委員長 | のがみ純子君 |
副委員長 | とや英津子君 |
副委員長 | 米川大二郎君 |
伊藤しょうこう君 | |
細田いさむ君 | |
斉藤れいな君 | |
龍円あいり君 | |
清水 孝治君 | |
鳥居こうすけ君 | |
和泉なおみ君 |
欠席委員 なし
出席説明員病院経営本部 | 本部長 | 堤 雅史君 |
経営企画部長 | 児玉英一郎君 | |
サービス推進部長 | 山口 真君 | |
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 樋口 隆之君 | |
計画調整担当部長 | 末村 智子君 | |
生活文化局 | 局長 | 浜 佳葉子君 |
次長 | 武市 玲子君 | |
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 鳥田 浩平君 | |
広報広聴部長 | 濱田 良廣君 | |
都民生活部長 | 山本 明君 | |
消費生活部長 | 吉村 幸子君 | |
私学部長 | 金子 光博君 | |
文化振興部長 | 樋渡 幸生君 | |
都政情報担当部長 | 水野 剛君 | |
都民活躍支援担当部長 | 馬神 祥子君 | |
男女平等参画担当部長 | 稲葉 薫君 | |
魅力発信プロジェクト担当部長 | 堀越弥栄子君 | |
文化総合調整担当部長 | 久故 雅幸君 | |
文化施設改革担当部長 | 工藤 穣治君 |
本日の会議に付した事件
平成二十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
病院経営本部関係
・平成二十九年度東京都一般会計決算(質疑)
生活文化局関係
・平成二十九年度東京都一般会計決算(説明・質疑)
○のがみ委員長 ただいまから平成二十九年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
本日から四日間にわたり、本分科会の所管局の決算に対する局別質疑を行ってまいります。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部関係の決算に対する質疑並びに生活文化局関係の決算の説明聴取及び質疑を行います。
これより病院経営本部関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十九年度東京都一般会計決算中、病院経営本部所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○児玉経営企画部長 去る十月十日の本分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元にお配りしてございます平成二十九年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
資料は、目次にございますように、合計四件でございます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、各公社病院の経営指標の推移でございます。
各公社病院における経営指標の推移を平成二十五年度からの五カ年にわたり、入院、外来別に記載しております。
二ページをお開き願います。2、各公社病院における医師・歯科医師(診療科別)及び看護職員の定数及び現員の推移でございます。
このページの(1)から、二枚おめくりいただきまして、六ページの(5)までは医師及び歯科医師に関しまして、次の七ページの(6)は看護職員に関しまして、それぞれ過去五年間の定数と現員の推移を記載しております。
八ページをお開き願います。3、公社病院における看護職員の中途退職者数の推移でございます。
公社病院における看護職員の四月一日から三月三十日までの退職者数と三月三十一日の退職者数の推移について、それぞれ記載しております。
九ページをごらんください。4、公益財団法人東京都保健医療公社における障害者雇用率の推移でございます。
公社における各年度六月一日現在の障害者雇用率について、その推移を記載しております。
簡単ではございますが、以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○のがみ委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○鳥居委員 私からはまず、公社病院についての質疑を進めさせていただきたいと存じます。
東京都保健医療公社は、地域医療のシステム化の推進に向け、平成二年に東部地域病院の開設、平成五年に多摩南部地域病院を開設させ、二つの公社病院を誕生させました。そして、平成九年の厚生労働省の創設制度である地域医療支援病院の承認を平成十年に受けております。また、都立病院であった大久保病院、多摩北部医療センター、荏原病院、豊島病院が順次、公社移管され、同じく地域医療支援病院の承認を受けました。
現在、六つの公社病院が都の地域医療の中核病院として、医療機関との連携を進め、地域全体の医療の確保、向上の役割を果たしております。高齢化社会の到来により、地域医療のシステム化構築の重要性及びそれを担う公社病院の役割の重要性は増しております。
まず、公社病院の取り組みについて伺いたいと思います。
公社六病院全てが地域医療支援病院として承認されていることからも、公社病院は、患者が身近な地域で適切な医療を継続的に受けることができるように、地域の診療所や病院と緊密な連携を図るという重要な役割を担っております。
そこで、他の医療機関からの患者の紹介と、公社病院から他の医療機関への逆紹介の実績について伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十九年度の公社病院全体での他の医療機関からの患者の紹介率は七二・〇%で、前年度比〇・二ポイントの減、公社病院から他の医療機関への逆紹介率は八〇・三%で、前年度比二・一ポイントの増となってございます。
○鳥居委員 紹介率は、この五年間の平均で七〇・二四%であり、平成二十八年より七〇%を上回っていると認識します。逆紹介率は、平成二十五年の六一・八%に対して、平成二十九年は八〇%を超えるなど、順調に増加させていることがわかりました。
一定以上の紹介率、逆紹介率を有することが地域医療支援病院の承認を得るための要件になっております。例えば、三種類ある要件の一つの、紹介率四〇%を超え、かつ逆紹介率が六〇%を超えることと比較しましても、今回の実績は要件を上回る努力をされてきた、その成果であるというふうに私は認識いたしました。
引き続き、紹介率を上げるための施策を検討いただいて、実施いただきたいと考えております。
次に、地域医療連携を推進していく病院として、具体的にどのような取り組みを行ってきたのかを伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 病診連携を強化するため、かかりつけ医等を対象といたしました連携医の登録の促進や医療機関の個別訪問を実施するほか、医師向けの症例検討会の開催などを通じました顔の見える関係の構築、加えて、連携医との共同診療やCT、MRI等の高額医療機器の共同利用等による協力体制の強化に努めてまいりました。
具体的な実績といたしまして、平成二十九年度は、連携医の数は五千八百九十五人となり、前年度比七十人の増となってございます。また、連携医の情報収集や交流等の場として連携医研修会を二百二十六回開催いたしております。また、共同診療の件数は六百九十件で、前年度比三十一件の増、高額医療機器の共同利用件数は前年度と比べて三十三件減少したものの、一万三千百四十三件でございました。
今後とも、こうした取り組みを着実に実施することで、地域医療連携を強化し、地域住民が適切な医療を切れ目なく受けられるよう取り組んでまいります。
○鳥居委員 連携医数の増加、連携医研修会の実施、また共同診療や高学医療機器の共同利用等による協力体制の強化、その結果、機器の共同利用件数は一万三千百四十三件と、医療連携を意識した取り組みを実施していただいていると認識いたします。
地域医療を担うかかりつけ医のニーズを把握し、公社病院の環境を整備するなどの取り組み、これらをより積極的に行うこと、このことが地域住民に適切な医療を切れ目なく提供する上で重要となります。引き続きの推進をお願いしたいと思います。
さて、我が国においては、人口減少と高齢者人口の増加が見込まれ、一方、社会保障制度における給付と負担のバランスが懸念されております。都も、こうした状況の中で医療体制を改革していくことは、喫緊の課題と認識しているところでございます。
公社病院の第四次中期経営計画にも示されているとおり、経営改善の取り組み、計画の見直し、一般医療分野の自己収支比率一〇〇%を目指すなど、自律的経営の追求を日々行われております。
まず、公社病院の自己収支比率を伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十九年度の公社病院の自己収支比率は九〇・一%で、前年度と比べて〇・四ポイント上昇してございます。
○鳥居委員 過去五年間の平均は八九・八%であり、この四年間は継続して改善していることから、各病院による患者確保等の収益改善、経費節減による支出の抑制に努められていると認識します。
さて、病院経営本部が所轄する一般会計は、公益財団法人東京都保健医療公社に対する補助金等となっております。
そこで、公社病院全体における、診療にかかわる収支である医業収支及び東京都からの運営費補助金の状況について伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十九年度の公社病院全体での医業収支についてでございますが、医業収入につきましては四百四十五億七千八百万円で、前年度比十三億八百万円の増となってございます。医業支出でございますが、四百九十四億二千七百万円で、前年度比十一億三千七百万円の増でございました。救急患者の積極的な受け入れなど新規患者の受け入れに努めたことなどによりまして、医業収支の改善につなげたものでございます。
その結果といたしまして、都から公社に対する運営費補助金につきましては、平成二十九年度は八十七億四千八百万円と、前年度比九千三百万円の減となってございます。
○鳥居委員 運営費補助金については、消費税率引き上げ時の平成二十六年における九十六億四千四百万円から継続して減少させていること、このことがわかりました。
一方で、病院の持続的発展を目指すためにも、運営費補助金の効率的な活用が重要と考えます。例えば、地域医療支援病院の役割を果たす上で、紹介率を向上させるためにも、公社病院の魅力を上げ、存在意義を高める必要があります。公社病院も持続発展するための環境整備が必要で、高度な高額医療機器の設置などの設備投資なども必要となります。
そこで、持続的発展を目指した運営費補助金の用途について伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社に対しては、公益財団法人東京都保健医療公社運営費補助金交付要綱を定め、救急医療や精神科医療、小児医療などの行政的医療に係る病院運営費や事務局運営費などの補助金を交付してございます。
高額医療機器の更新等の設備投資につきましても、病院の需要や地域での必要性を踏まえ、費用対効果を検証した上で計画的に行っていく必要があると考えてございます。したがいまして、その経費は運営費補助金の対象となってございます。
○鳥居委員 行政的医療への補助を初め、高額医療機器への更新等の設備投資についても、費用対効果の検証の上で計画的に行っていただいていることを認識いたしました。
行政的医療の質疑に入る前に、さきの質問でご答弁いただいた医業収入の増加、改善に貢献した救急患者の積極的受け入れについて伺いたいと存じます。
東京消防庁統計書には、救急患者の医療機関等に収容される数が増加傾向にあるとされております。
都は、救急医療の東京ルールを推進しており、公社病院も参画しております。
そこで、救急搬送患者の受け入れ実績及びその取り組みについて伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 全ての公社病院では、三百六十五日二十四時間体制で入院、手術等の専門的な診療を行います二次救急医療を実施してございます。救急搬送患者の受け入れ件数は二万二千四百三十六件でございまして、前年度比三百五件の減少となってございますものの、消防機関からの搬送依頼に対する患者受け入れの割合である応需率につきましては七八・三%でございまして、前年度比一・四ポイントの増加となってございます。
公社病院では、救急搬送患者の受け入れを断らないとする原則を設定し、これを徹底してございますが、受け入れることができなかった場合におきましても、その理由を検証し、受け入れ体制の見直しを行うなどの改善を図ってございます。
また、例えば東部地域病院におきましては、平成二十九年度より、救急隊のOBを消防との搬入調整を行うコーディネーターとして配置するといった特色ある対策にも取り組んでおります。
○鳥居委員 公社病院では、救急搬送患者の受け入れを断らないとする原則を設定し、これを徹底、受け入れることができなかった場合はその理由を検証、受け入れ体制を見直すという改善を行うなど、非常に意識の高い取り組みを行っているものとご答弁いただきました。
救急医療は、誰もがいざというときに助けてほしい、都民の安心・安全を守るセーフティーネットとして非常に重要です。救急搬送患者の受け入れにおいては引き続き検討を重ね、地域医療支援病院である公社病院の役割を果たしていただきたいと考えます。
次に、行政的医療について質疑を行います。
公社病院は、団塊の世代が七十五歳以上になる二〇二五年に向けて、地域包括ケアシステムの構築のため、地域医療連携を推進する地域病院としての役割を担っており、さらなる地域医療への貢献が必要なのは理解しております。
災害医療や感染症医療、精神科医療など、採算の確保が難しくて民間での対応が困難な医療、これは、いわゆる行政的医療として、都立病院がその重責を担うこととなっております。
公社の定款においても、住民が必要とする保健医療サービスの提供等を行い、住民の医療、福祉の向上に寄与することを目的とするとされております。
さらに、平成十三年の都立病院改革マスタープランによると、都立病院の役割とされている感染症医療等の行政的医療については、受け皿となる都立病院の整備の進捗に合わせて順次移転していく、ただし、機能移転後も公社病院でこれらの医療を引き続き提供していくことを妨げないとされています。
こうした考えのもと、公社病院においても、地域の実情に応じて行政的医療が求められており、対応している分野があると認識します。
そこで、公社病院で提供している行政的医療について伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院は、行政的医療の中でも、地域からの医療ニーズが高く、地域の中核病院として医療機関や住民から対応が期待される救急医療や災害医療、小児医療、難病医療などを提供してございます。
また、その中でも、都立病院から移管した公社病院におきましては、例えば豊島病院では、東京都精神科夜間休日救急診療事業を担っており、また、荏原病院はエボラ出血熱などの対応を行う第一種感染症指定医療機関に指定されているなど、都立病院との連携のもと、引き続き精神科医療、感染症医療等の行政的医療を提供してございます。
○鳥居委員 いうまでもなく、行政的医療は採算の確保が難しくて民間での対応は困難な医療であり、採算面では公社病院の経営を圧迫していきます。その解決策としては、都立病院と公社病院との連携を一層強化して質を向上させるとともに、量的に不足する医療をしっかりと提供していくことが重要であると考えます。
一方、今後、人材不足が深刻化する中で、持続発展を行うためにも、財務基盤の確保等、自律的経営を意識した対応も必要になってくるのは明らかです。
豊島病院は東京都精神科夜間休日救急診療事業を担っていること、荏原病院はエボラ出血熱などの対応を行う第一種感染症指定医療機関に指定されるなど、その地域のニーズも相まって、その存在意義を維持、創造していると理解します。
一方で、ロボット工学の発展などにより、介護と工学の融合など新たな科学技術との融合により新たな産業の創造なども行われ、時代は変化しつつあります。常に当初の方針を振り返り、変化し進歩する時代のポテンシャルにふさわしい姿であるかを常に見直し、新規体制の構築も視野に業務に当たっていただくことを要望したいと思います。
次に、人材の育成と確保について伺います。
人材不足の問題は多くの業種で深刻化しています。医師や看護師の確保に苦労する病院もあると聞いております。
そのような中、都は、東京医師アカデミーを設立、これは都立病院、公社病院が一体となって提供する後期臨床研修システムであります。基本理念として、総合診療能力を有する専門医を育成すること、先端医療の習得を視野に入れた医師育成のシステムを提供すること、医師キャリアパスの構築を可能とする充実した指導体制を提供することとしております。
都民ファーストでつくる「新しい東京」二〇二〇年に向けた実行プランでは、東京医師アカデミーにおいて、医師が不足する地域の公的病院への就業支援を行い、公的医療機関との連携体制を構築、災害時の診療等実践的な研修を行い、災害医療に対して対応できる人材の育成、総合診療能力を有する医師の育成を進めるとしております。医師の育成と地域の公立病院への支援、災害時という極めて重要なミッションを持ってこれに取り組んでいただいていると認識しております。
まずは、公社病院における医師の確保状況について伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十九年度の公社病院の医師の定数は三百六十二名で、平成二十九年十月一日現在の現員は三百五十八名でございまして、充足率は九八・九%でございました。不足分につきましては非常勤医師を配置し、必要な人員体制の確保を図ってございます。
○鳥居委員 充足率が九八・九%とほぼ一〇〇%であることから、公社病院が必要人材の確保を可能にする、魅力創造、存在意義の構築などのスタッフの努力によるものと認識いたします。
次に、公社病院における専門臨床研修医、シニアレジデントの定数に対する現員について伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十九年十月一日の時点で、東部地域病院は定数十二名に対しまして現員二名、多摩南部地域病院は定数十八名に対し現員一名、大久保病院は定数十二名に対し現員八名、多摩北部医療センターは定数十二名に対し現員十一名、荏原病院は定数三十名に対し現員八名、豊島病院は定数十八名に対し現員十三名、全体では定数百二名に対し現員四十三名となってございます。
○鳥居委員 定数百二名に対して現員の総数は四十三名であり、公社病院全体で四二・二%と五〇%に満たない低い状況であります。これを引き上げるための努力を行う必要性があると認識いたします。
定数に対して現員数の割合が低いことに対する平成二十九年度の取り組みについて伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院におけます東京医師アカデミーでは、地域に根差した医療を学ぶことができることに加え、都立病院と合わせて約七千床の規模においてさまざまな臨床経験を積むこと、都立病院の高度で専門的な医療に関する知見や技能を習得することが可能でございます。
平成二十九年度は、こうした特色や魅力につきまして、民間の研修医向けイベントや各病院での説明会を通じました周知に取り組むとともに、平成三十年度からの新専門医制度の導入に対応するため、カリキュラムの見直しを図ってございます。
○鳥居委員 ご答弁でいただきましたとおり、医師育成を基本理念の一つとする医師アカデミーの視点から、公社病院の特色を十分に提供できるカリキュラムや研修内容であるかの見直し、都立病院との連携の強化を図っていただくことを要望いたします。
最後に、シニアレジデント修了後の進路について伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京医師アカデミーにおきまして最初の修了生が出ました平成二十二年度以降の八年間で、公社病院全体で六十六名の修了生を輩出してございます。修了時点での進路は、都立病院に勤務した者が一名、公社病院に勤務した者が三十五名、公立、民間、大学病院等の都内の医療機関に勤務した者が二十二名、都外の医療機関に勤務した者や進学、留学等の者が八名となってございます。
このように、修了生のうち、都立、公社病院に五五%、都内の医療機関に三三%と、全体の八五%以上が都立、公社病院を初めとした東京の医療現場で勤務されています。都立、公社病院等の医師の確保につながっているというふうに考えてございます。
○鳥居委員 修了生のうち全体の八五%以上が都立、公社病院を初めとした東京の医療現場で勤務していることをお示しいただきました。
公社病院からの修了生のうち、公社病院で勤務される割合は五三%と過半数を占め、病院運営に貢献いただいております。このことからも、明らかに公社病院におけるシニアレジデントの現員数を上げること、東京医師アカデミーのカリキュラムのさらなる質向上、このことが、優秀な人材を提供し、将来の公社病院を支えることにつながると思います。
引き続き、将来の公社病院を支える人材の確保、そして育成に注力いただくことを強く要望いたします。
今後、地域医療のシステム化推進をしていくことは、高齢化が進む現代社会において喫緊の課題であり、地域包括ケアシステムの構築の達成に向けて重要です。公社病院がこれまで培ってきた地域医療のノウハウを広く普及させ、医療機関との連携を進めることで、その役割を果たすことが大いに必要になります。
今後も、地域医療の中核病院である公社病院が活躍されることを期待しまして、質疑を終わります。
以上です。ありがとうございました。
○伊藤委員 それでは、東京都保健医療公社が運営する六つの公社病院についてお尋ねをいたします。
保健医療公社は、地域の医療機関との緊密な連携のもとで、都民の医療と福祉の向上に寄与することを目的として、東部地域病院と多摩南部地域病院の二病院の設立に始まり、その後、都立から移管された大久保病院などを加えて、現在では六つの病院と一つのがん検診センターを運営しております。
そこで、今回の決算では、このうち公社病院の経営状況について伺います。
医療機関の経営主体は、民間法人を初め、公立では国立、都立、市立などさまざまな形態がありますが、それでは、六つの公社病院が果たす役割はどのようなものなのかお尋ねをいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院は、地域の医療連携体制を構築するための病院として設立され、地域の中核病院として地域の医療機関との連携を図りつつ、効率的な医療システムの構築に努めてまいりました。六つの公社病院全てで地域の医療を支えます地域医療支援病院の承認を受けているところでございます。
また、救急医療や精神科医療といった行政的医療を含みます地域で必要とされる医療につきまして、それぞれの地域の状況を踏まえまして提供することで、地域医療の向上に貢献してございます。
○伊藤委員 ただいまご答弁にあったとおり、公社病院は地域においてその役割を最大限に発揮していく病院でありますが、そこで、公社病院の経営状況や収支実績などについて、順次お尋ねをいたします。
まず、公社病院が患者からどの程度利用されているのか、昨年度の患者数の実績について伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十九年度の公社病院全体での診療実績でございますが、延べ入院患者数は五十七万七千二百十九人で前年度比八千八百五十二人の増、一百当たり千五百八十一人で前年度比二十四人の増、また、新入院患者数は五万九百五十七人で前年度比八百四人の増となってございます。また、延べ外来患者数でございますが、八十三万六千五百二十三人で前年度比二千二百五十八人の増、一日当たり二千八百五十五人で前年度比八人の増、新来患者数は十三万千八十九人で前年度比二千七百十九人の増となってございます。
○伊藤委員 公社病院の入院患者や外来の患者の延べ人数が増加していることは確認できました。
さて、公社病院は、地域の中核病院として、クリニック等との医療連携に積極的に取り組んでおり、これらの実績から一定の信頼を得ているともいえます。その一方で、その役割を果たし続けていくためには、安定した経営基盤が必要不可欠であります。
そこで、収益を大きく左右する重要な指標であるベッドの稼働率、いわゆる病床利用率についてお尋ねします。病床利用率は、民間では八〇%以上が目標とも聞いておりますが、どのような実績かお尋ねします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十九年度の病床利用率は七三・五%となってございまして、前年度と比べまして一・一ポイント上昇してございます。
平成二十五年度以降、平均在院日数の短縮に伴いまして病床利用率は低下傾向にございましたが、平成二十九年度は平均在院日数が十・四日と前年度と同じ値である中で、患者数の増加が病床利用率の上昇につながってございます。
○伊藤委員 病床利用率は前年度と比べて一・一ポイント上昇の七三・五%とのことでありましたが、先ほど頂戴した資料によると、公社病院によってもそれぞればらつきがあって、平均で七三・五%と、こういうことだと思います。
厚労省が公表している病院経営管理指標を見ますと、四百床以上のその他の公的な一般病院では平成二十八年度の病床利用率は七九・九%と、公社病院に比べて高くなっております。平均在院日数は、先ほど十・四日ということでありましたが、その他の公的な一般病院の十二・三日よりも公社病院の方が短く、単純比較はできませんが、安定した経営のためにもさらなる病床利用率の向上を目指すべきと考えます。
それでは、これまでの診療実績を踏まえて、平成二十九年度の公社病院における診療にかかわる収支である医業収支の状況についても伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十九年度の公社病院全体での医業収支についてでございますが、医業収入は四百四十五億七千八百万円で前年度比十三億八百万円の増、医業支出につきましては四百九十四億二千七百万円で前年度比十一億三千七百万円の増でございました。
その結果、医業収支差額は四十八億四千九百万円のマイナスで、前年度と比べまして一億七千万円の改善となったところでございます。医業収支比率は九〇・二%となり、前年と比べまして〇・六ポイント上昇してございます。医業収支比率が九〇%を超えたのは、平成二十五年度の九〇・八%以降、四年ぶりでございます。
○伊藤委員 医業収入も支出もともに増加しておりますが、収入の増加が若干上回った結果、医業収支比率が改善したことが確認できました。
さて、これまで公社病院の果たす役割や昨年度の実績を確認してきました。公社病院は、中核病院として、地域住民への適切な医療の提供とともに、救急、精神科、感染症医療などのいわゆる不採算部門ともいわれる行政的医療の役割も果たしております。その一方で、決算では、運営費補助金約八十七億円を拠出金として、税金を病院経営に充当しておりますので、健全な経営にも取り組まねばなりません。
先ほどの実績についてのご答弁では、入院及び外来患者は増加、病床利用率もやや改善、そしてそれらの結果、医業収支も改善傾向とのことでしたが、収支改善に向けてどのような取り組みを行ってきたのか伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 医業収入につきましては、地域の医療機関訪問による連携強化や、断らない救急の徹底等により新規患者の獲得に努めたものでございます。また、各種加算のための新たな施設基準の取得などにより、患者一人当たりの単価も増加してございます。
医業支出につきましては、診療収入の増加に伴います材料費の増、修繕費の増加に伴う経費の増があったものの、スケールメリットを生かした共同購入の推進等によりまして経費の増加を抑える努力を行ってございます。
また、公社事務局と病院幹部との定期的な意見交換等を通じまして、経営改善に対する職員の意識改革などにも取り組んでございます。
今後とも、こうした収益確保と費用削減のためのさまざまな取り組みにより収支の改善を図り、自律的経営を追求してまいります。
○伊藤委員 収支改善に関しての取り組み内容について、具体的に確認をさせていただきました。
そもそも公社とは、行政の公平性や安定性と民間の柔軟な発想や対応を期待される組織であります。社会環境が激変する中で、病院経営は極めて厳しい時代となっております。収支の改善は日々の努力の積み重ねであり、今後も引き続き、経営改善を進めていただきたいと思います。
次に、公社病院の主な実施事業について伺います。
特色ある医療として、公社病院における緩和医療についてお尋ねいたします。
私の地元の八王子市では緩和ケア病棟を有する病院はありませんが、同じ二次医療圏である多摩南部地域病院には緩和ケア病棟が設置をされています。がんに対する治療においては、治療そのものももちろん大切ですが、身体的な疼痛のほか、不安などの精神的苦痛に対するケアも非常に重要であり、こうした緩和治療を行うため、医師、看護師などの多職種でのチームによる緩和医療ケアを提供しているそうです。
そこで、多摩南部地域病院において緩和ケア病棟を開設したきっかけや経緯、その目的はどのようなものなのかお尋ねします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 がん治療におきましては、がんの診断があったときから、身体的苦痛や心理的不安を軽減しQOLを向上させるために、放射線治療や抗がん剤治療などと並行して、切れ目なく緩和ケアを提供することが重要でございます。
多摩南部地域病院は、がん医療を重点医療としてございますが、緩和ケア病棟の検討を始めた当時、病院のある南多摩保健医療圏では、高齢化の進展によりましてがん患者の増加が予想されてございました。こうした中、同医療圏には緩和ケア病床を有する病院が当時は一カ所しかございませんで、緩和ケア病床の不足が懸念されておったところでございます。
このため、多摩南部地域病院におきまして、地域の医療ニーズに応え、化学療法、放射線治療、手術、内視鏡治療に加えまして緩和ケア医療体制を整え、がん治療を進化させ、特色ある医療として構築することとしたものでございます。平成二十四年度より専門病棟の整備工事に着手し、平成二十五年七月に十六床の緩和ケア病棟を開設したものでございます。
○伊藤委員 ご答弁によりますと、この地域内での緩和ケア病床の不足等が予想され、開設をされたとのことでありました。
さて、がんは日本人の死亡原因の一位であり、生涯で二人に一人が罹患するとされる一方で、医療の進歩などにより生存率も向上しております。
東京都もがん対策推進計画をことし三月に改定し、予防や医療提供体制の充実に加え、がんに罹患しても尊厳を保ちつつ、安心して生活できる取り組みを行っています。
そこで、多摩南部地域病院での緩和ケア病棟の平成二十九年度の実績についてお伺いいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩南部地域病院の緩和ケア病棟の平成二十九年度の実績についてでございますが、病床数は十六床で、延べ入院患者数は四千七百五十六人で、前年度と比較いたしまして九百九十五人の増、率にして二六・五%の増でございました。新入院患者数は二百九十二人で、前年度と比較いたしまして四十二人の増、率にして一六・八%の増でございました。病床利用率は八一・四%でございまして、前年度と比較いたしまして一七・〇ポイントの上昇ということでございます。
○伊藤委員 昨年度の実績では、延べ入院患者、新入院患者、病床利用率も大幅に増加しているとのことでした。
さて、多摩南部地域病院は多摩市に所在ですが、緩和ケア病棟を有する施設は周辺には多くありません。
それでは、入院患者について、地域ごとの受け入れ人数や割合についてもお尋ねします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 緩和ケア病棟への入院患者は、多摩南部地域病院が設置されている二次医療圏であります多摩市、八王子市、町田市、日野市、稲城市及び隣接地区にお住まいの方が大宗を占めてございます。
具体的には、平成二十九年度の院外からの紹介患者で緩和ケア病棟に入院された患者数は、患者の多い順に、八王子市が七十六人で三二・九%、多摩市が五十七人で二四・七%、日野市が二十六人で一一・三%など、二次医療圏内の患者が合計百九十九人、八六・一%、二次医療圏外の患者が三十二人で一三・九%でございました。
○伊藤委員 患者は、所在地だけではなくて二次医療圏内から広く利用されていることがわかりました。
それでは、この緩和ケア病棟については、患者や家族からどのような評価を受けているのかも伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 患者やご家族からは、家族は二十四時間いつでも面会できること、病室を利用して患者と一緒に泊まれること、患者だけでなく家族の心のサポートもしてもらえることなどにつきまして好評をいただいてございます。
また、平成二十九年十二月四日から十七日までの十四日間に実施した緩和ケア科の患者満足度調査の結果では、全体として病院に満足しているかとの設問に対して、調査期間中に退院した九名の患者や家族等のうち八人が十分、ほぼ十分と回答をいただいてございます。
今後とも、緩和ケア病棟の運営に当たりましては、患者が家族とともに過ごす時間を大切にし、患者、家族ともにより満足のいくものにできるよう療養環境の整備に努めてまいります。
○伊藤委員 さて、これまで実績など確認してきましたが、患者数の増加や病床利用率の上昇は、緩和ケアのニーズの高まりをあらわしていると思います。また、患者や家族からの評価はおおむね良好とのことであり、都民に必要とされる特色ある医療を提供していることも確認できました。
さて、地域医療支援病院である多摩南部地域病院は、緩和ケアの患者についても、他の医療機関からの紹介で受け入れを行っているとしております。
それでは、緩和ケア病棟における地域医療機関からの円滑な受け入れに当たり、どのような取り組みをしているのか、最後に伺います。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 緩和ケア病棟の運営に当たりましては、患者が病院でも在宅でも切れ目のない緩和ケアを受けられるよう、地域の医療機関との緊密な連携が重要でございます。
このため、地域の在宅医や介護施設、訪問看護ステーション等、患者にかかわるさまざまな関係者が参加したカンファレンスを地域の医療機関と共同で開催することで、連携を強化し、地域からの円滑な受け入れに努めてございます。さらに、緩和ケア病棟退院後、容体が急変した場合には、緊急受診や再入院を二十四時間受け入れてございます。
今後とも、緩和ケア病棟への入院が必要な患者の受け入れを積極的に行っていくとともに、症状が安定した患者につきましては、在宅でも安心して療養できるよう、地域の医療機関等と連携を密にとりながら在宅療養のサポート体制の調整等も行ってまいります。
○伊藤委員 地域医療機関からの受け入れの対応についても確認をいたしました。都内においても緩和ケア病棟は多くないと聞いておりますので、今後とも、患者の安心のために広く受け入れをしていただきたいと思います。
今回は緩和医療について伺いましたが、公社病院の果たす役割は、地域のニーズを的確に捉え、必要とされる医療を提供すること、そして患者が身近に適切な医療を受けられるために存在すること、その上で特色ある医療を提供していくことも改めて指摘をさせていただき、質問を終わります。
○細田委員 私からも、この地域の中核病院の役割を担います公社病院の決算について伺います。
まず、平成二十九年度末、この過年度の未収金の残高、そしてこの未収金の発生理由、このことについてお尋ねいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十九年度末におきます公社病院の過年度未収金の残高は三千八百七十六万円であり、前年度比二百二十二万円の増となってございます。未収金発生の主な理由といたしましては、持ち合わせがなく救急を受診した場合や、死亡退院などで直ちに診療費の計算ができず後日請求となった場合、交通事故による自賠責保険あるいは労働者災害補償保険などの申請中のため、現場において直ちに診療費を請求できない場合などとなってございます。
○細田委員 この診療費の計算が直ちにできないとか、後日の請求のほか、現場において直接請求できない、また自賠責、労働災害保険、こんなことの場合だとすると、後から返ってくる、今後であったり、救急だったら後日であったり、また家族や今後の法的手続であったりという形で、基本的には回収できていく、こういうものであるというふうに理解します。
この五年間の間に、五千万円ぐらいの未収金が最近だと四千万円を切るぐらいのところまでに努力されているとは思うんですけれども、この平成二十九年度の不納決損の額、そして、その事例についてはどうなっているんでしょうか、お聞きします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院におきましては、平成二十九年度には五千四百万円の過年度未収金を回収し、相当な回収努力を行った上で不納欠損となった額は平成二十九年度は七百八十三万円であり、昨年度に比べて十一万円の減となってございます。
回収が困難で不納欠損につながる事例についてでございますが、自己破産するなど経済的に支払い困難で実質的に回収不能な場合、あるいは患者本人の死亡後に遺族が相続放棄した場合、さらには本人が海外等に転居したため所在地が不明で連絡がとれない場合などがございます。
○細田委員 回収が不能な場合は、相続放棄した場合だとか、海外に転居したために不明で連絡をとれない、また、そういうような困難な例があるけれども、相当な回収努力を行ったというような話なので、そのようにお聞きしておきます。
もちろん、そこでいいんだという、不納欠損は、そもそもあっちゃいけないことですから、あっちゃいけないけど、それをしないと会計上も前に進まないし--何であっちゃいけないかといいますと、もともと皆さんで出し合って、そして運営されているということが基盤にあるわけで、海外に転居したとしても、じゃあどうしたら、それって本当に戻ってくるんだろうか、それとも完全に引っ越しちゃったんだろうかとか、そういうところまでちゃんと分析をされて、追っかけてというふうにやっているんだったらそれでいいし、相当なというのはそういう意味だというふうに理解します。
これからも、さらなるその回収の努力はぜひ行っていただいて、さらにこの数字が減っていくということを要望させていただきたいと思います。
そして、続いて、日本に居住し国民健康保険や社会保険という健康保険に加入している、こういう外国人の方々からの未収金、これはどのぐらいあるんでしょうか。
この場合には、例えば、日本の医療制度はなかなか難しいですから、日本人であってもぱっと簡単に理解できていない、理解がされにくい、こういう方々も多くいらっしゃると思います。
こういう社会保障制度を正しく理解してもらえるような取り組みは、保健医療公社はどのように行っているのか、そして、例えば通訳だとか通訳にかわるような手段、こういうものを講じているのか、この点についてお尋ねいたします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 在留外国人や訪日外国人が多い新宿区に立地しています大久保病院において、平成二十九年度に発生した、日本の健康保険制度に加入している在留外国人の未収金は三十件、二十三万九千四百十七円でございました。なお、外国人患者の件数と金額につきましては、病院の担当者が氏名や面談から外国人と判断し、集計したものでございます。
公社では、外国人患者を適切に受け入れるための取り組みとして、タブレット端末を利用した映像通訳サービスの導入を順次進めてございます。平成二十九年度は大久保病院に導入し、受診時や医療制度の説明などを行う際に活用してございます。
また、外国人患者が多い大久保病院では、医療費が高額となった場合の限度額適用認定証の説明に関するパンフレットを日本語、英語、韓国語、中国語の四カ国語で作成し、必要に応じてご案内を行っているほか、平成三十年度より、患者支援センターにおきまして外国語対応の可能な職員を配置してございます。
○細田委員 通訳をできるような、そういうものも大久保病院には整えている、このように理解して、とてもそれはいいことだと思うし、しっかりと他の病院でも--他の病院でやっているのかどうかちょっと今は聞いていませんけれども、他の病院にも設置できるようにこれからしていっていただきたいなと思います。
確認で伺いますけれども、未収金は大久保病院だけということでよろしいんですね。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大久保病院のデータが今直近でとれるデータになってございます。
○細田委員 平成二十九年度の訪日外国人、二千八百万人を超えまして、平成二十四年度の三倍以上にふえています。また、調査によりますと、訪日外国人の方々の約三割が保険に加入していない、これは観光庁の調査なんですけど、海外旅行保険に入っていなければ医療費全額自己負担なんですけど、七割の方々は入っていない、こんな実態があります。
そういう中で、訪日外国人の方の医療費の相次ぐ未払いにどう対処していったらいいんだろうかということが一つの昨今の課題になっているわけですけれども、もちろん、海外からのお客様、海外の方々をちゃんと日本に迎え入れて、そして、病気になったとき、けがをしたとき、適切な、良質な医療をちゃんと受けられる、このようにしていかなくちゃいけないということは当たり前のことだし、我が国にとって非常に大事なことではありますけれども、医療費を支払わなくて起きるトラブルもふえています。そうすると、当たり前のことですけれども、病院に重い負担がのしかかってきている、こんな状況であります。
今、例として挙げられました大久保病院ですが、二十九年度、この訪日外国人の未払いの実態はあったのか、どうだったのか、このことについてお聞きします。
また、訪日外国人の未払いについての見解、病院経営本部として、また公社病院としてはどういうふうな見解を現時点で持っているのか、この点について答弁を求めます。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大久保病院におけます平成二十九年度に発生いたしました外国人の未収金は、全て日本の健康保険制度に加入している在留外国人によるものでございまして、訪日外国人旅行者の未収金はございませんでした。
本年六月に国が公表いたしました訪日外国人に対する適切な医療等の確保に向けた総合対策では、医療費の確保や新たな未払い発生防止策として、訪日外国人への旅行保険の加入勧奨や、不払い等の経歴がある者に対する入国審査の厳格化などを挙げてございます。また、医師には、医師法第十九条により、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければこれを拒んではならないという、いわゆる応招義務がございまして、今回の総合対策においては、外国人観光客に対する応招義務の考え方も整理することとしてございます。
今後、国から示される方針や対策等に適切に対応してまいります。
○細田委員 わかりました。医療機関の約三五%が外国人の患者による医療費の未払いを経験しているようですけれども、大久保病院はゼロだと。しっかりやって頑張っているんだという、さっきの翻訳機器も利用しているんだという、そういうような取り組みは大変評価いたします。
ただ、先ほども申し上げましたように、海外からの方々は今ふえていますし、当然ですが二〇二〇大会も間もなくですし、ますます多くの方々がいらっしゃいますから、コミュニケーションをとるツールの手段、こういうものもこれでいいんだろうかということをさらに研究を重ねていただいて、そして、今騒がれているような、要するに今いわれているようなことを未然に--もう今未然に防いでいるという、そういうご答弁なので、それはとても評価しますけど、それをさらに次の段階においてもそうできるように、いろいろと、AIもあるし、この間も産技研で、IoTの解説の中で、いろんな技術も東京都、しっかりとやっているわけですから、そういうものも、連携をとって活用していただいて、前に進めていただければなということを望みます。
公社病院においての未収金の削減の取り組み、これについてはどうなのか、この点についてお聞きします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 未収金につきましては、まず、発生を予防することが重要でございまして、各病院におきまして日々、未収金の発生防止に努めてございます。
このため、経済的な問題を抱えている患者への対応といたしまして、状況を早期に把握するとともに、医療ソーシャルワーカーと連携し、公的な医療費助成制度を紹介するなどしてございます。さらには、クレジットカード払いを導入しているほか、診療後に支払いが困難な場合、可能な限り当日に一部の支払いを促すとともに、未払い分につきましては分割納入計画や支払い期限の猶予を設定してございます。
また、未収金が発生した場合におきまして、毎年十二月を未収金対策強化月間とし集中的に催告を行い、その上でもなお回収困難な場合には、弁護士への債権回収委託を実施するなど、その回収に努めてございます。
平成二十九年度は、支払い方法の充実のため、交通系等の電子マネーでの支払い導入について検討、準備を進めまして、今年度、全ての公社病院で導入したところでございます。
○細田委員 わかりました。
次の質問に移りますけど、先ほどの大久保病院の例、当然ですけれども、もし、五つの病院でいい例、学ぶところがあったときはぜひそれを、さっきの未収金ゼロという問題もありますし、参考にしていただいて、全体が進むように、そのことをよろしくお願いします。
次に、病児、病後児保育のことなんですが、地域の中核病院の役割を担う公社病院は、地域の病児、病後児保育のニーズに応えていく必要があるのはいうまでもありません。
東部地域病院は、病児、病後児保育について、足立区や葛飾区と持続的に意見交換を行ってきている、このように認識をしています。両区に呼応した病児、病後児保育を着実に進めていくべきですけれども、現状どうなのか、今どういう見解をお持ちなのか、このことについて答弁を求めます。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院におけます病児、病後児保育につきましては、事業実施主体であります区市の状況を踏まえ、可能な限り協力していくことが必要であるというふうに認識してございます。
東部地域病院におけます病児、病後児保育に関しましては、地元区及び隣接区であります葛飾区、足立区からの事業実施に向けた要望を受け、平成二十八年度から両区とともに地域ニーズや病児、病後児保育関連事業の取り組みの状況等について具体的な調査検討を進めてまいりました。
この調査検討を踏まえまして、平成二十九年度は隔離室や床暖房の設置など、既存の施設を改修するための詳細設計を行い、現在、改修工事に着手してございます。
引き続き、実施主体であります両区と事業開始に向けた調整を進めてまいります。
○細田委員 次に、医薬品関連のことについてお尋ねします。
三つの都立病院では、平成二十九年度を対象にして行われました本年の定例監査の報告書におきまして、監査委員より、災害拠点病院として備蓄している医薬品や診療材料の八十品目について有効期限が切れているものがある、このことが指摘されました。
そこでお尋ねしますが、東京都保健医療公社が運営する六つの災害拠点病院、ここではどうなっているんでしょうか。このようなことはないのか、この点についてお聞きします。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都立病院が受けました定例監査報告書におけます災害拠点病院として備蓄している医薬品等の管理に係る監査委員からの指摘につきましては、重大な問題と深く受けとめ、既に改善し、再発防止に取り組んでございます。
公社六病院で行いました平成三十年七月の自己検査では、災害用の備蓄医薬品や診療材料につきまして有効期限が切れていないことを確認してございます。
○細田委員 安心しました。
続きまして、公社病院は、医薬品や診療材料の見直しも行って、安定的な経営基盤の確立に取り組んでいく、このように二十八年度の決算の審査における認定意見の措置状況調でいっていらっしゃいますが、医薬品の共同購入の拡充、先ほど他の委員の方のご答弁の中でも、共同購入を推進しているから医業収益の改善に貢献しているんだという、そういうことが表明されていますけれども、また職員の意識改革があるんだと、こういうこともわかりました。医薬品の共同購入の拡充や多様な契約手法、それから、進んでいるとは思うんですけれどもジェネリックの推進、このような検討はどのように行われて、効果を発揮しているのか、この点について答弁を求めます。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 医薬品につきましては、公社六病院のスケールメリットを生かした共同購入の推進等により、薬品費の縮減に取り組んでございます。平成二十九年度の薬品費対医業収入の実績値は、前年度と同じ一二・七%でございました。また、あわせてジェネリックの促進にも取り組んでございます。
また、多様な契約手法の検討につきましては、例えば放射線技師長会等におきまして契約内容の精査見直しを行い、放射線機器の保守委託の削減に向けまして、全施設の一括契約をすることといたしました。その結果、平成三十年の準備契約におきまして、前年度比八百二十五万円、率にして八・七%の削減を行ってございます。
○細田委員 終わります。
○和泉委員 私からも、公社病院について質疑を行います。
初めに、がん診療に関してです。
平成十九年四月一日に施行されたがん対策基本法ですけれども、これは、がんの予防や早期発見、そして研究の推進とともに、がん医療の均てん化、これが基本理念というふうになっています。
法律の施行から十一年が経過して、この法律に基づく都のがん対策推進計画も、今年度、第二次改定が行われています。
この十一年の間にさまざまながんの医療体制が強化されてきましたけれども、私の住む葛飾区が属している区東北部医療圏は、いまだに地域で中心的な役割を担う地域がん診療連携拠点病院も、国の指定と同等の診療機能を有する東京都がん診療連携拠点病院もありません。このような空白が生じているのは、都内でも区東北部だけです。そのため、東京女子医科大学東医療センターが都内で唯一の地域がん診療病院として指定されています。
私は、この区東北部におけるがん医療の脆弱な体制を病院経営本部や福祉保健局の質疑において繰り返し取り上げてきました。とりわけ葛飾区では、人口十万人当たりのがんの死亡率が全国と比べても高くなっています。女性で全国平均が五十八・八人なのに対して、葛飾区は九十七・七人、男性は全国平均が六十三・九人なのに、葛飾区は九十九人です。がんの早期発見とともに早期治療のための診療体制の強化が、本当に切実な課題となっている地域だというふうに思います。
そこで伺いますが、東部地域病院は、東京都主要施設十か年維持更新計画の第二期計画に位置づけられています。公社病院の第四次中期経営計画でも、この東部地域病院の老朽化、狭隘化した建物の改修を行うというふうになっています。大規模改修に向けては、都と協議し円滑に計画を進めることとされていますが、今後どのように具体化されていくことになるんでしょうか。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東部地域病院の建物は、平成二年の開設から経年に伴う老朽化が進んでございます。このことから、平成二十七年に作成されました都の第二次主要施設十か年維持更新計画におきまして、今後、大規模な改修を行う予定となってございます。現時点におきましては、具体的なスケジュール等は決まってございません。
○和泉委員 まだ具体的なことが決まっていないということですけれども、都としても、区東北部の医療圏が、がん診療連携拠点病院の空白となっている、がん医療体制が脆弱である、その認識があるからこそ、都内で唯一、地域がん診療病院を指定して、その空白を何とか補ってきたんだというふうに思います。せっかく大規模改修が今後進んでいくわけですから、区東北部医療圏の現状をしっかり把握して、この地域に必要な医療体制を整えるということが必要だというふうに思います。
公社病院第四次中期経営計画は今年度から始まっていますけれども、昨年、この計画の策定の段階で、がん放射線治療についてはどのような検討が行われてきたんでしょうか。早期に放射線治療の導入を進めるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。あわせてお答えください。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 放射線治療機器を導入していない東部地域病院におきましては、放射線治療が必要となったがん患者につきましては、都道府県がん診療連携拠点病院であります都立駒込病院や地域がん診療連携拠点病院など、他の医療機関との連携により適切に対応してございます。放射線治療機器の導入につきましては、周辺を含めた医療資源の状況や他の医療機関との連携状況、地域の医療ニーズ、施設改修計画との整合性などを踏まえて判断してまいります。
○和泉委員 地域がん診療病院に指定されている東京女子医科大学東医療センターですけれども、ここは放射線治療器を持っていません。葛飾区内では、慈恵医大葛飾医療センターに放射線治療器がありますけれども、部位別のがん診療連携協力病院の指定は一つも受けていません。東部地域病院は、大腸がん、胃がんの診療連携協力病院というふうになっていますけれども、放射線治療器がないために肺がんの協力病院の指定は受けられません。
医療資源の状況も、地域の医療ニーズも、がん診療機能の強化が強く求められているというふうに私は思います。区東北部に不足している診療連携拠点病院を当該医療圏に整備する、その必要性については、福祉保健局が所管だということですけれども、病院経営本部の設置目的は、都の保健医療行政と密接に連携しつつ、都全体の医療サービス水準の向上に貢献していくこと、そう事業概要にも記載されています。また、公社病院は、がん医療など地域に必要とされる医療を提供し、その医療機能の拡充を図り、医療資源の地域偏在の是正に努めるという役割を担ってきた、その趣旨が中期経営計画にも記載されています。しかも、東部地域病院は、がん医療を特色ある医療というふうに位置づけています。
そこを踏まえ、区東北部の医療体制の充実について主体的に取り組んでいただきたいというふうに強く要望します。
続いて、防災対策ですが、東部地域病院がある亀有の地域は、荒川が氾濫すれば、二メートル以上四メートル未満の浸水が想定をされています。通常でさえ、高度の医療資源が不足している地域にあって、災害のときに医療機能を持続するための備え、これはとても重要だというふうに思います。
東部地域病院の施設整備面における防災対策についてどのような検討が行われてきたんでしょうか。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東部地域病院におきまして、昨年度から事業継続計画、いわゆるBCPの水害編の策定に向けた検討に着手してございます。この検討の中で、ソフト、ハードの両面から病院の現状と課題について整理をしているところでございます。
○和泉委員 これは、ことしの予算特別委員会でも同様の答弁がありましたけれども、もう少し具体的な現状や課題が検討されているのではないかというふうに思ってお聞きしたんですが、今のご答弁だとちょっと具体的なことがわかりませんでした。
例えば、非常用電源ですけれども、実際に必要になったときに、水没してしまったら意味をなさないわけです。診療体制を継続するためには高いところに設置をする、これは早急に検討を具体化していくことが必要だというふうに思いますが、いかがですか。
○樋口経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現状では、本館地下一階に設置しています非常用電源設備及び電気室を屋上等の高所に移設することは、これらの設備を設置する場所がないことなどにより極めて困難でございます。
先ほどご答弁申し上げましたとおり、東部地域病院におきまして、昨年度からBCPの水害編の策定に向けました検討に着手してございます。その中で課題の整理を行っているところでございます。
こうした課題整理に合わせ真して、非常用電源対策についても検討をしてございます。
○和泉委員 中期経営計画には、東京都災害拠点病院としての機能維持のため、地震対策に加え、エネルギーセンターを地上化する等の施設の水害対策を検討するとはっきり書いてあるんです。この計画の策定段階でどんな課題が出され、どんな検討がされて、この記載になったのか、そこを聞きたかったんです。現在地下に設置されている非常用電源がこのままではいけない、地上化する必要があるということだと思うんですよね。
私は、地上化するなら、水没の可能性のない高さまで上げるべき、これは本当に当たり前のことだと思います。災害拠点病院としての機能が実際の水害のときに発揮できるように早期の検討を行うこと、そして医療資源が不足している区東北部における医療体制の機能の強化、充実を重ねて強く求めて、質疑を終わります。
以上です。
○のがみ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○のがみ委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
○のがみ委員長 これより生活文化局関係に入ります。
初めに、過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員について、局長から紹介があります。
○浜生活文化局長 去る十月十日の当分科会を欠席させていただきました幹部職員をご紹介申し上げます。
魅力発信プロジェクト担当部長の堀越弥栄子でございます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者挨拶〕
○のがみ委員長 紹介は終わりました。
○のがみ委員長 決算の審査を行います。
平成二十九年度東京都一般会計決算中、生活文化局所管分を議題といたします。
本件及び過日の分科会で要求のありました資料について、理事者の説明を求めます。
○浜生活文化局長 生活文化局所管の事務事業及び決算の概要につきまして、追加のご説明を申し上げます。
去る十月十日の当分科会におきましてご説明申し上げました生活文化局関係の決算につきまして、政策企画局から移管を受けた事業についての記載漏れがございました。委員の皆様にご迷惑をおかけいたしましたことをおわび申し上げます。
それでは、ご説明を申し上げます。
お手元にお配りしております平成二十九年度決算概要の表紙をおめくりいただき、一ページをごらんください。1、事業概要でございます。
(5)、私学振興のための施策の記載の下に、平成三十年四月一日付で政策企画局から移管を受けた事業として、結婚に向けた機運醸成等を追加してございます。
続きまして、2、決算の総括でございます。
二ページをごらんください。(2)、平成二十九年度政策企画局所管分を新たに追加してございます。
以上、生活文化局関係の事務事業及び決算の概要につきまして、追加のご説明を申し上げました。
なお、詳細につきましては引き続き総務部長からご説明させていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○鳥田総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 局長からの概要説明に引き続き、私からは、決算の内容について追加のご説明を申し上げます。
改めまして、委員の皆様にはご迷惑をおかけしましたことをおわび申し上げます。
それでは、ご説明を申し上げます。
お手元の平成二十九年度東京都一般会計決算説明書(政策企画局移管分)をごらんください。
恐縮ですが、五ページをお開きください。
平成二十九年度の歳出科目は総務費となっております。予算現額三千万に対しまして、支出済額は二千九百万余円、執行率は九九・八%でございます。結婚等に係る機運醸成の動画作成等に要する経費を支出したものでございます。
以上で決算内容の追加説明を終わらせていただきます。
引き続きまして、去る十月十日の当分科会において要求のありました資料につきましてご説明を申し上げます。
恐縮ではございますが、お手元に配布の平成二十九年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の表紙をおめくり願います。
目次に記載のとおり、今回要求のございました資料は十件でございます。
それではまず、一ページをお開き願います。1、私立高等学校等授業料軽減助成事業の所得区分別の実績の推移でございます。
都は、私立高等学校などに通う生徒の保護者のうち、一定の所得以下の保護者を対象に、所得に応じて授業料の一部を助成しております。この事業の実績として、平成二十五年度から平成二十九年度までの過去五年間における所得区分別の推移を記載しております。
二ページをお開き願います。2、私立学校経常費補助における授業料減免補助実績の推移でございます。
都は、家計状況の急変などの理由により私立学校が生徒の授業料を減免した場合に、私立学校経常費補助の中で、学校に対して減免額の一部を補助しております。この補助の実績について、平成二十五年度から平成二十九年度までの過去五年間の推移を記載しております。
三ページをお開き願います。3、東京都育英資金一般貸付の規模の推移でございます。
平成二十五年度から平成二十九年度までの過去五年間について、(1)に貸し付けの計画額及び実績額の推移を、(2)に表の左側に記載の区分ごとに貸付人員の推移をそれぞれ記載しております。
四ページをお開き願います。4、都道府県別私立高等学校生徒納付金平均額(平成二十九年度)でございます。
平成二十九年度における授業料、入学料、施設整備費といった生徒納付金の平均額について都道府県別に記載しております。
五ページをお開き願います。5、私立高等学校等就学支援金の予算額と決算額及び所得区分ごとの受給者数と実績額(平成二十九年度)でございます。
都は、私立高等学校などに通う生徒について、家庭の教育費負担を軽減するため、授業料の一部を各学校を通じて助成しております。この事業の実績として、(1)に平成二十九年度の予算現額及び支出済額を記載しております。
また、(2)の所得区分ごとの受給者数と実績額については、国の制度改正に伴い、表の左側に平成二十六年四月以降に入学した生徒に係る実績を、表の右側に平成二十五年度以前から在学する生徒に係る実績をそれぞれ記載しております。
六ページをお開き願います。6、私立高等学校等奨学給付金の予算額と決算額及び対象世帯ごとの受給者数と実績額(平成二十九年度)でございます。
都は、私立高等学校などに通う低所得世帯の生徒について、授業料以外の教育に必要な経費の一部をその保護者を対象に助成しております。(1)に平成二十九年度の予算現額及び支出済額を、(2)に対象世帯ごとの受給者数と支出済額を記載しております。
七ページをお開き願います。7、平成二十九年度生活文化費の減額補正の内訳でございます。
平成二十九年度は広報広聴費と計量検定所費において減額補正を行っております。主な内容は、表に記載のとおりでございます。
八ページをお開き願います。8、私立高等学校等就学支援金を遡及して給付する場合の考え方(根拠規定等)でございます。
私立高等学校等就学支援金を遡及して給付する際の根拠規定として、法律及び国の事務処理要領の該当部分を記載しております。
九ページをお開き願います。9、東京都平和の日関連事業の予算の推移でございます。
東京都平和の日関連事業につきまして、事業別に平成二十六年度から平成三十年度までの予算額の推移を記載しております。
一〇ページをお開き願います。10、東京空襲犠牲者名簿の登載人数の推移でございます。
平成二十六年三月から平成三十年三月までの名簿登載人数の推移を記載しております。
以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いします。
○のがみ委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○斉藤委員 私からまず、私立助成の中から、私立学校教員海外派遣研修事業費補助について伺います。
平成三十二年度にスタートする英語必修化に加えて、さまざまな教科において情報伝達や交換のグローバル化が進む学校現場において、英語教育のみならず、海外におけるさまざまな教育の現場を実際に訪れ、教員としての経験やスキルに厚みを出していただくことは非常に重要なことであり、私立学校教員についてもこの課題は同様であると考えております。
日本国内では、海外の学生と同じような環境で学ぶことはまだまだ難しく、日本の生徒にとって、国内での学生生活では多文化との接点が乏しいということや外国語を使って主張や議論を行うことになれないという現状があります。そういった日本の生徒が海外留学等を行う際には、少なからず、国内で受けてきた教育では養い切れていない応用力だったり発想力といった面で、高い壁にぶち当たることもございます。
このような中で、教員が海外に派遣研修に赴いて現場で得られたさまざまな手法や知見を持ち帰り、さまざまに生かしていただくという点で、私立学校教員海外派遣研修事業費補助は大変意義ある事業の一つとして注目させていただいております。
今回は決算ですので、実績について伺いつつ、今後に向けてのお考えもお聞かせ願えればと思います。
私立学校教員海外派遣研修事業費補助について、平成二十九年度予算の想定派遣人数と実際の派遣人数について伺います。
○金子私学部長 本事業は、グローバル人材の育成のため、教員が各国における指導方法を学ぶとともに、現地校の教員との意見交換等を行うことで、指導力の向上や国際感覚の醸成を図ることを目的に実施しております。
平成二十九年度は、予算時点で見込んだ人数の二百人に対しまして、中学校と高校合わせまして十四人の教員をアメリカ、イギリス、オーストラリア等に派遣いたしました。
○斉藤委員 国際競争力を高めるためにも、教職員の英語力や教授法の向上は必須だと考えておりますが、二百人を想定していたところ、実際は十四人が研修に行かれたということで、何らかの課題が現場の方にあるようにも感じられております。
八週間の期間、教員を海外に派遣することは、長期休暇を使ったとしても、生徒指導等に代替教員を雇用する必要が生じるなどの事情がありまして、行かせたくとも行かせられないというような学校側の声も聞かれます。
海外派遣研修事業に参加できる教員をふやしていくために、今後どのような対策を講じられる予定かお教えください。
○金子私学部長 私立学校は、それぞれの学校で教育方針や教育内容、運営体制が異なっていることから、本事業を推進していくためには学校の意見などを取り入れていくことが必要でございます。
平成三十年度からは、学校教育の現場である中学校や高校から補助対象教科の拡充を求める要望があったことを踏まえまして、補助対象教科を五教科に拡充しております。
今後も、学校の意見なども聞きながら、本事業の活用が進むよう取り組んでまいります。
○斉藤委員 ありがとうございます。
教科数を二教科から五教科にふやしていただいたことは大変ありがたいことだと思います。状況に応じてさらに学校関係者のご意見も伺っていただいて、場合によっては、研修の派遣期間を、三週間または四週間などの短期プログラムも海外にはさまざまありますので、このようなものも対象とするなど、柔軟な対応をとっていただけるように今後の検討をお願いいたします。
海外派遣研修に行かない教員へもその研修の効果を広めていただけることも重要な役割であると考えておりますが、どのように研修効果の共有を行っておられますか。
○金子私学部長 海外派遣された教員は、帰国後は報告会ですとか研究授業を実施するなどして、他の教員とも研修の成果を共有しているところでございます。
○斉藤委員 この事業自体はあくまで私学のことではあるんですけれども、報告会や成果共有は公立学校の関係者の皆様にも開かれていくことが理想だと感じる部分がございます。私学の教育内容は学校ごとに特色があることが魅力でございますが、同時に、質の高さには公立の学校に子供を通わせる親からも大変興味関心をいただいておりまして、ぜひとも私学で行われているさまざまな先進的取り組みは、同じく子供たちの学びを担う公立学校の場にも共有ができるように積極的に取り組んでいただきたいということを要望いたします。
今後とも、海外派遣研修で得られる効果のさらなる波及についても、ぜひともご尽力をお願い申し上げます。
次に、安全対策促進事業費について伺います。
私立学校安全対策促進事業費補助について伺います。
公立学校の耐震化に並んで私立学校の校舎等の耐震化は、喫緊の課題であり、早急に一〇〇%を目指して安全対策を促進していくことは、子供たちの生命の安全を守るための、私たち都民ファーストの会東京都議団の悲願でもあります。
幼稚園や学校施設は、子供たちの命を日中の間、親御さんたちからお預かりをしているこの上ない重大な責任を背負う場所であると考えております。
平成二十九年四月に発表された私立学校施設の耐震改修状況調査結果によると、東京都の私立学校施設二千二百十五棟の耐震化率は九五・七%であり、全国でも耐震化率順位が五位ということで、関係各位の皆様のご尽力によりまして大変いいペースで進められているということがわかると思います。
一方で、私立学校施設で耐震性がない棟数が二十九年度当初でいまだ九十六棟あるということもわかり、迅速な対応が求められているということも明らかになっております。
このような状況下で、安全対策促進事業費について執行率が三五・三%と低いことがありますが、これはどのような理由かお教えください。
○金子私学部長 私立学校の校舎等の耐震化につきましては、二〇二〇年に向けた実行プランにおきまして、平成三十二年度までに幼稚園、高校等の耐震化率を一〇〇%とすることを目標としております。
平成二十九年度につきましては、各学校の耐震化に対応するために必要な予算を確保しておりましたが、各学校におきまして耐震化に向けた検討に時間を要していることなどから、結果として工事実績が少なかったものでございます。
○斉藤委員 ありがとうございます。
園によって、また地域によっても、園児を何人受け入れるか、また職員配置をどうするかといった経営計画の策定でさまざまな難しさに直面することもあるということで、ぜひ今後とも、寄り添って進めていただければと思います。
私立学校の中でも、特に幼稚園について、補助を活用して早急に耐震化を図っていただくことが必要であると考えますが、今後の取り組みを伺います。
○金子私学部長 幼稚園の耐震化につきましては、耐震診断、耐震補強工事、耐震改築工事に係る経費に対しまして、最高で五分の四の補助率により補助を行っております。また、幼稚園からの耐震化に向けた専門的な相談に応じるため、公益財団法人東京都私学財団と連携いたしまして、建築士の派遣を行っているところでございます。
今後も、所轄庁である区市と連携しながら、幼稚園に対する耐震化の促進を図ってまいります。
○斉藤委員 東京都では、耐震診断への補助、耐震補強への補助に加え、耐震改築への補助も行っておられまして、都としてできる限りの私立学校耐震化を目指しておられるということが見てとれると思います。
また、毎年度、耐震状況調査を実施するとともに、補助金の説明会を行い、耐震化を進めるように促しておられまして、ぜひ今後とも、地域や学校にさまざまな事情などもヒアリングをしながら、平成三十二年度の耐震化一〇〇%を実現していただけますようによろしくお願いをいたします。
次に、認定こども園整備費等補助について伺います。
こども園は、まだまだ東京都にその数が少ないですけれども、利用する親の声や、近隣にあれば利用したいと考える親の声を聞くと、一定のニーズがあることがわかります。
子供は幼稚園に通うぐらいの年齢になってくると、集団と自分についての意識が随分とはっきりとしてくると考えております。ゼロ歳、一歳、二歳児のころは気にならなかったことでも、三歳、四歳、五歳となっていくにつれて、とても気になり始めることがあります。
例えば、幼稚園に預かり保育があることで、安心して働きながらでも通えると考えて子供を入れた親御さんでも、通い始めてみると、お友達がみんなお昼間に帰る、自分も同じ時間に迎えにきてほしい、どうしてお母さんはいつも迎えにきてくれるのが遅いのと聞かれてしまって心が折れそうになったというような声を伺うことも多々あります。
園によっては、教育に重きを置くことから、授業参観や保護者会に参加しないことで、保護者に対して、それでは子供がかわいそうですよといい聞かせるような場面があったというふうにも伺っております。
一方、都内のあるこども園の方では、子供たちは十四時以降は年齢の異なる児童が一緒になって遊んでおりまして、ほとんどのお子さんが、親御さんが十八時を過ぎて迎えに来るということもあって、自分だけが取り残される、お友達がうらやましく感じるなどの状況は少ないと伺っております。保護者会も年に一度のみの開催で、親御さんたちは罪悪感を感じることなく働きながら子供を見ていただけるということです。
幼稚園や保育所を選ぶことと同じく、こども園を選びたいという親のニーズに応えるためにも、認定こども園整備費等補助は大変関心を持って注視させていただいておりますが、平成二十九年度の執行率が二九・三%と低くなっております。これについてはどのような理由か伺いたいと思います。
○金子私学部長 認定こども園整備費等補助では、施設整備や開設準備などに関する補助事業を行っております。平成二十九年度予算では、区市町村を通じた意向調査に基づきまして、施設整備に関する補助において五園を見込んでおりました。
しかしながら、各幼稚園において認定こども園への移行に向け、運営方法や工事内容の検討などさまざまな課題がございまして、当該年度において解決できなかったことなどから、結果として実績は一園となったものでございます。
○斉藤委員 さまざまな課題というそれぞれの状況を今後もしっかりとぜひ把握していただいて、移行支援に努めていただきたいと考えております。
園によって、移行実現には課題があることがわかりましたが、一方、地域によっては、近隣にあいている保育園がなく、こども園の新設を心待ちにしているという声も聞こえております。また、幼稚園にとっても、共働き家庭がふえつつある中、こども園への移行を検討することは園の魅力を増進することにもつながりまして、こども園への移行、施設整備等に当たっては、希望する園へのさらなる支援が必要と考えておりますが、都の見解を伺います。
○金子私学部長 認定こども園に移行するためには、設備や職員配置上の基準を満たすことや、新制度への移行に伴う複雑な事務手続の変更への対応などが必要でございます。
都といたしましては、区市町村を通じまして、認定こども園へ移行するために必要となる手続や補助制度などについての情報提供や、個別の状況に応じました相談対応など、認定こども園への移行に向けまして、できる限りの支援に努めてまいります。
○斉藤委員 移行を完了した園の好事例などの積極的な周知等も図り、子供を持つ全ての家庭にとって多様な選択肢を与えていただけますように、都としての引き続きの支援をどうぞよろしくお願いいたします。
次に、本日、結婚に向けた機運醸成等の政策企画局から移管された分について、新たな報告をいただきましたけれども、この点について伺わせていただきたいと思います。
結婚に向けた機運醸成のための動画について伺いたいと思います。
東京都では、積極的に婚活を推進する自治体もありまして、例えば、平均初婚年齢が二十三区で最も高い港区では、婚活イベント、出会い応援プロジェクトを実施しております。各自治体でさまざまなアプローチが工夫されておりますが、結婚の機運醸成とは、価値観の強要ではなく、幸せの多様さを一緒に考えていく契機になることが適当と考えております。
東京都の結婚に向けた機運醸成のためのこの動画について、業務委託料の内訳を教えてください。
○馬神都民活躍支援担当部長 動画にかかった経費は約三千万円で、内訳は、映像制作に約千三百万円、放映関係に約千七百万円でございます。
○斉藤委員 業務委託料の三千万のうち、動画作成に千三百万円がかけられているということで、これは少し高い気もしております。私は前職で映像制作にも十年以上かかわってきておりまして、一つ一つの映像をつくる際には、どの映像の対象は一体誰で、どのようなメッセージを伝えるのか、その企画が肝ということもありまして、幾つも案を出し合い、プレゼンを通して一本化された案にさらに手を入れてブラッシュアップするというようなこともよくありました。ひとえにそれは、予算を投じてつくる映像の完成度やメッセージ性を高めたいという思いからでございます。
東京都の映像制作のプロセスについては一定の課題があるように感じておりますが、ぜひ、特に受け手の対象年齢や世代の感覚にも常に気を配り映像制作を行っていただきたいということを要望いたします。
また一方で、動画コンテンツは、その後の活用次第では、その価値はいかようにも変わるとも考えております。作成した動画を東京都はどのように活用してきたか伺いたいと思います。
○馬神都民活躍支援担当部長 本動画は、東京動画等で公開するほか、東京メトロや都営地下鉄の車内ビジョン、映画館、街頭大型ビジョンなど、さまざまな場所で放映するとともに、各局のイベントなどの機会も捉えて広く発信し、多くの方にごらんいただきました。動画のユーチューブの再生回数は現在約十二万回となっており、テレビや新聞でも報道されるなど都民の大きな関心を呼ぶものとなりました。
○斉藤委員 動画が一度作成されてさまざまな反響を得たということは、むしろプラスの意味でそれだけこの問題についての関心が高いということでもあると考えております。なぜさまざまなご意見が寄せられたのか、結婚というものを今の若い世代の皆さんがどのように捉えていらっしゃるのか、また結婚に対してもし高い壁のようなものを感じておられるとしたらそれはどうしてなのか、ぜひ一緒に今後考えていけるようなきっかけにしていただけたらと考えております。
ことしから、この事業を政策企画局から生活文化局に移管をされたということで、この間、都民から寄せられた意見を生かしていくことが求められると考えておりますが、都の見解を伺います。
○馬神都民活躍支援担当部長 都民からさまざまなご意見が寄せられましたが、結婚を希望しながらも一歩を踏み出せないでいる方への後押しをすることも重要と考えております。
今後とも、個人の価値観や人生観に十分配慮しつつ、いただいたご意見も参考にしながら、結婚を希望する方の支援に取り組んでまいります。
○斉藤委員 結婚の機運醸成には、イベントとして実際に、多様な就労状況や生活実態を持つ生きた個人の顔が見えてくるような催し、イベントが有効であると考えておりますし、今は例えば、民間企業の方でAIを使ったマッチング事業というのも活用するという可能性もあると考えております。さまざまなやり方でぜひ機運醸成を行っていただきたいというふうに私の方からの要望を申し上げまして、質問を終わります。
○清水委員 よろしくお願いします。一年間、常任委員会の委員長をやらせていただいたわけでございまして、久しぶりの質問でございます。的を射ることができないような質問あるかと思いますが、ぜひ答弁の方は的確にお願いできればなと、まずは要望したいと思います。
それでは、まず私の方からは、地域の底力発展事業について伺いたいと思います。
役員が回ってきたら抜けてしまう。けれども、災害が起こったとき一番やはり頼りになるのが町会、自治会であることはもう皆さんご案内のことかと思うわけでございまして、この町会、自治会、我が国のすばらしい地縁団体といいますか、親睦団体といいますか、このすばらしい組織を次の世代に引き継いでいく、これが私たち現役世代に最も大切なことの一つなのかなと思っております。
しかしながら、なかなか運営は大変でございまして、その手助けをするのがまさにこの東京都の地域の底力発展事業の助成制度だと思うわけでございまして、これは大切にしていかなければいけないのかなと思っております。
この町会、自治会が地域の課題を解決するための取り組みを推進し、地域力向上を図ることを目的としたこの発展事業につきましては、当初、平成十九年からモデル事業でスタートをいたしまして、そのときの予算は三千万円だったそうでございまして、よくぞここまで大きな形にしていただいたのかなと思っております。
不肖私ども都議会自民党も、事業開始から、この事業につきましては特に力を注いでおるわけでございまして、これまでも関係団体でございますとか、東京都の町会連合会の皆様方とも意見交換を繰り返してきた、このような次第でございまして、その後、平成二十四年からは本格実施となり、そしてその内容も予算も拡充をしてきたということでございます。
平成二十九年には、おかげさまで制度開始から十年を迎えたわけでございまして、それを機に、事業名を地域の底力再生事業から地域の底力発展事業に変更したわけでございます。それとともに、助成件数も増加傾向にございましたので、予算額を前年度から五千万円も一挙に増額をいたしまして、現在は二億五千万円の予算となっているわけでございます。
しかしながらなんですが、当該年度でございます平成二十九年度の実績は、助成件数は四百八十一件、助成金額は約一億六千八百万円、執行率は六七・三%と、前年度に比べまして件数、金額、執行率と、全て落ちてしまったわけでございます。
前年度との違いは何かと申しますと、まず、事業の名前が変わった、それで、知事の名前も変わったというふうなことだと思いますけれども、これが変わったことが原因とは考えにくいわけでございます。
しかしながら、現場の声といたしまして明らかになっているのは、町会や自治会の利用者の皆様から、以前から、手続がもうちょっと簡略化できないんですかね、書き方が難しいですよ我々にはと、あるいは、活動事例集というのがあるんですが、これは早く配布して参考にさせていただけないかと、このような声が寄せられているのは、もう担当の方はご承知かと思うわけでございます。
そこでお伺いしたいと思いますが、この地域の底力発展事業の利用促進を図るため、どんな取り組みを当該年度でやってこられたのかお伺いしたいと思います。
○山本都民生活部長 地域の底力発展事業助成の利用促進を図るために、都はこれまで、「広報東京都」への記事掲載やホームページでの情報提供、区市町村担当者向けの説明会の開催、活用事例集の配布など、さまざまな方法で事業の周知に取り組んでまいりました。
また、手続面では、平成二十八年度より、申請書の記載事項に選択方式をふやすなど、様式の簡素化も進めております。
今年度に向けては、活用事例集の配布時期の前倒しやホームページのリニューアルを行うとともに、区市町村や東京都町会連合会に対する働きかけをこれまで以上に積極的に行うなどPRに取り組んでまいりました。
こうした取り組みもありまして、現在までの申請件数は昨年度同期よりも増加しておりまして、今年度の執行は昨年度を上回る見込みになってございます。
今後とも、区市町村や東京都町会連合会の協力をいただきながら、事業の一層の周知に取り組んでまいります。
○清水委員 ありがとうございます。さまざまな努力をやっていただいているから、三十年度には必ずその成果が出てくるというふうなご答弁だったと思うわけでございます。
当然、ご案内のとおり、この自治会活動を続けるためにはやはり原資となるものが必要になってくるわけでございまして、じゃあ誰がそのお金を支出するのかというところが自治会活動、町会活動の難しさがあるわけでございまして、そういったときに本事業が非常に役立つわけでございますし、また、もちろん当局の方もこの事業については非常に深い思い入れを持って練り上げてきた事業かと思うわけでございます。
ぜひとも、今後ともその執行率の向上を願うわけでございますし、また、一層の事業の利用方の促進を図るための取り組みを期待するものでございます。
この件については以上でございます。
次に、地域の課題解決プロボノプロジェクトについてお伺いしたいと思います。
東京都市長会の調べによりますと、町会、自治会の抱える課題は大きい順に、高齢化、担い手不足、加入率の低下、これはもう皆さん想像がつくような順序であるわけでございます。東京都は、その課題の解決策といたしまして、活性化を促すような支援事業を実施しているわけでございまして、その一つがこの地域の課題解決プロボノプロジェクトであり、平成二十九年度からスタートしたわけでございます。
しかし、最近、私思うんですけれども、最近の行政用語には片仮名語が多くなってまいりました。
私どもも、東京都医師会からぜひともフレイルという言葉を普及してくださいと、これは皆様もいわれてもう二年間ぐらいたつんですかね。私も地元の立川市で健康フェアが開催されるごとに、これからはメタボじゃなくてフレイルという言葉を覚えてくださいというんですが、なかなか、高齢の方は何ですかそれはというふうな聞きなれない名前だということで、定着するのに時間がかかったわけでございます。しかしながら、ここでようやく、そうですねと、六十過ぎたらちゃんとしっかりお肉を食べなきゃいけないのかしらというふうな考えに変わってきていただけたのかなというふうな、わずかながらの感触を持っているわけでございます。
やはりこのプロボノというのも、なかなかこれは一般的には認知がまだ薄いのかなというところがありますし、当然、この自治会活動、あるいは町会活動の主力といいますか、役員を担っていらっしゃる方はまだまだご高齢の方が多いのかなと、そんなようなことを思っているわけでございます。
ですから、このプロボノという名称についてのやはり周知方、これ重要だと思うんですが、まずはこのプロボノプロジェクトの目的、そして内容について、いま一度この場でお示しをしていただければと思います。
○山本都民生活部長 東京都は、平成二十九年度より、活動の担い手等の人材不足により地域の課題解決に踏み出せない町会、自治会を支援するため、企業の社員等が仕事で培った経験やスキルを生かしたボランティア活動であるプロボノを活用した地域の課題解決プロボノプロジェクトを開始しております。
本事業では、数名のボランティアから成るプロボノチームが約三カ月にわたり休日等に町会、自治会に出向き、意見交換を行うなどして、課題の解決策を提案、実施するものでございます。
○清水委員 ありがとうございます。
これ、逆にいうと、企業の方からしてみれば、いわゆる社会貢献活動の一助となるというふうな効用もございますので、すばらしい取り組みなのかなと思います。
都議会自民党では、過ぐる十月三日に東京都町会連合会の皆様方と意見交換会を開催いたしました。そのときも、ちょっとこのプロボノプロジェクトというのはどういう意味なんですかというふうなご質問があったのと同時に、わざわざ手を挙げていただきまして、うちの町会ではこれを使った、すばらしい事業だというふうなことで、称賛の声も出てきたわけでございます。
そこでなんですが、この平成二十九年度から開始された制度でもあり、まだ若干認知されていない感もありますが、二十九年度の取り組みの成果あるいは結果、どんなものがあったのかというのをぜひこの場でお示しをしていただければと思います。
○山本都民生活部長 平成二十九年度のプロジェクトでは、八つの町会、自治会に対してプロボノによる支援を行いました。
具体的には、町会の活動情報や地域情報を発信するためのホームページの作成、住民ニーズを把握するための住民アンケート調査の設計、実施、災害発生時の対応に関する業務フローの設計など、さまざまな取り組みを実施いたしました。
支援を受けた町会、自治会からは、とても見やすいホームページができて町会活動の関心が高まった、外部の目で新鮮な提案を受けることができたなど好評をいただきました。また、プロボノプロジェクトへの参加をきっかけとして町会役員の意識が高まった、若い世代が町会活動に積極的に参加してくれるようになったなどの声もいただいてございます。
今後とも、プロボノプロジェクトによる支援を通じて、町会、自治会の課題解決につながる積極的な取り組みをサポートしてまいります。
○清水委員 組織に新しい血を入れることで、また次の町会、自治会活動の礎となることであろうという取り組みでございますので、ぜひとも頑張っていただきたいと思いますが、しかし、多くの町会、自治会が毎年五月の下旬ごろまでに総会を開催するというふうなことでございます。したがって、この事業の募集時期がちょっと遅いんじゃないかというふうな声もございますので、ぜひともその辺、おつかみかと思いますので、対処のほどお願いしたいと思います。
ちょっとゆっくりやり過ぎましたので、ちょっと急ぎますね。あと二つございますので。
次に、私立幼稚園の一時預かり事業、いわゆるTOKYO子育て応援幼稚園について伺いたいと思います。
総務省が本年九月に発表いたしました労働力調査では、十五歳から六十五歳未満、いわゆる生産年齢人口における女性の就業率がいよいよ七〇%の大台に乗りまして、今後ますます子育て世帯の共働きは広く一般化するんじゃないかというふうなことでございます。
東京都はこれまで、保育所の整備を初めとする保育サービスの拡充を進めて、その結果、本年四月時点でございますが、東京都の待機児童は五千人余りに減少したというふうなことでございます。この点は本当に大きく評価をしたいと思います。
他方、共働き子育て世代の教育需要に対応するために、幼稚園預かり保育の拡充策といたしまして、TOKYO子育て応援幼稚園事業がスタートしたわけでございますが、この預かり保育の拡充については、平成二十八年第四回の定例会で我が党の代表質問でも取り上げさせていただいた次第でございます。
そこでまずは、このTOKYO子育て応援幼稚園事業の内容と、二十九年度の実績について伺いたいと思います。特に、当初予算で計上した目標園数と実施園数をお示しいただきたいと思います。
○金子私学部長 平成二十九年度から、年間を通じて教育時間の前後に四時間以上の預かり保育を行う私立幼稚園をTOKYO子育て応援幼稚園と位置づけまして、都独自の支援を開始いたしました。あわせて、小規模保育施設を卒園した子供を受け入れる場合の上乗せ補助も実施いたしました。
事業開始年度の平成二十九年度は二百園の実施を目標としていたところ、四区十四市の七十三園が活動を開始したところでございます。
○清水委員 ありがとうございます。
目標に対する実施割合が、二百園の目標のうち七十三園ということでございますので、割り返しますと三六・五%という実施率ということで、少々寂しさを感じるわけでございますが、このTOKYO子育て応援幼稚園、預かり保育の拡充を求めるニーズがあったから始めたわけでございますので、これからもしっかりやっていただければなと思います。
ホームページで実施幼稚園というのを検索してみますと、練馬区ですとか江戸川区あるいは多摩地域は比較的熱心でありますが、いわゆる二十三区のセンターあるいは東部地域、多摩地域の西部地域などはちょっと若干少ないのかなというか、実施していないというふうな現状があり、隔たりがございます。窓口は区市町村ということでございまして、それぞれこれは待機児童数だとかお地元の事情もあるのかとは思いますが、二十九年度のこの実績についてのご見解をお伺いしたいと思います。
○金子私学部長 TOKYO子育て応援幼稚園につきましては、区市町村や幼稚園において実施内容の検討や体制の整備などの課題への対応が困難なケースも少なくなかったことから、七十三園の実施となってしまいました。
そのため、この事業の一層の推進に向けて、引き続き、区市町村との意見交換や個別の状況に応じた助言、それから働きかけを行うなど、区市町村との連携をさらに強化しつつ、幼稚園団体とも協力いたしまして、各園に対しまして制度の理解促進や事業への協力依頼を行っております。さらに、ポスターやリーフレットなどシンボルマークを効果的に活用した機運醸成や、実施園の活動をホームページで公表しているところでございます。
こうした取り組みを通じまして、待機児童解消に向けた都の施策の一つとして、TOKYO子育て応援幼稚園の着実な実施、拡大を図ってまいります。
○清水委員 ご説明ありがとうございます。
新しいシンボルマークというのは、このことでしょうかね。お父さんとお母さんとお子さんなんですかね、私にはそう見えるんですが、皆さんにはどう映るでしょうか。最近、青とか赤とか使わないからわからなくなってきましたけど、ぜひともいろいろと区市町村とも連携をとりながら事業を進めていっていただければなと思います。
長期的には、幼児人口が減少というふうなことが見込まれる中で、今後は、教育と保育のニーズと、幼稚園と保育園という既存の資源をどうやって上手にマッチングさせていくのかなという、ここが一番の効果の見せどころじゃないかと思いますので、ぜひともこの預かり保育園の事業は、さらなる拡充をお願いしたいと思います。
最後に、時間がございますので、じゃあ、ゆっくりいきます。
本日説明をいただきました結婚に向けた機運醸成の動画について伺いたいと思います。
先ほども、前の委員の方からご説明がありましたとおり、本事業につきましては平成三十年四月一日に政策企画局より生活文化局に移管されたわけでございますが、二十九年度につきましては、この同局にお伺いするのはちょっと恐縮なところがあるんですが、現在の所管局に聞くのがルールのようでございますので、ご容赦いただければなと思います。
この動画作成につきましては、知事が記者会見で突然発表して以来、都民の皆様からさまざまな、意見というよりも批判や抗議の意見が数多く寄せられていると聞いておるわけでございます。違った意味で注目されてしまった事業であるわけでございます。
我が党も発表当初より、本当に東京都が行う事業なのかですとか、このビデオが間違ったメッセージを伝えてしまってはいないかと否定的な立場で質問を繰り返させていただいたわけでございます。
総務委員会での我が党の委員に対する答弁に、本事業の目的として、結婚を推奨はしないが、結婚しようという機運は醸成したいというお答えがありました。結婚という非常にデリケートな課題でございますので、気を使われた表現だったのかなとは思いますが、まさに機運醸成という、雰囲気をつくるという気持ちの部分をどのように成果としてあらわすのかというのは、非常に難しい事業なのかなと思っているわけでございますが、二十九年度でこの事業を作成したことにより、具体的にどのような成果が得られたと思われるのかというのを、できたら数字か何かでお示しをいただければなと思うわけでございます。
○馬神都民活躍支援担当部長 本動画は東京動画等で公開するほか、東京メトロや都営地下鉄の車内ビジョン、映画館、街頭大型ビジョンなど、さまざまな場所で広く発信をいたしました。動画のユーチューブの再生回数は現在約十二万回となっており、テレビや新聞でも報道されるなど、多くの方にごらんをいただきました。これによりまして、結婚や家族、ライフプランについて考えるきっかけになったものと考えております。
○清水委員 十二万回の動画再生回数があったというご答弁でございました。そのうちの三回は私でございますので、ご承知おきをいただければなと思うわけでございまして--それが本当に本事業の目的なのかな、機運醸成につながっているというふうなことを信じてやまないわけでございますが、ちょっと個人的な感想で恐縮でございますが、私が見た感じでは、非常にきれいな映像でございました。その映像を、どのような映像をつくるかというのが肝であるというふうなご指摘もありましたが、私にとってはきれいに見えたんですが、ただ結婚の機運を醸成するというよりも、何か五輪のPRフィルムになっていないかというふうな、これは率直な感想を持ったわけでございまして、映像動画配信サイトですか、そこの感想でも同じようなことが書かれていたわけでございます。
また、最近この動画サイトでは、評価の指マークというのもあるんですが、ちょっと残念ながらこれ、上を向いているよりも下を向いている方が圧倒的に多かったというのがございますので、今後、糧にしていただければなと思います。
私は、そういった映像のよしあしをいいたいのではありません。そもそもこの結婚に向けた機運醸成の動画の作成が、東京都の政策体系としてどのような組み立てになっているのかというのがいささか疑問に感じるわけでございます。
いみじくも小池知事は、我が党議員の本事業に対しての、これも否定的な質問だったんですが、それに対しまして、国においても同様に機運醸成のための予算を二十億程度計上していると、あたかも国がやっているから事業の正当性はあるかのような答弁をしていたわけでございます。確かに、国でも総合的な結婚、子育て支援のための取り組みとして、地域少子化対策重点推進交付金として、二十九年度の補正予算で二十億円、三十年度の当初予算で十億円が計上されているわけであります。
しかしながらなんですが、国の方は事業を行う背景として、少子化社会対策大綱ですとか、あるいはニッポン一億総活躍プラン、子育て安心プランといった閣議決定ですとか計画に基づいて、しっかりとした政策体系の中で個別の事業を行っていることが理解できるわけでございます。
そこでお伺いしたいと思うんですが、片や、東京都が実施したこの結婚に向けた機運醸成の動画の作成事業はどのような政策体系なのか。つまり、方針、構想、計画などといった政策がまずありますよね。その下に施策があって、その下に事業があるというのが、一般的な政策体系といわれているものですが、本事業はどのような政策的な根拠でこの動画作成が行われたのかというのがいささか疑問でございますので、お示しをいただければなと思います。
○馬神都民活躍支援担当部長 二〇二〇年に向けた実行プランにおきまして、誰もが生き生きと活躍できるダイバーシティーの実現に向けて、結婚、妊娠や子育てに関する支援を充実することとしております。また、本年一月に公表した実行プランの政策の強化版におきましても、結婚支援事業が施策の一つに位置づけられております。
具体的な取り組みといたしましては、平成二十八年四月に庁内プロジェクトチームによる全庁横断的な検討を開始し、他県の先進事例などの調査も行い、昨年度は本動画だけではなく、船で東京の島々を訪れる婚活ツアーへの助成や、結婚をテーマとした知事と語る東京フォーラムの開催など、さまざまな取り組みを実施いたしました。
○清水委員 ありがとうございます。今のご答弁で、小池知事の以前から、この協議がなされていたというふうなことは理解したわけでございます。
また、先ほど来、委員の方のご質疑でも明らかになっておりますけど、結婚支援というのは、こういった施策はほかの自治体でも数多くやっているわけでございまして、私の地元でございます立川市でも農家の方を相手にした結婚支援をやっておりまして、私も参加した思い出がございました。
しかし、この総務委員会の答弁で、本事業は、知事からの動画作成のアイデアを受け、この作成を行ったという明確なこの答弁があるんですね。つまり、知事のトップダウンで行った事業ということにほかなりません。
別に私は、小池知事のトップダウンという手法全て批判するものではございませんが、このトップダウンというのは、政治家ですとか、あるいは組織の長があくまでも高次元な、次元の高い目標を前提に施策を設定するわけでありまして、知事の思いつきなんだ、じゃないのかといわれないように、ぜひともこの個別の事業推進につきましては、政策の裏づけを明確にしていただければなと思うわけでございます。
東京都におかれましては、これからも子供を安心して産み育てられるようなまち、こういった政策にのっとって、それぞれの施策あるいは事業を展開していっていただきますよう心からご期待申し上げまして、質問を終わります。
以上です。
○のがみ委員長 この際、議事の都合によりまして、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時十一分休憩
午後三時二十六分開議
○のがみ委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○細田委員 それでは、私からも何点か質問させていただきます。
恐縮です。先ほど来、斉藤委員の方から、また清水委員の方から、結婚等にかかわる機運醸成の動画の作成について建設的な、また丁寧な質疑がありました。私もこの件について、まず質問をさせていただきたいと思います。ちょっと重なる部分はご容赦をいただいて。
三千万円の決算のうち一千七百万円が放映ですか、そしてユーチューブだとか東京メトロとか、一千三百万円は制作ということで、結婚を望まれている、そういう方を応援する、背中を押す、また心に秘めている方々も応援していく、そして、まさに機運が膨らむことにつながっていく、こういうようなものだと私は理解をしております。大いに期待しています。この十二万回の再生回数も多く広がっていただいて、このように思っております。
二〇一〇年、都議会の第三回定例会、今から八年前、この定例会におきまして、我が党の栗林のり子議員が婚活の支援、これを取り上げさせていただきました。
当時は、結婚をサポートする、そういう部局が東京都に存在していないために、婚活支援の答弁を都からしてもらえなかったと、誰も答弁してくれないという、私はその場にいなかったから、その場を確認しているわけじゃないですけれども、議事録だとか、また話を聞いたところによりますと、そうであったと理解しています。
そこで、そのときに、婚活の推進ということを目指して、結婚前の若い世代の意識を変えていく取り組みが必要です、このような質問を今から八年前にいたしました。
で、当時のその質問のとき理事者からは、結婚は個人の価値観や人生観に深くかかわるものであると、このような、何というんでしょうか、後ろ向きな、否定的な、こういうような答弁があったという時代から考えますと、まさに隔世の感がある、まずはこのように申し上げたいと思っています。
当たり前のことですけども、結婚は望まない方もいらっしゃいますし、幸せの形もそれぞれ違いますし、あくまで価値の選択の一つでありますけれども、この事業は婚活の支援の一つともいえる事業であると思います。
先ほど動画のお話ありました。専門的なお話だとか、また、過去の歴史を踏まえたお話だとかも両委員の方から出ておりました。私が理解するには、まさに、祖父の代に、祖父が出会って結婚したんだ、そして、その息子さんがいて、自分がいて、そして自分が自分の望む方と結婚をして、そして、その結婚をするときに、一つの東京都民--まあ、都民ですよね、オリンピックの場を一緒に見ないかという、このストーリーというのはとっても、何というんですか、うまくできていて、また、その中で、お金がないが口癖だった友達は結婚した、そして、そうじゃなくて、ひとり暮らしがいいんだっていっていた友達は、それはそれで大変幸せな人生を送っているという、多様な価値観を認めるということをこの映像の中でも発信している。これも大変重要なことであって、短い時間の中でよくできているんじゃないんだろうかと。
これがいい形で、何というんですか、背中を押す、ダイバーシティーとしての、SDGsを掲げる東京都としての一つの施策として展開していくことを大いに望むわけであります。
そこで、お聞きしますけれども、この結婚に向けた機運醸成のために作成した動画、これに対して期待していた効果、それから、これから期待する効果、これは東京都としては、どのように思っているのか、この効果についてね。そしてまた、今後の活用についてはいかにこれを活用していくのか。この二点について見解を求めます。
○馬神都民活躍支援担当部長 都は、結婚を希望しながらも一歩を踏み出せないでいる方への後押しをするため、結婚に向けた機運の醸成に取り組んでおります。
本動画は、その一環として、結婚や家族、ライフプランについて考えるきっかけにしていただくことを目的として作成いたしました。ユーチューブの再生回数は現在約十二万回、多くのメディアでも取り上げられるなど、都民の大きな関心を呼ぶものとなりました。
結婚を望む方々に、みずからの結婚やライフプランについて考えていただくことで、一歩踏み出す後押しになったものと考えております。
今年度は、結婚を希望する方にさまざまな情報を総合的に提供するポータルサイトの開設を予定しており、本動画も掲載することによって引き続き活用してまいります。
今後とも、個人の価値観や人生観に十分配慮しつつ、結婚を希望する方の支援に積極的に取り組んでまいります。
○細田委員 よろしくお願いします。いろいろさまざま取り組んでいる区市町村なんかともよく連携して、さまざまな支援を、またそれをいろんな方々の後押しになるように取り組んでいっていただきたいなというふうに願い、要望いたします。
そして、先ほど、これもちょっと同じことで、AIの話が出ました。私の聞いたところによると、離婚率も、非常にマッチングがいいから離婚する人が少し少ないんだと、こんな話もあるようでございますので、ちょっと自分が検証したわけじゃないのでそれはわかんないですけれども、ぜひ情報同士のマッチングみたいなことも、ああ、こういうふうにしたらより次に進むのかなみたいなことをぜひ研究、検討していただいて、前に進めていっていただければなと、このように思います。
さて、それでは次に、私立高等学校の特別奨学金について伺います。
教育費の負担の軽減についてです。
保護者の経済格差が子供に受け継がれていく、この貧困の連鎖、これが社会問題化して久しいですけれども、家計の状況により受けた--または教育が制約される、こういうことをなくしていかなければならないことはいうまでもございません。そして、これからの社会を支える人材を育てる、また本当に、未来を担う子供たちを育む、こういう観点からも、教育費の負担の軽減、人への投資、重要な、重要な政策であります。
都では、修学上の経済的負担の軽減を大きな目的の一つとして、学校に対する経費の補助を行うとともに、特別奨学金補助など、保護者に対する負担の軽減のための助成をこれまで実施してきています。
そうした中で、東京都は、都議会公明党の強い要望を受けて、平成二十九年度から奨学金を大幅に拡充して、いわゆる私立高校の授業料の実質無償化を実施いたしました。
まず、この実質無償化を実施する前の平成二十八年度と、また実施後の二十九年度、この特別奨学金の受給の人数、これはどのようになっているのか、この点を確認したいと思います。
○金子私学部長 私立高等学校等特別奨学金の平成二十八年度の受給人数は五万四百五十八人、平成二十九年度は五万四千四百七十五人でございます。
○細田委員 実質無償化の取り組みについて、この二十八年度、それから二十九年度、今のご答弁の人数を比較しますと約四千人、これが増加していることになります。
この無償化の受給者がふえている。大変喜ばしいことですが、一方でことしの三月には、実質無償化により私立高校の人気がさらに高まって都立高校の志願者が減少している、こういう報道もございました。
平成二十九年度と三十年度の都内の私立高校、この入学者数についてはどうなっているでしょうか。その点についてお尋ねいたします。
○金子私学部長 都内私立高校の全日制の入学者数は、平成二十九年度が五万八千六百六十四人、平成三十年度が五万八千九百九人でございます。
○細田委員 都内私立高校への入学者数も約二百五十人増加しているということで、この人気の取り組みの効果が着実にあらわれている、このように思います。
実質無償化については、家庭の経済状況にかかわらず、生徒が多様な進路を選択できるようになるものでありまして、子供たちの将来の夢や希望をかなえる上で重要な取り組みであると高く評価しています。
都内私立高校に通う生徒は約十八万人いますが、平成二十九年度の受給者数と比較して、この割合は三割を超えていることになります。
一方、グローバル化やICT化など、子供たちを取り巻く環境は大きく変化をしてきています。こうした環境の変化に適切に対応していくためにも、生徒一人一人が持つ潜在的な力を十二分に引き出して伸ばしていくことが大切であり、そのためには、こうした教育費の負担の軽減の取り組みを確実に充実していくこと、点検しながら進めていくこと、これが欠かせません。
ぜひ都には、誰もが希望する教育を受けられるよう、今後も知恵を出して、工夫をして、汗を出して、教育環境の整備に努めてもらうよう要望をいたします。
続きまして、先ほどもちょっと質疑がありました私立幼稚園の預かり保育、これについて伺います。
東京都が七月三十日に発表いたしました都内の待機児数は五千四百十四人と、昨年同日比で三千人余り減りまして、十年ぶりに五千人台にまで減ったとのことですけれども、待機児解消に向けては、まだまだ道半ばでありまして、今後も取り組みを確実に進めていく必要があります。
私の地元の江東区の待機児数も、昨年度の三百二十二名から七十六名に大幅に減少はしたものの、いまだ待機児童がいる状況には変わりなく、このことは子育て世帯にとっても大変に切実な問題であります。
共働きの家庭も多い中で子供を長時間預かってほしいという、この保育ニーズに応えていくためには、保育所の整備を進めていくだけでは不十分であります。
こうした中で、教育時間終了後などに預かり保育に取り組んでいる私立幼稚園の果たす役割は、ますます大きくなってきています。預かり保育を促進することは、待機児童の解消だけではなく、家庭の状況や働き方などにかかわらず幼稚園での教育を望む保護者の方々にとって、その機会を提供していくということにもつながります。そのために、この支援を行うことはまことに重要であり、東京都としても、その充実に取り組んできたことだと理解をしております。
そこで伺いますが、幼稚園が行っているこの預かり保育の保育事業の実績についてはどうなっているのか、この点をお尋ねいたします。
○金子私学部長 私立幼稚園が行う預かり保育に対する補助事業につきましては、大きく二種類がございます。
一つが教育時間終了後二時間以上、春、夏、冬季の長期休暇中等に預かり保育を行う幼稚園に対する私立幼稚園預かり保育推進補助でございます。
それからもう一つが、区市町村から一時預かり事業を受託いたしまして預かり保育を実施する幼稚園等に対する私立幼稚園等一時預かり事業費補助でございます。
平成二十九年度の実績につきましては、私立幼稚園預かり保育推進補助が五百六十六園、約十億八千三百万円、私立幼稚園等一時預かり事業費補助が百六十三園、約四億七千六百万円となっております。
○細田委員 多くの実績が生まれている、このように理解しております。さらに拡充されていくように望んでおります。
多くの私立幼稚園が実施している、今ご答弁の中にあるこの預かり保育は、社会のニーズに応えているという現状がございますけれども、二十九年度からは、長時間預かり保育を実施する私立園を支援するTOKYO子育て応援幼稚園、この取り組みも始まった、このように聞いています。
TOKYO子育て応援幼稚園、この特徴はどうなっているのか、この点についてお伺いします。
○金子私学部長 TOKYO子育て応援幼稚園は、待機児童解消に向けて全庁的に進める多様な子育て環境を整備するための施策の一つであり、私立幼稚園等一時預かり事業費補助を活用いたしまして、共働き家庭などのニーズに応える私立幼稚園を支援する取り組みでございます。
具体的には、預かり保育を拡充いたしまして、働き方などにかかわらず保護者が幼稚園を選択できるよう、教育時間も含めて九時間以上、年間で二百日以上の預かり保育を行う幼稚園に対しまして、区市町村を通じて補助を行うものでございます。
さらに、二歳児までが対象の小規模保育施設を卒園後、再び子供の預け先探しに苦労する、いわゆる三歳児の壁解消にも寄与できるよう、こうした幼稚園が小規模保育施設と連携して三歳以降の子供の受け入れに取り組む場合には、補助額の加算を行うものでございます。
○細田委員 このような預かり保育に関する補助を充実していくことは、さまざまな保育ニーズにも応えることができて待機児の解消にもつながっていく、その一つであると、このように理解しております。
しっかり進めていただいて、また、まさに私立園であるからこそ教育が大事であるという考えのもとに、ただ、TOKYO子育て応援幼稚園というような、今おっしゃっていたような特徴がある、また、保育園もある、認可園もあるし、認証園もあるし、認定こども園もある、こういうふうな中で、一つの大きな特徴を持ってそのニーズに応える保育を実施していく、この多様な今の東京都の状況を考慮した施策を着実に実施していただくこと、このことを望み、要望いたします。
さて、次に、交通事故の相談について伺います。
都庁の三階で交通相談をやっていますけれども、警視庁によりますと、都内で毎年三万件以上の交通事故が起きております。生活文化局が都民の声総合窓口で行っている交通相談の平成二十九年度の相談実績は、七千六百七十一件とのことであります。まあ、単純に三万件で七千六百件というふうに割り切れないかもしれませんけれども、ただ、多くの声が寄せられている、相談されている、これは間違いない事実でありまして、相談者からは、都の交通事故相談はとても丁寧だと、丁寧に聞いていただける、このように聞いております。
私もこの下半期だけでも数件のお声が、交通事故の相談がありまして、どうしたらいいんですかね、細田さんと。ここに、こういう電話番号のがあるんですけど、ここに電話をかけて、そして相談すると丁寧に乗ってもらえると思いますよ、このようにお伝えした方々がみんな、とってもよかった、とっても親身に聞いてくれた、このように声が返ってきて、どうしてですか。いや、前に相談してしばらくたつんですけど、あなたの相談に対して、こういうふうな参考なことがありますよって新たにまた連絡をくれて送ってくれたと。
こういうような追跡もしてくれて、いわゆる待つ、ウエーティングの相談窓口ですけど、プッシュの取り組みも具体的にしてくれると。これはとってもいいですよ。
こういうような交通事故相談を行っていると、このように理解していますけれども、都の交通事故相談の特徴、東京都自体が理解している特徴、そして、ほかの相談機関とはどのような違いがあるのか、この点についてお尋ねします。
○濱田広報広聴部長 都の交通事故相談では、複数の相談員が常駐し、電話及び来所により、被害者、加害者双方からの相談を受け付けております。事故後の初期対応の相談からその後の損害賠償請求や示談に至るまでさまざまな相談に対し、専属の担当者を決め、解決まで継続して対応をしております。
現在九人の交通事故専門の相談員を配置するとともに、弁護士が毎日アドバイザーとして待機しておりまして、随時相談員に助言するなど、複雑、困難な事案に対しても適切に対応しているところでございます。
また、区市の交通事故相談窓口の多くが特定の曜日の開設で、相談時間を例えば三十分以内などと制限しているのとは異なり、都の交通事故相談は平日九時から十七時まで相談時間を制限しないで対応しております。
さらに、交通事故から生じるさまざまな問題を円滑に解決できるよう、交通事故相談のしおりを毎年度作成し、都民の声総合窓口で配布しているほか、ホームページに全文を掲載するとともに、関係機関の相談窓口にも配布しております。
このほか、区市の交通事故担当相談員等を対象として、毎年度テーマを設定し、研修会を開催しております。
○細田委員 大変に、九人の専門相談員、弁護士が毎日アドバイザーとして待機しているという、週何日弁護士の方がいらっしゃるとか、そういうことじゃなくて、専門的な相談ができるということは本当にいいなと思います。
このような交通相談について、七千六百件を超えるご相談があるわけですけれども、実際に皆さんが、都民が、みんながよく知っているわけではありませんから、もっともっと都民に広く知ってもらう、こういう必要があるんじゃないのかなと考えます。
もちろん、基礎自治体の窓口で、すぐに相談していくということもあるでしょう。でも、その中でまた、さまざまな相談の仕方ってあるかもしれないけれども、こういう今いわれたような取り組みがあるんだということを多くの方々に、さらに広く知ってもらう必要があるんだと思うんですけど、都はどのように考えますでしょうか。ご所見を伺います。
○濱田広報広聴部長 都の交通事故相談について、より広く都民に周知するため、先ほどのカードでございますが、ポスターや名刺サイズのPRカードを作成しておりまして、区市町村や都内警察署、救急医療機関などに配布をしております。
また近年は、自転車事故による重傷者がふえていることから、今後は、自転車で通学する学生、生徒向けに、都内の大学や高等学校へポスター、PRカードの配布を拡大するなど、積極的なPRに努めてまいります。
○細田委員 ありがとうございます。各区市においても、交通相談の窓口を設置しているところもありますけれども、開設日や相談時間に制限があるなど、確かに必ずしも使いやすいものであるといい切れるものではありません。
それなので、今いわれたように都の交通相談、相談体制が大変に充実していますから、安心して相談できるんだということで、今いわれたような施策をさらに確実に進めてほしいなと願います。
そして、自転車の事故の話もありましたけど、もう近年本当に多くて、そして命につながるような、高齢者がぶつけられて骨折されて、そして大変な目に遭ってしまうという事故も起きておりますから、今、自転車の保険に入るということはかなり進んできているとは思うんですけど、そういうものの普及啓発も、この相談のときにさらに進めていただいて、まさに、そういうことのかなめを担える、そういう窓口であるというふうに理解しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
さて、最後に配偶者の暴力対策について伺います。
私のところにも、これまでさまざまなDVの被害に対するご相談や声、これは私も区議会議員でございましたので、そういうことをいただいて、その声が届いてきた、こんなことがあります。
平成二十九年度における都内の配偶者暴力の相談件数というのは、過去最多、五万一千九百三十五件に上っていて、年々右肩上がりに増加しているという実態にあります。区市町村の警察にも多く多く本当に相談が寄せられている、このように理解しています。
生活文化局所管の東京ウィメンズプラザ、そして福祉保健局の所管の東京都女性相談センター、さまざまに連携を取り合って重要な役割を担いながら、具体的なご相談に乗っている、このように認識しておりますが、住民に最も身近な都内の区市町村において、総合的に相談に乗ってもらえる、そういうようなところ、窓口、またはシェルター等の対応や具体的な生活改善を助けてくれる、こういうところがある。これは非常に大切なことであります。
現在、配偶者暴力相談支援センター機能を整備している都内の自治体は十四区ほどありますけれども、平成二十九年度末では十三区と、この決算上では十三区になったと思いますけれども、このさらなる拡充というものが今まさに求められているんじゃないでしょうか。
そこで伺いますけれども、平成二十九年度の状況を踏まえて、被害者支援のさらなる充実に向けて、東京都は被害者支援の中心的な役割を担う区市町村の配偶者暴力相談支援センター等をふやすために、今後、いかに支援をしていくつもりなのか、この点のご所見を伺います。
○稲葉男女平等参画担当部長 都は、昨年三月に改定しました東京都配偶者暴力対策基本計画におきまして、平成三十三年度までに二十の区市町村で配偶者暴力相談支援センター機能が整備されることを目標に掲げ、区市町村におけるセンター機能の整備促進に向けた支援を行ってございます。
平成二十九年度は、相談員の養成などの各種研修や、配偶者暴力相談支援センター機能整備に資するさまざまな情報を盛り込んだ区市町村向けのメールマガジンなどを発行いたしました。
また、センター機能が整備されていない区市町村に対しては、都の担当者が出向きまして、センター機能整備に必要な情報提供や技術支援を通じた働きかけを行ってございます。
今後とも、被害者が身近な地域において相談から生活再建、自立に至るまで一元的に支援を受けられるよう、都は、区市町村に対する積極的な支援に取り組んでまいります。
○細田委員 今おっしゃったように確実にふやしていっていただく、三十三年度までにさらにふやす。また、センターって名前がついていないのかもしれないけど機能を持っているところも着実にふやす、こういうことを今おっしゃっていただいたように確実に進めていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○とや委員 よろしくお願いします。
私からも、若干重なりますが、私立高校生の学費負担軽減の施策について、まず伺っていきたいと思います。
私ども日本共産党の都議団は、これまで繰り返し高校生の学費の無償化、負担軽減を求めてまいりました。
二〇一七年度は、小池知事が都民の要望を受け、私立高校生への東京都の授業料軽減補助の拡充を行った年でした。
まず改めて、二〇一七年度には、前年度と比較して私立高校生の学費負担軽減のどの部分を拡充したのか伺います。
○金子私学部長 私立高等学校等特別奨学金補助につきましては、所得階層に応じて平均授業料の一定割合を補助する制度だったものを、平成二十九年度から年収約七百六十万円未満の世帯に対しまして、国の就学支援金と合わせて都内私立高校の平均授業料額まで支援できるよう支援額を拡充したものでございます。
○とや委員 年収七百六十万円未満の世帯は、平均授業料、二〇一七年度は四十四万二千円までは授業料が無償になったということで、子供たちの教育を受ける権利を保障する上で大きな一歩だと私どもも大変評価をしております。
今回、拡充後初めての決算となるわけですが、二〇一六年度と二〇一七年度の決算の金額、そしてこの拡充によってどのくらい受給者がふえたのか、その人数と私立高校生全体に対する割合を、申しわけありません、もう一度お願いします。
○金子私学部長 私立高等学校等特別奨学金補助の補助額と受給者数につきましては、それぞれ、平成二十八年度の補助額が約五十三億六千万円、受給者数は五万四百五十八人でございます。平成二十九年度の補助額が約百二十三億二千万円、受給者数は五万四千四百七十五人でございます。二十八年度と比べ、平成二十九年度の受給者数は約四千人増加いたしました。
平成二十九年五月一日現在の都内の全日制、定時制の私立高校生徒数は約十七万六千人であり、受給者数の占める割合は三〇・九%でございます。
○とや委員 二〇一七年度の受給者数は前年度に比べて四千人ふえたと。私立高校生全体に占める受給者の割合は三〇・九%になりました。
一六年度の私立高校生の数も、学校基本統計で調べましたら十七万七千人というふうになっていますので、この年は受給者の占める割合は二八・六%というふうになっています。二〇一七年度の方が人数、そして割合ともに少しふえているという状況であります。
補助の拡充が発表されたのが二〇一七年の年明けで、中学三年生のかなりの方たちは既に受験校を決めている時期でもありましたので、補助が拡充されたから私立高校に行こうと考えた生徒さんも、このときは余り多くなかったのかもしれません。
補助拡充二年目となったことしの春は、都立高校の定員割れがニュースになって、補助拡充で私立に行きやすくなったことも原因の一つではないかといわれていましたけれども、授業料の負担軽減の効果、またこの先どのような施策の拡充が必要なのかを考えるためにも、ぜひ引き続き推移を私どもも見守っていきたいと思っております。
今、二〇一六年度と一七年度の受給者数の実績についてお答えいただいたんですが、きょういただきました資料の私立高等学校等授業料軽減助成事業の実績を見させていただきました。平成二十五年度、二〇一三年度は受給者数が三万九千人、二十六年度、一四年度が四万二千人、一五年度が四万七千人、そして一六年度が五万人、一七年度が五万四千人と年々ふえてきております。
私立高校生の全体は十七万六千人から七千人でほとんど変わっていませんから、補助の対象となる所得階層の方の私学への進学がふえたということはいえるのではないかと思います。
その背景なんですけれども、二〇一四年度からは高校一年生について国の高校就学支援金の年収五百九十万円未満の世帯の金額が拡充をされました。それが一五年、一六年度と学年進行で進んでいった。さらに、一七年度は東京都の授業料補助を拡充したと。やはり学費負担が軽くなることで私立を選ぶ生徒さんがふえたということだと思います。家庭の経済状況にかかわらず受けたい教育を選べるようになるという点では、ここは大きな注目ポイントだと思っています。
同時に、私学に通うには学費がまだまだかかって大変だというふうな声も伺っています。
そこで伺いたいと思うんですが、私立高校の学費負担は授業料だけではありません。現在、国や都の支援金を差し引いても保護者の負担はかなりあると思いますが、私立高校の学費について現状をお答えください。
○金子私学部長 都内全日制私立高校の平成二十九年度の初年度納付金の平均額は、授業料が約四十四万九千円、そのほかに入学金が約二十五万円、施設費その他が約二十一万三千円で、平均合計額は約九十一万二千円でございます。
○とや委員 高いですね。昨年度九十一万二千円ということです。今年度は九十一万九千円にふえております。この金額を見ますと、国の支援金と都の補助金の合計四十四万二千円を差し引いても、約五十万円は自己負担をしなければなりません。
二〇一七年度の拡充策は、拡充された部分は主に所得が高い側の人たちで、それはそれで大変重要なことだと思っていますけれども、一方で、生活保護世帯の生徒への支援額は、もともと授業料平均額まで無償となっていましたので、変化がありません。低所得世帯の生徒への支援の拡充もほんのわずかでした。そのため、生活保護や住民税が非課税の方でも、今でも初年度平均約五十万円は自己負担をしなければなりません。
昨年度の授業料補助拡充の恩恵が、低所得者の人たちにはまだまだ届いていないということに対する東京都の認識を伺います。
○金子私学部長 平成二十九年度の特別奨学金の拡充は、私立高校が公教育に果たす役割を踏まえ、できるだけ多くの世帯の保護者の経済的負担を軽減することを目的としたものでございます。
具体的には、支給対象の所得区分のうち、都の四人世帯の平均年収である約六百六十万円が含まれる年収約七百六十万円未満の区分まで拡充しているところでございます。
○とや委員 そちらの方向の拡充もとても重要だと思いますが、同時に、低所得家庭ほど私学に進学する生徒が少ないことは、ほかの調査からも明らかになっております。しかも、きょういただいた資料の五年間の変化を見ても、受給者数の伸びが少ないです。特に保護家庭の生徒たちの数はほぼ変化がありません。
負担はまだまだ重たくて、なかなか私立を選べる状況にありませんし、今度はそちらに焦点を当ててもらうことも必要だということを示しているのではないかと思います。
生活保護世帯で私立に通っていた、ある生徒さん。私も区議会議員をやっていましたから、たくさん相談を受けました。学費が足りなくて、このとき、保護を申請したときには既に私立に行っていたんですけれども、結局、私立ってなかなかアルバイトを許可されなかったりします。だけど、黙って本人がアルバイトするしかなかった。部活動もやめて働いてやっと卒業をしましたけれども、実際は私立に行くことが非常に困難だというふうにおっしゃっていました。
さらに、保護世帯については、ケースワーカーからも、生保世帯は都立高校にせよと指導が入っています。
憲法では、教育の機会均等、学校選択の自由がうたわれていますが、低所得世帯は自由に学校を選択できないのではないでしょうか。
○金子私学部長 都はこれまでも、低所得世帯を中心に都の特別奨学金や国の就学支援金によりまして授業料の保護者負担の軽減を図ってきており、生活保護世帯につきましては、都内私立高校の平均授業料額までの支援を行ってきたところでございます。
今後も、幅広い施策を総合的に活用いたしまして、低所得世帯の子供たちも希望する教育が受けられるよう着実に取り組んでまいります。
○とや委員 また、先ほどお答えいただいた授業料四十四万九千円、入学金二十五万円、施設費その他二十一万三千円、合わせて九十一万二千円のほかに、高校生の学費としては教科書代だとか副教材費、修学旅行、校外学習の費用もかかります。制服や体操着、部活動や通学定期などの費用も必要です。
せめて、学校への納付金、二〇一七年度平均額でいえば九十一万二千円全体をカバーできるよう支援を広げるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○金子私学部長 これまでも都は、私立高校に対する経常費補助を通じて、授業料や施設費等、学校納付金の抑制に努めるとともに、特別奨学金を拡充してきたところでございます。
さらに、授業料以外の教育費負担を軽減するため、奨学給付金を支給するとともに、入学支度金貸付制度を平成二十九年度から拡充するなど、保護者の負担軽減に努めてまいりました。
今後も、こうした幅広い施策を総合的に活用し、家庭の経済状況に左右されることなく子供たちが教育を受けられるよう、保護者負担の軽減に努めてまいります。
○とや委員 今、貸付金のお話がありました。入学支度金、それから育英資金は貸付金です。返済しなければなりません。高校生の段階から借金を背負うことになるわけです。
私たちとしては、今回の拡充については、先ほども申し上げましたけど、一定の評価はさせていただいているし、歓迎をしたいと思っています。今後とも、高校生の置かれた状況をよく分析をしていただいて、支援の拡充をお願いしたいと思います。
さらに、低所得の家庭の生徒さんはもちろん、年収七百六十万円以上の方々の支援も、まだ十分というわけではありません。子供が二人、三人いれば、本当に日本は学費高いですからね。ぜひそういった声に応えていただいて、私学教育への支援、教育予算の思い切った拡充を要望して、次の質問に移ります。
次は、私立外国人学校教育運営費補助について伺っていきたいと思います。
東京都は、一九九五年以来、都内にある私立の外国人学校の運営費補助を行っていますが、近年、都内在住の外国人の方々は約四十万人を超えています。外国籍の子供たちが学ぶ場所として私立の外国人学校はなくてはならない学校です。国籍を問わず、子供たちの学ぶ権利を保障することは、国や行政の責任でもあります。そうしたもとでの外国人学校の運営費補助事業は、とても大事な事業だと思っています。
そこでまず、私立外国人学校運営費補助の目的、そして二〇一七年度予算、決算、生徒一人当たりの単価について伺います。
○金子私学部長 本補助金の目的は、私立外国人学校の教育条件の維持向上及び在学する日本国籍を有しない幼児、児童及び生徒に係る修学上の経済的負担軽減を図ることでございます。
平成二十九年度予算は八千二百八十九万円、決算は約八千二百三十八万九千円でございます。また、生徒一人当たりの単価は一万五千円でございます。
○とや委員 決算額については八千二百三十八万九千円、生徒一人当たりの単価は一万五千円ということです。
国際人権法上認められている母国語、それから自分の国の文化を学習する権利、機会を保障され、都内でも多くの外国人学校が補助を受けて学んでいると私も伺っております。
平成二十九年度に補助金を交付している学校の数について、まずお答えいただけますか。
○金子私学部長 平成二十九年度に補助金を交付している学校は、十六校でございます。
○とや委員 十六校に補助金を交付しているということですが、補助金交付の要件はどのようなものでしょうか、お答えください。
○金子私学部長 補助金交付要綱で定めている要件は、東京都知事が認可した私立各種学校のうち、専ら外国人を対象とし我が国の幼稚園、小学校、中学校または高等学校の課程に相当する課程を有する外国人学校で、知事が指定するものでございます。
○とや委員 補助金要綱では、都知事が認可した私立各種学校であること、そのうち、専ら外国人を対象として、我が国の幼稚園、小学校、中学校または高等学校の課程に相当する課程を有する外国人学校だということです。
この補助があることで、教職員の人件費、教育研究費などを賄うことができています。
そこで伺いたいのですが、都知事が認可した私立各種学校のうち、幼稚園や小学校、中学、高校などの課程に相当する課程を有する外国人学校は幾つありますか。
○金子私学部長 平成二十九年度時点で二十六校でございます。
○とや委員 先ほどの答弁では、二十九年度に補助金を交付している学校は十六校。今のご答弁は二十六校でした。補助金が交付される学校数と都知事が認可した外国人学校の数が違うのは、なぜでしょうか。
○金子私学部長 補助金交付要綱の附則におきまして、朝鮮学校十校につきましては、別途知事が定めるまでの間、補助金交付対象から除いているためでございます。
○とや委員 朝鮮学校には補助金が交付されていないという答弁でした。
私どもは、直近では二〇一四年に質疑をさせていただきましたが、この質疑の際、学校法人としての財産の管理運用の適正化に向けて、なお改善を要する事項が残っているということでした。
現在の状況はどうなっているのか、また、いまだに補助金をなぜ交付しないのか伺います。
○金子私学部長 財産の管理運用につきましては、事実上、学校法人の財産を第三者の債務弁済のために損失する結果となっております。補助金につきましては、財産管理の問題だけでなく、学校運営等の実態を確認するための調査結果等を総合的に勘案して、朝鮮学校に補助金を交付することは都民の理解が得られないと判断しているところでございます。
○とや委員 財産問題の現状については、課題はほとんど解決しています。最後の一つについても、解決のために特段の努力をしていると伺っています。それは東京都も知っているはずです。
そして、財産管理の問題だけでなく、今のご答弁では、総合的に勘案してとおっしゃっていますけれども、財産管理の問題のほかに、補助金交付の要件を満たさない学校運営の状況があるのでしょうか。教えてください。
○金子私学部長 補助金の交付につきましては、財産管理の問題だけでなく、学校運営等の実態を確認するための調査結果等を総合的に勘案して、朝鮮学校に補助金を交付することは都民の理解が得られないと判断しているところでございます。
○とや委員 今の答弁は最初の答弁と同じでした。
過去の経過を振り返りますと、東京都は二〇一〇年度に補助金要綱に附則をつけて改正しました。補助金の交付学校から朝鮮学校を除くというものです。このときどういう状況だったのかと調べてみますと、政治や外交の問題を、日本で学んで暮らしている朝鮮学校の子供たちの教育に持ち込んで、報復まがいのやり方で石原知事が補助金を停止しました。
そして、要綱を改正し、朝鮮学校を除くことを決めてから、決めてからですね、学校に調査に入るという異常なやり方をとりました。
改正理由について、情報公開資料も見せていただきました。二十二年度の補助金は、別途知事が定めるまで保留としていますが、次の年、二十三年は、その後、情勢に変化がなく、補助金交付の可否を判断できる状況にないことから、改めて朝鮮学校への補助を別途知事が定めるまで保留するとしています。補助金交付の可否を判断できないといっています。
情勢とは一体何でしょうか。可否を判断できないというのはどういうことなのか、お答えください。
○金子私学部長 補助金につきましては、学校運営等の実態を確認するための調査結果等を総合的に勘案して、朝鮮学校に補助金を交付することは都民の理解が得られないと判断したものでございます。
○とや委員 同じ答弁しないでください。情勢とは一体何を指しているのか、可否を判断できないとは、どういうことなのか、もう一度お答えください。
○金子私学部長 学校運営等の実態を確認するための調査結果等を総合的に勘案して、朝鮮学校に補助金を交付することは都民の理解が得られないと判断したものでございます。
○とや委員 じゃ、もう一度聞きますが、総合的というのは何をもって総合的というのか、具体的にお答えください。
○金子私学部長 学校運営等の実態を確認するための調査結果等を総合的に勘案して、朝鮮学校に補助金を交付することは都民の理解が得られないと判断したものでございます。
○とや委員 実態ということでしたけれども、ちょっとここで伺っておきたいんですけれども、補助要件について、朝鮮学校は、都の要綱にある、我が国の幼稚園、中学校、高校等の課程に相当する課程を有する外国人学校でありますか。
○金子私学部長 朝鮮学校は、我が国の幼稚園、小学校、中学校または高等学校の課程に相当する課程を有する外国人学校で、知事が指定するものとして補助金交付要綱に位置づけられておりますが、同交付要綱の附則において、朝鮮学校十校につきましては、別途知事が定めるまでの間、補助金交付対象から除いているところでございます。
○とや委員 要するに、朝鮮学校は、都の要綱上、きちんと定められた学校なんですよ。ところが、先ほど来答弁いただいているように、総合的にだとか別途知事が定めるまでとかいろいろいって、結局、具体的におっしゃったのは財産管理だけです。具体的なことは何もいえないではありませんか。
外国人学校に補助金を交付する際の要綱にのっとった運用、そして子供の教育の機会均等、学習権といった背景を無視して、政治、外交を持ち込んだから、こういうことになってしまっているんです。
もっとお聞きしたいんですが、都は二〇一〇年に朝鮮学校の補助金を打ち切っていますけれども、このとき、学校に入って百二十二冊もの学校の教科書を押収し、調査をしています。
ほかの学校の補助金の調査の際、このようなことをしたことはありますか。
○金子私学部長 まず、このときの補助金に関する調査は必要に応じて実施しているものでございまして、この調査では、押収ではなく、朝鮮学校の設置者である朝鮮学園の了承を得た上で行っており、調査終了後、教科書は返却しているところでございます。
なお、外国人学校教育運営費補助に関しまして同様の調査を行ったことは、これまでのところはございません。
○とや委員 朝鮮学校にしか、こんな踏み込んだ調査はしたことないんですよ、東京都は。
私は朝鮮学校に視察をさせていただきました。そこで行われている教育も見学しました。生徒さんや学校の教職員、保護者の皆さんからもお話を伺いました。ここでは、日本の学習を初めとして、国際社会に対応できるようにと日本と世界に関する幅広い知識を取り上げて、日本史も、世界史も、日本の地理も、世界の地理も学んでいました。
東京都は、朝鮮学校の調査に入ったときの報告書の中で、おおむね日本の学校に準じたカリキュラムと、ここまではちゃんと評価しています。同時に、朝鮮学校の歴史的経緯を見れば、日本に深く根差した生活をする在日コリアンの子供たちが通う学校です。民族教育を軸に据えた学校教育、そして子供たちがアイデンティティーをきちんと持っていることが可能な教育をする、そうした実践をする場としても社会的評価が形成されているともいわれております。
ところが、東京都は、教育課程上問題がないのに、ほかの外国人学校に対してはあり得ない差別的対応で、朝鮮学校にのみ不必要な調査をしています。教育内容にまで踏み込んでいるわけですよ。
二〇一〇年に、文科省の授業料の無償化について審査基準が発表されています。ここでも教育内容は問わないとなっているんですよ。
私は、この間の朝鮮学校に対する皆さんの調査のやり方、本当にひどいと思っています。行政がこんなことをしてよいのかと。憲法が禁じている、教育への介入は禁じていますよね。これに抵触するのではないか。憲法違反じゃないですか。いかがですか。
○金子私学部長 朝鮮学校につきましては、学校運営等に対するさまざまな疑義が呈されたことから、その実態を確認するための調査を実施したものでございまして、朝鮮学校の設置者である朝鮮学園の了承を得た上で行っているものでございます。
○とや委員 憲法違反かどうか聞いたんですけどね。
それで、朝鮮学校の設置者である朝鮮学園の了承を得たとおっしゃいますけど、補助金をもらえるかどうかというときに、学校が東京都の調査を断れると思いますか。大分大勢で押しかけたらしいですけれども、断れるわけないじゃないですか。それでも、教育については、自分たちの教育については何もいわれることはないということで、朝鮮学園側は教科書百二十二冊提出したという経過があったんです。
外国人学校に対する補助金の支給は、その学校に在籍する生徒が日本国憲法二十六条一項、十四条、児童の権利に関する条約三十条、国際人権A規約第十三条、人権差別撤廃条約などに保障されている、学習権、民族教育を受ける権利を実質的に保障するために行われている措置です。これは紛れもない事実です。
お聞きしますけれども、補助金の支給を停止し続けることは、朝鮮学校に通う生徒の人権を侵害する重大な結果を招くことになるのではないか。来年度の概算要求に朝鮮学校の補助金も入れて、知事の判断を仰ぐべきではありませんか。お答えください。
○金子私学部長 学校運営等の実態を確認するための調査結果等を総合的に勘案して、朝鮮学校に補助金を交付することは都民の理解が得られないと判断したものでございます。
なお、私立外国人学校教育運営費補助の目的につきましては、先ほどご答弁したとおりでございます。
○とや委員 先ほどから同じ答弁しかできないんですよね。違うこと聞いているのに。正面から答えてもらえないというか、答えられないのかなと思いますけどね。
東京都は第三回定例会、この間、議会は終わりましたけれども、人権条例を可決しました。この条例は、オリンピックを開催する都市として、外国人の人たちに対するヘイトスピーチも含めて、いかなる差別も禁止するというものです。
東京都がやっていることは、みずからつくった条例にも違反する、そういう差別です。違いますか。憲法違反だけじゃないですよ。自分で条例をつくっておいて、つくった条例にすぐに違反をしていると。
もう一つ重大な違反があります。
日本は国際人権規約に批准していますけれども、国内法よりも上位の効力を持つというものです。ことしも国連人種差別撤廃委員会から勧告がありました。二〇一四年、そして一八年の朝鮮学校部分の勧告について読んでください。
○金子私学部長 まず、二〇一八年八月に国連人種差別撤廃委員会において採択された日本の第十回・第十一回定期報告に関する総括所見では、委員会は、韓国、朝鮮人の生徒の差別のない平等な教育の機会を保障するため、朝鮮学校が高等学校等就学支援金の支給に当たり不公平な取り扱いをされないことを保障すべきという前回の勧告を繰り返すとされております。
また、二〇一四年九月に国連人種差別撤廃委員会において採択された日本の第七回・第八回・第九回定期報告に関する最終見解では、委員会は、a、高等学校等就学支援金制度からの朝鮮学校の除外、及びb、朝鮮学校に対し地方自治体によって割り当てられた補助金の停止あるいは継続的な縮小を含む、在日朝鮮人の子供の教育を受ける権利を妨げる法規定及び政府の行動について懸念するとされております。
○とや委員 読んでいただきましたけれども、ちょっと一点抜けたと思うので申し上げたいと思います。
二〇一八年の八月三十日付で出ている懸念及び勧告の中で、委員会は、前回の、要するに二〇一四年の総括所見における複数の勧告が実施されていないということを懸念するというふうにいっています。そして、委員会は、締約国に対し、今回及び前回の総括所見に含まれる勧告の実行を確保することを勧告するというふうにいっているんです。
国際人権規約、国連の勧告にも違反している。それが今東京都がやっていることであります。余りにも、国際的にも、こういった勧告を軽んじているとしか思えません。
これまで質疑をしてきて、私は、結局、東京都は--国もそうですけどね、民族差別を行っているとしか思えないです。オリンピックを前に控えて、本当にどの国とも仲よくしていこう、民族間の争いを乗り越えようといっているときに、こんなことをしているんですよ。
質問としては最後、伺いたいんですが、生活文化局のホームページ。一旦ホームページ上から削除されていた朝鮮学校の報告書が現都政になって再度掲載されています。なぜですか。
○金子私学部長 朝鮮学校調査報告書につきましては、平成二十八年二月の生活文化局ホームページのリニューアルに伴う全体構成の見直しの中で報告書の掲載を終了することといたしました。しかしながら、本報告書は貴重な資料であることから、同年九月、ホームページに改めて掲載することといたしました。
また、平成二十九年四月、不適正な管理運用があった施設、財産のその後の状況につきましてもホームページに掲載をいたしました。
○とや委員 貴重な資料は全部ホームページに掲載するんですか。だったら、貴重な資料、みんな掲載してくださいよ。本当に差別と偏見に満ちた判断だといわざるを得ません。
日本は、二〇一六年に本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律も制定しています。ところが、今もって、ヘイトスピーチは各地で行われているんです。
東京都がホームページに朝鮮学校を排除する報告書を掲載し続けることがヘイトを強調するといわれても仕方ないではありませんか。
そして、東京都が朝鮮学校の補助金を停止している、同じ外国人学校なのに排除されている、そのことで子供たちがどれだけ傷ついているか考えたことがありますか。私は、ぜひ考えていただきたいと、知っていただきたいと思っています。
この問題を憂慮している少なくない日本人の人たちからも、一部の人たちが汚い言葉でののしるより、行政が排除することが怖いと。そして、元文部科学事務次官の前川喜平さんは、こうした補助金を払わない、就学支援金も払わない、こういった行政や国に対して官製ヘイトだといっています。
この間、三回にわたって行われた南北首脳会談があります。そして、史上初の米朝首脳会談を通じて、東アジアは七十年以上続いてきた戦争状態から、恒久的な平和へと向かいつつあると、これは誰もが同じように認識していることだと思うんです。
先ほどもいいましたけど、朝鮮学校に行って私は思ったんですけど、在校生はスポーツの面でも各種の大会に出場して、卒業生は学者や文化人としてその知見を生かして社会に貢献をしています。しっかり税金も納めて、都民として働いているではありませんか。
そうした中、ただただ日本だけが朝鮮に対して敵視政策に固執している。それに歩調を合わせるように、東京都も朝鮮学校を補助金から締め出して、この中止を今後続けるのであれば、私は、日本は東アジアにおける孤立をより深めるだけであり、東京都も同じような恥ずかしい立場に追い詰められていくというふうに思います。
先ほど部長は、都民の理解が得られないといいましたけれども、私から見れば、多くの人たちから見れば、国家間の紛争に子供を巻き込むような、そんなことをする東京都や国が、むしろ都民から見ても理解も納得もいかない、そういうふうに映ると私は思っています。
私、考えたんですけど、この国家間の紛争だとか、政治とか、そういうものに子供たちを巻き込むということは、ある人がいっていましたけれども、何を意味するかと。戦争になったら学校を弾圧してもいいのかと、そういうことになっちゃうんですよ。
ぜひこういった恥ずかしいことはやめて、オリンピック・パラリンピックを前にしているわけだから、仲よくできるように、東京都が胸を張って、東京でオリンピックを開催して、きちんとどの子もひとしく学べるような、そういう都政を目指していただきたい。補助金の再開を求めまして、私からの質問を終わります。
○鳥居委員 それでは、私からは、女性活躍支援推進のための機運醸成について伺わせていただきます。
東京の活力を高めるためにも、大きな潜在力を有している女性の活躍、これが不可欠であると思います。
私は前職で多くの女性が働く職場で仕事をさせていただいておりました。職種は研究部門でございまして、また営業とは違う個性的な女性社員が多くおりました。男性及び女性の社員と寄り添いながら、また時にはいろいろな意見交換をするのが常でございました。
そういう中で、女性を対象とした職場の、やはり改良、改善点というものも多く肌で感じてきたところでございます。
職場、家庭、地域などのあらゆる場で女性の活躍が進むこと、これは、望ましいということはいうまでもございませんし、そして男性も女性も生き生きと豊かに暮らせるまち、そのような東京の実現に向けて社会全体の機運醸成は重要と考えております。
貴局におかれましては、全ての女性が意欲と能力に応じて多様な生き方が選択できる社会の実現に向けて機運醸成に取り組まれておられます。
そのような中で、平成二十九年三月、東京都は女性活躍推進計画を策定し、これに基づいて諸施策を進められております。策定の趣旨、計画の位置づけ、特徴について、改めて伺います。
○稲葉男女平等参画担当部長 都はこれまで、男女平等参画のための東京都行動計画によりまして、女性の活躍推進を含む各種施策を積極的に進めてまいりましたが、平成二十七年に女性活躍推進法が施行され、推進計画の策定が都道府県の努力義務となりましたことから、行動計画の改定に当たり、これまで以上に女性の活躍推進の比重を高めた東京都女性活躍推進計画を新たに策定いたしました。
女性活躍推進計画には、働く場における男女の機会均等や格差の是正、働き方の見直しや男性の家庭生活への参画促進等を通じたライフワークバランスの実現、地域社会とのかかわりを通じた活動機会の拡大など、幅広い施策を盛り込んでございます。
また、女性の活躍推進には、多様な分野における取り組みが必要であることから、行政の施策だけでなく民間団体の取り組みもあわせて掲載し、都と民間団体が連携協力して女性活躍を進める計画となっております。
○鳥居委員 女性活躍推進に向け、東京都女性活躍推進計画等を策定されていること、これらに基づいた諸施策が計画的に推進されていることを示していただきましたし、多様な分野における取り組みを重要と捉えて、行政の施策だけではなく、都と民間団体が連携協力をして女性活躍を進める計画であるということもわかりました。
新たな計画に基づいて幅広い施策を進めておられますが、平成二十九年度決算を見ると、女性活躍推進のための機運醸成を含む男女平等参画の企画調整に係る経費については、執行率が五五・三%と低くなっております。その理由について伺います。
○稲葉男女平等参画担当部長 女性活躍推進の機運醸成でございますが、平成二十九年度は、ライフワークバランスの推進の取り組みの一つとして、テレワークの普及啓発に係る事業の実施を予定してございましたが、実施に当たりまして、より効果的な事業執行を図るため、産業労働局と役割分担を行い、生活文化局は、個人に向けた普及啓発を進めることといたしました。
また、これまで海外から講演者を招聘するなどして実施してまいりましたシンポジウムにかえて、知事みずからが発信する、女性が輝くTOKYO懇話会を新たに実施したことで経費が大幅に削減されたものでございます。
○鳥居委員 他局との役割分担を行い、貴局の特徴を生かした効率化を進めること、また、計画の内容を見直して、その方法を更新して、その結果、経費削減にも貢献されているということは評価したいと存じます。
全ての女性が意欲と能力に応じて多様な生き方が選択できる社会を実現するためにも、女性活躍推進をご担当されている貴局におかれましては、さらなる効率的な取り組みの拡大を希望いたしますが、事業の必要性の熟慮や客観的な効果の見える化、このようなことも配慮して進めていっていただけたらと思います。
最後に、計画に基づき新たな機運醸成の取り組みも始まったと承知していますが、その具体的な内容と成果について伺います。
○稲葉男女平等参画担当部長 女性活躍推進の機運を高めるために、女性が活躍するには家族や職場など周囲の協力が必要であるというメッセージを込めましたPR動画やポスターを新たに作成しまして、トレインチャンネル等の交通広告やインターネットなどを通じた普及啓発を行いました。
さまざまな媒体により集中的に広報展開を行うことで、これまで女性活躍に関心が薄かった方々に対しても女性活躍の重要性を発信するなど、一層の機運醸成に取り組みました。
また、女性の活躍の重要性について知事みずからが発信、提言を行う場として、女性が輝くTOKYO懇話会を新たに開催し、働く前から考えるキャリアデザインをテーマに、女性活躍に見識の高いジャーナリストと企業の役員、管理職として活躍する女性を迎え、みずからの職業生活や子育て経験も踏まえたメッセージを知事とともに伝えていただきました。
当日の様子は、東京都公式動画サイト、東京動画においてインターネット中継を行いましたほか、ウエブサイトなどを通じて広く発信いたしました。
参加者の皆様からは、これから働くのが楽しみになった、就職活動やキャリアデザインの参考になったといった感想を多くいただいたほか、テレビニュースでも取り上げられたことで効果的な情報発信につながったと考えてございます。
○鳥居委員 冒頭に述べましたように、女性活躍推進のための機運醸成が進めば、これからの社会も大きく変わっていくのではないでしょうか。庁内関係局と連携をして、また、効率的な執行を図りつつ、見えないところで生じるような課題に対しても、きめ細やかな配慮、これを行っていただき、積極的な事業展開を進めていただきたいことをお願いして、私の質疑を終わりたいと思います。
ありがとうございました。
○和泉委員 私からは、経済的困難を抱えた子供さんの学びを支える取り組みについて質疑をさせていただきます。
私のところに、ことし二月ですけれども、ある方から相談がありました。大学四年生の姉、高校三年生、中学生の二人の弟、この三人の子供さんがいるシングルマザーからです。ご本人は鬱病と、それから線維筋痛症という病気を抱えて働くことができないため、生活保護を受けています。大学生のお姉さんは既に就職が決まっていましたけれども、四年生のとき奨学金が受けられず、高校生の弟の分として受給していた奨学金を大学の学費に充当しました。お母さんの体調がとても悪い時期と重なってしまって、就学支援金の申請期限が過ぎてしまい、奨学金も大学の学費の方に充当していたため、高校の授業料が滞納になってしまいました。
お母さんは十一月になって、滞納があるからセンター試験の調査書は書けないと学校側からいわれて初めて、申請をしていないということに気づいたそうです。
結局、この高校生の弟は学校から調査書を書いてもらうことができず、センター試験も、一般受験も受けることができませんでした。
たとえ家庭の経済状況が困難であっても、生徒本人の責任ではない理由で学校が生徒を退学や除籍にしたり、ましてや、大学受験に必要な手続をしないなどということはあってはならないと思いますが、都の見解を伺います。
○金子私学部長 授業料滞納を退学理由とするかどうかは各学校の判断に委ねられるものでございます。しかしながら、授業料滞納が生じた場合でも、例えば支払いに猶予期間を設けたり、あるいは奨学金、貸付金等の制度をご案内したりするなど、丁寧な対応を行うことや、大学進学に当たっても学校が必要なサポートを行うなど、家庭の事情や生徒の心情に配慮した対応がとられることが望ましいというふうに考えております。
○和泉委員 私は、たとえ授業料の滞納があっても、受験のための調査書作成を学校側が拒んで本人の進学の道を阻むようなことは絶対にあってはならないというふうに思います。
この高校生だった弟は、今、私立大学の通信制で学んでいます。くじけず、人生の展望を失わず、頑張ってほしいと心から思います。
全ての子供の学ぶ意欲に寄り添って支えることは、貧困の連鎖を断ち切り、若者が力強くみずからの人生を歩いていくために、そして、さらには豊かな日本の未来のために、とても重要だと考えます。
この立場から、経済的に困窮している世帯の子供への支援について、引き続き質疑を続けます。
生活保護世帯の子供が私立高等学校に通う場合の授業料負担について、受けることができる助成、給付、軽減、先ほど来繰り返しご答弁がありますので、繰り返して聞くことは避けたいというふうに思います。
就学支援金と特別奨学金、合わせて都内私立高校の平均授業料までは支援がされる。けれども、それも十分ではないということは、先ほどの、とや委員の質疑でも明らかになりました。
なお、授業料以外の負担軽減としても、奨学給付金というものがあります。平成二十九年度は生活保護世帯に対して幾ら支給をされているのか伺います。
○金子私学部長 平成二十九年度は生活保護世帯に対して五万二千六百円を支給しております。
○和泉委員 私立高校の平均授業料までの支援、授業料以外の負担軽減、こういったことがあると。五万二千六百円が授業料以外の負担軽減として支給をされているという答弁でしたけれども、先ほどのケースのように、就学支援金も特別奨学金もだめで、授業料が滞納になってしまい、受験すらできなかったというケースが実際にあった。このことをまずしっかりと受けとめておいていただきたいと思います。
高等学校等就学支援金は、学校が定める日におくれて書類を提出した場合、学校受け付け日の属する月の翌月から支給が開始されるとなっています。この学校が定めた日におくれたために高等学校等就学支援金の対象から除外された、そういう生徒の数を都は把握しているんでしょうか。
○金子私学部長 就学支援金の認定の申請につきましては、高等学校等就学支援金の支給に関する法律において、在学する高校の設置者を通じて行うこととされております。
このため、学校における申請書の取り扱いにつきましては、各学校において適切に行われていると認識しております。
○和泉委員 要するに、都が把握できるシステムにはなっていないということです。
きょういただいた資料によれば、締め切りにおくれた場合でも、やむを得ない理由、正当な理由があれば、遡及して交付する扱いというふうになっています。
平成二十九年度に遡及した人数は二十四人だというふうに聞いていますが、どのような理由によるものなのか伺います。
○金子私学部長 平成二十九年度の就学支援金において、遡及した事例の主な理由でございますけれども、住民税の税額更正によるものや、学校の事務処理の誤りによるものでございます。
○和泉委員 さきのケースでいいますと、保護者である母親が体調がとても悪い時期と申請時期が重なってしまった今回のケースに関して、文部省はやむを得ない理由、正当な理由に該当するというふうに判断して、結局、遡及交付されました。締め切り日を過ぎてしまった対象者について、やむを得ない理由に該当すれば遡及できることを保護者や学校に知らせて、具体的理由についての聞き取りを行っているんでしょうか。
○金子私学部長 高等学校等就学支援金の支給に関する法律第六条第三項によれば、やむを得ない理由により認定の申請をすることができなかった場合には、やむを得ない理由がやんだ後十五日以内にその申請をしたときは、やむを得ない理由により認定の申請をすることができなくなった日を申請日とみなすことと規定しております。
これを受けまして、国が各都道府県、学校法人等事務担当者向けに作成している高等学校等就学支援金事務処理要領にも同様に記載されているところでございます。
加えまして、都で実施している学校事務担当者説明会におきましても、その旨周知しております。
なお、学校から遡及に関する相談等があった場合には、詳細に状況等を確認した上で柔軟に対応しているところでございます。
また、保護者等から直接、都に対して相談があった場合におきましても、丁寧に状況等を確認し、適切に対応しているところでございます。
○和泉委員 学校が誤った判断をしないためにも、遡及に関することなど判断に迷うような場合には速やかに都に相談するよう、ぜひ徹底していただきたいというふうに思います。
そして、申請書の配布の際にも、そのことを保護者にも周知できるよう、何らかの手だてをぜひとっていただくよう求めておきたいと思います。
生活保護受給世帯の子供が私立学校に通っている場合、就学支援金が交付されなければ、それはそのまま学費の滞納に直結することになります。締め切り日が過ぎる前に確認の連絡を入れる、そういったようなきめ細かい配慮があってしかるべきではないかと思いますが、いかがですか。
○金子私学部長 就学支援金の申請につきましては、在学する高校の設置者を通じて行うこととされており、学校の締め切り日前の対応につきましては各学校で判断すべきものと認識しております。
なお、都では、毎年度、都内私立高校の全生徒分の申請案内を作成いたしまして、各学校を通じて配布するなど周知に努めているところでございます。
また、各学校に対しましても、生徒、保護者への丁寧な周知について依頼しているところでございます。
○和泉委員 申請漏れが生じていないかどうか、この配慮は、私立学校の場合、結局、最後は学校任せになっているというのが現状だということです。
都立学校では、四月に申請の意思表示をすれば、その後、書類の提出がおくれても遡及できる仕組みをつくるなど、申請漏れを生じさせない努力をしています。私立でもこのような配慮をするよう学校に呼びかける、また、その事務が大変だということであれば、私学の意見を聞いて都が必要な支援をするなど、申請漏れを生じさせないための取り組みを強く求めておきたいと思います。
続いて、授業料軽減助成金についてです。
授業料軽減助成金の案内書には、軽減額は就学支援金との合計額が四十四万九千円の範囲内で、保護者が実際に負担する授業料が上限となるという記載があります。
授業料が払えなくて滞納した場合には、この軽減助成金の支給対象にはならないということでしょうか。滞納があった場合でも、支給を行えば滞納を減らすこともできます。そのような対応が求められていると思いますが、いかがですか。
○金子私学部長 特別奨学金につきましては、保護者が納付する授業料を限度として支給しており、授業料を滞納している場合には、納付済みの授業料が上限となります。
ただし、学校と調整の上、特別奨学金が未納となっている授業料に充当されることが確実な場合には、納付済みの授業料を超えて支給するなど、柔軟に対応しているところでございます。
○和泉委員 ということは、学校と調整がつかなければ、滞納分に充当できないということになるんじゃないでしょうか。特別奨学金、すなわち授業料軽減助成金は、授業料負担の軽減のために実施しているわけですから、負担が重くて授業料が未納になっている場合にも支給するべきだというふうに思います。
本来は、本人に支給されるべきものでしょうけれども、滞納がある場合には学校が本人にかわって代理受領する仕組みをつくるなど、対応方法はあるはずです。都の制度なのですから、都の工夫次第でできることだというふうに思います。
せっかくの制度なのに最も支援が必要な方たちが支援から漏れてしまうということのないようにしていただきたいと改めて要求しておきます。
特別奨学金の申請期間は六月二十二日から七月三十一日となっていて、期間外の申請については受け付けないと案内書には記載をされています。申請期間をもっと長くするとともに、やむを得ない理由がある場合には受け付けるべきではないかと思いますが、見解を伺います。
○金子私学部長 特別奨学金につきましては、通常の申請期間終了後に修正申告による税額更正ですとか、あるいは保護者の方が亡くなられるなどにより支給要件を満たすこととなった場合などのために再度の申請期間を設けております。
今年度は平成三十一年一月に実施を予定しているところでございます。
○和泉委員 今のご答弁ですと、再度の申請期間を設けているけれども、でも修正申告があって税額が変わったような場合、あるいはその保護者が亡くなったとかいうような極めて特別なケースに限られるということになろうかというふうに思います。再度の申請期間に申請できる要件を狭めずに、柔軟な対応をしていただくことも必要ではないかというふうに思います。
また、やむを得ない理由、正当な理由がある場合には、一月まで待たずに申請を受け付けるなど、柔軟な対応をお願いしたいというふうに思います。
私自身も家庭が貧しかったために進学を諦めた経験があります。家庭の貧困というあらがえない現実によって子供は諦めること、望まないことにならされていくんです。人生の最初の段階で、子供たちにそのような思いを抱かせたくありません。子供たちに人生を生き抜く力をしっかりとつけてもらうためのあらゆる努力を惜しまない、ぜひその立場で生活困窮世帯の子供の学びの支援に当たっていただくよう強く要望し、質疑を終わります。
以上です。
○米川委員 予算現額で二十五億円、支出済額で約二十一億円となる広報広聴費のうち、都政広報について伺います。
一般会計歳出決算額でも約六・六兆円という東京都が行う事業は膨大であります。よい事業を実施していても、対象となる方に伝わらない、届かないと意味がないため、都民に都政情報を迅速的確に伝えていくことは、とても重要なことと考えております。
そこでまず、都は「広報東京都」、テレビ、ラジオ、インターネット等を駆使して広報活動を行っておりますが、それぞれどのような特徴があるのかを伺います。
○濱田広報広聴部長 生活文化局では、都政全般にわたる広報を所管する部門として、「広報東京都」、テレビ、ラジオによる都政広報番組、東京都公式ホームページ、ツイッターやインスタグラムなどのSNS、動画ポータルサイト、東京動画などのさまざまな媒体を活用した広報を展開し、各局とともに都庁全体の広報活動を行っております。
「広報東京都」は、都政の重要施策の解説や都民生活に必要なお知らせなどを掲載しており、毎月一回、新聞折り込みを中心に各世帯に配布しております。
生活文化局が行っている調査によりますと、都政情報を入手する広報媒体の一位は「広報東京都」であり、都の広報の基幹的な役割を果たしております。
また、テレビ、ラジオは多くの人に対して同時に情報を伝えることができる媒体であり、ターゲットとなる視聴者層に適した放送時間帯や番組形式等を工夫しながら、テレビ四番組、ラジオ二番組を提供しております。
さらに、ホームページやSNS、東京動画などのインターネットによる広報は、速報性があるとともに、スマートフォン等で気軽にアクセスすることができ、若い世代に対しても訴求力が期待されております。
このほか、街頭ビジョンや新聞広告などの広報媒体も活用をしているところでございます。
こうした各媒体を効果的に組み合わせ、クロスメディアによる広報活動を展開しております。
○米川委員 ありがとうございます。今説明していただいた中のテレビ番組について、平成二十九年度に見直しを行ったと聞いております。より多くの都民に視聴してもらうため、どのような工夫を行ってきたのか伺います。
○濱田広報広聴部長 平成二十九年度からは、それまで六番組ありました提供番組を四番組にするとともに、都政のあらゆる動画をワンストップで視聴できる動画ポータルサイト、東京動画を新たに開設いたしました。
東京動画では、これらの動画に加えて、テレビで放送した提供番組を放送後全て掲載し、都民がみずからの都合に合わせて、いつでもどこでも、自由に視聴することができるよう、番組を二次利用しております。
○米川委員 平成二十九年度の決算では、この広報広聴費の不用額が三億五千万円あります。そのうち、落札差金が二億円、実績による残が一億五千万円となっております。年度内におきまして、実績に基づき効率的に予算執行していくべきと考えております。
そこで、効率的な執行の観点から「広報東京都」の発行部数に着目しておりますが、新聞購読者数は年々減少しております。新聞折り込みで配布している「広報東京都」の部数見直しなど、効率的に予算執行するため、どのような取り組みを行っているのかを伺います。
○濱田広報広聴部長 「広報東京都」につきましては、近年の新聞購読者数の減少傾向を踏まえ、発行部数を定期的に見直しをしております。
具体的には、印刷及び配送に係る委託契約を毎年度上半期と下半期に分け、必要な発行部数を反映させることにより、効率的な予算執行に努めております。
○米川委員 新聞読者数が減少する中、新聞を購読していないため、この「広報東京都」が届かない世帯も増加していると考えております。このような方々に対しての都の取り組みについて伺います。
○濱田広報広聴部長 「広報東京都」は、新聞折り込みでの配布に加え、都の施設、区市町村の窓口、図書館等の公共施設や駅、大学など約五千カ所に配架をしております。さらに、平成二十九年度からは、一部のコンビニエンスストアにも配架を開始し、新聞を購読していない都民も入手しやすいよう、配架先の拡大に努めているところでございます。
また、東京都公式ホームページで、ウエブ版「広報東京都」を掲載しているほか、「広報東京都」の内容を広告チラシや自治体広報紙を掲載するアプリケーションソフト、これはShufooやマチイロというアプリケーションでございますが、これらのアプリでも配信し、スマートフォンからでも見られるようにしております。
このほか、視覚障害者の方向けには、ウエブ版「広報東京都」で音声読み上げ機能を提供するとともに、点字版やテープ、CD-ROMを希望者に郵送するなど、多様な都民のニーズに応えるよう努めております。
○米川委員 ありがとうございます。東京都は一千三百万人を超える人口を擁する大きな都市であります。都民に情報を伝えていくことは、とても大変な取り組みだと考えておりますが、これまでもさまざまな取り組みを行っていることがよくわかりました。
広報は東京都の顔ともいえるものだと考えております。生活文化局は、都政全体にわたる広報を所管する部門でありますが、実際に事業を実施する部や局とともに、広報の効果検証を行うことも必要ではないでしょうか。よりよい広報を行っていくために、前例にとらわれることなく取り組まれることを要望して、質問を終わります。
○のがみ委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんでしょうか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○のがみ委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で生活文化局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後五時七分散会
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