平成二十七年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第四号

平成二十八年十月二十六日(水曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長山崎 一輝君
副委員長舟坂ちかお君
副委員長上野 和彦君
白石たみお君
伊藤こういち君
栗山よしじ君
堀  宏道君
松田やすまさ君
野上ゆきえ君
斉藤あつし君

欠席委員 なし

出席説明員
港湾局局長斎藤 真人君
技監小野 恭一君
総務部長古谷ひろみ君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務中村 昌明君
調整担当部長矢部 信栄君
港湾経営部長松川 桂子君
港湾振興担当部長蔵居  淳君
臨海開発部長篠原 敏幸君
開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務山岡 達也君
営業担当部長塩田 孝一君
港湾整備部長原   浩君
計画調整担当部長竹村 淳一君
離島港湾部長小林 英樹君
島しょ・小笠原空港整備担当部長神山 智行君
都市整備局東京都技監都市整備局長技監兼務邊見 隆士君
次長別宮 浩志君
技監都市づくり政策部長事務取扱上野 雄一君
理事佐藤  敦君
理事航空政策担当部長事務取扱佐藤 伸朗君
総務部長今村 保雄君
住宅政策推進部長桜井 政人君
都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務中島 高志君
市街地整備部長選手村担当部長兼務奥山 宏二君
市街地建築部長青柳 一彦君
都営住宅経営部長営繕担当部長兼務永島 恵子君
基地対策部長山口 祐一君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務佐々木 健君
連絡調整担当部長菊澤 道生君
都市づくりグランドデザイン担当部長五嶋 智洋君
まちづくり推進担当部長山崎 弘人君
住宅政策担当部長田中 敬三君
民間住宅施策推進担当部長木村 宣代君
防災都市づくり担当部長山下 幸俊君
多摩ニュータウン事業担当部長宮城 俊弥君
局務担当部長齊藤  敏君
耐震化推進担当部長飯泉  洋君
経営改革担当部長八嶋 吉人君
再編利活用推進担当部長渡辺 正信君
建設推進担当部長草野 智文君
横田基地共用化推進担当部長交通政策担当部長兼務堀   真君

本日の会議に付した事件
平成二十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
港湾局関係
・平成二十七年度東京都一般会計決算(質疑)
都市整備局関係
・平成二十七年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十七年度東京都都営住宅等事業会計決算(質疑)
・平成二十七年度東京都都営住宅等保証金会計決算(質疑)
・平成二十七年度東京都都市開発資金会計決算(質疑)
・平成二十七年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算(質疑)

○山崎委員長 ただいまから平成二十七年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局及び都市整備局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより港湾局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十七年度東京都一般会計決算中、港湾局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○古谷総務部長 十月十七日開催の当分科会で要求のございました資料をご説明申し上げます。
 お手元の平成二十七年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらん願います。
 要求のございました資料は、表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり四項目でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。東京港における耐震強化岸壁の整備状況でございます。
 緊急物資輸送に区分しております岸壁は、(注3)に記載しましたとおり、大規模地震の発生時において、物資の緊急輸送や住民の緊急避難等を行うための施設でございます。
 また、幹線貨物輸送に区分しております岸壁は、(注4)に記載しましたとおり、大規模地震の発生時においても、経済活動を支える物流機能を維持するための施設でございます。
 これら二つの区分に分けまして、おのおのの全体計画、整備状況を示したものでございます。
 二ページをお開き願います。港湾整備費におけるふ頭等の新規整備の事業費でございます。
 平成二十三年度から二十七年度までの五年間の港湾整備費について、ふ頭の新規整備分と道路等の新規整備分、その他に区分いたしまして、百万円単位で示してございます。
 三ページをお開き願います。島しょ等港湾整備費における翌年度繰越額及び不用額の推移でございます。
 平成二十三年度から二十七年度までの五年間の予算現額、支出済額と予算現額に占める割合、翌年度繰越額及び不用額につきまして、百万円単位で記載してございます。
 四ページをお開き願います。使用料及び手数料の推移でございます。
 平成二十三年度から二十七年度までの五年間の使用料、手数料につきまして、百万円単位で記載してございます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○堀委員 まず、臨港道路南北線の整備事業についてお伺いをいたします。
 東京港は、首都圏経済や都民生活の実需を支える極めて重要な国際貿易拠点であり、都はその管理者として、将来需要を見込みながら、貨物量に対応したふ頭整備などを計画的に進めていく必要があります。
 都は、平成二十六年に策定をいたしました東京港第八次改訂港湾計画、こちらの資料でございますけれども、こちらの資料を読み込ませていただきましたが、おおむね十年後の貨物量を推計し、これに基づき東京港の機能強化に取り組んでおられますが、中央防波堤外側埋立地の新たな外貿コンテナふ頭の整備にあわせて整備する臨港道路南北線はとりわけ重要であります。東京港で荷揚げされた貨物を消費地に効率的に移送する道路ネットワークは、東西方向については、国道三五七号の東京港トンネルの整備が進み、西行きに加え、東行きについても平成三十年度までに開通する見込みと聞いております。一方、南北方向については青海縦貫線のみであり、骨格幹線としての臨港道路南北線の整備が不可欠であります。
 また、臨海地域にはオリンピック・パラリンピック会場が集積することから、南北線は会場へのアクセスにも重要な意味を持ちます。
 都は、国と連携し、臨港道路南北線を平成三十一年度までに確実に完成するよう事業を推し進めていく必要があります。
 こうした観点から、まず平成二十七年度における整備状況についてお伺いをいたします。

○原港湾整備部長 臨港道路南北線の整備事業につきましては、有明地区の十号地その二地区と中央防波堤外側埋立地とをトンネルや橋梁等でつなぐ事業でございます。
 本事業は、国と都が分担して整備を実施しており、また、トンネル部分を国が、橋梁部分を都が担い、事業期間は平成二十六年度から三十一年度となってございます。
 ご質問の平成二十七年度の整備状況についてでございますが、国が担いますトンネル部分につきましては詳細設計を行っており、都が担う橋梁部分につきましては詳細設計を実施し、年度末に工事着手したところでございます。
 都が担当するこの橋梁工事につきましては、東西水路を横断する全長約二百五十メートルの橋梁や、臨海道路と立体交差もしくは接続する五つの橋梁の合計六つの橋梁を整備するものでございます。構造が複雑で工期が短いことから難易度が高い工事でございますが、工期内に完成するよう鋭意取り組んでいるところでございます。

○堀委員 臨港道路南北線は、今の答弁にもございますとおり、トンネルと六つの橋梁の整備を国と都で分担、連携して実施していくとのことであります。私もこちらの図面で確認をさせていただきましたけれども、構造が複雑であるだけでなくて、さまざまな工事がふくそうすることが想定され、また、国を初め調整を要する関係者も多岐にわたるのではないかと思います。
 都は、この難工事を平成三十一年度までという限られた期間でやり遂げなければなりませんけれども、今後どのように取り組んでいくのかについてお伺いをいたします。

○原港湾整備部長 委員ご指摘のとおり、南北線の整備に当たりましては、トンネル工事と六つの橋梁の組み立てや仮設工事、さらには地中の埋設物の移設工事など工事がふくそうするため、工事工程等を綿密に調整しながら整備を進めていく必要がございます。
 このため、本年度、国、関係局、施工事業者等で構成する連絡会議を設置いたしまして、各工事工程の調整や物流への影響を最小限に抑えるための工事関係車両の分散化対策等の検討を進めているところでございます。
 また、工事区域周辺におきまして事業活動を行っている物流や清掃事業者等に対しまして、工事の進捗状況に応じて、一時的に事業場所の移転や車両動線の変更等をお願いする場合が想定され、その際には、関係する事業者等の協力を仰ぎながら丁寧かつ適切に対応してまいります。
 今後とも、国と緊密に連携しつつ複雑な工事工程を調整し、臨港道路南北線の整備に係るさまざまな課題を着実に乗り越え、平成三十一年度までに確実に完成するよう全力を挙げて取り組んでいく所存でございます。

○堀委員 臨港道路南北線の整備は、東京港の機能強化を図り、ひいては東京の発展につなげていくために非常に重要な取り組みであると私は思います。答弁にもありましたように、さまざまな課題があろうかとは思いますが、ぜひとも期限までに完成をして、物流の活発化の担保とオリンピック・パラリンピック競技大会の成功が両立できるよう、引き続き精力的な事業推進を要望して、次の質問に移らせていただきます。
 次に、クルーズ客船の誘致についてお伺いをいたします。
 東京が観光先進都市として地位向上を図っていくためにはクルーズ客船の誘致が重要であり、本日はこうした観点から幾つかの質疑をさせていただきます。
 近年、世界的にクルーズ人口が急速に増加をしており、特にアジア地域においては、中国を中心とする経済成長を背景にクルーズ需要は大幅に伸びております。テレビでもたびたび取り上げられておりまして、地方の活性化に多大な影響を与えておると認識をいたしております。こうしたクルーズ人口増加の背景には、近年急速に進行するクルーズ客船の大型化が大きな要因の一つとしてあります。
 一方、現在の晴海客船ふ頭は、レインボーブリッジの高さの制約があることから、二〇〇一年以降に世界で建造されたクルーズ客船の約五割が入港できないと聞いております。
 このため、都では、平成二十五年度から大型客船についてはレインボーブリッジの外側に位置している大井水産物ふ頭において、土日や祝日を利用して工夫しながら受け入れを行っていると聞いております。
 しかしながら、クルーズ客船の誘致を進めていくためには、土日や祝日のみならず、常時大型客船を受け入れることが可能な体制整備が必要であり、我が党がこれまで整備の促進を主張してきた新客船ターミナルの完成が待たれるところであります。
 そこで、新客船ターミナル整備の現在の進捗状況についてお伺いをいたします。

○蔵居港湾振興担当部長 進捗状況については、昨年度からふ頭前面の泊地をしゅんせつする工事に着手しており、岸壁とターミナルビルについては現在ともに実施設計を行っております。
 来年度には、岸壁とターミナルビルの整備工事にも着手し、東京二〇二〇大会の開催までのオープンを目指してまいります。

○堀委員 新客船ターミナルは、華やかなクルーズ客船を受け入れることで東京の魅力を高める施設でもあり、一刻も早くオープンしていただきたいと考えております。また、新ターミナルでは、観光などにより諸外国から東京においでいただいた高齢者や障害者などを含めた多くの乗客をお迎えすることになります。
 そこで、新客船ターミナルビルの設計に当たっては、乗客にとって利便性や快適性の高い施設としていくべきと考えておりますが、都としてどのような工夫を行っているかについてお伺いをいたします。

○蔵居港湾振興担当部長 新客船ターミナルビルの設計においては、乗客にとって利便性が高くスムーズな乗下船動線を確保するため、入国審査、税関審査、荷物のピックアップなどが円滑に行えるスペースの確保、観光案内所や両替所の設置、客船の規模により変更可能な施設配置等を行っております。また、高齢者や障害者の方の利用に考慮し、エスカレーターを多く設置するとともに、幅や奥行きに余裕のある大型エレベーターの設置など、バリアフリーを推進した施設としております。さらに、新ターミナルビルには、高い天井とトップライトから自然採光を取り入れることで開放的なロビー空間を形成することとしております。
 こうした取り組みにより、新ターミナルビルを利用するさまざまな乗下船客等にとって使いやすく快適な施設としてまいります。

○堀委員 施設の利便性や快適性、またバリアフリー化についてもしっかりと検討されているようでありますが、ターミナルビルを出た乗客の動線も重要であります。新ターミナルは、世界最大二十二万総トン級の客船にも対応可能な施設となります。大型客船の乗客数は五千人を超える規模となるようであります。
 そこで、ターミナルビルと最寄り駅や駐車場とを結ぶ交通動線など、乗客を観光地へスムーズに送り出すための機能も充実していくべきと考えますが、どう対応するのかについてお伺いをいたします。

○蔵居港湾振興担当部長 乗客の利便性を確保するため、ターミナルビルから最寄りの鉄道駅までのシャトルバスの運行を検討しています。また、大型客船寄港時には多数の観光バス等が必要となるため、ターミナルビルに設置する駐車場のほか、周辺地域に大型バス用とタクシーの待機や乗用車用として、それぞれ百台分以上の駐車場を確保していきます。
 さらに、多くの乗客が円滑に乗りかえ可能となるように、これらの駐車場とターミナルビルを結ぶシャトルバスや観光バス、タクシー等の運行について、IT等を活用してバス等の円滑な配車指示やわかりやすい行き先表示などを行うシステムの構築を検討してまいります。

○堀委員 オープン後間もない時期の混乱を避けることは重要であり、そのためにさまざまな手法を取り入れ、ターミナルビルからの交通動線を円滑化していこうとすることが、今の説明である程度理解ができました。しかし、その先を見据え、さらに工夫を凝らしていくべきではないかと考えております。
 例えば、世界の主要な客船ターミナルでは、ターミナルビルの直背後に大規模な駐車場が整備をされております。新客船ターミナルにおいても、ターミナルビルを出た後の直背後の機能を充実していくことが重要であり、今後ともしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 いよいよ二〇二〇年の新客船ターミナルのオープンまで四年を切りました。クルーズ客船の寄港は二年以上前に決定するといわれており、逆算すると、ことし、来年が勝負の年となります。
 今後は二〇二〇年のオープンに向け、さらに積極的な誘致活動が必要と考えますが、ご所見をお伺いいたします。

○蔵居港湾振興担当部長 新客船ターミナルの利用については、昨年十二月の新客船ターミナルビルの概要発表を契機として、クルーズ船社などへの誘致活動を積極的に進めてきており、これまで多くの問い合わせが来ております。
 今後とも、クルーズ船社を初め、船舶代理店や旅行会社等に対する個別営業活動や海外でのコンベンションの参加によるPR活動、さらにはトップセールスの実施など、さまざまな機会を利用した積極的な誘致活動を展開し、東京港が多数のクルーズ客船の集う拠点となるよう強力に取り組みを進めてまいります。

○堀委員 しっかりと誘致活動に取り組んでいただきたいと思います。
 新客船ターミナルは、諸外国から来訪する多くの方々が利用する最初の施設であり、首都東京の玄関口にふさわしい施設となるような取り組みを進めていただきたいと思います。
 また、新ターミナル周辺は、ターミナルを利用する乗客を初め、クルーズ客船を見学に来る都民など多くの人々が気軽に訪れ、憩い、楽しめる魅力的なエリアとしていく必要があります。特に、新ターミナルに隣接をする船の科学館エリアについても、国際観光都市東京の海の玄関口として新たな役割も担うことになるため、今後、関係各局とも活用策について検討していくことを要望しておきます。
 最後に、東京が多くの国からの観光客でにぎわい、活力ある魅力的な都市となるよう、クルーズ客船の誘致に向け、ハード、ソフト両面からさまざまな取り組みを進めていただきたいということを申し上げ、私の質問を終わります。

○上野委員 私からは、まず東京港における海岸保全施設整備について質問します。
 ことしは、台風が近年になく多く日本に上陸いたしました。上陸数としては、一九五一年の統計開始以降、二番目に多いとのことであります。特に、八月末に上陸しました台風十号は、北海道、東北地方において死者、行方不明者が二十七名という大きな被害を引き起こしました。海岸保全施設においても堤防の損壊などの被害が発生したとのことでございます。
 区部では、ゼロメートル地帯を含め低地帯が広範囲に広がっております。この低地帯には多くの都民が生活するとともに、国内外から多くの方々が仕事や観光で訪れています。万が一、堤防などが被災し浸水被害が発生すれば、都民だけではなく、多くの人々の命が危機にさらされるという状況になります。加えて、高度に集積された首都中枢機能や業務商業等の都市機能に支障が生ずれば、国内だけではなくて、世界経済への影響もはかり知れません。
 現在、都は、東日本大震災を教訓に策定した東京港海岸保全施設整備計画に基づいて、施設の耐震対策などに取り組んでいるところであります。
 計画策定後、間もなく四年がたちます。計画期間も折り返しの時期に差しかかっていますが、改めて海岸保全施設整備計画の内容についてお尋ねします。

○原港湾整備部長 津波、高潮等の水害から東京の沿岸部を守るためには、防潮堤等の海岸保全施設が重要な役割を担っております。
 都は、東日本大震災を踏まえ、計画期間を平成二十四年度から平成三十三年度までの十年間とした東京港海岸保全施設整備計画を策定いたしたところでございます。
 本整備計画では、最大級の地震による津波や高潮からの浸水を防ぐことを目的としまして、水門、防潮堤等の耐震化や排水機場の電気、機械設備の耐水化などを整備目標として定めてございます。
 具体的には、水門や排水機場の耐震、耐水対策を十六施設、防潮堤や内部護岸の耐震対策を約四十三キロメートルで実施することなどにより、この目標を達成していくこととしてございます。中でも、水門、防潮堤につきましては、東京の沿岸部を第一線で守る重要な施設でありますことから、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会までに完成するよう優先して整備を進めているところでございます。

○上野委員 首都東京の安全・安心を確保するためには、この整備計画の推進が不可欠であると考えております。
 そこで、平成二十七年度までの海岸保全施設整備計画の進捗状況、どこまで進んでいるのか伺います。

○原港湾整備部長 水門、排水機場につきましては、整備対象十六施設のうち二施設が完成し、平成二十七年度には、新砂水門や辰巳排水機場の再整備に着工するなど八施設で事業を推進しているところでございます。防潮堤につきましては、計画延長約十七キロメートルのうち約六キロメートルが完成し、約一キロメートルで事業中でございます。内部護岸につきましては、計画延長約二十六キロメートルのうち約一キロメートルが完成し、約四キロメートルで事業中でございます。

○上野委員 今のご答弁では、水門、排水機場は十六施設のうち二施設で完成、八施設で事業中とのことでありますけれども、残りの六施設、この進捗状況についてお尋ねします。

○原港湾整備部長 事業に未着手の水門、排水機場六施設の内訳についてでございますが、水門が五施設、排水機場が一施設となっております。今年度中には全ての水門で工事に着手し、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会までに整備を完成する予定としてございます。
 排水機場の一施設につきましては芝浦排水機場であり、現在、整備水準や施設配置等を含めた具体的な整備内容を検討しているところでございます。

○上野委員 水門については今年度中に全施設で工事が開始される見通しであるということを伺いました。港湾局のその努力を私は評価したいと思います。東京オリンピック・パラリンピック大会開催までに対策が完了されますよう、工事を進めていただきたいと思います。期待しております。
 さて、先ほどの答弁では、芝浦排水機場は具体的な整備内容を検討中とのことでありますが、できるだけ速やかに内容を決定し、事業に着手していただきたいのですが、現在の詳しい検討状況を説明してください。

○原港湾整備部長 芝浦排水機場につきましては、建設から四十年以上が経過しているため、老朽化に対応するとともに、整備計画に基づく耐震及び耐水対策を行うこととしてございます。また、より一層都民の安全・安心を確保する観点から、辰巳排水機場と同様、五十年に一回の大雨から百年に一回の大雨に対応できるよう排水能力の向上を図る考えでございます。
 こうした観点を含め、整備に当たりましては、工事中におきましても排水機場の機能を維持しつつ、必要な排水能力の確保や施工のしやすさ、コスト面などについて、新規に整備する方法や既存施設を活用する方法などについて比較検討を進めているところでございます。ことし中には整備内容を決定し、早期に事業に着手していく予定でございます。

○上野委員 ご答弁にありました耐震及び耐水対策に加え、五十年に一回の大雨から百年に一回の大雨に対応できるよう排水能力を増強するということであります。一層の防災力向上を今後も期待しておりますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、次に、内部護岸について確認したいと思います。
 内部護岸は、先ほどの答弁によりますとこれからという状況でありますが、工事を円滑に実施していくためには地域住民や水域利用者の理解と協力が欠かせません。
 そこで、地域の皆さんの理解を得ながら、内部護岸の整備を今まで以上に積極的に推進していくべきと考えますが、今後の取り組みについてお尋ねします。

○原港湾整備部長 内部護岸の整備につきましては、委員ご指摘のとおり、護岸の前面水域を活用し、船舶事業等を営んでいる水域利用者や工事箇所に隣接して生活している住民に影響を及ぼすことなどから、工事に対する理解や協力をいただくまでに時間を要してございます。このため、設計段階からの綿密な調整、工事中の情報提供など、工事実施に当たりまして影響を受ける方々との信頼関係を構築していく必要がございます。
 具体的には、工事の目的や影響等に関する十分な説明、事業者への影響が最小限となる施工手順の選定、生活環境への影響を抑制する低騒音、低振動機械の採用等を行っております。また、工事中には、全体工程だけでなく、週単位の予定や日々の業務の内容のお知らせなど、きめ細かく丁寧な対応にも努めているところでございます。
 こうした取り組みをより一層精力的に行い、都民及び事業者との信頼関係を築き、平成三十三年度までの事業完了を目指し迅速に事業を推進してまいります。

○上野委員 事業を円滑に推進するためには、技術力だけではなく、工事に対する地域の皆様の理解と協力が不可欠であります。引き続き、十分な説明によりまして地域との信頼関係を築いて取り組みを進めてもらいたいことを要望しておきます。
 水害への備えとしては、万一の際における住民の避難行動など、ソフト対策も重要になってくると考えておりますが、その基本となるのは水際を第一線で防護する施設整備であります。現在、整備計画は折り返し地点にかかりました。これまで以上に積極的に推進し、重ねて東京の防災力向上に努めていただきますよう期待しております。
 次に、海上公園事業の決算に関連しまして、葛西海浜公園における海水浴体験について質問します。
 葛西海浜公園の西なぎさでは、平成二十四年度に地元のNPOと指定管理者によりまして海水浴の復活に向けた二日間限定の体験会として、その活動が始まりました。翌平成二十五年度には十三日間に拡充されました。さらに、地元の期待の高まりを受けて、平成二十六年度からは本格的な海水浴の復活に向けまして、都も参加し、取り組みもさらに進めていったわけでございます。そして、平成二十七年度には社会実験として、夏休みの土日、お盆を中心に二十日間の海水浴体験を実施し、多くの新聞やテレビでも報道されるなど、延べ三万八千人の方々が参加されました。
 そこでまず、平成二十七年度の社会実験の実施を通して、海水浴を体験された方々からどのような意見や要望があったのか、そのあたりについてお伺いします。

○篠原臨海開発部長 平成二十七年度の社会実験では、海水浴体験にお越しいただいた方々に対しまして対面式によるアンケート調査を行っております。このアンケートでは、海水浴体験を知ったきっかけ、満足度、今後の実施に向けた要望などを伺いました。
 調査の結果、新聞やテレビなど、メディアを通じて海水浴体験を知った方が多いということが判明しましたほか、都区内でも海水浴体験が楽しめてよかったなど、九割以上の方々から満足したとの回答が得られております。また、平日を含めて開催日数をさらにふやすこと、あるいは遊泳エリアの拡大を希望する意見などが寄せられております。
 このほかにも、子供向けイベントの拡充やコインロッカーの設置、売店の充実など、さらなるサービスの充実を求める意見がございました。

○上野委員 今年度の海水浴体験につきましては、私も海開きの日に訪れましたが、非常に多くの人でにぎわっておりまして、また、お子さんからお年寄りの方まで、さまざまな世代の方々が楽しんでいる姿を見まして、非常に感慨深いものがありました。
 今年度からの本格実施ということでありますが、昨年度の社会実験で得られた体験者からの要望をどのように生かされたのか、その実施状況についてお尋ねします。

○篠原臨海開発部長 今年度の海水浴体験では、昨年度、皆様から寄せられた事業拡大に向けた意見をもとにいたしまして、開催日数を二十日から三十三日にふやすことといたしました。加えまして、遊泳ゾーンを拡張したほか、アカエイの侵入防止ネットを張るなど安全施設の充実を図っております。また、日曜日を中心にNPOが主催する里海まつりが開催されまして、さまざまなイベントが行われたという面でも要望が生かされました。
 ことしの夏は、台風や雷など気象条件の不安定な日が多かったため、休止した日や、途中で休止せざるを得ないというような日もございましたが、結果としまして、昨年度の一・四倍に当たる約五万三千人の方々に海水浴体験を楽しんでいただくことができました。

○上野委員 いろいろ台風とか雨があったにもかかわらず、昨年よりも多くの方々が見えた、こういう状況でございました。平成二十七年度の社会実験で得られた都民の声を踏まえて実施されたことによって参加者が着実にふえたのではないかと、このように思います。港湾局の皆様方の努力、これについて感謝する次第でございます。
 江戸川区内だけではなく、見えている方にどこから来たんですかと聞いたら、やはりほかの都内とかあるいは近県、千葉からとか、そういうところからも家族で来られていると。結構遠いところからわざわざ来られている方もいらっしゃいました。そういった意味では、海水浴体験というのが定着しつつあるんだなと、このように思います。
 舛添前知事が、これはことしでしたか、まだ始まる前でしたかね、来られたときにも、いや、この首都で海水浴ができるところというのは世界でも珍しいのではないかと、このようにいわれていました。一つのやはりこれは魅力だね、観光の魅力ともなるねという話で、やはり非常に感動されたのは、ロケーションがすばらしいと。ちょっと右手の方にはゲートブリッジが見えるんですよ。ちょっと左の方を見ると東京ディズニーランドがおとぎの国みたいにあるわけですね。天気がよければ海ほたる、そこまで見えてくる。
 しかも、今度二〇二〇年には東京オリンピックのカヌースラローム競技場の会場になっていくという、こういう状況でもありますし、ちょっと後ろの方へ行くと東洋一の大観覧車がある。さらには、都道府県の中で唯一運営している葛西臨海水族園、ないんです、ほかの道府県でこんなのやっているところは、東京都しかない。その葛西臨海水族園も東京オリンピックが終わったらすぐ同時に改修に入りますけれども、すばらしい公園にそれぞれなっていくということでございまして、まさにすばらしいレジャー、レクリエーション施設となっていくと思います。
 今後は、これまで以上に多くの方が参加し、海水浴体験を通じて東京の海を理解し、海に親しめるよう積極的にPRを進めるとともに、利用者サービスの向上にも取り組むなど着実に事業を推進していくことを期待いたしまして、私の質問を終わります。

○白石委員 港湾局の島しょ地域における港湾整備事業にかかわり幾つか質問させていただきます。
 島しょ地域は、文字どおり海に囲まれているため、物流や人の往来などにも自然環境が大きく影響する地域であり、特別な支援が必要です。特に交通基盤では、鉄道やバスなどの公共交通ネットワークが発達している地上部とは違いまして、船舶が重要な交通手段となっておりまして、その受け皿になるのが港になります。
 そこで、二〇一五年度の島しょ地域の予算現額と決算額について、初めに伺いたいと思います。

○小林離島港湾部長 大島元町港外十四港の港湾整備費等に要した経費は、予算現額二百十五億五百万余円、支出済額百八十九億七千二百万余円となってございます。

○白石委員 予算と比較すると執行率はおよそ八八%となっております。この数字を高いと見るか、低いと見るかを問う前に、やはり港の整備においても、資材の運搬や人の運搬は船舶が基本というふうになります。天候が悪ければ、当然資材や人も運搬ができません。そのことを十分に踏まえた上で執行率の向上を目指していただきたいというふうにも思いますし、また必要な予算の充実も図っていただきたいというふうに思っております。
 港湾整備計画はどのように決められているのか、あわせて伺いたいと思います。

○小林離島港湾部長 伊豆諸島におきましては、離島振興法に基づき東京都が策定いたしました東京都離島振興計画により港湾整備を実施しております。策定に当たりましては地元町村の意見を反映しております。

○白石委員 島民の意見を十分に反映させた計画の策定は、離島支援の初めの一歩というふうになると思います。その角度を十分に踏まえて、島民の生活の安定などを図るための一層充実した新たな計画も含めて検討もお願いをしたいというふうに思います。
 八つの島から成る伊豆諸島の中の御蔵島にかかわって質問を進めていきたいというふうに思います。
 御蔵島は湧き水が豊富で、巨大な木とかが多く広がる森も大きくあります。そういう自然豊かな島となっており、人口は三百人の島というふうな状況になっております。
 そこで伺いたいというふうに思いますが、二〇一五年度の御蔵島の港湾整備において、海岸保全施設整備の実績を伺いたいと思います。

○小林離島港湾部長 御蔵島港における海岸保全施設は既に整備が完成してございます。平成二十七年度には、津波が発生した際に港湾施設利用者が迅速に避難できるよう、津波への注意喚起や避難方向を明示した津波避難誘導標識を港内六カ所に設置いたしました。

○白石委員 海岸保全施設は既に完成をされていると。その上で、津波避難誘導標識を港内六カ所に設置をしているというふうなところで、安全・安心の港整備というところで十分に、さらに充実を図っていただきたいと思いますが、続けて質問をいたしたいというふうに思います。
 御蔵島の就航率とそれ以外の就航率をそれぞれ伺いたいと思います。

○小林離島港湾部長 御蔵島におけます直近三カ年の平均就航率は約六五%でございます。伊豆諸島全体での平均就航率は約九〇%となっております。

○白石委員 今ご答弁でもあったように、御蔵島の就航率というのは伊豆諸島の全体の平均の約九〇%に対して約六五%というふうになっております。伊豆諸島の島の中でも就航率が低いのが特徴というふうになっております。
 これはなぜかというと、島民の方にも私も直接お話を伺いました。御蔵島の風向きというのは北東の風と西風が特徴だというふうに伺いました。現在は西側に岸壁があり、そこに船舶が就航しているという状況ですが、特に冬場は西風が強く吹きまして、波もとても高くて岸壁が見えないくらい高い波も来ることが多々あるというふうに島民の方からもお話を伺っております。
 そこで、御蔵島の就航率を上げる取り組みはこれまでどのように取り組まれてきたのか伺いたいと思います。

○小林離島港湾部長 御蔵島唯一の港であります御蔵島港には、大型定期船が接岸できる岸壁や停泊するための泊地などを長年にわたり整備してまいりました。しかし、委員ご指摘のとおり、風や波の影響を受けやすく、他の島に比べて就航率はいまだに低い状況であるため、現在の岸壁の東側の位置に二つ目の岸壁を、平成二十七年度から事業に着手しております。これによって風向きにより使用する岸壁を使い分けることが可能となりまして、定期船の就航率を大幅に向上させる見込みでございます。

○白石委員 二〇一五年度から岸壁を東側にも整備するために事業に着手をしたということです。
 島民の方の一番の切実な要望は、この船舶の就航率を上げることだと伺っております。つまり船舶の欠航が現在多いということになります。それにより、週一回の定期便が欠航してしまうと、二週間定期便が就航しなくなるというようなことを通じて、食料品や生鮮食品が不足をするということであったり、日用品も不足をしてしまうという、大変、この就航率を上げてほしいという声を伺っております。
 また、産業にも大きな影響を与えるということです。御蔵島の名産はアシタバとなっておりますが、御蔵島は水がかなり豊かなために、ほかの島と比べてもこのアシタバの茎が太く長いという特徴があり、食用でも親しまれていると。これをやはり出荷もして、ぜひこの産業をさらに発展をさせていきたいというふうなことも伺っております。
 しかしながら、この名産のアシタバの出荷時期というのは冬となっております。この定期便の就航率が低い、波の高さによってなかなか冬も就航率は上がってこないという中で、やはり産業にも大きな影響があるというふうなことも島民の方から伺っております。
 そこで、東側の岸壁の整備の進捗状況と完成の時期はいつなのか伺いたいというふうに思います。

○小林離島港湾部長 平成二十七年度でございますけれども、現地調査と基本設計を行いまして、現在は実施設計を進めております。来年度から現地での工事着手を予定しております。早期の完成を目指してまいります。

○白石委員 ぜひ早期の完成を目指していただきたいと強く要望しておきたいというふうに思います。
 また、岸壁が二つになることによってコストも低く抑えることができる、高波防止のパラペットなども設置ができるという条件が整うかというふうに思いますので、さらなる就航率の向上の取り組みを充実させることを要望して、質問を終わりたいというふうに思います。

○斉藤委員 それでは、私の方からは、大きく三テーマで伺いたいと思います。
 まず最初に、調布飛行場の墜落事故に関してです。
 これにつきましては、今月の第三回定例会で我が会派の尾崎大介幹事長が質問をいたしました。そして、その答弁として小池都知事も、住民そして関係者の七千筆もの署名を重く受けとめていくという答弁をいただきました。
 平成二十七年度の港湾局の決算というこの場において、恐らくこの年度で最も大きな事件だったといって過言ではないと思います。そういう意味では、これについてはやはり触れなければいけないと考えまして、質問をさせていただきます。
 特にまた、今回墜落によって住民の方に死亡者が出たということ自体が初めての事案であります。亡くなられた方のご冥福をお祈り申し上げます。
 そして、その対応についても、恐らく前例の踏襲というものができるものではなかったと考えます。今回の事故後に東京都においてはどのような検討体制を整えていったのか伺います。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 都は、昨年七月の事故を受けまして、翌八月には国土交通省と都による協議会を新たに立ち上げ、航空にかかわる専門的な意見を聞きながら、地方飛行場の安全対策等についての検討を行ってまいりました。さらに、昨年十二月より、地元の三鷹市、府中市、調布市と都により設置されております調布基地跡地関連事業推進協議会を活用いたしまして、安全対策等についての実務的な協議を進め、地元の意見の反映に努めてまいりました。

○斉藤委員 具体的な原因の細かい解明というものがまだできていないというふうなこともありまして、この事案に関してはまだ対応が続いているというふうなことになっております。そういう意味では、大変、万全の体制で臨んでいただきたいと思っております。
 このような、地上の住民の方に亡くなった方が出たという大変な被害を出した事案というのは、先ほど申しましたように初めてということでありまして、この事案に対してどういうふうに対応するかということは、全国の自家用小型機、小型飛行機の離発着を行っている空港関係者は恐らく注目をしていると思います。また、東京都としてやはり前例やマニュアルに依存しないというような形で検討した部分、たくさんございますが、特に今後のほかの空港などの参考になるということも含めて、今回の件で初めての取り組みとして行った対策がありましたら、そこを伺いたいと思います。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 都は、先ほどご答弁申し上げました体制のもと、調布飛行場の安全対策等について検討するとともに、事故により被害を受けた住民の方に対しさまざまな支援を行ってまいりました。具体的には、港湾局に被害者の相談窓口を設け要望や相談を受けるとともに、地元市や庁内関係部署との調整を行うほか、専門的な知識が必要な事柄については弁護士等の意見も踏まえて助言を行ってまいりました。さらに、仮住まいの確保や被害家屋の撤去など、被害者の個々の状況に配慮した対応を行ってまいりました。

○斉藤委員 調布飛行場については、この事故自体は、一般的な航空機事故としては、一義的にはその飛行機そのものに当然責任があるというものでありますけれども、しかしながら、この事案の後も、調布飛行場は周辺住民の方とはやはりきちんとしたおつき合いをしていかなければいけないという状況がございます。そういう意味では全力を尽くしていただきたいと思います。
 その中で、今現在、この自家用小型飛行機の使用というものは自粛されております。この使用がなくても、使用料という部分の収入が同時にそれがなくても、調布飛行場の運営的には大きな損失はないというふうに聞いておりますけれども、現行の状況については、多数の自家用小型飛行機が駐機をした状態であります。これについては、そういう状態が続いておりますし、また先ほど申しましたように、まだこの事故の解明など、さまざまな対応は継続をしている状態であります。
 この自家用飛行機が駐機した状態が続いても、特段空港管理としては課題がないのか、そこを確認したいと思います。

○神山島しょ・小笠原空港整備担当部長 自家用機は駐機エリアの所定のスポットに駐機させておりまして、他の航空機の駐機や空港施設の維持管理に支障を来すようなことはございません。

○斉藤委員 支障はないということであります。私ども都議会民進党は、先日の質問のところでも意向を示しておりますけれども、個人所有の小型機の離発着については、まだしばらくは慎重であるべきというふうに思っております。その部分では、再使用についてはまだ未定というふうなことで、こういった状態がどのくらい続くかということはわからないわけですが、今伺った限りでは支障はないということになっておりますので、現状の維持をお願いしたいと思います。
 そして、この原因が解明されていないということが被害者や地域関係者の人たちの精神的な負担になっているということも承知をしております。一刻も早い原因解明と、また被害に遭われた方や関係者の皆さんへの補償や賠償が進むことを願ってやまないことを意見としまして、一番目の質問を終わります。
 それでは、二つ目のテーマに入ります。
 港湾局の所管の港湾地域の方について伺います。
 先日、港湾局の皆さんにはかなり無理をいいまして、大変時間のない中、東京港の関係施設をかなり広範囲にわたって見せていただきました。また公決の所管になりますような地下ケーブル施設などについてもさまざまに説明を受けるほか、各会計の担当の所管になりますターミナルやコンテナふ頭、さらには海の森の公園施設なども見せていただきました。
 東京港には、この港の運営や物流の安全確保のためにさまざまな施設や設備が設置されているのは改めて感じたんですが、これらの中には、安全のためのインフラで必要不可欠というものがありますが、しかしながら、メンテナンス作業自体が非常に大変なものというものがたくさんあるというふうにも伺いました。
 特に気になったのは、常に水面に設置されている設備、これはなかなかやはり、陸上にあるものと違いますから、メンテナンス自体が大変手間のかかる作業でありますが、これもきちんとメンテナンスをしていかなければいけないものであり、恐らくかなり苦労されているんじゃないかというふうに思います。
 さて、この港湾局が水面に設置している設備の一つに、ちょっといいづらいんですが、灯浮標と呼ばれるものがございます。灯浮標というのは、船に対して浅瀬のある場所を示したり、決められた航路の位置を示したりというふうな目的のために水面に浮かぶ形で設置されているという、一種のブイなわけですが、夜間には光が点滅するものとなっております。港の安全を確保するためには必要不可欠なわけですが、常に水面にあるということから、やはりこれがメンテナンス上かなり大変なのではないかというふうに思います。
 そこで、この灯浮標の適切な維持管理のためにふだんはどういうふうなことを行っているのか、特にお伺いしたいのは、この灯浮標、今いったみたいにメンテナンスが大変ですから、メンテナンスフリーで稼働しているのが一番いいわけなんですけれども、この灯浮標の維持管理に係る経費、これは要するに手間だとかのことも全部含めてというふうなことになってくると思うんですが、こういった経費などの節減のためにどのような取り組みを行ってきたのか伺います。

○松川港湾経営部長 都では、大井食品ふ頭や中央防波堤内側ばら物ふ頭の前面などに計八個の灯浮標を設置しております。灯浮標には貝殻が多く付着することから、そのまま放置しておくと傾いたり沈んだりする可能性がございます。そのため、おおむね二年から三年に一回、灯浮標を一旦陸上に引き上げて貝殻を落とす作業を行いますとともに、腐食防止のための塗装などを行うことで機能の適切な維持と長寿命化に努めております。また、全ての灯浮標の電球をLED電球に切りかえ、省エネ化を図ることで長期的な経費節減に取り組んでおります。

○斉藤委員 港湾の基本としては、やはりこういった安全確保が一番の基本であります。その部分を担うこういった設備に関してのメンテナンスについては、まさに十分に余裕を持ってできるようにしていただきたいと思いますし、そのためにこのような新しい技術の部分を導入していくということはぜひ続けていただきたいと思います。
 あわせて、首都圏の物流を支える東京港にもたくさんの設備があるなということが、見ていると実感されます。特にコンテナターミナルの拡大など、今後予定をされているわけなんですが、コンテナターミナルにおいても、恐らくさまざまな機器においては経費節減に取り組むというふうなところがたくさんあるというふうに思います。
 これまでどのようにこのコンテナターミナルについての経費の節減について行ってきたのか、そこを伺います。

○松川港湾経営部長 コンテナターミナルの管理を行っている東京港埠頭株式会社では、コンテナクレーンや桟橋等について予防保全型維持管理を取り入れております。具体的には、点検調査を定期的に実施し、施設の維持更新費用の節減、平準化を推進することで施設のライフサイクルコストの削減を図っております。また、東京港埠頭株式会社では、コンテナクレーンの更新時等にインバーター制御方式のクレーンに変更することで巻き下げ時に発生する電力を活用し、消費電力を約三〇%削減するなど経費節減につなげております。
 今後とも、こうした取り組み等を進め、施設の管理における経費節減に努めてまいります。

○斉藤委員 今ちょっと二つの、安全、そしてまた基本的機能のための話を伺いました。
 この辺を踏まえてしっかり港湾の運営というものがなされているということを確認した上で、三つ目のテーマに移りたいんですけれども、それとあわせて、今のような基本的なものを見せていただくと同時に、東京港のいわゆるアメニティーというふうにいってもいいのかもしれませんけれども、そういう部分についても見させていただきました。特にこの部分については年々拡張が続いているという印象を受けました。
 コンテナターミナルや港湾の夜景が見える、特に最近はそういうのが人気がありますけれども、それが一望して見えるテレコムセンターの展望台も夜間開放があったり、また、海の森公園もまだ開園していないんですが、イベント開放などを行ったりしています。
 徳島、九州方面に行くフェリーターミナルもありますが、このあたりも需要は安定をしているということであります。現地に行ったときに、観光客の耳に残るような名称、愛称なんかをつけてもいいかなとか、もうちょっと目立つように派手にしてもいいかななんていうことをちょっと思ったりもいたしました。こういうのを見ていると、徐々に海側に向かって一般都民が入ることができる活動範囲というものが拡大しているという印象を持ちました。
 平成二十七年度について、新たに一般都民向けに利用拡大したような場所というのも恐らくあるかと思います。一つの例としては、昨年度初めて行われましたカラーイベント、カラーの塗料を振りまいてマラソンするという大変新しいイベントですが、COLOR ME RADが整備中の海の森公園で五月に特別に開放した形で行われまして、こういうふうなイベントをまだ開園していない前にやるという大変柔軟な対応について、非常に港湾局、積極的ですばらしいというふうに思いました。
 ただ、大変心配なのが、最近このようなまさに人が入っていないという、ちょっと秘密なにおいのするエリアというものに対して開放したときに、ネットなどのさまざまな形でそういった場所についての情報が余り、ふだんはどうなっているか、ふだんはどのくらい危険なのか、不便なのかということがわからない中途半端な形で情報だけが拡散して、そういう正しい姿の理解ができないまま、一般の都民が興味を持って不用意に侵入したりしないかというのはちょっと心配なところであります。
 緊急時の通報システムや人通りが乏しく、そこに立ち入った場合には、正直いって自己責任といいたくなってしまうような場所もこの港湾局の活動エリアの中では多いというのも今回、視察に行ったときの印象であります。
 港湾局の東京港近辺の所管エリアで平成二十七年度において事故や事件等の事案がなかったか、そこを伺いたいと思います。

○松川港湾経営部長 東京港では、港湾の保安対策などが定められました改正SOLAS条約等に基づき、国際ふ頭施設における制限区域の監視や人、物の出入り管理などを実施するとともに、他の港湾施設等におきましてもフェンス等による立ち入り制限や巡回警備を行っております。
 平成二十七年度において東京港のふ頭や客船ターミナル等では、車両による接触事故や運搬用の機械からの出火など十五件の事故が発生しておりますが、いずれも軽微なものであり、事件性のある事件は発生しておりません。
 今後とも、都は海上保安庁や警視庁等の関係機関と緊密に連携し、全力を挙げて東京港の安全確保に努めてまいります。

○斉藤委員 ありがとうございます。特段事件らしいものがなかったというのは大変安堵するところであります。
 この先日の視察でも海の森公園に行かせていただきましたけれども、大分整っておりまして、大変すばらしい眺望だったわけですが、本当は二十七年度の二十八年一月に一部開園予定だったんですが、これもちょっとその二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの東京大会の決定を受けて、いろいろ事情が変化したというふうなこともあって、二十七年度の一部開園ができなかったわけですが、しかしながら、今のように一部開放、もしくは一時開放というふうな形で都民の方に上手に使っていただきながら、しかしながら一方で安全管理をするというふうなことはしっかり両にらみでやっていただきたいというふうに思います。
 そういう状況のこの海の森公園ですが、海上公園事業の決算に関連して、今回、平成二十七年度においては海の森公園、どのくらい整備が進んだのか、整備内容について伺いたいと思います。

○篠原臨海開発部長 海の森公園の整備についてでございますが、まず基盤の整備としまして、イベント等で活用する中央広場の造成や園路の舗装工事を実施しております。次に、植樹に関してですが、昨年十月末に公募した都民二千八百名との協働によりまして一万五千本の苗木を植樹しております。この植樹をもちまして、緑の東京募金を活用して平成十九年に開始しました植樹事業は終了となっております。また、これ以外にも、開園までの間、ボランティア活動等で活用する仮設の管理棟を設置しております。

○斉藤委員 海の森公園については、ごみの山に苗木を植えて、森が相当生まれ変わったというふうにいうんでしょうか、森が大分できておりました。また、そういうのを都民とともに行うという点でも、非常に海の森公園、まさに新しい取り組みというものをたくさん重ねているという印象を持っています。
 そしてまた今回、一方、東京二〇二〇年大会において、総合馬術のクロスカントリーの競技会場になっておりますし、これにあわせた会場整備というふうになっていることから、開園自体は少し先になりますけれども、オリンピックの後になるというふうに聞いております。
 もちろん、本当は一部既に開園している話でありますが、今回オリンピックの後ということで、かえって時間ができたわけですね。時間ができたわけですから、少し腰を据えて、整備をさらにいいものにしていくというふうな時間ができたわけなので、その部分はしっかりやっていただけるものと期待をしております。
 しかも、今回この公園でオリンピックで馬術競技が行われたという事実も後世に伝えていくということにもなるでしょうから、こういった要素を踏まえて、大会後の開園に向けてどのように取り組んでいくのか、都の所見を伺います。

○篠原臨海開発部長 海の森公園は、委員からもお話がありましたとおり、ごみの埋立地であった場所において、市民参加により協働の森づくりを行うということを最大のテーマとしております。
 大会後も、都民や企業と連携しながら森の育成を継続して取り組んでいくために、その活動の拠点となりますビジターセンター兼管理棟のほか、トイレ、駐車場など必要な施設の整備を予定しておりまして、引き続き着実に整備を進めてまいります。
 また、オリンピック・パラリンピック大会後のレガシーとしての活用につきましては、今後検討してまいります。

○斉藤委員 ありがとうございました。今回、実際行ってみて、海の森公園の手前まで普通に車で入れてしまいますので、ちょっとおもしろ半分に行こうと思えばかなり近くまで行けます。しかしながら、工事している部分は区画がちゃんとされておりまして、立入禁止ということもきちんと表示してありますから、普通に考えたら余り中に入るというふうなことにならないんですが、さりとて、必ずしも絶対ということはありませんので、本当にその部分については注意を重ねていただきたいと思います。
 そして、一方で、大会後の早期開園に向けて、二〇二〇年大会の競技施設というものを最大限活用しながら魅力ある公園として整備をして、少し延びてしまいましたが、延びて、しっかり腰を据えて整備してよかったねというふうにいわれるような公園にしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 以上で終わります。

○山崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。

○山崎委員長 これより都市整備局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、東京都技監都市整備局長兼務に邊見隆士君が就任いたしました。邊見隆士君を紹介いたします。

○邊見東京都技監 東京都技監を拝命いたしました邊見隆士でございます。
 引き続き、都市整備局長及び局の技監を兼務してございます。
 山崎委員長を初め、委員の皆様方のお力添えをいただきながら、東京都技監といたしまして、庁内の横のつながりを一層強化することなどに取り組むとともに、局事業につきまして、職員一同、力を合わせて事業の適切かつ円滑な執行に努めてまいります。
 何とぞご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いを申し上げます。

○山崎委員長 挨拶は終わりました。

○山崎委員長 決算の審査を行います。
 平成二十七年度東京都一般会計決算中、都市整備局所管分、平成二十七年度東京都都営住宅等事業会計決算、平成二十七年度東京都都営住宅等保証金会計決算、平成二十七年度東京都都市開発資金会計決算及び平成二十七年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○今村総務部長 去る十月十四日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております当局の平成二十七年度各会計決算特別委員会第三分科会資料の表紙をめくり、目次をごらんください。
 この資料は、1の都営住宅・公社住宅において、浴槽・風呂釜等を、都及び公社が設置していない住戸数から、10のCV-22オスプレイ配備に係る国との協議状況等までの十件でございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、都営住宅・公社住宅において、浴槽・風呂釜等を、都及び公社が設置していない住戸数でございます。
 都営住宅、公社住宅別に、平成二十八年三月三十一日現在の住戸数を記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、都営住宅建設事業に係る中小企業への工事発注実績でございます。
 工事発注実績及びそのうちの中小企業への発注実績につきまして、件数並びに金額を年度別、財務局契約及び都市整備局契約別に記載してございます。
 右側、三ページをごらんください。3、都営住宅の応募状況をこの三ページから次の四ページに記載しております。
 三ページ、(1)では、世帯向けに実施した抽せん方式による募集、(2)では、単身者向けに実施した抽せん方式による募集、おめくりいただき、(3)では、ポイント方式による募集につきまして、過去五年間の応募状況を年度別に記載してございます。
 五ページをごらんください。4、既設都営住宅のエレベーター設置状況でございます。
 既設の都営住宅につきまして、過去五年間のエレベーター設置状況を年度別に記載してございます。
 六ページをお開き願います。5、東京都が提供している応急仮設住宅に福島県から自主避難されている世帯数及び人数でございます。
 住宅別に、平成二十八年三月三十一日現在の世帯数及び人数を記載してございます。
 七ページをごらんください。6、木造住宅に対する耐震診断及び耐震改修の助成実績でございます。
 東京都木造住宅耐震化促進事業に係る当初予算額と、耐震診断及び耐震改修それぞれの執行件数及び執行額を年度別に記載してございます。
 八ページをお開き願います。7、基地対策に係る支出等でございます。
 基地対策に係る予算現額、支出済額及び所管につきまして、年度ごとに記載してございます。
 右側、九ページをごらんください。8、都内米軍基地に関係する事件等の経過でございます。
 (1)では、航空機の緊急着陸、部品落下等、(2)では、米軍構成員による事件、事故の経過を記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。9、横田基地におけるオスプレイの離着陸回数等でございます。
 (1)では、着陸、離陸の延べ回数、(2)では、飛来する可能性があると通告のあった回数を記載してございます。
 一一ページをごらんください。10、CV-22オスプレイ配備に係る国との協議状況等でございます。
 CV22オスプレイ配備に係る国との協議状況等につきまして、年月日、相手方、概要及び位置づけを記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○舟坂委員 まず、都営住宅について質問をさせていただきます。
 都営住宅入居者の高齢化が急速に進んでいる一方で、エレベーターが設置されていない団地がいまだ少なからず存在しております。こうした団地では、加齢により階段の昇降が困難となってきている高齢者などが一日も早くエレベーターが設置されるのを待ち望んでいる状況です。
 一方、平成二十七年度の決算資料によりますと、エレベーター設置台数は三十四基となっております。しかし、これは予算上設置することになっていた六十五基に対して約半分しか設置されていないことになります。また、二十六年度以前の数年間も年間当たり三十五基程度の設置となっております。
 そこで、まずは都営住宅のエレベーターの設置がここ数年進んでいない理由についてお伺いをいたします。

○永島都営住宅経営部長営繕担当部長兼務 既存住棟へのエレベーター設置につきましては、高齢者、障害者への福祉対応の重要な施策として位置づけまして、平成三年度から開始し進めております。
 自治会から要望がある団地などに対しまして、これまで約千四百基を設置しておりますが、ここ三カ年の設置実績は、平成二十五年度、三十五基、二十六年度、三十三基、二十七年度、三十四基となっております。
 設置が進まない理由でございますが、住棟が特殊な階段室型である場合や構造的に壁の撤去ができないなど技術的に困難を伴う住棟や、設置スペースがない、日影規制等の法規制を満たすことができない、さらに居住者の複数から同意が得られないことなどによりまして調整や調査に時間がかかっていることによるものでございます。

○舟坂委員 設置が進まない理由はわかりました。建物の構造や設置スペース、日影規制、居住者の同意などの問題のため設置が困難となっているとのことですが、こうした問題の解決のためには長い時間を要することになるかとも思います。
 しかし、エレベーターが設置されていない住宅に入居する階段の上りおりが困難な高齢者の方々にとっては日々の生活にも支障が出る問題であり、こうした状況の解消は喫緊の課題であると考えております。
 そこで、こうした設置が困難となっている住宅に対し、これまで都はどのように対応してきたのかをお伺いいたします。

○永島都営住宅経営部長営繕担当部長兼務 まず、平成三年度に四階建てから五階建ての廊下型住棟を対象として九人乗りのエレベーターの設置を開始いたしました。
 その後、当時は設置が困難であった階段室型住棟や小規模な住棟に対しても可能となるよう、住宅部品の認定機関やエレベーターメーカーとともに技術、コストの両面から検討し、順次設置を進めてまいりました。さらに、設置スペースの条件から従来型が設置困難な場合は、二方向に出入り口のあるエレベーターを採用するなど対応を工夫しております。
 同意の要件につきましても、平成二十三年度には従来居住者の全員同意を必要としてきた要件を弾力的に運用し、一人未同意の場合でも設置を検討することといたしました。
 日影規制などの建築基準法等の問題につきましては、建築指導関係部署と調整を行い、既存建物の調査や建築審査会に付議し法に基づく許可申請を行うなど、時間を要してはおりますが、法的課題の解決に取り組んでおります。
 技術的な解決策の取り組みを進める一方で、階段の昇降が困難な高齢者の方が移転を望む場合は、一階の住戸やエレベーターの利用が可能な住戸などへ住宅を変更する制度もございます。

○舟坂委員 これまでにさまざまな課題解決を図りながらエレベーターの設置を推進してきたことがわかりました。引き続き、これまでの取り組みをしっかり取り組んでもらいたいと思います。
 一方、こうした取り組みにより、エレベーターの設置は進んできましたが、その結果として、最近は特に設置が困難な団地が残ってしまっているというのが実情であると考えております。また、階段の昇降が困難な高齢者の方などに対して、一階の住居やエレベーターのついた住棟などのほかの住宅に移転を望む場合は住宅変更を行っているということですが、そこで、こうした住宅変更について、これまでの都の取り組みをお伺いいたします。

○八嶋経営改革担当部長 都営住宅における住宅変更につきましては、入居者の申請に基づき、空き状況により相応の時間を要する場合もございますが、移転先として希望する住戸の紹介を行っております。空き住戸があれば、申請者本人の確認を経て、移転、退去に係る費用を負担していただき、使用する住宅の変更を許可しております。
 住宅変更の理由といたしましては、加齢や病気により階段の昇降が困難となった場合に加え、世帯人数の増減や親族の介護が必要となった場合などがあり、申請件数としては年間約九百件程度の申請があり、対応してございます。

○舟坂委員 住宅変更については、加齢や病気など、入居者個別のさまざまな状況に応じて対応していることがわかりました。
 今後、一段と入居者の高齢化が進むことが予想されますが、エレベーターの設置については、設置に至るまで時間を要するものが少なからず残っております。こうした住宅変更と組み合わせた取り組みが重要であると考えております。引き続き丁寧な対応を要望し、次の質問に移ります。
 次に、鉄道駅のホームドア整備についてお尋ねいたします。
 公共交通の安全対策を推進するため、鉄道駅におけるホームドアの設置は極めて重要です。
 このことから、私は平成二十六年第二回定例会の一般質問において、ホームドア整備促進に向け、都が鉄道事業者と連携していくことの必要性について質問をいたしました。この間、都は平成二十六年度からホームドア整備に対する補助制度を本格実施し、整備促進に向けた取り組みを進めてきたことは評価いたします。
 しかし、本年八月、東京メトロ銀座線青山一丁目駅において、視覚障害者の男性がホームから転落し死亡するという痛ましい事故が発生いたしました。また、私の地元であるJR総武線新小岩駅においてはホームドア整備の準備が進められていると聞いていますが、人身事故が続発しており、一日も早い整備が必要です。
 そこで、今後も都は、補助制度を活用し整備を促進させるべきと考えますが、これまでの取り組み状況についてお伺いいたします。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務
 利用者の安全性確保のためホームドアの整備を促進するには、鉄道事業者の積極的な取り組みが不可欠でございます。
 都は、事業者に対してホームドアの整備を進めるよう積極的に働きかけるとともに、事業者の取り組みを支援するため、地下鉄駅への補助に加えまして、平成二十六年度から利用者十万人以上のJR及び私鉄駅を対象といたしまして補助を実施してまいりました。
 これまでの実績でございますが、平成二十六年度は西武池袋線池袋駅など三駅、二十七年度にはJR京浜東北線上野駅など七駅について補助を実施してございまして、これまでに、鉄道事業者の自主的な取り組みを含めまして、都内の約三割の駅で整備が行われております。

○舟坂委員 ただいま、これまでの都の取り組み状況について答弁がありましたが、三割は解決したとはいえ、都内には七百五十を超える数多くの駅があり、今後も整備促進が必要と考えます。ホームからの転落事故を繰り返さないため、またオリンピック・パラリンピックを契機に東京のバリアフリーのまちづくりを推進し、鉄道の安全性をさらに高めていくためにも、ホームドアの整備は不可欠です。
 そこで、引き続き、どのように整備促進を図るのか、所見をお伺いいたします。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務
 今回事故のありました東京メトロ銀座線では、平成三十年度までに、ホームドアの整備がおおむね完了する予定でございます。
 また、都は、二〇二〇年大会に向けて整備を加速させるため、平成二十七年度から制度を拡充し、競技会場周辺のJRや私鉄の駅について、利用者の規模によらずに補助を行っておりまして、JR信濃町駅や千駄ケ谷駅などで整備が実施される予定でございます。
 引き続き、誰もが安心して鉄道を利用できるよう、国、地元区市及び鉄道事業者と連携して、ホームドアの整備を促進してまいります。

○舟坂委員 次に、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてお尋ねをいたします。
 平成二十八年十月二十一日、先週の金曜日ですが、十四時七分ごろ、鳥取県中部で震度六弱の地震が発生をいたしました。新聞報道などによれば、その後、余震が多発しており、鳥取県内では、家屋の損害や倒壊が確認されているとのことです。
 都内に目を転じると、首都直下地震が今後三十年以内に約七〇%の確率で発生すると推計されており、いつ発生してもおかしくない状況です。いざ地震が発生すると、甚大な被害が発生することは、火を見るより明らかです。
 例えば、幹線道路の沿道建築物が倒壊し、道路が閉塞されると、避難や緊急消火活動に大きな支障を来すだけではなく、緊急支援物資の輸送や復旧、復興活動にも困難が生じると懸念されます。
 こうしたことから、都では、大地震が発生しても、緊急支援物資の輸送などを担う特定緊急輸送道路の機能を確保するため、その沿道建築物の耐震化を進めているところです。
 そこで、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について、これまでの取り組み内容と成果についてお伺いいたします。

○飯泉耐震化推進担当部長 特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を進めるためには、まず、耐震診断により建築物の耐震性能を確認することが不可欠でございます。このため、都は、平成二十三年三月に耐震化推進条例を制定し、診断を義務づけるとともに、原則として、診断費用の全額を助成するなど、所有者の取り組みを促してまいりました。
 その結果、二十七年度末現在、条例対象の旧耐震建築物約四千八百五十棟のうち、九四%で診断が実施されており、診断の取り組みについては完了の見通しが立ちつつございます。また、診断の進捗に応じて耐震化に向けた次の段階である補強設計や、さらに、その次の改修工事等へ取り組みの重点を順次移してきてございます。
 条例を制定いたしました二十三年度以降、改修工事費に対する助成率を段階的に引き上げ、二十五年度からは最大九割とするなど、改修等への支援を充実しており、二十七年度末現在、耐震性を満たす建築物は、条例対象の約三割に達してございます。

○舟坂委員 耐震診断の実施が、条例で対象としている建築物の九割を超えていること、そして、都が取り組むべき力点が、補強設計や改修工事など、次のステップに移行していることが理解できました。
 私の地元葛飾区では、区が建築士事務所協会の葛飾支部と連携し、耐震化に取り組んでおり、支部に所属する建築士がその仕事に携わり始めてから、技能レベルが明らかに向上してきたと感じております。そのことから、これらの建築士を耐震化の推進に生かすことが重要であると考えています。
 そこで、都は、建築士などの関係団体と連携し、どのように特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を進めてきたかをお伺いいたします。

○飯泉耐震化推進担当部長 沿道建築物の耐震化を促していくためには、個々の実情に応じた建物所有者のニーズに対しまして、技術的な側面からきめ細かく対応できる体制を整備していくことが必要でございます。
 このため、都は、診断から設計、改修工事に至るまで幅広く対応できるよう、平成二十三年度以降、建築士や建設業に係る五つの団体と順次協定を締結し、団体の協力を得まして、専門家による相談窓口の設置やアドバイザーの派遣などを行ってまいりました。
 このうち、アドバイザーの派遣では、団体に属する専門家が直接現地に赴き、建物の実態や所有者へのヒアリングを踏まえ、診断や改修工事などに関しまして、その進め方や費用、日常生活への影響などについて技術的な観点から助言を行い、所有者の取り組みを支援してまいりました。
 今後もこうした取り組みを通じまして、沿道建築物の耐震化を促進してまいります。

○舟坂委員 都が建築関係の団体と密に連携し、耐震化を進めてきたことが理解できました。
 これからも積極的に耐震化を推進し、安全で安心できる都市の実現に取り組んでいただくようお願いを申し上げ、次の質問に移ります。
 最後に、不燃化特区の取り組みについてお尋ねいたします。
 木造住宅密集地域、いわゆる木密地域の改善に向け、特に重点的、集中的に改善を図るべき地区において、平成三十二年度までに期間を限定して、従来よりも踏み込んだ取り組みを行っているのが不燃化特区制度であります。この制度を導入した地区は、導入前に比べ、老朽建築物の除却や建てかえが増進しています。
 そこで、不燃化特区の取り組みについて、これまでの経緯と、平成二十七年度の成果についてお伺いいたします。

○山下防災都市づくり担当部長 不燃化特区は、五年前の東日本大震災を契機に木密地域の改善を一段と加速させるため、平成二十五年度から取り組みを開始しており、現在、五十三地区を区の提案に基づき指定してございます。
 特区では、再開発などの不燃化に効果の高いコア事業を設定するとともに、平成三十二年度までの重点的、集中的な特別の支援として、戸建て住宅への建てかえ助成や固定資産税の優遇措置などを実施してございます。
 平成二十七年度において、コア事業については、豊島区東池袋など九地区で再開発等の面整備が、また、葛飾区四ツ木、東立石など十六地区で、生活道路整備が進められております。
 さらに、建てかえ及び除却の助成件数は、平成二十五年度の十七件、二十六年度の百八十七件から、二十七年度は五百三件と飛躍的に増加しております。

○舟坂委員 年々、不燃化特区における建てかえや除却などの取り組みが進んでいることがわかりました。
 しかし、木密地域を燃えないまちにするという目標に向けては、建てかえの一層の促進を図っていく必要があると思います。
 そこで、建てかえの一層の促進を図るため、不燃化特区だけではなく、整備地域においても、都はどのような課題が見えて、どのように取り組んでいるかをお伺いいたします。

○山下防災都市づくり担当部長 不燃化特区では、建てかえに向けた住民への働きかけを行うため、都は、区が実施する全戸訪問に対して支援を行っており、平成二十六年度は約九千戸、二十七年度は約一万五千戸と、訪問戸数の実績を年々伸ばしております。
 この全戸訪問につきましては、一回の訪問では住民の理解が進まないという声が区から寄せられ、今年度から一戸当たり三回まで支援できるように拡充し、きめ細やかな対応をできるようにいたしました。
 さらに、特区のみならず、整備地域全体においても不燃化を加速させるため、今年度から一歩踏み出し、防災生活道路整備事業として、区の狭隘道路の拡幅整備を支援するとともに、沿道建築物の不燃化を進めるための助成制度を創設いたしました。
 今後とも、現場の声に耳を傾け、さまざまな事業や制度を工夫しながら、木密地域の改善に全力で取り組んでまいります。

○舟坂委員 そこに暮らす住民の皆様からすれば、地域の防災性向上のためとはいえ、住みなれた家を建てかえることは、資金的にも、労力的にも大変な負担であります。
 しかし、ぜひとも、整備地域全体で不燃化が確実に進むよう、区と連携して頑張ってもらいたいと思います。
 私のところに、地元葛飾区の区民からいろいろな声が届いており、こうした意見を勘案すると、やはり一番親身になって考えてくれるのは、区の職員だと思います。今後も区が中心となって整備地域の不燃化を進めてもらいたいのですが、どの区も不燃化特区内の建てかえ促進の対応で手いっぱいであります。
 これは、マンパワーの限界もあり、やむを得ない部分ではありますが、都はしっかりと各区を支援し、引き続き、住民への親切な対応を心がけ、整備地域全体の不燃化に勇敢に取り組んでいただくことをお願いして、質問を終わります。

○伊藤委員 私からは、都営住宅に関連して何点か質問をさせていただきます。
 まず、都営住宅における東日本大震災の被災者支援について質問をいたします。
 先日の新聞に、原発事故避難者の住宅の提供継続を求める二十万人の署名が、衆参両院議長宛てに提出されるとの記事が掲載をされておりました。原発事故による避難指示区域が徐々にではありますけれども、解除されつつあり、また、避難指示区域外からの自主避難者の方々への応急仮設住宅の提供は、来年の三月で切れるという状況になっております。
 昨年三月七日、私たち公明党は、公明党復興加速化決議、新しい東北へを宣言いたしました。その中で、被災地の社会インフラが確実に復旧しつつあることや、全国の仮設住宅には、八万人の被災者が暮らしていることを指摘し、生活再建を目指す被災者を支えるために、住まいの確保等の支援策をさらに拡充する決意を改めて行ったところでございます。
 三・一一、東日本大震災発生以降、都は、全局を挙げて支援を行ってきました。その中でも、都市整備局では、被災地への応急危険度判定員の派遣など、技術的支援のほか、都に避難されてきた方々への支援も行っております。
 震災発災直後、我が党からは、被災地支援及び避難者、都民への生活支援に関する緊急申し入れを行いましたけれども、都は非常に早く対応していただいたと感じております。
 私の地元の品川区の都民住宅にも、南相馬から避難された方がいらっしゃいましたけれども、避難された当時は、本当に着のみ着のままで、お子様は、その後、都立高校に編入をされましたけれども、学生服もない状況でありました。私も制服を寄附してくださる方を探したり、衣類や食器などを集めたり、支援に奔走をいたしました。
 こうした避難者の方の受け入れに当たり、都では、冷蔵庫やテレビなどの生活に必要なものをしっかりと用意した状態で、都営住宅等に受け入れを行いました。そのときの、都の迅速で、かつ避難者に寄り添った対応に、避難者の方々は、先ほど私が申し上げた方もそうでしたけれども、本当に感謝しておりました。
 このように、都では、震災発災当初から、積極的な支援を行ってきたわけでありますけれども、平成二十七年度においては、都営住宅等で、どのような被災者支援の取り組みを行ったのか、伺いたいと思います。

○八嶋経営改革担当部長 平成二十七年度も引き続き、福島県などの被災県からの要請に基づき、東日本大震災の被災者約千二百世帯に対して、都営住宅や国家公務員宿舎等の応急仮設住宅を提供しております。
 都営住宅の入居を希望する方に対しましては、都営住宅の一般募集において、平成二十七年五月募集から特例措置を実施しております。具体的には、福島県の避難指示区域からの避難者につきましては、同居親族要件及び収入基準を緩和してございます。
 避難指示区域以外からの福島県の避難者につきましては、子ども被災者支援法に基づく国の通知を踏まえ、世帯の一部が都内に避難している場合に、収入を二分の一として扱うなどの特例措置を実施しているところでございます。
 また、都独自の支援策といたしまして、宮城県や岩手県を含め、都営住宅が通常よりも五倍当選しやすくなる優遇措置を実施しております。

○伊藤委員 福島県は、県外に避難する方の住宅確保のため、昨年の十月二十九日、避難者を受け入れている都道府県に対して、公営住宅等の確保を要請いたしました。
 これを受けて、都では独自の支援策として、ことし三百戸の専用枠の公募を行っておりますけれども、対象者を、ひとり親世帯や、あるいは高齢者世帯などとしておりまして、公営住宅の入居資格を有する方全てではないわけであります。なぜこの仕組みにしたのか、まず考え方を伺います。
 また、現在の住戸に、そのまま住み続けたいという声もあります。都営住宅の専用枠で、抽せんの結果、現在お住まいの団地があっせんされた方については、できるだけ同じ団地の中で引っ越しをしなくても済むよう、つまり、同じ住戸に住み続けることができるようにするなど、継続居住に配慮すべきと考えますけれども、あわせて見解を伺いたいと思います。

○八嶋経営改革担当部長 避難指示区域外からの避難者への応急仮設住宅の無償提供終了に当たりましては、福島県は県への帰還を基本としながら、避難者の方々の意向を尊重し、県外での生活を希望する低所得の避難者に対しての住宅支援といたしまして、復興庁の交付金を財源に、民間賃貸住宅の家賃への支援を行っております。
 避難者のうち、ひとり親世帯、高齢者世帯、心身障害者世帯等は、民間賃貸住宅への入居制限を受けやすく、自力で新たな住まいを確保することが困難な可能性があるため、都として、特に住宅確保の配慮をすべき人と考え、支援を行うこととしたものでございます。
 委員お話しの生活実態などを踏まえながら、今後とも、避難者への住宅支援に丁寧に取り組んでまいります。

○伊藤委員 福島県外での生活を希望する低所得の避難者については、国からの支援で、福島県は民間賃貸住宅の家賃を支援すると。そして、民間賃貸住宅への入居制限が受けやすい、ひとり親世帯、高齢者世帯、障害者世帯については、都として配慮をしていくという答弁でありました。
 基本的には福島県の支援が基本でありますけれども、都営住宅の人気が高くて、ことしの五月募集でも、二十七・九倍と、非常に高く、多くの都民の方が、都営住宅を求めていることを考えると、全ての避難者の方に都営住宅を提供できないこともやむを得ないかなというふうには思います。
 しかしながら、やはり避難者の負担をなるべく軽くしていくことが重要であるというふうに思います。私は、継続居住の実現について、強く要望しておきたいと思います。
 次に、都営住宅の浴槽、お風呂の設置について質問をいたします。
 ことしの八月の二十九日、都議会公明党は、東京都住宅供給公社の理事長に対し、公社住宅について、自己負担分の浴槽、給湯設備の更新を公社負担とするように要望を行いました。理事長からは、要望を踏まえて早速着手していきたいとの回答がありまして、公社は、取り組みを開始いたしました。
 一方で、時を同じくして、都営住宅に対しても、私の地元の北品川アパートの自治会から、バスタブ、風呂給湯器の交換についての要望書が私に託され、私は都市整備局へ提出をさせていただきました。そこには、居住者の方々の切実な願いが、その要望書の中にはあらわれておりました。そこでまず、都営住宅における浴槽、風呂釜等の設置状況について伺いたいと思います。

○永島都営住宅経営部長営繕担当部長兼務 平成二十七年度末時点におきまして、都営住宅に、都が浴槽、風呂釜等を設置した住戸数は約十七万八千戸でございます。浴槽、風呂釜等を設置していない住戸数は約七万七千戸でございます。

○伊藤委員 先ほども申し上げましたけれども、私が要請を託されまして提出をいたしましたけれども、その住宅の方々、また、ほかの住宅の方々からも、都営住宅には、都が浴槽等を設置している住戸と、設置していない住戸があると聞いております。これまでの都の浴槽設置の取り組みについて伺いたいと思います。

○永島都営住宅経営部長営繕担当部長兼務 二十六万戸にも及ぶ都営住宅を適切に維持更新する観点に立ち、時代に応じた手法を選択し、計画的かつ効率的に浴槽設置の取り組みを進めてまいりました。
 昭和五十七年度以降に建設を行った都営住宅につきましては、浴槽等の設置を整備してまいりました。昭和五十六年度以前の住宅には、建設当初は浴槽等を設置しておりませんが、それらに対しては、居住者が住みながら浴室等を増築する住宅改善事業を実施し、さらに、平成十年度からは、既存住宅の内装を全て撤去し、抜本的に間取りの変更、設備の更新を行い、新築とほぼ同水準に改善するスーパーリフォーム事業を開始し、浴槽等の整備を進めてまいりました。平成二十年度からは、居住者退去後の空き家補修時において、都の負担で浴室等を設置しております。
 現在の具体的な取り組みといたしましては、昭和四十年代までに設置した住棟を対象に、毎年約三千八百戸建てかえを行っておりまして、その際、浴槽設置に加え、浴室、洗面、台所の三点への給湯が行える設備や、バリアフリー化されたまたぎの低い浴槽を整備しております。また、空き家となった住戸に対しましては、年間平均して二千二百戸程度、浴槽等を設置しております。

○伊藤委員 これまで、都が建てかえ、またスーパーリフォーム、住宅改善事業、そして、空き家補修などによって、浴槽等の設置を着実に推進をしてきたということはわかりましたし、また引き続いて、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。
 一方、公社住宅では、先ほども述べましたように、ことしの十二月から、居住者の希望によって、家賃を増額することを条件に、公社が浴槽等を設置していない住戸に対して設置することというふうになったわけであります。公社住宅については昭和三十年代までが建てかえの対象となるなど、都営住宅と状況が異なることは理解をしておりますけれども、都営住宅の中にも、建てかえまでに時間を要する住棟が少なからず存在すると思われます。先ほどの、私の地元の北品川の都営住宅も、その一例であります。
 つまり、都がこれまで行ってきた制度、このちょうどはざまに置かれてしまう、そうした住棟への支援についても、今後、しっかりと検討していただくことを強く要望をして質問を終わりたいと思います。

○山崎委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十七分休憩

   午後三時五分開議

○舟坂副委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○白石委員 都営住宅の営繕にかかわり、幾つか質問をいたします。
 公営住宅法では、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸し、または転貸することにより、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的とするとされております。当然、健康で文化的な生活を営める住環境を供給するとともに、改善していくことが求められます。
 現在、都営住宅の入居者のうち、六十五歳を超えた世帯の割合は約六四%であり、高齢化が一層進んでおります。このことからも、高齢化にも対応した住環境の改善は急務の課題となっております。
 初めに、二〇一五年度の都営住宅の営繕にかかわる予算規模と執行率を伺いたいと思います。

○永島都営住宅経営部長営繕担当部長兼務 平成二十七年度の営繕事業費の予算現額は約四百三十四億円、決算額は約四百二十七億円、執行率は約九八%でございます。

○白石委員 住環境の改善において特に焦点を当てたいというのは、一九八二年以前に都営住宅に入居された方については、浴槽、風呂釜など浴槽設備が古くなっても、自己負担で取りかえなくてはいけないという問題です。この問題について、我が党は知事に申し入れを行うなど早急な改善を強く求めてまいりました。
 そこで、都営住宅において、都が浴槽、風呂釜などの設備を整備しておらず、入居者が浴槽などを個人で設置している住戸数を伺いたいと思います。

○永島都営住宅経営部長営繕担当部長兼務 平成二十七年度末時点において、都営住宅に都が浴槽、風呂釜等を設置していない住戸数は、約七万七千戸でございます。

○白石委員 つまり、都営住宅の管理戸数のうち、三割もの住宅が自己負担で浴槽設備を取りかえなければいけないということになります。公共住宅においてこれだけの風呂なし住宅を供給している実態は、早急に改善を図らなければなりません。
 そこで、浴槽、風呂釜なしのこうした住宅が存在することについて、都はどのような問題意識を持っているのか、伺いたいと思います。

○永島都営住宅経営部長営繕担当部長兼務 都は、二十六万戸にも及ぶ都営住宅を適切に維持更新する観点に立ち、時代に応じた手法を選択し、計画的かつ効率的に建てかえや改善を進めることで、住宅設備の向上を図ってまいりました。
 民間賃貸住宅でも、現在、浴槽などは一般的な附属設備となってきたことも踏まえ、都営住宅におきましても、引き続き、浴槽等がない住戸に対し整備の取り組みを進めております。
 具体的な取り組みとしては、昭和四十年代までに建設した住棟を対象に、毎年約三千八百戸建てかえを行い、その際、浴槽設置に加え、浴室、洗面、台所の三点への給湯を行える設備や、バリアフリー化されたまたぎの低い浴槽を整備しております。
 また、空き家となった住戸に対し、年間、平均して二千二百戸程度、浴槽等を設置しております。

○白石委員 現に浴槽、風呂釜を自分で取りかえなくてはならない住宅について、問題に思わないのですかと、このように伺いました。しかし、はっきりとなかなか答えられないということなんですね。浴槽等は一般的な住宅設備であることはお認めになったというふうにもかかわらず、都営住宅では一般的設備を擁していないという住戸を管理しているということになります。
 ここで指摘しておきたいのは、浴槽、風呂釜のない住戸が公共住宅にあることは、単に一般的な設備がないということにとどまらないということです。
 第一に指摘したいのは、住宅の最低居住面積水準という問題です。
 国は、ことし三月に閣議決定をした住生活基本計画において、この最低居住面積水準の早期解消を定めております。この水準とは、健康で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な住宅の水準を設けたものであって、この水準を満たしていない住宅を早期に解消することを国は目標というふうにしております。
 この最低居住面積水準を満たす条件として、浴槽設備の設置は前提とされているのか、国交省に問い合わせました。当然、浴槽設備が設置されていることが大前提だと、このような回答をいただきました。
 この角度から現在の都営住宅を見ると、実に都営住宅全体の約三割が最低居住面積水準が満たされていないということになります。都は、浴槽、風呂釜のない都営住宅は最低居住面積水準を満たしていないということです。それを都の責任で解消すべきと認識しているのかということを、しっかりと私も指摘をしたいというふうに思います。
 そこで、二〇〇二年に策定した住宅マスタープランでは、二〇一〇年までに最低居住面積水準に満たない住宅をほぼ解消すると、このように書いてあります。これは都が策定したプランです。ところが、二〇一五年度末でも都営住宅では三割が満たしていないという状況です。住宅マスタープランは都の住宅の公約ともいうべきものです。これでは公約違反ということになるというふうに強く指摘したいと思います。
 建てかえや改修は遅々として現在進んでいないというのが状況です。これをどのように解消するのか伺いたいと思います。

○永島都営住宅経営部長営繕担当部長兼務 都は、二十六万戸にも及ぶ都営住宅を適切に維持更新する観点に立ち、時代に応じた手法を選択し、計画的かつ効率的に建てかえや改善を進めることで、住宅設備の向上を図ってまいりました。
 引き続き、老朽化している都営住宅を計画的に建てかえることで、浴室を含む設備機器の更新とエレベーターの設置を進めるとともに、空き家補修時の浴槽設置など、さまざまな手法で住宅設備の向上やバリアフリー化に取り組んでまいります。
   〔舟坂副委員長退席、委員長着席〕

○白石委員 まず今の答弁、従来どおりの対応しかとらないという姿勢なんですね。都がみずから掲げている目標を放棄する宣言と指摘されても、反論の余地はありません。都の姿勢が厳しく問われていると、このように強く指摘したいというふうに思います。
 この浴槽、風呂釜がないという住宅というのは、どういう住宅なのかということもいろいろお聞きしました、私も。風呂釜や浴槽なしという住宅は一般的にどうかというところで、住宅を建築するときに、浴室がどのように定められているのかというのを住宅金融支援機構に伺いました。
 住宅金融支援機構が取り組む住宅ローン、フラット35が適用されるには、浴室がなければ住宅として認められないので、ローンを組むことができませんと、このように回答いただきました。たとえ床にタイルが張られて、ガス管や水道管も配置されて、ここは浴室だといい張っても、浴槽と風呂釜がなければ浴室とは認められないということを確認もいたしました。
 念のため、建築基準法に基づいて建築確認や検査を行う民間の指定機関である都市居住評価センターにも伺いました。建築確認の検査をする際に、浴槽、風呂釜などの設備がないものを住宅として許可されるのかと、このように問い合わせました。そうしたところ、共同住宅において、浴槽、キッチン、トイレの三点セットがないと、基本的には建築確認はおりませんと、このように回答も得ました。
 以上のことからもわかるように、現在では、浴槽設備が設置されていないという住宅は、基本的に住宅として認められておりません。しかも、国は、最低居住面積水準を満たさない住宅は早期に解消していくというのも、本年、閣議決定もされております。
 そういうところから、ほかの取り組み、見ていきたいと思います。同様の問題は公社住宅も抱えておりました。ことし十二月から、浴槽設備がない住宅約二万五千戸を解消するために、居住しながらでも、公社の責任で浴槽、風呂釜の設置更新を行う方針へと転換をいたしました。
 そこで伺いたいというふうに思いますが、公社住宅において、これまで浴槽、風呂釜などを個人で設置した住宅は自己負担による更新でしたが、これからは公社の負担で行うと、このようにした理由を伺いたいと思います。

○桜井住宅政策推進部長 公社住宅の空き家補修や建てかえにおきましては、既に浴槽給湯設備を設置してきております。また公社は、浴槽給湯設備が民間賃貸住宅の一般的な附属設備となっているとしております。
 これらを踏まえまして、居住の安定確保、居住ニーズへの対応の観点から、適切な家賃負担のもと、個人で浴槽等を設置した住宅につきましても、公社が浴槽給湯設備を設置することといたしたものでございます。

○白石委員 今ご答弁されたとおり、民間賃貸住宅では一般的になっているからということです。
 しかも、私も公社評議員をやっていますので、この公社評議員会で私も質問いたしたところ、公社は、先ほどいわれたとおり、一般的だからという理由だけではありません。居住の安定確保、居住ニーズへの対応の観点から公社の責任で設置すると、このように答えております。
 この居住の安定という角度から、二つ目に重要だというふうに思うのは、公社住宅の居住者で自己負担によって浴槽などを更新している方に直接お話を伺いました。
 八十代の方は、貯蓄を切り崩して浴槽、風呂釜の設置費用に五十二万円をかけて取りつけたと、このようなことでした。別の方は、給湯設備とそれに関連する配管の交換だけでしたが、四十万円の費用を要したということです。さらに別の方は、更新費用の負担が大変なので、お風呂そのものをなくしてしまい、歩いて十分以上かかる銭湯に通っているという方もいらっしゃいました。大変な負担だというのは、この実態からもよくわかると思います。
 公社住宅の居住者でも耐え切れないと切実に訴えているのにもかかわらず、低所得者である都営住宅の入居者の方に、数十万円という多額の費用を自己負担で浴槽設備の更新をさせているということを都はどのように受けとめているのか、伺いたいと思います。

○永島都営住宅経営部長営繕担当部長兼務 最低居住面積水準の件でございますけれども、先に申し上げますが、最低居住面積水準は、世帯人数に応じて必要な住宅の面積に関する基準でございまして、浴室は、その面積を構成する一部として必要な住宅の性能として示されてございます。浴室の中にあらかじめ浴槽が設置されていたかどうかにつきましては、特に条件としては示されておらないところでございます。
 また、先ほどの支援機構の話でございますけれども、フラット35につきましては、自己所有の住宅のことでございまして、賃貸住宅に関してはまた別の基準がございます。
 また、ただいまのお尋ねでございますけれども、都営住宅の設備に関しましては、やはり住宅の設備は日進月歩で新しいものが開発されておりまして、二十六万戸にも及ぶ都営住宅の改修におきましては、こうした設備の更新について、計画的かつ効果的に対応していくことが重要でございます。
 都といたしましては、今後とも取り組んでまいります。

○白石委員 今いろいろおっしゃいました。今私が聞いたのは、まずは都はどのように受けとめているのかと、こういう実態をですね。
 これまでもいろんな質疑等をしますが、都営住宅に居住されている方というのは、真に困窮をした方を入居させているんだと、このように毎回答弁をされております。しかし、この真に困窮された方々が、実際は数十万円という多額の自己負担によって浴槽、風呂釜を設置しなければいけない、更新しなければいけないというふうなことに今陥っているという状況なんですね。
 しかも、東京都は住宅マスタープランにおいて、二〇二〇年までにやっていきますと、何とか解消していきたいと、このようにいっておりますが、最低居住面積水準で、先ほどいろいろおっしゃられましたけれども、浴槽というのは当たり前なんですよ、今。
 こういうふうな状況の中で、この最低居住面積水準を満たさないものは解消していこうというのが都の姿勢なわけです。そういった点で、それだけの目標を持っているにもかかわらず、東京都が実際都営住宅においては、建てかえや、そして空き家補修のところでやっていきますよというふうな状況になっていると。
 しかも、この状況というのは、じゃあ、これからどれぐらいで解消できるのかというふうなめどがあるということなんですか。お答えいただきたいと思います。

○永島都営住宅経営部長営繕担当部長兼務 現在、建てかえにおきましては、毎年約三千八百戸行っているところでございます。また、今後四千戸まで建てかえを拡大することとしております。また、空き家となった住戸に対しまして、年間平均して二千二百戸程度浴槽等を設置しております。着実に推進してまいります。

○白石委員 着実にと強調されますが、実際に、これまで九年間かけてやってきて、これから七万七千戸と。で、三千八百戸、いろんな空き家もやっていくというふうなことですけれども、じゃあ一体どのぐらいの目標を立ててこれから解消していくのかというところで、はっきりとお答えにならないということなんですね。
 ここのところで、私、もう一つ指摘をしたいのがあるんです。
 一つは、住み続けている方は自分で取りつけないといけないと、これは今指摘してきました。そういう中で、低所得者なのに、新しく入った人はつけてもらえるということなんです。住み続ける人は資金も負担、そして事務も負担、余りにも不公平だと、このように思わないのかということです。
 このことは、私がいっているだけじゃないんです。包括外部監査の精神に照らしても問題だというふうに思います。この包括外部監査というふうなのが、平成十九年ですかね、実際東京都に指摘をしております。
 これはどのような指摘をしているのかといいますと、入居者に浴槽を整備、所得の低い都民を対象とし、高齢者、障害者に対するセーフティーネットの機能を目指す都営住宅事業の本質に照らして問題があると、このように指摘をされております。そのことにより、この指摘から、風呂釜、浴槽のない都営住宅は、二〇〇八年度から、空き室になったときに都の責任と負担で設置をされるというふうな経過があります。こういうふうな点から見ても、包括外部監査の精神に照らしても問題だというふうに思うんです。
 包括外部監査の指摘から十年が現在経過をしようとしております。ガス、風呂釜は、日本の標準規格とされるJIS規格で耐用年数が十年と、このようにされております。多くの方が風呂釜の更新期に、例えば十年たっていれば入ってくるということです。
 ところが、この十年でも、六十五歳以上の世帯主の方が一割近く都営住宅ではふえております。費用もそうですし、交換を自分でお願いするのも大変な負担だということなんです。耐用年数を超過すれば、経年劣化により発火やけがなど重大事故に至るおそれがあるということも、この資料によりますと指摘をされております。例えば十三年間、ガス、風呂釜を使用している方にお話を伺ったところ、突然お湯が出なくなり、水が出ることがふえたと、このように話します。
 低所得者が数十万円も負担しなければ更新できないと、このようになれば、危険を承知していても仕方なく使用し続けるということは容易に想定ができます。仮にそのことが原因で火災などに発展すれば、住棟全体の入居者の命にかかわる重大問題ともなりかねません。都営住宅の安全性という観点からも、早急に改善する具体的な処置が求められると強く指摘したいというふうに思います。
 一刻も早い公社住宅並みの対応が必要だというふうに思います。少なくとも、今のこの状況をどのようにして改善していくのかということの検討に入るというふうなことが必要だと思います。
 都営住宅の営繕費の抜本的引き上げも含めて、しっかりとこの問題に向き合って、浴槽、風呂釜を自己負担で設置している方に直接的に、公社と同じように東京都が負担をして、責任を持って取りかえていくというふうな一歩を踏み出すということを強く求めて、質問を終わりたいと思います。

○斉藤委員 それでは、私の方からは大きく二つのテーマで伺います。
 最初は、サービスつき高齢者向け住宅について伺います。
 これについては、二十七年度の予算のときにも少し触れさせていただいたんですけれども、サービスつき高齢者向け住宅については、平成二十三年に高齢者住まい法が改正され、サービスつき高齢者向け住宅の登録制度が創設されましたが、その後、登録戸数については順調にふえているようであります。
 東京都において、平成二十七年度のサービスつき高齢者向け住宅の登録戸数は幾つでしょうか。また、これまでの登録戸数と目標数との差についてはどのようになっているか、伺います。

○木村民間住宅施策推進担当部長 平成二十七年度のサービスつき高齢者向け住宅の登録戸数は千五百四十八戸、平成二十七年度末時点での登録戸数は一万千二百二十九戸でございます。
 また、サービスつき高齢者向け住宅などの高齢者向け賃貸住宅の整備目標は、平成三十七年度までに二万八千戸でございます。平成二十七年度までの整備戸数が一万七千五百二十八戸となってございますことから、今後十年間で約一万戸の整備が必要でございます。

○斉藤委員 今後十年間という長いスパンでありますが、それで約一万戸ですから、そんなに実現が難しいというふうな感じでなく、少なくとも今のところは順調に進んでいるというふうにいっていいかと思います。
 気になるところ、一般に利用する側の方の気になるところでもあると思うんですが、都内のサービスつき高齢者住宅、毎月の家賃について、もし把握をしているのであれば、その金額について伺います。

○木村民間住宅施策推進担当部長 都内のサービスつき高齢者向け住宅の平成二十七年度末時点の月額家賃の平均は、約十万二千円でございます。

○斉藤委員 十万二千円、都内平均ですので、多少、多摩地域に近いとか、区部の方でも比較的家賃が高いところと、少しばらつきは、もともとはあると思うんですが、それでも平均が約月十万二千円というのは、それほど高過ぎるというふうな印象を受けないかなと思います。その点では、サービスつき高齢者住宅、どのぐらいの家賃設定になるかというのは、制度スタートのときに、大変私も気にしていたところだったんですが、比較的家賃としてはいい落ちつき方をしているのかなというふうに、個人的には思っております。
 このサービスつき高齢者向け住宅についてもうちょっと伺うんですが、平成二十五年度に公益社団法人全国有料老人ホーム協会が、全国のサービスつき高齢者向け住宅に対して、さまざまな項目から調査を行って公表しております。
 その報告書を参考に伺うんですけれども、全国的には九割以上の入居率を誇るサービスつき高齢者向け住宅が四七・二%もあるということです。つまり、五割弱が比較的満室に近くなっているよというふうにいっているということですね。そういう意味では、それなりに好評を得ているというふうにいっていいかと思います。
 可能な範囲で、わかればで結構なんですが、都内の同住宅の入居率についてはいかがでしょうか。
 また、この入居率が高いということは、それだけ入居者にとって満足度が高いということはいえるんじゃないかと思うんですけれども、居住環境に対して、つまり、もともとこのサービスつき高齢者住宅というもの、その概念自体が、居住環境についての条件設定をしてこの住宅をふやしていったという経緯がございます。この最初の設定については、比較的高齢者の需要というものがちゃんとあった、つまり、高齢者の需要にこの設定が合致していたというふうにいえるんじゃないかと思います。
 そうであれば、補助を行うなどのサービスつき高齢者向け住宅の供給を促進する立場にある東京都が目指した形で整備が進んでいるというふうにいってよいのではないかと思うんですが、所見を伺います。

○木村民間住宅施策推進担当部長 都内のサービスつき高齢者向け住宅の平成二十七年十月時点の入居率は、約八二%となっております。
 都といたしましては、多様なニーズを持つ高齢者が安全・安心に暮らせる住まいの選択肢の一つとして、サービスつき高齢者向け住宅の供給の促進に取り組んでまいりました。
 サービスつき高齢者向け住宅等の平成三十七年度までの整備目標は二万八千戸でございますが、平成二十七年度までの実績が一万七千五百二十八戸でございまして、目標の六二%まで整備が進んでいるところでございます。

○斉藤委員 八二%の入居率は、まずまずいいんではないかなというふうに思います。
 そういう意味では、高齢者の方の施設というと、もう少しレベルが高くなるんですけれども、住宅というと、余りサービスをやり過ぎるというふうなこともまた、コスト面からいってなかなか難しいと思うんですが、ちょうどその中間のところを狙ったという点で新しい制度だったわけですけれども、比較的、少なくとも都内、全国的にもそうですが、都内においても、うまく高齢者の方の需要とか、それまでの住宅のタイプで足りなかった部分をカバーできているというふうなことがいえるんじゃないかなと思います。
 そういう点では、非常に東京都も推進して、恐らくほっとしているところじゃないかなというふうに思うんですけれども、もう一点伺うんですが、全国的には、運営主体というものを見ると、サービスつき高齢者住宅については、不動産会社とか住宅とか建築系の会社の方の運営も、なくはないんですが、実際僕らなんかは、そういうところが参入をするということは、かなり想定をしていたんですが、実際にやっていく中で、現在の方の調査なんかを見てみると、結果的には介護事業者が運営している場合が多いんですね。
 住宅といいつつも、結果的には、具体的な入居者の生活支援サービス、これが充実しているというふうな実感を持ってもらうことによって、安定的な入居や運営になっているというふうに推察されるんですね。
 東京二十三区における入居者の要介護認定比率、つまり東京二十三区にあるサービスつき高齢者向け住宅が、どのくらい要介護、介護が必要な人が入っているかという話なんですが、要介護認定をされている入居者の比率というのが五七・三%というふうになっております。つまり半分以上の人が要介護認定を受けているような、介護が必要な人が入居されているということです。
 そのうち、入居者全体の中で、要介護度としては一番軽い要介護度一の人が一一・九%、要介護度二の人が一一・六%と、ほぼ同じ。そして、要介護度三も、ちょっと減りますが九・四%、一割ぐらいが要介護度三の人が入っているということです。これは多分、最初の設定よりもちょっと重い感じがしております。思ったより介護度が重い人が入っているなと。
 また、さらにその上の要介護度三から五の入居者というのは、要介護度三、四、五という、全体から見れば重い介護度の人、重い介護度の入居者が、自分のところの建物の全体の五割以上いる。五割以上の人が重い人だというふうに答えた二十三区内の住宅というのは二五%、四棟に一棟は、うちの入っている入居者の人は半分ぐらいは介護度が割と高くて、重い人だよというふうなことをいっているんです。
 もともとの設定の中では、比較的、本当に重い人と自立できる人の中間ぐらいの部分を狙ったコンセプトだったと私は思うんですけれども、決して実際には軽度の人たちが住んでいるという調査結果の印象ではなかったという感じです。
 このようなことからも、この住宅においてサービスをする職員の能力、もちろんべったりサービスしているわけじゃないんですけれども、それでもサポートする職員の能力ですね、つまりソフト面での評価というものが、この住宅の評価につながっているということは、運営会社の比率を見てもわかるわけです。
 そうすると同時に、今後はさらに重度の入居者がふえていくだろうというふうに、これは都内全体の施設というものに関しての傾向でもあるんですけれども、今後さらに重度の入居者がふえるだろうと想定されます。
 こうしたことを踏まえながら、ソフト面が充実したサービスつき高齢者向け住宅というものを供給していく、供給を促進していくべきと考えるんですが、東京都の取り組み状況について、最後に確認をしたいと思います。

○木村民間住宅施策推進担当部長 サービスつき高齢者向け住宅の供給促進に当たりましては、緊急時の対応や安否確認、生活支援サービス等に加えまして、高齢者の多様なニーズに応じ、医療や介護のサービスも受けられることが重要でございます。
 都では、医療機関や介護事業所の併設、またはこうした機関との連携により、医療や介護のサービスを受けられる住宅につきまして、整備費の補助を行いまして供給を促進しております。
 今後も引き続き、福祉保健局と連携いたしまして、高齢者が安全・安心に暮らせる住まいの確保に取り組んでまいります。

○斉藤委員 サービスつき高齢者向け住宅ですが、都市整備局が単独でやっているんじゃなくて、福祉保健局と連携をしているということです。実際にこの住宅がうまくいっているかいっていないか、恐らく入居率でそれがわかるものでしょうし、つくった側としては、地域の地主さんとかオーナーさんとかから見れば、やはり埋まってくれれば、それは非常に万々歳という話であります。そのときに、いわゆる建物が何とかではなくて、ちょっとなかなかぱっと見ではわからないけど、介護の部分のサポートが適度に受けられるというふうなことがわかることによって、より満室になっていくという傾向があるだろうというのが、今のところのデータなんかを見るとよくわかるということですね。
 ですので、都市整備局としては、サービス、ソフト面についても非常に重視をして、その部分を福祉保健局と上手に連携しながら、これから始めようと、もしくは自分の今持っているアパートがあるけれども、それをリニューアルをして、新たにお客さんを呼び込もうというふうに大変興味を持っている方、こういった方に、あと十年間この促進をしていくということであれば、特にサービスの部分について明確に都市整備局がサポートしてあげる。それでもって福祉保健局の方につなげていくというふうなことを忘れずにやっていくことが必要であるというふうに思いますので、ぜひそこは努力をしていただければというふうに思っております。
 さてもう一点でございまして、それでは二点目でございます。
 去年、平成二十七年度に行った都市整備局の方の事業の中で、第四次都市計画道路、優先整備路線決定についてがございます。この計画をつくったのが、二十八年の三月末に発表されておりますので、その前の二十七年度中にこの計画をつくっているわけでございます。
 ちょっと気になる路線の話を例に挙げながら伺うんですけれども、東京都道一一二号線、小金井三・四・一号線を優先整備路線に含めた経緯を踏まえながら伺います。
 この場所、私、生まれが小金井市のものですから、もう四十年以上前からこの地域を知っているものですから、そういう意味で大変気になっております。
 特に、どこの地区、どこの市でも、または区でも、歴史的な事情から市全体に知られている場所というのはあると思います。神社だったり、もしくは何か丘だったり、峠だったり、その地域の人たちだけじゃなくて市全体に、あそこはああいうところというふうに歴史的に知られているところがあるんですが、実はこの路線が通っているところというのは小金井市の、中央線を挟んで南北にほぼ分かれている小金井市なんですが、中央線を挟んで南側のところの地域の人にとっては、大変歴史的な場所でございまして、北側の私が住んでいる端っこの方までこの話が漏れ聞こえてくるぐらい、割と知られている地域です。このところにちょうど重なっているんですね。ですので、非常に前から知っているというふうになっておりまして、気になっております。
 この路線についてのことをちょっと気にしながら質問するんですけれども、小金井三・四・一号線の南側については、東京都自身が野川の自然再生を主眼に自然再生事業というものを、平成二十五年度ぐらいまで過去実施しており、計画などについてもホームページ上に出ておりますが、野川第二調節池という計画地区が広がっております。
 自然環境への影響についての議論は恐らくこれからなんだと思うんですけれども、今後、その結果も踏まえて道路建設について考えていくというふうなことになっていくんだと思いますが、第四次事業化計画を策定時の野川の計画との兼ね合いをどの程度考えたのか、所見を伺いたいと思います。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 小金井三・四・一号線は、東側で三鷹市内の連雀通りと接続し、西側は国分寺市に至る東西の主要な路線であることから、第四次事業化計画におきまして、今後十年間に優先的に整備を行う路線に選定しております。
 本路線の南側では、既に整備されていた調節池を中心として、お話にありましたとおり、かつて存在した水のある豊かな自然環境を再生することを理念とし、野川第一・第二調節池地区自然再生事業が実施されております。
 こうしたことを踏まえまして、小金井三・四・一号線につきましては、事業段階において、周辺の自然環境などに配慮し、整備形態等について適切に対応していくことを前提に、優先整備路線として選定しております。

○斉藤委員 ちょっと私としては、東京都が、局が違えど、すぐ隣で別の事業をやっているという部分の兼ね合いというのは、大変気になったところでございます。
 特に自然環境という話になってくると、地図上を見てかぶっていないから、絶対に影響がないというふうなことがいえないのがまた自然環境でございますので、その部分について、恐らく選定をする際に、対象になるような道路を全部それぞれ見ていったんだと思います。どうしてもそうやってたくさん見ると、そんなに深掘りはできないだろうというふうに思っています。
 ですので、実際に選定された後に、しっかり深掘りをしていくということも当然あるだろうと私は思っています。そのときに、自然環境からしたら、絶対これは影響ないというふうにいうのはなかなか大変なのはありますので、そこはしっかり研究をしていただきたいというふうに思っております。
 そのことを踏まえて、ちょっともう一点伺うんですけれども、平成二十七年度の中では、同様に計画の選定も視野に入れてパブリックコメントを行っております。これについては、全体の計画についての意見ももらうんですが、個別計画についても、つまり個別の路線についても意見を集めております。トータルで三千四百四十三件ありますが、このうち、小金井三・四・一号線という道路については千八十一件と、三分の一弱がこの道路に対する意見だったということであります。もちろん、見直しとか、そういう意見が多かったということも付与しておきますけれども、課題が多い道路というのは意見がたくさん集まるのは、これは自明の理だと思います。
 そこで、パブリックコメントを受領した意見に対して、一体どのような展開をその後持つものだというふうにしているのか、伺います。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 パブリックコメントは、東京における都市計画道路の整備方針第四次事業化計画を策定するに当たりまして、幅広く都民などの意見を把握するために実施いたしました。
 パブリックコメントでいただいたご意見、ご提案に対する考え方や対応につきましては、平成二十八年三月三十日にパブリックコメントの結果の概要として公表しております。この中で、例えば小金井三・四・一号線につきましては、はけと呼ばれます国分寺崖線や野川自然再生事業との関係など、自然環境や景観に対する影響を懸念するご意見などをいただいておりまして、これに対しまして、現地の地形や自然環境などを踏まえ、事業化に向けて適切に取り組んでいくとの考え方を示しております。
 今後、事業者において個別路線を事業化していく際には、地域の状況を踏まえた整備形態などを検討するとともに、地元説明を実施するなど、事業化に向けて適切に取り組んでいくことになると考えております。

○斉藤委員 それではちょっと意見をいわせていただきます。
 私の質問としては、パブリックコメントそのものがどういうふうに、意見というものを取り扱ってその後動いていくかというふうな、パブリックコメントの概念的なものというのを質問の主軸に置いたんですが、答弁としては、小金井三・四・一号線の方に対してどういうふうに答えたかということも、今お話をいただきました。
 この場で、余り個別の路線について私が意見をくどくどというふうに思っていなかったんですが、せっかく話題が出ましたので、その部分でいえば、今後、さっき申しましたように、この地域においてはかなり歴史的に知られているところで、その地域の人しか知らないというふうな場所でもないという特性がございます。ですので、ここのところの工事というのは非常に、やろうとすれば、当然いろいろ意見がたくさん出てくるだろうなというところであります。
 と同時に、実際に通ってみると、さっきいった接続する連雀通りから見たときに、どこからこの道路がつながって出ていくかというのは余りわからないんですね。つまり、わからないから不便を感じていないんですね。ですので、そういう意味では必要性というものについて、計画ができたところで必要性があるなというところは、なるほどと思うんですけれども、これは実はなるほどと、なかなか思えないところから路線が出ているということを、私なんかは個人的に感じております。
 ですので、ただこれは私の個人的な感想でございますので、今後地元説明を実施するという答弁でございますので、その説明の際には、ぜひ地元の方の意見を同じようにたくさん聞いていただきたいというのが、この地域の特徴かなというふうに私は思っておりますので、ぜひそこをよろしくお願いいたします。
 ことしの九月ぐらいには、小金井の地元の市長も、みんなが望まないものについては、地元住民の意向に沿わない都市計画道路については望まない旨の発言をしているように聞いておりますが、これは今年度の話ですので、二十七年度の決算の話題ではないですが、ちょっとそういうのを小耳に挟んでいるということを最後に申し添えまして、質問を終わります。

○野上委員 私からは、平成二十七年度東京都一般会計決算中、都市整備局所管分における住宅政策にかかわる空き家対策事業について伺いたいと思っております。
 豊かな住生活の実現とその継続をつくっていくためには、やはりこれから来る超高齢化社会、そして少子化社会における高齢者の居住の安定や、あるいは住宅確保に配慮する、都民の住居の安定あるいは住まいにおける子育て環境の向上というものが必要になってくると思います。
 そうした意味で、現在、空き家が都市部でも目立ってきている状況でございますが、特に東京においては、景観や防災、防犯、産業振興という観点から、居住者や、あるいは所有者のみならず、周辺住民あるいは外国からのお客様を迎えるに当たっても、環境悪化をもたらすという意味で、東京都が解決しなくてはいけない問題であるというふうに認識をしております。
 そこで、空き家対策に関する区市町村への財政支援について、行っているというふうに伺っておりますが、平成二十七年度の実績について伺います。その内訳と取り組みについて伺わせていただきます。

○田中住宅政策担当部長 都は平成二十七年度に、区市町村が行う実態調査、計画作成などに対して補助を行う制度を創設いたしました。
 昨年度は、実態調査につきましては五区市、計画作成につきましては四区市に対しまして、補助を実施したところでございます。

○野上委員 空き家を地域の貴重な資源と捉えて、区市町村と連携して地域ニーズに応じた多様な用途に活用すべきというふうに考えております。
 国の事業でも、空き家再生等推進事業としてさまざまな取り組みが行われております。例えば、地域の活性化に資する滞在型の施設にしたり、あるいは長屋を交流や展示施設として転換をしたりしている事業も示されているところです。
 そうしたことから、また東京都としてもモデル事業として行っているというふうに伺っておりますが、具体的に東京都はどのように取り組んできたのか、伺います。

○田中住宅政策担当部長 都は平成二十七年度から、空き家を高齢者や子育て世帯等に賃貸するため、バリアフリー改修などを行う場合の区市町村に対する補助制度を創設いたしました。
 さらに、今年度からは、空き家を地域の活性化に資する施設として活用するために行う改修費用や、跡地を公的に利用する際の除却費用につきましても、補助対象に追加しているところでございます。

○野上委員 都市整備局の事業は、そもそも東京都の都市基盤を進めていき、そして都市としての価値を高めていくという事業が多いと思いますが、こうした空き家に対するバリアフリーの事業を進めて、そしてその建物自体の付加価値部分を高める。先ほど斉藤先生は、ソフト面での付加価値を高めて、きちんとした事業を行っていくという点でのご質問をされておりましたけれども、ハード面できちんと下支えすることによって、東京都の価値を高める影響を及ぼす事業に展開をしているということは、非常にすばらしいというか、効果がある事業だというふうに考えております。
 一方で、空き家が増加している原因の一つには、日本の中古住宅の流通の問題もあるというふうに伺っております。国の調べによりますと、中古住宅の流通のシェアは約一四・七%、これは平成二十五年度の統計でありますが、欧米諸国では大体七割から九割程度、国際的に見て流通のシェアというのが非常に少ないというふうに聞いています。
 また、人口が減少している、世帯数が減少しているにもかかわらず、新築の住戸が変わらずに供給されているという実態も示されているところであります。
 空き家の発生を抑制するために、広域的観点から住宅市場における中古住宅の活用を誘導する必要があるというふうに考えております。東京都としてはその取り組みはいかがでしょうか。

○木村民間住宅施策推進担当部長 既存住宅の流通活性化につきまして、新築住宅中心の市場から質の高い住宅を長く使う市場を形成していくため、都といたしましては、これまでも、ガイドブックを作成するなど、都民や事業者への普及啓発に取り組んできたところでございます。

○野上委員 特に都市部の問題として集合住宅の問題があります。先ほども申し上げたとおり、人口や世帯数の減少に伴って、不動産価値も低下している部分もあるように伺っております。そうなると、やはり民間の事業者が主体的に中古の住宅の市場を牽引していくということは、なかなか難しい状況があります。
 そういったことから、こうした現状の取り組みも含めて、さらなる取り組みにつなげていただきたいと思います。例えば、集合住宅であるならば、管理組合や区分所有者への支援役としてあるいは相談役として、管理会社、外部専門家と一つのテーブルを持って何らかの解決策を探っていくという、東京都の相談窓口みたいなことも、一方では必要なのではないかなというふうに考えておりますので、こちらは要望、次なるステップに向けて取り組んでいただきたいと思っております。
 また、空き家の適正管理というのも必要であります。空家等対策特別措置法を踏まえた区市町村による管理の適正化や除却促進をすべきというふうに考えますが、その取り組みはいかがでしょうか。

○田中住宅政策担当部長 都は、区市町村の取り組みを支援するため、空家等対策特別措置法の全面施行に先駆けまして、平成二十七年度に、各区市町村が参加する情報共有の場を立ち上げております。その中では、行政代執行の事例を紹介するなど、区市町村の取り組み状況の情報共有を行ってございます。こうした先進的な取り組み事例に関する情報共有を行う場を、昨年度は三回実施したところでございます。

○野上委員 ぜひ東京都としても、空き家対策を効率的に進めるために、東京都全体で空き家の実態を把握する取り組みが必要だというふうに考えております。
 その取り組み状況及びその結果の活用について伺わせていただきます。

○田中住宅政策担当部長 空き家対策を進めるためには、地域の実情を把握している区市町村の主体的な取り組みが重要でございます。そのために、都は、区市町村に対して、さまざまな機会を通じて必要な技術的支援や財政的な支援を行い、その取り組みを促しております。
 取り組みの状況といたしましては、平成二十七年度末までに三十六区市町村が実態調査を実施済みでございます。都においては、これらの実態調査の結果を踏まえ、さらに効果的な空き家の実態把握を進めるため、技術的支援を行っていくことが必要と考えております。

○野上委員 ぜひ区市町村の実態調査の取り組みを進めていただき、そして、東京都全部の区市町村でやっていただけるように、また、やっていただいた結果を東京都が一元的に、できればデータベース化して、今後の政策や施策に効率的に利用できるデータの構築というか、データベースの構築をしていただきたいというふうに要望いたします。
 また、何度も申し上げますけれども、人口の減少の影響によって今後空き家や、あるいは特に集合住宅、団地の空き室というのは、ふえてくるというふうに予想をされております。
 今後とも、老朽化の空き家を適正管理していただき、そして、住宅以外の用途も含めた活用について施策を進めていただきたいと思っております。
 以上です。

○松田委員 私からは、都市整備局の平成二十七年度決算、主に三点お伺いをしていきたいと思います。
 まず初めに、私の地元の板橋区大山駅周辺の鉄道立体化に伴う補助二六号線の整備などのまちづくり、今、非常に動き出しているところであります。来月も、都市整備局、そして建設局に対して、板橋区選出五人の都議会議員全員がそろって、沿道のまちづくり、また鉄道立体化に向けた促進について、要望させていただく準備が進んでおります。
 また、この地域は老朽木造建築物が密集している地域でもありまして、地域の安全性、防災という観点からも、この特定整備路線、補助第二六号線の役割は重要であります。
 そこで、補助二六号線の二十七年度の進捗状況についてお伺いをいたします。

○山下防災都市づくり担当部長 特定整備路線である補助第二六号線大山区間は、ただいま委員からお話がありましたとおり、延焼遮断帯として木造住宅密集地域における火災の拡大を防止するなど、都民の生命と財産を守るため、必要不可欠な路線でございます。
 本区間は、平成二十七年二月に事業認可を取得後、六月に用地説明会を開催し、用地取得を進めており、二十七年度内に一部の権利者と契約に至ってございます。
 用地の取得に当たりましては、常設の相談窓口を開設し、生活再建プランの提案や税金に関する相談など、権利者の事情に応じたきめ細やかな対応を行っております。

○松田委員 ぜひきめ細やかな対応をお願いをしたいというふうに思います。
 この地域は、ハッピーロード大山商店街がありまして、ハッピーロード商店街は全国の商店街百選にも選ばれている商店街でありまして、非常なにぎわいがあります。私も事務所をこの商店街に置かせていただいております。また、選挙のときも全ての候補者がここを通るぐらいのアーケードがあって、にぎわいのある、小池知事も選挙のとき通られましたが、それだけのにぎわいのある商店街であります。
 今、この道路整備計画がこのハッピーロード大山商店街の真ん中を通る計画、平面交差をする状況でございます。この道とまちづくり、そして商店街、こういったことに配慮した計画が必要だとは思いますが、まちづくりに対して、東京都としてはどのように取り組んでいるのか、見解をお伺いいたします。

○山下防災都市づくり担当部長 補助第二六号線大山区間では、計画線の区域内に商店街が含まれているため、店舗などの営業継続やにぎわいの維持向上を図りながら、沿道のまちづくりと一体となった道路整備を進める必要がございます。
 これまで都は、区と連携し、商店街を中心としたまちづくりの勉強会に専門家を派遣するなど、地元の取り組みを支援してまいりました。
 既にこの路線の沿道では、権利者の生活再建の受け皿となっている再開発事業の準備組合が二地区において設立されるなど、まちづくりが動き出しております。
 引き続き区と連携し、商店街のにぎわいに配慮したまちづくりを支援しながら、災害時の延焼遮断帯となる補助第二六号線の整備に全力で取り組んでまいります。

○松田委員 ありがとうございます。ぜひにぎわいと、そして防災、この両方を両立するというのは、なかなか大変なことだとは思いますが、また道を半分、真ん中を通ってにぎわった商店街というのは私は今まで聞いたことないんですが、これを成功させることによって一番最初の日本での成功事例として、ほかの商店街の方々が見に来る、そういったような商店街にしていけたらというふうに思っております。
 ぜひとも準備組合、そしてハッピーロード大山商店街、山中通り商店街、そして地元の大山町会、大山本町会とも、東京都、板橋区と連携をして取り組んでいただくことをお願いをして、次の質問に移ります。
 次に、首都高速熊野町ジャンクションの改良についてお伺いをいたします。
 一昨日の建設局の質疑でも申し上げましたが、首都高速の中央環状線、羽田までつながったことによりまして、今、板橋方面からは渋滞が非常に激しくなってしまっているのが現状、そのために三環状道路である外環道を早く整備をするべきということを建設局の質疑で申し上げましたが、やはりここは、熊野町ジャンクションにも取り組んでいくべきだというふうに私は考えております。慢性的な渋滞の緩和はもとより、災害時のリスクヘッジという観点からも、三環状道路の整備は非常に重要なことであります。
 しかしながら、これがつながったことによってボトルネックという、四車線が三車線になり、そして三車線が四車線になる、そこで合流と分離を繰り返す、こういった構造になっておりまして、ここの抜本的な対策が必要というふうに考えられます。
 そこで、首都高速の整備事業に対して出資金を支出している都市整備局に対しまして、首都高速道路板橋ジャンクション周辺の渋滞対策の取り組み状況についてお伺いいたします。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 首都高速板橋ジャンクションから熊野町ジャンクションまでの区間につきましては、中央環状線の全線開通後も渋滞が発生すると予測されていたことから平成二十年三月に、渋滞緩和を図ることを目的といたしまして、上下線とも現況の三車線から四車線に拡幅する都市計画変更を行っております。
 その後、首都高速道路株式会社におきまして、平成二十三年度に事業に着手し、夜間に車線の規制を行いながら工事を進めまして、平成二十七年度末の段階で道路を広げるための新たな支柱の設置をほぼ終えております。
 現在は、路面の拡幅工事を実施しているところでございまして、平成二十九年度の完成を目指しております。

○松田委員 ありがとうございます。この高速道路拡幅工事とともに、また改めて外環道の整備を並行して進めていくことが重要であるということを申し上げて、次の質問に移ります。
 次に、公社住宅を活用した福祉インフラ整備事業についてお伺いをいたします。
 東京都住宅供給公社の建てかえに当たっては、多様化する住宅ニーズに対応した魅力的な住宅を供給するとともに、少子高齢社会への対応や地域のまちづくりと連携をし、社会的な要請に応えていくことが重要であります。
 我々都議会自民党は、世界で一番の都市東京の実現を公約に掲げ、最重点課題として、日本の将来を担う子育て世代に優しい東京、高齢者や障害者に優しい東京をつくることを約束をしております。
 少子高齢化対策には、あらゆる分野の政策を総動員して、都庁全体で取り組む必要があり、監理団体である住宅供給公社にも、都政のパートナーとして積極的な取り組みが求められています。
 そこでまず、平成二十七年度における公社住宅の建てかえに伴う創出用地を活用した福祉インフラ整備事業の状況について伺います。

○桜井住宅政策推進部長 公社は、住宅の建てかえにより創出した用地を活用し、福祉インフラを整備しておりまして、平成二十七年度は、中野区広町住宅、板橋区向原住宅、文京区茗荷谷住宅の三カ所の用地で取り組みを進めております。
 広町住宅では、二十八年三月に、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などを整備、運営する事業者を決定し、現在、施設の着工に向けて準備中でございます。
 向原住宅では、特別養護老人ホームや都市型軽費老人ホームなどの高齢者施設及び障害者の生活支援施設を整備することとし、平成二十七年十二月に事業者を決定いたしましたが、その後、二十八年三月に事業者が辞退したため、再公募要項の概要を公表いたしました。
 茗荷谷住宅では、特別養護老人ホームを整備する計画としておりまして、事業者公募に向け、区との調整などの準備を進めております。

○松田委員 ありがとうございました。今の答弁にありましたとおり、地元板橋区にある向原住宅におきましても、高齢者施設と障害者施設を整備する取り組みが進んでおります。この取り組みに関しては、地元、ここは大谷口地区というんですが、大谷口地区の皆様方が待ち望んでいたことでありまして、また、地元の向原住宅の自治会も含めて、早く整備を望んでいるところであります。
 今お話しあったとおり、一度事業者が決定をして、事業者が自己都合で急遽辞退ということで、非常に残念な事態となっております。ここは、小竹向原という駅から徒歩五分ぐらいで行ける非常に利便性の高い、副都心線と有楽町線がつながる、そのまま乗り入れて横浜にも行ける、こういった便利な地域でありますので、ぜひここは、民間だったらこんなところをあけておくわけにはいかないと思います。知事のいうワイズスペンディングという観点からも、こういったところをしっかりと有効活用していただきたいと思います。
 また、今お話にあったとおり、補欠というものもつくらなかったということで、辞退をするとそれでなくなってしまう。そして、ペナルティーも今回なかったということでありますので、こういったことの対策をしていくことが必要であろうというふうに考えられます。
 この事業は、非常に地元住民の利益につながる規模の大きいものであり、安定した事業基盤を持つ質の高い事業者が実施しなければ、できるものではありません。そのためには、ここは一万三千平米と非常に巨大な土地があり、高齢者と障害者施設を一体として管理する事業者を選定するというのはなかなか、応募する側にしても条件、ハードルが非常に高いということがありました。事業者が参入しやすい工夫や事業者の都合による安易な辞退を防止する、こういった措置をあらかじめ構築しておく必要があったと感じております。
 そこで、板橋区向原住宅用地を活用した福祉インフラ整備事業において、事業者を再公募するに当たって、住宅供給公社はどのように対応したのかをお伺いします。

○桜井住宅政策推進部長 この向原住宅用地は、今お話がありましたとおり、約一万三千平米と広大な敷地でありまして、大規模な高齢者施設及び障害者施設を一事業者が一括して整備をすることを条件に当初の公募を行いました。
 しかし、これらの施設を一括して整備することは、事業者にとって費用面や事務手続面で大きな負担を伴うため、公社は再公募に当たりまして、用地を二つに分割し、施設の特性に応じ、高齢者施設、障害者施設を整備、運営する事業者をそれぞれ公募することといたしました。
 また、施設規模を見直すとともに、事業者決定後に、自己都合により辞退した場合には、違約金を請求する条項も新たに設けることといたしました。
 都は、公社に都の施策の方針への協力を求めるとともに、公社住宅の建てかえにより創出した用地を活用する事業が円滑に進むよう、公社との一層の連携を図ってまいります。

○松田委員 平成二十七年度の取り組み状況はわかりました。再公募に当たって、公社がさまざまな工夫を凝らして、スピード感を持って事業者公募を行ったことは評価をしております。
 今年度の状況としては、事業者再公募の結果、高齢者施設については、二十八年六月に整備、運営する事業者が決定をし、現在、施設の着工に向けて準備中と聞いております。
 しかしながら、障害者施設におきましては事業者を選定できなかったために、現在、入所定員や施設種別などの見直しなどについて、板橋区と調整を図るなど、事業スキームを検討しているところと聞いております。この際には、区との連携とともに、当該者である障害者団体の意見も取り入れた上で、利用者にとって利用者目線で使いやすい施設にしていっていただければというふうに考えております。
 今後、障害者施設の整備、運営事業者も早期に決定をし、事業が円滑に進むよう、引き続き公社に事業を推進してもらうとともに、都としても、こうした公社の取り組みを積極的に支援していくことをお願いをして、質問を終わります。

○上野委員 私からは、まず大規模水害時の都営住宅への緊急避難について質問します。
 ことしの夏も、台風や豪雨などによりまして土砂災害や河川の氾濫が発生しました。全国で多くの方が被害を受けたわけでございます。被害に遭われました方々には、心よりお見舞い申し上げる次第であります。
 都でも、江戸川区を含む荒川地域で二百年に一度といわれるような大雨が降った場合、堤防の決壊により区部東部で大規模な浸水被害の発生が想定されております。
 大雨が続くなど、大規模な水害が発生するおそれが高まった際には、事前に高台など浸水の影響が少ない場所に避難することが原則となりますが、緊急の場合には、命を守る行動として、高層の建物などに避難する垂直避難が有効であります。海抜が低く、平地の多い区部東部地区では、高い建物が少ない地域もあり、公共の建築物は積極的に地域住民の垂直避難を受け入れるべきであると考えます。
 都営住宅では、平成二十五年から、大規模な水害時の緊急避難先とする覚書を区と締結する取り組みを進めております。同年、平成二十五年、江戸川区を初めとする六区の覚書が既に締結されました。私は非常に重要な取り組みであると認識しているところであります。平成二十六年十一月の都市整備委員会では、今後もぜひ進めていただきたいとの趣旨で質疑をしたところであります。
 そこで、その後のこの覚書の締結に向けた取り組み状況についてお尋ねします。

○八嶋経営改革担当部長 覚書は、河川の氾濫などの大規模な水害が発生したときに、区が定める避難場所等に区民の方が避難する時間がない場合、緊急的に都営住宅の廊下などの共用部分に区民の方が避難できることを都と区の間で確認するものでございます。
 昨年度は、荒川区から、都営住宅を水害時に近隣住民の一時的な避難先となる建物にできないかとの相談を受け、避難先に適した都営住宅か否かについて、立地や高さなどの構造等の情報と荒川区のハザードマップを照らし合わせながら協議を重ねた結果、同区と覚書を締結することに合意をいたしました。
 締結に当たりましては、区と合同で団地自治会を対象とした説明会を開催するなどして、居住者に事前に十分周知し、平成二十七年十二月に覚書を締結しております。
 また、荒川区との覚書締結につきましては、区と共同でプレス発表を行い、その後、北区、台東区からも同様の相談がありまして、本年五月に覚書を締結いたしました。
 これにより、荒川流域を中心とする合計九区と覚書を締結することができております。

○上野委員 非常に積極的に締結を結ばれているということで、非常に重要な取り組みでありますので、今後ともしっかりと取り組んでいただきたい、このように思うわけでございます。
 ほかの区にも情報を提供することなどによりまして、締結先の拡大を図ることができるし、また、地域住民の安心確保に貢献していきたい、このように思いますので、よろしくお願いいたします。
 一方で、避難により命が助かった方へのその後の対応も重要と考えております。その点も踏まえ、区と連携して進めていただきますよう要望いたしまして、次の質問に移ります。
 豪雨対策について質問します。
 東京都区部のターミナル駅周辺では、地下街や地下鉄などが相互に接続し、大規模な地下空間を形成しております。大規模水害時には大量の水が都心の地下空間に流れ込み、被害が広範囲に及ぶことが懸念されております。
 昨年九月に発生しました関東・東北豪雨による水害、これを踏まえまして、水害に強い都市の構築を目指しまして、我が党は、本年二月に国や都に対しまして、流域ごとの広域的なタイムラインの作成と、訓練の実施や、また、わかりやすいハザードマップの作成など、全部で五十項目にわたる提言、これを石井国交大臣、そして東京都知事に行ったところでございます。
 その中には、地下街などの避難体制と浸水対策を強化することについても提言しております。このことについて、我が党はことしの予算特別委員会でも質問いたしました。これに対し、大規模地下街については、平成二十七年度から関係者が連携して取り組んでいるとのことでありました。
 そこで、改めて大規模地下街における避難誘導体制の構築に向けた平成二十七年度の都の取り組みについてお尋ねします。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 都は昨年、新橋地区など九つの大規模地下街におきまして、地下街や隣接ビルの管理者、鉄道事業者、地元区など関係者が連携して浸水対策に取り組むための協議会を設置いたしました。
 地区ごとの取り組みとしては、昨年七月に、渋谷地区で、緊急連絡体制や避難誘導方法などを定めた浸水対策計画を策定しております。これを参考に他の地区でも取り組みを進めまして、この夏までに全地区で計画を策定いたしました。

○上野委員 地区ごとに計画が策定され、緊急連絡体制や避難誘導方法などが定められているとのことでありますが、複数の区にまたがっている大規模地下街があります。複数の区、例えば東京駅もそうですし、新橋駅もそうですし、こういう区によって、避難誘導などが一つの地下街で異なっていたら、これはもう大混乱する可能性が十分にあるわけでございます。
 そこで、区が違っていても統一した計画を策定するよう、関係区や地下街管理者などと調整を図るべきと考えますが、平成二十七年度に検討していた浸水対策計画ではどうなっているのか、説明をお願いします。

○中島都市基盤部長外かく環状道路担当部長兼務 複数の区にまたがっている大規模地下街では、関係区が協議会に参画して浸水対策計画を一体的に取りまとめております。例えば、千代田区と港区にまたがります新橋地区では、大規模地下街やそれに接続するビルや駅など、地下空間全体を対象に、両区を含む全関係者による連絡体制を構築いたしまして、地下街の構造特性などを踏まえた避難経路を定めております。
 また、これにあわせまして、迅速かつ的確に避難誘導を行うための情報伝達訓練も実施しております。
 今後、新たな事業者が地下街に接続する場合や、事業者の変更があった場合などにおいて、適宜連絡体制の見直しなどを行ってまいります。

○上野委員 既にご存じのとおり水防法が改正されました。それに基づきまして、集中豪雨や高潮、河川決壊などによる浸水想定区域、これが見直されることになります。こうした動きを適宜計画に反映させるとともに、引き続き関係者と綿密に連携して、これからも取り組んでいただくことをお願いいたしまして、次の質問に移ります。
 不燃化特区の取り組みについて質問いたします。
 都は、平成二十五年から、木密地域の改善を加速するために、不燃化特区制度、これを開始されました。平成二十四年に木密地域不燃化十年プロジェクトの実施方針、これが作成された。延焼遮断帯の形成を行う特定整備路線も含めまして、この不燃化特区、すばらしいなと。まさに不燃化促進への起爆剤になるぞということで、非常に感動して読ませていただいたわけでございます。
 説明も伺いまして、よしということで力になっていきたいと、こういう思いで、江戸川の小岩の方なんですけれども商店街等にも話をして、ぜひすばらしい制度ができたから、皆さん積極的にこれに応じてやってくださいねという話をして、ちょっと説明したんですね。除却費や設計費の助成もありますよ、固定資産税や都市計画税も五年間の減免措置があるんですよと、こういったときに、そのお店の社長さんが、うそをつくんじゃないよと。これはもう本当にショックでした。何ですかそれはと、私はうそはつきませんみたいなことを話したら、私のところの店は一銭も出ないんだぞというお話されたんですね。助成が出るのは、あなたの店を更地にすれば出ますみたいな、そんないい方をされた。うそをつくんじゃないということをいわれまして、びっくりしました。
 今でも思い出しますけれども、誰から聞いたんですかと。これは区の職員の方ですよという話だったんで、早速に区の方に行って、その担当課長を呼んで話を聞いていったら、要綱を出された。その要綱を読んでくださいと。読んでみたら、店舗、あるいは事務所、あるいは倉庫、これについては、住んでいるという地域、そこで生活している地域が二分の一以上ないと対象にならないと。商店街には店舗だけ持っている方がいらっしゃるわけです、ほかのところに住んでいて。そこは全く対象になっていない。それが幾つかあるわけです。こういうのが要綱に書いてあるんですよといわれて、唖然としたわけです。
 これはやはりちょっとおかしいんじゃないのと。不燃化を促進する起爆剤といいながら、実際はそういった商店街の中で幾つも五十六年以前の建物が、隣のうちは助成できたけれども、俺のところはできなくなったというのが出てくると、これは大変な問題になるぞということで、昨年度に都議会公明党は助成要件の緩和というものを求めたわけです。これはもう一般質問でも、そしてまた委員会でも話をしてきたわけでございます。
 それに対しまして、建てかえ助成、これが住んでいる住宅に限らず、事務所も店舗も倉庫も、全ての用途でこの助成というのが受けられるように二十七年度は、なったわけでございます。
 これによって、地元区からは、使いやすくなったという声も上がっております。私はその意味では、都市整備局の助成要件の緩和、これに踏み切ったことにつきましては、大変評価しているところでございます。この木密地域の改善を一段と進めていける流れができたのではないかということで、ますます私もこれから一緒になって、不燃化促進を進めていきたいと思っています。
 そこで、平成二十七年度における不燃化特区の助成制度の周知をどのように進めてきたのかをお尋ねします。

○山下防災都市づくり担当部長 都は、さまざまな機会を通しまして不燃化特区制度の周知に努めてございます。
 平成二十七年度には、都庁都民ホールで不燃化シンポジウムを開催し、不燃化建てかえの先進事例を紹介することで、特区制度の活用を広くアピールいたしました。また、区が地区ごとの集会を四十八回開催する際に、都がまちづくりコンサルタント派遣を支援し、助成制度の活用事例や、また、副委員長からもお話がありましたような制度の改正点等につきまして、紹介させていただきました。
 またさらに、区が開催しました延べ六十回の個別相談会につきましても、税理士や弁護士の派遣を支援し、住民の資金計画や相続の相談に応じるとともに、助成を使った具体的な建てかえの試算を提示するなど、制度の周知に努めてまいりました。
 今後も、区と連携して助成制度の周知を図り、できる限り多くの方々に不燃化建てかえの協力をしていただけるよう、積極的に働きかけてまいります。

○上野委員 区と連携し、住民に対して建てかえに向けた助成制度の周知を丁寧に行っているとのことでありますので、安心いたしました。
 私は、防災都市づくりというのは、再開発、区画整理など、こういったコア事業の進捗と周辺地域の不燃化が相まって、地区は改善していくものと考えております。
 例えば、私の地元である江戸川区小岩駅の南側、こちらでは住民の方が待ち望んでいた再開発事業が、何とわずか二年半で完了いたしました。周辺の環境向上という意味からも非常に効果の高いものであります。
 不燃化特区において、再開発、また区画整理など面整備に取り組んでいる、例えば江戸川区の南小岩七丁目、八丁目地区、こういったところなどあります。そうした区に対しまして積極的に支援していくべきであります。見解を求めます。

○山下防災都市づくり担当部長 ただいまお話のありました江戸川区南小岩七、八丁目地区では、不燃化に効果の高いコア事業として、昨年五月に竣工した七丁目西地区の再開発事業に引き続き、隣接する地区で再開発と区画整理による一体施行が始動しており、都は認可に向けた手続など技術的支援を行っております。
 また、平成二十七年度には、都の支援により、区が生活道路の拡幅整備を二カ所で計三十メートル実施するとともに、地区内の老朽建築物の建てかえなど十四件に助成を行っております。
 都は引き続き、不燃化特区の助成制度などを活用して、地元や区の取り組みを支援し、平成三十二年度までに当該地区を燃えないまちとするため、積極的に取り組んでまいります。

○上野委員 最後に意見になりますけれども、不燃化特区制度推進に向けて、今、質問をしてまいりました。
 東京都、特に都市整備局は、防災まちづくり、これについては積極的に進めていらっしゃいますし、そういった区の取り組みに対しましても、しっかりと支援をしていくということもご答弁をいただいたわけでございますが、防災まちづくりというのは、不燃化だけではなくて、やはり耐震化する。地域も耐震化する、家も耐震化する、そういうのを全部一緒になって防災まちづくりというのは進んでいくということでございます。
 だから、そういった意味での、実は今回の不燃化特区の整備地区の、以前からいっていますけれども、半分以上が液状化の可能性が高い地域だと、これは非常に大事な話なんですね。だから、不燃化だけを見るのではなくて、やっぱり耐震化、建物を見るのではなくて、その下にある地盤、これが液状化してしまえば、どんなに耐火性、耐震性のある建物も傾いてしまう。
 これはもう前からいっているけれども、江戸川で、本当に建ててまだ五、六年で、しかも耐震化、耐火性がある建物が傾いてしまった、あの三・一一で。もうどんなに苦しまれたか。お子様が、あのとき委員会でも話しましたけれども、当時六歳の女の子のお子さんが危なく脳がおかしくなるような状況だったわけです。泣いてお母さんが訴えられましたけれども、そのぐらい大変なやっぱり苦しみというのを、家が傾いたら味わうという、こういった苦しみを都民に味わわせてはいけない。
 そういった意味では、液状化の可能性が高い地域でもある不燃化の地域、ここについても、やっぱりトータル的にそういった防災のまちづくりというものを進めていくという、下から地盤から変えていくというものを考えないと、せっかくこれだけのお金を使って建てたものが、がたがたとまた動いて倒れてしまう、下から。
 そういう状況にならないように、これはもう皆さんもご存じのとおり、浦安地域におきましても、区画整理事業でサンドコンパクションパイル工法とサンドドレーン工法をやってきた地域というのはびくともしなかったわけです。
 液状化対策をしたところはびくともしないということが実証されているわけですから、せっかくこれだけのお金を費やすならば、下から変えていこうと、砂上の楼閣にしちゃいかぬと、そういったこともぜひ工夫してもらいたい。このことは、我々公明党も国の方にも話をして、国は予防的対策というものをするようになったわけですね、平成二十五年から。
 予防的対策というのは、宅地液状化の防止事業ということで、宅地と一体的に行われる道路等の公共施設、これについての液状化対策事業については、費用の一部を地方公共団体に助成するという、こういったことを今も続けているわけです。
 こういった情報とか一緒になって、例えばそういった区画整理をやるときがチャンスなんですね。建物が全部なくなって更地になるから一気にできるわけです、液状化対策が。そうすると一軒一軒の、例えば液状化対策をそれぞれ個々でやりなさいみたいな形になってしまうよりも、本当に格安で、しかも非常に安全性の高いものが地域の中でできていくという、こういったこともやはり考えながら進めていかなければならないと、これが本当の防災まちづくりになっていくということであると私は確信しているところでございます。
 どうか、東京都も区も大変でしょうけれども、これからも丁寧な対応に心がけられて、不燃化の向上、耐震化の向上に向けまして、さらに取り組んでいただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。

○山崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時三十六分散会

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