平成二十七年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第四号

平成二十八年十月二十六日(水曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長まつば多美子君
副委員長神林  茂君
副委員長植木こうじ君
加藤 雅之君
和泉ひろし君
川松真一朗君
和泉なおみ君
近藤  充君
西崎 光子君
島田 幸成君

欠席委員 なし

出席説明員
教育庁教育長中井 敬三君
次長堤  雅史君
教育監伊東  哲君
総務部長早川 剛生君
都立学校教育部長初宿 和夫君
地域教育支援部長粉川 貴司君
指導部長出張 吉訓君
人事部長江藤  巧君
福利厚生部長太田 誠一君
教育政策担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
安部 典子君
教育改革推進担当部長増田 正弘君
特別支援教育推進担当部長浅野 直樹君
指導推進担当部長宇田  剛君
人事企画担当部長鈴木 正一君

本日の会議に付した事件
平成二十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
教育庁関係
・平成二十七年度東京都一般会計決算(質疑)

○まつば委員長 ただいまから平成二十七年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の決算に対する質疑を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十七年度東京都一般会計決算中、教育庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○早川総務部長 去る十月十四日の当分科会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の平成二十七年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらん願います。今回要求のございました資料は六件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、都立特別支援学校(肢体、知的)の外部専門家及び外部人材の導入人数並びにそれに伴う教職員定数の削減数、各校の導入年度でございます。
 外部専門家及び外部人材の導入状況とそれに対応する教職員の削減数につきまして、それぞれ対象職種、人数及び学校数等を記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、都立特別支援学校の保有普通教室の状況(平成二十七年度及び平成二十八年度)でございます。
 都立特別支援学校で保有する普通教室数及びその内数として転用教室数並びに普通教室の間仕切り教室数を年度別に障害種別、学校別に記載してございます。
 三ページをごらんください。3、都立高等学校及び都立特別支援学校のトイレの洋式化率と誰でもトイレの設置状況(平成二十七年度及び平成二十八年度)でございます。
 都立高等学校と都立特別支援学校のトイレの洋式化率及び誰でもトイレの設置状況につきまして、それぞれの年度別に記載してございます。
 四ページをお開き願います。4、募集定員のある都立知的障害特別支援学校高等部の応募状況(平成二十年度から平成二十八年度まで)でございます。
 募集定員のある都立知的障害特別支援学校高等部の応募者数、募集定員、倍率を学校別に平成二十年度から平成二十八年度まで記載してございます。
 五ページをごらんください。5、都立ろう学校幼稚部の幼児の年齢別在籍者数と教員配置基準(平成二十四年度から平成二十八年度まで)でございます。
 都立ろう学校幼稚部の幼児の年齢別在籍者数を学校別、年齢別に平成二十四年度から平成二十八年度まで記載してございます。
 また、下段の2では、教員配置基準を記載してございます。
 六ページをお開き願います。6、都内公立小・中学校及び高等学校・特別支援学校の冷房設備設置状況でございます。このページから次の七ページにかけまして、普通教室、特別教室の冷房設備設置状況を学校種別ごとに記載してございます。
 なお、冷房設備設置状況につきましては、文部科学省がおおむね三年に一回、調査を実施しているものであるため、平成二十六年四月一日現在の状況を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○まつば委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○神林委員 まず初めに、決算の評価について伺います。
 我が党が掲げている、世界で一番の都市東京を実現するためには、人材の育成が不可欠であり、教育のあり方が今後の東京の方向性を決める重要な鍵となります。
 教育には、どのような時代にあっても、人として必ず子供たちに身につけさせなければならない普遍的なものと、時代の変化を見据えその時代に応じて子供たちに新たに培っていくものとがあり、それを見きわめてバランスよく教育施策を進めることが必要となります。また、教育成果はすぐにあらわれるものではなく、長期的な視点に立ちさまざまな角度から子供の状況を見ていくことが求められます。
 これらのことを踏まえ、決算の審査では、編成された教育庁の予算がどのように使われ、どのように成果を上げることができたのかについて確認したいと思います。
 そこでまず、平成二十七年度の教育庁の決算の概況を伺います。

○早川総務部長 平成二十七年度における教育庁の歳入歳出決算の概況でございますが、まず、歳入決算額は千四百五十六億五千万余円で、執行率は九九・五%、歳出決算額は七千三百六十四億九百万余円で、執行率は九八・五%となっております。
 歳入につきましては、義務教育費国庫負担法に基づく教職員給与費等の国庫負担金の収入が大宗を占め、その他の項目も含めて、収入率に平成二十六年度決算と比較して大きな変化はございません。
 歳出につきましては、小中学校の教職員人件費等が、小学校の児童の増加や中学校の習熟度別指導を行うための教員配置に伴い、平成二十六年度決算と比較いたしまして約六十五億八千万円の増加となっております。また、教育指導に要する経費が、英語教育や防災教育の充実等により、約七億六千八百万円の増加となっております。

○神林委員 ただいまご答弁いただきましたように、決算の数字からはおおむね良好と判断できるわけでございますが、特に教育においては、問題は、施策を実施したことによって、数値にはあらわれにくいけれども、どのような教育効果が上がったのか、また今後何が期待できるのかと、こういうことが大切になってくるんだと思います。
 また、全国的には少子化といわれる中で、東京は小中学校の子供の数が増加しております。この傾向は今後も続くと思われますが、教員の配置は、教育においてまさに根幹をなすものですので、必要な教員数の処置をすることはもちろん、あわせて優秀な教員を確保するよう、しっかりと対応していただきたいと思います。
 加えて、教育は、学校で指導する内容が次代を担う子供たちの力を伸ばすものになっていかなくてはなりません。グローバル化の進展や情報技術の発展など、時代の変化を見据えた教育を行うことが必要となります。
 そこで、平成二十七年度の、今、数字的なものをお話しいただきましたけれども、いわゆる内容や実際の効果の部分、自己評価も含めて、主要事業とその取り組み状況について伺います。

○早川総務部長 都教育委員会は、平成二十七年度におきましては、東京都教育ビジョン(第三次)に掲げる基本理念に基づき、教育施策を展開してまいりました。具体的には、子供たちが社会の中で自立して生きていくために必要な確かな学力、豊かな人間性、たくましく生きるための健康や体力等を身につけさせるとともに、変化の激しいこれからの時代を生き抜いていくために求められる思考力、判断力、表現力、社会に主体的に参画していく意識等を育む教育を推進いたしました。
 平成二十七年度には、このような考えのもと、さまざまな事業を実施しております。その主なものを例示いたしますと、小中学校におきましては、基礎、基本の定着と学ぶ意欲の向上を図るため、東京ベーシックドリルを活用した繰り返し学習や、算数、数学における習熟度指導等を推進いたしました。都立高校におきましては、学習の到達目標を明示した学力スタンダードを設定し、学力の確実な定着を図るとともに、実践的英語教育の推進のため、外国人指導者数の拡大などを行いました。また、防災に係る知識、技能の習得や、地域に貢献する態度を育成するため、地域と連携した防災教育の充実に向けて取り組むとともに、小学校において、発達障害のある子供たちへの支援を行う特別支援教室の整備に対する区市町村への支援を開始いたしました。
 こうした取り組みの結果、平成二十八年度の全国学力・学習状況調査におきまして、全ての教科で全国の平均正答率を上回るといった成果を出すとともに、英語において、聞く、話す、読む、書くの四技能をバランスよく育むための授業改善等が図られ、子供たちの資質、能力の向上につながっております。
 今後とも、時代の変化を見通し必要とされる取り組みを積極的に行い、総合的な施策展開を図ってまいります。

○神林委員 ただいまご答弁にありましたとおり、やはり、さっきもお話ししましたけれども、今後の東京の方向性を決めると。まさに重要な鍵である東京の教育のあり方をよりよいものにしていくためには、ぜひ、これら実施された施策をどのような結果になったのか、課題を把握し見直し改善を図っていくことが、私は大変重要だと考えております。
 そこで、施策の見直し、改善についてどのように取り組んでいるのかお伺いをいたします。

○早川総務部長 都教育委員会では、法律にのっとり、毎年、主要な施策や事務事業の取り組み状況に関する点検及び評価を行い、課題や取り組みの方向性を明らかにしております。具体的には、各事業の取り組み状況や効果につきまして、目標値等に照らした定量的な評価や、児童生徒の意欲、関心の高まりの変容、学校管理職等へのアンケート調査による評価により客観的に把握するように努めております。
 また、点検、評価を行う際には、教育に関する有識者の意見も取り入れ、施策のあり方の見直しや事業の改善に反映させております。
 今後とも、点検、評価を通じ効果的な教育行政の一層の推進を図ってまいります。

○神林委員 ひとつどうぞよろしくお願いいたします。
 次に、欠くことのできない国、区市町村あわせまして現場の声ですね、こういうものとの連携について伺いたいと思います。
 義務教育段階の教育行政においては、国と都、区市町村の三者が分担してそれぞれの役割を果たしております。一方で、子供たちから見れば、学校という一つの世界となります。この三者がまさに一体となって連携し、子供たちの学びを支えていかなければなりません。特に、法令などで教育の基本的枠組みを制定する国と、小中学校などの現場を抱える区市町村との間をつなげている都に期待される役割は、非常に大きいと考えます。そうした都の役割は、決算の数字などにはあらわれないものであります。
 都教育委員会は、どのような形で国と連携し、また区市町村や学校現場の声をどのような形で吸い上げて施策に反映させているのか伺います。

○早川総務部長 教育施策を効果的に展開していくに当たりまして、国や学校現場を抱える区市町村教育委員会と緊密に連携、協力していくことは重要でございます。
 都教育委員会といたしましては、全国都道府県教育委員会連合会等を通じて、国との相互の連絡調整窓口を常時確保し、国の動向を踏まえまして、要望等を適宜行っております。
 区市町村教育委員会との間では、定期的に開催している指導室課長会等を通じて日ごろから情報交換を行うとともに、問題が発生した場合には指導主事を派遣するなど、必要な支援等を行う体制を整えております。また、施策の検討に当たりましては、検討の場に学校関係者にも参加してもらうなど、現場の意見を直接取り入れるよう努めております。
 今後とも現場の声を丁寧に拾い上げ、児童生徒にとって必要な施策を着実に実施してまいります。

○神林委員 今ご答弁いただいていまして、しっかりとした体制はできているわけですが、やっぱり問題は何か発生したときなんですよね。ですから、特に、問題が発生した場合の適切な対応や円滑な連携が問われておりますので、必要な体制を整えていただきたいと思いますのでお願いいたします。
 ということになりますと、その問題という部分なんですが、いじめの防止の対策について伺いたいと思います。
 いじめは、子供の生命及び心身の健全な成長や人格の形成に重大な影響を及ぼすものであり、絶対に許されない行為でございます。しかしながら、全国的にいじめにより重篤な事態に至ってしまった事例に関する報道が後を絶たないのが現状でございます。
 東京都においては、いじめ防止対策推進法を踏まえ、平成二十六年六月に東京都いじめ防止対策推進条例が成立し、社会全体の力を結集していじめ問題の解決に向けて取り組む体制が整備されました。また、条例成立にあわせて策定されたいじめ総合対策に基づいて、公立学校ではさまざまな取り組みを組織的に推進してきているところでございます。
 我が党は、このいじめ総合対策の作成に当たって、いじめは人間の尊厳を傷つける行為であることから、学校はいじめの未然防止や早期対応に全力を尽くすべきであると訴えてまいりました。決算書でいいますと、九〇ページにはスクールカウンセラーの配置として三十三億三千六十万円が、同じく九二ページにはいじめ総合対策推進事業と心のケア支援事業を合わせて二千七百四十万円が支出され、いじめ総合対策の推進が図られていることが示されております。
 改めて、いじめ総合対策策定二年目に当たる昨年度において、学校ではいじめ防止の取り組みがどのように行われてきたのか、伺います。

○出張指導部長 都教育委員会は、いじめに対する学校の組織的対応を徹底させるため、平成二十七年度に、いじめ防止対策推進法やいじめ総合対策に基づき、全ての学校に設置されている学校いじめ対策委員会の役割を示した資料を都内公立学校の全教員に配布し意識啓発を図ってきました。
 また、各学校に対して年三回以上、いじめの発見のためのアンケートの実施を求めるとともに、全ての子供にいじめ防止カードを配布するなど、二十四時間受け付けの東京都いじめ相談ホットライン等の外部相談窓口を周知し、子供がいじめについて訴えやすい環境を整えてまいりました。
 さらに、全公立小中高等学校に配置しているスクールカウンセラーによる小学五年生、中学一年生、高校一年生を対象とした全員面接が一層効果的に実施できるよう、成果の上がった実践事例を各学校に紹介してまいりました。

○神林委員 ただいまご答弁いただきまして、特に学校においては、教職員の総力のもとにさまざまな取り組みが行われてきたということは理解できるところですが、まだいろいろと課題はたくさんあろうかと思います。
 一方で、いじめ防止などの対策が確実に行われるようにするためには、学校の取り組みが形骸化することのないよう、さまざまな観点から不断の検証を行い、改善を図ることが必要でございます。
 現行のいじめ総合対策には、学校の取り組み状況や達成状況を踏まえ、平成二十八年度中に専門家会議の審議を踏まえて、評価、見直しを行うと記載されております。昨年度の取り組みについての評価から明らかとなった課題と、それらの課題を踏まえて行われる見直しの方向性を伺います。

○出張指導部長 平成二十七年度に実施した、学校におけるいじめ総合対策の推進状況に関する調査の結果からは、全ての教職員による組織的対応を徹底させるとともに、子供にとって相談しやすい環境を一層整備すること、また、いじめの解決に向け子供たちが主体的に行動しようとする態度を育成することなどが、今後の課題として明らかになりました。
 これらの課題を踏まえまして、専門家会議であるいじめ問題対策委員会から、各学校に設置されているいじめ対策委員会を核とした組織的対応が確実に行われるようにするため、教職員研修を充実させることや、スマートフォンから直接東京都いじめ相談ホットラインに相談できるアプリケーションを開発することなどが提言されました。また、子供同士が話し合って問題を解決できるようにするため、指導事例集を作成し、教職員が活用できるようにすることの必要性なども示されました。
 今後、これらの提言を踏まえまして、都教育委員会で新たないじめ総合対策を策定し、各学校の取り組みの改善に向けてさらなる指導助言を行ってまいります。

○神林委員 いじめ総合対策の改定により、保護者の意識啓発はもとより学校、地域、関係機関などの連携が強化され、これまで以上に効果的な取り組みが行われるように心から願いまして、次の質問に行きたいと思います。
 次に、基礎学力向上の取り組みについて伺います。
 決算説明書の九一ページによりますと、児童生徒の確かな学力の定着と伸長として三千九百五十万円を支出しており、その中では、さまざまな基礎学力にかかわる施策が行われております。
 私は、基礎学力とは、子供たちが学習に取り組む上で備えておくべき力であり、単に点数としてあらわれるような知識などだけではなくて、学習に向かう姿勢や知識を使って考える力なども含まれていると考えております。
 そこで、都教育委員会の考える基礎学力とはどのようなものなのか伺います。

○出張指導部長 学力については、学校教育法に、生涯にわたり学習する基盤が培われるよう、基礎的な知識及び技能の習得、知識、技能を活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力等の育成、主体的に学習に取り組む態度の涵養などが示されております。この内容は、ご指摘のとおり、学力を知識や技能の習得状況という一面だけで見るものではないということと共通するものでございます。
 都教育委員会においても、基礎学力についてはこうした国の考え方と同じでございます。

○神林委員 基礎学力が、知識だけでなく思考力や子供たちが主体的に学びに向かう態度なども含まれていることを確認させていただきました。
 このような視点から基礎学力について見てみますと、平成二十八年度の国の学力調査の結果では、東京都が引き続き全国において上位の状況を維持しているとのことでございます。しかし、学力調査から明らかになった課題を見ますと、知識などに比べて思考力、表現力などの正答率は低い状況にあるとのことでございます。
 今後の大学入試試験などでも記述式の問題が導入されるなど、思考力を育成することが一層重要となってきます。そのため、小中学校の早い段階から、知識や技能とともに思考力や表現力などを身につけさせるよう、教育活動を推進することが必要であると考えます。
 そこで、児童生徒の思考力、判断力、表現力などの育成に関するこれまでの都教育委員会の取り組みについて伺います。

○出張指導部長 児童生徒に思考力、判断力、表現力などを育成するためには、基礎的、基本的な知識、技能の活用を図る学習活動とともに、言語能力の育成を図る上で必要な言語活動の充実が重要でございます。
 そのため、都教育委員会は、平成二十三年度から言語能力向上推進事業を開始いたしまして、課題の解決に向けて、対話や討論等により言語能力の育成を推進する言語能力向上拠点校を平成二十七年度には百三十校指定いたしまして、その成果を都内公立小中学校及び都立高等学校へ普及し、各学校の言語活動の充実を図ってきております。
 加えて、基礎的、基本的な知識、技能の活用を図る学習活動の充実も重要であることから、都教育委員会は、これまで発展的な学習を通して思考力、判断力、表現力などを育成するための指導内容に関する資料や、児童生徒一人一人の学習状況に応じた習熟度別指導に関するガイドラインを作成いたしまして、都内公立全小中学校に配布して、各学校の授業改善の取り組みを推進してきております。

○神林委員 思考力などを育てるために、言語活動を活用した学習を推進する拠点校の指定や、指導に当たっての指導資料の作成などの取り組みを推進していることがわかりましたけれども、その成果がすぐに把握できるものではございません。現場の声や評価もしっかりと検証して、成果が上がるよう引き続き取り組んでいただくことをお願いしておきます。
 現在、小中学校では、教員の大量退職とともに若い教員がふえております。そうした状況の中で、経験豊富で実績のある教員の指導技術や知恵が若い教員に十分引き継がれておらず、学校管理職も若い教員の育成に多くの力を注いでいると聞いております。思考力などを育てるためには、どのような授業を行うかが大切であり、経験の浅い教員には、指導方法をよりきめ細かく具体的に伝える必要がございます。
 そこで、教員に思考力などを育てる授業方法を具体的に伝えるために、都教育委員会はどのような取り組みを行っているのか伺います。

○出張指導部長 都教育委員会は本年三月に、小学校は国語、社会、算数、理科の四教科、中学校は国語、社会、数学、理科、英語の五教科における思考力等を育むための一単位時間の授業スタイルをまとめたリーフレットを作成いたしまして、都内公立小中学校等の全教員に配布いたしました。本年四月から、このリーフレットを活用いたしまして、全区市町村教育委員会の指導主事や全公立小中学校等の教員を対象といたしまして、授業改善のポイント等に関する説明会を行ってきました。
 また、本年九月から、都内の小中学校において、リーフレットの作成にかかわった教員による授業公開及び協議会を各教科二回ずつ合計十八回実施いたしまして、普及啓発を図っているところでございます。

○神林委員 一時間の授業のあり方について具体例を示し、公開授業や協議会を通じて検討しながら、指導力の向上を図っているとのことだと思います。
 今後、学校現場からの声をしっかりと受けとめながら、これらの施策を着実に推進して、授業の中で子供たちが協議を行いながら、他者と協働して課題を解決していくための力なども含め、子供たちに義務教育段階で習得すべき力を確実に身につけさせていただきたいと要望しておきます。
 次に、特別支援教育について伺います。
 都教育委員会は、本年二月に発達障害教育推進計画を公表し、小中学校の特別支援教室の導入計画を明らかにいたしました。例えば大田区でも、本年度から全ての小学校で特別支援教室での指導、支援を実施していますが、特別支援教室での指導を希望する児童が急増している状況があると聞いております。
 指導を受ける児童の増加に伴い、新たに指導に携わる教員が増加すると考えます。特別支援教室での指導に当たっては、教員の資質能力が問われると考えますが、特別支援教室の本格導入に当たり、その準備年度に当たる平成二十七年度において、教員の適切な指導などの実施に向けてどのような取り組みを行ったのか、伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 平成二十八年度に新たに特別支援教室の担当となる教員を主な対象として、平成二十七年度末に異動前の講習会を実施し、三百八人が受講いたしました。当該講習会の受講者アンケート結果では、本講習を受けたことで、四月以降の指導に具体的なイメージが持てた、指導の実践例が多く提示され、すぐに役立てられそうだといった肯定的な評価がほとんどでございました。
 今後も、巡回指導教員の指導の手だてに資する講習会を実施してまいります。

○神林委員 特別支援教室の導入は、本年度から本格的にスタートしたばかりでございます。今後も十分な検証を行い、特別支援教室が円滑に運営されるよう、教員の育成などが確実に行われることを期待しております。
 一方、小学校の現場を見てみますと、発達障害だけでなく、さまざまな障害の状態の児童が在籍している状況があり、それぞれの児童に適切に対応できるよう、教員の専門性など資質の向上を図ることを今後も検討していただきたいと考えます。
 小学校では、特別支援教室が全ての学校に順次導入され、中学校では、特別支援教室の導入に向けたモデル事業が実施されるなど、発達障害教育環境の整備が着実に進む中で、障害により学習上、生活上の困難を抱える児童生徒が適切な指導、支援を受けるためには、発達障害やそれに対する施策への保護者の理解が不可欠でございます。発達障害教育施策などについて保護者の理解を促進する取り組みが重要と考えますが見解を伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 発達障害に対する理解の促進や、早期から継続的に適切な指導、支援を行う都教育委員会の施策を広く都民に周知していくことは重要でございます。このため、幼児、児童の保護者を初めとして、広く都民を対象とした発達障害教育シンポジウムを本年十二月に区部と多摩地域の二カ所で開催いたします。また、適切な就学と必要な指導、支援につなげるため、就学を控えた五歳児の保護者を主な対象としたリーフレットを十一月末を目途に作成し理解促進を図ってまいります。

○神林委員 発達障害の児童生徒が将来の自立と社会参加を実現するためには、保護者の理解のもと、小学校での指導などを確実に実施し、中学校においても小学校での指導内容を引き継いだ上、一貫性のある継続した指導を行うことが重要と考えます。
 都教育委員会が作成したリーフレットを、PTAなどの現場での研修会などで活用していただくことで、保護者の理解も促進すると考えております。また、都立高校においても、発達障害と考えられる生徒が在籍していることに鑑みれば、今後は都立高校においても、障害の状況に応じた特別な指導などを実施していく必要があると考えます。
 今後とも、児童生徒のために一層努力を求めておきます。よろしくお願いいたします。
 次に、生涯教育について伺います。
 決算説明書の九六ページによると、社会教育の振興に要する経費として十九億円強の支出がなされていますが、私は中でも、生涯学習の振興が重要であるとの観点から質問をさせていただきます。
 いつでも、どこでも、誰でもが、学ぶ機会を持てる生涯学習の振興は大切であり、特に、高齢者になっても、生涯学習を通じて生きがいを持って暮らせることは重要でございます。生涯学習の各種事業については、住民に身近な区市町村においてさまざまな取り組みが行われており、都教育委員会もこうした区市町村の取り組みをさまざまに支援していると思います。
 そこで、市区町村の生涯学習事業への支援の取り組みについて伺います。

○粉川地域教育支援部長 今後、ますます高齢者層が増加する中で、高齢者を含む地域の多様な人たちが生涯のどの時期からでも、自由に学習の機会を選択して学ぶことができる環境を整えていくことは重要でございます。また、このような生涯学習の活動を継続させるためには、学習を通じて身につけた知識や能力を生かして、子供の育成や地域課題の解決にかかわるなどの自己実現を図り、さらなる学びの意欲を高めることが大変有用でございます。
 現在、高齢者を含む多様な地域住民の方に、子供の学習活動や体験活動などの指導にかかわっていただく場として、区市町村が実施する放課後子供教室や学校支援ボランティア推進協議会事業があり、今後、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、こうした取り組みのさらなる高まりも期待されます。
 都教育委員会は、放課後子供教室などの地域住民がかかわる取り組みに対して、区市町村への補助のほか、多様な地域住民が子供たちの教育支援を行っている好事例の紹介などを通して、区市町村の取り組みを引き続き支援してまいります。

○神林委員 高齢者が地域において生きがいを持ち、地域社会と積極的にかかわって、豊かに生活することは重要でございます。高齢者のパワーはすごいものがありますから、よろしくお願いしたいと思います。
 そのためには、高齢者の多様な好奇心や地域への関心に応えるとともに、生きがいの創出、地域が抱える課題の解決に資するなど、生涯学習が果たす役割は大きいと考えております。
 しかしながら、地域における現状を見ますと、学習する場や指導者の不足そして運営経費の問題など幾つかの課題がございます。こうした課題を乗り越え、高齢者が豊かに暮らすことができる環境が整備されるよう、引き続き高齢者の生涯学習の振興について区市町村を支援してほしいと改めてお願いしておきます。
 次に、学校における多様な人材の活用の観点から、退職教員の活用についてお伺いいたします。
 決算説明書によれば、昨年度の都内公立小中学校及び都立高等学校、特別支援学校における職員費、その他諸経費、非常勤講師報酬の決算額の合計は約五千八百億円となっており、支出額の合計約七千三百六十四億円のおおむね八〇%を占めております。今日の科学技術が進歩した社会でも、学校教育においてすぐれた資質、能力を有する人材を確保し、児童生徒を指導していくことは、学校教育の基礎、基本ともなることであり、予算決算額に人件費相当の占める割合が大きいことも、全体の状況としてはうなずけるところでございます。
 しかしながら、学校に配置することが求められている人材については、時代とともに変わってまいります。いわゆる正規職員についても、求められる資質や能力はその時々で変化していくわけですが、現在、東京都では、経験の豊富な教員の大量退職が続き、経験の浅い職員がふえているという状況でございます。私は、こうした状況において、経験豊富で指導力もあり、働く意欲のある定年退職後の教員を積極的に活用することが必要だと考えております。
 こうした退職教員が活躍することで、児童生徒の教育力が向上し、これまで培った知識や経験を若い教員が受け継ぐなど、人材の育成も図ることができるのではないでしょうか。
 そこで、現在の都における退職教員の活用状況についてお伺いいたします。

○江藤人事部長 定年等で退職した教員につきまして、平成二十八年度は、再任用教員として約二千人、都教育委員会独自の職である非常勤教員として約二千四百人を採用し、都内公立小中学校や都立高等学校等に配置しております。また、時間講師や産休、育休代替教員につきましても、六十歳を超えた経験豊富な人材の積極的な活用を図っております。さらに、無償ボランティアの紹介事業である教育庁人材バンクにおきましても、児童生徒の授業中あるいは放課後の学習指導などに退職教員を活用しており、今年度の一学期は約二百四十人が都内の公立学校の現場で活動しております。

○神林委員 ただいま答弁にありましたとおり、都教育委員会が既に退職教員の積極的な活用に取り組んでいることはわかりました。
 ここで、若干、私の意見と要望等についてお話をさせていただきます。
 私は、働く意欲と能力のある高齢者の活力を生かしていくことは、学校教育の場だけではなく社会全体によい影響を与えていくことができると思っております。そのためには、僣越ながら、現役を引退された方にみずからの経験を社会に還元していく、後進を育てていくという意識を持って、社会で活躍をしていただきたいと考えております。
 都教育委員会には、生涯学習や地域のボランティア活動の充実など、社会全体の活性化を図る観点からも、退職教員を初めとする高齢者が学校内外の教育の場において、その知識や経験を生かして積極的に活躍できる環境の整備を図るよう、重ねて要望をしておきます。
 また、今の学校教育において必要な人材ということでいえば、多様化する課題や、より専門的な指導を行うための教員以外の人材の活用も必要です。最近では、中学の部活動を教員では指導できないといった声も多く耳にするようになり、部活動においても積極的に外部の指導者を確保し活用していく必要性を感じているところでございます。
 例えば、中学の部活動において、競技ごとの専門性に応じた正しい知識を持ち安全に指導できる指導者の活用ということを目指し、部活動指導経験者に一定の資格などを与えるなどして、継続的な指導を図るため必要な人数を確保していくといった取り組みなども検討する必要があるのではないでしょうか。この点についてつけ加えさせていただきます。
 公立中学校でいえば、学校現場では、地域に住んでいる顔の見える人材を求めているという状況もあり、まず、学校の設置者である区市町村教育委員会の取り組みが重要であるということは理解しているところでございます。しかしながら、現在、国ではチーム学校を提唱し、都においてもチームとしての学校のあり方を検討しているとも聞いております。
 この点についてはあえて答弁を求めませんけれども、都教育委員会には、部活動などでの外部人材の活用について、ぜひ区市町村をリードし、支援する取り組みを検討するなど積極的な対応を図るようお願いしておきます。
 最後に、防災教育の充実について伺います。
 本年四月には、熊本県と大分県を中心とした大地震が、また、八月には、台風などにより東北地方や北海道などに大きな被害がありました。一日も早い復興のため、我が党としても全力で支援をしてまいります。
 さて、東京都においても、さまざまな自然災害から都民の命を守るため、耐震工事などの設備を進めるとともに、防災教育を通して、都民の一人一人の防災意識を高めていく取り組みを推進していくことが重要でございます。
 決算説明書の九一ページでは、防災教育の充実として約一億四百万円を支出していることが確認できます。この支出の中において、我が党の提言を受け、都教育委員会が防災について学校でも家庭でも学べる教材、防災ノートを作成したことは、大変意義があることと考えております。
 児童生徒が学校において防災に対する正しい知識を身につけるとともに、家族と対話しながら学ぶことができる本教材に大いに期待しているところでございます。
 そこで、都教育委員会が作成した防災ノート活用の成果について伺います。

○出張指導部長 都教育委員会は、学校でも家庭でも子供たちが主体的に防災について調べ、考え、家族と一緒に行動するための教材、防災ノートを約百三十六万部作成いたしまして、昨年九月に都内全公立及び私立学校の児童生徒に配布いたしました。また、都教育委員会が指定しました研究校におきまして、防災ノートの学習に取り組んだ結果、子供が家族と家の中の危険な場所を確認したり避難方法等を確認したりした割合が、配布前と比べましてそれぞれ二〇ポイント以上ふえるなど、具体的な防災行動につながったことが明らかになっております。
 今後とも、こうした取り組みの成果を踏まえまして、防災ノートの効果的な活用方法などについて都内全公立学校の教員を対象とした研修会において全都に普及するなど、学校と家庭が一体となった防災教育をより一層推進してまいります。

○神林委員 防災ノートの活用により成果が出ていることがわかり安心をいたしました。これからも、学校と家庭そして地域も含めまして一体となった防災教育を推進し、都民一人一人が適切に行動できることを期待しております。
 さて、被災地からの報道を見てみますと、避難所などで中学生や高校生が主体的に物資の仕分けをしていたり、若者がボランティアで瓦れきの撤去や炊き出しなどの支援を取り組んでいたりする姿が連日のように報道され、大変感銘を受けているところでございます。中学生や高校生は、避難所などで中心となって活躍できる大きな力があると私は考えております。
 東京都においても特に高校生には、発災時に身近な人を助け地域防災に貢献できる、将来の防災リーダーとなることを期待しています。そのためには、高校生が教員とともに地域防災について真剣に考え、防災活動へ積極的に参加していく姿勢を育てる教育の充実が重要だと考えております。
 そこで、都立学校における地域の防災リーダーの育成に向けた取り組みについて伺います。

○出張指導部長 全ての都立高校は、発災時に避難所運営の補助や被災した地域の支援を高校生が行うことを想定いたしまして、生徒会やボランティア部等の生徒で防災活動支援隊を編成しております。隊員の生徒には、宿泊防災訓練などにおいてリーダー役を担わせるなど、防災活動の中心となる人材の育成を行っております。
 また、都教育委員会は、本年一月に全都立高校の教員と防災活動支援隊、東日本大震災の被災地の高校生約四百名が集う防災サミットを実施いたしまして、高校生による特色のある防災活動の事例発表や地域との連携についての意見交換を行ったところでございます。
 今後ともこうした取り組みに加え、教育課程の中にボランティア活動を明確に位置づけ、地域防災の担い手となり社会に貢献できる都立高校生の育成を図ってまいります。

○神林委員 今ご答弁いただきましたとおり、都教育委員会のこうした取り組みにより、今後、もちろん防災だけでなくて全ての面で高校生の若い力が地域を支え、活躍してくれることを期待させていただきまして私の質問を終わります。

○加藤委員 それでは、私からは都内に住む外国籍の生徒の都立高校入試について伺います。
 都内に居住する外国籍生徒は増加傾向にありまして、都立高校への入学を希望する外国籍生徒も増加している状況が続いています。このような状況に対応するため、都教育委員会では都内に居住する外国籍生徒に高等学校教育を受ける機会を提供するため、これまで都立高校入試において、外国籍生徒募集枠を設けて対応してきました。
 しかしながら、都立高校入試における在京外国人枠の入試倍率は高い水準で推移していることから、我が党はかねてより、都全体の募集枠をふやす必要があると訴えてきました。これに応え、都教育委員会は、平成二十八年度入試において、これまでの三校に加え、新たに竹台高校及び南葛飾高校の二校に在京外国人枠を設置することになりました。
 平成元年に初めて国際高校に在京外国人枠が設置されて、二十八年かかって、やっと五校となりました。また、五校全てが二十三区にあることから、多摩にも設置するよう求めてきたところです。
 そこで、現在の在京外国人枠の入試倍率が全日制課程の一般募集と比べて高い状況で推移していることを受け、平成二十八年度入試では、在京外国人枠の設置校を五校にふやして実施をいたしましたが、これにより入試倍率は改善されたのか、まず伺います。

○初宿都立学校教育部長 都教育委員会は、国際高校、飛鳥高校、田柄高校の三校に設置しておりました在京外国人枠を平成二十八年度入学者選抜から竹台高校と南葛飾高校の二校を加え、五校とし、在京外国人枠の募集人員を三十六名ふやし、全体で百十七名といたしました。
 これにより、四月入学の募集におけます五校の応募倍率は、全体で二・〇七倍となり、三校で実施した平成二十七年度入学者選抜の二・六五倍から〇・五八ポイント減少いたしました。
 在京外国人枠の設置校をふやすことで、応募倍率は改善しましたが、一般枠の応募倍率でございます一・五九倍を上回っていることなどから、平成二十九年度入学者選抜では、新たに府中西高校に在京外国人枠を設置することにいたしました。

○加藤委員 都立高校への入学を希望する外国籍生徒が増加する中、在京外国人枠の設置校をふやしたことは評価できます。今後は、普通科だけではなく、商業科、工業科のような専門学科など、多様な形態でもふやしていくことを要望しておきます。
 一方、外国籍生徒の進路は多様であり、必ずしも特別枠が設置された高校を志願するとは限りません。また、在京外国人を対象にした特別枠を受検し、不合格となった場合には一般枠を受検することになります。
 そのような中、平成二十八年度入試から全日制課程で学力検査が原則五教科となるなど、外国籍生徒の全日制課程への進学が一層困難になることが想定されたことから、我が党は在京外国人生徒に対する新たな配慮を求めてきました。
 これを受け、都教育委員会は学力検査問題に平仮名のルビを振るというこれまでの措置に加えて、新たに国語を除く四教科について、辞書の持ち込みとそれに伴う試験時間の延長を認めることにしました。
 そこで、平成二十八年度入試において、これまでに行っていた学力検査問題に平仮名のルビを振るという措置を利用した受検者と、新たに辞書の持ち込みとそれに伴う時間延長の措置を利用した受検者がどのくらいいたのか、また学力検査が原則五教科となった全日制課程の状況についてもあわせて伺います。

○初宿都立学校教育部長 平成二十八年度入学者選抜におきまして、学力検査問題に平仮名のルビを振る措置を利用した受検者は三十二名、学力検査問題のルビ振りに加え、辞書の持ち込みと時間延長の措置を利用した受検者は七十八名でした。
 そのうち、全日制課程では、ルビを振った学力検査問題での受検者は八名、新たに実施したルビを振った学力検査問題に加え辞書の持ち込みと時間延長の措置での受検者は三十四名でした。

○加藤委員 今回多くの外国籍の生徒が新たに導入された特別な措置を利用したことになりますが、これらの生徒は都立高校で学びたいという意欲のある生徒であり、このような生徒にとって今回の特別措置は大きな支えになったことは間違いないと考えます。
 しかしながら、平成二十八年度入試で導入した辞書の持ち込みが、外国籍生徒にとって本当に効果のある措置となっているかについては十分に検討する必要があることから、我が党は今回導入した特別措置について、日本語教育の専門家などを交えてさらに検討を進めるべきと訴えてきました。
 これを受け、都教育委員会はこれまでに導入してきたさまざまな選抜方法の成果と課題を明らかにし、改善策を検討する入学者選抜検討委員会に特別部会を設置し、現在検討を行っていると聞いております。
 そこで、今年度入学者選抜検討委員会に設置した特別部会における現在の検討状況について伺います。

○初宿都立学校教育部長 都教育委員会は、平成二十八年度入学者選抜から新たに導入いたしました外国籍生徒に対して講じる辞書の持ち込みなどの特別措置のあり方等について検討を行うため、平成二十九年度入学者選抜検討委員会に外部有識者や日本語学級の教員などで構成いたします特別部会を設置しました。
 本年八月に第一回目となります特別部会を開催し、特別措置についての協議を行ったところでございます。現在、より一層詳細な検討となるよう特別措置を利用して受検し入学した生徒に対するアンケート調査なども実施することといたしまして、その内容等を検討しているところでございます。今後、引き続き特別部会において検討を行い、方向性を整理した上で、入学者選抜検討委員会に報告を行う予定でございます。

○加藤委員 新たに導入した辞書の持ち込みなどの特別措置について、言語の習得などの専門的な観点から検討を行い、外国籍生徒にとって真に有効な措置となるよう改善を図っていくことは大切なことです。これまでは設置されていなかった特別部会という組織を有効に活用ししっかりと検討を行ってほしいと考えます。
 また、外国籍生徒の受検については、特別措置以外にも課題があります。例えば在京外国人枠に応募できるかどうかという応募資格の確認については、現在各学校で行っていますが、学校によって判断が異なるという状況があると聞いております。例えば厳封という日本のやり方がありますけども、外国によってはこういう制度がないということもありまして、学校によっては、それをしっかりとやらなきゃいけないというようなこともいわれて戸惑うと、こういうようなことも聞いております。
 入学者選抜検討委員会に外国籍生徒に対する特別措置について検討を行う特別部会を設置し、じっくりと検討することができる環境が整ったことから、措置の内容だけでなく、今申し上げてきた応募資格の確認など、外国籍生徒の受検に関するその他の課題についてもぜひ検討していただきたいと要望いたしまして質問を終わります。

○和泉(な)委員 私からは、まず私の地元である葛飾の盲学校に併設をされている寄宿舎について伺います。
 特別支援学校の寄宿舎は、障害のある子供たちが教育を受ける権利を保障し、特別な教育的ニーズへの配慮、対応として欠くことのできないものです。自分の意思や要求を伝える機会や、ほかの人とのコミュニケーションをとること、一緒に何かをやることなどを通した経験の蓄積など、子供の発達にとって必要な条件が健常児と比較してどうしても乏しくなりがちな障害児にとって、寄宿舎は専門的な指導員が一人一人の発達段階を見きわめ、次のステップのために必要な援助をしたり、行動を促したりして、日常生活の中で発達を保障する重要な役割を果たしています。
 葛飾盲学校にも寄宿舎が併設されていますが、落成から三十年近くが経過していて、修繕を繰り返し使用していますが、老朽化が激しいというふうに聞いています。中でもボイラーについては、音が大きく騒音対策のために早朝や夜の使用は控えているとのことですが、これは事実でしょうかこの間の経過も含めてご説明願います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 葛飾盲学校の寄宿舎に設置してあるボイラーにつきましては、使用時に音が出ることから、平成二十四年度に防音カバーを設置して音の発生を抑制する措置を講じておりますが、近隣住民の生活環境への特段の配慮という観点から早朝や夜遅い時間帯での使用を控えております。なお、それ以外の時間帯、例えば入舎生の入浴時間などは通常どおり使用しております。

○和泉(な)委員 平成二十四年に防音カバーを設置しているという答弁でした。それでも、なお四年もの間、やはり自粛する状態が続いているというのは、防音カバーだけでは現場の皆さんの心配がやはり払拭し切れていないということではないんでしょうか。なぜ防音カバーをつけた後も早朝、夜間の使用を控えているのか、具体的に、先ほど近隣住民への配慮という答弁もありましたが、それ以外にも都として何か現場から声を聞いているということはあるんでしょうか。

○浅野特別支援教育推進担当部長 近隣住民の生活環境への特段の配慮という観点から、学校長の判断により早朝や夜遅い時間帯のボイラーの使用を控えております。そのように把握してございます。

○和泉(な)委員 私も校長先生に直接お話を伺ってみました。この防音カバーは、扉の換気用のガラリという羽板を並べたルーバー状になっている部分から漏れるその音を遮断するために、スチール製のカバーをつけたものだということですが、音の軽減はされているものの、やはり相当な音が出てしまう。ただ、近隣の皆さんと直接話をして、関係性を持ちながら、解決の方法を探っていきたいと、校長先生はこのようにおっしゃっていました。
 学校としてできる努力をしてからというのは大切なことだと思います。けれども、これから寒くなっていきます。排せつの失敗をしてしまってもシャワーが使えないというのはかわいそうだ、そういう校長先生や寄宿舎の先生の思いは、やはり少しでも早く早朝や夜間もボイラーが使えるようにというものです。
 雨漏りや壁のひび割れなどもあり、毎年修繕を繰り返しているという状況も報告を受けています。冒頭で述べたとおり、障害のある子供たちの発達を豊かに保障する日常生活の場がこのような状態でいいとは思いません。都としても、まずは子供の最善の利益のために、根本的な改善のための大規模修繕を行っていただくよう、ぜひ検討していただきたいと思います。
 続いて、特別支援学校の介護職について伺います。
 肢体不自由特別支援学校には、二〇〇九年度から外部専門家の導入として、一般非常勤職員の介護職が採用されています。この学校介護職が採用されるようになってから、教員配置はどのように変わったのか。いただいた資料にも載っていますけれども、改めて伺います。

○江藤人事部長 都教育委員会は、児童生徒の障害の重度、重複化や児童生徒、保護者の教育ニーズを踏まえ、平成二十一年度から肢体不自由特別支援学校に学校介護職員を導入し、教員と学校介護職員がそれぞれの専門性を発揮しながら、連携、協働して指導を行う体制を構築いたしました。
 学校介護職員の導入に当たっては、この指導体制における教員の役割を踏まえ、教員定数を見直しいたしました。平成二十一年度から平成二十七年度までの六年間で、対象校である十四校に学校介護職員を三百七十八人配置したことによる教員定数の見直し数は、合計で百七十三人でございます。

○和泉(な)委員 今のお答えによれば、十四校で合わせて百七十三人が削減されたということですから、一校当たりの削減数は十二人から三人になります。介護職の導入そのものを私は否定するものではありませんが、教職員定数が減っているというのは問題ではないかと思います。私の地元の子供たちも通う鹿本学園では、昨年度十八人が削減されたと聞いています。
 介護職は、あくまで介護の専門家で、学校では補助的立場であり、子供たちの学習権を保障し、心や体を成長、発達させるという教育の専門的な分野や事務などを含め、教職員の本来の仕事にかわることはできませんから、教員としての任務そのものが軽減されるわけではありません。
 保護者との連絡や個人面談、個別の指導計画の作成、通知表の作成なども、教員だけで行わなければなりません。教員の出張が入れば、ほかのクラスとの合同授業になったり、訪問担当の教員がヘルプに入ったりして対応しているそうです。教員一人で通常の二倍の子供たちを教えるのが困難なのは容易に想像できることです。
 また、日常と違うことに対する反応が強い子供たちは、不安定になることも予測されます。教員の定数が減らされた結果、結局教職員の負担は重くなっているというのが現状です。減らしてきた教職員配置をもとに戻すべきだと考えますがいかがでしょうか。

○江藤人事部長 教員がこれまで担ってまいりました児童生徒に対する介護業務を学校介護職員が担うことにより、教員は本来の役割である教育活動に専念できるようになり、それぞれの職の専門性が発揮され、介護が充実し、児童生徒は快適な学校生活を送れるようになっております。そのため、学校介護職員を導入している学校での教員と学校介護職員の協働による指導体制は適正なものであると考えております。

○和泉(な)委員 いただいた資料を見ますと、学校介護職員の業務を紹介した資料ですけれども、学校介護職員の業務は、スクールバスの乗りおり、移動、排せつ、水分補給、食事などの介助から給食の後片づけ、教室の清掃にまで及んでいます。教職員がこれらをこなしながら教員本来の仕事を行うのは、やはりこれまで大変なことだったろうというふうに思います。
 ですから、先ほども申し上げたとおり、学校介護職員がその部分を担うことそのものは否定するものではありません。しかし、その部分の負担が軽くなったからといって、教職員の任務が減るわけではないということを申し上げているんです。
 特別支援学校は教育機関です。身体介助の補助さえ配慮すれば、教育の仕事が減るということにはなりません。経験や専門的知識を持つ教職員集団がさまざまな角度や立場から集団で子供たちの成長や発達を支える、それを通して若い教職員もまた経験や知識を蓄積していく、そういういい循環を生み出す環境はとても重要ではないんでしょうか。
 そして、介護職の職員も、また自分の介護職としての専門性を高めたり、障害児教育を通して、その後の仕事に生かしたりする。その上でも、すぐれた教職員集団は、彼らのよき道しるべとなることでしょう。
 都がいうように、学校介護職員の専門性を尊重するなら、非正規で一年単位の契約、更新しても五年が限度などということではなく、きちんと正規の職員として採用して、その専門性に見合う身分保障をするべきじゃないんでしょうか。そうしてこそ、介護職の職員が誇りとやりがいを持って仕事ができ、障害児教育の専門家と介護の専門家のよりよい相乗効果が得られると思います。
 東京都が質の高い障害児教育のために、減らしてきた教職員の定数を戻し、教職員にとっても介護職にとっても、よい労働環境を保障するために力を尽くすことを強く求めて、質問を終わります。

○島田委員 私からは、まず初めに教員の働き方と処遇についてお伺いいたします。
 教員の長時間労働が社会的な問題になっていますが、教員には一律に教職員調整額の四%が支払われまして、超過勤務手当が支給されないという法的な制約があります。とりわけ中学校では、部活動の顧問を引き受ける際に負担が大きく、土曜日、日曜日の休みの日にも練習や対外試合の引率などが日常化している現状があります。
 さきに私の地元の羽村第一中学校が全国の吹奏楽コンクールに出まして、見事金賞を受賞したんですけども、そういった吹奏楽部なんかを見てみますと、土日なんかにもいろんな行事に参加したり、練習も朝とか、夜とか行うということで、非常に大変だなというふうに思っているところでございますが、超過勤務手当もない教員、先生方が勤務日でない土日に部活動を行った場合は、どのような手当が支給されるのかお伺いいたします。

○鈴木人事企画担当部長 週休日や休日に部活動を行うに当たっては、週休日の変更、または代休日の指定を行うことが原則でございますが、やむを得ず週休日等の変更などができない場合は、特殊勤務手当が支給されます。
 具体的には、教員が週休日などに四時間以上の部活動指導を行うと日額四千円、また公式戦への引率を行うと日額五千二百円の特殊勤務手当が支給されます。

○島田委員 今、土日、四時間以上だと日額四千円で、日曜日、日額四千円ですね、公式戦への引率を行うと日額五千二百円ということでございますが、まだまだ少ないのではないかなというふうに思っております。
 基本的には振りかえができればいいんでしょうけども、なかなか忙しくて振りかえができないという先生方もおられるというふうに思います。先ほど外部の方々からの補助というようなことも話にありましたけども、部活動へ臨むための環境整備についてよろしくお願いしたいというふうに思っております。
 部活動の指導を頑張っている先生方に手当が支給されるのはよいことだと思いますが、教員が行うべき業務は、部活動指導だけでなく保護者の要望への対応だとか、地域行事への参加など多岐にわたっております。
 また一方で、育児や介護を抱えながらも頑張っている教員の先生方もおられます。一律に給与が支給される制度の中で、都教育委員会は頑張っている教員をどのように給与上の処遇に反映させているのかお伺いいたします。

○鈴木人事企画担当部長 都教育委員会は、全ての教員を対象に自己申告と業績評価の二つの柱で構成する人事考課制度を導入しています。業績評価では、校長が教員の職務遂行状況について把握し一次評価を行った上で、教育長が最終評価を行っております。その結果を定期昇給や勤勉手当に反映させており、教員の頑張りを処遇に反映させる仕組みを構築しております。
 とりわけ勤勉手当では、前年度の業績評価の結果などにより支給額が増減する成績率の仕組みを、平成二十五年度から監督職、一般職の教員にも導入したところでございます。

○島田委員 今ご答弁いただきましたが、人事考課制度によりまして、定期昇給や勤勉手当に反映させているということがわかりました。また、成績率の仕組みを二十五年度から導入したということでございます。
 そこで、勤勉手当の成績率を導入し、具体的にどのような給与上の差が生じるのかお伺いいたします。

○鈴木人事企画担当部長 勤勉手当において、成績率が最も上位の教員と下位の教員の差は、監督職である主幹教諭において年間約三十四万円、一般職である教諭では年間約十一万円となっております。
 なお、成績率の加算額、簡単に申し上げれば、支給額の増減額の幅につきましては、昨年度の給与改定交渉を経て、今年度からはさらなる拡大を行ったところでございます。

○島田委員 今ご説明をいただきましたが、頑張っている先生とそうでない先生の差がもう少しあってもいいのではないかなと。特に主幹教諭の方は年間三十四万円ということで、それなりに差があるのかなというふうに思いますが、一般職である先生は年間十一万円の差ということでございます。平均給与がどれぐらいあるかわかりませんけども、総体の中で十一万円という、もう少し差があってもいいのかなと、やっている先生とやっていない先生、やりがいがあるように--いいのかなということも思っております。
 答弁の中では、この差については、今後さらに拡大していくということでございますので、そういったことも含めて、今後対応していただきたいなと、そのように思っております。
 また一方で、評価でありますが、たまに先生方から聞くんですけども、校長先生や副校長先生が自分を正しく評価してくれないということもちらっと聞くことがよくあります。そういう不満を聞くことがあるわけでありますけども、私立学校などでは生徒から教員の先生方を評価するなど、多面的な評価を取り入れているところもあるそうであります。こうした多面的評価を業績評価の中でどのように取り入れているのかお伺いいたします。

○鈴木人事企画担当部長 児童生徒の意見が業績評価に直接連動するわけではございませんが、授業や指導方法に関する児童生徒の意見などを教員が受けとめ、授業や学級経営の改善に生かすとともに、みずからの職務目標を設定する場合の一つの要素として活用することはあります。一次評価者である校長は、教員の評価を行うに当たっては、副校長や主幹教諭の意見を聞くとともに、みずから年二回以上の授業観察を行うこととしております。

○島田委員 生徒の評価を給与に反映するというのは、これはなかなか難しいとは思いますが、今、答弁の中でも副校長先生や主幹の意見を聞いたり、あるいは授業観察ですか、これをしっかり行うというようなこともありました。しっかり評価して、それを給与に反映するということが大事だというふうに思いますので、先生方のモチベーションを上げて、やりがいがふえるようによろしくお願い申し上げたいというふうに思っております。
 ところで、小池知事にかわりまして、イクボス宣言を行うなど、都庁では知事がいうライフワークバランスを推進する取り組みが進んでおります。学校現場においても、育児や介護など、それぞれの事情を抱えて働いている教員もいますので、組織として効率的に働くことは大変有意義なことと考えます。
 具体的に教員が育児や介護が必要になった場合、どのような制度があるのかお伺いいたします。

○鈴木人事企画担当部長 教員が育児を必要とする場合は、生後一歳三カ月前までの子供を育てる場合の育児時間、それから三歳未満の子供を養育する場合の育児休業、小学校就学前の子供を養育する場合の育児短時間勤務、部分休業など休暇制度の利用が可能でございます。
 また、教員が介護を必要とする場合は、毎年五日間取得可能な有給の短期の介護休暇や、最長二年間で最大百八十日間取得可能な無給の介護休暇の利用が可能でございます。
 さらに、平成二十七年度からは、育児、または介護を理由として取得できる時差勤務の制度を導入してございます。

○島田委員 今ご説明していただきました。教育庁の方ではさまざま制度をつくりまして、育児や介護に従事できるような環境であるということでございます。問題なのは、そういった制度があってもなかなかその制度が活用できないということをよく聞かれるわけであります。
 そこで、教員がこうした今ご説明あったような休暇制度を利用した場合、そのかわりに授業を行う教員はどうするのかお伺いいたします。

○鈴木人事企画担当部長 教員が育児休業を取得した場合は、代替となる臨時的任用教員を採用し、育児短時間勤務など、その他の休暇制度を利用した場合は、学校の状況に応じて、時間講師を配置し授業を行っております。

○島田委員 今、制度等、要するにとりやすくする仕組みということで、臨時任用職員の採用だとか、時間講師を採用するということでございます。そういった面では教育の成果は、幾分他業種よりも、女性の方々が子供を産んでからも、男性の方もそうですけども、そういう働きながら子供を育てるということではいいのかなというふうに思っておりますが、ぜひともこのライフバランスについてよろしくお願いしたいというふうに思っております。
 知事がライフワークバランスを都庁全体で推進しているのでありますから、学校現場においても、育児や介護と仕事の両立や年次有給休暇の取得促進など、ライフワークバランスの実現に向けて、しっかり取り組んでもらいたいことを要望させていただきます。
 次に、副校長の多忙解消についてお伺いいたします。
 昨今、学校に求められている内容が複雑多様化している中で、教育現場における副校長及び教員の多忙が問題となっております。とりわけ副校長は、円滑な学校運営のために朝早くから夜遅くまで勤務されると聞いております。
 都教育委員会が行ってきた副校長の多忙解消にかかわるこれまでの取り組みについてお伺いいたします。

○江藤人事部長 学校の中で副校長には、教職員の指導のほか、各種の調査や保護者対応、地域や関係機関との連絡調整など、さまざまな業務が集中しており、円滑な業務遂行のための支援が必要な状況でございます。
 これまで都教育委員会は、副校長の業務負担軽減に向けた取り組みとして、副校長を補佐する主幹教諭の授業持ち時数の軽減や配置数の拡大、またアドバイザー役ともなる教育管理職OBの配置を行ってきたほか、副校長を補佐する校内組織である経営支援部の設置促進等を実施してまいりました。

○島田委員 実際の学校現場においては、調査回答や広報事務、電話対応や勤怠管理を初めとする庶務的な事務など、本来副校長でなくともほかの教職員で対応できる業務が多くあるのではないかと思います。
 先ほどの答弁の中で副校長を補佐する校内組織であります経営支援部の設置促進という取り組みについて触れられましたが、そこで経営支援部の今年度までの設置校数と、あわせて設置による副校長の多忙解消の効果についてお伺いいたします。

○江藤人事部長 経営支援部は、平成二十四年三月に作成いたしました小中学校の校務改善推進プランに基づき、各小中学校が学校の実情に応じて、校内に設置する組織でございます。平成二十七年度の経営支援部設置校数は、小中学校五百四十二校で、前年度比で百八校の増加でございます。また、今年度の経営支援部設置校数は五百八十六校で、都内公立小中学校全体の約三〇%が設置しております。
 昨年度のアンケート調査結果では、経営支援部設置校全体の五五%の小中学校で、副校長の業務が軽減されているとの回答を得ております。具体的には、経営支援部に学校全体の横断的な調整機能を持たせて、副校長に集中しがちであった業務を教職員に役割分担させることで、副校長の業務遂行の効率化や業務負担の軽減化が図られた、学校経営や教職員の人材育成にかかわる時間がふえたなどの効果が報告されております。

○島田委員 副校長の多忙解消には、経営支援部の設置等、管理職とその他の教員や事務職員がそれぞれの役割を認識し、業務を適切に分担することによりまして、ある程度効果が期待されるところでございますが、先ほどは経営支援部が設置されているのが全体の三〇%と、そしてそのうちの五五%が副校長の業務が軽減されているということでございますので、これはまだまだ経営支援部だけでは不十分なのではないかなというふうに思っているところでございます。
 欧米では、スクールセクレタリーという学校専門職を配置しておりまして、電話対応や来訪者への対応など、学校の管理面でのサポートを担っております。今般、業務多忙といわれております副校長につきましても、業務をサポートする人材のさらなる活用も必要であると考えております。
 今後、都教育委員会では、副校長の多忙解消に向けてどのように取り組んでいくのか所見をお伺いいたします。

○江藤人事部長 今日、学校が抱えるさまざまな教育課題の解決に向けて、副校長が校長の学校経営を支えていくためには、副校長の多忙な状況を解消することが重要でございます。このため、今年度も十一月を校務改善推進月間と位置づけ、校務改善推進事業発表会を開催するとともに、校務改善NEWSの発行など、さまざまな手法で区市町村教育委員会及び小中学校に積極的な普及啓発を図ってまいります。
 また、本年六月から設置しております都におけるチームとしての学校のあり方検討委員会の議論を踏まえ、副校長がこれまで以上に学校経営や教員の人材育成等に携われるよう業務負担のさらなる軽減策を検討してまいります。

○島田委員 今ご答弁ありましたとおり、あり方検討委員会の議論を踏まえて、今後、副校長の業務負担のさらなる軽減策を検討していくということでございますので、ぜひとも新たな軽減策について期待しているところでございますので、よろしくお願い申し上げます。
 今、学校現場におきましては、道徳や小学校での英語の教科化を初めとする新たな学習指導要領への対応、地域との連携等、多様な課題の対応が求められております。子供たちにとっては、よりよい学校教育を充実させていくためにも、学校経営を支えている副校長の多忙解消に努めてもらいたいことを要望しまして、次に特別支援学校のスクールバスについてお伺いいたします。
 特別支援学校のスクールバスでありますが、本年一月には十五人の死者を出すという長距離バスの事故があったことは記憶に新しいところでございます。今その事故に関しましては、事故の検証だとか、今後の対応が検討されているところではございます。
 特別支援学校におきましては、現在スクールバス三百七十三台が運行されまして、約六千人の児童生徒が利用している状況にあります。こうした多くの児童生徒が安心して学校に通えることが、まさに保護者の共通の願いであるというふうに思います。特別支援学校のスクールバスの運行については、いかに安全を担保しているかという観点から幾つかお伺いしたいというふうに思います。
 まず、現状の運行について、コース、形態、契約金額についてお伺いいたします。

○浅野特別支援教育推進担当部長 平成二十七年度は、都立特別支援学校全体で三百四十四コース、すなわち三百四十四台のスクールバスを運行いたしました。内訳は、車椅子で乗車可能なリフトつきのスクールバスが百八十台、座席のみの観光バス型のスクールバスが百六十四台でございます。また、運行に係る経費の決算額は約四十億五千百万円でございます。

○島田委員 今ご答弁にありましたが、平成二十七年度では三百四十四台、車椅子で乗車可能なリフトつきバスが百八十台、そして観光バス型が百六十四台ということ、予算におきましては四十億五千百万円ということで、これはかなりの大きな予算額でありますし、大きなことだというふうに思っているわけでございますが、特別支援学校のスクールバスが、過去ではありますが、バス会社が突然運行できなくなったことがあるというふうに聞いております。なぜそのようなことになったのか、またその際どのように対応したのかお伺いいたします。

○浅野特別支援教育推進担当部長 平成二十六年七月、当時、スクールバスの運行契約を締結しておりました事業者が経営不振に陥り、一部のコースにおいて運行に支障を生じかねない状況となったことから、当該コースの契約を解除した上で、新たなバス事業者と速やかに契約を締結し、新学期からのスクールバスの運行を確保いたしました。
 同年十月及び十二月にも、当該事業者との契約を解除せざるを得ない事態が生じたため、新たな事業者によりスクールバスを運行するまでの間、代替バスを確保するなどの緊急的な対応を行い、児童生徒への影響が最小限となるようにいたしました。

○島田委員 急なことだったので、大変だったと思いますが、実はこの業者が私の選挙区の業者でありまして、よく知っているわけでございますが、なぜ事業者が経営不振に陥ったかというふうなことではございますが、この当時は競争入札でありました。
 そして、価格競争ということもありまして、いろいろ聞いたことによりますと、その会社の運営自体が自転車操業的でありまして、事業が立ち行かなくなったということを聞いているわけでございます。この業者につきましては、高齢な運転手を採用されていたり、運行面でも保護者の方々から多くのクレームが実際私の方にも来ておりましたことを覚えております。
 そしてまた、軽井沢の事故があったわけでありますけども、死者を出した軽井沢の事故で、運転手がおられましたけども、話によりますと、この運転手はこの業者に勤務しまして、以前、特別支援スクールバスも運行されていたということも聞いているわけでございます。
 今から考えますと、大きな事故があったわけでありますけども、こちらの特別支援バスの方にも大きな事故が起こらないとも限らなかったなということは、今から思うと考えるわけでございますが、特別支援学校のスクールバス、現在はどのような契約について配慮がなされているのかお伺いいたします。

○浅野特別支援教育推進担当部長 現在、貸し切りバスの運賃、料金に利用者の安全にかかわる費用を適切に反映することを目的とした平成二十六年三月の国土交通省関東運輸局長公示による新しい運賃・料金制度に基づき、スクールバスの契約における入札時の予定価格を設定しております。
 新しい運賃・料金制度に対応するため、スクールバスに係る平成二十七年度予算は約五十九億五千二百万円となり、平成二十六年度予算の約二十九億六千四百万円から倍増いたしました。リフトつきバスについては、平成二十七年度の契約から入札価格に加えて、安全運行や利用者サービスに対する取り組み等も審査の上、落札業者を決定する総合評価制度を実施しております。
 また、リフトつきバスは、コースごとに定員や仕様が異なり、新たに車両を調達する際、車両の改造を必要とするため、バス事業者の投資的な経費負担を考慮し、三年間の長期継続契約もあわせて導入しております。

○島田委員 今ご答弁にもありましたが、金額でいいますと二十九億六千万円から五十九億五千万円ですから、この制度が変わりまして、大きく額自体も倍近く変わったということでございますし、リフトつきバスについては、総合評価制度を実施していると。それから、単年度契約のものは三カ年の長期継続契約に変更したということでございまして、いろんな国のそういった安全指針によりまして、特別支援の契約内容についても大きく変更されまして、前の状況から改善されますと、安全面での配慮が契約価格からも図れたということではございますが、ぜひとももう一度総点検していただきまして、大きな事故が起こらないようによろしくお願いを申し上げたいというふうに思いますし、今後もバスの運行契約の締結の際には、安全を優先した業者の選択をお願いしたいというふうに思っているところでございます。
 過去にはそういうことがあったわけでありますが、ここ数年ではスクールバスに係る事故はどのような状況なのかお伺いいたします。

○浅野特別支援教育推進担当部長 平成二十七年度においては、他の自動車や学校施設等への車両の接触事故が十七件、車両の故障による運行の遅延が三件、連絡ミスにより児童生徒が停留所に到着する前に発車するなどの乗車、降車に関する事故が九件など、合計で四十二件の事故について報告を受けております。
 スクールバス運行中の事故につきましては、軽微なものも含め、当該のバス事業者から都教育委員会への報告を義務づけており、その都度、事業者に対し安全運行に関する指導、助言を行っております。

○島田委員 いずれも大きな事故ではないんですけども、安全対応を優先していただきたくよろしくお願い申し上げます。
 そしてまた、スクールバスの運行を安全なものにするためには今後どのような対応を考えているのか、あわせてお伺いいたします。

○浅野特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、スクールバスの安全運行や障害者への理解に対する乗務員等の意識の向上を図るため、毎年度、各スクールバスを運行する事業者の担当者、運転手、乗務員を対象とする研修を開催し、出席を義務づけております。
 また、学期ごとに学校が主催いたします学校、保護者、バス事業者の意見交換の場にも、バス事業者の出席を義務づけ、学校、保護者からの要望を検討し、回答させるなどして、スクールバス乗務員の質の確保向上を図っております。
 今後ともこうした取り組みを引き続き確実に実施し、質の高いバス事業者を確保して、スクールバスの安全な運行を図ってまいります。

○島田委員 バスの運行は、特別支援学校だけでなく、いろんな修学旅行だとか、都立学校だとか、小中学校でもバスの運行を委託することがあるかと思います。安全面では引き続きよろしくお願いを申し上げます。
 最後に、部活動費についてお伺いいたします。
 最近、都立高校の部活動も多様で生徒の活躍が注目されてきたところでございます。昨日も吹奏楽でありますけども、全国大会、名古屋で開催されておりましたけども、都立の片倉高等学校が見事銀賞を受賞したということで、都立学校の活躍も目立っているところでございますが、これは都教育委員会の部活動振興に係る取り組みの結果であるというふうに思っております。
 都立高校の部活動に係る経費は、公費からも支出されておりますが、公費以外に保護者が部費等多くの経費を負担しております。加えて、私費である生徒会費からも部活動に対して経費を支出している学校もあると聞いております。部活動経費の公費、保護者負担の状況についてお伺いいたします。

○初宿都立学校教育部長 部活動に要する経費は保護者負担を原則としておりますが、指導者への謝礼や施設の使用料、各種大会参加費及び生徒が共同で使用いたします物品の購入経費などの一部は、都教育委員会が公費で負担しております。加えて、部活動の一層の振興や競技力向上を図るため、活動実績の向上や活動の活性化に必要な経費につきましても公費による充実を図っております。
 一方、保護者が負担しております経費は、ユニホーム、練習着、競技用具など、生徒が学校、家庭いずれでも使用するもので、個人所有がふさわしい消耗品や飲食費、練習試合等に係る交通費などでございます。

○島田委員 公費の部分を充実させて、活動実績の向上だとか、活動の活性化を図っているということや、また個人所有がふさわしい消耗品だとか、飲食費、交通費などは、保護者が負担するということもあるということでございます。
 こうした中、顧問が部費という名目で部活動に係る経費を徴収するということが一般的に都立学校ではあるというふうに思いますが、過去、都立高校においては、部活動の顧問の教員が部費の不適正使用のために処分を受けたということもあると聞いております。都教育委員会は、学校や顧問の教員に対し部費の適正な管理について、これまでどのように指導してきたのかお伺いいたします。

○初宿都立学校教育部長 都教育委員会では、都立学校に対して毎年実施いたします業務、服務監察において、調査項目に部費を位置づけ、管理の適正化に努めるとともに、一部の学校を抽出した現地調査を行っております。また、部費等に係る会計事故の発生や行政監査による指摘を受けた際に、事故事例に触れながら、注意事項を具体的に示し、都立高校の全教職員に対して周知を行っております。

○島田委員 部活動の経費ということ、いろいろ顧問が管理するケースもあろうかというふうに思いますが、いろんな地元の方々から、父母からこれはどうなのかなという、そういうクレーム等もたまに来ておりますので、今後ともしっかり部費の管理については徹底するようによろしくお願いを申し上げます。
 部活動は、生徒本人の意思で選択しているものでありますが、貧困家庭の生徒も相当数在籍している都立高校におきましては、その保護者負担は可能な限り少なくすべきと考えております。教育委員会では、部費の限度額の設定等は考えているのかお伺いいたします。

○初宿都立学校教育部長 都立高校では、生徒の学校生活の充実を目的といたしまして、教育活動の一環として部活動を実施しております。部活動は、生徒の健全育成に果たす役割はもとより、東京都のスポーツ、文化、科学、芸術などの振興の基盤といたしましても、多くの保護者や都民が期待する教育活動でございます。
 一方、部活動は、休日等に校外で行われる場合もあることなどから、生徒の心身の疲労や経済的負担に十分配慮して、保護者の理解を得ながら計画的に行う必要がございます。特に部活動に係る経費は、競技の種類や頻度、部員である生徒の希望などにより異なるため、各学校が部活動の実情に合った必要額を保護者の理解を得ながら定めることが望ましいと考えており、現在、部費の限度額の設定は予定してございません。

○島田委員 部活動の経費については、限度額については、いろんな部活動の種類、頻度というのがまちまちであるということであって、限度額は設定しないということでありますが、ぜひ都教育委員会としまして、部活動に係る経費の把握そして適正な額について、指導と助言よろしくお願い申し上げまして、質問を終わります。

○西崎委員 私からは、まず初めに小学校における特別支援教室について伺います。
 小学校の特別支援教室については、平成二十八年度からの三カ年で準備の整った区市町村から順次導入していくこととしており、都教育委員会は特別支援教室の円滑な導入に向けて、教室設置の前年度に当たる昨年、平成二十七年度に教室環境の整備等に必要な経費の補助を行っています。
 そこで、平成二十七年度において平成二十八年度に導入計画のあった区市町村の数と、そのうち補助を行った区市町村の数を伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 平成二十八年度に特別支援教室の導入を計画していた区市町村は三十九区市町村であり、そのうち三十六の区市町村から平成二十七年度に東京都公立小学校特別支援教室設置条件整備費補助事業による補助申請があり、補助金を交付いたしました。

○西崎委員 三十九区市町村のうちで三十六区市町村ということですけれども、当該補助事業が区市町村にとって有効に使われていることはわかりました。特別支援教室は、これまで通級指導学級等を設置していない学校にも設置され、その運営には発達障害に対する学校長の十分な理解が必要と考えます。私も地元の小学校の校長先生とお話をする機会があるのですが、学校に通級指導学級を設置しているところは、とても理解があり、細かいところに配慮がされていると感じました。
 そこで、教育管理者に対する発達障害教育に関する理解促進への取り組みについて伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 特別支援教室の導入開始を契機として、学校経営の中心となる管理職の発達障害教育に関する理解を深め、各学校の組織的な特別支援教室の推進を図るため、平成二十七年度及び平成二十八年度に在籍している幼稚園、小学校、中学校及び高等学校等の全ての園長、校長、副校長が受講する研修を当該二カ年で実施しております。初年度である平成二十七年度は、全教育管理職のうち約八割の三千八百五十八人が受講いたしました。

○西崎委員 全ての小学校に設置する特別支援教室において、障害の状態に応じた適切な指導、支援を行っていくためには、発達障害に関する専門的な視点を教員の指導に生かす取り組みが必要と考えますが見解を伺います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 特別支援教室を利用する児童が抱える学習面、行動面での困難についての的確な把握と、それに基づいた指導、支援を適切に行うには、教員等に対して専門的立場からの助言が重要でございます。本年二月に策定した東京都発達障害教育推進計画に基づき、今後も臨床発達心理士等が特別支援教室設置校を巡回し、専門的立場から教員等へ助言を行う取り組みを実施してまいります。

○西崎委員 特別支援教室の導入については、平成二十八年度から平成三十年度までに準備の整った区市町村から順次導入していくことになっています。自治体によって、状況は違うと思いますけれども、子供一人一人の個性を尊重した必要な支援を区市町村が行えるよう進めていっていただくことを要望しておきます。
 次に、国際的な人材育成について伺いたいと思います。
 さまざまな国や地域の人々とともに未来を切り開く態度や能力を育み、世界を舞台に活躍し、日本の将来を担うリーダーとなる人材を育てるため、海外で通用する英語力や広い視野、世界に飛び出すチャレンジ精神等を育成した上で、海外留学を経験させる次世代リーダー育成道場については、これまで予算特別委員会などでその取り組みについて伺ってまいりました。今後もその内容の充実を図っていただきたいと思います。
 このたび英語だけを使用する環境を創出する英語村の設置に向けた検討がされていると聞いております。語学力を生かしたくても、家庭の事情などで海外留学ができないお子さんにとっても興味が湧く事業ではないかと思います。
 そこで、英語村設置の目的と開設に向けた進め方について伺います。

○宇田指導推進担当部長 英語村設置の目的は、学校での授業に加え、体験的で実践的な英語学習を通じ、児童生徒が英語を使用する楽しさや必要性を体感でき、英語学習への意欲を向上することであります。
 この英語村の整備運営に当たっては、平成二十八年三月募集要項を公表し、民間事業者から企画提案を募集して、最優秀事業応募者を九月末に公表いたしました。今年度末までに都教育委員会と事業者との間で基本協定を締結し、平成三十年を目途とした開設に向け準備を進めてまいります。

○西崎委員 英語村の設置が小中高校生の英語力の向上や異文化への理解促進につながるようにぜひ進めていっていただきたいと思います。
 国際社会で活躍できる人材を育成する事業として、独立行政法人国際協力機構、JICAと連携し、青年海外協力隊の派遣前研修をもとに、都立高校生向けの体験研修東京グローバル・ユース・キャンプが行われていますが、この事業の目的と内容について伺います。

○宇田指導推進担当部長 都教育委員会は、都立高校生が将来国際社会の一員としての自覚や社会貢献意欲、主体的な行動力を持つ人材として成長することを目的として、平成二十六年度から国際協力機構いわゆるJICAと連携した東京グローバル・ユース・キャンプを実施しております。
 このキャンプでは、百人の生徒が二期に分かれ、五泊六日の日程で福島県二本松市と長野県駒ヶ根市にある青年海外協力隊の研修施設に滞在し、世界の文化を知るワークショップや発展途上国の課題を解決するシミュレーション、また、同じ施設に滞在する青年海外協力隊員の候補生との交流等を体験しております。

○西崎委員 毎年百人の生徒が参加しているということで、いろんな研修を通して、生徒たちはどのような感想を持ち、どのような成果が得られているのでしょうか。東京グローバル・ユース・キャンプについての成果についてお聞かせください。

○宇田指導推進担当部長 参加した生徒からは、自分の知らなかった世界的な問題を知ることができ、その原因や解決策まで考えることができたといった感想や、将来海外からの支援が必要な国へ行って、現地の人が求めている支援活動をしたいなどの声が聞かれました。
 こうしたことから都教育委員会は、生徒たちが学校では体験できないさまざまな研修プログラムを通して、多様な価値観や異文化に対する理解を深め、貧困や環境問題といった地球規模の課題解決への意欲を向上させることができたと認識しております。

○西崎委員 いろいろな経験を通して、国際社会について学ぶことができるのではないかと思います。今後もグローバル人材の育成に向けて、いろいろな取り組みを進めていっていただくことを要望しておきます。
 最後に、公立小中学校の校庭芝生化事業について伺います。
 校庭の芝生化は、環境面への効果だけではなく、子供たちが自然や生物と身近に触れ合うことができる場となることや、地域の人々と芝生の手入れを行うことなどの交流を通して、子供たちが豊かな人間性や社会性を身につけることができるのではないでしょうか。
 そこで、まず都内公立小中学校における校庭の芝生化、屋上緑化、壁面緑化の平成二十七年度及びこれまでの実績について伺います。

○粉川地域教育支援部長 都教育委員会では、子供たちの健やかな成長にとって望ましい教育環境の整備を目的として、都内公立小中学校等の校庭芝生化、校舎の屋上緑化、壁面緑化を推進しております。
 公立小中学校における平成二十七年度の実績でございますが、校庭の芝生化二十一校、屋上緑化五校、壁面緑化六校に対する補助を行いました。また、平成二十七年度までに芝生化された公立小中学校は四百七十五校、屋上緑化は十七校、壁面緑化は三十五校でございます。

○西崎委員 校庭の芝生化事業は、平成十九年度から開始されまして、当初は全校芝生化を目標としていました。しかし、平成二十七年度までに芝生化された学校は、公立小中学校の約二五%という状況です。世田谷でも早くから校庭の芝生化に取り組んだ小学校を知っておりますけれども、しかしその後は維持管理が非常に大変ということから、なかなか進まないという状況がありました。芝生化後の維持管理に対する不安から芝生化に踏み切れない学校も多いのではないかと思います。
 そこで、教育委員会における都内公立小中学校の校庭の芝生化を進めるための取り組み及び学校での具体的な取り組み事例について伺いたいと思います。

○粉川地域教育支援部長 都教育委員会では、校庭の芝生化整備費の補助のほか、維持管理における人材確保や専門的知識の不足、芝生の消失等の不安に対応するため、維持管理経費の補助、専門家による技術支援、効果的な事例を広報することなどを通し、学校や区市町村教育委員会を支援しております。
 加えて地域連携事業として、地域住民と学校が協力して行う維持管理活動などに補助を行っております。学校における地域連携事業の具体的な取り組み事例としては、部分的に芝生が消失してしまった小学校で児童と地域の方が協力して芝の苗をつくり、補植して芝生を復活させたり、芝生の上での野外映画会やサッカー教室、テントを設営した星空観賞会を開催したりする取り組みなどがございます。

○西崎委員 今のお話からも、芝生化の整備に対する補助だけではなくて、その後の維持管理の支援も必要ではないかと思います。維持管理がうまくいくことにより、校庭の芝生をよい状態に保つこともでき、芝生の上で行われる活動が地域と学校との連携を強化することにつながると思います。
 そこで、校庭芝生化についての今後の取り組みについてお聞かせください。

○粉川地域教育支援部長 都教育委員会では、学校や区市町村教育委員会に対し定期的に発行するニュースレターなどにより、校庭の芝生化を初め、屋上緑化、壁面緑化など、補助制度の仕組みを説明するとともに、教育面の効果や地域連携に成果を上げている事例などの周知を図り、事業を推進しております。今後とも芝生化に取り組む学校や区市町村教育委員会を一層支援してまいります。

○西崎委員 私は学校に行って、特に二十三区の学校は意外と緑が少ないというふうに感じるんですけれども、子供たちの環境を考えたときに、緑に囲まれた学校環境で今後も学べるように、ぜひ校庭の芝生化だけではなく、壁面緑化とか、いろいろな緑の保全など、一層取り組んでいただくことを要望して、質問を終わります。

○まつば委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時四分休憩

   午後三時二十分開議

○まつば委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○川松委員 私からは、グローバル人材の育成について幾つか質問をさせていただきます。
 さきの第三回都議会定例会におきまして、小池都知事は、知事所信表明の中で、激動する世界に目を向けて活躍できる人材を育成していくことが重要という認識を示されました。我が国の経済や文化などさまざまな分野において、グローバル化が急速に進展している現在、日本が将来にわたって発展し続けるためには、世界を舞台に諸外国の人々と協調して課題を解決できるグローバル人材の育成は必須であると私自身も考えております。本日は、決算審査ということですから、こうした観点から二十七年度の教育庁の取り組みについて幾つか尋ねてまいります。
 平成二十七年度に発表しました都立高校改革推進計画新実施計画は、国際社会で活躍する人材を育成するため、国際色豊かな学校を拡充するとしております。そこで、この取り組みに挙げられております都立小中高一貫教育校についてまずお尋ねをします。
 この新実施計画では、早い時期から帰国児童生徒や外国人児童生徒とともに学ぶなど、国際色豊かな学習環境を小中高一貫教育校として整備するとなっております。小中高一貫教育校につきましては、平成二十七年十一月に基本構想に関する検討結果が出され、平成三十四年度の開校に向けて検討していると聞いております。
 そこで、この小中高一貫教育校につきまして現在の検討状況を伺います。

○増田教育改革推進担当部長 本年三月に、英語教育、脳科学等さまざまな分野の専門家、私立や公立の幼小中高の学校関係者、保護者等を委員として、都立小中高一貫教育校教育内容等検討委員会を設置いたしました。
 これまでに四回の検討委員会を開催し、教育理念や教育方針を初め、特色ある教育活動、入学者決定方法のあり方、施設設備等の検討を進めております。本年度末まで検討を重ね、その後、検討結果を報告書として取りまとめる予定でございます。

○川松委員 ありがとうございます。
 現在、検討委員会で検討し、その後、報告書が取りまとめられるということでありましたが、グローバル人材の育成に向けてどのようなカリキュラムを策定しようとしているのか、その基本的な考えを教えてください。

○増田教育改革推進担当部長 小中高一貫教育校では、同一の教育理念のもと十二年間一貫した教育課程を編成し、系統的、継続的な指導を行ってまいります。
 具体的には、小学校段階から、論理的思考力、判断力を育成するための学習や語学教育の実施、異学年や異文化経験者等との交流、豊富な体験活動、探求活動などを検討しております。
 これらの取り組みにより、児童生徒一人一人の資質や能力を最大限に伸長させ、豊かな国際感覚を養い、世界で活躍し貢献できる人間を育成してまいります。

○川松委員 全国初の十二年間の一貫した教育を展開し、世界で活躍し貢献できる人間の育成に向けて引き続き精力的に検討していくことを要望して、次の質問に移らせていただきます。
 さて、この同じく新実施計画には、国際バカロレアの取り組みが挙げられております。平成二十五年の都議会第四回定例会におきまして、私自身が全国の公立高校で初めてとなる都立国際高校の国際バカロレアについて伺い、その後、国際高校での成功は日本の財産となり、我が国の教育にインパクトを与えるような成果を期待したところであります。
 さて、その期待の手始めといたしまして、平成二十七年度入学者選抜では、実に四・四倍もの応募倍率があり、国際バカロレアに対する都民の期待のあらわれとこの数字を考えております。
 そこでまず、平成二十七年度の都立国際高校、国際バカロレアコースの取り組みについてお伺いいたします。

○増田教育改革推進担当部長 都立国際高校は、国際的に認められる大学入学資格が取得可能となる国際バカロレアのディプロマプログラムの認定校として、平成二十七年五月三日に公立高校では全国で初めて認定されました。
 平成二十七年度、国際バカロレアコースの第一期生として、四月募集で十九人、九月募集で二人の生徒を受け入れ、国語総合、日本史等を除いた教科において、英語による双方向型の授業を実施し、二年生から開始するディプロマプログラムの学びに必要な学ぶ方法と態度や生涯にわたって学び続ける姿勢を身につけるための教育を展開してまいりました。
 また、ディプロマプログラムを円滑に行うための準備として、生徒が科目選択を行う上で参考となるハンドブックを作成するとともに、教員と生徒との情報伝達を効率的かつ迅速に行うため支援ソフトを導入し、パソコンを通じて教員から生徒への連絡や生徒からの課題提出を行うことを可能としております。
 さらに、ディプロマプログラムの活動の一つである創造性、活動、奉仕の準備活動の一環として、生徒四名がたまロボットコンテストに参加して優勝いたしました。

○川松委員 国際高校は、晴れて国際バカロレアの認定校になったわけであります。このIBワールドスクールということになりますけれども、そんな中で今出ました創造性、活動、奉仕というのは、特にこれまでの日本の生徒が余り得意としてこなかった分野であって、IBワールドスクールの生徒に求める十の学習像の中の要素が詰まっているものだと思います。
 こういうことを含めると、日本の教育とは、この国際バカロレアの教育、大きく異なる。その異なる教育方法を展開していくためには、その教育を担う教員の資質、能力の向上が不可欠であると考えております。また、現在、国際バカロレアコースのスタッフには、日本人教員と市民講師であるネーティブ教育スタッフがおりまして、双方の連携が重要であると私は考えております。
 そこで、国際バカロレアの教育を担う教員の研修、日本人教員とネーティブ教員との連携について、どのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。

○増田教育改革推進担当部長 国際バカロレアの教育を推進するに当たりましては、国際バカロレアの理念やプログラムに精通した上で、生徒がみずから課題を設定し、深く考え、答えを見出していく探求型の授業を英語で行うことができる教員を育成していく必要がございます。
 このため、国際バカロレアコースの教員に対し、国際バカロレア機構が指定する国内外のワークショップを受講させるとともに、校内に年四回程度、国際バカロレア機構から講師を招き日本人教員とネーティブ教育スタッフが協働して学び合う機会を設けるなど、指導力の向上に努めております。
 また、教育活動が円滑に展開できるよう教科会、情報共有会議、キャリアカウンセリング会議や教育効果検証チーム会議等を定期的に開催し、日本人教員とネーティブ教員との連携や情報共有を積極的に行っております。

○川松委員 ぜひ、引き続きまして国際バカロレアの教育を担う教員の育成に努めていただきたいと思います。
 次に、この国際バカロレアの教育を展開していく上で、私も以前にも課題として指摘しておるんですが、都立国際高校は学校教育法の第一条に規定する学校であるがゆえに、文部科学省の学習指導要領に基づく学習とこのIBのディプロマプログラムの学習の双方を並行して学ぶことになりまして、生徒の負担はかなり多いと聞いております。
 教育課程上の工夫についてどうなっているのかお伺いいたします。

○増田教育改革推進担当部長 国際バカロレアコースでは、生徒に対して、日本の高等学校卒業に必要な学習指導要領に基づく学習とディプロマプログラムの双方を三年間で行う必要がございます。
 このため、教育課程の編成に当たりましては、文部科学省から示された国際バカロレアディプロマプログラム認定校における教育課程の基準の特例を活用し、ディプロマプログラムでの学習を学習指導要領における学校設定科目として設置した上で、必履修科目等を履修したものとみなしたり、卒業に必要な単位数に含めたりするなどして生徒に過度な負担とならないよう工夫しております。
 今後も生徒の負担をより軽減できるよう、国への要望や教育課程の見直しを行ってまいります。

○川松委員 都立国際高校が、先陣を切って生徒の負担軽減を図っていくことによって、国が目指す国際バカロレア認定校二百校の目標に弾みがつくのではないでしょうか。ぜひ今後とも精力的な検討をお願いしておきます。
 最後に、このディプロマプログラムの特色である問題解決に向けて、物事を多面的に分析する探求型の授業は、ほかの高校での授業の参考にもなると思います。国際バカロレアの教育内容等を幅広く他校へも広めていくべきと考えますけれども、認識をお伺いいたします。

○増田教育改革推進担当部長 国際バカロレアコースでの取り組みについて、国際高校においては、全教職員での情報共有や授業方法に対する意見交換等を目的に、校内研修会を年二、三回実施し、国際バカロレアコース以外の教員へ成果の還元を行うとともに、他の高校の教員に対する授業公開を行っております。
 都教育委員会では、平成二十五年度から国際バカロレア教育に関する研修を毎年実施するとともに、昨年に引き続き今月一日に開催した東京都教育実践発表会において、国際高校における国際バカロレアコースの取り組みについて発表する機会を設けるなどして、国際バカロレアの教育指導に基づく授業実践等について、他の都立高校の教員に対する普及啓発に努めております。
 今後とも、国際高校における国際バカロレアの取り組みについて、積極的に情報発信してまいります。

○川松委員 ありがとうございます。
 いろいろとこのグローバル人材の育成について、取り組みを聞かせていただきました。特に、国際バカロレアコースの卒業生に話を聞いてみますと、よく日本の学校にありがちな何とか大学に行きたいではなくて、何を学びたいとか、何とか大学にしてもこの先生のもとで学びたいということで進路を選んでいく生徒さんが大変多いと聞いています。ですから恐らくこれは、国際的に海外の大学に行きたい子もいるでしょうし、日本国内のあの先生のもとで学びたいという生徒さんたちが、たくさん育ってくるのじゃないかなと思います。
 また、このIBは、今現在、日本語ディプロマプログラムも可能となってきている状況の中で、都立国際高校は日本語DPを選ばなかったと。だからこそ、その都立国際高校の担う使命は大きいと考えております。
 ぜひ、生徒や現場の先生たちには、気負うことなく肩の力を抜いてラーニングに集中していただきたいなと思います。そして、教育庁の皆様には、公立高校としてさまざまな課題があるわけですけれども、今の在校生あるいはこれからこの都立国際高校のバカロレアコースに入学してくる生徒さんのためにも、大きな成果を残していけるよう二十七年度の経験を生かして、これからのさまざまな課題に向き合っていただきたい、強く要望をしまして私の質問を終わります。

○植木委員 私からは、まず第一に、学校のクーラー設置の問題について質問したいというふうに思います。
 例年酷暑が続く中で、子供たちの教育環境を改善するためにクーラー設置が求められてきていると思うんです。普通教室は、ほぼ設置が完了してきているというふうに伺っていますけれども、理科室だとか調理室を初めとする特別教室などへの設置は、まだまだ十分とはいえないと思うんです。
 クーラーがないと、暑さで授業に集中ができないだけでなくて、温度や湿度などの変化に敏感な生徒にとっては、教室がつらい空間になる。特に特別支援学校の子供たちなどのように、自己抑制ができなくなってしまう、そういった例もあると伺っています。そういう意味で、保護者の皆さんからもクーラーの設置を急いでほしいという要望をたびたび伺っております。
 そこでまず、都内の公立学校における冷房機器、クーラーが設置された特別教室について、二〇一五年度の実績についてまず伺います。

○初宿都立学校教育部長 都立高校につきましては、従来から冷房化の対象としておりました音楽室や図書室、パソコン教室などの特別教室への冷房機器の整備を完了していることから、平成二十七年度においては新たな整備は行っておりません。
 都立特別支援学校につきましては、平成二十七年度は三校十二教室において冷房機器を整備しており、今後は体育館の冷房化とあわせて整備を進めてまいります。
 区市町村立小中学校につきましては、四十五校百八教室に対して、冷房化に係る経費の補助を行ってまいりました。

○植木委員 今、都立高校それから特別支援学校、小中学校それぞれについてお答えいただきましたが、まず小中学校について、小中学校の特別教室の冷房設置率については、きょういただいた資料に書かれております。昨年度は調査していないということで、二〇一四年度は小中学校で六五・四%、二万五百四十一教室と、こういうことになって昨年度は百八教室ふえた、こういうふうになっておりますけれども、決算資料で見ますと、二十七年度は小中学校の特別教室へのクーラー設置への補助である公立学校施設冷房化支援事業、この執行率が七六・六%しかないと書かれています。
 せっかく予算をつけたのに執行率が低いということは、非常に残念なことだと思うんです。なぜ執行率が低くなってしまったのか、まず伺いたいと思います。

○粉川地域教育支援部長 公立学校施設冷房化支援事業は、区市町村立小中学校の特別教室を冷房化する区市町村に対し、経費の一部を補助するものでございます。
 平成二十六年度から都立高校に準じて、防音性が求められるなど早急に教育環境の整備が必要な特別教室を対象に支援し、二十七年度からは支援対象となる特別教室を拡大いたしました。
 平成二十七年度の執行率が七六・六%であることにつきましては、支援教室の拡大の初年度で、区市町村における予算確保や工事スケジュールの調整が難しかったこと、また工事契約時の落差金があったことによるものでございます。

○植木委員 今いろいろ理由は挙げられましたけれども、特に区市町村における予算確保、これがやはり大きな問題だと思うんですね。スケジュール調整とか工事契約後の工事費の変化、これは常々あることですけれども、やはり予算確保、公立学校施設冷房化支援事業、これは国庫補助に都が上乗せしている事業なわけです。その国庫補助の採択がおくれたために、区市町村で思うように工事ができなかったということだと思うんです。
 私たちもクーラーの設置がおくれて大変困っているという話を区市町村の方々から伺い、昨年度も今年度も、都議会として国に意見書を上げるように提案したところであります。都教委としても、十分な予算を確保して、夏に間に合うように採択するよう国に強く求めていただきたいというふうに思っております。
 それから同時に、なかなか進まない原因の一つに、東京都の冷房化支援事業の対象となる特別教室が、国の補助対象より少ないということがあるのではないかというふうに思います。国は、子供たちや教員が使用する全ての教室を補助対象とすると、こういうふうに施設整備事務ハンドブックの中に書かれておられます。
 ところが、都は、二〇一四年度は図書館、音楽室、視聴覚教室、パソコン室だけを補助対象として、二〇一五年度から理科室や美術室、調理室なども対象に加えた。それでも教育相談室やカウンセラー室、多目的室、こういったさまざまな教室が対象外になっている。学校現場からは、落ちついた環境が必要な教育相談室なども含めて、都の補助対象にしてほしいと、こういう声も伺っています。対象を広げてまとめて設置した方が、補助条件である四百万円以上の工事にまとめていけばなりやすい、そういうこともあるかと思うんです。
 そういう意味で、国のように全ての教室を都の冷房化支援事業の対象にすることも大変重要だと思うんですけれども、都教育委員会の見解を伺います。

○初宿都立学校教育部長 都立高校では、火気を使用する調理室や化学実験室など普通教室で代替のきかない特別教室を新たに整備対象に加え、冷房機器の整備を順次進めております。
 区市町村立小中学校につきましては、都立高校に準じて学校施設の冷房化を支援しております。

○植木委員 都立高校は火気を使う、そういうところはやっているんだよということですけれども、都立高校の冷房化について、特別教室の新規整備というのは進んでいないと思うんですね。
 それで、昨年度、都立高校では、理科室や調理室などへのクーラー設置に向けて、電気設備の状況など調査を行うという経費がついたと伺っておりますけども、その調査、内容、それからそれを踏まえて今年度は整備が進んでいるのかどうか、そこについてお示し願いたいと思います。

○初宿都立学校教育部長 都教育委員会では、火気を使用する調理室や化学実験室など普通教室で代替のきかない特別教室を冷房化することとし、冷房機器の計画的な整備に向け、電気、ガスの動力源やガス配管の状況などについて、平成二十七年度に調査を行いました。
 この調査結果を踏まえまして、今年度から特別教室の冷房化の設計に順次着手しております。

○植木委員 ようやくクーラー設置の調査が終わって、それから今設計だというんですから、実際には来年度ですよね、工事はね。そういうことですよね。そういう意味で、区市町村立小中学校は、昨年度から理科室、調理室などが都の補助対象になり、国の補助がなかなか採択されないなど困難がありながらも、実際には整備が進んできている。都立高校は、昨年度は調査のみということで、これからということで、小中学校よりおくれた状況になっているということが今の説明でわかりました。実際の設置は来年度からということですから。
 保護者などにも伺いましたけれども、現在でもいつ設置されるのか、各学校では見通しがわからない、そういう学校がたくさんあり、授業に集中できる環境をつくるために早期に設置してほしいと、こういう声が上がっています。
 都立高校は、小中学校と違って都が直接責任を持っているわけですから、一気にこの調査の内容を踏まえながらも早急に進めるべきだというふうに思うんですけども、この点はいかがでしょうか。

○初宿都立学校教育部長 先ほど答弁申し上げましたとおり、平成二十七年度に調査を行った次第でございます。
 今後、この調査結果を踏まえまして、冷房化の設計に順次着手してまいりたいと考えている次第でございます。

○植木委員 早急に進めていくことを重ねて要望したいというふうに思います。
 また、体育館の冷房について伺います。
 学校の体育館が災害時の避難場所に指定されているところもありますし、それからスポーツや催し物などで地域開放を促進するという、そういう計画もありますから、設置する要望が非常に多いというふうに、私たちのところにも寄せられています。
 都教委の事業や補助の中でも、体育館についての冷房機器設置を急いで行っていきたいというふうに思いますけれども、どのような状況になっているでしょうか、見解を伺います。

○初宿都立学校教育部長 都立特別支援学校では、平成二十七年度末現在、二十校において体育館を冷房化しており、今後、未実施校における冷房化を順次進めてまいります。
 都立高校につきましては、火気を使用する調理室や化学実験室などの特別教室への冷房機器の整備を進めております。現時点では、都立高校の体育館を冷房化していく計画はございません。

○植木委員 火気を使う施設は順次ということで、それはそれで積極的にやっていただかなければならないんですけども、現段階で体育館の冷房化の計画そのものがないというのは、私はいかがなものかなというふうに思うんですね。
 都立高校の生徒さんは、体力も高まってきますけども、同時にそれだけ専門的に体操を目指す生徒さんも、その中には出てきたりする。スポーツの競技の選手とか、そういうものを輩出する条件にもなると思うんですね。
 そういう意味で、先ほどのハンドブックの中で、全ての教室ということが出ておりますので、確かに体育館というのは費用もかかるから、計画的にやらなければならないことは事実ですけれども、やはり積極的に推進する必要があるということを強く申し述べておきたいというふうに思っております。
 それから、今のお話で特別支援学校の話もされました。特別支援学校については、二十七年度末現在、二十校が整備されたというお話ですけれども、この二十校の整備、全部でたしか五十七校が特別支援学校の数だと思うんですけども、知的だとか肢体とか障害種別にそれぞれ学校が違っております。それから、併置校ももちろんありますけれども、やはり特別支援学校の体育館というのは、十分していくということは、障害者に対して非常に重要なことだと思うんです。そういう意味で、障害種別にそれぞれ設置状況、それから未設置の数、学校数について教えていただきたいと思います。

○初宿都立学校教育部長 平成二十七年度におけます体育館の冷房化が整備済みの二十校の内訳につきましては、肢体不自由特別支援学校九校、肢体不自由教育部門と知的障害教育部門の併置校八校、知的障害特別支援学校三校という状況です。
 体育館が冷房化されていない学校数は、知的障害特別支援学校二十七校、盲学校三校、ろう学校四校、病弱特別支援学校一校、知的障害教育部門と視覚障害教育部門の併置校一校、知的障害教育部門と病弱教育部門の併置校一校という状況でございます。

○植木委員 今のをお聞きしますと、やはり一番おくれているのが知的障害教育部門、これの一つは知的障害教育部門の併置校、それから知的障害特別支援学校が二十七校ということで、非常におくれているというのが現実だと思うんですね。
 そういう意味で、これは結局、併置校も含めると三十五というふうに見ていいんですか、残りは。そこ、ちょっと確認させていただきたいんですけども。

○初宿都立学校教育部長 合わせますと三十七校という数字でございます。

○植木委員 合わせましてというのは、恐らく併置校の中で体育館を共同しているのもあるから数が合わないのかもしれませんけども、いずれにしても未設置校が非常に多いということは、はっきりしたと思うんですね。ぜひ促進をしていただきたい。都立高校や小中学校についても、それから特別教室を優先するということでありましたし、それから体育館についても必要ではないということはいえる状況には今ないわけですから、積極的に整備を進めていただくことを重ねて要望して、次の質問に移りたいと思います。
 同じく特別支援学校の問題ですが、特別支援学校の教室の状況について伺います。
 二〇一四年の予算特別委員会で、我が党の小竹議員が、特別支援学校の教室不足について当時質問しました。当時の状況で普通教室を転用しているクラスや、あるいはカーテンやパーティションなどで間仕切りしている、いわゆるカーテン教室などが合わせて七百教室不足しているということが当時明らかになって、教育条件の改善という点では、普通学校も特別支援学校も差があってはならないというふうに思うんですね。
 ですから、特別支援学校の教室不足を解消するということは、長年の課題であり、それから知的障害者を初め増加されているということから見ても、しっかりとした対応をしていただきたいというふうに思います。
 それで伺いますけれども、平成二十七年の決算で見ますと、転用教室がどのくらい、まだ二十七年度現在あり、それから間仕切り教室は幾つあるのか、それぞれ、それから合わせてお願いしたいと思います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校において、平成二十七年五月一日現在保有している普通教室のうち、管理諸室や特別教室などからの転用により確保している教室の数は四百二十九室であり、普通教室の間仕切りにより確保している教室の数は二百五十四室、合計で六百八十三室でございます。

○植木委員 そうしますと、七百から今のを計算しますと十七改善されたということですけれども、今年度の計画で普通教室は何教室ふえたのか。それによって転用教室や間仕切り教室はどこまで改善されたんでしょうか。

○浅野特別支援教育推進担当部長 今年度、城東特別支援学校の新校舎完成により三十七教室、武蔵台学園の増築棟完成により二十五教室、高島特別支援学校の増築棟完成により十五教室、合計七十七教室の普通教室を増加させました。
 これらの完成により、三校の転用間仕切りは六十七室であったところ十五室にまで減少いたしました。残された転用間仕切り教室についても、特別支援教育推進計画第三次実施計画で計画している近隣校の整備により解消される見込みでございます。

○植木委員 三校については解消するのかと思ったら、三校の中でも十五教室がまだ残っているということなんですね。
 それから、ちょっとわからないんですけれども、きょういただいた資料を見ますと、城東は五月一日現在で普通教室二十六のうち転用教室が六、間仕切りが十三と、四十五必要だというふうにこの当時書いてあるわけですけども、先ほどの答弁では三十七を整備したというふうになっているんですけども、これで結局、整合性はどういうふうになるんでしょうか。なかなかわかりにくい資料なんですけれども。

○浅野特別支援教育推進担当部長 城東特別支援学校は、平成二十八年四月一日に江東特別支援学校内で開校し、平成二十八年九月一日から新校舎の使用を開始いたしました。
 要求資料の都立特別支援学校の保有普通教室の状況は、城東特別支援学校が江東特別支援学校内に設置されていた平成二十八年五月一日時点での教室数であり、新校舎へ移転する前は、記載のとおり転用や間仕切りが存在していたものでございます。

○植木委員 いずれにいたしましても、学校整備が新たにできてもこういう状況だということが明らかになりました。これから整備するところに至っては、まだいろいろ問題があると思うんですけども、あきる野学園は、児童生徒の増加に伴って、学級数が普通教室の二倍以上になっているというふうに伺っています。
 関係者から、もう特別教室の転用はこれ以上できないと、こういうお話も伺っておるんですけれども、あきる野学園のそれぞれの教室数はどういうふうになっているんでしょうか。

○浅野特別支援教育推進担当部長 あきる野学園の平成二十八年五月一日現在の転用教室の数は三十四室、間仕切り教室の数は一室でございます。

○植木委員 この学校は普通教室が六十一ですから、三十四が今のお話ですと転用教室になっているんですね。学校生活がかなり窮屈になっているということが懸念されます。
 本来、特別教室でやる授業も特別教室が転用されているとか、それから音楽なども隣の教室への騒音が気になって思いっきりできないとか、図工や家庭科なども使える道具の設置場所等で制約も出てくるとか、いろいろあると聞いています。これは一刻も早く改善する必要があると思うんですけども、いかがでしょうか。

○浅野特別支援教育推進担当部長 あきる野学園の転用間仕切り教室につきましては、特別支援教育推進計画第三次実施計画で計画しております立川学園特別支援学校(仮称)の開校及び通学区域の調整により解消する予定でございます。
 しかしながら、平成二十八年度の教育人口等推計によれば、都内公立小中学校の児童生徒数は今後も増加傾向にあると推計されておりますことから、知的障害特別支援学校の児童生徒数も増加する可能性が高いと考えております。
 このため、今後の児童生徒数の動向等を考慮しながら、今後の対応を検討してまいります。

○植木委員 そうしますと、立川特別支援学校が開校すれば、学区を調整して確かにそちらに通う生徒さんも出てくるというふうに思うんですけど、多摩地域というのは非常に交通の便もいろいろありますので大変だとは思うんですけども、それにしても開校の予定は二〇二一年、五年後になっています。
 保護者の皆さんからは、その間プレハブ教室でもよいので対応してほしいと、検討してほしいという要望も出ていると伺っています。私は、町田の丘学園も現在、改築が行われるまでの間プレハブ校舎でやっているということで見てまいりました。外見から見るとプレハブという感じもしない、中に入ればやっぱりプレハブだという感じはするんですけど、それにしても、ゆとりが非常にできて子供たちも伸び伸びとされていて、先生方も子供たちが落ちついてきたというふうにおっしゃっておりました。
 そういう意味で、あきる野学園についてもプレハブ校舎なども含めた、いろんな対応、検討も必要な時期になっているんじゃないかというふうに思うんですけども、これはいかがでしょうか。答えられるかどうかわかりませんけどもお願いします。

○浅野特別支援教育推進担当部長 あきる野学園は、敷地の容積率の上限近くまで現在の校舎で使用しているため、敷地内への増築は困難でございます。また、プレハブ建築には最低で三年の期間を要するため、立川学園特別支援学校(仮称)の開校時期を考えますと、プレハブ利用期間が短く、効果的とはいえません。
 グループ編成や指導方法を工夫し、限られた施設を有効に活用するなど、教育活動への影響を最小限に抑えるよう学校と連携してまいります。

○植木委員 いずれにしても、現状ではいいわけではないわけですので、立川が予定どおり、そういうわけにも今の状況ではいかないようにも伺っていますので、真剣にこの点の改善、方策を検討していただきたいというふうに思います。
 これは、あきる野学園だけでなくて、転用教室や間仕切り教室でしのいでいる学校はたくさんまだあって、例えば八王子特別支援学校も普通教室が四十七のうち十七が転用、間仕切り教室は三十もあると、こういうふうに伺っています。
 都教委の方では、教室不足は先ほども説明がありましたけども、第三次計画が完成すれば解消すると、こういうふうにいっておりますけれども、この第三次計画の継続期間である二〇二〇年まで普通教室を幾つつくって、どれだけ解消するのか、その点について教えていただきたいと思います。

○浅野特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校において、平成二十八年五月一日現在保有している普通教室のうち、管理諸室や特別教室などからの転用により確保している教室の数は四百三十室であり、普通教室の間仕切りにより確保している教室数は二百六十二室、合計で六百九十二室でございます。
 今後も、全障害種別の特別支援学校について、新設三校、増改築十四校の整備を引き続き進めてまいります。これにより、五百三十七教室が増加する見込みでございます。
 在籍者数の増加の著しい知的障害特別支援学校につきましては、特別支援教育推進計画対象校の整備が全て完了すれば、第三次実施計画策定時に推計した学級数に必要な教室数を確保できる見込みでございます。
 なお、知的障害以外の特別支援学校につきましては、それぞれの障害ごとに障害特性や教育課程、指導の内容、方法が異なっていることから、必要な施設設備や教室の利用状況も一様ではございません。こうした障害種別ごとの違いや今後の幼児、児童生徒数の動向等を考慮しながら、今後の対応を検討してまいります。

○植木委員 五月一日現在で六百九十二が転用と間仕切りと。五百三十七、数字ですから単純に計算するしかないと思うんですけども、それでも百五十五マイナスになると。知的については、推定どおりであれば確保できるという、そういうことだろうと思うんですけれども、先ほどの立川も一年おくれている。八王子特支も計画では一昨年工事に入る予定が現在まだ設計だと伺っております。それから市ヶ谷商業の跡地に建設予定だった特別支援学校も場所が変更になるということで進んでいない。ですから五年、六年我慢しなければならないという学校が幾つかあるわけですね。これは、子供たちにとっても大変な負担だと思うんです。
 さらに、他の障害種別の方、児童生徒数の増加への対応も含めて、やはり早急な計画を進めていくことがどうしても重要だというふうに思います。先ほどプレハブという提案もいたしましたけれども、それぞれの学校で、本当にベストの対応を考えていただくことを要望したいというふうに思っています。
 どうしてもこういうふうに、教室不足の問題を解決していこうという中で、特別支援学校の大規模化も問題になっています。六月の文教委員会で我が党の里吉議員が紹介しましたけれども、全国の大規模校のワーストテンのうち、五校が都立の特別支援学校でした。
 そこで伺いますけれども、都立特別支援学校で児童生徒数が三百人以上の大規模校は、何校になっていますでしょうか。それから都立の上位五校はどことどこで、何人程度でしょうか。

○浅野特別支援教育推進担当部長 都立特別支援学校において、平成二十八年五月一日現在、児童生徒数が三百人以上の学校は十校でございます。
 上位五校は、八王子特別支援学校の四百四十二人、鹿本学園の四百三十一人、府中けやきの森学園の四百二十三人、羽村特別支援学校の四百十五人、永福学園の四百一人でございます。

○植木委員 当時、国会で問題になったときに、文科省の方も大変な状況だというのを意識して発言されたというふうに聞いております。
 今、十校をお示しいただいたんですけども、追加で申しわけないんですけど、せっかくですから六位から十位までも教えていただけますでしょうか。わからなければ後で結構ですけども、もしわかったらお願いしたいと思うんですがいかがでしょうか。

○浅野特別支援教育推進担当部長 六位以下を申し上げますと、町田の丘学園の三百七十四人、清瀬特別支援学校の三百三十三人、志村学園の三百三十一人、多摩桜の丘学園の三百二十四人、武蔵台学園の三百十四人でございます。

○植木委員 三百人、とりあえず三百人という学校を挙げていただいたわけですけども、三百人以下ならよいという、そういうふうに単純にはいっているつもりはないんですけれども、もともと規模の小さい学校が、学校の移転統合だとか児童生徒数の増加に伴って大規模校化してきていると、それから鹿本や府中けやきのように、もともと隣り合わせた学校を一つに統合して大規模校になっているという場合もあります。
 いずれにしても、三百人、あるいは四百人という規模の学校について、国会でも問題になったからというわけではありませんけれども、規模が大き過ぎるという点について、保護者の方々から指摘もあったりしています。
 やはり大規模校ということで、それをそのままにしていいのかということがあると思うんですね。また、地域偏在とかということも含めて、新たな増設計画などで対応も必要ではないかというふうに思うんですけれどもいかがでしょうか。

○浅野特別支援教育推進担当部長 児童生徒数が多い学校であるからといって、直ちに教育環境が過密であるとはいえません。
 都においては、大規模な都立特別支援学校は、いわゆる併置校がその中心となっておりますが、併置化する学校の規模は、障害種別のほか建築条件や地域事情、施設設備の収容能力等によって、それぞれに異なるものになると考えております。
 また、併置校は、複数の障害教育部門の専門性を相互に活用して、障害が重複する児童生徒に対する教育内容、方法の充実を図ることができるほか、併置化を進める中で学部の改編や通学区域の調整をあわせて行い、児童生徒の増加が著しい知的障害特別支援学校の規模と配置の適正化を進めることができると考えております。
 いわゆる大規模校とされる学校の中には、例えば永福学園のように、高い企業就労率を実現している学校もあり、大規模校であることだけをもって教育上の問題があるとは考えておりません。

○植木委員 大規模だからといって、教育上問題があるとは考えていないということですけれども、もちろん単純になかなかいかない面もありますけど、やっぱり障害の程度や障害をお持ちの子供たちの環境というのは、やはりゆとりがあって、精神的に高揚したりするときに落ちついている場所を確保したりと、いろんな教室確保の問題とあわせて、全体として落ちついた環境というのは非常に重要だと思うんですね。保護者の方や学校現場からも、そういう声も私たちは聞いております。
 それから、校舎の増築で教室不足を解消するということになれば、校庭は狭くなってしまうとか、栄養士や養護教員、事務職員の配置も、もともと大規模校化を想定したものでないため、例えば百人の併置校でも三百人の併置校でも養護教諭は同じ二人、栄養士は一人とか、それから体育館や校庭、プールなども、授業によって割り振りが大変で使用が制約されるとか、プールを一人一人の子供たちに見れば二回しか入れなかったなどというさまざまな声も伺っています。
 併置校は、重度重複障害の教育に効果があるという声も、私は余り聞いておりませんけれども、もしそうだとしても規模の小さい落ちついた、そういう学校にするということも計画する必要があると思うんです。全体の計画の配置は、いろいろ今後計画されると思いますけども、改善していただくように強く求めて、次の質問に移りたいと思います。
 次に、いじめ予防に関して質問をしたいと思います。
 子供のいじめの問題は、命の問題にかかわる場合もあるなど深刻な事例がたびたび社会的に問題になり、多くの人が心を痛めています。私がまだ議員になる前でしたけれども、私は中野なんですけども、中野で富士見中というところで、いじめの自殺の問題が当時起きて、父母と懇談したりいろいろした経験があるんですけども、やはりいじめがそういう子供の命ということにかかわる事例、その後も幾つかありますけれども、できるだけ少なくしていく努力というのが必要だというふうに思っています。
 東京都も、いじめ総合対策などを立てていろいろ取り組んでおられますけれども、やはり子供の成長過程で起こり得るものであり、社会的な現象やテレビなどの影響も大きくあるときもあります。そのため、学校や家庭、地域を初めとした大人社会を含めた取り組みが必要だというふうに思っています。
 同時に、いじめの予防や未然防止に当たっては、多くの専門家や関係者がしているように、道徳教育の名で一方的に規範を教えたり厳罰で罰するというようなやり方ではなくて、何よりも全ての子供たちが人間として尊重される、そういう存在であるということを教える人権教育、これも重視していかなければならないというふうに思っております。授業や学校生活を通じて、自分も周りの友達も、それぞれがかけがえのない存在であるということを実感できる取り組みが大変重要だというふうに思います。
 東京都のいじめ総合対策で、未然防止の取り組みを位置づけておられますが、これはどんな取り組みを行っているのか。それから講師をお願いする場合は、どういう方々に講師をお願いしているのかまず伺います。

○出張指導部長 平成二十六年七月に都教育委員会が定めたいじめ総合対策に基づきまして、都内全ての公立学校で子供がいじめについて深く考え、いじめは絶対に許されないことを自覚できるようにするため、道徳の時間や特別活動等において年三回以上いじめ防止のための授業を実施することとしております。
 この授業では、都教育委員会が作成しましたいじめ防止教育プログラムやDVD教材を活用いたしまして、学級担任やスクールカウンセラーが指導を行うことに加えまして、必要に応じて、弁護士、行政書士、その他NPO法人等を講師として招き指導していただいている例がございます。

○植木委員 学校独自の取り組みが行われて、学校の先生方が独自にやったりスクールカウンセラーの指導、それに加えて弁護士や行政書士やNPOというお話でした。
 実際にどんな取り組みを行うかというのは、地域の学校の現状や先生方が工夫して行うことですので、それぞれ努力があるかというふうに思うんですが、最近の新聞報道などでも弁護士が学校に招かれることもふえていると、こういうふうに伺っています。
 今回ちょっと弁護士の問題、あるいは講師の問題についてお伺いしますけれども、実際にいじめが起きた後に相談を受ける例が多いけれども、大きな問題に、発生したいじめ問題を円滑に解決するのは非常に容易でないと。やはりいじめが起きる前に何かできないか、こういうことである弁護士によってボランティア的にいじめ予防授業というのがやられたというのがきっかけだったというふうに伺っています。その後現在では、弁護士会の活動として全国区に広がってきているというふうにも伺っています。
 授業を実際に行っている方からのお話では、弁護士として人権の視点から、子供たちにいじめが起きたらあなたの人権はどうなりますか、あなたがいじめを受けたら安心して自信を持って自由でいられますかと考えてもらう。あるいは裁判になったいじめ事件の事例なども扱いながら、やはり単にいじめはだめだと規範を押しつけるんじゃなくて、みずからの考えで、いじめを受けた子、あるいは周りにいる子、いじめをした子、さまざまな自身の考えで解決の努力をしてもらう、そういう活動もされているそうです。
 これらの活動は、いじめ総合対策でも先ほど説明がありましたけれども、弁護士等を活用した法教育の実施として位置づけられています。そこで伺いますが、昨年度小学校、中学校、高等学校で弁護士を講師として招いた実績についてお伺いをいたします。

○出張指導部長 都立高等学校で平成二十七年度に弁護士を講師として招聘して授業を行った学校は五校でございます。
 なお、小中学校においては、所管が区市町村教育委員会であることから、実績は把握しておりません。

○植木委員 都立高校は直接担当ですから、それでも五校ということですね。小中学校は把握されていないということですが、私が伺ったところでは、二〇一五年度は百七十八校で延べ四百三十四名の弁護士が出張されたということです。
 小中高とか各種学校を合わせた数だと思いますけれども、数年前は数校だったのが大幅にふえてきています。クラスごとの授業が原則なので、複数のクラスには複数の弁護士がチームを組んで行かれると伺っています。事前に必ず学校を訪問して、いじめられている子の状況とか配慮すべきこととか求められていることなど、細かく打ち合わせして、一回の授業に対して十時間ぐらい時間をかけて行うというふうに聞いております。
 時間も手間もかかり神経も使う授業ですから、これがだんだん数がふえていくと、弁護士あるいは行政書士の方がどのくらいやっているか、ちょっときょうはわかりませんけれども、いずれにしても負担も大きくなってくると思いますが、こういうのは一般的に出前授業などの講師を依頼する場合、講師料というんでしょうか、謝礼というんでしょうか、その辺はどういう基準になっているのか伺いたいと思います。

○出張指導部長 都立学校で児童生徒を対象とした授業等を外部講師に依頼する場合には、都教育委員会が定めた講師等謝金支払基準に基づいて、学校配当予算の中から謝金を払うこととなっております。

○植木委員 都立学校の場合は学校予算の中でというお話でした。
 一方、小中学校ではさまざまな事例があるというふうに思うんですけども、例えば西東京とか国分寺などでは、教育委員会が位置づけて講師の費用の一部を予算化しているというふうに伺っています。
 例えば国分寺市では、全学校で実施を三年前から始めたそうです。小学校は五年生で、ちょうど上級生、一番最上級になる前のところでいじめ予防の教育を行って、子供たちがみずから自覚をして最上級生になっていただきたいという趣旨だそうです。
 それから、中学生は中学に進学して、やはり環境も新しくなり生徒の精神的な状況も変わってくるという中学一年生を対象に全教室で行っていると、こういうふうに伺って、つまり三年目に国分寺市ではなるそうです。
 それから、多くの学校の場合は各学校の予算がなく、ボランティア的な対応になってしまう例もあるそうです。もちろん、それぞれ学校で使える支援費の中から払っている学校もあったり、年度末になりますとそういう予備もなくてボランティアで引き受けるということもあると伺っております。
 それから、国の取り組みの中で、予防授業をやる中で、どういうことに問題があるかという事例の中に、やはりカウンセラーも含めてそういう講師などの予算化が課題であるということも記されておられました。
 そういう意味で、東京都が、最初にいいましたように、いじめ総合対策の中でそれぞれ弁護士会の名前まで挙げて、それで弁護士会や行政書士会--弁護士だけ会を全部挙げているんですね、などが実施している法教育などについて、都の役割は周知することと書いてあるんですね。都の役割だとは書いていないんですけど、都が周知をすると、周知だけになっているんですね。だから、先ほど答弁があったように、予算措置がないということになっていると思うんですけども、やはり都がこうすべきだと指示するだけでなくて、支援することによって各学校の積極的な取り組みを後押しする、そういうきっかけになってくるのではないかと私は思っています。
 そういう意味で、総合対策で方針化しているわけですから、弁護士はもちろん行政書士会、NPOの皆さん、一生懸命取り組んでいるわけですので、それを後押しするような取り組みを都として積極的に対応していく、そういう予算措置をお願いして私の質問を終わります。

○まつば委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○まつば委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時二十六分散会