平成二十六年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第四号

平成二十七年十月二十三日(金曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長谷村 孝彦君
副委員長里吉 ゆみ君
副委員長和泉 武彦君
山内れい子君
大場やすのぶ君
近藤  充君
両角みのる君
あさの克彦君
野上 純子君
鈴木あきまさ君

欠席委員 なし

出席説明員
生活文化局局長多羅尾光睦君
次長桃原慎一郎君
総務部長武市 玲子君
広報広聴部長樋渡 幸生君
都民生活部長山中 康正君
消費生活部長山本  明君
私学部長加藤  仁君
文化振興部長鳥田 浩平君
都政情報担当部長濱田 良廣君
男女平等参画担当部長斎田ゆう子君
文化施設改革担当部長越  秀幸君

本日の会議に付した事件
平成二十六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
生活文化局関係
・平成二十六年度東京都一般会計決算(質疑)

○谷村委員長 ただいまから平成二十六年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、生活文化局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより生活文化局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十六年度東京都一般会計決算中、生活文化局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○武市総務部長 去る十月九日の当分科会において要求のありました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしております平成二十六年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の表紙をおめくり願います。
 目次に記載のとおり、要求のありました資料は十一件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、私立学校経常費補助(一般補助)の生徒一人当たり単価及び全国順位の推移でございます。
 平成二十二年度から平成二十六年度までの過去五年間における私立学校経常費補助に係る生徒一人当たり単価及びその全国順位につきまして、学種ごとに記載しております。
 二ページをお開き願います。2、私立高等学校等授業料軽減助成事業の実績の推移でございます。
 都は、私立高等学校などに通う生徒の保護者のうち、一定所得以下の保護者を対象に、所得に応じて授業料の一部を助成しております。この事業の実績といたしまして、平成二十二年度から平成二十六年度までの過去五年間における補助総額及び補助対象生徒数の推移を記載しております。
 三ページをお開き願います。3、私立学校経常費補助における授業料減免補助実績の推移でございます。
 都は、家計状況の急変などの理由により、私立学校が生徒の授業料を減免した場合に、私立学校経常費補助の中で学校に対して減免額の一部を補助しております。この補助の実績について、表の左側に記載の学種ごとに平成二十二年度から平成二十六年度までの過去五年間における補助校数等及び補助額の推移を記載しております。
 四ページをお開き願います。4、私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業費補助の実績の推移でございます。
 都は、私立幼稚園などに通う幼児の保護者の負担軽減のため、区市町村が行う保護者負担軽減事業に係る経費の一部を補助しております。その補助総額と補助対象となっている延べ幼児数につきまして、平成二十二年度から平成二十六年度までの過去五年間の推移を記載しております。
 五ページをお開き願います。5、私立学校の耐震化の状況でございます。
 平成二十七年四月一日現在の都内私立学校の耐震化の状況につきまして、表の左側に記載の学種ごとに全棟数と耐震性のある棟数、その割合である耐震化率を記載しております。
 六ページをお開き願います。6、東京都育成資金一般貸付の規模の推移でございます。
 平成二十二年度から平成二十六年度までの過去五年間について、(1)に貸し付けの計画額及び実績額の推移を、(2)に表の左側に記載の区分ごとに貸付人員数の推移をそれぞれ記載しております。
 七ページをお開き願います。7、都道府県別私立高等学校生徒納付金平均額(平成二十六年度)でございます。
 平成二十六年度における授業料、入学料、施設設備費といった生徒納付金の平均額について、都道府県別に記載しております。
 八ページをお開き願います。8、私立高等学校等就学支援金の予算額と決算額及び所得区分ごとの受給者数と実績額(平成二十六年度)でございます。
 都は、法定受託事務として私立高等学校などに通う生徒について家庭の教育費負担を軽減するため、授業料の一部を各学校を通じて助成しております。この事業の実績といたしまして、(1)に平成二十六年度の予算現額及び支出済額を記載しております。
 また、(2)、所得区分ごとの受給者数と支出済額につきましては、国の制度改正に伴い、表の左側に平成二十六年四月以降に入学した生徒に係る実績を、表の右側に平成二十五年度以前から在学する生徒に係る実績をそれぞれ記載しております。
 九ページをお開き願います。9、私立高等学校等奨学給付金の予算額と決算額及び対象世帯ごとの受給者数と実績額(平成二十六年度)でございます。
 都は、私立高等学校などに通う低所得世帯の生徒について、授業料以外の教育に必要な経費の一部を、その保護者を対象に助成しております。
 (1)に平成二十六年度の予算現額及び支出済額を、(2)に対象世帯ごとの受給者数と支出済額を記載しております。
 一〇ページをお開き願います。10、区市町村別の公衆浴場数の推移でございます。
 平成二十三年から平成二十七年までの過去五年間における区市別の公衆浴場数の推移を記載しております。
 なお、公衆浴場数については、平成二十六年までは各年の十二月三十一日時点、平成二十七年は九月三十日時点の数となっております。
 一一ページをお開き願います。11、公衆浴場対策に係る補助金(決算額)の推移でございます。
 当局が実施しております公衆浴場対策につきまして、平成二十二年度から平成二十六年度までの過去五年間における補助金額の実績を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○谷村委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 それでは、私からは公衆浴場対策について伺わせていただきたいと思います。
 ただいまご説明がございましたように、公衆浴場対策にかかわる補助金というのは、平成二十六年度ベースで五億四千二百九十万五千円と、こんなような決算額というふうになっているところでございますけれども、昭和三十三年、一九五八年の四月に全国の公衆浴場の環境衛生同業組合連合会が設立をされまして、それで、その十一月に東京都の公衆浴場の環境衛生同業組合が発足をしたわけでございます。くしくも昭和三十三年、一九五八年というのは私、その生まれでございまして、それから五十七年。何か自分と今まで生きてきたその中での公衆浴場とのかかわりというのは、非常に自分自身も何か因縁深いようなものも感じていまして、こよなく公衆浴場、銭湯を愛する一人として、きょうはこの質問をさせていただきたいというふうに思っているんです。
 公衆浴場は、東京の大事な社会資源です。こういう観点から、東京都は環境負荷の少ない都市を目指すためにもクリーンエネルギー推進事業を、災害に強い都市を目指すためにも耐震化促進支援事業を私どもの自民党の要望を受け入れていただいて、こういった公衆浴場に対する支援を積極的に展開しているわけでございます。
 今や公衆浴場は、都民に入浴機会を提供するだけではなくて、地域住民の健康づくりの場、あるいは健康増進の場、ひとり暮らしの高齢者のコミュニケーションの場などとして地域社会の中で重要な役割を果たしております。
 また、大規模災害発生時には、一時避難場所や生活用水の提供などの役割を担っておりまして、私の地元の大田区と協力をしながら毛布や食料品などの備蓄にも取り組んでいるんです。
 さらに、二〇二〇年、平成三十二年、東京五輪パラリンピック大会に向けて海外への、銭湯は江戸のしぐさとか昭和のぬくもりとか平成の触れ合いという言葉にも代表されるように日本独特の文化があって、その日本独特の文化の発信のためにも、その役割が期待されているところであります。
 しかし、残念なことに、都内で営業する公衆浴場数は昭和四十三年の二千六百八十七軒をピークに、その後は減少の一途をたどっておりまして、自家風呂の普及等、厳しい経営環境のもと最盛期の四分の一にまで減少をしてしまいました。
 我が大田区もこの資料から見ると現在四十五軒です。それでも、都内で一番多いんです、公衆浴場、銭湯は。
 最近では、明治時代から続く建物自体が文化財ともいえる、皆さんもテレビ等でごらんになった文京区の公衆浴場が建物の老朽化や経営者の体調不良などから、九月で閉店をせざるを得なくなったと。利用者に惜しまれながら、この百年以上の歴史に幕を閉じたということであります。これも大変残念なことでありまして、東京都は現在あらゆるハード、ソフト面、両面からの支援を行っているわけですけれども、こういった東京の文化財、文化であり文化財ともいえる公衆浴場の減少に歯どめがかからない、何としても歯どめをかけたい、そんなふうにも思っているんです。
 そこで、直近の都内の公衆浴場はどのような状況になっているのでしょうか。また、どのような理由で廃業しているのでしょうか。この点をまずお伺いしたいと思います。

○山本消費生活部長 都内の公衆浴場数は、ことしの九月末現在で六百三十六軒で、この十年間で毎年三十軒ほど減少してございます。
 廃業理由といたしましては、自家風呂が普及した結果による利用者の減少を背景とした厳しい経営環境の中で、後継者難により浴場経営者が高齢化し、施設の老朽化なども進んでいるためでございます。

○鈴木委員 二十三区部、三多摩地区ともに年に一、二軒ペースでといったら嫌な言葉なんですけれども、浴場、公衆浴場がなくなっているということが今のご説明でわかりました。
 浴場経営者の多くは、七十歳以上と高齢で健康不安を抱えている方々が多いと聞いております。また、浴場経営に将来的な展望が持てないことから後を継ぐ者が少ないとのことであります。後継者不足は、なかなか効果的な対策が難しい問題ですが、老朽化した施設整備の更新などについては、都として積極的に支援していくことが重要であります。
 先ほども述べましたが、東京都は施設の耐震補強工事や燃料を都市ガス等に転換する経費に助成するなど、この施設整備のための各種助成策を講じておりますが、こうした助成制度は公衆浴場の経営の安定化に資する大変重要な施策であり、浴場事業者からは非常に使い勝手がよいとの声も寄せられております。より多くの公衆浴場が都の助成制度を活用して環境問題や地震対策とともに経営の安定化に取り組んでいけるよう、これからも補助制度の維持充実に努めてほしいと思います。
 今の公衆浴場の減少にストップをかけるにはどうすべきなのか、そんなような観点で引き続きお伺いをしてまいりたいんですが、ハード面における助成制度だけではなくて、公衆浴場の利用者拡大を図るソフト面の支援策も重要であります。
 東京都は利用者拡大を図るため、平成二十六年度、新たにどのような支援を行ってきたのかお伺いをさせていただきます。

○山本消費生活部長 都は、公衆浴場利用者の拡大を図る取り組みを支援するため、公衆浴場組合が実施する広報宣伝費の一部を補助してございます。平成二十六年度は、利用者拡大を図るため、公衆浴場組合ホームページのリニューアルのための経費などについて補助をしたところでございます。
 リニューアルいたしましたホームページでは多言語で銭湯の歴史や入浴方法を紹介するとともに、外国人にもお勧めの公衆浴場を案内しております。
 また、若者向けにスマホ版のホームページも作成し、GPS機能を利用して公衆浴場を案内する銭湯マップに加えて、ツイッターによる最新情報の発信などSNSを活用した情報発信にも取り組んでおります。
 さらに、公衆浴場組合においては、銭湯愛好者に銭湯の魅力を発信してもらうためにフェイスブックに入浴体験などを書き込んでもらう銭湯サポーターの募集を開始したところでございます。

○鈴木委員 何を隠そう、私も銭湯サポーターの一人でございます。
 さて、公衆浴場経営の安定化を図る上で利用者をふやしていく取り組みは不可欠です。売り上げがふえて、浴場経営に将来的な展望が持てるようになれば、若い後継者も生まれてくるのではないかと、このように考えております。
 こうした観点から、我が党はこれまでの公衆浴場のPR強化に向けた都の支援策を要望してまいりました。都が、我が党の要望を受けて、ただいま答弁がありましたように外国人観光客や若者など新しい顧客層を開拓していくための取り組みを支援していくことを高く評価したいと思っております。
 私もことしの四月にリニューアルされた浴場組合のホームページを拝見させていただきました。以前のホームページに比べて、それぞれの銭湯の特徴や魅力がわかりやすく掲載されており、情報量も格段にふえたと思っております。私もその情報を活用しております。
 都内では、天然温泉を楽しめる公衆浴場が四十軒ほどあると聞いていますが、こうしたお風呂の種類や営業情報などが浴場ごとに詳しく紹介され、行きたい浴場を簡単に探せるようになっています。
 また、スマートフォンがあれば、GPS機能を利用して目的地まで見ながら浴場まで道案内をしてくれて、非常に便利だなというふうに思いました。
 こういった新たな情報発信の取り組みを開始して六カ月が過ぎたわけでございますが、ホームページへのアクセス件数などはどのような状況になっているのか。また、今後発信力の高まったホームページ等を活用して新たな顧客層の掘り起こしの取り組みをさらに進めていくことが重要と思いますが、都はどのように考えているのか見解をお伺いします。

○山本消費生活部長 リニューアル後の公衆浴場組合ホームページへのアクセス件数は、ことし四月から九月までの六カ月間で約三十四万件となっております。そのうち、外国からのアクセス件数は約一万件で、毎月千件以上のアクセスがございます。
 SNSによる情報発信については、ツイッターのフォロワーが千三百を超え、九月末までの三カ月間を見ても毎月百人ずつ増加しております。
 公衆浴場の応援団でございます銭湯サポーターは、九月末現在六百人に達しておりまして、フェイスブックを通じて入浴体験情報などがリアルタイムに発信されております。
 今後は、こうした数多くのアクセスを実際の利用者拡大につなげていくとともに、近隣のホテルとの連携やマラソンランナーのニーズを捉えたサービス提供など、新たな取り組みを行っている浴場もありますことから、そうした新しい取り組みについての情報発信を行っていくことも重要であると考えております。
 都といたしましては、今回の成果を生かしつつ、さらなる新規利用者を開拓する公衆浴場組合の取り組みを積極的に支援してまいります。

○鈴木委員 私も銭湯が大好きだということで、インターネット情報を参考にしながら大田区や隣の品川区、ここはいいなと思うような銭湯を見つけては銭湯めぐりを楽しんでおります。また、銭湯サポーターにも登録して応援もさせていただいております。
 四月から始まった銭湯情報の発信は大変好評を得ていると聞いておりますが、こうした取り組みが、実際利用者の拡大につながっているのかどうか今後検証を行うように、ぜひ公衆浴場組合に働きかけてほしいというふうに思うんです。検証することが大事だと思っています。
 自家風呂保有率がもう一〇〇%近い現状となって、なおかつ、大型のスーパー銭湯や入浴施設を備えたスポーツジムとの競合もある中で、ただいま部長の答弁のあった新たな発想でこれまで銭湯を利用しないような人々も含めて、さらなる利用者拡大を図っていくための努力が必要だと思います。
 私なんかは、大型スーパー銭湯とか入浴施設を備えたスポーツジム、こういったものにも会員になってますけど、自分の健康増進には自分なりに使い分けているんです。やっぱり銭湯には銭湯の本当のよさがあるわけでございます。
 ホームページやSNSによる銭湯情報の発信は、そのための一歩にすぎません。公衆浴場を応援しようと集まってくれた銭湯サポーターの皆さんとの協力、連携を深めていく取り組みや外国人観光客や若者など、これまで公衆浴場を利用したことのない人たちへのPRも重要でございます。
 都は、引き続き公衆浴場組合の利用拡大に向けた取り組みに対しても支援策の充実に努めていただきたい、このように要望しておきたいというふうに思っております。
 この質問の最後に、私は浴場組合にもぜひ要望したいし、ぜひ局の方からもそういった取り組みを進めさせてほしいのは、特に感じるのは、利用者ニーズに浴場経営者として積極的に取り組まないと、結局どんな支援をしても、いろいろな情報を広げていっても、私は公衆浴場の、ひいてはお客様の来ていただける数が本当にふえることがない、減っていってしまうという現状は変えられないんじゃないかと思うんです。
 私の身の回りでもこんな意見があるんです。銭湯というのは、せめて近所の居酒屋ぐらい番台のおやじさんに愛想があってほしい。新規のお客さんにもっと優しいような接客してほしい。湯船は、熱い湯とぬるま湯の二種類がどこもあってほしいとか、これ外国人なんか特に観光客大事だと思うんです。
 それで、女性からはドライヤーの持ち込みをさせてほしいとか女性用のメーク落としのコットンを販売してほしい、あるいは銭湯グッズをもっと販売してほしいなどなど。それは、なかなか継ぎ手がない中で朝風呂をやってほしいとか終電後までの営業時間を延長してほしいというのは、なかなかこれ経営の上では難しいかもしれない。だけれども、私の大田区でも朝風呂をやっているところが二、三軒あるんです。だから、月に何度かはそういう、土曜とか日曜に朝風呂をやってみるとか、こういったことをする経営努力によって新しい銭湯ファンがふえていくんじゃないかな。こういった利用者ニーズというのを実現していただきたいな、そんなことも東京都からできるだけ働きかけていただきたいな、こんなふうにも思っているところでございます。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。
 次は、都立文化施設の改修と活用についてお伺いをさせていただきます。
 私は、平成二十四年の二定の代表質問で、文化振興における都立文化施設の活用について都立文化施設をより有効に活用すべきだ、こういう質問をさせていただいたんです。その当時の井澤生活文化局長から、最後の肝だけいいますと、今後とも、施設の大規模改修に合わせてさまざまな取り組みを進めるなど、都の文化施設の有効活用に努め、成熟した文化都市東京の魅力を国内外へ発信してまいります、こういうふうに答弁をいただいたわけでございます。その答弁を踏まえて質問させていただきたいんですが、都立文化施設の多くは、竣工後約二十年以上が経過して、この建物等の老朽化に伴い更新の時期を迎えておりますが、東京都では主要施設十カ年維持更新計画に基づいて計画的に施設の改修が進められているところでございます。
 これまで平成二十四年度に東京都美術館及び東京芸術劇場がリニューアルしたところでございます。また、平成二十六年度には庭園美術館のリニューアルオープン、東京文化会館の改修、さらには江戸東京博物館の常設展示室リニューアルオープンなどがありました。中でも東京都庭園美術館は、一九三三年、昭和八年に朝香宮邸として建てられた建物を一九八三年、昭和五十八年から美術館として公開しているもので、一九二〇年代から一九三〇年代にかけてヨーロッパの装飾美術を席巻したアールデコ様式を現在に伝える建物と、その空間を生かした、それ自体が芸術作品ともいえる世界的にも大変貴重な美術館であります。
 個人的にも、私はすぐ隣、品川区の上大崎に住んでいたものですから、小さいときからよく足を運びました。遊び場所でもありました。非常に親しみのある庭園でもあったわけでございます。
 この八月には、企画展でアールデコ邸宅美術館展がやっておりましたものですから、夏休みを利用して行ってまいりまして、アールデコ調の椅子やテーブル等、朝香宮邸をリニューアルした空間にすてきに展示をされておりました。
 そこで、まずこのたびの庭園美術館の改修の内容と成果についてお伺いをしたいと思います。

○越文化施設改革担当部長 東京庭園美術館の改修では、旧朝香宮邸を継承した本館の設備の改修と建物保存を目的としました修復や復元を行っております。また、新たな展示機能を備えた新館の建設工事を実施し、平成二十六年十一月にリニューアルオープンをいたしました。
 リニューアルオープン後、本年七月には本館が国の重要文化財に指定されたほか、本館と新館とが違和感なく融合しているとしまして、本年九月末にグッドデザイン賞を受賞したところでございます。
 さらに、歴史的建造物であります館の特性を生かしアールデコの世界を紹介する企画などの展覧会を積極的に実施いたしまして、好評を博しております。

○鈴木委員 今ご説明のありました新館、なかなかよかったです。レストランとかカフェ、ミュージアム。それで、映画上映や講演会などが行われているギャラリーができて、モダンな感じですごくよかったと思います。
 若干新館はちょっと狭いかなという感じはしておりますけれども、庭園については美術館と調和した空間とするため、創建当時のたたずまいなどを残すとともに、バリアフリー化を整備したり、さっきも述べましたような建物、アールデコ調の家具、それと工芸品、美術品の展示など庭園も含めて本当にさらに魅力のある庭園美術館に生まれ変わったなって、そんなふうに感じました。
 グッドデザイン賞を受賞するなど、これまでにも増して多くの人に評価される施設に生まれ変わったのは本当にすばらしいことだと思っております。今後、二〇二〇年に向けては、国内外からの多くの来館者に美術館に訪れ親しんでいただくため、より一層の施設の魅力を高めていただきたい、こんなふうに考えております。
 さて、都では産業労働局において、MICEの誘致にも取り組んでおります。これは国際会議などの東京開催を主催者に働きかけて、都内を訪れた外国人旅行者に観光の機会を提供する取り組みのことであります。
 このMICE誘致においては、ユニークベニューとして国際会議などの開催後に魅力的なレセプション会場や特別な憩いの場を確保することも非常に大切です。都内にすばらしい文化施設が数多くあり、このユニークベニュー、聞きなれない言葉だとは思いますけれども、特別な場所での特別な体験、これがユニークベニューでございまして、特別な場所でイベントを行うことで参加者、招待者に文化や歴史文化財、こういったものに触れる特別な体験、満足を味わってもらいたい、こういうことなんです。
 そこで、都立文化施設において、レセプションなどにより東京都の文化施設が活用した事例も多々あるのではないかなというふうに考えるんですが、その点をお伺いいたします。

○越文化施設改革担当部長 都立文化施設の中では、東京都現代美術館におきましてエントランスホール及び屋外のサンクンガーデンを貸出施設として位置づけ、美術館休館日に貸し出しを行っているところでございます。
 これまでの活用事例といたしましては、ファッションショー、レセプションパーティーなどがあり、年におよそ一、二件程度の利用となっております。その他の都立文化施設におきましても、施設内のレストランにおいてレセプションパーティーなどが開催されております。

○鈴木委員 今のご答弁、東京都現代美術館等々の事例をお話をいただいたんです。こういった東京都現代美術館を初めとしてさまざまな活用が可能であるんだというようなことは今ご説明をいただいたとおりでございます。
 資料によると、現美のエントランスというのは、ある程度貸せるようにはできているわけです。それなりの広さがある。千四百平米で一日百五十万円で貸している、貸せるようになっているわけなんです。いろいろと私も調べてみましたら、もう平成十七年度からさまざまな結婚披露宴とか二十年度あたりからは、積極的に海外劇団のプレビュー公演、レセプションパーティーとかブランドの顧客ディナーパーティーとか、ずっとそれから、よく大企業の顧客パーティーなんていうのはやられて、こちらの会社のパーティー等々は使われているようでございます。平成二十六年は、ある大使館の招待パーティーをやったり、あるいは二十七年には、ある大使館のナショナルデーのこういったパーティーもやっていると。
 こういうことで、そこで、いってみれば特別な体験ができるようなレセプションパーティーが開かれているわけであります。この都立文化施設は、それぞれの魅力ある施設ですから、より一層多くの方々が訪れ、親しんでもらえるよう、さらに有効活用していくことが望まれるのではないかなというふうに思います。
 そこで、特に先ほど改修の成果について質問した東京都庭園美術館の場合についてここで聞いておきたいんですけれども、日本庭園なども有しており、私はユニークベニューのような活用も大いに期待できる施設ではないかなと、こういうふうに考えているんです。
 東京都庭園美術館では、今後さらに敷地内の整備を進めていくというふうにも聞いております。この機会を捉えて、さまざまな活用を視野に入れながら施設整備に取り組むとともに、あわせて私は産業労働局ともぜひ連携をしていただいて、都立文化施設のユニークベニューとしての活用についても、ぜひ検討をしていくべきだな、そのように考えているんですが、私はその見解をこういった文化に対して造詣の深い多羅尾局長から、ぜひこの答弁はいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○多羅尾生活文化局長 東京都庭園美術館は、豊かな自然の中で歴史的建造物の本館と現代的な新館とが絶妙に調和しているなど、数ある美術館の中でも非常に希有な美術館であり、世界中の人々を魅了し得るといっても過言でない施設であるというように考えております。
 二〇二〇年東京大会を見据えては、これまで以上に訪日外国人も含めた多くの来館者に美術館の魅力を知っていただき活用していただくことが重要であると考えております。
 こうしたことから、国の重要文化財としての制約も踏まえながら美術館のバリアフリー化を推進するとともに、敷地内の茶室、日本庭園などの改修工事とあわせ、多様なおもてなしを意識したレストラン等の整備を進めてまいります。
 今後、都立文化施設については、庭園美術館の活用状況等の検証や芸術文化評議会の議論も踏まえ、産業労働局とも連携いたしまして、ユニークベニュー等での施設の活用方法について検討してまいります。
 先ほど委員のお話の中でMICE誘致のお話がございました。今後の東京の成長戦略の中でMICEは極めて重要であると思っております。
 一方で、シンガポールやソウルを初め世界の主要都市も、やはりMICEを成長戦略の柱として掲げております。
 したがいまして、東京のMICE戦略を構築していく際には、さまざまな工夫をしていくことが必要であると考えます。したがいまして、私どもも都立文化施設の運営を今後考えていく際に、常にMICE誘致ということも留意してまいりたいというように考えております。
 このようなことも含めまして、二〇二〇年に向け施設整備を着実に進めながら、都立文化施設をより一層活用し、東京の文化の魅力を世界に発信してまいりたいというように考えております。

○鈴木委員 今、多羅尾局長から大変すばらしい答弁をいただきました。平成二十五年に我が党の山内議員の一般質問に対して、産労局長、塚田さんは、MICEのレセプションに日本庭園や美術館、博物館等を活用するなど、開催都市としての魅力を一層高める取り組みを検討していくんだって、こういっているんです。それで、それに対して産労とも連携をとってユニークベニュー等の活用方法等を検討していくと今局長の力強い答弁をいただいたわけでございます。
 庭園美術館を手始めに、私はぜひ、江戸東京博物館や写真美術館等々もエントランスとか展示室、レストラン、カフェ等々も使っていただいて有効活用を図っていただきたいな、そんなふうにお願いして私の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○野上委員 私の方からは、消費者被害防止に向けた効果的な普及啓発について質問をさせていただきます。
 昨日のテレビで、インターネット上の仮想通貨に投資すればもうかるという、うその電話をかけて、高齢者から多額の金額をだまし取っていたということで二つの詐欺グループが摘発をされて、男の方たち六人が逮捕されたという事件を放映しておりました。
 一つの事件は、ことしの七月から九月にかけて愛知県の八十代の女性に、仮想通貨に投資してほしい、金額の三倍で買い取りますといううその電話をかけて、現金二千万円をだまし取ったということが一つ。
 もう一つの事件は、名義貸しのトラブルを装ってうその電話をかけて、これは福島県の八十代の男性から金額約五千万円をだまし取ったと。
 金額が二つともすごい大きいので、よくお金を持っていらっしゃるんだなと感心したこともありますけれども、警察はこの二つのグループの上層部が同一人物の可能性があると見て、このグループの実態解明を進めているというような放映内容でございました。
 最近では、もっと前なんですけど、年金機構による年金情報の流出をきっかけに、年金機構をかたって個人情報の削除を持ちかけて現金をだまし取ろうとする手口が報道されております。
 このように、悪質事業者はさまざまな手口で高齢者を狙っております。
 私も身内に高齢者、八十六歳の母親が一人で暮らしておりますので、もう何かとすごい心配ではあるんですけれども、よくいろいろな方々がいろいろなものを売りつけに来ておりまして、よく買っているんです。非常に金額が低いのであれなんですけれども、本当に心配をしております。
 特に高齢者の方々は、将来の不安や情報の不足、判断力の低下につけ込まれやすい傾向がございます。このように、消費者の弱みにつけ込む悪質事業者から消費者を守って安心して暮らしていける東京をつくっていかなければならないと思います。
 都では、本年の第一回定例会で改正した消費生活条例等による悪質事業者の取り締まりを積極的に進めていらっしゃると思います。また、消費生活相談を実施いたしまして、消費者の被害回復にも取り組んでいらっしゃいますけれども、本日はもう一つの重要な柱でございます消費者被害の防止に向けた普及啓発についてお伺いいたしたいと思います。
 二十六年度決算でございますので、平成二十六年度、都内の消費生活センターに寄せられた相談件数、そして、その特徴についてお伺いいたします。

○山本消費生活部長 都内の消費生活センターに寄せられました相談件数につきましては、平成二十六年度では約十二万九千件となっておりまして、前年度比一・六%の増加となっております。このうち、六十歳以上の高齢者の相談は約三万九千件で、過去最多となっております。相談全体に占める割合は、前年度に引き続き三割を超えております。
 平均契約金額は二百七万円で、五十九歳以下の百十八万円に比較し、高額となっております。
 二十九歳以下の若者の相談件数は、近年減少傾向にございましたが、平成二十五年度から増加に転じ、平成二十六年度は約一万六千件となっております。

○野上委員 都内に、この今の内容なんですけれども、高齢者、六十五歳ではなくて、六十歳以上の方の相談件数が三万九千件、二十九歳以下の若者の相談件数が一万六千件ということで、大変多くの方々から相談が寄せられているということでございます。
 都内における消費生活相談というのは増加傾向にありまして、特に被害に遭いやすい高齢者、若者とともに相談件数がふえている状況ということでございますので、世代によって事業者の手口はそれぞれ多種多様であると思われます。
 そこで、高齢者や若者が最近被害に遭うケースにおきまして、新たな手口として目立つものについてお伺いしたいと思います。

○山本消費生活部長 最近の処分事例や相談事例等を見ると、高齢者に関しましては、先ほどお話のあった年金情報の流出やマイナンバー制度などに便乗し、個人情報が漏えいしたとかたり、その削除を持ちかけるなどして金銭を要求する手口が目立っております。
 また、これも先ほどお話がありましたが、ビットコインやリップルコインといった、いわゆる仮想通貨に対する投資を装い、高額の支払いをさせるものもございます。
 これらの手口に共通するものは、話題の出来事を切り口に複数の人物からかわるがわる電話がありまして、高齢者を惑わせ、信じさせる手口でございます。
 一方、若者につきましては、販売目的を告げずに、いろいろな人と交流したいとSNSを活用して近づいて、喫茶店等に呼び出して高額な商品を売りつけ、消費者がお金がないと断っても、学生ローン等の利用を強要する手口が目立っております。

○野上委員 悪質事業者は仮想通貨やマイナンバーなど、その時々に話題になったキーワードを使って次から次へと新しい手口を考えてまいります。劇場型というんですか、複数の人物が出てきて高齢者を信じ込ませる、惑わせる悪質な手口があります。
 また、ネット環境になれ親しんでいる若者にも、友達になろうといって近寄ってだます手口も極めて悪質であります。
 このように、悪質事業者の手口が複雑、巧妙化する中、被害を未然に防止していくためには、今起きている被害情報を迅速に消費者に伝えていくことが必要であります。
 都の二十六年度、昨年度の普及啓発の取り組みについてお伺いいたします。

○山本消費生活部長 都は、消費生活相談等から被害の目立つ手口についていち早く捉え、昨年度は四十件の注意喚起情報をホームページ、東京くらしWEBやSNSで発信するとともに、情報誌「東京くらしねっと」など紙媒体も活用し、最新の手口や対処法をタイムリーに発信してまいりました。
 加えまして、昨年度は出前講座や出前寄席を六百六十回実施し、高齢者については介護事業者や町会、自治会等向けに悪質事業者の手口や消費生活センターへの相談についてわかりやすく紹介するとともに、大学生向けには新入生ガイダンス等で若者に被害の多い悪質な手口等について普及啓発を行ってまいりました。
 今年度は、新たに宅配事業者等と連携して高齢者に注意喚起情報を直接届ける取り組みを行っており、今後とも対象に合わせた適切な方法で迅速に情報を発信することにより、被害の未然防止に積極的に取り組んでまいります。

○野上委員 旬な情報をその対象年齢に的確に伝えるということがすごく大事だと思っております。
 東京都は、安全・安心な都市の実現に向け、さまざまな取り組みを進めておりますけれども、防災、防犯対策とともに消費者被害の防止も、これも積極的に進めていかなければなりません。
 今の答弁にあったように、消費者被害の防止のため、対象世代の特徴を捉えて、さまざまな方法で情報発信が行われることにより、これは都民が安心して生活していくためには大変重要な取り組みであります。加えて、悪質事業者の取り締まりや消費生活相談による被害回復にも取り組んでいくことが必要です。
 しかし、そもそも被害に遭わないことが一番であります。そのためには、一人一人の消費者がみずから守ることができるよう十分な情報が必要と考えております。都は、今後も消費生活センターに寄せられる相談等により悪質事業者の手口を迅速に把握し、タイムリーな情報発信と効果的な注意喚起を行い、消費者の被害防止の徹底に取り組んでいっていただきたいことを要望して、質問を終わります。以上でございます。

○里吉委員 資料をご用意いただき、ありがとうございました。
 それでは、私からは高校就学支援金制度について伺ってまいります。
 二〇一四年度、高等学校の授業料無償化制度の廃止、就学支援金への所得制限の導入が行われました。私は、日本政府が国際人権A規約の中等教育の漸進的無償化の条項を批准したにもかかわらず、二〇一四年度、高校就学支援金に年収九百十万円の所得制限を導入したことを厳しく批判してきました。そして、少なくとも東京都で二〇一三年度に私立高校生の学費負担軽減に使われてきた予算の総額は、二〇一四年以降も減らすことなく拡充することを求めてきました。
 そして、二〇一四年度の予算審議のときには、私立高校の授業料等の学費支援予算の総額、これは国の高校就学支援金、そして都の授業料補助、また奨学給付金、この合計が二百九十六億三千四百万円で、二〇一三年度の二百九十三億四千万円と同水準を確保したことを確認したわけですが、同時に生活文化局私学部は、所得制限により就学支援金の対象から外れる私立高校生の割合を文部科学省が示した全国平均と同じ二二%と見積もっていて、実際には東京ではもっと多くの生徒が外れて、決算額がもっと少なくなってしまうのではないかと、そのとき指摘もいたしました。
 そこで、今回は決算が明らかになりましたので、どうだったのかということを伺っていきたいと思います。
 二〇一四年度、平成二十六年度の決算で国の就学支援金、都の授業料補助--特別奨学金ですね、それから、国庫補助事業である奨学給付金の実績と不用額、執行率について、まず伺います。

○加藤私学部長 平成二十六年度の就学支援金は、実績額約二百四億一千九百万円、不用額約三十七億五千七百万円、執行率八四・五%、特別奨学金は実績額約四十五億百万円、不用額約五億一千百万円、執行率八九・八%、奨学給付金は実績額約二億六百万円、不用額約三千五百万円、執行率八五・三%でございました。

○里吉委員 総額聞くのを忘れてしまいましたので今足させていただきますけれども、ご答弁いただきました金額を足しますと、実績の総額は二百五十一億二千六百万円ということになります。
 二〇一三年度と比較してみますと、それは決算額でしなければいけないので決算額二〇一三年度調べましたが、高校就学支援金が二百三十三億四千百万円、東京都の特別奨学金が四十三億三千九百万円でした。奨学給付金制度はその当時ありませんでしたから、二つを足しますと二百七十六億七千九百万円ということです。
 二〇一四年度の方が前年に比べて二十五億五千三百万円下回ったという結果です。所得制限が導入されても私学の学費負担軽減の総額は、少なくとも二〇一三年度と同水準を求めてきたわけですが、結果としては二十六億円下回ったということになります。これは、やはり所得制限から外れた生徒が多かったのではないかと懸念いたします。
 先ほど申し上げましたとおり、当時生活文化局の試算は、国の就学支援金は、私立高校生の二二%が対象外になると、七八%は受けられると、こういう想定をして予算を立てたと思うんですけれども、実際には何%の生徒がこの就学支援金を受けることができたのか伺います。

○加藤私学部長 就学支援金の受給者数につきましては、年度途中での生徒の転入学などがあり、年間を通じての実受給者の正確な割合を算出するのは困難でありますが、所得制限が導入された平成二十六年四月以降に私立高校等に入学した生徒の延べ受給者数といたしましては三十五万三人でございます。

○里吉委員 正確にはわからないということなんですが、概算でいいので、もう一度お答えいただきたいんですが。
 延べ受給者数というのは、各月ごとの受給者数ですよね。十二月ですから、それで割ると実際の受給者数になると思います。割りますと、二万九千百六十七人と。これは、まだ一年生だけですから、一年生のみの数字ですから、一年生の数字で割れば出てくると思うんですが、何%か、概算で計算していただけないでしょうか。お願いします。

○加藤私学部長 先ほどもご答弁申し上げましたが、就学支援金の受給者数につきましては、年度途中での生徒の転校、それから入学、退学、休学、こういった要素がさまざまに関連してまいりますので、実受給者の正確な割合を算出するというのは困難でございます。

○里吉委員 私、正確な数は要求しておりません。概算で結構ですのでお願いしますと申し上げましたが、答えたくないのではないかというふうに勘ぐってしまうんです。といいますのは、私計算しましたけれども、まず学校基本調査によれば二〇一四年度の東京の私立高校の一年生の人数は、全日制、定時制合わせて六万七十一人です。それで計算しますと、四八・六%、約半数ということになるんです。全国平均では七八%の子供が受け取れるという想定からすると、大きく下回る数字です。
 東京は私立高校が多く、高校生の六割が私立高校に通っています。そして、全国平均に比べれば所得も高いですが、生活費もかかるし授業料も高いという状況です。
 きょういただきました資料、7のところにもありますけれども、授業料などの都道府県別の金額、見ていただければわかるように、授業料、入学金、施設整備費の合計で全国平均を十七万円以上、上回っているわけです。それなのに、どこに住んでいても年収九百十万円であるからといって対象から外れてしまう。兄弟がいれば本当に大変だ、お金があるから私立に通わせているわけではないというのが保護者の声です。しかも、先ほどの決算額の二〇一三年度の差額が二十六億円と申し上げましたが、所得制限が導入されているのは二〇一四年度は一年生だけですから、学年進行で二倍、三倍に積み重なっていくわけです。国際的な学費無償化の流れに照らしても、少なくとも東京の高校生は就学支援金を受けられない割合が高い。何の学費支援も受けられない生徒が多いということは、あってはならないのではないでしょうか。
 そこで、全国平均に比べれば所得も高いが、生活費も授業料も高いという東京の特徴を踏まえた支援を都独自に拡充すべきと考えますけれども、見解を伺います。

○加藤私学部長 都は、私立高校について、より必要とする人に効果的な就学支援を図る観点から、一定所得以下の保護者を対象に所得に応じて授業料の一部を補助する特別奨学金制度を実施し、必要に応じて、その充実を図ってきております。

○里吉委員 必要に応じて充実を図ってきておりますというご答弁でしたけれども、新しい制度になって新たな矛盾が出てきていると。そして、毎年保護者の方からは負担軽減を求める要望が出されているということもよくご存じのことだと思うんです。何らかの充実策を実施していただきたいと思います。
 来年度、国の方では、我が党も国会でこの改善を求めてきましたけれども、文部科学省が来年度への予算要求として奨学給付金、これ特に低所得のところに出るお金ですけれども、第一子への給付金額が全日制で三万八千円と。まだ不十分だということで、第二子以上、二人目以上のお子さんへの給付金十三万八千円、これと同額に引き上げるように文部科学省も要望を出しているということが、皆さんもご存じだと思いますけれども、ぜひ私学部としても東京としてどういう改善ができるのか、充実ができるのか検討していただきたいと思います。
 東京都の独自制度である特別奨学金制度は、年収七百六十万円以下の世帯への支給が基本となっていますが、都としてもこの際思い切って所得制限を大幅に引き上げることなども検討していただきたいと思います。
 施設費なども、授業料以外の学校納付金も学費として支給の対象に含め、どの所得階層の支給額も充実すること、改めてこれを検討していただきたいということを要望しておきます。
 次に行きます。
 就学支援金受給者のうち、この表を見ていただきますと、資料を見ていただきますと、年収二百五十万円未満の世帯の生徒数は延べ四万八千百八十七人です。これも十二で割りますと四千十五人となります。
 一方、同じ年収二百五十万未満世帯の生徒が受けることのできる奨学給付金です。この受給者、表を見ていただきますと二千九百十五名となっています。千百人の差がありますが、この理由、どうしてこれだけの差が生まれているのか伺いたいと思います。

○加藤私学部長 就学支援金は、他県から都内の私立高校に通う生徒も支給対象となります。一方、奨学給付金は私立高校に通う都内在住の生徒が支給対象となっており、この対象要件の違いが大きな要因であると考えております。

○里吉委員 今のご答弁ですと、年収二百五十万未満世帯のご家庭のお子さんが他県から通っている方が千人以上いるということではないかと推察されるというご答弁だったんですけれども、正確なことはわからないんですけれども、昨年度、これは、この制度始まって初年度ということもありまして、国の就学支援金の申請と都独自の授業料補助、それから給付金である奨学給付金、この三つの異なる制度で申請書類も締め切り時期もばらばらだったんです。学校でも保護者の間でも大変混乱したと、大変だったと聞いております。
 先ほどの質問で、その差が千百人ある理由、そういうふうに答えておりましたけれども、学校の担当者の方に聞きますと、中には一度書類を出したので、それでいいと思って手続しなかった、こういうご家庭もあるのではないかということもいっていました。
 奨学給付金、この給付金は今ご説明がありましたように、住んでいる自治体のところに手続するので、申し込みは学校を通しません。ですから、実際には検証できないわけですけれども、そのような出しそびれたりだとか、出す時期を逸してしまっただとか、そういう可能性も大いにあるんじゃないかということを、私学の学校の事務を行っている方がおっしゃっていました。
 こういうこともありまして、私は国と都の三つの支援制度の手続をできるだけ簡略化するように、申請漏れがないように簡略化してほしいと求めてまいりましたが、今年度はどのような手だてを講じたのか伺います。

○加藤私学部長 都は、複数の制度に申請する場合でも、共通する証明書類は一通とするなど、これまでも申請手続の簡略化を図ってまいりました。
 加えて、今年度からは特別奨学金と奨学給付金をまとめて申請できるよう申請期間を統一し、さらに申請様式を複写式にするなどの工夫を行い、一層の簡略化を図っております。

○里吉委員 昨年度の混乱に比べて、ことしは今ご答弁いただきましたように、さまざまな工夫をしていただいたということで、このことについても私立学校で働く事務の方に聞きましたら、大変よくなったと、この点は。二つの書類を一つにまとめて出せるということで大変喜んでおりました。
 ただ、今度はまた別の問題が出ておりまして、国の就学支援金の申請は実は二年目が大変複雑だそうで、一年目に申請した場合、申請しなかった場合、それから一年目申請したけれども該当しなかった場合などによって提出する書類が違うと伺いました。学校事務の方も大変苦労しているそうです。まだまだ、まあ、これは国の制度ではありますけれども、わかりやすく改善ができないでしょうか。申請の回数もプライバシーに配慮しつつ一回の申請で済むようにするなど、一層の手続の簡略化を求めます。見解を伺います。

○加藤私学部長 国からの法定受託事務である就学支援金、国庫補助事業である奨学給付金及び都独自の特別奨学金は、対象者などの支給要件や創設の経緯が異なる制度でございますことから、それぞれに申請が必要でございます。
 先ほども答弁いたしましたとおり、これまでも手続の簡略化を図ってきており、今後も適切に対応してまいります。

○里吉委員 国の就学支援金は、所得制限がなかったときには全員必ず受け取っていましたが、所得制限が導入されたために、申請しなければもらえなくなりました。
 就学支援金は、締め切り後に申請すると、申請した月からの支給になるということで減額となってしまうと伺いました。所得制限がなければ全員が受け取れ、こういう問題も起きないはずで、やはりこの制度は改善すべきと思います。少なくとも受け取るべき生徒が申請できないということのないように、制度の改善を国にも求めていただきたいと思います。
 きょうは決算でいただいた数字を中心に質疑をさせていただきましたが、全ての私立高校生のために私学助成の充実と公私格差の解消、そして国際人権規約の教育費無償の実現を目指すという立場での施策の充実を求め、次の質問に移ります。
 次は、平和事業について伺います。
 ことしは、戦後七十年目の節目の年ということで、各地でさまざまな行事が行われてきました。私の地元世田谷区では、ことしの八月十五日に世田谷公園内に平和資料館、愛称は、せたがや未来の平和館というんですが、これをオープンさせました。区のホームページでは、大きな犠牲と悲劇を生んだ太平洋戦争の体験や記憶を後世に伝えるとともに、戦争の悲惨さと平和のとうとさを知っていただくため、世田谷平和資料館を設置、運営してまいりますと紹介しています。
 東京都も戦後五十年の節目の年の第五回東京都平和の日記念式典では東京都民平和アピールを採択するなど、節目にふさわしい取り組みを行っていました。
 アピールを読みますと、当時のアピールですけれども、今世界は、激動の中にあって、大きな歴史の転換の時代を迎えています。不信と対立を克服し、信頼と協調による新たな国際秩序を模索することは、地球全体にとって緊急な課題であり続けています。国、民族、文化の違いを超えた取り組みが、今ほど求められているときはありません。平和は、何物にもまさって全ての基礎をなす条件です。日本国憲法が基本理念とする恒久平和は、私たち全ての願いであり、人類共通の目標です。私たちは、軍縮と核兵器の廃絶を機会あるごとに強く訴え、戦争の惨禍を再び繰り返さないことを誓います。
 こう述べています。まだこの後続きますけれども、戦後五十年の節目の年に改めて平和を求める熱い思いが込められているアピールだと思いました。当時の都議会は全会派、そして有識者も一致して賛成したものと伺っています。
 そして、ことしはそれから二十年たった戦後七十年を迎えたわけです。ことし、この戦後七十年の節目を迎えた二〇一五年、平成二十六年度の平和の日にはどのようなことを実施したのか伺います。

○鳥田文化振興部長 都は東京都平和の日条例で三月十日を東京都平和の日と定めており、毎年継続して都庁の五階大会議場において東京都平和の日記念式典を開催しております。
 平成二十六年度においても例年どおり式典を開催し、平和の意義を確認するとともに平和意識の高揚を図ったところでございます。
 また、三月十日にあわせて、都主催の東京空襲資料展を東京芸術劇場、府中市生涯学習センター等、都内四会場にて開催いたしました。

○里吉委員 例年と同じ式典、資料展も四カ所ということで例年と同じ規模ということでした。これは本当に残念というか、私は何とかならなかったのかという思いでいっぱいです。
 ことしは、東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑が置いてあります都立横網町公園でも、終戦七十年記念展と銘打って特別展が行われていました。
 案内のチラシには、戦後七十年を迎えることし、戦争の記憶の風化が懸念されています。その原因の一つに戦争体験者が少なくなっている現状があります。このような時代だからこそ、今戦争体験者の話に耳を傾けて、改めて戦争の悲惨さを見詰め、戦争とは何かを考えていかなければなりませんとありまして、今回募集した東京空襲経験者の寄稿文を中心に、これまで未公開の戦災関連収蔵品を展示しますと紹介していました。主催は公益財団法人東京都慰霊協会です。
 東京都平和の日を制定した年には、三月十日から十六日まで墨田区立リバーサイドホールアトリウム、そしてNHK放送センター見学者コース、JR立川駅構内の三会場で東京都平和の日写真展を開催し、都はその記録を東京都平和の日記念写真図録としてまとめています。きょう持ってきましたけれども、大変立派なものがまとめられておりました。
 平和の日記念行事の報告書も何冊か読みましたけれども、以前は本当に節目の年にかかわらず多彩な取り組みを行っていたこと、勉強させていただきました。
 第六回東京都平和の日は、平和の日スタンプラリー東京ウオーク九六と題して神田川コース、浅草隅田川コース、新都心コース、玉川上水コース、武蔵野コースと五つのコースを設定し、それぞれの史跡や建造物などを見学しながら歩く企画があったり、第八回東京都平和の日シンポジウムでは戦災孤児たちの証言という企画があったりと、毎回工夫された行事に取り組まれていました。
 もちろん、毎年継続して平和の大切さをアピールしていくことは大切なことですが、戦争体験者が少なくなっていく中で、節目の年にはいつもより大きい会場で今まで参加していない人たちにも対象を広げた企画を行って当然ではないかと思いました。
 平和の日の記念行事が難しければ、別の日に全く別の企画でも行えなかったかと思います。繰り返しこの問題、文教委員会でも取り上げてまいりましたが、今後ぜひ取り組んでいただきたいということを要望しておきます。
 そして、ことしですが、平和の日記念行事の知事挨拶で、世界の恒久平和を実現するため、世界の諸都市と手を携え、世界の人々との相互理解を深めていかなければなりませんと述べていますが、この点で東京都としてどんなことを行っていくのか伺いたいと思います。

○鳥田文化振興部長 東京都平和の日条例では都は戦争の惨禍を再び繰り返さないことを誓い、平和国家日本の首都として世界の都市と連携し、文化交流等の推進に努めることとしております。
 三月十日の平和の日記念式典に際しましては、世界の人々との相互理解を深めるための取り組みとして、在日大使館関係者の方々に参加を呼びかけております。
 平成二十六年度は、大使など六十一名の参加がありました。また在日外交団代表の大使から式典に際してご挨拶をいただいております。

○里吉委員 これも、また例年行っていることのご説明をいただきました。これも大切なことだと思います。
 さらに、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック、これ開催都市ですから、この東京が、知事がおっしゃるように、世界の恒久平和を実現するため、世界の諸都市と手を携え、世界の人々との相互理解を深めていく、こういう取り組みをこれから進めていく必要があると思うんです。
 東京二〇二〇大会開催基本計画、読ませていただきましたけれども、この中では一文、オリンピック休戦プロジェクト等を初めとする平和の推進とあるだけで、具体的にはどのようなことをするのかは、まだわかりません。
 平和の日記念行事での過去の取り組みを、これも読ませていただきましたが、在日外交団の挨拶もありましたが、ほかに毎年国連事務総長や姉妹友好都市州からのメッセージが寄せられていました。第一回の記念行事の冊子を見ますと、ニューヨークや北京、パリ、ニューサウスウェールズ州、ジャカルタ特別市、サンパウロ州、カイロ県、モスクワ市からのメッセージが寄せられていました。
 これからオリンピック・パラリンピックの準備も進んでいくと思いますが、平和の祭典でもありますから、平和の担当所管としてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 次に、関連して東京空襲犠牲者名簿の収集について伺います。
 都は、東京空襲で犠牲となった方々を追悼し、平和を願う事業の一つとして東京空襲犠牲者名簿を作成し、東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑の中におさめております。今でも毎年新しい申し出があり、名簿登録者はふえ続けていると伺っております。
 そこで伺いますが、昨年度の登録者数は前年に比べ何人ふえ、合計何人になったのでしょうか。登録はどのような方から申し出があったのでしょうか。あわせて、この名簿登録者をふやすための取り組みはどのようなことを行っているのか、お答えください。

○鳥田文化振興部長 都は、平成十一年度から東京空襲犠牲者名簿の作成に取り組み、平成二十七年三月現在、登載者数は前年に比べ百七十四名の方がふえまして、合計で八万三百二十四名の方を登載しております。申し出は、ご遺族や知人の方など首都圏を中心に全国からいただいております。
 名簿登載者をふやす取り組みといたしましては、都のホームページや「広報東京都」、東京空襲資料展のポスター、チラシなどを通じて名簿登載を呼びかけております。
 また、毎年、都内区市町村の平和担当者による連絡会議等において周知への協力を依頼しております。

○里吉委員 昨年度も新たに百七十四名の名簿がふえたということで、地道な活動ですけれども着実に成果を上げているということは確認させていただきました。
 しかし、この事業は一九九九年から開始した当初から比べれば収集数は減ってきているのではないでしょうか。三月十日の東京大空襲だけでも十万人もの方が犠牲になったといわれております。
 東京空襲犠牲者の名簿は、この登載対象は、それ以外の都内での空襲犠牲者の方も含まれていますから、少なくとも、今なお二万人以上の方の名簿把握が求められています。
 都は、名簿収集を始めた翌年二〇〇〇年、平成十二年には、全国の自治体に宛てポスターを配布し、名簿登載を呼びかけたと伺っています。十五年が経過し、市町村合併なども行われておりますし、東京都がそのようなことを行っていることが知られていない、知らない自治体もふえているのではないかと思います。
 改めて全国発信をして、積極的に名簿収集に努めることが重要だと考えますが、見解を伺います。

○鳥田文化振興部長 都では、三月十日にあわせて開催する東京空襲資料展のポスターやチラシにおいて名簿の登載を呼びかけており、これらのチラシ等は都内の区市町村だけでなく、全国の道府県にも送付しています。また、都のホームページにおいて名簿登載の掲出をしており、名簿登載申出書のダウンロードやメールでの申し出が行えるようになっております。

○里吉委員 全国にも発信しているということで、先ほどご答弁ありましたように全国からも名簿登載者の申し出があるということで毎年取り組んでいること、結果としてきちんと反映されていると思います。
 しかし、毎年二百名ずつの名簿登載がふえたとしても、あと十年で二千名程度です。二万人以上の方の名前がまだわからないわけですから、今のペースでは不十分だと思います。
 犠牲者遺族の方々の平均年齢も八十歳を超えており、犠牲者の氏名把握は今後ますます厳しくなります。そのために、東京空襲犠牲者遺族会の方々は東京都に対して、登録された犠牲者名簿を公開し関係者に見てもらうことにより氏名登録を促進することができるのではないか、ぜひ名簿を公開してほしいと繰り返し東京都に要望しております。
 しかし、都は個人情報保護条例に触れるため公開できないという立場で話は平行線と伺っています。
 ほかの自治体では公開している例もあるわけですから、都には再考を改めて求めます。
 あわせて、それがどうしてもできないというのであれば、せめて東京都として全国の全自治体に東京空襲犠牲者の名簿収集のお願いを一斉に呼びかける、そういう取り組みをして、本気になって全犠牲者の方の名簿登載を進める、そういう取り組みを行っていただきたい、このことも重ねて要望して私の質問を終わります。

○あさの委員 ただいま里吉副委員長からも何か平和に関する熱い思いが出ていたように思いますので、私もちょっと冒頭に、質問に入る前に一言だけお願いをしておきたいと思います。
 平和の日の式典等もありましたし、戦争の惨禍の話もありました。ただ、これは個人的な私の感想ですので、実態がどうかはわかりませんが、戦争の惨禍を繰り返さないという思いは本当に大事なんですけれども、そういった意味で戦争の悲惨さを伝える取り組みというのもかなりやっていらっしゃるんですが、正直何で戦争に入ったのかという話が、そんなに伝わっていないんじゃないかなという気がいたします。
 特に昨今のメディアの状況を見ましても、安保法制の話はいろいろありましたが、私は本当に、賛成、反対抜きにして報道の仕方自体が非常に危ないなという、そしてそれを受ける国民の動きも危ないなというふうに個人的に思いました。それは、中身をちゃんと見ないで--どっちでもいいんです、賛成、反対どっちでもいいんですが、中身をちゃんと見ずに、何かイメージだけで議論をする人たちが非常にふえていて、そのレッテルの中、行動に移してしまう人も結構いたんじゃないかなというふうに思います。実は、それこそが私が知る限りでは、あの戦争のときもそのような状況があったと。
 報道機関の中には、それに乗っかってしまったことを反省して、今非常に反戦の中で、すごい報道をするところもありますけれども、結局方向性が変わっているだけで、やっていること一緒なんです。だから、そういうことも含めて検証するためには、そういう情報もぜひ伝える、そういった取り組みも平和の日の中でやれるように内部で検討していただけたらありがたいなというふうに最初に要望だけして質問に入りますが、今いったお話も広くいうと、情報リテラシーの問題だと思います。
 いかに情報を--今本当にたくさんの情報があふれておりますので、その情報をいかに取得して、またその中で必要な情報を取り入れる、あるいはこれは違う情報だなと思うものは必ず確認をするとか、受け取る側にはそういった思想が必要なんですが、一方で発信する側にも、ここから先、受け取る人たちがどういう形で情報を検索したり調べたりするのかという観点、非常に必要なんだと思います。
 例えば、東京都のホームページです。私は、実は東京都のホームページから報道発表されるものについては、ちょっと詳しい名前は--RSSだった気がするんですが、何かそんなようなプログラムを使って自分のフェイスブック、ツイッターのフォロワーの方々に同時に、東京都が更新をすると同時にそれが伝わるようにしてあります。そうすると、リツイートされたり、あるいは、いいねを押されたりすると、どういった記事に関心があって、どういった発表はほとんど関心がないのかというのも、私もちょっとわかるんです。
 そういった形を見ていくと、そういう情報を入れることによって、ああ、こういう報道に対しては結構食いつくんだとか、この報道発表、ほとんど誰も見ていないんだなとか、あとタイミングも時間帯によって変わってきたりとか、あるいはこの人は何でもかんでもリツイートしてくるんだなとか、そういう人によって個人の違いもわかるんですけれども、そういったことが確認できる。つまり、ホームページというのは、情報発信としては非常に重要なツールでもありますし、これから先もっともっと使っていくことになるとは思うんですけれども、同時に、それがどういうふうに伝わっていくのかということを調べる非常に有効なツールでもあると思うんです。
 これまで使ってきた、もちろん広報紙とかテレビとか、そういったものもだめだとはいいませんが、それと比べて、まずリアルタイム性が非常に高い。それから、相手が見てる見てない関係なく、興味ある人が見てくれれば振り返って過去にさかのぼって検索することも可能である。そういった意味で、利用者のニーズに応じて情報を検索して入手することができるという利点があるんだと思います。
 インターネットはもちろん、スマートフォンや何かの普及にも合わせて利用率が非常に高まっている状況でありますので、そういった意味では東京都のホームページも極めて重要な広報媒体であると思いますし、今後は情報発信の中でも重要な位置になり得ると考えるんです。
 そこで、まず都庁の総合ホームページのアクセス件数というのが、どのような傾向になっているのか伺いたいと思います。

○樋渡広報広聴部長 都庁総合ホームページは全庁的なポータルサイトとして都政情報を提供しており、都民へ迅速に情報を届ける重要な広報媒体であると考えております。
 ご指摘のアクセス件数でございますが、トップページにつきましては、平成二十二年度以降、年間約一千万件で推移しております。その一方、全ページを対象としました総アクセス件数は、約九千八百万件から平成二十六年度には約一億四千二百万件まで、約一・五倍に増大しております。

○あさの委員 今のご答弁のとおり、トップページに直接来る人たちというのは、平成二十二年以降、およそ一千万件で推移、横ばいでいくということは、そこに来る人たちはそんなに変わってないなと。ただ一方で、全ページ、まあ、都庁のホームページも相当な数ふえていると思いますので、ふえたことも要因だと思いますが、全ページでのアクセス件数でいきますと、どんどんどんどんふえて、一億四千二百万件まで増大していますよというお話がありました。
 もちろん、これ詳しく見てみないと、見に来る人はほとんど変わってなくて、単純に、見に来た人たちがいろんなページを見るようになったのか、それともほかの形で入ってきているのか。さまざまな角度から見ていかなきゃいけないと思うんです。
 それは、ホームページをこれから先、これ各局の皆さん方が効果的に運用していただかなきゃいけないんですけれども、単純にアクセス数がふえればいいというふうにやることもどうなのかなと思います。というのは、当然、私も含めて都議会議員や都庁の職員さん、あるいは各自治体の職員さんたちも当然見に行くわけですし、あるいはメディアの皆さんも見に来る。そんな中で一般の人たちも必要な情報をとりに見に来るといったわけで、特に広報という観点から見ると、もちろん、区市町村といわれる各自治体の皆さん方及び一般の都民の皆さん方が使い勝手がよくて、いろんな情報がとれるようになっているということが大事なんだと思うんです。
 そういったホームページを図るためには、そういったアクセスをきちっと分析することが必要で、そして、その結果を活用していくということが大事なんだと思うんですが、都庁の総合ホームページについてどういったような分析と検証をして、それを運用に活用しているのか伺いたいと思います。

○樋渡広報広聴部長 アクセスの結果から、トップページを経由せずに直接目的のページへアクセスする閲覧者が増大していると推定しております。
 平成二十六年度の利用者アンケート調査結果によりますと、都民が都政情報を探す際に、見出しや分類などのメニューから探すと答えた割合が約二割であるのに対しまして、グーグルなどの検索機能から探すと答えた割合は約半数と、その倍以上になってございます。
 そのため、都庁総合ホームページでは、グーグルなどが検索の対象としているキーワードなどを全ての報道発表のページに検索用語として設定することにより、アクセスの向上に努めております。
 今後ともアクセス件数の分析や利用者アンケートの調査結果を活用するとともに、モバイル端末からのアクセス件数も増加していることから、引き続きモバイル端末と親和性の高いツイッターやフェイスブックなどのSNSも積極的に活用し、ホームページへ誘導を図ってまいります。

○あさの委員 今のご答弁で、確かにかなりの分析、検証をして、またそれを活用されていることもよくわかりました。
 ただ、ここから先は、先ほども最初に申し上げたとおり、発信者側というのもかなりの意識をしていかなければいけないんです。
 例えば一例を申し上げますと、我々政治家も結構いますし、著名人や何か、あるいは一般の方々も利用しているブログのサービス、アメーバブログというものがありますが、そこに行くと、検索しやすくなるための情報というのが指南書みたいな形で載っているんです。
 そこに書いてあること、どういうことかというと、SEOといわれる各企業がやっている検索用語から自分のホームページが直接ヒットするように対策をすると、プログラム上で対策をするということも各企業はやっておりますが、一方で、ブログの場合は一般の民間人の人たちが多いわけですから、そんなSEO対策なんてプログラムなことはなかなかできない。では、どうするか。タイトルとか記事にどういう言葉を入れたらいいか、記事の長さをどうしたらいいかということが詳細に書いてあります。
 その中で書いてあることで非常におもしろかったのは、検索ロボットといわれる、グーグルだったりとかヤフーさんとかいろいろあるんですけれども、一般的なポータルサイトで検索される言葉というのは、一般の人間の人たちが、ある情報にヒットしたいと思ったときに調べる言葉にできるだけ近づけるように近づけるように、つまりそのロボットは人間にできるだけ近づけるように近づけるようにどんどん進化していますと。ということは、逆にいうと、今自分たちが発信する情報に触れたいと思う人たちが、どういった言葉で検索をするかということを意識してタイトルをつけなさいというのがそこのブログに書いてあることです。
 これは、都庁のホームページに対しても同じことがいえるんだと思うんです。一番大事なことは、ある情報をホームページに載せるときに、その情報が対象としているのは誰なのかということです。都の場合は、たくさんの人たちを対象にしています。一般の都民なのか、区市町村の対象者なのか、あるいは各業界の関係者なのか。そういったことをきちっと把握して、まず対象が誰なのかをわかった上で、その対象者の人たちがこの情報にヒットしたいと思ったときに調べる言葉は何なのか。その言葉をきちっと入れてあげるということが実は大切であって、そういったことを各局の皆さんに理解して--ここが一番難しいんだと思うんです。
 ホームページに関するところは、広報としてホームページの管轄は生活文化局でやっていらっしゃるんでしょうけれども、全体としてのインターネット云々については、総務局が一部負担しているところもありまして、そういった中で、なかなか各局の皆さん方、特にホームページの更新をされる担当の方々がどういった形で意識を変えていくのかということは非常に難しいとは思うんですけれども、ぜひその難しい中を生活文化局としてトップページ及び都庁のホームページが本当に使いやすい、あるいは知りたい情報に本当にアクセスしやすいんだといわれるようなホームページになるように、これからもさまざまな努力、今以上に頑張っていただきたいということを申し上げて、次の質問に行きたいと思います。
 続きまして、私学の関係ですけれども、この決算書の六〇ページのところに私立高等学校海外留学推進補助というものがございます。これについて少し確認をさせていただきたいと思うんですが、まず、この私立高等学校海外留学補助ですね、制度が創設されたのが平成二十五年度というふうに伺っております。この二十六年度でちょうど二年目ということでありますが、二十五年度、二十六年度の実施状況について伺いたいと思います。

○加藤私学部長 平成二十五年度は四十校から百七十七人が留学し、補助金額は約一億三千八百万円、平成二十六年度は六十二校から二百八十六人が留学し、補助金額は約二億一千八百万円でございました。

○あさの委員 ありがとうございます。非常にこれから先の社会、特に私なんかも、実は私は都議会議員になるまでパスポートを持ったことがない人間でございましたので、全く海外のことなんか知らなかったんですけれども、一般的にはできるだけ若いうちに行った方が刺激がいいよと。行ったことない人はぜひ行った方がいいという、これはもう学生時代から、高校生のときもいわれてましたし、大学生のときもいわれてました。私自身は余り興味がなかったのと、そんなに家庭が裕福じゃなかったんで行かなかったというのはあるんですが、少なくとも行きたいと思っている人たちはたくさんいたんです。行きたいと思っている人たち、多分東京都内で探せば、高校生は本当にたくさんいるんじゃないかなと思うんです。
 実績は実に伸びている。まだ二年目ですから、伸びてきておりますし、これからまたさらに伸ばしていっていただけるんだと思うんですが、とはいえ、二年目の中での執行率、積み上げた予算に比べると執行率は五四・六%ということで、もっともっとふやしていく。活躍の場というか、執行率を上げていくというふうに余地があるんだと思います。
 まだ二年目ということで、なかなかいろいろ調べながら、試行錯誤しながらということだと思いますけれども、この補助金をもっともっと活用されるようにいろんな工夫をしていかなきゃいけないと思いますけれども、今の時点でどのような取り組みを行っているのか伺いたいと思います。

○加藤私学部長 都は年二回申請を受け付けるほか、各学校に周知を図るとともに、この制度の活用を希望する学校に対しましては個別丁寧に説明を行っております。
 また、本制度は三カ月、六カ月、一年間という留学期間に応じまして、それぞれ五十万円、七十五万円、百五十万円という段階的な補助金額を設定し、申請限度額を一校当たり五百万円としておりましたが、学校現場からの声もあり、より多くの生徒の海外留学へつなげられるよう、今年度から申請限度額を六百万円に引き上げたところでございます。
 このようなさまざまな工夫により、補助制度の一層の活用を働きかけております。

○あさの委員 今のように、各学校にちゃんとヒアリングをしながら、もちろんやっていらっしゃるというのは非常にいいことだなというふうに思います。そして、制度の周知もどんどんどんどん進めていっていただきたいなと思います。
 先ほど申し上げましたが、この補助金、伺ったところによると、一定の所得未満の世帯に対して加算をしていくという制度はあるそうなんですけれども、あくまでも留学費用の一部を補助するという形の趣旨でやっているんです。もちろん、本人の勉強のためですから基本はそれでいいんだとは思うんですけれども、例えば、物すごく意欲はあるんだけれども、何せ自分のおうちの家庭の経済状況から考えると、一部とはいえ、留学費用を負担するのはなかなか難しいという家庭も当然あるんだと思うんです。あるいは、本人は物すごく意欲があるんだけれども、親の教育方針で、いいじゃん、高校に行かせてやっているんだから、それで十分じゃないかと。何で留学までするんだと。外の学校、外国の学校なんか行きたけりゃ、おまえ大人になってから行けみたいなところもあるかもしれません。
 でも、東京都としてこういう制度をつくっているということは、やっぱり早い段階でいろんな形で世界を見に行く、あるいは語学留学のチャンスをとれるんだったら、それをとらせてあげようという趣旨でやっていらっしゃるんだと思うので、いろんな、まあ先ほどいった親の教育方針の場合はなかなか難しいとは思うんですけれども、少なくともいろんな一定条件、例えば、家庭の経済状況であったりとか、あるいは本人が著しく優秀であったりとか、さまざまな条件があって、まあ、国の制度等もあるでしょうから、その中で考えるんでしょうけれども、ぜひ留学したいと思った人が一部でも負担するんだったら、ちょっと無理だなって諦めることがないように、今後は、例えば選抜試験を行ってみて、私学全体で選抜試験を行って一定の人数枠だけはただで行かせてあげられるみたいな、何かちょっといろんな知恵と工夫をして、留学費用の自己負担が全くないよ、そういう枠があるよとかということも含めて補助制度というのも検討していっていただきたいなというふうに思います。
 では、最後に東京都育英資金について伺いたいと思います。
 これは、もう私も昨年の四定でもやっている話なんですけど、まず平成二十六年度、育英資金の返還率について伺いたいと思います。

○加藤私学部長 平成二十六年度につきましては、返還期日が到来した貸付額のうち、八九・八%が返還されてございます。

○あさの委員 決算の情報ですと、いろんなところに情報がまたがっておりまして、予算の歳入レベルで見ると、何か一〇〇%に近いとか、いろいろ数字があるんですが、少なくとも期日が来たもので返してもらって、返していただいたものというのは九割弱という数字になったというふうに今わかりました。
 これは、先ほどもいったように、私、去年の昨年の四定の一般質問でもさせていただいているんですけれども、東京都は父、母以外の第二連帯保証人を立てることを貸付要件としているんです。正確にいうと、貸付終了時、恐らく高校卒業の時点のときに第二連帯保証人を立てられなかった場合については全額一括返済、返還してくださいと。さまざまな条件で多少の逃げ道はあるのかもしれませんが、基本そういった方針でやっていらっしゃいます。
 これも昨年の四定でいっているんで簡略化していいますと、一般の企業の金融機関に対しては、もう既に金融庁がもう何年も前にやっちゃだめよと。たしか信用組合で平成十六年か何かでやめますっていってて、その後、もうほぼ、ほとんどの金融機関がお金、事業で貸し付けるものに対して、第三者保証といわれる経営者以外の保証人を立てるということは求めませんと。金融庁も基本的にそれはやっちゃだめですよといっていたんです。これは、もう長らく国会でもかなり昔から問題になっていて、もう世界中でそんなことやってるのは、もう本当数えるほどしかないと、そんな野蛮なことやらないと。誰か一人が失敗したら、それと軒並み連鎖してほかの人たちまで被害が及ぶようなことはやりませんというのが、ずっと流れで、もうそうなってきていると。
 そんな中で、どうしても東京都の育英資金は、この第三者保証、まあ第二連帯保証人といういい方ですけれども、詳しくいえば、父、母であっちゃいけません、別生計でなければいけませんということになっておりますので、かつ就職してなきゃいけませんという条件がついておりますので、そうなると、非常に借りづらくなってしまうんじゃないかなと。
 今の時代、特に保証人を求めるというのは本当嫌がられるということなんで、その時代の流れを反映しているからこそ、例えば、賃貸でおうちを借りるにしたって保証人を立てずにお金を払って保証してくれる団体をやってくれればいいよという場合もあるわけですから。そうやって社会が変わっている中で、これが残っているというのはどうかといつも思ってしまいます。
 そこで、育英資金の債権回収ということで、実際に返還してもらうということについて、この第二連帯保証人制度でやっている場合、どのような場合に活用されているのかということをちょっと確認したいと思います。

○加藤私学部長 育英資金貸付事業におきましては、返還金が新たな貸付原資となりますことから、連帯保証人制度を設け債権回収に努めておるところでございます。
 第二連帯保証人制度は、第一連帯保証人である親権者以外に連帯保証人を立てていただくことで、より確実な回収を可能とするために設置しているものでございます。
 これまで、借り受け者本人が自己破産し、第一連帯保証人である父親が死亡してしまったため、第二連帯保証人が返還した事例や本人及び第一連帯保証人である父親が行方不明となってしまったため、第二連帯保証人が返還をした事例などがございまして、この制度は有効に機能しているものと認識しております。

○あさの委員 原資となるものはもちろん税金、公金でありますし、それを確実に回収することで次の人たちにつなげていかなければいけないという中で運用してるんですから、そのこと自体を云々いうつもりはないんですが、ただ、先ほどいった事業の例でいけば、借りているのはさっきいった本人なんです。本人が担保等を提供して、社長さんが借りる。そのほかの第三者保証を求めないよといっているんですが、今回、実は借りているのは学生本人なんです、高校生本人なんです。高校生本人が借りて、大学や何かに進んだ場合は、もちろん、猶予期間がちゃんとあって、本人が借りた上でお父さんやお母さんを保証人として立てているんです、連帯保証人として。その上で、さらにもう一人立てないと一括返済しなさいっていってるのは、やはりちょっと僕は乱暴だなという気がするんです。
 例えば、福祉保健局がやっている事例で、この東京都育英資金のご案内の裏面にも類似制度のご案内載ってますけれども、東京都母子福祉資金とか東京都父子福祉資金といわれるもの、これは福祉資金だから色合いが違うというかもしれませんが、こちらは原則第三者保証を求めないんです。第二連帯保証人は求めませんと。お父さん、お母さんであればいいですよという形になっています。
 ですので、じゃあ、ここの回収実績、そんな悪いかというと、そんなことないんです。結構ちゃんと返ってきてます。同じぐらいの数字が出てます。
 そういったことを考えると、やはりこれから先こういった決算のタイミングで、第二連帯保証人の活用がどのくらいこの回収率の数値に影響を与えているのかということは不断のチェックをしていただく必要があるんだと思うんです。それをちゃんとチェックした上で、この保証人制度、あってもなくても影響がないのかなと。つまり、この第二連帯保証人を求めるという制度があることによって、先ほどのお話の中にありましたけれども、例えば、一番最初に挙げた事例です。
 本人が自己破産して、しかも第一連帯保証人は亡くなっている場合って、普通、これはもう債権で追いかけられませんねで終わっていい話だと思うんです。それをわざわざもう一人に振るというのは、確かに貸すという名目としてわかるんですけど、そうはいったって影響をどんどん人に及ぼしていくというのは余りいいことじゃないんじゃないかなと。これは状況として仕方がない場合は、それで切る。これはもうほかの病院経営本部だって何だって、いろいろ私債権放棄だって、東京都、結構年間でいっぱいのお金を、これはもう取れませんっていって諦めてるのいっぱいあるんです。就学のために貸すお金に第二連帯保証人までつけて確実に回収できるようにしますというのは、どうも東京都全体が今やってることからすると、少し違和感を感じるのが私の印象です。
 これから先いつか、もちろんこれまで積み上げてきた実績というのがあるでしょうから、今すぐ云々とかという、本当はいいたいけれども、今すぐ云々とはいいませんが、少なくともきちっとこの検証をして、分析をして、第二連帯保証人制度というのが存在することがそんなに債権回収、あるいは育英資金という制度を維持していくために、どうしても必要なのかどうか、もう一度検討していただくことを要望いたしまして、私からの質問を終わりたいと思います。

○山内委員 私からは、まず子供の事故防止に向けた商品の安全対策についてお伺いしたいと思います。
 都は、これまで商品等による子供の事故を回避するため、収集した事故情報をもとに子育て中の保護者や事業者に対して情報の発信を行うとともに、商品の改善につなげています。
 特にだっこひもに関しては、昨年度の東京都の商品等安全対策協議会の提言を受けて、製品安全協会の安全基準の改定につながったことは大きな成果です。
 だっこひもはマスコミに取り上げられ、注意喚起するリーフレットが小児科医の掲示板に張られたり、口コミなどによって子育て中のお母さんたちに広く知られました。
 都は、子供の事故情報をどのように収集しているのかお伺いいたします。

○山本消費生活部長 子供の事故につきましては、報告や相談につながりにくい傾向がございます。これは、保護者が自分の不注意など自身の責任と思っている場合が多いためでありまして、このことは都が行ったこれまでのさまざまな調査で明らかになっております。
 このため、子供の事故事例の収集につきましては、都内を初め全国の消費生活センターに寄せられる相談情報だけでなく、東京消防庁の救急搬送事例や病院の受診事例など、関係機関から積極的に収集しております。
 また、日常生活に潜む危害、危険情報を掘り起こすため、子供を持つ保護者などを対象にテーマを定めて、ヒヤリ・ハット調査を継続して実施しております。

○山内委員 得られた事故情報を活用し、子供の事故の未然防止に向けて消費者への注意喚起を積極的に行うべきと考えますが、二〇一四年度の都の取り組みについてお伺いいたします。

○山本消費生活部長 収集しました事故情報のうち、消費者の安全意識の醸成が事故防止につながるものについては、ヒヤリ・ハット調査結果に基づき事故を防止するポイントをまとめた事故防止ガイドを作成し、配布しております。
 平成二十六年度は、乳幼児の転落・転倒事故防止ガイドを四万部作成し、都内の全ての幼稚園、保育所などに配布して、各家庭への周知をお願いしております。
 さらに、家の中に潜む危険を目で見てわかるように再現した住宅模型を製作し、親子を対象としたイベント等で活用するなど、安全意識を高める取り組みも行っております。
 このほか、暮らしにかかわる東京都の情報サイトである東京くらしWEBや消費生活情報誌「東京くらしねっと」などを活用し、事故事例とともに事故防止のための具体的なアドバイスを掲載して、積極的に注意喚起を行っているところでございます。

○山内委員 子供の事故の未然防止のためには消費者への注意喚起も重要ですが、事業者による商品の安全対策が何よりも重要です。都の取り組みについてお伺いいたします。

○山本消費生活部長 商品等の安全対策を推進していくためには、事故事例をもとに実効性のある対策を講じていく必要がございます。そのために、事業者団体との連携や学識経験者の専門知識の活用、消費者の意見の反映等により、安全なものづくりに結びつく基準を定めることが重要でございます。
 そこで、都はこれらの関係者を構成員とする商品等安全対策協議会を開催し、取り組みを進めてまいりました。これまで協議会でまとめられました提言を踏まえ、都が国に要望した結果、使い捨てライターのチャイルドレジスタンス対策を実現する法規制化や子供服のフードやひもなどのJIS規格化の動きにつなげることができております。
 平成二十六年度は、だっこひもの安全対策に取り組み、先ほどお話のありました安全基準の改定に加えまして、正しい使用方法の啓発活動等の安全対策に取り組む事業者団体が立ち上がるなど、具体的な成果を上げてございます。

○山内委員 まさに昨日、商品等安全対策協議会は、ボタン電池の包装、パッケージですね、これを強化する、子供が簡単にあけられないようにするということを業界に求めました。ボタン電池の誤飲事故が相次ぎ、乳幼児が誤って飲んでしまうと、食道に詰まりやすく、食道や気管、胃などに穴があくおそれがあり死に至ることもあることから、都はアンケート調査や事故再現実験を行い、パッケージの安全性に問題があるとして業界団体やメーカーに改善を求めました。
 子供の商品等の安全対策は非常に重要であり、今後も取り組みに努めていただきたいと思います。
 子供は、周りの大人からすると思いがけない行動をして不慮の事故に巻き込まれることが多いです。例えば、都内では小学二年生の男児がドラム式洗濯機の中に閉じ込められて亡くなるという事故が起きました。また、水で膨らむボール状の樹脂製品を誤飲した幼児が十二指腸閉塞を起こして開腹手術をして摘出するという事故も起きました。
 この水で膨らむボールというのは、玩具として、ぷよぷよボールだとか水で膨らむビーズなどの名前で販売されていたり、金魚すくいのようにすくって遊んだりするものから、植物の栽培用のビーズやビーズタイプの芳香消臭剤などにも用いられており、色はとてもカラフルで、見た目はキャンディーやグミのようなものです。
 海外では事故もあり、二〇一二年から日本中毒情報センターでは注意喚起を行ってきましたが、なかなか情報が行き届かずに重篤事故につながってしまいました。ランニングバイクとかストライダーなどと呼ばれるペダルもブレーキもない幼児用自転車の事故も起きています。
 しかし、先ほどご答弁があったように、子供の事故は重症でなければ救急車は呼ばないし、ほとんどの保護者は自分の不注意のせいだと自分を責めます。メーカーに連絡するということがないというのがとても残念でなりません。
 核家族で育ち、初めてだっこするのが自分の子供という人がほとんどで、赤ちゃんの扱いになれていないと専門家は指摘しています。経験が少ない中で頑張っている人たちを応援するためにも、都は率先して業界とともに子供の事故につながるような商品はつくらせない、つくらないという未然防止の観点に立つ商品の基準づくりを進めていただきたいと思います。
 また、福祉保健局では、乳児や三歳児健診の際に、子供に安全をプレゼントというリーフレット等を配布して、子供の周囲にある危険を知らせています。生活文化局で作成してる今回のだっこひものチラシやヒヤリ・ハットのリーフレットなど、商品等の注意喚起の情報も一緒に配布するなど、ぜひ福祉保健局と連携して子供の事故防止につなげるよう要望いたします。
 次に、情報公開の推進についてお伺いいたします。
 情報公開制度は、都民と都政を結ぶ接点として重要な役割を果たしており、行政情報を公開することは今や当然のこととなっています。
 東京都では、一九八四年の公文書開示条例制定以来、情報公開の制度を三十年運用しており、開かれた都政を推進していくための一つのツールとなっています。
 情報公開制度の大きな柱である公文書開示請求について、開示決定等の件数の推移を見てみると、十年前は三千件台で推移していたものが、二〇一〇年度以降は一万件を超える状況になっています。しかし、ここ数年は依然として高い水準にあるものの、件数自体は減少傾向にあります。この理由についてお伺いいたします。

○濱田都政情報担当部長 情報公開制度を総合的に推進していくためには、公文書の開示請求に対して適切に対応するほか、都民からの開示請求を待つことなく情報提供に取り組んでいくことが重要でございます。都は、これまでも同一の公文書について繰り返し開示請求がある場合などは、都民からの開示請求によることなく積極的に情報提供を行ってまいりました。
 特に一件当たりの文書量が多く、開示請求件数の約半分を占めていた工事設計書を、平成二十五年十一月から、建設局について開示請求によらず閲覧できる取り組みを開始いたしました。これにより、平成二十五年度は千六百八十八件であった建設局の工事設計書の開示決定等の件数は平成二十六年度は九百七件と、ほぼ半減し、開示決定等全体の減少につながったものと考えております。

○山内委員 工事設計書の情報について公文書開示請求をするまでもなく閲覧できるという方法は、迅速かつ容易に情報を入手できるという意味でサービス向上につながります。開示請求の件数が減っている原因として積極的な情報提供がされていることは重要な取り組みと考えます。
 都民、特に事業者からのニーズが高い工事設計書について、現状の情報提供がどうなっているのかお伺いいたします。

○濱田都政情報担当部長 工事設計書の情報提供は、平成二十六年度は四千九百七十一件となり、平成二十七年度は新たに水道局と下水道局が開始したことから、四月から九月までの半年間に全体で四千九百四十七件と、ほぼ前年度一年間の実績に迫る状況となっております。今後とも情報提供を一層進めていくことで、都民サービスの向上に努めてまいります。

○山内委員 都民が簡便にアクセスできる都政の情報が拡大していることは望ましいと考えます。都の情報公開条例にも情報公表や情報提供施策の拡充といった規定を設けており、こうした取り組みをさらに広げていっていただきたいと思います。
 条例の目的規定にある都民に対する説明責任や都政への都民参加という観点から、生活者ネットワークは、かねてから意思形成過程の情報公開を求めています。都の長年にわたる取り組みの積み重ねの中で情報公開の総合的な推進が図られてきているのであり、公開度のレベルアップをさらに要望いたしまして、私の質問を終わります。

○谷村委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時休憩

   午後三時十五分開議

○谷村委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○両角委員 それでは、私から質問をさせていただきたいと思います。
 まず、広報について伺います。
 平成二十六年度事業ということで生活文化局では広報事業を展開しているわけですが、平成二十六年度の事業の目的と事業概要と事業効果につきまして、まず伺わせていただきます。

○樋渡広報広聴部長 都の広報活動は、施策の内容等を全ての都民に対して正確に、わかりやすく、そしてタイムリーに伝え、都政に対する理解と関心を高め、都の施策、事業の円滑な推進を図ることを目的に実施しております。具体的には「広報東京都」、都政広報番組、都庁総合ホームページなどを活用し、広報を展開しております。
 都が毎年実施しています広報広聴活動に関する調査によりますと、「広報東京都」については、記事がわかりやすいという回答が約八割、都庁総合ホームページについては、デザイン、レイアウトが見やすいという回答が約六割、さらにテレビ番組につきましては番組ごとのモニター調査を実施しており、番組内容がわかりやすいとの回答がおおむね九割前後となっております。
 これらの結果から、事業効果が得られていると考えておるところでございます。

○両角委員 二十二億円ぐらいかけて、主たる媒体として「広報東京都」、あとテレビ・ラジオの番組、ホームページ、三本柱ということで事業効果があるということでございました。
 次に、都広報の役割分担ということで伺いたいんですが、広報事業につきましては、生活文化局だけでなくて各局とも実施をしているわけでありますが、都広報における生活文化局と各局の役割分担につきましてどのように捉えているのかお伺いをします。

○樋渡広報広聴部長 生活文化局は各局の広報ニーズを集約し、広く都民に対し広報すべき都政の重要課題について「広報東京都」、都政広報番組、都庁総合ホームページ等を活用した重層的な広報を展開しております。
 一方、各局の広報部門は、各局が所管する具体的な事業のターゲットに応じて適切な媒体を選択し、広報を展開しております。
 両者が連携協力し、効果的かつ効率的な広報活動を実施しているところでございます。

○両角委員 広報の活動に当たりましては、さまざまな媒体があります。この媒体は目的により使い分けているというふうに思うわけでございますけれど、平成二十六年度における各媒体の活用実績を伺います。また、媒体ごとの活用方針についてあわせてお聞きをいたします。

○樋渡広報広聴部長 「広報東京都」につきましては、年十二回、一回当たり四百六万部発行し、決算額は六億二百六十九万六千円でございます。世代を問わず、都政の重要施策について、わかりやすい解説や都民生活に必要なお知らせ等を定期的にかつ確実に都民の手元に配布してございます。
 テレビ、ラジオなどの都政広報番組につきましては八番組を提供し、決算額は十五億八千八十二万九千円でございます。最も身近で高い訴求力を持つ媒体であり、ターゲットに応じて都政情報をわかりやすく発信することが可能であると考えております。
 都庁総合ホームページにつきましては、アクセス数は約一億四千六百万件で、決算額は二千八百二十七万六千円でございます。インターネットが持つ情報の検索性を活用し、都政全般や都民生活等にかかわる情報を迅速かつわかりやすく公開しております。
 いずれも目的、対象、内容に応じまして、時期や媒体の特徴等を勘案して適切に選択し、効果的な広報を展開しているところでございます。

○両角委員 ご回答いただきまして、媒体ごとの性質、特徴がありますから、それを生かして適切に行っているということでございました。
 テレビは大変影響力が大きいです。テレビ、六番組持って、ラジオ二番組ということなんですが、大体短いスポット、三分、四分で都政情報を伝えるものと三十分物でもう少し詳しく東京の情報を出していくというような番組というのはありますけれど、テレ朝が一個あって、四分。その間に、十四時から十四時四分までテレ朝のスポットみたいなの入っているんです。キー局の番組を見ていれば、つなぎでばっと変わるときに東京都の情報が入ってくると見るのかなと思います。
 一方で、大体テレビ東京とかMXが多いんですけれど、なかなかMXとか見ないなという感じもするので、費用対効果を考えてそこら辺よく分析して媒体を選んでいただきたいというふうに思いますし、一方で、ツイッターは即時性があって簡単に情報が早く出せるということでありますから、ぜひツイッターなども有効に使っていただきたいと思います。
 媒体につきましては、紙の媒体やホームページや電波、それぞれの性格を見きわめて使っていただくわけですけれど、常に、時には媒体の見直しというのも進めていただきたいと思います。
 次に、広報事業の評価ということで伺いたいんですけれど、行政の目的は、社会的な課題やニーズに対して政策をつくって実行して課題解決、あるいはそのニーズを満たしていくことである、そのように私考えておりますが、そういった意味で広報事業も必要な目的達成のために人や予算という資源を投入して事業を実施しているわけであります。当然に効果を上げていかなくてはいけないということだろうと思いますが、広報事業の効果の測定や評価というのはどのように実施しているのか伺いたいと思います。

○樋渡広報広聴部長 事業実施に当たりましては、「広報東京都」の配布状況、テレビ、ラジオの視聴率、聴取率、都庁総合ホームページのアクセス件数、それから毎年行っております広報広聴活動に関する調査の結果などを踏まえまして検証しておるところでございます。

○両角委員 広報の評価ってなかなか難しいと思うんです。例えば、広報紙を何万部発行したということは一つの指標になりますけれど、それが何人の人に届いて、その結果、その人たちが都庁に例えば問い合わせがあったというと、また一段階違う効果があったと。その上で都政への理解が深まって都政イベントへの参加がふえたといったら、これは本来的な効果である。つまり、アウトカムの指標が出てくるということだと思うので、そういった意味で広報の効果を有効に捉えられるような評価を研究というのも進めていただきたい、そのように思います。
 次に、災害時等の外国人向けの広報ということで伺います。
 東京には、さまざまな国籍の外国人の方が暮らしているわけでありますが、災害が多い東京において外国人が安心して暮らしていくためにどのような情報提供や、そのための備えを行っているのか、平成二十六年度の取り組みを伺います。

○山中都民生活部長 都は東京都国際交流委員会のホームページにおきまして、避難場所の事前確認の必要性や非常時に持ち出すべき品目のリストなどの防災に関する情報を英語、中国語、韓国語、易しい日本語で在住外国人に対しまして提供しております。
 また、災害が起きた場合に備え、災害情報の翻訳や避難所等での通訳を行う東京都防災語学ボランティアを登録し研修を行うとともに、東京都国際交流委員会等との通信手段の確認や災害情報の翻訳などを行う外国人災害時情報センターの設置訓練を実施しております。
 さらに、区市町村、国際交流協会、外国人支援団体等が一堂に会する連絡会を開催し、外国人向けの防災訓練の実施やその内容について周知するなど、外国人支援のための情報提供を行っております。

○両角委員 平時、災害に備えた情報提供、あるいは災害時に対応ができるようなさまざまな取り組みをやられているということなんですが、外国の方が大勢暮らしていらっしゃいますので、できれば今、三言語でありますけれど、さらに世界的な言語であるスペイン語とかポルトガル語とか、そういった対応もでき得れば今後さらに充実をしていただきたいと思います。
 次に、東京の魅力を高める文化施策ということで伺っていきたいと思いますけれど、まず初めに、都の文化施設の魅力向上策ということで伺います。
 東京都では、東京都美術館など七つの文化施設を設置し、指定管理で運営がなされているわけでありますが、これらの施設は、個々に見ると、どれも大変魅力的だと思います。しかしながら、他の施設等と連携をした取り組みをすることでさらなる魅力向上が図れると思います。
 そこで、都の施設の魅力を高めていくために、平成二十六年度、区市町村や民間施設と連携してどのような取り組みを行ったのかお伺いをいたします。

○越文化施設改革担当部長 都立文化施設では、区市などの公立の文化施設や民間の文化施設などと連携し、一冊で都内の美術館や博物館などに入場できたり、割引券が利用できる東京・ミュージアムぐるっとパスを発行しております。
 平成二十六年度は、都立文化施設を含め七十八の施設が参加し、販売実績は三万三千百三十冊、利用実績は延べ二十二万三千二十人でございました。
 また、そのほかにも、例えば東京都写真美術館が渋谷、恵比寿、原宿エリアの文化施設から成る、あ・ら・かるちゃー文化施設運営協議会に参加し、シンポジウムを開催するなど、区市町村や民間の施設とさまざまな連携事業を実施しております。

○両角委員 連携事業をさまざまやられていて、特にこのぐるっとパスでございますけれど、平成十五年からスタートをして、もう十年以上の歴史があります。二千円で最初の利用から二カ月間、いろんな施設、今七十八施設連携しているということで、大変いいアイデアで、大勢の方が利用されているということなんですが、私も国立博物館とか大好きですからよく行くんですけれど、これ割引入場なんですね、国立は。私の地元の夢美術館というのは、これでただで入れます。そういう形になっているんです。
 でき得れば、このぐるっとパスも二千円で二カ月のほかに、五千円で六カ月とか、あるいはさらにもっと特別展も見られるものについてはゴールドチケットとか、さらにもう何でもフリーで見られるプレミアムチケットとか、要はちょっとさまざまなニーズに対応ができるような工夫も考えていただきたい、そのように思います。
 施設、個々にすばらしいわけでありますから、一足す一、アイデアをもっと出せば一足す一が三にも五にもなるということで、今後のさらなる充実とした取り組みを期待させていただきたいと思います。
 引き続いて、上野地区の魅力向上策ということで伺わせていただきたいんですが、上野は国立、都立の文化施設等が集積をして、東京のみならず我が国を代表する芸術文化地区というふうになっているわけでございますけれど、しかしながら、これらのポテンシャルが十分に発揮をされているとはいいがたい状況にある、そのように思います。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック大会に向けて海外からの来訪者も大きくふえることが予想される中で、東京から芸術文化の発信をして上野地区をより魅力的な芸術文化ゾーンとしていくための戦略的な取り組みが求められていると思います。
 そこで、平成二十六年度に上野地区の芸術文化ゾーンとしての魅力を高めるために実施をした取り組みの目的、概要並びに効果についてお聞きをいたします。

○鳥田文化振興部長 上野では、都や文化庁、上野公園にある美術館、博物館、JR東日本、上野観光連盟等を構成員として国内外からの集客を目標に、上野「文化の杜」新構想推進会議を設置しております。
 この会議では、観光客等の利便性を高めるための共通入館券の発行や上野文化の森を発信する情報ポータルサイトの構築など、各施設の連携により相乗効果を増大させるための方策を協議し、平成二十六年八月に中間報告を取りまとめました。
 今後、さまざまな主体により形成されたこのネットワークの活用を図ってまいります。

○両角委員 上野「文化の杜」新構想推進会議が設置をされたと。中間取りまとめが出されたのが平成二十六年度の成果だということで、伺いましたら、国立、都立もろもろの文化施設、あるいは公園、動物園あるわけですけれど、国との連携をして抜本的にお話し合いをするようなテーブルというのは初めてできて、担当の方に伺うと、これは大変画期的なことだということでありましたから、大変に評価をしたいと思いますし、期待をいたしたいと思うわけであります。
 東京都からも生活文化局と建設局の方が、部長さんですか、参加をされているわけです。この報告を見ると、まさに、本当にこれはやるべきだな、こういうことが課題だな、こういうことをやっていかなくてはいけないなということがしっかりと指摘をされているというふうに感じます。
 私、やっぱり大切なのは、もちろん国立、都立施設含めてコンセプトを持って取り組んで連携していただくことは大切ではありますけれど、あそこの上野の森全体の雰囲気が大変すばらしいので、その雰囲気づくり、そして統一したデザインの中で文化の雰囲気を楽しめる、そういったことが必要ではないかと思っております。
 建設局も入っていらっしゃいますから、よく連携をして、この実行体制、実施を進めていっていただければなというふうに思っております。
 次に、東京都長期ビジョンでの文化プログラムの展開の記述ということでお伺いをします。
 オリンピック憲章では、オリンピックの開催都市に文化プログラムの実施を義務づけております。都は、昨年十二月に発表いたしました長期ビジョンの中で文化プログラムの推進をうたっているわけであります。そこでは、人が集まる交差点や地下街等、これまで例のない場所での事業展開など、都市自体を劇場とした先進的で他に類を見ない文化プログラムを実現と野心的な表現がなされております。
 そこでお聞きをいたしますが、これまで例のない場所でのほかに類を見ないプログラムとは、わくわくと期待が膨らむわけでありますが、どのようなものをイメージしているのか伺います。

○鳥田文化振興部長 都は、現在、二〇一六年リオ大会終了後から始まる文化プログラムを先導するリーディングプロジェクトに取り組んでおります。その一環として先日行われた東京キャラバンでは、開放的なスポーツ施設でバイオリンと三味線、ロボットと能楽師など、ふだん交わることのないものが融合した芸術性の高いパフォーマンスが披露され、多くの観客に楽しんでいただきました。
 今後、二〇二〇年に向けましては、大会組織委員会や国、他の自治体、民間などとさまざまな主体と連携いたしまして取り組みを進めてまいります。

○両角委員 リーディングプロジェクトに今取り組まれてるということで、東京キャラバン、先日行われたわけでありますが、知事も大変、これリオでやったらみんな驚くぞというような話をされてましたが、ぜひこの記述に負けないような知恵を出して、すばらしい文化プログラムを展開していけるようにして、お願いをしたいと思います。
 続いて、ワークライフバランスについて伺います。
 我が国全体としても、ワークライフバランスというものが求められる時代になってきているわけでありますけれど、生活の質を高めるというような働き方が今求められてきていると思います。都でもワークライフバランスを推進しているわけでありますが、平成二十六年度の取り組み実績と効果について伺います。

○斎田男女平等参画担当部長 これまで都は、男女平等参画のための東京都行動計画に基づき、ワーク・ライフ・バランス実践プログラムを作成し、企業等への普及啓発を図ってまいりました。平成二十六年度は、男性も女性も仕事と仕事以外の生活との調和がとれ、その両方が充実している社会を実現するため、女性の活躍推進と働き方の改革に向けた新たな取り組みを展開しました。将来を担う若者が早期のキャリア形成とワークライフバランスの重要性を学ぶことができるよう、大学などの授業で活用できる教材や夫婦がともにワークライフバランスを考えるための冊子を作成し、啓発を推進しております。
 また、女性の活躍推進には男性の育児への参加が重要なことから、育児に必要な知識などを提供する男性参画講座を実施いたしました。参加した男性からは、家庭で大事にすべきことは何かを改めて考えることができたとの声も届いておりまして、一定の効果があったものと認識しております。

○両角委員 二十六年度は、大きくいうと、三つの事業を展開されているということでありました。男女参画講座、大変いいと思うんです。こういったワークライフバランスといったときに女性にばかり視点を当てないで、男性の働き方とか協力の仕方みたいなこともちょっと意識改革ができるようにしていただければと思います。
 また、大学の教材というのは、ダウンロードができるようなデータでつくっているということなんですが、実際にそれがどこまで活用されているのかというのが把握をされていないようでありましたので、そこはすばらしいものをつくっても、実際にダウンロードして活用されているんだというような、そんな把握はぜひとも進めていただきたいと思います。
 この冊子につきましても十四万近くの部数を発行しているということで、大変よくできているわけでありますから、どんどん活用していただきたい。
 そして、お願いとしては、こういったものは長い間続けてやって意識の改革をしていかなくてはいけないというものだと思いますので、ワークライフバランスの施策について途切れさせないで、さらに継続をして続けていただくようにお願いをいたします。
 引き続いて、生活文化局が東京都におけるワークライフバランスの推進所管ということでありますから、今、生活文化局は、多羅尾局長を筆頭に四百人ほどの体制だと伺っております。女性も大変多い職場、六、四で男女比だというふうにも聞いております。
 そこで、生活文化局は、多羅尾局長を筆頭に管理職の皆さんのワークライフバランスというのは、その意識は他局に比して抜きん出ているのはもちろんのこと、働き方についても他に先んじた取り組みがなされているというふうに思うわけでありますけれど、平成二十六年度、局の取り組み状況を具体的にお聞きします。

○武市総務部長 局におけるワークライフバランスを推進するため、平成二十六年度は局の方針としてワークライフバランスの推進に積極的に取り組むことを打ち出すとともに、局の幹部会議や研修等の機会を通じましてワークライフバランス推進に向けた職員の意識改革を図りました。
 また、あらゆる機会を通じて職員の計画的な休暇取得を促したり、全庁一斉定時退庁日に管理職が職場を巡回して声かけをするなど、超過勤務縮減に向けた職員への働きかけを行いました。

○両角委員 ご答弁いただいたんですけど、職場を巡回して声がけして超勤してないかなんていう、取り組みが結構かたいですよね。自然体でやっていただけるといいかなと。
 局長が仕事の仕方とか休日の過ごし方とか、部長の地元での地域活動、こんなことやってるんだよ、何か格好いいなと、充実してるなと、背中を管理職の皆さんは職員の皆さんに見せていただいて、意識を、ああ、さすが生活文化局というふうに進めていただくように要望したいと思います。
 次に、市民活動ということで伺わせていただきたいと思うんですけれど、今や行政だけで物事を決めていく時代ではありません。社会の各分野で民の力、民間の力、特に市民活動の力というのは大変大きな役割を果たしていると私は思っております。私も民の力を生かすということをテーマに政治活動をさせていただいております。
 そこで、まず平成二十六年度の都のボランティアやNPO等の市民活動への支援について、実績並びに効果を伺います。

○山中都民生活部長 都は、東京ボランティア・市民活動センターを通じて、ボランティアやNPOなどの市民活動に対しさまざまな支援を行っております。具体的には、ホームページや広報紙による市民活動団体、NPO法人に関するイベントや人材募集の紹介、NPOの設立、運営に関する講座の開催やさまざまな相談への対応などでございます。
 実績といたしまして、平成二十六年度におけるホームページのアクセス件数は百三十六万六千三百七十七件、相談件数は一万四千二百十一件となっております。
 NPOなどの実務者向けの講座受講者からは、私の知り得なかったことが理解でき、たくさんの気づきがあり、他の方の活動内容から勉強になった、仕事にすぐに生かすことができたなどの声が寄せられており、支援事業の効果が得られていると考えております。

○両角委員 都は市民活動に対する支援を行うと同時に、特定非営利活動促進法に基づく法人の設立の認証や認定、さらには法人に対する指導監督を行っているわけでありますが、平成十年にNPO法が議員立法で成立をしまして、そのときNPO元年といわれてからもう十五年以上をたったわけであります。
 この間、市民活動の状況も大きく変化をしている、そのように思うわけでありますが、そこで、市民活動に対する都の認識と市民活動施策に関する課題といったことについて伺いたいと思います。

○山中都民生活部長 二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催や少子高齢社会の進展など、さまざまな課題に対応していくことが求められている状況におきまして、ボランティアや市民活動の重要性はますます高まっていると認識しております。
 都は昨年策定した長期ビジョンの中で、二〇二〇年大会を契機にボランティア機運を醸成するとともに幅広い市民活動への支援を通じた共助社会の実現を目指しております。
 そのため、ことし六月に外部有識者の検討会を設置し、共助社会づくりを進めるための指針の策定に向けた検討を進めておりますが、その中でボランティア活動を促進する上での効果的な情報提供のあり方や活動する側と受け入れ側とをつなぐボランティアコーディネーター育成の充実などが課題として挙げられております。

○両角委員 市民活動の役割が大きくなってきているという認識のもと、共助社会の実現を目指しているということでございました。まさにそのとおりだと思います。東京で民の力が生きる、そんな環境整備をさらに進めていただいて、東京がさらに活力がある、安心できる輝く東京にしていただきたい、このように思います。
 最後に、消費者行政について伺わせていただきます。
 東京都の消費者総合センターについてまず伺いますが、東京都は消費生活を守るための諸施策を実施しているわけでございますが、東京都消費生活総合センターの果たす役割というのを伺います。

○山本消費生活部長 東京都消費生活総合センターは、消費生活行政の第一線の事業所として、都民の主体的かつ合理的な消費生活を支援するため、消費生活相談、消費者教育、消費生活情報の提供等を行い、東京都全体に及ぶ広域的な事業を展開するとともに、区市町村の消費生活行政を支援し、連携を深め、センター・オブ・センターズとしての役割を果たしております。

○両角委員 消費者安全法が平成二十一年に成立をいたしまして、それまで根拠がはっきりしていなかった消費生活総合センターの設置といったものが都道府県に義務づけられるようになりました。
 また、市町村もその設置に努めることが明文化をされたわけでありますが、同時に、都道府県が市町村の事務に関し技術的援助を行うことが規定をされたわけでありまして、不明確であった都の消費生活総合センターと区市町村消費者センターとの関係が明確になったというふうに考えております。
 これにより、東京都消費生活総合センターは、名実ともにセンター・オブ・センターズの役割を担ったということになるわけでありますが、東京都消費生活総合センターの平成二十六年度事業のうち、特に区市町村消費者センターとの関係での実績を具体的にお示しいただきたいと思います。

○山本消費生活部長 東京都消費生活総合センターは、区市町村の消費生活センターを対象に相談業務、消費者教育、人材育成などに関する支援を行っております。
 平成二十六年度の実績では、相談機能を支援する取り組みとして、日々の相談処理に係る区市町村からの照会に四百九十三件対応したほか、二十三区と市町村ごとに情報連絡会を開催し、都と区市町村の情報共有を図っております。
 また、消費者教育につきましては、市町村との共催で教育講座を十八回開催し、六百二十二名の参加がございました。また、人材育成については区市町村の消費生活相談員や行政職員に対し研修を十七回実施し、千六百二十三名が参加しております。

○両角委員 支援機能を果たしていただくのは、具体的にいうと相談機能支援、講座、そして研修というお話でございました。
 今、高齢者に対して、例えば、高額な布団を売りつけてしまうとか、あるいは若い人がインターネットでちょっとしたことで高額な費用を請求されるとか、そんな話が満ち満ちているわけでございまして、そうしたときに、例えば地元の区市町村の消費者センターに相談等をします。しかしながら、市区町村の消費者センターはかなりマンパワーに劣ってますから、人数も少ないんです。そういったときに実効的な解決につながるような体制、相談を受けられるように技術的な助言とか、まさにこういったバックアップ機能を果たして、センター・オブ・センターズっておっしゃっているわけですから、東京都消費生活総合センターが役割を、その面の役割をさらに充実をしていただくことを期待して質問を終わります。

○近藤委員 それでは、本日の生活文化局決算におきましては、私学の教育のハード、ソフトについて質問させていただきたいと思います。
 釈迦に説法ではありますけれども、決算というのはきちんと行政内容や執行された予算をチェックして来年の予算編成につなげるという政策の提言の大きな役割があるというふうに認識をしています。
 ちょっと余談ではありますけれども、行政評価というのは行政活動を主に市民に対しどのように成果を上げたのかという視点から客観的に評価をして、その評価結果を行政経営に反映させるとともに、市民にわかりやすく説明をすることによって市民の満足度を最大限に高めるための手法であるというふうにいわれています。
 教育の分野、世界では、行政におけるPDCAのうち、CAについては余り追及すると嫌がられる問題でありますけれども、そこは公費、すなわち税金を投入するわけでありますので、それなりの結果、効果というものを生まなければならないというふうに思っています。
 生活文化局におきましても、東京の教育行政のうち私学教育という大きな分野を面倒見ていただいています。生活文化局の歳出決算は一千九百四十七億円、そのうち私学の振興費一千六百五十五億円、大変大きな割合であります。他府県に比べ大変に厚く補助をしていただいていることには、私学関係者からも大変大きく感謝の声が届いております。
 公教育の中でも、公立、私立ともに日本の子供のために大きな責任と役割をお願いしてるわけでありますが、そこで私立学校の運営の健全化及び安全対策についてお尋ねをしたいと思います。
 私立学校は、建学の精神に基づき、それぞれの学校が独自の教育を実践しており、公教育の重要な一翼を担っております。都は、私学振興を都政の最重要課題の一つと位置づけ、私立小学校から高等学校まで経常費助成の補助を充実させていただいており、我が党もこれを強く要請しているところであります。
 そこでお尋ねいたしますけれども、平成二十六年度は私立学校経常費補助で総額約一千百六十六億円が交付されていますけれども、改めて経常費補助の目的や算定の考え方についてお尋ねしたいと思います。

○加藤私学部長 私立学校に対する基幹的補助である私立学校経常費補助は、教育条件の維持向上、保護者の経済的負担の軽減、学校経営の健全化を目的としております。各学校への補助額は、一般補助と特別補助の二つに分けて算定しております。一般補助は、各学校に共通した学校運営費を対象として教職員数や生徒数などの規模に応じて算定し、また特別補助は少人数教育や国際化の推進など、各学校における取り組みを促したい事項について、その実績に応じて算定しています。
 交付されました補助金は、教職員の人件費や教育研究経費など、都が定めた対象経費に充てることが義務づけられております。

○近藤委員 それぞれの目的に執行されたということだというふうに思います。
 私学がそれぞれ独自の教育を実践することは当たり前のことでありますけれども、一千億円を超える公費が学校の運営に投入されている以上は、それなりの教育水準を維持するとともに、健全な経営がなされてなければならないと考えます。
 耳の痛い話でありますけれども、先日、埼玉県のある有名私立学校では、学校長が学校の経費を私的に流用していたことが報道され、多くの児童、保護者の信頼や期待を裏切ったこともありました。さらには、全国の私学関係者への信頼を裏切ったということにもなると思います。埼玉県の話ではありますけれども、私はとんでもないことだというふうに思います。私学経営には国の税金も入っているわけでありますから、公正、厳正という言葉を忘れないようにしっかりとしなくてはならないんだというふうに思っています。
 来年春には、都内で初めてのインド系のインターナショナルスクールが学校法人格を取り、新規開設となるとのことであります。都の補助金の対象となってきます。さまざまな私立学校がある中で、今までとは違って生活文化局の仕事もふえてくるんだと思います。しっかりと健全経営が行われるよう指導監督しなくてはならないと思います。ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 また、これも耳の痛い話でありますが、昨日の新聞を見て驚きましたけれども、有名中高一貫校、これは都内でありますけれども、私立学校の教員が覚醒剤で逮捕されるというニュースも報道されました。子供や保護者、父兄の方は大変ショックだったというふうに私は思います。
 こういったことを踏まえて、対岸の火事とするのではなく、私立学校とはいえ公費を投入するわけでありますから、私立学校においても教育条件の維持向上や保護者の経済的負担の軽減等を目的とする私学助成の充実を図るだけではなく、都として私立学校の財務状況を確認するなど指導監督すべきと考えますけれども、都の見解をお伺いしたいと思います。

○加藤私学部長 都は私学助成に伴う監督や所轄庁として必要な指導等を行っております。具体的には、毎年経常費補助を受ける学校法人につきましては、私立学校振興助成法に基づき、都に財務計算書類の提出を義務づけています。
 また、おおむね三年に一度定期的に学校を訪問し、現場で帳簿その他の書類、補助事業により購入した物品等の検査を行っております。
 さらに、毎年、児童生徒の収容定員や学費徴収等の状況について調査を実施しており、必要に応じて指導助言を行っております。引き続き、学校運営が適正に行われるよう努めてまいります。

○近藤委員 東京都は、私立学校運営の健全化を図るため、さまざまな指導監督等を行っていることをご説明いただきました。
 一方、最近、体罰などの教員の不祥事がマスコミに取り上げられておりまして、教員の資質の向上も重要であるというふうに考えます。
 都内の私立学校には、約六十万人の児童生徒が通っているそうです。保護者からの信頼も厚い。ぜひその信頼を裏切るような事態を起こさないよう、東京都としてはしっかりと指導監督してほしいとお願いをしておきます。
 また、学校の信頼という観点でいえば、在籍する児童生徒の安全確保も大変重要であると考えます。
 そこで、次に学校の安全ということでお尋ねいたしますが、近年では集中豪雨による土砂災害も頻発しており、都は土砂災害防止法に基づく基礎調査を平成二十九年度完了を目指して進めています。調査の結果、土砂災害のおそれのある地域は、都が警戒区域及び特別警戒区域として指定することになっています。
 既に指定された区域内に存在する私立の小学校、中学校、高等学校の学校数、どのくらいあるのかお知らせいただきたいと思います。
 また、児童生徒の安全を確保するため、私立学校を所管する都はどのように取り組んでいくのか、見解を伺いたいと思います。

○加藤私学部長 土砂災害防止法に基づく指定区域内の私立小学校、中学校、高等学校数は、警戒区域に二校、特別警戒区域に十五校でございます。
 これらの十七校を初め、土砂災害から児童生徒の安全を守るためには、学校の設置者である学校法人が校舎などの安全や避難体制を確保することが基本となります。
 都は、各学校に対し、避難警戒体制を整備する区市町村との緊密な連携を図り、児童生徒の安全対策に万全を期すよう周知を図っております。
 また、各学校が外部の専門家等を活用して防災計画を作成するなど、防災力向上の取り組みを行った場合に補助する事業を今年度から実施しております。
 都は、引き続き関係機関と連携し、土砂災害対策に必要な情報を提供するなど、私立学校の取り組みを支援してまいります。

○近藤委員 想像はしたくありませんけれども、最近のはやりの言葉でいえば、想定外の想定ということを忘れてはならないんだというふうに思います。
 一たび土砂災害が発生すれば、甚大な被害が想定されます。日本はこれだけの先進国でありますけれども、残念ながら世界有数の災害大国でもあります。一つの台風が来れば、必ずといっていいくらい被災者、死者を出す大きな被害が問題になります、話題になっています。インフラの整備もおろそかにはできないんだというふうに思います。
 今ご答弁にありましたように、現状でも都内十七校だということでありますけれども、恐らく私たちの住む多摩地域に多くあるんだというふうに想像もしますけれども、その中で、そういった学校の警戒対象、これはしっかりと見ていかなければならないんだというふうに思います。
 日本の将来を担っていただく子供たちに、万が一間違いが起きてからでは遅過ぎるんだというふうに私は思っています。今後も各私立学校において円滑な避難体制の整備など効果的な土砂災害対策が講じられるよう、都としてもしっかりと取り組んでもらいたいと思います。
 また、土砂災害に限らず、震災対策など大規模災害時等の緊急事態への備えも大変重要であるというふうに認識しています。
 先ほど今年度から防災力向上の取り組みに対する補助を開始したとのお話でございましたけれども、そのほかに東京都が行っている私立学校の災害等に向けた安全対策を支援する事業にはどのようなものがあるのか、またその実績や今後の取り組みもあわせてお伺いしたいと思います。

○加藤私学部長 都は、私立学校の防災機能の強化を図るため、校舎等の耐震診断、耐震補強工事及び改築工事や天井など非構造部材の耐震対策に係る経費の一部を補助する私立学校安全対策促進事業費補助を実施しており、平成二十六年度は総額で約五十六億円を交付いたしました。
 本年四月一日現在の耐震化の状況は、幼稚園九〇・一%、小学校九六・四%、中学校九七・五%、高等学校九三・一%に達しております。
 今後も補助事業の活用により、残された校舎の耐震化等を促進するほか、大規模災害等の緊急時に各私立学校が児童生徒の安全を確保できる体制の整備を支援してまいります。

○近藤委員 今のご説明ありましたように、耐震対策につきましては大きな補助をいただいて、私学関係者の皆さんからは大変私どもにも感謝の言葉が届いていることはお伝えをさせていただきたいというふうに思います。今後、ぜひ充実することをお願いしたいというふうに思います。
 都でもさまざまな安全対策事業、私立学校への支援を行っていただいているわけでございますけれども、耐震化率はほぼ一〇〇%に近づいてきたというふうに認識をしています。そのほかの災害に対しましても万全を期して準備をしていただきたい。それをしっかりと指導監督していただきたいというふうにお願いをしておきます。
 私立学校の安全対策は、その設置者、学校法人が持てる力で責任を持って行うのは当然だというふうに思いますけれども、ただ、一たび災害が発生すれば、児童生徒だけではなく、地域の住民の避難場所にもなり得るわけでありますので、それが公費を投入した私立学校の役目であるというふうにも思います。
 都も関係機関とよく連携をしていただいて、引き続き私立学校の安全対策の推進に努めていただきたいというふうに強く要望させていただきたいと思います。
 児童生徒の生命を守り、健全な私学教育を支援するため、局長の決意を伺って私の質問を終わりたいと思います。

○多羅尾生活文化局長 東京の私立学校は、それぞれの建学の精神に基づき、長い歴史と伝統に培われた独自の校風や教育理念を通じて特色ある教育を実践し、東京の未来を支える多様な人材を育成してまいりました。こうした私立学校の取り組みを支えていくため、都は私学振興を都政の最重要課題の一つとして位置づけ、経常費補助を初め、学校施設設備に対する補助など幅広く、かつきめ細かな私学振興策を展開してまいっております。特に児童生徒の安全確保のため、耐震化については力を入れて取り組んでまいりました。
 今年度は、学校版「東京防災」を各学校に、防災ノートを全ての児童生徒に配布するなど、学校安全と危機管理体制のさらなる充実を図っております。
 また、委員ご指摘のとおり、健全な学校運営を確保することは大変重要で、中でも適正な学校運営は私学発展の基礎的な要件であると考えてございます。委員のお話にありましたような埼玉県の私立学校の不祥事のようなことは、公費の支援を受けている私立学校としては絶対あってはならないことと認識しております。都は、東京の私立学校が万が一にも都民の期待と信頼を損なうことがないよう、今後も的確に対応してまいります。
 今後も安全確保を初めとした私学助成の充実を図るとともに、適切な指導監督、助言を行うなど、公教育に重要な役割を果たす東京の私立学校の振興に全力で取り組んでまいります。

○谷村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○谷村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時六分散会

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