平成二十八年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第五号

平成二十九年十月二十五日(水曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長藤井  一君
副委員長菅原 直志君
副委員長小宮あんり君
池川 友一君
内山 真吾君
川松真一朗君
栗林のり子君
あかねがくぼかよ子君
里吉 ゆみ君
本橋ひろたか君

欠席委員 なし

出席説明員
教育庁教育長中井 敬三君
次長堤  雅史君
教育監出張 吉訓君
総務部長早川 剛生君
都立学校教育部長初宿 和夫君
地域教育支援部長安部 典子君
指導部長増渕 達夫君
人事部長江藤  巧君
福利厚生部長太田 誠一君
教育政策担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
古川 浩二君
教育改革推進担当部長増田 正弘君
特別支援教育推進担当部長浅野 直樹君
指導推進担当部長宇田  剛君
人事企画担当部長鈴木 正一君

本日の会議に付した事件
平成二十八年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
教育庁関係
・平成二十八年度東京都一般会計決算(質疑)

○藤井委員長 ただいまから平成二十八年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の決算に対する質疑を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十八年度東京都一般会計決算中、教育庁所管分を議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○早川総務部長 去る十月十三日の当分科会において要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の平成二十八年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらん願います。
 今回要求のございました資料は十二件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、東京都知事が都立学校の卒業式に送ったメッセージでございます。
 平成二十八年度の都立高等学校及び都立特別支援学校の卒業式における知事のお祝いメッセージの内容でございます。
 二ページをお開き願います。2、都立特別支援学校(肢体、知的)の外部専門家及び外部人材の導入人数並びにそれに伴う教職員定数の削減数、各校の導入年度でございます。
 外部専門家及び外部人材の導入状況と、それに対応する教職員の定数削減数について、それぞれ対象職種、人数及び学校数等を、また各校の導入年度を記載してございます。
 三ページをごらんください。3、都立特別支援学校の保有普通教室の状況(平成二十八年度及び平成二十九年度)でございます。
 都立特別支援学校で保有する普通教室数とその内数として転用教室数、また普通教室の間仕切り教室数について、年度別、障害種別、学校別にそれぞれ記載してございます。
 四ページをお開き願います。4、都立特別支援学校の重度重複学級数の推移(平成二十年度から平成二十九年度まで)でございます。
 平成二十年度から平成二十九年度までにおける都立特別支援学校の重度重複学級数について、障害種別、学部別、年度別にそれぞれ記載してございます。
 五ページをごらんください。5、募集定員のある都立知的障害特別支援学校高等部の応募状況(平成二十一年度から平成二十九年度まで)でございます。
 平成二十一年度から平成二十九年度までにおける募集定員のある都立知的障害特別支援学校高等部の応募者数、募集定員、倍率について、学校別、年度別にそれぞれ記載してございます。
 六ページをお開き願います。6、都内公立小・中学校及び高等学校・特別支援学校のトイレの洋式化率とだれでもトイレの設置状況(平成二十八年度及び平成二十九年度)でございます。
 このページには、小学校、中学校におけるトイレの洋式化率及び多目的トイレ等の設置状況について、次の七ページには、都立高等学校、特別支援学校におけるトイレの洋式化率及び誰でもトイレの設置状況について、それぞれ年度別に記載してございます。
 八ページをお開き願います。7、都立高等学校等における高等学校等就学支援金の歳出予算及び決算(平成二十八年度)でございます。
 平成二十八年度における高等学校等就学支援金の予算について受給対象者数と支給額を、決算について受給者数と支給額を、区分別にそれぞれ記載してございます。
 九ページをごらんください。8、都立高等学校等における奨学のための給付金の給付区分ごとの歳出予算及び決算(平成二十八年度)でございます。
 平成二十八年度における奨学のための給付金の予算について給付対象者数と給付額を、決算について給付者数と給付額を、給付区分ごとにそれぞれ記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。9、都立高等学校等の授業料減免の実績(全日制・定時制)(平成二十四年度から平成二十八年度まで)でございます。
 平成二十四年度から平成二十八年度までにおける都立高等学校等の授業料を免除及び減額した人数について、区分別、課程別、年度別にそれぞれ記載してございます。
 一一ページをごらんください。10、都内公立小・中学校及び高等学校・特別支援学校の冷房設備設置状況でございます。
 このページには都内公立小学校、中学校について、次の一二ページには高等学校、特別支援学校について、普通教室、特別教室、体育館等ごとに、保有室数、設置室数、設置率を区分別にそれぞれ記載してございます。
 一三ページをごらんください。11、都立学校の冷房設備設置の実績(平成二十四年度から平成二十八年度まで)でございます。
 平成二十四年度から平成二十八年度までにおける冷房設備を設置した学校数について、高等学校と特別支援学校別、年度別にそれぞれ記載してございます。
 一四ページをお開き願います。12、栄養教諭の配置状況(都道府県別、区市町村別、都立学校)でございます。
 栄養教諭の配置人数について、都道府県、区市町村、都立学校の別にそれぞれ記載してございます。
 以上、簡単でございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○内山委員 こんにちは。私からは、平成二十八年度の決算に当たりまして、子供たちの生きる力を育むという観点から、どういった検証ができるか、また審査ができるか、こういったところを総合的な観点としてお伺いをさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず、一点目は、放課後子供教室についてお伺いをしたいと思います。
 子供たちの、特に小学生の放課後というと、学童クラブがあったり、また児童館があったり、もちろん各ご家庭については、習い物があったり、学習塾があったり、さまざまあろうかと思いますが、そういった中で、昨今、新たな枠組みとして放課後子供教室というものができてきました。
 放課後だけではなくて、これは学校や市区町村によってですが、週末も含めて、小学校やそういった公的な施設を活用して、子供たちが安心・安全な居場所として活動ができる、またはそれを運営していくのは、地域の方々が地域コーディネーターという形で入って運営をしていくという、こういったところが、各自治体、市区町村によって、もしくは学校によって、さまざまな大小、多い少ない、あろうかと思いますが、そういった形で運営をされているというふうに理解をしています。
 そういった中で、ただ単純に居場所づくりというだけではなくて、子供たちが、例えば勉強もしくはスポーツや文化活動、また地域の方々との交流の機会、さまざまなものを、目的として、または提供することができるものであると思いますが、そういった中で、都内における現在の実施状況、また東京都のそれに対する支援施策について、まずお伺いしたいと思います。

○安部地域教育支援部長 平成二十八年度においては、放課後子供教室は、五十五区市町村で、小学校を中心として千百八十七カ所の教室が開催されております。
 この放課後子供教室では、地域人材などの協力を得ながら、宿題指導などの学習支援のほか、実験、工作教室、英会話教室、野球やサッカーなどのスポーツ活動など、地域の実情に応じた多様な活動プログラムが実施されております。
 都教育委員会は、こうした体験、学習活動の取り組みの充実を支援するため、活動プログラムに係る経費の補助を行うとともに、教室運営スタッフなどの研修の実施や活動事例の情報収集、提供を行っております。
 今後とも、放課後子供教室のより一層の充実に向け、区市町村を支援してまいります。

○内山委員 ありがとうございます。私は、この施策については注目をしておりまして、子供たちが今、昨今でいうと、子供の貧困の問題だとか、さまざまな状況において、小学校の放課後の過ごし方というもの、ここに幾つかの特徴というか、ともすると格差というものが出てくるものがあるかと思います。
 そういった中で、地域の方々が、学校をまさに中心として、子供たちの学びや育ちを支えていくという仕組みをつくっていくことができれば、少子高齢化の中でも、この枠組みというのは、すごく私は可能性があるのかと思っています。
 私も市議会議員時代に、幾つかの区や市を視察させていただいたりしましたが、やっぱり特徴が大きいというか、週一回開催のところもあれば、週五回開催のところもある、また、週末開催されているところもあれば、全く週末はしていない、もしくは長期の休みのときに、例えば菅原副委員長のところの日野市では、長期の休みのところでも開催が少しずつ検討をされたり、始めようという、そういう動きが見られていることも聞きました。そういった中で、子供たちの放課後のあり方というところで、放課後子供教室というのは、すごく私は可能性がある取り組みだと思っております。
 いろいろとうまくいかない部分も、もしかしたらあるのかもしれませんが、ぜひ引き続き、子供たちの小学校の放課後、この充実にぜひ努めていただければと、期待を持って意見をさせていただきたいと思います。
 続きまして、アクティブラーニングについてお伺いをいたします。
 アクティブラーニング、今度の学習指導要領の中で、一つの大きなトピックでありますが、その名称自体が、消えたり出ていたり、いろいろ現場や研修なんかでも、主体的、協働的、対話的に学ぶ学習であったり、アクティブラーニングという言葉が使われたり、いろいろあると思うんですが、二十八年度に関しては、都立高校十五校を推進校に指定し、指導法について研究をする、もしくは指導資料の作成を実施したというふうにありますが、このアクティブラーニング推進校の二十八年度の取り組みと成果についてお伺いしたいと思います。

○増渕指導部長 都教育委員会が指定した都立高校十五校のアクティブラーニング推進校では、外部の専門家を招いた校内研修や先進校の視察などを行い、その内容を生かした授業改善に取り組んでおります。
 例えば、グループで協力しながら課題を解決する授業や、発問を工夫することにより内容の理解を深める授業、ICTを活用して学習成果の発表を行う授業などの実践的な研究を行っています。
 これらにより、各推進校において、生徒が多様な意見を交わしながら協働的に学ぶ授業を実施するための取り組みが、組織的、計画的に進められております。

○内山委員 ありがとうございます。このアクティブラーニングに関しては、私はこれもかなり注目をして、期待をしております。
 これまで、じゃあアクティブラーニングはされていなかったのかというと、各先生方、教員の方々もしくは学校単位で、アクティブラーニングといわれるような手法を取り入れて、やられていたところはあると思うんです。
 ただ、これを全体として、こういったある意味引き出しの一つというか、懐の深さの一つとして、アクティブラーニングの手法を導入していくというのは重要だと思っておりますし、一方で、アクティブラーニング的な指導をこれまでされていなかった先生にとっては、これはかなり大きな転換になってしまう可能性もあると思います。
 ぜひそのあたり、現場の先生方のサポートをしていきながら、こちらにもありましたが、研究、また指導資料の作成等、お願いしたいと思います。
 続きまして、少人数、習熟度別指導についてお伺いをいたします。
 二十八年度では、英語教育というところで、新たに二十五人の教員の加配というものをされたというふうに聞いておりますが、平成二十八年度において、都内公立小中学校で、少人数の習熟度別指導を行う加配教員の配置状況について、まずお伺いしたいと思います。

○江藤人事部長 都教育委員会では、基礎学力向上に向けたきめ細かな指導を行うため、国の指導方法工夫改善加配定数を活用して、少人数、習熟度別指導を行う教員の配置を行っております。
 平成二十八年度は、小学校で千二百七十人、中学校で九百六十人の教員を配置しております。

○内山委員 ありがとうございます。さまざまな児童生徒がいて、その多様性というものも昨今指摘をされている中で、一人一人の学習状況に応じて、少人数、また習熟度別指導を推進するために、教員の配置を進めて学習環境を整えてきたということは、今の答弁で理解をいたしました。
 そこで、少人数、習熟度別に指導を行うことでどのような効果が見られたのか、お伺いしたいと思います。

○増渕指導部長 少人数、習熟度別指導は、小学校では算数、中学校では数学と英語において、指導方法や学習集団の構成の仕方など、都教育委員会が定めたガイドラインに沿って実施されております。
 こうした取り組み等の成果として、都独自の学力調査では、九割以上の児童生徒が、少人数、習熟度別指導により学力が身につくと回答しております。また、算数、数学の平均正答率は、習熟度別指導を実施している学校の方が、実施していない学校に比べて高くなっております。

○内山委員 少人数、習熟度別指導の効果というか、成果というものを今ご答弁いただきました。
 実は私自身は、特に少人数、習熟度別の手法について、賛成か反対かまだ決めかねているところであります。というのも、ほんの数年前までは、すごく、今おっしゃったような個々にきめ細やかな指導ができる、もしくは習熟度に合わせて編制するというのは、デメリットはないんだろうなと思っていたんです。
 しかし、反対をされる方もいる。ご意見をお伺いしてみる、もしくは実際に子供たちの声を聞いてみる、もしくはそういった習熟度別の指導を受けてきた高校生、大学生に話を聞いてみると、評価をするという声もある一方で、例えば、本来であれば競争性というか、そういったものが働いて、下の学級の子たちがさらに上に行こうというモチベーションになるという考え方がある一方で、自己肯定感を下げてしまうという、こういった意見や、もしくは実際そういった経験者の子供たち、高校生、大学生の声も聞いてきました。
 実際、現場でその子供たちの声を聞くと、確かに、よし、私、一番下だから上がっていこうみたいな子がいる一方で、どうせ私なんかって、その結果を見て思ってしまう子供たちも確かにいました。
 先ほどアクティブラーニングの質問をさせていただきましたが、そういった一つの手法の中で、グループ学習だとか、もしくは学びの共同体とか学び合いというものが、今、例えば東京大学教育学部の附属中等教育学校の中で、一定の成果を出し始めていたり、私も視察させていただきましたが、すばらしい授業をされているんですが、そういった中では、もしかしたら習熟度別の指導とは相入れない部分もあるのか、もしくはその視点が、すなわちこちらを選ぶかこちらを選ぶかとなったときに、習熟度別を選んだときに、先ほど申し上げた自己肯定感の問題であったり、もしくは、カーストというとちょっといい過ぎかもしれませんが、子供たちの人間関係のところまで及ぼしてしまう可能性や、過度な競争をあおることによって、デメリットが生まれてくる可能性もあって、これ実際現場では起き始めています。
 ですので、習熟度別指導を推進すること自体は、私は反対も賛成もないんですけど、できれば、こちらを推進するのであれば、そういった見えない部分を、ぜひ光を当てていただきたいなと思っています。
 これ、具体的に申し上げれば、例えば学力調査において、九割以上の児童生徒に成果が出たという、これは一つの成果だと思います。一方で、じゃ自己肯定感のところだとか、今申し上げたちょっと懸念されるようなところでも、しっかりとアンケート調査を行っていったりだとか、現状をしっかりと両方分析していくべきではないかと思います。これは意見として申し上げさせていただきたいと思います。こちらも期待しています、全部期待していますけど。
 続いて、四点目に行きたいと思います。道徳教育についてお伺いをしたいと思います。
 こちらも、二十八年度の新規のところで、道徳教育というもの、三十年度、三十一年度の特別の教科道徳の実施に先駆けて、全市区町村で道徳教育の充実の拠点となる学校を指定して、先行事例を推進ということでありました。
 道徳教育と一口にいっても、さまざまなやり方、手法があると思っております。こういったことがすごく重要なんだよという、そういった道徳観を教え込む授業というのは、なくていいとはいわないけど、そんなに子供たちに対して効果があるかというと、私も現場にいる一人の人間としては、なかなか厳しいのかなと思っています。
 子供たちが協力することは大事だ。例えば、いじめはだめだということは知らない子なんか一人もいないわけですよ。ただ、それでもそういう現場が起きてしまう。こういうのはなかなか、ここでどういうことをアプローチしていくかというのが私は重要だと思っていて、子供たちがそれこそ、自分たちが自分たちのこととして捉えて、自分たちで積極的に考えて、話し合いをしていく。先ほども何度も、やっぱりアクティブラーニング的な話になるかもしれないですけど、そういったところが重要だと考えるんですが、そこで、特別の教科道徳の実施に向けて設置をした道徳教育推進拠点校における取り組み内容についてお伺いいたします。

○増渕指導部長 都教育委員会は、平成二十八年度に各区市町村の道徳教育の推進の中核となる学校として、小学校五十三校、中学校五十三校、合わせて百六校の道徳教育推進拠点校を指定いたしました。
 拠点校は、平成二十九年度末までの二年間にわたって、特別の教科道徳に求められる考え、議論する道徳の授業の実現に向け、発問の仕方を初めとする指導方法や、適切な評価などについての研究開発に取り組んでおります。

○内山委員 ありがとうございます。先ほど申し上げさせていただいたとおりでありまして、よくちまたで懸念されているようなイデオロギーに関する道徳云々とか、押しつけみたいな、そういったものは論外として、やはり子供たちがそういった、今答弁にもいただいたように、自分たちでしっかりと考えながら、本当にその子たちの身につく道徳力というのは、極めて私は重要だと思っています。
 ですので、ぜひこういったことに関しても、かなり繊細な部分もあろうかと思いますが、ぜひ引き続き、東京都としても積極的に取り組んでいっていただきたいなと思います。
 続きまして、いじめの問題についてお伺いをいたします。
 いじめの問題に関しては、年々、さまざまな取り組みをされてきていると思うので、二十八年度に新たに何か新しいものを多く行っているわけではないとは思いますが、そういった中で、まず全体として、いじめの早期発見、早期対応に向けた東京都の教育委員会の取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○増渕指導部長 都教育委員会は、平成二十九年二月、いじめ防止等の対策のさらなる推進を図るため、学校の具体的な取り組みをまとめた、いじめ総合対策第二次を策定いたしました。
 この総合対策の主な内容でございますが、学校いじめ対策委員会の役割や年間の取り組み、校内研修の内容、教員が授業で活用できる学習プログラムなどを示しております。
 また、学校教育相談体制の一層の充実を図るため、都内公立全小学校、中学校、高等学校に配置しているスクールカウンセラーの年間勤務日数をふやすとともに、高等学校の定時制課程、通信制課程への配置を拡充いたしました。

○内山委員 ありがとうございます。
 では、端的にお伺いをいたします。これらの取り組みを推進することによってどのような成果が得られたのか、お伺いしたいと思います。

○増渕指導部長 いじめ総合対策第二次の策定に先立ち、実施可能な内容について、平成二十八年度の早い時期から各学校に周知徹底を図ったことにより、教員がいじめの定義を正しく理解し、軽微ないじめも見逃さず、確実に認知しようとする意識が高まりました。その結果、平成二十八年度のいじめの認知は、全校種で前年度と比べて増加の傾向にございます。
 また、いじめの問題について教員間で情報が共有されるなど、学校いじめ対策委員会を核とした組織的な対応が行われるようになったことにより、いじめの解消率が高まっております。
 さらに、スクールカウンセラーの配置を拡充したことにより、平成二十八年度における児童生徒、保護者等からの年間相談件数が、一校当たり約十八件増加しております。

○内山委員 ありがとうございます。
 私からは二点、ご意見をさせていただきたいと思います。
 一点目は、件数が増加をしたということ。認知件数が増加をしたというと、ともすると、マスコミなんかだと、いじめの件数がふえた、けしからぬみたいな論調があるかと思います。
 以前、大津市のいじめの問題を受けて、東京都が全児童生徒にアンケート調査をしてということがあったかと思いますが、そのときに、私の昭島市では、前年度は三十数件だったものが三百五十数件まで上がったんですね。それが、ある新聞の多摩版では、昭島がワーストだという話になったんです。一方で、二十三区のある自治体を見てみたら、ゼロ件でした、もしくは二件でしたという、こういう、昭島よりも何倍もの人口規模の自治体でそういう報告がされました。
 これに対して私は、果たして三百五十数件あった昭島市が悪いのかと思ったら、やっぱり実際突き詰めてみると、ご答弁いただいたように、まず認知、疑いのあるものまで全部まず洗い出して、そこから取り組みをしていくことがいいんじゃないかという、そういう観点から、三百五十数件という数字を勇気を持って出したということでありました。
 そういった中で、私は、件数が上がっていくというのは一概に悪いことではなくて、答弁いただいたように、まずここから一つ一つのものに着手をしていくということは、極めて重要なことだと思っています。
 もう一点ですが、早期発見、早期対応についての、今、もろもろの取り組みをお伺いいたしました。私は、そこに対しては、かなり行政としては取り組みをこの間進めてきているんではないかなと思っています。
 一方で、いじめ対策の中で、私、極めて重要だなと思うのは、そもそもいじめを生まない学級づくりというものが極めて重要だと思っています。
 先ほどの道徳教育のところにもリンクをしてくるわけでございますが、昨今で申し上げると、例えばチームビルディングの手法だとか野外教育の手法なんかですと、子供たちが自分たちで、さまざまな課題を協力しながら乗り越えていくようなプログラムがあります。
 そういったものを子供たちが、例えば教員にいじめはだめだよといわれて、いじめがだめなのはわかっているけどやってしまう、もしくは協力は大事だよといわれても、協力、どうしていいかわからなくて、結局できないとか、男女仲よくしなさいといってもそれができないというのは、やはり知識と行動というのはなかなかリンクできない部分ってあるんだと思っています。
 そういった中で、協力をしながら自然と、例えば誰かが失敗しそうなときに手を差し伸べることができるようなものであったり、何か失敗したことに対して、それを責めていたらなかなか物事がうまくいかないものが、責めるんではなくてフォローして一緒に行くと実はうまくいったりだとか、そういったものが、今、幾つかの学校や自治体ではそういった取り組みを進めていますが、まだまだ少数派だと思います。
 ぜひ、先ほどの道徳教育も含めてでございますが、そういった次のステップとして、今、早期発見、早期対応ということでやられていると思いますが、その前段として、私は教育というのは、対症療法的なものではなくて、いかにそういった、ある意味、私のいい方では、生きる力を育みながら、さまざまな多様な子供たちがいる中で、意見も違う中で、ただ罵倒し合うのではなくて、その意見を一つ一つ酌み上げながら成長していくというのが教育のあるべき姿であると思っておりますので、ぜひ次のステップ、いじめを生まない学級づくり、もしくはいじめが起きてしまっても、両者を離して断罪するのではなくて、何かイレギュラーがあったときこそ、教育のタイミングだと思いますので、そういった次のステップにぜひ進んでいただくことを期待したいと思います。
 続きまして、小中学校における不登校の対策についてです。
 先ほどいじめの件について質問させていただきましたが、いじめの件数って、これは曖昧だと思います。経年的に、先ほど申し上げたように、各自治体によって基準もばらばらですし、例えば大津市のいじめの問題のように、社会的にぽおんと一つ上がれば、それまで三十台だったのが三百に上がったりとか、もう全然、乱高下がありますので、これによって学級がどう変わっていくかというものは、なかなかはかりづらいと思っています。
 しかし一方で、不登校に関しては、年間三十日以上欠席をした児童生徒という明確な基準がありますので、これに関しては、一件が、その一件が隣の一件と比べて重大かどうかという、こういう違いはあれど、学級状況をはかる指標としては、いじめよりは不登校の件数の方が、私は、一つ指標としてはいいのではないかなというふうに個人的には感じております。
 そういった中で、私も六年ちょっと市議会議員を務めてきた中で、行政としては、適応指導教室において不登校の対策をしていこうという、そういった取り組みというか、基本的なスタンス、考え方があるんではないかなと思っています。そういった中で、二十八年度の新たな取り組みを見てみると、幾つか、適応指導教室に関して取り組みがされてきています。
 そういった中で、適応指導教室の現状と都の教育委員会の取り組みについて、まずお伺いをしたいと思います。

○増渕指導部長 適応指導教室は、不登校児童生徒の在籍校への復帰や社会的自立への支援を目的として区市町村が設置しており、平成二十八年度は、五十一の区市町で七十五教室が設置されております。
 適応指導教室では、主に教科指導を初め、さまざまな集団活動や体験活動、個別相談など、児童生徒一人一人の実態や地域の特性に合わせた取り組みを行っております。
 一方、全不登校児童生徒のうち、適応指導教室を利用している児童生徒の割合が依然として低い現状を踏まえ、都教育委員会は、平成二十八年五月に教育支援センター等充実方策検討委員会を設置し、改めて適応指導教室のあり方などについて検討をいたしました。

○内山委員 ありがとうございます。今答弁がありましたとおり、私は基本的に、かなり一つの大きな課題として挙げられるのは、適応指導教室の利用状況というか、それが児童生徒の割合が低いという今答弁がありましたが、実際、数値、もう既に公表されている数値を見ると、二割を切っている状況です。十数%だと思います。そうすると、ここを幾ら充実をさせていっても、そこに支援がつながっている子供たちが二割以下ですから、これはなかなか全体として厳しいのかなというという、そういう感想も持っています。
 そういった中で、今ご答弁がありました教育支援センター等充実方策検討委員会の概要や検討内容についてお伺いをいたします。

○増渕指導部長 教育支援センター等充実方策検討委員会は、学識経験者を委員長とし、区市町村教育委員会、公立学校、私立学校、心理、福祉、民間団体の関係者十七名で構成し、平成二十八年五月から平成二十九年一月までに計八回の会議を開催いたしました。
 検討委員会は、都内の多くの区市町村で適応指導教室と称されている教育支援センターの果たす役割や、支援に必要な機能の充実強化に向けた取り組みなどについて検討を行い、平成二十九年二月に報告書をまとめております。
 この報告書では、適応指導教室において、いつでも相談でき、安心して過ごせる居場所にする取り組み、個別の学習計画に基づき学習意欲を高める取り組み、多様な体験活動を通して表現力や社会性を育成する取り組みなどの重要性を提言しております。

○内山委員 ありがとうございます。先ほど十数%といいましたが、正確な数字で申し上げると、二十七年度が一八%ということで、それだけ低い数字であるわけでございますが、そういった中で、この二十八年度、幾つか先ほど申し上げましたが、幾つかの新たな試みがされてきているのかと思います。
 私としては、適応指導教室が二割以下の適用率というか、子供たちが支援を受けられている仕組みというものを考えると、これは抜本的に変えなきゃいけないんだろうなとは思っておりますが、この新たな取り組みを見ると、かなり興味あるというか、いいのかなと思うものもありましたので、ここもちょっと聞かせていただきたいと思います。
 民間の教育プログラムを取り入れたサポート講座、ここではソーシャルスキルトレーニングとか、野外体験活動等というのもありますが、こういったものについての内容と成果がどうだったのか、これをお伺いしたいと思います。

○増渕指導部長 このサポート講座は、適応指導教室での指導の充実を目的とし、フリースクールや通信事業者などの教育力を活用した取り組みであり、五つの区市で試行的に実施したものでございます。
 主な内容としては、不登校児童生徒が自分の気持ちを相手に伝えたり、役割分担をして共同で目標を達成したりする体験活動や、タブレットを活用した学習などを行っております。
 また、不登校児童生徒の保護者同士が交流する機会を設定いたしました。
 これらの取り組みの成果といたしまして、児童生徒の表現力や自己有用感が高まるとともに、意欲的に学習しようとする態度が見られるようになりました。また、保護者につきましては、不安感や孤立感を他の保護者と共有することにより、気持ちの安定につながったなどの感想が得られたとの報告を受けております。

○内山委員 具体的な数値だとか、そういう検証はなかなか難しいのかもしれませんが、行ってみて成果が感じられたのかという、そういうような答弁であると理解をいたしました。
 学校に適応できない子供たちという前提にも、少し私は考えなきゃいけない部分もあるのかと思っていまして、不登校になってしまう子供たちが、その子たちだけの原因なのか、もしくは先ほど申し上げた学級の問題なのか、さまざまなところがあるかと思います。
 また、多様化した、これだけ子供たちを取り巻く環境ですから、そこに対して、学校が全て一つ一つ、それこそ学校と、プラス不登校になってしまった子供たちが適応指導教室という、こういう限られた選択肢の中で対応していくこと自体が、皮肉な話ですけど、適応できていないのかなという、子供たちの今の環境に適応できていないのかなというような気がしています。
 そういった中で、フリースクールの活用というのは、一度、国会というか、国政の方でも、あのときは下村大臣だったかな、あのときに出てきて、私は期待をしたんですけど、いつの間にか全く聞かなくなってしまいました。そういった中で、フリースクール等の民間団体との情報交換、意見交換等を実施したというふうなことを聞いておりますが、これは二十八年度の新たな取り組みとしてされたというふうに聞いておりますが、それを踏まえて、取り組む都教育委員会の方向性についてお伺いをしたいと思います。

○増渕指導部長 都教育委員会は、平成二十八年度から、学校とフリースクール等民間団体との意見交換会を行っております。
 この意見交換会では、都教育委員会、区市町村教育委員会及びフリースクール等民間団体が、不登校児童生徒を支援するための取り組みについて情報を共有し、互いの活動を理解するための方策などについて協議を行いました。
 都教育委員会は、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律の趣旨を踏まえるとともに、国における不登校対策の動向を注視し、民間団体等の効果的な取り組みも参考にしながら、不登校対策の充実を図ってまいります。

○内山委員 ありがとうございます。私もこれまで、さまざまな不登校を経験した子供たちの保護者から相談を受けてきました。
 そういった中で、中学校で不登校に陥ってしまった、フリースクールにつながることができたら、そこでは個々の個性に合わせた、もしくは状況に合わせた指導がしてもらえたので、うまくいった、しかし、そこに対して、月、何らかの金銭的な負担が生じてくる、そうすると、先ほど申し上げましたが、最近は子供の貧困の問題もありまして、なかなかな確率で、つながることはできたんだけど、金銭的な事情でやめざるを得なくなってしまったという子供たちがいらっしゃいます。
 そういった中で、フリースクールは確かに難しいと思うんです。すなわち、認可外保育園をどの程度認めるかみたいな議論と一緒で、これをやりなさい、あれをやりなさいとなっていっちゃうと、フリースクールの特性がまたなくなってしまいますから、どこまで認めるかというのは、これはなかなか難しい問題があるとは思いますが、一定程度このフリースクールによって救われている子供たち、もしくは、逆にいうと、そこで教育を受けさせる義務がある我々からすると、フリースクールで救われている部分というのがあるのも、これ一定程度事実だと思います。
 ぜひ、国の動向を注視するというのもありますが、改めて、フリースクールや民間施設、団体、どういった形で線引きをするかというのは、私もこれはちょっと、なかなか明確には出ないところはありますが、ぜひその難しい課題をクリアにしていっていただけると、先ほど申し上げた学校、適応指導教室、残りの八割の、この八割のところに、子供たちのある意味でのセーフティーネットがつながっていくのかなと思っております。ぜひ期待をしております。
 続いて、不登校に陥ってしまった子供たちが高校に進学をしていく中で、やはり多くの、多くのというか、幾つかの障害が発生をしてしまうという問題があります。
 そういった中で、東京都としては、チャレンジスクールの設置を進めているということで、不登校の経験が小学校、中学校であっても、それが不利益にならないような形で、高校に受験、チャレンジをすることができる取り組みということで、私はこれはすごく重要なポイントではないかなと思っております。
 まずは、東京都教育委員会が設置を進めているチャレンジスクールについて、現在の設置状況や入学者の選抜応募倍率についてお伺いをしたいと思います。

○増田教育改革推進担当部長 都教育委員会は、小中学校時代に不登校を経験した生徒等を主に受け入れる単位制・総合学科、三部制の定時制独立校であるチャレンジスクールとして、平成十二年度に初めて桐ヶ丘高校を設置して以降、これまでに五校のチャレンジスクールを設置してまいりました。
 チャレンジスクールの入学者選抜応募倍率は、全日制普通科高校と比較して高くなっており、平成二十九年度の応募倍率も、全日制普通科高校の一・五五倍と比べ、一・六九倍と高くなっております。

○内山委員 そういった中で、現在、都立高校改革推進計画に基づいて、チャレンジスクールの新設や学級数の増が検討されておりますが、それによって、チャレンジスクールへの進学を希望する生徒全てを受け入れることができるようになるのかどうか、その見通しについてお伺いをしたいと思います。

○増田教育改革推進担当部長 都教育委員会は、平成二十八年二月に策定した都立高校改革推進計画新実施計画において、新たに足立区及び立川地区に二校のチャレンジスクールを設置するとともに、既設のチャレンジスクール四校の夜間部の学級増を計画しております。
 具体的には、平成三十年度に六本木高校、大江戸高校、桐ヶ丘高校の夜間部を学級増することとし、平成三十一年度には、稔ヶ丘高校の夜間部も学級増する予定でございます。
 また、平成三十四年度には、足立区チャレンジスクールを、一年次九学級、全校三十六学級の規模で、平成三十五年度には、立川地区チャレンジスクールを、一年次六学級、全校二十四学級の規模で開校する予定でございます。
 これにより、チャレンジスクールの募集人員を六百人ふやし、過去五年間三百九十五人から五百五十一人までの間で推移しているチャレンジスクールの不合格者を受け入れることができる規模を確保する計画となっております。

○内山委員 ありがとうございます。これまで倍率が発生していたものが、これまでの規模感でいえば、全て受け入れることは可能になるのではないかということで、これも本当に私はすばらしい取り組みではないかなというように思っております。
 そういった中で、とはいえ、不登校、中学校三年生の不登校だけではなくて、それまでの不登校、要するに小学校から中学校一年生、二年生、三年生、どこかしらで不登校になってしまった、陥ってしまった子供たちが対象ということで、必要な情報が必要なところにしっかりと届いているのかという疑問があるわけですが、中学生に対して、チャレンジスクールについてどのような情報提供をして、チャレンジスクールへの応募やその後の入学につなげているのかについてお伺いをしたいと思います。

○増田教育改革推進担当部長 都教育委員会は、中学校の進路指導担当教員を対象に、公立中学校における進路指導のための都立高校説明会を実施し、チャレンジスクールの基本方針や特色などについて周知を図り、中学校における適切な進路指導を支援しております。
 また、都立高校について、受検生や保護者などの理解を促進するため、毎年、東京都立高等学校に入学を希望する皆さんへと題する冊子を公立中学校三年生全員に配布するとともに、受検生や保護者が面談方式で質問できる都立高等学校等合同説明会を開催するほか、都立高校入試相談コーナーや教育相談センターにおける個別の進路指導の場面などでも情報提供しております。
 さらに、チャレンジスクール各校においても、教員が中学校を訪問したり、授業公開や学校説明会を開催したりして、学校の情報を提供しております。

○内山委員 ありがとうございます。今の答弁をお伺いすると、それなりに発信のところに関しては、されているのかなという印象を受けます。
 ただ、不登校に陥ってしまった子供たちというところで考えたときに、ただ一般論として情報を発信しているというだけだと、なかなか厳しいケースもあります。
 私も、これまで相談を受けてきた中では、親御さんのメンタルの問題で、なかなか情報が受け取りづらいご家庭であるとか、お子さんなんかも、何か配布をされてもそれを余り見ないとか、それを自己責任として捉えてしまうと、チャレンジスクール自体の意義というか、不登校対策の意義自体が問われてしまうと思うので、ここは、こういった制度が必要な子供たちにいかにその情報を届けていくかということが、極めて私は重要ではないかなというふうに思っています。
 そういった意味においては、各学校の担当の教員であるとか、また市区町村のきめ細やかな情報をしっかりと届けて、そしてそれに対して、ただ意欲があるからその子たちを支援していきましょうではなくて、その意欲をもしかしたらそがれてしまう、もしくは意欲がなかなか生まれてこない子供たちをしっかりと支援をしながら、チャレンジできるようなところまで結びつけていくというのが、まずはこの制度の私は重要なポイントではないかと思っています。
 大学の無償化だとかもろもろ、国政でも議論がされておりますが、私は、そこに行き着くまでの小学校、中学校、高校の、ここの支援というものはすごく重要だと思っています。そういう意味においては、チャレンジスクールの取り組みも、もう全部期待しているといっていますけど、チャレンジスクールもぜひ、これはすばらしい取り組みだと思いますので、しっかりと適切に対象に対して行き届くように、運用していただくことを期待したいと思います。
 最後です。部活動について質問をしたいと思います。
 もう以前から、少子化によって子供たちが減少していく、そしてそれに伴い教員数も減少していく、そういった中で、部活動の維持がなかなか困難になるのではないかということは、もう二十年以上前からいわれていることでございます。
 私は、部活動というのは、スポーツ、運動部であっても、文化部であっても、若者の健全育成という側面で見ると、かなり大きな役割を担っているのではないかと思っています。
 そういった中で、先ほど申し上げましたように、教員が異動してしまう、退職をしてしまう、そういったことによって、休部とか廃部に追い込まれてしまったり、部活動の指導が、一方で教員の過度な負担になってしまうという例も少なくありません。
 そういった中で、部活動の振興を図っていくというのは、さまざまな取り組みがあろうかと思います。
 例えば、二校合同の部活動の設置をして、その中で、陸上部であれば、例えば内山中学校と栗林中学校が同じ練習をしていて、大会にはおのおのの学校名で出るということは、これは十分可能なわけです。
 もしくは三鷹市のように、小学校と中学校が、あそこは小中一貫教育ですから、小学校教員が、希望者に関しては中学校の部活動の指導ができるとか、さまざまな取り組みがあると思います。
 そういった中で、外部指導員の積極的な活用というのがかなり大きなポイントではないかと私は思っておりまして、まず、都立高校における外部指導員の活用の現状と成果についてお伺いをしたいと思います。またあわせて、中学校における外部指導員の活用の現状についてもお伺いをしたいと思います。

○宇田指導推進担当部長 平成二十八年度都立高校においては、一校当たり平均約二十四の部活動を設置し、平均約十人の外部指導員を導入しております。
 競技経験のない顧問教員のかわりに外部指導員が指導することにより、生徒の意欲や技術、技能が向上し、顧問教員の負担も軽減されるほか、休部や廃部をすることなく、部活動の存続が可能となるといった効果が上がっております。
 区市町村教育委員会が所管する公立中学校においては、一校当たり平均約十四の部活動が設置され、区市町村教育委員会の経費により、平均約八人の外部指導員が導入されております。

○内山委員 ありがとうございます。今ご答弁がありましたとおり、中学校と高校で状況の違いというものはあろうかと思います。そういった中で、一校当たり、高校でいうと二十四、中学校でいうと十四の部活動があって、外部指導員が高校で平均十名、中学校で八名ということでした。
 この平均という言葉が私はちょっとみそなんじゃないかなと思っていまして、平均八名ということは、もしくは平均十四の部活動ということで考えたときに、例えば私のところの昭島市は一時期、部活動の数が男女合わせて一桁になってしまった学校がありました。今、少し頑張ってふやしているんですが、一方で、同時期に、昭島市内の一番大きな中学校を見てみると、四十に迫る部活動の数があったわけです。そうすると、これはもう格差と呼んでいいと思うんですが、部活動選択の格差が三倍、四倍という中にありました。
 平均値をとってみると、実態ってよくわからないと思うんですけど、その実情を見てみると、各校によって、市区町村によっても、これは大きな開きがあると思いますし、一方で、同じ市区町村の中でも学校によって開きがあると思っています。
 そういった中で、外部指導員の活用というのは、今、国でも大きく、チーム学校法案の中だったかな、の中で活用について取り組みが検討されていると思いますが、東京都の中でも、中体連の、規約なのかルールの中で、例えば引率をするのは教員じゃなくちゃだめだとか、そういったものがあります。そうすると、幾ら外部指導員を充実させても、結局、教員が行かなきゃだめだっていうのであれば、余りそこに積極的に予算を投入しても教員の負担軽減というのものにはつながらないような枠組みがあります。細かなことをいえば、教員じゃなきゃ審判しちゃいけないとか、わけのわからないルールがあるところもあります。
 ぜひ私はそういったところを、中体連の方々ともしっかりと細かく、これはまた競技によっても違うと思いますので、しっかりと協議をしていただいて、外部指導員の積極的な活用というのは、ただ増員をすればいいというだけではなくて、やれる範囲、枠という、そういったものもしっかりと協議をした中で、子供たちがより専門的な指導が受けられる、そして教員も、子供たちにずっと張りついていなくちゃいけないんではなくて、外部指導員がしっかりと管理監督をしていて、何かあったときは教員が対応するというような仕組みで全都的に行うことができれば、これは教員の負担軽減にも、また部活動の発展にもつながっていくと思います。
 ぜひこのあたりも、今、中学校の方は、東京都の方で予算的には出されていない状況だと思いますが、教員の負担軽減で、教員を一人加配をする、その予算があれば、それを、例えばですけど、外部指導員の予算に充てることができれば、多摩地域で一校当たり百万円もついていれば、今、外部指導員の予算というのは潤沢な方です、そうすると、その外部指導員の予算が五倍、六倍になっていくようなことになれば、これは大きな部活動の変革、改革になっていくと思いますし、中学校においての部活動の持っている教育力というのは、私は極めて大きいと思っておりますので、ぜひそのあたりも、今後、東京都の取り組みに期待をして、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○栗林委員 それでは、私の方から、教育庁関係の今回の決算質疑でございますが、七テーマ、十四問程度質問させていただきたいと思います。
 私ども公明党も--少子高齢社会に向けてのやはり一番大事な取り組みは、次代を担う子供たちにしっかり投資をするという、教育に光を当てて、そしてその予算を確保していただけるような政策提案に取り組んでまいりました。
 本日は、平成二十八年度に我が党が議会質問などで取り上げてきたことを中心に、取り組み状況と、また成果などを確認させていただきたいと思います。
 初めに、小中学校における基礎学力向上の取り組みについて伺います。
 我が党は、平成二十八年第一回の定例会の代表質問で、小中学校における基礎学力の定着を図る取り組みを一層充実すべきだと主張したところ、小中学校における基礎学力向上の取り組みとして、東京ベーシック・ドリルの電子化を進めるという答弁をいただいたところでございます。
 そこで、その後の取り組み状況とその成果を伺います。

○増渕指導部長 都教育委員会は、各学校が児童生徒に各教科の基礎的、基本的な内容の定着を図ることができるようにするため、小学校第一学年から中学校第一学年までの内容に対応した東京ベーシック・ドリルを平成二十五年度から二十七年度にかけて作成し、都内全公立小中学校に配布いたしました。
 平成二十九年三月には、児童生徒が校外においてもコンピューターやタブレットで取り組むことができるよう、自動採点機能を備えた東京ベーシック・ドリルソフトを開発し、各学校に配布いたしました。
 また、各学校での活用が円滑に進むよう、区市町村教育委員会を対象とした説明会を二回実施し、本ソフトのよさや具体的な操作方法などについて周知を図りました。
 こうした取り組みや学校における指導の充実などにより、国の学力調査では全国の平均正答率を上回っており、基礎的、基本的な内容の定着において改善が図られております。

○栗林委員 年度ごとに充実を図っていただいて、改善に取り組んでいただいているということでございます。全ての児童生徒について効果的な対策となるように、今後も周知していただきたいと思います。
 こうした基礎学力をつける方法も大事ですが、またあわせて学べる場の提供、こういうことも、場所をどう拡充していくかということも、機会を拡充していくかということも、あわせて必要ではないかと思います。
 こちらも、我が党の質問に対しまして、都教育委員会では、家庭での学習が困難であったり、学習習慣が十分身についていない児童生徒を対象に、放課後等における学習支援の取り組みの推進として、新たに地域未来塾を実施することになりました。
 そこで、地域未来塾事業の内容と取り組み状況について伺います。

○安部地域教育支援部長 都教育委員会は、授業以外の場における学習機会を提供する区市町村教育委員会に対しまして、運営費などの経費支援を行う地域未来塾事業を平成二十八年度から新たに開始しました。
 平成二十八年度は、十五区市、小中学校合わせて二百八校の希望する小中学生を対象に、放課後などにおいて、学校の教室や社会教育施設などで、NPOや大学生などの外部人材を活用し、基礎的な学習を行うなどの取り組みが行われております。
 この事業に取り組んだ区市町村教育委員会からは、子供たちの学習習慣の定着や学習意欲などの向上に有効との評価が寄せられております。
 今後とも、地域未来塾事業を推進し、放課後における学習支援の充実を図る区市町村を支援してまいります。

○栗林委員 一層、取り組みをする区市町村がふえていきますように、しっかり支援をよろしくお願いしたいと思います。
 続いて、特別支援教室について伺います。
 こちらも、我が党は、平成二十八年第一回定例会で、都教育委員会が平成二十八年度から順次導入している特別支援教室について、巡回指導教員の専門性を向上させることが重要であるとの認識から、ベテラン教員と経験の少ない教員がペアでOJT体制を構築するなど、巡回指導教員の専門性の向上を図る取り組みについて代表質問で取り上げさせていただきました。
 この質問に対して、指導経験が豊かな教員との組み合わせによりますOJT体制の構築、臨床発達心理士等の巡回によって、巡回指導教員などへの専門的な助言を行う体制を構築したと思います。
 新たに特別支援教室の担当となる教員に対する講習会の実施に取り組んでいくという答弁をそのときいただきましたけれども、この取り組みの実施状況を伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 OJT体制の構築については、平成二十八年度は、特別支援教育の状況把握と助言のために、区市町村教育委員会を訪問する際などに、その重要性を周知いたしました。
 平成二十九年度は、さらに説明会等の場で具体的事例の紹介を行っております。
 今後は、今年度中に実践事例集を作成し、効果的なOJTの具体的事例を区市町村教育委員会に紹介してまいります。
 臨床発達心理士等の巡回体制については、平成二十八年度は、特別支援教室を設置した各小学校を年間十日間、かつ一日四時間を原則として巡回を行いました。
 平成二十九年度は、学校の実情に応じて柔軟に活用できるよう運用の改善を図り、年間四十時間の範囲で巡回を行っております。
 新たに担当となる教員に対する講習会については、平成二十七年度末及び二十八年度末に、それぞれ異動前の講習会を実施し、二年間で合わせて五百二十八名が受講しております。

○栗林委員 現場で経験豊富な先輩教員から学ぶことは大変心強いですし、やはり現場で学ぶということが大変重要ではないかと思いますので、引き続いての取り組みをよろしくお願いいたします。
 続きまして、オリンピック・パラリンピック教育における障害者アスリートの派遣についてお伺いいたします。
 やはり我が党は、平成二十八年予算特別委員会の代表質問で、不撓不屈の精神等を学んで人間形成を図るために、一流アスリートの派遣、特にパラリンピアン等の障害者アスリートとの交流を一層推進すべきと提言しました。なかなか日ごろ触れ合う機会もないかと思いますので、そういった提案をさせていただきました。
 これに対しまして、平成二十八年度は、アスリート派遣を拡大して、とりわけ障害者アスリートの派遣は、より多くふやしていくとのご答弁をいただいたところでございます。
 そこで、平成二十八年度のアスリート派遣、特に障害者アスリート派遣実績とその成果について伺います。

○宇田指導推進担当部長 平成二十八年度は、前年度の百十二校の約二倍となる二百二十校にアスリートを派遣いたしました。特に、障害者アスリートの派遣については、前年度の二十四校から約四倍となる九十校へと拡大いたしました。
 障害者アスリートと交流した児童生徒からは、何事も諦めずに前向きに行動することが夢の実現につながるとわかったといった感想を数多く聞くことができました。
 このように、児童生徒は、この授業を通して、さまざまな困難を克服し、力強く生きることの大切さを学んでおります。

○栗林委員 よりそうした機会の拡充をぜひ図っていただきたいと思います。
 次に、先ほど内山委員からも触れられていましたけれども、いじめに関する総合対策の実施について伺います。
 さまざまな対策を積極的に講じていただいていますが、残念ながら減少していかないという、それがいじめ問題でございます。
 初めに、教育委員会は、子供たちがまず相談する、困ったときに相談をする、その相談体制をどのようになさっているか。相談しやすいようなさまざまな取り組みは行ってきていただいておりますが、具体的な内容を伺います。

○増渕指導部長 都教育委員会は、平成二十六年度から毎年度、都内公立学校の全児童生徒にいじめ防止カードを配布するなどして、二十四時間受け付けの東京都いじめ相談ホットラインなどの外部相談窓口の周知を図り、児童生徒がいじめについて相談しやすい環境を整えてまいりました。
 また、平成二十八年度には、スマートフォンから瞬時に東京都いじめ相談ホットラインに電話がつながるアプリケーションを開発いたしました。これに加え、子供が親しみやすい漫画を通して、すぐに大人に相談することを促すアプリケーションやウエブサイトも開発いたしました。
 都教育委員会は、これらのアプリケーションなどについて都内全公立学校に周知し、児童生徒の積極的な活用を促しております。

○栗林委員 二十八年度でこのアプリをつくっていただき、活用は二十九年度から、これからだと思いますけれども、本当にこれ、今、小学校、中学校、高校生にはとても使いやすい内容ではないかと思いますので、本当にぜひこれが周知徹底できるように、利用できるように、どうか取り組んでいただきたいと思います。
 長野県では、LINE社と提携して、LINEでそういう相談を受けるというようなことも、長野県挙げてLINEでということも--課題もあるとは伺っていますけれども、そういったいろいろな事例も参考にしながら、より積極的に展開をしていただきたいと思います。
 こうしたさまざまなツールも使いながら、やはり大事なのは、スクールカウンセラーさんがそばにいるということも大変重要ではないかと思います。特に、都立高校の定時制とか通信制課程の生徒の問題に適切に対応するために、やはりスクールカウンセラー、この配置の拡充を求めたところでございますが、その効果について伺います。

○増渕指導部長 都教育委員会は、平成二十八年度から、スクールカウンセラーを、全日制と定時制の併置校には課程ごとに、昼夜間定時制には異なる勤務時間帯で週二日配置いたしました。また、通信制に新たにスクールカウンセラーを配置いたしました。このことにより、都立高校の生徒がどの課程に在籍していても、スクールカウンセラーに相談できる機会を確保することができるようになりました。
 その結果、平成二十八年度における全日制と定時制の併置校等に在籍する生徒の相談件数の合計は、前年度と比較して約二倍に増加しております。

○栗林委員 やはりそばに、学校にそういうことを相談できる人がいる、場所があるということは、大変重要でございますので、より一層の充実をお願いしたいと思います。
 いじめ問題に続きまして、先ほども触れていらっしゃいましたけれども、不登校の問題でございます。
 教育庁がまとめていただいたこの冊子の中にもデータが出ておりましたけれども、二十七年度は、全国小中学校では十二万五千強いらっしゃる中、都内の公立小中学校では一万六百十八人で、小学校二千七百三十一人、中学校七千八百八十七人と、平成二十五年度以降がまた増加しているという結果でございました。
 この冊子の中にも出ていたんですが、平成四年からずっと状況がグラフに示されていましたけれども、平成四年のころは六千二百人ぐらいだったのが、平成十年ぐらいになってから一万人を突破して、このあたりからしっかり、東京都もそうですけれども、国も含めて、不登校問題に関する調査研究協力会議というものをつくられて、さまざまな対策がここで講じられ、その結果八千台まで下がり、八千、九千ということで平成二十五年ぐらいまで来ましたけれども、二十五年以降が八千、九千、一万ということで、また増加傾向にあるということでございます。そういう状況を背景にしながらも、一生懸命、不登校の対策は講じていただいております。
 初めに、東京都の公立小中学校における不登校の実態と課題について伺います。

○増渕指導部長 都内公立小中学校において、平成二十七年度に三十日以上欠席した児童生徒のうち、不登校を理由としたものは一万六百十八人、全児童生徒数に占める不登校児童生徒数の割合は一・三三%となっており、いずれも平成二十五年度以降増加しております。
 不登校の要因は、本人に係るものや、学校、家庭に係るものなど、多様で複雑でございます。
 こうした実態から、学校における組織的な取り組みや、スクールソーシャルワーカーを活用した福祉、医療等関係機関との連携など、不登校児童生徒に対する支援を充実させることが課題であると受けとめております。

○栗林委員 それでは、都教育委員会では、都内小中学校における不登校対策について、どのように取り組みを行ってきたのか、確認させていただきます。

○増渕指導部長 都教育委員会は、都内全公立小中学校にスクールカウンセラーを配置し、学校における不登校児童生徒へのきめ細やかな対応ができるよう支援をしております。
 また、平成二十八年度から、区市町村教育委員会や学校における不登校児童生徒への支援体制の構築、強化に向けて、モデル事業を実施しております。
 さらに、学識経験者や都内各地区の教育委員会担当者などで構成する教育支援センター等充実方策検討委員会を設置し、区市町村が運営する教育支援センター等の充実に向けた方策を取りまとめ、平成二十九年二月に公表したところでございます。

○栗林委員 それでは、都内公立小中学校の不登校児童生徒を支援するモデル事業の内容について伺います。

○増渕指導部長 先ほどご答弁申し上げましたモデル事業は、小中学校の不登校児童生徒に対する支援体制の強化を目的とし、平成二十八年度から二十九年度までを事業期間として、七つの区市町を対象に実施しております。
 主な内容は、校長が校務分掌として不登校対策を担う教員を指名し、支援会議の運営や指導計画の作成などについて中心的な役割を持たせることにより、不登校児童生徒等に対する支援が組織的に行われるようにしております。
 また、モデル地区の教育委員会に、スクールソーシャルワーカーや地域の人材を活用した訪問支援員などで構成する支援チームを設置し、スクールソーシャルワーカーが示した方針により、家庭を訪問したり、福祉、医療等の関係機関に不登校児童生徒やその保護者をつないだりするなどの取り組みを行っております。

○栗林委員 ありがとうございます。このモデル事業ですけれども、私、議会質問で取り上げさせていただいて、それもきっかけとなったのは、三年前ぐらいに、ある不登校児を抱えるお母さんからのご相談で、不登校のお子さんをお持ちのご家庭からはご相談をたくさん受けますが、このご家庭だけは本当に深刻で、小学校二年生のときに私立の小学校でいじめを受けたことから、やはりそれから不登校になって、学校を何カ所も、五校ぐらいかわられてはいるんですけれども、中学校二年生のときのご相談だったんですね。
 やはりお母さんも、自分が、我が子は私が守らなきゃというので、かなり守りの態勢が強くて、学校もいろいろやろうとしていてもなかなかかみ合わずに、学校も大変、どう助けてあげたらいいのかという、ボタンのかけ違いというんでしょうか、そういうことからなかなかうまくいかなくて、そして適応指導教室に行くようにと思ったら、そのお子さんは、一歩外へ出ようとすると嘔吐してしまうということで、外へも出られない。だんだんクローゼットの中で一日を過ごすぐらいの、本当に深刻な、もちろんメンタルの面とかでは治療を受けていらっしゃったんです。
 そんなときに、在籍する中学校の副校長先生が出向いてくれまして、いろいろお話を聞くことから少しずつ--出向いて話を聞くということから信頼というのは生まれるんだなということがわかったんですが、やはり一人の副校長先生がかかりっ切りというのは学校の運営もありますし、そこで、こういった問題を専門に取り上げてかかわっていく、身を寄り添うようにしてかかわり続ける、そういうチームがぜひ必要だということをお願いしまして、議会質問でも求めさせていただきまして、二十八年、モデル事業ということで取り組んでいただいて、本当によかったなと思います。
 適応指導教室にも通えない、そういうお子さんのところにアウトリーチ、出向いて、心を開いていくまで粘り強く取り組んでいただくことが大変重要だと思います。
 こういったモデル事業をやっていただきましたけれども、この成果について伺います。

○増渕指導部長 モデル地区の教育委員会からは、学校に配置されているスクールカウンセラーや適応指導教室などの機関に相談したり、継続して登校できるようになったりした児童生徒の人数が増加したなどの報告を受けております。
 また、モデル事業を実施した学校からは、家庭に引きこもりがちな状態から面会できるまでになった事例や、他の児童生徒とのかかわりがふえた事例などについて、報告を受けております。
 さらに、専門家からの支援を受けるなど、担任が一人で抱え込むことなく、組織的な対応ができるようになったなどの報告も受けております。

○栗林委員 今ご答弁の中に、担任が一人で抱え込むことがなくなるという、こういう環境もすごく大事だと思うんですね。一人の困難なお子さんに向き合うことももちろん大事なんですけれども、やはりそれ以外の生徒さんたちのこともしっかり見ていかなきゃいけない。そういったときに、こういう組織で対応していただけるということが、その教員がさらに頑張っていただく、そういうサポートになるかと思いますので、引き続き、より多くの区市町村が取り組んでいただけるように、拡充していただけるようにお願いしたいと思います。
 それでは、適応指導教室における民間の教育プログラムを取り入れたサポートの講座について、内容について伺います。

○増渕指導部長 サポート講座は、不登校児童生徒が自己有用感や学習意欲を高めることができるよう、平成二十八年度に五つの区市を対象として、適応指導教室における学習活動に民間教育事業者のノウハウを試行的に導入したものでございます。
 主な内容としては、フリースクールの協力を得て、不登校児童生徒の居場所づくりやコミュニケーション能力向上のため、工夫を凝らした運動体験プログラムの講座などを行うとともに、保護者を支援することを狙いとして、不登校を克服した保護者から話を聞く会などを実施いたしました。
 また、通信事業者の協力を得て、児童生徒が自主的に学べる環境を創出するため、タブレット端末を活用した学習講座を実施いたしました。

○栗林委員 それでは、今お話のあったサポート講座の成果について伺います。

○増渕指導部長 サポート講座に参加した児童生徒につきましては、自信を持って物事に取り組もうとする態度や、学習課題に対し自分のペースで積極的に取り組む姿勢が見られるようになったなどの報告を受けております。
 また、保護者につきましては、悩みを共有することができ、気持ちが楽になった、子供のためにも、親のためにも、このようなネットワークの構築は重要であるなどの意見があったとの報告を受けております。

○栗林委員 総合的にさまざまな取り組みを今後もどうぞよろしくお願いいたします。
 いじめ、これは早期に発見をして対応する、そうすると不登校という児童生徒の数もやはり減少してくると思いますし、また、これをそのまま放置してしまうと、誰にも相談できずに、いじめから不登校になり、そういった本当に残念な結果に、自分の、みずからの命を絶つという、こういった悲劇を生んではいけないと思います。
 依然として子供の自殺というものが減ってはいません。警察庁の統計だと、これは国の統計ですけれども、二〇一六年は三百二十人の小中高生が自殺で亡くなっている。小学生十二人、中学生九十三人、高校生が二百十五人。小中高生の自殺は、この十年で三百人になっているんですね。多いときは三百五十人を超えた年もあるということです。
 ちょうど今、スクールカウンセラーを主人公にした、テーマにしたドラマが始まりました。民放ですけれども、火曜日の九時からなんですよね。
 一話、二話が終わって、私もこれ、きのう続けて一話、二話、九時なんて見られる生活していませんので、録画しておきまして、きのう続けて十二時から見たら夜中三時ぐらいに終わったんですけど、本当にこれよくできていまして、スクールカウンセラーが主役なんです。寄り添うスクールカウンセラーなんですね。高校なんですけれども、神奈川の方の高校を舞台にしていますよね。
 ずっと教室、学校内、校内を歩いて、ちょっと表情があれっと思う子には、呼んで、お茶、ジュースとか飲みながら懇談しながら、何かあったらいってねという、そういう寄り添うスクールカウンセラーではあるんですが、その学校の生徒もみんなさまざま事情を抱えていて、家庭の事情とかですね、そういった中で学校に集まってくる。クラスの中のいじめがあって、部活動の中のいじめもあって、さまざまな現代社会が抱えている、子供たちを取り巻く一つ一つの何かテーマを全部クローズアップしているドラマでございました。
 スクールカウンセラーは一生懸命頑張るんですけれども、入り込めば入り込むほど親から拒否をされて、二話で、きのうはそのお子さんが自殺しちゃうんですね。そうすると、親は、入り過ぎたんだと、あなたたちがこうやって来ることが彼をストレスに追い込んだみたいな、今度は学校が責められるんですね。
 今度は週刊誌記者が出てとか、本当に、よくしよう、子供たちを助けたいと思う学校側の行動、スクールカウンセラーの行動が、保護者とかいろんな取り巻く情景の中で、いろんな部分に展開していくという、非常に私、いじめとか不登校とか命を大切にするとかいうテーマが全部ここに詰め込まれていて、本当にこれは大事だなと思った次第でございますが、まだ二回終わってこれから続いていくと思いますけれども、やはり本当にそういう寄り添うスクールカウンセラーと、今ご説明いただきましたさまざまなそういう取り組み、アウトリーチ、適応指導教室、そういったものがたくさん受け皿として備わってこそ、一人の子供たちの命を、未来を救っていけるんだなと思いました。
 さまざまな家庭環境の中で、家庭に居場所がなくて、学校だけが唯一、ほっとできる場所だという、そういうお子さんも多くいらっしゃいます。そういったところで、本当に教育現場、ご苦労多いと思いますけれども、いじめをなくし、不登校生徒が少しでも学校に通えるような環境づくりに一層取り組んでいただきたいと心より願うものでございます。
 それでは最後に、これすばらしい取り組みをしていらっしゃるんですが、教科、人間と社会について伺います。
 私、今回初めて、二十八年度に取り組んでいらっしゃる事業ですばらしいと思ったのが、この人間としてのあり方、生き方に関する教科、人間と社会をつくっていらっしゃったということで、これ、つくられたのが出版社ではなくて、都教育委員会の、今現場で、高校の教員の皆様、あとこちらにもいらっしゃるんじゃないでしょうか、これつくられた、いらっしゃいますか。

○藤井委員長 手を挙げてもらえますか。

○栗林委員 いらっしゃらないですか。去年、おととしぐらいから始まった事業でございます。
 これ本当にすばらしいなと思って。内容が、先ほどもありましたけれども、教えるんじゃなくて、ケーススタディーになっているんですね。ケーススタディーで、あなただったらどうするという、そういう内容でいろんなテーマが、働くこととか、ネット時代とか、あとお金の意義とか、支え合う社会とか、自然とのかかわりとか、科学技術だとか、主権者としての自覚とか、とにかく大変すばらしい教科書をつくっていらっしゃいます。
 定価百五十一円なんて、こんな本当によく、これ多分、皆さんでつくられたから、これだけの費用で抑えられたんだなと思うんですが、すばらしい取り組みだなと思いました。
 平成二十八年度から全ての都立高校で実施されることになったこの新教科、人間と社会、まずこの内容について伺います。

○増渕指導部長 教科、人間と社会は、平成二十七年度まで実施していた教科、奉仕を発展させ、人としての生き方の指針となる道徳的価値を深める内容とキャリア形成に関する内容を、演習や体験活動を通して一体的に学ぶ都独自の教科でございます。
 生徒は、学ぶことや働くことの意義、自己と社会とのかかわりなどについて考えを深めることができるよう、都教育委員会が作成した教科書を用いて、生徒同士で討論したり、地域清掃や高齢者介護などの奉仕活動、サービス業や製造業などの事業所で一定期間、職業体験をするインターンシップに取り組んだりしております。

○栗林委員 本当にインターンシップ等々、実際にその場所に行って、高齢者の施設だとか、さまざまな経験をここでできるということは、大変意義が大きいと思います。
 また、これがさらに持続し、またどんどんレベルアップといいますか、していけるような授業にぜひしていただきたいと思います。
 そしてまた、この教科、人間と社会を、各学校において適切に実施できるようにするためには、やはり教員への指導とか、いろいろな情報提供とか、そういったものも必要になってくると思います。そういう適切に実施するための都教育委員会の取り組みはどのようになさっているんでしょうか。

○増渕指導部長 都教育委員会は、教科、人間と社会の全校実施に向け、平成二十七年度中に、全ての都立高校の指導推進者を対象に、この教科の趣旨の徹底を図る研修を実施いたしました。
 また、平成二十八年度には、指導推進者に対して、生徒の主体的、協働的な学習を促す指導方法や評価のあり方などについて、外部講師による講演などの研修を行いました。
 さらに、体験学習を充実させるため、インターンシップで生徒の受け入れが可能な企業やNPO等に関する情報を各学校に提供するとともに、学校のすぐれた実践事例を資料にまとめ、全教員に配布いたしました。

○栗林委員 ぜひ、これは本当にすばらしい教科書なので、学ぶ生徒たちが、本当にわくわくするといいますか、学ぶ意欲が高まるような内容にしていくには、教える側の方の自信とか、そういう情報をきちっと持っているか、そういうことも大変大事だと思っております。担当する教員に対しての指導、それもあわせて、余り負担になっちゃうと、これまたほかのことにも支障を来してしまいますので、やっぱり楽しく学べて、これが本当に効果あるものとして、生きていく教材として、ぜひこれは取り組んでいただけますよう、その辺の支援もあわせてお願いしたいと思います。
 一方で、これからは、AI時代を生き抜くにはなんていうこともいわれ始めておりまして、AI時代の本格的な到来ということで、イギリスの研究グループが、二〇三〇年までにアメリカでは職業の半分が機械になっていくだろうというようなニュースも流れていました。
 専門家の話ですと、作業とかそういうものはAIというものに、人工知能というものにかわることができたとしても、これからは新たな価値を見出し、自分にしかできないことを追求するとか、大胆で新しい発想やどんな状況でもやり遂げる力だとか、そういったことが求められてくるというコメントがございました。
 そういったことを考えたときにも、人間と社会という、ベースにしっかりとこういう価値観なり自分の考えがあると、これからのAI時代を生き抜く、やっぱりこれはパワーになってくると思いますので、ぜひ誇りを持って、教育委員会としてのすばらしい取り組みでございますので、一層の取り組みに期待をいたしまして、質問を終わります。ありがとうございます。

○小宮委員 子供たちの健やかな成長というものを考える上で、やはり知と徳と体、この知、徳、体のバランスのとれた教育、この充実とその環境整備が大変重要であると思っております。
 基礎的な学力をしっかりと身につけること、また他者を思いやる心や社会性というものを身につけるということは、子供たちの人としての重要な礎になると思います。また、よく体が資本だよと私たち政治家もいわれるわけですけれども、日常耳にするわけですけれども、どんなに才能があっても健康でなければ、十分に仕事もできず、また才能も生かされないということですが、体を鍛えて健康に生活をするという習慣を子供のころから培って、そして学力や社会性を備えることとあわせて、そういった体力をしっかりと向上させていく、そうしたバランスのとれた教育をぜひ実施をしていっていただきたいと思います。
 まず、知力について伺いたいと思っております。
 基礎的な学力を身につける、また向上させるという取り組みについて伺いたいところですけれども、学びの基礎や基本というものを定着させて、学ぶ意欲を向上させるということは、思考力や判断力、また表現力を育てて、個々の能力を最大限に伸ばすということにつながります。これは教育の基本です。これからの変化の厳しい時代、また社会を担う子供たちには、確かな学力を身につけていってほしいと思っております。
 先ほど栗林委員からもお話がございましたので、質問は割愛いたしますけれども、東京ベーシック・ドリル、これを用いて、東京都教育委員会としては、子供たちに対して、基礎的で基本的な、そういう内容を繰り返し個人で学習できるようにまとめた教材というものを使ってきました。昨年から電子化をされまして、パソコンやタブレット端末などを使い、自分で採点ができるようになったと。まさに学び直しや補習などに役立っているというふうに聞きます。
 教員の負担軽減にもつながっているということで、今後も、こうした利用する子供たちの意見や反響といったものも、ぜひ聞いていただきたいと思っております。そして、基礎的学習の充実を図っていただくように、お願いをしておきたいと思います。
 それから、豊かな人間性を培うということに移ってまいりたいと思いますが、規範意識や社会性を高める徳の心を育む教育について伺います。
 日本政府観光局の訪日外国人の実態調査によると、外国人旅行者が感じた訪日前後の日本のイメージについて、多くの外国人が、日本人を親切で礼儀正しいというふうに感じております。特に、訪日後にその割合が高くなるという結果があります。
 日本には代々、礼節を重んじ、また他者を敬い、互いに助け合って生活をするという国民性があるわけです。こうした日本人の行動規範や意識というものは、海外からも高く評価をされてきたところです。
 自助や共助の精神というものが根差し、自分にできることは自分で、そして隣近所で助け合ってできることは協力してという自立したこの国民性によって、今も私たちの地域社会は支えられているところが大きいと感じています。
 しかしながら、社会的な変化の中で、自分中心、自分さえよければいいという物の考え方もあり、多くのトラブルが起きているという昨今の現実もあるわけです。また、いじめや差別、偏見といった問題も、社会の中にやはり常にある問題だと思っています。
 そうしたことに直面をしたとき、自分はどういうふうに考えて、どう行動すべきなのか、子供たちにはこういうことを、人としてどうあるべきかということをしっかりと考えて、そして行動できる、そういう人間に成長してほしいと思います。
 自立した人間として、他者とともによりよく生きる、そういう基盤となる力を育成するために、特別の教科として指定をされた道徳ですけれども、今後、この道徳、特別の教科道徳が、どのような内容でその充実を図っていくのか、注目をしているところですが、東京都は先駆けて、道徳教育の拠点校、先ほどお話もございました、百六校を指定するなど、先行した取り組みを実施してきました。
 そこで、都内公立小中学校の道徳教育の推進に関する東京都教育委員会の取り組みについて伺います。

○増渕指導部長 都教育委員会は、学校、家庭、地域が一体となった道徳教育を推進するため、平成十四年度から、区市町村教育委員会と連携し、都内全ての公立小中学校で道徳授業地区公開講座を実施しており、平成二十八年度には約五十万人の参加がございました。
 また、中学校については平成二十四年度から、小学校については平成二十五年度から、子供たちの豊かな人間性を培い、規範意識を高めるため、都独自の道徳教育教材集をそれぞれ毎年度作成し、都内全公立小中学校の全ての児童生徒に配布しております。
 さらに、都内各公立小中学校における道徳教育推進の核となる教員を対象として、平成二十六年度から二十八年度までの三カ年にわたり、道徳の指導力向上を図ることを目的とした東京都道徳教育推進教師養成講座を実施いたしました。

○小宮委員 道徳の教科化に対しては、教員から指導の仕方が難しいという不安の声も聞いております。
 道徳が教科化されるということで、検定教科書が導入をされてくる。そして、教員は年間の指導計画を作成して、学習の理解度や達成度、道徳性について、子供たちの成長の様子というものをしっかりと把握をしなければならない。それによって教員は、今後、児童生徒の評価というものを、数値ではなく文章であらわしていくということになるわけです。やはり道徳の教科化というものを意味のある、内容のあるものにするには、こうした教員の指導力の向上といったものが何より重要な点になると考えております。
 先ほどご答弁にもございました東京都道徳教育推進教師養成講座、これを実施したということですけれども、その内容と成果について伺います。

○増渕指導部長 この講座では、子供たちに深く考えさせる発問の設定や、多様な考えに触れさせる学習活動の工夫など、道徳の教科化に伴って求められる効果的な指導方法についての講義や演習を行いました。
 平成二十八年度には八百十四名が受講し、平成二十六年度からの三カ年で、都内全ての公立小中学校から、道徳教育推進の核となる教員千九百二十五名が講座を受講いたしました。
 受講後のアンケートでは、ほぼ全ての教員が、道徳教育の充実のために生かせる内容であったと回答いたしました。
 受講した教員は、所属校において、模範授業を公開したり、授業改善について助言したりするなど、道徳教育の推進及び道徳の教科化に向けて、学校全体の指導力の向上を図っております。

○小宮委員 多忙をきわめる教員の皆さんが、児童生徒一人一人と向き合う時間を持つ、これは道徳の教育以外に大変重要なことだと思っております。そのためには、勤務環境の整備というものも必要になってくるんだと思いますけれども、徳の心というものを育む教育が、今回の道徳の教科化を通じて、この機会に充実をされることによって、子供たちが自分自身を見詰め、また社会の中で他者を敬い、みずからの意思で正しく考え、行動できる、そういう社会性を持った人間に成長していってほしいということを期待するところです。
 さて、知力、また徳の力に続いて、最後に体力の向上について二点ほど伺いたいと思います。
 体力は全ての活動の源であり、意欲や気力といった精神面の充実にも深く関係があります。健康で充実した生活を送ること、これは子供からお年寄りまでひとしく大切なことでありますけれども、小中学生の体力の現状及び体力向上に向けた取り組みについて伺います。

○宇田指導推進担当部長 小学校第五学年及び中学校第二学年を対象とする体力等に関する全国調査の平成二十七年度の結果において、東京都の小学生は全国平均を上回っておりましたが、中学生は全国平均を大きく下回っておりました。
 そのため、都教育委員会は、平成二十八年一月に体力向上に向けた推進計画を策定し、平成三十二年度までに、小学生は全国の上位を、中学生は全国平均を目標に設定し、さまざまな取り組みを開始いたしました。

○小宮委員 都市部に暮らす子供たちは、ボールを遠くに投げたり蹴ったりというふうな場所が地方と比べて少ないわけで、残念ながら、遊ぶ場の環境というものが体力の差に影響しているというふうにも聞いております。
 子供らの体力向上に向けて、今取り組みを開始したとご答弁で伺いましたが、その具体的な内容と成果について伺います。

○宇田指導推進担当部長 平成二十八年度に、体力向上に向けた研究校として、小学校二十校、中学校六十二校を指定いたしました。
 研究校では、体育の授業の改善や、休み時間等を活用したトレーニングメニューの開発、また保護者、地域と連携したマラソン大会の実施などの取り組みを行いました。都教育委員会は、平成二十九年三月にその成果をまとめた事例集を都内全公立学校に配布し、すぐれた実践の普及に努めております。
 また、平成二十八年四月に全公立中学校を対象とした研修会を実施し、体力テストの意義や目的を再確認するとともに、生徒一人一人がみずから目標設定することについて徹底を図りました。
 こうした取り組みを通して、学校からは、体を動かす大切さを感じ、意欲的に運動しようとする生徒がふえた、子供たちの体力が確実に伸びていることを実感しているとの報告を受けております。

○小宮委員 アメリカの高校では、授業が始まる前にランニングなどの運動の時間を設けたところ、結果として、運動した生徒の記憶力や集中力が上がったという研究報告もあるそうです。
 三年後には東京でオリンピック・パラリンピック大会も開催をされます。二〇二〇年東京大会に向けて、東京都教育委員会では、オリンピック・パラリンピック教育実施方針の中に、スポーツ志向というものも掲げているように、体力の向上を目指すということとともに、やはり子供たちにとっては、子供のころからスポーツに親しむ、体験する、そういった機会をふやすなど、勉強だけでなく運動に親しむ環境をつくり出していただきたいと思います。
 子供たちの知、徳、体、バランスのとれた成長を望んで、質問を終わります。

○藤井委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十五分休憩

   午後三時開議

○藤井委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○里吉委員 それでは、私からは、まず都立高校における不登校、中途退学予防について伺いたいと思います。
 二〇一六年二月に出された不登校・中途退学対策検討委員会の報告書、その中にさまざまな対策が述べられておりますけれども、今回は、その中で、都立高校全体で取り組む未然防止の取り組みについて伺いたいと思います。
 都立高校における構成的グループエンカウンターを実施しているということをお伺いしていますが、その目的と、これはどのような手法なのか、具体的な手法について、あわせて伺いたいと思います。

○増渕指導部長 構成的グループエンカウンターは、リーダーが示した課題について、メンバーが互いに自分の気持ちや考えを的確に伝える活動を通して、人間関係づくりを行う手法でございます。
 この手法は、中途退学率が比較的高い定時制課程において、生徒がみずからの学校への所属意識や友人との仲間意識を高め、中途退学の未然防止に有効な取り組みであるため、平成二十八年度から全ての定時制課程の第一学年を対象に実施しております。

○里吉委員 不登校や中途退学の背景には、学習面、人間関係、生活習慣、家庭の状況等があるといわれており、この手法は人間関係に着目した対策だというふうに受けとめました。
 都立高校の中途退学の多くが、一年生の前半でやめているというふうに聞いております。一年生のうちに学校内での人間関係をつくれるように促し、中途退学を未然に防止するということで、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置の充実も必要だと思いますけれども、この取り組みもあわせて重要だなというふうに受けとめました。生徒同士の人間関係づくりを応援する新しい取り組みということで、私も注目しております。
 二〇一六年度におけるこの構成的グループエンカウンターの実施状況と成果について伺いたいと思います。

○増渕指導部長 全ての定時制課程において、外部講師の指導により年三回実施しております。
 学校からは、構成的グループエンカウンターの実施により、生徒同士のきずなが深まるとともに、クラスの雰囲気が和やかになるなどの効果が見られ、生徒の登校意欲の向上や中途退学者の減少につながっているとの報告を受けております。

○里吉委員 私、この外部講師もやっている方のお話を聞く機会があったんですけれども、かつて東京都の定時制の学校でもお仕事されていたという方で、いろいろと考えて、現場も知っている方が外部の専門員として、外部講師として来ていただいているということで、中途退学者の減少にも実際につながっているということで、これからの活動も期待したいというふうに思います。
 コミュニケーション能力、人間関係をつくる取り組みというのは、高校生だけでなく、高校を出た後、社会に出た後も役立つスキルだと思いますので、そういう意味では、この取り組みを、引き続き取り組んでいただきたいなということを申し添えておきたいと思います。
 次に、都立高校の授業料補助である就学支援金等、特に低所得世帯への就学のための給付金について伺いたいと思います。
 資料も用意していただきまして、ありがとうございました。
 二〇一四年度に公立高校の授業料無償化制度が廃止され、世帯収入九百十万円以上の所得制限が導入されました。
 昨年度、就学支援金の支給を受けた生徒数は何人なのかと、それから、それが全体の何%だったのかというのを最初に伺います。

○初宿都立学校教育部長 都立高校及び中等教育学校後期課程の生徒で、平成二十九年三月一日時点におけます高等学校等就学支援金の受給者は十万六千三百十一人で、平成二十八年五月一日現在におけます全日制課程の全学年及び定時制、通信制課程の第一学年から第三学年に在籍いたします生徒の約七六%でございます。

○里吉委員 都立高校の約七六%がこの制度を使っているということなんですが、就学支援金制度は、受給対象であっても申請しなければ受けることができません。
 これが導入された当時の国会の議論でも、例えば、非正規で幾つもの仕事をかけ持ちしているなど親の所得の証明をとるのが難しい場合ですとか、親の養育放棄など大きな困難を抱えた生徒ほど、救われない可能性も残されるのではないかということが大分議論されました。
 私、二〇一四年の文教委員会の質疑でもこの問題を取り上げましたが、そのときは、何らかの事情で課税証明書が提出できない場合は、受給資格申請書のみをまず出してもらって、その後から課税証明書を出してもらう、真にやむを得ない事情で保護者が受給資格申請書を出さない、こういう場合は生徒本人が提出するなど指導すると、こういう対応を行うという旨の答弁がありました。
 そこで伺いますが、この間、通常の申請ができず、先に親や、もしくは生徒本人から、受給資格申請書を提出してもらって、申請漏れとならないように対応したケースはあったのかどうか、あったとすれば何件ぐらいあったのか、お伺いします。

○初宿都立学校教育部長 高等学校等就学支援金の制度では、受給資格申請書を受け付けた日が支給開始の認定月となります。したがいまして、就学支援金の受給の意思を有する生徒に、やむを得ないと判断できる理由がある場合には、受給資格申請書を先に提出していただき、後日に提出されます課税証明書の提出が申請期限後であっても受け付けることにより、申請書を受け付けた日にさかのぼって支給開始の認定月とする対応を行っております。
 平成二十八年度において、このような対応を行いましたケースは六百五十五件でございます。

○里吉委員 六百五十五件が、通常の申請ではできなかったけれども、対応していただいて、きちんと申請できたということだというふうに思います。
 これで全部対応できているということであればいいと思うんですけれども、二〇一六年度決算では、高校就学支援金の手続をしないで授業料が未納になっている生徒もいるのではないかと思うんですが、そういう就学支援金の手続はしていない、だけど授業料も未納、こういう生徒は何人いるのか、伺いたいと思います。

○初宿都立学校教育部長 高等学校等就学支援金の制度や申請の必要性について、リーフレットやホームページを通じて周知するとともに、学校において、全生徒の申請状況を把握し、個別に申請意思の有無を確認するなど、申請漏れの防止を徹底してございます。
 平成二十六年度の制度開始当初、就学支援金の手続をせず未納となっている生徒は、一年生の在籍者のうち十九人でしたが、平成二十八年度におきましては、一年生から三年生の在籍者のうち九人となってございます。

○里吉委員 私が前回質問したときには、まだ一年生だけがこの対象だったんですけれども、そのときには、一年生だけの中で十九人、申請手続はしていない、でも授業料は未納という生徒がいたということで、昨年度は、一年生から三年生まで全学年が高校就学支援金制度を使っているわけですが、全体で九名まで減っているというお答えでした。
 ただ、この九人の生徒が、就学支援金の申請をするべき対象なのかどうか、つまり親の所得が九百十万以上でもともと受けられない、なおかつ何らかの事情で授業料を払っていないのか、それとも本当は申請するべき生徒だったのか、救う対象だったのか、これはわからないと思うんですね。
 この九人についてはどういう対応をしているのか、わかればお伺いしたいんですが。

○初宿都立学校教育部長 九名の対応でございますけれども、対象者につきましては、学校側から個別に声をかけたりするなどして、申請漏れがないような配慮をしてございます。

○里吉委員 私も以前いろいろ調べて、学校の先生にもお話聞いたんですけれども、親が日本語がよくわからないケースですとか、おじいちゃん、おばあちゃんのお宅から通っていて、そこの家庭もなかなか困難を抱えているですとか、いろいろなケースがいろいろあるわけですよね、都立高校、定時制高校に通っている高校生の家庭事情というのが。
 所得制限で線を引いて、真に困っているところだけを支援するんだという考え方だというふうによくいわれるんですが、結局、申請制度である限り、最も困っているところが救えないこともあり得るということなわけです。
 一度は公立高校の授業料は無償化されましたが、これが、安倍政権になって無償化制度が廃止されて、今、有償になっているという状況なわけです。本来無償に戻すべきだと思いますが、これから戻す動きも出てくるのかもしれませんが、現行の制度においては、申請の対象の生徒が申請漏れとならないよう、最後の一人まで丁寧に対応していただくよう強く要望しておきたいと思います。
 次に、奨学給付金について伺います。
 奨学給付金は、授業料以外にかかるお金、例えば教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、校外活動費などなどの教育費負担を軽減するために、高校生のいる低所得世帯を対象に支援を行う制度です。
 二〇一六年度の受給の実績については、資料に示していただきました、九ページに示していただきましたけれども、生活保護世帯で、決算ですと三千三百九人で、それ以外、第一子の世帯で八千九百十三人、第二子の世帯で四千七百八十六人で、合計で一万七千八人ということかな、二〇一六年度決算ですね。
 この制度なんですけれども、就学支援金と同じように、親が申請できない、もしくは申請することが困難な場合はどのように対応しているのか、伺います。

○初宿都立学校教育部長 奨学給付金、正式には東京都国公立高等学校等奨学のための給付金と申しますが、この申請に当たりましては、保護者の課税証明書等の提出が困難な場合は、生徒本人の課税証明書等により審査を行う対応を行っております。
 また、高等学校等就学支援金の制度と異なり、奨学のための給付金の申請者は、原則、生徒の保護者等となりますが、就学支援金の申請で既に提出されております生活保護受給証明書や課税証明書の写しを申請時の添付書類として扱うことにより、申請者が申請しやすいよう配慮しております。

○里吉委員 申請者がより申請しやすいように、学校の方で配慮していただいているということだと思います。
 ただこれ、申請期間が七月から九月十五日と決まっておりまして、その期間内に申請しなければならないことになっているわけです。申請時期を過ぎてから、後から申請するということも可能なのかどうかについて伺います。

○初宿都立学校教育部長 入院や長期出張など、やむを得ないと判断できる場合により、申請者からの申し出があった場合に限り、申請期限を過ぎてからの申請の手続を認めてございます。

○里吉委員 本当にその期間、出すことができないという、今の入院ですとか、長期海外に出張していて申請できないとか、そういう本当にやむを得ないときには、申請期限を過ぎてからの申請手続も認めるということですから、裏を返せば、そうではなくて、いろいろと家庭に事情があって出しそびれてしまったという場合は、受け付けられないということだと思うんですね。
 ですから、これを申請する家庭というのは、特に低所得の経済的に厳しい世帯ですから、この申請漏れについても、先ほどの就学支援金と同様に、ぜひ申請漏れのないように、現場で対応していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 私からの質問の最後に、医療的ケアが必要な子供の学校生活について伺っていきたいと思います。
 私はこれまで、医療的ケアが必要な子供が学校生活を送るための対策について、繰り返し改善を求めてまいりました。
 東京都は、全国に先駆けて障害児の全員就学を実現したという歴史があります。医療の進歩により、かつては救えなかった命が救えるようになりました。重度障害、重度重複障害の子供の数がふえていますし、これからもふえると思います。こうした子供たちに就学を保障するのは、都教育委員会の責任です。
 都教育委員会では、医療的ケアが必要な子供たちへの対応について、医療的ケア運営協議会を開催し、さまざまな意見をいただいていると聞いています。
 そこでまず、医療的ケア運営協議会について、その目的、メンバー、人数や構成、そして会議の開催回数などについて伺いたいと思います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 医療的ケア運営協議会の目的は、都立特別支援学校に在籍する常時医療的ケアを必要とする児童生徒に対して、安全かつ適切に実施する体制の整備に向け、総括的検討を継続して行うことでございます。
 委員の構成は、学識経験者、医療関係者、保護者代表、学校関係者及び関係部局であり、合わせて二十五名でございます。
 運営協議会の会議は、年三回程度開催しております。

○里吉委員 私も会議要旨を読ませていただきましたけれども、これまで私が取り上げてきた問題も幾つも議題に上がっていました。医療的ケアが必要な子供が学校生活を送る上での課題については、認識が共有できているというふうに感じました。
 特に、学校への通学にスクールバスが使えず困っているというお話は、何人もの保護者の方から寄せられております。昨年の質疑で、昨年五月現在ですが、医療的ケアの必要な子供百九十三人がスクールバスに乗車できないということが、質疑の中で明らかになりました。
 運営協議会の中で、このスクールバスの乗車についても議論が行われておりますけれども、どのような議論があったのか、伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 都教育委員会は、医療的ケアを必要とする児童生徒について、スクールバス乗車中に医療的ケアが必要ないことを主治医や学校医の意見により確認された場合に、乗車を認めております。
 運営協議会では、乗車中に医療的ケアが必要であるためスクールバスに乗車できない児童生徒の通学手段について、引き続き検討を重ねていくことが必要であるなどの意見が出されました。

○里吉委員 主治医や学校医の確認がとれた場合は乗車を認めているけれども、それ以外のケースについては引き続き検討を重ねる必要があるという、話し合いが続いているということだと思うんですね。
 私もいろいろ話聞いてきましたけれども、主には、たんの吸引の回数が頻繁なお子さんの場合、そのためにバスを一旦停車してからたんの吸引をすることになって、大型のバスをすぐにとめられる場所があるのかどうかとか、そのためにバスがおくれてしまうと、一時間以上かけて学校に到着するバスがさらに遅くなってしまうのではないかということや、ほかの乗車している子供への影響など、なかなか課題が多いというふうに、そういう話を伺ったことがあります。
 そうした場合、スクールバスへの乗車が困難だと判断した場合は、都教育委員会の責任で、その医療的ケアが必要なお子さんには、福祉タクシーの手配を行うべきではないかというふうに思うんですね。スクールバスは乗れません、無理です、あとは自分で何とか学校に来る手段を考えてくださいということでは、都教育委員会としての責任は果たせていないというふうに思います。
 そこで、引き続き検討が必要というお話だったというご説明が先ほどありましたけれども、これ、いつまでに結論を出す予定なのか、わかれば伺いたいと思います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 医療的ケアの必要な児童生徒の生命と安全の確保を第一に、引き続き検討を重ねてまいります。
 検討の終期については、お答えすることが困難でございます。

○里吉委員 これ、運営協議会、議事録じゃなくて会議要旨なので、この短い文章から想像力を働かせるしかないんですけれども、読んでいると、少しずつ話し合いは進んでいるように感じるんですね。
 これは、ことしの七月に行われた会議では、医療的ケアが必要であっても通学できる手段について、どんな場合にどんな手段を提供するのか具体的な検討を進めていく必要があるというふうに、会議要旨には書いてあります。
 今年度も引き続き検討しているということですから、ぜひ来年度からスクールバス乗車にかわる手段が使えるようにしていただくように、強く要望しておきたいと思います。
 また、以前から、肢体不自由特別支援学校には看護師が配置されていましたので、経管栄養や気管切開のお子さんなどであれば、親の付き添いは特に必要なく学校に通えていたと思います。しかし、それ以外の特別支援学校に行こうとすると、看護師がいないため医療ケアが実施できず、親の付き添いがなければ通学ができなかったと伺っています。
 肢体不自由特別支援学校以外の特別支援学校における医療ケアの実施についても運営協議会で議論がされていますが、どのような議論があったのか、伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 運営協議会では、肢体不自由特別支援学校以外の都立特別支援学校においても、医療的ケアを必要とする児童生徒が在籍することから、これらの学校で医療的ケアを実施するための体制整備についての議論がございました。
 これを受け、都教育委員会では、対象となる児童生徒が在籍している全ての都立特別支援学校で、非常勤看護師を配置し、安全かつ適切な実施が可能な体制を整備することといたしました。

○里吉委員 今年度から、肢体不自由特別支援学校以外の学校でも看護師の配置がされて、通えるようになったということだと思うんですが、今までは、重度重複のお子さんが、本当であれば知的障害特別支援学校の方がいいと思っても、医療的ケアの体制がなかったので、肢体不自由校を選んでいたケースもあったというふうに伺っています。
 今年度から実施ということですので、体制の充実を要望しておきたいと思います。
 次に、経管栄養についてなんですが、経管栄養については半固形物も使えるようにしてほしいという要望について、昨年の事務事業質疑で、私、取り上げさせていただきました。
 そのときは、医療機関ではない学校において安全かつ適切な実施が可能かどうか、医学的知見に基づいた慎重な検討が必要というご答弁だったんですが、この問題も、昨年度、この運営協議会で議論されております。その内容について伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 運営協議会では、市販されている半固形化栄養剤の利用については、医療機関ではない学校において安全かつ適切な実施が可能かどうか、医療関係者の委員を中心に医学的知見に基づく議論がございました。
 具体的には、胃食道逆流症による誤嚥防止のためには、最近普及してきた半固形化栄養剤の利用が医学的に望ましいことから、その利用を勧める専門医が多くなってきている状況があるとの意見がありました。ただし、学校で実施する場合には、実施マニュアルと実施体制を整えるべきとの指摘がありました。
 こうした議論を受け、都教育委員会では、平成二十九年度から看護師による半固形化栄養剤の注入について実施可能といたしました。

○里吉委員 実施マニュアルと実施体制を整えていただいて、看護師による半固形化栄養剤の注入を実施可能としていただいたということでした。
 次に、学校に来ていただいている看護師、非常勤看護師さんについてなんですけれども、医療的ケアが必要なお子さんは、おうちにも訪問看護の看護師さんが来ています。保護者の方から、その看護師さんたちはみんななれている方なんだけれども、学校に来てくれる看護師さんはいろんな方がいらっしゃるので、せっかく来ていただいているのはありがたいんだけれども、研修をしっかりしていただきたいというご要望がありました。
 看護師の研修についての議論の内容と、その結果改善されたことがあれば伺いたいと思います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 運営協議会では、都立特別支援学校に勤務する非常勤看護師は、学校で採用する前の経験にばらつきがあり、専門性の向上が必要であることが指摘されました。
 具体的には、医療機関での治療における看護師の役割と学校での医療的ケアにおける看護師の役割との違いについて理解を深める必要があるとの意見がございました。また、障害程度が重度の児童生徒への個別性が高い医療的ケアの具体的な実施方法の習得を図る必要があるとの意見が出されました。
 こうした議論を受け、都教育委員会の役割として、医療や看護技術についての研修や情報交換の機会を設けることといたしました。

○里吉委員 来てくれる看護師さんがいろんな状況だということで、都教委の役割として、研修や情報交換の機会を設けていただくということなので、ぜひそういう形で、看護師さんの体制も厚くしていただいて、医療的ケアが必要な子供たちが学校に通えるようにしていただきたいというふうに思います。
 ここまで、昨年度の医療的ケア運営協議会で議論されてきたことと課題として残っていること、改善されたことなど、幾つか伺ってまいりました。
 先ほどご答弁ありましたように、この協議会の目的は、都立特別支援学校に在籍する常時医療的ケアを必要とする児童生徒に対して、安全かつ適切に実施する体制の整備に向け、総括的検討を継続して行うことということでございます。
 ここで議論されて、結果として、肢体不自由校以外の特別支援学校にも看護師が配置されたり、経管栄養について半固形物が使えるようになったり、いろいろと成果も出ているというふうに思います。
 先ほどのスクールバスへの乗車の問題も含めて、課題が上がっていてもまだ結論に至っていないものもありますし、まだ議論の俎上にも上がっていない課題もあるというふうにも思います。
 ですから、この運営協議会は大変注目されております。医療的ケアの必要な子供を学校に通わせている保護者の方々にとっては、大変気になる会議だと思うんですね。ところが、議事録はありませんし、会議要旨については、名簿には名前が載っていない方もいらっしゃる状況なんです。
 会議要旨に、委員の名簿のうち、一部出席者の名前などが出されていない、これはどういう理由なのか、伺いたいと思います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 運営協議会の会議要旨に記載している出席者のうち、学識経験者、医療関係者及び保護者代表である委員の氏名については、個人に関する情報であり、公にすることで率直な意見の交換が不当に損なわれるおそれがあるため、明らかにしておりません。
 明らかにしないことについては、あらかじめ委員に説明し、同意を得た上で運営協議会を開催しております。

○里吉委員 明らかにしないという前提で話し合いをしてもらっているということですから、すぐには無理、これを公表するのはすぐには難しいことだというふうに思うんですが、会議要旨なんですよね。ここに、私、見せていただいているんですけれども、誰がどんな発言をしたのか。
 例えば都議会の会議の議事録のような、こういう議事録を公表しているわけでもありませんので、保護者の方や学識経験者の方、医療関係者の方など、所属や氏名を公表することで率直な意見交換ができなくなるとは、私は思わないんですね。
 少なくとも学識経験者の方や医療関係者の方というのは、それぞれ専門的な立場から責任を持って発言をいただいていると思いますので、ぜひ今後、こうした会議に参加している方々、専門的な知見を持っている方々については公表していただきたいというふうに、これは要望しておきたいと思います。
 今、医療的ケア運営協議会について伺ってきましたけれども、ことしもこれ、議論されているということで、医療的ケアが必要な子供たちが学校生活を送るための議論が進んでいるということは、私はこれは、都教育委員会として努力していただいているなということは評価をしております。
 ぜひ、本来であれば学校に通って授業を受けられる子が、親が学校に連れてこられない、もしくは親が付き添いができないということで、本人や親の希望ではないが、いたし方なく訪問になっているお子さんが、私は少なからずいるというふうに思っておりますので、そういったお子さんたちが、希望をすれば学校に通って、お友達と一緒に、医療的ケアを受けながら学校で授業が受けられる、そういう体制を少しでも早く実現していただきたいということを重ねて要望いたしまして、私の質問を終わります。

○あかねがくぼ委員 私の方からは、体育的活動中の重大事故防止に向けた都教育委員会の取り組みについてお伺いをいたします。
 昨年の七月、都立高校体育の水泳指導において、非常に危険な条件での飛び込みを指示され、生徒が頸椎を損傷するという重大な事故が発生をいたしました。
 また、ことしの八月にも、杉並区にあります都立永福学園部活動におきまして、ペナルティーとして、炎天下の中走らされることで熱中症になり、意識不明の重体に陥る、そういった事件も発生しております。
 このような重大事件を二度と起こさない、そのために事故の発生要因を検証していただき、再発防止に向けた取り組みを確実に生かしていくことが重要であると考えます。
 都教育委員会の取り組みについて、具体的にお伺いをいたします。

○宇田指導推進担当部長 都教育委員会は、平成二十八年七月に発生した水泳指導中の重大事故を踏まえ、直ちに事故の発生原因を究明するとともに、課題の整理や再発防止策などの検討を行いました。
 その検証結果を踏まえ、全都立高校の保健体育科教員対象に、外部講師を招聘した研修会を臨時に開催し、本事故の発生原因と課題を明確に示すとともに、適切な指導計画の作成と組織的な指導のあり方、十分な水量の確保等について周知し、安全を最優先した指導の徹底を図りました。
 また、安全指導や安全管理の重点等をまとめたガイドラインを平成二十八年度末に策定し、説明会においてその内容の周知を図りました。
 今後も、重大事故事例の検証結果をもとにした安全指導や正しい指導方法に係る教員研修を実施するとともに、全ての体育的活動の再点検や見直しを各学校に指示することにより、重大事故の未然防止を徹底してまいります。

○あかねがくぼ委員 スポーツにけがというものはつきものではございますが、生命に危険が及ぶ、または障害が残ってしまう、そういった重大な事故というものは、公教育の場において絶対にあってはいけないものであると思います。
 朝、元気に送り出した我が子が、ほんの一瞬の教師の不注意ですとか不適切な指導のために教育の場で災害に遭ってしまうということは、保護者の立場に立ってみれば、決して許されることではございません。
 教員の責任による重大事故をもう二度と起こさないように、再発防止、徹底をしていただくように強く要望していきたいと思います。

○川松委員 私から、まず、アクティブラーニングについて質問させていただきます。
 アクティブラーニングという考え方は、なかなか現行の教育のもと育ってきた方たちには理解しがたい、そのように私は認識しております。東京の教育を世界で一番にしていくためには、まずこのアクティブラーニングをどう浸透させていくか、とても重要な要素ではないかと考えます。
 これまで都議会の場において、私は、都立国際高校のバカロレアコース設置について、いろいろと意見をいってきたのも、こういうアクティブラーニングのようなものがどうしても必要だという哲学からでございまして、覚える教育から、頭を使って学ぶ教育にどうやって移行していくのか、これは試行錯誤しながら進んでいくものだと思います。
 例えば、ドリルで問題を解き続けるのが学びだと思い込んでいる保護者だとか、あるいはその関係者の皆さんに、数学は国語ですよといっても全く理解されません。それと同様に、都教委としても、アクティブラーニングを推進すると号令をかけた、ここが大変重要だと思いますけれども、かけたとしても、じゃどうやって先生たちは、このアクティブラーニングを学んでいくんだろうかと思うわけであります。
 そこで、都立高校で、各教科の指導においてアクティブラーニングを推進できるよう、都教育委員会はどのように支援をされているのか、お伺いいたします。

○増渕指導部長 都教育委員会は、各都立高校において、生徒が主体的に考察し、他の生徒や教員等との対話を通じて考えを深めたり広げたりするアクティブラーニングを推進できるよう支援をしております。
 具体的には、平成二十八年十一月に実施いたしました、全ての都立高校の副校長と教務主任を対象とする説明会において、アクティブラーニングの意義や重要性について周知を図るとともに、指導力のすぐれた教員の実践を紹介する機会を設けました。
 また、二十八年度から三年間、アクティブラーニングに先進的に取り組む推進校を十五校指定いたしました。

○川松委員 ありがとうございます。まさにそういう取り組みをさらに充実させていただきたいと思うわけですが、なぜこんなことをいうかというと、ただでさえ現場の先生たちは忙しくて、日々大変疲れていらっしゃるわけです。
 そのアクティブラーニングを導入するということによって、先生方の負担がふえて、先生方が疲れてしまって、授業の質が落ちるようなことがあってはならないし、先生たちの健康のことも考えているからいうわけですが、今までの業務はしっかりとやります、日常業務に上乗せして、今、アクティブラーニングを推進するといって新しい要素が乗っかってきた。ですから、熱心な先生においては、今説明があったような校内の研修だけではなくて、みずからお金を出して、休日を返上されてセミナーに通われている先生もいるわけでございます。
 ですから、そういった先生たちの負担がふえないようにしながら質を高めていく、そういうサポートを都教委の皆さん方に充実させていただきたいと要望をしておきます。
 次に、ダイバーシティーの実現に向けて、異なる背景や習慣を持ったさまざまな人々との相互交流、理解が必要なことはいうまでもありません。
 例えば海外の方との交流であれば、それぞれ海外の方の出身の国や地域の文化だとか歴史、そういったものをよく理解すると同時に、私たちが持っているすばらしい都内の各地域、あるいは東京都として、日本としてのよさをお伝えしていかなければ、相互理解は深まらないわけです。
 そこには、インプットとアウトプットの連続性の中で豊かな人材が育っていくんだろうなと私は常々思っているところでありますけれども、インプットの観点からすると、海外の皆さんとの交流は、オリンピック・パラリンピック教育がスタートしたことで、各学校で選ばれた国や地域について学び、二〇二〇年を迎えていくんだろうと思います。
 そこで、アウトプットはということでございますけれども、都教委で二十八年度に実施されました日本の伝統文化のよさを発信する能力、態度の育成事業の取り組みについて、目的と現状についてお聞かせください。

○増渕指導部長 都教育委員会は、児童生徒が日本の伝統文化の理解を深め、そのよさを積極的に発信するとともに、外国人とかかわりながら、互いの文化を尊重する態度を身につけることができるようにするため、都内公立学校二百五十校を伝統文化教育推進校として指定しております。
 推進校では、日本の伝統文化に関する地域の専門家を講師として招聘し、体験活動を行ったり、都立高校等で外国語を指導しているJET青年と交流活動を行ったりしております。

○川松委員 ありがとうございます。このJET青年との交流というのは、人それぞれ、相性の問題はあるでしょうけれども、基本的にすばらしいことだと思っています。どうしても、相互交流というときには、相互交流する以前に、見えない心の壁を乗り越えなければなりません。
 先ほどもLINEの話がありましたけど、今の十代の子たちは、重要な連絡さえもLINEで送信し合っている。大人に対してもLINEで送信したりしてやっている時代の中で、日本人同士でも、まず一言目のコミュニケーションをかける、ここに照れちゃう方たちも多い中で、外国の方との交流となれば、なおさらのことではないでしょうか。
 そこで、JET青年たちだと、一緒に活動をして、生徒の視点でいろんな話ができるわけですから、すばらしいと思います。推進校では、JET青年との交流活動を行っている、今の話ですけれども、その中で具体的な内容、あるいは都教委の皆さんが把握されている成果についてお伺いしたいと思います。

○増渕指導部長 推進校では、児童生徒が、JET青年に日本の伝統文化のよさを紹介したり、一緒に茶道や生け花などを体験したりする活動を、年間五回程度実施しております。
 JET青年との活動を通して、児童生徒は、互いの文化の違いに気づき、相互理解を深めるとともに、日本の伝統文化のよさを積極的に発信しようとする意欲を高めております。

○川松委員 ありがとうございます。JET青年の皆さんと各生徒がともに学ぼうという環境が整っているということがわかりました。
 これ、それぞれいろんな学校の特色があると思いますけれども、グローバル人材の初めの一歩ともなる事業だと思います。二十八年度実績をしっかりと判断していただいて、二〇二〇年を超えての事業計画に反映していただくよう要望しておきます。
 さて、私が過日のこの委員会で教育庁に要求した資料は二点でございました。一点が、小池知事が都立学校の卒業式に送ったメッセージ、そしてもう一点が、過去十年に出された東京都知事のメッセージを要求させていただいたわけでございますけれども、きょうの委員会で提出をいただいた資料は前者の一点のみでございます。
 これ、都教委の皆さんが提出しなかったというよりは、そういったものが存在しないから提出されなかった、できなかったということだと認識しています。つまり、小池百合子東京都知事は、これまでの東京都知事、過去十年ですから、石原知事、猪瀬知事、舛添知事がやってこなかったことを今回やられた。
 見方によれば、ある意味で小池改革と呼べるかもしれませんけれども、二十八年度、都立学校の卒業式において、これまで行われていなかったにもかかわらず、小池知事のメッセージが各学校で読み上げられた、その理由について教えてください。

○増渕指導部長 知事から、平成二十八年度の都立学校の卒業式において、児童生徒等の門出に当たり、お祝いのメッセージを伝えたいという意向が示されたためでございます。

○川松委員 知事からメッセージをお伝えしたいという意向が示されたという答弁をいただきました。
 ちょうど卒業式シーズンの前のころであったと思いますが、とある学校の校長先生が、これまでなかったのに、上からメッセージを披露するよう指示があったというつぶやきが私のところにあったわけですね。届きました。
 じゃあここで、知事のメッセージが--伝えたいという意向はわかりました、その知事が伝えたいという意向から、どういった決定のプロセスを経て、実際に各学校で披露されたのか、教えてください。

○増渕指導部長 知事の意向を受けまして、都教育委員会は、地方公共団体が設置している公立学校の卒業式等の儀式的行事において、その首長が児童生徒等に対して祝意をあらわすことは、他団体でもしばしば行われており、法的にも問題がないことを確認いたしました。
 その上で、各学校の校長宛てに、卒業式の中で知事からのお祝いのメッセージを披露するよう依頼いたしました。

○川松委員 ありがとうございます。つまり、知事がメッセージを披露してほしい、知事から都教委へ、そして都教委から各学校校長へという指示系統が今明らかになったわけですが、今このお話を聞いて、私は、都教委の皆さん、あるいは各学校の校長先生方の苦悩というものを勝手ながら感じました。
 知事からの指示が出て、都庁の職員として、忠実にその思いを導かれたことに敬意を表します。なぜそう思うのかというと、今の答弁の中に、これまでのほかの地方公共団体の事例を確認したこと、あるいは法的に問題がないということを確認したということです。何にも考えていなければ、確認する必要はなくて、そのまま学校に指示を出したはずです。どこかでブレーキがかかる人たちがいたんでしょう。そういうふうに推測するわけですね。
 これは、皆さん方にすれば、知事からの依頼を受けて、一旦立ちどまって活動された、そういうことでございますが、私のところに相談しに来られた方も、法的には問題はないんですよ、でも道義的にはいかがでしょうかということで問題提起があったわけですが、確認のためにお聞きします、都立学校の設置者は一体誰ですか。

○早川総務部長 東京都でございます。

○川松委員 ありがとうございます。設置者は東京都であって、東京都知事ではないということを今確認させていただきました。
 私も、これまで各学校の卒業式に出席をさせていただいた経験からしますと、東京都教育委員会としてのお祝いメッセージは披露されていますが、そこには、中井さんという個人名でもなければ、教育長という役職名でもなくて、あくまで東京都教育委員会としての機関としてのメッセージは披露されていました。
 そこでお聞きしますけれども、設置者は東京都である、一方で、都立学校に関して東京都教育委員会はどういう立場にあるのか、お伺いいたします。

○早川総務部長 都教育委員会は、東京都が設置する学校のうち、都教育委員会の所管に属する学校の設置、管理及び廃止に関する事務を管理し、執行するものとされております。

○川松委員 ありがとうございます。つまり、組織上、都立学校に関しての事務事業を執行されている機関が東京都教育委員会ということでございますよね。
 これは、教育現場のプロフェッショナル集団である都教委の皆様方こそ、現場のさまざまな状況を知り尽くされているからこそ、日々、各生徒の皆さんあるいは保護者の皆さんが安心して、学びのために各学校にお預けしていただいているものだと私は認識をしております。
 その皆さん方が、いろいろなテクニカルな面をクリアして、ほかの地方公共団体はどうなっているんだろうか、法律的にはどうなっているんだろうか、こういった問題をクリアされて、各学校長に依頼をされて読み上げられたメッセージでありますが、去年の八月二日に小池知事就任以来の小池ブームはやむことのない時期でありましたから、メッセージが紹介された途端、各学校ではおおっと盛り上がったそうです。
 しかし、ここがまた一つのポイントなんです。これまでの都知事が出してこなかった、あるいは読んでくれと依頼をしてこなかったメッセージを、紹介してほしいという、そういう話でございますが、過去と異なるのは十八歳投票権が始まっていたということです。十八歳投票権の導入のときに、政治活動や選挙活動に巻き込まれないようにと、慎重に慎重に取り組まれてきたのは各学校の現場の先生だったはずです。その先生方の現場の気遣いが、小池知事はわかっていらっしゃらなかったんじゃないかなと、これを感じると残念でなりません。人気絶頂で影響力が大きかったときの知事だからこそ、謙虚に都立学校と向き合っていただきたかったと思います。
 この問題は、きょうは決算で、卒業式、どういう指示系統であったかということでございますから、まず確認したのは、知事が、メッセージを送りたい、それを受けて皆さん方が忠実に仕事をされたということですから、都教委の皆さんを全く責めることはありませんので、この問題、引き続きまた別の場面で議論させていただきたいと思います。ありがとうございました。

○池川委員 それでは、質問させていただきたいと思います。
 資料について用意していただいて、ありがとうございました。
 初めに、学校の冷房化について質問したいと思います。
 児童生徒、保護者、教職員から、エアコン、冷房機器の設置の要望が高まる中、東京都は普通教室への冷房化に続き、特別教室への設置補助を開始いたしました。
 しばらく前の話になりますが、町田市では、市制五十周年の記念事業の一環として、一日体験議会DAY・まちだ中学生議会というのが開催されたことがあります。その際、教室に設置されていた扇風機はただ暑い空気をかきまぜるだけ、エアコンを設置してほしいという中学生からの率直な意見が、市長や教育長に対して当時質問が行われたことがあります。これは本当に切実な課題であり、良好な教育環境を確保するためのエアコン、冷房機器の設置が急がれているということは、論をまちません。
 そこでまず、特別教室の冷房機器設置について、二〇一四年度から一六年度までの都立高校の整備実績及び区市町村への補助実績がどうかについて伺いたいと思います。

○初宿都立学校教育部長 都立学校につきましては、改築等により整備をしたものを含めますと、都立高等学校は、平成二十六年度ゼロ校、二十七年度二校、二十八年度六校において、特別教室への空調整備を完了いたしました。
 また、特別支援学校は、平成二十六年度一校、二十七年度ゼロ校、二十八年度九校において、特別教室への空調整備を完了いたしました。
 区市町村立小中学校につきましては、平成二十六年度においては十四校、二十二教室、平成二十七年度においては四十五校、百八教室、平成二十八年度においては百五十二校、七百七十六教室に対して、冷房機器設置の補助を行いました。

○池川委員 区市町村への補助を国に上乗せする形で東京都が実施したことによって、二〇一四年度と一六年度を比較すると、学校数は約十一倍、教室数については約三十五倍へと飛躍的に前進をしたことがわかります。東京都が動けば加速度的に進むことの何よりの証明ではないかと考えます。
 次に、都立、公立学校における二〇一七年度四月一日現在の特別教室の空調整備状況について伺いたいと思います。

○初宿都立学校教育部長 都立を含めました都内公立学校における平成二十九年四月一日現在の特別教室の空調状況でございますけれども、小学校では、保有しております一万九千八百六室のうち一万四千八百五十二室に空調を設置しており、空調の設置率は七五%でございます。
 中学校では、一万三千九百三十三室のうち九千四百五十一室に設置しており、設置率は六七・八%でございます。
 高等学校では、八千三百七十四室のうち五千六百九十一室に設置しており、設置率は六八・〇%でございます。
 特別支援学校では、千五百四十四室のうち千四百二十三室に設置しており、設置率は九二・二%でございます。

○池川委員 小学校が七五%、中学校が六七・八%、高等学校が六八%、特別支援学校は九二・二%ということでありました。これを一〇〇%に近づけていくことが必要です。
 具体的に、まず区市町村に対する補助について伺っていきたいと思います。
 区市町村立小中学校に対する特別教室の空調補助は、二〇一八年度までの要綱となっておりますが、昨年度の状況を踏まえて、東京都としてどこまで引き上げていく考えなのか、その考え方について伺います。

○安部地域教育支援部長 公立小中学校の施設等の整備につきましては、学校の設置者である区市町村が整備を行うものであり、特別教室の冷房化についても同様と考えております。
 都としましては、平成三十年度までの都独自の補助を行うことにより、区市町村が計画的に整備を進められるよう支援してまいります。

○池川委員 二〇一八年度までに、区市町村が計画的に進められるよう支援していくという答えでした。
 しかし、昨年度の実績は大きくふえているものの、あと二年間で一〇〇%にしていくには、各自治体の財政規模等によって取り組み状況に差が出てくることは明らかだと思います。多摩二十六市の自治体を比較してみても、既に一〇〇%完了している自治体もあれば、まだ二五%という自治体もあります。
 特別教室への冷房化に東京都が上乗せして補助するようになった当初は、音楽室、視聴覚室、図書室、パソコン室の四教室でありました。二〇一四年第一回定例会で、我が党の里吉議員が、計画が終了しても冷房化できない特別教室がどれくらい残るか調査すべきだと質問した際に、当時の地域教育支援部長は、今回の補助事業は、五年かけて四つの特別教室の冷房化の補助を行うというふうにしておりまして、とりあえずはこの補助対象となる教室の冷房化の状況を正確に把握して、五年間で事業が着実に実施できるよう努めていきたいと思っておりますと答弁をされております。
 しかしその後、二〇一五年六月に、我が党も求めておりましたが、ほかの特別教室にも拡大することとなり、理科室、家庭科室、調理室、被服室、図工室、美術室及び技術室またはそれに準じた教室が新たに加わりました。
 二〇一四年時点では、四つについて状況を把握し、事業が着実に実施できるよう努めていくとされていましたが、さらに七教室プラスして準じた教室ということで、追加的に行われるようになったことを考えても、期間の延長が必要だと思います。
 私自身は、なるべく早く設置してほしいというふうには考えますが、実際に東京都市長会や東京都市教育長会も、補助率の引き上げや、平成三十年度までとなっている時限措置の延長を図られたいということを求めております。
 この公立学校施設冷房化支援特別事業について、この状況も踏まえて、補助年限を、二〇一八年度以降も補助対象とするような要望について、教育委員会の見解を伺いたいと思います。

○安部地域教育支援部長 先ほどもご答弁差し上げましたが、都としましては、平成三十年度までの都独自の補助により、区市町村が計画的に整備を進められるよう支援してまいりたいというふうに考えております。

○池川委員 ぜひこの要望はしっかりと受けとめていただきたいと思います。普通教室のときにも、実際に五年間かけて、若干期間を延ばして整備を進めるということもありました。東京の子供たちの育ちを支えるためにも、ぜひ延長してほしいということを求めておきます。
 あわせて、新しく設置された普通教室や屋内の運動場、つまり体育館等への補助については、国の補助金は今存在をしていますが、都としては、これが今補助されていない状況となっていますので、これについてもあわせて現場の声を聞きながら、設置をしていただきたいということも、これ要望しておきます。
 それから、もう一つの課題についてです。
 空調は今設置をされていますが、実際に設置をすれば、当然ですが、老朽化をしてまいります。この点でも、東京都市長会と東京都市教育長会からは、老朽化した空調機の更新について補助の対象とされたいということが、昨年度の状況を踏まえて今年度要望があります。区市町村からの空調更新への要望について、どうやって応えていくのかについて伺いたいと思います。

○安部地域教育支援部長 都教育委員会としましては、都内公立小中学校の子供たちの健康及び教育環境への支障を防ぐという観点から、空調設備が未整備である特別教室の冷房化を推進するため、現在、区市町村に対して支援を行っているところでございます。
 なお、空調設備の更新につきましては、引き続き国の補助制度を活用して取り組みが図られるよう、指導助言を行ってまいります。

○池川委員 今の答弁は、国に制度はありますが、東京都は指導助言をするということです。都として、これ普通教室が二〇一〇年からの整備で、それ以前に整備をされている自治体さんもありますので、実際に更新については、またまとまってやってくる時期がありますし、ぜひこれは真剣な検討が求められているということも、あわせて求めておきます。
 次に、特別支援学校について伺いたいと思います。
 都立特別支援学校の特別教室については、昨年度、先ほどの答弁でも、九校で設置をされたということでありました。設置率は九二・二%というふうにお答えがありました。三年前の前回調査の時点が七九・九%であったのに対し、この三年間で前進してきていることがわかります。
 東京都特別支援教育推進計画では、幼児、児童生徒の健康について、学習しやすい教育環境を整えるためには、こうした取り組みを継続していくことが必要として、平成三十年までに冷房化を目指すと計画には書かれています。
 確認も含めてになりますが、都立特別支援学校における特別教室の今後の整備計画についてはどうなっているか、お答えいただきたいと思います。

○初宿都立学校教育部長 都教育委員会では、幼児、児童生徒の障害の重度重複化などの状況に適切に対応した教育環境を整えるため、特別支援学校の特別教室の空調化を進めております。今後は、平成三十年度までに整備を進めていく予定でございます。
 また、新築や改築等の工事を予定しております特別支援学校につきましては、工事の際に整備することとしております。

○池川委員 この間の取り組みを踏まえて、来年度に一〇〇%ということですので、これはぜひ着実に進めていただきたいということをお願いしておきます。
 次に、都立高校について伺っていきたいと思います。
 提出していただいた資料によると、都立高校の特別教室のエアコン設置については、二〇一四年度がゼロ、二〇一五年度が二校、二〇一六年度が六校というふうになっています。最初の答弁の中では、高等学校は八千三百七十四室中五千六百九十一室で、六八%という整備率になっているということでありました。
 都立高校についても全校で設置する計画は示されましたが、未整備という学校が、いつ自分たちのところが冷房化されるのか、子供たちを初め学校からも先が見えないという声が寄せられています。
 具体的に、冷房化をする高校はどのように選定されているのか、また、計画を早目に知らせることができないのかについて伺いたいと思います。

○初宿都立学校教育部長 高等学校の特別教室の冷房化に当たりましては、学校と相談しながら、老朽化した既存空調設備の改修もあわせて実施が可能か検討しております。
 その際、学校全体の空調設備の老朽化の度合いや、校舎全体の改修計画の有無などを総合的に判断し、改修工事を計画してございます。
 改修工事の計画が決定した学校につきましては、順次、当該学校長に連絡をしております。現在、平成三十年度工事予定校まで決定し、通知をしてございます。

○池川委員 老朽化した空調等の改修とセットでできるかどうか、学校全体の改修計画の有無などについて総合的に判断し、現時点では、来年度分までについて決定をして、通知をされているということでありました。
 これが、進めることは決まったものの、いつまでに終わるのか、何カ年計画になっているのかは見えてまいりません。特別支援学校については、三十年度、来年度までに終わるということでした。率直に、昨年度の六校というのも、全体の量からすると大変少ないのではないかというふうに感じております。
 また、区市町村立学校に対しては、これも来年度までの補助要綱で、計画的に整備が進められるようにすべきだというふうにしているのに対し、みずからが設置者である都立高校については、いつまでに終わらせるのかというめどがないということになってしまいます。また、設置者としての、これはつまりどう対応するかということが鋭く問われる問題だと思います。
 そこで伺いたいと思いますが、都立高校も、特別教室の一〇〇%冷房化について、いつまでに完了するのか、計画を持って推進すべきだと考えますが、その点について、現状をお聞かせいただきたいと思います。

○初宿都立学校教育部長 現在、都教育委員会では、都立高等学校の化学室等の特別教室の冷房化を進めてございます。これらの教室の冷房化につきましては、平成二十七年度までは、騒音等により窓があけられないなど、各学校の状況により個別に対応してまいりましたが、平成二十八年度から、全校を対象として計画的に整備することといたしました。
 現在、平成三十年度工事予定校までは決定しており、平成三十一年度以降の工事予定校についても、順次計画をしてまいります。

○池川委員 特別支援学校については計画はつくって来年度と、区市町村については計画的につくるということですが、今の答弁でいうと、三十一年度については来年度またお知らせをして、また次年度はそうしていくという話だというふうに思います。
 そうすると、いつまでに全体の計画が終わるのかという、学校が、どこがどういうふうに進むのか、全体を明らかにするのはなかなか難しいかもしれませんが、実際に特別支援学校については、年次を切って、いつまでに終わらせるという計画がある。しかし、都立高校についてはこの整備計画がないという現状は、これは改める必要があると考えます。
 整備計画を持つ必要性について、昨年度までの到達点を踏まえてどう考えるのか、お答えいただきたいと思います。

○初宿都立学校教育部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、空調設備の老朽化の度合いや校舎全体の改修計画の有無等を総合的に判断して特別教室冷房化の改修工事を計画してございまして、現在は平成三十年度工事予定校まで計画が決定してございます。
 平成三十一年度以降の工事予定校につきましても、今後、順次計画をしてまいりたいと考えております。

○池川委員 いつまでに全体が終わるのかというのは、やっぱり見通しがないと、現場からは、いつになるんだろうという声はやまないと思いますので、この点についてはぜひ、計画を持って早期に整備をしていただきたいということを、これは求めておきます。
 冷房化の最後に、屋内運動場、体育館について伺いたいと思います。
 区市町村立、都立を問わず、学校の体育館は避難所として指定されている場合が大変多くなっております。また、部活動、地域のスポーツ拠点としても重要な役割を持っています。
 そこで伺いたいと思いますが、都内公立学校における二〇一七年四月一日、つまり昨年度が終わった時点で、体育館の空調の整備率がどうなっているか、お答えいただきたいと思います。

○初宿都立学校教育部長 平成二十九年四月一日現在の都内公立学校におけます体育館等の空調整備状況でございますが、小学校では、保有しております千三百一室のうち八十七室に空調を設置しており、空調の設置率は六・七%でございます。
 中学校では、八百三十九室のうち九十二室に設置しており、設置率は一一・〇%でございます。
 高等学校では、六百五十二室のうち二十九室に設置しており、設置率は四・四%でございます。
 特別支援学校では、六十六室のうち三十七室に設置しており、設置率は五六・一%でございます。

○池川委員 全体はなかなか、まだこれからというところだと思いますが、特別支援学校については、これも推進計画の中で、障害者スポーツへの関心が高まる中においては、地域の方などが体育施設を利用しやすい環境としていくことも求められているとして、実際に特別支援学校については、これも二〇一八年度までに未実施校で全校完了するという計画は、既に持っておられると思います。この点について、計画どおりに着実に進めていただきたいということを求めておきます。
 また、公立の小中学校の体育館についても計画的なエアコン設置を行うことが必要だということは、これは要望にとどめて、この質問については終わりたいと思います。
 次に、栄養教諭について伺います。
 食の指導に関する、すなわち学校における食育の推進の中核的役割を担う存在として、栄養教諭制度が二〇〇五年から開始をされました。生きた教材としての学校給食において、地域の特性、地産地消を進め、食育を進める大きな大きな役割を持っています。
 文部科学省の栄養教諭制度の概要では、これは都道府県の判断によって設置されるということが明記をされています。
 初めに、都教育委員会として栄養教諭の役割についてどのように認識をされているか、伺いたいと思います。

○安部地域教育支援部長 栄養教諭は、学校栄養職員の職務である学校給食の管理に加え、学校における食に関する指導などの役割を担っております。
 また、都においては、地区全体の食育の充実に向けた支援も行っております。

○池川委員 栄養教諭を中心として、給食指導、教科等の指導、個別的な相談指導などについて、食に関する指導が行われると同時に、栄養管理、献立作成、衛生管理など、学校給食の管理についても一体のものとして取り組むことにより、教育上高い相乗効果がもたらせるというふうに考えます。
 そこで、二つ目に、昨年度の東京都公立学校の栄養教諭の配置状況について伺いたいと思います。

○安部地域教育支援部長 昨年度の東京都公立学校の栄養教諭の配置状況は、昨年度の五月一日現在で、育児休業代替栄養教諭の二名を含め、六十五名となっております。

○池川委員 都内に公立学校は約二千校ある中で、六十五名の配置というふうになっているということです。
 今回出していただいた資料を見てみると、例えば周辺の県では、埼玉が二百二十四人、千葉が二百三十六人、神奈川が百七十一人というふうになっております。また、関西圏でも、京都が百三十八人、大阪が四百三十六人、兵庫が二百九十七人と、いずれも多くの栄養教諭が配置をされております。
 これ実際に全体の学校栄養職員の中に占める栄養教諭の割合を出すと、東京は全国で最も低い水準となっていることは、早期に改善をする必要があると考えます。学校における食育を推進していく上で、これは余りにも現状が少ないということを示していると思います。
 そこで、東京都における栄養教諭の配置方針については現在どうなっているのか、伺いたいと思います。

○安部地域教育支援部長 栄養教諭の配置については、平成二十年度から配置を開始し、平成二十五年度からは、地区における学校数を勘案しながら、複数の栄養教諭の配置を行っているところでございます。

○池川委員 栄養教諭の配置については、二〇〇八年から各地区に配置をし、二〇一三年度から複数配置を開始したということです。
 食育リーダーへの指導助言を充実し、生きた教材である学校給食を活用した食育を一層推進するためにも、この配置の拡大というのは大変重要だと思います。
 今の話を伺っても、仮に複数配置にした場合でも、自治体の中には、約百校近い小中学校があるという地域もあり、二人、三人では到底、全体をコーディネートすることはできない。そして、今、現状では多くが一人配置というふうになっております。
 そこで、昨年度、東京都公立栄養教諭切りかえ特別選考の合格予定者数と申込者数、すなわち栄養教諭について、みずから栄養教諭になりたいというふうに申し込みがあった件数というのはどのぐらいになっているのか、伺いたいと思います。

○江藤人事部長 平成二十八年度東京都公立学校栄養教諭切りかえ特別選考の合格予定者数は二十六名で、申込者数は四名でございました。

○池川委員 昨年度、申し込みは、二十六人の合格予定者数に対して四名だったということ、これは率直にいって本当に、現状の取り組みでは、学校栄養職員の中で栄養教諭の占める割合がなかなか上がっていかない、全国最低というところからなかなか抜け出せないということを、この数字が示しているんじゃないかと思います。
 それでは、具体的に伺っていきたいと思いますが、現在、学校栄養職員をされている方のうち栄養教諭の免許、これは栄養教諭の資格がなければ栄養教諭にはなれないわけで、栄養教諭の免許を持っている方というのはどのくらいいるのか、これは把握されているでしょうか。

○江藤人事部長 東京都公立学校等の学校栄養職員は、栄養士の資格は必要としておりますが、栄養教諭としての資格は必要としておりません。そのため、栄養教諭免許状を所有している人数は、現時点では正確に把握できておりません。
 なお、東京都公立学校等の学校栄養職員は八百人弱おり、本人の申告に基づく資料によれば、そのうちおおよそ二百五十人程度が、栄養教諭免許状を所有している状況にございます。

○池川委員 全体八百人いらっしゃって、そのうち、本人の申告に基づくものですが、約二百五十名いるということがわかりました。
 昨年度までのこうした取り組みの状況を踏まえて、どうやったら栄養教諭がふえていくのか、その方策について伺いたいと思います。

○安部地域教育支援部長 都における栄養教諭の採用は、栄養教諭普通免許状を有する学校栄養職員のうち、一定の経験年数のある者を切りかえ特別選考により栄養教諭として任用しております。
 平成二十六年度からは、選考の要件となります経験年数を短縮することにより、受験資格の緩和を行っております。
 また、栄養教諭の免許状取得のための認定講習や食の魅力を伝えるためのPR活動などにも取り組んでおり、受験の促進を図っているところでございます。

○池川委員 いろいろと改善する努力はされているということはわかりますが、実態として、やっぱりふえていないということが現状だと思います。
 東京都の方針として、各区市町村に配置された栄養教諭は、自分の所属する学校の給食に関することや子供たちへの食育を行いながら、自治体全ての学校の食育の指導助言を行うこととされています。
 現場からは、栄養教諭として期待される仕事以前に、栄養士としてやらなくてはならないことが多いのに、学校現場と教育委員会との兼務に、これまで培ってきた力の半分も発揮できない、両方が中途半端な内容で時間のみが過ぎていくもどかしさに悔しい思いのみが募っているとか、採用された途端に地区を越えて異動になり、本人の希望がなかなかかないにくいから、応募すること自体をためらってしまう人が多いんじゃないかとか、業務過多とともに、まだまだ教員や管理職の理解不足があって、栄養教諭の位置づけ自体が浸透していないんじゃないかとか、膨大な仕事量となってしまうため、毎日深夜帰宅になっているなどの声が寄せられております。
 私なりにこの課題を整理してみると、業務過多の状態となり、現場レベルでの情報交換がないこと、異動が別の地区になってしまうことによってためらいが生まれていること、他県より栄養教諭になるハードルが高いこと、食に関して管理職や教職員の理解不足があることなどが挙げられると思います。
 先ほど、栄養教諭の免許を持つ人数が少なくとも二百五十人いらっしゃることが答弁でわかりました。東京都は、六年以上の勤務経験などのルールがあるためハードルが上がっていますが、栄養教諭の配置率が全体の約九〇%になっている鹿児島県や京都府では、正規採用の学校栄養職員は全員栄養教諭にするという方針で、順次切りかえを推進しているといいます。
 栄養教諭の数が大幅にふえれば、先ほど挙げた課題を改善していく力になると考えます。栄養教諭をふやしていく過程であっても、現場の声を踏まえた任用改善が必要だと思います。
 こうした、今述べた課題を解決するための具体的な取り組みがなければ、栄養教諭を大幅にふやすことはできないと考えますが、こうした具体的な課題を解決する取り組みについてどのように取り組んでいくのか、伺いたいと思います。

○安部地域教育支援部長 都におけます栄養教諭につきましては、都または区市町村全体の食育推進を図る役割を担っておりますことから、学校栄養職員として一定の経験と実績を有する人材に免許状を取得していただいた上で、その職の理解を深めていただいた上で切りかえ選考を受験していただくことが重要と考えております。
 このため、学校栄養職員を対象に、先ほど申し上げましたようなPRとともに、免許状取得のための支援や、食に関する指導に関心を深めてもらう、その力を向上させるなどの研修の取り組みを行っているところでございます。
 今後とも、受験者数の数をふやせるよう努めてまいります。

○池川委員 その取り組みで、今、全国最低なわけで、これをやっぱり引き上げていくのが急務だと思います。
 食育の推進を行うためにも、学校では学校給食がやっぱり生きた食材です。地産地消の視点、授業に合わせての献立作成、教科の垣根を越えた連携など、大変豊かな実践が東京都内でも行われております。おいしいと感じるのは、味覚だけではなく、食感や香り、五感などを生かしたもの、また雰囲気や、一緒に食べている人がどういうふうにみんなでわいわいやるかということで、みんながそれを通じておいしいと感じてもらえるような努力が現場では行われております。
 また、現状について、都立中高一貫校、特別支援学校についても、各一名の栄養教諭の配置となっており、この課題も、東京都は直接責任として、やっぱり課題を解決していく責任があるというふうに考えます。
 文部科学省も、栄養教諭を中核としたこれからの学校の食育として、栄養教諭が食育の中核になることを提起しております。全国最低という栄養教諭の配置状況を一刻も早く脱して、豊かな食育を実践できる栄養教諭の配置となることを求めて、質問を終わりたいと思います。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時二十二分散会

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