平成二十九年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第三号

平成三十年十月十九日(金曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長小宮あんり君
副委員長村松 一希君
副委員長伊藤こういち君
藤井あきら君
菅野 弘一君
小林 健二君
原田あきら君
上田 令子君
入江のぶこ君
森村 隆行君

欠席委員 なし

出席説明員
中央卸売市場市場長村松 明典君
次長古谷ひろみ君
管理部長岡安 雅人君
事業部長長嶺 浩子君
渉外調整担当部長豊洲にぎわい担当部長兼務石井 浩二君
市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務松田 健次君
港湾局局長斎藤 真人君
技監小野 恭一君
総務部長梅村 拓洋君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務相田 佳子君
調整担当部長米今 俊信君
港湾経営部長蔵居  淳君
港湾振興担当部長戸谷 泰之君
臨海開発部長中村 昌明君
開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務山岡 達也君
臨海副都心まちづくり推進担当部長矢部 信栄君
港湾整備部長原   浩君
計画調整担当部長竹村 淳一君
離島港湾部長小林 英樹君
島しょ・小笠原空港整備担当部長松本 達也君

本日の会議に付した事件
平成二十九年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
中央卸売市場関係
・平成二十九年度東京都と場会計決算(質疑)
港湾局関係
・平成二十九年度東京都一般会計決算(質疑)

○小宮委員長 ただいまから平成二十九年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会します。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別質疑を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場及び港湾局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 中央卸売市場の吉村企画担当部長、福崎豊洲市場総合調整担当部長、影山豊洲市場事業連携担当部長、堀豊洲市場事業推進担当部長、前田豊洲市場事業調整担当部長、猪口財政調整担当部長、西坂築地調整担当部長豊洲市場特命担当部長兼務、赤木移転支援担当部長、佐々木環境改善担当部長、鈴木技術調整担当部長、渡辺施設担当部長及び吉野建設技術担当部長は、公務のため、本日の分科会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 決算の審査を行います。
 平成二十九年度東京都と場会計決算を議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求した資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○岡安管理部長 十月十二日の当分科会で要求のございました一点の資料につきまして、お手元に配布してございます各会計決算特別委員会第三分科会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
 表紙をおめくりいただきまして、一ページをお開き願います。1、と畜頭数の推移(全国における芝浦と場の割合)についてでございます。
 過去二十年分の芝浦と場のと畜頭数、全国におけると畜頭数及び全国における芝浦と場のと畜頭数割合を、大動物、小動物に分けて記載したものでございます。
 参考といたしまして、下段にグラフ化したものを掲載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○小宮委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○森村委員 都は、二〇一九年のラグビーワールドカップやオリンピック・パラリンピック東京二〇二〇大会に向け、国際的な衛生管理の基準となるHACCP対応を芝浦と場において進めてきました。
 ラグビーワールドカップ二〇一九まで、もう間もなくです。平成二十九年度に進められた事業の進捗が、HACCP導入スケジュールの中で重要であることを踏まえまして、質疑を行います。
 改めまして、都は、平成三十年度中のHACCP導入を目指し、急増する国内外からの観光客や都民に対して、安全で高品質な食肉を提供するに当たって、安全衛生管理体制の確立を進めてきました。
 HACCP対応は、原材料の受け入れから最終製品の出荷までの各工程ごとに、微生物による汚染や金属の混入等の危害要因を分析した上で、危害の防止につながる特に重要な工程を継続的に監視、記録する工程管理システムのことでありますが、そのために必要なハード面においての施設整備が行われてきました。
 そこでまず、製造工程において、芝浦と場において必要なハード面での整備の概要を伺うとともに、平成二十九年度において実施されたHACCP対応に係る施設整備の内容とその執行金額など、進捗状況についてお伺いいたします。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 芝浦と場のと畜解体施設は、昭和六十年代の建築でございまして、HACCPによる衛生管理を想定した構造ではないことから、衛生管理エリアに入る際の身体保清設備や害虫などを防除するための網戸の設置など、HACCPを見据えた衛生対策工事を中心に進めているところでございます。
 これらの衛生対策工事のうち、平成二十九年度は、大動物解体施設におきましては、HACCP上必要な作業工程の変更に伴い、搬送レールの改修工事を、小動物解体施設におきましては、ダーティーゾーンとクリーンゾーンの区分を明確にするため、床面の色分けのための床面塗りかえ工事等を実施したところでございます。
 これらHACCPの導入に向けた改修工事を四件行い、約二億二千三百万円を執行いたしました。

○森村委員 品川の食肉市場は、都の十一ある中央卸売市場の中で唯一、芝浦と場というと畜機能を有しており、全国から国産の銘柄牛や銘柄豚が集められています。都民の食卓に日々、新鮮で安全な食肉を安定供給する上で、極めて重要な役割を担っておりますが、現在、施設の老朽化と狭隘化が大きな課題として挙げられています。
 そこで、芝浦と場の施設設備の維持管理や更新について、平成二十九年度の予算執行状況を伺います。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 と場会計予算において計上しております項目といたしましては、HACCP対応以外に、と畜場の運営と、と畜解体作業で発生した汚水処理を行う水処理センターの管理運営などがございます。
 その内訳といたしましては、平成二十九年度に執行した施設の整備といたしましては、水処理センター前処理設備再構築工事などがあり、運営費といたしましては、大動物特殊機械設備定期点検保守委託などがございます。

○森村委員 決算説明書によれば、施設の整備に係る予算の執行率が六八%となっておりました。HACCP導入に向けた施設整備に大きなおくれがあっては、ソフト面での運用にも支障を来し、HACCP導入そのものがおくれてしまうのではないかという不安につながりますので、確認いたします。
 施設整備費の執行率六八%、この要因はどのようなものであるかお伺いするとともに、HACCP対応完了までのスケジュール概要を伺います。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十九年度のと場会計における施設整備案件は、HACCP対応の四件、これに加えましてその他維持管理関係が九件ございまして、HACCP対応に要した経費は約二億二千三百万円でございます。
 施設整備費全体の執行率につきましては、職員の作業環境改善のための工事におきまして、計画変更により当該年度の執行を見送ったことなどに起因するものでございます。
 また、今後のHACCP関連の施設整備につきましては、大動物解体処理室入り口の身体保清設備などの整備が今年度中に完了する予定でございまして、HACCP対応のスケジュールに影響はございません。

○森村委員 HACCP対応のスケジュールに影響がないということですね。ハード面での整備については順調に進んでおり、今年度中に完了するということで、何よりだと思っております。
 今後は、食肉製造の工程管理の中で必要なソフト面の導入を行い、晴れてHACCP対応が完備されるということになるかと思いますが、HACCP対応に必要なソフト面での施策はどのような取り組みになるものか、お伺いいたします。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 HACCPの導入に向けたソフト面の施策につきましては、WHO、世界保健機関、FAO、国連食糧農業機関、これらの合同委員会でございますコーデックス委員会が示しました七原則十二手順、これにのっとりまして進めていくこととなるところでございます。
 具体的には、HACCPの考え方に基づきました標準作業手順書、こちらを作成し、リスク管理のための重要管理点を設定して、継続的に監視、記録を行っていくものでございます。
 これらのソフトを実行していくために、衛生管理の専門家や現場作業に従事する職員を含めたHACCPチーム、これを設置することが求められているところでございます。
 こうした手順を具体的に進めるため、芝浦と場では、手順書や重要管理点でのリスク管理が持続できることや、作業前の健康チェックや衛生的な作業手順が着実に実施できるよう、平成二十八年度から全職員を対象に研修を実施してまいりました。

○森村委員 詳細なご説明をいただきまして、ありがとうございます。
 HACCP対応は、そもそもソフトが中心の衛生管理手法であるといわれております。これまでハード整備と並行して、職員研修などのソフト対応も行われてきたことが理解できました。
 それでは、HACCPのソフト対応について、今後の方針をお伺いいたします。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 食肉市場におけますHACCPの導入に当たりましては、芝浦と場のみの対策にとどまらず、と畜後の製品販売までの全ての工程も含めた衛生管理が行われる必要がございます。
 このため、本年九月、都と業界で組織するHACCP推進会議におきまして、市場内の全ての事業者が守るべき衛生管理の統一ルール、こちらを策定し、周知及び試行を進めているところでございます。
 今年度末までのHACCP導入に向けた仕上げの段階でございまして、統一ルールを踏まえ、各事業者が計画する衛生対策との整合性を図り、実際の行動とのすり合わせを行うため、HACCPテストランを実施してまいります。テストランの期間につきましては、食肉衛生検査所によるHACCPの必要書類及び現場確認を行い、本格導入につなげていく計画でございます。

○森村委員 HACCP導入、もう仕上げの状況ということで、安心しております。ぜひこのまましっかりと整備を進めていただければと存じます。
 最後の質問になります。
 現在、都には、と畜日の弾力的運用や年末年始における臨時的な開場を求める声が継続的に寄せられています。これは、他の市場や食肉センター等との集荷競争を意識したもので、需給に応じた対応を求めるものであります。
 例えば、十二月は出荷量がふえる時期ですけれども、そこでと畜日をふやしたり、また、長期の休み明けとなる年始には最大限のと畜枠を実施することなどが当たりますが、これにより、これまで他市場に持ち込まれていた牛や豚を東京食肉市場に呼び込むという効果が期待できます。一方で、労務管理の観点からは人件費の増加などの課題があります。
 そこで、業界が求めている年末年始などの臨時的なと畜について、都としてはどのように対応しているものか、お伺いいたします。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 年末年始などの繁忙期におきましては、これまでも毎年、土日祝日に臨時的にと畜を実施してきたところでございます。
 この数年間におきましては、十二月の土曜日と祝日の二日間、年始の休日明けのと畜までの期間が長引くため、臨時と畜を実施してございます。また、平成二十七年度には、九月の五連休の際、最終日にも臨時と畜を実施してございます。
 今後も、需要動向などの諸条件、これらを精査しつつ、市場運営上の重要な課題の一つとして、継続的に取り組んでまいります。

○伊藤委員 それでは私からも、中央卸売市場、平成二十九年度と場会計に関連して、と場の施設管理等について質問をいたします。
 年々、夏の暑さが厳しくなっていくわけでありますけれども、ことしの夏は特に、気温三十五度を超える記録的な猛暑、災害とも呼ばれた日々が続きました。都内でも熱中症で救急搬送される人が続出をして、今後ますます猛暑が懸念されることから、都議会公明党は、過日の本会議代表質問におきまして、学校の体育館への空調設備の導入等、急ぐべきだという訴えをいたしました。
 今回、と場会計の決算審査に当たり、私がまず思い当たったことに、と場内で働く方々の健康管理、働く環境はどうしていたのかという点であります。
 都議会公明党は伝統として、都議会議員に初当選させていただき、まず視察に訪れるのが東京食肉市場であります。それは、首都圏四千万人の台所として、安全・安心で質の高い食肉がどうやって供給され、そして、そこで働く職員の方々のご苦労を自分の目で確かめ、都政に当たる一歩を学び取るためであります。
 私も何度か食肉市場へ伺いましたけれども、生の食肉を扱うことから、常に高温の水で洗浄しながら衛生を保っている様子が印象的でありました。こうした環境の中で、猛暑が続いたことしの夏は、今までに増して大変な状況であったであろうというふうに思います。
 そこでまず、と場の空調設備はどのようになっているのか、二十九年度以前も含め、これまでどのような対応をしてきたのか伺いたいと思います。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 と室内の空調設備は、稼働後三十年以上が経過してございまして、今まで部分的な修繕は行ってきたものの、本格的な更新工事は行っておらず、老朽化が著しいことや、O157対策の熱湯消毒槽の設置などによりますと畜環境の変化によりまして、と室全体の温度及び湿度を十分に下げることは、既存機器の能力上困難となっているところでございます。
 現状は、既存の空調設備、これを使いまして、その吹き出し口からダクトホース、これは蛇腹状のものを上から下につり下げてというものでございますけれども、そういったものを使いまして、職員に直接冷気を当てることで対応している状況でございます。

○伊藤委員 現状は、既存の空調設備からダクトホース、つまりスポット冷風機のような、写真も、また現地で見ましたけど、非常に、申しわけないいい方ですけど、原始的なやり方で、職員に直接冷気を当てているという対応をしてきたということでございました。
 冒頭で述べたとおり、ことしの夏は猛暑、酷暑、災害的な暑さとなったわけでありますけど、その状況と対応はどのようにしていたのか伺いたいと思います。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 ことしの夏におきましても、ご案内のとおり非常に暑い夏でございまして、気温及び湿度、それぞれ非常に高い状況が続いたところでございます。
 こうした状況に対応するため、先ほど申し上げたような空調の状況でございますけれども、さらに、冷気の行き渡らない作業ポジションへの大型扇風機の設置や、職員の水分補給用といたしましての冷水器の増設などを行ってきたところでございます。
 また、今年度におきましては、職員に保冷剤入りの冷却ベストを二回にわたり、これは試行として貸与いたしまして、着用させたということを行わせていただきました。

○伊藤委員 先週末には、多くの都民が楽しみにしております東京食肉市場まつりが開催をされました。約二万九千人という多くの人が訪れまして、大変なにぎわいでありました。私も毎年楽しみにお伺いさせていただいております。港、品川などの周辺区民だけでなく、多摩地域に住む私の友人も、毎年楽しみに来場しているということでございます。
 多くの都民に愛される食肉市場として今後も発展をしていくためには、そこで働く方々の環境整備をしっかりとやっていくことが重要であるというふうに思います。
 都は今後、と畜場の空調設備の対応をどうしていくのか伺いたいと思います。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 老朽化した既存の空調設備、先ほどご説明いたしましたけれども、こちらの維持補修につきましては、これは引き続きしっかりと行うとともに、今後、と室内の空調環境調査、こういったものを実施いたしまして、その結果に基づきまして、効果的な空調設備の整備方法を具体的に検討してまいります。

○伊藤委員 ぜひ職員の方々、守っていただいて、お願いしたいというふうに思います。
 続いて、電気設備について伺いたいと思います。
 ことしの夏は、猛暑に加えて自然災害も日本各地で発生をいたしました。九月六日には、震度七に襲われた北海道胆振東部地震においては大規模な停電が発生をして、北海道全体がブラックアウトに陥るという前代未聞の事態となりました。
 災害時の電源喪失は、二次災害、三次災害につながるおそれがあり、そのバックアップ体制の重要性が指摘されておりますけれども、食肉市場全体における停電時の対応は、二十九年度以前も含めてどうなっているのか伺いたいと思います。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 食肉市場におきましては、停電時に、東京都の事務所機能及び外部との通信機能、こういったものを維持するための災害用の発電機が既に設置されているところでございます。

○伊藤委員 現在設置されているのは災害用の発電機ということで、何かあったときには、事務所機能や通信機能を維持させるためのものということであります。
 今回の北海道の地震は午前三時でありましたけど、こうした災害はいつ発生するかわからないわけであります。と場においては、仮に生産ラインが稼働している真っ最中に、災害によって電源を喪失した場合に、と畜場の対応はどうするのか伺っておきたいと思います。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 中央卸売市場におきましては、平成二十一年三月に、東京都中央卸売市場震災対策マニュアル、こちらを策定してございまして、本庁部門が各市場の復旧状況を整理、把握し、総合的判断を行い、各市場は当該市場内の復旧状況を把握し、個々具体的な判断及び対策を行うこととしているところでございます。
 芝浦と場におきましては、本マニュアルに基づき、本庁部門と連携を図りながら、と畜機能の速やかな復旧に向けて取り組んでまいります。
 また、今後は、各市場におけるBCP計画、こちらの策定を進めることで、より速やかな復旧体制を構築してまいりたいと考えているところでございます。

○伊藤委員 これまでは、東京都中央卸売市場震災対策マニュアルに基づいて、復旧に取り組むという予定でありましたけれども、これは私の意見ですけれども、各市場ごとに、豊洲市場も開場したことでございます、これまでの災害等の教訓をしっかりと生かしていくということも重要だと思います。
 各市場ごとのBCP、しっかりとこれをつくっていただきたいということと同時に、伺いたいのは、大規模災害に備えた、と場としてのバック機能や、東京以外の、他県のと場、と畜場との協力体制の構築、こうしたことも必要じゃないかというふうに思いますけれども、所見を伺いたいと思います。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 大規模災害時におきましては、その災害発生の時間あるいは災害の程度、こういったものにより、さまざまなケースが想定されるところでございますが、交通機関、電力、ガス、水道、こういったライフラインの復旧程度に応じまして、速やかなと畜場の機能復旧が求められると考えているところでございます。
 このような状況下でのと畜体制の構築に当たりましては、中央卸売市場災害対策本部におきまして方針を定め、現場職員の参集可能人員の把握など、早急な復旧に向けた準備を整えてまいります。
 また、近隣の他のと畜場の状況確認あるいは情報交換に努めまして、産地に対する連絡等の対応など、具体な連携を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

○伊藤委員 本日は、中央卸売市場、平成二十九年度と場会計に関連して、施設管理等について、空調設備、停電のときの対応、こうしたことについて質問をさせていただきました。
 中央卸売市場におきましては、二十九年度決算から今後の課題もしっかりと精査、検証していただいて、今後の中央卸売市場全体の発展のために生かしていただくことを期待して、質問を終わります。

○上田委員 今月は豊洲も無事開場して、本当に皆様方、局長初め皆様のご尽力で、恐らく、開場と築地の閉鎖に当たりまして幹部職員が奔走されているということが、本日ご欠席ということで読み取れる次第でございます。引き続き、混乱のないようにご尽力いただきたいという思いを込めまして、私も質問を始めさせていただきたいと思います。
 今、各決と一緒に公決もやっておりまして、基本は、中央卸売市場は公決の方で、今、審査もされていくというところでございます。本日、私どもが審査すると場会計は、地方公営企業法の適用を受けない特別会計でありまして、こちらに、本委員会に付託されているというものでございます。
 このような取り扱いになってきた歴史的経緯については、理解するものではございますが、改めまして、まずは財政の健全性、ここに着眼して点検してまいりたいと思っております。
 食肉市場におけます仲卸の経営状況についてですが、経常赤字会社の割合は、特に売り上げ三億円未満の小規模な事業者におきまして、五〇%以上とその割合が高くなっておりまして、経営改善を図る観点から、経営の統合、合併等による販路拡大や経営基盤の強化が必要と考えているということを、公営企業決算審査にて以前確認をさせていただいた次第でございます。
 都としては、個々の仲卸事業者の経営改善のため、経理、業務検査による改善指導や、公認会計士等による経営相談を行うとともに、市場全体の活性化を図る観点から、業界全体が流通改善や顧客拡大等に取り組む活性化事業に対して支援を実施しているとのことでございますが、食肉部は三六%が赤字業者、営業利益率が下降した業者は六〇%に達しております。と畜数は、本日お配りいただいた資料によれば、大動物は年により変動が大きいものですが、今後、極端な上昇傾向に転ずるとは考えがたく、小動物は減少傾向にあります。
 今後は、急速な、世界最速で進む少子高齢化によるマーケットの縮小が予想される一方、インターネット等の普及により中間コストも抑えられますことから、生産者と小売店が直接取引をしたり、何より、電話一本、メール一本で発注が進む利便性もあり、増加し続けている市場外流通にどう対応していくかが問われております。
 地産地消の進展や流通の合理化など、食肉市場を取り巻く環境が変化していく中、今後のと畜事業としての役割について伺いたいと思います。と場事業としての役割について、この状況を鑑みましてのご所見をお示しください。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 芝浦と場は昭和十一年の開設でございまして、それ以来、高度経済成長期以降の食肉需要の増加、こういったものにも応えるなど、首都圏の食肉供給基地としての機能を果たしてきたところでございます。
 現在におきましても、国内最大の取引規模を持ち、価格形成機能において全国的に指導的役割を果たす食肉市場と相まって、芝浦と場は、都民に対する食肉供給の安定に貢献するなど、極めて公共性の高い役割を担っているところでございます。

○上田委員 全国的な指導的立場ということで、生産者の信頼を得ているということでございます。
 政府の方でも、地産地消が望ましいと考えている、そうした方針も出されている中、と場の需要が一定程度恒常的に全国規模であると、資料からすると激減はしておりませんから、半面から見ると読み取れるものとも、今のご答弁を伺いまして読み取らせていただいたものでございます。
 では、なぜ政府は地産地消といっていても、芝浦に集約されているのかということについては、どのような認識に立っていらっしゃるのか、ご所見を伺いたいと思います。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 芝浦と場は、昭和十一年に現在地に開設以来、大消費地であります東京における食肉需要を背景に、全国の産地から牛や豚などが集荷されているという市場でございます。
 これまで、産地と連携して、ブランド牛あるいはブランド豚、こういったものの知名度を高める取り組みを進めるなどの努力や、購買者の方々の確かな評価のもとで行われる公正な取引、こういったものによりまして、芝浦に生体、これは生きた動物でございますけど、芝浦に生体を持ち込むことが産地のステータスであるというふうに、産地の方にいっていただくほどの評価を得ているというふうに考えてございます。
 近年、輸送コストの高騰を受け、漸減傾向にある小動物につきましては、産地との信頼関係、あるいはと畜の翌日には新鮮な食肉を消費者に提供できるなど、大消費地特有のメリットがございまして、現在においても、日本最大級のと畜場であるというところでございます。

○上田委員 非常に長い歴史がありまして、今でこそ、都市整備、建設局の再開発で非常に盛り上がっている芝浦地域でございますが、何もない時代から、ダンプになる前は電車で牛たちが、豚たちが持ち込まれて、そこで本当に不便な場所で、非常に苦労しながら、歴史的にと場を続けていたということは、私も研究をさせていただいております。その長年の信頼が、芝浦に持ち込むことが産地のブランド、プラスご当地ブランド、プラス芝浦ブランドという付加価値をつけているというところで、ニーズについては理解ができました。
 しかしながら、やはり施設についても、るるほかの委員からも質問がありましたけれども、コストがかかる。一方でコストも、整備をしなきゃいけないが、圧縮はいかなるときも心がけるべきものでもあると考えている次第でございます。そちらにつきましての対応状況をご説明いただければと思います。

○松田市場政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 芝浦と場の運営に当たりましては、衛生対策上必要な高温水や洗浄水の供給、排水処理、これらに必要な電気、ガス、水道の使用、さらには、と畜解体作業に特化した専用の機械設備の購入及び維持管理など、円滑なと畜作業を行うための経費が必要でございます。
 これらの経費の執行に当たりましては、具体的には、施設整備面では、平成二十七年度にコージェネレーション設備、こちらを設置いたしまして、と畜解体作業に必要な電力を発電するとともに、排熱をボイラー設備で再利用するなど、電力使用料の削減に努めているところでございます。
 また、日常的な維持管理の面におきましては、と畜解体作業で使用する皮むき用のデハイダーあるいは背割り機器など、これはアメリカ製のものでございまして、修繕費が非常に高額となるような、メンテナンスによりましては高額となるような機器でございますけれども、こういったものの修理を、と畜解体の職員、これは私どもの職員でございますけれども、みずから工夫しながら行うなど、こういったことによりましてコストの削減に取り組んでございます。
 今後とも、芝浦と場全体で節減可能な部分を見出して実行していくとともに、省エネ効果が高い設備機器を導入していくなど、コストの圧縮に努めてまいります。

○上田委員 ありがとうございます。
 一人入札制度改革ではございませんが、少額随意契約をかなり、どこの部署でも、全局集めて今研究をしているところでございますけれども、中央卸売市場は、と場会計の中の少額随契での機器の整備で、非常に細々としたメンテナンスが必要なんだなということは理解しておりまして、今の部長のご説明で非常に合致をしたところでございます。なるだけ安く、そして、今ある機械を長く使おうというところが、入札の方でも見てとれ、今のご説明でも合致させていただいた次第でございます。
 しかしながら、と場会計、今年度の決算書によりますと、都債の決算額は六億九百万円でした。これを財源としなければならない理由について、また、何に充当しているかについても、確認させていただければと思います。

○岡安管理部長 都債は、年度間の財源調整と後年度負担のバランスを図るという二つの機能をあわせ持ちます投資的経費の重要な財源でございます。
 使用料や手数料などを歳入予算としますと場会計の財政運営におきましては、と畜解体施設など、長期にわたり事業効果が継続する施設の整備事業費に対しまして、都債を適切に充当することで、計画的な施設の維持更新などを進めることができております。
 今後も、将来の負担に十分留意しながら、と場会計を支える貴重な財源の一つといたしまして、適切に活用してまいります。

○上田委員 ご説明、ありがとうございました。
 本会計はおおむね健全であると理解するものではありますが、課題もないともいい切れないところでございます。一般会計から繰り入れをしなければ特別会計を維持できないにしても、都民の血税からの持ち出しは可能な限り少なくし、費用対効果を厳しく見詰めていく視点が必要だと思います。
 都債についても、投資的経費に充てられているとのことではございますが、返済については将来の都民の負担となっていくわけで、これから超少子高齢化が待ったなしということでございます。この点についても、改善に向け検討を進める不断の努力を要望しまして、私の質疑を終わらせていただきます。

○小宮委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小宮委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。

○小宮委員長 これより港湾局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十九年度東京都一般会計決算中、港湾局所管分を議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求した資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○梅村総務部長 十月十二日開催の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の平成二十九年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらん願います。
 要求のございました資料は、表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり十三項目でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。東京港における耐震強化岸壁の整備状況でございます。
 岸壁の区分を緊急物資輸送と幹線貨物輸送の二つに分けまして、それぞれの全体計画、整備状況を記載してございます。
 二ページをお開き願います。港湾整備費におけるふ頭等の新規整備の事業費でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの五年間の港湾整備費につきまして、ふ頭の新規整備分と道路等の新規整備分、その他に区分し、百万円単位で記載してございます。
 三ページをお開き願います。島しょ等港湾整備費における翌年度繰越額及び不用額の推移でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの五年間の予算現額、支出済額と予算現額に占める割合、翌年度繰越額及び不用額につきまして、百万円単位で記載してございます。
 四ページをお開き願います。使用料及び手数料の推移でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの五年間の使用料、手数料につきまして、百万円単位で記載してございます。
 五ページをお開き願います。伊豆諸島各島への就航率の推移でございます。
 平成二十五年から二十九年までの五年間の就航率につきまして、大島から青ヶ島まで、各島の貨客線と高速ジェット船、それぞれの就航率を記載してございます。
 六ページをお開き願います。調布飛行場の飛行目的別の離着陸回数でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの五年間の調布飛行場の離着陸回数につきまして、飛行目的別に記載してございます。
 七ページをお開き願います。環境省による葛西海浜公園のラムサール条約湿地への登録推薦決定に当たっての経緯等でございます。
 平成二十九年度末までのラムサール条約湿地登録に係る主な経緯及び調整部署につきまして記載してございます。
 八ページをお開き願います。東京港におけるクルーズ客船の寄港実績と関係機関の業務でございます。
 平成二十五年から二十九年までの五年間のクルーズ客船の寄港実績及び関係機関の業務につきまして記載してございます。
 九ページをお開き願います。若洲ゴルフリンクスの利用状況でございます。
 平成二十七年度から二十九年度までの三年間の若洲ゴルフリンクスの利用人数につきまして、平日と土日祝日別、月別、利用種別にそれぞれ記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。調布飛行場周辺における航空機墜落事故に関する都の対応でございます。
 事故が発生した平成二十七年七月から二十九年度末までの都の主な対応につきまして記載してございます。
 一一ページをお開き願います。防災船着場開放の社会実験の状況でございます。
 社会実験におきまして開放した各防災船着き場の所在地、運用開始日及び利用実績につきまして記載してございます。
 一二ページをお開き願います。附属機関の委員報酬額及び開催状況でございます。
 当局所管の附属機関である東京都港湾審議会の委員報酬額及び平成二十七年度から二十九年度までの三年間の開催状況につきまして記載してございます。
 一三ページをお開き願います。監理団体及び報告団体の職員構成でございます。
 平成二十五年度から二十九年度までの五年間の当局所管の監理団体及び報告団体の職員構成につきまして記載してございます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○小宮委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○森村委員 二〇二〇東京大会の開催まであと二年足らずとなりました。臨海部では、さまざまな工事が大会前までの完成に向けて急ピッチで行われておりますが、平成二十九年度における事業の進捗は、まさに全体スケジュールを左右する上で重要であるという観点に立ち、質疑に臨ませていただきます。
 初めに、首都圏の物流を支える東京港の機能強化に当たっての整備状況について質問します。
 東京港は、都民を初めとする首都圏四千万人の生活と産業を支える一大物流拠点です。日々、大量の物資が国内外から運び込まれ、そして消費地へと運ばれていきますが、そのキャパシティーの拡大と機能強化が求められています。
 昨年、私も、船上から中央防波堤外側埋立地を視察してまいりましたが、東京港の機能強化を図るためには、中央防波堤外側埋立地に大型化するコンテナ船の効率的な受け入れが可能な新たなコンテナふ頭の整備を行うことが必要で、昨年十一月にはY1コンテナふ頭の供用が開始されました。
 今後、隣接するY2コンテナふ頭の供用開始が予定されている中で、陸上輸送を担う多くのトレーラーによる効率的な輸送を可能とする道路ネットワークの拡充を早急に行う必要があります。
 これまでも都は、道路ネットワークの拡充に取り組んできましたが、中でも、中央防波堤外側コンテナふ頭につながる臨港道路南北線は、東京港南北方向のネットワーク強化のために必要不可欠なものであります。
 都は、二〇二〇年までの完成に向けて南北線の整備を積極的に推進してきましたが、まず、臨港道路南北線の概要についてお伺いいたします。

○原港湾整備部長 臨港道路南北線は、延長約六キロメートル、往復四車線の道路であり、有明地区の十号地その二埋立地と中央防波堤外側埋立地とを海底トンネルや橋梁等でつなぐ事業でございます。
 本事業は、国と都が分担して整備を推進しておりまして、主にトンネル部分を国が、橋梁部分を都が担っております。
 国が整備する海底トンネル部は約一キロメートルであり、コンクリートや鋼板でつくられる箱型構造の沈埋函七函を工場等で製作し、現地に曳航した後、海底に沈めて連結して構築するものでございます。
 都が整備する橋梁部は、東京港臨海道路と立体交差する橋梁や、東西水路を横断する全長約二百五十メートルのアーチ形式の橋梁など、合計六つの橋梁を整備するものでございます。
 いずれの工事におきましても、工程管理を厳格に実施しながら、二〇二〇年までの完成を目指し、着実に整備を進めているところでございます。

○森村委員 臨港道路南北線は国と都が連携して工事を行うことや、合計六つもの橋梁を整備することから、厳格な工程管理を行うということでありましたが、二〇二〇年までの完成を着実に進めていただきたいと考えます。
 そこで、平成二十九年度における進捗状況はどのようなものだったのか、具体的にお伺いいたします。

○原港湾整備部長 国が整備いたします海底トンネル部は、合計七函の沈埋函を海底に沈め、トンネルを構築するものでございます。この沈埋函は工場で製作するものであり、平成二十九年度末におきましては、そのうちの三函の製作が完了してございます。
 陸上部のトンネルにつきましては、トンネル整備のための土砂掘削がおおむね完了し、トンネル本体の整備に着手いたしました。
 また、都が整備する橋梁部のうち、東京港臨海道路や東西水路に架設する橋梁につきましては、現地におきまして、橋梁の橋桁の組み立てに着手したところでございます。
 現在、陸上部のトンネルにつきましては、トンネル本体の約七割が完成し、橋梁部につきましても、東西水路と臨海道路を横断する二橋梁の架設が完了するなど、予定どおり工事は進んでいるところでございます。

○森村委員 トンネル部及び橋梁部の工事を着実かつ予定どおり進めているとのことですが、東京二〇二〇大会まで残り二年を切る中、複雑かつ大規模な工事です。これを確実に完成させるためには、さまざまな工夫が行われているものと考えます。
 そこで、工事を期限内に完成させるための取り組みについて伺います。

○原港湾整備部長 臨港道路南北線を二〇二〇年までの限られた期間内に確実に完成するためには、設計段階及び施工段階におきまして、さまざまな工夫を取り入れ、各工事工程を迅速かつ効率的に進めていくことが重要でございます。
 このため、設計段階におきましては、海底トンネル部のトンネルの勾配を見直すことによりまして、トンネル延長を短縮し、工事規模の縮小を図るとともに、橋梁部におきましては、橋桁を複数の工場で同時並行的に製作を進めることで、製作期間の短縮を図ったところでございます。
 また、施工段階におきましては、陸上部のトンネルでは、現場に資機材等を搬出するルートをふやすことにより作業効率を上げるとともに、現場での作業時間を短縮するため、あらかじめ工場で製作いたしましたコンクリート製品であるプレキャスト部材を採用することとしてございます。
 こうした取り組みを積極的に行うとともに、各工事の工程管理を綿密に実施することなどにより、二〇二〇年までに確実に完成するよう全力を挙げて取り組んでまいります。

○森村委員 設計段階及び施工段階、それぞれで工夫がなされていることがわかりました。
 ご答弁いただいた臨港道路南北線事業については、将来にわたって東京港の物流のかなめとなる道路でありますし、また、臨海部に多くの人と物が集まる東京二〇二〇大会時に予想される渋滞への有効な対策としても、必要不可欠だと考えております。ぜひとも期限までに完成するよう、引き続き事業を進めてほしいと思います。
 次に、青海地区で整備が進められております新客船ふ頭と客船誘致について質問させていただきます。
 都は、海からの観光客受け入れを促進するため、クルーズ客船の誘致強化を行っています。クルーズ客船の受け入れ数増加は、国際観光都市東京の地位向上に資する有力な取り組みであり、東京のさらなる成長のために大きな役割を果たすものと考えております。
 都は、現在の晴海客船ターミナルに加え、臨海副都心地域の青海地区に新客船ふ頭の整備を進めており、先日、開業日と、はえある第一船の入港予定も決定したと聞いております。
 都は、発表された開業日までの完成に向けまして、積極的な整備を推進しているものと考えますが、まず新客船ふ頭の整備概要についてお伺いいたします。

○原港湾整備部長 新客船ふ頭につきましては、近年のクルーズ需要の増大及び客船の大型化に的確に対応するため、レインボーブリッジにより大型客船が航行の制限を受けない臨海副都心地域に世界最大級の客船に対応可能なふ頭を整備するものでございます。
 具体的には、桟橋構造の岸壁と、その背後に旅客ターミナルビルを建設するものでございます。あわせて、これらの海上の施設と陸上の都道とを結ぶ大規模な連絡通路を整備いたします。このうち、ターミナルビルにつきましては、海の玄関口にふさわしい東京港の新しいランドマークとして整備することとしてございます。
 いずれの工事におきましても、工程管理を厳格に実施しながら、二〇二〇年七月十四日の開業を目指し、着実に整備を進めているところでございます。

○森村委員 工程管理をしっかりしながら、開業に向けて着実に整備を進めていくことでありますが、平成二十九年度の進捗状況について、どのようなものであったのか具体的にお伺いします。

○原港湾整備部長 平成二十九年度におきましては、岸壁について、基礎ぐいや土台となるジャケット鋼材の工場製作に着手し、ターミナルビルにつきましては、基礎ぐい及び客船からターミナルビルへ乗降するボーディングブリッジの工場製作を進めるとともに、ジャケット鋼材の工場製作を完了させたところでございます。
 また、連絡通路につきましては、通路の基礎ぐいの打設やコンクリート製の桁の架設を完了いたしました。
 その後、本年七月には、ターミナルビルの土台となるジャケット鋼材の現場への据えつけが完了するなど、順調に工事を進めているところでございます。

○森村委員 平成二十九年度の事業進捗ですね、順調なものであったというご答弁でした。二〇二〇年の七月十四日の開業日、そこに向けまして、ぜひ着実に整備を進めていただきたいと思います。
 さて、新客船ターミナルは、東京の新たな海の玄関口として、海外からの多くの観光客を迎えるとともに、ここから海外に向かう旅行者にとって第一歩となる場所でもあります。大型客船に乗って世界の海に出ていくことを考えますと、私自身も率直にわくわくします。今後、東京により多くの観光客を呼び込むためにも、また、東京港から世界に出ていく機会をふやしていくためにも、多くのクルーズ客船を誘致していただきたいと思います。
 そこで、平成二十九年のクルーズ客船の東京港への寄港実績と、より多くの客船を誘致するためにどのような取り組みを行っているものか、お伺いいたします。

○戸谷港湾振興担当部長 平成二十九年のクルーズ客船の東京港への寄港実績でございますが、前年より四回増加いたしまして三十三回でございました。
 客船誘致の取り組みにつきましては、マイアミなど海外のクルーズコンベンションへの出展、あるいは海外の船社への直接訪問を行いまして、新ターミナルと国際観光都市東京の魅力をアピールしてまいりました。
 また、新たに、東京港を母港として、一定回数以上利用する客船を対象にホームポート認定制度を開始いたしまして、東京港のクルーズ港としての利用促進及び知名度向上を図っているところでございます。
 今後とも、こうした取り組みを強化することによりまして、東京国際クルーズターミナルが多くの客船でにぎわう国際的なクルーズ拠点としての機能が発揮できるように取り組んでまいります。

○森村委員 ホームポート認定制度については、おもしろい取り組みだと思っております。東京港に年間十回以上入港する客船を、いわばお得意様として位置づけるような仕組みになっておりまして、クルーズ客船の東京港寄港インセンティブを高めるこうした取り組みを、ぜひ有効に機能させていただければと思います。
 さて、しっかりとした具体的なメニューを持って客船の誘致に取り組んでいることが理解できましたが、開業日の発表、第一船の決定に加えて、世界で最も有名な豪華客船の名を継ぐ客船「クイーン・エリザベス号」の寄港も決まったところと聞いております。こうしたアピールをぜひ起爆剤としていただきまして、二〇二〇年に向けて、より一層積極的な誘致活動に取り組み、多くのクルーズ客船に東京港に寄港してもらえるよう、引き続き全力を尽くしていただきたいと思います。
 次に、海上公園のバリアフリー化についてお伺いいたします。
 これまで都民ファーストの会は、ダイバーシティーの一環として、ユニバーサルデザインのまちづくりを推進すべきと主張してきました。とりわけパラリンピックを契機としたレガシーの一つとして、障害者や高齢者に優しいまちづくりは極めて重要です。
 いよいよ二年後に迫ってきた東京二〇二〇大会を成功に導くためには、障害がある方であっても快適に移動し、大会観戦を楽しむことができるよう、バリアフリー化を推進していくことが必要です。
 臨海部の海上公園には、多くの大会競技会場が配置され、大会時には国内外から多くのお客様が来訪します。
 平成二十九年度の決算では、大井ふ頭中央海浜公園における環境整備事業が実施されておりますが、そこでまず、平成二十九年度の大井ふ頭中央海浜公園におけるバリアフリー化の取り組み状況について伺います。

○山岡開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 大井ふ頭中央海浜公園は、東京二〇二〇大会のホッケー会場としての整備を進めており、最寄り駅である東京モノレールの大井競馬場前からは、多くの観客が来訪することが想定されております。
 大会時には、高齢者や障害者の方などさまざまな観客が来訪することや、競技時間に合わせて大勢の観客が一斉に来訪することも想定しております。このため、観客が快適に移動できるよう、平成二十九年度から、公園入り口の拡幅を初め、園路や広場の段差解消などを行う工事に着手しているところでございます。

○森村委員 二〇一二年のロンドン大会においては、パラリンピックの成功が一つの大きなレガシーとなりました。世界で初めて二度目のパラリンピックを開催する東京としては、それに恥じない環境をしっかりと整えていただきたいと考えます。
 そこで、大井ふ頭中央海浜公園のほかにも競技会場を配置する海上公園がありますが、今後のバリアフリーの進め方についてお伺いいたします。

○山岡開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務 港湾局では、臨海地域におけるバリアフリーへの対応方針を定めているところでありまして、海上公園では、段差の解消や手すりの設置などのバリアフリー化を推進することとし、計画的に実施をしているところでございます。
 具体的には、開園している三十八カ所の海上公園のうち、東京二〇二〇大会の競技会場やアクセスルートとなる公園、また、大会に合わせて整備をする公園につきまして、オリンピック・パラリンピック準備局や大会組織委員会と緊密に連携し、大会に確実に間に合うよう、最優先でバリアフリー化を進めていくこととしております。
 その他の公園につきましても順次着手をし、大会を契機に、バリアフリー化が徹底した環境となるよう整備を推進してまいります。

○森村委員 東京の海は、国際港、物流拠点としての機能のみならず、都民のゆとりと活力を支える水辺空間としての大切な役割を持っています。
 公園のバリアフリー化は、大会で来訪した海外のお客様に対し、東京の快適で豊かな都市空間を披露する絶好の機会になります。また、大会を契機としてつくられた快適な都市空間がレガシーともなり、都民による水辺空間の活用促進につながるものと考えますため、ぜひバリアフリーの取り組みを今後も着実に進めていただくよう要望しておきます。
 次に、東京港における防災対策について伺います。
 さきの第三回定例会の代表質問で、都民ファーストの会として指摘したとおり、近年の災害は、その規模、ダメージともに、数十年前のそれと異なる様相を呈し、大規模化、深刻化しています。特に、都民にとっての大きな不安は、首都直下地震など大規模な震災です。
 自然災害そのものを制御することはできませんが、いかに備えておくかという防災対策が重要で、先日も防災事業の緊急総点検が行われました。東京港においてもさまざまな防災対策が進められておりますが、これらについて確認させていただきたいと思います。
 本年七月の西日本豪雨では、土砂崩れによる高速道路や鉄道の寸断が各地で発生し、その際に、船舶による救援物資の輸送において、海上輸送が重要な役割を果たしたものと聞いております。大規模災害時の物資輸送に海上ルートを確保することの重要性、これを改めて示唆するものです。
 そこで、東京港の耐震強化岸壁の整備における平成二十九年度の取り組みについて伺います。

○原港湾整備部長 東京港におきましては、首都直下地震等に備えて、緊急物資輸送に対応するための岸壁と幹線貨物輸送に対応するための岸壁を整備しているところでございます。
 緊急物資輸送対応岸壁は、被災直後の食料品、医療品等の緊急物資や避難者などの海上輸送を目的とし、幹線貨物輸送対応岸壁は、被災後においても外貿コンテナ貨物の輸送など経済活動を支えるために必要な物流機能を維持することを目的とするものでございます。
 第八次改訂港湾計画におきましては、緊急物資輸送対応の耐震強化岸壁を二十六バース位置づけており、平成二十九年度におきましては、品川ふ頭S3バースの地盤改良工事に着手するなど五バースで事業を進めており、合計十三バースが整備済みとなってございます。
 また、幹線貨物輸送対応岸壁につきましては、二十二バースを位置づけており、平成二十九年度におきましては、中央防波堤外側コンテナふ頭Y2の岸壁部分の整備が完了した結果、合計五バースが整備済み、一バースが事業中となってございます。

○森村委員 平成二十九年度末時点で十八バースの整備が完了したようですけれども、全四十八バースの計画に対して、整備中の六バースも含めて、いまだ三十バースが残されている状況です。
 残る岸壁についても積極的に整備を進めることが重要ですが、供用中の岸壁の耐震化を図るためには、ふ頭利用への影響などを考慮する必要があります。つまり、工事を進めるために岸壁の供用を一時中断してしまうと、タイトな状況にある現在の東京港の物流を阻害する要因にもなりかねません。しっかりした計画に基づいた整備が必要なものと理解しております。
 そこで、今後どのように耐震強化岸壁の整備を進めていくのかをお伺いいたします。

○原港湾整備部長 今後の耐震強化岸壁の整備につきましては、まず、現在事業中の新客船ふ頭や品川ふ頭などの六バースを最優先に、早期完成を目指して事業を推進してまいります。
 また、未着手の耐震強化岸壁につきましては、貨物量の増加や船舶の大型化への対応など、東京港の機能強化に資するふ頭を優先し、国やふ頭関係者と調整を進め、合意形成を図るなど、早期の事業化に努めてまいります。

○森村委員 災害時において海上ルートが確保されることは、被災からの早期復旧につながる極めて重要な施策であると考えております。まだ未着手の岸壁については、可能な限り早期の整備をしていただけるよう、計画の策定を要望しておきたいと思います。
 さて、次に台風による高潮対策について伺います。
 台風の規模や進路、発生頻度についても、近年のそれはこれまでと異なる様相を呈してきたといわれます。
 国立の海洋研究開発機構が、スーパーコンピューターの京を使って行った分析があるんですけれども、同じ中心気圧の台風であっても強いと、同じ中心気圧の台風であっても強風域が拡大していくというような指摘があったりします。また、台風の移動速度が数十年前に比べて低下してきておりまして、同じ場所で長時間大雨が降り続けるようになってきたことなどを指摘する研究もございます。
 先月初旬に四国地方から中国地方を襲った台風二十一号は、非常に強い勢力を保ったまま上陸し、大きな被害をもたらしました。台風の強さをあらわす階級中、非常に強い勢力のままで上陸したのは二十五年ぶりだったということです。
 特に、上陸に伴って、近畿や四国の沿岸部では急激に潮位が上昇し、記録的な高潮となったところがあります。関西空港の滑走路や駐車場が大きな被害を受けたのは記憶に新しいところです。
 この台風で東京港での被害はありませんでしたが、台風による高潮対策は、都民の命や財産を守るために極めて重要です。
 防波堤や内部護岸の整備に加えまして、有事の際の水門や陸閘の管理は、都民の安全管理に直結する課題となりますが、そこで、台風による高潮の発生に対し、都は、水門や陸閘の閉鎖などどのような対応をしているものか、お伺いいたします。

○原港湾整備部長 都は、台風が襲来するおそれがある場合、高潮の発生に備え、東京港の防災拠点であり、相互にバックアップ機能を有する高潮対策センター及び第二高潮対策センターの二拠点に、海岸保全施設管理職員をあらかじめ参集させ、気象情報の収集や潮位の監視、関係機関との連絡などを行う態勢を確保することとしてございます。
 高潮が発生した場合には、低地部におきまして浸水被害が発生しないよう、海岸法に基づく海岸保全施設の操作規程により、気象情報や潮位の状況に応じて、水門や陸閘の閉鎖を行うこととしてございます。
 具体的には、水門につきましては、潮位が、干潮時の潮位をゼロメートルとする基準であるAPでプラス一・八五メートルに達した場合に全水門を閉鎖いたします。陸閘につきましては、潮位がAPプラス二・八メートルを超えるおそれのある場合に、陸閘が所在する場所の地盤高と潮位との関係などを考慮し、順次閉鎖することとしてございます。

○森村委員 台風による高潮に対して、職員が参集して水門の閉鎖などの対応を行う態勢がとられているとのことです。
 台風については、予報により、あらかじめ潮位などを含めた予測が可能なものと思いますが、予測が困難で、いつ発生するかわからない大規模地震に伴う津波は、その発生から到着時間までの時間が極めて短いものとなる場合もあり、迅速に対応可能な態勢の整備が必要だと考えます。
 都は、水門の閉鎖などを行う職員が迅速に参集できるよう、高潮対策センターの近くに職員住宅の整備を進めているとのことですが、平成二十九年度の取り組み状況についてお伺いいたします。

○原港湾整備部長 地震に伴う津波に対しましては、一たび地震が発生すると短時間で津波が襲来することを前提といたしまして、台風への対応にも増して迅速に態勢を確保する必要がございます。
 このため、襲来する津波に備えて、水門の閉鎖を行う江東区辰巳の高潮対策センター及び港区港南の第二高潮対策センターの二拠点に海岸保全施設管理職員を参集させる態勢を、二十四時間三百六十五日確保しているところでございます。
 これに加えまして、平成二十九年度は、職員を休日や夜間においてもより一層速やかに参集させるため、辰巳、港南地区以外に配置していた海岸保全施設管理職員住宅につきまして、両地区へ集約する取り組みを行ったところでございます。
 具体的には、本年三月に、辰巳地区におきまして新たに海岸保全施設管理職員住宅を整備するとともに、港南地区におきましては管理職員住宅の改修を完成させました。これらの住宅の運用は本年五月から開始しており、職員の両センターへの参集時間を最大約三十分短縮し、職員のより一層迅速な参集が可能となってございます。
 引き続き、高潮や津波に対しまして万全の水防態勢を確保してまいります。

○森村委員 新たな職員住宅が完成し、高潮や津波に対する態勢が強化されたとのことで、心強い限りです。
 きょう現在、気象庁による新しい台風の予報はありませんが、ことしもまだしばらくは、台風の襲来とそれによる高潮の発生が心配される時期が続きます。また、大規模な地震による津波の発生は、いつ何どき起こるかわかりません。引き続き危機感を持って水防活動に当たっていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○菅野委員 それでは私から、最初に、先ほども質問に出ていましたけれども、臨港道路南北線の整備についてお伺いしたいと思います。
 中央防波堤外側コンテナふ頭からの貨物を円滑に輸送していくためには、臨港道路南北線の整備を推進する必要があります。
 我が党は、臨港道路南北線について、事業開始の平成二十六年以前より、その必要性を訴えて整備推進を主張してきました。また、南北線は、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の会場へのアクセスルートとしても重要な役割が期待されています。
 完成期限まで残り二年を切り、工事がいよいよ本格化していると思います。先日も、東西水路を横断する大規模な橋梁の架設工事が報道されていましたが、この橋梁部の架設は、南北線の工事の中でも核となる重要な工事であると聞いています。
 南北線は、トンネル部と橋梁部で構成され、国はトンネル部を、そして都は橋梁部を担うとのことですが、橋梁部は六つもの橋梁を架設する必要があり、構造も複雑であると聞いています。
 そこで、都が担う橋梁部の工事における平成二十九年度と現在までの進捗状況について、まずお伺いしたいと思います。

○原港湾整備部長 臨港道路南北線の橋梁部は、東西水路を橋脚なしで結ぶ約二百五十メートルの橋梁と、東京港臨海道路に連絡するランプ橋梁から成る合計六橋梁で構成されておりまして、大規模かつ複雑な構造となってございます。
 平成二十九年度の進捗でございますが、東京港臨海道路部や東西水路部を横断する橋梁につきまして、工場で橋桁の製作を進めるとともに、現地でその橋桁の組み立てを推進したところでございます。その後も橋桁の組み立てを進め、東京港臨海道路部は本年六月、東西水路部は本年八月に、架設作業を完了したところでございます。
 引き続き、東京港臨海道路に連絡する四橋梁の架設と舗装や照明等の工事につきまして、二〇二〇年までに完成させるべく着実に整備を進めてまいります。

○菅野委員 工事については、まずは順調に進んでいるということがわかりました。引き続きしっかりと整備を進めてほしいと思います。
 ところで、当該整備が行われている十号地その二埋立地及び中央防波堤地区は、東京二〇二〇大会関連も含め、今、数多くの工事が進められ、工事関係の車両が増加傾向にあると聞いています。
 そこで、物流への影響を軽減させる取り組みとして、臨港道路南北線の周辺において、工事関係車両の増加に伴う渋滞対策を実施していると思いますが、対策の取り組み状況について伺いたいと思います。

○原港湾整備部長 臨港道路南北線におきましては、国がトンネル工事を、都が橋梁工事を推進するとともに、その周辺におきまして、海の森水上競技場など東京二〇二〇大会に向けた多くの関連工事を実施しており、工事関係車両も増加してございます。
 これまで、物流への影響を軽減させる取り組みといたしまして、工事関係車両は原則、港湾物流車両等により渋滞しやすい交差点を通過しない迂回ルートの走行や、交通量の少ない夜間輸送または海上輸送への転換などの徹底を図っているところでございます。
 今後とも、国等の関係機関と連携し、物流への影響を最小限にとどめるよう、工事関係車両の増加に伴う渋滞対策に全力を挙げて取り組んでまいります。

○菅野委員 工事関係車両の増加が物流へ与える影響、これを最小限にとどめるというのは極めて重要なことであります。臨港道路南北線などの工事関係車両の増加に伴う渋滞対策を引き続きしっかりと実施するよう強く要望しておきます。
 続いて、中央防波堤地区では、臨港道路南北線だけでなく、海の森水上競技場の整備、さらには東西水路内の中潮橋などの撤去に伴う関連工事も行われています。臨港道路南北線とその周辺で行われる関連工事との調整は、南北線を二〇二〇年までに完成させるためにも不可欠なものであり、関連工事との工程管理というのが極めて重要です。
 そこで、工程管理の実施状況とその成果について伺いたいと思います。

○原港湾整備部長 臨港道路南北線を二〇二〇年までに確実に完成させるためには、海の森水上競技場など周辺工事と調整を図りながら工事を進めていく必要がございます。
 このため、庁内関係局や国土交通省、警視庁、海上保安部等の関係機関で構成する中央防波堤地区関連工事等連絡調整会議を設置し、関連工事間の工程管理を厳格に行っております。
 これまで、工程管理の取り組みとして、その調整会議のもとに、南北線の周辺で行われる関連工事の工程を集約した工程表を作成し、各工事の進捗におくれを与えないよう、綿密な工程調整を行ってきてございます。その結果、中潮橋などの撤去工事を本年五月までに完了させ、その後の東西水路を横断する橋梁の架設を、当初の予定どおり本年八月に完了させることができました。
 今後も、連絡調整会議を活用して関係機関と連携しながら、関連工事間の工程管理を厳格に行い、着実に工事を推進してまいります。

○菅野委員 今ご答弁いただきましたように、臨港道路南北線事業の整備というのは、東京港の機能強化に向けて非常に重要な取り組みであります。確実に完成されることを強く要望して、次の質問に移りたいと思います。
 次に、離島と本土とを結ぶ航空路について伺います。
 将来にわたって離島での暮らしを守っていくには、住民が安心して定住できるよう環境整備をしていくことが必要であり、その中でも、離島と本土とを行き来する交通アクセスの安定化は不可欠であります。
 とりわけ、より迅速に移動できる離島航空路は、島の住民の安全と安心を確保する上で重要な役割を果たしており、これまでも都は、伊豆諸島への航空運賃水準を維持し、島民の利便性向上を図るために、航空会社に対するさまざまな支援を行ってきたと聞いています。
 そうした中、昨年四月に、我が国の領海や排他的経済水域の保全等を図る目的で、有人国境離島法が施行されました。これを受け、都は、新たに伊豆諸島南部地域にある八丈島及び三宅島と、それぞれ本土とを結ぶ離島航空路の島民割引運賃の拡充を図ったところであります。
 そこで、有人国境離島法により昨年度拡充した島民割引制度について、改めてその内容を伺います。

○松本島しょ・小笠原空港整備担当部長 昨年四月、有人国境離島法が施行されたことに伴いまして、都は、八丈島空港及び三宅島空港と本土とを往復する定期航空路の島民運賃割引を拡充する制度を、航空事業者との協議を経て創設いたしました。
 具体的には、普通片道運賃から約四〇%を割り引く新たな島民運賃を設定し、三宅島-調布路線を昨年八月から、八丈島-羽田路線は昨年九月から制度を開始しているところでございます。

○菅野委員 航空路では、三宅島-調布間は五十分、八丈島-羽田間は五十五分で行き来することができます。
 例えば、島の住民の方が本土の病院に通われたりする際に、島民割引により低廉な航空運賃で短時間で移動できることは、島の住民が安心して暮らす上で非常に意義深いことであります。しかし、実際にどの程度この制度が利用されているのか、確認していく必要があります。
 そこで、昨年度の航空運賃の島民割引の実績について、利用人数や地元の反応がどのようなものか伺いたいと思います。

○松本島しょ・小笠原空港整備担当部長 伊豆諸島南部地域にございます八丈島と本土との移動におきましては、航空機を利用する割合が約九割と極めて高く、また、三宅島と本土との移動手段に航空機を利用する割合も三割を超え、年々増加する傾向にございます。
 そのうち、島民割引運賃の利用状況でございますが、三宅島-調布間では、二十九年八月から三十年三月末までの八カ月間で述べ八千七百人ほど、八丈島-羽田間におきましては、二十九年九月から三十年三月末までの七カ月間で延べ一万四千七百人ほどの利用がございました。
 地元町村等からは、本制度により、島民の経済的な負担が軽減され、本土への移動手段の選択肢がより広がったと評価する声を聞いております。
 都といたしましては、本制度が島民の安定的な生活を守る上で重要な役割を果たしていると認識してございます。

○菅野委員 それぞれの利用人数が示されましたが、例えば、平成二十九年における三宅村の人口は二千五百人、八千七百人の利用があったということでしたね。八丈町では七千五百人の人口ですから、さっき一万四千七百人が利用したということで、単純計算ではありますけれども、利用人数を人口で割り返すと、三宅村では住民全員が三・五回、八丈町では住民全員が二回、島民割引を利用していることになります。これは、年度途中に制度が施行された中での利用実績としては、おおむね良好な結果であろうかと思います。また、制度の出だしとしても、地元から評価する声があったということは、大変結構なことだと思います。
 しかし、都はこれに満足することなく、引き続き地元の意見を聞きながら、毎年、より多くの方が島民割引制度を利用できるよう、一層の努力をしていただきたいと思います。
 そして、伊豆諸島全体の振興の観点から、これまで取り上げてきた伊豆諸島南部地域だけではなく、大島、新島、神津島といった伊豆諸島北部地域と本土とを結ぶ航空路についても、あわせて考えていく必要があります。
 そのため、本年の第一回都議会定例会の我が党の一般質問や経済・港湾委員会での質疑において、北部地域にも島民運賃割引を導入することを都に求めたところであります。都からは実施するとの答弁をいただいております。
 そこで、伊豆諸島北部地域の航空路における島民割引の導入状況と、これまでの成果について伺います。

○松本島しょ・小笠原空港整備担当部長 伊豆諸島北部地域と本土とを結ぶ航空路は、伊豆諸島南部地域と同様に、島民生活の安全・安心を確保する上で極めて重要でございます。
 このため、都は、本年四月から、特定有人国境離島地域に指定されていない北部地域の大島、新島、神津島と、それぞれ本土とを結ぶ航空路におきましても、補助を行うことといたしまして、普通片道運賃から約四〇%を割り引く新たな島民割引制度を導入いたしました。
 航空路運賃の島民割引を大幅に拡充したことによりまして、三つの路線の島民利用者数は、本年四月から九月までの半年間で、前年同期日と比較して三割以上ふえるなどの効果が上がっているところでございます。

○菅野委員 拡充した島民割引制度は緒についたばかりでありますが、既に効果も出てきていますので、引き続きしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 一方で、決算の観点から、より効果的に施策を進めていくには、単に割引率の話だけではなく、制度そのものの使い勝手をよくしていくことも考えなければなりません。
 例えば、本年三月の経済・港湾委員会においても取り上げましたが、空港が設置されていない利島や御蔵島の住民の方が航空路を利用する際に、船やヘリコプターとの乗り継ぎを考慮して、一つの航空路だけではなくて、複数ルートの航空路を選択できるようにすべきです。
 都からは、複数ルートの導入に向けて関係機関と調整するとの答弁をいただいておりますが、その取り組みを着実に進めていただき、引き続き、島の住民の利便性に可能な限り配慮した、利用しやすい制度への改良を重ねていただくよう要望しまして、この質問を終わりたいと思います。
 それでは次に、船舶の安全な航行の確保について伺います。
 私は、平成二十六年第一回定例会の経済・港湾委員会で、船舶への通信業務を行うポートラジオの拠点である大井信号所の建てかえについて質疑を行いました。その際、ポートラジオの業務は、東京港に入出港する船舶の運航状況の把握や関係者間の連絡調整だけではなく、船舶の航行が重なる場合における危険防止の調整業務を行っているとお聞きしました。
 その当時から、東京港は首都圏の物流拠点であり、行き交う船舶の航行が多い港でありますが、現在は加えて、臨港道路南北線などの建設に伴う工事用船舶も航行しています。今後は、コンテナY2バースや新客船ふ頭のオープンが控えており、東京港の第一航路ではコンテナ船や大型客船などの航行が増加し、これまで以上に多くの船舶でふくそうすることになり、ポートラジオの役割は一段と大きくなります。
 対象の船舶が大型化する中にあっても、東京港の安全を確保することは不可欠であり、そのためには、ポートラジオの運営体制をハード、ソフトの両面で強化することが必要です。
 そこで、大井信号所の建てかえ、その後の状況も含め、東京港における船舶の安全航行の確保に関して何点かお聞きします。
 まず、確認の意味を込めて、東京港における船舶の安全航行確保の取り組みについて伺います。

○蔵居港湾経営部長 国は、港則法との名称の法律に基づきまして、海上保安部が船舶の交通規制や取り締まりを実施しております。都は、港湾法に定める港湾管理者として、東京港に入出港する船舶の動静を入港届により把握するとともに、港湾施設への着岸、離岸に係る水域利用調整を所管しております。
 都は、こうした入出港船舶の位置や運航情報の把握のため、ポートラジオと呼ばれます無線局を設置しております。ポートラジオでは、通信士が入出港する船舶との通信を行い、円滑かつ安全な航行ができるよう、日本語及び英語で情報提供を行っております。
 特に、早朝や夕刻は船舶の入出港が重なり、船舶同士のふくそうが発生することから、東京港では独自のサービスとして、ポートラジオを活用した港内の交通整理、誘導を行い、船舶事故の未然防止に努めております。

○菅野委員 海上保安庁が港則法に基づき船舶の交通規制等を行い、都は港湾管理者として、船舶の入出港に係る情報をポートラジオを通じて船舶に情報提供することで、船舶の安全な航行をサポートしていることを再確認させてもらいました。
 こうした船舶の安全航行をサポートする事業は大変地味でありますが、港湾の管理運営を推進していく上では重要な事業であると認識しています。
 そこで、ポートラジオの運営を行う大井信号所の建てかえ工事に関する平成二十九年度の実施状況を伺います。

○蔵居港湾経営部長 大井信号所は、海上保安庁が所管する船舶用の信号板が併設されるなど、船舶の安全航行を図る上で重要な施設であります。
 しかし、昭和五十四年に建設された施設で、約四十年が経過し、建物の経年劣化や狭隘化が著しいことから、平成二十八年度から建てかえ工事を開始し、二十九年度には、本体工事のほか、電気や空調などの設備工事に着手しました。
 なお、大井信号所の建てかえ工事は本年九月に竣工し、十月から新たな施設での運用を開始しております。

○菅野委員 今の答弁で、大井信号所が既に竣工して、今月から新しい施設での運用が開始されたということを確認しました。
 東京港は、貨物量が堅調に増加するとともに、入出港する船舶も大型化して、主要航路を往来する船舶もさらにふくそうしてくることから、より一層、船舶の航行安全対策の必要性が高まることになります。
 先ほども述べたように、ポートラジオの体制強化に向けて施設を更新する際は、老朽化に伴う単なる建てかえではなく、機能の充実を図ることが重要であると指摘したところであります。
 そこで、大井信号所の建てかえで施設がどのように充実したのかを伺いたいと思います。

○蔵居港湾経営部長 今回の建てかえ工事で施設の充実を図った点は、大きく二点です。
 一点目は、監視体制の強化であります。
 東京港は、貨物船や工事用船舶など多数の船舶がふくそうしていることから、迅速で正確な情報提供が重要であります。
 このため、大容量で処理速度の速いネットワークサーバーを導入し、多数の船舶の位置を瞬時に処理するといった迅速な情報提供が可能な体制を構築しました。
 また、監視カメラのモニターの大型化により、船舶や港湾施設の監視体制の強化を図るとともに、監視する方向の窓を広げることで、目視によるいわゆる見やすさ、視認性も向上させております。
 二点目は、非常用発電機の設置による防災機能の強化です。
 新施設では、非常用発電機を設置し、最低三日間は情報通信機器全ての稼働が可能となりました。なお、風水害の対策として、非常用発電機は建物の二階部分に設置しております。

○菅野委員 大井信号所の監視機能や非常用発電機が設置されて、機能が充実されたことで、災害時などにおいても船舶への通信が担保されたことは、大変有意義なことであります。
 こうしたハード面の強化が行われたことがわかりましたが、こういった取り組みを生かし、今後どのように船舶の安全航行対策を進めていくのか伺いたいと思います。

○蔵居港湾経営部長 コンテナふ頭Y2バースや新客船ふ頭の新たなふ頭に入出港する船舶の航行安全対策につきましては、東京港の港湾関係者で構成する船舶航行安全対策検討委員会において対策の検討を行い、ふ頭、バースの運用基準や水域利用調整のガイドラインを策定してまいります。
 これらの新たな運用基準やガイドラインを含めて、ポートラジオによる情報提供や入出港に係る水域利用調整を確実に行うことで、港内における安全な船舶航行を確保していきます。
 さらに、関係機関と緊密に連携しながら、ポートラジオを活用した東京港内の交通整理、誘導を的確に行い、船舶の航行安全に万全を期すことで、円滑な物流の確保と効率的な港湾運営を推進し、ひいては首都圏四千万人の生活と産業を支えてまいります。

○菅野委員 今後とも、都は港湾管理者として、東京港における船舶の安全航行に万全を期して取り組み、世界から信頼される港としてさらに成長していくよう努力されることを大いに願いまして、私の質問を終わります。

○伊藤委員 私からは、まず港湾局一般会計、二十九年度決算中、神津島の三浦漁港の災害復旧について伺いたいと思います。
 近年の台風は、強い勢力を維持したまま伊豆諸島の近海を通過し、港湾、漁港施設に多くの被害が発生をしております。港湾及び漁港施設は、島民にとって、交通や産業の拠点として重要な役割を担っており、台風による被害は直ちに対応を図るべきと考えます。
 一般会計決算説明書六四ページに、神津島の三浦漁港の災害復旧経費が計上されておりますけれども、三浦漁港は、神津島港に接岸できない波向きのときに、島と本土を行き来する海上交通の重要な拠点の役割を担っております。
 当該漁港が平成二十八年の台風で被災し、平成二十九年の台風により、さらに被害が拡大したということでありますけれども、改めて三浦漁港の被災状況について伺いたいと思います。

○小林離島港湾部長 三浦漁港は、神津島港の補完港といたしまして、大型貨客船が接岸できる岸壁が整備されておりまして、島民が安心して生活する上で重要な役割を担っております。
 三浦漁港には、背後地の崖から恒常的に砂が流れ込んでおりまして、この砂の堆積を防ぐために防砂堤が整備されております。この防砂堤が平成二十八年の台風十号により被災いたしました。この被災により防砂堤を覆うブロックが移動し、基礎の石材が露出する状態となりましたが、平成二十九年度の復旧工事中に、台風二十一号により再び被災したものです。
 具体的には、波浪により被災箇所のブロックが飛ばされまして、石材がさらに崩れるなど被害が拡大することとなりました。

○伊藤委員 気象庁の発表や報道によりますと、近年の台風による波浪は激しさを増しているということでございます。
 以前、八丈島で八丈の島民の方から、台風による強風と高潮で港がのみ込まれていく写真を、強烈な写真を見せていただいたことがあります。そして、その台風の後、防波堤に整備されていた消波ブロックが根こそぎ沖へ流されてしまって、ケーソンというんですか、むき出しになっている状態を目の当たりといたしました。そのときにも、恐怖を私は覚えたわけであります。
 ましてや今回のように、被災を受けて復旧工事を実施している最中に、再度被災を受けるということは、余り例がないというふうに思います。被災を受けた箇所に対して早急に対応し、施設を復旧することは、島民が安心して生活する上で非常に重要なことだと思います。
 そこで、平成二十九年度に被災を受けた三浦漁港の防砂堤の復旧状況について伺いたいと思います。

○小林離島港湾部長 平成二十九年の台風二十一号により被災が拡大した箇所につきましては、速やかに国の査定を受けまして、別途工事を発注するのではなく、変更設計によって対応を図ることで、途切れることなく復旧工事を進めることが可能となりました。このため、冬場の厳しい海象条件により、一部翌年度に予算を繰り越して実施いたしましたが、平成三十年五月三十日に完了することができました。
 港湾、漁港施設は、島民生活を支える上で極めて重要な施設であり、今後も、台風などで被災した施設については、速やかな復旧に努めてまいります。

○伊藤委員 平成二十九年度の復旧工事は、変更設計によって対応したということ、ことしの五月三十日完了したということ、台風シーズンになる前に完了させたということで、神津島の方々にとって本当によかったなというふうに思います。
 しかし、今年度も伊豆諸島へ何度か台風が襲来しており、特に台風二十四号は利島港に甚大な被害を発生させ、その他の離島の港湾及び漁港施設にも被害が出ていると聞いております。いずれの災害も早急に復旧を実施し、島民生活に支障が出ないように、着実に災害復旧事業を進めていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、港湾局が所管する道路の無電柱化について質問をいたします。
 東京二〇二〇大会開催時には、東京の臨海部には多くの競技場が集中することから、国内外より多くの方々が訪れるわけであります。このため、防災力の強化はもとより、景観等の観点からも、無電柱化の事業は極めて重要な事業であります。
 さらには、本年九月に、近畿地方等を直撃した台風二十一号は、大阪府を中心に千本以上の電柱を倒壊させ、大規模な停電や通行どめを引き起こし、住民生活等にも大きな影響を及ぼしました。無電柱化は、地震時のみならず、台風に対する防災力強化の対策としても重要であることを、今回の災害を通して改めて認識したところであります。
 そこでまず、東京港の無電柱化はどのような方針で取り組んでいるのか伺いたいと思います。

○原港湾整備部長 東京港における無電柱化の取り組み方針におきましては、臨港道路全路線におきまして電柱の新設を禁止するとともに、災害発生時におきまして、緊急物資の輸送や国際コンテナ物流の停滞を回避するため、全ての緊急輸送道路を対象として、無電柱化を推進することとしてございます。
 このうち、競技会場周辺の臨港道路等につきましては、東京二〇二〇大会開催時に外国の方を含め多くの人々が訪れますことから、無電柱化の整備を優先して進め、完成することとしてございます。

○伊藤委員 取り組み方針では、競技会場周辺の無電柱化を東京二〇二〇大会までに確実に完成するということでありますけれども、二十九年度も含め、これまでの取り組み状況と、今後どのように進めていくのかを伺いたいと思います。

○原港湾整備部長 東京港の無電柱化につきましては、平成二十六年度に事業着手し、平成二十九年度には、海の森水上競技場周辺の東京港臨海道路や国道三五七号と同競技場を結ぶ新木場若洲線等、全七路線で無電柱化事業に着手したところでございます。
 今後、これまで以上に厳格な工程管理や埋設企業者との綿密な調整を行うことなどにより、全七路線の整備を着実に推進し、東京二〇二〇大会開催までに無電柱化を完成してまいります。

○伊藤委員 競技会場周辺には、二〇二〇大会開催中、国内外からの多くの方々が訪れることから、確実に無電柱化を完成するよう取り組んでいただきたいと思います。
 また、競技会場周辺以外の緊急輸送道路についても、防災的な観点から無電柱化が不可欠であり、しっかりと取り組みを進めていただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、東京港の交通混雑対策について伺いたいと思います。
 東京港は、首都圏、ひいては東日本の産業と生活を支える重要な役割を果たしている港であります。特に、外貿コンテナ取扱個数は二十年連続で国内最多となっており、昨年は過去最高の四百五十万TEUを記録いたしました。まさに国内外の利用者から選ばれ続けている港であると高く評価したいと思います。
 その一方で、東京港では、ふ頭周辺でコンテナ車両による交通混雑が慢性的に発生をしております。交通混雑の問題は一朝一夕に解決できるものではないことは理解をしておりますけれども、円滑な物流の実現を阻害するとともに、周辺環境にも影響を及ぼすものであることから、今後、東京港をさらに発展させていくためにも、絶対に解決していかなければならない重要な課題であると考えます。
 そこでまず、交通混雑の解消に向けた平成二十九年度を含むこれまでの都の取り組みとその成果について伺いたいと思います。

○蔵居港湾経営部長 都は、平成二十六年に東京港総合渋滞対策を策定し、交通混雑の解消に向けたさまざまな取り組みを進めてきたところでございます。
 具体的には、港湾関係者の協力のもと、コンテナターミナルのゲートオープン時間を通常より一時間前倒しし、混雑の激しい夕方での貨物引き取りを早朝へシフトさせる取り組みを推進するとともに、コンテナふ頭の周辺に車両待機場を複数箇所設置し、道路上に滞留しているコンテナ車両の減少を図ってきました。
 また、コンテナ車両の台車部分を道路上に放置する、いわゆる台切りシャーシーに対する取り締まりの強化に加え、昨年からは、二十四時間利用可能な輸入貨物の一時保管場所をふ頭近くに設置し、コンテナターミナルが比較的すいている時間帯における貨物の引き出しを促す取り組みを開始したところでございます。
 このような取り組みの結果、東京港のコンテナふ頭における渋滞の平均の長さは、外貿コンテナ貨物取扱個数が初めて四百万TEUを突破した平成二十三年と比較すると、約半分までに減少したという調査結果も出ており、一定の成果が、改善が図られたと考えております。

○伊藤委員 コンテナ取扱量が増加しているにもかかわらず、平均の渋滞の長さは減少しているということでありました。コンテナふ頭における交通混雑は着実に改善されてきていると確認をいたしました。
 しかし、完全に解消されたわけではありませんで、季節や時間帯によっては、依然として交通混雑が発生をしております。特に、私の地元にある大井コンテナふ頭は、東京港のコンテナ貨物の約半分を取り扱う、いわば主力ふ頭ともいうべきふ頭でありますけれども、お昼過ぎから夕方にかけて、特に激しい交通混雑が発生する日がたびたびあります。
 これまでも、一年に数回ではありますけれども、巨大なコンテナ車が大井ふ頭におさまらずに、品川区でいうと大井競馬場の方とか、八潮パークタウンの方とか、もっといえば第一京浜の方、立会川の方まで列をなして、品川区内の一般道まで渋滞をしているということがたびたびありました。
 さらなる改善が望まれるわけでありますけれども、都は、大井ふ頭における交通混雑の緩和に向けた新たな取り組みとして、約四百七十台のコンテナ車両を収容できる大井車両待機場を新たに整備し、昨年三月にトライアル運用を開始したところでありますけれども、さまざまな課題が発生し、中止を余儀なくされたと聞いております。
 そこで、大井車両待機場のトライアル運営で発生した課題とはどのようなものであったのか伺いたいと思います。

○蔵居港湾経営部長 大井車両待機場では、昨年三月に一部のコンテナ車両を対象としたトライアル運営を開始しましたが、待機場内での駐車場所の指定や退場の指示などを行うシステムにふぐあいが確認されるとともに、夜間に車両待機場を利用しようとするコンテナ車両が想定を上回る台数で一時的に集中したことなどによって、混乱が発生しました。
 また、車両待機場からコンテナターミナルに向かう道路上において、他の車両とのふくそう等により円滑な通行が困難になる状況も発生したことから、やむを得ずトライアル運営を中止いたしました。

○伊藤委員 大井コンテナふ頭周辺では、日々、多くのコンテナ車両が走行しておりますけれども、その台数や、ふ頭周辺の道路で発生する交通混雑の状況は、コンテナ船の寄港スケジュールやコンテナヤードでの荷役作業の状況等によって大きく左右されると聞いております。
 ただいまの答弁によれば、システムのふぐあいに加えて、多数のコンテナ車両が一時的に集中したことや、車両のふくそうによって、コンテナターミナルまでスムーズに走行できない等の課題が確認されたということでありますけれども、これらは、先ほど申し上げたコンテナ港特有の事情に起因するところも大きいと思います。
 このため、トライアル運用で確認された課題の解決に向け、検討を行うに当たっては、港の現場の事情に精通した港湾関係事業者やトラック事業者の意見にしっかりと耳を傾けることが必要であると考えますけれども、都の取り組みを伺いたいと思います。

○蔵居港湾経営部長 これまで都は、大井車両待機場のトライアル運営実施に当たって、港湾関係事業者やトラック事業者との意見交換を積極的に行ってきましたが、トライアル運営の中止後も、これらの事業者と連携して、混乱が発生した原因の分析を直ちに行うとともに、課題解決に向けた検討を行ってきたところであります。
 一方、大井地区内における橋梁の補修工事によって、一部のコンテナターミナルに向かうコンテナ車両の動線を変更する必要が生じたことから、本年四月から工事が終了するまでの間、代替の車両動線の一部として大井車両待機場を暫定的に運用することとしました。
 この暫定運用においては、事業者の意見を踏まえて、車両待機場からコンテナターミナルまでの円滑な車両通行の確立に向けた取り組みも積極的に進めているところであり、これらの知見も踏まえつつ、運営再開に向けて、引き続き事業者と連携し、検討を進めてまいります。

○伊藤委員 私が聞いた港湾関係事業者、あるいはまたトラック事業者からの声でありますけれども、近年では女性の活躍推進もあって、こうした大型のトラックや、あるいはコンテナ車を女性ドライバーが運転する、こうしたことが大変にふえてきたと。しかしながら、渋滞によって長時間車の中で過ごすに当たって、こうした女性の方々、男性もそうですけれども、一番困るのはトイレの問題であるというふうに聞いております。車両待機場の円滑な運用が本格実施されれば、こうした課題も解決に近づけると思います。
 都は今後、現場に精通した事業者の方々としっかりと連携をして、課題の解決を図り、車両待機場の運営を確実に再開できるよう要望したいと思います。
 次に、昨年夏に、私の地元である品川区の大井コンテナふ頭で、中国から届いたコンテナの中でヒアリが確認をされ、一大事となった事件について質問をしてまいりたいと思います。
 特定外来生物に指定されているヒアリは、すみつくと根絶は極めて困難であり、毒性が大変強いことなどから、人や生態系に重大な被害を及ぼすといわれております。
 実際に私も、都議会公明党のメンバーとともに、ヒアリが確認された大井ふ頭を視察し、その時点での対策の状況や現場確認をしたところでありますけれども、都議会公明党は、都に対し、東京港全域での徹底した現状調査、そして、国、区などの関係機関との連携及びヒアリの拡散防止などを柱とした緊急要望を行いました。
 都民や港湾の現場で働く方々への被害を防ぐには、ヒアリの早期の発見と適切な防除対策が重要であります。その後、東京港や都内では、ヒアリの確認はされていないということでありますが、ことしに入っても、他の港湾や空港では、ヒアリの確認が相次いでいる現状があると聞いております。
 そこで、昨年、大井ふ頭でヒアリが確認されて以降、東京港ではどのようにヒアリ対策を実施したのか伺いたいと思います。

○蔵居港湾経営部長 東京港で昨年七月にヒアリが確認された以降、コンテナふ頭やヒアリ発見地点周辺二キロの範囲内で、捕獲トラップによるモニタリング調査を国が実施し、それに都も協力して取り組んできました。
 さらに、国が実施する調査に含まれていない周辺のコンテナ置き場や海上公園についても、都は独自に同様の調査を行うことで、ヒアリの早期発見に努めてきました。
 なお、今年度も昨年と同様のモニタリング調査を八月から、都と国それぞれ二回実施しているところでありますが、現時点まで新たなヒアリは確認されておりません。

○伊藤委員 都は、コンテナふ頭周辺のコンテナ置き場や海上公園等の調査を行って、ヒアリが発見されていないことを確認できたということで、安心いたしました。
 これまでのヒアリ対策においても、国などの関係機関と連携して対策を講じているということでありますけれども、防止策の推進には、こうした関係機関との連携が極めて重要であると考えます。
 そこで改めて、国や関係機関等との連携した取り組みについて、具体的に伺いたいと思います。

○蔵居港湾経営部長 ヒアリの対策を効果的、効率的に推進していくためには、副委員長ご指摘のように、庁内外の関係機関が連携して対策を講じることが重要であります。
 そのため、都の関係局、環境省、国土交通省、地元区、警視庁、東京消防庁、港湾関係団体が参加する東京港におけるヒアリ等対策連絡会を都が主体となって設置し、官民が一体となって、関係者間でヒアリ等の情報連絡体制の構築や防除方法等の情報交換と共有化を図っております。
 さらに、都においても、私ども港湾局と環境局とで、地元自治体職員や関係事業者向けの講習会を開催し、公園や作業現場等におけるヒアリの見分け方、発見時の対応のポイントなどを、専門家によりわかりやすく理解してもらう場を設けております。
 これらの取り組みを通じて、引き続き情報交換や情報共有化を図り、関係者との連携強化に努めてまいります。

○伊藤委員 国や地元区、関係団体とも連携し、庁内でも関係局が一致団結して、ヒアリ対策に取り組んでいるということで、改めて確認をさせていただきました。
 このような地元区や現場の関係者へのヒアリに関する基礎知識を習得する講習会は、ヒアリの早期発見や防除には欠かせない取り組みと認識しております。今後もぜひ続けていただきたいというふうに思います。
 東京港でこうした取り組みが進められている一方で、今年度も他の港や空港ではヒアリが発見されております。都は、今後どのようにヒアリ対策を進めていくのか伺いたいと思います。

○蔵居港湾経営部長 東京港では、昨年度から、ヒアリの生息環境になり得るコンテナヤードの亀裂の補修を埋める緊急工事を実施し、ヒアリの定着防止を図ってきました。
 今後も、ふ頭内の舗装の陥没、亀裂発生箇所について、緊急維持補修工事を実施し、ヒアリが定着しない環境を構築するとともに、中長期的には、改修時にコンテナヤードの舗装を全面的に打ちかえ、ヒアリにも有効な対策を講じてまいります。
 また、国や都の関係局、地元区等との緊密な連携により情報を共有し、定期的なモニタリング調査や、適切な防除によるヒアリ対策を講じることにより、都民の安全・安心の確保に努めてまいります。

○伊藤委員 特定外来生物であるヒアリの日本への定着を防ぐには、水際での防除が大変に重要であります。
 ヒアリは寒くなると活動が鈍くなるといわれております。また、ことしは、今のところ東京港や都内でヒアリが確認されていないという状況下でありますけれども、決して油断することなく、都民の安全・安心のために万全の対策をとっていただくよう要望いたします。
 最後に、私の地元にある大井ふ頭中央海浜公園について伺います。
 大井ふ頭中央海浜公園は、バードサンクチュアリなど豊かな水辺を擁するなぎさの森と、東京二〇二〇大会のホッケー会場となる競技場のあるスポーツの森があり、地元の方々にも非常に親しまれている公園であります。
 今回の決算において、大井ふ頭中央海浜公園の整備が計上されていることを確認できたことから、この公園のさらなる魅力向上に向けて幾つか質問をしたいと思います。
 我が党は、人に優しいまちづくりの推進を訴えてきたところであります。公園を利用される高齢者や障害のある方々からよく寄せられる声に、公園のトイレは和式が多く使いづらいという切実なご意見、要望があるわけでございます。また、近年は、和式トイレを使ったことのない子供たちもふえているというのも現実であります。東京二〇二〇大会では、外国からも多くのお客様が来る中、和式のトイレに戸惑う方も出ることが想定されます。
 私は、これまでも繰り返し求めてまいりましたけれども、早急にトイレの洋式化を進めるべきと考えますが、取り組み状況を伺います。

○中村臨海開発部長 海上公園では、高齢者を初め、障害者、乳幼児を連れた方々など、さまざまな利用者に対応するため、トイレのバリアフリー化を進めております。
 大井ふ頭中央海浜公園は、東京二〇二〇大会のホッケー会場となることから、計画的にトイレの改修に取り組んでおり、平成二十九年度にはトイレの設計を終えたところでございます。
 改修するトイレでは、便器の洋式化を進めるほか、誰でもトイレを設置し、ベビーベッドやオストメイト設備などを整備することとし、大会までに確実に整備を行ってまいります。

○伊藤委員 ふだん利用されている近隣の住民の皆さんや、スポーツ利用で訪れている子供たちが快適に利用できるよう、着実に整備をしていただきたいというふうに思いますのと、二〇二〇大会時、恐らく大勢の方がこの海浜公園にお見えになると思います。こうした一大イベントのときに一番困るのは、もう前からいわれておりますけれども、トイレの問題、そしてまた水分の補給、こうしたこと、わかっているわけですから、しっかりと整備を進めていただきたいというふうに思います。
 次に、東京二〇二〇大会の観戦に訪れる外国人のお客様の受け入れ環境を整えるため、トイレの洋式化だけではなくて、広い園内を迷うことなく移動できるように、表示などの多言語化が必要であると考えますけれども、その取り組み状況について伺いたいと思います。

○中村臨海開発部長 海上公園では、外国人の方々にも安心して利用していただけるよう、サインの多言語化を進めており、総合案内板では四カ国語、行き先を示す指導標では二カ国語を示すとともに、さまざまな国からのお客様が来訪することを想定し、ピクトグラムによるわかりやすいサインを活用しております。
 また、外国人の方々が公園に関する情報を容易に収集できるよう、ホームページの多言語化や公園内へのWi-Fi設置など、誰もが利用しやすい公園づくりを進めてまいります。

○伊藤委員 都は、東京二〇二〇大会を契機に、スポーツ実施率の向上を目指しておりますけれども、まさにこの公園は大会のレガシーであり、大会後も将来にわたって、ウオーキングやランニングを楽しめる公園となることが期待できるわけであります。
 この公園の魅力は豊かな水辺と緑でありますが、一方で、近隣の方々からは、夜になると暗くて怖いという声をよく聞きます。日が落ちてからでもウオーキングやランニングを楽しめる公園として、スポーツの振興や地域の方々の安心確保のためにも改善が必要と考えますけれども、所見を伺いたいと思います。

○中村臨海開発部長 海上公園では、安全で快適に利用できるよう、歩行動線となる園路沿いや広場の周辺に公園灯を設置し、照度の確保に努めております。
 大井ふ頭中央海浜公園では、園路の拡幅工事とあわせて、夜も安心し園路を歩けるよう、老朽化した園路灯については、高輝度のLED照明への切りかえを進めており、二〇二〇大会までに整備を完了する予定でございます。

○伊藤委員 まずは東京二〇二〇大会を目指し、これまでも、そしてこれからも、ずっと多くの都民に愛される海浜公園となるよう、港湾局として頑張っていただきたいことを申し上げて、質問を終わります。

○小宮委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二分休憩

   午後三時十九分開議

○小宮委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行します。
 発言を願います。

○原田委員 それでは、港湾局の決算質疑に当たりまして、私から、島しょの港の管理等について幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 まず、式根島野伏漁港の船客待合所について伺います。
 野伏漁港では、平成二十九年度に予定されていた船客待合所の建てかえ工事が不調になったと聞いています。
 離島工事というのは確かに、資材の運搬や、技術者や専門性のある職人を島に連れていった場合の宿泊など、さまざまな経費がかさむのはわかります。しかも、今は、いわゆる内地の工事との競合という面もあると、こうした状況下で二年連続の不調が起きたとすれば不思議はありません。
 そこでお聞きします。離島工事については、資材の運搬費などを上乗せして積算しているとのことですが、工事を進めていくためには運搬費以外にも一定の上乗せが必要と考えますが、所見を伺います。

○小林離島港湾部長 不調につきましては、人員の確保ですとか施工時期などさまざまな要因がございまして、一概に工事予定価格のみが原因とは特定はできません。
 工事予定価格につきましては、都や国が定める基準に基づいて算出しておりまして、今後とも適正に算出してまいります。

○原田委員 原因が工事予定価格だけとは断定できず、基準を超えて積算することは困難とのことですが、特例として何らかの上乗せを考えないと工事が進まないのではないかという声もあります。もちろん、幾らでも予定価格をつり上げろとはいいませんが、島しょでの工事発注という特殊性に見合った適切な算定を求めるものです。
 次に、新島の若郷漁港について伺います。
 高速ジェット船が新島のメーン港である前浜港に就航する際、波が高い場合などに、この若郷漁港に接岸していると聞いています。その接岸率は三〇%になることもあるとのことですから、頻繁にといって過言ではありません。
 ところが、この若郷漁港には待合所もなく、都が設置するトイレもありません。現在は漁協のトイレを快く貸していただいている状況です。
 現地の声としては、トイレや待合所の設置を求める声があると聞いておりますが、そこでお聞きします。若郷漁港では乗降客用のトイレの設置が予定されていたとのことですが、現在の状況について伺います。

○小林離島港湾部長 若郷漁港では、岸壁背後に高速ジェット船の乗降客用として船客待合所を新たに整備予定としております。既に設計に着手してございます。
 このため、漁港上屋付近で新設を予定していたトイレにつきましては、仮設トイレを設置することで、船客待合所完成まで対応する予定としております。

○原田委員 仮設トイレで対応するとのことですけれども、仮設であっても、イベントとか工事現場とかで使用されるような簡易的なものではなく、しっかりとしたものを設置してほしいなと思うわけですよね。
 その際、トイレの管理については、役場や島の負担にならないように配慮していただきたいと、そういう形が望ましいと考えるんですけれども、いかがでしょうか。

○小林離島港湾部長 今後設置するトイレにつきましては、既に他港でも採用されております維持管理が容易なバイオトイレなどを検討しております。また、管理については、現地の支庁出張所で担う予定でございます。

○原田委員 港湾局の前向きな姿勢が感じられる答弁であり、大変心強く感じました。
 待合所の設置工事については、当該年度の式根島と同様な入札不調という事態も考えられますので、島しょの工事発注という特殊性に配慮いただきたいと思います。
 また、若郷漁港の海岸についてですが、地元から、台風が接近したときなどに海水が巻き上げられ、集落にかぶってしまうと、そういう話もお聞きしました。海水雨というんだそうです。
 そこで、若郷の集落の沖合には離岸堤があります。港湾局によって整備をされていますので、お聞きしますが、この離岸堤の高さを上げる改良事業が必要と考えますが、平成二十九年度の実施状況について伺います。

○小林離島港湾部長 若郷漁港海岸の改良事業につきましては、海岸の侵食対策を目的に、交付金事業として整備を進めております。平成二十九年度は、消波ブロックの製作と据えつけを実施いたしました。
 今後も引き続き改良工事を進めてまいります。

○原田委員 海岸の侵食を防ぐための事業とのことですけれども、後背地の波を抑えるためにも役立つものと考えています。ここでも重要な答弁、お預かりいたしました。国との協議を進め、しっかりと整備を進めていただければと思っています。
 災害対策についてですが、当該年度の平成二十九年度も台風による被害が発生し、復旧工事が行われています。相次ぐ台風の接近に対して、港湾局が対応に努力されていることに感謝申し上げます。
 その点では、先月も、台風二十四号によって、利島港では定期船が接岸する西側岸壁でケーソンが大きく移動するなど、多大な被害が発生したと聞いております。この西側岸壁は、これまでも何度かケーソンが移動するなどの災害を受けており、西側岸壁については、早期に拡幅を実施し、災害対応力の抜本的強化を図る必要があると考えています。
 利島港は、島民の生活を支える上で欠かすことのできないライフラインであると同時に、観光で訪れた人々が、利島ならではの海辺の景色を楽しむことができる観光スポットともなっています。定期船が着岸できるよう、照明設備も含め、西側岸壁の早期復旧を目指し、取り組んでいくことを要望するものです。
 最後に、離島の環境改善に向けた港湾整備の取り組みについて、局の決意を伺って、質問を終わります。

○小林離島港湾部長 島しょ地域における港湾は、島と本土を結ぶ重要な交通拠点として、島民生活と産業を支える役割を果たしてございます。
 今後も、各島において防波堤や岸壁の整備を着実に進めてまいります。

○上田委員 まず、ラムサール条約について伺いたいと思います。
 私の地元江戸川区では、臨海部分の埋立事業に伴い激変して失われた葛西の海の大切さに目覚めた地域住民の協力により、西なぎさ、東なぎさを取り戻すことができました。もちろん、その実現においては、東京都の葛西海浜公園、葛西臨海公園の整備が大きく貢献し、不可欠であったことはいうまでもありません。
 東京都港湾局、江戸川区地域住民が力を合わせた努力の結果、葛西の海の自然が戻り、二〇一二年からは海水浴が実施されることとなり、このたびは、ちょうど今週火曜日の十月十六日に、葛西海浜公園三枚洲が国の指定の葛西沖三枚洲鳥獣保護区、葛西沖三枚洲特別保護地区、締めて三百六十七ヘクタールが指定されました。十月二十一日から二十九日には、ドバイで開催されるラムサール条約第十三回締約国会議について認定証が手渡されることとなり、長らく葛西臨海公園、海浜公園の環境整備に尽力された日本野鳥の会の江戸川区メンバーは、意気揚々と参加されます。
 一方、一九九三年六月にラムサール条約登録された千葉県習志野市の谷津干潟においては、登録後に鳥類が激減し、アオサの異常発生、その原因となる水質汚濁が問題となっています。ラムサール条約認証後にこのような皮肉な結果とならないよう、海浜公園三枚洲の自然環境をこれまでどおり維持し、あるいはこれまで以上に良好、改善に整備する責務が東京都にはあると考えます。
 しかしながら、これも谷津干潟の課題となりましたが、国の保護区に指定されることから、管理者や権限が多重構造となり、鳥も海も水質も置き去りになるのではないかと危惧するものでございます。
 つきましては、登録後の国と港湾局におけます湿地帯の保全に向けた役割分担や責任の所在、連携状況についてのこれまでの協議の状況をご説明ください。

○中村臨海開発部長 葛西海浜公園は、これまで都の鳥獣保護区に指定されておりましたが、今般のラムサール条約湿地登録に当たって、国内の登録要件となる国の鳥獣保護区に指定されたところでございます。
 ラムサール条約湿地登録後も、葛西海浜公園は引き続き都の所有、管理する公園であることを確認しており、今後は、ラムサール条約登録湿地となったことを受けて、国とも連携しながら管理保全に当たってまいります。
 なお、国との役割分担でございますが、例えば樹木の伐採など鳥獣保護区の規制にかかわる事案については、国と協議をしながら対応することとなっております。

○上田委員 国との連携状況はわかりました。
 保護区になったからといって、画一的に規制をして立入禁止にされちゃうと、谷津干潟の二の舞にならないか--里海なんですね、葛西の海というのは。里海というのは、人が常に手を入れ、かかわりを持って守ってきたということでありますので、規制については協議していただけるということで、安心をさせていただきました。
 それらの今までの一連の流れを受けまして、東京都サイドの港湾局を軸とした庁内連携体制はどうであったか、お示しください。

○中村臨海開発部長 葛西海浜公園のラムサール条約湿地の登録に当たっては、鳥獣保護区を都指定から国指定に変更することが必要であったため、鳥獣保護区を所管する環境局、海岸保全区域を所管する建設局、漁業を所管する産業労働局に対し、情報共有、意見照会をした上で、国に対して、ラムサール条約湿地への登録を要望するなど、関係局と連携し、今回の登録に取り組んできたところでございます。

○上田委員 環境局、建設局、産業労働局の横串連携の上での条約登録は、大いに評価すべきところではあります。
 一方で、スズガモが二万羽ぐらい来るんですけれども、一羽で一日一キロ、そうしますと一日二十トンという、二枚貝を中心とした貝が食べられてしまうということになります。
 貝類は、こうした鳥類の餌となるだけではなく、水質浄化の役割をご承知のとおり果たしております。三枚洲西なぎさ、東なぎさに鳥たちが集中してしまうことで、谷津干潟のような水質問題に直面しないか危惧するものでございます。
 港湾局として、東京港全体の自然環境については、海上公園ビジョンとどのように関係し、関係各局と連携を図り、どのように取り組んでいくのか、ご所見をお聞かせいただきたいと思います。

○中村臨海開発部長 昨年五月に策定いたしました海上公園ビジョンにおいて、今後の東京港を中心とした臨海部の海上公園の目指すべき方向性を示しており、この中では、生物多様性保全を推進し、干潟や砂浜のほか、樹林地など、生物の生息空間となる自然環境の保全、創出に取り組むこととしております。
 東京港のさまざまな場所に広く配置している海上公園は、東京港における自然環境の拠点となることから、これまでも関係局との連携は必要に応じて行っており、例えば緑化に関する募金を所管する環境局とタイアップし、海の森の植樹に活用するなど、連携を図ってきております。
 今後も関係各局と連携をとりながら、引き続き海上公園の整備促進に取り組んでまいります。

○上田委員 生物多様性推進、干潟や砂浜、樹林地などの生息空間のある自然環境の保全、創出に取り組まれているということで、大変大いに結構なことではございますが、そのためにこそラムサール登録も含めて、改めて科学的知見に基づき、東京港の自然環境整備を実施するため、独自の生態系調査などするのか、しているとは思うんですけれども、取り組み状況につき、お示しください。

○中村臨海開発部長 都ではこれまで、生物多様性など環境保全の観点からも海上公園の整備を進めており、公園内の生物調査を実施するとともに、稚魚や甲殻類などが生息しやすいすき間を設けたカニ護岸の整備のほか、東京港野鳥公園では、多様な生物の生息空間となる干潟を拡張するなどしてきております。

○上田委員 取り組みを確認させていただきました。
 先ほどいったとおり、それでも一日二十トン貝が食べられる水質浄化問題について、都として、二枚貝資源の増大については、これまで議論にならなかったのか、改めて確認させてください。
 また、自然環境を守る観点では、水質浄化を危惧し、一部登録に反対の意見もあることを承知されていたのか。その反対意見にどのように対処し、今後の課題解決につなげているかも確認させていただきたいと思います。

○中村臨海開発部長 ラムサール条約湿地登録に当たっては、都として、漁業関係者と協議をしたほか、国においても公聴会を実施し、さまざまな関係者から意見を伺っております。
 登録に反対の意見がある団体も含めて、関係者と意見交換の場を設け、葛西海浜公園がよりよい公園となるよう話し合いをしてきておりまして、ラムサール条約の理念であるワイズユースに沿って、干潟の保全と持続的な利活用について、ご理解、ご協力をいただけるよう、これからも引き続き丁寧に対応していきたいと考えております。

○上田委員 ありがとうございます。
 三年ぐらいになりますでしょうか、第六台場とお台場海浜公園の沖合にある二つの島式防波堤の通称鳥の島、最大級の水鳥であるアオサギやカワウなど何千羽もの水鳥が巣をつくって繁殖していましたところ、急に樹木が伐採されてしまって、お花見スポットで桜を植えたというような事案があったことも、私は記憶をしているところでございます。
 東京港におきましては、やはり東京港全体で、にぎわいと自然あふれる海を引き続き目指していただきまして、鳥のみならず、貝類初め海洋生物、動植物が適正繁殖をし、それできれいな海を目指し、江戸川区だけではなく、皆さんの各自治体というところでも、海沿いのところでも--江戸川区は今、毎年、海で泳げるような海を取り戻してきましたので、東京港全体でのお取り組みをお願いするところでございます。
 資料10でございます。調布飛行場についてでございます。
 本当に痛ましい墜落事故がありました。この事故を受けての調布市、府中市、三鷹市、小金井市との協議のあった協議月日、内容につき、時系列でご説明ください。

○松本島しょ・小笠原空港整備担当部長 平成二十七年の調布飛行場周辺での航空機墜落事故を受け、調布飛行場の地元市である調布市、三鷹市、府中市と、調布飛行場の管理運営の徹底や安全対策など飛行場の諸課題について協議を行ってまいりました。
 協議につきましては、平成二十七年度は十二月二十五日など三回、平成二十八年度は五月九日など四回、平成二十九年度は七月二十五日など二回実施しております。
 なお、小金井市につきましては、地元三市の枠組みには入っておりませんが、必要に応じて意見交換を行っており、直近では今月十日に行っております。

○上田委員 適正実施されていることは確認しました。
 その際に、各市から何か要望など出たのか、都の対応につきましてご報告ください。

○松本島しょ・小笠原空港整備担当部長 地元三市からは、調布飛行場の管理運営の徹底や安全対策の強化、自家用機の分散移転の推進、事故被害者への支援などについて要望がございました。
 都といたしましては、それぞれにつきまして順次、具体的な対応を行ってまいりまして、その内容につきましては、住民説明会等でも説明をしてまいりました。

○上田委員 被害者におきましての個別対応はさることながら、やはり周辺住民の方は、大変、恐怖感でもないんですけれども、心配、不安を抱えて生活していらっしゃると思います。
 つきましては、自家用民間機の利用再開に至った経緯、周辺自治体及び地域住民への周知と対応について、ご説明いただければと思います。

○松本島しょ・小笠原空港整備担当部長 調布飛行場におけます自家用機につきましては、平成二十七年七月の墜落事故以降、事故原因が究明され、それに伴う再発防止策が図られるまでの間、運航の自粛を要請してまいりました。
 事故原因につきましては、平成二十九年七月に国の運輸安全委員会の航空事故調査報告書で特定され、都はそれを踏まえた上で、事故の再発防止等に必要な体制や安全対策の強化を実施してまいりました。このような状況によりまして、本年九月に、自家用機の運航自粛要請を継続しないことといたしました。
 地元市に対しましては、適宜協議を行うとともに、住民説明会を開催し、被害者支援制度や安全対策等、必要な体制が整備されたことから、自家用機の運航自粛要請解除の時期を都が判断することなどについて説明してございます。
 また、自家用機の運航自粛要請の解除日につきましては、地元三市に事前に連絡、協議を行うとともに、プレス発表やホームページへの掲載のほか、調布飛行場周辺住民に対する新聞折り込み広告や戸別のポストへの直接投函によりまして、丁寧に周知を行っております。

○上田委員 情報提供は行われたと。
 そうしますと、次は、やはり気になるのは安全対策でございます。利用再開に当たっての安全対策についてご説明いただければと思います。

○松本島しょ・小笠原空港整備担当部長 調布飛行場の安全対策についてでございますが、安全意識の徹底を図るため、機長、整備士、運航管理者等が毎年安全講習会等を受講することを義務化しております。
 また、自家用機の出発前の点検等は機長の責務とされておりますが、調布飛行場では、一歩踏み込んだ安全点検体制を整備するため、機体の自重や搭載燃料、重心バランス等を記載するチェックシートの提出を全国の飛行場で初めて義務づけし、このシートを都が新たに採用した航空機専門員が再度確認をしております。
 調布飛行場におきましては、こうしたさまざまな独自の安全対策に取り組んでおります。

○上田委員 空港側が本当に万全体制で臨んでいても、やはり運転する側の問題はどうなのかなと私も思っておりまして、操縦ですか--文書質問で以前確認したとき、調布飛行場は遊覧飛行は認めていない。一部情報、マスコミでは遊覧飛行のように報道されていますけど、認めていないんですよね。
 そうなると慣熟飛行ということになりますが、慣熟飛行についてはどのような場合に認められるのか。昨年度の実数を確認したところ、慣熟飛行は、一般的に操縦者の技量維持のための飛行を指しますと。調布飛行場では、慣熟飛行を目的とした飛行場の使用を認めています。また、平成二十六年の離着陸回数は千三百六十七回ですと答弁を得ていますが、その後、利用再開に当たり、墜落事故の原因となった慣熟飛行についてどのように適正化しているのか、ご説明ください。

○松本島しょ・小笠原空港整備担当部長 まず、平成二十七年の墜落事故の原因につきましては、国の運輸安全委員会より特定されておりますが、その慣熟飛行については、事故の直接の原因とはしておりません。
 慣熟飛行につきましては、空港使用届の様式を改正しておりまして、慣熟飛行という記載を廃止し、飛行目的をより明確とすることといたしました。
 例えば、技量維持のための飛行、特定操縦技能審査のための飛行、航空機の空輸のための飛行など、具体的に記載するよう見直しを行ったところでございます。

○上田委員 墜落事故の原因では、慣熟飛行は原因ではなかったということを確認をさせていただきました。
 今般、条例改正ということでございますが、条例改正前と後の補償やサポート体制の変更点についてご説明いただければと思います。保険料は三百円ということで、アップしておりますけど、それで足りるのかなということを確認させていただきたいので、どういう積算をされたか、ご説明ください。

○松本島しょ・小笠原空港整備担当部長 万が一に航空機墜落事故が都内で発生した際の被害者支援につきましては、昨年十一月に、貸付金、一時支援金の制度を整備いたしました。
 また、本年六月の都議会定例会におきまして東京都営空港条例を改正し、住宅の建てかえ等に必要な資金について支援する制度を創設し、支援内容の充実を図っております。
 あわせて、本制度に必要な経費に充てるために、着陸回数を踏まえた上で着陸料の改定を行ったところでございます。

○上田委員 まず空港の整備状況、再開に当たっての安全対策と、また、飛行についての内容とサポート体制も確認をさせていただきました。
 東京都は、殊に飛行場というものは、私、江戸川区でもかなり騒音問題で、昭和の時代に江戸川区長も闘ってきたというところで、あるときは、羽田空港問題では国と対峙をしていく立場でございますが、この調布に当たっては、東京都港湾局の所管ということで、責任を持ってハンドリングをしなきゃいけないことだと思います。
 事故防止につきましての最大限の努力をしていただきまして、また、被害者には本当に丁寧な対応並びに地域住民には今後もきめの細かい情報提供をしていただきたいと思います。
 次に、大型客船についてでございますけれども、ほかの委員からもご意見が出たので、簡潔にお尋ねいたします。
 大型客船が就航したときのテロ対策を含めたイミグレ受け入れ体制の万全性について、確認させていただきます。

○戸谷港湾振興担当部長 東京港での客船の受け入れに当たりましては、乗客が快適に客船に乗降できるようにすることはもとよりですが、東京税関による密輸出入の取り締まりですとか、東京入国管理局による出入国の審査、あるいは東京海上保安部による犯罪、テロ防止など、各機関と密接に連携いたしまして、乗客の適切な受け入れ体制を構築しているところでございます。

○上田委員 テロ対策も大変重要でございまして、体制万全も確認させていただきましたが、イミグレを私は迅速にしていただきたいというのが、一秒でも一分でも早くおりていただいて、観光やいろいろな、東京都内ですね、あちこち行ってもらって、お買い物をしていただきたいということで、特にイミグレを早く、博多港なんてかなり迅速にやるように、コストをかけてやっているような視察もしてまいりましたので、引き続いての迅速な、ちょっと相反するところはあるんですけれども、そのように大量におりていらっしゃると、ここで一時間停滞すると大分これで消費も変わると思いますので、ぜひ関係各機関と連携をあわせて推進していただきたいと思います。
 次に、引き船、水先についてであります。
 引き船、いわゆるタグボートは、北海道などでは一般競争入札しておりますが、なぜ東京港のタグボートは一般競争入札をしないのか。これまでの都と事業者の関係性も含めて、選定の歴史的経緯をお示しください。
 水先につきましても、あわせて経緯をご説明いただければと思います。

○戸谷港湾振興担当部長 東京港におきましては、タグボートや水先人の業務については民間の業務となっております。よって、東京都との間に契約関係はないという状況でございます。

○上田委員 私は民営化賛成論者ではあるんですが、それはフェアな市場機能が整ってという大前提条件があります。長年の一社独占が果たして健全なのか、民間活用と精査なき丸投げは意味が違うと考えるものでございます。引き続きまして、このあり方については研究させていただきたいと思います。
 さて、私は先日、江戸博の東京百五十年に行ってまいりました。海は本当にベニスのように東京は水の都であり、自由に江戸に住む人々たちは、川と海を行ったり来たりをしておりました。しかし、あるときから、海はどうしても規制がかかり、大変使用に厳しくなってきてしまいました。
 そうした中、この海をもっと活用してもらって、活性化をしようという試みを東京都が始めております。その社会実験におきましての水上交通ネットワークの拡充に当たりまして、水上タクシーのこれまでの取り組みと、費用対効果を踏まえた今後本格導入における所見をお示しいただきたいと思います。

○蔵居港湾経営部長 都は、旅客定員十二名以下の水上タクシーの乗降場所として、比較的駅に近い田町、品川の防災船着き場を開放する社会実験を行っております。
 今後とも、利用者ニーズの確認、小型船舶の利用に関する防災船着き場の利用ルールや、船舶航行ルール及び安全性等の検証を行ってまいります。

○上田委員 船着き場という東京都の海の資源を活用していくのは大変いい試みだと思いますし、防災船着き場というんですか、ここにあるということを地域住民が知るという意味でも、非常に私は価値のあるものだと思います。
 これらを含めました舟運の活性化の取り組み状況をお示しいただければと思います。

○蔵居港湾経営部長 舟運活性化の取り組みは、都市整備局、建設局及び港湾局の三局で協力して進めております。
 三局で進めている運航の社会実験等は、民間事業者と連携し、複数の航路で定期的な運航を実施したほか、イベント等と連携した企画便を運航しています。
 このほかにも、港湾局では独自の取り組みとして、公共桟橋を屋形船等の不定期航路事業者にも開放する試行的な取り組みや、先ほどもご答弁しました田町、品川の防災船着き場を水上タクシーの乗降場所として開放する社会実験等を行い、舟運の活性化を推進しております。

○上田委員 東京内部での舟運の活性化、確認させていただきました。
 また、こちら資料の8でございますけど、今度は、来ていただくということで、東京クルーズビジョンの成果を確認させていただきたいと思います。

○戸谷港湾振興担当部長 東京都では、東京クルーズビジョンを策定いたしまして、それに基づきまして、積極的に客船の誘致を行ってございます。
 そういった意味で、クルーズ客船の誘致の実績について、策定した平成二十六年の二十五回から、直近の平成二十九年の三十三回と増加傾向にございまして、今後ともクルーズ客船の誘致に取り組んでまいりたいと考えております。

○上田委員 受け入れ体制のハードウエアもソフトウエアもそろっており、活性化してきているということ、大変よいことだと思います。
 また、規制緩和の一つの取り組みといたしまして、また違う側面から運河ルネサンスについて伺いたいと思います。
 運河ルネサンスは、平成十七年に都が始めた東京港の規制緩和の取り組みでございます。
 都の水辺の魅力の向上や観光振興に資するため、運河等の水域利用とその周辺におけるまちづくりが一体となって、地域のにぎわいや魅力を創出することを目的として始めた、地域が主体の取り組みです。指定された地域が運河ルネサンス協議会を立ち上げ、この協議会の合意をもって、新たな取り組みを都港湾局が許可しながらも、地域のことは地域が決める仕組みとなっております。
 現在、芝浦地区、品川浦・天王洲地区、朝潮地区、勝島・浜川・鮫洲地区及び豊洲地区の五地区が指定されております。
 しかし、十三年が過ぎた現在の課題として、地域の合意のもとに規制緩和がなされるという仕組みが、新たな地域利権化しているのではないかということを危惧しているところです。
 地域の定義が運河ルネサンス協議会ごとに違うため、一つの事例として芝浦では、運河ルネサンスの規制緩和によって新規事業を立ち上げ運営している事業者が運河ルネサンス協議会に参加できない仕組みのため、協議会の決定や審議に直接意見をいう機会がないなど、利用者や事業者の意見が反映されていないと仄聞しております。
 芝浦運河ルネサンス協議会においては、事務局長の独断とも近いような状況になっているところから、地域の声を反映できるよう、都港湾局に協議会の運営について指導するよう、再三再四にわたり地域住民が申し入れをしているようですが、港湾局は、地域のことは地域に一任しているということに終始しているとのことです。
 規制緩和が実態として新たな地域規制を生み出していることはないのか。つきましては、この点を鑑みて、これまでの取り組みと実績につき、地域のことは地域で本当に決められているかの観点から、ご報告ください。

○原港湾整備部長 運河ルネサンスは、運河などの水域利用とその周辺におけるまちづくりが一体となり、地域のにぎわいや魅力を創出することを目的とした、地域が主体となった取り組みでございます。
 これまで、運河ルネサンス地域協議会が品川浦・天王洲地区など五地区で立ち上がり、各地域が主体的に作成した計画に基づき、都が規制緩和により水域占用許可した浮き桟橋などを活用したお祭りやカヌー教室などのイベントが行われており、これらの取り組みが、水辺空間の魅力向上やにぎわいの創出に寄与してきたところでございます。

○上田委員 地域が主体となった取り組みとのことですが、では、事業開始十三年がたって、各協議会の事務局長の改選状況も含めた人選体制についてご説明ください。

○原港湾整備部長 各協議会におけます会長や幹事等の役員の人選につきましては、地区ごとの規約により、会員の互選により選任されております。
 なお、事務局長につきましては役員でないことから、その人選については、規約には定められてございません。

○上田委員 事務局長については玉虫色となっているような状況で、特定の地域の限られた人間が、地域の意思決定権者として長期にわたり改選されず、ポストに居座ってしまう現状は、看過できないものと思われます。
 港湾管理者たる東京都港湾局は、現状を鑑み、真の規制緩和、開かれた運河、真のルネサンスを実現すべく、地域に任せ切りではなく、公平かつオープンな協議会運営を支援すべきと考えますが、ご所見をお聞かせください。

○原港湾整備部長 運河ルネサンスは、運河などの水域利用とその周辺におけるまちづくりが一体となり、地域のにぎわいや魅力を創出することを目的とした、地域が主体となった取り組みでございます。
 今後とも、都は、水域占用許可の規制緩和により、地域が主体となった取り組みを支援してまいります。

○上田委員 昭和三十七年に、都は臨海部の開発を行うため三百三十億円という巨額の漁業補償を行い、都内十七の漁業協同組合では、全ての漁業権を完全かつ永久に放棄したはずなのですが、現在も漁業者に対する補償は形を変えて実施されており、行政のインフラコストを押し上げているのが実態です。
 B滑走路に伴う補償について、各組合及び組合員に幾ら支払われているのか、国土交通省と港湾局に確認するも、結局、個別の数字が、以前私が調べたときは確認することができませんでした。地域主導という名の地域利権をやはり生み出してはいけないと思います。
 また、この地区、芝浦商店街が、運河ルネサンスの規制緩和で、産業労働局や港区の補助金三千二百万でつくった桟橋は、来年は水域占用の更新を行わず、民間事業者に桟橋を売ってしまうという話も仄聞しております。
 地域主権と地域利権は、何度も申し上げるように明確に違うものです。地域主権を支援することと地域に丸投げもまた違います。
 あらゆる試みに、成功事例だけではなく失敗事例もあるものだと考えます。運河ルネサンスという規制緩和策を新たな海の既得権益や地域利権化にさせない方策が、今、求められていると私は思っております。
 事業開始から十三年がたち、いま一度検証をされて、方向性を強く示し、公平なあまねく地域住民に開かれた事業となるよう、都は港湾管理者としての責務を果たすことを強く要望させていただきます。
 国際港に向けての取り組みです。
 二十四時間稼働する国際港である東京港に入港する外国船は、天候等で入港の遅延等は常時発生するものと考えられるものでありますが、タグボート等の夜間、休日等の割増料金体系と、釜山、上海、マニラ等の代表的な国際港の同項目の割増料金、あわせて二十四時間稼働の状況についてもご説明ください。

○戸谷港湾振興担当部長 東京港におきましては、タグボートについては民間の事業でございまして、その民間事業者において、夜間ですとか割り増しを含む料金の設定がなされておりますけれども、例えば、夜十時から朝の六時までの深夜割増料金は、基本料金に加えまして一〇〇%の増となっている現状がございます。
 アジア他国のコンテナ取扱料金につきましては、タグボートだけを切り離したというものではないですけれども、国土交通省の資料によりますと、平成二十年度では、京浜港を一〇〇としたときに、釜山港では八〇、シンガポール港では八五となっているのが現状でございます。
 また、港湾の稼働状況につきましては、東京港においても、船の離着岸につきまして、二十四時間の対応をしているところでございます。

○上田委員 東京港と海外の料金体系と稼働状況の違いがなぜ発生するのか、原因と分析を踏まえて所見をお示しください。

○戸谷港湾振興担当部長 料金につきましては、一概に海外の他港と比較できるものではないというふうに認識しておりまして、東京港では、官民で構成する東京港振興促進協議会におきまして、各団体がそれぞれに行動計画を定めまして、港湾コストの低減を目指して取り組んできたという経緯がございます。
 例えば、タグボートの深夜割増料金につきましては、もともと一二〇%増ということでありましたけれども、一〇〇%増への減額が図られているなど、また一方、都においても入港料の減免を実施するなど、さまざまな主体において取り組みが行われているという状況でございます。

○上田委員 ご努力は理解するものでございますけれども、世界に冠たる国際都市にすると、小池都知事も非常に推進をしているところでございますので、国際競争に対応すべく運用時間や使用料等について、海外との比較を踏まえた所見を伺いたいと思います。

○戸谷港湾振興担当部長 港湾コストの低減につきましては、先ほど申し上げましたとおり、東京港でも取り組んできているところでございますが、海外との比較ということでございますが、東京港は、背後に首都圏四千万人の大消費地を抱える輸入港という特性がございまして、ほかに事例として出ております釜山ですとかシンガポール、これは積みかえ港、トランシップ港でございまして、単純に比較するということができないというふうに考えておりますが、東京港としては引き続き、使いやすい港の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

○上田委員 一応、実現できない課題だけで一点お聞かせいただければと思います。

○戸谷港湾振興担当部長 済みません、繰り返しになりますけれども、港湾コストの低減につきましては、東京港としても取り組んできているというところではございますけれども、やはり海外との比較におきましては、そういった性格も違いますことから、東京港としては、とにかく輸入港としての性格に対応した、皆様に使いやすい港づくりの実現に向けて、引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○上田委員 承知いたしました。
 また、こちらの方も世界との比較をしながらも、また東京港、人員体制についても研究をさせていただきたいと思います。
 若洲のゴルフ場については、資料要求にあるとおりでございます。
 よく都市伝説のように、都議がすぐにとれるんじゃないかとか、そんなことを都民にいわれているんですが、誤解のないように調べさせていただきまして、フェアに開かれて利用されていることを確認させていただきました。
 監理団体についてです。
 都は、都政改革本部を設置し、本年三月に二〇二〇改革プランが策定されました。それを受け、各監理団体が、二〇二〇年までに三年間で重点的に進めていくべき経営改革の取り組みを示す中期的な計画として策定した東京都監理団体経営改革プランの主要部分が六月に取りまとめられています。
 経営改正も重要ですが、その前段として、私はかねてから、一部技術者を除き、いわゆる天下りをいさめ、民間人登用を求めてまいりました。残念ながら、舛添知事から小池知事になってもOBの有効活用と、視点は変わることはありませんでした。
 このような観点から見ますと、株式会社東京臨海ホールディングスは、二十八年度から東京都退職者はおりませんが、東京都職員派遣が七割と五年間変わりません。東京臨海熱供給株式会社、株式会社東京テレポートセンターは、派遣はゼロですが退職者は常に就職しており、熱供給株式会社はコンスタントに二、三名管理職に就任しています。株式会社ゆりかもめ、東京港埠頭株式会社は、いずれも微減はするも、派遣もOB登用もいまだ存在し続けております。
 この各社において、それぞれの派遣とOB利用、なぜ管理職なのか、必然性についてご説明ください。

○相田企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 当局所管の監理団体及び報告団体については、臨海部における都の各施策推進の強力なパートナーであり、事業の公共性、継続性、施策との一体性の確保等の観点から、各社の事業内容や組織体制に応じて都から職員派遣を受けるとともに、都を退職した職員の採用を行っているところでございます。
 公社職員が、臨海部のインフラ施設の管理運営等において、都で培った技術やノウハウを活用することで、円滑な事業の推進に貢献しているものと認識してございます。
 都としても、職員を団体に派遣することで、事業執行の実態を把握するとともに、派遣した職員の人材育成を図り、その経験を都の施策展開に活用しているところでございます。

○上田委員 そちらでしっかり学んでいただいて都庁に戻ってきて、また都民のために知見を生かしていただくということではありますけれども、できれば、徐々には民間採用に移っていっていただきたいなと、民間を育成するというぐらいになっていただければというふうに思います。引き続き確認を続けさせていただきます。
 最後の設問になります。国庫補助金と国直轄事業についてでございます。
 国の直轄事業についてですけれども、国と東京都の事業連携と役割分担はどのようになっているのでしょうか、ご説明ください。

○原港湾整備部長 国直轄事業の実施に際しましては、国は、港湾法第五十二条第一項に基づき、港湾管理者である都の同意を得た上で事業の実施を決定いたします。また、国直轄事業として整備が完了した施設につきましては、港湾法第五十四条に基づき、都が管理を受託することとなってございます。

○上田委員 それでは、平成二十九年度におけます国の直轄事業の国と東京都の負担額を改めて確認させてください。

○原港湾整備部長 平成二十九年度におけます負担額は、直轄事業費約三百四十五億円に対しまして、国は約二百三十億円、都は約百十五億円を負担してございます。

○上田委員 ありがとうございます。
 事業選定や負担額について、東京都は、この金額はかなりの金額でございますので、東京都はどのような決定権を持っているか、ご説明いただければと思います。

○原港湾整備部長 国直轄事業の実施につきましては、都の要望及び前述の、先ほどご答弁申し上げました港湾法第五十二条第一項に基づく、都の同意を得た上で国が事業の実施を決定してございます。
 また、国直轄事業に対する港湾管理者の負担額につきましては、港湾法第五十二条第二項に定められており、東京港における国直轄事業の都の負担割合は、水深十六メートル以上の岸壁工事につきましては十分の三であり、それ以外の施設は三分の一となってございます。

○上田委員 ありがとうございます。
 国に対して東京都の意思が反映されるよう、どのような働きかけをしてきたのか、取り組み状況と成果をお答えください。

○原港湾整備部長 都は、国へ、提案要求等におきまして、東京港に必要な施設の整備推進を要望し、中央防波堤外側コンテナふ頭Y2バースにつきましては平成十九年度に、臨港道路南北線につきましては平成二十六年度に、国直轄事業として事業の実施が決定され、現在、整備等が推進されているところでございます。

○上田委員 かつて、国直轄の公共事業の一部を、明細書もないまま負担金に紛れて自治体が支払わされる負担金制度に対して、当時の橋下徹大阪府知事が何とかバーと批判し、国と対峙をしたことを思い出しております。
 国の直轄事業の支出済額は百五十二億一千五十一万九千三十九円ですが、国庫支出金は百二十五億三千七百二十九万九千九百四十七円、差し引きマイナス二十六億七千三百二十一万九千九十二円となります。これは全て都民の税金負担として回ってまいります。このマイナス二十六億円の都民の負担がめぐりめぐって、公営企業会計繰入金の二億九千二百八十五万二千三百五十五円も補填されることになってしまうのではないかと、全体を通して考えている次第です。
 当然ゆゆしい、国による偏在是正措置ばかり注目されていますが、こうした各局で国にいうべきことをいい、ツケを回されないように努力をしていただきまして、それが日本全体に波及することを期待しまして、質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○小宮委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思います。これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小宮委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時十分散会