平成二十七年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第五号

平成二十八年十月二十八日(金曜日)
第十一委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長桜井 浩之君
副委員長鈴木 錦治君
副委員長中村ひろし君
山森 寛之君
前田 和茂君
栗林のり子君
上田 令子君
大松あきら君
北久保眞道君
松村 友昭君

欠席委員 なし

出席説明員
監査事務局局長猪熊 純子君
監査担当部長池田 美英君
主税局局長目黒 克昭君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務加藤  隆君
税制部長小山 明子君
税制調査担当部長川上 秀一君
調整担当部長笹本  勉君
課税部長副島  建君
資産税部長大久保哲也君
徴収部長安藤 敏朗君
特別滞納整理担当部長譲原 秀晃君

本日の会議に付した事件
平成二十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
監査事務局関係
・平成二十七年度東京都一般会計決算(質疑)
主税局関係
・平成二十七年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十七年度東京都地方消費税清算会計決算(質疑)

○桜井委員長 ただいまから平成二十七年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、監査事務局及び主税局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより監査事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十七年度東京都一般会計決算中、監査事務局所管分を議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○猪熊監査事務局長 去る十月十四日の当分科会において要求のございました資料について、ご説明申し上げます。
 お手元の平成二十七年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。
 要求のございました資料は、監査事務局職員の有資格者数と任用形態別職員数、中央卸売市場への実地監査実績の二件でございます。
 一ページをお開き願います。資料第1号、監査事務局職員の有資格者数と任用形態別職員数でございます。
 平成二十八年三月三十一日現在におきます各種有資格者数及び任用形態別職員数をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。資料第2号、中央卸売市場への実地監査実績でございます。
 平成十三年から平成二十七年までの各種監査における中央卸売市場への実地監査の日程をお示ししてございます。
 以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○桜井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○上田委員 最初に、住民監査請求についてお尋ねします。
 二十七年度は請求件数十五件のうち、監査実施はゼロ件、訴訟に至ったのは三件でありました。請求者による意見陳述の申し出はゼロ件、証拠提出もゼロ件とのことです。
 平成二十六年総務委員会で私は住民監査請求をもっと活発にできるような風土をつくっていくべきではないかと提案をしましたが、その後のお取り組み、住民監査請求の都民への普及と積極的な活用に関するご所見をお示しの上、住民監査請求をしたいが、やりたいがわからないという都民向けのサポート、相談対応の状況を、件数を含め、ご説明ください。

○池田監査担当部長 住民監査請求は、地方公共団体の住民が当該団体の長等について、違法、不当な公金の支出や財産の処分等があると認めるとき、必要な措置を講ずるよう請求するものでございます。いわば住民の発意によるものですので、その活用は住民に委ねられております。
 都民への住民監査請求制度の周知に関しましては、よりわかりやすく理解していただくため、監査実施状況を取りまとめた冊子、監査のあらましを、説明文章を簡潔にするとともに、図を多用するなど、全面的に見直ししたところでございます。この監査のあらましにつきましては、多くの方々に閲覧していただけるよう局ホームページにも掲載しております。
 住民監査請求を行いたいとする都民のサポートに関しましては、住民監査請求の手引や請求の様式を局ホームページに掲載し、住民の方々がいつでも閲覧、使用できるようにしております。
 また、請求書を持参した住民の方には、職員が持参した請求書についてその場で確認し、形式的な不備があれば制度等の説明を行った上で、是正のお願いをしております。

○上田委員 見直しがその後図られているということで、大変心強く思いました。住民監査請求制度は、財政民主主義の観点から極めて重要なものであると考えております。財務会計行為は、情報公開によって都民の目に触れることによって、適正化が図られるものであります。もし財政運営に瑕疵があれば、都民誰でもが不服が述べられるよう門戸を広げておかねばなりません。その門戸となるのが監査委員であり、門戸があることを周知しなければならないのも監査委員であります。
 現状では、周知が不十分であるために、まだまだ伸び悩んでいるやに見受けられました。訴訟社会はよろしくないようにいう方もいますが、私は踏まれた足は痛い、おかしいことはおかしいと異議申し立てができる社会の方がよほど健全だと考えております。
 実際に私も江戸川区議会議員時代に、農地並み課税であるのに耕作放棄をして草ぼうぼうの生産緑地について、東京都がこのような脱税まがいの行為により固定資産税を取りっぱぐれているのではないかと住民監査請求をしたことがありました。
 棄却はされましたものの、江戸川区と江戸川区民の問題意識を想起させ、区長による当該農業者に対しての異例の厳重指導に至り、新聞報道になりました。事ほどかように、この制度は住民益を住民みずから手にすることができるものでございます。
 火事とけんかは江戸の華といいますように、まさに華のお江戸の東京都ですから、大いに住民には行政の瑕疵を気軽に指摘してもらいたいと思いますので、活用いただけるようさらなる取り組みを望むものであります。
 監査報告についてお尋ねします。
 監査事務局が、平成二十七年度監査報告の各局の措置状況をどのように評価しているのか、その手続と経過、その後の対応について、時系列でご説明ください。

○池田監査担当部長 監査の結果、指摘等を行った事項につきましては、早急に是正改善するなど適切な措置を講ずるよう、年二回期日を定め、各局に報告を求めております。その報告を通じまして、誤りの根本原因の解消や仕事の進め方の見直し、再発防止の徹底が図られているかなどの改善策を確認しており、平成二十七年におきましては、一回目百十八件、二回目百二十九件の措置通知を受け、対象となる監査の指摘等のうち、約九割が是正改善されております。
 また、改善中の場合は、その経過や今後の対応につきまして、各局の状況を詳細に把握するなど、的確にフォローを行っております。その上で、監査委員が改善済みと判断したものにつきましては、平成二十七年六月の第二回定例会、十二月の第四回定例会でご報告するとともに公表しております。

○上田委員 各監査のうち適切な措置を講ずるように周知、徹底をされ、専門性並びに監査の質の向上に努めているとのことでありました。監査委員の制度設計どおりの運用はされていると受けとめましたが、そのルーチンにいかに魂を込めて監査の課題を明らかにし、都民の財産や信用、利益を毀損しないか、また毀損を発見し、勧告によって是正していくのかは、十三兆円の都財政執行の最終的な監査者である監査委員の存在意義であり、最も重要な責務であります。
 監査しただけで検証の結果が事業に脈々と息づかなくては、形式的な仕事によってお墨つきを与えておしまいという監査になってしまわないか、それでは都民の共有財産を守れないのではないかと、かねてより問題意識を持っていたところであります。
 さて、実際の具体的な監査事例として、このたび資料請求をさせていただいております。資料の1号の方もちょっと見ていただきまして、平成二十七年度予算の総務委員会で、監査とその結果のフィードバックをより一層進め、各局に徹底すること、議選委員を含む委員及び職員の専門性の研さんに努めることと私は要望いたしました。
 監査は手段であって目的ではなく、結果をもって何をするのか、指摘金額と予算全体のバランスに対する見解、監査とその結果のフィードバックを、無駄と不正を防止するという基本的な役割を踏まえた上で、職員状況、その専門性の確保ができたかを含め、事務局の意義と役割につき、決算に当たっての振り返りを示したご所見をお示しください。

○池田監査担当部長 監査結果が都の事務事業の改善に資するよう、質の高い監査を実施し、各局への事務改善を促すことが重要でございます。監査とその結果のフィードバックにつきましては、再発防止の効果を高めることを目的として、各局の担当者向けに平成二十七年五月と十月に事務説明会を開催いたしました。その説明会の中で、過去の指摘を類型化した監査指摘事例集を配布し、共通して誤りの起こりやすい事例について、各局へ周知を行いました。
 次に、専門性の確保につきましては、公認会計士を任期つきで職員として一名任用するとともに、公認会計士、中小企業診断士、一級建築士などの有資格者が在籍しております。職員の技能向上につきましては、こうした有資格者を講師として、財務諸表や新公会計、民間企業の監査の視点、手法など、専門知識に関する研修を平成二十七年四月から七月にかけて集中的に実施するほか、全都道府県監査委員協議会連合会講習会など、外部研修等に職員を派遣いたしました。
 また、他部署からの転入職員に対しましては、監査手法、指摘文作成方法、フォローアップも含めた監査技術に関する研修を年三回実施するとともに、各職員にインストラクターを配置し、日常的に指導を行っております。
 今後とも、さらなる監査の質の向上に努めてまいります。

○上田委員 ご報告をいただきました。その報告内容を受けとめまして、実際の具体的な監査事例としてこのたび請求をさせていただきましたのが、2号の資料でございます。虚偽の報告を続けてきたことで、不名誉な、全国的に注目を集めることになってしまった豊洲市場問題であります。議会へも虚偽の報告がなされており、私どもも非常に問題意識を持ち、特別委員会も設置をしているところであります。
 資料をごらんいただければわかりますように、監査は、豊洲に移転の方向が決定した平成十三年から実施をしているところであります。つきましては、豊洲並びに築地市場についての指摘内容を、これまでの経緯も含めて、主に過去五年について具体的にご説明ください。

○池田監査担当部長 定例監査、行政監査、決算審査につきまして、過去十五年間につきましては十七件の指摘がございました。具体的には、市場使用料等の催告を適正に行っていなかったもの、不適切な分割契約を行ったもの、代替駐車場の借り上げ台数が過大であったもの、行政財産の使用許可を行っていなかったものなどでございます。
 また、工事監査につきましても、五件の指摘がございました。具体的には、避難口誘導灯などの取りかえ工事において、消防署長への届け出を行わなかったもの、セメントの単価設定を誤ったものなどでございます。

○上田委員 工事監査も行っていたということです。それらの指摘内容も含めて、監査に当たって実際にどの程度現地に足を運んでいるのか、実績をお答えください。

○池田監査担当部長 築地市場、豊洲市場に対しましては、定例監査、工事監査ともに年に数日程度、職員が市場に出向き、監査を行っております。

○上田委員 年に数日程度のようでございますが、それに照らし合わせて、監査委員はあらゆる財務会計書類、財産関係書類の検査をすることができるとされていますが、豊洲の工事に関しては何を見たのか、設計図、図面等は検査したのかお答えください。

○池田監査担当部長 工事監査では、実査として、工事関係書類を対象とする書類審査と、その結果から必要と判断した工事現場等において現場実査を行っております。書類審査は、図面や特記仕様書を含む契約書、設計内訳書を含む起工書、施工状況を示す写真や材料検査の結果などの施工書類を対象としております。
 これらの書類を審査することにより、設計内容が積算や設計、技術の基準などに適合しているか、関係法令を遵守しており、契約書どおり施工されているかなどの確認を行っております。
 現場実査は、書類審査で確認できなかった箇所などを中心に、工事現場が契約どおり施工されているか、成果品の寸法、形状、品質が正しいかなどの確認を行っております。

○上田委員 ちゃんと設計図はごらんになっているということでございます。資料1号のとおり、一級建築士も監査事務局にはいます。なのに、なぜ当初の説明と異なる実態を監査によって、監査開始からの経緯と盛り土をしていなかったことや地下空間があったことなど、中央卸売市場の虚偽の説明を各種監査で見抜けなかったのか、ご説明ください。

○池田監査担当部長 工事監査におきましては、局の策定する全体計画は適切であり、それが工事関係書類に反映されていることを前提に契約書、起工書、施工書類を対象に監査を実施しております。豊洲市場の工事につきましても、同様に監査を実施したところでございます。

○上田委員 反省点を教訓とした今般の中央卸売市場への所見並びに今後監査の実効性をいかに高めていくか、具体的にご説明ください。中央卸売市場に対しては特に厳しく対応すべきと考えますが、ご所見を求めます。

○池田監査担当部長 工事監査につきましては、これまでも書類審査、現場実査ともに適切に行ってきたと考えておりますけれども、今般の件を踏まえ、実効性を上げる方策を検討してまいりたいと考えております。

○上田委員 監査結果が各局への事務改善を促し、監査委員のスキルアップを研さんし、監査の向上に努めていると最初の答弁で確認させていただいたところでございますが、豊洲市場の盛り土問題により、その機能が働いていなかったということが結果的に露呈してしまいました。
 行政が都民や都議会の監視をすり抜けて虚偽や不正を行わないため、最後のとりでとして監査委員がいるわけでございます。そして、平成二十六年二月工事着工以来、資料にもあるように、決算年度も実際に監査をしてきたわけでありまして、ご説明はいただきましたけれども、盛り土をしていなかった実態と図面と議会への虚偽の説明を見抜けず、結果的に問題ないというお墨つきを監査委員が与えてしまったことは大きな問題ではないかと私は考えております。
 監査事務局運営も税金で執行されております。都民は、税金を払いながら、税金の使い道と都民の財産である行政財産の管理監督をお願いしているのです。今後、実効性を上げるとのことですが、監査機能なきお墨つき機関とならぬよう、この事例を厳しく受けとめて全ての監査に当たっていただくことを強く要望いたしまして、私の質疑を終わります。

○桜井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○桜井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○桜井委員長 これより主税局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十七年度東京都一般会計決算中、主税局所管分及び平成二十七年度東京都地方消費税清算会計決算を一括して議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○加藤総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る十月十四日の当分科会におきまして要求のございました資料について、次のようにご説明申し上げます。
 お手元の平成二十七年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらん願います。
 今回要求のございました資料は十件でございます。この順番に従いましてご説明申し上げます。
 それでは、一ページをお開き願います。要求資料第1号、法人事業税の税率の推移でございます。
 この表は、これまでの法人事業税の標準税率、制限税率及び都における超過税率の推移をお示ししたものでございます。
 次に、二ページの要求資料第2号、法人都民税の税率の推移でございます。
 この表は、これまでの法人都民税の税率の推移を同様にお示ししたものでございます。
 次に、三ページの要求資料第3号、法人二税の超過課税収入額でございます。
 この表は、平成十八年度から平成二十七年度までの法人都民税及び法人事業税の収入額及び超過課税相当分の収入額をお示ししたものでございます。
 次に、四ページの要求資料第4号、上場株式等の配当及び譲渡益に対する軽減税率適用による個人都民税の影響額でございます。
 この表は、平成十八年度からの上場株式等の配当及び譲渡益に対する軽減税率適用による個人都民税の影響額をお示ししたものでございます。なお、軽減税率については、平成二十五年十二月三十一日をもって適用期間を終了しております。
 次に、五ページの要求資料第5号、都税(一般分)の滞納整理における直近五か年の差押件数及び換価等による本税充当額でございます。
 この表は、都税一般分の滞納整理における平成二十三年度から平成二十七年度までの差し押さえ件数と差し押さえ財産を換価して、滞納都税に充当した金額をお示ししたものでございます。
 次に、六ページの要求資料第6号、徴収サミットオンラインについてでございます。
 この資料は、都がホームページ上で運営を行っている徴収サミットオンラインの概要と都内区市町村の参加自治体を一覧にしたものでございます。
 次に、七ページの要求資料第7号、特別区内の生産緑地農地として課税している地積、筆数及び税額でございます。
 この表は、特別区内の生産緑地農地につきまして、平成二十三年度から平成二十七年度までの課税地積、筆数及び固定資産税額、都市計画税額をお示ししたものでございます。
 次に、八ページ及び九ページの要求資料第8号、特別区内の生産緑地農地として課税している地積、筆数及び税額(区別)でございます。
 この表は、特別区内の生産緑地農地の地積、筆数及び固定資産税額、都市計画税額を平成二十六年度と平成二十七年度について、区別にお示ししたものでございます。
 次に、一〇ページの要求資料第9号、徴税費と都税収入百円に対する徴税コストでございます。
 この表は、平成二十三年度から平成二十七年度までの職員費及び事業費に基づいて、都税収入百円に対する徴税コストをお示ししたものでございます。
 次に、一一ページの要求資料第10号、都税(一般分)の滞納整理における税目別滞納額及び不納欠損額でございます。
 この表は、都税一般分の平成二十三年度から平成二十七年度までの滞納額と不納欠損額をお示ししたものでございます。
 要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○桜井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 私から主税局の決算について伺います。
 都税収入の決算を見ると、前年に比べ四千四百三十六億円増加し、総額で五兆一千八百三十六億円となっており、四年連続の増収となっております。この五兆円を超える都税収入は、東京都のさまざまな施策の貴重な財源であり、その徴収という重要な役割を担っている主税局職員の皆様方の日ごろの努力に対し敬意を表するものでございます。
 そこで、都税の徴収についてですが、平成二十七年度の都税全体の徴収率は九八・五%と前年に比べ〇・四ポイント上昇しております。その中で個人都民税について見ますと、これも前年に比べ一・一ポイント上昇し、過去最高の九五・四%となってはいますが、都税全体の徴収率に比べると三・一ポイント低いという実態がございます。今後、都税全体の徴収率をさらに上げていくには、この個人都民税の税収率アップが欠かせないと考えます。
 そこで、個人都民税の徴収率が都税全体の徴収率と比べ低い原因を伺います。

○譲原特別滞納整理担当部長 個人都民税は、市区町村が市区町村民税と合わせて、個人住民税として課税、徴収し、都に払い込んでいるものでございます。個人住民税の徴収率が他と比べて低い理由といたしましては、市区町村においては分野を超えた人事異動が多いことが上げられます。一般的にではございますが、税務部門から他部門への職員の異動サイクルが短いことから、専門性の継承が難しくなり、滞納となった事案が長期化、累積化する傾向がございます。

○鈴木委員 市区町村の場合、職員規模も小さく、また特定の職員を長期間同じ税務の職場に配置していくことはとても難しいという事情もあるのではないか、これは思うところでございます。市区町村が徴収している個人都民税の徴収率をアップしていくには、こうした市区町村の税務事情の実態を踏まえた実効性のある支援を行うことが必要であると考えます。
 そこで、都では、個人都民税の徴収率向上のために、市区町村に対してさまざまな支援を実施してきたと思いますが、具体的にどのような取り組みを行ってきたのかお伺いをいたします。

○譲原特別滞納整理担当部長 都ではこれまで、市区町村からの徴収困難な事案の引き受け、実務研修生の受け入れ、市区町村への都職員の派遣、各種研修会の開催など、さまざまな取り組みをしてまいりました。
 平成二十七年度は、新たな対策として、市区町村の職員が他の市区町村の身分をあわせ持って、滞納整理が行える体制を整備いたしました。このことにより、他の自治体の取り組みを経験することで、市区町村間での滞納整理のノウハウが共有できるようになりました。
 また、平成二十九年度から特別徴収を徹底することから、JR各線の車内ディスプレーに流れるトレインチャンネルを活用して広報を行うなど、特別徴収制度の趣旨や内容の周知にも取り組んでまいりました。

○鈴木委員 市区町村の徴収率を向上していくには、東京都がさまざまな切り口で市区町村の徴収事務に実際に役立つ支援を継続的に実施していくことが大事であると考えます。一方、納税者の方に徴収事務の重要性やその仕組みを正しく理解していただくことも重要であります。
 そして、徴収事務の重要な仕組みに特別徴収制度がございます。ご案内のとおり、特別徴収制度は、事業主の方が従業員の方に給与を支払う際に、給与から個人住民税を差し引いて納税する制度で、徴収率はほぼ一〇〇%となり、非常に確実な徴収方法であると聞いております。
 一方、この制度は、いわば事業主の方が市区町村の徴収事務の肩がわりをする仕組みであり、事業主の方には事務手続等でいろいろとご苦労をおかけしているのだと思うところでございます。
 これからもこうした制度を円滑に実施していくには、制度の重要性や必要性をしっかりと広報し、納税者の皆様方にご理解を深めていただくことが欠かせないと考えております。今後、個人都民税の徴収率を上げていくため、こうした制度を含め、さらに工夫を重ねていくことが大事であると思います。
 さらなる個人都民税の徴収率向上のため、今後、都としてどのような取り組みを行っていくのか伺うところでございます。よろしくお願いいたします。

○譲原特別滞納整理担当部長 平成二十九年度からの特別徴収制度の徹底に向けて、現在、各事業主に東京都と市区町村連名で特別徴収義務者の指定について、事前のお知らせを送付しているところでございます。これを機会に事業主の負担が少しでも軽減できるよう、現在、自治体ごとに異なっている届け出書などの様式の統一化に向けて、九都県市合同で検討を始めております。
 また、地方税法の改正により、平成二十八年度から、これまで認められていた累積滞納に加えて、現年課税分のみの滞納についても、市区町村から引き受けができるようになりました。早くから滞納整理に着手することで、徴収率向上に寄与できるものと考えております。

○鈴木委員 ここまで個人都民税の徴収率向上についての話を伺ってまいりました。今後も、都内市区町村や九都県市との連携を図って、取り組んでいくことをお願いするところでございます。
 一方で、都税事務所においても、徴収率の向上のため、さまざまな取り組みを行っていると聞いているところでございます。しかしながら、私の地元でも、自営業者や、また中小企業を経営されている方のお話を伺う機会がありますが、まだまだ経営が苦しいという声も聞いているところでございます。
 納税者の中には、失業や病気などを含め、本当に納税したくても難しい方もいるのではないかと思うところでございます。このような事情がある方に対して、都は滞納整理を進めるに当たってどのように対応しているのか伺います。

○安藤徴収部長 都では、滞納となった事案に対し徹底した進行管理のもとに滞納整理を進めております。滞納者とじかに話すことを心がけ、電話や訪問による納税交渉を行うほか、注意喚起のための催告書を複数回送付するなど、繰り返し自主的な納付を促しております。それでも納税に対し誠意の見られない滞納者には、差し押さえなどの滞納処分を組織的に行っていくことで、徴収率の向上に努めているところでございます。
 しかし、副委員長のご指摘のとおり、失業や病気、または災害など、個別の事情で納期内納税が難しい納税者もいると認識しております。このような方々に対しましては、随時納税相談を行い、収入や資産の保有状況に関する綿密な調査等を通じて、納税者の正確な資力を把握するよう努めております。
 その結果、納税に誠意がありながらも一度に納付することが困難であると判断した場合には、猶予や執行停止などの徴収緩和制度を活用いたしまして、個々の事情に応じたきめ細かな滞納整理を行っております。

○鈴木委員 都が納税者の事情に応じたきめ細かな対応をしていることはとてもよいことだと思うところでございます。これからも、不誠実な滞納者には毅然とした滞納整理を進めつつ、しかしながら納税者の声にしっかりと耳を傾けていただき、丁寧な対応をお願いしたいと思います。
 都政は、今、多くの課題に直面をしております。これらの課題に的確に対応して、都民の期待に応えていくためには、財源の確保が不可欠であります。主税局の役割は、極めて重要であると考えるところでございます。
 最後に、歳入確保に向け、主税局としてどう取り組んでいくのか、局長の考えを伺います。

○目黒主税局長 主税局はこれまでも、さまざまな創意工夫を凝らした取り組みと積極的な実践行動によりまして、税負担の公平性の確保と納税秩序の維持を図りつつ、着実な税収確保を目指してまいりました。
 滞納整理を進めるに当たりましても、先ほど徴収部長がご答弁申し上げましたとおり、それぞれの実情を踏まえたきめ細やかな対応を図る一方で、誠意の見られない滞納者に対しましては毅然とした態度で滞納処分を行うということを徹底しております。
 納税者の声に耳を傾け、交渉や綿密な調査を行い、納税者の暮らしぶりを知った上で判断をするということが何よりも大切でありまして、個々の納税者に寄り添った質の高い滞納整理が求められているものと考えております。
 いずれにいたしましても、都の歳入の七割強を占めております都税収入は、都財政を支える基幹的な財源でありまして、主税局の役割は極めて重要であると認識をしております。都が重要施策を初めさまざまな施策を展開していく上で欠くことのできない都税収入を確保し、都政を財政面から強力に支えていくため、今後とも主税局職員が一丸となって、歳入所管局としての責務をしっかりと果たしてまいります。

○栗林委員 それでは、私の方からも平成二十七年度主税局決算について何点かお伺いをさせていただきたいと思います。
 初めに、都税の納付方法について伺います。
 平成二十七年度の都税収入を見ますと、緩やかな景気回復基調などを反映して四年連続の増収となり、徴収率は、先ほど鈴木副委員長も触れていらっしゃいましたけれども、九八・五%と過去最高を更新したとのことでございます。
 徴収率が向上した要因の一つとして、納税者が納付しやすいように環境整備に取り組んできたことが挙げられるのではないかと考えます。最近の納税者の多様なライフスタイルに可能な限り対応できるよう、その要望に応え、納税方法をきめ細かく提供することは、納税者サービスの一環として非常に重要でございます。
 そこでまず、徴収率が向上した要因について、納税者が納付しやすくなるように、これまでどのような取り組みを行ってきたのか、確認をさせてください。

○安藤徴収部長 徴収率の向上への取り組みの一つとして、納税方法の多様化がございます。平成十六年度にはコンビニエンスストアでの納税を、平成十八年度にはインターネットやATMを利用した納税を開始しております。さらに、平成二十三年度には、自動車税のクレジットカードによる納期内納税を開始いたしました。
 クレジットカード納税につきましては、自動車税以外でも利用したいという納税者の声を受け、平成二十七年度には全国に先駆けて、ほぼ全ての都税で利用可能としております。また、取扱期間も通年へと拡大しております。

○栗林委員 二十四時間三百六十五日、いつでもどこでも納税できるようになって、納税者の利便性が格段に向上していると実感をしております。二十三年、自動車税がクレジットで、まず第一弾として可能になりました。これ私はそのとき予算特別委員会で要望させていただきまして、導入になったことを大変うれしく思って、その当時のことを思い出しますが、この背景には、自動車税はちょうど四月ごろの納付期限ということで、子育て世代、若い方たちでお車をお持ちの方が、ちょうど三月、四月は入学とか進学等で教育費等々に大変お金がかかる時期と重なっているんです。
 クレジットで納付ができるようになりますと、手続の流れからいくとちょうどボーナス時期ぐらいに引き落としがしていただけるということで、特に自動車税、クレジットの決済ということが発表になったときは、若い方たちから大変喜ばれた制度でございます。
 クレジットカード納税については、納税者の利便性を高めるため、我が党も一貫して提案をさせていただいてまいりました。その後、引き続き税目の拡大ということで、固定資産税を初め、税目が拡大するとともに、一年を通してクレジットカードで納税できることになり、過去最高の徴収率にも寄与しているのではないかと思います。
 特に時間がない方、自宅にいながらインターネットを利用して納税できることに加えて、納付期限が近づいているときに、手元に現金がなくても納税ができるため、非常に好評だと思います。
 そこで、クレジットカード納税の利用状況について、導入当初から現在までどのように伸びているのか伺います。

○安藤徴収部長 クレジットカードの利用件数につきましては、平成二十三年度の八万七千件から平成二十七年度には三十九万六千件と約四・六倍に増加しております。金額につきましては、平成二十三年度の三十九億円から平成二十七年度の百六十四億円と約四・二倍に増加しております。

○栗林委員 利用者数も約八万件から四十万件で四・六倍、金額も四・二倍の三十九億円から百六十四億円ということで、すごい結果が出ているのではないかと思います。利用件数、金額とも大幅に増加していることから、こうしたクレジットカード納税は、納税者の利便性及び徴収率の向上に大きく貢献しているのではないかと思います。社会状況やライフスタイルの変化に応じて、クレジットカードによるインターネット決済は今後ますます普及していくことは間違いないと思います。
 そこで、さらなるクレジットカード納税の利便性向上のために今後どのような取り組みを実施していくのかを伺います。

○安藤徴収部長 固定資産税、都市計画税につきましては、一年間の納期が複数回あるため、一度の手続で継続的にクレジットカード決済ができる仕組みを導入することが、さらなる納税者の利便性向上に寄与すると認識しております。
 なお、導入に当たりましては、納税者のカード情報の適正な管理や手続に関する規定整備などの課題もございます。
 納税者にとって安全で利用しやすい継続払いシステムの実現に向けて今後も取り組んでまいります。

○栗林委員 よろしくお願いいたします。
 それでは、次に都税事務所の改築について伺います。
 私の地元である世田谷区では、世田谷合同庁舎が本年七月に竣工し、聞いたところでは、全国で初めてのケースだそうです、国と都と区の三者の施設が入っておりまして、利用者にはとても利便性がよくなってまいりました。
 この五階、六階でしたでしょうか、都税事務所が入っているわけでございますけれども、先日、庁舎を視察させていただきました。LED照明とか太陽光発電、また屋上緑化など、ひさしも縦型のひさし等々、大変環境に重視をされている建物でありましたけれども、また玄関には太陽光の発電量を示すパネルもあり、現在の発電量が何住戸分に当たりますよなんていう表示までされておりまして、大変環境に配慮をしている建物ということがわかりました。
 都税事務所は、地域住民にとって身近な施設であり、何といっても利便性がよいことが求められます。また、世田谷都税事務所のように環境に配慮していることが、利用者がそれを見て感じていただければ、環境への意識向上にも資するのではないかと考えます。
 この都税事務所は、歴史が古く、六十五年以上の歴史があるため、建築年次が古い庁舎もまだまだ多いと聞いております。工事着工に至るまでは、さまざまなご苦労があることと思います。こうした国や他自治体などの共同で使う庁舎にあっては、改築計画、予算措置との調整、また地元との合意、こういったことも必要になってくると思います。また、最近は、建築、また設備の技術進歩も著しいところでございます。そうしたことを考えますと、いろいろな手法をこれからは考えていけるのではないかと思います。
 そこで、今後行われる都税事務所の改築に当たってはどういう工夫を行っていくのかを伺わせていただきます。

○加藤総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 現在、墨田都税事務所が建築中でございます。また、中央、渋谷の二都税事務所が改築に向けて準備を進めております。これらはいずれも国、あるいは東京都の他部局との合同庁舎となる予定でございます。
 都税事務所の改築に当たりましては、庁内の関係部署を初め、国や他自治体などとも連携を密にし、他の公共施設の整備計画を早期に把握することで、合築などにより都有施設の有効活用を図る、また利用者の利便性向上にも資するようにと努力してまいりたいと思います。
 今回の世田谷都税事務所は、国が建築を施行しておりますけれども、都といたしましても庁舎整備に当たっては、LED照明器具などの省エネ、再エネ技術の設備の導入を進めているところでもあります。今後も、都税事務所の改築等に際し、新たな技術の活用や設計等の工夫などによりまして、一層の省エネルギー化を推進してまいります。

○栗林委員 よろしくお願いいたします。世田谷の合同庁舎、一階は区の図書館と区の保健福祉センター、特にいろんな区民の方が出入りをされる施設ということもありまして、都税事務所とか税務署と聞きますと、どちらかというと少し重たい、かたいというイメージで、頻繁に訪れたいという気持ちにはなかなかなりにくいところかなとは思いますけれども、大事な部門ではございます。もっと理解をしてもらい、近い関係に置いていただくには、こういう庁舎が大変有効だと思いました。
 私もこの合同庁舎、新しい都税事務所がオープンしましたということをホームページ等々で発表させていただいたときに、多くの方から、行ってみたいとか、そういう関心が高いんだなということも感じた次第でございます。
 都税事務所が身近に感じるきっかけにもなるのが、こういった機会だと思いますので、ぜひ今後も区とか、また各自治体、また国、こういったところと連携をするとともに、財務局を初めとした庁内関係部署とも連携を密にとっていただきながら、都税事務所の整備を進めていっていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○松村委員 まず、滞納整理の取り組みについて伺います。
 大企業は四年連続で空前の利益を上げている一方、働く者の所得は上がらず、格差と貧困が広がっています。とりわけ中小企業者は、倒産件数減少、実は休廃業が激増と中小業者の実態が報道されているように、売り上げ、利益は減少の一途で、消費税と住民税、国保料、税の滞納がふえています。こうした中で滞納者への厳しい取り立てが行われている実態の告発とその是正を求める声が我が党にも寄せられています。
 そこで伺いますが、滞納整理における本決算年度までの過去十年間の差し押さえ件数の推移と、そのうちの差し押さえの中で債権差し押さえの件数について伺います。

○安藤徴収部長 都税一般分における差し押さえ件数の推移でございますが、十年前の平成十八年度が差し押さえ件数二万二千九百八十八件、そのうち債権差し押さえは八千三百二十八件、五年前の平成二十三年度は二万六千百四十五件、うち債権差し押さえは一万二千四百七十件、直近の平成二十七年度が二万二千六百十三件、うち債権差し押さえは一万四千二百六十一件となっております。

○松村委員 今、平成二十七年度までの十年間の五年置きの件数を明らかにしていただきましたが、主税局の平成二十七年度の事業概要、実はこれを見て私はびっくりしました。
 積極的な滞納整理の実施という中で差し押さえ件数の推移が載っておりました。この表では、二十七年度の事業概要ですから、平成十七年度から平成二十六年度までの数が載っているんです。差し押さえ件数の合計数では、平成十七年度が二万二千五百七十四件、平成二十六年度が二万二千七百七十四件とほぼ同じというか、推移しているんです。
 しかし、その差し押さえ件数の中でも、例えば債権、これが平成十七年度は六千八百八十六件でしたが、平成二十六年度は一万三千四百二十三件。今、平成二十七年度も合計では二万二千六百十三件のうち、債権の方が一万四千二百六十一件ですか。ですから、債権だけを見ると、差し押さえが倍以上になっている数字です。
 例えば、あと債権以外にも不動産、動産件数、それから自動車登録とか、電話加入権・その他という、この一覧もあるわけですけれども、非常にこの間、債権の差し押さえが、差し押さえ件数の中で断トツふえているという、こういう実態があります。この債権差し押さえが激増している理由について伺います。

○安藤徴収部長 差し押さえ件数のうち、預貯金等の債権差し押さえがふえている要因につきましては、財産価値が下がっている電話加入権、この差し押さえにかえて、債権の差し押さえを推進してきたということのためでございます。

○松村委員 債権の内訳には、給与や年金がありますが、差し押さえ禁止がされているのではありませんか。

○安藤徴収部長 差し押さえ禁止のことですが、給与や年金における差し押さえ禁止の範囲については、国税徴収法で定められておりまして、給与や年金等の所得のうち、所得税、住民税及び社会保険料の各相当額並びに最低生活維持費等の合計額を差し押さえ禁止財産としているものでございます。

○松村委員 ほかにも不動産とか、動産とか、自動車とか、いろいろあるわけです。確かに電話加入権というのは、答弁がありましたように財産価値が下がっているかもしれませんけれども、ほかにも例えば給与とか、年金とか、そういう債権というのは非常に生活にかかわる差し押さえですから、慎重にも慎重でやらなければいけませんし、また今も答弁がありましたとおり、当然生活保護法の規定する合計額の金額を考慮しなければならない、差し押さえすることはできないとされているというふうに思います。
 私、実際、年金が口座に振り込まれた時点で差し押さえられ、抗議したら裁判しろといわれたと、そういう事例を聞きましたけれども、これは裁判するまでもなく違法な行為だというふうに私は判断するんですけれども、その点についてはどのような見解でしょうか。

○安藤徴収部長 まず、都では、差し押さえが禁止されている財産に対して差し押さえをすることはございません。その一方で、最高裁の判断では、差し押さえ等禁止債権であっても、一旦金融機関の口座に振り込まれた場合、預金債権を差し押さえることは違法であると一般的に解されていないということで、差し押さえも許されるという判断をしてございます。
 しかし、都では、きめ細かな滞納整理も行っておりまして、預貯金の差し押さえ後に滞納者から状況を十分に聞き取った上で、最低生活費等の必要部分についての差し押さえ解除も行っていることも事実です。
 以上です。

○松村委員 今、私が事例を聞いたのは、例えば年金が口座に振り込まれたら、即その時点で差し押さえられたと。そうすると、その方の、滞納者の家族が何人いて、どうなのかとか、そういうのをちゃんと把握して、その生活費にかかわる生活保護の基準は除外して、じゃあ五分の一差し押さえるとか、四分の一押さえるとか、そういう判断じゃなければいけないと思うんですけれども、即入ったところの全額を差し押さえるというようなケースだと私は聞きました。
 それはだから差し押さえ禁止になっている国税徴収法の、私も何度も読ませてもらいましたけれども、給料や社会保険制度に基づく給付の差し押さえ禁止という第七十六条の規定があるわけですよね。
 だから、やはり裁判をやるまでもなく、そういう差し押さえはやってはならないという判断、もしくはそうじゃないというんだったら厳しく、そういう例えば何分の一を差し押さえるかとかいうことが現場でできているのかどうか、差し押さえするかどうかの判断とか、差し押さえする権限は誰が持っているのでしょうか。

○安藤徴収部長 預貯金も含めまして、差し押さえ財産につきましては、すぐに取り立てを行うということは基本的にはございません。差し押さえ後に新たな事情が判明した場合には、納税者の実情を踏まえて、個々に換価猶予や差し押さえ解除等の判断を行っております。
 あと、誰が判断するのかということでしたが、滞納整理事務につきましては、滞納発生時の納税交渉から事案完結まで組織的に進行管理を行っております。差し押さえ等重要な処分に関しましては、担当する職員から事案の状況を十分に聞き取った上で、最終的な判断を各都税事務所長が行っております。

○松村委員 現場では、実際にそうなっていないような、私もそういういろんな事例を聞きましたが、最近、区市町村の、とりわけ徴収が厳しさを増していると聞いております。過激な内容の催告書を送付している自治体もあります。都が研修などを通じて、区市町村に厳しい指導をしているような反映ではないかということでも非常に危惧しているんですけれども、それについてはどうでしょうか。

○譲原特別滞納整理担当部長 区市町村の滞納整理につきましては、地方税法等の規定に基づき、区市町村がみずからの権限と判断により実施しているものでございます。都では、電話や訪問による納税交渉や資産の保有状況に関する綿密な調査等を通じて、納税者の正確な資力を把握するように努めております。都としては、各種研修会等を通じ、こうした都におけるきめ細かな滞納整理のノウハウを紹介しているところでございます。

○松村委員 区市町村がみずからの権限と判断で実施しているんだということも聞きましたけれども、先ほど紹介した年金が振り込まれた時点での差し押さえに裁判をしろと現場ではいったか、いわないかとか、そういうことにも恐らくあるんでしょうけれども、対して都に是正や指導を求めたんだと。ところが、東京都は他団体に対して指導する立場にはないと回答されたということをいっておりました。
 また、ある区では、滞納者を犯罪者と見立てて、脅迫まがいの文書を発行していました。私も聞いてびっくりしたんですけれども、これ手元で、ちょっと拡大したんですけれども、こういう通知書というか、強制処分目前の状況ですというんで--一連の手続、文書催告、いきなりここ今、丁寧なというけれども、どういう形での差し押さえに至るのかという流れも私事前に伺いました。納税交渉とか先ほどの財産調査というようなお話も聞きました。
 ここでは文書催告、差し押さえ、そして強制捜索、この下には最終手段として、自宅や事務所等の強制捜索を定期的に執行しておりますと。警察官が同行して、滞納者宅の捜索を行いますが、本人にとっては寝耳に水の出来事で、かなり衝撃を伴うことになりますと。強制処分のため、留守の場合は鍵を破壊して室内に侵入します。多人数で実施するため、ご近所への影響も小さくありませんということも書いて、それで至急滞納分を納税課窓口で全額納付してくださいと。悪いことは申しません、手おくれになる前に自主納付してください。五月十六日までに必ず全額納付願いますと。これはある区の本当に実例です、出されたものの。
 まさに人権侵害となるような強制徴収です。私は、こういうのはもちろん論外だと思います。払えるのに払わないのではなく、払いたくても払えない納税者に対して、生活の実態や個別の事情を十分に把握した上で、丁寧かつ配慮ある対応ときめ細かな納税相談に努めることこそが、今、都と区市町村が求められております。
 これはある区がやった事実というか、実態ですけれども、私は都の役割としても、都では各種研修会等を通じて区市町村と接触しています。事実、平成二十七年度はこの事業概要を見ても、区市町村に対する人材育成、業務連携、共同行動、徴収対策会議などを行っています。
 やはり都がそういう点ではきちっとこういう実態を受けとめて、あらゆる研修とか、先ほども区は区の実態があると思うんです、職員がかわったりとか。だからこそ、都民、区民にこういう人権侵害になるような、誰が見ても行き過ぎた強制徴収につながるようなことは是正していただきたいというふうに求めたいと思います。
 どうしてそういうのが生まれるのか。都が実績というか、上げるためのあれが強まっているからじゃないかというふうに同じ区民というか、業者団体が見ております。
 そこで、実際都がどういう研修を行っているのか、研修を行う際のテキストに使っている本を私も見せていただきました。ここに手元にありますけれども、指摘した、国税徴収法で給与の差し押さえ禁止、社会保険制度に基づく給付の差し押さえ禁止が定められているなどの記述はありません。少なくともそういう給与とか貯金とか年金とか、そういう差し押さえ禁止でもここの範囲まではという、そういうことが記載されているならともかく、私も見たんですけど、ないんですよね、最後の方に、先ほど挙げた徴収法の第七十六条の書き方みたいなものが一言あるだけで。
 私は、だからこういうテキストというか研修を使われて、どうしたら徴収効果が上がるかということが、そういう区市町村などの職員の関係者にいけば、当然行き過ぎたことも出かねないというふうに危惧します。
 ぜひ、東京都も今後の研修なども含めて、そういった点の考慮というか、改めるというか、正しい徴収ができるような--そのことによって事業が潰れたり、個人が破産したりして悲劇を生むよりも、やはり生活を回復する、営業が成り立つと、で、もっと納税ができるようにすること、業者やそういう人たちもそう願っているんですよね。
 もちろんだから悪質なというか、払える資力のある者については、きちっとした毅然とした対応を図ることは当然だと思いますけれども、改めて滞納している事業者について機械的な滞納処分を行わず、納税者の実態把握に努め、きめ細やかな納税相談に努めて、事業継続や生活の維持を保障すること、それから、また住居となるような土地、建物や預金、給与の差し押さえは、やはり行わないというか、それから滞納を理由に一律機械的な差し押さえも行わないように、都として、区市町村へ少なくとも通知することなどの改善を図っていただきたいということを述べて、この問題については終わりたいと思います。
 次に、地方法人課税の超過課税について伺います。
 地方税法において、地方法人課税には、通常用いる標準税率が定められていますが、財政上の必要があるときは、同じく地方税法に定められた制限税率まで地方自治体の独自の判断によって税率を引き上げて課税することができるとされています。
 資料も出していただきましたので、今、都の超過課税の実態はどうなっているかが、その資料でも明らかにされております。
 平成二十七年度では、法人事業税の所得割について、標準税率が三・一%、制限税率三・七二%、これに対して都の超過税率は三・四%、それから付加価値割については標準税率〇・七二%、制限税率〇・八六四%に対し、都の超過税率は〇・七五六%です。
 資本割については、標準税率〇・三%、制限税率〇・三六%に対し、都の超過課税率は〇・三一五%となっています。
 そこで伺いますけれども、平成二十七年度において、仮に都の超過税率を制限税率いっぱいまで引き上げた場合にどのぐらいの増収が見込まれるのか伺います。

○小山税制部長 平成二十七年度決算ベースにおきまして、法人事業税の超課税によります都の収入額は約六百六十億円でございます。仮に超過税率を制限税率いっぱいまで引き上げた場合の都の収入額は約千六百億円となりまして、約九百四十億円の増収となるものと見込まれます。

○松村委員 都が法人事業税の超過税率を制限税率いっぱいまで引き上げた場合には、約一千億円ほどの増収が見込まれるということがわかりました。税収規模からしても決して小さいものではなく、超過税率の引き上げは財源確保の有効な手段の一つであり、また課税自主権の立場から当然それが検討されてしかるべきだというふうに思います。
 この間の資料によってもどんどん引き上げられて、逆に実効税率も一言でいえば大企業優遇ですよね、今の国も含めてのやっていることが。先ほどの消費税の導入八%じゃありませんけど、中小企業や零細業者や個人も含めて、やはり今本当に塗炭な状況にある中で、東京都が使える権限、しかも税の暫定措置などといって、東京都の本来使うべき税収分まで吸い上げている。
 当然国が負わなければならない地方に対する財源を、税源を移管するなんていうことも、従来からいわれながらやろうとしないし、今度はますます消費税で中小零細業者や個人を苦しめながら、それでもって充てるなどということは全く本末転倒だというふうに思います。
 改めて、都は法人事業税の超過税率を制限税率いっぱいまでに引き上げるべきだと考えますが、見解を伺います。

○小山税制部長 法人事業税については、所得の算定上、損金に算入されますので、都の区域において超過税率を引き上げることとした場合、国や他の自治体の税収が減少するという影響がございます。
 また、政府において、企業の国際競争力や国の立地競争力を強化する一つの手段として、順次、法人実効税率の引き下げが行われている状況を踏まえますと、都が法人事業税の超過税率を引き上げることは適当ではないと考えるところでございます。

○松村委員 随分国に対して思いやりのある答弁に聞こえますけれども、実際、例えば損金に算入されるから国や他の自治体の税収は減少するといいますけれども、じゃあ国などはもう本当に使いたい放題というか、もっと租税特別措置法だとか、本来のきちっと納めるべき税金を求めるべきでありませんか。
 今は、だって大企業などは四年連続で空前の利益を上げているんですよ。一方、他の自治体の税収に影響を与えるといっても、それはやはり成り立つように--三割自治じゃなくて、本来しっかりとした景気に左右されないような地方の財源、もう従来から課題になっているじゃありませんか。ずるずる延ばしでやっているそういう国ですから、東京都から思い切った風穴をあけるために、東京都は課税自主権を行使するぞという立場ぐらい示してしかるべきだと思います。
 また、企業の国際競争力や国の立地競争を強化する一つの手段だといっても、これまた今グローバル化している中、やはり本末転倒といわなければならないというふうに思います。
 平成二十八年度税制改正では、法人事業税の暫定措置は廃止されることとなったものの、法人住民税の国税化はさらに拡大されることとなり、都の財源はさらに悪いこととなります。今後、少子高齢化がますます進行し、医療、介護や子育てなど、都の財政需要も一層拡大することを考えると、しっかりと財源を確保していくことが重要であり、超過税率の引き上げについても今後改めて検討することを求めて、最後に固定資産税、都市計画税の耐震減免についても伺っておきます。
 近年、阪神・淡路大震災から東日本、そしてまたそのほかにもいろいろありましたけれども、熊本地震、今度は鳥取地震と、相次いで日本列島は大きな震災に見舞われております。そういう中で、いつこの東京にも首都直下型地震が起きるか、まさに切迫性、いつ起きてもおかしくないと切迫している中で、震災対策の大前提は二つあると。その一つが、住宅、建物の耐震化というふうにいわれております。
 都内の住宅耐震化率は、平成二十七年度に新しい数値が発表されましたけど、八三・六%という状況にとどまっております。この四年間には、わずか四%ですか、ちょっと数字はありませんけれども、そういう伸びにとどまっている中で、この主税局が行っている耐震減免はやっぱり大きな役割を果たしていると、この点については重要だと思い、評価しております。
 ちょうど昨年の十二月末で東京都の減免措置といいますか、制度も終わるという中で、国と連動していますから、国が改めて二十八年度以降も続けるということになりました。私も財政委員会の事務事業質疑で昨年取り上げたところであります。
 そこで、固定資産税、都市計画税の耐震住宅促進減免について、直近の実績についてお聞きします。

○大久保資産税部長 平成二十七年度におけます耐震住宅促進減免の対象件数及び減免税額は、総件数で一万六千六十八件、減免税額は約十七億八千八百万円でございます。

○松村委員 耐震化がなかなか困難な中で、今、数字がお答えありましたけれども、やっぱり大きな役割を果たしていることは事実だというふうに思います。
 ところで、耐震化率八三・六%といっても、これは一九八一年以前に建てられた住宅が適用の対象です。ところが、熊本地震でも改めていわれていることが、新耐震--旧耐震以降に建てられた住宅でも実際倒壊しているということで、改めて旧耐震だけじゃなくて新耐震も、耐震診断や、必要があれば耐震補強や耐震化を求める専門家からも声が上がっておりますし、当然これは国に対して法改正も含めた措置を求めることが重要だというふうに思います。
 少なくとも東日本大震災から、今は一九八一年以前でしたけれども、少なくとも二〇〇〇年、それ以降のその間に建てられた新耐震の住宅について、制度を拡充すべきじゃないかという声が起きております。そこを含めると、さっきの八三・六%どころか、もっとやはり低くなると思います。
 だから、本当に今、震災対策の大前提といわれている急がなければならない住宅の耐震化のためにも、やはり都が率先して、今ある基準の適用、制度の適用を思い切って、新耐震も耐震診断などに対するインセンティブ、助成とか、そういう仕組みをつくるようにぜひご努力、耐震減免のさらなる拡大を検討することを強く求めて、質問を終わります。

○中村委員 それでは、主税局の平成二十七年度決算について質問します。
 まず、都税の歳入決算について伺います。
 昨年度の都税歳入は、当初予算では五兆二百十六億円でしたが、年度末の最終補正予算で千八百四十二億円増の五兆二千五十八億円としていました。しかし、今回の決算を見ると五兆一千八百三十六億円となり、当初予算は超えていたのですが、補正後の最終予算を下回る結果となりました。
 そこでまず、昨年度の都税収入について伺います。また、補正後の予算に届かなかった理由を含めて、税収から見た景気動向はどのように見ているのか、伺います。

○小山税制部長 平成二十七年度の都税収入は、補正後予算額に対し二百二十二億円、〇・四%減の五兆一千八百三十六億円となりました。
 主な要因といたしましては、法人二税では、前年度実績をもとに補正後予算を見積もったものの、中国を初めとする新興国経済の景気減速の影響などがあり、大口法人の一部に前年度ほどの伸びが見られなかったこと、また個人都民税の配当割において、投資信託の運用実績の悪化等によりまして、課税対象となる配当額が見込みを下回ったことなどが挙げられます。
 しかしながら、平成二十七年度の一年を通じて見ますと、雇用、所得環境の改善、原油価格の低下等によります交易条件の改善、政府による緊急対策の効果などがございまして、景気は緩やかな回復基調が続いたため、都税収入は四年連続の増収となっております。

○中村委員 年度末の最終補正を見積もる段階までは、緩やかな回復基調が続いているとの見方でしたが、その後に状況が変わったようです。今回は下振れ幅が小さかったのですが、歳入予算にあわせて歳出予算を組むと、歳入の見込みが違えば赤字になってしまいます。景気動向の分析は難しいと思いますが、できるだけ正確な状況把握を行うことを求めておきます。
 さて、国は、都の税収が豊富として、地方法人課税の不合理な偏在是正措置を行ってきました。しかし、都税収入のうち高い割合を占める法人二税は、先ほどの答弁のように、景気の変動があるとそれに伴い変動しますので、決して安定しているとはいえません。
 そこで、決算年度において、国の不合理な偏在是正の影響はどうでしたでしょうか。都だけではなく、法人住民税の一部国税化は、とりわけ不交付団体である都内の市区にも影響があったようですが、それを含めて、全体での影響はいかがでしょうか、伺います。

○小山税制部長 地方法人課税の偏在是正に伴う都内市区町村を含めた東京都内全体の影響額は、平成二十七年度決算ベースで、法人事業税の暫定措置によりまして約二千五百億円の減収となりました。また、法人住民税の一部国税化によりまして、約九百億円の減収があったと見ております。

○中村委員 大変大きな金額が国に吸い上げられています。平成二十八年度の税制改正で法人事業税の暫定措置は廃止することとされましたが、法人住民税の国税化により、まだまだ大きな金額が奪われようとしています。とりわけ都内の不交付団体は大きな影響を受けていますので、都はそうした自治体の意見も踏まえて、国に意見を出していただきたいと思います。
 さて、国の税制改正の議論の中で、法人実効税率の引き下げと外形標準課税の拡大が行われました。平成二十七年度の都税制調査会の答申の中でも、公平性の確保のため必要としながらも、中小企業への負担に関する配慮が必要ともしていました。
 そこで、法人実効税率の引き下げの中で外形標準課税の増税がいわれましたが、影響はどうなったのでしょうか、また中小企業に影響がないようにとのことでしたが、どのようになったのか伺います。

○小山税制部長 平成二十八年度税制改正では、法人実効税率の引き下げに伴いまして、資本金一億円超の法人における法人事業税所得割の税率を引き下げるとともに、外形標準課税の割合が八分の三から八分の五まで拡大されました。その際、所得割の税率引き下げによる減収額と外形標準課税の拡大による増収額が同規模となるように制度設計されております。
 ただし、外形標準課税の拡大により負担増となる事業規模が一定未満の法人につきましては、負担を軽減する措置が講じられており、それらを含めた都税収入への影響額は約九十億円の減収と見込んでおります。
 なお、中小企業につきましては、地域経済や企業経営への影響にも配慮いたしまして、引き続き外形標準課税の対象外とされております。

○中村委員 次に、いわゆるふるさと納税について伺います。
 政府は、地方創生との名のもとに、さまざまな手法で都の税収を地方へと配ろうとしています。他の自治体に寄附をすると居住する自治体の税が控除されるため、見かけ上は他の自治体に納税したように見えます。その仕組みを利用した自治体が返礼品を送ることで誘引していることから、税のあり方としては適切とはいえません。
 そこで、いわゆるふるさと納税の影響はいかがでしょうか。税のあるべき姿ではないので、都として国に見直しを求めるべきではないかと考えますが、見解を伺います。

○小山税制部長 いわゆるふるさと納税によります都の減収額は、平成二十七年度において約二十億円でございます。本来行政サービスを受ける自治体に入るべき税収が、寄附金を通じてではございますが、他の自治体に移転するということは、受益と負担という地方税の原則の観点から好ましいものではないと認識をしております。
 一方、特定の地域を応援したいとの納税者の思いを実現する手段としては、国民に定着しつつあるものとも受けとめております。

○中村委員 受益と負担という地方税の原則の観点から好ましくないという答弁は当然ですが、なぜ定着しつつあるものとも受けとめているという消極的姿勢なのでしょうか。
 昨日発表された東京都税制調査会の答申でも、受益と負担との関係をゆがめる制度と厳しく断じ、今年度創設された企業版ふるさと納税については、税制の本質をゆがめる場当たり的な措置であり、抜本的に見直すべきとまでしています。地方の発展は当然大切ですが、それはこうした制度で行うべきではないので、今後、都から国に対して見直しを主張するよう求めます。
 さて、昨今の税に関する報道で注目されるのは、タワーマンションの固定資産税です。床面積が同じであれば高層階と低層階の課税額が同じですが、販売価格が違うということで、国が見直すということです。当然昨年度も見直す前の制度で課税していたわけですが、そもそもどういう仕組みなのでしょうか。資産価値がきちんと反映されていないということなのか、伺います。

○大久保資産税部長 タワーマンションなどの区分所有家屋に対する固定資産税につきましては、専有部分ごと、また共用部分ごとに評価することが著しく困難でございますため、一棟を一括して評価の上、固定資産税額を算定いたしまして、その額を専有部分の床面積の割合によって案分して、各区分所有者に課税をしております。このため、階層が違っても、同じ床面積であれば、固定資産税額は同額となる仕組みとなってございます。
 現行制度上、家屋に対する課税におきましては、家屋の資産価値を構成する要素の中で建築資材や労務費などの建築費が基礎となるよう定められておりまして、現在のところ階層の相違は、反映させる仕組みとはなってございません。

○中村委員 タワーマンションの件では、低層階の人は市場価格より割高な税を負担し、高層階の人は割安な税を負担していたことになり、だからこそ節税対策に使われているようです。国が評価方法を定めるので、都は国が決めた課税をしていたのですが、さまざまな税の中で負担感に不公平感が生じる場合に、都独自でできることは都が見直し、国の制度に基づくものは都からも積極的見直しを求めていただきたいと思います。
 そこで、都として独自に減免を行っている小規模住宅用地などの固定資産税の減免について伺います。
 毎年、小規模住宅用地などの固定資産税の減免について請願が出され、都は減免しています。都心部では地価が高いため、妥当な対応だと思います。そこで、昨年度の影響額を伺います。

○小山税制部長 固定資産税及び都市計画税に係る三つの軽減措置について、適用件数及び減収額を平成二十七年度実績で申し上げますと、まず一つ目、小規模住宅用地に係る都市計画税の軽減措置につきましては約百六十六万件、約三百二億円、二つ目、小規模非住宅用地に係る固定資産税及び都市計画税の減免措置につきましては約二十七万件、約二百三十四億円、そして三番目ですが、商業地等に係る固定資産税及び都市計画税の軽減措置につきましては約二十九万件、約九十二億円、合わせて約六百二十八億円となっております。

○中村委員 件数が膨大なため、軽減、減免の合計金額が六百二十八億円と膨大ですが、投機目的で不動産を所有するのではなく、小規模な居住や商売を続けるためには、引き続きこうした措置をとっていただきたいと思います。
 幾つか質問しましたが、徴税の役割は、もちろん税を集めることですが、一方、その方法によってさまざまな政策的な効果を生み出すことができます。ところが、税は都税とはいえ、実際には国が制度の大枠を決めていることが多いようです。
 その中で、都の裁量で決められる分はどのくらいあったのでしょうか。経済的格差がいわれる中で、負担感の公平は必要であり、都の税制の中で実現していただきたいと思いますが、実際にはされているのでしょうか、伺います。

○小山税制部長 都におきましては、課税自主権を活用いたしまして、大都市特有の財政需要に対処するため、昭和四十九年度から法人事業税、昭和五十年度から法人都民税の超過課税を実施しております。また、平成十四年度からは、国際都市東京の魅力を高め、観光の振興を図る施策に要する費用に充てるため、法定外目的税として宿泊税を実施しております。
 なお、所得再分配機能につきましては、応能的な性格を有する国税である所得税の役割とされておりまして、平成二十五年度税制改正では、最高税率の見直しが行われるなど、累進税率の強化が図られているところでございます。

○中村委員 平成二十五年度税制改正で最高税率の見直しなど累進税率の強化との答弁がありましたが、それはここ数年の話であり、もう少し長いスパンで見ると、所得税の最高税率は大幅に下がり、累進税率は弱まっているのではと思います。
 所得再分配機能は国税である所得税の役割とのことですが、さまざまな税を徴収する中で、都民の所得の状況などもわかるわけですから、ぜひ自治体の立場からも、税負担感の公平化について国にも積極的に求めていただきたいと思います。
 さて、そうした高所得者に関して、最近ではパナマ文書やタックスヘイブンなどとの言葉が話題にもなっていました。都として、高額納税者が海外に転居したり、資産の海外移転などによる影響はあるのでしょうか、対策はしているのか、伺います。

○小山税制部長 法人税においては、一定の税負担水準以下の国、地域にある子会社等の所得につきまして、内国法人の所得とみなして、合算して課税する制度が設けられており、その効果は地方法人課税にも及ぶものでございます。所得税におきましては、株式等の未実現のキャピタルゲインについて、出国時に課税される特例が設けられております。
 一方、個人住民税につきましては、非居住者に対しては課税されないこととされているため、公平性等を踏まえ、引き続き検討していくこととされております。
 国境を越えた取引に係る課税の適正化につきましては、国際的な課税ルールの取り決めの中で、国家として対応されるべき問題でございます。現在、政府税制調査会におきまして、租税回避を防止する観点から、国際課税の適正化に向けた検討が進められており、今後とも国の動向を注視してまいります。

○中村委員 税については、各局からの要請により、さまざまな政策減税が行われています。東京では災害対策は喫緊の課題であり、公共施設は行政が行いますが、民間建築物は、補助はありつつも基本的には所有者の負担で行われることになります。
 そのため、耐震化促進のために行われている固定資産税、都市計画税に係る耐震住宅促進減免について、直近の実績を伺います。

○大久保資産税部長 減免対象となる住宅でございますけれども、昭和五十七年一月一日以前からある家屋で耐震化のために建てかえ、または現行の耐震基準に適合させるように一定の改修を図った住宅でございまして、建てかえられた住宅につきましては三年度分、改修された住宅につきましては一年度分、または二年度分が、減免が適用される仕組みとなってございます。
 平成二十七年度における耐震住宅促進減免の対象件数及び減免税額でございますけれども、総件数で一万六千六十八件、減免税額は約十七億八千八百万円でございます。このうち、建てかえ減免は一万四千八百八十六件、約十七億五千三百万円、耐震改修減免は千百八十二件、約三千五百万円となってございます。

○中村委員 一万六千件もの住宅が建てかえ、耐震改修が行われたとのことで、災害に強いまちづくりという観点では一定の効果はあったようです。もちろん、耐震化一〇〇%を目指して担当局と協力し、引き続き取り組むことを求めます。
 さて、政策減税として、自動車税のグリーン化、自動車取得税の特例措置について伺います。中でも燃料電池車について伺います。
 都では、水素社会の実現に向けて、燃料電池車の導入促進を図り、購入に際しての補助だけではなく、都独自の課税免除を行っています。とはいえ、燃料電池車はかなりの高額であり、かつ水素ステーションの数が少ないことから、普及までにはまだまだ時間がかかりそうです。だからこその政策減税だと思いますが、燃料電池車の減税についての実績はどうか、伺います。

○副島課税部長 平成二十七年度における燃料電池車の軽減実績でございますが、地方税法による軽減と合わせ、自動車税は百十四件で約二百二十一万円、自動車取得税は百三件で約一千九百二十六万円となっております。

○中村委員 自動車取得税の減免で百三件とのことでしたので、まだまだ普及にはほど遠い数字とは思います。オリンピックに向けたレガシーとして普及を図っているとのことですし、今後さらなる技術革新があったり、普及により価格が下がることなども期待されます。税の面からもそうした将来の東京の姿に政策減税という形での協力を引き続きお願いします。
 次に、公共の用に供する土地への課税について伺います。
 先ほどは個人の住宅の耐震化についての減免についてお答えいただきましたが、東京が防災に強いまちづくりを進めるためには、都道や都立公園の整備も必要になります。その場合、所有者の方から協力をいただくわけですから、協力が得やすいよう税からの取り組みがあってもよいかと思います。
 そこで、都道や都立公園などのために立ち退いた場合の収入は、都の事業に協力してもらうためにも非課税などの措置はないのか、伺います。

○小山税制部長 土地収用法等により、個人の土地や建物が収用された場合でございます。二つの特例措置がございまして、一つ目が、譲渡所得の金額から五千万円を控除する特例措置、そして二つ目が、収用された資産の対価として得た補償金で代替資産を取得した場合、その部分については課税されない特例措置、この二つのいずれかを選択して、適用を受けることはできるとされております。

○中村委員 一定の特例措置はあるとのことでした。都道の整備など、土地の所有者が反対ではなくても価格で折り合わずに長期化することもあります。税の減免という側面からも、事業への協力を得やすくすることは大切です。
 今回の質問では、税の側面から負担感の公平性を確保することで格差の解消につなげていただきたいということを考えながら質問しました。都独自の政策、さらには国への要求など積極的に行っていただき、都民の生活向上に資する税制であることを求めて、質問を終わります。

○上田委員 まず、徴税コストについてお尋ねします。
 資料要求の9号の徴税費と都税収入百円に対する徴税コストを見ますと、極めて低い徴税コストであることは確認をさせていただきました。しかし、人口千二百万人を超えます大規模な地方公共団体であります東京都において、徴税活動にかかわる職員とその徴税費用は、徴税率に統計的な有意性はどの程度あるのか、ちょっと確認をしたいと思いますので、伺います。

○加藤総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 徴収率と徴税費用ということでございますが、それぞれさまざまな要因がございますため、関連性を見出すのはなかなか難しいかと考えております。
 他団体との比較ということでお答えをさせていただきますと、都では地方税法上の特例といたしまして、固定資産税などの市町村税も課税しており、他の自治体と税収規模や取り扱っている税目も異なりますので、職員費、事業費は単純に比較できない、比較しにくいものと思います。
 そこで、固定資産税を課税している大規模な政令指定都市、ここと総務省の統計をもとに税収入百円に対する徴税コストで比較をいたしますと、都とおおむね同水準となっております。しかしながら、徴収率につきましては、地域性や自治体それぞれの取り組み状況などにより、さまざまでございます。

○上田委員 続きまして、生産緑地について伺います。
 都市化が進んでいるとはいえ、緑地保存策として生産緑地法に基づく農地の需要を資料8号で見ることができました。耕作放棄農家が実在するに当たっての管理、指導は東京都では産業労働局、区市町村では農業委員会、税の見地では主税局と縦割りになっております。
 本来宅地並み課税をとれる土地が恣意的に生産緑地に指定されているのは、都税の確保のみならず、公平性の担保の観点からも極めて重要でございます。実態把握につき、関係各局や各区との連携の基本的な考え方と現状課題をお示しください。

○大久保資産税部長 生産緑地の課税に当たりましては、都では継続的に現地調査を行いまして、利用状況を確認いたしております。その上で、農地利用状況調査や農家への指導を行っております各区の農業委員会と情報交換を行うなどいたしまして連携を図りつつ、適正な課税に努めているところでございます。

○上田委員 二問、ご答弁いただきました。一方、徴税活動をする際に職員を雇用し徴税費用をかけることで徴税率を上げることに関して、明確なまだ科学的根拠はないと。徴税率を上げるために徴税活動をするという意味では、費用対効果の測定は、まだできていない実態を確認させていただきました。
 しかしながら、都の徴税率が高いことは大きく評価しますし、徴税コストも低く抑えられているのはわかっておりますので、さらに高みを目指し、費用対効果、科学的根拠と費用対効果をより意識した徴税活動をお願いするものでございます。
 といいますのも、本来宅地並み課税が取れるはずの生産緑地の耕作放棄地における脱税まがいの行為は、事実上、把握し切れていないどころか、把握する方法も把握する気もないような状況が続いております。当選以来、文書質問や予算委員会で指摘し続けております。
 私、江戸川区議会議員時代に住民監査請求をしまして、江戸川の耕作放棄の生産緑地は本日も草ぼうぼうでございまして、こうした土地の徴収もアップをしていただきまして、これから世界最速で進みます少子高齢化に向けまして、一円でも多く、先ほど来ほかの委員たちもさまざまなアイデアで一円でも多く税を効率的にという意見も出ていましたので、邁進していただきたいと要望をいたします。
 そして、今回、私、財政の方での審査に当たりましては、主税局の資料が大変に役に立ちまして、来る二〇二〇、そして高齢化社会に向けましての財政状況の判断のよすがとさせていただきましたことも改めましてお礼を申し上げまして、質疑を終わらせていただきます。

○桜井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○桜井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時四十七分散会

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