委員長 | 桜井 浩之君 |
副委員長 | 鈴木 錦治君 |
副委員長 | 中村ひろし君 |
山森 寛之君 | |
前田 和茂君 | |
栗林のり子君 | |
上田 令子君 | |
大松あきら君 | |
北久保眞道君 | |
松村 友昭君 |
欠席委員 なし
出席説明員会計管理局 | 局長 | 浅川 英夫君 |
管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 中澤 基行君 | |
警察・消防出納部長 | 吉野 孝行君 | |
資金活用担当部長 | 鈴木 誠司君 | |
会計制度担当部長 | 野口 毅水君 | |
選挙管理委員会事務局 | 局長 | 福田 良行君 |
議会局 | 局長 | 和賀井克夫君 |
管理部長 | 新美 大作君 | |
連絡調整担当部長 | 宮澤 浩司君 | |
議事部長 | 松丸 俊之君 | |
調査部長 | 山内 和久君 | |
財務局 | 局長 | 武市 敬君 |
経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 十河 慎一君 | |
契約調整担当部長 | 五十嵐 律君 | |
主計部長 | 岩瀬 和春君 | |
財産運用部長 | 中村 倫治君 | |
利活用調整担当部長 | 山根 恭子君 | |
建築保全部長 | 久保田浩二君 | |
技術管理担当部長 | 中山 衛君 | |
庁舎運営担当部長 | 米今 俊信君 | |
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長 | 小野寺弘樹君 |
本日の会議に付した事件
平成二十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
会計管理局関係
・平成二十七年度東京都一般会計決算(質疑)
選挙管理委員会事務局関係
・平成二十七年度東京都一般会計決算(質疑)
議会局関係
・平成二十七年度東京都一般会計決算(質疑)
財務局関係
・平成二十七年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十七年度東京都用地会計決算(質疑)
・平成二十七年度東京都公債費会計決算(質疑)
○桜井委員長 ただいまから平成二十七年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する質疑を行ってまいります。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局、選挙管理委員会事務局、議会局及び財務局関係の決算に対する質疑を行います。
これより会計管理局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十七年度東京都一般会計決算中、会計管理局所管分を議題といたします。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 去る十月十四日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元配布の平成二十七年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。
今回要求のございました資料は、目次に記載しておりますとおり三件でございます。
まず、一ページをお開きください。要求資料第1号、平成十四年度から平成二十七年度までの公金管理実績でございます。
上段は、資金平均残高を、歳計現金等、基金及び準公営企業会計資金に分けて年度別に記載してございます。下段は、運用収入及び運用利回りを年度別に記載してございます。
次に、二ページをお開きください。要求資料第2号、官民連携ファンドの状況についてでございます。
官民連携インフラファンド、官民連携再生可能エネルギーファンド、官民連携福祉貢献インフラファンドのそれぞれについて、都の出資額、年度別の都の資金回収額及び都の累積資金回収額を記載してございます。
続いて、三ページをお開きください。要求資料第3号、予算成立から決算認定までの流れでございます。
予算成立後、会計年度中、出納閉鎖後のそれぞれの事務の流れを記載してございます。
要求のございました資料に関する説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○桜井委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○大松委員 東京都は、公明党の提案を受けまして、平成十八年度に全国に先駆けて複式簿記・発生主義会計による新公会計制度を導入いたしまして、都の財政の透明化、見える化を進めることによりまして財政の健全化に努めているところでございます。
また、東京都は、この東京都方式を全国の他の多くの自治体に広めているところでございますけれども、その一方で、国は、平成二十七年一月に全国の自治体に対して国の統一的な基準というものを示しまして、それによる財務書類を作成するように要請を出しておりまして、新公会計制度を取り巻く状況は変化をしているところでございます。
私は、こうした東京都の取り組みや、また、国のこの動きにつきまして、これまでも質問をしてまいりましたけれども、本日は、平成二十七年度におけますそれらの取り組み状況、そしてその成果について確認をしておきたいと思います。
その上で、まず、国が示しました統一的な基準による財務書類と東京都方式によるものと、これを比べますと、私は、やはり都方式の方が企業会計に近く、わかりやすく使いやすいと、このように思いますけれども、この東京都方式の優位性につきまして、まず見解を求めます。
○野口会計制度担当部長 国の統一的な基準でございますが、こちらにつきましては、固定資産台帳の整備を必須とするなど、それまでの総務省の各モデルと比べると、東京都方式の考え方に近づいたところであります。
しかしながら、税収を行政コスト計算書に計上しないなど、わかりやすさの面でまだ課題がございます。また、会計処理の都度仕訳を行う日々仕訳方式、こちらを望ましいとしながらも、期末仕訳を許容するなど、マネジメントにおける活用が難しいという懸念もございます。
これに対しまして東京都方式でございますが、自治体の歳入の大宗を占める税収を行政コスト計算書に計上し、企業会計に近くわかりやすいことや、日々仕訳方式や事業別財務諸表によりまして、マネジメントに活用しやすいという特徴がございまして、こうした点につきまして、都方式の優位性として認識しているところでございます。
○大松委員 私の知人の税理士の先生も、やはり東京都方式の方が非常にわかりやすいというふうなお声も伺いまして、ぜひ東京都方式の普及促進にしっかり努めてほしいというお声をよく伺っているところでございます。
そこで、東京都方式の新公会計制度の普及促進に向けました、この平成二十七年度における東京都の取り組み、そしてまた、その結果として各自治体への都方式の導入状況について、都の所見を求めます。
○野口会計制度担当部長 国は、全国の自治体に対しまして、平成二十八年度決算の財務書類を二十九年度に公表することを要請しておりまして、各自治体での準備期間を考えると、昨年度二十七年度が会計基準の選択のリミットとなりますため、昨年度までの間が都方式の普及の正念場でございました。
そこで、都方式の全国自治体への普及を目的に設置いたしました新公会計制度普及促進連絡会議の構成団体と連携をいたしまして、昨年度は、日々仕訳により作成した多様な事業別財務諸表の分析方法について解説をした指標分析ガイドを作成したり、十一月には、先行自治体の具体的な事例を発表するセミナーを開催したところでございます。
こうした全国的な普及活動とあわせまして、都内自治体への個別訪問も行いまして、二十七年度当初は、多くの自治体が基準の選択の判断に迷っている状況もありましたが、区部においては、中央区、渋谷区、板橋区、世田谷区及び品川区の五区が都方式の導入を決め、都との間で支援協定を締結したところでございます。
この結果、既に導入を決めていた自治体と合わせまして、都方式を導入した自治体は、区部では七区、全国では都を含めまして十七自治体となったところでございます。
○大松委員 東京都としっかり連携をいたしまして、この東京都方式を先行導入をしていただいております自治体が着実にふえていることがわかりまして、東京都の取り組みを高く評価をしたいと思います。
その一方、総務省が示しました統一基準に基づく財務書類の作成が要請をされたということで、都方式を導入した自治体の方でも、これまで積み上げてきた成果が無駄にならないのかと、こういったような心配の声もございます。この東京都方式を採用した自治体が、国の要請に対してその対応は可能なのか、また、東京都自身はどのように対応をしていくのか、見解を伺います。
○野口会計制度担当部長 総務省の要請を契機にいたしまして、これまで対応がまちまちだった多くの自治体が本格的な複式簿記の導入に向き合い、新公会計制度の導入に対して真剣に準備を進めているところでございます。
都方式を採用しました自治体は、わかりやすく行財政運営にも活用できるというメリットに着眼して基準を選択し、既に財務諸表を公表したり、鋭意準備したりしているところでございます。これらの自治体は、国からの要請に対しても、都方式の財務諸表を統一的な基準による財務書類に組みかえて対応していくことが可能でございます。
都といたしましても、企業会計や国際公会計基準に近くわかりやすく、日々仕訳によりマネジメントに活用しやすい都方式による財務諸表を基本としていく方針に変わりはございませんで、引き続き都方式により都議会への報告や都民等に対する公表を行ってまいります。
一方で、国の要請に対してでございますが、都は、都方式の財務諸表を統一的な基準に組みかえて作成することといたしまして、平成二十七年度に関係局と調整を開始したところでございます。
なお、都など日々仕訳方式を採用している自治体につきましては、国は、二十九年度決算について統一的な基準に基づき作成することを求めておりまして、都も、都方式の二十九年度の財務諸表を組みかえて三十年度に公表することを予定して、準備を進めているところでございます。
○大松委員 引き続き東京都方式を基本とするということでございますので、これからもこの方針をしっかりと堅持をして、揺るぎなく新公会計制度を推進していくことを要望いたしますとともに、国の要請に応える上で必要となる組みかえ等の実務的な手順につきましては遺漏なきように、また、何より効率的に進めていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。
○中村委員 それでは、会計管理局の昨年度決算において、局の重要な役割である公金の管理、運用について伺います。
都は、平成二十七年三月にそれまでの東京都資金管理方針を一部見直し、東京都公金管理ポリシーとして新たに策定をし、この決算年度の資金管理計画は、このポリシーのもとで策定された最初の計画となりました。公金の安全性、流動性の確保を大前提としつつ、柔軟かつ効率的な運用を行うことが目的とされました。
以前から政府の政策もあり、低金利からゼロ金利となっていましたが、決算年度中の平成二十八年一月には、マイナス金利の導入が日銀からも発表されました。
そこでまず、昨年度の実際の運用状況と会計管理局の対応を伺います。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十七年度公金管理実績では、当局が管理している公金の平均残高は約四兆七千八百四十三億円で、前年度と比べ約五千二百二十九億円の増加でございます。
一方、利回りは〇・一一四%で、前年度の〇・一一九%から〇・〇〇五%低下しましたが、平均残高が増加しましたため、運用収入は約五十五億円となり、前年度の約五十一億円から約四億円増加いたしました。
また、平成二十七年度には、安全性を確保した上での公金運用の多様化の視点から、新たな運用商品の開発及び運用先の拡充を行いました。具体的には、元利保証型の金銭信託、外国銀行への預金及び円建て外債・ユーロ円債の組成を新たに取り入れました。
○中村委員 金利は下がってはいますが、公金の残高の総量がふえ、また、運用先の拡充についてもさまざまな取り組みをしたため、運用収入は前年度よりは増加をしたということでした。
さて、改めて確認しますが、公金の運用の大前提は、安全性が確保されなければなりません。以前、舛添前知事が公金の株式投資について述べたこともあり、大きな問題になりました。当時、私も財政委員会におりましたので、私を含め各会派の委員から反対意見が出され、実施をされなかったという経過がありました。
知事もかわりましたが、今後も株式への投資はしないということでよいのか、確認の意味で改めてお伺いします。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都の公金には、歳計現金及び基金があり、その管理は、地方自治法第二百三十五条の四第一項及び第二百四十一条第七項により、最も確実かつ有利な方法により行うと規定されてございます。したがいまして、公金の株式運用は現行の法令上はできないものとなってございます。
都における公金の管理は、安全性の高い金融機関への預金や債券等で運用しており、この方針は今後も変わりはございません。
○中村委員 公金の株式運用は、現行の法令上できないとの答弁を改めていただきました。都民の皆様の貴重な税金ですから、今後も安全性の確保を最重要として公金管理を行っていただくことを求めます。
次に、ファンドについて伺います。
会計事務をつかさどり、公金の安定した運用を求められる局において、以前は他局が所管していたファンドが会計管理局に移管されました。このファンドを所管している意義はどこにあるのか、改めて伺います。
○鈴木資金活用担当部長 官民連携ファンド事業は、公金管理の一環として資金を運用しているものではなく、行政と民間の連携による新たな取り組みとして、全庁的なノウハウ蓄積に向けたパイロット事業と位置づけて実施しているものでございます。
会計管理局には、金融知識を有する人材がそろうとともに、投資、会計、法律分野等の専門家の助言を受ける体制も確立されていることから、ファンドの運営状況を適切に監視することが可能であると考えております。
○中村委員 通常の公金管理と違い、パイロット事業との位置づけとのことですが、都民の貴重な税金ですから、これは毀損するわけにはいきません。金融の専門家の助言を受け、しっかりとした監視をすることを求めます。
現在、三種類のファンドを扱っていますので、一つずつ確認したいと思います。
まず、最初に始められた官民連携インフラファンドについて、配当と施設の整備の実績はいかがでしょうか。
このファンドは、東日本大震災の翌年の平成二十四年度に、全国のエネルギー分野への投資を通じた電力供給の安定化などを目的として開始をしていますが、ファンドに都が参加することがどの程度貢献したのでしょうか。とりわけ、東京都への電力供給への貢献はいかがか、伺います。
○鈴木資金活用担当部長 官民連携インフラファンドは、平成二十七年度までに累積で約六億八千七百万円を回収しております。これまでに投融資した発電所及び発電出力は、十七件、約四十万キロワットとなっております。
都の出資金三十億円を呼び水とすることにより、ファンド運営事業者は民間投資家等から資金を集め、全体で約三百億円のファンドを組成しているところでございます。ファンドの投資先である発電所から生み出される電力は、遠隔地についても、全国融通等を通じて首都圏の電力安定供給へ貢献しているところでございます。
○中村委員 次に、平成二十六年度に組成された官民連携再生可能エネルギーファンドについて伺います。
まだ始まってから期間は短いのですが、配当と施設の整備の実績はいかがでしょうか。このファンドの目的は、再生可能エネルギーの都内での導入促進、東北地方などにおける広域的な普及拡大などとされていますが、ファンドに都が参加することがどの程度貢献したのでしょうか。とりわけ、東京都への電力供給への貢献はいかがか、伺います。
○鈴木資金活用担当部長 官民連携再生可能エネルギーファンドは、平成二十七年度に回収が始まり、二十七年度に約二千万円の資金を回収しております。これまでに投融資した発電所及び発電出力は、五件、約四万キロワットとなります。
都の出資金十二億円を呼び水とすることにより、ファンド運営事業者は民間投資家から資金を集め、全体で約百億円のファンドを組成しているところでございます。先ほど答弁したインフラファンドと同様に、ファンドの投資先である発電所から生み出される電力は、遠隔地につきましても、電力会社間の融通を通じて首都圏の電力安定供給へ貢献しているものと考えております。
○中村委員 先ほども述べましたが、最初にできた官民連携インフラファンドの目的は、範囲が全国で、分野もエネルギー分野と幅広くなっていました。その後にできた官民連携再生可能エネルギーファンドは、都内と東北地方などと限定し、その分野も再生可能エネルギーとしていることから、長期ビジョンで再生エネルギーの利用割合を二〇%に拡大しようとすることに、より合っているともいえます。
そこで、官民連携再生可能エネルギーファンドができたことにより、官民連携インフラファンドに意義はあるのでしょうか、伺います。
○鈴木資金活用担当部長 官民連携インフラファンドが、全国を対象に再生可能エネルギーのみならず幅広く対象としているのは、東日本大震災後の電力不足という喫緊の課題に対応するためでございます。全国を対象に、再生可能エネルギーだけでなく、ガス火力発電所へも投融資を行い、現在においても電力供給の安定化に貢献しているものでございます。
したがって、エネルギーの大消費地の責務として、再生エネルギーの普及促進を目指す官民連携再生可能エネルギーファンドとは目的を異にしており、現在においても意義があるものと考えているところでございます。
○中村委員 次に、三つ目に立ち上がった官民連携福祉貢献インフラファンドについて伺います。
こちらは、都内における子育て支援施設を含む福祉貢献型建物の整備促進等を目的に昨年度組成され、東京都版CCRCを検討しているとのことです。新たな投資なので、出資金の毀損のリスクや情報公開のあり方、東京都版CCRCがまだ確たるものがないこと、福祉の割合や転用をしないかなど多くの懸念材料があるため、昨年度の予算特別委員会や財政委員会でも多くの議論をしました。その結果、リスクの回避や情報公開などに一定の答弁があり、そうした議論を踏まえてこのファンドが始まっています。改めて、決算においてそれが実施されているのかを確認したいと思います。
そこでまず、官民連携福祉貢献インフラファンドの平成二十七年度の状況はいかがでしょうか、伺います。
○鈴木資金活用担当部長 官民連携福祉貢献インフラファンドにつきましては、都は、平成二十七年五月にファンドマネジャーの募集を開始し、同年十月にファンドマネジャーを選定、契約内容の調整を経て、平成二十八年二月にファンドマネジャー二者とファンドを組成いたしました。ファンド組成後、ファンドマネジャー二者は、投融資案件の実現に向け、都内のさまざまな案件について検討を開始したところでございます。
○中村委員 決算年度ではファンドが組成をされ、案件については検討を開始したということでした。
ところが、昨年十月に三者を選定したと発表していましたが、その後、一者が撤退をして、ことし二月に発表された契約は二者になったとのことでした。その理由は何だったのでしょうか。そして、そのことによる問題はないのでしょうか。出資が五十億円から三十七億五千万円になったわけですが、百億円集まるのでしょうか、伺います。
○鈴木資金活用担当部長 平成二十七年十月に選定したファンドマネジャー三者のうち、スパークス・アセット・トラスト&マネジメント株式会社は、平成二十八年二月八日付で選定を辞退いたしました。辞退の理由は、ファンド組成及び運営に係る参画企業間の調整を整えることができず、選定時提案したスキームの構築が困難となったためというものでございます。
今後、組成した二ファンドの投融資案件が拡大すれば、それに伴い、必要な資金を民間投資家から募集し、ファンド規模を拡大することから、ファンド規模の目標の百億円が集まることを期待しているところでございます。
○中村委員 辞退の理由について伺い、また、百億円集まることを期待するとのことですが、やはり投資を専門に行う会社が辞退するというのは、そのこと自体にリスクがあり、不安材料になってしまいます。
そこで、リスクを回避するための方策はどのようなものがあるのか伺います。また、外部の専門家から助言を受ける体制を確立しているとのことですが、専門家からどのような指摘があったのか伺います。
○鈴木資金活用担当部長 ファンドを通じて事業を行う場合、都以外の出資者や事業に融資する金融機関のチェックが入ることにより、事業の安全性がより高まるものと理解しております。また、都のファンドへの出資につきましては、経営責任を負わない有限責任の形で行うことに加え、優先劣後構造の活用により都が優先的に配当を受け取り、出資金の毀損リスクを抑える仕組みも導入しているところでございます。
都は、今後、投資、会計、法律分野等の専門家の意見を聴取しつつ、ファンドの運営監視に取り組んでまいります。
なお、専門家からの指摘内容につきましては、ファンドの運営状況に関する事項であり、守秘義務に係ることから、申し上げることはできません。
○中村委員 有限責任の形での出資や、優先劣後構造の活用で毀損リスクを抑えるのは最低限のことであり、その上で具体的にどうリスクを回避するかということが問われます。守秘義務でいえないとなると、私たち議会も、本当に安全なのかについてどのように確認をすればよいかということになります。少なくとも、会計管理局がどう監視をしているかについて、まずは質疑を通して確認をすることになります。
そこで、都はこれまでのこのプロジェクトにどうかかわってきたのでしょうか、伺います。特に、リスクの回避をどうしているのか、伺います。
○鈴木資金活用担当部長 本年二月のファンド組成以来、都はファンドマネジャー二者に対し、投融資案件の検討状況などについて、随時動向を確認しております。先ほどご答弁しましたが、本ファンドの組成に当たっては、リスク回避のための仕組みを組み入れたところでございますが、引き続き、投資、会計、法律分野等の専門家の意見を聴取しながら、ファンドに対する質問権、検査権を活用することによりリスクを回避すべく、ファンドの状況を継続的に監視してまいりたいと考えております。
○中村委員 ファンドの状況の監視をしっかりと行うよう求めます。
民進党は、予算の審査の段階でも、投資先や整備効果のチェックができるよう情報公開を行い、透明性と貢献度を確保することを主張しました。当時の知事も、守秘義務の制約はあるが、できる限り公表すると答弁しました。
そこで、実際に情報発信についてはどのようになったか、伺います。また、具体的には施設の整備状況を定量的に公表する指標を検討するとも述べていましたが、どうなっているのか、伺います。
○鈴木資金活用担当部長 ファンド契約上、守秘義務が課せられていることから、情報開示について、有限責任組合である都の意向を全て反映させることは困難でございます。
しかしながら、本ファンドが整備する施設が、地域が求める施設を含むものであることから、情報発信に努めることは重要でございます。本ファンドでは、ファンドマネジャーを公募する際に、その選定基準に、投融資先に関する情報の開示スタンスを明記することで、情報開示スタンスを重視いたしました。また、本年二月には、ファンド契約の締結に合わせて、ファンドの名称やファンド契約締結までの流れなどについて発表したところでございます。
今後、投融資の実行に合わせて案件を公表する際、どのような内容を公表するのかについて、引き続き検討してまいりたいと考えております。
○中村委員 公募の際に、情報開示についての条件をつけたため、通常のファンドよりは情報開示はするということです。しかし、守秘義務があるとはいえ、公金を活用するわけですから、できるだけ情報公開するように求めていただきたいと思います。
都が出資をすることで投資効果の低い福祉目的が入るのですが、同時に、都が入ることで信頼性は増し、その施設ができれば、むしろ積極的に都が関与することを公表すれば、メリットになるわけです。まだ詳細な内容はこれからとのことですが、政策目的と収益目的の両立を図るとも述べていましたが、どのような福祉施設か、どのくらいの収益を見込むかなどわからなければ、ノウハウを生かしていくこともできません。
繰り返し述べていますが、絶対に都の出資金が毀損しないよう、そのためには都がしっかりと監視をすること、できる限りの情報発信を行うこと、これらを改めて求めて、質問を終わります。
○上田委員 各委員からもご指摘ありましたが、私も、まずは公金管理についてお尋ねいたします。
平成二十七年第二回都議会定例会文書質問において、私は、公金管理の基本原則としている安全性、流動性、効率性の確保について質疑したところ、効率性の確保については、安全性及び流動性を十分確保した上で運用収益の最大化を図り、また、効率的な資金調達に努めるとご答弁いただきました。
しかしながら、一ページをごらんいただければわかりますように、平成十四年度から平成二十七年度までの運用収入及び運用利回りの推移によれば、平成二十年度の運用利回り〇・七三二%、運用収入二百七十五億円をピークに、年々、運用利回りと運用収入は低下傾向にありまして、平成二十七年度の運用利回り〇・一一四%、運用収入五十五億円と、七年前に比べて二百二十億円の下落です。低金利政策やマイナス金利政策による外部要因であることは理解するものの、この運用収入の低下傾向についてどのような対策をお持ちなのか、ご所見をお示しください。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都の公金管理は、いかなる金融環境にあっても安全性及び流動性の確保を大前提に、効率性も追求していくことが原則でございます。
現在は、十年国債の利回りがマイナスとなるなど、これまで経験したことのない金融環境でございます。このような状況におきましては、より一層注意深い取り組みが求められており、預金、債券等のバランスや運用先の分散など、リスク管理の強化を徹底していくことが重要であると考えております。その上で、できる限り効率性の確保に努めてまいる所存です。
○上田委員 しっかりと運用をしていくということでありますが、都が管理をする基金などの公金の平成二十八年度平均残高は四兆七千二百十三億円です。一般会計の半額というか、結構な額でございますよね。公金管理の三原則を徹底して、都民の税金を毀損することがないよう、重ねてお願いしたいと思います。
グローバル社会においては、世界金融と金利は連動しておりまして、高い専門性が求められます。できる限りの効率性の確保を担保できる専門性を持った人材確保を引き続きお願いをする次第でございます。
また、金融先進都市東京であるスマートシティーを目指しまして、東京をアジアナンバーワンの国際金融市場として復活させることを、小池知事は都知事選において公約として打ち出されておりました。公金管理の運用に関しては、安全性を最重要視いたしまして、流動性を確保した上で効率性を追求するとのことですが、知事のお考えや方向性と公金管理の運用に必要な三原則は、そごなく共有をしているのか、確かめたいと思います。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 都の公金管理は、いかなる金融環境にありましても、安全性及び流動性の確保を大前提に、効率性も追求していくことが原則でございます。このことにつきましては、知事のお考えや方向性とそごなく共有しているものと認識しております。
○上田委員 そごがないというところを確認させていただきました。
次に、官民連携ファンドについてです。
さきの私の一般質問において、子育て支援を進める官民連携福祉貢献インフラファンドの質疑の後半部分で、私は一般論として、官民連携ファンドにおける公益について、いかなる指標によるのか質疑をいたしました。会計管理局長は、官民連携ファンドでは、一つでも多くの福祉貢献型建物の整備を通じた待機児童解消等への貢献という政策目的とあわせ、都民の税金を原資とする出資金等の確実な回収という目的も同時に実現することを目指している、そのため都は、ファンド運営に対する質問権、検査権を活用しながら運営状況を監視してまいるとご答弁をいただいたところです。
では、何らかの影響により、都の資金回収が鈍化し、回収不能となった場合、都としては、その投資プロジェクトは公益性がなくなったという判断になるのでしょうか、ご説明をお願いいたします。
○鈴木資金活用担当部長 官民連携福祉貢献インフラファンドでは、一つでも多くの福祉貢献型建物の整備を通じた待機児童解消等への貢献という政策目的とあわせ、都民の税金を原資とする出資金等の確実な回収という目的も同時に実現することを目指しております。政策目的の実現も、出資金等の確実な回収という目的の実現も、都民にとって重要な課題であると認識しており、委員ご懸念の事態にならないよう、ファンドの運営状況を適切に監視してまいりたいと考えております。
○上田委員 ご説明にありましたとおり、公益性と資金回収という、一見、二律背反する、大変テクニカル的に難しい事業となりますことから、以下お尋ねさせていただいております。
私は、官民連携ファンドの状況について、二ページの資料要求をさせていただきました。官民連携ファンドの運用実績を確認したところ、官民連携インフラファンド、官民連携再生可能エネルギーファンド、官民連携福祉貢献インフラファンドの三ファンドに都は出資をしております。出資額と現時点の累積資金回収額として、官民連携インフラファンドは出資額三十億円、累計資金回収額は六億八千七百万円、官民連携再生可能エネルギーファンドは出資額は十二億円、累積資金回収額は二千万円、官民連携福祉貢献インフラファンドは出資額三十七億五千万円、累計資金回収額は今のところゼロ円です。
この三つのファンドの回収に関して、どの程度のめどで回収できるのかシミュレーションや想定などしているのでしょうか、改めてご説明をお願いいたします。
○鈴木資金活用担当部長 官民連携ファンドは、民間のノウハウを活用するスキームであり、ファンド運営事業者におきましては、各プロジェクトに投資するに当たって、資金の回収を見込みながら取り組んでいるところでございます。
なお、その具体的な見込みにつきましては、守秘義務の関係もあり、お答えすることは困難でございます。
○上田委員 守秘義務は、中村委員からも指摘がありましたけれども、企業への守秘義務と都民の血税の防止のための監視、これも非常にバランスが難しいと思われます。都側の担当者がかわっても常に同じレベルで監視し、安定的な運用に努めていただきたいと考えますし、今後についても懸念もするものでございます。
通常、投資プロジェクトを考える際、投下資本と投資リターンのみを考えます。投下資本以上の投資リターンがあれば、その投資プロジェクトは成功したと判断をし、プロジェクトは継続、投下資本以下なら清算すべきという意思決定にならざるを得ませんよね。
しかし、官民連携ファンドでは、そこに公益というものが、違うファクターが入ってくるんですね。投資プロジェクトを継続すべきか清算すべきかの意思決定の際に、公益があるから継続をするという意思決定が動いたときに、官民連携ファンドにおける予算制約の甘さが露呈し、プロジェクトとして成功が難しいものに都民の税金が使われ続けることになるのではないかと、重ねて懸念をしているものでございます。
この点を踏まえて、つきましては現状を踏まえて、今後どのような取り組みをしていくのか、方向性をお示しください。
○鈴木資金活用担当部長 都は、専門家の意見を聴取しながら、ファンド運営事業者が意思決定を行う機会へオブザーバー参加し、意見表明を行うことや、監査法人に対して外部委託し、調査を行うことなどにより、今後とも官民連携ファンドの運営を監視することにより、引き続き、政策目的と資金回収目的の双方の実現を目指して取り組んでいきたいと考えております。
○上田委員 都民の血税を守るために、高い専門性を確保しての監視、管理体制があることを確認させていただきました。
可能な限り情報を開示し、回収の状況を都民にお示しして、世界経済、先ほど来いっていますが、金融は一年三百六十五日二十四時間動いておりますことから、今後とも常に動向を厳しく監視することを求めます。
続いては、財政運営をマネジメントするため基幹となる公会計についてであります。
平成二十七年一月二十三日の総務大臣通知によれば、原則として平成二十九年度までに全ての地方公共団体において統一的な基準による公会計財務書類等を作成するよう要請する予定となっております。これに向けて東京都も早急なる取り組みをしているところ、先ほど来、東京都方式を普及するような取り組みをしているというご答弁が、ほかの委員にありましたけれども、評価はするところであります。
平成二十九年度となりますと、残すところ一年となっております。都は、公会計の統一化に向けてどこまで進めているのか、改めてご説明をお願いいたします。
○野口会計制度担当部長 新公会計制度の基準についてですが、国の統一的な基準は、自治体の主要な財源であります税収を、民間企業の損益計算書に相当する行政コスト計算書に収入として計上していないために、収支の状況がわかりにくくなっていることや、期末仕訳を許容しており、事業別財務諸表を作成してマネジメントに活用することは難しいという課題がございます。
他方、都方式でございますが、企業会計や国際公会計基準に近く、わかりやすいことや、日々仕訳方式によりマネジメントへの活用にも有効であることから、都は、今後も引き続き都方式による財務諸表を作成することを基本といたしまして、都議会への報告や都民等に対する公表も行ってまいります。
一方で、国は、日々仕訳方式を採用している自治体につきましては、二十九年度決算について統一的な基準に基づく財務書類を作成するよう求めておりまして、都は、都方式の二十九年度の財務諸表を組みかえて対応する予定といたしまして、昨年度、平成二十七年度から準備を開始したところでございます。
○上田委員 国方式へコンバーターをするというご苦労がしのばれるご答弁でありました。
次に、平成二十八年第一回定例会文書質問において、固定資産台帳の整備の完了見通しについてお伺いしておりましたけれども、平成十八年度から固定資産台帳の役割を持たせ、運用しているとのご答弁でした。早くから取り組んでいらっしゃるということでしたね。
改めて確認しますが、平成十八年度から運用を開始して現時点までの固定資産台帳の整備完了までの、国の方からもわあわあいわれているところでありますが、進捗率はおよそどの程度か、お示しいただければと思います。
○野口会計制度担当部長 財務諸表の作成には、インフラ等を含めました固定資産を正確に把握することが基礎でありまして、都においては、平成十八年度に複式簿記・発生主義会計による新公会計制度を導入する際に、固定資産を管理する財産情報システムや物品管理システム等に必要なデータを登載し、固定資産台帳の役割を持たせることとしておりまして、既に整備は完了しているところでございます。
また、新たな固定資産を取得した場合には、その都度システムに情報を追加して登録しておりまして、計上が必要な固定資産については、全てそれぞれのシステムに計上されております。
○上田委員 一応今完了ということで、もう一度確認させてください。
固定資産台帳の整備完了までの進捗に対しては、あと何年で整備完了できるかなと思っているんですが、その完了見通し等、数値でお示しいただければと思うんです。できていればできているで構いませんので。
○野口会計制度担当部長 先ほどご答弁したとおりでございますが、固定資産を管理する財産情報システムや物品管理システム等に、平成十八年度から既に固定資産台帳の役割を持たせておりまして、既に整備は完了しているところでございます。
○上田委員 るる、都有財産の無償貸与の問題なんかもほかの局でもありまして、この固定資産台帳の管理ってどうなっているのかなというところもありまして質問させてもらったんですが、体制は整っているということで確認をさせていただきました。
企業会計において最も重要なことは、ディスクロージャーです。これは知事も、全く都民ファーストで情報公開とおっしゃっている、この理念もここにあると思います。これは、企業が投資家や取引先などに対し経営内容に対する情報を公開することであります。東京都は、一方、いち早く企業会計の手法を取り入れてきましたので、ディスクロージャー、つまり情報公開をより積極的に行っていただけるよう、重ねてお願いをいたします。
また、東京都型バランスシートこそ全国に普及するようなきっかけになるよう、引き続き諦めずに総務省や国との協議を続け、全国で真っ先に先鞭をつけた経験値と実践に裏打ちされた東京都型の優位性をお示しいただくよう、ご期待を申し上げます。
最後の一問です。決算までの流れについてお尋ねします。
資料の三ページを拝見して、大変わかりやすい、入りから出の流れがわかりました。決算に当たりまして、この流れで財政の内部統制ができているのか、課題と対応策があれば、そこも含めたご所見をお示しください。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 歳出予算の執行に当たりましては、各局では、配当を受けた予算額の範囲でなければ支出決定することができません。また、会計管理者は、支出命令を受けた場合、法令または予算に違反していないこと及び債務が確定していることを審査、確認した上でなければ支払うことができません。このように、各局及び会計管理者それぞれの段階でチェックが働く仕組みとなっております。
○上田委員 次に、決算の調製に当たりまして、財務会計システムはどのように--ここの一番下の部分ですよね、図面の四角いところでありますけれども、このシステムはどのように予算との整合を果たしているのか。現在のような形で数字から課題認識の共有につなげていくのか、現状で十分なのか、ご所見をお示しください。
○中澤管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 会計管理者は、財務会計システムにより、議決予算、各局への配当などの予算情報及び歳入歳出の計数を一元的に管理しており、予算との整合性は確保されております。
決算の調製に当たりましては、会計管理者は、各局が作成した決算資料と財務会計システムの情報とを照合、確認することにより、決算の正確性を確保してございます。こうしたプロセスを経て、正確な数値を反映させた決算書、附属書類などを議会に提出してございます。
○上田委員 都民の血税の出入りについては、会計管理局におかれましては、非常に緻密かつ安定的に管理、運用をされていることがわかりました。中身は、きっとソフトウエアの問題なのかなというふうに思いました。この管理、運用の積み上げが、本日の決算審査にもつながっていると感謝申し上げて、質問を終わらせていただきます。
○桜井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○桜井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で会計管理局関係を終わります。
○桜井委員長 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十七年度東京都一般会計決算中、選挙管理委員会事務局所管分を議題といたします。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○福田選挙管理委員会事務局長 去る十月十四日の当分科会において要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
お手元の平成二十七年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
表紙をおめくりいただきますと、目次に六件の資料の件名が記載をしてございます。この順番に従いまして説明を申し上げます。
一ページをお開きください。資料第1号、東京都選挙管理委員会が管理執行した国政選挙・東京都知事選挙・東京都議会議員選挙における予算現額及び執行率でございます。
平成二十四年度から平成二十七年度までの各選挙についてお示ししてございます。
二ページをお開き願います。資料第2号、十八歳選挙権に向けた準備と啓発の状況でございます。
平成二十七年度における選挙常時啓発普及事務のうち、十八歳選挙権に向けた準備に係る金額をお示ししてございます。
三ページをお開き願います。資料第3号、十八歳選挙権に向けた各学校との連携状況でございます。
平成二十七年度に東京都選挙管理委員会事務局が高等学校で実施した選挙出前授業及び模擬選挙の実施件数を、区市町村別にお示ししてございます。
四ページをお開き願います。このページから次の五ページにかけまして、資料第4号、都議会議員選挙区別「議員一人当たりの人口の較差」及びいわゆる「逆転現象」の状況でございます。
まず、四ページの1、現行条例の状況、これは改正条例が施行される前の状況ということでございますが、議員一人当たりの人口の較差及びいわゆる逆転現象の数を、選挙区別の一覧にしてお示ししてございます。
次に、五ページをお開き願います。五ページの2、改正条例施行後の状況では、平成二十九年七月二十二日の任期満了に伴う都議会議員選挙から適用される改正後の条例における状況を同様にお示ししてございます。
六ページをお開き願います。資料第5号、都道府県議会議員選挙に係る選挙区定数決定の基本原則でございます。
1の都道府県の議会議員の選挙区に関する主な事項では、選挙区に関する主な事項について概要をお示ししてございます。
また、2の都道府県の議会議員の選挙区の定数の設定では、各選挙区ごとの定数の設定について、概要をお示ししてございます。
七ページをお開き願います。資料第6号、歴代選挙管理委員における公務員の経験者の前職及び就任時役職でございます。
直近四期分の歴代選挙管理委員につきまして、公務員の前職及び就任時の役職をお示ししてございます。
以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○桜井委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○上田委員 まず、予算未執行についてお尋ねします。
予算現額と執行率ですが、資料1号、一ページを拝見しますと、毎回相当程度の未執行となっております。急な解散や辞職などは補正予算で対応しているということですが、不測の事態を想定し、ある程度の余地を持って予算を立てるものと勘案はするものの、これまでの予算の査定は適切だったのか、対応策も含めてご所見をお示しください。
○福田選挙管理委員会事務局長 資料の第1号にありますように、執行率は九〇%を超えているときもある一方、六六%のときもございます。過去の選挙におけるこうした予算と執行額の差の主な要因は、実際の選挙の立候補者数が少なく、選挙運動費用の公費負担が予算を下回ったことや、投票用紙や選挙公報等の印刷物の入札等により不用額が生じたこと、そして、急遽同日選挙が行われたことにより、結果的に経費が節減されたことなどでございます。
このように見積もりが変動する要因がいろいろあるわけですが、予算不足により選挙の執行に支障が生じないようにすることを大前提としつつ、今後とも過去の決算等を踏まえて精査を行い、適切な予算計上に努めてまいります。
○上田委員 確かに、二回も知事選があるとは誰も思わないような状況の中、選管としては、可能な限り、都民にまず迷惑をかけないということで動かれていたのかなというふうに推量いたしました。
続きましては、投票所における障害者への合理的配慮と秘密保持についてです。
障害によっては、口頭で候補者名をいって代筆をしてもらう代理投票をしてもらう場合があります。投票所によってはその声が筒抜けで、秘密保持が担保されない場合があるとの声を聞きます。バリアフリーに課題を残す投票所も散見されるとのことです。
つきましては、総務省の障がい者に係る投票環境向上に関する検討会報告書及び障害者の権利条約、障害者差別禁止法施行を受け、都の対応状況について、区市町村との連携もあわせ、ご説明をください。
○福田選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員会といたしましても、障害を有する有権者の方々が投票するためのよりよい投票環境を整備することは大変重要なことと考えております。
このため、区市町村選挙管理委員会の職員を対象に実施している研修事業において、毎回、東京都心身障害者福祉センターから講師を招き、投票所における障害を有する方々への接遇などをテーマとした講演を実施しております。また、国政選挙や都議会議員選挙及び都知事選挙が実施される前に、区市町村の選挙管理委員会職員を対象に都が開催する事務説明会においても、障害を有する方々への対応について説明するとともに、投票所のバリアフリー化への協力要請を行っております。
投票所を管理する都内区市町村の具体的な取り組みといたしましては、言語障害のある方々との意思疎通を図るためのコミュニケーションボードや車椅子の配備、段差解消スロープの設置など、バリアフリー化が進められており、都としても都議会議員選挙及び都知事選挙において、こうした区市町村が行ったバリアフリー化に要した経費について、優先的に交付をしているところでございます。
○上田委員 区市町村も、二十六市二十三区ございますので、とりあえず都が管理をするものについては優先的に交付という点は、非常によいのかなというふうに思いました。
次に、一票の格差についてです。
本年、都議会議員選挙における定数配分が、都民非公開の都議会のあり方検討会の議論にて、二増二減という結論に達し、条例が改正されました。ただ、選挙管理委員会としては、憲法が民主主義の基本として要請する投票の平等性確保をすべく、資料の基本原則を前提に、直近の人口動態を踏まえ、六増六減案を示されました。
我が会派は、あり検には入ることができなかったのですが、二増二減では、資料4にあるように、五ページもごらんいただければわかるように、いまだ逆転現象は解消されておらず、私の江戸川区なんかは、まさに逆転現象の象徴的な自治体だと思います。このような、杉並よりも人口が多いのに、定数が少ないというような状況でありまして、余りにも不十分であるという見解を持っております。
5号資料にありますように、神奈川県では、選挙区事情や政局などの非科学的なバイアスにとらわれることなく、都選管と同じく基本原則に従って、定数については、随時国政選挙を受け、粛々と機械的に是正をしております。十八歳投票も開始し、若者たちの一年一年は短く、早く流れます。四年ごとの非科学的ともいえる見直しでは、私は済まされないと考えているものです。
改めまして、東京都選挙管理委員会におけます都民ファースト、有権者ファーストの投票の平等確保について、ご所見をお示しください。
○福田選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員会は、五年に一度の国勢調査が行われるごとに、国勢調査速報値に基づく都議会議員の選挙区別の人口や人口比例配分により計算上導き出される選挙区別の議員定数などについて公表しております。ことし二月も、平成二十七年国勢調査の速報値発表に合わせて公表したところであります。
公職選挙法は、都道府県議会議員の各選挙区の議員数について、各選挙区において選挙すべき地方公共団体の議会の議員の数は、人口に比例して、条例で定めなければならない、ただし、特別の事情があるときは、おおむね人口を基準とし、地域間の均衡を考慮して定めることができると規定しております。
そして、このただし書きの適用については、最高裁判例により、当該都道府県の議会に裁量権が与えられていると解されているところであります。東京都選挙管理委員会としては、都議会においては、こうしたことを踏まえ条例改正がなされたものと考えております。
○上田委員 選管の極めて論理的なご説明を聞けば聞くほど、今回の定数改正は、都民ファースト、有権者ファーストというよりは、都議会ファーストに決まったように拝察しました。速やかな都選管の見解を反映できる議会及びあり検であることを、私も議員の一人として襟元を正したいと思っております。
次に、歴代選挙管理委員についてです。
選挙管理委員は議会が選ぶわけではありますが、地方自治法では、委員は人格が高潔、政治及び選挙に関して公正な識見を有する者とされ、厳しく公正、公明、平等が求められると考えます。
平成二十三年統一地方選挙にて、渋谷区選挙管理委員会が当選と認定した者を、東京都選挙管理委員会により一票が無効票であると認定、法廷闘争にまで発展しました。結果、くじ引きとなり、当選した議員の方がバッジを失いました。当時の都選管の委員長は、渋谷区選出の元都議会議員の元渋谷区長であり、当時の渋谷区選出の自民党都議会議員の実の父親という構図でした。選挙管理委員長は、親族等関係者の利害にかかわる審理、裁決に参与してはならない旨の地方自治法百八十九条二項に抵触しまいかという事案です。
昨年の統一地方選挙でも、足立区区議会議員選挙において、一・一九六票差で次点に泣いた候補が最下位当選者の投票無効を求める異議申出書を提出しましたが、こちらは再度、投票用紙を数え直したところ、四票に票差が広がり、足立区選挙管理委員会の認定どおりの結果となりました。
以前、総務委員会で、選挙争訟の審理における公平性の確保につきただした際には、公平性について担保されているものと考えておりますとのことでしたが、6号の資料の委員の人選が偏ることにより、都民や当事者が疑念を持つおそれがあるのではないかと危惧をしております。
つきましては、この点につきましてご所見を求めます。
なお、私のところには相談や指摘が届いておりますが、都選管にはこのような声が届いていないのかも確認させてください。
○福田選挙管理委員会事務局長 東京都選挙管理委員会の委員は、地方自治法の規定に基づき、人格が高潔で、政治及び選挙に関し公正な識見を有する者のうちから、都議会において選挙された方々でございます。
また、四人の委員のうち、同一の政党その他の政治団体に所属する者が二名以上となることはできないことや、委員自身や父母、配偶者、兄弟姉妹などに直接の利害関係のある事件に関する議事への参加はできない等が地方自治法に規定されております。
このような法の枠組みの中で、委員の人選や議事への対応がなされておりまして、東京都選挙管理委員会の委員の職務遂行に当たっては、公平性について確保されているものと考えております。
なお、平成二十七年度以降、当事務局の都民の声窓口に寄せられた提言、要望等で記録が確認できるものの中には、東京都選挙管理委員会の委員の人選等に関するものはございません。
○上田委員 それでは、最後に主権者教育についてです。
去る七月に投開票の参議院議員選挙では、全国的にも東京都の十八歳の投票率はトップクラスであったと大きく取り上げられておりました。一朝一夕には投票率は上がるものではなく、これまでの、さらには一昨年の公選法改正以来、意欲的に啓発活動を展開してきた都選管の大いなる収穫、実績といえると思います。その取り組みは、2号、3号資料の方をごらんいただければ、委員の皆様わかるかと思います。
東京都の投票率がこのように高かった理由はどこにあったかと、これまでの具体的な取り組みとあわせて、どのような分析をしているのかご説明ください。
○福田選挙管理委員会事務局長 ご存じのとおり、投票率は天候などに左右されることもあり、ストレートに広報や啓発との関係性を見出すことは大変難しいところでありますが、東京都選挙管理委員会では、選挙権年齢を十八歳に引き下げる公職選挙法改正が昨年、平成二十七年六月に行われて以来、高校などの教育機関と連携して、先ほどご説明した要求資料にありますように、選挙出前授業、模擬選挙を行ってまいりました。
今回の選挙では、選挙出前授業、模擬選挙を初めとしたさまざまなアプローチを行いました。こうしたことが、若い人たちの選挙に関する意識の醸成の一助となったのではないかと感じております。今後も若年層の投票率の向上に向けて、さまざまな取り組みを行ってまいります。
○上田委員 この成功事例を踏まえて、このような取り組みについて、今後、先ほども別の局でも、よい前例を普及していくというようなものがありますけど、どんな展開を考えているのか、ご所見を最後にお伺いいたします。
○福田選挙管理委員会事務局長 選挙は、基本的に民主主義の根本ということでございます。そういう意味では、やっぱり投票率の向上というのは、選挙管理委員会としては最大の使命だというふうに考えております。なかなか、冒頭、先ほどの答弁で説明したとおり、天候とかさまざまな要因で投票率というのは左右されるもので、我々が頑張った分だけ、そのまま反映されるというものではございませんが、今後とも若年層の投票率の向上に向けて、さまざまな取り組みを行ってまいりたいというふうに考えております。
○上田委員 ありがとうございます。私も大学生、高校生の母親で、今回、非常に東京都のキャンペーンが若者たちには、センスがよくてインパクトが強かったという声を聞いております。引き続き、やっぱり投票率の向上が、都民の改革マインドがどんどん進んでいくと思いますので、取り組みの方をよろしくお願いしますと申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
○桜井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○桜井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。
○桜井委員長 これより議会局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十七年度東京都一般会計決算中、議会局所管分を議題といたします。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○新美管理部長 去る十月十四日の当分科会において要求のありました資料についてご説明申し上げます。
お手元にお配りしております平成二十七年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料の表紙をおめくり願います。
目次に記載のとおり、全部で八項目でございます。
それでは、一ページをお開き願います。1-1、都議会ホームページの月別アクセス数でございます。
ページビュー数を月別に記載しております。
二ページをお開き願います。1-2、都議会ホームページの項目別アクセス数でございます。
ホームページの項目別にアクセス数の多い順に十項目を記載しております。
三ページをお開き願います。2、都議会本会議の紙の使用量でございます。
平成二十七年度に議会費で支出し、本会議場で議員に配布した資料等について、議員一人当たりの枚数と総量を記載しております。
四ページをお開き願います。3、ラグビーワールドカップ二〇一五イングランド大会議員調査団実施概要でございます。
議員調査団の日程、参加議員等を記載しております。
五ページをお開き願います。4、海外調査実施概要でございます。
平成二十七年度に実施した海外調査について、実施状況、会派別参加者数等を記載しております。
六ページをお開き願います。5、調査部による調査の実績でございます。
議会局調査部が平成二十七年度に実施した調査件数を、依頼元別に記載しております。
七ページをお開き願います。6、会派控室非常勤職員についてでございます。
会派控室非常勤職員について、勤務内容、配置状況等を記載しております。
八ページをお開き願います。7、都議会のあり方検討会の開催状況及び各回の内容でございます。
都議会のあり方検討会の開催日及びその内容を記載しております。
九ページをお開き願います。8、委員会視察報告書の提出状況でございます。
平成二十七年度における視察回数と報告書の提出状況について記載しております。
以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○桜井委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○上田委員 議会広報、情報公開について、主にホームページを中心として一、二ページの資料ですけれども、情報提供の推進を、まず端的に伺っていきたいと思います。
本会議の会議録、委員会の速記録、会議録検索、ネットリポートと、議事録の掲載箇所があちこちにあり、非常に使い勝手が悪いといわざるを得ません。殊にネットリポートは、割とすっきりまとまっていて読みやすいのですけど、その題名と議事録が相関せず、トップページからたどり着くことはなかなか難しいと考えます。会議録は、議会の最重要なアーカイブでございます。会議録、速記録、会議録検索、ネットリポート、これらはそれぞれどのような設計思想、都民のアクセシビリティーを念頭に配置をされているのかご説明ください。
○新美管理部長 会議録及び速記録は、地方自治法及び東京都議会委員会条例に基づき作成されるもので、議会の公式記録としてホームページに掲載しています。
会議録検索システムは、膨大な会議録等の中から、言葉、発言者、会議名等のキーワードにより、必要な事柄を検索するシステムです。
また、ネットリポートは、会議録などの公式の記録とは別に、都民にわかりやすくするために、質問ごとに一問一答形式に編集し、提供しているものです。
都民がそれぞれの目的に応じて必要な情報にアクセスできるよう、トップページから検索できるようになっております。
〔「わかりやすいよ」と呼ぶ者あり〕
○上田委員 わかりました。私は、ちょっと使いづらいかなというふうに思って、伺ったところでございます。
写真リポートなんですけれども、資料の二ページを見ると、割とごらんいただいて、ベストテンに入っているんですけれども、議会活動の細かい説明は、特にあそこからリンクに行くというわけでもなく、キャプションだけとなっているんですね、写真と。何を目的とし、何を情報提供しようとしているのか、改めて伺いたいと思います。
○新美管理部長 写真リポートは、都民が都議会に対して親しみを感じていただくことを目的として、都議会を代表する議長の活動を写真でわかりやすく紹介しているものでございます。
○上田委員 百二十七人の議員もいます。各会派もあるので、もう少し情報提供をできるようになるといいのかなというふうに思っております。
各議員の質問の通告項目なんですが、すぐに見られなくなってしまいます。経過と理由についてご説明ください。
○松丸議事部長 質問通告につきましては、本会議で質問しようとする者が、あらかじめ議長に対して質問項目の要旨を提出し、執行機関が的確に答弁できるよう行っているものでございます。
質問通告の締め切り日には、質問者と質問要旨の一覧を都議会のホームページに掲載しております。代表質問、一般質問の終了後、その録画映像をホームページに掲載するため、必要のなくなった質問通告一覧は削除しております。
○上田委員 次に、各会派の議決態度ですが、「都議会だより」のページまで行かないと見られず、請願陳情の会派別態度は確認することができません。議会は、まさに都民の代表のチェック機能とアカウンタビリティー、説明責任が問われる機関であります。憲法九十二条、九十三条に則した都民ファーストの観点で情報提供ができているのか、ご所見を伺います。
○新美管理部長 東京都議会の保有する情報の提供については、東京都議会情報公開条例の規定に基づき、議員により構成する情報公開推進委員会の議論を経て制定された東京都議会の保有する情報の公表・提供に関する要綱に基づき行っています。これにより、ホームページや広報誌、都議会図書館や公立図書館など、さまざまな媒体や場所を活用して積極的な情報提供の推進に努めております。
○上田委員 さらに、現在、議案、条例案は原文が不存在であります。請願陳情は、採択された原文ではない文書表のみ、意見書、決議は、採択されたものだけが掲載されます。請願陳情は、地域住民の権利であります。ですので、区市町村では、採択のいかんにかかわらず全文掲載している議会も多いところです。私も江戸川区議の経験があるので、余りの情報の少なさに驚いたわけです。
殊に、一回の審議で結果が出る都議会運営において、都民の提出した陳情や請願が採択されなければ公表されないというのであれば、都民の声が議会ブラックボックスに吸収されてしまうのではないかという批判を免れないのではないでしょうか。
また、前知事の政治資金などの問題のときは、アクセスが集中してライブ中継が見られなくなる事態が発生しました。傍聴に来られない納税者である都民の知る権利を奪うことになりかねません。
つきましては、これまでのホームページに関する都民などからのご意見、苦情などの状況について伺います。
○新美管理部長 閲覧者から、トップページの項目が多くわかりづらいという意見もあったことから、都民にわかりやすいホームページとするため、平成二十七年六月にトップページをリニューアルし、メニューの構成をシンプルなものといたしました。
また、若者の利用が多いスマートフォン等においても利用しやすくなるよう、パソコン向けのページをスマートフォンの画面にも最適化して表示するレスポンシブデザインに変更するなど、ホームページの改善に努めております。
なお、先ほどご指摘のありましたインターネット中継についてですけれども、前知事に関する諸問題のため、平成二十八年第二回定例会で予想を超えるアクセスが集中し、一部で見られない状態が発生いたしましたが、その後、状況に応じてアクセス対応数を引き上げる措置を講じたことにより、同様の事態は生じていません。いずれにいたしましても、ホームページで適切な情報が提供できるよう努めてまいります。
○上田委員 民主主義の根幹である有権者の知る権利が担保されなければ、議会政治はその魂を失います。昨今の地方議会不要論の数々は、その兆しであると強い危機感を私は持っております。
都民が知りたい情報は何か、その権利において積極的に知らしめなければならない議会情報が何か、今までの答弁では把握し切れていないように思料いたしました。
私は、一期目ながら、都民の知る権利に応えるべく調査、質問をフルに行い、自発的に情報発信、提供、開示していると自負しております。そのような議員を議会全体で支えるような広報体制を求めるものでございます。
次に、三ページの資料では、議会局のみで年間六万五千七百二十枚の紙の資料があります。各局の本会議配布資料は、年間四十万枚となります。各会派でも資料の整理には頭を痛めているところだと思いますが、では、タブレットにしてペーパーレスという極端な結論もなじみにくいと思います。検索性の向上とあわせ、省資源化も考えなければならないと思いますが、取り組み、検討状況についてご説明ください。
○松丸議事部長 本会議において議会局が作成、配布している資料は、議事日程や質問事項、議員提出議案や請願陳情の審査報告書などがあります。こうした資料は、本会議に出席する議員が、課題となっている案件を理解、検討し、議決するなど態度を表明するまでの過程において、当然必要なものと理解しております。
なお、資料の配布に際しては、両面コピーを活用するなど、できる限りの省資源化に取り組んでいるところでございます。
○上田委員 議員間でもIT環境の違いは存在していると思われますので、画一的な取り決めは難しいのだと拝察しました。まずは、例えば議会からの情報はファクスではなくメールでよいという議員もふえていると思われますので、個別でペーパーレスの対応ができると思いますので、できるところから開始してはいかがかと思いました。ちなみに、私はファクスではなくメールでお願いしたいと改めて要望をしておる次第でございます。
次に、議会の調査力です。
以前、調査部に調査をお願いしたことがあったのですが、残念ながら、時間がかかった割には期待したような成果が得られませんでした。当然、我々は会派に政調スタッフがおり、また、政務活動費で外部に調査を依頼することもできますが、ほかの自治体における調査などは、議会局を通すことを求める自治体も散見されます。都議会そのもの、つまり都議会ならではの調査課題もまたあると考えます。
今回、大きな争点となった豊洲市場問題なども、集中して調査し、全議員で問題を共有してこそ、理事者とは異なる視座に立って解決策が打ち出せたのではないでしょうか。
つきましては、都議会が昨年度来、虚偽の報告を理事者から受けていたというゆゆしい事実を前に、議会の調査機能の強化についての課題認識をお示しください。
○山内調査部長 依頼調査についてでございますが、議員や各会派の持つ問題認識はさまざまであり、先ほど資料の説明にもありましたように、これまでもさまざまな視点に立った依頼をお受けしまして、適切に調査を行ってきております。今後とも、議員及び各会派などの調査活動を補佐するため、依頼に基づき、国や地方自治体の施策等に関して調査を行ってまいります。
○上田委員 迅速な調査体制を重ねて望むものです。
次に、海外調査です。
四ページ、五ページ資料によれば、今年度会派割り当て海外調査については、自民党は一千万円で、議員一人百四十二万、随行員も経費として議員の人数で割っております。民主、維新は七百万円で、一人二百三十三万。ワールドカップ・ロンドン大会は約二千万となっており、一人百八十万円となっています。
前知事の海外視察などの問題が発生し、リオ五輪については中止となったことから、決算に当たり、この価格が、積算根拠、ロジスティクスも含め適正だったのか、改めてご所見を求めます。
○宮澤連絡調整担当部長 海外調査の内容につきましては、議会運営委員会に諮り、協議を行っていただくとともに、調査に支障のない範囲で経費の節減に努め、適正に執行しているところでございます。
引き続き、議員による海外調査を補佐し、充実した海外調査となるよう、その積極的なサポートに努めてまいります。
○上田委員 続きまして、七ページ資料にあります公費で負担をする会派控室の非常勤職員についてですけれども、我々のような少数会派には配置されておりません。なぜこのような職員が置かれるようになったのか、経過と各会派の執行額につきご説明ください。
○新美管理部長 会派控室職員は、議会や議員活動のために来訪する方の受け付け、接遇業務のため、会派の規模等に応じ従前から配置しているもので、他の地方自治体の議会においても、一般的に同様の措置がとられております。従来は一般職員で対応してきましたが、支障がない範囲で、順次非常勤職員に振りかえてきた経過にあります。
なお、会派別の非常勤職員への支出額は、報酬のほか、通勤手当等を含めまして、提出資料に記載の配置人数から算出しますと、自民党約一千五百七十五万円、公明党約五百二十五万円、日本共産党及び民主党がそれぞれ約二百六十二万円となります。
○上田委員 それぞれに手続論に瑕疵はないということですけれども、この情報がどれだけ都民に公開されているのかなと私は気になるところです。海外調査に参加しない会派、できない会派、また、非常勤職員を配置されない会派がある中、議会のあり方がかねてより都民から多くのご批判を受けている問題もありますし、どちらにおいても根本的な見直しを求めるものでございます。
最後に、議会予算の編成プロセスについてお尋ねします。
本年問題となりましたリオ視察に関連し、都民の注目が高くなってきておりますことから、その高額さに批判が起きました。
改めて、都民の代表、二元代表制の片輪として行政チェック機能が求められる議会は、襟元を正すとともに、議会費についてどのように編成され、査定を受けてきたのか、当該年度についてご説明ください。
○新美管理部長 議会局の所管である議会費は、東京都一般会計予算の一部であり、例年、副知事からの依命通達に基づき、議会局が翌年度の予算見積もり書を知事に提出し、知事が予算編成を行っております。
国内外への調査派遣等については、議会運営委員会等の合意などにより計画、実施されるもので、議会局としては、それを踏まえ必要な経費を計上し、さきに申し上げました予算編成プロセスを経て予算が決定されます。
○上田委員 議会局としては、理事者として適宜適正に手続されていることは当然のことではありますけれども、確認することができました。
一方、手続と内容、質は、別の問題でありましょう。そうなってきますと、議会サイドの姿勢が問われることになりますことから、議会予算の編成に当たって、議会運営委員会の積極的な関与による都民への情報公開と監視を強く求めまして、私の質疑を終わらせていただきます。
○桜井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○桜井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で議会局関係を終わります。
○桜井委員長 これより財務局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十七年度東京都一般会計決算中、財務局所管分、平成二十七年度東京都用地会計決算及び平成二十七年度東京都公債費会計決算を一括して議題といたします。
本件については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○十河経理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 それでは、先日の分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元に配布しております平成二十七年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をごらんください。
最初に、表紙をおめくりください。今回要求のございました資料は、目次に記載しておりますとおり五件でございます。
それでは、まず一ページをお開き願います。要求資料第1号、性質別歳出の推移(普通会計決算)でございます。
こちらは、平成十八年度から二十七年度までの十年間における性質別歳出の推移をお示ししたものでございます。
次に、二ページをお開き願います。要求資料第2号、都債発行額及び都債現在高の推移(普通会計)でございます。
こちらは、平成十八年度から二十七年度までの十年間における都債発行額及び都債現在高の推移をお示ししたものでございます。
続いて、三ページをお開き願います。要求資料第3号、目的別普通建設事業費の推移(普通会計決算)でございます。
こちらは、平成十八年度から二十七年度までの十年間における目的別普通建設事業費の推移を三ページから四ページにかけましてお示ししたものでございます。
次に、五ページをお開き願います。要求資料第4号、本庁舎の使用許可・貸付の状況についてでございます。
こちらは、平成二十八年三月末現在における本庁舎の使用許可、貸し付けの状況をお示ししたものでございます。
次に、六ページをお開き願います。要求資料第5号、都債発行額、元金償還額及び都債現在高の推移(一般会計)でございます。
こちらは、昭和六十年度から平成二十七年度までの三十一年間における都債発行額、元金償還額及び都債現在高の推移をお示ししたものでございます。
説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○桜井委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○北久保委員 平成十七年度決算で実質収支が黒字化し、財政再建に一定の区切りがついたといわれた時代からちょうど十年がたちました。この間、都政は、急速な少子高齢化への対応や都独自の成長戦略など、さまざまな課題に立ち向かいつつ、一方で、百年に一度といわれるリーマンショックや千年に一度といわれる東日本大震災など、多くの不測の事態に直面してきました。
多くの自治体が、急速に変化する膨大な財政需要に対し慢性的な財源不足に苦しむ中、先月、財務局から発表された年次財務報告書は、二十七年度普通会計決算を踏まえ、現在の都財政は健全性を堅持していると分析しています。本日は、こうした年次財務報告書の分析について、再確認をしていきたいと思います。
まず、都の経常収支比率について、過去十年間の推移を、他の道府県との比較もあわせて伺います。
○岩瀬主計部長 経常収支比率でございますが、これは人件費、扶助費、公債費などの削減することが困難な経費に、地方税など経常的、基本的な収入がどの程度充当されているかを示す指標でございまして、比率が低いほど財政の弾力性が高いことをあらわしてございます。
都の経常収支比率は、十年前の平成十七年度には八五・八%でございましたが、平成二十一年度には、リーマンショックの影響による税収減などによりまして、九六・〇%まで急激に悪化いたしました。
その後、平成二十五年度に八六・二%と、五年ぶりに八〇%台に回復し、平成二十七年度決算では八一・五%と、前年度からさらに三・三ポイント改善してございます。
一方、都道府県全体の経常収支比率は、後年度に交付税措置される臨時財政対策債なども含めると、この十年間はおおむね九〇%台前半の水準で推移してございます。こうした比較から、現在の都財政は、他の道府県と比べて財政の弾力性が高い状況であるものの、景気変動の影響などにより、比率が大きく変動するという特徴があると考えてございます。
○北久保委員 都の経常収支比率の振れ幅が他の道府県と比べて大きいということは、とりもなおさず、都財政が他の自治体以上に景気の動向に大きな影響を受けるということであります。
加えて、都は、地方交付税の不交付団体であるため、税収が減少しても、その分を地方交付税で補填される多くの自治体とは全く異なるということも、注目すべき特徴であります。言葉をかえれば、自主財源で必要な行政サービスの多くを賄わなくてはならない都にとって、将来にわたり安定的に都民サービスを提供していくためには、強固な財政基盤を堅持していくことが、他の自治体以上に必要不可欠であります。
年次財務報告書によると、医療や介護などの社会保障に関する経費は、平成二十五年度から二十年間で五千億円以上の増加が予測されており、また、社会資本ストックの維持更新経費についても、今後二十年間で累計二・三兆円の増加となるとの試算も示されています。こうしたことに対応していくためにも、借金や貯金、すなわち都債や基金のありようにもしっかりと目くばせをする必要があります。
そこで、都の基金について、この十年間の動向と年度末残高の推移を伺います。
○岩瀬主計部長 都の基金全体の残高は、都債償還等の財源確保を目的とした減債基金を含めますと、平成十七年度末には一兆一千二百四十六億円であったところ、二十七年度末には三兆五千八百七十二億円となってございます。そのうち、財政調整基金や社会資本等整備基金などの財源として活用可能な基金につきましては、リーマンショックの影響による税収の減少局面などでは、行政サービスを安定的に提供するために計画的に活用する一方で、増収局面では、将来の財政需要や税収減に備えて積極的に積み立てを行ってまいりました。
この結果、平成二十七年度末における財源として活用可能な基金の残高は、十年前と比べて約二倍の一兆二千五百九億円を確保してございます。加えて、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金や防災街づくり基金など、二〇二〇年に向けた集中的、重点的な取り組みを図る基金を創設しまして、平成二十七年度末残高は八千百十一億円確保してございます。
○北久保委員 年度間の財源調整のみでなく、二〇二〇年に向けて集中的、重点的に取り組むべき分野についてもしっかりとした備えを講じているということがわかりました。
また、さきの定例会では、待機児解消という喫緊の課題に対して、百二十億円にも上る補正予算を機動的に組むことができたのも、まさにこうした備えのたまものであり、評価するものであります。
さて、財政の健全性を語る上で、もう一つ大きな要素が都債であります。都財政は、バブル経済崩壊後に大量発行した都債の償還が、政策的経費である一般歳出を圧迫し、厳しい財政運営を強いられた苦い経験があったと認識しています。
そこで、都債の活用について、バブル崩壊後と比べてどのような状況となっているのか、残高の推移とあわせてご説明願います。
○岩瀬主計部長 都は、バブル経済崩壊後、都税収入が減収する中においても、投資的経費については、国の経済対策に対応するなど高い水準を維持し、その財源は都債の発行により賄ってまいりました。
その結果、平成四年度から十一年度にかけて、歳入に占める都債の割合はおおむね一〇%を超え、平成十二年度末の都債残高は七・七兆円と、平成四年度末の約三倍に急増いたしました。
その後、二次にわたる財政再建推進プランの取り組みの中で、事業の重点化などにより投資的経費を削減し、都債の新規発行を抑制した結果、平成十二年度以降の歳入に占める都債の割合は一〇%以下となり、平成二十七年度末の都債残高は四・九兆円と、ピークとなった平成十二年度末から約四割減少してございます。
○北久保委員 起債の依存度や都債残高の状況からも、将来世代に配慮した都債の運営を行ってきたものと評価いたします。
これまでの議論を通して、二十七年度決算の健全性はもとより、社会保障関係経費や社会資本ストックの維持更新経費といった中長期的な財政需要にも耐え得る万全の備えを講じながら、財政運営を行っていることがわかりました。
こうした都の取り組みを都民にしっかり説明していくこと、さらに、これからオリンピック・パラリンピックの重要施策を展開していく上で、都財政の対応力を都民に伝えていくことは非常に重要であると考えます。今回の年次財務報告書では、都財政運営に対する理解を深めるため、内容の充実を図ったと聞いていますが、具体的にどのような充実が図られたのか、ご説明願います。
○岩瀬主計部長 平成二十七年度の年次財務報告書では、都民に対するアカウンタビリティーの一層の充実を図る観点から、特にわかりやすさに配慮しつつ、さまざまな切り口で都の財務情報をお示ししているところでございます。
例えば、都民一人当たりの歳出を十年前、二十年前と比較することで、都が時代とともに変化する都民のニーズを的確に把握し、限られた財源を必要な施策に適切に配分してきていることを明らかにしてございます。
また、都と国、地方の財政規模や、投資的経費などの推移を経年で示すことで、都が国や地方に先駆けて財政健全化に取り組んだ成果を、視覚的にわかりやすくお示ししております。
さらに、歳入歳出の構成比を他の道府県と比較することで、都の財政構造の特徴を明らかにするほか、都財政を身近な家計に例え、現在と過去の決算を比較することで、都財政が質的に転換してきた過程について解説してございます。
このように都民の皆様に、より実感を持って都財政に対する理解を深めていただけるよう、これまでにない切り口から都の財務情報の分析、公表を行うなど、内容の充実を図ったところでございます。
○北久保委員 わかりやすさに配慮しつつ、これまでにないさまざまな切り口で、都の財務情報を分析し、示したとのことで、評価します。
繰り返しになりますが、どうしても難しくなりがちな都財政を、多角的なアプローチで明快に説明し、いかに都民の理解を得るかということは、今後さまざまな重要施策を展開していく上で極めて重要であります。引き続き、さらなる工夫を行っていただきたいと思います。
最後に、加速化する少子高齢化や、来るべき東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の準備や、その先のレガシー構築に向け、機動的な施策展開を支える原動力となるのは、何といっても財政の力であります。
そこで、二十七年度決算の全体的な評価を踏まえ、将来に向けた積極的な施策展開のため、今後どのように財政運営を行うのか、局長の見解をお伺いします。
○武市財務局長 平成二十七年度決算では、子育て支援などの福祉施策や都市機能を進化させるインフラ整備など、都が抱えるさまざまな課題に積極的に取り組むとともに、これまでも議論いただきましたとおり、財政の健全性の確保という点におきましても、しっかりと対応することができたというふうに考えてございます。
しかし、将来に目を転じますと、これもお話に出てまいりましたが、社会保障関係経費や社会資本ストックの維持更新経費といった中長期的な財政需要に加えまして、二〇二〇年東京大会の成功に向けた取り組みなど、計画的な対応が必要な事業が山積をしてございます。
一方で、都税収入が景気変動の影響を受けやすいと。一年間で一兆円減少した、そういう過去の実績もございます。そうした不安定な構造であるということも、これまた都財政の宿命として受け入れていかなければならない事実でございます。
そのような中にありましても、引き続き都政の使命を果たしていくことができるように、それを財政面からしっかりと支えていくことこそが、私ども財務局に課せられた責務であるというふうに考えてございます。
そのために、これまでの事業評価の取り組みを一層強化し、施策の実効性、効率性のさらなる向上を図るとともに、今後の人口構造の変化や将来世代への負担などにも配慮しながら、都債と基金、この二つをより計画的かつ戦略的に活用していくことが極めて重要でございます。今後ともご指導、ご支援を賜りながら、健全な財政運営に全力で取り組んでまいります。
○桜井委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時四十六分休憩
午後三時開議
○桜井委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○松村委員 まず、都有地活用について伺います。
保育園に入れない待機児童、とりわけ希望が多い認可保育園に預けられない待機児童の増加が、都政の最大の課題となっています。待機児童対策は都知事選でも大争点となり、小池知事は、待機児童という言葉そのものを死語にするとして、就任後、緊急対策を発表しました。緊急対策には、我が党が一貫して提案してきた都有地を最大限活用する方策などが盛り込まれ、重要だと考えます。
本決算年度後、都が発表したことし四月の都内の待機児童数は八千四百六十六人ですが、この人数には、保育園に入れず育休を延長せざるを得ない場合や、認可保育園を希望しているにもかかわらず認証保育所などに入所している場合などは含まれていません。こうした子供たちを含めると、待機児童は都内で二万七千人を超え、全国の約三割にも上ります。
都内で各区市町村が認可保育園を増設する上でネックとなっているのが、東京は土地が高く、確保は困難なことです。そのため、区長会や市長会からも、都有地の積極的な活用や貸付料の減額などが毎年要望されてきました。
我が党も、活用可能な都有地が少なくないこと、保育園整備の用地費助成条例などを具体的に提案しながら、支援の拡充を求めてきました。
そうした中で、都は、二〇一四年、平成二十六年度に福祉施設整備のための新たな土地確保策を打ち出しました。この施策を加速させ、さらに充実させる立場から、昨年度の財務局決算において我が党の植木委員から、土地活用検討チームの取り組み状況についてただしました。中村財産運用部長からは、土地活用検討チームは、昨年七月に検討結果を土地活用方策として取りまとめて公表しておりまして、新たな都有地減額制度や、お話もございましたが都営住宅等の建てかえによります創出用地の活用、区市町村に対する情報提供の充実、福祉インフラ整備促進のための都市開発諸制度の見直しについて、順次具体化するなど一定の成果を得ておりますと、そういう答弁がありました。
そこで、この本決算年度ではどういう成果となっていますか。また、前年度対比ではどうかもお示しいただきたいと思います。
○中村財産運用部長 土地活用検討チームは、少子高齢化対策の充実強化を図る上で喫緊の課題となっている福祉サービス基盤の整備をさらに加速するため、都有地や民有地等の活用方策を広く検討することを目的に設置したものであり、平成二十六年七月に検討結果を、お話ございましたとおり、土地活用方策として取りまとめて公表いたしました。
その成果といたしましては、保育所について平成二十七年度に事業者が決定したのは四件でございまして、二十六年度と比べて二件増加しております。新たな都有地減額制度につきましては、平成二十六年度に事業者が決定した事案では適用がございませんでしたが、平成二十七年度に事業者が決定した四件のうち、三件で適用されております。
また、都営住宅等の建てかえによる創出用地のうち、将来に提供可能な候補地についても情報提供するなど、着実に実施しております。
○松村委員 今答弁いただきましたように、二〇一四年度に福祉施設整備のための新たな土地確保施策を打ち出し、これまでに都有地活用が六件になりますね。それから、国有地や都有地、民有地の貸付料補助などによる新たな土地減額制度で、今三件というような成果があったことがわかりました。
そこで、土地活用検討チームのこの決算年度の開催状況、昨年ですね、それから検討チームの成果について、今数字ありましたけれども、どのように検証しているのか。私は、検証というか、さらに改善していく上では、やはり適時やって、新たな改善とか、総合調整を持っている総括的なというか、やっぱり財務局が全庁的に提起することが非常に重要だと思いますので、この点についてどういう検証を行ってきたのか、チームの開催状況とあわせてお答えいただきたいと思います。
○中村財産運用部長 土地活用検討チームとしては平成二十七年度に開催しておりませんが、検討チームで取りまとめた活用方策の成果については、事業の実施を積み重ねながら検証しております。
なお、本年九月には、これまでの活用方策を検証した上で、待機児童解消に向けた緊急対策を策定し、その中で、都有地を活用した保育所等の整備を一層推進するため、副知事をトップとする全庁横断的な都有地活用推進本部を設置しております。
○松村委員 舛添前都政は、四年間で待機児童をゼロにするとしましたが、先ほども数字を挙げましたけれども、この四月では都内の待機児童は二万七千人とふえてしまっていることからも、さらにやはりこの施策を充実、拡充しながらスピードアップする、このことが非常に今取り組みとしては必要だというふうに思います。
そこで、新たに都有地活用推進本部を設置しましたが、これまでの土地活用検討チームは今後どのような位置づけになるのか、お伺いいたします。
○中村財産運用部長 土地活用検討チームは、福祉サービス基盤の整備をさらに加速するため、都有地や民有地等の活用方策を広く検討することを目的に設置したものでありまして、政策企画局、財務局、福祉保健局、都市整備局の部長級の職員で構成しております。本年九月には、これまでの活用方策を検証した上で、都有地を活用した保育所等の整備を一層推進するため、副知事をトップとする全庁横断的な都有地活用推進本部を設置しております。
今後、関係局と連携いたしまして、都有地活用推進本部において都有地の全庁的な洗い出しや区市町村への情報提供の充実など、都有地を活用した保育所等の整備に向けた取り組みを進めてまいります。
○松村委員 今までの土地活用検討チームを、部長級からさらに副知事をトップとして、各局長級というんですか、全庁的な、一層レベルアップしたものに体制を整えたと。
それで、私、お聞きしたいのは、検証した上だと、今までのを検証した上でこういう体制にしなければというか、さらにやはり副知事をトップとするものにしたというその検証内容--実は、知事がいうような見える化じゃないけど、してほしいという思いですけれども、今の答弁で、先に進みたいというふうに思います。
やはり情報提供というのが、実施主体の、事業主体の区市町村が、希望のある認可保育園などをさまざまふやしていくためには非常に重要だと思いますけれども、この区市町村への情報提供については、これまで年に何回提供し、そしてまたどういう間隔で更新してきたのか、または今後どういうふうに考えているのか、その点について伺います。
○中村財産運用部長 都有地活用検討チームの検証といたしましては、これまでの実績に加えまして、区市町村等からどういうような意向があるか、こういうような内容も含めて検証しておりまして、そういった内容を含め情報提供の充実を図ってきております。
平成二十七年度、二十八年度には、五月に一回ずつ提供しております。さらに都有地活用本部では、四半期ごとの都有地の情報を更新の上、年四回程度、区市町村に情報提供することとしておりまして、今年度は九月の本部発足後、十月にも情報提供を行っております。
○松村委員 今の答弁で、情報提供もさらに改善しながら進めているということがわかりました。
そこで、現在既に活用している財産であっても、終了時期が明らかになっている貸付財産については、区市町村への情報提供を積極的に行うべきだと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
○中村財産運用部長 貸し付けております都有地の中には、地元からの要望や都における将来の土地利用計画を踏まえました定期借地による貸し付けや、公共工事の資材置き場、駐車場等の用途でも短期間の貸し付け等を行っているものがございます。
そのような土地の中で、貸し付けの終了時期が明らかになっているものは、その後の利用計画を含めまして調査、把握した上で、福祉インフラ整備に活用可能な土地については情報提供を行っておりまして、今後も適切に対応してまいります。
○松村委員 私も練馬区ですが、前、都立高等保母学院というのがありまして、それが保母養成の学校から、さらに保育士だけじゃなくて保育を教える先生の、そういう学校にしていくということで、社会福祉総合学院等ができましたけれども、その旧都立高等保母学院は長年、やはりあきっ放しだったんですね。
それで、私の地元ですから、やはり保育所が足りないという中で、そういうところを都に問い合わせて、活用すべきではないかと。その後、それが警視庁の機動隊の倉庫に使われるという形になり、それがさらに終わって普通財産になってきたと。ようやく、その間随分期間がかかっていたんですけれども、その跡地の半分が、やはり区が手を挙げて、このたび協力いただいて、保育園に活用できるというふうになったんです。
あとの半分があるんです、まだね。だから保育園だけじゃなくて、もっと特養とかいろんな福祉施設をつくりたいということで、当然区も希望があるんですけれども、伺うと、そこは今度、隣の石神井学園の建てかえの資材置き場等に使われるというか、そういう意味では、それは東京都が、もちろん都有地ですから、必要な使用の仕方を優先的にするというのはわかるわけですけれども、そういう場合、今度はその資材置き場が、いつそれが終わるのかという、かなり時間がかかるんじゃないかという、聞いてもそういうお言葉しか返ってこないんですけれども、そういう、やはり今私の質問でも、期限などを明確にしながら進めていただきたい。
もう一つ、今度財務局は、使用されているものも、期限があるものも一覧表として公表していただきました。大変大きな前進だと思います。引き続き、公営企業局とかそういうところも一覧表にするということを、この推進本部ですか、既に方向性が出されていると聞いておりますので、期待したいと思うんです。
というのは、たしかあそこは水道局のところだったと、事業所があったと。それがなくなって、ドラッグストアになっている例があるんですよね。そうすると、いつそういうドラッグストアが、それも必要なのかもしれませんけれども、返ってくるのかと。そういうのも、やはり公営企業局であっても明確にすれば、もっと区としても取り組みや準備といいますか、前進するというふうに思いますので、今答弁いただきましたけれども、さらに情報提供を積極的に行っていただきたいというふうに思います。
昨年度の財務局質疑で我が党の大山議員から、貸付料がまだまだ大きな負担で、減額制度をさらに拡充することを求めましたが、区長会からも引き続き、無償貸付を行うなど積極的な提供を求めています。この声に応えるべきだと思いますけれども、ご所見を伺います。
○中村財産運用部長 都有地は、都民からの負託を受けました貴重な共有財産でございますので、その貸し付けに当たりましては、適正な対価を受けることが原則であります。区市町村は、福祉や防災を初め、地域行政の中心となる責任と役割を担っており、都は区市町村との役割分担のもと、適切にその支援を行っております。
なお、特に不足しております福祉施設整備に当たっては、その緊急性や重要性に鑑みまして、区市町村のみならず、民間事業者が整備する場合であっても貸付料を減額し、その負担軽減を図っております。
さらに、区市町村からの意向も踏まえまして、今回の緊急対策において、都が都有地を区市町村に貸し付け、区市町村が事業者に転貸することを可能とするほか、清掃事務所や公営住宅など事務事業移管で区市等に譲与した財産について、指定した用途に支障がない限り、待機児童解消を目的とした保育施設の早期措置のため、無償で用途変更を認めることとしております。
○松村委員 都有地活用といっても、都有地、とりわけ未利用地などがなかったり少ない自治体への支援も必要だと思います。そのためには、例えば国に対して、土地提供をこれまでも求めていると思いますけれども、強力に求めるとともに、国有地、民有地を都として買い上げ、安価で貸し出すなどをして、認可保育園増設のための土地確保対策を抜本的に強化する、そういう検討も必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○中村財産運用部長 都有地の未利用地は、地域的に偏在しておりますので、都有地活用推進本部の取り組みの中で、区市町村に情報提供する未利用都有地の範囲を、これまでの三百平米以上から百平米以上へ拡大するとともに、全庁的に洗い出すなど、情報提供の充実を図っております。さらに、都は、国有地につきましては、これまでも貸付料の減額や貸付条件の見直しなどを求めてきております。
区市町村は、独立した基礎自治体として地域行政の中心となる責任と役割を担っておりまして、区市町村にかわり都が土地を購入することは、これらの点で課題がございます。都といたしましては、区市町村との役割分担のもと、今後とも関係局と連携し、適切にその支援を行ってまいります。
○松村委員 いずれにしても、東京都がこの二年間、都有地提供の拡充や借地料の補助などに踏み出し、三百二十三カ所、約二万七千人分の認可保育園の定員がふえました。
しかし、依然、保育園の入所希望者に施設整備が追いつかず、待機児童数はふえ、保育園に入れず会社をやめざるを得なかったなどの、切実かつ深刻な声が上がっています。さらなる待機児解消に向けた施策の拡充を求めます。
次に、財政運営について伺います。資料の提供、ありがとうございました。
提出いただいた資料第1号です。性質別歳出の推移、普通会計決算で出していただきましたが、この推移を見ますと、ちょうど十年前の比較になりますが、全体、合計のところの、右側、十年前と比べて、これを見ますと歳出総額が、十年前を一〇〇%としておりますから、一〇六%です。つまり六%に伸びがとどまっているのに対し、普通建設事業費、これは一一五%ですから、一五%と大きく増加しています。外環道などの大型道路整備や都市の再開発などに優先して事業費を投入してきた結果だといえるのではないでしょうか。
一方、扶助費や補助費などもふえておりますが、ここ数年、財務局からの予算の説明では、福祉、保健の予算は一兆円を超えたと、そういうふうに強調されています。
しかし、主なるその要因を分析しますと、やっぱり高齢化といいますか、そういう中での自然増による国庫支出金などの増によるもので、福祉の増進が図られたものではないと私たちは見ております。
加えて、都は年次財務報告書において、第三者機関の推計値として、社会保障関係経費が毎年三百億円ずつ増加し、これによって二十年間の増加額の累計が六兆六千億円となると。社会資本ストックの維持更新経費についても、二十年間の増加額の累計で約二兆三千億円になるという将来推計値を公表しています。
この数値は、いずれも現在の福祉サービスのレベル、社会資本のレベルを前提としたもので、保育や医療、介護、防災対策などのこれからの充実の必要性を鑑みれば、必要財源はさらに膨らむことは避けられないと思います。
そこでまず、今後社会保障関係経費や社会資本ストックの維持更新経費の増加が見込まれる中、どのような財政運営を行っていくのか、お伺いいたします。
○岩瀬主計部長 都はこれまでも、事業評価などの取り組みを通じ、施策の効率性や実効性を一層向上させながら、福祉や医療の充実、社会資本ストックの維持更新、防災対策など、必要な施策に的確に財源を振り向けております。
引き続き、都民生活の向上に向けて必要な施策を積極的に展開するとともに、中長期的な視点に立って、都債や基金を計画的かつ戦略的に活用し、強固な財政基盤を堅持することで、将来を見据えた財政運営を行ってまいります。
○松村委員 今も答弁で、先ほどの質問にもそういう答えをしておりましたけれども、都債や基金を計画的かつ戦略的に活用し、強固な財政基盤を堅持することで、将来を見据えた財政運営を行っていくと、そういう答弁でしたが、それでは現在の都の都債や基金はどういう状況でしょうか。
まず、提出された資料第2号、都債発行額及び都債現在高の推移を見ますと、都債の現在高は、十年前の平成十八年度とそれから本決算年度、平成二十七年度を比べると、約一兆九千億円減っていますよね。予算では、毎年四千億から五千億円ぐらい都債による事業費を見込みながら、決算額を見ると、特に平成二十六年度、二十七年度は三分の一、いわば使っていないというか--事業量が減ったかといえば、そうではないことは、先ほどの普通建設事業費が一五%と大きく増加していることからも明らかです。結局、いえることは、その分一般財源をつぎ込んでいるからだと思います。
一方、都債の償還に充てる減債基金はどうかといえば、手元では決算も出ておるようですけれども、十八年度末残高、これ予算の概要書の中の見込み額でいいますと五千六十七億円なんですね、減債基金は。ところが、二十七年度末で同じ比較をしますと一兆三千百三億円と、十年前に比べて八千億円以上も借金返しのこの減債基金を積み立てているんですよね。増加させております。合わせれば約二兆七千億円もの額になるんです。単純にそれを合わせればというか、都債をどう活用して、健全な、やはり将来世代に負担してもらうと。予算というのは、単年度予算が原則ですからね。ただ、将来のいろんな基盤づくりのためには、都債というか、次の年度の予算で返していくということが原則というか、私は理解しておりますから、そういう意味では、十年前に比べて二兆七千億円もの差になっていると。
では、比較した平成十八年度当時の都債はどうかという状況を見れば、当時の予算概要には、平成十八年度当時の予算概要には、都債の発行は将来の財政負担を考慮して、これまで以上に抑制に努めましたと。発行額、起債依存度ともに、過去十年間を見ると最低の水準にあり、国や地方財政計画と比べて、極めて健全であると説明しております。
例えば、当時東京都の一般会計税収費に占めるのは一・五倍だと、六兆九千億円と。国などは五百四十二兆円、十一・八倍と。また、地方財政計画と比較してもかなり、やはり東京都の起債依存度は低いことがわかります。
一方、基金はどうでしょうか。減債基金を差し引いた、いわゆる活用可能な基金を、平成十七年度と平成二十八年度を、これも私、予算の概要書からちょっと拾って比較したんですけれども、年度末残高、これ見込みで書いてありますけれども、比較してみますと、平成十八年度は六千七百七十六億円に対し、二十七年度は二兆二千二百四十二億円と、この十年間に約一兆五千五百億円もふやしております。先ほど主計部長は、北久保委員のときに一兆二千億円という数字もありましたけれども、私のこれは、予算の年度末の残高で比較したものですけれども、それほど正確な数字というより、一致しないというんじゃなくて、大体そういうことがいえるというふうに思うんです。
これが、この間、都債や基金を計画的かつ戦略的に活用し、強固な財政基盤を堅持するということでやってきたことですが、本末転倒といわなければなりません。なぜなら、都民生活の現状を見れば、保育園や介護施設の大幅な不足、保育士や介護士の担い手不足、非正規労働者の若者や実質賃金の目減りによるワーキングプアの増大など、さまざまな課題があります。なぜ、都民生活の現状を打開するために、こうした財源を大々的に、財政出動を行わないのでしょうか。
今、財政運営で求められていることは、都民生活が直面する課題に真正面から取り組み、都民福祉の施策をさらに充実していく、そのための財政運営をどうするかです。結局、見えてくる財政運営の方向性は、第一に、四年後に迫るオリンピック・パラリンピックの開催に向け、さらなる普通建設事業費の増嵩に使われる。第二は、前舛添都政の長期ビジョンが示す方向への財政出動、すなわち、本定例会での代表質問で大山とも子我が党幹事長が指摘したように、舛添都政のときにつくった長期ビジョンは、三カ年の事業費として、大型道路整備や都市の再開発などに事業費全体の二六%を投入しております。その一方、福祉充実の事業費はわずか八%にすぎません。
小池知事が年内につくる二〇二〇年までの実行プランの策定方針では、舛添都政の長期ビジョンの大きな方向性を継承するとしています。小池知事がいう都民ファーストの都政を実現するには、これを引き継ぐのではなく、見直ししていくことこそが求められているのです。
改めて、財務局に聞きます。
今後の予算においては、これまでの大型開発優先路線を見直し、都民の福祉、暮らしを最優先に転換すべきと考えますが、見解を伺います。
○岩瀬主計部長 都はこれまでも、子育て環境の充実や高齢者の暮らしへの支援、福祉、医療人材の確保、非正規雇用対策など、都民福祉の充実に全力を注いでおります。
一方、道路整備を初めとするインフラ整備につきましても、都民の利便性や国際競争力の向上に必要不可欠な取り組みであり、着実に進めていかなければなりません。
今後とも財政の健全性に十分留意しながら、ソフト、ハード両面にわたる都政の諸課題にしっかりと取り組んでまいります。
○松村委員 今後とも財政の健全性に十分留意しながら、ソフト、ハード両面にわたる都政の諸課題にしっかり取り組んでいくといいますが、ハードの課題でも、求められていることは、新規の開発は極力抑制し、維持更新を中心に据えるまちづくり、再生修復型ともいうんですか、そういうまちづくりに全力を挙げることだと意見を申し上げたいと思います。
舛添前知事が諮問していた二〇四〇年代の東京の都市像とその実現に向けた道筋、いわゆる東京のグランドデザインに関する答申が、先月、都市計画審議会から小池知事に提出されました。これを都の具体的な事業計画としてどのように組み立てていくのかが、今後の都政の大きな課題となっています。
私が危惧するのは、都市像というなら、都市施設の整備だけではなく、先ほども挙げた都民生活の困難をどう打開していくのかも踏まえたものでなければなりません。
ところが、この答申を検討してきた専門委員会からも、生活者の視点からの都市づくりは余り検討されていないとの意見が出されました。このように全体として強調されていることは、概成する環状メガロポリス構造を最大限活用したさらなる都市づくりです。さらなる幹線道路や開発事業に財源を使い続けるならば、当然、福祉の充実は進みません。
だからこそ、今後は都市インフラの維持更新や社会保障などを考えれば、先ほども申し上げたとおり、繰り返しになりますけれども、新規の開発は極力抑制し、維持更新を中心に据えるまちづくりが必要であり、行政としても再生修復型のまちづくりに全力を挙げる、そういう方向からの財政運営をぜひ検討しなければならないということの意見を述べて、質問を終わります。
○中村委員 昨年度の決算について、最初に財政運営について伺います。
知事は所信表明で、豊かな税収を背景に、税金の有効活用の観点が損なわれることがあってはなりません、ましてや国際情勢、世界経済は不透明であり、その豊かな税収が約束されているわけではないと述べています。
自治体の財政状況を捉える上では、歳入、歳出の両面から眺めることが重要です。
最初に、都の歳入面から確認をしたいと思います。
まず、平成二十七年度決算を含む最近の税収動向について、財政当局としての認識を伺います。
○岩瀬主計部長 平成十九年度に五兆四千九百七十三億円と過去最大となった都税収入は、平成二十年九月に発生いたしましたリーマンショックの影響などによりまして、平成二十一年度には一年で約一兆円もの減収に見舞われ、その後も、平成二十三年度まで減収が続きました。平成二十四年度からは、企業収益の堅調な推移などを背景に、法人二税を中心として税収は徐々に回復し、平成二十七年度決算では、前年度比九・〇%増の五兆一千六百二十四億円となりました。
このように、法人二税の占める割合が高い都税収入は、景気変動の影響を受けやすい極めて不安定な構造にあると認識してございます。
○中村委員 平成二十一年は、私が都議会議員に初当選した年でもあり、都財政が景気変動等の影響に左右されやすく、非常に不安定な構造にあるということを肌で感じたことを記憶しています。
都財政の歴史を振り返ると、バブル経済後には税収が急激に減少する中、国の経済対策に呼応する形で歳出水準を維持したことにより財政危機に直面し、二次にわたる財政再建の取り組みにより、財政再建団体への転換の危機を克服してきました。
こうした経過を見ても、国が、都を豊かだとして不合理な偏在是正措置により多額の税収を吸い上げてきたことは極めて遺憾です。都としては、あるべき地方財政のあり方については引き続き国に働きかけていただくことを求めます。
続いて、歳出面です。
都民の生活に目を向けても、物価の上昇や格差の拡大により、厳しい状況に置かれている都民も多く、適切な対応が求められます。しかし、財政需要として今後大きな増加が見込まれるのは、少子高齢化の進展に伴う医療や介護等の社会保障に関する経費でもあります。
東京都年次財務報告書によると、社会保障関連経費については、今後二十年間に見込まれる増加額の累計は六・六兆円に上るとのことです。
こうした中にあっても、今後とも都民サービスを安定的に提供していくことがまさに都の責務ですが、そのために都がどのように財政のかじ取りを行っているのかを確認していきます。
まずは、事業評価についてです。
事業評価は、一つ一つの事業の効率性や実効性を向上させる、都における自己改革の取り組みとして実施されたものと認識しています。都議会民進党も、事業評価を通じ、施策のあり方を不断に検証しながら、東京の特性を踏まえた費用対効果の高い施策を展開していくことをこれまでも求めてきました。事業評価のこれまでの取り組みと成果について伺います。
○岩瀬主計部長 事業評価の取り組みは、二次にわたる財政再建の取り組みの成果を踏まえまして、その後もこうした見直し努力を継続していくための仕組みとして再構築したものでございます。
具体的には、予算編成の一環として、財務局と各局が連携しながら一つ一つの事業の成果や決算状況などを分析した上で、事業を継続するのか、見直し、再構築を行うのか、あるいは拡大、充実を図っていくのか、多角的に検証を行い、その結果を翌年度の予算に的確に反映させております。
毎年度、評価手法を充実させて実績を重ね、これまでの十年間で三千百四十八件の評価結果を公表するとともに、累積で約四千八百億円の財源確保につなげており、確保した財源は、新規事業や重点的に実施する事業などの財源とするほか、都債償還や基金積み立てなど将来への備えに活用してございます。
○中村委員 事業評価について、成果が出ていることはわかりました。
都議会民進党は、無駄の削減について不断の取り組みを主張してきました。もちろん、何でも削減ということではなく、必要な事業については予算を拡充しなければならないので、そのためにも無駄な予算は削ることが必要であり、めり張りのついた予算編成に向けて、より一層の取り組みを求めます。
さて、この事業評価の取り組みにより確保した財源は、基金積み立てなど将来への備えにも活用しているとのことです。過去に財政委員会に所属したときのことを思い返すと、平成二十七年度予算においては、前年度の最終補正とあわせて基金の創設が特徴的だったと認識をしています。
そこで、改めて基金の果たしている役割について伺います。
○岩瀬主計部長 都の基金には、財政調整基金などの財源として活用可能な基金と、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金や防災街づくり基金などの二〇二〇年に向けた集中的、重点的な取り組みを図る基金、さらに都債償還等の財源確保を目的とした減債基金などがございます。
財源として活用可能な基金は、不安定な都税収入を補い、財源が著しく不足する場合などに取り崩すことにより、年度間の財源調整を図ることを目的とするものでございます。
また、二〇二〇年に向けた集中的、重点的な取り組みを図る基金は、二〇二〇年に向け集中的、重点的に取り組むべき施策を着実に実施していくための財源を確保することを目的としております。
このように、基金は安定的かつ積極的に施策を展開するとともに、将来の財政需要に備えるための財源として、都の財政運営上重要な役割を果たしてございます。
○中村委員 基金について、余ったお金をとりあえず貯金したというように見る向きもありますが、将来にわたって安定的かつ継続的な都民サービス提供の基盤を構築するためにも、過去の教訓や将来を踏まえたリスク管理であることはわかりました。これからも基金の持つ役割を生かして、戦略的に活用していただくことを要望し、次の質問に移ります。
次に、契約手続について伺います。
ここ数年、入札の不調の問題、建設労働者の賃金の問題が顕著になり、過去、財政委員会においてもたびたび議論されてきました。改めて、決算の審査に当たり確認します。
この決算年度が始まる四月に、いわゆる担い手三法が施行されました。都はどのように対応したのか、このことにより実際にどう変わったのか伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 品確法、入札契約適正化法、建設業法のいわゆる担い手三法の改正は、平成二十七年四月より全面的に施行されました。都は直ちに担い手三法の理念である担い手の中長期的な育成、確保を図るため、都の契約制度においても事業者の入札への参加意欲が高まるよう、最低制限価格制度の適用範囲の拡大を初め、市場価格と予定価格とのギャップの解消、JV基準の見直し、全体スライド条項の改正などに取り組んでまいりました。
平成二十七年度の入札契約の概況について、入札時の不調の発生数及び不調発生率は五百二十五件で九・八%となり、平成二十六年度の七百五十六件、一三・五%と比べ低下するなど、全体的には好転しているところでございます。
○中村委員 法改正への対応などにもより、不調の発生率が改善されたとのことでした。
ただ、大きな事業での不調があったことから注目もされました。不調になれば、もう一度内容を見直し、また手続の時間もかかります。不調の結果、再入札により事業費はどのくらい高騰したのでしょうか。また、不調になったものが、再度入札手続を開始するまでにはどのくらい時間がかかるのか、その間、都ではどのような取り組みをするのか伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 不調となった案件の再発注までの入札手続については、不調原因の検討を行った上で、必要に応じて資材単価や労務単価の見直し、入札参加要件の緩和、工事対象や施工手順等の見直しを行っております。
また、再発注するまでの期間については、例えば議会付議案件ではおおむね六カ月、それ以外の財務局契約案件では、おおよそ二、三カ月を要しているところでございます。
なお、再発注による事業費の増加額につきましては、不調案件ごとに原因や対策が異なることから、一概には申し上げることが難しいと考えております。
○中村委員 金額は一概にはいえないとのことですが、時間は当然かかっています。そのため、そもそも不調にならないような取り組みが必要になります。
入札不調の主な原因は、資材の高騰と労務単価の増加が考えられますが、都では、労働者の賃金等の実態をどのように把握しているのか伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 都は、改正品確法の理念である将来にわたる担い手の育成と確保に向けて、下請の実態を把握するため、平成二十六年度から社会保険労務士と連携した特別調査を実施しております。この特別調査は、財務局契約案件の中から調査対象を抽出し、契約前の書類調査では把握できない賃金を初めとする労働条件、労働環境についての現場の実態を把握するため、法令遵守の観点から実施しております。
具体的には、社会保険への加入状況や休日の付与、労働時間の管理及び賃金支払いなど、就業規則や賃金台帳を中心に、一次、二次の下請事業者について調査し、下請事業者の労働環境の実態を確認しているところでございます。
○中村委員 調査をされているとのことですが、下請の建設労働者の方々にお話を伺うと、都が単価を引き上げたものをそのまま反映しているということでは必ずしもないようです。やはり公契約条例の制定が必要になると考えます。
さて、入札の事務に関して重要なのは、談合の防止です。都は、談合防止について具体的にどのように取り組んできたのか伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 公共調達において、都民の信頼を損ない、公正な競争を阻害する談合は、断じて許されるものではないと認識しております。そのため、都では、従来より談合情報に関する取り扱いを定め、公正取引委員会との連携に努めるとともに、電子調達システムによる入札手続、一般競争入札及び希望制指名競争入札の適用範囲の拡大、さらには事業者が一堂に会することがないよう現場説明会等を原則廃止するなど、談合のしにくい入札環境の構築に取り組んできているところでございます。
○中村委員 また次の質問ですが、入札について一者しか入札がない場合もありましたが、競争性を働かせるという入札の趣旨を生かせてはいません。また、落札率が九九%というものも見られ、競争の結果できるだけ契約金額を抑えるという機能が働いていないのではないかとの見方もあります。
そこで、一者しか入札がないとか落札率が九九%であったりすることについて、どのように対処をしていくのか伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 都では、電子調達システムによる入札手続をとっており、入札参加者は、他に参加者がいるか知り得ない仕組みとなっているため、結果的に参加者が一者となったとしても、競争性は確保されているものと考えております。
しかしながら、より多くの事業者が入札に参加し、競争性を高めていくことは重要と考えており、このため都では、実勢価格を反映した適正な予定価格の設定、工事発注時期の平準化などに取り組んでいるところでございます。
また、都では予定価格を事前公表しておりますが、その事前公表された予定価格の範囲内では採算がとれなくなるおそれのある工事、施工条件の厳しい工事などで落札率が高くなることは、事業者の経営上の観点からすれば、不自然なこととはいえないと考えております。
都としては、今後とも、ただいま申し上げました予定価格の適正な設定などにより、事業者の参入意欲が高まり、より競争性が発揮されるよう、引き続き入札に参加しやすい環境づくりに取り組んでまいります。
○中村委員 今後、参入意欲が高まり競争性が発揮されるようにするとのことですので、ぜひ具体的な施策として取り組んでいただきたいと思います。
さて、先ほども労務単価について述べましたが、実際に労務単価の上昇は建設労働者の賃金には反映されていたのか伺います。
また、法定福利費、社会保険への加入状況はどうでしょうか伺います。予算編成当時には、社会保険の一〇〇%加入を二年後の資格審査時をめどにと答弁していましたが、現状どの程度改善されてきたのか伺います。
○五十嵐契約調整担当部長 都では、建設労働者の労務単価の改定は、直近では平成二十八年二月に実施いたしましたが、その際に元請事業者に対し、現場技術者への適切な賃金水準の確保や社会保険等への加入促進など、労働条件の改善について徹底するよう通知するとともに、業界団体を通じて、建設事業者に対しても要請を行ったところでございます。
こうした取り組みなどにより、都の建設工事の入札参加有資格者における社会保険の加入状況については、平成二十八年八月末現在、九九・三%となっております。今年度実施する入札参加資格申請の定期受け付けでは、経営事項審査を必要とする工事の業種に申請する場合は、社会保険等への加入を必須条件としており、引き続き加入率一〇〇%に向けて取り組んでまいります。
○中村委員 建設事業者に対して要請を行ったとのことですが、公共の事業として働く人に払われるために計上した予算ですから、きちんと働く人に行き渡るよう制度を構築していただくことを求めます。
さて、昨年度は、旭化成建材のくい工事データ流用事件が発覚をし、世間に大きな衝撃を与えました。他社でも事例が見つかり、業界全体の問題ともいわれました。都の施設への影響と対応はいかがだったのでしょうか。安全は確認されているのか、改めて伺います。
○久保田建築保全部長 くいの一部に電流計データ等の転用が認められました都有施設につきましては、施工記録の点検や現地調査を実施いたしまして、くいが適正に施工され、安全上問題がないことを確認しており、その結果を、国の依頼に基づき、建築基準行政を所管する各特定行政庁に報告済みでございます。
また、施工中の工事につきましては、施工管理の一層の適正化を図るため、くい工事や躯体工事など、構造上重要な工程を施工している現場における元請施工者及び工事監理者に対しまして、品質管理の徹底について指導をいたしました。
さらに、これらの現場におきまして、下請業者が行っているくい工事等における元請施工者による立ち会いや施工記録の点検、また、工事監理者による重要な工程への立ち会いなどにつきまして、都の監督員が緊急点検を実施いたしました。
こうした取り組みを通し、元請施工者や工事監理者による品質管理の取り組みが適正に行われていることを確認してございます。
○中村委員 旭化成建材は下請の業者であり、発注者と直接契約をしているわけではありません。報道では、元請の責任が余り注目されていませんでした。
しかし、都が発注するのは元請なので、直接は元請にも責任を持たせるべきではないでしょうか。再発防止についての取り組みを伺います。
○久保田建築保全部長 本年三月四日、国は、元請及び下請の施工者がそれぞれ基礎ぐい工事に際して遵守すべき措置や、工事監理者が基礎ぐい工事における工事監理を行うに当たっての留意点などを示しました基礎ぐい工事の適正な施工を確保するための大臣告示とガイドラインを公表いたしました。
都といたしましては、国による再発防止策に基づき、元請施工者に対し、適切な施工管理体制を構築した上で、下請のくい工事事業者による支持層到達の判断を確認することや、施工記録が取得できなかった場合の代替方法をあらかじめ定めておくことなどについて指導するとともに、対策が確実に実施されているのか、都の監督員が確認することといたしました。
こうした再発防止策を着実に進めていくため、本年四月に工事仕様書等の関係基準類の改正を行いまして、元請施工者はもとより、工事監理者等に対する品質管理の一層の徹底を図っているところでございます。
○中村委員 都としても、くい打ちの問題だけではなくて、発注者としてしっかりと現場の監督をしていただきたいと思います。
さて、最近では、オリンピック施設に関して、レガシーの議論の中で後年度負担も議論されています。一方では、オリンピック以外の施設でも更新時期を迎えている施設が多くあり、改築に当たっては、維持管理や大規模改修等の後年度負担を考えなければなりません。
都は、平成二十七年三月に第二次主要施設の十か年維持更新計画を策定しましたが、整備に当たって、後年度負担の軽減にどのように取り組んでいるのか伺います。
○久保田建築保全部長 第二次主要施設十か年維持更新計画は、都有施設の改築や改修等の維持更新を計画的に実施する目的で策定したものでございます。
施設整備に当たりましては、設計段階から設備、間取りの変更等が容易となるよう平面計画や設備計画に柔軟性を確保するほか、省エネルギー設備やメンテナンス性にすぐれた材料などを導入しております。
さらに、運用管理段階では、ライフサイクルコストの低減に資する予防保全型の維持管理を推進してございます。
こうした取り組みにより、将来コストの縮減に努めてまいります。
○中村委員 都の施設に限らず、施設を建設すれば、その後、改修費だけではなく光熱費、維持管理費などもかかってきます。施設を建設する際には、それらをきちんと見越しておかなければなりません。
都の施設の中でも都庁は大規模なもので、ここ数年ずっと改修工事が続いています。改めて、この新宿の都庁舎の建設費は幾らだったのか伺い、また、現在行っている都庁舎の改修はいつまで行われ、改修工事は幾らかについて伺います。さらに、平成二十七年度の都庁舎の建物維持にかかわる費用は幾らかについて伺います。
○米今庁舎運営担当部長 平成三年に竣工いたしました都庁舎の建設費用は千五百六十九億円でございます。また、現在行われております都庁舎改修工事は、工期が平成二十三年度から平成三十二年度となっており、改修費は七百六十二億円であります。
なお、平成二十七年度の光熱水費、建物管理委託、清掃委託などの本庁舎維持管理経費の合計は約三十五億円でございます。
○中村委員 都庁舎については、建設費も大きな金額ですが、その後の改修費、さらには毎年の維持管理費が大きくかかっていることがわかりました。
施設を建設する際に、その施設が使われる限りの全てのコストの見積もりや、毎年都の施設全体の維持管理費が幾らなのかという統計はないようです。施設を建てれば、後年にこれだけ負担がかかるということを改めて認識していただきたいと思います。
冒頭にも述べましたが、決して都財政は楽観できる状況ではありませんので、多岐にわたって質問いたしましたが、健全財政に向けての財務局のより一層の取り組みを要望して、質問を終わります。
○上田委員 まず、ちょっと私の方、資料を机上配布させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
では、まず都有財産についてお尋ねをいたします。
再開発、都内各地で行われておりますけれども、都有財産が含まれる事例があります。一つの事例として、予算委員会でも、象徴的なものですから触れさせていただきました。
足立区千住一丁目は、皆さんご承知のように、都税事務所の跡地を含む再開発事業が、ことしの四月に組合の設立認可がなされたところでございます。組合設立に必要な地権者は五名以上という基準を満たすためか、都を含めて最初は三人だった地権者が、一夜にして五人に追加をして、全てグループ会社内で地権者をかさ増ししてきたという事案です。
違法性はないということですが、本来そういう地権者がたくさんいるからこそ組合が設立されるというのが、要件を満たすためにあたかも組合員がふえてしまったというような、法の趣旨に逆行するようにか見える事案の中で地権者の都がいますので、一つの事例として、都民の財産である都税事務所をなぜ普通財産としたのか、経緯と当該財産利活用の方向性についてどのような準備をしているのか、ご説明をいただきたいと思います。
○中村財産運用部長 再開発事業におけます都有財産の扱いについてでございますが、お尋ねの再開発事業につきましては、都市再開発法の定めます要件を満たし、適正に認可されているものであると認識しております。
足立都税事務所の跡地は、行政用途が廃止されまして、普通財産に種別変更がされて財務局へ引き継がれましたが、都内部の利用計画がなく、足立区に照会したところ、足立区から地域の活性化、防災性の向上のために市街地再開発事業への参加協力を要請され、都の施策にも合致することから参加することといたしました。
当該地につきましては、今後、再開発組合における議論等も踏まえつつ、関係法令にのっとり適切にその取り扱いを検討してまいります。
○上田委員 予算委員会では、都有財産は都民に還元すべきで、払い下げをいたずらにしないことを前提としているかということも確認をさせていただいたことであります。
今、都内部の利用計画がないというふうにおっしゃっていましたけれども、先ほども保育園の土地利用についてのお尋ねがほかの委員でもありました。私の江戸川区は、四月現在では待機児童は世田谷に次いで二位ということで、足立区も恐らく四位か三位か、とにかく上位五位に入っている、待機児童の多いところであります。
知事も補正予算を今回組みまして、緊急の保育園待機児童対策をしているところで、私も千住一丁目に行ってまいりましたけれども、駅からすぐで、まさにこの都税事務所をそのまま保育園にすれば、リフォームで、恐らく七十人あるいは百人定員の保育園ができるのではないかなというふうに思ったところです。
そこで、市街地再開発で防災性の向上とか活性化といいますけれども、スーパーが入っていたんですけれど、それもなくしてしまって、単なるマンションが建つだけのような再開発というふうにお見受けしました。一応保育施設も入るといっても、わずか二十数名ぐらいで、コミュニティ会館もあの辺はないということで、地域住民も百歩譲って楽しみにしていても、会議室程度が二室で、今のところでは地域住民だけではなくマンションの、住んでいる方も共用で利用するのではないかというような議論が、足立区議会の建設委員会でもなされているところであります。
くれぐれも、ただ払い下げておしまいということではなくて、都民のものではありますので、自治体任せではなく、またこうした、組合員が一夜にしてふえるというような、こういった事例は予算委員会の資料でもほとんどなかったです、とても特殊な事例ですので、また注目もしていきたいと思います。地域活性化と防災上の向上のための市街地再開発なのにスーパーはなくなってしまって、あの辺はもうスーパーが本当に撤退してしまって買い物に苦労するというような状況にもなっておりますので、区だけではなく地域住民の声も、都民ですからね、足立区民も、拾っていっていただきたいなというように思った次第でございます。
また、次に、先ほども都庁舎の意見が出ておりました。七百六十二億円の改修費が予定されていて、年間の維持費が三十五億円というふうに聞いて、えっ、とか思ったところでございます。
さきの一般質問につきまして、都が職員組合事務所十二団体に、都庁舎を竣工以来二十五年間、千八百平米無償貸与をしておりまして、資料4号をごらんいただけばわかるように、第二庁舎一階コンビニと同等の貸付料を頂戴すれば月額五千万円相当となりまして、二十五年ともなれば百六十億相当となるということを一般質問でも指摘させていただきました。
新宿副都心のこのあたりの高層オフィス賃料は、坪当たり月額三万から五万円を推移しております。局長の答弁では、職員の勤務条件の維持向上を図るため、庁舎を無償で供与することについては、労使の相互理解を通じて、それが円滑な都政運営を行うことについて十分な効果が発揮されるということであれば、無償で供与する効果がある、最小限の状況に限りまして財産管理上支障がない範囲内で供与ということですが、千八百平米が最小限の状況とは、私、ちょっと思えなくて、小池知事による改革も始まりまして、また新しい、ほかの自治体では、組合団体からは賃料を取り始めております。
理事者の方々と質疑などやりとりすることも多い私ではございますが、場所が狭くてという悩みを聞くことも多々ございました。殊に改革本部等、小池知事が旗を振って始めた新しい取り組みには、物理的な場所も必要となると勘案をいたしております。
決算に当たりまして、公の財産の管理として、この千八百平米の供与が妥当かどうか、また事実上、職員団体に都民の税金から利益供与をしていることにならないのか、ご所見を求めます。
○米今庁舎運営担当部長 都の職員団体は、地方公務員法に基づき、勤務条件の維持向上を図る目的で結成された団体であり、適法な交渉を通じて適切な労使関係を維持することは都政の円滑な運営にも資することから、現在の事務室を使用許可しております。
使用許可に当たりましては、事務事業に支障のない範囲において許可しており、財産管理上適切であると認識しております。
なお、コンビニエンスストアにつきましては、平成十八年度の地方自治法改正により設けられた行政財産の貸付制度を適用し、公募入札により賃料を設定しており、使用許可と比べまして十倍程度の賃料となっており、比較の対象とはならないものでございます。
○上田委員 比較の対象とはならないということですけれども、公募入札で取るとこれだけのやはり賃料を頂戴できるということ。スペースも、今度議事堂の方にとちょう保育園もできましたけれども、千八百平米もあれば、第二とちょう保育園ということで都庁舎の方にもできるのではないかなというふうに思っている次第でございます。この点は、もうほかの自治体でもかなり議論も進んでおりますので、改めまして再度、再考をしていただきたいと思っております。
こういった再開発と、そしてこの都庁舎の最小限の状況の利用、都有財産そのものの利活用の考え方をお尋ねしたいと思います。
平成二十七年度は、前の知事によりまして、オリ・パラに当たり、都有地のJSCと組織委員会への無償貸与の方向性が示されました。都民の持ち物である都有財産を売却あるいは貸与、無償貸与するなどに当たって、財務局としての検討経過と都民への説明責任をいかに果たしていくのか、ご所見をお聞かせください。
○中村財産運用部長 都有財産の利活用の検討と都民への説明についてでございますが、都有地は、都民から負託を受けました貴重な財産でありまして、その財産価値を最大限発揮させるとともに、都政の喫緊の課題解決のために利活用を推進していく必要があります。
行政用途が廃止されました都有地につきましては、財務局に引き継ぐことになります。その利活用に当たりましては、一般的には、まず局や会計を超えた全庁的な財産の有効活用を検討し、利用意向がない場合には、地元区市町村に情報提供しております。その上で、公共利用が見込めない場合には、民間への貸し付け、売却等を検討していくことになります。
また、都政を取り巻く喫緊の課題に迅速かつ的確に対応するため、福祉インフラ整備など積極的な都有地の情報提供をもとにした、都の施策と連動した民間の知恵や活力を取り入れた多様な手法による都有地の利活用も導入しております。
これらの事業を推進するに当たりましては、事業を実施する局が適宜適切に都民に説明するとともに、財務局としてもその支援を行っております。
なお、一定規模以上の財産の取得または処分につきましては、都議会のご審議を経まして決定していくこととなります。
今後とも、これらの取り組みに適切に努めまして、着実に財産利活用を推進してまいります。
○上田委員 鉛筆一本までが都民のものだというような思いで進めていただければと思います。
次に、法人二税と膨らむ福祉保健費の推移について、ちょっと懸念することがあります。都税収入実績の推移を主税局に出していただきました。平成十四年から平成二十八年当初の法人二税の推移を独自に確認したところ、下限が平成二十三年度の一兆二千三百三十八億円、上限が平成十九年度の二兆六千一百六十二億円と、約一兆三千八百億円ほど税収に差が出ました。法人二税は、都税収入に占める割合は高いのですが、景気変動の影響を受けやすく、極めて不安定な形で増減を繰り返していることの証左でございます。
一方で、福祉保健費は、平成二十三年度の八千九百三十九億円から平成二十七年度の一兆五百五十三億円と右肩上がりで増加をしております。予算のときにも調べましたけれども、歳出、予算目的内訳、福祉費と保健費の推移が、平成十九年度から平成二十八年度まで、平均増減率は四・四二%です。四・四二%ずつふえているということです。仮に平成二十八年度の法人二税が一兆八千百二十五億円を一定とし、福祉と保健費が平均増減率が四・四二%ふえ続けるとした場合、十二年後の二〇二八年には、法人二税と福祉保健費が拮抗する計算になりました。
東京都においても、約十二年後には、都税収入の三四%を占める法人二税では福祉費用が賄えなくなることを想定した場合、今から対策を練っておく必要があると考えます。特に、現在約八百万人といわれる団塊の世代が七十五歳である後期高齢者を迎え、現在一千五百人程度の後期高齢者人口が約二千二百万人まで膨れ上がり、全人口の四人に一人は後期高齢者という超高齢化社会といわれる二〇二五年問題ですが、この問題は東京においても影響があるのか、また、その際の財政的影響などもあるのか。あるとするならば、どのようなシミュレーションや対策など想定しているのかをお伺いいたします。
○岩瀬主計部長 都では、急速に進む高齢化など人口構造や社会経済状況の変化に対応し、将来にわたって誰もが安心して暮らせる都市の実現を財政面からもしっかりと後押しするため、第三者による推計を実施してございます。
この推計によれば、都の社会保障関係経費は、高齢者人口の増加などに伴い、毎年平均約三百億円、二十年間で五千億円以上増加することが見込まれてございます。都は、こうした課題に的確に対応するため、事業評価の取り組みにより、一つ一つの施策の効率性や実効性を高めるとともに、都債や基金を計画的かつ戦略的に活用するなど、将来を見据えた財政運営を行ってございます。
具体的には、平成二十七年度に福祉先進都市実現基金を創設するなど、財源として活用可能な基金の年度末残高を約一兆二千五百億円、二〇二〇年に向けた集中的、重点的な取り組みを図る基金の年度末残高を約八千百億円確保するなど、将来への備えを講じております。
引き続き、強固で弾力的な財政基盤を堅持し、将来にわたって持続可能な財政運営を行ってまいります。
○上田委員 それでは、今度は都債残高の方ですね。資料が、今入りの方の確認で、また今度は都の借金といいますか、都債残高の方です。資料5号の六ページですけれども、この現在残高の推移によれば、平成バブル崩壊の平成三年から都債発行額が元金償還額を上回り、都債残高は、平成三年の一兆六千九百四十一億円から平成十三年の七兆六千三百八十四億円と、十年間で五兆九千四百四十三億円もの多額の借金をふやすことになりました。
また、要求資料をもとに私が作成して配りました資料をごらんください。平成バブル崩壊をきっかけに、都は景気対策を行いましたが、都債残高が棒グラフのように上昇をしております。償還をしているといいつつも現状として全く減っていないのが、この棒グラフの示すとおりでございます。
平成バブル崩壊後の反省から、都債残高を減らそうと努力されたとは思いますけれども、平成二十年九月に起こったリーマンショックの翌年である平成二十一年、二十三年、二十四年は、都債発行額が元金償還額を上回り、減り始めた都債残高は、平成二十年から平成二十四年の四年間で三千一百五十一億円も増加することとなりました。
平成バブル崩壊級の、リーマンショック級の経済ショックが発生した場合、加えて先ほど質疑したように、二〇二五年問題のような日本の構造的問題による財政問題に直面したときの両方の問題をシミュレーションされているのか、ご所見をお伺いいたします。
また、これらの問題に対して、都は、都債残高の上限設定はされているのか、お伺いいたしたいと思います。よろしくお願いします。
○岩瀬主計部長 都はこれまで、財政再建期に事業の重点化などを進め、投資的経費の削減や都債の発行抑制を行うとともに、財政再建達成後も施策の見直し努力を事業評価の取り組みとして継続することなどによりまして、将来に向けた財政対応力を培ってまいりました。
こうした取り組みにより、リーマンショックの影響で都税収入が一年間で約一兆円もの減収に直面した際にも、安定的に必要な行政サービスを提供することが可能となっております。
税収の先行きを見通すことは困難でございますが、事業評価の取り組みをさらに強化するとともに、中長期的な視点に立って都債や基金を計画的かつ戦略的に活用することで、引き続き強固で弾力的な財政基盤を堅持してまいります。
また、都債は、一般的には財源として充当できる事業が公共施設の建設などに限定されておりまして、財源不足額を補うために発行するものではないということはいうまでもなく、建設した施設などの年度間の財源調整を図るとともに、世代間の負担の公平性を確保する機能を有しているものでございます。
こうした考え方のもと、都債の発行に当たりましては、将来負担を考慮するとともに、その時々の経済環境や事業の動向等を踏まえて判断していくことが重要と考えてございます。
○上田委員 強固で弾力的な財政基盤を堅持して、将来負担に考慮をするということ、経済環境や事業の動向を踏まえて判断していくという趣旨は理解するものでございますが、先ほどのこのグラフを見ても一目瞭然でありまして、都債残高は平成バブル期をはるかに超えちゃっておるということで、償還をしっかりしているとはいいつつも都債残高である借金は残ったままで、高齢者人口の増加などに伴い、社会保障関係経費増大への危機感を質疑したところでありました。
小池知事は、さきの私の一般質問への答弁にて、決算は、予算に計上された施策や事業の執行結果を計数的に明らかにして、行政目的が効果的、効率的に達成されたかどうかの判断材料を都民に提供するものであり、決算審査を通じて施策や事業の成果、そして課題を具体的に検証し、今後の予算編成に生かすなど、PDCAサイクルを踏まえた取り組みにより、都民ファーストの都政の実現を目指すとしていますことからも、さらなる検証と危機感を持って財政運営をしていただきたいと申し上げまして、私の質疑を終わらせていただきます。
○桜井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○桜井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で財務局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後四時十七分散会
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