委員長 | 桜井 浩之君 |
副委員長 | 鈴木 錦治君 |
副委員長 | 中村ひろし君 |
山森 寛之君 | |
前田 和茂君 | |
栗林のり子君 | |
上田 令子君 | |
大松あきら君 | |
北久保眞道君 | |
松村 友昭君 |
欠席委員 なし
出席説明員人事委員会事務局 | 局長 | 松山 英幸君 |
任用公平部長 | 矢岡 俊樹君 | |
試験部長 | 森山 寛司君 | |
審査担当部長 | 小澤 達郎君 | |
収用委員会事務局 | 局長 | 砥出 欣典君 |
青少年・治安対策本部 | 本部長 | 廣田 耕一君 |
総合対策部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 延與 桂君 | |
青少年対策担当部長 | 稲葉 薫君 | |
治安対策担当部長 | 臼井 郁夫君 | |
総務局 | 局長 | 多羅尾光睦君 |
危機管理監 | 田邉揮司良君 | |
次長理事兼務 | 榎本 雅人君 | |
理事 | 岸本 良一君 | |
総務部長 | 小暮 実君 | |
企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長 オリンピック・パラリンピック調整担当部長 被災地支援福島県事務所長兼務 | 松崎 浩一君 | |
訟務担当部長 | 江村 利明君 | |
復興支援対策部長 | 菊地 俊夫君 | |
復興支援調整担当部長 | 野口 一紀君 | |
行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 | 佐々木秀之君 | |
都政改革担当部長 | 池上 晶子君 | |
都政改革担当部長 | 小笠原雄一君 | |
情報通信企画部長 | 久原 京子君 | |
人事部長 | 栗岡 祥一君 | |
労務担当部長 | 村岡 教昭君 | |
主席監察員 | 安藤 博君 | |
行政部長 | 西村 泰信君 | |
多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長 事業調整担当部長兼務 | 山口 真君 | |
区市町村制度担当部長 | 小菅 政治君 | |
総合防災部長 | 梅村 拓洋君 | |
防災計画担当部長 | 小林 忠雄君 | |
防災対策担当部長 | 和田 慎一君 | |
統計部長 | 伊東みどり君 | |
人権部長 | 箕輪 泰夫君 |
本日の会議に付した事件
平成二十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
人事委員会事務局関係
・平成二十七年度東京都一般会計決算(質疑)
収用委員会事務局関係
・平成二十七年度東京都一般会計決算(質疑)
青少年・治安対策本部関係
・平成二十七年度東京都一般会計決算(質疑)
総務局関係
・平成二十七年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十七年度東京都特別区財政調整会計決算(質疑)
・平成二十七年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算(質疑)
○桜井委員長 ただいまから平成二十七年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、人事委員会事務局、収用委員会事務局、青少年・治安対策本部及び総務局関係の決算に対する質疑を行います。
これより人事委員会事務局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十七年度東京都一般会計決算中、人事委員会事務局所管分を議題といたします。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○矢岡任用公平部長 去る十月十四日の本分科会で要求のありました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元にお配りしてございます平成二十七年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
まず、表紙をおめくりください。目次にございますとおり、要求のありました資料は六件でございます。
一ページをお開き願います。
この表は、人事委員会が実施した平成二十七年度の採用試験及び選考につきまして、試験ごとに職種別の申込倍率、受験率、合格率などの状況をお示ししたものでございます。
次のページから五ページには、平成二十三年度から平成二十六年度までの実施状況をお示ししてございます。
恐れ入りますが、六ページをお開き願います。
この表は、人事委員会が実施した身体障害者を対象とする採用選考につきまして、障害の区分ごとに申込倍率、受験率、合格率などの状況につきまして、平成二十三年度から平成二十七年度までの五年分をお示ししたものでございます。
七ページをお開き願います。
この表は、人事委員会が実施している採用試験等における障害を持つ方への配慮につきまして、その具体的内容をお示ししたものでございます。
八ページをお開き願います。
この表は、人事委員会が実施しています採用広報活動等につきまして、イベントごとにその開催状況及び参加人数など、過去五年分の状況をお示ししたものでございます。
九ページをお開き願います。
この表は、職員からの苦情相談業務におきますハラスメント等に関する相談内容の具体的内容と対応状況につきまして、過去五年分、男女別にお示ししたものでございます。
一〇ページをお開き願います。
この表は、歴代の人事委員の中で、公務員としての経歴を持つ方をまとめたものでございます。一〇ページには東京都の出身者を、一一ページには高等裁判所長官など国家公務員歴を持つ方をまとめてございます。
以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○桜井委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○上田委員 人事委員会勧告制度及び手続、勧告の影響についてお伺いをいたします。
まず、昨年度の勧告に対して、都民の反響の件数、具体的に、内容についてどのようなものが寄せられたのか、お尋ねをいたします。
○矢岡任用公平部長 昨年の勧告につきましては、人事委員会に対しまして、都民の方から特にご意見等はございませんでした。
○上田委員 ご意見がないということで、改めまして、民間準拠としながらも、一〇ページ、資料6号の人事委員のメンバーで勧告をしているということなのですが、東京都職員と国家公務員などの元公務員が多くて、国民、都民の実感からは甚だ違和感があるところではないでしょうか。
このメンバーで、九割以上が民間勤労者である都民ファーストの--都民というのは、九割以上が民間勤労者でありますので、都民ファーストの給与体系を本当に策定できるのか確認をいたしたく、ご所見をお示しいただきたいと思います。
○矢岡任用公平部長 人事委員会の委員につきましては、現在、行政経験者である元副知事のほか、法曹界出身者、経済界出身者の三名で構成しておりまして、これらの委員の合議のもと、職員の給与につきましては、地方公務員法の規定に基づきまして、国や他の地方公共団体の職員の給与及び民間従業員の給与との均衡等を考慮して定めております。
具体的には、昨年の給与勧告におきましては、国の人事院や他の地方公共団体の人事委員会と共同しまして、都内の八百八十事業所、五万六千三百四十一人の民間従業員の給与の支給状況等を実地調査いたしまして、その結果に基づき、職員の給与と民間従業員の給与との正確な比較を行い、公務と民間との給与差を解消することで、職員の適正な給与水準の確保に努めております。
さらに、職員の職責や能力、業績等の給与への反映等の観点から、これまで給料表の構造や諸手当の見直しについて必要な勧告を行っており、都の給与体系は適正に策定しているものと考えてございます。
○上田委員 ご説明をいただきました。
しかし、なかなか都民の皆様には、我々都議会議員の報酬も含めてご批判が多いところでございますので、引き続き都民にもご説明をしていくということでありますし、私どももみずからの報酬のあり方なども襟元を正していきたいと思います。
また、給与のみならず、各種公務員手当についてのご批判も長らくあります。しかしながら、都はこれまで全庁を挙げて各種手当の適正化を敢行してきました。人事委員会として、決算年度における取り組み状況、現状と方向性についてお示しください。
○矢岡任用公平部長 昨年の勧告におきましては、各種手当制度を取り巻く状況変化に即して、必要な対応を検討していく旨を言及してございます。
今後とも適切に対応してまいりたいと思っております。
○上田委員 どうぞよろしくお願いをいたします。
職員団体事務所についてです。
人事委員会は、職員の労働基準監督機関としての機能を持っていますが、職員団体の事務所の、都有財産の提供について、基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
また、現在の状況が千八百平米ですか、無償貸与をしているというところですが、果たして労働組合法に定める賃料コスト、面積、立地ともに最小限なのかのお考えもお示しください。最小限ではない、すなわち過剰、不適当であると判断された場合の対応についてもご説明ください。
○矢岡任用公平部長 地方公務員法に定めます人事委員会の所掌業務には、都有財産の管理等は含まれてございません。したがいまして、当人事委員会は判断する立場にはございません。
○上田委員 地方公務員法の規定による人事委員会の所管業務には、都有財産の管理は含まれてはいないから、判断する立場にはないとのことであります。
職員団体の事務所の提供は、地方自治法に基づき、地方公共団体の長の権限に基づき行われるものであります。例えば、裁判にもなった大阪市の例が挙げられます。人事委員会の権限の範囲内で適正な判断が今後なされていくことを期待いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
障害者への合理的配慮です。
障害者権利条約が発効し、区市町村の具体的な取り組みとして地域包括ケア事業も展開、地域で障害者が暮らし、働く機運が高まってきました。地域で暮らす上では、収入の確保が必須となります。作業所の工賃では、とても生活ができないという声も私のもとには多く届いております。
障害者雇用促進法では、民間のみならず行政にも法定雇用率を課しております。さらに、雇用率に達しない民間事業者には雇用納付金を課しており、民間は切迫感を持って取り組んでいるところであります。
行政には雇用納付金制度はありませんが、当然のこととして、民間以上に率先して障害者が自分らしく働く場をつくり出していかねばなりません。資料によりますと、条約で定められた合理的配慮の具体的取り組みが進められつつありますが、採用予定数、応募者とも二桁を推移しております。都内障害者は八十万人以上おり、人口比から考えると、いずれも余りにも少ないといわざるを得ません。応募にすら結びつかない障害者が相当いるのではないかなと懸念するものです。
つきましては、いかにして障害者採用を推進するかについての周知、受験勧奨の取り組みと状況、課題、各学校、施設、区市町村等関係機関との連携状況につきご説明ください。
○森山試験部長 東京都におきましては、障害者雇用を一層促進し、さまざまな行政分野でおのおのの能力を生かし活躍してもらうため、昭和五十六年度から一般の職員採用試験、選考とは別枠で、身体障害者を対象とする採用選考を実施しております。
実施に当たりましては、選考案内を都内の盲・ろう・特別支援学校や都内各区市町村のほか、社会福祉協議会、東京障害者職業能力開発校等の関係機関に送付し、周知に努めております。また、平成二十七年度からは、首都圏の大学に設置されている障害学生支援部門二十カ所にも、選考案内とあわせてPRチラシを一緒に配布することにより、障害のある学生への働きかけに取り組んでおります。
さらに、受験に当たりましては、補聴器、ルーペ等の補助器具の使用や、試験問題及び解答用紙の文字の拡大、手話通訳者の配置等の配慮を行ってまいりましたが、これらに加えまして、平成二十八年度からは受験資格の見直しを行い、新たに点字による受験を可能としたほか、受験上限年齢を二十七歳から三十九歳に引き上げ、受験対象者の拡大を図っているところでございます。
○上田委員 就労支援センター等との連携も東京都はとっているということと、今年度の決算においては、支援部門二十カ所に選考案内を送付ということで、現状のお取り組みが一歩ずつ進んでいるということを確認させていただいた次第でございます。
さて、今般も東京都におきましては、採用の方、資料1号、4号を見ますと、順調な受験者数ということを確認させていただいております。採用というのは、東京都内だけの人材ではないと思いますけれども、都外の人材にはどのような働きかけをしているのか、お尋ねをしたいと思います。
○森山試験部長 都外の人材に対する採用広報活動につきましては、例えば平成二十八年度採用試験に向けまして、主に理系の学生を対象として、都の技術職員が直接仕事内容を紹介したり質疑応答を行ったりする技術職研究セミナーを、北信越、中国・九州、近畿の三地域九大学で開催しております。また、これらのセミナーに参加できない方などを対象として、インターネット上で都の若手技術職員が仕事のやりがいや職場等の紹介をし、リアルタイムで直接質問できるウエブセミナーも開催して、都の仕事への理解や関心を深めていただく取り組みを行っております。
○上田委員 そうしたお取り組みが、こちらの資料1号の結果に反映されているのかなというふうに思っております。個人的には、I類A、大学院を出た事務が八%、もう本当にわずかしか受かれないという厳しい状況、逆からいうと非常に優秀な人材が集まるのだなというふうに拝見させていただきました。
こうして新しい人材が都庁で働くことを楽しみに入庁をしてきますが、やはりそこでは人権が守られているのか、そうした取り組みについてもお伺いしたいと思いまして、各種ハラスメントについて伺いたいと思います。資料は九ページ、5号の資料でございます。
都庁十六万職員がいる中では、この件数は少ないのかなというふうにも思っておりますが、例えば児童や高齢者の虐待通報がふえたのは、近年になって急増したというわけではなく、都や区市町村が法に基づき積極的な取り組みを促されて、潜在化していたものが顕在化してきたということもあります。この相談件数についても、同じように気軽に相談ができるようになっていれば、ゼロが一つぐらいふえてもおかしくないのかもしれないと思いました。
もう一つ考えられるのは、わざわざ人事委員会まで行かなくとも、職場レベルで解決ができているのかもしれないなというのも読み取らせていただきました。
職員の人権とワークライフバランスを鑑みまして、人事委員会におけます対応と相談数についての評価、ご所見をお示しください。
○小澤審査担当部長 人事委員会は、地方公務員法及び規則に基づきまして、職員からの給与、勤務時間、その他の勤務条件に関して苦情相談を行うこととされておりまして、措置要求等、ほかの手段によるよりも簡易に苦情の申し出ができるようにしているところでございます。
各種ハラスメントに関する相談体制につきましては、当委員会のほかに、各局においてセクシュアルハラスメント、パワーハラスメントに関する相談窓口が開設されているところでございます。また、東京都人材支援事業団におきましても、会員とその家族のための相談室が置かれ、それぞれの窓口が必要に応じて連携しながら、苦情に対応しているところでございます。
人事委員会は、各種ハラスメントを含め苦情の申し出があった場合、当該の局と連携し、問題の解決に向けて誠実に対応してまいります。
○上田委員 局外連携が図れているという心強いご答弁をいただきました。事態が沈滞化しないための早目早目の取り組み状況が確認できました。
知事も職員向けの目安箱を別途設置するということですから、多面的、継続的に職員の人権、クオリティー・オブ・ライフが守られ、生き生きと都民のために働く精神風土を醸成できるものと期待をいたしまして、私の質問を終わります。
○桜井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○桜井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で人事委員会事務局関係を終わります。
○桜井委員長 これより収用委員会事務局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十七年度東京都一般会計決算中、収用委員会事務局所管分を議題といたします。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○砥出収用委員会事務局長 先般の委員会におきまして要求のございました収用委員会事務局関係の資料についてご説明申し上げます。
恐縮ですが、表紙と目次をおめくりいただきまして、お手元の要求資料第1号をごらんください。歴代収用委員のうち都及び都以外の公務員経験者(過去六年)でございます。
この表は、平成二十二年度以降に在職した公務員経験のある委員の氏名や任期、主要略歴等をお示ししたものでございます。
続きまして、お手元の要求資料第2号をごらんください。平成二十七年度における土地収用に関する相談・問い合わせの実績についてでございます。
この表は、平成二十七年度の相談実績を相談者別にお示ししたものでございます。
要求のございました資料は以上でございます。よろしくご審議のほどお願いいたします。
○桜井委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○上田委員 2号資料をお取り寄せいただきました。ありがとうございます。
収用に至る事案は毎年おおむね五十件、一方、相談、問い合わせは約九百件ということです。公共の利益、都民の私有財産を守ることとの調和に向けて、収用委員会が行政機関から民間に対応をし、役割を果たしていることが数字でわかりました。道路事業が九割を占めるということですが、収用審理に要する処理期間はどの程度のものなのかお示しください。
○砥出収用委員会事務局長 収用委員会では、申請から裁決までの処理期間について十カ月程度を目標に取り組んでおりますが、収用事件は、さまざまな理由で長期化することがございます。例えば、マンション事件のように権利者が多数存在する場合や、相続に伴う親族間の争いにより権利関係が確定できないものなどが手続に時間を要することになります。
平成二十七年度における申請から裁決までの平均処理日数は四百七十一日となっております。
○上田委員 また、特に期間を要したものがあれば、その理由と対応策につきご説明をください。
○砥出収用委員会事務局長 平成二十七年度に裁決を行った事案につきまして、申請から裁決に八百日以上要した事例がございます。これは、裁決前に相続が発生し、権利者の調整に時間を要したことなどによるものでございます。
収用委員会では、適正かつ迅速に事件処理を進めるため、相談支援センターにおける起業者や都民の方々からの相談受け付け、指名委員制度を活用した事件処理の短縮化、内部研修による事務局職員の事務処理能力向上など、さまざまな取り組みを行っております。
○上田委員 わかりました。
相談を受けて、また収用申請に至るものの割合がどの程度で推移しているというのもお答えいただければと思います。
○砥出収用委員会事務局長 起業者である国、都、区市などからの相談は全体の八割であり、申請に向けた具体的な相談のほか、一般的な収用手続に関するものや補償の考え方などの相談もございます。また、権利者からの相談は約二割でございますが、匿名での相談や対象となる場所の特定ができない相談もあることなどから、相談のうち裁決申請に至った割合がどの程度あるかは把握しておりません。
○上田委員 とはいえ、匿名でも相談に乗っているという状況を把握させていただきました。その相談の段階で解決する事案はどのようなもので、割合としても、もしわかればどのぐらいか確認させてください。
○砥出収用委員会事務局長 起業者は、任意による用地取得と並行して収用手続の準備を進めることが多く、結果として当委員会への相談の段階で、起業者、権利者双方との間で合意に至る事例もございます。また、収用手続がきっかけとなり任意交渉が進んだ事例もあると聞いております。
相談の段階で解決した事案の割合につきましては、相談者に対し、改めて事後確認を行っているわけではないため把握しておりませんが、引き続き相談支援センターにおいて丁寧な相談対応を心がけてまいります。
○上田委員 丁寧な相談体制も確認しました。
収用に至った場合の補償の基本的な考え方も改めてお示しいただければと思います。
○砥出収用委員会事務局長 憲法及び土地収用法に明記されているとおり、基本的な考え方は、正当な補償を行うということでございます。正当な補償とは、最高裁判例によれば、完全な補償、すなわち収用の前後を通じて被収用者の財産価値をひとしくならしめるような補償とされており、収用委員会でもこの考え方に基づいて補償額の算定を行っております。
○上田委員 完璧な対応といいますか補償ということが見てとれました。
最後に、先ほどのご答弁にもありましたが、結果として補償が不十分であれば訴訟に至るなど問題が長期化することが懸念されます。そのための対応策を具体的にご説明ください。
○砥出収用委員会事務局長 収用委員会では、裁決申請のあった収用事件に対して、公正、中立な立場から正当な補償額を算定しております。具体的には、裁決に至る過程において、起業者及び権利者双方から意見書の提出や審理の場で十分な意見聴取を行うとともに、必要に応じ第三者による土地及び物件の鑑定を行った上で、補償額につきましては裁決書に理由を明記しております。
あわせて、権利者に対しましては、土地収用のあらましというパンフレットやホームページによる周知などを通じ、補償の考え方を含め収用制度の理解促進に努めているところです。
今後とも、適正かつ迅速な事件処理に取り組んでまいります。
○上田委員 庶民からすると、強制収用というと、言葉だけで恐ろしいイメージがありますけれども、実際は、憲法に定められた財産を守るための正当な補償、完全な補償のための手続であり、適正な手続のもと、各当事者の理解と納得を得て進められていることがよく理解できました。また、1号資料を見まして、専門性の高い方々が携われていることも確認させていただきました。
今後、オリ・パラに向けた都市整備も進み、収用委員会の出番もふえてくることも想定されますことから、これまでの知見に基づき、引き続いてのお取り組みを望むものでございます。
私の質疑を終わらせていただきます。
○桜井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○桜井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で収用委員会事務局関係を終わります。
○桜井委員長 これより青少年・治安対策本部関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十七年度東京都一般会計決算中、青少年・治安対策本部所管分を議題といたします。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○延與総合対策部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 過日の当分科会におきましてご要求がございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元に配布しております要求資料の一ページをごらんください。東京都子供・若者計画の実施状況でございます。
根拠法令、計画の位置づけ、実施状況を記載してございます。
次に、二ページをごらんください。東京こどもネット・ケータイヘルプデスクの運営、利用状況でございます。
平成二十七年度の相談件数、内訳、関係機関との連携の実績を記載してございます。
次に、三ページをごらんください。「東京都ひきこもりサポートネット」の実績でございます。
平成二十七年度の相談件数、相談内容、他支援機関への紹介件数を記載してございます。
次に、四ページをごらんください。東京都若者総合相談、若ナビの実績でございます。
平成二十七年度の相談件数、相談内容、他支援機関への紹介件数を記載してございます。
次に、五ページをごらんください。早期からの「しつけ」の後押し事業実施件数でございます。
事業ごとに、平成二十七年度の実施件数を記載してございます。
次に、六ページをごらんください。青少年・治安対策本部所管の審議会等附属機関の開催状況と選出区分ごとの委員数、報酬額でございます。
機関名称ごとに、平成二十七年度の開催状況、選出区分ごとの委員数を記載してございます。
最後に、七ページをごらんください。七ページから九ページにかけまして、東京都安全安心まちづくり条例関連事業の平成二十七年度実施状況と予算額、決算額、執行率でございます。
事業ごとに、実施状況、関係条文、予算現額、決算額、執行率を記載してございます。
以上で要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○桜井委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○前田委員 よろしくお願いいたします。
青少年・治安対策本部では、先般の説明でもありましたとおり、治安対策、交通安全対策、青少年育成総合対策の三つの柱から施策を進められております。平成二十七年度の決算の審査に当たり、三つの柱について、それぞれ質問していきます。
まずは、防犯カメラの設置についてお伺いいたします。
安全で安心なまちづくりの中で、地域の主体的な防犯対策を支援する取り組みを推進するための予算として、平成二十七年度は、地域や商店街、通学路の防犯設備に対する補助金を七億九千万円計上されておりますが、執行実績を金額及び設置台数ベースでお伺いいたします。
○臼井治安対策担当部長 都では、防犯カメラの設置を契機として地域住民等の防犯意識が高まり、見守り活動などが活発に展開されることを目的として、商店街、町会、自治会等が設置する防犯カメラのほか、区市町村が通学路に設置する防犯カメラの設置に関する経費の一部を補助しております。
平成二十七年度においては、二十二区二十一市一町に対し三千百九十五台の防犯カメラの設置を補助いたしました。防犯カメラの設置に関する予算額は七億八千八百二十万円で、決算額は五億八千六百七十万三千円、執行率は七四・四%となっております。
○前田委員 執行率が七四・四%とのことですが、地域で設置された方々からは、上限額が六十万に対し、実際には四十万円程度ともお聞きしておりますので、予算に対してかなり多くの方がご利用されているということが理解できました。
そこで、補助額が異なる地域、商店街、通学路の三事業について、平成二十七年度の決算金額及び設置台数をそれぞれお伺いいたします。
○臼井治安対策担当部長 平成二十七年度の町会、自治会等に対する地域における見守り活動支援事業補助は、決算額は二億八千三百五十六万円で設置台数は千三百六十四台、商店街に対する防犯設備の整備に対する区市町村補助は、決算額は二千六百二十万五千円で設置台数は二百三十三台、通学路に対する通学路防犯設備整備補助は、決算額は二億七千六百九十三万八千円で設置台数は千五百九十八台となっております。
○前田委員 実績としては、地域や通学路における防犯カメラの設置が多いということがわかりました。
地域の防犯カメラについては、地域により、防犯上必要な場所に設置すべきと考えますが、設置場所はどのように決めているのかをお伺いいたします。
○臼井治安対策担当部長 防犯カメラは、委員ご指摘のとおり地域の要望を踏まえた上で、防犯パトロール等とも連動して、防犯上有効な場所に設置していくことが非常に大事でございます。都の補助事業では、防犯カメラの設置に関しまして、警察等の専門家に相談し、その意見に留意して設置することとなっております。地域が直接地元の警察署等と協議し、意見を聞く場合もございますが、都でも、区市町村を通じて提出された設置要望箇所につきまして、警視庁に対し意見照会を実施しております。
○前田委員 防犯カメラの設置については、地域の要望と専門家の意見などを踏まえて設置するとのことですが、ぜひ各地域の実情に合った設置助成をお願いいたします。
例えば私の渋谷区では、住宅地内に狭隘な公園が多く、安全面、そしてごみの不法投棄、落書きなどの問題などへの対応として、公園内へのカメラの設置の要望がよく出ています。要望は、町内会、自治会から出ておりますが、助成対象となる公園の管理者は区市町村ですので、都民の生活にとって身近な公園の防犯カメラ設置が進むよう検討いただくことを要望しておきます。
次に、身近な犯罪の防止対策の新規事業である自動通話録音器の設置についてお伺いいたします。
昨年度の被害総額が六十億円を超えるといわれる高齢者を狙った振り込め詐欺などの特殊詐欺を防止するため、平成二十七年度に、我が党の提案により自動通話録音機の無償貸し出しの予算が一億円計上されておりますが、執行状況をお伺いいたします。
○臼井治安対策担当部長 本事業は、都が自動通話録音機を購入し、被害の対象となることの多い高齢者に関しさまざまな情報を有する区市町村及び犯罪関連情報を有し地域に密着した活動を展開している警察署にそれぞれ依頼し、設置を希望する高齢者世帯等へ無償で貸し出す方式で実施いたしました。
この録音機につきましては、当初一万台を購入する予定で事業を開始いたしましたが、設置を希望する声が多かったことから、さらに一万台を二回に分けて追加購入し、合計で二万台を区市町村と警察署に振り分けて高齢者世帯等への無償貸与を依頼いたしました。
なお、現在までに購入した二万台の九割以上が都民に貸与されている状況でございます。
○前田委員 ありがとうございます。二万台近くの貸与がされているということですけれども、振り込め詐欺は、オレオレ詐欺、母さん助けて詐欺など次々と名前が変わるのと同じく、だましの手口も刻々と変化している中で、この自動通話録音機設置の効果についてお伺いいたします。
○臼井治安対策担当部長 振り込め詐欺には、オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺及び還付金詐欺といっただましの手口がありますが、平成二十七年中は約七割がオレオレ詐欺でございました。
これら振り込め詐欺は、現在も電話を使用してだます手口が主なものとなっております。自動通話録音機は、着信の際、呼び出し音を流す前に通話を録音する旨の自動メッセージが流れる仕組みとなっており、詐欺犯人は、録音されることを恐れ、その時点で通話を断念する傾向にございますので、高齢者等が直接犯人と話す機会をなくすこととなり、非常に高い効果を発揮しております。
なお、これまでにこの録音機を設置し、正常に作動している状態で特殊詐欺の被害に遭ったという事例は確認されておりません。
○前田委員 自動通話録音機を設置することにより、振り込め詐欺の件数がなくなったというのをお聞きしましたように、振り込め詐欺への抑止効果が大変高いことがよくわかりました。この種の詐欺被害を根絶するために、さらなる普及拡大を図っていくべきと考えますが、今後の事業展開をどうお考えかお伺いいたします。
○臼井治安対策担当部長 昨年度は、緊急対策事業として自動通話録音機の設置促進に努めてきたところであり、さらに継続的な普及を図るため、今年度は区市町村に対する設置促進補助事業とし、三年間で五万台を配布する計画で事業を展開しております。
本補助事業の推進に当たりましては、取り組みの主体でございます区市町村長に対しまして直接働きかけを行ったほか、区市町村の担当者に対し、録音機の有用性や事業についての説明を丁寧に行っているところであります。
また、都民に対しましては、各種講座やイベント等において録音機の機能や効果等を実演なども組み入れながらわかりやすく説明しアピールするなど、積極的な啓発を行っております。
今後も関係機関と連携を図りながら、さまざまな機会を捉えて録音機の設置促進に努め、振り込め詐欺等の特殊詐欺根絶に向けて取り組みを強化してまいります。
○前田委員 自動通話録音機のさらなる普及に努めるよう、ぜひお願いをいたします。
次に、自転車の安全利用についてお伺いいたします。
自転車走行空間の整備やナビルートの設置など、自転車の利用拡大を図る一方、利用に対してのルール、マナーの向上を行わなければなりません。ソフト、ハードの両面から自転車にかかわる対策を社会全体で推し進めていくために、まず、事故の実態について確認いたします。
昨年までの事故の発生件数の推移をお伺いいたします。
○臼井治安対策担当部長 都内の自転車が関係する交通事故の発生件数は、平成二十五年は一万四千五百八十四件、平成二十六年は一万二千六百六十六件、平成二十七年は一万一千六十件と着実に減少しているものの、いまだ一万一千件を超える自転車事故が発生しております。
○前田委員 いまだ一万一千件を超える自転車に関する交通事故を抑制するためにも、先日の概要説明にあった自転車安全利用TOKYOキャンペーンなど、自転車の交通ルール等普及啓発の実施拡大を行うべきと考えますが、昨年度の実績についてお伺いいたします。
○臼井治安対策担当部長 都は、毎年五月の自転車月間に合わせ、区市町村、警察及び関係団体と連携した自転車安全利用TOKYOキャンペーンを展開し、イベントと連携した自転車安全教室の開催や啓発用リーフレットの配布等によりまして、自転車の交通ルールを広く周知しております。
平成二十七年度は、本キャンペーンの開始に当たりまして、キックオフイベントを初めて開催するなど広報活動を強化したほか、スタントマンが交通事故を再現し、事故の恐怖を体感させるスケアードストレート交通安全教室を銀座柳まつり等のイベントと連携して三回開催するなど、効果的に交通ルールの啓発を図っております。
また、交通ルールのほか、損害賠償保険加入の重要性も記載したリーフレットを対象の年代別に作成し、小学校、中学校、高等学校や商工会議所、シルバー人材センター等に対しまして合計三百万枚配布し、幅広く周知を図っております。
○前田委員 スタントマンが交通事故を再現するスケアードストレート方式は、私も見させていただきましたが、そのリアルさから効果の大きさを理解しています。
ほかにも、体験型教育として自転車シミュレーターを学校に貸し出し、安全教室を支援しているとのことですが、昨年度の事業実績と今年度の予定についてお伺いいたします。
○臼井治安対策担当部長 自転車シミュレータ交通安全教室は、平成二十四年に年間六十回の開催でスタートした事業でございますが、平成二十五年度以降は年間百五十回に規模を拡大し、年間約一万人が受講しております。
平成二十七年度につきましては、小学校や中学校を初めとした学校での開催が約半数の七十三回、その他区市町村が実施している各種イベントや大型商業施設等で開催し、幅広い方々に体験の場を提供するとともに、死亡事故の増加を踏まえた緊急対策といたしまして、予定していた百五十回に加え、二十回を追加実施いたしました。今年度につきましては、さらに二百回に回数を拡充して実施する予定でございます。
○前田委員 今年度は二百回を予定されているとのことですが、さらなる安全利用指導啓発を行い、自転車利用側による交通事故を減らしていくことが大切と考えます。
そこで、実態の確認ですが、平成二十七年の自転車利用側に何らかの違反があった事故の割合をお伺いいたします。
○臼井治安対策担当部長 事故における自転車側の違反率は、平成二十七年の数値で約四七%となっておりまして、五割近い事故におきまして、自転車利用者側にも何らかの違反がある状況でございます。
○前田委員 自転車利用者のルール遵守の徹底を図り、事故を一件でも減らしていく努力をお願いする一方、実際に事故が発生しているのが現実です。
自転車側が加害者となる交通事故によって、都内でも約五千万という高額な損害賠償が命じられた判決があったとも聞いています。本来は国において、自転車販売時に保険料を一律で上乗せするなど、全国的な制度を導入するなどが求められています。
東京都では、先般の定例会において自転車安全利用条例が改正され、家族の安全利用啓発の努力義務が加えられたところですが、いざというときの備えのため、他の自治体で実施されている自転車利用の損害賠償保険の加入義務など、検討されるよう要望しておきます。
私から質問の最後に、中学生の職場体験についてお伺いいたします。
礼儀などの社会性や勤労観など、中学生が身につけることを目的として、地域の企業や商店などで仕事を体験する職場体験は、青少年の健全育成にかかわる事業として教育庁と協力して行われておりますが、平成二十七年度の実績をお伺いいたします。
○稲葉青少年対策担当部長 中学生の職場体験は、不登校、ひきこもりやフリーター、ニートの増加など、若者の働く意欲が希薄になっているという社会状況を踏まえ、中学生に社会の一員としての自覚を促すとともに、望ましい社会性や勤労観、職業観を育成することを目的として平成十七年度から実施しております。
都内の公立中学校等においては、五日間程度、地域のスーパーマーケットなどの商店や民間企業、警察署や福祉施設などの公的機関などで職場体験を実施しております。実施校数は着実に増加し、平成二十六年度からは全公立中学校等で取り組んでおり、平成二十七年度は六百二十六校、七万七千四百七十人の生徒が体験いたしました。
また、受け入れ事業所のご理解、ご協力と学校の努力により、生徒に三日間以上の体験をさせることができている学校は五百三十六校で、全体の八五%以上となっており、そのうち五日間実施した学校も百八十七校ございました。
○前田委員 中学生に、仕事を通じて礼儀などの社会性を育む大変意義のある事業と考えますが、もう一つの目的である自分たちの将来の仕事という面では、受け入れ事業所のさらなる拡大を要望いたします。
オックスフォード大学が、あと十年で消える職業、なくなる仕事を認定したり、すさまじい人工知能の発達により、近い将来、十人中九人は今と違う仕事をしているといわれている時代、IT産業などの最先端の職種にも受け入れ拡大を行うべきと考えますが、特にIT関連事業所などは地域により所在のばらつきがあるので、都が事業所の新規開拓を積極的に協力することを要望し、私の質問を終わります。
○栗林委員 それでは、私の方から、通学路等における子供の安全対策についてお伺いをさせていただきます。
かねてより私は、子供の安全対策について質問をさせていただいてきたところでございますが、子供が犯罪や事故などからの被害に遭うことなく、安全に、そして安心に暮らせる環境を整備することは、私ども大人の責任であり役割だと認識しているところです。
都は昨年、安全安心まちづくり条例を改正して、子供の安全対策についても、通学路等における安全対策の規定が追加され、新たに通学路等における児童等の安全確保に関する指針が作成されたと思います。この指針が策定されてからちょうど一年が経過いたしました。この間、どのような取り組みが進められてきたのかを伺わせていただきます。
○臼井治安対策担当部長 都では、昨年六月の条例改正に伴い、通学路等における児童等の安全確保に関する指針を新たに策定し、警察署、学校、通学路等の管理者、保護者、地域住民に対し、通学路等における児童の安全を確保するための方策を示しております。
これにより、警視庁や区市町村等と連携し、通学路等の環境整備として防犯カメラの設置促進や安全点検などを実施したほか、子供の安全教育として、地域安全マップづくりや子供一一〇番の家駆け込み訓練等に取り組み、子供の安全対策を推進いたしました。
○栗林委員 指針によって、さまざまな取り組みが進められていることは理解いたしました。
子供の安全対策は、ハード、ソフトの両面から取り組んでいくことが重要だと思います。
そこでまず、ハード面の取り組みとして、通学路の防犯カメラについて、これまで何校に何台設置をされたか、また今後どのように設置を進めていくか、伺わせていただきます。
○臼井治安対策担当部長 通学路の防犯カメラは、平成二十六年度から三十年度までの五年間で、区市町村立小学校約千三百校の通学路に防犯カメラの設置を進めるため、設置経費の二分の一を補助するものでございまして、平成二十七年度末までの実績は、累計五百八十九校、二千百四十五台となっております。
今後は、平成三十年度までに、執行委任先でございます教育庁とも連携を図り、通学路への防犯カメラの設置を進め、地域や保護者等による子供見守りなどとも連動した安全対策の強化を図ってまいります。
○栗林委員 既に約半分の学校において通学路のカメラを設置しているということでありますが、今後も教育庁と連携をしていただきまして、全校設置をぜひ進めていっていただきたいと思います。
ことしの第一回定例会で、私も、子供がみずからの力で身を守る、このことの必要性を質問させていただきました。警視庁と青少年・治安さんの方でも取り組んでいらっしゃるイカのおすし、これも大分子供たちには定着はしていますが、最近ちょっと余り聞かなくなってきたので、イカのおすし、ご存じですか。ついて行かない、知らない人の車に乗らない、大声を出す、すぐ逃げる、知らせる、これがイカのおすし。こういう行動をわかりやすい言葉に出して、注意、普及啓発していくこともまた大事でございます。
あと、ちょっとこの間、気になる記事が出ておりました。七歳児の交通事故というのが突出して多いようでございました。
交通事故総合分析センターのことし六月のリポートなんですけれども、突出して多く死傷者数が出ておりまして、特に小学校一年、二年生に当たる七歳児が多いということで、登下校中が三六%、また全体の七三%が日中に発生しているということで、やはりこの通学路の安全対策というのが非常に大事ではないかと思いますので、今後も取り組み強化、取り組んでいただくことを要望させていただきます。
次に、若ナビについてお伺いをさせていただきます。
現在、東京都は、かつて経験したことのないほどの急速な少子高齢化が進展している状況でございます。今後とも東京が活力と持続可能な成長を遂げていくためには、東京の未来を担う若者が、持てる力を最大限に発揮して、生き生きと活躍できる社会をつくっていくことが重要でございます。
しかし、実際に一人一人の生活に焦点を当ててみると、ちょっとしたきっかけで人間関係がうまくいかなかったり、また学校生活や職場に適応できなくなるという若者も少なくないと思います。
東京都は、若者特有のさまざまな悩みに、相談に対応する窓口として、東京都若者総合相談事業、略して若ナビでございますが、実施しています。会社勤めの人や学生生活を送る若者の利便性に配慮をして、相談時間についても、電話相談は朝十一時から夜八時まで、またメール相談は二十四時間受け付けをしているということも、内容を拡充していただいているところでございます。私も、これは非常に、もっともっと皆様に知っていただきたいということで、私の事務所にも、最初設置されたときに出されたポスター、元アイドルがイメージキャラクターになっている、あなたのもやもや解決しませんかという非常にインパクトのある、目を引くポスターでございます。これも張らせていただいていますし、また、商店街にも若い方が多く出入りする定食屋さんとか、そういったところにも置かせていただいて、もっとこういうのを広めていかないのなんていうお声もかけていただいているぐらい、大変好評ではないかと思います。
初めに、この若ナビの平成二十七年度の相談実績についてお伺いをいたします。
○稲葉青少年対策担当部長 平成二十七年度の若ナビの相談実績は、電話相談が三千四百十六件、メール相談が四百九十件、派遣型面接相談であるカフェの相談が五件の、計三千九百十一件となっております。
寄せられている相談の内容は、全体としては自分の悩みや不安に関する相談が多くなっていますが、十歳代では友人関係や将来の進路、二十歳代では就職、三十歳代は仕事に関する悩みなどの相談が特徴的となっております。若ナビでは、若者のさまざまな悩みを受けとめるとともに、必要に応じて専門の相談窓口や適切な支援機関につないでおります。
○栗林委員 電話やメールでの相談は、ちょっとした不安とかつまずきを感じたときに、すぐに相談できる気軽さもありますし、話をしていくうちに課題が整理をされて、若者自身が主体的に問題解決に取り組む気持ちを取り戻すこともできるケースも多いと聞いております。ぜひ、今後とも広く若者の悩みを受けとめ、力になっていただきたいと思います。
この若ナビは、我が党も、設置から拡充を一貫して求めてきた制度だけに、さらなる拡充、普及啓発、そして若者のステップアップにつながるよう、取り組みをお願いしたいと思います。
一方でまた、家族関係や学校生活の不適応などから、非行に走ったり居場所を失って孤立してしまう青少年も少なくはありません。家庭環境が複雑で、周囲との人間関係も希薄になりがちになり、なかなか立ち直りのきっかけをつかめずにいる人も多いと思います。
都は、平成二十年度から、非行少年等の立ち直りを支援するために、就労、就学、生活自立支援等の各種支援を行う通所型のワンストップセンター、ぴあすぽを運営しています。都は、ぴあすぽにおいて具体的にどのような支援をしているのか、伺わせていただきます。
○稲葉青少年対策担当部長 非行少年等の立ち直り支援を行うぴあすぽでは、本人や家族、保護司等からの電話やメールでの相談に加え、来所相談にも対応してございます。非行少年等の就労、就学等に向けた各種支援を行うことにより、少年が再犯の道に陥ることを防ぐとともに、非行歴のある少年の立ち直りを地域で支援する取り組みを行っています。
具体的には、ハローワークと連携し少年を就労に結びつけた事例や、少年院入院中から少年と関係を構築し、出院後も切れ目なく支援した事例など、他機関と連携して支援することが必要な事例がふえてございます。
○栗林委員 刑法犯の少年については、警視庁の統計を見ても、六年連続で検挙、補導人員が減少しているといわれていますけれども、再犯者の割合が増加するなど、まだまだ課題は残されていると認識しております。再犯防止に向けて、非行少年を孤立させることなく、しっかりと立ち直りを支援することが求められます。
また、ぴあすぽに相談に来る非行少年は、複雑な家庭環境や発達障害等の困難を抱える少年が多いとも聞いておりました。このような少年の立ち直りに向けては、地域社会の役割も大きいと考えております。
私の地元にぴあすぽさん、設置していただいているんですけれども、何回か私もお邪魔させていただいています。大変大事な役割を担っていただいている場所なんですが、非常に狭くて、なかなか居場所という機能はちょっと果たせないのかなという課題もあると思います。今、世田谷ですけれども、都内全域を担っている拠点なので、もう少し中央といいますか、その辺に拠点が構えられたらなお一層行きやすくもなりますし、急にそういった展開が無理であるならば、多摩地域とか、また足立区とか江戸川とか、いろんな方面に、出前型でもいいので、月一回とか週一回とか、そういう相談も受けられるような巡回型の、出前型の、そういう体制も今後考えていっていただければなと思っております。
非行少年の立ち直り支援を充実させるためには、地域社会においても、大変その役割は重要かと思います。
そこで、地域社会において必要なことは何か、伺わせていただきます。
○稲葉青少年対策担当部長 非行の少年の立ち直りには、受け入れ側である地域社会の理解と協力が不可欠でございます。都では、地域社会において非行少年の立ち直りを支援する機運を醸成するため、少年非行問題に関する啓発イベントを開催しております。
また、国や区市町村と連携し、犯罪や非行の防止と罪を犯した人たちの更生について理解を深め、犯罪のない社会を築くことを目指す全国的運動であります社会を明るくする運動も実施しております。
今後も、地域の支援機関、団体等とも連携をしながら普及啓発に取り組んでまいります。
○栗林委員 子供、若者、青少年は、信じることのできる人に出会うことで、大きく人生が変わってくると思います。将来ある青少年に犯罪や非行をさせないということが何よりも重要でございます。
また、非行や犯罪に陥った場合でも、罪を償い、社会の一員として立ち直ろうとする人たちに対しては、本人の強い意志や行政機関の働きかけはもちろんのこと、地域社会の理解と協力が重要でございます。ぜひ今後とも、引き続きさまざまな、いろんな団体との連携も含めまして取り組みをお願いしたいと思います。
最後に、先ほど前田委員からもご質問されていましたけれども、ちょっと角度を変えまして、中学生の職場体験について伺わせていただきます。
近年、就業構造が大きく変化する中で、雇用形態が多様化して流動化し、非正規雇用による不安定な就労状況、また最近問題になっております長時間労働など社会問題化している事例も見受けられます。若者が自分の生き方や進路を主体的に考え、選択をし、社会的自立を果たすためには、早い段階から働くことの意義を理解したり、勤労観や職業観をみずから形成していくことができるようにすることが重要であります。
都が実施しております中学生の職場体験事業について、関係する方々から寄せられている声などを踏まえまして、その効果を伺います。
○稲葉青少年対策担当部長 中学生の職場体験に対しましては、生徒、保護者、受け入れ事業者の大半から肯定的な声が寄せられております。生徒からは、働いている人のプロ意識や仕事への姿勢に感銘を受けたとの声があり、保護者からは、子供が社会の一員としてのマナーやルールを学び、働いている親への尊敬の念を改めて感じたようであるといった感想がございます。また、受け入れ事業者側からは、中学生から刺激を受けて職場の活性化につながったとの声をいただいております。
職場体験は、生徒にとって働くことの意義や自分の将来の職業を考えるきっかけになるだけでなく、学校での学習と社会とのかかわりや、人と人とのかかわりの大切さなどを学ぶことができる機会となっております。
○栗林委員 ぜひこういった場の提供、数をふやしていただきたいと思います。大変効果がありますし、大事な取り組みだと思います。
もう随分昔ですけど、もう十年以上前でありますが、十三歳のハローワークという村上龍さんが書かれた本がございまして、大変話題にはなっておりましたけれども、ちょうどそのときに、世田谷区内のある中学校に村上龍さん自身がゲストティーチャーとして、仕事についてということで特別授業を持ってくださいました。私もそれを見せていただいて、驚いたのは、その授業を受けて、仕事というものに対する村上さんのその授業を聞いて涙ぐむ中学生が多いことに本当に驚きました。
そのときは、人生は一度しかない、もう好きで好きでしようがないことを仕事にしようとか、いい学校を出て、いい会社に入れば安心という時代は終わりました、好きで好きでしようがないことを職業にしませんかとか、そういうとても熱いメッセージを込められた授業をしてくださったんですけれども、やはり中学生という、こういう本当に感受性の多感な時期にこういった経験をするということは、非常に意味があると思いますので、ぜひ今後も取り組みを強化していただきたいと思います。
子供たちの豊かな人間性や社会性を育むためには、実際に体験することほど貴重な場はありません。昨今は、インターネットの世界が日常生活の中に浸透して、バーチャルな体験ばかりになりがちでありますけれども、子供たちが、本物--本物に触れる機会を積極的につくり出して、学校だけでなくて、地元の商店や企業の方にも協力いただきながら、地域で子供を育てていく、いわゆる地域教育の機会を充実させていっていただきたいと思います。
都は、昨年八月に東京都子供・若者計画を策定しました。これまでさまざまな分野で実施してきた若者支援の取り組みが一覧化されました。今後さまざまな分野の取り組みが充実をして、未来を担う若者が将来に希望を持って成長していけるような社会づくりが実現できるよう、さらなる取り組みを強化し、質問を終わります。
○中村委員 青少年・治安対策本部の決算について質問します。
まず、防犯カメラについて伺います。
近年では、刑法犯認知件数は減少傾向にあるものの、特異な事件の報道などもあり、体感治安がよくなったという印象は、残念ながらまだありません。そのため、以前は、防犯カメラについては監視社会につながるとして余り歓迎されていませんでしたが、最近は、地域のつながりも弱まったこともあるためか、安心・安全のために防犯カメラが必要だとの声も大きくなってきました。
以前は、カメラを設置しても人がモニターで監視をするしかなく、大きな費用がかかったのですが、技術革新によるカメラの小型化、記憶メディアの大容量化などにより、設置が容易になりました。
もちろん、それでもまだ一定の経費はかかることから、設置を望む団体からも都の支援を求める声がありました。都では、商店街、町会・自治会等、通学路において、防犯カメラの設置に関する経費を補助していますが、昨年度のそれぞれの補助実績を伺います。
○臼井治安対策担当部長 平成二十七年度の補助実績につきましては、商店街に対する防犯設備の整備に対する区市町村補助は、決算金額は二千六百二十万五千円で設置台数は二百三十三台、町会、自治会等に対する地域における見守り活動支援事業補助は、決算金額は二億八千三百五十六万円で設置台数は千三百六十四台、通学路に対する通学路防犯設備整備補助は、決算金額は二億七千六百九十三万八千円で設置台数は千五百九十八台となっております。
○中村委員 防犯カメラの実績についてはわかりました。
関係する団体からは、設置への補助だけではなく、その後継続する管理やメンテナンスにも費用がかかることから、設置をちゅうちょするとの声も聞きますので、民間の保有とはいえ、今後検討が必要になるかとは思います。
さて、防犯カメラは犯罪抑止に大変有効ですが、一方で個人情報保護の観点から、その設置場所や運用については配慮が必要です。
そこで、都では、防犯カメラの運用についてどのように基準を定めているのか伺います。
○臼井治安対策担当部長 防犯カメラは、プライバシー等に十分配慮し、設置、運用すべきものでございます。都が補助する防犯カメラにつきましては、区市町村が地域の治安状況等を踏まえ、条例等により設置、運用基準を定めることとしております。
なお、区市町村が条例等で定めていない場合は、防犯カメラの設置場所を表示することや映像の保存期間を一週間程度とすることなど、都が定めた基準により運用しております。
○中村委員 今や、都や市区町村の補助を受けて設置をするものだけではなく、民間でも多くのカメラを設置しており、都民としては、適切に運用されているかどうかが大変気になるところです。顔のデータはアナログ情報ですが、将来はデジタル情報になると、いつ、誰が、どこにいたか、検索すればすぐわかる技術が可能かもしれません。
私の地元の三鷹市では、公共の場所に設置をする防犯カメラについては、民間設置も含めて、プライバシー保護の観点から条例で一定のルールを設けています。犯罪の抑止は必要ですが、過度な監視社会になってはなりません。都として、民間のカメラも含めて条例などで基準を定める必要があるかと思いますが、どのように考えるか伺います。
○臼井治安対策担当部長 防犯カメラにつきましては、防災意識の高まりとともに、民間においてもさまざまな目的により多様な場所に設置が進んでおります。その設置、運用に関しては、原則として設置者がプライバシーに十分配慮した上で適切に管理すべきものと考えております。
都では、都が補助する防犯カメラにつきましては、先ほどご答弁申し上げたとおり、区市町村または都の基準により、プライバシーに十分配慮し、適切に設置、運用しております。
○中村委員 都においても、今後は民間を含めて公共の場所に設置をする防犯カメラに関しては、一定の運用ルールを定める必要があると思いますので、意見として申し上げておきます。
次に、防犯カメラは犯罪抑止の効果が高いといわれていますが、しょせんこれは抑止力でしかありません。地域の力が落ちているとの意見もありますが、地域の安全・安心を確保するためには、見守り活動とあわせて行うことが重要です。
そこで、都では、町会、自治会や防犯ボランティア団体がパトロール等の活動を実施するに当たり、どのような支援をしているのか伺います。
○臼井治安対策担当部長 都内では、約四千の防犯ボランティア団体が、地域においてパトロールなどの防犯活動を実施しております。都では、このような自主的な活動を支援するため、防犯カメラの設置補助のほか、防犯灯やベストなどの装備品の補助も実施しております。また、防犯ボランティアリーダーの育成や防犯ボランティア団体同士の情報交換の場である集いの開催、青色防犯パトロールの講習会などを実施し、活動を支援しております。
○中村委員 地域の安全・安心の向上を図るため、今後もぜひ防犯カメラの設置とあわせて、やはり地域における自主的活動が重要ですから、そうした活動への支援を進めていただきたいと思います。
次に、渋滞対策について伺います。
都市部における課題はさまざまありますが、道路渋滞は、まさしく都市の課題でもあります。渋滞は、経済的な損失になるばかりか、ドライバーがいらいらを募らせれば交通事故につながりかねません。都市計画道路の整備が完全に終われば渋滞がなくなるとも思えませんが、少なくとも整備が完了していない段階において、できるだけ渋滞をなくすよう取り組むことは重要です。
都は、ハイパースムーズ作戦として、ITS、高度道路交通システムを活用した渋滞対策に取り組んでいるとのことですが、決算年度の取り組み、決算額について伺います。また、実際にどの程度渋滞が解消されたかの効果が重要ですので、あわせて伺います。
○臼井治安対策担当部長 ハイパースムーズ作戦は、既存の道路空間を活用した即効性ある渋滞対策事業として、建設局、都市整備局など庁内各局、警視庁、東京国道事務所が連携して、平成二十年度から実施してきた事業でございます。
平成二十七年度の主な取り組みでございますが、ITS技術を活用して交通量を予測し、最適な信号制御を行う需要予測信号制御を晴海通り、中央通り、第一京浜、水戸街道、三ツ目通りの五路線区間に導入いたしました。また、ルート別の混雑状況、所要時間等を表示する交通情報板を第一京浜、目白通り、日光街道に設置いたしました。決算額は一億八千五百五十七万七千円でございます。
対策の効果につきましては、平成二十七年度の対策も含めて、平成二十年度から八年間の対策について総合的な効果検証を今年度行っており、検証結果につきましては、今年度中に公表する予定でございます。
○中村委員 効果は今年度中に発表するとのことですが、重要な課題であり、多額の予算もかかっていることから、きちんと検証していただきたいと思います。
また、このハイパースムーズ作戦には、荷さばき対策や客待ちタクシー対策や道路施設の改善などハード整備が必要なものもあれば、ITSを活用した公共車両優先システムの活用もあるとのことです。
そこで、この公共車両優先システムの導入と効果はどうだったのか伺います。
○臼井治安対策担当部長 ハイパースムーズ作戦におきましては、交通アクセス機能の強化策の一環として、羽田空港の国際定期便就航に合わせて、平成二十二年度から空港直行バスが円滑に通行できるように信号制御を行う公共車両優先システムを導入いたしました。
平成二十七年度までに、新宿周辺地区など七地区と羽田空港とを結ぶ路線に導入し、平成二十六年度までに導入した六区間につきまして効果検証を行った結果、約三分の二の便で時間短縮効果があったことを確認しております。
○中村委員 先ほども述べましたが、渋滞による経済的損失は極めて大きいため、対策が必要です。ただ、建設局の道路整備や警視庁の交通管理など他局によるところが大きい上、ハード整備まで含めると膨大な予算がかかります。青少年・治安対策本部は、一生懸命取り組んでいただいているのはわかりますが、人員も予算も小さな組織です。渋滞対策という大きな問題についてどのように考えるのか伺います。
○臼井治安対策担当部長 渋滞解消のためには、三環状道路の整備等道路整備事業とあわせて、既存の道路において、渋滞箇所ごとの原因に応じた対策を関係各機関が連携して効果的に実施していくことが重要でございます。
当本部は、これらの事業を効果的に進めるため、ハイパースムーズ作戦の関係部局による推進会議の事務局として、事業計画の策定に向けた調整や効果検証を実施するなど、その推進役を担ってまいりました。
今後とも、関係機関等との緊密な連携協力のもと、ITSなど最新の技術も活用し、総合的かつ効果的な渋滞対策に一層取り組んでまいります。
○中村委員 大きな組織であると一般的には縦割りになりがちで、特に都は、最近の豊洲の問題などでも縦割りが厳しく指摘をされています。もちろん、警視庁は都の組織とはいえ独立した機関ですから、だからこそ課題に対してより一層の連携が必要です。警視庁や建設局が本来の業務の中で渋滞解消にも努めていただきたいのですが、少し信号の時間を変えればとか、長い道路をつくらなくても、とりあえず右折レーンさえつくればとか、渋滞解消に向けてすぐにできることはまだまだあると思います。
青少年・治安対策本部は、調整など推進役を務めてきたとのことですから、今後もその役割を十分果たしていただきたいと思います。何より、今年度中に検証結果を発表するとのことですから、大詰めの段階ですし、また、その検証結果をもって次にどうするかというスタートの年でもあるかと思います。都市における深刻な課題である渋滞解消に向け、今後も着実に取り組んでいただくことを求めます。
次に、ひきこもり対策について伺います。
就学や就労に至らない青少年の問題として、都は、主に義務教育修了後の十五歳から三十四歳までを対象にしていますが、それを超えてもひきこもりの状態にある方もいて、年齢は必ずしも青少年に限りませんし、その原因の多様さ、問題の長期化から考えても、これは真剣に取り組まなければならない課題です。
そのためには、まず、しっかりとした実態把握が必要です。過去の決算委員会でも質問しましたが、当時から推定二万五千人という数字しかなかったのですが、今もそれは変わっていないようです。深刻な状況から、しっかり調査すべきではないかと考えますが、見解を伺います。
○稲葉青少年対策担当部長 都は、ひきこもり対策として、平成十六年度から東京都ひきこもりサポートネット事業を開始し、電話や電子メールによる相談に対応するとともに、平成二十六年度からは訪問相談を開始し、支援の充実を図ってまいりました。
ひきこもりの若者やその家族を適切な支援につなげるためには、個々の若者の状況を把握し、それに合った支援を行うことが重要でございます。このため、現在、都としては、改めて数を把握するというよりも、訪問相談を実施する中で、ひきこもりの若者の具体的な課題について実態を把握することに重点を置いて取り組んでおります。
○中村委員 訪問相談で若者の具体的な課題の実態を把握することはもちろん重要だと思いますが、どのぐらいの方がどのような状況にあるのかを把握することも必要だと思います。さらには、実態がわからなければ施策の効果をはかることもできません。引き続きの課題として検討を求めます。
とはいえ、この相談事業の取り組みも、もちろん重要です。ひきこもり対策について、平成二十七年度の相談事業について伺います。また、その中で訪問相談も実施したとのことですが、その成果を伺います。
○稲葉青少年対策担当部長 ひきこもりの相談窓口である東京都ひきこもりサポートネットの平成二十七年度の相談件数は、電話相談が四千九十五件、メール相談が千四百五十件、家庭等への訪問相談が三十五件の計五千五百八十件となってございます。
訪問相談につきましては、ひきこもりの若者本人が相談窓口に来られないようなケースであっても、家庭訪問により本人や家族の状況を直接確認する中で、適切に課題を把握し、早期に支援につなぐことも可能となっております。
○中村委員 電話やメールだけではなく、事の性質上、なかなか窓口に来ていただくのは難しい場合もあると思いますが、家庭への訪問も大変なことだと思います。今後も引き続き行っていただき、一人でも多くの方の相談に応じていただければと思います。
さて、ひきこもりの原因はさまざまであり、適切な支援を受けるためには、医療、福祉、雇用、教育など多様な分野の連携が必要ですが、どのような体制が望ましいと考えているのか伺います。
○稲葉青少年対策担当部長 ひきこもりは、特定の疾病や障害を指すものではなく、さまざまな要因が背景になって生じる状態であり、本人のニーズを的確に把握し、その課題に合った支援を行うためには、保健、医療、福祉、雇用、教育等の関係機関が連携して対応することが重要でございます。
このため、東京都ひきこもりサポートネットの運営に当たっては、精神保健福祉センターや東京しごとセンター、教育相談センターなどを構成員とする連絡会議を開催するなどし、関係機関が情報交換を通じて相互に連携しながら、支援の充実を図っております。
○中村委員 関係機関の連携は図っていただいていますが、ただ、本当に原因は多様ですから、今後もひきこもりと一くくりにせず、丁寧な対応をし、必要な支援が得られるように取り組んでいただきたいと思います。
昨今の問題の大きさから、私は、連携だけではなく、これを専門で担当する部門として、福祉や雇用のように相談機関を有する部門にあってもよいのではないかと思います。
先ほどから、渋滞対策もひきこもりの問題もあえて決算で伺ったのは、決算額とその効果を検証し、次にどうあるべきかを考えるのが大切だからです。ある意味で青少年・治安対策本部は、他の局とは違った性質の組織ですから、問題解決のために最もよい組織、体制のあり方はどうあるべきか、常に検証していただくことが大切です。そのことを求めて、質問を終わります。
○上田委員 まず、こころの東京革命から伺います。
平成二十六年予算委員会でただした心の東京革命の七つの呼びかけですが、今般、他人の子供でも叱ろうが、よいことは褒め、悪いことは叱ろうと変わり、子供にその日のことを話させようと、子供に手伝いをさせようが削除されました。その際私が、しつけが押しつけにならないためにも、住民参加で子供の権利条例制定に向けての研究を重ねることを希望すると申し上げたように、都度、見直しを図っていることを確認しております。
つきましては、この事業の一環であるしつけ教室など、親子をめぐる取り組み状況と成果についてご所見を求めます。
○稲葉青少年対策担当部長 早期からのしつけの後押し事業については、平成二十七年度には、四十三の自治体がこころの東京塾や出前講演会など合計百九十八回の講座を実施し、都は、プログラムの提供や講師の派遣等を行っております。受講者からは、親同士の交流ができた、子供の顔を見て話を聞くことの大切さを実感したなどの感想をいただいており、親の悩みや不安を払拭し、次代を担う子供たちの健全育成に有効な取り組みとなっております。
○上田委員 七割、八割近い自治体がご利用いただいたということですけれども、たくさん東京都には、特に江戸川区は非常に子供たちが多くて、今はお母さん同士がSNSとか、ママサークルとか、あるいはシングルマザーも多いし、それぞれの保護者の環境等も激変している今日におきましての取り組みの必要性につきましても、確認をさせていただきたいと思います。
○稲葉青少年対策担当部長 都市化や核家族化が進行する中で、親となる世代の子育て経験が不足し、子育てに自信のない親が増加しております。また、周囲に相談する相手がなく、必要な情報を得にくいなど、子育てに関して不安を抱える保護者も少なくございません。
このため、親の子育ての不安を軽くし、自信を持って子育て、しつけができるよう勇気づけるとともに、親自身の意識や行動を見直してもらうきっかけづくりとなる講座を実施する区市町村の取り組みを都は支援しております。
○上田委員 区市町村の支援ということですが、これからは自発的に都民の皆様も動き始めるということで、そうした視野も私は必要なのかなと。お役所優先というよりも、自発的に取り組む都民や区民とか、そういったものをエンパワーメントしていくような事業展開を要望するものでございます。
次に、有害図書についてでございます。
二ページの資料も見ますと、子供たちの--二ページはネット・ケータイヘルプデスク、架空請求が圧倒的に多いんですけれども、恐らく有害サイトに入ってしまって請求されたということが多いのではないかなというふうに思っております。
日本のコンビニでは、子供が出入りするにもかかわらず、成人向け雑誌が気楽に手に届くような状況になっており、海外観光客が目をむいて驚いている姿を何度も見かけております。私も母親として、あのコーナーは行くたびにぞっとするものでございます。
こうした子供をめぐる健全育成のための環境整備の一環として、本部は、有害情報からの保護のための有害図書の不健全指定に尽力をされているところです。ネット漫画も普及してきて、まさにモグラたたきの状態でありますが、どうあるべきか本部にて大いに議論されることを期待するところでありまして、実際に東京都青少年健全育成審議会では行われております。
図書の指定もこの審議会で行われておりますが、議事録を見ますと、自治体によっては実名であるところも多いのですが、委員の氏名が匿名であります。なぜ匿名であるのか、経緯を含めご説明をいただきたいと思います。
○稲葉青少年対策担当部長 審議会の議事録につきましては、議事録自体を非公開とする県や、概要のみを公開とする県、また、公開している県でも委員の氏名の公開、非公開の取り扱いについては、さまざまな状況になっているという現状にございます。
都におきましては、審議内容は、議事録の公開により透明性を十分に確保するとともに、委員が自由に発言できる環境を担保した上で審議する必要があるため、氏名を一部非公開とさせていただいております。
○上田委員 透明性を確保しというのが、やっぱり私は都民に対する透明性の確保かなというふうに今のご答弁で思っている次第でございます。ともすれば、表現の自由とのバランスが非常に難しいところでありますので、やはりそこを責任を持って委員の方が意見ができるという透明性は、むしろ実名といいますか、A、B、C委員にしない方がよろしいのではないかなと、ちょっと都民目線の透明性というふうに私は求めたいなと思っております。
また、指定書籍の発表時期は、実施までどの程度の期間が置かれるのか、基本的な考え方と理由をご説明ください。
○稲葉青少年対策担当部長 東京都青少年健全育成審議会は毎月開催されておりまして、諮問図書について答申が出された後は、条例の規定にのっとり速やかに手続を行い、原則として審議会と同一週内に東京都公報にて告示をしております。
○上田委員 即時性があることを確認させていただきました。
次に、資料の七ページになりますが、昨年六月に改正された東京都安全安心まちづくり条例は、規範意識の醸成と危険ドラッグ対策を改正の狙いとするものでした。決算に鑑みまして、それぞれの対応状況と具体的成果をお示しください。
○臼井治安対策担当部長 規範意識の醸成に関しましては、こころの東京革命の理念を周知するため、都内全ての公立小学校新一年生の保護者に行動プランを配布するほか、動画等さまざまな媒体を活用した広報やこころの東京塾等の事業に取り組み、親や大人の意識改革が進められてきております。
危険ドラッグ対策につきましては、警視庁による取り締まりに加え、本条例に基づき、不動産業界団体への情報提供や宅建業者への講習会を通じた協力依頼などを行っております。これらの取り組みによりまして、建物賃貸借契約に危険薬物の取引等に供しない旨の誓約書等を盛り込んだ標準契約書が導入されたほか、都内に二店舗残っていた危険ドラッグの実店舗が全て消滅いたしました。
いずれも長期的に取り組むべき課題であることから、引き続き関係機関等との連携を深め、取り組みを進めてまいります。
○上田委員 まさに条例が東京の治安を変えていったという証左だと思います。引き続きの取り組みを希望します。
資料の六ページですけれども、各種事業の重複や不活発な審議会が見受けられます。従来から、これらの事業や附属機関の整理統合や区市町村への移管、さらにNPO等への委託を求めてきておるところでございますが、本部が実施しなければならない必然性、整理統合、移管、委託を進められないかについて、具体的理由を示してのご所見を改めまして求めます。
○延與総合対策部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 当本部におきましては、青少年健全育成、治安対策、交通安全対策における諸課題に対応するため、各種の事業を推進しております。これらの分野におきましては、庁内各局はもとより、区市町村、警視庁、NPO等の団体がそれぞれに役割を担うとともに、各機関、団体が連携することが不可欠でございます。
このため、当本部におきましては、みずから事業を展開するとともに、この連携の結び目役といたしまして、区市町村への補助事業やボランティア団体への支援などさまざまな手段を用いまして、対策が効果的に進展するように取り組んでおります。
また、附属機関につきましては、いずれも明確な目的と所掌する施策等を有しておりまして、審議事項に応じて開催をしてございます。
今後とも関係機関と連携しながら、誰もが安全・安心を実感できる社会を実現すべく取り組んでまいります。
○上田委員 都の職員もこのたび八時に帰ると、また各学識経験者もお忙しい中、やはり効率的、合理的な運営を重ねて希望いたします。
さて、まちづくり条例も非常に効果を発揮しましたけれども、一ページですが、昨年、都の子供・若者育成支援計画が策定されました。通称子若計画は、子供と若者を中心に全庁がかかわる、私からすれば非常に重要な計画でございます。
縦割り行政の問題についてはほかの委員からも指摘がありましたけれども、批判の声が繰り返して都民からありまして、そして小池知事も就任直後から指摘しているところであります。局間、事業間、自治体間で子供たちがこぼれ落ちることはないか、改めまして決算の年度におきます計画の実施状況、成果について、ご所見を求めます。
○稲葉青少年対策担当部長 東京都子供・若者計画に一覧化されておりますさまざまな取り組みは、各所管部局で進められており、当本部としましては、社会生活を営む上で困難を抱える子供、若者が、さまざまな課題を乗り越えて社会的自立を果たすことができるよう、各種相談事業等を展開してございます。
また、当本部としては、東京都子供・若者支援協議会を活用してノウハウや情報等を提供することにより、区市町村の子供・若者計画の策定や子供・若者支援地域協議会の設置を支援してございます。
本年三月末現在、子供・若者計画策定済みの自治体が五件、子供・若者支援地域協議会設置済み自治体数が四件でございまして、今後とも引き続き支援を行ってまいります。
○上田委員 子供・若者計画は、今ご報告があったように非常に多岐に分かれておりますように、根拠法が異なる次世代育成支援推進計画や子供・子育て支援推進計画等と重複する事業も散見されるやに思われます。これらについて、都教育委員会や福祉保健局等他局、さらに区市町村、国等のほかの機関との調整をどうしてきたのか、確認したいと思います。
○稲葉青少年対策担当部長 東京都子供・若者計画は、都の関係局、区市町村、国等が構成機関となっております東京都青少年問題協議会において検討し、東京都子供・子育て支援総合計画を初めとする子供、若者に係る都のさまざまな計画の中における子供、若者の育成支援に関する施策等との整合を図りながら策定をしてございます。
なお、各施策、事業については、計画の中にも記載しておりますそれぞれの所管部局において実施していくことになります。また、計画間においてそごがないように連携をしながら取り組んでおります。
○上田委員 重複、縦割りのすき間から子供たちがこぼれ落ちないよう、子供、若者中心で具体の事業に、ハブ機能をますます発揮をしていただきたいとお願い申し上げます。
次に、全国で七十万人といわれている、社会問題となっていますひきこもり対策、ひきこもりの問題、また予備軍の受け皿として期待されている若ナビについては、ほかの委員さんからも意見もありましたし、三ページ、四ページには細かい数字が載っているところでございます。
簡潔に、こちらの取り組みにつきまして、改めましてというか、簡潔で構いませんので、数字とかはもう構いませんので、これらの事業に対する成果と課題につきまして、ご所見を求めます。
○稲葉青少年対策担当部長 ひきこもりの相談窓口としては、東京都ひきこもりサポートネットの運営をしております。また、先ほど委員からもお話のありましたように、東京都若者総合相談、若ナビについても当本部の方で実施をしております。
ひきこもりの問題は、家庭内で抱え込まれて潜在化し、外部の相談支援に結びつきにくいという傾向があるため、平成二十六年度から訪問相談を開始したところであり、平成二十七年度末までに八十三件のケースを受け付けてございます。訪問によって本人の状況やニーズが把握できたケースについては、個々の事例に即した支援につなぐことができております。
また、若ナビ、若者特有のもやもやした悩みを初めとするさまざまな相談に対応する窓口の方では、若者の悩みを広く受けとめるとともに、必要に応じて専門の相談窓口や適切な支援機関を紹介しております。
○上田委員 四ページの資料の3、他支援機関への紹介件数を見れば、ご報告のとおり実際に動いてくださっていると把握をさせていただきました。
経済の自立あっての精神の自立あるいは、はたの者を楽にさせるための働くという言葉もあります。経済的、精神的自立ができることが、ひきこもりの方々のクオリティー・オブ・ライフを高めることとなるとも考えます。
ひきこもりが長じますと、三ページの資料にもありますように、精神障害が二千二百三十五というような相談件数になっています。精神疾患の問題に発展する場合も多く、社会保障費が都では毎年四%も増加しているわけでございまして、財政も考えざるを得ない事態になりかねません。
また、非行少年についても早目早目に対応することで、犯罪に手を染めることなく、反社会的集団にかかわることもなく、本人の一生が豊かで幸せなものとなりますことから、間口を大きく捉えまして、非行少年、若者相談事業の多様な利活用が期待されるところであります。
先ほど来ほかの委員さんにも答弁をしているので、簡潔に今後の取り組みと課題につきましてご所見を求めるところであります。
○稲葉青少年対策担当部長 当本部では、若者総合相談事業、若ナビ、東京都ひきこもりサポートネットのほかに、非行少年の就労、就学等に向けた相談に対するぴあすぽなどの各種相談事業を実施してございます。若者等からの多様な相談内容に的確に対応するため、それぞれの相談事業がそれぞれの持つ特徴を十分に踏まえ、相互に連携しながら適切に取り組んでおります。
○上田委員 ひきこもり対策は区市町村も行っておりまして、若者養成塾といったかな、江戸川区の方ではやっておりますので連携と、あと、やはり今同僚委員からもご指摘あったように、ぴあすぽが、特にうち、城東地区、江戸川区は犯罪件数が、要するに青少年による自転車盗がすごく多くて、非常に渇望されるものでございますので、こちらの方の検討もしていただければと思います。
さて、近年、児童養護施設出身者など家庭的環境に恵まれずに育った子供たちが、そのまま貧困に陥り、なかなか抜け出せない状況が社会問題化しております。義務教育修了、高校卒業後の養護施設退所者への具体的支援の取り組み、例えば若ナビを配布する、相談事業をあらかじめ紹介する等と、成果、特にアフターケア施設等を通じた支援についてのご所見を求めます。
○稲葉青少年対策担当部長 十八歳以上の若者を対象にしました若ナビについては、児童養護施設の退所者が退所後に悩みを抱えた場合に相談できるように、平成二十七年度から児童養護施設の退所者にもリーフレットを配布してございます。配布に当たりましては、児童養護施設の施設長会に赴きまして、施設退所者の利用が促されますよう、退所者本人に対して趣旨を説明して配布していただけますようお願いをしてございます。
○上田委員 施設退所者への若ナビ配布については、総務委員会で私がお願いしたところ、しっかりと実施していただいたこと、大変ありがたく思っております。
東京都は、施設退所者のデータをまだ完全に把握しておりませんことからも、この子供たちについては、児童相談所との強固な連携によりまして、要保護児童、施設退所者が若者になって世界に飛び立っていくときのフォローを何とぞお願いしたいと思います。
つきましては、今出ましたが、要保護児童対策協議会と本部との連携体制、事業への反映について、ご所見を求めます。
○稲葉青少年対策担当部長 要保護児童対策地域協議会は、要保護児童の早期発見及び適切な保護を図るため、関係機関の円滑な連携協力を確保する目的で設置をされてございます。都の協議会は福祉保健局が所管をしており、当本部も構成員となり、昨年、東京都子供・若者計画を策定した際には同協議会において説明を行うなど、必要な情報共有を図ってございます。
また、各区市町村におきましても、地域の実情に応じて子供、若者育成支援のネットワークが、要保護児童対策地域協議会のネットワークと有機的に連携する形で整備をされ、幼児期から学童期、思春期を経て青年期まで、子供、若者のライフサイクルを見通した一貫した支援が行われるよう、都として支援をしてまいります。
○上田委員 要保護児童から若者になるまで、切れ目のない支援をしていく体制が整っていることを確認させていただきました。
次に、事務の執行委任についてです。
私は、かねてより、本部が予算を確保し他局が実務を実施する執行委任の、この本部についての多さを指摘してまいりました。予算執行の責任感が希薄になることを危惧するためでございます。
そこで、決算年度におきます各局との事業実施に当たっての連携と執行委任の状況、その有効性についてご説明をください。
○延與総合対策部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 当本部におきましては、治安や安全・安心まちづくり、交通安全、青少年対策などの分野におきまして、都が緊急かつ機動的に対応すべき課題等について、関係局や警視庁等と連携を図りつつ取り組む総合調整の役割を担っております。
こうした観点から、平成二十七年度におきましては、ハイパースムーズ作戦や防犯設備の整備に関する補助事業等につきまして、当本部において予算措置を行い、関係局に執行を委任しております。執行に当たっては、関係局と十分な連携を図っております。例えばハイパースムーズ作戦につきましては、関係各機関との推進会議を設置いたしまして、事業の進め方等について連携を図るなど、渋滞箇所の原因に応じた対策を効果的に実施しております。
また、防犯設備の整備に関する補助事業につきましては、地域における見守り活動の支援という共通の目的のもとに、設置当事者である商店街や区市町村立小学校等と適切に連携を図れますよう、関係局と協議を行いながら事業を実施しております。
執行委任を通じて当本部が総合調整機能の役割を果たすことが、新たな課題に積極的に対応することにつながると、このように考えております。
○上田委員 オリ・パラを前に、渋滞対策、非常に膨大な規模になると、ほかの同僚委員からも指摘がありまして、やはり総合調整力が本当に求められるとは思うんですが、そもそも予算の縦割りそのものが、問題があるのではないかと。本来は事業別予算を組んでいけば、執行委任は解消されるのではないのかなと考えるものでございます。
本部が予算流用のためのトンネルのようになっているのではないか、健全財政とアカウンタビリティーの観点から危惧をしているところでございますので、改めましての検証、振り返りを求めるところでございます。ご所見があれば求めます。
○延與総合対策部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 当本部が所管いたしました諸事業につきましては、関係局や警視庁、区市町村を初め、関係機関が連携して取り組むことが不可欠な分野でございます。
このため、当本部設置以来、緊急かつ機動的に取り組むべき課題の対応に当たって、当本部が予算を措置して他局に執行委任をした方が効果的な場合などにおいて、執行委任を行ってございます。
今後とも、当本部の総合調整の役割を踏まえまして関係機関の連携を強化し、誰もが安全・安心を実感できる社会の実現に取り組んでまいります。
○上田委員 執行委任につきまして、詳細なご説明を受けたところでございます。
それでは、本質的なところに立ち返らせていただきまして、最後の質問になりますが、青少年・治安対策本部の設置の必要性につきましてお尋ねを申し上げます。
本部は、治安の維持こそ最大の都民福祉との当時の石原慎太郎知事の認識から、喫緊の治安回復のため、本部の位置づけで設置された部局であるのは自明です。
そもそも本部とは、どういう組織上の位置づけかというと、基本的な組織編成の中で、各局が担う行政分野のうち、特定の課題や時限的な重要課題について、より一層迅速かつ的確に対応する必要がある場合に本部が設置されます。この本部は、関係局から独立して一定の執行権限を有することから、そのトップには局長級職員を配置し、局に準ずる組織として位置づけということです。
青少年・治安対策本部の時限的な重要課題における時代的要請は、警視庁初め都の治安対策本部設置以来の取り組みの結果、治安状況がかなり安定してきた現在、必要性が過去ほどは求められていないのではないかと考えております。(発言する者あり)
組織改正は、全庁組織体制、人事に影響するものである。(「平成二十七年度決算でございますよ」と呼ぶ者あり)一朝一夕、アドホックに思いつきでできるものではないことは、過去の知事の組織改正の例を引くまでもなく……
〔「委員長」と呼ぶ者あり〕
○桜井委員長 質問の最後まで。
○上田委員 重々承知しておりますが、都政事業総体の中の本部の意義、必要性につきまして、決算年度に当たり、ご所見を求めます。
○桜井委員長 ちょっと速記とめてもらえますか。
〔速記中止〕
○桜井委員長 速記を始めてください。
ただいま上田委員の方から質問がありましたので、これに関して。
○延與総合対策部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都内におきましては、二十七年度におきましても、刑法犯罪認知件数は減少傾向にございます。一方、特殊詐欺を初め子供に対する声かけ事案やストーカー被害など、高齢者、子供、女性など弱者が被害者となる犯罪や、都民の身近で起こる犯罪が多発しており、都民の都政への要望では、治安対策が上位に挙げられてございます。また、情報化社会の急激な進展は、青少年の育成環境にも大きな影響を及ぼしてございます。
こうした中、安全・安心に係る多岐にわたる事業を一体的、総合的に推進するには、関係局はもとより、区市町村や警視庁等の関係機関の緊密な連携が重要でございます。誰もが安全・安心を実感できる東京の実現は、全ての都民の願いであり、重要な課題でございます。当本部は、今後も都民一人一人がより質の高い生活を享受できるよう、これらの関係機関の連携の結び目といたしまして、総力を結集して取り組んでまいります。
○上田委員 ご答弁を力強く頂戴いたしました。
今回の審査全般を、ほかの委員の方も聞きまして、なかなか子供、若者をめぐる状況は非常に多様になってきました。規制中心の本部ではなく、性教育やネットリテラシーなど、子供がこの世の中でどう立ち居振る舞って生きていけるか考える時代に、それをエンパワーメントする時代になってきたのかなと思っております。規制から支援、啓発、エンパワーメントを、最少のコストで最大の成果を生み出すべく力強く推し進められることが求められております。
審査に当たりまして、本部におかれましては、各区市町村事業との重複もるる見られる中、都庁全体の組織編成においての位置づけをもう一度見直していただきたいというふうに思っております。殊に、将来のある子供と若者施策ですから、事業のための事業、組織のための組織とならぬよう、新知事のもと、子供ファーストを率先し、子どもの権利条約の理念に沿った、子供、若者を中心に据えた施策展開のための最適な組織編成が検討されることを期待するものでございます。
これをもちまして私の質疑を終わらせていただきます。
○大松委員 防犯カメラにつきまして質問させていただきたいと思います。
東京都内の刑法犯認知件数は、平成十四年、三十万件を超えまして、戦後最悪となりました。しかしながら、それ以降着実に減ってまいりまして、昨年の平成二十七年は約十四万八千件でございまして、平成十四年の約三十万件超から半分以下に減少をしているところでございます。減少しておりますけれども、まだまだ多いわけでございます。
この認知件数が減ってまいりましたのは、警察による取り締まりに加えまして、町会、自治会を初め防犯ボランティア団体の皆様方による地道なパトロール活動や、そして防犯カメラの設置が着実に進んできたことが大きな要因になっていると考えます。
特に、防犯カメラはその性能も年々向上いたしまして、証拠能力が高く、犯人検挙に大きく貢献をいたしまして、そのことにより犯罪抑止に大きな効果を発揮しているところでございます。
そこで、東京都は、地域の安全・安心を確保するために、町会、自治会や商店街が設置をする防犯カメラや、また区市町村が通学路に設置をする防犯カメラに関する補助を行っているところでございまして、私の地元北区では、住民の皆様方の防犯意識が大変高く、これまでに町会、自治会、商店街、そして通学路へと、既に七百台以上のカメラが東京都の補助金を活用いたしまして設置をされているところでございます。
そこで、昨年度の防犯カメラの執行実績について所見を求めます。
○臼井治安対策担当部長 平成二十七年度の防犯カメラの補助実績でございますが、二十二区二十一市一町に対し三千百九十五台の設置を補助しております。また、予算額七億八千八百二十万円に対し、決算額は五億八千六百七十万三千円で、執行率は七四・四%となっております。昨年度より申請団体数は増加しており、事業は着実に進んでいると考えております。
○大松委員 東京都内全域で非常に多くの防犯カメラが設置をされているということでございまして、東京都による補助制度の効果が上がっているものと評価をいたしたいと思います。
この防犯カメラの設置が刑法犯認知件数の減少に寄与しているわけでございますけれども、この認知件数が減った分、その実感が伴ってくること、安心感が広がっていくということがやはり大切でございまして、そこでお伺いをいたしますが、東京都は昨年、防犯ボランティア団体に対しましてアンケート調査を実施しておりますけれども、防犯カメラの設置による都民の意識の変化につきまして、東京都の所見を求めます。
○臼井治安対策担当部長 都では昨年、防犯ボランティア団体約九百団体に対しまして、防犯活動に関するアンケートを実施し、約六百団体から回答がございました。回答のあった団体のうち約半数の三百団体が、以前、都の補助により防犯カメラを設置しており、防犯カメラの設置による効果または影響として、地域の治安につきましては、改善したと回答した団体が約六割、地域住民の防犯意識につきましては、向上したと回答した団体が約七割でございました。この結果から、防犯カメラの設置は、都民の安全・安心の向上に寄与しているものと考えております。
○大松委員 防犯カメラは、犯人検挙、そして犯罪抑止に効果があるとともに、都民の安心感、そして体感治安の向上にも寄与しているということが、ただいまの答弁で確認をできたわけでございまして、引き続き各地の防犯カメラの設置に都がしっかりと支援をしていくように求めるものでございます。
そして、前田委員の方からも先ほどもご指摘をいただきましたけれども、最近は公道だけではなく、やはり公園など都民の憩いの場への防犯カメラの設置を要望する声も多く出てきているところでございます。
私の地元北区におきましても、夜間に犯罪が発生をいたしました公園などへの防犯カメラの設置が課題になっているところでございます。私もことしの四月に、公明党北総支部といたしまして、花川北区長に対しまして、区内の公園や広場への防犯カメラの設置を要望したところでございます。
そこで、東京都として、都民の安全・安心を確保するために、公園における防犯カメラの設置が進みますように区市町村を支援していただくよう要望をいたしまして、質問を終わります。
以上でございます。
○桜井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」「委員長」と呼ぶ者あり〕
○前田委員 先ほどの上田委員の質問についてですけれども……
○桜井委員長 ちょっと速記とめてください。
〔速記中止〕
○桜井委員長 速記を再開してください。
では、異議なしということで、以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時五十九分休憩
午後三時十四分開議
○桜井委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
これより総務局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十七年度東京都一般会計決算中、総務局所管分、平成二十七年度東京都特別区財政調整会計決算及び平成二十七年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算を一括して議題といたします。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○小暮総務部長 十月十七日の当分科会におきまして要求のございました資料についてご説明を申し上げます。
恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます平成二十七年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料の表紙をおめくりいただきたいと存じます。
目次に記載のとおり、要求のございました資料は十六件でございます。
それでは、一ページをおめくりいただきたいと存じます。1、長時間労働面接対象者数でございます。
一ページから三ページにかけまして、長時間労働の面接対象者数について、平成二十五年度から二十七年度までの実績を局別に分けて掲げてございます。
恐れ入ります。四ページをごらんください。2、都・区市町村職員を対象とした人権に関する講演会のテーマ及び講師でございます。
平成二十五年度から二十七年度までの実績を掲げてございます。
五ページをごらんいただきたいと思います。3、知事部局の障害者雇用率の推移でございます。
知事部局の障害者雇用率について、平成二十三年から二十七年までの五カ年の状況を掲げてございます。
次に、六ページをごらんください。4、職員数及び組合員数等の推移でございます。
職員定数、非常勤職員数、推定組合員数及び推定組織率について、平成八年度から二十七年度までの二十年間の推移を掲げてございます。
次に、七ページをごらんください。5、本庁舎における職員団体事務室の組合員一人あたりの床面積でございます。
平成二十八年三月末現在の本庁舎における職員団体事務室に係る面積を推定組合員数で除し、組合員一人当たりの床面積を示しているものでございます。
八ページをお開きいただきたいと思います。6、地方公務員法第五十五条第九項に基づく組合との協定でございます。
八ページから九ページにかけまして、地方公務員法の規定に基づく職員の勤務条件に関する組合との協定の内容について、平成十八年度から二十七年度までの十年間分を掲げてございます。
次に、一〇ページをごらんください。7、知事部局における自殺者数でございます。
知事部局における自殺者数について、平成二十三年から二十七年までの五年間の推移を、年齢層と所属とに分けて掲げてございます。
一一ページをごらんください。8、行政監察(事故監察)の状況でございます。
事故監察の処理件数について、平成二十五年度から二十七年度までの三年間の推移を掲げてございます。
次に、一二ページをごらんください。9、職員の懲戒処分の状況でございます。
処分者数について、平成二十五年度から二十七年度までの三年間の推移を、懲戒処分の種類ごとに掲げてございます。
次に、一三ページをごらんください。10、女性管理職数及び比率の推移でございます。
女性管理職数及びその比率について、平成十八年度から二十七年度までの十年間の推移を、都全体の数値と、そのうち行政系の数値とに分けて掲げてございます。
一四ページをごらんください。11、育児休業の取得状況でございます。
育児休業の取得状況について、平成二十五年度から二十七年度までの三年間の推移を、男性職員と女性職員とに分けて掲げてございます。
一五ページをごらんいただきたいと存じます。12、平成二十七年度東京都市町村総合交付金市町村別交付額でございます。
東京都市町村総合交付金について、平成二十七年度の市町村別の交付額を掲げてございます。
次に、一六ページをごらんください。13、監理団体の職員構成でございます。
平成二十七年度の所要人員計画及び現員ごとの職員構成について、団体別に状況を掲げてございます。
次に、一七ページをごらんください。14、報告団体の職員構成でございます。
平成二十七年度の職員構成について、団体別に状況を掲げてございます。
次に、一八ページをごらんください。15、監理団体発注の工事契約を請け負った民間企業への都再就職者数でございます。
平成二十七年度の状況を掲げてございます。
最後になりますが、一九ページをごらんいただきたいと思います。16、平成二十七年国勢調査の都内実施状況、調査員・指導員の男女年齢別一覧でございます。
国勢調査における調査員、指導員について、男女別、年齢階級別に人数を掲げてございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○桜井委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○前田委員 よろしくお願いします。
総務局の質問として、まず、サイバーセキュリティー対策についてお伺いいたします。
平成二十七年第三回定例会での我が党の宇田川議員の代表質問に対し、サイバーセキュリティー対策を計画的に進めていくため、二十七年度中にロードマップを策定し、取り組みを早急に進めていくと答弁されていますが、ロードマップの内容及び進捗状況をお伺いいたします。
○久原情報通信企画部長 巧妙化するサイバー攻撃に対応するため、また、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会を見据え、サイバーセキュリティー対策については、計画的かつ迅速に取り組む必要があると認識しております。
地方公共団体にサイバーセキュリティーにかかわる施策を自主的に策定、実施する義務を課すサイバーセキュリティ基本法の施行を受けまして、平成二十七年十月に東京都サイバーセキュリティポリシーを改定いたしました。サイバー攻撃が多様化する中、防御はもとより、発生後の迅速な対応によって影響を最小限に抑えることも盛り込んだものでございます。
また、同じく昨年十月に、これまでの情報セキュリティ委員会を改組し、公営企業を含む全庁的な体制として、副知事をトップとする東京都サイバーセキュリティ委員会を設置いたしました。さらに、本年四月一日には、サイバー攻撃への対処を専門的に行う東京都CSIRTを設置いたしました。
ロードマップにおきましては、サイバー攻撃に対する模擬訓練となる机上演習を平成二十八年度から、情報システムを分析、検証して必要な対策を講じていくリスク評価を平成二十九年度から開始することとし、昨年度はそれぞれの準備を行ってまいりました。今年度、机上演習は四回実施する計画で、そのうち既に二回を実施し、また、二十九年度から本格実施予定のリスク評価についても、今年度から試行を開始する予定でございます。
今後とも取り組みを総合的に進め、サイバーセキュリティー対策の向上に努めてまいります。
○前田委員 全庁的な体制として、サイバーセキュリティー対策の向上に努められているとのことですが、東京都だけではなく、区市町村のセキュリティーレベルの向上も図る必要があると考えます。広域自治体である東京都は、区市町村に対し、昨年度どのような取り組みを行ったか、お伺いいたします。
○久原情報通信企画部長 東京二〇二〇大会の開催都市として注目を集める東京において、都内自治体全体のセキュリティーレベルを向上させることが重要と認識しております。サイバー攻撃の影響を最小限にとどめるためには、初動対応の迅速化が重要なことから、システムへの攻撃を早期に検知する監視システムを、都及び都内区市町村が活用できるよう調整してまいりました。
今後、区市町村との連携、情報共有体制を強化するとともに、セキュリティー事故に関して東京都CSIRTが区市町村を支援するなど、区市町村のサイバーセキュリティー対策への取り組みを後押ししてまいります。
○前田委員 サイバーセキュリティー対策の質問の最後に、昨年度における国など外部機関との連携についてお伺いいたします。
○久原情報通信企画部長 サイバーセキュリティー対策において、関係機関との常日ごろからの密接な情報交換、連携は重要と認識しております。かねてより国や警視庁、組織委員会等との連携を進めており、そのほかにも、セキュリティーに関する知見や技術力を有する外部機関との連携強化に努めているところでございます。
今後は、東京都CSIRTの設置を契機に、東京二〇二〇大会を見据えつつ、これら関係機関との緊密な連携体制を一層強化し、得られた情報を活用しながら、東京全体のサイバーセキュリティー対策の向上を図ってまいります。
○前田委員 ご答弁ありがとうございます。今後ともサイバーセキュリティー対策の強化をお願いいたします。
次に、防災対策について、大きく二点の質問をいたします。
まずは、防災ブック「東京防災」についてお伺いいたします。
平成二十七年度は、都民の防災に対する関心と理解を深め、災害に対する備えを意識づけるための防災普及広報の経費として、「東京防災」の予算が計上されています。都内の各世帯に配布したことは、東京の防災力向上にとって価値ある取り組みであったと考えます。さらに、各区市町村のエリアごとの防災マップも添付し配布するなど、きめ細かく使いやすい配慮もされております。
そこで、「東京防災」の種類別の作成部数、配布先、そして全体の執行金額について、印刷費、発送費など、主な内訳別にお伺いいたします。
○梅村総合防災部長 まず、「東京防災」の種類別の作成部数及び配布先でございますが、冊子と防災マップをセットにしたものを七百五十万部作成し、都内各世帯へ配布をしております。また、英語版を三万部作成し、国際交流協会及び都内各大使館等に配布したほか、視覚障害者への対応として音声コード添付版を四万部作成し、区市町村や都内地下鉄の駅、都営バス営業所等において入手できるようにいたしました。さらに、学校版を十四万部作成し都内各学校に配布する一方で、追加の需要に応えるため、書店等での有償頒布分として十五万部を作成しております。
全体の執行金額は約二十四億二千八百万円でございまして、主な内訳といたしましては、原稿制作費が約九千百万円、印刷費が約十四億三千七百万円、配送費が約七億六千三百万円、広報その他の経費が約一億三千七百万円となってございます。
○前田委員 作成部数、執行金額についてご答弁いただきました。大ざっぱに計算すると、一部当たり三百円程度のコストということになります。私も実際に「東京防災」を手にとってみましたが、いろいろと工夫されていると感じます。
「東京防災」を手にとった都民一人一人の防災意識が向上し、いざというときの備えや各家庭で三日分の備蓄を用意する、考えるきっかけになるなど、一人一人の防災対策が進展するのであれば、決して高い経費ではないと考えます。
そこで、改めて「東京防災」の作成の狙いと工夫された点などをお伺いいたします。
○梅村総合防災部長 首都直下地震や台風など、さまざまな災害から都民の生命と財産を守るためには、行政の取り組みである公助だけではなく、自助、共助の取り組みが不可欠でございます。そのため、災害発生時にとるべき行動や事前の備えなどを示した防災の指針を各家庭で備え、都民一人一人に実践していただくことを目的に作成をいたしました。
作成に当たりましては、都民や専門家、区市町村等の関係機関から幅広く意見を聴取した上で、若者世代など防災に比較的関心の薄い世代を引きつける工夫やイラストの多用など、誰もが読みやすくわかりやすい表現方法、デザインといたしました。
一方、内容につきましても、東京が持つ地域特性を踏まえた防災情報や、さまざまな分野の専門家の最新の知見を掲載するなど、都民の皆様が災害時に身を守る力を高めることができるよう、充実を図ったところでございます。
○前田委員 ご答弁いただいたように、いざというときの備えは行政の取り組みだけでは限界があり、災害用の備蓄などは各家庭で、避難所の運営などは地域ぐるみの共助の取り組みが必要です。そのため、この「東京防災」は、各家庭、各地域の意識啓発に大変有意義なものと考えます。
しかし、大切なのは、都民が「東京防災」を少し眺めて終わりではなく、次の行動に移すことであります。
そこで、「東京防災」を活用しての今後の取り組みについてお伺いいたします。
○梅村総合防災部長 「東京防災」は、災害に対する事前の備えや発災時の行動などを盛り込んだものでありまして、都民一人一人が内容を理解し、実践していただくことが重要でございます。
そのため、都では、民間企業や区市町村等が「東京防災」を活用できるよう積極的な広報を展開するとともに、総合防災訓練や防災関連のイベント等におきまして、「東京防災」の内容を実際に体験することを通じた普及啓発を行っております。
また、町会、自治会等に対し、「東京防災」を教材とした学習セミナーも実施をしております。
さらに、防災教育の充実に向けまして、教育庁等と連携し、学習用の防災ノートを配布するなど、地域、家庭、学校における活用促進に向けた取り組みを進めております。
今後とも、「東京防災」を活用した取り組みを進め、都民の防災意識の一層の向上を図ることによりまして、東京の災害対応力のさらなる強化に努めてまいります。
○前田委員 都民一人一人が自分自身や家族、地域と向き合い、いつ起こるかもしれない大地震への備えを着実に進めること、これこそが災害に強い安全な東京をつくるための第一歩になると信じています。
都においては、引き続き「東京防災」の活用促進、そして自助、共助の一層の推進に向けて取り組んでいくことを望みます。
最後に、帰宅困難者対策についてお伺いいたします。
まずは、昨年度の帰宅困難者対策訓練の実施状況についてお伺いいたします。
○和田防災対策担当部長 昨年度の千代田区との合同訓練は、東京駅や秋葉原駅など駅周辺の五つの地区で、五千二百人もの方々の参加を得て実施いたしました。訓練では、集客施設での利用者の安全確保や一斉帰宅の抑制の呼びかけなど、施設管理者と利用者が発災時にとるべき行動について確認をいたしました。
また、行き場のない帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設の開設や、バスや船を活用した妊婦や高齢者などの要配慮者の搬送など、発災時を想定したさまざまな取り組みを実施いたしました。
○前田委員 東京都が平成二十四年に公表した首都直下地震の被害想定では、都内全体で約五百十七万人の帰宅困難者が発生することが見込まれています。帰宅困難者対策は、都や区などの行政の力だけでは到底対応できません。帰宅困難者対策は、広域自治体である東京都だけでなく、民間との密接な連携が必要であると考えますが、見解をお伺いいたします。
○和田防災対策担当部長 駅周辺で発生が見込まれる多くの帰宅困難者に対応するため、駅周辺事業者や鉄道事業者などで構成する駅前滞留者対策協議会が、都と区市町村の働きかけにより駅ごとに設置されており、その中で災害時の各機関の役割分担や地域の行動ルールなどを検討しております。
帰宅困難者対策を円滑に推進するためには、地元の区市町村に加え、協議会と連携していく必要があることから、都も協議会に参加するとともに、協議会が主催する帰宅困難者対策訓練に都の職員も加わるなど、これまで協議会との連携に注力してまいりました。
また、毎年、帰宅困難者対策フォーラムを主催し、帰宅困難者対策の最新の動向や他の協議会の取り組みなどについて、協議会に参加している民間事業者に対して情報提供を行うなど、それぞれの協議会の取り組みを支援しております。
今後も引き続き、協議会を含む民間事業者との連携のもと、帰宅困難者対策を推進してまいります。
○前田委員 ご答弁ありがとうございました。
帰宅困難者対策は、区市町村、協議会、東京都の三者がしっかりと連携して行っていただきますよう要望しておきます。
最後に、災害ボランティアへの帰宅困難者の活用についてご検討いただくよう提言させていただきます。
駅前滞留者などが数多く予想される繁華街などの地域では、帰宅困難者の対応が混乱を招くおそれがあるため、迷惑のようにいわれる方々もおられます。長期避難の可能性がある地元住民と、いっとき避難の帰宅困難者では、用意する備蓄品も違い、別々の避難所を用意するなどの対応が必要となるからです。
しかし、発想を変えれば、震源地から遠くに住んでいる帰宅が困難な方は、被災規模にもよりますが、震源地に遠ければ遠いほど、ご自宅の被害が少ない可能性があります。さきの熊本地震では、全国からの義援品の配給体制が課題となりました。初動体制の確立に追われる行政職員のみでは、備蓄品、義援品の配備、配給まで手が回らず、住民ボランティアによる配給が行われましたが、この住民ボランティアの方々も被災者です。
後からお聞きしたのですが、ご自宅が倒壊こそしなかったものの、家具が転倒するなど家の中は散乱し、大変な状態だったそうです。そのような中でも、避難所、隣近所に配給が届かない状況を見かねて参加をされたそうです。
各区市町村も災害に対する各種訓練を行っていますが、震災発生時は、まちに住む方が被災者です。まず、ご自身の安全、家族の安全、そしてご自宅の復旧を最優先していただきたいと考えます。
そこで、ご自宅が震源地から遠く、ご家族、ご自宅の無事が確認できた方、特に震源地に勤務の方々は、勤務先が通常業務を行えない場合はそのまま被災地にとどまり、配給などのボランティア活動に参加していただきたいと考えます。そのためにも、帰宅困難者の避難施設の確保は、いっとき避難で自宅に帰る方と、その後も被災地にとどまり、ボランティアスタッフとして働く方のすみ分けも視野に入れ、宿泊、食料備蓄品を確保していく必要があると申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。
○栗林委員 私の方からも、今、前田委員も触れられておりましたけれども、「東京防災」、少し角度を変えたところでお伺いをさせていただきます。
二十七年度の大変大きな話題の一つが、この「東京防災」ではなかったかと思います。イラストも効果的に用いながら、都民が取り組むべき対策を丁寧にわかりやすくまとめられていて、都外の方からも高く評価され、書店等で三十万部以上販売したとも聞いております。都民一人一人の防災の取り組みを後押しする上で、大変役に立つ冊子であると認識をしております。
都は、昨年度、七百五十万部を作成して各世帯に配布したところでございますが、さきの平成二十七年度第二回定例会の我が党の代表質問においても、視覚障害者や外国人などを含めたあらゆる人が「東京防災」の情報に触れることができるよう対応していくことが重要であると述べさせていただいております。
こうした観点から、二点お尋ねいたします。
一つ目は、視覚障害者や外国人に対し「東京防災」の情報を届けるため、平成二十七年度に都はどのような取り組みを行ったのか、お伺いをいたします。
○梅村総合防災部長 「東京防災」は、災害に対する備えを万全とするために作成したものでありまして、全ての都民がひとしくその情報を享受できるということが重要でございます。
そのため、都は、視覚障害者への対応といたしまして、その情報入手手段が多様であるということを踏まえつつ、特別な機械や技能を要さず、また普及が進んでいる音声コードを添付した冊子を作成し、区市町村のほか都営地下鉄の駅、都営バス営業所等において入手できるようにいたしました。
さらに、多言語化の取り組みとして、英語版の冊子を作成し、国際交流協会や都内の大使館等に配布したほか、英語版、中国語版、韓国語版をホームページに掲載し、ダウンロードできるようにいたしました。
○栗林委員 音声コードの添付版や多言語版を作成するなど、さまざまに配慮をしたということがわかりました。
一方で、答弁にあったように視覚障害者の情報入手の手段はさまざまで、音声コード添付版に加えて、情報入手の選択肢をさらにふやしていくことも大切ではないかと思います。
「東京防災」に触れる選択肢をさらにふやしていくことが重要と考えますが、平成二十七年度の取り組みを踏まえ、今後はどのように取り組んでいくのか伺います。
○梅村総合防災部長 より多くの都民の方に「東京防災」を活用していただくため、点字版のほか、音声テープ版、CD-ROM版の作成に向けまして準備を進めております。年内を目途に作成する予定でございます。また、多言語化の取り組みといたしまして、今年度、中国語版、韓国語版の冊子も作成することとしております。
引き続き、より多くの都民の方がさまざまな方法や機会を通じまして「東京防災」の情報に触れ、活用を図ることができるよう、普及啓発などきめ細やかな対応を進めてまいります。
○栗林委員 災害の被害を少しでも減らすためには、都民一人一人が自分の命は自分で守るという自助の意識、取り組みを進めていくことが大切でございます。「東京防災」は、都民のそうした取り組みを推し進め、防災力を向上させていくための大変有効なツールであります。都においては、あらゆる人が「東京防災」の情報にアクセスできるよう、引き続ききめ細かく対応していくことを要望させていただきます。
これは一つ残念だったんですけれども、私たちは平成二十七年度のときに、全戸配布するときに、できたら情報バリアフリーということであらゆる多言語、また視覚障害の方にも音声コードだけではなく点字--二十八年度にやっていただくということではございますが、できることでありましたら、その年度に一斉にその情報が行き渡る、その取り組みもお願いしていたところではありますが、時間的に間に合わないさまざまな原因等々があって、背景があり、それはできなかったんですけれども、次からは、情報は一斉に行き届くようにご配慮もお願いしたいと思います。
今、スマートフォンでもアプリを入れるだけで多言語に全部展開できるような、そういう環境も整っておりますので、ぜひこういう、特に注目をされて非常に評価の高い「東京防災」でございますので、これからの要望ということでお願いをしたいと思います。
続きまして、都内の被災者支援についてお伺いをさせていただきたいと思います。
東日本大震災から五年七カ月が過ぎ、全国にはいまだ十四万人を超える方たちが避難生活を余儀なくされていらっしゃいます。八月に福島県の内堀知事とお会いしたときに、内堀知事の方から、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック大会、この本番を迎えたときに、被災地の復興が進まないで、東京大会の番組が放映されてもテレビのスイッチを切ってしまうような心境にはさせたくない、被災地も東京大会成功を目指しながら復興を推進させて、ともに喜び合いたい、そういうお話がありました。本当にそのとおりだと思います。
避難者が応急仮設住宅などで不自由な生活を続けていることを考えますと、もう本当に心が痛みます。都内にも多くの方が避難しており、都はこれまでも避難者に対してさまざまな支援を行っていただいたと思います。
そこでまず、平成二十七年度末時点での都内避難者数と都の主な支援策についてお伺いいたします。
○野口復興支援調整担当部長 平成二十八年三月末時点の都内避難者の数は六千七百八十九名でございます。そのほとんどは福島県からの避難者でございますが、避難生活の長期化に伴いまして、先行きに不安を抱き、抱える課題や悩みも多様化しております。
都はこれまでも、都内避難者への支援として、関係各局が連携し、都営住宅等を活用した応急仮設住宅の提供を初め、孤立化防止や就労支援の実施など、避難者の生活全般にわたる支援を幅広く実施してまいりました。また、民間団体や区市町村とも協力し避難者交流会に参画するなど、地域における支援事業を後押ししてまいりました。
こうした支援の情報につきましては、ホームページへの掲載のほか、定期的に個別郵送するなど、その利用が促進されるよう努めてきております。さらに、平成二十七年五月からは、都内避難者相談拠点を飯田橋のセントラルプラザ内に開設いたしまして、相談体制の充実を図ったものでございます。
○栗林委員 セントラルプラザにも相談体制を整えていただきまして、私も何人かご案内をさせていただきましたけれども、拠点があること、それがとても安心につながるといわれていました。
では、その相談拠点にどのような声が寄せられ、相談に対しどのように対応されてきたか、伺います。
○野口復興支援調整担当部長 相談拠点には二名の相談員が常駐しておりまして、福島県の駐在員も同席するなど、避難者からのさまざまな相談に丁寧に対応できる体制を組んでおります。
これまで寄せられた相談内容は、身の回りの生活に関すること、福祉や介護にかかわること、生活資金の利用、今後の住まいに関することなど多岐にわたっており、平成二十七年度は百八十八件の相談がございました。これに加えて、避難者の生活のケアを目的とした巡回による戸別訪問を一月当たりおおむね百六十件程度実施しているところでございます。
都では、この相談拠点を通して、相談員が状況に応じて福祉や住宅等の専門機関につなげ、また福島県の駐在員が避難者が求める情報を地元の市町村に照会、そして収集の上、適切に伝えていくなど、避難者に寄り添った対応を行ってきております。
都といたしましては、避難者が一日も早い生活再建を図れるように、福島県を初めとする関係機関と連携し、支援を継続してまいります。
○栗林委員 大変な不安を抱えての生活に少しでも活力を与えていけるような支援体制をさらに充実させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、公立大学法人首都大学東京の支援について伺わせていただきます。
昨年、ちょうど総務委員会の委員長として、首都大学東京など法人が設置する産業技術大学院大学や産業技術高等専門学校の卒業式、入学式に参加させていただける機会を頂戴いたしました。改めて、本当にすばらしさに感動をした次第で、認識を深くしたところでございます。希望に満ちた新入生や決意にあふれた卒業生の姿が大変印象に残っております。
そのうち首都大学東京は、開学したのは平成十七年四月であり、昨年、二十七年度はちょうど十周年ということになると伺いました。この間、文系から理工系、さらには保健医療系までの幅広い分野において日本の次代を担う人材を育成し、輩出するとともに、少子高齢化や防災などの都政の課題に関する研究の推進にも取り組んできたと伺っております。
決算説明書を見ますと、平成二十七年度も大学のさまざまな取り組みに対して運営費交付金が支出されております。特に、国際化に関連する事業が多いと思います。
そこで、首都大学東京は、その名のとおり首都東京の大学として、留学生の受け入れを初めとする教育研究の国際化に積極的に取り組むべきと考えます。平成二十七年度は、どのような取り組みにより何人の留学生を世界から受け入れられたのか、伺わせていただきます。
○松崎企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務 首都大学東京では、国際的な教育研究環境の構築を重要な課題の一つと捉え、それを加速するため、平成二十七年十二月、国際化行動計画を策定して、留学生の受け入れにも一層力を入れてございます。
平成二十七年度は、海外における認知度のアップのため、例えば海外で開催された日本留学フェアにおきまして、首都大学東京の大学院を修了いたしました元留学生に参加していただくなどの取り組みを行い、海外プロモーション活動を充実させてございます。
また、英語により実施する授業科目を増設するとともに、日本語・日本事情短期集中コースを拡充することによりまして、学生交換協定校からの交換留学生の受け入れ拡大にも努めました。
さらに、アジア人材育成基金の後継として都が創設した都市外交人材育成基金の仕組みを活用して、世界諸都市から優秀な留学生を大学院に受け入れてございます。
こうした取り組みによりまして、平成二十七年五月一日現在の留学生の数は四百三十五人となりまして、五年前の平成二十二年と比べますと二百人以上増加してございます。
○栗林委員 私も卒業式、入学式に行かせていただいて、留学生の多さに本当に驚いた次第でございますが、大変大事な取り組みだと思います。これからも積極的に取り組んでいただきたいと思います。
ただし、留学生は、ただ数をふやしていけばいいというものではなく、やはり日本や東京を好きになっていただき、帰られた後、帰国された後も、東京とのかけ橋になっていただきたい、そういう必要もあると思います。
そのために、外国人留学生と日本人学生とが交流したり、日本の文化に触れてもらったりすることによって、日本のことをよく知ってもらうことも重要と考えます。首都大学東京では、どのような取り組みを行っているのか伺います。
○松崎企画担当部長首都大学調整担当部長尖閣諸島調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長被災地支援福島県事務所長兼務 首都大学東京では、留学生の受け入れにおきまして、日本や東京をよく知る人材を育成することが重要であることから、留学生が日本文化や東京の魅力を学ぶ異文化理解講座等を実施するとともに、日本人学生や近隣住民の方と交流する機会も提供してございます。
例えば、公団住宅等をリフォームした団地型シェアハウスを借り上げまして、主に交換留学生と日本人学生が共同生活を行う国際学生宿舎を設けてございます。この宿舎では、日本人がレジデント・アシスタントといたしまして、外国人留学生が日本での生活になじめるよう日常生活をサポートするとともに、学外における交流イベントの企画なども行ってございます。平成二十七年度は、これを新たに一カ所、三十七人分借り上げまして、計二カ所、六十七人分となってございます。
このほか、外国人留学生が二〇二〇年東京大会に向けた商店街の多言語化対応の調査に協力するなど、都の各局との連携にも取り組んでございます。
○栗林委員 本当にさまざまな取り組みを考えてやっていただいているということ、本当にすばらしいなと思います。東京の大学として、東京都の大学として、首都大学東京には引き続き、国際化の推進に向け力を入れていただきたいと思います。
また、それだけではなくて、やっぱり首都大学東京というものをもっともっとPRしていくべきだと思います。都立大が首都大学東京になったということをまだまだご存じない方、大勢いらっしゃいます。アピール度が足りないのかなと思います。
例えば先日、ユニークな取り組みが注目されて、七月に行われた鳥人間コンテスト二〇一六、そこで二位という優秀な成績を首都大学東京がおさめられたり、話題にもなっておりますし、またグリークラブ、これは一度廃部になりかけた男性のコーラス、入学式か卒業式かに聞かせていただいたんです。すばらしいハーモニーで、さすが金賞をとられるというレベルの高いコーラスも首都大学東京にはあるようです。ぜひ都のイベントとか、また議会のイベント、開会日に都響さんと一緒にちょっと歌ってもらうとか、いろんなところに露出度といいますか、そういうものも考えていただきながら、ぜひぜひ首都大学東京は東京都の大学である、これをPRしていただきたいと思います。
私は、ちょっとこれは地域的なだけかもしれないんですが、世田谷には東京都市大学というのがあるんですね。東京都市大学と首都大学東京の区別がつかないという方が結構いらっしゃいます。ですから、やはり首都大学東京は東京都の大学、これをもっともっとさらにPRをしていただき、学生たちが学べることへの誇りを持って勉学、研究、またスポーツに励んでいただくよう環境を整えていただくことを要望させていただきたいと思います。
公立大学法人首都大学東京は、今回話題にした首都大学東京だけでなく、産業技術大学院大学とか東京都立産業技術高等専門学校、この運営も行っており、平成二十七年度の決算額にも、日本の技術力の向上の面や人材育成の面においても、各学校が地道に取り組んでいる活動が含まれていると思います。首都大学東京の開学から十年たった今日、東京都立の学校としてもっともっと広く認知されてもよいと思います。それぞれの大学、また高専がさらに教育研究力を高めることによって、その存在価値を都民に示していくことを期待し、首都大学東京の質問を終わります。
次に、最後になりますけれども、人権施策について伺わせていただきます。
いよいよ、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会まで四年を切りました。オリンピック憲章のオリンピズムの根本原則では、オリンピックは人権に配慮した大会であることがうたわれており、都は、二〇二〇年大会の開催に向けて人権尊重理念を広く社会に発信し、浸透させていくことが求められています。
このような中、都は昨年八月に、人権施策推進指針を十五年ぶりに見直し、十六の取り組むべき人権課題を掲げております。
そこで、新たな指針のもとに実施しているこれらの人権課題への取り組みについて何点か伺います。
初めに、犯罪被害者やその家族について伺います。
犯罪被害者の方やそのご家族は、犯罪による直接的被害に加え、精神的後遺症、経済的被害の二次的被害に苦しんでいる状況があります。特に性犯罪、性暴力の被害に遭われた方たちの精神的な被害は深刻であり、平成二十七年度に策定された東京都人権施策推進指針においても、心身への大きなダメージや人に知られたくない等の被害の特性から、誰にも相談できない方が多くいるという調査結果を受け、支援を推進するとの内容が盛り込まれています。
このようなことから、都は、性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業を開始しましたが、その実績はどうなっているか。また、今後、性犯罪、性暴力の被害に対する支援をどのように充実させていくのか伺います。
○箕輪人権部長 性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援事業は、民間支援団体、医療機関、警察等との連携のもと、被害者から二十四時間三百六十五日体制で相談等を受け付け、被害直後から相談、医療、精神的ケア等の支援をワンストップで行うものであり、昨年七月十五日に開始した取り組みでございます。
昨年度三月末までの実績といたしましては、相談が三千八百六十七件、産婦人科や警察などへの付き添い支援が百十七件でございました。相談実績は日々着実に積まれており、被害者が常にアクセスできるホットラインを設けたことで、埋もれがちな被害者の声の掘り起こしに一定の役割を果たしていると認識してございます。
また、性犯罪、性暴力の被害者の受ける精神的ダメージは非常に大きく、他の犯罪被害に比べ、PTSDの症状が発生する確率が高い傾向があるほか、望まない妊娠や感染症のリスクをも負うなど、深刻な実態がございます。
このことから、今後は、協力医療機関等を対象とした研修会を引き続き実施するほか、精神的ケアの充実に向けた取り組みを進めるなど、支援を充実強化してまいります。
○栗林委員 次に、やはり近年大きく取り上げられています人権課題として、LGBTといわれる性的少数者の人権について伺いたいと思います。
LGBTといわれる性的少数者の中には--一説には人口の五%ぐらいいるといわれていますけれども、オリンピック憲章にも性的指向による差別の禁止がうたわれており、都の人権指針でも、性同一性障害、また性的指向を新たに人権課題として取り上げるところであります。都は、これら性的少数者の人権についてどのような取り組みを行っているのか、お伺いします。
○箕輪人権部長 性についての多様性があることへの理解を深め、性同一性障害者や性的指向の異なる人たちへの偏見や差別をなくし、全ての人々の人権が尊重される社会であることは重要でございます。
都ではこれまで、性的少数者に関する正しい知識の普及や偏見、差別の解消を目指し、ホームページへの掲載や広報東京都の人権特集に加え、大型啓発イベントにおけるパネル展示や啓発冊子の作成、配布などにより啓発を実施してまいりました。
また、性的少数者をテーマに学識経験者から講義を受け、職員の理解促進を図ってございます。
さらに、今年度新たにリーフレットを作成し、人権啓発イベントの解消など、さまざまな機会を捉えて配布してまいります。
このような取り組みを通じまして、引き続き都民啓発や職員の理解促進に努めてまいります。
○栗林委員 それでは最後に、指針で取り上げてもいらっしゃいます外国人の人権に関して、近年の課題でありますヘイトスピーチについて伺います。
東京都は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を控え、海外からますます今後多くの外国人客が来訪することが予想されております。現に今もそうなっております。
そのような中、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動であるヘイトスピーチはあってはならないことであり、本年六月には、いわゆるヘイトスピーチ解消法も施行されました。
そこで、ヘイトスピーチに対する東京都の取り組みについて伺います。
○箕輪人権部長 特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動、いわゆるヘイトスピーチは許されるものではなく、オリンピック・パラリンピック開催都市として、差別を禁じたオリンピック憲章の理念を東京において実現すべきでございます。
都は、ヘイトスピーチに対する取り組みといたしまして、これまで国に対して実効性のある対策を求めるとともに、大型啓発イベントや人権週間行事、「広報東京都」やテレビCMなどにおいて、外国人の人権をテーマに、さまざまな都民啓発を実施してまいりました。あわせて、ヘイトスピーチを許さない趣旨のポスターの掲出も行っております。
今後は、ヘイトスピーチ解消法が施行されたことも踏まえまして、国が主催する会議へ参加するなど、引き続き国や他の自治体と情報交換を重ねまして、連携しながら啓発活動などの取り組みを推進してまいります。
○栗林委員 二〇二〇年まで、この東京は、多様性の受容という、その社会をつくるかという大変重要な課題でございます。全ての人の人権が尊重される東京構築に向けてご尽力いただくことを要望し、質問を終わります。ありがとうございました。
○松村委員 最初に、職員の採用、職員の労働実態に関して質問します。
まず、障害者雇用について伺います。
知事が目指す三つのシティーの一つとしてダイバーシティーを掲げているように、障害のある方も活躍できる都市を目指し、ことし四月には改正障害者雇用法も施行されました。障害のある方が当たり前に働ける共生社会を進めていくため、都が率先してその雇用の確保を努めていくことは重要です。
そこで--資料ありがとうございました。二〇一一年、平成二十三年から平成二十七年までの五年間の障害者雇用の実績について、まず伺います。
○栗岡人事部長 平成二十三年から二十七年までの五年間の知事部局における障害者雇用率は、順に平成二十三年が二・五九%、二十四年が二・六〇%、二十五年が二・六五%、二十六年が二・六一%、二十七年が二・六二%となってございまして、おおむね近年は二・六%を超える水準を維持してございます。
これら五年間の障害者雇用率は、いずれも国が定める地方公共団体が達成すべき障害者雇用率、平成二十四年までは二・一%、二十五年以降は二・三%となってございますけれども、これを上回ってございます。
○松村委員 今、知事部局の答弁がありましたけれども、しかし、教育委員会では達成していません。また、知事部局は法定の雇用率は達成しているんですが、それは当然のことで、都自身の計画でも目標は三%となっているからです。さらに努力を強める必要があります。
また、二〇一八年度から精神障害者が法定雇用率の算定基礎に入ることからも、これまでの延長にとどまってはならないというふうに思います。
一口に障害がある方といっても、身体に障害のある方、知的障害のある方、精神に障害がある方など、その抱える障害はさまざまなものがあります。都ではこれまで、身体に障害のある方を対象に特別な選考を実施してきているものと認識していますが、その選考の規模はどれくらいであるのか。最近五カ年間の身体に障害のある方を対象とした特別選考の採用の実績を伺います。
○栗岡人事部長 平成二十三年度から二十七年度までの身体障害者特別選考における採用実績は、累計で百四名となってございまして、うち、平成二十七年度は二十四名を採用してございます。
○松村委員 身体に障害がある方については規模も拡大し、一定の採用者を確保しています。引き続き努力をしてほしいと思います。
一方で、常勤職員の特別選考の対象は、身体障害者の方のみにとどまっています。私もいろいろちょっと調べたんですけれども、鳥取県や京都府、愛知県--さらにあと、今ちょっと手元に資料等はないんですけれども広がっているんですね、三県ぐらいふえております--などで知的障害者の方を対象にした選考を開始しています。また、鳥取県では精神障害も対象にしたそうです。今後は、個々の障害特性に応じた採用を検討していく必要があると考えますが、見解を伺います。
○栗岡人事部長 都は、障害者がその適性と能力に応じて公務につく機会を保障するとともに、企業等に対する指導的役割を果たすため、身体障害者特別選考を昭和五十六年度から実施するなど、障害者の雇用に率先して取り組んでまいりました。
加えて、臨時職員、非常勤職員の形態で、知的、精神障害者チャレンジ雇用を平成二十年度から開始しまして、平成二十七年度までの累計で二百十九名を雇用するなど、民間就労を支援しつつ、都庁における就労機会を積極的に広めてまいりました。
なお、既に平成二十八年度選考からの、これは常勤職員になりますけれども、身体障害者特別選考の受験年齢上限の引き上げや、四月の東京チャレンジオフィス開設によるチャレンジ雇用の充実によりまして、取り組みを一層推進してございます。
今後とも、障害者の特性を生かせる職域の確立に向けまして、引き続き必要な検証と改善を積み重ねてまいります。
○松村委員 皆さんには釈迦に説法となりますが、ことしの四月に改正障害者雇用促進法が施行され、雇用主に合理的配慮の提供が義務づけられました。東京都の発行する障害者雇用促進ハンドブックでは、合理的配慮について、障害者と障害者でない者との均等な機会や待遇の確保、障害者の能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するための必要な措置だと説明しています。
この障害者雇用促進法の改正に基づけば、障害者が職場で働きにくい状況があったときに、それを障害者は働く能力が低いからだと考えて済ませてしまうのではなく、職場の環境の中に、障害者が本来持っている能力を発揮することを妨げる要因がないのかということを考え、必要な改善を行わなくてはならないのです。
しかし、都は、知的障害者と精神障害者を対象とした採用は行っておりません。さっき、チャレンジ雇用という話もありましたけれども、正職員ですか、それはなぜ採用を行わないかとして、その理由として成績主義を挙げています。障害者雇用促進法、さらには障害者権利条約の精神に照らせば、そうした理由で採用しないという態度をとることは許されないと思います。多くの当事者の方から、採用を行わないことへの強い批判と改善の要望が私たちのところにも寄せられています。
障害があっても、他の人と同じようにみずからの力を伸ばし、それを発揮して働くことを通じて社会に参加し、貢献していきたいという当事者の思いを否定することは、決してあってはなりません。知的障害者、精神障害者を雇用できないというのであれば、知事のいうダイバーシティーというのも、絵に描いた餅にならざるを得ません。合理的配慮の視点で、都のあらゆる業務を点検、改善し、知的障害者、精神障害者の雇用につなげていくことを強く求めて、この質問を終わります。
次に移ります。職員の労働実態についても伺います。
職員定数の実態は、総務局資料によりますと、平成十一年度、一九九九年と、いただきました二十七年度、二〇一五年を比較しますと、十七年間で二万二千七百四十人減っています。ずっと減り続けてきて、ここ四年ほどは前年に比べてふえたり減ったりしていますが、条例別の任命権者職員定数の推移の資料、それをよく見ますと、ふえているのは警視庁と消防庁の職員です。
そこで、職員が減っている中、都の職員の超過勤務は増加しているのではありませんか。職員の超過勤務の実態をどのように把握しているのでしょうか。
○村岡労務担当部長 都職員の超過勤務は近年増加傾向にありまして、知事部局等については、本庁に勤務する職員一人当たりの平均超過勤務時間は、平成二十七年度では一カ月二十三・五時間となってございます。
超過勤務の増加要因といたしましては、各職場が直面する諸課題にスピーディーな対応が求められる場合や、危機対応など事前に見込むことができない計画外の臨時、突発業務が影響しているものという形で認識しております。
○松村委員 長時間労働面接対象者数のこの資料を見ますと、一カ月当たりの超過勤務時間が超えた職員数、または二カ月間ないし六カ月間の超過勤務時間が一月平均八十時間を超えた職員数は、一番多い福祉保健局が八百七十七人、財務局が三百八十人、皆さんの総務局も三百六十四人で三番目に多い局です。
さらに、都職員の精神疾患による三十日以上の病気休暇者数は、二〇一四年、平成二十六年度には三百四十六人で、五年間の平均をとってみても三百六十人となっています。
そこで伺いますが、都は長時間労働、過重労働の解決にどのような対策を行うのでしょうか。
○村岡労務担当部長 職員の超過勤務については、これまで全庁一斉定時退庁日やノー残業ウイークの設定などの取り組みを行ってまいりました。今月からは、二十時完全退庁を基本に据えた残業削減マラソンを本庁で新たに開始するなど、全庁挙げて超勤縮減の取り組みを加速させているところでございます。
これに伴い、各局では職場の実情に応じて仕事の進め方の見直しに取り組んでおり、今後とも業務の効率化に向けた不断の努力を重ねてまいりたいと思っております。
以上です。
○松村委員 先日ニュースで、大手広告代理店で働いていた二十代の女性が、苛酷な過重労働などにより精神的、肉体的に疲労、疲弊、自殺するという大変痛ましい事件がありました。
厚生労働省でも、過重労働が過労死や多種の健康被害、精神疾患、自殺のリスクを高めることが指摘され、過重労働解消キャンペーンをスタートさせます。
都も、今月からライフワークバランスを具体化する二十時退庁の取り組みがスタートしています。
そこで、二十時退庁が守れなかったり仕事を持ち帰ったりするなどの懸念に対し、都はどのような対策を行っていますか。
○村岡労務担当部長 超過勤務縮減に向けては、退庁時間などの目標設定だけではなく、長時間労働を防ぎ、できるだけ早く仕事を終えて退庁できるよう、仕事の進め方を見直すことが重要だと考えております。このため、各職場において、それぞれ職場の実情に応じた取り組みの工夫を重ねていくところでございます。
○松村委員 いずれにしても、一人一人の職員の命と健康を守ることは行政の仕事の向上につながり、ひいては都民生活の向上にもつながります。
さらに、この間、東日本大震災や熊本地震でも、自治体職員の削減が被災者支援に重大な困難をもたらしたことが浮き彫りになりました。このことからも、先ほども、最近は少し職員の削減数が減っているような、繰り返しておりますけれども、やはりしっかりとした、いつ起きる首都直下型地震にも備えられるような、必要な職員数の確保、適切な職員配置にも万全を期すことが大事だというふうに思います。そのことを強く求めておきたいと思います。
次に、人権にかかわる問題について質問します。
昨年度、都は、東京都人権施策推進指針を改定し、一つ、人間としての存在や尊厳が尊重され、思いやりに満ちた東京、二つが、あらゆる差別を許さないという人権意識が広く社会に浸透した東京、三つが、多様性を尊重し、そこから生じるさまざまな違いに寛容な東京を基本理念として、施策に取り組むことが表明されました。
小池知事も所信表明で、都民一人一人が存分に活躍できる環境、多様性が尊重され、温かく、優しさあふれる都市、そのようなダイバーシティーを実現してまいりますと述べたことは重要であると考えます。
東京は、都民だけではなく、東京を訪れる方や住民票は他県にあっても住まわれる方、訪日外国人や在日外国人など、多様な人々がかかわり合う中で都市としての魅力を高めています。
そんな中にあって、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動、先ほども質問がありましたけれども、いわゆるヘイトスピーチが社会問題となっています。
昨年六月十九日の総務委員会で我が党の清水議員がヘイトスピーチの認識を聞いたのに対し、ある特定の国籍の外国人を排斥する趣旨の言動、いわゆるヘイトスピーチは、一人一人の人権が尊重され、豊かで安心して生活できる成熟した社会を実現する観点から、あってはならないことであると認識している旨の答弁がありました。
そこで伺いますが、人権指針では、ヘイトスピーチとされる行為が人種差別撤廃条約上の人種差別に該当するとした最高裁判決が出ていて、条約締結国として、人種、皮膚の色、民族等の違いによるあらゆる差別をなくすための取り組みが必要としています。都内におけるこうしたヘイトスピーチなどの差別的言動を伴うデモや集会を確認していますか、件数は何件ですか。
○箕輪人権部長 ヘイトスピーチでございますが、平成二十八年三月に、法務省がヘイトスピーチに関する実態調査報告書を公表いたしました。本調査報告書によりますと、ヘイトスピーチを伴うデモ等を行っていると報道等で指摘されている団体、こういった団体が実施したデモ、街宣活動の発生件数でございますが、東京都では、平成二十四年四月から十二月で八十一件、平成二十五年は百十二件、平成二十六年は百四十三件、平成二十七年は一月から九月ということで百四件となってございます。
同じ報告書におきまして、これらのデモ、街宣活動のテーマは多岐にわたっておりまして、このうち、ヘイトスピーチと一般に指摘されることの多い内容をテーマとして掲げているデモ、街宣活動に限って見ますと、平成二十四年四月から十二月で二件、平成二十五年は六件、平成二十六年は三件、平成二十七年は一月から九月で二件となってございます。
○松村委員 今ご答弁にありましたけれども、やはり発生件数は年々ふえてきている状況、大変憂慮すべき状況にあるというふうに思います。
そこで、都の立場で、あってはならないとするヘイトスピーチを根絶するために行っている具体的な施策は何でしょうか。
○箕輪人権部長 都はこれまで、国に対しまして実効性のある対策を求めるとともに、大型啓発イベントや人権週間行事などの機会を捉えまして、外国人の人権をテーマにさまざまな都民啓発を実施してまいりました。
今後、本年六月に、いわゆるヘイトスピーチ解消法が施行したことを踏まえまして、引き続き国や他の自治体と連携、情報交換しながら、啓発活動などの取り組みを推進してまいります。
○松村委員 人権指針では、同和問題について、依然として差別落書きやインターネット上の悪質な事例などが起きているとしています。
二〇一四年十一月二十七日の総務委員会で我が党の清水議員が、同和問題が原因と明確にわかる、東京都において結婚、就職にかかわる差別はあるのかの質問に対し、東京都が直接把握した結婚、就職に関する差別事象というのは、ここ数年では把握できていないという状況ですとの部長の答弁がありました。
それでは、それ以降において同和問題に起因する結婚、就職に関する差別は確認されているのですか。
○箕輪人権部長 同和問題に起因する結婚、就職に関する差別事象についてでございますが、ここ数年、都が直接把握、対応した事例はございません。
しかしながら、法務省発表の平成二十六年における人権侵犯事件の状況についてによりますと、全国では、法務省の人権擁護機関が救済措置を講じた結婚差別の事例があるとのことでございます。このほか、都内におきまして差別落書き、インターネット上における差別書き込みといったさまざまな事象が発生していると認識してございます。
○松村委員 差別解消には、就職、結婚、教育、社会保障などあらゆる部署との連携は当然であり、だからこそ東京都人権施策推進指針も、東京都全体の施策の指針としているわけです。
人権に関する都や区市町村の職員全体の講演会も、同和問題だけではなく、性の多様性を考える、多文化共生社会を実現する、障害者の人権など、多様な人権課題を取り上げ、あらゆる差別を解消するために、同和問題に限らずさまざまな人権課題を学び、深めていることからも、なおのこと、同和の課長を二名配置しながら他の人権課題を専門的に扱う部署がないというのは、やはり整合性がとれていないと思います。
さまざまな人権課題を解決する上で、指針の基本に基づき、各局横断で多様な取り組みを行うよう、人権問題を扱う部署としての組織のあり方を再検討するように求めておきます。
次に、防災についてです。
本決算年度に、東京の防災プラン進捗レポート二〇一六が作成されました。これは、都が実施する主な取り組みを中心に、二〇一五年度までの進捗状況と二〇一六年度の取り組み予定などを記載したものです。このレポートから、近年相次いで起きた大地震の教訓からも、その最大の備えは建物の耐震化と出火対策だと指摘されていますので、この二大対策について伺います。
今手元にあるんですけれども、進捗レポートの概要書を見ますと、自宅の耐震診断、耐震補強を実施している方、六・九%となっています。事実、都内の住宅耐震化率は八三・六%で、この四年間の進捗率は四%にとどまっています。さらに、熊本地震では、避難所に指定されていた学校体育館や役所までもが被災し、救援活動に多大な影響が出ました。
進捗レポートで、都の公共建築物の耐震化率が、災害拠点病院八七・八%、防災上重要な公共建築物は九六・七%と記載されています。加えて、ここには書いていないんですけれども、福祉避難所になる社会福祉施設は、調べてみましたら八五・三%にとどまっています。
このように、建物の耐震化について、進捗レポートを見ると進捗状況は必ずしも思わしくなく、その他耐震の促進や公共建築物の耐震化の取り組みについてもまだまだ足りない点は多いと考えますが、都はどう取り組んでいくのか、考えを伺います。
○小林防災計画担当部長 東京の安全・安心の確保を図るためには、災害に備えた事前の取り組みを推進するとともに、その実効性を高めていくことが重要でございます。
このため、進捗レポートでは、建物の耐震化や木造住宅密集地域の不燃化促進など公助の取り組みにつきまして、平成二十七年度までの進捗状況と平成二十八年度の事業計画を明らかにしてございます。
都では、この進捗レポートを踏まえまして、目標とする将来像の実現に向けた課題等を適宜把握しながら、防災プランで掲げた施策の着実な推進を図ってまいります。
○松村委員 今答弁で、目標とする将来像の実現に向けた課題などを適宜把握しながら、防災プランで掲げた施策の着実な推進を図るという答弁でしたが、建物の耐震化はもとより、都のさまざまな防災計画を進捗率を適宜把握しながら推進していくことが非常にやはり重要になってきているというふうに考えます。
東京都には、地域防災計画、震災対策事業計画、耐震改修促進計画、防災都市づくり推進計画など、さまざまな計画があります。都民からも、東京都の計画は本当に完璧というか、抜けているものはないと、いろいろ調べてみると。
しかし、率直に、じゃあ何が今の課題で私にとって必要なのかということは、なかなかわからないと、一方においては、そういう声も、この間、私どもの方に寄せられております。私も、いろいろ教えてもらう中で、率直にいって、やはり縦割り行政の防災対策となっているというような実感としてあります。
今、都庁はさまざまな横の横断が大切だと、こういわれる中で、じゃあ、どうしたらいいのかということもありますが、やはり総務局、防災のかなめの総務局が中心となって、横の、もっと計画の横断連携し、進捗率を確実につかむ必要も感じております。
そこで、私、他の自治体はどうなっているかということも、我が党としてはいろいろ調査を始めているんですけれども、この首都圏でも、進んでいたのは横浜市ですね。やはり東海地震ということで従来からいろんな試行錯誤をやりながら積み重ねてきていると。
というのは、横浜市では、二〇一三年四月に地震防災戦略を策定しているんです。この戦略全体の進捗管理と定期的な見直しや追加対策の決定などのために、各局長で構成する地震防災戦略推進プロジェクトを立ち上げています。さらに防災戦略を具体化するために地震火災対策方針を策定し、副市長をトップとする地震火災対策推進プロジェクトを実は設置していました。そういう体制になっているんですね。
重要なことは、やはり東京のように、各局の取り組みは確かにありますけれども、ばらばらではなくて、横浜市に見られるように--この二つのプロジェクトは局長級の陣頭体制をしき、担当課長が十五名も兼務で発令されておりました。一年間の進捗状況を点検、報告し、一同の共通認識のもとに推進しているということを聞きました。しかも、消防局がこの推進体制に入ることによって、住民の防災に対する意識や事業の受けとめ方も本当に変わってきたという声を聞きました。
都としても、こうした推進体制の確立をぜひ検討していただきたい、このことを要望したいと思います。
そして最後に、震災対策のもう一つの柱である出火対策です。
この同レポートでは、出火防止対策を何もされていない方が都民の四七・一%なんですね。通電前の広報や倒壊家屋の引き込み線切断なども有効な対策だとは思われます。事実、熊本地震では、火災の発生が十六件にとどまった要因は、通電前に広報車の巡回や倒壊した家屋の引き込み線を切るなどの対策をとったと分析されています。
しかし、これらのことからも、東京における出火対策は人的対応が困難なことを踏まえて、やはり効果があるといいますか、感震ブレーカーです。今、国も挙げて、その普及というか、そういう立場に立っておりますけれども、やはりこの一刻も早い普及が鍵といえます。
国のこの間のモデル調査から得られた課題では、火災の危険性に対する住民意識が高い地域では、電気火災の認知についても感震ブレーカーの認知についても、いずれも七六%と高くなっています。このことからも、電気火災と感震ブレーカーの啓発にさらに力を入れるとともに、改めて全都的普及への都の支援を求めますが、いかがでしょうか。
○小林防災計画担当部長 平成二十六年に策定いたしました東京の防災プランにおきましては、出火防止に向けました感震機能つき分電盤等の設置などを都民みずからが備えるべき取り組みとして掲げてございます。その設置促進に当たりましては、基礎的自治体であります区市町村が、地域の実情を踏まえ主体的に取り組むことが重要というふうに認識をしてございます。
都といたしましては、広域的な立場から、平成二十七年度に作成いたしました「東京防災」におきまして、感震ブレーカーの設置など出火防止に向けた取り組みを、今やろう防災アクションの一つとしてお示しし、都内各世帯に配布するなど、広く普及啓発を図ってございます。
今後とも、こうした取り組みを通じまして都民の防災意識を高め、具体的な行動につながるよう促してまいります。
○松村委員 この防災プランの進捗レポートでも、延焼遮断帯、公助はそれのみなんですよ。今、効果があるといわれている感震ブレーカーなどは自己責任と、もしくは基礎的自治体である区市町村の分担だという答弁になっておりますけれども、確かに、住民合意で延焼遮断帯を形成していくことは大事だと思いますよ。
しかし、実際に特定整備路線などは、そのためにこの決算年度は莫大な不用額というか、やっぱり反対されるから進捗というのは進まないんですよ。だからそれが出ていると。やはり時間や財源がかかる、そのことも私たちは否定しません。やることは必要ですよ、住民のやっぱり理解とで。将来的には大事だと思います。
しかし、今、いつ起きてもおかしくないという首都直下地震に備えて、しかも東京におけるような出火、それをどう食いとめるかで、最大の効果があるといわれているんですから、それの方に財源を今、一時的に使っても都民の世論喚起を行って、もちろん自分でやれる方は自分でやる、町会ぐるみでやるということも含めて、やはり前向きに取り組む。今できることなんですから、足を踏み出すことを強く求めて、質問を終わります。
○中村委員 それでは、総務局の決算に関して、最初に公文書管理について伺います。
現在、都の情報公開が注目をされています。都議会民進党は、さきの定例会の代表質問で、情報公開制度の前提として適切な公文書の管理の必要性について、都合の悪い文書は恣意的に不存在、廃棄済みとされることのないよう、どの文書を何年保存するのか、後日検証が可能なように文書を作成、保存するため、公文書についてしっかりとルール化をする必要があると述べ、以前から制定を求めてきた公文書管理条例について、改めて制定するよう主張しました。
そこで、そもそも公文書管理について、総務局はどのような業務を行っているのか、決算年度の取り組みを伺います。
○小暮総務部長 都が保有する文書は、行政活動を行う上で基本的かつ不可欠でございまして、適切な文書管理は、情報公開制度と相まって、都民にとりまして、都政への参加を進めるためにも重要であると考えてございます。
総務局は、全庁的な文書の審査、収受、配布、発送、さらには文書に関する管理、改善、指導等に関する事務を担当しておりまして、適切な文書管理を進めるための研修や事務説明会等を毎年実施いたしております。平成二十七年度におきましても、例年どおり実施をしたところでございます。
○中村委員 引き続き、各局が適切な文書管理を進めるよう取り組んでいただきたいと思います。
さて、公文書に関してはどのような法体系で運用されているのでしょうか。文書の保存年限、そもそもどのようなものが公文書かをどう定めているか、意思決定にかかわる重要な文書が作成されているのか伺います。
○小暮総務部長 都におきましては、平成十一年に制定いたしました情報公開条例におきまして、公文書の適正な管理の必要性を規定するとともに、文書の発生から廃棄までのライフサイクルを統一的なルールで統制するため、現行の東京都文書管理規則等を整備したところでございます。
また、文書等につきましては、職務上作成し、または取得した文書、図画、写真、フィルム及び電磁的記録と定義いたしまして、保存期間は、法令等の定めや重要度等により、一年未満、一年、三年、五年、十年及び長期の、この六種を基本としてございます。
こうしたルールに基づきまして、重要な文書につきましては、各局において適切に作成及び保存されているものと考えておりますが、引き続き適切な文書管理の周知徹底を図ってまいります。
○中村委員 昨年三月、総務省が行った調査では、四十七都道府県のうちの一県を除いて、公文書管理に関する条例、規則等があり、そのうちの五県は条例で定めているとのことです。国の文書管理法では、公文書等が健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源とし、現在及び将来の国民に説明する責任が全うされるようにすることを目的とすると規定し、高い理念を掲げています。
また、他県の条例では、意思決定の経過を文書にするよう明記しているものもあり、今後、情報公開の前提として、どういう文書を作成し、都民が知ることができるのか示していく必要があります。
都としても、公文書を都庁内の文書としてのみ捉えるのではなくて、都民共有の知的資源としての認識を持っていただくためにも、改めて公文書管理条例の制定を求めます。
次に、行政監察室について伺います。
豊洲新市場の問題は大きく世間を騒がせていますが、九月三十日に豊洲市場地下空間に関する調査特別チームが知事に自己検証報告書を提出しました。そのチームには総務局主席監察員が名を連ね、事務局は総務局行政監察室と記載がありました。
豊洲市場問題の真相究明や再発防止については、さきの定例会の最終日に設置をされた特別委員会で審議をしていきますが、ここでは行政監察室について、改めてどのような業務を行っているのかについて伺います。また、昨年度どのような予算、人員で行ったのか伺います。
○安藤主席監察員 行政監察室は、東京都服務監察規程に基づき、知事部局等の職員に関する服務監察等を行っておりまして、服務監察には、予防監察と事故監察の二種類がございます。
予防監察は、汚職等非行、事故の未然防止及び服務規律の維持向上を図るため、職員の勤務状況等の調査を定期監察として行うほか、必要に応じて随時監察等も実施しております。
事故監察は、職員の非違行為について、その事実関係及び責任の有無等を明確にするため、本人からの事情聴取等による調査を実施しております。
なお、地方公務員法に基づく懲戒処分等は人事部で所管しております。
また、昨年度の予算は八百八万五千円でございまして、人員は、平成二十七年八月一日現在の現員は二十七名で、うち監察員八名、副監察員九名、一般職員十名でございます。
○中村委員 未然防止のための予防監察と非違行為についての事故監察の二種類を行っているとのことでした。
予防監察を行うことで、できれば事故監察をしなくてもよい状況であっていただきたいとは思いますが、残念ながら事故監察をすべき案件は発生しているわけです。昨年度の処理件数は四十五件とのことでした。
そこで、事故監察における事情聴取を実施するとのことですが、どのようなものなのか伺います。
○安藤主席監察員 事故監察における事情聴取は、服務に関する法令等の遵守義務違反について、事実を究明するために十分かつ綿密な調査を実施するものでありまして、職員本人や関係者に対する直接の事情聴取や、関係資料の提出等を求めることにより実施しております。また、弁明の機会としても実施しておりまして、事情聴取書には本人の同意の署名を得ております。
○中村委員 都の職員は各局を異動するので、当然ながら行政監察室にずっと在籍するわけではありません。事情聴取をする人が知っていたり、また、いつかは一緒に働くことになるのではということもあるのかもしれません。職員同士の事情聴取では、なれ合いになってしまうことはないのか、伺います。
○安藤主席監察員 服務監察規程におきましては、監察員は公正を旨とし、もって都民の信託に応えなければならないと定められております。事情聴取は、これに基づき厳正に実施しております。
○中村委員 都庁の何万人もの職員の服務監察をするので、先ほどの人員でするわけですから大変なことだと思いますが、それゆえに、残念ながら問題も発生するため、チェック機関が適正に機能していることが重要です。都民の信託に応えるためにも、引き続き厳正に職務を果たしていただくことを求めます。
次に、監理団体について伺います。
都議会民進党はかねてから、都と密接な関係がある監理団体の改革を主張してきました。都は、監理団体ほど関連性が強くない団体を報告団体としていますが、報告団体も改革が必要なのは同じです。特に、昨今では行政の透明化について厳しい目が向けられ、同時に、監理団体、報告団体にも厳しい目が向けられています。
しかし、都は、報告団体に対しては、監理団体ほど強く指導監督しているわけではありません。そのため昨今では、オリンピックの組織委員会は監理団体でないため、都の関与が小さいことが問題につながったともいわれています。ここでは個別の団体のことは質問しませんが、改めて代表質問でも主張したように、都は組織委員会に対する関与を強めることで情報公開を徹底させていくことを求めます。
さて、ここでは、総務局による監理団体、報告団体に関する事務について伺います。
まず、監理団体、報告団体についてどのくらいの数があるのか伺います。また、監理団体と報告団体の区分について、恣意的な判断をせず、単純に出資比率で扱いを決めるべきではないかと考えますが、都の見解を伺います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 都では、都の政策との連動性が高く、都の施策実施の現場を担う監理団体と、その公共性に鑑み、都が出資等を行っている報告団体の、大きく二つに区分しており、現在、監理団体は三十三団体、報告団体は五十一団体となっております。
監理団体と報告団体の区分につきましては、単に出資、出損の比率だけではなく、都からの財政的、人的支援の状況や都の政策との連動性などを総合的に勘案し、各団体の位置づけを整理してございます。
今後とも、都政を取り巻く動向を注視しながら、都民の理解と納得を得られるよう適切に対応してまいります。
○中村委員 都政を取り巻く動向を注視しながら対応というと明確ではない感じを受けますので、ぜひ誰が見ても納得するような仕組みを構築していただきたいと思います。
また、監理団体に関しては、都幹部職員の再就職いわゆる天下りが問題になっています。監理団体に仕事を任せるときに、民間のノウハウを生かすといわれることがありますが、トップが都職員OBでは民間のノウハウとはいえないのではないかと考えます。直近の再就職の状況とあわせて、都の見解を伺います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 監理団体は、効率的な経営のもと、機動的に事業を展開する側面を持つ一方、都の事業を支援、補完する重要な機能も担ってございます。都の退職者が有する都政に関する知識や経験、都で培ったリーダーとしての資質等を社会のさまざまな分野で活用することは有意義であり、こうした監理団体の適切な事業運営にも大きく寄与するものと認識してございます。
このような考えに基づきまして、都では、これまでも団体に対して必要な都退職者の推薦を行っており、平成二十六年夏季の幹部異動後の一年間に都を退職した幹部職員のうち、二十四名が監理団体に再就職をしてございます。
今後とも都民の理解と納得を得られるよう、また、都政の現場を担う監理団体が都の重要なパートナーとして遺憾なく力を発揮できるよう、都として適切に対応してまいります。
○中村委員 近年、新たな退職管理制度もできましたが、都職員の豊富な経験を生かすとの趣旨であっても、監理団体との連携強化は現職中に人材を考慮すれば可能であり、年金までの収入確保が必要であれば、定年延長や再雇用等、都全体として考えることも必要です。特定の人のみが優遇されることは、なかなか都民の理解を得にくいものがありますので、制度の見直しを求めます。
次に、人権施策について伺います。
昨年は、平成十二年に制定された人権施策推進指針が改定されました。社会状況が変化し、新たな課題がある中で、都の人権施策は長らく足踏みをしていたといわざるを得なかったのですが、ようやく動き出したものとして期待をしています。
昨年から開催されたヒューマンライツのイベントにも、私も見学させていただきました。また、後に法整備はされましたが、ヘイトスピーチなどの問題も発生したり、最近では、沖縄で土人という差別用語が使われるなど、残念な状況もあります。まだまだ人権施策についての課題は大きく、より一層の取り組みが必要です。
そこで、人権施策について、昨年度の取り組みと成果、課題について伺います。
○箕輪人権部長 都は、人権課題の多様化、複雑化等、都の人権を取り巻く状況が大きく変化したことから、平成二十七年八月、東京都人権施策推進指針を十五年ぶりに改定いたしました。
新たな指針では、オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機に、国際都市にふさわしい人権が保障された都市を目指し、人権施策の三つの基本理念、五つの施策展開に当たっての考え方を新たに示したほか、人権尊重の理念が浸透した社会を実現するための起爆剤として、重点プロジェクトを掲げました。
その一つといたしまして、昨年十月には、多文化共生をメーンテーマに、大型人権啓発イベント、ヒューマンライツ・フェスタ東京二〇一五を初めて開催いたしました。このほか、都は、人権週間行事やスポーツ団体と連携した啓発事業等、さまざまな啓発事業を展開してまいりました。
引き続き、オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けて、人権尊重の理念を広く社会に発信し、浸透を図っていく取り組みを実施してまいります。
○中村委員 昨年度は指針を改定し、新たなイベントも開催し、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックに向けて、人権施策としては一歩を踏み出したのではないかと思います。オリンピック憲章は、いかなる差別も認めていません。ぜひこれを機に、東京の人権施策が飛躍的に進展するよう取り組むことを求めます。
さて、人権問題の中で、同和問題について伺います。
今年度、台東区にある東京都人権プラザが港区に移転することを議論しました。もちろん、現在の場所で果たしてきた意義は極めて大きく、移転とはいえ、当面台東区にも分館という形で残ることになりました。改めて、東京都人権プラザの現在の場所での取り組みとその意義、成果を伺います。
○箕輪人権部長 東京都人権プラザは、昭和四十七年に開館した産業労働会館を前身といたしまして、その後、平成十四年に人権プラザとなり、都の人権啓発の拠点として、同和問題を含むさまざまな人権課題について、展示事業や情報提供事業等を行っております。
具体的には、さまざまな人権課題に関する資料、パネル等の展示、人権に関する図書、ビデオ、DVD等を備える図書資料室の運営及び相談員による人権相談、会議室等の提供でございます。これらの取り組みを通じ、人権尊重理念の浸透に貢献する役割を果たしてまいりました。
○中村委員 あらゆる人権を扱う人権プラザですが、老朽化した施設なので、永続した使用は困難な状況だとは思いますが、この地域での何らかの形での存続については検討していただきたいと思います。
さて、私も何度も人権プラザに行きましたが、常設展示や企画展示など大変充実しています。もっと多くの方に見ていただきたいのですが、どのくらいの人員で、どのような展示を行っているのでしょうか。
講演などを含め、すばらしい取り組みもしているようですが、都全体に広めていこうとすると、都の全体の規模が大きく、現状の体制では厳しいと思います。人権施策は本当に重要ですので、人員の拡充を含めて検討する必要性があると考えます。人権プラザ以外にも出張し、展示をしているようですが、実績はどうでしょうか、伺います。
○箕輪人権部長 東京都人権プラザは、指定管理者でございます公益財団法人東京都人権啓発センターが管理運営しており、同センターの職員は、平成二十七年四月一日現在で十六名でございます。
展示室では、さまざまな人権課題を紹介する常設展示のほか、タイムリーな話題について紹介する企画展などを定期的に実施しております。平成二十七年度は、人権漫画展、路上生活者をテーマにした写真展、人権ポスター展といった企画展を行いました。このほか、人権啓発行事等の機会を捉えて出張展示も実施しており、平成二十七年度の実績は十回でございます。
引き続き、展示事業等、東京都人権プラザの機能強化を図り、人権尊重理念の浸透を図ってまいります。
○中村委員 世界的に見ても排外主義的な動きが起きていたりとか、経済的格差の広がりが、より立場の弱い人に矛先が向かったり、また、インターネットの普及により新たな問題も発生するなど、懸念はあります。
人権施策が重要なのはオリンピックのためではなく、それは一つの大きな契機にすぎません。今後とも、人権施策についてより一層拡充していただくことを求めます。
次に、多摩振興について伺います。
長らく多摩地域は二十三区との格差があるといわれてきましたが、昨今では、インフラの整備状況が進むにつれて、都は格差という言葉は使わなくなりました。
しかし、二十三区と市町村の財政力の差があるため、住民サービスには差が生じ、インフラがいかに整備されようとも、実感として格差は存在していると思います。
改めて都の施策を見ますと、平成二十五年三月に新たな多摩のビジョンを、平成二十六年三月に具体的な取り組みを示した新たな多摩のビジョン行動戦略を策定し、これらに基づき多摩地域の振興に取り組んでいます。
そこで、決算年度の取り組み状況と多摩地域を取り巻く課題についての認識を伺います。
○山口多摩島しょ振興担当部長大島災害復興対策担当部長
事業調整担当部長兼務 都におきましては、新たな多摩のビジョン行動戦略に基づく振興策の進捗状況を取りまとめておりまして、本年六月には、平成二十七年度の進捗状況に係る年次報告書二〇一五を作成いたしました。
平成二十七年度の主な取り組みといたしまして、多摩南北主要五路線の一つであります調布保谷線が全線開通するなど、道路ネットワークの充実を図ってきたほか、緊急輸送道路等の橋梁の耐震化完了、無電柱化の推進など、防災力の向上に取り組んでまいりました。
また、スーパー総合周産期センターに杏林大学医学部付属病院を新規指定するなど、周産期医療の充実を図ってきたほか、オリンピック・パラリンピック開催を見据え、武蔵野の森総合スポーツ施設の整備を進めるなど、多摩振興の取り組みを着実に推進してまいりました。
その一方で、人口減少、少子高齢化の進展や大規模工場の撤退など、多摩地域は依然として諸課題を抱えてございます。
今後ともこうした課題や地域特性を十分に踏まえ、多摩地域が持続的に発展していけるよう、多摩振興を推進してまいります。
○中村委員 さまざま取り組みはしていただいたんですが、今ご答弁にあったように、多摩地域の大規模工場が撤退するだけではなく、大学が都心への回帰が進んでいったりと、空洞化が懸念をされています。さらに、都心や臨海部の発展が若い人を吸い寄せ、多摩地域の方が高齢化の進展が速くなるとの見通しもあります。格差が解消したという認識ではなく、むしろ今後さらに格差が広がらないぐらいの認識で多摩振興に取り組んでいただきたいと思います。
しかし、国は、東京の自治体、とりわけ地方交付税不交付団体を富裕団体として扱っており、実情を十分踏まえているとはいえません。地方交付税制度は、全国の地方公共団体の財源調整制度であり、大都市特有の財政需要が十分に考慮されていません。そのため、都は、市町村総合交付金などさまざまな独自の財政支援により、きめ細かく支援しています。
一方、多摩・島しょ地域と一口にいっても、財政状況や地域特性を初め、市町村の実情はさまざまです。市町村総合交付金は、それぞれの課題に柔軟に対応するとともに、努力する市町村を支援する制度であるべきと考えますが、所見を伺います。
○西村行政部長 市町村総合交付金は、市町村に対する包括的な財源補完制度として、市町村の経営努力を促進し、自主性、自立性の向上に資するとともに、地域の振興を図り、市町村の行政水準の向上と住民福祉の増進などに寄与することを目的としたものでございます。
都はこれまで、各市町村の財政状況等を的確に把握するとともに、市町村からの要望を踏まえつつ、まちづくりへの支援の拡充や、みずからの経営努力を評価する項目の設定など、効果的で柔軟な支援を行ってきたところでございます。
今後とも、各市町村の財政状況や事業動向等を的確に把握しつつ、各市町村の実情に即した交付となるよう、適切に対応してまいります。
○中村委員 市町村総合交付金については、市長会、町村長会、また都議会からの求めに応じて、総額を年々増加させていることは評価をします。
しかし、どうしても都独自の財源補完制度との扱いのため、私は、都独自の財政調整制度を構築すべきと考えます。
また、都内にある地方交付税不交付団体は、国の制度改正で事務がふえても交付税措置するとして財源の手当てがないばかりか、昨今では法人市民税の一部国税化により、かえって財政は厳しくなっています。多摩地域というと自然か観光という一面的な見方ではなくて、都内の不交付団体の立場も国に求めていただきたいと思います。今後も、多摩振興についてのより一層の取り組みを求めて、質問を終わります。
○上田委員 小池知事は、私の一般質問に対し、東京大改革の肝として、職員一人一人がみずからが改革の担い手となり、仕事の進め方を見直していかなければならない、改革意識を職員に根づかせ、そして的確なガバナンスを実施し、都政改革を推進すると答弁されました。都庁の自己改革精神を呼び覚ます装置として、都庁マネジメント本部も設置されております。まさに、人材こそが都政推進の原動力という観点から、職場環境について、まず質問をさせていただきます。
都庁職員の育児休業取得状況ですが、資料の11、一四ページのとおりとなっており、男女の格差が如実にあらわれております。先ごろとちょう保育園も開設され、子育て支援のインフラも整ってまいりましたところで、伸び悩む都職員における男性職員育休取得向上に向けましての取り組み、ご所見について伺います。
○村岡労務担当部長 父親と母親が協力して子育てを行っていくことは重要でございまして、都はこれまでも、父親である男性職員が積極的に育児に参加できるよう、さまざまな支援に取り組んでおります。
具体的には、男性職員の育児休業を初め育児関連休暇の活用促進はもとより、男性職員の両立体験談を積極的に紹介し、夫婦で参加する育児休業者向けの講座を設けることなど、男性職員の積極的な育児参加を促しております。
これらの取り組みもあり、知事部局及び公営企業局等における男性の育児休業取得率は、平成二十五年度から平成二十七年度の三カ年で二・七%から五・九%まで向上し、男女を問わず育児休業を取得しやすい環境の整備は進んでおります。
今後とも、男女とも仕事と生活、両面の充実が図れ、子育てへの責任を果たせるよう、ライフワークバランス実現に向けて取り組みを推進してまいります。
○上田委員 数字だけ見ると少ないようでも、三カ年の取り組みが着々と効果が出ていることが理解できました。
知事も就任早々、イクボス宣言もされました。妻が専業主婦でも育児休業はとれますし、ましてや共稼ぎ、さらには都庁職員同士であれば、積極的に取得できる職場環境となることを願っております。
関連しまして、女性管理職となっても育休をとって、生き生きと働いていただきたいことから、女性管理職の順調な伸びに対する評価、ご所見につきまして伺います。
○栗岡人事部長 都はこれまで、能力や業績に基づく公平、平等な選考によりまして幹部職員を選抜し、実力本位の任用管理を実施してまいりました。
その結果、女性管理職の比率は、平成十八年度の一〇・七%から平成二十七年度には一五・一%に、中でも警察官等を除く行政系の女性管理職を見ますと、一二・五%から一八・五%に上昇してございまして、国や民間、他の道府県の割合を大きく上回ってございます。
都は現在、東京都職員ワーク・ライフ・バランス推進プランにおきまして、二〇二〇年までに行政系の女性管理職比率を二〇%に高める目標を掲げてございまして、管理職選考の受験勧奨を進めますとともに、ライフイベントに応じた両立支援やキャリア形成を促す講座を実施するなど、意欲と能力のある女性職員を積極的に支援してございます。
今後も実力本位の選考を行う中で、女性管理職の比率を高めることはもとより、男女を問わず意欲と能力のある職員が一層活躍できるよう、計画的な育成や支援に積極的に取り組んでまいります。
○上田委員 一三ページの資料を見れば、有言実行の取り組みの結果が見てとれます。日本一、女性管理職の多い地方自治体として、引き続き牽引をしていただきたいと思います。
続きまして、一〇ページの7号でございますが、自殺、ハラスメント対策につきましても、決算年度の対応状況、防止策、ご所見について伺います。
○村岡労務担当部長 自殺発生要因等は多岐にわたり、その解明は困難でありますが、職員の自殺防止に向けては、メンタルヘルス不調者の未然防止や、早期発見と対処が重要であると認識しております。
このため、知事部局では、さまざまな機会を捉えて教育や啓発を行うほか、専門スタッフによる相談体制や職場復帰訓練など、罹患防止から復職までの総合的なメンタルヘルス対策を講じております。さらに、平成二十八年度からは全職員を対象に労働安全衛生法に基づくストレスチェックを開始し、対策の一層の充実を図っております。
ハラスメントに関しましても、平成二十七年七月にパワーハラスメント相談窓口を整備するなど、取り組みを強化しました。また、パワハラとなる言動例などの職員への周知や管理職向けの講演会を開催するなど、その防止に努めております。
今後ともこうした取り組みを積み重ね、これまで以上に職員の心の健康の保持増進及び良好な職場環境の確保に努めてまいります。
○上田委員 これまで私も質疑を重ねてきましたが、事後事前、特に予防策についても積極的であることを確認できました。知事公約の八つのゼロに加え、職員自殺ゼロに向けて、今後のお取り組みに期待をするところでございます。
続きまして、資料は一一、一二ページ、8号、9号で、懲戒、行政監察、服務事故につきまして、決算年度の対応状況、ご所見について伺います。特に決算年度は、服務監察にかかわる監察員が服務事故を起こすという事態となりました。この点につきましても、対応状況と所見、再発防止策について説明を求めます。
○栗岡人事部長 職員は、都民の負託に応えるため、公務員としての高い使命感と倫理観を持って職務に精励する責任を負っており、職員の非行はあってはならないと認識してございます。
しかしながら、昨年度、服務監察に従事する職員が服務事故を起こしたことはまことに遺憾でございまして、事故発覚後は、副知事の依命通達等により全庁における綱紀の保持を徹底いたしたところでございます。
こうした非行が発生した場合には、非行を起こした職員の職層や所属にかかわらず、本人への事情聴取なども含めて事実関係や責任の有無を調査する事後監察を行った上で、非行の程度に応じて、免職、停職など厳正な処分を行い、原則として全ての処分内容を公表してございます。
また、都は、これまでも非行防止のため、毎年全職場におきまして予防監察による指導助言を行うほか、全職員を対象とした研修の実施など職員の規範意識を高める取り組みや、例年十一月を汚職等非行防止月間と定めるなど、非行を防止する職場づくりに取り組んでまいりました。
今後とも非行防止に向けた取り組みを一層進めまして、法令遵守等、全体の奉仕者としての意識をさらに徹底してまいります。
○上田委員 具体事案への迅速な対応、そして全体的な取り組みをしているということを確認させていただきました。
続きまして、職員団体との協定の状況、ご所見について伺いたいと思います。
一般質問でも、都が職員組合事務所十二団体に、都庁舎を竣工以来二十五年間、約千八百平米を無償貸与していることを確認させていただきました。
決算に当たりまして、職員団体事務所として都庁舎を無償貸与している点について、協定書には明示されておりませんが、何を根拠にしているのか、貸与に当たって職員団体とはどのような交渉が行われ、協定が結ばれているのか、交渉に当たっての都側の基本的な考え方を含めて具体的にご説明ください。
○村岡労務担当部長 行政財産の使用許可については、条例及び規則に基づき、組合からの許可申請に対して使用許可を行っているものであり、労使協定を結んではおりません。労使が適法な交渉を通じ相互理解を深めることは、都の業務遂行全般に対して職員の理解と協力を得ることにつながり、公務能率の向上、ひいては都政の円滑な推進にも資するものでございます。
都では、年間を通じて労使交渉を行っており、交渉過程においては、その都度、相当量の準備や整理、労使間の連絡調整などがございます。このため、交渉を円滑に進める観点から、最小限の事務室貸与は否定されるものではないと考えておりまして、法令上、組合の権利というものではございません。
こうした観点から、これまでも庁舎の用途変更等に応じ、組合とも話をした上で、適宜組合事務所の一部廃止や移転等を行ってきております。現在も都庁舎長期改修の機会を捉え、平成二十三年四月一日時点と比較して面積を一割縮小しております。
なお、使用料については、都を含む全都道府県で庁舎等への組合室の供与が行われている中、現在、八割の団体が無償となっており、また、民間企業においても組合事務所の無償供与は広く一般的に行われています。
今後も、関係法令や社会状況等に照らし、適切に対応してまいります。
○上田委員 ご答弁いただきまして、六ページから九ページの資料の方も出していただいたところでございます。行政財産、すなわち都民の財産である都庁舎の職員団体への無償貸与のあり方については、財務局審査で確認したところ、財務管理上適切であるということ、地方公務員法上の勤務条件には当たらない、そして人事委員会審査では、都庁舎使用については判断する立場にないということを確認しております。
総務局においては、貸与について、法令上組合の権利ではないとした上で、適宜縮小もし、関係法令や社会状況等に照らし、適切に対応しているということです。
現状の運用に法的問題はないということになります一方、貸与する面積や場所、賃料の有無や金額については、知事の判断に最終的には委ねられるということになります。例えば、貸与面積の縮小を進めて、必要に応じて会議室や集会室を使っていただくなど、六ページのように、加入率も三二・九%と下がっている職員団体の実態を踏まえ、交渉を進めつつも、そもそもは都庁舎は都民の財産であり都民サービスの場であることから、今日的な職員団体活動に即した適正な利活用を常に検討、見直しされることなどを要望いたします。
続きまして、資料の13号から15号、一六から一八ページの監理団体等についての状況についてでございます。
豊洲問題におきまして、歴代市場長が東京都の外郭団体に再就職していることは、かねてより私は問題視をし、議会でただしてまいりましたが、ようやく世間に広く知れ渡ることとなり、都民から、虚偽に虚偽を重ね、責任もとらずに天下ったとの大きな批判の声が上がっております。当然のことと思います。
小池新知事のもと、都政改革本部も設置され、こうした天下り的人事についても論及せざるを得ないのではないかと私は見ております。そのために、まず、現状把握が不可欠なことから、端的に確認をさせていただきます。
例年総務省では、全国自治体の第三セクター、地方三公社、地方独立行政法人を対象とした第三セクター等の状況に関する調査を行っていますが、その調査対象となる二〇一六年三月末の東京都の出資及び出損割合一〇〇%、五〇%、二五%以上、二五%未満の法人数の状況について伺います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 総務省が例年実施しております第三セクター等の状況に関する調査に基づく都の対象法人の状況についてでございますが、二〇一六年、平成二十八年三月末現在、出資、出捐の割合が一〇〇%の法人が八法人、五〇%以上一〇〇%未満の法人が二十三法人、二五%以上五〇%未満の法人が十三法人、二五%未満の法人が二十二法人となってございます。
○上田委員 同じく総務省調査におきまして、三月末の東京都からの出資、出捐額の総額、一法人平均の出資、出損額の状況について伺います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 同じく総務省実施の調査に基づきます都の対象法人につきまして、平成二十八年三月末現在、都からの出資、出捐の総額が約四千二百五十九億六千万円、一法人平均でございますが、約六十四億五千四百万円となってございます。
○上田委員 同じく補助金交付額、借入残高、損失補償残高、債務保証残高の状況についても伺います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 総務省実施の調査に基づきます都の対象法人につきまして、平成二十八年三月末現在、都からの補助金交付額は約六百四十八億八千五百万円、借入残高は約七千三十三億八千五百万円、損失補償残高は約三百四十九億二千六百万円となってございます。
なお、債務保証残高はございません。
○上田委員 借入残高が七千億円ということでありました。
次に、平成二十七年度の監理団体におけます経営評価及び役員業績評価の状況と所見について伺います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 都は、監理団体改革の一環といたしまして、団体自身に経営目標を設定させ、その達成度を評価する監理団体経営目標評価制度を毎年度実施しておりまして、各団体の経営改善や自律的経営の促進につなげてまいりました。
今般、都政改革本部内に内部統制プロジェクトチームを設置し、監理団体をテーマの一つに掲げ、本制度を初め、監理団体の指導監督全般に関する検証を行うこととしてございます。こうした動向も見据えながら、平成二十七年度分の公表に向け準備を進めてまいります。
○上田委員 監理団体及び報告団体の常勤役員の都退職者の再就職及び現役出向の状況、ご所見について伺います。
○栗岡人事部長 都政への支援、補完機能を担う監理団体や、その公益性に鑑み都が出資等を行っている報告団体の常勤役員として、豊富な知識、経験を有する都の幹部職員が再就職することは、団体の適切な事業運営に寄与するだけでなく、効率的、効果的な都政運営という観点からも有効であるものと考えてございます。
一方、職員の再就職につきましては、都民から公正な都政運営が損なわれているといった疑念を持たれることがあってはならないものと考えてございまして、都はこれまでも、平成二十二年度に都庁版人材バンクを設置し、さらには本年四月、職員の退職管理に関する条例を制定することによりまして、再就職の透明性、納得性をこれまで以上に高めるための厳しい取り組みを行ってございます。
また、常勤役員への現役出向につきましては、団体の適切な運営や、効率的、効果的な都政運営への貢献といった観点に加えまして、身につけた経営ノウハウを今後の都政運営に生かすといったメリットがあるものと考えてございます。
今後も必要に応じまして、団体運営のかじ取りを適切に実施できる人材が確保できるよう努めてまいりたいと考えてございます。
なお、退職者の再就職状況についてでございますが、平成二十六年度夏季幹部異動後の一年間に都を退職した幹部職員のうち、監理団体に六名、報告団体に四名が常勤役員として再就職してございます。
また、現役出向の状況についてでございますが、平成二十七年八月一日現在で、監理団体へ六名、報告団体へ二名が常勤役員として出向してございます。
○上田委員 監理団体、報告団体の職員構成について、決算年度の状況と所見について伺います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 監理団体の職員構成は、平成二十七年八月一日現在、団体職員総数で一万一千三百四十名、うち都派遣職員数千八百六十三名、団体固有職員数九千百八十九名となってございます。また、団体固有職員数のうち都退職者は千四十四名で、その団体職員総数に占める割合は約九・二%となってございます。
また、報告団体の職員構成でございますが、平成二十七年八月一日現在、団体職員総数で一万五千四百七名、うち都派遣職員数三百九十六名、団体固有職員数一万四千七百三名となってございます。また、団体固有職員数のうち都退職者は百五十名で、その団体職員数に占める割合は一%弱となってございます。
都といたしましては、都の事業と密接な関連を有する団体について都職員を派遣し、都との連携を強化するとともに、都職員が有する専門的知識や能力を活用しながら事業展開を図っているところでございまして、今後とも引き続き適切に取り組んでまいります。
また、都の退職者の採用につきましては、各団体がそれぞれの経営判断に基づき適切に対応しているものと認識してございます。
○上田委員 私もこれまでいろいろ質疑をしましたが、それを踏まえまして、前の知事時代に策定されました都庁組織・人事改革ポリシー及び都政グループのあり方などの見直しを検討しないのか、所見を伺います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 監理団体は、都の行政運営を支援、補完する団体で、都の政策との連動性が高く、施策実施の現場を担ってございまして、都の政策実現に向け、監理団体と連携を図っていくことは重要と認識してございます。
こうした認識を踏まえつつ、都民ファースト、情報公開、税金の有効活用の観点に立って、内部統制プロジェクトチームにおける検証等を行うなど、今後とも監理団体の活用について、都民の理解と納得が得られるよう取り組んでまいります。
○上田委員 残念ながら、検討しないということを確認させていただきました。
同僚議員からも、やはり大きな見直しを指摘されております。再就職の透明性、納得性を厳しく実施するといいますけれども、その説明とか、いいわけといっちゃあれですけれども、説明しなきゃならない状況ではなくて、お取り組みの中では固有職員もふえてきている中で、可及的速やかに、私も、都民の信用もこの東京都が失っているものですから、みずからの体制を戒めることを引き続き強く、本部もできましたところで進めていただきたいなというふうに思っております。
続きまして、財政調整交付金、市町村総合交付金についてでございます。
一五ページの12号に一覧表が出ております。私は、東京都自身が赤字や、そして財産を把握した自治体財政統制ができる組織であることを願い、財務局審査では、法人二税の推移と都債残高の推移をもって健全財政の新たな指標を持つことを提言いたしました。また、都は、自身のみならず区市町村の財政状況を把握し、各自治体が規律と緊張感を持って取り組まれることを強く強く望むものです。
財調や総合交付金という財源移転施策に当たっては、都と区市町村、区市町村長同士の両面から考察することが肝要であります。このたび、私が三年間にわたり重ねて求めてまいりました総合交付金の内訳が資料の12号として提出されました。都民の血税である財政についても、一つずつ情報公開を進めることが健全財政のための基本であり、内訳が公開されないことは異常でしたが、ようやく初めの一歩を踏み出すことができました。
つきましては、都と特別区の財政調査制度の返還について、それを踏まえて各区市町村の改革マインドの醸成は、この制度でどう構築できるのか。これらの交付金は余っても返す必要がないといわれていますが、あればあるだけ使ってしまい、節約意識、行革の動機を失い、財政規律を失って、モラルハザードに至らないか危惧をしているところです。その防止のため、各自治体の財政の健全性の確保に向けた行財政改革の状況の確認などを東京都はしないのかにつきまして、お尋ねを申し上げます。
○西村行政部長 二つの交付金についてのお尋ねですので、それぞれにつきまして分けてご答弁申し上げます。
まず、特別区財政調整交付金についてでございますけれども、特別区がひとしくその行うべき事務を遂行することができるよう、都区で合意したルールに基づき、各区の標準的な需要額、収入額を算定し、財源不足額を各区に交付するものでございます。各区の需要額は、年度当初に確認した人口等の数値をもとに算定することとしておりまして、実績の変動などによる返納等は行っておりません。
平成十二年度の都区制度改革では、調整三税の法定化や総額補填制度の廃止に加えまして、収入額が需要額を超過した場合に、その額を都へ納付させる納付金制度が廃止となっております。
それから、交付金選定における標準的な需要額と収入額につきましては、都区協議の上で厳正かつ適切に算定しているところでございますけれども、区が独自に歳出削減や徴税努力などに取り組めば自主財源の確保につながるため、各区の行財政改革にも資する制度となっておるというふうに考えております。
また、都は、定員管理、人事、給与、財政運営などにつきまして、各区から毎年ヒアリングを行っておりまして、適宜技術的助言等を行っておるところでございます。
次に、市町村総合交付金についてでございますけれども、都独自の財政支援制度でございまして、地方自治法に基づき、本来市町村税である固定資産税等を都区の役割分担に応じて交付する特別区財政調整交付金とは性格の異なるものでございます。
算定に当たりましては、税の徴収率の向上、歳出削減など、市町村みずからの経営努力を評価することとしておりまして、各市町村の行財政改革に資するものというふうに考えております。
また、年間を通じてヒアリングや実地調査を行うなど、市町村の実情に即した交付となっているかなどについて確認をしておるところでございます。
○上田委員 ありがとうございました。行財政改革に向けた各区の積極的な取り組みの支援ということで、我が江戸川区も東京都に倣いまして公会計制度を導入しておりますので、引き続きの支援を、各区市町村への支援をお願いしたいと思います。
次に、国勢調査の高齢化対策についてお尋ねいたします。
一九ページの16号ですね、この状況について、まず調査員、指導員の平均年齢についてご説明ください。
○伊東統計部長 平成二十七年国勢調査の調査員及び指導員の平均年齢についてのデータはございませんが、年齢階級で見ますと、最も人数が多いのが、調査員が七十歳以上、指導員が二十五歳から二十九歳となっております。
○上田委員 各自治体でも、町会の人たちが本当に苦労してなさっているところを私も見ているところでございます。この調査員、指導員の高齢化対策、研修での対応、犯罪や虐待に遭遇してしまったときに公務員としての義務を果たす対応ができるのか。年齢的な、今ご報告ありましたけれども、現状認識と対応状況についてお示しください。
○伊東統計部長 調査員及び指導員への調査活動等に関する説明、指導は、国の事務要領に基づき都が実施した事務打ち合わせ会を受け、区市町村が調査員及び指導員の事務打ち合わせ会で行っております。
また、国勢調査令、国家公務員法を初め、告発、通報義務に関する規定も含めて取りまとめた資料を調査員及び指導員に配布しており、こうした指導により、公務員としての職責を果たせるものと考えております。都において、調査員及び指導員からの告発や通報についての相談は入っておりません。
○上田委員 情報提供がなされていることの確認をさせていただきました。もうちょっと年齢が下がるような取り組みも期待するところでございます。
続きまして、防災対策ですが、これまでの質疑に対して、対応を講ずるとの答弁を頂戴しておりますけれども、年度内に利根川など日本各地にて災害がありましたことから、過去の質疑も踏まえ、今年度の取り組みをお答えください。
昨年の総務委員会で、私は、三億三千七百万で購入したはずなのに、首都直下型地震に備えた災害時燃料につき、東京都石油業協同組合と契約し、あらかじめ二千七百五十キロリットルを購入しておく計画が、保管義務があるガソリンスタンドなどに意図が伝わらず、備蓄に至っていなかった事案をたださせていただきました。この件を含め、その後の災害用燃料備蓄の状況、所見について伺います。
○小林防災計画担当部長 災害時の石油燃料につきましては、東京都災害拠点病院及び緊急通行車両等向け燃料を確保すべく、取り組みを行ってございます。
一つ目の災害拠点病院向け燃料につきましては、昨年度は、国や石油業界との連絡協議会を五月及び十月に開催いたしました。十月の協議会では、構成を九都県市に拡大いたしまして、連携体制を強化してございます。また、オペレーションの実効性に向けまして、図上訓練や実地訓練を合わせて三回実施したところでございます。本年度も熊本地震での対応や、その中で明らかとなりました課題などにつきまして情報共有を行うとともに、図上訓練を実施しているところでございます。
次に、二つ目の緊急通行車両等向け燃料でございますが、昨年度は百三十九カ所の給油所と契約等を締結いたしました。契約に当たりまして、全ての給油所の現地確認を行うとともに、東京都石油業協同組合への委託事業といたしまして、全事業所を対象とした研修や、六カ所の給油所での実動訓練を実施したところでございます。本年度は、研修や訓練に加えまして、これまで百カ所を超える給油所に直接赴き、意見交換を行っておりまして、昨年度以上に事業者とのコミュニケーションを密に図っているところでございます。
今後ともこうした取り組みを継続してまいります。
○上田委員 事前に一回の研修しかなく、悪意はなく備蓄に至っていないということでございましたが、しっかりとフォローができている取り組みを、平成二十七年度、確認させていただきました。
次に、帰宅困難者対策条例から二年がたち、東京及び区市町村でも帰宅困難者対策に積極的に取り組んでいると思います。同僚委員からもご指摘があったところなので、簡潔に今の進捗状況、所見について伺います。
○和田防災対策担当部長 都ではこれまで、首都直下地震等の発生の際に見込まれる多くの帰宅困難者に対応するため、平成二十五年四月に帰宅困難者対策条例を施行し、帰宅困難者対策を総合的に推進してまいりました。
具体的な取り組みとしては、発災時における駅周辺の帰宅困難者に的確に対応するため、都と地元区市町村との合同の帰宅困難者対策訓練を毎年度実施しております。また、行き場のない帰宅困難者を受け入れる一時滞在施設については、本年七月現在で必要数の約三割を確保しました。
今後も引き続き、帰宅困難者対策訓練の実施や一時滞在施設の確保などを含め、帰宅困難者対策を着実に推進してまいります。
○上田委員 この取り組みについては、三・一一以降、東京都も区市町村も非常にリアルな経験があったので、取り組みの早さには非常に私も舌を巻いております。引き続きよろしくお願いをいたします。
さて、父親が帰宅困難者になってしまった場合、母親と赤ちゃんなどが居住地で避難生活を送ることになります。小池知事も熊本へ液体ミルクを送るなど、防災対策は日々アップデートされております。
つきましては、決算に当たっての乳幼児及び妊産婦、要支援者対策の状況、ご所見について伺います。
○小林防災計画担当部長 乳幼児、妊産婦などの要配慮者に関する取り組みにつきましては、国の防災基本計画を踏まえまして、東京都地域防災計画において、円滑かつ迅速な避難を図るため、特に支援を要する避難行動要支援者の名簿作成や避難支援体制の整備など、区市町村の役割と位置づけてございます。
都は広域的な立場から、区市町村による要配慮者対策の支援を実施するとともに、発災時には要配慮者に関する区市町村等との連絡調整を担うこととしてございます。平成二十七年度には、東京の防災プラン進捗レポートを作成いたしまして、要配慮者支援体制の整備等についても、主な取り組みと翌年度の実施予定を取りまとめたところでございます。
今後とも各主体の適切な役割分担を踏まえつつ、福祉保健局を初め各局、区市町村、関係機関等と連携を図り、東京の防災力向上に向けた取り組みを進めてまいります。
○上田委員 名簿作成が個人情報で、なかなかハードルが高かったんですけれども、着手をしているということで一安心したところでございます。
皆様方も質問していますが、防災ブックについてなんですが、費用対効果について伺いたいと思います。
この事業は、前の知事が鳴り物入りで始められて、都民の防災意識の向上によって寄与がもたらされ、他府県から購入希望の問い合わせもありました。一方、一部の市区からは、画一性を指摘するものもありました。
同事業の目的に立ち返り、都民、区市町村、ほかの地方自治体、政府等による反応、評価があればご紹介ください。また、同事業の成果と課題についてのご所見をお示しください。
○梅村総合防災部長 防災ブック「東京防災」は、都民一人一人の防災意識を高め、事前の備えを実践していただくことを目的に作成したものでございます。昨年度の配布開始以降、都民を初め多くの方から注目を集めまして、追加需要に応えるために書店等での有償頒布を開始したほか、電子書店における無料ダウンロード件数も本年九月末現在で約三十九万件に上っております。
また、他県を含む自治体や民間企業等が実施する普及啓発やイベント等におきまして、「東京防災」を活用した取り組みが行われるとともに、政府による熊本地震の被災者向け広報に「東京防災」の内容が掲載されるなど、さまざまな場で活用されております。
今後とも、より多くの都民の皆様が「東京防災」の内容を理解し、災害への備えに一層取り組んでいただけるよう活用促進に向けた取り組みを進めてまいります。
○上田委員 無料ダウンロードの発想は、すごくよかったと思います。
今まで伺った事業について、年度年度ブラッシュアップされている全体像を確認いたしまして、頼もしい限りでございます。引き続き区市町村、首都圏自治体など、千葉、埼玉、神奈川等々、ほかの機関とも連携しつつ、それぞれの災害対応の経験値、避難所の過ごし方や支援物資、ボランティアの募集や配分方法など、ニッチで貴重な、すぐに役立つ知恵を共有して、関東一円の地域社会を持続可能とする防災、減災対策を都が率先して引き続き進めていただくよう期待をしております。
続きまして、情報化、ICT化についてです。
これらの進展は日進月歩でございます。さきに都のホームページが改修されましたが、一部にリンク切れが散見されます。ウエブアクセシビリティーの向上に向けての取り組み状況と課題につき、統一基準に従っていることは過去の答弁で重々承知しておりますし、二年も経過しましたことから、オリ・パラに向けた外国人多言語対応、障害者、情報弱者対策を例に、具体的にご説明ください。
○久原情報通信企画部長 都民に、よりわかりやすく使いやすいホームページとし、都庁全体で一体感があるものとしていくことはもとより、オリンピック・パラリンピックの開催を見据え、外国人、障害者、情報弱者を含めたさまざまな人々が使いやすいようホームページを充実し、都政情報のより効果的な発信を図っていくことは、今後ますます重要となってまいります。
こうした観点から、都では、ホームページデザインなどの一体感の醸成、ウエブアクセシビリティーの改善を図るため、平成二十六年三月に、東京都公式ホームページ作成に関する統一基準を策定いたしました。
この統一基準では、ウエブアクセシビリティーに関し、多言語への対応はもとより、画像や音声を使う場合の対応、色の使い方を初めとするコンテンツデザインへの配慮など、ホームページ作成に当たり遵守すべき基本的なルールを定めております。
日々コンテンツが増加し、技術の進展もあることから、本統一基準のより一層の徹底を図るため、準拠状況を定期的に把握するとともに、講習会を実施するなど、ウエブアクセシビリティーの意識の向上に努めております。
今後も、誰もが必要な情報にアクセスできるウエブアクセシビリティー対応を強化するため、事業局と緊密に連携しながら取り組んでまいります。
○上田委員 本当に情報は重要でございますので、当事者とも連携を図っていただきたいと思います。
さらに、情報といえば公文書管理でございます。公文書の適正な管理、保存は、情報公開の基本中の基本であります。
つきましては、公文書管理と廃棄の基本的な考え方につきまして、ご説明いただきたいと思います。
○小暮総務部長 都が保有する文書は、行政活動を行う上で基本的かつ不可欠でございまして、適切な文書管理は、情報公開制度と相まって、都民にとりましても都政への参加を進めるためにも重要であると考えてございます。
また、文書管理規則等に基づきまして、各局において重要度等を考慮の上、文書の保存期間を設定し、必要に応じて期間経過後も当該文書を保存することができる制度としてございます。
さらに、文書の廃棄に際しましても改めて決定をとることとし、適切な文書管理を進めてございます。
○上田委員 先ほども同僚委員から、恣意的な廃棄などないような指摘もありまして、条例制定をという声もありまして、まさに私も賛同するものでございます。
次に、決算年度におけます課題についてのご所見をお示しください。
○小暮総務部長 先ほどお答えしたとおり、適切な文書管理が重要であるとともに、課題でもあると認識いたしております。平成二十七年度におきましても、例年どおり文書管理に関する研修や事務説明会等を実施するなど、庁内の周知徹底を図ったところでございます。
○上田委員 公文書館新設ということでございますが、運用と今後の、できるって、キャパシティーあふれちゃうんじゃないのってちょっと心配になるので、キャパシティーについての見通しをお示しいただければと思います。
○小暮総務部長 東京都の公文書館についてのお尋ねでございますが、公文書館は、国立公文書館の設置に先立ちまして昭和四十三年に開設され、以来、都の公文書や庁内刊行物などの収集、保存、利用を図るとともに、資料編さんに関する事業を行ってございます。
現在は世田谷区に仮移転中でございますけれども、平成三十一年度に国分寺市に移転する予定となっておりまして、新しい公文書館は、向こう三十年先を見据えた収容能力を確保し、保存環境の充実を図るとともに、多くの都民の皆様にご利用いただける施設として、こういったことを念頭に新館建設事業を進めてございます。
○上田委員 適正なキャパがあるということを確認しました。
続きまして、行政不服審査法改正への対応状況です。
改正行政不服審査法の施行により、第三者機関の設置等の手続が大幅に変わりました。これに向けた決算年度の取り組み状況、都民にとってメリットが高まるかどうかの工夫につき、具体的にご説明ください。
○江村訟務担当部長 改正法による新たな行政不服審査制度においては、訟務に関与しない職員を審理員として指名して審査請求の審理を行わせるほか、裁決の客観性、公正性を高めるため、一定の場合を除き、審査庁に有識者による第三者機関への諮問を義務づけております。
これに伴い、都においては、知事宛て不服審査について、法律、行政処分等に関する専門的知識や法務事務に関し豊かな経験を有する職員を審理員として指名し、専従して業務に当たる体制を整備したところでございます。
また、第三者機関として、法学者、弁護士、元裁判官など法律の専門家や豊富な行政実務経験を有する者の中から十二名を選任し、本年四月に東京都行政不服審査会を設置いたしました。
改正法の趣旨を踏まえ、都民にとって簡易、迅速かつ公正な手続の実現を図るため、審理員による計画的な審理などにより手続の効率化を図るとともに、専門的識見を有する審査会委員の方々の意見を十分に踏まえて裁決を行うなど、新制度の適切な実現を図ってまいります。
○上田委員 より透明性、公平性、公正性が増したということと、たしか期限も延びたと記憶をしております。私も保育園に入れなかったときに、この法律にのっとって不服申し立てをしました。そのときの息子はもう高校二年になってしまいましたが、改善をされ、多くの都民に活用していただけることを望むものでございます。
次に、包括外部監査の状況と反映に向けたお取り組みです。
決算年度の平成二十七年度、包括外部監査において、教育庁、生活文化局と、非常に示唆に富んだ指摘、意見がありました。これらの反映状況についてご報告ください。また、この知見をどう全庁的に活用していくか、所見も伺います。
○佐々木行政改革推進部長自治制度改革推進担当部長兼務 都におきましては、包括外部監査人から指摘等を受けた場合に、監査対象となった局が直ちに改善計画を作成し、おおむね二年以内にその計画に基づく措置を講じ、監査人みずからがその検証を実施してございます。
平成二十七年度に包括外部監査を実施いたしました教育庁及び生活文化局では、平成二十八年二月の監査結果における指摘等につきまして、六月に改善計画を策定し、現在は、この計画に基づきまして改善の取り組みを行っているところでございます。
また、監査結果を各局における事務事業の改善につなげるため、包括外部監査データベースや監査結果の事例集を作成し活用するなど、全庁的な取り組みを展開しているところでございます。
今後とも包括外部監査制度を効果的に活用し、効率的で質の高い行政運営を実現してまいります。
○上田委員 本当に、非常におもしろく拝読しました。東海道五十三次、本来都が買うべきなのに外郭団体が一億円で購入していたことや、学校現場では、世界一、日本の教師は残業しているといわれますが、事務提出書類が山積なのに、それがPDCAサイクルに結びついていないことなど、大変おもしろく個人的にも拝読させていただきました。殊に今回の監査法人の力が大きかったのではないかと思います。こうした能力高い監査法人を今後も選定いただくと都民益につながるという、よい事例を経験させていただきました。
答弁にありましたように、各局で共有し、事業に反映しまして、それが成果を上げたかについては、最後まで包括外部監査、PDCAサイクルを完結すべく、引き続き進められることを求めます。
人権指針の策定についてお尋ねします。
本当に十五年ぶりに東京都人権施策推進指針が策定され、都内のみならず、全国的に人権施策を進める有識者や人権団体、さらに国際的な人権機関からも注目を集め、足らざる点の指摘もありましたが、LGBTやネットでの人権被害が加わりましたことへの評価もいただきました。
つきましては、指針策定過程の評価と各種事業や職員意識への評価について、ご所見を求めます。
○箕輪人権部長 東京都人権施策推進指針の見直しに当たりましては、平成二十五年度実施いたしました人権に関する世論調査の結果や、平成二十七年二月の東京都人権施策推進指針に関する有識者会議、この提言を踏まえまして、平成二十七年六月に指針の素案を作成、公表いたしました。その後、この素案につきまして都議会においてご議論いただくとともに、パブリックコメントを実施し、その結果を踏まえまして、平成二十七年八月に改定した指針として公表いたしました。
指針では、人権尊重の理念が浸透した社会実現のための起爆剤といたしまして重点プロジェクトを掲げ、平成二十七年度は、東京国際フォーラムにおきまして、多文化共生をテーマに大型啓発キャンペーンを開催いたしました。
職員に対してでございますが、指針策定後、各局の人権担当課長を対象とした会議で周知を図ったほか、全ての職員が受講を義務づけられている人権研修などの機会を通じまして、人権施策の基本的な考え方を周知するとともに、人権尊重の理念の浸透を図っているところでございます。
○上田委員 自治体が人権指針を策定する意義はとても大きいと、人権施策を専門とする学者も重く受けとめております。
ただ、足元の都庁を振り返りますと、福祉施設での虐待通報が長年放置され、児童養護施設や一時保護所にいる子供たちの生活環境は、最低限の生存権すら担保されていない事案もありました。学校現場においては、体罰、いじめや不適切な指導による命にかかわる重大事故が繰り返されております。さらに、決算年度におきまして、職員の懲戒を所管する行政監察室の部長職者によるわいせつ事件が報じられてしまいました。都職員全体の人権意識の確立は、末端に至るまで喫緊の課題です。
指針策定によって東京都並びに職員自体が見直す機会となったことは、都民ファーストを基礎づける、あるいは基盤となりますことから、引き続いての指針の普及に向けた人権部の取り組みを重ねて求めるものでございます。
最後に、児童相談所移管についてです。
子供への虐待防止対策を強化する改正児童福祉法が五月に成立いたしました。改正の目玉となったのは、急増する虐待事案に対するための喫緊の課題となっている児童相談所の増設、拡充です。
平成二十二年、江戸川区では、全国的にも報道され取り上げられました、良識ある歯科医の通報により虐待の事実が明らかになっていたにもかかわらず、学校と江戸川区と児童相談所の連携が機能せず、とうとい命が奪われた小一男児虐待死事件が発生しました。私は、当時江戸川区議会議員で、無力感でいっぱいになり、本当に子供に申しわけない思いで今もおります。
そのときからずっと区への児童相談所移管を求め続け、ようやく法改正となり、東京二十三区による設置を新たに認めるほか、人口二十万人以上の中核市にも整備のための必要な支援を行うことが明記され、来年四月に施行されます。失われ続けた子供たちの命も報われるというものです。
つきましては、これまで長らく東京都と区長会で議論を進めてきた経緯を踏まえまして、都として、平成二十七年度における現状と課題、考え方をお示しください。
○小菅区市町村制度担当部長 今般の児童福祉法の改正によりまして、市と同様に特別区も政令指定を受け、児童相談所を設置できることとなりました。特別区が児童相談所を設置する場合には、区において一時保護所の整備や児童福祉司などの専門人材の確保、育成等が必要となります。また、都内外の児童養護施設等への入所調整には、新たに都と特別区及び特別区相互間での連携協力が不可欠でございます。
現在、各区において設置に係る課題の解決に向けた検討を進めていると聞いております。引き続き区の動向を見きわめつつ、子供たちの安全や安心をいかに確保していくかという観点から、都としての対応を検討してまいります。
○上田委員 東京都は、児童相談所を所管し、最前線で虐待事案に向き合ってきましたし、区市町村、各学校、保育園、警察等関係機関とも長年、子供を真ん中にネットワークを組み、連携を図り、区市町村の苦労や子供家庭支援センターでの取り組みも知っていたわけであります。
できれば国にいわれるまでもなく、自発的に移管に向けて率先して取り組んでいただきたかった。もっと早く地域で虐待対応ができていれば、小一男児が命を落とすことはなかったのではないかと悔やまれてならないのです。もしも救うことができたら、彼は、ことし中学校一年生になっていたんです。
ぜひ方向性が定まったからには、これまでの特別区の、施設がない、人材がないなどのできない探しをやめて、どうやったらできるのか、特別区を支え、市町村にも広げていく。子供の心身の命ファーストの姿勢へ東京都が転換を図っていただきたく強く強く要望をいたしまして、私の総務局質疑を終わります。
○桜井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○桜井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で総務局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後五時五十二分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.