平成二十四年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第六号

平成二十五年十一月一日(金曜日)
第十一委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長秋田 一郎君
副委員長大場やすのぶ君
副委員長島田 幸成君
加藤 雅之君
松田やすまさ君
西沢けいた君
田中 朝子君
大松あきら君
徳留 道信君
堀  宏道君

欠席委員 なし

出席説明員
警視庁警視総監西村 泰彦君
総務部長太田  誠君
警務部長山下 史雄君
交通部長井上 剛志君
警備部長平井 興宣君
地域部長駒田 茂生君
公安部長松本 光弘君
刑事部長吉田 尚正君
生活安全部長石田 高久君
組織犯罪対策部長頼本 和也君
総務部企画課長茂垣 之雄君
総務部会計課長古澤 宣孝君
東京消防庁消防総監大江 秀敏君
次長救急部長事務取扱有賀雄一郎君
企画調整部長徳留 壽一君
総務部長高橋  淳君
人事部長小室 憲彦君
警防部長松浦 和夫君
防災部長村上 研一君
予防部長荒井 伸幸君
装備部長岡本 修二君
企画調整部企画課長清水 洋文君
企画調整部財務課長岡本  透君
総務局局長中西  充君
危機管理監宮崎 泰樹君
理事中村 長年君
総務部長榎本 雅人君
訟務担当部長和久井孝太郎君
復興支援対策部長西村 泰信君
行政改革推進部長鈴木  勝君
情報システム部長長澤  徹君
首都大学支援部長伊東みどり君
人事部長内藤  淳君
労務担当部長栗岡 祥一君
行政部長砥出 欣典君
多摩島しょ振興担当部長事業調整担当部長兼務矢岡 俊樹君
区市町村制度担当部長西川 泰永君
総合防災部長村松 明典君
防災担当部長早川 剛生君
統計部長中村  豊君
人権部長箕輪 泰夫君

本日の会議に付した事件
平成二十四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
警視庁関係
・平成二十四年度東京都一般会計決算(質疑)
東京消防庁関係
・平成二十四年度東京都一般会計決算(質疑)
総務局関係
・平成二十四年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十四年度東京都特別区財政調整会計決算(質疑)
・平成二十四年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算(質疑)

○秋田委員長 ただいまから平成二十四年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、警視庁、東京消防庁及び総務局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより警視庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十四年度東京都一般会計決算中、警視庁所管分を議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○秋田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○秋田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で警視庁関係を終わります。

○秋田委員長 これより東京消防庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十四年度東京都一般会計決算中、東京消防庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○徳留委員 伊豆大島での豪雨による大災害、また、東日本大震災での消防団の献身的で自己犠牲的な救援活動奮闘は、住民の身近な場所で住民を守る上で極めて重要な、かけがえのない役割を果たしていることを改めて痛感いたします。
 先日の伊豆大島での大災害の直後に現地に入って、被害の実態を視察しながら、避難所に身を寄せる被災者の皆さんの要望を聞いたときに感動したのは、消防団の皆さんに助けられたと、消防団の皆さんが来てくれなかったら助からなかった、こういう声でした。
 東日本大震災のときには、私はその直後に最大の被災地の宮城県の東部地域に入って、一年間救援活動に携わる中で、消防団の皆さんの献身的な奮闘があったとともに、逆に逃げおくれて津波にのみ込まれ、多数の犠牲者を出すという痛ましい結果を招いたことを知りました。
 消防団の役割、活動は、ボランティア的な活動でありながら、地域の身近な場所で住民を守る消防力、防災力として、特に同時多発的な火災災害が発生したときには、被害を最小限に食いとめることができるかどうか、消防団の奮闘が決定的になってくると思います。
 そこで、地元板橋で先日開催されました消防団の運営委員会での議論や、九月二十七日の総務委員会での質疑も踏まえて、消防団組織の拡充と活動強化の問題、予想される巨大地震に初動で機敏に対応して、同時多発的な火災を初期消火で食いとめるための一連の課題について質問を行い、同時に意見、要望も述べさせてもらいます。
 まず、消防力、防災力の土台を支える二十三区内の消防団員の充足率の問題です。
 ことしの四月一日時点で、定員一万六千人に対して充足率約九割と聞いています。一時期、団員がふえつつあったものの、最近、減少傾向が広がっているのではないかと思います。充足率九割といっても平均であり、実際は強弱があって、八割台、七割台のところもあるようです。先日の十月二十七日に行われました東京都消防操法大会で優勝した私の地元の板橋消防署管内の第五分団は、地元でも大きな技量を発揮している分団として有名です。しかし、充足率は六割、二十七人で頑張っています。
 そこで質問ですけれども、二十三区内の消防団員の確保のために、東京消防庁の取り組み状況と、消防団の消防力にとって大きな威力となる可搬ポンプ積載車の整備状況、今後の整備計画はどうなっているか、お答えいただきたいと思います。

○村上防災部長 東京消防庁では、特別区の消防団員を確保するため、電車の中づり広告及びトレインチャンネルなどの放映など、各種媒体を通じて広く募集広報を実施しております。
 可搬ポンプ積載車は、平成二十四年度末現在、百八十六台であり、平成二十五年度は新規に二十六台を整備し、四台を更新する計画であります。

○徳留委員 分団員の確保のための東京消防庁としての取り組み、可搬ポンプ積載車の整備状況について答弁がありました。
 私も、分団員確保の問題で、幾つかの分団の現状を聞いてまいりました。高齢化で、定年を迎えてやめた団員の後継者を確保できない、地域で頑張ってきた商店街や自営業など、消防団を支えてくれていた人たちが高齢になり、商売や仕事もやめたことを契機に団員もやめていく、そういう傾向が強まっていて大変心配だ、若い人は仕事が大変で団員になってくれないし、団員になっても活動への参加が困難で、遠慮してやめてしまう、今は団員OBに手伝ってもらって何とか活動をやりくりしている、こうした中で、女性団員の頑張りが生まれて大変ありがたいと、こうした声が寄せられました。
 地元の事業所に協力を求めて訪問している経験や、NPOの協力も得て中学校の行事に取り入れてもらって、若い人との交流にも努力している経験もあります、また、少ない報酬や費用弁償、それから消防団の運営費を、団員がもらった報酬を全部身銭を切って運営をしていると、大変だという声もありました。
 こうした問題も検討して、消防団員の確保のキャンペーンを強化してほしいと思います。
 さらに、可搬ポンプ積載車の問題では、一刻も早く全ての分団への配備が求められていると思います。しかし、分団本部施設や倉庫がないために、可搬ポンプ積載車の貸与を受けられない状況も幾つかあるとお話がありました。ぜひ分団本部施設、倉庫の増設と一体にして解決が求められているんではないかと強く感じました。ぜひこの問題の解決も強く要望しておきたいと思います。
 次に、消火活動の初動にとって決定的な一つに、消防水利の確保、拡充の問題があります。最近、この防火水槽の増設が、四十トンも百トンも、年間のテンポが十数基で大きくおくれているんではないかという実感を持っています。
 二十三区内の防火水槽の整備基準と平成二十四年度末の整備状況及び今後の未整備地域における水利整備の対策についてどうなっているのか伺いたいと思います。

○村上防災部長 東京消防庁では、震災時における市街地火災に備えた水利整備基準を策定し、特別区を一万六百九十三の二百五十メートルメッシュに区分して消防水利の整備を進めております。この基準に基づき、平成二十四年度末現在、約九八%の充足状況となっております。
 未整備地域の水利整備につきましては、引き続き関係機関等の理解を得て連携を図りながら進めてまいります。

○徳留委員 答弁では、防火水槽の整備基準に基づく到達率は一定の水準に達してきているようです。しかし、問題は、残された未整備地域が、消火の困難が予想される木造住宅の密集地域になっていることではないかと思います。二百五十メートルメッシュという面積は、東京ドームの敷地面積に匹敵します。これがまだ二百三十九カ所も未整備ということは、全部まとめた場合には、目黒区や渋谷区や中野区に匹敵する面積に、まだ空白の、基準に基づく防火水槽が空白の地域があるということだと思います。決して軽視できないと思います。
 しかも、防火水槽の整備の毎年のテンポが引き上がらずに、今のテンポで整備が推移すれば、単純に計算しても二十年近くかかってしまうのではないかという問題です。防火水槽の整備率一〇〇%は、もともとがゴールではないし、あくまでも出発点だと思います。この防火水槽の取り組みを土台にして、さらに消防水利を拡充していくことが、初期消火で火災の延焼を食いとめるためには大事になってきているんではないかと思います。
 整備率がおくれている理由に、土地取得の困難があるのか、予算の問題なのか、現状ではよくわかりません。例えば、私の地元の板橋区では、板橋消防署管内の住宅密集地域に、防火水槽がない地域が一カ所残っています。この場所は、この間、周辺で補助二六号線の拡幅工事が数年にわたって完成しました。これと一体に、この二六号線のすぐ隣にある、水道局が管理する大谷口給水所の大規模な改修がやられています。土地としては十分可能ではなかったのかと、地元でしょっちゅう通っている私の実感からの感想であります。
 なぜ、このときに防火水槽がつくられなかったのか。先ほど紹介した東京都消防操法大会で優勝した第五分団の地元です。地元としては、ぜひこの大谷口給水所を消防水利で利用させてほしいと要望していたけれども実現していないと、そういう声も寄せられています。
 最後の質問ですが、防火水槽の整備率の前進によって確実な消防水利を確保すると同時に、火災発生時にその場所に消防関係者が機敏に駆けつけて初期消火の作業に当たれるかどうか、こういう問題です。
 特に、第九回の火災予防審議会が指摘した木造住宅密集地域では、防火水槽があっても、建物の倒壊などで道路閉塞のために、消防関係者が初期消火で重要な時間内に到達できない、実際には防火水槽が有効に活用できない地域が多数残されている問題が指摘をされています。
 また、最近の第八回地震延焼危険度調査では、消防水利の有効性が大変低くて、ランク五とかランク四の消火困難地域が、二十三区でも多摩でもかなりの地域に広がっていることも指摘をされています。
 木造住宅密集地域での消防水利の有効性を向上させて、初期消火の能力向上のための東京消防庁の取り組みがどうなっているのか伺いたいと思います。

○村上防災部長 震災時におきましては、防災市民組織や地域住民により初期消火活動を行うことが重要であることから、東京消防庁では、木造住宅密集地域を重点に、スタンドパイプ等を活用した初期消火訓練を実施しております。

○徳留委員 地域の自主的な防災市民組織、これらは文字どおり、自助、共助、こういう役割を果たす大事な集団だというふうに思います。しかし、公が励まして支援をしてこそ、本当の意味での自助、共助の取り組みが前進するんではないかと考えます。
 この消防水利の拡充と有効性を向上させて消火困難地域をなくしていくのは、防火水槽の整備率を一〇〇%にすること以上に大変な仕事ではないかと思います。ぜひ関係部局との横断的な連携で、消火困難地域の解消に力を尽くしていただきたいと強く要望しておきます。
 予想される大震災から都民の命と財産を守るためには、倒れない、倒れにくい住宅建物への耐震補強の対策、燃えない、燃えにくい、燃え広がらない住宅建物への耐火対策など、災害発生時の初動での総合的な対策が不可欠になっていると思います。
 きょうは、消防団の拡充、活動強化の問題と、消防水利の拡充、初期消火の問題についてに限って質問いたしました。今後とも、災害から都民の命と安全、財産を守り抜くために、都民目線で予防を重視した、災害に強いまちづくり、安心・安全の東京をつくるために積極的な提案を行っていくことを述べて、質問を終わります。

○秋田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○秋田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で東京消防庁関係を終わります。

○秋田委員長 これより総務局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 高橋主席監察員は病気療養のため、また、村山企画調整担当部長は公務のため、本日の分科会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 次に、過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員について、総務局長から紹介があります。

○中西総務局長 公務のため、過日の分科会を欠席させていただきました幹部職員をご紹介申し上げます。
 危機管理監の宮崎泰樹でございます。総合防災部長の村松明典でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○秋田委員長 紹介は終わりました。

○秋田委員長 決算の審査を行います。
 平成二十四年度東京都一般会計決算中、総務局所管分、平成二十四年度東京都特別区財政調整会計決算及び平成二十四年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算を一括して議題といたします。
 本件については、いずれも既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○堀委員 それでは、総務局関係の質問をさせていただきます。
 平成二十四年度における防災の取り組みについてお伺いいたします。
 平成二十四年度は、東日本大震災の教訓を踏まえて、平成二十三年十一月に策定した東京都防災対応指針に基づき、首都東京を高度な防災都市へと生まれ変わらせるための取り組みを着実に推進するための予算が計上されております。
 この結果、平成二十四年四月には首都直下地震等による東京の被害想定を新たに発表し、それに基づき、十一月には東京都地域防災計画が修正されました。こうした予算が適切に執行され、実効性ある取り組みに結実させるためには、この被害想定や計画に基づいて、庁内各局が連携して、ハード、ソフト両面から着実に対策に取り組むことが必要となります。
 中でも、木造密集地域の不燃化は、緊急に取り組まなければならない、防災上大きな課題であります。
 私の地元である豊島区は日本一の人口密集地域であり、高層化もさることながら、区内全般にわたって木造密集地域が点在しており、このたびの東日本大震災を教訓としての木造密集地域不燃化十年プロジェクト等の取り組みには大いに期待をしております。
 具体的には、豊島区内でも不燃化特区四区、特定整備路線七区間を位置づけていますが、今こそ各区とともに地域の総力を挙げて改善に取り組むべきであり、私もできる限り地域での協力は惜しまないつもりでございます。少し都市整備局にまたがる部分もあろうかと思いますけれども、防災の切り口ということで、ご容赦を賜りたいと思います。
 加えて、この九月には、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定いたしました。高度防災都市の実現に向けては、東日本大震災を踏まえたこれまでの取り組みの推進に加え、オリンピック・パラリンピックの開催も見据えた上で、東京における防災上の課題の克服に向けた取り組みを一層加速させていくことが必要であると考えております。
 そこで質問いたしますが、都は、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催も見据え、平成二十四年度に策定した東京都地域防災計画に基づく取り組みを今後どのように進めていくのか、お伺いいたします。

○村松総合防災部長 都においては、昨年十一月、新たな被害想定や東日本大震災での課題なども踏まえまして、地域防災計画を修正いたしました。この計画などに基づいて、木密地域不燃化十年プロジェクトや、臨海部や区部東部ゼロメートル地帯における水門、堤防等の耐震、耐水対策を推進するなど、東京が抱える防災上の課題の克服に全力で取り組んでおります。
 特に、木密地域の不燃化につきましては、今後、不燃化特区を十二地区から五十地区へ拡大し、平成三十二年度までの間に重点的、集中的な取り組みを進めまして、整備地域の不燃化を一層加速させていくこととしております。
 また、臨海部も含め、発災時において都内各エリアで実効性あるオペレーションを実行できますよう、関係機関との一層の連携強化に向け、首都直下地震等対処要領の策定を現在進めているところでございます。
 今後も、東京オリンピック・パラリンピックを推進力といたしまして、高度防災都市づくりに向けた取り組みを着実に進めてまいります。

○堀委員 オリンピック・パラリンピックも視野に入れ、都が防災対策を着実に進めていることがわかりました。
 次に、東日本大震災の際に、東京に対して大きな課題として突きつけられたものの一つが、帰宅困難者対策であります。
 平成二十三年三月十一日には、都内で約三百五十万人もの帰宅困難者が発生し、社会的にも大きな混乱が生じました。都では、これまで、国との協議会の設置や全国初となる帰宅困難者対策条例の制定など、さまざまな取り組みを進めてきました。また、都だけでなく、各区などでも地域ごとの取り組みが行われており、私の地元の豊島区では、今月、池袋駅周辺で三千人規模の参加者による帰宅困難者対策訓練が実施される予定であり、地域を挙げた取り組みが都内各地に広がっております。
 一方、現在、特に大きな課題となっているのが、行き場のない帰宅困難者を受け入れるための一時滞在施設の確保であります。都では、平成二十四年度予算において、都立施設二百カ所に備蓄品等の整備や特設公衆電話の設置を行い、率先して七万人分の一時滞在施設を整備してまいりました。
 都の被害想定では、買い物客など行き場のない帰宅困難者は約九十二万人と推定されております。民間事業者からの協力を得て、残る八十五万人分の一時滞在施設を確保していく必要がありますが、企業の立場からすると、例えば、受け入れた帰宅困難者にけががあった場合の責任など、一時滞在施設の提供に当たってはさまざまな課題があると聞きます。
 そこで質問いたしますが、民間施設による一時滞在施設の確保に向け、都はどのように工夫しながら取り組んでおられるのか、お伺いをいたします。

○村松総合防災部長 民間施設による一時滞在施設の確保に当たりましては、区市町村と民間事業者との間での協定の締結が必要となりますが、民間事業者においては、発災時に受け入れた帰宅困難者がけが等をした場合の管理責任が懸念されております。
 このため、都では、発災時の損害賠償責任が事業者に及ばない制度の創設を、昨年十一月、国に対し提案要求するとともに、現在、専門家を交えたワーキンググループを国とともに立ち上げまして、法的な課題も含めて、解決策の検討に向けた議論を進めているところでございます。
 さらに、もう一方の協定締結主体でございます区市町村の取り組みを後押しするため、都、区、駅前協議会の三者による包括協定の締結を促進いたしまして、この八月、新宿エリアで協定を締結いたしました。今後、この取り組みを他のエリアにも波及させてまいります。
 今後とも、民間事業者の声も踏まえつつ、一時滞在施設の確保に向けた実効性ある対策に取り組んでまいります。

○堀委員 都は、帰宅困難者対策を進めるに当たり、民間事業者の協力を得るためのさまざまな工夫を取り入れ、事業を実施していることがわかりました。
 一方、平成二十四年度予算では、こうした直ちに着手すべきさまざまな対策のための予算のほか、中長期の課題を調査検討するための予算も盛り込まれております。その一つが、発災時の飲料水確保に向けた調査であります。
 東日本大震災では、広いエリアで長期間断水が発生し、発災時の飲料水確保も課題となりました。都は、こうした状況を踏まえ、応急給水槽を含む多面的な飲料水確保を調査分析するための予算を計上しました。
 そこで質問いたしますが、発災時の飲料水確保に向け、平成二十四年度における調査結果を踏まえた今後の対策についてお伺いいたします。

○村松総合防災部長 東日本大震災では、被災地におきまして給水設備の復旧が困難をきわめ、断水が広域化、長期化するなど、発災時の飲料水確保における課題が生じました。
 この東日本大震災での教訓を踏まえまして、改めて都民への給水体制の再検証を行う必要性が生じたことから、都は、給水拠点の配置状況の再検討や応急給水槽を含む多面的な飲料水確保策などにつきまして、平成二十四年度に調査分析を行ったところでございます。
 この結果、給水拠点までの距離等も勘案いたしまして、一部の地域において応急給水槽の新規整備が必要であることも明らかになりました。調査結果も踏まえまして、早期に応急給水槽を整備する必要があることから、設置場所の選定や整備のための設計など、今年度から必要な準備に着手し始めたところでございます。

○堀委員 災害時における飲料水確保は、被災者にとって、生活し続けるために必須の条件でございます。
 不断の検証を重ね、こうした都民の命を守るための取り組みをしっかりと進めていただきますよう求めまして、質問を終わらせていただきます。

○加藤委員 私からも、帰宅困難者対策について伺います。
 都が制定した帰宅困難者対策条例では、一斉帰宅の抑制を対策の柱に据え、都民や事業者における取り組みを促していますが、帰宅困難者がその場にとどまらず自宅に帰る理由の一つが、家族との安否確認ができないことであります。
 このため、帰宅困難者対策の推進に当たっては、一時滞在施設の確保を進めるだけでなく、一時滞在施設において家族との安否確認や被害状況を把握するための通信手段の確保が必要であります。
 ことしの四月に地元の墨田で、群馬大学広域首都圏防災研究センター長の片田先生をお招きして、都主催の防災セミナーを行いました。開催に当たりまして、事前に区民にアンケートをとりましたところ、東日本大震災のときに何が一番困りましたかとの問いに対しまして一番多かったのが、電話がつながらない、家族の安否がわからないとの回答を約半数の方が寄せられておりました。
 都では、平成二十四年度予算により、都立施設による一時滞在施設において特設公衆電話の整備を進めてきました。
 一方、災害時においては携帯電話等による通話が規制される可能性が高いことから、インターネット等を活用したさらなる通信環境の整備も必要であります。
 そこで、一時滞在施設において、無線LAN等の整備により通信環境整備を進めていくことが重要と考えますが、現在の進捗状況について伺います。

○村松総合防災部長 発災時において、都民に対しまして一斉帰宅の抑制など適切な行動を促すためには、家族等との安否確認や災害関係情報の収集を可能とするための通信手段の確保が必要となります。
 このため、都においては、既に一時滞在施設として指定した都立施設におきまして、特設公衆電話の配備に加えて、通信の制約を受けにくいインターネットやSNSが活用できるWiFiのアクセスポイントを年度内を目途に整備いたします。
 こうした取り組みに加えまして、区市町村や民間の一時滞在施設について、特設公衆電話やWiFi等の体制整備を、国や民間事業者を構成員といたします連絡調整会議の場なども通じて電気通信事業者に働きかけるなど、行き場のない帰宅困難者が安心して施設内にとどまれるための体制を整備してまいります。

○加藤委員 情報通信が発達した都市におきまして、家族等との安否や災害情報の収集はとても大切ですし、電気通信事業者も協力を惜しまないと思います。体制整備に向けて頑張っていただきたいと思います。
 次に、白鬚東における防災拠点の活用について伺います。
 私の地元であります白鬚東地区は、総合的な防災機能を有する拠点として開発され、地域住民の安全な避難場所や、避難者への給水のための約三千立方メートルの貯水施設などを有しています。また、白鬚東防災拠点内には、災害時に大規模な救出救助の活動拠点となる候補地があります。場所としても、発災時において火災等の危険が予測される木造住宅密集地域に隣接しており、区部東部における防災拠点として非常に重要な機能を有しています。
 ただ、候補地としての期間が余りにも長いだけに、住民も、この先どうなるのだろうという懸念を抱いております。
 そこで、改めて、白鬚東の用地を救出救助活動拠点として活用すべきと考えますが、見解を伺います。

○村松総合防災部長 都では、昨年修正いたしました地域防災計画におきまして、白鬚東地区を地域の防災上の拠点として位置づけたところでございます。首都直下地震等の際には、貯水槽などの施設を有効活用する方針でございます。
 また、現在、発災後七十二時間における自衛隊、警察、消防等の関係機関等の連携の強化を図るため、首都直下地震等対処要領の策定を進めておりまして、大規模救出救助活動拠点の活用方法について検討を進めているところでございます。
 大規模救出救助活動拠点は、関係機関が参集いたしまして災害対応を行うための拠点としてあらかじめ定めておくものでございまして、ご指摘の白鬚東地区も候補地区の一つとなっております。
 今後、首都直下地震等対処要領を年度内に策定いたしまして、大規模救出救助拠点の活用方法も含め、地域特性に応じた各機関の初動対応等を明確化し、実効性の高い災害対応を行うための体制を整備してまいります。

○加藤委員 首都直下地震等対処要領の策定とあわせて、白鬚東地区の活用方法を検討していることはわかりました。ぜひ拠点として明確に位置づけるとともに、位置づけた後は、地元区を初め、警察や消防などの関係機関による訓練もしっかりと行っていただきたいと要望いたします。
 そして、将来は、災害拠点病院が近くに建設されるようになれば、自衛隊、警察、消防等の各救出救助機関とスムーズに連携がとれて、多くの人命を救うことができると思いますので、私なりに各所に働きかけていきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○西沢委員 私からは、都庁の情報セキュリティー対策についてお伺いをいたします。
 東日本大震災以降、きょうも議論になりました防災などについての議論がありますが、スマートフォンの普及であったり、フェイスブックやツイッター、それからソーシャルネットワーキングサービスなどの拡大によって、ますますこうしたことが問題となっております。そうした観点から、内部の問題について議論をしていくことが重要ではないかと思いまして、取り上げさせていただきたいと思います。
 東京都は、その業務の性質上、膨大な個人情報を有しているわけでありますが、都民の重要な財産でございます個人情報を預かる都庁の情報システムにおいて個人情報が流出することとなれば、多大な損害をかけるだけではなく、都庁への信頼も大きく崩れることとなります。ITを取り巻く技術の環境が日々変化するという中で、個人情報の流出などの事故が依然として発生している。こうした状況を踏まえると、情報セキュリティー対策の強化が喫緊の課題であるというように考えます。
 そこで、まず初めに、都庁全体の情報セキュリティー対策について、どのように取り組んできたのかをお伺いいたします。

○鈴木行政改革推進部長 都では、情報セキュリティー対策の強化を図るため、平成十九年度に情報セキュリティーポリシーを全面改定し、全庁統一の基本方針を定めました。改定を契機に、情報漏えいや不正アクセスなど、さまざまなリスクへの対策や緊急時の連絡体制の整備、情報資産の重要度による分類や管理方法について明確化しております。
 平成二十年度には、職員への教育、啓発の充実を図るため、情報セキュリティー基本方針を策定し、重要な情報の取り扱いについて、職員一人一人の意識改革の徹底に取り組んでおります。
 また、多くの個人情報を取り扱う職場では、複数チェック体制を構築し、計画的に内部監査を実施することで必要な改善を図っております。
 さらに、情報セキュリティー対策の一層の強化を図るため、数次にわたってセキュリティー対策基準の改定を行いました。特に、USBメモリーなどの外部記録媒体については、原則として持ち出しを禁止いたしますとともに、認証機能を付与するなど、特段の対策を講じたところでございます。
 また、情報処理に係る全ての委託契約に関して、受託事業者が遵守すべき事項を定め、外部委託先への適切な監督を行っております。
 情報セキュリティーに係るリスクは日々変化しているため、対策の実効性を継続的に見直し、情報管理体制の徹底を図っているところでございます。

○西沢委員 個人情報が流出するケースとしては、内部における管理が不十分なことにより流出する場合と、それから外部からの不正アクセスにより情報が抜き取られる場合の二つが考えられるわけでありますが、ほとんどのケースは内部からの流出というのが主でございまして、今答弁がありましたとおり、平成十九年度に情報セキュリティーポリシーを全面改定されたというようなことでございます。
 平成十九年の改定後に、東京都において個人情報が流出したケースというのを新聞紙面からいろいろ洗ってみますと、まだまだたくさんの情報の流出というものがございます。二〇一一年九月には、地権者情報のUSBメモリー紛失ということで、建設事務所の職員から情報が流出したという話であったり、それから、三十代職員、公社のエネルギー情報の紛失であったり、それから精神疾患九百三十六人の個人情報紛失、東京都精神保健福祉事務所と。これも、いずれもUSBメモリーなどを紛失することによって情報が表に出てしまうというようなことでございます。ピークからしてみれば減少傾向にあり、昨年度は二件あったというように聞いております。特に、学校職員の方々によるUSBメモリー紛失なども多いというようなことは依然として見かけるわけでございます。
 こうした個人情報の流出というのは、職員の不注意によるところも多いのではないかと思いますが、東京都として、情報セキュリティーの事故の未然防止について、具体的にどのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。

○鈴木行政改革推進部長 情報セキュリティー対策の強化は、規程類の整備やコンピューターウイルス対策といった技術的対策もさることながら、ルールや技術を個々の職員に周知徹底することが最も基本的かつ重要であると認識しております。
 具体的には、毎年度、各局でセキュリティー教育に関する実施計画を策定し、全職員を対象とした研修に取り組んでおります。その一環として、平成二十二年度からはeラーニングによる研修も取り入れております。
 情報セキュリティーの指導を担う職員や内部監査を行う職員に対しては、最新の実例に基づく具体的な研修を実施するなど、職員のスキル向上を図っております。加えまして、セキュリティー情報を一元的に共有するデータベースを設置し、全庁に対して迅速かつ的確な注意喚起を促しますとともに、情報セキュリティーポケットメモを職員が携帯することにより、遵守事項の確認、情報連絡体制の徹底に努めております。
 さらに、全庁的な取り組みを推進するため、情報セキュリティ・個人情報安全管理強化月間を設定し、都庁の全職場において所属職員への教育研修や自己点検を実施しているところでございます。

○西沢委員 情報セキュリティー対策は、システム面からの対策だけではなく、人的な対応が重要であると認識をしているところでございます。今の答弁のように、職員に対する内部のセキュリティー教育や意識啓発を図るというために取り組みを行っているということは、これは十二分に評価ができるところであると思います。しかし、こうした取り組みというのはルーチン化することが自明でありまして、東京都として、常に新しい視点からしっかり取り組んでもらいたいというように思います。
 一方、内部からの情報漏えいのみならず、最近では、外部からインターネットを通じて、個人情報や機密情報の詐取、それからホームページの改ざんなどを目的とするサイバー攻撃が増大しており、政府機関や民間の防衛産業などでの被害も報道されているところであり、これは一般の都民の皆様からも心配の声が寄せられているところでございます。
 決算ということもございまして、昨年、平成二十四年度の都庁におけるサイバー攻撃の状況についてお伺いをいたします。

○長澤情報システム部長 平成二十四年度の都庁におけるサイバー攻撃の状況ですが、九月に、不正アクセスの集中によりホームページが一時的に閲覧しにくくなる事態が発生したほか、ウイルスの仕掛けられた標的型メールが送りつけられるなどのサイバー攻撃を受けておりますが、いずれの状況におきましても、情報漏えいや改ざんなどの重要な被害には至っておりません。

○西沢委員 情報漏えいなどの被害はなかったというようなことでございますが、被害の有無というのは紙一重でございます。
 最近のサイバー攻撃では、巧妙な成り済ましメールを送りつけてウイルスに感染させ、個人情報などの機密情報を抜き取るような手口がたくさんあるというようなことがございます。仮に、一台でもパソコンがウイルスに感染してしまうだけで、ネットワークを通じて重要な情報というものが拡散してしまうというような危険性がございます。
 今も話があった標的型メールでございますが、標的に向けて悪意を持って、明確な意図を持って送りつけるというのが標的型メールというようなものでありまして、ばらまくようなものではありません。今後もあると思われる標的型メールに対する東京都の取り組みについてお伺いをいたします。

○長澤情報システム部長 標的型メール攻撃への対策といたしまして、システム面での技術的なセキュリティー対策を講じるとともに、運用面では職員に対する標的型メールへの対応訓練や研修を実施するなどの取り組みを進めているほか、緊急時に迅速な対応が図れるよう、国や警視庁などとの情報連絡体制を確保しております。
 近年、サイバー攻撃の手法も巧妙かつ多様化していることから、新たに送信元を詐称する成り済ましメールへの技術的な対策を導入するなど、さらなる取り組みの強化を図り、サーバー攻撃から都庁の情報資産を守り、都民サービスと都政の安定運営の確保に努めてまいります。

○西沢委員 今、標的型メールに対する対応をお聞きいたしましたが、警察庁の発表で、標的型メールというのが少なくなって、これからやりとり型のメールというようなものが、やりとり型の攻撃というものがふえていくのではないかと、こういった指摘がございます。というのは、さらに発展をさせて、例えば、都庁の窓口への相談であったり、問い合わせを装って、最初にメールでのやりとりをしていくと。そうした関係を築いた上で、その関係に合ったメールを送りつける、それがウイルスであるというような、非常に巧妙に、また、悪意を持ってやっていく、こうしたやりとりをした、やりとり型の攻撃というものが今後ふえていくというような指摘がございました。
 サイバー攻撃の手法というのは、こうしたように年々巧妙化してきておりまして、これまでの対策に甘んじることなく、新たな攻撃にも明確に対応できるよう、引き続き取り組んでいただきたいというように要望させていただきます。
 そして、ホームページへの攻撃があった昨年九月でございますが、これは、石原前知事が尖閣諸島問題で発言をしまして、これで国際的な注目を集めた時期と一致しているわけであります。
 つまり、石原前知事の発言によって一気にアクセスがふえるというようなこと、攻撃がふえると。知事の意向であったり、それから東京都の意向であったりというものによって外部からの攻撃というものがふえる、そうした懸念材料もあるというようなところがあります。
 これはどういうことかというと、二〇二〇年オリンピック・パラリンピックの東京開催決定によって、ますます世界中から東京都への注目が集まり、サイバー攻撃の危険性も高まるであろうということ、こうしたことが予想されるわけであります。改めて、こうしたサイバー攻撃への対策強化を要望させていただきたいと思います。
 セキュリティー関連の最後に、ウィンドウズXPのサポート終了への対応について確認をしておきたいと思います。
 ウィンドウズOSのうち、このウィンドウズXPは三世代前のバージョンでありまして、マイクロソフト社が来年四月をもってサポートを終了するというようなことになっております。サポートが終了すると、今後XPに新たなふぐあいが見つかっても、それを修正するプログラムが作成、配布されないため、セキュリティー上、大きなリスクを抱えるというようなことになります。
 一昨日の新聞報道によりますと、都内でも二十一区市村で、XPの期限切れを迎えて対応に苦慮しているというようなことが報道されていたわけでございます。
 そうした中で、都庁で使用しているパソコンの大部分でもウィンドウズ、マイクロソフト社を採用していると伺っているわけでございますが、都庁におけるパソコンのウィンドウズXPのサポート終了に向けた対応状況についてお伺いをいたします。

○鈴木行政改革推進部長 ウィンドウズXPは、メーカーによるサポートが来年四月で終了するため、情報セキュリティー確保の観点から、他のバージョンへ切りかえるなどの対応が必要と認識しております。都庁の基幹ネットワークに接続されている事務用パソコン、約四万五千台については既にバージョンアップを終了し、ウィンドウズXP対応のものは残っておりません。
 しかし、各局が事業を実施する上で独自に調達、設置しているパソコンの一部につきましては、現時点でウィンドウズXPを使用しているものがございます。これらのパソコンは、原則として基幹ネットワークとは接続しておりませんが、さらにインターネットなど外部と接続しないことを徹底させるとともに、各局においてできるだけ速やかにバージョンアップを終えるよう指導し、都庁の情報セキュリティー対策に万全を期してまいります。

○西沢委員 インターネットに接続している職員の事務用パソコンにおいては、既に対応が終了しているというようなことでございました。しかし、そのほかのパソコンについては、一部にXPを使用しているというようなことが今の答弁でもありましたが、来年の四月のサポート終了に向けて対策をしていただきたいということは、もちろん要望させていただきたいと思います。
 このウィンドウズXPというのは、使っているうちは、そんなに、ふぐあいは業務に支障を来すほどのものではありません。以前のXP、その前であったMeであったり、それから98の時代から使っている、バージョンが上がっていかなければソフトが追いつかないという時代ではなくて、実は十二分にXPでも業務ができるというような状況があります。
 そうした中でサポートを終了するので、こうした問題になっていると思います。つまり、局が把握をしていないところでXPが使い続けられるというような状況が十分にわかると。
 先ほどの話にもありますが、九九%のセキュリティー対策をしていたとしても、その残りの一%が脆弱性を発見されて、例えばウイルスに感染をして、それが全体に広がっていくというようなことは十二分に考えられるわけでありますから、今の答弁にあるように徹底をしていく、それから指導をしていくというようなことを改めてきちんとしていただきたいということを要望して、それから、万全な対応というものは当然あり得ないという認識を持つということも重要だと思います。
 最後に、平成十九年にポリシーが改定されたわけでありますが、それから五年がたちました。この見直しも含めた柔軟な対応を情報セキュリティーにおいてしていただきたいということを要望して、質問を終わらせていただきます。

○田中委員 私からは、指定管理者制度についてお伺いをいたします。
 二〇〇三年九月施行の改正地方自治法によって指定管理者制度が導入されて、ことしで十年になりました。官から民へという地方分権の流れによって、それまでは地方自治体の出資法人とか公共団体、また、公益法人等に限定されていた、いわゆる公の施設の管理運営に、民間企業やNPOなど幅広い団体が参入する道が開かれたわけです。
 全く新しい制度の導入で十年間、都の皆さんも制度の活用にいろいろと模索や試行錯誤等がおありだったと思います。この施設の管理者の指定も二巡目に入ったところも多いと思いますけれども、十年たった指定管理者制度のこれまでの評価や今後のあり方について、何点かお聞きをしたいと思います。
 まず、ことし九月に当該年度、平成二十四年の指定管理者管理運営状況評価結果が公表されています。ここの総務局所管の施設では、指定管理者制度を導入しているのは平成十八年、二〇〇六年から指定管理者の管理が始まった人権プラザになるわけですけれども、この九月に公表された評価結果では、管理運営が良好というA評価になっています。また、ここ四年の管理運営状況評価結果は、毎年Aという評価になっていますので、適切で良好な管理が行われているということを認識しております。
 この人権プラザへの指定管理者導入、七年前から行われたわけですけれども、その導入前と導入後では、どこがどのように変わったのか、また、利用者からの評価はどのようなものがあるのかを最初にお聞きします。

○箕輪人権部長 東京都人権プラザは、人権に関する資料展示や相談、都民の活動場所の提供などを行う、人権啓発の拠点として設置されたものでございます。平成十八年度から東京都人権啓発センターが指定管理者となり、現在は二期目、五年間の指定管理期間にございます。
 指定管理者による管理運営に移行した後、同センターは、五年間の長期的視点に立って事業展開できるメリットを生かして積極的に企画提案を行い、常設展示に加えまして、その時々の社会状況を踏まえた企画展示の開催、都内の企業や学校等と連携した学習会の実施などの実績を高めるなど、事業内容は年々充実してございます。その結果、人権プラザの利用者数は、平成十七年度以前に比べて増加しております。
 また、館内清掃や設備管理等の建物維持管理につきまして、業者と五年間の委託契約を締結することなどによりまして、管理運営経費の削減が図られております。
 利用者の皆様からは、さまざまな人権課題を学ぶことができた、館内が清潔であるなどの声が寄せられておりまして、平成二十四年度の調査結果では、九八%の利用者の方が施設全体について満足とお答えいただいております。

○田中委員 ありがとうございます。
 行政コスト削減という意味でも、それからサービスの向上という意味でも、以前に比べてよくなったということだと思いますけれども、今ご答弁の中にありました人権プラザの指定管理者である公益財団法人東京都人権啓発センター、ここが、この人権プラザの指定管理者に選定されたというのは、どのような理由でしょうか。

○箕輪人権部長 東京都人権プラザは、都の人権啓発の拠点として、都民の人権意識の高揚を図る重要な役割を担ってございます。その指定管理者には、東京都との密接な連携を確保する必要がございますとともに、人権教育及び人権啓発の推進に関する法律によりまして、中立性の確保が求められております。
 東京都人権啓発センターは、これまでの都の人権施策を補完、支援する監理団体として、人権全般にかかわる教育及び啓発、人権相談等の事業を多角的に推進してきておりまして、都の指導監督のもと、中立公平な立場から業務を遂行できる唯一の団体でございます。
 こうしたことから、特命選定により指定管理者としているところでございます。

○田中委員 今、人権プラザの指定管理者である公益財団法人東京都人権啓発センターが特命選定されているということをおっしゃったと思いますけど、この特命選定というのはどのようなものなのか、また、その選定の基準というのがあるんでしょうか。また、ほかの東京都の施設の指定管理者について、指定管理者が導入されているのは全部で二百十施設あるとのことですけれども、その中で特命選定になっている事業者がどれぐらいあって、どういった施設がその対象になっているのか、また、特命選定となっている理由は何かをお伺いします。

○鈴木行政改革推進部長 指定管理者の選定は公募を原則としておりますが、東京都指定管理者選定等に関する指針において、都の政策と密接な関連のある施設など、特定の事業者に業務を任せることが適切な場合には、特命により指定管理者を選定することを可能としております。
 例えば、自然公園など、山間や島しょにあり、担い手がほかにいないと想定される施設、また、社会福祉施設など、民間移譲等の方針が決定している施設、また、災害時に避難所などとして使用される防災公園など、政策との連動性及び管理の特殊性が強く、監理団体による管理が適切である施設、さらに、施設改修が予定されており、通常の施設運営ができない施設などがございます。
 現在、二百十施設ある都の指定管理者制度導入施設のうち、九十三施設が特命により選定されております。

○田中委員 大体、特命選定の施設が五割弱というぐらいだと思います。
 先ほども申しました指定管理者管理運営状況評価結果によりますと、この当該年度のですね、評価がS、これは管理運営が優良であり、特筆すべき実績、成果が認められた施設というS評価、これが二百十施設中二十二施設あります。非常に評価ができると思いますけれども、これはどのような取り組みが評価をされたのか。代表例で結構ですので、教えていただければと思います。また、このS評価はここ数年でふえているのかどうかということもお伺いをいたします。
 また、一方で、評価がB、これは管理運営の一部において良好ではない点が認められた施設というB評価、それになったのが二施設あります。B評価になったそれぞれの理由、また、その対応などをお聞かせいただければと思います。

○鈴木行政改革推進部長 S評価を受けた施設についてでございますが、主なものとして、高い専門性、技術力を発揮し、歴史ある庭園としての高度な維持管理を行った六義園などの文化財庭園や、展覧会を企画し、当初目標の一九四%、歴代三位の入場者数を記録した現代美術館などが挙げられます。
 また、S評価の施設数の推移につきましては、平成二十二年度三十施設、二十三年度十施設、二十四年度二十二施設となっております。平成二十三年度から二十四年度への施設数の増は、前年度に評価が下がった施設を中心に、指定管理者が創意工夫を図りながら経営努力を行った結果によるものでございます。
 一方、B評価の施設は、日比谷公園及び多摩動物公園であります。日比谷公園は施設の利用手続に不備があったこと、多摩動物公園は安全管理上の不手際から事故が発生したことによるもので、各施設とも指定管理者が所管局と調整しながら再発防止策を策定、実施し、速やかな対策を講じたところでございます。

○田中委員 ありがとうございます。
 S評価がふえているというところで、非常に評価ができると思いますけれども、指定管理者制度導入の目的というのは、そもそもは行政コストの削減と公共サービスの質の向上というところだと思います。この行政コスト削減効果というのは数字にあらわれてくると思いますけれども、公共サービスの質の向上というのは、なかなか数字ではあらわせないと思います。
 指定管理者制度導入前と後の、利用者に対するサービス向上に関する評価調査のようなものはしていらっしゃるんでしょうか、お伺いします。

○鈴木行政改革推進部長 東京都指定管理者管理運営状況評価に関する指針に基づきまして、指定管理者の提供するサービスを利用者の目線から評価し、よりサービスの質を向上させていくため、全ての施設において、施設の管理状況、事業内容、職員の対応などの観点で利用者アンケートを実施しております。アンケートの評価結果や寄せられた利用者の声は、各年度の管理運営状況評価に反映させますとともに、次年度以降のサービス向上の取り組みにつなげていくこととしております。

○田中委員 今現在、都の公の施設のうち何割ぐらいが指定管理者制度を導入しているんでしょうか。
 当初、二〇〇三年から二〇〇六年の間にどちらにするかを決めるといった移行期間があったと思いますけれども、指定管理者制度を今、導入していない施設というのはどのようなものがあって、その理由は何か、また、これから指定管理者の導入が予定されている施設はあるんでしょうか。
 また、逆に、直営に戻したり、ほかの制度への切りかえなど、制度適用の見直しを予定している施設はあるのかお聞きをいたします。

○鈴木行政改革推進部長 現在、東京都には三百を超える公の施設がございまして、このうち約六割に当たる二百十施設に指定管理者制度が導入されております。
 指定管理者制度が導入されていない施設としましては、例えば、島しょ地域における港湾や調布飛行場などがあり、これらの施設は、立地条件により担い手がないこと、業務に高度な専門性が要求されること、周辺自治体との綿密な連絡調整が必要なことなどから、都が直接運営しております。
 指定管理者の選定は、指定管理者選定等に関する指針に基づき、各施設を所管する局が行っておりまして、制度の新規導入や見直しの可否につきましても、施設の特性や、施設を取り巻く社会環境、法制度の変化などを勘案し、総合的に判断しております。
 これまでも、社会福祉施設や海上公園において、民間事業者や特別区への施設移譲が行われておりまして、今後も、施設ごとの特性などを踏まえ、各局において適切に判断してまいります。

○田中委員 大体、六割ぐらいに制度が導入されているということです。
 この指定管理者制度ができて十年、東京都でも非常に多岐にわたる施設が指定管理者制度を導入されていると思います。十年たって、いろいろ創意工夫をされてきたと思いますが、これから公共施設運営の目的といったものを、ミッションステートメントという言葉が当てはまりますけれども、こういった明確な策定をするなど、新しい考え方も必要ではないかと思います。
 ちょっと二十三区の例で恐縮なんですけれども、千代田区立の図書館では、千代田区というのは、ご存じのように昼間の人口が圧倒的に多い、お勤め人の方々が多いというので、普通の図書館とは目的を全く別にしまして、貸し出し中心にするのではなくて、情報センター中心にするという、日本で初めてのミッションステートメントを最初に策定して、そして指定管理者制度を導入した。今はコンシェルジュデスクとか、こういったものもある、あとは神田の古書店街との連携もしているという図書館になっているわけですけれども、こういった、昼間人口が圧倒的に多いという特殊な状況に合わせた、この施設の役割はどうあるべきかということを考えて特化させた例の一つだと思いますけれども、こういった工夫も、これからは特殊な施設というのもあると思いますので、考えていくことも必要ではないかと思います。
 これからも、まだまだその形が変化をしていくと思いますけれども、今、十年たって、東京都における経営改革手法としての指定管理者制度に対する全体的な評価をどう考えていらっしゃるのか、また、指定管理者制度を今後どのようにしていくべきと考えているのか、お伺いをいたします。

○鈴木行政改革推進部長 都は、公の施設における効率的、効果的な事業執行を図るため、指定管理者制度の導入を進めてまいりました。平成二十二年には、全ての指定管理者を対象として調査、検証を行った上で、適切な指定管理者の選定、良好な施設運営の継続などの観点から、規程類の改正を行ったところでございます。
 主な内容としましては、優良な管理者の再選定につなげるため、管理運営状況評価の実績を次期選定の審査に反映できるものといたしました。
 また、選定及び管理運営状況評価の透明性や公平性を担保するため、選定委員会及び評価委員会の委員に過半数の外部委員を含めることとしております。これらの制度改革を通して、都民サービスの一層の向上が図られるとともに、施設のより効率的、安定的な運営が行われていると評価しております。
 今後とも、民間でできることは民間に委ねるとの原則に立ちつつ、都施設としての政策目的の実現、都民サービスの一層の向上に資するよう、指定管理者制度の不断の見直しを行いまして、制度の適切な運用に努めてまいります。

○田中委員 どうもありがとうございます。
 先ほどのご答弁で特命選定のことがありましたけれども、それが、割合が大体四五%ちょっとということでした。ということは、本来は、指定管理者制度の目的というのは、コスト削減とか行政サービスの向上ですけれども、その前提に民間の競争原理を入れるということがあるわけです。となると、特命選定というのが多いということは、本来の指定管理者制度にはなじまない施設が多いともいえるのではないかと思います。
 しかし、官から民への流れを逆行させることはできませんし、今最後のご答弁にもありましたけれども、平成二十二年に調査、検証をなさって、そして管理運営状況評価の実績を次期選定の審査に反映するとか、また、外部委員を過半数にするとかといった、非常な工夫とかご努力をなさっているということをお聞きいたしまして、非常に評価ができることをなさっていると思います。
 この十年間で、さまざまな活用をなされるようになったと思いますけれども、恐らく当初の行政側の懸念よりも効果はあったのではないかと思っています。施設の管理を民間事業者とか地域に開放したということは、経費の節減という効果もありますし、公共サービスの向上もありますけれども、これは、長いこと持続できる協働型社会とか参加型社会のシステムの基盤づくりの重要な手段にもなってきているのではないかと思いますし、また、行政の皆さんの考え方も非常に変わってこられたのではないかと思います。
 ぜひ、東京都でこういった官から民へという流れでいろいろおやりになってきた中で、今後、その流れの第三の道というか、第三の形を国に逆提案するぐらいのことも、地域主権の観点から行っていってもいいのではないかと思いますので、今後ともぜひ進めていっていただきたいと思います。
 以上で終わります。

○大松委員 私からは、平成二十四年度東京都一般会計決算のうち、災害対策につきまして伺います。
 決算書類によりますと、災害時の飲料水を確保するために、容量一千五百立方メートルの応急給水槽が区部で四十六基、多摩で七基、また、容量百立方メートルの小規模応急給水槽が区部で二十二基、多摩で三基、大小合わせて七十八基の応急給水槽の維持管理が行われております。
 こうした応急給水槽に加えまして、浄水場、給水所も合わせて、避難、被災者に飲料水を提供する給水拠点が、平成二十五年四月一日現在で二百三カ所、そこで確保できる水量は九十九万六千七百九十立方メートルということで、一千二百万都民に一日三リットル、四週間分という計画になっております。
 そこでまず、首都直下地震等の際、想定している断水率と水道復旧までにかかる期間について伺います。
   〔委員長退席、大場副委員長着席〕

○村松総合防災部長 昨年四月、都が公表いたしました首都直下地震等による被害想定では、上水道における都全体の断水率は最大で四五・二%と想定されております。区市町村別に見ますと、首都直下地震では区部東部や沿岸地区などで、また、元禄型関東地震では震源域に近い城南地区や南多摩などで被害が大きくなっております。
 また、断水被害の復旧に要する期間につきましては、阪神・淡路大震災以降に発生した既往の大規模地震災害時には、いずれの場合にも一カ月以上を要しております。

○大松委員 断水率は約四五%、復旧まで一カ月以上という想定で、東京都全体で飲料水を確保していくということでありますけれども、それを実効性あるものにしていくためにも、まず、やはり給水拠点が災害時に損壊しないように、耐震化を万全にしていかなければなりません。また、壊れた水道管から給水槽に濁り水などが入らないように、緊急遮断弁を改良するなどの対策も必要でございます。
 平成二十四年度決算書類では、緊急遮断弁を遠隔操作で閉鎖できるようにする改良が十一基分行われておりますけれども、こうした対策を着実に進めていくように求めておきます。
 また、応急資器材の配備などにつきましては、執行率が四九%にとどまっておりますけれども、着実に行うように要望をしておきます。
 一方、現在、給水拠点は二キロメートルの距離内に一カ所という目安で設置をされておりますので、仮に飲料水の提供が給水拠点からだけであれば、被災者は、二キロメートル歩いて、重い水を持って、また歩いて帰るということになりまして、ご高齢の皆様方にとりましては、飲料水の確保が事実上困難ということになります。
 そこで、被災地の隅々まで確実に飲料水が行き渡るようにしていくためには、こうした給水拠点とともに、地域に身近な小中学校などの避難所で飲料水を提供できる体制を整備していくべきであります。
 都の所見を伺いまして、質問を終わります。
   〔大場副委員長退席、委員長着席〕

○村松総合防災部長 災害時に都民の命を守るためには、飲料水の確保が極めて重要となります。
 都は、都民や事業者に対しまして三日分の飲料水備蓄を呼びかけるとともに、従来から、都内各地に応急給水槽を初めとした給水拠点を確保しております。
 加えて、現在、避難所等におきます飲料水確保について、水道管路の耐震継ぎ手化を優先的に進めることで確実な給水を図るほか、全国清涼飲料工業会との協定に基づきまして、区市町村と連携して容器入り飲料を提供する仕組みを構築しております。
 さらに、地域の状況に応じて、区市町村と連携しながら給水車や仮設給水栓による応急給水を実施するなど、災害時においても着実に飲料水が確保できるよう取り組んでまいります。

○島田委員 私からは、首都大学東京の決算を中心にお伺いをしたいというふうに思います。
 国立大学は九年前の平成十六年に一斉に法人化され、公立大学は地方自治体の選択に委ねられておりますが、年々、地方独立行政法人に移行する大学がふえております。これは、一連の大学改革の中での施策でありますが、公立大学であっても大学の独立性、自主性を強化しながら大学を運営することが重要という時代の要請だと考えております。
 これら観点から、首都大学東京も八年前に独立行政法人化され、大学改革に取り組んでいるところというふうに聞いております。また、首都大学東京の運営においては、都民の貴重な税金が使われているわけでありますので、大学は、その教育、そして研究成果が都民に貢献しているものでなければならないというふうに思います。
 今回、決算に当たり、大学におけるさまざまな業績、財務内容を拝見しまして、首都大学東京の経営内容について考えていきたいというふうに思います。
 まず、大学の収支についてお伺いいたします。
 平成二十四年度の経常収益の概要についてお伺いいたします。

○伊東首都大学支援部長 公立大学法人首都大学東京の平成二十四年度の経常収益は、二百五十二億二千四百万円でございます。
 主な内訳は、東京都からの運営費交付金が百五十四億一千七百万円で六一・一%、授業料等が六十一億四百万円で二四・二%、外部資金が十一億九千万円で四・七%となっております。

○島田委員 ご答弁いただきまして、ありがとうございます。
 収益というか、収支の収入の方ですけど、大体収入の六割が東京都からの繰入金ということであるというふうに思います。これは経常収益でございますので、その他の、例えば土地だとか建設費だとか、そういうものは東京都が負担していると思いますので、そういうものを組み入れると、この東京都の繰り入れ、お金を支出している割合、非常に大きいのかなと、そのように思っております。
 収入の方で授業料の方でありますが、これは、昨年度は六十一億ということで安定しておりまして、学生の募集、今、各大学は大変苦労しているところもあろうかと思いますが、そういう点では、首都大学東京は高大連携などが進み、しっかりと学生の募集はできているということで、その点は評価できるのかなというふうに思っておりますが、課題は外部資金の金額が、割合が低いということだというふうに思います。
 事前にちょっと資料をいただいたんですけれども、平成二十年度は十八億円余で大体収入の七・四%であったものが、先ほどご答弁にありましたとおり、十一億九千万円ということで四・七%に減っております。
 例えば、ちょっとレベルは高いですけれども、東京大学、国立大学でありますが、この大学は、平成二十四年度の外部資金は五十五億円、総収入の二五・八%、同じ都道府県立、大阪府の府立大学では三十億円余で、大体一四・二%の割合を占めているというようなところでございまして、今後は、企業との共同研究などをふやして、外部資金の受け入れを促進すべきだというふうに考えております。
 現在の首都大学東京における外部資金の受け入れ状況と、その課題についてお伺いいたします。

○伊東首都大学支援部長 首都大学東京は、平成十七年度に産学公連携センターを設置し、コーディネーターを配置するなど、研究成果の発信や企業ニーズの収集、都や区市町村との連携、交流に取り組んでおります。
 平成二十四年度の外部資金の受け入れ実績を見ますと、主に企業を相手とする共同研究、受託研究などは二百四十二件、三億一千四百万円、国等が行う公募に研究課題等を提案して行う提案公募型研究が六十三件、二億六千七百万円、東京都との連携事業による受託事業が十三件、三億一千百万円など、合計で三百四十件、九億七千八百万円となっております。
 これを平成二十三年度の受け入れ実績と比較しますと、件数は変わらないものの、大型研究プロジェクトの終了などにより、受入金額は一億四千二百万円の減となっております。
 首都大学東京の産学公連携センターにおいては、今年度から教員の研究活動を包括的に支援し、研究成果の活用促進を図るための体制をさらに強化しており、今後、これまで以上に積極的に大学の研究シーズのPRや企業等とのマッチングに取り組み、外部資金の増加を図っていくこととしております。

○島田委員 ご答弁にありましたとおり、昨年度から見ると一億四千二百万円減少しているということでありますが、今ご答弁いただいたように、今後、この外部資金の増加に取り組んでいくということなので、今年度の取り組みに期待をしたいというふうに思っております。
 特に、東京都からは三億円程度の受託事業を首都大学は受けております。東京都のシンクタンクとしての役割は大変重要であります。ご答弁にありました産学官の連携を図っているということで、その産学官の学の部分では非常に重要な役割があるというふうに思いますので、こうした取り組みをベース、基礎にしながら、さらなる外部資金の獲得に取り組まれたいというふうに思っております。
 そのような中で、外部資金を導入する、そうはいっても、なかなか景気も厳しい中、外部資金を導入するインセンティブ、特に教授の先生方、教員の皆様方に、そういうインセンティブが必要なのかなというふうに思いますが、首都大学では教員の人事考課などに研究の成果や共同研究などの成果が反映される仕組みが必要と考えております。見解をお伺いいたします。

○伊東首都大学支援部長 首都大学東京では、教育研究水準のさらなる向上を図るため、平成十八年度より教員の評価制度を導入いたしました。この教員評価は、教育、研究、社会貢献、組織運営の四領域及び総合評価から構成されておりまして、研究活動や産学公連携などの取り組みの成果も評価する仕組みとなっております。
 また、すぐれた研究活動を行う教員に対する表彰を行い、教員の意欲を高めております。

○島田委員 今、制度の方は導入されているということでありますが、実際は外部資金の獲得が年々少なくなっているということで、この制度の実効性をより高める必要があるというふうに思います。
 今現在、ご答弁のように、研究の成果は、大体そういう先生方の賞与のところに反映されているということでございます。話をお伺いすると、本当にいいと、大体賞与のところで五十万円程度の差が出るというふうにあると思いますが、もっと評価してもいいかなと。もっと研究、外部資金を多く得て、一生懸命頑張っている先生には、もっと評価を高くしてあげていいのかなというふうに思いますし、研究の成果というものは、主に賞与の方に反映されていて、お話をお伺いすると、給与の方は、ちょっと成績が悪いと一ランク下がるというようなことであります。
 例えば、業績が毎年毎年いい先生方には、給与が、少し号俸が上にぽんと上がるというような昇給制度等、そのようなインセンティブを働かせて教員の研究意欲を高め、そして外部資金をふやす取り組みを実施していただきたいなと、そのように思っております。
 この外部資金の受け入れでありますが、今は研究資金をお尋ねしましたが、寄附金があると思います。寄附金を募集していると思われますが、その現状、そして取り組みについてお伺いいたします。

○伊東首都大学支援部長 公立大学法人首都大学東京における寄附金には、企業等から特定の研究内容の奨励を目的に寄附される特定研究寄附金と、個人や団体から大学の学生教育や学術研究の充実、発展を目的に寄附される一般寄附金とがございます。
 平成二十四年度における特定研究寄附金と一般寄附金の合計は、法人全体で百十二件、九千八百万円となっております。
 公立大学法人首都大学東京では、今後も、特定研究寄附金については産学公連携センターが中心となり、受け入れ拡大を図っていくとともに、一般寄附金についても募集計画を策定し、ホームページに案内を掲載するなど、広く寄附金の募集広報活動を行っていくこととしております。

○島田委員 今、寄附金についてお伺いしまして、九千八百万円ということでありますが、これも他の大学に比べると額は少ないわけであります。今申し上げた九千八百万円の恐らく九割以上は企業からの寄附ということで、特に首都大学の寄附の少ないところが一般の寄附であります。それがかなり少ない。
 先ほどの東京大学と比較するのはあれなんですけれども、東京大学の場合は個人の寄附が六億近くです。それから、大阪府立大学でも昨年度で五千万円ということで、個人からの一般寄附をふやす取り組みを進める必要があるというふうに思っております。
 話を聞きましたところ、首都大学東京の卒業生は五万八千人にも及んでいるということを聞いております。私立大学などは、同窓会が中心に寄附を募集するところが多くございまして、その同窓会の活用、特にこの財政厳しい中で寄附金をいただくということは、私立大学もそうでありますけれども、今そういったような国立大学、公立大学でも積極的に行われているわけであります。
 首都大学の将来像というのを、首都大学東京さんでは発表されておりますが、その中でも、卒業生基金等からの寄附金の募集のために仕組みを整備するというように明言されておりました一般寄附のところは、来年度決算においては、この額が多くなるように、ぜひとも、その他、その取り組みを進めていただきたいというふうに思っております。
 次に、支出についてお伺いをいたします。
 二十四年度決算の経常経費はどうなっているのかお伺いします。

○伊東首都大学支援部長 公立大学法人首都大学東京の平成二十四年度の経常費用は、二百四十四億四千七百万円でございます。
 主な内訳は、人件費が百三十六億一千六百万円で五五・七%、教育研究経費が七十一億八千百万円で二九・四%、一般管理費が二十六億七千二百万円で一〇・九%となっております。

○島田委員 支出の方ですけれども、人件費のところが五五・七%と、総支出の中でも多い、六割近くということでございます。
 ほかの大学もちょっと見てみましたが、横浜国立大学の人件費の支出を見ますと、六五%ぐらいに超えているんです。これは横浜国立大学の場合ですけれども、人件費で六五%を超えてしまうと、例えば図書の冊数をふやすとか、研究設備をふやすとか、あるいは学食をよくするとか、そういった部分でもう三五%ぐらいしかなくなっちゃう。ということは、いかに全体の中での、トータルでの人件費というものは、全体の額を考えると、ある程度抑制をしていく必要があるのかなと。
 首都大学の場合は、教員の平均年齢が四十七歳ということでございまして、大体平均的な年齢なんですけれども、人件費抑制にはしっかりとした人事計画が、再編方針等が必要だというふうに思います。そういった点を考えまして、この人件費の抑制は収支のバランスを保つ上で重要なことだと考えますが、これについて見解をお伺いいたします。

○伊東首都大学支援部長 中長期的な視点から大学を運営する上で、経常費用の多くを占める人件費を適正に管理することは重要でございます。
 公立大学法人首都大学東京では、教職員の三分の二を占める教員について、その退職状況等を踏まえながら、公募や昇任などにより、必要な人材を計画的に確保しております。
 また、職員については、東京都からの派遣職員が減少する中で、正規職員の計画的な採用を行い、業務内容や職員の知識、経験を踏まえた適切な配置を行っております。
 公立大学法人首都大学東京は、こうした取り組みを続けていくことで、人件費の適正化に努めております。

○島田委員 支出の中で、どうしても人件費の割合は高くなってしまうわけでありますが、そういった計画的な人件費抑制の施策をしっかり考えていく必要があるというふうに思います。
 今いる方々の給料を下げるというのは、大学の士気の低下につながりますので、そういうことは避けたいわけでありますが、しっかりと人員の配置を見直していく必要があるのかなというふうに思っております。
 例えばですけれども、首都大学東京ではオープンユニバーシティーを主催しているわけであります。このオープンユニバーシティーは、大学の学生以外に一般の方々が受講する重要な事業でありますけれども、その内容を拝見しますと、そのほとんどは、この人件費の部分は、ほとんど大学の持ち出しになっております。
 オープンユニバーシティーの運営と課題についてお伺いいたします。

○伊東首都大学支援部長 首都大学東京は、広く都民に対し、教育、研究の成果の還元を図り、都民の生涯学習等のニーズに対応していくため、オープンユニバーシティーを設置しております。飯田橋キャンパスを中心に、首都大の学術研究成果を活用した講座や大震災からの復興支援に関する特別講座、自治体等の機関と連携した講座など、首都大ならではの魅力ある講座を開講しております。
 課題としては、受講希望者が十分に集まらず、開講できなかった講座もあり、改善に向けては、受講者のアンケートを参考に受講者が参加しやすい曜日、時間に変更したり、募集パンフレットを都立の施設等に配布するなど、PRにも努めております。
 今後も、利用者の意向を踏まえ、魅力ある講座運営を図り、より都民に開かれた大学となるよう支援してまいります。

○島田委員 今オープンユニバーシティーについてのご説明がございました。私も講座を見てみましたけれども、大変すばらしい講座もたくさんあって、非常に興味深い講座がたくさんあるわけでありますけれども、その内容は、ご答弁にありましたとおり、例えば受講希望者が十分に集まらず、開講できなかった講座もあるというようなことで、いろいろ講座の精選はしているというふうに思いますが、大体この中でも、開講に当たっては、大体定員が何人と、二十人とか二十五人とかというふうに書いてございます。ただ、話を聞いてみますと、実際は最低人員は五名ということを聞いておりますが、五名というのはどうなのかなというふうに思います。こうやって大きな募集をしておりまして、そうやって人件費も多くかかると、経費もかかるということでございますので、例えば人員の少ない講座は見直すなど、それぞれの事業を見直して経費の削減に取り組まれたいというふうに思っております。
 また、先ほど、卒業生も大変いるということでございますので、そしてまた、今、PRもたくさん、いろいろ行っているということでございますが、卒業生等にもPRをするなど、このオープンユニバーシティーの活性化について、ぜひともよろしくお願いしたいというふうに思います。
 経費の削減でありますが、中期目標というのがありまして、毎年一%ずつ運営費交付金を減額せよというふうな、今そういうことでやっているというふうに聞いております。そしてまた、来年は消費税が導入される予定ですので、この経費の負担がふえるというふうに思います。
 外部資金をふやすと同時に、経費の削減の取り組みをする必要があるというふうに考えておりますが、首都大学では経費節減としてどのような取り組みをしているのか、お伺いいたします。

○伊東首都大学支援部長 経費節減に向けては、照明や空調機器を省エネルギー対応のものへ更新するなどの取り組みにより、平成二十年度と比較して、平成二十四年度の電気使用量を約一〇%削減いたしました。また、各キャンパスに設置されていたサーバーやインターネット回線を統合するなど、教育研究用システムを再構築したところであり、ランニングコストを年額一億円程度削減できる見込みでございます。
 今後とも、公立大学法人首都大学東京では、運営費交付金が毎年削減されることに対応し、経費節減の取り組みを適切に実施してまいります。

○島田委員 今のご答弁ありがとうございます。いろんなエネルギー関係、光熱費の削減だとか、そのような中の整備のための経費を削減しているということでございまして、そういった取り組みは、どんどん進めていっていただきたいというふうに思っております。
 経費削減の取り組みの中に、建物の管理、例えば清掃業務だとか、あるいは植栽を管理するだとか、首都大学のビルのメンテナンス、そのようないろんな建物管理というようなことがあると思いますが、経費削減の取り組みの中で、建物の委託管理についてどのように考えているのか、見解をお伺いします。

○伊東首都大学支援部長 公立大学法人首都大学東京においては、平成二十三年度から、五百万円以上の工事契約、委託契約について、ホームページで契約の概要を公表し、希望者を募った上で入札を行う希望制指名競争入札を導入しています。これにより、工事等の発注の透明性及び競争性を高め、効果的な調達が可能な仕組みとしており、南大沢キャンパスの建物設備管理委託契約については、毎年十社以上の事業者により競争が行われています。
 こうした取り組みにより、さらなる競争性が発揮されると考えております。

○島田委員 建物の管理ですけれども、私もちょっと調べてみまして、資料もいただいたんですけれども、今のように、契約を見直して競争性を高めるというような取り組みをされているということもわかりました。
 一方で、ちょっと気になるのが、例えば清掃業務なんですけれども、これが結構細かくその仕事を分けて、例えば二百万とか三百万ぐらいの契約を分けてやっている契約があるというようなことで、これはお聞きをしたところ、大きな会社だけじゃなくて、地元の零細な小さい会社さんにも仕事を与えるというような、こういうものがあって、このようにいろんな場所場所ごとに分けて、小さい会社さんにお願いするということも行われているようでありますが、一方で、非効率化を生むというか、経費削減という観点からは、大きくまとめてあげた方がいいのかもしれません。
 その辺、いろいろ事情があるかというふうに思いますが、いろいろ経費削減ということ、あるいは効率性という観点からも、業務委託のことについても考えていかなくてはいけないのかなと、そのようにも思っているところでございます。
 ここまで、首都大学の決算について大まかに見てまいりました。首都大学東京では、学生獲得の取り組み、産学官の連携で首都大学東京が研究分野で重要な役割を果たすなど、首都大学への都民の期待は大変大きいというふうに思っております。
 一方で、独立行政法人に移行する中で、自主性、独立性を高め、首都大学の経営基盤を確立していくこと、これが大変重要であるというふうに思っております。首都大学東京は、理事長を中心とされて、経営審議会がその経営の主でありますが、東京都としては、評価委員会を組織して、その経営の評価を行っているわけであります。
 ぜひ今後の首都大学東京の発展を望むためには、経営の評価というのも、この発展を望めば望むほど、もっと厳しくしてもいいのかなというふうにちょっと思いました。ぜひ今後の首都大学東京の発展を望みながら、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○秋田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○秋田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 以上をもちまして第一分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第一分科会を閉会いたします。
   午後二時四十五分散会

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