平成二十七年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第五号

平成二十八年十月二十八日(金曜日)
第九委員会室
午後一時一分開議
出席委員 十名
委員長山崎 一輝君
副委員長舟坂ちかお君
副委員長上野 和彦君
白石たみお君
伊藤こういち君
栗山よしじ君
堀  宏道君
松田やすまさ君
野上ゆきえ君
斉藤あつし君

欠席委員 なし

出席説明員
労働委員会事務局局長土渕  裕君
産業労働局局長藤田 裕司君
次長片山  謙君
総務部長寺崎 久明君
産業企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務青山 忠幸君
商工部長野間 達也君
金融部長山巻  毅君
金融支援担当部長西川 泰永君
観光部長坂本 雅彦君
観光振興担当部長浦崎 秀行君
農林水産部長藤田  聡君
安全安心・地産地消推進担当部長武田 直克君
雇用就業部長貫井 彩霧君
事業推進担当部長小金井 毅君

本日の会議に付した事件
平成二十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
労働委員会事務局関係
・平成二十七年度東京都一般会計決算(質疑)
産業労働局関係
・平成二十七年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十七年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算(質疑)
・平成二十七年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算(質疑)
・平成二十七年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算(質疑)

○山崎委員長 ただいまから平成二十七年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、労働委員会事務局及び産業労働局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより労働委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十七年度東京都一般会計決算中、労働委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布をしてあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○土渕労働委員会事務局長 去る十月十七日に当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の平成二十七年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくりください。目次にありますとおり、要求のございました資料は二項目でございます。
 一ページをお開き願います。この表は、平成二十三年度から平成二十七年度までの管理職を除く職員の定数の推移をお示ししたものでございます。
 二ページをお開き願います。この表は、平成二十三年度から平成二十七年度までの管理職を除く職員の平均局在職年数の推移をお示ししたものでございます。
 以上、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○栗山委員 先日の本委員会で、労働委員会の機能としては、不当労働行為事件の審査などを行う判定的機能と、あっせんなどにより労使紛争を解決に導く調整的機能があると説明がありました。
 平成二十七年度、東京都労働委員会では、不当労働行為事件の審査では四百四十件、労働争議の調整では百八件の事件を取り扱ったとのことでございます。この取扱件数が多い不当労働行為事件の審査について、本委員会では話をお伺いしていきたいと思います。
 法令の定めによれば、不当労働行為とは、例えば、使用者が、労働組合加入を理由に、労働者に対し賃金や処遇で不利益な取り扱いをしたり、正当な理由がないのに労働組合との団体交渉を拒否することなどでございます。
 都労委は、労働組合からこうした不当労働行為についての救済申し立てを受けて、その有無等を審査することになりますが、一般都民の皆様は、労働委員会がどのように紛争処理を行っているのか余り知られていないように思われます。
 そこで、まず、労働委員会の紛争処理のプロセスについてお伺いいたします。

○土渕労働委員会事務局長 労使間の紛争が起こり、労働組合から不当労働行為の救済申し立てがなされますと、まず、それぞれの事件ごとに、学識経験者等から成る公益委員、労働者委員、使用者委員から一名ずつ計三名が担当となります。
 審査は、調査と審問の二段階に分かれ、調査では、当事者の主張を聞き、争点や審問に必要な証拠の整理等を行い、審問では、当事者双方が出席して、陳述や証人の尋問を行います。
 また、その過程におきまして、労使双方が将来に向けて円滑な労使関係を構築できるよう、できる限り和解による解決を促しております。
 当事者間の和解が成立せず、審査が終了した後は、十三名の公益委員全員による合議を行い、使用者の行為が不当労働行為に当たるか否かを判断し、救済または棄却の命令等を発出しております。

○栗山委員 公益を代表する公益委員と、労使それぞれを代表する労働者委員、使用者委員が事件を担当すること、当事者の将来の関係を考え和解を勧めること、和解に至らない場合は公益委員の合議で判断すること等、労働委員会特有の紛争処理のプロセスについてはわかりました。
 私たちがトラブルや紛争に直面して、その解決を誰かに委ねることになったとき、できる限り早く納得のできる解決をしてほしいと願うものでございます。
 紛争処理機関である都労委においても、スピード感を持った事件処理、新たな時代に対応した納得性の高い審査、そして、こうした要請に応えるマンパワーが求められております。この三点について、労働委員会ではどのように取り組んでいるのか、お尋ねいたします。
 まず、スピード感を持った事件処理についてでございますが、東京には企業の本社や労働組合の本部が集中していることから、都労委には多くの紛争が持ち込まれているのではないかと思います。
 具体的なボリューム感をつかむために、平成二十七年度の都労委の取扱件数の全国に占める割合と、一年間に都労委に新規で持ち込まれたケース、あわせて委員一人当たり件数についてお伺いいたします。

○土渕労働委員会事務局長 平成二十七年度の都労委の不当労働行為事件の取扱件数である四百四十件は、全国における取扱件数九百二十五件の約半数を占めております。
 また、昨年度一年間で都労委が取り扱った新規受け付け件数は百十六件で、全国四十七都道府県の労働委員会が取り扱った件数三百五十件の三分の一であり、平成二十一年度以降七年連続で百件を超える高どまり状態にあります。
 委員につきましては、一名当たり二十件程度の事件を常時担当し、事件ごとに調査、審問、和解等の審査手続に当たっているところでございます。

○栗山委員 東京には事件が集中し、委員が多くの事件を抱えている現状がわかりました。
 取り扱う事件が多ければ、その分、一年ごとの事件処理の長期化が懸念されるところでございます。
 事件処理を迅速に進めるために、都労委ではどのような取り組みを行っているのか、審査状況をお伺いいたします。

○土渕労働委員会事務局長 都労委では、審査期間の目標を、平成二十年一月から原則として一年六カ月として、審査の迅速化に取り組んでいるところでございます。
 具体的には、主尋問、反対尋問は原則として同一期日に実施したり、審問期日の日程を次回以降三回まであらかじめ設定するなど、短期間に集中的な審問を行うよう努めております。
 さらに、審査の終了後は、担当委員と職員で連携を密にとり、命令発出に向けて組織的な進行管理を行っております。
 審査期間の目標を一年六カ月とした平成二十年一月以降、平成二十八年三月までに処理の終わった事件のうち、七割を目標期間の一年六カ月以内に処理しており、事件の平均処理日数については、四百二十四日、約一年二カ月となっております。
 今後とも、労使紛争の早期解決のため、委員と職員が一丸となって、一層の審査の迅速化に取り組んでまいります。

○栗山委員 審査の目標期間を定めて、短期間で集中的な審問を行うなど、申し立てられた事件を迅速に処理するための取り組みを行っていることがわかりました。
 迅速な審査とともに重要なことは、丁寧に審査手続を進めることであります。粘り強く紛争当事者の話を聞き、お互いの歩み寄りを探る過程で、審査の処理日数が長期化する事件もあると思います。今後とも、迅速かつ丁寧な審査に取り組んでいってもらいたいと思います。
 次に、新たな時代に対応した納得性の高い事件処理のための取り組みについてお伺いいたします。
 社会経済状況の変化に伴い、パート、派遣や契約社員などの非正規労働者が全労働者の四割近くにまでふえております。法制面でも、労働者派遣法や労働契約法などの労働関係法令の改正が頻繁に行われて、社会が変化する中、都労委の扱う事件も、これまでと違う特徴があらわれているのではないかと思われます。
 こうした働き方の変化、社会の変化は、労使紛争の内容にどのような変化をもたらしているのか。最近都労委に持ち込まれている事件の特徴についてお伺いいたします。

○土渕労働委員会事務局長 雇用形態の多様化や社会経済の動向を反映し、労使紛争は複雑化、困難化しております。
 例えば、賃金や労働時間といった労働条件、雇用や就労の形態は、労使が自主的、主体的に交渉し、決定して解決していくのが本来の姿ではありますが、この労使関係そのもの、つまり労働者や使用者の概念をどう捉えるかが争点となる事件が申し立てられております。
 昨年度、都労委が命令を出したファミリーマート事件は、会社とフランチャイズ契約を結んだコンビニエンスストアの加盟店の店主が労働組合法上の労働者に当たるかどうかを判断した事件であります。
 都労委は、会社側が加盟店主らに標準的な就業時間を示したり、マニュアルに基づく清掃を求めたりしていたこと等を踏まえ、加盟店主が労務を提供していたと判断をいたしました。このことから、本件における加盟店主らを労働組合法上の労働者と認め、会社に対し、加盟店主らが結成した労働組合との団体交渉に応じるよう命じたところでございます。

○栗山委員 今紹介されたコンビニ店主の事例のように、どういった場合で労働者に当たるのかといった点が争いになるなど、最近の都労委に持ち込まれる労使紛争は複雑化、困難化していることがわかりました。
 こうした複雑化、困難化した事件に対して、納得性の高い解決を導くために、都労委はどのような対応をしているのかお伺いいたします。

○土渕労働委員会事務局長 複雑化、困難化した事件の解決を図っていくためには、これまで蓄積してきた紛争解決に関するノウハウを生かすことはもちろん、企業の再編やグループ化、倒産など、現在の社会経済状況を反映した案件にも幅広く対応していくことが必要となります。
 都労委では、公益委員に、労働関係の法令に限らず、会社法や社会保障など多様な法律分野の専門家を選任しております。また、現役の弁護士を特定任期つき職員として二名採用し、労働問題に係る企業法務の現場で積んだ経験を事件処理に活用しているところでございます。

○栗山委員 都労委では、公益委員の専門領域を拡充したり、弁護士を事務局に加えるなどして、社会経済の変化に対応して、納得性の高い解決を目指しているということがわかりました。
 これまでの答弁で、スピード感を持った事件処理を進めるための取り組みや、新たな社会経済状況の中で、納得性の高い取り組みについてはわかりましたが、こうした取り組みを支えていくためには、マンパワーの質向上が欠かせないのはいうまでもございません。
 そのマンパワーを担うのは都職員であり、事務局職員でございます。事務局職員は、事件解決において具体的にどのような役割を果たしているのか、お伺いいたします。

○土渕労働委員会事務局長 不当労働行為の審査におきましては、事務局職員は、担当する公益委員の指揮のもとで審査手続を進めるため、委員を補佐する業務を行っております。
 具体的には、当事者との連絡調整や、当事者から出される主張、証拠の整理を行い、類似事件の情報を収集するとともに、和解原案の作成や命令素案の準備を行っているところでございます。

○栗山委員 事務局職員は、委員会の裏方として、実際の事件処理に大きなかかわりを持っています。都労委が迅速に、複雑で困難な事件を処理するためには、事務局職員にも労働関係法令等について高い専門性が必要であると思われます。
 そこで、事務局職員の専門性をどのように育成していくのか、お伺いいたします。

○土渕労働委員会事務局長 労働委員会事務局へ新たに異動してきた職員につきましては、二カ月間にわたる東京労働大学の講座や、中央労働委員会が主催する専門研修に派遣して、労働関係法令を中心とした専門的な知識を習得させています。
 また、その後も、弁護士資格を持つ特定任期つき職員を講師とした研修を初めとして、法の解釈、適用や命令素案の準備、先例となる判決の検証など、研修やOJTを通じてきめ細かい指導を実施し、職員の専門知識や実務処理能力を向上させているところでございます。

○栗山委員 質疑を通して、都労委の抱える問題と取り組みの方向性が明らかになったと思います。
 東京の経済発展のためには、安定した労使関係が不可欠でございます。今後とも、都労委には、迅速かつ的確な労使関係の解決を目指してもらいたいと思います。
 そのために、公労使の三者委員とその補佐に当たる事務局職員には、一体となって業務の一層の努力を重ねてもらうことをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

○斉藤委員 それでは、私からも何点か伺います。
 産業労働局が発行しました東京の産業と雇用就業二〇一六を見ますと、近年の労働組合の置かれた状況というのは、私の立場から見ると少し残念ではありますけれども、都内の組合数というのは七千三百四十四組合となっておりまして、これは二十七年六月三十一日現在の数字ですけれども、十年前に比べて八百八十八組合が減っております。前年比百二十五の減少ということで、組合員数自体はふえているようなんですけれども、組織率が減少傾向ということで、労働者の置かれた環境は年々悪化していないかということは大変心配をしております。
 また、労働委員会がいろんなトラブルに、全ての労働者のトラブルにきちんと仲裁に入れればいいんですが、組合の組織率が下がると、やはりその部分が労働委員会でも手が出ない労働者がいるというふうなことがふえるわけですから、そういう意味でも残念かなというふうに思います。
 何点か伺います。先ほど栗山委員の質疑の中で、若干重複する部分がありますが、文脈上、重複はご勘弁をいただいて質問をさせていただきますが、本当に一部しか重複しませんので、文脈上、行かせていただきます。
 二十七年度の東京都労働委員会の不当労働行為事件の状況について、新規申し立て件数を踏まえて、終結の件数というのを伺います。

○土渕労働委員会事務局長 平成二十七年度東京都労働委員会に新規に不当労働行為の救済申し立てのあった件数は百十六件であり、また、平成二十七年度中に終結した件数は百四十九件でございます。

○斉藤委員 今、終結の方が若干多いということであります。
 そして、次に伺うんですが、東京都労働委員会は、審査の期間の目標を従来は二年としていたものを、先ほど話がありましたように、二十年一月一日より一年六カ月というふうにしました。労働委員会に持ち込まれるまでに、既に当事者同士でもめ事になっていったというふうなことを考えますと、都の労働委員会に申し立てをしてから、やはり一日も早く解決をすることが望ましいということになります。
 審査の目標期間の達成状況を踏まえて、また、命令を発した事件というのは、その後どのようになったのか、そこを伺います。

○土渕労働委員会事務局長 審査期間の目標を一年六カ月に短縮した平成二十年一月一日以降、平成二十八年三月末までの終結事件は七百八十八件であり、そのうち、一年六カ月の目標期間内に終結したものが五百五十五件で、全体の七割となっております。
 都労委の発出した命令に不服がある場合、当事者は、国の中央労働委員会に対する再審査申し立て、または東京地方裁判所に対する取り消し訴訟の提起をすることができます。
 平成二十七年度に発出した命令二十五件のうち、中労委に再審査申し立てがなされたものは十八件、東京地裁に取り消し訴訟の提起がなされたものはゼロ件、再審査申し立ても取り消し訴訟もなされずに命令が確定したものは七件でございます。

○斉藤委員 最近の不当労働行為の終結事件の傾向については、命令に至らず和解で解決した事件の割合というのもあるかと思います。命令事件のうち、不当労働行為が認められて救済命令を発した事件の割合、和解で解決した事件の割合及び命令事件の特徴について、伺います。

○土渕労働委員会事務局長 平成二十七年度に終結した事件百四十九件のうち、和解で終結した事件は百三件で、全体の約六九%でございます。
 また、命令を発した事件は二十五件であり、そのうち救済命令を発した事件は、申し立て内容の全部ではなく一部のみを救済したものも含めると、十六件で全体の約六四%でございます。
 雇用形態の多様化や社会経済の動向を反映し、例えば、業務委託契約によって働いている者が労働組合法上の労働者に当たるか否かが争われるなど、労使関係が複雑化、困難化している事件が見受けられているところでございます。

○斉藤委員 今、最後のところで、雇用形態がパートだったり、もしくは派遣だったりとか、いろんな形態が、逆に今まで余り、労使紛争という表立った形に大きくなっていなかった部分もありますけれども、そういったものも労働委員会の対象に入るぐらいのものになっているということが特徴的だということです。
 労働委員会としては、労使関係の安定化、正常化を目指して、和解を調整したり命令を発したりというふうなことだということなんですが、一つの紛争が終結してもまた別の紛争が発生すると。これは同じ使用者なんだけれども、一つ解決したらまた次というふうな、同じ関係者によるものというのもあるんじゃないかと思いますが、たびたび申し立てが同じ使用者で行われるということがあるんでしょうか。そこを伺います。

○土渕労働委員会事務局長 労使対立の激しい当事者間におきましては、一つの紛争が終結しても、同じ使用者について新たな申し立てがなされることがあります。
 また、不当労働行為の救済申し立ては、行為のあった日から一年以内に申し立てをしなければならないことから、例えば、毎年行われる昇給昇格や賞与査定等で組合員への差別が繰り返されているとして、労働組合が毎年、定期的にその年の賃金差別についての申し立てを行うケースもあります。

○斉藤委員 毎年という部分については、必ず昇給昇格時のときに、年中行事のようにというと、ちょっと誤解があるかもしれませんけれども、毎回、ちゃんと労働委員会に申し立てて、きっちり仲裁をしてもらうというふうな、そういうパターンで動いている組合もあるというふうなことでありまして、決して、物すごいブラック企業の関係とかに限らず、頻回に行うということもあるということであります。
 しかしながら、こういうふうな活動がまめに行われているところなら、逆に安心なのかもしれません。最近では、報道でも大きく取り上げられました、電通の新入社員が過重労働によって自殺をして、その労災が認められたということが、大変記憶に新しいところであります。新入社員であれば、仕事の裁量も自分ではできないでしょうし、労働組合に相談をするということが、仮に組合があってもなかなかわからず、一人で抱えて亡くなってしまうというふうなことがあったんじゃないかというふうに思うと、大変残念な限りであります。
 会社の労務管理の責任が問われる案件に、やはりなるんではないかというふうに思うんですが、若い労働者に対する悲惨な事案がこれ以上発生しないようにしなければならないと思うところであります。
 そこで伺うんですが、都労委の年報で審査状況などを拝見しますと、雇いどめや解雇、出向、懲戒に関するものなど、労働者個人の不利益に関する事件もたくさんあるようです。労働委員会への相談や申し立ては、労働組合がなければできないということになっているわけなんですが、労働組合に対してではなく、組合員個人に対する不利益でも可能なのかどうか、そこを伺います。

○土渕労働委員会事務局長 労働組合法七条では、労働者に対して組合員であることを理由として、解雇などの不利益な取り扱いをする行為を不当労働行為として定めています。そのため、組合員に対して賃金の未払いや制裁処分を行った場合は、法に基づいて、不当労働行為であるかどうかを審査することになっております。

○斉藤委員 組合員個人でもできるというふうなことでありますので、実際に今後、そういう部分でもいいから、少しでも死に至るようなことがないような、そういったことを未然に防げるようなことにつながればいいかなと思います。
 そういった意味では、相談を労働者から積極的にするということ自体は、非常に歓迎すべき話であります。
 そこで、最近はインターネットもありますし、組合に加入していない労働者も多いわけですが、何か困り事があって、たまたま労働委員会に電話をかけてしまう。自分のところに労働組合がなかったりあったりということと関係なく、労働委員会に電話をかけてしまうというふうな方も実際にいるんじゃないかなと思います。どのように対応しているのか、そこを確認しておきたいと思います。

○土渕労働委員会事務局長 労働組合に加入していない労働者個人の賃金の未払いや過重労働などの相談につきましては、東京労働局や都の産業労働局の労働相談情報センターなどの相談窓口をご案内しているところでございます。

○斉藤委員 最近は、長時間労働をなくそうということで、会社が取り組みを行う場合も少なくないですが、都庁もその一つなのかもしれませんけれども、単に残業時間の上限を設けたり定時消灯しても、仕事の絶対量が多いままでは、隠れ残業や隠れ休日出勤などふえるばかりということも懸念をしております。
 労働委員会においては、労働紛争の解決への取り組みを通じて、労働組合や労働者の救済はもちろん、不当労働行為に関する認識が十分でない使用者には、認識を改め、事後、安定した労使関係を構築すること、法令遵守や職場の正常化にも資するよう、ぜひ活動をお願いします。
 また、最後にありましたように、労働委員会という名前から相談してくる一般の労働者、都民の皆さんのためにも、丁寧にその部分は対応していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 以上で終わります。

○野上委員 労働委員会について幾つか質問をさせていただきます。
 労働委員会は、その時々の社会的ニーズに沿って、我が国唯一の集団的労使紛争を調整する行政機関として、これまでも役割を果たしてきたところでございます。
 しかしながら、労働委員会制度の発足から七十年を経て、社会経済状況が大きく変化をしております。先ほどお二人の委員からもご説明がありましたとおり、やはり労働組合組織率の低下、あるいは雇用環境の大きな変化、雇用形態の多様化によりまして、これまでこの労働委員会が扱ってこられた集団的紛争から、問題が個別化していることによって、労使の紛争解決システムの中では、少し後ろの方に退いているという感じを見受けているところでございます。
 しかしながら、これまで委員会の役割として、紛争の解決をしてきた処理件数もさることながら、やはり春闘などの仲裁の裁定や、あるいは大争議などの必要度が薄れてきたということが少し要因にもなっていると伺っているところでございます。
 そこで、労働委員会は、事件数が横ばいの状況であります。制度の有効活用という観点に立てば、その知名度を高めていくことが重要であるというふうに考えますが、現在どのような取り組みをしているのか伺います。

○土渕労働委員会事務局長 都労委では、委員会の仕組みや利用の仕方などを紹介した労働委員会のてびきなど、都民向け広報資料を作成し、産業労働局の労働相談情報センターや国の機関である東京労働局などに配布することにより、労働委員会制度の普及に努めているところでございます。
 また、都のホームページには、命令の概要を掲載して周知しているほか、命令を出した際には、ツイッターも活用して広く都民にも周知しております。
 今後とも、あらゆる機会を捉え、労働委員会の活動につきまして一層の啓発活動に努めていきたいと、このように考えているところでございます。

○野上委員 二〇〇〇年に制定された個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律に伴って、自治事務たる個々の都道府県労働委員会が個別紛争に取り組めることになっております。東京と兵庫を除く四十五道府県は、自治体と連携をして個別紛争あっせんを実施しているというふうに伺っているところです。
 例えば、広島県の労働委員会では、労働委員会の新たな展開プランとして、これまで、もちろん東京都は非常に処理件数は多いですけれども、他県は一桁台の労働委員会もありますので、一概には比較はできませんけれども、労働委員会自体の活性化や、あるいはPRも含めて、どのように県民の皆さん、東京都でいえば都民の皆さんに、労働委員会というものを知っていただいて、それに伴う紛争の予防政策としてPRの事業を行っているというふうに伺っているところです。
 ぜひとも、昨年度の取り組みは伺いましたけれども、次年度につなげて展開をしていただきたいということを希望いたしておきます。
 また、常に変化する社会経済状況に柔軟に対応するとともに、労働委員会制度を支える委員と事務局職員が本来の機能を発揮するため、資質の維持向上を図るべきと考えますが、都はどのように対応しているのか伺います。

○土渕労働委員会事務局長 まず、ご答弁の前に、大変恐縮ですが、都道府県で個別の労働紛争を行っていないのは、東京都と兵庫県と福岡県の三都県になりますので……。
 都労委では、不当労働行為の審査に適切に対応できるよう、公益委員に、労働法だけでなく会社法や社会保障法など多様な法律分野の専門家を選任しております。また、公益委員を補佐する事務局職員は、労働関係法令を中心として専門的な知識が求められることから、東京労働大学での二カ月間にわたる講座や、中央労働委員会が主催する専門研修に派遣をしているところでございます。
 さらに、事務局内においても、命令書起案のための研修、交付した命令を素材にした事例研究など、研修やOJTを通じて、職員の専門知識や事務処理能力の向上に努めているところでございます。

○野上委員 今、局長がおっしゃっていただいたように、三都県は個別紛争あっせんを行っていないということでございますが、例えば、他県でいうと人的交流も活発に行われております。それぞれの労働委員会との人的交流、あるいは、例えば東京都でいえば、先ほど他の委員から出ましたけれども、産労でやっている個別の労働相談の人的交流というものがあると考えられますが、それについては、これまではどのように取り組んできたのか伺います。

○土渕労働委員会事務局長 労働委員会では、毎年度、公労使の三者委員が、関東ブロックや十四都道府県のメンバーで構成する会議に出席し、労働問題に関する議論を行うなど、委員の知識とノウハウを共有しております。
 また、都労委では、国の機関である中央労働委員会が主催する専門研修に事務局職員を派遣しているほか、事務局職員を対象とした専門研修に関東ブロックの他県の労働委員会事務局職員を受け入れており、職員の専門性を高めるための人的交流を行っているところでございます。

○野上委員 ぜひとも、東京の雇用の労働環境を踏まえて、安定した労使関係を構築して、労働者が安心して働ける雇用、労働環境を創出していただけるようにお願いしたいと思います。
 また、先ほどの質疑でも伺いましたけれども、法制度のもとで設置されている労働委員会だからといって、限られた業務をやっていればよいということではありません。何度も、先ほども例に挙げましたけれども、他の労働委員会では、例えば未然に外部に紛争の解決を求めるという手段を選ばれる、前段階の状態できちんと紛争を解決するための未然の取り組み、例えば自律的な紛争解決のためのPRを、労働委員会自体でPR事業の一つとしてやっております。
 特に、東京は企業が集積しておりますし、そういった取り組みも、東京都の労働委員会だからこそ、全国に向けてモデルをお示しすることができると思っております。
 ぜひ、これまでの取り組みに加えて、東京都の先進的な委員会の運営を、そして効率的な運営をしていただけるよう要望いたしまして、私からの質問を終わります。

○山崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で労働委員会事務局関係を終わります。

○山崎委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 これより決算の審査を行います。
 平成二十七年度東京都一般会計決算中、産業労働局所管分、平成二十七年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算、平成二十七年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算及び平成二十七年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○寺崎総務部長 去る十月十七日に当分科会で要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元の平成二十七年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくりください。目次にありますとおり、要求のございました資料は十項目でございます。
 一ページをごらんください。このページから三ページにかけまして、中小企業対策、農林水産対策、雇用就業対策の過去五年間の予算額、決算額の推移をそれぞれお示ししてございます。
 四ページをお開きください。就職困難者緊急就職支援事業の過去五年間の雇用形態別の就業実績の推移をお示ししてございます。
 五ページをごらんください。新・元気を出せ商店街事業の過去五年間の実績をお示ししてございます。
 六ページをお開きください。小売商業後継者育成・開業支援事業、商店街パワーアップ基金事業、商店街起業促進サポート事業の過去五年間の実績をそれぞれお示ししてございます。
 七ページをごらんください。商店街パワーアップ作戦の過去五年間の支援実績をお示ししてございます。
 八ページをお開きください。東京都における新規就農者数の過去五年間の推移をお示ししてございます。
 九ページをごらんください。平成二十七年度の正規雇用等転換促進助成事業の実績をお示ししてございます。
 一〇ページをお開きください。東京都内の民間企業の障害者雇用数を障害種別等の区分別にお示ししてございます。
 以上で資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○松田委員 私は、平成二十七年度産業労働局関連の決算につきまして、中小企業振興、それから観光振興、商店街支援、それから東京都の特産品支援などについて質問させていただきたいと思います。
 昨年度の我が国の経済は、安倍総理の強いリーダーシップのもと、大胆な金融政策、機動的な財政出動、そして民間投資を喚起する成長戦略、この三本の矢によって、緩やかながらも回復を果たした一年となりました。
 また、円安を背景に、昨年の訪都外国人旅行者数は初めて一千万人の大台を突破しました。さまざまな商品を買い込む爆買いが流行語となるなど、観光に強力な追い風が吹いたといっても過言ではありません。
 一方で、個人消費や民間の設備投資の足取りは鈍く、また、深刻な人手不足など、都内中小企業にとっては厳しい状況が続き、これは今もなお変わるところはありません。
 GDP六百兆円の実現に向けて、回り始めた好循環を一段と加速させ、成長軌道に乗せていくためには、我が国の経済の原動力である東京の産業、そしてこれを支える中小企業の成長、そして発展が重要で必要不可欠であります。
 企業の技術力の強化や人材の確保、育成、あるいは観光の活性化など、各分野において率先した取り組みを進めていく、そうした重要な一年間であったと考えます。
 本日は、こうした観点から何点か質問をさせていただきます。
 まず初めに、近年成長が著しい医療機器産業への参入支援について伺います。
 現在、医療機器市場は堅調な成長を続けており、平成二十六年で約二・八兆円と過去最大になっております。また、世界規模での高齢化や医療の需要の拡大によって、医療機器産業は世界でも拡大が見込まれる成長産業であります。
 また、一品目当たりの生産額が小さいニッチ市場が多いことから、中小企業が、部材供給、また発売元の製造などを請け負うOEMなど、さまざまな形で参入できる可能性があります。
 中でも、東京にはものづくり中小企業や医療機器メーカー、そしてさまざまな医療現場ニーズを有する大学病院など、医療機器開発にかかわるプレーヤーが圧倒的に集積をしており、中小企業が製品開発に参画する上で、この上ない環境が整っているといえます。
 一方で、医療機器は人命に直接かかわる分野であるため、法規制が複雑、現場ニーズの把握が難しいといった特有の障壁があり、新たな参入は容易ではありません。
 すぐれた技術を持つ中小企業が、成長を続ける医療機器産業に参入をすることは、東京の産業力の強化につながるのみならず、製品のレベルアップを通じて、医療の質の向上にも寄与するものであります。医療現場が有する課題やニーズをものづくり現場に届けるとともに、医療機器開発の知識、ノウハウを持つ医療機器メーカーと技術力のあるものづくり中小企業とを結びつけ、共同開発を進める仕組みが必要であります。
 都は、こうしたニーズに応え、昨年度から医療機器産業への参入支援事業を開始しておりますが、これまでの取り組みをお伺いします。

○野間商工部長 都では、コーディネーターによる臨床ニーズやものづくり技術シーズの収集、セミナーや交流会の実施等により、臨床機関、医療機器メーカー、ものづくり企業の事業への参画を誘引し、共同開発に向けたマッチングを行います医療機器産業参入支援事業を開始いたしました。
 平成二十七年度には、セミナー等への参加者が六百三十四名、開設したデータベースには六十件のニーズ、シーズの登録があり、臨床機関、医療機器メーカー、ものづくり企業等とのマッチングが三十六件行われました。
 具体的には、手術部位を開くための器具や、移動を楽にするための介助装置、ミスを防止するナビゲーションシステムなど幅広い臨床ニーズが、また、金属、樹脂などの素材、精密加工、表面処理やセンサー、ITなど、多種多様な中小企業の技術シーズが登録されてございます。
 さらに、来月開設いたします日本橋の支援拠点におきまして、知財や法規制など専門的な相談への対応や技術的な支援の体制を強化するとともに、経費の助成等により医療機器の開発を後押ししてまいります。

○松田委員 ありがとうございます。マッチングというのは非常に大切な取り組みだと思います。医療分野とものづくり中小企業というところを結びつけるというのは、なかなか大変な作業であると思いますので、これからもぜひ全力で取り組んでいただきたいというふうにお願いをいたします。
 次に、受注型中小製造業競争力強化支援事業についてお伺いをします。
 東京のものづくりが、ただいま取り上げた医療機器市場などへとフィールドを広げ、持続的に成長していくためには、その源泉である技術力の向上が不可欠であります。
 特に、切削加工や溶接などの基盤技術を持つ中小製造業は、世界市場で流通をしている製品のコア部品を供給するなど、日本の高度なものづくりに欠かせない存在であります。
 こうした企業が、新製品の開発や生産性の向上に取り組むことは極めて重要であり、我が党はかねてより、ものづくり企業の競争力の強化を強く主張しておりました。
 都が平成二十四年度から開始をした受注型中小製造業競争力強化支援事業は、高い技術力と意欲を持ちつつも財政基盤が弱く、新技術や新製品の開発などに踏み出せない中小企業の背中を後押ししてきたと考えます。
 私の地元板橋区では、従業員わずか二名の企業で、金属を精密に切削する技術を応用し、チタンなどの加工が難しい金属を、微細なナノレベルの精度で仕上げる技術を開発し、新たな分野での顧客開拓に成功したと聞いております。
 都は、こうした中小ものづくり企業の果敢な取り組みを積極的に後押しすべきでありますが、昨年度の本事業の実績と、具体的に中小企業のどのような取り組みを支援したのかをお伺いいたします。

○野間商工部長 受注型中小製造業競争力強化支援事業の平成二十七年度におけます採択件数は四十五件でございます。交付決定額は合計で三億七千二百万円でございまして、取引ニーズへの対応や新たな発注先の確保等に向けた技術レベルの向上あるいは高品質の部品開発など、中小製造業によるさまざまな技術開発の取り組みを支援してきてございます。
 具体的には、プラスチックを成型する中小企業が、この事業を活用し、材料の配合方法の研究や独自の加工成型装置の開発などに取り組んだ結果、半導体製造に欠かせない高機能なゴムチューブの製造に成功し、新規顧客を獲得した例がございます。
 このほか、金属プレスや切削など複数の加工工程を統合して生産工程の効率化を図ったり、高性能の加工機と検査装置を組み合わせたラインを導入して品質や精度の向上を図るなどによりまして、納期の短縮や不良品率の低減を実現し、収益力を強化させた事例なども出てございます。

○松田委員 中小企業が市場の中で生き抜いていくためには、競争力を不断に高めていくことが何より重要であります。日本人の創意工夫の能力は本当にすばらしいものがありますので、そういった取り組みをさらに後押しをしていただきたいというふうに思っております。
 東京都は今年度から、ものづくりに加えて、サービスの高付加価値化に向けた取り組みも支援の対象に加えるなど、事業を充実させたと聞いております。より幅広い業種、業態の中小企業が本事業を活用できるようになった点も踏まえ、さらなる支援の充実をお願いをしておきます。
 次に、商店街の振興についてお伺いをします。
 地域の活性化を図っていく上で欠かせないのが、その担い手である商店街振興であります。
 都が平成二十五年に実施をした実態調査によれば、都内には二千六百もの商店街があり、地域住民に対して日々の生活に必要な商品やサービスを提供するとともに、地域コミュニティの核としても重要な役割を果たしております。これまでも我が党は、こうした商店街に対する支援の充実を一貫して主張してまいりました。
 都は、新・元気を出せ商店街事業を初めとしたさまざまな商店街振興施策を展開し、商店街が実施する夏祭りや地域おこしのためのイベントなどを支援するだけでなく、地域と連携をしたまちづくり、商店街での新規開業や事業承継に対する補助など幅広い支援を行うことで、商店街の活性化に加え、地域社会に貢献する取り組みを後押ししてまいりました。都内の商店街の多くでこうした具体的な取り組みが進んでいる点については、評価しているところであります。
 こうした中、近年では、大型チェーン店やコンビニエンスストアの進出に加え、ネットショッピングの拡大や、後継者の高齢化の問題など、商店街を取り巻く環境は大きく変化をしております。商店街が引き続きその活力を維持していくためには、それぞれの商店街みずから地域特性や地域のニーズに応える取り組みを行うことが大切であります。
 都は、これまでの商店街施策の展開を踏まえ、引き続き商店街の実情に応じた効果的な支援を実施すべきでありますが、昨年度の商店街振興事業の主な実績と成果についてお伺いします。

○野間商工部長 平成二十七年度に新・元気を出せ商店街事業を活用して実施されましたイベント事業は二千六十一件ございました。また、空き店舗を活用したコミュニティスペースの設置などの施設整備や商店街への加盟促進などの活性化事業は百六十九件となってございます。
 平成二十五年度の商店街実態調査では、イベント事業を実施した商店街のうち半数以上が、継続的な集客や売り上げの向上につながったと回答してございまして、こうした事業は、にぎわい創出や商店街の活性化に一定の成果を上げているものと考えております。
 このほか、商店街で新たに開業や事業承継を希望する方に対しまして、店舗改装費等必要な資金を助成いたしました。飲食店や小売業など十三件の新規開業、一件の事業承継を支援してございます。
 引き続き、商店街の活力の維持向上を図るため、商店街の振興に必要な支援を的確に行ってまいります。

○松田委員 都は、幅広い支援を実施しているわけでありますが、商店街を取り巻く環境が変化しつつある中、求められる支援の内容も一様ではなくなってきております。
 例えば、イベント事業については多くの商店街で実績がありますが、大切なことは、こうした取り組みを一過性のものとせず、商店街が将来にわたって活力を維持できるようにすることであります。
 都としても、そうした認識を持って、商店街が持続的な発展を果たしていけるよう、施策のさらなる充実を図られるよう要望いたします。
 次に、中小企業の資金繰りに対する取り組みについて伺います。
 経済の好循環を進める上で、企業の血液ともいえる資金が中小企業にしっかり行き渡ることが重要であります。
 平成二十七年度は、中小企業においても経常利益が過去最高水準に達し、積極的な事業展開を進める中小企業がある一方で、新興国経済の落ち込みなどもあり、厳しい経済状況に陥っている中小企業も少なくありません。
 こうした中、中小企業の資金繰りを支えているのが都の制度融資であります。これまでも、制度融資では、中小企業のニーズを捉え、順次融資メニューの新設や拡充を図ってまいりました。
 そこで、都の制度融資の平成二十七年度の新たな取り組みや実績についてお伺いをいたします。

○山巻金融部長 平成二十七年度の制度融資全体の利用実績は約八万二千件、一兆一千七百二十三億円でございまして、前年度と比べまして、金額ベースで約九%の増加となりました。
 主な取り組みといたしましては、創業融資を利用する全ての事業者の方に対しまして、都が信用保証料の二分の一を補助する取り組み、これを開始いたしますとともに、事業承継の前後におけます経営の安定化などに活用できる事業承継融資や、売上金の入金予定に応じて返済が可能な受注対応型のメニューを新設いたしました。
 また、具体的な利用動向でございますが、創業融資が約六十五億円で、前年度と比べまして約四〇%の増加となりましたほか、設備更新が約四十二億円で、前年度に比べまして倍増いたしますなど、前向きな資金を中心に資金需要が活性化している動きが見られました。
 一方で、経営改善を進める企業向けの特別借りかえ融資が約三千三百七十九億円で、前年度に比べまして約七〇%の増加となるなど、経営の安定化を進めるための資金需要も多い状況でございました。

○松田委員 平成二十七年度は、創業や設備更新などの資金需要が高まっている一方で、経営の安定化を求める資金需要も多いことから、中小企業の経営は二極化をしていると考えられます。
 今年度に入ってからも、英国、イギリスのEU離脱など、世界経済の下方リスクが高まっております。
 今後も、金融支援において、中小企業のさらなる成長と経営改善を後押しする取り組みを進めてもらうよう要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、中小企業の人材確保についてお伺いをいたします。
 都内の有効求人倍率は依然として二倍を超え、企業の人材獲得競争は厳しい状況が続いております。
 国が行った企業の人手不足の現状等に関する調査によると、全国から回答のあった二千四百社のうち五百を超える企業で、人手不足が原因で仕事を断らざるを得ないなど、企業経営に重大な影響が生じております。
 とりわけ中小企業は、大企業に比べて知名度も低く、専任の採用担当者もいないなど採用のノウハウが十分でないのが実態であります。このため、求人を出しても応募が少なく、採用につながらないなど、人材確保に苦慮している企業も少なくありません。
 都は昨年度から、中小企業に専門家を派遣して採用ノウハウの提供などの支援を行っておりますが、その取り組み状況についてお伺いをいたします。

○小金井事業推進担当部長 都は昨年度から、採用意欲は高いものの人材確保に課題を抱える企業に専門家を派遣し、戦略的な採用活動を展開していくための支援を開始いたしました。
 具体的には、自社の魅力の洗い出しやPR方法の改善を助言するとともに、単に従来の求人内容を踏襲するのではなく、雇用情勢も踏まえ、求める人材像を明確にして募集できるよう、求人内容を見直すなどの採用ノウハウの提供を行っております。
 さらに、ハローワークと連携いたしまして、企業の求人ニーズに合致した求職者を集めた面接会を個別企業ごとに開催するなどの支援を行いました。
 この事業には、百社の募集枠に対して百九十社からの申し込みがあり、支援した企業のうち、約七割が採用内定を行うことができました。
 今後とも、こうした取り組みを通じまして、中小企業の成長を人材面から後押ししてまいります。

○松田委員 ありがとうございます。ぜひさらなる後押しをお願いいたします。
 企業においては、人材こそが最大の経営資源であり、企業成長の源泉であります。厳しい競争に勝ち抜き、成長し続けるためには、まずは必要な人材を確保することが不可欠であります。
 この事業は企業からのニーズもあり、実績も出ておりますので、支援規模の拡充など、東京の産業を支える中小企業を人材確保の面から積極的に支援していただくことを要望いたします。
 次に、中小企業の人材確保には、企業側への支援も必要ですが、企業のニーズに応じた人材を育成していくことも重要であります。
 都は、職業能力開発センターにおいて、求職者向けのさまざまな訓練を実施し、中小企業への就業に結びつけております。その一つで、昨年四月にオープンをした城東職業能力開発センターでは、若年者向けの新たな訓練科目を設置し、地域とも積極的に連携をして職業訓練を展開していると聞いております。
 そこで、その取り組み状況についてお伺いをいたします。

○小金井事業推進担当部長 昨年度、城東七区の人材育成の拠点として、足立区綾瀬に開設した城東職業能力開発センターでは、若者をものづくり分野への就業につなげる訓練を実施しております。
 新たに設置したジョブセレクト科では、例えば、高校中退者など就業経験がない、もしくは浅い若者が、機械加工や住宅の壁紙張りなど、さまざまな仕事を二カ月で体験し、その後、希望に応じて本格的な訓練を引き続き受講できる仕組みを取り入れました。
 また、募集に関しましては、足立区のサポートステーションに直接出向いて訓練科目をPRするとともに、墨田区のセミナーに参加した若者に対する一日体験見学会を開催するなど、地域と積極的に連携して、若者の掘り起こしにも取り組んでおります。
 平成二十七年度に修了した十九名のうち、十一名が引き続き専門的な訓練を受講しており、若者がみずからの適性に応じて企業に就職できるよう支援しております。
 今後とも、中小企業への若者の就業が進むように、訓練の充実を図っていきます。

○松田委員 城東職業能力開発センターにおける実践的なジョブセレクト科の取り組みは、中小企業への若者の就業を進めていく上で、極めて有効な取り組みであるというふうにいえます。二十七年度に開始して以降、訓練に対する認知度が高まる中で、応募倍率も向上していると聞いております。
 こうした訓練の実施に当たっては、職業能力開発センターが核となって、地域の企業や区市町村と連携をして、人材の確保、育成を支援していくことが必要だと考えます。
 中小企業の人材確保に向けて、城東職業能力開発センターにおけるジョブセレクト科のような、地域ともしっかり連携をした取り組みを都内の他の地域においても展開するなど、訓練を一層充実させていただくよう要望して、次の質問に移ります。
 次に、創業支援の促進について伺います。
 都は、開業率一〇%という高い目標の達成に向けて、さまざまな施策を展開しておりますが、その達成は容易ではありません。創業の裾野を広げるため、例えば、子育てが落ちついた女性や、みずから創業したいという意欲を持った若者、これまでのキャリアを生かしたいシニアなどの潜在的な創業ニーズを引き出して、これを後押ししていくことが重要であります。
 また、創業に当たって起業家が直面する課題は、事業プランの策定や経営ノウハウの習得など多岐にわたりますが、資金調達の面でも、事業実績が少なく、信用力が乏しいことから、金融機関から融資を受けにくい傾向があります。
 都は、平成二十六年度から、新たな創業の担い手として期待される女性、若者、シニアに対して、金融機関による融資と創業の専門家による経営サポートを組み合わせた女性・若者・シニア創業サポート事業を実施し、平成二十七年度は利用の拡大に向けた新たな取り組みを行ったと聞いております。昨年度の利用実績について伺います。

○山巻金融部長 女性・若者・シニア創業サポート事業におきましては、平成二十七年度、医療、福祉など比較的開業に大きな費用のかかる分野での創業ニーズにお応えするため、融資限度額を一千万円から一千五百万円へと引き上げる制度改正を行いました。
 平成二十七年度の融資実績でございますが、女性に対しまして八十一件、四億二千万円、若者に対しまして百一件、七億一千万円、シニアに対しまして二十七件、一億六千万円、合計で二百九件、十二億九千万円となりまして、前の年度の五十件、二億三千万円から大幅に増加をいたしました。なお、医療、福祉分野を含めまして、一千万円を超える融資は二十七件ございました。
 また、新たに開始いたしました業種別のセミナーを含めまして、セミナーは合計五十回開催されまして、延べ六百八十七人が参加をいたしました。さらに、創業融資の個別相談は五百九十八件となっております。
 今後とも、東京における創業の促進に向けまして、地域での潜在的な創業希望者の掘り起こしに積極的に取り組んでまいります。

○松田委員 融資限度額の引き上げなど、さまざまな取り組みによって、女性・若者・シニア創業サポート事業が着実に伸びていることがわかりました。
 ただ、開業率一〇%というのはかなり高いハードルでございます。現在、五、六%というふうに聞いております。今後とも、広報等の工夫によって、都民の本事業の周知を図り、さらなる利用促進に努めていただきたいと思います。
 ただいま質問した女性、若者、シニアの地域に根差した創業サポートに加えて、都は、ベンチャー企業に対して、ファンドにより資金調達の支援をしております。成長過程にあるベンチャー企業もまた信用力が乏しいため、金融機関から資金調達がうまくいかずに、事業が暗礁に乗り上げるケースもあります。ファンドを通じて資金と経営の両面から支援を得られることは非常に有効だと思います。
 平成十六年に都が設立をしたベンチャー向け支援を行う二つの投資法人については、平成二十七年度に事業が終了をいたしましたが、その成果についてお伺いいたします。

○山巻金融部長 東京フロンティア投資法人及び東京スピリット投資法人は、将来性のあるベンチャー企業への資金供給と成長促進を目的に、平成十六年十月に、都がそれぞれの投資法人に五十億円ずつ出資をして設立いたしました。
 二つの投資法人は、ベンチャー企業を資金面と経営面から支援いたしまして、情報通信分野やバイオ分野などを中心に合計で二百十四社に投資をいたしまして、そのうち二十社が株式市場への上場を実現いたしました。また、株式上場のほかにも、売上高や従業員数が増加するなどの効果も出ております。
 なお、運用実績につきましては、二つの投資法人を合わせ、出資金額に対する分配金の額は約七割でございました。
 リーマンショックや東日本大震災による厳しい経済環境におきまして、民間の資金供給が減少する中、都といたしましては、積極的にベンチャー企業への資金供給を継続することで、本事業の目的を果たしたものと考えております。

○松田委員 リーマンショックを初めとする厳しい経済環境の中で、投資法人が二百社を超えるベンチャー企業へ支援を行い、二十社が上場するという成果を上げたことは、評価することができると思います。
 ベンチャー企業に対してファンドを通じて資金供給を行うに当たっては、政策目的の達成とリスクとのバランスをとりながら、東京の経済を活性化させていくことが重要であります。
 今回の投資法人の実績を踏まえ、今後のファンド事業が一層効果的な取り組みとなるよう要望しておきます。
 次に、観光振興について伺います。
 海外から東京を訪れる観光客の数は、この一、二年の間、急激にふえてきております。それに伴って、都内の各地で観光スポットを見て回ったり、繁華街で買い物をする外国人の姿を目にすることは、ごく普通のこととなっています。
 最近では、外国人旅行者数の伸びにひところの勢いはないとの話も新聞では出ておりますが、平成二十七年についていえば、急増する外国人旅行者の受け入れ環境整備について積極的な施策展開に踏み出した転換期であったと思います。
 私も日曜日、上野公園に行ってまいりましたが、日本皐月協会のさつき錦秋展というのをやっていたんですが、生活文化局が主催をする数寄フェスとも相まって、物すごい数の外国の方が大勢いらっしゃっておりました。
 そういった外国人の旅行者にとっては、スマートフォンなどを使って観光情報を集めたり、観光スポットの周辺で目的の場所やそれに関連する知識などを調べる場合が多いと聞いております。このような旅行者に向けて観光案内の充実を図り、ハード面の設備を整えたり、情報のコンテンツ作成や更新などソフト面での対応を行うためには、将来に向けて計画性を持ち、財源を投じていくことが大切になるものと思われます。
 こうした対応を、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会を見据えながら、複数年にわたって着実に進めていくためにも、決算説明資料の四八ページにもありますように、外国人の受け入れ環境の充実に向け、多額の基金なども用意されたものと理解をしております。基金をうまく計画性を持って活用して、昨年度の取り組みを将来に向けてきちんと継続していく視点が重要になるとも考える次第であります。
 都として、外国人旅行者への案内の体制を充実するため、平成二十七年度はどのような取り組みを行ったのかお伺いをいたします。

○坂本観光部長 都では、外国人観光客が情報を容易に入手できるよう、無料WiFiやデジタルサイネージの整備、観光案内標識の設置に取り組んでまいりました。
 無料のWiFiにつきましては、日比谷公園や東京都美術館など都立の三十五の施設におきまして、百五十六基のアンテナを設け、昨年十二月よりサービスの提供を開始したほか、バスタ新宿の観光情報センターなど十一カ所にアンテナ設備を導入したところでございます。
 また、まち中で多言語による情報をわかりやすく入手できるよう、新宿と上野で各二基ずつのデジタルサイネージを整備をいたしました。これらの機器では、付近の観光スポットなどを地図により案内する十七のメニュー画面がございまして、サービス開始から一週間の間に約一万三千七百件の検索の実績も出ているところでございます。
 さらに、路上での観光案内標識につきまして、案内サイン標準化指針にのっとりまして、表示内容に工夫を行いながら、銀座やスカイツリーの周辺などで新規に五十基を整備するとともに、既存の案内板百基を対象といたしまして、表示内容の更新を行ったところでございます。
 こうした取り組みを二十八年度以降も計画的に展開するため、二百億円の東京都おもてなし・観光基金、こちらを設置いたしまして、これを活用して外国人旅行者の受け入れ環境の充実を着実に進めてまいります。

○松田委員 外国人の旅行者にとって都内が快適な観光の場所となるには、やはり各種の情報をスムーズに入手できるインフラが整っていることが重要であります。インフラづくりのようなハード整備にはそれなりのコストはかかりますが、費用対効果を踏まえつつ、日進月歩で開発をされる新技術を効果的に活用しながら、着実に取り組みを進めていくようお願いをしておきます。
 海外からの旅行者の受け入れ体制をきめ細かく整えていくためには、都だけではなく、地域の自治体の積極的な取り組みを後押しするとともに、民間事業者の努力についても、そのニーズを的確に捉えながら下支えすることが重要であります。
 区市町村が観光振興を行う場合、その財源の確保がテーマとなることが多いことに加えて、将来の予算などの見通しがつきにくい中で計画的に事業を進めることも難しく、頭を悩ます場合が多いものと考えます。こうした自治体へのサポートを都が適切に行う視点は重要であります。
 さらに、民間事業者では、外国人旅行者の受け入れに当たって最大の課題は、言葉による円滑なコミュニケーションの確保であるとも聞いておりますが、これらを全て事業者が独自で対応するのは限界があり、行政による支援が必要となる部分であると感じております。
 外国人への接客は、旅館などの従業員と旅行者との会話をオペレーターが電話を通じてサポートすることがよいとの議論もあり、議会でもさまざまな提案が続いてきたかと思います。
 こうしたことを踏まえ、昨年度、都内の自治体や民間事業者に対してどのような支援を行ってきたのか、具体的な内容をお伺いします。

○坂本観光部長 都では、地域の特色を生かした受け入れ環境の整備について、区市町村が計画を策定し取り組む場合、事業経費の二分の一を、一億円を上限に平成三十一年度まで支援を行っているところでございます。
 昨年度につきましては、十一の団体から五カ年で六十二事業を対象とする計画の申請を受けておりまして、地元の観光スポットや名産品の紹介のほか、文化体験のできる特色ある観光案内所の整備や、コミュニティバス、観光地のトイレの案内板の多言語化、WiFiの導入など、二十六事業に対し助成を行ったところでございます。
 こうした自治体向けの支援のほか、民間の宿泊施設や飲食店、タクシーにつきまして、二十四時間対応の多言語コールセンターサービスの提供を開始いたしまして、旅館客室の設備の利用方法、食材の内容、料金の支払いなど、延べ五百九十八件の利用実績がございました。
 特に宿泊施設につきましては、WiFiの導入について、六十三件で一千三百三十一カ所のアンテナ整備のほか、バリアフリー化に対して八件の助成を行ったところでございます。

○松田委員 観光振興では、地域や民間の力がとても大切になるものと考えます。それぞれの力を十分に引き出すことのできる支援の充実に力を入れてほしいと思います。
 去る第三回定例会でも、我が党の議員から提案をしたとおり、地域の観光振興の力を民間の旅館を中心に高めていく取り組みは重要になると思います。旅館の設備の充実や魅力の発信を進めながら、旅行者の利便性や快適性をさらに高める取り組みなどもあわせて、総合的な対策を進めていただくよう要望しておきます。
 最後に、地域特産品の開発支援について伺います。
 こうした旅行者の受け入れ環境の整備とあわせて、国内外から訪れる多くの旅行者にとっては、東京の食事やお土産なども大きな楽しみとなります。東京には江戸時代から続く食文化があり、つくだ煮や練馬大根のたくあんなど全国に知られている特産品も数多くあります。
 これまでも、都内の中小食品製造事業者は、全国からさまざまな食材が集まる利点を生かし、創意工夫を重ねながら商品化を図ってきておりますが、最近では、地域ならではの地場産物や独自の製法などを生かしたこだわりのある地域特産品が脚光を浴びており、そうした特産品を東京の新たな魅力として発信をし、販売をしていくことで、東京の食品産業の活性化にもつなげていくべきと考えます。
 都は、平成二十七年度から、都内の中小食品製造業者が持つ技術や都内産農林水産物を生かした新たな地域特産品の開発に向けた取り組みを開始しましたが、より戦略的に商品開発を進めるためには、都内食品製造事業者が持つポテンシャルや消費者ニーズをしっかり把握することが大切だと思います。
 ついては、昨年度の取り組みと今後の課題について伺います。

○武田安全安心・地産地消推進担当部長 都は、東京の新たな特産品の開発支援を効果的に行うため、昨年度、都内の約千五百の食品製造事業者と約六百名の消費者に対しまして、それぞれの事業者が保有する技術や開発上の問題点、消費者が特産品に求めるニーズなどについて基礎調査を実施いたしました。
 この結果、多くの事業者は、原材料の混合、配合や一次加工など、個々の技術力を有するものの、特産品の商品化に向けた総合的なノウハウや資金調達、販路開拓の面に不安があり、また消費者には、都内産の原材料の使用や伝統的な製造方法へのこだわりがあることが明らかとなりました。
 今後は、この調査結果から判明した課題などに対応するため、都内の食品製造事業者に対し農林水産業者とのマッチングや、食品技術センターが開発してきた野菜のペースト化などの食品加工技術の提供による特産品開発支援、商談会の開催による新たな販路開拓などに積極的に取り組んでまいります。

○松田委員 ぜひとも、東京を代表するような特産品を開発していただくとともに、販路開拓にも積極的に取り組んで、都内中小食品産業の振興を図っていただきたいと思います。
 ここまで、中小企業の技術開発や人材確保、資金調達に対しての支援や、二〇二〇年東京大会を見据えた受け入れ環境の整備、都ならではの地域特産品の開発など、さまざまな観点から産業労働局の取り組みを伺ってまいりました。
 今後も、日本、そして世界の経済情勢もしっかりと見据えつつ、刻々と変化するニーズに的確に対応しながら、積極果敢に産業振興に取り組んでいただくことを要望して、終わります。

○伊藤委員 私からは、まず商店街の街路灯のLED化について質問をいたします。
 都は、平成十八年度から商店街における街路灯のLED化に対する支援を行っておりますけれども、街路灯のLED化は、CO2削減による環境負荷の低減につながるとともに、商店街にとっては、中長期的に見れば、電気料金削減により財政負担の軽減にもつながるものでありますし、大変に意義のある取り組みであると考えます。しかし、街路灯のLED化は初期の設置費用が高額となるため、商店街にとっては、限られた財源の中でなかなか踏み込めないという実態があるわけであります。
 そこでまず、昨年度の街路灯LED化に対して産業労働局が支援を行っている事業の概要とその実績について伺いたいと思います。

○野間商工部長 都では、商店街における街路灯のLED化を支援するため、街路灯の整備に対して補助を行う二つの事業を実施してございます。
 一つ目は、特定施策推進型商店街事業でございまして、こちらは、商店街が行いますアーケード、アーチの撤去や耐震補強など、都が指定する特定分野の取り組みを行う際に、経費の五分の四を補助してございます。この事業の中で、既存の街路灯の照明器具交換に要する経費の補助を行っております。
 事業実績は、予算額十一億円に対しまして、決算額は七億二千三百九十四万円となってございます。このうち、街路灯の照明器具交換の実績は六億二千八十一万円となってございます。
 二つ目は、環境・防災対応型商店街活性化事業でございまして、こちらは、商店街が行いますドライミストの導入ですとか、ソーラーハイブリッド型街路灯の設置等、環境や防災への取り組みを行う際に、経費の三分の二を補助してございます。この事業の中で、商店街の街路灯の新設や建てかえに要する経費の補助を行ってございます。
 事業実績につきましては、予算額八億円に対しまして、決算額は一億九千二百三万円となってございます。このうち、街路灯の建てかえの実績は一億六千九百三十七万円となってございます。

○伊藤委員 街路灯のLED化を支援する事業は、一つは街路灯の照明器具交換を行うものと、もう一つは街路灯自体の新設や建てかえを行うものがあるということでありますけれども、取り組みの規模によっては事業費も相当な額になるものと思います。財政基盤の弱い商店街も少なくない状況から、そうした商店街にとっての負担は大変に大きいものと考えます。
 そこで、昨年度に都の補助制度を活用して街路灯のLED化に取り組んだ商店街の一事業当たりの総事業費の平均がどのくらいだったのか、それに対する都の補助金額の平均はどのくらいだったのか、伺いたいと思います。またあわせて、商店街の平均の年間予算額がどの程度なのか、伺いたいと思います。

○野間商工部長 平成二十七年度に、特定施策推進型商店街事業を活用して行われた照明器具交換の一基当たりの平均額は約十八万円でございます。一商店街が行います事業費の平均額は約五百六十六万円でございまして、補助金額の平均額は約四百五十万円となってございます。
 一方、環境・防災対応型商店街活性化事業を活用して行われました街路灯建てかえの一基当たりの平均額は、撤去費を含めまして約五十八万円でございます。一商店街が行います事業費の平均額は約一千八百十九万円でございまして、補助金額の平均額は約一千二百十万円となってございます。
 また、都が平成二十五年度に実施いたしました商店街実態調査では、都内商店街の平均年間予算額は六百二十三万円でございました。

○伊藤委員 街路灯のLED化につきましては、その意義は大きいものの、今答弁にもございました都内の商店街の平均の年間の予算額六百二十三万円ぐらいだと。大きいところ、小さいところ、いろんな違いがあると思いますけど、その年間の予算額の中で、何千万もかかる街路灯を建てかえる、あるいは新設をするというのは、大変な負担だというふうに思いますし、一朝一夕には進まないものだというふうに思います。
 先ほどご答弁をいただいた事業実績から執行率をざっと計算すると、街路灯の照明器具交換を行う特定施策推進型商店街事業については、執行率が約七割であったものの、街路灯の建てかえや新設を行う環境・防災対応型商店街活性化事業につきましては、執行率は約二割ということになります。
 そこで、環境・防災対応型商店街活性化事業の執行率が低かった理由と、今後の課題について伺いたいと思います。

○野間商工部長 特定施策推進型商店街事業によるLED対応の照明器具への交換につきましては、比較的手軽にLED化を進められることから、多くの商店街で活用されております。
 一方、環境・防災対応型商店街活性化事業によります街路灯の新設や建てかえにつきましては、整備費用が高額となるため、財源の確保を含めて事業着手まで一定の期間を要してございます。
 しかしながら、街路灯のLED化は、消費電力とランプ交換頻度の減少によりまして、電気代のほかメンテナンス費用の削減にも効果がありますことから、商店街に中長期的なメリットをもたらす取り組みであると考えてございます。
 都では、毎年、区市町村を対象に事業内容等について周知する説明会を開催しているところでございます。今後、街路灯LED化の意義などを説明することによりまして、商店街に対しまして施策の活用をより積極的に働きかけてまいります。

○伊藤委員 今回のこの質疑によりまして、商店街における街路灯のLED化についての取り組み状況が明らかとなりましたけれども、街路灯のLED化については意義ある取り組みであり、都として積極的に進めていくべきだというふうに考えます。
 街路灯の設置や建てかえには多額の費用がかかりますけれども、電気代等のコストの削減効果だけでなく、まちが明るくなり、地域のにぎわい創出といった地域社会への貢献や環境負荷の低減など、幅広い効果をもたらす取り組みであります。
 都は今後、こうした意義ある取り組みを行う商店街に対してしっかりと支援をするために、商店街が取り組みやすいように補助制度をぜひとも拡充をしていただきたいと要望をしておきたいというふうに思います。
 次に、中国漁船団による違法操業について伺います。
 今からちょうど二年前、国境離島である小笠原諸島周辺海域において、中国漁船団による宝石サンゴの密漁が行われ、島民に大きな不安を与えたのは、皆様も記憶に新しいところだと思います。
 都議会公明党は当時、地元の故佐々木幸美村議会議長からその実態の報告を受けまして、即座に視察団を派遣し、私もその一人として、中国漁船の極めて乱暴な操業や廃棄物の不法投棄の状況を小笠原で確認をしてまいりました。
 そして、小笠原村や小笠原村議会、また漁業関係者等から要望を受けて、警視庁へ陸上における警備の強化、また、山口那津男代表を初め国会議員と連携をして、海上保安庁による取り締まりの強化、また、密漁に対する罰則を強化する法改正などを緊急要請し、視察からわずか二十四日目で法改正が行われまして、場合によっては百倍の罰金という法改正になりましたが、事態はようやく鎮静化に向かいました。
 また、都議会公明党は、平成二十六年十二月の第四回定例会代表質問において、都に対し、荒らされた水産資源や漁場の実態調査に国と連携して早急に取り組むように求めました。これに対し、都からは、国との緊密な連携により漁場への影響を分析するなど、貴重な水産資源の保全に向けた取り組みを強化していくとの答弁がありました。
 そこでまず、都はこれまで国とどのような役割分担を行い、実態調査に取り組んできたのか、伺いたいと思います。

○藤田農林水産部長 平成二十六年九月以降、小笠原海域で確認された多数の中国漁船の違法操業により、サンゴが生息する海底環境の荒廃のみならず、海底近くを生息域とする魚類など漁業資源の生態系への影響が懸念されたため、都は国と連携して調査を行ってまいりました。
 具体的には、サンゴが生息する海底環境の被害につきましては、深海調査に関するノウハウを有する国が調査を実施し、漁業資源への影響につきましては、都が漁業調査指導船「興洋」を活用した継続的な水産資源の調査を実施しております。

○伊藤委員 国がサンゴ資源を含む海底環境の被害状況、都が漁業資源への影響と、それぞれを分担して調査を実施してきたということでありますけれども、そもそも日本近海での宝石サンゴの生息水深は、百メートルから三百メートルの深いところだというふうに聞いております。海底環境の被害状況を把握するのは容易ではないというふうに思うわけでありますけれども、実際に、これは国になるんでしょうけど、どのような調査を行い、具体的にどのようなことが確認できたのか、伺いたいと思います。

○藤田農林水産部長 平成二十七年三月、国は、中国漁船による違法操業が多数確認された地点や、地元漁業者のヒアリングにより把握した主要な漁場、合わせて十カ所において、無人潜水艇を遠隔操作し、サンゴの生息状況などを十四回調査いたしました。
 その結果、中国漁船の違法操業によると思われるサンゴの一部損壊や、サンゴ網の残存などの被害が確認されましたが、海底地形に大きな変化を与えた痕跡などは確認されなかったとの報告を受けております。

○伊藤委員 宝石サンゴの破損やサンゴ網の残存が確認されたとのことで、やはり海底環境への被害があったのかなというふうに思います。
 そうしますと、周辺海域の漁業資源への影響が気になるところでありますけれども、実際、地元の漁業者からは、これらの場所が荒廃することで、将来、漁獲にも影響が出るのではないかという声が上がっております。
 私も小笠原に行って初めて知りましたけれども、すばらしい船があるんですね。これの所有が産業労働局ということで、本当に都民にとって、東京にとって財産の船だと思います。
 都は、調査指導船「興洋」を活用して、漁業資源への影響を長期的かつ継続的に調査をしているということですけれど、都として平成二十七年度の取り組み状況について伺いたいと思います。

○藤田農林水産部長 都では、中国漁船が違法操業を行っていた海域において、小笠原の漁業者と同様の漁法により、魚種や数、体長などを把握する調査を平成二十六年十二月から行っており、平成二十七年度は八回実施いたしました。
 その結果、小笠原諸島周辺海域で水揚げされていたヒメダイやアカハタモドキなどが捕獲されましたが、魚類の産卵や生育への影響を評価するためには中長期的なデータの把握が必要であることから、今後も引き続き調査を継続してまいります。

○伊藤委員 希少な宝石サンゴは、数センチ成長するのに何年も何十年もかかるため、小笠原では昔から、この海域で宝石サンゴの漁をしたら、もう何年も何十年もそこの海域ではやらないでというふうに語り継いできたということを向こうの漁師さんから聞きました。大事に大事に、その宝石サンゴとともに暮らしてきたという話でありました。
 また、小笠原は、私も三度ほど行かせていただきました。いろんな視察調査をさせていただきましたけれども、もうすばらしいところでございます。ぜひ局長にも行っていただければというふうに思いますけれども、あのすばらしい自然が残る東京都小笠原村であります。地元の漁業者は将来的な影響を大変に心配しております。都は引き続き、「興洋」を活用していただいて調査を継続して、状況の把握に努めていただくことを改めてお願いをいたしまして、質問を終わります。

○白石委員 私から、正規雇用等転換促進助成事業などの非正規雇用対策の取り組みを中心に質問させていただきたいと思います。
 現在、労働者に占める非正規雇用者の割合は約四割に達して、過去最高となっています。また、年収二百万円以下の働く貧困層は、三年連続で史上最多規模の一千百万人を超えております。都内で働く非正規雇用者の半数以上が年収二百万円以下というふうになっているというふうな状況です。
 日銀調査によると、貯蓄ゼロ世帯はこの三年間だけでも四百七十万世帯ふえ、過去最高というふうな状況です。特に深刻さを増しているのは単身者であり、半数近い単身者が将来への備えなく生活を送っていると。とりわけ二十代、三十代が全世代の中で最も高い水準となっています。それは、不安定な働き方である非正規雇用が広がって、一層低収入化が進んでいるというところです。若者の働く貧困層の解決は、やっぱり東京においても非常に切迫した課題だというふうに思います。
 そこで、まず初めに、若者の中に非正規雇用が広がっているというふうな認識を都は持っているかどうか、伺いたいと思います。

○貫井雇用就業部長 労働力調査によりますと、二十五歳から三十四歳の雇用者に占める非正規職員、従業員の割合は、平成二十六年までは増加をしております。

○白石委員 実際に派遣で働く三十三歳の男性から、派遣で働く実態を聞き取りをさせていただきました。
 この方、派遣歴は十二年で、現在、月収十万円に満たないという状況です。派遣契約は三カ月更新、週三日のシフトで働き、交通費も出ていないという状況です。文字どおり、年収二百万円未満の働く貧困層というふうな状況です。
 現在の派遣状況を聞くと、半年や一年の長期契約の仕事はなかなかないと、このように話しておりました。契約が切れてもすぐに次の派遣先を見つけられるように、この男性は派遣会社に十社登録しております。働き先が途切れたらと、本当に日々不安の中で働く精神的ストレスは、はかり知れないというふうに思います。
 当然、正社員として働きたいとハローワークにも足を運んでおりますが、三十歳を過ぎると、やはり正社員としては働き口が少なくなる、狭くなると、このように話しております。三十歳を超えると急に働き先が減少することは派遣でも同様だと、このようにお話をしておりました。
 この男性は、二十代のときは二日に一遍、新たな派遣先の紹介が派遣元から連絡があったという状況だったんですけれども、三十を超えた途端に新たな派遣先の紹介が激減したというふうに話します。これが就職氷河期世代でもある三十代の派遣の働き方の状況であるということです。非常に深刻だと思います。
 先ほど答弁された非正規雇用の数字というのは、国の調査を引用しているものです。国の就業構造基本調査は五年に一度しか調査をされていないことから、ふだん仕事をしているかどうかや、就業に関する希望、雇用形態など、都内の雇用実態をより詳細に把握するには、五年という周期はやはり長過ぎるというふうに思います。
 そこで伺いたいと思いますが、東京都における非正規雇用などの状況について、都として独自に調査を行うなどして把握をしているのか、伺いたいと思います。

○貫井雇用就業部長 都における非正規雇用の状況につきましては、就業構造基本調査を活用し、把握しているところでございますが、毎月調査、公表されている労働力調査により、都を含めた全国の傾向について把握をしております。

○白石委員 つまり、都の基礎調査というのは国の調査の引用しかないということです。
 答弁で、毎月の労働力調査のこともおっしゃられておりましたが、詳しい年齢別の雇用形態や、より都民の現況を詳細に把握するには、やはり不十分な調査だといわざるを得ません。やはり都がしっかりと都の現況を把握するためにも、都みずからが実態調査に乗り出していくということを求めておきたいなというふうに思います。
 さらに、都が独自に実態調査に取り組むことは、より実態に即した施策を機敏かつ効果的に展開するための決定的な基礎調査ともなるというふうに思います。
 例えば、神奈川県では、雇用対策の出発点と位置づけて、県の職員と弁護士や社労士などが協力して、日曜街頭労働相談や夜間労働相談など、積極的にアウトリーチ型の街頭労働相談などにも取り組んでいると伺っております。
 県の担当者の方に伺いましたが、街頭労働相談を通じて実態をより具体的に把握することができるとともに、トラブルを抱えた労働者が必ずしも行政が設ける相談窓口や労働組合、NPOなどに助けを求めることはせず、抱え込んでしまうケースが多くあることから、こうした労働者の掘り起こしにおいても重要なツールだと、このように伺いました。さらに、職員がみずから問題意識を高める相乗効果も発揮しているんだと、このようにお話をされておりました。
 やはり神奈川県の取り組みにも学んで、都においてもアウトリーチ型の調査、そして相談活動にも踏み出すことを求めておきたいというふうに思っております。
 次に、若者の非正規雇用者に対して、これまで都はどのような取り組みを行ってきたのか伺いたいというふうに思います。

○貫井雇用就業部長 都では、東京しごとセンターでの就業支援や公共職業訓練などの支援を実施しております。加えまして、若者応援企業採用等奨励事業などの非正規雇用対策を実施しております。

○白石委員 都は、三年間で不本意非正規労働者を一万五千人正規化するという目標を長期ビジョンでも掲げております。
 この目標を達成するためにも、非正規雇用を正規化するために六つの事業が展開をされております。六事業の内訳は、二事業が企業に対する助成金制度であって、残りの四事業は、職場体験や実践的なプログラムを通して働くスキルを習得する事業など、求職者を直接支援する制度となっております。
 そこで伺いたいと思いますが、非正規雇用対策として取り組まれている六つの事業の二〇一五年度の実績を伺いたいと思います。

○貫井雇用就業部長 六事業の実績でございますが、若者を対象とした二事業では五百三人、就職氷河期を対象とした三事業では四百五十八人、若者を含め全年齢層を対象とした社内転換等の事業におきましては四千二百人、合計で五千百六十一人となっております。

○白石委員 都の取り組みにより、五千百六十一人が正規化されたということは、重要な成果だと思います。
 また、求職者を直接支援する四事業の申込者数も事前に伺っておりますが、一年間で四千人を超えており、要望が高い事業であることが、この数字からも見てとれるかなというふうに思います。
 だからこそ、それぞれの事業をさらに充実させることが重要だというふうに考えております。充実を図る上で重要な要素というべき一つが、正規化した後の定着状況の把握だというふうに思います。
 そこで、求職者に直接支援する四事業において、正規化された後、職場に定着できているのかという角度で後追い調査がされているのか、伺いたいというふうに思います。

○貫井雇用就業部長 採用や転換において奨励金や助成金を支給する事業については、六カ月後の定着を確認しているところでございます。
 その他につきましても、必要に応じて定着支援を行っております。

○白石委員 六カ月の期間を設けて定着を確認しているということですが、やっぱりそれではなかなか短いというふうに思います。例えば、三年というスパンを設けて後追い調査の幅を拡大して、しっかりと定着がされているかどうかということを都として把握するということは重要だと思います。
 なぜならばというふうなところだと思うんですが、産業労働局が発行しております労働相談及びあっせんの概要を見ますと、労働相談の内容の項目で、二〇一五年度の調査では、職場の嫌がらせが全相談内容のうち二番目に高い数値となっております。つまり、職場環境によりやめざるを得なくなり、再び例えば非正規雇用に戻ってしまったりとか、無職になってしまうということも考えられます。
 そのため、後追い調査により把握することで、必要な対策や実践的プログラムの中に、労働者の権利教育などをさらに充実強化をして、トラブルの際の対処法などの知恵をより実践的に身につける、それぞれの事業の充実というふうな観点においても、この後追い調査というのは重要なツールであり、調査かなというふうに思います。
 また、正規化へと転換した実績を集約して、どこをどのように改善強化すれば、より正規化につながる事業となるかなど、検証する作業も求められているというふうに思います。
 そこで伺いたいというふうに思いますが、それぞれの事業を充実させるために、これまでの実績を集約し、分析、検証することが重要というふうに考えますが、都の認識を伺いたいというふうに思います。

○貫井雇用就業部長 正社員として就職される方は、組織におけるコミュニケーションスキルや就職に向けたモチベーションの保ち方などを身につけているという状況がございます。これにつきましては、二十七年度事業を含め、さまざまな事業により把握をしておりまして、事業の充実を図ってきたところでございます。

○白石委員 例えば、正規雇用転換促進助成金を使った事業は、先ほど答弁もあったとおり、四千二百人が社内転換により正規雇用というふうになりましたが、正規雇用への転換といっても、有期契約から正規雇用、有期契約から無期雇用、無期雇用から正規雇用の三つの転換に、この事業の中身を見ますと区分がされております。
 それぞれの状況を把握されているのかということについては、今ご答弁ありませんでしたけれども、ぜひ、この三つの区分でどういう内訳になっているのかということをしっかりと把握をしていただきたいというふうに思っておりますし、ここの部分は把握をされているのかというところでは、いかがでしょうか。

○貫井雇用就業部長 正規雇用等転換促進助成事業におきまして、正規転換等を図られました方々の内訳につきましては、業種も含めまして分析をしているところでございます。

○白石委員 分析をされているということなので、把握をしているというふうなことだと思います。なので、ぜひともこの把握状況なんかも公表もしていただきたいということを求めておきたいなというふうに思っております。
 非正規の正規化を本気で進めようとするのであれば、非正規雇用の皆さんが希望すれば正規雇用となれる環境をつくる上でどのような課題があるかを、労働行政として正確に把握する必要があると思います。
 また、非正規の中高年労働者の正規化が長期ビジョンに比較して進んでいないというのが状況です。しかも、都はその予算を減らしているという状況になっています。とりわけ正規化が難しい非正規の中高年者の正規化プログラムは、行政としても拡充をしていかなければならないのではないかと、このように指摘をしておきたいと思います。そこにこそ都の役割があるというふうに思います。都としても、正社員が当たり前の社会をつくるために本腰を入れていくよう、強く要望しておきます。
 そこで、一つ重要なところがあると思います。雇用・就業対策審議会の二〇一五年度開催実績を伺いたいというふうに思います。また、審議会の意義と位置づけもあわせて伺います。

○貫井雇用就業部長 雇用・就業対策審議会は、専門的な見地から雇用及び就業対策等に関する重要な事項を審議する知事の附属機関でございます。
 その時々の情勢を踏まえ開催しており、昨年度の開催実績はございません。
 なお、先ほど中高年の非正規の関係で、長期ビジョンに比べまして実績が進んでいないとのご指摘でございましたが、それについては当たらないと考えてございます。

○白石委員 当たらないということですが、中高年者の正規化というところは非常に--先ほど三十代、三十三歳の派遣社員の事例も出させていただきました。そういうふうな観点から、やはり中高年もしくは就職氷河期世代の方々の正規化といったところでは、いろんな丁寧な支援策が必要かと思うので、実際に中高年の予算が削られているというふうなところでは、ぜひともここは拡充をしていただきたいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思っております。
 そこで、先ほど審議会のことも出していただきました。この雇用・就業対策審議会というのは、三年にわたって開催をされていないというふうな状況です。
 この審議会は、学識経験者や労働者の代表、事業主の代表などから構成され、現在の雇用情勢の共有や、それぞれの立場からの問題意識が提起をされ、議論が交わされる審議会となっております。また、都のこれまでの取り組みの評価を行って、今後の取り組みの充実強化を提起する審議会でもあります。この審議会を活用しない手はないというふうに思います。
 なので、この間、三年間開催をされていないというふうな状況のもとで、早急な開催を産業労働局さんからもぜひとも提起をしていただいて、都が不本意非正規雇用の正規化を図っていく取り組みのさらなる充実を求めて、質問を終わりたいというふうに思います。

○山崎委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十二分休憩

   午後三時十一分開議

○山崎委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○斉藤委員 それでは、私の方からは三テーマ伺います。
 産業労働局のいわゆる普通の会計、一般的な会計と附属して、この第三分科会で特別会計についても審査をするわけですけれども、産業労働局が所管しております東京都林業・木材産業改善資金助成会計及び東京都沿岸漁業改善資金助成会計というのがございます。
 国の方からこの特別会計の設置が求められて行われている会計なわけなんですが、それぞれ平成二十七年度の執行率というのは、前者が〇・一%、そして後者が〇・三%ということで、大変少なくなっておりまして、不人気なのか、需要に対して活用の要件が合致していないとか、いろんなことが考えられるんですが、いずれにせよ〇・一%ということでありますので、悪くいうわけにもいかないですが、褒めることもなかなか難しいというものでございます。
 非常に事業者数がそれぞれ限られているというものの、皆さんに使っていただける制度にするというのは大事なことかなと思うんですが、国の方の制度というふうな話で先ほどいいましたけれども、東京都の方で何らかの工夫の余地があるものなのか、それとも単純に需要がないということで考えていいのか、都の見解を伺います。

○藤田農林水産部長 林業・木材産業改善資金及び沿岸漁業改善資金は、意欲的な事業者等が経営を改善する際に必要となる資金を無利子で貸し付ける国の制度でございます。
 平成二十七年度の利用実績はございませんでしたが、これまでにも、高性能林業機械の導入や漁船のエンジン更新など、近代的な技術や合理的な生産方式などを新たに導入する事業者に利用されてきており、こうした前向きな資金需要に対応してきているものでございます。
 一方、貸し付けの要件などにつきましては、法令等により定められておりますが、申請手続の煩雑さなどの問題があることから、国に対しては、これまでも手続の簡素化を要望してまいったところでございます。

○斉藤委員 ありがとうございます。国の方の制度ということなので、なかなかいじりようがない。ただ、利子については無利子なので、一般の金融機関みたいに利子で、ぜひ使ってくださいというふうに誘導するという必要自体はないんですが、ただ、そういう制度であったとしても、東京都の方で、いわゆる手続のところの課題については、簡素化を求めて要望してきたということで、国設定だから何もいわないということではなくて、しっかり要望をしているというところについては、ぜひこれからも頑張っていただきたいですし、大変評価をしたいと思います。
 特に、今回は林業の方で何点か伺うんですけれども、よく考えてみたら、この第三分科会で、選挙区的に多摩地域出身なのはどうも私だけらしくて、それならばちゃんと林業は聞かなきゃいけないなというところで質問をさせていただきます。
 先ほどの東京都林業・木材産業改善助成会計の制度資金の貸付実績は余り上がっていないわけですけれども、しかしながら森林整備自体の重要性は変わりませんし、この部分についてしっかり相応の予算を確保し、森林整備に取り組んでいくというのは、まずこれは間違いなく大事なことでございます。
 そこで伺うんですけれども、当時、都議会の民主党ですけれども、会派で尾崎大介幹事長を筆頭に奥多摩町を視察いたしまして、その際に、これは水道局事業だったと思いますが、ちょっと他局の事業で恐縮なんですけれども、森林維持再生のために本格的な活動をしております森林ボランティアの活動を視察いたしました。
 かなり本格的で、プロがやっているのと見た目では変わらないぐらいであります。また、ボランティアですので、いろんなところからいらしているんですけれども、多摩地域というよりは二十三区の方が結構いらっしゃるということで、かなり遠くから、もう本当にこういうのをやる気があってボランティアに来ていると。かなり高い位置で、五メーター、七メーターというレベルで、まさに垂直に伸びている木に登って、そこで枝打ちをするなどという、本当にボランティアの域を超えているんじゃないかなというような活動をしておりました。
 同時に、見ていますと、林道をつくったり下草を刈ったりという地道な作業も多くて、まさに林業百年の計というふうなものを感じる時間軸を、まさに普通の感覚とは違うものにして取り組むというような感じを受けました。
 多摩産材や東京の林業自体の成長を考えると、水道局でも環境局でも産業労働局でもいいから、今現在、このようなボランティア活動や一般的な事業も含めて、林道の整備、適切な伐採など、そしてまた下草にも光を当てて、森林の成長サイクルを維持するといったような手入れ、こういったものをやっていくということは、本当に必要だなというふうに思います。
 産業労働局で取りまとめている平成二十七年度版の東京の森林・林業という冊子があるんですが、これを見ますと、こういった林業の実態についてかなり細かく、しかもかなりページの厚みのある冊子にして、非常によく調べてあるので、それを見ると大体わかってしまうというぐらいのいいものができております。
 これによりますと、多摩地域には五万三千ヘクタールの森林があるということなんですが、そこで伺いたいのは、まず、この森林をどのように整備しているのかということを教えていただきたいと思います。

○藤田農林水産部長 多摩地域の五万三千ヘクタールの森林のうち、約三万ヘクタールが杉やヒノキの人工林であり、その五割以上は木材として利用可能となる樹齢五十年を超え、伐採、更新の時期を迎えております。
 この人工林を健全に維持するためには、切って、使って、植えて、育てるという森林循環の促進をしていくことが必要でございます。
 このため、都では、杉、ヒノキの伐採と花粉の少ない杉などの植栽を行うとともに、森林所有者等が実施する下草刈りや間伐などに対する経費を補助するなど、必要な予算を確保し、森林の整備を進めております。

○斉藤委員 森林整備の対象となる人工林については、三万ヘクタールとなっておりますので大変広いですね。都では、産業労働局、環境局、水道局、三局で、それぞれボランティアだったり事業だったり、並行して森林整備に取り組んでいるというわけなんですけれども、さっきいった森林百年の計といいながら、余り細かいことを聞くのは恐縮なんですけれども、一応決算なので、平成二十七年度に産業労働局において実施した森林整備の実績というものがどの程度のものなのか、そこを確認しておきたいと思います。

○藤田農林水産部長 森林の伐採後、植栽を行うまでには一定の期間を要するため、伐採と植栽の実施年度は必ずしも一致するものではございませんが、平成二十七年度につきましては、杉、ヒノキの伐採を三十七ヘクタール、花粉の少ない杉などの植栽を二十五ヘクタール、下草刈りなどを二百七十四ヘクタール実施いたしました。
 また、森林所有者等が実施した三百九十四ヘクタールの植栽や下草刈り、間伐などの作業に要する経費に対し補助を実施いたしました。

○斉藤委員 もとの母数の面積が三万ヘクタールの森林ということであります。したがって、それに比べますと、毎年の活動の面積というのは決して大きなものではないわけであります。杉林等の伐採が三十七ヘクタールということでありますから、三十七ヘクタール毎年やっても、三万ヘクタールを一巡するのに、単純計算で八百年ぐらいかかっちゃう話だとは思います。
 ただ、ほかの局も並行して動いていますので、数字上の話とはいえ、三百年ぐらいに縮められるのかなというふうな気がするんですけれども、あわせて森林所有者の実施に対しても補助していますので、恐らくさらにもう少しは短くなるのかなと思います。ただ、それでも百年単位の話をするというのは確かなんじゃないかなと思います。
 私も、森林整備がとても一気に進む--進めるべきというふうなレベルだとは全く思っておりませんが、大切なことは、継続して取り組みを続けるということであります。
 実績を伺いましたけれども、やはり時々、産業労働局自身が、ちょっと長いスパンの事業に対して、変化をつけるというのは必ずしもいいことではないのかもしれませんので、逆にこちらの議会側もきちんと、時々活動を確認して、激励をするということが大事なのかなというふうに思っております。
 最初に質問しました制度融資の有効活用なども含めて、ぜひ今後も不断の取り組みとして森林整備を進めていただきたいと思いますし、東京の森林を豊かなものにしていただきたいと思います。また、ここには二十三区の議員さんも多いですので、ぜひ時々見に行って、余裕があればボランティアもしていただきたいというふうに思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
 続きまして、障害者雇用について伺います。
 資料の方をいただきました。一〇ページに載っております。これを見ますと、身体障害者の雇用の中で、思ったより重度身体障害者は雇用があるんだなというふうなことを感じました。
 精神障害についてはなかなか、重度、軽度という区別が難しいということで、くくらせていただいたんですけれども、平成二十七年度の障害者雇用の状況というのはどのようになっていますか。東京都はその状況を踏まえ、どのような支援を行ってきたのか伺います。

○貫井雇用就業部長 国の発表によりますと、平成二十七年六月一日現在、都内民間企業の障害者雇用数は十二万七千九百九十八人で、身体障害者が八万八千四百十五人、知的障害者が二万四千五百三十八人、精神障害者が一万五千四十五人となっております。
 また、精神障害者の就職件数は年々増加傾向にあり、平成二十七年度には、都内ハローワークを通じた障害者の就職件数のうち、精神障害者が障害種別で最も多くなってございます。
 都は、このような状況を踏まえ、精神障害者を初めて雇用する中小企業等を対象とした雇用前の環境整備から雇用後の定着まで、三年間にわたって一貫したサポートを行う専門のアドバイザーを派遣する事業を実施しております。

○斉藤委員 障害者の受け入れ企業においては、障害者をしっかりとサポートしていくということが、定着のために必要なわけであります。これだけ、比較的、精神障害も含めるとかなり数がふえていますので、ある程度の規模の企業になれば、どこの部署にいても何らか、かかわりがあるというふうになると思います。
 ただ、そうはいっても、身体の障害と精神の障害では、相当、対応するという内容に対しては違うわけでありますから、障害者をサポートするという、役割というふうにいっていいかちょっとわかりませんけれども、そういうふうにサポートをするという方が、その中にいてもおかしくないわけでありますけれども、ただ、それが特定の人に偏ってしまうようなことがあると、それはそれでちょっと負担なのかなと思います。
 職場としてのバックアップ体制ができていないと、継続的な定着にはつながりません。例えば、恐らくサポートする人が、比較的こういう障害の方の雇用に対して関心があるとか、そういう障害者の方の支援の経験が個人的にあるとか、そういう方もいらっしゃるかと思います。
 ただ、その人がある程度できてしまうと、周りの人は何となく、その人に任せてしまう感覚になってしまうとか、その人が休んでしまうとほかの人ではサポートしにくいとか、そういうふうに偏ってしまうと、そういうときに、やはりよくないので、サポートできる体制というのは広がりを持っていることが理想的だとは思います。
 東京ジョブコーチについては、障害者の定着に向けた社内体制づくりについて、恐らくやっていると思うんですが、どのような支援を行ってきたのか、そこを教えてください。

○貫井雇用就業部長 東京ジョブコーチは、障害者本人に対する支援に加えまして、職場全体で障害者をバックアップする体制を整えられるよう、障害者と一緒に働く職場の従業員に対して、障害特性に関する基本的な知識や、障害者本人への必要な配慮事項等の情報提供も行っております。
 さらに、障害者が安心して仕事に取り組めるよう、業務指示を行う担当者やフォローアップ体制の明確化、緊急時の対応など、障害者が職場定着する上で必要な体制づくりに関して、総合的な支援を行っております。

○斉藤委員 平成二十五年四月から、法定雇用率が一・八%だったものが二・〇%に引き上げになりまして、対象企業そのものが拡大したこともありまして、平成二十七年四月より、障害者雇用納付金制度の対象が、従業員二百人超の規模の企業から百人を超える規模の企業に拡大をいたしました。つまりそれだけ対象になる企業がふえたわけであります。
 企業の障害者雇用がこのため一層進展しているんですけれども、一方で、特に中小企業においては、なかなかやっぱり障害者雇用は大きな企業ほど、恐らく仕事のマッチングとか、サポートする人のマッチングなんかも含めて、なかなか中小企業では障害者雇用が進まないという企業も見受けられるようであります。そのような企業に対しては、東京都としてどのような支援を行ってきたのかを確認したいと思います。

○貫井雇用就業部長 中小企業におきましては、大企業と比較して、障害者雇用に関する情報収集の余裕がなかったり、ノウハウが少ないという状況がございます。
 このため都では、平成二十七年度に、これから障害者雇用に取り組む中小企業などを対象に、障害者雇用の関係機関が一堂に会し、さまざまな情報提供を行うフェアを新たに開催いたしました。
 フェアでは、都や国を含め十六の支援機関がブースを出展し、支援制度の紹介や個別相談等を実施するとともに、企業による障害者雇用支援事例の発表や、支援機関によるミニセミナー、特別支援学校の生徒によるカフェサービス等の実演がなされ、企業の人事担当者など五百七十二名の来場者がございました。

○斉藤委員 ありがとうございます。最近、福祉保健局とかもそうなんですけれども、割とフェアというのが大分、東京都でやるようになりまして、そのあたりで実際に直接いろんな人の意見を聞くということも非常にプラスになりますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 ただ、東京都の方は以前より、障害者の方の就職訓練なんかもかなりしておりまして、実はうちの地元の小平の方で、西武線の小川駅という駅が、これは幾つかの複線が入っている乗りかえ駅なんですが、西口の方から歩いて五分程度のところに、産業労働局が所管をいたします東京障害者職業能力開発校がございます。すぐ隣には厚生労働省の職業能力開発総合大学校という、僕ら地元でも、どっちがどっちかわからなくなっちゃうような似た名前なんですけれども、大変、どちらも広い敷地で、職業訓練に関して取り組んでいる学校があります。
 特に、東京障害者職業能力開発校の方は、同種の職業訓練校の中で唯一、障害者を扱っている訓練校ということで、昔から小川駅の周辺には車椅子の方が多いというようなところであります。また、西武新宿線の沿線でも初めてエレベーターがついたのも、この小川駅ということで、うちの地元の方では大変、昔から障害者の職業訓練というのは非常に身近な場所なんですけれども、その辺についても、かなり大きな余裕のある敷地の中で学校運営をされているので、個人的には、もう少し人数受け入れもできるんじゃないかなというふうにちょっと思ってはいるんですが、そういう基本的な活動も含めて、ぜひ中小企業の支援、そしてまた、さっきのフェアのように、マッチングなどについては、ぜひ頑張ってもらいたいというふうに思っております。
 いずれにせよ、障害者雇用の方自体は比較的ふえているということで、引き続き努力をいただければというふうに思っております。
 最後のテーマで非正規雇用対策について伺います。
 先ほどちょっと類似したテーマでありましたけれども、平成二十七年度から非正規雇用対策を展開している中で、先ほども出ました正規雇用等転換促進助成事業、これについては四千二百人と高い実績を上げているようでありますが、事業の狙いと当初の予定した事業規模について伺います。

○貫井雇用就業部長 都では、正社員を希望しながらも非正規で働かざるを得ない方の正規雇用化を実現するために、三年間で一万五千人の正規雇用化に向け、さまざまな事業を展開してございます。
 ご質問の正規雇用等転換促進助成事業では、パートや契約社員などの非正規雇用労働者を社内で正社員等へ転換することを狙いとしております。
 平成二十七年度当初の事業規模は、年間一千五百人でございます。

○斉藤委員 これについては資料の方もつくっていただきまして、資料の九ページのところに載っております。さっきちょっと話が出た三パターンの展開について書いてありますけれども、今の助成事業は中小企業での利用が多くて、この事業は当初の事業規模を上回る実績があったということで、それは大変喜ばしいことであります。
 ちょっと興味があるところで伺いたいんですが、企業がどのような理由で正規雇用化を進めていったのか、その背景をどのように東京都としては認識をしているのかを伺います。

○貫井雇用就業部長 景気が回復傾向にございまして、人手不足が顕著になってございます。人材確保のため、パートや契約社員などを社内で正社員とする企業がふえてきたことから、本事業が当初の事業規模を上回る規模で利用されたものと考えております。

○斉藤委員 先ほどもちょっと話題になりましたけれども、実際、転換した企業の部分の業種的な区分については、明確な線引きをしたデータがないというふうには聞いているんですが、それでもちょっとあえて聞くんですけど、業種による傾向ですね。全部を細かくということではなくて、正規転換に取り組んだ企業の業種による傾向があるかどうか、もしくは全体の状況、概況をどういうふうに認識をしているのかを伺います。

○貫井雇用就業部長 平成二十七年度に本事業を利用した企業のうち、業種としては、情報通信業、医療、福祉関係で多くの利用がございました。
 これらの業界では、人手不足が顕著となっており、人材確保の観点からも、社内での正社員転換を進めた結果として、本事業が活用されたものと考えております。

○斉藤委員 少し中身に踏み込めば、かなり労働集約型というか、どちらかといえば、先々、なかなか機械化とかIT化とかというふうなものが完全にできない業種が、どうしても労働集約型企業としてありますので、そのあたりがかなり今回は、特に介護関係で正規化が進んだということでありまして、非常にそれ自体はよかったなと思いますし、また、正規化になっても、またちょっと旗色が悪くなったらパートになっちゃうというふうなことにならないように、ぜひしていただきたいと思いますし、そのためにも、この事業については、比較的人気があるというような事業でございますので、ぜひ継続して努力をしていただければというふうに思っておりますので、よろしくお願いします。
 以上で質問を終わります。

○野上委員 それでは、私からは、外国人旅行者誘致のための事業について、幾つか伺わせていただきたいと思います。
 東京に広く世界から旅行者を誘致するために、効果的で的確な誘致活動が必要であると思います。
 そこでまず、外国人の旅行者の誘致についてですが、平成二十七年に東京都を訪れた外国人の旅行者数を初めに伺わせていただきます。

○坂本観光部長 都の調査によりますれば、平成二十七年に東京都を訪れた外国人旅行者数は一千百八十九万四千人となってございます。

○野上委員 外国人旅行者数は増加を続けており、ついに去年、昨年には、一千万人の大台に乗っているということがわかりました。
 そうした外国人の観光面での状況をしっかりと分析していくことは必要であるというふうに考えます。特に、リピーターとしてどの程度の割合の方が東京を訪れているのか、また、旅行者に人気のあるスポットや観光の楽しみ方はどのようなものかを十分に理解しておくことは必要であるというふうに考えます。
 そこで、外国人旅行者のリピーターの割合や、その多くが訪れる場所、人気のある観光の内容について伺います。

○坂本観光部長 都の調査では、平成二十七年度に東京を二回以上訪問した、いわゆるリピーターの割合でございますが、こちらは四八・三%となっております。
 訪問先として最も多いのが新宿、大久保のエリア、次いで浅草、その次に銀座の順となってございまして、訪都中に行った活動といたしましては、日本食、ショッピング、まち並み、こうしたものを楽しむことが人気となってございます。

○野上委員 過去、やはり産業労働局では、平成二十六年度ですけれども、国別の外国人旅行者行動特性調査報告書というものを、以前も出しております。こうした国ごとの特性を踏まえて、また、どの国が女性の方が多いのか、あるいはその国の方が東京にいらした際にどのような行動をとって、何を目的に時間を過ごしていらっしゃるのかということを、引き続き調査をしていただいて、それに基づいて効果的な政策の展開をしていただければと思います。
 外国人の旅行者誘致に当たっては、リピーターをふやすとともに、都内で観光を行う場合の人気スポットや興味、関心を細かく押さえながら対応を進めていってほしいと思います。
 そうした中、二十七年度は、委員会に提出された決算説明書を見ると、外国人旅行者誘致の新たな展開として、十九億円の経費を投じていることがわかります。それなりの規模の経費を使っているわけですので、やはりしっかりとした考え方や戦略を持って事業を進めていただきたいというふうに考えます。
 そこで、二十七年度における外国人旅行者の誘致の取り組みの考え方について伺います。

○坂本観光部長 都は、外国人旅行者の来訪の確保に向けまして、海外の現地での誘致活動におきまして、欧米豪地域に加え、経済成長が著しく、今後の旅行者の大幅な増加が見込める国、こちらの方も対象として加えて拡大しながら、戦略的に取り組みを進めたところでございます。

○野上委員 二〇二〇年東京大会が行われますので、もちろんその大会に向けて、海外からのお客様を呼び込むということは、大きな目標であると思います。
 海外から旅行者を誘致するためには、外国で現地のメディアをうまく活用して、東京の様子をわかりやすく伝えることのできる映像を放映したり、あるいはウエブサイトによる広告といった発信を行うことが効果的であると思います。
 平成二十七年度のそうした取り組みについて伺います。

○坂本観光部長 都は、平成二十七年度には、広範な海外ネットワークを持つ放送局でのテレビコマーシャルや、世界的に知名度の高い旅行サイトにおきまして、広告の掲載を行ったところでございます。

○野上委員 テレビCMや、あるいは旅行サイトでの広告を掲載したとのことですが、ちょうど私も昨年度、議会での海外視察の際、欧州を訪れまして、その夜テレビをつけましたら、ちょうど東京都のプロモーションの映像が流れておりました。もちろん、オリンピックが開催されるということのプロモーションもしかり、また、観光として、そのときは外国人の方がお相撲さんの格好をしていらっしゃったと思いますけれども、そうした日本のイメージを植えつけ、そして、日本に行きたいなというような思いを持っていただくようなCMが流れておりました。こういうCMを時々外国の方が見れば、多少なりとも興味を持っていただけるのではないかなというふうに、現地で思いましたところです。
 また一方で、海外からのお客様というカテゴリーの中には、海外に住んでいらっしゃる日本人の方あるいは日系の方もいらっしゃると思いますし、そういった方にとっては、現地のそういったメディアから発信される日本の状況あるいは東京の広告を見れば、やはり一度行きたいなと、また、東京を訪れてみたいなというふうにインセンティブが湧くわけでございますので、ぜひ現地のメディアをうまく利用して、そして、二〇二〇年の大会に向けてプロモーション活動をしていただきたいと思っております。
 また、映像やウエブサイトの活用のほか、実際に海外の現地を訪れて、東京の観光PRを行うことも重要であると思います。そうしたプロモーション活動は、平成二十七年度はどのように実施をされたのか伺います。

○坂本観光部長 平成二十七年度におきまして、今後の旅行者の大幅な増加が見込まれます国としてフィリピンを対象といたしまして、その首都のマニラにおいて、現地の旅行事業者を対象とする商談会やセミナーなどを開催することによりまして、東京への旅行商品の数をふやす働きかけを行ったところでございます。

○野上委員 海外では、プロモーション活動に合わせて、現地で使われている言語で新聞や広報媒体に東京の観光PRを掲載することも効果があると考えます。そうした取り組みの実績について伺います。

○坂本観光部長 二十七年度は、今申し上げたフィリピンのマニラにおきましてプロモーション活動を行いましたが、メディア対応といたしまして、現地の報道機関を対象とするセミナーを開催いたしまして、三十社が参加をしたところでございます。これによりまして、現地において使われている、いわゆる英語でございますが、英語で、東京の観光PRの内容が新聞やウエブのニュースサイトに掲載されたところでございます。

○野上委員 ぜひ二十七年度の実績を踏まえて、次年度に向けてさらなる、英語もそうですけれども、多言語対応というか、多言語での広報活動につなげていただければと思います。
 次に、ライフサイエンス系ベンチャー等のスタートアップ事業等について、あるいはベンチャー企業に対する支援について、幾つか伺わせていただきたいと思います。
 高齢化社会になりまして、創薬やバイオ、医療機器などライフサイエンス産業は、世界的に着実な市場規模の拡大が見込まれているところです。加えて、都内にはライフサイエンスに関する企業、大学、公的研究機関など、あるいは研究所など、産学の拠点が集積しており、ライフサイエンス産業は都内産業の成長を牽引する分野として期待されているところです。
 また、地域の優位性と申しますか、例えば薬事法などの法改正に伴う許可の申請等は、どうしても省庁が近いところの企業が有利でございますので、そうしたことから、東京に拠点を置いて、そして事業を展開するという企業が多くありますし、また、東京に拠点を置きたいという企業も多くいるというふうに伺っております。
 ライフサイエンス産業において、一方ではベンチャー企業は、付加価値の高い新しいシーズを生み出す担い手として期待をされているところですが、投資家や大企業からの出資等を受けられるようになるまでには時間を要します。創業期の経費負担等に苦慮している企業も多いというふうに伺っているところです。
 専ら研究開発に資金を集中させて、そして事業場所の選択など創業期の資金が不足しがちなライフサイエンス系ベンチャー企業に対し、都は昨年度、オフィス等に入居する際の賃料の一部を助成する事業を開始いたしましたが、本事業の平成二十七年度の予算、決算額、あわせて応募、採択件数、審査方法及び採択事例について伺います。

○野間商工部長 平成二十七年度予算額は四千二百六十九万八千円、決算額は一千六百十一万一千円となってございます。
 また、三十三社から応募がございまして、書類審査の上、大学教授、業界団体幹部、公認会計士、計三名の外部専門家によります審査会において、二十一事業者を採択いたしました。
 採択企業の例といたしまして、糖尿病予防のための自己血糖値測定器の開発企業、緑内障早期発見に寄与する視野計の開発企業、がん免疫療法の開発企業などがございます。

○野上委員 特に、中堅であるとか中小のベンチャー企業においては、大企業が参入しない、ある意味ニッチな事業展開、ニッチマーケットにおいてもリスクをとっていただいて、そして機動的に事業化を図るなど、イノベーションの創出というのが期待されるところです。こうしたスタートアップの支援をしていただけるということは、非常に心強いのではないかと思います。
 さらに、ライフサイエンス系ベンチャー企業のマーケティング支援として、世界的なライフサイエンスの展示会、商談会であるバイオジャパンへの出展及びコンサルタントによる商談コーディネートを支援する事業を実施しておりますが、本事業の平成二十七年度の予算、決算額、あわせて本事業への応募、採択の件数、審査方法及び採択事例について伺います。

○野間商工部長 平成二十七年度予算額は二千九百五十六万九千円、決算額は二千九百六万円となってございます。
 また、十八社から応募がございまして、書類審査の上、三名の外部専門家によります審査会において十社を採択いたしました。
 採択企業の例といたしましては、免疫寛容誘導薬の開発企業、細胞分離装置の開発企業、簡易遺伝子診断装置の開発企業などがございます。

○野上委員 さらには、ベンチャー企業が単独で会社や自社製品をPRしていく、あるいは技術をアピールしていくということは、非常に難しいことです。
 例えば、特定のすぐれた技術を有していても、事業化を目指すためには、その技術のみだけでは不十分であります。このため、すぐれた基盤技術等を有する機関あるいはそのノウハウを持っている機関が、その技術を橋渡しをしたりするということは、必要になってくるわけでございます。
 この五百以上の出展者による展示会と商談会を同時に行う代表的なイベントに、都の支援企業として出展するということは、認知度の向上や商談機会の獲得に効果的と考えますが、出展企業ブースへの来場者数、商談件数など、本支援事業の成果についてはいかがでしょうか。

○野間商工部長 平成二十七年度には、展示ブースに千二十人の来場者がございまして、百八十九件の商談が行われました。
 展示会、商談会によりまして、ライセンスの導入や製品、サービスの見積もり依頼などの実績が得られたほか、出展者へのアンケートでは、十社中六社が製品、技術、PRに役立った、五社が新規顧客リストの拡充につながったなど、知名度向上や新規顧客開拓につながったと回答がございました。

○野上委員 展示会、商談会の中でも、ビジネスパートナーを見つける商談会は、非常に重要であるというふうに考えます。先ほども申し上げたとおり、すぐれた技術をニッチな産業の中で有していながら、商談会になれておらず、うまく成果を上げられないベンチャー企業にとって、コンサルタントによる適切な指導助言を受けられることは、非常に有意義であるというふうに考えます。
 コーディネート事業については、ライフサイエンス分野における商談会の専門性を考慮し、ノウハウを有する事業者への委託により実施しているとのことですが、本業務の委託先、委託金額、選定方法を伺います。

○野間商工部長 都は、ライフサイエンスビジネスに精通し、適切かつ効果的なコンサルティングを行う事業者を企画コンペ方式により募集し、医薬、医療分野のビジネスシーズの早期発掘、研究開発支援、事業化、マッチング支援に豊富な経験を有するコンサルタント会社を選定いたしました。
 また、委託金額は九百八十五万六千六百九十九円でございます。

○野上委員 この事業は、基本的には展示会出展事業でありまして、ベンチャー企業に機会、チャンスを与えるすばらしい事業だというふうに考えております。
 一方では、展示会出展事業というのは事業評価が難しいところです。もちろん商談の件数、マッチングの回数で、どのような効果が出たのかということをはかることが可能であるので、ぜひとも次年度に向けてさらなる事業展開を図っていっていただきたいと思います。
 また、本日、ニュースで取り上げられておりましたけれども、大手の不動産会社が設立をいたしました社団法人、ライフサイエンスに関する事業、ベンチャー共創事業として始められたニュースでありましたけれども、その法人がさまざまな取り組みをしているということがニュースに載りました。それは、拠点となっているのは日本橋でありまして、もちろん東京都が拠点を持つビルの中にあるわけでございます。
 ぜひともさまざまな産学官連携を進めていただいて、一方では、こうしたさまざまなベンチャー企業、これから産業に入っていこうとする企業を応援するという事業も、大きく展開をしていただきたいということを要望いたしまして、私からの質問を終わります。

○山崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時五十七分散会

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