平成二十八年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第四号

平成二十九年十月二十三日(月曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長藤井  一君
副委員長菅原 直志君
副委員長小宮あんり君
池川 友一君
内山 真吾君
川松真一朗君
栗林のり子君
あかねがくぼかよ子君
里吉 ゆみ君
本橋ひろたか君

欠席委員 なし

出席説明員
生活文化局局長塩見 清仁君
次長桃原慎一郎君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務鳥田 浩平君
広報広聴部長濱田 良廣君
都民生活部長山本  明君
消費生活部長三木 暁朗君
私学部長金子 光博君
文化振興部長樋渡 幸生君
都政情報担当部長水野  剛君
男女平等参画担当部長吉村 幸子君
魅力発信プロジェクト担当部長堀越弥栄子君
文化施設改革担当部長鈴木 誠司君

本日の会議に付した事件
平成二十八年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
生活文化局関係
・平成二十八年度東京都一般会計決算(質疑)

○藤井委員長 ただいまから平成二十八年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより生活文化局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 久故文化総合調整担当部長は、公務のため、本日の分科会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 決算の審査を行います。
 平成二十八年度東京都一般会計決算中、生活文化局所管分を議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求しました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○鳥田総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る十月十三日の当分科会において要求のありました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布の平成二十八年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の表紙をおめくり願います。
 目次に記載のとおり、今回要求のございました資料は十一件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、私立学校経常費補助(一般補助)の生徒一人当たり単価及び全国順位並びに全国平均単価の推移でございます。
 表題の内容について、平成二十四年度から平成二十八年度までの過去五年間の推移を学校の種類ごとに記載しております。
 二ページをお開き願います。2、私立高等学校等授業料軽減助成事業の所得区分別の実績の推移でございます。
 都は、私立高等学校などに通う生徒の保護者のうち、一定の所得以下の保護者を対象に、所得に応じて授業料の一部を助成しております。この事業の実績として、平成二十四年度から平成二十八年度までの過去五年間における所得区分別の推移を記載しております。
 三ページをお開き願います。3、私立学校経常費補助における授業料減免補助実績の推移でございます。
 都は、家計状況の急変などの理由により私立学校が生徒の授業料を減免した場合に、私立学校経常費補助の中で、学校に対して減免額の一部を補助しております。この補助の実績について、学校の種類ごとに平成二十四年度から平成二十八年度までの過去五年間の推移を記載しております。
 四ページをお開き願います。4、私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業費補助の所得区分別の実績の推移でございます。
 都は、私立幼稚園などに通う幼児の保護者の負担軽減のため、区市町村が行う保護者負担軽減事業に係る経費の一部を補助しております。その実績として、平成二十四年度から平成二十八年度までの過去五年間における所得区分別の推移を記載しております。
 五ページをお開き願います。5、私立幼稚園等一時預かり事業費補助及び私立幼稚園預かり保育推進補助の対象園数と補助実績の推移でございます。
 それぞれの実績について、平成二十四年度から平成二十八年度までの過去五年間の推移を記載しております。
 六ページをお開き願います。6、私立特別支援学校等経常費補助の補助単価の推移でございます。
 平成二十四年度から平成二十八年度までの過去五年間の実績の推移を学校の種類別に記載しております。
 七ページをお開き願います。7、私立学校の耐震化の状況でございます。
 平成二十九年四月一日現在の都内私立学校の耐震化の状況について、学校の種類ごとに全棟数と耐震性のある棟数、その割合である耐震化率を記載しております。
 八ページをお開き願います。8、東京都育英資金一般貸付の規模の推移でございます。
 平成二十四年度から平成二十八年度までの過去五年間について、(1)に貸し付けの計画額及び実績額の推移を、(2)に表の左側に記載の区分ごとに貸付人員の推移をそれぞれ記載しております。
 九ページをお開き願います。9、都道府県別私立高等学校生徒納付金平均額でございます。
 平成二十八年度における授業料、入学金、施設設備費といった生徒納付金の平均額について、都道府県別に記載しております。
 一〇ページをお開き願います。10、私立高等学校等就学支援金の予算額と決算額及び所得区分ごとの受給者数と実績額(平成二十八年度)でございます。
 都は、法定受託事務として、私立高等学校などに通う生徒について家庭の教育費負担を軽減するため、授業料の一部を各学校を通じて助成しております。
 この事業の実績として、(1)に平成二十八年度の予算現額及び支出済額を記載しております。また、(2)の所得区分ごとの受給者数と実績額については、国の制度改正に伴い、表の左側に平成二十六年四月以降に入学した生徒に係る実績を、表の右側に平成二十五年度以前から在学する生徒に係る実績を、それぞれ記載しております。
 一一ページをお開きください。11、私立高等学校等奨学給付金の予算額と決算額及び対象世帯ごとの受給者数と実績額(平成二十八年度)でございます。
 都は、私立高等学校などに通う低所得世帯の生徒について、授業料以外の教育に必要な経費の一部をその保護者を対象に助成しております。
 (1)に平成二十八年度の予算現額及び支出済額を、(2)に対象世帯ごとの受給者数と支出済額を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○あかねがくぼ委員 男女平等参画推進計画における東京都女性活躍推進の取り組みについてお伺いをいたします。
 昨今、女性の活躍推進の機運は高まりを見せておりますが、二〇一六年のジェンダーギャップ指数、この国際比較におきまして、我が国は百四十四カ国中百十一位と、大変に改善の余地のある結果となっております。
 その内容を見ていきますと、教育や健康、この分野においては女性が男性に対して引けをとっていない、またはむしろすぐれている、そういった点もあるにもかかわらず、政治や経済、この分野においては女性の参画が非常におくれている、そういったところが明らかになったわけでございます。
 このような背景から、平成二十八年四月に女性活躍推進法が全面施行となりまして、それを受けて、東京都は平成二十九年三月に東京都女性活躍推進計画を策定したわけですが、この策定の考え方、またその計画の特徴などについてお伺いをいたします。

○吉村男女平等参画担当部長 男女間の実質的な機会の均等を確保し、男女平等参画社会を実現するためには、女性の活躍推進の観点が特に重要であることから、東京における女性活躍の現状認識や取り組むべき課題などを踏まえ、東京都女性活躍推進計画を策定いたしました。
 女性活躍推進法は女性の職業生活における活躍を対象としておりますが、都の計画は、あらゆる場での女性の活躍を目指しており、職場のみならず、家庭、地域などでの活躍を対象としております。
 そのため、計画には、働く場における男女の機会均等や格差是正、男女がともに家庭と仕事を両立させるライフワークバランスの推進、地域における活動機会の拡大など、幅広い具体的な施策を盛り込んでおります。
 また、女性の活躍推進には、あらゆる主体が幅広い分野で取り組む必要があることから、行政の施策だけでなく、民間団体の取り組みもあわせて掲載しております。

○あかねがくぼ委員 女性活躍推進法では職業生活に限定している、対して、都の計画では対象範囲を職場に限定せずに、家庭や地域まで広げて総合的な施策展開につなげているという点は、女性の置かれている立場、状況を的確に捉えていると高く評価できるものだと思います。
 この計画の内容、そして東京都の取り組みをもっと多くの都民に知ってもらうことが重要であると考えますが、実際にはどのように周知を図っているのか、お伺いをしたいと思います。

○吉村男女平等参画担当部長 計画については、都のホームページや「広報東京都」に掲載するほか、東京都女性活躍推進ポータルサイトやSNS等を通じて広く周知を図っております。
 また、写真やグラフを活用してわかりやすく工夫した計画の概要版「女性が輝く東京 誰もが自分らしく暮らせる社会を築くために」を作成し、あわせてホームページに掲載しております。
 概要版の冊子は、平成二十八年度に千部作成し、本年度はこれまでに千部増刷しており、経済団体、教育機関など民間団体や区市町村の協力を得て配布しているほか、女性の活躍推進に関するイベント等でも配布しております。
 今後とも、民間団体等と連携しながら広く普及を図ってまいります。

○あかねがくぼ委員 計画や都の取り組みの周知について、民間団体、協力を得ながら工夫をしているということでありますが、職場や家庭、地域など、あらゆる場面で女性活躍を目指すというためには、行政だけではなく社会全体で取り組む機運を高めていく必要があると考えます。
 そのために、東京都はどのように取り組んでいるのかをお伺いしたいと思います。

○吉村男女平等参画担当部長 都と民間団体が連携協力して女性活躍を進めていくため、本年度、女性も男性も輝くTOKYO会議を新たに設置いたしました。この会議は、東京都商工会議所連合会、東京都医師会、日本私立大学連盟など幅広い分野の三十二団体で構成されており、情報発信や取り組みの検討などをともに実施してまいります。また、先進的な取り組みを進める企業や団体、個人を表彰する東京都女性活躍推進大賞についても広報を充実し、その取り組み内容を広く普及してまいります。
 さらに、地域における課題解決のために活躍している女性の事例などを紹介する、女性が輝く地域づくりフォーラムを開催いたします。
 あわせて、本年度は、PR動画やポスターを新たに作成し、トレインチャンネル、インターネット、デジタルサイネージなどさまざまな媒体を活用し、広く都民、事業者に向け女性活躍の重要性を発信していく予定でございます。
 こうした取り組みを通じて、女性活躍の一層の機運醸成を図ってまいります。

○あかねがくぼ委員 社会全体で機運醸成のためにさまざまな取り組みをしていらっしゃるということがわかりました。
 今後、さらに女性の活躍を推進していくに当たり、二つの視点を取り入れていただきたく、ご提案をさせていただきたいと思います。
 一つ目は、女性側の意識の改革であります。二点目は、育児離職をした女性のセカンドキャリアの支援といったものであります。
 まず一点目について、女性側の意識改革というところでございますが、昨今の女性活躍推進、取り組みは、保育環境の整備、テレワークなど柔軟な働き方の推進によって、環境の面では着々と整備されているというふうに感じます。一方で、当事者である女性側の意識や意欲、こういったものをより一層高めていく取り組みが最も重要なものであると考えています。
 現代は、ご存じのとおり、ライフスタイルや価値観、多様化が進んでおります。生活の環境は実にさまざまであります。一口で女性といいましても、継続的なキャリア形成を積んでいきたいと、そういった方もいれば、結婚や子育てなどの家庭生活、そういったものをキャリアより優先していきたいと考える人も多いわけであります。
 日本の伝統的な家族観、家庭における男女の役割分担などを考慮しますと、男性は社会で活躍して、女性は家庭を守る存在だと、そのように考えている人は、ご年配の方を中心に非常に男女ともに多いというふうに思います。
 このようなかつての男女の役割分担といったものは、戦後の高度経済成長を支えてきた家族のあり方としては適したものであったと思われるのですが、今後、成熟した国際都市としての東京が存在感を高めていくためには、新たな価値観形成というのも重要であろうと思います。
 例えば、保育所の整備などを訴えておりますと、女性が働くと少子化につながるから、女性が就労することには余り賛成しないと、そういったご意見をいただくこともありました。
 これからは、希望する人が子供をちゅうちょせず産める社会の制度、また子育てと就労、こういったものを両立ができる環境整備をもっと社会全体で推進をする、そういったところは強く求められるわけでありますが、まずは何よりも、女性自身の意識の改革というところが非常に重要であると思いますので、女性活躍というのは強要されるものではありませんので、女性みずからが自分の意思で強く活躍したいと思うことを後押ししていく、そういった原動力、それを推進していっていただきたいと考えております。
 続きまして、二点目の育児離職をした女性のセカンドキャリア支援といったところについてでございます。
 継続的なキャリアの形成を支援していく、そういった取り組みは今までも多々あるかと思いますが、今後、より一層、一度離職をした方、再び就労の機会があれば取り組みたいと、そういった方のために取り組みを進めていただきたく思います。
 そういった要望がある方、非常に多くいらっしゃいます。四十代前後のママ世代の方々、意見交換をしておりますと、非常に多くそういったご意見をいただきます。妊娠や出産を機に一度は仕事を退職して専業主婦になられた、そういった女性でも、一番下のお子様が小学校に上がってくる段階で社会参加意欲が高まってくる、再就職を前向きに考えると、そういった方が非常に多いと伺っております。
 しかし、スキルや能力、そういったものを生かせる仕事がなかなか見つからない、勤務時間の面で、働きやすさの点で、やはり復職は思いとどまろうと、そういった状態が多く見られるわけであります。
 これほど労働人口の不足が問題視をされている状況において、就労意欲のある四十代前後の専業主婦の方が多くいらっしゃるにもかかわらず、ボタンのかけ違いで就労に結びついていない、そういうことは非常にもったいないことでございます。
 今後、継続して働く女性の支援だけでなく、育児などで離職をした女性の再就労、企業の支援なども積極的に展開をしていただきまして、より多くの女性に社会でも能力を発揮していただくこと、支援をしていただきたく期待をいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○栗林委員 それでは私の方から、まず、平成二十八年度の事業執行に向けましてこれまで我が党が議会質問等で取り上げてきた、提案をしてきたことについて、都の取り組み実績等について確認をさせていただきながら質問させていただきます。
 初めに、在住外国人支援団体に対する支援でございます。
 平成二十八年の第一回定例会、一定の代表質問の中で、東京における多文化共生実現のための日本語教室とか、また相談事業などを行う民間団体への支援の必要性について取り上げさせていただき、当時、生活文化局長からは、在住外国人支援団体に対して新たな助成を行うという答弁をいただきました。
 初めに、その後、この助成制度をどのように拡充をして、執行状況はどうであったか、伺います。

○山本都民生活部長 日本人と外国人がともに参加、活躍できる多文化共生社会の実現に向け、東京都多文化共生推進指針を平成二十八年二月に策定し、これを踏まえ、平成二十八年度から在住外国人支援団体助成金の申請対象事業に外国人活躍推進事業を新たに設けることといたしました。
 さらに、助成金総額を五百万円から三千万円に拡充するとともに、支援団体がより規模の大きな事業を広域的に行えるよう、一団体当たりの助成上限額を三百万円から五百万円に拡大したところでございます。一方で、小規模な事業であっても申請しやすいよう、申請事業費総額の下限を百万円から五十万円に引き下げたところでございます。
 これらによりまして、事業の規模にかかわらず、より多くの団体が申請しやすくなり、平成二十八年度は助成交付団体数が前年度から倍以上となり、総額千七百十六万円の助成を行ったところでございます。
 今年度につきましては、助成交付決定額が総額で二千百四十五万円となっており、さらに多くの団体に助成を行うことができる見込みでございます。

○栗林委員 倍増になったということで、大変期待をさせていただくところでございます。
 それでは、その助成を受けた在住外国人支援団体は、この多文化共生社会の実現に向けて具体的にどのような活動を行っているのか、教えてください。

○山本都民生活部長 助成対象団体は、外国人の東京での生活を支え活躍を促進するため、外国人のキャリアサポートや生活相談など、きめ細やかなさまざまな活動を行っております。例えば、新たに助成を行った団体には、外国で生まれ育ち義務教育年齢を超過して来日した子供たちに対し、日本語学習や進学の支援を行うことにより高校進学を実現させた事例がございます。さらに、外国人に対するメンタルヘルスのサポートや無料の電話相談事業を行うことで、外国人の自殺やアルコール、薬物依存等の防止につなげている団体もございます。
 都は、今後ともこれらの団体への助成を通じ、在住外国人が東京で安心して快適に暮らし、活躍できる多文化共生社会に向けた環境づくりを推進してまいります。

○栗林委員 本当にこれは大変大事な取り組みではないかと思います。
 先日、私、地元世田谷なんですけれども、アゼルバイジャンから日本に住んでいる親子の方たちが、やはり医療のことだとか、お子さんがちょっと難病を抱えていらして医療のこととか、あと教育面、こういったところでなかなかつなげていく、身近なところでもなかなかつなげる機関がなかったりするので、やはりこういう拠点、支えていただけるというところがあるということは本当に大事だなと思います。
 文化も違い、言葉も違い、そういった中で、大変不安を抱えながら、でも一生懸命頑張っている方たくさんいらっしゃいますので、ぜひこの支援は充実させていただきたいと思います。
 また、特に都立高校とか夜間中学とか、都立高校の定時制の学校の行事にお伺いしますと、やはり大変外国人のお名前が多くなってきている状況もございますので、こういうところは教育庁とも連携をしながら、こういった民間団体さんがより多くの方をサポートできるように、局との連携もぜひお願いしたいと思います。
 次に、私立学校外国語科の教員の海外派遣研修事業の補助について伺わせていただきます。
 私立学校外国語科教員海外派遣研修事業費補助についてでございますけれども、いよいよ二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会の開催を控えて、今後は世界中の人々と交流する機会が飛躍的にふえていくと思います。やはりグローバル人材の育成がますます重要になってまいります。
 このために、中学や高校における教員の指導力、その向上と、またこの国際感覚、言葉だけを教えるのではなくて、国際感覚の醸成に向けた取り組みが今までにも増して必要になってくるのではないかと思います。
 こうしたことから、我が党ではいち早く、私立学校の教員の海外研修を支援する取り組みの創設を提案してまいりました。そして、平成二十八年度から本事業が実施されたところでございます。
 決算書を見ますと、執行率が九・四%と、大変ちょっと低い数字でございます。本事業の昨年度の実績、成果、また執行率が低かった理由はなぜなのか、伺わせてください。

○金子私学部長 この事業は、グローバル人材の育成のため、教員が各国における指導方法を学ぶとともに、現地校の教員との意見交換等を行うことで指導力の向上や国際感覚の醸成を図ることを目的に実施しております。
 昨年度は、中学校、高校合わせ十七校から二十人の教員をアメリカ、イギリス、オーストラリアなどに派遣いたしました。派遣された教員は、その研修の成果を他の教員と共有化し教育活動に生かすことでグローバル人材の育成を図っていると聞いております。
 一方、長期にわたって教員を海外に派遣するためには、初年度ということもありまして、各学校がそれぞれの状況に応じ、教員の年間スケジュール調整などに時間を要することなどから、実際に海外に教員を派遣した学校が少なかったものと認識しております。
 今後は、学校の意見なども聞きながら、本事業がより一層活用されるように取り組んでまいります。

○栗林委員 せっかく創設していただいた大変重要な事業ではないかと思いますので、ぜひお取り組みお願いいたします。
 海外で研修を受けた教員が、その成果をほかの教員たちともまた共有することでグローバル人材の育成の裾野は広がってまいります。三年後の二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会の開催を迎えるに当たって、国際感覚を持った多くの人材を輩出するものであり、本当にこれは非常に期待するすばらしい取り組みであると思います。この事業がより多くの学校で活用されますように、今後働きかけていただきますよう期待をいたします。
 次に、文化プログラムについて伺います。
 平成二十八年度は二〇二〇年大会に向けた文化プログラムのスタートの年でございました。我が党としても、そこで展開されていく事業に大いに期待しているということを申し上げたところでございます。
 そこで、平成二十八年度の文化プログラムの実績、これを伺います。

○樋渡文化振興部長 リオ大会後から始めました東京文化プログラムは、組織委員会と連携したキックオフイベントとしまして、日本橋で伝統文化フェスティバルを開催したのを皮切りに、六本木アートナイトや東京大茶会といった既存事業を一層充実させて実施いたしました。
 また、新たな取り組みとしまして、八王子市内でも、多摩地域の文化資源を活用して伝統文化の魅力を発信する伝承のたまてばこを開催したほか、池袋エリアでも、幅広い観客に向けた舞台芸術祭である東京芸術祭を展開するなど、多彩な事業を集中して切れ目なく実施いたしました。
 平成二十八年度の東京文化プログラムの事業数ですが、規模の大小はございますが、合計百四十件以上でございます。
 今後とも、引き続き二〇二〇年大会に向けまして、都民、国民、そして世界中の人々が東京の文化的魅力を感じるような事業を展開してまいります。

○栗林委員 東京文化プログラムが都内各地で順調に進められているということが確認ができて、大変期待するところでございます。こうした取り組みは、年齢とか、国籍とか、幅広い属性を持つ多くの人たちをつなぎ、また心を豊かにするという大きな意義があると思います。引き続き、東京文化プログラムを充実していただきたいと思います。
 それでは、文化プログラムの次に、引き続きやはり文化振興の観点から、TURN、このプロジェクト、そしてヘブンアーティスト、このことについて何点かお伺いさせていただきます。
 TURNプロジェクトとこのヘブンアーティストでございますけれども、大変私も関心を持っております。二〇二〇年大会の成功に向けては、やはり文化面でも盛り上げていくことが重要です。オリンピック・パラリンピックとはスポーツの祭典だけではなく、文化の祭典ともいわれていることでございます。
 都でも、昨年度から多彩な文化プログラムが展開されております。その中でも注目したいのは、やはり障害者や高齢者を初めとした多様な人々が活躍できる取り組み、それこそダイバーシティーの理解促進につながっていくものであり、文化プログラムを推進していく上でも重要な視点ではないかと思います。
 この文化プログラムのリーディングプロジェクトとして取り組んできたのがTURNでありまして、アーティストと障害者などがこの交流を通じて新たなアート作品とか価値観などを生み出す、そういうアートプロジェクトであると伺っています。
 そこで初めに、このTURNプロジェクトの主な活動内容と目的について伺います。

○堀越魅力発信プロジェクト担当部長 TURNは、写真家やダンサーなどさまざまなアーティストが福祉施設やフリースクールなどを利用する人々との関係を深め、作品やパフォーマンスなどを生み出しながら、これまでにない価値観などを発見していく交流プログラムと、それらの発表の場であるTURNフェスの二つを主な柱として展開しているアートプロジェクトでございます。
 交流プログラムでは、例えばクラフト製品を製作する障害者の作業所にアーティストが通い、施設利用者と共同で糸を染め上げ、その糸を使った作品を制作したり、また別のアーティストはフリースクールの学生たちと交流し、学びについて考えるワークショップなどを行っています。
 こうした交流を重ねていく中で、アーティストは新たな気づきや学びを得て作品の幅が広がったり、余り自分のことを話さなかった施設利用者が徐々にアーティストに心を開いて話し始めたりと、互いに変化が生まれております。
 また、TURNフェスでは、交流プログラムによって得られた成果を発表する場として、さまざまな作品の展示やワークショップを行っており、これらに触れることで来場者に人それぞれが本来持っている魅力や価値観の多様性を感じ取ってもらうことを目指しております。

○栗林委員 アートの力で、これまでにない考え方とか、また新しい価値観のそうした発見につながっていく大変有意義な取り組みではないかと思います。
 昨年度、リオ大会の際にもブラジルでTURNを実施していると聞いています。その取り組みと成果について伺います。

○堀越魅力発信プロジェクト担当部長 ブラジルで実施したTURNでは、日本及びブラジルのアーティスト四名がリオ大会開催前の六月から七月にかけてサンパウロの知的障害者支援施設や高齢者介護施設などに約一カ月通い、かんざしなどに使われている江戸つまみという伝統的なつまみ細工や、ブラジルの先住民の暮らしに欠かせなかったかごを植物の皮などを編み込んで作成する伝統的なかご編みなど、日本とブラジル両国の伝統工芸を題材に作品を一緒に制作するなどの交流プログラムを実施いたしました。
 さらに、リオ大会期間には、この交流プログラムで生まれた作品をリオの中心部において十八日間展示を行うとともに、来場者と一緒に作品をつくるなどのワークショップを実施いたしました。リオの会場には長蛇の列ができ、現地の方や観光客など延べ約四万人の方々にTURNの取り組みを実感していただきました。

○栗林委員 すばらしい成果もあったのではないかと思います。こうしたリオでの経験も踏まえて、ぜひこうした取り組みを二〇二〇年に向けてより多くの都民に知ってもらって、内容を充実して展開をしていっていただきたいと思います。
 そこで、TURNの今後の事業展開はどのように取り組まれるのでしょうか。

○堀越魅力発信プロジェクト担当部長 今後もTURNの根幹をなす交流プログラムを充実させていくとともに、こうした取り組みをより多くの都民に知ってもらうため、TURNフェスでその成果を発表してまいります。また、都民が日常的にTURNの活動を体験できる場として、交流先の福祉施設等を会場にして作品の展示やワークショップなどを実施する試みを展開いたします。
 二〇二〇年に向けてこうした取り組みを充実させていき、アートを媒介に互いに個性や多様性を認め合うダイバーシティーの推進にもつなげてまいります。

○栗林委員 ぜひとも二〇二〇年に向けて大会のレガシーになるよう、今後とも事業の充実に努めていただきたいと思います。
 やっぱり日ごろ、この都庁の地下にもKURUMIRUという障害者団体さんのセレクトショップ、ありますよね。あそこは都内にある障害者団体さんでつくられたいろんなものを置いていらっしゃいますけれども、そういったコーナーなんかも利用しながら、事業が本当にすばらしい事業なので、ぜひ日常的にといいますか、日ごろから発信できるような、知っていただく、情報提供できるような、至るところにそういった場もぜひ設けていただきたいと思います。すばらしい取り組みだと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続いて、ヘブンアーティスト事業について伺います。
 私の地元世田谷の三軒茶屋でも、このヘブンアーティストを中心としたフェスティバルが毎年開催されておりまして、先週土日、二十一、二十二も、ちょっと台風で一部中止になったイベントもあるようなんですけれども、三軒茶屋で、三茶de大道芸、これかなり定着して、地域の方だけじゃなくて、遠方からもこれを楽しみにいらしていただくような大変すてきなイベントなんですね。
 ここでやはりこのヘブンアーティストの皆様が活躍されていまして、コーナーの中にヘブンアーティストin三茶、こういうコーナーもございます。やはりヘブンアーティスト、東京都、長年取り組みながら、大分認知もされてきて、技術力も大変、演技力も高いという評価もいただいているところではないかと思います。
 地域に密着した事業としても定着しているところから、このヘブンアーティストは観客を引きつける魅力にあふれて、非常にすばらしいと思っています。
 そこでまず、平成二十八年度のヘブンアーティストの登録状況について伺います。

○樋渡文化振興部長 ヘブンアーティスト事業は、都がライセンスを与えたアーティストに都が指定します公共施設や民間施設を活動場所として開放し、都民が身近で良質な芸術文化に触れる機会を提供することを目的としております。
 ライセンスの付与に当たりましては、専門家で構成する審査会を設け、年一回、映像による一次審査及び実技による公開審査を厳正に行っております。平成二十八年度の審査では、応募者三百九組に対しまして合格者が三十一組、合格率は一〇%となっております。
 また、平成二十八年度末現在、新規合格者を加えました四百三十組のアーティストが登録されております。

○栗林委員 合格率が一〇%ということで、本当になかなか厳しい選考の中、勝ち抜かれたというか、そういう方たちが活躍できるんだと思いますけれども、裏を返せば、それだけ厳選された魅力的なアーティストが活動されているのがこのヘブンアーティストだと思います。
 そこで、ヘブンアーティストの具体的な活動状況について伺います。

○樋渡文化振興部長 ヘブンアーティストは都内七十二カ所で活動しており、特に上野、銀座、渋谷、三軒茶屋及び丸の内で開催した大道芸フェスティバルは、人気の恒例行事として多くの観客を集めております。
 また、平成二十三年度から東日本大震災の被災地にヘブンアーティストを派遣しており、平成二十八年度は福島県内四市町の仮設住宅や仮設商店街などで公演を実施し、子供からお年寄りまで多くの方々に楽しんでいただきました。
 今後は、二〇二〇年大会に向けまして、都民はもとより、世界中から集まる人々にまちじゅう至るところで芸術文化に触れていただけるよう、引き続き事業を充実してまいります。

○栗林委員 芸術で食べていくということはとても大変なことで、皆さんご苦労されながらも一生懸命頑張っていらっしゃいます。ぜひ、いろいろなところで活動できることはチャンスを与えていただくことにもつながりますので、都内のあらゆる場所で、都民の誰もがこうした文化芸術に触れられる機会を提供するということは、都市の魅力を高める上でも重要ではないかと思います。
 日常の活動だけではなく、さらにこれから迎えようとしております二〇二〇年大会に向けた取り組みとか、また、今お話ございましたように被災地の支援とか、このヘブンアーティストのますますの活躍をぜひサポートしていただき、期待をして応援していきたいと思っております。
 以上、ちょっと早目でございましたけれども、質問を終わります。

○川松委員 私からは、文化発信事業について幾つかお伺いをさせていただきたいと思います。
 去年の夏に開催されましたリオデジャネイロ競技大会におきましては、我が都議会自民党からは、オリンピックに五名、パラリンピックに四名の議員が地球の反対側にありますリオデジャネイロの地まで行ったわけでございます。
 私自身も、その中でオリンピック競技大会の終盤に一員として参加し、日本選手の活躍に声援を送ると同時に、大会の運営状況をつぶさに見詰めてきたところでありますが、その競技大会の中で、文化の発信事業というもの、東京都がやっているものに関してもしっかりと視察をしてきたわけでありまして、その点について、きょうは幾つかお伺いをさせていただきます。
 まず、リオデジャネイロで実施した事業の概要を改めてお聞かせください。

○堀越魅力発信プロジェクト担当部長 リオにおきましては、市内の中心部にある文化施設を使い、東京キャラバン及びTURNの二つのプロジェクトを実施いたしました。
 東京キャラバンでは、東京スカパラダイスオーケストラや能楽師の津村禮次郎さんら日本のアーティストと現地のダンサーやミュージシャンたちが、監修者である野田秀樹氏のもとで言語や文化、ジャンルを超えて交わりながらつくり上げたパフォーマンスを披露いたしました。
 また、TURNでは、ブラジル国内の福祉施設に日本とブラジルのアーティストが約一カ月通い、施設の方々と交流しながら作品をつくり、それらを会場に展示すると同時にワークショップなどを実施いたしました。
 この二つのプロジェクトに加え、市の中心部に近い港湾地域に設置されたライブサイト及び東京ジャパンハウスにおきましては、TOHOKU&TOKYOと題したステージイベントも実施し、福島のじゃんがら念仏踊りや岩手の鬼剣舞、江戸東京の木やりなどの伝統芸能を披露し、東北の復興支援に対する感謝の気持ちや、東京、東北の活力を世界に示しました。

○川松委員 ありがとうございます。
 今話ありましたパソ・インペリアルというブラジルの独立宣言を行ったという施設においてTURN、東京キャラバン、栗林先生のご質問にもありましたけれども、答弁の中で連日長蛇の列ができていたというふうに私も聞いております。
 また、この地がリオデジャネイロの中においてはウオーターフロントの再開発地域であって、パソ・インペリアルの周辺には、日産自動車が大変高いバンジージャンプをやられていたりとか、地元のビールのスコールの気球船が打ち上げられたりとか、コカ・コーラがイベントスペースをつくっている中でライブサイトが設置されていて、大変東京都の文化発信事業の拠点の周辺に多くの人が集まっていて、そこにまさに東京の魅力を発信するいいスペースがあったというふうに覚えております。
 また、後段にありましたTOHOKU&TOKYOのステージイベントは、ジャパンハウスにあったわけですけれども、これ地元のブラジルの方に喜んでいただいたのはもとより、参加された東北の皆様や、江戸消防記念会の木やりの皆様、こういった方々も日本の文化の発信、この魅力を皆に伝える、その姿が光り輝いていたというふうに印象に残っています。
 さて、そういう意味では、大変今回の、一年前でしたけれども、リオの文化発信事業には多くの人が携わったわけでありますけれども、その渡航者数と期間について、どの程度だったかをお聞かせください。

○堀越魅力発信プロジェクト担当部長 出演者やスタッフ等、総勢で百四十三名がブラジルに渡航いたしました。期間につきましては各事業によって異なりますが、例えばTURNでは六月末から九月初旬までの二カ月以上の滞在者もいました。こうした長期滞在者も含めまして、百四十三名の延べ滞在日数は千二百四十八日でございます。

○川松委員 今ご紹介ありましたように、これ大変、TURN、特に壮大なプロジェクトであり、長い滞在期間があったと思います。例えば、アーティストの五十嵐さんが取り組まれました、東京においては帯締めなどで使われる江戸組みひものそのプロフェッショナルというか、職人のところにまず通って、二カ月間みっちりと教えていただいたその技術を持って、サンパウロの施設に滞在し子供たちと交流を続けてきた。これはなかなか普通の人たちではできないし、普通のプロジェクトではないわけです。
 本来は、これ、江戸の組みひもを絹糸でやるということでしたけれども、今回のTURNは木綿の糸を使って、糸巻きの組みひもの作業なども含めて、一本の組みひもを多くの人たちで、複数名で編める巨大な台をつくられて、それを施設の子供たちや会場に来た人たちと皆でつくり上げていくという、僕はすばらしいプロジェクトだったと思っているんですね。その木綿の糸も、サンパウロの施設で藍染めをするのと同時に、町田の施設でも藍染めをして、さらに交流を続けていったわけです。
 そういう本来アーティストの皆さんがいろんな感性を持って、あるいはその歴史的な流れを持って取り組まれたというプロジェクトでありましたけれども、今期間の話を聞きましたが、事業の経費としては大体どれくらいかかったのか、教えていただきたいと思います。

○堀越魅力発信プロジェクト担当部長 総額で約七億九千万円でございます。内訳といたしましては、同じ建物内で実施した東京キャラバンとTURNは共通経費もあることから、合わせて約六億円でございます。TOHOKU&TOKYOは約一億九千万円でございます。

○川松委員 金額だけを聞くと、大変高い金額だという方もいらっしゃると思います。いろんなコストカッターからすると、文化事業費は高いといってよく切られるところの一番に挙がってくることが多いわけですけれども、今いったように、日本の魅力を発信する、文化を多くの人に伝える、それだけではなくて、現地の人たちにもいろんな意味で感じてもらう。地球の真裏ですから、ほとんどブラジルの人たちからすると、日本なんていうのはこれまで意識したこともないという人たちにも日本を意識してもらったということで、この東京が使ったお金というものの価値というのがそこにあるんだろうと思います。
 先ほども触れましたけれども、地球の裏側です。日本からすると地球の裏側のブラジルにおいて事業を実施するには、日本と文化とか慣習などが大きく違う人たちとの交流ですから、皆様方含めて大変な準備、調整、苦労があったことは推測できるわけであります。
 私自身、これだけの費用や手間をかけた本当に意味があった、かいがあったという事業だというふうに胸を張っていろんな方たちに発信をしてきました。現地で全ての事業を目の当たりにしたわけですけれども、今さっき組みひもの話だけしましたが、全てのこと、一つ一つのプロジェクトがすばらしくて目に焼きつけられているわけですが、これ話していると時間がなくなっちゃうので、簡単に皆さん方にもお話しさせていただきますけど、さっきブラジルの伝統的なかごの話がありましたが、あれはジュン・ナカオさんというアーティストによって、日系ブラジル人一世の思いをかごで伝えるというかご編みで、自分たちもふだん会ったことのない人たちの思いを作品を通して気を感じながら後世の人たちに伝えるというかご編みの作品を見て、僕らもいろいろと胸にこみ上げるものがありましたし、タチ・ポロさんによる先ほどあった江戸つまみ、これも何か不思議な感覚なわけですよね。なぜブラジルでこの江戸つまみを僕らが体験するんだろうと、東京でも体験していないものを体験するんだろうということもありました。
 瀧口さんというアーティストによっては、東北の切り紙の切り子によって、いろいろとまた多くの学びを発見したわけでありますが、これ全てTURNの事業を開始したその哲学である、異なる背景や習慣を持ったさまざまな人との出会い方、つながり方に創造性を持って働きかけていくという、日比野先生のまさに思いが詰まったプロジェクトだと思います。
 先ほどの組みひもの件もそうですが、現場では、地球の真裏からやってきたアーティストがある日突然一緒にやりましょうといったって、最初は誰も相手にしてもらえない。それを一日一日、一緒に滞在して過ごしていく中で心を通わせて、共同で作業を進めていき、作品を仕上げていきました。これアーティストも、あるいは施設の皆さん方も、お互いに学びや気づきがあったんだろうと思います。そこに私は文化の力を感じて、このブラジルでやったTURNはすごかったなと思うんですが、よく、オリンピックの二〇二〇年の競技大会に向けて、スポーツは国境を乗り越えるんだと、さまざまなことを乗り越えていろんなものをつくり上げるんだというテーマがありますけれども、文化もまさに同じだと思います。
 そういった意味で、ダイバーシティー東京の実現にはこの文化の力は欠かせないわけでありまして、同時に、各TURNの事業の細かいことを見ていきますと、このプログラムは、文化の枠の事業にとどまるのではなくて、教育の場面だとか、あるいは福祉の分野だとか、それを連携していく、文化の力で庁内のセクショナリズムを取っ払って庁内連携をしていく、そういう力を持って進めていっていただきたいなと感じたところであります。
 私自身の感想はまとめると今のようなところでございますけれども、話があったように、多くの人たちがごらんになった、あるいは世界中のメディアの取材もあったわけですけれども、どんな感想が東京都に届けられているか、教えていただきたいと思います。

○堀越魅力発信プロジェクト担当部長 リオで実施いたしました事業の総観覧者数は延べ約十三万七千人でございます。また、日本国内におきましても、上野や立川、東北に設置されたライブサイトにおきましてリオでの事業の様子を配信し、来場者にごらんいただきました。さらに、国内外のさまざまなメディアにも多く取り上げられ、国内におきましては約五百件、海外におきましては約九百件の露出がございました。
 現地の方々の感想を幾つかご紹介いたしますと、東京キャラバンでは、二つの国の文化がまざることで独特な表現となりおもしろかったといった感想や、TURNでは、このプロジェクトが世界中で継続されていき人生に変化をもたらしていくことを願うといった感想、TOHOKU&TOKYOでは、全員の踊りがぴったり合っていて感動した、次のオリンピックで日本に行ってみたいという感想などがあり、大変多くの方々に東京、日本の文化の魅力を伝えることができました。

○川松委員 本当に多くの人たちに喜んでいただいたこともわかりましたし、多くのメディアに取り上げていただいたということもわかりました。
 東北復興、これは二〇二〇年大会復興オリンピックという位置づけもありますけれども、東北復興を文化を通じて世界に向けて、このリオ大会の機会に発信できたことは大変意義があったものと考えております。
 大事なのは、これらの事業を今後二〇二〇年に向けてどうつなげていくかであります。リオで実施された事業の中でも、東京キャラバンは、多種多様な文化やアーティストが交わり合いながら新たな文化を発信していく二〇二〇年に向けてふさわしい事業と考えております。
 そもそも、小池百合子東京都知事が誕生したのは去年の夏ですが、そのときには既に二〇二〇年大会の東京開催も決まっておりました。実際に東京プログラムがスタートしたのは、さっきお話ありましたように去年の秋なんですけれども、文化プログラムの考え方というのは、二〇二〇年大会の招致ではなくて、二〇一六年の東京大会を招致しようというときから、その準備が必要だといって始まった二〇〇六年の東京芸術文化評議会あるいはアーツカウンシル東京といって長い間継続されてきて、今まさに文化プログラムとしてスタートしたわけであります。
 その意味で、今回、立候補ファイルを改めて見てみました。立候補ファイルには、このプログラムは、スポーツと文化を通じた地域社会を構築する社会システムとしてオリンピックのレガシーとなるだろうと記されているわけでありますね。だから、これをレガシーとして残していくというのは当たり前です。その中で東京キャラバンの位置づけはどうかというと、まさに野田さんがリードされてきたわけですが、二〇一五年の十月に日本の文化レベルを引き上げたいという思いで始めてきたわけです。
 去年、リオから帰ってきた東京キャラバン、その後どういうふうに展開されていったのかお伺いしたいと思いますが、東京キャラバンのその考え方として、野田さんの話の中に、文化の文という字と交わるという字は非常に似ているんだと、まさにだから文と交わるというのが一緒になって、しかも東京キャラバンというのは東京旅団だと、その文化をどうやって、世界中を旅しながらいろんなことを伝えて、いろんなことを学んでいくんだということですから、リオで伝えたことを今度東京に戻ってきてどう伝えていくかというのが非常に重要だと思いますので、今後の展望も含めて、東京キャラバンがどうだったのか、お伺いしたいと思います。

○堀越魅力発信プロジェクト担当部長 東京キャラバンは、リオ大会から帰国後、早々に国内での展開を開始いたしました。まず、九月に被災地である宮城と福島で実施し、東京スカパラダイスオーケストラや松たか子さんらが地元の吹奏楽部の小学生や伝統芸能の担い手などと交流しながら舞台をつくり上げ、十月にはこの間のパフォーマンスを融合させたステージを約四千五百名の観客の前で披露し、同時に行われた六本木アートナイトの盛り上げにも貢献いたしました。
 また、今年度からは、全国各地の自治体と連携した展開を開始したところであり、先月には、京都の二条城におきまして、地元の芸舞妓や祇園はやし方、ロボットや前衛的なダンスなどがまじり合ったステージを披露いたしました。さらに、今月はダンサーの近藤良平さんを中心にしたキャラバン隊が熊本県内各地をめぐり、伝統的な踊りなどと交流しながらつくり上げたパフォーマンスを熊本市の繁華街の広場で披露したところでございます。
 二〇二〇年に向けましては、こうした全国各地と連携した取り組みを進め、それぞれの地域が持つ文化資源を生かしながら、さまざまな形の東京キャラバンを展開してまいります。

○川松委員 ありがとうございました。
 東京だけではなくて全国の自治体と連携し、各地の文化とも交流していくということは、オリンピック競技大会、パラリンピック競技大会の機運をさらに高めていくということでも大変有意義であると思います。二〇二〇年に向けて着実に事業を推進していただくとともに、より充実していくことを期待いたします。
 最後になりますが、リオデジャネイロ・オリンピック大会時というのは、大変ブラジル国内政情不安定で、セレブラといって位置づけた文化プログラムが実は消化不良で終わってしまったという声が多いわけですね。
 二〇一二年のロンドン大会があって、一六年のリオがあって、そして二〇二〇年の東京文化プログラムにつなげていくという大きな柱がなかなか継承されていなかったという声もありますけれども、まさにリオでの経験を生かして充実させていくためには、ロンドン大会での成功とリオでの経験をうまく、まさに交わらせて、いいものとしてもっともっと文化プロジェクトを進めていただきたいということを要望しまして、私の質問を終わりといたします。

○池川委員 私からはまず、東京都平和の日記念行事と関連事業についてお伺いしたいと思います。
 ことしは、一九四五年三月十日の東京大空襲を初め、都内各地が大規模な空襲に遭ってから七十二年目の年となります。当時、空襲に遭った方、また戦争を体験された方からは、戦後という言葉がいつまでも続くように、次代を担う人たちに少しでも語り継いでいかなければならないということが異口同音に語られております。
 しかし、時間の経過は、当時を知る人が減っていくことを意味します。戦後を今後八十年、九十年、百年と継続していくためには、あらゆる努力が私たちに求められています。
 東京都平和の日条例でも、戦争の惨禍を再び繰り返さないことを誓い、ここに東京都平和の日を定めるとしております。そして、条例第二条で、東京都は、東京都平和の日に、平和の意義を確認し、平和の意識の高揚を図るため記念行事を実施することを決めています。
 そこで、まず初めに、昨年度の東京都平和の日記念行事と関連事業の特徴及び内容はどういうものだったのかお答えいただきたいと思います。

○樋渡文化振興部長 昨年度も、東京都平和の日に都庁舎内で記念式典を開催いたしました。式典は、東京大空襲を初め戦災で亡くなられた方々の追悼を目的に開催し、空襲の体験談をお聞きするとともに、在日外交団代表からもご挨拶をいただきました。式典に続きまして、記念公演として演奏会も行っております。
 また、同じ日に、関連事業としまして、東京空襲犠牲者名簿をおさめました都立横網町公園内の東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑の内部公開を行ったところです。あわせまして、都が主催する東京空襲資料展を多摩地域を含みます都内四会場で開催いたしました。
 昨年度の特徴としまして、式典のインターネット中継を実施し、また、祈念碑のある横網町公園から式典会場である都庁までバスの運行も行いました。

○池川委員 私は、この条例にも書かれております、平和の意義を確認し、平和の意識の高揚を図るためには不断の努力が必要だと考えます。
 昨年度、十六年ぶりに東京都平和の日記念行事企画検討委員会が開催をされました。その中で、委員の一人である海老名香葉子さんが次のようにご発言をされています。
 あの惨禍を伝え聞いた人たちがどうしても残したい一心なのです。それほど公には届かない声がいっぱいあるのです。ですから、この公でもっと私は大事に、この平和の日をもっときちんと、初期の気持ちに戻ってやっていただけたらいいかな、そんな思いでおりますと、発言をされております。
 海老名さんを初め当時を知る方々からの並々ならぬ思いを次世代に引き継いでいくためにも、もっと内容を豊かなものにしていくことが必要だということを求めておきたいと思います。
 また、その企画検討委員会の中でも出された意見などをもとに、遺骨が安置されている、先ほどご紹介ありましたが、慰霊大法要が行われた横網町公園から都庁までバスの運行が新しく再開をされて行われるようになった。また、この点については参加された方からの感想にも大変よかったという声が記載をされております。この移動手段については引き続き充実を図っていただきたいということもあわせて求めておきます。
 それから、インターネット中継について始められたということでした。昨年度の取り組みを踏まえて、このインターネット中継を今後どうやって展開をされていくのか、中継などはどう検証されたのかについて伺いたいと思います。

○樋渡文化振興部長 式典当日に都のホームページのユーチューブ東京都チャンネルで生中継した式典の視聴回数でございますが、約三百回でございましたが、六月下旬に開催しました都・区市町村平和関連担当者連絡会で式典当日の中継映像が都のホームページで視聴が可能でありますよということを改めて周知したところ、現在の視聴回数は約八百回までとなってございます。
 また、今年度も式典のインターネット中継を実施していく予定でございます。

○池川委員 式典のインターネット中継を行うということは大きな前進だというふうに思います。これは同時に、内容の充実と一体的に多くの皆さんに見てもらう必要があるというふうにも思います。例えば市役所、区役所等のロビーで大型ビジョンを使っての同時中継なども検討している自治体があるとも聞いています。なるべく多くの人たちに届くような発信をしていただきたいということをこれは求めておきたいと思います。
 次に、記念行事の報告書について伺いたいと思います。
 記念行事の報告書は毎年作成をされておりますが、知事や来賓の挨拶、また空襲被災者の代表の挨拶、これは空襲の体験や平和の思いなども語ってくださっておりますが、それらが掲載をされております。また、関連事業の内容や資料などについても掲載をされております。
 この記念行事報告書の活用方法が今どうなっているのか、また都内の公立図書館などへの配布、活用など規模を広げる必要があると考えますが、その点についてどうか、お伺いしたいと思います。

○樋渡文化振興部長 昨年度の東京都平和の日記念行事報告書は、区市町村の平和事業担当部署や教育委員会、国会図書館及び都立図書館など合計百九十一カ所に配布いたしました。
 なお、東京都ホームページに報告書を掲載していることを改めて今後も周知してまいりたいと思います。

○池川委員 区市町村立の図書館を初め、もう少し規模を広げて活用していただきたいということをこれは求めておきたいと思います。
 それから、パンフレットに記載されていた東京都民平和アピール、これは平和の日ができて五年目のときにちょうど採択をされたものだったと思うんですが、この東京都民平和アピールの内容を今回パンフレット、報告書の方に記載をしていただいております。この内容を多くの人たちに発信をするためにも、アピール文そのものをホームページに掲載をする、きちんと設けていくという必要があると思いますが、その点についてご見解を伺いたいと思います。

○樋渡文化振興部長 先ほど報告書の内容もご説明いたしましたけれども、今お話のあったことにつきましても内部で一度検討してみたいと思います。

○池川委員 既に都庁前広場には板があって内容が見られるようになっておりますので、ぜひ多くの人たちに発信をしていただくという意味でも、これはホームページに掲載をしていただきたいというふうに思います。
 次に、資料のことについて伺います。
 現在収蔵されている空襲資料、空襲関係の資料について昨年度はどのように活用されたのか、その活用状況について伺います。

○樋渡文化振興部長 昨年度は、平和の日を含む期間に、都の主催によりまして、多摩地域を含む都内四会場で四百五十四点の資料を展示いたしました。そのほか、年間を通じまして十一区十市一町へ資料の貸し出しを行い、合計二十八会場で延べ六百二十二点の資料が活用されました。

○池川委員 これは多くがパネルの活用だというふうに聞いておりますが、そのほかにも、貴重な資料です、この貴重な資料の活用については丁寧に取り扱わなければならないという課題もありますが、積極的な貸し出しが私は必要だと考えます。そのための体制をきちんと整えなければやっぱり貸し出しというのはできませんので、その点についてもあわせて求めておきたいと思います。
 それから、東京都の主催の行事について、次、伺っていきたいと思います。
 東京空襲資料展については、先ほど答弁があったとおり、都庁初め四会場で行われたということでありました。これは、来ていただいた方、直接施設に足を運んでいただいた方にきちんと展示がやっているということがわかってこそ、やっぱり会場に足を運んでいただいて見ていただくことができるのではないかというふうに思います。
 東京空襲資料展の場所について、もう少しわかりやすい周知をしてほしいとかいう改善の声もありますが、取り組んでの結果と今後の対応についてはどのように行っていくのか、伺いたいと思います。

○樋渡文化振興部長 お答えします。
 東京都平和の日を含みます期間に実施する空襲資料展は、多くの人が行き来する都心のターミナル駅前にある都立施設のほか、多摩地区の自治体で実施しております。今後も多くの方々に見てもらえる場所などの確保や広報の充実に努めてまいります。

○池川委員 ぜひ多くの人たちの目に触れる、そしてまずそのことを知ってもらえるような情報を提供していただきたいということは、これ求めておきます。
 次に、花壇デザイン画の募集について伺っていきます。
 東京大空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑の花壇デザインについて、毎年募集が行われております。このデザイン募集というのはあくまでも手段であって、目的は文字どおり東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念することにあります。
 東京都の募集に関するホームページでも、東京空襲の史実を風化させることなく、今日の平和と繁栄がとうとい犠牲の上に築き上げられていることを次の世代に語り継ぎ、平和が長く続くことを祈念するため、この祈念碑の建設が行われているところであります。応募資格は都内在住在学の児童生徒というふうになっております。
 花壇デザイン画を通じて、一人でも多くの子供たちが過去の戦争の歴史を学ぶことができる取り組みにすることが求められているというふうに考えます。
 東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑の花壇デザイン画の募集に際して、過去の戦争の歴史を学ぶ取り組みなどはどのように行われたのか、その把握状況について伺いたいと思います。

○樋渡文化振興部長 花壇デザイン画の募集に当たりましては、毎年、各区市町村の教育委員会及び平和事業担当部署に対して周知を行うほか、記念碑がある都立横網町公園近隣や、過去にも応募実績がある小中学校にも個別に応募を働きかけております。
 デザイン画募集の告知を受けた学校の中には、応募作品を作成する過程で、実際に横網町公園に足を運び、平和の大切さを学ぶ機会を設けているところもあると聞いております。

○池川委員 私自身は、戦後四十年たって生まれた人間です。親も戦争を体験していない世代です。体験していない世代にとって、直接もしくは映像等で証言を聞くこと、実際の資料に触れることは、過去を学ぶことであると同時に未来を考えることであると思います。
 その意味でも、現在東京都が所蔵している五千点にも及ぶ戦災資料、三百人以上の証言ビデオを活用することが必要だと思います。資料を東京都の責任で閲覧できる平和祈念館をつくること、建設前であっても小中学生に平和学習のために貸し出すことを通じて活用していただきたいということは、これは意見を述べておきたいと思います。
 東京都として、過去の歴史に学び、次世代に平和をつないでいくことに決意を持って取り組んでいく必要があると思います。
 この質問の最後に、これまでの実績を踏まえ、今後の取り組みに向けた考え方について伺いたいと思います。

○樋渡文化振興部長 戦争の惨禍を風化させず、次世代に引き継ぐための取り組みは重要でございます。
 平和の日には、式典を行うだけでなく、式典後の演奏会に児童生徒を招き一緒に演奏することで、若い世代とともに空襲犠牲者に追悼の意を示し、平和を願う時間を設けております。また、祈念碑の花壇デザイン画を児童生徒から募集し、応募を通じて平和について学ぶ機会も提供してまいりました。
 今後も、式典のアンケートにおける意見や感想なども踏まえまして、次世代に平和の大切さを引き継ぐ取り組みを継続してまいります。

○池川委員 先ほど紹介した東京都民平和アピールには、平和は、何ものにもまさって、全ての基礎をなす条件です、日本国憲法が基本理念とする恒久平和は、私たち全ての願いであり、人類共通の目標です、私たちは、軍縮と核兵器の廃絶を機会あるごとに強く訴え、戦争の惨禍を再び繰り返さないことを誓います、日々の生活において、平和を脅かす問題に、毅然と立ち向かい、忍耐強く取り組むことを決意しますというふうに書かれています。
 この決意にふさわしく、平和の日の関連事業がさらに充実することを求めて、この問題については質問を終わりたいと思います。
 次に、私立学校の助成に関する問題について質問をしていきます。
 まず、私立特別支援学校について伺います。
 私立学校の振興を考えた場合、その大きな課題の一つとなっているのが公私間格差の問題です。これは特別支援学校においても同様であります。
 二〇一六年四月から障害者差別解消法が施行され、障害のあるなしにかかわらず教育を保障していくことがますます重要な課題となっております。その視点から、二〇一六年度の決算について、幾つかの点から質問をしていきたいと思います。
 最初に、私立学校の経常費補助の執行率について伺います。
 私立学校の経常費補助の執行率は、小中高等学校と幼稚園についてはほぼ一〇〇%ですが、特別支援学校は八七・二%と、それと比較をすると低くなっておりますが、この理由について伺います。

○金子私学部長 私立特別支援学校等経常費につきましては、私立の特別支援学校、特別支援学級を置く小学校、中学校及び障害児が二人以上在園する学校法人立の私立幼稚園等を対象に補助を実施しております。
 平成二十八年度は、本補助の対象となった私立幼稚園等の障害児が予算時点で見込んだ人数よりも少なくなったため、執行率が八七・二%となっております。

○池川委員 私立幼稚園の障害児については、予算ではきちんと、来たときにも確保できるということで対応していただいているというのがわかりました。
 私立特別支援学校は、他の私立学校にも増して規模が小さく、運営が厳しいのが実態であります。私立の小中高等の学校経常費補助金は、学校割、学級割、教職員割、生徒割、幼児割があり、それらを足し合わせて補助額が決定されます。一方、私立特別支援学校の場合は、生徒、幼児一人当たりの単価に生徒数を掛けるのみで経常費補助の額が決まります。毎年の生徒数の増減により補助額に大きな差が生じ、経営に大きく影響するという話もお伺いをしております。
 私学振興の観点からも、補助金の増額とともに、学校の意見も聞きながら、私立特別支援学校の学校経営が安定するような補助金の配分を検討すべきではないかと思いますが、ご見解を伺いたいと思います。

○金子私学部長 私立特別支援学校等経常費補助につきましては、標準的運営費方式で算出した単価を国庫補助の単価が上回っております。そのため、国庫補助単価により算定することでその充実に努めております。
 補助金の配分につきましては、都内にある私立特別支援学校四校の教育内容や規模などが学校により異なっていることから、生徒数に着目した現在の方法が適切なものと考えております。

○池川委員 現状の考え方についてはわかりましたが、これは学校の意見等も聞きながら、私学振興の視点で学校経営がどのようにすれば安定するのかについて今後考えていただきたいですし、よりよい方法へと変えていただきたいということを、これは要望しておきたいと思います。
 私立特別支援学校は、東京都内に四カ所であります。障害のある子供を育てる保護者の方も知らないのが多いというのが実情です。私立特別支援学校に通う保護者の方からは、自分が住む区市のホームページにアクセスして、東京都に私立の特別支援学校が存在することを知るのはとても難しいのが現状、二十三区全てのホームページを調べてみましたが、私立の特別支援学校が存在することが簡単にわかるようになっているホームページはわずか数区しかありませんでした。都の各種のホームページの改善をしてほしいという声も寄せられております。
 私も、自分の住む町田市のホームページを見てみました。障害福祉にかかわる施設(通所施設)というページの中に、町田市にある日本聾話学校が紹介をされておりました。一方、新宿区のホームページでは、特別支援学級、特別支援学校のページに、学区とする区立、都立の特別支援学校に加え、新宿区民が通える特別支援学校として、区外にある学校も含め国立や私立の特別支援学校が紹介されています。
 そこで伺います。
 それぞれの学校が特色ある教育を行っていて、そうした教育があれば受けさせたいと思っている保護者の方がたくさんいらっしゃいます。ニーズはありますが、私立特別支援学校の存在を知らない保護者も多い中、知ることができるように、東京都や区市町村のホームページなどで周知するなど工夫をしたらどうかと考えますが、いかがでしょうか。

○金子私学部長 都は、私立特別支援学校の一覧をホームページに掲載しております。区市町村におきましても、各自治体の判断によりましてホームページへの掲載を行っております。

○池川委員 区市町村に対してもぜひ東京都から一声かけていただきたいというのが保護者の皆さんから大変強い要望としても寄せられておりますので、機会を見て、区市町村の方々にもこうした紹介をしていただきたいということをぜひ申し伝えていただきたいということは、これ求めておきたいと思います。
 次に、学校の老朽化問題について伺いたいと思います。
 老朽化の問題が大変深刻だという話を先日伺いました。ある特別支援学校では、経年劣化でコンクリートが傷み、鉄筋コンクリートで耐震性はあるものの、鉄骨がさびて腐食してしまう危険性があったといいます。資金繰りについては大変困難でしたが、道路拡幅工事がたまたま行われ、敷地の一部がその敷地にかかったために、その清算金で何とか対応して急場をしのいだという声も伺っております。また、別の学校では、全面的な改築をした場合には約十八億円になると試算が出されたため、これではとても対応ができないという声も伺っております。
 特別支援学校の場合、卒業生が収入の高い仕事につくことも少なく、またОB、ОGからの寄附が集まりにくいこともあって、改築費用を用意することが他の私立学校以上に困難があるということもお伺いをしております。
 国は、二〇一五年度から特別支援学校の校舎の老朽化に伴う改善への補助事業を開始しましたが、昨年度、東京都内の自治体含め、実績がどうなっているのかについて伺いたいと思います。

○金子私学部長 平成二十八年度までに国における老朽化に伴う改築への補助事業を活用した特別支援学校は、今のところないと聞いております。

○池川委員 制度はできたけど、まだ実績はないということであります。三分の一の補助になっているため、残りの三分の二の費用を負担するのは大変なことだと思います。
 私は、公教育として大変重要な役割を担っている私立特別支援学校に対して、都としても、改築や改修費の補助、長寿命化など支援の実施や充実について求めておきたいと思います。
 次に、特別支援学校を含めた私立学校について、ICT環境等、海外研修について伺っていきたいと思います。
 まず、ICTの問題です。
 都は、教育環境整備として、教育、学習方法の改善に向けた取り組みを支援するとICT教育環境整備補助を行っております。
 二〇一六年度のICT教育環境整備費補助の実績はどうなっているのか、小中高も充実するとともに、特別支援学校についてもこの対象にすべきだと考えますが、その内容について伺いたいと思います。

○金子私学部長 私立小中高等学校を対象とする私立学校ICT教育環境整備費補助は、平成二十七年度より事業を開始しその充実に努めてきており、平成二十八年度におきましては、百八十一校に対し約四億六千万円の補助を実施いたしました。
 特別支援学校につきましては、国の学校教育設備整備費等補助金の特別支援教育設備整備費等におきまして、タブレットなどの情報機器等の整備が対象となっております。

○池川委員 小中高については、実績がふえてきているということであります。ぜひ引き続きこれは充実を図っていただきたいと思います。
 特別支援学校では、障害の特性に合わせたICT機器の活用は本人と保護者の強い要望となっております。小中高と同じ都の独自補助は特別支援学校にはなく、国の補助金を活用することはできますが、都としても上乗せするなど支援が必要だと思います。特別支援学校は費用がかかるということを考えても、上乗せは十分に検討に値すると思います。これについては要望しておきたいと思います。
 最後に、私立外国語科教員海外派遣研修事業費助成について伺いたいと思います。
 補助の実績が、先ほどもありましたが、九・四%と低い理由について、そしてあわせて、外国語科以外の教員も対象に広げてほしいという要望があります。他の教科でも海外で新しい教育方法を学ぶなどのこともあり、対象について広げていただきたいということについての見解もあわせて伺いたいと思います。

○金子私学部長 まず執行率の方でございますけれども、長期にわたって教員を海外に派遣するためには、初年度ということもあり、各学校がそれぞれの状況に応じ教員の年間のスケジュール調整などに時間を必要とすることなどから、実際に海外に教員を派遣した学校が少なかったと認識しております。
 また、ほかの外国語科以外への拡大のお話でございますけれども、私学団体からは全科目の教員への派遣条件等の拡充につきまして要望があることは承知しております。
 今後は、学校の意見なども聞きながら、本事業がより一層活用されるよう取り組んでまいります。

○池川委員 この執行率が低い状況については、ぜひ現場の声も聞いて改善をしていただきたいと思います。
 また、外国語科以外の教員の派遣についても、これもぜひ私学の現場と調整をしていただいて、声を聞いていただいて対応していただきたいと思います。
 公私間格差を正し、さらなる私学振興になるよう求めて、質問を終わりたいと思います。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時二十六分散会

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