委員長 | 吉田 信夫君 |
副委員長 | 吉倉 正美君 |
副委員長 | 崎山 知尚君 |
加藤 雅之君 | |
小松 久子君 | |
中山ひろゆき君 | |
尾崎あや子君 | |
木村 基成君 | |
高椙 健一君 | |
菅野 弘一君 |
欠席委員 なし
出席説明員中央卸売市場 | 市場長 | 岸本 良一君 |
管理部長 | 坂巻政一郎君 | |
事業部長 | 野口 一紀君 | |
新市場整備部長 | 加藤 仁君 | |
市場政策担当部長 | 日浦 憲造君 | |
財政調整担当部長移転調整担当部長兼務 | 金子 光博君 | |
移転支援担当部長 | 長田 稔君 | |
新市場事業推進担当部長 | 飯田 一哉君 | |
基盤整備担当部長 | 若林 茂樹君 | |
施設整備担当部長 | 中山 衛君 | |
産業労働局 | 局長 | 山本 隆君 |
次長 | 藤田 裕司君 | |
総務部長 | 村松 明典君 | |
産業企画担当部長 | 久原 京子君 | |
商工部長 | 十河 慎一君 | |
金融部長 | 松永 竜太君 | |
金融監理部長 | 片山 謙君 | |
金融支援担当部長 | 西川 泰永君 | |
観光部長 | 杉崎智恵子君 | |
農林水産部長 | 寺崎 久明君 | |
安全安心・地産地消推進担当部長 | 武田 直克君 | |
雇用就業部長 | 矢田部裕文君 | |
事業推進担当部長 | 久我 英男君 | |
就業施策担当部長 | 貫井 彩霧君 |
本日の会議に付した事件
平成二十五年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
中央卸売市場関係
・平成二十五年度東京都と場会計決算(質疑)
産業労働局関係
・平成二十五年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十五年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算(質疑)
・平成二十五年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算(質疑)
・平成二十五年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算(質疑)
○吉田委員長 ただいまから平成二十五年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会します。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、中央卸売市場及び産業労働局関係の決算に対する質疑を行います。
これより中央卸売市場関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成二十五年度東京都と場会計決算を議題とします。
本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
発言をお願いします。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○吉田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で中央卸売市場関係を終わります。
○吉田委員長 これより産業労働局関係に入ります。
これより決算の審査を行います。
平成二十五年度東京都一般会計決算中、産業労働局所管分、平成二十五年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算、平成二十五年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算及び平成二十五年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○村松総務部長 去る十月八日に、当分科会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
お手元の平成二十五年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらんください。
表紙をおめくりください。目次にありますとおり、要求のございました資料は、七項目でございます。
一ページをお開きください。このページから三ページにかけまして、中小企業対策、農林水産対策、雇用就業対策の過去十年間の予算額、決算額の推移をそれぞれお示ししてございます。
四ページをお開きください。就職困難者緊急就職支援事業の平成二十一年度から二十五年度までの雇用形態別の就業実績の推移をお示ししてございます。
五ページをお開きください。新・元気を出せ商店街事業の平成二十一年度から二十五年度までの実績をお示ししてございます。
六ページをお開きください。小売商業後継者育成・開業支援事業、商店街パワーアップ基金事業、商店街起業促進サポート事業の実績をそれぞれお示ししてございます。
七ページをお開きください。商店街パワーアップ作戦の平成二十一年度から二十五年度までの支援実施実績をお示ししてございます。
以上で資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○吉田委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○崎山委員 平成二十五年度は、九月にオリンピック・パラリンピックの招致が決まり、二〇二〇年大会を一つの大きな目標として、観光の振興が大きなテーマとなった年でありました。
また、政権交代やアベノミクスの大胆な経済、金融、財政政策の効果により、日本経済が徐々に上向きになってきました。多くの中小企業は、引き続き厳しい経営環境にありましたが、景気回復の流れの中で成長を目指して前向きに取り組む中小企業もあらわれました。
こうした平成二十五年度の状況を念頭に置きながら、産業労働局の決算について伺っていきたいと思います。
私は、昨年の秋に東京都議会を代表いたしましてオリンピック・パラリンピックの開催に向けての海外調査に行ってきました。あわせて、MICE施設では、イギリスのエクセル・ロンドン、そしてイタリアのミラノでは世界で三番目の規模を誇る展示施設であるフィエラ・ミラノを視察し、ミラノ市長とも意見交換をしてきました。
ことし四月には、東京国際フォーラムで開かれたWOC、世界眼科学会も見てまいりました。
こうした観点から、まず観光振興として都のMICEの誘致の取り組みについて取り上げたいと思います。業界団体や学会などの大規模な国際会議が開催されると、世界各国から一度に多くの参加者が開催都市に集まってくることから、大きな経済効果が見込まれます。一万人規模の会議で三十八億円の経済波及効果、俗っぽくいえば、まさにドル箱であります。
そのため、ヨーロッパを初め、シンガポールやソウルなどの多くの都市が先を争って誘致に取り組んでいるわけですが、まずMICEの開催は東京にとってどのようなメリットがあるのか、所見を伺います。
○杉崎観光部長 国際会議などのMICEは、参加者の交流の場としてネットワークの構築や最新の研究成果の共有などが図られることから、新たなビジネス機会の創出や研究環境の向上に資するものであり、ひいては都市の競争力を高め、東京の国際的な地位向上にもつながるものでございます。
また、会議や宿泊施設に加えて、飲食、ショッピング、レジャーなど幅広い観光関連分野で経済波及効果をもたらすとともに、多くの外国人に対して東京の魅力を集中的にPRできる機会と認識しております。
○崎山委員 先ほど申し上げました、四月に視察をさせていただきました世界眼科学会、WOCでは、五日間の開催期間中に主催者発表で百二十を超える国や地域から約二万人が参加したとのことで、国際フォーラムや帝国ホテル、周辺の地域は、実に多くの外国人の方々でにぎわっていました。このうちの二割の方は、会議に参加しない同伴者だそうでありました。
実際に現場を見てみると、国際会議というのは私たちの議会の視察と同様に、会議に出席して学術研究や議論ばかりしているものだと思っていましたけれども、そうではなくて、参加者やその同伴者の方々が東京の観光や日本の文化、アフターコンベンションなどを楽しみ、相互に交流しコミュニケーションを深めておられるようで、実に遊び心のあるものだと感じました。
こうした大規模な国際会議の開催に当たっては、東京の魅力を参加者に存分に体感してもらうことが重要だと考えますが、都においてどのような取り組みを実施したのか、お伺いをいたします。
○杉崎観光部長 東京の歴史や文化に親しむさまざまな機会を提供することは、開催都市としての魅力を高めるとともに国際会議の参加者の満足度向上につながるものでございます。このため都は、昨年度開催された大規模な国際会議において、臨時の観光案内窓口を羽田空港、成田空港やメーン会場に設置し、参加者に対して都内の観光スポットの紹介など観光情報の提供を行いました。
また、外国人に人気の高い浅草、江戸東京博物館などをめぐる観光ツアーや着つけ、生け花などの日本の伝統文化を体験できるプログラムを提供するなど、東京の魅力を堪能していただく取り組みを実施いたしました、
○崎山委員 今もご答弁にあったように、着つけ教室だとか浅草観光だとかやっておりました。ツアーデスクもありましたけれども、既に満杯で、本当に帝国ホテルも大勢の方でにぎわっていました。
こうした東京の魅力を堪能してもらうことが、開催都市として選ばれる上で重要な要素の一つであるというふうに思っております。
昨年九月八日に東京オリンピック・パラリンピックの招致が決定した後、十四日には、二〇一八年の六千人規模、IWA、国際水協会世界会議の開催、そして九月十八日には、二〇二一年四千五百人規模の国際栄養学会の開催が東京に決定をいたしました。
この国際栄養学会誘致に要した期間は実に一年で、東京都の観光財団の支援を得て、まさにオリンピック・パラリンピックの余勢を駆ってかち得た誘致であったというふうに思っているところでもあります。
開催都市の決定に至るまでの舞台裏では、オリンピックの招致レースのように、国際本部に対する立候補から開催地の決定まで熾烈な競争があるというふうにも聞いております。東京招致をかち取るためには、主催者に対して東京観光のすばらしさを伝えるとともに、今後、さらなる改善が期待される空港から会議場までのアクセス、治安のよさなど東京の強みを効果的にアピールすることが重要と考えますが、国際会議の誘致のプロセスにおいて、どのような取り組みを実施しているのか、お伺いをいたします。
○杉崎観光部長 国際会議は、学会などの各国の国内組織が開催決定権を持つ国際本部のメンバーに対して誘致活動を行うことから、都は東京観光財団と緊密に連携をとりながら、誘致を目指す国内組織にさまざまな支援策を実施しております。
具体的には、立候補ファイル作成時でのアドバイスや都市として歓迎の意をあらわす知事の招請状の発行、また、国際本部役員が視察に訪れる際の東京開催の魅力紹介などを行っております。
こうした各場面で東京の強みである産業集積や技術力の高さ、交通の利便性、宿泊施設の質の高さ、食の多様さ、観光スポットの魅力など、東京開催のメリットをアピールしているところでございます。
○崎山委員 一つ一つの取り組みの積み上げが大規模な国際会議の誘致につながっていることが理解できました。
先ほど申し上げたイタリアの世界規模の展示施設であるフィエラ・ミラノであっても、招致の働きかけには相当なご苦労をされておりました。東京は、海外強豪都市と比べると、会場経費などの開催コストが高いことが弱みの一つであるというふうに思います。さらに多くの国際会議を誘致するためには、東京開催を促すための支援策を充実させる必要があります。
MICEのIはインセンティブです。こうした視点から、昨年度、その克服に向けた取り組み内容についてお伺いをいたしたいと思います。お願いします。
○杉崎観光部長 東京が海外競合都市との誘致競争を優位に進めるため、国内の誘致組織が行う立候補ファイルの作成などの誘致活動につきまして、平成二十四年度までは単年度の助成でございましたが、平成二十五年度からは複数年度にわたって経費を助成し、長期に及ぶ活動を計画的に支援できるよう見直しを行いました。
また、会議開催時の会場経費の助成限度額を一千万円から二千万円に引き上げるとともに、都内観光ツアーや文化体験プログラムなどの提供につきまして、誘致活動を行う段階で開催時における支援を確約するなど、東京開催のインセンティブを高める制度を創設いたしました。
こうした支援策の充実により、平成二十五年度は、お話のIWA、国際水協会世界会議と合わせまして三件の約五千名規模の国際会議の招致に成功しております。
今後もMICE誘致を効果的に支援する取り組みを進めてまいります。
○崎山委員 昨年度、二十五年度でありますけれども、さまざまな支援策が充実されていたことがわかりました。オリンピック・パラリンピックの開催決定によって、東京はこれまで以上に世界の注目を浴びています。今後もさらなる支援の強化を図り、この機を逃すことなくMICEの誘致に邁進してほしいと思います。
さて、今のMICEの誘致は、国際フォーラムで開催されるような国際会議が中心となっていますが、ほかにもさまざまな技能、技術を競う世界大会などの大規模なイベントでも多くの外国人が来日します。経済効果や旅行者誘致の面から非常に有効だと思いますので、今後はこうしたイベントにも視野を広げて、誘致に向けて努力していただくよう要望いたしておきます。
大規模なイベントや世界規模の展示会を開催するに当たって、重要なのが我が国最大の規模を誇る東京ビッグサイトです。さきの定例会で補正予算を可決し、オリンピック・パラリンピックに向け、施設の拡張を進めていただいておりますが、拡張に当たってはMICE振興という観点からも必要な機能の強化を図り、その役割を果たしていただきたいと思います。
そこで、MICE振興の一翼を担う東京ビッグサイトの昨年度の運営状況についてお伺いをいたします。
○十河商工部長 東京ビッグサイトは、平成八年の開業以来、日本最大のコンベンション施設として、大小さまざまな展示会やイベント会場として利用され、着実に運営実績を伸ばしてまいりました。
リーマンショックの影響により利用が一時低下いたしましたが、昨年度は約三百件の展示会やイベントが開催され、国内外から千五百万人を超える来場者が訪れるとともに、施設稼働率も五年ぶりに七〇%を上回りました。今般、オリンピック・パラリンピックを契機に、東京ビッグサイトの総展示面積を十万平方メートル程度にまで拡張することといたしたところであり、これにより増加する展示会需要等に対応することが可能となります。
今後とも、東京ビッグサイトのMICE施設としての魅力向上や競争力の強化を図り、展示会等のさらなる誘致、開催につなげてまいります。
○崎山委員 国際フォーラム、あるいは東京ビッグサイトなど産業労働局が有する施設を、ある意味でハード面、ソフト面ともにフルに活用してMICE誘致に向けて引き続きしっかり取り組んでいただくようお願いをいたします。
次に、中小企業支援について何点かお伺いをさせていただきます。
中小企業支援策のポイントは、私は大きく分けて三つあるというふうに思っています。
一つは、事業承継、事業の継続であります。資金繰り支援も含めて、事業者がある意味でタックスイーターとならぬよう、よき納税者であり続けてもらうための支援だろうと思ってます。
そして二つ目は、創業支援、起業しやすい環境づくりであります。
最後に三つ目は、成長分野への支援。新たな製品開発に挑戦するやる気のある事業者の背中を押してさしあげること。
この観点で幾つか質問をさせていただきたいと思っております。
事業者にとって資金繰りは極めて切実な問題であります。昨年の日本経済は緩やかな回復基調が続きましたが、その一方でまち場の中小零細企業はこうした動きを実感するまでには至らず、その経営環境は依然として厳しい状況にありました。
こうした中、都は中小零細企業の資金繰りに支障を来さないよう、制度融資において十分な預託金を確保するとともに、新たな資金ニーズに応える融資メニューを実施してきました。
とりわけ昨年度は、金融円滑化法の終了に伴い、資金繰りに不安を抱く企業や成長への期待感から、前向きな事業展開を目指す企業などに対し、個々の置かれた状況に応じた支援策が求められました。
そこで、平成二十五年度の制度融資において、都が実施した取り組みの内容についてお伺いをいたします。
○松永金融部長 平成二十五年度の制度融資では、リーマンショック後に厳しい経営を強いられてきた中小企業の経営安定化や資金繰り改善を支えるとともに、景気回復を見据え、新たな事業展開に取り組む中小企業を後押しするため、幅広い資金ニーズに応えられる体制をとってまいりました。
具体的な取り組みといたしましては、中小企業金融円滑化法終了への対応として、借り入れ中の保証つき融資を一本化して、借入期間を延長することで、月々の返済負担の軽減を図る特別借りかえ融資を昨年三月に前倒しして実施いたしました。制度創設からことし三月までの間に小規模企業を中心に約二千五百件、七百八十六億円の利用実績がございました。
また、昨年七月から実施いたしました金融機関が有する独自の工夫やノウハウを活用し、融資とあわせて経営支援サービスを提供する政策特別融資の中で、成長産業分野への参入や海外販路開拓など中小企業の前向きな事業展開を支援しております。
このほか昨年十月の台風二十六号により甚大な被害を受けた大島町の中小企業を対象とする災害復旧資金融資など、中小企業の実情に応じた支援策を実施してまいりました。
今後とも、都内中小企業の経営の安定化や前向きな事業展開などを支えるため、資金繰り支援を適切に実施してまいります。
○崎山委員 昨年度は、金融円滑化法の終了に伴う環境変化やこれまでに経験のない自然災害への対応など、中小零細企業の厳しい経営実態を踏まえた支援策が迅速に実施されたと評価できます。引き続き緊急時の対応も含め、中小零細企業の経営の安定化のためのきめ細かい支援策を講じる必要があります。
また、国の成長戦略に基づく各種施策の効果により、前向きな事業展開に向けた資金ニーズが増加することも予想されます。今後とも融資の原資となる十分な預託金を確保するとともに、経営者のニーズを的確に捉えた支援策を機動的に講じることで、中小零細企業の資金繰り対策に万全を期すよう求めておきます。
次に、厳しい環境の中でも今後の成長が見込まれる分野に積極的に参入していこうとする中小企業に対する支援について伺います。
都内には、すぐれた技術力を有する中小零細企業が数多くあります。こうしたすぐれた技術を新しい分野での製品開発に生かし、付加価値の高い製品を生み出していくことが東京のものづくり産業の発展にとって極めて大切なことだと考えます。
私の知っている都内の中小企業では、自社の強みである通信機器技術と人の動きの認識に関する大学の研究成果を組み合わせて、高齢者を見守り、転倒事故などを素早く感知するシステムを開発しました。
こうした取り組みを着実に進めていくためには、やはり都による力強い後押しが必要であります。
都は、昨年度から大学などと連携して成長産業分野に参入を目指す中小企業の技術面での新たな支援に乗り出しましたが、昨年度の実績についてお伺いをいたします。
○十河商工部長 今後成長が見込める健康、環境、危機管理などの分野で高い技術力を持つ中小企業が大学などと連携し、新たな技術や製品を生み出していくことは重要でございます。そのため、都は平成二十五年度から、これらの分野について具体的な技術開発のテーマを示した課題マップを作成し、これに沿って中小企業が大学や研究機関と共同で製品開発を行う場合に、その経費を助成する連携イノベーション促進プログラムを実施しております。平成二十五年度は七十件の申請があり、十七件のプロジェクトを採択いたしました。
例えば、危機管理の分野では、小規模な崖崩れや建物倒壊の危険性を感知する警告装置の開発がありまして、現在、専門のアドバイザーによる支援を受けながら、試作機の製作に着手したところであります。
また、採択したプロジェクトのうち、八件は従業員数二十名以下の小規模事業者の提案によるものでございます。
こうした取り組みを着実に展開し、成長分野における中小企業の技術開発を的確に支援してまいります。
○崎山委員 すぐれた技術を持っていても、資金や情報の不足する中小企業にとっては、大学などと連携して新たな分野に取り組んでいくことは容易ではありません。都がしっかりと橋渡しの役割を果たし、引き続き支援の充実に取り組んでいただくよう求めておきます。
次に、創業促進への取り組みについて伺います。
九月に出された長期ビジョンの中間のまとめにおいて、都は開業率一〇%という目標を掲げました。非常に高い目標だと思いますが、実現に向けてしっかりと取り組んでいく必要があります。東京には、世界で自分の力を存分に試したいという若者や地域の課題解決のために起業を目指す女性、そして豊富な経験を生かして社会で貢献したいと考える年配者などが大勢います。まさに創業を目指す人たちの宝庫です。
私は、こうした人たちが持てる力を十二分に発揮すれば、新たな産業が生まれ、東京の経済の活性化や雇用の創出にもつながると思います。そのためには、創業者それぞれのニーズに応えたきめ細かなサポート体制を整える必要がありますが、実は東京には創業者を支援する民間企業や団体などが数多くあり、こうした東京の地の利を生かしていくことが重要であります。
都は、平成二十五年度から、こうした民間の創業支援機関の活動を後押しする新たな創業支援策を開始いたしました。昨年度の事業の実施状況と創業をさらに推進する上での課題についてお伺いをいたします。
○十河商工部長 東京の産業の活性化に向け、より多くの創業者を輩出していくためには、すぐれたノウハウを有する民間の支援機関の活用が重要でございます。
そこで、都は、複数の民間創業支援機関が連携して人材の発掘、育成から成長段階までのサポートを行うインキュベーションHUB推進プロジェクトを平成二十五年度から実施し、二件の連携事業を採択して、三年間にわたる支援を行っております。
そのうちの一つは、世界で通用するベンチャー企業を輩出するプロジェクトでございまして、起業家のビジネスプランをブラッシュアップし、大手企業や投資家などと活発なマッチングを行うことで、事業提携や資金調達を支援しております。
このプロジェクトでは、例えばインターネットで不特定多数の人たちに仕事を発注する、いわゆるクラウドソーシングを運営するベンチャー企業が大手企業から出資を得た例などがございます。
もう一つは、多摩地域に点在する創業支援機関のネットワーク化を推進するプロジェクトでございまして、ポータルサイトを運営して各支援機関の情報を幅広く発信するとともに、各支援機関への専門家の派遣や担当者同士の情報連絡会の開催などを通して、多摩地域全体の創業環境の向上に向けた取り組みを実施しております。
今後、さらに多くの創業者を輩出するためには、女性や高齢者など創業者の属性に着目した支援や都が重点的に育成を目指す産業分野での創業の促進など、本事業を活用して、より多角的な支援を展開していくことが必要であると考えております。
○崎山委員 開業率一〇%の目標達成に向けて民間支援機関の活力を活用しながら、多彩な人材が集まるよう、東京の強みを十分に生かして、さらなる創業の促進を図るよう強く求めておきます。
最後に、これも現下の大きなテーマである女性の活用推進についてであります。
少子高齢化の進行に伴い、若年労働力の不足が見込まれる中で、女性や高齢者など多様な働き方のニーズを持つ人材を積極的に生かしていくことが必要であります。とりわけ、女性については、産業の担い手として十分に能力を発揮し、活躍することが期待されています。女性の活躍は国を挙げての課題であり、我が党もさきの第三回定例会の代表質問で日本経済の中心である東京こそ、率先して取り組んでいくべきと主張いたしました。
女性の活躍推進のためには、長時間労働を見直し、限られた時間で効率的に仕事ができるよう職場環境の改善を図るとともに、育児、出産、介護などライフステージに応じて多様で柔軟な働き方が選べるようにするなど、仕事と家庭生活の両立が可能な職場づくりに取り組むことが重要であります。
そこで、中小企業において仕事と家庭生活の両立を進めていくため、都は、昨年度どのような取り組みを行ったのか、お伺いいたします。
○矢田部雇用就業部長 企業において仕事と家庭生活の両立が可能となるように職場環境を改善していくことは、女性の活躍を促進する上で重要でございます。
そのため、都はこれまで、長時間労働削減などのすぐれた取り組みを進める中小企業を認定し、公表するなどにより、社会的機運の醸成を図ってきました。
また、昨年度新たに中小企業ワークライフバランス実践支援事業を開始し、仕事と家庭生活の両立のための職場環境整備に取り組む企業を支援してきました。
この事業では、社会保険労務士などの専門家を二十九社に派遣し、助言を行ったほか、在宅勤務やモバイル端末を使った社外での勤務を可能とするためのシステムの導入や育児、介護に関する休暇制度等の社内規程の整備など、五十五社の具体的な取り組みに対する費用助成を行いました。
今後も、仕事と家庭生活の両立に取り組む中小企業に対して積極的な支援を行うことにより、働きやすい職場環境の整備を進めてまいります。
○崎山委員 女性の活躍促進に向けては、都の長期ビジョン中間報告においても、女性の就業を積極的に推進することとし、二〇二二年までに女性の有業率を七五%まで上昇させるということが掲げられています。女性が生き生きと働き続け活躍していくためには、それぞれの職場において、仕事と家庭生活が両立できる環境を整えていくことが不可欠であります。
今後もさらなる創意工夫を重ね、トイレ、更衣室や仮眠室などハード面の整備も含め、都が中小企業の職場環境改善の取り組みをしっかりと支援していただくことを要望して、質問を終わります。ありがとうございました。
○吉倉委員 私からは、平成二十五年度産業労働局の事業の中で、特に若者の就業支援について質問いたします。
いうまでもなく、少子化に伴い若者が減少していく中で、社会の重要な担い手である若者の育成、活躍なしに我が国の社会経済の発展は望めません。
こうした観点から、本年五月、私ども公明党は若者が働きやすい社会の実現を目指して、厚生労働大臣に対し、若者が生き生きと働ける社会の実現に向けた七項目の提言を申し入れたところであります。
若者を取り巻く雇用情勢は、平成二十五年度には厳しい状況から脱して改善に向かいつつあるものの、進学も就職もできないまま大学等を卒業する若者も依然として存在している状況です。
こうした中で、都は国と連携した取り組みも進めており、その一つが卒業年次に就職先が決まっていない学生等を支援する若者ジョブマッチング事業であります。この事業は、大規模な合同就職面接会を開催をし、若者と中小企業とのマッチングの場を提供し、若者の就職を応援するものであります。この合同就職面接会は、若者にとって一度に多くの中小企業と出会うことのできる貴重な機会であり、我が党としても積極的に推進をしてまいりました。
そこで、若者ジョブマッチング事業の平成二十五年度の実績と取り組みの状況について伺います。
○矢田部雇用就業部長 正規雇用を目指す若者を支援するためには、中小企業とのマッチング機会を提供することが重要でございます。
都では、未内定の大学卒業予定者等と都内の中小企業を結びつけるため、若者ジョブマッチング事業として東京労働局との共催による合同就職面接会を平成二十一年度から実施しております。平成二十五年度は計四回の合同就職面接会を開催し、求人企業としては情報通信や製造業など四百九十六社の中小企業が参加、また求職者としては、景気回復により一時に比べ減少したものの、三千八百六十二名の若者が参加しました。
会場では、参加企業による面接に加え、東京しごとセンターの情報なども提供し、若者の就職の後押しをしています。
今後とも、一人でも多くの若者が中小企業への就職に結びつくことができるよう支援してまいります。
○吉倉委員 平成二十五年度において合同就職面接会を合計四回開催をし、三千八百六十二名の若者に対して中小企業とのマッチングの機会を提供されたということであります。就職先を求める若者にとって大変効果的であり、貴重な機会であると思います。
その意味から、今後若者と優良な中小企業とのマッチングを進めるためには、若者が企業を選択するための採用状況や離職状況など具体的な企業側の情報を提供していくことが重要であります。
そこで、本事業においてマッチングに臨む企業が若者を募集する際、就労状況に関する情報について、どのように若者に伝えているのか伺います。
○矢田部雇用就業部長 東京労働局との共催により実施している本事業に参加する企業は、求人を出すに当たりまして、多くが採用や離職に関する情報も公開しており、その情報はホームページや会場内でも提供しております。
また、参加企業のうち、約四割が若者応援企業と呼ばれる若者の採用、育成に熱心で、国の条件を満たした企業であり、その仕組みについては当日実施しているガイダンスの中でも紹介しております。
若者応援企業の面接ブースでは、有給休暇取得状況や育児休業取得状況などのより詳細な情報を発信し、就職活動の参考にしてもらっております。
今後とも、国と連携を図りながら中小企業の情報を的確に提供することにより、若者の就業を促進してまいります。
○吉倉委員 これからの企業は、若者が意欲を持って力強く活躍できるよう、働きがいがあり、魅力的な会社であるかどうかが問われています。そして、企業側が情報を伝えることは、若者本人が納得感の高い就職を実現することにもなります。このマッチング事業に、より多くの若者応援企業が参加するよう、国と一層連携を強化して取り組むことを要望しておきます。
次に、リーマンショック後の景況が悪化した時期に卒業を迎えた若者の中には、安定した職を希望しながらもフリーターとして働かざるを得ない、こうした方々も少なくありません。フリーター等の若者が安定した仕事に移行できるように支援体制を充実させることが最も重要であります。
都は、こうした若者のために若年者緊急就職サポート事業や、あるいは重点産業分野就業支援プログラムといった研修と派遣就労をセットにした事業を実施しております。
そこで、平成二十五年度のこの事業の実績と取り組みの状況について伺います。
○矢田部雇用就業部長 正社員を希望しながら不安定な就業を余儀なくされている若者を支援し、安定した雇用を実現することは重要でございます。
このため、都では、正規雇用での就職を希望する二十九歳以下の若者を対象に紹介予定派遣制度を活用し、研修と派遣就労を組み合わせ正規雇用に結びつけるプログラムを提供してきました。
平成二十五年度におきましては、都内中小企業への就業を支援する若年者緊急就職サポート事業と、介護、省エネルギー、防災といった重点分野への就業を支援する重点産業分野就業支援プログラムをあわせ、千六百五十四名が企業現場に派遣され、このうち八百四十八名が正社員として雇用されました。今後とも、将来を担う若者の正規雇用化を着実に推進してまいります。
○吉倉委員 答弁にありましたとおり、研修と就労派遣を組み合わせた事業により、五割を超える若者が派遣先での正規雇用につながっており、効果の高い手法であると思います。今後とも着実に推進していただきたいと、このように期待をしております。
また一方で、本事業の対象者は二十九歳以下の若者であることから、就職氷河期に大学等を卒業し、長期にわたって非正規雇用を余儀なくされている現在三十歳から四十歳に達する年齢層の方々は支援の枠から外れてしまいます。こうした対象の枠に入らない方々についての支援こそ重要であります。これまでの取り組みの成果を生かしながら、さらにきめ細やかな就業支援を行っていただくよう要望しておきます。
次に、いわゆるブラック企業への対応について伺います。
若者が減り、貴重な存在となる中で、若者の使い捨てが疑われる企業が社会問題になっております。
先般、私のところにも、就職をしたが求人票で示されていた労働条件と違い、長時間労働や低賃金で働かされた結果、退職に追い込まれた、こういった相談が持ち込まれました。これは、若者の使い捨てが疑われる企業、いわゆるブラック企業であり、深刻な問題であると感じております。
また最近は、アルバイトの学生がトラブルに巻き込まれるケースもあると聞いております。
こうしたブラック企業には、厳しく対応する必要があります。また、若者においても働き方に関するルールについて知識を深め、みずからの置かれている状況について的確に対応できる力を持つことが求められております。
そうした上で、都はこうした労働問題のトラブルの未然防止や、違反が疑われる企業とのトラブルに巻き込まれた場合の解決について労働相談情報センターで対応しております。
そこで、こうしたいわゆるブラック企業などの問題について、平成二十五年度の具体的な取り組み状況と実績を伺います。
○矢田部雇用就業部長 若者が安心して働ける雇用環境を確保することは重要であり、労働基準法など関係法令を遵守することは、企業の当然の責務でございます。法令に違反する企業に対する指導や取り締まりについては、法に基づき、国がその役割を担っております。
都は、企業に法令の内容を十分に理解してもらうとともに、若者が働く上でみずからの権利を守ることができるよう、労働関係法令に関する普及啓発や職場でトラブルを抱えた方への支援などを実施しております。
昨年度は、労使それぞれを対象に労働問題に関するセミナーを開催したほか、労働関係法令のポイントをわかりやすくまとめたリーフレット七千四百部、「ポケット労働法」一万七千部などを作成し、街頭労働相談等で配布しました。
加えて、就職活動やアルバイトを行う学生向けに必要な法令知識等を解説した冊子を十二万五千部作成して、都内大学や全都立高校などに配布しました。
また、労働相談情報センターでは、昨年度五万二千六百八十四件の相談を受け、長時間労働や賃金不払いなどの労働問題に対し、解決に向けた助言を行っております。
○吉倉委員 法律に違反した企業に対する指導監督は国の権限ですが、都としても既にさまざまな取り組みを行っていることがよくわかりました。引き続き、これらの取り組みを一層充実していただきたいと、このように考えております。
答弁にありましたとおり、若者が安心して働ける雇用環境を確保する、また働く若者を違反企業から守る、都庁の最前線でこうした課題に対応しているのが、まさに労働相談情報センターであります。
センターは、専門のスタッフを配置して、さまざまな相談に対応しておりますが、その存在を知ってもらい、本当に困ったときに相談窓口に行けるようにすることが大切であります。
そこで、都は、労働相談情報センターの存在の周知、広報の徹底、相談窓口のPRに積極的に取り組むべきであります。労働相談情報センターの周知に関する平成二十五年度の都の取り組みを伺います。
○矢田部雇用就業部長 都は、都内六カ所の労働相談情報センターにおいて、労働問題に関するさまざまな相談や労使のトラブルの自主的な解決に向けたあっせんを行っていますが、センターをより多くの方々に知っていただくことが重要でございます。
このため、各事務所の相談窓口と都民からの電話相談に一元的に対応する専用ダイヤル東京都ろうどう一一〇番について、学生向けの冊子を初めとしたさまざまな普及啓発資料やホームページに掲載するなど、積極的なPRを行っています。
また、昨年度は五月と十月の労働相談強調月間に新宿駅や渋谷駅といった主要駅頭などで、延べ十六日間街頭労働相談を開催するとともに、九月、十二月、三月に、それぞれ特別相談会を実施し、こうした機会を活用してセンターのPRを図りました。
今後とも、必要とされる多くの方々に、労働相談情報センターを利用していただけるよう積極的な周知に努めてまいります。
○吉倉委員 答弁いただきました。トラブルに直面した方々に労働相談情報センターの存在がしっかりと行き届くように、相談窓口のPRについては大学への働きかけも含めて、より一層強化していただくことを要望しておきます。
次に、障害者の雇用について伺います。
障害者の方々が自立した生活を送ることができるようにするためには、働く場を拡大していくことが重要です。平成二十五年六月一日現在の都内民間企業における障害者雇用率は過去最高となる一・七二%と着実に進んできておりますが、平成二十五年四月に引き上げられた法定雇用率二・〇%の水準には達しておりません。
私は、以前、新宿西落合にある伊勢丹の特例子会社を視察いたしました。そこでは、障害者の方々がギフト用のリボンづくりや伝票へのスタンプの押印など、百貨店の店頭で販売員の方々が接客の合間に行っている作業を行っておりました。その作業は、とても丁寧かつ正確で、こういった作業を障害者の方々が担うことにより、店頭での接客時間の拡大や販売サービスの向上につながるなど、企業の戦力となって活躍している姿がとても印象的でありました。
最近は、身体障害の方だけではなく、知的障害や精神障害の方の就職もふえていると聞きました。しかしながら、中には就職を希望していても、企業で働くことに不安を感じている障害者の方々もいると思います。こうした不安を払拭し、企業で働くことへの自信につなげるためには、実際の職場を体験することが効果的であると考えますが、都の取り組みについて伺います。
○貫井就業施策担当部長 職場体験実習は、障害者が実際に企業現場を体験して、働くことについての理解を深め、就職する上で必要となる基礎的能力を高める効果がございます。
このため、都では、東京しごと財団を通じて職場体験実習を実施する企業の開拓や職場体験実習面談会の実施、実習生の損害保険料に対する補助を障害の種別を問わず実施しております。
平成二十五年度には、職場体験実習の機会をふやすため、企業の開拓や業務の選定等について助言を行う障害者雇用支援アドバイザーの増員や実習を受け入れる中小企業に対する受け入れ諸経費の助成を新たに実施いたしました。
こうした取り組みにより、平成二十五年度の実績は、受け入れ可能な企業として新規に五十六社が登録し、年度末現在の登録企業数は百十四社へと増加いたしました。
また、面談会は年五回実施し、前年度から約二百人ふえて五百四十四人が参加、損害保険料の補助は九百六十三件、助成金の支給は二十六件となりました。
今後とも、障害者が職場体験することができる機会の充実に向け、支援してまいります。
○吉倉委員 職場体験実習は、いきなり就職ではなく、仕事を体験することができ、その中で現場を知るだけでなく、就職に当たっての課題を発見することのできる機会になると思います。今後とも、より多くの職場体験実習を希望する障害者の方々が実習先を見つけられるように支援を充実していただきたいと、このように思います。
また、障害者の方々は、一旦就職しても、雇用を継続するに当たって何らかの課題が発生し、やむなく離職してしまうケースもあると聞いております。働く意欲のある障害者の方々が、その能力を生かし、職場で働き続けることができるようにするための支援も必要です。都の障害者の就職とその後の定着促進に向けた取り組みの状況について伺います。
○貫井就業施策担当部長 障害者雇用の促進を図るためには、企業への理解を促すとともに、障害者の能力と適性に応じて、きめ細かな支援を行うことが重要でございます。
都では、企業に対する普及啓発を図るため、障害者雇用の留意点等をまとめたハンドブックを作成、配布するほか、好事例の紹介やノウハウを提供するセミナーを実施しております。
また、企業と障害者のマッチングに向け、東京しごと財団を通じて企業合同説明会を開催しております。さらに、障害者が職場で働き続けられるよう、東京ジョブコーチによる定着支援を行っており、平成二十五年度は、増加するニーズに対応するため、東京ジョブコーチを増員するなど支援体制を強化し、支援件数は平成二十四年度の六百三十八件から六百八十四件へと増加いたしました。今後とも、こうした取り組みを通じて企業における障害者の雇用を進めてまいります。
○吉倉委員 今後も障害者雇用に取り組もうとする企業がふえることが予想されます。障害者の方々が生き生きと充実感を持って働くことのできる、そうした支援の充実をさらに要望いたしまして、質問を終わります。
○尾崎委員 二〇一三年度の産業労働局の決算について質問を行います。
最初に、創業支援についてです。
真面目に働いても給料が安く生活ができない、派遣社員では自分の学んだことや得手とするものが生かせないと自分で起業、商売を始めようとする人もふえています。
女性を対象に行った全国商工団体連合会婦人部協議会の実態調査ですが、開業の動機の一位は定年がないこと、次に好きな仕事をしたい、自分のペースで働きたいという順番になっています。
開業年齢について一番多かったのは三十代、二番目が四十代、三番目が二十代となっています。創業するに当たっては、第一に必要な資金を確保しなければなりません。
そこで、二〇一三年度の創業支援融資の実績について伺います。
○松永金融部長 平成二十五年度の都の制度融資における創業融資の実績は六百十一件、三十六億円でございます。
○尾崎委員 その時々の経済状況によって申込件数なども変化しますが、二〇〇六年度の創業支援融資の実績件数は二千百五十一件、金額で百九十八億円でした。ここをピークに毎年減少の傾向です。都の認識を伺います。
○松永金融部長 平成二十年のリーマンショック以降の大幅な景気後退による個人消費の低迷や競争の激化などに加え、平成二十三年の東日本大震災の影響もあり、創業者にとって厳しい環境が続いたことによるものと認識しております。
○尾崎委員 先ほど紹介した実態調査で、開業に当たっての問題点の一番は、断トツで自己資金不足、資金調達を挙げています。東京都の制度融資は、全国の都道府県の融資制度の中で先駆的な役割を果たしてきたと私は思っています。創業支援融資を借りて事業をスタートすることができたと喜んでいる声を聞きますが、一方で、申し込んだが自己資金を求められ断られたという声もあります。自己資金がなくても借りられるように改善を求めるものです。
現在の創業支援融資は、据置期間が一年以内、第三者の保証人も不要となっています。創業してから三年、五年目が商売を継続できるかどうかの鍵になるといわれています。その点から考えると、据置期間を二年以内にすることや利子補給や信用保証料の補助を東京都が行うなど、制度の拡充を求めるものです。
長期ビジョン中間まとめでは、若者、女性、高齢者の創業を一〇%引き上げていくというのですから、創業支援融資の改善は急務です。
創業時に何が障害になったのか、どんな支援が必要なのかなど、実態や要望を聞き取る実態調査が必要だと考えます。少なくとも、都の創業支援融資を利用した経営者への調査を求めるものです。また、経営アドバイザーの支援を行うなどして、創業後、経営を継続できるよう支援するよう求めておきます。
創業融資の拡充とあわせて、創業後のアフターケア的な支援も必要だと考えます。起業したものの経営者の努力だけではどうにもならず、廃業してしまう方々が多くなっています。創業支援融資のほかに、新規企業への支援事業の活用実績について伺います。あわせて、インキュベーション施設の入居可能な期間について伺います。
○十河商工部長 都では、創業希望者等のニーズに応じた各種のセミナーを開始しており、平成二十五年度は三百七十三名が受講いたしました。また、低廉な賃料でオフィスを提供するインキュベーション施設を設置し、七つの施設を運営しているところでございます。
入居期間は施設により異なりますが、最長で五年間にわたり入居することができるものとなっております。
○尾崎委員 東京で創業しようとするとき、家賃が高いということが大きな障害になります。
先日、多摩振興公社や産業技術研究センターも視察させていただきましたが、あきがないという状況でした。商店街の空き店舗なども含めてインキュベーション施設を拡充することを求めます。
次に、商店街支援についてです。
商店街をどう活性化するかという問題は、各自治体、商工会など、どこでも悩んでいる問題です。努力しても売り上げが伸びない、原材料の高騰や水道、電気代などの値上がりで利益が出ない、後継者がいないから、いつまで商売できるか不安だと悲鳴が上がっています。
高齢化が進む中で、歩いて買い物に行ける商店街の役割はますます大きくなります。高齢者の見守り活動や安全なまちづくりの観点からも、後継者育成は経営者の問題だけではありません。商店街が抱える後継者不足に対し、積極的な支援策として行われている小売商業後継者育成・開業支援事業は、二〇一三年度実績で三件でした。支援の具体的な内容と成果について伺います。
○十河商工部長 平成二十五年度は、小売商業後継者育成・開業支援事業において、商店街での開業希望者等を対象に店舗の改装など、開業に係る経費の補助を行い、飲食店や靴小売業など三件の開業につながったところでございます。
○尾崎委員 東京全体で三件は少ないのかなと思います。制度を知らせるなど、今後の取り組みの強化を求めます。
この点で気にかかっているのは、窓口になっているのが東京都中小企業振興公社だということです。振興公社に聞き取りに行った際に、二〇一二年度が二件、二〇一三年度が三件という数について、その問題点を十分把握できていなかったからです。委託先任せにせず、都として制度の問題点の把握、改善点について十分検討するよう求めておきます。
次に、新・元気を出せ商店街事業について伺います。
商店街から、新・元気を出せ商店街事業を複数年度にかけて継続したりステップアップしたりできるように改善してほしい、財政が困難なため商店街役員が個人的に借り入れをして対応している、交付金の一部でも先に出すなど改善してほしいとの声がありますが、都の見解を伺います。
○十河商工部長 都は新・元気を出せ商店街事業について、商店街などからの要望も踏まえ、必要な要件を定めて実施しております。
補助対象となる商店街の事業は、会計年度独立の原則のもと、当該年度に実施される事業としております。また、商店街が実施する事業の終了後、速やかに補助金を支出できるよう区市町村に働きかけるなど、商店街の資金繰りの負担軽減に努めているところでございます。
○尾崎委員 新・元気を出せ商店街事業に対する期待は大きく、商店会や市長会からももっと使いやすくするための要件緩和など、強い要望があります。ぜひ要件緩和や支援事業の拡充を求めるものです。
次に、労働相談についてです。
私は、この間、仕事、子育て、暮らしのアンケートに取り組んできました。二十代、三十代の若い人たちからも、働かせ方の実態や要望などがたくさん寄せられました。今の仕事は好きだけど長時間労働で休みがとれず病気になってしまうのではないかと心配している、一生懸命働いても給料が上がらない、このままでは結婚できるのだろうか、職場の人間関係がうまくいっていないなどたくさん寄せられ、放置できない事態だと痛感しました。
労働組合の役員は、都の相談会は無料で、安心して相談できる、相談できないで困っている人が多いと思う、都の役割は大きいんだと話していました。
二〇一三年度の労働相談の実績について伺います。
○矢田部雇用就業部長 平成二十五年度の労働相談情報センターにおける相談件数は、五万二千六百八十四件となっております。
○尾崎委員 二〇〇六年度から八年連続で五万件を超えることになります。働く人の相談窓口として大きな役割を果たしています。都民に、気軽に相談できる、解決にも力を発揮してくれるところだということを知らせるためにも街頭相談会は有効だと考えます。
そこで、街頭労働相談の実績を伺います。
○矢田部雇用就業部長 都は、都内六カ所の労働相談情報センターにおいて労働相談を実施しており、専用電話の開設や夜間相談、また土曜相談実施などにより相談者の利便性を図るとともに、特別相談会、ホームページへの掲載など、さまざまな機会を通じ広くPRに努めております。
街頭労働相談につきましても、都民の方に気軽に相談していただく場を提供するとともに、労働相談情報センターのPRを図るといったことを目的に、毎年五月と十月の労働相談強調月間に主要駅頭などで実施しております。
平成二十五年度の街頭労働相談は、延べ十六日間開催し、相談件数は千三百六十件となっております。
○尾崎委員 二〇一三年度の街頭相談は延べ十六日間開催とのことですが、開催時間は遅くても午後五時で終了してしまう状況です。開催の場所や時間の工夫をすることで、もっと相談者がふえると思います。
神奈川県では、街頭労働相談を頻繁に行っています。十月だけでも十カ所、夜七時までやっているところもありました。東京都でも開催数もふやすことを求めます。
無料で安心して相談できる都の労働相談、東京の労働相談情報センターを知らないという人が多くいます。私が取り組んでいたアンケートでも、知らないと回答したのは六二%で、年代が若くなればなるほど知らない割合が多くなったのも特徴でした。
先日、私の事務所で開催している労働相談会に、四月に就職したがひどい労働状況に、うちの子供が働いているのはブラック企業ではないかと心配して相談に来たお母さんがいました。昨年は、ブラック企業が流行語大賞にもなったほどです。我が党は本会議の代表質問で、継続して都としてブラック企業の根絶に向けて対策を行うよう求めてきました。私は、ブラックバイトの実態について、経済・港湾委員会で取り上げ、対策を求めてきました。若者を使い捨てにする企業をなくすため何が必要なのか、都の見解を伺います。
○矢田部雇用就業部長 若者が活躍しやすい職場環境を確保するためには、長時間労働の抑制などが必要でございます。国は、法に基づく権限と責任により企業に対する指導監督などを実施しております。都としては、労使がともに労働関係法令の内容を十分に理解するよう普及啓発に取り組んでおります。
○尾崎委員 私が取り組んだアンケートで、職場、バイト先の不満、不安は何かという質問に、トップは給料が安いということでした。次いで将来が不安、心と体の健康が不安、有給休暇や休日がとりにくいと続き、五番目に多かったのが労働時間が長いということでした。
東京都は労働者の実態を調査し、特に若者が安心して働ける環境づくり、若者を使い捨てにする企業をなくしていくことです。労働関係法令の内容を十分に理解するよう、普及啓発の実施だけでは不十分だと考えます。その前提として、ブラック企業が社会的な大きな問題、見過ごすことはできない問題との認識を持つ必要があると思います。
東京の若者を使い捨てにする企業、いわゆるブラック企業やブラックバイトなどに関する啓発などのパンフ、チラシ、ポスターなど二○一三年度の実績について伺います。
○矢田部雇用就業部長 都は、働く若者向けに知っておくべき法令のポイントや相談窓口などを紹介した啓発用リーフレットを五千四百部作成して配布するとともに、その内容をポスターとして街頭労働相談等で活用しております。
就職活動やアルバイトを行う学生向けには、必要な法令知識等を解説した冊子を十二万五千部作成し、都立高校については全て、都内の私立高校及び大学については全校に意向確認した上で、それぞれ配布しております。
また、労働法をコンパクトに解説した「ポケット労働法」を一万七千部作成して配布するとともに、都のホームページからもダウンロードできるようにしています。使用者向けにも若者を雇うときのポイントをまとめたリーフレット二千部など、さまざまな普及啓発資料を作成し、配布しています。
○尾崎委員 二〇一三年度新規で作成したものは、若者向けの啓発用リーフ五千四百部、使用者向けのリーフ二千部になるということです。都も努力していることがわかりましたが、発行部数はまだまだ少ないと思います。
例えば、都内の大学に通っている学生、都内の高校生の数だけ見ても足りないことははっきりしています。若者向けの啓発用リーフを大きく印刷したポスターは、国分寺の労働相談情報センターでも私も直接見ました。大変有効だと考えています。このようなポスターを大学や区市町村の公民館、図書館などに張り出し、リーフなども自由にとれるように置くことなど、もっと積極的に活用することを求めます。大企業が集まる東京でこそ未来を担う若者が希望を持って働けるよう、さらなる支援の拡充を求めて質問を終わります。
○中山委員 私の方からは、まず地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターについて伺います。
都産技研の平成二十五年の東京都地方独立行政法人評価委員会の報告書について、第三回の定例で経済・港湾委員会で報告を受けました。私も委員でございますので、活発な議論を通じて委員会でも高く評価された次第であります。そういう面では、私の方から、一点だけちょっと質問をさせていただきたいと思います。
産技研は、ニーズオリエンテッドな事業運営、戦略的技術力強化、事業化を見据えた技術支援を三本柱とする基本理念に基づき、グローバル化した市場において高付加価値化で競う都内中小企業が技術力の高い製品を製造、販売し続けられるよう積極的な支援をされていると認識をしております。私も視察をさせていただきまして、詳細な説明をいただいたところでもあります。
特に、各種試験の成績証明は、中小企業の知的財産の取得活用にも役立つ重要な支援であることがよくわかりました。さらに数多くの技術支援を実施することで、すぐれた技術の発掘にも寄与していることの認識も深まったところです。
都産技研は、産業を支える上で大きな役割を担っていることは深く認識を持ちましたが、さらに都内の中小企業の実態を踏まえたサービスを行うには、都産技研を多くの人に知ってもらわなければなりません。そのためには、都産技研がみずから広報を行うとともに、関係機関とも連携をしながら、より効果的に取り組むことが必要だと考えます。
そこで、産技研が認知度の向上と一層の活用に向け、まずどのような広報をされているのか伺いたいと思います。
○十河商工部長 産業技術研究センターでは、より多くの都内中小企業の利用を促進するため、本部及び各支所を挙げて積極的な広報活動に取り組んでおります。
具体的には、ホームページや施設公開、研究発表会などを通じて事業内容や支援の成果等の情報発信に努めるとともに、中小企業団体などと協定を締結し、傘下の企業に対し、連携してPRを実施するなど、センターの認知度向上に向けた取り組みを行っているところでございます。
○中山委員 私たちも視察をさせていただきまして、本局の方はどっちかっていうと立地が悪いといいますか、私たちの目に触れないところにあるものですから、中小企業の人たちが産技研は何なのかということの認識はなかなかできないということが一つ挙げられるというふうに思います。
産技研の各種試験は、本当に世界の規格にも対応できるということをお聞きしました。製品開発のノウハウもいろんな意味でできるということもお聞きした次第ですので、今後とも認知度向上のために中小企業の各種団体等も連携をいたしまして、ぜひ認知度の向上に向けて努めていっていただきたいというふうに思います。
次の質問に移ります。
魅力ある商店街づくりについて伺いたいと思います。
商店街の現状は、消費者ニーズの多様化、大型店舗の進出、低価格競争、商店主の高齢化や後継者難など厳しい経営状況により衰退傾向にあり、地域経済や社会に大きな影響を及ぼしているといわれております。
一方で、都や区市町村の支援制度をうまく活用して、にぎわいを維持している商店街も都内には数多くあることも事実であります。私たちのまちでは、鉄道の駅に近接し区外からの外来者も多いいわゆる広域型商店街と、専ら近隣住民が日常買い物をする近隣型の商店街と二通りありますが、ふだんは近隣商店街であっても、各店舗の新商品開発やイベントによって遠方から来るお客さんをつかみつつある商店街もあります。
現在、SNSなどのネットをうまく活用することによって広報がうまくいっているということもいえると考えます。また、近隣の商店街同士が連携した取り組みによって、その地域全体の活性化につなげる相乗効果を狙っていることも重要であります。
都において、新・元気出せ商店街のイベント事業により、近隣の商店街が共同で行う取り組みを支援していますが、平成二十五年度の実績と効果について伺いたいと思います。
○十河商工部長 平成二十五年度に近隣の商店街が共同で取り組んだイベント事業は百八十八件となっております。イベント事業を複数の商店街が共同で開催することは、単独の商店街では困難な規模の事業に取り組むことが可能となり、知名度アップや集客力向上など大きな効果が期待できます。
また、多様な人材が参加することで、商店街の企画力向上や商店街活動の活性化につながり、地域コミュニティの発展にも役立つものと考えております。
○中山委員 ご答弁いただきまして、ありがとうございます。
昨今、商店街のイベントとなると一過性じゃないかという批判がよくあるんですけれども、私たちが見ていまして、商店街のイベントに対して、ただ業者さん任せにするという商店街であるとイベントが一過性に終わってしまう、そういう側面もあるんですが、各店舗のオーナーさんなり、いろんな方が参加型でこのイベントを行うことが成功に導いているというような傾向もあると思います。
また、昨今、SNSによりましていろんな情報を提供してくださるような方々もいらっしゃいまして、その結果、遠方からこの商品を買いに来たんだというお客さんもかなりふえているというふうにも伺っている次第でございます。
そういう面では、今後取り組む課題として各商店街の店舗の新商品、この新商品を同時にどんどん提案してもらって、それをつくるようなノウハウを、イベントと同時に同じように指導していくといいますか、同じようにイベントをやっていく上で今後生かせるのではないかなというふうに思っております。今後の展開にぜひ期待をしておりますので、よろしくお願いを申し上げます。
次に、特定施策推進型商店街事業について伺います。
都政の重要なテーマである省エネやCO2削減に役立つ商店街の街路灯のLED化などに対するニーズは高まっていると認識をしております。特に二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック開催国として、商店街の街路灯のLED化は他国に強くアピールできるものと考えます。
そこで、実際のニーズは高まっているものと認識しておりますが、平成二十五年度の実績をどのように評価されているのか伺いたいと思います。
○十河商工部長 平成二十五年度は、特定施策推進型商店街事業によりLEDランプの導入に取り組む商店街に対し、百五十五件の経費助成を実施したところでございます。これにより、街路灯四千八百九十五基でLEDランプへの交換が進み、CO2削減に向けた都の施策に対応する商店街の取り組みが進んでいるものと評価しております。
○中山委員 私の家の前の商店街もLEDを整備させていただきまして、大変明るくなって、いい商店街になっているわけなんですけれども、これから二〇二〇年、先ほども観光の話が出ましたが、どうしても私たち海外に行くと、その国の文化とか伝統とかに触れたいというニーズがあるわけなんです。
まさに日本の商店街というのは一つの文化でして、その地域の人たちが食べているものだとか、その地域の人たちが生活の一部として活用しているものというような、こういう商店街があるわけでありまして、そういう面では、これから外国人の方が多く来られるというふうに思っておりますし、また外国人の方が、日本の商店街はほとんどLEDだということが一つPRできると思いますので、今後二〇二〇年オリンピック・パラリンピックということを目指しつつ、ぜひこの事業も推進していただきたいと一つ要望をいたします。
次に、皮革製造業の現状について伺いたいというふうに思います。
都内には、私の地元である台東区を中心に、靴やかばんなど皮革製造事業者が数多く集まっております。一大地場産業をそこでは形成されております。
東京には、金属加工やエレクトロニクスなど高い技術力を持った企業の集積も多数ありますが、こうした皮革製造業のような職人のわざによるものづくり、いわばローテク分野の産業も地域経済と雇用を支える大変重要な存在だと考えます。
しかし、消費低迷や割安な海外メーカー製の靴の増加により、業界を取り巻く環境は大変厳しい現状にあると認識をしております。
そこで、まず都内における靴を初めとする皮革製造業の出荷額の動向と企業の立地状況についてお伺いをいたします。
○十河商工部長 工業統計調査によりますと、都内の革製品製造業全体の製造品出荷額は、平成十七年度調査では約千三百億円でありましたが、平成二十三年では約九百五十億円となっております。
また、平成二十三年における都内の革製品製造事業者数は約千五百事業所となっており、その九割以上が城東地域に立地しております。
区別の状況といたしましては、革製履物製造業では台東区が四〇%、足立区二九%、葛飾区一三%などとなっております。
○中山委員 今ご答弁がありましたけれども、ちょうど六年間で三割近く出荷額が減少していると、大変厳しい状況であるというお答えもありました。
ただ、一方で、地元に行きますと、本当にメーカーの人たちは積極的で、海外の展示会などにも積極的に出展し、バイヤーからもかなり高い評価を得ているというふうにも聞いております。
先日も、台東区でいえば北部地域といわれているところなんですけれども、その地域が靴産業が多いところでありますけれども、靴磨きのギネスということで--このギネスというのは一斉に靴磨きをした人数を競うわけなんですけれども、このギネス認定もされたわけでございまして、そういった一つ一つの、この地域は靴産業、あるいは皮革産業の地域ですよと、聖地ですよというようなことを本当に海外に、あるいは東京中に発信しているというふうにも思っております。
そんな中で、きょうから台東区内でもモノマチというのが、今、徒蔵といわれている御徒町だとか蔵前だとか浅草橋を四方にいたしましてモノマチが開催されているわけなんですけど、これも東京都の中小企業振興公社が協賛されたり、あるいは後援に多分東京都の方もついているというふうに思っております。
これは、もともと小学校の跡地利用で、小島、ビレッジというところにクリエーターを育てる、いわゆる学校みたいなものがありまして、そこのクリエーターさんたちが店舗をつくったり、自分たちでいろんなものを借りて、そこで、来たお客さんに見せたりということで、きょうとあしたとあさってやっているわけなんですけど、これもかなり皮革の製品もありまして、かなり多くのお客さんが、いわゆる地図を見ながら回遊されているということで、本当にこういった、いわゆるものづくりという面での展開では、かなり成功例の一つなんじゃないかなというふうに思っております。
私も、お客さんの回遊性というと、なかなか、お客さんってそんなに回遊するものなのかなというふうに疑問に思っていた部分もあったんですけれども、実際お客さんが本当に地図を持ちながら各店舗に回遊されているということもありまして、まさに消費にもつながっているというふうに思っております。
そういう面では、皮革製品の方ももちろんなんですけれども、ものづくりという面では、皆様方におかれましても、ぜひモノマチを、きょうから始まって、あした、あさってやっておりますので、ぜひ拝見していただきたいというふうに要望をいたします。
次の質問に移りたいと思います。
次の質問は、皮革技術センター台東支所について質問をいたします。
東京の靴は、履き心地や耐久性、機能性にすぐれ、メード・イン・ジャパンブランドとして高く評価をされております。百貨店でもアジアからの観光客の方々が日本製の靴をまとめ買いしていくという話も聞いております。東京の皮革産業が生き残りを図っていくためには、国内や海外で積極的に販路開拓などに取り組むとともに、こうした質の高い製品づくりを支える技術の維持向上が不可欠です。
私は、中小零細の皮革製造業者に対する技術支援の中核を担う都立皮革技術センター台東支所の役割は非常に重要だと考えております。そこで、同センターにおける昨年度の支援の内容と実績について伺います。
○十河商工部長 皮革技術センター台東支所では、各企業が抱えている技術上の問題の解決を支援する技術相談を実施いたしますとともに、検査設備を持たない中小企業の依頼に応じ、製品の品質を検査する依頼試験などを実施しております。
平成二十五年度の実績でありますが、技術相談につきましては、製造、卸など幅広い業種の企業に対しまして五百六十四件の相談対応を実施いたしました。
また、依頼試験につきましては、婦人靴のヒール取りつけ強度の測定など、二千三百八十二件の検査を実施したところでございます。
引き続き、こうした技術的支援を着実に実施し、中小企業の技術力向上や製品の品質向上を図ってまいります。
○中山委員 今ご答弁をいただいたとおり、かなり多くの件数があって、多くの業者の方、あるいは業界の方が活用しているということがわかったわけでございます。
つまり、今、先ほども申し上げましたとおり、海外のミラノや上海などで展示会などに積極的に出展していることをお話をさせていただきましたが、世界のブランドとも肩を並べていかなければならない中で、日本の靴は安心・安全、履き心地がよいという売りならば、やっぱりこの技術センターの役割は大変大きいというふうに考えております。
どうぞこれからも、メーカーや卸、あるいは職人さんからもニーズを酌み取っていただきまして、充実した施設にしていただきますようにお願いを申し上げます。
次は、東京都職業能力開発センターについて伺いたいと思います。
先ほどは技術センターということなんで、今度は人材発掘という視点から伺いたいと思います。
生産年齢人口は減少する中で、人材育成と人材確保のニーズは高まるばかりと認識しております。そういう意味では、職業能力開発センターの使命も同時に高まってくるものと考えます。
当事業では、地域における技能分野を中心とした人材育成、確保を支援する拠点を整備するとともに、企業、業界等のニーズを把握し、常に連携の場を形成することが重要であります。
そこで、職業能力開発センターの事業目的とこれまでの実績について伺います。
○久我事業推進担当部長 職業能力開発センターは、離転職者の就業促進と技能者の育成を図るための職業能力開発、地域における中小企業等の人材の育成確保の支援を事業目的としております。
こうした目的を達成するため、都内十四カ所のセンター、校におきまして、平成二十五年度は求職者向けの職業訓練を一万三千三百三十五名に対して実施いたしました。
また、中小企業等で働く在職者向けの職業訓練を一万五千三百三十一名に対して実施したほか、企業等へ講師を派遣し、実情に応じて訓練指導を行う現場訓練支援事業を五十件実施したところでございます。
○中山委員 かなり利用される方々が多いということがわかるわけでございます。そういう意味で、人間の根本的な行動原理は、仕事の上では特に必要とされているということを感じることであるというふうにも思っておりますので、今後ともお願い申し上げます。
次の質問に移りたいと思います。
私の地元台東区にも城東職業能力開発センター台東分校があります。これは昭和四十七年七月一日に台東区の橋場一丁目に東京都立足立高等職業訓練校台東分校として開設以来、台東分校は公立の職業訓練施設として、全国で唯一の製くつ科では、紳士靴、婦人靴の型紙、製甲、底づけと各作業の知識と技能を学ぶとともに、量産の習得を目指しております。つまり、靴の学校ということでございます。
地元の業界にとっても、人材育成と人材確保にはなくてはならないという声を聞いております。経営者の声を聞くまでもなく、製造現場に行けば、知識と技能と経験をある程度習得していないと仕事にならないということが明らかです。そういう面では、ニーズの高い科目といえます。
平成二十年から平成二十四年までの過去五年間の実績でも、定員数が少ないということもありますが、すごい高い倍率を誇っています。
そこで、平成二十五年度の定員、応募者数、応募倍率について伺いたいと思います。
○久我事業推進担当部長 城東職業能力開発センター台東分校では、求職者向けの職業訓練としまして、一年制の製くつ科を設置しまして製靴業に携わる人材の育成に努めております。
製くつ科の平成二十五年度の実績でございますが、定員は二十名、応募者数は百二十一名、応募倍率は六・〇五倍でございます。
○中山委員 定員数が二十名ということでありますから、当然応募者数が多いということで六倍という高い倍率があるわけでございます。
ただ、定員数をふやすことがかえってまた、同じように学校をやっているところが近くにあって、民間でやってるところがあって、そこの民業圧迫にということにもなりますので、安易にふやせないという事情は理解をいたしております。
しかし、人材発掘の観点から、地域産業にとっては本当になくてはならない学校でもあるわけでございます。やっぱりある程度技能を身につけた人と身につけてない人と、企業に入れた場合、使用者という視点から見ると、全く生産力が大きな差があるというふうにも聞いております。そういう面では、この学校というのが大変地元貢献をしているということも聞いておりますので、今後ともよろしくお願いします。
また、地域で雇用するのに、地元の区と経済産業省で雇用支援という意味でもしておりまして、そういう方々が学校を卒業されて実際企業に入るときに、三カ月間でしたか、支援をしているという制度も実はあるわけでございまして、それだけ実際の学校に入っておられる方々の生徒さんのイメージと実態、企業に入ったときとイメージが全く違うんで、すぐやめてしまうといった人たちも少々いるということもありますので、そういう面では学校の役割というものは大変大きいということがわかるわけでございます。
今後とも、学校の充実策にさらに力を注いでいただくことを要望しまして、私からの質問を終了させていただきます。
○小松委員 それでは、私からはまず都市農業の振興についてお伺いいたします。
食の安全・安心に対する消費者の関心が高まっていますが、そんな中で食材の地産地消に価値を置く人がふえています。身近なところで、どのように生産されたか確認できることが重視され、新鮮な農産物を販売している直売所や地元産の野菜などの食材を使った料理を提供する店舗が改めて注目されるなど、都市農業への期待が高まっているといえます。
また、都市農業では住宅地と農地が密接していることから、化学合成農薬や化学肥料などの使用を控えて、環境に対する負荷をできる限り低減させた生産方法をとることが重要であり、こうした取り組みが食の安全・安心を求める消費者の声にも応えることになるかと思います。
東京都では、これまでも特別栽培農産物やエコファーマーなど環境保全型の農業への支援を実施してこられました。このような取り組みを推進するために、昨年度から新たに東京都エコ農産物認証制度を開始しておられます。その内容と実績についてお伺いいたします。
○武田安全安心・地産地消推進担当部長 化学農薬や化学肥料の使用を控えた農業の推進は、食の安全・安心を求める消費者の期待に応えるとともに、環境への負荷を軽減する観点からも重要でございます。このため、都では都独自の東京都エコ農産物認証制度を昨年度から開始いたしました。
具体的には、化学農薬と化学肥料を都の定めた基準から二五%以上削減、五〇%以上削減、不使用の三区分を設け、その区分に応じ農産物を認証する制度でございます。
平成二十五年度の実績につきましては、二百九十三名の農業者に対し、コマツナや梨、お茶など延べ千九百五品目の農産物を認証しており、ことしから生産が開始されました。
○小松委員 二百九十三人の農業者とおっしゃいました。初年度ですが、これほど多くの農業者がこの認証制度を利用していることがわかりました。
安全・安心の農産物が都内に供給されるために、この取り組み、さらに多くの生産者に広げていかなければならないと思います。
そこで、認証された農産物の増加を図り、このような取り組みを行う生産者をふやしていくためにどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。
○武田安全安心・地産地消推進担当部長 都では、東京都エコ農産物認証制度に取り組む生産者をふやすため、認証農産物と他の農産物との差別化を図っております。
具体的には、消費者にわかりやすいように認証マークを作成し、生産者が認証農産物を販売する際に表示できるようにいたしました。また、認証農産物の生産者の取り組み状況を東京都のホームページなどを通じて公開しております。
さらに、本制度の信頼性を確保するため、農薬の残留状況を調査し、結果を毎年公表、公開していきます。今後も、取り組んでいる生産者などを量販店などに紹介し、販路を拡大するとともに、直売所などでのPRの充実など、本制度の一層の普及を図ってまいります。
○小松委員 都市農業の振興施策としてエコ農産物認証制度のような取り組み、そして、それを消費者に対してPRしていくこと、大変重要な取り組みだと思います。
一方、東京の都市農業が抱える最大の課題は、農地が年々減少していく傾向をとめられないことです。農業者の高齢化や担い手不足もその大きな要因となっています。担い手がいないために放置される耕作放棄地、これをつくらないための対策として、自治体では、例えば、町田市では法人も含めた新規就農者や規模拡大を望む農業者に農地をあっせんする事業の取り組みがありまして、八王子市では遊休農地を市民農園に活用するなどの事例があると聞いています。
このようなマッチングによって農地の耕作が継続できるような取り組みのさらなる推進が望まれるところです。今後も消費者が求める新鮮で安全・安心な農産物の生産が増加していくことを期待しています。
それでは、就労支援について伺います。
初めは、若者の就労についてです。
若者の雇用情勢を見ますと、大学卒業の就職者数が増加し、内定率も上昇しています。しかし、厚労省の資料によれば、中学、高校、大学の卒業三年後の離職率がそれぞれ六二・一%、三九・二%、三一・〇%となっておりまして、就職してもすぐにやめてしまう若者が大変多いという実態があります。
その原因はさまざまな要素が絡まっていると考えられますが、このような状況が続きますと、正規雇用されても短期間に転職を繰り返し、フリーターとなる若者の増加につながります。そして、フリーター期間が長引くと正社員になることが難しくなりがちであり、低賃金で働き続けなければならなくなるという問題があります。
そこで、早期離職を食いとめる取り組みが求められます。
若者の早期離職防止に向けた取り組みとして、しごとセンターでは若者の職場定着支援事業、これを行っていますが、その具体的な取り組み内容について伺います。
○矢田部雇用就業部長 都では、平成二十五年度から、しごとセンターにおいて就職後三年以内の若者を対象とした職場定着支援事業を実施しております。この事業では、社会人一年目の若者には社会人基礎力を高め、二年目、三年目の若者にはキャリア形成を支援するため、セミナーとグループワークを開催しております。
また、経営者や先輩社会人との意見交換、同世代との交流を通じて、入社間もない若者の孤立化を防止しております。
○小松委員 この取り組みを進めていただきたいと思います。
続いて、女性の就労です。
働く女性の数は毎年増加しています。労働者全体に占める女性の割合、四割以上あります。そして、その約六割が非正規雇用となっています。そして、収入は男女格差が顕著です。
厚労省の調査では、正規、非正規を合わせても女性の分の二〇一二年の総額は男性の五二・二%であり、一九八七年の五二・三%から横ばい状態です。このような条件のもとで働いているため、妊娠や出産を機に仕事をやめる場合が多く、内閣府の調査からは、第一子出産後に離職する女性の割合が一九八五年から八九年の間、この五年間で六一%に対して、二〇〇五年から二〇〇九年、この五年間で六二%と改善が見られないというのが実情です。
そして、女性が一旦離職すると、次に復職しようとしても非正規雇用の仕事しかないという現実があります。
知事は、女性の活躍を推進と述べておられますが、働く意欲のある女性がその力を十分に発揮できるように、都は再就職を支援していくことが必要と考えます。女性の再就職を後押しする取り組みとして、しごとセンターで実施している女性再就職サポートプログラムがありますが、この実績と取り組み状況について伺います。
○矢田部雇用就業部長 都では、女性の再就職を支援するため、平成十九年度から女性再就職サポートプログラムを実施しております。この事業では、就業に必要な基礎知識を学ぶセミナーや職場体験などを組み合わせた十日間の総合的な支援プログラムを提供しております。また、プログラム終了後もキャリアカウンセラーがフォローアップを行い、就職まで継続的に支援しております。
平成二十五年度においては、プログラム修了者は二百七十五人で、このうち百六十人が就職いたしました。
○小松委員 女性が働きやすい社会は、男性にとっても働きやすい社会であることはいうまでもありません。男女格差をなくし、仕事と暮らしを両立させるワークライフバランスを実現させるため、今年度、しごとセンターには女性しごと応援テラスが開設されていますが、これも活用しながら女性の再就職に向けた支援のさらなる充実を要望いたします。
続いて、先ほど来出ていますが、労働相談について伺います。
東京都の労働相談情報センターには、多くの都民から労働に関する相談が寄せられていると聞いています。厳しい雇用情勢の中、雇用や賃金不払いなどの相談場所として身近にあることは重要なライフラインでありまして、都民の駆け込み寺として労働相談情報センターの役割は重要です。
近年は、特にパワーハラスメントやセクシュアルハラスメント、退職勧奨、解雇のトラブルなどの相談が多いと聞いています。労働相談の二十五年度の実績と、そして特徴についてもお伺いいたします。
○矢田部雇用就業部長 都では、都内六カ所の労働相談情報センターの窓口におきまして、職員が電話や面談により相談に応じており、相談者の置かれた状況を把握し、問題解決に向けた適切なアドバイスを実施しております。
平成二十五年度の相談件数は五万二千六百八十四件であり、八年連続で年間五万件を超える水準が継続しております。
相談内容を見ますと、退職や解雇に関する相談が上位を占めており、次いで近年増加している職場の嫌がらせに関する相談が続くといった状況でございます。
また、雇用形態では、非正規労働者に係る相談が前年度比で約六%増加しているのが特徴となっております。
○小松委員 企業の経営状況が悪化すると真っ先に解雇されるおそれの高いのが障害者や外国人労働者です。また、知的障害を伴わずに障害者手帳を持たない発達障害者の中には、高学歴の人もたくさんいらっしゃいます。せっかく就職できても、職場の協力や理解がなければ仕事を続けられないという問題をこの発達障害の方たちはお持ちです。
また、同様な課題としては、英語圏ではないアジア系を初めとする外国人労働者のサービス業従業者も増加している傾向にある。こんな中で、職場の協力や理解なしでは言語や習慣の違いなどのトラブルを避けることはできません。
こうした社会状況の変化に伴うトラブルを抱えた相談者に的確なアドバイスを行うためには、労働相談の対応力を質的な面から高めていく必要があります。東京都は、こうした課題を抱えた相談者に対して、どのように取り組んでおられるのか伺います。
○矢田部雇用就業部長 労働相談を担当する職員につきましては、最近の相談事例を活用したケーススタディーやメンタルヘルス、発達障害などをテーマとした専門研修を実施することにより、複雑化、高度化する相談にも対応できるよう能力の向上を図っております。
また、外国人労働者につきましては、英語、中国語などによる相談を受け付けており、相談ニーズには適切に対応しております。
こうした取り組みにより労働相談の質を高め、さまざまな相談にきめ細かく対応しております。
○小松委員 少子化によって労働力が不足する中、労働を取り巻く社会状況も大きく変化しています。外国人労働者の相談には、英語や中国語以外の言語の対応、先ほどやられているということでしたが、これからも進めていただけるよう求めます。
また、障害者手帳を持たない人も働き続けられるよう、当事者と職場をつなぐ支援、これも必要です。
こうした変化するさまざまな労働問題に的確に対応できるよう、相談担当職員のスキルアップのさらなる取り組みの強化、そしてまた職員や専門家などの人的配置の増員など、相談体制の充実を要望いたしておきます。
続きまして、最後の質問でブラック企業対策について伺います。先ほども出ましたが、私からも伺いたい。
ブラック企業という言葉は、昨年、新語・流行語トップテンに選ばれています。厚生労働省は、ブラック企業を若者の使い捨てが疑われる企業と定義し、離職率の高い企業に対して労働基準監督署が検査を行ったと聞いています。
派遣など非正規雇用がふえる中で、若い正社員を大量に採用し、苛酷な労働環境で鬱病や退職、過労死などに追い込む企業が後を絶ちません。こうしたいわゆるブラック企業に若者が就職しないためには、若者向けの普及啓発が必要と考えますが、都としての取り組み、お伺いいたします。
○矢田部雇用就業部長 都では、しごとセンターで行っている就職活動中の若者向けセミナーの中で、求人票を見る際に注意すべきポイントを紹介するなど、若者が企業を見る目を養うための取り組みを実施しております。また、労働相談情報センターにおきまして、労働関係法令などをテーマとしたセミナーを開催するほか、働く際に知っておくべき法令のポイントをわかりやすくまとめた冊子、リーフレットを作成し、街頭労働相談等で配布しております。
こうした取り組みを通じて、若者に対する普及啓発を行っております。
○小松委員 労働法などは、本来ならば高校や大学の教育でしっかり身につけることが必要です。しかし、全て自己責任で自分が悪いと考えないよう、専門家に相談することも知っておくことが重要です。若者がブラック企業と争えるような社会的な支援体制、これも充実させるよう要望して、質問を終わります。
○加藤委員 各会派の質疑が一巡をしまして、産業労働局のさまざまな分野の事業について質疑がありました。私からは、特に地域産業の振興という観点から幾つか伺いたいと思います。
私の地元墨田区は、江戸時代から続くものづくりのまちで日常の生活用品を初め、機械、金属加工に至るまで、さまざまな製造業が集結しています。また、向島という日本の伝統文化を伝える貴重な地域もあります。都内の各地域それぞれにこうした特徴ある産業や文化が息づいている、これが東京の大きな魅力だと私は思います。こうした地域の資源を最大限に生かし、産業の活性化につなげていくことが重要です。
まず、観光振興についてですが、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催決定を契機に、多くの旅行者が東京の各地を訪れることが期待されています。このような機運の高まりを捉え、さらなる地域の観光振興を推進すべきです。
地域には、旅行者を引きつけるさまざまな資源が存在しますが、全ての地域がそのポテンシャルを十分に生かし切れているとは思いません。私の地元墨田区にも、先ほど申し上げました向島の料亭や芸者さんを初め、歴史や伝統工芸、食など、国内外からの旅行者にとって特色ある伝統文化が息づいており、魅力的な観光資源となる可能性を十分に秘めています。
都は、平成二十五年度から、こうした観光資源の活用を目指す事業を開始したと聞いておりますが、この取り組みについて改めてお伺いいたします。
○杉崎観光部長 観光を振興し、地域を活性化するためには、地元の隠れた資源を地域みずからが発掘し、主体的に活用していくことが重要でございます。このため、都は昨年度から、魅力ある資源を特産品や旅行商品に育てようとする観光協会等のアイデアと、民間事業者が持つ商品化に向けたノウハウとを結びつけ事業化を図る地域資源発掘型実証プログラム事業を実施しております。本事業を通じて、観光資源の掘り起こしや活用に努める地域の取り組みを積極的に支援しております。
○加藤委員 地域の主体的な取り組みを支援することは、地域の魅力を高めるとともに、活性化にもつながることから大変重要だと考えます。
それでは、この事業を活用して具体的にどのような成果があったのでしょうか。昨年度の実績と成果についてお伺いいたします。
○杉崎観光部長 平成二十五年度は、観光協会や商工会議所、大学等から七十三件の応募があり、その中から特産品の開発や旅行商品の造成など二十件を選定し、具体的な商品化や継続的なイベント開催につなげております。
例えば、奥多摩町では、地元の名産であるワサビを使用したスイーツ開発を行いました。そのうち、アンケートで人気の高かったワサビチーズタルトは本年七月から商品化され、地元の観光協会や小売店等で販売されているところでございます。
また、三宅島では、海面に映る月の光や希少な野鳥などを観光資源の一つとして捉えたモニターツアーを実施いたしました。参加者からは好評をいただいておりまして、本年四月には民間事業者が実際のツアーとして販売するなど、具体的な成果につながっております。
今後も、特色ある資源を活用して観光振興を図る地域の取り組みを効果的に支援してまいります。
○加藤委員 地域の観光振興を進めるためには、魅力的な資源を生かした取り組みを進め、旅行者誘致につなげていくことが重要だと考えます。二十六年度もこのプログラムは継続されており、地元向島のいわゆる花町もプログラムの一つに応募し、料亭街の食を売りにグローバルフードツアーに取り組むとして選定されました。今後の商品化がヒットするかが勝負どころですが、このように、さまざまなアイデアをどう商品化して具体的な集客アップ、観光振興に結びつけていくかが大事です。引き続き、こうした地域の取り組みに対する積極的な支援を要望しておきます。
次に、こうした地域の実情に応じた取り組みという視点は、中小企業支援においても大変重要だと思います。
近年、産業構造の変化や海外との競争の激化から、墨田区内のものづくり企業は減少を続けており、操業をやめた工場も少なくありません。
そこで、墨田区では新たなものづくり産業を生み出すことを目指し、こうした空き工場を改修して、ものづくりの企業とデザイナーやクリエーターなどの人材が交流、連携して新しいものづくりに取り組むことができるシェアファクトリーという拠点の整備を進めています。
ことし四月にオープンした二つの拠点は、いずれもすぐれた技術を持つ区内の中小企業が運営の主体となり、そのノウハウを活用しながら地場産業である革製品などの新製品の企画開発や技能者の育成に取り組んでいます。まさに地域の実情を踏まえた取り組みの見本となるような好事例ではないかと感じます。
ちょっと横道にそれますけれども、先ほど中山委員から台東区の地場産業である革靴の話がありましたけれども、墨田区の北部地域も皮革産業の一大集積地であります。そして、その革製品を加工するための材料となるなめしを主に豚皮を加工してつくっておりまして、それを今では、その革をさまざまな小物やアクセサリーにも加工して、今の時代に合うように努力をしております。
こうした地域の実情を踏まえた取り組みは、都のものづくり産業集積強化支援事業を活用して、都と墨田区が連携して支援していると伺っています。補助率も都区で合わせて十分の十ですから、チャレンジする側にとっても魅力的です。地域の産業振興のために、都と区が連携するというのは大変意義があると思います。
そこで、都のものづくり産業集積強化支援事業の平成二十五年度の実績について伺います。
○十河商工部長 都は、平成二十四年度から、ものづくり産業集積強化支援事業を実施し、区市町村による中小製造業の集積の維持と発展に向けた取り組みを支援するため、必要となる経費の二分の一を三カ年にわたり補助しております。
平成二十五年度には、お話の墨田区によるものづくりの創出拠点の整備事業のほか、大田区が実施いたします医療器具など高付加価値製品を生産するための設備投資を促進する事業など、四区市の取り組みを支援いたしました。
本事業では、平成二十四年度からの三カ年で、合計八区市の取り組みを採択しておりまして、これらの取り組みを支援することにより、各地域の実情に応じた特色あるものづくり産業の基盤強化を図っております。
○加藤委員 新たな設備投資の支援など、地域の意欲的な取り組みが取り上げられていることがわかりました。ぜひ今後とも、区市町村と連携し、こうした取り組みを進めていただきたいと思います。
地域の産業や文化を大切にし新たな芽を育てていくことは、日本が培ってきた歴史と伝統を未来へとつなぐ大切な営みだと思います。今後とも、地域産業の振興のために、多面的な支援の強化を行っていただくようお願いして、私の質問を終わります。
○吉田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○吉田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で産業労働局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後三時一分散会
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