平成二十七年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第六号

平成二十八年十月三十一日(月曜日)
第十一委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長桜井 浩之君
副委員長鈴木 錦治君
副委員長中村ひろし君
山森 寛之君
前田 和茂君
栗林のり子君
上田 令子君
大松あきら君
北久保眞道君
松村 友昭君

欠席委員 なし

出席説明員
警視庁警視総監沖田 芳樹君
総務部長石田 勝彦君
警務部長笠原 俊彦君
交通部長大澤 裕之君
警備部長緒方 禎己君
地域部長星野 英彦君
公安部長桑原振一郎君
刑事部長露木 康浩君
生活安全部長茂垣 之雄君
組織犯罪対策部長内藤 浩文君
総務部参事官企画課長事務取扱後藤 友二君
総務部会計課長高柳 博行君
東京消防庁消防総監高橋  淳君
次長村上 研一君
理事兼警防部長事務取扱松浦 和夫君
企画調整部長安藤 俊雄君
総務部長松川 茂夫君
人事部長西村 隆明君
防災部長鈴木 浩永君
救急部長松井 晶範君
予防部長柏木 修一君
企画調整部企画課長吉田 義実君
企画調整部財務課長市川 博三君
政策企画局局長長谷川 明君
外務長水越 英明君
次長理事兼務潮田  勉君
理事報道担当部長事務取扱浜 佳葉子君
理事松下 隆弘君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務小池  潔君
調整部長山下  聡君
政策担当部長小久保 修君
政策担当部長西坂 啓之君
政策担当部長古屋 留美君
政策担当部長田尻 貴裕君
技術政策担当部長森  高志君
戦略広報担当部長政策担当部長兼務小沼 博靖君
海外広報担当部長川崎  卓君
渉外担当部長佐藤 直樹君
国家戦略特区推進担当部長山本 博之君
計画部長小室 一人君
外務部長横山 英樹君
都市外交担当部長角南 明彦君
国際事業担当部長梅田 弘美君

本日の会議に付した事件
平成二十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
警視庁関係
・平成二十七年度東京都一般会計決算(質疑)
東京消防庁関係
・平成二十七年度東京都一般会計決算(質疑)
政策企画局関係
・平成二十七年度東京都一般会計決算(質疑)

○桜井委員長 ただいまから平成二十七年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、警視庁、東京消防庁及び政策企画局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより警視庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十七年度東京都一般会計決算中、警視庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○上田委員 私は前回、警察・消防委員会に所属しまして大変お世話になりました。
 職員も働きやすく、成果の出る、ハラスメントなき組織風土醸成、また住民対応、また昨今急増する女性が被害者となる新たな犯罪対応を中心として、予算調査に当たらせていただきました。その観点から、平成二十七年度の決算を踏まえて質問をさせていただきます。
 まずは、公安委員会についてでございます。
 二十七年度活動実績と苦情処理の状況についてご報告ください。

○石田総務部長 平成二十七年度中の東京都公安委員会の活動実績につきましては、定例会議を三十九回開催しましたほか、警察署長会議、それから方面別の警察署協議会代表者会議において提言を行っております。また、全国公安委員会連絡会議等の各種会議に出席をしております。
 また、島部警察署や捜査支援分析センター等の警察施設の視察や警備部隊等に対する督励視察を実施しているところであります。
 次に、平成二十七年度の苦情の処理状況につきましては、百三十六件を受理しておりまして、全て適切に処理がなされているところでございます。

○上田委員 苦情があるというのは悪いことではなくて、しっかりと窓口として機能をしているということを確認させていただきました。
 また、警察官、職員の接遇のあり方について、次はお尋ねいたします。
 交番での問い合わせや取り締まりなどの全般にわたる接遇、人権を守られているか、女性だとか、あるいは外国人の方もいらっしゃいますので、そうした差別待遇はないか、人権指針も立てられまして、東京都の方は取り組みは進んでいると思いますが、そのあたりをお伺いしたいというのと、また、被害者と加害者が、どうしても古い警察署がございますので、すれ違うようなことが、悪意はなくてもあるのではないかということもちょっと心配をしておるところです。
 つきましては、交番、警察署、各職員におけます接遇体制を伺いたいと思います。

○石田総務部長 交番や警察署におけます地理指導あるいは各種取り扱いなどにおきまして、相手のプライバシーに配慮した公正な職務執行に努めているほか、被害を受けた方等の事情聴取に当たっても、不安や迷惑を覚えるようなことのないように配慮をすることとしております。
 また、交番を初めとする警察施設における各種対応につきましては、職員一人一人が常に相手の立場に立って、親切丁寧、迅速に対応するように指導教養を徹底しているところでございます。

○上田委員 接遇対応の方もしっかりと取り組まれているということであります。さまざま問い合わせ、たくさん、警察も、いろんな種類の犯罪もございまして、問い合わせも多いと思います。
 そこで、警察事業、DV対策の方の、例えばGPSで携帯電話の登録ができるとか、日進月歩のお取り組みをしていると思いますが、それら警察事業を全職員にわたり把握をされて、住民や相談者に適切な警視庁の各事業へ結びつけているのか、いわゆるコーディネート、コンシェルジュ体制についてもお尋ねしたいと思います。

○石田総務部長 警察業務において把握された事項等につきましては、その内容に応じまして、各種システムへの登録、あるいは警察署長会議を初めとする各種会議などにおきます指示、教養を実施しておりますほか、関係の部門から各所属に対する通達、通知の発出などによりまして、組織的な情報共有に努めております。
 引き続き、職員一人一人が都民の皆様に適切な対応ができる体制づくりに努めてまいりたいと思います。

○上田委員 現場を抱えてご多忙とは思いますが、合間を縫ってのお取り組みがわかりました。
 そうしますと、現場があるということで、事務は、やはり効率化をして警察官の負担を少なくしてさしあげることが大事かなと思いますので、事務の効率化とIT対応の課題認識を伺いたいと思います。

○笠原警務部長 これまで警視庁におきましては、事務の効率化、IT対応に向けて、各種システムの構築や専用回線の一本化等を進めてまいったところであります。
 昨今、警察活動を取り巻く環境は複雑化しており、都民の警察に対する要望も多様化しております。このため警視庁では、交番等にオンライン端末を配備して、遺失、拾得物等の届け出に対する迅速な対応や、書類作成等の事務作業の効率化を図るなど、IT化等による事務の効率化を進め、都民の要望への的確な対応に努めているところでございます。
 また、昨年十二月には交通携帯端末を導入したところであります。これは、現場の警察官が手書きで作成をしておりました交通反則切符等の処理を電子化することで、作成に要する時間の短縮を可能とするもので、交通警察業務の効率化のほか、都民の負担軽減の効果も期待できるものと考えております。
 今後も、各種警察事務の効率化、IT化を積極的に推進し、都民のニーズに迅速的確に対応してまいりたいと考えております。

○上田委員 交通と交番、端末IT化が進んだというのは、大変大きな躍進だと思います。
 続きましては、平成二十六年、二十七年度と、残念ながら拳銃自殺事案があり、そこに向けて、大変前向きな取り組みをしていらっしゃることは委員会でも確認させていただきました。全般にわたりますハラスメント、人権指針に基づいた人権教育、育成体制、相談体制、働きやすい警察組織を願いまして、質問させていただきたいと思います。

○笠原警務部長 ハラスメントをなくすことは、働きやすい職場環境を構築する上で大変重要と考えております。このため警視庁では、全所属を挙げて各種のハラスメント対策に取り組んでおります。
 警察署等では、幹部指示等においてハラスメント防止ハンドブックやDVD等の視聴覚教材を使用しているほか、本部担当者を派遣して、ハラスメントの絶無に向けた教養を繰り返し行っているところであります。
 また、所属長等幹部に対する研修として、部外の有識者による教養を実施しているほか、各種の会議、警察学校の場においてもハラスメントの防止に向けた研修を行うなど、意識の浸透を図っているところであります。
 さらに、これまで各所属にハラスメント相談員を男女各一名以上指定ということをしておりましたが、これを男女各二名以上にふやして相談体制の強化も図っているほか、本部にもハラスメントホットラインを開設をして、職員の心の声に対応する体制を整えているところであります。

○上田委員 日々、私たち、武道大会とかも年の初めにお邪魔しますが、鍛練されているところで、心の方のエンパワーメントもされていることがわかりました。
 続きまして、昨今も報道ありましたけれども、DV、ストーカー対策につきまして、平成二十七年度も幾つかの事案があったと思いますが、それを受けての対策と課題と、加害者更生プログラムについても含めてお伺いいたします。

○茂垣生活安全部長 平成二十七年度のストーカー事案の相談件数は千八百六十二件、検挙件数は三百三件、また、DV事案の相談件数は五千二百六十件、検挙件数は八百四十一件でした。
 警視庁では、警察署においてストーカー、DV事案に関する相談を受理した際は、人身安全関連事案総合対策本部の事態対処チームへ速報し、事案の内容に応じて、各種法令を積極的に適用して被疑者を検挙するとともに、被害者に危険が及ぶ可能性等を考慮して安全な場所へ速やかに避難させるなど、人身の安全を早期に確保していくため、事態対処チームと警察署員が連携の上、対処をしております。
 また、加害者の再犯防止に向けた取り組みについては、本年四月から、専門機関、医療機関によるカウンセリングや治療を促す取り組みを行っているところです。
 今後も、ストーカー、DV事案に対し、被害者等の安全確保を最優先とした事態対処に万全を期してまいります。

○上田委員 決算年度の課題がしっかりと新年度に引き継がれて、事業として開始されているということを確認させていただきました。
 続きまして、二十七年度の犯罪被害者支援について、事案を受けての対応と課題についてお示しください。

○石田総務部長 これまで、犯罪により被害を受けた方やそのご家族に常に寄り添う心の通った支援活動を推進するため、各種支援制度の充実を図ってきたところであります。こうした取り組みの一環としまして、昨年度からは、被害者宅が犯罪発生場所となった場合に、ハウスクリーニングに要する費用を公費で支出する制度の運用を開始しております。
 今後も、今年度から始まりました第三期東京都犯罪被害者等支援計画を踏まえ、関係機関、団体との連携を強化するとともに、被害者やその家族のニーズに即した支援施策の充実強化に努めてまいります。

○上田委員 青少年・治安対策本部との連携してのお取り組みも、昨今の委員会でも聞いたところでございます。連携を重ねてお願いいたします。
 また、被害者がなかなか被害届を、私も立ち会ったことあるんですけれども、なかなか手続上難しいという中で、警察の方も一生懸命立ち会いをしてくださったことが、私も個人的に経験がありますが、被害者が適正な法的権利を行使するための協力状況、被害届、告訴状の受理の促進についてもお尋ねをいたします。

○露木刑事部長 警察では、被害の届け出や告訴を受けた場合、事件によって精神的、経済的被害を受けた方やその親族の方の心情を理解し、その人格を尊重するとともに、その声に真摯に耳を傾けながら、法令に基づいて被害届や告訴状の受理を初めとする各種捜査手続を行っております。今後も引き続き、適正な対応を行うよう努めてまいります。

○上田委員 最後に、関係各機関との連携体制についてお伺いいたします。
 昨今、いじめや、あるいはリンチといったところで、子供たちを取り巻く問題も非常に多様化しておりますが、警視庁では、スクールサポーター制度を既に平成十数年でしたっけ、十四年ぐらいから設置をしまして、学校側と非常に密に連携を図っておりますが、警視庁スクールサポーター制度による情報提供は三万八千件で、警察から学校への情報提供は四百九十八件なのに、学校側からは十九件しか、なかなか情報提供がないという中で、一方的にといってはあれですけど、本当に警察の方は頑張って、現場の子供たちのことを見てくださっているなというのを、数字で私はいつも拝見をしております。なかなか警察というと身構えてしまう組織も機関も多いとは思いますけれども、このスクールサポーター制度に象徴されます学校や児童相談所など関係各機関との連携強化による早期対応、早期解決の取り組みを最後に伺いたいと思います。

○茂垣生活安全部長 警視庁では、平成十六年四月から警察と学校との連携を強化するためスクールサポーター制度を運用し、少年の非行防止活動や児童等の安全確保などの活動を行うとともに、学校警察連絡協議会を設置し、教育機関等と緊密な連携を図り、少年の非行防止と被害防止対策を行っています。
 また、児童虐待の未然防止と早期発見のため、警察と児童相談所、子供家庭支援センターが、要保護児童対策地域協議会を通じて相互に保有する情報を共有しているほか、児童相談所の有する一時保護機能等に警察の知見を生かすため警察官OBが配置されるなど、連携した対処に努めております。
 今後も関係機関との連携をさらに強化し、児童虐待や少年の健全育成に適切に対処してまいります。

○上田委員 この週末はハロウィンということで、たくさん盛り場に若者があふれて、交通整理におきましても警視庁が奔走されていたことは報道されていました。オリ・パラも踏まえて、外国人対応ができる語学堪能な警察官を交番に配置していくなどの取り組みを始められたとのことです。
 一方で、後を絶たないストーカー殺人や通り魔的な凶暴事案、大手暴力団の分裂騒動も油断ならないところであり、世界情勢を鑑みても、テロ対策についても常に警戒をされていることと存じます。命の危険にさらされながらも、都民の命、安心・安全と治安を維持する警視庁においては、責任とまた重労働という、どちらも重いものと痛感をしております。
 警視庁内の綱紀粛正を図りつつも、激務をエンパワーメントする組織体制に向けてのお取り組みも今回確認できましたところで、地域住民に最も近い交番、警察署の警察官の皆様が、生き生きとやりがいと専門性を持って働けることを要望しまして、私の質問を終わらせていただきます。

○桜井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○桜井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で警視庁関係を終わります。

○桜井委員長 これより東京消防庁関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 阿出川装備部長は、所用のため、本日分科会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 決算の審査を行います。
 平成二十七年度東京都一般会計決算中、東京消防庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○中村委員 東京消防庁の平成二十七年度決算において、救急救命について質問します。
 都民の生命と安全を守るために、東京消防庁の皆様には、昼夜を分かたず取り組んでいただいていることに改めて感謝を申し上げます。
 一一九番の通報から病院に引き継ぐまでの時間を少しでも短縮することにより、とりわけ生命の危機に瀕する場合、生存率が高まります。
 しかし、都では、この時間が他の道府県に比べて長くかかることが問題となっています。そのため、都議会民進党は、かねてから救急搬送時間の短縮を都政における重要課題として取り組んできました。私自身、平成二十二年十月の各会計決算特別委員会第一分科会において、さらなる改善を求めて質問もしました。
 もちろん、搬送側の問題だけではなく、むしろ医療の側の受け入れ体制の課題もあるとは思います。とはいえ、救急台数について増強することや、より緊急性の高い方に利用されるようにすること、また、救急現場に居合わせた方にご協力いただくことなどで、できる取り組みはさまざまあります。
 そこで、まず、救急出場件数は高齢化の進展等に伴い増加傾向にありますが、五年前と比較した昨年の救急出場件数と救急搬送時間の変化について伺います。

○松井救急部長 昨年の救急出場件数につきましては七十五万九千八百二件であり、平成二十三年と比較しまして三万五千三百六十六件増加いたしました。また、昨年の救急隊の出場から医療機関到着までの時間につきましては平均三十九分四十秒であり、平成二十三年と比較しまして三十八秒延伸しております。

○中村委員 救急出場件数は増加をたどり、ご努力はいただいているものの、搬送時間も長くなってしまったようです。
 そこで、救急出場件数が右肩上がりにふえている中、救急隊の増強が必要であったと考えますが、ここ五年間における救急隊の増隊数と必要な人員数及び総増員数について伺います。

○安藤企画調整部長 救急出場件数の増加に伴い、平成二十八年度までの五年間に救急隊十八隊を整備してまいりました。また、平成二十六年度までに整備した五隊五十名につきましては、配置人員の見直しにより対応してまいりましたが、平成二十七年度以降整備した救急機動部隊と救急隊十一隊の百三十九名につきましては、職員定数の増員により対応しております。

○中村委員 この五年間で十八隊整備をしたとのことです。予算も限りはありますが、高齢社会に向けて、また一方、本当に必要な人のための救急として、どのくらい配備するのが適切かを見きわめつつ、計画的な配備をお願いします。
 さて、救急救命において大切なのはすぐに応急手当てをすることで、居合わせた人であるバイスタンダーが手当てをすることにより、救命できる割合は高くなります。そのため、救急救命講習の受講者をふやす取り組みもしていただいていますが、実際に手当てをすることには不安もあるようです。
 そこで、昨年九月に創設されたバイスタンダー保険制度について、その意義と創設から一年間の実績について伺います。

○松井救急部長 応急手当て実施者のけがや感染症を補償するバイスタンダー保険は、多くの都民に安心して応急手当てを実施してもらうための制度でございます。また、創設から一年間で保険の対象となった方は十五人でありました。

○中村委員 創設から一年ですが、早速対象となる方が十五名もおられたとのことです。もちろん、消防署の救急隊ができるだけ早く現場に到着するのがよいのですが、市民の皆様の積極的な救命への取り組みが後押しできるよう、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
 さて、救急出場が増加する中、病気やけがの緊急性の有無や医療機関受診の必要性などを相談できる救急相談センター、シャープ七一一九は、都民にとって有効なものであると考えますが、平成二十七年中の救急相談センターの相談件数はどのくらいあり、また、この事業による具体的な効果について伺います。

○松井救急部長 平成二十七年中の救急相談件数は十四万五千五百五十四件でありました。このうち、十一万九千九百七十八件については、相談の結果、救急要請に至らなかったものであり、救急出場を抑制する効果があったものと捉えております。
 また、相談の結果、病院へ救急搬送された傷病者のうち、八千百三十三名が入院しており、緊急性のある傷病者を救護できた効果であると考えております。

○中村委員 できるだけ緊急の場合に救急車を利用していただきたいのと、一方では、命にかかわるかもしれないのに我慢してしまうこともないようにすることが大切です。シャープ七一一九も少しずつ浸透してきたとは思いますが、まだまだ広げていかなければなりません。適切な相談の応対を行うことで都民全体の安全・安心が高まるよう求めて、質問を終わります。

○上田委員 私は、さきの今年度予算調査で、東京消防庁に対し、消防署員が働きやすい組織風土の醸成に努め、署員の命を守る対策強化並びに適正な人員管理、確保、装備、備品、制服等の充実、更新を引き続き努めることを求めました。この観点から、決算年度の振り返り、評価として、以下を伺います。
 救急救命体制でございます。
 救急出動は過去最多を更新し続けており、緊急性のさほど高くない相談に対するシャープ七一一九、救急相談センターの取り組み状況につき、同僚委員から件数等のご報告はありましたけれども、その件数の結果、また、救急出動の内容の分析についての課題とご所見を、かぶらない形で求めたいと思います。

○松井救急部長 昨年の相談件数につきましては、先ほど述べましたとおり十四万五千五百五十四件でございまして、救急車の適正な利用については効果があったものと捉えております。
 また、高齢化の進展等によりまして、救急出場件数は昨年を上回るペースとなっており、この推移が続くものと考えております。今後も増加が続くものと考えております。
 以上でございます。

○上田委員 分析の結果については承知しました。高齢化というのが、こういう形でも出るんだなというふうに改めてびっくりしています。
 次に、関係局や区市町村、救急救命機能を持つ医療機関等の関係機関との連携を密にしていくためにも、このデータや分析につきまして情報共有をしていく必要があると考えますが、ご対応状況についてご説明ください。

○松井救急部長 当庁では、関係局や医療機関等で構成されます東京都メディカルコントロール協議会や区市等の救急業務連絡協議会を活用し、救急活動に関するデータの情報共有を図っております。

○上田委員 次に、いわゆるたらい回しについてです。
 救急車が到着したのになかなか出発しない、収容者の受け入れ先がなかなか見つからないようだとの声が多く都民から聞かれます。このたらい回しの現状と、このような事態を一例でも減らすべく、回避に向けての取り組み状況と成果につきまして、ご所見を求めます。

○松井救急部長 平成二十七年中の医療機関が決定するまでの救急隊による連絡回数は、平均一・四回であります。医療機関の選定に時間を要する事案に対応するため、地域の救急医療機関が相互に協力、連携して受け入れ体制を確保する救急医療の東京ルールを平成二十一年から運用を開始し、連絡回数は減少いたしました。

○上田委員 出動回数は過去最多でも減少しているということで、熱心な取り組みが見られると思いました。
 次は、限られた救急救命のためのリソースを適正に配分し、一人でも多くの命を救うためには、入り口の段階での判断が重要です。救急相談センターの役割がますます不可欠になってきております。
 そこで、救急相談センター事業の都民への周知、啓発の取り組み状況と成果につきまして、ご所見を伺います。

○松井救急部長 救急相談センターの周知を図るため、当庁が主催する行事はもとより、ラッピングバス、プロモーションビデオ及び関係機関と連携した新聞広告など、さまざまな広報活動を展開しております。この結果、平成二十七年中の相談件数は、前年と比較して約四万二千件増加いたしました。今後も、救急相談センターの利用促進を図ってまいります。

○上田委員 普及の成果、確認させていただきました。
 次に、職場環境についてですが、消防学校における体罰事案が平成二十五年度でしたか、明らかになりました。いかなる場でも、いかなる理由があっても、心身のみならず、人としての尊厳を攻撃する体罰初めハラスメントは、絶対に許されるものではございません。当該事案を受けての平成二十七年度の対応状況についてご説明ください。
 また、消防庁全体を挙げての各種ハラスメント、暴力対策と、決算年度に策定された東京都人権推進指針に基づいた人権教育、職員研修の取り組み状況についてもお伺いいたします。

○西村人事部長 消防学校の教官に対しまして、指導者としてのあるべき姿や指導要領等を具体的に示した消防学校教育指導便覧を新たに作成し、再発防止を図っております。また、全職員に対しましては、人格の尊厳や各種ハラスメントの防止など、人権教育を徹底しております。

○上田委員 自分の人権を守るということは、人の人権を守るということにもつながりますので、消防署の職員一人一人が、本当に心身ともに働きやすい組織風土の醸成を求めるものでございまして、具体的な取り組み状況と成果につきまして、ご所見を求めます。

○西村人事部長 当庁では、適正な勤務管理の徹底について人事部長通知を発出し、各種休暇の取得促進等を図るとともに、育児や介護等、職員個々の事情に対応した支援策を推進することにより、ライフワークバランスの充実を図っております。

○上田委員 続きまして、消防職員の各種資格取得促進の取り組み状況とその成果について、それぞれの職員力アップということでございますが、ご説明ください。

○西村人事部長 当庁では、外部の教育機関を活用し、救急救命士や海技士など消防業務に必要となる各種資格を計画的に職員に取得させております。また、自主的に参加できる教養講座を実施することにより、多くの職員が消防設備士や危険物取扱者などの資格を取得しております。

○上田委員 それぞれの職員が専門性を高めているという実情を理解することができました。
 次に、消防団への支援についてです。地域防災の最前線の担い手である消防団への支援について伺います。
 消防団の各種装備、備品の供給、施設整備と用地確保の要望の把握と対応状況につきまして、ニーズに対応できているのか、大まかな現状と課題をご説明ください。

○鈴木防災部長 特別区消防団の各種装備については、特別区消防団運営委員会の答申等を踏まえ、計画的な整備を行っております。また、分団本部施設等の整備については、都有地の活用のほか、各区等と連携し対応を図っております。
 なお、消防団からの要望については、随時消防署で受け付けております。

○上田委員 都有地の活用を、うちの江戸川区でも活用させていただいて、非常に消防団も喜んでいるところです。ますますのお取り組みをお願いいたします。
 次に、各消防団よりの相談への応答体制、相談内容の傾向とそれに対する庁事業への反映の進め方についてご説明ください。また、消防団側は満足しているのか、その評価に係るご所見をお示しください。

○鈴木防災部長 各消防団からの相談についても、随時消防署で受け付けており、装備資機材や分団本部施設のふぐあいに関するものなど、さまざまでございます。これらの相談を受けた場合、速やかに状況確認を行い、修繕など必要な対応を実施しております。
 今後とも、消防団からの相談に対し適時適切に対応してまいります。

○上田委員 町火消し魂といいますか、非常に、お上には頼っちゃだめだという我慢強い消防団、団員も多いので、積極的に声がけをしていただければと思います。
 消防団員の人員確保とともに、スキルアップは、地域の防災力の維持向上に欠かせません。団員の皆様の日々の研さんには頭が下がるとともに感謝しておりますところですが、行政としても支援が求められることです。
 そこで、今度は消防団員の研修、各種資格取得促進の取り組み状況とその成果についてご説明ください。

○鈴木防災部長 消防団員に対する研修については、指揮幹部科研修を初め、階級や任務に応じて行っており、平成二十七年度は六百二十六名が受講いたしました。また、各種資格取得の講習会を受講できる機会を設けることにより、多くの団員が小型船舶操縦士や陸上特殊無線技士などの資格を取得しております。

○上田委員 専門性取得へのサポート、本当に感謝をしているところであると思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、災害対策についてですが、三・一一のときの大きな反省点としまして、危険物の取り扱いの問題がありました。震災時、大規模災害時に備え、消防法第十条に抵触する場合の対応要領につきまして、現在の取り組み状況についてご説明ください。

○柏木予防部長 震災時などにおける危険物の取り扱いについて、消防法第十条に抵触することのないよう、石油関係事業者及び危険物施設を保有する事業者などに対して、仮貯蔵、仮取り扱いの事前手続の周知や安全対策指導を実施しております。現在、官公庁のほか、運送業、病院など九十五対象から事前手続がなされております。

○上田委員 柔軟な対応がもう早速とれているということでありました。
 次に、東日本大震災で孤立した公民館から避難者を消防庁のヘリが救出した様子を猪瀬直樹元知事が、ノンフィクション「救出」に描いておいでですが、世界に誇れる最新の装備と高いスキルを持つ東京消防庁は、大規模災害の際には、時には都域を越えて救援に乗り出すことがあります。
 つきましては、決算年度におきまして、ほかの自治体への災害支援の状況についてご説明ください。また、その経験を振り返り、どのように消防事業へ反映されているのか、状況と成果につきまして、ご所見をお示しください。

○松浦理事 平成二十七年度は、茨城県常総市で発生した大規模水害に対し、八日間にわたり航空隊やハイパーレスキュー隊など、延べヘリコプター八機、車両二十一台、隊員百六十九名を派遣し、二百六十五名を救出したところであります。この経験を消防部隊の装備に反映するなど、消防活動能力の強化に生かしております。

○上田委員 最後に、遠くない将来の発生が想定されている首都直下型地震、都市型水害等、過密都市東京都特有の災害に対する万全の備えに向け、首都と都民の命を守り抜くべく、消防庁の防災、減災の取り組みへの意気込みをお聞かせいただければと思います。

○安藤企画調整部長 当庁では、あらゆる災害への対応力の向上を図るため、計画的な消防力の充実強化や消防団等と連携した実践的な訓練を推進しております。また、町会、自治会等に対する防災訓練の推進により、自助、共助の強化に努めております。
 今後とも、首都東京の安全・安心の確保に向け、万全を期してまいります。

○上田委員 火災、自然災害での出動、対策はもちろんのこと、本年五月の小金井ストーカー刺傷事件では、警察よりも先に消防が駆けつけ、数秒を争う状況の中、女性アーティストの命を取りとめることができました。これは、消防庁の力が大きかったと実感した好例であります。
 こうした犯罪事案から、事故やけがから救急対応に追われる救急救命事業、そして地域防災の中核をなす消防団活動を抱える消防庁の業務は多岐に分かれるものの、たった一つの目的がその主体をなしております。それは、常に都民の生活の場の近くにいて、そして都民の命を守るということでございます。警視庁、福祉保健局などとの連携を密に、地域密着型消防庁だからこそ持っている情報や知見、命をめぐる都民の現状の共有に生かしていただきたいと願い、質疑を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○桜井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○桜井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で東京消防庁関係を終わります。

○桜井委員長 これより政策企画局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十七年度東京都一般会計決算中、政策企画局所管分を議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小池総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 過日の当分科会にて要求のございました資料三点につきまして、お手元にお配りしてございます、平成二十七年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料によりご説明申し上げます。
 まず、一ページをお開きください。平成二十七年度知事・外務長海外出張経費の執行状況と執行率でございます。
 平成二十七年度の知事及び外務長の海外出張経費について、予算項目、予算額、執行状況、執行額及び執行率を記載してございます。
 次に、二ページをお開きください。平成二十七年度の知事の海外出張について、訪問先ごとに、日程、経費、交通機関クラス、宿泊部屋クラス、随行者数及び役職を記載してございます。
 次に、三ページをお開きください。平成二十七年度の外務長の海外出張について、訪問先ごとに、日程、経費、交通機関クラス、宿泊部屋クラス、随行者数及び役職を記載してございます。
 以上、簡単ですが、資料について説明させていただきました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○桜井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山森委員 よろしくお願いいたします。
 リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックが終了し、いよいよ、次は東京での開催となります。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会を控え、東京は世界から多くの注目を集めております。
 ここ数年で東京を訪れる外国人観光客は急増をし、一昨年の平成二十六年は八百八十七万人でありましたが、平成二十七年には千百八十九万人と、約三四%増加しております。ことしについても順調にふえていると聞いております。
 先日の米国の人気旅行雑誌コンデ・ナスト・トラベラーが行った読者投票では、ことし、東京が初めて一位となり、これは昨年の十五位から急上昇したものであります。また、最近発表された森記念財団の世界都市ランキングにおいても、東京はこれまで四位でありましたが、ことし初めてパリを抜いて三位となっております。パリが昨年発生したテロ事件の影響により評価が下がってしまった部分もあるとは思いますが、国が挙げて訪日客の誘致に力を入れ、特に玄関口となる東京がその受け入れ環境を整備し、海外に情報を発信するなど、観光客の誘致に力を入れた成果であると考えております。
 そこで、東京の魅力をより効果的に海外の人々に理解してもらうためには、東京にある各国の大使館との関係を密にして、これを有効に活用していくべきだと考えております。これまで我が党は、幾度となく大使館との連携の重要性を訴えてまいりましたが、これは大使館が日本における海外政府との窓口であり、大使館と東京が信頼関係を築くことが東京の印象をアップし、結果として東京のPRにつながると考えるからであります。
 そこで、我が党の主張を受けて都が大使館とさまざまな連携を行っていることは承知しておりますが、この取り組みの一つとして、毎年、情報連絡会という行事を開催し、知事初め都の幹部が大使等と交流を図っているということでございます。この情報連絡会について、昨年度は具体的にどのようなことを行い、また、どのような成果があったかをお伺いいたします。

○梅田国際事業担当部長 東京には各国大使館等が多数ありまして、大使館等との関係を日ごろから構築していくことは重要と認識しております。都では、毎年、情報連絡会を開催して在京大使等をお招きし、都の施策を紹介するとともに、知事を初め副知事及び関係局長も出席し、都の幹部との顔の見える関係構築を行う機会としております。
 昨年度の情報連絡会につきましては、本年一月に開催しまして、九十二の公館から六十八名の大使級を含む、過去最多の百五十五名の方にご出席いただきました。東京の伝統工芸の実演を、あるいは体験を初め、都内の学校で行いますオリンピック・パラリンピック教育について説明をするなど、都の施策について広くご紹介したところでございます。
 また、この行事を契機にいたしまして各局の事業についての理解が深まり、特に、都内公立学校を対象に展開しておりますオリンピック・パラリンピック教育について、各大使館等にご協力をいただくなど、具体的な交流の促進につながっているところです。
 今後とも、情報連絡会を初めあらゆる機会を通しまして、在京大使館等と都との緊密な連携を進めてまいります。

○山森委員 情報連絡会という行事を通じて、都が大使館と連携を図っていることはよくわかりました。ぜひとも、年一回のこうした行事だけでなく、さまざまな機会を通して都と大使館との顔の見える関係をさらに深めていっていただきたいと思います。
 また、大使館との連携については、特に災害があった場合の体制が重要であると考えております。都内在住の外国人人数を見ると、平成二十七年一月には四十一万七千人でありましたが、二十八年一月には四十四万九千人、二十八年七月には四十六万八千人と増加をしております。観光客だけでなく、ビジネスや勉強などのために長期で滞在している外国人の数も増加していると思われます。
 このような中、特に南関東では、直下型大規模地震が今後三十年以内に発生する確率は七〇%といわれており、高い確率での地震発生が予知されております。
 私たちが海外に滞在する際、何か緊急事態があったら、その国にある日本大使館を頼ることを考えますが、地震が発生した場合、外国人は、言葉の壁もあり、どのように行動すべきかわからずに自分の国の大使館を頼ることは容易に想定をされております。海外にいる場合は、大使館が大きな存在であり、外国人に安心して東京に滞在してもらうためには、災害時における都と大使館の連携は欠かせません。
 そこで、在京大使館との防災分野における連携の重要性も、我が党はかねてから指摘をさせていただきましたが、これを受け、都は昨年度から防災分野での取り組みを強化していると聞いております。具体的な内容とその成果についてお伺いをいたします。

○梅田国際事業担当部長 山森委員ご指摘のように、防災面での連携は特に重要であるというふうに認識しております。日ごろより大使館等との連絡網を整備し、災害発生時の情報伝達ルートを確保するとともに、平成二十七年度より新たに在京大使館の防災担当者を対象といたしました防災連絡会を開催しております。
 具体的には、都の防災施策の説明、東京消防庁施設での災害疑似体験及び発災時を想定いたしました大使館と都との通信訓練を実施しております。初めて開催いたしました昨年度は、発災時におきます在京外国人向けの都の対応全般につきましてご説明申し上げました。また、本年度は、訪日観光客の安全・安心をテーマに、外務省や港区、台東区とともに、発災時の外国人観光客支援に関する説明を行いました。両年度とも、参加者からは有意義な情報を得られたというふうに好評を得たところでございます。
 この説明会をきっかけにいたしまして、ASEAN諸国、フランス、アメリカといった各大使館からも個別の防災施策説明のご要望が寄せられまして、関係局とともに個別の説明会も実施いたしました。
 今後とも実務レベルの交流を通じまして、防災分野におきます在京大使館等との連携強化に努めていく所存でございます。

○山森委員 改めて、東京に多くある大使館は貴重な財産であると考えます。在京大使館との連携を通じ、東京のPRや、いざというときの協力ができる関係が構築されますようお願いを申し上げます。こうしたことこそ都として重点を置くべきであり、今後、より力を入れていただきたいとお願いを申し上げます。
 次に、国家戦略特区の取り組みについてお伺いをいたします。
 今後、我が国は本格的な人口減少社会を迎え、経済活動が中長期的に低下していくことが懸念されております。国を挙げて生産性を向上させていくためということから、緊急の課題となっており、そうした中、大胆かつスピード感を持って規制緩和等の構造改革を進める国家戦略特区の役割は、今後ますます重要になっていくと考えております。
 そこで、東京都はこれまで国家戦略特区について、主に都市再生、先進医療分野において有効活用しているものと聞いておりますが、まず初めに、昨年度の国家戦略特区の主な取り組み実績について、具体例も含めましてお伺いをいたします。

○山本国家戦略特区推進担当部長 昨年度の東京都における国家戦略特区の取り組み実績でございますが、都市再生特例を活用した国際ビジネス拠点のスピーディーな開発に取り組んだところでございます。例えば東京駅前においては、大規模バスターミナル、多言語の対応医療施設、虎ノ門ヒルズ周辺においては、地下鉄新駅、外国人向け住宅などの都市計画決定のスピードアップに取り組んだところでございます。
 また、東大病院においては、先進医療特例を活用して、最先端のがん治療に係る承認手続のスピードアップに取り組んだところでございます。
 これらの取り組みに加えまして、大田区における旅館業法の特例、荒川区における都市公園内の保育所設置特例など、全国初となる特区活用にも取り組んだところでございます。

○山森委員 東京都が国家戦略特区を活用し、都市再生、先進医療分野においてスピーディーな取り組みを幅広く行っていることだけでなく、私の地元大田区での旅館業法の特例、いわゆる民泊や、都市公園内の保育所設置など、全国に先駆けたさまざまな取り組みを行っていることがわかりました。
 これらの取り組みは、東京の経済活性化の観点から非常に重要であり、今後とも都市再生、先進医療分野の取り組み事例を着実に積み重ねていくことを要望して、次の質問に移りたいと思います。
 ただいまの答弁にあった大田区における旅館業法の特例、いわゆる特区民泊事業の利用状況について、直近のデータも含め伺います。
 また、大田区は、地域の観光振興、経済活性化に向け、地元の経済団体との連携に精力的に取り組んでいますが、その点について東京都の見解をお伺いいたします。

○山本国家戦略特区推進担当部長 ご指摘の大田区における特区民泊事業でございますが、平成二十八年一月の申請受け付け開始以降、昨年度末時点で六施設六室、十月二十八日時点で二十五施設七十九室において実施されており、利用者数は二百九十三人となっております。
 また、これらの事業とあわせまして、大田区による多言語観光サイト、WiFi整備に加えまして、地元経済団体との連携のもと、利用者に対する商店街の多言語マップ、銭湯のタオル引きかえ券の配布など、さまざまな取り組みが実施されております。
 これらの取り組みは、利用者の地域への回遊を促進させるものであり、地域経済活性化に貢献するものと考えております。こういった地域の創意工夫を生かした取り組みは、都内において普及させるべきものであり、今後、自治体説明会、ホームページなどを活用した情報提供に取り組んでまいる所存でございます。

○山森委員 ぜひとも東京都として大田区の取り組みを支援していただくとともに、特区民泊事業に関しましては、さらなる安心・安全な実施に向け、自治体、それから経済団体への情報提供と支援を要望させていただきます。
 次に、先ほど答弁にあった都市公園内の保育所設置の特例についてでございますが、待機児童問題は、都における最重要かつ喫緊の課題の一つであります。とりわけ、都心部においては保育所の用地不足が深刻になっており、その解決策の一つとして、今回の特例は有効なツールであると思いますが、昨年度の取り組み状況、今後の特例活用についてお伺いをいたします。

○山本国家戦略特区推進担当部長 ご指摘のとおり、都市公園内の保育所設置特例は、都心部など用地確保が困難な地区の待機児童解消の観点から有効なツールと考えております。
 そうした中、昨年度の荒川区の都立汐入公園における事案も、共働き世帯の増加や子育ての世代の転入増等による待機児童解消への対応が背景にございます。この事案以外に、昨年度は世田谷区の都立祖師谷公園、品川区の区立西大井広場公園など三カ所における特例活用が区域会議で了承されたところでございます。
 今後とも、自治体への情報提供、特区活用ニーズの把握、さらには実現に向けた国関係部局との調整に取り組んでまいる所存でございます。

○山森委員 待機児童を解消していくために、都市公園内の保育所設置が一つの有効なツールであることを確認させていただきました。
 しかしその一方で、答弁にもございましたとおり、区市町村に対してきめ細かな情報提供をし、公園近隣や利用者の声も丁寧に受けとめながら事業を進めていただきたいと思っております。その点をしっかりと東京都に要望をさせていただきたいと思います。
 その上で、国家戦略特区も、従前の都市再生、医療分野に加え、都市公園内の保育所設置特例など、待機児童の解消等の分野においても徹底的に活用していく姿勢が求められると考えておりますが、その点について局長の決意をお伺いいたします。

○長谷川政策企画局長 都は、先ほど部長から答弁を申し上げましたとおり、これまで国家戦略特区を活用いたしまして、官民連携によって、東京駅前、虎ノ門地区などにおける国際ビジネス拠点、最先端分野の医療技術のスピーディーな開発などに取り組んでまいりました。
 その一方で、山森委員ご指摘のとおり、待機児童の解消、また女性の活躍や働き方改革などの分野におきましても、国家戦略特区の徹底活用は、施策の効果を高めるという意味合いで極めて重要な課題であるというふうに認識しております。
 都といたしましては、本年十月に、国と都の連携により東京特区推進共同事務局、これを設置しておりまして、これを徹底活用して関係部局との連携のもとで、今後これらの分野における新たな規制改革提案、既存の規制改革メニューの一層の活用にもしっかりと取り組んでまいりたいと、このように考えております。

○山森委員 局長の強い決意をお伺いいたしました。今後、都が抱えるさまざまな課題の解決に向け、国家戦略特区の一層の有効活用に取り組まれることを重ねて要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○栗林委員 それでは、私の方から、決算説明書の一四ページにもご報告いただいておりますけれども、外国企業誘致の取り組みについてお伺いをさせていただきます。
 都は、本格的な人口減少社会を迎える中、経済活性化を目指し、平成二十五年度からアジアヘッドクオーター特区内への外国企業発掘、誘致事業に取り組んでいらっしゃいます。昨年度末までの外国企業誘致の取り組み状況について伺います。

○山本国家戦略特区推進担当部長 現在、我が国は本格的な人口減少社会を迎えており、今後、世界からすぐれた技術、ノウハウの国内企業への移転を進め、生産性向上を図る必要性が高まっているところでございます。
 そうした中、東京都は、平成二十五年度から目標設定のもと、アジアにおける業務統括拠点、研究開発拠点を設置する外国企業の誘致に取り組んできたところでございます。これまでの誘致実績でございますが、平成二十八年度末までに、これらの拠点を設置する外国企業を五十社誘致する目標に対しまして、昨年度末までで四十六社から特区進出の意思決定を取得しているところでございます。
 また、将来的にこれらの拠点を設置する意思がある外国企業について、二十社から特区進出の意思決定を取得しているところでございます。

○栗林委員 目標に向かい、着々と展開をされていることと思います。アジアにおける業務統括拠点、また研究開発拠点五十社を誘致する目標に近い実績を残しているということがわかりました。
 次に、これらの誘致企業の分野別内訳はどのようになっているでしょうか。将来的に拠点を設置する企業も含めた六十六社について伺わせていただきます。また、これらの企業誘致による経済効果はどのようになっているのか、直近のデータも含めてお伺いいたします。

○山本国家戦略特区推進担当部長 まず、誘致企業の分野別内訳でございますが、IT分野二十九社、医療健康分野十九社、環境分野九社などとなっております。
 次に、経済効果でございますが、誘致企業の事業実施に伴う人件費等の直接的な投資額は、これらの企業への聞き取りによると、平成二十八年九月末時点では約百五十億円となっております。また、誘致決定後に雇用された人数は約六百人となっております。今後、東京都としましては、これらの経済効果の向上の観点から、誘致企業へのビジネス支援等による事業拡大に取り組んでまいる所存でございます。

○栗林委員 大変効果が出ているということで、期待は大きいと思います。誘致企業による投資拡大を図ることは、東京の経済活性化にとって大変重要であり、引き続きしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 最後になりますけれども、これらの取り組みに加えまして、今後はビジネスマッチングにより、誘致企業が有するすぐれた技術、ノウハウの移転を進めていくことが、都内の中小企業等の生産性の向上を図る上で重要と考えます。
 そこで伺いますが、今後のビジネスマッチングの取り組み拡大についてどう考えていらっしゃるか、現時点でのマッチング事例も含めて説明をお願いいたします。

○山本国家戦略特区推進担当部長 ご指摘の誘致企業とのビジネスマッチングでございますが、例えば都内の中小企業におきましては、ドイツのゲーム会社との日本の人気キャラクターを活用したゲームの共同開発、また、米国のロボット開発企業との英語教育プログラムの共同開発などを通じまして、収益性の高い製品開発ノウハウの移転に向けた取り組みが進んでおります。
 こうした共同開発に加えまして、顧客満足度の向上の観点から、誘致企業、都内中小企業のノウハウを生かした製品、サービスの共同販売も実施されております。東京都としましては、このようなビジネスマッチングの取り組み事例を拡大させていく必要があるものと考えており、今後、中小企業支援機関等のさまざまな関係機関との連携を通じたマッチングイベントの充実強化に取り組んでまいる所存でございます。

○栗林委員 大変期待するところでございます。今お話にもありましたけれども、この東京には、世界に誇る伝統、技術の力とか、さまざまなコラボレーションも期待されるところではないかと思います。引き続き強力に取り組んでいただきたいと思います。
 また、先日都内で開かれた、日本、中国、そして韓国、この三カ国の経済貿易相の会合が開かれ、そこで、この三カ国による自由貿易協定、また東アジアの十六カ国が参加する地域包括的経済連携、この交渉を加速するということも合意されたと伺っております。日本政府は、今後、デジタル分野の取引の急拡大などを踏まえまして、日中韓が官民で電子商取引やサービス、また投資などに関する新たな経済ルートを議論する協議会もつくろうということも提案されたと聞いております。
 二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会、また、一八年には平昌、そして二二年には北京で開催される冬季五輪などもございます。こうしたことも踏まえて、経済、文化、スポーツ産業などの協力も深めるということが合意されたと聞いております。
 すばらしいパンフレットをつくっていただいております。これ全部本当に拝見したら、すごい情報が網羅されておりまして、もっともっとこれ、広めていただきたいと思ったところですが、四ページにもちょうどここに、羽田空港から世界各都市へのフライト時間という一覧も出ておりまして、この時間を見ると、国内で新幹線で移動するよりも早く行き来ができる、それがアジアの条件ではないかなと思いますので、こういったところから本事業の発信をさらに強化していただくことを要望いたしまして、質問を終わります。ありがとうございます。

○松村委員 前舛添知事並びに秘書の公用車使用問題について伺います。
 知事の公用車使用を手配する立場にある政策企画局は、財務局とともに、前知事が政務として公用車を使用した百五十五件、この決算年度は百三十八件ありますが、全てを前知事運転手などから聞き取り調査を行うなど詳細を明らかにすべきだと思いますが、ご所見を伺います。

○小池総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 政務への公用車の使用は、都政との関連性が高いと知事が判断した場合にできることとしております。政務は、一般職員では対応が困難で、知事が政治家として対応した方が適切に対処できるような政治性を持つものでございます。そのため、政務につきましては、面会の相手方などとの関係から、その内容を明らかにできる性質のものではないと考えております。

○松村委員 都政との関連性が高いと前知事が判断して使ったのが、違法性があると監査が判断し、前知事も認めたものであります。ですから、政務として使用したものを改めて調査するのは当然ではないかと思いますが、それをはなからやろうとしない姿勢は、大きな問題だと思います。
 前知事は、行く先や要件を明らかにし、都民に説明責任を果たしていくと議会で答弁しております。少なくとも、豊洲新市場問題で小池百合子知事が石原元知事に文書で回答を求めたことぐらいやるべきではありませんか。重ねて見解を伺います。

○小池総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 先ほども申し上げましたが、政務につきましては、面会の相手方などとの関係から、その内容を明らかにできる性質のものではないと考えております。

○松村委員 毎週末の湯河原別荘通いが公務として認められ、公用車が使用されていたことに、都民は大きな驚きを持っております。少なくとも前知事が私的使用と認識する政務として使用した公用車に、一体どのぐらい都民の税金が使われたのか、知る権利があると思います。
 庁有車の管理は財務局ですが、九月二十七日の総務委員会に政策企画局から資料が出され、ガソリン代などの領収書があります。平成二十七年度の舛添公用車のガソリン補給量、これは二千六百四十五・六三リットル、私ちょっと計算したんですけれども、になります。運転日誌から政務として使った距離数は把握できるのですから、都民が納得できる説明をするよう、財務局とともに政策企画局にも求めておきます。
 ところで、住民監査請求では監査請求が制約され、プロ野球観戦とNHKコンサートの三件のみを監査対象としました。その結果、違法性を認め、返金を求め、前知事も応じましたが、六万五千二十九円の返金で幕引きは、都民の納得できるところではありません。政務使用の全額の返還を求めるべきではありませんか。

○小池総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 プロ野球観戦とNHKコンサートの三件につきましては、住民監査請求を受け、監査委員の判断があり、前知事も返還に応じたものでございます。
 一方、政務への公用車の使用については、都政との関連性が高いと知事が判断した場合にできることとしておりまして、前知事はこれに基づいて公用車を使用していたところでございます。そのため、政務に係る公用車の使用にかかった費用の全額の返還を求めるものではないと認識をしております。

○松村委員 プロ野球観戦とNHKコンサートに家族と行くのに、公用車を使用するのはとんでもないという都民の訴えを、違法性があると判断されたものです。
 だったら、前知事が公務でもない公用車の使用の判断に問題があったと、政務使用の返還を求め、訴訟になっても争うことが都民への責任ではないでしょうか。
 監査では、平成二十七年六月十三日以前は、請求できる期間、この一年を経過しているために、それはだから監査制度からいって請求対象にはならないといって、この範囲内にある、期間以内にある三件をいわゆる監査し、違法性があるということの結論というか、下したものであります。
 ですから、舛添前知事自体も--一件、期間以外のNHKホールに二回行っていたというやつでね、一件がその期間内であったからということで、プロ野球観戦と合わせて三件という監査で、それに基づいて請求したわけですけれども、当然そういう違法性というか、知事もそういう認識があったんですから、この件についても、都として前知事に返金の請求をすべきだったんではないですか。重ねて、なぜ四件分請求しなかったのか伺います。

○小池総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 監査委員の判断に従いまして、支出を行った財務局が、この三件につきましては前知事への請求を行ったところでございます。

○松村委員 前知事は、NHKホールの使用は二回、同じ利用の仕方と認めているんですよ。監査の判断だとか財務局が行ったといいますが、都民から見て、都の姿勢は余りにも受け身で、到底納得されるものではないと思います。
 そこで、総務委員会で提出があった知事が行った講演の一覧では、九件の講演が記載されておりますが、このうち公務と政務の件数を伺います。

○小池総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 九件のうち、二件が政務で、残りの七件が公務であると認識しております。

○松村委員 確認したいんですが、二件の政務の年月日と用件をお聞きします。

○小池総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 二件につきましては、六月十一日に行われました毎日メトロポリタンアカデミーの講演と、七月二十三日に行われましたアジア調査会の講演、質疑応答がそれに該当いたします。

○松村委員 平成二十七年六月四日木曜日の日経ビジネスシンポジウム、これベルサール新宿グランドという場所で行っておりますが、これは私、政務での公用車の使用一覧、六月四日、それから知事の週間日程予定表を突き合わせますと、これは明らかに政務ではないかというふうに思われますけれども、違いますか。

○小池総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 六月四日の日経ビジネスシンポジウムにつきましては、我々としては公務と把握をしております。

○松村委員 ぜひ、週間の日程にも政務となっておりますので、後でご確認いただきたいと思います。もし違うならば、私の認識を変えたいと思います。
 ところで、これら九件の講演について、講演料を知事は受け取っているのですか、また、知事が受け取っても、例えば都の方にそれを出しているとか、そういうちょっと事実関係について伺います。

○小池総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 これら九件のうち、政務である二件につきましては、前知事が第二回定例都議会の代表質問におきまして、報酬を受け、舛添政治経済研究所の収入とした旨を答弁しております。残り七件につきましては、事務方としては、前知事からは、報酬を受けたという話は聞いてございません。

○松村委員 政策企画局は、公用車の使用に係る舛添前知事への説明で、私的な講演会は公用車は使用できないと説明しております。ここに政策企画局の資料があります。使用できないのに、使用していたことになります。返還を求めるべきではありませんか。

○小池総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 この二件につきましては、講演会、東京の課題と未来像、あるいは世界一の都市東京の実現を目指してという題のもので、都政との関連が高いものでありますので、政務ではありますが、私的な講演会ではないというふうに考えております。

○松村委員 私は、明らかにこの資料には、私的な講演会、出演料ありとか、だからそういう説明なんですよね。これは公務外だというふうに認めて、知事の就任時にそういう説明をしていたと。やはり知事が講演して、出演料というか講演料までみずから受け取る。明らかにそれは私的で、今の公務というような要素が含まれているなどという話は、都民は納得できないというふうに思います。当然、今後検討されるべきだという意見を申し上げておきたいというふうに思います。
 それから、前知事の特別秘書二名の公用車使用の実態を検証し、明らかにすべきだと思いますが、ご所見を伺います。

○小池総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 前知事の特別秘書に係る公用車の使用につきましては、都民からの情報公開請求等に応じ、庁有車運転日誌を開示しているところでございます。
 特別秘書は、知事から直接命を向け、国との折衝、議会との連絡調整、マスコミへの対応、政策形成に係る特命事項など、都政運営全般に関して知事を直接補佐している特別職であるため、公用車を使用した際の職務内容について明らかにできる性質のものではないと考えております。

○松村委員 それでは、二名の特別秘書の公用車に、経費を、この平成二十七年度、どのぐらい総額で使っているのか。ぜひこれは財務局とともに、それぞれ幾らかを明らかにするように、ここでは求めておきます。
 それから、とりわけ横田特別秘書の使い方は、まさに勤務地、都庁に来ていないということが、日誌からも、または公用車の乗りおりの状況からも明らかです。まさに私設秘書の使い方であり、全額返還を求めるべきだと思いますが、ご所見を伺います。

○小池総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 先ほども述べましたように、特別秘書は、知事から直接命を受け、都政運営全般に関して知事を補佐している特別職であるため、一般職とは異なり、勤務時間や勤務場所は特に定められていないものでございます。
 したがいまして、横田秘書の職務を私設秘書のものであると判断して、公用車の使用に係る経費全額の返還を求めることはできないと考えております。

○松村委員 前舛添知事自身が、そういう答弁を繰り返して行っておりました。小池新知事のもとでは都民ファーストと、透明性を明らかにするというわけですから、改めて、知事を補佐するといいますか、そういう職責にある政策企画局は、新知事とも協議し、やっぱりこれらの問題について、都民への説明がきちっとできるように求めておきたいというふうに思います。
 前知事の二名の特別秘書、平成二十七年度のそれぞれの給料は幾らですか。

○小池総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 それぞれの特別秘書に係る人件費につきましては、個人情報に該当するため、お答えすることはできないと考えております。

○松村委員 この決算年度は、既に支出した費用は公表できないと。それはプライバシーに配慮しなければなりませんけれども、公益性も含めて、税金が使われているということから、ただプライバシーの一言で、私は済ませてはいけないというふうに思います。何らかの事実といいますか、実態は明らかにすべきだというふうに思います。
 今、それではプライバシーの問題があり公表できないのであれば、局長級であると規定されているというふうに聞いております。局長級に換算した経費は、では一体この平成二十七年度、それぞれは幾らになるのかをお答えください。

○小池総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 特別秘書の給料につきましては、東京都知事等の給料等に関する条例によりまして、行政職給料表(一)及び指定職給料表の適用を受ける職員の例により、知事が定める額とされております。
 このように、特別秘書の給料につきましては個別に定められておりまして、局長級に換算した経費としてお示しするのは適当でないと考えております。

○松村委員 それも、私を含めて都民が理解できないところだと思うんですよね。それは、年齢とかいろいろな今までの経験ですか、しかし、局長級というのに換算されるというんだったら、例えばどのぐらいの、今局長さんの給与があるのか。それから年齢とか、もう少し、それぞれっていうだけじゃ、それではいというわけには、私はいかないような気がするんですね、今聞いた以上は。
 もう少し、あるというか、特定しないで、平均的というか、局長級の給与、年俸といいますか、どのぐらいになっているのかということぐらいお答えしていいんじゃないですか。

○小池総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 先ほどお答えしましたように、行政職給料表の(一)及び指定職給料表の適用ということですので、必ずしも局長級とは限らないんですが、ちなみに指定職の給料表は一号給から七号給までございまして、一号給が給料月額七十万六千円、七号給が給料月額百十万七千円というふうになってございます。

○松村委員 今、月額七十万から百十万ですか、差はありますけれども、しかし、月額七十万から百十万と、やはり相当の都民の税金が特別秘書に支給されている。もちろんそれに見合う、知事を補佐する秘書の役割というのは決して否定するものではありません。
 しかし、その実態は、ただ知事の命を受けているといえば、都庁にも姿を見せない、どこでどう勤務しているかわからない。また、どういう成果といいますかね、形じゃなかなか知事を補佐するというのは見えないんでしょうけれども、しかし少なくとも、やはりその実態というか、可能な限りのものは明らかにされなければならないというふうに思います。
 重ねて、知事の特別秘書は、小池知事がいうブラックボックスそのものだというふうにいわざるを得ません。都民の税金が全てで使われている以上、今後とも透明性を確保すべきだと思いますが、いかがですか。

○小池総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 特別秘書は、地方公務員法第三条第三項第四号に規定する特別職でございまして、都におきましては、特別職の指定に関する条例により、特別職として指定されております。
 職務内容は、知事から直接命を受け、国との折衝、議会との連絡調整、マスコミへの対応、政策形成に係る特命事項など、都政運営全般に関して知事を直接補佐しているものでございます。こうしたことから、特別秘書の個々具体的な職務内容については、必ずしも明らかにできる性質のものではないと考えております。

○松村委員 最後に、やはり前舛添知事の政治と金の問題は、都知事選挙でもう幕引きというか、終わりではない。都民もそのことをやっぱり求めております。引き続き私どもは解明に努めたいと思いますが、前知事や関係者、特別秘書も含めた、やはり証人といいますか、出てきていただいて、説明を受けなければならない。このために百条委員会、我々提案しておりますが、この設置が引き続き必要だということを委員の皆様方に呼びかけて、質問を終わります。

○中村委員 政策企画局の平成二十七年度決算において、都市外交について質問します。
 外交は、国の専管事務とはいえ、人と人との交流やつながりにおいては、都市と都市の交流が果たす役割は大きいといえます。オリンピック・パラリンピックも、国ではなく都市の開催であります。
 舛添前知事は就任以来、数多くの都市を訪問し、要人との面会やさまざまな視察、講演会等、都市外交を積極的に行ってきました。
 しかし、その成果を評価する以前に、多くの随行職員を引き連れ、多額の出張旅費をかけたことが問題視され、そのこともきっかけの一つとなり、知事の職を辞することになったのは残念なことです。
 海外諸都市との間で共通の課題に協力して取り組むことなど、都市外交を実施することは基本的に評価するものですが、その方法に適切さを欠いた面があったということは指摘せざるを得ません。前知事の辞職によって、都市外交、海外出張というだけで悪というイメージが先行してしまったとしたら、それは本質ではないと考えます。
 昨年度、ロンドンのジョンソン市長とパリのイダルゴ市長が東京を訪問し、それぞれ都議会で演説したことは、東京のプレゼンスを示すと同時に、両都市との関係を強化するものとして評価をできます。
 まず、平成二十七年度を振り返り、改めて都市外交の成果について伺います。

○横山外務部長 平成二十七年度の大きな成果といたしましては、まず、都議会の議決をいただきまして、ロンドン市との間で、東京都として十九年ぶりに友好都市関係を樹立したことが挙げられます。首長同士が相互に相手都市を訪問し、実現に結びつけることができました。
 また、パリ市との間でも首長同士の相互訪問が実現し、友好協力関係を一層推進したことも挙げられます。
 このほかにも、平成二十七年度はモスクワ市長、オーストラリアのニューサウスウェールズ州首相を東京にお迎えし、緊密な交流、協力を推進することを確認いたしました。

○中村委員 昨年度の成果について答弁をいただきました。知事が海外の都市に出かけているばかりではなく、姉妹友好都市の首長に東京を訪問してもらうことも極めて重要です。
 東京都の方は、平成二十六年十二月に東京都都市外交基本戦略を策定されていますが、その中でも、都民の利益の最大化を図ることや、都民の理解が不可欠なので情報発信に努め、都民に丁寧に説明するとしています。
 私は、都市外交の成果は、多くの都民の方にも情報が十分伝わることで、その効果がさらに増していくものと考えます。前知事の海外出張は、出張旅費の問題などから多くのメディアで否定的に取り上げられてしまいましたが、その他の国際交流に関するさまざまな活動が行われ、成果も出ていると思います。これらは、なかなか都民の方に広く伝わっていないと感じています。
 都市外交の成果を都民に身近なものとして理解していく必要があると考えますが、これまでどのように情報発信を行ってきたのか伺います。

○横山外務部長 都市外交の成果を都民の方々にわかりやすく説明し、理解を得ていくということは重要でございます。
 知事の海外出張につきましては、東京都公式ホームページの知事の部屋に、報道発表の内容及び主な行動、成果を掲示しております。そのほか、知事への表敬訪問などにつきましても、政策企画局で管理するホームページに東京の都市外交のサイトを設け、紹介をしております。
 また、ホームページ以外にも、「広報東京都」を活用してロンドン市との友好都市関係の樹立について広くお知らせした例もございます。
 今後とも、わかりやすく幅広い情報発信に努めてまいります。

○中村委員 都民の理解を得ていくために、誰にでもわかりやすいということが重要です。ホームページの掲載内容については、今後ともわかりやすいものを作成していただき、引き続き積極的な情報発信をお願いしたいと思います。
 ここまで、主にトップの都市外交について伺ってきましたが、都市外交は、相手都市の首長との間で知事だけが行うものではないということを確認したいと思います。
 両首長がお互いの都市を訪問し、関係構築が図られたロンドン市、パリ市との間はもちろんのこと、その他首長同士の交流があった都市との間でも、より具体的な成果を上げていくために、実務レベルの交流を進めていくことも不可欠です。
 そこで、昨年度、海外諸都市との間で、実務レベルではこういう協力についてどのような成果があったのか伺います。

○横山外務部長 実務レベルでの交流、協力につきましては、従来から関係各局を中心にさまざまな取り組みが進められております。
 昨年度につきましては、二都市間交流の例では、北京市との間で大気汚染防止分野の専門家の相互派遣や、ニューサウスウェールズ州との間で姉妹校交流を実施するなど、相手都市とのニーズが一致した事業分野において交流、協力が図られました。
 また、多都市間の例といたしましては、感染症対策や危機管理に関する協力事業により知見の共有を図る取り組みを行ったほか、スポーツ交流といたしまして、主に姉妹友好都市を招待して行う東京国際ユースサッカーには九都市から、また、アジア諸都市との交流を目的としたジュニアスポーツアジア交流大会には十三都市からと、多くの都市の参加を得て実施をいたしました。

○中村委員 知事のみではなく、各局において実務レベルで交流、協力を進めているということでした。
 北京市との間では、大気汚染防止分野での専門家の相互派遣を実施したという答弁もいただきました。前知事が北京市を訪問した際、政府間の関係は必ずしも良好ではなかったときでしたので、関係者は、友好関係が改善するのではと歓喜の声を上げていました。私自身も、超党派の議員で構成する東京都議会日中友好議員連盟の幹事として、友好都市である北京市との交流を応援したいと考えています。
 今後も、環境、上下水道、文化、教育、経済等、幅広い分野でますます両都市の関係が深まることを期待し、このような実務的な交流が継続される延長線上に、いまだに実現していない北京市長の東京訪問も働きかけてよいのではないかと思います。
 知事の訪問や相手都市の首長の東京訪問をきっかけとして、実務者同士での交流、協力にうまくつながり、事業が推進されていくことを強く望みます。
 また、行政の実務者同士の交流に加えて、民間レベルの国際交流をさらに広げていくことも重要と考えます。都内各地でさまざまな国際交流イベントが開催されていることにより、多くの都民が異文化に触れ、国際理解が進めば、それがひいては世界中から多くの人が訪れる二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック大会の機運の醸成や盛り上がりにもつながっていくと思われます。
 そこで、民間団体などが取り組む国際交流への支援について伺います。

○横山外務部長 民間レベルでの国際交流を東京都が後押ししていくことは重要であると考えます。都はこれまでも、国際的な施策の推進に寄与すると認められる行事の後援を行ってまいりました。
 昨年度につきましては、民間等が中心となって主催している各国の食や文化などを紹介するフェスティバルを初め、在京大使館主催行事や公益法人主催行事など、幅広く国際的な行事を後援いたしました。
 今後とも、民間団体等が自主的に行う行事を後押しすることで、さまざまなレベルでの国際交流を推進してまいりたいと存じます。

○中村委員 昨年度の都市外交を振り返ってきましたが、トップによる交流だけではなく、実務的な協力や民間交流の支援も行っていることがわかりました。
 都庁各局においても、民間で行っている国際的な行事を後押ししているものも数多くあると思います。二〇二〇年大会を控えて、東京はさまざまなレベル、チャンネルで都市外交を推進するため、民間交流についても、各局との連携によりさらに拡大していくことを期待します。
 特に、生活文化局が国際交流や多文化共生を所管していますが、政策企画局の都市外交とのつながりを強め、都全体の国際社会への方針のもと対応をされることが必要だと思っています。民間の交流は絶えず行われ、貿易や留学、また観光などは継続して行われていますし、東京都も企業や国際会議などの誘致も行っています。国と国では外交、防衛、領土などさまざまありますが、国際的な流れの中で、人と人との交流はこれまで以上に盛んになりますから、都市と都市の交流は、知事が誰であろうとも必要なことだと思います。
 今後、都民にとって、都市外交を含め全庁的な国際社会への取り組みをより一層進めていただくよう求めて、質問を終わります。

○上田委員 私からも、知事の補佐体制について伺いたいと思います。
 各委員指摘されましたように、想定外に知事がかわるというような状況が起こりました決算年度におきます知事の補佐官の運用状況についてご説明をいただきたいと思います。

○山下調整部長 委員お尋ねの知事補佐官、職名といたしましては知事補佐担当でございますが、この職は、経緯から申しますと、平成二十六年度に知事のトップマネジメント機能強化のために、当時、就任間もない知事と都庁内部等とのつなぎ役として設置されたものでございます。
 平成二十七年度になりまして、おおむね所期の目的を達成いたしましたことから、理事級職員の兼務を解除した上で、専任の部長級職員などによる新たな体制に再構築されました。これは、知事の意向が正確かつ迅速に関係部局に伝わる仕組みを整えまして、都庁組織のチーム力の向上を図るために行われたものでございます。補佐担当は、この役割を十全に果たすことでスピーディーかつ効果的な都政運営の実現を図っているところでございます。

○上田委員 さらに、小池百合子新知事誕生に当たりまして、マネジメント本部やプロジェクトチームなどが発足されまして、恐らく見直されていくのであろうとは思いますが、せっかく積み上げました知見の方も活用しながら、生かしていただきたいというところでございます。
 次は、都市間交流についてです。
 都庁では都市外交といいますが、ほかの委員も指摘あったように、やっぱり民間交流とか、あと市民交流、行政間交流の都市間交流が大切だということを私はかねてより指摘をさせていただきました。
 これも、前知事が鳴り物入りでつくりました都市外交基本戦略の決算年度におけます運用状況、見えてきた成果、課題についてもご説明いただければと思います。

○横山外務部長 平成二十七年度の成果といたしましては、まず、都議会の議決をいただきまして、ロンドン市との間で、東京都として十九年ぶりに友好都市関係を樹立したこと、また、パリ市との間でも首長同士の相互訪問が実現し、友好協力関係を一層推進したことなどが挙げられます。
 実務レベルでの交流、協力に関しましては、北京市との間で大気汚染防止分野の専門家の相互派遣や、ニューサウスウェールズ州との間で姉妹校交流を実施するなど、関係各局を中心にさまざまな取り組みを進めたところでございます。
 二〇二〇年大会を控えまして、引き続きさまざまなレベル、チャンネルで都市間の交流を推進するとともに、その成果を都民にわかりやすく発信していくことが大事だと考えております。

○上田委員 新しい知事も国際派でいらっしゃいますし、また、この都市外交基本戦略についても、ある程度の見直し等も私も期待するところであります。やはりさまざまなレベル、チャンネルというところが非常に重要でございますことから、新知事体制のもと、お取り組みを、余り予算をかけずに進めていただければいいかなと思っております。
 さて、先ほどほかの委員からも、大使館とまた政策企画の交流の醸成を求める声もありまして、情報連絡会で非常に密な交流がなされているということでございました。事ほどかように、やはり来賓者への接遇というのは重要だというふうに私も思っております。一般質問では、延遼館の今の現状について、どうしていくのかをたださせていただきました。
 つきましては、来賓者への接遇場所につきまして、都庁内の回数と都庁外の回数についてお答えください。また、都庁外の場合は、どのような施設をどのような基準によって利用したのか、ご説明ください。その上で、来賓接遇における成果と課題について、ご所見をお示しください。

○梅田国際事業担当部長 平成二十七年度におきます海外からの来賓者への接遇についてでございますけど、都庁にお迎えした件数は三十六件、そのうち都庁外の施設も活用した事例は六件でございます。また、都庁外での接遇におきましては、浜離宮恩賜庭園、明治神宮などの視察のほか、都内ホテルなどを利用した会食を行っております。
 接遇場所は、限られた滞在時間の中で効果的な行程となる立地条件、そして東京産の食材を利用した和食のおもてなしが可能であることなど、東京の魅力の発信に資することを目的として選定しております。いずれの接遇の機会におきましても、都市間の友好関係の強化、そして東京の魅力のPRを効果的に行うことができたというふうに考えております。
 今後も、賓客の訪都という貴重な機会を捉えまして、その時々の多彩な東京の魅力を感じていただきますよう、創意工夫を行っていきたいと考えております。

○上田委員 その時々の多彩な東京の魅力を感じていただけるような創意工夫という力強いご答弁をいただきました。やはり都内ホテルを利用されることで民間景気が潤うということと、都民の財産であります既にある都有財産、恩賜庭園もそうですけれども、あと私、結構美術館なんかも来賓室等もありますので、大いに活用していただきたいと思いますので、既にある都有財産と、そして民間施設のさらなる活用をぜひご検討を、実績を踏まえていただければと思います。
 さて、資料の方、作成ありがとうございました。
 一ページでございます。本当に、ことしは二月、三月からもうずっと出張、知事の海外出張について、非常に大きな注目が集まったところであります。
 改めまして、知事、外務長の出張経費ですが、執行率が二六・五%ということで非常に少なくなっているんですが、予算を今度、これぐらいの執行率しかないにもかかわらず、結構、三倍ですか、何倍かの予算が立てられたような実績もありまして、ここの執行率が極めて低かったのは、なぜそうなったのか。予算組みの根拠と、積算根拠についても大変指摘もあったところでありますので、振り返っていただいて、改めて妥当だったのか、ご所見をお示しいただければと思います。

○横山外務部長 平成二十七年度の知事の海外出張等の予算におきましては、姉妹友好都市との周年行事への参加や、知事みずからが都政の課題解決等に資する先進事例を学ぶことができる都市等を訪問することを想定いたしました。具体的には、姉妹友好都市などを五回程度訪問する予算を見積もり、計上しております。
 また、知事出張の効果をより高めるという観点から、ハイレベルな事前調整等を行うため、外務長をトップとした出張予算をあわせて計上しております。
 平成二十七年度は、前知事の入院等もございまして、知事海外出張が二回であったことなどから、結果として、知事海外出張等の予算執行率は二六・五%となっております。今後とも事業の必要性を踏まえまして、効率的な予算執行に努めてまいります。

○上田委員 ご入院なさって、おみ足の静養なんかもあったのかなというふうにも思っておりますが、ここを踏まえまして、次の課題につなげていっていただきたいと強く願う次第でございます。
 外務長の海外出張については、三ページ、取り寄せさせていただきました。こちらの出張先も、アメリカが二回とフランス二回ということで、東京都は、例えば水道局事業の技術の提供ということで、東南アジアに拠点をつくったりとかしているので、東南アジアなんかもあるのかなと思ったんですが、同じ国に集中をしているというところから、出張先の選定の根拠と成果について伺いたいなと思っております。
 つきましては、るる私の質疑に対し、外務長とは、都市外交をより強力に進めるため、知事の判断により外務長を設置、外務省から適切な人材を配置していると。外務長の職は、外務省における幅広い経験を生かすポストということでございますので、こちらの出張の選定と成果につきまして、外務長ご自身のご所見をお示しいただければと思います。

○水越外務長 外務長の海外出張先につきましては、東京都として、優先的に関係構築を図るべき姉妹友好都市や世界の主要都市の中から、知事の意向も踏まえつつ、知事出張の準備に資するところを選定して行ってまいりました。
 昨年度は、大部分を私の前任者が担当しましたけれども、ニューヨーク市やパリ市などを訪問して、現地における情報収集や関係機関、現地日本大使館等との交渉調整などを行いました。これにより、知事出張時の海外要人面会や相手都市との合意書締結等の成果につながっているというふうに考えております。
 いずれの出張におきましても、外務長、外務省の出身ですので、外務省でのこれまでの経験や人脈を可能な限り活用して、限られた日程で行われる知事出張の成果に結びつくよう努力してまいりました。

○上田委員 たびたびですけれども、知事もかわられて、外務長もかわられたということで、またきっと新しい豊富な人脈や経験値を生かされた出張の方につながっていくと思いますので、また引き続き定点観測をさせていただきたいと思います。
 次に、アジアヘッドクオーター特区の指定後の取り組みについてでございます。
 都においては、業務統括拠点、研究開発拠点を設置する可能性があると回答した企業と継続的にコミュニケーションを行い、その中で、具体的な投資計画策定可能性が認められる企業に対し、日本市場の分析などきめ細かな支援を行い、特区進出の意思決定の取得に向けた取り組みを進めていたことと存じます。
 ついては、外国企業の誘致目標と実績、国内企業とのマッチングの強化に係る現状認識と課題について、ご所見をお示しください。

○山本国家戦略特区推進担当部長 東京都による外国企業誘致事業についてでございますが、平成二十八年度末までに、アジアにおける業務統括拠点、研究開発拠点を設置する外国企業を五十社誘致する目標に対しまして、昨年度末までで四十六社から特区進出の意思決定を取得しているところでございます。
 東京都は、これらの誘致企業と都内中小企業等との間で生産性の向上に資するビジネスマッチングの取り組み事例を拡大させていくことが重要であると認識しております。この観点から、今後、中小企業支援機関等のさまざまな関係機関との連携を通じたマッチングイベントの充実強化を図ることが課題であると認識しているところでございます。

○上田委員 目標達成まであともう少しというところで、スマートシティーを目指されましてのさらなるお取り組みをお願いを申し上げます。
 次に、ほかの委員からも指摘がありました公用車使用基準適正化運用状況の公開状況なんですが、ちょっと先ほどの同僚委員への答弁も、随分とやはりなかなか情報公開の方が進まないのかなというふうに聞いておりました。
 つきましては、前知事の公用車の使用について、私からもたださせていただきます。
 大きく報じられておりまして、先ほどのご答弁にもありましたが、一部については返納がされましたが、公用車の使用については、改めてどのような基準がありまして、都民に運用状況が公開されているのか、ご説明をいただきたいと思います。
 また、決算年度の知事、副知事、特別秘書を含む政策企画局の公用車の使用について、適正であったか、根拠を含めご所見をお示しください。

○小池総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 知事の公用車の使用につきましては、移動元または移動先が公務場所であることを基本として運用してございまして、その状況につきましては、庁有車運転日誌の開示請求等に対応して、平成二十七年三月三十日から辞任日である平成二十八年六月二十一日までの分を公開したところでございます。
 決算年度における知事の公用車につきましては、その使用形態において多くの都民等からの批判を受けたところでございまして、これも踏まえ、現在、都政改革本部の内部統制プロジェクトチームで、知事公用車の運用のあり方について検討を行っているところでございます。
 また、副知事、特別秘書の公用車の使用につきましては、職務に応じ公用車使用のルールにのっとり対処しているところでございます。
 なお、既に小池知事は、公用車の使用に当たりましては、私用車と使い分けを行うなど厳格な運用を行っているところでございます。

○上田委員 喉元過ぎても、やっぱり熱さをどうしても忘れられない。よくぞあそこまで使ったものだというような事案だったと思いますが、既に新知事体制のもとでは、私用車と使い分けを行い、厳格な運用を行っているということで、かなりほっとさせていただいた次第でございます。
 そして最後になりますが、議会局が作成しております予算の審議等における懸案事項の措置状況調の指摘事項、前年度決算審査での意見開陳、審査報告等の指摘事項は、私どもが発言したものをまとめたものでございますが、示唆に富んで、各局ともフィードバックしてくれているとのことでございます。
 ついては、知事と現場をつかさどり、所管局をつないで各局が実施する事業間の有機的な連携を図る、戦略的でスピード感のある都政運営を目的として設置されている政策企画局において、前都知事の公用車私的流用、豪華さが都民に批判を浴びた海外出張問題も発生した事案も踏まえ、東京都全体の政策立案と総合調整が設置目的のとおり実現できていたのか、課題も含め決算年度における所見をお示しください。

○小池総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 政策企画局は、知事のトップマネジメントを補佐し、都の重要な政策を効果的かつ着実に推進するため、局横断的な事業展開に関する総合的な調整の役割を担っております。
 平成二十七年度におきましては、東京と地方がともに栄える真の地方創生の実現を目指し、都庁全体の計画であります東京都総合戦略を策定いたしました。
 また、東京都長期ビジョンの着実な実施に向け、成熟都市東京の強みを生かしたオリンピック・パラリンピック大会の成功や、福祉先進都市の実現といった課題に対し、全庁的な調整を図ってまいりました。
 今後も小池知事のもと、都民ファーストの視点で全庁の総合調整機能をしっかりと果たしてまいります。
 なお、公用車の使用や海外出張に係る問題につきましては、現在、都政改革本部の内部統制プロジェクトチームでも検討を行っているところでございますが、知事を補佐する当局としましても、都民の批判を真摯に受けとめ、適切に対処してまいりたいと考えております。

○上田委員 ここまで、政策企画局に対しまして、決算の政策過程への反映を中心軸として、知事補佐官の役割、都市間交流などにつきまして、知事の補佐と各局の総合調整のあり方につきまして、るる伺ってまいりました。
 この中で、決算年度においては、東京と地方がともに栄える真の地方創生の実現を目指し、都庁全体の計画である東京都総合戦略を策定し、東京都長期ビジョンの着実な実施に向け、成熟都市東京の強みを生かしたオリンピック・パラリンピック大会の成功や、福祉先進都市の実現といった課題に対し、全庁的な調整を行ってきたとの成果が報告され、小池知事のもと、都民ファーストの視点で全庁の総合調整機能をしっかりと果たしていく旨のご決意が示されました。
 我々都議会とも強く連携を図り、各局を束ねる都政の司令塔といたしまして、この機能を大いに発揮されることを期待するものです。
 政策企画局は、舛添前知事の就任を受け、知事のトップマネジメント体制の確立のため、一昨年七月に知事本局を改組して設置されました。政策企画局は、いうまでもなく都の行財政の基本的な計画及び総合調整、重要な施策の企画、立案、報道機関との連携、調整、都市外交の推進に関する事務など、都政の根幹をなす企画部門を担っています。
 都政の企画、総合調整部門は、鈴木都政以来この三十年余りで、企画報道室から企画審議室と情報連絡室、政策報道室と変化し、石原都政で知事本局となり、直接担う事業が増加し、その後、政策企画局に至っております。地方分権改革の進展により、企画部門の担うべき役割が大きくなってきていますが、それに当たっては、総務、財務という官房系両局との連携と適切な役割分担が不可欠です。
 さらに、本来、政策企画局が所管局とともに企画、立案を行い、関係局によって執行されるべき業務が拡大し、青少年・治安対策本部によって担われております。巨大な肥満都市東京の中で、司令塔すなわち頭脳自体が手足を生やし、あふれんばかりのぜい肉をつけてしまっていることに政策企画局がならないことを強く願っている次第でございます。
 地方自治体の運営におきまして、最小限の経費で最大限の効果、効用を生み出すべく、民主的にして能率的な行政の確保が図られることが必須の課題です。そして、その中心をなすのが、知事を補佐する総合調整、企画部門である政策企画局にほかなりません。各局の企画部門との連携を密にしつつ、移管すべきものは移管し、廃止すべきものは廃止することにより、都政の司令塔みずからが率先してぜい肉を削り、スリムな司令塔として知事を支えていくことになるような新しい組織と役割分担を期待いたしまして、私の政策企画局への質疑を終わります。

○桜井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○桜井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で政策企画局関係を終わります。
 以上をもちまして第一分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第一分科会を閉会いたします。
   午後三時散会

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