委員長 | 谷村 孝彦君 |
副委員長 | 里吉 ゆみ君 |
副委員長 | 和泉 武彦君 |
山内れい子君 | |
大場やすのぶ君 | |
近藤 充君 | |
両角みのる君 | |
あさの克彦君 | |
野上 純子君 | |
鈴木あきまさ君 |
欠席委員 なし
出席説明員教育庁 | 教育長 | 中井 敬三君 |
次長 | 松山 英幸君 | |
教育監 | 金子 一彦君 | |
総務部長 | 堤 雅史君 | |
都立学校教育部長 | 早川 剛生君 | |
地域教育支援部長 | 粉川 貴司君 | |
指導部長 | 伊東 哲君 | |
人事部長 | 江藤 巧君 | |
福利厚生部長 | 太田 誠一君 | |
教育政策担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務 | 安部 典子君 | |
教育改革推進担当部長 | 出張 吉訓君 | |
特別支援教育推進担当部長 | 松川 桂子君 | |
指導推進担当部長 | 鯨岡 廣隆君 | |
人事企画担当部長 | 鈴木 正一君 |
本日の会議に付した事件
平成二十六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
教育庁関係
・平成二十六年度東京都一般会計決算(質疑)
○谷村委員長 ただいまから平成二十六年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の決算に対する質疑を行います。
これより教育庁関係に入ります。
初めに、先般の人事異動について及び過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員について、教育長から紹介があります。
○中井教育長 さきの人事異動に伴い、兼務発令のございました幹部職員を紹介させていただきます。
教育政策担当部長でオリンピック・パラリンピック調整担当部長を兼務いたします安部典子でございます。
また、過日の分科会で欠席させていただきました幹部職員を紹介させていただきます。
総務部長の堤雅史でございます。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者挨拶〕
○谷村委員長 紹介は終わりました。
○谷村委員長 決算の審査を行います。
平成二十六年度東京都一般会計決算中、教育庁所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求をいたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○堤総務部長 去る十月十四日の当分科会において要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
お手元の平成二十六年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらん願います。今回要求のございました資料は九件でございます。
それでは、一ページをお開き願います。1、都立特別支援学校、肢体、知的の外部専門家及び外部人材の導入人数並びにそれに伴う教職員定数の削減数、各校の導入年度でございます。
外部専門家及び外部人材の導入状況とそれに対応する教職員の削減数につきまして、それぞれ対象職種、人数及び学校数等を記載してございます。
二ページをお開き願います。2、都立特別支援学校の保有普通教室の状況、平成二十六年度及び平成二十七年度でございます。
平成二十六年度及び平成二十七年度、それぞれの五月一日現在の都立特別支援学校で保有する普通教室数を障害種別、学校別に記載してございます。
三ページをごらんください。3、都立特別支援学校の重度重複学級数の推移、平成十八年度から平成二十七年度まででございます。
都立特別支援学校の重度重複学級数について、障害種別、学部別に、平成十八年度から平成二十七年度までの推移を記載してございます。
四ページをお開き願います。4、都立特別支援学校スクールバス予算の推移、平成十八年度から平成二十七年度まででございます。
都立特別支援学校のスクールバスの予算額、学校数、コース数の推移を平成十八年度から平成二十七年度まで記載してございます。
五ページをごらんください。5、都立高校及び都立特別支援学校のトイレの洋式化率と誰でもトイレの設置状況、平成二十六年度及び平成二十七年度でございます。
都立高等学校と都立特別支援学校のトイレの洋式化率及び誰でもトイレの設置状況について、それぞれ年度別に記載してございます。
六ページをお開き願います。6、募集定員のある都立知的障害特別支援学校高等部の応募状況、平成二十年度から平成二十七年度まででございます。
募集定員のある都立知的障害特別支援学校高等部の応募者数、募集定員、倍率を学校別に平成二十年度から平成二十七年度まで記載してございます。
七ページをごらんください。都立高等学校等における高等学校等就学支援金の歳出予算及び決算、平成二十六年度でございます。
平成二十六年度の都立高等学校等における高等学校等就学支援金の歳出予算及び決算をそれぞれ校種別、課程別に記載してございます。
八ページをお開き願います。8、都立高等学校等における奨学のための給付金の給付区分ごとの歳出予算及び決算、平成二十六年度でございます。
平成二十六年度の都立高等学校等における奨学のための給付金の歳出予算及び決算をそれぞれ給付区分ごとに記載してございます。
九ページをごらんください。9、都立高等学校等の授業料減免の実績、全日制、定時制、平成二十二年度から平成二十六年度まででございます。
都立高等学校等の授業料の減免の実績を、それぞれの区分について全日制及び定時制ごとに平成二十二年度から平成二十六年度まで記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○谷村委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○近藤委員 それでは、本日、教育庁の決算ということで、幾つかお尋ねをさせていただきたいと思います。
先日、生活文化局の所管いたします私学教育について、教育環境の充実ということでお尋ねいたしました。きょうもそれに関連いたしますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
教育行政におきましては、特に子供たちが対象でありますので、学力の向上、教育の資質の向上といったものは、その年一年だけ、単年度では図ることはできないんだというふうに思います。ただ、それでも、行政のPDCAのうちCAという部分については、私ども議会側としては、常に実行していなければならないなというふうに思っておりますので、お尋ねをさせていただきたいと思います。
まず、学力向上についてでありますけれども、東京都も、しっかりと子供たちの、児童生徒の学力向上を図るというのは、常につきまとう言葉でございますけれども、公費を投入して、国でも都でも、児童生徒の学力調査のため各種の学力テストを行っております。
長い間中断されておりました学力テストも、安倍政権時代の平成十九年度には復活いたしました。悉皆で実施されてきた全国学力・学習状況調査は、児童生徒の学力や学習状況を把握、分析するとともに、教育施策の成果と課題を検証して、その改善を図るための重要な調査であるというふうに理解をしております。この調査は、一時期、抽出方式になっておりましたけれども、平成二十五年度からは悉皆方式が復活をしております。
私はかねてより、公費を投入する以上、この全国学力・学習状況調査の結果を十分に活用し、学力向上に取り組むべきであると主張してまいりました。都の教育委員会におきましても、この調査の結果を分析し、施策の改善、充実に取り組んできたことと思います。
そこでお尋ねいたしますけれども、全国学力・学習状況調査の結果から見て、東京都の児童生徒の学力はどのような状況にあるのか、お尋ねしたいと思います。
○伊東指導部長 文部科学省が毎年実施する全国学力・学習状況調査は、小学校六年生と中学校三年生を対象とし、小学校におきましては国語と算数で、中学校におきましては国語と数学で実施されております。また、理科につきましては三年ごとに実施され、今年度は実施年度でございます。
平成二十七年度の調査におきましては、小学校では国語、算数、理科において、中学校では国語、数学において、全国の平均正答率を上回っておりますとともに、上位三割程度に位置しております。特に中学校におきましては、平成二十五年度から年々上昇していることから、東京都の児童生徒の学力の状況は、おおむね良好であると考えられます。
しかし、都の中学校の理科の平均正答率は、全国の平均正答率をわずかに下回っている状況でございます。特に、観察や実験などの結果を分析し、解釈することなどに関する指導につきましては、これまで以上に力を注ぐ必要がございます。
○近藤委員 東京都の子供たちの状況をご説明いただきました。
あえて申し上げさせていただければ、耳の痛い話とは思いますけれども、地方都市より公教育の点においても特別教育環境の整った東京都は、残念ながら全国学力テストの結果、中学生では福井、秋田県が常に上位の位置にあります。ちなみに、今年度は東京都は九位でありました。小学生が、秋田が一位で東京は七位でございますので、先ほど申し上げました調査結果は有効に利用され、さらには検証されて、次のステップに利用されなければならないというふうに考えています。
先日の新聞報道でも、理科以外で全国平均を上回るとか、新しい、いい情報もありますけれども、このテストが始まって以来は、残念ながら東京はトップには上がっていません。
また、トップを目指すということは、私は必要なんだというふうに思っている立場からお尋ねをさせていただきますけれども、なぜ秋田県や福井県が上位に位置するのか、なぜ東京が八位とか九位なのか、どうしたら東京の成績がもっともっと高みを伸ばして上位に上がっていけるのか、どのように分析されているのかご説明いただきたいと思います。
○伊東指導部長 各教科の学力の状況について、東京都と秋田県などの上位県とを比較いたしますと、東京都の方が中位層から下位層にかけての児童生徒の割合が多く、上位層の割合が少なくなっております。また、家庭学習において復習や予習に取り組んでいる児童生徒の割合は、東京都の方が上位県と比べて少なくなっております。
こうしたことから、一人一人に応じたきめ細かい指導を充実するとともに、授業以外での学習の機会を強化するなどの取り組みを行うことにより、中位層や下位層の割合を減らし、上位層をふやしていくことが必要であると考えております。
○近藤委員 ご説明いただいたとおりだというふうに思います。
全国でも、教育環境は東京は整っているんだというふうに私は思います。先日の私学の話もそうですし、公立の教育でもそうだと思っています。東京がいつまでも秋田県、福井県、失礼ですけれども、地方都市に大きく水をあけられていたのでは、舛添知事のいう世界一の都市になるのが目標の東京でありますから、そういう意味ではお題目倒れになってしまう可能性もあります。
そういう意味で、この検証や一部の反省も踏まえて、さらなる高みを目指すことは必要であると思いますけれども、東京都の教育委員会がこれまで進めてきた学力向上施策と成果について、お尋ねしたいと思います。
○伊東指導部長 都教育委員会では、都全体の児童生徒の学力の実態を把握するため、平成二十三年度から、児童生徒の学力を経年で比較、分析できる都独自の学力調査を実施しております。
分析結果を踏まえ、児童生徒一人一人の状況に応じた指導を推進するため、小学校は算数、中学校では数学と英語において、習熟度別指導や少人数指導を推進しております。
また、学習がおくれがちな児童生徒に対する効果的な指導方法を開発、普及するとともに、児童生徒に基礎的、基本的な知識や技能の確実な定着を図るため、小学校四年生までに学習する事項をまとめた東京ベーシック・ドリルを作成、配布し、区市町村と連携して活用を推進してまいりました。
こうした取り組みを通して、全国学力・学習状況調査に見られるように、基礎的、基本的な事項の定着において改善が図られております。
○近藤委員 都の教育委員会の取り組みがそれなりに成果を上げつつあることがわかりました。
私ども自民党の願いは、これらの施策による取り組みがさらなる成果を上げて、東京都が上位の県と肩を並べ、将来的には教育の面でも、東京が世界一の都市になることであります。
先ほども申し上げましたけれども、秋田と東京の差をよく分析して、学習指導に役立たせるべきであるというふうに申し上げておきます。ぜひ都教委一丸となって頑張ってほしいと思います。
その実現には、教育は人なりといわれるように、子供たちの教育に直接携わっていただいている教員の責任に負うところが大きいというふうに思います。教員一人一人の資質、能力の向上が必要不可欠であることを改めて強調しておきたいと思います。
一方で、教員の心の病も大変深刻な問題であります。都教委の皆さんにとっては、これもまた耳が痛い、頭の痛い話だとは思いますけれども、東京都の教職員の心の病による長期休暇は五百人ぐらいいるという話を聞いております。教員が精神疾患で休職をして、時間講師等で後を補充することは、コストの面でも非効率的であるというふうに思います。
我が国の学校は、教員以外の専門スタッフが諸外国と比べて少ないことや、児童生徒の個別のニーズが多様化しており、教員に求められる役割が拡大していることなど、対応が必要であるというふうに思います。学校教育だからといって、教員が全て抱え込むのではなくて、さまざまな専門性を持つ外部人材を活用することが重要と考えています。
そこでお尋ねいたしますが、都教育委員会は、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの活用を図ってまいりましたけれども、平成二十六年度の取り組みと成果についてお尋ねしたいと思います。
○伊東指導部長 平成二十六年度は、都内全ての公立小中高等学校にスクールカウンセラーを配置し、小学五年生、中学一年生、高校一年生を対象として、全員面接を実施いたしました。
スクールカウンセラー活用事業につきましては、全員面接を通していじめの事実を把握したことから、早期に解決を図ることができた事例や、相談を希望する子供の数がふえるなどの成果が報告されております。
また、四十二区市町にスクールソーシャルワーカーの配置をいたしまして、学校が子供や家庭に対して支援するための体制の充実を図りました。スクールソーシャルワーカー活用事業につきましては、児童相談所の職員とともに対応し、保護者の虐待傾向が解消された事例や、医療機関を含めた関係機関と連携し、子供の問題行動が改善された事例などの成果が報告されております。
○近藤委員 ご説明いただきましたスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーの必要性というのは、本当に、このご時世、その責任が大きくなってきているんだというふうに思います。
子供の健全育成のためには、教員だけではなく、今お話があったスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門性の高い外部人材の必要性が、また、その人材が大きな役割を果たしているわけであります。
教育は、学校、社会、家庭の三つがそれぞれの責任を持たなければなりません。家庭においても、こういったことの必要性、しっかりとした保護者による指導も必要なんだというふうに思いますけれども、学校においては、子供に対する教育の資質を一層向上させるためには、教員の指導体制を充実させるとともに、さまざまな分野において教員以外の専門スタッフを活用し、教員が授業準備などに専念できるような体制の整備が重要と考えています。
現在、国においても、いわゆるチーム学校という言葉がはやり出しました。このチーム学校のあり方が検討されていますけれども、教員と多様な専門性を持つスタッフがチームとして適切に役割分担することで、教員は授業に一層専念ができるんだというふうに思います。
教職の魅力も増してくることも必要だというふうに思いますけれども、教員の皆さんは、授業にとにかく一層専念して、子供の教育は俺に任せておけというぐらいのつもりで教壇に立つ必要があるんだと思います。
また、近年、副校長にはさまざまな業務が集中して、非常に多忙でありまして、なり手も少なくなってきているんだというふうに聞きます。教員の必要性から見れば、教員を管理する管理者の皆さん、副校長、校長の皆さんの存在も大きいんだというふうに思います。
通称、選考試験、A選といいますけれども、このA選をとらずに、管理職を目指さない教員も多くなってきていると聞いています。校長の人手不足が叫ばれておりまして、再任用校長、これは、学校の校長同士ではリサイクル校長なんていって、頑張っていただいている方もいらっしゃるんですけど、もう現場はいいという校長もおられる。これはいかに学校現場が大変なのかというふうに思います。
今、六十歳でお若い校長が多いですから、ヤングオールドの校長がいますから、そういう方にはぜひ頑張っていただかなければならない時代も来ているんだというふうに思います。そのためにも、例えば学校管理者や教員の学習指導以外の事務作業の負担軽減、思い切った方法を講じる必要があるんだというふうに私は肌で感じています。
現在の教育現場は、ある意味、異常であるというふうに申し上げておきます。熱心な熱い先生は、学習指導終了後も夜遅くまで事務仕事をこなして、帰宅は毎日九時、十時、これでは多くの先生はもちません。先ほど申し上げましたけれども、ある意味、不謹慎かもしれませんけど、異常な状態であるというふうに私は申し上げておきます。
熱くない先生は、定時を回ればご帰宅をされる。学校行事が多くなれば多くなるほど、熱心な先生たちに、教員たちにそのしわ寄せが来ています。何とかしなくてはならないんだというふうに思います。ぜひ近い将来に向けて、こういった問題の解消策を考えてほしいというふうに要望しておきます。
欧米には、学校管理職を補佐するスクールセクレタリーと呼ばれるような職種の人たちがいらっしゃいます。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーでなく、このような多様な人材も含めたチーム学校づくりが重要でありまして、最近は特に必要であると、先ほど申し上げたとおりであります。
教員の負担軽減を図るためにも、都の教育委員会は、今後、チームとしての学校のあり方を検討して、外部人材の活用を一層推進すべきと考えますが、その見解を伺いたいと思います。
○伊東指導部長 これまで都教育委員会は、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、部活動外部指導員等の多様な外部人材の活用を図ってまいりました。
学校が複雑化、多様化する課題に対応できるようにするためには、外部人材の専門性を一層有効に活用することが必要であり、これは教員の負担軽減にもつながります。
今後、都教育委員会は、校長のリーダーシップのもと、教職員一人一人がさらに力を発揮できる環境を整備してまいります。
○近藤委員 ぜひ、東京の教育の質の向上、そして教員の資質向上、頑張っていただきたいというふうに思いますし、ご尽力をいただきたいと思います。
それでは次に、災害対策についてでありますが、先日の生活文化局でも同じような質問申し上げましたけれども、日本はこれだけの先進国でありますけれども、自然災害大国であります。火山帯の上に位置する島国だからといって手をこまねいていたんでは、将来を担う青少年を守ることができないんだというふうに思います。
本年九月、鬼怒川が氾濫した台風十八号では、国内百七十七カ所で土砂災害が発生するなど、毎年のように土砂災害が全国各地で発生をして、私たちの暮らしに大きな影響をそのたびに与えています。
土砂災害から国民の生命を守るため、平成十三年に施行された、いわゆる土砂災害防止法では、土砂崩れ等で建築物に損壊を生じ、住民等の生命、身体に著しい危険が生じるおそれがある区域を警戒区域と呼び、特別警戒区域と指定しています。開発行為の許可、建築物の構造規制等も実施しているわけであります。
都内でも、危険箇所の多い、私どもの住む西多摩エリアから順次指定が進められており、本年六月末の時点では六千三百八十二カ所が特別警戒区域に指定されています。先日の生活文化局の調査によっても、そのうち私立十七校がこの対象のエリアに入っているということを聞きました。
この指定区域の中には、災害時に最も配慮すべき子供たちが通う学校や、老人ホームなど要配慮者関連施設も多数含まれております。特に学校は、日ごろより児童生徒の教育の活動の現場でありまして、安全に万全を期す必要があるというふうに思います。
どこのまちでも、小中学校は避難場所の指定を受けていると思います。この避難場所が危険な場所であってはなりません。市町村、特に多摩西部の市町村には、都教委としても、もし危険性があるのなら、しっかりと勇気を持って監督指導していただきたいというふうに思います。
先日、マンションのくい打ち問題で、今も話題をテレビで、マスコミで報道されておりますけれども、公共施設で、学校関係では、どうやらそういった施設がないということの報道もありましたので、これはこれで一安心でございますけれども、こういった瑕疵によるものと、また自然の災害を対象にするものと、これから対応していただかなければならないんだと思いますので、都教委の仕事は大変だと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
都立学校においての取り組みをまずはお伺いしたいと思います。
○早川都立学校教育部長 土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域内に所在している都立学校では、学校危機管理計画に、土砂災害警報発令時の避難方法や区市町村との連携体制を明記するなどの対策を講じております。また、学校敷地内外の危険箇所の地形や地質の状況、既存擁壁の状態等につきまして、専門家による調査を実施し、安全性の確保に努めております。
今後、新たに指定される土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域内に所在する都立学校につきましても、児童生徒の安全を最優先に考え、発災に備えた対策を迅速に講じてまいります。
○近藤委員 児童生徒の安全を守っていただけるというお話でございましたので、よろしくお願いしたいと思います。
ただ、今もお話がありましたように、発災をした場合の減災の考え方の中に、私が今お願いしたのは公助でありますけれども、それには、あとは自助と共助があるわけでございまして、この自助と共助、高校生もしくは中学生あたりは、しっかりと身につけなければならないんだというふうに思っています。
都立高校で学ぶ生徒自身も、発災時にはまず自分の身を守り、その後、身近な人を助けたり、ボランティアの担い手として避難所運営などに貢献することは、非常に頼もしい光景をテレビで拝見したりもしますけれども、東京都の都立高校における防災教育の取り組みについて、まずはお伺いしたいと思います。
○伊東指導部長 都教育委員会は、まず自分の命を守り、次に身近な人を助け、さらに地域に貢献できる生徒の育成を目指し、防災教育を推進しております。
具体的には、全ての都立高校におきまして、発災時を想定した一泊二日の宿泊防災訓練を実施いたしますとともに、生徒会役員や防災委員等で構成する防災活動支援隊を編成し、自校の防災に関する取り組みの企画運営補助を行っております。
さらに、一部の学校では、地域の防災訓練などに積極的に参加するとともに、東京消防庁や自衛隊等の関係機関と連携し、防災にかかわる専門的な知識や技能を身につけさせ、地域の防災活動に貢献できる人材を育成しております。
○近藤委員 最近のご時世でありますから、高校生もしくは中学生もそうですが--今、一泊二日の宿泊訓練なんかもやっていらっしゃるというお話もありました。今こんなご時世、今申し上げたとおりで、高校生なんかも、私もそうですけど、薬を常用し携帯をしている人、子供たち、いるというふうに思います。高校生の宿泊訓練、これは本当にいいことだというふうに思いますから、これはぜひ充実をさせていただいて、高校生くらいになったら、自助の大切さ、しっかりと学習させていただきたいというふうに思います。
いざというときに児童生徒を守るという観点から、小中学校における防災備蓄品の整備は、区市町村にお願いしているわけでありますけれども、都立学校の分につきましては、東京都の仕事の中で、しっかりと充実をさせていただきたいというふうに要望しておきます。
校内でのハード、ソフトの防災対策は、多少、生徒の個人負担があったとしても、その充実は焦眉の急であるというふうに思います。青少年の健全育成も大きな仕事でありますので、都民の生命、財産を守るのが東京都の大きな使命でありますから、今後とも、都教委においては、今申し上げてきたようなことをしっかりとお願いしておきたいと思います。
教育長の決意をお尋ねして、私の質問を終わります。
○中井教育長 ただいま近藤委員の方からご指摘ございましたとおり、災害から子供たちの命を守るとともに、自助、共助の精神を持って災害に対応できる人間を育てていくことは、教育に携わる私たちに課せられた非常に大きな使命であると考えております。
そのため、都教育委員会は、子供たちの学びの場である学校施設の耐震化を進めるとともに、土砂災害や津波などへの備えにも万全を期すための取り組みを着実に進めているところでございます。
また、実践的、体験的な避難訓練や宿泊防災訓練を実施し、自分の命を守るだけでなく、避難者支援など共助の精神も引き続き養ってまいります。
さらに、日常の教育活動では、都独自の防災教育教材を作成、活用してきておりますが、今年度は新たに防災ノートを作成し、家庭とも連携しながら、防災教育のさらなる向上に努めてまいります。
災害への常日ごろからの備えと、いざというときの迅速的確な対応は、世界一の都市東京実現に不可欠でございます。子供たちがその役割をしっかりと果たせるよう、都教育委員会として今後とも全力を尽くしてまいります。
○野上委員 食育とスマホ、防災教育、三点について質問させていただきます。
まず、食育について質問をさせていただきます。
平成十七年に食育基本法が制定されて、十年が経過をいたしました。それより前、平成十六年に、私は東京都議会で初めて食育について質問いたしました。当時、石原知事は、食育なる言葉を生まれて初めて聞いたとおっしゃっておりました。石原知事は食育についての認識を新たにされまして、全庁挙げて食育に取り組む体制になったことに本当に感謝をいたしました。
また、一般質問で、食育を推進する食育リーダーを各学校に設置することも提案をさせていただきました。
予算特別委員会でも、指導集を作成し、全校に配布するとともに、教職員を対象に説明会を開催し、食に関する指導を通じて児童生徒の健康づくりを推進することを明らかにするなど、食育を推進してきた私は自負を持っております。
今から十五年前の食育先進国の欧米では、生活、教育の中に食育が組み込まれておりました。知識の詰め込みだけではなく、賢い買い物の仕方、食品の組み合わせ方、料理法、食べ方、かむことの大切さなど、体験を通して学習するシステムが確立されておりました。
アメリカの米国がん協会は、一九九〇年に、がんや生活習慣病にならないために、生活習慣を改善し、正しく健全な食生活を通して病に打ちかつ力を身につけることが重要であると主張しております。この指摘は大変私は重要だと思っております。
本来ならば、家族が食卓を楽しく囲みながらだんらんし、食事をとるというのが理想でございますが、今の時代、共稼ぎ家庭とか、またひとり親家庭も非常にふえておりまして、ひとりぼっちで食事をする、いわゆる孤食がふえている現状を考えますと、孤食を否定的に考えるのではなく、子供一人でもきちんと食べ物を選択することができるフードチョイス、本人の責任と判断力で食べ物を上手に選び、生活習慣病とならないように、食べて戦う力が、これフードファイトというんですけど、が重要だと指摘をしてまいりました。
例えば、五百円玉を渡されます。コンビニに行って自分の昼ご飯を買うときに、菓子パンとコーラ、コーラがちょっと申しわけないですけど、コーラを買うのではなく、たんぱく質の入った調理パンと牛乳を選ぶという、そういう考え方をして栄養のバランスがとれるかどうか、これが非常に大事だと思っております。
食をめぐってはさまざまな問題があります。朝食抜きの欠食、かまないため、あるいはかめないためのそしゃく力の低下、歯が弱く顎が細い小中学生の増加、今、四本ぐらい、歯の矯正をすると抜く子が多い。また、八本抜いた子もいるということも聞いております。さらに、味覚障害、肥満、糖尿病の増加など、枚挙にいとまがありません。
食育というのは、食を通して生きる力を育むことでございます。また、食育はそれぞれの国や地域の貴重な食の文化を守ることにもつながります。
学校において食育を推進するためには、指導体制の整備が不可欠です。平成十七年四月に制度が開始された栄養教諭は、各学校における指導体制のかなめとして、食育の推進において重要な役割を担うものと考えております。
平成十八年三月三十一日に、政府の食育推進会議において決定された食育推進基本計画で、全都道府県における栄養教諭の配置が示されました。栄養教諭の配置が進むことによって、各学校において栄養教諭を中心として、食に関する指導にかかわる全体計画が作成されることや、教諭等により体系的、継続的な学校全体の取り組みとなることが期待されます。
東京都は、栄養教諭の配置を進めてきましたが、平成二十六年四月一日現在の栄養教諭の配置状況について伺います。
○粉川地域教育支援部長 平成二十六年四月一日現在、栄養教諭は、三十九区市の小中学校に五十二名、都立学校二校に二名を配置しております。
○野上委員 それぞれ区市の今までの経緯の事情とかがあるので、何ともいえないんですけれども、卓越した栄養教諭が全ての区市に配置されて、食育をリードしていく体制がとれ、子供たちに食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身につけることができるよう、学校においても積極的に食育に取り組んでいってほしいと思っております。
栄養教諭が給食メニューの開発をしたり、給食だよりなどを通じて家庭や地域社会に啓発活動や情報提供するなど、家庭、地域社会との連携を推進することが効果的だと思っております。
二〇一二年十二月二十日に、学校教育現場で大変悲しい、痛ましい事故が起きました。学校教育現場で、除去食以外のチヂミをおかわりしてアナフィラキシーショックを起こして、小学校五年生の女の子が亡くなるという事故が起きました。
卵や牛乳、チーズとかの乳製品、小麦など、特定の食べ物で起きるじんま疹や腹痛、呼吸困難などのアレルギー反応を食物アレルギーといいますけれども、これらの症状が複数、急激に出て、血圧や意識が低下した状態をアナフィラキシーショックと呼び、命にかかわることもあります。この児童は乳製品が原因でした。
血圧を上げるホルモン、アドレナリンの自己注射薬、商品名でエピペンといいますけれども、発症後直ちに打つことが症状の改善に有効とされております。最近は、スズメバチとか外国から入った蜂に刺されたときに効果が高いということで、ちょっと有名にはなっております。
しかし、急にアドレナリン自己注射薬を打つといっても、研修を受けていなければ、なかなか簡単に注射を打つことは難しいと思います。
都教育委員会では、緊急時対応のためのアドレナリン自己注射薬の実習を含むアレルギー研修会を実施していると聞いておりますが、二十六年度の実施状況についてお伺いいたします。
○粉川地域教育支援部長 都教育委員会では、平成二十五年度から全養護教諭及びアドレナリン自己注射薬を携帯している児童生徒の担任全員を受講対象とし、自己注射薬の使用方法の実習を含むアレルギー疾患対応研修を実施しております。
平成二十六年度は八回開催し、受講者は二千八百二十九人でございました。
○野上委員 アレルギーを有している子供の担任は、悉皆で研修会を行っているということでございます。かなりの児童生徒が何らかのアレルギーを持っているということがわかります。
アドレナリン自己注射薬は、ジーパンの上からでも打つことができますが、実際に、ファイザー製薬などで練習用トレーナーも貸し出しをしております。日ごろから、いざというときに対応できるようにしておくことが大事だと思っております。
次ですけれども、私もこの三日間、触れ合い祭りや産業フェアで、姉妹都市から野菜を持ってこられて売っている会場をたくさん回りました。新潟県や福島県からも多くの野菜を持ってきていらっしゃいました。地元でとれた朝どれ野菜等を使って新鮮なものをいただくことが健康にもよく、新鮮なものは特においしいです。トマトなどは昔のトマトの味がして、本当においしいものだと思います。
学校給食に地域の産物を使用することが大事でございますけれども、学校給食における地産地消の取り組み状況についてお伺いいたします。
○粉川地域教育支援部長 都内公立学校の学校給食では、地域の自然や文化、地域の食にかかわる産業、自然環境の恵みに対する児童生徒の理解の増進を図ることを目的として、地場産物を使用しております。
農地のない都心部の学校におきましても、東京産の農水産物を地場産物と位置づけ、東京の伝統野菜やコマツナ、ノラボウナ、大根、梨などの地域の農産物及びトビウオ、ムロアジなどの島しょ産の水産物を、地域や学校の実情に応じて献立に取り入れております。
○野上委員 地域の伝統的な料理を提供したり、季節の行事を取り入れたり、地域の文化や伝統に対する理解と関心を深めるなどの取り組みも大切です。
給食の残菜についてですが、学校給食の残菜については課題が多く、現在、給食の残菜は、約七割の学校がごみとして廃棄処分されております。
地元の中学校の先生方と懇談する機会がありました。給食の残菜の多さには問題があると思っております。なぜ残菜が多いのかというと、給食時間が短いとか、ゆっくりと味わって食事をする時間が少ない、あるいは給食前に教室移動や片づけが大変な教科の後、給食を食べる時間が、時間的に余裕がなかったりすると。
また、今一番困っているなというのは、スリムな体型に人気があって、太ることを気にして給食を残す女子生徒が多いとか、今の学校給食現場はそうなんですけれども、好き嫌いがあっても、それを無理やり食べさせるということを今しないと。食べられるだけ食べればいいという指導で、なかなか、全部食べるように、そういう指導はしないということでございます。栄養のバランスが崩れてしまいがちだとちょっと心配はしております。
ですから、学校給食指導が重要でありまして、栄養教諭や栄養職員、食育リーダー、学級担任等が連携をして食育を推進していただきたいと思っております。
なぜなら、成長期にある児童生徒にとって、健全な食生活は健全な心身を育むために欠かせないものであると同時に、将来の食習慣の形成に大きな影響を及ぼすと思うからでございます。食に対して自己管理能力があれば、生活習慣病の危険性を回避できます。食に関する指導の充実は、子供の生きる力を育んでいく上でも非常に重要な課題であるといえるので、今回質疑をさせていただきました。
次に、スマートフォンについて質問させていただきます。
まず最初は、スマートフォンの長時間使用についてでございます。
パソコンあるいは携帯電話、スマートフォンなどIT機器の使用がやめられないことで、身体面や精神面に問題が生じてしまうのがネット依存でございます。世界的にオンラインゲームやソーシャルネットワーキングサービスの普及した今、日本では社会問題になっていると私は感じております。
推定患者数が、今、四百二十一万人ということでございます。かかりやすい年齢はネットを始めた年齢以降ということで、早く利用すればするほどネット依存にかかりやすくなっております。主な症状としては、いらいらするとか、やめようとしてもやめられない等、さまざまな身体的あるいは精神的な面での課題が出てくるわけでございます。
児童生徒がスマートフォンを長時間利用して、さまざまな問題が生じていることについて、都の教育委員会の見解を伺います。
○伊東指導部長 平成二十五年度に都教育委員会が調査いたしました結果では、児童生徒がスマートフォンを利用する時間は、年齢が上がるにつれて長くなる傾向にあります。
スマートフォンを長時間利用することにより、睡眠不足や学業に悪影響を及ぼすだけでなく、不適切な利用によって、いじめや犯罪に巻き込まれる危険性が拡大するなどの課題が明らかになっております。
こうしたことから、都教育委員会は、学校が家庭や関係機関と連携を図り、児童生徒に対してスマートフォンの適正な利用について指導し、豊かな人間関係を築き、情報社会を生き抜いていく資質、能力を育成することが必要であると考えております。
○野上委員 ネットに対する行動を自分でコントロールできない、やめようと思っていてもやめられない状況に陥っている現状があると思っております。あるいは、いけないとわかっていてもついつい課金をしてしまう状況、十円とか百二十円とか五百円くらいの金額でも、積もり積もれば大変な金額となって返ってまいります。
独立行政法人国立病院機構久里浜医療センターの樋口進先生の講演会をお聞きしたんですけれども、この先生によりますと、オンラインゲームにかかわる年間の契約購入金額の平均値は、相談全体では年間約二十一万円ですけれども、未成年者の相談に限定すると約二十三万円と、逆に未成年者の方が高くなっていると。その七割がクレジットカードを利用していると。親のクレジットカードを使ってオンラインゲームの決済をしている。その中でも一割は五十万を超えている。中には百万円を超えている場合もある。満足感が、長時間続けないとだんだんと満足できない状況になってくると。最近は、オンラインゲームよりも、SNSによるきずな依存に陥っている子がふえてきているということで、子供の場合、他人とのコミュニケーションのとり方を学ぶより先にスマホを持って利用してしまう。そのために、他人との距離感、つき合い方がわからず、ネットで他人とつながることが全てという状況に陥りやすいということでございました。
都教育委員会では、児童生徒が適正にスマートフォンを利用できるようにするための取り組みについてお伺いいたします。
○伊東指導部長 平成二十六年度におきましては、スマートフォンの不適切な利用によって生じるさまざまな問題を掲載した教員向け指導資料を作成、配布し、各学校における指導の充実を図っております。
また、小学校三年生から高校生までの全児童生徒の保護者を対象とした啓発リーフレットを作成、配布し、家庭でのルールづくりへの支援を行っております。
さらに、教員や保護者等を対象といたしましたフォーラムを開催し、スマートフォンの利用に関する課題とその対応をテーマとした基調講演やパネルディスカッションを行い、効果的な取り組みやルールづくりの意義などにつきまして啓発いたしました。
○野上委員 今、こうした課題で悩んでいる家庭も多いと思いますので、教員にも指導徹底をすること、保護者を対象とした啓発リーフレットは効果的だと思います。また、関心が高くて、悩んでいる親御さんにも、こうした講演会やパネルディスカッションが効果的だと思いますので、ぜひ今後続けて、積極的に実践をしていただけますよう要望いたします。
最後に、防災教育について質問をいたします。
阪神・淡路大震災では、九割の方々が建物の下敷きになって圧死をされた。東日本大震災では、津波による水死、あるいは津波から助かっても、水につかっていたために低体温症で亡くなったと。首都直下地震では、建物の倒壊から身を守ることができた後は、火災から身を守ることが要求されます。首都直下では五七%が火災で亡くなるという想定がなされております。
関東大震災のときに、輻射熱、放射熱ともいうんでしょうけれども、避難場所に集まった多くの人が亡くなったという経緯もございます。木造密集地域にいたとき、迫りくる炎からどう逃げるのか、どう自分の身を守るのかが、また、避難経路はどう確保するのかが大変大事だと思っております。
災害を自分自身の身近な危険と認識した上で、必要な知識を持ち、日ごろから備えていくことが大変有効です。大災害をとめることはできませんが、最悪の事態を想定し、日ごろからの備えをし、減災していくこと、これが大事だと思っております。
安全教育プログラムは、子供たちが自分自身の安全を守るだけでなく、周りの人や社会に貢献できることを目指してつくられた指導資料ということです。学校教育現場は、指導すべき内容が多く、指導する時間にも限界があるため、年間を通じて指導していくべき内容を、生活安全、交通安全、災害安全を統合した安全教育を推進していくためにつくられたプログラムでございます。
都教育委員会で作成している教員向け指導資料、安全教育プログラムの配布状況についてお伺いいたします。
○伊東指導部長 安全教育プログラムは、学校における安全教育の基本的な考え方や、さまざまな場面を想定した避難訓練の具体的な事例などを掲載した教員向けの実践的な指導の手引でございます。
この指導資料は、毎年、内容の改善を図り、都内公立学校の全ての教員に配布しております。
各学校では、安全教育プログラムの効果的な活用につきまして、職員会議や校内研修などにおいて定期的に研修を行い、学校における安全教育に関する指導の充実を図っております。
○野上委員 群馬大学の片田教授は、私もお会いしていろいろお話をしてきたところでございますけれども、大いなる自然の営みに畏敬の念を持ち、みずからの命を守ることに主体的であれという信念のもとに、想定にとらわれるな、最善を尽くせ、率先避難者たれという避難三原則を釜石の各学校で指導されてきました。釜石の奇跡というのは、奇跡ではなく、しっかりとした教育の裏打ちの中に子供たちの命が守られたということがありました。
大震災から一年後の三月、釜石東中学校の校長先生の言葉が印象的でございました。奇跡というより、生徒がふだんどおりのことをやり、そこに偶然が重なっただけ。葛藤はいろいろあります。欠席していた生徒の命は救えませんでした。自分の命をどう守り抜くか、この点の教育を怠ってはならない。教育者の使命だと思っていますと。
都教育委員会は、四年前の平成二十三年に、東日本大震災を踏まえて、副読本「地震と安全」を都内の全ての児童生徒に配布をいたしました。補助教材として「三・一一を忘れない」を作成し、防災教育の充実を図っております。
都立学校及び区市町村教育委員会に対して、AEDの使用方法あるいは避難所運営訓練等、あるいは消防署や自治町会等と連携をして避難所運営訓練をやることとか、避難訓練の、今までの形骸化したものではなく、しっかりとした見直しをしていこうとか、ございました。
東日本大震災では、高校生や中学生が、避難所で配給されたものを配ったり、体育館の中を清掃したり、大人にまじって避難所運営に当たり、これが大変ニュースになって、感心されておりました。
四年が経過した現在、未曽有の災害から得た教訓が薄らいでいくことを防がなければならないと思っております。一過性のものとせずに継続することの大切さを、都立高校及び区市町村教育委員会に対して指導することで、今後も防災教育を充実させていかなければなりません。そうした意味で、防災教育補助教材の「三・一一を忘れない」は重要だと思います。
都教育委員会で作成している防災教育補助教材「三・一一を忘れない」の配布状況についてお伺いいたします。
○伊東指導部長 補助教材「三・一一を忘れない」は、東日本大震災の教訓を生かし、首都直下地震等に備えた学校における防災教育の充実を図るため、教科等の指導で活用することを目的として作成しております。
配布する対象は、小学校第五学年、中学校第二学年、高等学校第一学年にそれぞれ在籍する全ての児童生徒でございまして、平成二十三年度から、小学校版、中学校版、高等学校版の合計約二十九万部を配布しております。
各学校では、本補助教材の活用により、児童生徒に自助や共助の心を育てるとともに、災害時に必要な知識や技能を身につける学習を推進しております。
○野上委員 現場でも使っていただいていると思いますが、ぜひ積極的な活用を要望しておきます。
平成二十四年四月二十六日に、東京都教育委員会は、都立高校改革推進計画第一次実施計画において、災害発生時、自分の命を守り、身近な人を助け、さらに避難所の運営など地域に貢献できる人間を育てるため、全ての都立高等学校、定時制、通信制課程を除くわけでございますけど、都立中等教育学校後期課程で、一泊二日の宿泊防災訓練を実施することを打ち出ししました。
平成二十六年度の都立高校における一泊二日宿泊防災訓練の実施状況についてお伺いいたします。
○伊東指導部長 首都直下地震等で生徒が帰宅できない状況を想定し、発災時の心構えや対処について体験を通して学び、自助、共助の精神を育成することを狙いとして、平成二十四年度から、全ての都立高校で一泊二日の宿泊防災訓練を実施しております。
平成二十六年度は、全ての都立高校で備蓄食料による食事、教室等での就寝など、避難時の生活を想定した体験学習を実施いたしますとともに、初期消火、AEDを活用した応急救護、傷病者の搬送等の関係機関と連携した訓練を行いました。
また、一部の学校では、地域で貢献することができる人材の育成に向け、自治会等と連携した避難所設営訓練や、公共機関と連携した高齢者や小学生の避難誘導訓練などに取り組んでおりました。
○野上委員 宿泊訓練を見学させていただきまして、食事に関しては、夕食は備蓄しているアルファ米、これはお湯を入れて少し置いておくだけで食べられます。だんだん味もよくなってきているようです。朝は乾パンと水。寝るところは教室の床の上、これは新聞紙や段ボールで工夫することもできますけれども、寝袋と毛布一枚で寝るのは大変難儀なことです。たった一泊であっても、寝つかれなかったり、かたいところに寝る苦労とか、また、時期によって寒かったり暑かったり、訓練する月で相当違いがありますけれども、こうした経験を積むことで、被災地で何日も体育館で寝泊まりし、お風呂も入れず、体育館の中で多くの人々と共同で寝泊まりすることの苦痛などを推しはかることができるようになります。我慢したり苦渋を迫られる体験をすることによって、より被災地の人々への思いが深まるものと思います。
最後に、好きな言葉なんですけれども、心から血を流したことのない人間が、どれほど、つまらないか。どん底を見たことのない人生が、どれほど味気ないか。つまずき、立ち上がるたびに、本当に人生を学べるのだ。耐えて生きる人の心もわかるのだという言葉で質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○里吉委員 資料をご用意いただき、ありがとうございました。
それでは私からは、生活文化局、私学での質疑に続きまして、今回は、教育庁ですから、昨年度から導入された高校就学支援金制度について、都立学校について伺っていきたいと思います。
高等学校授業料の無償化の一歩がようやく二〇一〇年度より実現され、二〇一二年度、政府は、長年懸案とされていた国際人権規約・高等教育の漸進的無償化の条項を受け入れ、批准しました。高い学費を引き下げ、奨学金制度も拡充することは、憲法と教育基本法が定める教育の機会均等への道のりでもあり、国際人権規約を批准した国の責任でもあります。
二〇一〇年から二〇一三年まで行われていた高等学校授業料無償化が廃止され、昨年度から九百十万円の所得制限が導入されたことに対して、私は批判し、反対してきました。昨年度の決算ですので、実際の影響について本日は伺ってまいりたいと思います。
まず伺いますが、実際に都立高等学校において、高校就学支援金の支給を受けた生徒は何人で、全体の何%だったのか伺います。全日制、定時制別でそれぞれ何人、何%だったのか、お答えいただきたいと思います。
○早川都立学校教育部長 高等学校等就学支援金制度は、平成二十六年度の第一学年相当の生徒から順次実施されることとなりました。
都立高校及び中等教育学校後期課程の生徒で、平成二十七年三月一日時点における就学支援金の受給者は三万七千六百八人で、平成二十六年五月一日現在における第一学年相当の全生徒の約七八%でございます。
このうち、全日制課程の受給者は三万三千八百四十五人で、全日制課程の全生徒の約七七%、定時制課程の受給者は三千五百二十二人で、定時制課程の全生徒の約八五%でございます。
○里吉委員 全体で約二二%の生徒が就学支援金、受給できなかったということが明らかになりました。
昨年度、同時に始まりました、低所得のご家庭に学費の一部として出るといわれた奨学給付金ですけれども、これを受け取ったのは、全日制、定時制でそれぞれ何人で、全体の何%だったのか、伺います。
○早川都立学校教育部長 就学支援金と同様に、平成二十六年度の第一学年相当の生徒から順次実施されることとなりました奨学のための給付金につきましては、都立高校及び中等教育学校後期課程における平成二十六年度の給付者のうち、全日制課程の給付者は四千五百五十九人で、全日制課程の第一学年相当の全生徒の約一〇%、定時制課程の給付者は八百八十人で、定時制課程の第一学年相当の全生徒の約二一%でございます。通信制課程を含む都立高校及び中等教育学校後期課程の第一学年相当の生徒に対する給付の割合は、約一一%でございます。
○里吉委員 資料の9に、都立高等学校授業料減免の実績をいただきましたけれども、この対象となるのはどのような生徒なのか、伺います。
○早川都立学校教育部長 平成二十二年度から平成二十五年度までは、授業料は原則不徴収でございましたが、全日制課程で三十六月、定時制課程で四十八月の正規の修業年限を超えて在籍する生徒につきましては、授業料を徴収することとしておりました。
こうした生徒のうち、授業料減免の対象となりますのは、生活保護受給世帯など経済的負担の軽減が必要な生徒及び東日本大震災で被災した生徒でございます。
平成二十六年度からは、この従来の対象に加えまして、正規の修業年限を超えて在籍する場合でなくても、一定の所得があるため高等学校等就学支援金制度の対象外として授業料を徴収する生徒の一部も、新たに減免の対象といたしました。具体的には、東日本大震災の被災生徒、倒産や失業などにより保護者の経済状況が急激に変わった生徒などでございます。
○里吉委員 制度が変わったということなんですが、この資料を見ていただきますと、平成二十六年度のその他教育長が特に必要と認める者というのが、全日制で免除が五十人、定時制で十二人と、合わせて六十二人と、前年度の二人に比べて大幅にふえています。その理由について伺います。
○早川都立学校教育部長 平成二十六年度のその他教育長が特に必要と認める者で授業料が減免となった生徒がふえた要因といたしましては、先ほどご答弁いたしました制度の対象拡大に伴うものでございます。
○里吉委員 要するに、正規の就学年度、全日制だと三年以内で、東日本大震災の被災生徒で年収九百十万円以上の場合であってもこの対象になると。それから、年度の途中で倒産、失業などにより保護者の経済的状況が急激に変わった場合も対象になるということで、一気にふえているのは、多分、東日本大震災被災者生徒の対応だと思うんですが、そういうご説明でした。
次に、高校就学支援金の手続をしないで授業料が滞納となっている生徒、こういう生徒さんが何人いるのか伺います。
○早川都立学校教育部長 高等学校等就学支援金制度は、受給の意思を有する生徒が都道府県に対して受給資格の認定を申請する仕組みとなっております。
平成二十六年度決算におきまして、就学支援金制度の対象であります第一学年相当の生徒で授業料が未納となっていますのは二十六人でございます。このうち、就学支援金の申請をしていない十九人の生徒につきましては、所得の状況を把握できないため、就学支援金の受給資格認定の可否は不明でございます。
この制度につきましては、リーフレットやホームページを通じて周知を図るとともに、学校におきまして、個別に申請意思の有無を確認しているところでございます。
○里吉委員 授業料が未納になっている生徒のうち、就学金の申請をしていない生徒が十九人、所得が把握できていないというご答弁でした。
その前の年までは学費無償だったので、授業料未納ということは起こらなかったと思いますが、就学支援金制度、先ほどもご説明ありましたけれども、申請しないと受給できません。本来、就学支援金対象のはずなのに、申請しない、できない生徒が出てくるのではないか、これは当時、国会でも我が党が繰り返し質問し、そういうことにならないようにすると答弁が繰り返された部分です。
私も、文書質問も含め、繰り返しこの問題、取り上げてきましたが、都教委は、初年度ということもあり、該当者の申請漏れがないように、より丁寧に個別に対応するとおっしゃっていました。今回の十九人の生徒に対しても、最後まで丁寧に対応していただきたいと思います。万が一にも、単位を取得しているのに、授業料未納で退学などということにはならないようにしていただきたいということを要望し、次の質問に行きます。
次に、都立図書館の視覚障害者向けサービスについて伺います。
都立図書館が行っている視覚障害者向けサービスについて、まず、どのようなサービスがあるのか、サービスの内容や実績について、都立中央図書館、都立多摩図書館、それぞれについて伺います。
○粉川地域教育支援部長 都立図書館では、視覚障害のある利用者向けのサービスとして、本を読み上げる対面音訳のほか、デイジー資料、テープ資料及び点字資料の作成及び貸し出しを行っております。
平成二十六年度の実績は、対面音訳の利用者数は、中央図書館で四百二十八人、多摩図書館で百九十三人、計六百二十一人。デイジー資料及びテープ資料につきましては、作成数は中央図書館で二十三点、多摩図書館で百三点、計百二十六点、貸出数は中央図書館で六千五百三十九点、多摩図書館で千六百三十四点、計八千百七十三点。点字資料につきましては、作成数は中央図書館で二十二点、多摩図書館で六点、計二十八点、貸出数は中央図書館で三百十三点、多摩図書館で六点、計三百十九点でございました。
○里吉委員 それぞれで実績、過去とも比べて見させていただきましたけれども、例えば対面音訳の利用者数などは、多摩図書館でも利用がふえるなど、それぞれ対応していただいている、サービス利用がふえているということを見せていただきました。
今後、都立多摩図書館が新築されますけれども、視覚障害者向けの設備については充実するのかどうか、伺いたいと思います。
○粉川地域教育支援部長 多摩図書館改築工事の契約におきましては、対面音訳や録音できる防音設備を備えた部屋を現在の二倍である四室としております。また、これらの部屋を図書館の入り口近くに配置するなど、視覚障害者の方がより利用しやすいよう設計しております。
○里吉委員 対面音訳の部屋を二部屋から四部屋にふやして、利用しやすい環境を整備するということで、歓迎したいと思います。
視覚障害者の方からは、図書に限らずもっと幅広くサービスをしてほしい、例えば自宅の電気製品のマニュアルや広告なども読んでほしいという声が寄せられています。
三田にあります障害者福祉会館には、日常生活の文字を読んでくれるサービスがありますが、多摩地域には同様のサービスがないことからも、多摩図書館で情報サービスの充実ということで、幅広く対応していただければ、多摩地域の視覚障害者の方も大変助かるということです。
二〇一二年の文部科学省の告示、図書館の設置及び運営上の望ましい基準では、図書館資料に限らず幅広く対面朗読の対象とするように求めています。また、これを利用して、医学や文学、宗教、法律などのさまざまな分野の専門書を読み、研究を深めたり、また、源氏物語などの古典を読んだり、例えば音楽のコンサートに行き、雑誌などでその演奏者の情報を知りたい、また、パンフレットを読みたい、本当に多くのニーズがあると伺っております。
改築して、対面音訳のできる部屋がふえることを機に、幅広く対面朗読の対象として、また、この充実ができるよう要望をしたいと思います。
次に、都立中央図書館に視覚障害の方が働いていると伺っていますが、どのような役割を担っているのか伺います。
○堤総務部長 都立中央図書館におきましては、視覚障害のある職員を二名配置しておりまして、適材適所の配置の観点から、視覚障害者サービスのうち、デイジー資料、テープ資料及び点字資料の貸出業務などを行っております。
○里吉委員 以前、図書館で働いていたという方にお話を伺いました。点字資料の作成は、図書館に点字を扱える人がいない場合、使いづらいものになってしまう。点字は全て仮名文字のため、どこで切るか、行を変えるかなどの工夫がないと、意味がわかりにくいということになってしまうというお話でした。
利用者の方も、視覚障害者の方が働いていると、いろいろなサービスも視覚障害者がどういうとき困るかなどよくわかっているので、とても使いやすいし、頼みやすいとおっしゃっていました。
そこで、都立多摩図書館でも視覚障害者の方を配置し、さらに視覚障害者が利用しやすい環境とすべきと考えますが、見解を伺います。
○堤総務部長 多摩図書館におきましては、司書のほか、有償ボランティアによる対面音訳や、点字資料の作成委託を実施することによりまして、円滑に業務を遂行し、視覚障害者の方が利用しやすい環境を整えております。
○里吉委員 いろいろな方が、視覚障害者が図書館利用しやすいように働いているというご答弁でしたけれども、私たちは情報の八割を目から入手しているそうです。視覚障害者は情報障害ともいわれています。そのため、情報サービスの充実は大変重要ですし、図書館の果たす役割も大きいと思います。
多摩図書館に視覚障害者の職員を配置することにより、サービスの充実やニーズの掘り起こしにもつながりますし、また、障害者雇用の拡大にもなると思いますので、ぜひ配置をお願いしたいと思います。
それでは、次の質問に移ります。
次に、医療的ケアの必要な児童生徒の学習権の保障という観点から質問をしていきたいと思います。
まず、特別支援学校の宿泊行事について伺います。
特別支援学校の宿泊行事については、医師やヘルパーなどが同行しますが、特に医療的ケアの必要な児童生徒の場合は、保護者の付き添いが求められています。
しかし、保護者からは、学校教育の一環として行われる宿泊行事なのだから、保護者が付き添わなくても参加できるようにしてほしいという要望が出されております。
そこで、まず伺いますが、特別支援学校で医療的ケアが必要な児童生徒は何人いるのか、全児童生徒の何%程度に当たるのか、お伺いします。
○松川特別支援教育推進担当部長 平成二十六年五月一日現在、都立肢体不自由特別支援学校に在籍する児童生徒のうち、医療的ケアが必要な児童生徒は六百五十三人であり、肢体不自由特別支援学校の全児童生徒の約三一%でございます。
○里吉委員 肢体不自由特別支援学校の在籍児童生徒のうち、約三割のお子さんが医療的ケアが必要とのことです。さらに医療が進歩すれば、医療的ケアをしながら生活できる、学校に通えるお子さんがますますふえていくことが予想されます。
東京都は、全国に先駆けて、どんなに障害が重くても全員学校に入学させる全員就学を進めてきました。基本的にはそのほとんどを親に頼らなければ生活できなかった子供が、特別支援学校に行くようになり、看護師さんや先生の力をかりて、親と離れて学校で一日過ごすことができるようになるのです。
そして、その学校教育の一環として行われるのが宿泊行事です。原則は親から離れて宿泊する宿泊行事は、障害児にとって本当に貴重な体験です。肢体不自由児であり、医療的ケアが必要な子供にとってはさらに貴重な体験だと思います。
親元から離れて宿泊する経験は、子供の成長にとって重要であり、医療的ケアが必要な児童生徒が宿泊行事に参加するに当たっては、保護者の付き添いなしに参加できることが望ましいと考えますが、都の見解を伺います。
○松川特別支援教育推進担当部長 医療的ケアが必要な児童生徒が宿泊を伴う学校行事に安全に参加するためには、健康管理の徹底と医療的ケアの適切な実施が極めて重要でございます。また、医療的ケアの必要な児童生徒の状態は、日中と夜間は大きく異なりますことから、夜間の適切な対応が必要になりますが、学校のみで、その状態を十分に把握し、適切に対応することは困難でございます。
そのため、児童生徒の日常や夜間の状態について把握している保護者に付き添いをしていただく必要がございます。
○里吉委員 質問の趣旨は、宿泊行事というのは、親の付き添いがない方が望ましいのではないかということだったんですけれども、残念ながらそれに対しての答弁はありませんでした。
私は、都教委が、医療的ケアが必要な子供が親の付き添いなしで宿泊行事に参加できることが望ましい、そういう立場にちゃんと立つことが大事だと思います。そしてその上で、何ができるか、今はできないか、一つ一つ検討するべきだと思います。
さまざまな事情で保護者が付き添えない場合でも、子供たちが宿泊行事に参加できるように、医療的ケアの体制を整える努力をしていただきたいと思いますが、見解を伺います。
○松川特別支援教育推進担当部長 学校において、保護者以外の看護師や教員が医療的ケアを実施するための体制整備は、文部科学省からの通知、特別支援学校等における医療的ケアへの今後の対応についてに基づき、学校内で、かつ始業から終業までの教育課程内における実施を基本としております。
都教育委員会は、宿泊行事において必要に応じて医師や看護師が付き添う体制を整えておりますが、これは宿泊行事の安全かつ円滑な実施のため、参加児童生徒全員の健康状態を把握することや、緊急時に必要な対応を判断するためでございます。
医療的ケアが必要な児童生徒の夜間の健康管理や医療的ケアの実施のために、保護者の付き添いが必要でございます。
○里吉委員 宿泊行事に付き添っている医師や看護婦の業務は、宿泊行事全体の安全な実施のためであって、個々の医療的ケアに対応できないということでした。それはそのとおりだと思います。だから、個別の対応に保護者が付き添うということではなくて、そこに新たに看護師をプラスして同行させることで、保護者が付き添わなくてもいいケースも出てくるのではないかということなんです。
ある県では、看護師が同行して、医療的ケアも保護者の付き添いなしで宿泊できるような取り組みも行われ始めたということも伺っております。また、学校現場からは、肢体不自由児の子供に対応できる専門医や看護師の確保が難しいという声も聞いています。
これは、全体の宿泊行事を成功させるためにも、今後、できたら保護者の付き添いを少なくしていくためにも、この確保が大変重要だと思いますが、都教育委員会としても、宿泊行事に協力してもらえる病院や医師の確保にぜひ努めていきたいと思いますが、見解を伺います。
○松川特別支援教育推進担当部長 宿泊を伴う学校行事に付き添う医師を各校で確保することが難しい状況にありますことから、付添医師の確保に向けたさまざまな方策を検討する中で、都教育委員会は、平成二十五年度から、医師だけでなく、一定の要件のもと、看護師の付き添いを認めております。
都教育委員会といたしましては、関係機関に働きかけるなど、付添医師、看護師の確保に努めているところでございます。
○里吉委員 都教委としても、いろいろと確保に努めていただいているということでした。
学校現場、お母さんたちからお話を聞きますと、いろいろ手を尽くしたけれどもなかなか医師が見つからず、結局、耳鼻科のお医者さんに何とか頼んで同行してもらったことがある、こんな話も伺いました。ぜひとも学校任せにせず、都教委としても努力をお願いしたいと思います。
そこで、やむを得ず保護者が付き添った場合の費用の負担について伺いたいと思います。
昨年度の特別支援学校の宿泊行事では、保護者が同伴したのは何校、何人になるのか。そのうち、就学奨励事業で保護者の交通費や宿泊費などが全額支給された方、半額支給の方、無支給の方、それぞれ何人だったのか伺います。
○松川特別支援教育推進担当部長 平成二十六年度の肢体不自由特別支援学校が実施した宿泊行事では、全ての肢体不自由特別支援学校十七校において保護者が付き添っており、その人数は二百人でございます。
宿泊行事に付き添った保護者の付き添いに係る交通費、宿泊費、食費、見学料等は、保護者の経済的負担能力に応じて就学奨励費が支給されます。支給対象となる費用の全額を支給された人数は百十九人、半額を支給された人数は四十人、不支給だった人数は四十一人でございます。
○里吉委員 就学奨励費で六割の保護者については全額支給されたということでした。しかし、残りの四割の方は自己負担しております。二割は全額負担ということです。
就学奨励費の支給要件、いただきまして、これ見てみますと、高等部の修学旅行の上限額、生徒さんが十万五千五百五十円、付き添いの方が十五万二千六百三十円ということで、実際には上限までかかることもないとも聞きましたけれども、これ上限までかかったとすれば、全額自己負担の場合、生徒本人と保護者で二十六万円近くも負担になってしまうということなんです。本来付き添わなくてもいいはずの宿泊行事なのに、百歩譲って付き添うとしても、費用まで保護者の自己負担というのは、公教育としておかしいのではないかと私は思います。
そこで、改めて伺いますが、宿泊行事は学校教育の一環であり、保護者の参加費は原則公費負担とすべきだと考えますが、見解を伺います。
○松川特別支援教育推進担当部長 宿泊を伴う学校行事にかかる費用は、医療的ケアの有無にかかわらず私費負担でございます。宿泊行事に付き添った保護者の付き添いに係る交通費、宿泊費、食費、見学料等は、保護者の経済的負担能力に応じて、就学奨励費を支給しております。
○里吉委員 学校行事は私費負担、経済的負担能力に応じて就学奨励費を支給するということです。子供の参加費は当面そういうことだと思います。しかし、親の付添費用は、学校が医療的ケアの体制がつくれないために、本来必要ない付き添いをお願いしているんです。別の仕組みを考えて、せめて財政的負担はなくすべきです。このことを改めて要望いたします。
宿泊行事については、保護者が仕事の関係や家庭の事情、その家庭の介護やほかの兄弟の関係などで、どうしても宿泊ができない場合、子供も宿泊行事に日帰りでしか参加できないというお話も伺いました。
今、家庭環境が本当にさまざまですから、そういう家庭のお子さんは、学校の宿泊行事に行けなければ、ほかに宿泊などチャンスがないのではないかと思うんです。ぜひ貴重な機会を奪うことにならないように検討していただきたいと思います。
また、保護者が付き添う場合でも、親と一緒に寝るケースと、みんなと一緒に寝るケースがあるというお話も伺いました。保護者が付き添う場合でも、すぐ隣に保護者の部屋を確保して、せめてみんなと同じ部屋で宿泊するようにするなど、細かいようですが、ぜひこうした配慮もお願いしたいと思います。
次に、医療的ケアの必要な児童生徒の通学について伺います。
昨年度、都立肢体不自由特別支援学校に通う児童生徒の約三割が、医療的ケアが必要だと伺いました。それでは、昨年度、医療的ケアが必要なためスクールバスでの通学ができなかった児童生徒は何人いたのか、伺います。
○松川特別支援教育推進担当部長 平成二十六年五月一日現在、肢体不自由特別支援学校に在籍する児童生徒のうち、医療的ケアが必要なためスクールバスに乗車していない児童生徒は二百七人でございます。
○里吉委員 医療的ケアが必要な児童生徒といっても、さまざまな程度がありますから、全てスクールバスに乗れなかったわけではないということだと思うんですが、それでは、スクールバスで通学ができない主な理由は何なのか、そのことについて伺いたいと思います。
○松川特別支援教育推進担当部長 スクールバスを利用していない主な理由は、医療的ケアが必要な場合や、てんかん発作や心臓病などの疾患のために保護者が乗車を希望しない場合などでございます。
○里吉委員 てんかんや心臓病などの場合は親が乗車を希望しない、そういうケースもあるということでしたが、医療的ケアを理由にスクールバスに乗車させてもらえない場合は、主には保護者が自分の車で学校まで通学させていると伺っています。
家に自動車がない、運転免許を持っていない、福祉タクシーなどを使おうと思っても自治体の移動支援が使えないなどの理由から、通学を諦める方もいるということも伺っています。そうなった場合、児童生徒が毎日学校に通って授業を受ける、この生徒児童の学習権、奪うことになると思うんです。
保護者が車で通学させないと学校に通えないというのは、障害児の全員就学という立場からすると改善の必要があると思いますが、見解を伺います。
○松川特別支援教育推進担当部長 医療的ケアや障害の程度により通学が困難な児童生徒は、肢体不自由特別支援学校に就学し、在宅において教員の訪問指導を受けております。
○里吉委員 訪問指導を実施していると、受けているということですけれども、訪問というのは、お伺いしましたら、一日二時間で週三日、六時間ということです。時間も短いですし、友人との触れ合いなども全くありません。その児童生徒が学校に通うのか訪問指導を受けるのかは、その子の状況、体力などに応じて判断するべきです。
児童生徒の現在の状況で、学校にどうしても通えない、こういう場合は訪問指導が大変有効な手段だと思います。しかし現実は、親の事情で通学させられない場合も訪問指導となっているのではないでしょうか。
医療的ケアが必要な児童生徒のために、スクールバスに看護師を同乗させてほしい、せめて保護者を同乗させてほしい、そしてスクールバスで通学させてほしい、この要望にぜひ応えていただきたいと思いますが、都の見解を伺います。
○松川特別支援教育推進担当部長 医療的ケアは、衛生管理の徹底を図るとともに、安全かつ適切に実施する必要がございます。
スクールバスの車内においては、運行中はもとより、停車中であっても、児童生徒が医療的ケアを受ける際の、安全かつ適切な姿勢をとることが難しいなど、安全が確保されないと考えております。
このため、スクールバスに保護者や看護師が同乗しても、スクールバス内の医療的ケアの実施は困難であると考えております。
○里吉委員 どうしてもバスに乗せるのは難しいというご答弁でした。
私は、もっとバスの本数をふやして、乗車人数も減らして、短時間で学校に着くようにすれば、看護師と一緒に乗車できるようになるのではないかと思っています。
しかし、まずは、少なくとも保護者の負担なく通学を保障するために、スクールバスの一つとして介護タクシーの利用も考えられるのではないか、このことについて見解を伺います。
○松川特別支援教育推進担当部長 スクールバスの配車に当たりましては、乗車する児童生徒の負担軽減はもとより、学校ごとの利用者数、障害の状態、居住状況、交通事情、車種区分などを考慮しながら、効率的に配車しております。このため、個別の対応は考えておりません。
○里吉委員 個別の対応は考えていないというご答弁でしたが、ぜひ個別に考えていただきたいんです。
私がお話を伺ったケースは、親が車を持っていなかったために、三年間、福祉タクシーで通学したという方がいました。自治体での支援もないところでしたので、莫大な通学費用がかかったと思いますが、この費用が出せたから、このお子さんは、一日二時間、週三日の計六時間の訪問指導ではなくて、毎日学校に通えたわけです。これが、親にお金があったから、そして親もそのためにお金を出そうと決意したから成り立ったこのお子さんの三年間の通学だったわけです。
しかし、そういう状況のご家庭ばかりではありません。せめて、本人の体力、状態が学校に行ける状態なのに、家庭の体制がないために訪問指導になってしまう、そういうお子さんの場合、個別対応、子供の教育権を奪わないために、ぜひこういうお子さんがしっかりと学校に通学できるような体制を検討していただきたい、このことを申し上げて私の質問を終わります。
○あさの委員 私からは、二点ほど簡単にご質問させていただきたいと思いますが、この決算の情報を見ますと、公立学校の施設、冷房化支援事業では執行率が九・一%、そして、耐震化推進事業の方でも、執行率、耐震化事業推進費の執行率そのものは四七%ということになっております。
冷房化の方は、特別教室のことだということもありますし、また、区市町村と一緒にやっていかなきゃいけないという事情もあるでしょうが、耐震化に関していえば、直接命にかかわる部分だと思うんです。地震はもちろん、いつ来るかわからないというのは、もう当然のことですし、備えあれば憂いなしのとおり、東京都としても、さまざまな取り組みは行っていることは理解をしております。
今回の耐震化事業というところですけれども、公立小中学校及び幼稚園の耐震化事業推進にかかわる経費ということで、中身を見てみますと、構造体、多分校舎そのものということですが、構造体の耐震化支援というのが執行率が七二・六%、そして、非構造部材耐震化支援というところが四六・九%ということでありまして、総額で九億円以上の残りがあるということになっています。
そこでまず、都内の区市町村立小中学校の耐震化の状況について、平成二十六年度にはどの程度進んでいるのか、学校施設の構造体、非構造部材の耐震化の状況を伺いたいと思います。
○粉川地域教育支援部長 区市町村立小中学校の構造体の耐震化率は、平成二十六年度末には九九・七%となっております。
非構造部材の耐震化は、平成二十六年度において、屋内運動場などのつり天井等落下防止対策を必要とする施設三百九十一棟のうち、七十二棟について実施されました。また、つり天井がない屋内運動場などで、照明器具やバスケットゴールなどの落下防止対策が必要な千百六十八棟のうち、三百八十一棟について耐震化が実施をされました。
○あさの委員 構造体の方の耐震化率というのは高くなっていまして、非構造部材について、今のお話をもとにざっと計算してみますと、平成二十六年度に、つり天井など落下防止対策を必要とされる施設で、三割弱のところでしか対策が実施されていないということがわかりました。正直申し上げまして、お世辞にも高いとはいえないと思うんです。
学校施設の中でいえば、構造体は本体、学校校舎そのものでありますから、どんどんどんどん先に進めていくと、これはもう当然理解ができます。
しかし、一方の非構造部材といっても、例えばつり天井だとか照明器具、バスケットゴールなど、落下して下敷きになってしまったらば、大けがにもつながりかねません。そもそも、あの東日本大震災のときも、九段下でしたでしょうか、あれはつり天井が落下したという、都内でのけが人が発生した事例の一つであったと思うんです。
小中学校というのは、もちろんふだんは、児童生徒が長時間過ごす教育の場でありますし、災害時には、当然、避難所として使用される重要な公共施設だと思います。この学校施設の耐震化は本当に急務であると考えますけれども、平成二十六年度の実績を受けて、現在の東京都教育委員会の取り組み状況について伺いたいと思います。
○粉川地域教育支援部長 都教育委員会は、区市町村立小中学校の耐震化に要する経費に対し、構造体につきましては耐震の指標であるIs値を基準として、また、非構造部材につきましては、経費の六分の一を補助しております。
構造体の耐震化につきましては、統廃合等の理由のある学校を除き、今年度に完了する予定でございます。非構造部材の耐震化につきましては、区市町村に対し早期の対策実施を働きかけ、着実に推進していけますよう支援してまいります。
○あさの委員 着実に推進していくよう支援するということで、ぜひこれは頑張っていただくしかないんですけれども、実はこれ伺ったところによると、国としては本当は構造体、非構造部材ともに今年度中に、平成二十七年度ですね、耐震化完了してほしいという、それができることが望ましいというふうにしていると伺いました。
確かに今おっしゃったとおり、構造体の方は、統廃合等でどうせ潰すことがわかっているものだったら、建てかえちゃった方がいいわけですから、それを除きほぼ終わりますという状況。非構造部材は、先ほど申し上げたとおり、二十六年度の実績でも三割弱しか進んでいないという形になっています。
耐震化が進まない理由、区市町村が進めない理由もいろいろあるんだと思います。学校行事との兼ね合いがあったり、教育の機会をちゃんと確保しながらやらなきゃいけないとか、あるいは単純に各区市町村の予算の問題とか、いろんなことが多分あるとは思うんですが、忘れちゃいけないのは、東日本大震災のときの話で、私は実はこの土日で福島に、復興ボランティアを兼ねて視察をしてきたんです。
相馬市のある職員の方の話を伺いました。その職員の方は、いろいろ判断がある。市内の中でも、学校の中に逃げて助かった。校長の判断でうまいこと上に逃がすことで助かった生徒たちもいれば、当時、一生懸命、四十五分間グラウンドに子供たちを置いたまま、どう対応するか協議して、最終的に教員含め子供たちも亡くなったというところもあったと。誰かが悪いとかという話ではなくて、そのことを、その後のいろんなことを受けて、その職員の方は、これから先は心で判断しようと決めましたというふうにいっていました。頭で判断、考えれば、いろんな理由は出てくると。でも、実際に子供たちの命を守れるのか、これから先の命をちゃんと本当に守れるのかどうかというところを、きちっと心で判断して、その上で、その方は公務員ですから、その上でさまざまな策を判断していきたいというふうにおっしゃっていたんです。
今の非構造部材のところ、各区市町村にも、先ほどいったように事情はあるのもよくわかります。
それから予算の問題、学校行事、いろいろあると思うんですが、単純に、例えば、あした、来月、来年、地震が起きました。やっておけばよかったなと思うのは、それは悔いは残るというのは簡単ですけれども、そのとき失われているものというのは、子供たちだったり、地域の人たちだったり、活力というだけではとてもいいあらわせない未来に対するものが、たくさんのものが失われてしまうと。
これだけの予算、残念ながらこの非構造部材の耐震化支援は、執行率が半分以下ということで、お金が余っているんですけれども、余ったから不用として戻して、また来年予算をつくってまた支援をして、やれるところを探してやってもらうと。
普通に説得するだけではなくて、そもそもこれ何のためにやっているのかと。その地域の人たちが避難してくる人たちの命を守る、あるいはそこで教育を受けている子供、児童生徒たちの命を守るためにやっているんであれば、何を置いても、一年間でもう全部終わらせるんだというぐらいの覚悟で進めてもらうように、区市町村にも話をするべきでしょうし、東京都としてもその覚悟を持っていただきたいと思います。
地震に備えなきゃいけないのは、恐らくこういったものは形であらわれるだけでして、本当のところでは、心のどこかでまだ来ないんじゃないかと思っていたり、あるいは何か理由があれば、とりあえず自分たちの責任じゃないというところで、鈍感になっているんじゃないのかなと。その鈍感になっている意識こそ本来変えていかなければ、地震に備えるべき形にしていかなきゃいけないんじゃないかなと思います。
いうのは簡単で、やるのは難しいことは重々承知で、あえていわせていただいておりますが、ぜひ東京都教育委員会としても、区市町村の担当者、それからさまざまな現場の教員の方々、そして皆さん方も含めて、どうにかいろんな知恵を出して早急に終わらせると、耐震化は一〇〇%終わっていますと、構造体だけじゃなくて非構造部材についても、全てもう終わっていますよと、いつ来ても建物と部材については大丈夫ですという状況を、一日でも早くつくれるように取り組んでいただきますことを要望しておきたいと思います。
続きまして、東京都の中でさまざまつくられている教材について、ちょっと伺いたいと思いますが、決算書の九〇ページのところに、さまざまな指導研修費の使用目途が載っておりました。もちろんいろんな研修等があるんですけれども、「地震と安全」だったり「環境と公害」だったりといった、こういった副読本というか、副教材というか、そういったものをつくっている費用も載っております。
恐らく、教育現場で使うためのさまざまな教材というのは、教育委員会としてもたくさんつくっていらっしゃると思うんですが、都教育委員会で作成しているさまざまな資料とか教材について、各学校での活用状況はどのように把握しているのか、伺いたいと思います。
○伊東指導部長 都教育委員会では、教員を対象とした指導資料や、児童生徒が活用できる教材を作成し、各区市町村教育委員会や各学校等に配布して指導の充実を図っております。
各学校での活用状況につきましては、教員を対象とした連絡会や講習会などの際に、アンケート調査により、使用した頻度等について把握をしております。また、指導主事が学校を訪問する際、校長や教員からの聞き取りを行い、具体的な活用方法や指導に効果的だった内容などにつきまして把握をしております。
○あさの委員 一応、各学校での活用状況を把握するように努めていらっしゃることはよく理解できました。
ただ、その手法というのは、アンケートだったり聞き取りだったりということで、要は記憶に依存しているんですね。それ自体が全部だめだとはいいませんけれども、小中学校での活用、どういうふうに活用しているかとか、このタイミングで使われているんだということが、どうにかして自動的に収集できるようなこともいろいろ検討していただきたいなというふうに思います。
なぜなら、ふだんからいわれているとおり、確かに学校現場は忙しいので、こんな、例えば統計だ何だとるための情報を一々全部出せといっていると、それだけでまた学校現場、余力がなくなってしまいますので、余りそういった仕事を振るのはよくないと。しかし一方で、予算をかけてつくる側からすれば、それがどの程度効果があったのかということをちゃんとはかる姿勢は絶対必要なんですね。
その間を埋めるためには、もちろん今みたく、そういった研修の場でアンケートをとるというのも一つの答えだとは思うんですけれども、同時に、こういったものを使っているんだというのがシステマチックに自動的に上がって、例えば区市町村の教育委員会だったり、都の教育委員会の方にいる、要するに現場の教員ではない事務方の方で収集して分析できるようなデータのとり方というのもあるのではないかなと思いますので、それをぜひとも検討していただきたいなと思います。
今、東京都教育委員会として教材としてつくっているものについて伺いましたが、東京都全体としては、他局が都民向け、特に児童生徒の、いわゆる学校にいる年代の子供たちに向けても、わかっておいてもらいたい、知っておいてもらいたい、あるいは全員、全年齢、大人も含めて知っておいてもらいたいことを、たくさんの資料というのもつくっております。
中には、やはりそういった学校現場の子供たちにもそれは理解してもらった方がいいこともあって、それはもちろん家庭を通じてというのが第一義的にあるべきだと思いますけれども、全ての家庭に全ての情報が行き渡るわけではないので、そういった意味では、学校という窓口が活用されるのは非常にいいことではないかなと思いますが、他局が都民のいろんな方々に向けて作成している資料というのが学校でどのように活用されているのかについて、伺いたいと思います。
○伊東指導部長 各学校では、都教育委員会が作成している資料に加えまして、各局が都民を対象として作成、配布している資料も活用し、東京都の施策について教員が理解を深めるために役立てております。また、教員がこれらの資料を必要に応じて授業等で児童生徒に配布し、補助教材として活用することもございます。
都教育委員会は、学校における指導の充実のために必要と思われるこれらの資料につきましては、教員を対象とした連絡会で紹介したり、指導資料に掲載したりするなどいたしまして、その活用を促しております。
○あさの委員 なるべくさまざまな活用ができるような、そして情報提供しているということはよくわかりました。
その中で、私も今回、人権教育プログラム、これ、昨年度末、二十七年三月につくられたものですけれども、こういったものの資料も見させていただきました。指導事例という中には、確かに、東京都がつくったものだけではない資料を使った授業等も紹介されていて、これを参考にした方々は、先生方も、じゃ、それを授業で使ってみようかとかということが考えられるのかなというふうに思います。
ただ、これももちろん一つ一つ全部とっているんじゃ難しいと思うんですけれども、中には、それがどの程度浸透しているのかをやっぱりきちっとはかっておいた方がいいというものもあると思うんです。
例えば具体的にいえば、私も拉致議連のメンバーの立場からいわせてもらうと、これは一番最後に載っているんですけど北朝鮮の拉致問題について、政府は、問題啓発アニメ、アニメでつくっているので、これは明らかに、子供たちというか、もちろん大人も対象なんですけれども、より子供たちがわかりやすいようにということでつくられているアニメがあるんです。
これがどの程度活用されているのかといったことも、毎年じゃないにしても、たまには確認をして--というのはどういうことかというと、これは多分つくられた年は、たしか平成二十年ぐらいだと思いますが、その年は恐らくがっと活用される。放っておくと、だんだんだんだん、つくったのも古いからという形になって使われなくなると。
でも、解決していない以上は、継続してずっと周知をしていく必要があると思うんです。そういったためには、やはり五年に一回でも、どのくらい活用されているのかということを、アンケートで聞くでもいいですし、あるいは、できれば活用したら随時情報が入るようなことも考えるとか、そういった形で、「めぐみ」というアニメについてもどのように活用されているのか把握してほしいですし、それを一例として、ほかにも、やっぱり追いかけていって、ある程度長い期間、スパンをかけて、どのくらい周知がされているのかということを把握しておく必要なものってあると思います。それについては、ぜひとも教育委員会としても常に、三年前のデータですけどでも構いませんから、把握できて報告ができるような状況をつくっていただきますようにお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○谷村委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時五十四分休憩
午後三時十分開議
○谷村委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○両角委員 私の方からは、まず、日本語指導が必要な外国人児童生徒への支援ということで伺いたいと思います。
昨日のニュースで、トルコ大使館の前で乱闘があったと。トルコの方があれだけ大勢日本に住んでいるんだなと思ったわけでありますけれど、今、日本の国内はグローバル化の進展に伴って、日本の国内、そして都内にも多くの外国人や、日本語を母語としない児童生徒が公立の小中高校、学んでいるという実態があります。
こうした中で、そうした子供たちを支援するため、都ではさまざまな支援を実施をしていると、そういうことでございますが、そこでまず、平成二十六年度の日本語指導が必要な外国人児童生徒への都教育委員会の取り組みについて伺います。
○伊東指導部長 都教育委員会は、都立学校に在籍する日本語指導が必要な外国人児童生徒に対しまして、日本語指導外部人材の活用による授業の補助や放課後の個別指導など、当該児童生徒の日本語の習得状況に応じた指導を行うことができるよう支援しております。平成二十六年度は、都立高校十八校の生徒五十三人、都立特別支援学校二校の生徒二人が本事業による支援を受けました。
また、日本語指導が必要な外国人児童生徒に対して、教科の指導を適切に行うことができるようにするため、平成二十六年度は教員研修を四回実施し、受講者は百七十二人でございました。
○両角委員 今お答えをいただいたような支援をされているということでありますけれど、そのほかに、入試形態に配慮をして、入学後、日本語指導に特に力を入れている高校として、都教委では、在京外国人募集校というのを設置しているわけでございますが、平成二十六年度の当該分野の取り組み実績を伺いたいと思います。
あわせて、新たな在京外国人枠募集校設置に向けた取り組み、これをどのように行ったのか伺います。
○早川都立学校教育部長 都教育委員会では、平成二十六年度に実施した入学者選抜におきまして、国際高校、飛鳥高校、田柄高校の三校で六十五名の募集枠を設け、平成二十五年度と比べて、飛鳥高校と田柄高校で各五名、合計十名定員をふやしました。
平成二十七年度に実施する入学者選抜では、平成二十六年度の三校の募集状況や都内の公立中学校における外国人生徒数の動向等を踏まえまして検討を進め、新たに竹台高校と南葛飾高校で各十五名定員をふやし、既設の三校と合わせまして、五校で九十五名の募集枠を設けることといたしました。
○両角委員 ご答弁いただきまして、平成二十六年度は二十五年度に比べて計十名の定員増をしたということで、多分対象となる生徒、子供たちからすると、大変助かったんではないかというふうに思いますし、さらに二十六年度、その状況を踏まえて検討を進められたということで、新たに竹台高校と南葛飾高校、定員増十五名をして、五校で九十五名の募集枠を設置したということで、これはかなりの拡大ということで評価をさせていただきたいと思います。
ただ一方で、私も、地元の日本語学級というのがございまして、東京都が先生の張りつけをしてもらっているんですけれど、そこに授業を見させていただきに行ったときに、ある男の子がいたんですね。中学生ですけれど、一年前に中国から来て、日本語すごい上手だねといったら、まだ一年しかたってないということでありましたけれど、そこの指導をされている先生がおっしゃるには、やっぱり問題になるのは、もっと学んで高校に行きたい、学力はある程度あるんだけれど、日本語力がないので、その場合、この在京外国人生徒対象枠、これを活用したいんだけれど、私、地元八王子なんですけれど、八王子というのは広いんですね。駅からバス便エリアのところも大変多いですから、そうするとなかなか通いがたいんだと、そういう対象枠の高校にはなかなか通いがたいと、それで諦めた子がいるんだという先生のお話がございました。
そういうことがありましたので、さきの二定で私は、そういった状況を踏まえて、地域の状況を踏まえた在京外国人枠の募集校というのを考えていただきたいという話をさせていただいたんですが、現在、この在京外国人枠募集校は区部にのみ設置をされている。ここで新しく設置をされたところも二校、区部でありました。
そこで、多摩地域に在住をする、特に通学困難な地域の対象者向けの在京外国人募集校設置の検討というものを平成二十六年度にどのように行ったのか、伺いたいと思います。
○早川都立学校教育部長 都内に居住する外国人生徒に高等学校教育を受ける機会を提供するため、入学者選抜におきまして外国人生徒募集枠を設け、応募状況等を踏まえ、募集する学校及び定員を適宜ふやしてきたところでございます。
募集枠を設置している国際高校、飛鳥高校、田柄高校の生徒が居住する区市町村別の在籍状況を見ますと、多摩地域の市部から通学している生徒が一定数おり、国際高校と田柄高校では、市部に居住する生徒の割合は、全体の二〇%から三〇%台となっております。
外国人生徒募集枠の設置校とその規模につきましては、平成二十七年度に実施する五校の入学者選抜の応募状況、応募生徒の居住地の状況等を十分に見きわめながら対応してまいります。
○両角委員 ご答弁いただいた中で、国際高校、田柄高校では、二、三〇%の生徒が市部居住の生徒であるというような、ですから市部の生徒も通えるんだよというような、実際通っていますよというご答弁ありました。
中学校の平成二十六年度の外国人生徒数というデータを拝見をしますと、区部が二千百六十人、市部が四百五十人、郡部というのは、東京には町村がありますから、そこに三人というようなデータをいただいているんですけれど、一回ぜひ見ていただきたいのは、その生徒が、市区というだけで捉えるんではなくて、鉄道路線なんですよね。そこからどのぐらいの時間で、例えば二時間もかかって通わなきゃいけないというと利用ができないということですよ。だから、利用ができる高校がないということになりますから、鉄道網の状況とか、あるいは駅からの距離にどのぐらいの対象の中学生がいるんだということを、対象は限られているでしょうから、一回、所管の皆さんにはしっかり当たっていただきたい。
そしてその上で、今ご答弁にありましたような、応募生徒の居住地状況等を十分に見きわめながらということを進めていただきたいということを要望させていただきたいと思います。
次に、学力の問題、学力調査と学力向上策ということで伺いたいと思います。
公教育に、一番親御さんが何を望むかというと、やっぱり公教育でしっかりとした学力がつけられるんだということを一番に望んでいると思いますし、東京都あるいは学校設置者は、それぞれその公教育の中の学力をしっかりつけることを目的に、しっかり取り組まなくてはいけないと私は思います。
そうした中で、先ほどもちょっと質疑の中でありましたけれど、都内の公立小学校、中学校では、現在、国と都がそれぞれ別個に学力調査を実施しているわけでございますけれど、都内の小中学校の学力の状況というのは、全国と比してどのようなことがいえるのか伺いたいと思います。小学校六年生、中学校三年生を対象として実施をしている国の学力調査結果をもとに、その特徴や課題をどのように捉えているのか、あわせて伺います。
○伊東指導部長 文部科学省が毎年実施する全国学力・学習状況調査は、小学校六年生と中学校三年生を対象とし、小学校におきましては国語と算数で、中学校におきましては国語と数学で実施されております。また、理科につきましては三年ごとに実施され、今年度は実施年度でございます。
平成二十七年度の調査におきましては、小学校では国語、算数、理科において、中学校では国語、数学において、全国の平均正答率を上回っておりますとともに、上位三割程度に位置しております。特に中学校におきましては、平成二十五年度から年々上昇していることから、東京都の児童生徒の学力の状況はおおむね良好と考えられます。
しかし、都の中学校の理科の平均正答率は、全国の平均正答率をわずかに下回っている状況でございます。特に観察や実験などの結果を分析し、解釈することなどに関する指導につきましては、これまで以上に力を注ぐ必要がございます。
○両角委員 先ほどもご答弁いただいていたものと同じですけれど、全国でも三割ぐらいの上位に位置をしていると。全国調査でわかることは、秋田とか福井とか石川が上位であって、沖縄とか佐賀とか大阪とか下位であるという、そういう状況ももちろん大切なんですが、私は、この全国調査を使って、特に都内の地域の学力の状況というのをしっかり分析をしていくべきではないか、このようにも考えるわけでありますけれど、そこで、この国の調査とは別に行っている東京都の学力調査について伺いたいと思うんですけれど、結構やってますね、独自の学力調査というのを。
文科省調査によれば、今、三十八の都道府県教育委員会と十五の指定都市の教育委員会が、国の学力調査とまた別個に独自に調査をやっているということであります。児童生徒からすると、国のテストはあるわ、あるいは都のテストはあるわ、調査ですけどね。あるいは私の地元ではまた独自にやっていますから、市独自のテストはあるということで、毎年毎年テストをやらなきゃいけないというのは、ちょっとかわいそうな気もするんですけれど、そこで、都教委は平成十五年度から、国の調査とは別に学力調査を行っているわけです。また、平成二十三年度からは、小学校五年生及び中学校二年生を対象に、学力調査を実施しておりますけれど、平成二十六年度の実施状況を伺います。
○伊東指導部長 都の学力調査は、都全体の児童生徒の学力の実態を把握するとともに、明らかになった課題の解決に向けた取り組みを推進することを目的として実施しております。
平成二十六年度の都の学力調査では、全ての公立小学校第五学年児童約九万人を対象とし、国語、社会、算数、理科の調査を、また、全ての公立中学校第二学年生徒約七万五千人を対象として、国語、社会、数学、理科、英語の調査を実施しております。
その結果、小学校では国語、社会、理科におきまして、また中学校では数学、社会、理科におきまして、前年度より平均正答率が上昇したところでございます。
○両角委員 都教委の調査は、調査にかかるお金は大体、一年四千万ぐらいの実績なんですかね。学校も大変手間をかけて、児童や生徒も試験を受けなきゃいけないということですから、これを有効に使わなかったら意味がないというふうにも思うわけであります。
そこで、今のご答弁で、児童生徒の学力の実態を把握する、それが目的の一つであり、さらに、その調査によって明らかになった課題解決に向けた取り組みの推進がもう一つの目的だという話でありましたので、そこで伺いますけれど、学力調査の目的というのは、一つは、やはり学力の定着状況をしっかり把握するということなんですが、しかしその結果やデータをきちっと使っていかなきゃいけないと思いますが、この結果やデータの活用はどのようになされているのか、伺いたいと思います。
○伊東指導部長 都教育委員会は、都独自の学力調査に加え、国の調査もあわせて活用し、児童生徒が苦手とする学習内容や、教員が取り組むべき課題を具体的に示して、区市町村教育委員会と連携し、学校の授業改善を推進しております。
また、一人一人の児童生徒と保護者に、学習のつまずきの状況や弱点を克服するための手だてなどについて示すことで、児童生徒みずからが学習目標に向かって主体的に取り組めるよう支援しております。
○両角委員 国の調査もあわせて活用しているというお話でしたが、まさに国が調査をする、そしてまた違う学年に対して東京都が調査を毎年四千万かけてやっているわけですから、両方をしっかり活用をしていくということが--しかも、二つやっていることによるメリットを生かしていかなくてはいけないと思います。
ご答弁では、区市町村と連携し、学校の授業改善を推進していくということになっているんですが、実際にどんなことをやっているんでしょうかといった一つ、その取り組みの大きな一つが、平成二十五年度から新規事業で始まった学力向上パートナーシップ事業ということになろうかと思うんですね。
そこで、この学力調査自体は、状況を把握する、そしてその後しっかり分析をして、結果を活用していくということが重要であるというふうに思います。特に区や市ごと、学校ごと、地域ごとの学力状況を把握し、学力の底上げを図るということが必要なんではないかと私は思っているんです。
そこで、平成二十五年度から二カ年ということの期限を切って取り組みが進められた学力向上パートナーシップ事業について、平成二十六年度の実績及び効果について伺います。
○伊東指導部長 都教育委員会は、平成二十五年度から都内八地区を指定し、基礎、基本の定着を図るための取り組みや恒常的な授業改善を行いますとともに、家庭との連携により家庭学習の習慣化を図るなど、学力向上パートナーシップ事業を展開してまいりました。
平成二十六年度におきまして、指定地区の小学校第五学年の児童と中学校第二学年の生徒を対象に、七月の都の学力調査とほぼ同じ難易度の問題による調査を十月に行い、効果測定を行った結果、指定地区全体の平均正答率が上昇するなどの成果が見られました。この事業の成果を踏まえまして、その後の授業改善に向けた取り組みを進めているところでございます。
○両角委員 学力が向上したというお答えがありました。この学力向上パートナーシップ事業は、平成二十五年度、二十六年度、二カ年取り組まれて、それぞれ二千万の予算で、平成二十六年度は千九百五十三万八千円が執行実績という形になっております。中身、今ご回答があったように、学力調査の結果を受けて、特に重点中学校区というのを選んで、国語とか数学とか算数とかを指定して、そこで学力が向上するような効果的な指導方法の開発に資する調査研究を実施すると。これは要綱ですけどね。
だから、この学力向上パートナーシップ事業の目的というのは、調査研究校を指定して、効果的な指導方法の開発に資する調査研究を実施するんだと。調査研究なんですね、調査研究。実際に学力の底上げをさせていくというよりも、調査研究。
ただ、もちろん、そこの指定した学校なりに、いろいろ研究をしてこういうことやっていきましょうよということで、その結果として学力が向上しているということは評価をしたいんですけれど、しかしながら、この事業も平成二十六年度で終わってしまったということでありますから、こういった取り組みは、本来は続けることが重要であって、数カ年かけてしっかりと支援することによって、多分都内でも、学力がちょっとこういうのは弱いよという地区があると思うんですね。そういうところをしっかりフォローをして、数カ年の取り組みで持ち上げていってあげるということが必要なんだろうと思っております。
この学力調査の結果を生かす取り組みとして、東京都の教育委員会では、ベーシック・ドリルというのもつくって、もっと前の段階に戻って勉強できるような教材も独自に開発をしているということでありますけれど、たまたまきのう、ある地元の学校の先生と話してたんですけど、ベーシック・ドリルを活用していると。しかしながら、もうそれをやる時間がなくてあっぷあっぷだと。宿題なんかで出さないんですかといったら、宿題も出していますと。しかし、宿題をしっかりやってくるような家庭状況ばかりではないということで、なかなか教材をつくって研究開発して、それを渡しておけば事足りるという状況ではないなというふうに思いました。
そこで、やっぱり重要なのは、人の問題かなと、人。学力が、この地区、この学校はどうも算数が弱いと、わからなくなっちゃっている子がいっぱいいるよということ。分析をしたら、こういうドリルを使ったらどうですか、あるいはこういうことをもっとやったらいい、家庭にも働きかけたらいいんじゃないんですかということは、もちろん大切ですけれど、しかし、それを実際やるような先生方が、例えばわからない子を取り出してお勉強させるとか教えてあげるとか、そういうことができるような人の配置が重要だというふうに思いますし、そのことをやはりきのうの先生も、何が欲しいですかといったら、人が欲しいんですという話をされていたわけでございます。
そこで、伺いたいんですけれど、今、都教委の方では習熟度学習を進めていきましょうということをいっているわけですね。そのための加配もやられております。いただいた資料では、国が三分の一出して、残り三分の二を出すいわゆる国加配、それと都が単独事業で全部都財源で対応する都加配、幾つかの事業をやってますけれど、その中で、本来であればその加配というのは、学校の状況、本当に必要なところに加配をする、必要度が少ないところと差をつけると。要らないというところには、出さなくてもいいんじゃないかと思っていますけれど、例えば指導方法工夫改善加配というのがありまして、これは国加配ですけれど、全都内の千三百校程度あるんですけど、千二百九十五校に加配しています。だから全校一律に加配しているんですね。
そういう状況が今あるということをまずは指摘させていただいて、私は、学力調査をした結果、ここは弱いんだ、ここの地区は弱いんだ、あるいはここの学校はちょっと困っているんだということにその加配をリンクさせるということが、本当の政策ではないかと思うんです。
ただ単に全部一律に出すんではなくて、やはり本当に必要なところに厚い傾斜配分をするということが必要ではないか、このように思うわけでありますけれど、今、先ほどお話をしたように、都教委では小中学校での習熟度別授業を推奨しているわけでありますし、あるいは都独自の教員加配予算も設けているということでありますけれど、この学力調査の分析結果を学力の底上げに生かしていくことこそが重要であるということを考えれば、私、独自にネーミングをさせていただきましたけど、学力調査リンク型学力底上げ支援加算と。こういった都加算制度を新設してもらって、学力調査結果と教員の加配をリンクさせる。そのことで、今まで以上に本当に、実効性のある学校への支援が可能になるのではないか、このように考えているところでございます。
そこで、このように国、都の学力調査結果で学力が不十分とされた学校や地域へ、優先的に教員加配を行う新制度を創設して、地域の学力の底上げを図るべきだと思いますけれど、見解を伺います。
○江藤人事部長 学力調査は、児童生徒の学習状況を把握するとともに、教員の授業改善に役立てるものでございます。区市町村教育委員会は、子供たちの学習状況や学力調査の結果などを踏まえて、所管する学校が作成した指導方法工夫改善授業実施計画に基づき、習熟度別指導のための教員加配を申請しております。
都教育委員会は、こうした区市町村教育委員会からの申請を踏まえ、適切に教員の加配を行ってまいります。
○両角委員 今のご答弁は、区市町村教育委員会は、教員加配をみずから必要なことを加味して申請していると。都教委は、その申請を踏まえて適正に行っていきますよということなんですが、実際はどうなっているかといえば、先ほどお話をしたとおり、小学校については全校に一律に加配をしている。中学校については、全校に一・五人ぐらいで加配をされているということなんですが、ということは、これはもうミニマムなのかなという感じもするんですね。要は、一校に一人加配するのはミニマムなのか、あるいはミニマムじゃなかったら、ちょっとそれは中身を考えればいいんですが、きょうの新聞は、これは日経ですけど、税収一兆円再配分という記事が出ています。
どういうことかというと、政府は、法人住民税を二〇一七年度から一兆円規模で吸い上げて、財政力の弱い自治体に集中的に再配分する検討に入ったと書いてあるんですね。その結果、東京都は一七年度以降に三千億円程度に、いわゆる影響額が出てくるだろうということが出ている。
ですから、東京都だって、今財源が余るほどあるわけじゃないんですね。大変な財源をいかに有効に考えていくかということになると、プライオリティーづけということになると思います。
そうした中で、例えば一つこの加配の問題でご紹介をしたいのは、私の地元の八王子市なんですね。八王子市は、平成十五年から、実は毎年大体一千万円かけて市独自の学力調査を行っています。小学校四年生と中学校一年生。八王子の子供は、小四、小五、小六、中一、中二、中三と、毎年こんなテストを受けなくてはいけないんですけれど、そんな状況ですね。
そして、その結果--結果に基づいてとははっきりいわないんですけれど、アシスタントティーチャーを二十二名配置しています。近年の実績でいえば、小学校十五人十五校、中学校七校七人。八王子の小学校は六十校程度、中学校三十校。ですから、九十何校あるんですけれど、そのうちの一部の学校だけにアシスタントティーチャーをつけているんです。
これをどういうふうにつけているかというと、調査の結果をきちっと分析をして、ここは弱いぞというところに加配をするんですね。そうははっきりいってませんけれど、そうなんです。なぜかというと、ちょっときのう、お話をしていた地元の学校は、実は学力が低いんです。アシスタントティーチャーが来ている。でも、一回断ったらしいんです。でも、市から来たと。ですから、市は分析結果に基づいて加配するんですよ。
私は、東京都も適切にやっているということなんですけれど、国加配がもうミニマムでやっているんであれば、そこはいじれないですから、でなければ都加配で、調査に対するしっかりとした支援策をつくるということを実施していただきたいなというふうに思うんですね。
やはり調査に、毎年毎年四千万円なりをかけるんであれば、それがしっかり生かされて、学力が低い地域、あるいは低い学校に対して、何年間かかけてしっかり支援する制度がセットになってないと、これは意味が若干乏しいんではないかと思いますので、ぜひ、今、回答としてはそういった考えは示されませんでしたけれど、私の質問も若干参考にしていただいて、今後、学力調査の結果を生かす。ただ分析をして研究をするだけではなくて、継続した支援を、その学校にしていくというような取り組みをしていただくようにお願いをいたします。
次に、JETとALT、英語の指導について伺いますけれど、まず、英語等の指導助手と英語等の教育補助員の活用の方針と実績、効果を伺います。
○伊東指導部長 都教育委員会では、外国語教育の充実と国際理解教育の推進を目的といたしまして、語学指導等を行う外国青年招致事業による英語等指導助手、いわゆるJETと、在京外国人である英語等教育補助員、いわゆるALTを都立高等学校及び都立中等教育学校に配置しております。
平成二十六年度におきまして、JETは百人を百校の都立高等学校等に配置し、ALTにつきましては、島しょ地区を除く全都立高等学校及び都立中等教育学校百八十七校に延べ四百六人を配置いたしました。これらの外国人指導者と日本人教員がチームティーチングを行うことにより、生徒の使える英語力の向上や異文化理解の促進を図っております。
○両角委員 JETあるいはALTは、外国のネーティブスピーカーでありますから、大変、実際の現場でも有効かなと思うんですけれど、かなり大胆にという感じで、この取り組みを拡充しているなというふうに評価をさせていただきたいと思います。
二十五年度七校五人であったのが、決算額二千三百九万四千円、それが二十六年度百校百人、決算額三億五千八百万円。若干気になるのは、執行率が六八%と低いことではありますけれど、そういった、かなり桁の違うような外国人の指導助手なりをふやしていった。
ALTについても、二十五年の二・一億円の決算額から、四・一億円の決算額ということでほぼ倍増しているということでありますから、大変都教委はこの英語教育、本当に使える英語というかな、そういうのに力を入れているんだなというふうに感じさせていただいているところでありますが、それでは、ここまで力を入れて拡充をされている取り組みについて、学校現場ではどのように思っているか。学校現場で、このJET及びALTの需要や要望に対して、十分に応えられているのかということについて伺いたいと思います。
○伊東指導部長 平成二十五年度に都教育委員会が実施いたしました調査によりますと、都立高校の三割の英語科教員が、外国人指導者とのチームティーチング時数をふやす必要があると回答しております。
こうしたことから、都教育委員会は、JETの配置校を平成二十五年度の七校から平成二十六年度に百校に拡大するとともに、ALTの配置時数も拡大いたしまして、各学校におけるチームティーチングの時数をふやすことにより、英語授業の改善を図っております。
○両角委員 二十七年度予算でもさらにふえているようですから、ぜひここら辺は充実を続けていっていただきたいと思いますけれど、もう一点ちょっと伺わせていただきたいんですが、区市町村においても、小中学校、ALTを活用しているわけですね。これに対して、都教委の支援の現状と考えを確認させていただきたいと思います。
○伊東指導部長 区市町村立の小中学校におきましては、設置者である区市町村教育委員会がそれぞれの教育方針や教育計画に基づき、独自のカリキュラムや教材を開発するとともに、ALTを活用し英語の指導の充実を図っております。
都教育委員会は、ALTとのチームティーチングにつきまして、効果的な活用方法や授業づくりの工夫などに関する教員研修を実施し、小中学校の教員の指導力向上を図っております。今後ともこうした取り組みを通して、区市町村の小中学校における英語教育の充実を図ってまいります。
○両角委員 ご答弁では、現状として、区市町村の小中学校でALT活用は、学校設置者判断で、単費でやっているということであります。
しかしながら、都では、活用方法や授業づくりの工夫などの研修、バックアップしているというようなお話でございましたが、状況を見ていただいて必要があれば、区市町村のALT、これに対する直接的な支援というのも今後の検討材料にしていっていただきたいと、そのように思います。
そして、最後でございます。もう一つ、教員の質を高めるという意味で、平成二十六年度には教員の海外の派遣研修というのを実施をされているわけでございますが、この概要と実績、効果について伺います。
○鯨岡指導推進担当部長 教員の英語指導力や異文化理解等を高めるため、平成二十六年度に開始しました海外派遣研修では、オーストラリアやアメリカで三カ月間ホームステイをしながら、現地の大学で最新の英語教授法を学ぶとともに、現地の高校や語学学校を訪問して研修を深めており、昨年度は中学校五十一名、高等学校八十八名の計百三十九名の教員が参加いたしました。
研修の前後で行いました指導方法のテストの結果、教授法の知識や実践的指導力に大幅な向上が見られました。また、帰国後の授業では、英語でのペアワークやグループワークがより多く導入され、生徒が積極的に取り組むようになったと管理職が評価するなど、英語の授業に大きな改善が見られるようになりました。
○両角委員 帰国後の授業が大きく改善をされたというお話でございました。二十六年度の新規事業で、決算額が三・八億円ということでありますけれど、若手教員を三カ月海外に出すということで、効果も検証しつつ、効果があるということがしっかりわかれば、どんどんこれは続けていただきたい。教員にも、チャンスとみずからのスキルを上げられるような、そんな場を設けていただきたいと思います。
一方で、採用時はこういった資格は余り考慮されてないようにも伺いましたので、英語が非常に得意な方は、採用のときにちょっとプラスするというような、そんなことも今後検討もされてもよいのではないかというようなこともご提案させていただき、私の質問を終わります。
○山内委員 専門医派遣事業についてお伺いしたいと思います。
二〇一〇年度から、都立学校において専門医派遣事業を開始しております。それ以前のモデル事業当初は、生徒の心の問題等を外部の専門家に相談するという試みに対して、学校側に大きな戸惑いがあったと聞いております。
しかし、児童生徒が抱える心の問題が年々深刻化する中、その対応に悩む学校は多く、担当する教職員だけでは抱え切れない問題になっていることから本格事業となり、現在に至っています。
現在、外部の専門医派遣事業は、精神科医と産婦人科医の派遣の二事業です。そこでまず、専門科医の派遣について、二〇一四年度の実施状況と実施内容、講演会を実施している場合は受講者の状況をお伺いいたします。
○早川都立学校教育部長 平成二十六年度は、精神科医を都立高校三十六校に延べ百二十二回派遣をいたしました。具体的には、個別の事例を抱えている担任教諭や養護教諭などに対し直接助言などを行う個別相談を七十二回行ったほか、個別対応事例を学校全体で共有するための事例検討を二十九回、教職員を対象に基礎的な知識を身につけるための研修会を二十九回、学校の支援体制に関する相談を十一回実施いたしました。また、講演会につきましては一回実施をし、教職員十人、生徒二百二十八人が参加をいたしました。
また、産婦人科医でございますけれども、二十六年度は、都立高校十五校に延べ二十八回派遣をいたしました。具体的には、個別相談を八回実施し、妊娠や性感染症を含む産婦人科疾患などの悩みを持つ生徒への対応方法について、担任教諭や養護教諭などに対し直接助言を行いました。また、講演会につきましては二十回実施し、延べで教職員三百七人、生徒二千七百四十六人、保護者二十三人が参加をいたしました。
○山内委員 精神科医と産婦人科医の派遣の二事業、両方まとめてご答弁いただきましたので、産婦人科医の質問、それでお答えというふうに受け取らせていただきます。
こうした精神科医、産婦人科医の派遣事業は、継続している学校では信頼関係も深まり、地域の関係諸機関との連携にもつながり、重要だと考えております。それぞれ、二〇一三年度から同じ専門医が派遣されている学校は何校かお伺いいたします。
○早川都立学校教育部長 専門医の派遣につきましては、学校の要望を聞きながら、医師会など関係機関と調整を行いながら進めております。平成二十五年度から引き続き同じ専門医を派遣している学校数は、精神科医は十九校、産婦人科医は七校でございます。
○山内委員 この専門医派遣事業は、主に養護教諭や教職員を対象に、生徒への対応を検討するために実施し、個別案件に対し、専門医、保護者、生徒とで個別相談を行うためとのことですけれども、それならば、生徒が居住する地域の関連団体等との連携も必要だと考えております。
不登校や精神疾患、心身症、自傷行為や摂食障害など、子供たちの抱える心の問題や性教育、最近ようやく取り上げられつつあるLGBTやデートDV、また、薬物やアルコール、ギャンブル、たばこ、そしてネット依存など依存症の問題も、もはや学校だけでは対応し切れない実情の中で、外部専門家等と協力して対応していくことは重要です。
家庭でも、保護者が子供にどう向き合ったらよいかわからないという訴えも聞いております。専門医派遣の講演会は、生徒はもちろんですが、保護者をも対象とし、子供の抱える問題を、学校、家庭、地域が一体となって対策を進める取り組みとなるよう期待をいたします。
次に、外国人生徒の日本語支援についてお伺いいたします。
都は、長期ビジョンにおいて、外国企業の誘致の実現には、外国人が暮らしやすい生活環境の整備等の取り組みが求められているとしております。インターナショナルスクールや各国の在日校に通う子供たちばかりではありません。公立学校においてこそ、日本語の語学力が不足している外国人生徒に対するきめ細やかな支援が必要です。
そこでまず、二〇一四年度の都内公立学校における日本語指導が必要な外国人児童生徒数についてお伺いいたします。また、これら児童生徒が母語としている言語と、その合計の言語数についてお伺いいたします。
○伊東指導部長 平成二十六年度の都内公立学校における日本語指導が必要な外国人児童生徒は、小学生が千二百八十五人、中学生が六百五十人、高校生が三百六十六人でございます。
また、これらの日本語指導が必要な外国人児童生徒の母語は、中国語を初めとして、フィリピノ語、英語、韓国・朝鮮語、ネパール語などでございまして、全言語数は四十五言語でございます。
○山内委員 日本語指導が必要な児童生徒のために設置されている都内公立小中学校の日本語学級の目的と、児童生徒がどのように授業を受けているのかについてお伺いいたします。
○粉川地域教育支援部長 都教育委員会は、公立小中学校に就学している児童生徒のうち、日本語能力が不十分な児童生徒に対して、通常の教科についての学習理解及び生活習慣の習得を容易にし、教育効果の向上を図ることを目的とし、区市町村教育委員会が設置する日本語学級を認証し、教員を配置しております。
日本語能力が不十分な児童生徒は、公立小中学校の通常の学級に在籍しながら、一部の授業の時間帯に日本語学級に通級しております。
○山内委員 都教育委員会が定める日本語学級の学級編制基準と、二〇一四年度の都内公立小中学校の日本語学級数とその教員数についてお伺いいたします。
○粉川地域教育支援部長 都教育委員会では、日本語学級は一学級当たりの児童生徒数を二十人を基準として編制することと定めております。また、平成二十六年度の日本語学級数は、小学校三十学級、中学校二十三学級であり、その教員数は、小学校四十九人、中学校三十六人でございます。
○山内委員 保護者も日本語ができない場合には、子供たちの学習意欲、進学したいという気持ちをしっかり受けとめ、アドバイスをしたり子供の相談に対応できるような情報収集が困難なことから、子供自身、また保護者が相談しやすい場所が必要ですが、地域によっては、自治体の窓口では相談できる状況にはありません。
そうした窓口として、東京都教育相談センターの役割は大きいものと考えます。二〇一四年度の東京都教育相談センターにおける外国人児童生徒の相談事業の年間及び一カ月当たりの相談件数と主な相談内容についてお伺いいたします。また、相談対象及び対応している外国語についてお伺いをいたします。
○伊東指導部長 平成二十六年度の外国人児童生徒及びその保護者からの相談件数は、電話による相談が四百十七件、一カ月当たりにいたしますと約三十四件、来所による相談が八十件、一カ月当たりにいたしますと約六件でございます。
主な相談内容は、日本の学校制度に関すること、都立高校への入学に関すること、学校での生活に関することなどでございました。
この相談事業では、相談対象は就学前から高等学校在籍までの幼児から高校生及びその保護者としておりまして、中国語、英語、韓国・朝鮮語の三カ国語の通訳を介しまして相談に応じております。
○山内委員 国籍にかかわらず、都立高校で学びたい子供たち全てに門戸を開いてほしいと思っております。都立高校における二〇一二年度の入学者選抜から、在京外国人対象の募集枠は、従来の国際高校及び飛鳥高校に、田柄高校を加え三校になりました。
当時、外国人児童生徒を支援しているNPO等からは、都内の各地域の実態を把握しながら募集枠の設定が必要だという声が上がっていましたが、地域性という点も含めて、その後の検討状況についてお伺いいたします。
○早川都立学校教育部長 平成二十六年度は、目黒区にあります国際高校、北区にあります飛鳥高校、練馬区にあります田柄高校の三校で合計六十五名の募集枠を設け、平成二十五年度と比べ、飛鳥高校と田柄高校で各五名、合計十名の定員をふやして入学者選抜を実施したところでございます。
既存の三校が特別区の北部地域と南部地域に所在する一方で、特別区の東部地域にある公立中学校に比較的多くの外国人生徒が在籍している状況があることなどから、平成二十七年度に実施する入学者選抜におきましては、荒川区にある竹台高校及び葛飾区にあります南葛飾高校の二校に、新たに募集枠を設けることといたしました。
外国人生徒募集枠の設置校とその規模につきましては、平成二十七年度に実施する五校の入学者選抜の応募状況、応募生徒の居住地の状況等を十分に見きわめながら対応してまいります。
○山内委員 都内公立学校における日本語指導が必要な外国人児童生徒数をお伺いしたところ、先ほど小学生が千二百八十五人、中学生が六百五十人、高校生が三百六十六人というふうに伺いました。これに対して、二〇一四年度六月現在、小学校の通級生の合計は四百五十三人、中学校では通級生は百九十一人、夜間在籍者数が百七十二人ということだと思いますが、日本語の指導が必要と認めていながら、この対応は残念でなりません。
日本語学級は、一学級当たり二十人を基準として編制し、教員を学級数にプラス一人配置するということですけれども、これでは行き届いた支援はできないのではないかと考えます。NPOや地域の支援者等とともに、地域で子供たちを支えていく仕組みが必要と考えます。
東京都教育相談センターにおける外国人児童生徒の相談にも、生活や文化の違いから来る切実な相談もあると思います。個人情報に配慮しながら、センターにも、母語で相談に応じられるよう、先ほど四十五言語もあるとおっしゃっていましたけれども、NPO等の協力体制をつくっていただきたいと思います。
アメリカに赴任して、子供を現地の公立学校に通わせた経験のある保護者の中には、ESL制度にお世話になった人が大勢いると思います。ESLは、英語を母語としない子供を支援する制度で、子供の人数に関係なく、各地域の学校に専任の先生がいます。また、クラスの輪に入りやすくするために、同じクラスの友達に、バディーと呼ばれる友達がついてなじめるように工夫しています。
都は、海外の教育を研究するために教師や職員を派遣しておりますが、ぜひESL制度等についても研究し、日本語を母語としない子供たちの支援について今後検討していただきたいと思います。
都立高校の外国人枠は、二〇一六年度からでしたか、二校ふやすということになっておりますけれども、都内全域で五校になったにすぎません。募集生徒数は、二〇一五年度九月の募集人数を含めますと、合計で百十七名となりますが、まだまだ少ないと感じます。公立の中学校に通っていた子供が都立高校の入試で合格できずに、私学は経済的理由で受験できず、中学卒業後、日本語も日本の文化にもふなれで働くこともできず、家に引きこもってしまっているという相談を受けたことがあります。
そこで、私は、二〇一二年の文教委員会において、日本語指導が必要な外国人生徒の実態を把握し、ニーズに対応していただくよう要望いたしました。ぜひ今後の拡充に向けても検討を続けていただきたいと思います。
日本人であれ、外国人であれ、若者のこうした現状は社会の損失です。長期ビジョンに、外国人が暮らしやすい生活環境の整備と掲げるならば、日本語を母語としない子供たちを含め、全ての子供たちが豊かに育つ教育環境の整備を要望いたします。
次に、公立学校における非構造部材の耐震化についてお伺いいたします。
都内公立学校施設の耐震化について、学校施設本体、構造体というのでしょうか、耐震化はほぼ完了しているようでありますが、文部科学省は、構造体の耐震化に加え、公立学校の屋内運動場や武道場、講堂、屋内プールの天井等の落下防止対策についても、今年度までに完了するよう全国の教育委員会に対して求めています。
公立学校は、児童生徒の安全確保はもちろんですが、避難所に指定されており、体育館等非構造部材の耐震化は早急に完了すべきです。これら屋内運動場等における天井等の落下防止対策の進捗状況はどのようになっているのか、現在の取り組み状況をあわせてお伺いしたいと思います。まず、都立学校についてお伺いいたします。
○早川都立学校教育部長 都立学校におきましては、平成二十六年度、つり天井等の落下防止対策が必要な屋内運動場など八十七棟のうち、十棟について対策を実施いたしました。また、つり天井を有しない屋内運動場などで対策が必要な四百七十三棟のうち、二百五十九棟につきましても、照明器具やバスケットゴールなどの落下防止対策を実施いたしました。
平成二十七年度におきましても、対象の都立学校と調整を図り、つり天井等の落下防止対策を初めとする非構造部材の耐震化に計画的に取り組んでおるところでございます。
○山内委員 市区町村立の小中学校についてお伺いしたいと思います。
市区町村立の小中学校については、第一義的には市区町村が責任を持って進めていくものではありますが、都教育委員会として、小中学校の非構造部材の耐震化対策にどのような支援を行っているのか。また、二〇一四年度の公立小中学校の屋内運動場等における天井等の落下防止対策の進捗状況と現在の取り組みについてお伺いいたします。
○粉川地域教育支援部長 都教育委員会は、区市町村立小中学校の非構造部材の耐震化に要する費用に対し、国の補助三分の一に加え、都としても六分の一を補助しております。区市町村立小中学校では、平成二十六年度において、つり天井等の落下防止対策が必要な屋内運動場など三百九十一棟のうち、七十二棟の耐震化が実施されました。また、つり天井がない屋内運動場などで、照明器具やバスケットゴールなどの落下防止対策が必要な施設は千百六十八棟あり、そのうち三百八十一棟の耐震化が実施されました。
平成二十七年度も引き続き、区市町村に対し早期の対策実施を働きかけ、着実に非構造部材の耐震化を推進していけますよう支援しております。
○山内委員 今、数をお伺いいたしました。都立学校においても、公立小中学校においても、非構造部材の耐震化はほとんど進んでいない状況としか把握できません。
なかなか進まない理由には、学校の協力や資材と作業人材の不足などがあると聞いておりますが、オリンピック・パラリンピックよりも、子供の命が優先されるべきです。児童生徒の安全はもちろん、公立小中学校、都立学校も、ほとんどが避難所として指定されています。早急に一〇〇%を目指し、耐震化を進めるよう重ねて要望をいたします。
最後に、都立多摩図書館についてお伺いしたいと思います。
二〇一二年三月の文教委員会で、都立多摩図書館の移転改築計画について質問をした件に関し、その後の取り組みをお伺いしたいと思います。
新たな都立多摩図書館の整備における多摩産材の活用について、基本設計に着手した段階では、多摩産材の有効利用が明記されている公共建築物整備の基本方針に基づき進めていくとの回答でした。その後、二〇一四年に結ばれた契約の中では、多摩産材の活用については具体的にはどのようになっているのか、お伺いいたします。
○粉川地域教育支援部長 多摩図書館改築工事の契約におきましては、図書館入り口の掲示板及び床材、入り口前のスペースの床材、電動書架の側板等に多摩産材を利用することとしております。
○山内委員 多摩図書館は、雑誌と児童青少年資料のサービスを行う専門的な図書館であり、絵本などの子供のための本を多く所蔵しております。また、多摩図書館の移転先である西国分寺は子育て中の方が多い地域であり、移転後は、現在の多摩図書館よりも子育て中の方の利用が多く見込まれております。
そこで、新たな多摩図書館では、子育て中の方が子供に絵本の読み聞かせをするためのスペースが現在の多摩図書館よりも広くなるのか、お伺いしたいと思います。
○粉川地域教育支援部長 多摩図書館改築工事の契約におきましては、本の読み聞かせコーナーの広さを、現在の多摩図書館の二倍以上となる約三十四平方メートルとしております。
○山内委員 国分寺市は、子育て世代の人口がふえています。また、開館予定の都立多摩図書館は、都立武蔵国分寺公園に隣接するために、たくさんの子供たちが遊びに来るところです。子供や子育て中の方が利用しやすいように、今後ともハード、ソフト両面での充実を引き続き要望いたしまして、私の質問を終わります。
○谷村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で教育庁関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後四時十四分散会
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