平成二十六年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第五号

平成二十七年十月二十六日(月曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長曽根はじめ君
副委員長高倉 良生君
副委員長小松 大祐君
中山ひろゆき君
まつば多美子君
徳留 道信君
鈴木 章浩君
高木 けい君
大西さとる君
高橋かずみ君

欠席委員 なし

出席説明員
環境局局長遠藤 雅彦君
次長和賀井克夫君
総務部長池田 俊明君
環境政策担当部長篠原 敏幸君
地球環境エネルギー部長笹沼 正一君
都市エネルギー推進担当部長小川 謙司君
環境改善部長木村 尊彦君
環境改善技術担当部長島田 光正君
自然環境部長志村 昌孝君
緑施策推進担当部長須藤  栄君
資源循環推進部長谷上  裕君
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務野崎 慎一君

本日の会議に付した事件
平成二十六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
環境局関係
・平成二十六年度東京都一般会計決算(質疑)

○曽根委員長 ただいまから平成二十六年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、環境局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより環境局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 鈴木政策調整担当部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務は、公務のため本日の分科会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 決算の審査を行います。
 平成二十六年度東京都一般会計決算中、環境局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○池田総務部長 去る十月十四日の当分科会でご要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の平成二十六年度各会計決算特別委員会第三分科会資料をごらんください。
 表紙をおめくり願います。右側の目次のとおり十項目ございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移過去五年分でございます。
 平成二十一年度から二十五年度までの各年度における産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量を記載しております。
 二ページをお開き願います。2、二酸化窒素、浮遊粒子状物質及び微小粒子状物質の環境基準達成状況の推移でございます。
 (1)の二酸化窒素、(2)の浮遊粒子状物質、それぞれの表におきまして、上段が一般環境大気測定局、下段が自動車排出ガス測定局でございまして、平成二十二年度から二十六年度までの各年度における測定局数、環境基準達成局数及び達成率の状況を記載しております。
 三ページをお開き願います。(3)の微小粒子状物質につきましては、平成二十三年度から二十六年度までの状況を同様に記載しております。
 四ページをお開き願います。3、二酸化窒素、浮遊粒子状物質及び微小粒子状物質の全国上位十局の推移でございます。
 (1)の二酸化窒素につきまして、平成二十一年度から二十五年度までの各年度における全国の測定局の年平均値上位十局を記載しております。
 五ページをお開き願います。(2)の浮遊粒子状物質につきまして同様に記載しております。
 六ページをお開き願います。(3)の微小粒子状物質につきましては、平成二十三年度から二十五年度までの上位十局を記載してございます。
 七ページをお開き願います。4、緑地保全地域における公有化予算・決算額・面積及び管理予算の推移でございます。
 平成十七年度から二十六年度までの各年度における公有化の予算額、決算額及び面積並びに管理費予算額を記載しております。
 八ページをお開き願います。5、都内の土壌汚染対策法における要措置区域等の指定件数の推移でございます。
 平成十七年度から二十六年度までの各年度における指定区域等の件数を記載しております。
 なお、土壌汚染対策法の改正に伴い、区域指定の区分が変更となったため、表を分けて記載してございます。
 九ページをお開き願います。6、大規模事業所の二酸化炭素排出量の推移でございます。
 平成二十二年度から平成二十五年度までの各年度における二酸化炭素排出量を記載してございます。表の上段にある基準年度の値は、事業所が選択した平成十四年度から十九年度までの間のいずれか連続する三カ年度の排出量の平均値でございます。
 一〇ページをお開き願います。7、大規模事業所の床面積当たりの二酸化炭素排出量の推移(用途別)でございます。
 平成二十二年度から二十四年度までの各年度における事務所、情報通信、放送局等の各用途の二酸化炭素排出量を記載しております。
 一一ページをお開き願います。8、中小規模事業所の二酸化炭素排出量の推移でございます。
 平成二十二年度から二十五年度までの各年度における二酸化炭素排出量を記載しております。
 一二ページをお開き願います。9、都内病院の床面積当たりの二酸化炭素排出量の推移でございます。
 平成二十年度から二十五年度までの各年度における病院、医療施設等の二酸化炭素排出量を記載しております。
 一三ページをお開き願います。10、水素利活用促進事業、大気環境対策、有害化学物質対策及び自動車環境対策の主要施策でございます。
 平成二十六年度における水素利活用促進事業、大気環境対策等の主要施策とその決算額を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらさせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○曽根委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○高橋委員 最初に、廃棄物の規制、指導のうち都内から発生したポリ塩化ビフェニル廃棄物、いわゆるPCB廃棄物の処理についてお尋ねいたします。
 PCBが昭和四十三年のカネミ油症事件を機に、その毒性が社会問題化し、昭和四十八年より製造、使用が原則禁止されましたが、処理施設の整備が進まず、事業者は長期間の保管を余儀なくされてきました。PCBは、その濃度により高濃度PCBと低濃度、いわゆる微量PCBに区分され、それぞれ処理の方法が異なっております。
 高濃度PCB廃棄物は、中間貯蔵・環境安全事業株式会社、いわゆるJESCOが全国五カ所に整備した処理施設で処理されており、微量PCB廃棄物は、国や都道府県が認定した民間施設で処理されています。
 しかし、処理期限については、当初の目標であった平成二十八年七月までの処理が困難となり、高濃度のものは平成三十七年度末まで、微量のものは平成三十九年度末まで延長されたところであります。処理期限の延長に伴い、さらに保管が継続され、事業者によってはPCB廃棄物の紛失、不適正な処理が懸念されることから、できるだけ早く早期に処理していく必要があります。
 そこで、まず都内から発生した高濃度のPCB廃棄物はどの程度処理が終わったのか、その処理状況について、お伺いいたします。

○野崎調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 都内で発生した高濃度のPCBが入ったトランス類やコンデンサー類の処理は、JESCO東京PCB処理事業所で処理をしております。
 平成二十七年三月末現在で、登録数に対する処理済みのものは、トランス類及びコンデンサー類ともに約九〇%となっております。

○高橋委員 都内から発生した高濃度のPCB廃棄物の処理は、約九〇%と、着実に進んでいることがわかりました。しかし、残りの事業者の中には、処理に向けた行動をとっていないこともあると伺っております。百里の道は九十里をもって半ばとするということわざがありますが、残り少なくなったこれからが正念場だと思います。
 そこで、処理されていないPCBを確実に処理するための都の取り組みについて、伺います。

○野崎調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 PCB廃棄物を保有している事業者は、PCB特別措置法及び都のPCB廃棄物適正管理指導要綱に基づき、都へ届け出を提出する必要がございます。しかしながら、PCB廃棄物を保有しつつ都へ届け出をしていない事業者も存在いたします。
 今後、確実に処理をするため、都ではこれらの事業者を把握して届け出の指導を行い、期限内処理の推進に向け、今年度から自家用電気工作物設置者六万件に対して、掘り起こし調査を実施しております。

○高橋委員 今年度から実施している調査により、都内のPCBの実態を把握し、処理が円滑に進むよう努めてもらいたいと思います。
 次に、微量PCBについてお伺いいたします。
 高濃度のPCBについては、意図的にメーカーが使用していたため、機器の銘板等によりその含有がわかりますが、微量のものについては、意図せずに混入してしまったものであるため、まずPCBが入っているかどうかの分析が必要であります。
 しかし、微量PCBを含むトランスやコンデンサーなどの分析と処理については、国の助成がないため、高濃度のものと比べて処理のおくれが懸念されます。このため、我が党の主張により、平成二十三年度、平成二十六年度の二回にわたり、全国に先駆けた都独自の中小企業等への助成制度の創設、処理の助成金額の上限引き上げが実施されました。
 そこで、都の微量PCB廃棄物処理支援に関するこの助成金の利用状況について、伺います。

○野崎調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 都は、微量PCBを含むトランス類やコンデンサー類の分析及び処理につきまして、中小企業等においても円滑に行えるよう、処理については平成二十三年九月、分析については平成二十四年四月から助成制度を実施しております。
 助成制度を開始してから平成二十六年度までの間、都の助成制度の申請台数は、処理が千二百七十五台、分析が千六百三台でございました。
 また、平成二十六年度に助成金額の上限を引き上げたことにより、平成二十六年度の中小企業等の微量PCB電気機器の処理申請は八百九十五台と、平成二十五年度の二百六十一台に対し三倍にまでふえております。

○高橋委員 これまでおくれていた微量PCBを含む電気機器の処理については、都の助成制度が有効に機能して、処理が進み始めているとのことで、大変うれしく思います。
 PCBは、我が国も批准しているストックホルム条約において、平成四十年までの適正な処分が定められております。この実現に向けた取り組みが必要であります。都は、引き続き都内に保管されているPCBの詳細な実態調査を続けるとともに、助成制度を有効にPR、活用しながら、まだ処理の行われていないPCBが一日も早く処理されることを期待しております。
 次に、大気環境対策の推進に関する大気環境改善指導のうち、建築物の解体等におけるアスベスト対策についてお尋ねいたします。
 アスベストは、耐火性や防音性にすぐれているため、建築材料に広く利用されてきました。一方で、髪の毛の直径の五千分の一という非常に細い繊維状の鉱物であるため、飛散すると空気中に浮遊しやすく、吸入されて人の肺胞に沈着しやすい特徴があります。そのため、吸い込むと、数十年の潜伏期間を経て、肺がんやがんの一種である悪性中皮腫を発症する可能性があります。
 今回の決算の対象年度となる昨年六月には、アスベストの飛散防止対策の強化を図り、人の健康に係る被害を防止することを目的とした改正大気汚染防止法と改正環境確保条例が施行されました。まず、その改正内容について、お伺いいたします。

○木村環境改善部長 建築物の解体等工事において、契約上優位な立場にある工事の発注者が、アスベストの存在や飛散防止対策の必要性を認識しないで施工を求めるなどにより、建築物の解体工事等でアスベストが飛散する事例が全国的に確認されていました。
 こうした背景から、改正大気汚染防止法では、工事発注者のアスベスト飛散防止に関する責任を明確化するために、届け出義務者を施工者から発注者へと変更されました。また、施工者に対して、アスベストの有無に関する事前調査とその結果を近隣住民等に知らせるため、解体等工事現場に掲示する義務などが盛り込まれました。
 また、この法改正を受け、環境確保条例では、施工者が説明責任を果たせるようにするため、工事前、作業中、工事後に行わせているアスベストの大気濃度測定結果と作業内容につきまして、記録と保存を施工者に義務づけるなどの改正を行っております。

○高橋委員 大気汚染防止法や環境確保条例の改正により、制度上は建築物の解体等におけるアスベストの適正処理の強化が図られましたが、法令に基づく遵守事項を、解体等工事の発注者や、その施工者である受注者に確実に履行させなければ意味がないことであります。
 そこで、アスベストの適正処理に係る法令改正の内容について、都は解体等工事の発注者や受注者に対して、どのように周知徹底を図ってきたのか、伺います。

○木村環境改善部長 都は、改正大気汚染防止法及び改正環境確保条例の施行に先立ち、昨年五月に、受注者となる解体業者や建設業者などを対象に、労働基準監督署との共催で講習会を二回開催し、法令の改正内容などについて詳しく説明を行いました。
 さらに、昨年六月には、法令の改正内容とアスベストの飛散防止対策をよりわかりやすく解説したマニュアルを環境局ホームページに掲載したほか、昨年八月には、リーフレット約一万部を、業界団体や区市を通じて、解体等工事の発注者や受注者に対しまして配布するなど、積極的に普及啓発を行っております。

○高橋委員 アスベストを使用している建築物の都内の解体棟数は、年間約千五百棟と推計されており、この状況は二〇四〇年ごろまで続くと聞いています。建築物の解体等において、アスベストが適切に処理されなかった場合、周辺住民や解体作業の従事者が吸い込むリスクが高まります。
 今の答弁で、さまざまな方法で解体工事業者等へ法令の内容やアスベスト飛散防止対策について周知していることがわかりました。しかし、実際に事業者が法令の内容を遵守しているか否か、行政が確認することも必要であると思っております。
 そこで、アスベスト飛散防止対策が適切に履行されているのかを確認するために、どの程度解体等工事現場に立入検査を行ったのか、また履行されていない場合、どのような指導を行っているのか、伺います。

○木村環境改善部長 解体等工事現場への立入検査の権限は、二十三区及び八王子市は全ての工事、その他の市では建築物の規模に応じて都と市が分担しております。
 昨年六月の改正時から本年九月末までの十六カ月間に、都及び区市により約二千八百件の解体工事現場へ立入検査を実施しております。そのうち解体建築物のアスベストの使用の有無に関する事前調査が実施されていないものが二・七%、事前調査結果の未掲出や記載内容の不備が一〇%、その他飛散防止対策が不十分なものなど合わせて約一五%の現場で不適切な事例が確認されました。
 事前調査の未実施や飛散防止対策が不十分な工事現場では、工事を直ちに中止させ事前調査などを適切に行うよう指導するとともに、必要に応じて敷地境界でアスベスト濃度を測定させ、アスベストの飛散がないことを確認しております。

○高橋委員 解体等の工事現場へ立入検査の実務を区市の職員も行っているとのことでありますが、区市の中には、技術職員が少ない、あるいは人事異動やベテラン職員の退職などにより、職員の育成や技術継承が必ずしも十分ではないなどの課題を抱えている自治体もあると仄聞しております。
 アスベスト飛散防止対策を確実に実施させるためには、区市における立入検査能力の向上を図る必要があります。そのためには、都として区市への技術支援を行う必要があると考えますが、所見を伺います。

○木村環境改善部長 委員ご指摘のとおり、解体等工事現場での立入検査を充実させるための区市への技術支援は重要であると考えております。都は、立入検査マニュアル策定の手引を作成し、区市の担当者を対象とした研修会を毎年開催しております。
 また、都は、昨年度からアスベスト診断士などの資格を取得させた専門職員を配置し、区市からの依頼に基づき、その職員を立入検査に同行させております。専門職員は、解体等工事現場におけるアスベスト飛散防止手法やデジタル粉じん計等の測定機器を使ったアスベストの漏えい監視技法などの技術指導、実務について、区市職員に具体的なアドバイスを行っております。
 今後とも、区市に対して、アスベスト飛散防止対策に関する情報提供や技術支援など、一層の充実を図ってまいります。

○高橋委員 都内のアスベストを使用した建築物の解体工事は、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催に向けたまちづくりの後も相当の期間続きます。
 残念ながら一部の解体工事現場では、アスベスト対策の不適切な事例も見られていることから、関係機関との連携や、区市への技術支援を行いながら、解体工事事業者等に対するアスベスト飛散防止対策の指導の徹底を強化、継続していただくことをお願いして、次の質問に移ります。
 最後に、緑地保全策の推進についてお尋ねいたします。
 多摩地域には、武蔵野の面影を残す雑木林や丘陵地の里山など、良好な自然が多く残されています。こうした多摩地域の豊かな緑は、森林や河川、農地などと相まって潤いのある都市環境の美しい景観の形成に寄与しており、都民にとってかけがえのない貴重な財産となっております。
 こうした貴重な自然を守るため、都は自然保護条例に基づいて保全地域の指定を行っています。そこで、この保全地域について伺います。
 初めに、平成二十六年度に新たな保全地域の指定はあったのか、お伺いいたします。

○志村自然環境部長 平成二十六年度におきましては、五十カ所目の保全地域として連光寺・若葉台里山保全地域を指定いたしました。この地域は、湿地、草地、樹林地、農地など、もともと多様な自然地から成る里山環境を有していたところ、これまで都内では生息が確認されたことがなかったキバサナギガイやミズコハクガイなど極めて希少な陸産貝類が見つかりました。
 このため、宅地開発計画が先行していたこの地域におきまして、都が事業者等に働きかけを行い、開発中止の協力を得た上で里山保全地域に指定したものでございます。

○高橋委員 昨年度は、連光寺・若葉台保全地域という新たな指定も行われ、これにより指定が全部で五十カ所になり、貴重な緑の保全がさらに進んだということであります。
 緑の保全を進めていくためには、保全地域の指定を行うことに加え、樹林地や湿地など指定した地域の特性に応じた維持管理を適切に行うことなど、総合的な対策を講じていくことが必要であります。こうした対策の一つが公有化であります。
 そこで、この公有化とはどのようなものか、改めて伺います。

○志村自然環境部長 保全地域におきましては、民有地の所有者から土地の買い取りについて申し出があった場合に、都が買い取ることが、東京における自然の保護と回復に関する条例において義務づけられております。
 この制度は、保全地域に指定された土地におきまして、建物その他工作物の建築等が制限されることから、こうした土地利用の制約に対する代償措置であり、希少な動植物が生息、生育する樹林地等の民有地を公有化することによって、永続的な緑地保全を可能とするものでございます。
 なお、昨年度、連光寺・若葉台里山保全地域を指定した際にも、宅地開発を予定した事業者から公有化の申し出がございまして、昨年度中に買い取りを実施いたしました。

○高橋委員 今、答弁があったように、所有者からの申し出に基づいて行政が土地を買い取る保全緑地の公有化は、希少な動植物が生息、生育する里山等を将来にわたって確実に保全していく上で、極めて有効な制度であります。
 そこで、平成二十六年度の公有化の実績とこれまでの進捗状況について、伺います。

○志村自然環境部長 昨年度は、先ほどご答弁申し上げました連光寺・若葉台里山保全地域や清瀬中里緑地保全地域外四地域におきまして、合計約二・三ヘクタールを取得し、その決算額は十二億三千八十七万円となってございます。
 また、初めて保全地域の指定が行われました昭和四十九年度から平成二十六年度末までの累計実績は、保全地域の指定面積が全体で約七百五十八ヘクタールであり、そのうち公有化の済んでいるのは約六百三十一ヘクタールとなっており、指定面積に対する公有化率は八三・三%に達してございます。

○高橋委員 指定面積に対する公有化率は八割を超えたとのことであり、保全緑地の公有化が着実に進んでいることを確認できました。
 さて、緑地保全を確実にしていくためには、公有化を進めるとともに、指定した保全地域がしっかりと管理されることが重要であります。そのためには、行政の取り組みだけではなく、地域の住民やボランティア団体等の参画と協力を得ることが欠かせないと思います。
 実際にボランティア活動に携わっている方々に話を伺ってみると、保全活動を担う人材の高齢化が進み、近い将来、ボランティア団体の存続そのものが危ぶまれる地域もあるようであります。
 こうした事態を打開するためには、保全活動を経験したことのない方々の活動参加を促進し、継続的な保全活動の担い手となってもらうことが重要と考えますが、都の見解を伺います。

○志村自然環境部長 委員ご指摘のように、良好な自然環境を将来にわたり保全していくためには、保全活動を担う人材の確保と育成が重要であると認識してございます。
 このため、都は本年七月に森林・緑地保全活動情報センターを開設し、保全活動への参加を希望する都民のニーズに対応した多種多様な情報を、ウエブサイトを通じてわかりやすく発信してございます。
 また、作業用具の貸与や丁寧な個人指導等を通じまして、初心者が気軽に活動体験が行える保全地域体験プログラムを開始するなどして、都民の体験活動の促進を図っております。こうした取り組みにより、新たなボランティア人材の掘り起こしや定着を推進し、貴重な自然を保全するための将来の担い手の育成に積極的に取り組んでまいります。

○高橋委員 保全活動を担う人材確保に向けた取り組みとして、今年度から森林・緑地保全活動情報センターを開設するとともに、保全地域体験プログラムを開始したとのことであります。
 センターを通じたわかりやすい情報発信と、自然のすばらしさや自然を守ることの難しさを体感できるプログラムの展開と、この二つが相まって実効性のある人材育成策となることを期待させていただきます。
 私は、保全地域制度の取り組みを永続的かつ強固なものとするためには、地元自治体との連携も大変重要であると考えます。保全地域の重要性や緑地保全の必要性を、地元地域の住民に広めていくべきでありますが、それには地元自治体の体力が欠かせません。
 また、きょう伺いましたが、保全地域を新たに指定したり公有化を図る上でも、地元自治体の連携のもとで地域の住民や地権者、保全活動を行うボランティア団体などとの理解と協力を得ながら進めていただきたいと思います。
 自然は、一度損なわれるともとには戻りません。私自身が幼少期を過ごした樹林や田畑が連担する武蔵野の原風景は、もはや東京のごく限られた地域でしか見ることができなくなっています。
 こうしたかけがえのない自然が今なお残る東京の保全地域を、将来の世代に確実に引き継いでいけるよう、保全地域の指定と公有化、ボランティア人材の育成など、緑地保全に向けた重層的な施策を展開していただくよう要望して、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○高倉委員 まず最初に、照明のLED化の推進について質問をいたします。
 都は、これまでも、キャップ・アンド・トレード制度を初めとした先進的なCO2削減、省エネルギー対策を展開してまいりましたけれども、都内エネルギー消費量の削減を一層進めていくためには、日本のすぐれた省エネ技術の活用が欠かせないと思います。その一つがLED照明であります。
 消費電力が少なく長寿命であるLED照明は、高い省エネ効果が期待できることから、東日本大震災以降、省エネ志向の高まりとともに急速に導入が拡大をしているわけであります。また、技術的にも色の見え方など光の質や発光効率などの性能も大きく進化しております。
 特に、建築物の集積する東京においては、設置年度の古い従来型の照明器具から省エネ効果の高いLED照明への切りかえを進めることで、東京のエネルギー消費量の約四割を占めておりますオフィスビルなど業務部門のエネルギー消費量の削減が期待できるわけであります。
 そこで、平成二十六年度の都内民間事業者に対するLED照明導入促進に向けた都の取り組みをお伺いしたいと思います。

○笹沼地球環境エネルギー部長 LED照明は、蛍光灯と比較いたしまして約六〇%の消費電力削減効果があり、寿命も四倍と長いことから、都内事業所などでの切りかえを進めていくことで高い省エネ効果を継続的に得ることができます。
 このため都は、都内事業所が効果的に省エネルギー対策に取り組めるよう、LED照明の導入事例の紹介や、切りかえに当たっての留意点、効果等の周知を図っております。具体的には、昨年度、トップレベル事業所フォーラムにおけますLED照明等のすぐれた省エネ技術の導入効果や事例紹介などの情報提供のほか、中小規模事業所に対します省エネ研修会での対策提示や省エネ診断の際の個別の改善提案を行っております。

○高倉委員 このLED照明など高効率機器の導入による省エネルギー対策は、地球温暖化対策はもとより、消費電力量の低減により事業者みずからの経費削減にもつながるものであります。
 ただいま取り組みについて答弁をいただきましたけれども、今後も引き続き導入のメリットや効果をわかりやすく紹介するなど、普及啓発を進めまして、都内民間事業者の導入を促していくことを強く要望いたしておきます。
 省エネ効果の高い照明の導入につきましては、公共施設において率先的に進めていく必要があると思います。これは私の地元の中野区の例でありますけれども、平成二十一年度からLED化を推進しまして、平成二十五年度までに区内の全街路灯一万六千基がLED街灯に切りかわったわけであります。従来の電灯とも比べて非常に明るい感じもいたしますし、電気代の年間削減量も相当な金額に上っているというふうにお聞きをしております。
 都も東京都長期ビジョンにおいて、都内に約三万カ所ある信号灯器のLED化や、都が管理する道路や公園の照明をLED照明等に更新していく取り組みなどを進めるというふうにしておりますけれども、今後も都有施設等でのLED化を広く推進していくことが重要であると考えます。
 そこで、全庁的な省エネ等の取り組みを推進する観点から、都有施設へのLED照明等導入の考え方及び今後の進め方について、お伺いしたいと思います。

○笹沼地球環境エネルギー部長 都は、平成二十四年三月に策定いたしました温室効果ガス削減都庁行動計画に基づきまして、都の事務事業活動に伴う温室効果ガス排出量削減に取り組んでおります。
 計画では、賢い省エネの継続や再生可能エネルギー導入に加え、設備改修等を通じて低CO2技術を積極的に導入していくことを取り組み方針の一つとして掲げ、高効率照明であるLEDの積極的導入を図ってまいりました。
 また、昨年度は、全庁推進組織でありますスマートエネルギー都庁推進会議を立ち上げまして、都施設のスマートエネルギー化を進めることとしており、今後もLED照明の導入を原則といたします省エネ・再エネ東京仕様などを活用し、各局連携して照明のLED化を初めとする省エネルギー対策を進めてまいります。

○高倉委員 LEDは、今後もさらなる技術革新や普及拡大による価格低下なども期待できるわけであります。こうした動向も踏まえつつ、さまざまな用途での活用、検討をしていただきまして、一層の普及拡大を目指していただきたいと思います。
 先ほど答弁の中に、全庁推進組織であるスマートエネルギー都庁推進会議のお話もありましたけれども、それぞれ各局で具体的な取り組みを進めていくと思いますけれども、環境局の方では、全体的なこの取り組みというものをしっかり進めていただくように、ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
 次に、自転車シェアリングについて質問をいたします。
 自転車シェアリングは、都が推進をする自転車政策の重要な柱の一つとして位置づけられております。私も先日、国際展示場に行ったことがありまして、そのすぐそばにこの自転車シェアリングのステーションがありまして、その様子を拝見いたしました。今後の普及に大きな期待を寄せております。
 都内では、三年前に江東区が自転車シェアリングを導入いたしまして、続いて昨年度、千代田区と港区が事業開始をいたしました。自転車シェアリングの事業化には、ステーション用地の確保など課題もあるというふうに聞いております。
 そこで都は、平成二十六年度、各区の事業化に当たってどういった支援を実施してこられたのか、お伺いしたいと思います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 都は、江東区が事業化を図る段階から、お話の用地の確保に向けまして道路管理者や交通管理者との調整により、歩道の一部を活用できるようにしてまいりました。
 また、平成二十六年度には、歩行のために空間等が必要とされている公開空地につきまして、その機能を担保した上での活用を可能といたしました。さらに、事前調査や施設整備など事業化に当たっての初期負担を軽減するため、平成二十六年度から新たに区市町村補助制度の対象とすることにより、財政面からの支援も実施しております。

○高倉委員 各区の事業化を支援する重要な役割を都が担っているということで、今ご説明をいただきました。ありがとうございます。
 その成果として、平成二十六年度自転車シェアリングの規模がどの程度拡大をして、また、事業が実施をされている各区において利用実績がどの程度伸びているのかについてご説明をいただきたいと思います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 自転車シェアリングの規模といたしましては、平成二十六年度に千代田区においてステーション三十三カ所、自転車二百五十台、港区において十七カ所、二百十台が整備されており、先行して整備されている江東区の二十一カ所、三百台と合わせ、三区全体では、平成二十六年度末におきましてステーション七十一カ所、自転車七百六十台となっております。
 また、自転車シェアリングの利用回数では、平成二十七年三月の一カ月間で江東区が一万八千七百八十一回、千代田区が一万七百八十八回、港区が七千二百五十回となっており、江東区では事業開始の三年前に比べると約四倍、千代田区、港区では事業を開始した昨年十月と比べると約二倍と、着実に利用が拡大していると考えております。

○高倉委員 今ご答弁をいただきましたけれども、具体的に各区のステーション、また自転車の導入状況あるいは利用状況、そして事業開始から利用している状況というのが、かなり増加をしているといったことが今答弁で明らかになったわけであります。
 事業を実施する区が拡大することで、自転車シェアリングは徐々に市民権を得つつあるように感じます。本年の十月には、中央区でも事業が開始をされまして、自転車シェアリングは着実に広がりつつあるというふうに考えておりますけれども、今後のさらなる普及拡大に向けた都のご見解をお伺いしたいと思います。

○小川都市エネルギー推進担当部長 現在、自転車シェアリングを実施している四区におきましては、自転車の貸し出し、返却が各区の区域内に限定されておりますが、都は一層の利用促進を図るため、区域を越えた広域的な総合利用の実現に向け、各区と調整を進めております。
 また、先行する四区の事業化ノウハウも活用しながら、引き続きステーション用地確保に向けた支援や初期負担軽減のための財政支援を実施することで、四区以外における自転車シェアリングの普及拡大に努めてまいります。

○高倉委員 今お答えをいただきましたけれども、それぞれ各区として事業を行っているということであると思いますけれども、この区のエリアを超えた形での事業展開、こういったことが大変重要であるというふうに思いますし、当然ながら今お話をいただいた四区以外にも、恐らく導入をしてみたいという考えを持って準備をされている自治体もあるというふうに思いますので、ぜひそういったものは拡大をしますように、都としても支援をしてほしいというふうに思います。
 自転車シェアリングの普及は、利便性向上だけでなく走行空間の確保やルール、マナーの向上など、安全性確保も含めた総合的な観点に立って実施をしていく必要があるために、関係各局と密な連携をとっていただきまして、取り組みを進めていただきたいというふうに思います。
 それでは次に、自然公園について質問をいたします。
 決算説明書四五ページの自然公園等適正利用推進事業に関連をして質問させていただきます。
 私は、よく山にも登るわけでありますけれども、最近は、ペットを連れた登山者あるいはトレイルランニングを行う人がよく見かけられまして、山の利用形態も多様化が進んでいるわけであります。そうした中で、利用者同士の間で何らかのトラブルが起きないだろうか、あるいは貴重な植物等に影響が出ないだろうかといったような心配もしていたところであります。
 都は、これまでのレンジャーの配置に加えまして、平成二十六年度には東京都自然公園利用ルールを策定しまして、山を利用する際に守るべきマナーやルールなどを示したということでありますけれども、これは大変よいタイミングでの取り組みであるというふうに思います。
 ところで、このルールは策定をするだけではなく、多くの方にご理解をいただき守っていただくことが最も重要であると思います。ホームページに掲載するだけでは、なかなか人々の間に浸透していかないのではないかというふうにも思えるわけであります。
 今年度に入ってからも、さまざまなトレイルランニングの大会が各地で開催されていることと思いますけれども、このルールがしっかりと守られているのかどうか、こういったことも気になるところであります。
 そこでまず東京都自然公園利用ルールについて、どのように普及啓発を行い徹底に向けた取り組みを行っているのか、お伺いしたいと思います。

○須藤緑施策推進担当部長 高尾山や御岳山など多摩地域の自然公園において、利用者の増加や多様化が進む中、互いに快適に過ごすとともに自然環境への影響を少なくするため、都は平成二十七年三月に、登山やトレイルランニングなど利用形態に応じて守るべきマナー、ルールを策定いたしました。
 ご指摘のとおり、このルールは、多様な登山者やトレラン大会主催者などに幅広く周知する必要があり、さまざまな機会を捉えてその普及啓発に取り組んでおります。
 具体的には、まず現地を訪れた人に対しては、ビジターセンターにおける周知やレンジャーが巡回時に声かけを行うなどし、また、これから出かけてみようという人に対しては、自然に関連するイベントにおけるパネルの展示や印刷物の配布、あるいは登山関係雑誌における紹介などに取り組んでまいりました。
 来る十一月三日には、自然公園に関するイベントを奥多摩町や檜原村、民間事業者と都が共催する中で、自然公園利用ルールをテーマとしたシンポジウムを開催する予定でございます。
 さらに、トレイルランニング大会主催者に対しては、計画初期の段階からの対面指導や現地事例モニタリングへの同行など、きめ細かい指導を行っており、既に七件の大会について対応しているところでございます。

○高倉委員 二十六年度末に利用ルールを策定しまして、引き続いて今年度早速、普及啓発に鋭意取り組まれているということで安心をいたしました。今後とも、ルールの普及啓発とその徹底ということについて、邁進をしていただきたいと思います。
 先ほど地元町村や民間事業者との連携によるイベントを開催するという話がありましたけれども、大変おもしろい取り組みなのではないかというふうに期待をしているところであります。
 自然公園に指定されている地域では、地元自治体が温泉を運営したり、特産物の生産を支援したりする取り組みが各地で見られるわけであります。温泉や地元グルメなどは、山歩きの後の大きな魅力の一つでもありまして、こうした地元自治体が推進している事業とのコラボレーションを深めることは、自然公園の利用者にとっても大変有意義であるというふうに思います。
 あるいは、地元自治体が運営するボランティアの方々に、山の中の自然保護活動に活躍をしてもらうというようなことも、自然公園事業には有効であるというふうに思われます。
 こうしたことから、自然公園の魅力をより一層高めていくには、地元自治体との連携が重要であるというふうに思います。これは多摩地域に限らず、島しょ部についても同様であるというふうに思います。
 都は、自然公園事業の推進に当たりまして、より一層地元自治体との連携を深めるべきと考えますけれども、この点についてのご見解をお伺いいたします。

○須藤緑施策推進担当部長 自然公園事業の推進において、これまでも地元の自治体から、地域に関する情報提供やトイレなどの施設管理あるいは指定管理者としての運営管理など、さまざまなご協力をいただいており、地元自治体と連携することは極めて重要であると認識をしております。
 例えば高尾山を中心とする自然公園区域では、昨年度から、地域の魅力を高めるために、建築などを行う際のエリアルールを検討しておりますが、地域の意向を把握する上で地元市との連携は欠かせないものとなっております。また、他の市町村からもお互いの協力関係を強化していくことの必要性について、声が寄せられているところでございます。
 そこで今後、自然公園にかかわる市町村とこれまでより密に連携し、一層東京の自然公園の魅力を発揮できるよう努めてまいります。

○高倉委員 ぜひとも、そのようにお願いをいたしたいと思います。
 都は今後、自然公園ビジョンの策定にも取り組んでいくということでありますけれども、その検討の際にも、ぜひ地元自治体との連携をしっかりとっていっていただきたいというふうに思います。地元自治体と連携を深めることで、地域の特性、魅力をさらに生かすことができまして、自然公園の多様な魅力が広がっていくであろうと思います。
 あわせて、今回のイベントのように民間企業とも協働をしていけば、その魅力はさらに広がっていくのではないかというふうに思います。
 今後も、地元自治体や民間など多様な主体と連携をとっていただきまして、人々の交流の核となるような自然公園となるよう取り組みを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。

○徳留委員 環境局関係の決算について、決算書や提出いただいた要求資料に基づいて質問いたします。
 まず最初に、環境局の決算書に基づいて確認のために一つ質問いたします。
 環境改善費に係る執行率が七一・五%にとどまっておりますけれども、これはどういう理由でしょうか。お答えいただきたいと思います。

○木村環境改善部長 環境改善費の主な不用額は、ノンフロン冷凍冷蔵機器への買いかえ補助、ハイブリッドトラックやバスの導入補助、低公害、低燃費車への買いかえの利子補給、信用保証料補助の実績残でございます。
 中小事業者等が環境改善に取り組めるよう十分な予算を確保いたしましたが、申請件数が見込みを下回ったものでございます。

○徳留委員 大気汚染の対策強化の一つとして、大規模事業所への低公害車の導入促進や低公害の機材への買いかえ支援、また中小企業等の環境改善への取り組み支援は、極めて重要だと思います。我が党も予算要望では再三要請してまいりました。今回の経験もよく分析をした上で、一層の支援の強化を要望しておきたいと思います。
 次に、決算特別委員会の資料要求でもらった資料の中で、平成二十六年度までの五年間の都内の自動車排ガス測定局の大気汚染の結果は、二酸化窒素で全国ワーストファイブに東京都内三カ所入っております。大田区の環七通り松原橋、世田谷区玉川通りの上馬、私の地元であります板橋区大和町の中山道、環七とも交差をしております。
 こういうのが入るほど大変深刻な大気汚染となっているのはなぜなのか、これが繰り返しワーストファイブになる、そういう点でどういう対策を打ってこられたのか、お答えいただきたいと思います。

○木村環境改善部長 これまで都は、ディーゼル車排出ガス規制、低公害、低燃費車の普及など自動車排出ガス対策に取り組んでまいりました。その結果、平成二十六年度は玉川通り上馬局、中山道大和町局で二酸化窒素の環境基準を達成しております。また、環七通り松原橋局の二酸化窒素濃度も低減しております。

○徳留委員 確かにさまざまな努力で、二酸化窒素の濃度は減りつつあると思います。大田区の環七の松原橋以外は、環境基準は達成してきています。
 問題は、深刻な被害をもたらす微小粒子状物質であるPM二・五の問題だと思います。私の地元の板橋区の大和町の測定局では、確かに二酸化窒素は減る傾向です。しかし、特にPM二・五については、年平均値が一立方メートル当たり二十一・〇マイクログラムと、環境基準である一立方メートル当たり十五・〇マイクログラムを大幅に上回っております。自動車排気ガス測定局、いわゆる自排局の中でも断トツの高さになっています。
 大和町交差点は交差点が三層になっている状況のもとで、少しでも大気汚染を解消しようということで、交差点の四隅にあった銀行のビルを二カ所撤去して、その撤去した後に小さな公園を設置して、風通しをよくするなどの努力もされてきています。
 しかし、それでも板橋区内は中山道があり、川越街道があり、環七があり、山手通りなど幹線道路が縦横に走っているもとで、その幹線道路の沿道周辺では大気汚染がひどくて、ぜんそく患者が多いのが実態です。
 私の子供も小学校に入る前まではぜんそくがひどくて、発作を起こして苦しむ中、病院に運び込んで点滴を長時間受けるということがしょっちゅうありました。大気汚染の患者会の方に伺うと、現在都内には十八歳以上のぜんそく患者は九万八千人以上、それ以外にも子供たちがいると、本当に解決が急がれている状況だと思います。
 そこで質問ですけれども、自動車排ガス測定局による微小粒子物質、いわゆるPM二・五の調査で環境基準をほとんど超えていないのはなぜなのか、これも資料要求で出していただいたところに紹介されておりますが、これまでどういう対策をとってこられているのか、PM二・五の健康への被 害、障害はどういうものになっているのかについて、お答えをいただきたいと思います。

○木村環境改善部長 東京都は、ディーゼル車排出ガス対策、工場等の固定発生源対策、揮発性有機化合物、いわゆるVOC対策などに取り組んだことによりまして、平成十三年から十年間にPM二・五の濃度は約五五%減少しております。
 PM二・五には、自動車排出ガスのほかさまざまな発生源があり、大気中で二次的に生成するなど発生原因が未解明な部分もあることから、PM二・五の環境基準の達成状況は、一般局、自排局とも低くなっております。
 PM二・五は、粒子が非常に小さく肺の奥深くにまで入り込みやすいため、呼吸器系疾患や循環器系疾患など人の健康に影響を及ぼすことが懸念されております。

○徳留委員 さまざまな努力をしてきた結果、ディーゼル規制が非常に大きな効果を発揮してきたという答弁がありました。しかし同時に、今日、微小粒子物質、いわゆるPM二・五は、健康に深刻な影響を広げていることがはっきりしてきております。濃度が減少したとはいえ、ほとんど環境基準を達成できていないというのが現実であります。
 平成二十三年度、二〇一一年に東京都が発表した東京都微小粒子状物質検討会の報告書によりますと、平成二十八年度のPM二・五濃度の一般平均値を推測して、一立方メートル当たり十七・二マイクログラムとなり、環境基準を上回ると推計されることから、既定の対策、これまでの対策に加え、新たな対策または対策の強化が必要であるとしております。
 残念ながら、まだ環境基準の達成という観点からすれば一層の努力が必要になっていると思います。一刻も早く、前倒してでも、環境基準を達成するという目標で取り組んでもらいたいということを強く要望しておきます。
 そこで、PM二・五の環境基準の達成について、都としてどのような目標を現在掲げておられるのか、また環境基本計画の今後の改定に当たっては、どのように位置づけられるのか、伺いたいと思います。

○木村環境改善部長 昨年十二月に発表いたしました長期ビジョンで、おおむね十年後、平成三十六年ごろまでにPM二・五の環境基準達成率を一〇〇%に向上させる都の政策目標を掲げております。
 なお、環境基本計画の改定につきましては、現在、環境審議会において審議中でございます。

○徳留委員 環境省は、平成二十一年、二〇〇九年の九月ですけれども、PM二・五、微小粒子物質にかかわる環境基準について告示をして、その達成期間について、微小粒子物質による大気の汚染にかかわる環境基準は維持され、または早期達成に努めるものとするとしております。
 そのためには、例えば都は、先ほど紹介した平成二十三年、二〇一一年の東京都微小粒子状物質検討会議報告書で、効果的な対策が行われていないとしている分野である船舶や家庭、業務について一層踏み込んだ対策が行われること、また自動車については、明らかに一般局と比べても高いことから見ても、かつて試みようとした自動車交通の総量規制に踏み出すこと、さらにクリーンディーゼルを名乗る改良ディーゼル車については、ディーゼルの不完全燃焼を基本とするエンジンの宿命的な欠陥から、ナノ粒子と呼ばれる目には見えない超微粒子の数が数万倍以上にふえて、心臓や脳、神経系、生殖器系にまで侵入するなどの動物実験報告もあることなどから、その危険性について都の環境科学研究所などにおいて調査研究して、結果によっては国に規制などを働きかけることを強く要望しておきたいと思います。
 次に、都の環境基本計画が、これは二〇〇八年の三月に作成されたものが近く改定に向けて作業が進んでいるというふうに聞いておりますが、このことに関連して質問いたします。
 現在の環境基本計画の中でも、少ないエネルギー消費で快適に活動、生活できる都市を目指し、東京から世界の諸都市の範となる持続可能な都市モデルを発信となっています。その中で、東京が直面する環境問題の新たな認識の一つとして、環境汚染に対する予見的かつ継続的な対応の必要性として、健康影響が懸念されるPM二・五への対応など、大気環境への課題が未解決である。汚染が深刻化して都民の健康と安全を脅かす直接的な危機になる前に予見的、継続的な対応が必要であると明記をされております。
 環境基本計画のこうした考えに基づいて、各種の目標と到達を都民に系統的に明らかにして、都民参加による取り組み、意識啓発を推進するために、全国で幾つか先進的な自治体があるようですけれども、そういうことにも倣って、ホームページで効果的な公表をする、それだけではなくて年次報告書などを作成して、情報の公開や取り組みの点検を図るべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○篠原環境政策担当部長 東京都の環境基本条例第八条におきまして、知事は、環境の保全に関する施策の総合的な推進に資するとともに、都民に環境の状況、環境の保全に関する施策の実施状況等を明らかにするため、東京都環境白書を定期的に作成し、公表することが定められております。
 この規定に基づきまして、東京都では毎年度、東京の環境の状況、それから都の施策の内容、成果等を取りまとめまして、東京都環境白書として作成し配布しておりますほか、ホームページ等でもこれを掲載し広く都民への周知を図っております。

○徳留委員 私は、環境政策一般ではなくて環境基本計画などそのものについて、各種の目標や到達を年次報告書の策定やホームページを通じて都民に明らかにし、都民参加の力を得て、この東京の環境の保護といいますか、改善のためにどういう役割を果たしていくのかというのが今求められているんではないかと思います。
 確かに、環境白書には東京の環境状況と都の政策内容、成果などが取りまとめてありますけれども、環境基本計画そのものを点検して報告する年次報告書とは、あくまで性格が異なるんではないかと思います。
 環境基本計画の年次報告書について見てみました。政令市のある都道府県でも、半数が年度ごとの進捗状況を点検して、年次報告書を作成して公表しております。
 埼玉県は八ページとコンパクトですけれども、計画を策定して三十七の施策指標や施策展開の十八の方向について、順調に推移しているのか、計画策定時より改善しているのかなどをチェックして、進捗状況が一目でわかるようになっています。これが、その埼玉県のホームページからとったものであります。
 一方、兵庫県は、これは分厚いんですけれども、百ページを超える報告書をつくっています。分厚ければいいということではありませんけれども、毎年結果については、知事の記者会見で報告をしています。
 また、これらの県は、インターネットホームページをとってみても、環境基本計画のトップページに、まずすぐ進捗状況とか点検結果の項目があって、そこをクリックすれば年次報告が出てきて進捗状況が一目でわかるようになっていますし、進捗状況の評価が書いてあるので、なぜ進んでいないのか、進めるにはどうしたらいいのか、県の問題意識や住民の側からもよく理解できるようになっています。
 一方、東京都の環境基本計画については、小さく書かれた経緯というところをクリックして、ようやくそこの隅に主要目標の達成状況がクリックしてたどり着けるように、率直にいってわかりにくいなと、ここにありますけれども、このA4一枚で小さい字でいっぱい書かれています。
 都の主要目標の達成状況は、このPDFのファイル一枚程度の簡素なものがありますけれども、目標達成に向けた取り組みやその経過、達成できたものについては、その教訓や、達成できなかったものについては、その課題がどうして達成できなかったのか、そういうものが都民には必ずしもよく見えないものではないかと、率直に思いました。
 やはり多くの都民が一緒に参加して、この東京都の環境改善にも力を発揮していく、そういう役割を果たすように、東京都の環境局としてのイニシアチブの発揮を求めておきたいと思います。
 環境基本計画を実現するには、やはり都民の監視と世論による後押しが不可欠だと思います。古くは都の公害施策はもとより、再生可能なエネルギーの導入推進や省エネなどの今日的課題の達成も国民の後押しがあってこそ進んできたし、今後も進むのではないかと思います。
 改めて、次期環境基本計画では、進捗を確認する年次報告書を策定すること、その結果を都民にもよくわかるようにするためのホームページなどの改善も要望しておきます。
 最後に、多摩地域の市長会の平成二十六年度要望にある横田基地を中心とする軍用機の騒音の改善問題について質問します。
 また立川基地及び入間基地について騒音被害が広がる中で、都として騒音の全容把握に努めることと、固定測定地点の増設などについて、多摩の市長会から要望が寄せられておりますけれども、どのように対応されているのか、答弁をお願いします。

○木村環境改善部長 環境局では、横田、厚木及び立川飛行場周辺におきまして、通年で測定する固定調査地点、期間を限って測定する分布調査地点を環境基準の達成状況を把握するのに必要な数、設けております。この測定結果から、調査地点以外の状況につきましても解析を行い、各飛行場周辺一帯の環境基準の達成状況を毎年度把握しております。
 なお、入間基地につきましては、埼玉県が指定した環境基準の類型を当てはめる地域が東京都エリアまで達していないため、都は環境基準の類型を当てはめる地域指定は行っていませんが、関係自治体と連携し状況の把握に努めております。

○徳留委員 都として環境基準の達成状況を把握するのに必要な固定調査地点、分布調査地点を必要な数設けて取り組んでいると。各飛行場周辺の環境基準の達成状況を把握しているという答弁でした。
 しかし、多摩の市長会は、実は平成二十六年度だけではなくて、二十七年度も二十八年度も同じような文章で東京都に要望を出しております。例えば都独自の騒音の実態把握が弱いことを踏まえて、騒音問題の解決に向けて訓練時の旋回飛行コースを含め、騒音の全容把握により一層努められたい、これは三年連続同じ文章です。この同じ言葉が繰り返されるのは、やはり多摩の自治体の皆さんや住民の皆さんの実感からして、なかなか騒音問題が解決していない、改善していないという実感があるんじゃないかと思うんです。そういうところから、固定測定点の増設の要望も寄せられているものと思います。
 ここには、環境局が努力しているといっても、引き続き騒音が減るどころかふえる傾向があり、一向に解決していないという自治体や住民の皆さんの意識があると思います。そして、調査地点も不十分で、なかなか調査をしたいところに飛行機が飛んでくるわけではありませんので、やはり滑走路周辺だとか、本当に騒音が一番ひどいところをしっかり押さえながら、地元の自治体の皆さん方と連携して、騒音の全体の状況を正確に把握していくことが重要ではないかと思います。
 ぜひ環境局として、こうした市長会の要望を内容をよく検討していただいて、真摯に受けとめて対応してほしいと思います。
 しかも、騒音問題でいいますと、横田基地周辺の騒音にかかわって、現在、騒音訴訟が行われています。一つの訴訟団は原告千人を超えています。もう一つの訴訟団は、原告二千人を超えている訴訟となっています。当然、一人一人は環境基準を超える騒音のもとで、そういう地域で暮らしている方々だということを聞きました。
 訴訟団に参加している多くの方々は、この環境基準を超えている中で苦しんでおられるという状況です。しかも、これまでの過去の騒音訴訟の判決では、飛行差しとめは認められなかったものの、ほとんどが騒音問題については現状のままでは全て違法だという判決が下され、損害賠償の支払いが命じられております。
 最近では、米軍の厚木基地での騒音訴訟、それから米軍の岩国基地での騒音訴訟でも騒音の違法性を認め、損害賠償の支払いを求めています。にもかかわらず、損害賠償になったとしても、騒音そのものについては解決されずに今日まで至っています。
 しかも、この間の軍用機の離着陸の回数が昨年とおととし、それまでより約四割方ふえて八千回から一万一千回ぐらいにふえていっているということは、結果的には騒音も、さらに量的にはふえるということになるわけでして、大変耐えがたい騒音が続いております。これに一体になって、部品の落下や墜落などの危険と不安が広がっていると思います。
 都としても、ぜひ責任ある体制で周辺自治体と連携して、騒音の実態を掌握するとともに、地元自治体、周辺住民と連携して騒音問題の解決に取り組んでいただくように強く要望して、私の質問を終わります。

○大西委員 私からも大気環境の改善に向けた取り組みについて伺います。
 東京から富士山の見える日数が平成二十六年度は百日を超え、空気がきれいになったという声も聞くようにはなりました。一方で、今回の資料にも出ておりますように、空気環境が悪い、そんな場所が多いのも事実で、また、ぜんそくの方もいるのも事実でございます。
 今回、私の方から提出をお願いいたしました主要施策、この資料の一番最後の一三ページにあるわけですけど、この主要施策によれば、都は大気汚染防止法や環境確保条例に基づく規制、指導業務や揮発性有機化合物、いわゆるVOC対策の推進、ディーゼル車規制に係る取り締まりなどを進めておるということでございます。
 特に、このディーゼル車規制に関しましては、私も昔、この通報制度やGメンという方の存在などを議論し、推進してきた経験もございますが、そこでまずこれらの施策の結果として、今回の決算年度である平成二十六年度の大気汚染の状況はどのようになっているのか、伺います。

○木村環境改善部長 平成二十六年度の環境基準の達成状況は、二酸化窒素は一般環境大気測定局で一〇〇%、自動車排出ガス測定局で九七%であり、浮遊粒子状物質SPMは、一般局、自排局とも一〇〇%でございます。
 しかしながら、微小粒子状物質PM二・五は、一般局で六・五%、自排局では〇%であり、光化学オキシダントは全局未達成でございました。

○大西委員 PM二・五が六・五%、光化学オキシダントは全局未達成と、ちょっと残念な結果ではございますが、このように二酸化窒素とSPMについては、大気環境は大幅に改善したということは喜ばしいことでございます。
 残された課題は、今申し上げましたPM二・五と光化学オキシダントであります。その残された課題の一つであるPM二・五については、二年前に中国でのPM二・五の汚染が話題になり、日本にも越境してくるのではないかと心配され、PM二・五というこの言葉が流行語大賞の候補にもなったということも記憶に新しいところでございますし、また最近も、春になれば、いつも毎年のようにその話が話題に上ることにもなっております。
 都は、このPM二・五対策の一環として、平成二十二年度から三年かけて全測定局にPM二・五の測定体制を整備してきていただいております。
 そこで、このPM二・五の詳細な状況について、伺います。

○木村環境改善部長 平成二十一年度に国がPM二・五の環境基準を設定したことから、都は二十四年度までに全測定局での測定体制を整えました。
 二十六年度の年平均濃度は、一般大気測定局四十六局で一立方メートル当たり十六・〇マイクログラム、自動車排出ガス測定局三十五局で十七・二マイクログラムであり、長期基準であります十五マイクログラムまで、あともう少しとなっております。
 PM二・五の環境基準の評価は、日平均値が三十五マイクログラムを超える日をおおむね年間七日以内とする短期基準と合わせて行うため、平成二十六年度のPM二・五の環境基準達成率は、一般局で六・五%、自排局では〇%でございました。これは、風が弱いなどの気象等の影響を受けやすいことによるものと考えております。
 なお、都内四カ所の測定局では、平成十三年度からPM二・五の濃度測定を実施しておりまして、これによりますと十年間で約五五%減少しており、着実に改善は進んでおります。

○大西委員 今、お答えされた中では、PM二・五は環境基準の達成はまだまだ低いということですが、濃度は十年前に比べよくなったということでございます。
 都民の健康を守るためにも、呼吸器系疾患や循環器系疾患に影響があるといわれるこのPM二・五を削減し、環境基準一〇〇%達成という目標を確実に実施、実現していくことが重要で、必要でもございます。
 そこで、都はこのPM二・五の削減策として、どのような対策に取り組んできたのか、そしてまた、今後どのように取り組んでいくのかを伺います。

○木村環境改善部長 まず工場等の固定発生源対策といたしまして、法や条例に基づく規制指導を行うとともに、法や条例の規制を受けない小規模なボイラーなどの燃焼機器につきまして、低NOx、低CO2機器認定制度に取り組んでおり、平成二十六年度には認定基準を強化いたしました。
 自動車等の移動発生源対策では、厳しい排出ガス基準に適合したハイブリッドバスやトラックへの買いかえを支援する融資や補助を行っております。さらに、東京都環境科学研究所におきましてPM二・五の成分分析を行い、夏には硫黄酸化物、冬は窒素酸化物の影響が大きいなど、季節による特性を把握してございます。
 効果的な発生源対策を行うため、東京都環境科学研究所や国と連携いたしまして、科学的解明や広域対策の検討などを進めてまいります。

○大西委員 このPM二・五の発生原因は、正直未解明な部分も多く科学的にわからないところもまだまだあるようでございますが、しかし、人の健康にかかわる重要なことなので、PM二・五対策をさらに進めていくために、より一層の分析と対策の検討を進めていっていただきたいと思います。
 そして、もう一つの残された課題であります、この光化学オキシダント対策について伺います。
 光化学オキシダントの主要な原因物質である揮発性有機化合物、VOCは、物を溶かす力や乾きやすいという性格から幅広い分野で使用されております。VOCには、有害な化学物質も多くあり、また同時にVOCはPM二・五の原因物質でもあることから、その排出削減は重要であると思います。
 VOCの都内における排出の状況について、伺います。

○島田環境改善技術担当部長 平成二十二年度の排出量推計によれば、VOCの大気への排出量は、蒸発系固定発生源からが六三%を占めており、その内訳を見ると四分の三が工場や事業所から、四分の一は屋外塗装からの排出となっております。
 なお、平成十二年度に比べると、蒸発系固定発生源からのVOCの排出量は約四割削減されております。

○大西委員 今お答えいただいた排出量の多くを占めている蒸発系固定発生源での対策が重要であることから、工場からの排出と屋外塗装からの排出それぞれについて伺いたいと思います。
 まず工場からの排出について伺いますが、都内ではVOC対策のノウハウが不足している事業所も多くあると聞いております。排出削減をきめ細かく指導していく必要があると思います。また、工場におけるVOC排出削減に向けて、どのような取り組みを行っているのか、とりわけ都内の大部分を占める中小事業者について、どのような取り組みを行っているのかを伺います。

○島田環境改善技術担当部長 工場内からは、塗装、印刷、金属表面処理等の作業に伴いVOCが大気中に排出されております。
 事業者の自主的な排出削減を促すため、事業者に対し、これら作業ごとの排出削減方法等を紹介するセミナーの開催や、ガイドブックの配布を継続して行っております。さらに、中小事業者に対しては、工場にVOC対策アドバイザーを派遣し、工程の改善等の具体的助言も行っております。

○大西委員 では次に、屋外塗装について伺います。
 屋外塗装工事は、個人宅から大規模構造物までさまざまな規模、さまざまな場所で実施されます。都内では、ビルの建てかえや再開発、橋などインフラ整備需要も高いことから、VOCの排出量が多くなることも懸念され、屋外塗装におけるVOCの排出削減に向けた取り組みの強化が求められます。
 そのためには行政だけでなく、屋外塗装業者にかかわる業界団体と連携した取り組みが有効であると考えますが、これまでの取り組みについて、伺います。

○島田環境改善技術担当部長 屋外塗装工事では、工場とは異なり、発生したVOCを回収処理して環境中への排出を抑制することは困難であることから、排出削減のために低VOC塗料の使用やVOCの放散が少ない施工技術の採用など、低VOC塗装の普及が重要であります。
 昨年度は、低VOC塗装の普及拡大に向け、学識経験者、材料メーカーや建設事業者等の業界団体から成る作業部会を設置し検討を行いました。部会では、低VOC塗料が乾きにくいなどといった施工上の特性を踏まえた塗装技術の改善、環境に配慮した塗料の規格化、低VOC塗装を使用した建造物を評価する仕組み等について、それぞれの主体で進めていくこととなりました。

○大西委員 いろいろ頑張ってやっていただいているようですが、このPM二・五対策やオキシダントの原因物質であるVOCの対策は、あらゆる部門で排出削減を積み重ねていくことが必要であることから、関係者と連携して強く推進していって、東京の空を少しでもきれいにして、将来の子供たちに残していくように、ぜひ頑張っていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。

○鈴木委員 それでは、私から再生可能エネルギーについてを幾つかお伺いさせていただきます。
 いうまでもなく、東日本大震災以降、国民生活や産業活動を支えるエネルギーをいかに確保していくということが大きな課題となっております。この問題を考える際には、気候変動対策に資することはもとよりですけれども、資源が乏しい我が国のエネルギー安全保障という観点からも、再生可能エネルギーの導入拡大を努めていくことが私は重要であると考えております。
 その中で、特に電力の大消費地である東京の需要側が、再生可能エネルギーを積極的に利用あるいは関心を持つ行動こそが、この再生可能エネルギー供給事業者へのインセンティブに一層つながっていくものであるという考え方で、まず太陽光発電についてをお伺いいたします。
 この太陽光発電については、平成二十一年度から実施した補助事業や国の固定価格買い取り制度の導入などによりまして、経済的な支援の必要性は薄くなってきたのかなというような感じも持っております。こうした状況を踏まえながら、新たな普及策として取り組まれたのが、東京ソーラー屋根台帳であったと私は理解しております。
 この屋根台帳は、太陽光発電に適しているかどうかを建物ごとに評価し、地図上にわかりやすく表示するもので、昨年九月、このことが全国知事会から優秀政策賞として表彰されるなど大変注目を集めた事業であると思っております。
 そこで、実際に昨年度どれぐらいの利用があったのか、また、この公開後どのような改良や工夫を行ったのかを改めてお伺いいたします。

○笹沼地球環境エネルギー部長 東京ソーラー屋根台帳は、平成二十五年度末に公開をいたしまして、昨年度末までの一年余りで約十四万件のアクセスがございました。公開後には、ポテンシャルを表示する画面に、当該建物が所在する区市町村の補助金やセミナーなどの情報を表示するなどいたしまして、利用者の利便性向上や実際の導入拡大につながるよう年度途中で改良を図っております。
 また、昨年度、区市町村補助制度の中に屋根台帳の活用を促すメニューを設けまして、各区市町村が実施する事業との連携を図っております。例えば太陽光発電を設置した場合の費用対効果を診断する台東区の事業では、屋根台帳のデータを見せながら設置の適否について説明を行っているというような状況がございます。
 これに加えまして、さらには太陽光発電だけではなく、太陽熱利用システムへの適合度も表示するなど、再生可能熱エネルギーの導入拡大にも資するように工夫を行っております。

○鈴木委員 今ご答弁いただきましたけれども、こうしたさまざまな工夫が今後もさらに求められるものだというふうに思っております。
 特に、この住宅への太陽光発電の導入をさらに拡大していくためには、家庭との接点を多く有する、特に区市町村との連携が欠かせないということはいうまでもないわけでありまして、屋根台帳に補助金など、またセミナーの情報を合わせて表示したことや、区市町村補助制度による支援などは、本当によい取り組みだなというふうに思っております。
 今後も、屋根台帳の存在を知らない人も多いと思いますので、引き続き利用拡大に努めていただくとともに、太陽光発電をめぐる国や自治体の政策は、この先も大きく変化していくことが予想されますので、そうした動きや情報の都民への周知を適切に行いながら、今後とも太陽光発電の導入拡大に取り組んでいただきたいというふうに思っております。
 しかしながら、今この事業を進める中で、再生可能エネルギーは、全国的には平成二十四年七月から始まった固定価格買い取り制度によりまして、太陽光発電を初めとした導入拡大が進んできたわけですけれども、昨年度は再生可能エネルギーの発電事業者が電力会社の系統に接続できないなどの課題も明らかになってきております。
 私は、これは住宅への導入も同じような問題が出ているんだろうというふうに、これは聞き取りをさせていただいたんですけれども、生じております。電線の器具の状況などいろいろある中で、電力会社の系統に接続するには大きな工事が必要となったり、またその手続が本当に遅延したりして、例えば新築物件に太陽光を設置しようとした場合、工期がなかなか定まらないとか、また半年以上も待たされたりとかというような、さまざまな問題も生じてきていることが今現実にございます。
 これは電力会社の系統への接続に対しての期間をわかりやすくしていただくような対応も、ぜひしていただければ、さらに進んでいくんではないかなというふうに思っております。
 また、もう一つ、太陽光発電の買い取り価格が、機器の価格低下に伴いまして年々引き下げられてきております。本年七月には、十キロワット以上の太陽光発電の買い取り価格の利潤配慮期間が終了したわけでありまして、発電事業者の投資機運の低下も本当に危惧されております。
 東京都は、昨年発表した東京都長期ビジョンにおいて、再生可能エネルギーの電力利用の割合を、二〇二四年までに二〇%に高める目標を設定しておりますが、この目標設定の考え方で、今後の導入拡大に向けた取り組みについてを改めてお伺いいたします。

○笹沼地球環境エネルギー部長 都は昨年度、専門家から成ります東京都再生可能エネルギー拡大検討会を設置いたしまして、再エネの導入拡大のため目指すべき姿と具体策等を検討いたしました。
 検討会では、国等の状況も踏まえつつ、都が十年後を見据えた明確な方針を示しますことで、将来にわたる再エネ拡大の機運を喚起し、さらなるコスト削減や技術開発を誘導することが重要であるとの提言をいただきました。
 また、再エネの電力利用割合の拡大に向けまして、太陽光発電設備の導入促進など、供給側の取り組みに加えまして、電力利用量を削減する需要側の取り組みなど、具体的かつ幅広い方策が示されました。
 これを受けまして、東京都長期ビジョンにおいて再エネの電力利用割合を二〇二四年までに二〇%とする新たな目標を設定いたしますとともに、既存住宅等への太陽光発電の導入促進や駐車場の上部空間の活用のほか、省エネ、節電の一層の推進、太陽熱や地中熱の導入促進など需給両面からの取り組みを推進していくことといたしております。

○鈴木委員 ただいまご答弁いただいたように、再生可能エネルギーの電力利用割合を高めるためには、現在のエネルギー消費の大きさを、所与のものとしてその一定割合を単純に再生可能エネルギーに置きかえるのではなくて、分母である電力需要そのものを小さくする省エネ、節電の取り組みが不可欠であるわけでございます。
 電力利用の部門別内訳では、業務で五〇%以上を占めており、家庭でも三六%と大きな割合になっております。これから、この部分こそ本当に一番大切な肝だなというふうに私は感じているんですけれども、本当に区市町村とも連携していただいて、都民、事業者のさらなる取り組みを先導するとともに、都市開発が進んだ東京という都市の特性、ポテンシャルを生かした、きめ細かな取り組みを継続していくことが本当に重要であります。
 今後も、国内外の動向、そして技術の進展も考慮に入れながら、将来を見据え、中長期的な視点を持って再生可能エネルギーの導入拡大に取り組んでいただくことを要望いたして、次に、今お話をさせていただきました分母である電力需要そのものを小さくする省エネ、節電の取り組み、まさにこの大規模事業者の気候変動対策についてをお伺いいたします。
 東京都は、平成二十二年度から、環境確保条例に基づきまして、大規模事業者に対する温室効果ガス排出総量削減義務と排出量取引制度、いわゆるキャップ・アンド・トレード制度を開始したわけです。また、同年九月には、埼玉県と首都圏波及に向けての協定を締結しました。
 対象となる都内約一千三百の大規模事業所は、前年度の温室効果ガス排出量実績や総量削減義務達成のための削減計画を記載した計画書を毎年提出し、また公表することになっております。
 この制度の開始後、四年たったわけでありますけれども、平成二十五年度の実績は、基準年度と比べて二三%の削減となっており、これまで大いに成果を上げていると聞いております。この制度は、長期にわたり低炭素社会構築を実現するための制度であることを明確にしているところに、私は大きな特徴があるというふうに思っております。これにより、事業者や消費者が温室効果ガス削減に向けた長期的な見直しを得ることが可能になり、計画的に設備投資、技術開発、そして物品購入等を行っていくものと考えられます。
 排出枠の設定においても、過去の削減努力が反映されているため公平性が担保されているものだな、制度だなというふうに思っております。事業所のCO2削減には、キャップ・アンド・トレード制度に対する対象事業所の理解と協力が重要であります。現場の担当者の努力のみならず、経営トップの姿勢が鍵となります。
 そこで、この制度によって、経営者にどのような変化が生じたのかをお伺いいたします。

○笹沼地球環境エネルギー部長 お話のとおり、キャップ・アンド・トレード制度の導入以降、大規模事業所のCO2削減は相当程度進んでいる状況にございます。
 都が昨年度実施いたしましたアンケートによれば、キャップ・アンド・トレード制度の導入によりまして、七割以上の事業所で経営層のCO2削減実績に対する関心が高まりました。多くの対象事業所では、CO2削減が経営目標の一つと位置づけられ、経営層が先頭に立って省エネ対策に取り組むようになりました。
 こうした経営層の意識の変化によりまして、予算の確保は容易になり、老朽化した設備を改修する事業所は、あるいは全社挙げての省エネ対策を推進する体制が整備され、従業員が一丸となって取り組んでいる事業所が多くなったものと考えております。

○鈴木委員 私は今ご答弁いただいて、本当に多くの事業者がこのキャップ・アンド・トレード制度の導入を機に、CO2の削減に真摯に取り組んでいるんだなというふうに感じました。
 そのことは、私も先ほど冒頭申させていただきましたけれども、地球温暖化対策の世界的な流れの中で、そして特に、この東日本大震災以降の我が国において、都政の重要政策として避けることのできない低炭素社会構築が不可欠な取り組みであるということが、本当に事業所に理解されてきたんだなというふうに感じております。
 局の努力に、私は敬意を表するわけではありますけれども、しかしながら、まだまだこの事業というのは道半ばなものであります。
 工場に比べてオフィスの対策がおくれがちと特にいわれております。オフィスは平均で八%、工場で平均六%を総量削減する義務となっておりますが、事業者の中には、事務室の温度設定の緩和とか、先ほどの話もありましたけれども、照明の間引きなど一般的な対策を超えて、率先して高効率な省エネ機器を導入するなど、積極的に対策を講じている方々が本当に今、大変多くあらわれております。
 都のキャップ・アンド・トレード制度には、そうしたすぐれた取り組みを行う事業所をトップレベル事業所として認定する制度がありますが、これまで、このトップレベル事業所の認定実績とその効果をお伺いいたします。

○笹沼地球環境エネルギー部長 トップレベル事業所の認定実績についてでございますが、平成二十二年度から昨年度までの五年間で、八十七の事業所が認定されました。
 その内訳を見ますと、テナントビルから工場、研究所など業種は多岐にわたっておりまして、規模におきましても、三千平方メートル程度のデータセンターから四十万平方メートルを超える事務所、商業、宿泊の複合施設まで、幅広く認定されております。
 また、認定制度の効果についてですが、その認定の基準を現時点で実現可能なレベル、いわば手が届くレベルに設定していることによりまして、事業者の取得意欲を引き出しております。
 近年は、新築時からトップレベル事業所の認定を念頭に設計されるという動きが見られるなど、この認定制度は、最新の技術を導入した先進的な省エネ施設の普及に先導的な役割を果たしていると考えております。

○鈴木委員 五年間で、今お話ありましたけれども、八十七の事業所がトップレベル事業所に認定されたということですけれども、このトップレベル事業所では、本当にいろんな取り組みがあるわけですけれども、こうした導入効果などを、よくトップレベル事務所フォーラムなどを開催しているという話も伺っておりますけれども、やはり広くこうした成果を発信していくべきではないかなというふうに思っております。
 また、今、答弁にもございましたけれども、省エネ機器やシステム、自然エネルギー等を活用したシステムなど、本当に我が国にはすぐれたこうした省エネ技術があるわけですけれども、特に初期投資のコストを抑えるために、実際こうした先進的な技術が採用されないということも少なくないと聞いております。
 キャップ・アンド・トレード制度の対象事業所が、日本のすぐれた省エネ技術を積極的に導入することで、設備機器メーカーの技術開発の促進につながり、本当によい循環となることを期待しております。
 私は、こうした力強い環境エネルギー政策が新たな成長戦略となる技術革新に大いにつながっていくものであると期待しておりますので、今後ともぜひしっかりと拡大していただきたいなということを強く要望させていただきます。
 これまでの質疑の中でも、大規模事業所の取り組みは着実に進んでいるなというふうに感じました。しかしながら、この都内六十三万事業所の大部分は中小規模の事業所であり、都における業務、産業部門の約六割の温室効果ガスを排出していることから、今後、中小規模事業所がいかに取り組んでいくかが本当に重要になってきているというふうに思います。
 地球温暖化対策報告書の実績によりますと、平成二十五年度の中小規模事業所の削減率は、震災前の平成二十二年度と比べまして一一%と、省エネは定着しているわけですけれども、大規模事業所に比べて小さくなっており、省エネに取り組む余地はまだまだあるのかなというふうに感じております。
 トップレベル事業所で実践されている対策、そして中小規模事業所にとっても、省エネに役立つ情報がたくさんあるわけでありますので、こうしたことを先ほどもお話しさせていただきましたけれども、多くの事業所、特に中小規模事業所にも共有していただきたいなというふうに思います。
 また、この取り組みは事業所の熱い努力だけでなく、財政負担も生じます。そこで、今後、都はキャップ・アンド・トレード制度などを培った経験を生かして、中小規模事業所の省エネ対策をより一層サポートしていく必要があるというふうに考えておりますけれども、局長、このことに対しての見解をお伺いいたします。

○遠藤環境局長 ただいま委員からいろいろとお話がありましたとおり、今後の都の気候変動対策を進めるに当たりましては、業務、産業部門の排出量の約六割を占めております中小規模事業所の省エネ対策が重要でございますが、中小規模事業所においては、大規模事業所と比べると省エネに対する知識やノウハウの面で十分でないところもございます。
 そこで、ただいまお話がありました運用面での情報の共有化につきまして、トップレベル事業所で実施されている運転管理の工夫等のすぐれた事例を、実際にその実務に携わった方から直接、具体的にお話をいただくなど、わかりやすい形での情報提供をしてまいりたいというふうに思っております。
 今後とも、設備と運用、その両面から対策を講じまして、中小規模事業所における省エネの取り組みをしっかりと後押ししてまいります。

○鈴木委員 ありがとうございます。ぜひとも、やはりこれからこうした事業を本当に局の中心的な政策として、取り組んでいっていただきたいなというふうに思います。
 先ほどのやりとりの中で、削減率の話をさせていただいたんですけれども、東日本大震災以降の突然のといえるようなエネルギー政策の大転換の中で、原発の停止、また老朽火力発電所の再稼働によりまして、電気の温室効果ガス排出係数といわれているものは、実際には三六%ぐらい増加しているんだろうというふうな話も伺っております。
 省エネ対策がなければ、きっとCO2排出量もさらに増加しているというふうに考えられるわけですけれども、世界的な地球温暖化が懸念される中で、エネルギー消費総量の縮小と低炭素化は避けられない取り組みだというふうに、私は思っております。
 だからこそ、今回のエネルギー政策の大転換を奇貨として、我が国が率先して低炭素を豊かさにつなげていくモデルを構築して、それを世界に普及することにより、地球規模で低炭素文明への転換を促すための方策を、私はこの東京都から発信できるんではないかなというふうに思っております。
 日本全体の電力消費量というのは、私もよくわからない数字なんですけれども、百八万三千百四十二ギガワットアワー、これは単位をそろえると一兆キロワットアワーというふうにいわれているそうですけれども、その一割を東京が消費している。
 東京の長期ビジョンに示されておりますけれども、再生可能エネルギーの電力利用の割合を、二〇二四年度までに二〇%に高めていく取り組みというのは、さらなる省エネの取り組みと合わせて、私は本当にしっかりと取り組んでいただき、それが本当にこれからの日本を大きく牽引していくものというふうに思っております。
 ぜひとも局長を中心として、東京を世界で一番の都市にしていただくためにも底力を発揮していただきたいと要望して、質問を終わります。

○曽根委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時四十七分休憩

   午後三時開議

○曽根委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○まつば委員 私からは、大きく三点について質問をさせていただきます。
 初めに、生物多様性の保全についてであります。
 生物多様性の保全については、我が党の斉藤議員がたびたび取り上げております。平成二十六年度決算質疑に当たり、きょう私から取り上げさせていただきます。
 昨年、韓国の平昌で生物多様性条約第十二回締約国会議、いわゆるCOP12が開催されました。締約国百六十二カ国が参加して、地球規模の生物多様性の保全について多岐にわたる議論が行われたわけであります。
 人類の活動が与える環境負荷によって、一年間で四万種にも及ぶ生物が絶滅しているといわれる中、食料や飲用水、燃料など自然界の恵みを享受し続けられる持続可能な地球環境を守る上で、生物多様性の保全は大変重要な課題であります。
 我が党は、かねてより大都市東京こそが世界の諸都市の範となる持続可能な都市づくりに取り組むべきとの主張をしております。昨年のCOP12と合わせて開催された自治体向け国際会議に都が参加をされて、その取り組みを国際社会に発信したということでございますが、大変意義深いものと感じております。
 そこで、昨年度、都が参加した国際会議の概要と、その成果について、お伺いいたします。

○志村自然環境部長 都は、昨年度、委員からお話がございましたように、韓国で行われました生物多様性条約第十二回締約国会議、いわゆるCOP12と同時開催されました生物多様性自治体会議に約二百七十の都市とともに参加をいたしました。
 この会議におきましては、多摩の山間部や丘陵地、区部、島しょ部に至る多様で豊かな自然の魅力をPRするとともに、その保全と利用を両立する取り組みについて発表し、海外の都市から高い評価をいただきました。
 また、国際会議の会議中に、各都市の代表と積極的にミーティングを行いまして、絶滅危惧種の生息地の保全策や在来植物を活用した街路樹整備による生態系の回復策、都市の公園利用を通じた生物多様性の普及啓発などについて意見交換をし、都の今後の施策立案の参考となる情報収集ができたと考えております。

○まつば委員 海外の都市とは、法体系や経済活動の規模が東京とは異なるわけでありますけれども、こうした国際交流を通じて都の取り組みを積極的にPRすることは、東京のプレゼンスを向上させることにつながり、また、海外の諸都市の取り組みは東京の生物多様性保全に向けた課題解決のヒントになると考えます。ぜひ都の効果的な施策の推進に生かしていっていただきたいと考えております。
 昨年のCOP12では、二〇二〇年までの国際目標である愛知ターゲットの中間評価が行われ、多くの目標が達成困難との評価結果が公表されておりますが、この中で私が注目したいのは、二十の個別目標のうち、絶滅危惧種の絶滅、減少の防止という項目であります。これに対応する都の取り組みとしては、条例に基づく保全地域の指定が挙げられております。保全地域につきましては、先ほど高橋委員からも幅広いご質疑がございましたけれども、この保全地域は、都民の財産として後世に継承すべき貴重な自然地を保全する制度であり、指定された土地には都のレッドリストに掲載されている絶滅危惧種、いわゆる希少種が数多く存在していると聞いております。
 こうした希少種の保全は、愛知ターゲットの目標達成にかなう象徴的な取り組みといえますが、一方で、現場では希少な昆虫や植物等が心ない来訪者によって持ち去られるという事例が発生しており、課題も多いと聞いております。
 私は、こうした課題を克服して、ぜひ保全地域の希少種対策を進めていただきたいというふうに考えますが、都の現在の取り組み状況と今後の展開について、お伺いいたします。

○志村自然環境部長 保全地域は、昔ながらの東京の生態系が残る貴重な場所であり、そこに生息、生育する希少な動植物を守ることは、生物多様性を保全する観点から都が担うべき重要な役割と認識してございます。
 このため、昨年度は、樹林、湿地、田畑、草地など地域の特性に応じた希少種の保全手法を解説したガイドラインを保全地域の全ての活動団体に周知したほか、保全の必要性の高い地域から専門家をアドバイザーとして派遣し、希少種の適切な維持管理方法の指導、助言を行うとともに、保護柵や監視カメラを設置するなどして、盗掘や持ち去り行為等を抑制する取り組みを開始いたしました。
 今後とも、こうした希少種対策を地域の特性に応じ全ての保全地域で展開していくとともに、より多くの都民が保全活動に主体的に参加できる機会を拡充することにより、希少種対策に対する保全活動を活発的に行い、東京の貴重な生態系を次世代に継承してまいります。

○まつば委員 保全地域の中には、田んぼや畑、樹林地など昔懐かしい里山景観が広がる地域も残っております。こうした地域で希少な動植物を観察したり、田植えや稲刈りを経験するなど体験を重視した環境学習の機会を提供することは、都会に暮らす子供たちの心身の成長を促すよい機会になると思っております。
 「里山へGO!」というホームページも拝見いたしましたけれども、とても魅力的な内容であったと思っております。生物多様性という言葉は、少し難しいというふうに感じられる方も都民の方には多いと思いますけれども、やはり実際に生き物と触れ合い親しむ体験が何よりも重要だと思います。
 このような意味からも、都の保全地域における希少種対策には大いに期待をしております。今後、より一層の取り組みを展開していただくよう期待をいたしまして、次の質問に移ります。
 次は、食品ロスの解消への取り組みについてお伺いをしたいと思います。
 発展途上国などで食料不足、飢餓が深刻な問題となる一方で、国内ではまだ食べられる食料が廃棄されてしまう食品ロスの解消という問題が大きな課題となっています。
 国連食糧農業機関がことし五月に発表した調査によりますと、世界では約九人に一人、約七十二億人中、七億九千五百万人が栄養不足に陥っているといわれております。発展途上国では、栄養不良によって五歳になる前に命を落とす子供が年間五百万人もいるといわれております。それにもかかわらず、世界では食品生産量の三分の一に当たる約十三億トンの食料が毎年廃棄されている現状があります。経済的損失は約九十兆円、廃棄処理で排出される二酸化炭素は三十三億トンに上ると、そのようにもいわれております。
 都におきましては、平成二十五年の調査において、都内の食品関連産業全体の食品廃棄物の年間の発生総量は約九十八万トンでありまして、そのうち、食べられる前に廃棄されるものが年間約十六万トン含まれているということであります。
 今後、気候変動など地球環境の変化によって食料の安定供給はますます難しくなることも懸念されています。また、世界人口についても、国連では二〇五〇年までに九十七億人に達すると推計しておりまして、現在のライフスタイルを続けた場合、さらに深刻な食料不足が発生する、そうした可能性もあるわけであります。
 こうしたことから、食品の大消費地である都としても、食品ロスの削減に向けて積極的に取り組んでいかなければいけないというふうに思います。
 そこで、まず平成二十六年度において食品ロス削減において都はどのような取り組みを行ったのか、お伺いいたします。

○谷上資源循環推進部長 廃棄物を最小化し、限りある資源を無駄なく使っていくことは、持続可能な社会を実現していく上で非常に重要な課題の一つです。
 そのため、食品ロスへの対応につきましては、まずは都民のライフスタイルを転換していくことが必要であると考え、平成二十六年度におきましては、九都県市が連携して、食べきりげんまんプロジェクトを実施しました。
 このプロジェクトでは、都内二百店舗を含む九都県市内のファミリーレストラン合計約五百店舗の参加による食べ切りフォトコンテストや一工夫して食材を有効に活用するエコレシピコンテストなどを行いました。
 また、口に入らず廃棄される食品を有効活用する、いわゆるフードバンクを運営する団体と食品関連事業者とのマッチングを行うフードバンクマッチングセミナーも昨年度は開催し、食品ロスの削減を図りました。

○まつば委員 昨年度の取り組みは、よくわかりました。確認をさせていただきました。
 食品ロスの削減は、まず一人一人が自分自身が当事者であるという意識改革を促していくことが大切であるというふうに思っております。
 そのためには、今後、食品ロス削減に向けて、より幅広い年齢層に、もったいないという、食品を大事にする、食べ物を大事にするといった行動を促すようなきっかけづくりと合わせて、食品関係の事業者などに対しても働きかけが必要であると思います。
 昨年度の取り組みを踏まえ、都は引き続き食品ロス削減に向けどのような施策を展開していくのか、伺います。

○谷上資源循環推進部長 都は、ことしの三月、これまでの3Rや廃棄物の適正処理から一歩踏み出し、資源の調達をより上流の時点で環境に配慮したものとすべく、持続可能な資源利用に向けた取り組み方針を策定しました。
 この取り組み方針を具体化するために、都は九月にモデル事業を公募、選定したところですが、食品ロス削減についてもモデル事業を採択しています。
 このモデル事業につきましては、食品メーカーを初め、NGOなどと共同して、主に都民への普及啓発や事業者への働きかけを中心とした事業を十一月から実施する予定です。
 また、来月には食品ロスに関する都民、事業者の意識向上を目的としてセミナーを開催し、食品ロスの現状や都の取り組みなどについて、わかりやすく解説する予定です。
 これらの事業を通じ、今後も食品ロスの削減に向け、幅広く取り組みを進めていきます。

○まつば委員 さまざまな取り組みを進めていただくということを確認させていただきました。
 今いろいろな自治体で取り組みが進んでいるようなんですけれども、私、なかなかいい視点だなと思ったのが、長野県松本市なんですけれど、宴会の食べ残しを減らすために、乾杯後の三十分と終了前の十分は自席で食事を楽しむという三〇一〇運動というのを進めているそうでありまして、本当にこうした取り組み、いい視点だなと思います。
 これは、個人個人が意識改革したとしても、それが行動に移せる環境があるかどうかというのが非常に重要だと思います。ですので、都民一人一人の意識改革、それから行動に移せる環境をつくっていく、そういう社会のムーブメントをつくる、そうしたことが非常に重要だと思いますので、この十一月十一日にはフードロス対策を始めようということで、環境局さんの方で講演会を持っていただくということも今答弁でもございましたけれども、こうしたことも通していただきながら、ぜひこの食品ロス対策、環境局としてしっかりと進めていただきたいというふうに要望いたしまして、次の質問に移ります。
 次は、省エネルギー対策でございます。
 先ほど鈴木委員から省エネルギーの事業部門につきましてのお話がございましたが、私は家庭部門ということを中心に質疑をしたいというふうに思います。
 東京のエネルギー対策といたしまして、再生可能エネルギーの導入拡大や水素社会の実現への取り組みというのは非常に重要であります。その上で、エネルギーの大消費地であるがゆえに、ネガワットという考え方が大事であるというふうに思っております。
 このネガワットというのは、省エネ、節電による需要の抑制が発電所の整備と同等の効果があるという考え方であります。
 ですので、この省エネ、節電というのが発電所の整備と同等の効果があるという、このネガワットの考え方というのは非常に重要だと思っておりまして、これにつきましては二〇一二年の第三回定例会におきましても我が党が取り上げさせていただきました。
 都といたしましても、長期ビジョンにも、二〇〇〇年比でエネルギー消費量を二〇二〇年までに二〇%、二〇三〇年までに三〇%削減するという目標を掲げておりますけれども、これをしっかり達成するように努めていく必要があると思っております。
 そこで、まず都内のエネルギー消費量の現状について、お伺いいたします。

○笹沼地球環境エネルギー部長 平成二十六年度に行った調査におきましては、平成二十五年度の都内の最終エネルギー消費量は、速報値でございますが六百六十ペタジュールでございまして、省エネ目標の基準年である二〇〇〇年度、平成十二年度と比べ、一八%減少しております。
 部門別では、キャップ・アンド・トレード制度の開始や震災後の省エネ、節電が定着してきたことから、産業、業務部門は一四%の減、家庭部門は一世帯当たりのエネルギー消費量は減っているものの、世帯数の増加に伴いまして三・六%の増となっております。

○まつば委員 ただいまご答弁にありましたけれども、都内のエネルギー消費は全体としては減少傾向にあるということでありますが、家庭部門については増加をしているといったご答弁でした。
 先ほど触れました長期ビジョンの省エネ目標の達成に向けては、都内エネルギー消費の約三割を占める家庭部門のエネルギー利用効率を高めていく必要があると思います。
 都は、平成二十一年度から、都が認定した企業や団体が家庭を訪問して、省エネ、節電に関する普及啓発やアドバイスを実施する省エネアドバイザー制度に取り組んでいますけれど、昨年度の実績がどれくらいあったのか、お伺いいたします。

○笹沼地球環境エネルギー部長 昨年度の実績は、都が認定いたしました企業、団体がガスメーターの検針や配達などの業務で家庭を訪問する機会を活用し、パンフレットを用いて省エネのポイントを簡潔に説明いたします省エネアドバイスが約一万四千四百件ございました。また、家庭からの申し込みを受けて診断員が訪問し、電気やガスの使用量を確認した上でエネルギー使用状況に応じた省エネ、節電の提案を行います省エネ診断が百九十二件ございました。
 このほか、区市町村の環境イベントなどにも省エネアドバイザーを派遣いたしまして省エネアドバイスを行っており、昨年度は二百二十七件の活動実績がございます。

○まつば委員 先ほどのご答弁で一万四千件を超えるアドバイスを実施したということでありました。
 私は、こうした地道な取り組みが大震災以降の節電の定着に一定の役割を果たしてきたのではないかと、そのように評価をいたしております。
 報道によりますと、この冬の節電目標の設定は見送られる見通しとのことでございますけれども、老朽火力発電所のトラブルによる停止等の供給面の不測の事態に備えるという観点からも、需要面の対策として省エネの取り組みを緩めてはいけないというふうに思っています。
 省エネアドバイザー制度についても、より多くの方に利用していただき、省エネ効果を引き出せる制度となるよう工夫を重ねていくことが重要であります。
 これに関連し、都は昨年度、家庭のエネルギー消費の実態を調査したということでありますが、この調査の概要や活用方法について、お伺いいたします。

○笹沼地球環境エネルギー部長 昨年度実施いたしました調査は、家庭のさらなる省エネ、節電を促進する施策につなげることを目的といたしまして、電気、ガスの月別の使用量やどのような省エネ行動を実践しているかについてアンケートを行い、約千七百世帯から回答をいただきました。
 調査で把握をいたしました世帯人数や戸建て、集合住宅別の平均的なエネルギー消費量から各家庭がみずからの省エネの取り組みレベルを認識するためのベンチマークを策定いたしまして、今年度、省エネアドバイザーを活用いたしますパンフレットに盛り込んでございます。
 また、エネルギー消費量が少ない家庭が実践をしております省エネ行動をベンチマークと併記いたしまして家庭の省エネ意識を一層高め、具体的な実践行動につなげていくこととしております。

○まつば委員 部局は違いますけれども、先月から各家庭に配布が始まった防災ブックがあります。これは意外と知らないことが多くて、参考になりましたという都民の方の声も私も伺っているんですけれども、今やろうというのが大テーマで、今やるべきさまざまな具体的な取り組みがわかりやすく掲載をされています。
 ただいま答弁にありました環境局が作成している省エネパンフレット、これ私も毎年大変楽しみに拝見をしているんですけれども、これも拝見をすると、そうだったんだなって思う中身がかなりあります。
 例えば、レバーを上げる位置に気をつけましょうということで、シングルレバー混合栓というのがありますけれど、それはレバーの中央部分は水とお湯がまざって出てくるということで、手をちょっと洗うときに、レバーを上げる位置によっては、そのたびに給湯器が作動している可能性があるというようなことで、必ず一番、水道のレバーを右側の水の方にしておかないと、そこで上げないと給湯器が作動してしまうということがありますよというような具体的なことがわかりやすく書いてあります。
 そうしたことを広報していくということは非常に重要だなと思っておりますので、今年度の冬のバージョンを大変楽しみに待たせていただきたいと思いますし、都民の皆様にも啓蒙をしていきたいなというふうに思っております。
 家庭の省エネというのは、我慢を強いると熱中症など健康への影響も懸念されますし、長続きもいたしません。引き続き省エネアドバイザー制度などを通じて、省エネに関する正しい理解に基づく無理のない賢い節電が進むよう取り組んでいっていただきたいと思います。
 最後になりますけれども、私は先ほども食品ロスのお話もいたしましたけれども、お一人お一人が日常的に取り組む小さな行動や取り組みの積み重ねというものが地球全体の環境に大きな効果や影響をもたらすという、そういった意識を共有していくことが重要だと思っております。
 都には、今後とも都民の環境に配慮した行動を引き出す施策や普及啓発に積極的に取り組んでいただくことを求めまして、質疑を終わります。

○高木委員 私からは気候変動対策についてまずお伺いいたしたいと思います。
 いよいよ来月の末から、パリにおいて二〇二〇年以降の地球温暖化対策の新たな枠組みの合意を目指す国連気候変動枠組条約第二十一回締約国会議、いわゆるCOP21が開催をされるわけであります。この会議は、各国が利害関係を克服して合意にこぎつけることができるかということが、大いに注目をされているわけであります。
 都は、平成二十年、我が党を初めとして都議会の全会一致により環境確保条例を改正いたしまして、平成二十二年度から工場に加えてオフィスなども対象とする都市型キャップ・アンド・トレード制度を世界で初めて導入をしたわけであります。その先進性と削減実績は、世界的にも高く評価されていると思います。
 昨年度で第一計画期間が終了いたしましたが、この間、事業者はどのような取り組みを行ったのか、また都はそれをどのように評価しているのか、まずお伺いいたしたいと思います。

○笹沼地球環境エネルギー部長 第一計画期間の取り組みでございますが、キャップ・アンド・トレード制度の対象事業所は、みずからのエネルギー利用の特性に応じまして積極的に省エネ対策を実行しております。
 例えば、オフィスビルにおきましては、照度や室温の緩和、洗浄便座暖房の夏季停止といった運用対策に加えまして、LED等の高効率照明器具や高効率熱源機器、さらには各フロアの電力使用量を全社員に見えるようにするシステムの導入などの設備対策が行われるようになってきております。
 また、工場におきましては、夜間時間帯の消灯や蒸気配管等の保温などの運用対策、高効率な生産設備の導入やボイラーの排熱回収利用といった設備対策が行われております。
 対象事業所におけますこうしたさまざまな努力と協力の結果といたしまして、基準年と比べて二〇%を超える大幅な削減が二十三年度から三年間継続してきたものと考えております。

○高木委員 大規模事業所におけるこれまでの削減努力、あるいは具体的な取り組みについてはよくわかりました。キャップ・アンド・トレード制度については、今年度から第二計画期間が開始をされておりまして、削減義務率は第一計画期間の六%または八%が、一五%または一七%というふうになったわけであります。
 そこで、我が党は、新築ビルなどで第二計画期間から新たに対象となる事業所や中小企業が所有をする事業所に対しては、他の事業所と同様の削減義務率を課すことは、これは厳しいのではないかということを考えまして、平成二十五年度に緊急要望を行うとともに、私からも、この問題について予算特別委員会において事業所の実態を踏まえた対応をお願いしたところでございます。
 これらの要望も含めて、第二計画期間の開始に当たりまして都はどのような対応を行ったのか、お伺いいたします。

○笹沼地球環境エネルギー部長 キャップ・アンド・トレード制度の第二計画期間の改正点についてでございますが、第二計画期間から新たに削減義務対象となる事業所につきましては、第一計画期間と同じ八%または六%の削減義務率を適用いたしますとともに、都民の生命や健康の維持回復に欠かせない病院等の医療施設や社会福祉施設につきましては、削減義務率を四%差し引くことといたしました。
 また、中小企業が保有する大規模事業所におきましては、大規模な省エネ改修に係る資金調達の困難性などを考慮いたしまして、第二計画期間においては削減義務の対象外とする一方、これまでと同様の地球温暖化対策計画書の提出を義務づけております。
 都は、これらの事項につきまして、第二計画期間の開始を控えた昨年度は八回、これまでに延べ十六回説明会を開催いたしまして対象となる事業者に周知を図ってきており、引き続き制度の適切な運用に努めてまいります。

○高木委員 ただいま答弁がありましたとおり、私たちからの要望には適切に対応していただいていることはよくわかりました。今後とも事業者の声に耳を傾けつつ、制度を円滑に運用して、CO2の削減を着実に進めていただくことをお願い申し上げたいと思います。
 これは、質問をつくる際に思い出しましたけれども、第二計画期間の問題というのは、実は大変、業種によっては非常に厳しいものがありまして、それをいろいろと検討していく中で最終的な着地点を見出していただいたと。そのことについては、本当に環境局の皆さんのご努力に私は大変感謝もするし、評価もしているわけであります。
 その中で、いわゆるキャップ・アンド・トレードのキャップの部分については、きちっと基準を決めてやればできるんですが、トレードのところがもう少し工夫の余地があるんではないかなという気持ちがいたしましたので、そのことは今後の検討課題として、キャップ・アンド・トレードといっておりますので、両方が円滑に制度が運用されて、削減の効果というものがより上がるように、ぜひ検討していただければというふうに思っております。
 さて、地球温暖化、いわゆる今申し上げましたCO2の削減の問題は、環境対策については、キャップ・アンド・トレードだけではなくて、いわゆるCO2を吸収する緑の施策というものも大事だと思っています。
 そこで、緑施策の推進について次はお伺いをしたいと思います。
 我が党は、世界で一番の都市東京の実現に向け、さまざまな視点から施策を提言しておりますが、その中で私は、東京を世界で一番の都市にするためには、東京に住み、あるいは働く人々を魅了する快適な都市空間を創造していくことが大変重要であると考えております。この快適な空間を創造する取り組みの一つとして、都市緑化というものがあるんではないかと思っています。
 緑は、ヒートアイランド現象の緩和や都民に潤いや癒やしを与えるなど、さまざまな効果があって、都市において生活するための必要不可欠な要素であるともいわれております。
 私は、ことし五月に富山県内の都市緑化を視察する機会がございまして、路面電車の軌道緑化や再開発エリアを彩るモバイルグリーンといわれる移動式の植栽、あるいは最新の造園技術を活用したビルの壁面緑化などを目の当たりにしてまいりました。
 こうした緑化事例に共通することは、その場所の雰囲気や利用者の特性に応じて都市の優しさややわらかさを演出し、人々に潤いや癒やしを与えるべく、さまざまな工夫を凝らしていることでありました。
 緑の効用を生かして、都市の景観や潤いの場の形成に寄与する都市緑化の効果を、実は富山に行って改めて認識をしたところでございます。
 東京都は、緑あふれる都市東京の実現を目指して、都内に一千ヘクタールの新たな緑を創出する取り組みを推進してきたと聞いておりますが、ここで改めて、平成二十六年度を中心にこれまでの都市緑化の取り組みについて、お伺いしたいと思います。

○志村自然環境部長 都市の緑には、潤いや安らぎの付与、防災機能の向上、生物の生存基盤の確保、風格ある都市景観の創出といった多面的な機能がございまして、都市の安全で快適な生活の確保や都市の魅力の向上において重要な要素でございます。
 都は、これまで海の森や都市公園の整備、校庭の芝生化、街路樹の倍増など全庁的に取り組むほか、条例に基づく緑化計画書制度によりまして、平成二十六年度までの八年間で街路樹を約九十四万本までふやすとともに、約六百六十八ヘクタールの新たな緑を創出いたしました。
 また、昨年度策定した長期ビジョンでは、こうした新たな緑の創出に加えまして、地域の生態系に配慮した在来種緑化など緑の質にも配慮した施策の方向性を示し、緑の量と質の充実を目指した事業を展開してございます。

○高木委員 ことしの夏は東京で八日連続の猛暑日になりましたし、記録的な暑さであった中、まち中で街路樹の木陰などを見つけますと、改めて緑のありがたさや大切さを私も含めて多くの都民が実感をしたと思います。
 ただいまの答弁で緑化計画書制度を活用しているとの話がありましたが、都市における新たな緑の創出を図っていくためには、行政だけでなく民間事業者の取り組みも重要であると思います。
 そこで、建築行為に際して緑化を誘導する、ただいまお話にあった緑化計画書制度の内容と昨年度までの実績について、お伺いしたいと思います。

○志村自然環境部長 都は、緑豊かな都市東京の再生を目指しまして、市街地における緑化を推進するため、東京における自然の保護と回復に関する条例に基づき、一定規模以上の建築行為に対し、一定割合の緑地面積の確保を図る緑化計画書の届け出を義務づけてございます。
 緑化する面積の割合ですが、例えば五千平方メートル未満の敷地で行う民間施設の建築行為の場合、建物を除く敷地面積と屋上の利用可能な部分の面積のそれぞれ二〇%の緑化が必要であり、敷地面積が五千平方メートル以上の場合は緑化率がさらに五%加算される仕組みとなってございます。
 また、大規模な都市開発案件に適用される総合設計制度などの都市開発諸制度を活用した建築物につきましては、さらに一〇%高い割合の緑化を求めてございます。
 平成二十六年度の実績でございますが、緑化計画書制度に基づく屋上等の緑化に係る計画の届け出が二百九十件、面積は十一・五ヘクタールとなっており、緑化計画書制度が施行された平成十三年度から平成二十六年度までの十四年間の累計では、計画の届け出は六千三十六件、面積は百九十二・五ヘクタールと、日比谷公園の十二個分の緑が新たに創出されました。

○高木委員 緑化計画書制度は、建築行為に際して緑化を誘導する仕組みとして有効に機能していることがわかりました。
 これは、ただ、その後の管理の状況とか、そういうものも含めて、きちんとやっていただかないと、せっかく日比谷公園の十二個分の緑が新たに創出をされて、それが年を経るごとに劣化をしていくような状況ではだめなわけですから、ぜひそういう意味では大事にというか、大切にこの都市の緑をぜひ育んでいただきたいと思っています。
 また、大規模開発では、容積率が緩和される一方で、高い緑化率が設定されることによって市街地の緑化の推進に貢献していることも理解をできたわけであります。
 都内では、安倍政権のもと実施されている、いわゆるアベノミクスによって経済が好転しつつありまして、都市機能を高めるための再開発事業が次々と計画をされております。こうした機会を捉えて、民間事業者のノウハウを活用した緑地整備を誘導し、潤いあるまちの風景をつくり、まちを行き交う人々の安らぎの場の形成につなげていくことは大変重要であろうと思っています。
 例えば、虎ノ門地区で予定されている再開発事業では、敷地内に約五千平米の大規模な緑地を整備して、オフィスで働く方々の憩いの場としての活用などの良好な事例も生まれていると聞いております。
 都市機能が高度に集積した東京では空間の制約がありますので、新たな緑の創出に取り組むことは容易ではないんですが、今後とも緑化計画書制度を通じて市街地の緑化を推進していただきたいというふうに思っております。
 さて、緑の量の確保に関するこれまでの東京の歴史というものをひもといてみますと、これは戦前の防空法と昭和十四年に最終決定された東京緑地計画が、大きな役割を果たしてきたということが、実は意外に知られていないと私は思っています。
 例えば、現在、東京を代表する都立公園であります砧、神代、小金井、舎人、水元、篠崎などの大規模緑地はこの計画によってつくられておりまして、昭和二十年までに、さらに二十二カ所の緑地を追加して都市計画決定をされているわけであります。
 これは、今になってみると非常に残念なことなんですが、戦後の農地解放でこれらの緑地も解放の対象となって、当時買収済みの用地でありました七百四十六ヘクタールのうち、六二%が実は農地解放で払い下げをされてしまいまして、そういう意味では、東京の緑地はこのときにかなり大きく減ったわけです。
 東京で公園緑地の用地買収がこれほど大規模に行われた事例というのは、実は明治以来の今日に至るまで、この戦時期以外になかったと思うわけであります。
 ですから、歴史的な背景というのはいろいろ評価があるとは思いますが、しかし、結果として、東京緑地計画がつくってきた緑地が今になって東京にとっては非常に貴重な財産、レガシーとして残っているということは、これは客観的に押さえておかなければいけない事実なんだろうなと思っています。
 折しも現在、二〇四〇年代を見据えた東京の都市づくりのグランドデザインの検討が行われておりまして、周辺区部や多摩地域で集約型地域構造への再編を進める将来像も研究をされているところであります。これまでの質疑を通じて、再開発等に際して緑の量を確保する仕組みというのは、私はある程度整ってきたのかなというふうには感じているんですが、これからの人口構造の変化等を踏まえた東京の将来像を描く際も、緑の確保というのは重要な視点の一つであるという認識でこれからも取り組んでいただきたいと思います。
 今までのこうした東京の歴史を踏まえて、ぜひとも新しい時代にふさわしい基本的な施策の方向性を、これは環境局だけではなくて、全庁挙げて、ぜひ積極的に取り組んでいただきたい、こう思っております。
 ここまで緑の量の確保について質疑を行ってきましたが、快適な都市空間を創造する上では、緑の質というものも向上させていくことが必要であると思います。
 二〇二〇年東京大会を控えて世界中の注目が東京に集まる中、多くの来訪者に緑豊かな東京の魅力を体感していただくというためには、都内の自治体や民間事業者の協力のもと、都市緑化全体の質を一層高めていく必要があろうと思います。
 私は、昨年第四回定例会の代表質問で、世界一美しい都市を目指して花と緑を生かした緑化施策を進めていくべきと提言をさせていただきました。花と緑で彩られた都市の景観というものは、多くの人々が美しいと感じると思います。
 先ほど披瀝をいたしました富山の視察で、私は富山市内で街路灯にプランターを配置して、プランターが街路灯のポールを巻くような形で花を咲かせて、大変美しいまちの景観をつくり出していたなということを印象深く思い出すわけですけれども、こうした来訪者へのおもてなしともなる美しさに着目した花と緑による緑化を、今後どのように進めていくつもりなのか、見解を伺いたいと思います。

○志村自然環境部長 ただいま委員からお話がございましたように、都市を彩る花と緑でございますが、これは美しい都市景観の創出に加えまして、国内外からの来訪者のおもてなしに貢献するなど、都市の魅力を向上させる重要な要素であると認識してございます。
 このため、都は昨年度策定した長期ビジョンにおきまして、緑化コンセプトの一つに花と緑の整備を盛り込み、区市町村や民間事業者と連携しながら、新たな緑の創出を進めることといたしました。
 具体的には、ヒートアイランド現象の緩和や生物多様性への配慮を目的としまして、区市町村や民間事業者に対して、樹木と草花の植栽整備に要する経費等を支援するほか、都電荒川線において、交通局が行う軌道敷緑化の実証実験事業等を支援する補助制度を創設いたしました。
 こうした新たな都市緑化の取り組みを着実に推進いたしまして、都市の更新と緑の再生が調和した環境先進都市東京の実現を目指してまいります。

○高木委員 ぜひ今から計画的に、そして精力的に都市緑化の問題には取り組んでいただきたいと思います。
 ハード整備と違って生き物でございますから、計画的に経年でつくっていかないと、多分都市緑化というのはなかなかうまくいかないんだろうなと思いますし、また量とともに質の話も今回させていただいたんですが、質という意味でいえば、先ほど街路樹九十四万本の話がありましたけれども、街路樹百万本計画がほぼ整いつつあって、恐らく東京の緑の量をふやしましょうというのは、公園面積とか、そういう敷地面積の問題はともかくとして、一つずつ計画はもう実現をしてきたと思うんです。ですから、街路樹百万本が九十四万本までもう既に植わっているというこのときに、これから質をどう求めていくのかということに対して、見せ方の問題も含めて、ぜひ頑張っていただきたいと思っているわけであります。
 来年二〇一六年には、オリンピック・パラリンピック・リオデジャネイロ大会がありますし、二〇一八年には韓国平昌大会が開催をされますので、二〇二〇年大会を控えた東京に対する世界の注目は、ますます多分高まってくると思います。そして、訪日外国人数も今後ますます増加していくことが予想をされております。
 国の関係機関が実施した調査結果によりますと、訪日外国人が抱く日本の肯定的なイメージとして、都市の景観が美しいとの回答が、日本の人々が親切、礼儀正しいということに次ぐ第二位の好印象だったといわれています。
 日本の都市景観が外国人の方々に高く評価されたことは大変喜ばしいことでありますが、世界中が東京を注視するこの機会をチャンスと捉えて、花と緑で彩られた東京の都市景観のあり方を、ぜひこれから改めて考えていただきたいと思います。
 先ほど申し上げましたけれども、重要なポイントは、やはり緑の質であって、そしてあるいは、この時点ではもう既に見せ方ということが大事だと思います。
 誰が見ても美しいと感じる花と緑をどこに配置をして、どのように見せていくのか。例えば、東京駅などのターミナル駅、あるいは羽田空港などの集客拠点を対象として、見せる緑化というのを進めていくことができれば、多くの人々に心地よい空間を提供することができますし、人々がにぎわい、交流する場としてのまちの機能を高めることが期待できると思います。
 これは、新宿駅や都庁舎も同じだと思うんです。こういうところも人が集まる拠点でありますから、ぜひ検討していただきたいと思います。
 私はまだ行ったことがないんですが、シンガポールがチャンギ空港の緑化、あるいは、マリーナベイサンズという施設の附属施設なんですかね、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイですか、緑をいろんな方にお見せするということによって非常に大きな集客を実現している、獲得をしているということを聞いておりますので、緑というのは都市の空間の癒やしとか、あるいは美しさということはもちろんなんですが、それとともに、見せ方や、あるいは質を高めることによって集客にもつながったり、あるいはまちの活性化につながったりとか、いろんな側面があると思いますので、ぜひ多面的に考えていただきたいと思います。
 緑化に用いる花と緑について、花そのものが美しいだけではなくて、先ほど申し上げたように見せ方ですね、デザインによる美しさとか、あるいは生物多様性からいえば、チョウが舞う美しさというのも視点としてはあるのかなと思います。
 こうした美しさを重視した都市緑化の質を一層高めて、東京に住み、働き、訪れる方々の住みやすさやおもてなしなどを充実させることが、東京、ひいては日本の価値を一層高めることになろうと思います。
 二〇二〇年東京大会のレガシーとして、快適な都市環境が持続する世界で一番美しい都市である東京というものを実現していただきたい。そのために、緑の量と質を高めることにぜひ配慮をしていただいて都市緑化の取り組みをしっかり進めていただきたい、これを最後に要望いたしまして、私の質問を終わります。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時四十八分散会

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