委員長 | 谷村 孝彦君 |
副委員長 | 里吉 ゆみ君 |
副委員長 | 和泉 武彦君 |
山内れい子君 | |
大場やすのぶ君 | |
近藤 充君 | |
両角みのる君 | |
あさの克彦君 | |
野上 純子君 | |
鈴木あきまさ君 |
欠席委員 なし
出席説明員オリンピック・パラリンピック準備局 | 局長 | 中嶋 正宏君 |
次長理事兼務 | 岡崎 義隆君 | |
理事 | 小山 哲司君 | |
総務部長 | 鈴木 勝君 | |
調整担当部長 | 雲田 孝司君 | |
総合調整部長 | 児玉英一郎君 | |
連絡調整担当部長 | 岡安 雅人君 | |
準備会議担当部長 | 丸山 雅代君 | |
自治体調整担当部長 | 井上 卓君 | |
計画調整担当部長 | 鈴木 一幸君 | |
大会準備部長 | 延與 桂君 | |
運営担当部長 | 田中 彰君 | |
競技担当部長 | 根本 浩志君 | |
パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 | 萱場 明子君 | |
施設輸送担当部長 | 花井 徹夫君 | |
施設調整担当部長 | 小室 明子君 | |
施設整備担当部長 | 小野寺弘樹君 | |
選手村担当部長 | 安部 文洋君 | |
スポーツ推進部長 | 早崎 道晴君 | |
国際大会準備担当部長 | 土屋 太郎君 | |
スポーツ施設担当部長 | 田中 慎一君 | |
福祉保健局 | 局長 | 梶原 洋君 |
次長 | 砥出 欣典君 | |
技監 | 笹井 敬子君 | |
理事 | 黒田 祥之君 | |
総務部長 | 山岸 徳男君 | |
指導監査部長 | 飯塚美紀子君 | |
医療政策部長 | 西山 智之君 | |
保健政策部長 | 上田 隆君 | |
生活福祉部長 | 芦田 真吾君 | |
高齢社会対策部長 | 西村 信一君 | |
少子社会対策部長 | 手島 浩二君 | |
障害者施策推進部長 | 高原 俊幸君 | |
健康安全部長 | 小林 幸男君 | |
企画担当部長 | 後藤 啓志君 | |
事業推進担当部長 | 坂本 尚史君 | |
医療改革推進担当部長 | 成田 友代君 | |
医療政策担当部長 | 矢沢 知子君 | |
地域保健担当部長 | 本多由紀子君 | |
生活支援担当部長 | 松浦 慎司君 | |
施設調整担当部長 | 村田 由佳君 | |
子供・子育て施策推進担当部長 | 松山 祐一君 | |
障害者医療担当部長 | 平賀 正司君 | |
食品医薬品安全担当部長 | 仁科 彰則君 | |
感染症危機管理担当部長 | 矢内真理子君 |
本日の会議に付した事件
平成二十六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
オリンピック・パラリンピック準備局関係
・平成二十六年度東京都一般会計決算(質疑)
福祉保健局関係
・平成二十六年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十六年度東京都母子父子福祉貸付資金会計決算(質疑)
・平成二十六年度東京都心身障害者扶養年金会計決算(質疑)
○谷村委員長 ただいまから平成二十六年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別質疑を行ってまいります。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、オリンピック・パラリンピック準備局及び福祉保健局関係の決算に対する質疑を行います。
これよりオリンピック・パラリンピック準備局関係に入ります。
初めに、先般の人事異動に伴い幹部職員の交代がありましたので、オリンピック・パラリンピック準備局長から紹介があります。
○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 それでは私から、十月十六日付の人事異動により変更のありましたオリンピック・パラリンピック準備局の幹部職員をご紹介申し上げます。
総合調整部長の児玉英一郎でございます。連絡調整担当部長の岡安雅人でございます。準備会議担当部長の丸山雅代でございます。運営担当部長の田中彰でございます。
以上でございます。よろしくお願いいたします。
〔理事者挨拶〕
○谷村委員長 紹介は終わりました。
○谷村委員長 決算の審査を行います。
平成二十六年度東京都一般会計決算中、オリンピック・パラリンピック準備局所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○鈴木総務部長 去る十月九日の当分科会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元にお配りしてございます平成二十六年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんください。
表紙をおめくりください。資料1、スポーツ振興事業に係る予算及び決算の推移でございます。
都のスポーツ振興事業に係る予算額及び決算額について、平成二十二年度から平成二十六年度までの五年間の推移について記載しております。予算額は、いずれも当初予算額となっております。なお、各年度に係る説明は欄外に記載してございます。
続きまして、一枚おめくりください。資料2、都立スポーツ施設の指定管理料の推移でございます。
八つのスポーツ施設の指定管理料につきまして、平成二十三年度から平成二十七年度までの五年間の推移を記載しております。なお、平成二十三年度から平成二十六年度までは決算額、平成二十七年度は当初予算額となっております。
一枚おめくりください。資料3、都立体育施設の利用状況でございます。
当局が所管しております主な施設について、スポーツ利用とスポーツ以外の利用件数を、それぞれ平成二十四年度から平成二十六年度までの三年間の推移で記載しております。
一枚おめくりください。資料4、平成二十六年度スポーツムーブメント事業実績でございます。
都民のスポーツ機運の醸成を目指し、都民が気軽に参加できるスポーツイベントの開催や、さまざまなスポーツ情報の発信などを行うスポーツムーブメント事業の予算現額と決算につきまして、各区分ごとに内訳を記載しております。
一枚おめくりください。資料5、平成二十六年度区市町村スポーツ施設整備費補助実績でございます。
区市町村スポーツ施設整備費補助の予算、決算及び実績の内訳を記載しております。
一枚おめくりください。資料6、東京都(都立体育施設指定管理者含む)主催の障害者スポーツの定期的な体験会及び教室の開催実績(平成二十六年度)でございます。
平成二十六年度に、東京都及び都立体育施設の指定管理者が主催した障害者スポーツの定期的な体験会及び教室の開催実績を記載しております。
一枚おめくりください。最後に、資料7、区市町村別スポーツ推進委員委嘱数及び都内障がい者スポーツ指導員登録者数でございます。
上段の表に、平成二十二年度から平成二十六年度までの区市町村別のスポーツ推進委員の委嘱数、下段の表に、同じく平成二十二年度から平成二十六年度までの都内の障害者スポーツ指導員の登録者数を記載しております。
以上、簡単ではございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○谷村委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○和泉委員 日本中が喜びに沸いた平成二十五年九月八日、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催決定から二年がたちました。この間、国内外でさまざまな動きがありました。
国際オリンピック委員会は、トーマス・バッハ新会長のもとで、オリンピックとIOCの改革方針であるオリンピック・アジェンダ二〇二〇を採択し、東京都ではこの新方針にも沿う形で会場計画の再検討が行われました。政府においては、専任のオリンピック・パラリンピック担当大臣を任命するとともに、今月にはスポーツ庁を設置し、二〇二〇年大会に向けた体制を整えたところです。
さらに、二〇一九年ラグビーワールドカップ日本大会における開会式、開幕戦の会場に東京スタジアムが決定し、現在開催中のイングランド大会での日本代表チームの大活躍も相まって、都民、国民のスポーツ熱も、今また盛り上がりを見せております。
一方で、この数カ月についていえば、新国立競技場や大会エンブレムの白紙撤回、野球賭博疑惑など、残念な事態も生じました。しかし、我々は、こうした課題に正面から取り組み、オール東京、オールジャパンで乗り越えていかなければなりません。
今、改めて開催決定後の都の取り組みを振り返り、今後の着実な大会開催準備につなげていきたいと思います。
そこでまず、実質的な大会準備初年度である平成二十六年度における大会準備の取り組みについて伺います。
○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 平成二十五年九月の二〇二〇年大会開催決定後、二十六年一月に組織委員会が設立されまして、平成二十六年度は本格的な大会準備を開始する年となりました。
都は、まず、組織委員会と連携して大会開催基本計画の策定に取り組みました。これは、大会ビジョン、大会までのロードマップなど、大会開催準備の枠組みを提供する基本的な計画であり、平成二十七年二月に組織委員会からIOC、IPCに提出をされました。この基本計画に基づきまして、個別の分野の具体的な実施内容についての検討が進められることとなりました。
また、会場計画につきましては、招致の時点で作成しました会場計画が都民の理解を得て実現できますよう、知事の指示のもと再検討を行いました。
再検討の視点は、競技会場の整備が大会後の東京にどのようなレガシーを残せるのか、広く都民の生活にどのような影響を与えるのか、建設資材や人件費の上昇など整備コストの高騰への懸念、この三つでございます。
再検討の結果、昨年十一月には、都が新設予定の十の施設のうち、三施設の新設を中止いたしまして、既存施設を活用することといたしました。これなどによりまして、施設整備費はおおむね二千億円削減することができました。
この計画変更につきましては、都議会のご審議もいただいて、平成二十七年度予算に必要な経費を計上し、現在、着実に施設整備を進めております。
このほか、平成二十六年度は、組織委員会を初め、国、都内区市町村、全国自治体等との連携体制を整備するとともに、大会開催に係る個別課題の調査検討に着手するなど、大会準備全般にわたりまして基礎固めを行ったところでございます。
○和泉委員 大会準備の基礎に大会開催基本計画があり、これは今後、個別の分野の具体的な実施内容についての検討を進めるための枠組みを提供する計画との説明でした。
大会開催基本計画に基づき、都はどのように大会の開催準備を進めているのかを伺います。
○田中運営担当部長 大会開催基本計画では、大会を支える機能、ファンクショナルエリアとして、競技、パラリンピックインテグレーション、セキュリティー、輸送、会場、インフラなど五十二のファンクショナルエリアを定め、それぞれの機能を明確化しております。
都は、開催都市として、組織委員会が行う大会準備を全面的にバックアップするとともに、大会中の都市の活動が正常に行われるように、責任を持って対策を講じることとしており、競技会場等の整備、輸送計画、多言語対応、開催機運醸成などに取り組んでいるほか、大会を契機に、都民共通の財産として真に価値のあるレガシーを残すための検討を進めております。
○和泉委員 都が、組織委員会との役割分担のもと、幅広い分野での取り組みを既に実施しているということはわかりました。
大会の中心施設である競技会場の整備、都民生活に極力影響を及ぼさない輸送計画、また、多数の外国人を迎えるための多言語対応、大会を成功させるための開催の機運醸成、いずれも大切なことではありますけれども、円滑な大会運営のため、万全の準備を整えるということは、開催都市として最低限の責務であり、都にとっては、都民のための確かなレガシーをつくっていくことこそが重要であります。その意味でも、二十六年度に行われた会場計画の再検討は、非常に大きな意味を持つ取り組みであったと思われます。
そこで伺います。競技会場等の整備については、当初の計画は大きく変更されました。どのような成果があり、それに基づきどのように準備を進めているのか、お聞かせください。
○花井施設輸送担当部長 先ほど局長が答弁いたしましたように、夢の島ユース・プラザ・アリーナA、Bなど三施設の新設を中止することなどにより、施設整備費を大幅に削減いたしましたほか、整備予定地や会場内の施設配置の変更により、自然環境や現存するスポーツ施設への影響を減少させることができました。
こうした会場変更につきましては、本年二月以降、順次、IOC理事会の承認を得て確定しております。
水泳会場となりますオリンピックアクアティクスセンターなど三施設につきましては、本年一月に基本設計委託の契約を締結し、八月末には委託業務を完了いたしました。現在、実施設計及び工事施工の事業者を公募しており、二〇二〇年に向けて着実に整備を進めてまいります。
また、新規恒久施設の後利用につきましては、昨年十二月、外部の有識者から成るアドバイザリー会議を設置いたしまして、民間事業者のアイデアも取り入れた検討を開始いたしました。検討結果は、本年六月に後利用の方向性として取りまとめ、公表したところでございます。
○和泉委員 二〇二〇年大会は、東京のスポーツ環境を格段に向上させる絶好の機会です。大会に間に合うよう確実に会場整備を進めることはもとより、コスト、バリアフリー、そして後利用等、あらゆる面に目配りをして、都民、国民にすばらしいレガシーを残すように取り組んでもらいたいと思います。
次に、二〇二〇年大会の成功に向けた開催機運の醸成について伺います。
昨年、平成二十六年度は、アジアで初めてとなるオリンピックが開かれた一九六四年の東京大会から五十年という節目の年に当たり、都内各地で記念行事が行われました。
一九六四年大会の感動を改めて振り返ることで、オリンピック・パラリンピックの価値を再認識し、二〇二〇年大会に向けた機運を盛り上げていくためには、大変重要な取り組みであったといえます。そのため、我が党は、五十周年を記念する事業を、都内区市町村と連携し、一過性のイベントに終わらない意義ある事業とするように要望いたしました。
そこで、この五十周年記念事業の成果と、その後の機運醸成の取り組みをどのように展開しているのか、伺います。
○丸山準備会議担当部長 一九六四年大会から五十年の節目となった昨年度、二〇二〇年大会に向けた機運醸成のキックオフとして、五十周年記念事業を展開いたしました。
十月十日には、JOCと共同で祝賀会を開催するとともに、スポーツ博覧会・東京二〇一四を、駒沢オリンピック公園総合運動場だけでなく、国営昭和記念公園にも拡大して展開したほか、都庁各局や区市町村と連携し、幅広い取り組みを行いました。
具体的には、庁内十三事業、区市町村の六十三の事業において、一九六四年東京オリンピック・パラリンピック五十周年記念事業として、講演会や企画展などを開催するとともに、数多くの機会を捉えてパネル展やグッズ配布を行い、多くの都民の方々にオリンピック・パラリンピックを身近に感じていただき、開催機運の盛り上げにつなげました。
この取り組みを通じて得た区市町村等との連携の仕組みを生かし、今年度から、区市町村のオリンピック・パラリンピックの普及啓発に向けた主体的な取り組みを支援するため、補助制度を創設したほか、特にパラリンピックについては、その普及啓発のための体験プログラム、NO LIMITS CHALLENGEを、区市町村等の十八のイベントで展開しております。
今後とも、区市町村を初めさまざまな機関と連携し、オール東京で二〇二〇年に向けた開催機運の盛り上げに取り組んでまいります。
○和泉委員 二〇二〇年大会を成功させるためには、オール東京による継続的な盛り上がりが不可欠です。都がみずから行う事業だけでは、より多くの都民の方にオリンピック・パラリンピックを身近に感じていただくには限界があると思います。都民参加型のイベントを積極的に開催するなど、区市町村をしっかりと巻き込みながら、機運醸成の取り組みを進めていただきたいと思います。
次に、多言語対応の取り組みについて伺います。
近年、まち中を歩くと、外国から来た多くの旅行者を目にすることが日常的になりました。その一方、言葉がわからず、地図を片手に目的地を探して右往左往される姿や、食べる場所を通行人に尋ねる姿もたびたび見かけます。
二〇二〇年には、より多くの外国人観光客が東京を訪れることと思います。二〇二〇年大会を成功させるためには、こうした外国人旅行者がスムーズに大会を観戦し、そしてストレスなく東京を満喫できるように、官民一体となって多言語対応に取り組むことが不可欠です。
こうしたことを背景に、都は、国、区市町村、民間等と連携して協議会を立ち上げ、多言語対応の取り組みというものを開始しており、平成二十六年度は活発な検討を行ったというふうに聞いております。
そこで、平成二十六年度の多言語対応協議会、この取り組みの実績についてお伺いいたします。
○岡安連絡調整担当部長 二〇二〇年に向け、外国人旅行者の受け入れ環境整備の柱であります多言語対応を官民一体で推進し、外国人旅行者が快適に滞在できる言葉のバリアフリーを実現することは、ご指摘のとおり重要であり、都は、平成二十六年三月、国との連携のもと、多言語対応協議会を設置いたしました。
協議会では、鉄道、バス、タクシー、空港等における表示、標識を対象とする交通分科会、道路上の案内標識を対象とする道路分科会、宿泊施設や飲食店における表示などを対象とする観光サービス分科会において、それぞれ検討を進めまして、同年十一月に開催しました第二回協議会においては、それまでの検討結果を踏まえ、取り組み方針を策定いたしました。
また、同年七月には、民間や自治体等における取り組みを多数掲載し、多言語対応の一層の普及促進を図るため、多言語対応協議会ポータルサイトを設置いたしました。掲載事例は、全国知事会との連携を通じ道府県から情報を受けるなど、現在、二百三十件を超える事例を掲載しております。
今後、協議会に参画する団体、機関との連携を強化いたしますとともに、先進的事例や、ICTなど取り組みに資するノウハウ提供の充実を進めまして、言葉のバリアフリーの実現に向けて取り組んでまいります。
○和泉委員 多言語対応協議会、これが官民一体で今後の方針を策定するなど、さまざまな実績を上げたことは確認しました。この協議会の方針が一刻も早く具体化できるよう、取り組みを急いでいただきたいと思います。
一口に表示の改善といっても、施設の改修と一体で行う場合には多くの時間を必要とするため、大会までの五年というのは決して余裕があるとはいえません。
多言語対応の取り組みの加速を図るためには、ポータルサイトで情報の発信をするのも必要ですけれども、実際に多言語対応に取り組んだ方々の生の話を聞いてみたり、翻訳アプリなどのICTに直接触れたりする、こういった機会を広げ、取り組みのきっかけづくりに努めることが重要ではないでしょうか。
本年七月に、そのような趣旨で多言語対応に関するフォーラムを開催し、満員の来場客を得て、マスコミにも数多く報道されたと聞いております。こうしたニーズに応えるためにも、今後とも多言語対応の取り組みをさらに充実させていくことをお願いし、次の質問に移らせていただきます。
一九六四年の東京オリンピックにおいては、バレーボールの東洋の魔女、体操の遠藤選手、マラソンの円谷選手などの活躍を、都民、国民が一丸となって応援し、日本人としての誇りや一体感を醸成いたしました。また、世界を舞台に堂々と闘う選手たちの姿は、子供たちに夢や希望を与え、次世代のアスリートの育成、スポーツの振興にもつながりました。
五年後の二〇二〇年大会においても、さまざまな競技の選手が活躍するためには、今から若い選手を育てていくことが重要であります。
そこで、二〇二〇年オリンピック競技大会に向け、開催都市として、地元東京の選手を数多く輩出するため、世界を見据えてどのような競技力の向上施策を実施してきたのかを伺います。
○早崎スポーツ推進部長 都は、二〇二〇年大会を見据え、東京のアスリートが世界の舞台で活躍できるよう、東京国体に向けた競技力向上の取り組みを生かしながら、選手の育成に取り組んできました。
具体的には、ジュニア層について、すぐれた運動能力を有する中学生を対象としたトップアスリート発掘・育成事業を実施するほか、平成二十六年度には、オリンピック競技であるカヌーやレスリングなど七競技について、有望な高校生を対象に医科学的な支援を行うテクニカルサポート事業を開始するなど、競技力の向上を図ってきました。
さらに、日本代表レベルに達するためには、より高度なトレーニングやトップアスリートと競い合う経験が重要であり、平成二十六年度に日本代表選考会出場選手強化事業を創設し、日本代表を目指す将来有望な選手に対して、国際大会等に出場するための渡航費や強化合宿への参加経費などに対する支援を開始しました。
平成二十六年度には、四百七十六人の選手、指導者に対し支援を行い、海外の有力な選手と切磋琢磨する機会を提供するなど、一定の成果を上げております。
○和泉委員 都が、平成二十五年の招致決定の翌年度から、二〇二〇年大会を見据えて若い選手たちの育成に力を入れてきたことはわかりました。
特に、日本代表選考会出場選手強化事業、これは、才能のある東京都のアスリートに世界標準を知る機会をもたらし、日本代表に押し上げる大変意義のある事業だと思います。地元の出身の選手が活躍すれば都民も盛り上がります。一人でも多くの東京出身のアスリートがオリンピックで活躍できるよう、より一層の競技力向上施策の強化を期待したいと思います。
一方、多くの都民がスポーツに取り組むには、身近な地域でスポーツができる環境を整備することが不可欠です。
二〇二〇年大会に向けて、区市町村のスポーツ施設の拡充を加速させるため、区市町村からかねてより要望の多かったスポーツ施設整備に対する財政支援について、我が党が提案し、昨年度、区市町村スポーツ施設整備費補助制度、これが創立されました。
そこでまず、区市町村スポーツ施設整備費補助について、昨年度の実績を伺います。
○田中スポーツ施設担当部長 区市町村に対するスポーツ施設整備費補助制度は、都民が身近な地域でスポーツを行う場を拡大し、またバリアフリーを促進することで、スポーツに取り組む都民をふやすことを目的に、平成二十六年度に創設しました。
具体的には、体育館やプール、グラウンド等の新設や増築など、スポーツを行う場所を拡充する工事と、出入り口の段差解消や廊下及びトイレ等の手すりの設置など、障害者や高齢者など誰もが利用しやすい環境を整備するためのバリアフリー化工事を補助対象としております。
昨年度は、九つの自治体から十件の申請があり、体育館の新設やサッカーフィールド増設、誰でもトイレ設置工事などに対して補助を行ったところでございます。
○和泉委員 制度初年度にもかかわらず、十の施設が都の支援を受けて整備されており、本制度が活用されていることはわかりました。
一方、制度の使い勝手という意味では、制度を動かしつつ常に改善していくことが重要だと思います。そのためには絶えず区市町村の要望を聞く必要がありますが、区市町村からは具体的にどのような要望があったのか、伺います。
○田中スポーツ施設担当部長 本補助制度について、区市町村にとって利用しやすくするために、区市町村を対象としたアンケートを昨年度実施いたしました。
その結果、施設の面的な拡大だけでなく、夜間利用を可能とする屋外施設への照明設備の設置や、雨天時にも利用可能なグラウンドの人工芝化のほか、オリンピック・パラリンピック事前キャンプ誘致のための工事に対する支援の要望もございました。
このことから、今年度、新たに利用時間の延長など、スポーツ利用の機会を拡大する工事や、事前キャンプ誘致のための工事を補助対象に加えたところでございます。
今後も、こうした区市町村の意見、要望等を踏まえ、都民のスポーツ環境の充実を図ってまいります。
○和泉委員 区市町村から要望の多かった工事について、既に補助対象に加えているということで、改善を図っていることはわかりました。
本補助制度を充実、拡大し、次は、障害者や高齢者にも利用しやすい施設が、区市町村など地域にさらに広がっていくことを期待します。
続いて、障害者スポーツの振興について伺います。
昨年度は、二〇二〇年大会開催決定を機に、障害者スポーツが脚光を浴び、都民、国民の障害者スポーツに対する関心も高まるなど、障害者スポーツ振興にとって新たなスタートラインともいうべき年でありました。
都は、ターニングポイントとなる平成二十六年度に、どのような観点から障害者スポーツの振興を図ったのか、伺います。
○萱場パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 都は、障害者スポーツの普及啓発、理解促進、障害のある人がスポーツに取り組むための場の確保と人材育成、競技力向上という観点から、障害者スポーツに取り組んでまいりました。
平成二十六年度は、二〇二〇年東京パラリンピック大会の開催決定を契機として、障害者スポーツをより一層加速して振興していくスタートの年でございました。
このため都は、障害のある人が継続的にスポーツを行うための場が不足していることを喫緊の課題と捉え、昨年度は、障害者が利用できる施設や参加できるスポーツ教室の拡充、それを支える人材の育成に重点を置いて施策を展開いたしました。
具体的には、区市町村立スポーツ施設のバリアフリー化への補助制度を創設するとともに、障害者スポーツ指導員養成講習会を開始いたしました。加えて、区市町村などが障害者スポーツ事業の企画、実施をする際に活用いただけるよう、障害者スポーツ取り組み事例集を作成し、配布いたしました。
障害者スポーツ全体の底上げを図るためには、あわせて普及啓発や競技力向上についても加速度的に対応していく必要がございます。こうした課題認識のもと、昨年十二月に策定された東京都長期ビジョンにおいて、障害者スポーツ振興の今後の方向性を位置づけるとともに、平成二十七年度からは障害者スポーツ課を設置するなど、体制の強化も行ったところでございます。
今後とも、障害のある人もない人も、ともにスポーツを楽しめる環境整備を目指し、障害者スポーツの振興に一層尽力してまいります。
○和泉委員 新たな障害者スポーツ振興のスタートを切るに当たり、障害者スポーツの裾野の拡大というものを図るために、場の確保、人材の育成に着目したことは、評価に値します。今後は、課題認識に挙げているように、加えて普及啓発、競技力向上、こういったことにも力を入れていただきたいと思います。
さきの第三回定例会で、我が党が質疑を行ったパラリンピックに向けた選手発掘事業というものは、先週から参加者募集が始まっておりますけれども、この事業は、単にトップアスリートの発掘にとどまらず、障害のある方がトップアスリートたちを見て、みずからも積極的にスポーツとかかわり合いを持つように意識を変えていくと、こうした効果も期待されます。自分はとても無理だと思わずに、ぜひ多くの方にスポーツにチャレンジしていただきたいと、このように考えております。
二〇二〇年の東京パラリンピック競技大会の成功と、その先に続く障害者スポーツの振興に向けて、今後とも着実に施策を前に進めていただくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○野上委員 先日の分科会で、財務諸表の内容を中心に、平成二十六年度の決算について全般的な説明を受けました。本日は、平成二十六年度の取り組みについて、より具体的に質疑を行い、その到達点や意義について明らかにする機会にしたいと思っております。
初めに、二〇二〇年大会の準備についてお伺いいたします。
平成二十六年度を振り返ると、大会準備の礎となる取り組みとして、大会開催基本計画の提出や、平成二十六年第二回定例会で舛添知事が打ち出した会場計画の再検討が挙げられます。
そこで、大会開催基本計画の策定や会場計画の再検討の具体的な内容と、関連する経費、そしてその成果についてお伺いいたします。
○延與大会準備部長 平成二十六年度は、前年にございました二〇二〇年大会の開催決定後、都、組織委員会の大幅な体制拡充を受けまして、本格的な大会準備のスタートの年となりました。
まず、大会開催基本計画につきましては、計画策定のための調査委託やIOC、IPC、国際競技団体等との多岐にわたる協議、調整に取り組みまして、計画策定関連の経費といたしまして五億三百万余円を支出いたしました。
こうした取り組みを経まして、平成二十七年二月に大会開催基本計画をIOC、IPCに提出いたしまして、現在、この基本計画に基づいて、輸送、セキュリティーなど個々の分野の具体的な実施内容の検討を進めているところでございます。
また、会場計画の再検討につきましては、東京にどのようなレガシーを残せるか、都民生活への影響、整備費高騰への懸念への対応の三つの視点から検討を行いまして、夢の島ユース・プラザ・アリーナA及びB、若洲オリンピックマリーナの三施設の新設を中止して、既存会場を活用していくことといたしました。見直しの結果といたしまして、二〇二〇年大会に向けて都が整備する施設全体で、おおむね二千億円程度の圧縮を図ることができたところでございます。
平成二十六年度につきましては、再検討の結果を踏まえて、オリンピックアクアティクスセンター、海の森水上競技場、有明アリーナの三施設につきまして、基本設計に着手しまして、一億八千九百万余円を支出いたしましたほか、地質、地盤等の基礎的な調査費と合わせて、施設整備費といたしまして十一億五千六百万余円を支出したところでございます。
○野上委員 私たち庶民の感覚では、はかりがたい金額だと思うんですけれども、税金を使ってのオリンピック・パラリンピックの開催ということでございますので、既存施設を有効に活用し、新たに新設した場合は、競技が終了した後も、すぐに取り壊すのではなくて、有効活用できるような取り組みが必要だと思っております。そうした意味からも、見直しをした結果、予算を圧縮できたことは、都民にも納得できるものと思います。
また、私の地元葛飾出身で、小さいころから水泳に親しんできた渡部香生子選手、高一のときに出場したロンドン・オリンピックで準決勝まで進みました。二〇一二年八月一日、葛飾区の堀切地区センターでパブリックビュー、これはもう大変暑い中、応援したことを懐かしく思い起こします。会場には多くの地元の方々が集まっておられて、準決勝戦への予選会で勝ったときには、みんなで抱き合って喜んだものでございました。
渡部選手は、ことしの世界水泳の二百メートル平泳ぎでは、見事金メダルを獲得をいたしました。
地元出身の選手が世界で活躍するのは本当にうれしいことです。地域の子供たちに広くスポーツに親しむ場を提供し、才能のある子供たちには高度なスキルアップの機会を提供していく、そのような段階に応じた取り組みが大切だと思っております。
そこでまず、二〇二〇年大会を視野に入れた平成二十六年度のジュニア育成の取り組みについてお伺いいたします。
○早崎スポーツ推進部長 二〇二〇年大会で活躍する東京都の選手を一人でも多く輩出するためには、ジュニア層の育成が重要でございます。
都は、平成二十一年度から、すぐれた運動能力を持つ中学生を対象に、ボートやウエートリフティングなど七つの競技で活躍できる選手を発掘し育成するトップアスリート発掘・育成事業を開始し、平成二十六年度には第六期生二十八人を認定しました。
また、ジュニア特別強化事業では、競技団体が実施する将来有望なジュニアアスリートに対する強化練習等を支援し、三千六百八人に競技力を磨く機会を提供しました。
さらに、平成二十六年度には、ジュニアを含む日本代表を目指す選手を対象に、国際大会等に出場するための渡航費や強化合宿への参加経費などを支援する日本代表選考会出場選手強化事業を開始し、四百七十六人の選手、指導者に支援を行いました。
こうした事業を通じて、ジュニア選手の発掘、育成強化を充実させてまいりました。
○野上委員 都が、オリンピックなど国際大会で活躍できるアスリートの育成に向けて、ジュニア層に対してさまざまな取り組みを推し進めていることがわかりました。
二〇二〇年大会に向けては、このようなアスリートの育成だけではなく、誰もが身近な地域でスポーツを楽しめる環境づくりを進め、スポーツの裾野を広げることが重要だと思います。特に、子供から高齢者まで、幅広い世代が日常的にスポーツに親しむとして期待されている地域スポーツクラブの活性化が必要です。
そこで、平成二十六年度において、地域スポーツクラブの設立や、設立後の活動に対しての取り組み状況についてお伺いいたします。
○早崎スポーツ推進部長 地域スポーツクラブは、地域住民が主体的に運営し、子供から高齢者、障害者を含め、誰もが身近にスポーツに親しみ、交流を図れる場として、地域のスポーツ推進に欠くことができないものでございます。
このため都は、平成二十六年度に策定した東京都長期ビジョンにおいて、地域スポーツクラブの設立拡大と活動の活性化を位置づけ、二〇二〇年までに全区市町村にクラブを設立することを目標として掲げ、さまざまな取り組みを進めることとしました。
具体的な取り組みとしては、地域スポーツクラブの設立に向けて、クラブ設立の理解促進を図るセミナーの開催や、専門家による訪問相談など、きめ細かな支援を行い、平成二十六年度には、台東区で初となる地域スポーツクラブを初め、新たに六つのクラブが設立されました。現時点では、都内自治体の約八割に当たる四十九区市町村で百二十五の地域スポーツクラブが活動しています。
また、クラブ設立後の支援としましては、地域スポーツクラブ種目別交流会などを通じて、延べ五十六クラブの交流を図るとともに、都民参加事業により、会員獲得に向けた四十二クラブの取り組みに対して支援を行い、平成二十年度の事業開始時の三倍以上となる約二万人の参加を得ることができました。
今後とも、地域スポーツクラブがより多くの都民に親しまれ、身近なスポーツの拠点としての役割を果たせるように取り組んでまいります。
○野上委員 誰でも、いつでも、どこでも、いつまでも身近にスポーツができる環境を整えていくことが、健康寿命を延ばして、医療費の削減にも通じるものと思っております。
次に、障害者スポーツについてお伺いいたします。
二〇二〇年の大会が成功するかどうかの鍵を握っているのは、パラリンピックの成功です。障害者が引きこもることなく、意欲的にスポーツに取り組むことができるような環境を整えていくことが大事だと思っております。
東京都は、平成二十四年三月に東京都障害者スポーツ振興計画を策定し、それに基づき障害者スポーツの振興を図ってきたところであります。障害者スポーツの振興に当たっては、障害のある人と障害のない人とが、ともに障害者スポーツを体験することが重要だと考えております。
そこで、健常者と障害者が一緒にスポーツをする取り組みについて、都が平成二十六年度に行った取り組みについて、事業内容についてお伺いいたします。
○萱場パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 障害のある人とない人がスポーツを通じて交流を図ることは、障害者スポーツの普及啓発や障害についての理解を深めるために、極めて有効でございます。
都は、平成二十四年度から、北区にある東京都障害者総合スポーツセンターにおいて、体験型のイベント、チャレスポTOKYOを開催してまいりました。三回目となる昨年度は、二十競技の体験コーナーを設置し、車椅子テニスやボッチャなどパラリンピック種目の競技のほか、卓球バレーやフライングディスクなど、障害の有無にかかわらず気軽に楽しめる競技についても広く取り入れ、当日の参加者は千五百人に上りました。
このほか、有明の森スポーツフェスタやスポーツ博覧会・東京などのスポーツイベントにおいて、車椅子バスケットボールやブラインドサッカーなど、障害の有無にかかわらず健常者と障害者が一緒にスポーツする機会を創出いたしました。
なお、チャレスポTOKYOは、今年度、より多くの方に障害者スポーツの魅力を発信するため、会場を東京国際フォーラムに移して実施し、約一万人の方に来場いただいたところでございます。
○野上委員 今後も、こうした機会を通じて障害者スポーツの普及を図っていただきたいと思っております。
障害者スポーツの振興に当たっては、普及啓発に加えて、障害のある人がスポーツに親しめるよう、身近な地域での取り組みが必要です。
そこで、地域における障害者スポーツの取り組みを促進するために、都が平成二十六年度に行った事業内容についてお伺いいたします。
○萱場パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 地域における障害者スポーツの取り組みを促進するため、都は、区市町村や地域スポーツクラブ等に対し、スポーツ教室等の企画立案や障害者スポーツ指導員の派遣、用具の貸し出しなどのサポートを行う地域開拓推進事業を通じて、平成二十六年度においては六十五事業を支援いたしました。
加えて、障害者スポーツ取り組み事例集を作成し、区市町村や地域スポーツクラブ、スポーツ推進委員協議会等に配布いたしました。
当該事例集の作成に当たりましては、事業の準備に要した日数や段取り、企画実施に当たり配慮した点などを項目に分けて具体的に示すことで、障害者スポーツ教室を行おうとする区市町村等がマニュアルとして活用できるよう、工夫をしたところでございます。
○野上委員 すばらしい事例集ができ上がっております。この事例集の活用等により、各地域において、障害者が参加できるスポーツ教室がさらにふえていくことを期待いたします。
次に、障害者スポーツの活動を支える人材の育成についてお伺いいたします。
都では、障害者スポーツ指導員の資格取得に向けた養成講習会を行っております。
そこで、障害者スポーツ指導員について、平成二十六年度における実績と育成の方向性についてお伺いいたします。
○萱場パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 都は、地域における障害者スポーツ振興において、指導や支援に当たる人材を育成することを目的に、公益財団法人日本障がい者スポーツ協会公認の障害者スポーツ指導員の資格取得に向けた講習会を平成二十六年度から開始いたしました。
障害者スポーツの基礎的知識を有する初級障害者スポーツ指導員を養成する講習会は、五十一人の方が受講いたしました。講習会では、区市町村のスポーツ主管課の職員やスポーツ施設職員のほか、地域におけるコーディネーター役を担っているスポーツ推進委員に対し、障害者スポーツに係る知識や基礎的な指導法を付与いたしました。
障害者スポーツの指導の中核を担う中級指導員の養成講習会は、三十七人の方が受講いたしました。この講習会では、初級指導員の資格取得後、二年以上の活動経験を積んだ方を対象として、さらに高い指導法を習得していただきました。
今後の育成の方向性としては、二〇二〇年までに、区市町村におけるスポーツ推進委員のうち、少なくとも一人は障害者スポーツ指導員の資格を取得するようにしていくとともに、現在、都内を主な活動場所として登録している約二千人の障害者スポーツ指導員の中には、必ずしも継続的に障害者スポーツの指導や支援に携わっていない方がいることから、障害者スポーツ事業の情報を提供し、活動を促す取り組みを進めてまいります。
○野上委員 障害者スポーツ指導員は、地域における障害者スポーツのかなめとなる存在であり、今後とも、長期ビジョンに基づき、計画的に指導員の育成と配置を行っていくことを期待しておきます。
次に、障害者スポーツセンターについてお伺いいたします。
都内には、北区に東京都障害者総合スポーツセンターと、国立市に東京都多摩障害者スポーツセンターがございます。
先日、東京都多摩障害者スポーツセンターを視察いたしました。家族で利用できる更衣室や、聴覚障害者のための集団補聴設備を備えた会議室など、障害者にとって利用しやすい工夫がされていることがわかりました。その一方で、雨漏りが発生するなど老朽化が進んでいるほか、和式トイレが多く、障害者にとっては使いにくいという声もありました。
このように、障害者スポーツセンターは、障害者にとって利便性を兼ね備えているものの、両センターとも建設から約三十年を経過し、老朽化しております。
今後、両センターを改修していくとお聞きしておりますが、その改修計画についてお伺いいたします。
○田中スポーツ施設担当部長 二カ所の障害者スポーツセンターは、ともに建設から約三十年が経過し、老朽化が進んでいることから、大規模改修工事を行うこととし、平成二十六年度改修計画を策定しました。
改修スケジュールにつきましては、東京都障害者総合スポーツセンターでは、昨年度から基本設計に着手し、平成二十八年度から三十年度にかけて工事する計画でございます。また、東京都多摩障害者スポーツセンターにつきましては、今年度から基本設計に着手し、平成三十年度から三十一年度にかけて工事する計画でございます。
今回の改修では、次のような三つの考え方に基づいて改修方針を定めております。
まず、一つ目は、外壁の修繕や電気設備の省エネ化等、老朽化対策と維持管理の効率化、二つ目は、駐車台数の増加や家族で利用できる更衣室の整備等、利便性と快適性の向上、そして三つ目は、多目的スペースの新設や体育館の冷房設備の新設等、トレーニング環境の充実であります。
このような方針に基づき、今後、設計業務の中で具体的な改修内容を詰め、施設の改善に取り組んでまいります。
なお、ご指摘の雨漏りの対策など、必要性、緊急性の高いものにつきましては、可能な限り迅速に対応してまいります。
○野上委員 緊急性の高い雨漏りの対策等、どうぞよろしくお願いいたします。
今回の改修を機に、利用者にとってセンターがさらに利用しやすくなるよう期待をしておきます。
また、両センターでは年々利用者がふえ、施設を利用するために待つこともあると聞いております。障害者のスポーツの練習場所が不足していると思いますが、その確保策についてお伺いいたします。
○田中スポーツ施設担当部長 より多くの障害のある人にスポーツを楽しんでもらうためには、身近な地域の施設の利用を拡大していくことが必要であると考えております。
このことから、都は、平成二十六年度にスポーツ施設整備費補助制度を創設し、区市町村が所有するスポーツ施設をバリアフリー化する工事に対して補助する仕組みを整備しました。昨年度は、バリアフリー化工事を実施する五施設に対して補助を行いました。
また、障害者スポーツ施設の利用促進に向け、車椅子利用により床に傷がつくことを懸念して、十分に受け入れられないという声もあることから、区市町村への説明会等の機会を通じて、施設管理者に対する働きかけを行ってまいりました。
今後も、身近な地域でスポーツに親しむことができるよう、そのための環境づくりを進め、障害者スポーツの振興に取り組んでまいります。
○野上委員 障害者スポーツ振興にとって、障害者がスポーツできる環境を整備することは非常に重要であります。今後も、センターの充実化と、身近な地域のスポーツ施設の整備に取り組んでいただくことを要望しておきます。
これまでのご答弁を通じて、都が、二〇二〇年の東京大会開催を契機に、障害のある人もない人も、ともにスポーツを楽しめる環境をつくるため、総合的かつ幅広い事業を展開してきたことがわかりました。
そこで、平成二十六年度の取り組みを推し進め、障害のある人もない人も、誰もが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツを楽しめるスポーツ都市東京の実現に向けた局長の意気込みをお伺いして、質問を終わります。
○中嶋オリンピック・パラリンピック準備局長 スポーツには、それ自体が人々に喜びや楽しさをもたらすだけではなく、健康増進や青少年の心身の健全発達、仲間との交流を楽しむコミュニティの創出に寄与するなど、さまざまな効用がございます。
このため、平成二十六年度に策定いたしました東京都長期ビジョンでは、二〇二〇年に向けまして、世界トップレベルのスポーツ実施率七〇%を達成し、スポーツがライフスタイルに定着するとともに、障害のある人もない人も、ともにスポーツに親しむ社会の実現を目指すこととし、さまざまな施策を展開することとしております。
平成二十六年度は、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の開催都市として、スポーツ振興におきましても新たなステージを迎えた年でございました。競技力向上では日本代表選考会出場選手強化事業、身近なスポーツ環境の整備ではスポーツ施設整備費補助制度、障害者スポーツでは障害者スポーツ指導員養成講習会など、それぞれ新しい事業を創設いたしました。
スポーツ実施率につきましては、六〇・五%まで向上しましたものの、やはり二十代、三十代のスポーツ実施率は四〇%台にとどまっておりまして、これらのいわゆる働き盛りの世代に対する取り組みが必要であるとともに、障害者スポーツに関しましては、普及啓発・理解促進、場の拡大・人材育成、競技力向上、これを大きな三つの柱としまして、今後、加速度的に政策を進めてまいります。
今後、平成二十六年度の事業を含めまして、これまで積み重ねてまいりました実績をスプリングボードとして、二〇二〇年に向けて飛躍的に施策を充実強化し、スポーツ都市東京を実現してまいる所存でございます。
○里吉委員 私からも、まず、区市町村立スポーツ施設整備費補助制度について伺います。
資料をご用意いただきまして、ありがとうございました。
都民のスポーツする権利を保障し、誰でもスポーツを楽しめるようにするためには、身近な地域のスポーツ施設整備が重要です。
スポーツ団体からは、練習や試合の場所を確保できないという切実な声が上がっており、日本共産党都議団も、代表質問などで、東京都が区市町村と協力して、スポーツ施設の整備を大幅に促進することを求めてきました。私も文教委員会で、都が、広域施設だけでなくて、区市町村立も含めた身近な施設の整備目標を持って、財政支援なども含む支援策を検討していただくことを要望してまいりました。
そうしたことから、二〇一四年度から始まった区市町村スポーツ施設整備費補助制度は、大変歓迎し、期待しているところであります。
そこでまず、区市町村スポーツ施設整備費補助制度の創設の経緯と目的について伺います。
○田中スポーツ施設担当部長 二〇二〇年に向け、スポーツ実施率七〇%を達成するためには、身近な地域でスポーツを楽しむスポーツ環境の充実を図ることが重要であり、区市町村によるさらなるスポーツ施設の整備促進が求められると考えております。
区市町村からも、スポーツ環境の整備に対する都の支援への要望が出ていたことから、新たな取り組みとして、都が区市町村のスポーツ施設整備を支援する制度を創設いたしました。
○里吉委員 区市町村からも要望があったということで、本日、実績を資料でいただきましたけれども、この資料5を見せていただきますと、二億円の予算に対して、決算額も二億円と全額執行しております。交付申請は十件ということですけれども、予算不足により区市町村からの申請を断ったケースなどはなかったのでしょうか。内容について具体的にお示しください。
○田中スポーツ施設担当部長 平成二十六年度の区市町村スポーツ施設整備費補助の交付申請は十件でございます。
その結果、補助総額が予算額の二億円を超過していたため、スポーツ施設整備費補助金交付要綱において、補助金の額は予算の範囲内で交付することとしており、補助金額を調整した上で、全件交付決定をしてございます。
○里吉委員 申請したところは全て補助金はもらえたと。しかし、この事業の補助率は二分の一、国庫補助併用の場合でも三分の一、上限額一億円という補助なわけですが、全体予算、初年度ということで二億円なので、全件に補助するために、制度の本来の補助率に基づく額ではなく、案分で少ない額で我慢していただいたということだと思います。
今年度は、予算額を十二億円に引き上げ、また、競技スペースの拡大だけでなく、利用時間延長が可能になるような施設の整備も補助の対象に加えていただいたことは重要ですが、要綱に基づき、二分の一などの補助が確実にできるよう、来年度以降も十分な予算の確保をお願いしたいと思います。
また、この事業は、施設整備など、幅広く対象にしていただいているのはよいことですが、それだけに、都民の競技スペースをふやす、つまり施設を新設または増改修する場合など、すぐに一億円になってしまうのではないかと思うわけです。
これから、都がせっかくこういう制度をつくってくれたので、新しい施設をつくろうという自治体も生まれてくるということも十分考えられますので、上限額を引き上げるなども、あわせてぜひ進めていただきたいということを要望しておきます。
次に、障害者スポーツ指導員の養成について伺ってまいります。
私は、障害者スポーツの振興のかなめとなる人の問題、障害者スポーツ指導員の養成と配置の充実について、昨年十一月とことし三月の文教委員会などでも要望してまいりました。本日も、資料を示していただきましたけれども、この障害者スポーツ指導員養成の目的と実績について伺います。
○萱場パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 都は、地域における障害者スポーツの現場で実際に指導や支援に当たる人材を育成することを目的に、障害者スポーツ指導員の資格取得に向けた講習会を平成二十六年度から開始いたしました。
当該年度は、初級障害者スポーツ指導員養成講習会を五十一人の方が、中級障害者スポーツ指導員養成講習会を三十七人の方が受講いたしました。
○里吉委員 全体で、初級指導員五十一人、中級指導者三十七人が受講ということでした。これは、対象を東京都がきちんと定めているために、こういう人数の方だと思うんです。
私は、先日、小学生にバレーボールを教えているベテラン指導者の方とお話をする機会がありました。ことしになって、そのチームに所属しているお姉ちゃんと一緒に、ダウン症の弟さんが一緒に遊びに来るようになって、じゃあバレーボールをやってみようかということで始めたそうです。
障害児を教えた経験がないので、最初はどうやってボールを投げてやればいいのか、どこまで強くやっていいのかなど、戸惑いながら、様子を見ながらだったそうですが、最近ようやくあんばいがわかってきて、弟さんもボールのやりとりができるようになり、今では笑顔でバレーボールを楽しんでいるとのことでした。
私は、こうした志ある指導者の方にも、障害者スポーツ指導員の資格を取得していただいて、障害のある方もない方も一緒にスポーツを楽しめる、そういう東京になっていったらいいなというふうに思いました。こういう方に対しては、ぜひこういう障害者スポーツ指導員の養成というのがあるんだよということを広く示していただきたいと思います。
そして、それとは別に、今お話しいただいた、都が実施している初級障害者スポーツ指導員などの養成については、受講対象者が決まっていて、その方たちには、東京都として活躍していただきたいという想定があると思うのですが、その内容について伺います。
○萱場パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 都が実施しております初級障害者スポーツ指導員養成講習会は、区市町村のスポーツ主管課の職員やスポーツ施設職員のほか、地域におけるコーディネーター役を日々担ってくださっているスポーツ推進委員を対象としております。
養成講習会の受講後に想定される活躍場面としましては、障害者スポーツ振興事業を行うに当たっての企画立案や、障害者へのスポーツ教室における指導や支援、障害者が参加するスポーツ大会の運営補助等でございます。
○里吉委員 東京都が行っている障害者スポーツ指導員の養成については、目的があって、区市町村の職員ですとか、スポーツ施設の職員ですとか、そういう方を対象にしているということでした。
資料で見せていただきましたところでも、初級の登録者数が前年度比約二百人ふえております。二〇一三年度は八十二人増、その前は横ばいですから、養成に力を入れていただいたということで、ふえているということがよくわかります。
同時に、日本障がい者スポーツ協会のホームページを見ますと、ことし九月現在の障害者スポーツ指導員の登録者数が載っていますが、人口で割ると、東京の指導員数は十万人当たり十五・四人、全国平均十七・五人で、平均に届かない状況となっていますので、一層の推進を要望します。
障害者が身近な地域でスポーツを楽しめるようにするためには、それぞれの区市町村の担当部署に障害者スポーツ指導員がいて、障害者スポーツの振興を担う人材として配置されていることが重要です。
長期ビジョンでも、障害者スポーツ指導員の資格を持つスポーツ推進委員を全五十九地区に配置するということも目標にしておりますけれども、あわせて、私は、区市町村の障害者スポーツ担当の職員の方にも、ぜひそういう指導員の資格を取っていただきたいというふうに思うんです。
私、資料要求で、区市町村ごとの障害者スポーツ指導員の人数を要求させていただきましたが、この仕組みは、どこで活動するかということでは、都道府県別にしか記載欄がないということで、区市町村別にはわからないということでございました。
まずは、これは要望なんですけれども、区市町村の担当部署に障害者スポーツ指導員が配置されるようにということも、それから、長期ビジョンで目標にしている全五十九地区に障害者スポーツ指導員の資格を持つ推進委員を配置するということも、あわせて都としてつかんで推進していただきたいと思います。
それから、最後ですが、障害者スポーツの普及に当たり、都が昨年末作成しました障害者スポーツプロデュースマニュアル、私も読ませていただきましたが、大変すばらしいものだと思いました。この取り組み事例集の配布先はどこか、また、どのように活用されているのかを伺います。
○萱場パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 私どもは、平成二十六年度に障害者スポーツ取り組み事例集を千部作成いたしました。
配布先といたしましては、区市町村や地域スポーツクラブ、スポーツ推進委員協議会等に配布いたしまして、障害者スポーツ教室等を実施する際に活用いただいているところでございます。
○里吉委員 私もこれ、拝見させていただきましたけれども、二〇一四年度にどのような取り組みを、どんな予算で、体制で取り組んだか、どうやってPRして参加者を確保したか、大変詳しくまとめられていました。また、用具は障害者向けの特別のものが必要ですかとか、ルールの工夫はどのような観点から行うものでしょうかなどのQアンドAや、都や東京都障害者スポーツ協会からどのような支援が受けられるのかなどのページもあり、これから障害者スポーツに取り組もうとする自治体やクラブ、団体には、大変役に立つのではないかと思いました。
ぜひ区市町村の自治体の方に障害者スポーツ指導員の資格も取っていただき、こういう冊子もせっかく東京都がつくったわけですから、活用していただき、各自治体、身近なところで障害者のスポーツが発展していくように取り組みを進めていただきたいと思います。
最初は単発の企画からだと思いますが、今後の課題としては、区市町村ごとの定期的な教室の実施や、総合的な障害者スポーツ振興計画の策定と実施なども求められると思います。ぜひ東京都としてさらなる支援をしていただくことを要望して、質問を終わります。
○あさの委員 では私から、総合的な競技力向上施策の推進というところについて、ちょっと質問したいと思います。
スポーツ振興費の中、スポーツ推進費の中で、そこの総合的な競技力向上施策の推進というところ、予算がありまして、今回、平成二十六年度の不用額というのが約六千六百万円ということになっております。
まず、この総合的な競技力向上施策の推進の中の平成二十六年度の主な事業と予算額について、確認したいと思います。
○早崎スポーツ推進部長 総合的な競技力向上施策の推進では、東京のアスリートの競技力を向上させるためのさまざまな施策に要する経費を計上しており、平成二十六年度予算額は十一億九千七百七十八万余円、執行率は九四・五%でありました。
主な事業としては、ジュニア育成地域推進事業において、予算額二億九千四百三万円を計上し、都内地区体育協会等が地域で実施するジュニアを対象としたスポーツ教室などを支援し、ジュニア層の裾野の拡大を図ってまいりました。
また、国体候補選手強化事業では、予算額一億一千九百二十八万余円を計上し、競技団体が実施する強化練習等を支援し、国民体育大会の東京都代表候補選手の強化を行いました。
さらに、テクニカルサポート事業では、予算額九千二百六十五万余円を計上し、都内の体育系大学等と連携して、有望な高校生を対象にスポーツ医科学的なサポートを行うなど、競技力の向上を図ってまいりました。
○あさの委員 今説明があったとおり、予算の中では、さまざまなものを計上して、それをやっていたということで、執行率も全体としては九四・五%だということでした。
基本的に、今いったようなものを取り組んでやっていくということは、もちろんいいことなんですけれども、オリンピック・パラリンピックに向けて、スポーツ振興あるいはムーブメントを起こすとか、いろんな事業をやっているわけですが、その中で、基本的に年限が決まっているんですね。東京大会二〇二〇年まで五年となっていて、総合的な競技力の向上の推進ということは、すごくいいことだとは思うんですけれども、ただ、割合でいけば九割以上で、実に普通に執行しているといえることではありますが、総合的にやるんであれば、どんどん進めなきゃいけないことがある。
例えば、その前のところで見ますと、オリ・パラの施設の整備とか、そういったものは我々も、会派としても、ただただお金を使えばいいんじゃなくて、できるだけ安く抑えようとか、そういう発想で使うのはすごく大事なことなんですけれども、逆に、スポーツをやる人たちをふやしたりとか、そういったことについては、なるべく、時間がオリンピックまでという中ですごく取り組んでいくんであれば、できるだけ前倒しでやったりだとか、いろんな使い方をして、九五%近く使っているはいえ、金額でいえば、さっき申し上げたとおり六千六百万円残っているわけですから、そういった不用額というものの中で、いろんな予算を、じゃあほかのことに使ってみたらどうかとかという形で、例えば、来年度やろうかなと思ったものを前倒しでやってみるとか、そういう予算の流用等もやれるように、柔軟に取り組むべきだと思うんですけれども、所見を伺いたいと思います。
○早崎スポーツ推進部長 都は、二〇二〇年東京大会において、より多くの地元東京のアスリートが活躍できるよう、その競技力向上に向け、必要な予算を確保するとともに、さまざまな事業を効果的、効率的に展開することで、予算の適切な執行に努めてまいりました。
一方、個々の事業によっては、契約の影響や関係団体の取り組み状況により、結果として不用額を生じる場合がございます。
しかしながら、予算の流用につきましては、地方自治法や東京都予算事務規則によって原則禁止とされており、厳格な運用が求められております。
今後とも、二〇二〇年東京大会に向けた取り組みを加速するため、必要な予算の確保に努めるとともに、適切な執行を図ってまいります。
○あさの委員 もちろんそのとおりだと思うんです。地方自治法に載っているとおり、予算の流用とかというのは原則禁止で、厳格な運用をするということは確かにそのとおりではあるんですが、私がいっているのは、今この予算の中でいえば、款、項、目、そして節という形になっておりまして、節という中であれば、自分たちでこのように使うぞと決めた予算の事業があって、でもその進行の度合いによっては、この事業でも予算は結構余るなと。
普通は、限られた財源ですので、もちろんそれを不用額として戻すと、これで全く問題ないんですけれども、オリンピック・パラリンピックに関していいますと、その中には、特に時間が決まっている、五年後のオリンピックでもしかしたら選手になる人たちがいるかもしれない、あるいは自分たちの東京都の中で、さまざまなスポーツ選手をいろいろ育てていくということを考えれば、六千六百万円というお金があるんであれば、やれることはもっとあるんじゃないかなと。
ただ単純に、ほかの予算の使い道と同じように、余ったから、もうこれはやめましょうではなくて、その事業費の中で、節の中で、やれることというのをどんどん考えていくのが大事なんじゃないかなというふうに思います。
東京からオリンピアンをたくさん輩出していくというためには、そういった意味では、もちろん選手を育てるのも大事なんですけれども、選手の競技力の向上のために、さらに選手を支える指導者、もちろんそれ以外にもいろんなスタッフ、そういった方々を育成するということも、本当に大切なんだと思うんです。
だから、今申し上げたような六千六百万円みたいな不用額があるんでしたら、そういった不用額を、指導者や、あるいはその他のボランティアなど育成する、そういう人を育てる方のものにどんどんどんどんお金を回して、できるだけたくさんの人を、できるだけ早く育てるようにするというのも、やっていいんじゃないかと思いますけれども、そういった不用額をこういった指導者の育成などに回すということについてどうお考えになるか、伺いたいと思います。
○早崎スポーツ推進部長 選手の競技力向上を図るためには、選手強化の取り組みとあわせて、優秀な指導者の育成が重要であります。都では、医科学的な視点から選手の競技力向上を図るテクニカルサポート事業の中で、指導者育成にも取り組んでまいりました。
平成二十六年度は、女性アスリート特有の課題などをテーマに、指導者講習会を三回開催したほか、指導者交流シンポジウム及び実践型ワークショップを開催し、指導者の交流や資質向上を図りました。
今後も、予算主義の原則を踏まえながら適切な執行を心がけ、指導者の育成に取り組んでまいります。
○あさの委員 確かに、当然予算を計上する段階で、こういったことをやりましょうとか、こういう事業を行いましょうという形で積み上げていって、予算というのは計上しているんだと思うんです。
その上で、いろいろ使っている段階で、そんなにかからなかったものとか、あるいは見積もったものの中でちょっとだけ安く抑えられたとか、そういったものを積み上げていって、全体では九五%の執行ですから、別に、その執行が不適切だとは思いません。何もやっていないというつもりもないんですが、さっきも申し上げたとおり、一般的な予算の使い方という発想でいけば、今の使い方は本当に何の問題もないと思うんですけれども、オリンピック・パラリンピックという、あと五年で来るよというようなものが決まっているときには、金額的に六千万円といえば、何かできることがもっと見つかるんじゃないかなと、そういう気がするわけです。今申し上げた指導者の育成もそうですし、選手のいろんな人たちをふやすということも大切だと思いますので、ぜひそういったことを考えてみてはどうかなと思います。
それを似たような観点で見ますと、障害者スポーツの振興というところも同様に、そのもの自体が別に不適切だというつもりはありませんが、金額的には三千万ぐらいお金が残っているというところがあります。平成二十六年度の不用額が約三千万円あるということであります。
また同様に、障害者スポーツ振興の中での主な事業と予算額について確認したいと思います。
○萱場パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 障害者スポーツの振興では、障害者スポーツの理解促進や人材育成、競技力向上等を実施いたしました。平成二十六年度の予算額は二億三千四百二十万余円、執行率は八六・五%でございました。
障害者スポーツの振興の主な事業としては、全国障害者スポーツ大会事業があり、予算額九千二十四万余円を計上して、長崎県で開催された全国障害者スポーツ大会への東京都選手の派遣を行いました。
また、東京都障害者スポーツ大会事業では、予算額四千八百二十九万円を計上し、東京都障害者スポーツ大会を開催いたしました。
さらに、地域開拓推進事業では、予算額四千五百八十五万余円を計上し、区市町村や地域スポーツクラブ等に対し、スポーツ教室等の企画立案や障害者スポーツ指導員の派遣、用具の貸し出し等、地域における障害者スポーツの取り組みを支援するなど、平成二十六年度においては六十五事業を実施いたしました。
○あさの委員 今伺ったとおり、今のも基本的に金額、予算ベースということで、私も伺ったところによると、例えば全国障害者スポーツ大会、長崎県でありましたと。もちろん、予算をつくる段階では予選が全て終わっているわけではありませんので、当然、選手がそこで全員が参加したことを予測して予算というのを積み上げるわけだということなんですね。当然、それをやった結果、もちろん全ての人たちが行ければ一番いいんですけれども、そうじゃないというところももちろんあると。その中で結果として、満額で計算しているんだけれども、使い切らずに残る部分もあると。また、その他のものもたくさんあるんだと思うんです。
今回、例えば、委員会のこの第二分科会の要求資料の中にも、資料6で、東京関係の体育館等が主催する障害者スポーツの定期的な体験会及び教室の開催実績というのもありまして、私も見させていただきましたが、確かにいろんなことをやっていらっしゃると思います。
これ自体も、先ほどから何回もいいますが、東京都が何もしていないというつもりは私はありませんし、やっていることが不十分だというつもりもありません。ただ、障害者スポーツも、実は先ほどの総合的な競技力向上の推進以上に、やれることってもっといっぱいあるんじゃないかなという気がいたします。
特に、パラリンピックは、前回、ロンドンのときのことを考えますと、私も当時、委員会のメンバーとしてパラリンピック視察に行きましたけれども、例えば実際に日本ではどのくらい放送されているかとかと考えると、ほとんどの人は余り見たことがないという状況になっておりました。
最近のラグビーのワールドカップ、ラグビー自体が活躍することによって関心を持つ人がふえると、当然、見る人がふえてきます。だから、まずはそういう活躍はすごく大事なんですが、パラリンピックに関していいますと、メダルをとっている数は結構多い。活躍もしているんですけれども、その種目自体が物すごい見られるかというと、なかなかそうはなっていかないという、非常に残念な状況もあります。
そう考えれば、まずはふだん、例えばやったことなくても、ちょっとやっている人が周りにいるだとか、あるいは実際に自分がちょっと体験したことがあるというのを、やっぱりふやしていくという努力は、し続けなきゃいけないんだなという気がするんです。
パラリンピックまでも、やっぱりあと五年なわけで、そうすると、五年の間に東京都民全員が障害者スポーツ、何らかの形で触れるなんていうのは、そう簡単なことではない。
であれば、何かないかということで、小さい規模のものでもいいから、どんどんどんどんやることによって、それを触れたことがある、やったことがある、もちろん見たことがある、そういった人たちをちょっとずつでもふやしていくという努力は、常に続けていかなければならない。そこには、これで十分だということは全くなくて、やれるんだったら幾らでもやっていくと。
ただし、当然、やはり予算を計上する段階では、限りのある財源ですから、一定の根拠を持った数字で積み上げていくことになるのですから、それは予算の計上では限界があったとしても、使っている段階で、先ほどいったように、派遣するお金が少し残ったなと思えば、じゃあその分を使って何かできないかと考えていくという姿勢は、非常に大切なんじゃないかなというふうに思います。
三千万円という金額は非常に大きなお金、東京都予算全体から見ればそうじゃないように見えても、実際に何かやろうと思えば、三千万円て本当にいろんなことができるお金で、その三千万円の不用額があるんでしたら、先ほど申し上げたとおり、予算の流用、それは別に、何でも好きなことに使えという意味ではありません。障害者スポーツの振興という名目に合っているのであれば、その中で、最初に予定した事業で残ったお金はほかの事業に回していくといったような予算の流用を行ってでも、障害者スポーツの振興というのはどんどんやるべきじゃないかなというふうに思います。
特に、規模が小さいスポーツの体験会のようなものなら、本当に少額でもできるはずだと思うんですが、都の見解を伺いたいと思います。
○萱場パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 障害者スポーツ体験等の普及啓発事業は、障害のある人にもない人にも、障害者スポーツの魅力を知っていただくのに有効でございます。
このため、都は、これまでも、障害のある人もない人も一緒にスポーツを楽しむイベントを開催するなど、障害者スポーツの普及啓発や理解促進に努めてまいりました。
平成二十六年度は、二〇二〇年東京パラリンピック大会開催決定後の初年度でございまして、まずは、障害のある人がスポーツを行うための場の拡充や人材の育成に力を入れました。
今年度、平成二十七年度は、予算を大幅に拡充し、場の拡充や人材育成に加え、普及啓発、競技力向上など、障害者スポーツ全体の振興を加速させているところでございます。
今後も、事業展開に必要かつ適正な額の予算確保に努め、障害者スポーツの一層の振興を図ってまいります。
○あさの委員 今伺ったとおり、平成二十七年度、つまり今年度は、障害者スポーツ、この関係する予算も大幅に拡充したというふうにいっているんですね。ということは、去年の時点でもう、必要だなという思いはあったんだと思うんです。
何度もいいますが、予算の執行的には本当に不適切じゃなくて、むしろ適正だと思います。一般的な予算の使い方という感覚では、そのお金を少し余らせて、それを不用額で戻すというのは大事な発想だと思うんです。
ただし、今回のオリンピック・パラリンピックに関していうと、それでも前倒しでやっていく。特に人の育成であったりだとか、あるいはなかなか民間では進んでいかない障害者スポーツの浸透だとか、一般の人に対してどんどんどんどん知ってもらうとかということに関しては、ほんの少しでも前倒ししてでもやるという姿勢があってもいいんじゃないかなというふうに思います。
そういった柔軟な姿勢をぜひとも持って、予算の執行という観点から見れば適正であったとしても、その事業の性質に鑑みれば、不用額を残すというよりも、むしろ進めなきゃいけないというときには、柔軟に、そして大胆に進めていくという姿勢を、ぜひ東京都には持っていただきたいということを要望いたしまして、私からの質問を終わりたいと思います。
○両角委員 私からは、当初、施設整備についてもお聞きしようかなと思ったんですけれど、他の委員の質問がございまして、細かくお答えをされていましたので、今回、三点についてお聞きをしたいと思います。
まず、一点目でございますけれど、会場計画に関してでございます。
都は、平成二十六年六月以降、会場計画の見直し、組織委員会と一緒に進めてきたわけでございますが、現時点で、自転車競技とサッカーについては、いまだ会場が決まっていないという現状にあります。
そんな中で、私の地元八王子市でございますけれど、八王子市では自転車競技の誘致を表明をいたしまして、昨年の十二月と本年の二月に東京都知事宛てに要望書を提出をしているところでございます。パンフレットもつくって、一九六四年、自転車競技をお手伝いした私たちは、二〇二〇年、新しい自転車競技をお手伝いしたいと、こんな形で、大変、開催都市東京の自治体としてぜひ開催をしたいという熱意を示しているわけでありますけれど、東京都は、この要望書をどのような重みを持って受けとめて、この会場計画の検討に平成二十六年度取り組んできたのか、伺いたいと思います。
○根本競技担当部長 八王子市からは、昨年十二月、自転車競技のうち、マウンテンバイク及びBMXについて、会場誘致の要望書を受領しております。また、本年二月には、昨年の要望に加えまして、トラックレースを誘致する要望書を受領してございます。
都と組織委員会は、昨年六月以降、会場の再検討に着手し、再検討に当たりましては、アスリートファーストの視点を重視するとともに、既存施設の活用を含めた施設整備費の縮減、大会後のレガシーとしての活用方法など、さまざまな観点から検討を行っております。
ご指摘の自転車競技会場につきましても、こうした観点から、国内、国際競技団体、IOC、組織委員会と検討を行っているところでございます。
○両角委員 ご答弁をいただきまして、会場の再検討に着手をして、三つの視点というのが挙げられました。アスリートファーストの視点、もちろんアスリートが競技をしやすい、そんな会場でなくてはいけない。整備費縮減、これも、もともと東京都としても、都の施設整備に当たってかなりの額を圧縮してきた。大きな視点でありますし、その後利用、レガシーということもありました。
その中に、ぜひこの地元の要望というものも踏まえてほしいなというふうに私は思うわけでありますけれど、なかなか今のご答弁の中からは、さまざまな観点からという中に含まれているので、重みとしては余り重く受けとめていただいていないのかなと、個人的にはそのように感じさせていただきましたが、今後、まだ決定をしておりませんので、ぜひ都内自治体、八王子市に競技会場を決定できるような努力もしていただきたいとお伝えをしたいと思います。
引き続いて、ボランティア計画について伺いたいと思います。
このオリンピック・パラリンピック、もちろん競技そのものも大変重要ではありますけれど、ボランティアがいかに参加ができるのか、そしてボランティアの皆さんによって支えられているかということが、この大会の成功の鍵を握るんではないかと私は考えております。
そうした中で、平成二十六年度にはボランティア計画に関して調査が実施をされております。決算額が一千五十八万四千円ということでございますけれど、契約先が、これはリベルタス・コンサルティングというところなわけでありますけれど、平成二十六年度に実施をした調査の目的と概要、さらに調査結果の活用方策、これについてお聞かせをいただきたいと思います。
○田中運営担当部長 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の運営上、ボランティアは必要不可欠な存在でございますとともに、開催機運の醸成にとっても重要な役割を担うものでございます。
このため、二〇二〇年大会の大会関連ボランティアの検討の基礎資料とすることを目的といたしまして、ロンドン大会などのオリンピック・パラリンピック競技大会におけるボランティアの活動状況などについて調査を実施いたしました。
本調査では、文献調査及びヒアリング調査を通じて、ロンドン大会などにおけるボランティアの募集や育成方法、大会期間中の活動内容や運用方法などを把握することができたところでございます。
調査の結果は、東京の特性を勘案しつつ、二〇二〇年大会のボランティアに関する計画策定などに活用してまいります。
○両角委員 調査、一千万かけてやっているわけですから、もちろんそれなりの効果があったんだと思いますけれど、ロンドン等で実際にボランティアさんが参加した、その募集状況や育成方法、活動内容ということでありますけれど、東京が行う場合の特性というお話がございました。まさに過去の大会の、東京にプラスになってこれは参考になる部分と、あるいは過去の大会でこれはうまくいかなかったというような、事務局の持ち方とかいろいろあると思いますけれど、そういったところを十分に参考にして、ボランティア計画をしっかりと進めていただきたいと思います。
そこで、現在、産業労働局あるいは生活文化局が、対象、内容ともに似たようなボランティア事業を展開をしていると、このように感じるわけですけれど、この都市ボランティアについては、どの部署が中心となって全体的な計画をつくって、今後どのように準備を進めていくつもりなのか、伺いたいと思います。
○田中運営担当部長 平成二十六年度に行った調査を通じ、ロンドン大会などにおける開催都市と、大会組織委員会や各種ボランティア団体などとの連携について、状況を把握することができました。
二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会の都市ボランティアに関する計画につきましては、平成二十六年度より設立準備を進めてまいりました東京都ボランティア活動推進協議会の都市ボランティア検討部会における議論や、本調査結果などを踏まえまして、オリンピック・パラリンピック準備局が関係各局などと連携し、策定していくことといたしております。
○両角委員 安心しました。オリンピック・パラリンピックの準備局が責任を持って、ヘッドクオーターとして仕切っていくということでありますから、何となく各局がばらばらやるんではなくて、連携して、全体としてはネットワークが組まれているんだというふうに進めていただきたいと思いますし、私の周りでも、ぜひボランティアに参加したいという方はいっぱいいるんです。オリンピック・パラリンピックが開催されるんであれば、ぜひその一端に力を担いたいという方がいらっしゃいますから、そういう意をきちっと酌めるような、そんなボランティア計画にしていただきたいと思います。
最後でございますけれど、関連グッズ、皆さんも多くの方がきょう、オリンピックの桜のリースのバッジをつけていらっしゃるわけでございます。こちらから見ると、ほとんどの方は、やっぱりオリ・パラの方はつけているということでございますけれど、実はこの七月に、私も、まさにエンブレムの発表のときに現場にいて、舛添知事の真ん前にいたわけであります。ここで新しいエンブレムが正式に決まって、これからますます大会の機運を盛り上げていくというときに、実は新国立競技場の問題とともに、オリンピックのムーブメントの機運に水を差してしまった。エンブレムが撤回をされました、新エンブレムが。
東京都は、その新しいエンブレムに基づいたポスターや、あるいは名刺とか紙袋、こういったものを準備をしていたというふうに聞いています。実際には紙袋、ポスター等で六百万円ほど、東京都はそれを処分をして、結果として、この六百万の税金というのは無駄になったということです。
そういうことがないようにしていかなくてはいけないんですが、そこで伺いたいんですけれど、平成二十六年四月に出されたオリンピック・パラリンピック競技大会招致活動報告書によりますと、東京都が平成二十三年度から平成二十五年九月までに、招致期間中に作成した大会招致のPRグッズ経費は、約七千万円という数字が出されています。
その七千万円の中に、バッジがいろいろ種類があるわけでございますけれど、(実物を示す)これはアプリカントシティーという、要は、これから候補としてのシティということですね。これ、平成二十三年度十五万個つくっているという、四角いやつ、皆さん持っているかもしれない。
二番目はこれ、私も、ブエノスアイレスでつけていました。キャンディデートシティー、まだキャンディデート、正式な立候補都市としての、四角い、リースの、これは平成二十四年度に四百十六万個、平成二十五年度に二百万個つくっているということでした。それで、招致が決まって、平成二十五年度、またつくっているんだよね。皆さんがつけているやつかな。これはまだだ。十万個つくっているんです。
そんな形で、そのほかにも、こういうファイルがあったり、ボールペンがあったりというような記憶もあるんですけれど、さまざまなグッズを作成をしてきている。
そこで、平成二十六年度、どのようなグッズを、何種類、幾ら作成をしたのか、伺いたいと思います。
○丸山準備会議担当部長 平成二十六年度は、招致エンブレムのピンバッジのみを百五十万個作成し、作成経費は約二千百五十万円となってございます。平成二十三年度から二十五年九月までの招致活動期間中のグッズの作成経費につきましては、約七千万円となっております。
○両角委員 平成二十六年度については百五十万個、私、つけさせていただいています。今、皆さんがつけているバッジ、一回、もうつけるなといわれたんですけれど、エンブレムがだめになったんで、新しいエンブレムができるまでに、またつけましょうということで、皆さん一緒につけているわけでありますけれど、今のご答弁によりますと、七千万と、そして二十六年度のバッジ百五十万個、足すと九千万円ぐらい。ほかにもあるのかもしれませんけれど、かなりの金額の経費を、このような機運醸成ということで使っているんだと思うんです。
そこで、やっぱり大切なのは、こうやってつくったものが、紙袋を捨てるようなことではなくて、きちっと活用されて、それなりの効果を発揮するんだと、その政策目的に合った効果を発揮しているということであろうかと思いますけれど、そこで、このかなりの金額に上る、これまでつくったグッズがどのように活用されたのか、さらに配布の状況を含めて、その効果を伺いたいと思います。
○丸山準備会議担当部長 二〇二〇年東京大会開催決定までに作成したグッズにつきましては、大会招致の機運を盛り上げるために有効に活用してまいりました。その効果もあり、招致に向けて、都民、国民の心が一つになり、開催都市をかち取る大きな力となりました。
平成二十六年度は、公式エンブレムが決定するまでの期間における機運醸成のための重要なツールとして、招致エンブレムを使用したピンバッジを作成いたしました。ピンバッジは、庁内各局はもとより、都の関連団体や都内市区町村を初め、全国の自治体や議会、またスポーツ団体、経済団体等に広く配布いたしました。
大会準備にかかわる方々にピンバッジを着用していただくことにより、開催機運を高め、一丸となって準備に邁進するという大きな効果があったと認識しております。
今後も引き続き、公式エンブレムが決定されるまでの間、機運醸成に活用してまいります。
○両角委員 安心しました。ということですね。バッジ全体で八百万個ぐらいをつくられているわけです、バッジだけでも。どこかに百万ぐらい眠っていたらどうしようかななんて心配したわけでありますけれど、まさに庁内皆さんも、今バッジをつけていただいていますし、スポーツ団体あるいは東京オリンピック・パラリンピック二〇二〇に向けて、各自治体にお願いをして協力をしていただいたという経緯もありますから、そこの自治体の関係者も皆さんつけていただいて、お渡しすると大変喜んでいた。こういって、やはり物はつくったらしっかりと配布をして、使っていただくということを心がけていただいて、エンブレムが決定するまでしっかりと活用して、オリンピックの機運醸成をさらに続けていただきたいと思います。
終わります。
○山内委員 質問させていただきます。
生活者ネットワークは、これまでも、障害があってもなくても、日常的に身近な地域でスポーツを楽しめるよう要望してまいりました。
東京都には二カ所の障害者スポーツセンターがあり、そこを拠点として、スポーツの普及啓発に取り組んできていると思います。
東京都障害者スポーツセンターについては、二〇一一年四月に福祉保健局から移管され、三年を経ました。
福祉の観点からだけではなく、スポーツ振興という観点から、事業内容で充実したことはあるのか、お伺いいたします。
○田中スポーツ施設担当部長 都内に二カ所ある東京都障害者スポーツセンターは、平成二十三年四月、所管が福祉保健局から当局に移管されております。
両センターでは、開設以来、福祉の視点を持って、リハビリテーションやレクリエーションとしてのスポーツ活動を実施してまいりました。
当局移管後は、車椅子テニスジュニア選手強化教室やサッカー選手育成教室を新たに実施するなど、特に競技力向上に資する事業の充実を図っております。
○山内委員 東京都多摩障害者スポーツセンターは、私の地元の国立市にあることもあり、利用者の方から要望が寄せられております。
例えば、トイレや家族用の更衣室、プールで冷えた体を温める風呂などはもちろんなんですが、宿泊施設を利用する方からは、一人で動ける人を対象につくられていて、介護用の手すりのついたベッドがない、医療用リフトがないなど、使い勝手の悪さも指摘されており、二〇一〇年度、平成二十二年度の各会計決算特別委員会で、この利用者のニーズに合わせた改修を私は要望してまいりました。
東京都障害者スポーツセンターの大規模改修に際し、二〇一二年度に利用者ニーズ調査を行っておりますけれども、その内容と改修計画への反映状況、工事の進捗状況についてお伺いいたします。
○田中スポーツ施設担当部長 二カ所の障害者スポーツセンターは、ともに建設から約三十年を経過していることから、大規模改修工事を行うこととし、平成二十六年度改修計画を策定しております。
改修計画の策定に先立って、平成二十四年度、個人利用者や利用団体、施設運営事業者を対象に利用者ニーズ調査を行っております。
この調査における要望を踏まえ、家族で利用できる更衣室の整備のほか、東京都障害者総合スポーツセンターにおいては、多目的スペースの新設や駐車場の駐車台数の増加、東京都多摩障害者スポーツセンターにおいては、体育館の冷房設備の新設などについて、改修計画に反映させております。
東京都障害者総合スポーツセンターについては、平成二十八年度からの工事に向け、昨年度基本設計に着手し、東京都多摩障害者スポーツセンターについては、平成三十年度からの工事に向け、今年度から基本設計に着手する予定でございます。
○山内委員 先ほども述べましたけれども、さまざまなニーズがございます。検討していただきたいと思っております。
東京都障害者スポーツセンターについて、地域との連携やイベント参加、戸外レクリエーションの開催等の実績をお伺いいたします。
○田中スポーツ施設担当部長 障害者スポーツセンターでは、近隣地域の方々と交流し、相互理解を図ることを目的に、みんなでバドミントン事業やレッツ車椅子バスケ事業など、センター内の施設を使って開催する地域交流教室事業を実施しております。平成二十六年度は、東京都障害者総合スポーツセンターで六事業、三十二回、東京都多摩障害者スポーツセンターで十事業、七十六回実施しております。
一方、センターだけでなく、身近な地域でスポーツに親しむことができる環境づくりを推進するため、周辺自治体や社会福祉協議会等が開催するイベントへの参画や、小中学校、高等学校等と共同し、障害者スポーツ・レクリエーション教室などの事業を実施しております。
例えば、東京都障害者総合スポーツセンターでは、北区秋のフェスティバルへのブース出展など二十四事業、五十回実施、東京都多摩障害者スポーツセンターでは、都立第五商業高等学校において、ボッチャの選手による講演会及び体験教室の開催など二十六事業、四十二回実施してございます。
○山内委員 東日本大震災の際には、震災の影響もあり、一時閉館したことがありました。その折に耐震化の状況を質問したところ、両センターともに一九八一年、昭和五十六年の新耐震基準に適合した建物であるとのご答弁をいただき、安心しておりました。災害発生時に利用者等を迅速に安全な場所へ避難誘導するに当たっては、さまざまな配慮が必要であることも、そのときに要望いたしました。
そこで、東京都障害者スポーツセンターについて、どのような避難訓練等を実施したのか、お伺いいたします。
○田中スポーツ施設担当部長 障害者スポーツセンターでは、職員の防災意識の向上を図るとともに、迅速的確に人命の保護と災害の拡大防止を図るため、毎年度防災訓練を実施しております。
訓練では、消防機関への通報や管内への連絡、初期消火活動、防火シャッターの操作等を行っております。また、避難誘導については、例えば多くの車椅子利用者や介助が必要な利用者への対応等、想定しておく必要がありますことから、実際の状況に近い環境で訓練を行うことを目的に、利用者にも参加していただいて訓練を実施しているところでございます。
○山内委員 地元なので、申しわけございません。東京都多摩障害者スポーツセンターの話が多くなりますけれども、多摩障害者スポーツセンターの送迎バスは、現在、国立駅南口が主要となっております。最近、バス停留所に雨よけの屋根、上屋というんだそうですが、それとベンチが設置され、利用者にとってよかったと思っております。
また、これまで要望があった多摩障害者スポーツセンターの最も近い駅、最寄り駅である谷保駅のエレベーター設置工事がようやく始まりました。二十七年度内に完成する予定です。現時点では、谷保駅の送迎バスは本数が少ないんですけれども、エレベーターが設置された後は、利用する方からの要望に沿って、この本数の見直しもしていただくように要望いたしておきます。
障害者スポーツセンターについてお伺いしてまいりましたが、障害のある人が身近な地域でスポーツを楽しむためには、市区町村などの取り組みを東京都と連携して進めていくことが重要です。
市区町村において、障害のある人も参加できるスポーツ教室等を拡充していくために、都は二〇一四年度にどのような事業に取り組み、どういった実績を上げたのか、お伺いいたします。
○萱場パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 都は、障害のある人が身近な地域でスポーツを楽しめるよう、地域開拓推進事業を実施しております。
この事業は、市区町村や地域スポーツクラブなどがスポーツ教室等を開催する際に、企画立案、用具の貸与、障害者スポーツ指導員の派遣により都から支援を行うもので、平成二十六年度は六十五事業の実績がございました。
加えて、地域における障害者スポーツ振興の事例をほかの地域や団体にも周知するため、障害者スポーツ取り組み事例集を千部作成して、市区町村や地域スポーツクラブ、スポーツ推進委員協議会等に配布し、障害者スポーツのさらなる場の拡充を図ったところでございます。
○山内委員 こうした大会や地域におけるスポーツ教室では、障害者スポーツに関する知識を持つスタッフが果たす役割が大きいと思います。
都では、二〇一四年度から障害者スポーツ指導員の育成を行っているとお伺いしますが、育成に当たっては、身体障害、知的障害、精神障害など、障害種別により指導方法や対応も変わってくるために、きめ細やかな対応を行うことが重要です。
都が二〇一四年度に育成した障害者スポーツ指導員の人数と、育成に当たってどのような点に配慮したのか、お伺いいたします。
○萱場パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務 都は、平成二十六年度から障害者スポーツ指導員の資格取得に向けた講習会を開始いたしました。
当該年度は、初級障害者スポーツ指導員五十一人の、中級障害者スポーツ指導員三十七人の養成を行いました。
講習会では、障害者スポーツ全般にわたる講義のほか、障害特性に応じてスポーツを行う際の留意点等を学べるよう、カリキュラムを用意するとともに、実技による講習や、実際に障害のある方とスポーツを通して交流を行っていただくなど、資格取得後、障害者スポーツ振興の現場で活躍していただけるよう、より実践に即した内容としたところでございます。
○山内委員 事例集には、多摩障害者スポーツセンターと国立市主催のみんなで卓球inくにたちの事例が掲載されておりました。国立市卓球連盟や東京女子体育大学が、ふだんから障害者スポーツにも取り組んでいるからこそできた事業であるようですけれども、障害のある人もない人も、子供も、初心者から選手まで、一緒にダブルスを組んだり、交流をしたり、楽しい大会になったと聞いております。地域の皆さんの日ごろの活動に敬意を表したいと思っているところです。
地域開拓推進員が市区町村を回って、担当者に障害者スポーツの事例を紹介し、指導員の派遣、用具、施設の準備、ノウハウなどを周知する地域開拓推進事業を挙げていただきましたけれども、余談ではありますが、事業の名前が非常にかたいという印象を受けております。もう少しスポーツを楽しみたくなるようなネーミング、あるいは通称をつけるなど、工夫ができないものだろうかと提案をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○谷村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上でオリンピック・パラリンピック準備局関係を終わります。
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時五十四分休憩
午後三時十分開議
○谷村委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
これより福祉保健局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十六年度東京都一般会計決算中、福祉保健局所管分、平成二十六年度東京都母子父子福祉貸付資金会計決算及び平成二十六年度東京都心身障害者扶養年金会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○山岸総務部長 過日の分科会でご要求のありました資料につきまして、お手元の平成二十六年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料にまとめてございますので、ご説明申し上げます。
資料は、目次にございますように、全部で五項目となっております。それでは、順を追ってご説明させていただきます。
一ページをお開き願います。福祉保健費の予算及び決算の推移といたしまして、平成二十二年度から二十六年度までの福祉保健費の予算現額、決算額及びそれぞれの一般会計に占める割合などについて記載してございます。
二ページをお開き願います。福祉保健局予算・決算額の推移(一般会計)といたしまして、区分ごとに平成二十二年度から二十六年度までの福祉保健局の予算現額及び決算額を記載してございます。
三ページをごらん願います。シルバーパス発行状況の推移といたしまして、平成二十二年度から二十六年度までの費用別発行実績数、七十歳以上人口及び割合を記載してございます。
四ページをお開き願います。平成二十六年度における福祉保健区市町村包括補助事業の補助額といたしまして、五つの包括補助事業の実施主体ごとの補助額について、五ページにかけて記載してございます。
六ページをお開き願います。区市町村地域生活支援事業の実施状況といたしまして、平成二十六年度末時点の事業ごとの実施区市町村数を記載してございます。
以上、簡単ではございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。
○谷村委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○和泉委員 まず、在宅療養についてお伺いいたします。
東京の高齢化は今後急速に進行し、団塊の世代が七十五歳以上になる平成三十七年には高齢化率は二五・二%となります。都民の約四人に一人が六十五歳以上の高齢者になると予測されており、対策が急務となっております。
また、都が昨年度実施した都民の意識調査では、長期療養が必要となった場合、多くの方が在宅での療養を続けたいと希望しておりますけれども、そのうち半数以上の方が実現は難しいのではないかというふうに回答されております。その理由としては、家族の負担、それから病状変化時の対応への不安、また在宅医療、在宅介護でどのようなケアが受けられるのかがわからないということが主な原因として挙げられております。在宅療養を望む高齢者が安心して在宅療養を選択できるような、地域における体制整備が必要と思われます。
都は、都民に最も身近な行政機関である区市町村を在宅療養の実施主体と位置づけ、区市町村が主体的な取り組みを実施できるよう支援を行っていますが、在宅療養の推進に向けた都の支援策、それから区市町村における昨年度の取り組み状況について伺います。
○成田医療改革推進担当部長 都は、地域における在宅療養体制を整備するため、医療保健政策区市町村包括補助事業を活用して、医療、介護の関係者などによる協議会や、病院から在宅への円滑な移行等を調整する支援窓口の設置、在宅療養患者の病状変化時などに利用できる後方支援病床の確保を行う区市町村の取り組みについて支援しております。昨年度こうした取り組みを実施している区市町村数は、協議会が三十三、支援窓口が二十七、後方支援病床の確保が十四でございまして、毎年度増加しております。
○和泉委員 区市町村の取り組み状況に関しては、年々進んでいると思いますけれども、まだ実施に至らないような状態の区市町村もあります。今後も区市町村に対する働きかけや支援というものをしっかりとお願いしたいというふうに思います。
また、こうした自治体の動きとあわせて、昨年、医療介護総合確保推進法の成立により、在宅医療・介護連携推進事業が介護保険法に基づく地域支援事業の一つに新たに位置づけられております。この事業では八つの取り組むべき項目が示されております。主な取り組みとしては、地域資源の把握、また医療、介護連携の課題抽出や対応策の検討、それから切れ目のない在宅医療と介護の提供体制の構築、また関係者間の情報共有などが挙げられます。これらの取り組みを平成三十年四月までに全ての区市町村で実施することというふうにされております。
在宅医療・介護連携推進事業の円滑な実施に向けて、都は区市町村に対して今後どのように支援を行っていくのか伺います。
○成田医療改革推進担当部長 お話のように在宅医療・介護連携推進事業では、地域資源の把握、医療、介護連携の課題抽出や対応策の検討、切れ目のない在宅医療と介護の提供体制の構築など、区市町村が八つの項目に取り組むこととされております。こうした取り組みに対して、都はこれまで包括補助事業により、区市町村を支援してまいりました。
また、区市町村・地区医師会担当者連絡会を定期的に開催し、各区市町村の取り組み事例の紹介など、情報の共有化を図っております。さらに、今年度からは地域医療介護総合確保基金を活用し、介護従事者等からの相談対応に医師を配置する区市町村への支援などを開始いたしました。今後とも定期的な連絡会を通して各区市町村の取り組み状況を把握しながら、区市町村が在宅医療・介護連携推進事業を円滑に実施できるようきめ細かく支援してまいります。
○和泉委員 高齢になって、さまざまな病気にかかられるような方々、このような高齢者が、介護が必要になっても、可能な限り住みなれた地域で医療、介護の支援を受けながら療養生活を継続できるように、今後も区市町村に対する積極的な支援をお願いし、次の質問に移ります。
次に、認知症対策ですけれども、認知症高齢者の急増が見込まれる中で、認知症の人と家族を地域で支えるための体制づくり、これが急務であります。認知症の人が住みなれた地域のよい環境で暮らし続けるためには、区市町村、かかりつけ医、ケアマネジャー、地域包括支援センター、認知症疾患医療センター、それらの関係者が密接に連携して、認知症の人を早期に把握し、早期に支援に結びつけていく体制というものを都内の各地域でつくっていく必要があります。
都は、平成二十五年度から独自の取り組みとして、認知症早期発見・早期診断推進事業を開始し、区市町村に、保健所等には認知症支援コーディネーター、そして認知症疾患医療センターには医師、看護師、精神保健福祉士等で構成される認知症アウトリーチチームを配置して、双方が共同して受診困難等の認知症の疑いのある高齢者を訪問、支援する取り組みというものを進めてきております。
これまで私も何度も質問させていただいておりますけれども、認知症早期発見・早期診断推進事業を契機に、認知症医療、介護のネットワークづくり、これを進める取り組みというものが各地域に広がってきており、区市町村の認知症施策を強化する上で非常に有効な事業と考えております。
そこでまず、区市町村への認知症支援コーディネーターの配置実績、それから活動内容について伺います。
○西村高齢社会対策部長 認知症コーディネーターは、看護師、保健師等を充てることとなっておりまして、認知症の人の家族等からの相談を受け、訪問支援等により適切な医療、介護サービスにつなげる役割を担っております。この取り組みは平成二十五年八月から開始しておりまして、平成二十五年度には十三区市に配置し、二十六年度には二十七区市に配置が拡大いたしております。
事業開始から平成二十六年度末までに認知症支援コーディネーターには四千四十四人の方から相談が寄せられておりまして、その内容を見ますと、医療機関への受診拒否による未診断等の受診、受療に関する相談や、妄想、徘回等の行動、心理状況に関する相談、家族の介護負担軽減、介護保険サービスに関する相談が多くなっております。
○和泉委員 認知症支援コーディネーターに関してはわかりました。
次に、認知症疾患医療センターへの認知症アウトリーチチームの配置実績、それから活動内容、これについて伺います。
○西村高齢社会対策部長 認知症アウトリーチチームは、認知症専門医や保健師、精神保健福祉士等で構成されておりまして、認知症の疑いのある受診困難者等を認知症支援コーディネーターと一緒に訪問して、受診、受療につながるよう支援する役割を担っております。この取り組みにつきましても平成二十五年八月から開始しておりまして、平成二十五年度には七カ所に配置し、平成二十六年度には十二カ所全ての地域拠点型認知症疾患医療センターに配置を拡大いたしております。
先ほど申し上げた認知症コーディネーターが相談を受けた四千四十四人のうち、認知症アウトリーチチームに訪問依頼のあった人数は二百五十二人でございます。この二百五十二人のうち、ひとり暮らしの高齢者は約五割でございまして、また約五割の方が介護保険の要介護認定を未申請でございました。認知症コーディネーターと認知症アウトリーチチームが連携して支援した結果、ほとんどの方が医療機関の受診や介護保険等のサービス利用につながっております。
○和泉委員 認知症支援コーディネーターの活動というものは、区市町村の中で医療、介護関係者のネットワークをつくって、そして認知症の早期把握、それから早期支援を進めていく上でとても重要な鍵になるというふうに思います。また、認知症アウトリーチチームの活動は、これも受診拒否とか、あるいは行動や心理症状への対応に困っている地域包括支援センターを支援するために欠かせない取り組みになるだろうというふうに思います。
そこで、より多くの区市町村が本事業に取り組み、認知症の人と家族を地域で支える体制づくりを進めることが必要と考えますが、本事業の今年度の取り組み状況について伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。
○西村高齢社会対策部長 現在、認知症支援コーディネーターは二十九区市で配置されております。また、認知症アウトリーチチームは十二カ所の地域拠点型認知症疾患医療センターに配置されておりまして、三十五区市町がチームと連携した訪問支援の取り組みを実施しております。
今年度の新たな取り組みといたしまして、認知症支援コーディネーターにつきまして、区市町村ごとに一名であった配置を高齢者人口に応じて二名配置できるように変更し、区市町村の認知症高齢者への対応力向上を図っております。また、認知症支援コーディネーターや認知症アウトリーチチームにおいて相談業務を担う者のスキルアップを図るため、新たに事例検討を中心とする研修を実施しております。
今後とも各地域における認知症の人とその家族を支える体制が強化されるよう、区市町村に対しまして認知症コーディネーターの配置と認知症アウトリーチチームの活用を働きかけてまいります。
○野上委員 最初に、自殺対策についてお伺いいたします。
平成二十六年度の自殺対策の予算額及び決算額についてお伺いいたします。
○上田保健政策部長 平成二十六年度の自殺対策に係る予算現額は一億九千二百六十七万六千円、決算額は一億七千六十二万八千七百二円でございます。
○野上委員 毎年、東京マラソンの開会式に行っているんですけれども、色とりどりのカラフルな洋服を着たランナーが入場門を駆け抜けて、最後までずっと見ていると、三万人を超える人数なんですね。その人たちが、毎年毎年これだけの数の方々がみずから命を絶っていた。いつもそういうことを思いながら、マラソンの開会式を見ておりました。
平成十年から全国の自殺者数が三万人を超える状況が続いていたわけですけれども、全国及び東京都における自殺者の現状はどのようになっているのでしょうか。
○上田保健政策部長 全国の自殺者数は、平成九年の二万三千四百九十四人から平成十年に三万一千七百五十五人と急増した後、おおむね三万人前後で推移してまいりましたが、平成二十二年に二万九千五百五十四人となった以降は毎年減少してございまして、平成二十六年には二万四千四百十七人になってございます。
東京都の自殺者数でございますが、全国と同様に平成九年の二千十四人から平成十年に二千七百四十人に急増し、以降はおおむね二千五百人から二千九百人の横ばいで推移してございましたが、平成二十三年の二千九百十九人をピークに減少傾向に転じ、平成二十六年に二千四百四十三人となっております。
○野上委員 私は、最近なんですけれども、ちょっと悲しい思いをした事件が二つございました。一つは、足の悪い母親を抱いて公団の上の階まで上っていって、その母親を落として、そして自分も飛びおり自殺をしたという事件が一つ、もう一つは、二つの液体をまぜて、これは硫化水素だと思うんですけれども、発生させて、そこに母親がたまたま入っていって、一緒に巻き込まれて亡くなったという事件がございました。この硫化水素に関しましては、入り口に、硫化水素発生中なので入らないでくださいという、わざわざ紙まで張ってあったんだけれども、そこに入っていって亡くなった。二人とも母親を私はよく知っていた方だったので、とても悲しい思いをいたしました。
近年ようやく景気が回復して、雇用情勢も好転してきてはいますけれども、平成九年以前の自殺者数は全国でも二万三千人、東京都では二千人程度であったので、まだまだ過去と比較すると少なくなったとはいえない状況であると思っております。
東京都は自殺を予防するためにさまざまな対策に取り組んでおりますけれども、その中で、まず電話相談事業についてお伺いいたします。電話相談は、自殺を考えた人が最後に救いを求める場所であって、自殺を防ぐために大変重要な役割を担っていると考えます。
そこで、電話相談の概要、平成二十六年度の電話相談の件数、対応内容についてお伺いいたします。
○上田保健政策部長 自殺の背景には、経済、生活問題、健康問題など、さまざまな要因が複合的に絡み合っていることから、相談に当たりましては、一人一人が抱えている問題にきめ細かく対応する必要がございます。このため、都は平成二十二年四月より相談者の悩みを受けとめ、自殺を未然に防止するための総合相談窓口として、東京都自殺相談ダイヤルを設置しております。
相談ダイヤルでは、相談を受けるとともに、悩みに応じた支援に円滑につながるよう、都が構築した相談支援ネットワークに参画している支援機関と連携し、確実に相談者を専門機関につなぐなど、積極的な支援を行っているところでございます。平成二十六年度一年間に受け付けた相談件数は一万九千二十七件であり、一日平均五十件を超える相談に対応しております。
○野上委員 相談者の深刻な悩みを確実に受けとめる電話相談事業というのは、自殺予防に資するものであるため、今後も本事業を着実に推進していっていただきたいと思います。この過程にも相談時間を延長するとか、いろいろと工夫していただいておりますけれども、拡充していただきたいということと、二十六年度の新規事業であります自殺未遂者支援事業についてお伺いいたします。
○上田保健政策部長 自殺未遂者は、再度自殺を図る可能性が高いことから、自殺を二度と繰り返させないための未遂者への対策を、平成二十五年策定の、東京における自殺総合対策の基本的な取組方針におきまして重点施策と位置づけ、自殺の再発を防止するための相談窓口、東京都こころといのちのサポートネットを昨年七月に開設いたしました。
サポートネットでは、救急医療機関等からの相談に対し精神保健福祉士、保健師等の専門の相談員が、未遂者の状況やニーズを確認いたしまして、精神科医療機関や区市町村、保健所等の相談支援機関と調整を行い、地域の必要な支援につないでいるところでございます。平成二十六年度は百五十五人について相談を受け、対応いたしました。
○野上委員 自殺された方のうち、女性で約三割、男性で約一割が過去に自殺未遂の経験があるというデータがございまして、自殺未遂者に対する支援が非常に重要になってくるものと思います。
そこで、自殺未遂者支援事業として、平成二十六年度七月に相談窓口を開設したわけでございますが、その役割と目的、昨年度の利用状況についてお伺いいたします。
○上田保健政策部長 繰り返しになりますが、自殺未遂者は再度自殺を図る可能性が高いところから、東京都こころといのちのサポートネットを昨年七月に開設したところでございます。このサポートネットでは、救急医療機関等からの相談に対し、精神保健福祉士、保健師等の専門の相談員が、未遂者の状況やニーズを確認いたしまして、精神科医療機関や区市町村、保健所等の相談支援機関と調整を行い、地域の必要な支援につないでおります。平成二十六年度は百五十五人について相談を受け、対応いたしているところでございます。
○野上委員 本事業を実施することにより、自殺未遂者が再度自殺を図ることのないように適切にサポートできる支援機関を仲介し、地域での必要な支援に的確につないでいることが理解できました。二回もいっていただいてありがとうございました。引き続きこの事業の内容を十分に評価、検証しながら、自殺未遂者が再び自殺を図ることが決してないよう都として努力を続けることを要望して、次の質問に移ります。
次は、若年性認知症対策について質問いたします。
若年性認知症は、十八歳から六十四歳で発症する認知症の総称です。六十五歳以上の老人性認知症と同様、アルツハイマー病、脳血管型、前頭側頭型、レビー小体型などがあって、物忘れ、言語障害などの症状があらわれます。特に若年性認知症は、働き盛りの世代で発症するために、医療、介護の問題はもとより、就労の継続など多岐にわたる課題を抱えております。
こうした課題に対応するため、都はモデル事業の成果を踏まえ、平成二十四年度に、若年性認知症の方々やそのご家族からの相談をワンストップで受け付ける若年性認知症総合支援センターを設置いたしました。私は若年性認知症については大変大きな関心を持っておりまして、平成二十二年に第二回定例会で相談窓口の設置等を初め、これまで何回も質問させていただいた経験があります。
設置から三年以上が経過した若年性認知症総合支援センターのこれまでの実績や決算額についてお伺いいたします。
○西村高齢社会対策部長 若年性認知症総合支援センターの昨年度決算額は二千三百七十万一千円でございます。また、平成二十四年度から二十六年度までの三年間で七百九十三人の方から相談を受け付けております。
これらの相談は、電話や来所により受け付けておりますが、センターでは、まず本人やご家族の生活歴や病歴を詳細に把握し、状況に応じ地域包括支援センターを初めとする地域の関係機関と連携しながら、介護保険サービス等の支援につなげたり、必要な場合は行政手続の窓口へ同行するなど、きめ細かな個別支援を実施しております。
この三年間でさまざまなケースに対応した相談支援を積み重ねておりまして、その相談内容や支援方法を分析、検討し、今後の個別支援はもとより、区市町村や地域の関係機関への支援に生かしてまいります。
○野上委員 地域包括支援センターとの連携にも取り組んでいるということだとわかりました。若年性認知症の方が活用できる社会資源はまだまだ少ないという現状を考えると、早期にセンターの支援につながることが非常に重要ではないかと思います。
若年性認知症総合支援センターについて、都民に広く知っていただくための普及啓発の内容とその結果、相談に来る方がセンターをどういうところ、どういう手段で知ることが多いのかについてお伺いいたします。
○西村高齢社会対策部長 都は、認知症に対するポータルサイトでございます、とうきょう認知症ナビに若年性認知症総合支援センターの案内を掲載しますとともに、区市町村や関係機関に向けて案内用のパンフレットを配布するなど、センターの周知に努めております。この三年間の実績を見ますと、とうきょう認知症ナビなどのホームページより知ったものが二百八十一件、介護サービス事業所など関係機関から相談を勧められたものが百六十九件、地域包括支援センターなどに配布している案内用パンフレットにより知ったものが百十件、医療機関からの相談を勧められたものが百八件となっております。
○野上委員 医療機関で認知症と診断されて、すぐにセンターの支援に結びつくことが大事だと思いますけれども、三年間で合計すると約七百件の相談のうち、医療機関からの紹介が百八件というのは、まだまだ少ないといわざるを得ないと思います。医療機関でセンターを紹介される方をもっとふやすための取り組みが必要と考えますが、所見を伺います。
○西村高齢社会対策部長 若年性認知症の方を早期に支援するためには、若年性認知症総合支援センターと医療との連携が重要でございます。このため、都は今年度から、若年性認知症総合支援センターと認知症疾患医療センターが連携して行う講演会の取り組みを開始しております。
先月、認知症疾患医療センターである順天堂大学医学部附属順天堂医院の協力を得て行った最初の取り組みでは、順天堂医院の医師が若年性認知症の基礎知識というテーマで講演し、あわせて、同じ会場で若年性認知症総合支援センターが若年性認知症の方とその家族や支援に携わっている方からの相談に対応いたしました。今後とも、こうした認知症疾患医療センターとの連携の取り組みを契機といたしまして、他の医療機関との連携を進めてまいります。
○野上委員 若年性認知症の方を早期に適切な支援につなげるツールとして、東京都が平成二十二年度に作成した若年性認知症ハンドブック、これも大変重要な取り組みだと思いますけれども、その後の活用について伺います。
○西村高齢社会対策部長 若年性認知症の方は、働き盛りの時期に発症するため、最初に職場において異変に気づくことが多くございます。職場内の正しい理解と支援が必要となってまいります。このため都は、平成二十二年度に、職場内において若年性認知症の方を早期に発見し、適切な支援につなげていくことを目的として、若年性認知症ハンドブックを作成いたしました。このハンドブックは、職場内での活用に焦点を置き、企業と産業医の連携などの具体的事例と、支援方法や退職後に利用できる制度など各種支援制度についてポイントを押さえ、わかりやすく記載したものでございます。
現在、職場内に限らず、若年性認知症の支援に携わる方々に広く活用されておりまして、平成二十二年度に一万部、その後、平成二十四年度に改訂版を一万部発行いたしまして、関係機関に配布するとともに、とうきょう認知症ナビにも掲載して、いつでも閲覧できるようにしております。
○野上委員 次に、若年性認知症だけではなく、認知症高齢者施策に関する普及啓発について、昨年度、都は、自分でできる認知症の気づきチェックリストを作成いたしましたが、チェックリストを活用した普及啓発の昨年度の取り組みについてお伺いいたします。
○西村高齢社会対策部長 都は、昨年度、自分でできる認知症の気づきチェックリストを作成いたしまして、普及啓発用パンフレット、知って安心認知症に掲載し、六万五千部発行いたしました。このパンフレットは、関係機関向けに配布するとともに、できるだけ多くの都民の方にごらんいただけますよう、要約版をおよそ三百七十五万部作成いたしまして、新聞折り込みとして配布いたしております
また、認知症は相談できるをキャッチフレーズとしまして、チェックリストを含め、パンフレットの内容を盛り込んだ映像広告を作成し、トレインチャンネルなどの媒体を活用し、広く都内に展開いたしました。さらに、毎年一回、世界アルツハイマーデーにあわせて開催している認知症シンポジウムでは、基調講演の中でチェックリストの監修を行った研究者の方から、認知症とともに生きるというテーマで、認知症に早く気づくことの大切さ、チェックリストの活用などについて、三百名を超える来場者にお話をいただき、早期の発見や適切なケアが必要であることがよくわかったなどの声が寄せられております。
○野上委員 この質問の最後に、今後の都の認知症への取り組みについてお伺いいたします。
○西村高齢社会対策部長 都内には、平成二十五年時点で何らかの認知症の症状を有する方が約三十八万人いらっしゃいまして、平成三十七年には約六十万人に増加すると推計されております。若年性認知症の人を含め、認知症の人が住みなれた地域で安心して暮らし続けていくためには、さらなる認知症施策の充実が必要でございます。
今後とも、認知症疾患医療センターなどの医療体制の整備、医療や介護を担う人材の育成、認知症について正しい知識を持っていただくための都民への普及啓発、若年性認知症対策の強化など、総合的な認知症対策の取り組みを進めてまいります。
○野上委員 七十五歳以上の高齢者の四人に一人が発症するといわれている認知症ですけれども、栄養や運動、脳トレなど、どんなに気をつけていて、訓練を欠かさず努力をしていても、高齢に伴って認知症になる場合もあります。成年後見制度等を活用して、生活に困ることがないように、総合的な認知症対策に取り組んでいただきますよう要望し、次の質問に移ります。
次は、乳がん及び子宮頸がん受診率の向上策についてお聞きいたします。
十月十九日の月曜日に、第一回の乳がん・子宮頸がん検診促進全国大会が虎ノ門ヒルズで開催され、私も参加してまいりました。二〇〇一年ごろ、私がちょうど議員になったころですけど、二十人に一人が乳がんになっておりましたが、十四年ぐらい経過して、現在は十二人に一人が乳がんにかかる時代になってまいりました。
また、子宮頸がんに関しましては三十五人に一人、これは率的には低いと思うんですけれども、ただ問題なのは、若い世代の罹患率が非常に高くて、出産年齢のピークが子宮がんの罹患のピーク、要するにそれがちょうど重なってしまうということで、出産できなくなる可能性もふえてきているということが課題になっております。
男性、女性含めて、生涯でがんに罹患する確率が二人に一人という時代を迎えているわけでございます。乳がんに関しては、二〇一四年は八万六千七百人が罹患して、一万三千四百人の人がお亡くなりになっております。ですから、早期に検診し、早期に発見をし、命を延ばすことが大事だと思っております。そのために検診率の向上が大切でありますから、その観点から質疑させていただきます。
職域を含めた東京都のがん検診受診率において、都は検診受診率を把握しているのかお伺いいたします。
○上田保健政策部長 都では、健康増進法に基づくがん検診の対象人口率等調査といたしまして、五年ごとに都民を対象としたがん検診等の受診状況に関する調査を行っており、職域での受診も含めた受診状況を把握してございます。最新の状況は現在調査中でございまして、年度内に報告書を作成し、ホームページで公表いたします。
○野上委員 検診率を高めるために平成二十一年度から無料クーポン券を開始いたしました。子宮頸がんは若い人が罹患する率が高いので、二十から五年刻み、二十、二十五、三十、三十五、四十歳の五年刻みに検診の無料クーポンが配布されます。
それから、乳がんは六十歳ぐらいがピークになるということで、四十、四十五、五十、五十五、六十の五年刻みにやはり無料クーポン券が配布されております。こういうふうにクーポン券を配布したことが、コール、呼びかけるということになります。
しかし、残念なことなんですけれども、二十四年度の実施状況では、子宮頸がんの無料クーポンの利用者が二四%検診をしたと。乳がんの無料クーポンの利用者は二三%にとどまってしまっています。大体四人に一人しか、そうした無料にもかかわらず、利用していない現状があるということでございます。国の方では、一応五年サイクルで一巡したので、終了しようとしたのですけれども、国会で公明党の要望でクーポン券の継続的な発行が決まったそうでございます。
多分職域検診を受けている人は、ブラックボックスになっているところなので、どれくらい職域で検診を受けているかどうかを知ることが難しい。職域検診の自由度を認めるにしても、検診成績が出なければ、有効性の評価がなかなかできません。検診率が上がっている地域を調査してみますと、個別受診勧奨、要するにクーポン券を送ったコールと、さらにリコールをしている。例えば二度目のお手紙を出す、あるいは電話で勧奨する、これがリコールなんですけれども、リコールすることによって、検診率の向上が見られた例が大変多いわけでございます。
そこで、国のクーポン事業により受診率が上がったといえますけれども、さらに受診率を上げるためには、個別勧奨、再勧奨、コール、リコールが大切と考えますけれども、実施主体である区市町村に対し都はどのような支援をこれから行っていくのかお伺いいたします。
○上田保健政策部長 都では、検診対象者や未受診者への個別の勧奨、再勧奨等、効果的な受診率向上策に取り組む区市町村に対しまして、平成二十一年度から包括補助事業により支援しているところでございます。乳がん及び子宮頸がん検診の個別勧奨、再勧奨の実施に当たり、包括補助事業を活用した自治体は、初年度は二自治体でございましたが、平成二十六年度は十三自治体となっているところでございます。
○野上委員 受診率の向上に当たっては、受診者の行動変容につながる取り組みが必要であると考えます。包括補助事業のほかに区市町村への支援の内容についてお伺いいたします。
○上田保健政策部長 受診率の向上のためには、対象者の特性に応じた効果的な取り組みを行うことが必要であり、都では、本年三月に受診勧奨に当たっての対象の決め方、周知方法や受診しやすい環境整備などをまとめた手引を作成いたしまして、区市町村に周知してございます。この手引では、勧奨対象者にあわせた効果的なリーフレット等の作成や他の事業機会を活用した勧奨など具体的な事例も紹介し、区市町村の取り組みを支援しております。
○野上委員 手引等を利用してぜひ受診率の向上を目指していっていただきたいと思っております。
最後に、がん患者の就労支援について質問させていただきます。
先ほどもいいましたけれども、がん患者の治療と仕事の両立を支援する取り組みにつきましては、がんが二人に一人がかかる病気とされておりまして、今や都民の誰もががんにかかる可能性がある時代といえます。また、都民のがん患者のうち二十五歳から六十四歳までの占める割合は三四%となっておりまして、高齢者だけではなく、労働現役世代にも多くのがん患者がおります。
一方、がん医療の進歩により、がんにかかっても働き続けることが可能となり、がん患者であっても社会の中で活躍している方がふえてきております。しかし、がんは治る病気になりつつあるものの、職場においてがんに対する理解や通院等に対する配慮が十分に得られないことが要因となって、就労意欲や能力があるにもかかわらず退職に至る方が存在することが問題となっております。
都は、東京都がん対策推進計画第一次改定において、目標として、がんになっても自分らしく生活できる社会の構築を挙げておりますけれども、働くことが可能で意欲のあるがん患者が復職や就労継続できるよう治療と仕事の両立を可能とする職場環境づくりに取り組むことが必要です。
昨年度、我が党の要求でがん患者の就労継続支援のための復活予算が計上されましたが、都の取り組みについてお伺いいたします。
○矢沢医療政策担当部長 がん患者の治療と仕事の両立が実現できる職場づくりを支援するためには、事業主などに対しまして、がんに関する正しい知識を広めることが重要でございます。
そのため、昨年度は企業の人事担当者向けにがん医療の実態、雇用主の配慮すべき事項などをわかりやすく示しました、がんに罹患した従業員の治療と仕事の両立支援ハンドブックや社員研修用のDVDを作成いたしました。また、企業の先進的な取り組みを紹介し、働きやすい職場づくりを支援するため、がん治療と仕事の両立支援に積極的に取り組んでいる優良企業十一社を選定し、シンポジウムの開催にあわせて表彰いたしました。
今年度はこうした取り組みに加え、がん診療を行っている都内医療機関の相談員を対象に研修会を開催するなど、さまざまな機会を捉えまして、がん患者と家族を引き続き支援してまいります。
○野上委員 今後とも、がんの治療と仕事の両立を支援する取り組みについての普及啓発を充実させ、社会全体の認識向上を進めていくことを要望して、質問を終わります。
○里吉委員 資料をありがとうございました。
それでは、私からは、まず初めに東京都における地域包括ケアシステムの推進に関連して質問いたします。
小規模多機能型施設、看護小規模多機能型施設は、地域包括ケアを進める上で大変重要な施設です。東京都での昨年までの設置状況をまず伺います。
○西村高齢社会対策部長 平成二十七年三月末日時点の都内における小規模多機能型居宅介護事業所は百六十五カ所、看護小規模多機能型居宅介護事業所は十二カ所でございます。
○里吉委員 東京都の第六期計画によれば、二〇一三年度比で二〇二五年までに小規模多機能は約三・四倍、看護小規模多機能は二十七・四倍の利用見込みとあります。二つの施設は飛躍的に設置数を増加させる必要があります。都としてどのように進めるのか伺います。
○西村高齢社会対策部長 小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービスは、区市町村が指定、指導監督の権限を持ち、その整備については、まず区市町村がみずから策定する整備計画に基づいて行っていくものでございます。都はこうした区市町村の取り組みを支援するため、国制度である地域医療介護総合確保基金による補助に加えまして、都独自に宿泊定員数に応じた補助を実施しております。
平成二十六年度からは区市町村に対する補助率を二分の一から四分の三に引き上げたほか、地域包括ケアシステムの拠点施設の整備を促進する観点から、特別養護老人ホームや老人保健施設に小規模多機能型居宅介護事業所などを併設する場合の加算制度を創設するなど、支援の充実を図っておりまして、引き続き区市町村の取り組みを支援してまいります。
○里吉委員 都としても補助もしているというご答弁でした。ただ、都の計画では、どちらの施設も積極的に普及させる必要があるが、小規模多機能は計画どおり進まず、看護小規模多機能は、先ほどお話のあったとおり、昨年度末で十二カ所にとどまっています。二〇一七年度までで見ても、小規模多機能は二・四倍、看護小規模は十六・八倍も利用がふえる見込みとなっており、やはり整備の加速が必要です。都内全域での施設整備を進めるためにも、整備費や土地確保への支援の拡充や運営費補助の実施など、さらなる支援を要望します。
その上で、施設設置を進める上では、建設や運営にかかわる財政支援以外にも、都としてできること、それを行う必要があると考えております。一つは、認知症介護研修についてです。認知症介護研修は、介護の質を上げ、認知症の方と家族の尊厳ある生活を支えるために重要な役割を持っています。同時に介護事業所の運営にとっても重要です。この認知症介護研修は、小規模多機能の指定の条件にもなっているわけです。特養やグループホーム、通所介護などの介護報酬の加算の要件にもなっております。
昨年度の認知症介護研修は何人の方が受けたのか、また研修の申し込み倍率が大変高いと伺っていますが、どれくらいだったのか伺います。
○西村高齢社会対策部長 認知症介護研修は、高齢者介護実務者及びその指導的立場にある方に対しまして、認知症介護技術の向上を図り、専門職員を養成することを目的として実施しているものでございまして、受講対象者等に応じて五種類の研修がございます。
各研修の平成二十六年度の修了者数と申し込み倍率でございますけれども、認知症介護実践者研修の修了者は七百六十七名、申し込み倍率は二・五三倍、認知症介護実践リーダー研修の修了者数は百六名、申し込み倍率は一・四七倍、認知症対応型サービス事業管理者研修の修了者は三百六十四名、申し込み倍率は一・三一倍、認知症対応型サービス事業開設者研修の修了者数は十七名、申し込み倍率は一倍、小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修の修了者数は七十九名、申し込み倍率は一・一九倍となっております。
○里吉委員 昨年度は五つある研修のうち、希望者が全員研修を受けられたのは一つだけで、あとは定員を上回る申し込みであり、認知症介護実践者研修では二・五三倍という狭き門でした。ことしからは従来からの特養老人ホームやグループホームなどに加え、通所介護などの介護報酬の加算の要件にも加わったため、さらに希望者がふえていると聞いています。
介護報酬削減で運営が厳しくなる中、せめて加算がとれるよう最大限の支援が必要です。研修の定員をふやすべきと考えますが、見解を伺います。
○西村高齢社会対策部長 今後の定員につきましては、受講申し込み等の動向を踏まえまして、適切に設定してまいります。
○里吉委員 シルバー新報では、認知症介護研修は狭き門、東京都八百人定員に二千人応募、こういう報道がありました。都の倍率はとりわけ高く、東京都社会福祉協議会や認知症グループホーム協会東京支部からも研修機会の拡大の要望が出されております。来年度以降は希望者全員が研修を受けられるよう要望いたします。
施設設置を進める上で都に取り組んでいただきたいもう一点が、建築物バリアフリー条例の運用についてのアドバイスです。バリアフリーの基準を守ることは、誰もが住みやすいまちづくりのために重要であり、安易な緩和は避けなければなりませんが、実態に合っていないものがあれば、柔軟な運用を行う必要があります。
例えば私は、ある事業者から、看護小規模多機能施設をつくるのに、建築物バリアフリー条例で必要以上に大きなエレベーターをつけなければならないため苦労したというお話を伺いました。条例には制限の緩和の条項、規定もありますが、運用が自治体によって違うようです。施設整備を進めるために自治体へのアドバイスなどできないでしょうか、見解を伺います。
○芦田生活福祉部長 都内では福祉施設の整備に適した土地の確保が困難であることや土地代が高いことなどの課題がある中で、地域や利用者の状況に応じた多様なサービス基盤の整備を促進することが重要となっております。そのため、都では利用者が限定され、不特定多数の者が利用しない小規模な施設等におきまして、建築物バリアフリー条例第十四条に定める制限の緩和を活用できる場合の考え方について整理し、昨年十月に都市整備局から都内の各特定行政庁に対して通知するとともに、福祉保健局から各区市町村に対して周知しております。
この通知では、例えば高齢者分野におきましては、エレベーターの大きさについて、車椅子で乗降できれば基準を適用しないことができるとするなど、特定行政庁に対して具体的な考え方を示し、制限の緩和の積極的な活用を図っているところでございます。
○里吉委員 建築の所管と福祉の所管と両方に通知を出していただいているという答弁でした。通知を私も読ませていただきましたが、既存住宅等を活用した施設整備の促進が重要だと書かれておりました。この点は私も同感で、先日の一般質問でも取り上げました。エレベーターの設置は大切ですが、看護小規模多機能は、利用定員が限られていますので、お話のような対応をするのが合理的だと思います。引き続き周知徹底に努めていただき、それぞれの施設の実態に合わせたバリアフリー条例の運用となるようにしていただきたいと思います。
建築規制については、もう一つ要望しておきたいのですが、用途地域についてです。この事業者の方は、看護小規模多機能を開設する際、訪問看護ステーションといわゆる二枚看板にしようとしたが、認められなかったということです。なぜかというと、施設をつくったのが第一種中高層住宅専用地域で、訪問看護ステーションは事務所なので、つくれなかったということです。用途地域の規制は、住環境を守るために必要ですが、第一種中高層住宅専用地域には、診療所や看護小規模多機能はつくれるのに、訪問看護ステーションはつくれないというのは、合理性がないと思います。国に訪問看護ステーションをつくれるようにすることを求めるべきだと思います。
同時に、国の制度が変わらなくてもできることはあると思います。建築基準法には、ただし書きで、良好な住居の環境を害するおそれがないと認め、また公益上やむを得ないと認めて許可した場合においては、この限りではないとして、規制を緩和できるようになっておりますので、これが適用されるよう先ほどの建築物バリアフリー条例のように都が考え方を示すことができるのではないかと思います。
一般論でいえば、ただし書きが頻繁に適用されると規制が形骸化してしまうということになってしまいますが、訪問看護ステーションをつくれるようにすることは、住環境を守るという本来の制度の趣旨にも反しないと思いますので、ぜひともこの点についても他局と連携した取り組みをしていただくようあわせて要望しておきます。
次に、利用料金に関連して伺います。
まず初めに、高齢者の施設で大規模なもの、特養ホームについてですが、昨年度の特養老人ホームの入所者のうち補足給付を受給した方がどれくらいいたのか、実績を伺います。
○西村高齢社会対策部長 平成二十六年度の都内区市町村の給付実績における地域密着型を含みます特別養護老人ホームに係る年間延べ受給者数は、五十一万二千三百一人でございます。そのうち補足給付の年間延べ受給者数は四十万一千三百四十一人でございまして、特別養護老人ホームの入所者のうち七八・三%が補足給付を受給しております。
○里吉委員 特養ホームでは、利用者の約八割の方が補足給付、住居費や食費の軽減を受けているということでした。一方で、認知症高齢者グループホームや小規模多機能居宅介護については、泊まりや食費について補足給付の対象にはなっていません。これはどういう理由からなのか伺います。
○西村高齢社会対策部長 補足給付は、介護保険法等の規定によりまして、介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、短期入所生活介護等の食費や居住費、滞在費について、所得に応じた負担限度額を設定しまして、標準的な費用の額との差額を支給するものでございます。認知症高齢者グループホームや小規模多機能居宅介護は、補足給付の支給対象とはなっておりません。
○里吉委員 介護保険法等の規定により対象外だというご説明でしたが、どうして同じ宿泊があるのに、例えば特養ホームでショートステイしたときには対象になるのに、対象にならないのか、そういうことについて伺いたかったんですけれども、とにかく法律で対象外だというお答えだったんですね。
これは考え方を改める必要があるのではないかというふうに私は思いますけれども、小規模多機能居宅介護、介護度が重くなっても在宅での生活を継続する上でとても重要な施設、何カ月も前に予約しなくても宿泊もできるわけですから、在宅での介護、支える家族にとっても大変助かると思います。ですから、地域包括ケアでこの施設をどんどんふやしていこう、東京都もそういうふうに方向性を出していると思うんです。しかし、例えば私の住む世田谷区ですと、一泊五千円とか、七千円とか、そういう料金がかかります。これではなかなか利用がしにくいのではないかと思います。
そこで、伺いますが、小規模多機能型居宅介護施設、この宿泊などの料金はどのように決まっているのでしょうか。都や区市町村が上限を決めるなどの料金設定にかかわることはできるのでしょうか、伺います。
○西村高齢社会対策部長 小規模多機能居宅介護の宿泊に要する費用については、厚生労働省令におきまして、事業者が利用者から支払いを受けることができるものとして定められております。宿泊料の設定に当たっては、国の指針におきまして、居住環境の違いに応じて室料及び光熱水費に相当する額を基本とするよう定められておりまして、都や区市町村が宿泊料の上限を定める仕組みとはなっておりません。
○里吉委員 料金設定は事業者が決めるということで、特に都や区市町村もかかわれないということですが、現在の料金ですと、これでは生活保護の方は利用できないと思いますし、国民年金だけの方も厳しいと思います。特に土地や物価が高い東京では、どうしても料金設定が高くなってしまいます。いつまでも住みなれた地域で生活できる、そういう地域に小規模多機能型居宅介護施設をふやしていくことは大事ですけれども、これをお金がなければ利用できないというふうなことでは困ると思うんです。
私、調べましたら、都内の荒川区では低所得者向けの支援を独自で行っておりました。都としても、利用者負担の軽減となるような検討を行うべきではないかと考えますが、見解を伺います。
○西村高齢社会対策部長 小規模多機能型居宅介護の宿泊費を含む利用者負担につきましては、国制度である社会福祉法人等による利用者負担軽減制度の対象となっておりまして、都は国の仕組みをもとに独自に事業主体を拡大して実施しております。
○里吉委員 国制度に都が横出ししている制度、社会福祉法人等による利用者負担軽減制度があると、その対象だというお答えでしたけれども、実際にこの制度を使っている方は、年間延べ一万数千人、実人数だと千数百人程度だと思うんです。補足給付は、特養老人ホームだけで延べ四十万人以上、先ほどお答えいただきました。認定者数でも一昨年度末で約二万八千人いるわけですから、これに比べても余りにも対象となる方が少ない。低所得の方であっても、住みなれた地域で安心して暮らしていける福祉都市東京にするためには、小規模多機能居宅介護の宿泊費等への補助制度を再度要望して、次の質問に移ります。
次は、保育士修学資金貸付事業についてです。
二〇一三年度から始まったこの保育士修学資金貸付事業は、保育士を目指す学生などの皆さんへの修学資金の貸付制度です。卒業後、一年以内に保育士として五年間働けば、返還が免除されるため、低所得家庭の学生が保育士になりたいという夢を実現するためにも、また保育士養成、保育士の確保を進めるという上でも意義のある制度だと思います。
そこで、この制度の主な内容と目的、またこの二年間の実績について伺います。
○手島少子社会対策部長 保育士修学資金貸付事業は、平成二十五年度に国の安心こども基金を活用し、創設した事業であり、保育士確保を目的として、修学資金、入学時、就職時の準備金及び生活費の一部について貸し付ける事業でございます。本事業の新規貸付実績は、平成二十五年度が二十六人、平成二十六年度が二十七人となっております。
○里吉委員 この二年間でこの制度を受けている学生が合計五十三人ということですから、まだまだ本当に少ない利用だと思います。制度が開始されてから三年目ということもありますから、余り知られていないのではないかと思います。
これから保育士養成の大学や専門学校を選ぼうという高校生にしっかり周知する必要があると思いますが、現在、制度の周知はどのように行われているのか伺います。
○手島少子社会対策部長 現在、高校生を対象とした周知といたしましては、都のホームページや保育の魅力を発信する、保育のおしごと応援フェスタなどのイベントの機会を活用いたしまして、制度の概要を紹介しているところでございます。
○里吉委員 情報が必要な高校生に必ず伝わるように教育庁や私学課などとも連携して、都内の高等学校へ伝えることや福祉事務所、社会福祉協議会の窓口など、関係するところへさらに広く周知していただくよう要望いたします。
また、貸し付けの対象には、先ほどもご答弁ありましたように、入学準備金も含まれていますが、学校に入学した後でないと資金の申請ができません。そのため、貸し付けのお金が手元に届くのも入学後となります。もともとこの制度を使う方は経済的余裕がないわけですから、貸し付けが受けられるまでのつなぎが大変なんです。なぜこのような制度になっているのでしょうか。改善の必要があると思いますが、どうか、あわせて見解を伺います。
○手島少子社会対策部長 本事業は、国の要綱に基づく事業でございまして、国は保育士養成施設に在学していることを要件として貸し付けを行うとしております。そのため、養成施設に入学したことが確認できた後に貸し付けを行っているところでございます。
○里吉委員 国の要綱で在学生を対象にしている制度だということで、入学前に支払うことは難しいというご答弁でした。しかし、この制度、先ほどご答弁あったように、修学資金と入学準備金、就職準備金、生活費の加算もあって、さらに五年間、保育士として働けば、返済が免除されるという制度ですから、最初にもいいましたが、低所得家庭の子供であっても、保育士になるという夢を実現できる制度なんです。
そういう家庭の学生のための制度なのに、一番お金のかかる最初の入学時に支援がないというのは、やっぱり対策を考える必要があると思うんです。この制度だけで難しければ、他の制度でそのすき間を埋めることもあわせてぜひ検討していただきたいと思います。
次に、この制度で連帯保証人が二名必要とされている、このことについてですが、国の保育士修学資金貸付制度実施要綱を見ますと、特に二名という記載はありません。これから保育士養成施設に入学しようという学生に二名の保証人というのは大変厳しい条件となります。保証人は一人でもいいのではないかと思いますが、都の見解を伺います。
○手島少子社会対策部長 この制度では、国は連帯保証人として、未成年者の場合には収入の有無にかかわらず、法定代理人であることを求めております。本制度は、修学資金を貸し付ける制度でございますので、返還を前提としていることから、都は法定代理人以外にも、一定基準以上の収入を有する連帯保証人を求めているところでございます。
○里吉委員 確実な返済を担保するためということですが、結局東京都は、国より厳しい条件を課している、こういうことになるわけです。私が調べた限りでは、現在、東京都内では国公立大学では保育士資格を取れる大学、短大はありませんでした。専門学校も全て私立ですから、東京都内で保育士になるために勉強しようと思うと、どうしても高い学費を用意しなければなりません。そして、東京都は保育士不足も深刻です。この保育士修学資金貸付制度を活用して、都内で保育士として働いてくれる方をふやすことも重要だと思います。
そういう点からも今何点か質問いたしましたが、入学時に資金調達が難しい学生さんへの支援や連帯保証人の人数について、再度、今後検討していただくことを求めておきます。
それでは、最後の質問をいたします。聴覚障害者意思疎通支援事業について伺います。
東京都は昨年度、当事者からの強い要望のあった本事業を始めました。そのこと自体は前進といえますが、当事者の方々からは強い改善の要望が出されています。
そこでまず、聴覚障害者意思疎通支援事業において、障害者団体等が行う行事への手話通訳者、要約筆記者の派遣を行っていますが、この事業の目的と開始した経緯についてお答えください。
○高原障害者施策推進部長 平成二十五年四月に施行された障害者総合支援法では、手話通訳などの意思疎通支援について、特に専門性の高い手話通訳者等の養成、または派遣は都道府県の役割とされたところであります。この法改正を受けまして、都は聴覚障害者の自立と社会参加を促進し、福祉の増進に資することを目的として、障害者団体等が主催、または共催する広域型行事への手話通訳者など意思疎通支援者の派遣事業を開始したものであります。
○里吉委員 東京都の役割が示されたことを受けて開始したということですけれども、それではこの事業の派遣対象と昨年度の派遣実績について伺いたいと思います。
○高原障害者施策推進部長 本事業の派遣対象は、公益性及び広域性を有すること、都内障害者団体、または障害者支援団体が主催または共催するものであること、聴覚障害者の参加が見込まれることなどの条件を全て満たす行事等でございます。昨年度の派遣実績は、障害者団体が主催、共催する福祉や医療、保健に関する講演会、イベントなど、計七十件でございます。
○里吉委員 派遣対象は公益性、広域性を有する障害者団体等が主催することなどの条件だということですけれども、私がお話を聞きましたら、都内全域から、広域から集まってきている障害者団体の理事会などには申請が認められていないということだそうで、当事者の団体からは対象にしてほしいという強い要望が出されています。
障害者団体の理事会などに利用申請が認められないのはなぜか、国の縛りなどがあるのか、あわせて伺います。
○高原障害者施策推進部長 本事業は、障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業として実施されるものであり、国の要綱では複数市町村の住民が参加する障害者団体等の講演または講義等に派遣するというふうに示されているものでございます。これを踏まえまして、都では団体の会員以外の一般都民も参加できるよう広く一般から参加を募るものであることや、都内全域を対象として開催されるものであることなど、公益性及び広域性のある行事であることを派遣の要件としているものであります。
障害者団体の理事会は、その団体の役員のみが参加する意思決定機関でありまして、広く都民を対象とした広域性のある行事とはいえないため、対象とはしてございません。
○里吉委員 今のご答弁は、国の要綱に基づいているような説明でしたが、私は資料をいただきました。これを読みますと、国の要綱には、聴覚障害者の自立と社会参加を募るため、市町村域を越える広域的な派遣、複数市町村の住民が参加する障害者団体等の会議、研修、講演、または講義並びに市町村での対応が困難な派遣等を可能にするため、手話通訳者、または要約筆記者を派遣すると書いてあります。そちらからいただいた資料にですよ。
言葉のとおり、素直に読めば、複数市町村、広域的な住民が参加する障害者団体等の会議であれば、これが団体役員の会議、理事会であっても含まれて当然です。幾つかの県の要綱も読んでみましたが、東京都のように派遣対象に広域性を有するなどと書いてあるものは見当たりませんでした。ほぼ国が示した要綱を踏襲して、作成されていました。団体への派遣では、千葉県や神奈川県にも電話で問い合わせをしましたが、団体の役員会議にも派遣しているということも確認いたしました。
国が示した意思疎通事業のモデル要綱では、派遣の対象となる内容を社会通念や公共の福祉に反する場合を除き、聴覚障害者が日常生活や社会生活を営む上で必要なものとしています。解説では、聴覚障害者のコミュニケーションを保障する観点から、派遣の内容については広く扱う必要があるため、合理的な理由もなく、派遣範囲を狭めることは好ましくないと書かれています。これは区市町村向けのものですが、同じ冊子の中に都道府県も参考にすることと書かれております。
都の要綱は、独自の解釈で派遣対象を狭くしているのではないでしょうか、要綱の派遣対象については、要件を緩和をして、幅広く活用できるようにするべきと考えますが、都の見解を伺います。
○高原障害者施策推進部長 障害者総合支援法では、聴覚障害者等が日常生活や社会生活を営むために必要な手話通訳者等の派遣事業は、区市町村が地域生活支援事業の必須事業として行うとされ、都道府県は区市町村での対応が困難な専門性や緊急性の高い場合等に派遣を行うものというふうにされております。
このことから、都は広く一般から参加を募り、都内全域を対象として開催されるものであることなど、公益性や広域性のある行事及びその準備会等であることを派遣の要件として実施しているものであり、合理的な理由もなく派遣範囲を狭めているものではございません。
○里吉委員 そういう答弁をなさいますけれども、ほかの都道府県はそういう要件は定めていないわけです。そして、今、東京都は団体への派遣しか認めていませんけれども、先ほど読み上げましたように、市町村での対応が困難な派遣等を可能にするため、手話通訳者、または要約筆記者を派遣するということで、このとおり読みますと、ほかの県の要綱などを読みますと、個人への派遣も一応認める文章になっているんです。
そもそも障害者権利条約を定める合理的配慮から考えれば、重過ぎる負担にならない限り、障害者は他の人と同じように人権や自由を保障されなければならない、コミュニケーションは都のいう公益性などは関係なく保障されなければならないと考えます。来年四月には障害者差別解消法も施行されます。
都として、聴覚障害者の方々の自立と社会生活を促進するという立場に立って、手話通訳者、要約筆記者の派遣対象を拡大することが絶対に必要だと思います。このことを強く求めて、質問を終わります。
○あさの委員 私からは、まず、がん検診についてお伺いしたいと思います。
先ほど野上委員からもご質問があったので、かぶらない範囲でということでさせていただきたいと思いますが、がん検診、これは区市町村が主に窓口となって行うことだと思いますけれども、がん検診受診率の向上というのも非常に大切なことです。
同時に、がん検診が有効性を発揮するためには、検診実施医療機関の質が保たれることというのも重要だと思うんです。つまりがん検診そのものを受ける人をふやすことも大事なんですけれども、受けた人がきちっとした検診が受けられる、それは基本的に最低ラインの技術はもちろんどの医療機関も持っているとは思いますが、より高い検診技術を持った医療機関をふやしていくためにも、そういった観点で質をどのように担保するかというのは非常に重要だと思います。
そこでまず、東京都は検診の実施医療機関における検診の質を保つためにどのような取り組みを行っているのか伺いたいと思います。
○上田保健政策部長 国の、がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針では、区市町村におけるがん検診が適切に実施されるよう、胃がん、子宮頸がん、肺がん、乳がん及び大腸がん検診の検査方法などを示しております。
都は、国の指針を踏まえ、がん検診の精度管理のための技術的指針を作成し、がん検診の実施主体である区市町村に対し質の高い検診が提供されるよう周知を図っております。また、精密検査受診率など、精度管理に必要な指標につきまして、区市町村別の数値をホームページで公表しているところでございます。さらに、がん検診の精度を高めるため、医師など検診従事者向けの技術講習会を開催しております。
○あさの委員 がん検診のさまざまな取り組み、東京都としても区市町村に指導等もしていられるようだということはよくわかりました。ただ、実は例えば昨今、某有名人の方が毎年乳がん検診を受けているにもかかわらず、フェーズツーになったというのが出て、あの手の情報が出ますと、一つ心配なのは、じゃあ毎年受けても、結局運がいいか悪いかなのかみたいな誤解を招いても困ると。
そして、一方で、限られた財源等も使って行うものですから、厚生労働省も、そしてそれに伴って東京都も、例えば乳がん検診に関していえば、二年に一回受けてくださいというのを推奨しているわけです。その根拠は何かというと、二年に一回受けるのと毎年受けるのとでは、その後の生命に関するリスクというのが変わらないということが研究結果としてわかっているので、それを推奨しているというのがありました。
そういった乳がん検診についても、私もその件でいろいろ調べてみますと、ある医療従事者の方のお話を伺ったら、一般の方とか、患者さん--患者さんは病気になれば当然なんですけれども、一般の方々がよく誤解するところは、治療の名医というのをすごく求める傾向にあると。ただ、治療の名医と検診の名医というのは違うんだよと。つまり全く何もない状況でレントゲンだったり、さまざまな画像診断等から病気を発見する能力が高い人と、発見された病気を治す能力が高い人は別なんだということをいっていらっしゃる方がいらっしゃいました。
私は、それは結構うなずけて、なるほどと。確かに見つかっている病気を治すということと、まだあるかどうかわからない病気を見つける。特にがんについては、早期発見が重要であることはもう間違いないことでありますので、とすれば、がん検診においてもそういった技術力の高い、つまり見つける能力の高い人たち、そして同時に検診の場合は、もちろん精密検査に送るのがふえると、逆に医療機関側の負担をふやしてしまう傾向にもなるのかなと。
厚生労働省が今、例えば乳がんに限っていいますと、乳がんの検診受診率を五〇%にしようと。四十歳以上の今の日本の女性の人口というのがおよそ三千八百九十万人だったかな、二〇一一年ぐらいのデータだったと思いますけれどもいらっしゃるんです。受診率五〇%とすると、約一千九百万人の人たちが受けて、そのうち割合からいくと、大体〇・六二%の人たちが精密検査の方に回される、生体検査の方に回されるという形になりますと、約十二万人が、日本全国での話ですけれども、回ることになる。十二万人がだあっと来るようになる。それを受けられるだけの規模のものをちゃんと全国に整備されているかというと、その問題が実は残っているというのが今の厚生労働省の状況なわけです。
つまり国の状況もそうですけど、東京都としても何でもかんでも、ちょっと怪しいからといって全部精密検査に回されたのでは困る。一方で、でも限られた期間の中に来られた検診の中でそういったものを見つけて、正確に見分けながら、リスクのある人たちは確実に見つけていくという体制をとることが大事だと思います。
そこで、今回、乳がん検診の事例というのが、たまたま某有名人の話もありましたので、いろいろ調べてみると、乳がん検診にはさまざまな学会、乳癌検診学会だったり、放射線技術学会だったり、さまざまな学会が取り組んで、厚生労働省も協力して、NPO法人で日本乳がん検診精度管理中央機構というものがありまして、ここが読影医師であったりとか、診療放射線技師、それから検診を実施する医療機関ですね、つまり技術を持つ個人だけではなくて、実際に実施する機関の設備がちゃんと一定基準以上になっているかどうかというのに認定を与えているというふうに伺っております。
この制度を踏まえて、東京都として乳がん検診に対する取り組みを伺いたいと思います。
○上田保健政策部長 国の指針では、マンモグラフィー検査を実施するに当たりましては、機構が開催した講習会を修了した医師及び診療放射線技師が従事することが望ましいとしているところでございます。これを受けまして、都の技術的指針におきましては、区市町村が検査機関に検査を委託する際、機構の認定を受けた医師及び機構の講習会を修了した診療放射線技師が検査に従事するよう仕様書に明記することを定めております。
また、都は質の高い乳がん検診を実施するための人材の育成を目的といたしまして、平成十六年度から機構との共催により医師及び診療放射線技師の養成研修を実施しております。
○あさの委員 今伺ったとおり、東京都としては技術者の、技師の養成研修も行っておりますし、また仕様書に明記することを定めているというふうに伺いました。ただ、私も聞いたところによると、仕様書というのも、いわゆるひな形としてこういうふうにやってくださいねというふうになっているだけで、区市町村に対して別に義務で絶対そうしなきゃいけないとなっているものではないんです。
ということは、区市町村が実際にやっているかどうかは、区市町村がやるかどうかにかかっている。もちろん普通に考えれば、東京都がある程度の補助も出すし、やってくださいといって、こういう仕様書でやるべきですよといっていることに一々わざわざそれを外そうという区市町村があるとは私も思いませんけれども、とはいえ、ちゃんとやっているかどうかというのは確認していかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思います。
がん検診受診率向上の手引きというのもつくって、これは多分区市町村の担当者の方に配っていらっしゃるのだと思うのですが、非常に中身のいいものだと思います。どういうふうに検証したらいいのかとかということも全部書いてある。これは同じことが実は東京都にもいえるんじゃないかなと。
つまりどういうことかというと、各区市町村ごとに取り組んでいること、今の乳がん検診であれば、仕様書に定めていますよで終わらずに、実際に本当にどのくらいの割合の人たちが認定を受けた、各区市町村で検診をやっている人たちは認定を受けた人たち、あるいは認定を受けている医療機関というのがどのくらいの割合がちゃんとあるのかどうか、一〇〇%になっているのかどうか、ならないんだったら、どうしていったらいいのかということもきちっと確認して、その上で区市町村に対して、より質の高いものを、検診を与えられるような環境をつくるように促していくというのも求めていきたいと思います。
今ちょうど質の話をしましたけれども、受診率はもちろん上げていかなきゃいけない。そういった分析もしっかりやっていかなきゃいけない。決算の中でもがん予防の推進ということで、受診率の向上の取り組みというのもやっているわけですけれども、せっかく、受診率向上の手引きもその一つだと思いますが、二十六年度末、ことしの三月に出されたすばらしい手引が確かにありますけれども、こういったものがどの程度効果があるのかということも考えるべきだと思うんです。
そこで、受診率の推移と受診率向上に向けた施策の効果について、どのように検証、分析しているのか伺いたいと思います。
○上田保健政策部長 都は、これまで受診率向上への取り組みといたしまして、都民への幅広い普及啓発、企業への啓発ポスター、リーフレットの作成、配布、検診実施主体である区市町村の取り組みの支援を行ってまいりました。
これらの取り組みによりまして、平成十二年度から平成二十二年度の十年間で、受診率は、乳がんで一七・三%から三二・八%に、大腸がんで二四・九%から三七・二%になるなど、いずれのがん検診も上昇し、三〇%台に達しております。
今年度は、五年ごとに行っている健康増進法に基づくがん検診の対象人口率等調査を実施する年でございまして、都はこの調査結果を踏まえながら、がん対策推進計画に掲げる受診率の目標五〇%を目指し、今後さらなる受診率向上に向け取り組んでまいります。
○あさの委員 これからまた、ことしがなっているということで、先ほども申し上げましたが、がん検診受診率向上の手引きというのが、各自治体、各区市町村に対して、例えば周知、勧奨を行うにしても、その対象をどのように絞るのか、あるいは限られた財源を振り分けるに当たって、どうやって対象者の絞り込みというのを行い、またタイミングはどうするのか、出すチラシのデザインはどうだったらいいのかとか、そういったことまで非常に参考になる事例が山ほど載っているんです。
もちろん東京都としても、各区市町村ごとに、あるいは各がんの種別ごとに受診率がどういうふうに変わっているか、高い自治体もあれば、低い自治体もあるでしょう。あるいはがんの種別も、このがんだとこの自治体が高いんだけれども、このがんだとこの自治体が少ない、そして置かれている状況も各区市町村ごとに違う。
それを分析して、限られた予算を上手に使いながら、受診率が上がるように取り組んでいきましょうと各区市町村に求めているのであれば、同時に東京都も各区市町村ごと、この区市町村のこの数値を上げるためにはどうしたらいいのかとかということを的確に分析して、効果を検証しながら、事業を行っていく必要があるのではないかなと。
単純に補助を出しているから、やっていますよで終わらないように、各区市町村ごと、でこぼこしているところがありますので、そういったところを、ここは何でやらないんだろうと思ったら、そこに的確にターゲットを決めて集中して行うとか、あるいはどのタイミングでそういった告知を出せば、単純に手引をただ渡すだけではなくて、どのタイミングでやったら一番効果があるのか、各がんの種類によっても、受診率を上げるために区市町村への働きかけに対してどういうふうにやったらいいのかということをぜひ内部でも検討、検証していただきたいということを要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
続きまして、危険ドラッグ、脱法ドラッグ、いろんないい方がありますが、その対策についてということでご質問したいと思います。
今、決算書の中を見ますと、違法、脱法ドラッグ対策ということでさまざまなことをやっていらっしゃるし、途中で補正予算を組んでやっていたということも載っておりますけれども、今、薬というのは、もちろん釈迦に説法というか、皆さん方はよくご存じのことだと思いますが、薬物というのは非常に危険なものです。それに関する講演もたくさんの人が行っておりますし、一生懸命いろいろ伝えているんだけど、相変わらずなくならない。残念なことに、そこに興味本位で手を出してしまうと、もう戻ってこれない--戻ってこれないと決めつけることはないのですが、少なくとも非常に戻ってくるのが大変であるということです。
そしてさらに、こういった薬物の問題というのは、それをもとにどんどんどんどんほかの人たちを巻き込む可能性もありますし、あるいは高価なものですので、経済的な損失というのもどんどん大きくなっていく、あるいはほかの犯罪に使われるような、いわゆるブラックなマーケットというか、そっちの方にお金が流れてしまっていくことで、さらにほかのものも引き起こしてしまうという、本当に悪いこと尽くしなものですから、徹底して撲滅しなきゃいけない。そして、東京都はもちろんその覚悟を持っていろいろ取り組んできていただいていることだと思います。
そこでまず、規制と取り締まり強化の結果、本年七月には都内のいわゆるこういった危険ドラッグというか、脱法ドラッグを扱っている店舗がゼロになったと伺いました。取り締まりのためには、当然化学的根拠に基づいて、しっかりとした規制を行っていく必要があると考えますが、まずその規制に関して、危険ドラッグを知事指定する際の手続について伺いたいと思います。
○仁科食品医薬品安全担当部長 危険ドラッグを知事指定薬物に指定する手続でございますが、まず買い上げ調査等で入手した薬物の成分分析を行い、未規制薬物が検出された場合は、核磁気共鳴装置や単結晶エックス線構造解析装置などにより、化学構造を特定いたします。さらに、薬物の生体への影響試験を行った上で、その結果を学識経験者を委員とします東京都薬物情報評価委員会に諮問し、答申を得て、知事指定を行うものでございます。
○あさの委員 私も久しぶりに非常にさまざまな装置の名前を聞きました。私も大学は化学系におりましたので、化学的根拠というのは簡単なんですけれども、実は手に入った物質というのは、いろんな化合物が入っていたりするわけです。その中から特定の物を見つけるというのは非常に大変なことで、東京都が自治体としてこういった核磁気共鳴装置などの非常に高度な装置を使ってやるというのはすばらしいなと思います。
全国的に見れば、さまざまな自治体、もちろんドラッグの規制に取り組んでいるわけですけれども、包括でやっているところが結構多いんです。包括は包括で確かに規制だけを考えれば効果はあるのですが、一方で薬物の本当に難しいところというのは、ちょうど紙一重なところ、つまり毒と薬が紙一重なものも結構存在するわけでして、そういったものを包括でぼおんとやっちゃうと、本当はこっちに使えるものだったのがというものが簡単に使えなくなってしまったりということが生まれる可能性がある。
そういった意味で東京都が、さすがにこれだけの大きな自治体になりますと、波及効果もいろいろあるので、規制をかけるときは慎重に個別に一個一個しっかりと調べていただいているのはすばらしい、大変だろうとは思いますけれども、すばらしいことだなと思いました。
そして、この規制は、もちろん行政として単純に物質の中の化学構造というか、それを調べて、はい終わりましたというわけにはいかなくて、今もご答弁にありましたとおり、薬物情報評価委員会の諮問というのを受けて、その上で最終的に知事が指定するわけですけれども、平成二十六年度におきまして、東京都薬物情報評価委員会の開催の実績と、それから知事が指定した薬物の数について伺いたいと思います。また、そのうち国内に流通する前に規制したものがあるかどうかについてもあわせて伺いたいと思います。
○仁科食品医薬品安全担当部長 平成二十六年度は、これまで以上に迅速に知事指定を行うため、東京都薬物情報評価委員会を七回開催し、三十六薬物の知事指定を行いました。そのうち、十五薬物につきましては、インターネットサイトや海外情報の収集、分析により、海外での流行が確認され、人体への有害性が高いと考えられる薬物を実際に入手するなどして、必要な分析や生体影響試験を行った上で、国内に入る前に知事指定したものでございます。
○あさの委員 実は私もいろいろ伺ったところによると、薬物情報評価委員会というのは、予算要望の段階では二回程度の開催の予定であったと。ただし、薬物の迅速な指定のために、いろんなやりくりをして七回開催されたというのはすばらしいことだと思います。
ちょっと他局での質問でもいいましたが、予算は、予算主義というのは大事なことですから、積み上げるときにちゃんと考えてやっていくのは本当に大切なことで、その上で、しかも決まった予算をできるだけ節約して使っていくという発想は大事なんですけれども、一方で、やらなきゃいけないときは大胆に取り組んでいかなきゃいけない。ほかからお金を集めてでもやらなきゃいけないときはやるという姿勢は本当に大事で、それを今回のこの薬物に関してはやっていただいているということは非常に評価したいなと思います。
そしてまた、国内に入る前に知事指定、国内で流行するというか、東京都内で流通する前に知事指定しているというのも非常に評価できることだと思うんです。薬物に手を出す人が出てから、つまり都民の誰かが手を出してしまってから、これは危ないから指定するというのは、もちろん指定しないよりは指定した方がいいんですけれども、これだと結局誰か被害者が出ていることになります。
そうじゃなくて、海外の情報だとか、さまざまな今のインターネットの情報を駆使して、実際にこれは危なそうだなと思うものを事前に見つけて、それを手に入れて、先に指定しておく。そうすることによって、未然に防ぐ効果が高まるという意味では、危険ドラッグの対策という意味では非常にやり方としてすばらしいなというふうに思いました。
最終的にこの知事指定された結果、もちろん単純に知事指定しましたというだけだと、これは行政上この薬物は危険ですよとなっただけで終わりですので、この知事指定の結果をその後いろいろ世の中に対して波及させていかなければいけません。そこで、知事指定の結果をどのように指導、取り締まりにつなげたのか伺いたいと思います。
○仁科食品医薬品安全担当部長 知事指定した薬物は、公表して、広く都民に注意喚起するとともに、都内の販売店に対しては個別に通知を送付して、販売、広告の中止等の指導をいたしました。あわせて平成二十六年度は国や警視庁と連携し、都内の販売店に対して延べ五百二十一件の立入調査を行い、製品の販売停止を指示するとともに、在庫品を任意提出させるなど、取り締まりを強化いたしました。
また、知事指定した薬物の化学的データは、危険ドラッグに関する条例を制定しています自治体等に提供し、広域的な取り締まりを図るほか、国にも情報提供して、大臣指定薬物に指定することで、法に基づく全国的な規制にもつなげております。
○あさの委員 縦割りといわれるようなこともある行政的な取り組みで、特に区域、東京都と例えばお隣、埼玉、神奈川、千葉といったようなところがあったり、もっというと、今は、先ほどインターネットのお話も出ましたが、世界の物を個人が手に入れることが大分容易になってきたんです。
そういった世の中においては、さすがに、ただ指定しました、東京都内では一切これは流通させておりませんというだけではもちろん足りなくて、やはり他県、特に隣接しているところを中心とした他県も含めて、世界の中で日本には入ってこないようにするよと。本当は世界の流通からなくせばいいんでしょうが、もちろん世界はさまざまな法制度の中で動いておりまして、文化も違いますので、そう簡単にはいかないまでも、日本には絶対入ってこさせないよということをつくることは大事だと思います。
そういった意味で東京都が知事指定、最初の質問でいわせていただいたとおり、さまざまな高度な装置を使って、個別にきちっと調べて、化学的な根拠を用いて、きちっと指定したものを、今度は、さっきもいったように、海外で流通していて、国内にも入ってきていないようなものも含めて、他県、あるいは国に対して情報提供しながら、一丸となって日本国内には絶対入れないぞという姿勢を示している、そういったことをトップランナーのようにやっていただけるのは、首都としてすばらしいということを確認させていただきました。
ぜひこれから先、ドラッグ対策というのは、本当にあの手この手で欲しい人はどんな手を使ってでも欲しいといって手に入れようとしますけれども、百害あって一利なしというか、本当に何もいいことがないので、徹底して取り締まっていかなきゃいけないと私は思っております。
ですので、これから先も常にそういった日本全国の自治体のトップランナーとして、規制、取り締まりと同時にさまざまな調査というのをやっていっていただきますようにお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○谷村委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後四時五十五分休憩
午後五時九分開議
○谷村委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○両角委員 それでは、質問をさせていただきます。
東京都は、深刻な待機児童を解消するために平成二十九年度末までに保育サービスを四万サービスふやす目標を掲げております。平成二十六年度には一万二千人余の保育サービスを増加させましたが、待機児童の状況は地域ごとに異なるわけでございます。今後、目標達成に向けては、そうした地域の状況を踏まえた、めり張りのある進め方が必要だと思いますが、まず見解を伺いたいと思います。
○手島少子社会対策部長 都は待機児童を解消するため、区市町村が地域の実情に応じて認可保育所や認証保育所、認定こども園など、さまざまな保育サービスの整備を進められるよう国の補助制度に加えて、区市町村や整備を行う事業者のさらなる負担軽減、都有地の減額貸付、民有地や国有地の賃借料補助、株式会社やNPO法人を対象とした補助など、都独自のさまざまな支援策を実施してまいりました。
特に待機児童の多い区市町村に向けては、積極的な取り組みを促すため、区市町村や事業者のさらなる負担軽減補助について、低年齢児の定員を待機児童数以上かつ百五十人以上に拡大するなど、一定の要件を満たす場合に区市町村や事業者の負担割合を最大で十六分の一まで軽減しております。
○両角委員 低年齢児の対応等々でめり張りをつけているというようなご答弁でありました。それで、この目標を超えていく、達成するために、東京都では例えば福祉インフラの整備に係る都有地の活用等、そういったメニューを幾つか出して、施設整備を進めるということをやっておりますけれど、一方で、ものができても、保育士さんがいないということになれば、これは絵に描いた餅になってしまうわけでございます。
私も保育の事業をやっている先生、経営者でありますけれど、今どんな状況ですかということで伺いましたら、人の確保が一番大変であるという話がありました。具体的には、五園経営されているんですけれど、結婚等々で五人各園から抜けていってしまうと。今、求人を保育士養成の学校であるとか、ハローワークにも出しているんだけど、一件も問い合わせすら来ないと、そんな状況だそうでございます。
そこで、保育サービスを確保するということは、マンパワーの確保が必要ということでありますが、保育の現場では、今お話をしたように人材確保が困難になっているわけであります。そこで、保育人材を確保するに当たって、保育士の環境の改善、特に処遇改善が重要だと思いますけれど、都の取り組みと実績を伺います。
○手島少子社会対策部長 都は保育士等の処遇改善を図るため、国が平成二十五年度に創設いたしました保育士等処遇改善臨時特例事業を活用し、認可保育所への補助を実施するとともに、都独自に認証保育所、小規模保育、家庭的保育などに従事する職員に対しましても処遇改善に対する補助を行ってまいりました。
平成二十六年度の補助実績についてですが、保育士等処遇改善臨時特例事業は、都の負担分は補助基準額の八分の一であり、二億九千八百十五万円、都独自の処遇改善補助は都が全額補助し、九億三百九十五万円となっております。
○両角委員 今ご説明をいただきました、国も緊急対策でかなり力を入れてきたと。東京都もそれにお付き合いをしたり、単独の事業で処遇改善を図っているということで、今、八分の一で二億九千八百十五万円という話でありましたから、単純八倍すると総事業費二十四億円、国の方は使われたということでありますし、都の単独事業で認証保育等々には九億超の対策を打っているということで、かなり力を入れていらっしゃるなということを理解するわけでありますが、じゃあこの取り組みによって、実際に保育士等の処遇は改善されたのか、されないのかということを具体的に伺いたいと思います。
○手島少子社会対策部長 平成二十六年度の都内の私立認可保育所における保育士の賃金改善の実績は、平成二十四年度の賃金に対し、平均で常勤職員は一人当たり月額約九千円、非常勤職員は同じく四千円の改善が図られております。また、認証保育所などに対しましては、保育従事職員一人当たり月額九千円を都独自に補助しており、給与の改善が図られております。
○両角委員 今お話をいただきました。私立認可保育園で常勤職員が月九千円、給料アップしているという実績が出ていますよというお話でしたし、認証保育所についても、東京都が補助を出しているということですから、効果があるということであります。
それで、これは効果があったんだと、二十六年度は効果があったということですが、こういう施策を打つのをやめてしまうと、給料は下がってしまうということになってしまうかもしれないので、今後はどんな取り組みをしていくのかということを伺います。
○手島少子社会対策部長 平成二十五年度から実施をしてまいりました保育士等処遇改善臨時特例事業は、子ども・子育て支援新制度の施行に伴い、今年度から処遇改善等加算として引き継がれております。また、都独自の処遇改善補助は、認証保育所などの運営費補助に組み込んでおります。さらに、今年度からはキャリアパスの仕組みを導入することを条件に、処遇改善に係る経費の一部を補助する都独自の保育士等キャリアアップ補助を実施しているところでございます。
○両角委員 制度がここで大きく変わりましたので、それを受けて組みかえをしている。さらに、充実した補助というのも出して、処遇改善を図っているということでありました。今お話を若干いただきましたが、保育士等キャリアアップ補助、これについては二十七年度事業ではありますけれど、九十億円程度の予算がついているということで、かなり大胆に行っているなというふうに印象を持つわけでございます。それで、保育士の処遇改善というのは大変重要なことであるわけですけれど、しかしながら人材を確保するという意味においては、処遇、中核は給与だと思いますけれど、だけではなくて、他の施策とあわせて総合的な対策が必要ではないか、そのように考えるわけでございまして、今後、保育人材確保に向けた支援をどのように展開していくつもりなのか伺いたいと思います。
○手島少子社会対策部長 都は保育人材の確保、定着を図るため、保育士等のキャリアパスの導入に取り組む事業者を支援するほか、保育人材・保育所支援センターのコーディネーターによる就職相談、あっせんから就職後の定着までの支援や働きやすい職場環境づくりに関する事業者向けの研修、保育従事者向けの宿舎借り上げの支援など、都独自のさまざまな施策を実施しております。
○両角委員 給与のみならず、処遇改善のみならず、さまざまニーズのあるところに手を打っているということでございますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。
続きまして、認証保育所について伺いたいと思いますけれど、認証保育所は現在利用者が約二万四千人、これは認可保育園の約一割に当たるということでありますけれど、そういった二万四千人の方が利用されている、都の保育サービスに今や欠かせない存在となっているのではないかと感じているわけであります。
一方で、保護者からいたしますと、同じ子供さんを預けるにしても、認証保育所と認可保育園では、実質の負担額が大きく異なるということがございまして、不公平感を非常に感じているんだ、こんなお話をよく聞くわけでございます。そうしたことを受けて、各区や市では、認証保育所利用者に対してその地域の事情に応じた負担軽減策というのをとっております。
そこで、現在、都内で負担軽減策をとっている区と市の実情をお示しいただきたいと思います。
○手島少子社会対策部長 認証保育所利用者に対する負担軽減補助は、平成二十六年四月一日現在、二十三区中二十二区、二十六市中十八市で行われております。具体的な補助内容は、保護者の所得に応じて月額八万円を上限とする補助や月額二万円の定額補助など、区市町村で異なっております。
○両角委員 今お話にございましたけれど、認証保育所の利用者に対する補助は、各区市で行われておりますが、二十三区中二十二区、やっていないのは江戸川だけです。二十六市中十八市が実施していると。私の地元の八王子市では、お一人月額一万五千円です、所得制限なしと。さらに、もう一人お子さんがいて、認可保育園なりに通っている場合は加算ということで月額一万円と。トータル大体決算ベースで二十六年度で九千五百万円ぐらいお金を使っているということなんです。
先ほどご答弁にもありましたが、月額八万円を上限とする補助という、そんな自治体もあるということで、この一覧を見ると、認証保育園だけではないですけれど、認可外保育園に対する補助の予算が例えば江東区などは全体で四億四千万円という大変大きなロットで用意しているというような、そんな実態もあるわけであります。
こういう実態があるわけですけれど、そこで次にお聞きしたいのは、今のような実態、実情がある中で、例えば東京都の市長会では毎年要望を出しているのですが、認証保育所を利用する家庭の経済的負担を軽減し、認可保育所利用者との格差を是正できるよう認証保育所の利用者に対する保育料補助制度を都に導入してほしいということをいっている。東京都の回答はゼロ回答です。それぞれの自治体の独自の判断で行われるものであり、都として実施する考えはないというのがこのやりとりの結果なんですけれど、そういうことなんですが、平成十三年に認証制度が創設された。
東京都という独自の、地価が高かったり、施設が確保できないということに対して、これは地域事情に応じた新たな認証制度というのを創設して、十五年近くを経て、今、保育サービスとして、東京の保育サービスにはなくてはならないものとして完全に定着しているということで、その上で、これだけ多くの区や市が単独事業、皆さんのそれぞれの自治体の単独事業、お金を、補助等入らないで、負担軽減策を実施しているという状況があって、これはどういうことかというと、ニーズが普遍的であるということであると私は思います。
こういう状況を踏まえて、今、子育て支援を最重要課題として掲げている舛添都政みずからが利用者負担軽減を行う、そんな時期に今や来ているのではないかと思うんですけれど、見解を伺います。
○手島少子社会対策部長 保育事業の実施主体は区市町村でございまして、認可保育所等の利用料金は、国が定める利用料上限額を踏まえ、区市町村の議会での審議を経て決められているものでございます。認証保育所の利用者に対する補助につきましても、区市町村の判断で実施しているものでございます。
○両角委員 地方行政等々の学問の世界では、政策波及という言葉があるんです。政策がどんどん波及していくんです。今、政策が波及して、ほぼ、区でいえば二十三区中二十二区、そのような状況に単独事業で補助をしているという状況があるという、そのニーズをきちっと捉えていただいた上で、状況が変わってきているんだということを踏まえていただきたいんです。
子育て支援の一層の充実ということを今強力に推進している都政でありますから、この面については、十五年前と、あるいは十年前と、五年前と、二年前と状況が随分違って、成熟化してきて、何が成熟化してきているかというと、そういうニーズが本当にあるんだということで、各基礎自治体が手を打っているという実態を直視して、都としての制度を創設していただく。要は補助制度をつくっていただくことを、再考を強く要望させていただきます。
次に、保育施設の指導検査ということで伺いたいと思います。
保育施設の指導については、法に基づいて、しっかりやられているわけですけれど、調査をしたり、検査をしたり、改善命令を出したり、最終的には認可保育園であれば、認可の取り消し、認証の取り消し、そういうことも権限として持っている。そして、毎年、検査の方針と実施計画を立ててやられているということを資料を見させていただいてわかりました。
そうした中で保育施設の検査というのは、項目が大体、大体というか毎年同じです。ということは、経年比較ができるような内容となっています。これらの検査の結果を分析し、施設ごとの指摘状況だけでなくて、経年傾向から中長期の視野に立った改善方策を示していくべきだというふうに感じるわけでありますけれど、検査結果の分析と改善策への活用というのはどのようになっているのか伺います。
○飯塚指導監査部長 都は保育所指導検査基準等に基づき実地検査を行っており、指摘した事項につきましては、事業者から改善状況報告を提出させ、改善したと認められるまで指導を続けております。指摘事項の内容や件数については、毎年度、指導検査報告書に取りまとめて、事業者に周知を行っており、また認可保育所と認証保育所それぞれを対象とした講習会において、指摘の多い事項の具体的な改善方法を指導するなど、事業者の自主的な取り組みを促しております。今後とも検査結果を活用し、効果的に指導してまいります。
○両角委員 分析をしっかりしていただいて、それをある程度のスパンで、こういうことが今問題になっているからということを働きかけていただきたいと思います。
個別的なお話にちょっと移らせていただきますが、検査の結果を拝見した中で、ベビーホテルについては指摘がいつもなされるものがあります。それは何かというと、非常口が一カ所であり、是正を求めるという指摘がここ三カ年の指摘事項の中で大体ベストスリーぐらいに入っているんです。そういう状況があります。
認可外保育園、認可外保育施設につきましては、開設後の届け出制ということでありますので、指導が難しい面もあるとは思いますけれど、届け出前の事前相談があった場合等には、基準の説明を十分に行うなどして、開設前の対応を通じて実効的な対応をすべきだと思いますけれど、ご見解を伺います。
○手島少子社会対策部長 都では認可外保育施設の設置希望者を対象に、開設前説明会を月一回開催し、建物の構造、設備などの基準を説明するとともに、認可外保育施設として守るべき基準についてホームページで公開をしております。また、事前相談を随時受け付けておりまして、相談があった場合には、図面や写真などを確認し、基準に適合するよう指導しております。
○両角委員 今お話をいただきました、ご回答いただきまして、開設前の説明会等も行っているし、ホームページで基準も示しているということなのですが、しかしながら毎年度、幾つかの施設を抽出して検査して、そのうちの幾つかが指摘を受けるということですが、例えば二十四年度は百二十二のベビーホテルを検査して、二十五施設が非常口の問題を指摘されている。二十五年度は、百四十四の施設を検査して、三十四ベビーホテルが同じことをいわれている。二十六年度は、百四十四施設を検査して、三十施設が指摘を受けている。
せっかく開設前の説明会を開いたり、ホームページで周知しても、常に二、三十、一部引っ張り出して調べたうちのそれだけのベビーホテルがやっぱり非常口が一カ所であるといわれているわけです。そして、ハードの問題ですから、建物を例えば借りて、そこでベビーホテルを運営していたと。家主の関係もありますし、もう一個ドアをあけるとか、出入り口をつけるとか、なかなか難しいと思うんです。
ですから、こういった常に出てきている指摘事項に対しては、今もいろいろ説明会等やられているということですが、何らか実効あるやりとりを進めて、こういうことがないように子供の安全を確保していただきたいと、そのように思います。
次に、子育ての支援と同時に、もう一つ、今、東京都、知事肝いりでやっていこうというのが高齢者の問題です。特に介護難民という言葉がありますけれど、私の祖母は実は九十四歳で十年ほど前に亡くなったんですけれど、私の今住んでいるところと別のところにいて、東京都内のある自治体ですけれど、特養に入ろうと思って幾つか回って申し込みをしたんです。全然入れなかったですね、全然入れない。
半年に一回ぐらい電話がかかってきて、二年ぐらいかかってきたですかね、一年半ぐらいかな。それで、一回最後にもう祖母は亡くなりましたという返事をしましたけれど、そんなことがありましたし、私の地元の八王子市も、特養自体は二十一ですか、今は小規模等がありますけれど、大体、名寄せして、そこで待っている方は一施設大体百人ですよ。全然入れないと。
在宅で見たくても見られない方が大勢いらっしゃいます。あるいは仕事をやめざるを得ない、在宅で、夫婦のどちらかがやめざるを得ないということもある。そういうことをどうしても施設に入れなくてはいけない、入ってもらわないと仕事を続けられないんだという、そういった施設の重要性、施設のニーズがあって、東京都はここで施設確保に向けて、特別養護老人ホームを十年間で約一万九千ですか、認知症グループホームを約一万一千、介護老人保健施設をこれから十年間で一万ぐらいですね、それぞれ整備目標数ということで示して、その達成のために先ほど社会インフラの都有地活用等々、保育と一緒です、パラレルで動いていますから、打ち出していると。
このことは評価いたしますし、ぜひ頑張っていただきたい、介護難民を出さないでいただきたい、このように思うんですけれど、そこで、これも同じなんですね。これを例えば地価の高い都心部に、ここにもやはり施設系の介護の入所希望者がいるんだということで、頑張って例えば都有地をうまく活用して施設整備をしたとしても、介護する人がいなければ何もならないというわけでありますから、介護分野においても人材をいかに確保できるかどうかが目標達成の鍵となるわけでございます。
そこで、伺いますけれど、都内の介護人材をめぐる状況というのはどのようなものであると認識されているのか、さらに今後介護人材の不足をどのように見込んでいるのか伺います。
○西村高齢社会対策部長 平成二十六年度の都内介護関係職種の有効求人倍率は四・〇六倍と全職種平均の一・三七倍よりも高く、求人に対して人材が不足している状況にございます。
また、区市町村が算定したサービス見込み量などをもとに都において実施した介護人材の需給推計では、二〇二五年度には約三万六千人の不足が見込まれておりまして、将来の介護ニーズを見据え、介護人材の確保、育成、定着に向けた総合的な取り組みを推進することが必要と考えております。
○両角委員 有効求人倍率も四倍以上ということですし、多分離職率も高いと思います。そんなような状況がある。その上で今、数字を示していただいたわけでありますが、東京都として介護人材の不足が二〇二五年度は三万六千人と。今、策定された高齢者保健福祉計画を拝見いたしますと、平成二十九年度に一・五万人の介護人材の不足が出るんだと。平成三十二年度には二・三万人の不足が出るんだと。そして、今ご回答がありましたように平成三十七年度、十カ年の最終年次には三・六万人の不足が出るんだと。
要はだんだんだんだん加速度的に時がたつにつれて、介護職員等々の介護人材が確保できなくなるというような実態にあるということでありまして、ですから東京都でも毎年約二千八百人の介護人材を掘り起こして--掘り起こすんですよ、それで確保する必要があると。だから、中長期の視点での介護人材確保、定着、育成を推進していくんだというようなことがこの計画にも書かれているということで、まさに介護人材不足がすばらしい目標を掲げたと、舛添知事を筆頭に東京都は介護難民を出さないんだということで出されましたけれど、その計画実現の隘路となるのが介護人材の確保です。
それでは、都の担当所管はなぜこうやって介護人材は不足してしまうのか、その原因をどのように理解しているのか、認識を伺いたいと思います。
○西村高齢社会対策部長 公益財団法人介護労働安定センターが実施した平成二十六年度介護労働関係実態調査では、介護事業所において職員の採用が困難である原因として、賃金が低いことや社会的評価が低いこと、キャリアアップの機会が不十分なことなどが挙げられております。こうしたことから、介護人材が不足している原因としては、職責に応じた処遇を実現するキャリアパスの仕組みが十分でないことなどが考えられます。
○両角委員 賃金が安い、社会的評価が低い、キャリアアップの機会が不十分であるということだということでありました。東京都はそういうことでこれに対してどのようなことを行っているのかということを伺いたいのですが、二十六年度の新規事業として、介護人材確保対策事業というのがそれに手を打つべくということで実施をされたわけでございます。
三つの事業の柱から成っているようでありますけれど、この予算総額は十億七千万円と。それに対して決算額は四億七千万円余ということで、執行率は約四四%という大変低い状況であります。
ちなみに数字もいうと、幾つかの事業に分かれているのですが、一つの目標数値は千六百人という目標数値を掲げたけど、実際のこなせた数値というのは七百九十人、あるいはその二番目の事業として、資格取得を支援していくというのは八百人に対して五百人、さらにトライアル雇用事業というんですけど、四百人という目標値に対して二百四十四人という、そのような状況になっています。
この決算の事業の評価と、それからこの状況を踏まえて、今後の改善努力について伺いたいと思います。
○西村高齢社会対策部長 平成二十六年度から開始した介護人材確保対策事業は、学生、主婦、離職者等が施設等で介護業務を体験する事業や希望者に無料の研修による資格取得を支援する事業のほか、離職者等に介護施設等を紹介し、働きながらの資格取得を支援する事業の三つの事業から成っております。
本事業によりまして、介護業務へのイメージアップや資格取得者の拡大、介護施設等における即戦力の人材の確保など、将来に向けた介護人材の安定的な確保、定着につながっているものと評価しております。
ご指摘の執行率が低いことにつきましては、事業開始初年度であったために体験受け入れ事業者及び研修事業者を十分に確保できなかったことやトライアル雇用事業の開始時期が七月以降になったことが原因だと考えております。
今年度は体験受け入れや研修を行う事業者の確保を図りますとともに、トライアル雇用事業の開始時期の前倒しを行いまして、さまざまな媒体を通じて介護に関心のある学生等の参加を広く呼びかけるなど、より効果的な事業実施に努めております。
○両角委員 今ご説明をいただきました。事業初年度であって、なかなか事業者確保ができないとか、開始時期が遅くなってしまったということで、三つともいい事業なんです。チラシもソフトにうまくできています。まず、介護職場を三日間ぐらい見てみませんかという、これに参加したら初任者研修、介護職員のベーシックな研修を百三十時間です。担当の方に聞いたら十一万円相当ぐらいの経費がかかるらしいんですけれど、無料で受けられると。さらに、トライアル雇用というのもいいですよね。実際の介護事業所が、多分お金は全部予算で措置されるので、人材を六カ月なら六カ月預かって、その中で働きながら資格を取れると。
やっていることは大変いいと思いますけれど、しかしながらなかなか、それに器をつくったけれども、そこに入ってくる水がないと。お金はいっぱいあるんだけど、予算はあるんだけど、そこに実際に参加者が十分ではないというのは残念な結果になっているなと。
やはり広報が重要だと思うんです、窓口の広報が重要。チラシはいいんですけれど、事業団のホームページで見てくださいというので見たんですけれど、この三つを探すのが大変でした。もっと、ぼおんと出ていて、こんなような絵があったりして、すっといけると、私もやりたいぐらいなんですね。
ですから、そういうところも広報と、その協力事業者の確保ということが肝であろうかと思いますので、頑張っていただいて、二十七年度はこの経験を生かして、初年度ではない、トライアル雇用の開始は七月以降ではないということで、かなりいい数字が出ると思いますので、期待しているところでございます。
それで次に、高齢者の虐待防止ということでお話を伺いたいと思うんですけれど、高齢化社会の進展に伴って、家庭内や介護施設での虐待が大きな問題となっているのは、さきに川崎の介護施設でカメラをつけて、こんなことが行われていたんだと、ひどい実態があらわになって、氷山の一角が見えたような思いがしたわけでありますけれど、高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律におきましては、虐待の認定は区市町村の役割ということになっているわけでありますが、東京都は広域自治体として、区市町村を支援する役割があるわけですし、各自治体の事例を広く把握して、多くの情報を把握できる立場にあるということであります。
特に区市とのかかわりの中で得たそうした情報や、その情報が積み重なってデータベースになると知見になるということであろうかと思いますので、その知見を生かして、例えば内部通報というので虐待が発覚する例が非常に多いということなのですが、内部通報を、法律で不利益処分なんかできないことになっているんだけど、それでも、こうすればもっと内部通報ができやすいような環境をつくれるよとか、あるいは家庭内での虐待というのは気づきにくいわけですから、そういったものにいろんな事例を参考にして、何かうまい手を打てば、高齢者の虐待防止につながるんだということができるんだと思いますけれど、そういった東京都の今後の取り組みについて伺いたいと思います。
○西村高齢社会対策部長 都は介護サービス事業所の管理者に対しまして、高齢者権利擁護研修を実施しております。この中で実際に得られた情報等を生かし、虐待防止の取り組みはもとより、通報も含め、虐待が起きた場合の対応方法について研修内容に盛り込んでおります。
また、高齢者虐待防止と権利擁護に関するホームページを開設いたしまして、高齢者虐待の基本的知識や対応方法、通報、相談窓口等につきまして、都民に対し広く情報提供を行っております。今後ともこうした取り組みを通じて、高齢者虐待の未然防止に努めてまいります。
○両角委員 いろいろやられているんです。必要に応じて、こうすればいいよというようなキャンペーンを張ったりしていただいてもいいのではないかと思います。
最後に、自殺防止について伺いたいと思います。
先ほど他の委員の先生の質疑の中で事業の詳細についていろんなやりとりがなされておりましたので、私からは一点、隗より始めよということをお話しさせていただきたいと思います。
東京都は、自殺が例えば都内であれば、平成二十二年の二千八百二十七人から平成二十六年度は二千四百四十三人まで減っていると。全国的にも自殺者三万人という時代から、平成二十六年には二万四千四百人程度まで減ってきているということであります。
東京都の役割としては、いろいろ周知をしたり、啓発をしたり、相談を受けるような窓口をつくったりということで、自殺者が出ないようにしていくということだと思うんですけれど、東京都の職員の方が、結構ハードな職場だと思うんです、議員からがんがんいわれたりして、メンタルになっちゃうとか、そういった問題については、お話をすると人事担当ですよというんですが、自殺対策の担当のラインを持たれている福祉保健局でありますから、職員の皆さんに対する自殺防止策というのをしっかり講じて、都庁職員はそういうことがないように、都庁職員の自殺防止につながるような取り組みを期待するところなんですが、具体的内容がございましたら伺いたいと思います。
○上田保健政策部長 都では職員向け情報提供サイトを活用しまして、毎年九月の自殺対策強化月間に実施しております自殺予防講演会への職員の参加を呼びかけております。また、職員の健康管理を行う部署に対しましても、相談窓口一覧が記載されたリーフレットを配布するなど、必要に応じて職員の自殺防止に関する情報提供を行っているところでございます。
○両角委員 関係部署と連携したり、広くそういう声をかけたりして、頑張っていただきたいと思います。部長も元気を出していただきたいと思います。ありがとうございます。
○山内委員 最後の質疑者となります。よろしくお願いいたします。
まず、ひとり親家庭への支援についてお伺いさせていただきたいと思います。
都内におけるひとり親家庭は、母子家庭は約十五万九千五百世帯、父子家庭は約一万九千五百世帯、合計で約十八万世帯あると推定されています。病気、事故、災害による死別、DV等による離別、また結婚に至る前にDV等がわかったための未婚など、ひとり親になる理由はさまざまだと思いますけれども、子供を一人で育てる決断、覚悟は並大抵なことではないと思います。子育てと仕事の両立の厳しさに直面し、パートを二つも三つもかけ持ち、時間に追われ、精神的にも肉体的にも疲弊し、子供に向き合えないという悩みを聞いています。そうしたひとり親が正規雇用につながるような就労支援が必要です。
一方、さまざまな影響を受ける子供たちにひとり親家庭の困難が、子供たちの困難、育った若者の困難につながらないようにしなくてはなりません。そのためには、まず子供が教育を受けるチャンスに格差がないよう支援することです。子供が経済状況から進学を諦めたり、学習意欲を失ってしまったりすることは、むしろ社会にとっては大きな損失と考えなければなりません。ひとり親家庭への教育支援は重要です。
そこで、東京都福祉保健基礎調査の中で五年に一度実施している東京の子供と家庭の二〇一二年度の調査結果等について質問していきたいと思います。
まず、ひとり親になった年齢が三十歳代以下だったのは、母子家庭の七一・五%、父子家庭の三五%を締めているといいます。おのずと子供の年齢は低いと想定されます。小さい子供を育てながらの就労はいろいろ制約もあり、大変だと思います。
そこでまず、ひとり親になったときの子供の年齢について、都においては以前と比べてどのような状況かお伺いいたします。
○松山子供・子育て施策推進担当部長 お話にありました東京都福祉保健基礎調査で五年に一度実施しております東京の子供と家庭では、ひとり親になったときの一番下の子供の年齢を調査しております。
直近の平成二十四年度の結果では、一歳未満が一七・三%、一歳以上三歳未満が二一・三%、三歳以上六歳未満が二一%であり、三歳未満児の割合は約四割となっております。平成十四年度では、一歳未満が一三・四%、一歳以上三歳未満が一六・九%、三歳以上六歳未満が二三・三%であり、三歳未満児の割合は約三割となっております。十年前と比べ、三歳未満児の割合は増加しております。
○山内委員 今お話しいただきましたように、二〇一二年度、平成二十四年度は六歳未満も含めますと合計約六割を占めていることになります。子供が小さければ、就労時間帯の問題を初め、通勤時間も含め、就労のハードルはより高くなります。
調査では、母子世帯で八二・五%、父子世帯では九二・一%のひとり親が、就業しているにもかかわらず、収入の低い非正規の仕事で働くことが多いのが現状で、生活は非常に厳しい状況にあります。
そこで、ひとり親における就業形態と収入の状況についてお伺いいたします。
○松山子供・子育て施策推進担当部長 お話のように平成二十四年度の福祉保健基礎調査によると、母子世帯の就業率は八二・五%であり、就業形態の割合は、多い順にパート、アルバイトが四一・五%、正規職員、従業員が三六・五%、派遣社員、契約社員、嘱託が一四・五%となっております。父子世帯の就業率は九二・一%であり、就業形態の割合は、正規職員、従業員が六四・四%、自営業が一六・九%、会社、団体等の役員が一〇・二%となっております。
年間収入の状況を見ますと、母子世帯については二百万円未満の世帯が四一・八%、二百万円以上四百万円未満の世帯が三〇・八%となっております。父子世帯では、二百万円未満が一二・七%、二百万円以上四百万円未満が一九・〇%となっております。
○山内委員 パートや非正規の働き方にならざるを得ないシングルマザーは、何とか年収を上げようと複数のパートをかけ持ち頑張っています。ひとり親ならではの困難を丁寧に聞き取り、それぞれの実情に応じて個別的、継続的な就労支援を行うなど、自立に向けての支援が非常に重要です。
東京都では、東京都ひとり親家庭支援センター「はあと」で就業支援に取り組んでいますが、その内容と実績についてお伺いいたします。
○松山子供・子育て施策推進担当部長 東京都ひとり親家庭支援センターでは、ひとり親家庭が抱えるそれぞれの課題を踏まえながら、就業相談、就業支援、職業紹介等の一貫した支援を実施しております。また、就業定着に向けてのアフターケアや求職者に対するメールマガジンによる情報提供など、支援の充実にも取り組んでおります。
平成二十六年度の就業相談件数は四千八百五十五件となっており、求職登録者数は三百二十一人であります。求職登録者のうち就職に結びついた方は百二十八人であり、そのうち正社員は四十六人で、就職者に占める割合は三五・九%となっております。
○山内委員 また、ひとり親家庭には親への支援とともに子供に対して将来の自立につながるよう支援していくことが必要です。ひとり親家庭自立支援計画を見ると、ひとり親家庭に育つ子供の状況調査を実施しているようですけれども、その調査の目的と概要についてお伺いいたします。
○松山子供・子育て施策推進担当部長 都では平成二十七年三月に策定したひとり親家庭自立支援計画の基礎資料として、ひとり親家庭に育つ子供の状況を把握することを目的に、ひとり親家庭に育つ子供の状況調査を二十五年度に実施いたしました。ひとり親家庭に育った十八歳以上の男女約百二十名から回答のあったアンケート調査では、進学のための経済的支援や基本的学力獲得のための支援を求める声が五割を超えておりました。
また、現在ひとり親家庭である親子に対して行ったインタビュー調査では、保育の確保や仕事と子育ての両立の難しさ、教育費等の負担が大きいといった声が寄せられました。
○山内委員 都ではひとり親家庭の子供の学習支援を実施していますが、その取り組みについてお伺いいたします。
○松山子供・子育て施策推進担当部長 都は平成二十六年度にひとり親家庭に育つ子供を対象に学習塾型と家庭教師派遣型の二つの学習支援事業を実施いたしました。その実績は、学習塾型では四十名、家庭教師派遣型では四十八名となっております。また、区市町村に対しては、事業の運営方法等に関するノウハウを還元するなど、ひとり親家庭に育つ子供の学習支援の実施を働きかけました。
○山内委員 また、進学支援に対する要望も多かったとのことでした。都ではひとり親家庭を含む低所得世帯の子供への進学支援として、受験生チャレンジ支援貸付事業を実施しておりますが、その取り組み状況とひとり親家庭の実績についてお伺いいたします。
○松浦生活支援担当部長 受験生チャレンジ支援貸付事業は、将来の自立に向けて意欲的に学習に取り組む一定所得以下の世帯の子供たちが高校や大学への進学を目指し、受験に挑戦する機会が得られるよう学習塾等の受講料や受験料を無利子で貸し付けるものでございまして、高校や大学に入学した場合にはその返済を免除することとしております。
貸し付けの限度額は、学習塾等の受講料につきましては、中学三年時、高校三年時ともに年間二十万円、受験料につきましては、中学三年生は二万七千四百円、高校三年生は十万五千円でございます。
平成二十六年度の貸付実績は、合計で一万百五十一件、約十二億五百万円でございます。このうちひとり親家庭への貸し付けは六千九十九件で約七億二千五百万円でございます。事業の実施に当たりましては、都内全ての区市町村に窓口を設け、相談申請に応じますとともに、都内の公立中学校、都立高校などにリーフレットやポスターなどを配布して周知しております。
○山内委員 東京都ひとり親家庭支援センター「はあと」は、飯田橋にある東京しごとセンターの建物内にあり、昨年七月に開設した女性しごと応援テラスとも連携していると聞いています。「はあと」の相談件数も伸びており、就職者数、またそのうちの正社員の就職率も伸びています。また、職業訓練等スキルアップや企業へ出向いての求人開拓もしていると聞いています。今後ともさらに拡充していただきたいと思います。
一方、「はあと立川」というのは、IT教室などの就労のためのスキルを身につけるにはよかったものの、就業に結びつく支援には至っていないこともあり、ことし三月に閉鎖したと聞いています。ただ、多摩地域のひとり親が時間がない中で飯田橋の「はあと」まで支援を求めに行くのはほぼ不可能だと思います。できるだけ住んでいる近くで働きたいという願いを実現するために、しごとセンターの今ある国分寺、八王子のいずれかに至急「はあと」と同様の場を設置するよう要望いたします。
また、充実しなくてはならないのが子供の自立支援です。ひとり親家庭に育つ子供の状況調査にもあるように、近くに無料の学習支援の場があることや受験に向けての継続的な学習支援などが求められています。ひとり親家庭に限った事業ではありませんが、受験生チャレンジ支援貸付事業は、進学を希望する子供たちにとって大きな支えとなります。継続をぜひこれからもお願いいたします。
看護師になりたいなど専門学校への進学の相談や支援、誰でも立ち寄れるような場所で実習ができるような場所を設置するなど、自治体と連携して、子供の育ち、自立を応援し、ひとり親家庭の生活を豊かに支援するように今後とも取り組んでいくよう要望をいたします。
次に、新規事業でありました障害者就労実態調査についてお伺いしていきたいと思います。
障害者の就労は、少しずつ増加していますが、都内の中小企業における雇用は、なかなか進んでいないのが実情です。障害者が身近な地域で安心して働くためには、地域の中小企業での雇用機会の拡充が重要です。
都では昨年度、中小企業を対象に障害者就労実態調査を実施しており、私は昨年の予算特別委員会で調査の成果を企業の意識啓発や職業環境整備等に活用する観点から質問をさせていただきました。
そこで、調査でどのような実態や課題が明らかになったのか、またその結果を踏まえ、今後中小企業における障害者雇用をどのように支援していくのかお伺いいたします。
○高原障害者施策推進部長 都では平成二十六年度に中小企業における障害者雇用の状況を把握するため、障害者を雇用している企業千八百社に対して実態調査を実施し、回答のあった五百七十四社について分析を行いました。
その結果、雇用されている障害者の障害種別では、身体障害者が七割弱を占め、知的障害者、精神障害者はそれぞれ一割にとどまっており、知的障害者や精神障害者の雇用経験のある企業が少ないこと、また区市町村障害者就労支援センター等の就労支援機関について、全く活用していないとの回答が六割を超え、就労支援機関の活用度が低いことなどの課題が明らかとなりました。
これらの課題を踏まえ、中小企業において精神障害者等の雇用を進めていくため、企業向けセミナー等で地域の就労支援機関に関する情報を提供し、その活用を促すとともに、今年度からは就労支援機関の職員が中小企業等を適切に支援できるよう企業と障害者のマッチングや企業へのアプローチのスキルを実践的に習得する研修を実施しております。今後も就労支援機関の支援力向上を通じて、障害者の就労支援体制の充実に努めてまいります。
○山内委員 就労支援機関が障害者と企業をつなぐ存在として認知されることで、障害者の雇用をちゅうちょしていた企業も取り組みやすくなると思います。就労支援機関の支援力を向上させるために、支援員のスキルアップとともに人員を含めた拡充を図っていただくよう要望いたします。
次に、同じく新規事業の共同受注マッチングモデル事業についてお伺いしたいと思います。
企業での雇用に加え、福祉施設で働く障害者がより多くの工賃を得られるよう福祉施設の取り組みを支援していくことも必要です。二〇一三年四月から施行された障害者優先調達推進法では、福祉施設が共同して供給の円滑化に努めるとしており、都内でも福祉施設がグループで共同受注に取り組み、受注拡大を目指すことが重要と考えます。
そこで、共同受注に関して、都は二〇一四年度、平成二十六年度から共同受注マッチングモデル事業を実施していますが、この事業の概要及び成果についてお伺いいたします。
○高原障害者施策推進部長 平成二十六年度から開始をいたしました共同受注マッチングモデル事業は、調布市、府中市、多摩市の各福祉施設のネットワークを対象として、都が専門の推進員を配置し、民間企業へ官公庁からの受発注のマッチングを行うことで、共同受注体制の基盤づくりをモデル的に実施するものでございます。
モデル事業では、定期的な連絡会議の開催や都からの受注案件を含む実際の共同受注作業の経験等を通じまして、各ネットワーク間の連携が強化されるとともに、作業品質のレベルをそろえるための共通マニュアルの作成等、共同受注のノウハウが蓄積されてきております。
今年度も引き続きモデル事業を実施しておりまして、今後、モデル事業で得られたノウハウを他の地域に周知する等、成果の活用を図り、福祉施設の取り組みを支援してまいります。
○山内委員 都内には小規模な福祉施設も多く、これらの施設が連携して共同受注に取り組むことで、官公庁からの優先調達や企業からの受注の拡大につながると考えます。モデル事業の成果と課題を明らかにし、他市にも情報提供することによって、各施設や地域のネットワークの取り組みができるよう支援を要望いたします。
また、今のところポスティングや封入、小物の製作や清掃が主な業務となっていますが、さらに新しい仕事づくりのために、ほかの取り組みなど情報収集や情報提供にも取り組んでいっていただきたいと考えます。
次に、がん患者の就労支援についてお伺いいたします。
日本人の二人に一人は生涯にがんになるといわれており、都民のがん患者のうち三四%が二十五歳から六十四歳の働く世代であることがわかっています。男性は四十五歳ごろ、女性は三十五歳ごろからがんの罹患リスクが上昇するともいわれていますが、今やがんは必ずしも死の病気ではなくなっています。現役の働く世代は、がんに罹患しても就労を続けたいと希望しており、そのための社会復帰に向けて、環境づくりが必要です。ところが、企業の中にはリストラをしたり、非正規雇用に誘導したり、職場をやめなければならない事態に追い込まれる人もいます。
都では二〇一三年度にがん罹患後の就労に関するニーズや課題を把握し、就労支援に向けた普及啓発や相談支援等の充実に活用することを目的として、都内に本社を置く企業四千社、都内のがん診療連携拠点病院の受診患者とその家族、各千九百人を対象にがん患者の就労等に関する実態調査を実施いたしました。この調査結果から、企業においてがんに罹患した従業員への対応に関する知識が十分でないという状況が明らかになりました。
この調査の結果を踏まえ、都では二〇一四年度、平成二十六年度にハンドブックを制作したと聞いていますが、どのような内容かお伺いいたします。
○矢沢医療政策担当部長 都は平成二十五年度に実施した実態調査の結果を踏まえまして、企業の皆様ががん患者への理解を深め、必要となる就業上の配慮を行いますよう企業の人事担当者向けに、がんに罹患した従業員の治療と仕事の両立支援ハンドブックを作成いたしました。
ハンドブックには、がん罹患による心身への影響、がん治療について知っておいてほしい点、治療と仕事の両立支援を円滑に進めるためのポイントや実践事例などを盛り込んでおります。また、多くの企業に取り組んでいただけますようハンドブックは十万部作成し、企業や健康保険組合などに配布するほか、誰もがダウンロードできますよう東京都がんポータルサイトにも掲載しております。
○山内委員 都は企業に対し普及啓発等を取り組んできましたが、がん患者が働きながら治療を継続するためには、企業への支援だけではなく、治療を行う医療機関の体制づくりも必要です。がんの種類やその進行度によって、症状やその治療方法はさまざまであり、医療機関にはがんと診断されたときから、患者の就労ニーズを的確に把握し、患者が治療と仕事を両立できるための支援が求められています。
都は医療機関において患者に適切な就労支援がなされるよう支援すべきと考えますが、都の取り組みについてお伺いいたします。
○矢沢医療政策担当部長 がんを治療する医療機関におきましては、患者が治療と仕事を両立できますよう患者の就労ニーズを踏まえた相談支援の充実が重要でございます。そのため、都は今年度、がん治療を行っている都内医療機関の相談員を対象に、患者が就労を継続するための働き方や社会保険制度への理解を深めるための研修会を開催する予定です。現在、そのカリキュラムやテキストを作成するための準備作業を進めているところでございます。
○山内委員 医療機関において就労に関する相談体制が充実することは重要です。今後、がんの治療と就労の両立に向けて、支援の充実を図っていただくことを要望いたします。
最後に、子宮頸がんワクチンの副反応についてお伺いしたいと思います。
HPVワクチン、いわゆる子宮頸がんワクチンの接種事業は、二〇一三年四月より法定接種となりましたが、それ以前は二〇一〇年より各市区町村が都の特例基金からの補助を受けて、小学六年生から高校一年生までの女子及び二〇一一年四月から九月までの間は特例で高校二年生までの女子を対象に自治体の任意で接種事業を行いました。
都内でこの間に自治体の任意事業によるワクチン接種を行った件数は何件か、年ごとにお示しいただきたい。また、合計では何件かお伺いいたします。
○矢内感染症危機管理担当部長 平成二十二年度から二十四年度まで実施いたしました区市町村における子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業によるHPVワクチンの接種件数は、平成二十二年度が二万四千二百九十件、平成二十三年度、二十九万七千七百九十五件、平成二十四年度、十六万一千四十一件の合計四十八万三千百二十六件でございます。
○山内委員 合計で四十八万三千百二十六件、これを一人三回接種したと計算いたしますと三年間で約十六万一千人が接種をした計算になります。この後、二〇一三年四月一日より定期接種になりましたが、定期接種以降は人数で把握されているはずです。
そこで、お伺いいたしますが、法定化されて以降の都内の定期接種の人数は何人かお伺いいたします。
○矢内感染症危機管理担当部長 定期接種によるHPVワクチンの被接種者数は、平成二十五年度、六千六百二十七人、平成二十六年度が二百九十四人でございます。
○山内委員 任意接種のときより桁違いに少ないのは、ワクチンによると思われる副反応被害の報告が相次ぎ、厚労省が定期接種になったわずか二カ月後の六月十四日付で積極的接種勧奨を中止するよう通知したためだと思います。
都はこの通知を受けて、市区町村や都民に対してこのワクチン接種のリスクについてどのように情報提供を行ってきたのかお伺いいたします。
○矢内感染症危機管理担当部長 都は積極的勧奨を差し控えることを勧告する国通知を受け、直ちに区市町村及び東京都医師会を通じて医療機関等に周知するとともに、ホームページにおいて副反応についての情報を含め予防接種に関する情報提供を行っております。また、HPVワクチン接種後に広範な疼痛、または運動障害を中心とする多様な症状を呈した方が身近な医療機関で適切な治療を受けられるよう都内の四医療機関を協力医療機関として選定し、ホームページにおいて周知を図るとともに、区市町村及び東京都医師会に情報提供を行ったところでございます。
○山内委員 二〇一三年三月に杉並区で副反応被害者の存在が明らかになったことを皮切りに、新聞やテレビなどのメディアがこの問題を大きく報道し、特にその症状の映像がテレビやインターネット画面で流されたことで、それまで原因不明の病、あるいは病名のつかない体調不良とされていた少女たちから、自分もワクチン被害者ではないかという声が全国から上がり、ついに厚労省を動かしました。
都内で副反応被害を訴える人数はこれまでに何人発生しているのか把握しているのか、お伺いいたします。
○矢内感染症危機管理担当部長 予防接種の副反応報告につきましては、医療機関等からの報告に基づいて国が把握し、都道府県を通じて実施主体である区市町村に情報提供されております。
予防接種法の改正により、平成二十五年四月一日から定期予防接種の副反応報告が医師等に義務づけられるとともに、任意接種の健康被害についても報告を求めることとなりました。それ以降、現在までに国が都を通じて区市町村に情報提供を行ったHPVワクチンの副反応報告等の件数は五十九件で、保護者等から区市町村に報告され、都を通じて国に情報提供を行った件数は九件でございます。
○山内委員 二〇一四年度、厚労省はHPVワクチン接種後に発生した症状について、その後の進行や治療内容などの実態について、追跡調査を実施することとしましたが、それはどのように行われているのか、都はどのように関与しているのか確認をしたいと思います。
○矢内感染症危機管理担当部長 国はHPVワクチン接種後に生じる症状の内容、程度、治療等について情報を充実するため、原則として全ての副反応報告例を対象として調査を実施いたしました。調査は、ワクチン製造販売業者が対象患者を現に診療する医師に調査票への記入を依頼して行われております。
都は、対象患者の転院等により追跡調査が実施できなくなった場合に、国からの協力依頼に基づき転院先の医療機関を把握し、症状等の調査を実施するよう対象患者の住所地の区市町村に依頼をしております。さらに、東京都医師会に対しても調査の実施について情報提供し、協力を依頼しているところでございます。
○山内委員 報道によりますと、追跡調査の対象は二〇一四年三月末時点では二千四百七十五例でしたが、調査の結果、百八十六人が回復していないと回答しています。これは表面に出ている数であって、医師や医療機関の理解が進まないため、検査や治療の体制が整っていない現状では、実際にはもっと多くの被害者が医療につながっていない状態にあると考えられます。
HPVワクチン副反応被害者の多くが訴えるのは、症状が突発的で多様であること、知覚障害や疼痛、運動障害など全身に及ぶこと、複数の症状が時間の経過とともに進展し重層化すること、記憶障害や計算障害など高次脳機能障害の症状などが日常生活や学校生活、学業に重大な支障を及ぼすことです。
厚労省の専門家検討会が接種時の痛みや不安を原因とする心身の反応と結論づけた見解では到底説明がつきません。被害者の多くは中学生、高校生であり、通学できなくなったり、学校での学業を諦めざるを得なくなったりする少女は少なくありません。
このような深刻な状況に対し、国は、法定接種となって以降、被害だけでなく、法定化以前からのケースに対しても医療費の給付を行う方針を先ごろ示したところです。しかし、いまだに被害の全体像が捉えられていないことは問題です。
都内では国立市や東村山市で接種者全員に対して調査が行われていますが、被害者は二年から三年後に突然発症する人もいるため、追跡調査が重要であり、都内全域で実施されるよう都は各自治体を支援すべきであると考えます。また、改善に向けた治療法を都でも医療機関をつけて研究していただきたい。
このことを求めまして、私の質問を終わります。
○谷村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○谷村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で福祉保健局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後六時二十三分散会
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