委員長 | 谷村 孝彦君 |
副委員長 | 里吉 ゆみ君 |
副委員長 | 和泉 武彦君 |
山内れい子君 | |
大場やすのぶ君 | |
近藤 充君 | |
両角みのる君 | |
あさの克彦君 | |
野上 純子君 |
欠席委員 一名
病院経営本部 | 本部長 | 真田 正義君 |
経営企画部長 | 中野 透君 | |
サービス推進部長 | 野瀬 達昭君 | |
経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 高野 豪君 |
本日の会議に付した事件
平成二十六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
病院経営本部関係
・平成二十六年度東京都一般会計決算(質疑)
○谷村委員長 ただいまから平成二十六年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部関係の決算に対する質疑を行います。
これより病院経営本部関係に入ります。
初めに、先般の人事異動に伴い、病院経営本部長から幹部職員の紹介があります。
○真田病院経営本部長 さきの人事異動に伴い、兼務発令のございました幹部職員を紹介させていただきます。
経営戦略担当部長でオリンピック・パラリンピック調整担当部長を兼務いたします高野豪でございます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者挨拶〕
○谷村委員長 紹介は終わりました。
○谷村委員長 決算の審査を行います。
平成二十六年度東京都一般会計決算中、病院経営本部所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○中野経営企画部長 去る十月十四日の本分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元にお配りしてございます平成二十六年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
資料は、目次にございますように、1、各公社病院の経営指標の推移から、4、(公財)東京都保健医療公社における障害者雇用率の推移までの四点でございます。
資料番号1から3までにつきましては、平成二十二年度から二十六年度までの五カ年の推移を、資料番号4につきましては、平成二十四年度から二十六年度までの三カ年の推移をお示ししてございます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願いたいと存じます。1、各公社病院の経営指標の推移でございます。
各公社病院における経営指標の推移を、入院、外来別に記載してございます。
二ページをお開き願います。2、各公社病院における医師・歯科医師(診療科別)及び看護職員の定数及び現員の推移でございます。
二ページの(1)から六ページの(5)までは医師及び歯科医師、七ページの(6)は看護職員に関しまして、定数と各年度十月一日現在の現員の推移を記載してございます。
八ページをお開き願います。3、公社病院における看護職員の中途退職者数の推移でございます。
公社病院における看護職員の四月一日から三月三十日までの退職者数と、三月三十一日の退職者数の推移につきまして、それぞれ記載してございます。
九ページをごらんいただきたいと存じます。4、(公財)東京都保健医療公社における障害者雇用率の推移でございます。
東京都保健医療公社におけます各年度六月一日現在の障害者雇用率につきまして、その推移を記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○谷村委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○大場委員 病院経営本部が所管する一般会計は、公益財団法人東京都保健医療公社に対する補助金等となっております。このため、一般会計決算を審査するに当たり、公社として収支状況、とりわけ公社病院の収支状況を明らかにする必要があります。
現在、公社は、六つの公社病院とがん検診センターを運営していますが、その大宗を占める公社病院について見ますと、公社設立時には東部地域病院と多摩南部地域病院の二病院だったものが、現在では都立病院であった大久保病院、多摩北部医療センター、荏原病院、豊島病院が公社に移管され、それぞれの病院が地域の中核病院として医療機関との連携を進め、地域全体の医療の向上を図ることを使命に運営しています。
今後、超高齢化社会の到来に伴い、ますます公社病院の役割は重要性を増してくると思われます。こうした役割を踏まえ、公社はどのような取り組みを行っているのか伺います。
○中野経営企画部長 東京都保健医療公社では、公社が今後進むべき方向性を明確にするため、平成二十四年度から二十八年度までを計画期間といたします公社活性化プランⅢを策定しております。公社活性化プランⅢでは、医療で地域を支えるを基本理念として、公社病院が、超高齢社会の到来に伴う地域の医療ニーズに的確に対応し、地域の中核病院として住民の期待に応えていくべきとしています。
この目的を達成するため、患者中心の温かい医療の提供、地域医療ニーズを踏まえた特色ある医療の提供、質の高い人材の確保、育成、財務基盤の確立と自律的経営の促進の四つの視点を掲げ、施策を推進しているところでございます。
プランⅢの三年目となります平成二十六年度でございますが、地域包括ケア病棟の導入、高次脳機能障害者支援普及事業の実施、感染症医療への対応などを行ったところでございます。
○大場委員 ただいまの答弁で、地域の中核病院として地域の医療ニーズに的確に対応する公社病院の役割がわかりました。
次に、二十六年度の公社病院の収支状況について質問いたします。
公社病院全体の平成二十六年度の医業収支や運営費補助金の状況がどのようであったか伺います。
○中野経営企画部長 平成二十六年度の医業収支でございますが、医業収入は総額四百二十一億一千八百万円、前年度と比べ四億七千万円の増となり、医業支出は総額四百七十三億六千六百万円、前年度と比較し十四億九千六百万円の増となりました。この結果、医業収支比率は八八・九%となりまして、前年度と比較し一・九ポイント減少いたしました。
また、各病院に対する運営費補助金ですが六十億八千六百万円で、前年度と比較し十億二千七百万円の増となったところでございます。
○大場委員 ただいまの答弁で、公社病院の医業収支の状況がわかりました。
平成二十六年度は、前年度と比較して医業収支比率は減少しておりますが、これは平成二十一年度以来五年ぶりのことと聞いています。公社病院では、経営改善を図るための取り組みを行ったにもかかわらず、さまざまな要因によって、このような結果になったものと思います。
では、医業収支比率が減少した要因をどのように分析しているのか、また、経営改善に向けた今後の取り組みについて伺います。
○中野経営企画部長 医業収入につきましては、入院、外来ともに患者数が減少いたしましたが、各病院の経営努力による診療単価増によりまして、前年度と比べ四億七千万円の収益増となりました。
一方、医業支出につきましては、昨年四月の消費税改定による経費の増、診療収入の増加に伴う材料費の増、医師や看護師等職員の充足や非常勤、パート職員の雇用人数の増加による給与費の増などによりまして、十四億九千六百万円の増となりました。医業収入の増を上回る医業支出の増により、医業収支比率は減少いたしました。
公社はこれまでも、より上位の施設基準の取得などによる収益増や後発医薬品の導入促進、医薬品の共同購入の実施など経費の節減に努めておりますが、今後は、こうした取り組みをより一層強化するなど、公社病院の経営改善に積極的に取り組むとともに、地域の医療機関との連携強化や救急患者の積極的な受け入れなど、地域の医療ニーズに応えてまいりたいと考えております。
○大場委員 ただいまの答弁で、平成二十六年度の公社病院の決算状況がわかりました。今後とも公社病院の経営改善に向けて、さらなる取り組みを継続していただきたいと思います。
公社病院は、経営改善の取り組みを進めていくだけではなく、病院を取り巻く医療環境が大きく変化している中、地域の中核病院として地域医療の確保を図るという公社の本来の役割を果たしていくことも求められており、これらを両立させていくことが必要であると考えます。
そのためには、救急医療やがん医療といった地域に必要とされる医療や、感染症医療や精神科医療、小児医療といった採算の確保が難しく民間の対応が困難な、いわゆる行政的医療にも積極的に対応し、地域医療の充実に向けた施策を推進していくことが大変重要であると思います。
先ほどの答弁の中で、二十六年度の取り組みとして、感染症医療について説明がありました。そこで、公社病院が取り組む行政的医療の一つである感染症医療について質問いたします。
現在は、患者の発生は極めて少なくなったものの、昨年度は、西アフリカのギニア、シエラレオネ及びリベリアを中心にエボラ出血熱が流行しました。国は、空港での検疫を強化し、国内への侵入を防ぐための努力をいたしましたが、都内で患者が発生した場合には、感染症指定医療機関による適切な対応が求められます。加えて、昨年度来流行したデング熱、韓国で流行したMERSといった感染症もあります。
そこで、公社病院における感染症医療体制について伺います。
○中野経営企画部長 公社病院では、荏原病院が第一種感染症指定医療機関に、豊島病院が第二種感染症指定医療機関に指定されております。エボラ出血熱などの一類感染症に対応する病床を荏原病院で二床、重症急性呼吸器症候群いわゆるSARSや、中東呼吸器症候群いわゆるMERSなどの二類以下の感染症に対応する病床を荏原病院に十八床、豊島病院に二十床、合計三十八床保有しております。
荏原、豊島の両病院では、感染症内科医師や感染管理認定看護師の指導のもとに定期的に防護服の着脱訓練を行うほか、感染症対策マニュアルを作成して、患者の受け入れ訓練などを実施しているところでございます。
○大場委員 ただいまの答弁で、公社病院においても感染症医療に積極的に対応し、行政的医療に取り組んでいることがわかりました。
では、エボラ出血熱が都内で発生した場合、第一種感染症指定医療機関である荏原病院が最前線で患者の治療に当たることになると思われますが、昨年度は、通常の感染症医療に加え、新たにエボラ出血熱への対策も講じたことと思います。
最後に、平成二十六年度の公社病院のエボラ出血熱に対する取り組みについて伺います。
○中野経営企画部長 エボラ出血熱に対する取り組みでございますが、昨年十一月に、公社荏原病院、都立の墨東、駒込病院の第一種感染症指定医療機関三病院でございますが、福祉保健局、保健所、東京消防庁と合同で、都内での患者発生を想定した対応訓練を実施いたしました。
この訓練では、実際に専用の患者搬送車を使用いたしまして、模擬患者の受け入れから、医師や看護師による採血、保健所職員への検体の引き渡しを行うなど、一連の流れを実践的に実施いたしました。
次に、豊島病院の感染症内科の医師ですが、WHO、世界保健機関の要請を受けまして、昨年七月とことしの一月にシエラレオネに赴きまして、現地の疾病の発生状況や診療対策状況について調査をするとともに、治療や医療従事者に対する助言等を行ったところでございます。
また、荏原病院では、昨年度、エボラ出血熱対応用の個人防護具を三千着購入するなど対応を強化するとともに、昨年の十二月には、地元保健所や東京消防庁などの関係者を交えましたワークショップを実施いたしました。先述いたしました豊島病院の医師の講演のほか、専門家の間で発生時の受け入れ体制での具体的な対応などを協議したところでございます。
今後とも、感染症が国内で発生、流行した際には積極的に患者を受け入れるなど、感染拡大防止に万全を期してまいりたいと考えております。
○大場委員 ただいまの答弁で、昨年度のエボラ出血熱の海外での発生を受けた公社病院の取り組みについてわかりました。
エボラ出血熱を含む一類感染症に対応できる医療機関は、都内では、国立国際医療研究センター病院のほか、都立墨東病院、駒込病院と公社の荏原病院だけです。荏原病院は、万全の体制でエボラ出血熱対策に取り組んでいただきたいと思います。
さらに、エボラ出血熱に加え、デング熱やMERSなどの感染症も予断を許さない状況が続いています。そのため、都立病院は他の公社病院とも協力体制を構築し、感染症へ十分に取り組んでいただきたいと思います。
今後とも、感染症が国内で発生または流行した際は、直ちに患者を受け入れるとともに、地域住民の安全を確保するため、これまで以上に万全の準備をしていただくことを要望して、質問を終わります。
○野上委員 東京都の二〇一五年の高齢者人口は二百九十六万六千人です。高齢化率は二二・九%で、過去最高を更新しております。今後、高齢者人口は増加を続け、二十年後の二〇三五年には高齢化率が二九・八%に達する見込みになります。ここにいる私たちも、皆さん高齢者になっているものと思われます。
高齢化社会を迎え、高齢者が地域において生涯にわたって生活を送っていくためには、寝たきり状態になることを予防し、病気やけがの治療が終わった後、急性期、回復期、維持期を通じた切れ目のない適切なリハビリテーション医療を受け、健康寿命を延ばすことが重要でございます。
そこで、公社病院におけるリハビリテーション医療の実績や取り組みについてお伺いいたします。
○中野経営企画部長 平成二十六年度の公社病院全体のリハビリテーション医療の実績でございますが、延べ入院患者数は十五万八千四百九人で、前年度と比べまして二千八百四十人の増、延べの外来患者数でございますが一万一千九百八十人で、前年度と比べ三百五十四人の増でございました。
公社病院では、脳卒中などの脳疾患、心筋梗塞などの心疾患、四肢等のけがの治療を受けた後に後遺症軽減、もしくは合併症や寝たきり状態の予防を目的とした急性期のリハビリテーション医療を実施しているところでございます。
各公社病院では、患者さんが入院した直後から、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリにかかわる専門職種がかかわりまして、早期の集中的なリハビリテーション医療を実施しているところでございます。
なお、長期のリハビリテーションを必要とする患者さんには、医療連携により適切な医療機関を紹介するなどの対応を行っているところでございます。
○野上委員 公社病院では、急性期リハビリテーション医療を中心に行っていることがわかりました。
患者さんは、急性期リハビリテーション医療を受けた後は、医療連携により他の医療機関に紹介されたり回復期リハビリテーションを受けるほか、自宅から医療機関等に通院したり、医師や理学療法士等が自宅に訪問をしてリハビリを実施する、いわゆる在宅リハビリテーションに移行することになります。
今後、高齢化の進行に伴い、在宅リハビリテーション提供体制の充実が一層必要となってまいりますけれども、地域においては、現場経験が不足している若手の理学療法士等への教育や、あるいは研修の強化が必要であると聞いております。公社としても、患者の紹介のみならず、地域に積極的にかかわっていく必要があると思います。
そこで、このような地域リハビリテーションの現状を踏まえて、公社病院の具体的な対応についてお伺いいたします。
○中野経営企画部長 東京都では、地域で実施されておりますリハビリテーション事業を支援するために、二次医療圏ごとに地域リハビリテーション支援センターを設置しております。公社病院では、多摩北部医療センター、荏原病院、豊島病院の三病院が、この地域リハビリテーション支援センターに指定されてございます。
この三病院では、地域の医療機関の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士に対する症例検討会や講演会を行うなど、リハビリ専門職の技術の向上を支援し、地域のリハビリテーション提供体制を強化しています。
また、地域のケアマネジャーとの意見交換やリハビリの知識、技術に関する研修なども実施いたしまして、ケアマネジャーの技術の向上にも支援しているところでございます。
加えまして、地域のリハビリテーション施設や自治体、関係団体等が参加する協議会を設置し、意見交換や情報共有を実施するなど、地域の中核機関としての役割を果たしているところでございます。
○野上委員 ただいまの答弁で、各公社病院が地域リハビリテーション提供体制の強化に向け、地域の中核となって取り組んでいることがわかりました。
今後とも、公社病院は地域の中核医療機関として、自宅や介護施設等で行われるリハビリテーションの質の向上と関係機関相互の連携を推進するとともに、地域において切れ目のないリハビリテーション提供体制の支援をすべきと思います。
次に、公社病院の腎医療の取り組みについて質問いたします。
腎臓病の患者さんは、低たんぱく、高カロリー、減塩食、インスリンなど、厳密な食事療法と運動制限などの保存療法が必要でございます。さらに、慢性腎臓病が末期腎不全になると腎透析の適用となり、腎移植を行わない限り、透析を生涯継続しなければなりません。
そこで、公社病院における腎医療の取り組みについてお伺いいたします。
○中野経営企画部長 公社でございますが、大久保病院が腎医療を重点医療として取り組んでいるところでございます。院内に腎センターを設置いたしまして、腎炎の診断、治療、急性、慢性腎不全、人工透析への対応、生体腎移植医療など、腎臓病医療に総合的に対応しているところでございます。
透析の療法につきましては、導入透析に加えまして、合併症透析患者の入院要請に対応するなど、院内連携と周辺透析関連施設との連携を強化しているところでございます。
さらに、腎移植でございますが、平成二十一年四月から生体腎移植術を開始いたしまして、現在は、おおむね月二例の移植を行っておりまして、平成二十六年九月には百症例に達したところでございます。
○野上委員 ただいまの答弁で、大久保病院の腎医療の取り組みについて理解いたしました。
腎臓病の患者さんに対する腎臓透析は、通常四、五時間、週二、三回行われ、また水分、塩分制限あるいは食事の管理など、日常生活に厳しい制限が求められています。万一、災害が発生し、透析医療機関が被災した場合、避難生活をしなければならない場合には、人工透析を受けている患者さんは、ほかの透析医療機関を探すことになり、大変な苦労をすることになると思います。
地域の中核医療機関である公社病院として、災害時だけではなく、平時においても、腎医療に関して地域の医療機関との連携関係を構築しておくことが重要と思います。
そこで、大久保病院における地域の医療機関との腎医療の連携の取り組みについてお伺いいたします。
○中野経営企画部長 まず、災害時の腎医療でございますが、大久保病院は、災害時透析医療ネットワーク区西部のブロック長に位置づけられております。災害が発生したとき、地域の医療機関での透析医療の継続が困難な場合には、その透析患者を受け入れるとともに、ネットワークの各ブロックとの受け入れ調整等を実施いたします。
また、平時におきましては、地域の連携医と慢性腎臓病に関する地域連携パスを作成し活用する、あるいは透析クリニックでの透析時のトラブル発生時には、すぐ対応できる体制を整備するなど、医療連携体制を構築しているところでございます。
今後とも、地域の医療機関等との連携を強化し、地域における腎医療の中心的役割を担っていきたいと考えております。
○野上委員 今後とも、地域医療支援病院として地域の医療機関との連携を推進するとともに、腎臓病の患者さんの積極的な受け入れを行うべきと思っております。
公社病院では、医療で地域を支えるという基本理念に基づき、地域住民が適切な医療を継続して受けられるように積極的な役割を果たすことを要望して、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○里吉委員 資料のご用意、ありがとうございました。
私からは、まず、公社病院における障害者雇用について伺いたいと思います。
二〇一三年、障害者差別解消法ができて、来年施行されますが、この法律は、差別をなくすことで、障害のある人もない人も、ともに生きる社会をつくることを目指しています。雇用の分野では、同様の趣旨の障害者雇用促進法の改正が同じく来年施行されます。この立場に立って、働く意欲のある障害者の方が働ける場所を積極的に広げていくことが、障害者雇用率を引き上げていく上でも大事だと考えます。
そこで、資料も用意していただきましたが、まず、公社病院では、どのような障害のある方をどのような職種で雇用しているのか伺います。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院におきましては、身体障害、精神障害、知的障害を有する方を雇用しております。職種につきましては、事務を初め、診療放射線技師、看護助手などでございます。
○里吉委員 さまざまな職種で働いていらっしゃるということでしたが、二〇一三年四月から、民間企業の法定雇用率は一・八%から二%へと引き上げられました。いただいた資料九ページを見ますと、公社病院全体の障害者雇用率は、二〇一二年は一・八二%でしたが、その後減り続けている、こういう数字になっております。その原因と、改善のための取り組みについてあわせて伺います。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 病院の業務内容につきましては、患者さんの介助など、障害の種類や程度によっては難しいものもあり、また、医師など資格職種が職員全体の九〇%を占めているなど、なかなか障害者を雇用しにくい環境にございます。
また、医療機能の強化のため、公社病院におきましては、ここ数年、看護師等の採用を積極的に行ったため、職員数全体がふえ、また、採用に至った場合でも、障害者ご本人の体調の都合等による離職の例などもありまして、障害者雇用率は下がっておりました。
しかしながら、障害者雇用率の向上に向けまして、ハローワークに事務職などの求人を行うなど障害者雇用に努めてきたところ、平成二十六年度から平成二十七年度にかけて、障害者雇用率は改善をしておりまして、平成二十七年六月一日現在では、一・六九%となっております。
○里吉委員 努力もしていただいて、一・六九%まで回復というか持ち直してきたということですが、病院は、有資格者の割合が高いということで障害者雇用率が伸びないということも、そもそもの問題としてあるというお話でした。これは、どこの病院でもそうだと思いますので、独自の対策が必要だと思うんですね。
視覚障害者の方から、かつては都立病院では、視覚障害者の方がマッサージとして働いていたこともあったんだと。最近は理学療法士の方になっているけれども、病院内で、例えば緩和ケアとか脳卒中の方のリハビリで自分たちがマッサージなどでかかわれば、マッサージ師ならではの効果も期待できるのではないか、視覚障害者が元気に病院で働く姿を見て患者さんも励まされるのではないか、こんなお話も先日伺いました。
そこで伺いますが、理学療法士の方が入っているようなところで、視覚障害者の方がマッサージの仕事として入る、そういうことは検討できないでしょうか、見解を伺います。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院におきましては、高度な急性期リハビリテーション医療を提供しております。そのため、これに対応した理学療法士の定数を設定しており、また、その定数は充足していることもありまして、あん摩マッサージ指圧師を雇用することは考えておりません。
○里吉委員 今、考えていないということなんですが、なかなか達成できずにいる法定雇用率を達成するためには、事務の方をお願いするだけじゃなくて、障害のある方の働く場を広げていくことも、検討しなければならないと思うんですね。
公社病院は、高度な急性期リハビリテーション医療を提供しているということでしたが、例えば多摩南部地域病院で行っている緩和ケア科など、こういうところは、痛みを和らげるマッサージということで、あん摩マッサージ指圧師の方を雇用する検討の対象になるのではないかと思います。
都立文京盲学校や八王子盲学校には、あん摩マッサージ指圧師の国家資格を取るためのコースもありますので、ぜひこうした資格を持っている方の働く場をふやすという立場で検討していただきたいと思います。視覚障害者の方に限らず、障害者雇用率を法定雇用率達成できるように、さらなる努力をしていただくよう求めて、次の質問に移ります。
次に、多摩南部地域病院について伺います。
私の実家は八王子市なんですが、多摩市に近いところに住んでおりまして、この病院、大変近いんですね。ここは多摩ニュータウンのところにあるんですが、八王子、町田、稲城、日野、多摩の市長と議長さんで構成されている南多摩ニュータウン協議会、ここが毎年、都知事宛てに要望書を出しておりまして、その中にも、この多摩南部地域病院に関する要望が出されておりました。二点ありました。
一つは、急激な高齢化に対応するため、多摩南部地域などへの療養型病床群の併設、周産期の母子医療体制及び小児医療体制の整備、地域病院との機能連携を図るための後方支援施設を整備されるよう要望しますというもの。もう一つが、多摩南部地域病院の医師、看護師等の人員不足を早期に解消し、地域病院としての機能が十分保たれるように要望しますという二点でした。
そこで、資料でも出していただきましたが、多摩南部地域病院の医師不足、看護師不足については、この間病院としても努力していただいて、大分改善してきたのではないかと思いますが、この間の経緯、また今後の取り組みもあわせて伺います。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩南部地域病院におきましては、医師不足により、平成十六年度から小児科、平成二十一年度から婦人科の診療規模を縮小するとともに、平成十八年度からは、看護師不足により病棟休止せざるを得ませんでした。
医師確保につきましては、この間、大学医局への粘り強い働きかけを継続的に行うとともに、都立多摩総合医療センターを中心として都立病院との連携を強化し、医師の人事交流を行うなど積極的に取り組んできたところでございます。
また、看護師の確保につきましては、看護学校の訪問、インターンシップの導入ほか、認定看護師の資格取得支援など処遇改善を行いまして、看護師の確保、定着に取り組んでまいりました。
その結果といたしまして、医師、看護師につきましては順次定数を満たすようになりまして、平成二十三年度から小児科、平成二十四年度から婦人科の入院診療を再開し、平成二十五年度には、休止していた病棟を緩和ケア病棟として開棟いたしました。今後も、医師、看護師の確保、定着に努めてまいります。
○里吉委員 一時はかなり深刻な状況でしたけれども、努力していただいた結果、小児科や産婦人科の入院も再開し、緩和ケア病棟も開いたということで、本当によかったと思います。
ただ、一方で、ホームページを読ませていただきましたが、小児科の入院は、重症患者、重症のお子さんは、まだほかの病院へ依頼しているということです。現場の職員の方も努力されていることと思いますけれども、引き続き医療の拡充をお願いしたいと思います。
また、一つ目の要望に、周産期の母子医療体制の整備、進めてほしいというものがございました。これについては、東京の周産期医療は偏在しておりまして、NICUは区部の二百四十六床に対して、多摩は六十九床しかありません。多摩の出生数からすれば、本来百床は必要です。多摩南部地域病院への産科とNICUの設置も、あわせて要望をいたしておきます。よろしくお願いします。
最後に、いただいた資料で、医師、歯科医師の現況というのを五年分出していただきましたが、これを見ますと、昨年度唯一、現員、現在いる先生の数がゼロとなっているものが多摩北部医療センターの精神科です。五年間ずっとゼロなんですね。これはどういうことなのかということなんですが、この間どういう対応をされているのか、努力をされているのか、今後の見通しについて、これもあわせて伺います。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩北部医療センターの精神科につきましては、前身でございます都立多摩老人医療センターの精神科の患者が、身体合併症のある認知症や鬱病などの患者が多く、精神疾患を主疾患とする重症の患者が少なかったことから、平成十七年四月に公社に移管されました際に、精神科を縮小いたしました。
また、精神疾患を主とする重症患者につきましては、多摩総合医療センターなど都立病院が受け入れていくということにいたしました。
現在は、非常勤医師二名体制で外来診療を行いまして、入院が必要な場合は、都立病院のほか、近隣の病院も紹介をしております。
○里吉委員 この病院が多摩北部医療センターになるときに、精神科の入院も残してほしい、精神科も残してほしいという声が非常に多かったと。都議会の厚生委員会の議事録、読ませていただきましたけれども、そういうやりとりもありました。入院は残念ながらなくなったわけですけれども、通院の方は、外来の方は残ったということです。これも、多摩北部医療センターのホームページを見ますと、精神科の診療内容には、当科は不登校、ひきこもり、鬱病、睡眠障害、不安障害、解離性障害、統合失調症、認知症などの精神科疾患全般を対象としておりますと。特色として、思春期の問題から高齢者の疾患まで、どの年齢層の方でも対応が可能ですと書かれています。
しかし、現在開かれている時間が、見せていただきましたけれども、火曜日と金曜日が午前、午後とやっていますが、あと水曜日午前中、やっているだけなんですね。しかも、医師の方の学会出張とか業務の都合で、急な休診、代診が発生する場合もありますというふうに書かれておりました。
せっかく地域の方からのご要望もあって残した精神科ですから、しっかりと対応していただきたいと思います。精神疾患を持った方々、決して少なくなっているわけではありません。高齢化が進む中で、高齢者の方の鬱、それから認知症の方も地域でふえていくと思います。地域で安心して暮らしていけるために医師を確保し、精神医療を充実させていただくことを求めて、質問を終わります。
○山内委員 公社病院は、地域の中核医療機関として、患者が身近な地域で適切な医療を継続的に受けることができるように、地域の診療所や病院と緊密な連携を図るという重要な役割を担っています。
そのため、公社六病院は、患者さんの地域の診療所や病院からの紹介、紹介された患者さんの症状が安定して、紹介元の病院に戻して経過を見る返送、疾患の状況によって、他の適切な医療機関に紹介をしたり、かかりつけ医を持たない患者さんに地域の連携医を紹介する逆紹介や、初診患者を受け入れています。
そこで、公社六病院における紹介患者数、返送、逆紹介患者数、連携医数、初診患者数の二〇一四年度の実績と、ここ数年の傾向についてお伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院は、地域の診療所と病院の役割を明確にし、緊密な連携を推進していく地域医療のシステム化を推進することを目的に設立をしたものでございます。そのため、全ての病院で地域医療支援病院の承認を受け、地域の診療所や病院等の紹介、逆紹介などを通じた医療連携に積極的に取り組んでおります。
公社六病院の平成二十六年度の四点の実績についてでございますが、紹介患者数は六万二千九百十七人、公社から地域医療機関への紹介数でございます返送、逆紹介患者数は七万五千六百五十三人、公社病院と連携を行っている地域の医師数は五千六百七十六人、初診患者数は十二万六千四十六人となっております。三年間の推移を見ますと、いずれの数字も増加傾向を示しております。
○山内委員 全て増加傾向にあるということですけれども、医師や看護師について、二〇一四年度の定数と実際の数、現員ですか、及びここ数年の現員の推移の傾向をお伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十六年度におけます医師の定数と十月一日現在の現員につきましては、公社全体で定数三百五十一人に対して、現員三百四十人、また看護師の定数、現員につきましては、それぞれ千五百七十六人に対して千六百七十八人となっております。
現員の推移につきましては、医師についてはほぼ横ばい、看護師については増加傾向にございます。
○山内委員 横ばいというご答弁でございましたけれども、医師が定数に対して充足されていないと思います。この医師が定数に対して充足されていない理由をお伺いしたいと思います。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 産婦人科、麻酔科、脳神経外科といった全国的に医師不足が深刻な診療科につきましては、公社病院におきましても医師確保がなかなか難しく、定数に対して不足が生じているという状況でございます。
○山内委員 医師不足の解消に向けてどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院の医師確保につきましては、大学医局への働きかけを継続的に行うとともに、都立病院との連携を強化して医師の確保に努めるなど、積極的に取り組んでおります。
また、平成二十年度から都立、公社病院共同で運営をしております東京医師アカデミーを活用し、若手医師の確保にも努めておりまして、平成二十六年度までに三十五人が公社病院に就職をしております。
今後とも、地域の中核病院として地域の医療ニーズに適切に対応し、地域住民に適切な医療を提供する役割を果たしていくため、医師の確保に積極的に取り組んでまいります。
○山内委員 多摩南部地域病院の婦人科についてお伺いしたいと思いますが、二〇〇九年度から二〇一二年八月まで入院を休止していましたけれども、医師確保ができ、再開をしたようですが、二〇一四年度の実績とここ数年の傾向をお伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 多摩南部地域病院の婦人科につきましては、外来は継続をしていたものの、平成二十一年度から入院診療を休止しておりましたが、常勤医師一名を確保いたしまして、平成二十四年九月から入院診療を再開し、平成二十六年二月からは医師二名の体制で運営を行っております。
平成二十六年度の婦人科の実績についてでございますが、入院診療を再開した平成二十四年九月以降増加傾向にございまして、延べ入院患者数につきましては二千五百五十六人、新入院患者数は二百六十四人、延べ外来患者数は四千九百五十六人、初診患者数は四百三十人となっております。
○山内委員 東京都がん検診センターについてお伺いしたいと思いますが、東京都のがん対策の中核機関として、市区町村及び地域医療機関との連携をして、がん検診事業を実施しております。
そこで、東京都がん検診センターにおける精密検診の二〇一四年度の実績と、ここ数年の推移の傾向をお伺いします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 東京都がん検診センターの平成二十六年度の精密検診の受診者数につきましては三万八百一人でございます。平成二十四年度から三年間の推移を見ますと増加傾向を示しております。
○山内委員 精密検診の推移を見ますと、年々増加しています。東京都がん検診センターが地域で重要な役割を担っていることがわかります。
そこで、都民の精密検診に対する受診要望に対してどのように対応していくのか、お伺いいたします。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 がん検診は、効率的にがんを発見し、速やかに治療に結びつけ、がんの治療や早期発見のために重要なものでございます。特に精密検診は、平成十九年四月にがん対策基本法が施行され、がんの予防とともに、がん検診の質の向上が重要であると位置づけられております。
今後の精密検診の質の向上のため、読影技術の向上などに加え、業務の効率化にも取り組みまして、都民の精密検診に対する要望に応えてまいります。
○山内委員 地域では、産科、小児科、眼科、皮膚科など、診療所や病院の減少が進んでおります。特に産科の減少は、地方でもそうですが、東京でも大きな問題となっており、公社病院の役割は大きいと思います。医療を取り巻く環境の変化に対応できるよう、医師の確保、看護師の確保などの拡充を要望いたしまして、私の質問を終わります。
○両角委員 昭和六十三年に設立をされた東京都保健医療公社でありますけれど、地域医療のシステム化を目指し、平成二年の東部地域病院の開設以来、都立病院の公社への移管も進めながら、都の地域医療の中核としての役割を果たしているわけでございます。
また、公社では、日々効率的な運営に取り組んでいることと思いますけれど、一般会計からこの公社に対して補助金が支出をされているということでございまして、より一層の経営の効率化が求められているということを一言申し上げたいと思います。
こうした中で、平成二十四年三月に発表されました公社活性化プランⅢにおきましては、運営の重要な四つの視点の一つとして、財務基盤の確立と自律的経営の促進ということが掲げられております。この公社病院の決算は、この自律的経営の促進という観点からどのようなものになっているのか、平成二十六年度の自己収支比率を伺いたいと思います。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院におきましては、都立病院と同様に採算の確保が難しく、民間での対応が困難な感染症医療、精神科医療、小児科医療などの行政的医療を担っております。
このような状況におきましても、良質な医療を提供し続けるため、公社活性化プランⅢにおきまして、財務基盤の確立と自律的経営の促進を重要な取り組みの一つと位置づけまして、各病院における積極的な患者確保や、新たな施設基準の導入などによる収益の改善と経費の節減などによる支出の抑制に努めているところでございます。
公社病院におきましては、こうした自律的経営の促進に向けた取り組みを行ったところでございますが、平成二十六年度の公社病院全体の自己収支比率は八八・九%で、前年度と比べて一・九ポイント低下しております。
○両角委員 行政的医療というお話がございましたけれど、なかなか採算がとれないような分野でもしっかりやられているということの中で、二十六年度の自己収支比率は八八・九%ということでありましたが、過去の五カ年の数字を拝見いたしますと、二十二年度が八四・九%、二十三年度が八七・一%、二十四年度九〇・八%、二十五年度も九〇・八%、大体右肩上がりというか、自己収支の比率がよくなってきている中で、二十六年度については、これは一・九ポイント悪化をしてしまったということでありますけれど、平成二十六年度の自己収支比率が悪化をした要因とその評価について伺います。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 平成二十六年度におきましては、公社病院におきましては、診療報酬改定に伴う適切な施設基準の取得等の経営努力により収益が増加したものの、消費増税や職員の充足等による人件費の増などにより支出が増加いたしまして、結果として前年度と比べて自己収支比率が悪化したところでございます。今後とも自律的経営の促進に向けまして、さらなる経営改善に努めてまいります。
○両角委員 消費税増税三%さらにアップをした影響が、この病院の業界は全てかなり深刻であるというふうに聞いておりますし、一方で人材の確保については、この資料にも示されたとおり、今までかなり、定数を満たしてない部分に対して力を尽くしてきたということでしょうが、まだそれでも定数が満ちてないところがあるわけでありまして、そういった結果だというお話でございました。
私は、平成十四年の四月に設置された病院経営本部という名前が、最初ちょっとなじみがなかったんですが、都立病院の改革マスタープランに基づいてということかなと思うんですけれど、二十四年の三月に出された公社活性化プランにおいても、病院の経営ということ、効率とか経営ということがかなり強調されているなというふうに思います。
行政で一番欠けているのは、コスト意識だというふうに私は思っているので、それでさらに、例えば公立病院で一番問題だったりする、公的病院で問題なのは、やっぱり財務状況が悪いということがあるので、こういった取り組みは高く評価をしたいと思います。
二十四年三月にこのプランを発行したときの公社の理事長は押元さんですから、まさに都立病院改革を推し進めた中核の人物だったと思いますので、そういうやりとりの中で、これは動いていると。ですから今、効率的な経営をして、財務基盤を確立していくということが、強調されて取り組まれているというふうに理解いたします。
公社の自律的経営の促進のためには、もちろん経営効率をしっかりしていくことが必要なわけですけれど、その中で特に各病院が高額の医療機器を購入をしているわけでありまして、これについて伺いたいと思います。
CTあるいはMRI、リニアックといった高額医療機器については、このような高度な性能を有する医療機器というのは、今やもう正確な診断を行う上で欠かせないものだというふうに認識をしております。
しかし、これらの医療機器というのは、ある面、数年で新たな性能を有した機能が出てくるために、各病院がきちっとした配置計画で、導入をしていかなくてはいけないんだろうというふうに思います。
そこで伺いますけれど、CTなどは画像の解析度により価格も大きく異なって、数年で高性能な機種が登場をするというようなことも聞きます。そのような状況では、せっかく高額な投資をして配置をした医療機器の性能が、数年で陳腐化をするということになってしまうわけでありますけれど、せっかく導入をした最新の医療機器が、日々の技術進歩で短期間で陳腐化をしてしまうということに対して、この機器更新に当たってどのような手だてを講じているのか伺います。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院におけます高額医療機器の導入、更新に当たりましては、地域の医療需要、患者サービスの向上、地域医療機関との共同利用の推進などを念頭に入れた上で、費用対効果を十分検証するとともに、病院ごとに提供している医療の違い、あるいは医療技術の進歩なども見据え、計画的に購入を行っております。
○両角委員 費用対効果を十分検証し、行っているということなんですが、費用対効果検証のその中身がいま一つ見えないというところがあると思うんですね。
あと、陳腐化するということに対する、ちょっとお答えが明確には見えなかったんですが、私、質問に当たって、何人か懇意にしている病院の経営者等々おりますので、この医療機器について聞いたんですね。こういったCTやMRIというのは定価があると、各病院の事務長なり経営者がいっておりました。で、定価で買うことはないと。ある病院は、大体十億円、例えばですよ、十億円であれば、一億円、一割から価格交渉を始めるといっていました。そのようなこと。
一方で、高機能化が進んでいる。例えばCTでいえば十六列とか六十四列とか、今、東部地域病院に導入されているのは、三百二十列という大変高性能なものだと思いますけれど、そういった高性能化。あるいはMRIであれば一・五テスラ、それが今標準が、三テスラというのになりつつあるということなんですが、しかし、病院の関係者から聞いたところでも、目標によって、要は利用によって、利用の使い勝手、使う目的によって、どこまで高性能なものが必要かというのは、また考え方があるんじゃないんですかということで、一定、私もそれを理解するものです。
ですから、何でもかんでも最新鋭の高性能のものを選ぶという必要もないと思うんですが、しかし公社病院は、二次医療圏の中核病院という立場でありますから、例えば私の地元である南多摩地域医療圏ということになれば、一つの市じゃないですね、幾つかの市がまとまって百数十万の人口を対象としたその中で、中核的な医療を担うということですから、ある病院に行って、ちょっとよくわからないなといっても、そこへ行けばさらに高次な診断ができて、病状がわかるとかいうことが求められるんだろうということで、それなりのやはり機能が必要なんだろうという感じもいたします。
そこで、もう一つ、やっぱり問題だと思ったのは、公社は、公社の財務規程に基づいて契約事務を行って、随契か指名競争入札ということなんですが、指名競争入札か随契。例えばCTについて伺うと、病院の関係者、複数ですよ、伺ったところですね、メンテナンス費用が非常にかかると。特に管球というのが、ぴかっとするやつでしょうかね、そんなような球があって、その交換に一千万ぐらいかかるんだよと。メンテナンスは、初年度は大体フリー、ただなんだけれど、次年度から大体月一で、月一回メンテナンスをしなくてはいけないんだと。なので、本体価格が安くても、本体を入れるともうメンテナンスをするところが限られてしまう。そうすると、メンテナンス料が大変高くなる例があるので、総体としてのコストを見なくてはいけないというような示唆をいただいて、それはそうだなというふうに思ったわけでございます。
ここで一つ伺いたいのは、もちろん公社が導入する機器にも補助金がどんと出ていますから、しっかりした適正価格、競争原理を働かせていかなきゃいけないというふうに思います。
そこで、まずお伺いをしておきたいのは、高額医療機器を製造するメーカーというのは数社、そんなに多くないわけですね。これを扱う業者も非常に多いというわけでもないようでありますので、一台数億円もする医療機器を導入するに当たっては、競争原理がしっかり働いて、適正価格で導入をするということが求められると思いますけれど、現状で競争原理が働いた適正価格というのはどのように担保されているのか伺います。
○高野経営戦略担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 公社病院におきましては、東京都契約事務規則等に準じまして、高額医療機器の購入等契約事務を行っておりまして、契約目途額の算定に当たりましては、複数の見積書を徴取するとともに、近隣の医療機関における納入金額を調査するなど、適正な価格の設定に努めております。
また、入札の際には、原則五者以上で競争するよう基準を設けまして、公平性、平等性を担保するとともに、競争原理を働かせております。
○両角委員 そういうお話なんですけれど、伺っていると、しっかり競争原理も働いているよということなんですが、一般にいわれているのは、やっぱり民間の病院が購入するよりも割高な価格で購入をしているんではないかといわれているということは、お話しておきたいと思います。
それで、先ほどもちょっとお話をさせていただいたんですが、耐用年数というのがあるらしいんですね。耐用年数よりも少し多目に使うということで、それは大変しっかり物を使い切っていくということでいいのかもしれないんですが、本来であれば何年間、CTなりMRIなり、何億円もかけて導入をするような機器を使うのかと。それに対して、メンテナンスはどのぐらい必要であって幾らぐらいかかるのかと。それをセットにして、トータルコストでどこが安いのかということを、見ていかなくてはいけないんだと思うんですけれど、どうも担当の方に伺いましたら、そういうことはやられていないということで、単体、メンテはメンテ、購入は購入でやられている。
この契約の財務規程によれば、随契もできると。随契の場合も、なるべく二者以上から見積書をとるということで、随契なのか、指名競争なのかわかりませんが、今後高額機器を導入するに当たって、本当にどこまで必要かという見きわめをした上で、その機器を何年ぐらい使うのか、そしてメンテナンスにどのぐらいかかるのか、それをしっかりセットで見て、トータルコストで比較をしていただきたいなと。
要は、予定価格をつくるときも、予定価格をつくるのは、やっぱり非常に重要だと思いますので、その予定価格がトータル価格で本当に実勢的に妥当なものなのかということをしっかり見ていただかないと、病院経営本部、経営本部長、経営企画部長、経営戦略担当部長ですよ、物すごい名前がついていますから、そういった経営を、しっかり経営意識を生かしていただいて、今後トータルコストでこういった高額医療機器に都民の税金が入っているわけですから、無駄のないようにしっかりとした適正価格で入れていただくように要望をいたしまして、質問を終わります。
○谷村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で病院経営本部関係を終わります。
以上をもちまして第二分科会における決算の審査は終了いたしました。
なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
これをもちまして第二分科会を閉会いたします。
午後二時六分散会
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