平成二十七年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第五号

平成二十八年十月二十八日(金曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長まつば多美子君
副委員長神林  茂君
副委員長植木こうじ君
加藤 雅之君
和泉ひろし君
川松真一朗君
和泉なおみ君
近藤  充君
西崎 光子君
島田 幸成君

欠席委員 なし

出席説明員
生活文化局局長中嶋 正宏君
次長桃原慎一郎君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務武市 玲子君
広報広聴部長樋渡 幸生君
都民生活部長山本  明君
消費生活部長三木 暁朗君
私学部長加藤  仁君
文化振興部長鳥田 浩平君
都政情報担当部長濱田 良廣君
男女平等参画担当部長吉村 幸子君
文化総合調整担当部長堀越弥栄子君
文化施設改革担当部長越  秀幸君

本日の会議に付した事件
平成二十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
生活文化局関係
・平成二十七年度東京都一般会計決算(質疑)

○まつば委員長 ただいまから平成二十七年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより生活文化局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十七年度東京都一般会計決算中、生活文化局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○武市総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る十月十七日の当分科会において要求のありました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております平成二十七年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の表紙をおめくり願います。
 目次に記載のとおり、今回要求のありました資料は十件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、私立学校経常費補助(一般補助)の生徒一人当たり単価及び全国順位の推移でございます。
 平成二十三年度から平成二十七年度までの過去五年間における私立学校経常費補助に係る生徒一人当たり単価及びその全国順位について、学種ごとに記載しております。
 二ページをお開き願います。2、私立高等学校等授業料軽減助成事業の実績の推移でございます。
 都は、私立高等学校などに通う生徒の保護者のうち、一定所得以下の保護者を対象に、所得に応じて授業料の一部を助成しております。この事業の実績として、平成二十三年度から平成二十七年度までの過去五年間における補助総額及び補助対象生徒数の推移を記載しております。
 三ページをお開き願います。3、私立学校経常費補助における授業料減免補助実績の推移でございます。
 都は、家計状況の急変などの理由により、私立学校が生徒の授業料を減免した場合に、私立学校経常費補助の中で学校に対して減免額の一部を補助しております。この補助の実績について、表の左側に記載の学種ごとに、平成二十三年度から平成二十七年度までの過去五年間における補助校数等及び補助額の推移を記載しております。
 四ページをお開き願います。4、私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業費補助の実績の推移でございます。
 都は、私立幼稚園などに通う幼児の保護者の負担軽減のため、区市町村が行う保護者負担軽減事業に係る経費の一部を補助しております。その補助総額と補助対象となっている延べ幼児数について、平成二十三年度から平成二十七年度までの過去五年間の推移を記載しております。
 五ページをお開き願います。5、私立学校の耐震化の状況でございます。
 平成二十八年四月一日現在の都内私立学校の耐震化の状況について、表の左側に記載の学種ごとに、全棟数と耐震性のある棟数、その割合である耐震化率を記載しております。
 六ページをお開き願います。東京都育英資金一般貸付の規模の推移でございます。
 平成二十三年度から平成二十七年度までの過去五年間について、(1)に貸し付けの計画額及び実績額の推移を、(2)に表の左側に記載の区分ごとに貸付人員の推移をそれぞれ記載しております。
 七ページをお開き願います。7、都道府県別私立高等学校生徒納付金平均額でございます。
 平成二十七年度における授業料、入学料、施設設備費といった生徒納付金の平均額について、都道府県別に記載しております。
 八ページをお開き願います。8、私立高等学校等就学支援金の予算額と決算額及び所得区分ごとの受給者数と実績額(平成二十七年度)でございます。
 都は、法定受託事務として、私立高等学校などに通う生徒について、家庭の教育費負担を軽減するため、授業料の一部を各学校を通じて助成しております。この事業の実績として、(1)に平成二十七年度の予算現額及び支出済額を記載しております。また、(2)、所得区分ごとの受給者数と実績額につきましては、国の制度改正に伴い、表の左側に平成二十六年四月以降に入学した生徒に係る実績を、表の右側に平成二十五年度以前から在学する生徒に係る実績をそれぞれ記載しております。
 九ページをお開き願います。私立高等学校等奨学給付金の予算額と決算額及び対象世帯ごとの受給者数と実績額(平成二十七年度)でございます。
 都は、私立高等学校などに通う低所得世帯の生徒について、授業料以外の教育に必要な経費の一部をその保護者を対象に助成しております。(1)に平成二十七年度の予算現額及び支出済額を、(2)に対象世帯ごとの受給者数と支出済額を記載しております。
 一〇ページをお開き願います。10、消費生活センターの相談件数の推移と相談の特徴でございます。
 平成二十三年度から平成二十七年度までの過去五年間における相談件数の推移と、その年度の相談の特徴について記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○まつば委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○和泉(ひ)委員 皆さんこんにちは。和泉でございますが、まず初めに、子ども・子育て支援新制度についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 私が七月までおりました台東区議会では、子育て支援特別委員会という委員会を設置して、この制度について徹底的に議論を深めてきたわけでありますが、平成二十七年度から施行されたこの支援制度は、私立幼稚園にとって過去に例を見ない大きな制度変更であったわけであります。
 そこでまず、都では皆さん方のお考えの中、またどう説明されてきたのか、そして子ども・子育て支援新制度が導入された狙いについて、改めてここでお伺いをさせていただきたいと思います。

○加藤私学部長 子ども・子育て支援新制度は、急速な少子高齢化の進行や待機児童問題などの子育てをめぐる課題の解決に向け、保護者が子育ての第一義的責任を有するという基本認識のもとに、幼児期の学校教育、保育、地域の子供、子育て支援を総合的に推進するという趣旨で導入されたものでございます。
 新制度では、幼稚園、保育所、認定こども園に共通の仕組みが創設され、区市町村が実施主体となり、施設型給付や地域の実情に応じた子供、子育て支援策を実施しております。

○和泉(ひ)委員 今お披瀝いただきましたように、新制度の狙いは大変すばらしいものであったとは思いますが、実際には、施行直前になっても制度の具体的な内容はなかなか示されなかった。ようやく示された公定価格の単価も低く、新制度に移行した場合、多数の園で減収が見込まれるなど、移行に不安を持つ園が多かったと聞いております。
 そこで、新制度施行初年度である平成二十七年度において、都内で新制度に移行した幼稚園及び認定こども園は何園か、その割合と一緒にお伺いをしたいと思います。

○加藤私学部長 平成二十七年度に新制度に移行した園数でございますが、幼稚園として移行したものが七十六園、認定こども園として移行したものが四十二園でございます。二十六年度の私立幼稚園数は八百四十園でございますので、その割合は一四%となります。

○和泉(ひ)委員 その一四%というのが、どう評価をするかというのは大変難しいところもあるのかなとは思いますが、そんな中、移行した中でも、特に認定こども園は、新制度への移行が原則とされる中で、減収となる懸念が大きく、公定価格の改善が死活問題であったと思います。
 そこで、都議会自民党は都に対して、認定こども園が安心して移行できるような対策を求め、それを受けて都は、激変緩和のため移行に伴う減収分を補填する認定こども園新制度移行支援特別補助を二十七年度に新設したものと思われます。
 決算説明書を見ると、執行率が三七・三%と低いようでありますが、実際に補助の対象となった園数についてお伺いいたします。

○加藤私学部長 この制度は、学校法人立の認定こども園が新制度に移行することで減収となった場合に補助するものでございまして、十二園に対し補助をいたしております。

○和泉(ひ)委員 実際に補助対象となった園は十二園ということでありますが、減収が生じた認定こども園が少なかったということであると思いますが、その理由をお伺いいたします。

○加藤私学部長 平成二十六年五月に国から示されました公定価格は非常に低いものでございましたため、都は国に対して、現行の補助水準を確保する財政措置を行うよう繰り返し緊急要望するなど、公定価格の改善について強く求めたところです。
 こうした取り組みもあり、公定価格の改善がようやく年度末に図られたことにより、結果的に、平成二十七年度の移行に伴い減収が生じた園は少なくなったものでございます。

○和泉(ひ)委員 私ども自民党も、都議会の意見書をまとめ、国に対し強く働きかけるなど、都議会と都が一体となった活動を展開いたしました。このことが功を奏し、公定価格も改善され、予想よりも減収面が少ない結果となったことには、大変安堵を覚えるところであります。
 また、この特別補助は、激変緩和措置という性質上、二十八年度までの時限措置で、また今年度の途中段階ではありますが、昨年度よりも減収する認定こども園及びその減収規模もさらに少なくなる見込みと聞いております。この補助事業は当初の目的を達成したともいえるのではないかと思います。
 また、新制度は、初めに申し上げましたとおり、過去に例を見ない大きな制度変更であり、制度運用についても多くの不安や懸念があったと聞いております。
 そこで、新制度施行後の運用状況についてお伺いいたします。

○加藤私学部長 都は、区市町村とのブロック会議や幼稚園団体との意見交換などを通じて、現場の状況を把握し、国に対しまして、制度運用後に判明した必要な手続の明示や事務負担の軽減など、制度改善を要望してまいりました。
 現在、区市町村においては、施設型給付費の支給など、主な手続はおおむね滞りなく実施されており、また、各園においては新制度や事務手続に対する理解が進んでおります。
 今後も、子ども・子育て支援新制度の実施主体である区市町村と連携しながら、認定こども園に対する支援を着実に実施してまいります。

○和泉(ひ)委員 認定こども園は、幼児期の学校教育、保育を提供するとともに、地域の子育てを支援する施設でもあります。その整備が進むことは、待機児童解消にも資するものであると考えております。
 質の高い幼児教育、就学前教育を提供するとともに、子育て支援に取り組む私立幼稚園と幼稚園を母体とする認定こども園への支援のさらなる充実を要望させていただいて、次の質問へ入らせていただきます。
 外国人向け伝統文化・芸能体験プログラムについてお伺いをしたいと思います。
 文化振興事業でありますが、まず初めに、私の基本的な考えは、このような文化振興事業を進める上での基本的なスタンスですが、費用対効果やPDCAサイクルは重要なことだと理解はしておりますが、文化施設、文化振興事業については、他のさまざまな施策と同列に語れるものではないと私は考えております。質の高い文化を醸成するためには、しっかりとした考えのもと、施策を強力に進めていっていただきたいものだと思っております。
 都が今後の芸術文化振興における基本指針として策定した東京文化ビジョンを読み進めていくと、大変評価に値するものと考えます。その中に述べられておりますが、東京が世界の中で文化都市としての地位をより確実なものにしていくためには、東京の独自性の源泉ともいえる伝統文化の発信を強化していくことがますます必要となります。
 ここ数年、訪日外国人旅行客が年々増加し、昨年度、初めて二千万人を突破いたしましたが、この間、流行語にもなった爆買いは一時ほどの勢いを失い、現在は体験や感動を重視する方向へ、外国人のニーズは移行しているといわれております。
 世の中のこうした流れは、四季の体感や伝統文化の体験を通じて日本の魅力を世界に発信し、東京の魅力を国際的に高める追い風であると捉えるべきであります。
 とりわけ、日本古来の生活様式や娯楽、相手をもてなす心の中で育まれてきた我が国固有の伝統文化は、独特の所作や精神性にすばらしさがあり、実際に体験してみてこそ、その魅力に気づくことができるものだと感じております。
 そのため、外国人観光客や、東京で生活しているものの日本の伝統文化になじみのない外国人の方々に、体験の機会を提供し、そのすばらしさを知ってもらうことが重要であると考えております。
 そこで、平成二十七年度の実績についてお伺いしたいんですが、我が党の要望に応え、平成二十七年度から開始した外国人向け伝統文化・芸能体験プログラムにおいて、本格的な伝統文化、芸能を短時間で気軽に体験できる事業を実施いたしましたが、その成果と課題をどのように捉えているのかお伺いをいたします。

○鳥田文化振興部長 東京を訪れた外国人の方々が、日本の伝統文化を体験し、その魅力をそれぞれの国でも伝え広めていただくことは、東京や日本の文化を海外に発信していく上で極めて重要であります。
 そのため、平成二十七年度から、能楽堂などでの体験つき公演プログラムとともに、外国人観光客を主要ターゲットとして、江戸東京博物館や浅草文化観光センターなどの観光拠点において、気軽に楽しめる短時間体験プログラムを開始しました。
 短時間の体験プログラムは、演芸や日本舞踊など十四のジャンルで実施し、およそ八千人の外国人の方々に日本の伝統文化を体験していただきました。
 参加者に対して行ったアンケート結果では、満足、やや満足との回答が合わせて九六%に達し、高い評価を得られたものと考えております。
 一方、プログラムの中には、参加者数が募集定員に達していないものもあり、今後は、外国人の方々のニーズを十分把握し、それに応えるプログラムを構築していく必要があると考えております。

○和泉(ひ)委員 参加者の満足度の高い事業を展開したことは、大いに評価をさせていただきます。
 一方、外国人の方々のニーズをさらにしっかりと捉えたプログラムが必要なことであります。
 先ほど二千万人といいましたが、昨年度は東京都には一千百八十九万人、外国人の方が見えたと思います。私の地元である台東区はその約六〇%、六百万人の方がお越しをいただいているということで、私も大変ここには興味を持っているところであります。
 そこで、先ほどお話ありましたように、初年度の事業実施の中でどのようなプログラムの評価が高かったのか、また、その成果を今後にどうつなげていくのか、見解をお伺いいたします。

○鳥田文化振興部長 例えば着物の着つけなどの体験は、利用者がその様子をSNSなどで発信しやすいプログラムであることから、非常に人気が高くなっております。また、体験を通じて、みずから作成した作品など目に見える形で持ち帰ることができるものがあることも、外国人にとって魅力の一つであり、書道や組みひもなども好評であります。
 今後は、こうしたニーズに応える工夫を凝らしながら、満足度の高いプログラムをより多くの外国人の方々に提供できるように取り組んでまいります。

○和泉(ひ)委員 先ほど、着物の着つけが大変人気があるということで、私もそこは大変理解するところでありまして、浅草で今、着物を着ている方は、ほとんど外国人の方でありまして、着物のレンタル業者の数が軒並みふえておりますので、こういったプログラムはさらに充実をさせていかないと、着物を着て下がげたという人もおりますので、日本の伝統文化、着物の文化をしっかりとお伝えをいただきたいと思います。
 二〇二〇年東京大会とさらにその先を見据えて、日本の伝統文化、伝統芸能が世界のさまざまな地域に広がっていくことを私は大変期待をしているところでありますが、長い歴史の中で培われてきた日本の文化を、旅行中の体験だけで一朝一夕に伝えられるものではないのかもわかりませんが、不断の努力で継続され、一人でもたくさんの日本、東京ファンを生み出し、一人でもたくさんの外国人の方々に感動を与えることができるよう、事業の実施にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 以上をもって質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○加藤委員 それでは、私からは私学助成について伺います。
 東京には公立高校の数を上回る約二百四十校の私立高校があり、その特色ある教育内容及び通う生徒数において、東京の公教育の中で大変に重要な役割を担ってきています。
 都は、そうした私立高校の重要性を踏まえ、さまざまな私学助成策を講じていますが、公私間格差はいまだ是正されていません。本日はこの問題について質問をさせていただきます。
 まず、私立高校に対する経常費補助について、平成二十七年度の決算額と生徒一人当たりの金額を伺います。

○加藤私学部長 平成二十七年度における私立高校への経常費の補助額は約六百四十一億一千万円であり、生徒一人当たりの単価は三十八万二千七百二十二円でございます。

○加藤委員 お聞きしましたところ、都立高校の運営経費を生徒一人当たりに換算しますと、平成二十六年度の全日制で九十五万五千九百十六円とのことでありました。
 平成二十六年度が最新のデータであるということですので、この数値を使わせていただきますが、先ほど答弁がありました私立高校の生徒一人当たりの単価と比較しますと、都立高校は私立高校の約二・五倍でありまして、公費負担における公私間の格差が大きいことは明らかであります。都内の生徒の約六割が私立高校に通っている現状を鑑みますと、この格差を埋めるためには、私学助成の充実が必要であることはいうまでもありません。
 そこで、私立高校に対する基幹的補助である経常費補助の算定方法について伺います。

○加藤私学部長 私立高校の経常費の算定に当たりましては、原則として、都立高校の決算値をもとに標準的な運営費を算出し、それに補助率である二分の一を乗じて算定しております。

○加藤委員 ただいまの説明では、経常費補助は、都立高校の運営経費に連動して算出される仕組みとなっているということでありますので、この経常費補助の拡充だけでは、公私間格差の是正にはつながらないということがわかります。
 それでは、都は公私間格差の是正のために、経常費補助以外にどのような補助を行っているのか伺います。

○加藤私学部長 都は、公私間格差是正のため、経常費補助のほか、授業料の一部を補助する特別奨学金や、授業料以外の負担を軽減する奨学給付金を支給しております。
 また、耐震化促進等を目的とした安全対策促進事業費補助やグローバル人材育成のための各種補助など、ハード、ソフトさまざまな補助を実施いたしております。

○加藤委員 都は、経常費補助のほかさまざまな補助を実施して、公私間格差の是正に努めていることは評価をいたしますが、まだまだ格差があるのが実情であります。
 そこで、都は、公教育における私学の重要性を踏まえ、一層の公私間格差の是正に取り組むべきと考えますが見解を伺います。

○加藤私学部長 東京の高校生の約六割が通う私立高校は、それぞれが建学の精神に基づき特色ある教育を展開しており、東京の公教育に果たす役割は極めて大きいものがございます。
 都はこれまでも、公私間格差の是正のため、さまざまな施策を実施してまいりました。今後とも、保護者負担軽減策や学校助成の充実を図るなど幅広い施策を総合的に展開し、引き続き公私間格差の是正に取り組んでまいります。

○加藤委員 私立高校への経常費補助は、学校の教育条件の維持向上、保護者負担の軽減及び学校経営の健全化のためにも一層の充実が必要だと考えます。また、重いといわれる授業料などの負担の軽減についても進めるべきであります。
 さきの都議会第三回定例会における我が党の代表質問に対する知事答弁にもありました。現在検討中の都独自の給付型奨学金も含め私学助成の充実を図り、公私間格差の是正にしっかりと取り組むよう要望いたします。
 さらに、本日は主に高校について質問をいたしましたが、国では、私立の小中学校に通う子供がいる世帯に対しまして、授業料の一部を補助する制度の検討が進んでおります。来年度予算の概算要求に約十三億円盛り込んだとも報道されております。
 東京都私立中学高等学校父母の会主催の私学振興拡充大会に、私を初め多くの都議会議員が出席しておりますが、そこでは、高校の就学支援制度の拡充のみならず、小中学校就学支援制度の新設も要望事項として大会決議に盛り込まれておりました。
 国の動きも注視しつつ、今後の公立小中高一貫教育の展開も見据えながら、都として、よりよい支援の制度設計の検討をお願いいたしまして、質問を終わります。

○植木委員 最初に、私立学校就学支援金など父母負担の軽減についてお伺いします。
 高校就学支援金と奨学給付金は、都独自の授業料補助と合わせて、私学に通う子供たちの学費負担を軽減し、教育を受ける権利を保障する上で大きな役割を果たしていると思います。
 日本共産党は、国が二〇一四年に就学支援金に年収九百十万円の所得制限を導入したことを厳しく批判してきました。
 東京都では、生活文化局私学部が、所得制限により就学支援金の対象から外れる私立高校生の割合を、文科省が示した全国平均と同じ二二%と見積もっていましたが、結果として五一・四%の生徒が対象から外れ、四八・六%と、約半数の生徒しか受給できていないことが明らかになりました。
 日本共産党はこれまでも、高校就学支援金の所得制限の撤廃と奨学給付金の拡大を訴えてまいりました。
 そこで伺いますが、所得制限が導入された初年度である二〇一四年以降に入学した私立高校生の就学支援金と奨学給付金の決算について、二〇一四年度と二〇一五年度との比較で、受給者人数はどう推移しているのかをまずお示しいただきたいと思います。

○加藤私学部長 まず、就学支援金は月額支給でございまして、平成二十六年度の延べ受給者数は三十五万三人、二十七年度は七十一万七千二十九人でございます。
 また、奨学給付金は年額支給であり、二十六年度は二千九百十五人、二十七年度は七千十七人でございます。
 いずれの制度も、二十六年度の入学生から適用を開始されましたため、二十七年度の受給者数は、一年生、二年生の二学年分の人数となっております。

○植木委員 今お話ありましたように、二十七年度の決算の数字、資料を示していただいていますけども、一年生、二年生の二学年分と、こういうことで、延べ人数の説明がありました。二〇一四年度の私立高校就学支援金受給者は、今お示しありましたように三十五万三人なのに対して、二〇一五年度の受給者は、二年目なので二分の一で計算することになります。そうしますと三十五万八千五百十四人になることが表からわかります。差し引き八千五百十一人、受給者が延べ人数ふえていますが、月ごとの延べ人数ということなので、十二で割ると約七百人の増になることになります。
 また、特に注目すべきなのは低所得者向けの奨学給付金です。これは年額支給ですから十二で割る必要はありませんけれども、二〇一四年度の二千九百十五人に対して、二〇一五年度を同様に二分の一で計算すると三千五百八人になります。差し引き五百九十三人、約二割ふえたことになるということで、大変注目しております。
 明らかにこの間、受給者の人数がふえてきていると。この変化の理由はどのようなことが考えられるのかをお示しいただきたいと思います。

○加藤私学部長 増加の理由といたしましては、両制度とも、平成二十七年度は制度開始二年目であり、制度に関する周知が進んだことが考えられます。
 また、特に奨学給付金につきましては、その申請書を、都が以前から実施し、都民に広く知られております特別奨学金の申請書と複写式といたしまして、あわせて申請できるように簡素化を図っております。

○植木委員 制度の周知を徹底したこと、徹底すればやはり漏れている方が申請すると。それから、申請手続そのものを改善したと、そのことによって増加したということが今明らかに示されました。
 これは、二〇一四年度に関係者の方々から、国の就学支援金の申請と都独自の授業料補助そして奨学給付金の三つの申請手続が、申請書類も申請先もそれから締め切りも支給時期もばらばらで、手続が難しくて申請できず、受給資格があっても受給できない人がいるので何とか改善をしてほしい、こういう訴えがあり、我が党の里吉議員なども繰り返し求めてきました。そして、それで改善していただいた結果、奨学給付金で受給者が二割もふえたということは、大変重要なことだと思います。
 しかし今でも、親御さんが毎日深夜に帰ってくるので子供が親と相談できないと、そういう事例、あるいは忙しくて課税証明をとりに行くのがおくれ、手続の期限が過ぎて諦めてしまう。また、ご両親が外国人だったり、祖父母が養育しているなどで、手続をしていなかったことが年度末になってわかった、こういう例を聞いております。
 書類をそのまま放置していたりする例があるなど、具体的な事例を示して周知することはもちろん、できるだけ手続を簡略化することを求めてきました。これは、今後も手続の簡素化に努めていただくようにお願いしたいというふうに思います。
 ところで、決算資料によりますと、就学支援金の二〇一五年度の執行率が七五%と、私学関係でこういうふうに執行率が低いというのは余りなかったと思うんですけども、これはなぜでしょうか。

○加藤私学部長 平成二十七年度の就学支援金の予算を見積もる際には、東京の私立高校に通う生徒の世帯年収のデータがございませんでした。そのため、国が示しました受給者見込み割合である七八%を参考に見積もったものであります。しかし、実際には国の見込み割合を下回ったことによるものでございます。

○植木委員 予算の見積もりの際に、この所得制限が設けられた初年度である二〇一四年度の決算が出ていなかったということで、見積もりを誤ったと、こういう説明だと思うんです。
 実際には、冒頭に申し上げたとおり、国は、高校生の八割弱が高校就学支援金を受給できるとしていましたが、東京の私立学校で受給できたのは約半数、ですから予算が残ってしまったと、こういうことだと思うんです。
 私は、やはりこうした子供たちの教育をめぐる問題では、日本も国際人権規約の中で、高等教育の学費無償化、これを批准してきたのでありますから、その方向で全体として進めていく、そういう観点が必要だと思うんです。私立高校生の学費支援の総額が減ってしまうということは、これに逆行することだと思います。国の制度だということがありますけれども、現実に全額とすれば減ってきているということであります。
 東京都民は、全国と比べれば平均所得は高いかもしれませんけれども、高校生の六割が私学に通わなければならず、しかも生活に必要なお金もそれから私学の学費も高い、このことは明らかです。
 きょうも、資料に二十七年度のが載っていますけども、私立高校生の初年度納付金の都内の平均額は、今年度は入学金が二十五万円、授業料が四十四万円、施設費などが二十一万円で、合計九十万四千円にもなります。昨年度の資料も先ほども一体に示してありますけれども、全国平均から比べても二十万近く高いということです。
 現在は、入学金や施設費などの学校納付金には給付型の支援はありません。授業料も、都内平均額まで免除となるのは生活保護家庭に限られています。そのため、私たちのところにも父母負担の軽減を求める要望がたくさん寄せられています。
 さらに、奨学給付金にしても、私が伺った話では、母子家庭で所得が百六十万円しかないのに奨学給付金を受けられなかった、制度の対象外だったということです。これは、生活保護世帯の約六割程度の金額しかならないにもかかわらず対象から外れる、こういう事例が現実にあるわけです。
 そうした意味でも、私立高校生が安心して学べるように、奨学金や授業料などの補助を初めとして、学費の負担の軽減を一層充実することが必要だと思いますけれどもいかがでしょうか。

○加藤私学部長 都はこれまでも、国の就学支援金や都の特別奨学金により授業料の保護者負担軽減を図るほか、奨学給付金や育英資金などにより、授業料以外の教育費負担についても軽減を図っております。
 今後も、こうした幅広い施策を総合的に活用し、保護者の教育費負担の軽減に努めてまいります。

○植木委員 生活実態、いろいろ大変ですから、ぜひそういう形でお願いしたいと思うんですが、小池知事のいう都独自の奨学金を実施する、こういうことも含めて、これは非常に重要なことでありますが、学費全体の軽減を早期に図っていただきたいというふうに思っています。
 都独自の奨学金ということになれば、先ほど指摘しました手続についても、複雑にならないように簡素化を、これはお願いをしておきます。
 同時に今、関係者などから、生徒への支援がふえるのは重要だが、私学への経常費補助、つまり学校への助成に影響が出るのではないか、こういう懸念の声も上がっております。現に私たち、直接学校関係者からもお聞きをいたしました。
 高校生に教育を保障するために、私立学校が安定的に運営され、発展していくことが大変重要で、そのために学校への補助も大変重要であります。生徒への直接補助と同時に、経常費の二分の一補助を初めとする私立学校への助成制度を堅持し、充実することが、引き続き必要だと思いますがいかがでしょうか。

○加藤私学部長 東京の高校生の約六割が通う私立高校は、それぞれが建学の精神に基づき特色ある教育を行っており、東京の公教育に果たす役割は大きいものがございます。
 都といたしましては、教育条件の維持向上、修学上の経済的負担の軽減、学校経営の安定化のため、経常費補助を初め各種施策の充実を図ってまいります。

○植木委員 私の地元で先週、私学大会があって、二千名を超える父母の方々が集まっておられました。経常費補助を初めとして各種施策の充実を図るということで、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。
 子供の貧困問題が社会的問題になっていますが、子供の貧困は親の貧困の問題でもある、こういわれています。経済的事情などで子供たちが学ぶ機会を失うことのないように、一層の父母負担の軽減へのご支援を求めて、次の質問に入らせていただきます。
 次に、平成二十七年、戦後七十年の平和事業について伺います。
 私は当時生まれたばかりで、直接的には戦争そのものは知りませんが、敗戦直後の状況は辛うじて記憶に残っています。
 子供ながらにも私の一番印象に残っているのは、まちのあちこちに、戦場で足や手を失った傷痍軍人の方々が足元に飯ごうを置いて物乞いをしている姿でした。中には、シベリア帰りの方でアコーディオンを弾いている人やハーモニカを弾いている人もいました。今では傷痍軍人会そのものが相次いでなくなってきています。
 また、空襲で焼け出されて家をなくした家族が崖下にバラックを建てて住んでいて、そこから子供が学校に通ってきていました。
 私の家も、戦前は金物屋を営んでいましたが、戦争が激しくなるにつれて、商売の品物であります金物全てが没収されて販売するものがなくなってしまった。こうした多くの戦争体験はどこの家庭にもありました。東京では、東京大空襲や山の手空襲などで焼け出された経験などがあります。
 平成二十七年は、戦後七十年に当たる節目の年でした。平成二十七年には、平和の日記念事業として都としてどのような事業を行ってきたのかまずお聞きしたいと思います。

○鳥田文化振興部長 毎年三月十日に東京都平和の日記念式典を開催しており、平成二十七年度も都庁五階の大会議場において開催いたしました。
 それに合わせて、横網町公園内にある東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑の内部公開を実施するとともに、都主催の東京空襲資料展を、東京芸術劇場、多摩市役所等の都内四会場において開催しました。
 さらに、年間を通じて、区市町村が主催する平和関連の資料展へ収集資料等を貸し出すほか、東京空襲犠牲者名簿も収集し、追加登載を行っております。

○植木委員 今お話ありましたように、三月十日に平和の日の記念式典を行っております。
 この平和の日というのは、言葉では非常に簡単ですけども、やはり真剣に考えなければいけないというふうに思っています。この平和の日の意義を改めて伺いたいと思いますがいかがでしょうか。

○鳥田文化振興部長 東京都平和の日条例において、東京都は、平和国家日本の首都として、国際秩序の形成と恒久平和の実現に貢献する責務を深く認識し、戦争の惨禍を再び繰り返さないことを誓い東京都平和の日を定めるとしています。
 東京都平和の日と定めた三月十日には、平和の意義を確認し平和意識の高揚を図るため、記念行事を実施しております。

○植木委員 今お話ありましたように、平和の日、大変大事な意義を持っておられる。東京大空襲を初めとした幾多の惨禍があり、第二次世界大戦の悲惨を私たちは忘れてはならないし、戦争の惨禍を再び繰り返さないと誓った大変大事な日だというふうに思います。
 戦後七十年の平和の日の事業、これは、その年だけの問題ではなくて、新たな次の戦後八十年に向けての始まりという位置づけもあったんではないかというふうに私は考えています。
 といいますのは、誰もわかっているように、今後、戦争体験者の生の声、いわゆる語り部の声は、直接的には聞く機会がどんどんなくなっていくと思うんです。戦後八十年目にはもういるのかどうか、長生きはしていただきたいですけども、そういう機会がどんどん減っていく。だからこそ、これからの十年間は戦争の悲惨さを忘れない、風化させない取り組みが重要だというふうに私は思っています。
 その意味で、これまでもさまざまな事業を行ってきたことは大変重要だと思いますけども、今後、新たな意気込みを持って取り組んでいただきたいという思いでお聞きしたいというふうに思っております。
 まず、式典の参加者の声を生かす取り組みが重要だと思いますけれどもいかがでしょうか。

○鳥田文化振興部長 三月十日に実施する東京都平和の日記念式典のアンケートにおける意見や感想などを踏まえ、次世代に戦争体験や平和のたっとさを語り継ぐ行事を実施してまいります。

○植木委員 参加者の声、多数の方が出しています。パンフレットをいただきましたけれども、一つ一つ本当に大事な声が書かれておりました。
 例えば、若い方々も含めて幅広い方々の参加を募る努力をしてほしいとか、戦争体験を聞く機会が少なくなる、体験をもっと聞きたい、こういう趣旨があると。今まで以上にこういう声を重視して、私は企画をしていただきたい、今お話ありましたけれども、ぜひそれを強めていただきたいというふうに思っております。
 それから、戦争体験を語り継ぐために、東京独自のというか--東京大空襲、これが非常に大きな被害があった、それを初めとした戦争の悲惨さ、これを風化させないために、視覚に訴える写真や資料の展示、これは非常に重要だと私は思います。
 都として資料収集や展示の事業は幅広く行っている、これは大変重要なことでありますが、写真やさまざまな資料は現在どのくらいあるのか。また、平成二十七年度にはどのように活用されているのか。今まで以上に幅広く活用する努力が大変重要だという思いで、この点をお聞かせ願いたいと思います。

○鳥田文化振興部長 都には、収集資料や写真パネルなど五千四百七十点の資料があります。これらの資料については、区市町村との連絡会議等で活用を呼びかけ、その一部を区市町村が主催する平和関連資料展へ貸し出しており、平成二十七年度には十一区七市一町に貸し出しを行いました。

○植木委員 五千点以上の資料があるということで、生活文化局としての収集、大変大事な貴重な資料がたくさんあるんだろうと思うんですけども、これらを有効に活用する。そのほかにも、例えば江戸東京博物館などにも、当時、私、建設のときに委員会で質疑をしたことがありますけれども、やはり都民からさまざまな資料が提供されたと伺っております。これらも含めて全都的な活用が大事だというふうに思います。
 そういう意味で、生文の皆さんが各種の企画に貸し出すなどの、こうしたことをさらに広げて、そして区市町村が一層これらに取り組むような、そういう都が率先して行う、そのことを求めておきたいというふうに思っております。
 それから、先ほどいいました東京大空襲の犠牲者名簿、これについて収集しそれを保存することをやっておられる。これは大変重要です。東京都平和の日条例の趣旨に基づいて、これらをどう今後生かしていくのか。新たな工夫が必要かというふうに思うんですけどもいかがでしょうか。

○鳥田文化振興部長 都は、平成十一年から東京空襲犠牲者名簿の作成に取り組み、平成二十八年三月現在八万六百八十三名の方を登載しております。
 名簿は、犠牲になられた方々を追悼することを目的に作成しております。
 なお、犠牲者名簿の収集については、東京都ホームページの掲載等を通じて名簿登載の呼びかけを行っているほか、都内区市町村や道府県にも協力をお願いしているところでございます。

○植木委員 八万六百八十三名、毎年百七十名から二百名前後の新たな名簿が寄せられているとお聞きしました。しかし、犠牲者の関係者もだんだん少なくなっていく。そういう意味では、今後数年が収集にとって大変大事な時期になるというふうに思うんです。
 戦後八十年なんていう節目になったら、恐らく新しい資料というのは本当に貴重というか、名簿ですか、大変困難になってくるというふうに思うんです。追悼される方もだんだんお年をとられていく。そういう意味で、この数年が非常に大事だと思うんですけども、今、基本的なことはお聞きしたんですけれども、そういうご認識でよろしいでしょうか。いかがでしょうか。

○鳥田文化振興部長 都は、毎年継続して平和記念式典などを開催しております。
 今後も、平和の大切さをアピールするとともに、平和意識の高揚を図るため、記念式典を初めとしたさまざまな事業を実施してまいりたいと思っております。

○植木委員 ちょっと私のいっている趣旨が、突然だったので、わからなかったかもしれませんが、要するにこれからだんだん減っていくことは事実ですから、ここ数年の努力というのは、本当に貴重な名簿が集められるということだと思うので、ぜひこれは努力をしていただきたいというふうに思っております。
 それから、東京都平和祈念館(仮称)の建設について、東京都平和記念館基本構想懇談会で論議を行ってまいりました。平和記念館基本構想懇談会では、平和祈念館の設置についての意義をどのようにしているのかお示しいただきたいと思います。

○鳥田文化振興部長 平成五年に作成された東京都平和記念館基本構想懇談会報告において、平和記念館の設置の意義は、戦争の惨禍を語り継ぎ、都民一人一人が平和の大切さを確認する拠点、都民の平和への願いを世界に向けて発信する拠点として設置されることとされております。

○植木委員 今示されましたように、平和の日条例に書かれた趣旨と共通することもあるかというふうに思うんです。
 しかし、これは、さまざまなご意見もあったりして、実際には進んでいないというか、中途になっているというふうに思うんです。特に現在は、都議会の判断がどうなるかということだろうと思います。本当にこうした建設の意義を十分捉えていただいて、東京都にも、また各会派の方々にも、これらをぜひ進めていただきたいということを、戦後七十年という節目という立場からも呼びかけたいと思います。
 今、るる平和事業についてお聞きしてきました。最初にお話ししましたように、私は、戦後七十年の平和の日事業は、新たな戦後八十年に向けての始まりという位置づけが重要だといってきました。私自身の経験からいってももう、風化してきている子供のころの記憶しかない。ですから、こういう企画や展示、資料それから体験者の語り部、そうしたものを聞く、あるいはさまざまな事業で発行するもの、そういうものを通じて、私たちが、都としての犠牲の現状を知ることができると思うんです。
 だからこそそういう立場から考え、だからこそこれからの十年は、戦争の悲惨さを忘れない、風化させない、そのための新たな意欲的な取り組みを私は都の皆さんに期待する、そういうふうに思っておりますが改めて見解を伺います。

○鳥田文化振興部長 東京都は、これまでも毎年継続いたしまして、平和の日記念式典やさまざまな事業を開催しております。
 今後も、平和の大切さをアピールするとともに、平和意識の高揚を図るため、こうした事業に取り組んでまいります。

○植木委員 ぜひ、新たな戦後八十年に向けての取り組みとして、あるいは平和な世界のためにも、意欲的な取り組みを、期待を改めてさせていただきたいというふうに思っています。
 平成二十七年の事業内容から見ても、今後に発展させる内容がたくさん入っておられると思うんです。その重要性をぜひ自覚して取り組んでいただきたいということを重ねてお願いしたいと思います。
 これは過去の問題だけでは私はないと思うんです。これから特に、例えば二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックが、スポーツの祭典であるとともに平和の祭典として位置づけられております。そうしたことも考え平和教育を重視すること、多文化の共生の精神、他国の人を排斥することのない、ヘイトスピーチなどはやめること、難民の人々も含めてオリンピック・パラリンピックに参加してもらう、こういう積極的な精神、これは過去の問題ではなくて新しい平和事業への取り組みだというふうに思います。戦争によらず世界の平和をかち取る、そういう平和の取り組みなどを進めることを、重ねてでありますけれども要望して私の質問を終わります。

○島田委員 私からは、まず初めに、私立学校におけますグローバル人材の育成についてお伺いをいたします。
 近年、我が国ではグローバル化が進展しておりまして、次代を担う子供たちが広い視野と豊かな国際感覚を持てるよう、都としてもグローバル人材の育成を進めていくことが重要であります。
 近年になって、都立高校でも、次世代人材育成ということで海外に生徒を送っているわけでございますが、私立学校におきましては、その都立学校に先んじてかなり長い前から、海外との交流あるいは人材の派遣等を行っているところでございまして、そうした取り組みを東京都がしっかり後押しすること、そのことが大変重要であるというふうに思っているところでございます。
 そこで現在、都におきまして実施しております、私立学校に対しましてグローバル人材育成のための支援策について、その取り組み状況について確認をさせていただきます。
 まず、私立高等学校海外留学推進補助について、制度が創設された平成二十五年度からの実施状況についてお伺いいたします。

○加藤私学部長 平成二十五年度は、四十校から百七十七人が留学し補助金額は約一億三千八百万円、二十六年度は六十二校二百八十六人約二億一千八百万円、二十七年度は八十校四百十人約三億一千九百万円でございます。

○島田委員 今ご説明ありましたけども、平成二十七年度の決算説明書によりますと、この事業の執行率は七九・八%でありまして、そしてまたご答弁ありましたが、制度開始以来、毎年その実績は着実に伸びてきているということで、二十五年度は百七十七人、留学生が、二十七年度におきましては四百十人ということで、人数がふえているところでございます。
 最近は特に、海外でチャレンジする若者が少なくなっているということをよく聞くわけでありますけども、この実績を見ますと大変頼もしい状況でありまして、この事業が後押しをしているというふうに思っているところでございます。
 この事業の活用促進のために、これまで東京都はどのような取り組みを行ってきたのかお伺いいたします。

○加藤私学部長 都は、年二回申請を受け付けるほか、各学校に周知を図るとともに、この制度の活用を希望する学校に対し個別丁寧に説明を行っております。
 また、平成二十七年度には、一校当たりの申請限度額を五百万円から六百万円に引き上げ、海外留学に取り組む各学校がより多くの生徒を留学させられるようにいたしました。
 こうした取り組みにより、補助制度の一層の活用を働きかけてまいりました。

○島田委員 さまざまな取り組みによりまして、本年度の実績が上がっているということは評価できるところでございます。
 この補助金は、現在、私立高校生が対象となっておりますが、中高一貫の私立学校では、中学三年生時に海外に留学するところもあるわけでございます。語学については早期の教育が大事だということもございますし、私立学校は今、中高一貫校が多くあります。そうした中で、中学校から高校に上がるときには試験がありませんので、そうした面では中だるみ等が心配されるわけでありますが、そうした中で、中学校の時代に海外に行くということも大事だろうというふうに思いますし、そしてまた、高校の後半になりますと、進学準備などかなり忙しくなってくるわけでございます。
 そうした点では、中三だとか高校一年生あたりのときに海外に行って、いろんな刺激を受けるということが私は大事じゃないかなと、そんなふうに思うわけでございますが、現在は高校がこの事業の主体となっているわけでございますが、この制度の補助対象を私立中学生にまで拡大すべきというふうに考えますが見解をお伺いいたします。

○加藤私学部長 本補助制度は、国際感覚の醸成や語学力の習得のために効果が高いとされております三カ月以上の長期の留学を対象としており、制度創設時の各学校の留学状況や私学団体の要望等を踏まえ高校生を対象としたものでございます。
 委員ご指摘の中学生の海外留学に関しましては、各学校のグローバル人材の育成に対する考え方なども勘案しつつ検討してまいります。

○島田委員 ぜひ検討それから実施をお願いさせていただきたいというふうに思っております。
 以上、今まで、留学補助制度についてお伺いをしてまいりましたが、留学の制度があっても生徒全員が海外に行けるとは限りません。
 外国人の指導助手が各学校で、語学だけでなく海外の文化も伝えてくれることは、非常に有効であるというふうに考えておりますし、そしてまた、特に英語においては、時代の要求から大学の入試制度も変わってきております。
 今、入試制度の改革の中では、読むだとか聞くとか、そういった技能のほか、書くとか話すといった四技能が大変重要視されているところでございます。そういった点では、外国人の指導助手の役割は非常に大きいというふうに考えております。
 そこで、平成二十七年度に新設された私立学校外国語指導助手活用事業費補助の実績についてお伺いいたします。

○加藤私学部長 都は、平成二十七年度から、JETプログラムを活用した外国語指導助手を受け入れており、その実績は、百四十三校で百四十三人補助金額は約四億三千六百万円でございます。

○島田委員 平成二十七年度の執行率は約六割ということであります。百四十三人ということでありますが、事業の初年度としてはまずまずの実績であるというふうに思っております。
 いうまでもなく、教育は一朝一夕にして成果が出るものではありません。特に日本における英語教育については、一定の時間を要するわけでございます。そのため、この補助制度は継続的な執行が必要と考えますが見解をお伺いいたします。

○加藤私学部長 ご指摘のとおり、英語教育につきましては、その効果が出るまでに一定の期間を要します。
 本事業は、平成二十七年度に開始した事業であり、今後とも、事業の効果をはかりつつ、学校現場や関係機関の声も聞きながら、英語教育に取り組む私立学校を支援してまいります。

○島田委員 この効果検証は、今後ともぜひ行っていただきたいというふうに思っております。
 さらに、平成三十二年度からは小学校でも英語教育が教科化されることもありまして、外国語指導助手派遣の対象を私立小学校にまで広げることもあわせて要望させていただきます。
 また、私立学校では、グローバル化が叫ばれるようになる以前から、独自の取り組みとして交換留学を行っている学校も多くあります。東京二〇二〇年大会に向け、お互いの国を知る意味でも、おもてなしの心を養う意味でも、有効な取り組みであります。
 今年度から公立学校で使用されておりますWelcome to Tokyoという英語の教材が、公立学校でも使われるようになっておりますけども、そうした教材も私立学校で活用できるようにするなど、相互交流が進むような取り組みも効果的だと考えております。
 引き続きさまざまな取り組みによりまして、私立学校のグローバル人材の育成を進めていただきたくよろしくお願いを申し上げまして、次に、ワークライフバランスについて質問をさせていただきます。
 さきの定例会で待機児童対策の補正予算が組まれましたが、待機児童対策は東京都の喫緊の課題であります。また、女性の社会進出が進む中で、育児を女性だけに任せるのではなく、男性も育児に取り組み子育てに従事するイクメンもふえてきております。
 女性も男性も生き生きと豊かに暮らせる東京の実現にとっては、ワークライフバランスの考え方は重要であります。
 生活文化局では、このような状況認識の中、昨年度、パパの育児応援塾を開催いたしました。これは、子育てや家族そして夫婦のあり方を再確認し、より人生を楽しみ、家族との時間を充実させる父親になるための応援塾と聞いておりますが、この事業の実績とどのような成果があったのかお伺いいたします。

○吉村男女平等参画担当部長 都では、男性の家事、育児参画を促すため、東京ウィメンズプラザにおきまして、平成二十六年度から男性のための育児参画講座を実施しております。
 昨年度は、講座内容の充実を図り、三回の開催で延べ百五人に参加していただきました。
 講座では、子育てを楽しむ社会づくりを提唱するNPOや新進気鋭の社会学者を講師にお迎えし、講義に加え参加者が自分の体験や悩みなどを語り合うワークショップを取り入れ、参加者同士の交流が図られました。
 参加者からは、他の参加者のイクメンぶりに刺激を受けた、父親同士で育児について話せる人が周りにいなかったが、これからは地元でもパパ友をつくっていきたいなど、育児に対する積極的な意見が寄せられ、一定の成果があったと考えております。

○島田委員 ここにそのときのパンフレット、ありますけども、大変有名なダイアモンドユカイさんとか、あるいはイクボスとかイクメンということを提唱された安藤哲也さんですか、そうした大変有名な講師の方に来てもらって、私もちょっと行きたかったんですけどなかなか時間がなくて行けませんでしたけども、大変すばらしい中身かなというふうに思っておりますし、そして今、パパ友という話がありましたけども、私も先日、娘のPTAの会合に行きましたけども、やはりお母さんたちがほとんどで、私だけ一人だったんですけど、男の親が。そのときに、パパ友がいればもう少し安心してPTAの会合に出れるのかなと思ったわけでございますが、このような取り組みは、この事業が開催されたことについては、評価をさせていただきたいというふうに思っております。
 知事も就任早々、都庁内でイクボス宣言を各局管理職に要請し、子育てしやすい職場づくりに向け管理職の意識改革を促すなど、大きく動き出しているところでございます。
 今年度は、昨年度の成果を踏まえ、お父さんだけでなくお母さんも参加する夫婦参加型の事業を行う計画であるというふうに聞いておりますが、今年度の事業についてお伺いいたします。

○吉村男女平等参画担当部長 今年度は、昨年度に引き続きまして、男性を対象とした三回の講座に加え、夫婦がともに参加することで、お互いに協力しながら育児することの大切さを、より理解することができるといった声を踏まえまして、夫婦向けに二回の講座を追加し、さらに事業の充実を図っております。
 夫婦向けの講座では、海外での出産、子育て経験を生かし、年間千人以上の子育て夫婦などの声を聞き、日本各地で夫婦で子育てを楽しむための講演を行っていらっしゃるロジカル・ペアレンティングLLP代表の林田香織さんを講師に迎え、夫婦でともに育児について学び、家庭での実践につなげていくセミナーとしてまいります。

○島田委員 今年度は、お父さんだけでなくお母さんもということで、夫婦向けの講座も加えて行っているということで、こうしたパパの育児応援塾のような事業は大変重要だというふうに思っております。
 一方で、男性も育児に取り組むための具体的な施策を実践していくこと、これが重要であるというふうに思っております。
 現在、男女平等参画審議会では、男性の家事や育児への参画における課題が話されております。ここでは、東京は特に所定外労働時間や通勤時間が長く、結果として平日の帰宅時間が遅くなりまして家庭生活に大きな影響を及ぼしているなど、課題が上がっております。
 東京都は、今後、ワークライフバランス、特に男性の育児参加に対しましてどのように取り組んでいくのかお伺いいたします。

○吉村男女平等参画担当部長 夫婦がともに家庭生活と仕事の調和を図っていくためには、男性の家事、育児への参画が重要なことから、都ではこれまでその促進に取り組んでまいりました。
 ことし二月に発表した東京都女性活躍推進白書では、東京都における長時間労働者の割合の高さや通勤時間の長さ、男性の家事、育児時間が国際的に見て短い実態が明らかになりました。
 こうした東京の現状を踏まえ、現在、東京都男女平等参画審議会におきまして、今年度策定予定の女性活躍推進計画についてご議論いただいておりますが、答申の中間のまとめでも、男性の家事、育児参画の重要性について提言されております。
 都では引き続き、参加者の声も聞きながら、パパの育児応援塾を初め男性の家事、育児参画を促進するための取り組みを実施してまいります。

○島田委員 今答弁いただきましたけども、今後とも、男性の家事や育児参画を促進するための取り組み、あわせてお母様も育児に取り組みやすい環境をつくっていただけることをお願い申し上げまして質問は終わります。

○西崎委員 私からも、男女平等施策について伺いたいと思います。
 ダボス会議で知られます世界経済フォーラムは、十月二十六日付で、各国の男女格差、ジェンダーギャップを比較したことしの報告書を発表いたしました。
 それによりますと、日本は世界百四十四カ国中百十一位となり、主要七カ国、G7の中では最下位となり、前年の百一位からも大きく順位を下げています。日本は、教育や健康の分野では比較的に格差は小さいのですけれども、経済、政治の分野では厳しい状況です。これから女性が活躍できる社会に向けて積極的な取り組みが求められます。
 東京都では、女性の活躍推進の機運を醸成するため、東京都女性活躍推進大賞を贈呈していますが、その概要についてまずお聞かせください。

○吉村男女平等参画担当部長 都では、女性活躍の推進に向け、先進的な取り組みを進める企業や団体を表彰し、その活動内容を広く普及することで社会全体の機運醸成につなげていくため、女性活躍推進大賞を平成二十六年度に創設いたしました。
 昨年度は、産業、医療・福祉、教育、地域の各分野の企業、団体に加えまして、みずからの発想と行動力により職場の内外に影響を与えるなど、顕著な功績を上げた個人にも表彰の対象を広げ、制度の充実を図っております。

○西崎委員 今のお話ですと、昨年度は、企業、団体に加えて、女性の活躍推進について功績を上げた個人にも対象を広げ、制度を充実したとのことですけれども、東京都女性活躍推進大賞を受賞することは一つの励みになると思います。
 そこで、昨年度の大賞受賞者の女性活躍推進に向けた取り組みの概要と、受賞者の主な声についてお聞かせください。

○吉村男女平等参画担当部長 昨年度は、特に顕著な功績を上げた四つの企業、団体と一名の方に大賞を贈呈するとともに、その他のすぐれた功績を上げた企業、団体、個人に優秀賞を贈呈いたしました。
 受賞した各団体では、トップの強いリーダーシップのもと、従業員が高い意欲を持って働ける職場風土づくりを積極的に進めるなど、女性活躍推進に向けた取り組みを行っております。
 大賞受賞団体の主な取り組みといたしましては、例えば産業分野で受賞した広告会社のDACグループでは、女性管理職の体験談を社内誌等で発信するなど、女性の幹部登用に積極的に取り組んだ結果、女性管理職の比率が三割を超えることとなりました。
 地域分野で受賞したNPO法人豊島子どもWAKUWAKUネットワークは、地域の子供向けに食事の提供や学習支援を行うなど、子供たちの放課後の居場所づくりを通して地域の女性たちの活躍を後押しする活動が評価されました。
 また、新たに表彰の対象とした個人部門の株式会社キャリア・マム代表取締役の堤香苗さんは、在宅ワークにグループでの請負方式を導入し、延べ一万六千人以上の女性たちの雇用機会を創出していらっしゃいます。
 受賞者からは、採用活動でのPRとなり応募者が増加した、顧客との話題づくりになり企業、団体のイメージが向上したといった声が寄せられております。

○西崎委員 ぜひ今後このような取り組みが広がっていくことを期待しております。
 次に、若者のキャリア形成支援について伺います。
 二月に公表しました東京都女性活躍推進白書では、女性がみずからの意思に基づいて多様なチャレンジができるよう、早期からのキャリア教育の必要性を提言しています。
 都は、若者のキャリア形成の支援に関して、キャリアデザインコンテンツの普及により取り組みを進めているとのことですが、改めてその内容について伺いたいと思います。

○吉村男女平等参画担当部長 都は、大学におけるキャリア教育の必要性の高まりを受け、授業等で学生に対し効果的な指導が図れるよう、平成二十六年度に、教材、キャリアデザインコンテンツを作成いたしました。
 教材は、結婚や出産といったライフイベントを控えた若い学生が、職業の選択と収入の関係や、職場における両立支援策、家庭内におけるパートナーとの役割分担など、みずからの将来をじっくりと考えることで、就職後のキャリア設計に役立たせることができる幅広い内容となっており、全十五回の授業分を用意しております。
 また、実際の授業では、座学のほかグループ討議やワークシートによる講義内容の振り返り、経験を積んだ先輩による講演など、多彩で効果的な指導方法を取り入れられるようになっております。
 なお、この教材につきましては、誰でも容易に入手できるよう、ウエブサイトで広く公開しております。

○西崎委員 結婚や出産などのライフイベントを控えた女子学生だけではなくて、男子学生にとっても非常に有益な内容だと思います。せっかくこのようなよい教材を作成したのですから、大学等の実際の講義の場での活用が進んでいくように取り組んでいっていただきたいと思います。
 このキャリアデザインコンテンツの大学における平成二十七年度の取り組み状況と今後の都の取り組みについて伺いたいと思います。

○吉村男女平等参画担当部長 昨年度は、教職員を対象に教材を利用した指導方法に関する説明会を開催し、二十の大学が参加されました。
 また、キャリア教育の経験が豊富な講師を派遣し、教材を実際に使用した講義を学生や教職員に体験してもらうモデル講義を三大学で実施いたしまして、合計で二百名近くの学生に参加していただきました。
 このほか、個別に働きかけを行い、さらに三つの大学で授業などに取り入れていただきました。
 今年度は、昨年度実施したモデル講義の成果なども踏まえた上で、引き続き大学での活用について働きかけを行うほか、新たな大学でモデル講義の実施を予定しております。
 今後とも、若者のキャリアデザイン意識の醸成に向けた取り組みを推進してまいります。

○西崎委員 この教材は、女性のキャリア形成の支援のみならず、若者が早期にライフワークバランスの意義を学ぶこともできる、いわば一石二鳥の取り組みであると思います。
 今お答えの中では、三大学というお話でしたけれども、大変もったいないのではないかと思います。今後さらに広くこの教材が活用されるよう、積極的に取り組んでいっていただくことを要望しておきます。
 次に、国際交流事業について伺います。
 決算説明書の四七ページを見ますと、昨年の国際交流事業の執行率が五〇%となっており低い状況で、多額の不用額が生じていますが、その理由についてお尋ねいたします。

○山本都民生活部長 国際交流事業におきまして生じている不用額の主なものにつきましては、外国人おもてなし語学ボランティア育成事業でございます。
 本事業は、二〇二〇年に向けて、都民全体でおもてなしの実現やボランティア文化の定着を図ることを目的として、まち中で困っている外国人を簡単な外国語で手助けするボランティアを育成するものでございます。
 平成三十一年度までに三万五千人を育成することを計画しておりまして、この計画を確実に達成するため、初年度に当たる二十七年度においては、大規模なイベントを含む広報活動を行う予定としておりました。
 しかし、昨年七月に講座を開始したところ、多くの方から応募いただくなど、予想を上回る反響がございましたことから、受講者募集のためのイベントなどを見送ることといたしました。この広報経費などが主な不用額の要因でございます。

○西崎委員 今の答弁ですと、外国人おもてなし語学ボランティアの育成事業のイベント広報活動が不用になったということです。
 予想外に反響があったということでよかったと思いますけれども、昨年の実績と受講者の反応はどうだったのか。人気のある講座のようですが、今後はどのように講座を実施していくのか伺います。

○山本都民生活部長 昨年度は、三千人の育成計画のところ、約三千百人の方が講座を受講し、ボランティアとして登録していただきました。
 受講した方からは、声をかける勇気が持てた、実用的な表現が学べた、英語を完璧に話せなくても大丈夫、気持ちが大事などの声を多く寄せられ、好評をいただいているところでございます。
 今年度以降は、毎年一万人を育成する計画でありまして、さまざまな主体と連携して講座を実施していく必要がございます。そのため、都が単独で実施する講座以外に、区市町村を初め企業や大学などとも連携した講座を開始しているところでございます。
 こうした取り組みによりまして、本講座を希望される方が受講できる機会を確保し、ボランティアの育成に着実に取り組むことによりまして、都民全体でのおもてなしの実現を図ってまいります。

○西崎委員 私の周りにも、ぜひボランティアをしたい、あるいは外国語を生かして活動したいといわれている方もいらっしゃいます。広報費に不用な額を予算化するのではなくて、多くの都民がこのような講座を受けられるチャンスが得られるよう、事業の内容を充実していくことを要望しておきます。
 最後に、消費生活相談について伺いたいと思います。
 私もよく身近な方から消費生活に関する相談を受けることがあります。最近は契約内容が複雑な取引が多くなっており、じっくり説明書や契約書を読まないと内容が理解できないものなのに、インターネットで簡単に契約ができてしまい、便利にはなりましたが、トラブルも多いのではないでしょうか。また、もっと痩せたいという願望や健康不安など、心の弱みや不安につけ込む悪質な勧誘などの被害も耳にします。
 このように、都民が悪質商法や複雑な契約トラブルなど消費者被害に遭ったときに、トラブルの解決の支えとなっているのが、都や区市町村の消費生活センターなどの相談窓口であり、その役割は非常に重要であると思っております。
 都内の消費生活センターには、日々切実な相談が寄せられていると思いますが、そこでまず、平成二十七年度に都及び区市町村の相談窓口に寄せられたそれぞれの相談件数とその特徴についてお聞かせください。

○三木消費生活部長 平成二十七年度に都内の消費生活センターに寄せられた相談件数の総数は約十二万八千件であり、三年連続で十二万件を超え、高水準で推移しております。
 このうち、都の消費生活総合センター受け付け分は約三万三千件で割合では二六%、区市町村受け付け分は約九万五千件で七四%となっております。
 相談の特徴としては、年代別では、六十歳以上の高齢者の相談件数が約三万八千件となり、引き続き全体の相談件数の三割を超えております。
 内容別に見ると、インターネット取引に関する相談が年々増加し、全相談に占める割合としては二八%と過去最高となったところでございます。
 また、平成二十六年度に増加に転じた架空請求に関する相談が二十七年度もさらに増加し、昨年度に引き続き二万件を超えたところでございます。

○西崎委員 相談の約四分の三に当たる件数は、区市町村の相談窓口が受け付け、対応している状況とのことでした。都民が身近な地域で迅速に相談でき、解決が図られるには、区市町村の相談センターや相談窓口の果たす役割が大きいと思います。
 最近は、トラブルの内容も複雑になり、これらの相談に適切に対応するためには、最新の情報や専門性が不可欠と考えます。どの区市町村においても消費生活相談に適切に対応するには、都の支援が必要だと思います。
 そこで、都の消費生活総合センターは、区市町村の相談機能に対しどのような支援を行っているのかお聞かせください。

○三木消費生活部長 都の消費生活総合センターは、区市町村では対応困難な相談事業に対応するため、センターの持つ高度専門性を生かし、そのノウハウを区市町村に提供するセンター・オブ・センターズとしての役割を果たすことで、円滑な相談事業と相談員の資質の向上を支援しております。
 具体的には、区市町村の相談窓口において、解決困難な案件を適正に処理するため、弁護士などの専門家による助言を行っているほか、相談処理に必要な最新情報を登載した相談実務メモを二十七年度中に百六十四回、区市町村向けに発信するなど、さまざまな方法で情報提供を行うとともに、四百件を超える区市町村からの照会、問い合わせに対応しております。
 さらに、相談員の職務に関する知識や法制度の改正に関する理解を深めるための専門知識の付与など、実務能力の向上に資する研修を年十一回実施し、さまざまな形で区市町村の消費生活センターの支援を行っているところでございます。
 また、二十七年度から新たに、多摩市町村の相談機能強化に向けた支援事業として、多摩市町村のブロックごとに開催される相談員研修会などに、都の消費生活相談アドバイザーや都センターの相談員を講師派遣する取り組みを開始し、好評を得たところでございます。

○西崎委員 区市町村の状況はさまざまですので、引き続き都の支援を行うことで、どこに行っても適切な相談が受けられるようにしていただきたいと思います。
 都と区市町村がそれぞれ役割を果たすことが重要なのはもちろんですが、双方が連携した相談事業も有効だと思います。
 そこで、都と区市町村はどのような連携に取り組んでいるのか伺って、質問を終わりたいと思います。

○三木消費生活部長 都と区市町村が連携して、対象を特定した集中的な相談事業を実施することは、広く都民に消費生活相談窓口が認知されることとなり、効果は大きいものと考えております。
 このため、消費者被害に遭いやすい年代層や多重債務を抱える相談者向けの特別相談を実施しております。二十七年度は、高齢者被害特別相談を九月に、若者トラブル一一〇番を三月に実施したほか、多重債務一一〇番を年二回実施したところでございます。
 これらの特別相談は、個別の相談者の被害救済に加えて、実施結果を公表することにより、広く都民にも注意を促しており、今後とも、こうした取り組みなども通じ、消費者被害の未然防止を図ってまいります。

○まつば委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時三十六分散会

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