平成二十五年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第三号

平成二十六年十月十五日(水曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長橘  正剛君
副委員長小宮あんり君
副委員長徳留 道信君
小松 大祐君
斉藤やすひろ君
島崎 義司君
塩村あやか君
栗山 欽行君
小山くにひこ君
神野 次郎君

欠席委員 なし

出席説明員
教育庁教育長比留間英人君
次長松山 英幸君
教育監高野 敬三君
総務部長堤  雅史君
都立学校教育部長早川 剛生君
地域教育支援部長前田  哲君
指導部長金子 一彦君
人事部長加藤 裕之君
福利厚生部長高畑 崇久君
教育政策担当部長白川  敦君
教育改革推進担当部長出張 吉訓君
特別支援教育推進担当部長松川 桂子君
指導推進担当部長鯨岡 廣隆君
人事企画担当部長粉川 貴司君

本日の会議に付した事件
平成二十五年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
教育庁関係
・平成二十五年度東京都一般会計決算(質疑)

○橘委員長 ただいまから平成二十五年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別質疑を行ってまいります。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、教育庁関係の決算に対する質疑を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十五年度東京都一般会計決算中、教育庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○堤総務部長 去る十月六日の当分科会において要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 お手元の平成二十五年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらん願います。
 今回要求のございました資料は六件でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。
 1、都立特別支援学校、肢体、知的の外部専門家及び外部人材の導入人数並びにそれに伴う教職員定数の削減数、各校の導入年度でございます。
 外部専門家及び外部人材の導入状況と、それに対応する教職員の削減数につきまして、それぞれ対象職種、人数及び学校数等を記載してございます。
 二ページをお開き願います。
 2、都立特別支援学校の保有普通教室の状況、平成二十五年度及び平成二十六年度でございます。
 平成二十五年及び平成二十六年それぞれ五月一日現在の都立特別支援学校で保有する普通教室数を障害種別、学校別に記載してございます。
 三ページをごらんください。
 3、都立特別支援学校の重度重複学級数の推移、平成十七年度から平成二十六年度まででございます。
 都立特別支援学校の重度重複学級数について、障害種別、学部別に平成十七年度から平成二十六年度までの推移を記載してございます。
 四ページをお開き願います。
 4、都立特別支援学校スクールバス予算の推移、平成十七年度から平成二十六年度まででございます。
 都立特別支援学校のスクールバスの予算額、学校数、コース数の推移を平成十七年度から平成二十六年度まで記載してございます。
 五ページをごらんください。
 5、都立高等学校及び都立特別支援学校のトイレの洋式化率と誰でもトイレの設置状況、平成二十五年度及び平成二十六年度でございます。
 都立高等学校と都立特別支援学校のトイレの洋式化率及び誰でもトイレの設置状況について、それぞれ年度別に記載してございます。
 六ページをお開き願います。
 6、都立高等学校の日本史教科書採択状況、平成二十一年度から平成二十六年度まででございます。
 このページから一〇ページにかけまして、日本史教科書A及びBの各年度の採択状況につきまして、発行者、書名、学校数、採択割合をそれぞれ記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○橘委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○島崎委員 初めに、学力向上対策と習熟度別指導について伺います。
 自立した社会の形成者を育てるために、子供の能力を最大限に伸ばし、一人一人が将来に向かって夢と希望を持って努力していけるような教育を行っていくことが大切です。
 我が党は、これまでも知力、体力、人間力を備え、将来我が国を担う人材を育てるために教育施策の充実を求めてきました。OECD、経済協力開発機構が三年ごとに進める国際的学習到達度調査、PISAの二〇一二年の調査結果が昨年十二月及びことし四月に公表されましたが、それによると、日本は、六十五カ国、地域を対象とした主要な調査結果で、数学的リテラシーは七位、読解力は四位、科学的リテラシーは四位、デジタル数学的リテラシーは六位、デジタル読解力は四位で、参加四十四カ国、地域を対象とする問題解決能力の調査結果では三位というものでした。
 また、四年ごとに行われている国際数学・理科教育動向調査では、一九九五年第一回の三位から直近二〇一一年第五回の五位へと徐々に順位を下げている現状があります。今後、世界と渡り合える若者を育成するためには、さらなる教育の充実が必要ですが、特に学力については、申し上げたとおり国際的な学力調査の結果を見ても、日本はトップレベルの国々と比べると下位層が多い現状があります。
 そこでまず、昨年度から二年間の計画で実施している学力向上パートナーシップ事業の概要と一年目の成果について伺います。

○金子指導部長 学力向上パートナーシップ事業は、区市町村教育委員会と連携して学習がおくれがちな児童生徒に対する効果的な指導方法等を開発し、その成果を広く普及することを目的として、平成二十五、六年度の二カ年間実施しております。
 都内八区市の指定地区では、国語、または算数、数学のうちから特に重点的に取り組む教科を決定し、調査研究校である小中学校を中心に習熟度別指導等による個に応じた指導の充実、家庭学習を習慣化するための手引の配布、東京ベーシック・ドリル等を活用した反復学習の徹底などに取り組んでおります。
 また、昨年度指定地区の小学校第五学年の児童と中学校第二学年の生徒を対象に、七月の都の学力調査とほぼ同じ難易度の問題による調査を十二月に行い、重点教科についての効果測定を行いました。
 その結果、七月の調査結果と比べて、十二月の方が指定地区全体の平均正答率が上昇するなどの成果が見られました。

○島崎委員 ご答弁から教科を絞るなど焦点化するとともに徹底して取り組むことにより、効果があらわれていることはよくわかりました。
 ただし、指定された八区市だけでなく、どの区市町村にも基礎的な内容が十分に定着していないなど問題のある子供たちはおります。
 都教育委員会には、指定した地区の取り組みから明らかとなった基礎的、基本的な事項の定着に課題がある児童生徒への効果的な指導方法について広く全都に周知していく役割と責任があります。そのため、全ての子供たちが基礎的な力を習得できるよう、しっかりと対応していただきたいと思います。
 子供たちに基礎的な内容を確実に身につけさせるためには、わからなかったり、できなかったりしたことに対して何度も取り組ませる繰り返しの指導が大切であると考えます。
 そこで、昨年度作成した東京ベーシック・ドリルの概要と活用状況について伺います。

○金子指導部長 東京ベーシック・ドリルは、小学校四年生までの国語、社会、算数、理科の四教科の基礎的、基本的な内容について、つまずきのある場合には下の学年の内容に戻ってでも繰り返し取り組むことで確実に身につけさせることを目的として作成した教材であり、本年四月に都内全公立小学校にCDで配布いたしました。
 この教材は、小学校四年生までに学習する全ての漢字の読み書きや算数や理科などの基礎的、基本的な事項をまとめたドリルでございまして、授業時間だけでなく、授業の開始前の時間や放課後等にも活用できるものでございます。
 現在、各小学校では、どの内容が達成できたのかがわかる結果表を独自に作成したり、授業に加えて長期休業日の補習や家庭学習などでも使用したりするなど、さまざまな工夫をしながら活用を図っています。
 今後、より一層活用しやすいものとなるよう、学校や区市町村教育委員会等から意見や要望を聴取し、改善、充実を図ってまいります。

○島崎委員 東京都として、このようなドリルを作成した意義は大きいと考えます。全都の公立小学校において活用が進むことにより、学校だけでなく子供や家庭にとっても、いわゆる達成目標という捉え方もできるのではないかと考えます。
 東京の公立小学校では、どの学校においても東京ベーシック・ドリルの内容については確実に身につけさせるという形になることを望みます。
 東京ベーシック・ドリルは、小学校への配布だけではなく、都教育委員会のホームページにも掲載されており、誰でも利用しやすいような状況になっております。今後、家庭はもちろんのこと、さまざまな場面や機会で活用されていくとよいのではないかと考えます。そのためにも、より一層活用しやすいものとなるようにしていただくことを要望いたします。
 さて、学力向上パートナーシップ事業、東京ベーシック・ドリルのどちらも基礎的な学力をしっかりと身につけさせる点に重点が置かれているように思います。しかし、学校には学力に課題がある子供から高い子供まで、さまざまな状況の子供たちが混在しており、一斉一律の指導では対応し切れないと考えます。
 そこで、さまざまな学力の違いがある子供たち一人一人に確かな学力を身につけさせるための指導の一層の充実について見解を伺います。

○金子指導部長 東京都の児童生徒の学力は、国や都の学力調査結果から特に算数や数学など積み上げ型の教科において習熟の進んでいる層からおくれがちな層まで幅広く分布しております。そのため都教育委員会では、学年を超えてわからない箇所に立ち戻る指導や発展的な内容により習熟の早い子供をさらに伸ばす指導の徹底など、小学校算数における指導方法等の指針である東京方式習熟度別指導ガイドラインを本年一月に策定いたしました。
 今年度から算数において新たに習熟度別指導を実施している小学校二十五校では、既に本ガイドラインによる指導を行っており、平成二十七年度からは全ての小学校で実施いたします。
 今後とも全ての子供に確かな学力を身につけさせるため、一人一人の学習到達度に着目し、習熟の程度に応じた指導を一層充実してまいります。

○島崎委員 学力の差が大きい教科では、一斉指導よりも習熟度別指導が効果的であると考えますが、その習熟度別指導も効果を上げるように留意して取り組まなくては意味がないと思います。
 我が党が昨年の都議会第四回定例会で行った代表質問に対する答弁のとおり、指導方法等についての新たな指針として策定した東京方式習熟度別指導ガイドラインに基づき、各学校が効果的な指導を行うことができるよう一層の徹底をお願いいたします。
 次に、理数教育の充実について伺います。
 過日、ことしのノーベル物理学賞に青色発光ダイオード、LEDを開発した日本人の赤崎勇氏、天野浩氏、中村修二氏の三氏が選ばれました。一昨年のiPS細胞、人工多能性幹細胞の発見により、ノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥氏に続く快挙といえます。
 ことし七月、都議会自民党は世界で一番の都市東京を実現するため、東京都に対して政策提言を行いました。その中で、理数教育のさらなる拡充、具体的には子供たちが理科への興味を増すような理科の実験授業をふやすようにすること、また教員に対する研修を充実させることなどを求めました。
 今後とも我が国が科学技術で世界をリードしていくためには、次代を担う人材の育成が必要です。また、科学が発達した現代社会では、国民一人一人の科学に対する基礎的素養の向上も必要です。
 こうした中、都教育委員会は、東京都理数教育振興本部を設置するなど、理数教育の充実に取り組んでいることは極めて重要であります。
 そこで、都教育委員会が設置した東京都理数教育振興本部の目的や内容について伺います。

○金子指導部長 都教育委員会は、科学技術をめぐる世界的な競争を担う人材の育成が国の課題として認識されていることなどを受け、東京都における理数教育のさらなる振興を図るため、学識経験者や区市町村教育委員会の代表などを委員とする東京都理数教育振興本部を平成二十五年度から設置いたしました。
 この振興本部では、企業や大学等の関係機関が持つプログラムを通して、児童生徒に理科や算数、数学のおもしろさや有用性を実感させる施策や専門家による指導によって科学に興味、関心を持つ児童生徒の資質や能力をさらに伸ばしていく施策などについて検討しております。

○島崎委員 学識経験者など外部の人から意見を聴取し、施策の参考にすることは、理数教育をさらに充実していくために大変有意義であると感じております。これについては、一層の取り組みを期待しております。
 次に、小中学校の理数フロンティア校について伺います。
 科学立国日本、その先導的な役割を担うことが期待される東京都の理数教育振興に向けて、平成二十四年度東京都理数教育振興施策検討委員会は、すぐれた教員の活動や先進校の取り組みについての普及啓発、理科や算数、数学の授業公開の推進、教材、教具の充実といった十一の方向性を示しました。
 これを受けて、都教育委員会は、それを具体化する施策の一つとして平成二十五年度に都教育委員会が指定している小中学校の理数フロンティア校に取り組まれておりますが、その現況と成果について伺います。

○金子指導部長 都教育委員会は、小中学校における理科や算数、数学に対する学習意欲を高め、学力の向上を図ることを目的として、各区市町村の理数教育の拠点となる理数フロンティア校を平成二十五年度から小中学校五十校ずつ、二年間指定しております。
 理数フロンティア校では、児童生徒が理科や算数、数学に対する興味、関心を高めることができるよう、多くの観察、実験を取り入れた効果的な指導方法や台風の構造や電気が流れる仕組みなど、児童生徒が直接見ることができない事物、現象をモデル化した教材などを開発しております。
 また、理数フロンティア校は、こうした先進的な取り組みについて各地区の教員を対象とした研修を実施いたしまして普及啓発するなど、各地区の理数教育を推進しております。

○島崎委員 私の地元武蔵野市でも、第三小学校と第三中学校が理数フロンティア校の指定を受けております。第三小学校では、理科の授業において子供たちが予想をしてから観察、実験を行い、結論まで導くといった問題解決の過程を重視した指導を行うことで、子供たちの科学的な思考力を伸ばし、また第三中学校では人の体の仕組みと働きが理解しやすい人体模型の開発を行ったり、デジタルカメラやプロジェクターなどのICT機器を活用した指導方法の研究を行ったりして子供たちの理科への興味、関心を高めていると聞いております。
 こうした理数フロンティア校での成果を広く全都の学校に普及するなど、今後も小中学校における理数教育が一層充実していくことを期待しております。
 次に、都立高校の教科書採択について伺います。
 平成二十四年四月、一般財団法人日本児童教育振興財団内日本青少年研究所が高校生の生活意識と留学に関する調査、日本、アメリカ、中国、韓国の比較を発表しました。
 この調査は、高校生の生活意識と外国への関心をテーマに、現在の高校生の意識や自己認識、将来展望などを把握する目的を持つもので、同様の調査は昭和五十五年及び平成十四年にも行われました。
 その中で、私が今回特に注目したのは、同調査における自己認識と日本人としての誇りについての意識でありました。それによると、自己認識及び評価についてはポジティブな項目全般で日本の高校生の肯定率が低く、自分を価値ある人間と思う自尊感については、米中韓の半分以下の水準で、一方、ネガティブな性格項目については、日本は、自分はだめな人間だ、自分の将来に不安を感じている、人並みの生活ができれば十分だといった項目での比率が際立って高く、特に現状をそのまま受け入れる方がいいと答えた高校生が昭和五十五年のほぼ三倍の水準にまで大きく増加し、日本の高校生が自分に誇りや自信を持てず、消極的な性質の傾向を持つ実態が如実にあらわれておりました。
 また、国に対する意識も、日本の高校生は国との同一感の程度が低く、日本人としての誇りもそれほど強くないという、国に対する肯定率の低さも報告されました。
 私は、日本の高校生にこのような意識をもたらしている大きな要因の一つに、戦後教育や歴史教育があり、感受性の強い青少年期、その学習がとりわけ誇りや自信という面での人間形成に大きな影響を与えてきたものと考えております。その中で使用する教科書が果たす役割は、よくも悪くも極めて大きいものがあります。
 教科書採択については、自治体教育委員会の権限において責任を持ってなされているものと承知しておりますが、都立学校における採択方法は、区市町村教育委員会における採択区内同一教科書一括使用という流れとは若干違うと認識しております。
 そこで、都立高校における教科書採択の手続について、確認の意味でご説明を願いたいと思います。

○金子指導部長 都立高等学校で使用する教科書の採択権は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十三条第六号で、都教育委員会にあると定められております。採択権者である都教育委員会は採択に当たり、年度当初に採択方針を示し、都立高等学校へ通知しております。
 都立高等学校では、この採択方針の通知に基づきまして、校長の責任と権限のもと教科書選定委員会を設置し、各学校で教科書を調査研究した上で学習指導要領及び東京都教育委員会の教育目標等に基づき、学校において適切に編成した教育課程を実施するにふさわしい教科書を選定して、都教育委員会へ報告しています。
 都教育委員会は、都立高等学校の選定結果を審査し、選定理由が抽象的なものなどについて指導を行った上で、教科書、教科書調査研究資料及び学校の選定結果等を総合的に判断し、審議の上、各都立高等学校で使用することが適切と認めた教科書を採択しております。

○島崎委員 都立高校での採択の流れはわかりました。
 さて、さきに申し上げた国際調査の中で、日本の高校生の意識において日本人としての誇りがそれほど強くない大きな要因の一つに、いわゆる慰安婦強制連行説を定説のように扱ってきた教科書記述などがあったことは想像にかたくありません。
 このような慰安婦の記述がある日本史の教科書を都立高校ではどのくらい使用しているのか、採択状況について伺います。

○金子指導部長 平成二十五年度都教育委員会で採択した教科書のうち、新学習指導要領に基づき編集された日本史Aの教科書を現在使用している学校数は、東京書籍が二十八校二十八課程、実教出版が五校五課程、清水書院が十一校十一課程、山川出版社が二種十九校十九課程、第一学習社が二十六校二十六課程でございます。
 同様に、旧学習指導要領に基づき編集された日本史Aの教科書を使用している学校数は、東京書籍が十四校十四課程、実教出版が十六校十七課程、三省堂が三校三課程、清水書院が九校九課程、山川出版社が二種十二校十三課程、第一学習社が二十八校二十九課程でございます。
 新学習指導要領に基づいて編集された日本史Bの教科書について現在使用している学校数は、東京書籍が十四校十四課程、実教出版が五校五課程、清水書院が三校三課程、山川出版社が三種九十校九十課程でございます。
 同様に、旧学習指導要領に基づき編集された日本史Bの教科書を使用している学校数は、東京書籍が二種六校十一課程、実教出版が二種十九校十九課程、三省堂が七校七課程、清水書院が十三校十三課程、山川出版社が三種百五校百五課程でございます。
 これらの教科書には、全て従軍慰安婦の記述がございます。

○島崎委員 平成二十五年度に都立高校で採択した日本史教科書が二十六年度それぞれ何校で使用されているのかが確認できました。
 さて、既にご承知のとおり、戦時中、日本軍の慰安婦として済州島などで朝鮮人女性を軍令で強制連行したと証言し、それに関する著書なども出していた吉田清治氏の告白や記述が全くの虚偽だったことが、その吉田証言を世界中に発信し続けた朝日新聞八月五日付朝刊の検証記事で明らかになりました。
 そのような中、現在でも、いわゆる慰安婦に関する記述については、例えば日本史Aでは、清水書院の日本軍に連行され軍慰安婦にされる者もいた。東京書籍の多数の女性が慰安婦に駆り出された。山川出版社の慰安婦として戦地の慰安施設で働かされた。第一学習社の朝鮮人を中心とした多くの女性が慰安婦として戦地に送られた。強制連行や従軍慰安婦の問題を初めとする戦後補償の問題も残されているなどと記述。
 日本史Bでは、東京書籍の慰安婦として戦地に送られた植民地や占領地の女性も少なくなかった。実教出版の多数の女性が日本軍兵士の性の相手として慰安婦にされ、前線や沖縄などに連行された。山川出版社の朝鮮人女性などの中には従軍慰安婦になることを強要された者もあったなどという記述の教科書がいまだに使用され続けております。
 近現代史において、当時の公娼制度などもないまぜにして曲解させていたとも思える慰安婦強制連行説なるものは、その大きな論拠であった吉田証言が既に破綻しておりますが、いわゆる南京事件なるものなども含め、ほかにも見解の分かれる史実が多数あります。
 そこで、さまざまな見解がある史実の指導はどのように行うべきか、都教育委員会の見解を伺います。

○金子指導部長 近現代史の指導に当たっては、客観的かつ公正な資料に基づいて、事実の正確な理解に導くようにするとともに、多面的、多角的に考察し、公正に判断する能力を育成することが重要でございます。

○島崎委員 日本史教育、特に近現代史については近隣諸国と見解が違うところが多々あります。慰安婦強制連行説が虚報であったことなども含め、正確な事実に基づいた歴史教育を進めることを強く要望しますが、都教育委員会の見解を伺います。

○金子指導部長 近現代史の指導に当たっては、相異なる価値観や対立する立場の一方に偏しない客観性の高い資料に基づいて、事実の正確な理解に導くよう留意し、史実の認識や評価に慎重を期する必要がございます。
 その上で、多様な資料を用い、異なった考え方を紹介することによって、歴史的事実を一面的に取り上げたり、一つの立場からのみ理解させたりすることを避け、生徒自身が歴史的事象の背景や意味をさまざまな立場から考察することができる歴史的思考力を養うことが重要でございます。
 ご指摘も踏まえ、今後とも各学校において適切な指導が行われるよう徹底を図ってまいります。

○島崎委員 次に、歴史認識とも関連し、公平、公正であるべき教育という観点から、昨年度末、都立松が谷高校で安倍首相の靖国神社参拝への批判的新聞記事のみを添付して期末試験に出題した問題について伺います。
 この問題については、四月十六日の新聞等でも取り上げられておりましたが、本事案がどういうものであったのか、確認の意味でその概要について伺います。

○金子指導部長 お話にありました問題は、都立松が谷高校で平成二十六年一月二十日に実施した三学年の政治経済の学年末考査で時事問題として出題されたものであります。
 問題の概要は、靖国参拝首相が強行の見出しのある新聞記事を添付し、安倍首相の靖国神社参拝を世界各国が批判していることを示した上で、中国、韓国はなぜ批判しているのか、なぜ安倍首相は参拝したのか、アメリカはなぜ失望したのか説明しなさいというものでございました。

○島崎委員 我が国には、憲法で保障された思想、信条の自由や信教の自由があり、一般的には、靖国神社への肯定論も否定論もあることに異議を唱えるものではありません。
 しかし、前述でも申し上げたとおり、公平、公正であるべき教育の場においては、首相参拝否定記事のみを添付して、他国の批判理由を説明させる出題方法は極めて問題の多いものだったといわざるを得ません。
 そこで、今回松が谷高校で出題された学年末考査問題に対する都教育委員会の見解を伺います。

○金子指導部長 公民科政治経済の指導に当たっては、高等学校学習指導要領に基づき、客観的な資料と関連させて政治や経済の諸課題を考察させるとともに、政治や経済についての公正かつ客観的な見方や考え方を深めさせる必要がございます。
 特に時事問題は、評価が定まっていないものが多いことから、教師は十分な教材研究を行い、生徒が多面的、多角的に考察できるよう多様な意見をバランスよく示した客観的な資料に基づき、公正、中立な立場で指導する必要がございます。
 今回出題した問題には、引用した新聞記事の中で、批判、失望など首相の靖国神社参拝を批判する観点の言葉は取り上げられておりますが、同じ記事にある首相談話恒久平和への誓いなどに示された首相の意図は全く取り上げられておりません。このような出題方法は取り扱いが一面的であり、極めて不適切であると考えます。

○島崎委員 ただいま例示された首相談話では、靖国神社参拝について日本は二度と戦争を起こしてはならない、今後とも不戦の誓いを堅持していくとの言葉とともに、国のために戦い、とうとい命を犠牲にされたご英霊に対して哀悼の誠を捧げるとともに、尊崇の念を表し、みたま安らかなれとご冥福をお祈りしたとも述べられておりました。
 戦争がよいことなどと考えている人はほとんどいないと思います。ただ、不幸にして戦争へと進んでしまった過去に、心ならずも一命を犠牲にした戦士への哀悼の意を表すことは、世界中の多くの指導者が行っているものだと私は認識しております。
 昨年十一月二十日、長崎県佐世保市の東山海軍墓地を訪れ、さきの大戦で散った当時の大日本帝国海軍軍人ら十八万柱を顕彰した海の防人之碑に献花したハリー・ハリス米太平洋艦隊司令官は、日米は敵同士として戦ったが、今では歴史を乗り越え、困難な状態にある友人を助けるため連携している。リンカーン元大統領は英雄をたたえない国に未来はないといった。海軍墓地に英雄が祭られているのを大変うれしく思うと語ったことが報道されておりました。
 靖国神社などについても偏見を持たせない、一方的な意見の押しつけはしない、バランスのとれた教育を進めていただくことをここに改めて要望したいと思いますが、都教育委員会の見解を伺います。

○金子指導部長 近現代史の指導に当たっては、生徒が多面的、多角的に考察できるよう、多様な意見をバランスよく示した客観的な資料に基づき、公正、中立な立場で指導が行われるよう、委員ご指摘の点についても徹底を図ってまいります。

○島崎委員 次に、公立中学校における不適切教材使用と偏向教育について伺います。
 まことに残念なことに、私の地元武蔵野市立中学校の社会科の教員が日本海という国際的に確立した唯一の名称について、ごく一部の国が主張している東海という異称を併記した教材を用いて指導を行っているという情報が十月七日、指導を受けている当該中学校生徒より我が党国会議員のもとに寄せられ、同事案について地元選出である私にも問い合わせがありました。
 私は、この間、都教育委員会にも問い合わせ、その後、既に新聞報道でもこの教材使用のてんまつと同教員への指導については詳報されておりますが、この事件の事実関係とこれまでの対応について改めて伺います。

○金子指導部長 今回使用された教材には、日本海を東海と併記して示した地図が資料として掲載されております。
 この教材は、複写して使用することが可能な市販の問題集の一部であり、武蔵野市立中学校の教員が個人で購入し、本年九月二十九日から十月三日にかけて二年生四学級の全てで社会科の授業の始まりの時間に確認テストとして使用いたしました。
 また、設置者である同市の学校の管理運営に関する規則には、教材の内容が正確中正で学習の進度に即応し、表現が正確適切であることを校長が確認し、教育委員会に届け出ることとされているにもかかわらず、この教員は校長の許可を得ることなく使用いたしました。
 当該教員は十月九日、校長立ち会いのもと、第二学年全生徒に対し、不適切な教材を用いたことを謝罪し、日本海が国際的に確立した唯一の呼称であると訂正するとともに、十月十四日からの授業で事実と反する箇所を明らかにして修正したプリントを配布いたしました。
 都教育委員会は、この事態を受け、十月十日、都内全区市町村の教育長と全都立学校長に対し、補助教材の適正な取り扱いについて通知をいたしました。

○島崎委員 近年、我が国固有の領土である島根県の竹島を韓国が不法占拠し続けている問題や歴史的にも国際的にも我が国に帰属し、実効支配も確立されている沖縄県の尖閣諸島に対して、中国公船等が領海侵犯を繰り返している問題など、我が国領土をめぐる諸問題がクローズアップされております。
 そのような中、今回同校において都教育委員会が把握されたような事実が発生したことは、未成熟な中学生の領土に対する意識を混乱させかねないゆゆしき問題であります。厳正に対処されるべき重大な事案であると考えますが、同校における本件に対する都教育委員会の見解と今後の対応について伺います。

○金子指導部長 平成十六年三月、国連は日本海が標準的な地名であることを認め、国連の公式な文書では、標準的な地名として使用されなければならないとの方針を確認しております。
 我が国におきましても、外務省は民間会社等が発行する刊行物、出版物及びその他の表記において、日本海海域を東海と記載したり、またはこれと日本海を併記していたりするなど不適切な表現を発見次第、その都度当該企業等に申し入れを行い、日本海の単独表記に是正するよう理解を促しております。
 当該教員が使用した教材は、こうした見解とは異なり、我が国の国土と歴史に対する理解を深める社会科の教材として極めて不適切でございます。また、当該教員が校長の許可を得ることなく教材を使用したこと及び本教材を使用する前に校長が十分な確認をしなかったことも不適切でございます。
 武蔵野市教育委員会は、今後、当該の学校、教員に対し、さらに詳細な調査を行うこととしておりまして、都教育委員会は武蔵野市教育委員会を支援するとともに、同様の事態が起こらないよう、都内全ての公立学校へ通知した内容を徹底してまいります。

○島崎委員 今の都教育委員会の説明で、今回及び今後の不適切教材使用への厳格な対応方針については確認できましたが、今回のこの問題を告発した同中学校生徒から我が党国会議員への書面による訴えでは、今回の事件を引き起こした同教員の授業全般への取り組みについても耐えがたいほど不適切なものであったことが綿々とつづられておりました。
 その書面によると、今回の日本海、東海併記問題のほかにも同教員について僕たちの学年で平和学習という名前で空襲や核兵器についてよく演説のようなことをされています。そして、結論として、原発はだめ、集団的自衛権などは将来君たちが戦争に行くことになるといい、個人の考えや思想を決めつけ、中立的ではありません。また、校外学習のときに、第五福竜丸の見学を絶対条件として、行く前、行った後には核兵器はだめだから原発はだめ、戦争になるから集団的自衛権はだめと何回もいっては感想や考えをプリントに書くようにいわれます。政治的なことなどは人それぞれの意見や考えがあると思うので、学校側が反対したり意見をいうのは間違っていると僕は思います。常に学校は学ぶ場所であるべきだと思うので、中立的で全体のことを考えてくれるべきだと僕は考えていますというものでした。
 もし、このような授業が本当に行われていたとしたら、これは教育ではなく思想の押しつけであり、児童虐待ならぬ生徒虐待、授業の名をかりた学校におけるパワーハラスメントともいえるもので、不適切を通り越して暴挙であります。
 そこで、この当該中学校生徒からの訴えにあるように、同教員によるこのような授業があったのかどうか厳しく調査する必要があると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。

○金子指導部長 先ほどもお答えいたしましたように、武蔵野市教育委員会は、今後当該の学校、教員に対し、さらに詳細な調査を行うこととしており、委員ご指摘の点も踏まえて、都教育委員会は武蔵野市教育委員会に対して全力で指導、助言、援助を行ってまいります。

○斉藤委員 私の方からは、まず平成二十五年度教育庁主要施策の中から、キャリア教育について質問をさせていただきたいと思います。
 都は、昨年四月に東京都教育振興基本計画と位置づけられた東京都教育ビジョン、第三次でございますけれども、これを策定されまして、今後五年間を中心にした中長期に取り組むべき教育の方向性を明らかにしているところでございます。
 その中でキャリア教育に関連しては、十テーマある取り組みの方向のうち、社会の変化に対応できる力を高めるに位置づけられております。
 また、平成十三年策定の教育委員会の教育目標には、互いの人格を尊重し、思いやりと規範意識のある人間、社会の一員として社会に貢献しようとする人間、そしてみずから学び考え行動する個性と創造力豊かな人間の育成を目指す教育が掲げられているわけでございます。
 また、平成十九年の四月策定の基本方針では、社会に貢献という言葉が大変多く使われておるわけでございます。本日は、本質的な教育の議論という場ではなく、二十五年度決算ということが目的でございますので、そういった本質的な議論は後刻に譲りますけれども、社会に貢献する人間をつくるのが教育の目的ではなく、そういうことは必要でございますけれども、むしろ、教育の目的は子供の幸福そのものであり、教育のための社会を目指す、このパラダイムの転換といいますか、そういった転換というものが、発想が重要であるというふうに、最重要であるというふうに私自身は考えているところでございます。
 そうした観点から、私は、企業に役立つ人間をどのようにつくるかが課題ではなく、これはハウの問題でございますけれども、あくまでも高校生自身が変化する社会に対応する力をつけるため、なぜ、ホワイですね。今勉強する、なぜ今勉強するのかというその問いにみずから答えを見出すこと、こういうことが重要である。だから、今勉強することが一番大事なんだと本人が自覚をし、一生懸命学習に取り組むようになることが重要であるというふうに考えているわけでございます。
 過日、私はキャリア教育を実際に推進しておりますNPO法人の皆さんと懇談する機会をいただきました。このNPO法人は、大企業の技術者や中小企業経営者などを講師として高等学校に派遣するというコーディネート事業を行っておられます。多忙な方にキャリア教育に協力していただくよう、社会人を発掘して、その方を高校に派遣をして高校生に講義を行い、仕事や働き方、働く意味を考えるきっかけとする、そういったコーディネート事業をしておられます。
 受講された生徒からは、今学んでいることの大切さや働くことの意味などを認識する機会となったという声が多数寄せられているようでございます。
 このような取り組みは、非常に意義のあるものであると考えております。
 教育庁においては、同様の取り組みといたしまして、企業やNPOなどと連携いたしまして実施する都立高校生の社会的・職業的自立支援教育プログラム事業、こういった事業を平成二十五年度から都立高校に導入していると聞いております。
 そこで、まず本教育プログラム事業を都が導入した目的を伺いたいと思います。

○前田 都立高校生の中には、将来について明確な目標を持っておらず、職業に対する意識も希薄なことから、進路が未決定のまま卒業する生徒や就職後早期に離職する生徒も多くおります。
 都教育委員会では、企業、NPO等との連携により、実社会での経験を生かして具体的に生徒を指導できる人材を活用し、社会人、職業人として必要な能力を身につけることができる都立高校生の社会的・職業的自立支援教育プログラムを新たに開発し、昨年度から導入しました。

○斉藤委員 ただいまのご答弁で、都が導入した目的については理解をいたします。非常に重要な事業であると思いますので、今後の展開が非常に大事と考えております。
 昨年度実施されたようでございますけれども、平成二十五年度のこのプログラムの実施状況と今後期待される成果について、あわせてお伺いしておきたいと思います。

○前田 このプログラムは、平成二十五年度におきましては三十校で実施しました。社会人から話を聞き、社会や職業を実感する体験的な学習に取り組むことなどを通じて、生徒は単に職業の内容を知るだけではなく、社会の一員として働くことの重要性に気づいたり、自分の進路選択についても前向きに考え始めるなどの成果が上がっております。

○斉藤委員 平成二十五年度実績は三十校ということでございました。この事業に関連いたしましては、さきの第三回定例会で同僚都議会公明党の中山信行都議会議員が、キャリア教育の拡充について、一部の専門高校はもとより、今後は普通科高校を含め広く展開をすべきと提案をいたしましたのに対しまして、教育長からは社会的、職業的自立支援教育プログラムの実施に関しまして、今後プログラムの内容をさらに充実させて実施校を拡大していくなど、キャリア教育を推進していくとのご答弁をいただいているところでございます。
 私は、都立高校普通科でのキャリア教育の拡充の方針を高く評価しております。しかし、若干でございますが懸念材料もございまして、実は事業の継続という問題でございます。
 そもそも私が懇談したNPO法人、キャリア教育のコーディネート事業をしている方々ですが、実はそのきっかけとなりましたのは、さきのリーマンショックの際に、平成二十一年度予算及び補正予算で緊急経済対策的な意味合いで、そういった事業を応援する予算が編成された。これは、地方の元気再生事業という項目がついておりますけども、こういった補助金、助成をある面では活用しながら、こういった人材育成のキャリア教育のプログラムを立ち上げた。大企業を離職しても、将来の日本を本当に明るいものにしたいという思いから、危機的な状況の中で、むしろ飛び出して、そういった事業を展開されている方々がおられたからこそ、こういったコーディネート事業というものが一部で行われているわけでございます。
 しかし、残念なことに、平成二十一年度の事業として内閣府からは実施状況、成果ともにA評価をいただいておりましたけれども、政権交代後のいわゆる事業仕分けで事業そのものが二十一年度限りで廃止されていると。
 恒久的な事業でなかったにせよ、非常にいい成果があったんですけれども、そういった事情でその事業が、補助事業がなくなってしまった。それでもなおかつ、このキャリア教育の事業を継続している方々がおられます。
 前政権の是非をいうに及ばず、近年の若者の早期の離職の加速、あるいはニートの問題、増加など、学校から仕事へ円滑な移行ができないという声が非常に多く聞かれるわけであります。
 キャリア教育は、小学校、中学校、高等学校、そして大学と発展段階に合わせまして、企業など社会人の現場と連携しながら積み上げていく、時間をかけて積み上げていくことが大切であると考えているわけでございます。
 地域や現場との連携が比較的とりやすい小学校--小学校や中学校は非常に地域との連携がとりやすいわけでございますが、そういった義務教育課程の時期と異なりまして、高等学校となりますと、学校単独ではなかなかキャリア教育を行うことは困難であるというふうに思います。
 私学はもとよりでございますけれども、学校長の判断もございまして都立高校もキャリア教育の拡充は簡単なことではないと私は認識しておりますけれども、それゆえに、この都立高校でキャリア教育を拡充していこうという、その決意については私は大変重要であるというふうに考えているわけでございます。
 そして、実際にこれを拡充していく場合には、その経験とノウハウを培ってこられているコーディネート役としてのNPOですとか、そういった存在の方々を非常にある面では支援していくことも重要であろうと考えているわけでございます。
 都や国は、これらのコーディネーターを支援するとともに、きょうは決算ですので新しい、ご答弁はいただけないと思いますけども、提案にとどめますけども、こういった事業を実施するに当たっては、単にコスト競争に偏して、値段だけで安くやるからこちらということじゃなくて、そういった思いですとか経験ですとか結果ですとか、そういうことも総合的によく見きわめた上で、こういったコーディネート事業を応援していただきたい、このように強く要望しておきます。
 キャリア教育については、以上でございます。
 続きまして、全くちょっと視点を変えますけども、実は先日、学校の名前は申し上げません、某都立学校内で生徒間でトラブルがございました。そのトラブルが発生して被害を受けた側のご家族から私は相談を受けたわけでございますが、学校側の対応が非常に不誠実で悩んでいますという、そういったご相談でございました。具体的に中身は申し上げる場じゃないので申し上げません。そういった相談があったわけでございます。
 私は、学校内での問題はできる限り学校内で、学校長のリーダーシップで、まずは対処されるべきであり、議会人としてそのような個別問題に関連して学校側に直接接触するべきではないというふうに考えるものでございまして、被害に遭われたご家族には、学校側に対して信頼が持てないのであれば経営支援センターへご相談してはどうかというふうにアドバイスをしてまいりました。
 しかし、結果的には、被害者の家族の気持ちですけれども、学校長もセンターの方々も管理職の方々も、どちらかというと自分の身内の問題であり、その保身のみで、余りにも誠意がなく、これは私がいっているんじゃないです、その方のお声なんでございますが、自分が学校をやめて、被害に遭った子が学校をやめて転校するしかないのだろうかというふうに思い悩んでいますというご家族のお便りが後日届いたわけでございます。
 そんな中、ちょうどこの決算の事務事業、二十五年度の主要事項を読んでまいりますと、学校問題解決事業という、こういった事業があることをそこで、私は非常に不勉強でしたけれども、知ったわけでございます。まことに不勉強でありましたが。
 学校内でトラブルがありまして、学校側の対応に不満を持ったり、あるいは不信を抱いたりした場合には、ここに掲載されてる学校の問題解決サポートセンターですか、そういった利用をすればよかったのではないかなと、事後のことなんですけども、そのように考えたわけでございます。
 そもそも都には教育相談事業がございまして、東京都教育相談センターが設置されているわけでありますけれども、その相談の対象は非常に年齢は幅広く、幼児から高校生相当までということでありますし、また相談の内容も多岐にわたっているようでございます。方法も電話相談ですとか来所とかメールとかもあるようでありますけれども、こういった既に教育相談事業というものがあって、そこではいじめや不登校、集団不適応、あるいは子育てに関する相談、高校の進級、進路、入学相談など、さまざまなそういったセンターがあるようでありましたけれども、学校問題解決サポートセンターというのは、この教育センターの中に位置づけられているというふうに仄聞をしております。
 そこで、長くなりましたけれども、まず学校問題解決サポートセンターの設置の目的と具体的な対応についてお伺いをしたいと思います。

○金子指導部長 都教育委員会は、多様化する保護者や地域住民の要望への対応など、学校のみでは解決困難な問題に対しまして、弁護士、医師、警察OBなどの専門家の協力を得ながら、公平、中立な立場で、その解決に当たることを目的として、平成二十一年五月、学校問題解決サポートセンターを設置いたしました。
 学校問題解決サポートセンターでは、まず経験豊富な校長OB等が電話を受け、助言を行います。その上で、専門家等の助言が必要と判断した場合は、当事者間の合意を得て、双方の意見を十分に聞き、専門家等で構成する会議を開催し、解決策を検討し、提示をいたします。
 なお、都教育相談センターが受け付けた保護者等からの相談内容が学校だけでは解決が困難な問題である場合には、必要に応じて教育相談センターが学校問題解決サポートセンターにつなぎ、問題の解決に当たることとしております。

○斉藤委員 私は、誤解がないようにしておきたいんですけど、学校、校長先生ですとかセンターが機能していない、そういうことをいってるわけじゃないんです。問題があった場合に、それをまず地域で相談しやすいということで議員が伺うことがあります。相談する先が設けられているわけですから、それをどうやって、そこにおつなぎできるかという、つなぎの話を専らさせていただいているわけでございます。それは確認しておきたいと思います。
 そして、今のご答弁にもありましたけれども、学校問題解決サポートセンターというのは、保護者の側にも偏さず、まあ寄り添うというのは相談センターの方が寄り添ってると思うんですけれども、学校問題解決サポートセンターというのは、ある面では第三者的な立場として保護者側、そして教員も大変でございます。学校でさまざまな大事な、さっき教師の本質的な何を子供たちに教えるかということで一生懸命現場は忙しくする中で、時にさまざま集団生活ですからトラブルが起こる。そういった問題について、教員がどう対応していいかわからない。それを抱え込んでしまって、だんだん事態が悪化していく、そういったときに相談する先として、もちろん学校長はございますけども、教員の方々からしても、当事者同士が向き合ってしまって、なかなか立ち行かなくなるような困難な事例がございますが、そういったときにも、こういった学校問題解決サポーターセンターというのは機能することを目的として設置されているということを、私は今のご答弁含めまして知ったわけでございます。
 決して事件を隠蔽しようとする、そういうことではないんですけれども、時に相手方がそのようなふうに思ってしまったとき、不満を持ったときにこそ、こういった中立的な第三者的な相談窓口は重要であると思います。
 私もホームページから入ってみたんですけども、相談できない内容として、そういった苦情とか、いわれなき誹謗中傷みたいなものはお受けできませんよということが注意書きでぱっと出てくるんですけども、そういうことを乗り越えて、まずはとにかく相談してみようというふうに思っていただいて、せっかく設けられた機関でございますので、そういったものを利用していただくことは重要ではないかというふうに思っているわけでございます。
 そこで、実際に学校問題解決サポートセンターがどんなふうに活用されているか、相談件数ですとか主な相談内容及び周知の方法についてお伺いしておきたいと思います。

○金子指導部長 平成二十五年度の相談件数は二百三十五件であり、相談者の内訳は保護者からが百三十件、学校からが五十二件、区市町村教育委員会からが十二件、その他都外の教育関係者などからが四十一件でございました。
 相談の主な内容といたしましては、児童生徒への指導に係る学校の対応への不満に関することが最も多く、児童生徒同士のトラブルから学校への苦情に発展したもの、部活動、学校行事などに関する苦情や、放課後や休日の学校外での児童生徒の行動に対する苦情などとなっております。
 学校問題解決サポートセンターの周知につきましては、校長連絡会、副校長連絡会、指導室課長会などで行っております。
 また、ホームページで広く都民に紹介したり、今年度は新たに事業説明用のチラシを作成し、学校や区市町村教育委員会に配布するなど、広報活動に努めております。

○斉藤委員 ただいまのご答弁を整理いたしますと、学校問題解決サポートセンターの設置目的は、やはり保護者のためでもあり、また学校側のためであるということ、これを理解いたしました。
 しかし、サポートセンターの存在を知らなかった自分自身のその不明を棚に上げるつもりはないんですけれども、果たして、その周知が今のレベルでよいのかどうか。私には不十分ではないかと、このように思うところがあります。
 ぜひ、先ほどご答弁ありましたけども、相談してきた方、百三十名保護者でおられたようでございますけれども、何によってたどり着いたかということです。余りトラブルのことについて根掘り葉掘り第三者が聞かれることは、多分お答えされる側にすれば、とても苦痛かもしれませんが、どうやってそこにたどり着いたかということは、とても参考になりますので、ぜひ分析もしてもらいたいわけでございますし、実際、先ほど申し上げましたけども、私もホームページ、教育庁のホームページ、それから教育相談センターのホームページ、いろんなところから入れるわけですから、入って見てみたんですけれども、正直いいまして、ホームページのコンテンツというのは見にくいものが通例でございますけど、都民に理解を、PRをするには、ちょっともう少しわかりやすくしていただいてもいいのかなと。予算委員会でありませんので、予算ではありませんので、その感想として申し上げておきます。
 ぜひとも、都民にこのサポートセンターの存在をしっかりお伝えをする、その知恵を求めたいと思っております。もうちょっと利用しやすい工夫の余地があるのではないかなと思っているわけでございます。
 また、内容をよく見ますと、学校で起こったことですから、まず学校長に、学校で相談してくださいと。そして、経営支援センター、そういったセンターに、場合によっては学校から外に出てご相談をしてくださいということがナビゲートされています。ダイレクトに、いきなりこれ便利だということで、その先何か弁護士とか、警察のOBとかいらっしゃるところにやみくもにご案内することは、これは本意ではありません。そうではないというふうに私も思っておりますけども、しかし、一つの問題で非常にそれがこじれてしまって、どうしても当事者同士では立ち行かない、そういった状況の中では、思い切って、学校の第三者機関が設けられているわけですから、こういったところに保護者の方、ご本人、そしてまた全く逆サイドの学校の先生も相談されていくのは大事じゃないかなと、このように思うわけでございます。
 例えば、周知方法としては、教育相談センターの方のこういったカードです。これは大変多くの方に配られているということも伺いましたけれども、ここには学校問題サポートセンターのことは書いてないわけです。これは、もう入学時から皆さんにいろんな形で配布していると伺っておりますが、何でも相談してくださいというような広報がしてあります。
 例えば、入学段階で新入生のご家族全員にセンターの存在をPRするときに、場合によっては、あえて学校側に対して不満や苦情がある場合には、そういったサポートセンターがありますよとか、もう一歩いくと、学校長自身も、先ほどいろんな会議で利用してくださいということを案内するというお話ございましたけれども、学校長もある面では自分のところの仲間に対して、同僚に対して一人で抱え込まないようにということの観点から、こういった存在を積極的にお知らせしていくことも大事じゃないのかなというふうに思ったわけでございます。
 一人の方々が本当に問題を抱え込んで、その事態が悪化して、そして将来非常に大きな、そこに後悔の念が生ずるようなことにならないように、できるだけ多くの方々でサポートしていくべきであるというふうに思うわけでございます。
 パンフレットの情報量も、なかなかこういったものに全部入れるには、さまざまな相談内容を持っていますから、これ多分つくられるのも大変ご苦労があると思いますけれども、場合によってはもう少し大きくしたり、ページ数をふやしてもよいのではないかなということも提案いたしまして、非常に短い時間でございましたけれども、サポートセンターの重要性を認識して、これを広くPRすべきだという質問をいたしまして、要望いたしまして私の質問を終わりたいと思います。

○徳留委員 たくさんの資料を準備していただきまして、ありがとうございました。
 まず、都立学校の施設の改修、改善の問題について質問いたします。
 昨年の平成二十五年度の決算では、施設整備全体の執行率は八九・七%、都立学校整備費の執行率は、八九・八%にとどまっています。
 学校施設の改修、改善は、計画的に行えるものと突発的に破損したりして緊急に修繕が必要になるものがあると思いますが、どのように予算を具体化しているのかについて、考え方について伺います。

○早川都立学校教育部長 都立学校施設の改修、改築につきましては、改築や大規模改修等を実施するための経費、校舎の外壁改修や屋上防水など老朽化等により部分的にふぐあいの生じている箇所について計画的に改修を実施するための経費、突発的な破損等に緊急対応するための経費などに分類いたしまして、それぞれ積算し、予算計上しております。

○徳留委員 次に、都立学校のトイレの洋式化の問題について質問いたします。
 資料にもありますように、トイレの洋式化率は都立高校で四二・八%、特別支援学校では七五・五%になっています。都立高校及び都立特別支援学校の洋式トイレ設置の考え方についてお伺いいたします。

○早川都立学校教育部長 都立高校では、一カ所のトイレにつき、少なくとも一基は洋式とすることを基準としておりますが、実際の整備に当たりましては、学校からの要望に基づき洋式トイレの数を決めております。
 また、特別支援学校におきましては統一的な基準を設けてはおりませんが、例えば排せつが自立していない児童には座位を保持しやすい洋式トイレが有効であることから、その必要数を確保しております。

○徳留委員 特別支援学校の保護者などから、トイレの洋式化への要望が数多く寄せられていますけれども、どのように受けとめているのかについてお伺いしたいと思います。

○松川特別支援教育推進担当部長 特別支援学校の施設、設備の改修につきましては、危険防止や安全確保対策などの工事を最優先とするなど、予算の範囲内で優先順位を適切に判断して進める中で、トイレの洋式化など環境改善も必要に応じて行っております。

○徳留委員 特別支援学校を先日視察して、さまざまな洋式トイレが設置されている現場を見てまいりました。
 児童生徒たちにとって使いやすいトイレ、あるいは教育的に効率が発揮できるトイレが求められているんだと改めて痛感をいたしました。
 洋式トイレの必要性や教育上の効果についての認識についてお伺いいたします。

○松川特別支援教育推進担当部長 特別支援学校には、長時間姿勢を維持することが難しい幼児、児童生徒が在籍しておりますことから、障害の状態などに応じて洋式の便器や特殊な形状の便器などが必要となります。これらの便器を使用することによりまして、排せつ時の安全が確保されますとともに、継続して指導することで児童の排せつの自立に向けた支援ができると考えております。

○徳留委員 都立学校及び特別支援学校のトイレ洋式化への改善計画は、どのようになっているのかについてお伺いいたします。

○早川都立学校教育部長 これまでも毎年度、老朽化したトイレ設備を改修しておりますが、学校から洋式化に対する強い要望があることから、最小限の和式トイレ以外は洋式とすることとして、計画的に整備を進めております。
 また、学校施設全体の改築や大規模改修工事を実施する際にも、同様の考え方に基づきトイレの洋式化を行っております。

○徳留委員 昨年の一年間で改修や改築により洋式化が進んだ学校は何校になっているのかについて、お伺いいたします。

○早川都立学校教育部長 平成二十五年度は、都立学校五校におきまして改築や大規模改修工事等により洋式トイレの設置数をふやしました。

○徳留委員 トイレの教育効果や生活習慣上の効果は明らかであり、都立高校、都立特別支援学校のトイレの洋式化を積極的に進めることを求めたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○早川都立学校教育部長 これまでと同様、学校施設全体の改築、大規模改修や老朽化したトイレ設備の改修工事に合わせまして、洋式トイレの整備を進めてまいります。

○徳留委員 準備していただいた資料によれば、多目的トイレと呼ばれている誰でもトイレが都立学校には平均で約三カ所、特別支援学校内では平均十一カ所あるということになっております。校内のバリアフリー化にとっても大変大事だと思います。少なくとも一校につき一カ所ずつ配置されているのかどうかについてお伺いいたします。

○早川都立学校教育部長 都立高校百九十校中十校、特別支援学校五十六校中二校につきましては、誰でもトイレは未整備であります。

○徳留委員 誰でもトイレが未整備になっている都立学校については、今後どのように整備を進めていくのかについてもお伺いいたします。

○早川都立学校教育部長 これまでと同様、当該都立学校の改築や大規模改修工事等を実施する際に、施設のバリアフリー化の一環といたしまして、誰でもトイレの整備を進めてまいります。

○徳留委員 次に、雨漏り対策について質問をいたします。
 北特別支援学校などから雨漏りの改善要望が寄せられています。昨年度、都立学校や特別支援学校において八十数件の雨漏り改修工事を実施したと聞いておりますが、雨漏りが発生した場合、都教委はどのように対応しているのか。
 また、私が先日視察をいたしました北特別支援学校の雨漏り対策はどうなっているのかについて、お伺いをいたします。

○早川都立学校教育部長 雨漏りが発生した場合は、当該の都立学校から報告を受けた所管の学校経営支援センターが状況に応じて緊急的な修繕を実施しております。
 北特別支援学校につきましては、中部学校経営支援センターで状況を調査し、適切に対応しております。

○徳留委員 雨漏りが発生した場合に、年度の改善計画に含まれていない場合でも早急に対策を打つべきだと思いますけれども、見解をお伺いいたします。

○早川都立学校教育部長 ただいまご答弁しましたとおり、雨漏りが発生した場合は、当該の都立学校から報告を受けた所管の学校経営支援センターが緊急な修繕を実施するほか、工事規模等によりましては都教育委員会で適切に対応しております。

○徳留委員 次に、特別支援学校のスクールバスの運行改善と業者との契約問題について質問いたします。
 まず、児童生徒のスクールバスの乗車時間が六十分を超える事例があり、子供の安全にかかわる問題として早急に改善を求める要望が保護者から寄せられています。
 なぜスクールバス乗車時間が六十分を超える事例が生まれているのか。障害児にとっては六十分の乗車時間は大変つらい時間だと思います。どれくらいのバスが乗車時間六十分を超えているのか。都教委は、その実態をどのようにつかんでいるのかについてお伺いしたいと思います。

○松川特別支援教育推進担当部長 特別支援学校におけますスクールバスの乗車時間につきましては、現在六十分以内を目標に運行コースの設定の工夫などに努めておりまして、児童生徒のさらなる負担軽減及び利便性の向上を目指しております。
 児童生徒の乗車時間等につきましては、毎年度全校を対象に通学実態調査を実施し、状況を把握しております。
 乗車時間が六十分を超えます児童生徒数は、平成二十四年度では五百二十九人でございましたが、平成二十五年度は四百七十八人となっておりまして、スクールバスを利用する児童生徒数が百九十人増加している中で五十一人の減少となっております。
 運行時間が六十分を超えますバスの台数は、平成二十五年度では百四十七台で、ここ数年ほぼ同様の規模となっております。

○徳留委員 どうしたことが原因でスクールバスの乗車時間が六十分を超える事態になっているのか、そしてこれをどのように改善しようとしているのかについて見解を伺いたいと思います。

○松川特別支援教育推進担当部長 乗車時間が六十分を超える主な要因は、児童生徒の住所等の地理的条件や道路の渋滞等の交通事情であると考えております。
 都教育委員会では、毎年度スクールバスの運行台数をふやしてコースを再編しますとともに、新たな特別支援学校の開校時には、隣接する学校も含めて通学区域を再編するなどによりましてスクールバスを利用する児童生徒の乗車時間の短縮に努めております。

○徳留委員 スクールバスの運転者、添乗員などの児童生徒への対応に対して、保護者からの不安や苦情などの実態をどのようにつかんでいるんでしょうか。
 また、バス事業者が突然契約を辞退してバスの配車などに一時的とはいえ困難が生まれたとも聞いています。こうしたことは保護者にも知られ、バス業者への不信の声も上がり、改善を求める強い要望が寄せられています。どのように対応されているんでしょうか、見解を伺います。

○松川特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、スクールバスの運行に対する保護者からのさまざまなご意見を要望、懇談の場などで直接聞いております。また、学校、保護者、バス事業者による意見交換の場を学期ごとに開催し、その結果につきまして各校から報告を受けております。
 今年度に入りまして、契約したバス事業者の一社が経営不振に陥り、スクールバスの運行に支障が生じかねないことから、当該事業者との契約を解除し、直ちに契約手続を行いまして新たな事業者によるスクールバスの運行を確保いたしました。

○徳留委員 なぜこうした事態が生まれているのか、現状をどのように改善する計画になっているのかについてもお伺いいたします。

○松川特別支援教育推進担当部長 スクールバスの運行に係る契約では、指名競争入札参加者指名基準によりまして業者を選定しております。指名業者は、これまでのスクールバス運行業務の実績や履行成績等を勘案して選定し、それによりましてスクールバスの安全かつ確実な運行を確保しております。
 しかしながら、業者の経営悪化による契約辞退や契約不履行など、契約上の事故が生じる事態となった場合には、速やかに新たな契約手続を進めますとともに、緊急的な対応として別途の通学手段を確保するなどにより対応しております。

○徳留委員 スクールバスの問題で最後ですけれども、スクールバスの運行は、物を運んでいるのではなくて大切な児童生徒の命を乗せているものであり、事故を起こすなどということは絶対にあってはならないと思います。
 スクールバスの安全な運行を確保するためには、乗務員の研修などが必要ではないかと思いますが、どのように改善に取り組むかについてお伺いいたします。

○松川特別支援教育推進担当部長 都教育委員会では、スクールバス乗務員の障害者への理解や安全な運行に対する意識の向上を図るため、毎年各スクールバスを運行する事業者の担当者、運転者、乗務員の出席を義務づけた研修を実施しております。また、学期ごとに学校が主催する、保護者、バス事業者との意見交換の場にバス事業者の出席を義務づけ、そこでの要望を検討し、回答させるなどして、バス乗務員の質の確保、向上を図っております。
 バス運行中の事故に対しましては、軽微な接触事故であっても、学校から都教育委員会への報告を義務づけておりまして、その都度、バス事業者に対し安全運行に関する指導、助言を行っているところでございます。

○徳留委員 次に、江東区の夢の島公園にあるBumB、ユース・プラザとも呼ばれておりますけども、スポーツ施設の利用料の問題について質問いたします。
 まず、BumB東京スポーツ文化館の平成二十五年度の改修工事の内容についてお伺いいたします。

○前田 東京スポーツ文化館の各施設のうち、旧夢の島総合体育館を改修して整備した文化学習・スポーツ施設の空調及び消火栓設備等の改修工事を行ったものでございます。

○徳留委員 旧夢の島の総合体育館を改修して整備し、また施設の空調及び消火栓設備等の改修を行ったということでした。
 BumB、このユース・プラザは、今改修したとお話のあった夢の島体育館やプールに宿泊棟などを増築して、区部の青少年施設として二十年PFI契約で二〇〇四年にオープンをいたしました。
 従来からの体育館やプールを利用しているスポーツ団体を初め、青少年のサークルなど、多くの都民に親しまれている大変人気のある施設だというふうに思います。
 このユース・プラザスポーツ施設は利用料も手ごろであるために、多くのスポーツ団体、クラブの方々が利用され、人気のあるスポーツ施設になっております。
 社会教育においても、都民の中で自主的に頑張っている社会教育団体、社会体育団体を支援して育成することが大変重要だと思いますけれども、認識を伺いたいと思います。

○前田 東京スポーツ文化館は、青少年の自立と社会性の発達支援及び生涯学習の振興を目的として設置されており、自主的に活動する団体やサークルはもとより、学校などの教育機関、個人、家族等あらゆる方が利用できる施設となっております。

○徳留委員 私が質問いたしましたのは、社会教育団体の支援、育成の重要性についてお聞きをいたしました。そこには余り触れられていないようでした。
 いずれにしろ、生涯学習の振興を目的として設置された施設ということで、社会教育団体やサークルなどを支援する重要性や役割をこの施設も担っているというふうに思います。
 ところが、この施設を十数年来活用してきた団体が二年前、平成二十四年十二月に非営利スポーツ団体の施設利用と営利事業団体の施設利用を同列にして、五割増しの割り増し料金を取るようになったという事例がありました。なぜこういう事態になったのか、ご説明をお願いいたします。

○前田 当該主催者のイベントにつきまして、主催者が参加者から施設利用料金を超える金額を参加料として徴収したため、業務要求水準書等などに基づきまして施設利用料金の五割増しとなる割り増し料金を適用したものでございます。

○徳留委員 ただいまの答弁では、利用料を超える参加費を取っていたということですけれども、都内どこのスポーツ団体、クラブであっても、そのイベント、企画を実行するためには、施設の利用料以外にさまざまな経費のために、みんなで分担をして参加費を自主的に集めて活動しているのが当然だというふうに思うんです。
 そういう点から見れば、ユース・プラザ、BumBの本来の目的から見て、こういうやり方がいいのか、何かペナルティーをかけているような感じがするんですよね。決して営利団体でもないし、営利を目的にして利用料を超えるような料金を集めているわけではない。そうでなければ、いろんな企画、スポーツ大会が開けない。それがやれないとしたら個人が身銭を切らなければなりません。
 そこで、区部ユース・プラザ事業の業務要求水準書の精神である青少年の自立と社会性の発達支援、生涯学習の振興からも、しかも、六年後にオリンピック・パラリンピック開催へ向けてスポーツの活性化、スポーツの実施率向上が求められているときだからこそ、利用者の要望に応じて社会教育団体が利用する場合には、参加者に対して施設利用料金を超える金額を徴収したとしても、それが営利のためでなければ割り増し料金は取るべきではないと考えますけれども、見解を伺います。

○前田 東京スポーツ文化館につきましては、都は、一般料金に比べ、より安価な青少年料金を必ず定めること、また営業目的等の利用に係る割り増し料金を設定することができることを業務要求水準書に定めており、これに基づきまして事業者が適切な施設利用料金を設定しているところでございます。
 先ほども申し上げましたけれども、主催者が参加者から、施設利用料金を超える金額を参加料として徴収する場合には、施設利用料金の五割増しとなる割り増し料金を適用しているところでございます。

○徳留委員 このユース・プラザに係る都の業務要求水準書、これはあくまで都教委が決めたものであって、都教委との間でユース・プラザの民間主体が確認して決めたんだと思いますけれども、この業務要求水準書を見ても、割り増し料金の項目はありますけれども、営利団体とか営利を目的にして観戦料を取ったとか、そういう場合には割り増しになっています。利用料を超えた場合に、参加費が超えた場合に、一・五倍の割り増し料金になると、そういうのが明確にされた項目はないと思います。明らかに、私は自主的なスポーツ団体、社会教育団体などを営利事業とみなすような行き過ぎではないかと思います。
 ぜひ割り増し料金は取らない方向で改善をしていただいて、スポーツ活性化に大いに役に立つような判断を強く求めておきます。
 次に、実教出版の高校日本史A、高校日本史Bの教科書採択の問題について質問いたします。
 資料の九ページもありますように、平成二十五年度の教科書採択で学習指導要領における実教出版の高校日本史A及び高校日本史Bの採択がゼロとなりました。このことについて都教委の認識と、こういうゼロになった要因が何なのか伺いたいと思います。

○金子指導部長 都立高校で使用する教科書の採択の権限は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十三条第六号で、都教育委員会にあると定められております。
 都教育委員会では、教科書調査研究の際、実教出版の高校日本史A及び高校日本史Bに都教育委員会の考え方と異なる記述があることを確認したことから、都立高等学校での使用は適切でないと判断いたしまして、各学校長がその責任と権限のもと適切な教科書を確実に選定することができるよう、平成二十五年六月二十七日に通知をいたしました。
 その結果、当該教科書を選定した学校はございませんでした。
 都教育委員会は、みずからの責任と権限において都立高校で使用することが適切と認めた教科書を適正かつ公正に採択しておりまして、都立高校で使用することが適切ではないとしている教科書を採択することはございません。

○徳留委員 今の答弁では、都立学校の教科書の採択の権限は、法により教育委員会にあると定めていると答弁をされました。
 しかし、法律に基づく権限については、さまざまな見解があります。
 例えば、教育委員会として教科書採択に関して事前に具体的な見解を示すことは、教育委員会の権限としては認められておらず、学校が持つ教育課程の編成権の侵害もあり得ると、教科書検定に合格した教科書の記述を理由に排除する行為は、検定制度の趣旨を著しくゆがめるという教育法学の通説とされるなど、さまざまな見解があります。
 都教委は、当初、都教委の考え方と相入れないと、都教委の考え方を踏まえてほしいという教科書採択への情報提供といわれていたものが、昨年六月二十七日には、都教委の考えと異なる教科書を使用することは適切ではないという見解を出して、それを通知まで出しました。
 こうしたやり方は撤回をして、教科書選択への不当な介入のないように強く求めて質問を終わります。

○小山委員 平成二十五年度東京都一般会計決算教育庁所管分について、お伺いをいたします。
 平成二十五年度は、東京都教育振興基本計画として第三次東京都教育ビジョンが策定をされ、計画期間として定める平成二十九年度までの五年間の初年度でありました。
 この第三次東京都教育ビジョンでは、東京都が今後中長期的に取り組むべき教育の基本的な方向性を十の取り組みとして、またその取り組みの方向を具現するものとして二十三の主要施策が示されました。
 その第一に、取り組みの方向として、学びの基礎を徹底すると掲げ、その主要施策に基礎、基本の定着と学ぶ意欲の向上を示しております。
 平成二十五年度の予算審議におきましても、私は学力の向上には子供一人一人に学びの基礎となる基礎的、基本的な知識、技能を確実に習得させることが極めて重要であると申し上げてまいりました。
 そこで、平成二十五年度決算に当たりまして、基礎、基本の確かな学力の定着と伸長を図ることを目的として、新規事業として作成をされました東京ベーシック・ドリルについて、その概要をお伺いしたいと思います。

○金子指導部長 東京ベーシック・ドリルは、小学校四年生までの国語、社会、算数、理科の四教科の基礎的、基本的な内容について反復学習などを通じて確実に定着させることを目的とした教材でございまして、本年四月に都内全公立小学校にCDで配布いたしました。
 この教材は、小学校四年生までに学習する全ての漢字の読み書きや算数や理科などの基礎的、基本的な事項をまとめたドリルでございまして、授業時間だけではなく、授業の開始前の時間や放課後等にも活用できるものでございます。

○小山委員 平成二十五年の四月二十四日、文部科学省が中学校三年生を対象にいたしまして、全国学力・学習状況調査が実施をされました。
 調査の結果から、東京の子供たちは国語、数学とも全都道府県中で上位三割以内のグループに位置をしていることがわかりました。
 しかしながら、東京都より成績上位の他県と比較をいたしますと、東京都の特徴として正答数が少ない、下位層の生徒の割合が多いということが、これもわかりました。
 また、児童生徒質問紙調査のアンケート結果からでございますが、東京都は復習をしている生徒が成績上位の他県に比べて少ないということもわかりました。さらに、復習せずに間違えた問題をわからないままにしている生徒ほど、教科の正答率が低いという傾向もあわせて示されました。
 これらの結果からも、予算審議で指摘をさせていただきましたとおり、学習する内容を十分に理解しないまま次の学習に進み、次の学習そのものが支障を来しているという生徒が多数見受けられる実態が明らかになっております。
 このような子供たちの状況に対しまして、できない、わからないをできる、わかるに変える教材として東京ベーシック・ドリルが作成されたものと認識をいたしております。
 そこで、本ドリルがどのように活用されたか、平成二十五年度の活用状況についてお伺いをしたいと思います。

○金子指導部長 東京ベーシック・ドリルは、基礎的、基本的な内容を確実に身につけさせることを目的とした教材であることから、各小学校では、ふだんの授業だけでなく、放課後や長期休業日の補習などにおいても活用しております。
 また、児童一人一人ができた、わかったという気持ちを持って取り組めるよう達成状況がわかる一覧表を作成したり、学校のホームページにドリルを掲載して家庭学習を促したりするなど、さまざまな工夫をしながら活用を図っている学校もございます。

○小山委員 ある中学校数校でベーシック・ドリルの算数の診断テストを実施いたしましたところ、小数の割り算が四割、角度を計算する問題や四捨五入の問題において六割の生徒がちょっとできていなかったということがありました。また、小学校で学習する内容を十分習得しなかったために、中学校の学習についていけない生徒が多数存在していることも、これももう皆さん、よくご承知のことだと思います。
 そのために本ドリルを活用いたしまして、小学校で履修すべき学習内容を必ず身につけてから中学校へ進学してもらうことが極めて重要だと思います。
 ある小学校では、各学年の診断テストで全て百点満点をとれるまで繰り返し活用していくとのことでありましたし、また何回も繰り返し同じドリルの問題を解くことで、最終的には小学校卒業時までに全て習得できるようにさせたいと、このようにある学校長は述べられておりました。
 また、ほかの学校では、全てのドリルを終えた児童については認定証というものを授与して、児童の学習意欲向上や学習内容の達成に導いていきたいというお話もいただきました。
 そこで、今、先日もいただいたベーシック・ドリルの一部でありますけども、こういったベーシック・ドリルが各学校でさまざま取り組みをされておりまして、現場の教員や、それこそ指導をしている先生方の活用方法も踏まえて、東京ベーシック・ドリルを一層充実をしていくことが重要だと思います。
 そこで、今後も東京ベーシック・ドリルを一層改善をし、充実していくことが必要だと考えますが、教育庁の見解についてお伺いをいたします。

○金子指導部長 本教材は、小学校四年生までの学習内容が定着していないと、その後の学年の学習だけでなく、他の教科の学習にまで支障を来してしまうという子供たちの実態を踏まえまして、都内公立小学校の教員の協力を得ながら作成したものでございます。
 現在、各小学校において活用が進んでいるところではございますが、実際に使用する子供たちはもちろんのこと、指導に当たる教員にとっても一層使いやすいものとしていくことが大切であります。そのため、学校や区市町村教育委員会等から意見や要望を聴取し、東京ベーシック・ドリルの改善、充実を図ってまいります。

○小山委員 このように基礎、基本の学習を定着させる目的としてつくられました東京ベーシック・ドリル、このことの作成自体、大変評価をしたいというふうに思っております。
 ぜひ東京ベーシック・ドリルがより一層充実、改善をされ活用が進むことによりまして、基礎学力の定着につながるよう求めておきたいと思います。
 揺るぎなき基礎は、多様性に転化するといわれておりますように、基礎、基本の知識や技能があってこそ、初めて子供の持つ潜在的可能性を花開かせることができます。東京において、ぜひ全ての子供たちの可能性を伸ばす教育を実践、実現をしていただくようにお願いをしたいと思います。
 次に、平成二十五年度が最終年度となりました公立小中学校の普通教室の冷房化についてお伺いをさせていただきます。
 平成二十二年五月一日段階で普通教室の冷房設備設置状況は、二十三区の区立小中学校で九六・〇%であったのに対し、同じ都内の市町村立小中学校は二二・五%でありました。この状況に対し、当初平成二十二年度より平成二十四年度までの三カ年の事業として東京都公立学校施設冷房化緊急支援特別事業が設けられ、普通教室への冷房化の緊急補助事業が予算化をされてまいりました。その後の東日本大震災の発災によりまして、震災の影響による工事遅延等に鑑み、平成二十五年度まで期間を延長していただきました。
 決算書の七四ページにも記載がございますが、最終年度となります平成二十五年度の冷房化事業推進費について、対象となりました自治体の実績も含め、成果をお伺いしたいと思います。

○前田 都教育委員会は、都内の市町村立小中学校の普通教室の冷房化を支援するため、平成二十二年度より都独自の補助事業を実施してきました。補助事業の最終年度となった平成二十五年度は八王子市、青梅市、小平市、武蔵村山市、多摩市、稲城市、あきる野市、西東京市、大島町の合計九市町に一億九千七百万円の補助を行い、これによりまして都内公立小中学校の普通教室の冷房化率は一〇〇%となっております。

○小山委員 ただいまご答弁をいただきましたように、本事業により都内の市町村立小中学校の普通教室が全て冷房化されたこととなります。改めて、本事業による東京都の取り組みを評価いたしますとともに、感謝をしたいと思います。
 この事業に続き、普通教室に加えて特別教室の冷房化について設置要望が各方面から寄せられております。
 そこで、特別教室の冷房化について、現在どの程度進んでいるのか進捗をお伺いしたいと思います。

○前田 都内公立小中学校の特別教室における冷房設置率は、平成二十六年四月一日現在、二十三区で約七割、市町村で約五割、都内全体で約六五%となっております。今年度からは、特別教室のうち、防音性が求められるなどの理由から、早急に教育環境の整備が必要な音楽室、視聴覚室、図書室、パソコン教室の冷房化に係る補助事業を開始し、区市町村が計画的に冷房化を進められるよう支援しているところでございます。

○小山委員 ただいまご答弁をいただきましたように、特別教室の冷房設置率は、区立で七割、市町村立で五割と、いまだ整備されていない状況にあると思います。これにおきまして、都のさらなる取り組みを求めますとともに、改めて特別教室の冷房化で今回対象外とされました理科室や家庭科室、調理室など火気の使用を伴う教室への対象拡大を求めておきたいと思います。
 そこで、特別教室への冷房設置を含め、小中学校の良好な教育環境の整備について都教育委員会の見解をお伺いさせていただきます。

○前田 学校の施設設備の整備は、学校の設置者が行うことになっており、設置者である区市町村の権限と責任において行うことが原則でございます。
 各区市町村は、良好な教育環境を早期に確保するため、地域の実情を踏まえながら整備を行っております。
 都教育委員会は、学校施設の耐震化や冷房化など緊急性や重要性がある場合には、都の独自の補助事業を実施しており、その実施を通して今後とも区市町村が計画的に整備を進められるよう支援してまいります。

○小山委員 学校設置者でございます市区町村の権限と責任が原則であることは十分承知をいたしておりますが、これまでも緊急性や重要性がある場合には、都としても独自の補助事業を実施されてまいりました。
 特別教室の冷房化についても、緊急性や重要性に鑑み、対象教室の拡大を含め、進めていただくことを強く求めておきたいと思います。
 なお、いうまでもありませんが、都立高校においては学校設置者であります東京都の権限と責任で良好な教育環境を整備していただきたいと思います。
 第三次東京都教育ビジョンの取り組みの方向8に質の高い教育環境を整えるとし、その主要施策19として学校の教育環境整備を示し、主要事務事業として冷房化の推進を掲げられておりますので、ぜひ一層の取り組みを求めておきたいと思います。
 次に、決算書九六ページにもございます指導研修費の学校と家庭の連携推進事業についてお伺いをさせていただきます。
 まず、本事業の目的と本事業が開始をされました平成二十三年度から平成二十五年度までの家庭と子供の支援員を配置している市区町村数と実施校についてお伺いをさせていただきます。

○金子指導部長 学校と家庭の連携推進事業の目的は、小中学校における不登校やいじめ、暴力行為など学校生活における課題を抱えた児童生徒への対応とともに、その保護者への支援を行うことにございます。
 具体的には、家庭と子供の支援員が教員とともに家庭訪問等を行い、児童生徒と保護者の悩みに寄り添いながら課題解決に向けて相談に乗るなど、学校と家庭のパイプ役を担っております。
 家庭と子供の支援員の配置区市町村数と学校数につきましては、平成二十三年度は二十五区市町村百三十校、二十四年度は二十六区市町村百六十八校、平成二十五年度は二十八区市町村二百校でございます。

○小山委員 学校と家庭の連携推進事業は、都内公立小中学校が抱えます不登校やいじめ、暴力行為などといった課題に対し、児童生徒の対応はもちろん、保護者の支援を行う大変重要かつ困難を伴う事業だと思います。まさに今日の教育現場最大の課題といっても過言ではありません。各学校や現場の教員が悩み、苦慮している問題であります。
 そこで、先ほどのお答えをいただきました家庭と子供の支援員のこれまでの成果についてお伺いをさせていただきます。

○金子指導部長 家庭と子供の支援員の配置により、課題を抱えていた児童生徒の状況が改善された事例といたしまして、教員を目指す大学生の支援員が毎朝学級担任とともに登校時刻に合わせて不登校の中学生の家庭を訪問し、声をかけて誘ったところ、子供が支援員と一緒に登校できるようになったという事例がございます。
 また、子供の心理について学んでいる大学院生の支援員が教員やスクールカウンセラー等から助言を受けながら、暴言、暴力を繰り返す小学生の感情が高ぶっているときに別室で話を聞くなどの対応を繰り返した結果、子供が落ちついて生活ができるようになったという事例がございます。

○小山委員 ただいま詳細に、また具体的な事例をご紹介いただきまして、ありがとうございます。恐らく今の事例は、非常にうまくいった事例だと思いますし、このほか大変まだまだ難しい事案もあろうかと思っております。
 しかし、支援員の取り組みが、多くの子供たちの悩みや苦しみに向き合いまして、学校と現場の教員を支えているというこの実態がよくわかりました。
 また、教員を目指す大学生や先ほどの答弁の中にありましたけれども、子供の心理について学んでいる大学院生にとっても、教育の現場と現状を知る上で非常に意義ある事業だとも考えます。
 いただきました事例からも、本事業がさまざまな困難を伴いながらも大変な成果を上げていることを評価させていただきたいと思います。
 しかしながら、本事業の執行率は四九・一%にとどまっておりまして、本事業の重要性を鑑みれば、支援員の配置と取り組みを未実施の自治体や未実施の学校へと拡大していくことが必要と考えます。
 各市区町村教育委員会や各学校におきまして、本事業に対する認識の不足や取り組みをちゅうちょする状況を仄聞しておりまして、ぜひ東京都教育委員会として本事業の一層の取り組みと充実を求めますが、今後本事業をどのように取り組んでいくのかお伺いをさせていただきます。

○金子指導部長 家庭と子供の支援員による取り組みを一層充実させるためには、一人一人の支援員が配置された教育委員会と連携を図り、さまざまな対応のあり方について理解を深めたり情報を共有したりすることが必要でございます。
 そのため、都教育委員会は家庭と子供の支援員に対しまして、都及び区市町村教育委員会の連絡窓口について周知するとともに、家庭と子供の支援員と区市町村教育委員会の担当者を集めた連絡会を開催するなどしております。
 今後とも、各区市町村に効果的な取り組み事例を紹介するなどいたしまして啓発を図るとともに、地域の人材を活用して学校と家庭の連携推進事業の充実を図ってまいります。

○小山委員 今ご答弁をいただきましたように、今後の取り組み、ぜひ期待をしたいというふうに思います。
 特に、教育委員会、各教育委員会が各学校段階でなかなかこの事業への取り組みを実際ちゅうちょしているというところも聞き及んでおります。ぜひそういったところに支援の手が差し伸べられますように、そして何よりも現場で悩み、苦しむ子供たちに寄り添い、支える事業として充実されることを求めておきたいと思います。
 次に、第三次東京都教育ビジョンの取り組みの方向7で掲げられております教員の資質能力を高める主要施策14の優秀な管理職等の確保と育成についてお伺いをさせていただきます。
 東京都公立学校教員採用候補者選考の合格者数は、平成二十四年度選考におきまして、約四千名、平成二十五年度は約三千名、そして平成二十六年度選考は約二千六百名で推移をいたしております。大量退職のピークは過ぎてはおりますが、今もこれだけ多くの方が教員採用候補者選考の合格者名簿に登載をされまして、新たに東京都の公立学校で教員となっております。
 この中には、非常勤や臨時的任用教員で教職を経験された方もおりますが、大学卒業後、十分な経験を積まずにすぐに教壇に立つ方も多くおります。子供たちの健やかな成長のためには、これら新任の教員や新たに教員になる者への資質能力向上への取り組みが極めて重要であると考えております。そして、その重責を学校内で担うのは学校現場の責任者であります校長、副校長などの教育管理職になります。
 しかしながら、近年校長会、副校長会の先生方から、教育管理職のなり手がなかなかいないとの声も毎年聞いております。校長先生としても有望な若手教員に対して個別にアプローチし、積極的に受験を促していることなど、受験者確保に向けて、さまざまなご努力をされているということでございますが、なかなか受験にまでは至らないとのことであります。
 そこで、現状について確認をさせていただきたいと思います。
 平成二十五年度実施の教育管理職選考の受験者数、合格者数、受験倍率についてお伺いをさせていただきます。

○加藤人事部長 教育管理職選考は、A選考、B選考、C選考とあり、比較的若い層を対象としたA選考は受験者数百名、合格者数八十九名、倍率一・一倍、中堅層を対象としたB選考は受験者数二百九十三名、合格者数二百四十二名、倍率一・二倍、ベテラン層を対象としたC選考は受験者数二十七名、合格者数二十六名、倍率一・〇倍でございます。

○小山委員 選考倍率が一倍から一・二倍ということで、なかなか受験者の確保が難しい状況が続いていると思います。
 私が学校に足を運んで改めて感じますことは、やはり副校長が大変忙し過ぎるということだと思います。多忙な副校長を見て、多くの教員は教育管理職を目指すよりも、子供と直接触れ合うことのできる現状を選択してしまうのではないでしょうか。
 これまでも私は、副校長の多忙解消に向けて校務改善の取り組みについて何度か質問をさせていただいておりました。しかし、校務改善の取り組みは学校に定着し、機能するまでに時間がかかるために教育管理職選考受験者の拡大には、何よりも校務改善を含む副校長の負担軽減の取り組みが重要であると考えます。
 そこで、現在取り組んでおります副校長の負担軽減の取り組みについてお伺いをさせていただきます。

○加藤人事部長 校務改善の取り組みについて、小中学校においては調整機能を持つ経営支援部の設置、校長、副校長を経験した退職教員の活用、ICTを活用した業務改善など、組織的、効率的な学校運営を推進しております。
 平成二十五年度には、非常勤教員の活用方針に副校長補佐の役割を明確化し、また本年度から、小中学校の主幹教諭の配置基準の見直し、副校長を補佐する教務担当の主幹教諭の授業持ち時数軽減を拡大し、副校長の負担軽減を図っております。
 都教育委員会は、こうした取り組みを進めることにより、教員が副校長を目指す環境を整え、教育管理職選考受験者拡大を図ってまいります。

○小山委員 ぜひ一刻も早く副校長を初めとします管理職の負担を軽減していただきまして、学校全体が本来の機能を取り戻し、このような若手教員の指導にも当たれる状況をつくっていただきたいと思います。
 また、私が現場に行って、よくお聞きするのは、校務改善の取り組みについて目に見える形での現場の改善につながるような施策を現場は求めておりますので、ぜひお願いをしたいと思います。
 次に、平成二十五年度の中で今回東京都教育委員会として最も大きな課題であり、問題であったのは、やはり都立高校入試の問題であろうと思います。
 そこで、まず平成二十五年度の都立高校入試の日程についてお伺いをしたいと思います。

○早川都立学校教育部長 第一次募集、分割前期募集は、平成二十六年二月二十四日月曜日に学力検査を実施いたしまして、同年二月二十八日金曜日に合格発表を行いました。
 分割後期募集、第二次募集は、平成二十六年三月九日日曜日に学力検査を実施いたしまして、同年三月十二日水曜日に合格発表を行いました。

○小山委員 決算質疑ということでございますので、改めてお伺いをしますが、平成二十五年度都立高校入試の日程内におけます採点について、都はどのような認識を持っていたのかお伺いをさせていただきたいと思います。

○早川都立学校教育部長 結果をなるべく早く受検者にお知らせするために、第一次募集、分割前期募集を例に申し上げますと、学力検査翌日に採点、点検を完了し、学力検査の翌々日には合否判定、三日目に合格発表準備を行うことを想定し、学力検査の翌日から合格発表日前日までを平日、中三日間あけて設定をしたところでございます。

○小山委員 この入試の問題については既に報告書も出されておりますので、この中でも詳細な記述がございますが、平成二十五年度につきまして都立高校入試におけます調査で確認されました採点ミスや合格、不合格の状況についてもお伺いをしておきたいと思います。

○早川都立学校教育部長 平成二十五年度実施分につきましては、百五十八校において千四百十八件の採点誤りがあり、本来合格であったにもかかわらず不合格とされて追加合格となりました生徒が十三校で十六人生じました。
 平成二十四年度実施分につきましては、百十七校において千二百八十九件の採点誤りがあり、六校において六人の追加合格がございました。
 平成二十三年度実施分につきましては、五十二校において三百四十五件の採点誤りがあり、追加合格はございませんでした。
 三カ年合計で学力検査を実施いたしました百七十五校のうち百六十五校で三千五十二件の採点誤りがあり、十八校で二十二人の追加合格がございました。

○小山委員 この結果を、これは深刻に受けとめておかなければならないことだと思いますし、平成二十五年度決算を審議するに当たっては、この問題というのはきちっと次年度以降に引き継がなければならない大変極めて重要な課題だというふうに思います。
 そこで、多くの、この報告書の中にも調査の結果が示されておりますが、一義的にもちろん教員の注意力の欠如というものもあろうかと思いますが、やはり構造的、複合的なものを、何といっても七割近い都立高校でミスがあったという事態を考えますと、そういう点を認識しなければならないと思いますし、採点の日程や採点を行う環境の整備ということが極めて重要だと思います。
 その後、事後の対策もとられておるわけでありますけども、私もこの問題にかかわったときに、多くの都立高校の現場の先生方からお話を伺うときに、同じように採点の日程と採点環境についての言及と、もちろん、ご自身が誤っていたかもしれない、そのことについて深く反省をされた上でいろいろお話をいただきました。
 授業の中で、授業をやりながら、午前中に授業がありながら午後に採点を行うとか、あるいは学級担任でホームルームをしながら、ホームルームがあって、採点を中断してホームルームに駆けつけて、また採点に戻るというようなこともあったということでございます。
 この中では、きちっと報告書の中でも事後の対策と対応がきちっと明示をされております。
 いずれにしても、このような子供たちの人生を左右するような入試での採点ミスが二度と起こらないように再発防止を求めたいと思いますが、今後の都の取り組みについて、ここでも確認をしておきたいと思います。

○早川都立学校教育部長 採点誤りを根絶するため、平成二十七年二月に実施いたします入学者選抜におきまして、実効性の高い方策を総合的に展開をいたします。
 具体的には、第一次募集、分割前期募集では、学力検査翌日から合格発表日前日までを現行の三日間から四日間にするとともに、学力検査翌日と翌々日につきまして生徒を登校させず、採点、点検に専念できる環境を整えることといたしました。
 また、記号選択式の回答形式につきまして、平成二十七年二月に実施する入試におきまして、マークシート方式をモデル校二十校に試験的に導入をしまして、その効果検証を踏まえ、平成二十八年二月の全校導入に向けて検討を進めることといたしました。あわせまして、採点、点検を二系統で行うなど、採点、点検方法につきましても抜本的な改善を図ることといたしました。
 中学三年生が安心して都立高校を受検できるよう、都教育委員会と学校とが一体となりまして、これらの再発防止改善策を確実に実行しますとともに、効果検証を行うことによりまして、都立高校入試の適正な実施に万全を期し、都立高校に対する信頼回復に努めてまいります。

○小山委員 ただいま今後の取り組みについてもお伺いをいたしました。ぜひ今回のことを二度と起こさない、そして何よりもこういったことで子供たちの人生が左右されるような状況を生じさせないような、そういった万全の取り組みを求めておきたいと思います。
 その中では、今後恐らくいろいろな試行段階を経て全面導入という実施もありますでしょうし、その後の効果検証もぜひ現場の声も十分反映をしながら行っていただきたいというふうに思います。
 最後に、決算書一〇二ページにあります文化財保護費の文化財情報の外国人旅行者への提供についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 まず、本文化財情報の外国人旅行者への提供について、平成二十五年度事業内容をお伺いするとともに、また平成二十五年度決算の執行率が四九・五%と低い結果となっておりますが、その状況についてもお伺いをさせていただきたいと思います。

○前田 都教育委員会では、外国人旅行者などが都の文化財に関する情報に簡単にアクセスできるよう、英語による都内文化財の検索サイトをホームページ上に開設しているほか、都内の文化財をめぐるモデルコースを案内するパンフレットの英語版を作成し、都内の観光案内所やホテルなどに配布しております。
 平成二十五年度の執行率が低い主な理由でございますが、都内文化財に関する講演会、見学会における通訳ブースの会場設置を取りやめ、逐次通訳に変更し、効率化を図ったことなどがございます。

○小山委員 ただいま事業内容について具体的にお答えをいただきまして、また執行率が低かった理由につきましては、効果的な業務運営を行ったことで当初予算に比較して執行した予算を大幅に減らすことができたということがわかりました。こういった業務改善の取り組みについては、評価をさせていただきたいと思います。
 しかし、このように予算の余剰が生じましたら、ぜひ事業趣旨に沿って、もっと効果的に事業充当をしていくべきと考えます。すなわち、本事業のような外国人旅行者などを対象とした東京の魅力をPRする事業については、さらに拡大をしていくべきと考えます。
 平成二十五年度決算の状況や二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック開催を踏まえまして、今後本事業をどのように展開をしていくのか、お伺いさせていただきます。

○前田 都教育委員会では、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの東京開催に向け、外国人旅行者に対して、より多くの文化財情報を提供するため、文化財をめぐるモデルコースを案内するパンフレットの英語版を平成二十六年度から二種類にふやすなど拡充しております。
 今後も積極的に文化財情報を外国人旅行者に対して発信してまいります。

○小山委員 今お答えいただいた、この年度から二つにふやされたということで、こういう資料も頂戴をさせていただいております。
 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催に向けまして、ぜひ文化財情報の外国人旅行者への提供については、引き続き事業の執行方法の工夫を図りながら、事業内容についても一層の拡充を図ることを求めておきたいと思います。
 今年度つくっていただいた中には、私の地元の府中市の内容もありまして、まことにありがとうございました。大國魂神社や馬場大門のケヤキ並木など数多くの文化財が私の府中市にもございまして、文化財をめぐるモデルコースを案内するパンフレットにも掲載をいただいております。
 このように、外国人旅行者にもぜひ都内に多数残る文化財を知っていただき、ごらんをいただきたいと思います。そのためには、このようなパンフレットは非常に有効だというふうに思いますし、これの活用方法などもぜひ工夫を図っていただきたいと思います。
 日本の貴重な財産であります文化財を外国人旅行者に深く理解をしてもらい、日本文化を世界に発信する事業として本事業のさらなる拡充を求めておきたいと思います。
 そして、ぜひ東京都教育委員会の皆様には、この予算を倍増させるぐらいの意気込みで取り組んでいただくことを要望いたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。

○橘委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時九分休憩

   午後三時二十五分開議

○橘委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○塩村委員 私の方から、まず、未来を担う児童生徒たちの道徳心を育む取り組みについて、端的にお伺いをいたします。
 道徳・奉仕(仮称)ということなんですけれども、先行実施校の取り組みとその成果についてお伺いをいたします。

○金子指導部長 都教育委員会は、平成二十五年度教科奉仕を発展させ、自立の精神や社会連帯の精神などを学ぶ道徳・奉仕(仮称)の設置に向けまして、先行実施校十二校を指定いたしました。
 先行実施校では、勤労のとうとさを学んだ後、福祉施設での体験活動を行うなど、道徳の内容と奉仕体験活動とを関連づけた実践研究を十時間程度行いました。成果といたしまして、道徳的内容を体験活動と関連づけることによりまして、生徒の道徳性が高まることがわかりました。
 さらに、高校生の発達段階を考慮すると、道徳的内容に社会的、職業的自立に向けた内容を加えることにより、一層効果的な指導になることも明らかになりました。

○塩村委員 ありがとうございます。いろいろとわかったということで、すばらしいなというふうに思いました。
 児童生徒が自立や他者を思いやる心、善悪の判断などの規範意識等の道徳性を身につけることは、とても重要なことです。取り組みにより、さまざまな効果がこれまでにわかっているようですので、それらを生かし、しっかりと検討して充実した内容となるようにお願いをいたします。
 さて、この道徳・奉仕(仮称)とのことなんですけれども、二十六年度の全校実施に向けて指導資料を作成予定とのことですが、その内容と進捗をお伺いいたします。

○金子指導部長 先行実施校におきましては、生徒は道徳的価値について触れた文章を読み、道徳と奉仕を関連づけた取り組みを行うなど実践的な研究を行ってまいりました。
 道徳・奉仕(仮称)の授業では、都立高校生一人一人に道徳的心情や判断力、人間としてのあり方、生き方に関する自覚を深めさせ、道徳的実践力を身につけさせることとしておりまして、現在、先行実施校における実践研究を踏まえ、新たにキャリア教育の視点も加え、新教科への移行準備を進めております。

○塩村委員 指導資料に、そういう子供たちが学んでいくことになりますので、焦ってつくるというよりはじっくりと取り組んでいただきたいなと思っております。しっかりと検討していただきまして、世界一の都市東京に恥じない成熟した内容の濃いものにしていただきたく思います。
 次に、メディアリテラシーについてお伺いをいたします。
 決算書を見ると、指導研修費の中にインターネット等の適正利用に関する啓発指導に二千百万余円となっております。さまざまな情報がインターネットにあふれる昨今、有害な情報も氾濫していることは、もはや当たり前の時代となりました。
 有害情報からいかに子供たちを守っていくのか、そして自分が発信する情報で友人たちを傷つけないか、その教育と取り組みは、今まで都が行ってきたことと思います。そして近年、気をつけなくてはいけないのが、一見隠されている真実を装ったというような情報です。
 あたかも何らかの事情により故意に隠されている情報を発見し、善意でSNSや掲示板等に拡散を装う人や集団がおり、その手段が年々巧みになってきている中、メディアリテラシーの重要性が増しています。
 未来を担う子供たちが正しい情報の取捨選択をするため、日々変化する社会の状況に対応した一層のメディアリテラシー教育が必要ですが、都の取り組みをお伺いいたします。

○金子指導部長 高度情報化社会に生きる子供たちには、インターネットから得られる情報を適切に評価して、必要な情報を主体的に選択し、適切に活用できる能力を身につけさせることが重要でございます。
 学校では、各教科の指導において、インターネットを利用して情報を収集し、それらを活用して課題を解決していく学習活動を取り入れるなど、メディアリテラシーの育成を図っております。
 都教育委員会は、児童生徒を対象に、外部講師による情報活用能力向上の訪問講座を実施するとともに、教員向け指導資料に情報を選択する能力を育成するための指導事例を取り入れて、各学校に配布しております。

○塩村委員 ありがとうございます。日々巧妙になってきているのが現実で、教員だけで指導を担っていると、そういった情報のアップデートも限界だと思いますので、最新の情報や手口など被害を把握した外部の講師を活用することは、今後も推進していただきたく思います。
 次に、ふれあい動物事業についてです。
 同じく指導研修費に、ふれあい動物教室等とあります。予算現額は二百五十一万円となっており、執行率も一〇〇%と、使い切っております。内容としては、選定された実施校において動物たちと触れ合う中で、命の大切さや飼育の責任を教えるものだとうかがえます。
 学校飼育動物については、動物福祉の観点から改善点も多く指摘をされていますが、こちらの事業内容と実施校選定の基準と方法、そして実施校にて飼育されている動物の種類や数をお伺いいたします。

○金子指導部長 都教育委員会では、小学校を対象に児童がチャボやウサギなどの小動物に触れ、体験を通して学習する動物ふれあい教室を、平成二十三年度から平成二十五年度まで実施いたしました。
 動物ふれあい教室では、一回の授業の中で児童が動物の生態や正しい飼い方などについて理解できるよう、動物飼育に詳しい専門家を外部講師として派遣いたしました。
 実施校の選定に当たりましては、学校飼育動物を有する小学校のうち、実施を希望する学校といたしまして、各年度二十校を三年間選定して、島しょを除く全ての区市町村で実施できるようにいたしました。
 実施した六十校で飼育されている主な動物の種類と合計数は、ウサギが九十九羽、チャボが三十二羽、鶏が十三羽、ウコッケイが十二羽、ハムスターが十匹でありました。

○塩村委員 ありがとうございます。外部の専門家といいますか、獣医師さんたちが年に一回、その学校に行っていると聞いております。動物が飼育されている学校を選定しているとのことで、ウサギが百ぐらいいるということですね。
 今の学校飼育動物は、動物と触れ合う機会が一時的で、餌を入れるだけの作業的な活動で動物と触れる機会が少なく、学校で動物を飼うことが困難になっているとの指摘があります。さらに、動物の生理や習性を考慮しないで飼育が行われている状況も見られ、学校だけでの対応も難しく、動物を飼育していく上でさまざまな課題が見られるとのことで、それはふれあい教室以前の話で、私もそのとおりだなと考えます。
 この三年間の事業を通して見えた課題があったのか、また、事業の成果をまとめた報告をしているのかをお伺いいたします。

○金子指導部長 本事業の実施校からは、専門家の指導を受け、全ての児童が正しく動物を抱いて、そのぬくもりを感じることで、より愛着を持つようになった。動物の心臓の音を聞くことを通して、動物も人間と同じように生きていることを実感し、命のとうとさに気づくよい機会となったなどの成果が報告されております。
 都教育委員会は、こうした成果を年度ごとに実施報告書や教員向けリーフレットにまとめまして、都内の全公立小学校に配布しております。
 動物との触れ合いは、児童にとって健全育成の観点から大切なことから、今後、各小学校が継続的に小動物に触れる体験活動を充実させていくよう支援してまいります。

○塩村委員 子供の心の教育等に必要とのことですが、動物の福祉を考えてみるとどうでしょうか。動物たちの考えることも、子供たちの心の教育になるのではないかなというふうに思います。
 ALIVE元代表の野上ふさ子さん、この方は昨年でしたか、お亡くなりになったんですけれども、ALIVEというのは、調査や研究をしている日本で一番有名な団体であり、野上ふさ子さんは、中央環境審議会の委員でもございました。
 彼女も指摘をしているんですが、特にウサギは学校飼育に適さないと指摘をしています。
 ウサギは被捕食側、食べられてしまう方の動物ゆえに非常に怖がりで、抱かれることを好まず、ストレスにとても弱いという一番考慮されるべき点が無視をされている。実際にウサギは飼育がとても難しい動物で、骨折をしやすい、胃腸障害を起こしやすいなど、異常が出やすいが発見もされにくいといった身体的特性もあります。また、暑さ、寒さにも弱く、湿度や外圧にも敏感といった環境的要因によっても、体調を大きく左右される動物です。ウサギ飼育になれた大人であっても、骨折をしやすいウサギのハンドリングには大変に気を使いますとあります。
 また、ウサギには特有の病気も多く、治療費も高額になることから、本来は学校動物として最も不適切であるとも指摘をしています。
 一部の学校では、治療費等も予算化をしているところもあり、それは都立かどうかわからないんですけれども、教育方針としては、とてもよい飼育をしているところもありますが、それはその学校の付加価値で、ほかの学校にまで強要することには無理があります。さらには、全国各地で学校飼育動物に対する猟奇的な虐待事件が起こっています。故意の虐待ばかりではなく、適正な食餌が行われていない、寒暖対策もとられていません。このような現実に対してこそ、教育が真っ正面から取り組まなくてはならない問題ですと「ALIVE」では締めくくっています。
 これを読んだだけでも、学校飼育動物の多くは、既に多大なストレスにさらされている可能性が容易に想像できます。それに加えて年に一回だけのふれあい教室で、生徒たちに抱かれてさらなるストレスを抱え込んでしまうことにもなります。
 さらに、動物は生き物ですから、週休二日の学校で飼育されることが適正とはいえません。学校飼育での状態を想像して、安易に動物を飼うというふうな羽目にもなりかねません、こう指摘する専門家もいるんですね。
 例えば東京の動物愛護センターでも、毎年ウサギが収容され殺処分をされています。動物愛護団体の里親募集でも多くのウサギが手放され、新しい飼い主さんを待っている状態です。
 東京都動物愛護管理審議会委員の山口千津子獣医師も、学校は動物を責任を持って飼える環境ではない。また、震災時の福島では動物を置いて避難し、学校動物は全滅をしてしまいました。人間の命を一番に考えつつということを大前提におっしゃっていますが、いざというときの対応もできていないのであれば、子供たちに命の大切さを教えていない、かえって逆効果となってしまったとおっしゃっています。つまり、触れ合い動物は、動物福祉の観点からも見直しが必要です。
 世界の潮流は、動物愛護から動物福祉へと移行をしています。飼育動物の福祉を鑑み、終生飼養を責任を持って行われる触れ合い動物であるならば、子供たちの教育にもいいと考えます。思いやりの心を育む動物の福祉と両立させるべきです。
 例えば、奈良県のいのちの教育プログラムは、イギリスなどで行われている動物を使わず、動物へのストレスがゼロの愛護教育を始めており、日本国内で先進的な事例として、各自治体関係者からの視察が多い施設でもあります。
 モデル校を選定し、三日間の座学では張り子の動物で学びます。最後の一日は、県の施設に生徒たちと出向き、ヤギや羊たちの餌やりや乳搾りをします。ここにもウサギがいるんですけれども、動物福祉を鑑みて抱くようなことをしませんとおっしゃっておりました。ここに思いやりがあると思うんですね。
 さらに、獣医が年に一回だけ来るようなものではなく、継続をして県で教育しています。今年度は小学生だけを対象にしているとのことですが、中学生、高校生向けのプログラムも現在開発中とのことで、今後実施をしていくとのことです。
 さまざまな事情や制約があるのは重々承知をしていますが、動物愛護と福祉の考え方も年々成熟をしていっています。動物愛護と福祉を鑑みた施策の展開に予算を使っていただきたく、今後もしも実施することがあるならば、他県の取り組みや世界の潮流を鑑みたプログラムでお願いしたく、要望して、次に移ります。
 東京は日本の首都であり、世界に通用する人材を輩出することが期待されております。決算書を見てみますと、指導研修費の科目に多くの教育指導の施策が記されています。その数は五十一に上っており、都の責任と意気込みを感じるものとなっています。
 二〇二〇年、東京はオリンピック・パラリンピックの招致に成功をし、その際のキーワードの一つは成熟でした。日本、東京は、全ての面で世界のトップクラスであることは間違いありません。それらの分野を伸ばしつつ、残念ながら底上げの必要な分野やこれから発展途上である分野もあると思われます。
 例えば女性の活躍に水を差すジェンダーバイアスや女性の人権や蔑視です。徐々に改善はされてきていますが、まだまだ世界標準には追いついていないことが明らかにもなっています。これらが改善されることで、間接的にはなりますが、日本の経済成長の改善が期待されています。二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、世界は東京を高い期待値で見ているのは明らかで、東京は日本の首都として、ほかの先進諸国並みの成熟度を目指す教育を行うことが期待されています。
 そこで、お伺いをいたします。男女互いの人権を尊重し、児童生徒が男女平等参画の重要性を学ぶ取り組みをされているのでしょうか。その取り組みと成果についてお伺いをいたします。

○金子指導部長 都教育委員会は、都内全ての公立学校の教員に人権教育に関する指導資料である人権教育プログラムを配布いたしまして、その中で男女平等教育の基本的な考え方を周知しております。
 また、毎年五十校程度の学校を人権尊重教育推進校に指定いたしまして、教科、道徳、特別活動など、さまざまな教育活動を通して男女が互いに協力することの重要性を理解し、個性や能力を発揮して自己実現を果たすことの意義を考える取り組みなど、男女平等教育に関する実践的な研究を行い、全都の学校にその成果を普及しております。

○塩村委員 ありがとうございます。今後も拡大をしていっていただきたいと思います。
 先日東京で、キャロライン・ケネディ米国駐日大使やケリーナ・クレッグ・ヘンダーソン・アメリカ国立科学財団所長、そしてレスリー・フィールド・アメリカ大統領府予算管理局次官、山崎直子元JAXA宇宙飛行士、皆さん女性ですが、を迎えて開催されましたプロモーティング・ウーマン・リーダーシップ・アンド・ダイバーシティー・イン・サイエンス・アンド・エナジーにおきましても、サイエンスとエネルギーの分野において、女性の参画は必要だと強調をされておりました。
 二十五年度の大学の入学者数を見ても、理数の分野は、男性が七割で女性は三割ぐらいです。この三割というと、少し多く聞こえるかもしれないんですけれども、これは看護や薬学など医療の分野の増加に伴うもので、年々増加傾向であるとはいえ、女性の比率が著しく低いことがわかっています。
 研究者になりますと、女性比率はわずか一四・四%にまで落ち込んでしまいます。日本では、高校生時点で理系、文系を選択することになっていますが、この段階で理系を敬遠する女子学生が多いのが現状です。東京都におきましても、日本の未来のために、女性の理系への興味や苦手意識を克服する施策を打つことが重要であると考えます。
 決算書を拝見しますと取り組みがかいま見えるのですが、どのような施策を打っているのでしょうか。まず、都教育委員会が実施をしている、理数好きの子供たちの裾野を広げるための取り組みをお伺いいたします。

○金子指導部長 都教育委員会は、科学技術をめぐる世界的な競争を担う人材の育成が、国の課題として認識されていることなどを受けまして、東京都における理数教育を振興しております。
 小中学校では、各区市町村の理数教育の拠点として理数フロンティア校を百校指定いたしまして、児童生徒の興味、関心を高める効果的な指導方法や教材を開発しております。また、高等学校では、理数教育に特化した研究開発を行う理数フロンティア校を五校指定いたしまして、教育活動全体を通して、生徒の科学的な素養を養うための系統的、探求的な理数教育のカリキュラムの開発などを実施しております。

○塩村委員 ありがとうございます。裾野を広げる取り組みは大変に大事です。積極的な取り組みをぜひ続けていただきますようお願いいたします。
 次に、理数が好きな子供たちをさらに伸ばすために、都が行っている取り組みがあればお伺いをいたします。

○金子指導部長 都の調査では、小学生の約九割、中学生の約七割が理科の授業を楽しいと回答しております。また、高校生の約七割が理数の授業に興味、関心を持っていると回答しております。こうした子供たちの資質、能力をさらに高めていくことが必要であります。
 そのため、都教育委員会は、中学生が最先端の科学技術を実感できる科学塾の開催、高校生が深く探求活動を行う科学系部活動等の理数教育チャレンジ団体の指定、中学生や高校生を対象とした科学コンテストの実施など、より高い目標にチャレンジする取り組みを展開しております。

○塩村委員 ありがとうございます。聞いていると、私が学生だった時代とは大きく違ってきているんだなというふうな印象を受けました。このようなすばらしい取り組みを計画的、戦略的に継続しまして、女子の数、比率をふやして男女ともに理数教育においても世界で戦える人材の育成を確実にしていただきたいと思います。
 日本の未来を担う東京の子供たちの教育は、学力はもちろん、人間力を上げていく道徳教育もまた必要です。成熟をした世界一の都市東京の名にふさわしい教育をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

○栗山委員 平成二十五年度東京都一般会計決算中、教育庁所管分について、私からも何点かお伺いをさせていただきたいと思います。
 さて、日本国憲法では、勤労や納税が国民の義務として定められておりまして、学校卒業後、社会人として、自立して働いて税金を納めるという義務を果たさなければなりません。そのために、学校では勤労を重んじ、納税の義務を果たす国民を育成することが求められております。
 このうち勤労を重んじる態度を育成するためには、学校で働くことのすばらしさや、その意義について教えることが必要であるというふうに認識をいたしております。とりわけ専門学校は、卒業後、すぐに実社会で働く生徒も多く、学校で学んだ専門教育による技術を社会で生かしていくことが大切でございます。
 日本は、高い商品開発力や技術力を保持しておりますけれども、そこで生み出されるすばらしい価値や働くことの意義など、専門学校が企業と連携をして、積極的に継承することは余り今日までなされてこなかったのではないか、こう認識をいたしております。
 専門的な技術や技能を持つ人材輩出を目的とする専門学校では、企業等と連携して次世代の技術者を育成するために、専門性を高める体験活動が必要であると、こう認識をいたしております。
 専門高校においては、インターンシップを行ったり地域のプロフェッショナル人材を招いたりするなど、専門性を高め、生かすための職業教育の充実が必要と考えますが、専門学校での職業意識を高めるための教育の現状についてお伺いをいたします。

○金子指導部長 専門高校におきましては、全ての生徒が専門科目で学んだ内容を活用しながら、自分の興味、関心、進路希望等に応じて調査研究や作品制作に取り組む課題研究の授業を通して、専門的な知識や技術を深め、職業意識を高めております。
 また、実際に働く体験をするインターンシップに、平成二十五年度は職業に関する専門高校全日制三十九校中三十三校、定時制二十一校中十三校、合計四十六校の生徒、三千百七十五名が取り組みました。
 さらに、実習等におきまして、外部講師から技術指導を受けたり地域企業の協力による実践的活動を行うなどいたしまして、より専門性の高い技術、技能を身につけております。

○栗山委員 専門学校での職業意識を高める都教育庁の取り組みがわかりました。進学をした生徒でも、やがて就職する、こういったことを考えますと、普通学校等でも専門学校のように、職業意識を高める取り組みをすべきであるというふうに認識いたします。
 社会に出たときに、どのような職種、就職先があって、そこでどのように働いて充実した人生を送るかなど、高校生での段階で、職業的にも社会的にも自立ができるように、働くことの意義や意味などを考えさせ、しっかりとキャリア発達を促すよう職業観を育成する教育が必要であると考えます。
 そして、都立学校で学んだ多くの生徒が就職のことを真剣に考え、就職決定率が全国で一位になるとともに、学校を卒業してから十年後に、自分の進路が本当によかったと、こう思えるようにしていきたいというふうに考えます。
 そこで、普通科高校においても、働くことの意義を理解させるとともに、望ましい職業観を育成することが必要と、こう考えますけれども、取り組みの現状についてお伺いをいたします。

○金子指導部長 普通科高校におきましては、専門高校と同様に一人一人の社会的、職業的自立に向けて望ましい勤労観や職業観を育成するキャリア教育を推進しております。
 具体的には、キャリア教育の全体計画を作成し、総合的な学習の時間における、職業調べや社会人による職業講演会の開催など計画的に指導を行っております。
 また、これらの取り組みを円滑に進めるため、都教育委員会は、全ての都立高校の担当者を集めた連絡協議会を開催いたしまして、普通科高校の教員に専門高校のすぐれた取り組みを普及啓発するなどいたしまして、キャリア教育を推進する人材を育成しております。

○栗山委員 専門学校においても普通科高校においても、職業観を育成するための取り組みが進められるということは、よくわかりました。
 高校生が将来実社会で働くことについて、より具体的に考えられるようにするために、さまざまな体験活動によって実感を持って学ぶことが重要ではないかと、こう考えます。そのために、普通科高校で企業やNPO等の外部機関と一層連携した取り組みが必要であると、こう考えます。
 普通科高校において、企業やNPO等と連携して社会や職業について体験的に学ぶ活動の充実を図ること、これが重要であると考えますけれども、その取り組みの現状についてお伺いをいたします。

○前田 生徒が社会や職業について実感を持って理解することが、特に普通科高校においても必要であることから、企業やNPO等と連携し、社会人、職業人として必要な能力を身につけることができる都立高校生の社会的、職業的自立支援教育プログラム事業を平成二十五年度から実施しております。
 平成二十五年度は三十校、平成二十六年度は五十一校において、企業などの指導を受けながら市場調査や商品開発などにチームで取り組み、実際の企業活動を体験するなどの教育プログラムを展開しております。

○栗山委員 普通科高校でも、社会人、職業人として必要な力を身につけるための体験的なプログラム、これを展開していることがわかりました。
 高い技術力を持った企業が東京にはたくさんございます。これらの企業やNPO等、外部の力をさらに活用することによって、働くことの大切さを実感できるようにしていただきたいというふうに思います。
 働くということは自分のためであると同時に、社会のためでもございます。冒頭でも申し上げましたが、国民一人一人が勤労の義務と納税の義務をしっかり果たすことは、社会にとって大切であることは論をまちません。これに加えて、日本が二〇二〇年の東京オリンピック後も発展をし続け、世界に誇る活力のある国となっていくためには、子供たちが将来に夢や希望を持っていく、こうした社会の実現が必要であるというふうに思っています。
 今まさに社会に出ることを目指している高校生が、卒業後、活力ある日本の社会を実現できる人材になるよう、教育庁の一層の努力に期待していきたいと思います。
 次に、先ほども質疑がございました道徳教育について、お伺いをいたします。
 道徳教育は、子供たちに自立した一人の人間として、他者とともに、よりよく生きる人格を形成することを目的とするものというふうに認識してございます。本年の都議会第三回定例会においても、我が党会派から道徳教育の充実に向けた決意などを質問しておりますけれども、日本を担う子供たちに感謝の心、思いやりの心、法や決まりを大切にする心など豊かな心を育成することは、とても重要なことだろうというふうに思っております。
 こうした道徳教育は、三歳児には三歳児に、高校生には高校生のそれぞれの発達年齢に応じて、人間として身につけるべき道徳を学んでいく、こういうことはいうまでもないというふうに思っています。
 そこで、幼稚園や保育所等の幼児期、小中学校、高等学校のそれぞれの段階で、都教育委員会が道徳教育の推進に向けた取り組みについて、どう取り組んできたのか、お伺いをいたします。

○金子指導部長 都教育委員会は、平成二十三年三月に就学前教育カリキュラムを開発いたしまして、思いやりの気持ちなどの道徳性の芽生えを培う指導の推進を図るとともに、平成二十六年三月には、規範意識の芽生えに焦点を当てまして、それを醸成するための方策等を明らかにした指導資料を開発し、普及啓発に努めてまいりました。
 小中学校につきましては、平成十四年度から全ての公立小中学校で、道徳授業地区公開講座を実施し、学校、家庭、地域が一体となった道徳教育を推進しております。また、都が独自に作成した道徳教育教材集を平成二十四年七月から、全ての都内公立小中学校の全児童生徒に配布し、教育の充実に取り組んでおります。
 高等学校では、昨年度、人間としてのあり方、生き方を考える教科の設置に向けまして、道徳・奉仕(仮称)先行実施校を十二校指定し、高等学校における道徳教育の効果的な指導方法などについて実践研究を行い、その成果を全ての都立高校へ普及いたしました。

○栗山委員 都教育委員会が、子供たちの発達の段階において道徳教育を適切に推進していることがよくわかりました。
 ところで、子供たちの現状を見てみますと、道徳性の中でも特に規範意識の低下、これが大きな課題であるというふうに捉えております。若者が起こした相次ぐ危険ドラッグによる事件や事故を見ますと、よりよく生きるという前に、法律を守るという意識が欠落しているのではないかと、こういう懸念が湧いてまいります。
 少年が関与する事件の報道に触れ、子供たちの規範意識について不安を感じている人も多いのではないかなというふうに思われます。
 改正教育基本法では、道徳心を養うということが明記され、集団や社会とのかかわりに関すること、すなわち社会の秩序を維持するために必ず行わなければならない法に関する教育の推進が重要とされています。そこで、法教育の推進に向けて、都教育委員会が行ってきた取り組みについて、お伺いをいたします。

○金子指導部長 都教育委員会は、平成二十三年三月に法に関する教育カリキュラムを開発するとともに、平成二十三年度からは、法に関する教育推進委員会を設置いたしまして、具体的な指導方法等を掲載した指導資料を作成するなど、本カリキュラムの活用の促進を図ってまいりました。
 また、社会科や家庭科、道徳の時間などにおきます法律実務家と連携した授業を公開するなど、小中高等学校それぞれの発達段階に応じた実践的な取り組みを支援してまいりました。
 今後とも、すぐれた授業を公開し教員の指導力の向上を図るとともに、法務省や裁判所、弁護士会等の関係機関との連携方法などを各学校に提供するなどいたしまして、法に関する教育の推進に取り組んでまいります。

○栗山委員 都教育委員会が進めてまいりました道徳教育等について、お伺いをさせていただきました。社会は人によって形成されるということはいうまでもありませんが、教育活動を通して、よりよき人格の完成を目指していくこと、信頼に足る国際人として、平和で民主的な国家及び社会の礎となる国民を育成していくことも必要でございます。
 世界で一番の都市東京の実現に向けては、教育活動も重要な要諦となります。基礎基本である道徳教育や法教育の円滑な推進を期待して、次の質問に移らせていただきます。
 次に、校庭の芝生化についてお伺いをいたします。
 子供たちが長時間を過ごす学校の校庭を芝生化することは、ヒートアイランド対策や緑の創出など環境面の効果に加えて、子供たちが身近に緑を感じ自然への理解を深めるなど、さまざまな効果があるものと考えます。
 私も校庭の芝生化に取り組んだ一人でございます。芝生化により夏場の校庭の地表面の温度は、ダスト舗装校庭、普通の校庭でございますけれども、これに比べて八度下がるなどの調査結果もあります。
 さらに、校庭での児童のすり傷が減少したなど安全面の効果に加え、外に出て遊ぶ子がふえたり自然を大切にする気持ちを育むなど、教育面での効果も見られていると、こう聞いております。さらに、今後も推進していくべきであると、こう認識をいたしております。
 そこで、まず都内公立学校における校庭の芝生化支援事業の平成二十五年度の実績について、お伺いをいたします。

○前田 平成二十五年度の実績でございますけれども、都立学校十四校において、校庭などの芝生整備を実施したほか、都内公立小中学校三十二校の整備費の補助を行っております。
 区市町村に対しましては、校庭の芝生整備費の補助に加え、既存の芝生化校に対する維持管理補助や校庭芝生化の推進のための広報、普及啓発などを行い芝生化を推進しております。
 なお、平成二十五年度までに芝生化された公立学校は、小中学校四百十二校、幼稚園七園、都立学校で九十校、合計五百九校でございます。

○栗山委員 これまで既に五百校以上の校庭の芝生化がされているということでございますが、昨年度の区市町村立小学校への補助実績というのは三十二校にとどまっているということで、実際のところ極めて残念でございますが、計画を下回っている現状がございます。
 今後も着実に校庭の芝生化を推進していくためには、芝生化が進まない原因をきちんと把握していくべきであるというふうに考えます。
 そこで、公立小中学校の校庭芝生化補助事業が予算どおり執行できていない、この理由についてお伺いをいたします。

○前田 公立学校の校庭芝生化事業につきましては、環境局から教育庁に事業が移管され、環境面に加えて教育上の効果も踏まえて、校庭芝生化事業の周知に努めているところでございます。
 しかし、芝生化に踏み切れない学校からは、管理ができるかどうか不安である、芝生の維持管理の担い手が不足している、芝生の養生期間中は校庭などが利用できないため、学校行事や校庭開放事業に影響があるなどの懸念があると聞いております。

○栗山委員 今お話にございましたとおり、維持管理面への不安というのが一つの大きな要因であるというふうに考えております。
 私も小学校の校庭の芝生化の推進に取り組む中で、現場の教員や地域の方に芝生化に踏み切れない理由、これを伺ってまいりましたが、何より維持管理というものを一番心配してございます。学校だけで維持管理を担うことは難しく、校庭の芝生をよい状態で保っている学校というのは、学校と地域と家庭が連携した維持管理がうまくいっているところでございました。
 子供たちが校庭の芝生の上で寝転がったり、お弁当を広げたり、芝生の上で伸び伸びと育つ姿が、地域や家庭による芝生の維持管理の大きな原動力になり、芝生の維持管理を通して、新しいコミュニティがつくられている、こういう現状を見てまいりました。地域との連携が強化されると、こうした好循環が生まれてまいります。
 維持管理支援の充実については、本年八月の我が党の自民党三多摩議員連絡協議会の予算要望でも上げているところでございますが、地域の連携協力を引き出すような維持管理支援対策の必要性が重要であるというふうに考えております。
 校庭の芝生化推進のための今後の取り組みについて、お伺いをいたします。

○前田 校庭芝生化は、学校の緑化を図るだけでなく、子供たちの自然への理解を深め、屋外での運動や遊びを促すことが期待できるなど、教育上の効果も期待できます。
 都教育委員会は、これまでも維持管理経費の補助事業を初め、専門家による技術支援や維持管理に参加する地域の方のための講座の実施、芝生の維持管理の効果的な事例を広報することなどを通じて、学校や区市町村教育委員会を支援してきました。
 今後とも、着実に校庭芝生化を実施するため、維持管理などに不安を持つ学校の実態に即した支援の充実を図ってまいります。

○栗山委員 維持管理の支援充実により、今後も着実に校庭芝生化推進をしていくということで、ひとまず安心いたしました。
 校庭の芝生の維持管理への参加を通じて、新たな地域コミュニティの形成にもつながってまいります。地域と学校が連携して子供たちの教育環境の向上を図る活動により、子供たちの豊かな人間関係を育むとともに、芝生を地域の財産として保護し活用していくことも期待できます。
 公立小学校の校庭の芝生化を中心にお伺いいたしましたが、環境面、教育面での効果が期待できることは、私立幼稚園を含む私立学校においても同様であるというふうに考えます。所管局は異なりますけれども、私立学校においても同様の課題があるものというふうに認識をしてございます。
 改めて校庭の芝生化の効果について、関係局とも連携して都民に広く周知をして校庭の芝生化を着実に推進させていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○小松委員 本日は、指導教諭の活用、そして学校リーダー育成プログラムの二つのテーマについて、それぞれ伺ってまいります。
 まず指導教諭の活用について、伺いたいと思います。
 現在の教育環境の課題の一つに、近年、経験豊かなベテランの教員が大量に定年退職され、若手の教員が急増しているといった状況があります。私の二人の弟も、まさにこの世代でございまして、わかりやすい授業をするために先輩等からなかなか学ぶ機会がなくて、日夜苦労しているといった様子はよく伺っているところであります。
 すぐれた教員の指導技術、またわかりやすい授業のノウハウの継承といったことを教員個々人の努力、研さんに委ねるのではなく、組織として形式知化を行うということは、大変重要な取り組みであると考えます。現在のこうした置かれた状況において、授業の品質を維持向上させていくということが、大きなテーマであるというふうに思っています。
 都教育委員会では、平成二十五年度から都立学校において、指導力にすぐれた教員を指導教諭として任用する制度を導入しています。改めて、この指導教諭を導入した狙いと配置の計画について伺います。

○粉川人事企画担当部長 指導教諭は、学校教育法に定める職であり、都教育委員会では、教員全体のプロ意識の涵養や能力、専門性の向上を図るため、学習指導等に高い専門性を有し、他の教員に対してすぐれた指導力を有する教員を指導教諭に任用することといたしました。
 平成二十五年度からは都立学校、今年度からは小中学校で指導教諭を導入し、以後、五年間程度で都内公立学校に合計約四百六十名を順次配置してまいります。

○小松委員 都の教育委員会は、平成二十五年度の都立学校に続き、今年度から小中学校においても指導教諭を導入したということですが、指導教諭は具体的にどのような役割を担うのか改めて伺います。

○粉川人事企画担当部長 指導教諭の具体的な職務は、自校における校内OJTとともに、みずからの授業を所属校だけでなく他校の教員にも見せる模範授業及び公開授業や、指導教諭と模範授業に参加した教員とが意見交換を行う研究協議会を通じて、すぐれた指導の方法を伝えることでございます。
 また、他の学校からの依頼に基づき、授業を観察して改善策を提案するほか、すぐれた教科指導のための教材の開発などを行います。

○小松委員 指導教諭の方が、模範授業や公開授業という実際の授業を通じて、他の教員の指導技術を高めていくという役割が期待されているということが、今のご答弁からよくわかりました。
 都立学校については、既に昨年度より指導教諭が配置され模範授業も始まっており、今年度からは、小中学校においても指導教諭が導入されているわけですが、これまで都では、どのくらいの指導教諭が配置され、模範授業や公開授業を実施してきたのか、現在までの進捗、実績を教えてください。

○粉川人事企画担当部長 都立学校では、平成二十五年度、都立高校で七名、特別支援学校で七名の合計十四名の指導教諭を配置いたしました。今年度は、新たに任用した者を含めて、小学校二十八名、中学校十六名、都立高校二十一名、特別支援学校十六名の合計八十一名の指導教諭を配置いたしました。
 模範授業、公開授業につきましては、平成二十五年度、都立高校及び特別支援学校全体で年間で模範授業を四十三回、公開授業を九回実施いたしました。
 今年度は、小中学校、都立高校、特別支援学校合わせて一学期で合計七十七回の模範授業と十九回の公開授業を実施いたしました。

○小松委員 都教育委員会は、指導教諭の配置数を計画的にふやしていくということでした。最終的には四百六十名配置するということでしたが、それは都内公立学校全校に配置するという予定ではないということでもあります。
 限られた数の指導教諭をいかに有効活用していけるかが、本事業の最も肝要なところだと思います。そのために、都教育委員会においても指導教諭を計画的に配置し、模範授業や研究協議会を通して、指導教諭のすぐれた指導方法を多くの学校に普及させることが、その狙いだというふうに認識しています。
 そのために何よりも重要なことは、各学校が校内OJTにしっかり取り組めているのか、また模範授業や公開授業から得た知見を参加された教員が、みずからの血肉化して日ごろの授業に生かせているのか、他の教員にうまく、そうした情報を共有できているのかといった点を、都の教育委員会がチェック機関としての機能をしっかりと果たすことだと考えています。
 そこで、都教育委員会として、模範授業ですぐれた指導技術を学んだ教員が各学校でどのように広めていくのか、また、校内OJTの実施状況をどのように確認されているのかを伺いたいと思います。

○粉川人事企画担当部長 都教育委員会では、指導教諭が行う模範授業や研究協議会に参加した教員が、所属校内において同一教科の他の教員に対する校内OJTにより、模範授業等で学んだ指導技術を広めていく仕組みを整えました。
 各学校における校内OJTの実施状況につきましては、小中学校は区市町村教育委員会から、都立学校は学校経営支援センターから報告を求めてまいります。

○小松委員 繰り返しになりますが、本事業の目的が実を結ぶためには、実際に指導教諭による模範授業に参加した教員が自校に戻り、しっかりと校内OJTの場などでフィードバックし、指導技術を伝承していくということが肝要であります。
 模範授業等を通じて、組織として指導教諭を活用していこうという都教育委員会の取り組み姿勢は大いに評価するものでありますが、指導教諭制度はまだ始まったばっかりで、学校現場では十分に活用されていない面もあるだろうと思いますし、また、それは当然のことだとも思います。
 今の段階で大事なことは、都教育委員会がチェック機能を果たすことで、この事業の制度を熟成させていくというプロセスにあります。制度の熟成とは、すなわち、すぐれた指導技術を持った教員が、それぞれの学校でOJTを通じて積極的に他の教員の能力を開発し合える風土、環境づくりであり、都の教育現場の総体的な品質向上だということであります。
 例えば先ほどの答弁のとおり、指導教諭の職務には、各学校の求めに応じて授業を観察し、指導助言を行うことができるとあります。指導教諭が積極的に他校の教員のところに出向いて直接意見交換や助言をすることも、初期の段階では特に効果的ではないかと考えます。都教育委員会は、指導教諭制度がうまく機能するよう学校現場を全力で支援していただきたいと思います。
 次に、学校リーダー育成プログラムについて伺います。
 近年、公立学校は、地域コミュニティの核としての役割も強く期待されており、教員と地域との接点もふえてきております。一方で、現在の教員の年代別の人口構造は、いびつな状態です。一定の経験を積み、学校リーダーとして校内外の各分野での活躍が期待される中間層のボリュームが大変薄い状況であります。
 学校教育を充実させるためには、校長や副校長である教育管理職はもちろんのこと、主幹教諭や主任教諭も含めた、いわゆる学校リーダーの存在が大きいことはいうまでもありません。学校リーダーを計画的に発掘、育成することが大変重要な取り組みとなります。
 学校リーダー育成プログラムは、都立高等学校や特別学校においても実施されているプログラムと聞いておりますが、今回は特に、多数の学校がある義務教育段階の区市町村について伺うことにしたいと思います。
 まず、この学校リーダー育成プログラムを導入した狙いについて伺います。

○加藤人事部長 教育管理職選考における受験者数の低迷が続き、学校経営の担い手である管理職の確保は課題となっております。
 このことから、区市町村教育委員会と都教育委員会が一体となり、早い時期から若手教員の管理職を目指す意識を高めて、学校マネジメント能力を育み、将来の管理職を発掘、育成していくため、学校リーダー育成プログラムを導入いたしました。

○小松委員 このプログラムの実施に当たって、区市町村教育委員会と都教育委員会が一体となって取り組んでいる具体的な内容、また先ほどの答弁にありましたが、学校マネジメント能力とは具体的にどういった能力を指すものなのか、伺いたいと思います。

○加藤人事部長 学校リーダー育成プログラムは、管理職に任用するまでの数カ年にわたって学校マネジメント能力の育成を図る研修システムです。
 具体的には、区市町村教育委員会は、将来、管理職にふさわしいと判断する主任教諭を選抜して、学校経営の基礎的な内容を学ぶ学校マネジメント講座を実施し、さらに修了者の中から特にすぐれた者を都教育委員会に推薦します。
 都教育委員会は、この推薦された者を対象に、学校経営のより専門的な内容を学ぶ学校リーダー育成特別講座を実施し、講座修了者については、教育管理職として選考した上で、推薦した区市町村教育委員会が設置管理する小中学校の管理職として任用していきます。
 なお、学校マネジメント能力とは、学校の現状を把握し、適切な経営目標を設定するとともに、組織的に課題解決を図ることで経営目標を実現し、さらに実践した教育活動の評価を行い、改善につなげることができる能力のことです。

○小松委員 そこで、これまで行われたこの講座の実施状況と効果について伺いたいと思います。また、現状を把握されている本プログラムの運用上の課題などがあれば教えてください。

○加藤人事部長 昨年度の学校マネジメント講座には、三百七十九名の教員が受講し、校長や副校長等による学校経営のだいご味、副校長のやりがいの講義や演習により、学校経営に対する関心を高めました。
 区市町村教育委員会から推薦された七十名の教員が受講した今年度の学校リーダー育成特別講座では、外部専門家によるマネジメント、リーダーシップ、コーチングの講義や演習により経営手法を学び、学校経営の理解を深めました。
 受講生の約九割が管理職になる意識が高まったと回答するなど、受講生の意識が前向きに変化していることから、効果があらわれると認識していますが、さらに効果を上げるため、今年度末に企業の経営者からの公演や企業のミドルリーダーとの意見交換を実施してまいります。
 また、今後、若手の主任教諭がさらにふえていくことから、区市町村教育委員会がすぐれた受講生を適切に選抜し育成できるよう、都教育委員会として、研修履歴等の人材情報を提供し活用を促すとともに、計画的な人材育成を働きかけていく必要があると考えております。

○小松委員 これまでの成果、また現状の課題についてはよくわかりました。区市町村教育委員会や学校と連携をして、課題については一歩ずつ着実に解決を図っていただきたいと思います。
 また、ただいまの答弁において、学校以外の企業等の外部講師から学ぶ機会を設定しているということでありました。とかく独特の教員文化の中で、将来の副校長や校長となる受講生にとっては大変必要な機会だと考えます。設定の理由について今回伺いたいと思います。

○加藤人事部長 企業経営者から、経営理念に基づいた企業戦略や人材活用の手法を学び、常に改革を推進する経営感覚に接することで、学校をさらに改善していこうとする意識の変容が促され、学校経営力の向上を図ることができます。
 また、同世代の企業のミドルリーダーとの意見交換により、組織人としての仕事に対する姿勢やキャリア形成の考え方に触発されることで、学校における自分の役割と責任を自覚するとともに、管理職を目指すという意識が高まります。
 このように、学校では得にくい知識や物の見方、考え方を学ぶことで、将来の管理職として資質、能力のさらなる向上が期待できます。

○小松委員 このように、教員を早い段階から計画的かつ意図的に管理職に育成していくということや、区市町村教育委員会と一体となって、教育管理職の発掘、育成を行うというこの意欲的な取り組みは、大いに評価できるものだと考えています。
 学校リーダーに求められる要件は、わかりやすい授業が指導できるといった技術とはまた別の能力であり、どちらの能力も子供たちの教育環境の品質向上には欠かせない両輪だと考えています。
 しかし、教育の現場はさまざまな課題にあふれております。日々子供たちと格闘されていますし、また昨今では、保護者の方々との格闘もふえているようであります。ゆえに、こうしたすばらしいプログラムも、当初の想定どおりに行くものばかりではないと思いますし、時に現場とのあつれきもあるかもしれません。
 大事なことは、このプログラムの実施を重ねながら、常に改善していただいて精度を高めていただくことだと思います。だからこそ、この都教育委員会には、運用状況をしっかりとチェックする機能として役割を果たしていただくことを期待しています。
 引き続き、指導教諭の活用、そして学校リーダー育成プログラムによる成果が確実に上がるように取り組んでいただくことをお願い申し上げまして、質問を終えます。
 ありがとうございました。

○橘委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○橘委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時二十七分散会

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