平成二十六年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第五号

平成二十七年十月二十六日(月曜日)
第十一委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長早坂 義弘君
副委員長山内  晃君
副委員長田中  健君
加藤 雅之君
宮瀬 英治君
斉藤やすひろ君
清水 孝治君
柴崎 幹男君
三宅 正彦君
植木こうじ君

欠席委員 なし

出席説明員
選挙管理委員会事務局局長安藤 弘志君
政策企画局局長川澄 俊文君
外務長宮島 昭夫君
次長理事兼務潮田  勉君
理事猪熊 純子君
理事松下 隆弘君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務小池  潔君
調整部長中澤 基行君
政策担当部長西坂 啓之君
政策担当部長八嶋 吉人君
技術政策担当部長加藤 直宣君
戦略広報担当部長政策担当部長兼務小沼 博靖君
海外広報担当部長川崎  卓君
渉外担当部長佐藤 直樹君
国家戦略特区推進担当部長山本 博之君
渉外担当部長政策担当部長兼務村岡 教昭君
報道担当部長松下 明男君
計画部長小室 一人君
計画担当部長梅村 拓洋君
外務部長横山 英樹君
都市外交担当部長川上 文博君
国際事業担当部長梅田 弘美君
青少年・治安対策本部本部長廣田 耕一君
総合対策部長オリンピック・ パラリンピック調整担当部長兼務廣瀬 秀樹君
青少年対策担当部長稲葉  薫君
治安対策担当部長村山  隆君

本日の会議に付した事件
平成二十六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
選挙管理委員会事務局関係
・平成二十六年度東京都一般会計決算(質疑)
政策企画局関係
・平成二十六年度東京都一般会計決算(質疑)
青少年・治安対策本部関係
・平成二十六年度東京都一般会計決算(質疑)

○早坂委員長 ただいまから平成二十六年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、選挙管理委員会事務局、政策企画局及び青少年・治安対策本部関係の決算に対する質疑を行います。
 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十六年度東京都一般会計決算中、選挙管理委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○早坂委員長 なければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○早坂委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○早坂委員長 これより政策企画局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動について及び過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員について、政策企画局長から紹介があります。

○川澄政策企画局長 さきの人事異動に伴い、兼務発令のございました当局の幹部職員をご紹介させていただきます。
 総務部長でオリンピック・パラリンピック調整担当部長を兼務いたします小池潔でございます。総務課長でオリンピック・パラリンピック調整担当課長を兼務いたします松崎伸一郎でございます。
 また、公務のため過日の分科会を欠席させていただきました幹部職員をご紹介させていただきます。
 外務長の宮島昭夫でございます。報道総括担当理事で知事補佐担当理事を兼務いたします猪熊純子でございます。報道担当部長の松下明男でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○早坂委員長 紹介は終わりました。

○早坂委員長 これより決算の審査を行います。
 平成二十六年度東京都一般会計決算中、政策企画局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○柴崎委員 私からはアジアヘッドクオーター特区への外国企業の誘致についてお伺いいたします。
 東京は、日本の首都としてこれまで我が国経済を牽引してまいりましたが、グローバルな都市間競争が激化する中、今後とも東京が我が国全体の成長のエンジンとしてさまざまな取り組みを積極果敢に推進する必要があります。
 その一方では、我が国は本格的な人口減少社会を迎えておりまして、こうした中にありましては、海外からの資金、あるいはすぐれた人材、技術、こうしたものを経営資源の導入に活性化させまして、我が国の持続的な経済成長につなげていく施策を今後ますます強化していく必要があると思われます。
 東京都としてもこれらの観点からアジアヘッドクオーター特区への外国企業誘致に取り組んでいるものと考えますが、まず初めに、昨年度までの取り組み実績についてお伺いいたします。

○山本国家戦略特区推進担当部長 ご回答申し上げます。
 東京都としましては、研究開発等の高付加価値拠点を設置する外国企業を誘致するため、平成二十八年度末までにこれらの企業五十社を特区内に誘致する目標を掲げております。平成二十五年度、二十六年度は二年間で目標三十社に対しまして三十一社から特区進出の意思決定を取得したところでございます。
 また、こうした取り組みを含めた官民全体の目標としまして、平成二十八年度末までの五年間で外国企業五百社の特区内への誘致を掲げておりますが、これにつきましては都の調査によりますと、二年間で二百四十六社となっております。
 今後ともこれらの目標を達成すべく、民間企業のノウハウを活用した特区内への戦略的な外国企業誘致に加えまして、東京の魅力を発信するセミナー、専用ホームページを活用した広報活動の充実強化などに取り組んでまいりたいと考えております。

○柴崎委員 都が誘致に取り組んだ研究開発等の高付加価値拠点の設置につきましては、二年間で目標を上回っているとのことでありますが、誘致した企業については、数だけではなくて、質も重要だと思います。
 そこで、先ほど答弁いただきました外国企業三十一社は具体的にどのような産業分野であり、日本企業にどのようなメリットが生じているのか、具体事例を挙げて説明していただきたいと思います。

○山本国家戦略特区推進担当部長 先ほどご答弁申し上げました三十一社の産業分野でございますけれども、今後成長が見込まれます情報通信分野十一社、医療健康分野十社、環境分野七社等でございます。
 各分野ごとに日本企業とのビジネスマッチングが進んでおりまして、例えば情報通信分野でございますけれども、世界最先端の音声認識技術を有する企業が日本企業と共同で住宅設備機器の研究開発を行う事例、医療健康分野では、バイオ、ジェネリック医薬品を供給する企業が日本企業と共同で日本人の体質に合った医薬品の研究開発を行う事例などが挙がっているところでございます。
 東京都としましては、今後ともこのような事例の積み重ねを通じまして、すぐれた技術やノウハウの日本企業への流入を促進していく所存でございます。

○柴崎委員 外国企業誘致における都のこれまでの取り組みによりまして、誘致企業数は着実に増加をしているとのことであります。また、誘致企業が日本企業にプラスの影響をもたらしていることもわかりました。引き続きしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 さらに、今後はこれらの取り組みに加えまして、外国企業を呼び込むまちづくり、そしてビジネス相談への支援の充実化等、都市政策、あるいは産業政策等との連携も深めていただいて、相乗効果を高めていくという視点も重要だと考えます。
 最後に、都の重要施策の総合調整機能を担う政策企画局として、この視点に基づく外国企業誘致施策をどう展開していくのか、政策企画局長に伺います。

○川澄政策企画局長 ご指摘のとおり外国企業誘致施策の推進に際しまして、各局との施策連携により相乗効果を高める視点は非常に重要だというふうに考えております。こうした観点から、現在、国家戦略特区制度における都市計画法等の特例を積極的に活用し、東京駅周辺、虎ノ門地区等における大規模バスターミナル、新駅整備等も含めた国際ビジネス拠点の整備をスピーディーに進めているところでございます。
 また、本年四月一日には、ジェトロ本部内に登記、税務等の開業手続を一元的に行う東京開業ワンストップセンターを設置いたしました。これは我が国初の取り組みでございます。また、同じフロア内には、ビジネスコンシェルジュ東京や東京圏雇用労働相談センターも集約化させ、ビジネスマッチングや雇用相談等のサービスのワンストップ化も実現させたところでございます。
 今後とも、これらの取り組みの充実強化を図り、我が国の持続的な経済活性化に貢献してまいりたいと考えております。

○柴崎委員 外国企業の誘致につきましては、政策企画局として、各局との施策連携にも十分に留意したさまざまな取り組みを展開していることがわかりました。今後もさまざまな政策手法を活用して、外国企業や優秀な人材を積極的に呼び込んでいただいて、世界で一番の都市東京、この実現に向けて取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○加藤委員 私からは都市外交について質問をいたします。我が党は一貫して、都市外交の重要性を主張してきた立場から、決算の分科会においても取り組みを確認しておきたいと思います。
 まず、平成二十六年度、知事は姉妹友好都市等との間で相互交流を推進し、関係強化を図ってまいりました。そして、十二月には都市外交基本戦略を策定し、今後の都市外交の方向性を示しました。
 そこで、改めて二十六年度の都市外交の取り組みとその具体的な成果について伺います。

○横山外務部長 平成二十六年度、知事は十八年ぶりに北京、ソウルを訪問し、長らく途絶えていた友好都市交流を再開するとともに、都市問題の解決に向けて互いに協力していくことを合意いたしました。また、友好提携二十周年のベルリンとは、相互に訪問いたしまして、記念事業を行うとともに、先進的なエネルギー政策などを学びました。さらに、ロンドン訪問では、二〇一二年大会の競技施設を視察し、大会レガシーを都市経営に結びつける重要性を改めて認識するなど、都市外交の成果を都政に還元していくための道筋をつけたところでございます。
 平成二十六年度に行った都市外交の成果は着実に実を結び始めておりまして、去る十月十四日、ロンドンと友好都市提携を行ったところでございます。今後も各局と協力しながら、積極的に都市外交を推進してまいります。

○加藤委員 東京を世界一の都市にするという都政の大目標を達成するためには、引き続き都市外交を進めていくことが必要であり、とりわけ世界の都市総合ランキング上位の都市から積極的に政策を学んでいくことが重要です。知事は、あす二十七日からパリ、ロンドンに出張すると聞いております。予定されているパリ市長との面会が行われると、東京と並び、いわゆる世界四大都市といわれるロンドン、パリ、ニューヨークの中で舛添知事との首長面会が行われていない都市は、あとはニューヨークだけとなります。
 そのニューヨークとの交流については、我が党の斉藤やすひろ委員が本年の第一回定例会一般質問で姉妹都市締結五十五周年の機会を捉え、知事に訪問を促し、知事からは都にとって最も古い姉妹都市であり、トップ同士の交流や実務レベルでの協力などについて検討していきたいとの答弁を得ております。
 折しも今月二十四日は、国連が創設されて七十年を迎えました。ちなみにニューヨークの国連本部では、シンボルカラーのブルーにライトアップされ、地元墨田にあるスカイツリーも呼応してブルーの照明に彩られました。ことしが姉妹都市を結んで五十五周年、そして来年は日本が国連に加盟して六十周年を迎えます。
 そこで、こうした好機を捉え、総合力ランキング二位のニューヨークとの交流を積極的に進めるべきと考えますが、改めて見解を伺います。

○横山外務部長 ニューヨークとは、昭和三十五年の姉妹都市提携以降、環境や教育、文化面での交流、ニューヨークで開催される民間交流事業への後援など、さまざまな交流を行ってきてございます。平成二十六年十二月のケネディ大使の舛添知事表敬訪問時には、東京とニューヨークの関係強化について、大使としても協力したいとの意向が示され、以降、在京アメリカ大使館とも連絡をとり合いながら、交流の拡大について調整を行っているところでございます。
 平成二十七年度に入りまして、在京アメリカ大使館が主催した行事がございます。日米にオンライン中継されました、詩の競技会というものでございまして、東京とニューヨークの児童生徒が参加して、詩を披露し合って評価するという催しでございます。こうした催しに副知事とニューヨーク市長が出席をして、交流を積み重ねているところでございます。
 引き続きトップ同士の交流や実務レベルでの協力など、一層の交流拡大について検討してまいります。

○加藤委員 ロンドン等の事例を見ても、まずは知事が訪問して交流の扉を開くことが効果的ということはいうまでもありません。しかし、一旦扉が開いた後は、職員レベルの交流を行うことで、関係をより深くすることが大事です。
 そこで、職員をロンドン、パリ、ニューヨークなどの都市に常駐させ、日々情報を収集するとともに、相手方都市との人的ネットワークを構築することが必要だと考えますが、見解を伺います。

○横山外務部長 ご指摘のとおり、世界の総合力ランキング上位の都市には、東京都としても政策面に学ぶべきことが多く、そのためにはそうした都市との人的交流が必要だと認識してございます。
 平成二十六年度は、都市総合力ランキング一位のロンドン、二位のニューヨーク、五位のシンガポール、この三都市につきましては、引き続き自治体国際化協会海外事務所に職員を派遣し、現地の情報を収集するとともに、相手方都市とのネットワークの強化を図ってまいりました。さらに、平成二十七年度からは同協会のパリ事務所への職員派遣も開始をいたしました。引き続き同協会の海外事務所を活用いたしまして、海外諸都市との交流を行ってまいります。

○加藤委員 決算説明書には、自治体国際化協会への分担金を約二億九千六百万円も支出しており、どこの自治体よりも多いわけですので、職員の派遣をふやすことも含め、活用については積極的に検討していただきたいと考えます。引き続き海外諸都市との間で知事、職員、民間交流への支援等、さまざまなレベルでしっかりと交流を行ってもらいたいと要望します。
 その上で、二元代表制における首長と議会はまさに車の両輪であります。都市ランキング上位の国とは、都議会に超党派の友好議連がありませんが、議会としても姉妹友好都市との間で議員同士の交流を図るなど関係強化に取り組み、知事と一緒に都市外交を進めていきたいと意気込みを示しまして、質問を終わります。

○植木委員 私はアジアのヘッドクオーター特区の問題について少し質問をさせてもらいます。
 舛添知事は、選挙のときには国際戦略特区で東京を規制改革のモデルケースとすると、こういうふうにいっておられましたし、その後もアジアヘッドクオーター特区の指定に当たっても、やはり規制緩和を大胆に進めていくということを主張されておりました。国家戦略特区、あるいはアジアヘッドクオーター、あるいは構造改革特区、それぞれ役割は違うわけですけれども、共通しているのは、特区の中で規制緩和を進め、まちづくりなどでは用途地域なども、用途、容積率なども大幅に変更するとか、さまざまなことが考えられて、なかなか全容が私もよくわからないほどいろんな事業が同時進行で進んできておられると思うんです。
 そういう中で、アジアヘッドクオーター特区では海外都市を呼び込むということで、その点では重要な施策だとは思うんですけれども、しかしながら、いろいろ考えていかなければならないことも同時に私はあると思っております。
 それで、まずお聞きしますが、アジアヘッドクオーター特区というのは、総合特区制度の中でどのような位置づけになっているのでしょうか。

○山本国家戦略特区推進担当部長 ご回答申し上げます。
 総合特別区域法に基づく総合特区制度、その中で我が国の経済成長の集積拠点の形成を図る国際戦略総合特区、これが現在全国で七つございます。ご指摘のアジアヘッドクオーター特区は、そのうちの一つでございます。

○植木委員 全国で七カ所設定されて、そのうちの一つ。しかも、首都東京ですから、位置づけ的にはかなり重いものがあるのだろうというふうに思うんですけれども、アジアヘッドクオーター特区はその中で何を目指しているのか、目標や対象事業、事業の数値目標の期間についてお示しいただきたいと思います。

○山本国家戦略特区推進担当部長 まず、特区の目標でございますが、外国企業や外国人のビジネス、生活環境を整備することによりまして、東京にグローバル企業のアジアの統括拠点、研究開発拠点を誘致することでございます。対象事業でございますが、規制緩和、税制等による誘致事業やビジネス支援事業などでございます。また、高付加価値拠点を設置する外国企業五十社を誘致目標としておりますが、その期間は平成二十八年度末までの五年間でございます。

○植木委員 高付加価値を進めていくということで、五十社を二十八年度までに行うと、こういうことが出されました。
 では、それの具体的な事業のエリア、それから目標を達成した時点ではどのような経済効果を考えておられるのでしょうか。

○山本国家戦略特区推進担当部長 まず、事業のエリアは、東京都心・臨海地域、品川駅・田町駅周辺地域、新宿駅周辺地域、渋谷駅周辺地域、羽田空港跡地の五地域でございます。
 また、経済効果についてでございますが、特区内に誘致した外国企業による設備投資や雇用増加等の直接的な経済効果に加えまして、誘致企業と国内企業とのマッチングによる技術の開発の促進等や全国各地への二次投資による日本全体への経済効果の波及、これらが期待できるものと考えております。

○植木委員 エリアについていえば、都市再生を進めてきたエリアと大体ほぼ一致する。もう既に相当規制緩和で容積率、用途地域なども変更されてきている。さらに、これが国家戦略特区の方では変更を行う論議がされている。そういう中でアジアヘッドクオーターの目標を達成した場合には、全国的な意味合いも非常に大きいと。やはり位置づけがかなりのものになってきていると思うんです。
 それだけに、中身は厳密でなければならないと。それから、規制やいろんな、先ほど規制緩和と税制改革というお話がありましたけれども、そういうものが本当に日本の国民、日本の経済、日本の企業にとってどうなのかということも含めて考えていかなければならないというふうに思っています。
 そこで、まずお聞きしますが、アジア地域の業務統括拠点、あるいは研究開発拠点ということですが、五年間で外国企業の誘致目標五十社ということでしたが、現在までの到達状況はどのようになっているでしょうか。

○山本国家戦略特区推進担当部長 平成二十五年度、二十六年度の二年間の目標三十社に対しまして三十一社から特区進出の意思決定を取得したところでございます。

○植木委員 三十一社が意思決定されたと。三十一社、誘致の第一段階なんですが、意思決定したということですが、このうち拠点を設置した企業はどのくらいあるのでしょうか。

○山本国家戦略特区推進担当部長 特区進出の意思決定を取得した三十一社のうち、現時点では特区内に拠点を設置して、投資計画に基づく事業を開始した企業は十八社でございます。

○植木委員 投資計画がつくられて、事業を開始した十八社。三十一社のうち十八社しかまだやっていないということです。都は進出企業に対して、外国企業の発掘・誘致事業という中では、進出の意思決定をしたこととして、誘致対象企業の投資計画の内容を確認するだけで実績としているというふうに伺っています。
 そうしますと、意思決定、これが誘致したという計画の目標なのか、それとも拠点設置をするということが目標なのか、この点はいかがでしょうか。

○山本国家戦略特区推進担当部長 先ほど申し上げました五十社の誘致目標に対しまして、取締役会等による特区進出の意思決定の取得をもって、その進捗を管理しているところでございます。

○植木委員 意思決定をしたところで誘致したというふうに見ていると。私はそれでいいのかなと。意思決定をされて、それで事業が進んでいくとは限らないんだと思うんです。
 もう少しお聞きしますけれども、拠点設置によって事業を開始した、これが二十四年から二十六年までで十八社ということでした。この企業は、全て登記を行っていると思われるんですけれども、登記を行っているのはこの十八社だけでしょうか。

○山本国家戦略特区推進担当部長 まず、今回の事業でございますけれども、外国から誘致するものに加えまして、既に国内での営業活動等、高付加価値関連以外の業務を行っている企業も対象にしているところでございます。そうした中、拠点設置の十八社については、全て登記がなされている事実が確認されております。その一方で、現時点で拠点未設置の十三社につきましては、先ほど申し上げた企業が含まれておりまして、その企業については登記がなされている事実が確認されているところでございます。

○植木委員 ちょっと念のためお聞きしますけれども、十八社は登記が行われていると。そのほかの十三社も登記が行われているというふうに答弁したように聞こえたのですが、それで間違いないですか。

○山本国家戦略特区推進担当部長 既に拠点を設置している十八社は全て登記がなされております。残りの十三社のうち十社が登記がされた事実が確認されております。

○植木委員 そうしますと、残り三社はまだ登記がされていない会社も入っていると。そうしますと、登記をされている会社、企業の登記の期日、住所、企業名、これは全て明らかにできますね、ちょっとお聞きしたいんです。

○山本国家戦略特区推進担当部長 登記所に行きまして、登記簿の内容については把握しているところでございます。

○植木委員 内容については把握しているということなのですが、私どもが聞くと公表できないというお話が返ってきている。自分でとりにいくしかない、こういうようなんです。これだけ鳴り物入りでやっていながら、東京都自身が登記の内容をきちっと報告できないというのはおかしいと私は思うんです。
 なぜこんなことを聞くかというと、既に各登記をした企業は特区の申請が始まって以降の登記なのか、あるいは特区の区域の中の登記なのか、外国の企業なのか、日本企業名が登記になって、一体企業の本体はどこなのか、そういうことが明らかでない。しかも、私どもの調査によれば、既に三十年以上前に登記をした会社も中には入っておられる。それから、特区の外で個人の自宅を住所にしている会社などがある。
 そうしますと、業務統括拠点といわれる企業がこんな曖昧なことではちょっとおかしいなという感じがするんですけれども、それはおかしくないのでしょうか。

○山本国家戦略特区推進担当部長 先ほども申し上げましたけれども、今回の誘致事業でございますけれども、外国企業から来る場合、既に特区外で一次進出を行っておりまして、またさらに二次進出を行うような、さまざまなケースがございます。そういった中で個別の中身を我々もチェックしておりますけれども、適正にされているものと認識しているところでございます。

○植木委員 適正と認識しているなら、都として公然と登記について内容を明らかにする。これほど重要な企業なんですよということが堂々といえていいのではないかというふうに思うんですけれども、何らかの事情があるんでしょう。
 それから、先ほどちょっと意思決定の問題についてお聞きしましたけれども、意思決定だけで現在は補助金が出されているわけですけれども、その後の何らかの理由で進出を断念する企業も、それはそれぞれ本国の事情とかいうことで、ある場合もあると思うんです。そういう意味では意思決定しただけの段階で誘致実績として成功報酬ということは税金の無駄遣いになる場合もあるし、私はやはりちゃんと業務拠点として確認をするというところまでが進出というふうにきちっと見なければいけないんじゃないかなと。そうしないと、拠点の設立だといいながら、どうもよくわからぬというのではおかしいと思うんです。
 いろいろ聞いてみると、なかなか全容を教えてくれないというのがありますので、ぜひ今いったように私は税金の無駄遣いになったりするケースもあったりして、問題ではないかと思うんですけれども、改めてお伺いします。

○山本国家戦略特区推進担当部長 先ほど申し上げました三十一社のうち十八社が既に特区内に拠点を設置し、投資計画に基づく事業を開始しております。残りの十三社につきましても、現在、拠点設置に向けまして、投資戦略にかなうオフィスの探索、人材採用等に取り組んでおります。先ほどご指摘ございましたけど、東京都としましては早期の拠点設置に向けまして、これらの取り組みへの相談対応の支援に取り組みまして、早期の拠点設置に向けてしっかりと取り組んでいきたいと思っております。

○植木委員 支援をするのは、支援の枠組みですから当然あってしかるべきなんだけれども、やはり拠点設置というところが到達点でなければいけないというふうに私は改めて思うんです。
 それで、誘致に伴い補助金交付、それから税制の優遇、こういうものがされてきているというふうに伺っていますけれども、実際に受けた企業はどういうところで何社あるでしょうか。

○山本国家戦略特区推進担当部長 平成二十六年度末時点ではアジアヘッドクオーター特区拠点設立補助金については五社、税の減免については、申請した企業はございません。

○植木委員 設立については五社、優遇税制はゼロと。なぜ優遇税制がゼロなのかは、ちょっとわからないんです。ある人にお聞きしましたところ、内容が非常にハードルが高いというんですけれども、当然拠点設置をするからにはハードルは高くて私は当然だと思うんですけれども、こういう税制への需要がないはずはないと思うんです。どうなのでしょうか。

○山本国家戦略特区推進担当部長 ニーズはあるものと認識しておりますけれども、その一方で、例えば所得控除の要件につきましては、資本金要件、専ら要件等の要件が厳しくて、なかなか申請に至らないと、そのような声は聞いているところでございます。

○植木委員 当然国民の税金であり、日本の経済の繁栄のために厳密さも、それから内容もきちっと確認する意味で、ハードルが高くて私は当然だと思うんです。もちろん誘致するためにどの程度という、そのレベルはあるかとは思うんですけれども、国はそういう水準を今日本の拠点整備に求めているということですから、むしろ申請してこない、つまり進出企業の側がそのレベルに至っていないのではないかという声も私、お聞きしているんです。だから、わざわざ申請するところまでいっていないと。拠点整備というところは、たしか十八社のうち四カ所ぐらいであとは違うようですから、これは対象ではないんですけれども、いずれにしてもそういう問題があると思うんです。
 そういう進出企業の位置づけというんでしょうか、皆さんがいっている高付加価値拠点というのは何を示すのか。世界各国で活動している企業が日本において事業を開始すると、高付加価値拠点をつくると、これはどういうものなのか。それから、高付加価値拠点であればどんなものでもいいのか、この点についてお示し願いたいと思います。

○山本国家戦略特区推進担当部長 まず、高付加価値拠点には、業務統括拠点と研究開発拠点がございます。
 業務統括拠点とは、グローバル企業の子会社を統括する拠点でございまして、具体的には日本に設立した当該拠点から子会社の営業活動、経営企画等における方針決定、調整などの業務を行うための拠点でございます。
 また、研究開発拠点とは、基礎研究から応用開発、試作、製品試験など、さまざまな製品やサービスの産業化のための研究開発を行うために必要な機能を有する拠点でございます。
 今回の事業では、新規雇用の創出、国内企業との共同研究開発による日本への技術やノウハウの流入等の効果が認められる企業を誘致対象としているところでございます。

○植木委員 そうしますと、統括拠点というのは、いわゆる社会的に見れば、多国籍企業じゃないかというふうに思うんですけれども、違いますか。

○山本国家戦略特区推進担当部長 ご指摘のとおり多国籍企業でございます。

○植木委員 多国籍企業が拠点を日本にも置くと。日本の経済にとって、あるいは雇用創出にとって効果を発揮してほしいと。これはある意味わかるんですけれども、同時に多国籍企業というのは、そればかりじゃないと思うんです。やはり本国の企業の思惑、それから世界展開をする事業について、リスクがあれば当然違った動きをする。日本の経済の面から好意的にだけ見ていたら、私は間違う場合もあると思うんです。
 現に先進国、それからおくれた国、それぞれ違いますけれども、国によっては多国籍企業によって地元の国の企業が影響を受けたりして、むしろ大変な思いをしている企業がある。あるいは多国籍企業が進出する国にとっては、課税対象になる所得の流出にもつながるということが今世界的にも問題になっていて、あるいは誘致するために減税合戦が行われていて、これらは改善の余地があるということが今国際的に論議になっていると思うんです。
 だから、多国籍企業イコール何でも日本の経済にとっていいというふうにはならないわけで、どんな企業でもいいということにはやはりならない。厳密さが必要だと思うんです。だから、さっきいった業務拠点の整備の中身についても、ただ意思確認だけで進めていくということは、いろいろ問題があると思うんです。どういう企業でなければならないのかというのは、日本としての考え方、きちっと持って臨まなければ、多国籍企業によって日本の企業や経済がやられっ放しということだって極端にいえばあり得るわけですから、そこはしっかり見ていかないとおかしいというふうに思うんです。
 それから、国の方でスキームを決めて、官民連携のもとで取り組みを進めているということですが、その協議会の名称とこれまでの協議の内容についてお示しください。

○山本国家戦略特区推進担当部長 協議会の名称はアジアヘッドクォーター特区地域協議会でございまして、これまでさまざまな規制の特例措置に関する提案や区域の追加などの国際戦略総合特別区域計画の変更等について協議をしてまいりました。

○植木委員 私、記録の一部を見せてもらいましたけれども、規制の特例措置というのが何回も出てくるんです。規制改革という舛添さんがいっている規制緩和でもって日本の経済を活性化させるんだということなんですけれども、規制緩和も全てよしというものじゃない。やっぱりやっていいものと、やったら日本の企業や経済にとって悪いものもあるわけで、大もとは結局外国企業を誘致しても、日本の国内で物が販売できなければ、あるいは経済ルートができなければ撤退するということは--当然先ほどもいいましたように本社の考え方やリスクを考えて撤退することだって当然あり得ると思うんです。
 本質はやっぱり日本の国内の内需、あるいは日本の国内の企業、ここがしっかりとしていないと規制緩和、規制緩和といって、海外企業には至れり尽くせりということではやはりおかしいというふうに思うので、私は海外進出だからといって何でもありの規制緩和というのはむしろ弊害があるというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○山本国家戦略特区推進担当部長 海外から資金やすぐれた人材、技術等を呼び込むことは、本格的な人口減少社会を迎える中、我が国の持続的な成長に貢献するものと考えております。この観点から特区の規制緩和の措置、例えば在留資格の規制緩和等もございますけれども、それは有効なツールと考えているところでございます。

○植木委員 有効なツールということで、十把一からげにおっしゃいましたけれども、私はそんな簡単なものではない。経済というのは動くものですから、経済というのは相手があるものですから、日本の国内の企業との関係というのは、常に東京都は考えていかなければならない、僕は最大の役割はそこにあるだろうと思うんです。誘致すればいい、誘致しっ放し、これは絶対に私は避けなければならないというふうに思うんです。
 そういう意味で私はこのアジアヘッドクオーター特区の拠点設立に向けて、選考過程の中でやはり厳密さがないといけないのではないか。ましてや自宅を登記してそれで会社だというのが、本当に拠点設置の会社になり得るのかというのは、中身を見てみないとわかりません。心配でしようがないと私なんかは思うんですけれども、皆さんは専門家として心配じゃなさそうなので、ちょっと不安なんです。
 それから、多国籍企業というものについて、甘い考え方を持っていてはならないというふうに、私は常にそこは首都東京であるだけに失敗を許されないわけですから、必要だというふうに思います。何よりも内需拡大、これをきちっと柱に据えないと、ただ誘致すればいいということで、うはうはしていたのでは私はいけないというふうに思うんです。
 そういう意味で私たちは国の国家戦略特区、あるいは総合法等々については、いろいろ意見をいって、規制緩和がどうも問題点があるという指摘をしながら、これらについては賛成はしておりませんけれども、東京都の影響というのは全国に与える影響が大きいだけに、そこはきちっとした見解や識見を持って臨む必要がある。私どもは必ずしも賛成はしていませんけれども、やるのにいいかげんなことをやってはいけないというふうに思いますので、そのことを重ねて申し上げて、私の質問を終わりにします。

○田中委員 私からは国家戦略特区、また東京国際金融センター構想の二点についてをお伺いしたいと思います。
 先日、森記念財団がこのような世界の都市総合ランキングを発表したところでありまして、私もその発表会、報告会に参加をしてきたところであります。東京は昨年同様、ロンドン、ニューヨーク、パリに続いて四位ということで、このランキングが出された二〇〇八年から八年連続の四位の座に甘んじているといういい方がいいのかわかりませんが、そういったのが現状であります。
 この世界の都市ランキングは、地球規模で展開される都市間競争において、より魅力的でクリエーティブな人々や企業を世界中から引きつける、いわば都市の磁力こそが都市の総合力であるとの観点に立ち、世界の主要都市の総合力を評価し、順位づけをしたものであると定義をしております。この都市ランキングでは、多面的な観点から導かれる都市の通信簿といっても可能でありまして、この地位を上げていくためには、経済、研究開発、文化交流、居住、環境、交通アクセスなど、さまざまな側面でそれぞれの質を高めていかなくてはなりません。
 そのような中、東京都は二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けて、世界で一番ビジネスのしやすい環境を整備し、世界から資金、人材、企業が集まるグローバルビジネス都市を実現すべく、国家戦略特区制度、また総合特区制度を利用して、東京の国際競争力強化に向けた施策に取り組んでいることかと思います。
 そんな中、東京都は平成二十六年三月に東京発グローバル・イノベーション特区の提案を公表したところであります。東京圏の国家戦略特区について、平成二十六年度はどのような進展があったのか、具体的な取り組み状況とあわせて伺いたいと思います。

○山本国家戦略特区推進担当部長 ご回答申し上げます。
 東京都としましては、世界で一番ビジネスしやすい環境整備の観点から、国家戦略特区を有効活用しました国際ビジネス拠点、医療・創薬イノベーション拠点の形成等に取り組んでおります。制度を開始しました平成二十六年度は、虎ノ門地区等における都市計画法等の特例、丸の内仲通り等におけるエリアマネジメントに係る道路法の特例、慶應義塾大学病院等における保険外併用療養特例、東京開業ワンストップセンター開設など、十五件のプロジェクトが認定されました。今年度もこれらの充実強化に取り組んでいるところでございます。

○田中委員 十五のプロジェクトが認定されたということでありまして、順次取り組みが始まっているようであります。最初述べてもらいました虎ノ門地区の虎ノ門ヒルズや、また丸の内の仲通りのマルシェ等も実際に動き出しているようなプロジェクトもあるようでありまして、私も見学をさせてもらったところもありますが、その中で今回は保険外併用療養の特例といった医療関係の特区の特例が認定されたということでありますが、余り聞きなれない内容でありますので、どのような狙いがあるのか、また具体的にはどのようなことが東京で可能になるのかを伺います。

○山本国家戦略特区推進担当部長 昨年度は慶應義塾大学病院等、都内六医療機関において、保険外併用療養の特例及び病床規制の特例が認定されたところでございます。この効果でございますけれども、まず保険外併用療養の特例によりまして、先進医療の審査期間が約六カ月から約三カ月に短縮化されます。また、病床規制の特例につきましては、通常の医療法とはまた別でございまして、先進医療の専用病床が特例的に確保できるようになります。
 東京都としましては、今後医療機関との連携によりまして、特区の特例を活用しまして、がん、免疫難病等の分野におけるスピーディーな先進医療の実用化に取り組んでまいる所存でございます。こういった成果につきましては、長期ビジョンにおいて掲げられております国際的なライフサイエンスビジネス拠点の形成の実現にも反映させていきたいと考えております。

○田中委員 都市ランキングによりますと、研究開発というのもニューヨークが一位で、さらにスコアも突出をしておりまして、東京は二位ということで頑張っておるんですが、まだまだ研究開発の分野も東京はさらに伸ばしていかなくてはなりません。さらに、今いってもらいました難病医療について、また先進医療の審査期間の短縮というのは、多くの医療現場や実際の患者さんにも期待をされている分野かと思います。ぜひとも実用化に向けて、さらなる取り組みをこの特区を利用して進めてもらいたいと思っております。
 また、その他十五もあるということで、それぞれ聞いてもいきたいのですが、ことし始まったものや今後始まるものもありまして、これから成果があらわれていくということでございますので、ぜひ都の競争力強化につなげるためにも、一つずつ着実に事業を進めていってほしいと思います。
 続きまして、東京国際金融センター構想について伺います。
 都市の活力の源となる経済の分野というのは特に重要であります。経済においては、ランキングにおいても指標では一位という指標が出ておるんでありますが、都は昨年七月、東京をロンドン、ニューヨークと並ぶ金融の拠点として復活させる東京国際金融センター構想を発表したところであります。
 この取り組みは、私としても経済を強くしていくという観点から極めて有効な手段だと考えておりますが、まずこの構想の狙いについてから伺いたいと思います。

○梅村計画担当部長 経済の活性化のためには、その基盤となります資金供給を担う金融の分野を活性化していくことが重要でございます。そのため、東京国際金融センター構想では、東京を世界中から人材、情報、資金が集まり、国内外の必要な部門に資金が供給される拠点とすることを目指しております。これによりまして、都内の企業を初めとして、資金を必要とする産業に多様な資金が供給されることで、企業活動が活発になり、東京、さらには日本の経済の活性化につながるものと考えております。

○田中委員 東京に世界中から人、物、金が集まってくることを目標とするということで、これはバブル前もそれ以降も、何度か国においても金融の世界一、また金融センター構想というのは、かけ声はあったかと思いますが、なかなか実現するのにはこれまで困難でありました。しかしながら、強い経済の実現のためには、金融というのを活性化して、金融センター構想に生かしていくという視点というのは大変重要かと思っております。
 そんな中、やはりかけ声は国も都もできるのですが、実際に金融を動かすというのは、民間の金融機関や企業が主でありまして、こうした民間の意見や現場の声というのを反映することが実効性のある構想の立案には欠かせないことはいうまでもありません。
 都は今回この構想の策定に当たりまして、民間の意見をどのように把握をして構想に反映していったのかを伺います。

○梅村計画担当部長 民間と連携して課題を解決していくため、都はタスクフォースを二度開催し、国内や外資系の銀行、証券、保険などのさまざまな業種にわたる金融界の方々から東京が国際金融センターとなるための課題や民間の取り組みについて意見を伺っております。その際にいただきました国際的なビジネス環境の整備、あるいは金融人材の育成といった提案も踏まえまして、国、東京都、民間、さらにはその協働により進めていく取り組みを整理し、東京国際金融センター構想としてまとめております。

○田中委員 昨年度はタスクフォースを二度開催したということで、その議事録や、また多くの資料も読ませてもらいました。民間と方向性というのを共有して、構想を策定しているというのはよくわかりまして、多くの要望が民間からも多々挙げられておりました。とはいっても、都が金融センター構想を策定したことであるから、都みずからも率先をして金融の活性化に取り組む姿勢というのを見せていかなくてはならないと考えております。
 そこで、都は構想の策定後、どのような取り組みをこの間推進してきたのか伺います。

○梅村計画担当部長 構想の推進に当たりまして、都は二つの役割を有していると考えております。
 一つは、構想全体の推進役でありまして、官民一体の体制として、推進会議を昨年九月に設置し、国、東京都、民間の連携強化や課題解決に向けた取り組みを進めております。
 もう一つは、都みずからの取り組みを着実に進めることでございまして、昨年度は投資の活発化につながる官民連携再生可能エネルギーファンドの設立や個人金融資産の運用の多様化につながる個人向け外貨建て都債、東京グローバル都債の発行などを行っております。今年度は東京都外債の東京プロボンド市場への上場や首都大学東京における高度金融専門人材養成プログラムの開講の準備など、構想に掲げた取り組みを着実に進めております。

○田中委員 昨年度の取り組み、また今年度、今取り組んでいること、多々述べてもらいました。都としても、東京国際金融センター構想に向けて、少しずつではありますが、実際に事業が進み始めたということであります。この中でも官民連携インフラファンド等におきましては、この第一分科会でも各委員の先生方からも取り上げ、リスク、またリターンの関係、大変難しいということでありますが、しかしながら一年余りの中で、まだまだ評価を完全に下すことは難しいということも意見がありましたし、私なりにも都の課題を金融で解決していくという手段は今後期待をさせてもらうというような発言もさせていただきました。ぜひともこの取り組みが着実に進むことを期待したいと思います。
 その中で金融センター構想と先ほどから何回もいっておりますが、目に見える何かセンターみたいな箱物をつくるわけでもなく、また先ほど来議論が出ていますアジアヘッドクオーター構想のように何社誘致をして、その進捗状況が何%というようなことでもないため、なかなか施策の進捗状況や取り組みがわからないというところがあるかと思います。
 実際は進捗目標を定めて、二十六年度は三〇%とか、二十七年度は四〇%と、あともう少しというふうに報告をしてもらうのが一番簡単なのでありますが、今までの取り組みを聞いておりますと、これを数値化して目標とするのはなかなか難しいかとも思っております。
 そうであるならば、やはり都として取り組んでいること、また民間として取り組んでいることを総体として、この取り組みというのを都民や海外に向けても積極的にPRをして、これだけやっているんだぞというのもこれから必要になってくるかと思いますし、それがひいては来年度以降の国際金融センター構想の動きを加速させるんじゃないかとも考えております。
 今後、もろもろいってもらいました取り組みが進んでいく中、都も取り組みをもっともっと積極的にPRしていくべきと考えますが、その取り組みや所見を伺います。

○梅村計画担当部長 東京国際金融センター構想を進める上では、その実現に取り組む東京の姿を内外に発信することが重要でございます。そのため、都のホームページにおける発信のほか、国内外の金融関係者が集まる各種金融会議に積極的に参加し、構想の概要や都の具体的な取り組みについて講演するなど、積極的なプロモーションを行うとともに、国際金融会議の誘致、開催に向けた検討も開始しております。
 引き続き東京国際金融センターの実現に向けまして、効果的な発信に努めてまいります。

○田中委員 ぜひとも今いいました積極的なプロモーションというのを続けてもらいたいと思っております。同時に金融の現場で働く人だけでなく、さまざまな業種の人々にもアンケートを実態調査のような形で満足度というのを継続的に調べていくことも提案をしておきたいと思います。
 先ほどの都市ランキングにおいても、経済のランキングの指標としては、市場規模や魅力、経済集積、人的集積やビジネス環境、ビジネスの容易性という指標があるのですが、もう一方で、アクター別といって、経営者としてはどういう感覚なのか、また研究者としてはどういう感覚なのか、さらにいえば生活者の感覚なのかどうなのかといった満足度の聞き取りも同時にこの調査はしております。
 東京都としても、先ほど来、民間との連携でタスクフォースをつくり、また実行プログラムを進めているところかとは思うのですが、ぜひさまざまな分野の人たちの実際の声も聞いて、それを進捗にもつなげていってほしいと思います。
 世界の都市間競争は熾烈をきわめております。先ほどのランキングでも、毎年四位というふうに私、述べさせてもらいましたが、それよりも印象的だったのは、一位のロンドンがさらに二位、三位を引き離して大きくポイントを上げているところでありました。また一方、日本の下位にあるアジアのシンガポールや香港が大きく上昇をして、このままでいきますと、日本の四位も危うく、東京に迫っているという結果でありました。悠長に構えている時間はないかと思います。
 しかしながら、やるべきことというのは、ランキングを見ても、また金融センター構想に二十の課題というのを掲げていることもお聞きをしましたが、この二十の課題もしっかりやるべきことは決まっています。さらには特区の中でもこれからやるべきことが決まって、それを進めていくというのも明らかになっております。唯一先進都市としてオリンピックを控える東京都としては、ぜひその大きな目標に向かって、世界一の都市を目指して、着実でありながら、しかしながらスピーディーにスピード感を持って取り組みを進めてもらうことを要望して、質問を終わります。
 以上です。

○宮瀬委員 私の方からは都市外交、アジア展開について質問させていただきます。
 イギリスの経済誌エコノミスト社の発表によりますと、世界のGDPのシェアは二〇五〇年には日本は一・九%と現在の三分の一まで減少し、逆にアジア発展途上国は約二倍の四八・一%へと世界の富の約過半数を占めるに至るといわれております。まさにこれからはアジア繁栄の時代といいますか、アジア途上国のGDPの平均成長率が毎年六%を超えている状況を鑑みますと、既にその時代が到来したといっても過言ではありません。
 いずれにせよ、日本、そして東京がアジアとともに相互発展していくことが重要であります。平成二十六年度第四回定例会の一般質問の際には、東京都は中小企業のビジネス進出という視点から拠点を持つべきだと質疑させていただきました。舛添知事からは、まずは自治体国際化協会の職員派遣を拡大とのご趣旨のご答弁をいただきました。
 そこでまず、自治体国際化協会の状況をお伺いしようと思いましたが、先ほど加藤委員の質疑にございましたので、私の方からは現状の取り組み内容については質問をいたしません。
 そのご答弁のご趣旨を改めて確認いたしますと、財政上の理由から海外の事務所は過去閉鎖し、また平成二十六年の自治体国際化協会、ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、各事務所に職員を派遣し、海外事業の調査を行っている、また、平成二十七年度には同協会のパリ事務所へ職員派遣を開始し、今後も同協会への海外事務所を積極的に活用していくというご答弁の内容でございました。
 やはり現場が大事であります。そこで、昨年、私自身、自治体国際化協会のシンガポール拠点に足を運び、自分自身の目で見てまいりました。非常に優秀な、東京都から派遣された都の職員の方が協会の職員として働かれておりました。現地でさまざまな行政機関を初め各所をご案内いただきました。この場ではありますが、本当にありがとうございました。
 一方、自治体国際化協会は、全国の自治体の共同組織という性格上、都派遣職員も基本的には同協会の業務を行っております。ナレッジの習得や経験の蓄積、チームで物事に当たれるといった意味合いでは、今の形態は最適でありますが、私が拝見しますと、都の職員が都の業務に常時専念することが困難であるように感じられました。
 例えば、都から給与を支給されていると思いますが、実際は他県の仕事の割合がかなり多いように見受けられます。例えば、シンガポールの日系デパートで日本食材を販売PRするために食材特設コーナーを設置するお仕事をされておりましたが、それらは宮崎県産や山形県産など、他県の食材でありました。ここでは都にかかわる仕事と他の道府県の仕事の割合をあえてお伺いいたしませんが、少なくとも半分以上は他道府県の仕事ではないかと推測されます。
 都民の理解をさらに得るためにも、都の職員には都の仕事の比重をさらに上げていくべきと感じましたところ、山形県、長野県、熊本県は既に自治体国際化協会のシンガポール拠点のオフィスの中に事務所といったらいいのでしょうか、そういったデスクを置き、自治体国際化協会と連携をしながら、駐在員としてその県の仕事をメーンで担っておりました。お聞きしましたが、自治体国際化協会には主に派遣元自治体の業務を行う駐在員型派遣形態があるとのことであります。
 長くなりましたが、そこでお伺いいたします。自治体国際化協会の職員派遣は現在の派遣形態を改め、幾つかの自治体で既に行っているように派遣元自治体の業務に専念できる駐在員型とすべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○横山外務部長 自治体国際化協会は、自治体による海外展開のサポートの一環といたしまして、シンガポール事務所において、駐在員型派遣職員を募集しております。都においても、この駐在員型派遣職員制度の活用につきまして、平成二十六年度に各局にも照会をいたしまして、年間を通じて都職員が常駐する業務上の必要性等について検討した結果といたしまして、従来型の派遣形態を継続しているものでございます。駐在員型の職員派遣制度の活用につきましては、来年度以降も各局事業の状況も踏まえながら必要性や効果等も含め総合的に検討してまいります。

○宮瀬委員 ありがとうございます。一方で、案内はしたが、各局から応募がなかった状況とも聞いております。また、ネックになっているのは、各局が新たに追加で費用を負担しなければいけない問題であります。その費用を政策企画局で一部負担することなど、その局の仕事と東京都の仕事、合わせてやっていただくような取り組みを、ご検討をお願い申し上げます。
 さて、舛添知事のおっしゃる東京を世界で一番の都市にするということを目指すのであれば、より世界の実情を知らなければなりません。二〇二〇年オリンピック・パラリンピック大会を控え、姉妹友好都市や世界の諸都市との交流を深め、知見を得ることは、大会の成功に向けて重要なことであります。自治体国際化協会への職員派遣を通じた現地とのコネクションづくりも大切だと思います。しかし、東京都の職員と姉妹友好都市の職員を相互に交換派遣することも、現地との信頼関係を図る上で有効であります。
 そこで、先ほどヨーロッパの話は出てまいりましたが、第一歩といたしまして、まずアジアの姉妹友好都市との職員交換を行うべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○横山外務部長 都は平成二十六年度、東京都知事として、十八年ぶりに訪問いたしました北京市とソウル特別市、それぞれとの間で職員の交換を行うということで合意をしております。今後、これらの都市との職員交換派遣の実現に向けまして、実務レベルでの検討を行ってまいります。

○宮瀬委員 ありがとうございます。ぜひ経済が成長し、発展著しいアジアの、特に東南アジアの方面に派遣していただくようお願いをいたします。まだ検討中とのことでありますが、恒常的に顔の見える関係こそが本当の信頼関係をつなぐ助けになることは間違いありません。昔から日本では遠くの親戚よりも近くの他人といった言葉もございます。ご検討いただけますようお願い申し上げます。
 次に、知事の海外出張についてお伺いをいたします。
 平成二十六年度決算では知事の海外出張費用の合計は約一億二千万円となっております。海外出張では、姉妹友好都市等を訪問し、都市問題の解決への相互協力に合意するなど、成果を都民に還元していくための道筋をつけたともいわれております。
 成果につきましては、いろんな観点があると思いますが、一方で、ビジネスという観点ではいかがでしょうか。当然ビジネスを意識した都市外交を展開するのであれば、まずは人が大事でかなめであると私は考えます。
 そこでまず、平成二十六年度の知事の海外出張の同行メンバーの構成についてお伺いいたします。とりわけ都庁でビジネスを所管する産業労働局の職員は知事の海外出張に同行しているのでしょうか、また民間企業は同行しているのかお伺いいたします。

○横山外務部長 知事は就任以降、積極的に都市外交を推進しておりまして、それぞれの都市への訪問目的に応じて必要となる職員を同行しております。平成二十六年度には、産業労働局職員は知事の海外出張には同行しておりません。また、民間企業も出張には同行しておりません。なお、従前より各局におきましては、それぞれの事業展開の中で民間企業とともに職員が海外出張を行っている事例はございます。

○宮瀬委員 トップであります知事による都市外交に産業労働局や企業は同行していないというご答弁でありました。冒頭にお伝えしたことと重複して恐縮ではございますが、アジアの富をいかに取り込むか、ひいてはアジアとともに東京をどう発展していくかは大切であります。
 先般、都民の都市外交政策に関する関心を調べるため、私も政務活動費を使いまして、九百九名のマーケティング調査を実施してまいりました。今後のアジアのマーケットが鍵を握ると考えている経営者は約六割を超えているものの、その実態は企業進出に関しましては、うまく軌道に乗っていない二七%、今後検討している九%、どうすればいいかわからない四%とあり、進出はしていないし、今後も進出する予定はないといった方々は一五%にすぎませんでした。すなわち、もちろんうまくいっている企業も四四%いらっしゃいましたが、どうしたらいいかわからない、検討している、まさにアジアと向き合い、皆さん苦闘、苦悶している都内の企業も多くあるのが実態でございました。
 知事の都市外交を否定するものではございませんが、ビジネスにもっと着目すべきではないかと考えます。例えば今月、東京都を訪問し、友好都市提携を行ったロンドン市の市長のメンバーリストを拝見いたしますと、ロンドン・アンド・パートナーズ国際ビジネス開発部長というお名前も拝見しております。都議会にいらっしゃったメンバー以外に関しましても、同日で多くの企業の幹部がロンドン市長と同行していたと聞いております。
 ロンドン市長の例に倣い、知事による都市外交もまた海外進出を図る企業とセットで訪問することも必要でないかと思いますが、所見をお伺いいたします。

○横山外務部長 都市外交基本戦略におきましては、各都市との交流、協力を通じて、東京の発展や都民生活の向上に資する施策を展開し、そのメリットを都民に還元するという方針を掲げてございます。こうした施策を効果的に実現する手段といたしまして、関係局の意向も踏まえながら、首長間の交流を含め、さまざまなレベルでの交流を通じて、戦略的な都市外交を展開してまいります。

○宮瀬委員 知事の都市外交に関しましては、五回の各国訪問で一億二千万円もの税金を投じている以上、都民にその価値がわかりやすく伝わり、実感できるような取り組みもまた必要であります。どうかよろしくお願いいたします。
 では、最後の質問になります。海外とビジネスという観点で申し上げますと、中小企業の海外への販路開拓支援等の産業政策も大変重要であります。先日、この分野で先駆的な取り組みをされている神戸市や兵庫県、北九州市のご担当者を訪問し、直接お話を聞いてまいりました。
 とりわけ北九州市では、こちらパンフレットもございますが、アジアの技術首都を目指す、アジアの環境首都を目指していく、そういった取り組み、宣言を行い、アジア二十都市において三十八ものインフラ国際事業を県内の中小企業の販路拡大や産業力貢献へと結びつけていることが印象的でありました。そういった事業も何年も前から戦略的な構想に基づき着実に実行を重ね、まさに今これが花開いているといった状況であります。
 このように関係局が連携をし、戦略的な中小企業の海外販路開拓支援などを行っております。都においても将来を見据えた、より戦略的な取り組みが必要と考えますが、所見をお伺いいたします。

○梅田国際事業担当部長 都では都市外交の実践的協力事業といたしまして、東京の先進的な技術を活用し、経済交流を通じて、アジア諸都市の課題解決を目指す経済交流促進のプラットホーム事業を推進しております。現在、環境、省エネルギーをテーマに関係局と連携しながら、関連する製品や技術を有する都内中小企業の国際見本市への出展支援などを行っているところでございます。
 今後ともこうした取り組みを通じまして、アジア諸都市への貢献やビジネスチャンスの拡大などを目指してまいります。

○宮瀬委員 ありがとうございます。具体的にはビジネスといった視点からは、国際見本市をやっているというご答弁でありましたが、平成二十六年度はたった一回だけの実施だったかと思います。やはり日本の首都である東京がその規模やスピード感においておくれをとっている状況であることは否めません。北九州市や神戸市、兵庫県などにおきましては、数え切れないほどのビジネスサポートを実際に行っております。
 このたびの質疑を通じまして、アジア発展のスピードに東京都の施策が追いついていないのが正直な実態ではないでしょうか。私自身、一つの体験を申し上げますと、NGOとしてカンボジアの国々で支援活動をしてまいりましたが、十六年間継続していた孤児院の支援のプロジェクトの一つが昨年その目的を全うし、事業を終えてまいりました。まさにアジアでは、貧困といった状況から発展へとつながるそのスピードが年々増していることを肌で感じております。
 成果が出るまで時間がかかる事業でありますので、ぜひ長期的な戦略と、よりスピード感を持って取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○斉藤委員 私の方からも国家戦略特区の取り組みにつきまして簡単にお伺いをしたいと思います。
 我が国は、いうまでもなく本格的な人口減少社会を迎えておりまして、経済活動が中長期的に低下していくことが懸念されております。こうした中にありまして、東京が日本経済の機関車の役割を担う立場といたしまして、激化する海外との都市間競争に打ち勝ち、そして世界中から人、金、物を集積する必要性がますます高まっている状況にあると認識しておるところであります。
 東京が世界中から人、金、物を集積する魅力ある都市になるためには、今後、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック開催も視野に入れながら、東京の各拠点におきまして、東京のアキレス腱ともいわれている、例えば交通結節点機能やMICE機能、国際金融機能等の強化に資する国際ビジネス拠点プロジェクトを推進しながら、東京を世界に開かれたグローバル技術都市へと大改造させていく必要があるものと考えます。
 そうした中にありまして、国家戦略特区制度が平成二十六年度から開始されております。東京都は昨年の十月の第一回東京圏区域会議におきまして、これらの都市再生プロジェクトを推進するとの方針を打ち出しましたけれども、まずその取り組み状況をお伺いしたいと思います。

○山本国家戦略特区推進担当部長 ご回答申し上げます。
 東京都は昨年十月の第一回東京圏区域会議におきまして、都内各拠点における国際ビジネス拠点プロジェクトを都市計画法等の特例の積極的な活用によりましてスピーディーに整備していく方針を打ち出したところでございます。その際に、関係者間の事業調整のスピードアップを促す観点から、各プロジェクトごとにあらかじめ意欲的な都市計画目標等を区域会議において設定しまして、国、自治体、民間事業者の連携による目標達成に向けた取り組みを進めているところでございます。
 現在、二十二のプロジェクトにつきまして都市計画目標等を設定しまして、既に九つのプロジェクトにおいて目標達成の状況でございます。残りのプロジェクトにつきましても、現在目標達成に向けた関係者間の調整を進めている状況でございます。

○斉藤委員 スピードというのは非常に重要であると思いますけれども、国際ビジネス拠点プロジェクトのスピードアップは、再開発ビルへの民間投資による経済効果が早期に発現されることになりまして、我が国の経済活性化に大いに貢献するものと考えられます。成長戦略上も非常に重視されているところであります。引き続き目標達成に向けた関係者間の調整に取り組んでいただきたいと思うわけであります。
 さらに、スピードアップの視点以外で重要になるのが、プロジェクトの整備により、都内の各拠点の国際競争力がどういうふうに変わっていくのかという視点であるというふうに考えます。
 そこで、今回の都市計画法などの特例によりまして、都内各拠点の国際競争力の強化がどのように図られていくのかをお伺いしたいと思います。

○山本国家戦略特区推進担当部長 例えば東京駅の周辺では、八重洲地区における大規模バスターミナル、ライフサイエンスビジネス交流施設の整備、大手町地区における国内外の金融機関の集積を生かした金融拠点の整備等に取り組みまして、国際ビジネス拠点のさらなる活性化を図っていきたいと考えております。
 また、虎ノ門ヒルズ周辺では、新駅、バスターミナルの整備等に加えまして、高度な業務機能の集積、外国人の多様なニーズに対応した居住、滞在施設等の整備に取り組みまして、外国人を呼び込む職住近接の空間づくりを推進してまいりたいと考えております。
 さらに、今後は品川駅周辺、羽田空港跡地等における国際競争力の強化に資するプロジェクトにも取り組んでまいりたいと考えております。

○斉藤委員 東京はよく世界ランキングの中でも交通系が--空港も容量が非常に限られておりますけれども、ロンドンなどに比較して交通がこれからポイントであるということが指摘されておりますけれども、例えばバスなども、国際会議場があっても、移動するときには皆さん基本的に交通機関をばらばら乗り合わせて移動するなんていうことは考えられないわけでございまして、そういうことでいうと、今までの東京の交通のあり方は鉄道中心な考え方になっていまして、これからはやはりバスによる移動、バスターミナルはこれから非常に重要になってきますので、八重洲の開発についても大変期待しているところであります。
 今までお話しいただいた話は、国際的に都市間競争に打ち勝つための競争力強化という角度の視点でしたけれども、これまでご答弁いただいた国際ビジネス拠点プロジェクトの推進に加えまして、私が重要と考えているもう一つの視点は、都民目線といいますか、東京の都民が変わりゆく東京についてどういうふうな恩恵というか、変化についての利益を享受できるかという視点も重要であると思っておりますし、そういったことをあわせ持つことが必要であると思いますが、そういった点からエリアマネジメントに係る、例えば道路特例などの視点は重要であるというふうに考えるわけであります。
 昨年度は丸の内の仲通り、あるいは行幸通り等が特例認定を受けまして、先月には特例を活用したイベントとして、JAPAN NIGHT二〇一五が開催されまして、海外からも多くの来場者があったものと聞いているところであります。このような取り組みは都市観光の推進などの観点から有意義であると考えておりますけれども、その一方で、現時点で認定プロジェクトが四地区ということでありますが、今後オリンピック・パラリンピック開催に向けた外国人来訪者増に鑑みれば、当然取り組みの拡大が必要ではないかと考えるものであります。
 そこで、お伺いしますけれども、東京都におけます国家戦略特区の指定区域が都内全域に拡大された中、今後、特例の拡大についてどう取り組んでいくのかをお伺いしたいと思います。

○山本国家戦略特区推進担当部長 ご指摘のとおり道路法の特例の活用により、地域の創意工夫を生かしたイベントを展開させる取り組みは観光施策上有意義であり、都内各地域における展開可能性も大きいものと考えております。実際に、多摩地域も含め、数多くの自治体から利用ニーズが上がっているところでございます。
 そうした中、先般認定されました蒲田駅の周辺地区におきましては、地元の商店街が中心となりまして、今月のイベントにおきましても、観光展、蒲田映画祭、そういった連携によるにぎわい創出に取り組んでおりまして、他地域のモデル事例になるものと考えております。
 東京都としましては、今後、自治体への説明会などさまざまな機会を活用しまして、こういった事例の推奨等による適用拡大に取り組んでまいりたいと考えております。

○斉藤委員 西新宿もまさにエリアマネジメントが始まりました。京王プラザホテルにはたくさんの外国人観光客の方も宿泊されているということを肌身で感じている私たちであります。ああいったにぎわい空間、歩道上に車がとまっているというのは普通あり得ないことなんですけれども、例えばちょっとした視点で、お金もかけずに、道路法を、ちょっと使えるようにすれば、そういった新しいにぎわいの空間が創出されるいい例だと思います。外国人に向けて、観光客に向けてやっているという狙いはもちろんあるんでしょうけれども、当然都民や障害のある方がちょっと座っていくベンチが路上にあったりするのもとても重要であります。
 何をいいたいかというと、国際的な世界の中の日本ということは重要な視点ですけれども、世界に対するおもてなしの都市をつくるということは、翻って都民一人一人の、障害のある方も、また外国人の方も、ともにバリアを感じずに楽しめる、すばらしいにぎわいの都市になっていく、それが私はすごく重要な視点の一つではないかと思っているわけであります。
 商店街など頑張っているわけですけれども、商店街などの地域に根差した主体を活用したエリアマネジメントの特例の推進の重要性については、私は全く共感するところ大でありまして、私の地元は大きな行政需要というのはありません。海があるわけではありません、目黒ですから。しかし、そこには自由が丘という一つのソフトを持ったまちが展開しているわけですけれども、こういった自由が丘駅周辺につきましても、商店街の振興組合が中心となりまして、これまで、例えばスイーツに注目して、スイーツ祭りというイベントを展開してみたり、さまざまな取り組みに挑戦した商店街と地域があります。
 また、地方創生ということが、今、安倍政権で非常に重要な政策の一つとなっておりますけれども、地方といわずとも、地域、ポイント、拠点といいますか、まちといいますか、商店街といってもいいと思いますけれども、そういった地域創生をかけ声にして、地方都市と、あるいは地方の金融機関、信用金庫とか、あるいは地方銀行などが融資をしたりしながら、コラボで地方都市や地方金融などと、場合によっては学術の大学などの学生などを巻き込んだ形にしまして、自由が丘などは既にやっております。自由が丘の商店街振興組合を軸に連携しながら、そうした地方都市の観光資源の発掘とか、育成、活性化、こういったものに自由が丘というまちが貢献している例もあるわけでございます。
 今後は、そういったまちが、いろいろ多摩地域も含めまして、ふえてくるということを期待しておりますし、今後オリンピック・パラリンピックの開催を控えまして、都市観光の推進の観点から充実強化も求められているところであります。そういった点におきまして、今後、ぜひ国家戦略特区の対象とされる地域の活躍を要望いたしまして、期待いたしまして、私の質問を終えたいと思います。

○早坂委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○早坂委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で政策企画局関係を終わります。

○早坂委員長 これより青少年・治安対策本部関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、青少年・治安対策本部長から幹部職員の紹介があります。

○廣田青少年・治安対策本部長 さきの人事異動に伴い、兼務発令のございました当本部の幹部職員をご紹介申し上げます。
 総合対策部長でオリンピック・パラリンピック調整担当部長を兼務いたします廣瀬秀樹でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○早坂委員長 紹介は終わりました。

○早坂委員長 決算の審査を行います。
 平成二十六年度東京都一般会計決算中、青少年・治安対策本部所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○山内委員 私からは防犯カメラを中心に伺います。
 都内では、ことしに入っても一月に福生市で小学生が男に足を踏みつけられて骨折をした事案、また五月には杉並区で中学生が誘拐されそうになった事案などが起きております。このような犯罪から子供を守る取り組みを強化すべきことは論をまちません。さきの第二回都議会定例会一般質問において、児童生徒の安全確保について都の見解を質問したところでありますけれども、今回も通学路等における子供の安全対策についてお伺いをいたします。
 都では、昨年度、通学路の安全対策として、区市町村が小学生の通学路に設置をする防犯カメラへの補助事業を開始しましたけれども、この事業は子供の安全に寄与するものと大いに期待をしているところであります。
 そこで、まずこの事業の意義と概要についてをお伺いいたします。

○村山治安対策担当部長 通学路の防犯カメラの設置は、地域の子供見守り活動を深める好機となることに加えまして、犯罪や事故の防止にも資することから、子供の安全を確保する上で大変有効でございます。この事業は、三十年度までの五年間で都内の全ての公立小学校の通学路に一校当たり五台程度の防犯カメラを設置できるよう、区市町村に対し設置経費の一部を補助するものでございまして、執行を教育庁に委任しているところでございます。

○山内委員 防犯カメラについては、犯罪を抑止するとともに、子供を犯罪や事故などから守るという点で意義があり、都内の全公立小学校で設置を進めていくという点で大変評価をしているところであります。ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
 さて、この事業は五年間で都内の全公立小学校の通学路への設置を目標としているところでありますけれども、初年度である平成二十六年度の進捗と、そして決算の状況についてを伺います。

○村山治安対策担当部長 平成二十六年度は二十二の区市町が百八十七校に五百四十七台を設置いたしました。本事業の予算額二億四千七百万円に対し、決算額は一億六十六万四千円となっております。

○山内委員 予算の執行率は、残念ながら四割にとどまっているということであります。実際にカメラを設置するのは区市町村でありますけれども、都の計画どおりには進まない場合もあることは確かに理解はできます。しかし、通学路を含む自宅や学校周辺などで犯罪や事故が多発していることを踏まえますと、安全対策は喫緊の課題であり、積極的に進めていかなくてはならないと思っております。
 そこで、都でも喫緊の課題として予算計上した事業だと思いますけれども、執行率が低かった理由と、そして今後の対策についてを伺います。

○村山治安対策担当部長 本事業は、昨年二月、都が追加補正予算として計上したものでございます。各区市町村は年度途中に補正予算により対応いたしましたが、地元住民との調整に時間を要するケースもございました。なお、設置学校数としましては、単年度の見込み約二百六十校に対しまして七割となっております。さらに、本年度は昨年度の未執行分に加え、予算を積み増しして前倒し実施を行い、教育庁と連携して区市町村の取り組みを支援しているところでございます。

○山内委員 積極的に予算を積み増しして前倒し、実施を促しているということは評価をできるところだと思います。防犯カメラは事件解決に役立ったという報道が事あるごとにされ、犯罪捜査に役立つことは周知のことでありますけれども、設置を契機として、学校や保護者、そして地域の防犯意識が高まり、活動が活性化するということも高く期待をできるところであります。
 私の地元の品川区でも、この事業に対する期待や要望というものはとても多く、私のところにもそんな要望をいただいていることもあります。全ての公立小学校の通学路に確実に防犯カメラが設置をされるよう、ぜひ教育庁をバックアップし、そして区市町村の理解を得てこの事業をしっかりと進めていただく、これが子供たちの安全が守られるというところにつながってくると思いますので、しっかりやっていただきたい、そして期待をしたいと思っております。
 さて、防犯カメラなどのハードによる防犯対策が重要であることはもとより、地道な見守り活動やソフト面の対策といったものも非常に重要であると考えます。本部では、本年一月に安全安心TOKYO戦略を策定し、六月には安全安心まちづくり条例の改正を行ったところでありますけれども、都は今後、通学路等の安全対策をどのように取り組んでいくのかを伺います。

○村山治安対策担当部長 通学路の安全対策は、警察、行政、学校、保護者、地域などが連携して行うことが不可欠でございます。このため、第二回都議会定例会で東京都安全安心まちづくり条例を改正し、これら全ての関係者を通学路等の安全確保の主体と位置づけたところでございます。また、通学路等における児童等の安全確保に関する指針も策定いたしまして、通学路を設定、変更する際の警察への意見照会のほか、通学路の安全点検、安全教育など、関係者が行う取り組みを具体的に明記したところでございます。引き続き子供の安全対策について、関係者との連携を強化し取り組んでまいります。

○山内委員 子供の安全を確保するために地域全体で見守る体制、見守る体制の整備は本当に不可欠であります。そのために、人の目によるパトロール等に加えて、機械の目である防犯カメラを設置して、空間的に、そして時間的に見守りを強化するとともに、学校や家庭、地域などの実践的な安全教育の充実を図っていく、これが大変重要であると考えます。
 今回、これらのことを具体的に指針に盛り込んだということでありますけれども、今後はこの指針をもとに警察、そして区市町村、学校等の関係機関との連携を深めて、都内の子供たちが犯罪や事故等の被害に遭わないように、子供の安全対策を強化していってほしいということを要望いたしまして、私からの質問を終了いたします。

○斉藤委員 私の方からは自転車の安全利用について質問したいと思います。
 自転車の活用は、安全利用が大前提でございます。我が党が強く求めてきた自転車安全利用条例が平成二十五年に施行されまして、昨年の一月にはこの条例に基づいて、東京都自転車安全利用推進計画が策定され、そして自転車の安全利用の取り組みは大きく前進したと評価するところであります。自転車の事故を減らすためには、計画に基づく取り組みを着実に推進をいたしまして、自転車利用者に対してルールの周知徹底を図ることが重要であると考えるわけでございます。
 まず、事故の実態について確認したいと思いますが、事故の原因はさまざまだと思いますけれども、自転車利用者側に何らかの違反があった割合はどの程度だったのか、また違反率の高い年代、世代というものがあるのか、あわせてお伺いしたいと思います。

○村山治安対策担当部長 都内の自転車が関係する交通事故における自転車利用者側の違反率は、平成二十五年は約四九%、平成二十六年は約四七%となっており、低下傾向にはあるものの、いまだ五割近い事故において自転車側に何らかの違反がある状況でございます。中でも十歳代、二十歳代といった若年層の違反率は五割を超えており、他の年代に比べて高い状況にあります。

○斉藤委員 事故を減らしていくためには、違反率をさらに低下させていくこと、つまりは自転車利用者へルール、マナーの周知徹底を引き続き行っていくことが重要であると思います。自転車は、歩行者に対しては加害行為--これは人の命を奪うこともございますけれども、ルールを守らずに事故を起こしてしまうということは、もう本当に乗る責任を果たしていないということでございまして、まず、便利に物を利用するのであれば、ルール、特にマナーも含めまして、これを徹底していくことは利用者として当然であるというように思うのですが、特に今のお話伺いますと、若い世代の違反率が高い傾向にあるということでございますが、そうしますと、例えば学校現場におけます教育もポイントになるかと思います。
 その手段といたしましては、自転車シミュレーターが有効である旨、私は昨年の予算特別委員会でも主張させていただいたところであります。平成二十六年度の自転車シミュレータ交通安全教室の実施状況についてお伺いしたいと思います。

○村山治安対策担当部長 自転車シミュレータ交通安全教室は、平成二十六年度は年間百五十回実施しております。この事業につきましては、二十四年度に年間六十回の開催でスタートした事業でございますが、翌年の二十五年度以降からは百五十回に規模を拡大し、毎年約一万人が受講しているところでございます。
 平成二十六年度につきましては、小学校や中学校を初めとした学校での開催が約半数の七十六回、その他は区市町村が実施している各種イベントや大型商業施設等で開催し、幅広い方々に体験の場を提供しております。この自転車シミュレーターについては、活用の要望も多いことから、今年度は予定していた百五十回に加え、追加実施も検討しているところでございます。

○斉藤委員 委員の方もこのシミュレーター、ぜひ一度試してみていただきたいと思います。意外と自転車のルールを守りながら走行することが難しいということを実感できると思うんです。ITS国際会議の会場でも私はシミュレーターで大変失敗をしました。こういった自転車シミュレーターを通じて、多くの方が自転車--これは本当に利用しやすい、すばらしい移動手段なんですけれども、こういった自転車のルールを学んでいくことが重要であるということを改めてわかったわけでございます。貸し出し希望も多いということですので、実施回数の拡大など、体験の機会が十分に提供されるようにしていただきたいと思います。
 推進計画では、こうした取り組みの総合的な結果として、目指す数値目標があります。これを定めているわけでございますけれども、事故件数や亡くなった数につきまして、昨年の状況をお伺いしておきたいと思います。

○村山治安対策担当部長 自転車安全利用推進計画では、計画最終年である平成二十七年中の達成を目指す数値目標といたしまして、自転車事故発生件数については一万三千件以下、自転車乗用中死者数については二十五人以下という目標を掲げております。事故件数につきましては着実に減少しており、平成二十六年は前年比千九百十八件の減少となる一万二千六百六十六件となり、数値目標を一年前倒しで達成いたしました。
 しかし、事故件数の減少に反し、死者数は増加に転じておりまして、平成二十六年は前年比七名の増加となる三十八名の方が亡くなられました。中でも二十歳代、三十歳代の若い世代の死者数が増加しており、課題となっております。

○斉藤委員 目標を掲げて、二十五人以下という、今でも私、当時の本部長の決意というか、二十五人以下にするんだというご答弁を伺いまして、何としてもその数字を達成していくよう私も応援したいと思っていたのですが、事故の件数自体は減っているにもかかわらず、亡くなった方の数は目標をクリアすることが難しくなったと、できなかったという二十六年度でございましたが、その傾向を見ましても、二十代、三十代の方が多いというお話でございました。
 事故件数は着実に減少していて、自転車安全利用条例の制定、これだけでありません。そういったことを通じまして、さまざまな取り組みが成果をおさめ始めているというふうに私は実感するんですけれども、残念ながら数字を見ますと、亡くなられた数は増加に転じているということが今わかったわけでございます。
 特に二十代、三十代の年齢の方の、亡くなる方が増加しているということでありますが、推進計画に規定しているように、そうであれば、そういった方々が亡くなることがないように、企業など働いている時間もありますので、企業などを通じた成人向けにつくられた安全教育の取り組みも充実させることが重要だと考えるわけでございますが、現在の企業などを通じた成人向けの安全教育の取り組み状況についてお伺いをしたいと思います。

○村山治安対策担当部長 都は企業等の事業者自身が主体となって従業員への安全教育を進められるよう、社内で自転車の安全利用の取り組みを普及、定着させるリーダーを育成するための自転車安全利用TOKYOセミナーを平成二十六年度から新たに開始いたしました。昨年度は合計六回開催し、五十四企業、約三百名が受講いたしました。
 加えて、企業等が社内教育に活用できる研修用DVDを作成し、業界団体等へ配布するとともに、ホームページでも視聴できるようにしております。また、自転車販売店等を通じたリーフレットの配布等により、成人層を含めた幅広い世代への啓発を行っているところでございます。

○斉藤委員 企業などを通じた成人層への新たな取り組みを進めていることがわかったわけです。成人層への教育も重要なポイントですので、引き続き取り組みを進めてほしいと思います。
 セミナーのような教育も重要ですけれども、死者数を減らしていくためには、ヘルメットの着用が重要だと思います。先日、日本ヘルメット工業会から安全教育推進校がヘルメットの寄贈を受けられたと、送っていただいたという記事を目にしたところですが、ヘルメットの普及に向けた取り組みについてお伺いします。

○村山治安対策担当部長 自転車事故による死者のうち約七割は頭部損傷が主因となっており、死者数を減らしていくためには、自転車安全利用条例において、努力規定として定めているヘルメット着用の推進が重要でございます。
 そこで、平成二十六年度はリーフレット等を通じた啓発に加え、新たに新宿駅前、渋谷駅前など、都内全十六カ所の街頭大型ビジョンを活用した広報を実施いたしました。さらに、今年度は日本ヘルメット工業会の協力を得まして、安全教育推進校である都立松が谷高校において、ヘルメット着用モニター事業を実施するとともに、都内の高校や自転車販売店等における啓発用ポスターの掲出などを行っているところでございます。こうした取り組みを通じまして、引き続きヘルメットの着用率の向上を図ってまいります。

○斉藤委員 今年度は現行の推進計画の最終年度でもございまして、平成二十八年度以降に向けまして計画を見直す大事な年でもあります。交通事故死者数が増加している状況を踏まえまして、自転車の安全利用をより一層推進するような計画にしていただきたいと要望いたします。特に本部長、よろしくお願い申し上げます。
 以上、質問を終わります。

○植木委員 私はひきこもりについてお伺いをいたします。
 私の近所にもひきこもりで親御さんが大変悩んでおられるご家庭があって、大変生活が苦しい中で子供さんが学校を卒業しても家の中におられると。最初はいろいろやっていたようですけれども、最近は諦めというんでしょうか、何もやっていないということを、この間お話を伺いました。
 ひきこもり問題がそういう点で社会的にも大きな問題になって、いわゆる若者支援策とか、就労支援策とか、いろんな支援策の中で独自に一定程度やらなきゃいけないということで進み始めつつあると思うんですけれども、かなり解決に向けて粘り強い努力が必要だと思っています。やはり相手との信頼関係ができて、本人と本当に話ができるようになって、本人の一番望んでいることが何なのかという、そういうところまで突き刺さって、初めて次のステップに行けるというのを私としても実感をしてきました。
 そういう意味で、ひきこもりについてはさまざまな実情があると思いますけれども、都としては、ひきこもりについての実態をどのように捉えておられるのでしょうか。

○稲葉青少年対策担当部長 ひきこもりの問題は、家庭内で抱え込まれて、潜在化しがちであり、外部の相談に結びつきにくい傾向がございます。この状態が長期化すれば、年齢に応じた社会経験を積む機会が失われることとなるため、都は若者のひきこもりの状態の長期化を未然に防止し、早期の社会的自立を支援するための事業を行っております。

○植木委員 状態が長期化するということと社会的にどう支援に結びつけていくか、非常に大事なことだと思うんです。先日、学校関係の調査で小中学校で家にこもりがちな子供たちの実態調査というのが教育庁の方でやられているのを見てみましても、教育の段階、ご家庭の段階、そして社会に出ての段階という、それぞれその人にとっては非常に重要な局面がいろいろあるのだろうと思うんですけれども、やはりそういう意味で、ぜひ努力に結びつけていただきたいというふうに思います。
 そういう意味で、事業の一つに訪問相談事業、東京都ひきこもりサポートネットというのがあると聞いていますけれども、具体的な相談に結びつけるには、先ほどもいいましたようにかなりの努力が必要だと思うんです。そういう意味で、家族の方もどこに結びつけていいかわからないというときに手を差し伸べられる、そういうサポートネットとして事業を進めていただきたいと思うのですが、この事業では相談事業として、どのくらいの相談件数になっていくのか、また具体的な対応のあり方というんでしょうか、どのように進めておられるのかを教えてください。

○稲葉青少年対策担当部長 平成二十六年度の相談件数は、電話相談が三千八百四十五件、電子メールが千五百五十四件、家庭等への訪問相談が四十八件となっています。相談対応に当たりましては、臨床心理士などの資格を有する相談員が若者や家族等の相談を的確に受けとめ、助言や支援機関の紹介等を行っております。

○植木委員 訪問活動については、一年以上経過したわけです。これはたしかお茶の水に委託されて、それを通じていろいろな組織が動いているのだろうと思うんですけれども、この取り組み、一年間たってみてどう評価をし、今後どう生かそうとしているのか。大学関係者を中心にやっていただいているのを、実際に生かしていかなければならないという課題が今後にあると思うんです。そういう意味で、どう生かそうとしているのか、お示しいただきたいと思います。

○稲葉青少年対策担当部長 訪問相談は、若者やその家族の状況や要望を踏まえまして、必要な支援を見立て、早い段階でひきこもりの状態から脱却させることを目的として行っております。訪問終了後は、東京都若者社会参加応援事業の参加団体の活動であるとか、就労支援機関等の個々の事例に即したサービスにつなげるなど、若者の社会復帰に努めております。また、この取り組みを通じまして、早期に支援につなげられるようひきこもりの若者等の実態把握に努めております。

○植木委員 早期に支援につなげるよう実態把握、実態把握から先にどう進めていくかというのはやっぱりどうしても欠かせないものだろうと思うんです。これは一回訪問しただけで、あるいは一回いろんな事業につなげただけですぐに解決するものももちろんあるでしょうけれども、なかなかそうはいかないというのが多分多いと思うんです。
 私も先ほどのと別の例ですけれども、ずっと家にこもっていて、親から相談があって、何回も何回も訪ねてもなかなか会わなかったんですけれども、親御さんから聞いたら運転が得意なんだと。ただ、会社に行って運転といっても、会社の人のつながりができなくてすぐ休んでしまって、また戻って、もとのもくあみになっちゃうという繰り返しなんだそうです。
 それで、運転をどう生かしたらいいのかということで、何度も何度も訪ねながら、これならできそうだなと本人が思ったところを紹介した。ただ、それも余り人と接触しないようにする。それから、働く日数も最初は本人の意思を尊重して、働く日数をつくった。そういうことで少しずつ少しずつという、そんな感じだったんです。
 だから、本当に大学が研究事業としてやっている範囲をどう超えて、社会的にそれをサポートするような仕組みをつくっていくかという、この課題だろうと思うんです。
 そういうことだと思うんですけど、この事業も重要ですから、どのような支援を都と--あるいは国の事業なのでしょうか、国と都とどういうふうな支援を行っているのか、お示し願いたいと思います。

○稲葉青少年対策担当部長 東京都ひきこもりサポートネットは、国が国庫補助の対象として都道府県及び政令指定都市に設置を促進しております、ひきこもり地域支援センターに位置づけられ、平成二十六年度の予算額は三千八百九十七万九千円、うち国庫補助額が一千万円となってございます。

○植木委員 かなりの金額ですけれども、やはり大学ですからいろんな関係者も含めてやったり、途中でシンポジウムを開いたり、いろんな研究をされたり、専門の心理士とつなげたりという、そういうことだから一定の費用がかかると思うんですけれども、これが区市町村だとかそういくと、なかなかそういう実態にまでいっていない実情があると思うんです。区市町村の受け皿も、区によってさまざまなんです。
 私の中野区では、福祉関係のすこやか福祉センターというところが一応窓口になっていると。一覧表を見せてもらいましたけれども、区によってさまざま。それは取り組みの程度が恐らくかなり違ってきていると思うんです。相談窓口もちゃんとしてあるところ、ないところ。それから対策が具体的に始まって、民間のいろんなサポート団体ともつながってきているところ。そういうさまざまなレベルにあると思うんですけれども、区市町村にはどのような補助を行い、それに基づいてどのような事業を行っているのか。区市町村はどんな取り組みをしているのか。具体的な事例があったらお示しいただきたいと思います。

○稲葉青少年対策担当部長 都は、住民に身近な地域における支援体制の整備を図るため、区市町村の窓口設置に係る初年度の経費について、補助率二分の一、上限二百万円を補助してございます。平成二十六年度につきましては、四つの自治体がこの補助を活用し、ひきこもりの相談を受け付ける体制を整備してございます。

○植木委員 一つの自治体で上限が二百万です。これでいいのかなという感じがするんです。もちろん金額の問題じゃない。本当に取り組む姿勢の問題だろうと思うんですけれども、そうはいっても二百万というと、せいぜい窓口を設けて、専門機関につなげるだけ。直接的に誰がどこでやっていくのか見届けるというのはなかなか難しいと思うんです。
 私、幾つか区市町村に電話してみたんですけれども、まずどのくらい相談が来ているのかもつかんでおられなかった。それから、相談が来れば受けるようにはなっていますと、そういう程度の自治体も含んでの数なんです。しかも四カ所でしょう、二十六年度でいえば。それを前から見ても、まだ年限がそんなに長くなっていませんから、せいぜい七、八の自治体ぐらいじゃないかと思うんですけれども、これで本当にいいのかというのは皆さん、どう思っておられるでしょうか。
 もっと自治体が積極的に手を挙げられるように、それから継続的な補助など支援ができるように、この事業を区市町村が、とにかくまずはどう取り組むかというところから、まずは相談を受けるところから始められるように充実すべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○稲葉青少年対策担当部長 補助を活用した窓口の設置数は、平成二十三年度が四自治体、二十四年度が四自治体、二十五年度が一自治体、二十六年度は先ほど申し上げました四自治体となっております。区市町村への補助につきましては、平成二十六年度から各区市町村がその実情に応じて、より活用しやすいものとなるよう補助要件を緩和して支援をしております。

○植木委員 補助要件の緩和を行う、これは非常に、まずはいいことだと思うんですけれども、そうはいっても積極的に手を挙げるまでは結びつかないのではないかという気がするんです。区市町村がどう受けとめているのか調べてみたらいいと思うんです。
 私がある自治体に電話したら、これから相談件数を調べますのでちょっと待ってくださいと、そういうお話だったんです。区の担当している責任者のところでまず頭の中にきちっと入っていない。それは当然ですよね、二百万円の補助さえ自分たちで申請していない自治体ですから。そういうことではならない。
 しかも、一方で、引き受けた四団体、世田谷の例なんかもよく聞いていますけれども、世田谷では、含めて四千万ぐらいの独自対策費をもって、関係団体との協働の取り組みを始めたと伺っていますけれども、必要要件を緩和されたことはいいことなんですが、さらに一歩進めていただきたいと思います。
 それから、実際に民間団体等NPO法人などで、ひきこもり支援に取り組んでいる団体もあるというふうに聞いております。ただ、団体が都内のどことどこにあるのかという一覧表を見せてもらいましたけれども、偏在が著しい感じがするんです。それは民間ですから、やむを得ない面もあるんですけれども、そうはいってもいろんな若者サポートとか、ほかの事業では努力されているところもあるわけですから、そういうところが一緒になって取り組めるようにやっていくためにも、こうしたNPO法人等民間団体への支援が必要だと思うんですけれども、現在各団体にはどのような補助を行い、それに基づいてどのようなことをやっているのかお伺いをします。

○稲葉青少年対策担当部長 都は、都が作成したひきこもり等の若者支援プログラムに即しまして、家庭等への訪問相談、自宅以外の居場所の運営、社会体験活動の三つのプログラムを実施するNPO法人等を東京都若者社会参加応援事業の実施団体として登録し、支援をしております。登録を希望する団体が新たにプログラムを実施する際に一年間経費を補助しており、助成額の上限は、家庭等への訪問相談が三百万円、自宅以外の居場所の運営及び社会体験活動が二百万円となってございます。このほか、支援に係るセミナーや団体相互の情報交換、情報共有を図るための企画等を行っております。

○植木委員 具体的な支援のルートができて、NPOでも取り組むという流れはできてきつつあると。これがどう広がるかということはありますけれども、いずれにしてもできたことはいいことだと思うんです。ある相談者の話では、やはりそうはいっても民間ですから、相談に当たって一万円から一万五千円ぐらいかかると。それが一回で済めばいいんですけれども、当然本当に解決しようと思えば、二回、三回とかかってくる。
 それはNPO法人の財政の限界があると思うので、それが一年間で三百万円という上限だというお話でしたけれども、何とか都民にとってもう少しハードルを低くするためには、NPO法人や民間団体、もちろんきちっとした団体でなければ困りますけれども、何らかの財政支援は充実できないのだろうかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。

○稲葉青少年対策担当部長 都は、区市町村における若者の自立等支援体制整備事業により、ひきこもりに係る相談支援体制の整備に取り組む区市町村への補助を実施してございます。この補助事業を活用する区市町村については、若者社会参加応援事業に参加する協力団体等と連携して取り組みを行うことを都として推奨しておりまして、区市町村の事業化を促進することによって、住民が支援を受ける際の利用者負担の軽減を図っていきたいと考えております。

○植木委員 都が何とか筋道をつけて、区市町村がもっと積極的に費用負担も含めてやっていけば、本人、あるいは家族の負担も減るという、それはそうなんだろうと思うんだけれども、応募する自治体そのものも少ないわけですから、なかなかそうはいっていないのが実態だと思うので、これはぜひ、一定、各区市町村がもう少し広げられるようにして、NPOにも支援ができるような体制を検討、努力をしていただきたいというふうに思うんです。
 区市町村、それから民間NPO、さらに加えていいますと、当事者などが自分たちのひきこもり家族を苦労されて解決してきた人たちが中心になって、親の会というのが細々とですけれども努力をされてきていると。そうはいっても、こういう事業というのは、特定の病気とか特定の疾患があることと必ずしもイコールでありませんから、親の会の運営もなかなか、実際は大変だろうというふうに思うのですが、こうしたみずからの体験に基づいて活動している親の会への支援は、どのようなことを行っているのでしょうか。

○稲葉青少年対策担当部長 都は、親の会を初めとしまして、都内でひきこもり支援に取り組む民間団体全般を対象といたしまして、支援力の向上を目的とした講習会を実施してございます。

○植木委員 講習会ということなんです。そうすると、親の会は補助の対象にはなっていないということなんでしょうか。お聞きしたところ、補助の対象になるには、登録団体として一定の水準がないと、確かに補助というのはどの団体でもいいというわけにいきませんから、水準が必要だというふうに思うんですけれども、登録団体にするにはさまざまな要件があって、なかなか登録できないのが親の会の実態だろうと思うんです。親の会も幾つかあるんでしょうけれども、そういう意味で一定の配慮を持って道筋をつける、そういう支援を行うべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○稲葉青少年対策担当部長 先ほどからお話のありました東京都若者社会参加応援事業は、都が策定をいたしましたひきこもり等の若者支援プログラムに沿った支援を継続的かつ安定的に提供できる民間団体を確保、育成するための取り組みでございます。このため、登録団体の条件としまして、公益的事業を実施する非営利法人であること、法人格を取得してから一年以上の活動実績を有することなどを定めました上で広く公募をしております。団体の選定に当たりましては、外部の有識者を含めた委員会で審査、評価を行っているところでございます。

○植木委員 委員会で審査、評価を行った上でということに当然なるんでしょうけれども、補助ですから、誰でもいいというふうにはいかないのは私も承知しております。しかしながら、親の会というのは実体験からいろんな努力をされているので、講習会程度ではやっぱりそうはいってもいかない。もっと東京都自身の努力が必要ではないかというふうに私は思うんです。そうすると、区市町村も一体となって、もうちょっといけるというふうに思うんです。
 いずれにしても、大学関係者にいろいろ研究を兼ねて事業の道筋をつけるための状況を出してもらっている。これをぜひ、報告書として私たちに示していただきたいと思うんです。こういう成果があって、こういう道筋やこういうルートをつくれるというのを、せっかく三千何百万という費用を出すわけですから、公に示していただきたいというのが一つ。
 それから、まだまだ事業が始まったばかりといいましょうか、始まっていない。実際には、窓口は一応都とのパイプをつくらなければいけないからということで連絡先は決まっていても、実際の事業としては形に見えていない自治体がまだまだ多いというふうに私は見ています、幾つか電話したところ。そういう意味で、全体の事業として対策のレベルアップが必要だというふうに思いますので、大学関係者も含めて全体としてお答えいただければありがたいと思います。

○稲葉青少年対策担当部長 ひきこもりの若者の置かれました状況や課題は多様であるため、個々の事例に即した支援の提供が必要不可欠となります。都は引き続き区市町村に対する支援とNPO法人等の確保、育成に努めまして、ひきこもり等の状態にある若者やその家族が地域で適切な支援を受けることができる環境を整備してまいります。

○植木委員 大学関係者の報告の問題は答弁がなかったというか、突然私が聞いたからかもしれませんけれども、それを答えていただきたいというふうに思うのと、他の分野それぞれについては一層の拡充を求めて、その一つだけ答弁を聞いて、終わりにしたいと思います。

○稲葉青少年対策担当部長 ただいまお尋ねのありました事業の成果については、必要な報告書等についてはまとめたいと考えております。なお、全体のレベルアップについては、先ほど申し上げましたとおり、区市町村、またNPO法人と協力しながら取り組んでいきたいと思います。

○宮瀬委員 私の方からは、平成二十六年度決算におきまして広報普及啓発活動全体についてお伺いをいたします。
 青少年・治安対策本部では、青少年、治安、交通安全などさまざまな事業を行っており、まさに私ども議員と理事者の皆様で多くの議論をし、都職員の不断の努力によって施策を練り上げてきたと認識をしております。しかし、どんなにすばらしい施策を立案しましても、その取り組みが都民に広く周知され、その事業を必要としている都民に理解、活用されなければ意味がありません。
 そこで、まずお伺いいたしますが、青少年・治安対策本部が行う広報、普及啓発には、テレビ、ラジオ、ネット、紙媒体等、さまざまなツールがございますが、本部全体でどのような活動にどれぐらいの予算を投じているのかを含め、平成二十六年度の金額をお伺いいたします。

○廣瀬総合対策部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 当本部では、青少年の健全育成やひきこもりなどの若者の自立支援に係る事業のほか、治安対策、また安全・安心まちづくり、交通安全に係る事業を実施しております。平成二十六年度の媒体別の決算額でございますが、広報用印刷物が三千九百七十九万八千円、ラジオ、映像広告が六百四十四万五千円、広報用グッズが一千百十七万二千円などでございます。

○宮瀬委員 ありがとうございます。予算の約七割が印刷物ということで、全体で約六千万ほど使われていることは理解できました。都庁の予算から見れば、大変少ないのかもしれませんが、だからこそ限られた予算をいかに都が戦略を持ち効率よくプロモーション活動を行うかは、まさに私は課題だと思っております。
 私も前職で広告営業を十年間担当しておりました。多くのクライアントとともに創意工夫をしながら宣伝広報活動を行ってまいりましたが、その際に重要となりましたのは、その予算を使いどれだけの認知が図れるのか、どれだけの注目、理解度を上げていけるのかということを、日々営業の中でクライアントさんから叱責を受けてまいりました。
 もちろん、この媒体を使えば、なかなか効果が見えにくいもの等ありますので、その中で最終的に私も提案したのは、数値目標、そして効果を可視化するということでありました。もちろん、最終的に商品を販売することを目的とした民間企業と行政の取り組みは異なりますが、互いにまず取り組みを知ってもらう、理解をしてもらうという段階において、その手段は一致いたします。
 そこで、広報、普及啓発の目標設定についてお伺いいたします。広報、普及啓発は、対象となる都民に事業を認知してもらい、事業内容を理解してもらうために行うべきと考えます。例えば、ひきこもり対策等の事業の認知度について、現状数値でどう捉え、どのような判断基準や指標、いわゆるKPIをもってプランやビジョンを設定し、どのような目標を定めて取り組んでいるのか、お伺いいたします。

○廣瀬総合対策部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 当本部では、事業ごとに訴求効果の見込めるターゲット層を設定いたしまして、それに見合った媒体を選択し、広報、普及啓発活動を行っております。
 例えば、ひきこもり対策におきましては、相談事業、また講習会等都の取り組みを案内するリーフレットなど、民生委員や児童委員等の地域支援者一人一人に行き渡るよう作成いたしまして、代表者会議で職員がみずから説明しながら配布するなどによりまして、事業のターゲット層に確実に届くよう広報、普及啓発活動を行っているところでございます。

○宮瀬委員 リーフレットを作成し、民生委員、児童委員に渡して配ってもらったといったご趣旨の回答でしょうか。では、その施策でひきこもりの方が都内全体で何人いて、そのうちこのリーフレットをもらった人は実際何人だったのでしょうか。そういった指標や数値でのお答えを期待しておりましたが、この件はこの場ではあえてもうお聞きいたしません。
 また、さらに続けますが、リーフレットを受け取った方に実際にどれくらい読んでいただけたのか、さらにはその後の課題解決のための行動にどのように影響したのか、実際そのリーフレットによって、ひきこもりの問題がどれほどの数、解決してきたのか、そういった効果の検証は最重要であります。
 そこで、広報、普及啓発の目標達成状況についてお伺いをいたします。事業のターゲット層に確実に届くよう広報、普及啓発を行っているとのことでありますが、実際にどれだけ達成できているのか、またそれを担保するための取り組みについて、効果検証の手法を含めてお伺いいたします。

○廣瀬総合対策部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 例えば、万引き防止対策でございますけれども、子供の健全育成を図ります上で発達段階に応じました内容、また表現で啓発を図る必要がございます。このため、小学校三年生、五年生及び中学校一年生向けのリーフレットを都内全ての小中学校、また特別支援学校で配布することによりまして、事業のターゲットに届けるように努めております。
 万引き防止啓発リーフレットを初めといたしまして、全ての広報印刷物の作成に当たりましては、検討会議を設けまして、その中で費用対効果の点につきましても十分検討を行いながら、各年度、事業ごとに広報、普及啓発の目標が達成できるよう取り組んでいるところでございます。

○宮瀬委員 答弁の方を確認しますと、リーフレットをつくり、学校で配ったと。検討会議で効果の検証を行っているとのご答弁だと認識いたしました。先ほどの質疑の中にもありましたが、ひきこもり対策に関しましては、リーフレットを作成し、民生委員や児童委員に配布したといったご答弁もありましたが、実際に、では、今回は万引き防止の話、万引き防止対策でありますが、そのリーフレットを受け取った方が実際にどれぐらい課題解決に役立ったのか、また本当に改善されたのか、この効果検証というものが本当に大事になると思っております。
 私もこのたびの質疑におきまして、目標と実績をお伺いしてまいりましたが、実際に私の周りにおりますひきこもりや非行といった課題を抱えたお母さんに東京都のそういったリーフレットのことをお聞きしましたところ、見たことがないと、また、もらったかもしれないがよく覚えていないといった声も直接聞いてまいりました。このように、認知度向上に向けた取り組みは課題があるように見受けられます。
 そこで、その取り組みと今後の改善についてお伺いいたします。青少年・治安対策本部には、ルール、マナーの向上等の、都民全体を普及啓発の対象とするような事業も大変多くございます。これらの事業については、リーチされていない対象者がいる可能性が十分あると考えます。現状の取り組みと今後どのように改善していくかお伺いいたします。
○廣瀬総合対策部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 当本部でございますけれども、幅広い対象者に広報、普及啓発を行うという際につきましても、毎年度認知度を高めるための工夫を行ってございます。例えば、こころの東京革命でございますけれども、今年度からアニマル浜口さん親子をアニメキャラクターに起用いたしまして動画広告を作成し、さまざまな場所、また媒体を活用しながら、広く事業を知ってもらうための広報を進めております。引き続きこういった取り組みを行いながら、事業ごとに毎年度の取り組みを検証し、さらなる認知度の向上に向けまして戦略的に取り組んでまいりたいと思います。

○宮瀬委員 まさに、こころの東京革命という単語がございましたが、こころの東京革命について、ご存じの都民の方というのはどれぐらいいらっしゃるでしょうか。また、もちろんターゲットが絞られた取り組みでありますので、そのターゲットとする人たちのこころの東京革命の認知度、それはどれぐらいでしょうか。決してその取り組みを否定しているのではなく、どう効率性、そして戦略性を持って取り組んでいくかがまさに課題であると考えております。
 こういったお話は別に御本部にかかわらず、全庁的な課題であると認識しておりまして、平成二十六年の十一月に都が都政に関するモニター調査をしたところ、実に都政に対する不満の第二位が都政がわかりにくい、身近でない、民意の反映や情報提供が不十分であるという回答でございました。その傾向を過去を調べてみましたが、何年もずっと続いているのが実態であります。ぜひ皆様方におかれましては、リーフレットをつくって配布して終わりとのことではないとは思いますが、それに終わることなく不断の努力をしていただきたいと思います。
 一つだけ申し上げますと、まずは現在の取り組み状況を、実績を数値化、可視化していただくことが大事なのではないでしょうか。現状のポジション、そして状況が数値化できれば、経年調査によってその変化が施策に応じて酌み取れるわけであります。ぜひ今の状況を数値化、可視化することによって改善していただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○早坂委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○早坂委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で青少年・治安対策本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時二十八分散会

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