平成二十六年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第三号

平成二十七年十月二十一日(水曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長曽根はじめ君
副委員長高倉 良生君
副委員長小松 大祐君
中山ひろゆき君
まつば多美子君
徳留 道信君
鈴木 章浩君
高木 けい君
大西さとる君
高橋かずみ君

欠席委員 なし

出席説明員
都市整備局東京都技監都市整備局長技監兼務安井 順一君
次長浅川 英夫君
技監邊見 隆士君
理事榎本 雅人君
理事佐藤 伸朗君
総務部長今村 保雄君
都市づくり政策部長上野 雄一君
住宅政策推進部長桜井 政人君
都市基盤部長中島 高志君
市街地整備部長奥山 宏二君
市街地建築部長妹尾 高行君
都営住宅経営部長永島 恵子君
基地対策部長筧   直君
企画担当部長荒井 俊之君
連絡調整担当部長菊澤 道生君
都市づくりグランドデザイン担当部長小野 幹雄君
まちづくり推進担当部長佐藤  匡君
住宅政策担当部長加藤  永君
民間住宅施策推進担当部長山崎 弘人君
航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務佐々木 健君
防災都市づくり担当部長山下 幸俊君
多摩ニュータウン事業担当部長宮城 俊弥君
局務担当部長森  高志君
耐震化推進担当部長飯泉  洋君
経営改革担当部長臼井 郁夫君
再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務五嶋 智洋君
営繕担当部長青柳 一彦君
横田基地共用化推進担当部長交通政策担当部長兼務堀   真君
港湾局局長武市  敬君
技監石山 明久君
総務部長浜 佳葉子君
企画担当部長オリンピック・パラリンピック開催準備担当部長兼務中村 昌明君
調整担当部長矢部 信栄君
港湾経営部長古谷ひろみ君
港湾経営改革担当部長蔵居  淳君
臨海開発部長山口 祐一君
開発調整担当部長オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長兼務原   浩君
営業担当部長有金 浩一君
港湾整備部長小野 恭一君
計画調整担当部長角  浩美君
離島港湾部長小林 英樹君
島しょ・小笠原空港整備担当部長神山 智行君

本日の会議に付した事件
平成二十六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
都市整備局関係
・平成二十六年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十六年度東京都都営住宅等事業会計決算(質疑)
・平成二十六年度東京都都営住宅等保証金会計決算(質疑)
・平成二十六年度東京都都市開発資金会計決算(質疑)
・平成二十六年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算(質疑)
港湾局関係
・平成二十六年度東京都一般会計決算(質疑)

○曽根委員長 ただいまから平成二十六年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別質疑を行ってまいります。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、都市整備局及び港湾局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより都市整備局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十六年度東京都一般会計決算中、都市整備局所管分、平成二十六年度東京都都営住宅等事業会計決算、平成二十六年度東京都都営住宅等保証金会計決算、平成二十六年度東京都都市開発資金会計決算及び平成二十六年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○今村総務部長 去る十月九日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元配布の当局の平成二十六年度各会計決算特別委員会第三分科会資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。資料は、1の都営住宅建設事業に係る中小企業への工事発注実績から、10の鉄道施設耐震対策事業の補助実績までの十件でございます。
 一ページをお開き願います。1、都営住宅建設事業に係る中小企業への工事発注実績でございます。
 工事発注実績及びそのうちの中小企業への発注実績につきまして、件数並びに金額を、年度別、財務局契約及び都市整備局契約別に記載してございます。
 二ページをお開き願います。2、都営住宅の応募状況を、この二ページから右の三ページにかけて記載してございます。
 (1)では、世帯向けに実施した抽せん方式による募集、(2)は、単身者向けに実施した抽せん方式による募集、(3)は、ポイント方式による募集について、過去五年間の応募状況を年度別に記載してございます。
 四ページをお開き願います。3、既設都営住宅のエレベーター設置状況でございます。
 既設の都営住宅について、過去五年間のエレベーター設置状況を年度別に記載してございます。
 五ページをごらんください。4、木造住宅に対する耐震診断及び耐震改修の助成実績でございます。
 東京都木造住宅耐震化促進事業に係る当初予算額と、耐震診断及び耐震改修それぞれの執行件数及び執行額を年度別に記載してございます。
 六ページをお開き願います。5、基地対策に係る支出等でございます。
 基地対策に係る予算現額、支出済額及び所管について、年度ごとに記載してございます。
 七ページをごらんください。6、都内米軍基地に関係する事件等の経過でございます。
 航空機の緊急着陸、部品落下等及び米軍構成員による事件、事故の経過を記載してございます。
 八ページをお開き願います。7、横田基地におけるオスプレイの離着陸回数等でございます。
 着陸、離陸の延べ回数及び飛来する可能性があると通告のあった回数を記載してございます。
 九ページをごらんください。8、バス事業助成の実績でございます。
 (1)、地方バス路線維持助成、(2)、バス走行環境改善システム整備事業、(3)、公共車両優先システム整備事業、(4)、だれにも乗り降りしやすいバス整備事業、それぞれについて、事業内容及び平成二十六年度実績を記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。9、運輸事業振興助成交付金の実績でございます。
 運輸事業振興助成交付金の概要及び平成二十六年度実績を記載してございます。
 一一ページをごらんください。10、鉄道施設耐震対策事業の補助実績でございます。
 鉄道施設耐震対策事業の概要及び平成二十六年度実績を記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○曽根委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○高橋委員 最初に、首都圏三環状道路の一つである東京外かく環状道路についてお尋ねいたします。
 我が国の国際競争力を一層強化し、経済成長を促進するためには、日本経済を牽引する東京の都市活動を支える高速道路ネットワークの強化が必要不可欠であります。とりわけ、首都圏三環状道路は、渋滞解消や環境改善、ロジスティック機能の強化、災害時に日本の東西交通の分断を防ぐなど、重要な機能を持つことが期待されております。
 ことし三月、外環内側の中央環状線が全線開通し、三環状道路で初めてのリングが完成いたしました。これにより、中央環状線内側の渋滞損失時間が約五割減少するなど、高い整備効果が発現されました。
 外環外側の圏央道も着々と整備が進んでいます。昨年六月に都内区間が完成し、東名高速、中央道、関越道が直接結ばれました。そして、今月には、いよいよ東北道まで結ばれると仄聞しております。
 残る外環でありますが、関越-東名間については、明後日、所管の建設局にお尋ねすることとして、本日は、外環のその他の未開通区間についてお伺いいたします。
 まず、三郷南インターチェンジから東関東自動車道に至る千葉区間についてであります。
 この区間がつながると、都内区部に集中する交通が分散するのはもちろんのこと、江戸川区を初めとした区部東部地域において、高速道路へのアクセスが向上するとともに、環状七号線などに流入している通過交通が外環に転換するなど、交通の円滑化に寄与するものと期待されております。
 このため、千葉区間の早期完成が求められますが、現在の進捗状況を確認しておきたいと思います。

○佐々木航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 お話の区間は、三郷南インターチェンジから葛飾区、松戸市を経由し、東関東自動車道と接続する、仮称高谷ジャンクションに至る延長十六キロの区間でございます。
 事業者の東日本高速道路株式会社からは、既に用地取得は完了し、現在、トンネルの構築工事などを進めており、平成二十九年度に開通する予定であると聞いているところでございます。

○高橋委員 外環は、関越-東名間の整備が進められているところでありますが、千葉区間でも整備が進んでいることがわかりました。
 そうなると、外環の東名高速から湾岸道路に至る、いわゆる東名高速以南の取り組みが重要になってまいります。中央環状線の例からも明らかなように、環状道路はつながってこそ、このネットワーク効果が最大限発揮されます。外環についても、環状道路としての機能を最大限発揮するためには、ミッシングリンクを解消しなければなりません。
 このため、ルートや構造が未定である外環の東名高速以南について、計画を早期に具体化していく必要があります。その際、国際空港としての羽田空港の利便性がより高まるよう、東名高速から羽田空港に向かうアクセスも視野に入れた検討が必要であると思います。
 これまで都は、東名高速以南の計画具体化に向けてどのように取り組んできたのか、伺います。

○佐々木航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 外環は、渋滞解消のみならず、国際競争力の強化や首都直下地震などに対する防災力の向上に資する重要な道路でございます。とりわけ、東名高速から湾岸道路までの区間につきましては、高速道路ネットワークの機能を最大限に発揮させるとともに、羽田空港アクセスの強化のためにも整備が不可欠な路線でございます。
 このため、これまで都は、国に対する提案要求など、さまざまな機会を捉えて、東名高速以南の具体化に向け検討を進めることを働きかけてきており、今後とも、国と関係機関による検討の場を早期に立ち上げ、必要な調査を実施するよう国に強く求めてまいります。

○高橋委員 都議会超党派による東京外かく環状道路建設促進議員連盟では、東名高速以南の具体化に向けた活動をより強化していくこととしております。都においても引き続き、計画の具体化に向けて取り組んでいただくことを強く要望しておきます。
 次に、都市計画道路についてお尋ねいたします。
 人と物の流れがスムーズで災害に強い東京をつくるためには、三環状道路の整備はもちろんのこと、交通の円滑化を図るとともに、災害時の避難や救援活動など、都民の命を守る一般道の計画的な整備も重要であります。
 都によると、現在、都市計画道路の完成率は、約三千二百キロメートルのうち千九百九十七キロメートルが完成していて、完成率は六二%とのことであります。都は、この都市計画道路について、事業化計画はおおむね十年ごとに策定して整備を進めてきております。現在の第三次事業化計画は今年度で終了いたしますが、来年度以降も引き続き計画的に、また、着実に整備を進めていく必要があると考えます。
 そこで、現在検討中の第四次事業化計画を含めた新たな整備方針の取り組み状況をお伺いいたします。

○中島都市基盤部長 新たな整備方針の策定に向けて、都は、平成二十五年に検討会などを立ち上げ、これまでに、都、区市町による策定検討会議を四回、学識経験者による委員会を六回開催するなど、検討を進めてきました。
 平成二十七年五月には、中間のまとめを公表し、現在、骨格幹線道路網の形成を初め、災害時における救援救護ルートの確保、地域のまちづくりへの貢献などの視点から、十年間で優先的に整備する路線の選定作業を進めております。
 引き続き、区市町など関係機関と密接に連携しながら検討を進め、年内には優先整備路線などを盛り込んだ整備方針案を公表し、平成二十七年度末までに新たな整備方針を策定してまいります。

○高橋委員 年末までに案をまとめ、年度内に方針を策定するとのことでございます。
 都民の暮らしを支える基本的なインフラである都市計画道路について、効率的に整備していくことが必要だと思います。整備方針を策定して、着実なネットワークの形成に努めていくようお願いしておきます。
 次に、外環地上部の都市計画道路、外環ノ2に関し、西武新宿線上石神井駅付近の取り組みについてお尋ねいたします。
 外環ノ2が計画されている練馬区の西部地域では、都市計画道路の完成率が三割にも満たず、都全体の完成率と比べて、極めて低い状況にあります。外環ノ2は、広域道路ネットワークを形成するとともに、災害時の安全な避難路の確保や、生活道路に流入している通過交通の抑制など、地域が抱える課題解決に必要な道路であります。
 この外環ノ2は、上石神井駅付近において、駅前広場の整備やアクセス道路の確保等の観点から、この地域になくてはならない南北道路であり、かねてから早期整備を訴えてきました。
 そこで、上石神井駅付近における外環ノ2の整備について、これまでどのように取り組んできたか、改めてお伺いいたします。

○奥山市街地整備部長 外環ノ2の練馬区間につきましては、平成二十二年に地域住民との話し合いの会を設置し、広く意見を聞きながら検討を進め、昨年十一月、都市計画変更を行いました。このうち、上石神井駅付近につきましては、駅前広場を確保するとともに、安全で円滑なバス交通の確保など、地域の利便性の向上や安全で快適なまちづくりに寄与する内容となっております。
 この都市計画変更を受けまして、練馬区は、駅前広場の整備や商店街の活性化などの具体的なまちづくりの検討を進めており、都は、この取り組みと連携するとともに、まちづくり手法を活用した道路整備の方策の検討や測量など、事業化に向けた準備を開始しております。

○高橋委員 上石神井駅付近における外環ノ2の整備が、まちづくりとともに進むことにより、地元の悲願である西武新宿線の立体化の検討が進むものと期待しておりますので、一日も早い事業着手に向けて取り組みを要望しておきます。
 次に、踏切対策についてお尋ねいたします。
 鉄道は、豊かで快適な都市生活を支える基幹的かつ必須のインフラであり、鉄道ネットワークが高密度に形成されたことにあわせ、東京圏は大きく発展を遂げてきました。
 一方で、東京都内にはいまだに千カ所以上の踏切が残されており、交通渋滞を初めとしたさまざまな問題が、日常的に発生しております。踏切対策は、都民生活の安全・安心や道路交通の円滑化の観点から重要であり、都は、踏切対策基本方針に基づき踏切問題の改善に取り組んでいます。
 平成二十六年度の連続立体交差事業の成果については、明後日、所管の建設局にお尋ねすることとして、方針において、鉄道立体化の検討対象区間に選定した区間の取り組みについて、お伺いいたします。

○中島都市基盤部長 都は、平成十六年度に踏切対策基本方針を策定し、鉄道立体化の検討対象区間二十区間を選定いたしました。
 このうち、都施行では、西武新宿線の中井駅から野方駅間などの三区間で、足立区施行として、東武伊勢崎線竹ノ塚駅付近で連続立体交差事業を実施中でございます。また、平成二十六年度には、JR埼京線の十条駅付近において都市計画の手続に着手いたしました。
 今後とも、交差する都市計画道路の整備計画の具体化や、地元区市による駅周辺のまちづくりの取り組み状況などを踏まえ、関係局と連携しながら、道路と鉄道の立体化を推進してまいります。

○高橋委員 次に、木密対策についてお尋ねいたします。
 私はこれまで、防災都市づくり推進東京都議会議員連盟の役員として、安全で安心して暮らせるまちづくりに尽力してきました。また、我が東京都議会自由民主党としても、災害に強い安全な東京を実現するため、木密地域の着実な改善に向けた対策強化を求めてきました。
 そこで、切り札として始まったのが不燃化特区であります。不燃化特区は、特に改善を必要としている地区について、区からの提案を受け、特別な支援を行う制度で、現在、五十二地区で取り組んでいると聞いております。
 不燃化特区について、平成二十六年度の実績をお伺いいたします。

○山下防災都市づくり担当部長 木密地域の改善を一段と加速させるため、都は、木密地域不燃化十年プロジェクトにより、特定整備路線の整備とともに、市街地の不燃化を一体的に進める不燃化特区の事業に取り組んでございます。
 不燃化特区では、再開発などの不燃化に効果の高いコア事業を設定するとともに、平成三十二年度までの重点的、集中的な特別の支援として、戸建て住宅への建てかえ助成や固定資産税の優遇措置などを実施しております。
 平成二十六年度は、コア事業について、本年一月に、目黒区目黒本町地区で防災街区整備事業が都市計画決定され、本年二月には、板橋区大山駅周辺地区で再開発事業の準備組合が設立されるなど、着実に進展してございます。
 また、不燃化特区の建てかえや除却の助成申請につきましては、平成二十五年度実績五十四件に対しまして、平成二十六年度は三百五件と増加してきております。

○高橋委員 今の答弁から、不燃化特区を導入した効果が徐々にあらわれていることがわかりました。
 しかし、先月も調布市で震度五弱を観測するなど、国内各地で地震が発生しており、都民の命や財産、そして東京の首都機能を守るために、木密地域の改善は待ったなしの状況になっております。
 そこで、木密地域の改善を一段と加速させる不燃化特区をさらに進めていくため、都はどのように取り組むのか、伺います。

○山下防災都市づくり担当部長 不燃化特区につきましては、事業に着手してから二年間が経過する中、ハウスメーカーに住宅の建てかえを依頼したが、設計費を示してもらえず助成の申請ができないという住民の声が寄せられました。こうした実情を踏まえ、工事費と設計費が分けられない場合でも、住民が確実に設計費相当の助成を受けられるよう、今年度からは、延べ床面積に応じて助成金額を定める方法に改めることといたしました。
 また、共同建てかえのプランの検討や、狭隘道路の拡幅整備に向けた合意形成など、地域ごとの課題解決に向けたきめ細やかな支援を強化するため、まちづくりの専門家を複数回派遣できるようにいたしました。
 引き続き、不燃化特区の取り組みの充実強化に努め、区の取り組みを支援することで、平成三十二年度までに、燃え広がらない、燃えないまち東京の実現を図ってまいります。

○高橋委員 不燃化特区について、さまざまな工夫を凝らしていることは評価させていただきます。
 今後想定される首都直下地震に備え、都民の命と財産を守ることは行政の務めであり、安全・安心、強靱な減災都市の実現に向けて取り組んでいくことが必要であります。そのため、木密地域の改善に当たり、都がリーダーシップを発揮し、世界で一番の都市東京の実現に尽力していただくようお願いしておきます。
 最後に、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてお尋ねいたします。
 緊急輸送道路は、震災時に救急活動や物資輸送などの機能を担う極めて重要な道路であります。
 都は、緊急輸送道路のうち、特に沿道建築物の耐震化を推進する必要がある路線、約千キロメートルを特定緊急輸送道路として指定し、その沿道建築物を対象として、耐震化推進条例で耐震診断の実施を義務づけるなど、耐震化に取り組んできました。この取り組みを着実に進めるためには、都の取り組み内容やこれまでの成果を都民にしっかりと情報提供し、理解と協力をいただきながら取り組んでいくことが重要であると考えています。
 そのような観点から、まず、条例の仕組みや助成などの取り組みについて、建物所有者に対してどのように周知し、耐震診断を促してきたのか、また、耐震診断についてどのように進捗してきたのか、お伺いいたします。

○飯泉耐震化推進担当部長 都は、耐震化推進条例により耐震診断を義務づけた平成二十四年度以降、区市町村などの関係機関と連携した個別訪問やアドバイザー派遣などにより、特定緊急輸送道路沿道の建物所有者に対して、条例や助成内容などを周知するとともに、耐震診断を促してまいりました。また、所有者が診断を着実に進められるよう、助成内容の充実や期限の延長を行ってきており、現在では、原則、診断費用の全額を助成しております。
 その結果、条例対象の建築物において診断に着手している割合は、平成二十五年度末時点で約七八%であったものが、二十六年度末には約九〇%となり、昨年度一年間で約一二ポイント上昇いたしました。
 なお、先月末現在では約九三%となっております。

○高橋委員 個別訪問等による制度の周知や助成内容の充実などにより、建物所有者に耐震診断を促してきた結果、診断が着実に進んでいることがわかりました。
 しかしながら、耐震診断を実施していない所有者の中には、さまざまな理由により診断を実施しない、あるいは実施できない所有者もいると思われます。
 このため、個別の事情も踏まえながら、丁寧に対応していくことが必要であると考えますが、都はどのように取り組んできたのか、伺います。

○飯泉耐震化推進担当部長 都は、アドバイザーの派遣や個別相談会などを通じて、沿道建築物の所有者が抱える具体的な課題にきめ細かく対応し、診断の実施を働きかけてまいりました。
 例えば、ある商業ビルでは、建物所有者からの相談を受け、診断に反対しているテナントに対して、緊急輸送道路の位置づけや診断を義務づけていることなどを説明し、診断に協力するよう促した結果、理解を得ることができました。
 また、診断の検討すら行われていなかった分譲マンションの区分所有者に対しては、耐震化の重要性や診断の進め方などを説明した上で、アドバイザーとして建築士を派遣し、診断費用や方法などの技術的な見地から助言を行った結果、診断の実施に至ってございます。
 これらのように、今後も個々の事情を踏まえながら粘り強く働きかけ、早期に全ての沿道建築物で診断が行われるよう取り組んでまいります。

○高橋委員 建物所有者の課題に丁寧に対応していくことが診断実施に結びついていることがよくわかりました。
 次に、耐震改修についての質問に移りますが、耐震診断により耐震性を有していないことが判明した場合は、次のステップとして改修など耐震化を行っていく必要があります。しかしながら、建物所有者が耐震化を進めようとした場合、資金計画や工法の選定など、さまざまな課題を解決していかなくてはなりません。
 そこで、耐震化を進めるため都はどのように取り組んでいるのか、伺います。

○飯泉耐震化推進担当部長 都は、診断のためのアドバイザー派遣に加え、平成二十五年度から改修の促進を図るため、建物ごとの事情に応じた専門知識を有するアドバイザーとして、弁護士や建設業者なども派遣してございます。
 また、改修工法等の展示会でさまざまな事例を紹介するとともに、耐震工事が完了した現場において見学会を開催し、耐震化を進めてきた所有者から体験談を伺う機会を設けるなど、改修等を検討している所有者に対しまして情報を提供してまいりました。
 さらに、改修工事費の助成については、平成二十六年一月から、建築物の延べ面積五千平米以下の部分に対し、助成率を最大九割に拡充しております。
 今後も、こうした取り組みを通じまして、所有者が耐震改修に取り組むことができるよう支援し、沿道建築物の耐震化を強力に推進してまいります。

○高橋委員 建物所有者に対する直接的な働きかけや財政的な支援など、都のこれまでの取り組みにより、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について着実に成果があらわれていると思います。
 この成果を全ての沿道建築物の耐震化に結びつけていくため、引き続き都が積極的に耐震化に取り組むことを強く期待しているところでありますが、大規模マンションでのくい工事の施工データ改ざん問題が連日マスコミに取り上げられ、社会問題になりつつあります。
 耐震化を行うための補強工法の中には、外壁の外側にフレームを設置するため、くいを打設する工法もあると伺っております。くいは建物全体を支える重要な役割を担っています。このため、新築工事や耐震工事において適切に施工されなければなりません。
 この問題については、まだ全容が解明されていませんが、建築物の安全確保の役割を担う都市整備局として真摯に受けとめ、安全で安心できる都市の実現に取り組んでいただくようお願いを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○高倉委員 それでは、最初に防災に関連をすることから質問させていただきたいと思います。
 もう本当に毎年のように、地震を初めさまざまな災害が発生しております。特に、震災に備えた形で、大都市東京でもって防災対策を進めていく場合に、大きな観点からは、ハード面とソフト面と、両面からの取り組みといったことが必要になってくると思います。
 特に、ハード面からの取り組みということについては、当然お金もかかりますし、そして時間もかかるわけでありますけれども、着実に進めていくといったことが本当に大事であるというふうに思います。
 いつ発生するかわからない首都直下地震といったことも、この懸念も指摘をされているわけでありまして、着実に推進していく、むしろ、さらに取り組みを加速していくと、こういったことも、今、大事な観点ではないかというふうに思っております。
 そこで、まず、特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化ということについてお伺いをしたいと思います。
 この特定緊急輸送道路については、大地震の発生時に、救急救命活動の生命線となる道路であることから、着実に耐震化に取り組まなければならないというふうに思います。
 先月、都が公表した耐震化状況によりますと、路線や区間によって耐震化率に違いが見受けられるといったような現状があるようでございますけれども、そこでまず、平成二十六年度の取り組みと耐震化の状況について、お伺いしたいと思います。

○飯泉耐震化推進担当部長 都は、特定緊急輸送道路の沿道建築物に対し、耐震診断については原則自己負担をゼロとし、また、耐震改修については最大九割の助成を行うことなどによりまして、建物所有者への耐震化の取り組みを促してまいりました。
 また、診断や改修についてのアドバイザーの派遣を行うとともに、所有者が補強方法や費用などを検討できるよう、耐震改修工法の事例について情報提供するなど、支援を行ってまいりました。
 これらの取り組みの結果、本年三月末時点の沿道建築物における耐震化率は八〇・〇%となっております。なお、今年九月末時点の耐震化率は八〇・六%でございます。

○高倉委員 都の着実な取り組みによって、今ご答弁で、今審議をしております二十六年度の年度末においては、耐震化率が八〇・〇%であると。そしてまた、今年の九月末時点では八〇・六%というお話が、今ありました。これまで、助成制度の運用や改修工法についての情報提供など、さまざまな取り組みによる成果が、こうした耐震化の着実な進展というところにあらわれているのではないかというふうに思います。
 それで、建物の所有者が耐震の改修工事、また、建てかえなどに取り組もうとする場合には、行政による特にこの財政的な支援というものが、大変大きな弾みになるというふうに思います。
 先ほど答弁にもありましたけれども、耐震改修については最大で九割助成をしているというお話もあったわけでありますが、実際には、区市町村によっては九割を下回る場合もあるというようなお話も聞いているわけであります。
 こうした状況を解消していくためのこれまでの取り組みと、そして成果について、お伺いしたいと思います。

○飯泉耐震化推進担当部長 都は、沿道建築物の耐震化を促進するため、平成二十六年一月から、延べ面積五千平米以下の部分につきまして、改修工事費の助成率を最大九割に拡充いたしました。
 しかし、区市町村によっては、最大の助成率を都より低く設定している場合や、最大の率が都と同じであっても、工事費が高くなると率が抑えられ、結果として助成率が低くなる場合もございます。このような自治体は、特定緊急輸送道路が存在する自治体の約半数を占めております。
 このため、都は、平成二十六年度も引き続き、行政連絡協議会などの場におきまして、助成率を都と同様にするよう区市町村に要請してまいりました。その結果、平成二十七年度から、都と同様、最大九割の助成率とした自治体が一つふえたほか、ほかの一つの自治体では九割助成の適用範囲を広げてございます。
 今後もさまざまな機会を捉え、区市町村へ要請を行い、所有者の負担軽減に努めてまいります。

○高倉委員 今ご答弁で、特定緊急輸送道路が存在する自治体の約半数を占めているといったようなお話もありました。そうした中で、少しずつ、本当に着実な皆さんの取り組みによって、取り組みを前へ進めてきていると。そういう自治体が出てきているというようなことで、徐々にではありますけれども改善をしているということについて、理解をさせていただきました。ぜひこれからも引き続き区市町村への働きかけは、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 こうした建物の所有者に対して耐震化の取り組みを促していくためには、財政的な支援とともに、耐震化への機運といったことを高めていくことが必要であるというふうに思います。
 そのためには、都民への普及啓発が重要であると思いますけれども、これまでの取り組み状況について、お伺いしたいと思います。

○飯泉耐震化推進担当部長 都はこれまで、改修事例見学会の開催や個別相談会の実施などを通じて、沿道建築物の所有者における耐震化の機運を高めてまいりました。
 また、耐震マークについて、建物所有者からの申請に基づき交付してきましたが、平成二十六年度からは普及拡大を図るため、都が耐震性を確認できた建築物に対し、申請の有無にかかわらず交付を行うことといたしました。
 なお、先月からは沿道の工事現場に耐震改修中であることがわかるよう、耐震マークが入ったシートを掲示する取り組みを開始し、さらなる啓発を図っております。
 こうしたことを通じまして、今後も沿道建築物の耐震化を強力に推進してまいります。

○高倉委員 今質疑をさせていただきましたけれども、条例による義務づけや助成制度の運用、普及啓発など、都としてさまざまな取り組みを通じて、耐震化を積極的に進めているということについては、理解をさせていただきました。
 耐震化ができていないところが少しでもありますと、例えば大きな震災のときに、建物の倒壊によってその道路を塞ぐということがあるとした場合、道路というのはつながっていればこそその役割を果たすわけであります。例えば、大方何とかなったけれどもということだけでは、やはりいざというときに道路そのものの機能を果たすことが難しくなるというのが、まさに道路の役割でありまして、ぜひ今後も区市町村と連携をしまして、沿道建築物の耐震化の一〇〇%の早期実現をお願いいたしたいと思います。
 次に、不燃化特区についてお伺いしたいと思います。
 不燃化特区については、現在、五十二地区において事業が進められておりますけれども、木密地域の改善を一段と加速させていくためには、防災まちづくりに対する住民の理解と協力が不可欠であります。
 そこでまず、不燃化特区では、住民の理解と協力を得るためにどう取り組んでいるのかについて、お伺いしたいと思います。

○山下防災都市づくり担当部長 木密地域の住民に対しまして、防災まちづくりの必要性や支援メニュー等を丁寧に説明するため、平成二十六年度は、現地に専門家等が常駐する相談窓口の設置を六地区において行い、生活再建プランの提示や住民個別の相談に応えるなど、きめ細かく対応しております。
 また、全戸訪問を二十一地区において実施し、制度の周知や建てかえ意向の把握を行い、住民の意欲を確実に建てかえに結びつけるよう努めてまいりました。

○高倉委員 大変にきめ細かく配慮しながら、取り組みをしていらっしゃるということであります。
 そうした中で、私の地元の中野区においても、弥生町地区、それから大和町地区において、不燃化特区が指定をされておりまして、積極的に木密対策を進めているわけであります。
 関係する住民の方から、結構私のもとにもさまざまな要望やら、あるいは質問といったようなことが寄せられているわけであります。
 関係する皆さんは、いろんな意味で苦労されているというふうに思いまして、ぜひその辺のところはさらにきめ細かくお願いをしたいと思いますけれども、弥生町地区あるいは大和町地区についての取り組み状況について、お伺いしたいと思います。

○山下防災都市づくり担当部長 特区に指定されております弥生町地区では、平成二十六年度に区が事業説明会を開催し、避難道路用地や都営住宅跡地の買収を行うなど、都市再生機構と連携し、都営住宅跡地を活用した避難経路ネットワークの形成を進めてございます。
 また、大和町地区におきましては、平成二十六年度に建てかえや移転等に関する相談をワンストップで対応するための相談窓口を現地に設置するなど、特定整備路線である補助二二七号線沿道の不燃化を進めております。
 都は、まちづくり専門家を派遣する支援策の活用を促し、地区計画の導入も図りながら、地域が一体となった防災まちづくりを進めてまいります。

○高倉委員 両地区についての取り組みについて、今説明をしていただきましたけれども、よくわかりました。
 そこで、現在、不燃化特区に指定をされていない木密地域についてですけれども、これまでの不燃化特区の取り組みに触発をされて、今後も不燃化特区の指定拡大を希望する区が出てくるということも、当然ながら想定をされるわけであります。
 現在、都では、防災都市づくり推進計画の改定を予定しているというふうに聞いておりますけれども、都として積極的に木密地域の改善に取り組む区を支援していくべきでありまして、今後、新たに不燃化特区の指定を希望する区が出てきた場合には、指定に向けて、ぜひ積極的に対応していただくように要望を申し上げたいと思います。
 最後に、公社住宅についてお伺いしたいと思います。
 東京都住宅供給公社の住宅の建てかえに当たりましては、多様化する居住ニーズに対応した魅力的な住宅を供給するとともに、少子高齢社会への対応や地域のまちづくりと連携をして、社会的な要請に応えていくといったことが大変に重要であるというふうに思っております。
 特に、少子化対策は、舛添知事もせんだっての議会で発言をしておりますとおり、あらゆる分野の政策を総動員して、都庁全体で取り組んでいる喫緊の課題でありまして、住宅部門においても適切に対応していくということが、私は必要ではないかというふうに思います。
 そこで、平成二十六年度における公社住宅の建てかえに伴う子育て支援施設の併設状況について、お伺いしたいと思います。

○桜井住宅政策推進部長 公社住宅の建てかえに当たりましては、良質な賃貸住宅を供給していくとともに、地元自治体と連携しながら、少子高齢社会や地域のまちづくりなどへの対応も念頭に事業を進めております。
 子育て支援施設につきましては、住宅の建てかえの際に子育て世帯向けの住宅を供給していることや、地域のニーズなどを踏まえ、整備に取り組んでおります。
 平成二十六年度の実績といたしましては、世田谷区の烏山住宅、板橋区の向原住宅の建てかえにあわせ、保育所を開設いたしました。

○高倉委員 二十六年度の実績として、世田谷区の烏山住宅、板橋区の向原住宅の建てかえが、今ご説明をいただきました。保育所を開設したということであります。
 私の地元の中野区でも、公社住宅が中野駅の南口を出てすぐのところに、非常に便利なところにあるんですけれども、大変に老朽化をしておりまして、今、建てかえの計画が進んでいるわけであります。
 中野区に限らないと思いますけれども、中野区においても、若年の単身者の転入が多い一方で、若年の夫婦世帯や子育て世帯などの転出が転入を上回る傾向で続いておりまして、中野区の第三次住宅マスタープランにおいても、ファミリー向け住宅の誘導と子育て環境等への配慮を住宅政策に掲げているところでございます。
 そこで、中野住宅の建てかえでは、駅前立地という利便性を生かして、ファミリー向け住宅の供給や子育て環境の整備を行っていくべきというふうに思いますけれども、この点についての二十六年度の実績と、現在の取り組み状況をお伺いしたいと思います。

○桜井住宅政策推進部長 中野駅周辺につきましては、平成二年に中野区が中野駅周辺地区整備構想を策定し、平成十七年には、中野駅南口に位置する中野二丁目地区の市街地再開発準備組合が設立されました。公社もこの組合の一員として参加しておりまして、中野住宅の建てかえを通じて、まちづくりに貢献することとしております。
 この地区におきましては、平成二十六年度には市街地再開発事業等の都市計画が決定され、公社は住宅の基本設計に着手をいたしました。建てかえに当たりましては、バリアフリー化を図るとともに、多様な世代や世帯に対応した広さや間取りの住宅を供給する予定でございます。また、駅前立地で利便性が高いことから、中野区の意向も踏まえ、子育て支援施設の整備を検討しております。

○高倉委員 公社住宅については、もう古くなって建てかえの必要があるといったような状況もあると思います。そうした中で、地元自治体からもさまざまな要望や期待が寄せられているというふうに思います。このような地方自治体の要望する施設を併設することによって、今後とも地域のまちづくりに大きく寄与していくといったことが重要であるというふうに思っております。
 そこで、公社住宅の建てかえに当たっては、地元自治体からの施設併設等の要望に対しては、積極的に対応すべきと考えますけれども、ご見解をお伺いしたいと思います。

○桜井住宅政策推進部長 公社住宅の建てかえに当たりましては、良質な賃貸住宅の供給に加え、地域のまちづくりに貢献する取り組みなどを進めていく必要があります。
 施設の併設につきましては、地元自治体からの要望を初めさまざまな課題について検討していくことが求められます。
 公的住宅を供給する公社にとって、住宅の建てかえの際に地元自治体と連携して事業を進めていくことは重要でありまして、都といたしましては、今後も地元自治体との調整に協力するなど、公社の取り組みを支援してまいります。

○高倉委員 今、質疑で例に挙げました中野住宅の建てかえは、地域のまちづくりにとってまたとない機会の一例というふうに思います。今後ともこうした取り組みが都内で広く行われていくことが必要であるというふうに考えております。
 周辺の環境や地元自治体の意向に十分配慮しながら、地域の魅力の向上や活性化に公社が今後とも寄与するように、都としても公社に働きかけるよう、強く要望することをお願いしまして、質問を終わりたいと思います。

○徳留委員 それでは、私の方からは、最初に特定整備路線の補助二六号線の問題について質問させていただきます。
 これは、板橋区の大山地域を貫く三百七十五メートルの整備路線でございます。昨年の四月に指定を受けて、ことしの二月二十四日認可で、総事業費が約百七十八億円という、他の整備路線に比較しても、一メートル当たりの事業はもう異常に高い。二十八路線全部計算しますと、板橋区の大山を貫く整備路線は一メートル約五千万と。大体ほかのものは一千万前後ですから、異常に高い、そういう地域を貫くということだと思います。
 板橋区の大山地域は、ご存じの方もいらっしゃると思いますけれども、有名な五百六十メートルのアーケード街で、ハッピーロード大山ということになっているんですけれども、その商店街をちょうど真ん中ぐらいから分断をすると。そして、今、十メートルぐらいの道路を約二倍、二十メートルから二十三メートルぐらいに拡幅するという中身であります。
 そこで、最初の質問ですけれども、全国の名店街百選--実際七十七選なんですけれども、選ばれて、東京都や経産省などのいろんな表彰を商店街でも何回も受けるぐらい大変頑張っている商店街です。区内最大の商店街で、先ほどいいましたように、五百六十メートルというアーケードもあり、一日の通行者が約二万人を超えております。区民にとっても、大変にぎわいのある場所で私もしょっちゅう通っていますし、自分の事務所もありますから、区民の宝で、公共空間ではないかと思っております。
 多くの皆さんが親しんで、集客力もあるハッピーロード商店街が真ん中から分断をされて、商店街が壊されかねないと、住民を追い出すことになりかねないという不安、声が広がっています。
 なぜそういう場所にあえて二六号線を建設しなければいけないのか、その理由をまず最初にお聞かせください。

○山下防災都市づくり担当部長 ご答弁の前に、先ほど委員の方から、大山地区の路線につきましては非常に事業費が高いというようなご指摘がございました。これにつきましては、やはり駅前ということがございますので、非木造の店舗の移転補償費とか、または、商店街の用地ということで高い事業費になっております。
 ご答弁の方ですけれども、特定整備路線であります補助二六号線大山区間につきましては、延焼遮断帯として地域のみならず、周辺に広がる木造住宅密集地域の大規模火災を防止するなど、都民の生命と財産を守るため、必要不可欠な路線でございます。
 お話にありましたように、計画線内ににぎわいのある商店街があることにつきましては、都といたしましても十分承知してございます。このため、にぎわいの創出や商店街のさらなる活性化にも配慮し、沿道のまちづくりと一体となった道路整備を進めており、既に権利者の生活再建の受け皿となります再開発事業につきましては、二地区におきまして準備組合が発足されるなどの取り組みが動き出してございます。

○徳留委員 今、二六号線建設の必要性といいますか、なぜということに対しては、地域の防災性の向上とかいうことがありましたが、特定整備路線二十八路線の申請をするときの理由には、全て最初の理由は交通の利便性となっています。二番目は歩行者の快適性、安全な、快適な歩行者空間となっています。三番目に、またはということで延焼遮断帯という理由が出てきます。これは、二十八路線とも全部同じです。しかし、現実には、今いわれたような防災だとか延焼遮断帯ということが、かなり繰り返しいわれるために、仕方がないかなというふうに思っている人もいると聞いております。
 そこで、一番最初に挙げてある交通の利便性という問題について伺います。
 この補助二六号線の一方は、東上線の大山駅の、あかずの踏切といわれる踏切があって、将来、立体化事業が予定をされています。板橋区の議会では、これは二十年ぐらいかかるという答弁をされていると聞いております。当面は東上線と、立体化が相当時間がかかるので平面交差をせざるを得ないと。一方は、国道の川越街道で、これまた私もしょっちゅう通っておりますけれども、渋滞が多い。そこと交差している状況では、利便性どころか、極端な渋滞になる危険性があるんではないかと。しかも、渋滞が三百七十五メートルの補助二六号線の中に広がりますと、排気ガスによる健康悪化や健康被害も拡大すると。
 そこで、あえてそこにこの道路を通すという場合に、東上線との交差地点や川越街道との交差地点、それぞれで渋滞調査、一体どうなるのかということについてシミュレーションを行って、大丈夫だというのか、そこら辺の評価、判断は行われているのかどうか。
 もしやられているとしたら、どういう結果が出ているのかをご報告いただきたいと思います。

○山下防災都市づくり担当部長 ご答弁する前に、先ほど事業認可の申請理由の件のご指摘がございました。特定整備路線につきましては、震災時の延焼遮断や避難、救援などに資する重要な都市計画道路でございます。都市計画道路につきましては、交通の円滑化、防災性の向上、安全で快適な生活を支えるなど、多様な機能を有してございます。これらの理由に基づき認可申請を行ったものでございまして、認可申請理由の順番によらず、どれも大切な機能であると認識しております。
 ご答弁の方でございます。都民の生命と財産を守ることは待ったなしの課題でございまして、まずもって本区間の事業に着手したものでございます。
 シミュレーションというような検討の段階は越えまして、既に東武東上線の踏切につきましては、昨年、踏切での抜本的な渋滞対策となる、鉄道の立体事業の事業候補区間に位置づけ、具体の調査検討を開始してございます。
 なお、ただいま委員の方から、極端な渋滞による危険性があるとのお話がございましたけれども、個別の交差点の渋滞につきましては、環状六号線及び環状七号線の間に位置しますこの補助二六号線の整備によりまして、都市計画道路ネットワークが形成され、交通の円滑化が図られますので、ご指摘には当たらないと考えております。
 なお、環境の問題もございましたけれども、自動車交通の円滑化が図られれば環境改善も図られると、このように認識しております。

○徳留委員 最初の答弁で、防災、延焼遮断帯といわれたけれども、これは私がそういうふうに説明したら、いや、多面的にやるんだといって、改めて交通の利便性とか歩行者の安全、快適性といわれましたけれども、現場ではほとんど、最初に答弁された内容での説明になっている傾向があるんではないでしょうか。
 それから、二つ目にいわれた、もう今はその段階ではないと、道路を通していけば、何とか渋滞解消できるようにいわれましたけれども、環状七号線も、中山道も、山手通りも、川越街道も、私、毎日のように使っているからわかりますけれども、本当にあそこに三百七十五メートル通して車が利便性がよくなるのかという、さっぱりわからないというのが率直な感想です。
 そこで、板橋区による東武東上線の踏切調査では、この補助二六号線と東上線が交差する踏切が幾つかありますけれども、直接平面交差をする予定の第十六号踏切は、一時間で最大五十一分、ラッシュ時には踏切が閉まっております。一日で十一・八時間、約半日ですね。ほぼ半日遮断しているという踏切なんです。
 東京都が策定した踏切対策基本方針を読みますと、この踏切は遮断時間が長いと、自転車交通量も多いということで、しかし横断する車というのは極めて少なくて、区の調査でも一日にわずか三百四十九台、少ないんです。二六号線が通れば、東京都の方のキャパシティーといいますか、能力は、一万台の車が通ることが可能になるというふうになっています。
 東京都はこの基本方針で、なくすべき踏切をピックアップするために、要素として自動車交通量の多い踏切を挙げています。都は、この冊子の中で、自動車交通量が多い道路上にある踏切は、遮断、一時停止、徐行などにより道路渋滞を引き起こすとともに、踏切事故の危険性を増すものと考えられると。また、時間損失やエネルギー消費の面で、社会経済的なロスを発生させるというふうに書かれています。そして、その目安として、踏切交通遮断量、一日当たり五万台時という数字を挙げています。
 しかし、補助二六号線が通れば、踏切遮断の交通量は、先ほどいいましたように、一万台が通行可能ということですので、十一・八時間踏切が閉まっているということを掛けて計算しますと、一日当たり十一万台が都がいうところの踏切交通遮断量と、まさに、五万台という遮断量を挙げているのから、二倍になる数字が示されてくるんです。
 補助二六号線をつくって平面交差すれば、都も、道路渋滞を引き起こすし、踏切事故の危険性も増して、社会経済的なロスをつくり出すというような状態を生み出すわけです。そこで踏切に押し寄せれば、あかずの踏切問題は一層悪化するんではないかと思うんです。
 悪化しないというなら、一体その根拠はどういうことをもっていわれているのか。
 先ほど答弁があった、交通が円滑になるといわれた根拠はどういう根拠なのか、お示しいただきたいと思います。

○山下防災都市づくり担当部長 ただいま踏切のお話がございましたが、先ほども答弁いたしましたように、補助二六号線につきましては、都民の生命と財産を守るために待ったなしの課題でございまして、まずもってこの事業に着手したものでございます。
 鉄道につきましても、既に東武東上線の踏切につきましては、具体の調査検討を開始しているところでございます。
 一般的に、都市計画道路につきましては、整備がされてネットワークが形成することによって、自動車交通の円滑化が図られることは当然のことだと考えております。
 なお、踏切の状況につきましては、今後、道路整備に当たりまして、交通管理者や鉄道事業者等関係機関と十分に協議してまいります。

○徳留委員 その渋滞が大きな形で発生するということは、二十年後に立体交差事業が開通するまでは避けられないと思うんです、先ほどいった具体的な事実から見ても。それはもう誰もがわかりますよ、現場に行けば。今でさえ物すごい渋滞になっているし、あかずの踏切状態になっているわけですから。だから、交通の円滑化といわれても、全く普通の常識で考えると理解できないという気がします。
 そこで、もう一つの理由に挙げられている歩行者の安全という点で見ても、現在は、実はこの道路は、午後一時から午後九時までは買い物専用の歩道になっていて、車は午前中の三時間、四時間しか通れません。しかも、自転車も押して移動することになっています。幅員約十メートルの道路を、平面で左右自由に移動して買い物ができるようになっているわけですから、これ以上の歩行者の安全性、快適性はないと思います。そこの真ん中に、水が流れていない川にいきなり水がどっと流れて、しかも左右移動できないような状況になるわけですから、少なくとも今よりは安全が高まるというふうにはいえないと思うんです。
 そこに幅二十メートル以上の道路が、二倍に拡幅されて、自動車が入ってくるのでは、買い物の利便性は損なわれるし、逆に危険が広がって、排ガスなどによって環境悪化も広がるんではないかと思うんです、そういうふうに常識的に考えてもですね。そこはどういうふうに考えていらっしゃるんですか。

○山下防災都市づくり担当部長 計画線に含まれます商店街は、にぎわいがある一方、現状では、救急車両の進入や、歩行者と自転車の交錯、これは委員の方から、自転車を押して移動するようになっているとございましたけれども、現状は、押して移動でなく、乗っている方が大変多く、商店街の方でも困っていると聞いております。そのように放置できない課題があると認識しております。
 本区間の整備により、広い歩道と自転車道が両側に整備され、買い物客と自転車走行区間が分離されることに加えて、緊急車両の通行路が確保され、円滑な救助救援活動が可能となります。
 さらに、本区間の整備により、周辺の生活道路に流入する通過交通が減少するなど、地域の安全性が飛躍的に向上すると考えております。
 当然のことでございますが、都といたしましては、商店街のにぎわいや振興の重要性を十分認識しており、全面的に支援していくとともに、区や地元の理解と協力を得ながら、予定どおり平成三十二年度の完成に向けて、本路線の整備を積極的に進めてまいります。

○徳留委員 一つ一つ物をいいたくなるんですけれど、私は毎日のように通っているから、ここの道路は、おりて押して歩いてくださいとなっているわけです。それを守らない人がいるから注意して、歩いてくださいという人は何人かいます。そういうルールがあるんです。それを今のようにいわれると、使っている本人から見ると全然違うと、実情は。だからやっぱり、歩行者の安全性、快適性と利便性という二つの側面から見ても、物すごい無理があると私は思います。
 そこで、先ほどもいいましたように、道路ができれば商店街に流入する車が減ると。あなたは現場に行ってみたらわかると思いますけれども、ハッピーロードでは、高齢者の方々が安心して買い物ができるように、毎日一時から九時までは歩行者道路になっていて、車が通れないのはもちろんですけれども、先ほどいったように、自転車マナーの向上運動ということで、ちゃんと立て看もありますし、注意する人もいて、きちんと押して歩くようになっている。多くの方が自転車をおりて押して歩くようになって、誰もが安心して、ゆったりと歩いて買い物ができるような、そういう環境がつくられているわけです。これ以上の安全を、車を通したことによってできるのかと。
 ハッピーロードの商店街は、およそどれくらいの車が通っているのかということでいいますと、先ほどいいましたように、平面交差するところは三百何台かですが、もう一つの、すぐ隣の十五号踏切は五百三十八台です。もともとがそういう車しか通れない、そういう場所になっているわけです。
 それはあくまで、あかずの踏切というのがあって、商店街の買い物通りだから規制をされているということなんです。だから、それを取っ払って通すようにする。しかし一方では、あかずの踏切があかないために、通りたくても通れないという事態が生まれるんです。そこのあかずの踏切の平面交差から、わずか四百メートル下の豊島病院の下には、ちゃんと高架があって、バスも通れる往復二車線があります。だから、事情をよく知っている人は、ここじゃなくてそっちを回ると思うんです。
 だから、いろんな事情から見て、今度の計画というのは非常に無理があると。さっき、高過ぎる理由は商店街を突っ切るといわれましたけれども、そういう物すごい、区民にとっても全国的にも注目をされる宝の商店街なんです。そこに道路を通すということになる。それはお金もかかると思うんです。
 だとしたら、費用対効果という点で見ても、二十年後どうなるかというのはありますけれども、少なくとも二十年間は、あかずの踏切のままいかざるを得ないというんだったら、今あえてそこに通す必要がないんじゃないかと、断念すべきじゃないかということを私は強く要望をしたいと思っております。
 それでは次に、もう一つのテーマで質問をさせていただきます。
 もう一つは、横田基地をめぐる地域の自治体、住民から寄せられている要望にかかわってですけれども、平成二十六年度東京都の予算編成にかかわる重点要望というのが、地元の自治体、多摩の市長会といいますか、東京市長会といいますか、出されております。
 米軍の横田基地とCV22オスプレイの配備問題については、本会議でも代表質問で行いました。そこで、決算委員会でありますので、この二十六年度の予算要望に関して、周辺の自治体がどういう要望を出しているのかということなんです。
 横田基地の周辺の住民にとっては、最大の危険と不安は、やっぱり米軍機が、勝手にといいますか、かなり自由に飛行して訓練をすると。当然、黙って飛ぶわけじゃなくて、騒音がひどいです。離着陸もあります。それを通じて事故や墜落の危険もあります。今後はさらに危険な訓練が続くと思われる中で、本当に何とかしてほしいというのが、私たちの立場からいっているんじゃなくて、地元の自治体、五市一町の周辺の自治体の皆さんも、納得してといいますか、合意して、市長会の予算要望になっていると思います。
 そこで、まず最初の質問ですけれども、国内において、在日米軍横田基地の米軍機にかかわる飛行や訓練を行う際の時間帯だとか、また、低空飛行訓練の高度などに関する日米合意というのは、どういう内容になっているのかをお答えいただきたいと思います。

○筧基地対策部長 米軍機の飛行や訓練の時間帯につきましては、主要な基地ごとに日米合同委員会で合意されております。
 横田基地におきましては、二十二時から六時までの時間は、緊急と認められるものに制限されるとともに、夜間飛行訓練は、任務の達成及び練度維持のために必要とされる最小限に制限し、できるだけ早く完了するよう努力を払うこととなっております。
 低空飛行訓練についての日米合同委員会合意におきましては、米軍機も、ICAO、すなわち国際民間航空機関や、日本の航空法に規定される最低高度基準を用いることとなっております。日本の航空法の最低高度基準は、有視界飛行の場合、人口密集地域では千フィート、約三百メートル、人や家屋のない地域では五百フィート、約百五十メートルでございます。
 なお、国からは、基地周辺の飛行経路である場周経路の飛行は、飛行場の離着陸のためのものでありまして、日米合同委員会合意にいう低空飛行訓練には当たらないという見解が示されております。

○徳留委員 東京の市長会、多摩の市長会の要望を読みますと、今いわれたものが合意で、ルールといいますか、基準だと思うんですけれども、そこの中には、航空法で定められている最低安全高度が遵守されていないと思われる状態が散見されるために、ちゃんと実態を調べてほしいと、そういう要望になっていますし、国への要望、東京都を初め五市一町の要望の中にも、そういう合意が守られていないんではないかと。私たちのところにもいろんな苦情なり不安の声が、現地の町議員や住民の中から寄せられていますから、それは特殊な例ではないというふうに思います。
 実際には、確認をできる器械とか、そういうのを備えていませんので、目視をして、物すごく低く飛んでいたとか、そういうことになるんですけれども、自治体としてここまでいわざるを得ないということは、やっぱり事実の問題としてあるんではないかというふうに思うんです。
 その上に立って、ここ数年、米軍機の飛行回数が激増しています。平成二十三年までは、二〇一二年までは年間八千回ぐらいでした。ところが、平成二十四年、二十五年、一気に三千回ふえて一万一千回、今年度ももう一万一千回を超えるような規模で激増している。これは福生のホームページを見ればわかるようになっています、ちゃんと離着陸をチェックをしておりますので。ということは、やっぱり飛行回数、離着陸がふえれば、騒音も広がるし、事故の危険も高まるということになっていくと思うんですけれども、そういう実態を都としてはどのように掌握をされているのか。
 そういう中で、基地周辺五市一町や周辺住民からは、合意違反の飛行訓練の実態を指摘する声も上がっておりますけれども、実際に合意違反はないのかどうか、そこら辺をどういうふうに実態を掌握されているのか。また、その合意違反があったとしたら、解決のためにどういう対策をとっておられるのか、伺いたいと思います。

○筧基地対策部長 まず、先ほど委員からご指摘のありました、東京都では、基地周辺五市一町等の要請で、低空飛行訓練について国や米軍に要請しているというご指摘がありましたけれども、都といたしましては、国は日米合同委員会合意は遵守されているという認識で、都もそのように考えておりますが、要請におきましては、今後も低空飛行を行わないことを国に要請しているものでございます。
 ただいまご質問いただきました件につきましては、環境局が実施している航空機騒音調査によりますと、近年、騒音の発生回数は、年によって増減があるものの減少傾向にございまして、この二十年間の推移を見ますと、瑞穂町及び昭島市の測定地点での平均騒音発生回数は、ほぼ半減している状況にございます。
 なお、横田基地における米軍機の飛行実態につきましては、国の責任で確認すべき事項でございまして、国は、米軍の運用に当たって、日米合同委員会合意は遵守されているものと認識しているとしております。

○徳留委員 私も福生の調査を見ておりますけれども、今、近年減っている傾向だと。近年というのはどういうスパンなのかと聞いたら、二十年と。確かに二十年前に比べたら減っていますよ。
 でも、先ほどいいましたようにここ数年ふえていると。なぜかというと、二〇一二年の、航空自衛隊総隊があそこに移転して、一体化していることと決して無縁ではないというように思うんです。それを不安に思った福生市などは、もうこれ以上基地の強化はやめてくれという約束を政府と行っていると。そのやさきにCV22オスプレイの配備がいわれて、もう本当にこの約束を守ってくれということで、我が党の議員が国会で、五月二十五日かな、衆議院の委員会で中谷防衛大臣に聞いたら、その約束は知っていると答えているんです。
 だけれども現実には、ルール違反だとか、飛行回数だとか、当然、飛行回数が広がれば騒音も広がります。そういうのが生まれているんだと。先ほど、米軍や政府にはそうでないと聞いているといわれた。そのギャップをどうやって検証して、必要ならば物をいうのか、申し入れをするのかっていうのが仕事としては問われているんじゃないですか。
 ちょっと変な例だけど--(四字削除)--交通ルールを守らないで走り回っているときに、何も注意しないで放っておいたら本当に傍若無人になっちゃうんですよ。だからちゃんと回ってくれと、ちゃんと合意に沿ってやってほしいということによって、地域の住民や自治体の皆さんの思いも届いて、より安全な訓練なり飛行になっていくというふうに私は思うんです。騒音が下がってきたのも、そういう地元のいろんな要望や働きかけも背景にはあると思うんです。だから、どこかがいっているというだけにしないで、ぜひ確認をして、今後とも進めていただきたいというふうに思います。
 そこで、次の質問ですけれども、二〇一二年から、それまでなかったパラシュート降下訓練が激増しています。どういう訓練目的でやられているのか。パラシュート降下訓練にかかわる日米合意、ルールはどうなっているのか。沖縄では、合意を結んで、パラシュート部隊の訓練は伊江島というところに、一つだけに限定をされています。
 もし合意がないままの訓練だとしたらなぜなのか、都としてただしたことがあるのか、実際の訓練の規模や人数、回数などについてお答えください。

○筧基地対策部長 横田基地からは、空輸ハブ基地として人員や物資を空輸する能力を常に保持することが必要不可欠であり、人員降下及び物資投下訓練は、そのための通常の訓練として行われると聞いてございます。
 また、米軍による人員降下及び物資投下訓練につきまして、国は、日米安全保障条約の目的を達成するため、部隊の練度の維持向上に必要な訓練であるとの認識でございまして、日米合同委員会でいう協議を行う必要はないとしております。
 なお、沖縄におきましては、従来、人員降下訓練が行われておりました読谷補助飛行場を返還するための措置として、伊江島補助飛行場への訓練移転が日米間で合意されたものと承知しております。
 年度ごとの人員降下訓練の回数とその期間の合計は、国からの事前通告によりますと、平成二十四年度は三回で十一日、平成二十五年度は五回で十五日、平成二十六年度は十二回で三十二日でございます。
 なお、事前通告には、降下人員数の情報が含まれない場合があるため、延べ降下人員数は不明でございます。

○徳留委員 それでは、パラシュート訓練にかかわってもう一つお伺いします。
 日本国内で米軍がパラシュート降下訓練をやっている場所というのは、横田基地以外にどのようなところがあるのか。横田基地のように、人口密集地域で訓練をやっているような場所があるのかどうか、お答えください。

○筧基地対策部長 都は国に対して、周辺住民に影響を及ぼすような米軍の訓練についての情報提供を求めておりまして、横田基地以外にどのような場所で米軍が人員降下訓練を実施しているかにつきましては、承知しておりません。

○徳留委員 横田基地のように、人口や住宅密集地域でパラシュート降下訓練をやっているところはどこにもありません。それどころか、本来は専用の訓練地域である習志野の空挺部隊の降下訓練でも、周辺に、ことしの五月、三人が間違って到着したと。あるいは群馬県の、横田基地の何倍もの広い面積のある、山の中ですけれども、相馬原の演習場では、今までパラシュート訓練はやっていたけれども、狭過ぎると、危険だということで、もう訓練はやらなくなったと。そのぐらいやっぱり危険な訓練だと思うんです。
 しかも、ただ飛びおりているだけではなくて、目的があって飛行機から飛びおりて、任務を果たすわけですから、特殊任務作戦そのものを担うという、そういう訓練をやられているわけで、放置するわけにはいかないんではないかと。
 ですから、こういう危険な訓練は、住宅密集地の横田基地では、あるいは首都圏ではやらないように、ぜひ強力に働きかけていただきたいと思います。
 次に、都も系統的に要望している、米軍横田基地の一都九県にまたがる専用空域、横田エリアの返還要望にかかわって、この間、日米関係者で検討がなされ、一定の結論があったと聞いておりますけれども、どういう内容なのか、なぜ公表されていないのか、お聞きしたいと思います。

○佐々木航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 日米両政府による横田空域全体のあり得べき返還に必要な条件の検討は、平成二十二年五月に完了したとされているが、その内容については明らかにされておらず、その理由として、検討当時判明したものを整理したものであり、横田空域のあり方については引き続き議論されていくものと考えているためと、国から聞いております。

○徳留委員 ぜひ横田空域の返還については、羽田空港の増便枠の問題とか安全飛行の問題とか、調布飛行場の問題もかかわってきますけれども、ぜひ強力に、一定の検討がされた到達点を踏まえて、返還に向けて働きかけていただきたいと思います。
 最後に、横田基地の常駐機のC130輸送機は、平成二十六年度中に二回も部品落下の事故を起こして、平成二十五年、二十六年度では、合計五回もの落下事故を起こしております。
 このことに対して、原因究明と再発防止の申し入れを行っても、まともな対応がなされていないということで、平成二十六年度予算要望の中にも掲載をされておりますけれども、実際のところはどういう内容になっているのか、どう解決をされたのか、お答えください。

○筧基地対策部長 横田基地所属のC130輸送機の部品紛失事故に当たりましては、都は、横田基地周辺の五市一町と連携して、直ちに国や米軍に抗議するとともに、原因究明と再発防止を図ること、点検整備を強化して安全確保の徹底を図ることなどを要請いたしました。
 横田基地からは、事故発生後、直ちに全機の点検を行い、安全性を確認したとの説明を受けるとともに、再発防止に努めていく旨の回答を得ております。
 米軍の運用に当たりましては、地元住民に最大限の配慮が行われるべきでございまして、都ではこれまでも安全対策の徹底などを国や米軍に求めておりまして、今後も必要な要請を行ってまいります。

○徳留委員 今回のC130問題では、事故原因、再発防止対策で米軍から報告があって、関係自治体は了解したということですけれども、ことしになってから、日本国内ではありませんけど、日本に配備予定の同じ性能、機能を持っているMVの墜落が、五月十八日、ハワイでありました。そしてまた、今年度になってから、横田基地から運び出される途中の薬きょうのトラックからの落下事故というのもありました。
 引き続き事故などが頻発しているわけですから、この問題が重大な取り返しのつかない事故にならないように、関係自治体、住民と協力をして、引き続き働きかけていただきたいと思います。
 最後になりますけれども、横田基地をめぐる実態は、予算要望の内容にもあるように、不安やそういう大事故の危険を予測されるような幾つかの事故が起きております。
 これから新しい、新ガイドラインだとか安保関連法制だとか、それから、最近発表されて、関係自治体に説明をされたCV22オスプレイの配備に関する環境レビューなどを読みますと、明らかに今までの横田基地よりも機能が強化されると、危険な訓練もするという中身が明確に書かれています。新ガイドラインになると、今まで一切書かれていなかった武力行使もするというのが二カ所書かれていますし、それから特殊作戦にも共同してやると、そういうことが書かれてありますので、引き続き都の基地対策を中心にして、地元の住民の皆さんと協力して、住民の安全を守るという点での役割を果たしていただきたいということを心からお願いをいたしまして、質問を終わります。

○大西委員 まず、私の方からは、鉄道施設の耐震対策について伺います。
 大規模地震の発生による鉄道施設への被害を未然に防ぎ、鉄道の早期運行、再開を可能とするためには、耐震化は不可欠であると思います。
 本来、鉄道事業者にとって、安心・安全の確保は経営の基本であり、鉄道施設の耐震化はみずから進めるべきであります。これまでも、鉄道事業者は鉄道施設の耐震化に取り組んできており、都は国とともに、鉄道事業者の耐震対策に対する取り組みを促進してまいりました。
 そこで、都の鉄道施設の耐震対策について、これまでの取り組みの経緯を伺います。

○中島都市基盤部長 都は、発災時における鉄道利用者の安全を確保するため、国の通達を踏まえ、平成十八年度から一日一万人以上の利用者があるなど一定の要件を満たす駅を対象に、国と連携して鉄道事業者が行う耐震対策への補助を実施してきました。
 平成二十五年度からは首都直下地震発生の切迫性を踏まえ、震度六強以上が想定される地域内において、駅と駅との間にある高架橋等も補助対象とし、二十九年度末までを事業期間として取り組みを促進しております。

○大西委員 鉄道施設の耐震対策について、首都直下地震において震度六強以上が想定される地域での耐震対策を進めているということでございますが、平成二十六年度までの実績をお伺いいたします。

○中島都市基盤部長 平成二十六年度までに、駅については二十二駅、高架橋等については三十カ所に対し補助を行ってまいりました。このうち、小田急電鉄新宿駅など二十一駅、京王電鉄笹塚駅付近の高架橋など十七カ所について、耐震化が完了しております。

○大西委員 都は鉄道施設の耐震化を促進してきておりますが、現在の鉄道施設の耐震化の状況について伺います。

○中島都市基盤部長 都内の駅や高架橋等の施設については、国の通達を踏まえた対策は、おおむね九割が完了しております。
 なお、本年度も引き続き、三駅及び十二カ所の高架橋などについて補助を行っておりまして、事業期間が終了する平成二十九年度末に向け、今後とも国や鉄道事業者等と連携しながら、鉄道施設の耐震性向上を促進してまいります。

○大西委員 首都直下地震の発生、これはいつ起こるかわからないわけでありますから、防災に対する取り組みを強化することは非常に重要でございます。
 鉄道施設の耐震対策は、緊急輸送道路沿道の建築物耐震化と同様、とても必要な事業だと思います。これまでの都の取り組みを今後も引き続き継続し、安全・安心な都市をできるだけ早期に実現していただきたいと思います。
 次に、鉄道ネットワークについて伺います。
 現在、交通政策審議会において、東京圏における今後の都市鉄道のあり方について検討が行われております。また、都においても本年七月、都における今後の鉄道ネットワークのあり方等についての検討を取りまとめ、広域交通ネットワーク計画についてとして発表したところでございます。
 まず、この計画を取りまとめるに当たりどのような検討を行ったのか、その内容について伺います。

○中島都市基盤部長 国の交通政策審議会の動きを踏まえ、都としても平成二十六年度から、地域や拠点間の連携強化による都市活力の維持向上や、安全、快適に移動ができる都市の実現などの視点から、整備効果や課題の検討を行い、本年三月、今後の鉄道ネットワークの考え方について中間のまとめを公表したところです。
 さらに、路線の採算性や費用対効果の視点からも分析するなど検討を深め、本年七月、広域交通ネットワーク計画についてとして発表し、次期答申に反映するよう国に求めたところでございます。

○大西委員 検討の内容については、今ご答弁がございましたが、東京都の計画の中にもある区部周辺部環状公共交通について伺いたいと思います。
 先ほど高橋委員が三環状道路の話をされましたが、環状部分の道路が完成したということで、中心部分の渋滞が大きく減ったと、五割ですか、おっしゃっておられましたが、これは、当然、鉄道でも同じことがいえると思います。
 しかし、鉄道の方の環状線というのは、大江戸線、その外に山手線があります。その外側となれば、もう武蔵野線までありません。こういう意味で、広域交通ネットワークの観点から、その間の新たな環状路線は必要であると思います。
 昔も述べたことがあるんですが、私の地元である足立区では、つくばエクスプレスや日暮里・舎人ライナーの開通により、南北交通はスムーズになりましたが、東西交通はいまだに不十分でございます。このように地域的な観点からも、私は、東京都内にも存在する鉄道不便地域の解消に資する本路線の整備が必要であると考えます。
 そこで、区部周辺部環状公共交通について、広域交通ネットワーク計画についての中ではどのような検討結果が得られたのか、伺います。

○中島都市基盤部長 検討の結果、本路線は、既存路線の混雑率の低下などに一定の効果が見込まれており、国の現答申にも位置づけがあることから、今回の都の広域交通ネットワーク計画において、整備について検討すべき路線としております。一方で、本路線は、多大な建設費や事業採算性など、さまざまな課題がございます。

○大西委員 今いわれたように、混雑率の低下というのがやっぱり相当見込まれると私も思います。整備について検討すべき路線とされているんで、ぜひこれは検討をさらに加速していただきたいと思います。課題もあるということも重々承知はしているところでもございますが。
 鉄道と並び都民の足であるバスについても、東京の交通ネットワークの一翼を担う重要な公共交通機関でございます。そこで、公共交通機関としてのバスの役割に着目して質問させていただきます。
 都は、公共交通としてのバスの利便性を向上させる観点から、バス助成事業を行っており、中でも、羽田空港へのアクセス改善に着目した公共車両優先システム、いわゆるPTPSの整備に対する助成事業を行っております。
 そこでまず、この公共車両優先システム整備事業に対する都のこれまでの取り組み実績を伺います。

○中島都市基盤部長 公共車両優先システム整備事業は、平成二十二年度から開始しておりまして、平成二十六年度までの累計で、新宿駅周辺地区など六地区と羽田空港とを結ぶ路線を運営するバス事業者四社に対して、優先的な信号制御を受けるためにバスに設置する車載器への補助を合計三百三十八台分実施しております。

○大西委員 羽田空港へのアクセス改善は重要なテーマであり、こうした事業をしっかり推進してもらう必要があると思いますが、この事業の効果を伺います。

○中島都市基盤部長 都は、平成二十五年度末までに本システムを導入した五路線について、事業の効果測定を行っております。
 具体的には、平日の始発から最終便までを対象に、車載器を搭載したバスと車載器を搭載していない一般車両について、所要時間を比較しております。その結果、約三分の二の便で時間短縮効果を確認しております。

○大西委員 羽田空港直結バスのルートには高速道路の部分もあり、PTPSの効果が得られるのは一般道の部分ということになるわけですが、こうした一般道の部分で一定の時間短縮効果が得られれば、定時性確保という観点から、大変意義があることだと思います。バスの定時性が確保され利便性が向上すれば、バス利用者の増加につながる、バス利用の拡大により自家用車の利用抑制、渋滞緩和といった効果も期待できるわけでございます。ぜひこういう検証をこれからもさらに深めていただいて、ほかのところにでもどんどんどんどん広めていって、しっかり取り組んでいくことを求めまして、質問を終わらせていただきます。

○高木委員 平成二十六年度決算に関して、都営住宅の建てかえによる創出用地のまちづくりへの活用について、まずお伺いいたします。
 この間の都政の政策の流れを先に総括いたしますと、私たちは、都議会自民党として平成二十五年六月に、政策集であります東京を世界で一番の都市にというものを発表させていただきました。その政策に基づいて、翌年、二十六年十二月に知事に対して政策提言を行って、そして、その内容が東京都長期ビジョンに反映をされて、現在の主要政策がつくられたというふうに思いますし、そう自負もいたしているわけであります。
 その中で都市としての魅力を高めて、世界の人々から、東京に行きたい、あるいは東京で暮らしてみたいと憧れの気持ちを抱いてもらえる都市として、次の時代においても輝き続ける東京をつくっていく上で、都市整備局が行っている都市づくりの分野が、非常に大きな役割を担っていると私は考えております。
 既成の市街地が高密度に広がる現在の東京においては、種地となる用地を用いて都市づくりを行うことができれば、大変それは効果的でありまして、その点で、現在進められている都営住宅の建てかえにおける敷地や、建てかえ、集約化で創出されるその用地というものは、大きな可能性を秘めた、東京の大変貴重な財産であろうと思います。
 そして、二十六年度都営住宅会計決算説明書によりますと、二十六年度には、当該年度分三千六百八十四戸と前年度からの繰越分四百二十九戸、合わせて四千百十三戸の都営住宅の建てかえが実施をされております。五年前の二十一年度は、建てかえ戸数が三千二百三戸でありますから、この五年間で大きく建てかえ戸数が増加をしておりまして、それに伴いまして、創出される用地の活用もふえているというふうに思われるわけであります。
 そこで、都営住宅の建てかえに伴って、積極的に生み出されている用地について、これまで取り組まれてきた活用の基本的な考え方、そして、最近五年間のまちづくりへの活用の実績について、まずお伺いさせていただきます。

○五嶋再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務 都営住宅の建てかえに当たりましては、敷地の有効利用により創出した用地を活用して、道路、公園の整備や緑の充実、福祉施設の整備、防災性の向上など、地域のまちづくり等に寄与してまいりました。
 創出用地などを活用した最近五年間の具体的な取り組みといたしましては、公園や道路整備が六十九カ所、子育て支援施設や高齢者福祉施設等の福祉施設整備が三十一カ所ございます。
 また、中小河川の調整池や雨水貯留施設、防火水槽、防災資器材倉庫の整備など、地域における安全・安心のまちづくりにも貢献しております。
 さらに、民活事業によりまして、長寿命環境配慮型住宅、子育て世帯向け住宅などの整備や、木造住宅密集地域の整備改善に活用しております。

○高木委員 それぞれの地域が抱えるさまざまなまちづくりの課題解決や、あるいは都の政策実現のために、積極的に創出用地などを活用しているというご答弁でありました。こうした取り組みを一つ一つ着実に積み重ねていくことが、東京を世界で一番の都市に近づけていく上で、私は非常に重要なことだというふうに思うわけであります。
 さて、お話のあった都営住宅の建てかえによるさまざまな取り組みというのは、いい方からすると、まちをリニューアルする都市再生というふうにいえると思うんですが、その都市再生は一朝一夕でできることではないわけであります。そして、再生への取り組みの効果ということを考えていく、つまり、どうしたらより有効に、より効果的にということを考えていく必要があるんだろうなというふうに思います。
 そうした観点からは、都内には戸数が一千戸を超えるような大規模な都営団地が各地に存在しておりまして、こうした大規模団地の建てかえで創出されるヘクタール単位の用地を効果的にまちづくりに活用していくべきである、このことがより都民に、東京都がそういうまちづくりに貢献しているというイメージを持っていただく上で、大事だと思います。
 例えば、私の地元北区にある都営桐ヶ丘団地は、総戸数五千戸の区部最大の団地の一つでありますけれども、ここも建てかえが進んでまいりまして、いよいよ最終の六期計画が実現をされますと、広大な用地が創出をされると思います。
 この区部の大規模都営住宅団地におけるまとまった規模の創出用地の活用について、考え方をお伺いしたいと思います。

○五嶋再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務 大規模都営住宅団地の建てかえで創出するまとまった規模の用地は、都民の貴重な財産でございまして、民間事業者の創意工夫も引き出しながら、まちづくりに活用し、文化、流行発信拠点の形成、駅前拠点の整備など、都の政策目的の実現や地域の課題解決に活用することが重要でございます。
 お話の桐ヶ丘団地は、平成八年度から建てかえに着手しており、平成二十六年度までに二千六十五戸の建てかえが完了しております。
 今後、創出する用地につきましては、交通利便性の高い立地を生かして、商業、医療、福祉等の生活機能の効果的な集積を図ることで、交流やにぎわいのある、誰もが暮らしやすい生活の中心地を形成してまいります。

○高木委員 非常に期待の持てるご答弁だったなと思います。
 桐ヶ丘団地におけるまとまった用地については、商業、医療、福祉など生活利便施設を誘導し、地域生活の拠点としていくことが確認できましたので、ぜひそれを期待しているわけであります。今後、ますます高齢化が進行していく東京において、まちづくりの一つのモデルケースになるんではないかなと私は思っております。
 さらに、必ずしも大規模団地におけるまとまった広さの創出用地だけでなくて、中小規模の都営住宅団地が多く集まる地区であれば、連鎖的に建てかえを進めていくことで次々と用地を生み出して、効果的にまちづくりを進めていくことも可能ではないのかというふうに思います。一方では大規模のものがあり、ある一方ではそうした連鎖的に何かをやっていくということもあって、まちづくりに対して有効な都の施策ができるんだろうという意味で申し上げるわけであります。
 具体例を一つ挙げますと、私の地元の北区の十条台周辺というところは、平成二十六年度に第二期の建てかえ工事が始まった都営王子本町三丁目アパートというのがあるんですが、その周辺に、王子あるいは王子母子アパート、中十条アパート、上十条アパートなどの--百から数百戸程度の小中規模というのかな、都営団地が集中をしている地区があります。これらの団地は、いずれも昭和三十年代から四十年代にかけて建設をされました、もう今となっては古い、老朽化というと失礼なんですけど、古い住宅なんですね。連鎖的に建てかえ事業を継続させていくことによって、まちづくりに貢献をしていくという視点が、申し上げたように必要なのではないかというふうに思うわけであります。
 そこで、比較的小規模な団地が多く集まっている地域においても、都営住宅の連鎖的な建てかえによるまちづくりへの貢献について、都の所見をお伺いしたいと思います。

○五嶋再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務 北区の十条台周辺地区など、比較的小規模な都営住宅団地が集積する地域では、個々の団地での建てかえのみでなく、複数団地で連鎖的に建てかえ、集約を進め、順次創出する用地を活用しながら、まちづくりの課題にきめ細かく対応していくことが重要でございます。
 具体的には、創出した用地を緑のネットワーク形成などに活用し、良好な居住環境の実現を図るとともに、まちづくりの種地とすることで、都市基盤整備を促進すること等も検討してまいります。
 今後も小規模な団地も含め、都営住宅の建てかえを計画的に進め、地域のポテンシャルを高める取り組みに貢献してまいります。

○高木委員 東京都として、連鎖的に建てかえを進めていく中で、順次用地を創出して、地域のまちづくりに効果的に貢献していくという考え方であることが確認できました。
 十条台周辺地区というのは、JR十条駅付近の埼京線を連続立体交差化し、渋滞のない利便性の高い駅周辺整備を実現させることが、地域住民の悲願であるわけであります。
 このことについては、先日、北区議会自由民主党議員団から東京都知事宛てに、都営住宅建てかえ創出用地を事業に協力する世帯への代替地として活用することで、事業推進に協力を願いたいとする要望書が提出されたわけであります。
 十条地区というのは、今、大変ダイナミックにまちづくりが動いております。埼京線の立体化だけではなくて、駅前広場の再開発、そして木密特区、それから都市計画道路特定整備路線七三号線、そして、立体化に伴う交差をしている道路の八五号線の整備、さらにいえば、十条地区全体で、今、まちづくり協議会ができてそれが動いているという、こういう地域が非常にダイナミックに、まちづくりが動いているわけです。こうしたダイナミックなまちづくりを動かす上で、今申し上げたように、まとまった規模の代替地を用意するということは、大変大きな推進力を与えることになるということだと思うんです。
 都営住宅の建てかえ事業と創出用地のまちづくりへの活用に、引き続き積極的に取り組んで、東京を世界で一番の都市にしていくために着実に歩みを進めていただきたいと、こう思うわけであります。
 これは実は今、一つの私の地元の事例を出したんですが、こういう事例というのは、東京全体でいえば、まだ数限りなく多分出てくるんだろうと思います。そして、これからまちづくりが進んでいく中で、当然進んでいけばいくほど、ここに土地が必要だよね、あるいはこういうまちづくりが必要だよねということが出てきますので、ぜひそういう視点で、都営住宅の創出用地というものを、東京を世界で一番の都市にしていく、そのためにどう活用ができるのか、この視点をぜひ忘れないでいただいて、この取り組みを進めていただきたいと、こう思うわけであります。
 続いて、都営住宅だけではなくて、決算に関して公社住宅のことについてもお伺いをさせていただきたいと思います。
 中堅所得者層向けに良質な賃貸住宅を供給してこられた公社住宅は、都民の住生活において重要な役割を果たしておりまして、これまでも都営住宅とともに都の住宅政策を支えてきたと思います。
 少子高齢化が進行し、高齢者や子育て世帯などへの支援が必要とされる中、公社住宅にも都の政策との連動性が強く求められていると思います。
 都の長期ビジョンで掲げた、二〇二四年度末までに福祉インフラ整備のための候補地を三十ヘクタール以上提供するという目標の中には、都営住宅だけではなくて、公社住宅もこれは含まれているというふうに聞いております。
 そこでまず、平成二十六年度における公社の用地創出の取り組み状況について、お伺いいたします。

○桜井住宅政策推進部長 都は平成二十六年度に、都営住宅や公社住宅の建てかえによる創出用地の活用などを定めた、福祉インフラ整備のための土地活用方策を取りまとめました。これを受け公社は、中野区広町住宅、板橋区向原住宅、文京区茗荷谷住宅の三カ所で用地を創出し、福祉インフラ整備のために提供することといたしました。
 平成二十七年三月には、中野区の弥生町にある公社広町住宅の建てかえに伴いまして創出した用地を活用し、特別養護老人ホームなどを整備運営する事業者を募集したところであり、現在、事業者の選定準備を進めております。
 都は、公社住宅の建てかえにより創出した用地を活用する事業が円滑に進むよう、地元自治体との調整をともに行うなど、公社の取り組みを積極的に支援してまいります。

○高木委員 都営住宅の建てかえのところでも申し上げたように、創出用地の活用が進むことは大変心強い限りだと思っています。公社において、引き続き取り組みを加速させていただきたいと思うわけであります。
 次に、公社住宅における建てかえやストックの活用についてもお伺いをさせていただきたいと思います。
 戦後復興期や高度経済成長時の深刻な住宅不足を解消するために、当時、多くの公社住宅が建設されまして、その数は、公社住宅約七万戸の半数以上を占めていると聞いています。これはいいかえますと、半数を超える公社住宅が築四十年以上経過しているということでございまして、これらの住宅については、積極的な建てかえをお願いしたいというふうに思うわけであります。
 一方で、建てかえ着手までには長期間を要する住宅、あるいは、さまざまな制約によって建てかえが困難な住宅があるということも聞いております。
 そこで私は、建てかえと同様に重要と考えるのは、建てかえに着手するまでの相当期間が見込まれる住宅を、適切に維持、修繕していくストックの有効活用という視点であります。
 公社住宅を引き続き都民の貴重な公的資産として、その価値を維持していくためには、建てかえはもちろん大事なんですが、それだけではなくて、耐震性を有している一定の住戸面積を有する住宅ストックを適切に維持管理しながら、有効に活用していくことも肝要であるというふうに思うわけであります。
 そこで、平成二十六年度における建てかえの実績と住宅ストックの有効活用の取り組みについて、都の見解をお伺いしたいと思います。

○桜井住宅政策推進部長 公社では、老朽化した住宅の安全性や居住水準を確保するため、平成二十六年一月に改定した再編整備計画に基づき、現在、昭和三十四年度以前に建設した住宅を対象として建てかえに取り組んでおりまして、平成二十六年度には四百八十一戸の建てかえが竣工し、管理を開始いたしました。
 また、建てかえによらずストックとしての有効活用が必要な住宅につきましては、建物の耐震性を確保しつつ、計画修繕などを適切に行っております。平成二十六年度には、公社住宅の耐震化率は九五・一%となり、計画修繕を延べ二百二十八団地で実施いたしました。
 都としても、こうした取り組みを通じ、将来にわたり公社住宅ストックが有効、適切に活用されることが重要と考えておりまして、公社に対して適切に働きかけてまいります。

○高木委員 計画的な建てかえ、そしてストックの活用を、今後ともぜひ推進をしていただきたいと思います。
 さて、都内の世帯数に対する全住宅ストックが量的に充足をしつつある今日にあっても、高齢者や子育て世帯などのニーズに応えていくことを初めとして、地域の防災力向上や環境負荷の低減など、都の喫緊の課題と住宅政策が密接に結びついております。
 民間と公社の立場を比べれば、こうした都政の喫緊の課題に対して、より柔軟かつ的確に対応できるのは公社住宅であることは、これは論をまたないと思います。そういうわけで、これからも公社の積極的な取り組みに大いに期待をしたいと思っています。
 そこで、公社には、住宅政策の重要なパートナーとして、都政が抱えるさまざまな課題解決に向け、一層積極的に取り組んでいただきたいと考えますが、都の見解をお伺いしたいと思います。

○桜井住宅政策推進部長 公社は、公社住宅の再編整備を通じ、地元自治体の意向も踏まえ、公園や歩道状空地の整備のほか、災害時の一時避難場所となるオープンスペースの確保など、地域のまちづくりに寄与する取り組みを行っております。
 また、地域の医療、介護を担う施設を併設したサービスつき高齢者向け住宅や保育園を整備することなどにより、少子高齢社会、人口減少社会への対応も行っております。
 都といたしましては、公社が地域の活力向上につながる取り組みや、都政が抱えるさまざまな課題解決において重要な役割を果たせるよう、積極的に働きかけてまいります。

○高木委員 都政の一翼を担うといわれている監理団体である住宅供給公社の役割は、ただいま私が申し上げて、そしてご答弁もいただいたとおり、極めて重要であろうと思います。これからも公社には、公的住宅事業者としての役割を十分果たしていくことを通じて、都政の課題解決に寄与することを、改めて申し上げますが期待をするものであります。
 政策というものは、企画立案だけで終わるものではなくて、着実な実施を伴ってこそ実のあるものとなります。そこでは、第一線における対応が、あるいは対応力といったらいいのかな、重要であろうと思っておりまして、政策の成果は、まさに皆さん、現場の努力に左右されるといっても過言ではないと思っています。
 都の強みは、前々からいわれているように、現場を持っていることといわれていますが、現場では、さまざまなニーズや要望に接する機会も多いと思います。そうした声を丁寧に取り上げながら、政策をより実効性のあるものにしていってほしいと思います。それこそが現場を預かる組織としての強み--これは国との比較で、かつて石原知事がよくいっていましたけど、現場を持っている、その強みであり、今後とも長年にわたり培われたノウハウを駆使して、その創意工夫を重ねながら、都の施策を推進することを要望いたしておきたいと思います。
 いずれにいたしましても、都営住宅も公社住宅も、これは東京の、あるいは東京都政の財産でありまして、これをこれから新しい時代に向けてどう活用し、また、政策を展開をしていくのか。このことは、再三申し上げますが、私たちが目指す世界で一番の都市東京をつくる上で、重要な視点だということをぜひ皆さんにご理解いただいて、質問を終わりたいと思います。
 どうぞよろしくお願いします。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時八分休憩

   午後三時二十五分開議

○曽根委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 これより港湾局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い幹部職員の交代がありましたので、港湾局長から紹介があります。

○武市港湾局長 去る十月十六日付で当局の幹部職員に異動がありましたので、ご紹介させていただきます。
 調整担当部長の矢部信栄でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者挨拶〕

○曽根委員長 紹介は終わりました。

○曽根委員長 決算の審査を行います。
 平成二十六年度東京都一般会計決算中、港湾局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○浜総務部長 十月九日開催の当分科会でご要求のございました資料をご説明申し上げます。
 お手元の平成二十六年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらん願います。ご要求のございました資料は、表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり四項目でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。東京港における耐震強化岸壁の整備状況でございます。
 緊急物資輸送に区分しております岸壁は、(注3)に記載しましたとおり、大規模地震の発生時において、物資の緊急輸送や住民の緊急避難等を行うための施設でございます。また、幹線貨物輸送に区分しております岸壁は、(注4)に記載しましたとおり、大規模地震の発生時においても、経済活動を支える物流機能を維持するための施設でございます。これら二つの区分に分けまして、おのおのの全体計画、整備状況を示したものでございます。
 二ページをお開き願います。港湾整備費におけるふ頭等の新規整備の事業費でございます。
 平成二十二年度から二十六年度までの五年間の港湾整備費について、ふ頭の新規整備分と道路等の新規整備分、その他に区分し、百万円単位で示してございます。
 三ページをお開き願います。島しょ等港湾整備費における翌年度繰越額及び不用額の推移でございます。
 平成二十二年度から二十六年度までの五年間の予算現額、支出済額と予算現額に占める割合、翌年度繰越額及び不用額につきまして、百万円単位で記載してございます。
 四ページをお開き願います。使用料及び手数料の推移でございます。
 平成二十二年度から二十六年度までの五年間の使用料、手数料につきまして、百万円単位で記載してございます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○曽根委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 それでは、私から、舟運の活性化についてお尋ねいたします。
 世界的に見て、大都市と呼ばれるロンドンやパリ、そして東京もそうですが、そうした大都市は多くが河川に面しております。それは、今日のように鉄道、自動車がなかった時代、内陸部への大量の輸送物資には、河川舟運が利用されてきたからといわれております。
 我が国においても、特に江戸に幕府が置かれてからは、年貢米などの徴税制度の確立とともに、盛んに舟運が利用されてまいりました。
 特に、徳川幕府は、江戸への物資の輸送を確実にするため、荒川の氾濫や水害に備えるため、河川工事を積極的に行わせ、現在の江戸川の開削につながってきているわけでございます。当時の江戸は人口約百万人都市といわれておりましたから、一人が一年に一・五石、一石が二・五俵といわれていますから、四十万俵を、秋の刈り入れの本当に数カ月間、江戸へ輸送する必要があったわけです。
 ちなみに、これを馬でやりますと二十万頭、そして、大八車では六万七千台必要といわれている中で、和船といわれる百五十俵積載船で約二千七百船、一船が現在の十トントラックに匹敵するといわれておりますけれども、この舟運の活用というものが本当に重要であったわけです。
 このように、物資の内陸部への大量の輸送が可能になり、さらに交通のにぎわいが活発になり、大都市が生まれ発展し、そしてそれが人々の生活を豊かにし、文化やまち並み、景観が大きく変化してまいりました。
 特に江戸時代には、本格的に隅田川で船遊びが行われるようにもなってまいりました。諸大名が船に屋根をつけて、遊女を伴って酒を酌み交わしつつ、涼をとったのが始まりといわれておりますが、特に三代将軍家光の時代に入りますと、船も豪華さを競うようになり、盛んに行われたといわれております。
 しかし、一六五七年の明暦の大火が起こるのですが、そのとき一時は下火になりますが、再び、明暦の大火後に両国橋がかけられると、一段と盛んに行われるようになったといわれております。特に、豪商や諸大名が自前で遊覧するようになり、一般の民衆も、屋形船と称される粋な小船を浮かべて遊覧されるようになり、さらに盛んに行われるようになりました。
 そして、だんだんと豪奢になり、暑い夏は、大名たちのぜいたくは隅田川にとどめを刺すといわれるほどになり、そのころ花火も打ち上げられるようになってきたといわれております。このことは、歌川広重の江戸名所両国花火の図にも描かれております。この花火は、八代将軍吉宗のとき--一七三三年ごろに当たりますが、享保の大飢饉で亡くなられた方々の慰霊と悪病退散を祈願し、五月二十八日に水神祭が行われ、盛んに花火が打ち上げられるようになり、それが今日の隅田川の花火大会へつながっていくわけであります。
 我が国はこのように周りを海に囲まれている島国であることから、昔から、特に水辺に親しんで生活してまいりました。そして、船づくりは早くから行われてまいりました。屋形船もルーツは平安時代までさかのぼり、桜や紅葉をめでたり、漢詩や和歌を詠んだり、楽器を奏でたり、貴族の日ごろの教養を披露する、典雅に過ごす場として親しまれてまいりました。このように、今までの発展の豊かさは舟運とともにあったといっても過言ではないと私は思っております。
 しかし、戦後の我が国は、傾斜経済による産業の発展のみを追い求め、東京港は主要貿易港として発展してまいりましたが、自然環境の破壊により、多様な豊かさを創出するきれいな海、そして美しい水辺の空間は、大きく損なわれてしまったわけであります。
 私たち都議会自民党は、東京を世界で一番の都市にしていくためには、こうした水辺空間の再整備、そして東京のきれいな水を取り戻すことが、何よりも大事であるというふうに考えております。そして、子供たち世代へ世界に誇れる東京を継承していくことが、何より大切であると思っております。
 そして、特に二〇二〇年オリンピック・パラリンピック競技大会を通し、観戦する多くの観光客が国内外から来訪されることが見込まれるそうした機に、少しでも舟運の活性化を図っていくことが、今まさに求められているものと思っております。
 特に臨海部には、都市と海が隣接し、高層ビル群やレインボーブリッジなどダイナミックで洗練された景観が広がっておりまして、重要な観光資源となり得るポテンシャルが現在ございます。こうしたものを水上から眺望することができる舟運は、訪れる人々を魅了する新たな観光手段として非常に有効であります。
 こうした整備を通じて、新たな成長戦略の核として、環境産業として、そしてさらに東京の魅力を高めていくことが求められる中で、この契機を確実に生かし、東京の臨海部が持つ魅力をより一層高め、発信することが何より重要であると考えております。
 そこで、ここから本日の質疑に入っていくわけでございますが、さきの第三回定例会において、我が党は、水の都東京の魅力を高めるためには、舟運の活性化をもっともっと進めるべきと提言してまいりました。
 しかし、舟運の水上ルートとなる運河の一部は、夏場になると水質が悪化し、ともするとにおいが発生する場合が現在もあります。
 舟運の活性化のためには、まずこうした水環境の改善が重要であると思っておりますが、都の取り組みについてをお伺いいたします。

○小野港湾整備部長 東京港は、外海との海水の交換が行われにくい閉鎖的な水域であり、特に内側に位置する運河は、水質悪化や臭気の原因となる汚泥が堆積しやすい環境にございます。
 このため都は、昭和四十七年度から東京地域公害防止計画に基づき、汚泥を取り除くしゅんせつや汚泥を砂で覆い封じ込める覆砂を、砂町運河や芝浦運河など東京港の運河部全体で実施し、都民が水辺に親しめる運河の再生に向け水質改善や臭気対策を進めてまいりました。
 この結果、平成二十六年度までの四十三年間における累計で、四百四十万立方メートルのしゅんせつと十万平方メートルの覆砂を実施いたしました。こうした継続的な取り組みにより、高度経済成長期には、悪臭を放ち水生生物の生息も困難であった水質が、現在では改善され、ハゼやスズキなどが確認されるなど魚が戻れるまでになっております。

○鈴木委員 今ご答弁ありましたように、永年にわたる継続的な取り組みによって、水環境は確かに向上してきていると思っております。
 こうした取り組みには、一定の経費を要するものでありますが、過去三年間における各年度の汚泥しゅんせつの事業費と土量についてをお伺いいたします。

○小野港湾整備部長 汚泥しゅんせつの過去三年間の実績は、平成二十四年度は事業費二億一千万円、土量三万二千立方メートル、二十五年度は事業費三億二千万円、土量四万六千立方メートル、そして二十六年度は事業費六億三千万円、土量一万五千立方メートルでございます。
 二十六年度につきましては、しゅんせつ土の中にダイオキシン類が含まれていることが判明したことから、無害化処理を実施したため、土量に対しまして事業費が高くなっております。

○鈴木委員 本当に汚泥しゅんせつにはお金がかかるわけです。そして特に、総体的に急峻な河川が多い東京においては、汚泥は恒常的に堆積し続けるために、継続的な取り組みが必要であります。また、今ご答弁にありましたように、ダイオキシン類が検出されたとのことでございますが、今後も安全性を確保しつつ、汚泥しゅんせつを計画的かつ継続的に取り組んでもらいたいと思います。
 舟運の活性化のためには、水環境改善に加え多様な船舶が航行できるよう、水上ルートの水深を確保していくことが大切であります。特に、私の地元の羽田空港と臨海部や都心を結ぶ水上ルートに、大田区の海老取川と海老取運河を航行する水上ルートがございますが、水深の浅い箇所があり、現状では航行できない船舶もあると聞いております。
 そこで、海老取川と海老取運河におけるしゅんせつの取り組みについてをお伺いいたします。

○小野港湾整備部長 舟運を活性化するためには、多様な船舶が航行できるよう、しゅんせつによって海底面をさらに深く掘り下げるなど、水上ルートの環境整備が必要でございます。
 委員ご指摘のとおり、海老取川、海老取運河を経由する水上ルートは、羽田空港と臨海部や都心を最短で結ぶ重要なルートでございますが、水深の浅い箇所があり、航行可能な船舶は小型のものに限られております。
 このため、今年度、海老取川と海老取運河の水深を三メートルにするよう、しゅんせつ工事を実施いたします。これにより、海老取川、海老取運河全体を通じて、水深を確保しより多くの船舶が航行可能となるようにしてまいります。

○鈴木委員 水深を三メートルに保つということは、今までみたいに定期的に一年に一度とか二年に一度とかそうした取り組みだけでなく、やはり常に三メートル、要するに水深がしっかり確保されているのかというような、そうした確認も大事になってくるんではないかなというふうに思います。
 今答弁にありましたように、羽田空港からの最短の水上ルートで、より多くの船舶の航行が可能ということになれば、舟運事業者による航路創設を促進することにもなりますし、しゅんせつ工事を着実に進めていただきたいと思います。
 また、このしゅんせつ工事により、羽田空港からさまざまな船による航路が充実すれば、国内外からの多くの観光客などにとっては、羽田空港からの観光や移動手段として、陸上ルートだけでなく、水上ルートでの選択肢がふえることにもなります。
 都では、こうした取り組みに加え舟運の活性化を進めていくため、昨年九月から竹芝小型船桟橋を、また、ことし六月からは有明桟橋をクルーズ船などの不定期航路事業者に開放する取り組みを進めていると聞いております。
 舟運事業者による多様な航路展開を促進するために、大変いい取り組みだと思いますが、そこで、竹芝小型船桟橋と有明桟橋の開放についての現在までの実績と今後の取り組みについてをお伺いいたします。

○古谷港湾経営部長 東京都では、先生ご指摘のとおり、多様な舟運事業者が利用できる桟橋をふやし、東京臨海部における新たな舟運サービスの展開を促進するため、定期航路などに利用を限定しておりました公共桟橋を、屋形船やクルーズ船などの不定期航路事業者に開放する取り組みを進めております。
 こうした取り組みによりまして、竹芝小型船桟橋における利用回数は、昨年度は九月からの七カ月間で五十八回だったものが、今年度は四月からの六カ月間で百二十八回と大幅に増加し、舟運事業者と隣接するホテルとの営業連携も始まっております。
 また、有明桟橋では、ことし六月からの四カ月間で三十二回利用されまして、ビッグサイトに隣接している立地特性を生かしたアフターコンベンションとしての舟運の活用が始まっております。それぞれ利用者に好評と聞いております。
 今後とも、水辺のにぎわい拠点など多様な水上ルートで結ばれ、舟運の観光、移動手段としての利便性が増すよう、公共桟橋の一層の活用を図っていくとともに、鉄道駅や商業施設などから近い場所へ新たな船着き場設置の検討を行いまして、舟運の活性化による東京の魅力向上に取り組んでまいります。

○鈴木委員 本日の質疑にあったとおり、舟運の活性化は一つの取り組みだけでは進まない現状がございます。舟運により水上から東京の水辺を楽しんでもらうために、まずは水環境の改善を行い、そして、東京の水辺空間の魅力向上を図る取り組みが必要であります。
 また、今後舟運サービスには、屋形船やクルーズ船のみだけでなく、水上タクシーなど多様なサービスも求められてまいります。航路の確保や公共桟橋の開放などのほか、東京を水の都として世界に発信していくためには、あらゆる面から検討を行い、既存の枠にとらわれない新たな取り組みを実施していくことが必要であります。
 さらに、港湾局での取り組みは重要でありますが、舟運の活性化には、まちのにぎわい創出や観光振興などの観点から、関係局が連携した取り組みも必要であると思います。
 本日は、東京の舟運には歴史があり、そして、世界の大都市と同じように、舟運とともにこのまちは発展してきたことを踏まえ、東京を世界で一番の都市にしていくためには、こうした歴史をしっかりと自覚して、水の都東京の魅力向上に向けて、これまでの取り組みを再確認させていただいたわけです。
 今後も、大変予算のかかる事業になりますが、舟運の活性化には積極的に取り組んでいくことを要望いたしまして、私の質疑を終わります。

○高倉委員 それでは、東京港の耐震強化岸壁の整備について質問をさせていただきたいと思います。
 先ほども委員会開会中に地震があったようでありまして、幸い大きな揺れではなかったわけであります。先月十二日には、東京湾を震源とする最大震度五弱を記録した大きな揺れがあったわけであります。
 本当に大規模地震がいつ起こるかわからない、そういう状況に私どもは常に置かれているのだと思います。一たび大規模地震が発生をしたときの都民生活への影響の甚大さということを考えますと、本当にさまざまな面で防災対策を早急に、大きく前進をさせていかなければならないというふうに思っております。
 最近、東京都は、防災ブック「東京防災」を作成いたしました。大変好評でありまして、各家庭でいろんな防災への備えといったものについての、啓発の材料になれば幸いであるというふうに私も思っております。
 その一方で、都が着実に取り組まなければならない大規模地震への備えをしっかりと進めていくことが大変重要であると思います。震災のときには、都民への物資の供給を確実に行うということ、そして、経済活動への影響を小さくしていくということは、大変重要であると思っております。
 東京は、東京港で広く海に面しているというところでありまして、災害時には陸からの物資の供給ということだけではなくて、海上からの供給といったことも大変重要になってくると思います。そうした点から、海上輸送を担う東京港における震災対策について質問させていただきたいと思います。
 東京港では、震災時の海上輸送を担う施設として、耐震強化岸壁を整備しているわけでありますけれども、まず、それを整備する意義についてお伺いしたいと思います。

○小野港湾整備部長 耐震強化岸壁とは、東京港で想定される最大の地震が発生した場合におきましても施設機能が維持される岸壁でございます。
 耐震強化岸壁を整備する意義の一つは、緊急物資輸送対応の岸壁として、被災直後の緊急物資や避難者などの海上輸送を行うことでございます。
 もう一つは、幹線貨物輸送対応の岸壁として、震災時におきましても、経済活動を支えるための必要な物流機能を維持することでございます。
 緊急物資輸送対応の岸壁は国内輸送のふ頭などで、また、幹線貨物輸送対応の岸壁は、主にコンテナふ頭で整備しております。

○高倉委員 今ご説明をいただきましたけれども、耐震強化岸壁の整備を進めるということは、大変重要な取り組みであるということだというふうに思います。
 震災のときには、緊急物資を受け入れていくとともに、経済活動の継続を支えることが大変重要であるということでありますけれども、昨年策定をした第八次改訂港湾計画では、整備の計画が拡充をされたというふうにお伺いをしております。
 そこで、この計画見直しの考え方について、見解をお伺いしたいと思います。

○小野港湾整備部長 東日本大震災を教訓として、被災後の経済活動の維持などの観点から、コンテナターミナルなどにおける岸壁の耐震性を向上させる必要が再認識されました。
 そのため、昨年策定した第八次改訂港湾計画では、東京港における全てのコンテナふ頭を幹線貨物輸送対応の耐震強化岸壁と位置づけるなど、第七次改訂港湾計画で五バースとしていた計画を二十二バースに大きく拡充いたしました。その結果、緊急物資輸送対応及び幹線貨物輸送対応を合わせた全体計画は、三十一バースから四十八バースに拡充いたしました。

○高倉委員 新たな港湾計画で、耐震強化岸壁の計画が拡充をされたということについては、大いに評価できることであるというふうに思います。今後は、その実現に向けた積極的な整備が重要であると思います。
 社会経済情勢の変化に対応した施設整備が必要な東京港では、こうした整備にあわせまして、耐震強化をしていくべきであるというふうに思うわけでありますけれども、この点についてのご見解をお伺いしたいと思います。

○小野港湾整備部長 東京港では、コンテナ貨物量の増加や船舶の大型化に対応し、港湾機能の強化をしていく必要がございます。このため、コンテナふ頭の新規整備や既存ふ頭の再編整備を推進しているところでございます。
 副委員長ご指摘のとおり、これらふ頭の整備にあわせて、岸壁の耐震強化を実施することにより、効率的、効果的に事業推進を図ってまいります。

○高倉委員 今、整備の進め方をお聞きをしたわけでありますけれども、それでは、平成二十六年度の整備内容といったことについてお伺いしたいと思います。

○小野港湾整備部長 平成二十六年度におきましても、ふ頭の整備にあわせて岸壁の耐震強化を進めており、緊急物資輸送対応として、十号地その二多目的ふ頭で岸壁工事を、品川ふ頭で設計、十三号地の新客船ふ頭では地質調査などを実施いたしました。
 また、幹線貨物輸送対応として、中央防波堤外側の新コンテナふ頭におきまして、岸壁工事や航路、泊地のしゅんせつ工事を実施いたしました。

○高倉委員 平成二十六年度の取り組み状況はわかりました。
 先ほどもお話をしましたけれども、私どもが住む首都を襲う地震というのがまさにいつ来てもおかしくない、こういった状況にあるわけでありまして、その対策はスピード感を持って早急に進めていかなければならないと思います。
 そうした点で耐震強化岸壁については、できるだけ早期に完成をさせて、災害への備えを充実させるべきと考えますけれども、今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。

○小野港湾整備部長 緊急物資輸送対応の岸壁では、二十六バースの計画のうち、現在、芝浦ふ頭など十二バースの整備を完了しております。また、品川ふ頭など六バースの整備を進めており、来年度には品川ふ頭の一バースが完了予定でございます。
 幹線貨物輸送対応の岸壁では二十二バースの計画のうち、現在、大井ふ頭など四バースの整備が完了しております。また、中央防波堤外側埋立地の二バースを整備しており、平成二十九年度には、中央防波堤外側の新コンテナふ頭一バースを供用開始する予定でございます。
 今後も、緊急輸送の円滑な受け入れや、首都圏の経済活動を迅速に回復させる役割を十分に果たせるよう、耐震強化岸壁の整備を積極的に進めてまいります。

○高倉委員 着実に新たな耐震強化岸壁の整備が進展をしているということについての今説明をいただきましたけれども、今後も、これまで以上に耐震強化岸壁の整備を強力に進めていただきまして、都民生活や経済活動をしっかりと支えられるように、東京港の防災力を向上させていっていただきたいと思います。
 このことに関連して、一つお話をさせていただきたいと思いますが、東京港において、これは国の取り組みなんですけれども、病院の機能を持った船を何とか導入を進めたいと、そのために実証実験というのを実は一昨年から行っておりまして、平成二十六年に、東京港を使って病院船の導入に向けた実証訓練というのを行ったわけであります。港湾局には大変全面的にご協力をいただいたことについては、心から感謝を申し上げたいと思います。私も当日、実証訓練の場には参加をさせていただきました。昨年の場合は、民間の船をチャーターして、そこに医療器具を積んで実証実験をしたわけであります。
 実はこの実証実験をする前に、この取り組みを一生懸命やっていらっしゃる方々、団体の方々や国会議員の皆さんと、そして私ども都議会の同僚の議員と一緒に、東京港の中をぐるりと視察をさせていただいたわけでございます。海から改めて港の様子を見るというようなことになったわけですけれども、その際に関係者の方々が、やはり岸壁の耐震化といったことに対して大変に強い関心を寄せていたわけであります。
 病院船については、もし導入がされるということになった場合に、東京で災害が起こった場合に、東京湾にその船が来るというふうに思いますけれども、岸壁に接岸をできるような状況であれば、大いに機能も発揮ができていくんではないかなというふうに思います。
 そうした意味で、私もより一層、こうした耐震強化岸壁の整備をしっかりと進めていただきたいというふうに思っておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○大西委員 私の方から、鈴木委員と、また、高倉副委員長と若干かぶるところもありますが、そこはちょっとご容赦いただきたいと思います。
 まず、運河についてなんですけど、東京港には数多くある運河沿いには、遊歩道やベンチなどが設置され、人々が海とのつながりや潤いを感じながら憩う場所となっています。運河は都市部における貴重な水辺空間であり、東京の魅力の一つとして、より親しめる環境にしていく必要があると考えます。
 一方で、私は結構、羽田空港を使うことがあるんですが、そのときはほとんどがモノレールを使います。モノレールから見ていると、真下にちょうど運河が見えます。雨の後などは、結構水が、正直いって汚れているというふうに見えるときも多いです。
 先ほど鈴木委員の方からの質問の中で、環境改善は相当進んでいる、そういう答弁もいただいておりますが、都は、運河の環境改善を図る取り組みを進めているということですが、平成二十六年度に実施した都の取り組み内容について、改めてお伺いいたします。

○小野港湾整備部長 これまで都は、運河の水環境改善を図るため、東京地域公害防止計画に基づき、汚泥しゅんせつや汚泥を砂で覆う覆砂を継続的に実施してまいりました。
 平成二十六年度については、砂町運河の汚泥しゅんせつを実施いたしたところでございます。

○大西委員 運河の環境改善のために、汚泥しゅんせつや覆砂という事業を実施しているということですが、これらの事業はどういった効果があるのか、改めて伺います。

○小野港湾整備部長 汚泥しゅんせつは、海底面に堆積した汚泥を取り除くものでありまして、覆砂は、汚泥を砂で覆い封じ込めるものでございます。これらの事業は、いずれも水質悪化や臭気を防ぐ効果がございます。

○大西委員 この事業自体の効果はわかりましたが、東京港には多くの運河があり、こうした事業を実施することによって、運河全体としての環境改善はどのぐらい図られているのか、お伺いいたします。

○小野港湾整備部長 汚泥は恒常的に堆積し続けるために、都は従来から東京の運河の環境改善に向け、継続的に事業を進めてまいりました。
 その結果、高度経済成長期の環境と比べますと、ハゼやスズキなどの魚が戻るなど、格段に改善していると認識しております。
 今後も、こうした取り組みによりまして、運河の環境改善に努めてまいります。

○大西委員 オリンピックに向けて、羽田空港がどんどんどんどん国際化になればなるほど、またモノレールを使う外国人もふえてまいります。ぜひ、上から見たときに、ああ、東京の運河はきれいだなというふうに見ていただきたく、今後も運河の環境改善へ向けた取り組みをしっかり進めていただきたいと思います。
 次に、新海面処分場について伺います。
 都民の生活や経済活動に伴い、一般廃棄物、産業廃棄物のほか、建設発生土やしゅんせつ土などの廃棄物等が発生しています。
 廃棄物等を適正に処理していくためには、これを受け入れる処分場を確保していくことが極めて重要だと思います。
 この新海面処分場はいつごろ満杯になるのか、お伺いいたします。

○小野港湾整備部長 新海面処分場の残余期間につきましては、今後の経済状況や新たな技術の進展など、将来における埋立処分の総量が捉えにくいことから、正確な推計は困難でございます。しかしながら、現在の埋立処分量から単純に類推いたしますと、五十年以上は使用可能と考えております。

○大西委員 新海面処分場は、東京港内の最後の処分場であることから、できるだけ長く使えるようにする必要があると思います。
 そこで、新海面処分場の延命化対策について具体的に伺います。

○小野港湾整備部長 新海面処分場の延命化対策につきましては、深掘りと沈下促進を実施しております。
 深掘りは、処分場内の海底面を掘り下げる工法でございまして、沈下促進は、処分場内の地盤に含まれます水分を真空ポンプで吸い出すことにより、地盤を強制的に沈下させる工法でございます。
 これらを積極的に進め、処分場の容量を増大させ、可能な限り処分場として長期的使用できるように努めてまいります。

○大西委員 では、この延命化対策によって処分場の容量がどの程度ふえたのか、伺います。

○小野港湾整備部長 深掘りについては、平成十一年度に開始し、平成二十六年度末までに約五百三十万立方メートルの容量を増大させました。また、沈下促進につきましては、平成十七年度に開始し、二十六年度末までに約二百万立方メートルの容量を増大させております。
 こうした取り組みにより、約七百三十万立方メートルの容量を新たに確保いたしました。これは、現在の一年間の埋立処分量に対し、約四年分に相当する量となっております。

○大西委員 約四年分の埋立処分量に相当するということ、容量増大の効果は本当に極めて高いものだと思います。今後も、積極的に延命化対策を講じ、新海面処分場を有効に活用していただきたいと思います。
 最後に、水門等の海岸保全施設についてお伺いいたします。
 先月の関東・東北豪雨の際には、私の地元足立区にある中川と綾瀬川においても、そしてまた、上流部の埼玉県内の水位観測所で氾濫危険水域を超え、避難勧告が発令されるほとんど一歩手前でございました。特にテレビでも、中川、綾瀬川氾濫かというテロップが流れるほどで、区長である近藤さんも避難勧告を出すか出さないかというところまでなっていたと聞いております。この水害は河川でありましたが、対策を万全にしておく必要があると改めて認識をしたところです。
 水害は、内陸部の豪雨被害に限らず、地震に伴う津波や高潮などによっても発生するおそれがあります。特に、東京を水害から第一線で守る水門や防潮堤は極めて重要であり、大規模地震にも耐え得るものとしていく必要がございます。
 そこで、平成二十六年に実施した東京港の水門、防潮堤の耐震対策について、改めて伺います。

○小野港湾整備部長 都は、東京港海岸保全施設整備計画に基づき、平成二十四年度から水門、防潮堤の耐震対策を推進しております。
 平成二十六年度につきましては、天王洲水門などの耐震補強工事に着手するなど、整備対象十三水門のうち、これまで五水門の工事に着手しております。また、防潮堤については、平成二十六年度に、江東区東雲一丁目地区等で耐震補強工事が完了するなど、計画延長約十七キロのうち、これまで約四キロが完成しております。
 今後とも、本整備計画に基づき、水門、防潮堤の耐震対策を着実に進めてまいります。

○大西委員 水門、防潮堤の耐震の対策は進んでいるとのことでございます。
 今後も、東京の低地帯、特に東部地域は非常に低いところが多うございます。これを守る水門、防潮堤の耐震対策を着実に進めていただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございます。

○小松委員 私からも、東京港沿岸部の地震、津波、高潮対策について幾つか伺いたいと思います。
 先般、九月の関東・東北豪雨により鬼怒川が氾濫し、特に茨城県常総市では、約一万一千戸が浸水するという大規模な浸水被害が発生いたしました。亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈りするとともに、そのご家族や被災された方々への心からのお見舞いを申し上げる次第でございます。
 このように、災害はいつどこで発生しても不思議ではございません。このため、事前の備えを十分に備えておくということが極めて重要であります。特に、広範囲にわたり低地帯を抱える東京の沿岸部における水害対策は、着実にその対策を進めていくべきと考えます。
 そこで、今回は、東京港沿岸部における地震、津波、高潮対策について質問、幾つかするわけでございます。
 東京沿岸部の低地帯には、ご承知のとおり、多くの都民の方が生活をするとともに、首都としての中枢機能や業務、商業等の都市機能が、極めて高度に集積されております。こうした地域が万が一にも浸水をしてしまいますと、都民の生命が危機にさらされるとともに、避難生活の長期化など、都民に与える損害ははかり知れません。加えて、日本国内のみならず、世界規模での経済活動に多大な影響を与えかねないとも懸念されるわけであります。
 このため、都では、最大級の台風による高潮への対策を進めてきたわけでありますが、東日本大震災を契機に、平成二十四年に新たな整備計画を策定し、耐震対策にも取り組んでいると聞いております。いつ起こるかわからない災害に対する備えを万全なものとするためにも、この計画を着実に進めていくことが極めて重要であると考えます。
 そこで、先ほど、東京港の水門、防潮堤の耐震対策についてもお話がございましたが、私からは、東京港沿岸部の地震、津波、高潮対策全般について、この平成二十六年度の主な取り組みを伺いたいと思います。

○小野港湾整備部長 平成二十六年度における主な取り組みについてでございますが、東日本大震災後に策定した東京港海岸保全施設整備計画に基づき、まず防潮堤につきましては、江東区東雲一丁目地区等で耐震補強工事が完了するなど、計画延長である約十七キロのうち、これまで約四キロが完成をいたしたところでございます。
 水門につきましても、天王洲水門の耐震補強工事に着手するなど、整備対象である十三水門のうち、これまで五水門の工事に着手しております。
 また、平成二十六年度は、新砂水門や辰巳排水機場において、約四十年ぶりとなる大規模施設の再整備に係る実施設計に着手いたしました。
 さらに、水門を遠隔操作する高潮対策センターについては、バックアップ機能を有する第二高潮対策センターの工事が平成二十六年度末に完了し、本年四月から高潮対策センターの二拠点化体制をスタートさせるなど、東京港の防災力を一層強化しております。

○小松委員 ただいまの答弁からも、防潮堤や水門の整備などを着実に進めているということがわかったわけであります。
 また、私自身も、今週の月曜日、十九日に、同僚の議員とともに視察をさせていただきましたが、第二高潮対策センターは、バックアップ機能を初め、高い耐震性の確保や耐震天井の採用、監視操作室の柱をなくして監視モニターを見えやすくするなど、発災時における最悪の事態を想定した万全の体制をしいていることも確認をさせていただきました。
 さて、先ほどの答弁で、新砂水門の設計に着手したとのことでございましたが、この四十年ぶりとなる新砂水門の整備内容について、もう少し詳しく伺いたいと思います。

○小野港湾整備部長 江東区内にある新砂水門は、整備後約四十年が経過しているため、老朽化に対応するとともに、航行する船舶の多い水門であることなどを踏まえ、機能向上を図る観点から整備するものでございます。
 具体的には、水門のトラブル発生時や修復時に船舶が円滑に航行できるよう、既設水門とは別の位置に二門方式で新たに整備いたします。
 また、水門操作の確実性や船舶航行の安全性、維持管理を含めたコストに加え、背後にあるマリーナに出入りするマスト高の高いヨット等への対応の観点から、観音開き方式の一つでありますラジアルセクターゲート式を採用いたしました。
 本事業は、本年九月から準備工事に着手したところであり、平成三十一年度に完了する予定でございます。

○小松委員 先ほど、新砂水門のほか辰巳排水機場の整備についても、平成二十六年度において実施設計に着手をされたとお話がございましたが、この辰巳排水機場の整備内容についても伺いたいと思います。

○小野港湾整備部長 江東地区には、砂町排水機場と辰巳排水機場とがあり、それぞれが整備後約五十年が経過しております。このため本整備は、老朽化対応と耐震強化を行うとともに、辰巳への集約による効率化と機能向上を図るものでございます。
 具体的には、砂町排水機場を廃止して、辰巳排水機場を江東地区全体を担う排水機場として再整備いたします。この整備によりまして、五十年に一度の降雨から百年に一度の降雨に対応するよう強化し、背後地の安全性をより高めてまいります。
 本事業は今月から着手しており、平成三十一年度に完成する予定でございます。

○小松委員 大規模施設である新砂水門や辰巳排水機場の再整備に着手しているということがわかりました。ぜひこの重要な施設の再整備を着実に進めていただきたいと思います。
 最後になりますが、東京の沿岸部には、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの競技会場が多数計画されております。二〇二〇年に向け、また、そのさらなる先も見据え、安全・安心な都市づくりを行っていく必要があると考えます。そのためには、東京港沿岸部の地震、津波、高潮対策を今まで以上に重点的に推進していくことが不可欠と考えます。
 そこで、今後の地震、津波、高潮対策の推進に向けた局長の決意を伺いたいと思います。

○武市港湾局長 江戸時代からの埋め立てにより形成、開発された東京の沿岸部は、広範囲に地盤の低い地域が広がっておりまして、過去、幾多の水害に見舞われてまいりました。
 現在は、水門や防潮堤などにより守られておりますが、万が一、こうした施設が損壊した場合、浸水の危険性のある地域で生活しているおよそ三百万人の方々が危険にさらされるとともに、国内外の経済に大きな損失をもたらすおそれがございます。
 先般の鬼怒川氾濫の被害の甚大さを見まして、私も改めて、首都東京を確実に防護し、決して浸水させてはならないと痛感したところでございます。
 そのためにも、東京港海岸保全施設整備計画に掲上した対策を着実に進めてまいります。とりわけ東京港沿岸部の第一線を守る水門、防潮堤の整備につきましては、オリンピック・パラリンピックまでに必ず完成させてまいります。
 東京港の地震、津波、高潮対策は、都市の安全・安心の礎となる極めて重要な基盤整備であります。港湾局一丸となって対策を進め、世界一安全・安心な都市を実現させてまいります。

○小松委員 東京沿岸部においては、いわゆるゼロメートル地帯などの低地帯が広がっております。鬼怒川堤防の決壊に伴う水害の状況を見ますと、東京沿岸部においては、海岸保全施設の決壊は決してあってはならないものと強く感じたところでございます。
 五年を切りました二〇二〇年には東京オリンピック・パラリンピックが開催され、国内外から多くの方々が東京にお越しになります。こうした東京を訪れる方に対しても、安全で安心できる環境を提供することも重要なことでございます。東京港の沿岸部を第一線で守る防潮堤、水門の耐震対策については、東京オリンピック・パラリンピックまでに完成させるとの局長からの力強い答弁を聞いて、安心をしたところでございます。
 もちろん、オリンピック・パラリンピックがゴールではございません。これを契機に東京沿岸部の防災力を強化していくことが何よりも重要なことと考えます。今後も海岸保全施設の整備を着実に進め、災害に強い安全な東京の実現に努めていただきたいと思います。
 質問を終わります。

○中山委員 私からは、港湾施設の危機管理体制の確立について伺います。
 平成十三年九月十一日に発生したアメリカにおける同時多発テロ以降、港湾がテロ行為の対象、またはその経由地となり得るとの危機感が世界に高まっております。イスラム国のテロ行為にも、大変危機感が強まる状況にあることはいうまでもありません。海外では、船舶や海上コンテナを利用した不正薬物の密輸が後を絶たず、また、密入国事件も発生する可能性があり、密輸品や密入者による犯罪など、今後、都民にとって不安を与える可能性もあるわけであります。
 さらに、テロ行為等により東京港の機能が麻痺した場合、背後圏の経済に与える影響ははかり知れないものがあります。
 そこで、一言で危機管理体制といっても、さまざまな要素があると考えますが、現在、危機管理体制をどのような主眼で取り組まれておられるのか、伺いたいと思います。

○古谷港湾経営部長 港湾は、海を通じて世界のさまざまな国々と結ばれ、人や物を輸送する重要な拠点となっているため、外国からの不審者や不審物の流入を水際で防ぐことが極めて重要となっております。
 このため、東京港では、国際ふ頭施設における制限区域の監視や出入り管理の徹底を図るとともに、関係行政機関やふ頭関係者などを対象とした密輸、密入国等の防止講習会やテロ対策合同訓練などを実施しております。
 また、各国際ふ頭施設においても、三カ月に一回、情報伝達訓練等を実施するなど、日ごろから警視庁や東京海上保安部、東京税関などの関係機関との情報交換や連携を密にし、保安対策に積極的に取り組んでおります。

○中山委員 今ご答弁をいただきましたけれども、港湾におけるテロ対策が喫緊の課題になっており、国際テロを初めとする国際組織犯罪を未然に防止し、これに適切に対処することが求められているということの認識が明らかになりました。
 事業概要などを拝察する限りにおいては、東京湾保安対策協議会において、密輸、密入国等の犯罪に強い港づくりを目指し、鋭意取り組んでおられることがうかがえます。
 平成十六年一月には、国際テロを初めとする国際組織犯罪を水際で阻止するべく、東京港の関係行政機関や民間事業者で構成される東京港保安委員会が設置され、平成十六年六月には、この委員会の取り組みとして、東京海上保安部を初めとする関係機関が連携して、東京港テロ対策合同訓練を有明フェリーふ頭で実施し、その後、年一回のペースで東京港テロ対策合同訓練を実施していることと存じます。
 確かに、訓練は着実に実施しているものと認識しておりますが、イスラム国初めテロ組織が日本を標的にしているのではないかという状況の中で、危機管理体制の充実は待ったなしといえる状況であります。
 そこで、平成二十六年度東京港テロ対策合同訓練は、どのような目的を持って取り組まれていたのか、伺いたいと思います。

○古谷港湾経営部長 東京港テロ対策合同訓練は、テロ事案の発生時における関係機関相互の連携推進や治安機関の事案対応能力の向上を図るため、毎年実施しておるところであります。
 昨年度は、さらに二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、テロ防止対策のより一層の連携強化を図ることも目的といたしました。その内容は、関係機関の職員約百五十名の参加により、東京港に入港する外航旅客船に乗船した国際テロリストの海上からの入国を想定し、関係機関の部隊で連携しテロリストを制圧するという、臨場感あふれる実践的な訓練でございました。

○中山委員 今の答弁のとおり、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて、なお一層連携を図るとともに、大々的な合同訓練が行われていると確認ができた次第です。
 当局における危機管理体制について伺ってまいりましたが、繰り返し大変恐縮ではありますが、東京港の港湾施設がテロによる攻撃を受けた場合、広く首都圏四千万人の消費生活に多大な影響を生じることが予想されます。また、保安対策が不十分な港湾から出航した船舶は、目的地の外国港湾において入港を拒否される懸念もあり、国際的な信用も失われかねません。東京港の国際競争力を確保する観点からも、保安対策を着実に推進されるよう要望したいと思います。
 そして、東京港では、水際の第一線であるふ頭の出入管理の徹底を図るため、改正SOLAS条約に対応して、延長十二キロのフェンス、ゲートや監視カメラ、照明設備等の整備を完了いたしております。また、平成十七年四月には、東京港管理事務所に指令センターを設置し、専任監視員による二十四時間の常駐監視を行っているようであります。
 しかし、昨今の国際情勢は、ここ数年でも大きく変化しているようにも認識しておりますが、そこで、現在の監視体制はどのように行われているのか、また、改正SOLAS条約も十年以上が経過をしたわけであります。変化などあれば伺いたいと思います。

○古谷港湾経営部長 東京港におきましては、港湾の保安対策などが定められました改正SOLAS条約などに基づきまして、外航船が着岸する国際ふ頭施設において制限区域を設定いたしまして、ご指摘のとおりフェンスや監視カメラ、警備員による当該区域への侵入防止、ゲートでの出入り管理などの保安業務を適切に実施しております。
 また、昨年七月からは、港湾の保安対策のより一層の徹底を図るため、国際ふ頭施設へ立ち入る全ての者に対し、セキュリティーカードなどを使って、電子的にゲートでの出入り管理を行う手法を導入いたしまして、本人、所属、立ち入り目的の三点確認を行うこととしたところでございます。
 日本へのテロ行為の脅威が高まる中、今後とも関係機関との一層の連携を図り、港湾の保安対策を確実かつ適切に実施してまいります。

○中山委員 今、セキュリティーカードなどを使って、新たな取り組みをされているという答弁を確認できました。
 今後、サイバーテロなども、また新たな危機管理としてあるようでありますんで、万全の対応をしていただくよう要望し、次の質問に移りたいと思います。
 次に、大型クルーズ客船に対応可能なふ頭の整備について伺いたいと思います。
 大型クルーズ客船に対応可能なふ頭の整備により、大型クルーズ客船が寄港すれば、臨海副都心への国際観光やMICEの誘致活動へ寄与するとともに、大きな経済効果が見込まれます。
 東京港の背後に広がる広域道路交通網によって、多くの観光客の移動が可能であり、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック東京大会開催時期には、新客船ふ頭の供用が開始されることは大きな意義があると思います。
 ここで大変重要なのは、結果的に一番大きな課題は、客船のお客さんに東京で大いに遊んでもらうことだというふうに思います。そのためのソフト事業--できるだけ早く税関を通したり、あるいは観光バスに乗るためにどういうルートを通るのかとか、あるいは多くのバスが出庫するわけなんですけれども、渋滞対策は大丈夫なのか、そんなところが今後大切な点だろうというふうに思います。
 平成二十六年度の決算では、一億七千二百万の執行をされ、新客船ふ頭の整備が進んでいることは、前向きに受けとめておりますが、客船を誘致するためには、いわゆる箱物の整備だけではなく、ソフトの視点での取り組みも必要だと考えていますが、都はどのように取り組んでいるのか、伺いたいと思います。

○古谷港湾経営部長 東京港に多くのクルーズ客船に寄港していただくためには、利用者にとって使いやすい施設としていくことも必要であると認識しております。
 具体的には、利用者の方々が観光に必要な情報を手軽に入手できる案内機能を有するとともに、見やすいサイン表示を含めた、高齢者や障害者などさまざまな方々にも配慮した施設としてまいります。
 加えて、客船の発着時に乗客の皆様が円滑、快適に移動され、諸手続を実施できる動線を確保していくこと、セキュリティーの観点から、税関、検疫、入国管理という、いわゆるCIQスペースを十分に確保することなども必要であると考えております。
 このように、新客船ターミナルをおもてなしの心にあふれた施設としていくことで、首都の玄関口である東京港をクルーズの一大拠点へと成長させてまいります。

○中山委員 今、バリアフリーという視点、あるいはセキュリティーという視点で、今後おもてなしの施設として整備していくという答弁をいただきました。今後はハード面だけではなくて、ソフト面においても、議会へ情報提供いただきますよう要望したいと思います。
 次に、臨海の交通渋滞対策について伺いたいと思います。
 首都圏の旺盛な消費需要により、コンテナ貨物の搬出入のピーク時には、一部のターミナル周辺に交通混雑が発生しており、外部不経済を解消する抜本的な対策が求められていると認識をいたしております。
 そうしたことから、都では、東京港の抜本的な機能強化と、短期的かつ多角的な取り組みを盛り込んだ東京港総合渋滞対策を昨年度発表いたしました。東京港の抜本的な機能強化策として、中央防波堤外側Y1からY3コンテナターミナルの整備、青海、大井コンテナふ頭の再編、大井その一、その二の埋め立て、道路交通ネットワークの拡充が挙げられています。
 また、短期的かつ多角的取り組みでは、早朝ゲートオープン、車両待機場の整備、違法駐車対策、東京港のポータルサイトによる情報提供が挙げられています。
 そこで、平成二十六年度の渋滞対策の取り組み状況について伺いたいと思います。

○古谷港湾経営部長 平成二十六年度は、平成二十六年二月に策定いたしました東京港総合渋滞対策を踏まえた取り組みを推進してまいりました。
 具体的には、東京港の抜本的な機能強化を図るため、Y1、Y2の早期供用開始に向け、ガントリークレーンやコンテナヤードなどの具体的な仕様などについて、借り受け候補者と協議を進めた結果、平成二十九年内に供用を開始する賃貸借予約契約を締結したところでございます。
 また、道路上に滞留しているコンテナ車の待機列の解消を図ることを目的といたしました、コンテナ車の引き込みスペースである車両待機場の整備を進めるため、既存の青海車両待機場等に加え、大井地区の新しい車両待機場について、平成二十八年度中の供用開始に向け、その種地を造成する大井その一、その二間の埋立事業を着実に実施しております。
 加えて、ターミナルへのコンテナ引き取り車両の集中を分散させる早朝ゲートオープンの取り組みについても、関係者の協力を得て、平成二十六年度も継続して実施してきたところでございます。
 これらの取り組みによりまして、コンテナ貨物が増加している中でも、ターミナルゲートからの渋滞の長さは、一コンテナターミナル当たり平均で、平成二十六年十二月は前の年の二十五年十二月と比べて約二割強減少するなど、交通混雑は緩和に向かっております。
 今後ともこうした取り組みを重ねていくことで、東京港における交通渋滞の解消を図ってまいります。

○中山委員 今ご答弁にもありましたように、さまざまな施策を講じているということでございます。また、平成二十五年十二月調査時と平成二十六年十二月の調査時では、渋滞が短縮しているなど改善が見られるとのことであります。こうした取り組みの成果が出ているものと考えます。
 また、先ほどのクルーズ客船ふ頭などの新しい要素も加わるということですので、今後も多角的に推進をしていただくよう要望しておきたいと思います。
 最後に、東京港連絡協議会について質問したいと思います。
 港湾活動は、多岐にわたる関係者間のネットワークにより支えられていると認識しております。つまり、大規模な地震が発生した場合に、港湾被災による港湾機能が低下することによる国民生活や社会経済の影響を最小限とすべく、東京港における行政機関及び関係団体が相互に連携を図り、東京港が被災した場合の港湾機能の復旧や、他港が被災した場合の支援について、事前協議が求められております。
 都では、港湾BCPによる協働体制構築に関する東京港連絡協議会を設置し、災害発生時における各関係者の行動や相互の関係を事前に協議し、情報の共有を行っていると聞いております。
 そこで、平成二十六年度の東京港連絡協議会の成果について、所見を伺いたいと思います。

○古谷港湾経営部長 大規模地震発生時においても、東京港が広域輸送基地としての役割を着実に果たしていくため、港湾関係事業者九団体、国及び東京都をメンバーといたしました港湾BCPによる協働体制構築に関する東京港連絡協議会を設置いたしまして、東京港における首都直下地震発生時の震後行動、いわゆる港湾BCPとして取りまとめるとともに、毎年度、図上訓練を実施しております。
 平成二十六年度に協議会において実施した図上訓練では、ヤードの一部が液状化や陥没により使用できなかった場合など、より具体的な被災状況や不測の事態をも設定し、災害時における実効性の高い行動に向けた課題の抽出と共有を図ってまいりました。
 今後も引き続き訓練を実施し、万が一の際に関係者が共通認識のもと迅速に対応できるよう努めてまいります。

○中山委員 主に港湾における危機管理について質問してまいりました。テロの水際対策、そして災害のBCP対策は大変重要な課題であります。なお一層の取り組みに期待をいたしまして、質問を終わらせていただきます。

○曽根委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○曽根委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時三十三分散会

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