委員長 | 曽根はじめ君 |
副委員長 | 高倉 良生君 |
副委員長 | 小松 大祐君 |
中山ひろゆき君 | |
まつば多美子君 | |
徳留 道信君 | |
鈴木 章浩君 | |
高木 けい君 | |
大西さとる君 | |
高橋かずみ君 |
欠席委員 なし
出席説明員労働委員会事務局 | 局長 | 櫻井 務君 |
産業労働局 | 局長 | 山本 隆君 |
次長 | 土渕 裕君 | |
総務部長 | 村松 明典君 | |
産業企画担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 青山 忠幸君 | |
商工部長 | 松永 竜太君 | |
金融部長 | 山巻 毅君 | |
金融監理部長 | 野間 達也君 | |
金融支援担当部長 | 西川 泰永君 | |
観光部長 | 坂本 雅彦君 | |
観光振興担当部長 | 浦崎 秀行君 | |
農林水産部長 | 寺崎 久明君 | |
安全安心・地産地消推進担当部長 | 武田 直克君 | |
雇用就業部長 | 矢田部裕文君 | |
事業推進担当部長 | 小金井 毅君 | |
就業施策担当部長 | 貫井 彩霧君 |
本日の会議に付した事件
平成二十六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
労働委員会事務局関係
・平成二十六年度東京都一般会計決算(質疑)
産業労働局関係
・平成二十六年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十六年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算(質疑)
・平成二十六年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算(質疑)
・平成二十六年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算(質疑)
○曽根委員長 ただいまから平成二十六年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、労働委員会事務局及び産業労働局関係の決算に対する質疑を行います。
これより労働委員会事務局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十六年度東京都一般会計決算中、労働委員会事務局所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○櫻井労働委員会事務局長 去る十月九日に当分科会で要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
お手元の平成二十六年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
まず表紙をおめくりください。目次にございますとおり、要求のございました資料は三項目でございます。
一ページをお開き願います。この表は、平成二十二年度から平成二十六年度までの管理職を除く職員の定数の推移をお示ししたものでございます。
二ページをお開き願います。この表は、平成二十二年度から平成二十六年度までの管理職を除く職員の平均局在職年数の推移をお示ししたものでございます。
三ページをお開き願います。この表は、平成二十六年度の東京都労働委員会における不当労働行為の審査事件の類型別取扱件数及び構成比並びに主な類型別取扱件数をお示ししたものでございます。
以上、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○曽根委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○大西委員 東京都労働委員会の仕事が脚光を浴びて、都民の一般の皆さんから注目を集めるということは、決して多くありません。
しかし、一方で労働者と使用者のトラブルを解消して、東京において、よりよい労使関係をつくり上げるという、私は大変重要な使命を皆さんは担っておられ、縁の下の力持ちのような存在だと私は考えています。
そこで、私は、このたび分科会の質疑で労働委員会の行っている仕事を都民の皆さんにも知っていただきたいと考え、今回資料要求を行わせていただきました。本日、本分科会に提出いただいた資料では、平成二十六年度に取り扱った不当労働行為の審査事件の大まかな傾向が示されております。この資料に基づいて何点か質問をさせていただきます。特にこの一番最後の三ページのところです。
まず最初でございますが、東京都労働委員会では、平成二十六年度に取り扱った不当労働行為の審査事件の中で、不利益取り扱いと支配介入というこの二つの事由をあわせて申し立てられた件数が百二十件と最も多くなっております。この不利益取り扱いと支配介入というのはどういうものなんでしょうか、教えてください。
○櫻井労働委員会事務局長 労働組合法では、使用者が労働組合や組合員に対してしてはならない行為といたしまして、不利益取り扱い、団体交渉拒否、支配介入など四つの類型を定めております。労働委員会は、組合からの申し立て内容が、この不当労働行為に当たるか否かを審査いたします。
この中で不利益取り扱いとは、使用者が労働組合に加入したことを理由として労働者を解雇したり、適法な組合活動を行った組合員を懲戒処分にするなど、組合員にとって不利益となる取り扱いを行うことでございます。
支配介入とは、使用者が組合員に対して組合から脱退するよう働きかけたり、組合の役員を遠隔地に配置転換するなど、組合活動に介入して組合の弱体化を図る行為でございます。
○大西委員 今、不利益取り扱いと支配介入についてご説明いただいたわけでございますが、平成二十六年度に取り扱った事件で、この二つを申し立て事由としたものが、例えば具体的にはどのような事例があるのか教えてください。
○櫻井労働委員会事務局長 不利益取り扱い及び支配介入の事例でございますが、ある学習塾におきまして講師が労働組合を結成したところ、会社はその組合の委員長が担当する授業数を減らして賃金を減額したり、また定年に達した組合員に対して、組合員であることを理由に再雇用しなかったというようなことがございます。
そのため、組合はこうした行為が組合員に対する不利益な取り扱いであるとともに、組合を職場から排除しようとする支配介入であるといたしまして、労働委員会に申し立てを行ったという事件がございました。
○大西委員 組合員に対する不当労働行為のうち、最も件数の多い不利益取り扱いと支配介入について今具体的な事例で説明いただきましたが、続いて二番目に多い百九件の申し立てがあった使用者による団体交渉拒否というのはどういうものなんでしょうか。
○櫻井労働委員会事務局長 団体交渉拒否も不当労働行為の四つの類型のうちの一つでございまして、組合が申し入れた団体交渉に対して、交渉の日時や場所、人数等につきまして、組合との調整を行うことなく一方的に使用者の条件に従わなければ応じないとするなど、使用者が正当でない理由により団体交渉を応じないことでございます。
また、団体交渉に応じた場合であっても、組合の質問に回答しなかったり、交渉に必要な資料を提示しないなど、使用者が形ばかりの対応に終始し、実のある話し合いができない場合も団体交渉の拒否に当たるとされてございます。
○大西委員 団体交渉拒否についてただいまご説明いただきましたけど、先ほどと同じように、平成二十六年度において取り扱った事件で、この事由を申し立て事由としたものには具体的にどのような事例があるのか教えてください。
○櫻井労働委員会事務局長 団体交渉拒否の事例でございますが、ある運送業者におきまして、組合が再雇用や退職金の制度について団体交渉を申し入れたところ、会社は交渉に当たって財務諸表など要求された資料を提出せず、また代表者の出席要求にも応じませんでした。このため、組合は、これらの行為が団体交渉拒否に当たるといたしまして、労働委員会に申し立てを行ったという事件がございました。
○大西委員 平成二十六年度に取り扱った中から、件数の多かった不当労働行為のパターンについて代表的な二つの事例を説明していただいたわけでございますが、このような申し立てがあった後、労働委員会ではどのような流れで事件を解決していくんでしょうか。
○櫻井労働委員会事務局長 事件の審査は、公益委員、労働者委員、使用者委員の各十三名の委員の中から一名ずつを選任し、計三名の委員が担当いたします。
この担当委員は、労使双方の主張を聞き、事件の争点を整理した上で公開の審問を開き関係者から証言を求めるなど、事実関係について審査を行います。
こうした審査が終了いたしますと、十三名の公益委員全員で合議を行い、公平中立な立場から、不当労働行為に当たれば使用者に対して必要な措置を命じる救済命令を出します。
一方で、不当労働行為に当たらなければ、労働組合の主張を認めない棄却命令を出します。
また、審査の途中でも、労使双方が合意すれば、和解により解決することもございます。
○大西委員 審査によって労働組合からの申し立てが認められれば救済の命令を出すということを今おっしゃられましたが、実際に救済命令を出した事例としてどのようなものがあるのか挙げていただけますでしょうか。
○櫻井労働委員会事務局長 先ほど不利益取り扱いと支配介入のところでご紹介をいたしました学習塾の事例でございますが、労働組合の委員長の賃金を減額したこと及び組合員に対して組合からの脱退を再雇用の条件にしたことは不当労働行為に当たるといたしまして、労働委員会は会社に対し、減額した賃金相当額を支払い、組合員を再雇用するよう救済命令を発しました。
○大西委員 使用者側に不当労働行為が認められる事例では、労働委員会として救済命令を出すことで問題を解決し、労使関係の安定を図るということで、今の中ではこの学習塾の委員長は助かったわけでございます。
その一方で、先ほどの答弁でも、両者が合意すれば、和解により解決する場合もあると最後におっしゃいましたが、この和解という解決方法はどのようなもので、またどのように進めていくのでしょうか。
○櫻井労働委員会事務局長 和解は労使双方が紛争の解決に向けて十分に協議し、納得した上で協定を結ぶものでございます。その結果、紛争が全面的に解決するだけでなく、労使間において信頼関係が築かれることから、将来に向けましても労使双方にとって望ましい解決方法であると考えております。
労働委員会では、労使間に話し合いにより解決する機運がある場合には、審査の手続と並行いたしまして、担当委員が積極的に労使双方の主張を聞いた上で和解案を提示し互いに歩み寄ることを促すなど、和解によって紛争を解決に導くよう努力しているところでございます。
○大西委員 労働者と使用者との間の労使紛争を円満に解決するには、両者が納得する和解という解決策がすぐれているというのは、本当によくわかることでございます。これに対しても何か事例があれば、ご説明いただきたいと思います。
○櫻井労働委員会事務局長 和解についての事例でございますが、先ほどご紹介をいたしました運送業者と組合との紛争におきまして、労働委員会では一年半をかけて審査を継続する中で、会社と組合の双方のいい分を聞き、粘り強く調整を行いました。
その結果、別に争っていた組合員を合意退職とする一方、会社は団体交渉において権限のある者を出席させ、経営に関する資料を提出することなどに合意をいたしました。
この合意内容をもとに労使間で協定書を締結し、和解が成立したということでございます。
○大西委員 今の運送会社の例でいうと、すごいなと思います。労働委員会では、このように労使紛争の中身を丁寧に調査して、両者のいい分を聞いて、労使いずれに対しても全く公平な立場で解決していっておられるということでございます。
労使関係の安定というのは、東京の発展にとっても大変重要な課題であり、私は地味な仕事だと思いますけど、これからも引き続き労使がうまいこと歯車がかみ合って成果が出ていくように、そういう社会づくりに向けて頑張っていただきたいということを要望させていただいて、私の質問を終わります。
ありがとうございます。
○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○曽根委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で労働委員会事務局関係を終わります。
○曽根委員長 これより産業労働局関係に入ります。
初めに、先般の人事異動に伴い、産業労働局長から幹部職員の紹介があります。
○山本産業労働局長 先般の人事異動によりまして、当局幹部職員に交代がございましたので、ご紹介をさせていただきます。
観光振興担当部長の浦崎秀行でございます。また、産業企画担当部長の青山忠幸が新たにオリンピック・パラリンピック調整担当部長を兼務いたしましたので、あわせて紹介をさせていただきます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者挨拶〕
○曽根委員長 紹介は終わりました。
○曽根委員長 これより決算の審査を行います。
平成二十六年度東京都一般会計決算中、産業労働局所管分、平成二十六年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算、平成二十六年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算及び平成二十六年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○村松総務部長 去る十月十四日に当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の平成二十六年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらんください。
表紙をおめくりください。目次にありますとおり、要求のございました資料は十一項目でございます。
一ページをお開きください。このページから三ページにかけまして、中小企業対策、農林水産対策、雇用就業対策の過去五年間の予算額、決算額の推移をそれぞれお示ししてございます。
四ページをお開きください。就職困難者緊急就職支援事業の平成二十二年度から二十六年度までの雇用形態別の就業実績の推移をお示ししてございます。
五ページをお開きください。新・元気を出せ商店街事業の平成二十二年度から二十六年度までの実績をお示ししてございます。
六ページをお開きください。小売商業後継者育成・開業支援事業、商店街パワーアップ基金事業、商店街起業促進サポート事業の実績をそれぞれお示ししてございます。
七ページをお開きください。商店街パワーアップ作戦の平成二十二年度から二十六年度までの支援実施実績をお示ししてございます。
八ページをお開きください。東京都における新規就農者数の推移を平成二十二年度から二十六年度までお示ししてございます。
九ページをお開きください。過去五年間における訪都外国人旅行者数の推移をお示ししてございます。
一〇ページをお開きください。海外の一般市民に対するPR、キャンペーンの具体的施策の一覧をお示ししてございます。
一一ページをお開きください。食の安全安心・地産地消拡大事業における具体的施策の一覧と効果をお示ししてございます。
以上で資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。
○曽根委員長 資料の説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○高橋委員 私から都市農業についてお尋ねいたします。
東京の農業は、新鮮で安全・安心な農産物を生産するだけでなく、その生産基盤である農地は、防災や環境保全、教育的な役割など、さまざまな機能を持つ都民の貴重な財産であります。
私の地元練馬区でも、大消費地の優位性を生かし、農業者の皆様のさまざまな工夫により、魅力ある農業が展開されていますが、一方で区内の農地は住宅地の中に点在しており、場所によっては営農環境が厳しく、さらに相続時の高額な税負担もあって、農地面積は二十年前に比べて半分近くの二百二十ヘクタールにまで減少しております。
こうした課題に対し、都議会自由民主党では、農地を守り都市農業の一層の振興を図るため、平成十五年に議員連盟を立ち上げ、これまで農業者などからさまざまな意見を聞き、都に対し多くの政策提言を行ってまいりました。
こうした中、都は都市農地の保全と農業振興に向けて、生産緑地の指定面積の引き下げや貸借の仕組みの構築、また農機具、倉庫等の農業用施設の相続税負担軽減などの制度改善を都市農業特区として国に提案していますが、あわせて都市農地の保全に向けた都独自の施策についても充実されるべきであると考えております。
そこで、都市農地の保全について質問させていただきます。
以前、練馬区では都市農地保全を目的とした都の農業・農地を活かしたまちづくり事業を活用し、学童のための水田整備や地域農業の情報発信を行いました。地域住民も参加した取り組みとして、非常によい事業であったと記憶しております。
このまちづくり事業の後継として、都では平成二十六年度から都市農地保全支援プロジェクトを開始しておりますが、改めてこの事業の目的と平成二十六年度の実績についてお伺いいたします。
○寺崎農林水産部長 都市農地保全支援プロジェクトは、農地が持つ多面的な機能を一層発揮させるための施設整備と都市農地が果たす役割を都民に理解していただくPR事業など、ハード、ソフト両面からの区市町の取り組みを支援し、貴重な都市農地の保全を図るものでございます。
平成二十六年度におきましては、ハード面では四区市に対し、農地の防災機能を高めるための防災兼用農業用井戸を七カ所、また地域環境に配慮するための農薬飛散防止施設を九カ所設置するなどの支援を行いました。
また、ソフト面では、一般都民を対象に先進的な取り組みを行っている農業者などを講師に迎えた都市農地保全シンポジウムを開催するなど、都市農地の有する多面的な機能や役割などについてPRを行いました。
○高橋委員 ただいまの答弁にあったとおり、農地が持つさまざまな機能を一層発揮させる取り組みは、都市農地を保全し、都市と農業が共生するまちづくりを進める上でも重要と考えております。
住宅に隣接した農地では、農薬の散布においても大変神経を使うと聞いておりますが、このような飛散防止施設の整備により作業が容易となるほか、近隣へ迷惑をかけることがなくなり、農業者のみならず地域住民にも喜ばれております。
また、防災兼用農業用井戸は、通常は農業用水として使用し、災害時には近隣住民に生活用水として提供できます。私の練馬区では、農業体験農園を営んでいるある農業者の方が防災兼用農業用井戸を整備し、それを活用して地元町会、自治会とも連携して防災訓練を実施しております。非常によい取り組みだと考えております。
こうした取り組みにより、地域住民の理解を促進していく都市農地保全支援プロジェクトの意義は大きいと考えますが、この事業の活用について区市町はどのような意向を持っているのか伺います。
○寺崎農林水産部長 都市農業に対する都民の期待が年々高まる中で、平成二十六年度に事業を実施した四区市以外の区市町からも、本事業の活用について多くの相談が寄せられております。
具体的には、農地の防災機能を高める施設では、防災兼用農業用井戸を初め、簡易トイレや防災用かまどなどの整備、また地域に配慮した施設では、果樹農家を中心とした農薬飛散防止施設に加え、土ぼこり防止フェンスや簡易直売所など、さまざまな施設整備への意向がございます。特に防災に関連する支援につきましては多くの自治体から相談がございまして、防災兼用農業用井戸などのハード整備に加え、その井戸や農地を活用した防災訓練の実施や、それらを地域住民に周知するための看板の設置、防災農地マップを作成したいといった意向がございます。
○高橋委員 区市町がこの事業の活用について、さまざまな意向を持っていらっしゃることがわかりました。
これらのニーズに応えられるよう、このプロジェクトの事業規模拡大やソフト面での支援充実をさらに図っていただきたいと思います。
さて、多面的な機能を持つ都市農地を維持するためには、その農地で営農活動を行う農業者の経営力の強化が欠かせません。都では、都市農業経営パワーアップ事業により、限られた農地を最大限に活用し、収益性の高い農業経営を展開していこうとする意欲ある農業者に対して施設整備を支援しております。
そこで、改めて都市農業経営パワーアップ事業の目的と平成二十六年度の実施状況について伺います。
○寺崎農林水産部長 都市農業経営パワーアップ事業では、高い営農意欲を持ち、みずからの創意工夫に基づき農業経営の改善を進めようとする認定農業者等に対し、農作物の生産施設や加工施設等の整備を支援することによりまして、農業者の経営力の強化に取り組んでおります。
平成二十六年度は、直売所向けの野菜や花き類などを栽培するパイプハウスやブルーベリーをジャムなどに加工するための施設、酪農家がみずから飼料を生産するための設備など、経営改善に取り組む十五の生産者団体等に対して支援を行いました。
また、利用者の利便性向上の観点から、本事業の採択要件である最低事業費を五百万円から二百万円に引き下げました。
○高橋委員 都がこれまで意欲ある農業者のさまざまなニーズに応え、経営力強化に向けた取り組みを支援してきたことを改めて伺いました。
最近では、多様化する都民ニーズへの対応や収益性を高めるため、地元の野菜や果物を利用したドレッシングや発泡酒などの商品開発や農家レストランの開設など六次産業への取り組みがますます活発になってきております。
そこで、都が都市農業経営パワーアップ事業を実施していく中で、農業者からはどのような声が上がっているのか伺います。
○寺崎農林水産部長 都市農業経営パワーアップ事業では、大消費地の優位性を生かした収益性の高い経営の実現を目指す農業者の新たなニーズを的確に捉え、より効果的な支援を行う観点から、利用要件の改善等に取り組んでまいりました。
農業者は、収益力を高めるための生産施設や加工施設などに加え、既存施設の機能向上や省力化のための施設整備等に対する支援も望んでおります。
また、新たに農業を始める場合、農機具の購入など初期費用の負担が大きいことから、農外からの新規就農者もこの事業の支援の対象としてほしいとの声が上がってございます。
○高橋委員 今後、多様化する農業者のニーズに応えられるよう、補助対象施設や支援対象者の拡充を図っていただきたいと思います。
ここまで都市農地の保全や農業者の経営力向上に向けた取り組みについて伺ってまいりましたが、貴重な農地を守り、農業を続けていくために農業者が頭を痛めているのは、何といっても担い手の確保、育成についてであります。
最近、新卒の若者の就職先として農業が一つの選択肢として注目を集めていることや、女性の農業分野への進出が目立ってきたことなどの話を仄聞しております。
私の地元区でも、若い農業者が真剣に農業に取り組み、直売所などに出荷する姿をよく見かけます。こういった農業の新たな担い手を確実に育成していくことが肝心であると思います。
そこで、担い手の確保、育成に向けた都の取り組みについて伺います。
○寺崎農林水産部長 都では、農業技術や経営手法の習得を目的とした農業後継者セミナーを実施しております。このセミナーでは、二年間で講義のほか、先進地視察や普及指導員によるマンツーマン指導などを行っております。平成二十五年度までに延べ八百六十三名が修了しており、平成二十六年度には九十六名が受講しております。
さらに、西多摩や南多摩地域では、定年退職等を契機に就農する中高年者向けのセミナーも実施をしており、十七名の修了生を送り出しました。
研修受講者からは、先進的な農業者から継続的に栽培技術や経営ノウハウの指導も受けたいとの声を聞いております。
こうした声も踏まえまして、今後も都市農業の担い手の確保、育成に積極的に取り組んでまいります。
○高橋委員 これまで平成二十六年度の都市農地の保全や担い手の確保などに向けた取り組みについて伺ってまいりましたが、都市農業、農地は、農産物を生産するだけでなく、防災や環境保全など、さまざまな機能を持っております。
今、国では都市農業振興基本法に基づく基本計画の策定に向けた検討が進められていると聞いていますが、都民の貴重な財産である農地を守り、また都市農業が今後の成長産業として、そこで働く農業者の方々が希望を持てるよう都でも施策の充実を図るとともに、国に対し強力に働きかけていただくことを改めてお願いし、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
○まつば委員 二十六年度決算質疑ということでございますので、まず、この二十六年度という視点で見ますと、東京しごとセンターが開設して十年の節目を迎えたということが挙げられると思っております。
この十年間、その時々の社会情勢の中で最も求められる就労支援の課題について的確に対応する施策を、しごとセンターにおいて行われてきたものと認識しておりますし、そのことを評価いたしております。
今は、特に非正規雇用対策、また若年者の就労支援、また女性の再就職支援といったことが大事な課題であるというふうに私は考えております。
このそれぞれの課題につきまして、さまざまな施策を積み重ねていただいていることも承知をいたしております。
その中で、きょうは女性の再就職支援について質問をさせていただきたいと思います。
私は、出産、育児、介護など、ライフステージに応じてみずからの意思で柔軟な働き方を選択することができる社会、さらにいえば、どのような選択もでき得る社会こそが目指すべき社会であるというふうに考えております。出産や子育てを機に、専業主婦として活躍する選択もあると思います。また、両立しながら働き続ける選択もあると思います。また、結婚や子育てを機に離職し、その後再就職を目指す、そういう選択もあると思います。それぞれの選択、どのような選択も可能な社会を私は理想だというふうに思っております。
そうした中にありまして、現状では出産や子育て等を理由に離職した女性の多くの方が、離職後の再就職がなかなか難しいという課題があると思っております。
私も女性の再就職支援を後押しするように求めてまいりましたけれども、都は昨年、二十六年七月に、再就職を目指す女性の支援拠点として、しごとセンターに女性しごと応援テラスを開設されたわけであります。私も視察に行きまして、経済・港湾委員会におきましてテラスで行っている支援の内容や開設当初の利用実績について質問をし、窓口の積極的なPRを行うとともに、利用者の声を踏まえながら支援の充実を図っていただきたいというふうに要望いたしました。開設から約一年三カ月が経過し、テラスでの支援も軌道に乗ってきていることと思います。
そこで、女性しごと応援テラスにおける支援の実情と取り組み状況についてお伺いいたします。
○矢田部雇用就業部長 都は、女性の再就職を支援する専門窓口として、昨年七月に女性しごと応援テラスを開設いたしました。この窓口では、専任のアドバイザーがキャリアカウンセリングから能力開発、職業紹介まで一貫して支援しております。
平成二十六年度のテラスの利用実績は、開設からの八カ月間余りで新規登録者は千百三十一人、就職者は三百三十七人でした。ことし九月末まで通算いたしますと、新規登録者は千八百七十二人にふえ、このうち七百七人を就職に結びつけております。
テラスでは、利用者が共通して抱える悩みを解決するため、気軽に参加できる少人数のミニセミナーを平成二十六年度は二十八回実施し、参加者から、子育て中のブランクをプラスにアピールできるポイントがわかった、また、前向きな気持ちになったなどの声が寄せられております。
こうした声を踏まえ、今年度は週二回ペースで九月末までに既に五十回実施しているところでございます。
○まつば委員 この窓口を通じまして、既に七百人を超える方が就職されていらっしゃるということでありますので、着実に成果が上がっていることが確認をさせていただきました。
また、ミニセミナーを通して同じような悩みを持つ女性同士が交流することで不安を解消するなど、工夫されている様子もうかがえるわけです。二十七年度はミニセミナーの実施回数もふえており、テラスでの支援にしっかりと取り組んでいただいていると思います。
今後、テラスでの支援をより充実させていくためには、これまでの実績を踏まえ、利用者の傾向を把握することがまずは必要ではないかと考えております。
このテラスは再就職を目指す女性を主なターゲットとしていますが、実際に利用されているのはどのような方が多いかなど、利用者の特徴をしっかりとつかんだ上で支援をしていくことが重要であります。
そこで、テラスの利用者の実態についてお伺いいたします。
○矢田部雇用就業部長 平成二十六年度の女性しごと応援テラスの新規登録者は、年齢層別に見ますと、四十代が最も多く四三%、次いで三十代が三二%となっています。
居住地区別について見ますと、区部の方が八三%、多摩地域の方が七%となっております。また、登録時の就業状況は、仕事をやめて離職中の方が七〇%を占めております。
今後とも、こうした利用者の状況を踏まえながら、より多くの方が就職できるよう支援のさらなる充実を図ってまいります。
○まつば委員 ただいまの答弁によりますと、三十代から四十代の利用者が四分の三を占めており、当初想定したとおり、結婚や出産を理由に離職した後、再就職を目指す方が多く利用されていることがわかりました。ぜひとも、今後も充実を図っていただくことをお願いしたいと思います。
また、利用者の多くの方は区部の方のようであります。多摩地域にも多くのニーズがあると思いますので、今後、しごとセンター多摩の移転整備に合わせて、しごとセンター多摩にも女性しごと応援テラスの開設をしていただくように要望させていただきます。
次に、仕事と介護の両立について質問をいたします。
仕事と子育てとの両立は、女性にとっても男性にとっても重要なテーマでありますけれども、高齢社会の中で仕事と介護の両立といった新しい問題でありますが、これも非常に重要なテーマであるというふうに思っております。
高齢化が急速に進展する中、親の介護のために仕事をやめざるを得なくなる、いわゆる介護離職の問題など、仕事と介護の両立に関する問題は深刻化することが今後懸念をされています。
特に、今後、団塊の世代の方々が年を重ねられて介護が必要とする方も多くなることが予想され、この問題への対応は一層重要になるものと考えます。
そこで、仕事と介護の両立推進に向けた昨年度の取り組み状況についてお伺いいたします。
○矢田部雇用就業部長 都は、中小企業で働く従業員の仕事と介護の両立を支援するため、平成二十六年度は二十四社に対し専門家を派遣し助言したほか、三十社に対して費用助成を行い、介護休業制度の導入を初めとする社内規程の整備など企業の取り組みを後押ししました。
また、東京ワークライフバランス認定企業に昨年度、仕事と介護の両立推進部門を独立した部門として設け、労働時間の柔軟な調整や従業員が相談しやすい環境づくりなどを行った企業を認定し、一月に開催したワークライフバランスフェスタにおいて認定証を授与いたしました。
○まつば委員 仕事と介護の両立という問題は、年齢や性別に関係なく、誰でも直面する可能性があるということ、そして、ある日突然そういった介護という問題に直面するといったことから、不安を抱えている方も少なくないわけであります。
こうしたことから、我が党は一昨年、深刻な介護離職の問題解決を図るため、中小企業の現場実態を調査することを提案いたしまして、その後も都議会本会議において、また私も委員会質疑において、この問題を繰り返し取り上げてまいりました。
都は昨年度、我が党の要望を受けて、仕事と介護の両立に関する特別調査を実施いたしましたけれども、この調査ではどのようなことが判明をされたのか、また、この結果を踏まえて、都はどのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。
○矢田部雇用就業部長 昨年度実施いたしました仕事と介護の両立に関する特別調査では、企業二千八百九十五社、従業員四千六百三人から回答をいただきました。
調査結果からは、仕事と介護の両立に関する勤務先の支援制度について、その内容や存在自体を知らないとした方が約六割となっていることや、両立に対して約八割の方が不安を感じており、そのうち七割の方が介護休業中の収入減を挙げるなど、中小企業で働く方々が抱える課題が浮き彫りになりました。
そこで、都はこの調査結果を踏まえ、今年度からシンポジウムの開催や専用サイトの構築など、普及啓発及び情報発信に取り組んでおります。
また、生活の安定を図るため、介護を行う従業員向け融資について介護休業中の従業員の生活資金に限定していたものを、要介護や要支援認定を受けた親族のいる方の介護費用に拡大するなど、制度の充実を図ったところでございます。
今後も引き続き、仕事と介護の両立推進に向け取り組んでまいります。
○まつば委員 ただいま答弁でさまざまな取り組みをしていただいたことがよくわかったわけであります。この我が党の求めによって実施した調査によりまして、特に情報提供が十分でないということも浮き彫りになったわけでありまして、その結果、今年度のシンポジウムを開催するといったこともされたということであります。その意味で、実態調査は仕事と介護の両立支援を進めていくための重要な一歩になったものといえると思います。
先週開催されました仕事と介護の両立推進シンポジウムは、参加企業の方々から従業員へのサポートについて考えるきっかけになったというような声も聞かれるなど、大変盛況であったというふうに伺っております。
仕事と介護との両立ができる社会の実現へ向けまして、今後もさらなる施策の充実をしていただくよう要望いたしまして、質問を終わります。
○徳留委員 私からは、産業労働関係の決算書にかかわって質問をいたします。
まず、平成二十六年度の地域商業の活性化事業の決算にかかわって不用額が率にして約三割、約十五億円もあることについて、その理由が魅力ある商店街づくり事業等の実績による残と記載されていますけれども、その具体的な内容とともに、商店街事業について、この間に改善してきた点についてお伺いいたします。
○松永商工部長 不用額の主な要因は、天候の影響等によるイベント事業の中止や契約差金が生じたことなどによります。これまでも支援メニューの見直しなど、適宜行っております。
○徳留委員 商店街事業のこの間の改善について、支援メニューの見直しなど、これまでも適宜行っているという答弁でした。
私は、この間、地元の商店街の会長さんなどから、都の商店街支援事業についてさらなる改善を求める要望を聞いてまいりました。消費税の八%の引き上げ以来の消費低迷の中で売り上げが落ち込んでいて、どこでも大変苦労をされているということでした。中には、商店街費やアーケードの負担金なども払うのが大変という方もいると聞きました。
もちろん、こうした事業は税金を使っての支援でありますから、商店街事業の支援内容を改善するといっても、さまざまな制約があることを承知はしています。その上で、例えば、申請手続や実績報告などをもう少し簡素化して使いやすくしてほしい、あるいは適用要件を緩和して地元負担の軽減など、多くの商店街が応募しやすくできないのかという声なども寄せられました。
商店街にとって切実な要望として寄せられているのが、イベントや商店街に生かせる支援策の拡充について、商店街に出向いて情報提供したり、活用できる制度の紹介など具体的なサポートを求めていることであります。
防犯カメラの維持管理の費用負担の軽減、魅力ある商店街づくりのための中長期的な展望を踏まえた相談やサポートも期待されています。商店街と一緒になって汗をかいて知恵を出してくれる専門家の支援が欲しいという率直な声も寄せられています。
商店街は、それぞれの地域にとっての宝であり、地域経済や雇用を支える場であり、地域のコミュニティの核でもあります。地域の活性化にもつながると思います。
この事業が魅力ある商店街づくりに歓迎されることは事実であります。多額の不用額が出るくらいですから、ぜひ商店街から寄せられている要望をしっかり受けとめて、今後とも積極的に改善し活用しやすいようにしていただきたいということを申し述べておきます。
次に、地域の小売業への商店リフォーム助成についてです。
国や自治体の取り組みなど、全国に広がっております。助成額は上限が数十万円とわずかですが、その経済効果は十倍といわれているように喜ばれています。取り組んだ事業者は元気になり地域内の好循環を生み出しているといわれていますが、都はどのように認識されているのかを伺いたいと思います。
○松永商工部長 都は、後継者や新たな担い手の確保、育成により、商店街の振興を図ることを目的として、店舗改装費等開業に必要な資金の一部を助成しております。
こうした観点から、各個店のリフォームについては支援の対象としておりません。
○徳留委員 各個店のリフォームについては支援の対象にはしていないということでしたが、訪問した商店街の課題や切実な要望としては、お店のバリアフリー化や省エネ化、リニューアルなど個店のリフォームへの助成についても、ぜひ拡充していただきたいという声が上がっておりました。
ご存じだと思いますが、規模の違いはあるとはいえ、群馬県の高崎市で始まった商店リフォーム事業は、小規模事業者にとって新しい客層を呼び込むきっかけになり、販路拡大につながると大変好評で、国としても昨年度から支援を強め、今年度も継続をしております。区の担当者からも、直接支援に踏み出す時期に来ているんではないかという声も寄せられています。国の商店リフォーム事業、省エネ機器導入支援策などに都が呼応して支援することや、事業の継承や再生のための直接支援を拡充していただくよう要望しておきたいと思います。
次に、高齢者の就労支援について質問をいたします。
高齢者の貧困については、私は代表質問でも触れましたが、日本の高齢者の相対的貧困は二〇%近くに上っています。一方で、OECD加盟国のうち二十カ国は一〇%を切っております。日本のひとり暮らし高齢者の相対的貧困率は、男性が二九%、女性に至っては四五%にもなります。
こういう高齢者の生活実態が広がる中で、都として高齢者の就労支援についてどのように認識しておられるのか、また、平成二十六年度の都の高齢者支援についてどのような取り組みをされてこられたのか伺いたいと思います。
○矢田部雇用就業部長 高齢者の生活実態はさまざまであり、それぞれのニーズに応じた就業支援が必要であることから、平成二十六年度は、しごとセンターにおいて就業相談やセミナー、ハローワークと連携した職業紹介等を実施したほか、アクティブシニア就業支援センターやシルバー人材センターが実施する地域での就業支援活動への助成を行いました。
○徳留委員 高齢者の生活実態はさまざまであり、それぞれのニーズを踏まえて地域での就業支援活動への助成を実施してきたということでした。
確かに生活実態はさまざまですが、国民年金のみの高齢者の平均の年金受給額は五万円にも届きません。まさに下流老人と呼ばれる方々が広がっています。それだけにこうした高齢者の方々は、単に生きがいのために働くというよりも、少しでも収入をふやさないと暮らしていけないと、働かないとやっていけないという実態もあります。
こうした中で、高齢者の仕事としてNPO団体などが公立公園の清掃業務などを受託して高齢者からも歓迎されています。ところが、公立公園の管理業務はほとんど指定管理者に委託されているために、その指定管理者からの競争入札によって、さらに再委託先が選定されることになります。その場合には、指定管理者には最低制限の価格制度もなく、低価格入札での競争が激しくて、こうした団体といえども、赤字を覚悟して入札に参加せざるを得ないという実態があります。そのために年々仕事の単価が下がり、当然のことながら労働条件は悪化して、ワーキングプア状態が恒常化しているというふうに報告を受けています。
高齢者の就労を支援するNPO団体の育成は、貧困化、高齢化が進むもとで、高齢者の生活の安定のためにも欠かせない課題だと思います。
そこで質問ですが、高齢者の就業機会を提供する団体について、総務省令の改正で、シルバー人材センターに準ずる者として地方自治体の認定を受けた者とできるようになったことについて、どのように認識をされているのかお答えをいただきたいと思います。
○矢田部雇用就業部長 平成二十三年に地方自治法における随意契約によることができる場合の対象を定めた地方自治法施行令第百六十七条の二が改正されたものであり、他の地方公共団体の動向を注視しているところでございます。
○徳留委員 他の地方公共団体の動向を注視すると、四年前から同じ内容の答弁であります。そういう消極的な姿勢ではなくて、高齢者の貧困が広がって、知事も対策の必要性を強調しているときだけに、前向きにぜひ対応してほしいと思います。
公共事業の発注側は、こうした高齢者の就労支援を行う団体に対して積極的に育成する視点を持つ必要があると思います。そのためにも、高齢者の就労支援団体に対する業務委託にかかわる契約制度については、労働条件を極端に悪化させるような状況は改善することが求められているのではないかと思います。
高齢者等の職業の安定、その他の福祉の増進を図ることと、経済及び社会の発展に寄与することを目的とした高年齢者雇用安定法では、地方公共団体の責務として、雇用の機会その他の多様な就業の機会の確保等を図るために必要な施策を総合的かつ効果的に推進するように求めるものとすると。軽易な業務に係る就業を希望するこれらの者については、就業に関する相談を実施し、その希望に応じた就業の機会を提供する団体を育成して、その他の就業の機会の確保のために必要な措置を講ずるように努めるものとするとこの法律ではなっています。
総務省令の改正によって、高齢者の就業を支援するNPO団体について随意契約できるようになり、実際に、その後県単位では、宮城県や高知県や広島県などで認定団体を決めております。
現時点で都がとっている他の動向を踏まえ検討中という立場からぜひ脱却して、こうしたNPO団体を認定団体として認めて、高齢者の就労支援で積極的な役割を果たせるようにしてほしいと強く要望をしておきたいと思います。
次に、都市農業の振興と支援の問題について質問いたします。
都市農業、農地については、多面的な機能、役割があり、それが多くの都民からも認められて歓迎されていることは、最近発表されました都政モニターにもあらわれています。ことし八月発表の都政モニターの結果では、大都市に農業、農地が必要と思う都民の回答は八六%になり、その他の多面的な機能についても共感する声が広がって、ここ数年増加傾向にあると思います。
さらに、都市農業者、農業関係者の長年の悲願だった都市農業振興基本法がことしの四月に超党派の議員立法で成立をして、都市農業の位置づけや理念が明確になりました。我が党は、国会審議では、住民の暮らしに欠かせない都市農業を発展させるために、都市の農地と農業を都市づくりの柱に位置づけること、都市農地に対する固定資産税を農地並み課税にすることなど、税制を抜本的に改めることを求めて賛成いたしました。
成立した都市農業基本法には重要な内容が盛り込まれましたが、まだ理念法という側面も強く、これからの具体化が重要になっています。特に、どうやって減少傾向にある--まあ、十年前に比べて約二〇%、一千ヘクタールほど東京の農地が減っております。そういう中でどうやって都市農地を残していくのか。どうやって後継者、新規就農者を養成拡大していくのか。重過ぎる税負担の軽減の問題などは都市農地の急速な減少に歯どめをかけ、どうやって都市農業の振興を図っていくのかの緊急課題だと思います。
そこで、私もこの間、時間をかけて都内二十四の区市町村約三百人の農業関係者を一軒一軒訪問して、どうしたら都市農業を守れるのか懇談をしてまいりました。
忘れられない声をたくさん聞いてきました。例えば、このままでは都市農業は崩壊しかねない。相続税の猶予制度があっても、農地を切り売りしないと相続税や固定資産税は払えないと語る農業委員もおられました。また、固定資産税の負担が農業経営を圧迫している、せめて、農業用施設用地を宅地並みの課税にしてほしい。終生営農の相続税猶予制度は無期懲役みたいなもので何とかしてほしい、こういう怒りを込めて訴える農業者などもおりました。
こうした声、寄せられた要望などを踏まえて幾つか質問をさせていただきます。
まず最初に、平成二十六年度の農業用地を生かしたまちづくり事業、都市農地保全支援プロジェクトの実績についてお伺いをいたします。
○寺崎農林水産部長 平成二十六年度の都市農地保全支援プロジェクトの実績といたしましては、農薬飛散防止施設九カ所、防災兼用農業用井戸七カ所などの支援を実施したほか、地域住民への理解促進に向けシンポジウムを開催いたしました。
○徳留委員 この事業は、都市農地の保全を積極的に推進するために、農地の多面的機能を一層発揮させる施設整備や農地保全のPRに必要な広報活動など、区市町村が主体となって行う取り組みに対して、ハードとソフトの両面から支援することになっています。
しかし、貴重な実績とはいえ、残念ながら、先ほども答弁ありましたけれども、平成二十六年度の事業実施地区は二区二町の四地区にとどまっています。この事業の一層の普及啓発を図りながら、東京の都市農業の振興のために一層目に見える支援を拡充していただきたいと要望しておきます。
次に、要求資料にもあるように、昨年度までの最近の五年間の新規就労者の増加傾向が見られます。その要因や就労者の年齢、就労、就農形態などの特徴について、どのように認識されているのか。都としての平成二十六年度の農業後継者育成対策事業の取り組みと実績についてお伺いいたします。
○寺崎農林水産部長 近年の新規就農者数は、年度ごとに増減はございますが、就農者の状況を見ますと、農家の後継者が一旦他産業に従事した後に就農する場合が多く、従事形態はその約半数が農業に専従しております。
なお、都が平成二十六年度に実施した農業後継者育成対策事業では、農業後継者セミナーに九十六名、中高年者向けのセミナーには十七名が受講いたしました。
○徳留委員 この間の努力で貴重な新規の就農者がふえていることは重要なことであり、東京の都市農業を支え、振興させるにふさわしい規模に新規就農者の育成を進めてほしいと思います。
その上で、ことし五月に農林水産省が公表した平成二十六年度食料・農業・農村白書に、都市農業の振興事例として、東京の新規就農の経験が全国的に紹介されていることは重要だと思います。白書では、都市農業の持続的な発展に向けた取り組みとして、農外--農業の外からです、農外からの新規就農者の増加というタイトルで東京の事例が紹介されています。その内容は、青年層の農業への関心が高まっている中、大都市である東京都において農外からの新規就農者が増加しており、平成二十一年から平成二十六年までの実績が三十九人になっている。これらの新規就農者は、有志により東京ネオファーマーズというグループを組織して、東京都農業会議や民間企業も交えて定期的に情報交換を行っている。そして、その結果、都内のスーパーに東京ネオファーマーズとしての常設売り場を確保するなど、販路開拓に具体的な結果が出ており、さらに農業体験や古民家体験を共同で事業化するメンバーがあらわれるなど、新たなビジネスも広がっているという紹介でありました。
この経験は、来月の十一月三日夜、テレビ東京の経済番組「ガイアの夜明け」で、東京都新規就農及び東京ネオファーマーズとして放映されるそうです。一層の新規就労者支援が重要になっていると思います。
さらにこの間、私は三百人の農業関係者との懇談で実感したことは、先祖代々の農地を守り、高齢者の親の農業を引き継ぐために、退職後、年金生活に入ってから新規就農をされている人も多いということを大変実感しました。
実は、こういう方を、大変広い視野と見識を持ち、管理職を経験した方々が多いために、各種の農業委員会の中心メンバーとしても活用されています。
こうした退職後、親の支えてきた代々の農地を引き継いで、意欲を持って就農をされているわけで、こういう方々が積極的に都市農業で頑張れるような支援を要望しておきたいと思います。
次に、平成二十六年度、都は農業特区を提案して、その中で都市農業者の農業用施設や屋敷林、防災関連施設の相続税について軽減を求めていますが、都市農業者の農地用施設用地、屋敷林はどの程度あるのか、税負担などの実態を都としては把握されているんでしょうか。
○寺崎農林水産部長 都では都市農業経営における相続実態調査を実施し、実態事例を調査いたしました。
○徳留委員 実態の事例調査を行っているという答弁でした。つまり、全体像ではなくて一部の実態事例の掌握にとどまっているということではないかと思います。
都市農業の維持発展にとって、農地の維持は必要不可欠です。その上で農地減少の契機になっている大きな要因が、もうこれ共通の認識だと思いますけれども、重い税負担になる屋敷林や農業用施設用地への宅地並み課税であることは、全ての農業関係者、全ての会派の皆さんの共通認識ではないかと思います。だからこそ、都市農業基本法でも関係自治体からも、こうした農地の一部への固定資産税の軽減、あるいは相続税の軽減が強い要望として出されているのではないかと思います。だとしたら、具体的な税金負担の内容を個別につかむことはプライバシーに触れることから難しくても、個々の農業者、土地所有者の農地の中で、屋敷林、農業用施設用地の実態がどうなっているのかを調査して掌握することは、税負担の軽減措置の実現にとって大前提ではないかと思います。
ぜひ全容を調査して、実態を掌握してほしいと要望しておきます。
最後の質問ですが、都市農業を守るためにも都市農業者の農業用施設用地、防災関連、屋敷林などの固定資産税の負担実態を掌握して、固定資産税の軽減のために農業者を含めて都庁横断的に検討すべき時期に来ていると思いますけれども、いかがでしょうか。
○寺崎農林水産部長 都では、既に関係局を初め、区市や生産者団体等と検討会を立ち上げ、効果的な農地保全策を検討しております。
○徳留委員 関係者を交えて、税の負担軽減について検討会を立ち上げているということでした。歓迎したいと思います。東京の都市農業の急速な農地減少に見られる危機的な状況に歯どめをかけて、超党派で成立した都市農業振興基本法で明記された都市農業の重要な位置づけ、理念、多面的な機能にふさわしく、さらに都民の大きな期待に応えていくためにも精力的に検討を行って、都市農業関係者に希望と意欲、展望が持てるような具体化を図ってほしいと要望しておきます。
同時に農業をめぐる情勢について、先日TPPの大筋合意で農産物に係る関税の大幅撤廃が進むのではないかということで、都市農業を含む農業全体に大きな打撃を受けるおそれがあると心配されている方もおられます。それだけに都市農業を含む農業全体の重要な位置づけ、役割を明確にしての支援対策が不可欠になっていると思います。
かつて、アメリカのブッシュ元大統領が二〇〇一年に農業や食料自給問題について農家向けに演説を繰り返して、食料自給は国家安全保障の問題であり、それが常に保障されているアメリカはありがたいと語り、食料自給ができない国を想像できるかと、それは、国際的圧力と危機にさらされている国だと訴えて、さらに食料自給は国家安全保障の問題であり、アメリカ国民の健康を確保するために輸入食肉に頼らなくてよいのは何とありがたいことかと、ここまで語っています。
これが本来、国にとっても、自治体にとっても農業の位置づけではないかと思います。安心・安全の食料自給の重要性を示したものだと思います。改めて、東京のカロリーベースの食料自給率は一%程度であり、都民の多くは全国に頼っているだけに、東京の都市農業の振興のためにも抜本的な対策の強化、具体化を求めて、質問を終わります。
○大西委員 日本や東京を訪れる外国人旅行客は、この二、三年の間に急激に伸びています。昨年日本を訪れた外国人旅行者は、新聞報道によれば過去最高の一千三百四十一万人に達したとのことです。今回、本分科会に提出されたこの資料の九ページを見ますと、都内だけでも外国人旅行者は昨年は八百八十七万人が訪れており、五年前の約一・五倍に上っています。
海外からの旅行者がふえることで、宿泊を初め買い物などを通じて東京の経済にも大きな効果が期待できています。これらの海外のさまざまな国からの旅行者を呼び込むためには、東京に興味や関心を寄せて、ぜひ一度は観光で訪問したいと感じてもらえる広報を行うことが必要であると考えています。
都では、外国からの旅行者の誘致に向け、昨年度どのような考えでPRを行ったのか伺います。
○坂本観光部長 外国人旅行者の一層の増加を図るためには、広く海外の一般市民に向けて東京の観光情報などを積極的に発信することが重要でございます。
都は昨年度、訪日旅行者の増加が期待できる地域を対象として、食や観光スポットなどの情報を発信することで、東京の魅力をアピールいたしました。
そうした取り組みを効果的に実施するため、外国人が触れる機会の多い航空会社の機内誌やオンライン広告などを活用したところでございます。
○大西委員 今のご説明もありましたが、この分科会に提出のあったこの資料の中でも、海外向けのPRについて、外国人が利用する航空機の中で配布する機内誌に着目したり、情報の収集で有力なツールとなってきたウエブサイトに広告を載せているとの工夫が感じられるわけでございますが、こうした対応で東京の観光のよさをしっかりとPRして、旅行者の増加を着実に後押ししていただきたいと思いますが、二十六年のそうした取り組みについて具体的にはどういうふうなことを、具体的な内容についてもう少し詳しい説明をお願いいたします。
○坂本観光部長 都では、外国人旅行者へのPRのため、本年一月、アメリカのデルタ航空、ベトナムのベトナム航空、インドネシアのガルーダ・インドネシア航空の三社の機内誌に記事広告を掲載いたしました。その中で、花見スポットや和菓子などを写真つきで紹介するなど、東京の魅力を幅広く発信し、春の東京への観光での訪問を呼びかけたところでございます。
また、英語版の旅行ガイドブックで有名な会社のウエブサイトを活用し、江戸と現代を感じさせる風景や観光施設などを紹介いたしました。
今後も引き続き、東京の魅力を世界に向けて発信し、旅行者のさらなる増加に取り組んでまいります。
○大西委員 これは、その飛行機の中の桜の関係をちょっと出させていただきましたけれど、きれいにピンクで出ています。中をじっくり読んでみると、ちょっと表現、ううんと思うところも中にはあるんですが、それでもこういうのを見たら、日本人はなぜ花見をするのか、それとお弁当とか和菓子とかがすごくきれいに写っているわけなんで、こういうのはどんどん続けて、当然これは春ですから、今はもう秋ですけど、どんどんやっていっていただきたいなと思います。
続いて、ちょっと次の視点で地産地消のことについてお伺いいたします。
私も子供のための施策というのは、これはもう、とても大切だと思います。そのため、子供たちの健康というのは、自分の子供以外でも常に注意を払っている必要があり、食事の内容や食材にも関心は持っています。
そこで、私の、私たちの暮らすこの東京では、どのような食材がつくられているかを調べましたら、主食となる米、麦はもとより、コマツナやトマトなどのさまざまな野菜、東京特産のトウキョウXや東京しゃもなどの畜産物、伊豆諸島でとれるキンメダイや奥多摩で養殖されたヤマメといった魚介類など、この新宿のビル街にいると想像できないほど多種多様な海の幸、山の幸があることがわかってきました。
私たち、消費者の身近で生産されるこれらの農林水産物は、生産現場を見ることができるわけで、安全性も頑張れば確認をすることもできます。最も安心できる食材ではないかと思います。
ことしの都政モニターアンケートでは、五割強の方が購入したことがあるとの結果でしたが、まだまだ都内産の農林水産物をご存じでない方もいらっしゃるのも事実です。
そこで、都が実施している食の安全安心・地産地消拡大事業の具体的な施策の目的と事業内容についてお伺いいたします。
○武田安全安心・地産地消推進担当部長 食の安全安心・地産地消拡大事業は、農産物などの地産地消を促進するため、学校給食と飲食店へ都内産食材を供給する二つの取り組みを実施しております。
まず、学校給食では、平成二十三年度に八王子市に開設した、とうきょう元気農場でジャガイモやニンジンなどを生産し、農地がない区などの小中学校の給食に供給するとともに、生徒などを対象に農場体験見学会を開催しております。
また、飲食店へ都内産食材を供給する取り組みでは、都民に積極的にPRするため、都内産農林水産物の提供を行う飲食店を対象とした、とうきょう特産食材使用店登録制度と島しょ地域で生産された農林水産物を提供する島内飲食店等を対象とした、東京島じまん食材使用店登録制度を推進しております。
○大西委員 子供たちの学校給食で都内産の農産物を使用することや自分たちの食べている農産物の収穫を体験することは、都市部の子供たちの教育上、もう非常に好ましいことだと思います。
また、東京の地産地消を進めるために、まず食べていただく機会をつくるという点で、都内農産物を使用している飲食店のPRも有効な取り組みであります。
そこで、このような取り組みについて平成二十六年度にはどのような実績があり、効果があったのかについて伺います。
○武田安全安心・地産地消推進担当部長 とうきょう元気農場では、平成二十六年度には農地のない区などの十六区百八十八校の小中学校給食へ農産物を供給するとともに、農場体験見学会を通じて児童生徒の食育推進に寄与いたしました。
一方、飲食店へ都内産食材を供給する取り組みでは、区市町村や観光協会などへ制度の周知を積極的に行い、とうきょう特産食材使用店については二百五十三店舗、東京島じまん食材使用店については三十七店舗の飲食店等を登録いたしました。
また、それぞれ三万五千部のガイドブックを作成し、都が開催するイベントや都庁観光案内所などで配布し、都内産農産物の認知度を向上させました。
○大西委員 東京都には首都東京としての顔がある一方で、山村から島しょまでさまざまな農林水産物が生産されており、都民に食べていただくために学校や飲食店まで巻き込み、効果的な取り組みがなされているということでございます。また、今出てきたのが島じまん食材、あと「とうきょうを、食べよう。」この三万五千部のガイドブックですか、この中身は、見たら食べたくなるようなすばらしいものだと私は思います。ぜひこういうのをどんどんまた活用していっていただきたいなと思います。
最後の質問になりますが、さっき徳留委員の方から答えが出ていたところもありますが、改めて東京で消費される農林水産物に占める都内での割合についてお伺いをいたします。
○武田安全安心・地産地消推進担当部長 都内の生産者は、都民ニーズに応えるため、年間を通して、安全で安心、そして質の高いさまざまな農林水産物を生産し、供給しておりますが、これらが都内で消費される割合は、農林水産省の平成二十五年度の食料自給率によれば、カロリーベースで一%でございます。
○大西委員 都内の全カロリーから見たらということで、一%が、これが多いかまた少ないかは、また別の議論になると思いますが、なかなか自給率を上げていくというのは難しいことだと思いますが、今後、農林水産業を振興して地産地消を活発にして、少しでも多くの都民に都内産の農林水産物を提供していただくようにお願いをいたしまして、質問を終わります。
○鈴木委員 それでは、私の方から、観光振興についてまずお伺いをさせていただきます。
本当に、アベノミクスによる経済成長も、今、中国の経済の影響も受けながら、成長率が少し減速化はしておりますけれども、しかし私は、着実にこの日本の環境というのは、いい方向に向いているんだなという思いで今おります。
その中で、やはり国も挙げて、今、観光を一つの産業にしていくことが、これからの日本に本当に欠かせない大きな要素であるというふうにいわれている中で、知事も、この東京から観光を一大産業にしようと、今、発言をされております。
この方向性というのはもっともなことであるということですけれども、本当に産業として確固たる地位をつくり上げていくために、東京は一体何をしていくのかということが、私は、本当に今求められているというふうに思っております。このイメージを戦略的に発信するとか、そして、そうしたことを取り組みながら、サービスを円滑に提供できるような受け入れ体制を初めとする環境の整備ということが、今、本当に大事なんだろうというふうに思います。
東京都においては、東京ブランドの推進ということで、ことし今月の九日に、知事が推進キャンペーンについての記者会見の中で、ロゴ、キャッチコピーである&TOKYOを公表いたしました。東京の観光地としてのブランドを世界に発信する新しいロゴが誕生したわけでありますけれども、都政における観光振興が大きくステップアップして、格段に強化されていく重要なきっかけになっていってほしいなというふうに私は思っております。
東京の観光の魅力というのは、本当に人によって捉え方、さまざまでありますけれども、そうした魅力を一定の考え方に取りまとめてロゴのような形にすることは、多くの準備が不可欠であったものと考えます。
初めに、このロゴ、キャッチコピー、&TOKYOを生み出すために、二十六年度中はさまざまな地道な努力があったわけですけれども、このブランド展開に向けて、大事なスタートの時期であった二十六年度における取り組みをお伺いいたします。
○坂本観光部長 都は昨年度、観光地としての東京のブランドを戦略的に発信するに当たり、都民に加え、世界の十九都市の住民を対象に、東京の魅力に関する評価等の調査を行いました。
調査の内容を分析することにより、東京の都市としてのすぐれた特徴として、安全性、清潔性、多様なものを持つ幅の広さに加えて、長年をかけて培ってきたおもてなしの姿勢や食文化などを海外の旅行者向けに発信するべきことが明らかとなったところでございます。
これらを踏まえまして、学識経験者や民間事業者による東京のブランディング戦略会議、こちらを四回開いて議論を重ねて、ブランドのコンセプトを、伝統と革新が交差しながら常に新しいスタイルを生み出すという形でまとめるとともに、東京の独自の価値をユニーク、エクセレントなど五つに集約を行いました。
戦略会議の内容を受けまして、都は三月の末には、体系的な東京のブランディング戦略を発表したところでございます。
○鈴木委員 今のご答弁にありました取り組みを積み重ねて、今後は、このキャンペーンなどを通じて、ロゴを用いた事業展開をしっかりと進めていただくことがもちろん大事なわけですけれども、こうした取り組みによって、本当に各事業体が同じベクトルを向いて力を結集し、そして個の力をさらにまた大きく育てていっていけるものというふうに思っております。
観光立国になる四つの要素というのがよくいわれます。それは、気候であったり、自然であったり、文化であったり、食事であるというふうにいわれています。この中で、そうした一つ一つの要素をしっかりと、観光を産業にするということは、経済的なメリットを生み出すということを考えますと、相手である顧客をどのように、この分野の中で、四つの要素の中で満足をさせていくようなものを提供していくのかということが本当に求められるんだろうというふうに思います。
よく、日本の、そして東京のオリンピック・パラリンピックに向けても、おもてなしの精神というふうにいわれておりますけれども、現実問題、おもてなしという言葉で、実際には観光の動機づけにはならないんではないかなということも、海外の観光事業者の方からもそういった話も出ている中で、やはり一番大事なのは、そうした顧客を大事にする心、それが今まで、全て日本がいろんな分野で頑張ってきた、本当におもてなしの心が、顧客を、相手を大事にする心ではないかなという思いの中で、顧客という意識を持っていくことが大事じゃないかなというふうに私は思います。
その中で、やはり、顧客というのは一体誰なんだということを考えながら、これからもそういった取り組みをしていくことが、本当にこのロゴも生きていくことになりますし、そうした中で、東京ブランドをしっかりとそういった方々にアピールして、効果的な観光振興につなげていくことが私は大切ではないかなというふうに思います。
この間、私、いみじくも、デービッド・アトキンソンの「新・観光立国論」というものを読ませていただいて、なるほどなというふうにすごく感銘を受けた部分がたくさんあったんですけれども、次に、外国人の旅行者の受け入れのあり方についてお伺いいたします。
海外からの旅行者が大幅に増加する中で、都内での観光に当たってのさまざまな意見や要望が新聞などで取り上げられることがふえているように感じます。例えば、まち中で買い物をしようとする際に、カードで日本円を引き出すATMが余りない、そして、観光地でカード決済できない店舗が多い、まだまだ受け入れ環境というのは十分とはいえない、そうした状況の中で、早い整備が必要であるというふうに思います。
このほかにも、例えば、先ほどPRの仕方が大事だというふうに話をさせていただきましたけれども、国が出しているビジット・ジャパンという、そういった海外向けに発信するサイトがあるんですけれども、このサイトが海外の旅行会社に届くのが、大体一カ月から二カ月ぐらいだというふうにいわれています。
現実問題、国内でも同じですけれども、私たちが、次の休みに、オフに旅行しようという計画を立てるのは、旅行業者の方がいうには、百十二日前というのがあるらしいんですけれども、百十二日前というと、三カ月から四カ月前には発信をしていただかないと、日本に観光に来ようという動機づけになかなかならないだろうというふうにいわれています。そうした発信のあり方もあるのかなというふうに思います。
また、今の日本の観光の受け入れで一番国別に多いのは、中国とかアジア系なわけですけれども、これから短期の旅行者だけでなく、滞在型の長期の旅行者を受け入れていくためには、やはり多様なダイバーシティーといわれるような、そうした取り組みを、やはり観光の産業の中にも根づかせていくことが大事だろうというふうにいわれております。
そうした中で、外国人、あと言葉の問題ですね、言葉も、今、案内表示板というのが、一応、表示内容が統一されて見やすくはなってきたというふうにいわれておりますけれども、まだまだ日本の中で言葉の壁というものは大きいというふうにもいわれております。
また、戸惑う旅行者の姿がある中で、その戸惑う旅行者が相談をする場所がなかなか探せないということもいわれております。
また、飲食店でメニューの内容がわからない外国人に、店内で身振り手振りで説明するような、そうした個店も今、多く見受けられるようになってきたというふうにいわれております。
こうした中で、せめて旅行者が宿泊する旅館やホテルでは、快適に過ごすための環境づくりに加えて、自分の国の言葉で情報を手軽に集めることができるような、きめ細かな配慮の行き届いた受け入れ体制をつくっていくことが、やはり大切なんだろうというふうに思います。
訪日旅行者数二千万人の実現は、本当に今の実績で目の前であるわけですけれども、受け入れ環境の整備を加速化していくために、本分科会に提出された決算説明書には、受け入れ環境の充実とありますけれども、今まで申し上げてきた内容を踏まえて、二十六年度中は、こうした観点でどのような取り組みを展開してきたのか、お伺いいたします。
○坂本観光部長 海外からより多くの旅行者を迎え入れるため、都は昨年十二月に受け入れ環境整備方針を策定いたしまして、旅行者の移動、滞在を支える環境をソフトとハードの両面から整備するための方向性を示しました。
具体的な取り組みといたしましては、まず、多くの事業者が多言語による表記の導入を円滑に行うことができるよう、案内サイン標準化指針を改定いたしまして、観光施設、宿泊施設、飲食店を新たに対象に加え、それらに対してわかりやすい多言語対応の事例を紹介するほか、海外発行のクレジットカードに対応したATMを示すピクトグラム、こちらの方を策定してお示ししたところでございます。
また、飲食店の多言語メニューの作成を支援するウエブサイトでございますが、EAT東京、こちらの方を開設いたしまして、昨年度は約百八十店舗が、このウエブサイトを活用して作成したメニューなどの情報を公開したところでございます。
さらに、ホテルや旅館などにおける受け入れ体制の整備に向けて、施設のバリアフリー化や無料のWiFi環境の整備に対しまして、合わせまして延べ六十八件の宿泊施設の改修などを支援したところでございます。
○鈴木委員 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックが決定して、この東京というのは、やはりこれから外国人を本当にたくさん受け入れていかなきゃいけない、今そのような決意で、観光を産業にしていこうという取り組みに私は結びついているんだろうというふうに思います。
日本の観光立国への取り組みの中で、振り返ってみますと、二〇〇三年のころは五百二十一万人しか外国人が来ておりませんでした。それから十年後の二〇一三年には一千三十六万人、そして昨年、二〇一四年には一千三百万人を突破して、いよいよ二千万人にもう目の前というような状況に今なってきているわけであります。
しかしながら、観光立国といわれる国々の多くは、GDPの大体八%から九%の経済的な要素があり、大体それが日本はまだ二%といわれている中では、これを上げていくためには、これから三千万人、五千万人以上の外国人の方を受け入れていかなくてはいけない状況に本当になっていくんだろうというふうに思いますし、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックも、三千万人ぐらいの方々が来られる可能性もある中で、本当にこれから急ピッチで、観光に対する意識をもっと高めていただいて、取り組みを加速していただきたいということを強く要望させていただきます。
次に、中小企業への経営支援についてお伺いいたします。
都においては、日本の企業というのは、大体もう中小零細企業が本当に多く、九九・七%が中小零細企業だというふうにいわれておりますけれども、そうした中で、現場を持つ東京都の政策というのが、やはり日本の経済の中の、特にものづくりの分野においては、車の両輪のごとく機能してきたんだろうというふうに、本当に皆様のご努力に心から敬意を表する次第でございますけれども、都において、東京の経済の牽引役である中小企業に対して、今まで本当にさまざまな支援をしてまいりました。
私も事あるごとに、中小企業が活発に活動できるように、東京の経済が活性化するように、強く皆様方と一緒に応援をさせていただいたところでありますけれども、昨年を振り返りますと、長らく続いた景気の低迷が、本当にやっとアベノミクスによって回復基調となり、その動きが少しずつでありますけれども中小企業に波及を始め出した、そんな年だったんだろうというふうに私は感じております。
こうした状況を踏まえて、都の中小企業に対する支援を、今までの守る姿勢から、これからは広く展開していく、さらに一歩前に進めていく、そういった観点が本当に必要だろうという思いで、何点か質問させていただきたいと思います。
まず、中小企業に対する経営支援についてお伺いいたします。
都内中小企業は、新興国との価格競争の激化や消費の低迷、経営者の高齢化等のさまざまな経営課題を実際に今抱えております。また、国際的な金融危機に端を発した景気低迷や東日本大震災の発生など、想定し得ない事態にも幾度となく直面してきました。
こうした課題の解決や想定外の事態に対応するために、経営者みずからが自社の経営状況を把握した上で、その改善に取り組み、足腰の強い経営基盤を構築していくことが求められております。このことは、中小企業の皆さんだけに求めるということは、対応することは、本当に困難なことだろうというふうに私も感じております。
そうした中で、東京都が専門家による経営診断を通して、中小企業の経営力を高める取り組みを行っておりますが、まずその実施状況と成果についてお伺いいたします。
○松永商工部長 都は、中小企業の経営力向上を図るため、新・経営力向上TOKYOプロジェクトを実施しております。平成二十六年度は八百七十九社に専門家を派遣して、経営診断を行うことにより、経営者が潜在的な課題等を認識し、経営改善の取り組みを進めております。
また、経営の抜本的見直しを支援するため、経営変革アシストプログラムを実施しております。二十六年度は百六十四社に専門家を派遣して、新事業の展開や販路開拓など、経営計画の策定とその実行までを支援し、企業の経営変革を促進いたしました。
○鈴木委員 先ほど話をさせていただきましたけれども、少しずつ景気も回復基調になってきたなというふうに感じるんですけれども、中小零細企業の経営環境というのは、本当に一段と厳しいという声もたくさん聞かせていただいております。
平成二十五年に金融円滑化法終了に伴って、本当に資金繰りが厳しい、そうした状況の中で、今、借りかえの保証つき融資を一本化して、月々の負担も軽減するような、そうした融資制度もできた中で、それが二千五百件、約、額にしますと七百八十六億円ぐらいまだ使われているという状況がございます。
そうした中で、本事業を通じて、都内中小企業の多くの専門家の派遣を受けて、企業が抱えるさまざまな課題への対応が進んで、経営の抜本的な改革が促進されていくことが、私は大切だというふうに思っておりますし、今のご答弁をいただいて、それが本当に促進されているんだなということを感じさせていただきました。
景気は本当に上向きつつありますけれども、そうした経営改善の必要な中小企業がまだたくさんあるという状況の中で、さらに多くの企業が活用できるよう、規模をふやすことも必要だと思います。
また、今、二つの事業として別々になっていて、中小企業にはわかりにくい面も私はあるというふうに思います。入り口を一つにまとめて、支援内容に応じて振り分けるなど、効果的な支援の仕組みについても、これからさらに検討していただきたいということを要望させていただいて、次に、販路開拓の支援についてお伺いいたします。
中小企業が将来にわたり成長を続けていくためには、受注先を確保して売り上げを向上させることは不可欠なことであります。営業力に限りのある中小企業が効果的に販路を開拓するには、一度に多くの企業と出会える展示会に出展することも有効な手段であります。
そこで、東京都が目指せ中小企業経営力強化事業により展示会への出展支援を行って、中小企業の売り上げ向上に力を注いでこられました。
もともとこの事業というのは、平成二十年に発生したリーマンショックの影響で、急激な受注低迷に苦しむ都内中小企業に対する支援として始まったもので、売り上げが減少している企業というのが対象だったんですね。しかし、売り上げを着実に伸ばしながらも、円安の進展などによって、原材料コストの上昇で赤字となる企業とか、黒字でも将来的な需要の見通しが不透明で、経営改善のためにさらなる販路開拓が必要な企業など、今、企業が置かれている状況は本当にさまざまになっております。
事業が始まった当時と比べて、現在は景気が回復基調にある中で、これまでの売り上げに着目をした経営の下支えの支援から、今後は、あらゆる企業の成長につなげる支援に考え方を転換していくことが必要なのではないでしょうか。
景気回復の歩みをより確かなものとするために、こうした考えのもとに支援の対象を思い切って拡大し、また助成額も拡大させるなどにより、都内中小企業の経営を早期に安定させて、成長の軌道に乗せていくことが重要であると思います。
そうした意味で、目指せ中小企業経営力強化事業は大きな役割を果たすことになりますけれども、昨年度の取り組み実績についてお伺いいたします。
○松永商工部長 都は、受注低迷に苦しむ都内中小企業の売り上げ向上を図るため、目指せ中小企業経営力強化事業を実施しております。
平成二十六年度は、三百五十七件の国内外への展示会への出展支援を行い、新規商談成立や既存取引先からの受注拡大により、多くの中小企業の売り上げ増加につなげました。
また、中小企業の売れる製品づくりを後押しするため、市場調査や展示会出展を通じた顧客ニーズの把握、ニーズに適合した製品改良を支援しており、例えば、工作機械に用いる位置決めスイッチの小型化と耐久性の向上を図る製品改良など、五十件の取り組みをサポートいたしました。
今後とも、多くの中小企業が販路を切り開き、成長に向けて飛躍できるよう、展示会への出展支援を強力に推進してまいります。
○鈴木委員 決算に対して今質問させていただいて、この事業、今まで本当によく頑張っていただいたなというふうに思うんですけれども、先ほどお話しさせていただいたように、この対象が、売り上げが減少している企業だけじゃなくて、これからは、あらゆる企業の成長につながるような支援にしていただきたいというふうに本当に思っております。
中小企業が販路を切り開いていくことは、本当にいつの時代でも重要な経営課題です。都内の多くの中小企業が取引を拡大させ、東京の産業の活性化につなげていくためにも、先ほど私がいったことも含めて、展示会出展への支援の拡充を強く要望して、次の質問に参ります。
次に、ものづくり産業に対する支援についてお伺いいたします。
都内のものづくり中小企業は、東京の産業基盤を支えており、我が国の経済発展に大きな役割を果たしてきたといえます。こうした中小企業も、取引先企業の海外展開により、受注減少や外国との価格競争等の厳しい経営環境に置かれ、その数は本当に減少し続けております。
私の地元の大田区も、昨年、製造業の実態調査をさせていただきましたところ、工場数は最盛期の三分の一、約三千五百ぐらいにまで減少しているというふうに報告を受けました。
東京のものづくりの火を決して絶やさないためにも、懸命な努力を重ね、操業を続けている中小企業をしっかりと支援していただきたいというふうに思います。
しかし、経営資源の限られた中小企業が、単独で市場ニーズに対応した製品や技術の開発、販路開拓を図ることは本当に困難であり、個々の強みを生かして、共同で取り組むことが本当に重要になってきております。
東京都は、中小企業が連携し、製品開発等に取り組む活動を支援しておりますが、これまでの取り組みについてお伺いいたします。
○松永商工部長 都は、ものづくり中小企業が単独あるいはグループで取り組む新製品、新技術の開発や地域の産業集積を維持発展させる区市町村の取り組み等に対し、多様な支援を実施しております。
このうち、製品等の共同開発につきましては、ものづくり企業グループ高度化支援事業により、企業の連携による取り組みに対して、最長三カ年にわたり支援をしております。
平成二十六年度は、四グループを選定し、独自開発の技術により、高級感のある樹脂製のお皿を開発するグループ等に対し支援を行っております。
○鈴木委員 最近は、ものづくりとITなど異なる分野の融合によって、新しい事業分野が生まれてきております。
本日は決算ですので、このような質問はしませんけれども、これは大きく製造業、ものづくり産業を私は変えていくものであるというふうに思っております。こうした新たな市場に参入するためには、産学公金など企業グループの枠を超えた幅広い取り組みが求められます。
先日の第三回定例会でも、我が党が取り上げたところでありますが、今後は、こうした従来にない新たな事業分野に参入する意欲のある中小企業に対し、ネットワークづくりから、事業化、販路開拓まで総合的に支援する仕組みを構築していただきたいと思います。
今後とも、厳しい経営環境下にあっても必死に頑張っている中小企業のニーズをしっかりと捉え、的確に支援を行っていただくよう要望して、私の質問を終わります。
ありがとうございます。
○高倉委員 スマートフォンあるいはタブレットという携帯情報機器の普及に伴いまして、世界中の旅行者がSNSを使いながら、観光に役立つ情報を集めるだけではなく、旅先で撮影した写真や口コミなどを発信することが、もはや一般的となってきております。
こうした旅行者にとって、自分の国から持ってきたスマートフォン等をインターネットに接続をする場合には、何よりもWiFi、無線LANを活用することが不可欠ともなっております。
電車やバスなどの交通機関でのWiFiの普及は、今進んでおりまして、実際に商店や飲食店の前で、WiFiを使えるかどうかを確かめる外国人の姿を目にする機会も多くなってきているわけであります。
外国人がスマートフォンなどでじっくりと情報を集め、発信する場所としては、まず滞在先のホテルや旅館があろうかと思います。そうした宿泊場所でのWiFiの整備に加えまして、さまざまな公共の施設や屋外での設置も大切になると考えております。
利用者のニーズを踏まえて、きめ細やかな対応をお願いしたいと思っておりますけれども、ホテルなどの宿泊場所におけるWiFiの導入についてどのような対応を行ってきたのか、都の対応についてお伺いをしたいと思います。
○坂本観光部長 都では、宿泊施設における無料WiFiに接続のできる環境を整備するため、平成二十五年度と二十六年度にかけて、機器の購入やその設置に必要となる経費に対して、一つの施設につき十カ所を上限に助成を行ってまいりました。
二十六年度には、五十一件のホテルや旅館などに対して、ロビーや食堂、宴会場、会議室などの共用スペースでの設置を支援いたしました。
利用環境を広げる上で、外国人旅行者のニーズの高い場所への対応を図ることが重要な課題であることから、今年度は、宿泊施設の客室や都立施設、歩行空間での導入に向けた取り組みを進めているところでございます。
○高倉委員 今答弁をいただきましたけれども、こうした宿泊施設におけるWiFiの設置というのが進んでいるのだというふうに思います。
さらに今後は、先ほど私、申し上げましたけれども、屋外でのごく普通に利用できる環境づくりと、今いった無線LAN、WiFiが、ごく普通に東京の至るところで使用できるということが、私は不可欠であると思います。世界の主要な首都といいますか、観光の都市においては、そういった環境はもう当たり前なんですね。したがって、東京も、そういったところはしっかりと目指す必要があろうと思っています。
あと、細かいことになりますけれども、WiFiを利用する場合には、最初に必ずID、パスワードを入れて設定作業をしなきゃならない、これは結構面倒なんですね。面倒なんでやめちゃおうかというような感じがあるわけですけれども、先般、福岡市を視察させていただきましたけれども、福岡市もこういう無線LANの環境づくりを積極的に取り組んでいるわけですけれども、九州ですから、台湾から来る観光客が非常に多いわけですね。
皆さんも携帯電話を使ったときに、以前、外国に行って携帯電話をこのまま使えないかなと思った時代がかつてはあったんだと思いますけれども、そのうち、携帯のローミングサービスというのが始まって、いわゆる日本で使える携帯電話を持っていけば、飛行機をおりるとすぐにもうアンテナが立って、何ら設定作業することなしに使えるということであります。
これを福岡では台湾と連携をして、いわゆる台湾でもって、向こうでWiFiが使えるようにしておけば、しておくというのは、別に福岡で使おうと思ってではありません、台湾でもってちゃんとWiFiが使えるようにしておけば、福岡に、飛行機をおりてまちに入った瞬間に、もう何もしなくてもWiFiが使えると。WiFiローミングというようなサービスも行っていたわけでありまして、さまざま、これから取り組んでいくことがあるんだと思います。ぜひとも海外からのお客様にとって便利になるように、取り組みをお願いしたいというふうに思います。
都内には数多くの有名な観光スポットがありまして、国内外からの旅行者もそうした場所をめぐりながら、東京の観光地としての魅力を感じていくものと考えております。
その一方で、都内の各地域には、来訪者は少ないものの、観光にふさわしい名所や旧跡などは数多くありまして、それらをうまく活用してPRを行い、旅行者の誘致に結びつけることが重要であると思います。また、地元では、観光につながる資源であるとの理解はないものの、外国人などの旅行者から見ると、極めて魅力的と感じるさまざまな材料があるというふうに思っております。
例えば、外国人に人気の温泉といったものが山の奥にありまして、秘湯といったようなイメージが強いわけでありますけれども、私が耳にしたところでは、東京二十三区の温泉の数というのは実は大変な数なんですね。東京全体でも、温泉が存在をする密度でいいますと全国で四番目であると。二十三区に限っていいますと、これは日本一温泉の存在する密度があるという場所なわけでありまして、私たち、地元というか、東京に住んでおりますと、余り実感としてはないわけですけれども、実際はそういうような場所が東京であるというふうにもいえるわけであります。
私の地元にも、普通のお風呂屋さんで天然温泉を使っている、まさに温泉をうたっているお風呂というのがあるわけですけれども、こういったいろんなスポットを育て上げていくということは大変重要であると思います。
地域の中で観光スポットを新たに育て上げようとする取り組みに対しまして、都として二十六年度はどのような対応を行ってきたのか、また、温泉の活用のような創意工夫に関してどうサポートするお考えを持っているのか、お伺いしたいと思います。
○坂本観光部長 都は、平成二十五年度から、魅力的な観光資源を活用する各地域の団体などのアイデアを民間事業者のノウハウと結びつけて、旅行者の誘致につなげる地域資源発掘型実証プログラム事業を実施しております。
平成二十六年度は、商工会議所や大学などから応募がございまして、そこから旅行者誘致イベントの実施に加え、旅行商品や特産品の企画や開発など、合計いたしまして二十二件を選定して支援を行ったところでございます。また、複数の地域が連携をした広域的な取り組みに対して、事業規模の上限額を五百万円から一千万円にふやして支援も行ったところでございます。
この実証プログラム事業でございますが、この事業では、温泉を活用した観光振興の取り組みなどについても、地域からの申請に応じて内容を審査した上で、支援を実施することは可能な仕組みとなっているところでございます。
○高倉委員 ぜひ地域のさまざまな資源をしっかり活用するような取り組みをお願いしたいと思います。
先ほども申し上げましたけれども、特に外国から来る観光客にとって、日本のどういったところを見たいと思うのかという、その情報源になっているのは、ガイドブックみたいなものかなとも、ふと思うんですけれども、やはり最近は、特にネットの口コミのサイトが大変な情報源になっているということであります。
新宿の南口、この間通りましたけれども、あそこは工事中で、工事の、いわゆる入れなくなっている柵がずっと並んでいるわけですが、ハローキティのかわいい絵がずっとあるんですね。あれが非常に話題になっていて、写真を撮りに来るというか、あれを見て感動して、もうこれで帰ってもいいんだみたいな、そういう観光客の笑顔をテレビで見たことがありますけれども、どういったものが観光の資源になるのか、本当に私たちの常識的な考えではなかなかわからないところもありますので、ぜひよく研究もしていただきたいと思います。
それからもう一点、ちょっとお願いをしておきたいんですけれども、やはりパラリンピックを迎えるに当たって、障害者が数多く東京を訪れるようになるというふうに思っております。
そういう中で、例えば車椅子の障害者でも普通に回れる東京の観光ルートの紹介とかいったものをさらに積極的に発信をしていく必要があろうと思っていますし、あるいは宿泊の施設、客室にリフトつきの客室というのが、恐らく都内には極めて限られている数しかないというようなことを聞いております。
ある難病の団体の役員の方が、地方に住んでいるんですが、東京で会議をやるときに東京に来るわけですけれども、家族と一緒に宿泊をするんですけれども、そのときに非常に困難なのがリフトつきの客室を探すこと。いわゆる家族といっても結構ご年配なわけですね。そうすると、客室の中で、お風呂に入れたり着がえをしたりするときも、リフトというのは欠かせないというようなことがありまして、ぜひそういう実態もお調べになったらいいんじゃないかなというふうに思います。
さまざまな取り組みはこれからあると思いますので、ぜひ積極的に取り組みをお願いしたいと思います。
続きまして、農林水産業のことについてお伺いしたいと思います。
最近、若者を中心としまして、農業や林業などを志す人々が出てきているという話を聞くわけであります。こうした人々に対しまして、都がその就業支援に取り組んでいくことは、将来ある若者の就業先として、また、定年後の新たな生き方の選択肢としての可能性を広げることはもとより、担い手の高齢化や後継者不足など、都内農林水産業が抱える課題の解決にもつながるため、大変重要な取り組みであると思います。
都内における農林水産業への従事者数について、農林水産省が発表している農林業センサスや漁業センサスによりますと、農業従事者数が平成二十二年で一万二千九百六十五人、漁業従事者数が平成二十五年で九百七十二名となっております。また、林業従事者数は、都の森づくり推進プランによりますと、平成二十五年で二百二十四人ということであります。
このように、農業、林業、水産業の各分野において、他の道府県と比較をしますと、決して多いというふうにはいえませんけれども、それを懸命に支えていらっしゃる方々がいるわけであります。こうした人たちの存在があってこそ、都内の農林水産業は成り立っているわけであります。
一方、新規の就業者数に着目をしますと、例えば農業では、東京都農林水産振興財団の調べによりますと、平成二十六年度に五十五人の方が新たに就業しております。都内農林水産業における人材確保の観点から、新規就業者数の増加に向けまして、都としても積極的な支援を行っていくべきと思います。
そこで、農林水産業への就業を促進するために、都が平成二十六年度に実施した具体的な取り組みについて、お伺いをしたいと思います。
○寺崎農林水産部長 農林水産業への就業促進に向けた平成二十六年度の取り組みといたしましては、まず農業への就業支援では、経営の不安定な就農初期段階の青年就農者に対しまして給付金を支給したほか、農業後継者や定年退職等を契機に就農する中高年者向けに、栽培技術等を習得するためのセミナーを実施いたしました。
次に、林業では、新規就業者等の負担軽減を図るため、雇用者である林業事業体が宿舎を借り上げる経費や、東京都農林水産振興財団に設置されている林業労働力確保支援センターが行う危険予知訓練の研修経費への補助を実施いたしました。
また、漁業では、漁業協同組合などが就業希望者を対象に実施する漁業体験に係る経費や、操業に必要な小型船舶操縦免許等の資格取得経費への補助を実施いたしました。
○高倉委員 就業支援に向けまして、都がさまざまな取り組みを行っているということであります。こうした取り組みについては、継続をしていくことが重要でありまして、今後とも積極的に取り組んでいただきたいと思います。
一方で、ボランティアという形で農林水産業に従事したいと考える方もふえてきているというふうに感じています。こうした方々にボランティアに参加する機会を提供することは、多様な担い手の確保が図れるとともに、将来的には農林水産業への従事者の増加にもつながるのではないかというふうに思います。
例えば、農業における、いわゆる援農ボランティアにつきましては、都民からの希望者も多く、さまざまな団体がその取り組みを進めておりまして、その結果、遊休農地の発生や農地の低利用化の防止に役立っているというふうに聞いております。
都では、こうした援農ボランティアの活用を促す取り組みとして、農作業サポーター支援事業を実施しておりますけれども、平成二十六年度の具体的な取り組み内容についてお伺いをいたします。
○寺崎農林水産部長 農作業サポーター支援事業では、多様な担い手を活用し、農地の保全や利活用の促進を図るため、区市町村の枠を超えて活動する広域型の農作業ボランティアの登録、派遣等を行い、農作業の手伝いを希望する農業者を支援いたしました。
平成二十六年度までに、百十九人が広域型ボランティアに登録し、雑草除去や種まき、農作物の収穫等の作業を行うことにより、農家の労働力不足解消に寄与いたしました。
また、ボランティアの技術力向上を図るため、果樹の管理や農業機械の操作など、実践的な技術研修も行っており、農作業の一層の負担軽減につながっております。
○高倉委員 農業以外の分野でも、この十月からは、都内の森林で植林や下草刈り等の作業を行う、とうきょう林業サポート隊によりますボランティア活動が始まり、十代から七十代まで二百人近い方の登録があったというふうにお聞きをしております。こうしたボランティアとしての農林水産業への従事ニーズは、今後とも高まっていくと思います。
都内農林水産業の振興を図る上で、新たな担い手の確保、育成は大変重要な課題でありまして、今後ともぜひしっかり取り組んでいただきたいと思います。
農林水産部長にお伺いしたわけでありますけれども、やはり新規の就業といいますか、就業の観点からも、やはり農林水産業を選択するというようなことをしっかりと、職を求めている方々にも提供していくということが、私は大事だというふうに思っておりますので、ぜひこの点もあわせてお願いをしたいと思います。
最後に、金融についてお伺いしたいと思います。
中小企業の資金繰り支援に関しまして都が独自に取り組んでいる新保証つき融資と動産債権担保融資、二つの制度についてであります。
我が国の経済は、緩やかな回復基調が続いていますが、円安による仕入れ価格上昇などによりまして、中小企業の経営環境は依然として厳しく、資金調達に苦しむ中小企業は少なくないわけであります。
都は、こうした中小企業を支援するために、制度融資とともに、地域の金融機関と連携をした独自の新保証付融資制度に取り組んできているわけであります。
この制度は、平成二十年秋のリーマンショックをきっかけにしまして、中小企業が大変厳しい経営環境に置かれる中、制度融資だけでは十分な資金調達ができない中小企業の資金繰りを支援するために創設されたものでありまして、地域の金融機関の目ききの力と民間保証機関の審査ノウハウを活用した都独自の制度となっております。資金調達のルートが複数あることは大変重要でありまして、私も、この制度で窮地を救われたという経営者の声をお聞きしておりまして、中小企業にとって大変ありがたい制度であるというふうに思います。
そこで、平成二十一年度の制度創設から六年余りが経過をする中で、平成二十六年度を含めたこれまでの利用実績とそれに対する都の見解について、お伺いしたいと思います。
○山巻金融部長 地域の金融機関と連携いたしました新保証付融資制度の保証承諾実績は、融資受け付け開始からの六年間の累計で六千五百八件、約五百十億円でございました。
事業初年度となります平成二十一年度は、十月から受け付けを開始いたしまして九百九十七件、約八十九億円でございました。直近の平成二十六年度は一千二百九十四件、約百億円でございまして、この間、年度ごとに多少の変動はございますが、おおむね毎年度百億円規模の実績で推移しております。
取扱金融機関につきましては、平成二十一年度は十三行でございましたが、その後、徐々に増加いたしまして、平成二十六年度の時点では二十五行にまで拡大しております。
また、本制度を利用いたします企業の約八割が既に制度融資を利用しておりまして、このことからも、本制度は、制度融資によるさらなる資金調達が難しい中小企業の資金繰りの円滑化に寄与しているものと認識しております。
○高倉委員 今ご答弁で、実績と、それから取り扱いの金融機関の数がふえて、順調に推移をしてきていると思います。それだけ大変役割を果たしているというふうに思いますので、ぜひ今後ともしっかり取り組みをお願いしたいと思います。
金融のことにつきまして、最後に、動産・債権担保融資制度、いわゆるABL制度についてお伺いをいたしたいと思います。
金融機関が行う融資は、その担保の多くが不動産でありまして、土地や建物を持たない中小企業は、資金繰りに苦労しているのが現状であります。そうした中、中小企業の保有する動産を担保として有効活用することで、不動産担保に頼らずに資金調達できるようにしたのがABL制度であります。
都のABL制度は、我が党が提唱した、機械・設備担保融資制度に売掛債権や在庫などの事業用資産を担保対象に加えまして、都独自の制度として総合的に発展をさせてきたものでありまして、中小企業の資金調達手段の多様化を図る上で、大変意義深い制度と考えております。
平成二十六年度は、制度発足初年度でありますけれども、本制度の特徴と二十六年度の実績をお伺いしたいと思います。
○山巻金融部長 平成二十六年五月に取り扱いを開始いたしました東京都動産・債権担保融資制度、いわゆるABL制度ですが、こちらにつきましては、機械設備に関しましては自動車のリース会社等が、売掛債権、在庫に関しましては企業の取引動向や市場動向に精通をいたしました鑑定機関が、それぞれ客観的に担保物件の評価を行うなど、専門機関のノウハウを活用いたしまして、取扱金融機関によります融資をサポートしております。
また、中小企業の負担軽減を図るために、融資額の四%を上限に担保評価費用の二分の一を補助しておりますが、特に小規模企業に対しましては、評価費用の全額を補助しております。
平成二十六年度の融資実績は、融資件数六十一件、融資総額約二十八億円となっております。このうち、トラックや工作機械など機械設備を担保とした融資実績は二十二件、約三億円、取引先に対します売掛金や、食品、書籍など取扱商品を担保といたしました売掛債権、在庫の融資実績は三十九件、約二十五億円でございまして、本制度によって、中小企業の持つ多様な資産が担保として活用されております。
○高倉委員 初年度から大きな成果が出ているというふうに思います。ぜひ本制度の利用促進を今後とも図っていただきたいと思います。
以上で終わります。
○中山委員 私からは、中小企業施策を中心に質疑を行ってまいりたいと思います。
まず、都内の中小企業の経営安定化支援について伺います。
私は、中小企業の中でも、特に小規模企業へ光を当てていくことは大変重要だと考えます。小規模企業の経営者は、マネジャーであると同時に営業担当者でもある、あるいは発明家でもあり、さらには経理の担当もしなければならないといった現状でございます。
このような経営者は、自社の営業分野については専門家でありますが、金融機関との交渉や決算書の作成、分析などについては、不得意としている例が多くあるということでございます。
小規模企業に対する支援において、経営相談窓口の充実こそ、東京都として取り組んでいただきたいと考えます。その意味で、相談窓口にはできるだけ金融のプロを配置して、金融機関から見た中小企業の見方というものを学べる機会をつくっていただきたいと、そのように思います。
こうしたことを踏まえ、都は、小規模企業の振興施策においてどのような視点で取り組んでおられるのか、伺いたいと思います。
○松永商工部長 小規模企業者は、経営基盤が脆弱であり、みずからの力のみで経営の安定を持続することが難しいことから、都は、商工会議所や商工会を通じて、経営相談や講習会の開催、会計の記帳指導等を実施し、企業の経営安定を図っております。
経営相談におきましては、融資が必要な場合には、制度融資等につなぐとともに、必要に応じて金融を得意とする専門家を企業に派遣するなどしております。
○中山委員 今答弁をいただいたとおりでありまして、みずからの力のみで経営の安定を持続することは難しいということでもありますし、私が強調しておきたいのが、金融機関から見た、中小零細企業が一体どのように見られているかということであります。もっといえば、金融庁が、金融検査マニュアルによって銀行は指導監督を受けているわけでありますから、それが結果として、金融機関が中小企業の決算書をどうやって、どう見ているのか、そこはどうしても、金融機関は中小企業と取引しなければいけませんので、そういう面から支援の強化をお願いしたいというふうに思います。
次に、都では、近年の大震災、新型インフルエンザなどのリスクが高まる中、BCP策定事業に関連する施策を早くから取り組んでまいりました。しかし、中小企業においては、BCPへの関心はなかなか高まらない状況でもあります。そういう意味では、都内の企業の策定を促すことも重要ですが、中小企業団体等に働きかけることで、幅広く問題意識を促すことにつながると考えております。
そこで、団体向けBCP策定における支援事業の二十六年度の実績について伺います。
○松永商工部長 都は、BCPの普及に取り組む中小企業団体に対する支援を行っており、平成二十六年度は、七十一団体に対してBCP策定のためのセミナーを実施したほか、組合員向けBCPマニュアルの作成など、団体自身の取り組みに対し、九件の経費助成を行いました。
○中山委員 平成二十六年度だけでも、七十一団体のセミナーを開催していることが明らかになってきたわけでございますが、業種によっては、東京都としても公共性という視点からも取り組んでもらいたい業種があると思います。そういった面から、なお一層のきめ細かい支援体制の構築に力を注いでいただきたいとお願いを申し上げます。
次に、事業承継・再生支援事業について伺いたいと思います。
都では、経営環境の激変による経営継続への不安、新規事業の立ち上げや販路対策、後継者不在による事業譲渡や株式等資産問題、業績不振による返済計画の滞りや組織再編等の悩みや課題を抱える中小企業が、次期以降を見据え、できるだけ早い段階で対策を講じられるよう経営支援を行ってまいりました。
そんな中、商工会議所のホームページを見ますと、事業承継税制を知っているか、あるいは名前を聞いたことがあるかという質問に対して、知っている、名前は聞いたことがあるという回答が五割を超えたものの、四割が知らないという回答であったそうです。これは、事業承継に対する認識度がまだ足りないことを示していると考えられます。
そこで、事業承継の早期対策を促すための取り組み状況について伺いたいと思います。
○松永商工部長 円滑な事業承継に向けた計画的な取り組みを中小企業に促していくため、都は、経営者やその後継者を対象とした事業承継セミナーの開催やパンフレットの作成、配布などの普及啓発を実施いたしております。
○中山委員 さまざまな施策によって、中小企業の事業承継に向けた取り組みをされているということが明らかになりましたが、二〇一四年の七月に、中小企業庁による中小企業白書を読む限りにおいても、後継者の育成には三年以上要するという設問に対して、八割以上の経営者がそう思うと答えております。回答しているのに対して、準備ができていないと答える経営者が、六十代で六割、七十代で五割、八十代で四割いるそうであります。
今後、早い段階から事業承継の準備に着手してもらうよう、きめの細かい情報提供や意識づけが必要と、中小企業庁の報告は結んでおります。そういった調査結果からも、普及啓発にはなお一層取り組んでいただくよう要望して、次の質問に移ります。
都では、中小企業の事業承継の早期対策を促すために、相談窓口を開設するとともに、課題分析から承継方針の策定、方針の実行の各段階で、専門家の活用などによる支援を実施しております。
二十六年度の実績と、中小企業者にとっておおむねどのような費用が発生するのか、伺いたいと思います。
○松永商工部長 都は、事業の承継や再生に取り組む企業に対し、相談を実施するほか、中小企業診断士等の専門家を派遣するなどの支援を行っており、承継、再生を合わせた昨年度の延べ実績は、相談が千五百十八件、専門家派遣が四十四件でございました。
また、これらの支援策に係る中小企業の費用負担はございません。
○中山委員 今、相談件数並びに支援策に係る中小企業の費用負担はないことが明らかになったわけですが、先ほどの中小企業白書でも、準備ができていないという経営者が多いことがわかったわけでありますが、二〇一四年の経済産業省が大和総研に委託した調査においても、事業承継を進める際の相談相手という項目がありまして、六千ほどのサンプルを持っております。後継者選定についてだとか、あるいは相続税、贈与税についてなど、もろもろのこういういろんな設問があるわけですが、そもそも相手に、誰にも専門家に相談していないという方が、経営者が四割ほどもありました。そういったことから、事業承継・再生支援事業の強化をさらに進めていただきたいと要望させていただきたいと思います。
次に、中小企業情報分析について伺いたいと思います。
二十六年度事業概要を拝見すると、都は、中小企業情報分析として四つの調査を行っております。これは、製造業、サービス産業、流通産業について、それぞれ三年ごとに経営実態を把握する中小企業の現状調査、現況、売上高等に関して毎月行う景況調査、テーマを決めた事業化調査、中小企業の決算書から経営動向を把握する業種別の経営動向調査であり、産業労働局のホームページでも閲覧できるようになっております。
これらの調査は、都が施策を実施する上で重要なことでありますが、都の施策を生かす以外では誰がどのように活用しているのか、伺いたいと思います。
○松永商工部長 都の各種調査につきましては、各企業がこれらの調査結果を活用し、自社の経営改善につなげるとともに、中小企業支援機関において、支援メニューの策定や相談等に活用しております。
○中山委員 主には施策の根拠のために活用していると考えますが、このような調査というものは、ややもすると惰性的になってしまうという側面もあります。今後も、調査の目的をぜひ明確にしていただきたいと要望をさせていただきます。
次に進みます。
先ほどいいました業種別の経営動向調査については、都内の中小企業より提出された決算書の数値を集計、分析し、経営動向を把握するとともに、業種ごとの平均的指標値を提示することで、中小企業の経営合理化に供するとあります。業種別を集計して分析することは、業種別のさまざまな実態がどのように明らかになるのか、所見を伺いたいと思います。
○松永商工部長 業種別経営動向調査では、製造業四十業種、卸売業十八業種、小売業十七業種など、合計九十六業種について、業種別に売上高等を調査し、分析を行っております。こうした細分化された調査、分析を行うことにより、業種ごとの収益性や生産性等の特徴が具体的に明らかになります。
○中山委員 事業概要で示されているとおりでは、決算書のうち、貸借対照表や損益計算書など数値を集計し、分析することで、中小企業にとってどのような経営の合理化につながるのかということになっているんですけれども、この調査において、当初は疑問を持って改めて拝見させていただいたんですが、いろんな角度からの調査となっております。突出した部分においては、かなり施策に反映できるのではないかというふうにも思いました。今後とも改めて施策につなげていくよう、要望させていただきたいと思います。
次に、この調査についてなんですが、中小企業情報分析については、時代とともにいろんな変化をするわけなんですが、施策も戦略も変化すると考えますが、分析内容については変化をしているのか伺います。
○松永商工部長 経年変化を調べる調査につきましては、基本調査項目を固定しておりますが、その他の調査につきましては、時宜にかなったテーマを設定して実施いたしております。
○中山委員 今回の質疑によって、情報分析についての重要性は明らかになりました。しかし一方で、行政の調査というものは、ややもすると調査のための調査になりがちな面もよくあるものであります。
そこで、時代の変化に合わせて、時宜にかなった調査になるよう研究をしていただきたいと要望申し上げます。また、中小企業を支える税理士さんだとか、経営コンサルタントだとか、あるいは中小企業に向き合う人たちの最も材料になるように、ブラッシュアップを図っていただきたいと、そのように思います。
次に、経営革新計画の承認について質問をしていきたいと思います。
市場自体が拡大していった時代とは違いまして、企業が厳しい競争にさらされている中、常に時代の変化を敏感に捉え、変革を図っていくことこそ、今の時代、最も大切なことといえます。
中小企業の支援策のあり方も、全ての中小企業を対象とする時代から、やる気のある前向きな企業を支援していくということは、都では、経営革新計画の承認や計画のフォローアップ支援が行われているとも認識しております。
そこで、経営革新計画の承認実績とフォローアップの状況について、伺いたいと思います。
○松永商工部長 平成二十六年度における経営革新計画の新規承認数は三百六十二件でございました。また、計画初期の企業や終了が近づいた企業等の希望に応じて実施いたします専門家のフォローアップ支援の実績は、延べ七十三件でございました。
○中山委員 ご答弁をいただいたとおりなんですが、経営革新支援については、中小企業事業促進法に基づく施策でありますが、承認を受けるためには、計画終了時に一定の指標による経営目標を達成できる見込みが十分にあるビジネスプランを立てることが前提であります。
意欲のある経営者にとってみれば、プロのフォローも含め、新商品開発や新たな事業活動ができる環境は重要であります。また、経営者にとってみれば、新たな課題が明らかになることにもつながるわけでございます。今後の施策展開に期待をして、最後の質問に移ります。
皮革関連産業振興について伺いたいと思います。
事業概要には、皮革関連産業の経営環境は、皮革の輸入自由化などの影響を受け、大変厳しいものになっているため、皮革製品の国内外の展示会出展や技術者の海外研修により、皮革関連産業の振興を図っているとのことであります。
私の地元の台東区でも、これまで地場産業として発展をしてきたものの、産業構造の変化あるいは人口の動態の変化に加えまして、職人の高齢化などにより、厳しい環境下にあることは間違いありません。
しかしながら、地元としても厳しい中にあっても何とか再興しようと。そして、皮革産業の聖地であるというような自分たちの自負のもとで発信をしているわけでありますが、昨年も靴磨き世界一挑戦ということで、昨年、八百人で靴磨きをしてギネス挑戦をしました。これもギネスを獲得できたわけであります。
今週も、浅草の北部において、エーラウンドという、皮革製品のものづくりイベントが行われております。これは、職人や工場などのつくり手と語り合ったり、あるいは皮革を中心としたものづくりを体感できるようなイベントであります。
日本の皮革製品の特徴、これは例えば靴においては、いわゆる安心・安全と履き心地であるというふうに、世界に誇れる技術でもあります。そういったことを踏まえまして、都はこれまで、皮革関連振興施策を展開してまいりました。これは、国の経済産業省や区との連携を視野に入れ、取り組んでいただきたいと、そのように思います。
そこで、都はどのような観点から振興施策を展開しているのか、伺いたいと思います。
○松永商工部長 都は、皮革関連産業が輸入品の増加や原材料価格の上昇等に対応できるよう、製品の性能試験等の技術支援のほか、国との連携による販路開拓支援や、地場産業の活性化に取り組む地元区への支援など、さまざまな角度から施策を講じております。
○中山委員 今ご答弁をいただいたとおり、都の支援の特徴としては、製品、性能の技術支援が明らかになったわけでありますが、城東職業能力開発センターの台東分校などでは職人を育てており、重要な役割を担っております。
そういう意味では、製品性という意味では誇れるんですけれども、現在、モノマチといって、クリエーターさんたちが店をつくってイベントを開いたり、そのイベントは相当多くの人が訪れております。また、先ほどご紹介しましたエーラウンドというイベントなども行われております。要は、なるべく販路拡大を進めていくということが一番大きな課題になっていくだろうというふうに思います。
そこで、都は、皮革製品製造経営安定化対策等の事業で、消費者ニーズの動向を的確に把握する展示会を開催し、新商品の開発及び販路の開拓を図っているようでありますが、この施策の実績と効果についてご披瀝いただきたいと思います。
○松永商工部長 都は昨年度、皮革製品製造業者の団体に対して、国内展示会への出展を支援したほか、革靴製造業者の団体が主催する海外展示会への支援を実施いたしました。これらの支援は、新商品の企画開発に必要な最新情報の収集に役立つとともに、東京の皮革製品の認知度の向上につながっております。
○中山委員 業界としては大変厳しい業界であるというふうにいわれております。ただ、東京の東部地区の中心的な地場産業であることも、これは事実であります。
都としても、今後も諸課題を明確に捉えつつ、さらに支援強化に取り組んでいただきたいということを要望して、質問を終わらせていただきます。
○曽根委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後三時三十二分休憩
午後三時四十六分開議
○曽根委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○高木委員 去る十月七日に安倍内閣は、新しい組閣と同時に、これまでのアベノミクスの成果を踏まえつつ、一億総活躍という旗を掲げまして、新たな国づくりに向けた基本方針を示したわけであります。少子高齢化といった構造的課題に真正面から向かい合い、戦後最大のGDP六百兆円の実現に向けて取り組みを進めようという大変意欲的なものであります。景気回復への足取りを確かなものとし、次なる成長ステージに乗せる、まさに今、正念場でありまして、都としても、国の政策と軌を一にして取り組みを進めていく必要があろうと思っています。
本日は、平成二十六年度決算にこうした視点を交えながら、産業政策として取り組むべき課題について何点か取り上げていきたいというふうに思っております。
まず、中小企業の制度融資についてお伺いをいたします。
GDP六百兆円、そして力強い経済の実現に向けて、およそ九十四兆円にも及ぶ都内のGDPの底上げを図っていく必要があるわけでありますが、それには都内企業の九九%を占める中小企業の活性化が不可欠であります。
GDP六百兆円というのは、今、大体、GDPが約五百兆円と、こう日本全体ではいわれておりますけれども、そういう意味で二割増しという考え方でいいんだろうと思います。ですから、東京がおよそ九十四兆円のGDPを、自治体全体で、東京全体で持っているとすれば、これを百十兆とか百二十兆まで引き上げていくという考え方にならなければ、きっといけないんだろうと思います。
そこで、まず、中小企業の資金繰りのかなめであります、都内中小企業の約半数が利用している制度融資について、お伺いをさせていただきたいと思います。
この制度において重要なことは、中小企業の利用動向を踏まえた機動的な融資メニューの拡充と、制度全体を支える預託金の確保であると思います。預託金は都から金融機関に無利子で預けられ、貸し出しの原資の一部になるなど、中小企業への円滑な資金供給には不可欠なものと私たちは認識をいたしております。
聞くところによりますと、金融機関が行う中小企業向けの融資全体としては、増加をしているという一方で、制度融資の実績自体は減少傾向が続いているようであります。
この点について、私は、平成二十五年の予算特別委員会の質疑を通じて、制度融資の預託金というのは、一定期間、金融機関に預けておくことで、中小企業の円滑な資金供給に大きな効果を発揮するものであり、単年度の融資実行額のみにとらわれずに、過去の融資も積み上がっていること等も考慮して、手厚い措置をしっかりと続けていくことが必要であるということを主張し、それを質疑の中で明らかにしてきたというふうに思っております。
そこで、平成二十六年度の制度融資の融資実績及び残高の動向と、その要因をどのように分析をしているのか伺います。
○山巻金融部長 平成二十六年度の制度融資全体の利用実績は約八万四千件、一兆七百八十四億円で、前年度に比べて減少いたしました。また、融資に係る保証債務残高につきましては、平成二十六年度期末残高が三・九兆円で、前年度同期と比較すると減少しておりますが、これはリーマンショック以前とはほぼ同水準にございます。
実績減少の要因といたしましては、金融円滑化法を契機として、返済期限の延長など債務の条件変更が急増いたしまして、資金循環が活性化しにくい状況にあることや、金融機関の融資姿勢が前向きになってきたことによりまして、保証によらない金融機関のプロパー融資での対応がふえてきたことなどが考えられます。
一方で、平成二十七年の一月から三月までの四半期を見ますと、創業や設備更新などの前向きな資金を中心に、前年同期を上回る利用実績となっておりまして、資金需要が活性化している兆しも見られます。
今後とも、利用動向や経済情勢など、中小企業を取り巻く状況を踏まえまして、引き続き必要な規模の預託金を確保いたしますとともに、制度のさらなる充実に努めてまいります。
○高木委員 前向きな資金需要が伸びてきているということで、ようやく中小企業にも景気回復の効果が届き始めたのかなと思いますが、円安等による原材料価格の上昇や、ここへ来て中国経済の先行きなどの不安材料も出てきたわけであります。また、ゆうちょ銀行の預入限度額の引き上げの動きも見られる中にありまして、長年にわたって中小企業のパートナーとして重要な役割を果たしている信用金庫や信用組合などへの目配りというのも、私は必要だろうと思うんです。
そこで、中小企業を取り巻く経済環境はいまだ予断を許す状況にはないわけでありまして、景気回復の足取りを確かなものにしていくためにも、中小企業を金融面からしっかりと支えていく必要があることから、制度融資の預託金を今後とも安定的に確保していく、そのことをまず求めておきたいと思います。
また、基幹制度である制度融資に加えまして、先ほども質疑の中にも出ておりましたが、都は独自に、地域の金融機関と連携した新保証つき融資や動産債権を担保とするABL制度にも取り組んでいるわけであります。
多様な資金調達手段を用意して、中小企業の資金繰りを支えることは大変重要でありますから、利用者のニーズを踏まえて、さらなる支援の拡充に向けてしっかりと取り組んでいただくように、改めて要望しておきたいと思います。
次に、創業促進の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
都は、長期ビジョンの中で掲げた開業率一〇%に向けて、さまざまな取り組みを進めていますが、現在の開業率は四・八%でありますから、倍以上を目指すという非常に高い、そしてかつ意欲的な目標を掲げております。そして、その達成に向けてどのような道筋をつけていくのかというのが、これから重要であろうと思います。
都の女性・若者・シニア創業サポート事業は、新たな創業の担い手として期待される女性、若者、そしてシニア、その三つのカテゴリーに分かれておりますけれども、そうした人たちがその力を存分に発揮して、地域社会で起業できるようにするため、金融機関による資金供給と創業の専門家による経営サポートを組み合わせて提供する制度でありまして、これは私がその創設を強く求めてきたと思っています。
私の発想は、ある意味でこうした三つのカテゴリーに分けましたけれども、社会の中でこれから活躍をしていただきたいという意味で、今まである意味で光が当たっていなかったというわけではないんですけれども、なかなか起業に向き合うという環境がなかった人たち、そういう人たちに対して新しい制度をつくろうではないかと。一つ参考になったのは、やはり諸外国でもやられている、いわゆる金融のマイノリティー制度のようなものを一つは目指してきたということであります。
この事業は、当初十億円を十年間にわたって融資原資として活用するというものでありましたが、計画以上に融資が進んだ金融機関もあったために、補正予算で十億円を追加いたしました。
私の地元の北区でも、経営サポートを行うアドバイザーが熱心に活動していただきまして、地域の活性化にもつながっていると感じております。一億総活躍の実現に向けた取り組みの先駆けともいえると自負をいたしているわけでありますが、この事業を通じて創業を強力に促進していくためには、利用者の視点に立った見直しを続けまして、改善を図っていくことも重要であると思います。
そこで、制度開始初年度である二十六年度の実績とそこから見えてきた課題について、お伺いいたします。
○山巻金融部長 女性・若者・シニア創業サポート事業では、平成二十六年度、女性に二十一件八千万円、若者に二十五件一億円、シニアに四件二千万円と、合わせて五十件二億円の融資を実行いたしました。
本事業は、信用金庫、信用組合や創業アドバイザーと連携いたしまして、有利な条件での融資とともに、セミナーの開催や事業プランへの助言等を行うものでございまして、地域に根差した創業への支援を通じて、地域の課題解決や活性化にもつなげていこうというものでございます。
代表的な事例といたしまして、女性につきましては待機児童問題を解決するための保育サービス、若者につきましては空き店舗の活用などを通じて商店街の活性化に資する不動産仲介管理業、シニアにつきましては高齢者の見守りが可能となるソフトウエアの開発などといったものが挙げられます。
課題といたしましては、創業後の事業者に対する支援の充実が挙げられ、具体的には、本事業の融資を受けた事業者に対する創業後のよりきめ細やかなサポートや、現行では支援の対象外となっております創業後一年以上の事業者への対応が求められていると、こういうふうに認識しております。
○高木委員 この事業を通じて、地域に根差した創業が着実に生まれつつも、創業後の経営を軌道に乗せていくための支援が課題ということであったと思います。
女性、若者、シニアの創業に当たっての課題は、それぞれ異なると思うんですが、調査によれば、女性は創業における資金調達力や経験、人脈の不足が課題とされているとのことであります。こうしたそれぞれの課題や特性に応じて、きめ細かな支援の充実を図っていただくよう求めておきたいと思います。
もう一点、創業の担い手として期待される若者について取り上げてみたいと思います。
新たな事業の立ち上げに果敢に挑戦をして、独創的なビジネスモデルを創出して時代を切り開いてきたのは、いつの時代においても創造性に富む熱意あふれる若者であったと思います。
アメリカでは、斬新なビジネスアイデアを有する若者が学生時代に起業し、若くして事業を軌道に乗せ、経済を牽引する旗手として、グローバル市場で活躍する企業にまで成長させた例が数多く存在をしております。私たちが知るところでも、例えばマイクロソフトでありますとか、あるいはグーグルでありますとか、数限りなく、世界的企業が、こういう学生の、いうなれば天才的な起業家によってつくり上げられてきたということだと思います。
我が国では現在、こうした企業をなかなか見出すことができない状況にあるわけですが、しかし、ぜひとも東京から、世界で伍して戦えるすぐれた起業家を数多く輩出してもらいたいと思います。そのためにも、高い志や柔軟な発想を持つ若者を掘り起こして、リスクを恐れずに起業できるように、融資や助成、先輩起業家との交流など、さまざまな支援策を連携させて後押しすることも必要であろうと思います。
都は、平成二十六年度から、将来有望な若手人材の掘り起こしと育成を図るビジネスプランコンテストに取り組んでいますが、二十六年度の実績、実施状況と、創業をさらに促進する上での課題について、お伺いいたします。
○松永商工部長 都は、若者の起業を促進するとともに、確実に成長させていくため、次世代アントレプレナー育成プログラムを実施いたしております。
昨年度は、四百四十八件の提案が寄せられ、事業計画書の磨き上げやプレゼンテーションスキル向上のセミナー、先輩起業家によるアドバイス等、さまざまな支援を実施するとともに、最終選考となる公開コンテストへの参加者を選抜いたしました。
公開コンテストに残った十名のうち、これまでに六名が実際に会社等を設立いたしております。置き薬のシステムを活用して、アフリカの農村部へ医薬品を提供するソーシャルビジネスや、地域にランナーを呼び込むため、日本各地の走りやすく魅力的なコースを紹介するウエブサービスの提供を開始した事例などがあり、メディアにも数多く取り上げられております。
今後、さらに多くの若手起業家を輩出するためには、本事業のすぐれたビジネスプランや起業事例の発信、他の創業支援策との一層の連携、さらには、新たな起業のきっかけづくりや起業家同士のネットワークづくりの場の設置等が必要であると考えております。
○高木委員 この事業を通じて、若者ならではの意欲あふれる柔軟な発想を生かした、すぐれたビジネスプランが実際の起業につながっているのは、大変心強い限りだと思います。
都は、開業率一〇%という高い目標の達成に向けて、本年度は、先ほどの女性・若者・シニア創業サポート事業の融資原資を百億規模にまで拡充するとともに、創業者への補助金や民間インキュベーション施設の整備補助などでも、百億円規模の支援策を講じております。こうしたさまざまな支援策を有機的に結びつけていくことが必要であろうと思います。
そして、創業希望者の掘り起こしや交流、ビジネスプランのブラッシュアップ、そして事業化までは、さまざまな人々がかかわることになります。こうした創業支援に携わる人々や創業希望者が集う場づくりなどを含めて、創業支援機能の強化をさらに進めていただきたいと思います。
若者のことを特に今回取り上げましたけれども、若者といってもいろんな若者がいて、年齢層もそうなんですが、特に、これから一つ検討していただきたいなと思っているのは、学生というキーワードを少し掘り起こしてみたいなと思います。
若者も、この若者、女性、高齢者の創業サポートのメニューでは三十九歳までと、こういうことになっておりますが、その中で、学生起業家あるいはそういうプランを持っている人、そういうところにも、先ほども出てまいりましたけれども、もう少し具体的に光を当てられないかなというふうに思いますので、ぜひ検討してみていただきたいと思います。
次は、働く環境の整備について、これは女性の活躍推進の視点からお伺いをしたいと思います。
都議会自民党では、これまでも世界で一番女性が輝く都市を目指して、ハード、ソフト両面において、女性が活躍しやすい環境を整備するよう提言をしてまいりました。先ほど申し上げている、都内企業の九九%を占める中小企業での取り組みを進めていただくためには、業種や業態ごとにまずモデルとなる中小企業を生み出して、それを広めていくことが必要だということで、昨年度、都は、女性の活躍推進事業を実施されたわけであります。その取り組み状況と成果について、まずお伺いします。
○矢田部雇用就業部長 都は、女性の職域拡大や管理職登用、職場定着など、他の企業のモデルとなる取り組みを行う中小企業等を支援するため、平成二十六年度から女性の活躍推進事業を開始いたしました。
昨年度は、中小企業及び団体から二十二件の応募があり、建設、情報通信及び医療福祉などの分野から合計六件のプロジェクトを選定いたしました。具体的には、建設分野で更衣室兼休憩室の設置、作業服の製作など、女性の職場環境整備を進めるとともに、建設業の経験がない女性を対象とした教育訓練を行うもの、また、情報通信分野で、コアタイムがなく出社の義務づけもない在宅勤務制度を導入するものなど、いずれも特色あるプロジェクトで、現在取り組みが進められています。
今後は、こうしたモデル企業での成果を取りまとめて広く発信するなど、女性の活躍に向けた社会的機運の醸成を図ってまいります。
○高木委員 モデル事業の実施を通じて、さまざまな業種で女性の活躍の場を広げられる可能性が示されて、また、取り組みを進めていく上での課題も明らかになってくると思います。中小企業の生の声を施策の充実に生かしていっていただきたいと思います。
また、こうしたモデル事業に加えて、都は我が党の要望に応えて、今年度から、女性が企業の現場で働く環境を整えていくために、トイレ、更衣室、仮眠室などのハード整備に対する新たな支援を行い始めました。
この点についても、例えば建設工事現場での仮設の施設も補助の対象に加えていただきたいというような声も、私どもには多数寄せられております。今後、女性の働きやすい職場環境の実現に向けて、支援策のさらなる充実強化を求めておきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
次に、中小企業の人材確保という点で、もう一点お伺いをさせていただきます。
景気の回復傾向や建設需要などを背景に、企業における人材獲得競争はますます激化をしております。多くの中小企業が人材不足に苦慮しているということを、私たちは大変多くのところから聞いているわけであります。
我が党は、昨年の第三回都議会定例会においてこの問題を取り上げさせていただきまして、業種や業態によって異なる雇用の実態や人材育成のニーズを踏まえて、現場実態に即した支援を行うことを求めたわけであります。
これを踏まえて、都は昨年度から、業界団体からの提案を募り、社員の能力向上や雇用環境整備による定着促進など、魅力ある職場づくりの支援に取り組んでいますが、その取り組み状況についてお伺いをいたします。
○小金井事業推進担当部長 働く環境の整備や人材育成など、中小企業が魅力ある職場づくりを進めていくためには、業種や業態特有の課題を踏まえた効果的な支援が求められております。
このため、都は、国の交付金を活用して、昨年度から二カ年で、団体ごとの取り組みを支援する団体提案型処遇改善サポート事業を開始いたしました。本事業では、建設や介護業界など六団体の提案を採用し、各団体の関連企業二百七十七社に対して、専門資格取得や業務のスキルアップ研修などの取り組みを支援しています。
今年度末で国の緊急雇用創出事業は終了いたしますが、本事業を通じて把握した中小企業の現場実態を踏まえ、今後もしっかりと人材確保支援に取り組んでまいります。
○高木委員 どの企業も同じなんでしょうけれども、特に中小企業にとっては、小規模であるという企業の特性からいって、社員というのはやっぱり、当然ですけど経営の原動力ということだと思いますし、企業が必要な人材を確保し、安定的に活動できてこそ、都内経済の持続的な成長につながるものというふうに私たちは思います。
そして、建設業、介護、運送など、さまざまな業界が人材の確保や育成に対してそれぞれの悩みを持ち、業界単位でその解決を図る取り組みを進めようとしているところも多くなってきておりまして、我が党にも多くの要望がそれぞれの業界団体から寄せられております。
国費を活用したこの事業は、本年度で終了ということであるんですが、せっかく始めて、さまざまな課題も見えてきた段階で、この取り組みを終わらせるというのは、いかにももったいないなということを感じます。本事業の成果や課題も踏まえて、都みずからの責任でしっかりと支援に取り組んでいただきたいと思っています。また、その際には、国費のときにはできなかった事業も幅を広げるなどして、より柔軟に、より充実した制度となるように要望しておきたいと思います。
これ、探すといろんな事例が出てきまして、それぞれの地域でいろんなことをやって成果を上げていますよ。私の地元でも雇用事業の成果を上げているところはたくさんありまして、緊急で雇ったけれども、それがとても役に立ったので、今は正社員にしましたなんていう報告も実はいただいているものもありますので、ぜひそういう事例を一つ一つ発掘をしていただいて、これからは都独自でこのことに力を入れていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
ここまで、中小企業への支援、創業のさらなる促進、女性の活躍、人材の育成といったさまざまな観点から、産業労働局の二十六年度の取り組みをお伺いして、今後、さらにその取り組みを充実させていく観点からの提案もさせていただきましたが、既に他の委員からもたくさんの質疑があったとおり、産業労働局には、ほかにも観光や農林水産など幅広い分野の産業の振興に取り組んでいただいて、広く都民の期待に応えていく必要があろうと思います。そしてまた、東京は、オリンピック・パラリンピックの二〇二〇年開催都市でもありますし、日本全体の発展に寄与する、あるいは日本全体を牽引していくという大きな使命があるわけであります。
そのためにも、日本、そして世界の経済環境、諸情勢をしっかりと見据えて、二十六年度決算を踏まえた上での大局的な観点から、産業振興にぜひ取り組んでいただきたいというふうに考えるわけでありますが、最後に、この決算審議を通じて局長の総括的な決意をお伺いして、終わりたいと思います。
○山本産業労働局長 東京は、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会の開催都市として、また、日本経済の牽引役として、持続的な発展を遂げていく必要があると考えております。
本日、決算をご審議いただいた平成二十六年度は、開催都市決定を受けて、二〇二〇年とその先を見据えて、さまざまな取り組みをスタートさせた年度でございます。
まず、景気回復の効果を東京の隅々に行き渡らせるために、円滑な資金供給、設備投資の後押しなど、中小企業の成長を支援するとともに、今お話のございました開業率一〇%台という目標を掲げた創業促進に向けましても、女性、若者、シニアの新たな融資制度を立ち上げたところでございます。
また、農林水産業の分野では、都市農地の保全や多摩産材の利用拡大などに取り組みまして、また、観光分野におきましては、東京ブランドの確立や外国人旅行者のさらなる誘致に向けた取り組みを開始して、観光を一大産業にしていくための歩みを始めた年でございます。
さらに、女性の活躍推進や正規雇用化の促進など、誰もが活躍できる環境の整備、あるいは人材の育成、確保支援にも取り組んでまいりました。
本年度も、こうしたさまざまな施策を強化して取り組んでいるところでございますが、これをさらに発展させていかなければならないと考えております。国内外の経済環境は、アジアの新興国等の景気の減速など、日々刻々と変化をしておりまして、こうした状況をしっかり捉えて、的確に対応していく必要があると考えております。
本日のご審議で多くのご提案をいただいておりまして、こうした内容を十分踏まえ、今後とも施策のさらなるブラッシュアップを進めてまいります。そして、東京の活力を全国につなげるという決意のもと、局一丸となって産業振興に取り組んでまいります。
○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○曽根委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で産業労働局関係を終わります。
以上をもちまして第三分科会における決算の審査は終了いたしました。
なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
これをもちまして第三分科会を閉会いたします。
午後四時十六分散会
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