平成二十八年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第三号

平成二十九年十月二十日(金曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長藤井  一君
副委員長菅原 直志君
副委員長小宮あんり君
池川 友一君
内山 真吾君
川松真一朗君
栗林のり子君
あかねがくぼかよ子君
里吉 ゆみ君
本橋ひろたか君

欠席委員 なし

出席説明員
病院経営本部本部長内藤  淳君
経営企画部長児玉英一郎君
サービス推進部長谷田  治君
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務大久保達也君
計画調整担当部長末村 智子君
福祉保健局局長梶原  洋君
次長理事兼務山岸 徳男君
技監笹井 敬子君
総務部長後藤 啓志君
指導監査部長村田 由佳君
医療政策部長西山 智之君
保健政策部長矢内真理子君
生活福祉部長坂本 尚史君
高齢社会対策部長粉川 貴司君
少子社会対策部長松山 祐一君
障害者施策推進部長高原 俊幸君
健康安全部長高橋 博則君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務奈良部瑞枝君
事業推進担当部長古賀 元浩君
医療改革推進担当部長成田 友代君
医療政策担当部長矢沢 知子君
地域保健担当部長本多由紀子君
生活支援担当部長横手裕三子君
施設調整担当部長稲葉  薫君
子供・子育て施策推進担当部長加藤 みほ君
障害者医療担当部長石黒 雅浩君
食品医薬品安全担当部長仁科 彰則君
感染症危機管理担当部長吉田 道彦君

本日の会議に付した事件
平成二十八年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
病院経営本部関係
・平成二十八年度東京都一般会計決算(質疑)
福祉保健局関係
・平成二十八年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十八年度東京都母子父子福祉貸付資金会計決算(質疑)
・平成二十八年度東京都心身障害者扶養年金会計決算(質疑)

○藤井委員長 ただいまから平成二十八年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別質疑を行ってまいります。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部及び福祉保健局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十八年度東京都一般会計決算中、病院経営本部所管分を議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○児玉経営企画部長 去る十月十一日の本分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます平成二十八年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 資料は、表紙の目次に記載のとおり、合計四件でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、各公社病院の経営指標の推移でございます。
 各公社病院における経営指標の推移を平成二十四年度からの五カ年にわたり、入院、外来別に記載しております。
 二ページをお開き願います。2、各公社病院における医師・歯科医師(診療科別)及び看護職員の定数及び現員の推移でございます。
 このページの(1)から六ページの(5)までは医師及び歯科医師の、七ページの(6)は看護職員に関しての過去五年間の定数と現員の推移を記載しております。
 八ページをお開き願います。3、公社病院における看護職員の中途退職者数の推移でございます。
 公社病院における看護職員の四月一日から三月三十日までの退職者数と、三月三十一日の退職者数の推移について、それぞれ記載しております。
 九ページをごらんください。4、公益財団法人東京都保健医療公社における障害者雇用率の推移でございます。
 公社における各年度六月一日現在の障害者雇用率について、その推移を記載しております。
 簡単ではございますが、以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○あかねがくぼ委員 都民ファーストの会、あかねがくぼかよ子です。
 私の方からは、公社病院の救急医療についてお伺いをいたします。
 高齢化の進展などにより、救急車の出動件数は増加の一途をたどっております。
 まず、平成二十八年度の公社病院における救急医療の実態について、救急患者受け入れ数、救急搬送患者の受け入れ件数、前年度の実績から増減も踏まえましてお伺いをいたします。

○末村計画調整担当部長 全ての公社病院では、三百六十五日二十四時間体制で入院、手術等の専門的な診療を行う二次救急医療を実施しております。救急患者は、平成二十八年度におきまして、前年度に比べ二千三百八十四人の減となっておりますが、六病院合計で八万六千八十二人と多くの救急患者を受け入れてまいりました。
 救急患者のうち、救急搬送患者の受け入れ件数は二万二千七百四十一件でございまして、前年度比千百八十九件の増加となっており、消防機関からの搬送依頼に対する患者受け入れの割合である応需率は七六・九%でございまして、前年度比五・〇ポイントの増加となってございます。
 また、平成二十八年度の応需率は、東京都全体の平均応需率を一・三%上回っておりまして、救急患者を積極的に受け入れてございます。

○あかねがくぼ委員 救急医療において応需率、搬送患者数ともに増加をしているという点から、積極的に救急患者を受け入れていただいているということはわかりました。今後も都民が地域で安心して生活ができるように、症状に応じた適切な医療を迅速に提供する取り組みをいただきたいと思います。
 受け入れ拒否などで患者様が困ることがないように、公社病院として、さらなる受け入れの強化がもっと強く望まれます。
 そこで、今後さらに需要が増加をするであろう救急搬送患者の受け入れ強化の取り組みにつきまして、具体的な内容をお伺いしたいと思います。

○末村計画調整担当部長 救急搬送患者が増加する中におきましても、救急医療を必要とする患者さんを適切に受け入れることが重要であると認識をしております。
 公社病院では、救急搬送患者の受け入れを原則断らないとするルールを設定し、これを徹底しておりますが、受け入れることができなかった場合は、その理由を検証いたしまして、受け入れ体制の見直しを行うなどの改善を行っております。
 また、近隣の消防署への訪問や救急隊との意見交換により、病院が対応可能な症状などを周知するとともに、地域の救急搬送患者の状況を把握し、地域の実情に合わせた専門医の配置を行うなど、救急体制の強化に努めております。
 なお、救急医療では、受け入れ患者に対する迅速な対応が求められますが、夜間の緊急手術中の場合や満床などによりまして受け入れ可能な病床がない場合など、断らざるを得ない場合もございます。こうした場合にも救急搬送患者が適切に受診できるよう、救急隊と並行して、搬送先が決定しない患者の受け入れ先の調整を行っているところでございます。

○あかねがくぼ委員 救急で医療機関を受診できる、そして受け入れを拒否されない、そういった公社病院の存在は、都民にとっては非常に安心できることでございます。
 しかし、その一方で、経済的な理由において治療費を支払えない方、または救急受診であるがために持ち合わせがない患者様も多く受け入れることになろうと推測をいたします。
 このように、何らかの理由で治療費を支払えない方がいらっしゃる場合は未収金というふうになっていきますが、公社病院における未収金の現状について、平成二十八年度末過年度未収金残高及びその未収金の発生理由についてお伺いをしたいと思います。

○末村計画調整担当部長 平成二十八年度末における公社病院の過年度未収金の残高につきましては約三千六百五十四万円となっております。平成二十七年度末の残高約四千十七万円に比べまして三百六十三万円の減、率にして約九%の減少となってございます。
 未収金の発生理由として多いのは、救急で受診したため当日に持ち合わせがないなどの所持金不足ですとか、生活保護や労働災害補償などの公的助成の申請中などとなっております。

○あかねがくぼ委員 公社病院の未収金が減少しているということはわかりました。
 その未収金を減らすためのさまざまな努力というのはなされてきていると思いますが、具体的に未収金削減の取り組み内容についてお伺いしたいと思います。

○末村計画調整担当部長 未収金につきましては、まず発生を予防することが重要と考え、各病院におきまして、日々、未収金発生防止に努めております。
 経済的な問題を抱えている患者への対応として、状況を早期に把握するとともに、医療ソーシャルワーカーと連携し、公的な医療費助成制度を紹介するなどしております。また、クレジットカード払いを導入したほか、診療後に支払いが困難な場合、可能な限り当日に一部の支払いを促すとともに、未払い分につきましては、分割納入計画や支払い期限の猶予を設定しております。
 発生した未収金の回収につきましては、実務担当者を対象とした研修を実施するなどいたしまして、実効的な業務執行の定着に向けた取り組みを行っております。また、毎年十二月を未収金対策強化月間とし、集中的に催告を行っております。その上でもなお回収困難な場合には、弁護士への債権回収委託を実施するなど、回収に努めております。
 平成二十八年度は未収金対応マニュアルを見直しまして、これまでよりさらに未収金発生防止に重点を置き、具体的な事例を掲載するなど、内容の充実を図ったところでございます。

○あかねがくぼ委員 未収金発生防止のための対策として、さまざま取り組んでいらっしゃるということはわかりました。引き続き、救急医療の充実とともに未収金の発生の予防、そして回収に対して取り組みをいただきたいと思います。
 以上をもちまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○栗林委員 それでは初めに、荏原病院におけるアウトリーチの取り組みについてお伺いいたします。
 厚労省の発表では、団塊の世代が七十五歳以上になる二〇二五年には約七百万人が認知症になるといわれ、六十五歳以上の約五人に一人が認知症になるといわれています。そうしたことから、国も認知症施策推進総合戦略、新オレンジプランを策定し、認知症の人の意思が尊重され、できる限り住みなれた地域で自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目的にしております。
 超高齢社会に向かう中、認知症対策は待ったなしでございます。認知症の人と、そして家族に対する医療支援体制や連携は、今後一層必要とされます。
 そうした中で、公社病院である荏原病院は、認知症疾患医療センターとして運営していますが、その支援内容と利用実績について伺います。

○末村計画調整担当部長 荏原病院は、認知症患者とその家族を支援するための二次保健医療圏の拠点でございます地域拠点型認知症疾患医療センターに平成二十四年二月に指定され、認知症に係る専門医療相談や鑑別診断などを行うほか、地域の医療機関や自治体、家族介護者の会などとの地域連携、地域の医療従事者に対する研修などの取り組みを行っております。
 平成二十五年からは、専門医を初め看護師、精神保健福祉士等で構成する認知症アウトリーチチームを設置し、地域の認知症支援コーディネーターからの依頼によりまして認知症の疑いのある方を訪問し、アセスメント等を実施することで認知症の早期発見、早期診断につなげております。
 荏原病院のアウトリーチチームは、事業開始から平成二十八年度までの間に計七十名に対して訪問支援を行いまして、そのうち五十二名を支援対象として医療機関の受診を促すとともに、鑑別診断につながるまでの必要な支援を行いました。

○栗林委員 大田区と品川地域の拠点センターとして、多職種のさまざまな専門家がチームで訪問するということは大変心強い限りでございます。荏原病院が認知症患者を支援するための二次保健医療圏の拠点としての役割を担っているということは大変重要であると思います。
 それでは、今後の展開についてどのように図られるのか、お伺いします。

○末村計画調整担当部長 今後、高齢化の進行に伴う認知症患者の増加が見込まれる中、認知症の自覚がないなど医療機関を受診しないために認知症状が悪化するケースや、独居老人への対応が大きな課題となっております。
 このため、地域のかかりつけ医や訪問看護ステーション、地域包括支援センター、介護従事者等の関係機関との連携をさらに強化するとともに、地域への研修会や意見交換会を通じて、地域拠点型認知症疾患医療センターとして地域全体の認知症への対応力向上を進め、認知症の早期発見、早期診断を推進してまいります。

○栗林委員 やはり単身世帯も急増していくことから、しっかりとこういう出向くというのが大変また大事な部分もございますので、引き続きお願いしたいと思います。
 それでは次に、公社病院における医師、看護師の確保について伺います。
 都民の健康と命を守るために、安心の医療体制が求められます。特に、医師や看護師の確保に苦労する病院もあると聞いておりますが、公社病院における医師、看護師の充足状況について伺います。

○末村計画調整担当部長 平成二十八年度の公社病院の医師の定数は三百六十名で、平成二十八年十月一日現在の現員は三百四十八名であり、充足率は九六・七%でございました。不足分につきましては非常勤医師を配置し、必要な人員体制の確保を図っております。
 看護師の定数は千五百四十四名で、同じく現員は千六百五十三名であり、充足率は一〇七・一%でございました。

○栗林委員 さまざまご努力もされながら、この基盤をつくられていることと思いますけれども、やはり確保しても、公社病院におけるその定着策というのも非常に大事だと思います。
 そこで、公社病院における医師、看護師の確保並びに定着策については、どのような取り組みをされているのか、伺います。

○末村計画調整担当部長 都民に適切な医療を提供していくためには、医師、看護師等の確保、定着が重要でございます。
 医師の確保については、都立病院と公社病院が連携し、東京医師アカデミーを運営しておりまして、医師アカデミー修了生を採用し、確保を図っているところでございます。また、院長を初め病院幹部が継続的に大学医局を訪問し、関係強化に努めているほか、都立病院との連携により医師の人事交流も行っております。
 看護師の確保につきましては、各病院の看護部長等による看護学校訪問やインターンシップの実施、雑誌やウエブを使った採用広報活動を実施しております。また、看護師の定着を促進し、スキルアップを目指す看護師等を支援するため、認定看護師等の資格取得支援を行っております。
 さらに、働きながら子育てをする医師、看護師等を支援するため、育児短時間勤務制度や保育料助成を実施しているほか、多摩北部医療センターでは院内保育室を設置してございます。平成二十八年度は、育児短時間勤務については八月一日現在で十三名が制度を利用しており、保育料助成につきましては三百二十五名の職員が利用いたしました。多摩北部医療センターの院内保育室の利用実績は、延べ利用人数は千八百五十七名、利用率は四八・七%でございました。

○栗林委員 女性医師の活躍も大変目覚ましいものがございます。院内保育の設置というのは、そういうことを考えても大変重要ではないかと思います。我が党も、私も一貫してこれは求めてきたところでありますので、ぜひほかの病院の設置も期待するところでございます。
 また、地域に開かれた、地域に開かれる公社病院ということから、病児、病後児保育の展開も期待されるところであります。職員だけでなく、全て働く親にとって、病児、病後児保育は欠かせない存在であります。
 そこで、公社病院における病児、病後児保育の現状について伺います。

○末村計画調整担当部長 公社病院におきましては、東村山市の要望を受け、平成二十五年十一月に多摩北部医療センターに病児、病後児保育室を設置しており、平成二十八年度の利用実績は、延べ利用人数は四百七十七名、利用率は四八・九%でございました。
 体調が変わりやすい病気の子供を保育するという事業の性質上、利用者数の日々の変動や病状回復等によるキャンセルが多いといった特徴がございます。

○栗林委員 病児、病後児保育施設というのは、設置されているというだけで、もうどれだけ安心か、どれほどの安心を提供できるかというところでございますので、やはり仕事をどうしても休めないときにお願いできる場所があるということが、大変安心感につながることになります。
 ですから、むしろ利用率が低いということは、お子さんが元気で通園ができているということなので、余りこの利用率というものにはこだわらないで、設置されていることが大変大きな目的ではないかと思いますので、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 それでは、公社病院における病児、病後児保育の今後の展開について伺わせていただきます。

○末村計画調整担当部長 公社病院における病児、病後児保育につきましては、事業実施主体である区市の状況を踏まえ、協力していく必要があると認識しております。
 保育事業の実施主体である葛飾区及び足立区からの要望によりまして、平成二十八年度から東部地域病院での病児、病後児保育の実施につきまして、地域ニーズや病児、病後児保育関連事業の取り組みの状況等につきまして、意見交換を行ってまいりました。引き続き実施主体である葛飾区、足立区の地域ニーズと調整状況等を踏まえて検討してまいります。
 また、他の小児科のある公社病院につきましては、区市の実施要望があった場合、施設整備等の条件が整った病院から順次、病児、病後児保育を実施してまいります。

○栗林委員 ありがとうございます。やはり公社病院は都民の安心拠点として、地域の要望などにも前向きに対応していただきたいと思います。今、葛飾と足立でも検討が始まったということでございますので、さらなる地域に開かれた病院として一層取り組んでいただくことを求めて、質問を終わります。
 ありがとうございます。

○小宮委員 病院経営本部が所管をする一般会計は、公益財団法人東京都保健医療公社に対する補助金となっております。六つの公社病院は、地域の中核病院として医療機関との連携を進めておりまして、地域全体の医療の向上、これを図るということを使命として運営をしているところです。決算審査に当たって、公社病院の地域医療への貢献の取り組み、これに関して伺ってまいりたいと思います。
 地域の医療機関との連携は、都民が適切な医療機関で医療を受けるため、また、限られた医療資源というものを有効に活用するために重要な取り組みとなってきます。地域の医療機関との連携を示す重要な指標となっているのが、かかりつけ医などほかの医療機関からの患者さんの紹介率、また反対に、急性期の対応が終わった後に公社病院から地域の医療機関へ紹介する、これが逆紹介率と申しますけれども、そうした指標、こういったものを向上させることなど、患者さんを中心とした地域医療機関のネットワークというものを充実していくことが、やはり公社病院の大きな役割になっていると思います。
 まず、平成二十八年度の地域医療連携の実績について伺います。

○末村計画調整担当部長 平成二十八年度の公社病院全体での他の医療機関からの患者の紹介率は七二・二%で、前年度比三・八ポイントの増、公社病院から他の医療機関への逆紹介率は七八・二%でございまして、前年度比四・二ポイントの増となってございます。
 白内障手術や内視鏡検査などを公社の医師と地域の連携医が協力して行う共同診療は六百五十九件で、前年度比八十六件の増となってございます。
 また、連携医として登録されている医師の数は五千八百二十五人で、前年度比六十九人の増となっております。
 このように平成二十八年度におきましても、公社病院では地域医療連携の取り組みを着実に進めることができたと認識しております。

○小宮委員 紹介率、逆紹介率ともにアップしている、また、共同診療といったことも増加している、そしてまた、登録をしている連携医もふえているということで、医療連携の実績というものは着実に向上しているということがわかりました。地域の患者さんや、かかりつけ医のニーズの把握ですとか、そうした積極的な連携の取り組みが、こうした結果につながったものであると評価したいと思います。
 次に、地域医療連携の強化に向けたこれまでの取り組みについて伺います。

○末村計画調整担当部長 公社病院は地域の中核病院として、高度専門医療を提供する大学病院や都立病院のほか、さまざまな医療機能を有する民間病院や地域の診療所との連携を強化いたしまして、地域住民が適切な医療を継続して受けられるよう取り組んでまいりました。
 具体的には、糖尿病や胃瘻の地域連携パスの活用を推進するほか、脳卒中や急性心筋梗塞医療など疾病別の地域医療ネットワークへの参画などによりまして、急性期から回復期、慢性期へと、切れ目のない医療を地域全体で患者に提供する体制の充実に努めました。
 また、地域の医療機関や訪問看護ステーション等との連携強化により、在宅医療も視野に入れた連携体制の構築に取り組んでおります。平成二十八年度には、全ての公社病院におきまして在宅療養後方支援病院の施設基準を取得するなど、在宅療養患者の急変時の円滑な受け入れ体制を強化したところでございます。

○小宮委員 急性期から回復期、慢性期への切れ目のない医療、これは大変重要なことでありますし、また、在宅医療も視野に入れた連携体制の構築、それから在宅療養患者の急変時の受け入れ、こういったことは大変重要なことですので、民間病院に足りないこと、こういったことを地域の中で公社病院がしっかりとフォローしていっていただきたいというふうに思います。
 さて、公社病院は平成二年に東部地域病院が開院したということから始まりまして、平成五年に多摩南部地域病院が開院をされました。この二つの病院は、平成九年に創設された地域医療支援病院に東京都で最初に承認をされておりまして、この制度の先駆けともいわれているところです。その後、都立病院であった大久保病院、多摩北部医療センター、荏原病院、豊島病院が公社に移管された後に、同じく地域医療支援病院に承認をされております。地域の中核病院としての役割を果たしているところだと思います。
 公社病院は、先ほどのご答弁にもありましたが、地域医療連携を進めるなど地域病院としての役割を先導してきたわけですけれども、我が国では、団塊の世代が七十五歳以上になる二〇二五年に向けて地域包括ケアシステムの構築--これが重要です--進められていく中で、公社病院へは、さらなる地域医療への貢献を期待するところです。
 一方で、公社病院というのは、各地域の医療ニーズというものを踏まえまして、都立病院とともに行政的医療、これを提供するという役割も担っているわけです。災害医療や感染症医療、精神科医療といった採算の確保が難しくて民間での対応が困難な、そうしたいわゆる行政的医療には--一義的には行政的医療という大きな役割は都立病院にあるわけですけれども、公社病院においても、地域の実情に応じて行政的医療が求められている、対応している分野があると思います。
 そこで、公社病院で提供している行政的医療について伺います。

○末村計画調整担当部長 公社病院は、行政的医療の中でも、地域からの医療ニーズが高く、地域の中核病院として対応が期待される救急医療や災害医療などを提供しております。また、都立病院から移管した公社病院におきましては、地域医療機関との役割分担や地域からの求めに応じて、引き続き精神科医療、感染症医療等の行政的医療を提供しております。

○小宮委員 少子高齢化の進展によりまして、医療の需給状況というものも大きく変化することが今後予測されるわけですけれども、都民の安全・安心を守るセーフティーネットとして、やはり都立病院と公社病院が連携をして、質的にも、また量的にも不足する医療というものをしっかりと提供していくことが重要であろうかと思います。
 公社病院が提供する行政的医療のうち、精神科救急医療について伺います。
 まず、豊島病院で精神科救急医療というものに取り組んでいただいておりますけれども、平成二十八年度の実績と、そして取り組みを確認いたします。

○末村計画調整担当部長 豊島病院の行う精神科救急医療につきましては、精神科措置医療と精神身体合併症救急医療がございます。
 精神科措置医療は、自傷他害のおそれのある患者さんに対し、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づく措置診察等を行うものでございます。豊島病院、都立墨東病院、多摩総合医療センター、松沢病院の四病院で、東京都精神科夜間休日救急診療事業を担っておりまして、豊島病院は、都内全四区域のうち一区域である区部西北地域の七区を担当しております。
 平成二十八年度は、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第二十三条に基づく緊急措置診察を二百七十四件行いまして、そのうち二百十二件の緊急措置入院に対応しており、いずれも都内全体の二割以上の割合でございました。
 また、精神疾患と身体疾患を併発した患者に対応する精神身体合併症救急医療につきましても、平成二十八年度は九件の受け入れを行ったところでございまして、東京の精神科救急医療におきまして役割を果たしているところでございます。

○小宮委員 精神科の救急の入院に関して、都内で二割のシェアを占めているということも含めまして、豊島病院というのは、まさに行政的医療として求められている精神科救急の分野で大変重要な役割を担っているということが確認できます。
 また、感染症について伺いたいと思いますけれども、感染症というのは、人類、特に人口が密集して海外からの来訪者が多いこの東京に住む私たち都民にとって、大きな脅威であると思います。一類、二類感染症のような高度な医療を必要とする感染症や、希少、まれな感染症、また大規模流行が懸念される感染症、どのような感染症が発生した場合におきましても、拡大防止を図るために万全の体制を整備しておく、そういう必要があると思います。感染症医療の実績と取り組みについて伺います。

○末村計画調整担当部長 感染症につきましては、公社病院では、荏原病院がエボラ出血熱などの対応を行う第一種感染症指定医療機関に、豊島病院がSARSなどの対応を行う第二種感染症指定医療機関に指定をされておりまして、一類及び二類感染症に対応できる病床を両病院で合わせて四十床保有しております。
 両病院では、感染症内科医師や感染管理認定看護師の指導のもとに、定期的に防護服の着脱訓練を行いますほか、感染症対策マニュアルを作成して、患者の受け入れ訓練などを実施しております。
 また、荏原病院では、平成二十八年十二月に、大田区、東京消防庁、病院経営本部、福祉保健局と合同で、都内でのエボラ出血熱患者の発生を想定した移送、受け入れ訓練を実施いたしました。
 今後とも、感染症患者が発生した場合に、迅速に的確に受け入れられる体制を維持するとともに、関係機関等と協力しながら訓練や人材育成等も行い、感染症医療において大きな役割を担ってまいります。

○小宮委員 豊島病院で行っている精神科救急にしてもそうですし、荏原病院が担っている感染症にしてもそうなんですけれども、行政的医療としての大変高度な医療を必要とする分野に取り組まれているということで、公社病院という、都立病院ではないかなという、大変心強い印象も受けるところであります。
 いずれにいたしましても、公社病院というのは、地域における中核病院というふうな位置づけとして、医療機関相互の連携を推進する役割があるということ、また、公的医療機関として、都立病院とともに行政的医療の分野についても重要な役割を果たしているということがわかりました。
 今後の課題となってくるのが地域医療構想、この実現や地域包括ケアシステムの構築など、やはり地域医療がこれから大きく変革する中にあって、やはり都立病院よりも都民に身近な中核病院としての公社病院が、これまで培ってきた地域の医療機関との連携やネットワークの中で、その課題点などをぜひ整理していただいて、やはり民間にはできない分野、こういったところをリードする、それが都民の理解と安心につながるということを申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○池川委員 それでは、東京医師アカデミーについて質問をさせていただきたいと思います。
 東京医師アカデミーは、都立病院、公社病院が一体となって提供する後期臨床研修システムとなっています。基本理念として、総合診療能力を有する専門医を育成すること、先端医療の習得を視野に入れた医師育成のシステムを提供すること、医師キャリアパスの構築を可能とする充実した指導体制を提供することとしています。
 まず初めに、東京医師アカデミーの目的と役割について、これは何かについてお答えいただきたいと思います。

○児玉経営企画部長 東京医師アカデミーは、都立病院、公社病院が一体となって、みずから計画的に質の高い医師を育成し、安定的な医師の確保につなげる役割を担っております独自の専門臨床研修システムでございます。

○池川委員 東京都長期ビジョンでは、東京医師アカデミーについて、医療人材確保という部分に光を当て、三つの角度で計画に位置づけられています。
 一つは、医師が不足する地域の公的病院への就業支援を行うなど、公的医療機関との連携体制の構築、二つ目に、災害時の診療等、実践的な研修を行うことなどにより、災害医療に対し対応できる人材を育成すること、三つ目に、総合診療能力を有する医師の育成を進めるとして、まさに医師の育成と地域の公立病院への支援、災害時という極めて重要なミッションを持って、これに取り組んでいただいています。
 そこで伺いたいと思いますが、公社病院におけるシニアレジデント、後期研修の定数に対する病院ごとの現員の状況が昨年度時点でどうなっているのか、お答えをいただきたいと思います。

○末村計画調整担当部長 平成二十八年十月一日時点で、東部地域病院は定数十二名に対し現員二名、多摩南部地域病院は定数十八名に対し現員ゼロ名、大久保病院は定数十二名に対し現員八名、多摩北部医療センターは定数十二名に対し現員七名、荏原病院は定数三十名に対し現員五名、豊島病院は定数十八名に対し現員十二名となってございます。

○池川委員 今のをトータルしてみますと、定数百二名に対して現員は三十四名というふうになっており、定数に対して現員の状況というのは、公社病院全体で三三・三%となっており、これは間違いなく引き上げていく必要があると考えます。一人もいない病院があることは早期に改善をしていただきたいということも、あわせて申し上げたいと思います。
 カリキュラム、研修の見直し、また都立病院との連携を初め、常にカリキュラムの改善等が行われることが必要ではないか。発足当初、都政新聞という新聞のインタビューに、当時の病院経営本部長だった川澄現副知事が次のように答えておられます。
 医師の数は全体的にはふえているのですが、診療科によって偏りがあり、特に産科、小児科の医師不足が深刻です、即戦力を確保するには、ほかから引き抜くしかないわけですが、それは結果的には地方へのしわ寄せにもなりかねません、そこで東京では集めるだけでなく、育てていこうと、東京医師アカデミーという臨床研修医、レジデントの研修制度を立ち上げたというふうに当時のインタビューでお答えになっています。
 医師を育てていこうと、東京医師アカデミーを立ち上げたということから考えても、この定数をしっかりと満たしていくということは不可欠だというふうに考えます。昨年度の数字、先ほどご紹介をいただいた数字についてはどのような評価となっているのか、また、この定数を満たすためにどういう取り組みが行われたのかについて伺いたいと思います。

○末村計画調整担当部長 まず、先ほどの数値に対する認識でございますけれども、専門臨床研修は、研修医が希望する診療科や技術、そして受け入れ病院の希望する人材が一致するということが必要と考えております。引き続きさまざまな機会を捉えまして、東京医師アカデミー及び公社病院の特色などの周知に取り組んでいきたいと考えてございます。
 定数を満たすためにということでございますが、東京医師アカデミーの都立病院と公社病院を合わせますと、約七千床のスケールメリットなどの特色や魅力がございます。これを民間の研修医向けイベントや各病院での説明会等を通じた周知に取り組んでいるというところでございます。

○池川委員 特色や魅力を民間の研修医向けイベントや各病院での説明会を通して周知していくことによって、今後定数をしっかりと満たしていきたいということでした。各病院が定数を定めているわけで、この定数をやっぱり満たしていくために、各公社病院とも東京都として密に連携をとって進めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 それから、東京医師アカデミーのシニアレジデントの修了後の進路について伺いたいと思います。現時点で、シニアレジデント修了後の進路はどのようになっているか、お答えいただきたいと思います。

○末村計画調整担当部長 これまでに公社病院全体で五十五名の修了生を輩出してございます。修了時点での進路は、都立病院一名、公社病院二十八名、他の都内公立医療機関五名、その他二十一名で、約六割が都立、公社病院等に採用されるなど、都立、公社病院等の医師の確保につながってございます。

○池川委員 これまでに五十五人、公社病院としては修了生を輩出し、六割が都立や公社病院等に採用されたということでした。全体としては、都立病院と合わせれば、さらにこうしたことが進んでいるのかなというふうに思います。
 この公社病院のシニアレジデントの修了生が、ことしアカデミー発足から約十年になり、これまで七期の修了生を輩出した中で、今、五十五名というお答えでした。東京医師アカデミーが東京における医師不足の解消にとって、一定の役割を果たしているという数字だというふうに思います。
 先ほど紹介しました東京都の長期ビジョン及び新しく計画が策定をされました都民ファーストでつくる「新しい東京」二〇二〇年に向けた実行プランには、東京医師アカデミー修了生に対し、医師が不足する地域の公立病院への就業支援を行うなど、公的医療機関との連携体制を構築するというふうに書いてあります。このことについて、認識と具体策をどうしているのか、お答えいただきたいと思います。

○末村計画調整担当部長 東京医師アカデミー修了生に対しまして、医師が不足する地域の公立病院への就業支援を行うなど、公的医療機関との連携は必要でございます。
 都立病院、公社病院の人材担当の副院長が集まる進路情報連絡会におきまして、地域の公立病院の医師の募集状況や地域医療支援ドクターの募集等の情報を東京医師アカデミー生に対して提供しております。

○池川委員 医師が不足する公立病院の就業支援を行うなど、公的医療機関との連携は必要だということでした。
 多摩地域の公立病院は、医師確保に大変苦労をしています。私の住む町田市民病院でも、医師不足によって、二〇〇九年前後でしたが、一時期、小児の二次救急を閉じたり、周産期母子医療センターの役割を果たせなくなるなどの事態が起こっています。公社病院の医師アカデミーの修了生が五名、先ほどの話だと公立病院に就職をされているということは、大変ありがたいことだというふうに思っています。その意味で、広域自治体である東京都が果たすべき役割というのは大変大きいと思います。
 ここで重要なのは、公立病院への就業支援、公的医療機関との連携体制を密にしていただくと。先ほど副院長が集まる進路情報連絡会等において、それらを情報提供していくというお話がありましたが、引き続き、医師が不足する公立病院の就業支援に資する取り組みを行っていただきたいということをあわせて求めまして、質問を終わりたいと思います。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。

○藤井委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十八年度東京都一般会計決算中、福祉保健局所管分、平成二十八年度東京都母子父子福祉貸付資金会計決算及び平成二十八年度東京都心身障害者扶養年金会計決算を一括して議題といたします。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求しました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○後藤総務部長 去る十月十一日の当分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元の平成二十八年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんください。
 資料は、目次にありますように全部で七項目でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、福祉保健費の予算及び決算の推移といたしまして、福祉保健費の予算現額、決算額及びそれぞれの一般会計に占める割合などの平成二十四年度から二十八年度までの五年間の推移を記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、福祉保健局予算・決算額の推移(一般会計)といたしまして、一般会計のうち福祉保健局所管分の予算現額及び決算額の推移を表側にございます区分ごとに平成二十四年度から二十八年度にわたって記載してございます。
 隣の三ページでございます。3、シルバーパス発行状況の推移といたしまして、シルバーパスの費用別発行実績数、七十歳以上人口及び割合の推移を平成二十四年度から二十八年度にわたって記載してございます。
 四ページをお開き願います。4、平成二十八年度における福祉保健区市町村包括補助事業の実績といたしまして、五つの包括補助事業の区市町村ごとの補助額の実績を五ページにかけて記載してございます。
 六ページをお開き願います。5、区市町村地域生活支援事業の実施状況といたしまして、事業ごとの平成二十九年三月現在の実施区市町村数を記載してございます。
 隣の七ページでございます。6、認可保育所の屋外遊戯場の状況といたしまして、平成二十八年度に都が認可いたしました保育所の屋外遊戯場につきまして、敷地内のみ、敷地内及び代替遊戯場、代替遊戯場のみの区分ごとに区市別の施設数を記載してございます。
 八ページをお開き願います。7、平成二十八年四月一日現在の認可外保育施設数及び平成二十八年度の立入調査件数といたしまして、平成二十八年四月一日現在の認可外保育施設数と平成二十八年度の立入調査件数につきまして、総数とその内訳をそれぞれ記載してございます。
 以上、簡単ではございますけれども、要求資料のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○藤井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○あかねがくぼ委員 保育所等の待機児童解消に向けた取り組みについてお伺いをいたします。
 本来、待機児童の解消は、保育所の整備だけで解決するものではなく、育児休業の取得しやすい環境整備、また、働き方改革などとともに取り組むべき課題であります。
 一方、社会における女性の活躍がさらに望まれている中で、出産後に復職したくともできない方がまだたくさんいらっしゃる、そういった実情を踏まえますと、保育所等の整備について、当面持続をしていく必要があると考えております。
 東京都はこうした状況を踏まえまして、昨年九月、区市町村における保育サービスの整備をさらに加速させるために、第一に保育所等の整備促進、第二に人材の確保、定着の支援、第三に利用者支援の充実、この三つを柱とした緊急対策を取りまとめ、補正予算を編成いたしました。この緊急対策での取り組みや状況、実績、さらに本年四月の待機児童の状況についてお伺いをしていきます。
 まず最初に、第一の柱であります保育所等の整備促進についてです。
 待機児童の解消に向けて、最も標準的で効果の高い認可保育所等の整備促進に関しては、十一の施策のうち六つがそれを占めております。東京都としても、強力に区市町村の支援に取り組んでいるところと認識しております。
 特に、地価の高い都市部の実情を踏まえた、都独自に保育所等に対する賃借料補助を開始したというところは画期的な取り組みであったと評価をしております。この保育所等賃借料補助事業の予算額約十七億円に対しまして、決算額が約六億円ということで、執行率は三四・四%になっております。
 まず、この事業の内容と不用額が生じた理由についてお伺いをいたしたいと思います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 保育所等賃借料補助事業でございますけれども、速やかな開設が期待できる賃借物件を活用した保育所等の整備を促進するとともに、開設後の運営の安定化を支援するため、建物の賃借料に対しまして都独自に補助を行うものでございます。
 本事業でございますが、昨年十一月から開始をいたしまして、実施区市町村が二十三区市にとどまったことなどから、予算額に対する執行率は三四・四%になりましたものの、今年度当初に行いました調査では、三十五の区市が活用の意向を示してございまして、執行率の向上が見込まれるところでございます。
 さらに、本年九月に公表いたしました追加対策におきましては、区市町村からの要望に応え、補助上限額の充実を図るなど見直しを行っておりまして、今後とも活用を促進してまいります。

○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。年度途中から新たな補助制度が始まったということで、準備が間に合わなかった区市町村もあると、不用額が生じたといった経緯があったということを理解しました。
 比較的短い工期で整備が望める空きテナントの活用は保育サービスの拡充を効率的に進める上で非常に重要であると考えます。先日公表しました追加対策においても、この事業をさらに充実するため、見直しを行ったとのことでありますので、引き続き区市町村に積極的な活用に向けて、都として働きかけていただければと思っております。
 続きまして、第二の柱であります人材の確保と定着の支援についてでございます。
 保育所を運営するような事業者様から直接お話をお聞きするような機会もふえてまいりました。キャリアアップの補助、それを充実させる政策など、小池都政における施策を高く評価する、そういった声も聞いております。一方で、とりわけ小さい、小規模な事業者様は、相変わらず保育士の確保、大変ご苦労されていると聞いています。
 昨年の緊急対策においては、保育士等の職員寮の確保を支援する、そのための保育従事職員宿舎借り上げ支援事業を充実したということでございますが、平成二十八年度の実績及び平成二十九年度の見通しについてお伺いしたいと思います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 保育従事職員宿舎借り上げ支援事業でございますけれども、採用後五年目までの保育従事職員を補助対象としておりましたけれども、昨年度の緊急対策におきまして六年目以降にも拡大するなど、制度の充実を図ったところでございます。
 平成二十八年度でございますが、前年度の十八区市、対象戸数が九百三戸から、三十四区市、四千二百八十四戸に拡大をいたしました。また、今年度の当初交付申請でございますけれども、四十二の区市から申請がございまして、対象戸数は七千戸を超えてございます。
 今後とも、本事業の積極的な活用を働きかけてまいります。

○あかねがくぼ委員 緊急対策の前後で比較をすると飛躍的に実施区市町村は伸びているということから、保育士等の定着に向けて着実に需要が広がっているということは確認ができます。
 特に、今後新たに保育士を目指される方、また、養成学校を卒業したばかりの新人の保育士さんにとっては、今後長く保育士として働いていく上でモチベーションになっていくことであり、大変有効であると考えています。引き続き積極的な活用、その促進をお願いしたいところであります。
 続きまして、第三の柱であります利用者支援の充実についてお伺いします。
 まず、一口に保育所といいましても、認可保育所だけではなく、長時間保育、直接契約を特徴とする認証保育所、また、二十名未満の子供を預かる小規模保育事業、企業主導型の保育事業、認可外保育施設など、その類型が非常に多岐にわたっております。特に、初めてお子様を持ち、保活を行う保護者にとってみれば、このような制度は非常に複雑でわかりづらく、自分自身の状況に合ったサービスを選択することが容易ではございません。
 今回、緊急対策で講じた保育コンシェルジュの増員支援については、こういった課題を的確に捉えた重要な取り組みであると思います。
 そこで、保育コンシェルジュ事業について、実績をお伺いしたいと思います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都は、保育所等の利用を希望する保護者にきめ細かく対応できますように、区市町村が保育に関する情報提供や相談、助言等を行います保育コンシェルジュを複数配置する場合に、人件費を独自に支援する事業を昨年の十一月から開始をいたしました。
 平成二十八年度でございますが、この事業を活用いたしまして、十二の区市、二十二カ所で保育コンシェルジュが複数配置されておりまして、二十九年度は二十五区市、五十カ所で複数配置を図る意向が示されているところでございます。

○あかねがくぼ委員 保育コンシェルジュの増配置に取り組む自治体は倍増をしたということで、制度は的確に、有効に活用されているということがわかりました。今後も保育の実施主体である区市町村が保育コンシェルジュの増配置に、より一層取り組むことを期待しております。
 続きまして、認可外保育施設の利用支援事業についてお伺いします。
 それぞれの保育サービスは、先ほども申しましたとおり、法的枠組み、財源、制度、さまざまな違いがございます。認可外保育施設に対しては、認可保育所並みの支援というのはなかなかできないということは承知をしておりますが、実態としては、待機児童になってしまった方、認可外の保育施設を利用せざるを得ない方、非常にまだまだ多くいらっしゃいます。そういった方にとって、保育料の負担というところが大変重くのしかかっているところでございます。
 緊急対策の中で、区市町村による認可外保育施設の利用者負担軽減について、こうした課題を捉えた事業であるかと思いますが、その事業の実績についてもお伺いをいたします。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都は昨年十一月から、認可外保育施設を利用している保護者を支援し、地域の実情に応じた保育サービスの整備促進等を図るため、独自に保育料を補助する区市町村への支援を開始してございます。
 平成二十八年度でございますが、四十六の区市町が補助を申請しておりまして、そのうち七区市では本事業を活用いたしまして、それまでその区市が独自に補助をしてきた助成額を増額するなど、負担軽減を図ってございます。
 二十九年度でございますが、五十の区市町が補助を申請しておりまして、そのうち二十七区市が助成額の増額や助成対象施設の拡充など、さらなる負担軽減を図りますとともに、三市が新たに補助制度を創設するという見込みでございます。

○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。緊急対策の三つの柱について、幾つかの事業、状況をお伺いしてきました。
 続いて、緊急対策は十一の施策がございまして、その中には、即効性があるものから段階的に効果が出るものまで多岐にわたっていると理解をしております。
 本年の四月の保育サービスの利用児童数及び待機児童の状況について、その受けとめも含めましてお伺いしたいと思います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 本年四月現在の都内の保育サービスの利用児童数でございますが、昨年と比較いたしまして一万六千三人増の二十七万七千七百八人となってございます。
 一方、就学前児童人口の増加や共働き世帯の増加、待機児童の取り扱いの変更などによりまして、待機児童数は昨年と比較して百二十人増加いたしまして、八千五百八十六人となっております。
 今年度の保育関係予算でございますが、前年度と比較いたしまして約四百億円の増となります一千三百八十一億円を計上しておりまして、待機児童解消に向けて積極的に取り組んでいるところでございます。
 また、本年九月には、区市町村から寄せられました要望に機動的に対応いたしますため、待機児童解消に向けた追加対策を取りまとめたところでございます。
 今後とも、保育の実施主体でございます区市町村と連携をしながら、待機児童解消に向けて取り組んでまいります。

○あかねがくぼ委員 区市町村への働きかけということで、続けてご質問させていただきます。
 保育行政は、法的にも、その実態からも、区市町村が担う事業でありまして、各区市町村首長のもとで、地域の実情を踏まえて推進をしていくものであるということは十分理解しております。
 しかしながら、実際に保育所を利用する利用者の側からしてみますと、区市町村民でもありますが、都民でもあります。都民の目線に立った場合に、区市町村によって施策の取り組み状況または保育サービスの充実の状況、ばらばらである、ばらつきがあるというところはなかなか理解が得られないものであると考えます。
 東京都として、せっかくよい事業を推進していたとしても、区市町村でそれが未実施となり、保育事業者や保育士に支援が届いていない、そんな状況もあると聞いております。
 東京都として、どのように区市町村に働きかけをしていたのか、また、今後していかれるのか、そういったところをお伺いしたいと思います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都は、昨年九月に取りまとめました待機児童解消に向けた緊急対策を初め、新たな施策などについて、区市町村に対する説明会や区市町村の保育主管課長会などを通じまして、制度の周知や活用の働きかけを行っているところでございます。
 また、本年の四月、区市町村の首長にお集まりいただきました待機児童解消に向けた緊急対策会議におきましては、区市町村ごとの施策の取り組み状況を取りまとめてお示しをいたしまして、さらなる活用を働きかけたところでございます。
 保育の実施主体でございます区市町村は、地域の実情を踏まえながら、さまざまな保育資源を活用して保育サービスの拡充に取り組んでおります。
 今後とも、区市町村が都のこうした施策を活用いたしまして待機児童解消に取り組めるよう、さまざまな機会を捉えまして区市町村への働きかけを行ってまいります。

○あかねがくぼ委員 ありがとうございます。広域的な自治体として、東京都は、引き続き区市町村に対するさらなる支援の充実を進めていただきたいと思います。
 同時に、都民の納得と理解を得られるためにも、区市町村ごとの待機児童数、施策の取り組み状況、こういった情報を積極的に開示をしていって、東京都として推進をしていく姿勢を見せていただきたいなと思っております。
 以上で質問を終わりたいと思います。ありがとうございます。

○栗林委員 それでは、私の方から八点、二十五問ほど質問させていただきたいと思います。
 初めに、若者の命と健康を守る観点から、HIV、エイズ、性感染症について伺います。
 インターネットやSNSなどから若者を取り巻くさまざまな情報はあふれ返り、余り危機感を持たずに生活している様子が見受けられ、大変心配になることが多くございます。特に性に関する情報が氾濫している中、正しい知識と理解、関心を深めて、そして予防につなげることが感染拡大の防止につながり、若者がみずからの身をしっかり自分で守ることが重要と考えます。
 最近、特に心配になるのは、梅毒感染者が急増しているという現状です。国立感染症研究所の発表によると、梅毒感染者届け出数は、これは全国ですけれども、平成二十二年六百二十一件だったのが、毎年ふえ続けて、二十八年には四千五百五十九件、九倍ぐらいになっているかなと思います。特に若い女性が増加傾向にあるということが大変気になるところでございます。
 そこでまず、HIV、エイズ、そして近年急激にふえています梅毒の東京都における発生状況について伺います。

○吉田感染症危機管理担当部長 近年、東京都におけるHIV感染者、エイズ患者の報告数は五百人前後で推移してございます。平成二十八年の報告数は四百六十四人、年代別では二十歳代、三十歳代が二百七十三人と、五九%を占めてございました。
 一方、梅毒についてでございますが、平成二十八年の都における報告数は一千六百七十三人に上ってございまして、平成十一年の感染症法に基づく調査開始以来、最多となってございます。年代別では二十歳代、三十歳代が九百四十八人と、五七%を占めてございました。

○栗林委員 本当に、このような状況を踏まえますと、若い方たちへの普及啓発を進めることが大変重要であると考えます。
 東京都では、池袋に情報フロアを設置して、若者が立ち寄って情報交換、交流の場を提供して普及啓発を行っているところではありますけれども、平成二十七年度からは都内各地で広く啓発活動の支援を行っていると聞いています。
 そこで、平成二十八年度の活動実績を伺います。

○吉田感染症危機管理担当部長 東京都では平成十九年度から、若者が多く集まる池袋において、同じ世代の若者同士での交流や相互学習を通じた啓発活動を行ってまいりました。
 平成二十七年度からは、都内各地に啓発活動を広げるため、これまでに蓄積したノウハウを生かして青少年施設、学校等での啓発や、ボランティア団体等が行う啓発活動への支援の充実を図っているところでございます。
 平成二十八年度の活動実績は百七十一回、約八千人の参加者がございました。
 今後も、HIV、エイズを初めとした性感染症に関する若者向けの予防啓発活動を実施してまいります。

○栗林委員 本当に、特に若者の将来、未来がかかっています。健康、命をしっかり守るという意味からも、こういう啓発活動に取り組んでいただきたいと思います。
 私も何年か前に、池袋の保健所の中にある、ふぉー・てぃーという拠点にお邪魔させていただきました。もう本当に行政がやっているという雰囲気が全くなく、とっても今っぽいというんですかね、入りやすい雰囲気を演出されていて、すごくいいなと思いました。
 私、お邪魔しているときも高校生が立ち寄られて、ちょっとした居場所にもなっているのかなと、そこでいろんな、なかなか日ごろ触れられないような情報も、きちっと正しい情報を、そのスタッフの方からも情報を聞いて学ぶという場にもなっておりました。もっともっと外に出向いていく事業も必要ではございますけれども、ああいう拠点があるということも本当に大事なことだと思いますので、ふぉー・てぃーの引き続いての継続と、それとユーチューブで配信していましたWords of Loveですか、ああいった動画も配信されております。ああいったことが、やっぱり若者に直接届ける啓発活動になると思いますので、しっかり引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 続きまして、妊娠相談ほっとライン、伺わせていただきます。
 私、一貫して切れ目のない子育て支援ということを訴えさせていただいて、結婚、妊娠、出産、子育て、教育、この切れ目のない支援をどうしていくかということをずっと取り組ませていただいて、この妊娠相談ほっとライン、これを設置していただき、大変これも重要な取り組みでございます。
 東京で暮らす若い世代は、地域で身近に、気軽に相談できる人がいないという場合も多くございますし、特に妊娠や出産に関しては、気軽に相談できるということが大変重要でございます。都は、そうした悩みに匿名で気軽に相談できる妊娠相談ほっとラインを設置し、私どもの提案をさせていただき、昨年度からは電話相談の受け付け時間の延長も図っていただきました。
 平成二十九年の予算特別委員会でも、私は、この妊娠相談ほっとラインの利用状況を確認させていただき、ケースに応じた継続的な支援を求めたところでございます。
 こうした相談は、実際に利用した人にそれが認識されるよう、周知も大変重要だと考えています。
 そこで、平成二十八年度の妊娠相談ほっとラインの相談実績と相談窓口の周知についてどのように行われたか、伺わせていただきます。

○松山少子社会対策部長 妊娠相談ほっとラインでは、妊娠や出産に関する相談に看護師等の専門職が電話やメールで対応し、助言等を行っており、相談内容に応じて関係機関への紹介や区市町村の保健所、保健相談所への相談を勧奨しております。
 平成二十八年度から電話相談の受け付け時間を一日六時間から十二時間に延長し、相談件数は二千八百四十八件と、前年度の千五百三十三件から約一・九倍に増加いたしました。
 妊娠相談ほっとラインを広く都民に周知するため、都は現在、区市町村や医療機関、大学等でリーフレットを配布するほか、区市町村の窓口で母子健康手帳の交付時にも普及啓発用カードを渡しております。
 昨年度は、こうした取り組みに加え、普及啓発用動画をJRの電車内やユーチューブで放映するとともに、都営地下鉄や東京メトロの電車内にステッカーを掲示するなどの広報も実施いたしました。今年度は、さらに普及啓発用動画を区市町村に提供し、デジタルサイネージ等で放映するよう働きかけを行っております。

○栗林委員 私、三月、予算特別委員会のとき、相談内容等を確認させていただいたときにも、やはり三分の一ぐらいの方が望まない妊娠とか、本当に悩んだ、困ったご相談というのもあるというふうに伺いました。やはりそこをどうサポートしてあげるかというのが、つないであげるかというのが大変重要でございますので、引き続き相談窓口の周知も図りながら、妊娠や出産に悩みを抱える相談者への支援を、手厚い支援につながるようにサポートをお願いしたいと思います。
 そして次は、出産後、産後ケアでございます。
 やはりこの産後ケアが大変重要になります。これも周囲に相談者がいないまま一人で悩みを抱えて、場合によっては不適切な養育まで至ってしまうことがあります。育児放棄とか児童虐待につながるケースも出てきております。
 東京都は、妊娠から出産、子育てに至るまでの切れ目のない支援が行えるように、東京版ネウボラである、ゆりかご・とうきょう事業を始めていただいております。この事業では、保健師による全ての妊婦の面接を行うほか、育児パッケージの配布なども行っており、大変重要な取り組みであると思います。
 そこで、ゆりかご・とうきょう事業の平成二十八年度の実績と、今後この事業の実施自治体をふやしていくためにどう取り組んでいくかを伺わせていただきます。

○松山少子社会対策部長 ゆりかご・とうきょう事業は、全ての妊婦を対象に保健師等の専門職が面接を行い、各家庭の状況を把握した上で、必要に応じて支援プランを作成し、継続的に支援を行う区市町村を都が支援する事業でございます。
 平成二十八年度は、前年度の十三区市町村から十九増加し、三十二区市町村が実施しており、二十九年度はさらにふえ、四十一区市町村が実施の見込みでございます。
 二〇二〇年に向けた実行プランでは、二〇一九年度末までに、全ての区市町村において妊娠、出産、子育ての切れ目のない支援体制が整備されることを目指しており、今後、保健衛生主管課長会や母子保健従事者向けの研修等を通じて、事業の意義の説明に加え、先行して実施している事例の紹介等を行うなど、区市町村に対し積極的な取り組みを働きかけてまいります。

○栗林委員 全ての区市町村が取り組みができますように、引き続きお願いしたいと思います。
 また、あわせて宿泊型の産後ケア、これは、なかなかまだそんなに広がりは見せていませんけれども、こういったところにも、促進に向け、ぜひ支援もお願いしたいと思います。
 次に、児童虐待について伺います。
 妊娠、出産に関して、そういう方たちをサポートする対応について伺ってまいりましたけれども、やはりこういう取り組みや、また、さまざまな子育て支援のサポートを行っていても、まだ残念ながら児童虐待は後を絶たない現状がございます。虐待は、未来ある子供たちの心身に非常に大きな影響を与えるものであり、本当にあってはならないことではないかと思います。
 そこで、東京都の児童相談所における児童虐待の相談対応件数について、過去三年の実績と、また、増加しているその要因について伺います。

○松山少子社会対策部長 都内十一カ所の児童相談所が虐待の疑いで相談対応した件数は、平成二十六年度が七千八百十四件、二十七年度が九千九百九件、二十八年度が一万二千四百九十四件となっております。
 近年の増加要因としては、児童虐待についての都民の意識の高まりによる通告件数の増加が考えられるほか、DVの目撃等により子供が受ける心理的虐待に関する警察からの通告がふえたことが挙げられます。

○栗林委員 件数が急増して、改めて虐待の未然防止の取り組みを強化していくことが必要ということを強く感じます。
 また、虐待については、未然防止の取り組みに加えて、発生後速やかに対応することも求められます。そのためには児童相談所の体制強化、これが不可欠であり、中でも相談対応の両輪となるのが、児童福祉司と児童心理司の増員を図ることが必要ではないかと思います。
 そこで、児童福祉司と児童心理司の十年前、平成二十八年度、今年度の人数について伺います。

○松山少子社会対策部長 児童福祉司につきましては、平成十九年度が百五十九名、二十八年度が二百二十七名、今年度が二百五十名となっておりまして、この十年間で九十一名増員しております。
 児童心理司につきましては、平成十九年度が五十四名、二十八年度が九十一名、今年度が百四名となっており、この十年間で五十名増員をいたしております。

○栗林委員 急増する児童虐待に対応するために体制を強化していただいていることはわかりました。
 一方で、虐待を受けた子供について、親元で生活することが難しくて、社会的養護のもとで養育しなければならないケースも多くなってきています。そうした場合には、やはり家庭的な環境で養育することが望ましいということは、いうまでもありません。特に乳幼児期、できるだけ早期に特定の大人との愛着を形成することが重要であります。
 都は今年度から、特別養子縁組を前提とした新生児委託事業を開始しました。私もこれをずっと求めてきたことからも、大変これは期待しているところでございます。三月の予算特別委員会でも取り上げさせていただき、画期的な取り組みだと、本当に大いにこれは期待をさせていただいております。
 やはりこうした、家庭的な養護、里親やそういったところで、その先には特別養子縁組というような、子供たちの人権が守られて、虐待とか貧困の連鎖を断ち切る、そのように子供たちをしっかり支援していただきたい。改めてまたお願いをする次第でございます。
 続きまして、子育て支援員について伺わせていただきます。
 保育人材の確保対策など、多様な子育て支援を担うためにスタートしたのが、子育て支援員制度であります。支援員研修を修了すると、小規模保育や家庭的保育、学童クラブ、子育て広場などで地域におけるさまざまな子育て施策の担い手として活躍ができて、大変重要でございます。
 都は、平成二十七年度から子育て支援員研修を開始しておりますけれども、応募者が多く、抽せんとなり、受講できなかった方も生まれています。私も何回か要望、拡充していくことを求めさせていただきましたけれども、拡充してもまた応募者がふえるという大変うれしい反響が生まれております。
 そこで、平成二十八年度の子育て支援員研修の実施状況を伺います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 子育て支援員研修についてでございます。
 昨年度、定員を当初の二千二百四十名から、待機児童解消に向けた緊急対策によりまして三百名増員をいたしました。この定員に対しまして、申込者数は三千四百四十一名でございまして、受講決定者数は二千四百九十七名でございました。修了者数でございますが、コース別に、地域保育コースが一千四百七十八名、地域子育て支援コースが三百八十五名、放課後児童コースが百四十二名、社会的養護コースが百三十九名でございまして、合計が二千百四十四名でございました。

○栗林委員 ぜひ担い手が不足とされている中で、この支援員制度、大変活躍していただける機会になると思います。定員をふやしたにもかかわらず、またそれを超える応募があるということで、大変人気のある研修ということでございます。子育て支援員の活躍の場は保育の分野を中心に広がっており、今後ますます期待されます。認定後、活躍の場にしっかりつなぐまでサポートしていただきまして、引き続き子育て支援員の養成に強力に取り組んでいただくことを要望して、次の質問に移ります。
 次に、東京子育て応援事業について伺います。
 社会全体で子育ての応援を進めることを目的として、都の出捐及び企業や都民からの寄附による東京子育て応援基金を活用して、地域、学校、職場などさまざまな場で、NPO法人が創意工夫を凝らし取り組む、先駆的、先進的な事業に対して助成するもので、平成二十六年度の都のモデル事業を踏まえて、平成二十七年度から公益財団法人東京都福祉保健財団で事業が実施されています。
 この事業では、若者支援、出会い・結婚支援、親子の健康づくり、多世代交流、子供・子育て支援とライフステージを通じた幅広い取り組みを支援しており、私は非常にこれはよい取り組みだと思っています。それまではなかなか、この出会い、結婚支援なんていう言葉は入れてもらえなかったんですね、福祉保健局さんの事業の中には。この子育て応援ファンド事業で初めてテーブルにといいますか、上がったという、非常に画期的な事業でございますので、ずっと私も追いかけてきております。
 そこで、これまでの助成件数の推移をまず、伺わせていただきます。

○古賀事業推進担当部長 東京子育て応援事業のこれまでの助成件数は、平成二十七年度は十四団体でございまして、事業区分の内訳といたしましては、若者支援事業三団体、出会い・結婚支援事業一団体、親子の健康づくり事業一団体、多世代交流事業一団体、子供・子育て支援事業が八団体でございます。
 平成二十八年度は十七団体でございまして、内訳は、若者支援事業三団体、出会い・結婚支援事業一団体、親子の健康づくり事業一団体、多世代交流事業四団体、子供・子育て支援事業八団体でございます。
 なお、参考でございますが、今年度の第一回公募の採択件数は八団体でございまして、内訳は、若者支援事業三団体、子供・子育て支援事業五団体でございます。

○栗林委員 年々採択件数も伸びてきておりまして、この事業が定着しつつあるということがわかります。
 この事業では、初期投資費用及び事業運営費を対象に二カ年で二分の一助成、最大一千万円、定額助成では五百万円まで助成を受けられますが、二年間、助成期間が終了した事業について、団体は自主事業として事業を継続することが必要となります。
 そこで、二十七年度に助成を行った団体の現在の事業の実施状況について伺います。

○古賀事業推進担当部長 東京都福祉保健財団におきまして今年度実施いたしましたヒアリングの結果でございますが、平成二十七年度に助成を行いました十四団体の全てが、助成終了後も事業を継続して実施しております。そのうち十団体、率にいたしまして七一・四%が事業の立ち上げ時と同様の規模で実施をしておりまして、四団体、二八・六%が事業を一部縮小して実施をしてございます。

○栗林委員 助成期間終了後も事業を廃止した団体はないということなので、大変安心いたしました。
 また、事業の目的でもある社会全体での子育て支援の機運を醸成するためにも、これまでの取り組みの成果を普及させていく必要があります。
 そこで、この事業の成果の普及について伺います。

○古賀事業推進担当部長 本事業の成果の普及のためには、さまざまな手段を通じて事業の成果を具体的に情報発信することが効果的であると考えてございます。
 そのため、事業案内のパンフレットにおいて、これまで支援してきた取り組み事例を紹介するとともに、東京都福祉保健財団のホームページで、これまで助成を行いました団体の取り組み内容や事業紹介の動画を掲載してございます。
 また、直近の公募説明会では、これまでの助成事業の成果報告会をあわせて開催いたしまして、助成団体から取り組み内容や成果について発表するとともに、各団体の活動等を紹介するブースコーナーを設けまして、各団体が来場者に直接事業内容の説明等を行う機会を提供いたしました。
 このほか、子育て応援とうきょう会議が主催いたします各種会議やイベント等におきましても事業周知を図ってございます。

○栗林委員 多くの事業者がこの事業に取り組めるよう、引き続き成果の普及に努めていただきたいと思います。
 この事業は、都民や企業からの寄附も基金の財源にしています。
 そこで、二十八年度の実績と累計額について伺います。

○古賀事業推進担当部長 平成二十八年度の寄附の実績でございますが、こちらは二十四件、十三万四百円でございまして、平成二十八年度末までの累計でございますが、こちらは百三件、七十万四千二百七十九円でございます。

○栗林委員 本当に都民の気持ちが込められているなと思います。お一人お一人の寄附金というものが数千円単位とか、そういう本当に気持ちが込められたこの基金ということを改めて感じます。
 最近では、新しい資金調達の方法としてクラウドファンディングなども注目されてきていますけれども、やはり都民、企業からの寄附についてはもっとPRに努めていただき、社会全体で子育てを応援するという、そういう機運を高めていただきますように要望をさせていただきます。
 ちょっと時間もなくなってきたので、スピードアップさせていただきます。
 次は、若者から中高年の支援ということで移らせていただきます。
 まず初めに、がん検診について伺います。
 今や、二人に一人が何らかのがんにかかるといわれています。がんによる死亡者を減少させるためには、早期の段階でがんを発見し、効果的な治療を受けることが必要であります。そのためには、定期的にがん検診を受診することが重要です。
 そこで、都民のがん検診受診率について伺います。

○矢内保健政策部長 平成二十七年度に都が実施いたしました健康増進法に基づくがん検診の対象人口率等調査では、都民のがん検診の受診率は、胃がんが三九・八%、肺がんが三七・二%、大腸がんが四一・九%、子宮頸がんが三九・八%、乳がんが三九・〇%となっております。平成二十二年度に実施いたしました前回調査では、胃がんが三六・七%、肺がんが三五・一%、大腸がんが三七・二%、子宮頸がんが三五・九%、乳がんが三二・八%でございまして、いずれの受診率も向上しております。

○栗林委員 少しずつ上昇傾向にあるということがわかりましたが、やはりまだ四〇%前後ということで、まだまだこれから取り組みを行っていく必要があると思います。
 がん検診の受診率を向上させるためには、実施主体である区市町村だけでなく、職域でがん検診を受診できる環境を整備することが重要でございます。
 職域におけるがん検診の受診率向上に向けた都のこれまでの取り組みを伺います。

○矢内保健政策部長 都は、職域におけるがん対策の取り組みを推進するために、平成二十七年度から東京都職域連携がん対策支援事業を実施してまいりました。本事業では、がん対策に意欲のある企業を募り、がんに関する情報提供やアドバイザー等による助言、連絡会の開催などの支援を行うことで、職域におけるがん検診の受診率向上を図っており、平成二十八年度は十社が参加し、特にすぐれた取り組みを行った企業を表彰いたしました。また、こうした企業の効果的な取り組みは事例集として取りまとめ、職域団体等を通じて周知してまいりました。
 今年度からは、より広く都内の企業ががん対策に取り組めるよう、東京都職域健康促進サポート事業を開始いたしまして、職域におけるがん検診の受診率向上を図っているところでございます。

○栗林委員 毎年、がんによる死亡者数は増加して、現在約三万人以上の方が亡くなっているという状況がございます。やはりそこで、しっかりがん診療連携体制ということも重要でございます。
 また、都独自に拠点病院等を整備しているとも伺っております。
 そこで、改めて拠点病院等の整備状況について伺います。

○矢沢医療政策担当部長 現在、都内には国が指定する病院が三種類ございまして、都の中心的な役割を担う都道府県がん診療連携拠点病院が二施設、二次医療圏を中心に医療連携の構築などを担います地域がん診療連携拠点病院は二十五施設、隣接する二次医療圏の拠点病院と連携して医療を行う地域がん診療病院は一施設が指定されております。
 国が指定する病院に加えまして、都は、高度ながん医療の提供と地域のがん医療水準の向上を図る拠点といたしまして、がん診療連携拠点病院と同等の診療機能を有する病院を東京都がん診療連携拠点病院として独自に整備をしておりまして、現在八施設を指定しております。
 さらに、肺がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、乳がん、前立腺がん、それぞれについて専門性の高い病院を東京都がん診療連携協力病院として現在二十二施設を指定しており、合わせて五十八施設が指定されております。

○栗林委員 国の指定する病院、都の指定する病院、合わせて現在五十八カ所もの施設を指定しているということでございます。やはりがん患者が安心して医療を受けられるよう、がん診療連携拠点病院等の役割の強化が必要と考えますが、都の見解を伺います。

○矢沢医療政策担当部長 がん患者が増加する中、がん医療を充実させていくためには、拠点病院等での専門医療の一層の向上を図りますとともに、身近な地域においても安心して治療が継続できますよう、医療機関相互の連携を進める必要がございます。
 現在、国において第三期がん対策推進基本計画を念頭に、医療安全管理体制、診療体制、そして地域連携などに関するがん診療連携拠点病院等に求められる指定要件の見直しが検討されております。
 都といたしましては、今後、国の検討状況を踏まえながら、東京都がん対策推進協議会の中で、都独自に指定している東京都がん診療連携拠点病院及び協力病院のあり方について検討し、都民が安心してがん医療を受けられますよう、体制の整備を図ってまいります。

○栗林委員 次に、がん患者やその家族に対する相談体制について伺います。
 がんと診断された後、治療のこと、生活のこと、精神的なこと、さまざまな悩みや不安を抱えて日々をお過ごしになります。そのために、これらの悩みを受けとめる相談体制の整備が重要でございます。
 都内におけるがん患者やその家族のさまざまな悩みを受けとめる相談体制について現状を伺います。

○矢沢医療政策担当部長 がん診療連携拠点病院等が設置するがん相談支援センターでは、看護師やソーシャルワーカー等が、患者や家族の悩みや不安に対し、きめ細かく相談に応じております。また、がん経験者がみずからの体験を生かした相談を行うピアサポートや、患者や家族の交流の場であるサロンを開催しております。

○栗林委員 さまざまなニーズに対応した相談体制は整備いただいているということでございますが、患者や家族からの相談に対応している窓口の情報、こういったことを周知していく体制が必要でございますが、その点はどのように対応していらっしゃいますでしょうか。

○矢沢医療政策担当部長 都は、がんに関する情報の一元化と充実を図るため、平成二十五年度に運営を開始した東京都がんポータルサイトにおきまして、都内のがん相談支援センターの一覧、ピアサポートを実施している病院やがん患者団体、患者支援団体等の活動等を掲載し、広く情報提供しております。
 また、がん診療連携拠点病院等におきましては、がん相談支援センターについて院内掲示やパンフレットを作成するとともに、担当医師や看護師などからも必要に応じて案内し、活用を進めております。
 現在、国は、がん診療連携拠点病院の相談支援センターをより広く周知させるための要件を検討するとしておりまして、都はこうした動向を踏まえながら、今後とも、患者や家族のさまざまな不安や悩みに応えられるよう、相談窓口に関する情報を広く提供してまいります。

○栗林委員 ご答弁の方も本当に急がせてしまって申しわけございません。
 次、認知症対策に移らせていただきます。
 今後、高齢化の進展に伴い認知症高齢者数は増加していくといわれていますが、都内の認知症高齢者の状況について伺います。

○粉川高齢社会対策部長 平成二十八年に都が実施をしました調査では、何らかの認知症の症状を有する六十五歳以上の高齢者の数は約四十一万人となっております。また、見守りまたは支援が必要な認知症高齢者は、そのうち約三十一万人でございます。団塊の世代が全て七十五歳以上の後期高齢者となる平成三十七年には、何らかの認知症の症状を有する高齢者は約五十六万人となり、高齢者人口の一七・二%に達する見込みでございます。

○栗林委員 それでは、都の認知症対策について、主な取り組み実績を伺います。

○粉川高齢社会対策部長 都はこれまで、認知症の進行予防から地域生活の維持までに必要となる医療を提供できる体制を構築するため、区市町村ごとに鑑別診断や専門医療相談、地域連携を推進する役割を担う認知症疾患医療センターの整備を進め、現在五十一カ所の医療機関を指定しております。
 そのうち、各二次保健医療圏の拠点となります十二カ所の認知症疾患医療センターには、医師や看護師から成る認知症アウトリーチチームを設置し、区市町村に配置しました認知症支援コーディネーターと連携して、認知症の疑いのある高齢者のお宅を訪問し、医療や介護などの支援につなげる取り組みを実施しております。
 また、認知症の人とその家族を支える人材を育成するため、認知症ケアに従事する医療従事者等の研修拠点として、東京都健康長寿医療センターに認知症支援推進センターを設置し、認知症サポート医や認知症支援コーディネーターなどの専門職のスキルアップを図っております。
 さらに、若年性認知症の方とその家族を支援するため、平成二十四年に全国初のワンストップ相談窓口であります若年性認知症総合支援センターを設置し、昨年十一月に二カ所目を多摩地域に設置をいたしました。

○栗林委員 多摩地域に都内二カ所目となる若年性認知症の方の相談窓口を設置していただきました。多摩地域の相談体制が充実したということで大変喜ばしいことでございます。
 そこで、新たに設置された多摩若年性認知症総合支援センターの役割と実績について伺います。

○粉川高齢社会対策部長 若年性認知症は働き盛りの世代で発症することから、医療や介護だけでなく、就労に関する支援や障害福祉サービスなど、多分野にわたる制度を活用した総合的な対応が求められております。このため、若年性認知症総合支援センターでは、電話相談だけでなく、面接や訪問による相談を行っております。
 さらに、地域のケアマネジャー等による支援へ移行することを目指し、就労継続支援等の窓口への同行や受け入れ先となる介護サービス事業者等との連携など、本人や家族の状況に応じた個別支援を行っております。
 昨年、多摩地域における相談拠点として開設しました多摩若年性認知症総合支援センターでは、開設から五カ月間で相談者が六十二人、相談延べ件数は百七十三件であり、主な相談内容は、医療に関する相談、本人、介護者の生活、社会資源の活用となっております。

○栗林委員 これからの認知症対策は、やはり予防も重要ではないかと思います。東京都健康長寿医療センターの予防に向けての取り組みを伺います。

○粉川高齢社会対策部長 東京都健康長寿医療センターは、認知症に関して専門医療の提供を行うとともに、生活習慣の改善や社会参加などが認知機能の低下の抑制に及ぼす影響などについて研究を行っております。
 こうした研究成果を活用して、都は、認知症の予防や早期発見の重要性の普及啓発を行っており、都が作成しましたパンフレット、知って安心認知症には、センターが開発しました自分でできる認知症の気づきチェックリストや認知症予防につながる生活習慣等を掲載し、都と区市町村合わせて約三十二万部発行をしております。
 なお、このパンフレットの要約版を作成し、新聞折り込みで都内全域に約三百七十五万部配布をいたしました。
 また、センターでは、大田区や豊島区等と連携して、絵本の読み聞かせを行うことで認知機能の低下を防ぐプログラムを開発し、平成二十八年度末現在、都外二市を含む十二区市で実施をされております。

○栗林委員 先日、絵本の取り組みを視察させていただきまして、大変効果があるということを見せていただきました。
 そこで、認知症予防について、東京都の取り組みと今後の対応について伺います。

○粉川高齢社会対策部長 認知機能の低下の予防には、日ごろからの適度な運動や栄養管理、趣味の活動や人との交流などが有効といわれております。こうした観点から、現在、区市町村では地域支援事業として、脳を活性化するトレーニングやウオーキングなど、さまざまな取り組みを実施しております。
 また、都は、医療機関と連携した認知症カフェで実施する認知症予防の取り組みについて包括補助で支援をしており、平成二十八年度には九区市で実施をしております。
 さらに、昨年度、東京都健康長寿医療センターと首都大学東京の専門職の協力を得まして、認知症の予防を共通のテーマに、全国九つの自治体で行われております取り組みを収集、整理し、海外の事例も加えた事例集を作成しました。本事例集は、区市町村地域包括支援センター、認知症疾患医療センターに配布をしますとともに、区市町村向けの説明会を開催し活用を促しており、今後とも、認知症予防に取り組む区市町村を支援してまいります。

○栗林委員 がん対策、そして認知症対策ということで、高齢社会に向かう中での、本当に都民の命を守る大事な、重要な取り組み、さらに推進をしていただきたいと思います。
 東京都の取り組みが全国の模範となるような、そういう体制を組むべきと考えます。
 最後に、局長の決意を伺いまして、質問を終わります。

○梶原福祉保健局長 今お話にありましたように、現在二人に一人ががんになり、都民のおよそ三人に一人ががんで亡くなっております。また、何らかの症状がある認知症高齢者の数は、平成三十七年には約五十六万人に達するというふうに見込まれております。
 こうした中、都は、都民ががんになっても安心して医療が受けられるよう、東京の強みといいますか、高度な医療を提供する医療機関が集積する、こういう強みを生かしまして拠点病院等を整備するとともに、地域の医療機関との連携、あるいは在宅療養の体制整備を推進しております。
 また、がんと診断されたときからの緩和ケア、相談支援や働く世代への就労支援、AYA世代のがん患者への支援など、患者や家族の方のライフステージに応じた対策を進めているところであります。
 また、認知症対策においては、認知症への理解あるいは予防、それから早期発見、医療、介護の連携、地域づくり、さまざまな取り組みが必要であります。具体的には、るる部長の方からお答えをさせていただきましたけれども、地域連携の推進と専門医療の提供、認知症の人と家族を支える人材の育成、認知症の人と家族を支える地域づくりの三つ、これを総合的に、東京都では施策を進めております。
 今後とも、こうした取り組みを一層進めまして、がんになっても、認知症になっても、この東京、地域の中で安心して生活できる東京というものを実現するために施策を進めていきたいというふうに考えております。

○藤井委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時五十分休憩

   午後三時開議

○藤井委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○小宮委員 認知症に関することですので、栗林委員と若干かぶりますけれども、ご容赦をいただきたいと思います。
 東京都における認知症高齢者は、平成三十七年には約五十六万人ということで、高齢者人口の一七・二%に達する見込みとなっています。超高齢社会を迎えるに当たりまして、これから大切なことは、いかに元気で長生きするかということです。
 今、国の方向性としても、介護状態になる前の予防の取り組みが重要であるというふうに認識をされています。認知症についても、残念ながら今は認知症を治すということはできませんけれども、その進行をおくらせることによって、今までどおりの生活を何とか維持できるかもしれない。そのために必要なのが、やはり早期の発見、そして診断から早期の治療であると思います。
 厚生労働省が平成二十七年一月に策定をし、ことしの七月に数値目標を更新した認知症施策推進総合戦略、通称新オレンジプランでは、栗林委員からもご紹介がありましたとおりですが、その基本的な考え方として、認知症の人の意思が尊重され、できる限り住みなれた地域のよい環境で自分らしく暮らし続けていくことができる、そうした社会の実現を目指すとしています。
 その実現に向けて、東京都は、平成二十四年から認知症疾患医療センターの設置を積極的に推進しております。現在の状況について、まず伺います。

○粉川高齢社会対策部長 都は、平成二十四年度に認知症に必要な医療を提供できる体制を構築するため、二次保健医療圏ごとに地域拠点型の認知症疾患医療センターを十二カ所指定いたしました。また、平成二十七年度から、より身近な地域で認知症の方を支える体制を構築するため、島しょ地域を除く区市町村に地域連携型の認知症疾患医療センターの整備を進めており、現在三十九カ所を指定しております。
 平成二十八年度の実績では、鑑別診断は約二万一千件、専門医療相談は約二十一万五千件となっており、地域における認知症の専門医療機関としての役割を果たすとともに、認知症の方とその家族を支えるための人材の育成や地域連携の推進に取り組んでおります。

○小宮委員 都内の五十三区市町村のうち、檜原村と羽村市がまだ未設置というふうに聞いておりますけれども、これらを除く五十一カ所まで整備が進んだということがわかりました。
 認知症の人にとっては、やはり遠方まで診断や治療に行くということが難しいため、東京都が全ての区市町村に地域連携型の認知症疾患医療センター、この設置を目指し、推進しているということは大いに評価をするところです。
 認知症の人やご家族にとって、最近変だな、認知症かもしれない、そういう不安を感じたときに、住みなれた地域で速やかに受診や相談ができる、そういう環境が整っているということは、患者への早期の対応につながると思います。
 また、認知症疾患医療センターが活動を進める上で極めて重要なのが、区市町村や地域との連携です。どのように取り組んできたか、実績を伺います。

○粉川高齢社会対策部長 十二カ所の地域拠点型認知症疾患医療センターにおいて、医療機関同士または医療と介護の連携を推進するため、地区医師会や地域包括支援センター、区市町村等により構成します認知症疾患医療・介護連携協議会を年二回以上開催し、二次保健医療圏におけるネットワークの構築を進めております。
 また、全ての認知症疾患医療センターにおいて区市町村の認知症施策への協力を行うほか、地域ケア会議や認知症支援に関する多職種連携会議等に参加し、認知症の人の支援に携わる関係機関や家族介護者の会等との連携を推進しております。
 さらに、医療従事者、ケアマネジャー等と具体的な症例、事例検討や意見交換を行う多職種共同研修の開催や、地域の関係機関が実施します研修会への講師派遣などにより、地域の中でお互いに顔の見える関係を構築するとともに、地域の認知症対応力の向上を図っております。

○小宮委員 区市町村や医師会、地域包括支援センター、ケアマネジャーなど現場を支える多くの関係者と相互の行き来を実施していることで、関係機関との連携が進められているということがわかります。
 私の住む杉並区の認知症疾患医療センターである浴風会病院でも、ことし四月から、近隣の都営団地で高齢者を対象とした無料健康相談会を始めています。団地の自治会と協力をして、早期に認知症の方を把握し、そして診断や支援につなげていく、そうした試みです。やはり一人のお年寄りや認知症患者に最も身近なところでかかわっている、そうした方々との連携というものは、認知症に対する対応が早期に適切になされる環境を整えているという点で、大変重要であると思います。
 国は、平成三十年四月までに、認知症の疑いのある高齢者への初期支援を行う認知症初期集中支援チームを全ての区市町村に配置することとしていますが、都内の状況と区市町村への支援について伺います。

○粉川高齢社会対策部長 平成二十八年度末現在、都内の認知症初期集中支援チームは、十九の区市に九十四のチームが配置されております。今後、平成二十九年度中に十九区市町、平成三十年四月一日に二十四区市町村で配置が予定されており、全ての区市町村で認知症の疑いのある人への初期支援の体制が整備される見込みでございます。
 都は、初期集中支援チームの構成員に必要な知識、技能を習得するために受講が義務づけられている研修の費用を負担しているほか、認知症アウトリーチチームが培ってきました訪問支援のノウハウを提供するなど、区市町村におけるチームの配置を支援しております。
 また、認知症疾患医療センターでは、区市町村の実情に応じて、初期集中支援チームの業務の受託や、医師や看護師等をチーム員として派遣するなどの協力を行っております。
 今後とも、区市町村における認知症初期集中支援チームの取り組みを支援してまいります。

○小宮委員 認知症初期集中支援チームは、医師と看護師と社会福祉士などの一チーム三名以上から成り、今はまだ初期の設立段階ということで、九十四チーム設置されたというご答弁がありましたけれども、そのうち、例えば足立区だけで二十を超えるチームが配置をされているということで、各区市町村によって設置の数もまだ違いまして、その実績や評価も、これは多ければいいというものでもないんだろうと思いますけれども、今後の検証となるということです。
 やはり患者や家族にとって、身近な場所にすぐ相談できる窓口があるということは大変重要なことです。認知症、これ一昔前は痴呆と呼ばれていたわけです。誤解や偏見を解消するために呼び方は変わりましたけれども、その症状自体を本人が認めない、認めたくない、家族もすぐには深刻に考えないなど、どうしても放置したまま状態が悪化してしまう現実というのは、なかなか変わっていないというふうに思います。
 今の世の中、みんなが長生きをして、誰でも認知症になる、そういう時代になったといわれています。でも、なるべくなら早期に診断をして、治療をして、本人も家族も今までどおりの生活を維持できるということが、家族の幸せ、社会の安心につながっていくと思います。
 私も杉並で活動をして間もなく二十年になります。当時、私は二十二歳でした。杉並で知り合った多くの方々がともに年月を重ねまして、六十歳だったご婦人が八十歳に、七十歳だった方が九十歳になったわけです。
 そんな中で、最近はその方々の息子さんや娘さんとお会いをする機会が多いわけですけれども、残念ながらお父さん、お母さんが半年前にできたこと、お湯を沸かすとかトーストを焼くとか、そういった単純なことまでできなくなってしまって、認知症になると、やはり不安になって怒りっぽくなる、そういう症状が出るものですから、家族のような身近な人ほど、けんかも絶えないと。昼夜が逆転して家では一緒に暮らせないと。
 やはり変だなと思ったときに、今までとちょっと違うなと思ったときに、今、目の前にある生命の危機ではないからということで、どうしても放置してしまうと、それがやはり悪化をしてしまうということで、家族と暮らし続けてきた今までの生活が維持できなくなってしまう。この認知症というのは、大変難しい課題を抱えているなということを痛感しています。
 東京都がすぐに相談できる、診断できる、治療できる、そういうセンターを身近に設けたり、区市町村との連携を図ったり、認知症の疑いや家族を受け入れる体制というのは整備されつつあると思います。
 でも、敷居が高いという声を、例えば杉並区の医師会の先生などからも聞くわけです。これからさらに重要なのは、やはり認知症への理解や普及啓発、早期の発見と診断が大事なんだよということをもっと広げていくことだと思います。
 そうした観点から、これまでの普及啓発の取り組みについて伺います。

○粉川高齢社会対策部長 都は、都民の方々に認知症に対する理解を深めていただきますよう都民向けシンポジウムを開催しておりますほか、認知症サポーターの養成に取り組む区市町村を包括補助で支援しますとともに、講師役となるキャラバンメートの育成を行っており、これまでに都内で約五十九万人のサポーターが養成をされております。
 また、認知症の疑いを家族で簡単に確認できるチェックリストや相談窓口などを掲載しました普及啓発用パンフレット、知って安心認知症を作成し、これまでに約八万五千部を配布するほか、区市町村においても、このパンフレットを約二十三万六千部作成し活用しております。
 さらに、本年十二月には、認知症の基礎知識等を紹介した専門のポータルサイト、とうきょう認知症ナビをリニューアルし、画面上でチェックリストの項目を入力すると、自動的に集計結果が表示されるようにするとともに、都民にアクセスしやすいようスマートフォン対応といたします。
 今後もさまざまな機会を捉えまして、認知症に関する普及啓発を進めてまいります。

○小宮委員 サポーターの数も五十九万人に達したということで、この認知症サポーターのオレンジリング、これを身につける方を最近随分見かけるようになりました。個人だけでなく、事業所の方々などにも、この認知症というのは社会的な問題、課題であるというふうに認識をされてきつつあると思います。
 認知症の人が住みなれた地域で暮らし続けるには、本人への支援だけでなく、家族や地域の人々の認知症への理解が欠かせません。診断や治療に適切に結びつけるためにも、本人や家族の思いに寄り添い、認知症に対する正しい理解を社会全体に広げる取り組み、これを今後もぜひ推進していただきたいと思います。
 それでは次に、福祉人材対策について質問します。
 保育や介護といった福祉人材を確保するということは、喫緊の課題となっています。東京都はこれまでも、そうした福祉人材への処遇改善やイメージアップを図る取り組み、資格取得支援や離職防止のための職場環境改善など、福祉人材の確保、育成、定着を図るさまざまな取り組みを実施してきました。
 そして、こうした取り組みを東京都だけでなく、区市町村や民間事業者などと連携をして一体的に進めるために、昨年六月には福祉人材対策推進機構というものを設置しています。この推進機構を活用した取り組みについて、幾つか伺ってまいります。
 まず、介護人材への対応についてです。
 介護分野の有効求人倍率は約六倍を超えています。公益財団法人介護労働安定センターによる平成二十八年度の介護労働実態調査によると、六割を超える事業所が人手不足としておりまして、早期の離職の防止や定着促進のための方策として、本人の希望に応じた勤務体制にするなどの労働条件の改善に取り組んでいるというところが六六・四%と最も多い回答となっております。
 福祉サービスを担う事業所の規模は、やはり小規模のところが多いわけですから、そうした事業所への支援が都として必要ではなかろうかと思います。推進機構でのこの取り組み状況について、まず伺います。

○古賀事業推進担当部長 都は昨年六月、区市町村、事業者、養成機関、就労支援機関などが参画する東京都福祉人材対策推進機構を設置いたしまして、人材の掘り起こし、マッチング、職場定着までを総合的に支援しております。
 その中では、人材の職場への定着を支援する事業といたしまして、希望する事業者に対して、組織、人材、労務管理にノウハウのあるコンサルタントを派遣いたしまして、人材育成、定着に向けたプログラム等の作成を支援しております。二十八年度は六十事業所を対象に、一事業所につき三回を上限に派遣をいたしておりまして、人材の育成計画の策定、組織体系の見直し、人事評価制度の構築、多様な雇用形態に対応できる制度設計などの支援を実施いたしました。派遣を受けた事業所への事後のアンケートでは、九割を超える事業者から満足の評価をいただいております。
 二十九年度は、小規模な事業者のニーズによりきめ細かく応えられるように、派遣の対象を職員が二十名以下の事業所といたしまして、三十五事業所を対象に、一事業所につきまして六回まで派遣可能として実施をしております。
 また、都内の事業者で人材確保、定着に積極的に取り組んでいる事例を分析、整理いたしまして事例集として取りまとめて、それを活用したセミナーを開催するなど、普及を進めていく予定としております。
 今後とも、福祉サービス事業所に対し、働きやすい職場づくりが進められるよう支援してまいります。

○小宮委員 次に、機構の取り組みの中でも、参加者の九七%が満足と回答している助成金つきの福祉職場のインターンシップ事業の内容と成果について伺います。

○古賀事業推進担当部長 東京都福祉人材推進機構では、新たな人材を掘り起こすため、福祉系分野以外の一般学部の大学生を対象とした助成金つきのインターンシップを実施しております。二十八年度は、福祉を専門に学んでいない大学生が福祉職場で五日間のインターンシップを体験した場合に、一日当たり六千五百円の助成金を支給することといたしまして、年三回の実施で、都内六十三の大学などから延べ二百四十一名が参加いたしました。
 参加した学生からは、福祉の現状を理解できた、職業選択の参考になった、関心を持つきっかけになった、働くことの楽しさを知ったなどの声が寄せられておりまして、参加した学生への事後のアンケートでは、九七%がインターンシップに満足したとの結果となっております。
 今年度は、インターンシップの経験をより深めてもらうために、インターンシップ後に行う振り返りや交流会を大学の授業のない休みの日にも開催しております。これによりまして、より多くの方に参加してもらうことを可能といたしまして、一人でも多くの学生が福祉職場への関心を高め、次につながっていくような工夫をしております。
 今後とも、できるだけ多くの学生が福祉職場に関心を持ち、福祉職場への就職に結びつくきっかけとなるよう、事業を実施してまいります。

○小宮委員 昨年度の参加者の声を見ますと、今ご答弁にもありましたけれども、高齢社会となり、福祉の需要が高まっていることを感じながらも、やはりその業界を知ることができて実際よかったと。関心があっても、なかなか福祉の現場の現状を知るということは、機会が、チャンスがない中で、学生の皆さんにとっても貴重な経験、体験になったんだということを感じました。今後も参加者の枠をふやすなど、積極的に福祉の現場を知る機会というものをふやしていただきたいと思います。
 この推進機構は、保育や介護や障害など、福祉人材全般を集約する窓口となっているんだと思います。もともと何か福祉の仕事で役に立ちたいという、漠然ではあるけれども、そうした意識の高い学生さん、意識のある学生さんが対象。福祉といってもいろいろな仕事がありますから、最初から何かに決めて、保育だとか障害だとか、そういったものに決めて特化するのではなくて、やはり幅広くさまざまな福祉の職種というものを体験することで、自分に合った福祉の仕事を見つけられる、そんなきっかけづくりの事業になってほしいなと思います。
 一方で、東京都では、保育に特化した、高校生への保育の仕事職場体験事業を保育人材・保育所支援センターに委託をして実施をしています。参加対象は、保育の仕事に興味のある都内の高校生ということで、先ほどの福祉人材対策推進機構が行っているインターンシップに比べて、具体的に将来保育の仕事を考えているといったような生徒さんに、現場を知る機会を提供しています。昨年度の実績と成果を伺います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 平成二十八年度の保育の仕事職場体験事業でございますが、認可保育所、認証保育所など二百十三カ所の保育施設におきまして、六百四十一名の高校生が保育の仕事を体験いたしました。
 参加者アンケートによりますと、九割以上が保育の仕事の魅力や意義について学べた、保育の仕事への関心が高まったというふうに回答をしております。また、九八%が職場体験に満足しているというふうに回答しております。
 引き続き、都内の高校生に対しまして保育の仕事の魅力を伝えてまいります。

○小宮委員 職場体験後の感想の中には、行ってみると実感が湧いてきたとか、掃除やおむつがえなど大変な部分も知ることができたとか、そうした大変なことも笑顔でやっている保育士を見て自分もそうなりたいと感じたとか、将来の夢に対する具体的なイメージができたなど、大変前向きな回答が見られました。同時に、二日間だけでは足りないと、保育園になれる前で終わってしまうと達成感がないと、なるほどなと思える意見もありました。
 受け入れる園との調整や規模など限りがあると思いますけれども、近い将来の保育人材確保のためにも、ぜひ事業の充実をお願いするところです。
 さて、近い将来だけでなく、今現在の保育士の確保策も重要です。東京都は、さきに述べた保育人材・保育所支援センターを設置いたしまして、これまで保育人材の確保、育成、定着に向け、保育所への就職支援、マッチングや研修、相談会の実施、保育事業者への職場環境づくりに関する研修など、地味ではありますけれども、さまざまな施策を着実に実施してきております。
 さらに、保育の仕事の魅力を伝えるため、年に一度、保育のおしごと応援フェスタを開催しています。保育の仕事のイメージアップも重要とされる昨今、処遇改善とあわせて、そうした取り組みを推進すべきと考えます。
 この保育のおしごと応援フェスタの平成二十八年度の実施状況について伺います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 保育のおしごと応援フェスタでございますが、保育の仕事に対して興味、関心を持つ方を対象に、現役の保育士を交えたワークショップや保育の魅力に関する講演会、就職相談会などを一体的に実施するイベントでございます。
 本年の一月に開催いたしましたフェスタには、六百四十五名の方に参加いただきまして、その内訳でございますが、保育士の資格をお持ちの方が約三割、保育士を目指す学生が約四割、そのほかに保育に関心のある方が約三割でございました。
 今年度でございますが、来年の一月二十一日に開催を予定してございます。
 今後とも、保育の仕事のイメージアップに取り組んでまいります。

○小宮委員 保育士を志す学生が現役の保育職員と交流や相談ができたり、また、さまざまな理由から一旦離職をしてしまっている、いわゆる潜在保育士の方々にとっても、保育の仕事の魅力を再発見する機会となったり、その場で就職相談会も実施されるということですから、今年度も多くの皆さんに参加いただけるよう、周知などを積極的に行っていただきたいと思います。
 福祉の現場を支えるのは区市町村ですけれども、福祉人材の支援は東京都が取り組むべき仕事であると思います。処遇改善や相談窓口の設置、研修の実施やイメージアップ事業など、さまざまな角度から、これからも福祉人材の確保策をしっかりと推し進めていっていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。

○里吉委員 それでは、私からは、認可外保育施設の質の向上を図るための巡回指導チームについて伺ってまいりたいと思います。
 東京都は、昨年度の補正予算で認可外保育施設の質の向上を図るための巡回指導チームの編成を行いました。昨年三月には、中央区の事業所内保育施設と大田区のベビーホテルでお子さんが亡くなる事故が相次ぎました。本来、大切なお子さんの命を預かり、成長、発達を保障する場でなければならない保育施設で、今回のような子供の死亡事故が起きるということは、決してあってはならないことです。
 認可外保育施設に対して指導検査を行う権限は東京都にあり、子供の安全が脅かされるようなことがないよう、確実な指導を行う必要があります。
 そこでまず、以前から行ってきた認証保育を含む認可外保育施設への指導検査について、昨年度の立入検査数と、そこで明らかになった問題点、特徴的なものについて伺います。

○村田指導監査部長 平成二十八年度におけます認可外保育施設への立入調査は、対象となる千六百四十施設のうち、三百四十八の施設に対して実施をいたしました。
 このうち、認証保育所に対する立入調査の実績は百六十五施設でありまして、主な指摘事項は、常勤有資格者の適正な配置に関すること、調理従事者、調乳担当者の検便の適切な実施に関すること、避難、消火訓練の適切な実施に関することなどでございます。
 認証保育所を除く認可外保育施設に対する立入調査の実績は百八十三施設でございまして、主な指摘事項は、保育従事者の複数配置に関すること、有資格者の適正な配置に関すること、非常口の適切な確保に関することなどでございます。

○里吉委員 きょう出していただきました資料7にも立入調査の件数、書いていただきましたけれども、昨年度の立入検査の結果は、東京都が発行しております指導検査報告書にもまとめられております。施設ごとの検査結果の概要も東京都のホームページに掲載されております。
 それらを見ますと、今ご答弁のあったとおり、子供の安全の根幹にかかわる問題で基準を満たしていなかった施設が多数あることがわかります。同時に、ここにも、今お答えもいただきましたように、認可外保育施設に対する立入調査の実施率は、千六百四十施設のうち三百四十八施設ですから、約二一%にすぎないわけです。基準を満たない施設はもっと多いのではないかというふうに思われます。
 昨年三月に死亡事故の起きた事業内保育施設は、事業開始から五年がたっていましたけれども、事故が起こるまで一度も立入検査が行われておりませんでした。このことは、東京都が設置した東京都教育・保育施設等における重大事故の再発防止のための事後的検証委員会がことし三月に公表した、検証委員会の事故の報告書でも指摘をされております。
 こうしたことも背景にあり、東京都は巡回指導チームを編成し、認可外保育施設に年一回の巡回指導ができる体制を整備するという方針を決めました。昨年度からスタートしたこの巡回指導について、今までの指導監督との違いも含めて、どういう内容のものなのか、伺います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 都はこれまで、児童福祉法等に基づきまして、認可外保育施設に対して書面による報告徴収、立入調査、巡回指導等の指導監督を実施してまいりました。
 昨年度からは、常勤職員に加えまして、非常勤職員による専任の巡回指導チームを編成いたしまして、指導体制を強化したところでございます。巡回指導チームでございますが、都が独自に作成をいたしました認可外保育施設巡回指導チェックリスト、こちらをもとに職員配置、建物、設備の状況、避難訓練の実施状況、保育内容、健康安全の管理などを確認いたしまして、必要な助言指導を実施しております。

○里吉委員 全ての施設に年一回巡回指導が行われるようになるということで、これは改善ですが、子供の安全を守るためには、その指導が実効性のあるものにならなければならないと思います。
 そこで伺いますが、実際に保育施設に伺う、巡回する方、その場で保育の質についてもチェックするためには、ある程度保育の経験がなければ難しいと思います。どのような方がこの指導に当たっているのでしょうか。研修も行っていると伺いましたが、その内容についてもあわせて伺います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 巡回指導員でございますが、認可保育所の園長OBなど保育所等において勤務経験があり、保育士資格または看護師の資格を有する方、それから行政機関等におきまして社会福祉施設等の指導業務に従事した経験のある方などで構成をされております。
 巡回指導員でございますが、認可外保育施設指導監督基準などの研修の受講や立入調査への同行などの経験を経まして、実際に巡回指導を行っております。

○里吉委員 実際に保育の現場で働いたことがある方など、その方が保育施設に行けばどこを重点的に見ればいいかというのがわかる方が、なおかつ研修として立入調査の同行などもしてから伺うということがよくわかりました。この巡回指導の方々が、方針どおりに確実に全ての施設を回る体制が必要だと思います。
 昨年度は、三班編成で巡回指導チームを組んだと伺っていますが、具体的な実績を伺いたいと思います。また、今年度は全ての認可外保育施設に年一回の巡回指導ができる体制を整備するということでしたけれども、どのような体制を組んでいらっしゃるのか、実績とあわせて伺います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 昨年度でございますが、非常勤職員六名を配置いたしまして、一班二名によるチームを編成しまして、平成二十九年の三月、一月のみでしたけれども、三十八施設に対して巡回指導を行いました。
 今年度につきましては、さらに十四名を増員いたしまして、二十名十班体制といたしまして、九月末までに三百四十の施設に対しまして巡回指導を行っているところでございます。
 この巡回指導チームでございますが、巡回指導チェックリストをもとに、例えばタオルの共用を個別使用に改めること、保育室内の棚の上にポットなどの落下のおそれがあるものを置いていないかを点検すること、あるいは睡眠チェック表に睡眠中の体の向きなどを記載することなど、日々の保育を行っていく上での具体的な指導助言を行っております。

○里吉委員 今年度は九月末で三百四十施設ということですから、昨年度の、今までやっていた立入調査に追いつくスピードだと思います。準備が整って本格的に始動したのは、多分年度途中からだと思いますので、後半はもっと多くの施設を回ることができて、全ての施設を年度内に回れる見通しが立っていると伺いましたけれども、全ての施設、確実に回ることができるように重ねて求めておきたいと思います。
 そして、巡回指導を行って問題点を指摘したとしても、それが改善されないまま子供を預かる状態が続くのであれば、これは子供の命と安全を守ることはできません。
 昨年死亡事故のあったもう一つの例、大田区の保育施設は、毎年東京都が立入調査に入り、問題点を指摘されてきました。認可外保育園での有資格者の配置基準は、保育従事者の三分の一以上有資格者という極めて低いものですけれども、それも下回るという指摘を毎年受けてきました。二〇一四年度は時間預かりの子供も含めて計算すると基準を下回る、その他の年度は時間預かりの子供を含めなくても基準を下回っている、こういう状況が続いた中で死亡事故が起きたということです。
 大田区のベビーホテルの死亡事故については、都の検証委員会が検証を行っているということですけれども、有資格者が三分の一にすら満たない状況で子供を預かり続けるということは、あってはならないことだと思います。
 巡回指導チームが施設を巡回した際に保育の状況に課題があった場合、都としてどのような対応を行っているのか、伺います。

○加藤子供・子育て施策推進担当部長 巡回指導チームは、職員配置や設備基準を満たさないなど、児童の安全面等から課題があることを確認した場合には、早期に是正を行うよう、その場で指導をしております。また、施設の状況を踏まえて再巡回を行いまして、改善状況等を確認いたしますとともに、必要に応じて再度の指導を実施しております。
 こうした巡回指導の結果につきましては、随時立入調査を所管する関係部署とも共有をいたしておりまして、職員配置や保育内容等に重大な問題が認められた施設には早期に立ち入りを行うなど、機動的な指導につなげております。

○里吉委員 今、機動的な対応をするということで指導体制の強化につなげているというご答弁でした。それは当然のことだと思うんですけれども、東京都のホームページに結果が、一覧表が出ておりますけれども、昨年度の立入調査の結果を見ますと、死亡事故のあった大田区の施設と同様に、問題点を指摘されたにもかかわらず改善がされない、あるいは改善状況の報告さえしていない施設が少なくありません。
 昨年度の状況をホームページで確認させていただきましたが、東京都が立入調査を行った施設で、有資格者が三分の一以上という基準を満たしていなかった施設は四十一施設ありました。これ、全体の二割しか見ていない中でのこれだけの数なわけです。そのうち、改善されたのは八施設なんですね。基準を満たしていないことへの対応が、従来の範囲内にとどまっていたのでは、こうした状況は変わらない。あってはならないことなんだけれども、大田区の先ほどのベビーホテルのケースは、毎回注意をしていたけれども、改善されないまま死亡事故まで至ってしまったわけです。
 東京都には、改善がされない施設に対しては、改善勧告を経るなどして事業の停止や施設の閉鎖を命ずる権限もあります。しかし、行使される場合は非常に少ないのが実態です。
 あくまで子供の命を守ること、これを中心に考えることが必要で、客観的に見て子供の命と安全が保障されない、そういう状況が続いていると判断したら、それが解決されないのであれば、その施設の運営をやめさせることも必要だと思います。指導を行っても改善されないという状況、その施設が頑張っているかどうかは別で、頑張っていたとしても改善されていないという場合は、そういう厳しい判断をすることも私は必要だと思うんですね。そういう対策が必要だということについてどう思うのか。
 それから、改善命令を出しても、命令というんですかね、改善を求めても、改善状況報告書も出していないところも幾つも見られていますけれども、こういうところに対しても踏み込んだ指導が私は必要ではないかと思いますが、こういうところの対応についても、あわせて伺いたいと思います。

○村田指導監査部長 まず、改善状況報告書未提出という部分でございますけれども、改善状況報告書につきましては、まず、立入調査では、認可外保育施設指導監督基準に基づきまして、職員の配置状況などの運営面と保育内容について基準に適合しているかを確認しておりまして、基準を満たしていない場合には指摘をし、改善状況報告書の提出を求めるというものでございます。
 その改善状況報告書が期限までに提出されない場合には、まず、口頭により改善状況の確認を行った上、提出を求めまして、それでも提出されないという場合には、文書で督促を行っているところでございます。また、この督促の文書の送付後も提出をされない場合につきましては、指摘事項や巡回指導での指導内容等を精査の上、再度立入調査を実施し、状況の確認と改善指導を行っているところでございます。
 また、それでもなおということでございますけれども、立入調査では施設の運営状況等を確認しておりまして、基準に適合しない場合には、文書による改善指導を繰り返し行い、改善されない場合には、改善勧告、また、施設の閉鎖命令等をこれまでも行ってきております。
 また、先ほど来から答弁させていただいておりますけれども、認可外保育施設の保育サービスの質の向上を図り、児童の安全と保護者の安心を確保するため、本年三月から巡回指導チームが施設に立ち入りまして指導を行っており、全ての施設に対し年一回実施をすることとしております。この立入調査や巡回指導には区市町村が立ち会うほか、指導内容も共有をしております。
 今後とも、区市町村とも連携をしまして、認可外保育施設に対する指導監督を強化してまいります。

○里吉委員 いろいろやっていただいているというのは私も認識しておりまして、そして昨年度から人数もふやして、別の体制もつくって始めていただいているということで、これ一歩前進だというふうに、それは大変評価はしているところなんですが、それで本当に死亡事故が起きないようにするためにはどうしたらいいのかということを検討していただきたいというふうに思うわけです。
 そのためには、再度の立入調査、状況の確認等改善指導を確実に実施して、迅速に必要な対応をとるために、さらに十分な職員の配置が必要だと思います。
 私、ちょっと、私の住んでいる世田谷区に聞いてみたんですけれども、世田谷区では、やはり同じような、保育の質を担保するための、保育園を支援するという立場で、やはり保育園の園長経験を持つ方など約二十名で世田谷区内の保育園を回っているそうです。私立の認可園は大体年一回、認証保育と保育室、保育ママというところは年二、三回訪問していると、ベビーホテルなどはちょっと管轄外なので行っていないということだったんですけれども、今、東京都が巡回指導を始めたところなんですよね。ですから、この人数で本当にできるのかということは、ぜひ今後検討していただきたいと思います。
 それから、中央区で事業所の中の保育施設でお子さんを亡くした保護者の方は、東京都に対して、このお子さんはうつ伏せ寝で亡くなったケースなんですけれども、うつ伏せ寝を根絶するために、さいたま市の事例を挙げて抜き打ち調査も行ってほしいという要望も出されておりました。
 これ読みますと、なぜうつ伏せ寝にするのかということで、これだけうつ伏せ寝で事故があるのに、この保育園ではうつ伏せ寝をさせていたということが書かれているんですが、さいたま市では、通常の監査とは別に、午後、時間中にうつ伏せ寝や午睡室を無人にしていないかを確認するために抜き打ち調査を実施することを周知し、実際に年間数十カ所の抜き打ち調査を実施していたと。初年度は指摘事項のある施設が四割を超えていたとのことでしたけれども、アナウンス効果が浸透して、三年目には指摘事項のある施設は二割以下に減少したということで、抜き打ちがあるかもしれないよということで、実際抜き打ち調査もやってということを、この保護者の方は、東京都もぜひやってほしいということも出されておりました。
 ですから、今後の課題になりますけれども、立入調査と巡回指導の体制を強めるとともに、東京都教育・保育施設等における重大事故の再発防止のための事後的検証委員会の検証もいろいろ提言も出されておりますから、これも踏まえて、子供の命と安全を守るための総合的な取り組みを確実に進めていただくことを求めまして、私の質問を終わります。

○池川委員 それでは、私からはまず、地域医療支援ドクターについて質問をしたいと思います。
 東京都地域医療支援ドクター事業は二〇〇九年度から始まり、医師経験が五年以上の医師を東京都の職員として採用し、地域医療支援ドクターとして医師不足が深刻な多摩や島しょ部の市町村公立病院等に一定期間派遣すること、専門医、指導医等へのキャリアパスを実現するよう希望に応じて専門研修を実施することを主な事業の目的としています。
 小児科の医師不足が深刻だったことも背景にあると聞いています。発足した時期、町田市民病院も小児の二次救急を休止する事態となりました。この地域支援ドクター事業が、医師不足などの困難を抱える多摩地域や島しょの支援となることに大変注目をしているところです。
 そこでまず、改めてになりますが、地域医療支援ドクター事業の果たしている役割について、東京都の認識をお伺いしたいと思います。

○成田医療改革推進担当部長 お話のように、地域医療支援ドクター事業は、地域医療の支援に意欲を持つ医師経験が五年以上の医師を都職員として採用いたしまして、医師の確保が困難な多摩・島しょの公立病院等に、小児、周産期、救急、僻地医療等の分野に従事する医師を派遣するものでございまして、公立病院等の医師確保に資するものと考えております。

○池川委員 小児、周産期、救急、僻地医療等の分野に医師を派遣することで、公立病院の医師確保に資するという役割は非常に重要だということを改めて申し上げておきたいと思います。
 この役割にふさわしく事業が行われているのかについて、具体的な事業の実績について伺っていきます。
 まず、実績についてですが、地域医療支援ドクター事業の昨年度の実績及び二〇一〇年度からの実績状況がどうなっているのかについて伺いたいと思います。

○成田医療改革推進担当部長 平成二十八年度は、多摩地域の三つの公立病院に対しまして計四名の医師を派遣いたしました。また、平成二十二年度から二十八年度までの間、延べ二十九名を派遣しております。

○池川委員 地域医療支援ドクターは、多摩と島しょ部の公立病院に派遣することとされており、派遣先としては、利島村国民健康保険診療所など島しょの十医療機関、さらに檜原村国民健康保険檜原診療所、奥多摩町国民健康保険奥多摩病院、青梅市立総合病院、町田市民病院、日野市立病院、稲城市立病院、公立阿伎留医療センター、公立昭和病院、公立福生病院というふうになっています。
 対象となっている病院からの支援派遣要望の昨年度の状況と、それに対する対応状況がどうなっているかについて、お示しいただきたいと思います。

○成田医療改革推進担当部長 平成二十八年度につきましては、地域医療支援ドクターの派遣対象となる公立病院から、小児科五名、産婦人科四名、救急科四名など、合計二十一名の派遣要望がございました。それに対しまして、公立病院の派遣要望を個別にヒアリングを実施いたしまして、地域の状況や派遣予定の地域医療支援ドクターの専門性等を勘案の上、計四名の派遣を行ってまいりました。

○池川委員 二十一名の要望に対して派遣は四名ということですが、伺ったところによると、二十一名の要望のうち、ほかの制度等を使って実際に派遣もされているということで、この四名は地域支援ドクターから派遣をしていただいているということです。
 六年間が任期で、そのうち二年間を派遣するという事業のため、地域支援ドクターの数がそもそもいなければ、このニーズに応えることはできません。これまで二十九人の派遣を行ってきたということですが、さらに充実をしていく必要があると考えます。
 小児、周産期の分野が多摩地域では大変ニーズとしては高い。私ごとではありますが、今から六年前に、長男が生後五日で四十度の発熱をしました。町田市民病院に救急の依頼をしたんですが、感染症の患者さんの対応等もあり、慢性的に小児科医が不足していた市民病院では受け入れることができないというふうにいわれ、何とか探して別の病院に受け入れていただいた経験があります。
 さらに、その病院では対応し切れずに、高次の病院に救急車で運ばれて何とか一命は取りとめましたが、こうした話をすると、保護者の皆さんからは同じような体験をしたという声を伺います。子供の命の危機というのは、親は目の前で本当に見ていることしかできないという状況で、やっぱり医療機関にきちんとサポートしていただかないと命は守れないということを、多くの保護者の皆さんが身をもって体験されていらっしゃいます。
 この当時さらに、町田の地域の産婦人科のお医者さんたちからも、町田において出産をする場合には、特にリスクの高いお産がわかった場合には、後方支援の病院が、安定的に医者がいて、受け入れてもらえないと、安心してこの町田でなかなか産めないんじゃないかということも議論になっておりました。
 この問題については、我が党の清水ひで子都議が二〇一五年の予算特別委員会で、東京都としても支援すべきだと求めたのに対して、当時の答弁では、公立病院の要請に応えられるよう、地域支援ドクターの確保に向けて取り組んでいくというふうに答弁もあったところであります。
 このときの答弁の確認にもなるんですが、公立病院からの要望に対しては、先ほど二十一名中四名の派遣ということだったんですが、積極的に応えていく、医師確保の視点としてこの地域支援ドクターを活用して、積極的に医師確保に貢献していくという立場で基本的には取り組んでいかれているというふうに考えてよろしいか、その確認をさせてください。

○成田医療改革推進担当部長 都はこれまで、多摩・島しょの公立病院等への地域医療支援ドクターの派遣のほか、小児、周産期、救急、僻地医療に従事する医師を確保するための医師奨学金制度や医療機関における勤務環境の改善の支援など、医師確保に向けたさまざまな取り組みを実施しているところでございます。
 今後とも、これらの取り組みを積み重ね、必要な医師の確保に取り組んでまいります。

○池川委員 ぜひ、こうした地域からの要望に、この制度の趣旨としても積極的に応えられるよう、これは求めておきたいと思います。
 町田市民病院は、東京都が実は派遣をしている病院に入っておりまして、二〇一五年度の当時は小児科医師が三名でした。その次の年、二〇一六年度に東京都からの派遣ドクター二名、それに加えて医局から四名の医師を送っていただいて九名体制となって、三倍の医師で診療に当たることができるように変わりました。
 それによって、NICU、新生児集中治療室の稼働率は、前年度の四割台から八割台へとふえ、小児救急は一・八倍、新生児の救急については十九倍へと飛躍的に前進しました。これは、地域医療支援ドクターの派遣によって具体的な改善に至っているというふうなケースとして、私は大変喜んでおりますし、地域の医療機関の皆さん、そして何よりも子供が生まれるお父さん、お母さんたちから大変歓迎をされているということも、あわせてこの場でご報告をしたいと思います。
 それで、この地域医療支援ドクターを派遣する、支援派遣勤務を行った結果、支援の結果を東京都としてはどのように把握をされているのか。もし町田市民病院以外で事例などもつかんでおられましたら、ご紹介もいただきたいと思います。

○成田医療改革推進担当部長 地域医療支援ドクターの効果でございますけれども、地域医療支援ドクターを派遣した病院を訪問いたしまして、診療体制や実績、勤務環境などについて、院長や診療部長などからヒアリングを行っているところでございます。こうした中で、当直体制が楽になったとか、こういった報告もございました。
 また、派遣した支援ドクターとの個別面談などを行うなど、きめ細かく情報交換を行うことにより、派遣の効果を把握しております。

○池川委員 ぜひこうした、送った結果については丁寧に把握をし、検証もしていただきたいというふうに思います。
 地域医療支援ドクターの募集や周知の方法についてどういう取り組みが行われ、今募集が行われているのか、昨年度もどういう取り組みが行われたのかについて伺いたいと思います。

○成田医療改革推進担当部長 地域医療支援ドクターの募集や周知でございますけれども、都のホームページやツイッター、「広報東京都」などで広く周知しております。
 また、都立、公社病院の人材担当の副院長が集まる進路情報連絡会や東京医師アカデミーシニアレジデント研究発表会などでも情報提供を行っているところでございます。

○池川委員 広報、ホームページ、ツイッター、さらには都立病院、公社病院の人材担当副院長が集まる進路情報連絡会、東京医師アカデミーシニアレジデントの研究発表会等ということでした。
 この周知の結果、実際にはどういうところから応募が来ている状況なのか、実績について伺いたいと思います。

○成田医療改革推進担当部長 平成二十二年度から平成二十八年度まで合計三十一名の応募がございまして、応募時点での医師の所属は、東京医師アカデミー十三名、都立病院三名、自治医科大学卒業医師三名、その他民間病院などが十二名でございました。

○池川委員 実績についてはわかりました。
 東京都市長会が、都は、東京都地域医療支援ドクター事業により、多摩・島しょの公立病院に医師派遣を行っているが、派遣期間が短期間であることやローテーションに欠員が生じるなど、継続的、安定的に医師が確保されていないことから、より多くの医師を派遣する改善策を講じられたいというふうに要望も上がっております。
 公立病院の医師確保に資するという、最初に答えていただいた役割にふさわしく、各病院からの要望にきちんと応えていける体制をつくっていただきたいということを求めて、この質問については終わりたいと思います。
 次に、重度心身障害児者のショートステイの問題について伺いたいと思います。
 医療的ケアが必要な子供とその家族をサポートすることが必要なことは、論をまたない課題となっています。東京都が行った東京都重症心身障害児(者)在宅医療ケア体制整備モデル事業報告書でも、在宅での状況を見ると、NICU等から在宅に移行する乳幼児の増加に伴い、看護師が家庭を訪問し在宅医療への支援を行う重症心身障害児者訪問事業の利用者は、ゼロ歳から六歳までの就学前の利用者が八五%を超えており、利用者の約七割が超重症、準超重症児者と医療ニーズの高い利用者が多くなっていることを指摘し、短期入所の利用のニーズは高いため、全体として足りない状況となっているというふうに指摘をしています。
 中でも、ショートステイがこの分野にとっては極めて重要です。モデルとなった東部療育センターでも東大和療育センターでも、現在利用している利用福祉サービスのトップは短期入所、ショートステイとなっています。
 先日、保護者の方から、施設の長期入所と比較をして短期入所の場合は在宅生活のスタイルを崩さずケアしてほしいというのが保護者の願いである、呼吸器など医療的ケアが必要な子供を受け入れてくれる施設をふやしてほしい、保護者の中で一番話題になるのは、親である自分が病気などで倒れたときに一気に行き詰まってしまうことだと、必要だと思う日数が利用できず、突然の冠婚葬祭など、現実的に利用がなかなか難しいというお話も伺ったところです。在宅支援を行う上で、ショートステイの量、質ともに充実していくことが極めて大切だと思います。
 そこで伺いたいと思いますが、重度心身障害児者のショートステイについて、過去三年の確保病床数と利用延べ日数について実績がどうなっているか、お答えいただきたいと思います。

○高原障害者施策推進部長 都では、介護者の病気や家族の都合等により、一時的に家庭での介護が困難になった場合に短期入所が利用できるよう、重症心身障害児者のための短期入所に係る病床確保事業を実施しております。
 確保病床数は、各年度末時点でございますが、平成二十六年度及び二十七年度は十三施設に百四床、平成二十八年度は十四施設百二十一床を確保してございます。また、利用延べ日数でございますけれども、同じく各年度末時点で、平成二十六年度が三万八千九百八十日、平成二十七年度が四万一千百六十八日、平成二十八年度は四万三千二百二十日となってございます。

○池川委員 確保数、そして利用人数については今お答えがあって、少しずつふえているということもわかりました。
 私も、このショートステイについて都の計画を改めて当たってみたんですが、東京都障害者計画・第四期東京都障害福祉計画において、地域生活基盤の整備を進める中で、重症心身障害児者を含め、二〇一五年度から一七年度の期間で二百二十人の定員増を行うこととなっています。この重症心身とそれ以外の内訳については示されてはおりませんが、計画は総数の目標で、全体としてベッド数が一千二十二人分に対して九百六十三人というふうになっております。重症心身障害者については、先ほど答弁があったとおりで十七床の増となっていますが、全体としてはおくれている状況です。
 これは今年度が最終年度ですが、昨年度の状況を踏まえて、この重症心身障害者も含めた短期入所枠を目標どおりに引き上げていく必要があると考えますが、昨年度の到達点を踏まえてどのように取り組まれているのか、お伺いしたいと思います。

○高原障害者施策推進部長 ご指摘のとおり、このショートステイ、短期入所は、在宅で障害児者を介護、療育されているご家庭にとりましては、ご病気のとき、あるいは何かご都合があって、法事等で用事があって出かけなきゃいけないとき、あるいは本人の急用、あるいは体調の管理等のために極めて重要な事業でございまして、そういった意味では、東京都は、今もおっしゃられたとおり、計画的にその目標値を掲げた上で、施設整備に対する助成はもとよりのこと、さまざまな確保事業等によりまして、このショートステイについては、積極的にこれからも整備を進めてまいりたいと、確保を進めてまいりたいと、そのように考えておるところでございます。

○池川委員 東京都としても、ニーズが高いということと全体として足りていないというふうな認識を示されているので、現在、第四期の計画をまず着実に実行していただくとともに、次期の計画には、日中活動の場のように、重度心身障害者の施設整備数についても、このショートステイ、どのくらい整備をしていくのかについて、ぜひ計画の中に入れていただきたいということは要望しておきたいと思います。
 次に、看護師の確保の問題です。
 ことしの十月から、ショートステイも受けていただいている島田療育センターの東京都枠三床が、看護師不足などにより、受け入れが今とまっております。現在、看護師の確保を初め、再開に向けて努力されているというふうに聞いております。都としても、一日も早く東京都枠が再開できるようにしていただきたいと思います。
 重症心身障害児者など障害者分野における看護師不足は極めて重要な課題となっております。
 そこで、重症心身障害児者施設における看護師の確保や育成についてどのような取り組みを進めてきたのか、また、実績がどうなっているのかについてお答えいただきたいと思います。

○高原障害者施策推進部長 都では、看護師確保のため、重症心身障害看護の特徴や魅力、都内の養育センターの紹介等を盛り込んだPRパンフレットを作成、配布するとともに、看護大学や看護専門学校において説明会を実施しておりまして、昨年度は十校で開催をし、六百九十八名の学生が参加をしたところでございます。
 また、人材育成につきましては、重症心身障害児者施設における看護師のレベルアップを図るため、経験に応じて研修を実施しております。具体的には、重症心身障害看護の実務経験が三年未満の看護師を対象に、基礎的な知識、技術を学ぶ基礎講座を行い、昨年度は延べ百七十三名が受講いたしました。さらに、実務経験三年以上の看護師に対しましては、専門的な知識、技術を備えた指導的役割を果たす人材の育成を目指し、都独自の重症心身障害プロフェッショナルナース育成研修を実施し、昨年度は二十五名が修了いたしました。
 また、重症心身障害児者の看護に必要な摂食・嚥下障害看護や感染管理などの分野におけるスペシャリストを育成するため、日本看護協会の認定看護師の認定取得のための派遣研修を実施し、昨年度は二名が認定を受けたところでございます。

○池川委員 この取り組みについて、どこも看護師確保は大変だということなんですけど、施設から伺ってみると、看護大学、また看護専門学校等において、説明会を東京都が準備をして、そこに出席をして、一緒にPRもさせていただいていることは大変喜んでおりました。こうした施設からの意見を踏まえて、今後もぜひ、この開催数等についてはふやしていただきたいと思います。
 それから、さっき紹介があった福祉保健局が作成したパンフレット、ヒューマンケアに向き合う看護、重症心身障害看護の魅力は、重心介護の魅力とともに、奥深さ、そして施設の紹介も大変丁寧にわかりやすくなっています。最後のページに所在地が載っているんですけど、残念ながら東京都の地図が西側半分切れているんですね。これ、切れているんですよ。(発言する者あり)町田市は載っています。これ、切れているんです。
 何でかというと、施設がないから恐らく切っているんですけど、実際には地域偏在があるということを端的に示しているというふうに思います。地図に載っていない地域の方から見たら、自分の地域は一体どうなっているんだという気持ちになることを、これはぜひ想像力を働かせて改善もしていただきたいということはいっておきたいと思います。
 先日、医療的ケアが必要な障害児を育てているご両親の方から、子供が生まれてから布団で寝てしまうと熟睡をしてしまうので、ウレタンマットを敷いてずっと寝ているという話を伺いました。夜中も含めてケアをしなければならない大変なご苦労のお話でした。
 東京都重症心身障害児(者)を守る会の在宅会員実態調査の報告書でも、本人を介護する上で困っていることは何ですかという問いに対して、約四割の方が、夜中に看護、介護があることだということを挙げておられます。東京都の障害者施策推進協議会の専門部会でも、同会の方から、重症心身障害、特に医療的ケアを持つ家庭においては当たり前の暮らしができないというのが実情だという訴えもありました。
 重症心身障害のあるご本人とそのご家族を支えるための体制を、東京都としてさらに役割を発揮して取り組んでいただきたいということを求めて、質問を終わりたいと思います。

○藤井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○藤井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時七分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る