士のキャリアアップに取り組む保育園を支援し、保育士の確保、定着と保育の質向上を図っていくものです。
現場の声として、小池知事は毎月二万一千円給料が上がるといったのに、私の給料はそんなに上がっていない、こういった声も、皆さんもそうだと思うんですけど、多く聞きました。
都のキャリアアップ補助は園に支給されるものであって、職員数やそれぞれのキャリア、年齢、職種等により分配額は変わってきます。また支給方法もそれぞれの園の考え方で、月払いや年払い、さまざまであります。全てまとめてボーナスで払って、頭割りでして皆さんの金額ってこうなんですよと、こういうふうにやっている園もあれば、役職にちゃんとつけて、その役職についたからこういう仕事をしてもらうので、あなたはこうなんですよというふうにやっている園もあり、さまざまであります。
こうした誤解を解きつつ現場のモチベーションを上げていくことは、補助を実施する東京都の役割である、広く浸透させていくのは東京都の役割であると私は考えますが、都はどのような取り組みを行ってきているのか、この点についてお尋ねいたします。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 保育士等キャリアアップ補助は、キャリアパスの仕組みを導入することを条件に、処遇改善に係る経費の一部を補助するものでございます。
都からの補助額は、施設の定員や利用児童の年齢によって異なりまして、また賃金改善の方法も、毎月の給与に上乗せする場合や一時金で支払う場合など、施設によってさまざまな方法がございます。
東京都でございますが、保育事業者や区市町村向けの説明会の場で、キャリアアップ補助を活用した当該施設の処遇改善の方針や実施方法について、法人の代表や施設長などから従事職員に対して説明を行うよう働きかけをしております。また、業界団体が主催いたします会員向けの説明会にも出席をいたしまして、同様の働きかけを行っております。
○細田委員 今、しっかり頑張っているんだと、そういうお声を聞きました。ありがとうございます。
そして、同じく保育士にかかわる話として、国のキャリアアップ研修の要件に定められている研修科目の指定、これを柔軟に行う必要もある、こういう声も聞きます。
例えば基礎自治体では、基礎自治体が行う支援を要する児童のための保育士への研修、こういうのをやっているところもあります。また、民間の事業者がかなり質の高い独自の研修を保育士のスキルアップ、質の向上のために研修会を行っている、こういうケースもあります。
これらは、国の定めるキャリアアップ研修の研修分野や時間数などの要件、これを満たしていないため、現状では認められていません。認めていくべきじゃないのかというふうに私は思うんですけれども、保育士も多忙で時間がとれません。
ちなみに、江東区なんかでいうと、マイ保育園ひろばといいまして、保育園が在宅で子育てをしている住民のために、遊び場の提供や季節のイベントのお誘い、子育ての相談、食育、栄養相談、健康保健相談などの子育ての地域支援活動を行っていて、その保育園を、より気軽に悩みを相談できて子供を遊ばせることができるかかりつけ保育園といって、一つ登録できる、こんな取り組みなんですね。
そうすると、当然、今の園のことだけじゃなくて、そういう地域に開かれた保育を、それぞれの園が積極的に地域にかかわっていく。こういうかかわっているのは、研修じゃないけれども、これも本来、研修のようなスキルアップの一つとしてカウントしていいんじゃないんですかという声が、現実にはそういう声も複数のところから私の耳には届いております。
これは国の資格の話になりますし、また今この場でいえるという、それが研修というふうに認識できるという話ではありませんけれども、先ほど申し上げたように、行政がやっていたり民間がやっていたりすることのキャリアアップ、これは認めていく、主体の自治体がかかわっている研修や事業は採用されるべきである、このことを私は東京都の方にも認識してもらいたいということを強く申し上げまして、また国と折衝するときも、これぜひ入れてくださいねと、こんなふうに進めていっていただくよう要望させていただきます。
都内は、地方と比較して保育士の離職や異動が多くて、復職が少ないという傾向にあります。一日九時間の拘束、八時間の勤務、週四十時間の規定などもあって、子育てから、パートなどのほかの仕事を選択する、こんなことも多いのが現状です。
保育士の定着には、いかに働きやすい環境をつくっていくか、先ほども議論ありますけれども、自分の子供を自分の園や自分が働きやすい保育園に入園させられるかなど、今後の環境整備を不断なく知恵を出して続けていただくこと、また、保育士用の借り上げ住宅に対する家賃補助をしっかりと継続していっていただくこと、これらを強く求めて、次の質問に移らせていただきます。
続いて、受験生チャレンジ支援貸付事業についてお尋ねします。
親の経済力によらず教育力で貧困の連鎖を断ち切る受験生チャレンジ支援貸付事業を、都議会公明党はこれまで力強く推進をしてまいりました。
都は、一定所得以下の世帯の中学三年生や高校三年生等の受験や進学を支援するために、学習塾の受講料や受験料の無利子貸付を行っていますが、この受験生チャレンジ支援貸付事業は、合格を果たすなどにより返済が免除、将来の自立に向けて意欲的に取り組む子供たちのチャレンジを大きく後押ししております。全国でも比類のないすばらしい取り組みであります。
そこで、平成二十九年度の貸し付けの実績と、合格などによる償還免除率についてはどうなっているのかお尋ねいたします。
○坂本生活福祉部長 受験生チャレンジ支援貸付事業の平成二十九年度の貸付件数でございますが、学習塾等受講料が四千四百九十六件、高等学校及び大学等の受験料が四千六百六十四件、合計で九千百六十件となっております。貸付金額でございますが、約十億一千二百五万円でございます。
また、今お話ございました、希望した学校に入学した場合などによります償還免除要件に該当いたしまして償還免除を決定した割合でございますが、九九・三%となっております。
○細田委員 九九・三%、すごいですね。全員に近い、非常によい数字である、このように思います。
進学に向けてさらに多くの必要とする方が利用できるようしっかりと取り組んでいく、そして周知を進めていく、このことを都議会公明党は求めてきましたが、平成二十九年度はどのような対応で周知拡大を図られたのか、この点についてその取り組みを尋ねます。
○坂本生活福祉部長 都は、本事業の活用に向けまして、都のホームページや「広報東京都」への掲載、区市町村の窓口に貸付内容や償還免除の条件などを記載いたしましたポスターを掲示するなど、本事業の内容を広く周知してまいりましたところでございます。
また、平成二十九年度でございますが、中学生や高校生向けのリーフレットを十五万部から二十一万七千部にふやしまして、これまで区市町村の窓口や都立高校を通じて配布いたしておりましたのに加えて、新たに公立中学校、私立中学校、私立高校まで配布先を拡大いたしまして事業の周知を行ったところでございます。
なお、この拡大に要した費用でございますが、六万七千部の増刷の印刷費や配送等の経費で約六十一万円となっております。
都立高校の進路指導担当教員を対象としました研修会におきましても、進路指導などの場で本事業を役立てていただけますよう説明を行っているところでございます。
今後とも、区市町村や教育機関など関係機関との連携を一層強化いたしまして、本事業の周知に努めてまいります。
○細田委員 約十五万部から二十一万七千部ですから一・五倍ぐらい多くの方々に、また、今までと違う方法で配送して、また印刷物もふやして、それでその決算額は、ふえた費用は六十一万円であったということであるとすると、非常に、知恵を絞って、さらに予算もない中で拡大していこうと努力されているんだと、このように理解をしておきます。
どうぞこれからも必要な生徒が利用できるよう、さらにさらに努力を重ねていただいて取り組んでいただくよう求めます。
続きまして、介護の関係でお尋ねいたします。
ケアマネジャーの更新料の助成等、この点について伺いたいと思います。
今年度、厚生労働省は、二〇二五年の時点で、東京では介護職員が三万五千人不足するとの推計を公表しました。そして、東京の介護職員の有効求人倍率は非常に高い状況になっております。
先日、区部の福祉担当理事者に状況も確認しましたが、特別養護老人ホーム等のさまざまな施設でも、職員不足のために定員まで利用者を受け入れられない状況が発生していて、職員確保のためにぜひ財政を支援していただきたいと、切迫した声がありました。職員がいなければ当然、施設の稼働できませんから。
国は、来年度の消費税増税分で処遇改善を行うとしていますが、人手不足は深刻な状況にある、このようにいえると思います。
都は、平成二十九年度のマンパワーのこの状況、これをいかに認識しているんでしょうか、答弁を求めます。
○粉川高齢社会対策部長 少子高齢化による労働力人口の減少や、他の業種の求人状況の動向に影響され、平成二十九年度の東京都における介護関連職種の有効求人倍率は六・一四倍と、全職業の一・八〇倍を大きく上回っております。また、平成二十九年度における都内の介護従事者の離職率は一六・四%となっております。
これらの状況を踏まえ、都は、第七期高齢者保健福祉計画において、介護人材対策の推進を重点分野の柱の一つとして位置づけており、職場体験事業などの多様な人材の参入促進、介護職員宿舎借り上げ支援事業などの労働環境の改善、現任介護職員資格取得支援事業などの資質の向上の視点からの対策を総合的に進めております。
○細田委員 特別区の中には、五年ごとにケアマネジャーの更新料、介護福祉士の登録料、またさまざまな研修費の補助、これを行っているところもあります。
介護支援専門員実務研修について、都の受講料は全国の平均額や周辺他県と比較した場合はどんな状況になっているんでしょうか、この点についてお尋ねいたします。
○粉川高齢社会対策部長 国は、平成二十八年度、介護支援専門員実務研修を初めとする介護支援専門員の法定研修について、自立支援に資するケアマネジメントを推進していくなどの観点から、研修カリキュラムや研修時間の充実を図る制度の見直しを行いました。
都は、この改正に合わせ、平成二十八年度に実務研修の受講料を五万二千八百円に改定しました。
なお、受講料の全国平均額は四万八千百八十九円であり、東京近県の埼玉県と神奈川県では六万円、千葉県では五万六千円となっております。
○細田委員 埼玉県や神奈川県に比べると安いけれども、全国平均に比べると四千六百円ほど高い、こういうことだと思います。
受講料の設定についての都の認識、都はどういうふうに全国平均で認識しているのか、この点について伺います。
○粉川高齢社会対策部長 介護支援専門員研修は個人の資格取得にかかわる研修であり、受講することが本人の利益となるものであることから、研修受講料については受益者負担の観点からご負担をいただいております。
なお、都の受講料の算定に当たりましては、教材費に加え、講師謝礼や会場使用料など実務研修の実施に係る費用を、研修を受講する見込みの人数で割り返し、算出しております。
研修の実施に係る費用のうち、研修の募集案内の印刷費や発送費など、受講者が負担することになじまない経費と、受講者の増減により受講料収入で賄えない部分については、公費を活用しております。また、通信制の導入による経費の縮減や、通学日数を減らすことなどにより、受講者の負担軽減に配慮をしております。
○細田委員 なるほど、今のご答弁で、単純に安いとか高いという話ではなくて、割り返して算出している、それはそういう形になるのかもしれませんけれども、受講者の減により収入で賄えない部分は公費で負担、それは当たり前のことですよね。
この中で、私が今のご答弁でやっぱり一番気になるところは、受講料については、受益者負担の観点から受講者の負担と。私の考え方ですけれども、資格が上がるから受益者負担ではあるんですけど、社会が求めている、足りない、不足している、そしてもっと人材をつくらなくちゃいけない、また働いていて自分が休む時間もとれない、研修の時間がない、有給休暇をとって受けにいく、なおかつ賃金が低い、こういう状況で、これは受益者負担だからと割り切って考えていていいのかという、それを今のご答弁の中では、私はそのように思います。
受講者のスキルアップは社会が求めているニーズであって、区部でも、基礎自治体では行っているところもある。今後、都は補助を実施すべきである、このように私は要望をさせていただきます。
続きまして、児童生徒への介護の理解の促進について伺います。
介護事業者に話を伺ったところ、介護職種のステータスを上げる取り組みとして、児童生徒に正しく介護の重要性を理解し認知してもらうために、小学校、中学校、高校などの学校教育現場において、例えば介護職の魅力を取り入れた授業などは行えないだろうか、こんなお声もいただきました。
一方で、学校の現場では、さまざまな内容で授業に取り込んでほしいという声がもうあっちからもこっちからもあり、簡単なことじゃないんだと、このようなことも聞いております。
先日、ある校長先生たちの話を聞いたら、夏休みの前には七十ぐらい、この授業をやってくれ、何とか授業をやってくれと、こんなことがあったら、それはもう先生たちできませんから。そういうことも届いておりますから、簡単じゃないんだけれども、ただ、まさに今いわれているような介護というのは、これからの日本の重要な、大切な、みんなが心から敬意を払う価値がある、そういう職業なんですよという認識が必要なのは論をまたないところであります。
そこで、介護人材が不足している中で、介護人材確保につなげるために、次世代の福祉、介護を担う児童生徒、学生等への普及啓発、この取り組みについてはどのように東京都は考えているのか、この点についてお尋ねいたします。
○坂本生活福祉部長 福祉介護人材を将来に向けて安定的な確保を図っていくためには、次の世代を担います中学生や高校生に対しまして、福祉や介護の仕事に興味や関心を持っていただくための取り組みを進めるということは重要でございます。
このため、昨年度でございますが、中学生、高校生向けに福祉の仕事の魅力などを伝える講座といたしまして、「フクシを知ろう!なんでもセミナー」というものを四十三回実施いたしまして、一千五百四十九人の方の参加がございました。
また、夏休み期間中でございますが、福祉施設での仕事体験の機会を提供いたします、「フクシを知ろう!おしごと体験」というものでございますが、二十一の福祉施設にご協力いただきまして、百四十一人の参加がございました。
また、介護業務への就労を希望いたします大学生、高校生などを対象といたしました介護職場体験事業でございますが、こちらの方には高校生百二十七人の参加がございました。
今後とも、こうした中学生、高校生向けの普及啓発の取り組みを実施いたしまして、福祉、介護人材の確保に努めてまいります。
○細田委員 今後とも、普及啓発の取り組み、どうぞよろしくお願いいたします。
少子高齢化、超高齢社会への突入は、国難という言葉も出てきている現状です。国民全員にとって、介護を正しく認識することは、目をそらすことのできない必要不可欠なことであります。
介護の認識、中高生が介護の現場を体験することで福祉に対する興味を持ってもらうことは、介護全体の理解を促進し、介護職員のステータス、価値を高めていくためにもよい取り組みである、このように思います。この取り組みを継続、拡充して、将来、介護の人材の確保につなげていってほしい、このように思います。そして、さらに知恵を絞って取り組みを生み出していっていただきたいと思います。
公明党が行いました百万人のアンケート、実はことし、地方議員で行ったんですけれども、介護に直面していない人に、自身が介護が必要となったときに一番困ることをお伺いしたところ、経済的な負担、これが二九・一%、同じぐらい不安に感じているのが自分が認知症になったとき、これが二六・八%であることが判明しました。
こうした不安の原因となるのは、認知症はどういうものか、認知症になったらどうすればよいのかということがわからないこともあり、普及啓発の必要性というものがやはり浮き彫りになっている、このように思います。
そこで伺いますが、認知症に関する正しい知識を都民に持ってもらうことが必要ですが、都の普及啓発の取り組みはどうなっているのでしょうか、この点を伺います。
○粉川高齢社会対策部長 都は、広く認知症の理解を促進するため、認知症の疑いを家庭で簡単に確認できるチェックリストや、相談窓口等を掲載したパンフレット、知って安心認知症の配布や、認知症の基礎知識等を紹介した専門のポータルサイト、とうきょう認知症ナビによる情報発信を行っております。
昨年十二月には、このポータルサイトをリニューアルし、画面上でチェックリストの項目を入力しますと自動的に集計結果が表示できるようにしたほか、都民がアクセスしやすいよう、スマートフォン対応を行いました。
また、都民の方々に認知症に対する理解を深めていただけるよう、認知症サポーターの養成に取り組む区市町村を包括補助で支援することなどにより、平成二十九年度は約九万六千人が養成され、昨年度末での認知症サポーターの総数は約六十七万人となっております。
今後とも、さまざまな機会を捉えて認知症に対する普及啓発に努めてまいります。
○細田委員 認知症に関する普及啓発が進んでいる、このことは理解いたしました。
そうした中でも、認知症について、身近な地域の中で情報を得たり、認知症の方ご本人、そしてご家族の方から話を聞くことができれば、認知症になったときの不安もより一層軽減される、こういうふうに考えられます。
認知症とその家族の交流の場となる認知症カフェについて、現在の設置状況と、都としてどのような取り組みを行っているのか、そして今後どのように展開していくのか、この点について伺いまして、私の質問を終わります。
○粉川高齢社会対策部長 認知症カフェは、区市町村やNPO、家族会などさまざまな主体が運営しており、平成二十九年度には、都内四十区市町に四百三十三カ所が設置されております。
都は、介護者支援の拠点となる医療機関と連携した認知症カフェの運営に取り組む区市町村を包括補助で支援しており、平成二十九年度は十一区市、五十六カ所のカフェにおいて、医療関係者による認知症の症状や治療に関する講座や個別相談、介護者が悩みを語り合う交流会等が開催されております。
今後とも、地域の実情に応じた区市町村の取り組みを支援してまいります。
○のがみ委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時五十三分休憩
午後三時九分開議
○のがみ委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○とや委員 私からは、まず認可外保育室の指導検査などについて伺っていきたいと思います。
内閣府の発表によれば、全国の保育施設で二〇一二年から一七年の間にうつ伏せ寝による子供の死亡事故が二十九件、このうち認可外施設は二十三件になっております。約八割となっています。東京でも一昨年は中央区で一歳の赤ちゃん、大田区では生後六カ月の赤ちゃん、ことしに入ってからは一月に葛飾区、直近では十月に練馬区で六カ月の赤ちゃんが亡くなりました。
私は都議会の一般質問で大田区の認可外保育施設であるベビーホテルにおける赤ちゃんの死亡事故を取り上げましたが、この質問の際、小池知事は、赤ちゃんの死亡事故はあってはならないこと、こう答えております。そして、指導監督を強化していくと福祉保健局としてもご答弁をしています。
東京都は、昨年度から巡回指導を二十名十班体制で行っていますが、このほかに何をどのように強化をしてきたのでしょうか、お答えください。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 東京都教育・保育施設等における重大事故の再発防止のための事後的検証委員会の報告及び提言等を踏まえまして、認可外保育施設に対する指導監督を強化いたしますため、認可外保育施設に対する指導監督要綱を改正し、救命処置の訓練実施を必須といたしました。
また、認可外保育施設を対象とする講習会におきまして、事故防止の留意点を周知いたしますとともに、救急救命研修の実施回数をふやしております。さらに、事故防止及び救急対応策の徹底を促す通知を全施設に発出いたしまして、あわせて区市町村にも情報提供を行うなど、さまざまな取り組みを実施してまいりました。
○とや委員 指導監督要綱の改正や認可外保育施設に対する講習会の開催、事故防止に向けた注意喚起通知の発出などさまざまな取り組みをされてきたということです。私自身も三月に発表された検証委員会の報告と提言については読ませていただきましたが、赤ちゃんの死亡事故をなくしていくために重要な問題提起がされていたと思います。
指導監督の強化は、今できる対策としても大変ポイントとなるものですが、二〇一七年度の認可保育所、認可外保育所の指導検査、巡回指導の実績と指導を受けた保育施設の数について、施設の種類ごとにお示しください。
○村田指導監査部長 平成二十九年度における認可保育所に対する実地検査は、対象となる二千四百五十九施設のうち二百三十六施設に対して実施し、そのうち百四十一施設に対し文書指摘を行いました。
認証保育所に対する立入調査は、対象となる六百三十一施設のうち百五十施設に対して実施し、そのうち七十一施設に対し文書指摘を行いました。
認可外保育施設に対する立入調査は、ベビーホテルについて、対象となる五百三十六施設のうち百六十六施設に対し実施をし、そのうち百二十四施設に対し文書指摘を行いました。院内保育施設について、対象となる百七十三施設のうち七施設に対して実施をし、全ての施設に対し文書指摘を行いました。事業所内保育施設について、対象となる百九十九施設のうち十七施設に対して実施をし、そのうち七施設に対し文書指摘を行いました。その他施設につきましては、対象となる百二十九施設のうち二十九施設に対して実施をし、そのうち二十三施設に対して文書指摘を行ったところでございます。
認可外保育施設に対する巡回指導でございますが、平成二十九年三月分を含めまして一千六十施設に対して実施をし、必要に応じて指導助言を行ったところでございます。
○とや委員 今のご答弁を聞いておりますと、認可外施設への巡回指導以外は、指導監督としての立入検査が年一回以上やられているんだろうかというふうに思います。
改めてお聞きしますが、児童福祉法や、東京都の指導監督要綱では認可外保育施設への指導監督として立入検査を年一回以上行うというふうにされています。都の指導検査は、年一回全ての認可外保育施設に入ることができているでしょうか。
○村田指導監査部長 平成二十九年度における認可外保育施設に対する立入調査の実施率は二一・一%でございました。平成二十九年三月から平成三十年三月までの巡回指導の実施率は一〇二・二%でございました。
立入調査を行うに当たりましては、巡回指導により職員配置や保育内容等に重大な問題が認められた施設や、苦情や通報が寄せられた施設に対して、早期に立入調査を行うなど機動的に対応しているところでございます。
○とや委員 今ご説明いただきましたけれども、指導検査については、年一回の立ち入りはできていないということで二一・一%です。それを補う形で巡回指導チームが施設の運営状況を確認しているということです。
では、お聞きしたいんですが、巡回指導チームが、保育施設に問題があって指導や助言を行った場合、東京都の指導検査と同じ扱いになるのでしょうか。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 巡回指導におきましては、認可外保育施設の保育サービスの質の向上を図り、児童の安全と保護者の安心を確保することを目的として、指導助言等を実施しております。
立入調査におきましては、認可外保育施設に入所している児童の福祉の向上を図ることを目的といたしまして、認可外保育施設指導監督基準で規定する全ての事項を確認し、基準に反する場合は文書指摘等の指導を実施しております。
巡回指導は、立入調査より指導事項を絞って重点的に実施していることから、巡回指導と立入調査は全く同じとはいえませんけれども、いずれも行政が現場の状況を確認し、指導助言を行うことには違いはございません。
○とや委員 立入調査は、認可外保育施設指導監督基準で規定する全ての事故を確認しています。基準に反する場合は、文書でも指摘しています。一方、巡回は、指導助言を行うというところでとどまっています。
都の指導検査は、法令に基づく正式なものです。
保護者は、子供を預ける際に検査結果などを参考にして、子供を預ける施設を決めていきます。近年は特に保育施設の情報を、正確なものを求める保護者がふえています。なぜなら、先ほども申し上げたように、子供の、赤ちゃんの命を守れない、そういった事故が非常に多くなっているからです。
巡回チームが年一回以上支援しているのは、私たちとしても前進だと考えています。それでも、その情報は法令に基づく検査とは違います。公表もされません。一千カ所以上を超える認可外の数からいっても、現在の指導検査体制は手薄であるということは明らかではないかと思います。
指導検査体制の拡充が必要ではないでしょうか。検査職員の増員を求めますが、いかがでしょうか。
○村田指導監査部長 巡回指導におきましては、年一回、施設を訪問いたしまして、認可外保育施設指導監督基準に基づきまして、職員配置、建物設備の状況、避難訓練の実施状況、保育内容、健康安全の管理などを確認しておりまして、これらの基準を満たしていないことを確認した場合、早期に是正を行うよう、その場で指導しているところでございます。
こうした巡回指導によりまして、重大な問題が認められた施設、新規に開設をされた施設、さらに苦情、通報等が寄せられた施設などに対しまして、早期に立入調査を行うとともに、必要に応じ夜間の立入調査や事前通告なしの立入調査を行うなど、機動的に対応しているところでございます。
立入調査の結果、基準を満たしていない場合には指摘をいたしまして、改善状況報告書の提出を求めておりまして、改善状況につきましては、立入調査後の巡回指導においても確認しているところでございます。
こうした巡回指導チーム等との連携によりまして、都内認可外保育施設の運営状況を把握いたしまして、立入調査の体制を強化しているところでございます。
○とや委員 指導監督の強化をしてきたと、それから立入調査、立ち入り体制の強化をしていると、今おっしゃいました。巡回をして、その現場で指導したり助言をするということは非常に大事だと思っています。
しかし、法令に基づいたきちんとした立入調査をするということを年に一回求められているんですよ。そこの、年に一回以上求められている法令に基づいた調査ができていないこと、できていないことに対してどうお考えですか。
○村田指導監査部長 重ねてのご答弁になりますけれども、巡回指導チームとの連携によりまして、問題がある場合には直ちに立入調査を実施しておりますし、また、巡回指導チーム、また苦情ですとか、通報等の情報によりまして、私どもとしましては、都内認可外保育施設の運営状況を把握しておりまして、立入調査体制の強化を図ったところでございます。
○とや委員 今、また強化とおっしゃったんですけど、じゃあもう一度お聞きしますけれども、巡回指導は十分やっているということですけれども、法令に基づいた立入検査が十分に行われているとお考えですか、体制が十分だとお考えですか。立入検査ですよ。
○のがみ委員長 村田指導監査部長、少し大き目な声でお願いします。
○村田指導監査部長 はい。
都におきましては、巡回指導等によりまして重大な問題が認められた施設、新規に開設をされた施設、苦情や通報が寄せられた施設などに関しましては、早期に立入調査を実施しております。
また、この立ち入りですけれども、必要があれば、年間にわたりまして同一施設に対して何度でも入るというものでございます。さらに、夜間の立入調査、また抜き打ちの調査も行っておるなど、機動的に対応しているというふうに考えております。
○とや委員 法令に基づいた検査体制は十分ではないです。一番拡充しなければならない職員を東京都はふやそうとしていないんですよ。二〇%でしかない立入検査の残りの八割を巡回チームだけが行っている状態になっているのは問題だと思います。指導検査に当たる職員の増員を強く求めておきたいと思います。
次に伺いたいのが指導検査のあり方です。
大田区の事故検証委員会の報告書では、二〇一四年から一六年度に三年間連続で立入調査を行った施設は十二施設とありますが、職員配置に関する指摘は七施設だとありました。また、保護者、代理人弁護士より、東京都による改善勧告や事業停止命令などの権限の行使があれば、死亡事故を防げた可能性があったとの意見がありました。
東京都は、改善への努力があったからと、勧告をしたのは赤ちゃんが死亡した後だったんです。改善勧告や事業停止命令は、施設にとっては大変大きいことですけれども、同時に赤ちゃんの命がかかっているという問題であります。
この指摘に対して、東京都としてどう考えているのか、認可外保育室に対する指導のあり方が私は問われているのではないかと思っています。改めて見解を伺います。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都は昨年の三月から巡回指導チームによる指導を開始いたしまして、全ての施設に対し年一回実施をいたしております。
また、児童福祉法等に基づきまして、書面による報告徴収や立入調査等を行っておりまして、その結果、設備及び運営に関する基準に抵触した場合には改善を指導しております。その後も改善されない場合は、改善勧告等も含め、厳正に対処をしているところでございます。
今年度からは、認可外保育施設の巡回指導に取り組む区市町村に対する支援も開始をしておりまして、区市町村と連携しながら、指導監督を強化してまいります。
○とや委員 区市町村に対する支援もやっていると、連携しながら指導を強化しているということは聞いておりますし、理解しております。ただ、厳正に対処しているといいながら、同じ保育施設が繰り返し指導を受けている場合の対応が甘いのではないかと私は思います。
もう一度お聞きしますけれども、大田区で赤ちゃんが亡くなったとき、保育士の資格を持っている人は一人も施設にいなかった、一人もいない状況で死亡したんです。なぜこの時点で改善勧告を出さなかったのか教えてください。
○村田指導監査部長 お答えいたします。
当該事件に関しましては、その当時、警察の捜査も入っていたということも加味しております。その後、施設の運営状況等、このまま続けていいのかということを都としても特別立入調査を行いまして確認をした結果、改善の見込みがないということで、二十八年度になりましたけれども、改善勧告を行ったということでございます。
○とや委員 警察が入ったっておっしゃいましたよね、今ね。私が聞いているのは、保育士が一人もいない状況を東京都は知っていたんですよ。そのときになぜ改善勧告を出さなかったのかと聞いているんです。赤ちゃんが亡くなったときに改善勧告をなぜ出さなかったのかと聞いているんではないんです。亡くなる前のことを聞いているんです。お答えください。
○村田指導監査部長 改善勧告に関しまして明確な規定があるわけではありませんけれども、繰り返し同じ事項につきまして文書による指摘をして、改善の見込みがないというふうに判断をした場合に、過去にも東京都におきましては赤ちゃんの死亡事故の有無にかかわらず改善勧告を行っているところでございます。
本件に関しましては、当該時点において、他の事案と比べて改善勧告事由に当たるところがないというふうに判断をしたものと理解しております。
○とや委員 東京都はこの問題に対して本当にきちんと検証をして、赤ちゃんの命を本当は救えたのじゃないかというふうに考えているとは、今の答弁からは全く感じることができないんですよ。本当にこれ以上命を奪われるようなことがないように決意しようという、そこも私はちょっと見えてきません。これは指摘しておきたいと思います。
指導検査については、指導の内容、これも大きくかかわってきます。そこで伺っておきたいんですが、今回問題になっている赤ちゃんの死亡の事故でも、特に乳児の死亡の確率が高いといわれる午睡や睡眠中の対応について、SIDSについても含めて、どのような指導をしているのかお答えください。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 認可外保育施設指導監督基準におきましては、SIDS、乳幼児突然死症候群の予防策といたしまして、睡眠中の児童の顔色や呼吸の状態をきめ細かく観察すること等を規定しておりまして、都はこれに基づき、必要な指導助言を実施しております。
立入調査及び巡回指導におきましては、午睡時等における乳幼児に対する観察状況等を確認しておりまして、午睡時等の乳幼児の観察等が適当でない場合には、乳児は五分に一回、一、二歳児は十分に一回の間隔での確認の推奨とともに、その確認状況を記録するよう助言をしております。あわせまして、その確認状況を記録するチェックシートを配布し、記録方法の助言を行っております。
○とや委員 指導監督基準では、乳児は五分に一回というふうに定められていますけれども、東京都は施設に推奨していると今おっしゃっています。けれども、赤ちゃんの命を守るため、特に乳児ですね、五分置きの呼吸確認が鍵だといわれております。これを徹底すべきではないかと。今、推奨とおっしゃったので、お聞きしたいと思います。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 睡眠中の確認でございます。認可外保育施設指導監督基準においては、先ほどご答弁いたしましたが、睡眠中の児童の顔色や呼吸の状態をきめ細かく観察すること等の規定のみでございます。
国の教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドラインには、定期的に子供の呼吸、体位、睡眠状態を点検すること等が明記されております。
都で推奨しております五分間隔での確認でございますが、学識経験者等の意見を踏まえまして、きめ細かい観察の目安として整理したものでございます。
都は引き続き、五分間隔の確認が望ましいことを助言いたしますとともに、認可外保育施設指導監督基準及び国のガイドラインに基づきまして指導してまいります。
○とや委員 大田区のベビーホテルの場合、昼間は午睡チェック表で確認をしていましたけれども、夜はチェック表を使用しておりません。見回る頻度は、三十分から六十分というふうにあります。
二〇一六年三月の中央区の事業所内保育所の死亡事故は、うつ伏せ寝で二時間放置されておりました。ことし十月の練馬区の若草ベビールームは、ゼロ歳児なのに十五分を基本としており、その時間も守らず、三十分放置したと述べたと報道されています。
私たちも調べてみますと、乳児の場合、心肺停止という重大時に五分は蘇生のぎりぎりの条件だということでありました。命を預かるということの重大性をぜひ全ての保育施設に認識してもらいたいと。そのための指導の強化をお願いしたいと思います。
それは、子供の命はもちろんですけれども、現場で働く保育士さんを守ることにもなると思っています。特に午睡や就寝時は、五分という時間は赤ちゃんからほぼ目を離すことができないということでありますので、ぜひ、そこら辺の徹底はお願いしたいと思います。
次に伺いたいのが、指導監督基準における保育士の配置基準です。
指導監督基準では、五人以下の施設について、常時二人以上を配置するというふうになっているんですけれども、例外規定として、保育士、看護師または家庭的保育研修修了者である場合は、乳幼児三人までは一人の配置でよいとなっています。
万が一心肺停止になった場合、そういった状況になった場合、心臓マッサージをしながら一一九番通報することはできないし、災害が起きたときに三人もの子供を抱えて逃げることもできません。
指導監督基準を見直して、常時、どんなときでも複数体制、二名以上にするべきではないでしょうか、お答えください。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 認可外保育施設に対する指導監督につきましては、国の通知、こちらを踏まえました認可外保育施設指導監督基準に基づいて実施をしているものでございます。
都におきましては、国の通知も踏まえまして、認可外保育施設指導監督基準において、一日に保育する乳幼児の数が五人以下の施設につきましては、保育に従事する者が保育士、看護師または家庭的保育研修修了者である場合は、乳幼児の数が三人以下までは一人の配置とすることができることといたしております。
○とや委員 今の答弁って、指導監督基準を読んだだけですよね。二名以上にふやすべきじゃないかと私は聞いたんですけどね。常時複数の体制で子供の保育に当たることは、認可保育所では当たり前のことになっています。私は見直しをするべきだと思います。そうでなければ、赤ちゃんの命を守ることはできないと思います。
また、この間の立入検査の際に、指摘事項には、保育士資格を持たない人が保育している例が、先ほども申し上げましたけど、大田区がその例ですけれども、ありました。資格さえあればよいというものではないと思いますが、保育施設において、国家資格である保育士資格は最低限のものです。その上で経験を積んでいくことが大事だと思っています。
先ほど保育士が一人もいない中で赤ちゃんが亡くなったという話もしましたけれども、認可外保育所においても、保育士資格者の配置を、現在三分の一以上となっていますが、十割にすべきですが、いかがですか。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 保育士資格者の配置でございますけれども、今、副委員長のご指摘のとおり、認可外保育施設指導監督基準におきまして、保育に従事する者のおおむね三分の一以上は保育士等の資格を有する者と定めてございます。今後とも、この基準に基づきまして、立入調査や巡回指導等による指導監督を実施してまいります。
○とや委員 三分の一以上でいいということですよね。三分の一も守られていないところはたくさんありますけれども、私は今、幾つか質問しましたけれども、指導監督基準そのものが余りにも緩いのではないかと思います。さらにそれも守られていない状況が、赤ちゃんの死亡につながる、その可能性を高めているのではないかというふうに思います。
ぜひ指導監督基準を見直していただきたいんですが、指導監督基準について本当にこれでいいと思っているのか、そしてそれが守られていない状況が赤ちゃんの死亡につながる可能性を高めているんじゃないかと私は考えますが、見解を伺いたいと思います。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 繰り返しになりますが、認可外保育施設に対する指導監督につきましては、国の通知を踏まえた上で、東京都として認可外保育施設指導監督基準を定めております。
今後とも、この基準を守っていただけるよう、巡回指導チームによる指導、書面による報告徴収、立入調査等によりまして、認可外保育施設に対する指導監督を実施してまいります。
○とや委員 指導監督基準について、この基準に基づいて、今後も指導監督を実施していくと今おっしゃったわけですけれども、今の指導監督基準については、東京都はこれでいいとお考えになっているのかどうか、もう一度お答えいただけませんか。同じこといわないでください。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 繰り返しになりますが、(とや委員「繰り返しいわないで」と呼ぶ)繰り返しになりますが、国の通知を踏まえ、東京都の認可外保育施設指導監督基準を定めており、これを守っていただけるように指導してまいります。
○とや委員 東京都が定めている指導監督基準は今のままでいいというふうな認識なんですよね。それが赤ちゃんの死亡事故につながる、その可能性を高めているといっても過言ではありません。指導監督基準の抜本的な見直しを重ねて求めておきたいと思います。
私は、指導監督基準は緩いと思っています。緩い上に、保育施設の設置についても、前は届け出制もなかったんですけど、現在届け出制のみとなっています。中には、定員がない保育施設もあると。私も驚いたんですけれども、今回の練馬の施設も定員がありませんでした。
定員がない保育施設は都内に何施設あるでしょうか、教えてください。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 平成三十年四月時点におきまして、中核市である八王子市を除きまして、東京都に対して認可外保育施設の届け出を行っている数、こちらは一千百七十一施設でございます。そのうち定員を設定していない施設は二百二十施設でございます。
○とや委員 一千百七十一施設のうち、定員を設定していない施設は二百二十施設もあるということ、この数字にも私は驚きました。定員がないというのは、保育施設の質の問題でもあると思います。定員を定めていなければ、年間の保育計画も職員の採用も行き当たりばったりになってしまうのではないでしょうか。
系統的な保育の保障、保育士の身分保障のためにも、定員は設けるべきではないかと思いますが、ご見解を伺います。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 認可外保育施設につきましては、児童福祉法等により、施設の開設から一月以内に認可外保育施設設置届を届け出ることとされておりまして、定員を設定している施設に対しては定員数の届け出を求めております。
また、認可外保育施設指導監督基準におきましては、定員の設定の有無にかかわらず、保育する乳幼児数に応じまして、配置を要する保育従事者数を定めているところでございます。
今後も、立入調査等によりまして、保育する乳幼児数に応じた保育従事者数が配置されていることを確認してまいります。
○とや委員 保育する乳幼児に応じて配置を要する保育従事者数を規定しているということですけれども、保育の質にかかわる基準は、例えば面積であったり、今おっしゃった保育士の配置基準があります。けれども、それは、それだけ満たしていればよいというものではないのではないかと思います。本当によりよい保育をしようとすれば、計画的な保育従事者の採用だとか、保育計画の策定が求められます。
今月は何人だかわからないままで、計画性を持った系統的な保育は困難ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 定員設定等のお話でございますが、認可外保育施設指導監督基準におきましては、保育室の面積の基準として、乳幼児一人当たり一・六五平米と規定しております。したがいまして、この基準を守っている限りは、認可外保育施設であっても無制限に定員をふやすことができるということではございません。
また、保育に従事する者の数につきましては、乳児おおむね三人につき一人以上、満一歳以上満三歳に満たない幼児おおむね六人につき一人以上、満三歳以上満四歳に満たない幼児おおむね二十人につき一人以上、満四歳以上の幼児おおむね三十人につき一人以上であることと定められておりまして、保育に従事する者の資格についても、保育に従事する者のおおむね三分の一以上は保育士または看護師の資格を有する者であると定められております。
こうした基準を守っていただきますよう、今後とも、立入調査等により指導をしてまいります。
○とや委員 今、保育士の配置基準についてお答えいただいたんですけれども、私が聞いているのは保育の質の問題なんですけれども、保育士の数だとか面積を守ろうとすれば、定員を設定しなければ、それを担保するのも難しいのではないでしょうか。
先ほど一・六五平米といいましたけど、やっぱりそれらの決められた面積を、保育士の数を守ろうということと定員というのはセットでなければ、保育の質を担保するのも難しいし、面積自体、それから保育士の数も守るのは難しいのではないでしょうか。そういった事態がこの間もありましたよね。ぜひお答えください。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 定員の見通しが立たないということのご指摘と思いますけれども、定員につきましても、きちんと面積基準を守っている以上、例えば十人までしか預かることができないところに、二十人預かるとか三十人預かるということは絶対にできないことでございます。
したがいまして、私どもとしては、定員が定めのない保育室につきましても、これらの基準を守るよう確認し、指導してまいります。
○とや委員 今るるおっしゃったんですけど、かつて大問題になったちびっこ園、各園に定員を設けていませんでした。入園申し込みを断ることを厳しく禁止をしていました。床面積に対してもぎゅうぎゅう詰めでした。だから、一つの布団に子供二人が寝かされて、生後八カ月の子が生後四カ月の子に覆いかぶさって、鼻口部閉塞で亡くなってしまったんですよ。
定員だけが問題ではありませんけれども、設定していないことが無理な受け入れにつながったり、こうした危険性がより高まるのではないかと、私は思います。
今、面積を守っていればいいんだ、保育士がちゃんとそれに合わせて配置されているんだというふうにおっしゃったんですけど、保育の質を守るというのは、私は、子供が生きていればいいというものではないと思います。こうした立場から、今後もきちんと指導していただきたいし、定員の設定についてはぜひご検討をお願いしたいと求めておきたいと思います。
待機児問題が社会化するもとで、認可外の施設は、認可保育所を希望しても入所できない家庭の受け皿になってきたことも事実です。しかし、赤ちゃんの死亡事故、死亡について、赤ちゃん一人当たりの死亡が認可保育所の数十倍という、こうした事実、そして保育士の定着、賃金などの労働条件から見ても、認可外のまま運営することがよいとは思えません。
認可外保育施設については、東京都がきめ細かな指導をして、支援をして、認可保育所に移行できるようぜひ支援をしていただきたいと思っています。
同時に、この間、私は練馬で区議会議員をやってきたんですけれども、毎年毎年、保護者の皆さんがどういう保育所を希望しているかということを聞いたり見たりしてきました。数字でも明らかになっているんですけれども、保護者は九割以上が認可保育所を希望しています。
東京都内に認可保育所を大幅にふやすべきです。いかがでしょうか。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 まず、認可保育所等への移行でございますが、東京都は、平成二十五年度から、認可保育所や小規模保育事業等への移行を希望する認可外保育施設に対し支援を行っておりまして、平成三十年四月までに四十八園の施設が認可保育所等に移行をしております。
認可保育所を大幅にふやすべきとのお尋ねでございますが、保育サービスはさまざまな種類がございまして、保育の実施主体でございます区市町村が認可保育所、認証保育所、認定こども園、小規模保育、家庭的保育など、地域のさまざまな保育資源を活用して整備をするものでございます。
東京都は、今後とも、多様な保育サービスの拡充に取り組む区市町村を支援してまいります。
○とや委員 私は、認可をちゃんとつくっていただくことが赤ちゃんの死亡事故を防ぐことに、もちろん認可もありますけれどもね、やっぱり認可外というのは、なかなか公費が入っていないということもあって、環境を整えるのは大変だと思います。現場の保育士さんたちも大変だと思います。ぜひもっともっと私は保育にお金をかけてもらいたい、そういう気持ちでいっぱいです。
意見を申し上げます。
そもそも保育施設は、他人の子供を預かる施設です。預かる以上は、根拠となる法律があって、家庭で自分の子供を育てるより、より高度で、安全に対する配慮が求められているものです。うつ伏せ寝とか、アレルギーとか、誤嚥など予測できる危険に対して、保育の専門家として保護者よりも高度な配慮が求められています。
施設の種類、認可、認可外問わず、子供の命を守る、よりよい保育のために最善の努力が求められていると思っています。その保育施設を指導監督する東京都の責任は、とても重たいと思っています。
今後、東京で二度と赤ちゃんを死なせない、そういった決意のもとで仕事に当たっていただきたいと心から強く要望して、次の質問に移りたいと思います。
ユニバーサルデザインのまちづくり緊急推進事業についてです。
東京都は昨年度から、ユニバーサルデザインのまちづくりに取り組んでおります。障害があってもなくても、高齢者と若者、子供、誰もが使いやすくなるよう、さまざまな施設設計に取り組んでいるとお聞きしております。
その一つとして、改修計画作成事業、施設整備補助事業、トイレの洋式化の補助事業が昨年度創設されましたが、一七年度の実績と執行率について伺います。
○坂本生活福祉部長 平成二十九年度より新たに開始いたしましたユニバーサルデザインのまちづくり緊急推進事業でございますが、高齢者、障害者などを含みます地域住民の参加によります施設や設備の使いやすさなどの調査と、それに基づきます段差の解消や手すりの設置等のバリアフリー化の改修及び公共施設等の和式トイレの洋式化を実施いたします区市町村に対し支援をしているものでございます。
昨年度の実績と執行率でございますが、事業全体では一億五千九百三十一万一千円を補助いたしまして、執行率五七・六%でございました。
事業別で見ますと、住民参加によります調査に基づく改修計画作成事業でございますが、六区市に対しまして七件、三百八十八万一千円を補助いたしました。執行率一七・二%でございます。
バリアフリー化改修に係ります施設整備補助事業でございますが、二区市に対しまして二件、一千五百五十四万二千円を補助いたしまして、執行率二八・七%でございました。
最後にトイレの洋式化の補助事業でございますが、三十二区市町に対しまして三百六十八基、一億三千九百八十八万八千円を補助いたしまして、執行率六九・九%でございます。
○とや委員 昨年度から始まった新規事業ということもあって、執行率が低くなっていると思いますけれども、都としてどのようにこの結果を分析しているのか、教えてください。
○坂本生活福祉部長 本事業でございますが、区市町村への補助率及び補助基準額につきましては、改修計画作成事業が十分の十で、一区市町村当たり補助基準額二百万円、施設整備補助事業が三分の二で、同じく六千万円、トイレの洋式化補助事業が三分の二で、一基当たり百万円といたしまして、十分な額を確保したところでございます。
また、事業の実施に当たりましては、区市町村に対します説明会の開催や、担当者が直接区市に出向くなど、丁寧な説明を行ったところでございます。こうした取り組みを進めました結果、トイレの洋式化の補助につきましては、当初三百基の補助予定件数が三百六十八基の実績となりますなど、一定の成果が出ているというふうに考えております。
一方、お話のとおり、実施主体でございます区市町村におきまして、施設改修に当たり、事前に住民参加によります調査を必要ということとしたため、障害当事者等の関係者との調整が必要でありましたことや、平成二十九年度において補正予算等による事業費の確保等の手続を要することなどから、当初予定の件数まで伸びなかったということ、それから一件当たりの事業単価でございますが、こちらについても補助基準額を下回ったことなどから、本事業の全体の執行率は最終的に五七・六%になったと考えております。
本事業の実施に当たりましては、区市町村への説明会を早期に開催いたしまして、具体的な事例発表や意見交換などを行っておりまして、今後とも、積極的な活用を働きかけてまいります。
○とや委員 ぜひ区市町村が取り組むに当たっては、補助事業としても、計画書の作成では十分の十、施設整備事業、トイレの洋式化では三分の二という制度で、やるとなれば助かるんじゃないかなと私は思いましたので、ぜひPRも含めて、この事業を進めていっていただきたいと思っています。
先日、障害をお持ちの方からお話を伺う機会がありました。トイレの洋式化については、前進面として私も歓迎するんですけれども、同時に、誰でもトイレの設計については、車椅子の人が利用する際に、洗面台の位置が悪くて障害になることがあるということや、トイレットペーパーの取りつけの場所などについて意見をおっしゃっていました。
設置基準など、当事者の声をやはりよく聞いていただいて、例えば、トイレのペーパーホルダーやボタンがいろいろついていると思うんですが、ボタンの位置はぜひ、今後マニュアル等を検討していくと思うんですけれども、そうした位置は統一した方がいいのではないかというふうに思いましたので、これは要望しておきたいと思います。
さらに、昨年十一月、東京都福祉のまちづくり推進協議会では、意見具申を作成しております。その中では、東京で暮らす人や東京を訪れる全ての人が福祉のまちづくりの進展を実感できるよう、東京都は区市町村や事業者等と連携して、利用者の視点に立った取り組みを、まちの中の建築物や歩道、公園、公共交通などにおいて、より一層推進する必要があるとなっています。
この視点に立って整備を進めていただきたいと思っているんですけれども、この意見具申なんですけれども、この中に利用者からの意見を踏まえて改善を図るスパイラルアップの仕組みによる取り組みを進めることが重要と書いてあります。その考え方について伺います。
○坂本生活福祉部長 今お話ございましたスパイラルアップの仕組みによる取り組みでございますが、福祉のまちづくりを効果的に推進するためには、計画に盛り込む各事業の目標を設定するとともに、結果だけではなくプロセスも重視し、事業者や都民の参加のもと検証や定期的な評価を行い、その結果に基づいて新たな施策を講じるスパイラルアップの仕組みによる進行管理を行うものといたしまして、福祉のまちづくり推進計画に盛り込まれている考え方でございます。
○とや委員 なぜこの質問をしたかといいますと、私、地元が練馬区なんですけれども、よくよく見ると、点字ブロックの敷設の仕方に問題があるようなところも多々ございます。もちろん、具体的に点字ブロックの敷設の仕方だとか、あるいは場所だとかは、直接やるのは区市町村、自治体なんですけれども、私は、こうしたものについては東京都として、各自治体に利用者の声を踏まえて改善する、こうしたことを促す取り組みが必要だと思っているんですけれども、ぜひこの点についてお答えいただきたいと思います。
○坂本生活福祉部長 公共建築物、道路、公園などにおけます段差の解消や視覚障害者用点字ブロックの設置など、バリアフリーの改修に当たりましては、お話ございました障害者や高齢者など当事者を含めた地域住民の意見を聞くことは大変重要なことでございます。
こうした観点から、私どもとしては、平成二十九年度から開始いたしました、先ほど申しましたユニバーサルデザインのまちづくり緊急推進事業におきまして、地域におけるまちづくりに高齢者や障害者等の当事者が参加し、その意見を反映させていく取り組みの推進を図っているところでございます。
今後とも、本事業を活用した取り組みが進みますよう、区市町村に対し働きかけてまいります。
○とや委員 ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思っております。今、地域の方々の声をお聞きするというお話でしたが、当事者の声を反映させるということはとても重要だと思います。
この間、東京都もそれは取り組んできていると思うんですけれども、今、福祉のまちづくり推進協議会についてどうなっているかということを聞きたいんですが、この推進協議会の委員の定員と在籍人数をお示しください。
○坂本生活福祉部長 今お話ございました東京都福祉のまちづくり推進協議会の定員でございますが、東京都福祉のまちづくり条例第二十八条に基づきまして、福祉のまちづくりの推進に関する基本的な事項について調査、審議するため、知事が任命する委員三十人以内をもって組織することと規定されております。
第十一期東京都福祉のまちづくり推進協議会の在籍人数でございますが、二十八名となっております。
○とや委員 三十名の定員の中で二十八名というお話であります。これから十二期も始まるということですけれども、当事者を入れるという意味では、さらに希望する団体から意見が聞けるように追加すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○坂本生活福祉部長 本協議会の委員でございますが、障害者団体の連合会、連合体、聴覚障害、視覚障害、精神障害、知的障害の各団体からの委員を初めまして、建築、社会福祉、都市計画、情報通信、都市交通計画などの学識経験者、鉄道、バス、商工会議所などの民間事業者、育児、高齢者のグループでございますとか、都民公募委員、国、区市町村等の行政関係者など、さまざまな分野の方からの委員で構成しているところでございます。
本協議会の開催日時や場所については、プレス発表の上、広く都民の皆様に開催を周知いたしますとともに、会議資料も議事録も全て公開しております。
また、福祉のまちづくり推進計画の策定に当たりましては、パブリックコメントなどを実施いたしまして、都民の意見の聴取に努めております。
今後とも、さまざまな機会を捉えまして、当事者の方を含めた都民のご意見を聴取いたしまして、福祉のまちづくりの推進に取り組んでまいります。
○とや委員 公開もしているし、パブコメもやっているし、意見も聞いているとおっしゃっていますけれども、意見を聞いてもらうのと委員として参加するのとでは意味合いが違うと思います。条例上も二人ふやせるということですので、ぜひ検討をしていただきたいとお願いをしておきたいと思います。
次に、福祉手当について伺いたいと思います。
私ども日本共産党都議団は、この間一貫して、東京の福祉の拡充を求め続けてきましたが、石原都知事のときに福祉は大きく後退をしてしまいました。
老人医療費助成と老人福祉手当は廃止、シルバーパスは全面有料化、障害者医療費助成、重度障害者手当、障害者福祉手当、ひとり親家庭医療費助成、児童育成手当などは、所得制限が導入をされたり強化されてしまいました。
きょうは特に心身障害者福祉手当について伺いたいと思っていますが、心身障害者福祉手当の制度の概要とその目的、そして昨年度の実績をお答えください。
○松山障害者施策推進部長 心身障害者福祉手当は、心身障害者の福祉の増進に資することを目的として、東京都と区市町村が一体となって、昭和四十九年十月から実施している制度でございます。
区部につきましては、昭和五十五年から都区財政調整制度の基準財政需要額に算入されております。
支給対象者は二十歳以上で、知的障害者であって精神発育の遅滞の程度が中度以上である者、身体障害者であって身体の障害程度が身体障害者手帳二級以上である者、脳性麻痺または進行性筋萎縮症を有する者であり、支給額は月額一万五千五百円となっております。なお、支給制限がございまして、一定の所得以上の者、障害者となった年齢が六十五歳以上の者等には、支給されておりません。
平成二十九年度の市町村分の実績は、受給者数が三万七千十人、決算額が六十八億九千九百六十六万一千円となっております。
○とや委員 受給者については三万七千人で、区部については財調でカバーしているというふうにお聞きしました。区部を含めると約十一万人というふうに思われます。
この制度は所得制限の強化がされましたけれども、今日まで残っている障害者の暮らしにとっては大変大事な手当です。
実は、一九九六年まで毎年五百円ずつ上がってきましたが、その後は一円も上がっていません。当事者からは引き上げてほしいという声も上がっていますけれども、現在の障害者の生活実態を東京都として把握をされているのでしょうか、お答えください。
○松山障害者施策推進部長 都は福祉保健基礎調査により、五年に一度、障害者の生活実態を把握しております。直近の平成二十五年度調査では、十八歳以上の身体障害者四千人、知的障害者千二百人、精神障害者八百人及び難病患者千二百人の合計七千二百人を対象に、それぞれ面接聞き取り調査により実施いたしました。
調査項目は、障害の状況、健康、医療、日常生活、就労、経済基盤、社会参加等の状況、障害者総合支援法による障害福祉サービス等の利用状況などでございます。
この調査結果のうち、障害者の経済基盤について見ますと、例えば身体障害者の場合、生活保護費を除く平成二十四年度中の収入額は、収入なしが七・一%、百万円未満が二八・八%、百万円以上二百万円未満が二五・一%、二百万円以上三百万円未満が一七・五%、三百万円以上が一六・七%となっております。
○とや委員 今のご説明ですと、三人に一人が百万円未満で、二百万円未満まで含めると六割にも上るという大変厳しい状況だと思います。私たちは毎年、予算の組みかえ提案をして、数%の予算を組みかえるだけで東京の福祉を拡充し、暮らしを支える予算へと転換できることを示させていただいております。
例えば、七十年も前に定めた都市計画道路だとか、環状道路だとかにお金を使うのであれば、障害者とか、高齢者とか、子供たちにその分を回して、本当に都民に喜ばれる施策を充実していただきたいと思っております。
ぜひ福祉手当を増額していただきたいというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
○松山障害者施策推進部長 心身障害者福祉手当は、国の所得保障や在宅サービスが不十分であった昭和四十年代において、障害者の経済的負担を軽減し、在宅での生活が営めるために必要な手当として、都独自に経済的給付事業を開始したものでございます。
その後、国の年金や手当が充実するとともに、介護保険や障害福祉サービスの拡充も図られてまいりました。
障害者総合支援法の附則第三条第三項には、政府は、障害者等の福祉に関する施策の実施の状況、障害者等の経済的な状況等を踏まえ、就労の支援を含めた障害者等の所得の確保に係る施策のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすると規定しております。
こうしたことから、都は、障害者の所得保障は基本的には国の役割と考えており、他の自治体と連携して、国に対し、年金手当の一層の充実を図るべきとの要望を行っております。
○とや委員 今、国の福祉が充実したといいましたっけ--障害基礎年金は引き下げられています。消費税もこの間、負担増があって、それに加えて介護保険料とか、健康保険料の引き上げに加えて、障害を持っている人たちの多くは一人で歩けなかったり、あるいは行動範囲が限られていたりして、バーゲンセールだとかね、安いものを買いにいくため遠くまで行くことができないんです。
障害者団体が行った調査では、九割の人たちが引き上げを求めております。二十二年間も据え置いてきた都として、ぜひとも引き上げを検討していただきたいというふうに申し上げて、終わります。
○龍円委員 私はこれまで、スペシャルニーズのある子供の支援や社会的養護などに関して本会議や厚生委員会などで質疑や要望を重ねてまいりました。きょうの決算特別委員会では、これまでの質疑の論点を踏まえながら、二十九年度の実績を確認させていただきます。
まずはスペシャルニーズ児への支援について伺います。
私自身がアメリカでダウン症のある息子を産み育てる中で経験した、あらゆる支援機関が手を組んで多面的に包括的なサポートをする体制、人は一人一人違うということが前提にされていて、スペシャルニーズ児は可能な限り最大限インクルーシブな環境で育つべきだという社会に心から驚くとともに、そして本当に救われました。
友人や頼れる家族がいない海外で初めての子育てで、スペシャルニーズのある子を育てるのは、一般的に考えるとなかなか大変そうなことのように感じられるかもしれません。
しかし、実際は、私は日本に戻ってきてからの方が不安を感じながら子育てをしています。理由を挙げるとたくさんあるんですけれども、最も足りていないのは包括的な支援、情報、インクルーシブな環境だと感じています。
ことし三月の一般質問での質疑でも触れましたが、いろいろな方と話し、そして視察を通じて、いかにクオリティーの高い児童発達支援センターを各地につくれるかが最大の鍵だという結論にたどり着きました。
児童発達支援センターは、一般的な児童発達支援事業所と同じように直接発達支援をするだけではなくて、相談と情報提供、子供にかかわるほかの関係者との連携、そして地域へのアウトリーチ機能を兼ね備えているからです。
そして、スペシャルニーズ児がふだん生活している保育所、小学校、乳児院などに人を派遣して、療育をするだけではなく、先生たちにどうすることでその子をよりインクルードすることができるかアドバイスができる、保育所等訪問支援もセンターに期待される大きな機能であります。
インクルーシブな環境をつくるためには、重要な事業にもかかわらず、こちらもまだまだ整備が進んでいません。
平成二十九年度の児童発達支援センターの設置区市町村の数と事業所数、そして二十九年度中に増加した数を伺います。また同様に、保育所等訪問支援を行う事業所についても整備状況を伺います。
○松山障害者施策推進部長 児童発達支援センターは、平成二十九年度末で二十三区市に三十四事業所が設置されておりまして、このうち二十九年度に設置されたのは一区一市、二事業所でございます。
保育所等訪問支援を行う事業所は、平成二十九年度末で二十一区市に三十二事業所が設置されておりまして、このうち二十九年度に設置されましたのは三区三市、七事業所でございます。
○龍円委員 児童発達支援センターは二十九年度中に二事業所、保育所等訪問支援は七事業所ふえたということで、増加数はやや少ないようです。
しかしながら、本年度は児童福祉法に基づく第一期障害児福祉計画がスタートします。都の計画では、平成三十二年度末までに全ての区市町村でセンターを一カ所以上整備すること、そして全ての区市町村に保育所等訪問支援を実施できる体制を構築することを目標として、整備促進に努めていくと伺いました。
実際に事業を行う区市町村の計画には、これがどのように盛り込まれたのか伺います。
○松山障害者施策推進部長 区市町村の障害児福祉計画における目標設定についてでございますが、児童発達支援センターにつきましては、平成三十二年度末までに新たに施設を整備することや機能を確保する目標を設定している区市町村が十八、現在整備されている施設に加えて追加設置する目標を設定している区市が五つございます。
平成三十二年度末までの整備目標を挙げていない区市町村につきましては、自治体の実情に応じて、三十二年度以降の施設整備を挙げたものや、複数事業所の役割分担による機能の確保などの方向性を記載しているものでございます。
また、保育所等訪問支援の体制につきましては、二十四区市町村で三十二年度までの新たな体制整備や事業所の増設に係る目標を挙げているほか、三十二年度末の目標を挙げていない区市町村につきましては、児童発達支援センターの整備とあわせて確保することなどを記載しているものでございます。
○龍円委員 実際に区市町村の計画にもしっかりとセンターや保育所等訪問支援の設置が盛り込まれたことが確認できました。都はこれらの計画が実現できるように、しっかりと支援をしていただきますようお願いいたします。
先ほども触れましたが、センターとはいっても、ビジョンを持って、高いクオリティーを確保していくことがとても重要です。理学療法士や作業療法士などの専門職の配備がもっとふえていくべきですし、地域支援機能も積極的に行える体制が整えられるよう後押しをしていただけるようお願いいたします。
次に、児童発達支援についてですけれども、二十九年度末の事業所の数と利用定員数、二十九年度中の増加した数を伺います。また、このうち主に重症心身障害児を支援する事業所の二十九年度末の事業所数と利用定員数、二十九年度中の増加数を伺います。
○松山障害者施策推進部長 児童発達支援を行うセンター及び事業所の整備状況でございますが、平成二十九年度末の事業所数は四百九事業所、利用定員は五千六百三十二人であり、二十九年度中の増加数は五十四事業所、五百十八人分でございます。
このうち主に重症心身障害児を支援する事業所は、二十九年度末において四十三事業所、利用定員三百四十四人で、二十九年度中の増加数は十二事業所、六十三人分となっております。
○龍円委員 事業所は、二十九年度中に五十四事業所ふえているものの、主に重症心身障害児を受け入れる事業所はまだまだ少ないことがわかりました。そして、医療的ケア児の受け入れについては、看護師の配備が必要なこともあり、本当に受け入れがごくわずかにとどまっていると聞いています。
都は昨年度から、医療的ケア児を受け入れるために看護師を配置するモデル事業を実施しています。
また、国の平成三十年度の報酬改定では、重症心身障害児や医療的ケア児受け入れを促進するための加算も設置されましたが、こちらについても十分ではないという声を事業所からいただいております。
都は、モデル事業や報酬改定における課題を検証して、引き続き医療的ケア児の受け入れが進むように、国への要望なども含めて必要な対応をしていただけますよう要望させていただきます。
次に、放課後等デイサービスについてですが、平成二十九年度末の事業所数、そして二十九年度中に新設された数を伺います。
○松山障害者施策推進部長 放課後等デイサービスにつきましては、平成二十九年度末の事業所数は八百六事業所、利用定員は八千四百七十五人でございまして、二十九年度中の増加数は六十八事業所、六百六十人分となっております。
○龍円委員 放デイが二十九年度中に六十八事業所ふえて、六百六十人の定員がふえたということで、こちらはかなりのハイスピードで増加していることがわかりました。
ただ、放デイについては、質が問題となっています。質の向上に向けてどのような対応をしてきたのか伺います。
○松山障害者施策推進部長 都では、放課後等デイサービスを運営する全事業所を対象とした説明会や新規開設予定の事業者への説明会を通じて、運営基準や虐待防止など、障害児の支援に当たり遵守すべき事項について周知を図っております。
また、国のガイドラインに沿って、支援の質の向上と運営の適正化を図るよう指導するほか、自己評価を実施し、その結果を保護者等に公表するとともに、都及び所在区市町村にも報告するよう求めております。
さらに、虐待の疑いなど不適切な対応が疑われる事業所には、速やかに運営指導や実地検査を行っており、今後とも、放課後等デイサービスの質の確保に向けて取り組んでまいります。
○龍円委員 国の平成三十年報酬改定の検討過程でも、サービスの質という観点から重度のスペシャルニーズ児の受け入れ、そして専門職の配備を評価する方向が示されていて、期待しておりました。
しかしながら、今回の報酬改定では、実際に具体的な基準が示された時期が、改定の直前でありました。その上、区市町村が、利用者の障害の状態を判定するという新たな業務を短期間で実施せねばなりませんでした。
この判定をめぐって混乱が起きています。四月当初の判定では、ほとんどの区市町村は、五領域十一項目という古い判定方法を使って、事業者や保護者からほとんど聞き取り調査をせずに判定を行いました。これが実態に合っていないという声が多数聞かれることになりました。
これを受けて、国はことし七月二十六日に、新指標を使って再判定の実施を九月末までに積極的に実施するよう事務連絡を出しました。これによって再判定を受けられた事業所はよかったんですけれども、とにかく時間がなくて、再判定を受けられずに九月末を迎えてしまった事業所も数多くあります。
障害児放課後グループ連絡会がこの再判定についての現状把握をするためのアンケート調査を現在行っております。まだ回答が回収中であるものの、今のところ二十一の事業所から回答があり、その結果を教えていただきました。
二十一事業所のうち、十四事業所で再判定を受けられて、七事業所が再判定を受けていないということであります。この再判定を受けた十四の事業所は、全て四月当初の判定では区分二だったそうなんですけれども、判定後、そのうち十一事業所は区分二から区分一に変更になったそうです。つまり、四月時点での古い指標による、面談等がない状態での判定は妥当ではない可能性が高いということがここからわかります。
再判定を受けられなかった事業所は、実態に見合わない判定のもと、厳しい運営を強いられるところも出てきます。都としても、区市町村に対して、次回の判定からは新指標を使って、保護者や事業所との面談をして、実態に見合った判定をするよう徹底していただけるよう区市町村に働きかけをお願いいたします。
また、今からでも、積極的に再判定していただくなどの救済措置の検討をお願いさせていただきます。
また、報酬改定で、専門職や児童指導員等を基準より多く配置した場合の加算について、児童指導員等を配置した場合の要件が東京都だけ独自に厳しいルールがしかれているとの声が寄せられています。
児童指導員等の、等に含まれるものとして、強度行動障害の基礎研修を修了した障害経験指導員とされているんですけれども、ほかの自治体では経験者であることが要件になっていないということなんです。都は、この点についてどのように対応しているのか伺います。
○松山障害者施策推進部長 介護報酬につきましては、国の定める基準によって算定することとされております。このため、解釈に疑義がある場合には、国に確認して事務を進めることとしております。
放課後等デイサービスにつきましては、平成二十九年度に人員基準に障害児支援等の経験者の配置を義務づけるなどの見直しが行われ、平成三十年度の報酬改定では、サービスの質の向上のため、より専門性を重視した加算の見直しが行われたところでございます。
見直しのあった児童指導員等加配加算の対象となる強度行動障害支援者養成研修修了者には、障害福祉サービスの経験を必要とするかの解釈上の疑義が生じたため、都は、国に対して確認しながら事務を進めてまいりました。
現在、ご質問のような状況が生じていることから、改めて国に対し確認している段階でございまして、今後、国の回答により対応を検討してまいります。
○龍円委員 都が独自で厳しいルールをしこうとしたのではなくて、解釈による違いであり、現在、国に再度確認をしているということです。国の基準に従って、ほかの道府県と足並みをそろえて、不公平のないようにしていっていただけますようお願いします。
このように報酬改定によっていろいろと混乱が起きておりますが、都は、区市町村や事業所に丁寧にわかりやすい説明をして、国には引き続き要望を行っていただきますようお願いいたします。
いずれにしましても、専門性のある職員の加配を評価する区分ができたのはいいことだと思います。質の向上のため、事業所にはこういった加算を活用していただきたいと思います。
さて、東京都は平成二十九年度からペアレントメンター事業を始められました。メンターというのは、よき指導者という意味なんですが、私がアメリカで息子にダウン症があると診断されたときに、地元のダウンシンドロームアソシエーションから、五歳のダウン症のある男の子を育てているアジア系の両親をメンターとして紹介されました。
診断を受けたばかりの親の心情というのは、言葉で説明しにくいんですけれども、不安、失望、葛藤、価値観の崩壊、未来の展望を失う、人間不信、愛情、嫌悪など、とても複雑な思いであることが多く、家族とか、親友でさえ言葉が届かないことが多くあります。
一方で、全くの他人であっても、同じスペシャルニーズのある子を育てている親の言葉は、誰よりも胸に響き、支えとなることが少なくありません。私自身、一番大きな救いとなり、希望を与えてくれたのが、メンターを初めとする同じダウン症のある子を育てる両親たちの言葉や情報と、そして笑顔でした。
そこで、東京都のペアレントメンター事業についてなんですけれども、この事業は、発達障害のあるお子さんを育てる親への支援策として、ペアレントメンターの養成と派遣事業を開始したということですが、事業の目的と実績について伺います。
○石黒障害者医療担当部長 都は昨年度、子供が発達障害の診断を受けて間もない親などへの支援を充実するため、発達障害のある子供を持つ親がみずからの子育て経験を生かして悩みに共感したり、子供へのかかわり方の助言などを行うペアレントメンターを養成、登録し、親の会や支援機関等からの依頼に応じて、派遣する事業を開始いたしました。
平成二十九年度は、養成研修のカリキュラムや派遣の仕組みについて検討するため、学識経験者や区市町村職員、支援者等で構成される委員会を九月から十一月にかけて三回開催し、十二月に養成研修を実施いたしました。
養成研修を修了した二十六名の方をペアレントメンターとして登録し、その中から十五回、延べ三十三名の派遣を行いました。引き続き、ペアレントメンター養成派遣事業を通じて、発達障害児の家族を支援してまいります。
○龍円委員 ありがとうございます。このメンター制度は、実はとても大きな支援となるすばらしい制度だと思います。ぜひこの取り組みを進めて、ノウハウを積み上げていただいた上で、将来は、発達障害以外のスペシャルニーズのあるお子さんもメンター制度を利用できるような体制整備の要望をさせていただきます。
続いて、東京チャレンジオフィスについて伺います。
知的障害や精神障害などのスペシャルニーズがあり、一般就労を目指す方々が、都庁内で実践的な業務経験と訓練をすることができる東京チャレンジオフィスが平成二十八年度に開設されました。
改めて、東京チャレンジオフィスの事業目的と具体的な業務内容、そして各年度の実績を伺います。
○松山障害者施策推進部長 都は、平成二十八年度に東京チャレンジオフィスを都庁内に設置し、知的障害及び精神障害のある方を非常勤職員であるチャレンジ雇用就労員として雇用しております。
雇用期間は三年を限度としており、その中で、それぞれのニーズや適性に応じた就労経験を積む機会を提供し、一般企業への就労を支援しております。これまで庁内各局から、印刷物の封入や発送、データの入力や集計及び会議、イベントでの会場設営や受け付け等、多様な業務を受注し、幅広い経験を積めるよう取り組んでおります。
平成三十年十月一日までのチャレンジ雇用就労員の採用者数は、平成二十八年度が十五名、二十九年度が十四名、三十年度が八名の計三十七名でございまして、そのうち一般企業への就職実績は、平成二十八年度が四名、二十九年度が七名、三十年度が三名の計十四名となっております。
○龍円委員 知的発達におくれがある方などにとって、一般就労というのは本当に高い壁となっています。そんな中、都庁という多岐にわたるオフィス業務がある場所で経験を積むことができるのは、非常に大きな機会と、そして成長と自信になると思います。
この取り組みは、スペシャルニーズのある方々にとってだけいいのではなくて、都庁で働く皆様にとっても重要だと思います。
特に、福祉保健局の皆様は日々スペシャルニーズのある方たちの支援をしておられます。チャレンジオフィスの皆様と一緒に働き、触れ合い、どんどん会話をすることで、人として身近にスペシャルニーズのある方たちを知っていただけるようお願い申し上げます。
本当のダイバーシティー・アンド・インクルージョンの社会を実現していくためには、まず、都庁の皆様がスペシャルニーズのある方たちと普通にかかわりあっていくところから始めていただきたいと思います。
次に、スペシャルニーズ児以外の子供に関することについて伺っていきます。
先ほど細田委員も触れましたけれども、ゆりかご・とうきょう事業についてです。
この事業は平成二十七年から三十一年までの五年間の事業ですので、平成二十九年度はちょうど真ん中の年になると思います。利用実績と今年度の取り組み状況について伺います。
○谷田少子社会対策部長 都は現在、区市町村が全ての子育て家庭の状況を妊娠期から把握し、継続した支援を行えるよう、保健師等専門職の配置や育児パッケージの配布等を行うゆりかご・とうきょう事業を実施しております。
平成二十九年度は、前年度の三十二区市町村から九増加いたしまして、四十一区市町村が本事業を実施しております。
平成三十年度は四十三区市町村が実施する予定でございまして、都は、保健衛生主管課長会や母子保健従事者向けの研修等を通じまして、事業の意義の説明に加え、先行して実施している事例の紹介等を行うなど、区市町村に対し積極的な取り組みについて働きかけを行っております。
また、現在、本事業に取り組む自治体に対しまして、妊婦への全数面接がアンケートのみでは把握できないニーズや課題の把握につながったか、あるいは育児パッケージの配布が面接の動機づけになったかなど、事業の実施状況の調査を行っておりまして、その結果も踏まえ、事業効果について評価してまいります。
○龍円委員 現在、実施した自治体に対して調査を行っているということですが、その結果も踏まえて、五年間の後半に生かしていただくだけではなくて、厚生委員会で桐山都議から去年十一月に要望させていただきましたように、平成三十二年度以降も継続して支援をしていただけますよう要望させていただきます。
続いて、ひとり親家庭支援についてです。
ひとり親家庭の支援については、厚生委員会の中で子どもの権利条約の観点から質疑をさせていただきました。その中でも触れましたが、東京都福祉保健基礎調査によりますと、ひとり親家庭支援センターを利用したことがある親はわずか三・三%で、制度を知らない方は四六・四%だということです。
せっかく支援があっても、その支援を必要としている人にそのことが伝わらないのであれば意味がなく、より周知をしていただきたいと要望をさせていただきました。
ひとり親家庭支援センターの平成二十九年度の利用実績を伺います。
○谷田少子社会対策部長 都は、ひとり親家庭支援センターにおきまして、ひとり親家庭の自立支援と生活の安定を図るため、生活相談や就業相談等を行うとともに、ひとり親家庭の児童の健全な育成等を図るため、養育費相談、離婚前後の法律相談や面会交流支援などを行っております。
平成二十九年度の生活相談、就業相談の実績は、それぞれ三千四百四十九件、四千八百四十九件となってございます。
また、養育費相談では、電話による一般相談と家庭裁判所の元調査官などの専門相談員による電話や面接での専門相談を行っておりまして、平成二十九年度の実績は、一般相談が四百二十一件、百六十五人、専門相談が四百八十二件、百五十八人となってございます。
家事事件に精通している弁護士による離婚前後の法律相談は、親権や慰謝料、財産分与等について、専門的な助言を行っておりまして、平成二十九年度の実績は六百八十件、百九十人でございます。
また、面会交流支援においては、面会交流の方法や回数、親同士が互いに守らなければならないルールの調整、面会交流時の付き添い等の支援を行っておりまして、平成二十九年度の実績は九十六件、三十九家族となってございます。
○龍円委員 今後も、センターを利用していただけるよう、より一層周知をお願いいたします。法律相談はキャンセル待ちが出ているとも伺っておりますが、これは非常にいい取り組みだと思いますので、ぜひ相談できる機会を拡充していただけますようお願いします。
次に、ひとり親家庭等生活向上事業の実績を伺います。
○谷田少子社会対策部長 ひとり親家庭等生活向上事業は、ひとり親家庭等に向けたファイナンシャルプランナーによるライフプランセミナー等を実施いたします生活支援事業とひとり親家庭等の子供を対象とした子供の生活・学習支援事業から成っておりまして、区市町村が地域の実情に応じて実施しているところでございます。
このうち、生活支援事業の平成二十九年度の実績は十二区市となってございます。
また、子供の生活・学習支援事業は十八区市が実施し、全体で九百十六世帯が支援対象家庭として登録されまして、九百四十四人の児童に支援を行ったところでございます。
○龍円委員 私自身シングルマザーですが、息子にダウン症があること以上に、ひとり親であることの方がよっぽど大変で不安です。ぜひしっかりとした支援を続けていただきますようお願いいたします。
次に、社会的養護について伺います。
平成二十九年度に、児童相談所が新規で乳児院や児童養護施設などに入所措置をした児童数、里親委託している児童数、一時保護した児童数を伺います。
○谷田少子社会対策部長 平成二十九年度における児童福祉施設への新規の入所措置数は九百七十九人、里親委託数は百二十七人、合わせまして一千百六人となっております。また、新たに一時保護した児童数は二千九百五十人となっております。
○龍円委員 二十九年度だけでおよそ千百人のお子さんが施設や里親のもとで暮らすことになり、一時保護は約三千人弱という数字からも児童相談所の仕事の多さをうかがい知れます。
措置している児童全体で、家庭的養護に当たる児童と内訳、そのほかの施設にいる児童の数を伺います。
○谷田少子社会対策部長 平成三十年三月時点におきまして、家庭的養護でございます養育家庭等には四百五十九人、ファミリーホームには八十一人、グループホームには八百八十六人の児童を措置しております。
また、児童養護施設には、グループホームを除くと二千百六十二人、乳児院には四百二十二人の児童を措置しているところでございます。
○龍円委員 全体ではおよそ四千人の児童が措置されていて、そのうち里親、つまり養育家庭などにいるお子さんがおよそ四百六十人ですので、一割強になっているということがわかりました。
そして、単純に比較することができるものではありませんけれども、児童養護施設等の施設で暮らす児童一人当たりにかかった費用と、里親等のもとで暮らす児童一人当たりにかかった費用を伺います。
○谷田少子社会対策部長 児童養護施設等に支弁される措置費の平成二十九年度の決算額を単純に平成三十年三月時点の児童数で割った額を児童一人当たりの決算額といたしました場合、民間児童養護施設は五百万三千円、乳児院は九百七十二万六千円、民間グループホームは二百九十一万五千円、養育家庭等は二百五万七千円、ファミリーホームは四百四十六万円となってございます。
○龍円委員 児童養護施設は児童一人当たりおよそ五百万円、乳児院がおよそ九百七十万円、里親がおよそ二百万円ということでした。
ただ、日赤乳児院などには重篤な病気のお子さんや医療的ケア児もいて、看護師を配備するなどにより、費用がかかっていると思います。また、施設において里親支援機能も拡充していることもあるので、単純には比較できないため、あくまでも参考にしかすぎない数字だとは思いますが、計算していただきありがとうございました。
国も都も、今後、施設よりも里親に児童を委託することを最優先にしていくという方向性を示しております。今のご回答はあくまでも参考ではありますが、お子さんが施設にいるよりも、里親に委託した方が予算が抑えられます。その分、これまで足りていない里親支援を拡充していくことが重要だと思います。
里親に直接支出する措置費以外の里親支援に係る事業の決算額を伺います。
○谷田少子社会対策部長 里親支援に係る主な事業の平成二十九年度の決算額は、養育家庭が委託候補児童と交流を行った際の経費を補助いたします里親委託交流事業で五百十八万一千円、養育家庭等への相談支援を行う里親支援機関事業で一億一千四百四十三万六千円、養育家庭等が行う、満年齢により委託解除となった元里子への生活相談等を支援する養育家庭等自立援助事業で二百四十九万円となっております。
また、養子縁組が最善と判断した場合にできるだけ早期に委託する新生児委託推進事業は千百二十六万九千円となっております。
○龍円委員 新生児委託推進事業は、特別養子縁組を目指したものなので、それを含まずに考えますと、都は里親支援の主なこの三事業でおよそ一億二千万円をかけているということになります。里親支援は必要性と重要性がありますので、今後さらにしっかりと取り組んでいただきますようお願いいたします。
ことし七月に厚生労働省から通知された社会的養育推進計画の策定要領の中で、里親等への委託の推進に向けた取り組みとして、フォスタリング業務の包括的な実施体制の構築が示されました。
東京都は現在、特定非営利活動法人のキーアセットに一部の業務を委託していますが、平成二十九年度はどのような業務を委託したのか、実績を伺います。
○谷田少子社会対策部長 三つの民間団体に委託して実施している里親支援機関事業では、里親委託等推進員を配置し、定期的な家庭訪問や心理カウンセリング等を実施しております。
また、養育家庭の登録を拡大するため、里親開拓コーディネーターを配置し、児童福祉分野に関心のある層にターゲットを絞った、より効果的な広報活動等を行っております。
さらに、児童を委託していない登録家庭の養育力向上を図るため、里親トレーナーを配置いたしまして、個別に養育力向上のためのプログラムを作成の上、子供の発達に応じた対応や乳幼児の病気の際の対処法等についての研修を実施しております。
○龍円委員 キーアセットは、イギリスを初めとしてカナダやアメリカ、オーストラリアなど、世界中でノウハウを積み上げてきた団体で、里親の開拓、研修、マッチング、その後のフォローに至るまで、包括的な支援を得意としています。現在のように一部業務だけを委託するのではなく、包括的に委託する方が機能的に活用できるかと思います。
福岡市では、実際にキーアセットに対して包括的な業務を委託していて、結果を上げていると伺っています。
都においても、包括的なフォスタリング体制を構築していく上では、キーアセットのような団体が有しているノウハウを生かすように工夫をしていただきますようお願いいたします。
一方で、パーマネンシー保障として、特別養子縁組の推進も国の大きな方針の一つです。
都の養子縁組里親を経て成立した特別養子縁組の件数と、新生児委託の現在の取り組み状況を伺います。
○谷田少子社会対策部長 都に登録されております養子縁組里親へ委託している児童の特別養子縁組成立による委託解除件数は、平成二十九年度で三十二件でございます。
また、都は昨年度から、乳児院と児童相談所に専任の職員を配置いたしまして、養子縁組が最善と判断した場合に、できる限り新生児のうちに委託する新生児委託推進事業を開始いたしました。
本事業では、委託を希望する里親にいつでも交流が開始できるよう、乳児院において、沐浴や体調管理など新生児の養育に関する実践的な研修を実施し、交流開始後は助言や里親子関係のアセスメントを集中的に行い、早期に委託につなげております。
事業開始から平成三十年九月末までに十二家庭が研修を受講しておりまして、五名の乳児を里親に委託しているところでございます。
○龍円委員 新生児委託推進事業は、親が育てられないお子さんが新生児のうちに特別養子縁組に向けて養子縁組里親に委託するという取り組みで、これはすばらしい取り組みだと思います。
アメリカに住んでいたころに仲がよかった夫婦は、何と生後三日目のお子さんを迎えて育てておりましたが、産まなかっただけというほど我が子と何も変わりなく育てておられました。子供にとっても、そして養親にとってもいい取り組みですので、今後とも推進していただきますようお願いします。
一方で、それ以外の都の特別養子縁組の成立件数は三十二件となっております。現状では、民間のあっせん事業者の方が取扱件数が多いと伺っております。この分野における民間との連携も進めていただけますようお願いいたします。
続いて、児童相談所の体制についてです。
現在、児童相談所では、十一カ所全ての児童相談所に非常勤弁護士を一名配置して、月二日勤務していただいているほかに、協力弁護士として、ベテランと若手を組み合わせて原則二名ずつ登録し、総勢四十五人体制だと伺っております。
非常勤弁護士と協力弁護士の報酬を伺います。
○谷田少子社会対策部長 都は、児童相談所の法的対応力を強化するため、平成十三年度から個別の問題に対応する協力弁護士の登録制度を開始し、平成十六年度からは非常勤弁護士を採用して、児童相談所に配置しております。
ただいまお話ありましたとおり、現在全ての児童相談所に非常勤弁護士を一名ずつ配置するとともに、副担当となる協力弁護士を原則二名ずつ登録しております。
この非常勤弁護士と協力弁護士が総勢四十五名の体制で、法的手続への対応や児童相談所に対して法的な見地からの助言を行っております。平成二十九年度における非常勤弁護士の報酬や協力弁護士の報償費等の決算額は二千八十三万四千六百二十円となっております。
○龍円委員 非常勤と協力弁護士四十五人に対して合計およそ二千万円という報酬は、施設にいるお子さんに係る費用の四人分ですので、決して高過ぎるということはないと思います。
これまで斉藤れいな都議とともに、法的対応力の向上のために常勤弁護士の配置が、現在の非常勤弁護士と協力弁護士に加えて必要であることを訴えてまいりました。ことし六月二十日の斉藤都議の一般質問に対して、今後こうした体制をさらに充実し、児童相談所の法的対応力の強化を図ってまいりますと福祉保健局長から答弁がありました。
現在の非常勤と協力弁護士の体制に加えて、新たに常勤弁護士を配置するよう、改めて要望させていただきます。
都では現在、児童福祉司と児童心理司を毎年大幅に拡充しており、緊急対策では年内にさらに十九人確保することも発表されました。
児相では現在、経験三年以下の児童福祉司が全体のおよそ六割となっています。児相には出頭要請、立入調査、臨検、捜索などの法的権限があります。立入調査については、独自の安全確認行動指針の策定がされたのは高く評価しています。しかし、それ以外の決断、親権停止なども含めて、経験年数の短い職員が常に適切な判断をすることは簡単ではないと思います。
我が会派には、岡本こうき都議がいまして、現在も第一線で活躍している現役ばりばりの弁護士です。岡本都議と私は厚生委員会のメンバーとしてまさに机を並べて、一年間仕事をしてまいりました。この同じ空間に日々一緒にいるということがすごく意味があることだということを強く感じています。
例えば、法律の解釈、その根底にある考え方など、日々の雑談の中で本当に多くのことを教えてもらいましたし、解決したい課題に対して、その手法について具体的にアドバイスもいただいて進めてまいりました。
物理的に近くにいることがとても重要だと思うのは、そういう自分の経験から実感しているところであります。任期つきでもいいので、常勤弁護士の配備をご検討いただけますようお願いします。
常勤医師六人を新宿児童相談センターに配置し、そのほかの児童相談所には非常勤医師を一名枠で配置していると伺っています。
常勤医師は東京都の職員であるため、報酬を伺うことができませんが、非常勤医師の報酬を伺います。
○谷田少子社会対策部長 現在、都におきましては、愛の手帳の判定を行う非常勤医師や一時保護所入所時診断及び入所児童の健康管理等を行います非常勤医師を全ての児童相談所及び一時保護所に配置しております。
平成二十九年度におけます非常勤医師の報酬等の決算額は三千七百六十五万九千六百六十四円となってございます。
○龍円委員 医師についても、常勤または毎日児童相談所に医師がいる体制が必要であると、国の新しい社会的養育ビジョンを取りまとめた検討会の座長を務めておられた国立成育医療センターの奥山眞紀子先生からもご意見をいただいております。
目黒の少女虐待死事件の女の子は、香川に住んでいたときに、通っていた医療センターから香川の児童相談所に対して、虐待の疑いがあるから一時保護の必要があるという連絡が入っていたそうです。しかし、児童相談所側がそれを深刻に捉えなかったと聞いております。
医師会や歯科医師会の先生方とも話す機会があり、この件について伺ったんですが、一見普通に見えるお子さんであっても、体や歯を見ることで虐待されている可能性があるお子さんはわかるものだとおっしゃっていました。
児童虐待に取り組んでいく上で、弁護士や医師の専門的な知見や見地をより取り入れていくことで、さらに強化していただきますようお願いいたします。
続きまして、自殺対策について伺います。
都は自殺相談専門の電話相談窓口を設置して、相談者への支援を行ってきましたが、若年層に対する自殺防止対策を強化するために、平成二十九年度にLINEによる自殺相談が試験的に実施されました。
総務省の発表によりますと、平成二十九年に十代が平日の一日に携帯電話で通話する時間が〇・六分、固定電話での通話が〇・三分と非常に短い一方で、LINEなどのSNSを利用してコミュニケーションをするのは五十四分となっています。LINEによる相談を導入したことで、今までにリーチできなかった世代へ相談支援が行き届くことが期待されていました。
これまでの電話相談である自殺相談ダイヤルの利用実績、そしてLINE自殺相談の利用実績とその効果について伺います。
○成田保健政策部長 都は、平成二十二年四月から、相談者の悩みを受けとめ、自殺を未然に防止するための総合相談窓口として、東京都自殺相談ダイヤルを設置しております。相談ダイヤルは、毎日午後二時から翌朝六時まで相談に応じておりまして、平成二十九年度の相談件数は二万三十六件でございます。
年代別相談割合は、十歳代が二%、二十歳代が一八%、三十歳代が一八%、四十歳代が二六%、五十歳代が二〇%となっております。
また、LINEを活用した自殺相談につきましては、平成三十年三月十九日から三十一日の約二週間、午後五時から午後十時まで試行的に実施いたしました。
この期間の相談件数は六百件でございまして、年齢別相談割合は、十歳代が二九%、二十歳代が二六%、三十歳代が一九%、四十歳代が八%、五十歳代が二%でございました。
相談ダイヤルでは、四十歳代から五十歳代の利用割合が高く、LINE相談では、相談ダイヤルに比べまして、十歳代から二十歳代の割合が高くなっておりまして、多くの若年層からの相談にも対応できるようになっていると、このように考えております。
○龍円委員 電話相談だと十代はわずか二%だったのが、LINEを使うと二九%に上ることがわかりました。
一方、電話相談だと五十代は二〇%だったものがLINEだとわずか二%になっているということで、このことからも、電話相談とLINE相談という二つの窓口をつくったことで、幅広い世代に対応できる体制ができたことがわかりました。
この結果を受けて、今年度もLINE自殺相談がより長期的にわたって実施されるとともに、十一月一日からは児童虐待を防止するためのLINE相談も二週間のモデル実施が開始されます。
今後は、ほかの課題に関するLINE相談窓口の設置も積極的に検討していただきたいと思います。例えば、LGBTなど性的マイノリティーである方々も、特に十代はいじめや不登校、そして自殺に追い込まれるほどの精神的な葛藤を抱える時期だと伺います。周囲に相談ができる人がいないことも多いので、ぜひそういう若者に向けたLINE相談などの窓口を検討していただきますよう要望させていただきます。
続いて、ホームレス支援についてです。
私の地元渋谷区では、ホームレス問題が深刻になっており、ことし三月十九日の厚生委員会でも東京都のホームレス支援について伺わせていただきましたが、平成二十九年の実績について確認させていただきます。
まずは、自立支援センターについてです。こちらは何人が利用して、そのうち何人が就労自立したのでしょうか。
○坂本生活福祉部長 都は、特別区との共同事業で二十三区内に五カ所の自立支援センターを設置いたしまして、緊急一時保護からハローワークと連携した職業紹介やアパート確保のための相談などの就労自立に向けた支援まで、一貫した取り組みを実施しているところでございます。
お話の自立支援センターの平成二十九年度の実績でございますが、緊急一時保護事業の利用者が一千三百四十二人となっておりまして、一千十六人の方が自立支援事業を利用いたしまして、四百八十五人が就労による自立に結びついております。
○龍円委員 自立支援センターでは、巡回相談によって、ホームレスの方一人一人の状況の把握に努め、センターへの入所や適切な福祉サービスにつなげているとも伺いましたが、何人の方にアウトリーチすることができたのでしょうか。
○坂本生活福祉部長 自立支援センターでは、ホームレスの方が多く集まる地区や地域住民の方などから相談がありました場所につきまして、定期的に相談員と看護師による巡回相談を実施しているところでございます。
平成二十九年度の実績でございますが、延べ六千百四十七人の方に対しまして継続的な声かけや相談等を行いまして、自立支援センターへの入所や福祉事務所につなげるなど、ホームレス状態からの脱却に向けた支援を実施したところでございます。
○龍円委員 巡回相談によって、延べ人数で六千人に声かけや相談に乗り、千人はセンターを利用し、そのうち五百人は就労自立につながったという実績が見えてきました。
一方で、路上生活が長期化して、高齢化などによって自立が困難なホームレスには、地域生活への移行を支援するモデル事業を都と区が共同で開発し、平成二十九年度、三十年度で実施していると伺いました。
この支援付地域生活移行事業は、丁寧な相談によって関係をつくったホームレスに対して、最長で半年間住まいを提供し、健康管理や訪問相談などを通して生活支援を行い、その後は適切な福祉サービス等につながり、アパート等に転居した後もアフターフォローしていくものだというふうに伺いました。
改めて、事業開始から現在までの実績を伺います。
○坂本生活福祉部長 昨年度よりモデル事業として実施しております支援付地域生活移行事業の実績でございますが、二つのブロックで、事業開始から本年八月までに四十一人のホームレスの方がモデル事業用の住宅に入居いたしまして、そのうち二十七人の方が生活保護などによりまして地域に移行しているものでございます。
今後とも、特別区と連携いたしまして、ホームレスの方の自立支援に向けた取り組みを着実に実施してまいります。
○龍円委員 この事業によって確実に生活保護等に結びつけるなどして、地域生活へ移行していることがわかりました。
私の地元渋谷区では、二十八年度からハウジングファーストという独自の事業に取り組んできています。しかし、ほかの地域からホームレスが流入してくる土地柄もあって、渋谷区は家賃が高いことなどから、苦戦を強いられているようです。
東京都は、支援付地域生活移行事業を来年度から本格的に運用を開始し、ホームレス支援をより広域的な立場から支援をしていただきますようお願いいたします。
最後に、エイズ対策について伺います。
昨今は、HIVに感染していることを早期に発見して、早期に適切な治療を開始することで、感染していない健康な方たちとほとんど同じように暮らせるようになってきたと聞いています。
また、体の中のウイルスの量が一定値以下になると、周囲の人に感染させることもほとんどなくなりますので、HIV検査による早期発見と治療開始はエイズ対策のかなめだといえます。
東京都では現在、HIV検査を南新宿検査・相談室、多摩地域検査・相談室及び都の保健所で行っております。
その中でも最も検査件数が多い南新宿検査・相談室では、平成二十九年に何件のHIV検査を行い、何件が陽性となり、そのうち何件を医療機関の受診に結びつけたのか伺います。
○吉田感染症危機管理担当部長 平成二十九年に東京都が実施いたしましたHIV検査の件数は、南新宿検査・相談室、多摩地域検査・相談室及び都保健所で合計一万四千三百十三件でございました。このうち、南新宿検査・相談室で実施いたしましたHIV検査件数は一万七百八十五件で、このうち七十九件が陽性でございました。
陽性となりました方々に対しましては、個々に応じまして、医療機関への受診の勧奨を行うとともに、エイズ発症の予防や生活上の注意事項について、必要な指導を行っております。その結果、陽性と判明いたしました七十九件のうち五十五件が医療機関につながったことを確認しております。
○龍円委員 南新宿だけで年間七十九件の陽性判定があったということがわかりました。検査に来られる方たちの匿名性を担保した上で医療機関に結びつけるのは、簡単なことではないと思いますけれども、丁寧なカウンセリング等を通じて、着実に医療機関へつないでいると伺っております。
昨今は梅毒も流行していて、検査・相談室では、そういうほかの感染症の取り組みも強化していると伺っております。ぜひ今後も取り組みを続けてください。
ありがとうございました。質疑は以上です。
○清水委員 それでは、よろしくお願いしたいと思います。
私もついせんだってまで青年を名乗っていたわけでございまして、若いうちは福祉保健局の事務事業には少し縁が遠いというか、薄いわけでございますが、だんだんと身近なものになってきて、そのうち必要に迫られてくるのかなと、手放せないような事業になってくるのかなと思います。常任委員会の方も厚生委員会に配属になりましたので、ぜひとも皆さん、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
それでは、私からは、保育の施策につきまして、二つの大きな項目についてお伺いしたいと思います。
我が党は、日本の将来を担う子供たちや子育て世代に優しい東京をつくるという公約を掲げております。また、長きにわたりまして、保育事業者や保育の実施主体であります区市町村への支援の拡充ですとか、また認証保育制度の創設など、東京都とともに保育サービスの拡充に努めてまいりました。
こうした長年の取り組みの成果が実を結びまして、本年四月の待機児童が十年ぶりに五千人台となり、昨年よりも大幅に減少したことは、これは大変喜ばしいことだと思うわけでございます。
しかしながらなんですが、まだ待機児童が解消されたわけではありません。五千人の方が依然として入園を待っているともいえるわけでございまして、これまでの施策の効果を振り返りながら、待機児童ゼロに向けまして、手綱を緩めないことが大切であろうかと思います。
待機児童が減少した主な理由は、この間、認可保育所や認証保育所など、保育サービスの拡充が進み、保育の受け皿が拡充したことであると認識をしているわけであります。
一方、保育サービスの拡充に際しましては、園舎の整備のみならず、保育に携わる方々、いわゆる保育人材の確保が必要不可欠でございます。
先ほども人材の奪い合いなんていうふうなご質疑がございましたが、区部を中心にいたしまして新規園が多く開設する影響から、既存の保育園、とりわけ多摩地域におきましては、保育人材の確保が課題となっておりまして、私の地元でも、長らく保育園を営む事業者の皆様方から苦労は聞いております。
そうした保育人材の確保に資する二つの事業につきましてお伺いしたいと思います。
まずは、保育従事職員宿舎借り上げ支援事業につきましてでございます。
これはさきの委員の質疑もございましたので、重なる点もありましたら、ひとつご容赦をいただければなと思うわけでございますが、この事業は基本的には国の事業でありますが、東京都は平成二十五年に事業を開始いたしまして、翌年、二十六年度の第四回定例会で補正予算を措置いたしまして独自に充実を図り、その後、平成二十八年度、第三回定例会でも補正予算を措置して、さらなる充実を図って、現在に至っていると聞いております。
そこでまず、本事業の概要ですとか、具体的には国事業の内容と東京都独自の充実の内容がどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 保育従事職員宿舎借り上げ支援事業でございます。
国は、平成二十五年度から、保育士宿舎借り上げ支援事業を開始いたしました。この事業でございますが、認可保育所等に勤務する採用後五年目までの保育士を対象としておりまして、事業開始初年度は一人当たり月額八万円、平成二十六年度からは月額八万二千円の支援を行っておりまして、その負担割合でございますが、国が二分の一、区市町村が四分の一、事業者が四分の一となっております。
都におきましては、平成二十六年度から認証保育所や定期利用保育事業、保育士以外の職員も対象とするとともに、区市町村及び事業者の負担割合を八分の一に軽減するなど、独自に充実を図ってございます。
また、平成二十八年九月の緊急対策におきましては、採用後六年目以降の職員も対象といたしまして、さらなる充実を図ったところでございます。
○清水委員 ありがとうございました。改めまして事業の概要をご説明いただきました。
国や都の事業を実施するかどうか、これは保育の実施主体でありますあくまでも地元区市町村が決めることは、これは承知をしているわけでございますが、この宿舎借り上げ支援事業は、とても保育事業者からのニーズが高いわけでありますが、うちの自治体はなかなか実施してくれなくて困るんだよというふうな声も多摩地域の保育事業者からはいただいておるわけでございます。
そこで、事業の平成二十七年度、二十八年度、二十九年度、三カ年の補助の実績が区部と多摩地域ではどのようになっているのかお伺いしたいと思います。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 本事業の直近三カ年における補助の実績でございますが、平成二十七年度は十六区二市、対象戸数は、合計でございますが、九百三戸、二十八年度は二十三区十一市、四千二百八十四戸、二十九年度は二十三区二十市、九千四百十四戸となってございます。
○清水委員 ありがとうございます。事業の年を増すごとに着実に浸透いたしまして、区部のみならず多摩地域でも活用が拡大されまして、都内保育人材の確保という点では、これは功を奏しているのかなというのが数字からも明らかになったわけでございます。
しかし、窓口となります自治体の財政力の違いから、受け入れの数に制限が設けられている自治体もあるそうでございまして、これはほかの職員には話せないから内緒にしておいてねですとか、あるいは、これはちょっと不平等になっていることがみんなに知れ渡ったら大変なことになってしまうので制度自体の利用を控えましょうという事業者もあるとお聞きしているわけでございます。
地域事情もあるかと思いますが、宿舎借り上げの事業というのは、保育人材の確保には即刻成果があらわれる至ってすぐれた事業であるわけでございます。したがいまして、支給のあり方も含めて、さらなる制度の検討をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
他方、同時に、今後とも申し込みの推進をお願いしたいところでありますが、東京都の予算のルールといたしまして、事業の終期が設定されているのも事実でございます。
そこで、本事業の終期とその設定理由についてお伺いしたいと思います。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都は、二〇一七年度からの三年間で保育サービス利用児童数を六万人分拡充し、二〇一九年度末までに待機児童を解消する目標を掲げております。本事業につきましては、二〇二〇年度を事業終期といたしております。
○清水委員 期間を定めて目標年度を設定しているというふうな考え方についてはよくわかりました。
しかしながら、本事業は、約一万人にも及ぶ東京都の保育に携わる方々が活用している事業でありますので、突然事業を終了してしまった場合どうなるのかという影響の大きさにつきましては、当然のことながら申し上げることもなく、国も、また東京都の皆さんもご理解いただいていることだと思うわけでございます。
また、本事業により、保育人材の確保、あるいは囲い込みはできたのかなと思うわけでございますが、一番の肝であります新たな保育人材の獲得につながっているのかなと、まだその検証が必要なんじゃないかと思うわけでございますので、いずれにいたしましても財源の裏づけですとか、二〇一九年度末の待機児童の状況などを踏まえて、都として必要な見直しを検討することは、これは一定の理解をできるわけでございますが、先ほど来委員の方からもご要望がありましたとおり、本事業の将来的な取り扱いにつきましては、今後十分、我々議会とも協議をしながらご検討いただきますよう要望して、次の質問に移りたいと思います。
続きまして、保育所等ICT化推進事業についてお伺いしたいと思います。
保育士の皆様方の業務はお子さんと直接向き合うことでございますが、子供たちの日々の成長の記録や保護者との連絡など、ICT化の推進により効率化できる業務も少なくないと思うわけであります。
ICT化、一昔前はITと呼んでいたと思うんですが、私もちょっとこの分野は余り得意ではないので、改めて調べてみましたら、ITにコミュニケーションという言葉、情報伝達を加えたというふうなことがICT化だそうでございまして、ICT化の事業は、国が先行いたしまして開始したものの、すぐに終了してしまいまして、東京都が独自に充実し、そして力を注いでいる事業と私は認識しているわけでございます。
そこでまず、本事業はどんな事業なのか、その目的と事業内容につきまして伺いたいと思います。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 保育所等ICT化推進事業は、保育所等における保育士の業務負担の軽減を図りますために、書類作成の業務等を支援するシステムを導入する事業者に対しまして、必要な初期経費を補助するものでございます。
委員のご質問にもございましたとおり、国は同様の目的の事業を平成二十七年度から実施いたしまして、補助基準額は百万円、負担割合は国が四分の三、区市町村が四分の一でございましたけれども、平成二十八年度に終了いたしました。
都は、平成二十九年度から本事業を開始しておりまして、国事業では対象外でございました認証保育所を対象とするとともに、補助基準額を二百万円、負担割合は都四分の三、区市町村四分の一としております。
○清水委員 ありがとうございます。以前は国の事業だったということでございますが、今、実施された二年間、平成二十八年度分と都が事業開始した平成二十九年度分、それぞれの年度に補助を利用した施設数は一体どのくらいあるのか、その実績をお伺いしたいと思います。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 国事業の平成二十八年度の実績は十四区十三市二町、合計で五百三十二施設、都事業の二十九年度の実績は十四区九市二町、六百十三施設となっております。
○清水委員 答弁の数字はなかなか拾うのが大変ですね、こっちもね。大丈夫です、大体のことはわかりましたので。少なくとも都内で約ですが、千二百ぐらいの保育所で既にICT化が導入されたということであるかと思います。
この事業をきっかけにICT化に取り組んだ、あるいは拡充した保育所がかなりの割合であるのかなと思うわけでございますが、そこで、この事業で補助を受けた保育事業者が具体的にどのようなICT化といわれるものを行って、日々の課題解決に役立てているのか、お答えをいただければなと思います。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 本事業によるICT化の事例といたしましては、保育日誌の電子化や、保護者が行う登園、降園時の確認のタッチパネル方式への変更などがございます。
こうしたICT化によりまして、保護者の利便性の向上、保育士の作業時間の効率化、園児に対する情報の職員間での円滑な共有などにつながっていると聞いております。
○清水委員 具体的な現場での成果をご説明いただきまして、ありがとうございました。ICTの活用といいますと、生産性の向上ばかりが強調されがちでございますが、子供たちの情報など、保育内容の充実に直接つながるものや、保育士さんが余裕を持って働けるようになることで保育に充てられる時間がふやせるなど、さまざまな効果があることだと思うわけでございます。
私もこの質問を契機に、実際にICT化のシステムを導入し、うまく運用されている保育園、事業所に視察に行ってまいりました。現場の声といたしましては、都の支援により、ICTが導入できることは本当にすばらしいと、感謝していますというふうなことでございます、特に若い先生方でございましたかね。
先ほど来、部長から具体的なお話がありましたが、保育日誌だけではなく、やはり、今課題となっておりますアレルギー体質のお子さんでありますとか、あるいは、いわゆる気になる子など、パーソナル、個人のデータというのを先生方、あるいは保育園全てでその情報を共有できることに一番のメリットがあるのではないかというふうなことでございます。
つまり、開園時間が保育士さんの就労時間を上回っているような現状が今現場ではございますので、当然のことながら、保育士さん同士の引き継ぎというものが毎日の日常業務で行われているわけでございますので、こういったことが非常にありがたいというふうなお話を聞かせてもらいました。当然、保護者さんとの連絡もこのシステムで行っているそうでございます。
また一方で、課題も頂戴したわけでございまして、例えばICT化推進事業の利用に伴いまして、システムですとか、タブレット端末、これを導入するときにリース契約を締結するのが一般的であるそうなんですが、補助額と保育園の規模から割り返しますと、そのリース契約できる期間というのは数年に限られているそうでございます。
私がちょっと視察させてもらったところは、標準的な保育園の規模だったそうでございますが、二百万円の前に、百万円のときにこの事業を導入した結果、そのリース期間はわずか三年だそうでございます。
そうしますと、契約期間が終了した後、どう対応するのかと。単なる導入のきっかけづくりだけなのか、あるいは見方を変えてしまうと、システムメーカーのこういったソフトがありますよという宣伝の程度にとどめてしまっては、もったいないんじゃないかというふうなお話がありまして、やはりICT化を定着させるために、これは何か方策を考えていただいた方がいいんじゃないかというふうな指摘を頂戴しました。
また、情報の共有化、一元管理を図るために、クラウド機能を利用するわけでありますが、そうなりますと当然、情報漏えいという、こういったものに対するセキュリティー、これはどうやって備えたらいいのかと。
万々が一のときの対応など現時点でも課題があるんですが、さらに、私もそうなんですが、保育所の職員の年齢構成や経験、経歴は多様であるがゆえ、習熟度にばらつきがあるようでございます。
同じ水準でICTを操ることが難しいであるとか、習熟度に課題のある職員のスキルアップを図りたいというふうなことがあるんですが、時間がないんですね、やっぱり保育士さん、なかなかお忙しくって。現場でICTをさらに賢く活用するに至るまでは、まだまだ課題があるんじゃないかなというふうなことを実感したわけでございます。
そこで、このような事業発展のために出された現場の声に対する都の現時点でのご見解をぜひともお聞かせいただければなと思います。
○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都は、今月実施をいたしました保育事業者セミナーにおきまして、初めて、ICT活用による業務の効率化をテーマといたしまして、ICTの活用の目的や必要性、導入に当たっての条件や注意点、導入による効果についての研修を行ったところでございます。
引き続き、保育現場におきまして、ICTの導入及び効果的な活用が促進されますよう、区市町村や業界団体等を通じて働きかけをしてまいります。
○清水委員 ありがとうございます。わかりました。今いったようなことをぜひともこれからも実施を繰り返していただいて、上手に活用している例の把握ですとか、あるいは情報共有をしていただいて、事業者の皆様方に周知徹底を東京都の方で図っていただければなと思うわけでございます。
また、今後ともさらなるICTの有効活用につなげていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
○和泉委員 私は居住系の介護のサービス、それから介護人材の確保、定着について伺いたいと思います。
我が党は、都の特別養護老人ホームの整備率が全国の中で最低水準であり、整備目標の達成率も東京近県の中でも最も低いと報道されている、このことを取り上げて、第三回定例会でも整備促進に向けた取り組みについて求めました。
整備率が低いのは、特養ホームだけではなくて、老人保健施設や認知症グループホーム、これも全国比較で見た整備率が最低水準となっています。
高齢になっても住みなれたまちで安心して暮らすことができる、その環境のために老健施設も認知症グループホームもとても重要な役割を果たしているということはいうまでもありません。
そこで、認知症高齢者グループホームの平成二十九年度末の整備状況について伺います。平成二十九年度に新規でふえたのは何人分で、全体では何人分となったんでしょうか。
○粉川高齢社会対策部長 認知症高齢者グループホームの平成二十九年度の整備数は、定員四百一人で、平成二十九年度末の累計では一万六百六十一人分となっております。
○和泉委員 二〇二五年度までに二万人という目標を掲げているわけですから、その達成のためには加速が必要だというふうに思います。都は平成二十九年度から認知症グループホーム整備を促進しようということで、マッチング事業を行っています。決算説明書を見ますと、執行率は七四・六%というふうになっています。
平成二十九年度はどのような取り組みを行ったのか伺います。
○粉川高齢社会対策部長 都は認知症高齢者グループホームの整備について、国制度による補助に加え、土地所有者等が賃貸目的で施設を整備し、運営事業者に貸し付けを行うオーナー型へも独自に補助を実施しております。
このオーナー型整備を推進するため、平成二十九年度から土地所有者等と運営事業者を結びつけるマッチング事業を開始しました。
平成二十九年度の取り組みは、家庭的な雰囲気の中でケアを行うグループホームのサービスの内容や事業の安定性、社会的意義について、土地所有者の理解と関心を高めるため、説明会を十六回、現場見学会を十回開催したほか、ポスターやパンフレットを作成し、区市町村や金融機関に配布するなど、事業の周知を図ったところでございます。
○和泉委員 平成二十九年度は事業の開始初年度ということで、いろいろ準備に着手をしたというところなのかと思います。ということは、この事業によって、オーナー型のグループホームが実際にふえるのは今年度からということになろうかというふうに思います。
認知症グループホームというのは、地域密着サービスですから、区市町村の役割が非常に重要です。認知症高齢者グループホームの整備を促進する上で、区市町村が積極的に取り組めるようにすることが大変重要です。
働きかけとともに支援の強化が必要ではないかと思いますが、どのように取り組むのでしょうか。
○粉川高齢社会対策部長 都はこれまで、認知症高齢者グループホームの整備について、区市町村担当者向けの補助制度説明会等で働きかけるとともに、平成二十九年度の第七期高齢者保健福祉計画策定に当たり、全ての区市町村にヒアリングを行い、整備計画に関して意見交換を行いました。
整備費補助につきましては、国制度による補助に加え、都独自に、土地所有者が整備するオーナー型についても支援するほか、整備状況が十分でない地域を重点的緊急整備地域に指定し、一ユニット当たり三千七百五十万円、最大三ユニットで一億一千二百五十万円を補助するなど、区市町村の取り組みを支援しております。
本年度から重点的緊急整備地域を拡大するとともに、建築価格の高騰に対応する加算も新たに導入するなど、支援の充実を図ってまいります。
○和泉委員 高騰加算は重要だと思います。
同時に、運営費への支援も求められています。市長会からはグループホームに対する消防設備等の維持管理費などを介護報酬に適切に設定するよう国に働きかけてほしい、また都としても支援策を講じてほしいと、このような要望が出されています。
これを正面から受けとめる必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○粉川高齢社会対策部長 現在、厚生労働省令及び消防法施行令により、全ての認知症高齢者グループホームは、スプリンクラーや自動火災報知設備などの消防用設備の設置が義務づけられております。
したがって、消防用設備の法定点検など、維持管理に要する費用は、事業を運営するために必要な経費として、基本的に介護報酬で賄うものでございます。
なお、都は、介護報酬について、大都市東京の実情に合った水準とするよう繰り返し国に提案要求をしております。
○和泉委員 基本的に介護報酬で賄うものであるということは、もちろん市長会も十分わかっていると。だからこそ、国に働きかけてほしいというふうにいっているんだと思います。けれども、それを待っていたのでは、なかなか改善が進まない。だからこそ、都独自の支援を求めているのではないんでしょうか。
大都市東京の実情に応じた報酬設定とするよう、国に対して繰り返し要望していると今答弁なさいましたけれども、大都市東京の実情に国の報酬が対応していないということを都が認識しているということです。だったら、支援に足を踏み出すべきだと私は思います。
続いて、介護老人保健施設についてです。
老健施設の平成二十九年度末における整備状況について伺います。平成二十九年度に新規でふえたのは何人分で、全体では何人分が整備されたんでしょうか。全国の整備率と比較しておくれている整備をどのように進めていくのか。平成三十二年度末の必要入所定員数二万四千人分の確保に向けた見通しについてもあわせて伺います。
○粉川高齢社会対策部長 都は、介護老人保健施設について、保険者である区市町村が地域のニーズを踏まえて算定したサービス見込み量に基づき、計画的に整備を進めております。平成二十九年度の整備数は定員四百七十二人で、平成二十九年度末の累計では二万一千五百九十七人分となっております。
整備に当たりましては、都独自の支援策である建築価格の高騰に対応する整備費補助の加算や整備率が低い地域への補助単価の加算、都有地の減額貸付や土地賃借料の負担軽減など、多様な手法を活用しながら、着実に整備を促進しております。
○和泉委員 着実に整備を促進しているとのことでしたけれども、実際の数字を見ますと、こちらもやはり今のペースのままでは二〇二五年に三万人という目標の達成は難しいのではないかというふうに思わざるを得ません。
老健施設に伺って、直接お話も伺ってきました。老健施設の入所者は、医療保険が原則使えません。加算をとって経営の採算をとろうと努力をしているということでしたけれども、利用者が老健を出た後どこに行くかによって、在宅復帰にカウントできるかどうかというのが分かれてしまいます。
例えば、自宅やサービスつき高齢者住宅、有料老人ホームに戻った場合には、在宅復帰をしたという扱いになりますが、特養ホームの場合にはなりません。退所した後の利用者の暮らしを最優先に考えたいのに、加算がとれるかどうかの判断を先に考えざるを得ない、加算の仕組みが利用者の実情、実態に合ったものになっていない、そうお話をされていました。
また、補助が期限つきで期間が短いこともあり、検討し、内部で議論して決めるだけの時間的余裕がない、こういった話も聞かれました。
このような課題の解決のために、都がその実態をよくつかんで、報酬のあり方そのものに対する意見を国に上げていただきたいというふうに思います。
また、制度が抱える矛盾をどのように乗り越えて整備計画を達成するのか、都としてのさらなる支援強化を求めておきたいと思います。
そして、ここでもやはり人員の確保、これが最も大きな課題になっているということでした。紹介会社へのコストは、人件費の約二割分に相当するとのことです。それほどのコストをかけても、人材紹介会社が保障する三カ月を過ぎてしまうとやめてしまう人も多い。また紹介を依頼することになる。紹介会社に支払う紹介料は経常経費となっているんです。
もちろん都としてもさまざまな施策の展開で、介護人員の確保、定着、育成の努力をしているというふうに思いますが、都の介護人材確保対策事業、当初予算は九億八千万でしたけれども、この当初予算における執行率で見ると四六・九%にとどまっています。決算書上は四八・三%です。
不用額の多くはトライアル雇用ということですけれども、どのような理由で不用額が発生しているのか伺います。
○粉川高齢社会対策部長 トライアル雇用事業は、離職者等が介護事業者と六カ月以内の有期雇用契約を締結し、働きながら介護職員初任者研修を受講することを支援したものでございます。
本事業では、まず、都が事業者からの申請に基づき雇用可能な職員数を提示し、その後、事業者が介護職員の求人活動を行うため、職員の採用に至らなかった場合には不用額が生じることとなります。
平成二十九年度は、予算規模四百人に対し最終的には四百二十二人を提示しましたが、実績は二百二十二人となっております。
○和泉委員 要するに、事業所としては雇い入れたい希望はある。けれども、なかなか人が来ない。働く人の処遇改善が人員確保の根本的課題だということがこの事業にもあらわれてくるんじゃないでしょうか。
介護職員宿舎借り上げ支援事業も、当初予算三億八千三百万でしたけれども、ここで見てみますと、当初予算で比較しますと執行率は三一・一%にとどまってしまいます。これも、主な要因はどういったものなのか伺います。
○粉川高齢社会対策部長 お話の予算の執行率が約三一%となっている主な理由として、宿舎借り上げに要した経費が補助基準額の八万二千円よりも安かったことや宿舎を借り上げた時期が年度途中であったことなどが挙げられます。
○和泉委員 それにしても、三分の一以下ということですから、この不用額は大変大きいというふうに思います。
この宿舎借り上げ支援事業ですが、まず、事業者が福祉避難所の指定を受けていること、その上で、災害時に事業所に迅速に駆けつけることができる宿舎を職員の住居として借り上げた場合に、事業所にその費用を補助するというものですけれども、災害時の迅速な対応を推進するとともに、住宅費の負担を軽くして、働きやすい職場環境を実現し、介護人材の確保、定着を図ることも目的というふうになっています。いわば処遇改善策としての役割もあるという認識でよろしいでしょうか。
○粉川高齢社会対策部長 本事業は、住宅費の負担軽減等による働きやすい職場環境の確保と、災害時における福祉避難所の運営体制の強化を図る事業所を支援することを目的としております。
なお、高齢者施設は、職員が交代で勤務し二十四時間体制でサービスを提供する施設であり、災害のときには在宅の要介護高齢者等を受け入れる拠点にもなります。
このため、災害時の人員確保の運営体制の強化を図る目的としても支援するものでございます。
○和泉委員 処遇改善策としての役割もあるという認識は示されませんでした。あくまで福祉避難所の運営体制の強化を図る事業所を支援するんだと、それが目的なんだという答弁ですけれども、東京都介護職員宿舎借り上げ支援事業助成金交付要綱には、第一条の目的の中に、介護サービスを提供する事業所等に対し介護職員の宿舎の借り上げを支援することで、働きやすい職場環境を実現し、介護人材の確保、定着を図るとともにとまず述べて、事業所による防災の取り組みを計画的に進め、地域の防災拠点として、災害時の迅速な対応を推進することを目的とするときちんと書いてあるんです。
介護人材の確保、定着を図ることが大きな目的というふうになっているんです。
先ほど、執行率の低さは、宿舎借り上げに要した経費が補助基準額よりも低かったことなどが原因だという答弁がありましたけれども、それにしても減額補正をこれだけ行わざるを得なかったということは、人員の確保、定着にどれほど効果が上がっているかという側面からの検証も必要なんじゃないでしょうか。福祉避難所についての要件の見直しもあわせて検討するよう求めておきたいと思います。
続いて、キャリアパス導入促進事業です。
キャリアパス導入促進事業は、平成二十九年度、決算書で見ますと執行率は二三・四%というふうになっています。けれども、当初予算では十六億七千万円予算を組んでいました。ここと比較すると一四・一%の執行率ということになります。
事業を開始したときから一貫して、当初予算から見た執行率が低い事業なんですが、執行率の低い要因をどのように都は分析しているんでしょうか、伺います。
○粉川高齢社会対策部長 まず、お答えする前に、先ほどの介護職員宿舎借り上げ支援事業の目的についてでございますが、先ほどもご答弁いたしましたが改めて、本事業は、住宅費の負担軽減等による働きやすい職場環境の確保と災害時における福祉避難所の運営体制の強化を図る事業者を支援することを目的としており、私、先ほど申し上げたのは、高齢者施設の特性をご説明したものでございます。
次に、キャリアパス導入促進事業につきましては、介護職員の育成、定着を図るため、国のキャリア段位制度を活用してキャリアパスの導入に取り組む介護事業者を支援することを目的に実施をしております。
本事業では、介護事業者が段位制度に基づき評価を行うアセッサーを事業所に配置し、所属する介護職員が段位の認定を受けることなどが補助要件となっております。
この段位制度について、国の検討会では、評価項目自体の見直しなどによる効率化、簡便化を進めることが必要や、レベル認定に係る事務負担が大きく時間を要するなどの指摘がされており、段位取得者が十分に輩出されなかった要因であったと認識をしております。
○和泉委員 この質問への答弁の前の先ほどの話ですけれども、介護人材の確保、定着を図ること、これが宿舎借り上げ事業の目的の一つにもなっているということを私は指摘したんです。そこのところを踏まえておいていただきたいというふうに思います。
キャリア段位の取得者を輩出するために、まず、職場に審査するアセッサーを養成しなければいけません。段位を取得しようという人が出てきたら、そのアセッサーはつきっきりでその人の仕事をチェックすることになります。
そうして段位を取得したら、一人五十万円、一事業所の段位取得者四人、二百万円を上限に補助が出るという制度でした。一事業所四人までという上限は今年度から撤廃されたということが先ほどの質疑の中でもありましたけれども、負担が大きく、使いづらい制度だということがいえるんじゃないかと思います。
きょういただいた資料8を見てみますと、キャリアパス導入促進事業を開始した平成二十七年度の当初予算で計算した場合の執行率は三・一%、平成二十八年度は四・三%です。平成二十九年度の当初予算は、前年から十億円以上減額をして、十五億円となっていました。
資料9では、当初三千人のレベル認定者を見込みながら、五百三十九人にとどまっていることも出ています。
今年度からは、三年間この補助を継続して受けた事業所に新たな助成も行って、何とかこの事業を定着させようという努力が行われていますけれども、そもそも全体の賃金が低い中で、ほかの職員にとってはレベル認定者の給料との差が開くだけ、これでは人員確保、定着は到底進まないというふうに思います。
事業の見直しを行って、介護の現場で働く全ての人の賃金の底上げにつながるような施策を行うべきだというふうに思いますが、いかがですか。
○粉川高齢社会対策部長 介護サービス事業は、サービスの提供の対価として事業者に支払われる介護報酬等により運営されることが基本でございます。
都はこれまでも、国に対して、事業者が介護人材の確保、定着を図り、健全な事業運営を行うことができる介護報酬とするよう繰り返し提案要求をしております。
○和泉委員 あくまで介護報酬が基本だということですけれども、先ほどの答弁の中にも大都市東京の実態にそぐわないんだと、それに合った介護報酬にしてくれということを繰り返し国に対しても要求しているという答弁がありました。
大都市東京の実態に合っていないんですよ。もちろん国の制度設計に根本的な問題があることは間違いありません。しっかりと国に物をいうことは大事だし、やってほしいというふうに思います。
けれども、実際に都は、確保、定着、育成のための予算を計上してきました。処遇改善が行われなければ、人員の確保も定着も、もちろん育成も進みません。
介護人材確保対策事業、介護職員宿舎借り上げ支援事業、東京都介護職員キャリアパス導入促進事業、これだけで当初予算の合計額三十億三千三百万円ですが、実際の決算額は八億七千八百万円です。現場に届くものになっていないという認識を持つべきなんじゃないでしょうか。
この現実を正面から受けとめ、よく分析し、新たな施策の構築へとつなげていくべきだということを強く求めて、質疑を終わります。
○鳥居委員 私は三つのテーマ、認知症の方を支える専門職の研修について及びがん患者の治療と仕事の両立支援について、また特別養護老人ホームの整備促進、この三つについて質疑をさせていただきたいと思います。
まずは認知症関連からですが、認知症の代表であるアルツハイマー病などは、一度罹患しますと根本的な治療法がない難治病であり、患者ご本人の不自由に加えて、お身内や介護士など介護にかかわる人材のご負担も長期にわたり大きいことから、より本質的な改善も視野に入れながら、きめ細かな対応が重要と考えております。
東京都でも、二〇二五年には、認知症を抱える高齢者数が一昨年二〇一六年から十年足らずで四割も増加すると。約五十六万人に達することが見込まれているようでございます。高齢者における認知症の割合がこれからも増加するということになります。
また、現在、認知症高齢者の約六割が施設や医療機関ではなく在宅で生活をしており、そのうち半数に近い方がひとり暮らしか、夫婦のみで生活をしているといわれております。
今後、地域で暮らす認知症の方がふえることが見込まれる中、状態に応じて適切な支援が受けられるよう、介護サービス従事者はもちろんのこと、地域において日ごろから本人に接し身体状況や生活環境を把握している、いわゆるかかりつけ医などの医療サービスを担う人材を育成していくことが必要となります。
そこで、医療職の人材育成についてどのような取り組みを進めてきたのか、具体的内容と実績を伺います。
○粉川高齢社会対策部長 都はこれまで、都内十二カ所の地域拠点型認知症疾患医療センターにおいて、かかりつけ医や看護師を対象に認知症対応力の向上を図るための研修を実施してまいりました。
かかりつけ医認知症研修は、かかりつけ医が認知症診療において早期に気づき、疾病への対応や健康管理、家族への支援、専門医との連携等の役割を担えるよう、認知症の人と家族を支える知識と方法を習得する目的で行っており、昨年度は研修を二十六回開催し、六百六十人が受講しており、平成二十九年度末までの受講者の総数は約四千五百人でございます。
また、同様に、一般病棟の看護師等を対象にした看護師認知症対応力向上研修については、三十二回開催し、千三百七十六人が受講しており、総数は約五千五百人を養成しております。
さらに、平成二十八年度から高齢者と接する機会の多い歯科医師や薬剤師が認知症の人の担い手となるよう、東京都歯科医師会や東京都薬剤師会と連携して研修を実施しており、平成二十九年度末までに歯科医師は約二百五十人、薬剤師は約一千四百人が受講しております。
○鳥居委員 認知症の方を支える人材の育成に向けて、かかりつけ医認知症研修を地域拠点で複数回行っているということ、また、歯科医師や薬剤師をその研修の対象にしまして、研修の拡大を図られているというふうに認識します。積極的に取り組んでいただいているというふうに確認いたしました。
認知症の方が住みなれた地域で暮らし続けるためには、こうした人材が地域でふえていくということがとても重要と考えております。引き続き実情の把握を進めて、適切にご対応いただきたいと思います。
さらに、こうした認知症の支援に携わる関係者の対応力を向上させ、連携の強化が必要と考えますが、どのような取り組みを行っているのかを伺います。
○粉川高齢社会対策部長 都は、認知症ケアに従事する医療従事者等の研修拠点として、東京都健康長寿医療センターに認知症支援推進センターを設置し、認知症サポート医などの専門職のスキルアップを図っております。
認知症サポート医は、かかりつけ医等への認知症の診断等に関する助言や、地域包括支援センターなど地域の関係機関との連携の推進役を担っており、認知症支援推進センターで実施します認知症サポート医等フォローアップ研修を、平成二十九年度末までに延べ二千百人が受講をしております。
さらに、今年度からは、区市町村において認知症ケアに携わる専門職や行政関係者の連携の促進を図るために実施する認知症多職種協働研修について、その講師を養成する研修も実施しております。
こうした取り組みを通じて多職種の連携を進めることにより、地域の認知症対応力の向上を図ってまいります。
○鳥居委員 認知症の方が地域で安心して生活していくためには、地域で支える体制の底上げ、これは欠かせないものと認識しております。
そのような中で、かかりつけ医等への助言、地域の関係機関との連携促進の役割を担っているいわゆる認知症サポート医、これに対して専門の研修拠点を設けて、スキルアップに努められているということをお示しいただきましたし、フォローアップ研修も実施されているということをお伺いしました。
多職種の連携を進めるなどの地域の認知症対策を向上させているということも認識いたしましたので、引き続き、地域の認知症対策の向上の取り組みを今後とも推進していっていただくことを要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
次に、がん患者の治療と仕事の両立支援について伺います。
がんは近年、治療成績の向上や外来での治療の普及などにより、治療しながら働くことが可能となってきました。国も平成二十八年、がん対策基本法の一部改正により、事業主の責務として、がん患者の雇用の継続等に配慮するように努めることが規定されてきました。
しかし、都が独自に行った東京都がんに関する患者調査によると、がんと診断されたときに就労していた人の二四・七%が退職していることが示されております。また、再就職をしていない人の退職の背景には、約七七%がみずから退職していることも示されました。
がん患者の雇用継続への配慮が規定されている中で、都も独自に調査をされましたけれども、その結果は、治療と仕事の両立支援に対して、がん罹患者の約四分の一が退職していることから、より一層の対策をすることが必要であるというふうに私は感じております。
そこで、都はこの間、がん患者の治療と仕事の両立支援に向け、どのような取り組みを行ってきたのかを伺います。
○花本医療政策担当部長 現在、都内には、国が指定するがん診療連携拠点病院等が二十八カ所、都が独自に指定する東京都がん診療連携拠点病院が八カ所ございます。これら三十六カ所の拠点病院等全てにがん相談支援センターが設置されており、がん患者やその家族のさまざまな相談に対応しております。
特に就労に関する相談につきましては、患者や家族への支援が十分に行えるよう、都は、がん相談支援センターの相談員に加え、都内の医療機関でがん患者を担当する医療従事者を対象に就労支援をテーマとした研修会を行っており、平成二十九年度は二回開催しております。
また、がん患者が治療を受けながら働き続けられるよう、治療と仕事の両立支援のために優良な取り組みを行う企業の表彰を平成二十六年度から開始しており、昨年度の十四社を含め、計三十九社表彰しております。これら企業の取り組みは、年度ごとに事例集として取りまとめ、ホームページ等で紹介しております。
さらに、企業のがんに関する正しい理解を促進するため、経営者等を対象としたシンポジウムも開催しており、昨年度は三百四十八名の参加がございました。
○鳥居委員 がん相談支援センターの設置は、国が基準としている二十八カ所の拠点に対して、都独自に指定する拠点病院の八カ所にも設置を行い、都も、患者家族への相談支援や企業への普及啓発に取り組まれているということをお示しいただきました。
今後も、患者数が増加するがん患者の治療と仕事の両立支援、これは我が会派としても非常に重要と考えておりますので、一層の取り組みを進めていただきたいことをお願いいたします。
そこで、がん患者の治療と仕事の両立支援に関する今後の都の取り組みについて伺います。
○花本医療政策担当部長 都は平成三十年三月に東京都がん対策推進計画を改定し、重要な施策の一つとして、がん患者やその家族への就労支援の充実について盛り込んでおります。
今年度は、がん医療の専門家や企業関係者等で構成する検討会の議論を踏まえまして、がん患者の就労状況や医療機関等の相談支援、企業の体制や環境等について実態を把握するため、患者や家族、企業や病院も対象とした調査を実施いたします。
今後は、調査結果を踏まえ、患者や家族の就労継続への支援や新規、再就職支援、職場での治療と仕事の両立に向けた環境づくりなどについて検討し、実態に即した支援を充実してまいります。
○鳥居委員 ありがとうございます。本年三月に東京都がん対策推進計画を改定し、専門家による検討会を実施いただいていることをお示しいただきましたし、引き続き、今後も検討を重ねていただきまして、患者、家族への相談支援や企業への普及啓発に取り組んでいただくことをお願いし、次の質問に移りたいと存じます。
最後の質問になります。特別養護老人ホームの整備費補助について伺います。
二〇二〇年には後期高齢者人口が前期高齢者を上回り、高齢化率は増加を続けて、平成二十九年十月一日には高齢化率は二七・七%に達しています。そのような中、高齢者が地域で安心して暮らせる環境の整備として、特養の整備は不可欠と考えております。
東京都は第七期高齢者保健福祉計画で特別養護老人ホームの整備目標を六万二千人に引き上げていますが、平成三十年三月一日時点での都内の特養整備率は一・五一%であり、区部の整備率は都全体と比べて低い水準となっております。
東京都は整備を促進しており、支援策の一つとして、高齢者人口に比べて整備がおくれている地域に対する促進係数、これを設けております。
改めて、特別養護老人ホーム整備費補助における促進係数の目的、その経緯について伺います。
○粉川高齢社会対策部長 都は、特別養護老人ホームの整備を促進するため、さまざまな独自の支援策を実施しており、その一つとして、施設の地域偏在の解消を目的に、区市町村の高齢者人口に対する施設定員数の割合に応じて、新たにユニット型個室による整備を行った場合に、補助単価を段階的に最大で一・五倍に加算する促進係数を平成二十年度から導入しております。
平成二十八年度には、さらに整備を進めるため、加算の対象となる整備率の基準を高齢者人口比一・二五%未満から二・〇%未満に引き上げるとともに、区市町村単位の整備率と、より広域的な老人福祉圏域単位の整備率を比較して、高い方の促進係数を適用する見直しを行いました。
○鳥居委員 この促進係数は、東京都全体で整備を促進していくためには有効な手段であるというふうに考えております。
この促進係数は平成二十八年度に見直しを行い、二年目となります。見直しを行った結果、どのような効果があったのか、また、あわせて区部の実績についても伺います。
○粉川高齢社会対策部長 平成二十八年度の見直しの結果、促進係数が適用される地域は、平成二十七年度には二十五区市でございましたが、平成二十八年度からは四十四区市に拡大しました。
なお、新たに最大一・五倍の促進係数が適用となった場合、一床当たりの補助単価が五百万円から七百五十万円と、二百五十万円の増額となります。
こうしたことから、促進係数が適用となる地域の補助協議件数は、見直し前の三カ年では、平成二十五年度は十一件、二十六年度は十四件、二十七年度は九件であったところ、見直し後の平成二十八年度は二十四件、二十九年度は十五件と増加をしております。
また、区部での特別養護老人ホームの定員数は、促進係数導入前の平成十九年度末の一万六千九百五十四人から二十九年度末では二万五千三百八十四人と約八千四百人増加しており、整備率も一・〇四%から一・二五%と上昇しております。
○鳥居委員 ありがとうございました。高齢者だけでなく、家族も安心して生活できるよう、きめ細かな見直し等を行い、整備を加速していただきたいと考えております。
また、整備をしても、介護に携わる職員の確保ができなければ、施設を最大限活用することができません。そのためにも重要となってくるのが人材の確保や育成、そして定着への取り組みでございます。
人材に関しても引き続ききめ細かく実施をしていただくよう要望し、私の質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○のがみ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○のがみ委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で福祉保健局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後六時五分散会
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