委員長 | 佐野いくお君 |
副委員長 | もり 愛君 |
副委員長 | とくとめ道信君 |
加藤 雅之君 | |
小松 大祐君 | |
宮瀬 英治君 | |
斉藤やすひろ君 | |
関野たかなり君 | |
つじの栄作君 | |
ひぐちたかあき君 |
欠席委員 なし
出席説明員会計管理局 | 局長 | 土渕 裕君 |
管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 中澤 基行君 | |
警察・消防出納部長 | 吉野 孝行君 | |
会計制度担当部長 | 野口 毅水君 | |
財務局 | 局長 | 武市 敬君 |
経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 小室 一人君 | |
契約調整担当部長 | 五十嵐 律君 | |
主計部長 | 松川 桂子君 | |
財産運用部長 | 山根 恭子君 | |
利活用調整担当部長 | 鈴木 光祐君 | |
建築保全部長 | 永島 恵子君 | |
技術管理担当部長 | 中山 衛君 | |
庁舎運営担当部長 | 米今 俊信君 | |
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長 | 小野寺弘樹君 | |
政策企画局 | 局長 | 遠藤 雅彦君 |
外務長 | 山元 毅君 | |
次長理事兼務 | 岩瀬 和春君 | |
理事 | 小暮 実君 | |
理事 | 松下 隆弘君 | |
理事 | 鈴木 勝君 | |
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 横山 英樹君 | |
調整部長 | 佐藤 智秀君 | |
政策担当部長 | 小久保 修君 | |
政策担当部長 | 古屋 留美君 | |
技術政策担当部長 | 森 高志君 | |
戦略広報担当部長報道担当部長兼務 | 古川 吉隆君 | |
海外広報担当部長 | 梅田 弘美君 | |
ホストシティプロジェクト推進担当部長 | 高野 克己君 | |
渉外担当部長 | 裏田 勝己君 | |
国家戦略特区推進担当部長 | 松原 英憲君 | |
戦略事業担当部長 | 田尻 貴裕君 | |
計画部長 | 山下 聡君 | |
外務部長 | 加藤 英典君 | |
外務担当部長 | 丹羽恵玲奈君 |
本日の会議に付した事件
平成二十八年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
会計管理局関係
・平成二十八年度東京都一般会計決算(質疑)
財務局関係
・平成二十八年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十八年度東京都用地会計決算(質疑)
・平成二十八年度東京都公債費会計決算(質疑)
政策企画局関係
・平成二十八年度東京都一般会計決算(質疑)
○佐野委員長 ただいまから平成二十八年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する質疑を行ってまいります。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局、財務局及び政策企画局関係の決算に対する質疑を行います。
これより会計管理局関係に入ります。
初めに、先般の人事異動に伴い、会計管理局長に土渕裕君が就任いたしました。
土渕会計管理局長から挨拶があります。
土渕裕君を紹介いたします。
○土渕会計管理局長 去る十月十六日付で会計管理局長を拝命いたしました土渕裕でございます。
佐野委員長を初め委員の皆様方のご指導、ご鞭撻を賜りまして、都の会計事務をつかさどる役割と責任をしっかり果たしてまいります。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○佐野委員長 挨拶は終わりました。
○佐野委員長 決算の審査を行います。
平成二十八年度東京都一般会計決算中、会計管理局所管分を議題といたします。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る十月十一日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元配布の平成二十八年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。
今回要求のございました資料は、目次に記載しておりますとおり、一件でございます。
一ページをお開きください。要求資料第1号、官民連携ファンドの状況についてでございます。
官民連携インフラファンド、官民連携再生可能エネルギーファンド、官民連携福祉貢献インフラファンドのそれぞれにつきまして、年度別の都の出資額及び都の資金回収額を記載してございます。
要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。
○佐野委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○関野委員 それでは、会計管理局に関してちょっと質疑を行わせていただきます。
初めに、都の公金管理に関して基本的なことを伺いたいと思っております。
会計管理局の一般会計決算説明書によりますと、会計管理局の歳入の中では大きな割合を占めているのが、基金からの財産収入であると読み取れております。
そこで、基金を初めとした都の公金管理について伺おうと考えておりますが、都の公金管理は、安全性の確保、流動性の確保、効率性の確保が原則とされており、中でも安全性の確保を最重要視していると事業概要にも書かれております。都の公金は、申し上げるまでもなく、都民からお預かりしている税金であり、三つの原則の中でも、安全性を重要視する都の方針は、至極当然と考えております。
そこでまず、公金の安全性の確保の部分について質問をいたします。
都の公金は、主に預金と債券で保管、運用をしているところでございますが、まず最初に預金の安全性の確保の点ですが、預金の安全性を確保するためには、資金を預けている金融機関の経営の健全性が確保されていることが重要だと考えます。
そこで、金融機関の経営の健全性の確保に関してどのような対応を行っているのか、この点についてお伺いをいたします。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 委員ご指摘のとおり、預金の安全性を確保するためには、都の公金の預け先となっている金融機関の経営の健全性が確保されていなければならず、あらゆる角度から金融機関の経営の健全性を分析し、経営状況を的確に把握することが必要でございます。
まず、預金先となる金融機関については、都において厳格な基準を定めており、複数の格付機関が付与した格付や、自己資本比率等の安全性の指標を全てクリアした金融機関が対象となっております。
その上で、預金先金融機関の経営状況を的確に把握するために、四半期ごとに健全性や収益性等の視点から財務分析を行うとともに、その業態内比較や時系列推移など、きめ細かな検証を定期的に行っております。
あわせて、金融機関の財務担当者とのミーティングを適宜行い、必要な情報を収集するとともに、銀行が発行する社債の利回り等を注意シグナル指標として設定し、日常的に監視しております。
また、これらの内容は、金融分野の専門家等で構成される東京都公金管理アドバイザリー会議に報告し、意見を聞くなど、専門家等による判断も活用しております。
こうした多角的な視点から、預金先金融機関の経営状況の把握を中心としたリスク管理を行うことにより、預金の安全性の確保に万全を期しております。
○関野委員 預金の安全性の確保については、都の預金先金融機関の経営の健全性をしっかりと分析、把握しているとのことでありますが、続いて、もう一つの柱である債券の安全性の確保に関してどのような対応を行っているのか、この点についてお伺いをいたします。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 債券の安全性を確保するためには、債券を発行する機関の経営の健全性を精緻に分析し、経営状況をしっかり把握することが必要でございます。
都では、運用対象となる債券を国債、地方債、政府保証債、財投機関債など、安全性の極めて高い機関が発行する債券に限定した上で、刻々と変化する債券市場の状況に応じて適切に分散運用を行っております。
その上で、預金における預金先金融機関の評価と同様に、債券につきましても、債券発行体の格付等のチェックや経営状況の分析、注意シグナル指標の日常監視など、預金と同じ厳しい水準でリスク管理を行っております。
さらに、東京都公金管理アドバイザリー会議における専門家の意見の活用など、幅広い視点から検証を行うことにより、債券の安全性の確保に万全を期しております。
○関野委員 ありがとうございます。
都公金の安全性の確保については、細心の心配りがある対応が図られていることは理解いたしました。今後も、現在の対応レベルを維持、発展させて、公金の安全性の確保、徹底をお願いいたします。
公金管理について最後になりますが、効率性の確保に関してです。
平成二十八年度決算においては、基金の運用収入で構成される財産収入が大幅に減少しております。これは市場金利の低下が主な要因となっていると思いますが、実際のところ、現在のような極めて低い金利状況の中で、安全性の確保を大前提としつつ、運用収入の最大化を図ることは、実務面からもかなり難しい課題であると考えております。
そこで、現在の金利状況の中で、どのような運用を考え、運用収入の最大化への取り組みを行っていくのか、お伺いいたします。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十五年四月に開始した日銀による大規模な金融緩和政策が続く中、長期金利の基準となっている十年国債の利回りが一時マイナス状態になるなど、現在も極めて低い金利状況にあります。
また、こうした超低金利状況にあっても、企業の資金借り入れは伸びず、多くの金融機関が預金の活用先に窮したため、慢性的な資金余剰状態となり、金融機関全般で新たな預金の受け入れを回避する傾向が続いております。
このように、公金の運用環境としては極めて厳しい中、預金での運用に関しては、預金先金融機関との間で、預金の受け入れが可能な金額や期間について個別に調整を行うとともに、新規預金先の発掘にも注力し、なるべく利回りの有利な金融機関で預金を設定するよう努めております。
一方、債券での運用については、ゼロ%近辺の金利で推移している国債や政府保証債での新たな運用は一旦取りやめ、比較的利回りが見込める地方債や財投機関債での運用に重点を移すなど、運用債券のポートフォリオを適時適切に見直ししております。
こうした取り組みを徹底することで、歴史的な低金利状況下にあっても、安全性の確保を大前提としつつ、運用収入の最大化を図っているところであり、今後についても、国の金融政策や金利動向を注視しつつ、公金管理の三つの原則に沿った適切な公金の保管、運用を徹底してまいります。
○関野委員 ありがとうございます。公金管理についての基本的なことをお伺いさせていただきました。
では次に、官民連携ファンドの実施に関する事務について質問をいたします。
都は、政策目的の実現のため、三つの官民連携ファンド事業について、その運営状況を継続的に監視しているとのことでありますが、おのおののファンド事業については、電力供給の安定化、再生可能エネルギーの普及促進、福祉貢献型建物の整備促進など、その政策目的の実現のために形成されたものと認識しております。また、その出資金は公金により補われておるものであり、その資金の回収を着実に進めることは大切であると考えております。
そこで、現状の確認のため三点お伺いをいたします。
初めに、都が公金を出資している官民連携ファンドについての当初の回収予定についてお伺いをいたします。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 官民連携ファンドは、民間のみでは進まない領域において政策目的を促進するため、直轄事業や補助事業といった政策手法とは別に、行政と民間の連携による新たな政策手法として、パイロット的に実施しているものでございます。
本ファンド事業は、政策目的の推進とあわせ、都民の税金を原資とする出資金の全額を回収するという目的も同時に実現することを目指すものでございます。
具体的には、都の出資金の額につきましては、官民連携インフラファンドは三十億円、官民連携再生可能エネルギーファンドは十二億円、官民連携福祉貢献インフラファンドは三十七億五千万円となっております。
○関野委員 それでは、二点目として、これまでの回収実績についてお伺いいたします。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 本ファンド事業のうち、官民連携インフラファンドは、平成二十八年度に約五億八千百万円を回収し、累積回収額は約十二億六千八百万円でございます。
また、官民連携再生可能エネルギーファンドは、平成二十八年度に約二千三百万円を回収し、累積回収額は約四千三百万円でございます。
一方、官民連携福祉貢献インフラファンドにつきましては、ファンド組成以来、ファンドマネジャー二者は、投融資案件の実現に向け、都内のさまざまな案件について検討してきましたが、現在、投融資には至っておらず、回収実績はございません。
○関野委員 では次、三点目として、これまでの回収実績についての現状の課題認識と今後の対応についてお伺いさせていただきます。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドは、着実に回収額が積み上がってきており、資金回収は順調に進んでいるものと認識しております。
一方、官民連携福祉貢献インフラファンドにつきましては、ファンド組成以来、投融資の実績はございません。
この原因につきましては、官民連携福祉貢献インフラファンドからの投融資については、地域のニーズに対応した子育て支援施設の整備に向け、収益性を確保しつつ用地を確保していく必要があるが、必ずしも、区市町村に子育て支援施設設置の意向がある地域において投融資候補地が発掘できないということもあります。その背景としましては、昨今の金融緩和の影響を受け、市場における不動産投資に対する意欲は旺盛な状況にあり、用地の確保は容易ではないという状況がございます。そのため、投融資案件の実現には相応の時間を要していると認識しております。
都としては、一日も早く第一号投融資案件が実現することを期待しております。
○関野委員 ありがとうございます。
ここまで三点お伺いをさせていただきましたが、これまでの回収実績について、エネルギーファンドなど二つのファンドについては、資金回収が進んでいるというふうに認識をしておりますが、福祉に関するファンドについては、まだ投融資の実績がないということから、回収も行われていない状況だという答弁でした。
そこで、官民連携福祉貢献インフラファンドについて、政策目的の実現という目的があったとしても、今後の状況によっては事業の停止を行う考えなどあるのか、またはないのか、それと同時にその理由をあわせてお伺いをいたします。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 官民連携福祉貢献インフラファンドは、一つでも多くの子育て支援施設を含む福祉貢献型建物の整備を通じた待機児童解消等への貢献を政策目的としております。
本ファンドは、この政策目的を実現すべく、都がファンドマネジャーを公募し、組成したものでございます。また、ファンドマネジャー二者は、投融資案件の実現に向け、引き続き都内のさまざまな案件について検討しているところであります。
都としては、一日も早く第一号投融資案件が実現することを期待しており、引き続きファンドの運営監視に努めていく考えでございます。
○関野委員 答弁から察するに、見直し、事業の停止についての考えが今のところはないということでしたが、しかし一年以上も投資実績がないということは、投資案件としてニーズがないということも考えられます。
そう考えると、無理に実績をつくろうとした場合、回収率も悪く、結果的に損をする可能性も見えてまいります。そのあたりのことも総合的に考慮した上で、ワイズスペンディングに沿った適切な判断がなされるよう強く要望をいたしまして、会計管理局への質問を終了いたします。
○斉藤委員 私の方から、大きなテーマは、ファンドについてと、それから新公会計制度について質問をしたいと思います。
初めに、ファンドについてでございますが、会計管理局の平成二十八年度決算につきまして質問をしたいと思います。
会計管理局におきましては--まずは土渕局長に、ご就任おめでとうございます。ぜひともよろしくお願いします。本当に長年会計管理局に携わってこられた局長が誕生しましたので、しっかりと真剣に質疑したいと思います。
会計管理局におきましては、適正な会計事務の確保、安全で効率的な公金の管理、新公会計制度の推進、そして、今も議論ありましたけれども、官民連携ファンドの実施などに取り組まれているところですけれども、まずこの官民連携ファンドの実施に関する事務について質問いたします。
中でも、ファンドの組成から数年が経過しておりまして、既に投融資実績が出てきている官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドの二つのエネルギーに関するファンドについてお伺いします。
官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドにつきましては、その目的、意義、そして、ご議論ありましたが実績、これをまず確認させていただきたいと思います。実績というのは、累積資金回収率という形でお伺いしたいと思います。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 官民連携ファンドは、民間のみでは進まない領域において政策目的を促進するため、直轄事業や補助事業といった政策手法とは別に、行政と民間の連携による新たな政策手法としてパイロット的に実施しているものでございます。
都は、平成二十四年度に、東日本大震災の喫緊の課題である電力の安定供給等のために、全国を対象として官民連携インフラファンドを組成し、これまでに十七件、約四十万キロワットの発電所へ投融資を実施しており、累積資金回収率は四二・三%となっております。
また、平成二十六年度には、再生可能エネルギーの広域的な普及拡大と都内での導入促進等のために、東日本大震災の被災地を含む東北電力管内及び東京電力管内を対象として、官民連携再生可能エネルギーファンドを組成し、これまでに十一件、約十四万キロワットの発電所への投融資を実施しており、累積資金回収率は約三・六%となっております。
○斉藤委員 二つのファンドのうち、最初の方の官民連携インフラファンドの方は、既に四二・三%。これは私、毎年、このファンドについては、監視が必要だということで、いろいろ確認しておりますが、実際回収が始まりますと、急速に資金回収率が上がっていくという感じがいたします。
ですから、再生可能エネルギーファンドの方も、三・六%でありますけれども、回収が始まれば、始まったところですけれども、これから来年に向けて、来年の今ごろはきっと、かなりの数字が上がっているということを期待しております。
この二つのファンドが、組成以来、着実に実績を積み重ねていることがわかったわけですが、特に官民連携インフラファンドにつきましては、回収が大幅に伸びていること、また、組成して三年目であります官民連携再生可能エネルギーファンドにつきましても、順調に回収が進むなど、資金回収が順調に進んでいることが確認できました。
今後も、適正な利潤確保が見込まれる案件について、投融資が行われることを期待するものです。
さて、官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドについては、今後、ファンドの運営が適切に行われて、都への資金回収が順調に進むためにも、都は出資者の立場から適切な監視を行うことが必要だと考えますが、そこで、二つのファンド事業の現状と今後の見通しについてお伺いします。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドにつきましては、おおむね投融資は完了に近づいております。
発電所の稼働状況についても、例えば今年度では、官民連携再生可能エネルギーファンドにおいて、千葉ニュータウン及び群馬県嬬恋村のメガソーラー発電所、新潟県三条市のバイオマス発電所が新たに稼働しており、おおむね順調に推移しております。
今後とも、発電所への投融資やその安定的な運営がなされ、都への配当が順調に行われていくことを期待しており、そのためにも、都としては、これらのエネルギーに関する二つのファンドについて、今後も引き続き運営監視に注力し、拠出した資金の回収を進めていきます。
○斉藤委員 官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドは、政策目的の実現と同時に、拠出した資金の回収を目指す、先駆的かつ意欲的な取り組みであると評価したいと思います。
公金ですから、本当に安全というものが第一なんですが、これはあくまでも、果実のなる木を目指してもうけを得ようということではなくて、むしろ政策実現を果たすために、その呼び水的に行っているという点が特徴であると思いますが、都は今後とも、適切かつ継続的にファンド運営の監視に努められ、ただいまご答弁ありましたとおり、今後とも順調な資金回収について期待することを申し上げまして、ファンドについての質問は終わります。
続きまして、新公会計制度について質問したいと思います。
都は、平成十八年度に、全国に先駆けて複式簿記、新公会計制度を導入しております。企業会計に近く、わかりやすい、日々仕訳の会計処理を採用いたしておりまして、金利や減価償却などが反映されている、マネジメントに活用しやすい制度であると認識をしているところであります。
都は、平成二十三年度に、都議会公明党の提案によりまして、新公会計制度普及促進連絡会議を立ち上げまして、制度の全国への普及促進を目指してまいりました。
この間、国とさまざまな基準論争もありましたけれども、都の強い働きかけもありまして、平成二十七年一月に総務省が、都に歩み寄る形だと私は思っていますけれども、全国自治体に対して財務書類を二十九年度には公表するよう要請したため、各自治体においては、二十七年度が会計基準選択のリミットとなっておりまして、都方式の普及拡大は一定の到達点に至ったという答弁を過去にいただいております。
そこで、全国への制度普及が大きな転換点となった昨年度、都は、新公会計制度の推進に向けましてどのような取り組みをしたのか、この決算特別委員会での審議を通じて明らかにし、今後の方向性について確認をしたいと思います。
まず初めに、制度推進に向けた昨年度の都の取り組みについてお伺いします。
○野口会計制度担当部長 総務省から財務書類の作成が要請されたことを契機といたしまして、現在では、全国の自治体が本格的な新公会計制度の導入に取り組んでおり、その普及が進みつつあります。
いわゆる東京都方式の自治体についてですが、平成二十三年度に、今、委員からお話のありました新公会計制度普及促進連絡会議を設置した際には、都を含めて五つの自治体でございましたが、制度の普及に努めてきた結果、現在、全国で十七自治体となりました。
昨年度、都は、導入準備段階にある都内の五区に対しまして、都の職員が各区の庁内検討組織に出向いて、会計基準やマニュアルの整備などの支援を実施しております。
昨年十一月には、江戸川区にて連絡会議主催のシンポジウムを開催いたしまして、制度導入段階でも、自治体経営への活用を視野に入れて取り組むことが重要であるという考えから、先行自治体の財務諸表の活用事例を発信いたしました。
このシンポジウムには約三百人が参加いたしまして、うち、統一的な基準の導入自治体からも、北海道から沖縄まで全国から四十二自治体が集まりまして、基準の違いを超えて、幅広い自治体からも関心が示されたところでございます。
○斉藤委員 昨年度は、このシンポジウムを通じて、連絡会議構成団体相互間にとどまらず、統一的な基準の自治体、要するに違う、総務省の統一モデルを採用することを考える自治体についても、このシンポジウムに参加されて、全国から集まって、そして幅広く情報発信を進めてきたことがわかりました。こうした過程そのものが、制度導入段階でも、自治体経営について意識改革、自律改革といった非常に重要なことでございまして、その成果は十分にあったのだと思います。
一方で、国が財務書類の整備を全国自治体に要請したことをきっかけにいたしまして、これまで新公会計制度への取り組みが進んでいなかった全国自治体や都内の特別区、多摩・島しょ地域の市町村についても、財務書類の整備が進展しつつあると認識しております。
昨年、第三回定例会の財政委員会での私の質問に対しまして、基準が異なる自治体とも情報交換を行っていくとのご答弁ありましたけれども、こうした統一的な基準を採用する自治体に対する都の取り組みを伺いたいと思います。
○野口会計制度担当部長 総務省の要請以降、新公会計制度の検討を始めた自治体から都に対して多くの問い合わせがあったことをきっかけといたしまして、昨年度から新たに、制度導入に向けた実務的な課題につきまして、統一的な基準を導入する自治体との間で意見交換会を実施しております。
昨年度、春と冬に分けまして計十二回開催をいたしまして、都内を中心に延べ三十二自治体の参加がございました。
今年度は、国の要請により初めての決算公表が求められる中、四月から五月にかけまして計六回開催したところですが、三十の自治体の参加がございまして、寄せられた質問は、依然として固定資産台帳の整備や仕訳判断などの作成に係る基礎的な事項が過半を占めておりました。
これらの質問に対しまして、都から経験に即した助言を行い、参考になったとの声を多くいただいた一方で、財務諸表をいかに活用できるのかという声もございました。
○斉藤委員 都のこれまでの経験を生かして、統一的な基準を採用する自治体に対しても支援を行っていること、その中で、現在はとにかく財務書類を作成し、公表することに専念している各自治体、次の段階ではこれをいかに活用していくか、この活用が重要でございますので、活用していくかが重要と指摘する声も出てきたということがわかりました。
これから、各自治体が財務書類を自治体経営のツールとして使っていこうとするときに、やはり先駆的な事例を参考にしながら、個々の実情に当てはめていくことが有効と考えられます。
そこで、先行自治体における新公会計制度の活用の状況についてお伺いしたいと思います。
○野口会計制度担当部長 昨年度のシンポジウムでの活用事例の情報発信に続きまして、ことし五月に都庁内で開催いたしました連絡会議でも、全十七自治体が相互に活用状況を共有いたしました。
先行自治体におきましては、作成した財務諸表から、各自治体の財政全体の状況や個々の事業につきまして、分析や活用する取り組みが広がりつつございます。
中でも、シンポジウムで紹介がありました東京都の町田市は、全ての課が財務諸表に基づく行政評価シートを作成いたしまして、事業別にもコストや成果の分析を行うことで、決算審査や予算編成に活用するなど、最も先進的なモデルと認識をされております。
また、大阪府の吹田市では、公共施設の老朽化や利用状況の分析を行うことで施設の配置や運営に活用いたしまして、注目を集めたところでございます。
各自治体では、それぞれの実情に応じまして、財務諸表をいかに自治体経営に役立てていけるのかという問題意識が、現在、強弱はあるものの、共通のものとして広がりつつあるというふうに捉えております。
○斉藤委員 町田市の先進事例、大変すばらしい取り組みだと思います。
東京都が東京都モデルを一生懸命やってきましたけど、やはり基礎自治体で活用の事例がこれからいろいろ出てくると、非常に、やっぱり動機が、何のためにつくるかというところで、作業は大変だということはもともとわかっているんですが、何のためというところで、活用することの意義が共有されていきますと、各自治体、拍車がかかってくると思いますので、今後の展開、大いに期待されるところだと思います。
各自治体がこの制度を活用していくためには、トップの姿勢、町田市は市長が大変にトップリードしております。トップの姿勢や庁内各部署間の連携のあり方など、それぞれの実情によって課題は異なるかもしれませんけれども、活用に向けての問題意識が共有されていく、このことが非常に重要であるということは論をまちません。
そこで、最後ですけれども、こうした全国的な財務書類作成の取り組みの進展を踏まえまして、新公会計制度の活用の推進に向けた都の考え方、これは長く携わってきた土渕会計管理局長にしっかりとお伺いしたいと思います。
○土渕会計管理局長 都では、昨年度も、連絡会議構成団体と連携し、基準の違いを超えた幅広い自治体に対して、制度導入への支援や活用事例の情報発信など、さまざまな取り組みを行ってきました。
一方、都方式の制度を採用する団体の中にも、公表まであと一歩の自治体もあることから、引き続き制度導入を確実に支援してまいります。
今後、全国自治体において、総務省の要請による財務書類の公表が出そろってきますと、自治体間比較も行われ、各自治体の強みや弱みが明らかとなり、いかに対応していくかが問われることになってまいります。そうした中で、今後は、財務諸表をつくって見せる段階から、使う段階に入っていくと認識をしております。
こうした状況を踏まえ、都としても、財務諸表から得られた情報の分析から、さらに制度の活用推進を図る取り組みに軸足を移していきたいと、このように考えているところでございます。
来月、荒川区で開催する新公会計制度推進シンポジウム二〇一七におきましても、先行自治体の活用の取り組みを発信し、その内容を後日動画でも配信するなど、自治体間連携を強化しつつ、基準をたがわず、広く活用推進を図ってまいります。
都としては、こうした取り組みを通じて、各自治体の効率的経営を促進し、その成果を都政運営にも生かしていけるよう、全力で取り組んでまいります。
○斉藤委員 質問は以上でございますが、自治体間比較において、都もその俎上に上がるという意味では例外ではないわけです。都が率先して推進してきた複式簿記・発生主義に基づく財務諸表というツールを最大限に活用いたしまして、緊張感を持って都政運営のかじ取りを担うよう、引き続き先駆者として範たる新公会計制度を推進していっていただきたいと思います。
せんだって、安藤副知事が退任されるに当たって、二度と財政再建が必要なようなことに陥らないようにということで、しっかりと財政運営について、先人としての後継に託すお話を、ご挨拶を伺ったときに、本当に新しい公会計制度ができて、こういったツールが、手にされていますので、これをしっかり活用して、各局に財政運営をしっかりとやっていただけるように働きかけを議会からもしていきたいと思います。
以上です。
○佐野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で会計管理局関係を終わります。
○佐野委員長 これより財務局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十八年度東京都一般会計決算中、財務局所管分、平成二十八年度東京都用地会計決算及び平成二十八年度東京都公債費会計決算を一括して議題といたします。
本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○小室経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 それでは、先日の分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元に配布してございます平成二十八年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をごらんください。
最初に、表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。
今回要求のございました資料は、記載してございますとおり三件でございます。
それでは、一ページをお開き願います。要求資料第1号、性質別歳出の推移(普通会計決算)でございます。
こちらは、平成十九年度から二十八年度までの十年間における性質別歳出の推移をお示ししたものでございます。
続きまして、二ページをお開き願います。要求資料第2号、都債発行額及び都債現在高の推移(普通会計)でございます。
こちらは、平成十九年度から二十八年度までの十年間における都債発行額及び都債現在高の推移をお示ししたものでございます。
三ページをお開き願います。要求資料第3号、目的別普通建設事業費の推移(普通会計決算)でございます。
こちらは、平成十九年度から二十八年度までの十年間における目的別普通建設事業費の推移を、三ページから四ページにかけてお示ししたものでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○佐野委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○関野委員 それでは、財務局関係の二十八年度決算について質疑を行います。
まず最初に、都有地の利活用についてお伺いをいたします。
都有地は、学校や病院、警察など、都民の身近な生活を支え、安全・安心を守る上で欠かせない都有施設の建設や建てかえに当たって活用されるなど、都の行政運営を下支えする基盤として重要な役割を果たしております。
一方、財務局では、普通財産として多くの未利用地を所管しているとも聞いております。こうした財産については、地方自治法の根幹でもある最少の経費で最大の効果を上げていくという視点から、無駄なく、効率かつ効果的に運用していくことが求められます。
そこで、今回の質疑を通して、都有地の利活用における都の取り組みや姿勢についてお伺いをしたいと思っております。
まず最初に、これまで都はどのような考えで未利用都有地の利活用を行ってきたのか、その点についてお伺いをいたします。
○山根財産運用部長 東京都はこれまで、都有地について、その時々置かれた都政の状況に応じて利活用を行ってまいりました。
過去の財政再建期におきましては、不用財産の売却等を進めてまいりましたが、地方自治法改正による行政財産の貸付範囲の拡大や都財政の状況など、都有財産を取り巻く諸環境の変化も踏まえまして、現在は、未利用地の一時的な貸し付けや施策に連動した活用など、さまざまな都有地の有効な利活用を進めております。
○関野委員 ありがとうございます。
こうした中、都有地の利活用の例として、最近では、昨年ですかね、都有地活用推進本部を設置しましたが、こちらでは、待機児童解消に向けた都有地の活用に取り組んでいるということになっておりますが、高齢者福祉施設の整備やまちづくりなど、多様化する行政課題にも都有地を有効的に活用していく必要があると私は考えております。
そこで、都は、こうした行政課題に対してどのような都有地の活用を行っているのか、この点についてお伺いをいたします。
○山根財産運用部長 都政を取り巻く喫緊の課題に迅速かつ的確に対応するため、各局や区市町村と連携した福祉インフラの整備や、民間の力を活用して複数の都有地を一体的に活用し、まちづくりを促進、地域の活力を向上させていく都市再生ステップアップ・プロジェクトなどを行っております。
このように、積極的な都有地の情報提供をもとにした都の施策と連動した都有地の利活用を、区市町村との連携や民間の知恵や活力を取り入れた多様な手法により行っております。
○関野委員 ありがとうございます。
では、現在、財務局が所管している普通財産の都有地と、その中で未利用になっている土地はどのくらいあるのか、また、その未利用地を暫定的に利用しているというのはどれくらいあって、利用されていない土地はどのような状況なのか、この点についてお伺いをいたします。
○山根財産運用部長 平成二十九年三月末現在で、財務局が所管している普通財産の都有地は、合計で二千九十六件、面積は約四百七十八ヘクタールでございます。
この中には、戦前から借地権等が設定されており、事実上の利活用が難しい長期の貸付財産や、保全緑地等を保有すること自体を目的とする土地も含まれ、こうしたものを除いて未利用となっている普通財産は、平成二十九年三月末現在で、合計で三百二十件、面積は百八十七ヘクタールでございます。
未利用地の活用については、庁内各局での利活用や区市町村などへの売却、貸し付けまでに一定の期間がかかることから、その間に、公共事業の資材置き場や駐車場、住宅展示場などとして暫定的に貸し付けを行っておりまして、その規模は、平成二十九年三月末現在で、合計で百二十二件、面積は約百六十一ヘクタールでございます。
なお、残りの未利用地につきましては、山林地や狭小な不整形地など、売却、暫定利用ともに困難なものが多いという実態がございます。
○関野委員 では、都有地の売却や貸し付けなどについて、具体的にどのような形で検討しているのか、この点についてお伺いをいたします。
○山根財産運用部長 行政用途が廃止された都有地につきましては、事業で使っていた局から財務局に引き継がれてまいります。
その利活用に当たっては、一般的には、まずは都庁内各局に照会して、財産の有効活用をしております。各局で検討し、利用の意向がない場合には、地元区市町村に情報提供しております。その上で、公共利用が見込めない場合には、民間への貸し付け、あるいは売却等を検討しております。
○関野委員 ありがとうございます。
今、流れを説明していただきましたが、私は、都議会になる前、市議会として四期やっておりましたが、やはり市議会は市議会でそれなりの事情があって、必要と思ってもなかなかすぐに手を挙げられないとか、そういったのもあります。
また、これから先、やはり人口は減少するとはいえ、まとまった土地、こういったものがなかなか見つかりにくいですし、必要だと思ったときにすぐに買うということは、今後は購入は難しくなるのかなというふうに考えておりますが、そういったことから、都や区市町村ですぐに行政需要がなくても、将来的に需要が生じる場合も想定されると思っております。
都はどのように都有地の利活用を進めていくのか、この点についてもう一度お伺いいたします。
○山根財産運用部長 都有地は、都民からの負託を受けた貴重な財産であり、都政の課題解決のため、最大限有効活用する必要がございます。
特に、貴重なまとまった用地については、当面は可能な限り暫定活用を図りつつ、関係各局と連携を密にして、将来の需要も見通しながら利活用の検討を行っております。
また、国や区市町村の老朽化等更新時期を迎えている公共施設についての情報を共有することによって、合築等を検討するほか、狭小、不整形なものでも、地元にとって活用可能性がある場合は情報提供するなど、地元自治体等との情報連携に努めております。
今後とも、さまざまな行政需要に対して、土地の形状や立地等を踏まえ、また区市町村とも連携しつつ、適切かつ着実に財産の利活用を推進してまいります。
○関野委員 ありがとうございます。
最後の方の答弁で、私が求めているというか、考えている答弁もありましたが、さらに区市町村の方に関しては、今まで以上に連携、また相談など、努めていただきたいなというふうに要望をしておきます。
以上で財務局関係の質問を終了いたします。
○斉藤委員 平成二十八年度の決算に関しまして何点か質問いたします。
先般、財務局が発表いたしました年次財務報告書によりますと、平成二十八年度普通会計決算では、都税収入は前年度比で増収を続けておりまして、財政の弾力性を示す経常収支比率を初めとする各種財政指標も改善傾向とのことであります。
しかしながら、都税収入は、景気の変動の影響を受けやすい不安定な構造になっておりまして、都財政の運営は、他の自治体以上に高い自立性が求められております。少子高齢、人口減少社会の本格的な到来など、今後、避けては通れない財政需要への対応も踏まえれば、決算の結果を通じ、現下の都財政の状況をしっかりと分析することが大事だと思います。
そこでまず、平成二十八年度決算に対する財務局の評価を伺いたいと思います。
○松川主計部長 平成二十八年度決算は、都税の増収に加え、施策を総点検し、自律改革の取り組みを行うなど、歳出の見直しを行ったことによりまして、実質収支は千二百九十二億円の黒字となりました。
具体的には、歳入の約七割を占める都税収入が、企業業績の堅調な推移等による法人二税の増収などにより、前年度比三・〇%増の五兆三千百八十億円と、五年連続の増収となりました。
歳出面では、待機児童解消などの福祉施策や、都市機能の強化、災害に強い都市づくりを着実に進めるなど、都が抱えるさまざまな課題に積極果敢に取り組む一方、歳出の精査などにより生み出された財源を活用し、福祉先進都市実現基金に二千三十五億円の積み立てを行うなどした結果、戦略的な施策展開のための三つのシティー実現に向けた基金の残高を一兆七千三百八十五億円確保いたしました。
さらに、都債発行額を低水準に抑えたことなどによりまして、都債残高は前年度比五・〇%減となる四兆六千五百四十七億円となりました。
このように、平成二十八年度決算は、施策の着実な展開と財政の健全性の確保を両立させることができた決算であると認識しております。
○斉藤委員 この財務状況、リーマンショック直後に、私は二十一年に都議会議員に初当選いたしましたので、隔世の感があるといいますか、一年間で一兆円も税収が減少するという、そういう、ある面では、今回も税収が上がっていますけれども、景気が悪くなると一気に財政状況、歳入が悪くなるという、そういった状況の中で、税収が堅調な中で重要課題にしっかりと応えている一方で、歳出を精査して無駄を削ると、歳出の精査を徹底して、堅実に財政基盤の強化に努めていることがうかがえる決算であると認識を共有させていただきました。
過去の都財政を振り返りますと、実質収支が一千億を超えたのは平成十八年度の決算以来となるわけです。その一方で、私は、発生した債権については、都民サービスを提供していく上で重要な財産であり、しっかりと管理できなければ、自治体の真の財務状況を把握することはできないという点に留意すべきと考えています。だからこそ、債権管理というものが、その取り組みをしっかりやっていくことが、極めて重要というふうに思うわけであります。
そこで、収支が一千億を超えた平成十八年度と二十八年度の未収債権の状況について伺いたいと思います。
○松川主計部長 未収債権につきましては、貸借対照表上、収入未済として計上されており、平成十八年度末に千三百五十八億円でありましたものが、平成二十八年度末には七百八十七億円と、約四割減少しております。
○斉藤委員 実質収支の黒字化のみならず、未収金の金額も大きく減少していることが今のお話でわかりました。こうした財務状況の改善を改めて評価したいと思います。
そこで、未収金の減額に寄与してきたこれまでの債権管理の取り組みについて伺いたいと思います。
○松川主計部長 都の有する債権は、金額の多寡や債務者の経済状況など多種多様であることから、債権を実際に管理する各局のきめ細かな対応が基本となりますが、部署をまたがった徴収ノウハウの共有や連携が不十分、部署によって取り組みに温度差があるといった課題がございました。
こうした中、平成十八年度に全国に先駆けて導入した新公会計制度により、未収債権の実態把握が可能となりましたことなどから、平成二十年度に東京都債権管理条例を制定し、債権管理の取り組みを強化いたしました。
具体的には、債権を所管する各局に債権管理者を設置し、局を挙げた取り組みの推進や連絡調整を行うとともに、全庁的な会議の設置や、標準的な債権管理マニュアルの作成を行うなど、債権管理体制を整備強化しており、その成果といたしまして未収債権が減少してきたものと認識しております。
○斉藤委員 先ほど会計管理局の質疑の中で、この新公会計制度、議論したところですが、まさしく財政の見える化が図られる中で、未収債権の実態把握が可能になったということでありまして、二十年度には条例を制定して、東京都債権管理条例というものを設定いたしまして以降、債権管理の取り組みの強化を図っていることはわかりました。
しかし、これらの債権管理の取り組みを行っても、なおかつ回収できない債権というものは発生いたします。都民サービスを提供していく上での重要な財産ということを踏まえつつも、適切に欠損処理をしていく必要があると考えます。
そこで、私債権の放棄について、その考え方、内容について伺いたいと思います。
○松川主計部長 私債権の放棄につきましては、徴収努力を尽くしてもなお実質的に回収が不能となっている債権について、都の資産規模の正確な把握や債権管理コスト削減の観点から、適切に欠損処理を進めていくことが重要でございます。
債権放棄は、貴重な財源を失うことでもありますため、その遂行に当たりましては慎重な判断が必要でございます。
このため、債権管理条例では、対象となる債権について、消滅時効に係る期間を経過し、かつ債務者が時効の援用をすると見込まれる場合にのみ放棄できるものと規定しており、単に時効を迎えたかどうかだけではなく、適正な徴収手続を行ったか、真に回収の見込みがないのかなどを十分に検証した上で、債権放棄を実施しております。
また、債権を放棄した際は、行政としての説明責任の徹底、手続の透明性の確保を図っていく観点から、議会へ報告することを条例上義務づけております。
○斉藤委員 今のお話ですと、モラルハザードを起こさないように、しっかりと厳格に運用を見ているということでありまして、議会へも報告があるからこそ、こういう議論になっているわけでございます。
できる限り回収努力をした上でなお、どうしても回収可能性の見込みが立たないものに限って、債権放棄を行っているということがわかりました。あくまでも都民のための、都政運営のための一つのあり方でありまして、いたずらに放棄するものであってはならない、そうしていないということがわかりました。
これまでの実績を見ますと、件数は増加傾向にありますけれども、その内容は多岐にわたっておりまして、毎年度の私債権の内容や背景をしっかりと確認、分析をした上で、都の資産規模の正確な把握などに生かしていくことが重要と考えます。
そこで、平成二十八年度の私債権放棄について、前年度からの増減要因を伺います。
主な増要因として、いろいろ調べてみますと、産業労働局の中小企業設備近代化資金貸付金、また中小企業施設改善資金貸付金、こうした項目が多いわけです。そして、大分前のことで、私もいまだにと思ったんですが、世界都市博覧会中止に伴う特別対策緊急融資に係る譲渡債権というものが挙げられている。一方、病院経営本部の項目も多くございまして、都立病院の診療、病院の診療料ですね、これは件数、金額とも減っているわけであります。
これら私債権放棄の金額の増減につきまして、財政当局が認識している内容や背景について伺いたいと思います。
○松川主計部長 平成二十八年度に放棄いたしました私債権の金額は、前年度に比べ約一億円増加してございます。
主な要因といたしましては、委員ご指摘のとおり、産業労働局所管の中小企業設備近代化資金貸付金や、世界都市博覧会中止に伴う特別対策緊急融資に係る譲渡債権の放棄件数が増加したことなどが挙げられます。
このうち、中小企業設備近代化資金貸付金につきましては、貸付原資の二分の一が国庫支出金であり、条例に基づく債権放棄を行う場合の取り扱いについて、都の要望を受け、平成二十七年度に国庫支出金を償還の対象外とするとの国の見解が示されましたため、二十八年度に、既に要件を満たしている案件につきまして、まとめて放棄を実施したものでございます。
なお、平成二十八年度の私債権放棄におけるもう一つの大きな特徴といたしまして、病院経営本部所管の都立病院診療料が、前年度に比べ、金額、件数ともに大きく減少していることが挙げられます。
これは、平成二十七年度に、既に要件を満たしていた過去分の少額債権について調査、整理が進み、千二百件を超える私債権の放棄を行った結果、二十八年度にはそうした特別な状況が落ちつき、減少しているものでございます。
○斉藤委員 私、昨年、厚生委員会の委員長をしていたときの質疑を伺いまして、その関連質疑の中で、病院経営本部から、未収金を回収するために、未収金専門員の配置や弁護士の活用、全ての病院共通の業務フローの策定など、さまざまな取り組みを行っている旨の答弁を伺ったわけですが、それでも回収できずに未収となるものについて案件調査を進めてきたことが、債権放棄の手続の進展につながっているものと理解をいたしました。
また、産業労働局、中身について詳しく精査したわけじゃないんですが、中小企業設備近代化貸付金につきましては、国などとの調整を行ってきた、その行った中で、これまで私債権の放棄が行えなかったと。それが行えるようになったという事情があるということで、取り組みの強化が図られていることが、今のご答弁でも確認できたわけであります。
このように、債権放棄の内容や背景を分析することは非常に重要なことであると思います。今後とも各局と連携をいたしまして、適切に債権管理を推進していただきたいと思います。
最後になります。こうした債権管理のさらなる強化も含めまして、今後の財政運営に向けた局長の決意を伺いたいと思います。
○武市財務局長 東京都の財政について、全体を眺めてみますと、都の歳入の根幹をなす都税収入は、お話にもございましたように、景気変動に大きく影響を受けます法人二税の割合が非常に高いということで、都財政はそもそも不安定な構造にございます。
一方で、今日の都政には、待機児童の解消や高齢者対策の推進など、東京都が直面する課題の解決に向けた喫緊の取り組みでございますとか、日本全体の持続的成長につながる施策を積極的に展開していくことが求められておりまして、こうした財政需要にしっかりと対応する必要がございます。
そのため、予算編成の中におきましては、事業評価等の自己改革の徹底でございますとか、基金や都債の戦略的かつ計画的な活用を行っていくと、そうしたことは当然のことでございますけれども、ただいまご議論のございました東京都が有する債権につきましても、回収が不能なものについては適切に欠損処理を進めつつ、それと同時に、残された債権につきましては、可能な限りの徴収努力を尽くすなど、そうした地道ともいえるような努力をも重ね合わせていくことで、将来にわたりまして、安定的に施策展開できる財政対応力というものを堅持いたしまして、都政に課されました使命を今後とも確実に果たしていきたいと、このように考えております。
○斉藤委員 局長の力強い決意を伺うことができました。
今日の都政には、首都直下地震への備え、これも必要でございます。少子高齢、人口減少などの問題など、東京の都市としての持続可能性に係る諸課題の解決とともに、三年後に迫った東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会の成功とそのレガシーの構築に向けて、積極的に施策を講じていくことが求められます。
こうした時期だからこそ、これまでの財政の健全化に向けた努力を忘れることなく、これは退任された安藤副知事のご挨拶の中にもございました。二度と財政再建、大変な二度にわたる再建期を経て、今この東京都の財政運営というものがあるわけですが、これまでの財政の健全化に向けた努力を忘れることなく、しっかりと財政のかじ取りを行っていくことを強く要望し、また議会としてもそれと呼応して頑張っていくことを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
○小松委員 私の方からは二点、先日報告のあった東京都年次財務報告書についてと都有地の活用について伺いたいと思います。
初めに、先般発表していただきました年次財務報告書をベースに伺いたいと思います。
今回の決算の特徴をわかりやすく一言で申しますと、実質収支で見れば一千二百九十二億円、まさに一千億円を超える黒字となったということであります。
この数字は確かに、財政が健全に運営できるのかどうか、そうした意味からは大切な数字だと思いますが、都財政の状況をしっかりと評価するためには、こうした実質収支の金額だけをもって判断するべきものではなく、各種の決算指標であったりストック情報など、さまざまな観点から分析を行って、都財政の現状、そして今後の課題を明らかにすることが必要だというふうな認識から、幾つか質問をいたします。
そこで、決算の代表的指標である経常収支比率の概要と、平成二十八年度のこの比率をどのように都は評価をしているのか伺います。
○松川主計部長 経常収支比率は、人件費、扶助費、公債費など容易に削減することが困難な経費に地方税などの経常的な収入がどの程度充当されているかを示す指標で、比率が低いほど財政の弾力性が高いことをあらわしております。
平成二十八年度の経常収支比率は、分母を構成する都税収入が五年連続で増収となる一方で、分子となる歳出について、公債費の減少や歳出の見直しなどにより、前年度から一・九ポイント改善し、七九・六%となりました。
都の経常収支比率につきましては、税収が景気の変動を受けやすく、比率の振れ幅が大きいことに加えて、他の道府県と異なり、減収時に地方交付税が交付されないという点に留意する必要がございますが、一〇〇%を超える水準にある都道府県全体の経常収支比率と比較いたしますと、都は財政の弾力性が高い状況であるといえると考えております。
○小松委員 やはり私も区議会のときに、二十三区のこの収支比率、いろいろ見ていくと、本当に七〇%台というのは極めてすばらしい成績だなというふうに思っています。経常収支比率という観点から見れば、現時点では弾力性の高い健全な状況であるということが確認できました。
一方で、この経常収支比率というのは、平成二十八年度一年間のいわゆるフローの面からの決算指標であって、都の財政状況を判断するためには、ストックの側面からの分析、そして確認することも必要だというふうに考えます。
そうした意味で、年次財務報告書では、バランスシートとも呼ばれる貸借対照表が示されており、ストック情報が明らかとなっています。このストック情報について取り上げたいなと思っているのは、私の一つの問題意識からであります。
ちょっと話はそれますが、最近、村上ファンドの村上さんが生涯投資家という本を出されていて、そこの中で、びっくりしたことがあると。それは余りにも、経営者、大きな一部の上場企業の経営者であっても、PL、CFは語れてもBSを語れる経営者がいないことに、官僚の時代、驚いて、日本の経営者は変わらなければいけないといったのが、彼のそもそもの起業したときの大きな決定の動機だったようであります。
それを実際首長に置きかえてみたときに、私も世田谷ですけれど、よく、財政の話をされるとき、歳入がふえたとか、歳出が行革によって削れたとか、そうしたお話は出てきますし、時折、経常収支比率、先ほどの話もありますけど、これが改善傾向にあると、こうした話は確かに首長さんはされるんですけど、BSの話って余りされないなというふうな問題意識があります。
当然、財政に携わる職員の皆様は、そこに熟達されていらっしゃるとは思うんですけれども、経営者である人たちの関心というのは、極めて脆弱なんじゃないかなという問題意識が以前からありました。そこで、ちょっとこの際確認をしていきたいなというふうに思っています。
まさに、いうまでもありませんけど、都が保有する資産というのは、いわゆる都が今後も安定的に、将来にわたって行政サービスを提供する上で、行政サービスの提供に必要な資産の残高であったり、逆に、将来にわたって返済していかなければいけない負債の残高を把握するために、重要なことだと思っています。
そこで、平成二十八年度の貸借対照表の状況について、都はどのように評価をされているのか伺います。
○松川主計部長 都が保有いたします資産は、都庁舎などの行政財産と、道路、橋梁などのインフラ資産が全体の約七割を占めており、平成二十八年度末の合計額は三十四兆四百十四億円で、前年度末対比で五千六百六十六億円の増となりました。
一方で、将来世代に残されている負担をあらわす負債は、都債が八割以上を占めておりまして、平成二十八年度末の合計額は七兆千二百億円で、前年度末対比で二千四百五十四億円の減となっております。
この結果、平成二十八年度末時点の資産に対する負債の割合は二〇・九%となっております。この割合につきましては、十年前の平成十八年度末時点の三〇・八%から、ほぼ一貫して減少傾向にあり、都が将来の負担をふやすことなく着実に資産を形成してきており、フロー面のみならず、ストック面におきましても、極めて健全な状況にあると認識しております。
○小松委員 ただいまの答弁で、都は、多額の資産を保有されているだけではなく、負債の割合も減少傾向であって、まさに今部長がおっしゃったように、ストック面からも健全な方向に進んでいるということが確認できました。
しかしながら、現状、大きな問題はないとしても、将来の都財政について確認しなければいけないと思っています。
具体的には、先ほど言及のあった資産の七割を占める行政財産とインフラ資産の状況であります。今回の年次報告書でも、都が保有する社会資本ストックの維持更新経費について、最新の試算が示されています。大変わかりやすかったなと思います。
そこで、都のインフラ資産に対する現状認識と、財政運営上の課題をどう捉えているか伺います。
○松川主計部長 道路、橋梁を初めといたしますインフラ資産や都庁舎などの行政財産は、都民の利便性向上や、災害に強い都市づくり、東京の活力維持向上のため、着実かつ確実に整備していく必要がございます。
一方で、資産を保有すれば、維持補修費や老朽化に伴う更新需要が将来確実に発生する点について、十分留意しなければならず、既に維持補修費につきましては、施設の老朽化の進行などにより、平成二十八年度決算額は、十年前と比較いたしまして約一・六倍に増加している状況にございます。
また、第三者の将来推計におきましても、平成五十年度までのこうした経費の増加額は、累計ベースで約三・二兆円と見込まれております。
今後の社会資本ストックの維持更新に当たりましては、本年二月の長期的な人口減少に伴う施設の適正な規模のあり方などを示した都有施設等総合管理方針を踏まえながら、事業評価の取り組みを加速、徹底するなど、必要な見直しを行った上で、中長期的な視点に立ち、基金や都債を活用していくことが重要と認識しております。
○小松委員 都のインフラ資産については、老朽化への対応が重要な課題であり、この先、本格的に到来する社会資本ストックの維持更新経費への対応、これは今後の大きな財政運営上の課題であるとの都の課題認識も確認することができました。
また、今回、この年次財務報告書、三〇ページ、三一ページが、社会資本ストックの維持更新であったり、社会保障関係費や防災に係る経費、こういったことについても言及されているわけでありますが、第三者の将来推計が示されていて、将来の都財政に膨大な財政需要が存在するという事実を認識していく、こうした意味で大変有効な資料であったなというふうに思っています。
実際、私も自分の地元の勉強会等でこうしたお話をさせていただくと、大変皆さん、わかりやすいなと、都の将来の課題というのが具体的に想像ができるというようなことでありましたので、ぜひまた引き続き、こうしたことを忘れずに継続して、お互いに課題を共有できればなと思っています。
こうした財政需要、これからの将来の需要にしっかり対応していくためには、先ほど答弁にあった、基金であったり都債をどう有用に活用していくのかということが重要なポイントであると思います。とりわけ、税収の減収局面にあっても、不交付団体で国の財源保障のない都にとっては、基金というのは欠かせない存在であるというふうに考えています。
そこで、都における基金の意義と、二十八年度決算の状況について伺いたいと思います。
○松川主計部長 基金は、安定的に行政サービスを提供するとともに、将来の財政需要に備えるための財源として、都の財政運営上極めて重要な役割を果たしております。
例えば財政調整基金は、不安定な都税収入を補い、財源が著しく不足する場合などに取り崩すことで、年度間の財源調整を図ることを目的とするものであり、平成二十八年度末には六千二百七十四億円を確保しております。
このほか、新しい東京の未来を切り開く施策を戦略的に展開するための基金であります三つのシティー実現に向けた基金は、一兆七千三百八十五億円の残高を有しております。
都は、他の自治体以上に自律的な財政運営が求められており、将来にわたりまして、安定的、継続的に都政に課せられた使命を果たしていくため、引き続き基金を戦略的かつ計画的に活用するなど、強固で弾力的な財政基盤の構築に努めてまいります。
○小松委員 都財政にとって、基金はほかの道府県以上に重要な存在であって、今後の膨大な財政需要を踏まえると、安易に歳出拡大に走ることなく、引き続き、基金残高の確保など強固な財政基盤の構築に努めていただきたいと思います。
最後に一言触れさせていただきますが、今回の年次財務報告書でも言及されておりますけれども、平成十年度には一千億円を超える赤字決算となって、平成十一年度には財政調整基金がほぼ枯渇するなど、過去を振り返りますと、この東京都の財政は危機的な状況に陥ったということは紛れもない事実であります。
その後、石原都政下における二度にわたる財政再建推進プランに全力で皆さん方が取り組んでいただいたおかげで、その結果として、この都財政の健全性というものが構築されたということであります。
今日のような税収が堅調である時期だからこそ、将来に目を向けて、基金残高の確保、そして財政基盤の構築を図ることは重要な取り組みであって、今後も、先人たちの努力を無駄にすることなく安定的な財政運営に努め、財政規律をしっかり確保するように要望したいと思います。
もう一つの都有財産の有効活用について、何点か伺いたいと思います。
初めに、平成二十八年度財産収入決算に関してでございますが、平成二十八年度の財務局一般会計決算説明書の財産収入を見ますと、収入決算額の最も大きなものとして、財産貸付収入四十五億余りというふうにあります。
件数を見ますと、地所賃貸料として一千三百六十三件、ほかに建物の賃貸料が八件等となっております。まずはこの中身について、財務局における財産利活用推進の取り組みに即して、例をお示しいただきたいと思います。
○山根財産運用部長 財務局における財産利活用推進の取り組みの例でございますが、戦前や戦後の時代からの長期の財産貸付のほかに、民間の資金力やノウハウを取り入れたまちづくりの一環としての定期借地、駐車場や住宅展示場としての暫定的な利用などがございまして、本科目にはこれらの貸付収入を計上しております。
○小松委員 ただいまの答弁の中にもありましたが、民間のノウハウを取り入れた都有地活用についても伺いたいと思います。
都政を取り巻く課題は常に変化をし、多様化していくということはいうまでもありません。民間のアイデアを取り入れて、時代に即した都有地活用を進めていくということも重要な視点であると思います。
また、暫定活用を行うことで、一定期間都有地を保有し、将来の行政需要に備えるという視点も忘れてはならないと思います。この将来の行政需要に備えるということが何よりも忘れてはならないことであって、単に収益性や一時的な財政指標の改善にとらわれない、行政の使命や責務であるというふうに思っているわけであります。
その上で、今答弁があった官民連携で進められているプロジェクト、これ、例えばどのようなものがあるのか、お示しいただきたいと思います。
○山根財産運用部長 官民連携で進めているプロジェクトの例でございますが、渋谷区神宮前にある約一万九千平米の都有地におきまして、老朽、狭隘化した原宿警察署及び単身待機宿舎をPFI事業によって移転改築するのにあわせまして、余剰となる部分を民間企業に貸し付け、商業、居住等の機能を有する施設を整備する神宮前一丁目民活再生プロジェクトを実施しております。
また、港区竹芝地区におきまして、民間のノウハウを取り入れて複数の都有地を一体的に活用し、まちづくりを促進し、地域の活力を向上させていく都市再生ステップアップ・プロジェクトを行っております。
○小松委員 ただいまご答弁いただいた事例などは、民間の知恵と力を生かした効果的な都有財産の活用方法であるというふうに評価をいたしたいと思います。
なお、民間の知恵と力を生かしつつも、何でも民間に託せばいいというわけではない、そのように思っています。都として、また地元の自治体とも連携をして、つまり、あくまで行政自身の創意工夫によって、財産の効果的な活用に取り組むことが大事であるというふうに思っています。
例えば、私の地元の世田谷の例でいけば、世田谷都税事務所は、国の世田谷税務署、そして区の保健センターの分室、また区立図書館と合築で、昨年の夏に竣工いたしました。これまで近隣に点在し、いわば微妙に離れていた公共施設を、都有施設の更新というきっかけをうまく捉えて集約され、地元の住民にとっても大変利便性の高いものになっております。
このような取り組みは、住民サービスの向上といった視点からも大変意義のあるものであると考えておりますが、都の見解を伺います。
○山根財産運用部長 都では、都有施設の更新に当たりまして、都有財産を最大限有効に利活用するため、庁舎の合同化を進めてまいりました。
お話の世田谷都税事務所に関しましては、もとの都税事務所跡地と国の税務署跡地におきまして、区の世田谷図書館、世田谷保健福祉センター分室、世田谷税務署、東京法務局世田谷出張所との合築を行い、平成二十八年七月に竣工いたしました。これは、計画時から、地元の区や国と、財産の扱いや管理責任の明確化、管理コストの低減、さらに住民の利便性等についても丁寧な協議を重ね、整備したものであると聞いております。
このように、近接する老朽公共施設を一体で整備することは、財産の効率的活用の側面だけでなく、利用者サービスの向上にも資する、大変有効な取り組みと考えております。
都有地は、都民からの負託を受けた貴重な財産でありまして、都政の課題解決のために最大限有効活用していくことが必要でございます。今後も、区市町村や国とも情報を共有し、公共施設の適正な規模、配置や、効果的な利活用のあり方を追求してまいります。
○小松委員 最後に一言申し上げたいと思います。
昨今、都有地といえば、何でもかんでも目の前の課題解決のために活用しろという論調があります。しかし、ご存じのとおり都有地には限りもありますし、打ち出の小づちではありません。何より、将来の行政需要を見据えて、それに備えていくということが行政の責務であるというふうに私は考えています。また、民間のノウハウや知恵を入れるとよい企画が生まれるということで、安易に民間に頼るような安易な発想も気になっています。
長期的な視座に立って、あらゆる行政需要をあらかじめ想定し、過去と現在と未来とにしっかりと整合性をつけながら判断していくということは、行政のプロである都の職員にしかできないことだと思っています。ぜひ、民間の有用な知恵を上手に生かしながらも、行政マンの矜持を持って、引き続きよりよい都有地活用の事例をふやしていただければと思います。
終わります。
○とくとめ委員 それでは、平成二十八年度の決算にかかわって若干質問いたします。
建設産業が、就業者の高齢化と若年入職者が減り続けて、賃金水準も全産業より三割近くも低いなど、厳しい労働環境に置かれています。
こうした事態の解決のために、国交省は、公共工事の設計労務単価の連続的な引き上げとともに、建設技能労働者の適切な賃金水準の確保と処遇改善について、建設業の団体を初めとして、東京都などの公共発注者、民間発注者に要請を行ってきたと聞いております。
そこで、平成二十八年度の決算にかかわって、都内の建設労働者の中での公共工事設計労務単価の引き上げに関連して、都発注の建設工事における建設労働者の賃金引き上げ、労働環境の改善について、絞って質問をいたします。
まず、平成二十八年度含めてこの間、公共工事設計労務単価が引き上げられてきていると思いますけれども、その実態がどうなっているのかについてお伺いいたします。
○永島建築保全部長 公共工事に適用される公共工事設計労務単価は、毎年、国土交通省及び農林水産省が決定しております。
設計労務単価の全職種の平均値は、平成二十三年度以降毎年上昇しており、平成二十三年四月時点と本年四月時点とで比較しますと、約三九%上昇しております。
○とくとめ委員 労務単価の全職種の平均値が平成二十三年度以降毎年引き上げられて、二十九年度の四月時点で、六年前と比較をすると約三九%上昇しているということでした。
それでは、なぜ、平成二十三年度以降のこの間、公共工事設計労務単価が引き上げられることになったのか、その理由、背景についてお伺いします。
○永島建築保全部長 公共工事設計労務単価は、毎年、国が全国で行う公共事業労務費調査に基づき決定をしております。
この調査におきましては、建設労働者などについて、各職種ごとに、年齢、経験年数、基本給、出来高給、法定福利費などについての実績を調査し、労働市場の実勢価格を適切かつ迅速に反映をしております。
設計労務単価は、平成二十四年度以降大きく上昇しており、これは、平成二十三年に発生した東日本大震災の復興工事に起因した技能者不足などによる労務費の上昇が背景となっております。
平成二十五年度以降は、社会保険未加入者が多い実態を考慮して、必要な法定福利費相当額を加算するなど、より適切に設定をしております。
こうした要素が、設計労務単価の上昇につながっていると考えられるところでございます。
○とくとめ委員 労務単価が引き上げられることになった背景、要因にあるのが、建設産業全体、建設労働者のさまざまな実態、例えば技能者不足、社会保険未加入者などが多い実態を考慮、検討して、労務単価が引き上げられてきたということでした。
その上に立って、東京都発注の建設工事では、こうした労務単価の引き上げは実際の契約にどのように反映をしているのか、お伺いします。
○永島建築保全部長 予定価格のもととなる工事費の算出につきましては、図面や仕様書などの設計図書に基づき仕様、数量を確定し、国が定める設計労務単価を反映した標準単価や見積もりによる単価を乗じた上で、現場管理費などの必要な経費を加算して定めております。
設計労務単価は工事費に適切に反映されていると考えております。
○とくとめ委員 今、国が定める公共工事の設計労務単価の引き上げ分は、きちんと反映されて契約が行われているというふうに理解をしました。
引き上げられた設計労務単価は、引き上げ分にふさわしく、現場の建設労働者の賃金引き上げや待遇改善に生かされているのかどうか、実態をきちんと都として掌握されているのかについてお伺いします。
○永島建築保全部長 適切な予定価格の算定は発注者の責務でございます。数量積算や単価設定、諸経費などの工事費の積算ルールを積算基準に定め、それに基づき適切に算出をしております。
積算基準につきましては、建設業界の実態に即して適宜改正してきており、本年四月には、国が行った建設企業の財務実態調査結果等に基づき、一般管理費等及び下請企業の経費率を引き上げる改正も行いました。
標準単価のもととなる労務単価につきましては、国が定める公共工事設計労務単価を速やかに適用しております。
標準単価の資材等の部分につきましては、市場動向を速やかに反映できるよう、年四回の定期改正を行っているほか、特に鋼材や配管などの主要資材に関して、価格変動が大きい場合には適宜改正を行っております。さらに、予定価格の五割前後を占める見積もり価格部分につきましては、複数者の平均値をもとに、取引実態を考慮して見積もり単価を設定しております。
こうした取り組みにより、より実態を反映した積算に努めております。
○とくとめ委員 都が労務単価の引き上げを適切に反映して契約に当たっているということは、今のご答弁でよくわかりました。
問題は、この事業の最終的な目的は、現場の建設労働者の賃金が引き上がっているかどうかということだと思います。その現場の建設労働者の賃金改善がどうなっているのかという実態については、きちんと掌握されているのかについて先ほど伺ったつもりですけれども、その実態掌握という点は、ちゃんと掌握をされているんでしょうか。そういう取り組みが、現場の労働者の賃金引き上げや福利厚生費、あるいは処遇改善などにきちんと反映されているという確認はできているんでしょうか。
○永島建築保全部長 繰り返しになりますが、労務単価は、平成二十三年四月時点と本年四月時点とで比較しますと、約三九%上昇しております。
労務単価は、毎年、国が公共工事を対象に行っている公共事業労務費調査に基づき決定をしております。この調査では、建設労働者などについて、各職種及び都道府県別に年齢、経験年数、基本給、出来高給、法定福利費などについての実績を調査しており、都の発注工事も含まれております。
具体的な調査方法ですが、下請企業も含めた建設労働者等の賃金について、法に基づく賃金台帳から調査票へ転記することとなっております。
したがいまして、設計労務単価には労働市場の実勢を適切に反映していると考えております。
○とくとめ委員 労務単価の引き上げの本来の目的にふさわしく賃金引き上げなどの改善に結びついていないという声も、現場の労働者から聞いております。
先ほど、三九%、平成二十三年度から引き上がっている、それは私も承知をしております。だとしたら、それにふさわしい賃金の引き上げなり、現場の処遇改善が実現していなければいけないのではないかなと、常識的に考えるわけですけれども、そういう実態は残されていないのかどうか。あるいは、もし労務単価の引き上げにふさわしく賃金の引き上げに結びついていないとしたら、どういう原因が考えられるのか。今後の解決のためにも、つかんでいる点をご答弁いただきたいと思います。
○五十嵐契約調整担当部長 賃金は、各企業において、対等な労使間での交渉によりまして自主的に決定されるとともに、建設労働者ごとに、その経験、技能、資格など個人の能力によっても異なってくるものというふうに認識しております。
また、賃金が、引き上げや改善に結びついていないというようなお話、先ほど来ございましたけれども、私ども財務局の方で、建設業界団体との意見交換におきましては、アンケートをしておるわけですけれども、そのアンケートの内容でいけば、おおむね五割ぐらいの企業が、賃金を引き上げているというような回答もございます。全ての企業が大きく上げているということではないかもしれませんけれども、賃金の引き上げに企業の方も努力しているというふうなアンケート結果が出ております。
都としても、今後とも、建設業界団体に対しまして、全体として適正な賃金水準を確保するように、引き続き要請をしてまいります。
○とくとめ委員 全体として適正な賃金水準を確保するよう要請していると、いろいろと努力をしているとの答弁でございました。
問題は、労務単価の引き上げによって実際の現場の改善に生かされているのかどうか、ここが一番大事な問題だと思います。もちろんいろんな差があることは承知をいたします。全体として、本当に現場が、将来に展望を持って、この仕事をしてよかったと、頑張れるというふうになれるかどうかが、このもともとの目的、趣旨でもあると思います。
したがって、現場の建設労働者の賃金の改善に反映していない、結びついていないという声があることについて、しっかり認識をしていただいて、問題点を解決する具体的な展望をつかんでいただきたいと思います。
この問題、賃金の引き上げとか待遇改善ですけれども、都はこの解決のために、これまでどういう独自の努力、対応をされてきたのか、その中身をご報告いただきたいと思います。
○五十嵐契約調整担当部長 中小企業者や下請事業者の労働条件あるいは労働環境の改善が図られることは、都としても非常に重要なことと認識しております。
都は、改正品確法の理念にのっとりまして、発注者として、工事発注に当たって最新の労務単価を適用した適正な予定価格の設定や、最低制限価格等の算定基準の引き上げによるダンピング対策などに取り組むことによりまして、事業者団体に対して適正な賃金水準の確保の要請を行い、受注者としての責務を果たすよう求めてきたところでございます。
○とくとめ委員 さまざまな努力、要請を受注者側に働きかけてきたと、その努力を認めつつも、十分に改善されていない実態が残されている事実は、冷厳に見ていただきたいと思います。
私がこれにこだわっていうのは、この問題で重大だと思うのは、せっかく労務単価が引き上げられて、建設労働者のおくれた実態を解決するための展望といいますか、具体的な対策が打たれているのに、その改善が不十分な実態が残されている一方で、皆様も耳にしたことあると思いますけれども、大手ゼネコンを中心にして、労務単価が引き上げられている中で、最高の利益、史上空前の利益などと紹介をされている問題です。
だとすると、現場の建設労働者には十分に反映されないまま、元請受注者である巨大ゼネコンの巨大利益になって、労務単価の引き上げ分が吸収されてしまっているのではないかと思うわけです。
しかも、経済分野のメディアや雑誌を読みますと、この空前の利益の要因について、例えばこう書いてあるのがあります。国土交通省が公共工事の発注額を決める際に用いる労務単価を引き上げてくれたことと、そういう紹介をされた文書があります。もちろんそれは、事実かどうかというのは確認は必要だと思いますけれども、この巨大ゼネコンの巨大な利益の実態を見ると、どうしてそこが巨大な利益になっていくのか。もちろんさまざまな技術革新、節約なども書かれております。
これは、建設労働者の賃金引き上げ、福利厚生拡充など待遇改善のための労務単価の引き上げが、実際には大手ゼネコンの巨大利益の拡大の補助金のようになっているのではないかとか、そんな気もするんです。
事は都民の皆さんの税金です。建設産業、建設労働者の未来のことを考えて、こういう設計労務単価の引き上げが行われているわけです。
そこで質問ですけれども、平成二十八年度含めて、公共工事の設計労務単価引き上げの原資である都民の税金の使い方としても、今ご紹介したようなあり方が、ゆがみが残されていれば、大きな問題ではないかなと。都内の建設産業と建設労働者の将来がかかった問題として、重大ではないかと思いますけれども、都はどういう認識を持っておられるのかについてお伺いします。
○五十嵐契約調整担当部長 若干繰り返しになりますけれども、今後、道路、河川など社会資本ストックが本格的な更新時期を迎える中で、その担い手の中長期的な育成、確保のため、都内の建設企業者、その中心である中小企業者や下請事業者の労働条件や労働環境の改善が図られることは、重要というふうに認識しております。このため、改正品確法で定められた発注者の責務である適正な予定価格の設定などを進めるとともに、事業者団体に対して適正な賃金水準の確保の要請を行ってまいりました。
また、賃金は、お話のとおり、労働条件を構成する重要な要素の一つでございまして、建設業には、社会保険への未加入問題など、担い手の育成、確保に向けてほかにも解決すべき問題があるというふうに認識しております。
そのため、都では、社会保険労務士と連携した特別調査を通じまして、労働条件、労働環境について現場の実態を把握するなど、課題の解決に向けた取り組みを進めているところでございます。
○とくとめ委員 今答弁にありました東京の将来の社会資本の維持更新という点でも、建設産業がなければもう成り立たないと。そういう意味では、今取り組まれている労務単価の引き上げの問題は、東京の未来を支えるといいますか、災害対策の上でも大変大きな存在である建設産業がどうなっていくのか、それを支えている建設労働者の皆さんがどうなっていくのか。今、このままいったら成り立たないのではないかという実態が急速に迫っていることがあって、こういう対策をとられたんだと思うんです。もちろん、福利厚生施設などでもさまざまな努力をされていることも十分に認めています。
こうした現状の解決のために、建設労働者の団体などからは、既に先行して成果も上げている、自治体で効果のある公契約条例の制定を求める声が広がっています。何回もこの場所でも質問で紹介させていただきました。
今、都内自治体でも、六自治体まで条例制定が広がっており、さらに幾つかの自治体でも条例制定の見通しが生まれています。こうした動きはどこでも、当然のことながら超党派です。区長が先頭になっているところもあります。
しかし都は、こうした要望や我が党の繰り返しの質問、要望に対して、一貫して注視をするという答弁を繰り返してこられました。我が党としては、引き続き公契約条例の制定を強く求めておきたいと思います。
そこで質問ですけれども、公契約条例の制定については、現在のところ都としては、注視、注目していくというならば、税金の使い方が厳しく問われる低過ぎる建設労働者の賃金の実態、その改善がかかった、この問題の現状を打開するために、今後、さらにどういう形で具体的な取り組みを進めていこうと考えておられるのか、見解をお伺いしたいと思います。
○五十嵐契約調整担当部長 都は今後とも、現行法令のもとで、公共工事の担い手の中長期的な育成、確保に向けまして、適正な予定価格の設定、社会保険等への加入促進、ダンピング受注等の防止など、こういったこれまでのやってきた施策を続けながら、入札に参加しやすい環境の整備の取り組みを、現場の事業者の声も聞きながら引き続き推進してまいります。
また、都がこうした発注者としての責務を果たすことによりまして、事業者みずからが受注者の責務として、下請事業者を含む処遇の改善に自主的に取り組んでいくための環境の整備に引き続き努めてまいります。
○とくとめ委員 今答弁で、現場の皆さんの声をよく聞いてと、これが本当に今いろんな仕事をする上で大事じゃないかなと。いろんな努力をされている、やっているということがあっても、現場でそれが実際にどういう成果につながっているか、効果につながっているかということを確認しながら、知恵や力を結集していくことが大事であるというふうに思います。
財務局の担当部門を先頭にしたさまざまな努力や対策が打たれていることを、きょうの質疑、答弁で大変理解することができました。
設計労務単価引き上げの本来の目的、趣旨からするならば、都としては、労務単価を現場の建設労働者の賃金として行き渡らせることに、その施策、対策を担う責任が厳しく問われているのではないかなというふうに思います。
今、建設産業への就業者は、平成九年をピークとして二百万人も減少して、昨年度、二〇一六年、平成二十八年は、四百九十二万人になっているといわれています。就業者の三分の一が五十五歳以上で、二十九歳以下の若年労働者は十人に一人と。本当に未来が問われているという事態で、なくてはならない産業であり、なくてはならない仕事なんだけれども、このままいけば未来がどうなるのかと問われている実態、そこからこういう対策が打たれてきたんだと思うんです。
高齢化と若年技能労働者、職人の減少の傾向の背景には、低賃金と労働環境の悪化があって、こうした事態を放置したままでは、インフラの維持更新や将来の災害対応に重大な支障を来しかねないと、そういう判断があって、東日本大震災直後の平成二十三年以来の設計労務単価の引き上げが続いてきたんだと思うんです。
今後どうなるかは、まだ不透明な部分もあると思いますけれども、この取り組みが、建設労働者の賃金引き上げ、確実、着実にこれが反映されて、建設業界も建設労働者の皆さんにとっても、やっぱり展望が生まれるような、そういう取り組みをぜひ強めていただきたい、強く強く要望いたしまして質問を終わります。
○佐野委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時五十分休憩
午後三時四分開議
○佐野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○宮瀬委員 前期に引き続きまして二期目、都議会議員を仰せつかることになりました。初めての質疑になりまして、この場をかりまして、板橋区民の皆様に、厳しい選挙ではありましたが、御礼を申し上げたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
では、私からは事業評価についてお伺いしていきたいと思います。
実は私、質疑を昨年度、棚卸しをさせていただいたところ、百八十のテーマを前期、行わせていただきました。百八十、しっかり議事録もテーマが残っておりますが、そのうち、無駄の削減ですとか効率化について、実にその三三%取り組みをさせていただきました。
何がいいたいかといいますと、やはり皆さんにとっては不快かもしれませんが、お役所仕事という言葉もありますけれども、サラリーマンといいますか、民間企業に十二年いた中で、皆様のお仕事と、私、たかだか十二年でありますが、そのギャップをどうやって埋めていければいいのかと取り組んでまいりました。
そこで、一つ一つ、毎回毎回いろいろ、事業の中で改善の提言をするといったことよりも、事業評価を東京都としてどう行っていくのかというところに非常に関心があるわけであります。
平成二十八年度の決算でありますので、都民の税金がいかに有効に使われていたのか、使われるべきなのかをチェックするという観点からお伺いしてまいります。
最初に基本的なことでありますが、平成二十八年度の事業評価についての考え方、また、重視した点についてお伺いいたします。
○松川主計部長 平成二十八年度予算で公表いたしました事業評価は、二十六年度決算分析を踏まえた評価を中心に行ったものでございます。
こうした前提のもと、平成二十八年度予算編成では、将来にわたり都政の役割を果たしていくという視点に立ち、一つ一つの事業が、その目的に対し有効に機能しているかを原点に立ち返って点検し、より充実した事業内容に深化させていくよう、評価を実施いたしました。
具体的には、組織の垣根を超えて連携できる事業はないかという視点から、複数の事業局が一体となって、関連する事業の見直しを強化するなど、一つ一つの事業の効率性や実効性を向上させる取り組みを一層徹底し、必要な見直し、再構築を図ってまいりました。
また、自治体が持つ資産の適正規模が全国的な議論となったことを踏まえまして、特に老朽化比率が高い動産につきまして、分析、検証を強化するなど、より多面的な視点から、創意工夫を凝らして事業評価に取り組みました。
○宮瀬委員 しっかり取り組んでまいりましたという答弁でありますが、さきに、平成二十九年二月、東京都が出しています東京都予算案の概要を見まして、ちょっと衝撃を受けたんですが、こちら、公表対象になった全四百二十六件でございます。
中を見ていって、各事業の評価が出ているんですが、いわゆる事業の評価に関する数値が、皆さん何件だとお思いですか。四百二十六件中二件です。それも書いてあるのが、例えば林道高規格化の百十七番のところでありますが、幅を三メートルから四メートルにしましたとか、あとはもう一つが、建設局で時間の雨量五十ミリに対応させましたと。この二件しかありません。
あとは、年度とか、数字の一つとか二つとか、そういう話になっていまして、いわゆる事業評価を、この冊子は概要版で、プルダウンしていくと、ホームページに載っております二十八年度評価の個別シートということで、こちらも拝見させていただきました。
ただ、こちらの個別シートを見ても、例えば外国人患者受け入れ数ですとか、拡充していきますと。リハビリテーション病院の運営ということで、充実させていきますと書いてあるんですけど、こちらの目標にも数値が入っていないという状況です。
さんざん質疑も生活文化局でやったんですが、DVで苦しんでいるご家庭の数というのを東京都は把握していません。また、外国人観光客の誘致の数の現状の数値及び目標数値もございませんでした。
このように、評価シートの中にKPIが、基準がほとんど示されておらず、プラン・ドゥー・シーのドゥーの部分だけと。PDCAサイクルといいますが、PDPDのサイクルになってしまっているのではないかなと思っています。
そうしますと、この事業はどうだったかという評価が、私どももなかなかしづらいのが実態でありまして、誤解を恐れずいいますと、これをやりました、これを頑張りました、改善しましたということだと、どれぐらい、どう改善したかがわからないわけであります。
このように、平成二十八年度の事業評価シートでは、これまでの成果が把握できないものが多いように、民間と比べても、数字で示す成果指標という観点からの取り組みが十分ではないと思いますが、所見をお伺いいたします。
○松川主計部長 事業評価の取り組みにつきましては、平成十九年度予算編成時に開始して以降、庁内各部局との連携や、会計士など外部専門家のご意見、都議会からのご指摘などを踏まえながら、適時適切に深化を図ってきているところでございます。
こうした中、平成二十九年度予算編成におきましては、全ての事業に終期を設定するなど取り組みを強化し、七百二十億円の財源確保を図っております。
また、成果指標につきましては、都政改革本部における検討なども踏まえ、本年九月、新たに二〇二〇年に向けた実行プランの事業実施状況のレビュー結果について公表いたしましたとおり、平成三十年度予算編成では、政策企画局との連携を図りながら、可能な限り数値化を図ることとしております。
引き続き、都政改革本部における都民ファースト、情報公開、そしてワイズスペンディングなどの視点に立った検討を踏まえつつ、一層の改善に努めてまいります。
○宮瀬委員 年々改善を図っているということで、平成二十九年度の予算編成に当たって、その改善を図っていっていますということで、そのシートも見ているんですけれども、実際にやはり数字が、全部が入っていないというわけではありません、でも、現状の値を示す数値もなく、目標に数値もないといった根本的な状況というのが、余り変化がないように思ってしまいます。
やはりこの指標自体が、ほぼ自由記入といった今のフォーマットをしっかりと見直していかなければ、局は好きに書いてしまいますので、改善が必要だと思っております。
例えば、不満ばかりいってもしようがありませんので、私、前職、ベネッセという会社にいたんですけれども、そのときの事業計画と事業評価のものを持ってきました。エクセルのシートになっていたり、パワーポイントになっていたりするんですけれども、例えばしっかりとKPIが五、六項目設定をされていて、そこで、終期というお話もありましたが、一年間で目標数値がどうなんだ、中間はどうなんだということで、しっかりと記入するようなフォーマットになっております。このフォーマットがやはり大事なその一つの鍵だと思いますので、自由記入欄、とても自由に書けるフォーマットではありますが、しっかりと数字を書いてもらうという取り組みが必要だと思っております。
昨年の第四回定例会におきまして、そういった問題意識から知事にご答弁いただきました。事業評価を抜本的に改善すべきという質問に対しまして、知事からは、全ての事業に終期を設け、一層の改善に努めていくということがございました。
その上で、今回の新たな事業評価シートを見たのでありますが、今までと大きく違うなというのは、失礼だったら申しわけありませんが、右上の事業終期のところに年度が入っているだけのように、いわざるを得ません。
これでは、じゃあ終期の年度、例えば東京ヘリポート航空灯火設備更新、事業終期平成三十二年と、上に、今までのシートに数字が入っただけなんですけれども、じゃあ、この終期になったときにどう事業を見直していくのか、どのように改善につなげていくのか、終期ができたことで、一旦そこで立ちどまってどうしていくのか考えるといったときに、何をもとに、どう考えていくのか、見直していくのかが、やはり不鮮明な状況が続いているのではないかと思いますが、所見をお伺いします。
○松川主計部長 平成二十九年度予算編成におきましては、四千八百件に上る全ての事業に終期を設定し、終期が到来したものについて事業評価を行うシステムを導入することで、評価時期をルール化するとともに、マネジメント機能を強化いたしました。
終期が到来した事業につきましては、今後も各局と財務局が連携しながら、目標の達成状況も含めた一つ一つの事業の成果や決算状況などを分析した上で、事業を継続するのか、見直し、再構築を行うのか、拡充を図っていくのかを判断し、その結果を翌年度の予算に的確に反映させてまいります。
○宮瀬委員 今後の予算編成にしっかりと見直し図っていくということでありましたが、繰り返しになって恐縮ではございますが、このフォーマット、四千八百件の事業に対して、共通のフォーマットだと思っております。その中で、私も今、大阪市のフォーマットを見ていますが、しっかりと、まず皆さん自身での、各局自身での自己点検や評価、まず自分たちで評価をしていただく欄、そして、財務局を初めそういった市の内部の評価と。次に、しっかりと外部の評価を入れているといったことが見受けられます。
このままの状態ですと、局が自分たちで事業評価をして、そこに数字が入ってなく、財務の皆さんが財務局としての評価をしていくということでありますと、都庁内で全てが完結してしまうのではないかと。その中で、本当に税金が有効的に活用され、事業が推進しているのかといったことが、やはり大きなポイントとなると思っております。
大阪市以外でも、鳥取県でも事業の棚卸し、県政モニタリングを実施していたり、神奈川県の厚木市では、無作為抽出の市民二千人が参加する形で、市民参加型の外部評価を実施していたり、また静岡市におきましても、事業を評価する人たちを外部評価員としてお招きをするといった形がとられております。
このように、さまざまな自治体の取り組みや民間企業でのノウハウ、もちろん民間企業は売り上げを達成するという大きな指標はありますが、お金を使うということに関しては、都庁も全く同じだと思っております。
このように、見直す、終期が入るということで、何を基準にしていくのか、ぜひこの中に外部評価のことも含めて、市民の、区民の、そして都民の皆さんの評価もしっかりと入れられるようなフォーマットにしていただきたいと思います。
これから平成三十年度の予算編成が本格していくということでありますが、最後の質問になりますけれども、今後、わかりやすい評価に向けてどのように取り組むのか、お伺いいたします。
○松川主計部長 事業の成果や決算状況などの分析、検証結果をどのような形で次年度予算に反映させたかという点について、わかりやすく都民に説明していくことは、アカウンタビリティーの向上という観点からも非常に重要であると認識しております。
こうしたことも踏まえまして、平成三十年度予算編成におきましては、新たにエビデンスベースに基づく評価を導入し、施設の整備改修や重要資産の購入等について、民間や他自治体との単価やコスト比較を初め、統計データや技術的指標などの客観的事実に基づき、事業の妥当性を分析、検証する取り組みを実施してまいります。
加えまして、本年九月に公表いたしました二〇二〇年に向けた実行プランの事業実施状況のレビュー結果を活用しながら、取り組みの強化を図ってまいります。
今後とも、都民に対するアカウンタビリティーの一層の充実を図りつつ、事業評価の取り組みを加速、徹底し、一つ一つの施策の効率性や実効性の向上につなげてまいります。
○宮瀬委員 ご答弁ありがとうございます。
質問の聞き方が、わかりやすい評価という表現でとどめさせていただきましたが、やはり誰もがわかりやすく、事業をしっかりと見られるといったものは数値だと思っております。
今回の事業評価の中で、一層取り組んでいるですとか、リーフレットを配りました、パンフレットを配りましたと、そういった事業評価になっております。大事なことは、その分量のリーフレットを配って、どれだけの人がそれを受け取ったのか、例えばDVで苦しむお母さんがいたときに、せっかく東京都にいい施策もたくさんある中で、その情報が、じゃあどうやったら届くのかといったところが第一歩だと思います。その中で、東京都の生活文化局が、DVのときやお困りの際に、リーフレットをつくって配布しましたという答弁になってしまうんです。
やはり大事なことは、プラン・ドゥー・シーといいますけれども、PDPDではなくて、じゃあ、そのパンフレットを配って、どれぐらいの範囲にどれぐらいまけたのかと、実際にどれぐらいの方が応答できたのかという、そこまでやって初めて、東京都の事業が都民の皆さんのお役に立てると私は思っております。
ですので、ぜひ数字というところにこだわっていただき、皆さんそんなことないと思いますが、お役所仕事という言葉を都民の皆さんから頂戴しないように、私もノウハウありますし、いろんな方々のご協力を得ながら、一緒になって新たな事業評価、またやりますので、一緒になってつくっていければと思います。
都政改革本部における検討も始まりまして、これまで以上に改善を図っていくことを強く強く要望いたしまして、質疑を終わります。
○加藤委員 初めに、ヒートアイランド対策についてお聞きをします。
東京では、地球温暖化とヒートアイランド現象の進行により、過去百年の間に平均気温が約三度上昇しております。
東京では、省エネルギーや緑化の推進等の取り組みを進めておりますが、都市の高温化は継続しており、多数の熱中症患者が発生をしております。今では、夏でなくても、季節外れの天候によりまして、熱中症で救急搬送されるケースも起きております。二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会の開催を控え、ヒートアイランド対策の一層の推進が必要であると考えます。
ヒートアイランドを緩和する対策として、一つには屋根や敷地の緑化が重要であります。平成二十四年度の決算特別委員会第一分科会で、私は財務局から、ヒートアイランド対策について質問をしまして、都有建築物の屋上緑化に積極的に取り組んでいることをお聞きしました。
そこで、その後、都有建築物の屋上緑化がどの程度進んだのかお伺いします。
○中山技術管理担当部長 都有施設の整備に当たり、屋上緑化は、景観の向上や建物の断熱性を高め、ヒートアイランド対策としても有効であることから、これまで積極的に取り組んでおります。
平成二十五年度から平成二十八年度までの四年間に、財務局施行工事で合計約一万七千平方メートルの屋上緑化を実施しました。大規模な屋上緑化の例としては、平成二十八年度に竣工した駒沢オリンピック公園総合運動場屋内球技場において、アリーナの屋上を芝生化し、約二千八百平方メートルを緑化しています。
○加藤委員 この改修された駒沢オリンピック公園の屋内球技場は、私もリニューアルイベントに出席しましたので、実際に見たんですけれども、率直にいって驚いたのは、この巨大な体育館の上にかなり大きな緑化施設が乗っかっていると、こういうのが印象で、今ありましたように二千八百平米ですからね、相当な重量になって、大丈夫なんだろうかと心配するぐらい圧巻な状況でした。
館内の施設も、LED照明や空調なども一新されて、すばらしく生まれ変わっておりました。
かつての東京オリンピック大会で、東洋の魔女と呼ばれたバレーボール選手が活躍をしたところですので、日本の選手も、三年後の東京大会に向けて大いに力を発揮してもらいたいと期待をしております。
この二〇二〇年大会に向けて、ヒートアイランド対策は、財務局だけでなく、他局も含め総合的に進めていかなければなりません。ただ、都の建物については、財務局がぜひ音頭をとって進めていってほしいと思います。
かねてから申し上げておりますが、屋上緑化よりもコスト的に安い遮熱塗装も、ヒートアイランド対策には有効です。道路舗装でこの塗装が進んでおりますけれども、今後は建物についても積極的に使用していただきたいと思います。都市整備局などとも連携して、費用対効果を検証しながら、よりよい技術や製品を採用してもらいたいと思います。
ヒートアイランド対策としては、建築設備などからの人工排熱の低減、いわゆる建築物の省エネ化対策も重要であります。駒沢屋内球技場でも省エネ対策が施されているという説明を現地で伺いましたけれども、そこで、都有建築物の省エネ化についてはどのように取り組んでいるのか伺います。
○中山技術管理担当部長 都では、省エネ・再エネ東京仕様を策定し、これに基づいて、効果的な省エネ技術などを都有建築物の改築などにおいて導入することで、エネルギー使用を抑制しています。
具体的には、施設特性を勘案し、屋根、外壁の断熱性能の向上、LED照明の標準化、高効率な設備機器の採用、自然換気システムなど、再生可能エネルギーの活用を行い、東京都建築物環境計画書制度の省エネ評価において最高評価を目指した整備を行っております。
例えば、平成二十八年度に竣工した武蔵野の森スポーツプラザでは、スポーツ施設という用途を踏まえ、プールの水温調整用として、大規模な地中熱利用のヒートポンプを導入するとともに、太陽熱やコージェネレーションからの排熱をアリーナの空調に利用するなどにより、消費エネルギーの大幅な削減を図っています。
今後も、都有建築物について、省エネ・再エネ東京仕様を適用し、環境負荷の少ない都市の実現に貢献してまいります。
○加藤委員 今後も、技術革新に伴いまして、省エネ・再エネ東京仕様は適宜見直しながら、一層環境に優しい都市を目指していくよう求めたいと思います。
次に、都有施設の地震対策は喫緊の課題です。
先日、東京ビッグサイトで開かれました危機管理産業展で、免震建物と耐震建物の揺れの違いをシミュレーターで体験をしました。耐震対策が施されている建物でありましても、震度七の揺れには、建物は倒壊しなくても部屋の中のものが飛び散るということを、このシミュレーターで体感をいたしました。免震構造は、耐震構造に比べてかなり揺れが低減されまして、施設の機能維持の面からすぐれているというふうに感じました。
そこで、都でも免震構造を積極的に採用すべきと思いますが、都有建築物の免震構造の整備状況について伺います。
○中山技術管理担当部長 都有建築物の整備に当たっては、防災上の重要度に応じて、建築基準法が定める基準よりも高い耐震性能を確保するなど、地震に強い安全な施設づくりを進めております。
免震構造は、地面と建物の間に免震装置を配置し、地震時に免震装置が揺れを吸収することで、建物に地震が伝わりにくくする特殊な構造方法でありまして、家具や設備の被害が抑えられるなどの施設の機能確保に有効です。
免震構造を採用した都有建築物の整備状況としては、これまで、防災拠点として機能すべき消防署、警察署、庁舎などの施設や、災害応急対策活動に必要な病院施設などの一部で導入しております。
○加藤委員 免震構造を採用するには、コストなど課題もあると思いますが、防災拠点の施設に採用されているということでありますので、地震対策として有効だと感じます。
そこで、今後の都の免震建築物の取り組みについて伺います。
○中山技術管理担当部長 都では、都有建築物の基準として構造設計指針などを定めておりまして、重要な防災拠点や救護施設など、大地震において機能確保が特に必要なものなどについて、免震構造の採用が検討できるとしています。
免震建築物は、地震被害が抑えられますが、免震装置の設置などにより、一般的に初期建設費がふえ、維持管理も必要になるなどコスト増になります。一方、地震による被害は軽減されるため、損失費が少なくなることから、トータルコストでの効果検証が必要となります。また、建物の規模や敷地条件などにより、免震装置の設置が難しい場合もございます。
これらの課題を詳細に分析するとともに、施設に求められる防災の機能確保の重要性を勘案した上で、免震構造の効果が高いと考えられるものについては、適切に導入の検討を進めてまいります。
○加藤委員 耐震、制振、そして免震と、それぞれ地震対策には特徴があると思うんですけれども、一庁、二庁はたしか制振が施されていたと思います。長周期地震動対策としては有効というふうにお聞きしているんですけれども、実際、見させていただきました。
ただ、制振の場合は、固定されていないロッカーなどは、震度七クラスのものが来ると倒れる--倒れないということはいい切れないというふうにちょっと聞いているんですね。そうしたことも含めて考えていかなければいけないのではないかと。
民間では、会社の保有する重要なデータを免震装置に守られたデータセンターで保管するという動きもあります。BCPの観点からも、人、物、電子データなど、事業継続にとってなくてはならない、そうした観点があると思いますので、建物の耐震化とともに、事業継続という点に重きを置いて、トータルコストを検証しながら、免震構造もふやしていくことを要望したいと思います。
次に、ことしの七月に二回目の契約更新を行いました両国シティコアについて伺います。
両国シティコアは、オフィスのほか、スポーツ施設や劇場、さらに地域集会施設など、都民の利用できる施設の提供も行い、両国地域のシンボルとしてその役割を果たしてきております。
そのため、我が会派は、平成二十四年七月当時の信託契約満了後の対応策として、単なる不動産の運用という視点だけではなく、居住地部分にも影響が及ぶおそれがないよう、居住の安定やまちづくりの視点から、都が引き続き所有して対応策をとるよう強く求めてきたところでありまして、これまでの契約更新はこれに対応したもので、一定の評価ができるものと考えております。
今回は決算委員会ですので、既に契約を更新した事業がその後どのように運営されたのか、また今後はどのように運営していくのかという視点から、幾つか質問していきたいと思います。
まず、信託事業を継続するには、事業の安定性が確保されていなければなりません。
そこで、前回の更新時に十七億円の借入金残高がありましたけれども、平成二十四年七月から五年間の延長期間で計画どおり返済できたのかどうか、まず伺いたいと思います。
○鈴木利活用調整担当部長 前回の更新時に残りました借入金につきましては、信託事業の収入面では、テナント誘致や賃料交渉を進めた結果、地域相場に応じた賃料収入により、安定した収入を確保いたしました。
一方、支出面では、管理費などについて創意工夫を重ねて、管理コストの削減等を行いました結果、平成二十七年三月に借入金の全額を完済しております。
○加藤委員 借入金については、信託ビルの高稼働率の確保や管理コストの削減等により、計画より二年以上早く完済したということがわかりました。
では、ことし七月に再度延長を行った理由、これについて伺いたいと思います。
○鈴木利活用調整担当部長 今回の延長につきましては、専門家から、堅調に推移している賃貸状況の恩恵を享受しながら、適切な運用に努め、市場において競争力を有する状態を維持し、改めて出口戦略を検討することが最善の利活用方法という意見をいただいているところでございます。
また、将来の社会経済状況や、都の行政需要の変化の可能性を踏まえますと、一定期間ごとに改めて検証することは適切であると判断し、延長期間は五年間といたしました。
○加藤委員 専門家からも、賃貸状況が堅調に推移しているということから、市場競争力を維持し、信託事業の適切な運用に努めるとして信託契約を更新したと、こういうことでありますが、二十八年度の決算書でも配当金は五百万円ということでありました。
では、今後の信託配当はどのように見込んでいるのか伺います。
○鈴木利活用調整担当部長 平成二十八年度事業実績報告の信託配当額では、借入金を完済したこと、入居率は現在一〇〇%でありまして、賃料設定はおおむね市場相場を維持していることなどから、引き続き健全な資産運用が可能であり、信託配当は、平成二十七年度の五百万円から、平成二十八年度は一億円へ増額となっております。
また、各年度の実際の信託配当額につきましては、収支状況や大規模修繕の計画等を勘案し、決定しておりますが、今後も、テナント賃料収入の維持、増加に努めるとともに、管理費の抑制に取り組み、安定した信託配当を確保してまいります。
○加藤委員 信託配当をふやしたということは、評価できるというふうに思います。
また、信託配当には、収入面のほかに、大規模修繕による影響があるということでありますけれども、大規模修繕に当たっては多額の費用が発生すると思われます。
そうしたことから、積み立てを行っているのかどうか確認するとともに、また、建設されてから二十五年を経過した両国シティコアが、新しい大規模な民間ビルとの競合に対して、どのようにしてこの信託ビルの価値を下げずに競争力を確保していくのか、そうしたことを伺いたいと思います。
○鈴木利活用調整担当部長 両国シティコアにつきましては、これまで必要に応じて修繕やメンテナンスを実施し、建物、設備等は適切に管理されております。
お尋ねの積立金につきましては、毎年度実施しました修繕状況を踏まえて修繕計画を適宜更新し、今後予想される大規模修繕費用を把握するとともに、不測の事態への対応も含め、修繕積立金を適切に積み立てております。
今後も、中長期の修繕計画に基づきまして、建物、設備等の大規模修繕を適時適切に実施して、建物の資産価値の毀損を防ぎ、競争力の維持を図ってまいります。
○加藤委員 借入金を完済して信託配当を増額するとともに、信託ビルの老朽化には計画的に修繕を行って、資産価値を維持していくということでありますが、土地信託事業の事業運営は、信託銀行に任せ切りではいけません。
都が、適切な信託財産の運営が行われているかちゃんとチェックしていくことも重要と考えますが、都の見解を伺います。
○鈴木利活用調整担当部長 土地信託契約書におきまして、信託銀行に対して、当該年度の事業実績報告及び翌年度の事業計画の報告を義務づけておりまして、都としましては、その中できめ細かなヒアリングなどを実施し、信託全般の収支計画を検証していく過程で、両国地域周辺での不動産市況の状況や管理委託コストの動向などと照らし合わせてチェックを行っております。
また、信託財産に関する調査及び監査につきましても規定されておりまして、都は必要に応じ、修繕計画の検証、緊急的工事の妥当性、省エネ化の推進など、資料または報告を信託銀行に求めながら、チェックを行ってきております。
こうした取り組みを通じまして、土地信託事業として安定的な事業運営がなされるよう、今後とも適切な運営に努めてまいります。
○加藤委員 両国は、昨年十一月にすみだ北斎美術館がオープンしまして、大変にぎわっております。さらに今後、刀剣博物館もオープンしまして、既存の江戸東京博物館、そして国技館とあわせまして、新たな人の流れができるものと期待をされております。二〇二〇年の大会ではボクシングの会場ともなります。
そうした中で、この両国シティコアの都有地は、貴重な土地であることに変わりはなく、むしろ将来の利活用の可能性はさらに広がります。都が引き続き所有し、貴重な都有財産の有効な利活用に向けて、都としての責任ある対応を強く要望しまして、質問を終わります。
○佐野委員長 お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で財務局関係を終わります。
○佐野委員長 これより政策企画局関係に入ります。
初めに、先般の人事異動に伴い、政策企画局長に遠藤雅彦君が就任いたしました。
遠藤政策企画局長から挨拶及び交代のあった幹部職員並びに過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員の紹介があります。
遠藤雅彦君を紹介いたします。
○遠藤政策企画局長 去る十月十六日付で政策企画局長を拝命いたしました遠藤雅彦でございます。
佐野委員長を初め委員の皆様方のご指導、ご鞭撻をいただきながら、全力で事務事業に取り組んでまいる所存でございます。よろしくお願い申し上げます。
それでは、さきの人事異動に伴いまして就任いたしました当局の幹部職員を紹介させていただきます。
ホストシティプロジェクト推進担当理事の鈴木勝でございます。
また、過日の分科会を欠席させていただきました幹部職員を紹介させていただきます。
外務長の山元毅でございます。
なお、本日、理事の小池潔は病気療養のため欠席をさせていただいております。
以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者挨拶〕
○佐野委員長 挨拶並びに紹介は終わりました。
○佐野委員長 決算の審査を行います。
平成二十八年度東京都一般会計決算中、政策企画局所管分を議題といたします。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○横山総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る十月十一日の当分科会において要求のございました資料につきまして、お手元にお配りしてございます平成二十八年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料によりご説明申し上げます。
一ページをお開きください。平成二十五年以降の知事海外出張の状況でございます。
平成二十五年以降の各知事の海外出張について、二ページにかけまして、出張先、期間、宿泊部屋タイプ、航空機座席クラス、参加人数及び費用を記載してございます。
なお、猪瀬元知事の海外出張の状況につきましては、関係文書が保存期間の満了により既に廃棄されておりますため、都ホームページにおいて公表している内容を記載しております。
以上、簡単ですが、資料についてご説明させていただきました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○佐野委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○もり委員 平成二十八年度各会計決算特別委員会第一分科会、政策企画局決算について質問させていただきます。
政策企画局は、東京都が示す基本構想、総合的な長期計画を策定する極めて重要な役割を担い、昨年度は、新たに小池百合子都知事就任に伴い、都民ファーストでつくる「新しい東京」二〇二〇年に向けた実行プランが策定されました。
長期計画の企画立案として、二十八年度予算は一億九千三百十五万円余が計上されておりましたが、支出済額は五千七百八十七万円余と、執行率は三〇%となっております。
これは、知事の交代による事業終了等の状況の変化によるところが大きいとのことですが、各部局からの個別政策の実現はもちろんですが、東京都の目指す指針の柱となるプラン策定においては、首都東京における人口動態や、背景にあるさまざまな要因も鑑みながら、少子高齢化と人口減少という大きな社会構造の変化に向き合い、東京都としてどのようなグランドデザイン、ビジョンを描き、都民とともに実現をしていくのか、全庁挙げて横断的に取り組みを進めていただきたいと要望し、また、多くの都民にその基本姿勢が共有されることを願っております。
都民ファーストの視点で、都知事の掲げる政策の柱として、誰もが安心して暮らし、希望と活力を持てる東京、成長を生み続ける持続可能な東京、日本の成長エンジンとして世界の中で輝く東京が挙げられております。
世界の中の東京を見てまいりますと、分野別総合ランキングでは、二〇一五年、四位から、二〇一六年には、ロンドン、ニューヨークに次いで世界第三位の都市であり、経済では一位、研究開発ではニューヨークに次いで二位、研究機関や研究者の集積、受け入れ体制では三位となっております。
そういった中で、戦後日本の高度成長期を支えてきた製造業の集積を誇る大田区としても、羽田国際空港を有し、世界に開かれた空と海の玄関口として、空港跡地周辺の整備や、東京オリンピック・パラリンピックを前に、不足する宿泊施設の確保としても全国初の特区民泊の取り組みなど、特区の活用が進んでおります。
これまで、大田区における国家戦略特区の取り組み状況についてお聞かせください。
○松原国家戦略特区推進担当部長 昨年度までの大田区における国家戦略特区の取り組み状況についてでございますが、観光やビジネスの宿泊ニーズに対応した宿泊施設を提供する旅館業法の特例、いわゆる特区民泊につきましては、平成二十八年一月から全国初の運用を開始しておりまして、平成二十八年度末現在で、認定施設は二十六施設、百十八室、利用者数は七百七十一名となっております。
また、道路法の特例を活用いたしまして、平成二十八年度に蒲田駅近くのさかさ川通りにおいて食のイベントが開催されまして、延べ四万人が来場するなど、地域のにぎわいづくりに貢献したところでございます。
さらに、羽田空港跡地地区におきまして、航空ネットワークを通じた多様な来訪者の交流、先端産業と中小企業とのマッチング、クールジャパン情報発信等の施設に係る都市基盤の整備をスピーディーに行うため、都市計画法の特例が活用されたところでございます。
○もり委員 ありがとうございます。
大田区が全国に先駆けて取り組みを開始した特区民泊については、無許可営業による利用者と住民のトラブルを未然に防ぐ意味でも、住民の良好な住環境を守るために、近隣町会、住民の理解や二十四時間対応のコールセンターの設置等、自治体として厳格なルールを定めており、空き家対策とも連携して、活用されていなかった空き家がリノベーションされて、良好な民泊として活用されている実例や、また、ことし三月には、病院と大田区、民間企業の連携により、小児の長期入院により慢性的に不足していた付き添いご家族の滞在環境の改善にも寄与するものとして、全国初の社会貢献型特区民泊の取り組みも期待されております。こうした取り組みも都内に広がればよいと考えております。
また、ただいまエリアマネジメントによる道路法特例としてご説明いただきましたさかさ川通りは、まさに私の住んでいる蒲田で、整備される以前は、どちらかというと裏通りで寂しい通りであったものが、先週にも、さかさ川おいしい収穫祭としてイベントが行われ、多くの方が集い、道が地域コミュニティの場として大変にぎわっておりました。
都市の中心部においては、交通量を規制する政策によって、にぎわいを取り戻したまちづくりの実例も数多くあります。高度成長期の車中心のまちづくりから、人が集い、憩える道の活用のあり方により、都市の豊かさは大きく変化すると実感しております。
都市と都市を結ぶ移動手段としての幹線道路と、まちを活気づける道のあり方、人が集い、地域のにぎわいと産業振興の視点からも、商店街、地域活性化の取り組みとして、都内で希望があれば、このような道路法特例についても拡充していただきたいと考えますが、都のご意見をお聞かせください。
○松原国家戦略特区推進担当部長 ご指摘のエリアマネジメントに係る道路法の特例についてでございますが、これまで、さかさ川通りに加えまして、丸の内仲通り、行幸通りや新宿副都心街路など、都内七カ所で活用してきたところでございます。
今後とも、都といたしましては、区市町村や民間からの要望に応じまして、適切に相談対応するなど、特区認定が得られるよう支援してまいりたいと考えております。
○もり委員 前向きなご答弁、ありがとうございます。
近年、住民、事業主、地権者等による自主的な取り組みとして、エリアマネジメントの手法が注目をされております。ぜひ都としても、そういった地域発意の取り組みを支援していただくようなご支援がいただければと感じますので、よろしくお願いいたします。
また、女性の活躍推進の観点から、国家戦略特区をどのように活用し、どのような取り組みを行ってきたのかについてお聞かせください。
○松原国家戦略特区推進担当部長 女性活躍推進に向けた国家戦略特区の取り組み状況でございますが、保育ニーズの需要増加に対応するため、区市町村と連携しまして、保育所の都市公園内での設置を可能とする特例を活用し、これまで都立汐入公園など十件の認定により、定員約千二百名を確保したところでございます。
また、共働き世帯などの家事負担の軽減につながるよう、外国人家事支援人材の受け入れを可能とする特例についても活用いたしまして、平成二十八年度にサービス提供事業者六者の認定を行ったところでございます。
さらに、国に対しまして提案も行っておりまして、待機児童解消に向けた小規模保育事業の対象年齢の拡大については、本年六月に成立しました改正特区法に盛り込まれ、また、働き方改革の起爆剤となります東京テレワーク推進センターの設置につきましては、本年七月に実現したところでございます。
今後も、国家戦略特区を積極的に活用しまして、女性の活躍推進に係る取り組みを展開してまいりたいと考えております。
○もり委員 ありがとうございます。
女性の活躍推進に向けて、国家戦略特区を活用した待機児童解消の取り組み等をご答弁いただきました。
小規模保育園事業の対象年齢の拡大については、三歳の壁といわれる現状に対しても、保育施設の実情に応じて柔軟な対応が期待されます。
また、働く女性にとっても、結婚、出産を機に仕事をやめざるを得ない現状が、女性有業率のM字型カーブとして、都民の就業状況調査からも顕著であり、男女ともに仕事も子育ても諦めない働き方として、テレワークの推進、働き方改革は、とても重要なテーマです。
テレワーク推進センターの活用を通じて、都内の多くの職場においてテレワークの取り組みが進むよう、ぜひ自治体とも連携をしながら、現場での取り組みを推進していただきたいと考えます。
東京が再びアジア経済を牽引するべく、アジアヘッドクオーター特区、国家戦略特区を活用して、二十八年度は外国企業四社の誘致が、決算額二億四千万円余で、四年間で五十社の誘致が達成されたことになります。ぜひ都の支援により、積極的に都内企業との連携を進めていただき、自治体の産業支援窓口とも連携しながら、日本経済の基盤である中小企業の技術革新や成長産業分野への参入につなげていただきたいと要望いたします。
また、都市外交の推進のための予算については、かつて華美な海外出張が問題となっておりました舛添都知事時代の三億三千万余から四千五百九十万余と、小池都知事となり、大きく海外出張費の見直しが行われていることも評価をいたします。
以上をもちまして政策企画局の質疑とさせていただきます。ありがとうございました。
○小松委員 私からも、アジアヘッドクオーター特区と国家戦略特区について伺います。
初めに、アジアヘッドクオーター特区について確認をさせていただきます。
東京の国際競争力を向上させ、さらなる成長へと導くため、アジア地域の業務統括拠点や研究開発拠点のより一層の集積を目指し、特区内への外国企業誘致を推進することを目的としたものですとありますのは、ホームページからの抜粋であります。日本経済の原動力である東京の経済がさらに活性化することは、極めて重要な国家戦略でもあり、我が党も、こうした動きに大いに期待するものであります。
そこで、東京都のアジアヘッドクオーター特区のこれまでの取り組み状況について伺います。
○松原国家戦略特区推進担当部長 アジアヘッドクオーター特区におきます外国企業の誘致実績でございますが、アジアの統括拠点または研究開発拠点を特区内に設置する外国企業につきましては、平成二十八年度末までの五年間で、目標でございました五十社の誘致を実現したところでございます。また、将来的にこれらの拠点の設立意思がある外国企業につきましても、三十社誘致したところでございます。
さらに、これらの誘致による経済効果といたしましては、平成二十八年度末までで、誘致企業の事業実施に伴う人件費などの直接的な投資額が約百九十億円でございまして、また、新たな雇用が約六百人創出されたところでございます。
また、誘致企業と都内企業等との間で、平成二十八年度末までに二百三件のビジネスマッチングが成立したところでございます。
都といたしましては、今後、こうしたビジネスマッチングをより活性化させ、都内経済の成長促進を図ることが重要であると考えております。
○小松委員 ただいまの答弁でも明らかでございますが、一定の成果が出ているということだと認識をいたしました。
また、二百三件のビジネスマッチングがあったということでありますけれども、我が国にはまだまだ、付加価値の高い技術を有しながらも、さまざまな課題によって、海外進出や販路拡大につなげることができていないでいる中小企業というのも、数多く存在しているものと思います。企業経営者の方からすれば、こうした取り組みによって外国企業とのビジネスマッチング、これは、これまで進出ができなかったさまざまな障壁を取り除く一助となることが期待できるものと思います。
そこで、アジアヘッドクオーター特区における本年度の外国企業誘致の取り組みについて伺います。
○松原国家戦略特区推進担当部長 外国企業誘致による都内経済の活性化を図るために、平成二十九年度からの四年間で、IoTなど第四次産業革命関連の外国企業及び資産運用、フィンテックなど金融系外国企業を、それぞれ四十社誘致する新たな目標を設定したところでございます。
このため、今年度から新たに、ロンドンなど海外三都市に海外誘致窓口のアクセス・ツー・トウキョウを設置し、誘致企業の発掘とスピーディーな交渉を行うとともに、市場調査などの無償コンサルティングサービスなどを活用しまして、目標達成を目指しているところでございます。
さらに、外国企業と都内企業との共同によるイノベーションを促進するため、平成二十九年度からの四年間で、これら企業の引き合わせ件数千件の目標を設定いたしまして、この目標に向け、外国スタートアップ企業の創業を支援するアクセラレータープログラムに加えまして、都内自治体などと連携したマッチング商談会を開催しておるところでございます。
これらの取り組みによりまして、都内経済の成長に貢献してまいりたいと考えております。
○小松委員 次に、国家戦略特区についても伺います。
政策企画局のホームページを拝見しますと、この国家戦略特区の目的として、世界で一番ビジネスのしやすい環境を整備し、世界から資金、人材、企業等を集める国際ビジネス拠点を形成するとともに、創薬分野などにおける起業、イノベーションを通じ、国際競争力のある新事業を創出するというふうにあります。
そして、東京都は、平成二十六年五月の区域指定以来、都市再生、医療、創業、雇用、女性活躍の推進などさまざまな分野において、特区のメニューの活用や新規規制改革の提案などをされてきたと聞いております。
実際に、私の地元の世田谷でも、蘆花公園であったり、祖師谷公園といった都立公園の中に保育施設の設置が可能となって、待機児童の解消にも一役買っていただいているというふうに理解しています。
そこで、国家戦略特区の昨年度の主な取り組みについて伺いたいと思います。
○松原国家戦略特区推進担当部長 昨年度の東京都におきます国家戦略特区の取り組みについてでございますが、二十六事業が内閣総理大臣の認定を受けておるところでございます。
その主なものといたしましては、ご指摘のあった都市公園法の特例のほか、例えば都市再生の分野では、大手町の常盤橋地区などにおける国際ビジネス拠点の整備について、都市計画法などの特例を、また、日本橋仲通りなどにおけるエリアマネジメント活動について、道路法の特例を活用したところでございます。
また、女性の活躍推進と高度金融外国人材などの受け入れ促進のために、外国人家事支援人材の特例を活用し、サービス提供事業者六者の認定を行ったところでございます。
これらの認定事業に加えまして、待機児童解消に向けた小規模保育事業の対象年齢の拡大ですとか、多摩・島しょ地域の振興を目指した島焼酎特区の新規提案も行ったところでございます。これらの提案については、さきの通常国会に提出された改正特区法に盛り込まれ、本年六月に成立したところでございます。
このように、特区の取り組みにつきましては、都市再生分野を初め、特例を積極的に活用するとともに、法改正につながる規制改革提案を行ってきた点で、一定の成果を上げたものと考えております。
○小松委員 既に都の発展並びに都の行政課題を解消していく上で期待されるさまざまな取り組みがスタートしているということが、改めて確認できました。
また、今ご答弁いただきました最後のところ、法改正につながる規制改革提案、こうしたところも、実際は特区にはなりませんでしたけれど、都市農地の保全についても、舛添知事の時代でありましたけれど、ああいう形でさまざまに東京都が前向きに、都の行政課題を解決するための方策として、議論が活発になった大きな契機だったと思いますし、そのことで、国会で都市農業振興基本法が進み、今、東京都、そして各自治体の方で、生産緑地の最低下限面積などの話にもつながっているんじゃないかなというふうに思います。
なので、全てが特区にはつながらなくとも、そうした前向きなさまざまな積極的な提案、また議論が、大きく国を動かせるんじゃないかなという意味で、今後も期待していきたいと思います。
その上で、国家戦略特区の今後の展開についても伺いたいと思います。
○松原国家戦略特区推進担当部長 都では、平成二十八年十二月に実行プランを策定いたしまして、国家戦略特区などを活用して、アジアナンバーワンの国際金融都市の実現や、外国企業の誘致を加速していくことを定めているところでございます。また、国家戦略特区は、女性活躍の推進や観光などの分野でも重要なツールとなると考えております。
このため、今後とも、既存の特区メニューを活用していくとともに、新たな規制改革の提案を行うなど、国家戦略特区を積極的に活用してまいりたいと考えております。
○小松委員 これまでのご答弁いただきましたことで確認できたように、大変多彩な事業が多岐にわたって展開された事業だということであります。東京都における各種の行政課題を解決するためにも、有効な手段の一つであるということもよくわかりました。
ただ、幾つか危惧する面もありますので、意見の一つとして最後述べさせていただきたいと思います。
これほどまでに多彩な領域を展開するに当たって、しっかりと目標管理をしていけるのかどうかということが大変気になります。さっき宮瀬委員も、これは財務局のときですかね、KPIの話をされていましたけれど、せっかく事業化しても、それが当初の狙いどおり進んでいるのかどうかというのは、大変重要な取り組みだと思います。
今後も新たな提案を積極的に行っていただきたいということの期待は、先ほど述べましたが、それを応援したいがゆえに、この目標と、実績が大きく乖離しているというようなケースも、今後起こり得る可能性があるということを危惧しているわけでありまして、そのことで、新たな提案とか施策をやってもなかなか管理ができない、結果が伴わないということで、消極的になってしまっては本末転倒だというふうに思っています。
また、ご答弁いただいた中には、課題について余り言及がなかったような印象を持ちました。できていることばかりではないと思っていますし、順調な中にも、よりよくするための改善点、こうしたこともあるんだと思います。まさに担当の皆様の方が、その点はよくご存じだと思っています。
課題の設定や目標管理、改善提案といった一連の確動性の高い施策立案能力というのが、今日の東京都の行政マンのコアコンピタンスだというふうに期待もしております。釈迦に説法でありますけれども、こうしたさまざまな懸念を払拭すべく、ぜひモニタリングをしっかりと行っていただく体制の充実、そしてKPIの設計やチェックを丁寧にお願いしたいということをお伝えして、質問を終えます。
○とくとめ委員 それでは、二〇一六年度、平成二十八年度決算にかかわって、知事の海外視察の改革の中身について質問いたします。
昨年、我が党の都議団が舛添知事の海外視察について徹底調査分析して公表したことが契機になりまして、海外出張の無駄遣いなど異常な実態が都民の前に明らかになりました。
きょう要求資料をお出しいただきましたけれども、見ていただければ、本当にひどい事態だなと。小池知事が指針をつくって節約しているものの十倍以上のお金が使われていたんだということ、改めて驚くような事態であります。最大で一泊二十万円もの宿泊費や、さらに驚くことに、パリ、ロンドンの海外出張では、三百七十四万円もするファーストクラスの航空機を使っている。空港の貴賓室使用など、都民の税金を使った豪華海外出張に、多くの都民から批判が沸き起こりました。
そこで、海外出張の改革にかかわってお尋ねします。
最初に、平成二十八年度の予算において、知事の海外出張費用が約三億三千五百万円も計上されておりました。この予算について、編成当時から、知事の宿泊ホテルのスイートルーム使用や飛行機のファーストクラス使用、職員のビジネスクラスの使用についても、最初からそれは想定されて編成されていたのかについてお伺いします。
○加藤外務部長 平成二十八年度予算の海外出張経費につきましては、これまでの海外出張の実績等を踏まえ、航空賃や宿泊料などを積算し、予算計上いたしました。
○とくとめ委員 一昨年までの舛添前知事の海外出張の実績を踏まえて計上したということでした。つまり、舛添前知事の海外出張で使用した宿泊ホテルのスイートルーム使用や飛行機のファーストクラス使用も、前提となっていたということだと思います。
そこで伺いますが、この平成二十八年度の海外出張費予算の執行率はどのようなものであり、その内訳はどうだったのか、お伺いします。
○加藤外務部長 予算三億三千四百九十一万二千円に対して、決算額は五千七十二万七千円であり、執行率は一五・一%でございます。
内訳といたしましては、舛添前知事のニューヨーク、ワシントン出張が三千二百八十八万円、小池知事のリオデジャネイロ出張が二回分で一千三百三万七千円、リオデジャネイロ大会前の職員による事前調整のための出張が四百八十一万円となっております。
○とくとめ委員 こうして比べてみても、舛添前知事の海外出張がいかに高額で豪華なものだったかということが浮き彫りになっています。都民の税金の使い方としても絶対に許されないものだったということができると思います。再発防止のためにも、都民から見ても信頼できる厳格なチェックができる仕組みが必要だと思います。
昨年四月に行われた舛添前知事のニューヨーク、ワシントンへの出張について、ホテルの部屋や随行職員の数、飛行機の座席など、どのようにして検討して決定したのかについて伺います。
○加藤外務部長 平成二十七年度に実施いたしましたロンドン、パリの海外出張に係る経費についての都民からの批判を踏まえまして、ニューヨーク、ワシントン出張におきましては、効率的な体制の構築と経費節減を検討した上で、出張人数の見直しなどを行い、実施いたしました。
○とくとめ委員 海外出張の随行職員などの見直しを行ったとのことですけれども、知事の宿泊は十四万円から十五万円のスイートルーム、航空機は二百二十五万円もするファーストクラスが使用されています。総額は約三億三千三百万円もの巨額な税金がつぎ込まれています。こうした都民感覚から見て全くかけ離れた実態などもあり、都民からの厳しい批判に耐え切れずに、舛添前知事は辞職するということになりました。
厳しい都民批判が広がる中、こうした現状を改善するために、ニューヨーク、ワシントンの海外出張の後、どのような検討が行われたのかについてお伺いします。
○加藤外務部長 都民からの厳しい批判などを受けまして、都庁内に海外出張経費検討会を立ち上げ、その案をベースに都政改革本部の内部統制プロジェクトチームで検討を行いました。
その検討結果については、昨年十二月にプロジェクトチームから知事へ報告するとともに、その報告を受け、事務手続上の要素も盛り込んだ東京都知事の海外出張に関する運用指針を策定いたしました。
○とくとめ委員 運用指針を策定して改善に当たってこられたということだと思います。
小池知事のもとで、東京都の知事の海外出張に関する運用指針が策定されたことは、いただいた資料からも、明らかに税金の使い方が十分の一ぐらいに減っているという点では、もう本当に評価できる前進面があると思います。
しかし同時に、なぜそのときに、条例改正ではなくて運用指針にとどまったのかについてお伺いします。
○加藤外務部長 東京都知事の海外出張に関する運用指針は、知事の海外出張の総経費を抑制する明確なルールを策定するべきであるという内部統制プロジェクトチームの報告を受け、条例、規則などの趣旨を踏まえまして、出張経費の適正化を図るために定めたものでございます。
指針を遵守することで、条例改正を要せずとも総経費を抑制できると考えております。
○とくとめ委員 条例の改正は行わなくても、運用指針の策定と遵守によって海外出張をめぐる異常な税金の使い方の改善はできるという答弁でした。一部は前進面として、小池知事の海外出張のときにそれが実行されていると思います。
ところが、石原元都知事のときに、豪華な海外出張のあり方、税金の使い方に厳しい批判が集まりまして、平成十九年春に、都知事選を目前にして、知事海外出張の透明性向上等についてという海外出張の改善に関する文書が、当時の知事本局によって作成をされました。
しかし、この改善方針が、石原元都知事の後を継いだ舛添前知事のもとでは生かされずに、再び豪華な海外出張が繰り返されて、大きな都民批判を招き、知事辞任の原因にもなりました。このことについてはどのように認識をされているでしょうか。
○加藤外務部長 平成十九年二月に知事本局が作成した知事海外出張の透明性向上等についてでは、ホームページにおける出張成果の公表、競争による契約方法の導入、経費節減のための一層の工夫について、三つの取り組み方針を定めました。ホームページへの出張成果の公表を初め、競争による契約を行うなど経費節減を努めてまいりました。
しかしながら、前知事の出張では、一回の出張において多数の要人とのアポイントや視察など多くの予定を盛り込み、直前まで調整を行うことが多く、出張日程の確定に時間がかかり、意思決定が出発直前となったことによりまして、競争による契約ができず、経費の増大を招くことがございました。
○とくとめ委員 今の答弁を伺いますと、図らずも運営指針では非常に不安が残るということを証明されている気がします。まさに舛添前知事の意思決定に左右されて、経費削減ができないこともあったということだったと思います。このことは、せっかく改善の方針を定めても、その時々の知事個人の判断に左右されて、方針どおりにはそれが実行されないということもあることを示しているのではないかと思います。
二〇〇七年、平成十九年二月の海外出張に係る改善方針も、石原元都知事自身の豪華海外出張に対して批判が集まって作成した改善策だったにもかかわらず、その後も石原元知事による豪華な海外出張は改善されませんでした。
この二〇〇九年、平成二十一年に、我が党の都議団は、五輪に係る二〇〇九年度の知事海外出張費の浪費の実態についてと、そういう文書を発表して、五輪招致のためとはいえない海外視察の出張のあり方や浪費の実態を明らかにして、翌年の予算特別委員会でも追及いたしました。
その結果、都が平成十九年に取りまとめた経費削減のための一層の工夫を含む改善策に沿いまして適正に執行してまいります、そういう答弁をいただきました。にもかかわらず、舛添前知事のもとでまた同じことが繰り返されてしまったことは、本当に許されないことだと思います。
昨年、小池知事のもとで定めた運用指針については、私たちは、実際の節約、改善の実例を見ても評価できる内容になっていると考えております。実際に、今週末からの小池知事のパリ出張も予算規模が大きく節約をされて、小池知事以前には数千万円の海外出張費となっていたものが大幅に改善されて、資料にもあるように八百万円になっております。
しかし、現在の運用指針では、その時々の知事自身の判断によって、指針の内容を変えたり廃止することも可能になっている。そういうことが二度と起こることがないように、議会での議決を得た条例で縛りをかけることが、豪華な海外視察の再発を許さない歯どめになるのではないでしょうか。
引き続き運用指針の完全実施を求めるとともに、条例改正も行うべきだという我が党の立場と要望を述べて、質問を終わります。
以上です。
○宮瀬委員 私からは、広報についてお伺いいたします。
広報といいましてもいろいろあると思いますが、戦略広報という部署が政策企画局にはあると思っております。東京都の各局のさまざまな政策は、大変すばらしいものだとか、日々皆様が尽力されてつくられて、練り上げられた、そして、時に私たち都議会議員が指摘をさせていただき、一緒につくってきた政策も多々あると思っております。
その中で残念なことがございまして、例えば平成二十六年度の福祉保健局の調査に、都の調査でございますが、各施策における都民の認知率が総じて一割や二割と。つまり、いろんな政策を立案し、窓口をつくっても、その政策がほとんどの方に知られていないと。実はその調査も、五年前の調査と比較しても改善がほぼ見られていないという状況であります。
私自身も毎年、定点観測として外部調査機関を使いまして調査しておりますが、総じて、都の施策の認知率はおおむね一割から二割、よくて三割でございます。
例えば、妊婦さんが妊娠、育児、出産の情報を必要としていると。ほかの方は、必要と今していない方は、当然、そういった窓口を知らなくて当たり前ではありますが、クロス集計をしたり分析をしますと、例えば妊娠、育児に悩む都民の妊娠相談ほっとラインの認知率は、わずか約三割でございます。
何がいいたいかといいますと、そもそも東京都の施策がほぼ知られていない。しかも、その施策を必要とする方に対しての認知率も、妊娠相談ほっとラインの例でありますが、三割でしかないということであります。これでは、さまざまな施策や政策を立案しても、その税金で成り立つサービスが必要な方に届けられなければ、その施策がないのと同様になってしまいます。
その中でどのように進めていくのか、私は大きな課題だと思っておりまして、都には政策企画局に戦略広報担当という部署があると思います。まず最初にその目的と役割、さらには戦略とは一体何を指すのか、お伺いいたします。
○古川戦略広報担当部長報道担当部長兼務 政策企画局は、全庁にわたる重要施策を俯瞰的に捉え、知事のトップマネジメント広報を行っております。
戦略広報でいう戦略とは、知事の発信力を生かして、メディア等を効果的に活用したパブリシティーを指してございます。
○宮瀬委員 日本語ですので、戦略というのを改めて広辞苑で調べまして、二つございます。一、いわゆる戦争で使う際の戦略と呼ばれるものでございます。二つ目は、ビジネス等で、例えばこういった質疑もそうですけど、戦略というのが、組織などを運営していくについて、将来を見据えての方策、また総合的な準備、計画、運用の方策と書いてございます。
今のご答弁をしっかりとお伺いしますと、実際に都の戦略広報というのは、一般的にその戦略といわれる文言や内容と乖離があるように思っております。つまり、東京都のいう戦略広報とは、知事広報とそれに伴う総合調整機能にとどまっていると捉えてよろしいんでしょうか、ご答弁をお願いします。
○古川戦略広報担当部長報道担当部長兼務 政策企画局が行う戦略広報とは、知事の発信力を活用した効果的なメディア活用などを通じた広報活動でございます。
○宮瀬委員 質問が、今のご答弁を受けて、知事広報とそれに伴う総合調整機能にとどまっているんじゃないかということを確認したんです。答弁が先ほどの答弁と同じだったんですけれども、多分、このやりとりを続けても同じ回答しか来ないのを経験上知っていますので、次に移らせていただきますが、私の実感ですと、やっぱり今のご答弁のとおり、一般的な戦略と呼ばれるものとは少し違って、知事の発信、つまり記者会見ですとかプレスリリースとか、そういったものと、都庁の各局から出てくる情報をプレスリリースに載せるといったことにとどまっているのではないかなと思っております。
その中で、視点を変えてお伺いしたいと思うんですが、では都の各局を含めた都全体の広報の予算は一体幾らなのでしょうか、お伺いいたします。
○古川戦略広報担当部長報道担当部長兼務 都における広報予算は、各局が個別の事業を実施する中に含まれていることも多く、全体把握は困難でございます。
政策企画局は、都全体の広報予算の把握を行っておりません。
○宮瀬委員 戦略広報という名称の部署があって、広報全体、各局どれぐらいの予算を使っているのかというところも把握されていないと。それは役割、職責でそうなっているのかもしれませんが、となると、じゃあ一体どこの局が東京都全体の広報の予算を管理し、効率的な運用に努め、そして運用していくのかといったところで疑問が残るわけであります。
つまり、東京都全体の広報の予算が幾らなのか、またどういう戦略でやっていくのか、皆様の局が把握していないと、把握は困難ということでありますと、じゃあ一体どこがやるんですかといった疑問が生じるわけであります。
そこで、多くの民間企業が、社長直下にその機能を設けているようなところも多いと思いますが、東京都にも改めてそういった機能が必要なのではないかなと、私は個人的には、決算とそれますので質問はしませんが、思っております。
そこで、私の方で広報予算、大体どれぐらいなのかということを各局から取り寄せまして、合算してまいりました。昨年度の数値でありますが、あくまで推定になります。広報の予算というのは、どこまで広報なのかって非常に難しい分野分けの、例えばパンフレットをつくる、またはDMを送る、テレビを使う、新聞を使うといったことはわかりやすいですけれども、パンフレットが、じゃあどこまで入れるのか、啓蒙活動はどうするのかという問題はありますが、全部入れて推定三十五億から五十億ぐらいだという足し算となりました。私は相当な金額だと思っておりまして、しっかりと全体像を把握して、ニーズを捉えた目標、効果、結果指標を設けるべきだと思っています。
とにもかくにも、まず全体像を把握すべきと考えますが、所見をお伺いします。
○古川戦略広報担当部長報道担当部長兼務 政策企画局は、知事のトップマネジメント広報を戦略的に支える役割を担っておりまして、都庁全体の広報予算などの管理は行ってございません。
○宮瀬委員 そういうことで答弁なんですけれども、そうなりますと一つ矛盾がございまして、平成二十七年第四回定例会におきまして、この戦略広報のあり方を知事に質問をさせていただきました。その中で、政策企画局が答弁調整を行ったと思うんですが、その認識でまずよろしいでしょうか。
○古川戦略広報担当部長報道担当部長兼務 委員お話の平成二十七年の第四回定例都議会で、その質疑応答の答弁調整を行っております。
○宮瀬委員 今の事実を鑑みますと、いわゆる戦略的な広報のあり方についてお尋ねするといったときに、政策企画局の皆さんがご担当されて、私と議論を事前にさせていただいたはずであります。となりますと皆様にその役割があるのではないかと。教育庁でもありませんし、生活文化局でもありませんし、皆様にまずは、都庁としても、知事の答弁にありましたが、役割があるんじゃないでしょうか。
ここまでちょっと、余りいうと、そこはもうここで答えられる範疇を超えちゃうと思いますので、それは伏せますが、何がいいたいかといいますと、これだけ巨大なお金があって、広報の予算を使っていて、一方で、その重要な東京都の施策が、困っている方に情報が届いていないといったところであります。私どもは担当していない、把握していないといったことではなくて、誰かがマネジメントしていかなければいけないのではないかと私は思うわけであります。
ただ私は、文句だけいうのが嫌でございまして、じゃあどうするのかといったことでありますが、例えば民間企業でありますと、いろんな部局があります。ただ、会計の支払いとか伝票入力をする際に、きちっとプルダウン式で入力する際に広報という項目があります。そこで広報という項目を選んで、金額を入れて入力をして、伝票をつくっていただくと、それでしっかりと広報で検索すれば、年間、広報にどれぐらい予算を使ったかがすぐわかるわけであります。
このように、会計管理局と連携をしながら広報の予算がまず実態どうなっているのか、把握されていくのも一つのアイデアだと私は思っております。
ちょうど、東京都が支払っている費用の支出に関しましても、七月に七十万件の公開が行われているような機運になってまいりました。いずれにせよ、広報に対してお金をかけているわけでありますから、いずれ皆さん公開されるわけであります。ぜひ、公開されるその情報の前に、会計処理の仕方で、全体の予算をまず把握していただくことを強く要望いたします。
次に、平成二十七年第四回定例会で知事の所見をお伺いしたところ、広報の戦略的な取り組みについて、全庁にわたる重要政策を俯瞰的に捉え、私が発信すべきトップマネジメント広報を戦略的に支える新たな体制を政策企画局の中に整えました、今後とも、メディアやコミュニケーションツールなどを効果的に活用しながら、都庁全体が一丸となって都政の発信力の向上に努めてまいりますと答弁いただきました。
知事の答弁から二年余りがたちまして、取り組みの状況と進捗をお伺いするとともに、課題認識及び今後の対応を伺います。
○古川戦略広報担当部長報道担当部長兼務 都における広報の役割を改めて申し上げますと、まず各局が所管事業の広報を行います。生活文化局が広報に係る総合的な企画及び連絡調整を行っております。一方で、政策企画局は、知事のトップマネジメント広報を戦略的に支えてございます。
戦略広報担当では、知事の発信力を生かした効果的なメディアの活用を行うとともに、インスタグラムによる発信なども新たに始めております。さまざまなツールを活用した取り組みを行っているところでございます。
今後とも、それぞれの局が密接に連携いたしまして、都政の発信力の向上に取り組んでまいります。
○宮瀬委員 まず各局がやることだということは、もう十分承知しております。
しかし、調査によりますと--東京都の調査であります、押しなべて全局数字が低いわけであります。認知率が一割、二割です。ということは、各局の努力の範囲もそろそろ私は限界なのかなと思っておりまして、だからこそ、冒頭に申し上げました戦略が、やはり牽引役が必要なのではないかというご提案でございます。
皆さんの中では、やっぱり組織の中で、そういう役割がおりてこないといったことでもしありましたら、ちょっと酷な質疑になってしまいましたが、大事なことは、苦しんでいる方が東京都の施策を知ることでありますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
最後のテーマに参ります。
今回の決算の中で、平成二十八年度海外広報事業の展開についてということで、約四・七億円が計上されております。東京都全体の予算の中では小さいかもしれませんが、金額の多寡ではなく、税金を扱うことへの姿勢を少し確認していきたいと思っております。
まず、この事業の概要と目的についてお伺いします。
○梅田海外広報担当部長 東京都は、国際社会における東京の理解度と好感度を一層高めていくため、海外広報に関する民間事業者のノウハウを活用しながら、情報発信に取り組んでいるところでございます。
具体的には、都政の情報や東京の魅力を発信するため、海外向けPR冊子の作成に取り組んでいるほか、速報性にすぐれたフェイスブック、ツイッターなどSNSを活用しまして、写真や動画などの視覚的に訴求力のある素材を使用して情報発信を行っているところでございます。
また、都庁全体の海外への情報発信力を強化するため、職員の講習会の開催等により、各局の海外広報スキルの向上を図っているほか、海外メディアなどに対します知事による情報発信への対応など、また海外広報に関する効果測定など、さまざまな取り組みを行っているところでございます。
○宮瀬委員 では、取り組みの概要と目的はわかりましたので、お金を使うことでありますので、現状の数値及び目標数値、KPIについて伺います。
○梅田海外広報担当部長 海外広報業務は、民間事業者のノウハウを活用しながら取り組んでおります。
SNSを活用した取り組み等、実績把握等が容易であり、数値化になじむ取り組みもあれば、一方では数値化にはなじまない取り組み、例えば職員の海外広報スキルの向上のような取り組みも実施してございます。個々の取り組みにつきましては、契約書において、実施規模の目安は定めているところでございますが、数値目標については定めておりません。
また、KPIにつきましては、通常、事業目標を達成するための各取り組みの評価指標として活用されているということは十分認識しておりますが、海外広報の委託業務においては、明文化してはおりません。
○宮瀬委員 都民の税金を四・七億円投じて海外にPRしていくといったことに対して、現状がどうなっているのか。
今、一つ目の質問でありましたけど、東京の理解度と好感度を一層高めていくためということが事業の目標として掲げられておりましたが、ということは、東京の今の理解度と好感度がわかっていなければ、どれぐらい一層高めていくかの目標も定まらないと私は思うわけであります。
今の答弁ですと、KPIは海外の広報の契約にはないとか、数値目標は設定していないといった答弁がございましたが、やはりそういう状況でありますと、現状数値や目標数値がないと総括ができないと思います。
なぜ把握していないのか改めて伺います。
○梅田海外広報担当部長 海外広報は、全庁的な立場から、国際社会における東京の理解度と好感度とを一層高めていくため、平成二十七年度に新たに設置されました組織でございまして、主に海外の意思決定層に東京の魅力を正しく理解していただくことを大きな目標にしております。
海外広報の事業におきましては、例えばフェイスブックのファン数、ツイッターのフォロワー数及び知事のインタビュー回数など、実績を数字で評価しやすい事業もございます。しかし一方では、PR冊子の効果、あるいは海外広報スキルの向上などにつきましては、数字ではなかなか評価しにくいと考えているところでございます。
○宮瀬委員 全庁的な立場から、主に海外の意思決定層に東京の魅力を発進、理解してもらうと。では、海外の意思決定層というのは、どこの国のどれぐらいの量で、どういった人たちなのか。そのターゲットが海外の意思決定層ということであれば、本来であれば、じゃあそれは誰ですかと、どれぐらいですかというのがあってしかるべきだと私は思うわけであります。
ここは質問にしませんが、つまり何がいいたいかといいますと、何となくやっているんじゃないのかなと、失礼ですが思ってしまいます。
その疑念を払拭するために、四・六億の内訳をいただきました--約四・七億ですね、を見ていて、これ企業情報にもなりますので、詳細を全部いったりもしませんが、全項目が十一テーマぐらいございます。この企画でこの費用が本当にかかるんですかといったものも、例えば原稿、資料の作成及び翻訳の実施というのがありまして三千六百万と。私、質問を調整していただく中で、何をどれぐらいか全部出してほしいといったときに、それがやはり出てきませんでした。
その中で一つ例をとって、わかりやすいので、SNSやウエブサイトにおけるコンテンツの作成等についてのところについて、ちょっと掘り下げていきたいと思います。
ここは予算が大体一・二億ぐらいかかっております。ネットメディアは、ほかの取り組みと違って可視化されやすいので、平成二十八年度はどのような取り組みが行われ、どのような目的と指標や効果が得られたのか、数値でお伺いします。
○梅田海外広報担当部長 SNSやウエブサイトは、速報性の高い広報ツールでありまして、都政情報や東京の魅力をタイムリーに幅広く世界に向けて発信する広報手段としまして、非常に重要であるというふうに認識しております。
東京都では、英語版公式ツイッター及びフェイスブックから、写真やインフォグラフィックスなどの視覚的に訴求力のある素材を使いまして、都政情報や東京の魅力の発信を行いました。
さらに、平成二十八年度は、動画を五十本作成しましてSNSで発信するとともに、ツイッターの投稿回数の増加など、さらなる発信力の拡充を行ったところでございます。
これによりまして、ツイッターのフォロワー数は、平成二十七年度末の八千八百三人から、平成二十八年度末には三万七千五百四十七人、またフェイスブックのファン数は、平成二十七年度末の七千五百人から、平成二十八年度末には九万九千二百七人と、大きく増加したところでございます。
また、SNSを活用しました情報発信につきましては、投稿された記事の閲覧者数のほか、各投稿におきましては、投稿に対してリツイートなどをした閲覧者数の割合を示すエンゲージメント率などを把握しているところでございます。
○宮瀬委員 確認いたしますと、いただいた資料に戻しますと、一・二億円をかけていますと。フェイスブック週平均三回以上、ツイッター週平均七回以上の作成、発信とありまして、その結果でございます。この中で、今ご答弁ありましたように、二十八年度の取り組みによって、ツイッターフォロワー数が二万八千七百四十四名増、フェイスブックファン数が九万一千七百七人増となりまして、合計が十二万四百五十一名となっております。単純計算いたしますと、一・二億ですので、一人当たりの単価が千円となっているわけであります。
皆さんの、今回のKPIや目標数値がないので、この数字が高いかどうかが正直わかりません。
そこで、ちょっと調べてまいりました。これは普通、フォロワーをお金で買うというのは、基本的にはしてはいけないことでありますので、そういった行為ではありません。ツイッターの会社が出している、いわゆるフォロワーキャンペーンというキャンペーンがございまして、新規フォロワー一人当たりに幾らをそのキャンペーンで組むかというところで、大体の単価が出ております。新規フォロワー一人当たりに、これまでの平均ですと約二百五十円から三百五十円の入札額と出ております。
ほかの方のサイトを見ると、実際、海のものか山のものかわかりませんが、一人当たり五円で売り買いしているといった情報も出ていますが、一応、ツイッターという会社が公式に出している数字がこれであります。
となりますと、今の数字とちょっと計算すると、一件当たり、平均値をとって三百円とすると、二万八千七百四十四名のツイッターフォロワー数がふえたことに対するお金は八百六十二万円でございます。つまり、約二万八千人のツイッターフォロワー数をふやすのに、このツイッターの公式で出ている費用から換算すると、八百六十二万で基本的には済む計算になります。
その中で、フェイスブック含めてでありますが、東京都は一・二億をかけていると。もちろん動画の作成もあるでしょうし、また、資料を見ますと、基本的には動画の作成だけだと思いますけれども、あとは提案資料とか評価とかってありますけれども、要は、何がいいたいかといいますと、本当に効率のいい税金の使い方をされていますかということであります。
そこで、フォロワーやファンはお金で買うものではありませんけれども、単純計算しますと、一・二億で一人当たりの単価がさっき千円といいました。常識的に考えて、余りに単価が高く効率が悪いと思いますが、所見をお伺いします。
また、費用対効果についてベンチマークしているものが、他の自治体、他の会社とか、あるのかお伺いします。
○梅田海外広報担当部長 制作しました動画やインフォグラフィックスなどにつきましては、海外向けのツイッター及びフェイスブックに使用するとともに、知事が講演する際に使用するスライドやホームページなど、他の用途でも有効に活用しているところでございます。
また、費用対効果のベンチマークにつきましては、できる限り数字での客観的な把握に努めているところでございます。例えば、投稿に関するエンゲージメント率を把握し、反応の高い記事の要因分析などを行って、より効果的な広報につなげております。また、国や民間企業等の動向につきましては、ふだんからその様子を参考にして、広報に取り入れようと努めているところでございます。
○宮瀬委員 時間でありますので最後の質問としますが、結局、今回の四・六億という、四・七億ですか、というお金が、ツイッターやフェイスブックのところは数字が、いただいた資料がありましたので、ここは今のように検証ができたり、本当にそれが、周りと比べてどうなのかということがわかるわけでありますが、ほかの部分、分野、項目についても、本来であればしっかりと可視化し、その効果をはかるべきだと思っております。
今のいただいている資料ですと、それが本当に適正なもの、妥当なものかの判断ができません。それはやはり、冒頭申し上げました全体的な戦略目標や数値がないわけでありますから、それがうまく適切なものかの判断ができないわけであります。
税金の有効活用の点から見直していくべきと考えますが、最後に所見をお伺いし、質問を終わります。
○梅田海外広報担当部長 都の海外広報事業では、これまで多様な広報手段を組み合わせまして、相手に着実に届き、理解される情報発信をすべく、戦略的な広報事業を展開してまいりました。
ご指摘の点につきましては、可能な限り数値による把握に努めるとともに、国や民間企業等の好事例も参考としながら、より効果的な海外広報の実施に向けまして、今後とも努めてまいる所存でございます。
○佐野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○佐野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で政策企画局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後四時五十七分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.