平成二十七年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第三号

平成二十八年十月二十四日(月曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長山崎 一輝君
副委員長舟坂ちかお君
副委員長上野 和彦君
白石たみお君
伊藤こういち君
栗山よしじ君
堀  宏道君
松田やすまさ君
野上ゆきえ君
斉藤あつし君

欠席委員 なし

出席説明員
建設局局長西倉 鉄也君
次長中野  透君
道路監三浦  隆君
総務部長今村 篤夫君
用地部長日浦 憲造君
道路管理部長杉崎智恵子君
道路建設部長相場 淳司君
三環状道路整備推進部長辻  保人君
公園緑地部長五十嵐政郎君
河川部長東野  寛君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務安部 文洋君
総合調整担当部長前田  豊君
道路保全担当部長伊佐 賢一君
道路計画担当部長加藤 直宣君
公園管理担当部長公園活用担当部長兼務松原 英憲君

本日の会議に付した事件
平成二十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
建設局関係
・平成二十七年度東京都一般会計決算(質疑)

○山崎委員長 ただいまから平成二十七年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会の所管局の決算に対する局別質疑を行ってまいります。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、建設局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより建設局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い幹部職員の交代がありましたので、局長より紹介があります。

○西倉建設局長 去る十月十五日付で異動のございました当局の幹部職員をご紹介させていただきます。
 総務部長の今村篤夫でございます。用地部長の日浦憲造でございます。道路管理部長の杉崎智恵子でございます。公園管理担当部長で公園活用担当部長を兼務いたします松原英憲でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○山崎委員長 紹介は終わりました。

○山崎委員長 決算の審査を行います。
 平成二十七年度東京都一般会計決算中、建設局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○今村総務部長 去る十月十四日の当分科会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の平成二十七年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 表紙をおめくりいただきますと、目次に七件の資料の件名が記載してございます。
 一ページをお開き願います。骨格幹線道路(主要路線)の予算・決算額の推移でございます。
 この表は、骨格幹線道路の整備につきまして、平成二十三年度から平成二十七年度までの予算額と決算額の推移をあらわしたものでございます。
 二ページをお開き願います。道路・街路整備における予算・決算額の推移でございます。
 この表は、道路、街路の整備につきまして、平成二十三年度から平成二十七年度までの予算額と決算額及び決算額を区部、多摩部、島しょ部別にあらわしたものでございます。
 三ページをお開き願います。道路補修費の予算・決算額の推移でございます。
 この表は、道路補修費につきまして、平成二十三年度から平成二十七年度までの予算額と決算額及び決算額を区部と多摩部別にあらわしたものでございます。
 四ページをお開き願います。中小河川の整備状況の推移でございます。
 この表は、中小河川の整備状況につきまして、平成二十三年度から平成二十七年度までの各年度の整備延長、事業費、治水安全度達成率並びに主な事業をあらわしたものでございます。
 五ページをお開き願います。直轄事業負担金の決算額の推移でございます。
 この表は、直轄事業負担金につきまして、平成二十三年度から平成二十七年度までの道路及び河川の決算額を財源別にあらわしたものでございます。
 六ページをお開き願います。建設局に係る中小企業への工事発注実績の推移でございます。
 この表は、建設局が発注した工事につきまして、平成二十三年度から平成二十七年度までの件数と金額をあらわしたものでございます。
 七ページをお開き願います。都立公園の整備費の予算・決算額の推移でございます。
 この表は、都立公園の整備費につきまして、平成二十三年度から平成二十七年度までの予算額と決算額及び決算額を区部と多摩部別にあらわしたものでございます。
 以上で要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○栗山委員 まず、都市計画道路の整備についてお伺いいたします。
 都市計画道路は、経済の活性化や国際競争力を高める上で必要不可欠であり、災害時においても、交通や物流を確保するとともに、市街地の延焼を遮断するなど、さまざまな効果が期待される重要な都市基盤でございます。
 しかしながら、東京都の都市計画道路の完成率はいまだ六割程度であり、依然として慢性的な交通渋滞が生じています。道路ネットワークの整備は道半ばであり、今後も着実な整備が望まれます。東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会のみならず、その先も見据え、引き続き道路整備を進めるべきと考えます。
 そこで、建設局が進めている都市計画道路の整備について、平成二十七年度の状況をお伺いいたします。

○相場道路建設部長 東京の都市計画道路は、交通渋滞を解消し、経済の活性化や国際競争力の強化に資するとともに、防災性を向上させるなど、安全で快適な都市活動や都民生活を支える上で重要な都市基盤であります。
 平成二十七年度は二百四十カ所、約百八十五キロメートルで事業を進め、このうち七カ所、約四キロメートルが開通しました。
 例えば区部では、放射第二五号線の大久保通りから目白通りまでの約二百八十メートルの区間が開通しました。また、補助第一四〇号線の江北橋通りから青井駅入口交差点までの約六百五十メートルの区間が開通しました。多摩地域におきましては、八王子三・三・一三号線の八王子市打越町地内で約四百四十メートルの区間が開通し、JR横浜線との立体交差化が図られました。

○栗山委員 都市計画道路の整備が着実に進められていることがわかりました。
 開通した路線では整備効果が得られていると思います。そこで、平成二十七年度に開通した主な路線の事業効果についてお伺いいたします。

○相場道路建設部長 放射第二五号線につきましては、唯一現道のない区間が開通し、東西方向の新たな幹線道路ネットワークが形成されました。これにより、市谷柳町交差点から後楽園駅前交差点までの約二・六キロメートル区間の平均所要時間が約十三分から約九分になるなど、アクセス性が向上しました。
 また、補助第一四〇号線につきましては、災害時の避難場所であります都立江北高校や、区立青井小・中学校への避難路が確保され、地域の防災性が向上するとともに、地元の幼稚園からは、送迎バスの運行が安全になったとの声が寄せられました。
 八王子三・三・一三号線につきましては、JR横浜線の打越踏切が除却され、最大三百七十メートルあった交通渋滞が解消されました。また、八王子バイパスから東京環状までの約一・四キロメートル区間の平均所要時間が約七分から約四分になるなど、周辺交通の円滑化が図られました。

○栗山委員 開通した路線では整備効果が確かに出ていることがわかりました。今後も都市計画道路の整備を引き続き進めてもらいたいと思います。
 さて、私の地元目黒区でも、環状第六号線や補助二六号線で都市計画道路の整備が進められております。そこで、目黒区内の環状六号線と補助二六号線の進捗状況をお伺いいたします。

○相場道路建設部長 環状第六号線は、首都高速中央環状線の地上部にあります骨格幹線道路であり、都心部に集中する交通を分散する重要な路線であります。
 目黒区内では、上目黒地区と下目黒地区の二区間で工事を進めており、平成二十七年度は、街路築造工事や電線共同溝設置工事を行いました。
 また、補助第二六号線は、環状第六号線と環状第七号線の間に位置する環状方向の骨格幹線道路であり、広域的な道路ネットワークを形成する路線であります。補助第二六号線の目黒中央につきましては、平成二十七年度末時点で約八割の用地を取得しており、平成二十七年度から工事用搬入路の工事に着手いたしました。
 これら二路線につきましては、引き続き地元の理解と協力を得ながら、早期完成を目指してまいります。

○栗山委員 目黒区内の骨格幹線道路も着実に進められていることがわかりました。
 引き続き、目黒区内の道路も含め、東京都の都市計画道路の整備を全力で取り組まれることを強く要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次に、立体交差事業についてお尋ねいたします。
 都内には、いまだ千を超える踏切が残されており、これらの踏切は、交通渋滞や市街地の分断による都市の活力の低下を招くとともに、緊急、救急活動の支障ともなっています。
 また、朝夕のラッシュ時には、遮断した踏切をくぐり抜ける方々を多く見かけます。国の調査によると、都内における踏切事故により、直近の十年間で六十三人の方が亡くなり、六十一人が負傷されています。安全の観点からも踏切の解消は喫緊の課題であります。
 人と物の流れがスムーズな道路交通の実現や、沿線地域の発展、都民生活の安全のために、これらの課題を抜本的に解消する立体交差事業を推進することが重要であります。
 そこで、平成二十七年度の連続立体交差事業の成果についてお伺いいたします。

○相場道路建設部長 連続立体交差事業は、道路ネットワークの形成を促進し、交通渋滞や地域分断を解消するとともに踏切事故をなくし地域の活性化に資するなど、極めて効果の高い事業であります。
 平成二十七年度は、京王京王線など七路線九カ所で事業を進め、このうち京成押上線では、押上駅から八広駅間の高架化により六カ所の踏切を除却し、交通渋滞を解消するとともに、地域の安全性が向上しました。また、事業を契機としてまちづくりが進展し、京成曳舟駅周辺の商業床面積が約五十倍に増加いたしました。
 さらに、JR南武線では、稲田堤駅から府中本町駅間の事業が完了しました。現在、側道整備が終わり、駅周辺の区画整理事業など、まちづくりが促進されています。
 加えて、新規箇所でありますJR埼京線十条駅付近では、事業化に向けて、都市計画及び環境影響評価の手続を進めております。
 今後とも、地元区市及び鉄道事業者と連携し、連続立体交差事業を一層推進してまいります。

○栗山委員 人と物がより円滑に行き交い、安全で活力ある都市を実現するには、連続立体交差事業の推進が必要不可欠であります。引き続き全力で取り組まれることを強く要望いたします。
 続きまして、中小河川の整備についてお伺いいたします。
 近年、都市部を中心に局地的な集中豪雨が頻発しているとともに、本年八月には、北海道、東北を連続して襲った台風などにより全国各地で甚大な水害が生じております。
 私の地元を流れる目黒川では、八月の集中豪雨で河川の水位が短時間で護岸ぎりぎりまで上昇しましたが、これまで進めてきた整備の効果で河川からあふれることはありませんでした。
 しかしながら、この十年程度を見てみても、都内各地でまだまだ多くの家屋が浸水被害を受けています。こうした自然の脅威から都民の不安を一日も早く解消するためには、治水対策を早急に進めていくことが重要と考えます。
 治水対策の根幹となる中小河川整備についてですが、決算説明資料によると、平成二十七年度は総額で約百七十七億円が支出されております。
 そこで、中小河川における二十七年度の主な整備箇所と、二十七年度末までの整備状況についてお伺いいたします。

○東野河川部長 平成二十七年度は、二十七の河川で事業を行い、このうち、護岸につきましては、石神井川や平井川などで約一・四キロメートルを整備いたしました。
 また、調節池につきましては、善福寺川調節池や古川地下調節池など五カ所で事業を実施いたしました。このうち、古川地下調節池では、二十七年度に排水設備を整備したことによりまして、年度末より取水を可能とし、本年八月の台風十一号による豪雨では六千立方メートルを取水し、効果を発揮いたしました。
 都内全域における時間五十ミリ降雨に対する二十七年度末の護岸整備率は六六%となり、これに調節池等の効果を加えた治水安全度達成率は七九%となりました。

○栗山委員 都内全域で護岸や調節池の整備が着実に進められていることがわかりました。
 一方、雨の降り方は局地化、激甚化していることから、都は、整備の目標とする降雨水準をこれまでの時間五十ミリ降雨から、区部では時間最大七十五ミリに引き上げました。早期に治水効果を発揮させるためには、護岸と調節池をバランスよく整備していくことが重要であります。
 そこで、新たな整備水準に対応する調節池等の取り組み状況についてお伺いいたします。

○東野河川部長 都は、平成二十四年度に中小河川の整備方針を定め、目標整備水準を時間五十ミリから、区部、多摩の降雨特性を踏まえ、安全性の指標である年超過確率二十分の一で等しくなる、区部では時間最大七十五ミリ、多摩では六十五ミリに引き上げました。時間五十ミリまでの対策は河道の整備で、これを超える部分は調節池で対応することを基本としております。
 二十七年度は、石神井川や神田川など五流域におきまして、新たな整備水準に対応する五カ所の調節池について、二十八年度の工事着手に向け、詳細設計を行いました。このうち神田川、石神井川及び白子川の三流域、計五河川にまたがる環状七号線地下広域調節池は、容量を各流域間で相互に融通することで、時間百ミリの局地的かつ短時間の豪雨にも効果を発揮いたします。
 二十七年十二月には都市計画決定を行い、二十八年二月には国土交通省の事業認可を取得いたしました。

○栗山委員 都民が安心して暮らせる東京の実現を目指し、より一層の中小河川整備の取り組みをお願いいたします。
 次に、都立公園事業についてお伺いいたします。
 東京の市街地は、鉄道や道路に沿って放射状に拡大してきた中、そのはざまに、くし状に残された多摩の丘陵地は、東京の緑の骨格をなす重要な緑として、さまざまな保全の取り組みが行われてきました。
 しかしながら、都市化の進展により、丘陵地の貴重な自然環境は失われつつあります。雑木林や谷戸など、人々の営みとともに育まれた里山に代表される景観や自然環境は、東京のかけがえのない財産であり、丘陵地に計画された都立公園の整備を着実に進め、里山の自然を保全することは、東京都全体の緑の保全の観点からも重要です。
 そこで、平成二十七年度の丘陵地公園の整備についてお伺いいたします。

○五十嵐公園緑地部長 東京の豊かな自然を守り、継承していく上で、奥多摩の山々と武蔵野台地とを結ぶ丘陵地の緑の保全は、重要でございます。
 都はこれまで、狭山丘陵、霞丘陵、多摩丘陵などにおいて、保全の核となる都立公園の整備を進め、十四カ所、約六百ヘクタールの丘陵地公園を開園してまいりました。
 平成二十七年度は、野山北・六道山公園や中藤公園において、散策路や広場の整備、樹林地で間伐や下草刈りなどを進めるとともに、滝山公園では、地権者の理解と協力を得て借地による整備を行い、丘陵地公園全体で約六ヘクタールの区域を開園いたしました。
 今後とも丘陵地公園の整備を進め、東京の緑の骨格をなす豊かな自然環境を次世代に確実に引き継いでまいります。

○栗山委員 次に、動物園の整備状況についてお伺いいたします。
 都立の動物園は、海外からの観光客を含めた多くの来園者に憩いや安らぎの場を提供することに加え、多様な野生動物の行動や生態、生息環境をわかりやすく伝えることも重要です。都立動物園の活動は、単に東京都の動物園というだけではなく、日本を代表する動物園として先導的な役割を果たしていくことが期待されます。
 一方、動物園は、子供から大人まで誰もが、さまざまなライフステージにおいて訪れ、それぞれが思い出を持ち、新しい驚きや発見を期待している施設です。私も、動物園で施設がリニューアルされたといったプレスや、動物の赤ちゃんが生まれたといった記事を見るたびに、期待が高まります。
 動物園の魅力を高め、本来の役割を果たしていくためには、施設の改修や改善が必要と考えますが、平成二十七年度の動物園施設の整備内容をお伺いいたします。

○五十嵐公園緑地部長 都立動物園は、種の保存、調査研究、教育普及、レクリエーションの四つの機能を有しており、これらの機能を発揮するため、新たな施設の整備や改修を行っております。
 平成二十七年度は、恩賜上野動物園において、老朽化していた動物病院にかわり、動物病院と検疫舎の機能をあわせ持つ動物医療センターの整備が完了したほか、動物に触れ合える子ども動物園を不忍池のほとりに移設するとともに、教育普及機能を強化する学習ルームを新たに整備する工事に着手いたしました。
 また、多摩動物公園では、群れで生活する象本来の姿を観察できる展示を目指し、これまでの約七倍の建築面積を有するアジアゾウ舎の工事などに着手いたしました。
 今後とも、動物園の施設整備を進め、野生動物との出会いや楽しさを提供できる、魅力あふれる動物園の実現に努めてまいります。

○栗山委員 恩賜上野動物園のインバウンド対応についてお伺いいたします。
 恩賜上野動物園は、緑豊かな上野恩賜公園や、我が国を代表する文化教育施設や、寛永寺などの江戸時代の建造物が集積する上野地区にあります。
 恩賜上野動物園には、ほかの文化施設と同様に国内外からの多くの方が来園していると思いますが、恩賜上野動物園の来園者数をお伺いします。また、あわせて海外からの来園者数についてもお伺いいたします。

○五十嵐公園緑地部長 平成二十七年度の恩賜上野動物園の来園者数は約三百九十七万人であり、平成二十六年度の約三百六十九万人に比べて約八%ふえております。
 また、海外からの来園者につきましては、二〇二〇年東京大会に向け、効果的にインバウンド対策を進めていくため、今年度、平日四回、土日祝日四回、合わせて八回、来園者にどこの国から来たのか、聞き取りによる調査を実施する予定でございます。

○栗山委員 海外からの来園者数について調査中ということでありますが、国の調査によれば、平成二十七年の訪日外国人は約一千九百七十四万人に上り、平成二十六年から五割近く増加しており、恩賜上野動物園でも海外からの来園者がふえていると思います。
 そこで、恩賜上野動物園において、増加する外国からの来園者を案内するためにどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。

○五十嵐公園緑地部長 恩賜上野動物園は、国内外から多くの方々が訪れる日本を代表する動物園であり、外国人来園者に対して多言語による情報提供は欠かせません。
 このため、平成二十七年度は、外国人を含む来園者がスマートフォンやスマートデバイスで手軽に動物園の詳細な情報を得ることができるアプリ、Tokyo Parks Naviを制作し、本年四月より提供を開始いたしました。このアプリは、日本語のほか、英語、中国語、韓国語にも対応しており、各言語の表示や音声、動画による園内の案内や展示動物の解説なども提供するものでございます。
 このほかにも、多言語案内のサイン整備やパンフレット作成に加え、接遇スタッフの英会話教育やタブレット端末を利用した通訳サービスなどを実施しております。
 今後とも、海外からの旅行者を含む来園者に対するサービス向上に努めてまいります。

○栗山委員 これからもふえ続ける外国からの来園者に対し、恩賜上野動物園の魅力を発信していくことは重要であります。
 そこで、恩賜上野動物園の特徴をお伺いいたします。

○五十嵐公園緑地部長 恩賜上野動物園は、都会の限られた土地の中で世界中の多種多様な動物が見られる動物園でございます。また、生息地の自然環境を再現した施設の中で、ニシゴリラやスマトラトラなどの生き生きとした様子が見られるなど、魅力的な展示を通して、野生動物保全の重要性を国内外へ発信しております。
 このほか、百三十年以上の歴史を誇る恩賜上野動物園内には、一六三九年に建てられた国の重要文化財である旧寛永寺五重塔など、上野の歴史を物語る建造物も保全されているなどの特徴を備えた動物園でございます。

○栗山委員 人口減少が今後日本では起きると予想される中、インバウンドで日本の経済を活性化することは重要だと思っております。
 恩賜上野動物園の周辺には、多くの外国人の方を引きつける施設がありますので、その施設と連携しながら、恩賜上野動物園の魅力をより一層高めることを要望し、私の質問を終わります。

○伊藤委員 私からは、まず無電柱化の取り組みについて質問をいたします。
 私は、先日の本会議一般質問でも述べましたけれども、平成七年一月十七日に発生をした阪神・淡路大震災の翌日に、友人のご両親を救出するために神戸の被災地に入りました。
 そこで見たものは、東京と同じく大きな都市を巨大地震が襲う恐ろしさを目の当たりといたしました。とりわけ、倒壊したビルなどが幹線道路を塞いでしまっているので、そこを避けて、一本奥に入った道から先に進もうと思えば、今度はその一本奥に入った道が、家屋やブロック塀に加えて電柱が倒壊をして道を塞ぎ、電線が絡まるように垂れ下がっていた光景が目に焼きついております。
 今、首都直下地震発生の切迫性が高まる中、東京の無電柱化は、防災上極めて重要な事業であると考えます。
 都はこれまで、我が国の政治、経済、文化が集まるセンター・コア・エリアの都道の無電柱化に積極的に取り組んできましたけれども、周辺区部においても、無電柱化をさらに進めていく必要があると考えます。
 そこで、まず伺いますけれども、平成二十七年度末までの区部における都道の無電柱化の整備実績について伺いたいと思います。

○伊佐道路保全担当部長 道路の無電柱化は、都市防災機能の強化や良好な都市景観の創出、快適な歩行空間の確保を図る上で重要でございます。
 都は、平成二十六年十二月に策定した第七期無電柱化推進計画に基づき、センター・コア・エリア内はもとより、防災性の向上を図るため、周辺区部や多摩地域の第一次緊急輸送道路を中心に事業を推進しております。
 平成二十七年度末までの計画幅員で完成した都道における整備済み延長は、区部で七百十二キロメートルで、地中化率は約五五%となっております。

○伊藤委員 センター・コア・エリア外の周辺区部などにおいても整備が進んでいるということがわかりました。今後は、周辺区部の都道において、地中化事業の速度を上げて推進をしていただきたいと要望したいと思います。
 先ほどは神戸での経験を述べましたけれども、防災性の向上を図るためには、都道などの幹線道路だけでなくて、生活道路として人々が日々利用している区市町村道の無電柱化、これを強力に進める必要があると思います。しかしながら、私の地元である品川区を含め、区市町村道の無電柱化は余り進んでいない実態があります。
 そこで、区市町村道の無電柱化に対する都の財政支援について、平成二十七年度実績について伺いたいと思います。

○伊佐道路保全担当部長 都市防災機能の向上を図るためには、生活道路である区市町村道の無電柱化を一層促進することが重要でございます。
 都は、平成二十年度から区市町村の無電柱化に対する財政支援を継続的に行っており、平成二十七年度は、品川区の大井ホッケー競技場予定地周辺の区道の詳細設計を含め、合計十区五市に財政支援を行いました。
 引き続き、区市町村の無電柱化事業への支援を積極的に行ってまいります。

○伊藤委員 二〇二〇年東京大会に向けて計画が進められております大井ホッケー競技場予定地周辺の地中化については、地元の方々のみならず、選手や大勢の応援者にとっても重要な路線だと思います。
 一方、都民が暮らしの中で日常的に通行する生活道路こそ、防災性の向上を図る必要があるわけであります。今後、都は、区市町村が電柱の地中化を積極的に進めることができるように、財政的支援、技術的支援を拡充していってほしいと強く要望したいと思います。
 次に、自転車走行空間の整備について質問をいたします。
 自転車は、日々の買い物や通勤通学など、子供から高齢者まで多くの都民が手軽に利用する環境に優しい乗り物であることから、積極的に活用を図っていく必要があります。
 一方、歩行者優先であるはずの歩道上を我が物顔で自転車で通行したり、あるいは歩道から自転車が急に車道に飛び出したりと、自転車を運転するマナーの向上も都政の重要な課題であります。こうした問題を解決するためにも、自転車が安全に走ることができ、歩行者や車との事故防止の観点からも、自転車走行空間の整備は重要であると思います。
 そこでまず、都道における平成二十七年度までの自転車走行空間の整備状況について伺いたいと思います。

○伊佐道路保全担当部長 自転車は、都市内の有効な交通手段の一つであり、誰もが安全で快適に利用できるよう、自転車利用者のルール、マナーの周知徹底とともに、自転車走行空間の整備を進めることが重要でございます。
 都は、平成二十四年度に策定した東京都自転車走行空間整備推進計画に基づき整備を進めており、平成二十七年度は自転車レーンなど約十八キロメートルを整備し、平成二十七年度末までに百五十五キロメートルの自転車走行空間が完成しております。

○伊藤委員 私の地元品川区では、区道については、積極的に自転車ナビマークなどの自転車走行空間の整備を行っております。こうした取り組みの当初は、自転車ナビマークは、ある部分を整備し、また少し離れた地点からマークが始まるなどの、点の整備が多かったんですけれども、最近は、品川区においては、この自転車ナビマーク、マークを連続させる線の整備へと拡充を今しているところであります。
 しかし、区が進めているこのナビマークですけれども、その先に、都道二六号線だとか中原街道だとか、こうした都道とぶつかると、その自転車走行空間が途切れてしまっている現状があります。
 都は今後、こうした区道と都道の自転車走行空間を連続させ、面の整備、これを区と共同して行っていくべきだというふうに私は思います。そのためには、都はこれまで以上に区市の整備を支援していくことが重要だと考えます。
 そこで、都が行った区市に対する財政支援の平成二十七年度実績について伺いたいと思います。

○伊佐道路保全担当部長 都は、大井ふ頭中央海浜公園など、二〇二〇年東京大会会場周辺等の七地区において、国道、都道、区市道の自転車走行空間を連続させた約二百キロメートルの自転車推奨ルートの整備に取り組んでおります。
 この取り組みにおける区市道での整備を促進するため、工事費等について、国庫補助とあわせて事業費の全額を補助する制度を平成二十七年度に創設し、品川区など二区に対し財政支援を行いました。
 引き続き、国や区市町村と連携し、自転車走行空間のネットワーク化に積極的に取り組んでまいります。

○伊藤委員 ぜひとも、自転車走行空間が点から線、そして線から面となっていくように、自転車走行空間のネットワーク化を加速していただきたいと要望をしておきたいと思います。
 次に、特定整備路線における生活再建支援について質問をいたします。
 首都直下地震等の震災時に甚大な被害が想定される木造住宅密集地域の防災性を向上させることは、東京都の喫緊の課題であります。
 都は、延焼遮断帯となる特定整備路線を整備するとしておりますけれども、早期整備には着実な用地取得が不可欠であります。しかし、こうした公共事業にご協力をいただく関係権利者の皆様にとっては、かけがえのない住宅と生活に直結する、人生の中で重大な問題であるということは、いうまでもありません。
 都は、都議会公明党の要請に応え、関係権利者の生活再建をきめ細かく支援することとし、民間事業者のノウハウを活用した相談窓口を設置いたしました。しかし、こうした方々は、特定整備路線の必要性は理解しつつも、移転や生活再建に伴う新たな負担を抱えることに大きな不安を抱えております。
 先日の当分科会決算説明では、相談窓口を新たに四カ所設置し、全二十区間で権利者支援を行ったという報告がありましたけれども、これまでの相談窓口の利用状況について伺いたいと思います。

○日浦用地部長 相談窓口の利用状況ということでございますけれども、平成二十七年度末までですと、相談者数は延べ約四千百人、それから、相談件数は延べ約七千三百件でございました。
 また、現在の利用状況でございますけれども、平成二十八年九月末現在の相談者数は延べ約六千人、相談件数は延べ約九千七百件でございます。

○伊藤委員 今の数字を聞いても、多くの相談が寄せられているということがわかるわけですが、逆に、それだけ不安や心配が多いということでもあると私は思います。
 相談窓口に寄せられた相談内容は具体的にはどういうものがあるのか、伺いたいと思います。

○日浦用地部長 これまで相談窓口には、補償に関すること、建物の建てかえや残地再建プランに関すること、移転先情報に関すること、相続や借地割合など権利関係に関することなど、多数の相談が寄せられております。

○伊藤委員 答弁いただいたように、相談の窓口に寄せられた内容は、権利者個々の事情によって異なって、その内容は非常に多岐にわたるということがわかるわけであります。
 都は、関係権利者の個別具体的な相談に真摯に対応し、課題解決に向けて取り組んでいると思いますけれども、関係権利者の中には、窓口に相談してもなかなか解決されないで、どうしたらいいんだという不安が払拭されない、こういう方々もたくさんいらっしゃる現状があります。それら関係権利者から寄せられた相談に対し、窓口では具体的にはどのような権利者への支援を行っているのか、伺いたいと思います。

○日浦用地部長 これまで窓口には多くの相談が寄せられており、関係権利者のニーズに応じた移転先情報の提供や建てかえプランの提案など、きめ細やかに生活再建を支援しております。
 具体的には、ひとり暮らしの高齢者に対しまして、ケアつき高齢者向け住宅への入居あっせんを行ったり、家族構成やお住まいの形態に応じて平面図や建物模型を作成し、再建案を提案いたしましたりとか、権利者宅を訪問しての相談ですとか、移転先物件の下見や区高齢者施策窓口へも同行するなど、関係権利者の個々の事情に応じた支援を実施しております。
 引き続き、生活再建に対する手厚いサポートを行いながら、関係権利者の理解と協力を得て用地取得を推進してまいります。

○伊藤委員 特定整備路線は、災害から多くの都民の命を守る防災上極めて重要な都市インフラであるということは、理解はいたします。
 しかし、今申し上げてきたとおり、相談窓口、行ったけれども不安の払拭にはつながっていない、こうした方々もたくさんいらっしゃいます。それから、いろんな相談員の方が配置をされているのはよくわかっておりますけれども、こうした不安を抱えている方に、いきなり住宅ローンの話をしたりとか、いきなりどこか違うエリアの家を紹介したりとか、中には他県を紹介することもありますから、よくそれぞれの個別の事情を理解して、ハートを持って対応していただきたい、このことを強く要望しておきたいと思います。
 次に、昨年三月に開通した首都高速中央環状品川線について質問をいたします。
 首都高速中央環状品川線の開通によって、中央環状線が全線開通するとともに、首都圏三環状道路で最初のリングが完成をいたしました。開通後、私もよくこの品川線を利用いたしますけれども、品川区の五反田の入り口から初台の出口まで十分足らずと、今までは考えられない時間短縮に驚いております。
 そこで、まず伺いたいのは、中央環状品川線の整備効果について伺いたいと思います。

○相場道路建設部長 東京都と首都高速道路株式会社が共同で事業を進めました首都高速中央環状品川線が、品川区八潮から目黒区青葉台までの約九・四キロメートル区間で平成二十七年三月に開通いたしました。
 この開通により、物流の効率化やアクセス性の向上などのストック効果が広域的な社会経済活動にも波及しております。例えば、新宿から羽田空港までの所要時間が約四十分から約十九分となり、中央道方面から大井ふ頭までの貨物車の輸送時間は約三割短縮しました。また、観光バスの定時性が確保されたことにより、郊外のアウトレット等の訪問先での滞在時間の延長が可能となり、観光地での経済効果も期待されております。

○伊藤委員 中央環状品川線では、さまざまな整備効果があらわれているということはよくわかりました。私も実感をしております。
 一方で、この高速道路の開通に対して、開通に至るまでに、寛容なるご理解と、そして同時に多大なる心配をかけた方々が多くいらっしゃったということを、私は絶対忘れてはいけないというふうに思います。
 私の地元品川区の五反田地域の方々は、換気塔が建てられることに対して、地下を通る高速道路から排気される空気によって周辺の大気が汚染されることに大変な危惧を持たれておりました。とりわけ、換気塔周辺の二十一町会で組織された高速道路品川線問題近隣町会合同連絡会の方々は、都や国にさまざまな要望活動を行い、私もともに活動をさせていただいてまいりました。
 品川線開通後、利便性が向上する一方で、環境への影響について、その後、大気汚染はどうなったのかという心配の声が上がっております。
 中央環状品川線については環境影響評価を行っており、開通後も、NO2などの大気質の状況を調査することになっていると思いますけれども、その調査の状況と調査の結果、そしてまた公表方法について伺いたいと思います。

○相場道路建設部長 開通後の大気質につきましては、首都高速道路株式会社が平成二十七年十一月から一年間調査を継続しており、来月完了する予定であります。
 今後、その調査結果を取りまとめ、平成二十八年度末に環境局へ報告書を提出する予定であります。この報告書は、環境局及び沿線の目黒区や品川区で閲覧することができます。
 なお、中央環状品川線の四つの換気所では、NO2及びSPMの除去装置を設置しており、平成二十七年四月から毎日除去率を計測しています。その結果を見ますと、両装置とも目標とする除去率を満たしております。この結果につきましては、首都高速道路株式会社のホームページにおいて公表しており、今後も継続していくと聞いております。

○伊藤委員 環境影響評価の手続が行われており、さらに、自主的な情報発信も行われているという答弁でありました。
 しかしながら、ホームページを誰もが見る、あるいは見られるというふうには限らないというふうに思います。先ほど述べたような町会などを通じて、大気汚染の心配をされていたこうした地元の方々に対して、開通後の大気質について、現状をきちんとお知らせすることは、私は当然のことだと思います、なぜなら、あれだけ心配をしておられたわけですから。都は今後、こうした方々にわかりやすく情報を公表していくべきと考えますけれども、見解を伺いたいと思います。

○相場道路建設部長 都といたしましても、事業に協力していただいた地元の方々へ、大気質の調査結果などにつきまして情報提供することは、大変重要だと考えております。
 今後、首都高速道路株式会社と協議の上、町会を通じた幅広くわかりやすい広報を検討してまいります。

○伊藤委員 ぜひ地元への積極的な情報提供をしていただきたいと思います。
 さて、中央環状品川線は大部分がトンネル構造であり、交通事故の危険性についても危惧されるところであります。ひとたび車両火災などが発生をすれば大惨事にもなりかねません。
 そこで、中央環状品川線の昨年度の事故件数と、首都高速道路株式会社が実施している安全対策について伺いたいと思います。

○相場道路建設部長 平成二十七年度の首都高速道路全線におけます事故件数は一万九百十九件であり、そのうち中央環状品川線の事故件数は六十八件であります。
 安全対策といたしましては、事故の発生しやすい分岐部や曲線部に大型表示灯や反射板を設置しております。さらに、火災の延焼や拡大を防ぐスプリンクラーや、地上まで避難できる非常口を設けております。また、さらなる安全性向上のため、開通後の交通状況をいち早く捉え、文字情報板、看板等を増設しております。
 今後とも、安全対策に鋭意取り組んでいくよう、首都高速道路株式会社と連携してまいります。

○伊藤委員 首都高速での事故件数全体から見れば、事故発生は中央環状品川線は少ないようにも見えますけれども、トンネル構造の高速道路であります。一年間に六十八件ということは、一カ月で五件以上、事故があのトンネルの中で発生しているわけでありますので、こうした事故が発生をしているということは、数字の上からだけで見逃すわけにはいかないというふうに私は思います。引き続き、都は首都高速道路株式会社に対し、事故防止とその対策強化について働きかけをしていただきたいと思います。
 最後に、東日本大震災被災地への都職員の派遣支援について質問をいたします。
 東日本大震災から五年半が過ぎました。復興は進んでいるものの、いまだ道半ばであります。私は震災発災直後、そしてまたその後も、被災地を視察、調査した折に、復興にはさまざまな技術支援が必要であるという切実な声を現地で聞いてまいりました。
 建設局では、大震災発生以来、被災地のインフラの復興に対し、継続的に職員を派遣し、支援を続けてきているわけですけれども、その支援の経緯、内容、そして実績、そして成果について伺いたいと思います。

○安部企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 建設局では、平成二十三年三月十一日の東日本大震災発災直後から、宮城県、岩手県及び福島県へ職員を派遣しております。
 平成二十七年度までの五年間で、技術系職員を中心に延べ八十三名を派遣しておりまして、今年度も八名送っております。派遣した職員は、都の代表としての気概を持ちまして、建設局で培ったノウハウを活用し、被災した道路、河川、海岸施設等の災害復旧工事におきまして、用地取得、設計、積算、工事監督等の業務を精力的に行っております。
 派遣職員が携わった事業のこれまでの成果としまして、岩手県釜石市の水海海岸では、昨年度、防潮堤復旧工事が完了いたしました。また、福島県では、県で初めて建設されます四カ所の防潮水門について実施設計を担当しまして、都の水門管理システムを参考に操作要領を策定するなど、被災地の復興に大いに貢献しております。

○伊藤委員 災害直後の救出、救援から復旧、復興と、災害から復興するために必要な支援というのは、時間の経過とともに変化をしてまいります。都は、こうした被災地のニーズを的確に捉え、とりわけ建設局は、技術系職員を中心に適材適所にわたって派遣支援を継続してきた、このことについては敬意を表したいというふうに思います。
 また、派遣される職員の中には、みずから志願して被災地に赴いてくださる方々もいると聞いております。こうした職員の方々が現地で活躍してくださるには、しっかりとした枠組みや人件費などの予算上の問題も重要なことであります。
 そこで、職員派遣の枠組み、人件費等の負担について、どうなっているのか伺いたいと思います。

○安部企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 被災地への職員派遣につきましては、地方自治法で職員の身分や費用負担が定められておりまして、派遣職員の給料、手当及び旅費は、職員の派遣を受けた地方公共団体の負担とされております。
 なお、被災県が負担すべき経費につきましては、その全額を国が特別交付税により措置することとされておりまして、被災県の実質的な財政負担はございません。

○伊藤委員 私たちが経験したことがない、あれだけの大災害となった被災地に対して、国からも支援がしっかりと入っているということはよくわかりました。
 そこで最後に、今後、被災地側が求める限り都は職員派遣を続けていくべきというふうに考えますけれども、今後の支援の考え方について、都の見解を伺いたいと思います。

○安部企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 被災地の復興への道のりはいまだ途上にありまして、復興事業を進めていくためには、引き続き高い水準の支援が必要とされております。
 今後とも、被災地の復興が停滞することがないよう、被災県の要請や復興事業の進捗状況を踏まえまして、可能な限り職員派遣を継続していく予定でございます。

○伊藤委員 都議会公明党は、二〇二〇年東京大会は復興五輪と位置づけ、被災地が力強く復興していく姿を世界に発信するとともに、大震災発生当時に世界中が被災地に支援の手を差し伸べてくれたことに感謝を伝える、いまだかつてないオリンピック・パラリンピックとしていくべきだというふうに考えます。その復興の姿を陰に陽に支えてくれているのが、今やりとりをさせていただいた都の派遣職員の皆様だというふうに思います。
 今後も、局長を中心に、復興支援を含め、建設局事業が着実に推進されていくことを期待をして、質問を終わります。

○白石委員 私からも、建設局の決算にかかわり質問させていただきます。
 初めに、特定整備路線について伺いたいと思います。
 特定整備路線は、震災対策による延焼遮断などを名目に、二十八路線を選定し、道路計画を進めております。
 私の地元品川区で進める特定整備路線、補助二九号線、放射二号線、補助二八号線は、空襲で焼け野原となった戦後間もなくの計画であり、その後、半世紀以上の間、たくさんの住宅や商店が建ち並び、まちが形成をされてきました。それだけに、立ち退きや分断で地域全体に大変な犠牲が生まれると、このような声も大きく広がっております。
 初めに、特定整備路線の計画線上にかかる建物は全体でどのくらいあるのか、伺いたいと思います。

○日浦用地部長 建設局が、特定整備路線として平成二十四年度以降に事業認可取得した二十区間におきまして、申請に当たり補償対象とした建物棟数は、合計で約三千四百棟でございます。

○白石委員 事前に私も資料を見させていただきました。品川区を貫く三つの路線だけでも八百六十一棟の建物が道路計画線上にかかって、立ち退きが迫られるということになります。また、商店街や大学、公園など公共施設も例外なく巻き込んで、長い年月を重ね形成されてきた暮らしとまちが激変してしまうという道路計画となっております。
 二〇一五年度の特定整備路線の決算において、執行率と進捗状況をそれぞれ伺いたいというふうに思います。

○加藤道路計画担当部長 特定整備路線におけます補正後の予算に対する執行率は約五三%でございます。
 現在、関係権利者の生活再建に配慮しながら、理解と協力を得て用地取得を進めているところでございます。
 また、二区間で工事に着手してございます。

○白石委員 執行率、今、五三%と答弁ありました。それは補正後に当初予算を削った上での数値でありまして、当初予算と純粋に比較すれば約二五%が現在の執行状況です。
 例えば品川の三路線ではそれぞれ、二〇一五年度の執行率は三割も満たしていないという状況です。西五反田地域から荏原地域を貫く放射二号線は、約八%の執行状況です。このことからも、執行率が非常に低い状況を直視して、都は背景を分析するということが求められているというふうに思います。
 そこで、順調に進んでいない状況の要因は何があるのか、都の認識を伺いたいというふうに思います。
   〔発言する者あり〕

○日浦用地部長 首都直下地震の切迫性などを考えると、木密地域の防災性の向上は待ったなしの課題でございます。そのため、特定整備路線の一刻も早い整備に向けて、早期に事業用地を取得していかなければなりません。
 しかし、事業に協力いただく関係権利者の中には、移転や生活再建に不安を感じる方もいらっしゃいます。現在、都は、民間事業者を活用した相談窓口を設置し、移転先情報の提供や建てかえプランの提案など、関係権利者の不安解消とともに、きめ細やかに生活再建を支援しております。
 今後とも、関係権利者お一人お一人に丁寧に説明してまいります。
   〔発言する者あり〕

○白石委員 今いろいろといわれました、不安をあおるとか、邪魔をしているんじゃないかとか。予定どおりに進まない背景には、地域住民の--ぜひこの質問を聞いていただきたいと。住民を追い出し、地域のつながりやきずなが破壊されて、住民から、地域全体の防災力が弱体化してしまうのではないかという、こういう声であったり、商店街が根こそぎ削られて、地域のつながりを強める基軸が失われると、このようなコミュニティの崩壊による防災力の低下への不安や反対の思いが住民の中にもあります。
 現在では、国への不服申し立てや裁判などにも発展をしております。道路計画自体を白紙撤回してほしい声は、ますます現在強くなっているという状況だと思います。
 住民に十分な理解も合意も得られていないからこそ、この異常に低い進捗率、進まないことを、都は認識すべきだと強く指摘をしておきたいというふうに思います。
 先ほど、きめ細やかに生活再建を支援すると答弁をされました。そこで、特定整備路線により立ち退きを迫られる住民の方への代替地はどのくらい確保されているのか伺いたいと思います。また、品川ではどのくらいあるのか、それぞれ具体的にお願いいたします。

○日浦用地部長 建設局は、事業用代替地として、平成二十七年度末時点で都内に百六件、約三万二千平方メートルを保有しております。そのうち、品川区内につきましては二件、四百三十三・一八平方メートルを保有しております。

○白石委員 生活再建のためと、きめ細やかな支援と言葉では述べておりますけれども、道路整備により品川区内で立ち退きを迫られる棟数は、先ほどもいいましたが、八百六十一棟であり、この一棟には共同住宅なども含まれておりますから、世帯数はさらに大きな影響が出るということは明らかだというふうに思います。それにもかかわらず、品川区内で確保されている代替用地はたった二件ということになります。
 例えば、立ち退きを迫られる品川区内で内装業を営む方がこんなことをいっていました。代替地はどこにありますかと、このように都の方にも相談をしたところ、八王子にありますとの返答に唖然としたと。区内でなければ、これまで懇意にしてきたお客などが離れてしまい、商売を続けていくことはできないと、顧客も一緒に越せるわけではないんだと、全く役に立つような相談はできなかったと、このように話しております。
 また、最近建てかえたばかりの方、現在の住居は耐震耐火構造で建てかえたものですと。で、ついの住みかになっている、退職金はローンの一括返済で使ってしまいました、今後、賃貸住宅で生活再建することは考えられないと、このように怒りを込めて訴えてもおられます。
 品川区が実施した定住意向のアンケートによれば、区内に今後も住み続けたい、また当分住み続けたい、これを合わせた回答数は品川区内では八割を超えております。特に、放射二号線を推し進めている荏原地域は、今後もずっと住み続けたいと回答した方が最も高い地域となっております。
 しかし、区内には代替用地はたった二件しか確保されていないと。あとは民間賃貸住宅などのあっせんにより事を済ませようとすると。きめ細やかな生活再建といいながら、関係地権者の生活再建の願いに応えるだけの用意がされていないということを、まず強く指摘をしておきたいというふうに思います。
 防災を口実にして、先ほど来いわれておりますが、特定整備路線を進めようとしておりますが、果たして地域の防災力の向上に資する道路かという角度から質問を進めたいと思います。
 都は、地域の防災性の向上を図るとして、特定整備路線を進めようとされておりますが、その根拠とされる延焼シミュレーションは、地域の安全性を検証するための調査なのか、お答えいただきたいと思います。

○加藤道路計画担当部長 延焼シミュレーションは、木造地域全体の火災に対する安全性を検証するものではございません。特定整備路線のあるなしによる焼けどまり効果を路線ごとに確認するために実施したものでございます。
 シミュレーションに当たりましては、東京消防庁の効果測定の手法を用いており、特定整備路線の整備により安全性が確実に高まると考えてございます。

○白石委員 今ご答弁されたように、延焼シミュレーションというのは地域の安全性をはかるものではないということです。端的にいえば、防災のためという根拠そのものが具体的に調査をされていないということになります。
 例えば放射二号線は、南から北へ延びる南北道路となっております。都が行った延焼シミュレーションは、焼けどまり効果を検証するために、道路に直角に風を吹かせています。すなわち、東風と西風を吹かせて焼けどまり効果を検証していると、このような状況です。
 しかし、東京管区気象台が東京に吹く風をまとめたデータによりますと、一年を通して、まず西風が吹く割合はゼロ%となっております。東風もゼロ%に近いと。ほとんど吹かないという状況です。
 では、どのような風向きが多いかといいますと、主に冬に吹く北風、特に北北西の風です。そして夏には南風となっております。これが東京の風向きの現状なんですね。実態と全く合わない風向きをシミュレーションに取り込んで、その絵を用いて住民に説明をしているということなんですね。
 そもそも地域の安全性をはかる調査がされず、実態とそぐわない資料を利用しながら行っていく、やっているということに、本当に、これで命を守る道路と強引に説明していること自体、住民を欺く行為であると、このように強く指摘をしたいと思います。
 そこでまた伺いたいと思いますが、そもそも個別路線ごとに地域の安全性を具体的に調査をして、検証を行ったことがあるのかどうか、お答えいただきたいと思います。

○加藤道路計画担当部長 個別路線ごとの地域の安全性につきましては、建設局としては検証しておりません。

○白石委員 今、建設局としてはとあえてつけましたが、そもそも特定整備路線、防災のためだ、命を守る道路なんだと、このようにいって住民に説明をしているわけですから--検証していないと、建設局としても。それが実態だと。まともな調査や検証もしていないのに、なぜ防災のためと強調できるのかと、理解できるように説明をお願いしたいと思います。

○加藤道路計画担当部長 木造住宅密集地域の不燃化を促進するためには、木造地域不燃化十年プロジェクトによる、燃えない、燃え広がらないまちの実現をする取り組みが重要であるとしております。その中で、燃え広がらないまちの実現には、延焼遮断帯を形成し、救援、救急活動に欠くことのできない特定整備路線の整備は重要でございます。

○白石委員 具体的に調査、検証もされていないのに、なぜそういうふうに簡単にいうのかということなんです。延焼シミュレーションそもそもが、これが最大の根拠といわれておりました。
 先ほどもいったように、延焼シミュレーションというのは地域の安全をはかったものではないと、このように認めておられます。具体的に調査もしていないと。どんなに取り繕っても、まともな調査や検証がされていないのですから、丁寧な説明や理解と納得を得ると、このような住民への説明ができるはずがないんです。
 さらに質問を進めたいと思います。
 放射二号線において、都は星薬科大学の防災機能をどのように認識をされていますか。また、大学や公共施設などが地域の中でどのような防災機能としての役割を果たしているかなど、検証はされているのか、それぞれ伺いたいと思います。

○加藤道路計画担当部長 星薬科大学は、品川区の地域防災計画におきまして補完避難所に位置づけられてございます。
 また、地域における大学の防災機能としての役割につきましては、建設局としては検証してございません。

○白石委員 星薬科大が地域の中で果たす防災機能の評価をそもそもしていないということです。
 星薬科大は、関東大震災に耐え、東京大空襲も経験し、そのたびに、火の手が迫っても並木に囲まれたキャンパスによって生き残ってきたという実績があります。この地域において最大の延焼遮断帯というべきものです。しかし、大学内を貫通する特定整備路線により、薬学部に義務づけられている薬草園を容赦なく貫く計画となっております。
 大震災や空襲にも耐えてきた星薬科大は、都の道路計画によって、今、大学が開校して以来、最大の存続危機へと陥ろうというふうな状況です。このことからも、大学側から道路計画の見直しを求める陳情が都に提出をされております。
 そこで伺いますが、大学からの陳情では、振動による計器への影響、薬草園の維持など、今後の建てかえのためのスペース確保についての検証がされているかどうか、伺いたいというふうに思います。

○加藤道路計画担当部長 振動による計器への影響に関する調査などにつきましては、今後、大学との話し合いの中で、必要に応じて実施することとしております。
 また、薬草園の維持など大学に対する補償につきましては、都の損失補償基準に基づき、通常生じる損失の補償を行うこととなります。現時点では必要な調査が行われていませんので、検討できておりません。

○白石委員 これまで大学と都などが直接協議した回数というのも、事前に教えていただきましたが、十二回行われているということです。道路整備による大学への影響について、これまで、今答弁でもあったとおり、まともに調査していないということです。
 星薬科大からは陳情で、研究の中で使う計器に影響があるのではないかと。さらには、薬草園の維持など、そういうところでの今後の建てかえスペースなんかも非常に不安視をしているというふうな状況です。そういうもとでも、まともに十二回協議を行っても調査をしていないということなんですね。
 星薬科大の薬草園というのは、三千平米の広さに約一千種類の植物が栽培をされて、それぞれの植物にはラベルがついており、植物名や薬効成分などが紹介をされていることから、学生が生きた教材として学べる場となっております。また、都心にはほかにこのような施設がないことから、学生だけではなく、近隣の小学生が見学に足を運ぶと。地域の方の憩いの場としても広く利用されております。
 移設するにしても、長年にわたり育成、栽培をしてきた貴重な植物が移設できないという可能性も指摘をされております。このように貴重な財産を保有する公的機関でもある大学に対しても、都はまともな説明、そして調査も行っていないということを強く指摘したいというふうに思います。
 次に、特定整備路線が適正な手続によって事業が進められているのかについて、質問を進めたいというふうに思います。
 特定整備路線は、社会資本整備総合交付金が投入されて道路整備をされることとなっております。簡単にいえば、国民の税金も特定整備路線の財源とされております。このことから、交付金を受ける際には、都がみずから整備計画を策定し、さらに事前評価を行った上、その評価を添付して国交大臣に提出するということになっています。ところが、都はこの事前評価書を添付せずに交付金を受けていたということが明らかとなっております。
 そこで質問したいというふうに思いますが、なぜ国に対して事前評価を提出しなかったのか、理由を伺いたいと思います。また、その後、事前評価書を提出したとしていますが、提出までの経緯を具体的に説明をしていただきたいと思います。

○加藤道路計画担当部長 整備計画を国に提出する際、事前評価書として作成していたチェックシートの添付を失念していました。平成二十七年四月、会計検査院の特別調書を作成する過程で、チェックシートを提出していないことが判明いたしまして、このため平成二十七年七月に国に提出したものでございます。

○白石委員 つまり忘れたということですね。国民の税金も投入されて行われる事業であって、その認識が余りにも欠落しているといわざるを得ません。
 問題はそれだけにとどまらないということです。都が行った重大な問題は住民のチェックを怠ったということなんです。
 会計検査院は次のように指摘をしております。事前評価を整備計画とあわせて公表することとなっているのは、地域住民などのチェック及び評価を受けるためであり、社会資本整備総合交付金などによる事業等実施の重要な手続と考えていると。つまり、住民のチェックを受けるために事前評価を公表しなければいけないはずなんですが、公表せずにこれまで進めたことによって、住民が事前に見て意見を述べる環境すらつくらなかったと。重大な問題です。
 これが、都がこれまで繰り返し答弁を、先ほど来からいっていますが、住民には丁寧な説明をしていくと、理解と協力を得て進めていくと、このようにいっておりますが、実態はこのような形で、住民のチェックを受けるような環境すらつくらずに、特定整備路線を推し進めようとしているのが実態です。
 次に、事前評価書の八項目全てにおいて検証を行って、報告書を国に提出したのか、伺いたいと思います。

○加藤道路計画担当部長 国が例示いたしました八項目のうち、七項目について検証を行い、国に提出したものでございます。

○白石委員 あえて一項目を外したものを国に提出したという答弁であります。その外した項目というのは、地元の機運なんですね。つまり、地元で事業を実施する醸成が高まっているのか検証をする項目となっております。
 会計検査院は、このことについても次のように述べておられます。整備計画の作成に当たっては、地域住民などの意向や合意形成などを踏まえた事業実施の確実性を検証することが求められていると。つまり、整備計画策定段階で地元の機運をつかむことを求めているというふうなことなんです。
 そこで質問を進めたいと思いますが、なぜ地元の機運について、事前評価からその項目を外したのか、理由を伺いたいというふうに思います。

○加藤道路計画担当部長 社会資本総合整備計画におきましては、都だけではなく区市町が施行する事業も数多くございます。これらをパッケージとして一つの計画に取りまとめたものでございます。それらの事業の中には、地元の機運にかかわらず実現すべきものも含まれてございまして、このため、地元の機運を評価することは妥当ではないというふうに考えたものでございます。

○白石委員 それでは、地元の機運にかかわらず実現すべきものが含まれていると、このように答弁されました。じゃ、一体どのような事業なのか具体的に教えていただきたいと思います。

○加藤道路計画担当部長 本整備計画における事業のうち、地元の機運によらない事業として、例えばバリアフリー事業あるいは自転車走行空間の整備事業、無電柱化事業などが該当するものと考えてございます。

○白石委員 今、バリアフリーや無電柱化など、このようなことをいっておりました。
 バリアフリーなど、地元の機運にかかわらず実現すべきだとしても、そのような事業というのは、これは私もきょう持ってきましたけれども、百数十件と。いろいろ合わせれば、どんどん積み上がっていくんでしょうけれども、高度な防災都市を構築し、地域の暮らしを支える安全・安心な道路整備という、これ、整備計画のタイトルですが、千以上事業があります。例えばバリアフリーや電柱の共同溝などは二割にも満たないと。残りの八割というのは、中心となる事業というのは、特定整備路線を初めとした道路の新設、拡幅です、私も見ましたが。地元の住民を立ち退かせることや商店街の分断を伴う道路計画が入っていたり、少なからず影響を及ぼす道路計画が圧倒的に多く入っているんです。だからこそ地元の機運の把握が欠かせないんです。
 今答弁されたように、地元の機運にかかわらず実現すべきものだからという理由で、残りの圧倒的多数を、地元の機運をはかることをせず、国に報告しないということは、本当にとんでもないという話です。
 八割以上の事業について、地元の機運を調べ、国に報告すると。残りに当たるバリアフリーや電線の共同溝とか、先ほど答弁がいろいろされましたが、それらの、地元の機運になじまないので調査していないというふうに注釈をつければいいわけです。それ以外の、例えば特定整備路線とか、しっかりと地元の機運を調べるということが前提にならなければ、国民の税金を使う道路事業でもありますので、こういうところを普通に聞いたら、ごくわずかななじまない事業を口実にして、地元の機運を調査して報告することを逃れたというようなことの批判というのは、免れないというふうにいわざるを得ません。
 会計検査院もこういっているんですね。国交省の年次報告書においても、最大限の成果を上げるために掲げる目標は、国民のニーズに真に対応したものでなくてはならないということを踏まえると、総合交付金による社会資本整備においても、地域住民などの意向を把握した上で整備計画を作成することが重要であると。成果を上げるためには、国民のニーズに真に対応したものでないといけないから、そのためには、地域住民の意向を把握した上で整備計画を作成することが重要ですと、このように述べております。都にはこういう発想が根本から欠けていると指摘せざるを得ません。
 特定整備路線というのは、全路線を合わせて三千億円以上もの税金が投入される事業であり、そのうち半分以上は国民の税金によって進められます。そもそもこの整備交付金を投入する資格に欠けていると、このように指摘せざるを得ません。
 既に特定整備路線については、全ての路線が現在事業認可済みとなっております。地元の機運は十分にはかれる条件が整っていますと、多分このような状況だと思います。
 そこで伺いたいと思いますが、二十八の特定整備路線については地元の機運が現在整っているかどうか、説明をしていただきたいと思います。

○加藤道路計画担当部長 地元に対しましては、鋭意、先ほど申し上げましたように用地測量等を進めてございまして、それらにつきまして協力をお願いしているところでございまして、鋭意進めている中では、私どもとしては協力をいただいているものだと考えてございます。

○白石委員 済みません、もう一度聞きますが、では検証をされるということですか。お答えいただきたいと思います。

○加藤道路計画担当部長 検証というものは、事業を進めていく中で、地権者、関係権利者の方々の協力を得て、一歩ずつ進めていくということが、すなわち検証になるものだと私どもは考えてございます。

○白石委員 協力を得てといいますが、先ほど来から私も質問しているとおり、例えばこの事前評価を公表していなかったと。要するに住民のチェックを受けることもされなかったと。このような形で進めてきている、現在そういう状況なんですね。
 そういう中で、じゃ、地元の機運は今どうなっているんですかと聞いたら、今、感覚としては進んできていると思いますと。このような形でこの特定整備路線を推し進めるということは、断じて許されないと。
 今あれこれいいますけれども、だったら、この項目の一項目、しっかりと検証して、再度国に提出するということを約束していただくということでよろしいですか。

○加藤道路計画担当部長 事前評価につきましては、国の新たに社会資本整備総合計画を作成、提出する際の留意点といたしまして、地方自治体が目標の妥当性、整備計画の効果、効率性、整備計画の実現可能性について、自主的、主体的に検証を行うものとされてございます。
 したがいまして、先ほど来答弁しましたように、一つ、区市町も含めました全体の事業をパッケージした計画につきましての評価でございますので、私どもは、先ほど選定いたしました七項目の評価が妥当だというふうに考えてございます。

○白石委員 今いろいろいわれましたけれども、じゃ会計検査院の指摘をしっかりと読んでいただきたいと思います。国は、別にいいなんていっていないんです。国交省も八項目が望ましいと。会計検査院も指摘をしているんです。何かパッケージになっているからやらなくていいですよなんていう話にはならないんです。やっぱりそこのところを全く理解をしていないということ自体、この整備交付金を受ける資格すらないということを、改めて私は強く指摘したいというふうに思います。
 国交省が示した、会計検査院も望ましいとしたこの八項目のうち、都合の悪いことは項目から外して、またすりかえも行うと。事業認可から四年近くたっているにもかかわらず、地元の機運がどうなっているのかということをまともな説明もできないということは、許されないというふうに思います。
 地元や住民の意思の尊重という角度から、もう一つ伺いたいと思います。
 都の事前評価書に円滑な事業執行の環境という項目があります。これに丸がついております。これはどのように判断して提出をしたものですか、伺います。

○加藤道路計画担当部長 先ほど来申し上げましたように、区市町も含めました全体の事業につきまして、円滑な事業の執行の環境ということで、まず事業が熟度として進んでいるかというようなことと、住民等の合意形成等を踏まえた事業実施の確実性ということで判断して丸をしてございます。

○白石委員 今、何かちょっとよくわからないようなことをいいましたけれども、実際に事前に資料をもらっております。東京都からもらっておりますが、ここに、計画の具体性、円滑な事業の執行の環境ということで、都が行ったこの根拠とされるものが、「二〇二〇年の東京」へのアクションプログラム二〇一三の目標1、3、4、6と複数の施策に対応した事業路線であり、事業実施のための環境整備が図られていると、このようにはっきりと書かれております。二〇二〇年の東京、すなわち都の計画に対応しているから、環境整備が図られているということなんです。これはとんでもない傲慢な、上から目線の姿勢です。
 国交省は円滑な事業執行の環境に何を求めているかと。このように書いてあります。事業熟度、住民などの合意形成を踏まえた事業実施の確実性、住民などの合意形成なんですね。都は、円滑な事業執行の環境が整っているか判断する際、住民などの合意形成を含めて丸をつけたということですか。それとも、住民などの合意形成は判断せずに、環境が整っていると、このようにしていたのですか。どちらかお答えいただきたいと思います。

○加藤道路計画担当部長 先ほど来申し上げてございますように、整備計画そのものにつきましては、区市町を含めた全体の事業を一つの計画とパッケージしたものでございますので、私どもといたしましては、当然、事業の熟度等が十分進んでいるものということで、丸をつけたということでございます。

○白石委員 ぜひ質問の趣旨を理解していただきたいというふうに思います。
 私が質問したのは、東京都が提出したこの整備計画の中で、事前評価書ですね、そこの中で、八項目中七項目、東京都は丸をつけて、一項目は先ほどいった、私が指摘したところです。
 今伺ったのは、円滑な事業の執行の環境というのには、七項目の中で丸がついているわけです。そういう中で、この丸のついたところで、東京都の説明では、「二〇二〇年の東京」へのアクションプログラムの、これがあるからだと。そのために事業実施のための環境整備が図られているから、これは円滑な事業執行の環境は整っているということで丸をつけたんだというふうなことを、事前にもらった資料に書かれているんです。
 そういうふうな中で、都は、円滑な事業執行の環境は整っているというふうな判断の際に、住民の合意形成を含めて丸をつけたのかどうかということを聞いているんです。もう一度お願いします。

○加藤道路計画担当部長 事業の実現可能性につきましてでございますが、住民の合意形成というよりは、全体事業費、要素事業の額が適切であると、あるいは事業実施のための環境整備が図られているところでございまして、これらの環境整備ということで上位計画との整合が図られているということでございまして、委員からご指摘がありました「二〇二〇年の東京」あるいは「二〇二〇年の東京」へのアクションプログラム、あるいは東京都長期ビジョンにしっかりとのせて事業を進めるということをされていることを申し上げたところでございます。

○白石委員 重大ですね、この問題は。住民の合意形成が本来含まれなければいけないんです。結局、国交省は、事業を円滑に進める環境が整っているかは、住民などの合意をもとにするよう示しているのに、都はそんなことに見向きもせず、先ほども答弁ありました、強引に事業を進めていると。だから、円滑どころか異常に低い執行率を示しているように、今、地元でも摩擦ばかりを引き起こしているというのが状況です。
 指標はあくまで例として、先ほど私も説明を受けていますが、これは例なんだというふうなこともいっていましたが、会計検査院は八項目が望ましいとはっきりといっているんです。その核心には住民の合意をちゃんと捉えるべきという考え方があるんです。会計検査院の報告を読んだのかというのをもう一度疑いたくなります。
 望ましい八項目の一部を外して、それどころか一部は全く歪曲していると、今の答弁ありました。いずれも地元と住民にかかわる重要な部分なんですね。民主主義の根幹にもかかわる部分です。会計検査院が求める地元の合意形成や地元の機運をあえて外して、事前評価書を都民に公表すらしないと。これでまともな事前評価とはいえません。
 改めて事前評価を行って、それまでは凍結するのが当然だということを強く指摘して、次の質問、テーマに移りたいというふうに思います。
 次のテーマに移りますが、第五福竜丸展示館の修繕にかかわり質問をしたいというふうに思います。
 この展示館は夢の島公園の一角にあります。「第五福竜丸」は、一九五四年三月一日、マーシャル諸島ビキニ岩礁でアメリカが行った水爆実験により被爆をした、静岡県焼津港所属の遠洋マグロはえ縄漁船が展示をされています。
 「第五福竜丸」とは、一九六七年に廃船処分となりました。解体業者に払い下げられ、船体はごみの処分場であった夢の島の埋立地に放置をされました。これを知った市民の間から保存の動きが起こりまして、一九七六年六月に東京都立第五福竜丸展示館が開館し、船は展示、公開されました。本年度で開館四十周年を迎えるということです。
 そこで、第五福竜丸展示館の老朽化に対する二〇一五年度の取り組みについて伺いたいと思います。

○五十嵐公園緑地部長 夢の島公園は、二〇二〇年東京大会の競技会場となっており、今後、多くの来園者が見込まれることから、公園全体の状況を把握する中で、園内の便所、休憩所などの建築物とあわせて、第五福竜丸展示館の現況調査を実施いたしました。

○白石委員 私も何度も見学をさせていただきました。現在、老朽化し、雨漏りが生じていることなども伺っております。
 先ほどの答弁で、現況調査を行ったということなんですが、具体的な調査内容について伺いたいと思います。

○五十嵐公園緑地部長 平成二十七年度の現況調査では、第五福竜丸展示館の外観、内装等の劣化状況の調査を行いました。
 調査の結果、建築物の傾斜や不同沈下などのふぐあいは認められなかったものの、屋根からの漏水や部分的な床の凹凸などが確認されております。

○白石委員 雨漏りにより--現場の方々も、「第五福竜丸」にかからないように、たらいなんかをして雨漏りを防ぐというふうなことをやっているということも伺っております。
 第五福竜丸展示館には、今後、海外からも多くの方が訪れるということも考えられます。そこで、現況調査を受けて、第五福竜丸展示館の改善に取り組むべきというふうに考えますが、見解を伺いたいというふうに思います。

○五十嵐公園緑地部長 今後は、現況調査の結果の内容を十分に分析した上で、対応策の検討を行い、二〇二〇年東京大会に向けて適切に対応してまいります。

○白石委員 調査もされたということですので、老朽化に伴う雨漏りなども確認をされたということなので、施設の改善や、そして改修などに、ぜひともこれから取り組んでいただきたいということも要望いたしまして質問を終わりたいというふうに思います。

○斉藤委員 それでは、私の方からは大きく二つのテーマで伺いたいと思います。
 建設局が所管をしております墓地に関して伺います。墓地の需要と供給について。
 平成二十年に、建設局は、東京都公園審議会に諮問をしていました墓地の供給についての答申を受け、そしてその後の公営墓地供給についての方向性を決めていきました。結果として、墓地需要に対する供給数の確保を考慮しつつ墓地に求められるのが、つまり公営霊園の申し込みをする方に、どういうところが墓地に関して望まれるいい環境なのかというふうな希望を聞いたところ、自宅の方からの距離の近さ、つまり、墓参りをするときに、そのときの利便性ですね、これについて考慮してほしい、そういうところを判断の一つの基準としていると。またそのほかにも、高額ではない初期費用、そしてまた維持費、これに対して要望が強いということを確認しました。
 その答えの一つとして、私の地元小平市にございます都立小平霊園で、樹林墓地、これにつきましては新聞でも取り上げていただいたり、また以前、都議会公明党さんの質問にもちらっと出てきたことがありまして、現地を見に行っていた様子でございますので、そこは本当にありがたかったところでございます。樹林墓地の設置に平成二十四年に挑戦をしまして設置をいたしました。結果として、樹林墓地については、多くの希望者に墓地供給を一度に可能にするものというふうなことであり、また同時に、募集した際には、初年度の経費納入だけで、その後、特別な料金を払わずに利用を永代できるというふうなことで、しかもその金額も大変、低所得の方にも優しい金額でございまして、そういった特徴を持ったこと。そしてまた、先ほど申しましたように利便性についても、私の地元であります西武新宿線の急行がとまる小平駅、その北口徒歩一分でもう参道の方に入れるというふうな大変近い距離ということの利便性をもって、募集の際には想像以上の好評を博したということがございました。
 特に地元だからこれを持ち上げるというだけではなくて、今回私、これについて話題にしたのは、東京都がこのとき、東京都公園審議会というところに諮問をしまして、その答申を受けて実際にこういうところまで実行したというところを大変評価をしたいと思います。
 いわゆる審議会については、専門家の方も入っているかと思いますが、この専門家の会議での意見を、最近は、どこぞの局とはいいませんが、無視して設計を変えてしまったり、そういう問題が大変注目をされている時期でございます。
 そういった昨今を踏まえると、公園審議会の中で諮問をしていて、しかも、樹林墓地というのはそれまでにないアイデアだったわけですけれども、実際には答申の中では、具体的にイメージ図もかなり詳細につくられておりまして、その上で実際に、余り時を待たずして実行できたというところは、もちろん東京都自身が持っている霊園があるという、そういう背景のよさというものはあると思うんですけれども、しかしながらそれでも実行に移して、これは多分、参加された委員の方も大変うれしいと思います。実際に自分たちの意見が形を調整しながらも実行されて、なおかつ最後には、一般の都民の方に喜んでいただく、もしくはぜひこれを使いたいということで、ぜひここに納めてほしいということで人気を博すというのは、これはまさに成功事例といって過言ではないと思います。
 こういうことを考えますと、やはりこういった審議会の意見というものと、また東京都の意見が合致をして物が進むというのは、非常に大きな力になるということを考えますと、その中で、無理やり会議の結果を曲げてしまったりとかというふうなことが決していいものにつながらない可能性があるというのは、ぜひここで強調したいところであります。
 今回、建設局が事務局を行った東京都公園審議会に関して、私は、もちろん行政の方のやることで問題があれば指摘を厳しくするつもりでありますが、この審議会の展開においては、非常に情熱を持って、すばらしいというふうな言葉を贈りたいと思います。
 さて、こういったことを踏まえて、二十七年度、今の話に戻るんですが、建設局はこの答申以降も、この審議会を使いましてさまざまな諮問を行い、答申を受けていると、大変活用しているということであります。
 ただ、気になるのは、墓地供給に関しては平成二十年以降諮問をしていないという点です。この審議会の部分については、十年ごとのデータを参考にしながら、いろいろ議論を進めている部分であります。そうすると、もうすぐ十年というふうなことに近づいております。この時期に少し確認をしておくのはいいことかなと思いまして、質問にご期待どおり入らせていただきます。よろしくお願いいたします。
 それでは、平成二十七年度、墓地の供給についてはどのような概況であったか、個別に区画を有する墓所、合葬式の墓所、それぞれの概況について伺います。

○松原公園管理担当部長公園活用担当部長兼務 一般埋蔵施設等個別に区画を有する墓所については、合計で千二百区画を募集し、公募倍率は六・七倍でございました。
 樹林、樹木型を除く合葬式墓地につきましては、合計で二千二百体を募集いたしまして、公募倍率は三・二倍でございました。
 樹林墓地につきましては、千六百体を募集し、公募倍率は十一・一倍、樹木墓地につきましては、三百体を募集し、公募倍率は二・〇倍でございました。

○斉藤委員 合葬式墓地、そしてまた区画を有する墓所、大分倍率も違うようであります。今、話の樹木墓地については公募倍率二倍ということで、比較的、希望者の二人に一人の希望をかなえられているということであります。ただ一方で、樹林墓地については十一・一倍というふうに高い。大分差があるわけでありますね。
 それを踏まえて二問目なんですが、先ほども紹介した樹林墓地については、過去のデータの中には、樹林墓地自体が新しいために、余りさかのぼるとデータがないんですけれども、ほかの墓所と比較して、樹林墓地、公募倍率は今申しましたように十一倍以上ということで、少し高目になっております。これは特別な理由があるのか伺います。

○松原公園管理担当部長公園活用担当部長兼務 樹林墓地の応募状況を見てみますと、ご自身が将来使うための墓所を求めている人たちが申し込む生前申込区分の公募倍率が八・五倍から二十二・三倍であったことから、樹林墓地全体の倍率が高くなったものと考えております。

○斉藤委員 ありがとうございます。
 この生前の申し込みというものがなかなか、需要と供給のバランスを見るのに、少し差をつけてしまうために難しいところであります。特に樹林墓地に関しては、生前の方もそれなりに応募者があったということで、実際にはその部分も人気があるというふうに評するのは、このあたりのことも考えると、やはり皆さんの注目を集めていると同時に、内容的にも納得をいただいているのかなというふうに思っております。
 それでは、平成十九年、この前の審議会の答申が出たところで、当時の需要と供給を議論した背景のデータとなっております平成十九年当時、この当時の都内の死亡者数についてちょっと触れたいと思います。
 当時、九万六千百三十八人が都内で亡くなっておりました。一方、この決算の平成二十七年度中、このときに発表された平成二十六年度の都内死亡者数というのは十一万一千五百二十六人となっております。平成十九年当時から見れば、多死時代の予兆を感ずるという増加数であります。片や九万六千、そして最近では十一万一千五百人というふうにふえているわけです。
 一方、前回の答申の統計も、平成十年から十九年度でこれを計算しておりまして、このときに墓地が供給された数は一万八千四百六十六基、十年間で一万八千四百六十六基ということで、つまり、年平均約一千八百五十基の墓地の新規供給をしているということになります。
 平成十九年から二十七年までの間の死亡者数ということについては、先ほどの数字の、十九年と二十六年度の比較に基づけば、一八%死亡者自体はふえておりまして、墓所の需要というのは、その分、高まることが予想されているわけです。
 そこで、都立霊園の墓地の供給数はどのように推移をしているのか。平成十九年度に対する二十七年度の供給数の伸び率について伺います。また、供給数が伸びた結果、需要と供給のバランスがとれてきたというような事例があるのかどうか、そこもあわせて伺います。

○松原公園管理担当部長公園活用担当部長兼務 一般埋蔵施設など個別に区画を有する墓所の供給数につきましては、平成十九年度に合計七百八十五区画でございましたところ、平成二十七年度は千二百区画でございまして、約五三%の増でございます。
 樹林、樹木型を除きます合葬式墓地の供給数につきましては、平成十九年度に合計千十二体であったところ、平成二十七年度は二千二百体であり、倍増しております。
 これらのほか、平成二十四年度に新たに供給を開始しました樹林墓地や、平成二十六年度に新たに供給を開始しました樹木墓地を加えますと、平成二十七年度の供給数は、平成十九年度と比べまして二・九五倍に伸びております。
 こうした取り組みによりまして、例えば八柱霊園の合葬式墓地では、公募倍率が一倍から二倍程度となっております。

○斉藤委員 ありがとうございました。
 今の数字を聞きまして、もちろんまだ高いところもあるんですけれども、一方で八柱霊園のように、本当に遺骨を抱えたまま、家の中でどうしようかというふうに思っているご遺族もいらっしゃる中で、多少の選択肢、そこに実際に納められるかどうかは個々の事情があると思いますが、それでも、望めばある程度入れる可能性が高いという霊園があるということは、これはちょっとほっとする話であります。願わくば、そこにどの霊園も近づけられればというふうには思います。
 そして、平成十九年度以前の時代をちょっと考えてみますと、当時、民間企業が中心となって、宗教法人と連携をして、民間の宅地的に使われているような土地を、民間墓地ということで積極的に開発していたというような時期であり、決して都内の墓地供給が非常に弱かった時期とはいえないと思います。ただ、そういったことでトラブルも多かった時期ではあるんですね。
 今後の民間供給も考慮して、平成二十七年度の公営墓地の供給というものを振り返って、今後建設局としては、どのような展開を墓所の供給について進めていくべきと考えているのか、所見を伺います。

○松原公園管理担当部長公園活用担当部長兼務 都立霊園におきましては、既存の霊園を有効活用しながら、社会状況の変化や都民ニーズに応じた墓所を供給することが重要でございます。
 このため、平成二十四年度から小平霊園で樹林墓地を、平成二十五年度からは八柱霊園で合葬式墓地を、平成二十六年度からは小平霊園で樹木墓地などの供給を開始するとともに、無縁墓所の整理を促進し、循環利用による墓所供給を拡大してきたところでございます。
 こうした取り組みによりまして、都民の墓所に対する多様なニーズに対応するとともに、墓所の供給数をふやしてきているところでございまして、引き続き、既存施設を十分に活用し、着実に墓所の供給を進めてまいります。

○斉藤委員 平成十九年に、東京都公園審議会に対して都立霊園の供給について建設局は諮問をしました。そこからももうすぐ十年がたちます。データの方の節目もやってまいります。そろそろ志願者や埋葬者、これは申込者の希望ですね、申込希望者や埋葬者などの動向を踏まえて、そしてまた、都内の死亡者の方の動向も踏まえて、今後の墓所供給の方針を取りまとめる時期にあるんではないかなというふうに私は思います。今後の長期的な方針の策定について、所見を伺いたいと思います。

○松原公園管理担当部長公園活用担当部長兼務 平成二十年二月の公園審議会答申、都立霊園における新たな墓所の供給と管理についてにおきましては、自然に返りたいという思いに応える新たな墓所の供給や平面墓地の再貸付の促進、合葬式墓地の整備等が提言されたところでございます。
 これを受け、都においては、樹林墓地の整備、供給など、これらの提言に一つ一つ確実に取り組み、都民の墓所に対するニーズに的確に応えてきているところでございます。
 これらの実績も踏まえながら、平成二十年答申に基づきまして、社会状況の変化や都民の墓所に対するニーズに応じた墓所の供給に適切に取り組んでまいりたいと考えております。

○斉藤委員 ありがとうございました。
 それでは、次のテーマに移ります。
 新都市交通システム「ゆりかもめ」の橋脚などの道路施設に関しての話であります。
 「ゆりかもめ」は、平成十八年に供用開始となった部分もございまして、昨年度で大体十年ぐらいを供用開始から迎えております。この「ゆりかもめ」なんですが、この運営は今現在、株式会社ゆりかもめで行っております。
 しかしながら、九月末に実際にちょっと、現場に行ったんですけれども、今回初めて私、知ったんですけれども、建設局が、「ゆりかもめ」の軌道を支えている下の橋脚といっていいでしょうか、足の部分を、道路施設として駅舎と一緒につくっていったというふうな経緯がございまして、これは建設局の所管だったということであります。
 最近報道されたことがありますので、ご存じの方も多いかと思いますが、ゆりかもめ線の市場前駅の本体部分、駅舎の部分と、そこから左右に延びておりますエスカレーターやエレベーターに接続する通路部分との間の継ぎ目、このところにずれができているというふうなことがございました。
 そこで伺うんですが、このような現象は平成二十七年度からあったのか、またはその以前からあったのか、いつそういうずれが起こったのか、わかれば教えていただきたいと思います。

○伊佐道路保全担当部長 ご指摘の市場前駅の駅舎本体と連絡通路の接続部の手すりや床のタイルのずれでございますが、東日本大震災発生の翌日、平成二十三年三月十二日に株式会社ゆりかもめが実施した点検で、一、二センチメートルのずれを確認しております。

○斉藤委員 私が行ったのは九月の末だったんですけれども、平成二十三年に起こった東日本大震災以降から変わらずそのままになっているのかもしれませんけれども、実際に行ってみますと、継ぎ目付近が、特に市場青果棟側の方の落下防止柵ですね、メッキパイプのような形の落下防止柵なんですが、これが支えている柱のずれによって、はまらなくなったと思うんですけれども、それで外れてしまっている、もしくは危ないので外してしまわざるを得なくなっているというふうなことになっておりました。
 また、市場管理棟方面の方を見ますと、これもやはり、さっきいった通路と駅舎本体のつなぐ部分になるんですが、ここのところで、継ぎ目付近の柱のつけ根をよく見ると、二センチ程度のすき間ができて、橋の下の光が上から見ると漏れているように見える。かなりはっきりしたすき間があいているというふうなことになっております。継ぎ目付近の床タイルも二センチずれが出てまいりまして、これはタイルの目で二センチぐらいずれているのがすぐわかります。
 このように、場所によっては、パイプのあった場所もしくは継ぎ目にかぶった金属製の化粧板、これがちょっと外れかけているのかなと思うようなところがありまして、そういったところを押さえるようにして、黄色と黒の虎じまのテープで張って押さえているというふうに見受けられる場所が幾つかあるんです。これは、それが全部継ぎ目のところに集中しているものですから、見ている方は大変気になるわけですね。
 ゆりかもめ線の橋脚というのは、三十二メートルという大変長いくいによって支持層まで届いているという設計になっておりますので、恐らく建設局さんが中心となってつくった道路附属物としては非常に安定していると、私は設計図を見る限りは思うわけでありますが、しかもその三十二メートルのくいというのは五本も、一本の橋脚に対して出ておりますので、恐らく橋脚自身は動いていないだろうと、駅舎自身は傾いていないだろうというふうに想像ができるわけです。
 むしろ心配なのは通路側、こちらの方が、少しやや下に傾いているような感じで、少しねじれている、または傾き離れているというふうに思えてしまうわけです。
 では、十年たつと、みんなどこの駅でもそんなものかなというふうに考えてもみたんですが、隣の新豊洲駅、わずか五百メートルしか離れていません。豊洲市場の敷地のちょうど端っこに当たる新豊洲駅に行きますと、本当にすぐ近い駅だなというふうに思うわけなんですが、ここのところにつながっている、通路が延びている先には、東京電力の新豊洲変電所という大変大きな施設があって、恐らくこれも、豊洲新市場をつくるのと負けず劣らず大変大きな工事だったのではないかというふうに思えるような大変大きな建物があるわけです。恐らく大きな振動にもさらされているという点では同じだと思います。
 しかしながら、こちらの方の継ぎ目、なぜかびくともしていないんですね。果たして十年たつとこれぐらいのひびやずれは当然あるのか、市場前駅に戻って大変疑問に思ったわけです。
 私ども心配をしているのは、地盤沈下とかはないだろうかということを心配をしているんですね。そして、それゆえに、エレベーターにつなぐ通路部分がねじれているとしたら、それ以外の部分でも起こり得る話なんじゃないかというふうな心配もしているわけです。
 そしてこのことは、築地市場の中で事業をやられている事業者の方から、豊洲の新市場を何度も見に行く中で気がついた話として、市場前駅は大丈夫かというふうなことで話題を振られた話であります。
 今、市場関係者の方はご存じのように、大変悪いニュースが続いております。最近は、大気の中で基準値七倍の水銀が出たなんて話もありますから、とにかくいろんなことが心配になってしまうという状況でありますので、余計な心配を私どもはかけたくないという思いであります。
 そこからすると、市場前駅など主要構造部の耐震性などについて、安全性は確保されているのか伺いたいと思います。
 さらには、市場関係者等からの問い合わせについてはどう対応するのか、これもまた最近、一連の状況で、本当に東京都に対する、説明不足という不信感は大変募っております。これは他局の話でございますから、恐らく建設局はもっと積極的なんだろうと私は思っていますけれども、その不信感を募らせている事業者の皆さんのためにも、駅についても誠意を持って説明をしてほしいと思いますので、ぜひそこを、所見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。

○伊佐道路保全担当部長 市場前駅の主要構造物は、道路橋示方書などに基づき設計工事を行っており、必要な技術基準を満たす構造となってございます。
 主要構造物である軌道や駅舎及び連絡通路につきましては、基礎となるくいを地盤の支持層まで到達させており、東日本大震災後の定期点検におきましても異常は見られず、安全性が確保されていることを確認しています。
 また、手すりや床のずれなどが生じた連絡通路と駅舎の接続部につきましては、株式会社ゆりかもめが内部を点検し、損傷がなかったことも確認しております。
 なお、この手すりや床のずれなどは、ゆりかもめ全線の駅舎などの被害状況及び利用状況などを考慮し、優先順位をつけ修繕しておりまして、この市場前駅につきましては、今年度予定されていた駅舎修繕工事及び市場の開業にあわせて、破損箇所の補修を実施しておりまして、現在、修繕が完了しております。
 お尋ねの市場関係者を初めとした都民の皆様などから、市場前駅の安全性に関する問い合わせがあれば、丁寧に誠意を持って説明してまいりたいと考えております。
 今後とも、株式会社ゆりかもめと連携し、駅舎の適切な維持管理に努めてまいります。

○山崎委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時一分休憩

   午後三時十四分開議

○山崎委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○野上委員 平成二十七年度東京都一般会計決算中、建設局に関連いたしまして質問させていただきます。
 まず、公益財団法人東京都公園協会について伺います。
 公園協会は都の監理団体であり、都立公園等の指定管理者でもあることから、都からさまざまな業務を請け負っていると伺っております。
 東京都総務局の行政改革推進部のホームページを拝見いたしますと、東京都公園協会の役員十四名のうち、常勤三名、そのうち三名は都の退職者、そして非常勤十名、そのうち都の職員は二名、都の退職者は一名、常勤の職員数は、役員を除いたものですけれども、六百六人、うち東京都の派遣の方が六十三人、都の退職者が五十人。そして大きなところは、ほかの東京都の監理団体とは大きく異なるところは、東京都の出捐が一〇〇%というところであると思います。より適正な運営を東京都としても考えなくてはいけない監理団体の一つであるというふうに考えております。
 そこで、平成二十七年度に建設局から公園関係で公園協会に委託した契約件数と契約金額について伺います。

○松原公園管理担当部長公園活用担当部長兼務 平成二十七年度に公益財団法人東京都公園協会に公園関係で委託した契約件数及び契約金額につきましては、指定管理業務としては十件で約七十九億四千五百万円、業務委託としては六件で約一億四千八百万円でございます。

○野上委員 平成二十一年度の東京都が出しました包括外部監査報告書、包括外部監査において公園協会が指定管理事業の再委託契約を結ぶ際に随意契約で行っている契約の中で、競争入札に付すことが可能な契約が多数あるとの意見が付されました。これを受けて局はこれまでどのように対応し、その結果、どのように改善されたのか伺います。

○松原公園管理担当部長公園活用担当部長兼務 平成二十一年度包括外部監査における意見を踏まえまして、建設局は、公園協会に対しまして複数の公園にまたがる契約の集約化を図り、競争入札を推進するよう指導を行ったところでございます。
 その結果、指定管理事業における維持管理業務に関する契約件数につきましては、平成二十一年度の七百六十一件から、平成二十七年度の六百件へと集約されたところでございます。また、契約に占める競争入札の件数及び割合につきましては、平成二十一年度の百三十九件、一八・三%から、平成二十七年度の二百三十件、三八・三%へと二〇ポイントの改善が図られたところでございます。

○野上委員 包括外部監査報告を受けて、改善が図られているということがわかりました。しかしながら、指定管理者制度は、民間との競争があることによって、その指定管理という制度の趣旨の実現をできることだというふうに思っております。やはり公の施設の管理全般について点検していただいて、都民のサービスの向上を図り、施設運営経費の節減を図るということをさらに行っていただきたいと思います。
 また、東京都としましても、契約に当たっては、例えば協定書など、清算条項とかがあったりする場合もあるかもしれませんし、協定書の見直し等をその都度図っていただき、効率的な業務運営にも反映させていただきたいと思います。
 次に、同じく建設局が所管する監理団体である公益財団法人東京動物園協会について伺わせていただきます。
 まず、平成二十七年度に建設局から動物園協会に委託した契約件数と契約金額について伺います。

○松原公園管理担当部長公園活用担当部長兼務 平成二十七年度に公益財団法人東京動物園協会に委託した契約件数及び金額につきましては、指定管理業務としては一件で約五十六億円、業務委託としては三件で約四千三百万円でございます。

○野上委員 この動物園協会は、都立動物園、水族園、つまりは恩賜上野動物園、多摩動物公園、井の頭自然文化園、葛西臨海水族園の指定管理者であります。このところ、この水族園であるとか動物園は、学校教育における博物館の活用等も学習指導要領の方に取り込まれて、さらに動物園、水族園、植物園、教育の機能に注目した法制度の整備や、あるいは国の助成事業など、特に博物館化に向けた、そうした取り組みの追い風を受けて、全国的にも博物館、水族館は入場者数あるいは利用者数がふえているというふうに伺っております。
 そこで、都立動物園、水族園四園の過去の入園者数と入園料収入の推移を伺います。

○松原公園管理担当部長公園活用担当部長兼務 平成二十五年度から平成二十七年度までに、恩賜上野動物園、多摩動物公園、井の頭自然文化園におきましては、入園者数、入園料収入ともに増加いたしております。葛西臨海水族園につきましては、平成二十六年の後半から平成二十七年の前半にかけてマグロが減少した影響もありまして、平成二十七年度は平成二十五年度に比べまして入園者数は約一%、入園料収入は約二%の微減となっております。

○野上委員 三つの動物園の入園者数などは増加しているということですけれども、葛西臨海水族園では入園者数が微減傾向にあるということであります。
 一般的に水族園、水族館では、民間運営の水族館の特性である収益性を高めるエンターテインメント性、例えばイルカのショーとかですけれども、そういった機能と、あるいは公的機関運営の社会教育性の両立はなかなか困難であるというふうに伺っております。
 そこで、葛西臨海水族園においては、収益性、効率性を高めるためにコストの削減や入園者数の増加のためにどのような取り組みを行っているのか伺います。

○松原公園管理担当部長公園活用担当部長兼務 水族園の維持管理経費の大きな割合を占めます光熱水費の抑制と地球温暖化対策を目的といたしまして、電気や給水、熱源設備の更新時に省エネルギータイプへの転換を図っております。具体的には、照明設備更新時のLED化を初め、給排水設備ろ過ポンプのインバーター化や空調機ファン及び給排気ファンへの省エネベルトの導入などを行っており、効率的な運用とあわせた結果、平成十六年度からの十年間でのエネルギー使用量を約一四%削減しております。
 一方、来園者増加の取り組みといたしましては、繁忙期における休園日の臨時開園ですとか開園時間の延長、民間事業者との連携などにより集客増を図るVisit Zoo Tokyoキャンペーンなどを実施しております。

○野上委員 特に水族館の経営というのは、動物園や植物園と比べてランニングコストが非常にかかるという点では難しいと思います。しかしながら、エネルギーの抑制しかり、最近の技術の導入によってさらなる削減が見込まれるという施設でもあるといえます。ぜひともこの取り組みを進めていただきたいと思っております。
 また、指定管理者制度は、柔軟性を持って施設運営やサービスの展開ができる一方で、期間満了ごとに競争が避けられません。競争しなくてはいけないということは冒頭に申し上げたところでございます。
 指定管理者は、その継続が保障されていないことから、実際に勤務する職員を有期の雇用契約とせざるを得ない状況も考えられます。そのため、優秀な人材の確保や人材の指導、育成が困難になり、それは動植物の飼育栽培技術の蓄積、開発、継承にも支障を来しているとの指摘があります。
 特に、先ほど伺いました来園者や入場料の収入、そういった数値ではかれる部分については評価しやすいですけれども、例えば種の保存について、あるいは社会教育性についての取り組みをどのように行ってきたのかという、数値でははかれない、また特に種の保存については失敗も多いですし、なかなか成果につなげられない。
 長期間の取り組みが必要である事業についてもそうでありますけれども、なかなか評価につながらないところがあり、効率性等を考えると、指定管理制度の中では公的なサービスというか、種の保存であるとか、そういったことが担えない状況である水族園や動物園もあるというふうに伺っているところでございます。
 また、施設整備面、整備管理においても、整備機器の運転や保守にかかわる熟知度、熟練度が低いと問題の把握がおくれて、安全に対する意識不足によって、その園内や飼育している動物あるいは貴重な植物を巻き込んでの大事故に巻き込む可能性をはらんでおります。動植物管理等、設備管理にかかわる職員の専門性というのも重要であります。
 そこで、都立の動物園、水族園の指定管理者である動物園協会における技術継承や人材育成の取り組みについて伺います。

○松原公園管理担当部長公園活用担当部長兼務 動物園協会におきましては、長年の間に培われた飼育繁殖技術を次世代に継承発展させていくために、新人職員について、ベテランの指導のもと基礎的な技術を習得させた上で、さらに各園で定期的に開催いたします若手からベテランまでの職員がそろった飼育展示研究会に参加させまして、経験に裏打ちされた知識や技術の承継を図っているところでございます。また、業務に必要な資格の取得の支援、国内の動物園、水族館の技術者研究会や海外研修への参加などによる飼育技術の習得も図っております。
 一方、将来の動物園の担い手を育成するため、畜産学系、水産学系を中心とした大学などから実習生やインターンシップを各園で毎年受け入れております。平成二十七年度につきましては、恩賜上野動物園で五十六名、多摩動物公園で五十名、葛西臨海水族園で三十名、井の頭自然文化園で十四名、四園合計で百五十名の方々が約二週間にわたって職員とともに動物飼育やイベントなどの現場を経験しております。これまでに実習経験者が動物園協会に採用された例もございます。

○野上委員 さまざまな取り組みをしていることがわかりました。
 特に今、高校生でほぼ大学全入時代になりまして、専門性を持って、畜産であるとか、あるいは水産学部であるとか、きちんと勉強された大学生がなかなか就職先が見つからない。そういった中で、東京都が運営をしている動物園や水族園は非常に高度な技術を擁し、また世界にも誇れるような展示をされているということで、働きたいという若者も多いと思います。しかしながら、予算もありますし、希望する方が全員採用ということになるわけではありません。
 一方で、そうした志のある若い人材を公の機関として何らかの形でやはりチャンスを与える、機会を与える、そして、みずからが飼育や仕事にかかわることによって自分の適性を図りながら、将来に向けて人材を育てていくという機会を、この動物園でも水族園でも行っていただきたいと思っております。
 さて、欧米では、さまざまな団体が動物の飼育や種の保存について一定の取り組みを行うことを約束することで寄附金を集め、その寄附金による活動の成果を見学者に広く宣伝することを通じて、民間の資金を活用しながら生物多様性保全の取り組みを行う仕組みが構築されていると聞いております。
 そこで、動物園や水族園において、寄附金を初め民間資金を活用する取り組みにはどのようなものがあるか伺います。

○松原公園管理担当部長公園活用担当部長兼務 動物園協会におきましては、個人や団体から寄附を得て動物舎に日よけを設置するなど飼育環境の改善を図る動物園サポーター事業ですとか、募金等を積み立てジャイアントパンダ保護に向けた普及啓発活動などに活用するジャイアントパンダ保護サポート基金事業、寄附金を積み立てまして野生生物の保全に取り組む個人や団体に対して助成金の交付を行います東京動物園協会野生生物保全基金事業などを実施しております。
 なお、動物園サポーター事業では、ご支援いただいた方々を動物園サポーターに登録しまして、都立動物園において開催するイベントに招待するなど動物園事業への理解と参画意識の醸成を図っております。
 また、葛西臨海水族園では、製薬会社からの寄附金をもとに無料開園サービスやイベントの開催、展示改善なども実施したところでございます。

○野上委員 東京都の動物園、水族園は、野生の生物を飼育、展示するということのみならず、事業概要にも載っているとおり、自然保護の場であり、また研究の場であり、教育の場であり、レクリエーションの場であるというさまざまな社会的な機能があるというふうに認識をいたしております。
 そうした意味では、来園者のみならず、都民、市民による施設運営への参加や、あるいはイベントも含めて、さまざまな担い手がこうして支援していくということは大切だと思っております。また、企業の社会的責任を重要な課題と位置づけて、社会貢献として企業が水族園や動物園にかかわる事案も世界では多くありますけれども、日本でも多く見られてきているというふうに伺っております。都の委託費の軽減や都民サービスの向上にぜひこうした取り組みも含めて役立てていただきたいと思っております。
 さらなる発展を希望いたしまして、私の質問を終わります。

○松田委員 私からは、主に三点についてお伺いをしたいと思います。
 まず、外環道の関越道から東名高速への進捗状況についてお伺いをしていきたいと思います。
 我が国の国際競争力を強化し経済成長を促進するため、また災害時において首都機能を守るためにも、首都圏の慢性的な渋滞を緩和し交通物流ネットワークを強化する首都圏三環状道路の整備が重要であります。圏央道の都内区間が平成二十六年六月に開通をし、私の地元板橋区を通る首都高速中央環状線も平成二十七年三月に全線が開通しました。
 先ほど伊藤委員の質問でありましたとおり、品川から新宿に至る道、非常に早くなったというお話でありますが、逆に板橋から新宿に至る道、非常に混雑が進んでいるのが現状であります。熊野町のジャンクションから新宿、ここは渋滞するんですが、その先の高島平まで非常に渋滞をしていて、ここがつながる以前、私の家、成増というところにあるんですが、成増出てから都庁に入るまで二十分だったんですが、最近では一時間を超える日もかなり多いのが現状であります。ここはやはり外環道の一日も早い整備をすることによってこの首都圏の渋滞を解消していくべきではないかなというふうに考えております。そこで、この三環状高速道路が効果的に機能するには、外環の一日も早い完成が待たれます。
 まずは関越道-東名間での平成二十七年までの整備状況についてお伺いをいたします。

○辻三環状道路整備推進部長 国及びNEXCO東日本、NEXCO中日本により整備が進められている外環は、大深度地下を利用するトンネル構造になりますが、各高速道路と接続するジャンクション部などは用地取得が必要となります。そのうち大泉ジャンクション周辺地域の用地取得については、平成二十二年度から都が受託し国を支援しております。
 用地取得については、平成二十七年度末で買収部全体の八七%を取得しております。また、大深度地下より浅い地下空間を使用する区間は区分地上権の設定が必要であり、平成二十七年度から本格的な折衝を開始し、進捗は四五%となっております。
 工事については、東名ジャンクションで本線の発進立て坑が平成二十七年九月に完成し、引き続きシールドマシンの組み立てなど発進に向けた準備が進められております。中央ジャンクションでは地下のランプ工事に着手し、大泉ジャンクションでも本線シールド立て坑工事が進められております。

○松田委員 全線にわたって整備が着実に進められている、これだけの大きな工事にしては非常に速いスピードで進められていることがよくわかりました。
 そこで、都が受託をしている練馬の大泉ジャンクション周辺地域の用地取得については、外環の整備促進を図る上で非常に重要なポイントであります。
 そこで、大泉ジャンクション周辺の平成二十七年度までの用地取得と今後の取り組みについてお伺いをいたします。

○辻三環状道路整備推進部長 大泉ジャンクション周辺地域の用地については、平成二十七年度末で買収部の九六%を取得し、区分地上権を設定する区間については八三%の進捗となっております。残る用地については国において収用手続を進めるとともに、都も区分地上権の設定をさらに進めるなど、引き続き国への支援を行ってまいります。

○松田委員 都も事業推進に向けて精力的に取り組んでいらっしゃることがわかりました。
 いよいよ二〇二〇年に向けてさまざまな施策を加速する時期になってまいりました。そこで、今お話しの外環の関越道-東名高速間の課題と今後の取り組み、どうしていくかなどについてお伺いいたします。

○辻三環状道路整備推進部長 外環の用地や工事などの課題を共有するため、昨年十一月、国など事業者と都による外環事業連絡調整会議を設置し調整を図りながら事業を進めております。
 外環の工事は、世界最大級のシールドトンネルを大深度地下に構築するものであり、本線工事に続き、地上からのランプと本線を地中で接続するための地中拡幅工事など難工事が続きます。都はこれまで、コスト縮減や工事の安全性を確保しつつ、二〇二〇年東京大会開催までに開通するよう要望しており、引き続き用地取得など積極的に支援を行い、外環の早期整備を目指してまいります。

○松田委員 ありがとうございます。二〇二〇年という旗をおろすことなく、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思っております。
 先ほどの質疑の中で、今、外国人の観光客が二千万に迫るということでありますが、国としては二〇二〇年までに三千万、そして二〇三〇年までに七千万人という新たな目標を掲げております。日本に来た外国の方が日本の交通渋滞を目の当たりにすることのないように、積極的にこれからも取り組んでいただきたいというふうに要望しておきます。
 次に、無電柱についてお伺いをさせていただきます。
 先ほども伊藤委員の方からご質疑ありましたが、都議会自民党におきましては政策提言に東京から電柱をなくすというふうに掲げております。
 今後、東京都においては、オリンピック・パラリンピック開催に向けて、美しいまち並みや安心・安全な歩行空間を形成するとともに、切迫する首都直下地震への対策として無電柱化を推進していく必要があると思います。小池知事も国会議員時代から積極的にこの問題には取り組まれており、今後さらに加速をすることが見込まれております。
 そこで、平成二十七年度末までの、先ほどは区部のお話でありましたが、今度は都道全体における無電柱化の整備実績についてお伺いをいたします。

○伊佐道路保全担当部長 道路の無電柱化は、良好な都市景観の創出や快適な歩行空間の確保、都市防災機能の強化を図る上で重要でございます。
 都は、平成二十六年十二月に策定した第七期無電柱化推進計画に基づき、二〇二〇年東京大会までにセンター・コア・エリア内の計画幅員で完成した都道の無電柱化の完了を目指すとともに、都市の防災力を高めるため、周辺区部や多摩地域の第一次緊急輸送道路を中心に整備を進めております。
 平成二十七年度末までの計画幅員で完成した都道における整備済み延長は都内全体で八百八十六キロメートルで、地中化率は約三八%となりました。そのうちセンター・コア・エリア内の整備済み延長は四百九十四キロメートルで、地中化率は約九二%でございます。

○松田委員 オリンピック・パラリンピック開催に向けて、センター・コア・エリア、先ほどもお話がありましたが、九二%という非常に高い整備率、整備が着実に進んでいるということがわかりました。
 一方で、周辺地域三八%ということで、まだまだというところであります。周辺区部や多摩地域においては第一次緊急輸送道路を中心として整備を推進しているということでありましたが、私の地元の板橋区には震災時に重要な機能を発揮する環状七号線がございます。
 そこで、平成二十七年度末までの環状七号線における無電柱化の整備実績についてお伺いをいたします。

○伊佐道路保全担当部長 環状七号線は、震災時に都心への一般車両の進入を規制する流入禁止区域の境界となっていることから、第一次緊急輸送道路の中でも特に重要な路線でございます。
 環状七号線の無電柱化につきましては、整備対象延長百八キロメートルに対し、平成二十七年度末までに約二十九キロメートルの整備が完了し、地中化率は約二七%となっております。
 引き続き、平成三十六年度までの完了を目指し、積極的に整備を進めてまいります。

○松田委員 平成三十六年まであと八年でございます。地中化率二七%ということであります。いただいた資料で計算したら、板橋区内だと四一%だそうですが、まだまだ周辺区部は低い状況にございます。今後とも東京の防災力向上に向けて、緊急輸送道路等の防災に寄与する路線の無電柱化を積極的に推進していただきたいと要望をしておきます。
 最後に、城北中央公園の整備についてお伺いをさせていただきます。
 城北中央公園は、板橋区と練馬区にまたがる都立公園であり、豊かな緑の中で運動や散策などが楽しめ、多くの都民の憩いの場となっております。平成二十三年度に改定をされた都市計画公園・緑地の整備方針では重点公園に位置づけられており、今後も着実な整備が求められております。
 そこで、城北中央公園の整備状況についてお伺いをいたします。

○五十嵐公園緑地部長 城北中央公園は、計画面積四十三・六ヘクタールの運動公園で、これまで二十六・二ヘクタールを開園し、野球場やテニスコートなどが整備されております。また、東京都地域防災計画において避難場所や大規模救出救助活動拠点候補地等に指定されており、防災上も重要な公園でございます。
 そのため、平成二十三年十二月に改定いたしました都市計画公園・緑地の整備方針におきまして新たに優先整備区域に設定されました四・九七ヘクタールについて、平成二十六年四月に事業認可を得て、現在、用地取得を進めております。

○松田委員 今お話しのとおり、テニスコート、私も学生時代何度も使わせていただきました。非常に使い勝手のいい、二十年ぐらい前はクレーとオムニとハードと三種類あったんですが、今全部オムニコートということで使い勝手がいいように整備をされております。また、防災面のお話もありましたが、かまどベンチや防災用のマンホール、いろんなことを今整備を進めて、昨年度はデジタルサイネージなどの設置にも力をかしていただいたというふうに伺っております。
 ただ、この事業を進めていくに当たっては、今、住宅地になっている部分もある、この地元の協力が欠かせないところでございます。この地元の理解を得ながら事業を進めていくには、より一層きめ細やかに地元に寄り添った対応が求められております。
 特に、飛鳥交通が、ここ、小茂根営業所があったんですが、平成二十四年に北区の浮間に移転して、そこに今新たに三十戸以上新築の住宅が建っております。まだ引っ越してきてから一年、二年という方もいらっしゃいます。そういった地元の方に対して、この城北中央公園の事業を進めるに当たって建設局としてはどう対応していくのか伺います。

○五十嵐公園緑地部長 都はこれまで事業説明会を開催し、地域の方々へ公園の整備計画や事業の必要性につきまして説明を行い、理解を求めてまいりました。また、用地取得に当たりましては、関係権利者に対し意向調査を実施した上で、お一人お一人に用地取得の進め方や補償の考え方について丁寧に説明を行うとともに、移転先情報の提供や移転資金貸付制度の紹介など、生活再建につきましてもきめ細やかに支援しております。
 今後とも、関係権利者の意向を踏まえながら、公園が防災や環境保全など多くの機能を持つ都市の重要なインフラであることを十分に説明をし、公園整備に対する理解を求めてまいります。

○松田委員 ぜひ住民の視点に立って、この公園の整備に関しては慎重に進めていっていただきたいというふうに思います。
 終わります。

○上野委員 私からは、まず初めに、東部低地帯の耐震、耐水対策について質問いたします。
 ゼロメートル地帯が広範囲を占めている東部低地帯には、ご存じのとおり、隅田川、荒川、中川、江戸川など多くの河川があります。過去に何度も大水害に見舞われてきた、こういう地域でございます。現在、約三百万人の人々が河川の堤防や水門などに守られて生活されていらっしゃいます。万が一、大地震による施設の損傷、河川の決壊など、大規模水害により本来の機能が発揮できなくなりますと、広い範囲が浸水してしまうことになるわけでございます。都民の命と財産、そうした地震や大規模水害からとうとい命を守るためには、水門や堤防などの安全性、これについては早期に向上させることが極めて重要であります。
 都では、東日本大震災を受けまして平成二十四年十二月に策定しました整備計画に基づいて、現在、耐震、耐水対策事業を進めているところでありますが、切迫する首都直下地震などの巨大地震に対しまして、防潮堤や水門などの緊急性は非常に高い、一刻も早い備え、これを求められているところであります。
 そこでまず、東部低地帯の整備計画における河川施設のうち、防潮堤や水門などの耐震、耐水対策、平成二十七年度の取り組み状況についてお尋ねします。

○東野河川部長 お話にございました平成二十四年度に策定した整備計画に基づき、東部低地帯を高潮などから直接守る防潮堤約四十キロメートルと、水門、排水機場など二十二の施設につきまして優先して整備を進め、最大級の地震が発生した場合におきましても津波などによる浸水を防ぐよう耐震対策を実施しております。
 あわせて、水門や排水機場の電気、機械設備につきまして、万が一浸水が発生した場合でも機能を保持するため、計画の高潮高さより高い位置へ機器などを移設することや、開口部を水密化するなど耐水対策に取り組んでおります。
 計画策定後、直ちに事業を開始し、二十七年度は、隅田川など五河川の防潮堤八・二キロメートルと、上平井水門など三施設の対策に新たに着手いたしました。また、二十七年度末には、防潮堤は延長の約三割に当たる十三・六キロメートル、内川水門など二施設が完成をいたしました。
 事業の対象である全ての防潮堤や水門等におきまして、三十一年度の完了に向けて、耐震、耐水対策に取り組んでまいります。

○上野委員 今のご答弁でありました全ての防潮堤や水門など、この耐震、耐水対策を、三十一年度ですから、オリンピック・パラリンピック開催前までには完了させると、こういう目標に向けて取り組むということでの一つの強い決意とも感じ取れるご答弁でございました。私は高く評価したいと思っています。ぜひともその実現に向けて頑張っていただきたいと期待しております。
 私の地元江戸川区も、中川や旧江戸川など、直接津波や高潮を受ける外郭堤防に囲まれております。最大級の地震が発生した場合には、津波被害、また、その後に来るであろう台風による高潮被害の可能性、こういったことも指摘されている地域であります。過去にも洪水や高潮などによる甚大な被害を受けてきたという歴史があります。
 私はこれまで、東部低地帯の堤防や水門の耐震対策、これについては一刻も早く急ぐようと繰り返し何度も主張してきたところであります。
 そこで、江戸川区内における水門、排水機場などの施設や、中川、旧江戸川の防潮堤の耐震、耐水対策の進捗状況についてお尋ねします。

○東野河川部長 江戸川区内におきましては、今井水門、木下川排水機場など五施設の耐震、耐水対策と中川で延長〇・六キロメートル、旧江戸川で二・五キロメートルの防潮堤の耐震補強が必要であり、平成三十一年度までの完了を目指し整備を進めております。
 二十七年度は、今井水門で門扉の交換や門柱等の補強に、木下川排水機場でコンクリート躯体の補強やポンプ設備の改修に新たに着手いたしました。また、新川排水機場では、燃料移送ポンプの高所への移設など、設備の耐水対策について詳細設計を実施いたしました。防潮堤では、新たに中川の総武線下流〇・四キロメートルと旧江戸川の今井橋上流右岸〇・二キロメートルで耐震補強に着手いたしました。これによりまして、中川では江戸川区内の全区間を、旧江戸川では約四割の区間を事業化いたしました。
 東部低地帯に住む多くの都民の命と暮らしを守るため、今後とも耐震、耐水対策を着実に進めてまいります。

○上野委員 今のご答弁にありましたように、防潮堤、水門施設、この耐震対策というのが着実に進んでいると、こういったことの状況がわかり、またうれしくも思うところでございます。ぜひとも東部低地帯を水害から守るためにも、一刻も早い耐震、耐水対策の完了を期待しているところであります。
 また、東部低地帯にはもう一つ課題があります。それは、逃げる高台が少ないということであります。建設局は、隅田川などでスーパー堤防を整備し、また堤防の耐震性を高めるとともに、良好な景観づくりや親水性の向上などを図っているところであります。まちづくりと一体的にスーパー堤防の整備を進め、災害時の安全性と親水性を高めることが重要であると、このように常々私もいっているし、また感じているところであります。
 そこで、都が進めるスーパー堤防整備の二十七年度における取り組み状況についてお尋ねします。

○東野河川部長 都のスーパー堤防は、耐震性の向上や良好な景観の形成及び親水性の向上を目的といたしまして、民間開発や公園整備など、まちづくりと一体的に奥行き最大六十メートル程度の幅で盛り土を行うものでございまして、隅田川など五河川を対象としております。
 二十七年度は、隅田川の千住桜木一丁目地区などで〇・四キロメートルが完成し、これによりまして全体で約十七キロメートルの整備が完了いたしました。また、旧江戸川の江戸川二丁目地区におきましては、スーパー堤防の築堤にあわせ地元区が公園整備を行うことから、事業スケジュール等について調整しながら、築堤工事に向け調査、設計を行いました。
 引き続き、都民の命と暮らしを守るため、地域のまちづくりにあわせ、地元区や関係者との連携を図りながら都のスーパー堤防整備を着実に進めてまいります。

○上野委員 ご承知のとおり、私の地元江戸川区、また隣の葛飾区、そしてまた山崎委員長の江東区と、こういった低地帯では、ほぼ全域、大規模な浸水から避難できるような高台がないわけです。マンションなどの高い場所へ避難するとしても、これはスペースに限度があります。多くの方々が逃げられない、こういう状況になっていく。このような状況から多くの都民の命を守っていかなきゃならない。都民の皆様方が、常々、私にもいわれていますけれども、この都のスーパー堤防や国が実施している高規格堤防、これの早期整備というのを求められております。
 スーパー堤防事業というと、平成二十二年の前政権の事業仕分けでスーパー無駄遣いだといって一旦廃止、こういう判定されたことがあります。記憶にあります。非常にショッキングな話でございました。
 実はちょうどそのころの平成二十二年十一月十日に、オランダ政府の視察団が江戸川区の大島小松川公園、ここに来ておりました。本当に日本というところはどういうところなんだ、治水対策はどう考えているんだと、びっくりしておりましたけれども、皆さんご承知のとおり、オランダというところは国土の約四分の一がゼロメートル地帯というところであります。国を挙げてこの治水対策というのは大変な悩みで、近年特に地球温暖化になりました。海面が上昇する、そしてまた山脈、この氷河とか雪解けの水によって河川が増水していると。そのオランダの人が、どうやって国民を守るんだということで、もう必死になってこの治水対策というものを考えている。
 日本は、二百年に一度の確率に対応できるような、そういった確率でスーパー堤防というのを考えていましたけれども、オランダは、ロッテルダム、アムステルダムというのは一万年確率ですよ。その他の地域で五千年確率、そうした水害でも大丈夫なような治水対策をやりたいと、こういうことで、一番効果のある治水対策は何なんだということで一生懸命調べて、世界中調べていったときにジャパン・ダイクだと、いわゆるスーパー堤防です、日本の。これはすごい、これは最も効果のある、その日本のスーパー堤防ということで、この平成二十二年十一月十日に視察しに来たわけです。大島小松川公園というのはスーパー堤防の代表的な地域ですよ。そういったまさに日本とオランダ、この危機意識の違いというものを痛感した次第でございます。
 多くの江戸川区民は、スーパー堤防整備事業の促進を望んでいるんです。当時の平成二十二年十二月二十七日には、時の国土交通大臣宛てに、何と区民十二万一千三百六十八人の署名入りのスーパー堤防促進、この要望書が提出されております。
 スーパー堤防は全川できないと効果がないといわれている方々もいらっしゃいますけれども、低地帯に住む都民にとっては、盛り土により高台となっている幅の広いこのスーパー堤防、ここは自分の命をつなぐための災害時の避難場所になっているわけです。全部できなければ効果がないということはないんです、高台がないんですから。
 そういった意味でも、引き続きこのスーパー堤防の整備というものをぜひとも推進していただきたい、このことを強く要望しておきます。
 次に、京成高砂駅から江戸川駅間の鉄道立体化について質問します。
 京成本線京成高砂駅から江戸川駅間は、平成二十年に連続立体交差事業の事業候補区間として位置づけられて、平成二十七年度も鉄道立体化に向けた課題の検討が進められております。しかし、地元から鉄道立体化の見通しについて問われても答えられない状況が続いております。
 江戸川区では、鉄道立体化を見据えたまちづくりの検討に取り組むなど、鉄道立体化が早期に実現することを強く望んでいるところであります。
 そこで、京成高砂駅から江戸川駅間の鉄道立体化に向けた取り組み状況についてお尋ねします。

○相場道路建設部長 京成本線の京成高砂駅から江戸川駅間は、補助第二八二号線など都市計画道路と三カ所で交差し、踏切十カ所のうち二カ所があかずの踏切であるなど、鉄道立体化による踏切解消が必要な区間であると認識しています。
 都は、本区間を平成二十年に連続立体交差事業の事業候補区間に位置づけ、事業範囲や構造形式などの検討を進めてまいりました。鉄道立体化には京成高砂駅付近にあります車両基地の取り扱いが課題となっており、現在、高砂団地の建てかえで創出された用地を活用し、車両基地を移転する案について検討しております。
 引き続き、地元区や鉄道事業者と連携し、本区間の鉄道立体化の課題解決に向けて積極的に取り組んでまいります。

○上野委員 いつも似たような同じ答弁が繰り返されているわけでございますけれども、私は早く都市計画決定、これを早く進めてもらいたい、これは本当に切に願うものであります。
 江戸川の京成小岩駅、このところも立体事業で待ちに待っているところでありますけれども、都市計画決定がされていないものですから、この鉄道を立体化するときには私も関連事業課で職員として連続立体交差事業を進めてきましたけれども、仮線をつくらなきゃならない。隣に仮線をつくる用地が必要になってくる、あるいは環境側道をつくらなきゃならない。大変な音がしますし、都市計画決定とっていないものですから、鉄道の脇にマンションが建ってきているんです。ここに仮線をつくろうと思ってもマンションを壊さなきゃならない。早く都市計画決定して縛りをかけないと、どんどん建っていったらどうなりますか。
 京成押上線もこの間、立体化されて式典もやりましたけれども、あそこも大変だったですよ、曳舟のところの駅で。マンションが両方に、北と南に近くにあって、仮線どうしようか、マンションを壊さなきゃならないと、住民の方々はとんでもないと大変苦しみますし、また、都の職員もそこに話をして納得してもらわなきゃならない。削ります、買います、きちんと補償しますといったって納得されないんですよ。どれだけ時間かかったか、労力かかったか。また費用が莫大になったんです。都市計画決定やらなければ同じようなことを踏みますよ。また同じことをやらなきゃならなくなってずっと長くなってしまう、期間が。お金もかかる、職員も苦労する。
 私は、少しでも早く、一刻も早くこの京成電鉄や地元区と協力して都市計画決定、これをすべきである、都は速やかにこの事業計画を取りまとめていただくよう強く要望しているところであります。
 次に、特定整備路線の進捗状況について質問します。
 都は、震災時に特に甚大な被害が想定される木造住宅密集地域を、燃え広がらない、燃えないまちにするため、平成二十四年一月に木密地域不燃化十年プロジェクトを立ち上げました。燃え広がらないまちを実現する特定整備路線、これは市街地火災の延焼を防ぐなど、防災上極めて重要な都市計画道路であります。
 私の地元江戸川区でも、千葉街道の補助第一四二号線、柴又街道の補助第一四三号線、そして補助第一四四号線の三区間が特定整備路線に選定されて事業が進められているところであります。
 事業を進めるためには用地の確保が必要であります。重要です。この必要な用地を確保するためには、まず地権者の方々に土地境界の確認に立ち会っていただき、用地測量を行う必要があるわけでございますが、そこで、この三区間の平成二十七年度末における用地測量の状況についてお尋ねします。

○加藤道路計画担当部長 特定整備路線は、木造住宅密集地域において延焼遮断帯を形成し、避難、救援活動に欠くことのできない重要な都市計画道路でございます。
 お尋ねの三区間につきましては、平成二十五年七月から十月にかけまして説明会を開催し、用地測量に着手いたしました。
 平成二十七年度末の状況でございますが、地権者の協力を得て行いました土地の境界の立ち会い率は、補助第一四二号線が九一%、補助第一四三号線が九六%、補助第一四四号線が九九%でございます。
 引き続き、地権者の方々に丁寧に説明し協力を得ながら用地測量を進めてまいります。

○上野委員 特定整備路線、いろいろ先ほども各委員の方からもお話がございました。いかにも反対意見が多いようにいわれている方もいらっしゃいましたが、確かに私の地域では最初、不安をあおるような動きがあって心配だという、いろんな、ええっというような相談がありました。たしか六人か七人ぐらい連れてこられましたけれども、どういうふうにいわれているのかというふうに聞いたら、とにかく、名前もいわれていましたけれども、その方のうちは古いんですね。私のうちは古いから絶対補償なんかないぞ、見られません、ゼロ査定ですよ、いやかえってマイナスかもわからないというふうな、そんなことをいわれたというふうな話があって、ああこれは本当に正しい話が伝わっていない。何だか、だから反対しましょうよという流れになっていたらしいんですよ。ちょっと待ってくださいと。私も実際そういった用地交渉なんかもやったこともありますから、これは違いますよと。
 家屋というのは、民間ではゼロ査定というのはありますけれども、この公共事業における補償要綱というのはきちんと見ていまして、二〇%はどんなに古くても見るんですよと。びっくりされましたね。ええっ、私のような倒れそうなうちでも大丈夫なんですかというから、必ず見るんです、最低が二〇%ですからと、まずそこから始まったわけですよ。だから、そういう正しい話をする。そして土地を売った、その売った所得税というのもある一定の額以上かからないと、期限はありますけれども。こういったことも全然知らされていなかった。
 そこで、とにかく担当の東京都の職員の方に、こういう方いらっしゃいますよという話をしたらば、すぐに電話入れていただいて相談に乗ってくれたんですね。お礼の電話来ました。いや、ほっとしました、全然いわれているのと違いましたねというふうな、こういったことであったわけでございまして、先ほども答弁にありましたように、都の担当者が本当に地権者に丁寧に説明していかれたということで、今は、先ほどの数字にもありましたように、大変な多くの方々が本当に早く買ってくれと、逆にそういうふうにいわれている状況でございます。
 引き続き、地権者の皆様のご協力をいただき、この用地測量もしっかりと進めてもらいたいと思います。
 次に、平成二十七年度末における用地の取得状況並びに現在の取得状況はどのようになっているのかお尋ねします。

○日浦用地部長 事業に必要な用地の取得に当たりましては、関係権利者お一人お一人に用地取得の進め方や補償の考え方について丁寧に説明するとともに、民間事業者のノウハウを活用した相談窓口を設置し、生活再建をきめ細やかに支援しながら進めております。
 江戸川区内の三区間では、平成二十六年度に事業認可を取得し、平成二十七年度末における用地取得率は、補助第一四二号線では一五%、補助第一四三号線では二〇%、補助第一四四号線では七%でございます。
 また、平成二十八年九月末における用地取得率は、補助第一四二号線では二〇%、補助第一四三号線では三二%、補助第一四四号線では一九%でございます。
 今後とも、関係権利者のご理解とご協力をいただきながら用地取得を推進してまいります。

○上野委員 これからも関係の権利者の生活再建、先ほど、前の委員からもありました、十分配慮しながら用地取得を進めていっていただきたいと、このように要望いたします。
 さて、この特定整備路線は、東日本大震災を契機といたしまして、木造住宅密集地域における防災対策を一段と加速するために計画され、整備が進められているものでありまして、この不燃化特区制度とともに、私は非常に起爆剤になっていると、このように思っているところでございます。
 改めて、この特定整備路線、これは市街地の延焼を遮断し、震災時の安全な避難路や緊急車両等の通行路となると、このように私は確信しました。
 というのは、以前のNHKの災害のスペシャル、あれはすごいですね。あの延焼しているものが遮断されているというのも、実際にそういった実験等もしながら効果を映像で見せてくれた。いかにこの遮断効果があるかということは、これはもう実証されているんです。
 そういった意味では、しっかりとこの都民の生命と財産を守る道だということで、その必要性、これは私はもう明らかであると、このように思っているところでございます。
 また、首都直下地震が切迫しているとともに、ことしの四月には、気象史上初めて震度七が二度起こる、こういった熊本地震もございました。さらには、先週金曜日には鳥取県中部で震度六弱の地震が発生しました。この地震があるたびに、我々ははっとまた気づかされるわけであります。
 どうしてもこの人間というのは、地震というのは自分を避けて来るような心理が働くといわれていますけれども、なかなかその地震対策というものに対して、こういうのが心理となって起こってくるわけでありますから、私は、建設局の皆さん方が本当にこういったものとは関係なく、地道に着実に進めていらっしゃる、どんなことをいわれても、やはり都民の生命と財産を守るために一生懸命やっていらっしゃる、その姿に私は大変感銘を受けているところでありまして、評価しているところでございます。しっかりと、どうか着実に自信を持ってこの特定整備路線、これを早く完了させてもらいたい、このことを強く要望して、次の質問に移ります。
 次に、葛西臨海水族園の改築について質問いたします。
 葛西臨海水族園は平成元年のオープンから三十年近くが経過しました。また、昨年はマグロが突然死んでしまうという事態も起こって非常に心配したところでございますし、その原因もなかなか明らかになりませんでしたけれども、設備の老朽化、これも影響しているんではないかというふうな話も漏れ伺っているところでございます。
 都では、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に改築工事を予定されております。まず現在のこの取り組み状況についてお尋ねいたします。

○松原公園管理担当部長公園活用担当部長兼務 葛西臨海水族園は、平成三十五年度の改築を目標として、昨年度から基本計画の策定を進めております。具体的には、施設の規模や導入する機能など、改築に当たっての課題の整理や官民連携によるさまざまな事業手法の比較検討などを行ってまいりました。
 引き続き、今年度は整理した課題への対応方策や具体的な事業手法の検討などを進めております。

○上野委員 官民連携によるさまざまな事業手法の比較検討を行ってきているという答弁がございましたが、昨年の事務事業の質疑のときのご回答が、官民パートナーシップ方式の可能性、これについて検討することとしておりますというご答弁をされました。
 そこで、その検討の内容を都民にもわかりやすく説明していただきたいと思います。

○松原公園管理担当部長公園活用担当部長兼務 官民連携の事業手法といたしましては、民間が資金を調達して建設、運営などを行うBTO方式ですとか、公共が資金を用意して民間が建設、運営などを行うDBO方式など、さまざまな方式を比較検討しております。
 今後とも、公共的な機能を有する施設であることに鑑み、都民に親しまれるよりよい水族館とするため、引き続き事業手法の検討などを適切に進めてまいります。

○上野委員 葛西水族園、これはオープン当時、世界初のクロマグロが泳ぐドーナツ型の大型水槽ということで、世界でも有数の規模のもので大変話題となりまして、かなりニュースにも大きく取り上げられたわけでございます。これがいわば葛西水族園の原点ではないかと、このように思っています。ここから、葛西水族園に追いつけ追い越せと、今は日本全体でもこの工夫した大型水槽というのを見ることができる、そういう水族園がふえてきたわけでございます。
 そうした葛西水族園でもございますので、ぜひともリニューアルした水族園では、まさに、例えば海の中にいるような感覚で魚を観察できる、そうした新感覚の魅力ある展示もぜひ実現してほしいと思います。
 また、これまで蓄積してきた飼育技術、これも世界に誇ることができるものであります。しっかりと検証していく必要がある、官民連携の可能性も検討するということでございますが、すばらしい経験、技術を持った職員の方が多くいらっしゃいます。ぜひともそうしたすぐれた職員の皆様の意見とか提案、これを生かすことのできるシステムとか、あるいはそういう制度というものを設けていただきたい、このことを要望するものでございます。そうした現場の職員の力、これを生かすということが大事だと思います。そこに再びすばらしい魅力ある葛西水族園の誕生のきっかけになるのではないかと、このように思っているところでございます。
 次に、今、大変人気を呼んでいる葛西臨海水族園の移動水族館事業について質問します。
 都議会公明党はこれまで移動水族館車の実現を提案してきました。これを受けて、都は葛西水族園に移動水族館車を導入いたしましたけれども、この平成二十七年度、運用実績をお尋ねします。

○松原公園管理担当部長公園活用担当部長兼務 移動水族館事業は、園内で実施している生き物の観察や触れ合い体験を通した教育活動を水族園に来園することが難しい方々にも提供することを目的とした事業でございます。
 平成二十七年度は、八月までの試行期間も含め、福祉施設や病院など延べ五十九カ所で実施し、約三万九千人の方々に教育プログラムを提供いたしました。
 実施した施設の内訳につきましては、障害者施設が二十二カ所、高齢者福祉施設が十二カ所、病院が六カ所などとなっております。また、生き物や自然に関するイベントにも出展し、葛西臨海水族園のPRも行いました。

○上野委員 今後は、訪問する施設や利用者の障害や年齢などに応じたプログラムの提供が必要だと考えております。
 そこで、最後になりますけれども、これまで移動水族館事業を利用した方々からどのような意見が寄せられているのかお尋ねしまして、私の質問を終わります。

○松原公園管理担当部長公園活用担当部長兼務 移動水族館事業は、障害などにより水族館に来園していただくことが困難だった方ばかりではなく、ご家族や施設のスタッフの方々からも大変感謝されております。例えば、本事業の教育プログラムを体験したことで癒やしや喜び、感動など、ご利用いただいた方々にさまざまな効果があったという声、あるいは地域の方々も一緒に参加することで、施設と地域との交流にも役立ったという声もいただいております。
 今後とも、事業の実施を通じて得られた経験を生かしまして、利用者のニーズに応じた教育プログラムの開発や提供方法の改善を図りながら、移動水族館事業を積極的に展開してまいります。

○山崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で建設局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時二十五分散会

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