平成二十五年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第五号

平成二十六年十月二十日(月曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長橘  正剛君
副委員長小宮あんり君
副委員長徳留 道信君
小松 大祐君
斉藤やすひろ君
島崎 義司君
塩村あやか君
栗山 欽行君
小山くにひこ君
神野 次郎君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長梶原  洋君
次長砥出 欣典君
技監前田 秀雄君
理事宗田 友子君
総務部長山岸 徳男君
指導監査部長飯塚美紀子君
医療政策部長小林 幸男君
保健政策部長笹井 敬子君
生活福祉部長芦田 真吾君
高齢社会対策部長枦山日出男君
少子社会対策部長手島 浩二君
障害者施策推進部長高原 俊幸君
健康安全部長中谷 肇一君
企画担当部長後藤 啓志君
事業調整担当部長西村 信一君
医療改革推進担当部長矢内真理子君
医療政策担当部長西山 智之君
地域保健担当部長稲葉  薫君
生活支援担当部長松浦 慎司君
施設調整担当部長村田 由佳君
事業推進担当部長松山 祐一君
障害者医療担当部長熊谷 直樹君
食品医薬品安全担当部長仁科 彰則君
感染症危機管理担当部長上田  隆君
病院経営本部本部長醍醐 勇司君
経営企画部長中野  透君
サービス推進部長野瀬 達昭君
経営戦略担当部長高野  豪君

本日の会議に付した事件
平成二十五年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
福祉保健局関係
・平成二十五年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十五年度東京都母子福祉貸付資金会計決算(質疑)
・平成二十五年度東京都心身障害者扶養年金会計決算(質疑)
病院経営本部関係
・平成二十五年度東京都一般会計決算(質疑)

○橘委員長 ただいまから平成二十五年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局及び病院経営本部関係の決算に対する質疑を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十五年度東京都一般会計決算中、福祉保健局所管分、平成二十五年度東京都母子福祉貸付資金会計決算及び平成二十五年度東京都心身障害者扶養年金会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○山岸総務部長 過日の分科会でご要求のありました資料につきまして、お手元の平成二十五年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料にまとめてございますので、ご説明を申し上げます。
 資料は、目次にございますように全部で六項目となっております。
 それぞれ順を追ってご説明させていただきます。
 一ページをお開き願います。福祉保健費の予算及び決算の推移といたしまして、平成十六年度から二十五年度までの福祉保健費の予算現額、決算額及びそれぞれの一般会計に占める割合などについて記載してございます。
 二ページをお開き願います。福祉保健局予算・決算額の推移(一般会計)といたしまして、区分ごとに平成二十一年度から二十五年度までの福祉保健局の予算現額及び決算額を記載してございます。
 三ページをごらん願います。シルバーパス発行状況の推移といたしまして、平成二十年度から二十五年度までの費用別発行実績数、七十歳以上人口及び割合を記載してございます。
 四ページをお開き願います。平成二十五年度における福祉保健区市町村包括補助事業の補助額といたしまして、五つの包括補助事業の実施主体ごとの補助額について、五ページにかけて記載してございます。
 六ページをお開き願います。区市町村地域生活支援事業の実施状況といたしまして、平成二十五年度末時点の事業ごとの実施区市町村数を記載してございます。
 七ページをごらん願います。歯科衛生士の都内の国家試験合格者数及び区市町村別就業人数といたしまして、都内の国家試験合格者数を(1)に、区市町村別の就業人数を(2)にそれぞれ記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。

○橘委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○小宮委員 きょうは、認知症への取り組みについて、また、待機児童対策を支える保育人材の確保策について伺ってまいりたいと思います。
 認知症については、昨今、テレビなどでも取り上げていますけれども、家族も認知症と気づかないままに行方不明になったり、中には、そのままお亡くなりになっていたという方もいて、高齢者だけの問題ではありません、大変社会的な課題であると思います。
 過日、私は杉並区の高井戸にあります社会福祉法人浴風会を視察いたしております。
 約二万七千五百坪という大変広大な敷地内には、病院のほかに、三つの特養、特別養護老人ホームや、老健、介護老人保健施設、また、認知症グループホームや地域包括支援センターなど、まさに医療と介護と地域連携のための施設が集約をしているところです。平成二十四年には東京都の認知症疾患医療センターにも指定をされています。
 視察の際、認知症グループホームの専門のスタッフの方からは、これからは多くの人が長生きができて、誰でも認知症になる、そんな時代ですよ、そういう率直な話を私も伺いました。なるほどなという実感とともに、やはり認知症に対する社会への啓発も、また認知症の方を支える取り組みも、急がなければならないと実感をいたしたところです。
 また、私の近所に住む方からも、認知症のお母さんを抱えて、昼と夜とが逆転する、そんな生活を送らなければならないなど、在宅で面倒を見ることの限界を伺っています。
 認知症の人や家族が地域で暮らし続けていくためには、やはり区市町村を初め、かかりつけ医やケアマネジャー、また地域包括支援センター、そして認知症疾患医療センター等の関係者が密接に連携をして、認知症の人を早期に発見して早期に支援に結びつけていく、そうした体制を都内各地でつくっていく必要があると思います。
 東京都は、平成二十五年から認知症早期発見・早期診断推進事業を開始しています。区市町村に保健師等の認知症コーディネーターを配置し、また、東京都が指定をした認知症疾患医療センターには、医師や看護師、また精神保健福祉士などで構成される認知症アウトリーチチームを配置する、そうした取り組みを進めています。
 そこでまず、その事業の昨年度の実施状況について伺います。

○枦山高齢社会対策部長 認知症早期発見・早期診断推進事業は、昨年八月に開始し、区市町村に配置した認知症コーディネーターが認知症の人の家族等から相談を受け、訪問支援等により適切な医療、介護サービスにつなげる取り組みでございます。
 認知症コーディネーターの支援でサービスにつなげることが難しい場合は、認知症アウトリーチチームが認知症コーディネーターと一緒に認知症の疑いのある受診困難者等を訪問して、受診につながるよう支援を行っております。
 昨年度は、七カ所の認知症疾患医療センターに認知症アウトリーチチームを設置し、十三区市に認知症コーディネーターを配置しております。

○小宮委員 先ほど紹介をした浴風会の京極高宣理事長からは、この施設は来年九十周年を迎えるという大変歴史のある施設なんですが、そうした時代の節目に応じて、今までは地域の方がその施設に、あるいは病院に来るというところだったわけですけれども、今後は社会のニーズを捉えて、施設から外に出ていく、病院から外に出ていくことで、地域の医療や介護を支えたいんだという大変心強いお言葉も伺っています。
 今ご答弁にあったように、受診困難者など支援が必要な方に対して、積極的にアプローチをする、そういう取り組みはとても大切なことだと思います。
 そこで、区市町村の認知症コーディネーターと認知症疾患医療センターの認知症アウトリーチチームが具体的に行ってきた支援について、その活動実績を伺います。

○枦山高齢社会対策部長 昨年度の認知症コーディネーターの活動実績は、相談が寄せられた件数九百七十五件、そのうち認知症アウトリーチチームが関与して支援を行った高齢者は八十八人でございます。八十八人のうち、ひとり暮らしの高齢者は約五割、高齢者夫婦のみの世帯の方は約二割であり、合わせて約七割の方が高齢者のみの世帯でございました。また、介護保険の申請は約五割の方が未申請という状況でございます。
 認知症アウトリーチチームが訪問支援等関与して支援をした結果、五十人の方が認知症疾患医療センター等の医療機関を受診する必要があり、三十人の方は介護保険サービス利用に関する支援が必要という判断でございました。
 認知症コーディネーターや認知症アウトリーチチームが支援を続けた結果、ほとんどの方が医療機関の受診や介護保険等のサービスにつながっております。

○小宮委員 区市町村の認知症コーディネーターへの相談件数が九百七十五件、それに対して認知症アウトリーチチームの支援数というのは八十八人ということで、まずは最初に相手の相談の窓口となる認知症コーディネーターの方があらゆる対応をされているだけでも、既に多くの方の相談に応じられていることがうかがえます。
 また、訪問が必要な方を見きわめて、その結果、訪問者の半数がひとり暮らしの高齢者であって、その後の支援にしっかりと結びつけることができたということを考えると、やはり都心部では特にそうですが、今後急増する独居高齢者、ひとり暮らしの高齢者を支える重要な活動の一つにもなり得ると評価をするところです。
 そこで、より多くの区市町村が今後この事業に取り組む必要があると考えますが、今年度の取り組み状況について伺います。

○枦山高齢社会対策部長 今年度は、二次保健医療圏に一カ所ずつ指定しております十二カ所の認知症疾患医療センター全てに認知症アウトリーチチームを配置して、都内全域において本事業が実施可能な体制を確保いたしました。
 認知症コーディネーターについては、十月一日現在、二十七区市に配置され、活動を行っております。
 今後とも、区市町村における認知症施策を推進するため、本事業の活用を働きかけてまいります。

○小宮委員 区市町村と連携したこの事業を契機に、認知症の方の早期支援を進める取り組みというのが各地域に広がって、認知症の方やご家族が住みなれた地域で暮らしながら、医療や介護が適切に受けられる環境が広くつくり出されることを期待して、次の質問に移ります。
 本年四月の保育サービスを利用した児童の数は、昨年度から一万一千人以上増加をしました。過去最大となったわけです。これは、待機児童という都市ならではの課題に対して、東京都や区市町村、保育事業者などが官民を挙げて取り組んだ、その成果であるというふうに思います。
 しかし、残念ながらその待機児童の数も過去最大の八千六百七十二人となっています。
 第三回都議会定例会で、保育サービスの拡充をさらに加速させるべく、我が党の要望を受けて補正予算を組まれたということは、東京都のこの課題に臨む決意のあらわれと高く評価をするところです。
 さて、保育サービスの拡充に当たっては、土地や場所の確保と並んでネックとなっているのが保育人材の確保です。
 東京都はかねてから、保育人材確保の重要性を認識して、これまでもさまざまな取り組みをしてきたということを承知しています。
 昨年の予算特別委員会での私の保育人材確保策に対する質問に対しても、例えば、かつて保育所で働いていたけれども現在はその職を離れているといった、そうした人を対象に就職支援研修や相談会を実施したり、あるいは保育士の資格はあるんだけれども、実際に保育の現場では働いたことがないんだという有資格者の方々に、最新の知識や技術を習得するためのセミナーを開催するといった回答をいただいて、保育士確保に努力をしていただいていると承知いたしております。
 さらに加えて、昨年度においては、今現在働いている方、これは有資格者に限りませんけれども、今の職場で働き続けていただくための支援、あるいは現場で保育助手をしている資格のない方々に保育士資格を取得していただくための支援を実施しています。保育人材確保のためにはとても重要な取り組みであると思います。
 そこでまず、平成二十五年度から開始した、現場で保育に従事している方々への定着支援や資格取得を支援する、そうした取り組みについて実績を伺います。

○手島少子社会対策部長 保育人材を確保するため、保育士の定着支援や資格取得支援は極めて重要でございます。
 昨年度開始した定着支援の取り組みにつきましては、安心こども基金を活用した保育所への処遇改善補助の実績が九百七十四施設で二十億二千六百二十八万円、国が補助対象としていない認証保育所や定期利用保育、家庭的保育などを対象とした処遇改善補助の実績が七百六十七施設と七百六十四の家庭的保育事業者で八億三千五百九十万円となっております。
 資格取得につきましては、保育施設に勤務をしております無資格の保育従事者への資格取得支援の実績が五区一市で六十九人、保育士養成校の修学資金貸付事業の実績が二十六人となっております。

○小宮委員 保育士の定着支援のさまざまな取り組みがわかりました。
 さて、私、ことしの第二回定例会の一般質問においても取り上げましたが、昨年度実施された保育士実態調査結果がこの四月に公表されています。
 この中で、現在保育士として働いている方々の就業の継続の意向、いわゆる働き続けるか否かというところを見ると、二割もの方がやめたいと回答しています。また、そのうち六五%の方が、退職を考える理由として給料が安いことを挙げています。
 私も、地元杉並区の高円寺で認証保育所のB型を営む園長さんから、ここは認証といっても保育士十割で頑張っていらっしゃる園なんですけれども、東京は家賃も物価も高くて、保育士として自立してもらうためには給料への配慮が欠かせないんだと以前から伺っております。若くして子供も好きで意欲がある保育士でも、やはり気持ちや、やる気だけでは続かない、そういう切実な現状を伺っているところです。
 本来、保育人材の確保は国が責任を持って行うべきものです。しかし、ことし公表された公定価格の仮単価を見ると、処遇改善のための給付内容というのは十分とはいえません。しかも、それですら、あくまでも消費税収入が一〇〇%反映される平成二十九年度の姿であります。来年度実施されるかもわかりません。
 公定価格が確定するのはこれからですが、国に対して、保育人材の確保に必要な給付を速やかに行うよう強く求めていく必要があると思います。見解を伺います。

○手島少子社会対策部長 保育人材の確保、定着を図るため、処遇の改善は重要でございます。
 そのため、都はこれまでも国に対し、保育士の安定的な確保、定着のために、経験年数に応じた運営費加算だけではなく、キャリアを評価する仕組みを早急に整えるよう求めてまいりました。
 さらに、今後は、新制度施行後直ちに公定価格における処遇改善に係る給付を実施できるよう国に強く求めてまいります。
 また、都といたしましても、引き続き処遇改善補助や資格取得支援など、さまざまな取り組みを実施し、保育人材の確保、定着に取り組んでまいります。

○小宮委員 来年度から子ども・子育て支援新制度が開始されると、現在の保育に欠けるという条件から、より柔軟に保育ニーズを拾い上げる、保育を必要とするという、いわば認定制度へと変わります。
 また、現政権が推進している女性が輝く社会の実現に向けて、女性の社会進出というのがさらに進めば、保育ニーズはますます高まると考えられます。
 施設の整備、箱物をつくるだけではなくて、やはり保育サービスに欠かせないのが保育士確保の取り組みであると思います。今後も着実にそうした取り組みも進めていただく旨、強くお願いをいたしまして、質問を終わります。

○斉藤委員 私の方からは、高齢者の住まいなどにつきまして最初に質問させていただきたいと思います。
 私の住む目黒区でございますけれども、民間住宅の家賃が大変高い上に、公営住宅の供給が極端に少ない地域柄、高齢者の方が住み続けることが難しい地域と認識しております。
 こうした地域では、ただでさえ近くに住み続けることが困難な上、さらに要介護状態になってしまえば、どうしたらよいかといったご相談を数多く伺ってきております。このような声に応えるために、私は、病気で入院しても安心して退院できる体制を住みなれた地域につくらなければならないということを考えてまいりました。
 そのため、これからは、住まいをバリアフリー化したりするようなハード面というのは前からあるんですけれども、そういったバリアフリーだけではなく、医療や介護といったサービスが受けられるような高齢者の住まいを住みなれた地域に数多く創出していくこと、こういった政策が必要になると訴えてまいりました。
 こうした状況を踏まえまして、平成二十一年第四回定例会で、都議会公明党といたしまして、国の高齢者住まい法の改正を受けて、都が高齢者居住安定確保計画を早急に策定をし、高齢者が適切な生活支援サービスや医療、介護サービスを受けながら、住みなれた地域で安心して生活が続けられる住環境を整えるべきだと訴えてまいりました。
 その結果、平成二十二年九月、都は高齢者向けの賃貸住宅及び老人ホームの供給目標や目標達成のために必要な取り組みなどを内容とする高齢者の居住安定確保プランを策定いたしました。プラン策定後、国の高齢者住まい法の再改正を受けましてサービスつき高齢者向け住宅が制度化されまして、国は補助金を充てる仕組みを構築し、整備が本格化してまいりました。
 都におきましても、上位計画である福祉保健局所管の高齢者保健福祉計画と都市整備局所管の住宅マスタープランを踏まえまして、高齢者の居住安定確保プランが改定された経緯がございます。
 福祉政策を担う福祉保健局と住宅政策を担う都市整備局との連携が極めて重要になってきていると思うわけであります。
 また、舛添知事は、知事施政方針の中で、介護につきまして、地域包括ケアの考え方に基づいて、在宅での医療や介護の体制、地域での見守りなどを充実させて、あたかも地域全体が介護施設であるかのような、そういったサービスを行き渡らせると語られ、現在策定中でございますけれども、長期ビジョンでは、二〇二五年までのサービスつき高齢者向け住宅などの数値目標を二万戸以上、これは暫定でございますけれども、設定しているようでございます。
 まさに在宅か施設かといった二者択一でなく、サービスがついた住宅の供給によりまして、高齢者の住まいの選択肢をふやすことが重要だと考えております。
 これからも供給促進されるこういったサービスつき高齢者向け住宅でございますけれども、量の拡大は今流れができておりますが、同時に重要なことは、利用者側、居住者側の立場に立ったサービスの質の確保であると考えております。
 この点、福祉保健局が全国に先駆けまして、平成二十一年度より医療・介護連携型サービス付き高齢者向け住宅モデルというものをつくりまして、これを実施されている。良質な医療、介護連携型のサービスつきの高齢者向けの住宅の普及促進をいち早く図ってきたことを高く評価するものでございます。
 そこで、都が実施しております医療や介護と連携したサービスつきの高齢者向けの住宅のモデル事業につきまして、これまでの実績と成果について伺いたいと思います。

○枦山高齢社会対策部長 都は、東京都医療・介護連携型サービス付き高齢者向け住宅モデル事業を平成二十一年度から実施し、社会福祉法人と医療法人が連携した事業運営や、区市が所有する公有地を活用した整備など、特色のある住まいの整備を進めており、これまでに十七件選定し、そのうち十四件が開設しております。
 モデル事業の選定住宅では、特色のあるさまざまな取り組みが行われており、例えば、医師、歯科衛生士、生活支援員、介護職員等の多職種の連携により、居住者に関する情報を共有し、誤嚥防止等の専門的なサポートを一体的に行っているケースがございます。
 また、併設事業所の医師や看護師が、生活支援員や介護職員に対し、みとりに関する研修を実施し、職員の知識を深めた上で、みとりを行っているケースもございます。
 医療、介護、住宅の三者が効果的に連携することにより、モデル事業の選定住宅では、入居者の特性に合ったきめ細かな支援が可能となっております。

○斉藤委員 私も、今ご答弁ございましたが、モデル事業の第一号の風のガーデンひのを視察させていただきました。過日でございます。入居者の方々が安心して住んでおられるご様子を拝見いたしまして、このような住宅がこれからの目指すべき高齢者向けの住宅の姿の一つであるというふうに実感をしてまいったわけでございます。
 今後、医療や介護のサービスを必要とする高齢者の増加が見込まれる中、こうした住宅の重要性はますます高まってまいります。実際に、介護サービス事業所や診療所を併設したサービスつき高齢者向け住宅がふえてきていると聞いております。
 都では、モデル事業などによりまして、こうした住宅の整備を促進してきた結果が今出ているわけでございますが、各サービスを効果的に提供するために、住宅における医療、介護との連携の質の確保、これが重要であるとの観点から、この点、平成二十六年度、福祉保健局がガイドラインの策定を進めていると思いますけれども、今後、モデル事業を検証し、本格的に展開する仕組みを提案していきたいと思っております。
 次のテーマに移りますが、認知症でございます。
 先ほど、小宮あんり副委員長からもお話がありましたけれども、認知症の問題は大変重要な政策課題であると私どもも認識しております。
 超高齢都市東京では、今後、認知症対策が極めて重要であり、都の場合、深刻なのは、その人数、率というよりも人の数ですね、こういったものが他の自治体に比べてとても多いというのが特徴であると思いますが、絶対的に認知症施設が不足するとの予測もなされているわけでございます。
 今後は、地域での見守りや認知症の早期発見がそういう面でも重要になってくると考えます。
 都議会公明党といたしましても、高齢者対策プロジェクトチームをつくりまして、都の皆様の方に提言を随時考えておりまして、認知症問題については今後も議論を重ねて、提言ということもしていきたいと思っております。
 認知症には、早期に発見をし、診断、治療に結びつけていくことで、症状の進行をおくらせることや改善することが可能なものもございます。また、認知症を早期に発見し、早期に支援を受けることで、本人やご家族の生活上の支障も減らしまして、今後の生活への備えができるという、早期発見にはそういったメリットがございます。
 行政や医療機関にとって、こうした知識は当たり前ということでございますけれども、都民の方々にはまだまだ知られていないのではないかというのが認知症の実態ではないかと思います。
 そこで、認知症の早期発見、早期診断の重要性について、もっと都民に知っていただくための取り組みが必要と考えますが、これまでの都の取り組みについてお伺いをいたします。

○枦山高齢社会対策部長 都はこれまで、認知症に対する正しい理解を促進するため、毎年度、都民向けのシンポジウムを開催するとともに、認知症に関するポータルサイトである、とうきょう認知症ナビなどを通じ、広く都民への啓発に取り組んでまいりました。
 昨年度は、特に、認知症の早期発見、早期診断の重要性について、都民の理解を深めてもらうため、認知症の研究、治療の拠点であります東京都健康長寿医療センターの研究成果を活用して、医師、看護師等による専門的な訪問調査を行い、本年五月、自分でできる認知症の気づきチェックリストを発表いたしました。
 このチェックリストは、全部で十項目から成り、高齢者本人や家族等が認知症で疑われる症状の有無を簡便に確認できるものでございます。
 今後も、このチェックリストをさまざまな媒体を活用しまして普及するなど、認知症の早期発見、早期診断の重要性について、引き続き都民への啓発に取り組んでまいります。

○斉藤委員 ただいま、自分でできる認知症のチェックリストというものがございます。こういったパンフレットなどもございますけれども、先週の十月十五日には、都全域に約三百七十五万部の新聞折り込み、これが実施されたというふうに伺っておりますが、部局にも問い合わせがあるなど反響があったと聞いております。
 私も拝見いたしましたけれども、よくまとまっている、内容がコンパクトにまとまっていると思います。私も自分でチェックしてみました。多少ひっかかるものもございましたけれども、こうしたパンフレットやチラシは、本当に困っている方々にとっては大変重要な気づきの情報源になるわけでございます。
 最近は、高齢者の方も含めましてスマートフォンなんかも普及しておりますので、こういったスマホなどで直接の友人の間で話題にしてもらったり、あなた、ちょっとどうなのと、チェックしてみたらどうということで話題にしていただいて、その場でチェックしてポイントがぱっと出るみたいな、そういったような工夫をしたり、あるいは、大事なのはその先の連絡先でございます。基礎自治体の窓口に電話すればつながっていくんですけれども、例えば、ちょっとさわることによって連絡先が出てくるような、そういったワンタッチで電話がかかるような仕組みづくりなども、今後進化をさせていっていただきたいと期待をしているところでございます。
 次に移りますけれども、実は認知症に関連して若年性認知症というものがございます。若年性認知症対策について、次いで質問をしたいと思います。
 若年性認知症は、高齢者の認知症と比較しまして非常に数が少ない、希少であります。支援のノウハウが蓄積されにくく、また、働き盛りの世代、四十代とか、本当に大変な世代で発症することが多く見られるため、本人やご家族の経済的な負担の問題など特有の課題があります。
 こうした課題を踏まえまして、都は、平成二十四年度に若年性認知症の方々やそのご家族からの相談をワンストップで受け付ける若年性認知症総合支援センターを設置しております。
 私の地元目黒区に、東京都にある一カ所のものが目黒区の中に設置をされておりますけれども、自宅に大変近いこともありまして、大変注目をして様子を拝見しております。
 まず、若年性認知症総合支援センターの昨年度の相談実績についてお伺いをしたいと思います。

○枦山高齢社会対策部長 若年性認知症総合支援センターの昨年度の相談者は三百六十四人であり、平成二十四年度の二百二十四人から六〇%増加しております。
 相談者三百六十四人のうち、約九割を占める三百二十四人が、平成二十五年度に新規に相談を受け付けた方となっております。

○斉藤委員 平成二十四年度から本年度で三年目を迎えている同センターですけれども、今ご答弁ございましたように、年々利用者が増加している傾向にあるようであります。しかも、新規に相談を受けた方が多いということも特徴でございます。
 都内には約四千人ほどの若年性認知症の方がおられると推定されていることを考えますと、今後さらなる利用者の増加が考えられるわけでございます。
 先日、同センターのお話を直接伺う機会がございました。相談者の中ですけれども、当初は全国で初めての総合センターという話題性もあったのか、都外からの問い合わせなんかも目立っていたようでございますが、最近は都内の利用者の方が中心であるということでございました。
 若年性認知症は進行が早いというのが特徴でございまして、より早い段階からの相談が重要であるということでありました。本人よりも配偶者やそのご家族のお子様などからの相談も多く、誰にも話せない苦しみ、職場との関係など、相当な不安を訴える方が多いわけであります。これはもう相談した段階で、それでは会社を去っていただきたいという、そういう準備の話になったりする可能性もあるということで、なかなか職場との関係など難しい問題もあるわけでございますが、家族の負担も大変に重いというふうに伺っております。
 家族のケアも必要ですし、寄り添っていくことで、一件当たりのご相談の時間が長くなる傾向にあるようでございます。ケースによっては、電話相談だけでなく、同センターで面接や訪問による相談、支援も実施していると聞いております。
 こうした電話相談にとどまらない支援の効果について、お伺いをしたいと思います。

○枦山高齢社会対策部長 若年性認知症総合支援センターは、電話相談だけでなく、面接や訪問による相談を行っております。
 さらに、地域のケアマネジャー等による支援へ移行することを目指し、就労継続支援等の窓口への同行や地域の関係機関との連携など、本人やご家族の状況に応じた個別支援を行っております。
 昨年度相談を受けた方三百六十四人のうち、電話相談にとどまらない個別支援を行った方は八十五人でございます。そのうち何らかの形で地域と連携がとれている方は約八割の六十六人、さらに、地域のケアマネジャー等へ引き継ぎを完了した方は、六十六人のうちの五十三人でございます。
 センターで行っている個別支援は、ケアマネジャー等地域の専門職に支援を引き継ぎ、若年性認知症の方が地域の社会資源の利用につながる大きな一歩となっております。

○斉藤委員 地域につながっていく、用意されているさまざまなサービスにつながっていくということが、今のご答弁でよくわかってきたわけでございますが、非常に重要であると思います。
 相談件数が増加傾向にあることと、一件当たりのご相談の時間が長くなっていることを考えますと、訪問したり、一カ所だけじゃなくて、複数その方に寄り添ったりするようなこともありますので、同センターは常にマンパワーの限界と向き合っておられると思います。
 職員をふやせば--これは単純にふやすわけにいかないわけですけれども、職員をふやせば、その分、活動範囲が広がっていく関係にあることとも思います。
 また、東京は非常に広いわけでございますので、多摩地域からのご利用者も多くおられる。ぜひとも多摩エリアでの拠点づくり、あるいはサテライトといった、こういったことも要望をしておきたいと思います。
 さて、若年性認知症のサポートは、先ほどのとうきょう認知症ナビ、こういったサイトがございますけれども、こういったコンテンツもありますし、また、平成二十四年度に改訂されています若年性認知症ハンドブック、これは読ませていただきましたが、非常によくまとまっておりました。網羅的によくまとまっているものがございます。
 若年性認知症の方の中には、働き盛りであり、住宅ローンや教育費のことなど、いろんな問題を抱えながら若年性認知症と向き合っている方がおられますけれども、できるだけ就労を続けたいと悩んでおられる方も多いというふうに聞いております。
 このハンドブックの狙いは、まさに副題にありますように、職場における若年性認知症の人への支援のためにとありますように、職場での理解と支援を促進することにあろうかと思います。
 産業医が配置されているような比較的大きな企業はよいのですけれども、課題は、中小、特に零細企業内で理解促進を図っていくことであると思うわけであります。ぜひこの点、支援の検討を今後お願いしたいと提案しておきたいと思います。
 先日の新聞折り込みのチラシにも、東京都若年性認知症総合支援センターの記述もありましたし、ちょっと残念だったのは、その連絡先がそこにあれば、それを見て、若年性認知症の方がご相談する契機になったかもしれませんが、そういったように今後さまざまな挑戦をしながら、同センターの普及啓発など、また利用促進を図っていただきたいと、このように思っているわけでございます。
 認知症関係については以上でございます。
 これまで認知症対策について質問してまいりましたが、次の質問は成年後見制度でございます。
 認知症のみならず、知的障害、精神障害などによりまして判断能力が十分でない方の意思を尊重して、心身の状態や生活状況に配慮しながら、本人にかわって財産を管理したり必要な契約を結んだりすることで、本人の保護、支援する成年後見制度の重要性がますます高まっております。
 成年後見制度は、介護保険制度が導入された平成十二年に創設されておりまして、成年後見制度と介護保険制度はいわば車の両輪といわれているわけでございます。
 今後も、制度に対するニーズが増大していくことは間違いなく、成年後見制度の活用に関する環境整備をさらに進め、制度の利用を促進していく必要があります。そのような観点から何点か質問したいと思います。
 まず、平成十二年の成年後見制度導入以降、都内における制度の申し立て件数についてお伺いしたいと思います。

○芦田生活福祉部長 成年後見制度の都内の申し立て件数は、平成十二年から平成二十五年までの累計で四万四千八百九十一件となっております。
 年ごとの推移を見ますと、平成十二年は千七件でしたが、年々増加してきており、平成二十五年は五千百三十七件と約五倍に増加しております。

○斉藤委員 申し立て件数は着実に増加してきておりまして、制度の定着が図られていることは、数字を聞いてもよくわかるわけでございますが、どこまでふやせばいいのかわかりません。
 認知症の対象の方というのは大変大きな分母でございますので、成年後見制度の成年後見の方々の人数、これがどのぐらいあればいいのかといったことは、ここでは議論は避けたいと思いますけれども、年々とにかく定着していることは事実でございます。安心して利用していただくためには、今後も行政が果たすべき役割は少なくないと思います。
 都におきましては、平成十七年度から、成年後見活用あんしん生活創造事業という事業を実施されておりまして、後見活動の支援を行う区市町村に対して財政支援を行うとともに、都みずからも研修や困難事例についての助言などを実施してきたと聞いております。
 また、平成二十四年の決算特別委員会第二分科会で、私からも確認をさせていただきましたけれども、その際、親族や弁護士などの専門職以外の後見人の担い手である、いわゆる市民後見人の養成につきましては、検討会を設置し、その結果を踏まえ、区市町村による取り組みが一層促進されるよう見直していくという説明を受けました。
 現在、後見人の多数を占めておりますのは親族や弁護士等の専門職でございまして、こうした方々の活動が引き続き重要であることはいうまでもありませんけれども、一方で、身近に頼りになる親族がいない、また経済的余裕もない方、こういった方も大勢おられるわけでございますけれども、地域住民によるきめ細かな見守りなどの支援が必要な場合もあります。こうしたケースにおけます後見人には、社会貢献的ボランティア精神に基づき、地域の権利擁護の担い手として活動するいわゆる市民後見人がふさわしく、その果たすべき役割はますます大きくなっていると思います。
 そこで、市民後見人の養成事業につきまして、都としてどのような見直しを行ったのか、その内容についてお伺いをしたいと思います。

○芦田生活福祉部長 都は、成年後見制度に関するニーズの拡大が見込まれることから、平成二十四年度、後見人等候補者の養成につきまして、今後の事業展開や方向性を検討するため、区市町村職員や学識経験者等から構成する後見人等候補者の養成に係る検討会を設置いたしました。
 検討会では、申し立ての支援、後見人等のサポート、社会貢献型後見人等のいわゆる市民後見人の養成等の取り組みを区市町村が一体的に実施し、地域のニーズに対応した制度の活用を総合的に進める必要があると整理がなされました。
 この検討会の結果を踏まえ、平成二十六年度から、市民後見人の養成につきましては、区市町村において、候補者の選考、基礎講習の実施及び後見人選任後の支援までを一貫して実施する体制とし、都は区市町村の支援に係る事業を行うこととしたところでございます。

○斉藤委員 平成二十六年度からは区市町村においてということがポイントでございますけれども、平成二十四年四月、老人福祉法の改正によりまして、後見業務等を適正に行うことができる人材の育成及び活用を図ることが区市町村の努力義務と明記されているわけでございます。
 今後、ひとり暮らしの高齢者や認知症高齢者の増加が見込まれる中、制度の活用をさらに促進していくためには、区市町村によります、区市町村におけるより主体的な取り組みを推進することは重要であります。
 ご答弁いただきましたように、住民に身近な区市町村が、申し立ての支援、市民後見人の養成、後見人のサポートなどに一体的に取り組むことで、地域のニーズに対して、よりきめ細かい対応が可能になると思います。
 ただし、こうした区市町村の取り組みを円滑に進めていくためには、さまざまな面から都の支援が不可欠であります。
 そこで、今後、都の区市町村支援についてお伺いをいたします。

○芦田生活福祉部長 都はこれまでも、区市町村に設置した成年後見制度推進機関の機能強化を図るため、困難事例についての助言や推進機関職員を対象とした研修の開催、包括補助による支援等を行っており、今後もこうした取り組みを進めてまいります。
 加えて、後見人等候補者の養成事業につきましては、区市町村が地域の特性を踏まえた養成を行えるよう、基礎講習の運営説明会を実施するほか、区市町村の体制整備を支援するため、新たに基礎講習に関する経費を包括補助の対象としたところでございます。
 そのほか、地域において成年後見制度を推進していくリーダーとなる推進機関職員を育成する研修や、身寄りのない認知症高齢者等を支援する区市町村長申し立てに関する先駆的事例の紹介等を通じて、区市町村による主体的な取り組みを促進してまいります。

○斉藤委員 確かに区市町村の状況を見ますと、取り組み状況にばらつきがどうしても出てまいります。それはそうです。そういうリーダーが一生懸命頑張っていらっしゃる基礎自治体については、先進的な取り組みがいろいろ、PRもございまして、進むところはどんどん進んでいくわけであります。進まないところは進まない。区市町村の努力はあるんですけれども、そういったばらつきというものが出てくることが予想されますので、引き続き都のきめ細かい支援をお願いいたしますとともに、先進的な区市の取り組みを他の自治体にも紹介をしていく。全部ゼロからやるんじゃなくて、うまくいっている話はどんどん取り入れていただいて、都内全体の底上げを図っていくことが重要であろうかと思います。
 目黒区も、どちらかというと先進事例に学んで、どんどん推進していかなきゃいけない部分もございますけれども、私も地元でしっかり応援をしていきたいと思っております。
 市民後見人を目指す方をどのように発掘していくかも重要な課題だと思います。
 例えば、年齢の高い方は意識が高いわけです。成年後見の必要性を、ご自身もよくわかっているわけです。そういった年齢の高い方は、これまで培ってきましたさまざまな知識や経験がございます。そういったことを市民後見人として生かしていきたいと本人は思って、いろいろ意欲もあるわけですが、市民後見人として活躍が期待できる反面、年齢的に、もう後見人を要する年齢に近づいていますので、できるだけ若い方に、できれば長く見ていただける方にお願いしたいということも、またこれ、現場としてはそういう議論もあろうかと思います。実際に多くの自治体では、養成講習には上限年齢というものが定められているわけであります。
 この点、ある高齢者の方からお声がございました。養成講座の受講を希望したところ、あなたはむしろ成年後見のお世話になる可能性がある年齢ですから、受講をお勧めできませんと、これだけ聞けば大変きつい言葉に聞こえるんですけれども、要するに断られてしまったということで、大変残念だというか、憤っておられたようですけれども、確かに、余りご高齢になりますと家庭裁判所で選任されない場合もあるというのが理由かもしれません。最終的には、後見人に選任されるか否かにかかわらず、成年後見に関する勉強をした方がふえていくことによりまして、今大事なのは互助の意識、地域で支援していく裾野が広がっていくということもあるのではないかと考えているわけでございます。そうした方々の活躍の場を用意していくことも自治体の役割であると思っております。
 都と区市町村は、適切な役割分担のもと、広く権利擁護事業を推進していくという意識で、今後とも市民後見人の養成に努めていただきますよう要望して、最後の質問に移りたいと思います。
 最後の質問は、重症心身障害児者への在宅レスパイトの質問でございます。
 重症心身障害児者は、都内に約四千人以上いると推計され、その多くは在宅で生活されていると伺っております。特に、医療的なケアが必要な重い障害をお持ちの重症心身障害児者を在宅で介護する家族には大変なご苦労がございます。
 先日、こういった重症心身障害児者の通所施設に通う利用者の保護者の方から要望を伺う機会がございました。
 医療の進歩で、そういった重症心身障害者は、長く生きることになったのはうれしいことでありますけれども、福祉がそれに追いついていけないという厳しい現実があるというお声でございました。預ける場所が少なく、病気にもなれない厳しさがある。それは、面倒を見ているご家族が、自分自身が病気にもなれないぐらいずっと介助、看護しているわけでございますけれども、そういったご家族、二十四時間三百六十五日、大変なご苦労があるかと感じました。
 都は、第三期の障害福祉計画の中で、在宅療養支援や地域生活基盤の整備を積極的に進め、身近な地域での生活支援を進めていく、支援していく必要性を強調された上で、重症心身障害児在宅療育支援事業を実施しまして、在宅療育を支援すると明記されているわけでございます。
 そこで、重症心身障害児者の在宅支援について伺います。
 在宅支援の中で、重症心身障害児者通所事業は非常に重要であると思いますけれども、平成二十五年度の通所実績、重症心身障害児者の通所事業の実施状況についてお伺いをしたいと思います。

○高原障害者施策推進部長 重症心身障害児者通所施設につきましては、障害者の地域移行・安心生活支援三か年プランに基づきまして、整備費における事業者負担を軽減するなど設置促進に取り組んでおります。これによりまして、平成二十五年度は四十六人の定員増を図っております。
 その結果、平成二十五年度末現在、都内における事業所数は三十八カ所、総定員は五百四十七人となってございます。

○斉藤委員 施設から地域へという大きな政策の流れがございますけれども、毎年、特別支援学校を卒業する方が新たにこの事業を利用することになります。利用者は今後もふえていくと思いますけれども、引き続き定員増を進めていっていただきたいと要望しておきます。
 また、在宅支援としましては、通所事業のように、障害のある方が家庭の外に出て支援を受けるものだけでなく、障害のある方が家庭にいる中で、支援の手がそのご家庭に入っていくということも重要な視点でございます。
 この点に関しまして、重症心身障害児者に対しまして、在宅でも医療的なケアが可能な対策を進めるべきとの都議会公明党の平成二十五年第一回定例会での代表質問に対しまして、都は、家族の休養と障害児者本人の健康の保持などを目的に、看護師が自宅を訪問し、家族にかわってケアを行う在宅レスパイト事業を区市町村包括補助事業に新たに加え、支援するとご答弁がございました。
 平成二十五年度から新たに看護師がご自宅を訪問する、在宅レスパイト事業を開始したと聞いております。
 そこで、本事業の目的と概要についてお伺いをします。

○高原障害者施策推進部長 都では、重症心身障害児者に対しまして、通所事業のほか、短期入所事業、在宅療育支援事業など、本人の支援はもとより、介護するご家族の負担軽減のため、各種支援を実施しております。
 特に、在宅で重症心身障害児者を抱えるご家族の負担は、医療的なケアを初め大変重たいものがございます。このため、平成二十五年度に重症心身障害児者在宅レスパイト事業を創設いたしまして、家族の休養と障害児者本人の健康保持などを目的といたしまして、看護師がご自宅を訪問し、家族にかわって一定時間ケアを行う事業を行ったわけでございます。

○斉藤委員 先日訪問した通所施設を利用する保護者の方々からも、この事業をぜひとも広げていただきたい、始まったばかりですからこれからだと思いますけれども、そういうお声も多く聞かれております。
 次に、平成二十五年度の実績についてお伺いしますが、どういった実績状況がございますでしょうか。続けてお願いします。

○高原障害者施策推進部長 本事業は、障害者施策推進区市町村包括補助事業として実施をしており、初年度の平成二十五年度は、二つの区から協議がございましたが、事業実施上の条件が十分に整わなかった等により、結果的には実施には至っておりません。
 ただし、平成二十六年度につきましては、現在のところ四つの区から事業実施の協議が出ている状況でございます。
 今後とも、在宅レスパイト事業を実施する区市町村がふえますよう働きかけを行いますとともに、区市町村や関係機関と連携し、重症心身障害児者の在宅支援の充実に取り組んでまいります。

○斉藤委員 質問は以上でございますけれども、私の地元目黒区でも、平成二十六年度申請に手を挙げている区でございますが、在宅レスパイト事業の試みをまずしっかり支援していくことが大事であろうと思います。
 在宅レスパイト事業は非常に重要な事業でありますが、実施する区市町村がふえていくのには工夫も必要であるということだと思いますので、今後しっかり取り組んでいっていただきたいと思います。
 地域移行を推進するならば、地域における人材確保がなければ、これは絵に描いた餅になってしまうわけですから、在宅レスパイト事業の利用の拡大をさせていくためにも、訪問看護師、訪問する看護師のスキルアップといいますか、重症心身障害児者の看護ケアをしっかり学び、スキルアップした方をふやしていくことも必要であろうかと思います。
 訪問看護のサービスの質の向上にも尽力すべきだということを提案申し上げまして、私の質問を終わります。

○徳留委員 多くの資料を提出いただいてありがとうございました。
 初めに、保育士の待遇改善と保育園の保育活動の改善にかかわる支援の問題についてお伺いします。
 保育の待機児解消に向けて、量的な改善策の具体化や改善策が図られつつありますが、これを来年度の予算などの中で一層加速することが求められています。
 一方で、保育士の待遇、保育内容などの質的な面での改善が、子供たちにとって健全で安全な保育活動を支えるためにも、また、保育士の確実な確保の上でも重要課題になっていると思います。
 二つの私立保育園の認可保育園の園長からの聞き取りや保育団体からの要望によっても、低い保育士の給与水準、待遇の改善は緊急の課題ではないかと思います。
 以前の東京都の手厚い支援を受けていたもとでの給与と比較しても、例えば年収で、五年目の保育士の場合、以前の九割程度にとどまっているといわれています。十年目、二十年目の経験を積み重ねるに従って、格差がどんどん広がっていっているという実態になっています。
 現状は、保育士の給与の確保や引き上げをやろうと思えば、定期昇給だけでも困難になっている、一時金を少なくしたり、必要な修繕積立金をできなかったり、積立金を取り崩したりして対応せざるを得ないと、こうした厳しい状況がますます強まっていると話をされていました。保育士にとっては将来への不安、保育園経営にとっても不安の声などが寄せられています。
 そこで質問ですけれども、昨年度から実施されている処遇改善費は、保育士の処遇改善、保育園の経営にとって不可欠になっていると園長など保育関係者は語っています。これまでの処遇改善臨時特例事業の内容とこれまでの実績について、お伺いをいたします。

○手島少子社会対策部長 国の安心こども基金を活用いたしました保育士等処遇改善臨時特例事業は、保育士の人材確保対策の一環として、処遇改善計画書を策定し、これに基づき保育士等の処遇改善に取り組む私立の認可保育所に対し、費用の一部を補助するものでございます。
 平成二十五年度の実績は九百七十四施設、二十億二千六百二十八万円となっております。

○徳留委員 処遇改善事業は、昨年、今年度の実際を通じて、現場の保育園の関係者にとっては、保育の待遇改善にとって不可欠の支援になっており、もっと支援をふやしてほしいという声が大多数になっています。
 今後、子ども・子育て支援新制度のもとにおいては、保育士の給与水準を不十分ながらも支えてきた処遇改善費はどのように扱われていくのかについて、お伺いをいたします。

○手島少子社会対策部長 保育士等処遇改善臨時特例事業につきましては、来年度から始まります子ども・子育て支援新制度における公定価格の中に引き継ぐ方向で、現在、国が検討してございます。

○徳留委員 国が検討しているということですが、知事も繰り返し保育士の待遇改善について触れているわけですから、ぜひ、より積極的に国に働きかけて、待遇改善のための支援の拡充を求めていただくことを強く要望しておきます。
 次に、保育活動の現場からは、子供と保護者を取り巻く環境の困難、保育士の仕事の困難さや責任の重さに比べて、待遇が低過ぎるということなど含めて、現状と将来への不満、不安の声が聞き取りの中で広がっているということがわかりました。保育士の職場への定着をしっかりと進めるためにも、支援の充実が必要になっていると思います。
 そこで質問ですが、保育サービスの維持向上のための都独自のサービス推進費も、保育園の経営にとっては不可欠の役割を果たしています。サービス推進費の役割とともに、昨年度の実績についてお伺いをいたします。

○手島少子社会対策部長 サービス推進費は、福祉サービスの質の向上を目的に、都として望ましい保育水準を確保するとともに、都民の多様なニーズに対応した施設の努力、実績に対して補助するものでございます。
 平成二十五年度のサービス推進費補助の実績は八百四十施設、百十億七千百五十七万円となっております。

○徳留委員 サービス推進費は、都として望ましい保育水準を確保するとともに、都民のニーズに対応した施設の努力、実績に対して補助するものということでした。
 実際に保育の現場では、サービス推進費は不可欠の支援となっており、保育士の待遇改善や保育活動の水準を維持改善していくために、一層の拡充を求める声が上がっています。
 そこで、来年度から始まる子ども・子育て支援新制度の施行後には、このサービス推進費はどうなっていくのかについてお伺いいたします。

○手島少子社会対策部長 都は、保育サービスの水準を確保するため、サービス推進費などさまざまな補助を独自に行っており、新制度後のあり方につきましては、国の公定価格の水準や内容も踏まえて十分検討してまいります。

○徳留委員 十分に検討していくとの答弁でしたので、現場の保育士の給与引き上げを初めとした待遇改善につながる形で検討されるよう強く要望をしておきます。
 園長からの聞き取りや保育団体などの要望でも、発達障害など対応の難しい園児や保護者への支援、あるいは保育士のメンタルな問題への対応を適切に行えるような体制が必要になっている、そういう現状が話の中でありました。
 カウンセラーなど、こうした問題に対応できる専門職の配置が重要だと考えますけれども、都の所見をお伺いしたいと思います。

○手島少子社会対策部長 現在、保育所におきましては、発達障害児を初めとする特別な支援が必要な子供たちへの対応が求められております。また、保育所は保護者への支援を行う役割を担っており、保育の実施主体であります区市町村は、こうしたニーズに保育所が的確に応えられるよう、専門職を含めた多様な人材を活用し、さまざまな取り組みを行っております。
 都は、今後とも、区市町村が地域の実情に応じた保育施策を展開できるよう、その取り組みを都独自の子育て推進交付金や包括補助等により支援をしてまいります。

○徳留委員 都として支援しているといわれましたけれども、私の地元である板橋区で行われている支援は、月一回の巡回指導だけで、しかも特定の対象だけに限られていたり、必要なときに相談を申し込んでも順番待ちで対応がおくれるなど、極めて不十分で使いにくいものになっているとのことでした。
 よく実態を調査して、せめて小学校や中学校などのスクールカウンセラーのように専門職を配置して、系統的に巡回指導できるようにすべきではないかということを要望しておきます。
 二つの保育園の園長から聞き取りした中では、いずれも園児の一割程度、七人から八人の園児がアレルギーを持っており、今、このアレルギーを持っている子供がふえる傾向にあるということでした。命や健康にかかわる一人一人の食事などへの難しい個別対応が求められているということでした。
 こうした園児への対応、支援の充実が必要ではないかと思いますが、アレルギー園児への対応について、これまでの都の取り組みについてお伺いいたします。

○手島少子社会対策部長 アレルギーを持つ子供など特別な支援が必要な子供への対応につきましては、先ほども申し上げましたとおり、区市町村が地域の実情に応じて多様なニーズに応えられるよう、都独自の子育て推進交付金や包括補助等により支援をしているところでございます。

○徳留委員 これも支援しているといわれましたが、実態は、一人一人の子供に個別の代替食を作成するには、命や健康にかかわる作業だけに相当の緊張感を伴い、手間暇がかかる調理作業になっており、食事の際には、机一人一人に個別に子供ごとに職員を配置しなければならないということもあるといわれました。
 ぜひ、調理師を追加して配置し、アレルギーの園児への対応が安心してできるように支援の拡充を要望しておきます。
 次に、歯科衛生士の養成と再就職支援について質問いたします。
 歯科衛生士の雇用は、安心・安全な歯科医療供給体制を確保する上でも、なくてはならないものです。さらに、歯と口のケアが、虫歯や歯周病予防のためだけではなくて、全身の健康を守るために、予防医療としても重要になっている中で、歯科衛生士の果たす役割が大切になってきているといわれています。
 ところが、歯科衛生士の役割が重要であるにもかかわらず、歯科衛生士の確保が困難になっている実態が広がっています。その背景には、歯科衛生士の離職率が高い問題があります。歯科医の団体からは、一度は離職した歯科衛生士を再就職につなげる、そういう支援をぜひ行ってほしいと強い要望が寄せられています。
 そこで質問ですが、口腔ケアなどにとって重要な役割を果たす歯科衛生士の就業支援に関する昨年度の都の実績と取り組みについてお伺いいたします。

○矢内医療改革推進担当部長 都では毎年度、歯科衛生士の資質の向上や再就業支援を目的として、東京都歯科衛生士会に研修事業を委託しており、平成二十五年度は五回開催し、合計三百七十六人が参加しております。
 平成二十五年度決算額は二百二十七万三千円でございます。

○徳留委員 昨年度の当初予算が百七十七万三千円のところ、決算はその一・二八倍の二百二十七万三千円になっているということは、就業支援にとって大きなニーズがあり、役立っているということだと思います。
 そこで質問ですけれども、歯科衛生士の不足、離職者が多い現状について都はどのように認識しているのか、お伺いいたします。

○矢内医療改革推進担当部長 東京都歯科衛生士会からは、歯科衛生士は女性が多数を占める職種であり、結婚、出産を機に離職する傾向があるとお聞きしております。
 歯科衛生士は毎年、都内で九百人以上が国家試験に合格しており、これらの有資格者の就業後の定着を図ること、再就業等就労支援に向けた取り組みが重要でございます。このため、資質の向上や再就業支援を目的とした研修事業を実施しているところでございます。

○徳留委員 研修事業を行っていることは重要ですけれども、当初予算に比べて決算でふえているとはいえ、昨年度決算で二百二十七万というのは余りにも少ないと思います。
 よりさまざまな取り組みを拡充するためにも、来年度予算はぜひ大幅な拡充を要望しておきます。
 研修事業についていえば、日本歯科衛生士会の二〇一〇年、平成二十二年三月の歯科衛生士の勤務実態調査の報告によっても、再就職の際の障害の一つとして、自分のスキルのことを挙げた人が四一・六%になっています。再就職のための研修の希望は、六三・六%の方々が希望しています。こうしたことからも、離職中の歯科衛生士の再就職にとって研修は重要な役割を果たしていることがわかります。
 次の質問ですが、歯科保険医協会などからは、歯科衛生士の確保のためにさまざまな要望を聞いています。これまで同様に引き続いて、就職支援のための育成研修の拡充、歯科衛生士雇用時の助成金、歯科衛生士養成学校に対する運営費補助の実施、看護師や保育士などのように、歯科衛生士の学校の生徒への就学支援の援助などが共通の要望として寄せられています。
 都としての今後の具体策についてお伺いいたします。

○矢内医療改革推進担当部長 先ほどご答弁申し上げたとおり、有資格者の就業後の定着促進や再就業支援が重要であると考えております。
 今後とも、資質の向上や再就業支援を目的とした研修事業を行ってまいります。

○徳留委員 これまでと同様の取り組みを行っていくという答弁でした。
 しかし、現在都は、今年度の事業として歯科衛生士の実態調査をやっていると聞いております。
 私がお世話になっている歯科医さんにお会いして話を聞いたところ、現在、歯科衛生士は一人をやっと雇用しているけれども、患者さんのニーズに応えるためにも本当はもう一人欲しいが、一方で歯科衛生士がなかなか簡単に見つからない状況があると、もちろん歯科衛生士の役割は重要だとわかっていても、経営上の困難から雇用することも難しい、こういう問題があると語っておりました。
 歯科衛生士の離職者の実態調査や歯科医の関係者からの要望を踏まえて、歯科衛生士の養成、再就業支援の拡充を今後とも一層進めていただくよう心から要望して、質問を終わります。

○小山委員 平成二十五年度東京都一般会計決算、福祉保健局所管分についてお伺いをいたします。
 東京都は、東日本大震災の経験と教訓を踏まえ、平成二十三年十一月に東京都防災対応指針を策定いたしました。平成二十四年四月には首都直下地震等による東京の被害想定を作成いたしました。この東京都防災対応指針と首都直下地震等による東京の被害想定を踏まえ、平成二十四年十一月に東京都地域防災計画が修正されました。
 東京都防災対応指針では、発災後の医療機能確保に向けた対策の強化を図るとした上で、東京都地域防災計画において、災害医療コーディネーターによる初動医療体制の確立、医薬品等の確保、都内全ての病院を活用した医療機能の確保等に取り組むとしました。
 福祉保健局は、本計画を受けまして、平成二十五年度において、災害に備えた体制の充実強化として、一部新規事業を含め東京都災害医療協議会の運営を予算化いたしております。
 そこで、決算説明書七六ページにあります災害医療対策の災害医療協議会等とある事業の大半を占めます地域災害医療連携会議の概要と、平成二十五年度の実績についてお伺いさせていただきます。

○小林医療政策部長 都は、地域の特性に応じた災害医療体制の強化について検討するため、平成二十四年度に十二の二次保健医療圏ごとに地域災害医療連携会議を設置いたしました。
 この連携会議は、地域災害医療コーディネーターを核として、区市町村、医療機関、消防、医師会、歯科医師会、薬剤師会等関係機関相互の連携強化を図ることを目的としております。
 平成二十五年度におきましては、十一医療圏で合計十三回開催しております。

○小山委員 平成二十五年度、福祉保健局は、主な事業展開としまして、災害の発生直後から迅速かつ円滑に医療を提供するため、東京都災害医療協議会を運営し、災害医療体制の強化を図るとされました。
 また、二次保健医療圏ごとに設置をされました地域災害医療連携会議において、地域の実情に応じた医療救護体制の整備を進め、災害時における都内全ての医療施設の役割分担を明確化し、重症患者に対応する災害拠点病院の拡充を行うとともに、中等症患者等を受け入れる災害拠点連携病院を新たに指定をし、医療提供体制の強化を図ることにしております。
 これは、東日本大震災発災時の被災地での経験から、他県の医療支援チームの受け入れや患者の搬送調整等、災害時に必要な医療が迅速、円滑に提供されるよう、都及び各二次保健医療圏に災害医療コーディネーターを中心とした連絡調整体制をあらかじめ整備することが極めて重要であるからでございます。
 そこで、平成二十五年度の災害医療協議会等の予算執行率が三九・五%となっておりますが、その中でも特に地域災害医療連携会議の執行率が低かったと伺っておりますが、その理由についてお聞かせいただきたいと思います。

○小林医療政策部長 地域災害医療連携会議は、運営事務を各医療圏の地域災害拠点中核病院等に委託し、実施しております。委託料の内訳は、会場借上費、資料印刷費、出席者への報償費、委託事務費、各種通知の郵送費などでございます。
 地域災害医療連携会議は、先ほど申し上げた多くの関係機関の代表者により構成されておりますが、これらの構成員が無報酬で参加していることに加え、会場についても病院内の講堂等が利用されていることなどにより、経費の支出が少なかったものでございます。

○小山委員 執行率が低い件につきましては、地域災害医療連携会議の構成員であります消防や医師会、歯科医師会、薬剤師会等関係機関の皆様のまさしく使命感とご努力によるものと、心より敬意と感謝を申し上げておきたいと思います。
 東日本大震災発災後の被災地では、地震や津波による被害などにより、多くの医療機関が損壊したほか、一部の災害拠点病院では、ライフライン機能の低下により、入院患者の受け入れや外来診療の制限を余儀なくされました。また、道路の損壊や燃料等の供給不足により、一時、医療従事者を初め医薬品、医療機器等の確保が大きな問題ともなりました。
 一方、この都内でも、一部の医療機関で、施設の損傷により入院患者に影響が及んだほか、計画停電による電力不足、物流の停滞や医薬品工場の被災に伴う一部医薬品の供給量減少などにより、医療機能の維持に困難を来したことが報告されております。
 首都直下地震の被害想定では、都内で約十五万人の負傷者の発生が想定をされておりまして、これは、阪神・淡路大震災の負傷者数約四万四千人の三・四倍、そして東日本大震災の負傷者数約六千人の二十五倍にも達することになります。
 この膨大な数の負傷者に対し、迅速かつ的確に医療提供を行うためには、これまで進めてまいりました災害拠点病院など、後方医療施設となる医療機関等の安全性を確保し、医療機能を維持する方策をさらに進める必要があると考えます。
 そのために、医療施設との連携、連絡体制を確立するとともに、限られた人員、資機材、ライフラインの中で業務を継続する体制を強化することが極めて重要だと思います。
 そこで、改めて、災害時における医療連携に対する事前の取り組みの重要性に鑑み、見解をお伺いしたいと思います。

○小林医療政策部長 災害時において、都、区市町村などの行政機関や医療機関、医師会を初めとした関係団体が連携して、迅速かつ的確に医療を提供していくことが重要と認識しております。
 このため都は、地域災害医療連携会議において、医療救護所の設置運営、病院、診療所それぞれの役割分担など、災害時の連携体制について、地域の実情に応じて検討を進めているところでございます。
 今後も、こうした取り組みを通じて災害医療体制の強化を図ってまいります。

○小山委員 ぜひ、全ての二次保健医療圏におきまして地域災害医療連携会議が設置をされ、地域特性に応じた具体的な検討や研修、さらには訓練が実施され、都民の安心と安全が守られるよう努めていただきたいと思います。
 次に、医師不足、とりわけ病院勤務医の不足についてお伺いをいたします。
 人口減少、若い世代の職業意識の変化、医療ニーズの多様化に加え、医師の偏在等を背景として、医療機関による医療スタッフの確保が困難な状況が続いています。
 今後、都民が将来にわたり質の高い医療サービスを受けるためには、医療分野の勤務環境の改善により、医療に携わる人材の定着、育成を図ることが必要不可欠であり、特に長時間労働や当直、夜勤、交代制勤務など厳しい勤務環境にあります医師や看護職が、健康で安心して働くことができる環境整備が喫緊の課題でございます。
 医療機関等の雇用の質の向上を図るためには、各医療機関の関係者が、医療スタッフの安全と健康は患者の安全と健康を守るという基本認識のもと、みずからの医療機関における勤務環境の現状を確認し、その現状に合わせて取り組むべき改善事項を決定し、着実かつ無理なく実施していくことが必要であります。
 平成二十一年の第三回定例会の一般質問においても、医師の偏在や勤務医の多忙について、都政の直面する大きな課題であると申し上げました。勤務医の労働環境や条件の改善もあわせて求めさせていただいたところであります。
 そこで、決算説明書の八二ページにもございます平成二十五年度におけます医師勤務環境改善事業の概要及び執行状況について、お伺いさせていただきます。

○矢内医療改革推進担当部長 医師勤務環境改善事業は二つの事業から成っております。
 一つは、医師の離職防止、定着促進や、女性医師等の再就業支援などの取り組みに対する補助を行う勤務環境改善及び再就業支援事業であり、もう一つは、認定看護師の資格取得、医師事務作業補助者の配置に伴う研修などに対する補助を行うチーム医療推進の取り組みでございます。
 平成二十五年度の補助対象は、病院勤務医の不足が特に深刻な産科、新生児科、小児科、救急部門を有する九十病院でございます。
 二事業全体の予算現額は一億五千二百三十六万八千円でございます。
 事業ごとの予算現額及び執行率につきましては、勤務環境改善及び再就業支援事業が、予算現額一億三千六百二十八万八千円に対して執行率四一・一%、補助額五千五百九十八万八千円でございます。
 チーム医療推進の取り組みにつきましては、予算現額千六百八万円に対して執行率九〇・八%、補助額千四百五十九万六千円でございます。

○小山委員 ただいまのご答弁から、勤務環境改善及び再就業支援事業とチーム医療推進の取り組みの二事業で、それぞれの執行率がわかりました。
 補助対象につきましては、平成二十一年の一般質問で指摘をいたしました診療科の偏在があると申し上げてまいりましたけれども、特に産科や新生児科、小児科、救急部門であるということが今ご答弁でわかったわけでありますが、いまだ医師の診療科における偏在と勤務医の多忙は解消されていない、極めて厳しい状況にあるともいえると思います。
 それで、これまでの医師勤務環境改善事業の成果と課題についてお伺いさせていただきます。

○矢内医療改革推進担当部長 勤務環境改善及び再就業支援事業では、当直体制の見直しにより、当直回数の減、手術前日の当直回避など、勤務医の負担軽減につながるような成果がございました。
 チーム医療推進の取り組みでは、認定看護師の資格取得が進み、医師が治療に専念できる環境が整うなどの成果を上げております。
 平成二十五年度の執行率が低かったのは、勤務環境改善及び再就業支援事業では、補助を利用できるのが制度導入後三年間に限られていること、また、対象施設が救急救命センターや周産期母子医療センター等の九十病院に限られていることなどが理由であるというふうに認識しております。

○小山委員 事業の成果と課題をご答弁いただきましたが、本事業は、平成二十五年の事業評価において、成果と課題を福祉保健局と財務局で精査をされ、見直し、再構築が図られております。
 先ほどのご答弁の中にもありましたけれども、改めて、これまでの成果と課題を踏まえまして、医師勤務環境改善事業の今後の展開についてお伺いさせていただきます。

○矢内医療改革推進担当部長 今年度は、平成二十五年度の執行状況等も踏まえ、より多くの施設を対象とし、有効に活用できるよう、事業の見直しを行っております。
 具体的には、導入後三年間としていた期限を廃止し、継続的支援を行える制度といたしました。
 また、本事業の対象施設を、国立病院、都立病院などを除く都内の全病院へと拡大をいたしました。
 さらなる活用が期待されるチーム医療推進の取り組みについては、重点的に予算を配分いたしました。
 今般の医療法改正により、平成二十六年十月一日から、医療機関管理者が勤務環境改善に取り組むことが努力義務とされたところでございます。
 こうしたことも踏まえ、今後とも医師の勤務環境改善に向け、事業の充実に努めてまいります。

○小山委員 ただいまご答弁をいただきましたが、見直しとまた今後の展開について、ご答弁いただきました内容について評価をさせていただきたいと思います。
 ぜひ事業の見直し再構築は不断に行っていただきまして、その事業の本来の目的であります、先ほども申し上げましたが、産科や小児科、救急部門等の病院勤務医の偏在と多忙を解消していただきまして、都内医療体制の安定的な確保につなげていただきますようお願いをしたいと思います。
 具体的には、病院勤務医の事務を補助する医療補助者、医療クラークの導入や、医師確保が困難な診療科においては、勤務医に対する手当に関し支援の拡充をお願いしたいと思います。
 また、女性医師が出産後も働き続けられるよう、再就業に向けた支援や、医療機関が院内保育施設を設置する取り組みについて支援を行うなど、女性医師が働きやすい環境の整備も求めておきたいと思います。
 このような取り組みを一層推進することで、勤務医の多忙解消と医師の確保を図っていただきますよう強く要望させていただきます。
 これまで伺ってまいりました災害時の医療と医療人材の確保は、平成二十五年三月に改定をされました東京都保健医療計画で主なポイントとして掲げられております。この改定されました東京都保健医療計画は、平成二十五年度を初年度とし、平成二十九年度までの五カ年の計画となっております。
 そして、この改定に当たって、もう一点掲げられております大きなポイントは、在宅療養の促進であります。
 近年、多くの都民が自宅など住みなれた環境での療養を望んでおり、高齢になっても、病気になっても、自分らしい生活を送ることができるように支援する在宅医療、介護の環境整備が求められております。
 また、急速に少子高齢化が進む中で、高齢者の増加による医療、介護ニーズの急増に対応できる医療、介護提供体制の整備は、まさしく喫緊の課題であり、病院における病床機能の分化、連携を進めるとともに、在宅医療の充実を図ることが重要であります。
 そのような中で、東京都は、間もなく到来をいたします超高齢化社会に備え、東京の実情に応じた地域包括ケアシステムの構築を進め、切れ目ない医療、介護サービスを受けながら暮らし続けられる体制の整備に取り組んでおられます。
 この地域包括ケアを支えるには、複数の関係機関や職種が連携をすることが求められておりまして、訪問看護ステーションは、その中心的な役割を担う重要なサービスであると考えております。
 そこで、東京都の訪問看護ステーションに対する認識と取り組みについてお伺いをいたします。

○枦山高齢社会対策部長 高齢者が住みなれた地域で暮らし続けるためには、医療や介護、生活支援サービス等を日常生活の場で切れ目なく提供していく地域包括ケアシステムの実現が不可欠でございます。
 中でも、医療と介護をつなぐ訪問看護は、高齢者の在宅での療養生活を支える重要なサービスであり、地域において安定的にサービスを供給できる質の高い訪問看護ステーションの設置を促進していく必要があると考えております。
 そのため都は、訪問看護ステーションの設置促進に当たって、新規設置の段階から初度経費を補助する立ち上げ時の支援と、安定的、継続的に事業運営をするための経営相談などの支援を実施してきております。

○小山委員 それでは、平成二十五年度の取り組みといたしまして、決算説明書の一一七ページにもございます訪問看護ステーション設置促進事業の事業内容について、お伺いをさせていただきたいと思います。

○枦山高齢社会対策部長 都では、地域において安定的にサービスを供給できる訪問看護ステーションの設置を促進していくため、設置促進事業として立ち上げ時の支援と経営相談などの支援の二つの事業を実施しております。
 一つ目の立ち上げ時の支援は、設置促進事業であり、常勤換算で四・五人以上の看護職員の配置など一定の要件を満たす訪問看護ステーションを新規に設置する際に、備品購入経費やネットワーク構築経費を補助する事業でございます。
 二つ目の設置促進事業は、事業開始等支援事業であり、経営セミナー及び個別相談会の開催並びに経営コンサルタントによる支援を行うことにより、訪問看護ステーションの安定化、効率化及び経営基盤の強化を図る事業でございます。

○小山委員 これまで、都の訪問看護ステーションに対する見解、さらにはこれまでの取り組み、そして平成二十五年度における取り組みについてもお伺いをさせていただきました。
 しかしながら、今回の平成二十五年度の決算を見ますと、この訪問看護ステーション設置促進事業の執行率が残念ながら二九・四%と低い結果となっております。その理由についてお伺いをさせていただきたいと思います。

○枦山高齢社会対策部長 設置促進事業については、平成二十五年度に新たに設置された訪問看護ステーションのうち、補助要件を満たすと考えられる事業者は五件でございましたが、補助金の申請は一件であったためでございます。
 事業開始等支援事業につきましては、経営コンサルタントによる支援が、予算規模五十件に対しまして四十件の実績となりましたが、契約目途額を下回る落札価格となったためでございます。

○小山委員 今それぞれご答弁をいただきましたが、やはり、今お聞きした中で一件目の方ですね、この部分の課題があるんではないかと思います。設置促進事業については、補助要件を満たす事業が最初から五件しかなく、申請も一件にとどまっている実情があるとのことでございます。
 そこで、本事業の設置促進に向けた課題を都としてはどのように捉え、改善をしていくのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

○枦山高齢社会対策部長 訪問看護ステーションは、高齢者の在宅での療養生活を支える重要なサービスであり、今後もその質と量の両面での充実を図っていくことが重要であると認識しております。
 設置促進事業につきましては、制度の周知が十分でないことや、制度の対象となる事業者が少ないことなど、制度の課題があると認識しており、今後、訪問看護フェスティバルや個別相談会などの機会を捉え、本事業についてさらに周知を徹底してまいります。

○小山委員 ただいまご答弁いただきましたように、制度の課題についても認識をされているということでございます。
 在宅療養にかかわる人材の育成と確保、そして体制整備は焦眉の急だと思います。
 過日、地元府中市にあります府中医王病院の訪問看護ステーションに訪問をさせていただき、また、そちらで勤務をされております宮田乃有さんという訪問看護師さんにお会いして、現状の課題などについてお話をお伺いする機会がございました。
 その際に、宮田さんを初め訪問看護に携わる看護師の現場がよくわかる「だから訪問看護はやめられない」という著書も頂戴をいたしまして、いろいろ実情もお伺いさせていただきました。
 現場の看護師さんたち、非常に頑張っていらっしゃいますし、さまざまな局面に対して本当に臨機応変な対応もとられておりました。このことは、本当に皆さんのご努力に敬意を表すとともに、やはりこれを支えている東京都の支援や取り組みというのは、非常に大切なんだということを改めて実感をさせていただきました。
 そこで、平成二十五年度におきましては、新規事業として訪問看護人材確保育成事業が予算化をされておりますが、ぜひ現場や現状の課題を十分捉えていただきまして、改善を図っていただきたいと思います。
 本日は、訪問看護ステーションの設置促進について中心的にお伺いをさせていただきましたが、ぜひ、訪問看護にかかわる人材の確保と体制整備に向けて、都のさらなる取り組みと改善を求めて、私の質疑を終わらせていただきます。

○塩村委員 私の方からも、平成二十五年度決算に関しまして質問をいたします。
 まずは、障害者福祉費の障害者の就労支援についてお伺いをいたします。
 決算書を見ますと、予算現額およそ六千万円で執行率は八三・三%となっています。
 障害をお持ちになっている方が安心して働き続けるための支援体制の整備は、行政としての責務であり、とても大切なことです。
 平成二十五年度は、東京都内のハローワークを通じて就職をした障害者の方は五千九百十六人と、厳しい雇用情勢の中、四年連続で前年度を上回り、過去最高となりました。これは都の熱心な取り組みも貢献をしているのではないかと推察されます。
 そこで、障害者の方の就職を応援する事業について数点お伺いをさせていただきます。
 まずは、雇用にチャレンジ事業についてお伺いをいたします。
 この事業は、一般企業への就職を目指す障害者の方が都庁で実践的な訓練をするもので、前年度は福祉保健局で二十五人の実績があったとのことで、すばらしいことだと思います。
 そこで、平成二十年度の事業開始以来の雇用人数の推移と、それらの方々のうち、実際に企業等における一般就労に結びついた方が、何人いらっしゃるのかをお伺いさせていただきます。

○高原障害者施策推進部長 都では、一般就労へ意欲を持つ知的障害者、精神障害者に対し、都庁での就労体験の機会を提供する雇用にチャレンジ事業を平成二十年度から実施しております。
 福祉保健局では、初年度である平成二十年度には十二人を雇用し、その後は募集規模を二十五人に拡大して、平成二十五年度までに累計で百三十五人の方を雇用してまいりました。
 このうち、本年七月末時点では、七四・一%に当たる百人の方が企業等への就職を果たしてございます。

○塩村委員 ありがとうございます。大変にすばらしいと思います。
 七割以上の方が一般就労に結びついている、このように高い就労率を上げている原因は何なのでしょうか。また、就労につながる方をさらにふやしていくために、どのような取り組みを考えているのかをお伺いいたします。

○高原障害者施策推進部長 都庁でのチャレンジ雇用では、支援員を配置いたしまして、各職場に配属された障害者を日々サポートするとともに、障害者本人や就労支援センターの担当職員及び配属職場の職員を交えた面談を定期的に実施しております。このような支援を通じて、障害者本人が働き続ける中で生じる課題を乗り越えて、徐々に自信をつけて、一般就労という目標を達成したというふうに考えております。
 今後も、チャレンジ雇用期間中のきめ細かな支援や、就労支援機関との連携により、より多くの障害者を一般就労へつなげてまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。支援員の方のきめ細かいサポートで、障害をお持ちの方も安心して自信を深めていっているんだというふうに理解をいたしました。ぜひ続けていただきたいと思います。
 関連しまして、障害者企業見学コーディネート事業についてお伺いをいたします。
 こちらは、一般就労への意欲はあるものの、職場実習には踏み出せない障害者の方が企業見学等を行うもので、平成二十四年度にスタートした事業とのことです。
 まずは、この事業の目的と内容、そして平成二十五年度の実績をお伺いいたします。

○高原障害者施策推進部長 都では、在宅または就労継続支援B型事業所に通所している障害者が、一般就労に向けて企業で働くイメージを高められるよう、障害者を雇用している企業での作業内容の見学や、そこで働く障害者との意見交換等の機会を提供する企業見学コーディネート事業を平成二十四年度から実施しております。
 平成二十五年度におきましては、障害者雇用企業と一般就労に向けた訓練等を行う就労移行支援事業所をそれぞれ一カ所、お尋ねの見学会を通算十二回開催し、合計で百四十七名の方が参加いたしました。

○塩村委員 ありがとうございます。働くというイメージを持つことは大事で、障害者団体の方は、就労することによって社会性を学び、自信や自尊心が再び育つとおっしゃっています。
 しかし、最初の一歩を踏み出すということが難しいという障害者の方もいらっしゃるということも事実であり、それを後押しをするこの事業の意義は大きいと感じております。多くのB型に通所する障害をお持ちの方に利用していただき、就労のサポートとなったのではないでしょうか。
 そこで、見学の具体的な内容やポイント、また、実際に見学会に参加した障害をお持ちの方々がどのような感想を持たれたのか、事業の成果をお聞かせください。

○高原障害者施策推進部長 見学会では、見学先の企業で働く障害のある社員がみずからの担当業務について説明をするとともに、作業のデモンストレーション等を実施いたしました。また、参加者と社員との懇談や質疑応答の時間を設ける等、参加者が企業で働くことについて具体的なイメージを持つことができるよう工夫をしております。
 その結果、見学会終了時には、参加者の半数近くから、自分も働いたり訓練したりすることができるというふうに思ったというような感想が寄せられております。
 さらに、見学会から数カ月後に実施したアンケートでは、約三分の一の方が、働くための訓練を始めた、または始めようと思っていると回答するなど、見学会への参加が一般就労への一歩を踏み出すきっかけとなったというふうに考えてございます。

○塩村委員 ありがとうございます。半数近いB型に通所をしている参加者の方が、自分も働いたり訓練をするイメージが持てた、そしてまた三分の一の方が実際踏み出そうとしているということは、本当に意義深いことです。職場実習まではいかない方が、この事業を通じて就労にさらに一歩近づいているという証左であると感じます。
 このように、就労支援B型事業所等を利用している方を含め、企業で働く意欲を持つ多くの障害者の方を一般就労につなげていくことは重要です。
 今後も、障害者の方の一般就労への移行に向けた支援を充実させていくべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。

○高原障害者施策推進部長 障害者が当たり前に働ける社会を実現するためには、福祉施設等から一般就労への移行を促進する必要があり、意欲のある障害者が安心して一般就労に挑戦できるよう支援していくことが重要でございます。
 そこで都では、区市町村障害者就労支援センターにおいて、福祉施設に働きかけ、就労希望者を掘り起こすとともに、企業開拓等を行う地域開拓促進コーディネーターの配置を推進しております。
 また、就労支援機関の職員を対象とする研修を実施し、障害特性に応じた支援や障害者を雇用しようとする企業のニーズに対応できる人材の育成も図っております。
 今後とも、区市町村や関係機関と連携し、一般就労を目指す障害者を積極的に支援してまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。今後も、このようにさまざまな段階にある就労希望の障害者の方のきめ細かい支援をする施策をぜひ続けていただきたく思います。
 みずほ情報総研によりますと、従来の労働市場ではハンディがあると考えられてきた人々が、社会的弱者として福祉の対象にとどまることなく、社会の支え手になりつつあるとのことです。
 しかし、真の狙いは障害者の自立支援です。障害者が生き生きと働くことは、経済的な自立につながると同時に、障害者自身の生きがいとなることは間違いありません。
 企業における人材の多様性、ダイバーシティーの発揮や、社会的包摂、ソーシャルインクルージョンの理念の普及が望まれるとのことですから、都は今後もその一翼をしっかりと担っていただきたく重ねてお願いをしまして、次の質問に移ります。
 次に、不妊治療について質問をいたします。
 不妊治療は医療保険が適用されず、高額な治療費がかかります。
 第二回定例会におきまして、私は一般質問もさせていただきましたが、東京の特徴として、都道府県別の第一子出産時の母の平均年齢は東京都がずば抜けて高く、三十二歳近いことがわかっておりまして、高齢出産や不妊治療を受ける女性が増加をしていると指摘をさせていただきました。
 その不妊治療について、決算書を読んでみても、どこに掲載されているのかわからなかったため、問い合わせたところ、小児疾病等医療費助成の中に含まれているとのことでした。
 そして、その決算額は二十六億五千万余円とのことですが、決算書では見えないため、予算額と執行率及び平成二十五年度の助成件数をお伺いいたします。

○手島少子社会対策部長 平成二十五年度決算における特定不妊治療費助成の予算現額は二十六億五千七百二十一万円、執行率は一〇〇%となっております。
 また、助成件数は年々増加しておりまして、平成二十五年度の実績は一万八千四百件となっております。

○塩村委員 ありがとうございます。助成件数が年々増加をしており、執行率も一〇〇%と、需要の高い事業だとうかがえます。
 東京都は、国に上乗せをして治療を受けている方に助成をしています。多額の治療費は負担になりますから、対象の人にとってはとてもありがたいことです。その助成の内容をお伺いさせてください。

○手島少子社会対策部長 国は、この助成制度について、実際にかかる費用のおおむね二分の一とすることを基本として、平成二十五年度から、安価な凍結胚移植などの治療ステージC及びFの助成額を十五万円から半額に引き下げる見直しを行いました。
 しかし、治療方法によってかかる費用はさまざまであり、自己負担額が治療費の二分の一を大きく超える場合もあることから、都では、平成二十五年度は助成額を据え置いたところでございます。
 都といたしましては、こうした状況を踏まえ、子供を欲しいと望んでいるにもかかわらず恵まれない方々が、治療が受けやすくなるよう、治療費用の実態を踏まえた助成制度の検討を行った結果、平成二十六年度から、国の助成制度に基づき、安価な凍結胚移植などの助成額を七万五千円としましたが、自己負担額が治療費の二分の一を大きく超える場合もある新鮮胚を移植する治療ステージAにつきましては、五万円上乗せし二十万円を助成、凍結胚を移植するステージBにつきましては、十万円を上乗せして二十五万円の助成を行っております。

○塩村委員 ありがとうございます。助かっている人がたくさんいるんじゃないかなと思います。
 そして、新制度では年齢制限が設けられます。先ほど述べたように、東京は晩婚で晩産という現実があるんですね。
 その一つとして、もちろん早目の治療が、健康面、精神面、そして結果を見ても、いいことはよくわかってはいるんですけれども、今の状況は、仕事を頑張っている女性は晩婚で晩産という状況であり、このような状況で急に新制度に移行すると、助成を予定をしていて受けようと思っても、受けられない人が必ず出てくるんではないかなと思います。
 国の決めた二年の移行期間は少し短過ぎると思いますし、年齢制限を考えても、結婚、出産の早い地方と同じ基準をいきなり当てはめてしまうのは、特に私より少し上の世代の、今三十代後半でありますとか四十ぐらいの女性にとっては、少なからずショックがあるんではないかなというふうに思います。この二年で急に女性の働き方やシステムが変わるわけではありません。
 私は、総論として方針には賛成をしていますが、今私が指摘をしました東京特有の事情等を認識し、何か対策を打っているのか、また、ない場合は検討していくのかをお伺いいたします。

○手島少子社会対策部長 昨年八月、国の不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会報告において、不妊治療を受けている方をより安心・安全な妊娠、出産につなげるためには、助成対象とする年齢を限定し、早期の見直しが望ましいことが示されました。
 これを受け、国の助成制度は対象年齢を四十三歳未満とする見直しが行われ、二年間の経過措置を経て、平成二十八年度から本格施行されることとなっております。
 この見直しは、高年齢での妊娠、出産のリスクや出産の確率の低下などの最新の医学的知見を踏まえ、母体と胎児に与える影響を考慮したものであることから、都独自に経過措置期間を延長することは考えておりません。
 都といたしましては、見直しについての趣旨を十分に理解してもらえるよう丁寧に説明をしながら、新たな助成制度について周知を図ってまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。妊娠適齢期の周知徹底等は大事なので、お伝えいただきたいのはもちろんなんですけれども、未来の話をしているような感じがしまして、これは少し世代が若い人には効果が出てくると思います。
 私が質問したのは、年齢制限、今近い女性たちの話なんですね。おっしゃっている意味はよくわかりますし、今後、絶対効果も出てくると思いますので、そこは私も賛成はしているんですが、今思ったのが、普及啓発をしていく中で、制度が急に変わった、年齢制限に近い女性たちに諦めろというふうに聞こえてしまっては大変ですので、そうならないように普及啓発をお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 次です。
 国の不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会報告書によりますと、長期にわたる治療による身体面、精神面への負担にも配慮とあります。
 不妊治療のつらさは、実際に受けている方から話を伺っていて、とてもつらいものだなというふうに伝わってくるんですね。そういう方々への配慮はどのように行われているのかをお伺いいたします。

○手島少子社会対策部長 不妊治療を受けている方の中には、家族や周囲の理解不足や治療の長期化などにより、悩みや不安を感じている方も少なくございません。
 そのため、都では、不妊・不育ホットラインにおいて、不妊に悩んだ経験を持つカウンセラーなどが治療に関する情報を提供するとともに、社会の偏見や無理解に関する相談に応じるなど、不妊に悩む方々への支援を行っております。

○塩村委員 ありがとうございます。ぜひサポートの方をよろしくお願いいたします。
 次です。こちらも第二回定例会にて質問した内容に近いんですけれども、男性不妊についてお伺いいたします。
 男性の不妊も女性と同じぐらいだと報道がされています。都はその割合をどのように把握をしているのでしょうか。
 そして、男性不妊が女性と同じぐらいあるという事実を周知をしていくことも、女性の精神的な負担を軽減するだけではなく、男性にも当事者意識を持って取り組むきっかけとなり、早期の問題解決につながると考えています。都の取り組みをお伺いいたします。

○手島少子社会対策部長 東京都内におけます不妊治療の男女の割合につきまして、数値は把握をしてございませんが、一九九六年、WHO、世界保健機構の不妊症原因調査によれば、男性側に原因があるケースは五割近くとなっております。
 男性不妊について、都は、大学生向けに作成をいたしました小冊子「いつか子供が欲しいと思っているあなたへ」において、男性にも不妊につながる要因が存在することを詳しく説明するとともに、昨年度、二つの大学で実施をいたしました妊娠、出産に関する出前講座でも、男性の不妊について取り上げたところでございます。
 今後とも、男性も含め、若い世代を中心とした妊娠、出産に関する正しい知識の啓発に努めてまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。都は、特に未来の世代に向けての取り組みをしっかりとしているように感じ、これは中長期的に見て必ず結果が出てくると思いますので、引き続きしっかりとお願いしたく思います。その一方、先ほど指摘をさせていただいたようなこともありますので、今後、気にとめておいていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
 次に移ります。決算書一六三ページの生活環境費の動物の愛護管理についてお伺いをいたします。決算ですので、事業の中身をしっかりと振り返っていきたいと思います。
 昨年、動物愛護法が改正をされ、動物の愛護と福祉が向上をしました。しかし、現実は法にまだまだ追いついていません。
 そこで、動物の愛護と管理の分野についてお伺いをいたします。
 まずは管理の分野からです。
 平成二十五年度における第一種動物取扱業の登録数、そして監視指導件数はどのようになっているのかをお伺いいたします。

○中谷健康安全部長 平成二十五年度末時点における都内の第一種動物取扱業登録件数は五千六百二十四件で、平成二十五年度の監視指導件数は二千三百九件でございます。

○塩村委員 ありがとうございます。監視指導の件数が結構多いんだなという印象を持ちました。
 その監視指導なんですけれども、監視指導におけるランク分けの基準と状況、またそれぞれのランクの業者の数の推移をお伺いいたします。

○中谷健康安全部長 監視指導におきます事業者評価のランクでございますが、A、B、C、Dの四段階でございます。全ての点検項目が遵守されている場合はAランク、おおむね良好である場合はBランク、改善が必要な場合は、その程度に応じましてC、Dランクとしております。
 事業者数の割合でございますが、A、Bランクの事業者が合わせて九五%以上、C、Dランクの事業者が合わせて数%で、この状況はここ数年変わってございません。

○塩村委員 ありがとうございます。資料として受け取ったものに、平成二十四年度と二十六年度のランク割合表がここにあるんですけれども、よく見てみると、基本的にCとDの業者の法令遵守等と、あとクオリティーの堅持が問題だと思うんですが、実は割合が減っていないんですね。むしろCとDの割合がふえているというような状況です。ランクAの割合も四四%から三九%へと減っております。
 悪いランクの業者の中には、動物虐待など著しい動物愛護法違反事例があったように思います。
 多摩地域の取扱業者の事例が典型的なことだと思うんですけれども、C、Dランクの事業者を減らすための取り組みを具体的にお伺いいたします。

○中谷健康安全部長 C、Dランクの事業者に対しましては、動物の適正な取り扱い、その他動物の健康及び安全の保持等を確保するために、動物愛護管理法に基づきまして、第一種動物取扱業者が遵守すべき事項について、期限を定めた上で改善を指導し、改善状況を継続的に確認するなど、重点的に監視指導を実施しております。

○塩村委員 ありがとうございます。先ほどもいったんですけれども、AとBの合計とCとDの評価の事業者の割合が変わっていなくても、中身を見てみると、改善ができていないと思われるような数字の推移になっておりますので、今後はさらに改善できるよう努力をお願いいたします。
 次です。
 取扱業者の監視指導等を通じて、畜犬登録や狂犬病予防接種の実施状況も確認をされているはずです。実施状況はいかがでしょうか。これまでに更新の拒否、登録の取り消し等があるのでしょうか。

○中谷健康安全部長 第一種動物取扱業者に対する監視指導の際には、狂犬病予防法に基づく犬の登録及び予防注射の実施状況について、その都度確認しております。
 未実施の場合は、犬の登録や予防注射に関する事務を所管する区市町村に対しまして、必要に応じて情報提供し、連携して対応しております。
 狂犬病予防法に基づく犬の登録や予防注射を行わなかったことにつきまして、法第十二条に規定する登録を拒否しなければならない要件、また、法第十九条に規定をいたします登録の取り消しができる要件といたしまして、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から二年を経過するものと規定をしておりまして、そうした事例が過去になかったことから、登録の更新の拒否、登録の取り消しを行った事例はございません。

○塩村委員 ありがとうございます。今まで都では行ったことがないということが判明をいたしました。
 聞いていると、今のところそのあたり、余り機能していないんじゃないかなというふうな印象を受けます。動物愛護法に違反をしている状態の対応は、都も区とともにしっかりと行っていただきたいと思います。
 狂犬病予防法の実施一つをとっても、していない取扱業者も実は見受けられているんですね。昨年九月の動愛法の改正により、狂犬病予防法に基づき接種をしていない業者は違反となってまいります。所管の区と連携をし、違反に対応したのでしょうか。また、動物愛護法に当たるケースが複数、しかも十年以上という長期にわたる取扱業者も確認ができております。
 同法第十九条によれば、環境省令で定める基準に適合しなくなった場合は、その登録を取り消し、または六カ月以内の期間を定めてその業務の全部もしくは一部の停止を命ずることができるわけです。
 私、局といろいろとこの件についてもやりとりをしている中で、どうかなと思う例がたくさんあるんですけれども、その関係で環境省令も読み込んでみました。ちょっと聞いていた話と違うんじゃないかなと思うケースも実際あります。とっくの昔に取り消してなくてはいけないところまで来ているケースもあるんではないでしょうか。常識の範囲を著しく逸脱をしているケースです。
 私は、長年にわたり都民の皆様等からの苦情を受けながらも、愛護法に触れる業者を取り締まっていないことは問題だと思います。先ほどもいいましたが、典型的な例が多摩地区のペットショップです。このような業者は少なくとも更新をしないべきです。しかし、更新がされているのではないでしょうか。
 このようなことに対して、都の対応に全く問題がないのかをお伺いいたします。

○中谷健康安全部長 狂犬病予防法に基づく犬の登録や予防注射につきましては、区市町村の自治事務となっており、都は、監視指導を通じて得られた情報について、必要に応じて区市町村に情報提供し、連携をして対応しております。
 都は、動物愛護管理法に基づいて事業者の登録を行っており、その更新に当たっては、法令で規定する飼育施設や設備の管理、動物の管理などの基準の遵守状況を適正に審査をしております。
 問題がある事業者につきましては、管理状況等の改善を図るために、重点的な監視指導を行っております。
 今後とも、監視指導を徹底いたしまして、改善が見られない場合は、法に基づいて業務停止や登録の取り消しなどを行ってまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。適正に審査をしていると、法に基づいて業務停止や登録の取り消しを今後実施していくとのことですが、省令を読んでみても、予防注射、これだけではなくて環境等のことについても書いてあるんですね。その辺を見ていけば、幾つ違反をしているんだろうかというような事例もあり、事務処理の方が適正に行われていないんではないかなと思わざるを得ないケースがあるということを指摘させていただきます。
 都の対応に非常に問題があるんではないかなと私は考えているんです。私が現地で調査をしただけでも、法律違反を長く見逃してきたとわかるわけです。これは問題だと思います。
 これ自体も問題なんですが、それをなかなか認めていただけないという姿勢の方が問題ではないかなと思います。こういったことがあったせいなのか、さまざまなことが今回ありまして、私としてもいかがなのかなというようなことがあるので、その辺の改善等は必ずしていただきたいなと思っております。
 数年から十年も改善が見られず、周辺住民に迷惑をかけて、虐待に至ってしまっているわけですから、絶対に放置せず、今後は対応していただきますよう強く要望をいたします。
 次に、動物愛護管理審議会についてお伺いをいたします。
 私も委員を務めております。二十五年度は数回開催されたと思います。この審議会における委員選定基準はどのようになっているのでしょうか。具体的な選定方法と、どのように選定をしたのか、過程を詳しくお伺いいたします。

○中谷健康安全部長 東京都動物愛護管理審議会の委員につきましては、東京都動物の愛護及び管理に関する条例第三十三条において、学識経験を有する者及び関係行政機関職員のうちから知事が委嘱するというふうに規定をしております。条例の規定に基づきまして、専門知識を有する者及び動物愛護関係団体などから委員を選定しております。
 具体的には、獣医学などの専門知識を有する者から四名、動物愛護関係団体や東京都獣医師会など関係団体から四名、動物愛護推進員や小学校のPTA協議会など都民の方から四名、先ほどお話がございました都議会議員から三名、特別区及び市の行政関係職員から二名、合わせて十七名で構成をされております。

○塩村委員 ありがとうございます。審議会等で配られたり発表されている、局の方で作成をした肩書や所属には書かれていなかったんですけれども、同じ団体から複数選出されているというようなこともわかっているんですね。肩書を分けて書いてあるわけです。また、そのお一人はもともと環境省の出で、動物愛護管理室の室長だったはずです。その方が違う団体を代表する立場で出られていると。これは審議の公平性や中立性を保つ意味でどうなのかなと思う方もいらっしゃるんではないでしょうか。次回以降、気をつけて委員の選定を公平にお願いしたく思います。
 審議会について、厚生委員会でも質疑がありました動物愛護管理審議会答申素案についてですが、第三回の審議会の後、パブリックコメントでの都民の意見を締め切って初めて開催をされる審議会が、これが第四回になるんですけれども、十一月二十一日の時点で、第四回審議会において答申をいただくというふうに断言ともとれるコメントがあるんですね。これはパブコメ軽視、審議会軽視ととられても不思議ではないのではないでしょうか。このような状況で、都は、パブリックコメントの内容の取り扱いについて十分議論したと答弁できたのでしょうか。
 動物愛護管理審議会では、都民の皆様のパブコメを受けた後に、委員で審議をし、反映をさせるべきであり、その日のうちに、第四回ですね、答申を出すことが決まっているということは、形骸化ではないかと思います。改善をすべきだと思います。
 改善する方向で検討をしているのか、今のままでいいと考えているのか、お伺いをいたします。

○中谷健康安全部長 平成二十五年十一月二十一日の厚生委員会におきまして、「今後、パブリックコメントを経まして、第四回審議会において最終答申をいただき、今年度中に動物愛護推進計画の改定を行う予定でございます。」というふうにご答弁を申し上げました。
 パブリックコメントを受けた後に、平成二十六年一月九日に第四回の東京都動物愛護管理審議会を開催いたしまして、パブリックコメントに対する審議会としての考え方について十分ご議論いただき、パブリックコメントを一部反映をいたしまして、知事に対する審議会の答申がなされました。
 各委員からさまざまな意見が出され、議論がまとまらなかった場合には、委員長に取りまとめを一任、議決によるなど必要な対応を図っております。
 今後とも、審議会の適切な運営に努めてまいります。

○塩村委員 ありがとうございます。今後とも審議会の適切な運営に努めるとのことですが、今のやり方を見直すということもあるということでいいんでしょうか。以前、部長は、見直す必要はないと委員会の方で答弁をしているんですね。
 その審議会が、さきに指摘をしたような委員の構成の問題も含んでいたり、私も、パブリックコメントを受けた答申素案を前日に課長からいただき、見てみると不十分だと感じましたので、あしたの審議会ではこれをしっかりともむ時間はあるんですかと聞いたところ、はい、あした大丈夫ですとお答えになられました。
 しかし、行ってみますと、本日答申し、二時にはプレスしますということで、十時から十二時までの審議会であったんですけれども、終了後ほぼすぐにプレスするということが決まっているような状況で、あれだけ意見が出たのに何の修文もされませんでした。予定ありきだと感じました。
 私、以前の委員会でも指摘はしているんですけれども、他府県の例を見てみますと、一度ちゃんと、もむところをとっているところが多いんですね。すぐに発表するようなことはせずに、数日置いてから発表しているところもあるんです。そのままやっているというようなところもありましたが、東京都としては、ぜひきちんと反映をしていただきたいなと思っております。
 いわば強引な進め方で、終了時には、傍聴に来ていた都民の方からクレームが出たりと騒然となりました。こういうことが起こるということが問題だと私は申し上げているんです。
 そして、厚生委員会についてなんですが、議事録から読み上げさせていただきます。部長はこう答弁されています。「今後、パブリックコメントを経まして、第四回審議会において最終答申をいただき、今年度中に動物愛護管理推進計画の改定を行う予定でございます。」、先ほどおっしゃっていたことですね。
 第四回の審議会は平成二十六年一月九日に行われました。この日の会議に資料2として意見募集の集計結果が配布されまして、審議会の委員は、初めてこの場でパブコメの内容について議論をするということになります。
 一方で、なぜか資料4としまして答申案も同時に委員に配布がされているんですね。でも、よく考えていただきたいんです。パブリックコメントの内容の取り扱いについて十分議論をしたというふうにお答えになっているんですね。内容を十分に議論をすれば、その日のうちに答申がまとまらない可能性はゼロではありません。しっかりやろうと思えばやるほど、そんな二時間後にプレス発表するというようなこと、そのような予定を立てているということはないと思うんです。
 しかも、十一月二十一日の時点では、平成二十五年十一月二十九日から十二月十二日にかけて行われました募集がされたパブコメにどのような意見が来るか全くわかっていないわけです。にもかかわらず、十一月二十一日の時点で、ほかの委員の方の質問に対してだったんですが、第四回審議会において最終答申をいただくというふうに答弁されています。
 そんなふうに予定を立てているというふうにとられても仕方ないというか、私はとってしまうんですけれども、ここが問題だと思うんですね。もし十一月二十一日の時点で第四回審議会において答申をいただくというのであれば、パブコメ軽視、審議会軽視の批判は免れないのではないでしょうか。
 百歩譲って、答弁のとおり予定だといったとしても、局がそのような予定を立てて、厚生委員会の場で答弁をしていること自体が、何度もいいますが、審議会の軽視、パブコメ、つまりは都民の皆様の意見に真摯に耳を傾けるつもりがないのではないかと私はいっているんです。
 そもそも議事録をお読みいただければわかるとおり、質問した委員は、審議会における検討状況と今後の予定を分けて聞いています。それに対して答弁なんですけれども、「パブリックコメントを経まして、第四回審議会において最終答申をいただき」とお答えになり、その上で、皆さんがつくった議事録にはあえて読点「、」を打った上で、「今年度中に動物愛護管理推進計画の改定を行う予定でございます。」とおっしゃっています。前段が検討状況の説明であり、後段が予定であるわけです。予定ではもう決まってしまっているように受け取れます、その一案しか答弁がされていないわけなんですから。
 とにかく、何度もしつこいようですが、申し上げたいのは、パブコメを受けた後にしっかりと審議をする場、機会を設けるべきであったということであります。行政がまとめたものの追認にしかなっていないといわれても仕方ありません。今回のような審議会軽視、パブコメ軽視の運営を行うことが二度とないようお願いを申し上げます。
 パブリックコメントでは、今の東京都の譲渡事業を肩がわりをしている民間の動物愛護団体への助成金の検討などの意見が寄せられておりました。東京都としても譲渡拡大のための仕組みづくりを掲げているわけですが、そのためには、動物愛護団体などボランティアの方々への支援が欠かせないと考えています。
 これまでに東京都はどのような支援活動を行ってきたのでしょうか。以前に私にご答弁いただきました、特に民間との連携の進捗をお伺いいたします。

○中谷健康安全部長 都はこれまでも、ボランティア団体を対象とした研修を行っており、昨年度からは、そのテーマに動物の取り扱いに関する最新情報や法律問題等の内容を取り上げるなど、ニーズを踏まえて内容の充実を図っております。
 今年度からは、ボランティア団体がより効果的に活動できるよう、譲渡に関する情報提供、ボランティア団体間のネットワークづくりを進める予定でございます。
 また、区市町村がボランティア団体と連携して実施する飼い主のいない猫対策などにつきましては、区市町村包括補助事業によりまして支援を行ってきております。
 都が連携して譲渡事業を実施する登録団体は、平成二十四年度に三十二団体、平成二十五年度に三十五団体、現在は四十団体へと増加をしております。
 今年度からは、ボランティア団体だけでなく、新たに民間企業も登録団体となっております。

○塩村委員 ありがとうございます。民間との連携はぜひ進めていただきたいと思います。いろいろなアイデア等をお持ちなんですね。民間と連携している道府県等ありますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 現在の東京の殺処分数が少ないのは、こうした愛護団体さん等に譲渡をしているからなんですね。都の職員が休んでいる休日の土日を潰して譲渡をしてくださる方たちがいるからこそ、このように都の殺処分の数は減っているわけです。
 その中のボランティアの一部の方からは、譲渡をしてくれてありがたいと。ボランティアの方々は命を救いたいと頑張っている方たちばかりですから、譲渡してもらった方がもちろんありがたいんですけれども、自分たちが仕事をしたりであるとか、家庭の中で主婦でいろいろな仕事をしながら、土日をボランティア活動に充てているわけです。その土日を職員の方が休んでいるのは少し違和感があるとおっしゃる方もいるんです。それでも、譲渡をしてくれてありがたいというふうに感謝はもちろんしています。
 そこでお伺いいたします。動物愛護センターです。土日開庁に係る経費は幾らぐらいになるのでしょうか。土日開庁を望む声は多く、個人譲渡を土日に都が行うことにより、動物愛護団体の負担が減り、殺処分がさらに減っていくのではないでしょうか。
 これをした方がいいという理由は、都の方に、都民の方がセンターに一旦行っていただくことにより、そこでもらい手がない動物たちが--ちょっと病気であったりとか、性格が難しいであるとか、そういった犬や猫の扱いになれているのがボランティア団体さんですから、そういう子たちは譲渡していった方がいいと思うんですね。
 ですので、ぜひお伺いしたいんですが、動物愛護相談センターの土日開庁に係る経費、お伺いさせてください。

○中谷健康安全部長 都は、都独自の登録制度によりまして、登録譲渡団体を通じて動物の譲渡を推進しております。
 登録譲渡団体の多くは、土日も含めて譲渡を受けられる機会を提供しておりまして、登録譲渡団体を通じた個人への動物の譲渡は、都の譲渡実績の約八割でございます。
 今後とも、登録譲渡団体を通じた譲渡の一層の推進によりまして、さらに致死処分数を減少させてまいります。
 なお、土日開庁につきましては、検討をしていないため、経費の算出はしておりません。

○塩村委員 ありがとうございます。
 ちょっと待ってください。団体を通じて譲渡をすると、それが個人譲渡だと今おっしゃっていて、それを見ると八割ということなんですけれども、それって団体譲渡ですよね。都が団体に譲渡をして、そこから受けた団体さんが個人に譲渡をしているわけですから、都から見てみれば、団体に譲渡をしているものを個人譲渡にカウントするのはおかしいですね。
 実際、個人の方がセンターに来て譲渡を受けたのであれば、それは確かに個人譲渡なんですけれども、都の方で愛護団体さんに譲渡をしたのは団体譲渡です。そこから出ていった先の犬や猫は愛護団体にとっては個人譲渡、でも団体ですから、団体同士の譲渡はここからないですから、おかしいと思いますね。個人譲渡八割ではないですね、それは。そこは強く、認識を改めていただきたい。
 団体に譲渡をしているものが、団体から個人に譲渡したものに関しては、それは都から見ては絶対に個人譲渡ではないですから、そう答弁なさるというのは非常におかしなことだと私は思いますし、多くの方がそのように思うと思います。
 都は、動物愛護団体やボランティアさんの志に甘えているばかりではなく、その支援をより充実させる必要があるように思います。ぜひより一層の支援策の拡充をお願いしたく思います。
 最後の質問です。
 動物愛護センターにおける年末年始、ゴールデンウイーク等の長期休暇の場合の動物管理体制はどのようになっていますでしょうか。犬舎などで異変があった場合、どのように対応しているのかをお伺いいたします。

○中谷健康安全部長 今のご質問に対するご答弁を差し上げる前に、先ほどの私の方の答弁で誤解があるといけませんので、改めてご答弁申し上げますと、先ほどご答弁申し上げた中身は、登録譲渡団体を通じた個人への動物の譲渡は、都の譲渡実績の約八割でございますと答弁しておりますので、この約八割というのは団体譲渡のことでございます。残り二割が個人譲渡ということでご理解をいただければというふうに思います。動物を譲渡すると必ず個々人の方にまいりますので、そういう意味で個人への動物の譲渡と、こういう言葉を使わせていただいたということでございます。
 今のご質問についてでございますが、年末年始やゴールデンウイークの期間についても、飼育管理を委託してございます事業者が動物愛護相談センターに常駐をいたしまして、平日と同様の動物管理を実施しております。
 緊急時には、必要に応じ、動物愛護相談センターの獣医師、職員が出勤できる体制を常に確保しております。

○塩村委員 ありがとうございます。そうですね、八割というのは、団体、個人というか、そこはきっちりしておいた方がいいと思います。とても誤解を受けるような答弁になっておりますので、よろしくお願いいたします。
 休日の体制なんですけれども、こちらについてはしっかりと対応していただいているようです。ありがとうございます。
 しかし、全般的に見て、動物愛護の分野において、東京都はさらに改善をする必要があると思います。他府県の方が先進的な事例も実は多いんですね。
 先ほどから指摘をしていますように、内部のシステムの改善、まずお願いしたく思います。システムといいますか、体質といいますか、変えていくことで事業もよりよくなると思います。そして反省も踏まえていただきたいと思います。
 さらに、都民の声をもっと大切にしていただきたい。パブリックコメントは都民の声をダイレクトに知ることができるいい機会です。そう多くない機会をぜひ大事にしていただきたいんです。
 今回のパブコメは、前回の三倍もの四百を超える意見が届いたとのことです。それだけ多くの人たちが重要な問題である、注目をしているんです。その声を軽視しているのでは民意に沿っていないということになってしまいます。世界一の都市東京のしていることにしては、かなり残念だと思います。
 改善とさまざまな意味での再発防止を強く要望しまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○小松委員 本日は、中等度難聴児発達支援事業及び災害医療体制の二点について、幾つか質問をさせていただきます。
 初めに、中等度難聴児発達支援事業について伺います。
 本事業は、我が党の議員が紹介議員となった請願をきっかけにして、平成二十五年度から中等度難聴児発達支援事業を開始したものであります。同事業については、難聴児の方及び難聴児をお持ちの親御さんが大いに期待されている事業と聞いております。
 そこで改めて、中等度難聴児発達支援事業の意義及び支援内容について伺いたいと思います。

○高原障害者施策推進部長 聴覚に障害を有する児童は、幼児期から補聴器の使用などの適切な支援を行うことで、言葉のおくれなどを防止し、言語能力や生活能力等の向上を図ることが期待できます。
 しかしながら、国の制度では、両耳の聴力レベルが七十デシベル以上であるなど身体障害者手帳の交付を受けた者に対してのみ、補装具としての補聴器購入費用の助成を行っております。
 そのため都では、平成二十五年度から、両耳の平均聴力レベルがおおむね三十デシベル以上の身体障害者手帳の交付を受けていない十八歳未満の難聴児に対して、区市町村を通じて補聴器購入費用の助成を開始いたしました。

○小松委員 それでは、中等度難聴児発達支援事業の平成二十五年度の実績と今後の見通しについて伺います。

○高原障害者施策推進部長 平成二十五年度におきます実績は、十八区十市で事業が開始され、百二十八台、約六百二十万円の助成を行いました。
 なお、本年七月現在では、実施区市町村は二十一区十七市に広がっております。
 今後も、本事業への積極的な取り組みが進むよう、引き続き区市町村に対して働きかけをしてまいります。

○小松委員 都内の多くの区市で実施されているということは、この事業が極めて有意義であるということも一つのあらわれだと思っています。引き続き、いまだ導入の進んでいない区市町村への積極的な働きかけをしていただきたいというふうに思います。
 次に、災害医療体制について伺います。
 昨年の十月、大島町では痛ましい土砂災害が発生し、多くの貴重な生命が失われました。ことしに入りましても、広島県での土砂災害や御嶽山の噴火災害など、全国各地においてさまざまな自然災害が続いております。
 特に、御嶽山では、懸命な捜索活動が続けられてきましたが、五十名を超える方が亡くなられ、また重傷者も多数発生しており、自然災害の脅威とともに、日ごろから災害に備えることの大切さを改めて感じているところであります。
 さて、平成二十四年に東京都防災会議が公表した首都直下地震等による東京の被害想定によると、マグニチュード七・三の東京湾北部地震が発生した場合には、最大で負傷者が約十五万人発生し、そのうち重傷者は二万人を超えると想定されております。この負傷者を受け入れる医療機関の役割は大変重要になるものといえます。
 これに対し、都は、東日本大震災での教訓を踏まえ、新たな災害医療体制について検討を進め、平成二十四年十一月に東京都地域防災計画を修正し、都内全ての医療機関の役割分担を明確にしたと聞いております。
 そこで、改めて、発災直後から急性期において多数の負傷者の治療を担うこととなる医療機関のそれぞれの役割と平成二十五年度の指定状況について伺います。

○小林医療政策部長 都は、東日本大震災の教訓を踏まえて、災害医療体制を見直し、都内の全ての医療機関が災害時の医療に参画し、その役割に応じて機能を発揮できるよう、災害拠点病院、災害拠点連携病院、災害医療支援病院、診療所等に区分いたしました。
 このうち、災害拠点病院は重症患者の収容、治療を担う病院として都が指定するもので、昨年度新たに指定しました五病院を含め、平成二十五年度末時点で七十五病院となっております。
 また、災害拠点連携病院は、主に中等症患者や災害拠点病院での治療後に容体の安定した患者を受け入れる病院として、昨年度から都が指定しているもので、平成二十五年度末時点で、救急告示医療機関を中心に百三十五病院を確保しているところでございます。
 その他の病院は、災害医療支援病院として位置づけ、産科医療や透析医療など、災害時に不足する医療を継続して提供する役割を担うこととしております。

○小松委員 首都直下地震等の災害が発生した場合においては、建物の倒壊、火災の発生などにより、多くの負傷者が発生するとともに、道路やライフラインも寸断されるなど、さまざまな事態が想定されます。
 そのような厳しい環境において、都内の医療機関は、負傷者のみならず、慢性疾患を持つ患者など医療を必要とする方々にとって重要な役割を担うこととなりますが、とりわけ重症患者の収容、治療を担う災害拠点病院は、医療救護活動の中心的な役割を果たす極めて重要な存在と考えます。
 負傷者に対して適切に医療を提供して、一人でも多くの生命が救われるように、災害拠点病院を確保していくべきと考えますが、今後の災害拠点病院の確保に向けた都の取り組みについて伺います。

○小林医療政策部長 都は、首都直下地震等による東京の被害想定で示された負傷者数や病院の収容力などを考慮しながら、災害拠点病院の必要数について精査を進めてまいりました。
 今年度につきましては、地域特性を踏まえながら、新たに五病院を指定する予定であり、現在、候補となる病院と調整を進めております。
 また、災害拠点病院に対しまして、新築、増改築に伴う補強及び既存建物に対する補強、備蓄倉庫、自家発電設備、受水槽、応急用資器材等の整備を支援し、災害拠点病院機能の充実にも努めているところでございます。
 今後とも、災害発生時に重症患者を確実に受け入れられるよう、災害拠点病院の必要数を確保するとともに、施設や設備の整備に対する支援を継続してまいります。

○小松委員 ただいまお話がございましたように、災害拠点病院については、必要数を精査し、十分な数を確保してもらいたいと思います。
 さて、都は、既に災害拠点病院、災害拠点連携病院の指定を進め、重症患者等の受け入れ先を確保するなど、災害医療体制の強化に向けて取り組みを進めておりますが、多くの負傷者、重傷者に対応するためには、医療機関の確保に加え、都や区市町村を初めとした関係機関としっかり連携し、それぞれの役割を確実に果たしていくということが重要と考えます。
 災害拠点病院等の医療機関が十分に医療機能を発揮するための連携体制の構築の状況について、都の取り組みを伺います。

○小林医療政策部長 お話のとおり、医療機関が十分に機能を発揮し、より確実に重症患者等を受け入れるためには、都、区市町村、消防などの行政機関や医師会を初めとした関係団体が、人口規模、病院や診療所の医療資源、道路状況などの地域特性を踏まえた連携体制を構築することが不可欠と考えております。
 このため都は、二次保健医療圏ごとに設置いたしました東京都地域災害医療コーディネーターを中心に地域災害医療連携会議を開催し、負傷者の受け入れ先の確保、医療資源の配分などについて具体的な方策を検討し、その検証のため、昨年度から災害医療図上訓練を実施しているところでございます。

○小松委員 地域の実情に応じて災害時の医療連携体制を構築するためには、日ごろからさまざまな訓練を行い、検証を重ねることが重要であると考えます。
 災害医療図上訓練を実施しているということでございますが、この図上訓練の具体的な内容と今後の計画について伺いたいと思います。

○小林医療政策部長 災害医療図上訓練は、大学病院の講堂等におきまして、地域災害医療コーディネーターを中心に、医療機関を初め区市町村、保健所、医師会等の関係機関が参加し、災害状況を想定し、重症患者を中心とした負傷者の搬送と受け入れ、医療機関の調整や医療救護班の要請と派遣など、機関同士の連携や対応方法について確認、検証する訓練でございます。
 昨年度、区南部、区西部、南多摩の三医療圏で実施しておりますが、今後、全ての医療圏で順次実施していく予定でございます。
 今後とも、災害時に限られた医療機能が十分に発揮できるよう、訓練を通じて地域の実情を踏まえた連携体制の構築に努めてまいります。

○小松委員 ただいまお話をいただいたとおり、都は、東日本大震災以降、災害医療体制の充実に努めていることが理解できました。
 今後とも、災害拠点病院や災害拠点連携病院など医療機関の整備を進め、都民の安心・安全につながる適切な医療を提供できるよう、災害医療体制の強化に向けた取り組みについて引き続き推進されることを要望して、福祉保健局関係の私の質問を終わります。

○橘委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○橘委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時三十八分休憩

   午後三時五十五分開議

○橘委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十五年度東京都一般会計決算中、病院経営本部所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○小松委員 私からは、まず公社活性化プランⅢについて質疑をさせていただきます。
 平成二十四年三月に、地域医療のさらなる充実のために公社の役割と課題をまとめ、平成二十四年度から二十八年度までの五カ年の取り組みの方向性を定めた第三次中期経営計画として、公社活性化プランⅢが策定されました。
 この計画の中では、患者中心の温かい医療の提供、地域医療ニーズを踏まえた特色ある医療の提供、質の高い人材の確保・育成、財政基盤の確立と自律的経営の促進といった四つの視点を掲げ、具体的な取り組み内容とその方向性を示しております。
 そこで、計画の二年目に当たる平成二十五年度における具体的な取り組み状況について伺います。

○高野経営戦略担当部長 公社活性化プランⅢの四つの視点のうち、主な取り組みとして、患者中心の温かい医療の提供については、薬剤師の病棟常駐や栄養サポートチームの病棟回診などチーム医療を充実強化し、患者から選ばれる病院づくりを目指しております。
 また、地域の医療ニーズを踏まえた特色ある医療の提供については、荏原病院において昨年七月から、リハビリの中核医療機関として、脳の損傷によって認知機能や精神機能に障害を持つ高次脳機能障害者に対し切れ目のないリハビリを提供するため、高次脳機能障害支援普及事業を開始するとともに、認知症疾患医療センターの取り組みとして、認知症の疑いのある受診困難者を訪問し、診断を行う認知症アウトリーチを開始しております。
 一方、多摩南部地域病院においても、昨年七月に緩和ケア病棟の運営を開始するなど、地域の医療ニーズを踏まえた特色ある医療の充実強化を図っております。
 今後とも、地域医療のさらなる充実に貢献するとともに、経営改善策に積極的に取り組むなど、公社活性化プランⅢを着実に推進してまいります。

○小松委員 ただいまの答弁で、東京都保健医療公社が公社活性化プランⅢに着実に取り組んでいるということが確認できました。
 そこで、公社活性化プランⅢのさまざまな取り組みが公社病院の運営に反映されていることと思いますが、決算の状況を伺う前に、平成二十五年度における公社病院全体の診療実績について、前年度と比較してどのような状況になっているのか伺いたいと思います。

○高野経営戦略担当部長 平成二十五年度の公社病院全体の診療実績でございますが、延べ入院患者数は六十万九千百七十三人で、前年度と比べ二千百六人の減となっております。これは、地域の病院や診療所と医療連携を進めた結果、平均在院日数が前年度と比べて〇・八日減となり、十二・二日に短縮されたためでございます。
 次に、延べ外来患者数は八十四万三千九百二十五人で、前年度と比べ二千三百六十二人の減となっております。外来患者数に関しましても、医療連携を進めた結果、返送、逆紹介患者数が増加したことにより、再来患者数が減少したためでございます。
 なお、医療連携や救急患者の受け入れを強化した結果、紹介患者数は六万百九人で、前年度と比べ二千二百六十七人の増となり、救急患者数は八万七千三百三十五人で、前年度と比べて百三十九人の増となっております。
 また、入院診療単価では四万九千五百九十三円で、前年度と比べ千五百二十六円の増となり、外来診療単価では一万一千九百二十一円で、前年度と比べ四百五十二円の増となっております。
 今後とも、地域の医療機関との連携強化や救急患者の積極的な受け入れなど、地域の医療ニーズに応えていくとともに、病院運営の効率化やさらなる経営改善を図ってまいります。

○小松委員 先般の事業説明において、病院経営本部所管の一般会計決算における歳出としては、地域病院における管理費は百三十六億三百万円、病院等の整備に要する経費は四億五千七百万円であったとの説明を受けております。
 先ほど答弁のあった平成二十五年度の診療実績を踏まえ、公社病院全体の医業収支及び運営費補助金の状況がどのようなものであったのか伺います。

○高野経営戦略担当部長 平成二十五年度の公社病院の医業収支の状況でございますが、医業収入は総額で四百十六億四千五百万円、医業支出は総額で四百五十八億七千万円でございます。この結果、平成二十五年度の医業収支比率は九〇・八%となり、前年度と比べ〇・三ポイント改善しております。
 なお、各病院に対する運営費補助金は五十億五千九百万円で、前年度と比べ二億四千八百万円の増となっておりますが、これは看護師の充足等による給与費の増等によるものでございます。

○小松委員 ただいまの答弁で公社病院の収支状況がわかりましたが、公社活性化プランⅢの取り組みの中で、経営改善策に積極的に取り組んでいるとの答弁がございました。
 具体的な経営改善の取り組みと決算の主な増減要因について伺います。

○高野経営戦略担当部長 平成二十五年度の医業支出については、医師、看護師の充足等により給与費が八億五千九百万円増加し、また、薬剤費や診療材料費等が二億三千六百万円増加したことなどにより、全体として十三億四千三百万円の費用増となっております。
 一方、医業収入につきましては、各病院の平均在院日数の短縮や病棟薬剤業務実施加算や急性期看護補助体制加算といった新たな施設基準の取得等の経営改善に取り組んだことにより、十三億一千四百万円の収益増となっております。
 この結果、全体としては、医業収支比率を改善することができたところでございます。

○小松委員 ただいまの部長の答弁によりますと、各公社病院が経営改善に取り組み、その成果が実を結んできたものと理解できました。引き続き経営改善に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 次に、がん医療について伺います。
 がんの終末期には、治療が困難な方や治療を希望されない方も多く、がん患者さんやそのご家族が安心して自宅や介護施設等に、住みなれた地域で療養できるようにすることが大変重要でございます。
 先ほどの公社活性化プランⅢの取り組みの中で、昨年七月に多摩南部地域病院に緩和ケア病棟の運営を開始したとの説明がございました。
 そこで、多摩南部地域病院における緩和ケア医療の取り組み内容について伺います。

○高野経営戦略担当部長 多摩南部地域病院では、がんの進行に伴う身体的な苦痛や精神的な苦痛を和らげる緩和ケア医療を提供するため、昨年六月から緩和ケアに関する相談窓口を設置するとともに、七月から緩和ケア外来及び緩和ケア病棟を開設し、病床数十六床での運営を開始したところでございます。
 緩和ケア外来では、患者さんとそのご家族を対象に、病気の進行による体や心のつらさを緩和する緩和医療やケアを提供しております。
 入院が必要な場合には、緩和ケア病棟において、医師を初め看護師、薬剤師、臨床心理士など多職種チームにより対応をしております。
 病状が安定した際には、自宅や介護施設等でも安心して療養できるよう、地域の医療機関等と連携し、患者さんへのサポート体制を整備しております。

○小松委員 次に、平成二十五年度の緩和ケア医療の実績がどのようになっているのか伺います。

○高野経営戦略担当部長 まず、平成二十五年度の緩和ケア外来の実績でございますが、地域医療機関等からの緩和ケアに関する入院相談件数は二百二十二件、外来受診者数は百三十一人となっております。
 次に、緩和ケア病棟の入院実績でございますが、新規入院患者数は七十一人、平均在院日数は二十七・五日で、病床利用率は五五・八%となっております。

○小松委員 ただいまの答弁の中で、病床利用率が五五・八%ということでした。この数字は決して高いとはいえないように思うわけでございますが、原因は何なのか、また、今後どのように対応されていくのか伺いたいと思います。

○高野経営戦略担当部長 緩和ケア病棟の開設に当たりましては、医師の定数二名を措置したところでございますが、緩和ケアに従事する医師は、その専門性が高いことから確保が難しく、開設当初は専従医師一名を確保し、運営を開始したところでございます。
 引き続き医師の確保に努めていくとともに、近隣の医療機関との一層の連携の強化に努め、積極的に患者さんを受け入れてまいります。
 今後とも、がん患者さんとご家族が住みなれた地域で安心して療養できるよう、緩和ケア医療の充実強化を図ってまいります。

○小松委員 現在、東京都では、三人に一人ががんを理由に亡くなられているわけでございます。その約八割を六十五歳以上の高齢者の方が占めています。
 今後、高齢化の急速な進展により、がんの患者数やがんによる死亡者数がますます増加していくということが十分に予見されるわけでございます。
 将来を見据えた多摩南部地域病院の取り組み、これはまさに都民の皆様の期待に応えるものであり、住みなれた地域で安心して療養生活が送れるよう、専従医師の確保に努めるなど、緩和ケア医療のより一層の充実と地域に貢献する公社病院としてその役割を果たしていただくことを要望して、私の質問を終わります。

○斉藤委員 私の方からは、荏原病院におけます地域連携について質問させていただきます。
 病院経営本部が所管する一般会計に係る決算委員会は、東京都保健医療公社に対する運営費補助の審査となりますけれども、公社病院が都の行政施策にどのようにかかわり、この運営費補助が公社病院の運営にどのように反映されたのかを確認する質問をしたいと思います。
 私の地元目黒区に隣接する大田区にある荏原病院の取り組み状況につきまして、平成二十三年度決算の審査におきまして、荏原病院の地域連携の状況や総合脳卒中センターなどの取り組み状況について、かつて質疑を行わせていただきました。その後の状況がどうなっているのかをまず最初にご質問したいと思います。
 平成二十五年度の荏原病院におけます地域連携の状況についてお伺いします。

○高野経営戦略担当部長 平成二十五年度の荏原病院の地域連携の状況でございますが、地域の医療機関を対象とした症例検討会や公開講座の開催など、地域連携の取り組みを推進した結果、地域の診療所や病院からの紹介患者数は一万二千六十二人で、前年度と比べ二百八十九人の増、紹介率は六二・二%となっております。
 また、地域連携の登録医数は千八百十九人で、前年度と比べ七十五人の増となっております。
 一方、地域の医療機関への返送、逆紹介患者数は一万三百五十七人で、前年度と比べ六十二人の減、返送、逆紹介率は四八・五%となっております。
 今後とも、地域医療機関との関係を強化し、地域連携の取り組みを着実に進めてまいります。

○斉藤委員 平成二十三年度の決算の段階では、公社病院のあり方として、紹介率、逆紹介率の比較については、医療の状況が各医療圏によって違いますので、必ずしも数字だけを見て、例えば荏原病院、もっとしっかり頑張ってくれとか、そういうことではなく、病院の成り立ち、歴史というものが非常に重要だと思っております。
 この紹介率六二・二%、逆紹介率四八・五%ですか、できるだけこの数字をアップするためには、地域の医師会ですとか、あるいは基礎自治体とか、さまざまな連携が、相手のあることですので必要だと思いますが、今後も紹介率を上げるように頑張っていただきたいというふうに思っているところであります。
 地域医療連携を着実に進めていることがわかりましたけれども、地域医療を支える公社病院として、より一層これからいろんな工夫をして進んでいっていただきたいと思います。
 さて、日本人の死亡原因として、がん、心疾患、肺炎に次ぎまして第四位となっている脳血管疾患への対応でございます。
 死亡原因として脳血管疾患というのが大変多いわけでございますが、東京都におきましても、平成二十一年から脳卒中救急搬送体制の運用を開始いたしまして、脳卒中を発症した患者の方に対する三百六十五日二十四時間の受け入れ体制を確保する取り組みを行っていると思います。
 荏原病院では以前より、総合脳卒中センターを設置し、脳卒中を発症した患者の皆様の急性期集中治療に積極的に取り組んでいると伺っております。
 そこで、平成二十五年度の総合脳卒中センターにおける取り組み状況についてお伺いをします。

○高野経営戦略担当部長 荏原病院では、総合脳卒中センターを標榜しまして、神経内科を中心に脳神経外科、リハビリテーション科、放射線科が連携して、二十四時間体制で救急患者を受け入れております。
 総合脳卒中センターでは、脳卒中の専門病床六床を運営し、発症早期に有効な血栓溶解療法、いわゆるt-PA治療を二十四時間対応で行っております。
 なお、平成二十五年度に脳卒中専門病床で受け入れた患者数は二百八十二人で、t-PA治療件数は六件でございます。
 また、荏原病院では、入院直後からリハビリテーション医療を提供しておりますが、長期にわたるリハビリテーション医療が必要な患者さんには、医療連携により適切な施設を紹介しております。

○斉藤委員 荏原病院におきまして、脳卒中治療やリハビリテーション医療が着実に提供されていることが今のご答弁で確認ができました。
 今後、高齢者がさらに増加して、長期にわたるリハビリテーションが必要な方も多くなってくることが予想されますけれども、自宅や介護施設などの身近な地域でそういったものが受けられるようにしていくことも大変重要であると思います。
 拠点病院といいますか、救急車で病院に運ばれて、急性期を何とか乗り切った後、直ちにリハビリテーションをきちんと行われることが、術後、病後、非常に重要でございますので、そういった方が地域で元気にまた頑張っていただくためにも、こういったリハビリテーションなどについての連携も重要であると思うわけでございます。
 こういった地域リハビリテーション施設への支援や連携を、荏原病院も今後もしっかりと進めていく必要があると思います。
 平成二十三年度の決算の質疑の中で、荏原病院におきましては、地域リハビリテーション支援センターとしての取り組みを行っているというご説明もそのときにありましたけれども、そこで、平成二十五年度における地域リハビリテーション支援センターとしての取り組み状況についてお伺いをしたいと思います。

○高野経営戦略担当部長 荏原病院では、区南部保健医療圏におきまして、さまざまな形態で実施されているリハビリテーション事業を支援し、そのシステム化を図るため、都からの委託を受け、地域リハビリテーション支援事業を実施しております。
 平成二十五年度には、在宅リハビリテーションを支援するため、地域の医療機関等の医師を初め理学療法士、作業療法士、言語聴覚士に対して症例検討会を行うなど、知識、技術の向上を図っております。
 また、訪問通所リハビリテーションの利用を促進するため、介護施設等のケアマネジャーとの意見交換や研修を実施するとともに、ケアマネジャーに対する相談支援を行っております。
 さらに、地域のリハビリテーション施設、自治体、関係機関等による連絡会を開催し、関係機関相互の情報共有を図っております。

○斉藤委員 荏原病院が地域のリハビリテーション支援事業に取り組んでいることがわかったわけでございます。
 リハビリテーションというのはとても重要でございます。目黒区なんですけれど、大変小さなコンパクトな区ですけれども、リハビリテーション用の病床が目黒区としてはなかなか厳しい状況にあったりしまして、最終的には地域に、本当に在宅でということで望んで、病院の治療が終わった後、こういったご苦労とかが始まるんです。t-PAを受けて、早期に非常に軽度に、処置が早かったために機能を回復していく方もおられれば、リハビリテーションを通じて、できる限りもとに戻りたいという願いを持ちながら闘っているご家族の姿を考えますと、荏原病院の支援事業はとても重要であると思うわけでございます。
 地域との連携、東京型の療養、医療等、さまざまな機関の連携が重要でありますけれども、南部医療圏での荏原病院に期待をしたいと思うところでございます。
 身体的なリハビリテーションへの支援も大変重要でございますけれども、一方、脳血管疾患や交通事故などによりまして脳の一部が損傷して、後遺症として言語能力や記憶能力といった認知機能や精神機能に障害を持つに至る、いわゆる高次脳機能障害という疾病がございます。こういった患者の皆様にも、ご家族の不安ははかり知れないものがあるわけでございます。
 また、患者の方々やご家族含めまして、高次脳機能障害に関する知識や理解が十分でないことや、地域における高次脳機能障害に対応できる人材がなかなかないと、そういった方はまだまだ足りないということもありまして、その育成が重要な課題となっております。
 平成二十四年度から都では、高次脳機能障害支援普及事業というものを行っておりますけれども、荏原病院におきまして二十五年七月からこの事業に取り組んでいると聞いております。
 そこで、荏原病院が高次脳機能障害支援普及事業を実施するに至った経緯と事業の目的について、お伺いしたいと思います。

○高野経営戦略担当部長 荏原病院におきましては、これまでの脳血管疾患治療やリハビリテーション医療で得た技術やノウハウを生かし、地域のリハビリテーションの中核医療機関として、平成二十五年度から新たに高次脳機能障害支援普及事業に取り組んでいるところでございます。
 これは、自宅や介護施設等の身近な場所で実施される高次脳機能障害者へのリハビリテーションの質の向上と関係機関等との連携づくりを進め、高次脳機能障害者の特性に応じた切れ目のないリハビリテーションの提供体制の充実を図ることを目的としたものでございます。

○斉藤委員 続けて、荏原病院におけます高次脳機能障害支援普及事業の具体的な取り組みの内容と実績についても、あわせてお伺いをしておきたいと思います。

○高野経営戦略担当部長 荏原病院における具体的な取り組み内容と実績でございますが、昨年七月から、医師、理学療法士等で高次脳機能障害の専門知識を有するアドバイザーによる相談窓口を開設し、医療機関や福祉介護施設、就労相談施設等の事業者を対象に、障害者の個別支援に係る相談への対応や、リハビリテーション技術に関する助言、指導、専門医療機関の紹介などを行っております。
 また、医療機関や行政機関、福祉介護施設等の事業者によるネットワーク化を図るため、圏域連絡会や症例検討会を開催するとともに、医療機関や事業者等の職員に対する研修や講演会を実施するなど、専門的知識、技術等の向上を図っております。
 平成二十五年度のアドバイザーによる相談件数は十三件でございまして、今後、圏域連絡会等を通じて、医療機関や福祉介護施設等に対し積極的に周知をして、相談件数をふやしていくなど、関係機関の障害者支援への対応力や技術力の向上を図ってまいります。

○斉藤委員 ただいまのご答弁によりまして、荏原病院におけます高次脳機能障害支援普及事業の具体的な取り組み状況がわかりました。頑張っていただきたいと思います。
 荏原病院での本事業は緒についたところでありますけれども、今後、高次脳機能障害者に対する支援を充実強化していくため、荏原病院のご努力、大変に重要な取り組みだと思います。
 私の目黒区には、若年性認知症の東京の総合センターがございますが、あわせて高次脳機能障害のセンターにもなっているわけなんですけれども、ここの理事長とかにお話を伺って、荏原病院のPRも私も行っているところでございます。
 シンポジウムで一緒に隣の席に着くことはあるんです、同じ医療圏にありますから。そのセンターは東京全域の代表ですので、南部だけにこだわっているわけじゃないんですけれども、そういった近くに一生懸命頑張っている医療拠点があって、そこに非常に専門的に知見のある、ネットワークを持っている医師がおられるということを、地域のそういった方々が知っていくことも非常に重要だと思いまして、きょうこれを取り上げましたのも、これを自治体とか病院の先生方とかにお任せするだけじゃなくて、議会にある者としても、そういったいろんな方の声があったときには、公社病院、荏原でこうやって取り組んでいるということを私も一緒になってPRをしていきたいと思っているわけでございます。
 今後とも、自宅や介護施設等の身近な場所で実施されるリハビリテーションの質の向上と、そういった関係機関相互の連携づくりを進めて、高次脳機能障害者の特性に応じた切れ目のないリハビリテーションの提供体制の充実を図っていくよう要望し、また私も頑張ることをお約束して、質問を終わりたいと思います。

○徳留委員 病院経営本部所管にかかわって、私の地元板橋区にある公社化した豊島病院の看護師の定着問題と、そして看護師の勤務条件について質問いたします。私の家から十分ぐらいのところにある病院ですので、家族とも大変お世話になっている病院です。
 都立病院から公社になりました豊島病院は、地域医療の充実及び地域医療水準の向上へ、地域との結びつきや連携を強めながら、三百六十五日二十四時間断らない救急を基本方針に、救急医療、脳血管疾患医療、がん医療などの三つの重点医療と、感染症医療、精神科医療、周産期医療などの六つの特色医療に取り組んでいます。
 昨年度、病院が行った患者満足度の調査結果でも、病院全体の満足度は、ほぼ満足と満足を合わせて約六四%、一昨年度より満足度指数が向上したということになっています。
 実際に、病院敷地内の広い駐車場を地元の町会の夏祭りに積極的に開放して、私も参加しましたけれども、病院長が浴衣を着て、先頭になって地域の住民と交流を重視したり、病院内で開催する患者対象のイベント、これへも地域の住民に出席を案内したりしています。私も参加しました。全国を飛び回っているお医者さんが、プロ並みの落語で健康問題を上演するなどのこともありました。こうして地域住民との交流で住民との信頼関係を広げ、紹介率も上回り、患者もふやしていると聞いております。
 同時に、そういう中で解決、改善すべき問題として、看護師の定着問題と勤務条件の改善の要望も寄せられています。
 昨年度の事業概要を見ますと、新卒看護師の離職率が高い水準になっております。看護師の超過勤務や年休取得が難しい状況について改善を求める声も寄せられています。こうしたことが離職の原因になっているのではないかという声も聞いております。
 患者の命を預かる病院として、医者とともに医療の最前線で働く看護師の定着問題、勤務条件の改善問題は、医療事故を防ぐ上でも、患者の信頼を広げる上でも重要だと思います。解決が急がれていると思います。
 公社病院の看護師の定着問題は、昨年度の会計決算の審議の中でも指摘され、解決が求められていた問題だと思います。
 そこで質問です。こうした新卒の看護師の定着問題、超過勤務、年休取得の問題などの現状をどのように都は認識されているのかについてお伺いいたします。

○中野経営企画部長 超過勤務についてでございますが、これまでも縮減に取り組んでまいりましたが、今後も業務の効率化を図るなど、引き続き縮減に向けて取り組んでまいります。
 次に、年次有給休暇でございますが、これまでも、勤務に支障のない限り、いつでも取得できるよう対応させていただいているところでございます。
 最後に、離職率でございますが、豊島病院では、平成二十五年度におきましては、三十五名採用いたしまして六名が退職いたしました。率としましては一七・一%でございました。
 新卒の看護師の退職には、転職や進学等さまざまな理由がございますが、できるだけ低い方が望ましいものと認識しているところでございます。

○徳留委員 超勤の縮減に今後も取り組むべきであり、新卒者の看護師の離職率は限りなく低い方がよいという答弁をされたことは、大変重要だと思います。
 同時に、勤務に支障が生じない限り年休はいつでも取得できるとの答弁ですけれども、現実には年休の取得率が昨年度五〇%前後にとどまっている、そういう実態があるんだという話も聞いております。こうした問題の解決、改善をしっかりと進めるべきだと思います。
 そこで質問ですけれども、今後、こうした新卒者の看護師の定着問題、超過勤務や年休の問題の現状をどのように改善していこうと考えておられるのか、伺いたいと思います。

○中野経営企画部長 新卒看護師の退職を防止するために、以前から、採用前から実践的な看護業務や職場環境を体験してもらうインターンシップ制度を導入しております。
 さらに、平成二十五年度からは、新たな取り組みといたしまして、パートナーシップ・ナーシング・システムを導入いたしました。これは、新卒の看護師とベテランの看護師がペアとなりまして、職務に関する助言、指導を行うとともに、さまざまな悩みの相談相手となることで、新卒看護師をできるだけ早く職場環境になれ親しませるとともに、看護能力の向上を図ることを目的としているところでございます。
 超勤時間の縮減ですとか年次有給休暇の取得につきましても、効率的な職務遂行に努めるなど、ワークライフバランスに配慮した働きやすい職場づくりに引き続き取り組んでまいります。

○徳留委員 働きやすい職場づくりに取り組んでいくとの答弁でしたので、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 日本看護師協会が行った二〇一三年の調査の速報がことしの三月に公表されております。これによりますと、常勤看護職員の全国的な離職率は一一%で、新卒者看護職員の場合は前年比〇・四%増の七・九%になっています。
 ちなみに、東京は、同時期について見ると、常勤看護職員全体の離職率は一四・二%で、新卒看護職員は八・四%になっています。
 いずれの調査の結果も、時期は一年ずれているとはいっても、昨年度の豊島病院の新卒看護師の離職率が二倍以上になっている、そういう状況であります。
 超勤の縮減や年休の取得については、それ自身が独自に解決が求められる課題でありますけれども、こうした問題が看護師の離職理由にならないよう、現場の実態をしっかりと把握して、その解決を保障できるだけの十分な人員体制を確保することが重要だと思います。
 そうしたことを含めて、対策をより強くお願いをして、質問を終わりたいと思います。

○橘委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○橘委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時三十一分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る