平成二十六年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第三号

平成二十七年十月二十一日(水曜日)
第十一委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長早坂 義弘君
副委員長山内  晃君
副委員長田中  健君
加藤 雅之君
宮瀬 英治君
斉藤やすひろ君
清水 孝治君
柴崎 幹男君
三宅 正彦君
植木こうじ君

欠席委員 なし

出席説明員
会計管理局局長塚本 直之君
管理部長片山  謙君
警察・消防出納部長植松 淳一君
資金活用担当部長久原 京子君
会計制度担当部長米今 俊信君
議会局局長影山 竹夫君
管理部長別宮 浩志君
議事部長新美 大作君
調査部長小山 明子君
主税局局長小林  清君
総務部長西海 哲洋君
税制部長加藤  隆君
税制調査担当部長池田 美英君
調整担当部長笹本  勉君
課税部長山内 和久君
資産税部長大久保哲也君
徴収部長安藤 敏朗君

本日の会議に付した事件
平成二十六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
会計管理局関係
・平成二十六年度東京都一般会計決算(質疑)
議会局関係
・平成二十六年度東京都一般会計決算(質疑)
主税局関係
・平成二十六年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十六年度東京都地方消費税清算会計決算(質疑)

○早坂委員長 ただいまから平成二十六年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する質疑を行ってまいります。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局、議会局及び主税局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十六年度東京都一般会計決算中、会計管理局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○斉藤委員 よろしくお願いします。私からは、まずエネルギーファンドについてお尋ねし、そして新公会計制度について質問したいと思います。
 初めに、都が平成二十四年度に組成しました官民連携インフラファンド及び昨年度組成いたしました官民連携再生可能エネルギーファンドについて質問をしたいと思います。
 この二つのファンド業務の所管は従来環境局で行ってまいりましたが、平成二十六年度の途中に会計管理局にファンドを所管する資金活用担当という組織が設置されまして、昨年度からは環境局から予算の執行委任を受ける形で事業を行ってきたと聞いております。
 ただ、従来から減債基金など特定の目的のために資金を積み立てている数々の基金の運用に当たりましては、安全性、流動性、効率性を重視してきました会計管理局が、いわゆるリスクマネーであるファンドへの出資に関する業務を行うことにつきましては、都民にわかりにくい面もあるのかなと思います。
 そこで、初めにお伺いします。なぜ会計管理局がファンドに関する業務を担うことになったのか、お尋ねしたいと思います。

○久原資金活用担当部長 昨年七月に発表されました東京国際金融センター構想に向けた取組の中にございます都の施策に資する官民連携ファンドの推進におきまして、今後の施策検討のため会計管理局に新組織を設置することがうたわれており、会計管理局に資金活用担当が設置されたものでございます。
 会計管理局に資金活用担当が設置された理由でございますが、ファンドに関する事業は新たな取り組みであることから、全庁的なノウハウ蓄積に向けたパイロット事業と位置づけられまして、会計管理局には金融知識を有する人材がそろうとともに資金管理・活用アドバイザリーボードなど専門家の助言を受ける体制も確立されております。
 また、ファンド事業を行うに当たり公金管理に関するノウハウも利用可能であることから、当面の間、関係局と連携しつつ会計管理局が事業局として予算要求等を実施するものでございます。

○斉藤委員 なるほど、確かに会計管理局の方とお話ししますと、この金融のプロの方とよくお会いするわけでございますが、金融の知識を有している人材がそろっていること、専門家の助言を受ける体制も整っていることから、当面、会計管理局が関係局と連携しつつファンド事業を担当することになったとの答弁を今いただいたところでございます。
 となりますと、会計管理局がファンド業務に関して行うべきことは、ファンドの運営事業者に対しまして都が掲げたファンドの趣旨に合致した運営を行っているのかどうかということを適切に確認をしていくことではないかと思います。
 この視点に立って幾つか質問を行いたいと思います。
 まず、これらのファンドが組成された趣旨や投融資先の状況について確認したいと思いますが、これまで我が党は環境局が事業を所管していたときから再生可能エネルギーの定着や東日本大震災の被災地である東北地方の復興支援といった観点から、定期的に両ファンドの投融資案件の状況を確認してきた経緯があります。
 そこで、官民連携インフラファンドや官民連携再生可能エネルギーファンドが組成された趣旨と現在までの投融資案件の状況についてお伺いをしたいと思います。

○久原資金活用担当部長 都では、平成二十四年度に喫緊の課題である電力の安定供給及び社会資本整備における長期的かつ安定的な資金循環システムの構築のため、官民連携インフラファンドを設立しました。また、平成二十六年度には再生可能エネルギー分野における新たな資金循環システムの構築及び再生可能エネルギーの広域的な普及拡大と都内での導入促進のため、官民連携再生可能エネルギーファンドを組成しました。
 二つのファンドが投融資した発電所及び発電出力の合計は十九件で約三十四万キロワット、うち再生可能エネルギーは十六件で約十二万二千キロワットでございます。
 ファンドが地方の発電所建設に携わることで税収等の増加や雇用の創出を通じ、地域経済活性化にも貢献しております。

○斉藤委員 この二つのファンドが再生可能エネルギーを含む発電所に順調に投融資を行っていることを今確認させていただきましたけれども、これは先ほどのご答弁でいいますと、この両ファンドが組成された趣旨のうち、喫緊の課題である電力の安定供給や、再生可能エネルギーの広域的な普及拡大と都内での導入促進に当たる、そういったものでございました。
 ともしますと、我々はファンドによりまして発電所が何カ所建設されたかといったことに目が行きがちですけれども、この二つのファンドのもう一つの趣旨であります資金循環システムの構築につきましても、これが順調に進捗しているかどうかを確認していかなければならないと思います。
 ただ、この資金循環システムの構築という言葉を聞いただけでは、それがどのようなシステムなのか、そして資金が循環するということがどのような意味を持っているのか、多くの都民にはわかりにくい部分があると思います。
 そこで、この社会資本整備における長期的かつ安定的な資金循環システムにつきまして、ファンドが発電所建設に出資する場合を例にわかりやすくご説明をいただきたいと思います。

○久原資金活用担当部長 都が出資したファンドは、発電所を建設、運営する特別目的会社に対する投融資を実施します。特別目的会社は、ファンドからの投融資と金融機関からの借り入れをもとに発電所を建設します。
 発電所が完成し商業運転を開始すると、特別目的会社は電力会社から売電収入を得られるようになります。一定額以上の売電収入が得られれば、特別目的会社はファンドに対し配当を行うことが可能となります。配当を受けたファンドは、これを都を初めとするファンドの出資者に分配します。発電所を安定的に運営することが可能になれば、都は特別目的会社から安定的に配当を受け取ることが可能となります。
 また、ファンドが特別目的会社への投融資の譲渡といった形で発電所を売却した場合にも、都はファンドを通じ、売却代金の中から配当を受領します。
 このようにしまして、都がファンドに出資した資金は発電所の建設に貢献する一方、その後に発電所が生み出す売電収入などによって一定期間をかけて回収されます。回収された資金は歳入となりまして、都としては新たな目的への支出に回すことが可能となります。このような形で資金が循環することを社会資本整備における長期的かつ安定的な資金循環システムと呼んでおります。

○斉藤委員 今のご答弁で、この資金循環システムというのは、都を初めとする投資家がファンドに出資した資金が発電所などのインフラ整備に寄与する一方で、そのインフラが生み出す収入によりまして投資家が出資金を回収することで、回収した資金を別の目的に今度さらにそれを充てることが可能になる仕組みと理解したわけでございます。
 都税収入が法人二税主体の景気の動向に左右されやすい構造にあるということを考えますと、実際にこのシステムが機能してきますとファンドへの出資金が将来的に税収とは別な形で都に歳入として入ってくるようになるわけですので、限られた財源で多様なニーズに応える必要がある都の財政にとって大きな貢献が期待されるというふうに考えます。
 ただし、このシステムが機能するためには、ファンドにより整備された発電所などのインフラが安定した収入を生み出して、その収入がファンドを通じて配当という形で出資者である都に適切に還元される必要があるわけです。
 今回のこの二つのファンドにつきましても、このシステムが適切に機能しているかを確認するため、ファンドから都に対して定期的に配当がなされているのかどうか、決算が出されるこの時期などに定期的に状況を把握していくことが必要であると考えます。
 そこで、官民連携インフラファンド及び官民連携再生可能エネルギーファンドにおけます都の資金回収状況について、お伺いをしたいと思います。

○久原資金活用担当部長 官民連携インフラファンドについては、平成二十五年度に約一千六百万円、平成二十六年度に約一億八千六百万円の資金を回収しました。累積回収額は約二億二百万円、都の出資額三十億円に対する割合は六・七三%でございます。
 官民連携再生可能エネルギーファンドにつきましては、発電所の建設を進めている段階でございまして、資金回収はまだ実現しておりません。

○斉藤委員 平成二十四年度に組成された官民連携インフラファンドにつきましては、出資額の約七%の資金を回収されていると。昨年度組成された官民連携再生可能エネルギーファンドにつきましては、まだ資金回収が実現していないとのご答弁でございました。
 昨年度末時点では、組成してわずか二年のこの官民連携インフラファンドで既に資金回収が始まっているのは大変喜ばしいことでありますけれども、官民連携再生可能エネルギーファンドの方とあわせまして今後とも資金回収が順調に進むのかは、これは経済は生き物ですから判然としないわけでございますが、このファンドに対しまして都は有限責任の立場で出資していることから、都が今後資金回収の見込みについて明確な見解を述べることは難しいとは思いますけれども、二つのファンドにおけます今後の資金回収の見込みについて、都の考えをお伺いしたいと思います。

○久原資金活用担当部長 都はファンドに対する出資者の一人でございまして、ファンドの運営は民間事業者であるファンドマネジャーが行っているため、資金回収の具体的な見込みについて述べることは困難でございます。
 ただし、官民連携インフラファンドについては、既に平成二十五年度から都への配当が開始されており、またファンドが投融資した案件についても、多くの案件で発電所の運転開始などによりキャッシュ・フローを生み始めていることから、今後も定期的にファンドから都への配当が行われることを期待しております。
 また、昨年度組成した官民連携再生可能エネルギーファンドにおいても、これまで投融資した案件において既に発電所の運転を開始しているものもあり、今後ファンドから都への配当が行われることを期待しております。
 都としては、両ファンドにおいて今後順調に資金回収がなされることにより、ファンドの趣旨の一つである社会資本整備における長期的かつ安定的な資金循環システムの構築が達成されることを希望しております。

○斉藤委員 今ご答弁にありましたとおり、今後、このファンドによりまして整備された発電所が順調に稼働し、都のファンドへの出資金の回収が進展することを望みますけれども、そのためには都としてもこのファンド運営が的確に行われ、ファンドからの資金回収が定期的に行われるよう出資者の立場から適切な監視を行っていくことが必要だと思います。
 そこで、都がこの二つのファンドに対しましてどのような監視を行っているのか、具体的に説明していただきたいと思います。

○久原資金活用担当部長 都は投資、会計、法律分野等の専門家による検証と確認を受けつつ、ファンドが意思決定を行う機関のオブザーバーとして参加するとともに、決算書類等を受領しております。
 さらに、ファンドに対する質問権、検査権を行使することによりファンドの運営状況を継続的に監視しております。

○斉藤委員 質問権、検査権などの行使によりまして継続的な監視を行っているとのご答弁ですが、ファンドが投融資した案件から投資家に対して適切な配当が行われるよう、今後とも適切な監視に努めていただきたいと思います。
 都の資金を呼び水として民間の資金とノウハウを活用しまして政策目的を達成するという官民連携ファンドは意義のある取り組みだとは思いますけれども、都においてはまだなじみのない手法であります。今後、その内容や成果については都民の理解を得るため、会計管理局においては、投融資の内容や資金回収の状況などについて情報発信を定期的に行っていくことが必要であると考えます。
 そこで、官民連携ファンドにおける情報発信のあり方や今後の取り組みについてお伺いをしておきたいと思います。

○久原資金活用担当部長 都の資金を呼び水に民間の資金とノウハウを活用して政策目的の達成を図る官民連携ファンドの手法は、重要な政策手段の一つでございます。ただし、この手法につきましては、まだ開始して三年しか経過していない事業であり、これまでに組成したエネルギー分野の二つのファンドや今年度組成する官民連携福祉貢献インフラファンドにおいて、今後着実な実績を上げていくことが大事であると考えております。
 各ファンドにおける契約や投融資の内容については守秘義務の関係もあり、全てを詳細に公表することは難しいところではございますが、今後も投融資や資金回収の状況をできる限り公表していくことにより、都民の理解を得ていきたいと考えております。

○斉藤委員 都民が官民連携ファンドについて、そのメリットとリスクを正しく認識をしまして理解を深めていくことは、今後この事業を発展、展開していく上で必要なことだと思います。
 会計管理局におきましては、今後このファンドの運営状況について、できる限り情報発信をしっかり行っていくことを希望いたします。
 リスクマネーの運用というのは、景気がよいときは何もしなくても順調に成果が上がっていくわけですけれども、一たび景気が悪く悪循環に入っていきますと、その状況を脱出するのには時間がかかります。ましてや、世界経済の一体化が進んでいる現在の状況の中では、いつどんな要因で--これは国内だけでなくて国際的な要因でも、どんな要因でこの官民連携ファンドをめぐる環境が一変するかわからないわけであります。
 都による官民連携ファンドの出資は、公金によるリスクマネーの運用でありまして、たとえ出資が有限責任によるものであっても、公金を預かる立場としてファンドの運営状況について適切に継続的な運営監視を行っていくべきであるということを繰り返し申し上げておきたいと思います。
 次いで、次のテーマですが、新公会計制度について質問をしたいと思います。
 東京都は全国に先駆けまして民間の企業会計と同様の日々仕訳によります本格的な複式簿記・発生主義会計を導入し、この新公会計制度の運用を始めて九年が経過をしたわけであります。
 この間、都は作成した財務諸表を事業評価に活用したり、行財政運営に生かすとともに財務諸表をわかりやすく解説した概要版を公表するなど、都民への理解を促進するための努力をしてきたと理解をしているところであります。
 一方、都が全国標準たり得る会計基準の策定を総務省に要望してきたこともありまして、総務省、ようやっとこの統一的な基準を取りまとめまして、ことし一月には全国自治体に対し、統一的な基準による財務書類を作成するよう要請があったというふうに聞いているところであります。
 しかし、この統一的な基準は都の方式と異なっておりまして、最も変わっているのは税収を行政コスト計算書に計上しない、こういった形なんですけれども、収支の状況がわかりにくくなっているほか、日々の会計処理をせずに決算期末に一括して仕訳を行うという、簡易な方式を容認しています。マネジメントへの活用も難しくなっているわけであります。
 こうした状況の中、自治体の行財政改革は喫緊の課題となっているんですけれども、わかりやすく行財政運営に大いに活用できる都方式の公会計制度を推進していくことは非常に有意義な取り組みであるというふうに認識しているところであります。
 都は、我が党のこれまでの提案を受けまして、全国に先駆けて新公会計制度を構築するとともに、他の先進自治体と連携して新公会計制度普及促進連絡会議を設置するなど、多様な普及活動を行っています。引き続き公会計制度の改革の先駆者として、この取り組みを他の自治体に発信していただきますとともに、導入を検討している自治体があります。こういった自治体に対しまして支援をこれまで以上に行っていく必要があると考えますけれども、まず、新公会計制度の普及啓発に向けて二十六年度にどのような取り組みを行ったのかをお伺いしたいと思います。

○米今会計制度担当部長 平成二十六年度は新公会計制度普及促進連絡会議、通算四回目のイベントとしまして町田市においてシンポジウムを開催し、四百名近い自治体関係者が出席いたしました。
 公会計制度改革に先駆的に取り組む町田市を初め、導入準備段階の江戸川区、二十六年度から制度を導入した大阪府吹田市が経験に基づく事例を報告しております。
 また、町田市長や公会計制度に詳しい公認会計士などの有識者によるパネルディスカッションを行い、自治体マネジメントにどのように公会計制度を生かしていくのか活発な議論が行われました。出席者からは、今後の取り組みに大いに参考になったなどのご意見を数多くいただいております。
 また、都内自治体と設置しております東京都会計制度改革研究会におきまして、固定資産台帳整備の基本手順、自治体の整備事例集を取りまとめ、公表いたしました。区市町村の実務面での課題や要望を踏まえ、台帳整備に当たっての体制づくりなど、現場での実用性を重視した構成といたしております。
 そのほか、特別区区長会や市長会などと連携し、都方式のメリットや実務について説明するなど、自治体間での情報共有や足並みをそろえた取り組みの支援を行ったほか、直接都内の自治体を訪問して導入を訴えてきたところでございます。

○斉藤委員 都の取り組みが全国自治体のこの公会計制度改革に貢献しているということがわかりました。
 町田市でシンポジウムを開催されまして、江戸川区や吹田市の発表もあったということですが、これは全国の基礎的自治体にとって非常に参考になったというふうに思います。
 また、今お話ありました固定資産台帳の整備事例集、これにつきましては制度導入を検討している自治体が今まさに求めている情報がこれに提供されているわけでありまして、自治体関係者から好評を博しているというふうに聞いておりますし、また公認会計士などの専門家からも評価を受けているというふうに聞いております。
 これからも区長会や市長会と連携しまして財政の見える化をし、そして自治体経営に活用できる都方式を都内自治体が採用できるよう積極的に取り組んでいただき、目黒もぜひお願いしたいと思います。
 現在、都内において町田市や江戸川区以外にも都方式を採用する自治体がふえてきているということですけれども、こうした取り組みの成果として新たに都方式を導入した自治体はどうでしょうか、ありますか。また、その背景についてお伺いしておきたいと思います。

○米今会計制度担当部長 平成二十六年度には、福島県郡山市、東京都荒川区、福生市、八王子市が都と同様の公会計制度導入を決定いたしました。
 二十七年度には、これまで中央区、渋谷区、板橋区が新たに導入を決定し、導入団体は全国で十五団体となっております。
 このように、近年、都と同様の公会計制度の採用団体がふえている背景としましては、まず、これまでの他の先進自治体と連携した多様な普及の取り組みにより、各自治体の公会計制度導入に対する認識が深まったことが挙げられます。また、一月に総務省から全国自治体に対し、原則として二十九年度までに統一的な基準による財務書類を作成するよう要請があったことも要因として挙げられます。
 総務省の統一的な基準は、冒頭委員からご指摘いただきましたとおり、これまでの総務省のモデルに比べれば、かなり都の方式に近づいていますが、民間の企業会計に比べてわかりにくく説明しにくい部分も残っています。そのため、せっかく財務諸表を作成するのであれば、民間の企業会計と同様でわかりやすく、自治体マネジメントにも活用できる都方式の採用を検討する団体がふえていると考えております。

○斉藤委員 都方式を導入する自治体が着実にふえていることがわかりました。今後も都方式の新公会計制度をさらに普及拡大させていくことが、地方財政の健全化に極めて重要であると思います。
 都内では、町田市がいち早く制度の有効性に注目しまして都方式を導入しておりますが、情報の発信拠点となっているこの都内でさらに導入の実績をつくることができれば、それが全国自治体への普及にもつながっていくと思います。今後とも、区市町村の実情に応じた普及活動をこれまで以上に進めるべきだと思います。
 また、全国に向けた普及ですけれども、これまでも都は他の先進自治体と連携してセミナーやシンポジウムなどの大規模なイベントを開催しまして、普及活動を展開してきております。また、制度の普及に貢献してきた新公会計制度普及促進連絡会議の構成団体が緊密に連携をしまして、全国自治体に対して制度の導入に役立つ情報を発信していくべきだと思います。
 とりわけ発信自治体が--先進した自治体が制度を導入することによって、実際にどのようなメリットがあったのか。これを広く発信することが各自治体の制度導入を後押しすることに非常に有効であると考えます。
 そこで、最後に都方式を導入した自治体の現状と今後全国自治体の普及に向けた取り組みにつきまして、局長の見解を伺いたいと思います。

○塚本会計管理局長 まず、都と同様の公会計制度導入団体の現状でございますけれども、導入した自治体は、会計処理の日々仕訳によりまして迅速に事業別などの多様な財務諸表を作成して自治体の経営管理に活用しております。また、企業会計や国際公会計基準に近く、財務諸表が一般の方にもわかりやすいものとなっており、財政状況のアカウンタビリティーの向上にも寄与しているところでございます。
 例えば、先ほどお話がございました基礎的自治体である町田市におきましては、事業別財務諸表を作成し、財務構造分析や今後の課題など事業マネジメントに必要な指標や情報を付加することで、事業の現状や問題点を浮き彫りにしております。
 このように、公会計制度の導入によりまして、それぞれの自治体に応じました利活用を図ることが可能となっております。
 また、今後の全国自治体への普及に向けた取り組みについてでございますけれども、先行自治体と連携しながらセミナーの開催や指標分析ガイドを作成いたしまして、活用事例や日々仕訳による制度導入のメリット、ノウハウを公表することによりまして継続的な取り組みを重ね、公会計制度改革の理解を深めていくことによりまして、一つでも多くの自治体に普及させていきたいと考えております。

○斉藤委員 一つでも多くの自治体に東京都方式を普及させたいという局長の力強い決意、ご答弁を伺ったわけでございます。目黒区も頑張りたいと思っております。
 総務省の要請を受けまして、全国の自治体でも都方式の公会計制度に対する関心が非常に高まっている中、ぜひこうした団体に東京都方式の導入を後押しするように、さらなる普及に向けた取り組みを期待して質問を終わります。

○植木委員 私もファンドについて質問をしたいと思います。
 石原知事時代からファンドに取り組むという話が出始めて、猪瀬知事もそれを引き継ぎ、当時こういうことがいわれていました。
 官民連携ファンドという先駆的な取り組みで国も東京モデルを見ながら動いている、先駆的にやっているんだ。同時に、ファンド事業は非常にリスクに敏感であるといいながら、これをさらに推し進めていく。こういう形で、リスクは大きくなる可能性があるということを当時からいわれておりました。
 舛添知事になりまして国際金融センター構想が発表されて、その中でさらに大きな規模で進めていこうと、こういう姿勢が強くなっているように思われます。
 舛添知事は、約四兆円の公金の一部で株式投資を検討することも明らかにした。運用で損失が出れば住民代表訴訟となるおそれもあるが、公金の一ないし二%から始めればいいと。こういうことでファンドや、それから公金の運用について、株式の運用についてなども触れるなど実施の方向が報道されておりました。
 そういう中で、先ほどもお話ありましたが、平成二十六年度に会計管理局に移管されて今日に至っているわけですが、ファンドも徐々に具体化も進みつつあるというふうに思います。
 まず、平成二十四年に最初の官民連携ファンドが提案され、首都圏の電力安定供給ということで電力エネルギー分野のインフラ事業として創設されました。同年の六月にIDIインフラファンドとスパークスの二つのファンドが選定されました。これらの事業の内容、出資額、ファンド規模、それから資金のリターン、いわゆる回収状況について、まずお示しいただきたいというふうに思います。

○久原資金活用担当部長 官民連携インフラファンドは、喫緊の課題である電力の安定供給及び社会資本整備における長期的かつ安定的な資金循環システムの構築を目的に設立したもので、ファンドの運営事業者は株式会社IDIインフラストラクチャーズ及びスパークス・アセット・マネジメント株式会社の二者でございます。
 都の出資約束額は、二ファンドで計三十億円、ファンド規模は二ファンドで計約三百億円でございます。
 資金の回収額については、平成二十五年度に約一千六百万円、平成二十六年度に約一億八千六百万円の資金を回収、累積回収額は約二億二百万円でございます。

○植木委員 目的が非常に明確で電力の安定供給という立場で、まず第一歩を進み出したということだろうというふうに思うんです。
 次に出てきたのが官民連携再生エネルギーファンド、これも平成二十六年に創設して都内投資促進型ファンド、それから広域型ファンドという形で再生エネルギーの発電事業に投資するファンドができたというふうに聞いていますが、これについての事業内容、出資額、ファンド規模についてお示しいただきたいと思います。

○久原資金活用担当部長 官民連携再生可能エネルギーファンドは、再生可能エネルギー分野における新たな資金循環システムの構築及び再生可能エネルギーの広域的な普及拡大と都内での導入促進を目的に設立したもので、ファンドの運営事業者はJAG国際エナジー株式会社及びスパークス・アセット・マネジメント株式会社の二者でございます。
 二つの事業者は、都内の再生可能エネルギー発電事業を対象にする都内型と、東京電力、東北電力管内の再生可能エネルギー発電事業を対象とする広域型の二種類のファンドを設立しております。
 都の出資額は、都内型に一億円ずつ計二億円、広域型に五億円ずつ計十億円、合計十二億円でございます。ファンド規模は、合計で約百億円でございます。

○植木委員 これも、そういう意味では非常に目標は明確で、再生エネルギー分野で電力供給などを進めていこうということでは、やはり特定目的会社を設立してやっているという点では同じだろうと思うんです。
 リターンについては、まだ事業が始まったばかりで、ないというのは、先ほどの答弁にもありましたので省略しましたが、こういう明確な目的を持ってこの事業、ファンド事業、この規模を拡大することが予定されているのでしょうか。

○久原資金活用担当部長 官民連携インフラファンドについては、投資家の募集を終了しております。一方、官民連携再生可能エネルギーファンドについては、現在も投資家を募集中でございます。都が二つのファンドに対して約束している出資額以上を追加出資することはございません。

○植木委員 これらの事業については現在進めているのは進行中でありますけれども、新たな追加出資ということは現時点では考えられていないということだという説明ですね。
 それで、先ほども最初に紹介しましたけれども、ファンド事業は非常にリスクに敏感であると知事がいわれていたと。公金の運用という立場で考えれば、当然リスクについては敏感でなければいけないし、ましてや毀損などしては絶対ならないというのは、新銀行東京の問題からいってもこれまでも指摘されてきましたが、どのようなリスクが考えられるんでしょうか。

○久原資金活用担当部長 ファンドが安定的に運営されるには、ファンドにより整備された発電所が安定した収入を生み出し、ファンドを通じ、配当の形で出資者である都に適切に還元されることが必要でございます。

○植木委員 安定的に運営される。これは当然前提問題です。これが崩れたら、もう配当は全くないわけです。
 それで、舛添知事ですけれども、民間のリスク感覚は役人よりはるかにすぐれていると、こういういい方をしているんですけれども、私、民間のリスク管理というのは、逆に働いたらこれは大変だなと。例えば自然災害によって施設への影響が出てきたり、あるいは政府の電力方針の変更などによって収入確保がきちっといくのかいかないのかというようなさまざまなことが生じると思うんです。金融機関で抵当権が設定されていたりしていれば、債権を当然回収に走る。やはり民間のリスク感覚というのは、そういうときに直ちに走るという、そういう危険性も私はあるというふうに思うんですけれども、そういう点の予想というんでしょうか、どのように考えておられるでしょうか。

○久原資金活用担当部長 民間のリスク感覚とともに、都もファンドへの投資の安全性をできる限り確保するためのリスク策として、都の有限責任はもちろん、ファンド運営事業者に対する質問権、検査権の確保を条件にすることに加えまして、投資、法律、会計等の専門家の意見も聴取しつつ、ファンドの運営監視をしております。

○植木委員 都としてそういう専門家の意見をかりるというのは当然だろうと思うんですけど、やはり危機管理というのは、リスク管理というのは、どんな事態が起こるかわかりませんし、民間のリスク管理能力というのは皆さんが考えている範囲を超える場合だってあり得るんだと思うんです、先ほどいったように。そういうことも考えていく必要があるというふうに思うんです。
 それからもう一つの問題は、官民連携ファンドの事業は先ほども実際は三年間だと。非常に歴史が浅いので、なかなか現在の事業全体がどこまで到達していて、今後どうしていくのかというのはなかなかわかりにくい、問題点もまだ十分見えてこない。当然まだ三年ですから、配当も一部ですからわからないんですけれども、そういう意味で二十六年度に提案されましたエネルギーファンドとの関係で、二十六年度に提案されました官民連携福祉貢献インフラファンド、これとの比較が必要だろうというふうに思うんです。福祉関連施設そのものは収益性が低いので、施設とビル事業を一体化したファンドになるものだというふうに聞いておりますけれども、出資額や応募事業、ファンド規模というのはどの程度なんでしょうか。

○久原資金活用担当部長 ただいまご質問がございました官民連携福祉貢献インフラファンドにつきましては、都内における子育て支援施設や高齢者向け施設を含む福祉貢献型建物の整備促進及び福祉関連分野における新たな資金循環システムの構築を目的に今年度組成予定でございます。
 都は、有限責任の形で五十億円を出資する予定でございます。ファンドマネジャーについては、本年五月に公募を開始しておりまして、複数社が応募しておりまして、現在審査中でございます。今月中にファンドマネジャーを選定する予定でございます。
 ファンド規模については、百億円を目指すものでございます。

○植木委員 二十六年度の、これに関する質疑をずっと読んでみましたら、極端な例はといいながら、例えば福祉施設のために五億円ぐらいの施設をつくって、百億円規模のビルをつくる、こういう例だってあり得るんだと、こういうふうないい方をされていたんです。その地域地域、どこの地域につくるのかまだわからないんですけれども、地域地域でそういう福祉インフラがどういうものが要求されているかによっては、そういう投資規模よりはるかに大きいビルはつくられるけれども、福祉施設は本当にちっちゃな施設だったりすると、こういうことだというふうにお聞きしました。
 それで、そのときに整備目標、見込みというのはどういう計画なんだと。都全体の福祉インフラとの関係で考えたら、それが必要じゃないかという質問もあったんです。改めて確認しますが、そういうものは持ってないというふうに聞いているんですけど、いかがでしょうか。

○久原資金活用担当部長 待機児童解消策など都の抱える課題は大きい課題が多うございます。施策を総動員して、それに当たっていくということでファンドもその一事業というふうに理解しております。

○植木委員 五十億円の出資ということであれば、五十億円の福祉インフラに直接出資した場合とどう違うのかというのがこれはなかなかわからないんで、これ以上質問しませんけれども、いずれにしても、これはエネルギー分野の二つのファンドのような、目的がストレートで非常にわかりやすいのに反してわかりづらい。そういう意味ではリスクも恐らくわかりづらくなる、違うリスクがあるんだと思うんですけれども、エネルギーファンドとこの福祉ファンドとのリスクの違いはどういうところにあるんでしょうか。

○久原資金活用担当部長 官民連携福祉貢献インフラファンドが安定的に稼働するためには、ファンドにより設立した建物に入居者が入り、定期的な賃料収入があり、ファンドを通じて配当の形で出資者である都に還元されることが必要でございます。
 一方、過去に設立したエネルギー関連のファンドが安定的に運営されるためには、ファンドにより整備された発電所が安定した収入を生み出し、ファンドを通じ、配当の形で出資者である都に還元されることが必要でございます。
 このように、エネルギー関連の二つのファンドと官民連携福祉貢献インフラファンドでは、ファンドが安定的に運営されるための条件が全く異なることから、両者のリスクについて比較することは困難でございます。

○植木委員 今二つの比較をしてもらったんですけれども、そうはいっても、エネルギーファンドについてもリスクは当然あるんです。それでも目的が非常にはっきりして、特定目的会社を通じて事業をすると。しかも、ほかの要素は入ってこないというふうに伺っているんですけれども、そういうことだろうと思うんですよね。そうでないとしたら、いってほしいんです。
 それと、今度の不動産業として賃貸の方々がどれだけ入居するか。これは、もう経済状況だとか立地条件だとか、さまざまなものによって変わってくるわけです。私はこの前まで財政委員やっていました。財政委員会で土地信託の問題で見込みを立てたけれども全然配当が来ない、もちろん、配当が一定程度あるものはあっても目標にいかない、それから、毀損すれすれだったり、東京都が施設を入れて何とかもたせて格好つけたりということが土地信託の問題であったんですけれども、そういう二の舞になりやしないかという。だから、リスクというのも性格が変わってくるように私は思うんです。
 知事は、そんなことはいわないで、とにかく都の信用力をもとに民間資金の活用を促進すると、今後もどんどん進めていくんだと、こういうふうにいっております。エネルギーファンド、福祉ファンド、それからそのほかのがどうなるかわかりませんけれども、今後どのような規模で進めようとしているのかを示していただきたいと思います。

○久原資金活用担当部長 まず、過去に組成したエネルギー関連のファンドと官民連携福祉貢献インフラファンドは、いずれも民間市場において市場原理に基づき投融資を行うものでございまして、投資回収に関してリスクは存在いたします。
 エネルギーなので他にリスクがないとか、福祉関係なのでリスクが多いとか、そういう問題ではございませんで、リスクの具体的内容やその程度は、ファンドの個別の投資対象事案ごとにも多様性を有するため、投資対象分野のみに着目し、エネルギー関連のファンドと官民連携福祉貢献インフラファンドの両者のリスクの大小について、一般的に比較することは困難でございます。
 また、今後でございますが、都の資金を呼び水に民間の資金とノウハウを活用して政策目的の達成を図る官民連携ファンドの手法は重要な政策手段の一つでございます。ただし、この手法につきましては、まだ開始して三年しか経過していない事業であり、これまでに組成したエネルギー分野のファンドに加え、今年度組成する官民連携福祉貢献インフラファンドにおいて、今後着実な実績を上げていくことが大事であると考えております。
 今後の官民連携ファンド事業の展開については、これらのファンドの設立、運営監視に加え、どのような政策課題の解決に官民連携の手法が適するのか研究を進めてまいります。

○植木委員 今後は研究を進めていくと。これは今後のことですのでわかりませんけれども、先ほど資金循環システムの構築というのがありました。ファンドで配当を回収して、それを社会資本整備に回すというお話があったんですけれども、これはまたファンドの元手というんでしょうか、都の資金に活用すると、そういう意味も含まれているんでしょうか。念のため教えてください。

○久原資金活用担当部長 配当がありまして歳入となったものにつきましては、都として今後の政策に用いていくという意味でございます。

○植木委員 社会資本整備費に入れるから都全体で扱うと。しかし、都は出資、都の公金を使ってファンド事業、これから研究していくということになると、そうはいっても活用していく可能性もあるんだろうと思うんです。
 とにかく舛添さんは信用力というのは何回もいっていまして、民間の出資を促せないかということを考えていると。一千六百兆円に上る個人の金融資産を有効活用できないかというところまで、つまりファンドの流れで、発言の中でそういうことまでいって、さまざまな可能性を探っていきたいと。となると、今後も規模が拡大していくんではないかという、そういうふうにも受け取れる非常にわかりにくい記者会見の内容が繰り返し出されているんです。
 先ほどもお話ありましたけれども、一方で、二十六年度に国際金融センター構想が発表されて、二十項目の中にこれらのファンドが位置づけておられると。国際金融センター構想というのは、海外の投資家を呼び込む計画だと。国際金融センター構想としての方向性とファンドの方向性は、二十項目に入っているということは一致させて今後も進めていくということだろうと思うんですけれども、どのように位置づけておられるんでしょうか。

○久原資金活用担当部長 東京国際金融センターとは、世界中から資金と人材と情報を呼び込み、必要な分野に資金を供給する拠点でございます。これを実現するためには、国内外からの資金を呼び込むための投資機会の創出が課題の一つとなっております。都が先導役となり、またその資金を呼び水としてファンドに携わっていくことにより、国内ファンド事業への投資が活発化し、資金循環が活性化するという効果が期待されます。
 これは、まさに資金を呼び込み、経済の活性化につながるというもので、国際金融センター実現に向けた一要素となります。

○植木委員 今も国際金融センター構想における官民連携ファンドの位置づけがお話ありましたけれども、今の答弁にもありましたように、ファンドを先導役として都の資金を呼び水として携わっていくと。そうなると、結局、一つ一つの事業は確かに政策目標から出発していると。エネルギーはエネルギーと。しかしながら、金融センター構想からいくと、政策目標というよりも国際金融センター構想をどう促進していくか、その中の一つとして位置づけられていて、今後も研究し、さらに進めていくと。こういうふうになってくると、今後出されるであろういろんなファンドが政策目的なのか金融構想の目的なのか、だんだんわからなくなってくる可能性もあると思うんですね。
 最初のエネルギーファンドは非常に明確だと先ほどいいましたけれども、福祉インフラファンドというのは、福祉が目標なのか、ビルのテナントをつくって外国企業を呼び込むということで、それを目的にしているのか非常にわかりにくいと思うんですね。
 公金ですから、やはり政策目的というのがまずありきだと思うんですよ。まずファンドありきだとか、まず金融構想ありきでは、やっぱりおかしいんじゃないかなと思うんですね。
 もちろんファンドによって民間の資金も借りてエネルギーファンドなどをつくるとか、もちろん民間のNPOなんかもそういう仕事ってやったりしていますから、それはそれで個々のを見ると有効なものもあるし、そうでないものもある。まだ三年で、今後全体がどうなるかわからないんで、そこまでしかいえないんですけれども、そういう意味で、やっぱり政策目的をきちっとされない形になっていくようなことがあってはならないし、ましてや公金運用というのが先行というんでしょうか、それが目的になって、舛添さんのように株の取引まで公金運用でやるというところまでいってしまうと、これはちょっと違ってくるというふうに私は思うんですね。
 そういうことの指摘を--この二十六年度の決算を通じて、やはり今後そういうことがないように、しっかりとした立場が必要だということを指摘して、私の質問を終わりにします。

○田中委員 私からも官民連携インフラファンドについてお聞きをさせていただきたいと思います。先ほど斉藤委員からも詳細にご質疑がありましたので、私は大切なところだけ質疑をしたいとは思っております。
 環境局が昨年所管をしておりまして、今回から会計管理局の決算審議の対象となっております官民連携インフラファンドと官民連携再生可能エネルギーファンドについて伺います。
 まず初めに、この二つのファンドの設立目的及び都の出資額についてを伺います。

○久原資金活用担当部長 官民連携インフラファンドは、平成二十四年度に喫緊の課題である電力の安定供給及び社会資本整備における長期的かつ安定的な資金循環システムの構築を目的に設立しました。都の出資約束額は三十億円でございます。
 官民連携再生可能エネルギーファンドは、平成二十六年度に再生可能エネルギー分野における新たな資金循環システムの構築及び再生可能エネルギーの広域的な普及拡大と都内での導入促進を目的に設立いたしました。都の出資額は十二億円でございます。

○田中委員 官民連携インフラファンドというのは電力の安定供給であると、また官民連携再生可能エネルギーファンドは、再生可能エネルギーの普及拡大ということを目的に今回設立をされたということであります。
 それぞれのファンドの規模及びこのファンドが整備した発電所の発電出力、そのうちの再生可能エネルギーの発電出力について伺います。

○久原資金活用担当部長 官民連携インフラファンドのファンド規模は約三百億円、ファンドが整備した発電所の発電出力は約三十万キロワット、うち再生可能エネルギーは約八万二千キロワットでございます。
 官民連携再生可能エネルギーファンドのファンド規模は約百億円、ファンドが整備した再生可能エネルギーの発電所の発電出力は約四万キロワットでございます。

○田中委員 都の資金を、まさに都の考えのように呼び水にして、民間資金も集めて設立されたそれぞれのファンドが数百億円規模の投資を行って、一定規模の発電出力を有する発電所も整備をされたと。また、発電も実際行われて、再生可能エネルギーも生まれているということは理解をさせてもらいましたが、大事なのは一つ、整備された発電所がきちんとこれからも稼働し、そこから得られた売電収入がファンドを通じて、都を初めとする出資者に配当の形で還元されることがまず第一だと思っております。
 今回の環境局移管分の決算書を見ますと、雑入として一億八千六百万の歳入が計上をされております。この二つのファンドにおける、これまでの資金回収の状況についてを伺います。

○久原資金活用担当部長 官民連携インフラファンドについては、平成二十五年度に約一千六百万円、平成二十六年度に約一億八千六百万円の資金を回収しまして、累積回収額は約二億二百万円、都の出資額三十億円に対する割合は六・七三%でございます。
 官民連携再生可能エネルギーファンドについては、発電所の建設を進めている段階であり、資金回収はまだ実現しておりません。

○田中委員 官民連携インフラファンドについては、平成二十五年度から資金回収が始まっているという答弁でありました。
 先ほど斉藤委員の中の答弁でも、売電収入はもちろんのこと、この売却益も資金回収に含まれるということで、この収入が出た一、二年でまだ評価をするのは難しいというのは私もよくわかりますが、今回の決算を見ますと、当初は予算としては七千五百万余の予算であると組んでいたものの、決算はその二倍以上の一億八千六百万ということで、多くの資金を回収しているということもわかります。
 開始二年で出資金の七%近くの資金を回収できているというのは、一方では順調にも見える滑り出しかとも思えますが、都として、この官民連携インフラファンドの資金回収状況を今現時点ではあるんですが、どのように評価をしているのか伺います。

○久原資金活用担当部長 官民連携インフラファンドでは、ファンドが投融資した多くの案件で発電所の運転開始などによりキャッシュ・フローを生み始めている上、官民連携再生可能エネルギーファンドにおいても、既に運転開始している発電所があることから、両ファンドにおいて、今後、定期的にファンドから都への配当が行われることを期待しております。
 都としては、官民連携インフラファンドや官民連携再生可能エネルギーファンドにおいて、今後、順調に資金が回収されることを希望しております。

○田中委員 今の答弁ですと、まだ評価はどうこうという立場ではなく、都への配当が行われることを期待と、また順調に資金が回収されることを希望するということにとどまっているかと思います。
 今いいました資金の順調な回収をするためには、ファンドに出資して、あとはファンド会社丸投げというのでは困ります。ファンドが適切に運営されているか、不断に監視をしていくことはいうまでもありません。必要であります。と同時に、都民に対しても適時適切な情報開示、また都民の理解も深めていくための努力も必要であると思っております。
 そこで、都はファンドの運営を監視をしていくということでありますが、どのように監視をしていくのか。また、二つのファンドの運営状況にかかわる情報を、今後どのように都民に公開をしていくのか、考えを伺います。

○久原資金活用担当部長 都としては、二つのファンドに対し質問権、検査権を行使することにより、ファンドの運営状況を監視しております。
 具体的には、投資、会計、法律分野等の専門家による検証と確認を受けつつ、ファンドが意思決定を行う機関のオブザーバーとして参加するとともに、決算書類等を受領するほか、都が外部委託する監査法人や他の出資者とともに本ファンドの運営を監視しております。
 両ファンドにおける契約や投融資の内容については、守秘義務の関係もあり全てを詳細に公表することは難しいところですが、今後も投融資や資金回収の状況をできる限り公表していくことにより、都民の理解を得ていきたいと考えております。

○田中委員 私は第一回の定例会の予算委員会の中でも、都が今後設立をする官民連携福祉貢献インフラファンドの整備をする状況については、公金を出資する以上は、できるだけ情報を公開していくこと、また都民にも説明責任を果たしていくべきであるということを申し上げました。
 エネルギー関係の今議論しております二つのファンドについても、答弁では守秘義務の関係もありということで、それはよくわかっておりまして、もろもろ制約はファンドの性質であるかもしれませんが、このエネルギーの売電事業というのは、あくまで固定価格の買い取り制度に基づくものでありまして、調達価格の変動等によりまして大きなリスクもあるのは確かであります。
 ぜひとも都として、できるだけ情報を公開して、さらに何度もきょうの答弁の中でありましたが、都民の理解に努めていくこと、それを求めていきたいと思います。
 また、今回のファンドは、先ほど来も議論があったんですが、金融の力をかりて都のさまざまな問題を解決していくということでありまして、私はこれは、ひいてはこういった手法が国際金融センター構想につながっていくと。そして東京都が世界で一番の都市にならなきゃならないと。あくまで日本の中だけで議論していると初めてのこともあり大変リスクもあるので、果敢な挑戦かもしれない。世界を見れば、もう金融の世界一を目指して争奪戦が始まっておりまして、私は金融センター構想の中、ぜひとも東京が世界一になるために、まず第一歩としてのファンド運営かと思っております。
 もちろん、リスクもあり、またリターンもあり大変に難しい運営かと思います。会計管理局にこの事業が移り、これから毎回予算、決算と続いていくかと思いますが、私たちもその都度しっかりと議論を深めていきたいと思っております。
 以上です。

○早坂委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○早坂委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○早坂委員長 これより議会局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十六年度東京都一般会計決算中、議会局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○早坂委員長 発言がないようですので、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○早坂委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で議会局関係を終わります。

○早坂委員長 これより主税局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 藤井特別滞納整理担当部長は、病気療養のため、本日の分科会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 次に、過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員について主税局長から紹介があります。

○小林主税局長 公務のため、過日の分科会を欠席させていただきました幹部職員をご紹介申し上げます。
 税制部長の加藤隆でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○早坂委員長 紹介は終わりました。

○早坂委員長 決算の審査を行います。
 平成二十六年度東京都一般会計決算中、主税局所管分及び平成二十六年度東京都地方消費税清算会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○山内委員 私からは、偏在是正措置について伺います。
 東京を世界で一番の都市にの実現や二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック開催等、都の重要施策を財政面から支える都税収の確保は、極めて重要な課題であります。
 そうした中、平成二十六年度の都税収入の決算額は、前年度を約二千五百億円上回る四兆七千四百億円となりました。企業収益の回復等を反映し増収になったとのことでありますけれども、地元の中小企業にとっては好景気は必ずしも行き渡っていないというのが私の実感であります。経営が苦しい中やりくりをして納めていただいた貴重な税金であることを、心にとめておかなくてはなりません。
 先日配布されました決算概要の参考資料1の都税収入の推移には、平成元年度からの都税総額等の推移が示されておりますけれども、これを見ると都税総額は、景気の影響を大きく受ける法人二税の推移とほぼ連動しており、年度により大きく増減している様子が見受けられます。
 ここで数年の税収増とは逆に、過去数回減収となった局面が見られております。特に二十年度から二十二年度にかけては、一兆円以上もの税収が失われており急激な落ち込みが見られておりますけれども、それぞれどのような理由があったと分析をされているか伺います。

○加藤税制部長 過去に大幅な減収となった局面におきましては、バブル経済崩壊や急激な円高の影響、住専処理問題や金融機関の破綻による金融不安、アメリカ同時多発テロの影響による景気低迷など、それぞれ経済的な要因で都税収入が落ち込んでおります。
 しかしながら、ご指摘の平成二十年度から二十二年度にかけましては、リーマンショック、原油価格の高騰などの経済的要因もございましたけれども、平成二十年度の税制改正によりまして、地方法人特別税が創設され、法人事業税の一部が国税化されたことによる影響額が約二千百億円あるなど、税制改正によっても大きな減収となっております。
 なお、これとは別に都税収入が好調になりますと、地方間の税収格差が問題とされがちでございまして、法人事業税の分割基準の見直しがこれまで行われてきております。ちなみに、平成二十一年度におきますその影響額は、約一千百億円程度となっております。

○山内委員 ここ数年の都税収入は好調を維持しているものの、今後、景気後退の局面があれば法人二税が大きく落ち込むことも予想をされます。また、直近の平成二十年度から二十二年度にかけての都税収入の急激な落ち込みは、景気の悪化に加えて法人事業税の分割基準見直しや地方法人特別税の導入による影響もあることでありますけれども、都税収入は景気変動だけではなく、税制改正によっても大きな影響を受けることになります。
 法人事業税の分割基準は、これまでに何度も都の税収が一時的に伸びている時期を捉え、都を初めとした都市部の税収を小さくする財源調整を意図した不合理な見直しが繰り返されてまいりました。
 また、地方法人特別税については、税制の抜本改革までの暫定措置として、都としてやむなく協力をしたものであると認識をしておりますが、昨年四月に消費税率が八%に引き上げられたにもかかわらず撤廃されていないのは、国の約束違反ではないか、そのように思っております。そればかりではなく、消費税率一〇%段階において、さらに都から財源を奪おうとする国の働きも見受けられます。
 そもそも消費税率の引き上げは、社会保障財源充実のためだったはずですけれども、この財源を都から奪うということは、将来的に私たち都民へのサービスの低下につながりかねません。消費税率一〇%段階を見据えた国の動きは、どのようになっているのかを伺います。

○加藤税制部長 与党税制改正大綱におきましては、消費税率一〇%段階において、地方法人特別税、譲与税を廃止するとともに他の偏在是正措置を講ずるなど、関係する制度について幅広く検討を行うとされております。
 また、このほか法人住民税法人税割の地方交付税原資化をさらに進めることが明記されておりまして、都から財源を奪う不合理な措置が拡大されるおそれがございます。また、不合理な財政調整措置の始まりといえます地方法人課税の分割基準について、そのあり方を検討することも明記され、本年四月より総務省の地方法人課税のあり方等に関する検討会において議論されております。

○山内委員 景気がよくなり都の税収が伸びてくると、地方間との格差が広がるとして、東京などの大都市から財源を奪う偏在是正の動きを求める声が、さらに強くなってくるものと考えております。
 そもそも主税局は、地方法人課税の意義についてどのようにお考えなのか、そのあたりを伺います。

○加藤税制部長 地方法人課税は、企業の事業活動を支える地域の行政サービスに必要な財源を賄うため、サービスを受ける法人に課すという応益性の原則を根拠としております。
 また、地方法人課税は都税収入の約三分の一を占めております。全国の都道府県税収で見ましても約四分の一、市町村税を含めた地方税全体の約五分の一となっておるなど、基幹税として地方財政を支える重要な役割を担っております。

○山内委員 そういうことであれば、国で検討している偏在是正措置は、景気後退局面で安定的な都税収入の確保に大きな支障を来すことだけではなくて、地方税の根本原則に反する極めて不合理なものであります。
 国が税制を不当に使って都の財源を奪い、税収の安定確保に支障を来すことなど言語道断であります。しかも、都民の皆さんはこの問題を十分に知っていない、こういったところが非常に今後危惧をされるのではないか、そんなふうに思っているところでありまして、主税局は、この偏在是正措置についてどのような認識をされているか、そのあたりを伺います。

○加藤税制部長 自治体間の財源の水平調整にすぎない偏在是正措置は、地方税の根本原則に反することはもとより、地方が抱える巨額の財源不足の解決につながらないものでありまして、直ちに撤廃して地方税に復元し、地方法人課税は引き続き地方の基幹税としての役割を果たしていくべきでございます。
 先月には、こうした現行の地方税制度を抱える問題点への理解を求めて、東京都は反論書を公表しております。
 今後とも、都民に広く理解を求めていくことが重要であると認識しております。

○山内委員 これまでの質疑からも明らかなように、都税をめぐる状況は非常に厳しいものでありますが、今後、本格的な少子高齢社会への突入により、都の財政需要は高まる一方であります。
 都政を財政面から支える都税の確保という主税局の役割は、ますます重要になってまいります。そして、同時に責任も大変に重くなってくると思っております。安定的な都税収入確保のために、あるべき地方税制の確立に向けた局長の見解を伺います。

○小林主税局長 東京を初めとした大都市から財源を奪うという、この不合理な税制改正は、専ら都市と地方の人口一人当たりの税収額を比較しまして、その格差から税源が偏在しているという理由でこれまで繰り返し行われてまいりました。
 しかしながら、この偏在是正について議論する際には、そもそも財政需要との見合いで必要な財源をどう考えるかという視点こそが重要でございまして、こうした指標だけをもって税源の偏在を議論するということは適切でないと考えております。
 東京都は、少子高齢社会への対応を初め、便益が全国に及ぶような都市インフラの整備、あるいは首都機能を維持するための自然災害のリスクに対する万全の備えなど、膨大な財政需要が存在をしているわけでございます。
 また、例えば法人住民税の国税化というのは、消費増税により地方交付税の不交付団体に社会保障の需要を超えた増収が発生するという、こうした論から創設されたものでございますけれども、消費税の引き上げによる税収というものは、本来、都の社会保障関係経費に充てるべきものであるわけですが、その財源を実質的に奪っているということにつながるものでございます。
 社会保障関係経費は今後さらに増大することを踏まえれば、先ほど副委員長がご指摘になりましたように、将来にわたって都民がみずからの負担に見合う恩恵を受けることができず、都民の暮らしに欠かせない行政サービスの提供に大きな支障が生じるおそれがあるということでございます。こうしたことを私どもは都民にわかりやすく周知をしていくということも重要と考えております。
 このような財政需要を考慮しない地方法人特別税や法人住民税法人税割の地方交付税原資化は、直ちに撤廃して地方税に復元するとともに、地方分権の観点から地方がみずからの権限と財源において、その役割を果たせるよう、総体としての地方税財源の拡充を目指していかなければならないというふうに考えております。
 現在、今年度の東京都税制調査会では、地方分権時代に即した地方税制の構築や暫定措置の撤廃、新たな偏在是正措置の阻止、そして分割基準の適正化など、地方法人課税を初めとした現行税制度の諸課題について、税理論の面から議論を重ねておりまして、今後、都として国に強く働きかけていく際の確固たる論拠としてまいります。その上で、都の膨大な財政需要を支えるため、徴税努力を重ねるなど都税収入の安定確保に向け、歳入所管局としての主税局の役割を全力で果たしてまいります。

○山内委員 偏在是正措置に関しては、一たび税制改正されると恒久的に都税収入が奪われることになり、将来にわたり都民サービスへの水準に直結しかねない重大な問題であるにもかかわらず、どうしても都民に実感を持っていただけないというのが非常に残念なんですね。
 そこで、なぜ都民に関心を持ってもらえないのかというところは、庁内でしっかりと検証してもらいたいと思っております。これは要望です。例えば、都知事がいろいろなテレビ、情報メディア、こういったところの番組にこの問題を取り上げるなどして、都民とともに国にこの問題について立ち向かっていくというような心意気というか、そういったものを持ってもらいたい。そのようなアクションを起こすことが一つの、都民を巻き込んで国に立ち向かっていく、私はまさに一歩になると思っております。
 それにはもちろんのこと、偏在是正措置、いわゆる先ほど局長からお話があったような、こういったことをしっかりと丁寧に説明をしていただく、これは都民にしっかりと説明をしていただくことが大変重要だと思っております。でなければ、やはり都民が一体となって国に立ち向かっていくことはできないと思っておりますので、そういったところをしっかりとやっていただきたい。
 さきの定例会で、知事はみずからが先頭になって立ち向かっていくんだと、汗をかくんだと、そういったお話をされました。そういったところの決意表明もあったということで、しっかりと知事のリーダーシップ、そして、この行動力に期待をいたしまして、私の質問を終わります。

○斉藤委員 私の方からは、徴税に関する話をちょっとしたいと思います。
 平成二十六年度の都税収入を見ますと、企業収益の回復などを反映しまして、三年連続の増収、四兆七千三百九十九億円となっています。対前年比の決算額の五・五%、二千四百八十九億円の増となっているわけです。
 主税局は、多岐にわたる都政課題に都が的確に対応していく上で、不可欠な財政基盤を支えるため、歳入所管局として着実な税収の確保を使命とされております。
 私は、そのためには適切な課税を行うことはもちろんですけれども、課税した税金を公平に納税者に納めていただくという、徴収にかかわる取り組みもとても大切だと考えております。本日は、都税の徴収率を中心に滞納整理に関する質疑を行いたいと思います。
 まず初めに、平成二十六年度の都税の徴収率と滞納繰越額について、ここ数年の傾向を踏まえまして簡潔にご説明をお願いしたいと思います。

○安藤徴収部長 都税の徴収率は、平成七年度の九〇・二%を境に、十二年連続の上昇を続けてまいりましたが、平成二十年秋に発生したリーマンショックの影響で、大型滞納事案が相次ぎ、平成二十年度から二十二年度にわたり、徴収率も一時的に低下しておりました。
 その後、景気回復の動きに加え毎年度の徴収率向上への取り組みから、徴収率も回復し、平成二十六年度の都税の徴収率は九八・一%ということになっております。これは平成二十五年度を〇・四ポイント上回り、さらにリーマンショック前の平成十九年度を上回る過去最高の徴収率でございます。
 また、滞納繰越額は、バブル崩壊時の平成六年度がピークとなっており、二千四百七十八億円でしたので、平成二十六年度までにその九二・六%を圧縮し、現在、百八十四億円となっております。

○斉藤委員 都税の徴収率九八・一%というのは、全国から比較しても非常に高い水準になると認識をしております。これは単に景気回復による影響だけではなくて、都の不断の徴税努力によることもあると思います。
 そこで、この徴収率の向上や滞納繰越額の圧縮のためにこれまで行ってきた具体的な取り組みについて、お伺いをしたいと思います。

○安藤徴収部長 全国地方税の徴収率は、直近の公表値である平成二十五年度の実績で九五・七%となっておりまして、これと比較しても九八・一%という都税徴収率は高い水準にあると考えております。徴収率の向上や滞納繰越額の圧縮への取り組みは、収納方法の多様化と徴収対策の強化という二つの大きな柱に分けられます。
 まず一つ目の柱の収納方法の多様化は、平成十六年度には全国初となるコンビニ収納、平成二十三年度にはクレジットカード収納を開始し、納税者の利便性を高め納期内納税の促進を図ってまいりました。
 なお、クレジットカード収納につきましては、平成二十七年度から収納対象をほぼ全税目とし、クレジットカードの専用サイトの開設期間を通年にして、納税者サービスの拡大に取り組んでいるところでございます。
 次に、もう一つの柱の徴収対策の強化は、平成十六年度には全国初となるインターネット公売を、平成二十年度には徴収業務の一部集中委託化を開始しております。

○斉藤委員 都がさまざまな徴税努力を行って、徴収率の向上と滞納繰越額の圧縮に取り組んできたというご説明、今答弁でいただいたわけでございます。
 特に、このクレジットカード収納につきましては、納税者の利便性を高めるため、我が党としても熱心に提案を行わせていただきまして、自動車税のクレジットカード収納が導入された経緯がございます。
 また、今年度からは、これも我が党の要望に応える形で固定資産税を初め、今ご答弁ありましたほぼ全税目について、クレジットカードで納税できることに拡充されたわけでございます。固定資産税以外には都市計画税や個人事業税、不動産取得税などがございます。こうして、より一層便利で納税しやすい環境が整ったことは、高く評価したいところでございます。
 次に、各区市町村が区市町村民税とあわせて課税徴収している個人都民税ですけれども、平成十九年度の税源移譲に伴いまして、この都税に占めるウエートが高まり、現在都税の中でも重要な基幹税目の一つとなっているところであります。この都税全体の徴収率をさらに向上させるためにも、個人都民税の徴収率を引き上げていくことが大切だと思います。
 そこで、個人都民税の徴収率を上げるために、どのような具体的な取り組みをしてきたのかをお伺いしたいと思います。

○安藤徴収部長 先ほど申し上げましたが、平成二十六年度の徴収率九八・一%となっておりますが、このうち個人都民税の徴収率につきましても、平成二十五年度を〇・八ポイント上回る九四・三%となっております。
 個人都民税の徴収率の向上には、各区市町村への都職員の派遣や各区市町村からの研修生の受け入れ、困難事案の引き受けなど人的、物理的なサポートを行うとともに、平成二十五年度からは、毎年十二月にオール東京滞納STOP強化月間を実施して、都と区市町村で緊密に連携した徴収対策を行ってまいりました。
 平成二十七年度は、差し押さえ財産を売却し滞納金額に充当するインターネット公売にかかわる新たな取り組みを十一月に予定しております。これは、これまで都と区市町村が別々に実施してきた自動車や美術品などの公売動産の下見会を合同で開催し、集客効果、周知効果を高めるものでございます。また、平成二十七年二月に都と都内全六十二区市町村で、オール東京特別徴収推進宣言を採択したところでございます。
 今後も足並みをそろえ、特別徴収推進への取り組みを行うことが重要であると考えております。

○斉藤委員 ただいまご説明がありましたとおり、このオール東京での個人住民税の特別徴収の推進が不可欠だと私も思います。
 改めて、この特別徴収制度とはどのような制度なのかをお伺いします。また、その制度をこれから推し進めていくのに当たり、どんな取り組みを考えているかをあわせてお伺いしたいと思います。

○安藤徴収部長 特別徴収とは、事業主が従業員にかわり毎月給与から個人住民税を差し引き、区市町村に納税していただく制度でございます。この特別徴収制度を定着させることで、給与所得者である従業員には、年四回ご自身で納付していただく普通徴収に比べ一回当たりの納税負担が軽減される、また納め忘れがない等のメリットがございます。また、自治体といたしましても特別徴収による納税は、徴収率がほぼ一〇〇%となりますため、より確実な徴収方法ということがいえます。
 平成二十九年度には、オール東京で、原則として全ての事業主に特別徴収義務者の指定を行います。なお、事業主につきましては、特別徴収した個人住民税を従業員の住所地にある区市町村ごとに、それぞれ払い込まなければならないなど事務量が増加することから、その理解を得る必要がございます。
 このため、平成二十七年度は、都税事務所や区市町村と連携した広報活動を展開するほか、税理士会等の関係団体へは、会報誌へ特別徴収の案内を掲載していただくよう、協力を依頼しているところでございます。

○斉藤委員 今のご答弁で、特別徴収というのは事業主が従業員にかわって毎月給与から個人住民税を差し引く、そして区市町村に納税していただく制度と。そして、それ以外には、区市町村が各納税者に納税通知書を送付して、年四回ご自身で納付していただく普通徴収があるわけですね。そういう中で、平成二十九年度には、原則全ての事業主に特別徴収義務者の指定を行うというふうになっているわけでございますけれども、これは特別徴収制度の定着の今、通過点だというふうに考えます。
 特別徴収制度という制度については理解できましたけれども、今ご説明、ご答弁あったとおり、事業主は従業員の住所地ごとに、特別徴収した個人住民税を納めなければならないということですので、事業主は大変、ご苦労もこれからあります。従業員の住所地も都内だけでなく、隣県の市町村にまたがる場合も多いというのが、この実態だというふうに思うわけです。
 そこで、この特別徴収義務者の指定に向けまして、オール東京の都内区市町村間の連携のほか、隣県との密接な連携、より広域的な取り組みが今後重要になってくると考えますけれども、いかがでしょうか。

○安藤徴収部長 現在、首都圏では、多くの通勤者が都県域を越えて行き交っております。このため、効果的に特別徴収を推進するためには、九都県市が一体となって取り組むことが必要と考えております。
 九都県市といたしましては、平成二十六年十一月に個人住民税の特別徴収推進に関する九都県市共同アピールを宣言いたしました。また、平成二十七年度は、五月、十一月、来年、平成二十八年一月の三度にわたり、トレインチャンネルを活用したPRをJR主要路線で実施してまいります。
 対象路線といたしましては、都内だけでなく、埼玉や神奈川県域を走行しているJR京浜東北線、千葉県域を走行しているJR京葉線など、首都圏を縦断する路線でPRすることにより、特別徴収制度の趣旨や内容について、広く周知徹底していくことができるというふうに考えております。

○斉藤委員 ただいま徴収率向上に向けての主税局の各取り組みを伺ってまいりましたが、一方で、納税者の中には事業の困難等、失業など、納税したくても納税ができない事情を抱える方もおられます。このような事情を抱えた納税者には、納税者の方のお話、よく聞いていただいて個々の実情の把握に努めるなど納税の意思が大事です。この意思があるということを確認しながら、最終的に納税いただけるような適切な対応をしていくことが必要だと考えるわけですが、いかがでしょうか。

○安藤徴収部長 委員ご指摘のとおり、失業や病気、また災害など個別の事情で、納税の意思がありながらも納期内納税が難しい納税者もいると認識しております。
 このような方に対しましては、電話や窓口による相談受け付け、収入や資産の保有状況に関する綿密な調査等を通じ、納税者の正確な資産、資力を把握するよう努めております。その上で、納税に誠意があり即座にご納付いただくことが困難であると判断した場合には、納税計画などのご相談に応じております。
 都としては、引き続き、きめ細やかで丁寧な納税者対応を心がけてまいります。

○斉藤委員 この納税は、義務であるというふうに捉えれば税を納めるのは当たり前だというような、そういった関係になりがちですけれども、そうではないというふうに私は思っております。
 納税をすることが権利だということ主張する、そういった考え方もあります。私は都政に都民が参加していただく意味で、非常に重要な行為であると。納税は義務であって、それを逃れるというのはとんでもないことでありますし、逆に、苦しくとも、少しでも都政に参加をしていこうと、自分のできる範囲で一生懸命納税をしていこうという意思がある方がいる限り、そういった方々には丁寧に対応していただき、できれば、これは産業労働局となりますけれども、経営的な改善も行っていただいて、立ち直っていただいて、再び納税者として、きっちりと都政に参加していただくことが重要であると、そういう姿勢が大事だというふうに考えるわけです。
 歳入所管局として、主税局はさまざまな徴税努力を重ねてこられて、そして徴収率の向上などを図っていることを再認識いたしました。久しぶりの最高の数字を聞いているわけですけれども、九八・一%、ぜひこれを更新していただきたいと思います。そして、引き続き創意工夫を凝らしながら、現場に立たれる、徴税されている現場の職員には、誇りを持って徴税努力を続けていただきたいと、このように思っております。
 今後とも、税負担の公平性の確保と納税秩序の維持という使命を果たして、都税収入を確実に確保していただくことを心からお願いいたしまして、私の質疑を終えたいと思います。

○植木委員 私も徴税問題について、質問をしたいというふうに思います。
 先ほど来お話ありましたように、都税収入は大手企業などの好調もあって、税収が大幅に伸びておられる。それから、徴収率も過去最高ということで大変努力されている。税はどなたも必要なものを納めなければならない、これは当然だろうと思いますね。同時に、さまざまな都民の生活実態があるというふうに私は思っています。
 景気の変動による会社の運営が困難になったり、あるいは倒産したり、さらには低賃金の非正規雇用などがふえたり、母子家庭で生活困難な事例、あるいは貧困の連鎖とか、舛添知事もよく引用していますけれども、下流老人社会、こういう新しい言葉もできて、豊かに見えていた家庭も何かをきっかけにして塗炭の思いをする生活に落ち込む可能性もあると、こういう下流老人の話も出ております。
 そういう意味で少し幾つかお聞きしたいんですけれども、主税局は、そうした徴税努力で徴収率を上げてきた。これは大変な努力だろうというふうに思うんですけれども、やむを得ず差し押さえする場合があると聞いております。差し押さえ禁止財産というのは主にどのようなものがあるでしょうか。

○安藤徴収部長 差し押さえ禁止財産には、国税徴収法の七十五条から七十八条に規定されております。主なものといたしまして、給与や年金では、最低生活の維持にかかわる部分の差し押さえというのは禁止されております。また、生活保護法や児童手当法などの個別の法律により、手当の支給を受ける権利の差し押さえは禁止されております。

○植木委員 今、最低限の生活にかかわる年金や給与、それから個別法で指定されているものというお話がありました。どちらも生活の基礎になるものだろうというふうに思うんですけれども、鳥取県では、この個別法に規定されている差し押さえ禁止財産である児童手当、この差し押さえに関する裁判が行われて、児童手当が預金通帳に入って差し押さえたということは違法であるということが、二〇一三年に判決が下されました。
 このご家庭は、もともとは不動産業を営んでおられたんだそうですが、不動産業がだめになって夜間の警備をされていた。病弱な妻と認知症の父親、子供五人を支えていたと、こういう生活状態にあったそうです。この裁判が行われて判決が出たとお聞きしていますけれども、この裁判では何が争われ、その判決の結果についてどのようになっているのか、まずお示しいただきたいと思います。

○安藤徴収部長 鳥取県におきまして、県税滞納者の有する児童手当が振り込まれた口座に係る預金債権十三万七十三円を差し押さえました。これに対しまして滞納者は、本件差し押さえ処分は、差し押さえ禁止債権である児童手当を差し押さえた違法なものであり、これに伴う配当処分も違法であるとして、鳥取県に対して本件各処分の取り消し、不当利得の返還、損害賠償等を求める訴えを起こしたものでございます。
 裁判では、主に二つの点が争われております。一つは、本件口座に児童手当が振り込まれることを認識して差し押さえを行ったかどうか。もう一つは、児童手当が振り込まれた口座に係る預金債権は、児童手当受給権としての属性を承継するかということでございます。
 広島高裁判決では、本件口座に児童手当が振り込まれると認識した上での差し押さえと認定し、差し押さえ金額のうち児童手当相当分につきましては、児童手当の属性を承継し、差し押さえ処分が児童手当法に違反しているという認識をいたしました。
 なお、本件判決は、差し押さえ等禁止債権であっても、一旦金融機関の口座に振り込まれた場合には、預金債権を差し押さえることが違法であると一般的に解されていないとし、最高裁判決を踏まえ、差し押さえも許されるということもいっております。

○植木委員 十三万七十三円ですか、児童手当が入金されて、九分後に差し押さえされたというふうにいわれているんですね。明らかに狙い撃ちということが判決で、だから、児童手当の属性が--承継という言葉を使うんですか、承継と、児童手当に限って狙い撃ちされたという、簡単にいうとそういうことだろうと思うんですけれども、それは禁止条項に、禁止財産に入るからだめだと。しかし、預金に転化した場合、これは差し押さえることができると。非常に難しいことになってきていると思うんです。
 先ほどもいいましたように、非常に、家庭の実態は不動産業がだめになって夜警の仕事だけで家族を支えてきたということですから、恐らく収入も減ってきて、預金通帳に十三万と七十三円しかなかったと。塗炭のところに来ているところを差し押さえたと。これはだから、個別法から禁止条項でもあるし、生活そのものから見ても極めて重要な、そのご家庭にとっては重要な手当だったと思うんですね。
 こういうケースというのは、年中はないとは思いますけれども、しかしあり得るべくことだろうと思うんです。私もことし滞納問題で三人ぐらいの方から深刻な例を受けたりして、それぞれ相談に乗ったりしているんですけれども、都としては、こういう滞納が始まった場合、そのご家庭がどんな生活実態にあるのか、当然丁寧な相談を行われていると思うんです。もうこの滞納者、鳥取県のような受給をしているということも当然、行政としてもわかるのではないかというふうに思うんですけれども、これはどのような状況になっているでしょうか。

○安藤徴収部長 東京都では、滞納者との納税相談や収入や資産の保有状況に関する調査等により、滞納者の実情や納税資力の把握に努めております。その中で、差し押さえ禁止財産の保有の把握を行っております。

○植木委員 そういう話し合い、相談の中で、差し押さえ財産などの存在がわかるというお話ですよね。そうすると、存在がわかるということになれば、やはりそれについては実態をよく承知しているわけですから、差し押さえ禁止財産は先ほどみたいにいろんな例があるわけですけれども、差し押さえを当然すべきではないというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○安藤徴収部長 都では、国税徴収法、児童手当法、生活保護法などの規定により、差し押さえが禁止されている財産につきましては、差し押さえを行っていません。
 それで今、委員おっしゃったような差し押さえ後にそれがわかった場合、ほかに財産や収入がなく、差し押さえ財産を換価することにより、生活の維持が困難になると判断した上で、納税者の方に納税について誠実な意思が認められる場合には、換価の猶予を行い、さらに差し押さえの猶予や差し押さえ解除などの対応を行っているところでございます。

○植木委員 換価の猶予や差し押さえの解除をやっているというふうにいわれるんですけれども、実際に貯金通帳に入ると、それは債権として差し押さえはできると。しかし、それが本当に生活にかかわるのか、禁止財産なのかということが事前にわかれば、これはやらないという今の話でした。
 事後については、差し押さえた後でその実態について、すると、こういうことなんですが、原則はそういうことだろうと思うんですけれども、通帳に入った時点で、これは預金とみなされて差し押さえは可能であると。そうなると、調査不十分だったりして差し押さえするというケースも多々あったように思うんですね。
 過去の議事録などを見ましても、差し押さえ禁止財産で児童手当が預金口座に振り込まれれば、性格が預金に転化するとということで、差し押さえが可能であるという記録も、かなり古い記録だったんですけれども、出ているんですけど、今はそういうことは絶対にやらないというふうにいえるでしょうか。いかがですか。

○安藤徴収部長 絶対に起こり得ないということはないと思います。ただ、起こった場合には先ほど申し上げましたように、事後の納税相談やそういうところでわかってきた段階で、種々の対策を講じるということでございます。

○植木委員 事前事後も含めて、そういうことが起こらないようにするということなので、これは、そういう努力を全体としてやっておられると思うんですけれども、本当に今、生活困窮者などで税金の負担が重くなってきて、払える人はもちろん払っていただくわけですけれども、いろんな事情が出てくる。さらには、国保料金の引き上げだとか介護保険料とか消費税増税などで、負担感がだんだん重くなってきておられるわけですよね。可処分所得は一方でどんどんどんどん減ってきているという状況の中でこういう事態がもし起きた場合、起きなければ一番いいわけですけれども、やはり慎重に取り扱っていただかなければならないということを私は思うんですね。
 実は、ことし私が相談を受けたというのは、これは都税ではないので皆さんには申しわけない例なんですけれども、たまたまこの夏にあったばかりなものですから、実例の一つとして参考にしていただけたらというふうに思うんです。
 これは機構の方の話なんですけれども、ある中小の零細企業が、十数人で働いていた企業なんですけれども、社長が亡くなられて、そして従業員同士で話し合って、従業員の中から社長を選んだと。そうしたら、税金がもう大変だということで、機構の方から差し押さえの通知が来て大騒ぎになったという事例なんですね。
 何回か話し合いの中でわかってもらって、何とか猶予措置をとって分納にしていただいたんですけれども、いずれにしても、後を引き継いだ社長さんと従業員、もうとにかく従業員を減らして、やめてもらう人はやめたり、それから事務所も安いところに引っ越しをしたりという相当苦労して、これは解決に一カ月間以上かかったんですけれども、そういう事例も絶対ないとはいえないと思うんですよね。
 先ほども絶対ないとはいえないというお話でしたので、そうした差し押さえをやむを得ず行うときの注意というのは、全都的にはたくさんの職員の方がおられて、いろいろマニュアルによって努力をされていると思いますけれども、解決の道筋、よく相談してほしいし、今は国の方でも自立支援というお話もあって、東京都は組織が大きいですから、なかなかそう簡単にはいかないと思うんですけれども、地方自治体なんかでは、国のいい例としては、窓口を税の担当から必ずいろんな分野に引き継いで、そこでとどまらないという仕組みをつくって努力をされて、解決の糸口を紹介するという事例が、国の方からも出されています。そういう努力が必要かというふうに思いますけれども、どのように考えておられるでしょうか。

○安藤徴収部長 今、先生おっしゃったような、自立支援の関係で生活困窮者に対する対応ということで、徴収部門からもそういうところに配慮して施策を行っていく必要はあるというふうに感じております。

○植木委員 都全体で主税局としては徴収専門の分野ですから、なかなかそうきれいにはいかないと思いますけれども、ぜひそういう姿勢で努力をしていただきたいということで、次に移りたいというふうに思います。
 ふるさと納税というのが始まっています。ホームページを見ますと、ふるさと納税についての仕組みや納税するとこういうものをいただけるとか、地元の名産、肉などがもらえるというのがずっと出ているわけですね、ホームページには。なかなかすごいことだなというふうに思って見ているんですけれども、このふるさと納税が実施されてから、都税への影響額はどのようになっているでしょうか。

○加藤税制部長 いわゆるふるさと納税による都税の減収額でございますけれども、平成二十六年度におきましては約七億円でございます。
 なお、制度創設以降の平成二十一年度からの累計額は、約四十億円となっております。

○植木委員 だんだんこれが膨らんでいくのかなという思いもあるんですけれども、中には東日本大震災のときに、いわゆるふるさと納税という意味合いではなくて、震災支援という意味合いで納税された方も入っておられるので、全部とはいいません。
 しかしながら、原則的にはふるさと納税というのは、実際に進められているわけですけれども、税の面から考えると、税の大もとの原則である受益と負担の原則というのがあると思うんです。この考え方、つまりその地元で行政からの受益をして、そして義務としての納税をするという納税負担、こういう一つの自治体の中で今まで完結してきたものがこういう形になってきているんですけれども、税の受益と負担の原則からいって、どのように見たらいいでしょうか。

○加藤税制部長 本来、行政サービスを受ける自治体に入るべき税収が、寄附金という形を通じてではありますけれども、また、いわゆるふるさと納税という形で他の自治体に移転するということは、受益と負担という地方税の原則の観点から好ましいものではないと認識しております。

○植木委員 やっぱり税の原則から見たら間違っているということですよね。
 さらに問題なのは、先ほど最初にも紹介しましたけれども、返礼というか見返り、地域の名産品を売り込んだり、一時プリペイドカードなども出されたりという例もあるというふうに聞いておりますけれども、これについてはどのように考えておられるでしょうか。

○加藤税制部長 いわゆる返礼品につきましては、それぞれの自治体が寄附を獲得するための創意工夫の一つであると受けとめております。
 なお、自治体への寄附という、経済的な利益の無償の供与を通じて豊かな地域社会の形成等に寄与するという制度の本来の趣旨を踏まえまして、本年四月一日付で、国から各地方自治体に対し良識ある対応を求める要請が行われたところでございます。

○植木委員 良識ある対応を求める要請が行われたと、それほど加熱ぎみだということなんだと思うんですけれども、やっぱりこれを放っておくとエスカレートしていく可能性があったということで、そういう対応があったと思うんです。
 ふるさと納税と比較しなければならないのが、先ほども東京都の財源を狙い撃ちするということで、主税局、財務局共管で反論の文書も出ておりますけれども、その中に企業版ふるさと納税というのが出ていると思うんです。この企業版ふるさと納税、反論書の中では四つの問題点というのを出しておりますけれども、どこがどう違うのでしょうか。

○加藤税制部長 内閣府が平成二十八年度税制改正要望として提案した内容によりますと、いわゆる企業版ふるさと納税は、地方創生を推進する上で効果が高いとして、内閣府の認定を受けた地方自治体の事業に対する企業の寄附を対象にするとしております。
 また、東京都など財政力の高い自治体や主たる事務所が立地する自治体への寄附は、対象外とすることとされております。

○植木委員 ごく原則的なお話しかないんですけれども、企業版ふるさと納税、企業がどのくらいするのかわかりませんけれども、納税したと。企業のふるさとというのはどこなのかという問題点もあろうかと思うんですよね。
 それから、なぜ東京都だけが除外されるのか、東京をふるさとと思っている企業があるのかどうかわかりませんけれども、それから地方創生というんですけれども、税の原則からいってどうなのかと、幾つも問題点があると思うんですね。
 私は、個人版ふるさと納税も企業版ふるさと納税も、税の本質においては同じであるというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○加藤税制部長 さきに個人版についてもご答弁させていただきましたけれども、企業版につきましても、もともと法人税にありましては、自治体への寄附は全額損金算入するという仕組みがございます。
 そうした中で、税額控除等によりまして、税が他の団体に流出するということになりますと、これは受益と負担という地方税の原則の観点から、好ましいものではないと認識しております。

○植木委員 個人版も企業版も本質は同じだということですよね、今の結論は。そうすると、企業版の方はきちっと意見をいっていると。ふるさとの方は、余り意見をいっているようにはちょっと見えないですけれども、やはりこの受益と負担の原則からどうなのかというような原則論は、常にきちっと持ってなきゃいけないと思うんですよ。だから、エスカレートしていくとこれがゆがんでくる可能性だってあるわけですから、そこを持っていた上で企業版ふるさと納税についてもきちっと批判するという姿勢が私は必要だというふうに思うんですね。
 いずれにいたしましても、主税局ですから税の原則を踏み外すことはもちろんないというふうに思いますけれども、ぜひその点を注意して対応するように重ねて申し上げて終わりにします。

○田中委員 私からは、徴収率、また徴収対策、また納付方法の多様化についてお聞きをしたいと思います。
 ほかの委員からもありましたが、平成二十六年度の決算では、大企業の収入増等により都税収入は約四兆七千三百九十九億ということでありまして、徴収率も過去最高の九八・一%計上をしたと報告がありました。また、滞納繰越額も平成以降最少の百八十四億円という答弁も先ほどありました。
 主税局の徴収率の向上への取り組みとしても先ほど二つありまして、一つが都税の納付方法の多様化、また徴収対策ということが挙げられていました。きょうは都税の納付方法の多様化によって、納税者の利便性の向上を図ってきたというところについて伺いたいと思います。
 まず、この都税の納付方法として具体的にどのような方法があるのかを伺います。

○安藤徴収部長 現在、納税者が利用できる納付方法として、金融機関等の窓口での納付、口座振替による納付、コンビニエンスストアでの納付、インターネット等を利用したペイジーによる納付、それにクレジットカードによる納付、大別すると以上の五つの方法がございます。

○田中委員 大別すると五つの納付方法があるということでありました。それぞれ皆さんが利用されている納付方法かと思いますが、それぞれの方法の導入の経過があったということも伺っておりますが、簡単にその経緯についても伺います。

○安藤徴収部長 当初からございました金融機関等の窓口での納付に加えて、まず昭和四十一年から口座振替による納付を開始いたしました。次に、全国に先駆けて自動車税に限り、平成十六年度からコンビニエンスストアでの納付を開始しております。その後、平成十八年度からは、対象をほぼ全ての税目へ拡大いたしました。また、平成十八年度には、インターネット等を利用したペイジーによる納付も開始いたしました。
 直近の動向といたしましては、平成二十三年度から自動車税に限りクレジットカードによる納付を開始しております。その後、平成二十七年度からは、全国に先駆けて対象をほぼ全ての税目へ拡大しております。
 なお、これらは全て納税者の利便性の向上と徴収率の向上を図る目的で導入しております。

○田中委員 特に平成に入ってから、後半からかなり多くのコンビニエンスストア、またネット、またクレジットカードということが進んできたところは、納税者の利便性の向上、また徴収率の向上につながってきたということが、今までの経緯でわかりました。
 では、実際それぞれの各納付方法の導入以降の利用状況の推移についてを伺います。

○安藤徴収部長 例えば口座振替による納付につきましては、全対象者に対する利用率が四九・一%となっております。コンビニエンスストアの納付につきましては、課目を拡大した平成十八年度の約二百三十九万件から、平成二十六年度では約四百五十三万件と、件数ベースで約一・九倍の伸びを示しております。また、クレジットカードによる納付につきましては、導入当初の約八万七千件から、平成二十六年度では約十六万六千件と、こちらも約一・九倍の伸びを示しております。

○田中委員 口座振替は長年やっていますからもちろんのこと、若い人を中心にしてコンビニでの支払い、さらにクレジットの利用というのも、恐らく今いってもらった八万七千件から十六万六千件は自動車税の納付かもしれませんが、これもこの数年で大きく伸ばしています。また、先ほど斉藤委員からもありましたが、ことしからは固定資産税を初めとしたほとんど全ての税目がクレジットカードでの支払いが可能になったということで、さらなる伸びも期待をされるところであります。
 個々の納付方法が広く、私もどれも使わせてもらっておりますが、都民納税者に浸透もしているということはよくわかっておりますが、しかし、納付方法の多様化によって徴収に係るコストも増大しているのではないかという危惧もあります。
 そこで、次は徴税のコストについてを伺いたいと思います。
 平成二十六年度の都税収入というのは、四兆七千三百九十九億円ということは、先ほどから話が出ておりますが、では仮にこの都税を百円でも徴収するとした場合のコストについてを伺いたいと思います。また、二十六年度は都税徴収率過去最高ということも冒頭述べましたが、都税の徴収率が最低だったときとも比べて、このコストの変化がどうだったかを伺います。

○西海総務部長 徴税コストについてのお尋ねでございますので、私の方から答弁申し上げます。
 平成二十六年度の都税収入は、おっしゃるとおり四兆七千三百九十九億円でございますけれども、一方、同年度の主税局の人件費やシステム経費を含む徴税費は、約六百五十二億円でございます。したがいまして、お尋ねの平成二十六年度都税収入百円当たりの徴税コストは、約一・四円となります。
 続きまして、都税徴収率が最も低かったということですけれども、これは平成七年度が最も低かった年度でございます。この年度の都税収入百円当たりの徴税コストは約二・六円でございます。したがいまして、昨年度二十六年度の比較では約一・二円の減、パーセンテージでいいますと約四六%の減というふうになっております。

○田中委員 全体の徴税コストのかかっているもの、また最低と最高の比較をしてもらいました。
 これまでの経緯を聞きますと、さまざまな納付方法を広げることによって、コストも大きくかかっているんじゃないかと。それに見合った徴税のやり方をこれから考えていかなきゃならないんじゃないかといった問題意識で、最初は質問をさせてもらっておったんですが、かなり過去から比較をしても、また直近のこの五年のデータもいただきましたが、職員費、事業費が徴税費として計上されておりますが、これも変わることなく推移をしているということもよくわかりました。
 多様な納付方法の導入に取り組んでいますが、そのために今もいいましたが、人件費やシステム経費などの徴税コストが増大しているのでは、真の都民のサービス向上とはいえず、本末転倒になってしまうという可能性もあります。今現時点では、これまで大変にコストを下げてきたということでありますが、今後、都では少子高齢化対策など、行政経費の増加も見込まれることは必至であります。
 常にこのコスト意識を持って、さらなる納税サービスの向上を図りつつ、課税、徴収業務に取り組んでいっていただくことを要望しまして、質問を終わります。

○宮瀬委員 私からは、平成二十六年度の主税局決算の審議におきまして、ふるさと納税についてお伺いいたします。
 先ほどの答弁聞いておりましたが、一部重複しますので重複するところは割愛をさせていただきます。
 ふるさと納税は、地方税の改正により平成二十年四月に施行されました。その策定に携わりました総務省所管ふるさと納税研究会において示されましたその意義として、納税者の選択、ふるさとへの思い、地方自治体間競争による自治意識の進化とありました。まさに日本の首都であり、地方にふるさとを持つ都民も多く占めております東京におきまして、その影響は大であります。
 まずお伺いしたいのは、その一つ目の意義であります納税者の選択であります。平成二十年の施行後、東京都民から各自治体へ納税されたふるさと納税者数及びその影響金額、すなわち本来都の税収となるべきであった税金の減収額の推移を六カ年分教えてください。

○加藤税制部長 総務省が発表しております都道府県、市区町村に対する寄附金に関する調べということでお答えをさせていただきます。
 まず納税者数でございますが、平成二十一年度から平成二十三年度にかけては、年間六千人前後で推移しておりますが、東日本大震災後の平成二十四年度には、約十四万人に拡大しております。その後、平成二十五年度は約二万人、二十六年度は約三万人となっております。
 また、このふるさと納税によります東京都都税の減収額でございますが、平成二十一年度から二十三年度にかけましては、年間約二億円で推移をし、平成二十四年度は約二十二億円に拡大しております。その後、二十五年度は約五億円、二十六年度は約七億円となっております。

○宮瀬委員 ありがとうございます。東日本大震災の影響で平成二十四年度の数字が飛び抜けて高く出ておりますが、直近の平成二十五年と二十六年を比較いたしますと、大体人数にしまして前年度比約二八%増、金額で約五〇%増となっていることがわかります。実に金額にしまして、二十六年度におきまして七億三千万もの減収となっております。
 また、ふるさと納税の意義によりますと、私調べてまいりましたが、納税者の選択、ふるさとへの思いとあります。ともすれば、地方在住の方で東京都をふるさととする方も多くいると推測されます。
 東京都にふるさと納税をした方々の金額と件数を調べてまいりましたが、ふるさと納税という指定があったものに限れば、平成二十六年度におきましてはわずか五件、金額にして約十三万円ほどにすぎないことがわかりました。
 つまり、ふるさと納税の入りと出を鑑みましても、東京都にとって本税制は圧倒的な流出超過でありますが、東京都としてこの実態や減収状況をどう捉えているのか、そのことに関しましては、先ほどの質疑の中から受益と負担という地方税の原則の中から好ましいものではないとご答弁を聞かせていただきました。こうした制度が、平成二十七年度の税制改正ではさらに拡大され、今後、都税の流出額が増加すると予想されております。
 そもそも地方税は、自治体のサービスの対価という性質を持っており、地方自治法の規定を引くまでもなく、住民はその属する地方公共団体のサービスをひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負っている。つまり、都にとりましては、住民サービスは提供するが税収は入ってこないなど、個人住民税のあり方そのものが問われております。
 こうした地方税の大原則を踏まえますと、そもそも地方税から税額控除するという制度自体がおかしいのではないかと考えますが、平成二十年の制度設立時において都からどのような反論がされたのか、お伺いをいたします。

○加藤税制部長 いわゆる個人版ふるさと納税が創設される際には、当時の石原知事が税の原則に反している点などを繰り返し訴えております。また、全国知事会における地方税制の議論の場におきましても、都はふるさと納税について、行政サービスとの受益関係で課税されている住民税の性格上、問題があること等を主張しております。

○宮瀬委員 ありがとうございます。
 一方で、こうした創設時の反論、危機意識にもかかわらず、この制度が拡大されるに当たっては、大きな反論はしなかったと認識しております。この間ふるさとの大切さ、自治意識の進化に役立つという、ふるさと納税本来の目的を外れまして、実態は牛肉や果物などの地域間の贈り物合戦の様相を呈しており、ふるさと納税の拡大に当たりましては、税理上の観点からも、きちっとした反論をしていくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○加藤税制部長 平成二十七年度税制改正におけるふるさと納税の拡充に際しましては、控除限度額引き上げ等の小手先の手法をもって、日本国土の均衡ある発展を目指すには限界があり慎重な検討が必要であると、舛添知事も発言をしております。ふるさと納税は、受益と負担という地方税の原則から好ましいものではありません。
 今後とも、制度の趣旨に沿った運用がなされるよう動向を注視してまいります。

○宮瀬委員 やはりこうした制度が制度本来の目的を失いまして、自治体のサービスと関係ないところに税収が回ることは、根本的におかしな制度であると考えております。
 例えば、東京都が本気を出して豊富な資金力を使い、トウキョウXなどを初め、お肉のセットをふるさと納税のサービスとして提供してしまった場合、この制度自体は破綻を来す可能性もあるぐらい影響がある話であります。
 東京都は、そういったことはしないと思いますが、いずれにせよ東京に子育て世代を含めた多くの人たちが集中しているという現実を直視するのであれば、東京都における住民サービスの質はますます低下してしまい、現実を直視していないといわざるを得ません。
 最後の質問になりますが、さらにいえば、個人のふるさと納税にとどまらず、国は二〇一六年に企業版ふるさと納税を創設しようと画策していると、一部報道を拝見させていただきました。
 企業版ふるさと納税は、菅官房長官から地域間の財源偏在の是正に資するという発言があって導入が検討されていると承知しておりますが、都として、こうした露骨な財政移転には、厳しく反対していくべきだと考えますが、具体的にどのような反対運動を展開していくのか、お伺いをいたします。

○加藤税制部長 都は先月、地方税財政に関する反論書を公表し、企業版ふるさと納税につきましては、地方法人課税の応益性の原則に反すること、自治体間で企業からの寄附獲得に向けた競争が過熱するおそれがあること、また、そもそも企業にとってのふるさと納税というものが成立するのかといったことなど、多くの問題があることを指摘しております。
 また、今年度の東京都税制調査会におきましても、企業版ふるさと納税に関して議論が行われております。

○宮瀬委員 ありがとうございます。
 個人住民税に加えまして、企業版ふるさと納税が始まりましたら、都財政にとって大打撃になることは間違いありません。仮に、個人におけるふるさと納税だけをとってみましても、この問題をこのまま放置するとどうなるのか。冒頭に申し上げましたふるさと納税の年間約五〇%増との伸び率を仮に仮定いたしまして単純計算いたしますと、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックが開かれる時点におきまして、約八十三億円の減収、その後もさらに百億、二百億円と減収が見込まれてしまいます。
 本日の質疑におきまして、ふるさと納税に対する都の認識、制度発足時の反論の仕方、また二十六年度決算時におけるその対応、そして今後の動き、決算ではありますが、恐縮ではございますが、聞かせていただきました。しかし、対応を見ておりますと後手に回ることが多く、知事の反論もいささか届いていないように感じられます。
 今後は、少子高齢化が進み税収増の見通しが立たない中におきまして、首都東京が危機的状況を迎えぬよう、過去の反省を踏まえまして、ぜひ国に対して実効的な対応策を検討いただきますよう要望いたしまして、私の質疑を終わります。

○加藤委員 固定資産税のことについて質問をしたいと思います。
 固定資産税の平成二十六年度決算額は、約一兆一千四百四十七億円となっておりまして、都税収入全体の約二四%を占めています。また、過去の決算額の推移を見ましても、景気の変動に左右されずに安定した税収となっており、極めて重要な税目であるといえます。
 一方で、固定資産税の制度は複雑だといわれまして、その分、資産に対して適正に課税することが重要です。最近の新聞報道によれば、全国の自治体で固定資産税の課税ミスが発覚をしております。
 例えばある自治体では、住宅と土地の担当者が別で、住宅の担当者が新たに家が建ったことを土地の担当者に伝え忘れたり、伝えても固定資産税への反映を忘れたという例が紹介をされており、この自治体はさかのぼってとり過ぎた税金を還付したとのことでありました。
 また、この記事によりますと、住宅用地には軽減するための特例が適用されますが、住宅以外の用地とは税額が大きく違うため、この特例の適用漏れなどにより、他の自治体でも追加で課税したり、さかのぼって還付する事例が多いようです。
 都でも固定資産税を追加で課税したり、さかのぼって還付するということもあるのではないかと思いますが、そこで住宅用地の認定に関連して固定資産税の税額を修正するのは、どのようなケースがあるのか。また、その要因はどのようなところにあるのか、まず伺います。

○大久保資産税部長 お話のとおり、住宅用地には、課税標準の特例が適用され税額が軽減されますが、事務所や店舗などの非住宅用地には特例が適用されないため、住宅用地と非住宅用地とでは税額に大きく差が生じます。
 この住宅用地の特例適用に関連して税額を修正いたしますのは、納税者からの申告や職員の現地調査等により、土地や家屋の利用状況の変化を確認した場合でございます。こうした修正が生じる要因でございますが、住宅用地特例の適用につきましては、条例により申告が義務づけられておりますが、自主的に申告されることは少ないのが実情でございます。
 このため、土地や家屋の利用状況につきましては、家屋の新築時には職員が現地調査等で確認しておりますが、その後の利用状況の変更は把握が難しいことが、税額修正が発生する要因の一つとなっております。例えば家屋の用途を住宅から事務所に変更した場合などで、外観からの調査ではわからないことが多いというところでございます。

○加藤委員 今の答弁から、税額に大きく影響を与える住宅用地の特例適用については、利用状況の把握が難しいということが税額修正の大きな要因であるということがわかりました。
 固定資産税の課税においては、一月一日現在の利用状況に基づいて課税しなければならないということでありますが、納税者からの申告がなかなか得られないとすると、それではこの土地や家屋の利用状況の変更を把握し、固定資産税を適切に課税するために、都はどういった取り組みを行っているのか伺います。

○大久保資産税部長 固定資産税におきましては、住宅用地の特例は、先ほど申しましたとおり申告をしていただく制度になっておりますことから、まずは納税通知書に同封しているチラシや主税局ホームページなどを通じまして周知を図っているところでございます。
 今年度はこれに加えまして、納税通知書に利用状況変更届のはがきを同封し、より届け出しやすい方法を新たに設けております。また、都といたしましても、納税者の申告を待つだけではなく、毎年主税局で撮影しております航空写真を活用しながら、職員が定期的に現地確認を行うことによりまして、利用状況の変更を把握する取り組みを実施しております。
 これらの取り組みによりまして、土地や家屋の利用状況を的確に把握し、適正な課税に努めているところでございます。

○加藤委員 都が適正な課税に向けて努力をされているということはわかりました。しかし、固定資産税は冒頭にも申し上げましたが、納税者から見ると制度が複雑で、税額がどのように計算されているのかということがわかりにくいという問題があると思います。
 この問題につきまして、私は以前、平成二十四年の第一回定例会の財政委員会で、固定資産税の納税通知書に同封されている説明書を、もう少しわかりやすくした方がいいのではないかと質問をさせていただきました。
 その際、資産税部長の答弁は、説明用のチラシについては、毎年必要な改善を行っておりますけれども、引き続き都税事務所に寄せられたお客様の声に真摯に耳を傾け、さらにわかりやすいものへ改善していくということでありました。
 確かに、ことしのチラシは私も見ましたけれども、改善はされております。ただ、その個々の納税者によっていろいろやっぱりケースが違いますから、チラシだけでは十分理解できないこともあると思います。
 そこで伺いますが、納税者がこの納税通知書やチラシを見ても課税内容に疑問がある場合は、さらに説明が必要と考えますが、この点はどう対応しているのか伺います。

○大久保資産税部長 納税通知書や同封のチラシにつきましては工夫を重ねておりますが、お話のとおり、固定資産税は評価額及び税額の算出過程が複雑なため、限られた紙面の活用には限界もございます。
 このため、納税通知書の送付後に納税者から寄せられるお問い合わせに対し、できる限りわかりやすく丁寧にお答えすることが重要と考えております。
 お問い合わせの内容といたしましては、税額の算出方法や住宅用地の特例適用のほか、評価額の算定方法に関するものが多く、こうしたご質問の多い事項につきまして、説明内容を例示した手引書を全職員に配布し、事前に徹底を図るなどによりまして、丁寧に説明を行うための体制を整えているところでございます。
 また、資産の具体的な状況に即した疑義について、都税事務所にお訪ねに来られる方々に対しましては、調査票や図面などの課税資料を適宜お示ししながら詳細なご説明を行っております。
 こうした取り組みを積み重ねることによりまして、固定資産税の適正な課税と納税者からの信頼の確保に、より一層力を尽くしてまいります。

○加藤委員 固定資産税は都にとっては大変貴重な財源でありますが、この制度が複雑で課税の仕組みが非常にわかりにくいと、多くの納税者が感じていると思います。都もわかりやすい説明に努力をしていることは今の答弁でよくわかりましたけれども、引き続き納税者の疑問に対しては丁寧に対応していただきたいと思います。
 報道では、固定資産税のミスを見つけるビジネス、こういうものが広がり始めたと、こういうことも書いてありましたので、今後も納税者からの信頼を確保し、税収確保に努めていただくことをお願いして、質問を終わります。

○早坂委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○早坂委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時三十一分散会

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