委員長 | 馬場 信男君 |
副委員長 | おじま紘平君 |
副委員長 | 高橋 信博君 |
古城まさお君 | |
藤井とものり君 | |
奥澤 高広君 | |
森口つかさ君 | |
大場やすのぶ君 | |
上野 和彦君 | |
里吉 ゆみ君 |
欠席委員 なし
出席説明員会計管理局 | 局長 | 土渕 裕君 |
管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 野口 一紀君 | |
警察・消防出納部長 | 加藤 政弘君 | |
会計制度担当部長 | 斎田ゆう子君 | |
議会局 | 局長 | 松山 英幸君 |
管理部長 | 藤田 聡君 | |
連絡調整担当部長 | 清水 英彦君 | |
議事部長 | 櫻井 和博君 | |
調査部長 | 山内 和久君 | |
財務局 | 局長 | 武市 敬君 |
経理部長財政企画担当部長 オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 初宿 和夫君 | |
契約調整担当部長 | 五十嵐 律君 | |
主計部長 | 山田 忠輝君 | |
財産運用部長 | 山根 恭子君 | |
利活用調整担当部長 | 鈴木 光祐君 | |
建築保全部長 | 小野 幹雄君 | |
技術管理担当部長 | 飯泉 洋君 | |
庁舎運営担当部長 | 後藤 徹也君 | |
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長 | 小野寺弘樹君 |
本日の会議に付した事件
平成二十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
会計管理局関係
・平成二十九年度東京都一般会計決算(質疑)
議会局関係
・平成二十九年度東京都一般会計決算(質疑)
財務局関係
・平成二十九年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十九年度東京都用地会計決算(質疑)
・平成二十九年度東京都公債費会計決算(質疑)
○馬場委員長 ただいまから平成二十九年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する質疑を行ってまいります。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局、議会局及び財務局関係の決算に対する質疑を行います。
これより会計管理局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十九年度東京都一般会計決算中、会計管理局所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○上野委員 私からは、初めに官民連携ファンドについて質問いたします。
官民連携ファンドについては、都のプレス発表によりますと、平成二十九年度末に存続期間満了に伴って清算結了したファンドがあります。当該ファンドは、都の出資額十五億円に対する回収額が約二十三・六億円に上りました。出資金十五億円を全額回収しただけでなく、さらに多くの分配金を獲得できたことは、是としたいと思います。
そこで、今回、資金回収額が大幅に増加した理由と、今回の決算における三つの官民連携ファンドの投融資実績などについてお尋ねいたします。
○野口管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ご質問のファンドは、官民連携インフラファンドのうち、スパークス・アセット・マネジメント株式会社が運営しておりましたファンドでございます。
ファンド運営事業者の持つノウハウが適切に活用されたことや、当該ファンドの組成当初は、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の買い取り価格が比較的高く、収益性の高い案件が実現したことにより、回収額が出資額を上回ったものと考えております。
また、各ファンドの平成二十九年度決算の実績についてでございますが、官民連携インフラファンドでは、これまでに十九件、約六十二万キロワットの発電所へ投融資を実施し、平成二十九年度に約二十一億五千万を回収、平成二十九年度末までの累積回収額は約三十四億一千八百万円となりました。
官民連携再生可能エネルギーファンドでは、これまでに十三件、約十七万キロワットの発電所へ投融資を実施し、平成二十九年度に約二億三百万円を回収、平成二十九年度末までの累積回収額は約二億四千六百万円となりました。
官民連携福祉貢献インフラファンドでは、これまでに三件、保育所定員計二百名の福祉貢献型建物への投融資を実施しておりますが、建築工事を行っている段階であり、まだ回収実績はございません。
○上野委員 今後もファンドの資金回収が順調に進むことを期待しております。
都のファンド事業は、東日本大震災後の電力の安定供給などのために、全国を対象として、官民連携インフラファンドが組成されたことに端を発しておりますが、我が党ではかねてより、再生可能エネルギーの普及だけではなく、被災地支援などの観点からも取り組んでほしいと主張してきたところでございます。
そこで、東日本大震災の被災地である岩手、宮城、福島の被災三県に対するファンドの取り組み状況についてお尋ねいたします。
○野口管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 被災三県に対します投融資実績は、宮城県二件、福島県二件の計四件の太陽光発電所であり、平成二十九年度は、このうち宮城県名取市の名取ソーラーウェイの運転が開始されました。
名取ソーラーウェイは、東日本大震災の津波により被害を受けた宮城県農業高等学校跡地約三十ヘクタールを事業用地として活用しており、未利用地の有効活用等を通じ、震災後の地域の復興と活性化に貢献しております。
○上野委員 我が党では、被災地を応援する目的で被災三県の現地視察を行ってまいりました。
先般、六月一日には名取ソーラーウェイを視察したところでございます。ここでは、太陽光発電所で発電された電力を東北電力株式会社に売電しており、東北地方の復興に貢献しています。名取ソーラーウェイは、都のファンドからの投融資により、津波による被害を受けた学校跡地を事業用地として活用することで、固定資産税の支払いなどを通じた地域経済への貢献も見込まれるわけであります。今後とも、ファンドからの投融資により、発電施設を通じた被災地の復興と経済活性化に期待したいと思います。
そこで、官民連携ファンドに関する最後の質問となりますが、各ファンドの現状と今後の見通しについてお尋ねします。
○野口管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドにつきましては、いずれも投融資は完了しております。また、官民連携福祉貢献インフラファンドは、引き続き新規案件の発掘を目指しているところでございます。
今後とも、投融資先の発電所や福祉貢献型建物等の安定的な運営がなされ、都への分配が順調に行われていくことを期待しており、そのためにも、都といたしましては、これらの三つのファンドにつきまして、引き続き運営状況の監視に注力し、拠出した資金の回収に努めてまいります。
○上野委員 会計管理局におかれましては、引き続きファンドの運営監視を適切に行い、着実な資金回収などに努めていただきますよう期待いたしまして、次の質問に移らせていただきます。
次は、新公会計制度の活用促進に向けた取り組みについて質問いたします。
議員の先生方も新しい方々が大勢いらっしゃいます。東京都が新公会計制度を導入するに至った、どこをきっかけにこういうふうに導入しようと、そのきっかけといいますか、淵源というか、まずはそこをもう一度確認したいと思っています。
今を去ること十六年半前の実は平成十四年三月、予算特別委員会におきまして、我が都議会公明党の公認会計士でもある東村議員が登壇して、そこで、今こそ東京都は公会計制度を行うべきだと、そして複式簿記と発生主義会計を導入すべきだということを議会で初めて主張したわけでございますが、当時は財務局長もいろいろ答弁していますけれども、難しいというふうな答弁であったわけですけれども、そこで石原知事が答弁に立ったんですね。
そのときに石原知事は何といったか。会計の発想、方法というものを絶対に変えていくことが急務だと私はそう認識していると、このように、変えていくという決断をそこで初めてしたんです。財務局長もびっくりされたと思いますよ、そのときは。
そして、この年の五月に、石原知事は記者会見の席上で、平成十八年度から東京都の公会計改革を行ってまいりますと、複式簿記と発生主義会計を導入していくと発表したわけで、そして現在に至ったという経緯があるということを、我々は絶対忘れてはいけないと思います。
さて、このようにして都は平成十八年度、全国に先駆けて複式簿記・発生主義に基づく新公会計制度を導入いたしました。現在、十年余りが経過しましたが、その間、我が党の提案により設置した新公会計制度普及促進連絡会議の都と同様の制度を導入する構成自治体は、十七自治体まで拡大しております。
また、都や連絡会議からの働きかけによりまして、平成二十七年一月、統一的な基準による財務書類の整備が総務省から全国自治体に要請されるなど、全国における制度導入において、都は制度の先駆者として大きな役割を果たしてきたと、これが事実でございます。
いわゆる都方式の財務諸表は、主要な財源である税収を収入に計上するなど、統一的な基準と比べても、企業会計に近くてわかりやすいということは明らかであります。まずは全国自治体でも、複式簿記・発生主義に基づく新公会計制度が普及してきたということは、当初から制度普及を目標としてきた私たちにとっても大きな一歩といえると思います。
我が党は、制度導入時から、議会の質疑などを通じて都の取り組み状況をチェックし、都とともに新公会計制度を推進してきたという自負がございます。
そこで、本日も都の取り組みや方向性について確認いたしますが、まずは、新公会計制度の活用促進に向けた昨年度の都の取り組み状況についてお尋ねします。
○斎田会計制度担当部長 都は平成二十三年度に、都方式を採用する都及び大阪府、新潟県、愛知県、町田市の先行五自治体によりまして、新公会計制度普及促進連絡会議を設置いたしまして、現在の構成自治体は、委員ご指摘のとおり、都内十、都外七の計十七自治体にまで拡大しました。
さらに、昨年度につきましては、千葉県習志野市から連絡会議に参加したい旨の申し出がございまして、今年度からオブザーバーとして参加しております。習志野市は現在、国の統一的な基準により財務書類を作成していますが、将来的には、その統一的な基準による財務書類を都方式に組みかえ、連絡会議構成自治体と活用に向けた情報共有を図っていきたいとのことでございます。
都は、こうした連絡会議を通じて、制度活用に向けた知見やノウハウを共有するとともに、これらの情報を連絡会議のイベントやホームページ等を通じて全国に発信してまいりました。
昨年度は、荒川区のホールにて、全国の自治体関係者等を対象にシンポジウムを開催し、分析や活用の視点をテーマに、先行自治体の取り組み事例をわかりやすく紹介いたしました。全国の自治体職員や公認会計士等、約三百名の参加がございまして、好評を博したところでございます。
○上野委員 統一的な基準を採用している習志野市が今年度から連絡会議に参加しているとのことですが、都方式での活用を目指す新たな仲間がふえたということは、大変力強い限りでございます。今はまだオブザーバーということですが、しっかりサポートしてあげてほしいと思います。
また、先ほどの答弁で、連絡会議を中心として情報の共有や発信に努め、制度の活用促進に向けた取り組みを進めていることも確認できたわけでございます。
一方、総務省から統一的な基準による財務書類の整備が要請されたということで、これから全国自治体の財務書類が出そろってくることが見込まれます。そうした状況を考えますと、これまでの都や連絡会議が独自に制度の普及促進に向けて取り組んでいくというステージから、今後は、本格的な活用に向けた新たなステージに入ったといえるのではないでしょうか。これからは、国や全国自治体ともしっかり足並みをそろえて、連携していく必要があると思います。
そこで、国や統一的な基準を採用する自治体との連携に関して、都の取り組み状況をお尋ねします。
○斎田会計制度担当部長 都は昨年度、総務省が設置いたしました地方公会計の活用の促進に関する研究会に委員として参加しました。有識者や他の先行自治体とともに議論に参加して、都の経験やノウハウを提供する一方、国や全国自治体の動向など最新の状況把握に努めてまいりました。
また、平成二十八年度から、統一的な基準を採用する、主に都内自治体を対象に、制度導入に向けた課題等について意見交換会を開催しております。昨年度も春と冬の二期に分けて、計十日間にわたり延べ五十三自治体と意見交換をいたしまして、各自治体が抱える課題把握や必要に応じた助言を行いました。
さらに、都からの働きかけによりまして、連絡会議構成自治体の大阪府、福島県郡山市でも同様の意見交換会を地元で開催するなど、それぞれの地域における統一的な基準を採用する自治体との連携を進めております。
○上野委員 今のご答弁からもわかりますように、すばらしい取り組みをされていると思います。都の方式だけでなくて、基準の違いを超えて、国や統一的な基準を採用する自治体ともしっかりと連携できていることが確認できまして、私も安心したところでございます。
都は、これからの国や自治体との連携においても大きな役割を担い、制度の先駆者としての存在感を大いに示してほしいと思います。
都の今後の取り組みに大きく期待しつつ、最後に、都は、今後さらなる制度の活用促進に向けてどのように取り組んでいくのか、局長の決意を伺い、質問を終わります。
○土渕会計管理局長 都はこれまで、さまざまなイベントや研究会など、自治体や国との連携に精力的に取り組んでまいりましたけれども、これらの活動を通じて、最近特に感じますことは、全国的に制度の活用に対する意識がより一層高まってきているということでございます。
こうした意識の高まりを受けまして、連絡会議では、今年度からの制度の活用に向けた検討部会を設置いたしまして、先行自治体の知見を動員して研究を始めたところでございます。
これまで蓄積された各自治体のノウハウや活用事例などを生かし、先行自治体だけでなく、全国の自治体が活用しやすい比較分析手法を研究し、情報発信していきたいと考えております。
また、今年度は十一月に品川区で、公会計推進ミーティング二〇一八の開催を予定しております。できるだけ多くの自治体の関心に応えるべく、つくるから生かすへ現場からの報告と題しまして、都方式や国の統一的な基準にかかわらず、先進的な自治体の取り組み事例を報告するなど、基準の違いを超えた情報共有、発信の場にしていきたいと考えております。
全国自治体での活用の裾野が広がれば、自治体間の連携を通じて、都のマネジメントにもフィードバックしていくことができるようになります。都は制度の先駆者としての役割の大きさを自覚し、引き続き、さらなる制度の活用促進に向けて全力で取り組んでまいります。
○藤井委員 ではよろしくお願いいたします。私からも、新公会計制度についてお伺いをしてまいりたいと思います。
実は私も公認会計士でございまして、そういった視点、都議会では東村先生も含めて三人公認会計士の人がいるそうでありまして、ぜひよろしくお願いいたします。
公会計の推進ミーティング二〇一八というチラシを、今お話出ていたと思うんですけれども、こちらに書いてありますとおり、つくるから生かすへということで、どうこれから生かしていくかということが非常に大切だと思っています。
やはり民間の会計ですと、発生主義会計ということで、役所の現金主義会計とはそもそも違うものでありますから、民間の手法を使ってつくった財務諸表がどう生かされていくのか、やっぱりそこが最も大切なポイントなのかなと思います。
東京都においては、都方式ということで、先ほど来お話がありましたけれども、他の自治体等の事例を紹介しながら広めていらっしゃると思いますけれども、都方式の一番いいところというか、自信を持ってこれを進めているという点はどういったところなのか、まず簡単にご説明をいただきたいと思います。
○斎田会計制度担当部長 端的にいって、都方式と国の基準等との違いということになるかと思いますが、都方式では、企業会計に準じたわかりやすい会計基準を策定しております。例えば、企業会計における損益計算書に相当する行政コスト計算書に税収を収入として計上することで、当該年度の収支状況の把握が可能となっております。一方、統一的な基準では、税収を収入とは捉えず純資産変動計算書に記載するなど、都方式とは異なる考え方をとっております。
なので、繰り返しですが、企業会計に準じたわかりやすさ、国際公会計基準などに沿ったものということが特徴になるかと思われます。
○藤井委員 この都方式というのは、より企業会計の考え方に近いということでございまして、その意味で、導入をすることでメリットがあるというお話でありました。
私も、もともと練馬区の議員なんですけれども、東京二十三区は都区財政調整制度という一つの共通した制度というものがありまして、この東京二十三区において、多分それぞれ、総務省方式がいいのか、東京都の方式がいいのかということで、やっぱり各自治体の判断というのが一方ではあるのかなと思います。
やっぱり財務諸表というのは、比較可能性という言葉がありますとおり、比較をできて初めて情報というのはより有用性を増すのかなと思うんですけれども、二十三区の中で、ある程度統一的な基準でつくっていくということをやっていかないと、東京都のお気持ちというのも一方ではわかるんですけれども、ある程度二十三区で同じ基準でつくって、比較可能性をしっかり担保していくということも大切なのかなとも思うんですけれども、その点、東京都としてはどのようにお考えになられていらっしゃいますでしょうか。
○斎田会計制度担当部長 東京都といたしましては、都方式というものが、複式簿記・発生主義会計に基づくもの、わかりやすく経営分析に活用できるものとして、普及促進にこれまで努めてまいりました。
それも含めまして、国に対しても統一的な基準というものを働きかけ、その結果としまして、二十七年一月に総務省からの統一的な基準の書類整備の要請というものがございました。現在、全国自治体、二十三区も含めてでございますが、順次、統一的な基準による財務書類整備を始めているところでございます。
統一的な基準自体も、都方式というものにかなり近づいてきたものになってございますので、全国、今年度末までには、おおむね統一基準でそろった公表の状況が整備されますので、これから比較をして活用していくということが可能になるかというふうに考えてございます。
○藤井委員 同じ方式で比較できて初めて生きてくるというふうに思いますので、会計管理局としてもそういった方向で頑張っていただきたいなというふうに思います。
東京都では、東京都会計基準の見直しに取り組んでおられるということを伺いましたけれども、具体的に何か、会計基準、こういったことを見直して、より有用な財務情報が得られたなど、そういった具体的な事例も含めて、もしございましたら、簡単にお答えをいただきたいと思います。
○斎田会計制度担当部長 東京都会計基準は、公認会計士等の外部の専門家による東京都会計基準委員会の議論を得ながら、平成十八年度の制度導入以来、継続的に見直しを行っているところでございます。
平成二十九年度、直近の財務諸表では、九項目に当たる大規模な改正を行ったところでございます。具体的には、九項目のうち、今回特に影響が大きかった項目としましては、出捐金や賞与引当金、退職給与引当金などが挙げられます。
出捐金は、都が監理団体等に出捐した科目ですが、決算の附属書類である財産の調書に合わせまして新たに科目を設置いたしました。また、賞与引当金や退職給与引当金は、法定福利費の算入や勤続年数別の算定など、より精緻な計算方法に見直したところでございます。
このような見直しにより、都の財務諸表の正確性は一層向上したものと認識しております。
○藤井委員 正確、より精緻な財務諸表の作成に取り組んでおられるということで、その点の話は承りました。
これは最初の話に結局戻ってきちゃうんですけれども、つくるから生かすということが大切だと思っております。こういうチラシに書いてあるぐらい、最初に書いてあるぐらいですから、やっぱり、幾ら精緻な財務諸表をつくったとしても、それが生かされなければ余り意味がないというふうに率直に感じるわけであります。
私、ほかの自治体の事例を調べてみたんですけれども、一番熱心にというか、すごい取り組みしているなと思いましたのが、実は東京都の町田市でございまして、この町田市は、町田市の規模感にもかかわらず、二百三十三の事業に関しての事業別コスト計算というのを行っておりまして、例えば、放置自転車に関しての撤去費用を計算したりとか、市営住宅、一戸当たりに幾らの税金が使われているのか。ちなみに市営住宅については、一戸当たり五十四万円の税金が使われているということが分析をされていて、そういうことを踏まえて未収金対策をこれから頑張っていこうみたいな、そういったことが書かれていて、業績評価だとか事業評価だとか、あるいは部門長の評価ということまで含めて、財務諸表を活用されているということで、とてもすばらしい取り組みだなと思っております。
先ほどお話もありましたが、石原知事が始められたように、先駆者でもありますので、ぜひ東京都において、財務諸表を作成するだけではなくて、しっかり生かしていっていただきたいと私は思います。
例えばですけれども、東京都のシルバーパス事業に幾らの税金が使われていて、どういう効果を生み出しているのかだとか、先ほど市営アパートの話をしましたが、都営アパートだとか、都営地下鉄とか、都営バスにかかる経費というものを、企業会計のコスト計算をしたり、あるいはバランスシートをつくったりということで、しっかり示していくということをやっていくと。まさに活用して何ぼだというふうに思うんですけれども、ちょっとその点の取り組みが弱いのかなということを、こういった決算書等を読んでいて率直に感じております。
これは、最終的にはそれぞれの局の取り組みというお話になるのかもしれませんけれども、会計管理局がせっかくこうやってコストをかけて、二十億円以上のお金をかけてつくられたものであるとも伺っておりますので、ぜひこれはどんどん活用する、そういう旗振り役になっていただきたいなと思うわけでございますけれども、事業別コスト計算を広めていくということも含めての今後の活用について、都の会計管理局の見解を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
○斎田会計制度担当部長 町田市の事例は既に承知しているところでございますが、基本的に庁内における活用や分析は、各局の判断に基づいて行われているものでございます。過去にも事業評価等の制度の中で実績を出しております。
当局では、庁内で各局における活用を促進すべく、そのツールとなる新公会計制度の推進に向けて取り組んでいるところでございます。
○藤井委員 今お話を伺って、そうですねといって終わろうかなと思ったんですが、ちょっと、各局の判断だというふうに答弁をされてしまいますと、このチラシに書いてあるとおり、生かすということに問題意識を持たれていて、実際、システムをつくったりだとか、あるいは作成をされているというのは、やっぱり会計管理局なわけですから、ぜひどんどん局に対して活用していくと。
先ほど事例を出した町田市でも、財政課が相当イニシアチブをとってやっているという話でもありますので、やっぱり局任せにしてしまいますと、民間の会計ということですので、なじみもないとか、そういった話にもなりがちだと思いますので、ぜひその点、積極的に働きかけをしていただきたいと思いますし、これだけのお金をかけてやっている以上、ぜひ活用するということを目指して取り組んでいただきたいことを改めて申し上げまして、私からの質疑を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○馬場委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○馬場委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で会計管理局関係を終わります。
○馬場委員長 これより議会局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十九年度東京都一般会計決算中、議会局所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○馬場委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○馬場委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で議会局関係を終わります。
○馬場委員長 これより財務局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十九年度東京都一般会計決算中、財務局所管分、平成二十九年度東京都用地会計決算及び平成二十九年度東京都公債費会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言を願います。
○おじま委員 都有地を活用しました待機児童対策について伺いたいと思います。
知事選のときの目玉公約でもあった待機児童対策であります。知事の就任後、すぐに打ち出された待機児童解消に向けた緊急対策というものが発表されました。保育所等の整備促進、人材の確保・定着の支援、そして利用者支援の充実という三本柱であったと思います。結果、都内の待機児童数が、本年四月に発表された数字で三千人以上の減ということでありました。
この一環として、保育所整備においては、都が保有する土地を最大限活用していくべきということで、都有地活用推進本部というものが立ち上げられたということであります。これは、副知事をトップとして、まずは全庁的に都有地の洗い出しを行って、それを区市町村に情報提供してきたということであります。
保育所等の整備に当たっては、まさに用地の確保、土地がないということで、区市町村がこれまで困ってきたわけでありまして、しかし、都有地においても国有地においても、かつては余り積極的に示してくるということがなかったように思えております。その点、こういう土地がありますよということを都側からサジェストする、リストを出していくということも、これは画期的なことであったのではないかと思います。
もちろん、これだけで待機児童が解消できる、解消できたということではないんですけれども、保育所等の整備促進という点には十分に寄与するポテンシャルがあるのではないかということで、私からも、昨年の事務事業質疑においても、この都有地活用推進本部の取り組みについて聞いてきたところであります。
今回は、決算の場でもあるということですから、まずは、都有地活用推進本部の平成二十九年度のまとめ、スキームとしては、都有地を洗い出すことから始めまして、それを区市町村に情報提供して、このマッチングがうまくいけば保育所整備に至るということでありますけれども、この二十九年度の都有地の洗い出し、そして区市町村への情報提供、成果としての保育所の整備、それぞれの状況と実績をお聞かせいただきたいと思います。
○山根財産運用部長 平成二十九年度につきましては、平成二十八年度に引き続き、公営企業を含む各局等が所管する全ての都有地を対象に洗い出しを進め、年度末までに、庁内十二の局等から新たに洗い出した二百五十四件の都有地を、区市町村に対し四回にわたって情報提供いたしました。
その結果、平成二十九年度中には、二十八年九月の本部発足以来初めて、区市町村において保育事業者の公募につながった都有地が六件あり、そのうち一件については、本年の四月に保育所を開設するに至っております。
○おじま委員 昨年の事務事業の際にも、この都有地活用推進本部が立ち上がる前の状況を振り返ったことがありました。それまでも都有地活用の取り組みそのものはやってきていて、保育所も対象にして、公募により貸し付けをするということでありましたけれども、これが平成十五年度から二十七年度までの十三年間で計十一件ありました。
これに対して、ただいまの答弁によりますと、都有地活用推進本部が立ち上がった後に公募につながった都有地が既に六件ということであります。本部の発足が平成二十八年の九月なので、二十九年度末までに約一年半で六件の実績ということになります。過去の十三年で、単純に申し上げますと十一件だったところを、これが一年半で六件の実績を出しているということは、率直に評価をされるべきだと思います。
また、これも昨年私から触れたところでありますけれども、都有地の貸し付けのスキームとして、新たに転貸制度というものを導入されていたと思います。これは、まずは区市町村に貸して、それを区市町村が事業者に対して貸すという制度でありました。これも緊急対策において組み込まれたものであります。
改めて、この制度の狙いを共有も含めて伺いたいと思います。
○山根財産運用部長 今回の緊急対策におきましては、都有地活用の取り組みの一つとして、区市町村の適切な関与を条件に、保育事業者への転貸を前提とした区市町村への都有地の貸し付けも可能といたしました。
これは、保育事業者の公募などに当たりまして、より積極的に関与したいという一部区市町村の声に応えつつ、都有地を活用した保育所等の整備を一層推進していくという点において、区市町村の主体的な取り組みや迅速な整備などの効果が期待できることから、導入した制度でございます。
○おじま委員 この土地土地の保育ニーズというのをリアルに把握している区市町村にまずは貸すという点で、これまではじか貸しと呼ばれましたけれども、これより効率的である一方で、区市町村との連携がますます必要になってくるという、重要であるという制度であることから、区市町村側の活用意向等についても昨年伺ったところであります。
緊急対策から二年を経ましたけれども、この転貸制度の活用状況としてはどうなのか、導入による成果はどうなのか、これも伺いたいと思います。
○山根財産運用部長 平成二十八年九月の都有地活用推進本部発足後、二十九年度末までに保育事業者の公募につながった六件の都有地については、全て区市町村から保育事業者への転貸を前提としているものでございまして、そのうち一件は、既に本年四月に保育所の開設まで至ったところでございます。
公募ベースでの都有地の貸し付けについて、都有地活用推進本部の発足以前と以後の実績を比較いたしますと、本部発足後の実績のベースは上がっておりまして、転貸制度の導入が都有地における区市町村の迅速な保育所等の整備という、制度導入当初に期待した効果を上げているものと認識しております。
○おじま委員 制度導入当初に期待した効果を上げているということであります。
一方で、東京都全体ではまだ五千人余りの待機児童がおるわけでございまして、これは今後も都有地活用推進本部におかれましても、着実な取り組みを進めていただきたいと思います。
今答弁をいただいたような転貸制度の活用であったり、都有地の洗い出しであったり、区市町村への情報提供、これら各種の取り組みをクロスで進めていくということが、この都有地活用推進本部の使命であると思います。
これまでの実績については確認をさせていただきましたけれども、今後の見通しについてもお伺いしたいと思います。
○山根財産運用部長 今年度に入りまして、新たに二件の都有地が洗い出され、昨年度末までに情報提供した都有地と合わせまして、六月一日と九月十四日の二回にわたって、区市町村に対する情報提供を行いました。
また、これまでに情報提供を行った都有地のうち、区市町村からの転貸を前提に新たに三件が保育事業者の公募につながっておりまして、昨年度までに公募につながった分と合わせますと、平成三十二年四月までに八件の都有地で保育所等が開設される予定となっております。
今後とも引き続き、都有地の洗い出しやきめ細かな情報提供などを行っていくとともに、転貸も有効に活用することで、区市町村の主体的な取り組みを支援し、都有地を活用した保育所等の速やかな整備につなげてまいります。
○おじま委員 今ご答弁がありましたとおり、さらに八件の開設も予定をされているということでありました。
都有地活用推進本部としては、冒頭で触れたように、待機児童解消に向けた緊急対策というものを踏まえているということですから、原則として保育所整備目的を前提としているようでございますけれども、今後の都有地活用のあり方の全体論としては、例えば高齢者施設等の福祉目的など、多方面のニーズにもわたっていくことが考えられると思っております。
今回の都有地活用推進本部の取り組みをモデルケースとしながら、都有地の活用のあり方がより今後進化していくことも期待をしまして、私からの質問を終わりたいと思います。
以上です。
○大場委員 私からは、宝くじの収入について伺います。
平成二十九年度の一般会計決算の歳入総額は六兆九千六百四十一億円で、七兆円近くにも及ぶ都財政の比較の物差しには、国内の他団体よりも国や外国の財政規模が持ち出されることが多く、都財政の巨大性については改めて申し添えるまでもありません。
一方、歳入の大部分を占める都税収入は、今回の決算で六年連続の増収となり、極めて順調に推移しているものの、今後の見通しといえば、いつ何どき景気の変調により、また国の税制改正などにより、大きな減収局面を迎える場面が生じるのか予断を許さない状況にあります。
こうした中で、地方交付税の不交付団体である都にとって、税収以外の財源確保は重要なテーマであり、宝くじ収入も貴重な財源の一つであります。
しかしながら、このたびの決算では、予算額の六百三十一億円に対し、決算額は四百三十一億円と七割にも満たず、こちらは一見すると、順調とはいいがたいようにも思います。
そこで、平成二十九年度決算の宝くじ収入について、予算の見通しを下回った主な要因も含めて、具体的な状況をお伺いいたします。
○山田主計部長 宝くじは、大きく分けまして全国自治宝くじとブロック宝くじがございます。
全国自治宝くじは、四十七の都道府県と二十の指定都市の六十七団体が共同で発売しておりまして、ジャンボ宝くじや数字選択式宝くじなどがこれに該当するところでございます。
ブロックくじは、全国を四つの地域に区分いたしまして、地域ごとに発売しているもので、都は単独で東京都宝くじを発売しております。
昨年度の宝くじ収入が減少となった要因でございますけれども、秋のジャンボ宝くじ発売時期に台風が直撃いたしまして、購入者の出足が低調となったこと。また、主にジャンボ宝くじにおけますネーミング変更が購入者に浸透し切れなかったことなどによりまして、ジャンボ宝くじやブロック宝くじが大きく減少しているものでございます。
結果といたしまして、都においても、ジャンボ宝くじの収入額は約百二十八億円の減、東京都宝くじの収入額も約二十六億円の減となったところでございます。
○大場委員 平成二十九年度決算における宝くじ収入の詳細な状況は、今の答弁により確認ができました。
一方で、こうした売り上げや収入の低迷が一時的なものであるのか、長期的なものなのかによって、打つべき打開策や改善策も変わるものであります。
聞くところによりますと、宝くじは、昭和二十年には発売が開始され、年の瀬には毎年のように、年末ジャンボ宝くじを買い求める行列がニュースで報じられるなど、都民、国民の娯楽としてすっかり定着をしてきましたが、社会経済情勢や娯楽の多様化など、この間、宝くじを取り巻く環境も大きく変化してきたであろうことは想像にかたくありません。
そこで、宝くじの売り上げや収入など、長期的なトレンドや傾向、その背景などについて、具体的に伺います。
○山田主計部長 宝くじの売り上げは、全国ベースで、平成十七年度に過去最大の一兆一千四十七億円を記録しております。その後、一時的には、数字選択式宝くじ、ロト7の導入などによりまして、売り上げが増加したこともございますけれども、近年は徐々に減少いたしまして、平成二十九年度の発売実績は七千八百六十六億円となっております。
同様に、都の宝くじ収入は、平成十八年度の約七百二十三億円をピークに減少に転じまして、平成二十九年度は約四百三十一億円となっております。
その背景といたしましては、委員ご指摘の娯楽の多様化に加えまして、購入者個々の経済事情もあるものと考えております。具体的には、売り上げピーク時の主要購買層でありました団塊の世代の高齢化や年金世代への移行によりまして、購買力が低下したことが一因と考えております。
○大場委員 宝くじの売り上げが、構造的要因もあり、長期的に見ても減少傾向にあることを確認いたしました。
宝くじに関する都民の注目、関心といえば、一等前後賞合わせて十億円など、とかく当せん金にばかり目が向けられがちであります。
しかしながら同時に、先ほど触れたとおり、都にとって貴重な財源の一つであります。都の貴重な財源が減少傾向にあることは頭が痛い話でありますが、その前に、まずは当せん金以外に何に使われているのか、何の財源となっているのかを明らかにすることも必要であります。
宝くじの広告やCMなどでは、宝くじの収益金は公共事業や社会貢献事業の貴重な財源としても活用していますと見聞きをしておりますけれども、実際のところ、何に使われているのかイメージが湧きにくいのが正直なところであります。
そこで、都は、平成二十九年度決算の宝くじ収入を何に使っているのか、分野や事業など具体的に伺います。
○山田主計部長 平成二十九年度に宝くじ収入が活用された分野や事業は、待機児童解消区市町村支援事業を初めとする少子高齢施策分野に約三百十億円、また、中小河川、公園整備事業に約四十二億円、そのほか都立学校校舎改築等事業に約十二億円を活用しているところでございます。
○大場委員 少子高齢施策や河川、公園の整備を初め、実に多岐にわたる幅広い分野の施策の貴重な財源として活用されていることが確認できました。
であればこそ、このような都民生活にかかわる重要な施策をもっと着実に進めていくためにも、宝くじの売り上げや収入アップにつながる効果的な取り組みや、販売促進のプロモーションなどが急務であることは、財務局の皆様も十分理解をされているはずであります。
先ほど申し添えた、恐らく最も売り上げが大きいであろう年末ジャンボ宝くじも、来月には発売されることであります。
そこで、宝くじの売り上げアップに向けて、今後どのように創意工夫を凝らしながら取り組みを進めていくのか、三十年度の取り組み内容も含めて具体的に伺います。
○山田主計部長 宝くじの売り上げ向上に向けては、商品の魅力向上と販売チャンネル強化を中心に進めております。
まず、購入者の商品選択の幅を広げるために、今年度より、宝くじのエントラス商品でありますスクラッチくじにつきましては、賞金条件の異なる商品を三種類同時に発売する取り組みを開始いたしました。
また、ジャンボ宝くじにつきましては、十万円前後の中間賞金帯の当せん本数を増加させまして、購入者に当たる実感を感じてもらう取り組みを行っているところでございます。
さらに、販売チャンネルの強化につきましては、宝くじ公式サイトを通じたインターネット販売の拡充に取り組むとともに、販売プロモーションについても、SNSによる抽せん会情報の発信などを通じまして、購買層の拡大に取り組んでいるところでございます。
引き続きまして、全国の発売団体の協力を得ながら、売り上げ向上に努めてまいりたいと思っております。
○大場委員 宝くじの収入アップを図ることは、一朝一夕の取り組みではなかなか難しいのであるからこそ、宝くじの販売努力は短期的な取り組みだけでなく、同時に中長期も見据えた取り組みが求められます。
宝くじの売り上げの低迷や減少は、都を初めとした自治体の財政運営にも大きな影響を与えかねないものであり、ぜひとも売り上げ向上に向けて、今後ともあらゆる手だてで創意工夫を講じていただきたいことを要望して、質問を終わります。
○古城委員 私からは、平成二十九年度東京都一般会計決算のうち、財務局所管分に関連して、都庁舎改修と債権管理を中心に質問をさせていただきます。当初予定をしておりました順番を入れかえて伺ってまいりたいというふうに思います。
まず冒頭、債権管理に関して質問をいたします。
都の未収債権について、会計管理局から示されております都の貸借対照表上では、収入未済として計上されておりますけれども、平成二十九年度末は六百九十三億円であり、平成二十八年度と比べますと九十五億円、率にして一二%減少している、このように貸借対照表に示されております。
一方で、先月ですけれども発表されました東京都債権管理条例に基づく私債権の放棄についてによりますと、平成二十九年度に放棄した都の私債権は四百六十八件で、約二億四千六百万円とのことであります。このうち、福祉保健局と病院経営本部関係については、第三回定例会の厚生委員会において私も報告を受けまして、特に病院経営本部分について質疑を行わせていただいたところであります。
今、我が国においては、観光立国ということで施策が着実に進んでおります。既に八月末までの推計で、今年度の訪日外国人は二千万人を突破している、こういうことも示されている中ですが、一方で、訪日外国人が日本滞在中に、けがや病気のため病院で受診するケースも同様に増加傾向にある。このことに伴って、保険に加入をしていない無保険の外国人旅行者の医療費未払いという問題も顕在化しているところであります。
厚生労働省が一昨年に実施をし、そして、その結果を昨年公表した医療機関における外国人旅行者及び在留外国人受入れ体制等の実態調査によりますと、さらに一年前にさかのぼりますけれども、平成二十七年の一年間に外国人患者の医療費が未収となったことがあるかについて尋ねたところ、外国人患者を受け入れたことのある千三百七十八の医療機関のうち、四百八十六、実に三五・三%もの医療機関が外国人患者の医療費の未収を経験しているとのことであります。都立病院においても同様の傾向が見てとれまして、放棄した私債権のうち、最も高額な事例は外国人患者で、その債権額は約二百三十七万円でありました。
病院経営本部との質疑では、誰もが利用しやすい環境づくり、そして経営力の強化、この二つの視点から、未収金の縮減に当たっては、発生した未収金を確実に回収していくこと、また、そもそもの未収金発生の未然防止に取り組むことが重要であると訴えましたけれども、都が有する債権は、先ほど申し上げました、先月公表された一覧においても、その内容、放棄された内容、さらには債権の種別、そして金額の多寡や債務者の状況など多種多様であることが読み取れます。これらの対応は、条例上に規定されているとおり、実際に債権を管理する各事業局が行うことが基本であろうかと思います。
したがいまして、若干前置きが長くなりましたけれども、きょうは財務局への質疑でございますので、条例の施行規則が定める債権管理の適正を期する視点から、順次伺わせていただきます。
私は、発生した債権は、都民サービス、都民の暮らしを守る施策を着実に行う上で重要な財産であり、歳入として確保することとともに、これを適切に管理していかなければ、都の財務状況を正確に把握することはできないと考えております。また先ほど、外国人旅行者の病院にかかる患者の増加、このような社会状況の変化からも、債権管理の重要性はますます高まっております。
他方、適切に債権管理を行っていたとしても回収できない債権が発生をし、その結果、放棄せざるを得ない場合もあろうかと思います。
そこで、都の債権管理の具体的な取り組みと、都における債権放棄の考え方について伺います。
○山田主計部長 都は、平成十八年度に全国に先駆けまして導入した新公会計制度によりまして、未収債権の実態把握が可能となったことなどから、平成二十年度に東京都債権管理条例を制定いたしまして、債権管理の取り組みを強化したところでございます。
具体的には、債権を所管する各局に債権管理者を設置いたしまして、局を挙げた取り組みの推進や連絡調整を行うとともに、部署をまたがった徴収ノウハウの共有や連携を図るため、全庁的な会議の設置や、標準的な債権管理マニュアルの作成を行うなど、債権管理体制を整備、強化し、回収に努めているところでございます。
また、徴収努力を尽くしてもなお実質的に回収が不能となっている債権につきましては、都の資産規模の正確な把握や債権管理コストの削減の観点から、適切に欠損処理を進めていくことも重要であると考えております。
債権管理条例では、消滅時効に係る時間を経過し、かつ債務者が時効を援用すると見込まれる場合にのみ債権を放棄できるものと規定しており、単に時効を迎えたかどうかだけでなく、適切に徴収手続を行ったか、真に回収の見込みがないのかなどを十分に検証した上で、債権放棄を実施しているところでございます。
○古城委員 ありがとうございます。先ほどの会計管理局との質疑の中でも、我が党の上野委員の質問に対しても明らかになった点でございますが、新公会計制度、これは大変大きな意義を持っているかと思います。今の主計部長のご答弁でも、その点、財政の見える化が図られていく中で、未収債権の実態把握が可能となってきていると、このようなことがいえると思います。
そしてその上で、できる限り徴収の努力をした上でもなおどうしても回収の見込みが立たないものに限って、債権放棄を行っているとのことでありますので、いたずらに放棄をするものではなくて、かつ、そのように対応していない、いたずらに放棄をしていないということを確認させていただきました。
冒頭にも申し上げた趣旨ですが、債権は、都民サービスを提供していく上での重要な財産であることを踏まえて、適切に欠損処理をしていく必要がございます。
平成二十年度に東京都債権管理条例が制定をされまして十年たつわけでございますが、これまでの取り組みの成果がどのようにあらわれているのか、都の債権管理の状況について確認をさせていただきたいと思います。
平成二十年度以降、貸借対照表上の数字である未収債権の金額と、各年度における私債権放棄の件数がどのように推移をしているのか伺います。
○山田主計部長 平成二十年度に条例を制定いたしまして、債権管理体制の整備、強化を図ったことなどによりまして、未収債権の金額につきましては、平成二十年度の一千六百七十四億円から二十九年度の六百九十三億円へと、右肩下がりで推移をしているところでございます。
また、各年度におけます私債権放棄の件数については、条例制定により、既に要件を満たしていた過去分の債権の調査、整理を進めたことから、平成二十七年度に一千三百二十九件とピークに達しましたが、二十八年度以降は減少に転じ、二十八年度は九百六十件、二十九年度は四百六十八件と大きく減少しているところでございます。
○古城委員 ありがとうございます。確認ですけれども、ここ十年間で未収債権の金額は右肩下がりで推移をしている、そして、私債権放棄の件数も近年は減少傾向にあるということであって、条例を制定したことによりまして債権管理体制が強化された、このことで、これまで取り組んできたことが確かに成果として、今ご答弁いただいた数字にもあらわれているものと評価をさせていただきます。
一方で、九月にお示しいただきました各局の私債権放棄に関する金額でございますが、平成二十八年度は二億二千八百九十二万円であったのに対して、この私債権の放棄の金額としては、平成二十九年度は二億四千六百三十六万円へと増加をしております。
平成二十八年度から平成二十九年度にかけて、先ほどのご答弁で確認させていただいたとおり、件数は減少している一方で、金額が増加している背景、要因について伺います。
○山田主計部長 平成二十九年度に放棄した私債権の件数及び金額は、前年度に比べまして、件数が四百九十二件減少した一方で、金額は約一千七百万円の増加となっております。
放棄件数の主な減少要因といたしましては、病院経営本部所管の都立病院診療料における債権の整理が進み、平成二十八年度の八百六十九件から二十九年度の三百八十二件に減少したことが挙げられます。
一方、放棄金額の主な増加要因につきましては、産業労働局所管の中小企業設備近代化資金貸付金について、多額の債権放棄を行ったことが挙げられます。この中小企業設備近代化資金貸付金は、貸付原資の二分の一が国庫支出金であり、条例に基づく債権放棄を行う場合の取り扱いにつきまして、都の要望を受け、平成二十七年度に国庫支出金を償還の対象外とするとの国の見解が示されたため、二十八年度以降、既に要件を満たしている案件につきまして、順次まとめて放棄を実施しており、そのことが放棄金額の増加につながったものであります。
○古城委員 ありがとうございます。
厚生委員会の質疑の中で、病院経営本部からは、未収金を回収するために、全病院へ徹底された回収業務マニュアルの業務手順の見直し、専任職員の本部及び各病院への配置、弁護士への納付交渉の委任など、さまざまな取り組みを行っている旨の答弁がありましたが、こうした取り組みによって未収金回収及び不納欠損処理が進み、私債権放棄の手続の進展につながっていると理解をさせていただいております。
また、私債権放棄の金額の増加についても、今ご答弁いただいたところですが、国庫支出金を償還の対象外とするとの国の見解が示されたことから、要件を満たしている案件について放棄を実施するものであるとのことでございますので、こちらについても適切に対応されているものと考えます。
しかしながら、冒頭以来申し上げている数字ですけれども、平成二十九年度においても、いまだ約二億四千六百万円もの多額の債権を放棄せざるを得ない状況にあります。いいかえれば、さまざまな都の施策の展開など、本来であれば都民の皆様のために活用できたであろう財源を失うことにほかなりません。
債権を放棄する際には、都民の皆様への説明責任を果たすことが重要であると考えますが、見解を伺います。
○山田主計部長 債権放棄は、本来であれば都民のために活用すべき貴重な財源を結果的に失わせるものであることから、放棄に当たりましては慎重な判断が求められます。このため、都民や議会に的確に情報提供を行い、行政としての説明責任や手続の透明性の確保を図るとともに、債務者間の公平性を損なうことがないように努めております。
具体的には、債権放棄を行った際には、条例に基づきまして議会へ報告するとともに、新たな公会計制度により作成している財務諸表の中で、債権放棄を含め回収できなかった債権額を反映した不納欠損引当金の繰り入れ状況を示すことなどによりまして、都民に対する情報提供を行っているところでございます。
○古城委員 ありがとうございます。議会への報告、さらには都民の皆様への情報提供があればこそ、今、このような議論も行うことができるのではないかと思います。引き続き、議会への報告や財務諸表の中での明示など行政としての説明責任の徹底、そして手続の透明性の確保を図っていただきたいと求めるものであります。
そして、最大限の徴収努力とともに各局各事業の目的の達成という、この両方の視点を持ちながら、都民の皆様にとっての大変貴重な財産である債権管理を行っていくことで、将来にわたって安定的に施策を展開できる財政対応力が培われ、そして、それを堅持していくことにつながると考えます。
引き続き、社会状況の変化にしっかりと対応しながら、真に都民の皆様の利益にかなう形で、財政の健全性の確保に努めていただきたいと要望いたしまして、次の質問に移ります。
続きまして、都庁舎管理について質問をいたします。
皆様ご承知のとおり、東京都庁舎は、平成三年の完成以来、既に二十七年が経過をし、現在、大規模な改修工事が行われているところであります。この大規模改修は、都庁舎改修プロジェクトと位置づけられており、都庁舎の設備更新等に関する方針が策定された平成二十一年二月からスタートし、以来十年近く経過をしております。平成二十三年三月には東日本大震災が発生、発災をしておりますので、途中、スケジュールの変更もあったのではないかと思います。
まず、都庁舎改修プロジェクトについて、平成二十九年度の取り組みと進捗状況について伺います。
○後藤庁舎運営担当部長 都庁舎改修プロジェクトでございますが、設備機器の本格的な更新時期を迎えるに当たりまして、庁舎機能の維持や安全確保を図るため、平成二十一年度から計画、設計を行いまして、平成二十三年度から改修工事に取り組んでいるものでございます。
平成二十九年度の取り組みでございますが、第一本庁舎の十四フロア、第二本庁舎の十フロアで空調、照明、配水管等の設備更新を中心に改修工事を実施いたしました。工事は当初の計画どおり進捗しておりまして、平成二十九年度末で、第一本庁舎の五三%、第二本庁舎の六四%が完成しております。
○古城委員 ありがとうございます。今、進捗の状況について、第一本庁舎が五三%、第二本庁舎が六四%と、平成二十九年度末の進捗の状況をお示しいただきましたけれども、この都庁舎の改修に関連をして、先日来、テレビ、また新聞等で報道されていることの一つに、油圧機器メーカーによる免震、制振装置の検査データ改ざん問題がございます。
該当する型式のオイルダンパーについては、都庁舎を初めとして都有施設、また現在建設中、またはこれから建設をされる都の施設についても使用される、ないし使用の予定ということも聞いておりますし、また、具体的な施設名についても報道がなされているところでありますけれども、やはりこの報道を受けて、多くの都民の皆様も心配をされていらっしゃると思いますし、また、都の職員の皆様方にとっても、仕事をされている現場でございますので、大変注視をされている状況なのではないかと思います。
そこで、具体的な質問に移っていくに当たりまして、この都庁舎全体は、平成三年四月に開庁をしておるわけですけれども、設計、建設時点の耐震対策及び先ほど来申し上げております都庁舎改修プロジェクトにおけるオイルダンパーを新設するまでの経緯、これらについて確認をさせていただきます。
○後藤庁舎運営担当部長 都庁舎は、建築当時、堅牢なスーパーストラクチャー構造を採用いたしまして、建築基準法に基づく超高層建築物の大臣認定を昭和六十二年に取得し、建設されたものでございます。
平成二十一年度から、都庁舎の設備更新工事につきまして設計を行う中で、あわせまして長周期地震動対策といたしまして、制振装置の詳細な設計を行いまして、平成二十五年に、超高層建築物としての構造性能について大臣認定を改めて取得いたしました。その後、第一本庁舎、第二本庁舎について、平成二十六年度から工事に着手したものでございます。
今回の制振ダンパーの不適合の疑いにつきましては、十月十六日の国土交通省の発表を受けまして、都では、都庁舎においても当該メーカーの製品が使用されていることを発表したものでございます。
○古城委員 ありがとうございます。
ちょっと確認をさせていただきたいんですけれども、報道では、この油圧機器メーカーによる免震と制振、それぞれの装置について、検査データの改ざんがあるというふうにいわれておるわけですけれども、今のご答弁いただいた中ですと、都庁舎においては制振のオイルダンパーを使っているということでありますけれども、免震のダンパー、これについては使用されていないということでよろしいでしょうか。
○後藤庁舎運営担当部長 都庁舎におきましては、使用されておりますのは制振のみでございまして、免震はございません。
○古城委員 ありがとうございます。
十六日の国土交通省の本件にかかわる発表によりますと、当該の会社から、大臣認定等について適合しないものとなっているとの報告を受けたとございます。
ここにいう大臣認定というのは、先ほど都庁舎の建設、また改修に当たってご説明いただいた大臣認定、これは建築基準法上の建設するときの設計時の大臣認定であると、私、理解をさせていただいておるんですが、報道等を見てまいりますと、免震については大臣認定が必要なものがあると、一方で制振ダンパーについては大臣認定がないと、こういった区別がされているところでありますけれども、都庁舎において、改修プログラムにおいて導入された耐振ダンパーについてなんですが、国土交通省が会社から報告を受けた内容として、当該建築物の構造設計--失礼しました、免震四棟、制震二棟、さらには、もう一件の一棟に関しての、この出荷している会社からの報告を受けているところでありますが、さまざま報道がされている中で、まだ事実関係の把握というところは大変困難な状況もあろうかと思いますけれども、現時点で都としてどのように現状を認識しているのか、確認をさせていただきます。
○後藤庁舎運営担当部長 今回、国が不適合として発表いたしました製品と同型のオイルダンパーが、第一本庁舎に百三十本、第二本庁舎に七十四本設置済みでございます。
現在、工事受注者に対しまして、使用されている製品が不適合かどうか調査するよう指示しているところでございます。
都庁舎は、現行の建築基準法で定められております地震動に対しまして、十分な耐震性を有しておりまして、今回問題となっておりますオイルダンパーは、長周期地震が発生した場合、建物の変形を小さくし、大きな揺れを早くおさめることで、業務の継続を図るために設置しているものでございます。
なお、国土交通省の公表資料によりますと、不適合製品が設置されている一部の建築物において、構造安全性を検証した結果、震度六強から七程度の地震に対しまして、倒壊するおそれはないとの見解が第三者機関から得られているというふうに聞いております。
○古城委員 今、最後、なおということで、国交省の公表資料によるとということでご答弁いただきましたけれども、質問に当たって私が申し上げた資料と恐らく同一の国交省の発表であろうかと思うんですが、その国交省の資料によれば、震度六強から七程度の地震に対して倒壊するおそれはないとの見解の具体については示されていないと。私の手元にある資料では、報道発表についてはそのような記載なんですが、メーカーの報道発表によりますと、安全性の検証ということで、先ほど申し上げた四件プラス二件プラス一件の都合七件について、このオイルダンパーの本数であるとか用途、さらには実際の数値と基準値がどれぐらい離れているのか、乖離しているのか、こういう値について、第三者による安全性の検証、構造計算を行っているというふうに示されているんです。都庁に納入されているものは制振用ということですので、この会社による発表を見ますと、制振用のオイルダンパーについては二件なんですが、一つは、オイルダンパーの本数が二十八本で、最大乖離値がプラスの二〇・五%、もう一件については、これは用途が事務所で、オイルダンパーの本数が三十六本、そして最大乖離値がマイナス一七・九%というふうになっております。
この最大乖離値の捉え方なんですけれども、米印として、制振については、お客様の基準値、恐らくこれは契約に当たっての基準値ということだと思いますけれども、プラスマイナスの一〇%以内などというふうに記載がございます。したがって、安全性の検証において出てきている数字というのは、このプラスマイナス一〇%をそれぞれプラスの方向に超えている、また、マイナスの方向に超えているということなんですが、国交省の発表資料の別図1というところの制振オイルダンパーというものについて記載がありまして、その説明によりますと、基準値から乖離する、プラス側に乖離した場合は、ダンパーの動きはかたくなるということだそうです。マイナス側に乖離していくとやわらかくなるということだそうです。
この説明として、プラスになる、かたいという部分については、取りつけ部分が損傷するおそれという記載があります。一方でマイナス、やわらかい部分については、建物の揺れが大ということになろうと思います。
したがって、参考の資料だけ見ると、基準値を超えているということについても、特に制振についても、免震についても同様の記述がありますが、やはりいかにして安全性を担保していくのか、また、それを確認していくのかということが大変重要になろうかというふうに思います。
ご答弁の中で、国交省の公表資料によるとということで、当該会社が行った第三者立ち会いのもとによる検査結果を受けてということで、なおとしてご答弁いただきましたけれども、私としてはぜひとも、都が持つ技術力、これをしっかりと生かして、活用して、ダンパー、この安全性を確認していくということが必要であろうと思います。
しかも、きのうの夜からけさの報道にかけて、報道でありますけれども、実際にメーカーは取りかえるといっているけれども、取りかえるには二年かかると。しかも、その二年という数字は最短で二年ということであって、これは必ずしも二年とはいい切れないというところであると思います。また、都庁舎改修プロジェクトにおいて、都が進めてきた制振ダンパーの実際の設置については、都が公表している資料によれば、これは東日本大震災が起きたことによって追加実施をすることになった工事であって、まずこの制振装置の設置に必要な工程期間を二年延伸を見込んでいるということであって、完了は平成三十二年度になったわけでございます。
その工事の内容としては、執務室等の閉鎖、移転を必要とする空調、照明等の設備更新の機会を捉えて、長周期地震動対策の工事を同時実施するというふうにいわれております。そうしますと、メーカーが納入するまでの二年、さらには、実際に工事が行われる期間としても、計画段階でプラス二年、これから新たに計画を組み直すということも想定し得るだろうと思いますが、やはり受注者頼みやメーカー頼みということではなくて、先ほど来申し上げているとおり、都の技術力を生かして、しっかり安全性の確認をしていただきたいと思いますけれども、この点、見解を伺いたいと思います。
○小野建築保全部長 私から少しコメントさせていただきますが、今回、都政の中枢でございます都庁舎を初め、二〇二〇大会の会場となります東京アクアティクスセンター等、都有施設に使用していることがわかりまして、都としても極めて大きな問題と認識しております。また、建築に携わる者、技術職として、このような改ざんが行われたことに強い憤りを感じております。
現在、都では、都有施設の耐震化を推進しますとともに、長周期地震動に対しましても、建物の機能を十分確保し、また、業務継続を確実にする取り組みを進めておりますが、こうした中、今回の事案が生じたことは大変遺憾でございます。
都では、今回の事案が公表された後、財務局が中心となりまして、全庁挙げた取り組みを速やかに開始しております。先生からも今ご意見ありましたが、都有施設の耐震性、安全性をしっかり確保し、都民の皆様にも一刻も早く安心していただけるよう、都の技術の総力を挙げまして、万全を期して取り組んでまいりたいと思います。
具体的には、事業者頼みではなくて、都も、例えば工場に行って立ち会う、あるいは製品の性能を確認するなど、みずから進んで対応してまいりたいと思っております。
○古城委員 今、都の総力を挙げて取り組んでいくという小野部長の決意を伺いましたけれども、現時点のものについてどのように対応していくのか。アクアティクスセンターは建設中であり、また有明アリーナ、これから建設をされていくところでありますけれども、その点の見解、伺えますでしょうか。
○小野建築保全部長 都庁舎につきましては、既に多くの制振ダンパーがついているわけですので、これについての安全性というのは、事業者のデータが出せるかと思いますが、これについて信憑性が、本当に信じられるものか、信じられないものか、検証する必要がございますし、もし疑わしい面があれば、現時点でわかりませんけれども、施工業者と協議しまして、一旦、どこかサンプルを抜いて第三者機関で検査し直すと、そういった都みずから確認するような姿勢が必要でないかと考えております。
○古城委員 今、都みずから確認することが必要であるとご答弁をいただきました。ぜひとも速やかに適切にご対応をお願いしたいというふうに思います。
重ねてになりますが、メーカー側は報道発表に合わせて、当然のことといえば当然のことなんだろうと思いますけれども、当社の基本方針としては、不適合品を早急に交換することはもちろんとして、現在、書きかえの有無が不明な製品についても交換を前提として、引き続き調査を進めてまいります、このような方針を示しているわけです。
都として、今、都庁舎、第一庁舎、第二庁舎に設置をされていている免震ダンパーの扱い、今後どのように対応されるのかお聞かせいただけますか。
○後藤庁舎運営担当部長 今後、都といたしましては、工事受注者に対しまして、当該メーカーの不適合オイルダンパーの交換を求めてまいります。交換に当たりましては、国の指導に基づいて行われます第三者の立ち会いによる性能確認試験が実施されまして、品質が確保されたオイルダンパーを受け入れていくことで、当初の設計の性能を確実に確保いたします。
今後とも、都はオイルダンパーの品質を確認し、都庁舎の安全性、信頼性の確保に努めてまいります。
○古城委員 今、今後の方針についても後藤部長からお示しをいただきましたが、先ほど小野部長にご答弁いただいた内容は、現時点のもの、そしてこれから納入していくものについて、都の技術力、この総力を結集して調べていくということでありました。
今、後藤部長からご答弁いただいた内容、今後の取り組みについて、もし仮に、今納入されている同型のものが、やはりこれは不適切であるということがわかった場合に、品質が確保されたオイルダンパーを受け入れていくとありましたけれども、新たに受け入れられていくオイルダンパーであるとか、また、都庁舎、第一庁舎、第二庁舎それぞれの耐震の精度の確認、こういったものについても、同様に都の技術力をしっかりと結集して確認をしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
○後藤庁舎運営担当部長 都といたしましては、安全性の確認につきましては、都を挙げて確認しまして、信頼性の確保に努めてまいりたいと思っております。
○古城委員 後藤部長から今、改めてご答弁いただきましたけれども、先ほど技術職であられる小野部長から、現在のものについて、それから、これから納入されるもの、既に決まっているものですね、これについての決意を伺いましたが、後藤部長のご答弁を受けて、今後対策をしていかなければならないとなったときの都の技術力の結集についての決意を伺えますでしょうか。
○小野建築保全部長 これまでも建築関係は、姉歯の構造計算偽装事件を初め、旭化成のくいの問題とか、あるいは東洋ゴムの免震ゴムですか、そういった偽装がございました。
私たちも国交省と連携しまして、再発防止に繰り返し努めてまいりましたけれども、また再度このような事件が起きてしまいました。正直いいまして、誰を信じていいかわからない状況でございますので、都としましては、これだけの建築保全部、建築を初め構造の専門家もいますので、第三者機関もそうですけれども、相手を信じるのではなくて、みずからの目で、みずからの知見で確認するよう努めてまいりたいと思っております。
○古城委員 ありがとうございます。今ご答弁いただいたことについて、ぜひともしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。
続いて、都庁舎改修プロジェクトに関連して、来庁者等の利便性の向上の視点から伺ってまいりたいというふうに思います。
先ほど債権管理の点でも申し上げましたが、日本政府観光局の観光統計データによれば、ことしの訪日外国人数は、既に八月の時点の累計で二千万人を超えて、二千百三十万八千九百人という推計が出てございます。
そして、改修が進められている都庁舎についても、特に展望室は、東京の人気スポットとして、国内外を問わず多くの来館者が訪れているところであります。また、開館時間も夜の十一時まであいておりまして、私も都議会の議事堂から帰宅をするときに、よく写真を、特にライトアップされている第一本庁舎の写真を撮る外国人旅行者の方、また、夜行バスでそれぞれの各地域へ行くであろう日本人の方、多くの方を目にしているところであります。
そこでまず、都庁舎の展望室への入場者数について、ここ数年の推移を伺います。
○後藤庁舎運営担当部長 展望室の年間入場者数でございますが、外国人旅行者を中心に、ここ数年増加傾向にございまして、平成二十七年度に二十一年ぶりに二百万人台となりました。
ここ三年間の入場者数は、平成二十七年度が二百五万人、平成二十八年度、二十九年度がともに二百十万人でございます。
○古城委員 ありがとうございます。インバウンド、訪日外国人の方の増加に伴って、やはり展望室への来館者数がふえてきている、増加傾向にあるということがいえるかと思います。
都庁舎へ来庁される方のルート、さまざまなルートがあろうかと思いますが、その中の一つは、JR新宿駅の西口から、徒歩で四号街路を通って都庁舎に来られる方もいらっしゃるのではないかなと思うんですが、この新宿駅につきましては、JRを初め多くの事業者が乗り入れている駅になります。
これまでは、その方向、案内、標識のデザイン、いわゆるサインが、事業者ごとにばらばらであったということで、非常にわかりにくい、こういう指摘もあったところですけれども、東京都の都市整備局、さらには建設局も参画をして、そして新宿区や学識経験者の方とともに、新宿ターミナル協議会というものを立ち上げて、そのサインの統一化であるとか、また、車椅子の方がエレベーターがなかなかわかりにくい、こういう声を受けて、改善策を提案をしているところであります。今、通勤をされている方もごらんになっていらっしゃるかと思いますが、白地をベースにした、すっきりとしたイメージの案内サインが、西口、もちろん東口も当然ですけれども、新宿駅西口や新線新宿駅も含めて、今、展開をされているところになります。
そこで、多くの方が利用される新宿駅も、統一的なデザインができてきているわけですけれども、都庁舎、これはなかなか入りにくいという声も伺います。夜は一階からしか入れない、一方で、昼間は二階からも本庁舎に入ることができる。一方で、夜は二階からは入れない、こういう状況にありまして、迷っている方も多く見受けられる状況になっております。
したがって、今、第一庁舎については南側の展望室が閉鎖をされて、工事が始まっているところでありますけれども、都庁舎内といいますか、都庁の敷地内においても、ぜひともこの機会に、案内サインをさらにわかりやすいものにしていくべきと考えますけれども、見解を伺います。
○後藤庁舎運営担当部長 ご指摘のように、展望室への案内サインがわかりづらいという声がございまして、今年度、サイン設置工事を実施いたします。
具体的には、一階正面入り口への誘導に加えまして、二階正面入り口から一階の展望エレベーター乗り場へ円滑に誘導するためにサインを設置いたします。
また、日本語、英語、中国語、韓国語の四カ国語、五種の表記をするとともに、視認性を高める色使いや、夜間でもわかりやすくするために、内照式のサインを一部採用するなどの工夫を行ってまいります。
○古城委員 ありがとうございます。ぜひともわかりやすい、どなたにとってもわかりやすい案内サイン、迷うことなくスムーズに展望室へたどり着ける、そういう取り組みを進めていただきたいと思います。
重ねて、この展望室について関連して伺いますが、もちろん昼間も多くの方でにぎわっている展望室でありますが、やはり都内屈指の夜景のスポットとしても人気であります。
今回の改修に当たって、昼間も当然そうですけれども、特に夜景をきれいに楽しむ、そういう期待をされる方、たくさんいらっしゃると思いますが、新宿から望む東京一円の眺望を楽しむために、どのように工夫をしていくのか、この点伺います。
○後藤庁舎運営担当部長 南展望室の改修工事につきましては、平成三十年十月から平成三十一年三月までを予定しております。
夜間の窓ガラスへの室内の映り込みを抑えるために、内装の色調を落ちつきのある色に変えまして、また、照明をダウンライトとすることで夜景を見やすくいたします。さらに、車椅子の方がより窓に近づきやすくするために、窓際カウンターの一部を撤去いたしまして、車椅子寄りつきスペースを増設いたします。さらに、撮影スポットといたしまして、窓の高さまで上れる展望デッキを二カ所設置する予定でございまして、これらで眺望を楽しむ工夫をする予定でございます。
○古城委員 ありがとうございます。
最後の質問にさせていただきますけれども、今開館されているのが、南側は工事中ですので、北側が開館をされているわけですが、つい先日、私の地元の新宿区民の方が北側の展望室にお越しになられた際に、お手洗いが、四十五階の展望フロアではなくて四十四階、一つ下の階に案内をされて、四十四階への動線は階段のみであったというご指摘をいただきました。
今後、車椅子の方も多くいらっしゃる。また、どなたでも安心して来ていただける都庁の展望室としていくために、どのようにバリアフリー対応していくのか。
また、もし仮に誰でもトイレを設置するということであれば、特に視覚障害者の方にとって、誰でもトイレは広過ぎて、どこに便座があるのかわからない、また、出口がどこにあるかわからない、こういったお声も伺うところであります。そういった配慮も含めてどのように対応していくのか伺います。
○後藤庁舎運営担当部長 バリアフリー対応といたしまして、誰でもトイレを増設いたしまして二カ所とするとともに、トイレ内には音声案内を設置いたしまして、視覚障害者の方にも使いやすいように配慮いたします。
また、一般トイレの個数をふやすとともに、ベビーチェアやベビーベッド等を設置いたしまして、子供連れの方が安心して使えるようにいたします。
また、障害を持つ方を含めまして、誰もが楽しめる展望室となるよう、今後も一層サービスの向上に努めてまいります。
○古城委員 ありがとうございます。ぜひとも、誰もが安心して、そして安全に都庁に来ることができる、また仕事をすることができる、そういう庁舎管理、また庁舎運営、庁舎保全に努めていただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わります。
○里吉委員 私からは一点だけ、待機児童解消に向けた緊急対策について伺いたいと思います。
我が党は、保育待機児解消のために都有地を活用してほしいということを議会でも繰り返し求めてまいりました。都有地活用推進本部を設置して、全庁横断的に取り組みが進んできたこと、そして、都有地を全庁的に洗い出すことで、今までなかなか保育園として活用できてこなかった公営企業の所有地にも保育園建設が進んできたことは、大変重要だと思います。
そこで改めて、昨年度、新たに区市町村へ情報提供を行った都有地は何カ所か、これ局ごとにぜひ示していただきたいと思います。
○山根財産運用部長 待機児童解消に向けた緊急対策に基づき設置された都有地活用推進本部が、昨年度新たに情報提供を行った都有地の件数は二十二件でありまして、本部発足時からの件数と合わせますと二百五十四件となっております。
新たに情報提供を行った二十二件を局別に見ますと、都市整備局六件、財務局五件、建設局三件、福祉保健局及び警視庁がそれぞれ二件、産業労働局、東京消防庁、交通局及び水道局の四局でそれぞれ一件でございます。
○里吉委員 私、世田谷区で活動しておりますが、大変待機児童が多いということで、世田谷区全体でも、この間、区有地を洗い出して、例えば小中学校の土地を活用して校庭の一部に保育園をつくるなど、さまざまな工夫をして保育園の設置を、整備を進めてきました。
この緊急対策が始まる前も、いろいろそれまでも都有地の活用、皆様にもご努力いただいて、例えば、交通局の土地に高齢者向けの住宅と保育施設をつくったりですとか、また、国有地も活用して保育園第一号ができたのも世田谷区でした。また、都立公園内への保育園整備なども進めております。
ただいまご答弁にありましたように、改めて全局横断的に、推進本部をつくって、その中で交通局、水道局など公営企業の用地も含めて洗い出しが進んでいることが重要だというふうに思っております。
今ご答弁ありましたように、昨年度までに二百五十四件あったということですけれども、これが事業者の公募に結びついた件数と保育所として開設された件数、実績、それぞれ何件なのか、改めて伺います。
○山根財産運用部長 平成二十九年度末までに区市町村に情報提供を行った二百五十四件の都有地のうち、保育事業者の公募に結びついた件数は六件でございます。
そのうち、保育所の開設にまで至った件数は、杉並区の水道局所管の用地に平成三十年四月に開設した一件でございまして、その後、今年度に入ってから、新たに保育事業者の公募に結びついた件数は三件でございます。
○里吉委員 少しずつではあっても、着実に確実に保育園整備に結びついているということだと思います。
今ご答弁にもありましたけれども、その一方で、全局横断的に二百五十四件もの都有地が、せっかく洗い出して出てきておりますけれども、なかなか活用まで結びついていない土地もあるというのが現状だというふうに思います。
ここからは要望というか、私の意見ですけれども、場所や土地の形状などが保育園として活用するのに合わないという場合も、もちろんあるんだと思うんですね。それ以外に、そこの都有地がせっかく提供されても、自治体が消極的という場合もあると聞いております。
東京都として、さらに積極的に都有地の活用を進めるためにできることというのは限られているとは思いますけれども、都有地貸付料の九割減額の対象を拡大するなど、さらなる思い切った対策も必要だと考えます。
また、洗い出しも積極的に引き続き取り組んでいただきたいと思います。実は世田谷区内に、下水道局の土地なんですけれども、ずっと、地元で見ていると、使われていないと思われる土地があったんですけれども、洗い出しでは出てきませんでした。今ちょうどここに、世田谷区が区の施設の建てかえのために借りるということで、数年間借りているんですね。局としては、その土地の活用について計画があるのかもしれないんですが、具体的な計画は出ていないんです。
いろいろそれぞれご事情があると思いますが、特に決まった計画がない、そういう土地がまだまだ眠っている可能性がございますので、ぜひそういう土地について、積極的にさらに洗い出しを進めていただきたいということを要望いたしまして、簡単ですが、私の質問を終わります。
○藤井委員 私からは、都の財政需要全般について、そして基金や都債残高等について、順次質問させていただきたいと思います。
東京も、これから超高齢化社会が始まるということでございまして、今後三十年間で東京の老齢人口も実に百十一万人ふえると、現状の一・四倍近くふえるといわれている中で、社会保障費をどうしていくのか。そして、高度経済成長期につくった道路だとか橋だとか、あるいは都営アパートといった、そういったインフラの更新、こちらも非常に重要な課題だと思っております。
社会保障関係費とインフラの更新経費に関連して、この二つの経費について、東京都として何か予測のようなことをされているというふうに伺っておりますけれども、その状況を簡単に伺いたいと思います。
○山田主計部長 社会保障関係費につきましては、高齢者人口の増加などによりまして、毎年、平均で約三百億円から四百億円のペースで増加し、今後二十五年間に増加する額の累計は約十・四兆円と推計しております。
この推計に当たりましては、高齢者分野や子供家庭分野など各分野の事業ごとの平成二十八年度決算額をもとに、人口構造の変動要因などを加味して試算をしたところでございます。
一方、老朽化が進む社会資本ストックの維持更新経費につきましては、平成二十八年度決算の水準と比較いたしまして、毎年、平均で約一千三百億円増加し、今後二十五年間で増加する額の累計は約三・二兆円と推計しているところでございます。
この推計に当たりましては、現在保有しております社会資本を法定耐用年数の到来時期に更新すると仮定いたしまして、取得価格に建設工事費のデフレーターや物価上昇率などを加味して試算をしたところでございます。
東京都の不安定な歳入構造という宿命的、構造的仕組みを踏まえれば、都財政にとって避けることのできないこうした中長期的な財政需要について、しっかり認識して対応していくことが重要であると考えております。
○藤井委員 ただいま、今後二十五年間の増加額は、社会保障関係費でいえば十・四兆円、そして社会資本ストックの維持更新経費としては三・二兆円ということで、この二経費に限定をいたしましても十三・六兆円という状況でございます。
一方、都の税収は五兆円と、最近五兆円余ということでございますので、単純計算をすれば、二年半分の税収に当たる部分を何らかの形で財源確保していかなければならないということで、率直にこれらの経費の支出の伸びは相当厳しいものだなということを感じるわけでもございます。
その上で、じゃあ、このふえ続けるであろう支出に対して、今後どうやってこの財源を確保していこうとされているのか、この点について、何か見通し等、方針等があれば、お伺いをしたいと思います。
○山田主計部長 ただいまお話をいたしましたとおり、社会資本整備に関する経費等々、今後、多額の費用が発生するということは事実でございます。
それに対しまして、我々といたしましては、毎年度の予算におきましては、事業評価ということを実施しておりまして、各事業の無駄を排除するということで、例えば、三十年度予算では八百七十億円の財源を確保しております。また、そのほか基金の活用、また都債の活用などによりまして、これらの経費に対応していきたいというふうに考えております。
○藤井委員 事業の見直しによって八百七十億円の財政効果を生み出したということでございますけれども、やはりこちらは、先ほど申し上げましたとおり十三・六兆円という、何らかの形で財源確保していかなければいけないという、そういうレベル感の話に対しまして、一千億円に、ご努力はされていると思いますけれども、そういったレベルの話であるということで、かなり厳しいのかなということを率直に感じるわけであります。
私が子供の時代、石原さんが知事をされていたころ、東京都では財政非常事態宣言みたいなものを出されて、相当厳しい時期もあったというふうにも伺っております。
これから質問なんですけれども、東京都の基金に対する考え方、そして都債残高に対する考え方、これまでこの二つの基金と都債残高というものがどういう推移を経てきたのか、そして今後どういうふうになっていくと予測をされているのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
○山田主計部長 まず、基金についてでございますけれども、年度間の財源調整機能を有します財政調整基金の残高は、バブル経済崩壊により都税収入が急激に落ち込む中、平成九年度末には十億円とほぼ枯渇をいたしましたけれども、その後、財政再建の取り組みを進めたことによりまして、二十九年度末には七千百六十五億円を確保しているところでございます。
また、防災まちづくり基金や福祉先進都市実現基金など、新しい東京の未来を切り開くための三つのシティー実現に向けた基金については、平成二十九年度末時点で合計一兆八千百十七億円を確保しているところでございます。
一方、都債残高につきましては、バブル経済崩壊後、税収の低迷が続く中、国の経済対策に呼応した公共投資などに対応するための財源といたしまして、都債を最大限活用してきたことから、その残高は急増し、ピークとなる十二年度には約七・七兆円まで膨らんだこともございます。
その後、財政再建の取り組みなどを通じまして歳出抑制に努めるとともに、計画的な活用を図ってきた結果、平成二十九年度決算時点の残高は、十二年度と比べまして約四割減の四・三兆円ということになってございます。
いかなる財政状況におきましても、必要な施策を財政面から下支えするために、引き続き基金や都債を戦略的かつ計画的に活用いたしまして、将来にわたる安定的な財政対応力を堅持していきたいと思っております。
○藤井委員 石原さんが知事をされていた、平成の一桁台の時代に比べましたら、相当この基金の額も上がっているし、一方で都債残高の額は減っているということで、非常に財政的にはよくなっているということは、ただいまのお話で承知をいたしました。
ただ、この点もかねてより指摘をされているところだとは思いますけれども、いわゆる財政の収入に占める割合として都税収入が大きいと。法人税収を、その中でも特に法人関連の税収、法人二税といわれるものが多くて、リーマンショックのときは一年だけで一兆円税収が落ちたと。過去にも、バブルの経済が崩壊をしたときも、おおむね過去三年間で、こちらも一兆円近く落ちたということでありまして、かつて平成一桁台の財政再建団体転落寸前のような非常に厳しい財政状況というものを、再びこれは到来をしないように、私は、この東京都の財政運営をしっかり健全な形で進めていっていただければなということを強く感じるわけであります。
そこで質問をさせていただきたいと思うんですけれども、歳出に関する予測、先ほど社会保障費の十・四兆円、そして社会資本ストックの更新経費三・二兆円ということで、この支出に関しての予測がありますと。
一方においては、税収を含めた歳入に関しましては、じゃあ今後どうなんだと、ふえ続ける支出に対して、財源を果たして十分確保できるのかどうかということについては、それはさまざま、税制改正等の影響もあるにしても、これは仮にあらあらだったとしても、東京都としての一定の見解というか、考え方、長期の財政計画というもの、これは持っておくべきなのかなということを率直に感じているわけでありますけれども、こういったものを今後つくっていくというご予定はおありなんでしょうか。
○山田主計部長 委員のご指摘のとおり、都財政については、非常に景気の変動を受けやすい法人二税が都税の中で大きな割合を占めているということもございます。また、地方交付税の不交付団体であることから不安定な歳入構造を有しておりまして、将来を見通すということはなかなか困難であるという特徴がございます。
委員ご指摘のとおり、将来の税収見通しというものをはっきりと推計することができればいいんですけれども、なかなかそれが難しい状況にあるというのが、都財政の特徴であろうかと思います。
そういったことから、先ほどもお話ししましたとおり、事業評価の取り組みによりまして無駄の排除を徹底する、また、安定的な施策展開を支える基金残高を確保する、また、将来世代の負担を考慮した都債残高の圧縮に努める、そういったことで強固で弾力的な財政基盤の構築に努めているところでございます。
○藤井委員 最後に、要望というか、意見にとどめたいと思いますけれども、やっぱり東京都も財政というのはしっかり目標を持たなければならないというふうに思っていまして、漫然にとまではいいませんけれども、支出がふえていくと。財政改革、行政改革、頑張っていますみたいなところでは、やっぱり行政改革ってどうしても痛みも伴うものでありますから、これだけ厳しいんだと、これだけ大変なんだということを認識した上で、どれだけ行政改革の努力が必要なのかということをしっかり都庁全体で共有をしていくということが、行革を推進していく上でも非常に大切なポイントなのではないかなと思います。税制改正等、なかなか将来が見通せないということは、私も承知をしているつもりではありますけれども、都として、三年なり五年なりというしっかり中長期にわたっての財政予測というもの、さらには基金の目標残高も含めて、こういったものをしっかり持っていただきたいということを重ねて要望いたしまして、私からの質疑を終えさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
○森口委員 私からは、入札契約制度についてお伺いをいたします。
平成二十九年度に大きく取り上げられました入札契約制度改革につきましては、我が会派としましても、業界団体のヒアリングを行い、さまざまな意見や要望を伺ってまいりました。そこで実感したことは、業界によっても制度改革に対する意見が異なるなど、入札契約制度のあり方は非常に難しいということであります。都民にとりましても、なかなかなじみのない、わかりにくいものであると感じております。
本日は各決の質疑であり、都民の税金の使われ方を検証するための場であることから、都の入札契約制度につきまして、改めて確認をさせていただきたいと思います。
平成二十九年度から試行を開始した入札契約制度改革の取り組みは、豊洲新市場や東京二〇二〇大会にかかわる施設の建設工事等について、一者入札九九・九%落札のような入札結果があったことを踏まえ、より多くの入札参加者を確保し、入札の透明性、競争性を高めることを主眼にスタートしたものと認識をいたしております。
そこでまず、制度改革により事業者の応札行動にどのような影響を与えたのか、データにより確認を行いたいと思います。
工事案件における平均落札率、不調発生率、一者応札の割合、落札率九九%以上の件数の割合、平均応札者数につきまして、試行前と試行後とでどのように変化をしているか、お伺いをいたします。
○五十嵐契約調整担当部長 試行開始前の平成二十八年度の数値と入札監視委員会が検証いたしました平成三十年二月までの試行における数値を比較いたしますと、平均落札率につきましては、試行前は九三・二%、試行後は九三・八%でございます。
次に、不調発生率につきましては、試行前は九・九%、試行後は一八・四%でございます。
続きまして、一者応札の割合につきましては、試行前の二五・二%から試行後に一三・九%に、また、落札率九九%以上の件数の割合につきましては、試行前の一九・四%から試行後は九・九%になっております。
最後に、平均応札者数でございますけれども、試行前の三・九者から、試行後は四・七者になっております。
○森口委員 今答弁ありましたように、制度改革の取り組みによりまして、一者応札の割合が約半減をし、平均応札者数は二割上昇するなど、入札参加者をふやすという点で成果が見られたわけであります。
制度改革の四つの柱の中でも、入札参加者をふやすといった効果に最も寄与したものは、JV結成義務の撤廃による混合入札の導入ではないかと思われますが、都では、平成三十年六月以降の本格実施後も、このJV結成義務の撤廃は継続をしており、中小企業の技術力向上のためのモデル事業などの取り組みも行いながらも、この取り組みは続けていただければと思っております。
一方、柱の一つであります予定価格の事後公表や一者入札の中止につきましては、本格実施におきまして、一部の案件で予定価格を事前公表に戻すことや、一者入札の中止は全て取りやめにするなど、試行の状況を踏まえ、運用を修正しているわけであります。
私は、入札契約制度を考えるに当たり、競争性という視点が大変重要だと考えております。これは、競争により入札金額が下がるということのみだけではなく、事業者間で適正な競争がなされ、切磋琢磨することで、業界全体の力の底上げに寄与すると考えているからであります。
こうした競争性の確保という観点からすると、この予定価格の事後公表や一者入札の中止の二つの取り組みにつきましても、本格実施に当たって、そのままの形で残すことも方向性としてはあり得るものであったと考えております。
そこで、制度が一部修正された理由につきまして確認をしておきたいと思います。
まず、予定価格の事後公表についてでありますが、事後公表は、国を初めほかの自治体でも多く採用がされており、競争性の確保の観点から考えると、私は予定価格は事後公表がふさわしいと考えております。
今回の都の制度改革の本格実施におきましては、原則、予定価格は事後公表とした上で、一部の低価格帯の案件につきましては事前公表にしたということでありますが、どういった経緯から一部見直しを行ったのか伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 予定価格の事前公表、事後公表につきましては、それぞれ制度としての特徴がございまして、事後公表は、予定価格付近への入札集中が減少すること、入札に当たって積算をしない不良不適格業者が排除でき、工事施行の品質確保が図られるなどの特徴がございます。
一方で、事前公表には、情報漏えいによる不正の防止や、予定価格以下での入札を促し、不調を抑制するなどの特徴がございます。
第三者機関である入札監視委員会が行った試行結果の検証では、比較的大規模な工事を対象とする財務局契約案件におきましては、一者応札の割合や予定価格付近の高落札案件が減少するといった効果が確認されたところでございます。
一方、主に中小企業が参加する低価格帯の工事を対象とする各局契約におきましては、入札辞退による不調が多く発生いたしました。中小企業を中心とする業界団体との意見交換では、事後公表は、組織人員体制が十分ではなく、専門の積算部門のない中小企業にとって積算の負担が大きく、入札に参加しにくいという声がたくさん寄せられたところでございます。
都は、こうした試行結果や業界団体の意見を踏まえ、本格実施に当たりましては、予定価格は原則事後公表を継続いたしますが、低価格帯では、中小企業の積算に係る負担を軽減し、より多くの事業者の入札参加を促すため、事前公表にすることとしたところでございます。
○森口委員 原則、予定価格を事後公表とし、特に大規模案件につきましては競争性を担保しつつも、一部の低価格帯については、中小企業に配慮し、事前公表としたということであります。
しかしながら、公共事業の積算につきましては、工事の大小にかかわらず、事業者にとって工事の根拠となるものであり、本来、国の運用指針にもありますように、適切に積算を行う事業者が仕事を受注できるよう、今後も、動向等も見据えながら、予定価格につきましては、事後公表とするべきか、事前公表とするべきか、しっかりとその実情に合わせて適切な運用を図っていただきたいと考えます。
次に、一者入札の中止についてでありますが、競争性を高めるといった観点からすると、この取り組みは必要なものであったと考える方も多いと思われますが、どのような課題があって取りやめとしたのか、お伺いをいたします。
○五十嵐契約調整担当部長 一者入札の中止は、多くの事業者を競争入札に参加させることにより、競争性と透明性を高めることを目的といたしまして、入札参加希望者が一者以下だった場合に、入札手続を中止することとしたものでございます。
試行におきまして、一者入札の中止は六十一件発生し、このうち、入札参加条件を見直した上で再発注の手続を進めた案件では、開札日が平均四十七日おくれるなどの影響が見られたところでございます。
業界団体との意見交換では、一者入札は、他者の応札の動向によって入札が中止されるというリスクがあり、事業者が安心して入札に参加できず、かえって参加意欲を損なっているという、制度導入の目的とは逆の声が多く寄せられたところでございます。
一者入札の中止について、こうした事業進捗への影響や事業者の参加意欲の減退などの課題がある一方で、JV結成義務の撤廃などの他の改革の取り組みでは、入札参加者を着実に増加させる効果が出ていることから、本格実施に当たりまして、一者入札の中止については実施しないこととしたところでございます。
○森口委員 都の事業進捗のおくれへの影響を考慮したこと、また、事業者にとっても都の入札への参加意欲の減退という弊害があるということなどを踏まえ、一者入札の中止は取りやめを行ったということであります。
私としましては、そうした要素に配慮することの重要性について否定するものではありませんが、やはり競争性の確保のためにも、今後もできるだけ入札参加者をふやす努力をする必要があると考えております。ぜひとも、応札者が一者とならないような工夫につきまして検討をいただきたいと思います。
総じて、今回の本格実施の内容につきましては、入札契約制度改革の趣旨をしっかりと残しつつ、一部の見直しを行ったものであると理解をいたしました。この試行の見直しに当たっては、業界団体の要望や意見、入札監視委員会からの提言、さらには我が都民ファーストの会の要望も踏まえ、多角的な面から検討を重ね、一部改善を図った上で本格実施につなげたこと、現場の声に耳を傾け、柔軟に対応を図ったことにつきまして、評価できる点があります。
また、知事みずからこれらの意見を直接聞き、速やかに見直すべきところはしっかりと見直し、本格実施につなげていった点につきましても、評価できるものであると考えます。
入札契約制度改革は、今回の改革で終了したわけではないのだと思われます。
入札契約制度のあり方をよりよいものにしていくために、今後とも、制度のあるべき姿につきまして、しっかり本質的な議論をするとともに、現場の状況も把握をした上で、不断に制度の見直しを行っていくべきであると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
○五十嵐契約調整担当部長 昨年度の試行では、予定価格の事後公表に伴う中小企業の積算の負担増や不調の増加などの課題が見られた一方で、応札者の増加や一者九九%の落札が減少するなどの成果がございました。
本格実施につきましては、こうした一年間の試行を経て、入札監視委員会の検証報告、業界団体の意見、議会の議論を踏まえまして、都の事業進捗や中小企業への配慮の観点から、制度を一部改善した上で、本年六月から開始したところでございます。
先生お話しのとおり、もとより改革はこれで完了ということではなく、引き続き改革が目指すところ、先ほど、一者入札ではなくできるだけ多くというお話がございましたけれども、より多くの事業者に入札に参加していただき、入札の競争性や透明性を高めるという目標の実現に向けまして、今後とも着実に取り組みを進めるとともに、入札監視委員会から示された今後の課題についても、検討を行っていく必要があると考えております。
その際には、本格実施後のデータの検証を行い、入札監視委員会の意見を踏まえるとともに、業界団体との意見交換を行うことにより、現場の状況をしっかり把握していくことが重要と考えております。
入札参加者の応札行動は、景気の動向に左右されやすいことから、入札契約制度を取り巻く状況を常に見定めながら、時代時代に合ったよりよい制度となるよう、不断の努力を行ってまいりたいと考えております。
○森口委員 引き続き、入札制度につきましては、公金支出の妥当性、また、業界の健全な発展に資するよう努めていただきたいと要望し、私の質問を終わります。
○上野委員 それでは、私からは、工業用水道について質問したいと思います。
都の工業用水道事業につきましては、利用者数の減少などの経営面だけではなく、供給開始から既に五十年以上が経過し、首都直下地震の切迫性が指摘される中、安全対策の面からも、施設の老朽化が深刻な課題となっておりました。
このため、我が党はかねてより、事業の存廃をどうするか、これ以上の判断の先送りは許されるものではないとして、この問題の重要性について、何度も議会で取り上げて指摘を続けてきたところでございます。
こうした中、さきの第三回定例会において、ようやく都から廃止条例が提案されまして、都議会において可決される運びとなったわけでございます。上水道への円滑な切りかえやユーザー支援など、行政としてはこれからが本番であることには間違いありませんが、この問題に平成二十三年度から取り組んできた私としましては、ようやくという思いがあります。
昨今の財務局の本腰を入れた取り組みについては、私は高く評価しているところでございます。同時に、こうした決算を確認する場であるからこそ、改めて、これまでの経緯を整理、確認しておくことが重要であります。
この問題は、実に十四年にも及ぶ長年にわたって、都政の懸案課題として横たわり続けておりました。
そこでまず、平成十六年の包括外部監査以降、都はどのような経緯をたどりこの問題に取り組んできたのか、確認の意味でお尋ねいたします。
○初宿経理部長財政企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都の工業用水道事業につきましては、平成十六年度の包括外部監査において、廃止などを含めた抜本的な経営改革について、関係各局とより具体的な検討を進められたいとの意見が付されました。
その後、都の行財政改革実行プログラムにおいて、工業用水道事業の経営改革が実施計画として位置づけられたことなども踏まえ、関係各局から成る工業用水道事業のあり方に関する検討会を設置し、抜本的な経営改革の方法や将来の事業のあり方について、利用者へのアンケートなども実施しながら検討を重ねてまいりました。
その結果、都の工業用水道事業は、地盤沈下対策として供給を開始した経緯や、利用者の多くは中小企業でございまして業種も多岐にわたるなど、さまざまな課題がふくそうしておりますことから、多角的かつ客観的な視点からの検討も不可欠との結論に至りました。
このため、平成二十六年に、専門家の経験と見識を活用して検討を進めるため、さまざまな分野の有識者で構成されました工業用水道事業のあり方に関する有識者委員会を設置いたしまして、専門的かつ中立的な立場から議論を重ねていただいた結果、本年六月に事業を廃止すべきとの提言がなされ、平成三十年第二回都議会定例会において、都としても、廃止に向けて動きを進める旨を表明いたしました。
廃止に当たりましては、利用者の経営等に対する影響を最小限にとどめるため、行政としてのきめ細かな支援策の検討が必要不可欠であることから、庁内横断的な工業用水道事業に関する検討会を設けまして、利用者からの意見等を踏まえながら、支援計画案を取りまとめ、その公表と廃止条例の成立に至った次第でございます。
○上野委員 済みません。答弁の中身をちょっと確認させていただきたいんですけれども、関係各局による工業用水道事業のあり方に関する検討会を設置しという答弁ございましたけど、これはいつ設置されたのかというのを教えていただきたいということと、あと利用者へのアンケート、これも実施しながら検討を重ねたと。アンケートはいつ実施されたのかというのを、答弁を聞いていて、はっと気づいて、突然の質問で申しわけないですけれども。
あと、平成二十六年、有識者で構成される工業用水道事業のあり方に関する有識者委員会を設置と、これはいつ設置されたのか。これは非常に後の質問につながる話なので、ちょっとこれを明確にご答弁いただきたいと思うんですが、時間かかりますかね。
○初宿経理部長財政企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 まず、工業用水道事業のあり方検討会でございますが、これは平成十八年に設置をしました。
それから、委員お尋ねのアンケートでございますが、これは複数回実施をしてございます。(上野委員「いつというのはね、複数回じゃなくて、最初はいつかっていうこと」と呼ぶ)済みません、ちょっと今、手元の資料でございませんで、平成十八年に検討会を設けまして、その後、複数回ということでご理解いただければと思います。
○上野委員 水道局に、実際アンケートをやっているんでしょうから、三回ぐらいこれまでやったという話で、いつかというのは聞かなかったものですから、もしわかればということでお聞きしました。
それから、最後の平成二十六年の有識者で構成された工業用水道事業のあり方に関する有識者委員会の設置がいつなのかというのを、もう一つお答えしていただきたいと思いますけれども。
○初宿経理部長財政企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 委員お尋ねの工業用水道事業のあり方に関する有識者委員会の設置でございますけれども、この委員会につきましては、平成二十六年十二月一日に設置要綱を定めてございますので、この時点での設置ということでございます。
○上野委員 済みません。突然の質問で慌てられたと思いますけれども、平成十六年の包括外部監査からこのたびの存廃の判断に至るまで、かなりの時間を費やしたことは否めませんけれども、一方で、実に時間を、紆余曲折を経ながら、さまざまな会議体を通して慎重に検討が行われてきた、このことが今のご答弁からもうかがい知れるところでございます。
本日は二十九年度決算を審議する場でありますので、財務局に対しては、恐らく廃止を決断する際の重要な判断材料であったであろう工業用水道事業の収支状況について、改めて確認をしておきたいと思います。
ご案内のとおり、工業用水道事業会計は地方公営企業会計の一つであり、本来は、料金収入で費用を賄うことを原則とすべきものであります。
しかしながら、地下水揚水規制に伴い、みずからが投資してつくった井戸からの転換を余儀なくされた利用者も多い中、費用を全て料金に転嫁することは、実態として難しかったことにも一定の理解を示さなければならないと、このように考えております。
こうした経緯に加えまして、現実問題としては、工場の都外移転などの影響によりまして、本来の工業用水利用者の数が数十年にわたり一貫して減ってきております。この間、料金収入の穴埋めを一般会計でせざるを得なかった、このように認識しているところであります。
利用者の数が減れば減るほど、一般会計の負担額が増加することは想像にかたくありませんが、厳しい経営状況が廃止判断の一要素である以上、この間の経過も含めて、事業の経営状況を客観的に確認しておくことが重要でございます。
そこで、工業用水道事業会計における料金収入や一般会計について、直近の二十九年度決算までの推移と状況について、割合なども交えながら、その傾向も含めて、具体的にお答えしていただきたいと思います。
○初宿経理部長財政企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 工業用水道事業の料金収入につきましては、契約件数や使用水量の落ち込みが続いてございまして、昭和五十八年度の二十八億九千万円をピークといたしまして、平成二十九年度決算では、約四分の一となります六億九千万円となってございます。
また、事業経営を安定的に維持していくための一般会計繰入金につきましては、包括外部監査で意見を付されました平成十六年度時点では、十七億三千万円の収益的支出に対しまして、一般会計繰入金は二億一千万円でございまして、その占める割合は一二%であったのに対しまして、直近の平成二十九年度決算では、十七億六千万円の収益的支出に対して、一般会計繰入金は六千八百万円で、その占める割合は三九%となっており、十六年度と比較いたしますと、一般会計繰入金の金額、割合ともに増加してございます。
失礼いたしました。ただいま、一般会計の繰入金の金額につきまして、六億八千万円でございました。訂正しておわびを申し上げます。
○上野委員 数字は大事ですから、間違われないようによろしくお願いいたします。
今ご答弁を聞きまして、今回の二十九年度決算では、事業運営を図るための一般会計からの繰入金が料金収入とほぼ同額にまで達しているという、こういうことも判明したわけでございます。
冒頭申し上げた施設の老朽化のみならず、本来は料金収入による独立採算を原則としなければならない経営自体も、もはや限界であったということでございます。都としても、厳しくつらい判断をせざるを得ない状況にあったと思います。やはりこのタイミングで事業廃止せざるを得ないことは十分に理解しているところでございます。であればこそ、廃止に当たっては、利用者への影響を最小限にとどめなければならないことは、これまで我が党が一貫して強く主張したとおりでございます。
今般の都の支援計画において、我が党の提案を受けまして、十年の料金据え置き期間の設定や、上水道への切りかえ時に必要となる設備経費への支援が実現したことは、率直に評価しているところであります。
しかしながら、それだけでは、全ての利用者の不安と心配を払拭することは難しいと思います。このため、さきの第三回定例会の代表質問において、今後、関係する各局がみずからの問題と捉えて、長期的な観点からの支援の内容や対象の検証も含め、積極的に連携協力し合う体制を整えるべきと、こういう見解を求めたものであります。
これに対して都は、今後、庁内横断的な体制を整備していくと、このような答弁がありましたが、廃止条例は可決され、早ければ半年後から順次、上水道への切りかえ工事が始まる見通しとなりました。いよいよ廃止が現実となり、その時期も間近に迫る中、利用者への対応がこれまで以上に大事となることはいうまでもありません。
そこで、第三回定例会において、我が党の質問に対して都が表明した庁内横断的な体制の速やかな整備を図るべきと考えますが、都の見解を求めます。
○初宿経理部長財政企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 工業用水道を廃止し、今後、計画的に上水道への切りかえを図っていくためには、委員おっしゃるとおり、何よりも利用者の皆様に寄り添いながら、切りかえ工事や支援策を円滑かつ着実に進めていくことが重要でございます。
こうした観点から、来年四月より順次切りかえ工事に着手していくことを踏まえまして、利用者からの相談や問い合わせ等への対応を初め、これまで以上に関係各局が連携を図りながら取り組むことが必要です。
このため、水道局が現在準備中の現地事務所の対応状況などを見据えつつ、スケジュールや利用者の意向等について情報を共有化し、上水道への移行に向けて、きめ細かく丁寧な対応を図っていくため、年内を目途に、水道局を初めとした関係各局の横断的な体制を構築してまいります。
○上野委員 いろいろこれまでも質問してまいりましたけれども、ぜひとも横断的な体制、あと二カ月ちょっとしかありませんので、早目に構築していただきたい、このように思います。
それで、これまで質問をしましたけれども、やっぱり事実というか、この工業用水道事業ということについて、それまでの取り組みの内容も含めて、ちょっと明らかにしていきたいところがあります。
それは、最初の質問のときに、平成十六年度の包括外部監査、この指摘が発端になったということですね。廃止などを含めた抜本的な経営改革について進められたいという、こういった包括外部監査を受けて、それで東京都が、これは何とかしなきゃいけないということで、先ほど確認した関係各局による工業用水道事業のあり方検討会は、平成十八年に設置されたというお話でしたけれども、包括外部監査は平成十六年度に出ているわけです。十七年度は何をやっていたのか。十八年度に設置されたけれども、それまでどういうふうな、検討を重ねてきたという表現されましたけれども、本当にその間検討を重ねてきたのかな。
これは当時は知事本局です、かなめは。さまざまな関係局がありますけれども、実際はほとんど、この検討会を設置したけれども、なされていないんです。検討会の中身が進んでいない、全然。
アンケートを何で三回も利用者がやったかご存じですか。一回やったときにそれで動いていればそれでいいんです。ところが、進まないものだから時間がたって、時間がたったものだからまた実態を把握せないかぬということで、二回目のアンケート調査をやった。さらにまた何も進まないものだから、実際に本格的にやろうと思ったときには随分たってしまったものだから、水道局はまた第三回のアンケート調査をやって、これはユーザーの人にとってはたまったものじゃないですよ。同じようなことを何度も聞かれているんです。それが当時の知事本局の実態。かなめとして動いていなかったと。
なぜ判明したかというと、実は私はそれまでわからなかったけれども、平成二十三年の三・一一のあの東日本大震災がきっかけです。この東日本大震災で、皆さんもご存じのとおりですけれども、工業用水道管が随分やられました。被災三県で三百カ所以上やられています。耐震継ぎ手をやっていないから壊れちゃって、六十七億の被害を受けたと、このように経産省が発表をしておりました。
じゃあ、東京都は大丈夫なのかなということで、この東日本大震災を受けて、先ほど私も、平成二十三年度から取り組んだという話をしましたけれども、そこで初めて工業用水道というのに目をつけて、じゃあ実際どのくらい東京にあるんだと、調べてみると大変な数があったわけです。
まずはこの耐震化の問題については、平成十六年度に包括外部監査が廃止を含めてというものですから、平成十年度から進めていた耐震化、これが平成十七年度には終わったんです。まだいっぱい残っているんです。調べてみると三百四十六キロ布設されている。そのうちの三三%がまだまだ残っている。存在している。十七年度で中断してしまったんです。それで十八、十九、二十と、二十三年、私はそのときは勉強不足で、耐震化は進んでいると思っていた。ところが実態はとまっていた。
もっと詳しくいうと、休止となった満水状態の管があるんですよ。非常に危険です。それがもし首都直下地震でも起きた場合には、水が出てきて緩んで、管の中にどろっと入っていったら、当然に道路は陥没していくんですよ。緊急輸送道路というのがあります。特に象徴的なのは環七ですけれども、環七には千五百とか千六百の工業用水道管があるんですよ。水が流れているんです。
ところが、そこの耐震継ぎ手、できていないんです。残っているんです。こうした特定緊急輸送道路に、管路延長二十八・四キロあるんですけれども、実際耐震化しているのは四・三キロだけ。わずか一五%ですよ。今、地震が起きたら間違いなくこれは大変な問題になると、これを私は強く強くいっていたわけですよ。
そうした中で、十七年度でも補助がないものですから、国がとめていると思っていた、最初は。これは後からわかった話だけれども、経産省まで行ったんです、何で東京都に補助を出さないんだと。
そうしたら経産省の役人が、何をおっしゃるんですかと、東京都の工業用水道事業というのは全国のシェアでいくと十分の一なんです、極めて多いんですと。にもかかわらず、経産省は、工業用水道施設の緊急更新、耐震化というのを平成二十四年度に十六・三億円、緊急で耐震化のために使ってくださいとみんなに声をかけたんです、地方自治体に。ところが、東京都だけが手を挙げないといわれたんですよ。ご存じですかと、挙げさせてくださいよ、耐震化すべきですよと、逆に訴えられた。
それで戻ってきて東京都に話をしたら、先ほどのような話があって、知事本局が、平成二十三年度、二十四年度、聞いたけれども、ほとんど検討会なんてやっていないんです。内容が決まっていないんだ、何をやっているんだと。だから、全然判断できなくて耐震化が進まない、危険な状態をそのまま--これは内容が非常に難しい、ユーザーを抱えての話ですから、なかなかそれを本気でやろうという職員がいなかったということですよ、そのときは。
ところが、平成二十六年、先ほども話ありました十二月に有識者委員会を設置されました。どこの局ですか、かなめになったのは。財務局ですよ。財務局になってから進み出したんです。
○馬場委員長 上野委員に申し上げます。簡明にお願いいたします。
○上野委員 はい。大事なことなので。
私は、その財務局が平成二十六年からかわって、特に武市局長が平成二十八年の七月にかわられた。そこから第三回、第四回、第五回と急速にこの検討会が進んでいったんです。これはもう誰もが、大変な内容になるからというんで避けていた。ところが本腰を入れてやっていくと、こういう思いで決意されて、主計部長も私のところに来て、進めていきますという話をされていましたよ。当時、松川主計部長ですけれども、そういった意味での、武市局長を初め、今いった初宿経理部長を初め、本当に大変な中、担当の職員の皆様が本気になってこれに取り組んでこられた、このことは私は非常に高く評価しているところでございます。
最後に、武市局長の、そういった思いでの決意をされたということでございますので、今後、この工業用水道はこれからが大変です、これからが大変な状況になる中での決意をぜひともお聞かせ願いたいということでございまして、突然の決意発表になると思いますけれども、よろしくお願いします。
○武市財務局長 今、上野委員からの過分なお褒めの言葉、あるいは過去の行政がなかなか進まなかったことに対する叱責含めていろいろ、過去の経緯を全て承知している委員からいろんなお話をいただきました。非常に参考になったお話でございました。
私ども本当に、十年以上前に外部監査の指摘を受けながら、今日まで至ったということにつきましては、今後の行政運営という点も含めて、多分に課題として、この間の経緯を検証していく必要があるかなと思っております。
そうした中で、今般、老朽化が進んでいる中で、ようやく廃止ということを議会でもご提案させていただき、議決をいただいたことは、非常にありがたく思っているところでございます。
ただ、お話ありましたように、まだこれから、最終的なユーザーの皆さんに、廃止、管の取りかえまでに四年余の時間がございます。また廃止して以降も、料金差額につきまして、きちんとユーザーの皆様の状況を確認させていただきながら、全庁挙げての支援が必要だというふうに考えております。
まずは、水道局の方が現地事務所を立ち上げ、それに伴いまして、関係各局が連携する場となる横断的な会議を立ち上げまして、それを通じて支援をしっかりしていくということが大事だと考えておりますので、その点につきまして、私ども、ユーザーの皆さんにきちんと寄り添った形での最終的な取り組みというのをしていきたいと考えております。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
〔上野委員発言を求む〕
○馬場委員長 上野委員、さきの打合会で質問時間を取り決めておりますので、この程度でとどめていただきたいと思います。
ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○馬場委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で財務局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後三時四十分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.