平成二十四年度各会計決算特別委員会第二分科会速記録第六号

平成二十五年十一月一日(金曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長小磯 善彦君
副委員長吉住 健一君
副委員長松村 友昭君
山内  晃君
栗山よしじ君
おときた駿君
栗林のり子君
小山くにひこ君
鈴木 錦治君
きたしろ勝彦君

欠席委員 なし

出席説明員
福祉保健局局長川澄 俊文君
次長梶原  洋君
技監前田 秀雄君
理事藤田 裕司君
総務部長中川原米俊君
指導監査部長飯塚美紀子君
医療政策部長小林 幸男君
保健政策部長高橋 郁美君
生活福祉部長高原 俊幸君
高齢社会対策部長中山 政昭君
少子社会対策部長浜 佳葉子君
障害者施策推進部長山岸 徳男君
健康安全部長中谷 肇一君
企画担当部長篠原 敏幸君
事業調整担当部長手島 浩二君
医療改革推進担当部長笹井 敬子君
医療政策担当部長村田 由佳君
地域保健担当部長松浦 慎司君
生活支援担当部長望月 秀夫君
施設調整担当部長枦山日出男君
事業推進担当部長廣瀬  豊君
障害者医療担当部長熊谷 直樹君
食品医薬品安全担当部長古屋 正裕君
感染症危機管理担当部長清古 愛弓君
病院経営本部本部長醍醐 勇司君
経営企画部長和賀井克夫君
サービス推進部長中野  透君
経営戦略担当部長野瀬 達昭君

本日の会議に付した事件
平成二十四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
福祉保健局関係
・平成二十四年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十四年度東京都母子福祉貸付資金会計決算(質疑)
・平成二十四年度東京都心身障害者扶養年金会計決算(質疑)
病院経営本部関係
・平成二十四年度東京都一般会計決算(質疑)

○小磯委員長 ただいまから平成二十四年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、福祉保健局及び病院経営本部関係の決算に対する質疑を行います。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十四年度東京都一般会計決算中、福祉保健局所管分、平成二十四年度東京都母子福祉貸付資金会計決算及び平成二十四年度東京都心身障害者扶養年金会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○中川原総務部長 過日の分科会でご要求のありました資料につきまして、お手元の平成二十四年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料にまとめてございますので、ご説明申し上げます。
 資料は、目次にございますように全部で六項目となっております。
 それでは、順を追ってご説明させていただきます。
 一ページをお開き願います。福祉保健費の予算及び決算の推移といたしまして、平成十五年度から二十四年度までの福祉保健費の予算現額、決算額及びそれぞれの一般会計に占める割合などについて記載してございます。
 二ページをお開き願います。福祉保健局予算・決算額の推移(一般会計)といたしまして、区分ごとに平成二十年度から二十四年度までの福祉保健局の予算現額及び決算額を記載してございます。
 三ページをごらん願います。シルバーパス発行状況の推移といたしまして、平成十九年度から二十四年度までの費用別発行実績数、七十歳以上人口及び割合を記載してございます。
 四ページをお開き願います。平成二十四年度における福祉保健区市町村包括補助事業の補助額といたしまして、五つの包括補助事業の平成二十四年度の区市町村ごとの補助額について、五ページにかけて記載してございます。
 六ページをお開き願います。区市町村地域生活支援事業の実施状況といたしまして、事業ごとの実施区市町村数を記載してございます。
 七ページをごらん願います。東京都保健医療計画(平成二十五年三月改定)上の基準病床及び既存病床数といたしまして、本年三月に改定した東京都保健医療計画上の基準病床数及び本年四月一日現在と十月一日現在のそれぞれの既存病床数を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。

○小磯委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○鈴木委員 それでは、大きく二つについて質問をさせていただきたいと思います。
 初めに、病児・病後児保育事業について質問をいたします。
 東京都は、待機児童解消に向けて精力的に現在も取り組んでいるところでございますが、働く保護者にとっては、やっと保育所に入れたと思っても、子供が病気のときに保育所が利用できないことが大きな悩みでもございます。このため、東京都は、子供が病気のときに預けることのできる病児保育施設の拡充に向けた取り組みを行っていただいております。
 病児保育というと、真っ先に保護者の就労支援というのが思い浮かぶところでございますが、一番望ましいのは、子供が病気のときは、ご両親のどちらかが仕事を休んで子供を看護する、これが一番の理想でございます。この子供の看護休暇制度によって、労働者は一年に五日まで子供の看護のために休暇を取得することができますが、保護者からは、なかなか休暇がとりにくいという声も聞いております。
 このため、まずは子供が病気のときには休暇をとることができるよう、ワークライフバランスを促進する取り組みが必要でございますが、その一方で、ひとり親家庭や看護師等専門的な職種の方など、仕事の都合でどうしても会社を休むことができない場合には、子供の安全・安心を確保しながら預けることができる病児保育施設を利用できるようにする社会づくりが必要だと思います。また、求められております。
 しかし、病児、病後児保育施設は、病気の流行や季節性、子供の病状回復によるキャンセル等によって利用者が少ない場合もあり、収入が安定していないと聞いております。せっかくできた施設が閉鎖に追い込まれるというような話も聞いております。都としては、安心・安全が確保された病児、病後児保育をもっと拡充すべきだと考えます。
 そこで、病児保育施設の実績と今後の東京都の取り組みについて伺います。一つとして、病児・病後児保育事業の実績、今後の東京都の取り組みについてお伺いをいたします。

○浜少子社会対策部長 都は、区市町村のニーズを踏まえて東京都保育計画を策定しておりまして、平成二十六年度までに病児、病後児合わせて百四十施設の設置を計画しております。
 制度の創設以降、病児、病後児保育施設が行う看護師による保育所への巡回サービスや、保育所等への技術的支援に対する補助など都独自の支援を行うとともに、区市町村への積極的な働きかけを行いました結果、平成二十四年度実績では、病児保育施設は三十一区市で五十四施設、病後児保育施設は三十六区市で六十三施設、計百十七施設まで整備が進んでおります。
 今後とも、病児、病後児保育施設が安定して事業運営できるよう支援をいたしますとともに、区市町村が地域ニーズに応じて事業を拡充できるよう、引き続き積極的な働きかけを行ってまいります。

○鈴木委員 ご答弁をいただきました。本来であれば、病気のお子さんを自分で看病することが親の心であると思います。しかしながら、どうしても仕事から離れられずに、病気の子供を預けて仕事に向かうというフルタイムで働く親の気持ちを考えると、病児、病後児保育施設は、現在の社会環境の中で必要な施設であると思います。
 施設整備を東京都はさらに進めていただき、病児保育施設と病後児保育施設を合わせて百十七施設を整備されたとのことでございます。本年までにはまた百二十カ所というところでお伺いをさせていただいておりますが、その施設運営についても、安定した事業運営ができるように、今後とも支援をどうぞよろしくお願いしたいと思います。
 また、新型インフルエンザ等々発生の状況で、年によっては変化をすると思いますが、さらに目標の百四十カ所を達成するよう、ご努力をお願いをいたします。
 また、病院が経営している施設では、看護師の確保はできても、保育士の確保が大変になっているようでございます。これはもう当然のことながら、全国的に待機児童が多い中で保育士が不足している状況の中でのことだと思いますので、その点のご支援もぜひともお願いをいたします。要望いたします。
 続きまして、福祉施設の工賃向上について質問をさせていただきます。
 障害者が地域で自立して生活していくには、障害者が生きがいを持って働ける機会の提供が必要でございます。例えば、府中市では福祉施設と連携して、農作業や生産した農産物の販売を通じて障害者の就労訓練を行う事業を実施しております。この取り組みは、障害者が自然と触れ合いながら働く力をつけていくだけではなくて、地域住民とかかわって、また地域の中で暮らしていくという意味でも大変有益であると考えております。
 府中市の取り組みは一例でございますが、障害者が働く福祉施設では、利用者の状況や地域特性等を踏まえた授産活動の充実に取り組んでおります。
 しかしながら、これらの施設における工賃の水準は、残念ながら高いとはいえない状況にございます。東京都では昨年、東京都工賃向上計画を策定して、福祉施設で働く障害者が受け取る工賃の向上に向けた取り組みを進めているとお伺いをしております。
 そこで、これまでの取り組み実績及び今後工賃アップに取り組む施設をどのように支援していくのか、お伺いをいたします。

○山岸障害者施策推進部長 都は、平成二十四年六月に東京都工賃向上計画を策定し、都内福祉施設の工賃水準向上に向けまして、施設の経営努力や創意工夫を促すための取り組みを実施しております。
 昨年度は、福祉施設の経営者や職員を対象とする工賃アップのための研修について、職層別や業態別にテーマを分けるとともに、日数を一日から四日にふやしまして、全体で約四百人にご参加いただきました。さらに今年度は、福祉施設が新たな販路開拓や生産性向上のために行う設備整備への補助を実施するほか、今月から都内六カ所で授産品等の普及啓発を図り、受注拡大につなげるための展示即売会を開催いたします。
 今後も、福祉施設で働く障害者が働くことの喜びや達成感を得ながら地域で自立した生活を送れるよう、関係機関や区市町村と連携しながら福祉施設の取り組みを支援してまいります。

○鈴木委員 ご答弁をいただきました。昨年度の工賃向上の取り組みを踏まえて、今年度は展示即売会を開催するとのことでございますが、この事業を通じて、多くの方に福祉施設の活動を知ってもらえるよう期待をいたします。また、これから先、府中市を初めさまざまなところでこの展示会が行われるよう、私も府中市の方からご案内をいただいておりますけれども、さらなる進展を期待いたします。
 また、パンやクッキーや、さまざまな食品をそれぞれの授産施設でつくっているところでございますが、その販売というのが、やはり大変なところだと思います。さまざまな区市町村でイベントが行われている中で授産品を売ったりしているところでございますが、きょうの朝刊にも多摩版で出ておりましたけれども、ある女子大学で、キャンパスで障害者施設でつくっているパンやクッキーを売っているという取り組みが始まったそうでございます。本当に珍しい事業展開だというようなお話でございますが、そういったこともさまざまな--当然のことながら東京にはたくさん大学がございますので、福祉にかかわりのある部分、そしてまた興味を持っていただきながら、そういったところでも事業展開を進めていただきますよう、よろしくお願いしたいと思います。
 また、先ほど挙げました農業と連携をした取り組みでございますが、東京都としても地域に根差した福祉施設の取り組みを後押ししていただきたいと思いますし、また全国的にも、北海道や東北で、授産施設が農業とかかわりながら、生産品を市場出荷するまで取り組みを進めているところもございます。東京都も都市農業という、また地方とは特性が違いますけれども、身近にある都市農業とタイアップをしながら事業展開を進めていただきながら、生産性の部分だけではなくて、土に親しんだりして精神的な安定を求めたりする部分も含めて、この取り組みを進めていただきますよう、よろしくお願いしたいと思います。
 工賃アップというのは、いただくお金が上がるということだけではなくて、障害者を持つ親御さんが、これから先お子さんがどうやって暮らしていくかということの、一番心配につながっているところでございます。これから先、障害者を持つ親御さんはどんどん年をとっていきますから、これから先の障害者の方たちの行く末を安定させるためにも、工賃アップというのは絶対に必要なことでございますので、ぜひとも推進について、工賃アップについて事業展開をよろしくお願いを申し上げて、私の質問を終わります。
 以上でございます。

○栗林委員 それでは、初めに、都が取り組んでいる医師の確保対策、医師奨学金についてお伺いいたします。
 平成十九年当時、全国的に医師不足について大きく取り上げられ、国は、医学部定員増など緊急医師確保対策を打ち出したのを初め、その後も各種の医師確保対策を実施していただきました。
 都内でも、産科、小児科、救急、僻地、この医療の分野において医師の不足が課題となっており、都では、医師の確保対策として、国のこの制度を活用し医学部定員枠を拡大するとともに、産科、小児科、救急、僻地医療を担う医師の養成、確保を目的とした医師奨学金制度を平成二十一年度に創設いたしました。私自身も、平成二十二年度に行われた平成二十一年度の決算特別委員会において、その取り組みを質問させていただいたところでございます。
 医師奨学金制度は、平成二十一年度創設以来、着実に実施されているとは思いますが、これまでの取り組み実績と平成二十四年度の貸与実績について伺います。

○笹井医療改革推進担当部長 医師奨学金制度は、都が指定した大学の医学部の定員枠を拡大し、入学時から六年間貸与する特別貸与奨学金と、都内十三大学の医学部の五年次から二年間貸与する一般貸与奨学金の二つの制度を設けております。
 特別貸与の対象となる大学につきましては、平成二十一年度に順天堂大学を指定し、平成二十二年度には杏林大学、平成二十三年度には東京慈恵会医科大学を加えて三大学となっており、募集定員につきましては、平成二十一年度は五名、平成二十二年度には十五名、平成二十三年度以降は二十五名で、事業開始の平成二十一年度から今年度までに貸与を受けた学生数は、特別貸与で計九十四名、一般貸与で計六十八名となっております。
 また、平成二十四年度の貸与実績につきましては、特別貸与では計六十八名で四億四百七十四万円、一般貸与では計三十名で一億八百万円でございます。

○栗林委員 今ご答弁いただきましたように、特別貸与の対象となる都が指定した大学は三大学になったということで、大学の数も募集定員の数も拡大し、また、これまでの貸与者の累計人数も合計百六十二名ということで、事業が確実に広がっているということがわかりました。
 将来、都内で医師として働き、都の地域医療に貢献したいという学生にとって、この奨学金は大変有効な制度であります。また、大学医学部での医師養成が進む中、これからは奨学金を受けた学生が、実際に地域医療の現場で医師として活躍してもらう段階に移ってくれるものと考えます。
 今後、この事業により都の地域医療を支える人材として育った医師が、挫折することなく、将来にわたって都の医療機関で活躍していただくことが必要です。こうした観点から、医師奨学金制度等を活用した医師確保対策について、今後の取り組みについて伺います。

○笹井医療改革推進担当部長 医師奨学金のうち、一般貸与奨学金を受けて卒業し、初期臨床研修を終えた十四名中十三名が、今年度から産科、小児科、救急部門の医師として病院での勤務を開始しております。
 なお、特別貸与奨学金の対象者は平成二十七年から卒業する予定でございます。
 都は、ことし四月に東京都地域医療支援センターを設置しており、奨学金の貸与を受けた医師の就業支援や医師の勤務環境改善など、都の特性に合った総合的な医師確保対策を推進しており、今後ともこれらの取り組みを着実に進めてまいります。

○栗林委員 一般貸与の卒業生のうち、進路変更した学生がわずか一名ということで、これはしっかりと目的に沿って事業展開されているということであり、やはり産科、小児科、救急、僻地という、その道で、医療で貢献するという覚悟を持って臨まれている方たちがこれほど多くいらっしゃるのかと思うと、大変うれしく思います。引き続き事業が着実に実施され、都の地域医療を支える医師として成長できるよう、大学と力を合わせて人材を育てていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、若年性認知症総合支援センターについて伺います。
 決算説明書でも一一九ページにございまして、執行率一〇〇%となっております。この若年性認知症は都内で約四千人と推計されていますが、何らかの支援が必要な認知症の高齢者の約二十四万人と比較して数が大変少なく、都民はもとより、地域の相談窓口となる地域包括支援センターやサービスを提供する介護事業者にも、まだまだ広く知られていないというのが現状です。
 若年性認知症は、いわゆる現役世代に発症するため、失業による経済的ダメージや社会的な役割を失うことによる心理的なダメージを受ける方が多くいらっしゃいます。また、介護する家族の方も仕事や家事の役割を担っているため、介護の負担が大きくなります。
 先日、私も、若年性認知症と診断されたまだ四十代後半の方の奥様からご相談がありました。見た目はわからないので、トラブルを起こすことになってしまったりとか、周りの理解も得られないので、一日中ついて歩くこともできないし、一体どこに相談に行ったらいいのかというお話がありました。
 我が党は、この対応が難しい若年性認知症への支援の充実や普及啓発の必要性をこれまでも都議会において重ねて主張してまいりました。都は、若年性認知症の相談をマネジメントするモデル事業を、NPO法人を活用して平成二十一年度から二十三年度までモデル事業を実施されました。そしてその成果を踏まえて、ワンストップで相談を受け、必要なサービスに早期につなげる窓口として若年性認知症総合支援センターを、全国で初めて昨年五月に開設いたしました。
 センターには、開設当初より多くの相談が寄せられているということですが、まず、若年性認知症総合支援センターにおける二十四年度の相談の実績と内容について伺います。

○中山高齢社会対策部長 都が設置いたしました若年性認知症総合支援センターでは、昨年五月の開設以来、本年三月末までに二百十一名の方に関する相談を延べ九百九十六件受けております。相談者の内訳といたしましては、配偶者からの相談が約四割で最も多く、次いでケアマネジャー、地域包括支援センター、本人の順となっておりまして、それぞれ約一割程度となっております。
 また、相談内容といたしましては、若年性認知症の人が利用できる介護サービスに関すること、介護保険制度の利用に関すること、就労に関すること、家族の介護負担の軽減に関することなど、多岐にわたっております。

○栗林委員 延べで約千件近いご相談ということで、都内でも多くの若年性認知症の方とその家族の方がお困り事を抱えていらっしゃるのだなと改めて感じました。また、若年性認知症総合支援センターには、やはり多岐にわたる相談を、本人やまた家族からだけではなくて、地域で支える側である地域包括支援センターや、またケアマネジャーからも問い合わせがあるということもわかりました。
 センターに寄せられた相談内容はさまざまだと思いますけれども、特に工夫して支援につなげた事例など、具体的な支援内容を教えていただきたいと思います。

○中山高齢社会対策部長 若年性認知症の人が抱える課題は多岐にわたっております。また、困難なことも多いことから、支援に当たりましては、医療や介護のサービスだけでなく、就労継続支援や障害福祉サービスなど多分野にわたる制度を活用し、生活全般を支援する視点が必要でございます。このため、若年性認知症総合支援センターは、地域包括支援センター、ケアマネジャー、介護事業所など、地域の関係機関と連携して支援に当たることが求められております。
 若年性認知症総合支援センターが工夫して支援につなげた事例といたしまして、介護保険サービスと障害福祉サービスの併用が必要な若年性認知症の人の支援に当たって、若年性認知症総合支援センターが、地域包括支援センターやケアマネジャー等に対して手続方法などについての助言を行い、双方のサービスの利用につながった事例がございます。
 また、若年性認知症の人がデイサービスに通うに当たりまして、このセンターが、若年性認知症の人に特有の支援方法について介護職員に対し助言を行い、本人のニーズに合ったプログラムの作成ができた事例などがございます。

○栗林委員 地域の関係機関の方に助言をしていただく中で、若年性認知症に対する理解を深めていただきながら、連携して支援につなげていくこのセンターの取り組みは大変重要であり、高く評価できる事業ではないかと思います。
 若年性認知症の人と家族が安心して地域で暮らしていけるために、地域全体で支えていくことが必要です。今後とも若年性認知症の普及啓発に努めるとともに、若年性認知症総合支援センターと地域の関係機関との連携を一層推進することで、若年性認知症の人や家族に寄り添った支援を行っていただくことを要望し、また、今都内は目黒一カ所でございます。できましたら多摩地域等々、一カ所だけではなく、拡大をしていただくことを要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。
 続きまして、訪問看護ステーション人材確保事業について伺います。
 これも決算書一二〇ページの執行率八五・一%ということでございます。高齢者の多くの方が望んでいらっしゃる住みなれた地域でずっと暮らし続けたい、この実現には、訪問介護、訪問看護、そして訪問医療の地域ケア体制を構築することが不可欠であります。特に、高齢化の進展に伴い要介護高齢者数が増加し、在宅療養生活を望む都民のニーズも高まっており、訪問看護ステーションには、地域において医療、介護サービスを連携し、在宅生活の中心的役割を果たすことが求められています。
 訪問看護ステーションで行われるサービスというのは、本人や家族の意思、またライフスタイルを尊重してQOLの向上ができるよう、病気の早期発見、予防からみとりまで行うことで在宅生活を支えています。
 具体的には、看護師さんなどがお住まいを訪問して排せつなどの在宅療養のお世話や病状の観察、健康管理、点滴、床ずれなどの医療処置、がん末期の方の苦痛の緩和、在宅でのリハビリテーション、認知症のケア、人工呼吸器等の医療機器の管理など、もう実に多様なサービスを提供していただいています。
 こうしたサービスは、地域包括ケアの実現にとって、かなめとなる重要なサービスですが、私の耳にも、よく現場の実態として、訪問看護ステーションの規模の小さい事業所では、やはり看護師の募集をしてもなかなか人が来てもらえない。訪問看護ステーションで働く看護師の継続的な人材確保は難しいと聞いております。決算説明書の中にもあるように、都は、二十四年度から訪問看護ステーション人材確保支援事業を実施していますけれども、その具体的な取り組み内容について伺います。

○中山高齢社会対策部長 訪問看護ステーション人材確保支援事業の平成二十四年度の取り組みでございますけれども、都は、昨年六月に設置いたしました訪問看護支援検討委員会のもと、都内の全ての訪問看護ステーションに対しまして、訪問看護の人材確保、育成、定着及び経営基盤などの実態調査を行いまして、現状の把握と課題分析を行いました。
 これを踏まえまして、この検討委員会では、人材育成の具体的な支援策について検討を行い、訪問看護の魅力のPRや、人材の育成、定着の推進などについて報告書として取りまとめました。
 また、訪問看護師のレベルアップを目的といたしまして、指導力のある訪問看護師が新任訪問看護師に同行して訪問する同行訪問による指導や支援の実践方法を中心とした、比較的規模の小さいステーションでも活用できる訪問看護OJTマニュアルを作成しております。

○栗林委員 こうしたマニュアルをつくり、いち早く人材支援に取り組んでいただいていることは高く評価させていただきます。こうした支援内容を踏まえて、今年度はどのような事業を展開しているのか伺います。

○中山高齢社会対策部長 本年度平成二十五年度は、昨年度の取り組みを踏まえまして、一点目としまして、訪問看護OJTマニュアルを活用した訪問看護ステーションの安定的な運営や人材育成のかなめとなる管理者を育成、支援する管理者、指導者育成研修の実施、二点目としまして、比較的規模が大きく指導力の高い訪問看護ステーションを教育ステーションとして都が指定し、地域における研修会や同行訪問を行い、地域の小規模な訪問看護ステーションの人材育成を支援するモデル事業の実施、三点目としまして、質の高いサービス提供と指導力のある訪問看護師を育成するため、訪問看護認定看護師の資格取得に係る経費の補助の実施、さらに四点目としましては、人材を確保するため、訪問看護の魅力をPRする訪問看護フェスティバルの開催など、訪問看護ステーションの人材の確保、育成、定着のため、総合的に事業を展開しております。

○栗林委員 ぜひ積極的な取り組みをお願いしたいと思います。今後、東京の地域包括ケアを実現するためには、訪問看護ステーションの数をふやすこととあわせて、安定した運営ができること、そして人材確保、育成が着実に図られることが最重要課題であると認識しています。都のこうした積極的な取り組みに対し、今後も大いに期待をいたします。
 先日、新宿区の暮らしの保健室、伺いました。こちらは、都営戸山ハイツの空き店舗を利用して、気軽に区民の方が相談できる場所になっています。運営をされているのは、長年この地域で訪問看護に取り組んでいらっしゃった事業者さんで、大変すばらしい内容でした。やはり訪問看護ステーション、この訪問看護が中心となって、介護、そして医療につなぐ大変重要な役目を担っていらっしゃるのが訪問看護なんだなということを、伺って実感をした次第でございます。モデルケースではないかと思いますので、しっかり東京都もこのステーションの増設、そして人材の確保、育成に努めていただきたいことをお願いいたします。
 続きまして、保育園待機児童対策について伺います。
 本年四月の都内待機児童数は、就学前児童人口の増加や共働き家庭の増加などによる保育ニーズの高まりにより、保育サービスを一万人分以上ふやしたにもかかわらず、三年ぶりに増加に転じ、八千人を超えています。私の地元世田谷区でも、就学前児童が千人近くもふえ、保育サービスを九百人分以上ふやしたにもかかわらず、待機児童数は八百八十四人と昨年より百人近くふえています。
 このように待機児童が多いと、認可保育所や認証保育所に入るのは大変難しく、入所に当たっての選考指数がかなり高い方であっても、都がパートタイム労働者や求職中の方向けに開始した定期利用保育を利用しており、世田谷区の定期利用保育は、フルタイム労働などの選考指数の高い保護者のお子さんたちでいっぱいになっていると聞いています。
 そもそもこの定期利用保育は、我が党も積極的に推進をさせていただいたんですけれども、保育園待機児童の中に、パート、アルバイトなど週に二日か三日ぐらい仕事をしたい、でもそれで子供を預けようと思って入園の申し込みをすると、指数が低くて入園はできない。認可保育園の入園というのは難しい状態にあります。
 となると、指数を高くする必要がある。そのために、日数をふやしたり時間を延ばそうとする。本当は、働く時間を短くして、少しでも長く子供と接していよう、子育てに時間を使おうと思っている方々、そういう方たちに対して対応する制度にはならなくなってしまっています。指数が低くても利用可能な保育制度を提供することで、このすみ分けができて待機児童解消につながると考えていたのが、この定期利用保育でございますが、現状はフルタイムの待機児童の方々の補完的制度となっているところもあります。
 そこで、まず、都内の定期利用保育の利用実績について伺います。

○浜少子社会対策部長 定期利用保育事業は、平成二十二年度に開始した事業でございまして、二十四年度の実績では二十一区市で実施をしております。延べ十四万五千人の方にご利用いただいておりまして、二十三年度と比較して、実施区市、延べ利用人数とも倍増しているところでございます。

○栗林委員 わずか二年間で十九の区市、また八十カ所の増加、延べ人数も驚くほどの増加であります。必要とされている事業ということが、ここからもうかがえます。待機児童を解消するには、認可、認証保育所の拡充はもちろんのこと、定期利用保育のようにパートタイム労働者向けの保育サービスを拡充する必要があります。
 ところで、二十七年度から始まる国の子ども・子育て支援新制度では、パートタイムの方向けに短時間利用の認定を受ける仕組みが創設され、その認定を受けると、認可保育所や認定こども園などで保育を利用することができるようになると聞いていますが、フルタイムの方が優先されて、パートタイムの方が利用できないのではないかと危惧しております。
 都は、新制度に向けて、パートタイムの方も利用できる保育サービスの拡充に向け、国に対してどのように要求をしているのか伺います。

○浜少子社会対策部長 都では、定期利用保育におきまして、空き店舗等の専用施設を活用したパートタイム労働者向けの保育サービスを提供しております。
 一方、国におきましては、新制度に向けて認可保育所等で短時間保育を実施する方向で検討されておりますが、認可保育所等だけでの実施では待機児童解消は困難でございます。このため、都は国に対し、短時間保育の制度設計に当たっては、専用施設での実施を可能にするなど大都市の実情を踏まえた基準とするとともに、パートタイム労働者の方の就労実態に即した保育料の設定が可能な補助単価とするなど、社会実態に即した見直しを行うよう要望しております。

○栗林委員 待機児童の保護者の中の約六割がパートタイム労働者であるというこの現状を踏まえて、引き続きパートタイム労働者が利用しやすい保育サービスの拡充に取り組んでいただくようお願いをいたします。
 新制度では、認定こども園制度の改善も大きなポイントの一つであります。認定こども園制度は、保育と教育の一体的な提供、地域における子育て支援拠点としての役割など、多様化する幼児教育、保育ニーズに対応する制度として平成十八年に創設されました。認定こども園には四つの種類がありますが、まず、都内の種類別の認定こども園の実績について伺います。

○浜少子社会対策部長 平成二十五年四月一日現在、都内の認定こども園の施設類型別の内訳は、認可幼稚園を主体とした幼稚園型が四十六施設、認可保育所を主体とした保育所型が二十一施設、認可幼稚園と認可保育所が連携した幼保連携型が十四施設、認証保育所を主体とした地方裁量型が十施設となっております。

○栗林委員 今までは国の所管が文部科学省と厚生労働省にまたがり、手続なども大変複雑で、事務処理も大変だと聞いておりますが、これからの新制度における幼保連携型認定こども園は、学校かつ児童福祉施設の位置づけを持った新たな認可施設として創設され、施設運営の基準案など制度の詳細は、国の子ども・子育て会議で今まさに議論されているところと伺っています。
 待機児童の多くを占める低年齢児への保育サービス拡充はもちろん重要ですが、三歳以上児に適切な教育、保育を一体的に提供する認定こども園は、待機児童対策としてだけでなく、幼児教育の振興という意味でも意義があるものと考えます。都においては、認定こども園を今後どのように推進をされるのか伺います。

○浜少子社会対策部長 都は、保育の実施主体である区市町村が、多様なサービスを組み合わせて地域の実情に応じた適切な保育提供体制を整備できるよう支援を行っております。
 認定こども園に対しましては、国が支援の対象としていない地方裁量型認定こども園の運営費補助や、保育所型認定こども園の教育機能補助、幼稚園型認定こども園の保育所機能補助など、都独自の支援を実施しております。
 新制度では、国は、地方裁量型認定こども園も含め全四類型を給付の対象にするとしておりますことから、今後明らかになる給付内容を踏まえながら、区市町村の取り組みを引き続き支援してまいります。

○栗林委員 新たな幼保連携型認定こども園は、全く新たな制度であり、現在この制度を所管する組織はないと聞いています。福祉保健局、生活文化局、教育庁といった関係各局がしっかり連携をして、本格施行に向けた準備をやっていただきたいと思います。
 次に、都有地を活用した保育所の整備について伺います。
 都内で保育所を整備していくには、土地の確保、これが一番の課題ではないかと思います。そこで、以前より強く要望し続けている都有地、国有地といった公有地の活用が求められます。
 そこで、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業における保育所整備の実績の推移と今後の取り組みについて伺います。

○浜少子社会対策部長 都は、地価の高い都市部における保育所の整備を推進するため、社会福祉施設を対象として、未利用の都有地を五〇%減額して貸し付ける事業を平成二十年度から保育所にも拡大しており、これまで二十二年度から二十四年度までは三件、二十五年度におきましては十月末までで一件、事業者を決定しております。
 今後も、未利用の土地や建物が生じた場合には区市町村に情報提供を行い、保育所を初めとした社会福祉施設の整備に向け、都有地等の有効活用を促進してまいります。

○栗林委員 ぜひ積極的にお願いいたします。
 世田谷区でも、公有地を活用した保育所の整備を積極的に実施しているところでありますが、私の住んでいる地域でも、都営住宅の建てかえによって、今まで五階建てぐらいだったのが十階建て、高層化することで余剰地、土地が生み出されました。その土地を使わせていただいて、特別養護老人ホームと障害者のグループホームと、そして百五十人定員の認可保育園、この建設ということになりました。待機児童、この解消が急がれるということから、まずは認可保育園の工事を一番にということで着工されて、その保育園はことし四月から開園され、大変喜ばれているところでございます。
 多様な保育サービスが求められていることから、認可保育園、認証保育所、認定こども園、保育室、保育ママ、スマート保育、定期利用保育など整備していただき、働き方に合わせた、安心して働きながら子育てできる環境整備、これが求められているのではないかと思います。一層取り組んでいただくことを要望し、次の質問に移らせていただきます。
 続きまして、要保護児童への支援について伺います。
 きょうから十一月、十一月は児童虐待防止推進月間であります。先日も、大田区の公園で生後間もない乳児が公園に置き去りという、もう本当に悲しいニュースが流れました。一昨日の新聞報道でも、乳児置き去り三年連続増加、望まぬ妊娠、貧困、孤立が背景にあるということです。
 厚生労働省の統計によると、二〇〇九年は二十五人、二〇一〇年度は二十八人、二〇一一年度は三十人、そして二〇一二年度は四十四人と急増しているようです。また、同省によると、虐待死はゼロ歳児が最多で、昨年三月までの十年間で二百十八人、そのうち八十三人が出産直後に死亡、加害者の九割は実母であり、子供を窒息させ自宅外に遺棄した例が半数近くと。母親の七五・九%が望まぬ妊娠であったということです。このような場合の相談体制の充実や経済支援、また養護施設や里親制度などの周知も必要であります。
 そのような背景の中、児童虐待相談件数等の増加に伴い、家庭で生活ができない子供、いわゆる要保護児童が増加しています。このような子供たちは、児童養護施設や養育家庭などで家庭にかわって公的に養育されています。
 そこで、まず、都における児童養護施設入所児童数の推移について伺います。

○廣瀬事業推進担当部長 平成二十四年度の入所児童数は三千九十五人となっており、十年前の平成十五年と比較すると二百二十三人増加しております。平成十八年度以降の入所児童数は三千人を超えて推移している状況にございます。

○栗林委員 こうした社会的養護のもとで育つ子供にこそ手厚い支援が必要であり、児童が社会で自立した生活を送れるよう、入所中から継続した自立支援が求められているところではないかと思います。我が党もずっと主張してまいりましたけれども、私も昨年の予算特別委員会で取り上げさせていただいたところであります。
 都では、平成二十四年度から各施設に自立支援コーディネーターを配置していますけれども、その活動状況と今後の展開について伺います。

○廣瀬事業推進担当部長 平成二十四年度は、三十七カ所の児童養護施設において自立支援コーディネーターを配置し、入所児童の状況にあわせた進路指導などを行うとともに、千人を超える退所者に対して生活や就労に関する相談対応等継続的な支援を行いました。
 平成二十五年度には、新たに十二カ所の施設に配置し、現在、四十九カ所の児童養護施設で実施しております。今後もこうした取り組みを順次拡大し、入所している児童への自立に向けた支援や、退所者への相談支援を行ってまいります。

○栗林委員 着実に配置を拡充し、全施設配置を目指していただいていることは高く評価させていただきます。施設を退所してから、仕事が見つからない、住まいが見つからないなど、困難が立ちはだかったときに相談する親もいない、帰る家もない、そのような子供たちにとって、その施設が実家であり相談できる親のような存在であります。専任の自立支援コーディネーターは、その役目を担っていただけると思います。将来のひとり立ちを支えるという視点で、しっかりと支援をしていただきたいと思います。
 また、特別な支援を必要とする児童は、児童養護施設での支援のほか、できる限り家庭に近い生活環境の中で育てられることも望ましいと思います。
 そこで、平成二十四年度における里親委託の状況についてお伺いします。

○廣瀬事業推進担当部長 平成二十四年度の養育家庭及びファミリーホームの委託児童数は四百二十五人となっております。委託児童数は、十年前の平成十五年度と比べると百二十五人増の約四〇%の増加となっているところでございます。

○栗林委員 養育家庭など家庭的な環境のもとで生活をする児童がふえているということは大変うれしいことで、評価させていただきます。同時に、養育家庭の状況に応じたきめ細かな支援や、里親が日常的な悩みや不安に相談できるよう里親に対する支援も重要であります。
 里親という立場は、子供を育てるということは大変なことであり、感謝と敬意をあらわす次第でありますが、里子の中には、心に傷を持つ子供や大人への不信感を持つ子供、また、発達障害のある子供などもふえており、ご苦労もある中、愛情を注ぎ育てていただいているのではないかと思います。
 そのような母親が、何かあったときに相談するのが児童相談所であります。その児童相談所が多忙であることから、里親の相談や、里親が里子への対応に困ったときの支援を行うのが以前より難しくなっていると聞いております。平成二十四年度には、どのような対応をしていただいたか伺います。

○廣瀬事業推進担当部長 平成二十四年度には、里親からの相談や養育状態の把握など里親への支援を充実するため、養育家庭専門員や児童心理司を増員して、児童相談所の体制を強化いたしました。
 また、里親に関する専門的知識や子育て相談業務の経験を有する民間団体を里親支援機関とし、委託中の家庭に対する定期的な家庭訪問や、臨床心理士などによる専門的な助言、夜間休日電話相談など、里親支援を全ての児童相談所で実施いたしました。こうした取り組みの中で、児童相談所と里親支援機関が相互に連携を図りながら、里親に対する一体的な支援を推進しているところでございます。

○栗林委員 せっかく里親になっていただいて、子供たちを愛情持って育てて頑張っている方が、やはりこんなに大変であるならば、もう続けることができないということがないように、また、里親さんが生き生きと頑張っていらっしゃる姿を周りに示していただくということは、多くの方から、じゃ、私もやってみようという、そういう里親の広がりにもつながってくると思いますので、どうか相談体制、強化していただくようお願いいたします。
 最後に、薬物乱用防止対策について伺います。
 決算説明書でも一六三ページにございますが、執行率八一・六%ということです。
 近年、脱法ハーブと称して販売される違法、脱法ドラッグについては、重大な健康被害や幻覚によって、自動車運転を誤り死亡事故の原因となるなど、深刻な問題を引き起こしています。
 現在、都内には違法、脱法ドラッグ販売店舗は依然数多く存在しており、比較的容易に違法薬物を購入できる状況であります。違法薬物を販売する事業者への規制、取り締まりが重要であります。
 厚生労働省も、麻薬と似た作用がある脱法ドラッグ対策を強化するため、薬事法で製造、販売を禁じている指定薬物の所持や使用を罰則つきで禁止し、売る側だけでなく、使う側も取り締まれるようにする法改正を今国会に提出するという動きも出ているようです。
 都では、違法、脱法ドラッグの乱用防止に向けた、平成二十四年度に具体的にどのような規制、取り締まりを行ったのか伺います。

○古屋食品医薬品安全担当部長 平成二十四年度は、店舗やインターネットでの買い上げ調査等を行い、乱用またはそのおそれがある十三薬物を東京都薬物の濫用防止に関する条例に基づいて、知事指定薬物に指定いたしました。指定した十三薬物のうち一つの薬物は、海外での流行が確認されたため、自治体としては初めて、国内で流通する前に事前規制したところでございます。
 さらに、平成二十四年度は警視庁との合同の立ち入り六十一件を含め、薬事監視員が都内の販売店に二百六十五件の立入調査を行い、文書により警告を行うなど、取り締まり強化をしてまいりました。

○栗林委員 かなり取り締まり等々を強化していただいたのではないかと思います。
 その中で、やはり特に憂慮すべきは、その乱用が低年齢層に広がっているということであります。幻覚作用のある脱法ハーブの吸引が広がっている問題で、昨年、警視庁が、東京都内で体調不良を訴え救急搬送を要請したケースを調べたところ、一月から五月末のわずか五カ月間で、前の年一年間の十一人を大幅に上回る九十九人になっており、中学生も含まれていたということです。発表によると、男性八十五人、女性十四人、年代別で、二十歳代が最多の五十一人で半数を占め、未成年、十三人の中高生、大学生がいたということで、路上で意識がもうろうとして救急搬送された中学校三年生男子は、先輩に勧められたということだったそうです。
 また、本年三月に国立精神・神経医療研究センターが発表した全国の中学生五万四千五百人を対象とした調査では、中学生百二十人が違法、脱法ドラッグの乱用経験があると回答しています。
 若者が違法、脱法ドラッグに手を出さないようにするために、その危険性を十分に周知する啓発が喫緊の課題であります。特に、若者に対する普及啓発は重要です。平成二十四年度に、違法、脱法ドラッグに関し具体的に行った啓発を教えてください。

○古屋食品医薬品安全担当部長 平成二十四年度は、初めて違法、脱法ドラッグ乱用防止に特化したリーフレット七万五千部を作成し、これを活用して、若者が多く集まる秋葉原駅前において、「合法なんてない」をキャッチフレーズに啓発イベントを開催しており、約四千人が来場したところでございます。
 また、違法、脱法ドラッグの危険性を訴える若者向けポスター六千部を作成し、学校、自動車教習所、カラオケボックスに、新たにネットカフェを加え、掲示いたしました。
 さらに、中学生を対象とする薬物乱用防止ポスター標語募集事業でも、平成二十四年度に初めて、違法、脱法ドラッグをテーマに加え、約四万作品の応募を得たところでございます。
 こうした取り組みに加え、今年度も若者への新たな取り組みを行っており、今後とも違法、脱法ドラッグについて効果的な啓発活動を推進してまいります。

○栗林委員 より積極的な対応、よろしくお願いいたします。
 違法、脱法ドラッグ対策は、対策を講じても、次から次と新しい手法で蔓延していくことも油断できないところであります。社会全体で運動を起こし、薬物に手を出すことは格好悪いことなんだと感じていただく社会をつくることが大事です。それには、民間のボランティア団体等にも大いに活躍していただくためのさらなる支援も必要です。
 私も、五年ほど前から世田谷区内の若者で取り組んでいる薬物乱用防止活動に参加をしています。夜回り先生こと水谷修先生や、自立支援施設ダルクの施設長、また精神神経医療のドクターなどを迎え、講演会を開催していますけれども、続けることで参加者もふえ、関心の高まりを感じているところです。違法、脱法ドラッグ対策は継続して行うことが大切です。
 今年度は、我が党の要求で、違法、脱法ドラッグ緊急啓発事業のための復活予算が計上されており、若者に人気のタレントを使った啓発動画の制作と、若者の目に触れる場所での放映、また大学学園祭でのタレントを使った啓発など、さまざまな取り組みを行っていると聞いています。今後とも積極的な取り組みを続けていただき、東京は若者の命と未来を守る、このメッセージを発信していただきますようお願いを申し上げまして、質問を終わります。

○松村委員 初めに、資料提出、ありがとうございました。
 それでは、私の方から、高齢者、障害者、難病患者などへの介護、看護、世話などをしている方への支援、いわゆるケアラー支援といわれておりますが、これについて伺います。
 ケアラー支援は、今や社会的に大きな問題となっています。そこで、まず、都のケアラーの厳しい現状をどう認識しているのか、また、支援の必要性をどう考えているのか伺います。

○篠原企画担当部長 複数の分野にまたがるご質問ですので、局の施策を調整する立場からお答えさせていただきます。
 例えば認知症の方のような場合、妄想ですとか徘回など、さまざまな症状が出ることがございますので、その方々の介護を担う家族の負担というのは、決して少なくないと考えております。十二年度にスタートいたしました介護保険制度は、従来このような家族が担っていた高齢者の介護につきまして、社会全体で支えていこうということを目的に設置されております。また、障害者につきましては、障害者自立支援法、障害者総合支援法が制定されておりまして、こちらも社会全体で障害者の生活を支える仕組みを構築しております。
 介護を行う家族の方たちの負担を軽減し、社会全体で支える仕組みを構築するということは重要でございまして、一義的には、これらのサービスの提供主体でございます区市町村が、地域の実情に応じて取り組みを行っております。東京都は、広域自治体としまして、包括補助金等を通じて区市町村の支援に努めております。

○松村委員 実施主体が市区町村だと。確かに、介護保険制度はそうなっていますけれども、それがやはりケアラーなどに対する十分な対応がなされていないからこそ、これまでも何回となく取り上げてきましたけれども、立川を含めその後も、先ほども幼児の虐待ですか、やはり厳しい、本当にそういう状況が起きているということを指摘しなければならないと思います。
 それでは、都は、その重要性を認識なされているという、今も答弁もありましたから、都としてどのようなケアラー支援を行っているのか、その取り組みについて伺います。

○篠原企画担当部長 介護者等を支える具体的な取り組みに関しましては、先ほども申しましたとおり、サービス提供の主体でございます区市町村がその実態に応じて実施しております。例えば、見守りですとか話し相手を行うためのホームヘルパーを派遣する取り組み、あるいは専門相談員が家族の方の心のケアを行う取り組みなどを区市町村が行っておりまして、東京都は、包括補助事業によりましてその取り組みを支援しております。
 また、区市町村では、家族介護者の交流会であったり、介護技術を覚えていただくための教室を実施したりしておりますほか、地域包括支援センターや地域活動支援センターなどにおきまして、家族の相談に応じているところでございます。

○松村委員 そうした市区町村への包括補助などを通じての支援とあわせて、都独自の取り組みを含めたケアラー支援の必要性と、そういうものは今の答弁から感じられないんですけれども、いかがなんでしょうか、重ねてお伺いします。

○篠原企画担当部長 東京都は広域自治体としまして、区市町村が行うサービスのための基盤の整備という面では推進役を務めておりまして、例えばショートステイの整備であったり、小規模介護の推進であったりすることに対しまして、都として補助金を出して推進をしております。

○松村委員 都の出した高齢者等の見守りガイドブックにも、介護者の支援については、このように都民に、東京都の取り組みのあり方について書いているんです。複数人世帯では、介護者自身が介護疲れで身体的にも精神的にも疲弊していることが多く、その場合、要介護者、要支援者のみを対象とした支援を検討しているだけでは生活は成り立ちません、介護者への支援も含めて検討していくことが求められますと。そして、そのための、世帯全体の家族自身も含めた支援やサービスにつなげる視点を持ってアセスメントを行っていきますと。ここには、専ら市区町村だと。東京都は包括補助で、市区町村がやるのを支援して、あとは基盤整備だということでは、今日の本当に深刻なケアラーの置かれている、そういう悲劇に、事態を私は解決する方向には向かわないんじゃないかというふうに思いますが、この点はしっかりと認識を深めていただき、今後の取り組みを強化していただきたいというふうに思うんです。
 そこで、練馬区では、二〇〇七年度から二〇〇八年度まで都の認知症地域資源ネットワークモデル事業に選定され、介護家族支援についての検討を行い、家族会の有効性を確認し、認知症になっても安心して暮らせる地域づくりを目指し、支援体制充実を掲げ、二〇〇九年度より事業を開始しました。
 私、先日、区の担当者に会って、その後の取り組み状況について聞きました。私の周りにも大変、やはり若年を含めて認知症の方々が困難を抱えている事例を見ましたので、この区の取り組みを知って、さらに状況を確認しようと思いました。
 会ってお話を聞いた中では、ことし四月、男性の会を立ち上げたのを初め、家族介護の会は十二団体になっています。また、認知症サポーターもこの九月に一万人を超えたという話でした。介護家族の精神的負担の軽減に役立てるため、介護家族支援の必要性の周知と、既存のボランティアに対する知識、技術の向上につながるフォローアップ研修などのスキルアップも図っています。また、気軽に介護の悩みを話すことができる電話相談や、高齢者緊急ショートステイの運営等、介護家族の支援の充実を図っている様子がわかりました。
 そこで、都への要望はあるのかというふうに聞きましたが、いろいろあると。しかし、今、差し迫って求めたいのは、休息、息抜きを意味するレスパイト施設として、区が後方支援病床とショート施設を、有料老人ホームとまた区内の病院にそれぞれ二床ずつ確保しているとのことでした。今年度でそれが打ち切られるということを非常に心配していると。この事業は、何としてでも継続しなければならないという思いでいるけれども、ぜひ都の方に来年度も続けてほしい、そういう要望が出されました。
 これまで、区のこの緊急ショートステイの利用者は四十四人、延べ三百八日、緊急医療ショートステイは、利用者二十五人、延べ二百五十六日の実績を上げている大事な区の取り組みだといっておりました。そこで、ぜひ都としての支援を継続すべきと考えますが、どうでしょうか。

○笹井医療改革推進担当部長 練馬区の高齢者緊急医療ショートステイ事業のこと、医療保健政策区市町村包括補助事業による支援でございますけれども、終了する予定はございません。都は、引き続き、在宅高齢者等が病状変化時に病床を確保する区市町村の取り組みを支援してまいります。

○松村委員 ありがとうございます。それでは、十分の十でよろしいんですね。
 それともう一つ、今は緊急医療のショートステイ、練馬の場合は病院二つに一床ずつ確保しているんですけど、もう一つ、有料老人ホームに確保している二床についてはどうなんでしょうか。お答えがなかったように思います。

○笹井医療改革推進担当部長 初めの高齢者緊急医療ショートステイ事業の補助率についてでございますけれども、区市町村包括補助事業における在宅療養環境整備支援事業についてなんですけれども、事業開始から最大で三年間、補助率を十分の十に引き上げて手厚く補助しております。四年目以降は、ほかの事業と同じように二分の一の補助率で支援を継続してまいります。今後とも、在宅療養の推進に向け、区市町村を一層支援してまいります。

○松村委員 委員長、質問は出してありますよ。
   〔「もう一回いえばいいじゃないの」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 もう一回。

○松村委員 今は、緊急医療のショートステイの、練馬区内で二病院一ベッドずつの答弁だったと思うんです。今の答弁も、最初の答弁は継続するという答弁だったのが、違うじゃないですか、二分の一というか。それはだから、今までの十分の十で継続すべきじゃないかということを要望されたし、その質問だったんですけれども、違うということがわかりました。私は、ぜひ改めて十分の十の支援を、大事な施策ですから、要望しておきたいと思います。
 もう一つは、有料老人ホームに確保している二ベッドについては、引き続き都の支援はあるんでしょうか。

○篠原企画担当部長 有料老人ホームに確保している二床については、東京都が関知している事業とは違うのかなというふうに承知しておりますが。

○松村委員 行き違いがあるかどうかわかりませんので、ただ、質問を投げてというか、受け取ってというか、そういうあれがありながら、何らそれについて皆さん方の方から、この私が問いかけたというかね--についてはご回答がありませんでした。そういうことだったら、もっと私が事前に区の方にも、どういう要望なのかということを確かめる時間があったんですけれども、ないままだったので、今の答弁を再度、今後精査して、別の機会にただしたいというふうに思っています。
 それから、介護疲れによる事件が報じられるたびに、無理なく介護が続けられる環境整備の必要性を痛感させられます。介護者の介護にかかわる負担を軽減し、及びその社会参加の機会を保障するため、定期的または介護者の心身の状況に照らして随時、被介護者が短期間、介護を受けるために必要となる居室を備えた施設、今、例えば練馬区の場合だったらそういう後方支援のショートステイや病院のベッドを確保していると。そういうレスパイト施設を設置することは極めて大切です。
 そこで、練馬区は認知症介護者支援として、今申しましたそういう施設を設置いたしましたが、認知症や高齢者に限らず、障害、子供、難病などのレスパイト施設を設置する区市町村に対し、都は財政上の支援及び助言を行うべきではありませんか。また、広域的な対応をするため、都自身もレスパイト施設を設置することは極めて重要です。少なくとも、これらの施設の実施及び施設の整備に向けて必要な体制などの整備を行うことが必要ではありませんか。それぞれお伺いいたします。

○篠原企画担当部長 先ほどもお答えしておりますとおり、高齢者や障害者に対するサービスの提供の主体は、住民に最も身近な区市町村の役割でございまして、レスパイトなど介護者のための支援につきましても、区市町村が一義的には取り組むべきことと考えております。
 また、在宅で高齢者や障害者の介護などを行う家族の負担を軽減するための支援としましては、例えば介護の分野では、ショートステイの整備、小規模多機能型居宅介護の施設の整備につきまして都独自に補助を行うなど、既に在宅介護サービス基盤の整備の推進に努めております。
 障害者の分野に関しましては、日中活動の場の確保、そのための通所事業であったり、あるいは家族の休養を支援するための短期入所事業などの整備について、都として独自の特別助成を行っております。
 あわせまして、区市町村や事業者に対しましては、サービス基盤の整備に当たりまして、指導助言を必要の都度行っておりますし、運営の面でも定期的に状況を確認し、必要な指導助言を行っているところでございます。

○松村委員 例えば、私、練馬区の事例を挙げましたけれども、練馬区は認知症ということに着目して、それぞれのレスパイト施設ともいえる、家族が休養できる、本来でしたらケアラーが一緒に休息できる、そういう場の提供が、今やはり求められているんですよね。そういうことも含めて、やはり広域的な役割として、今、練馬は大事だと思って、わずかというか、二床ずつ確保して、もうそのぐらいが手いっぱいなんですよ。
 東京都が広域自治体として、今レスパイト施設の重要性をもし認識したら、都独自でもそれを確保する、私は少なくともそういう検討といいますか、その施設整備に向けて体制づくりも含めて、区市町村の支援とあわせて都独自のことを求めたんですけれども、お答えとしては、全く背を向けたものといわざるを得ないというふうに思います。
 次に、人材育成について伺うんですけれども、都は広域自治体として、みずから積極的にソーシャルワーカーその他介護者支援に関して、専門的知識及び経験を有する人材の確保、養成、資質の向上を図るべき取り組み、そういう人材育成についても独自の施策が必要だと思いますけれども、それについてはいかがでしょうか。

○篠原企画担当部長 先ほどもお答えしましたとおり、サービスの実施主体である区市町村において、実情に応じた家族等の介護を行っておりますので、必要な人材の育成、確保というのも、一義的には区市町村で行うべきことと考えております。
 なお、東京都は、介護現場で働く介護の職員ということに関しましては、その専門性の向上を目指しまして、資格取得の支援や適切な介護サービスの提供を促進するためのスキルアップの研修など、人材の確保、定着の取り組みに努めております。

○松村委員 介護保険法においては実施主体が区市町村ですけれども、介護保険は主に介護される被介護者ですよ、それを主に対象にしているわけですから。それから今、社会的に、ケアラーというか、そういう方々が本当に生活、またはさまざま病気や複数介護を行ったりしてですね--という問題が新たに発生している中で、その取り組みが東京都として求められているんじゃないかと。確かに一部といいますか、区市町村が東京都の包括補助などで、今、練馬の事例も示しましたけれども、取り組み始めております。
 しかし、どうしてもそこでは捉え切れない面があるから、先ほどの練馬区の、引き続き東京都の支援を求めると同時に、やはり東京都独自でも、担当者は展開していただけないかと。私は、そこに実態を、やはりしっかり取り組んだ結果の自治体としての認識があるというふうに思いますよ。
 これまでにも我が党は、その実態というか、少なくともそういうケアラーの置かれている状況を把握すべきだと、そこから東京都の役割や課題が見えてくるということをこの間にも再三質疑を行っておりますけれども、それを東京都は前向きに取り組もうとしていないということは、本当に今の答弁にもそのことが反映されているというふうに思います。
 そこでもう一つ、東京都がやるべき課題には、介護離職者というものが本当にふえて、この面でも経済的にも非常に厳しい課題が現実にあります。介護で仕事を離れた方々への経済的な支援、それからまた離職に対して、もとに復帰できるような、そういう取り組みが求められているというふうに思いますけれども、都としても、介護者が離職しなくてもよい支援や戻れるような支援策、また一定の期間どうしても介護にとられる、そういう場合には介護手当ともいうべきものを、国にそういう制度、これをつくることを強力に要請すると同時に、その間、都としても独自の取り組みを展開するのが、私は、都の役割としてもあると思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○篠原企画担当部長 東京都は、介護保険制度において、例えば介護報酬の見直しなど制度の仕組みの充実が図られるように、国に対して必要な提案要求は既に行っております。
 なお、介護休暇などのような労働者に対する施策につきましては、国の労働政策の責任として行うべきものと考えております。

○松村委員 かつては東京都も、性格は違うかもしれませんけれども、寝たきり手当、やはりどうしても日本のような場合には家族介護に頼る嫌いがある。しかし、そっちの面でも余りにも負担が重くなるというので、社会で支え合うという、そういう介護保険法ができたと思うんですよね。
 しかし、その介護保険法が実施されていく取り組みの中で、やはりそれではカバーできないさまざまな今の問題点が、社会的な問題が起きてきていると。そこに着目して、それは労働法制の問題だとかいうことにとどまらず、やはり福祉、そういう面からも捉えて、福祉保健局としても具体化していくことが、少なくともそれを検討することが、私は強く求められているというふうに思います。
 そのためにも、やはり横断的な組織をつくらなければ、どうしても労働の分野は労働だとか、または医療の分野だとか、そういうふうになりますから、知事も、構造的福祉について、人間の生活が縦割りでない以上、福祉の問題も、それ単体ではなく、構造として捉えていかなければ有効な対策を打つことはできないと、こういう発言もされているんですよ。ぜひそういう面では、福祉保健局もイニシアチブをとりながら、横断的な都としての組織も立ち上げるべき、このように思いますけれども、いかがですか。

○梶原次長 るるご質問があったわけですけれども、今回、今のお話を聞いていると、国の役割と東京都の役割と区市町村の役割というものをきちっとして議論をしないと、何でもかんでも東京都がやるのかという議論になるというふうに思います。
 まず、国の責任というのは全体の制度設計をつくる。これは全国一律といいますか、全国のナショナルミニマムとしての制度設計をつくる。その上で東京都は、区市町村が実施主体になるわけですから、区市町村のさまざまな福祉サービス、現状は区市町村によって実情が違うわけです。その実情が違うのを酌み上げたサービスを提供する。それを東京都は広域的な立場から、都全体のサービス水準の向上を図るという意味でやっていく。だからこそ基盤整備をやる。
 ところが、あるときにはサービスの実施主体として東京都がやれ、あるときには国の役割であるべき手当のところを東京都がやれと。これは行政のそれぞれの、広域的自治体あるいは国、その役割論を踏まえた議論をしないと我々はだめだというふうに考えています。
 それから、構造的福祉でありますけれども、そういうものを踏まえるならば、我々は東京都の中で、今も各局と連携をして施策を進めていますし、今後ともその施策は推進していきます。国と都、区市町村、この関係とそれから都の横の連携の話、これは全く違うものだと思っております。

○松村委員 お言葉を返すようですけど、私、何ら矛盾していないと思いますよ。だから、国には国に求めながらも、やはり今、市区町村に対する包括補助での支援も含めて、それでいろいろ見えてきた部分を、広域自治体としての都も独自施策も含めながら、市区町村応援とあわせて今検討すべき時期じゃないかと、検討することが大事なんじゃないかと、そう求めていることが、役割分担を履き違えているようなご答弁ですけれども、全くそれは違うと。
 ぜひ私の質問の……(吉住委員「我々、副委員長なんだから、ちゃんと議事進行のことを考えましょうよ」と呼ぶ)いや、だから平成二十四年度の予算で不十分な点を総括しながら、今後にですね、都としての役割をさらに求めるようにただすことは、何ら私は決算から離れたことじゃないというふうに思っております。
 それでは、次の質問に移ります。練馬の医療について、ちょっと恐縮ですけれども、触れさせていただきます。
 二〇一二年、平成二十四年度は、地域医療圏の改定作業が行われた時期でした。二〇一三年三月に改定した東京都保健医療計画の検討経過と、どういう改定が行われたのか伺います。

○小林医療政策部長 保健医療計画の改定に当たりましては、学識経験者、医療関係団体、区市町村、保険者及び公募都民等で構成する東京都保健医療計画推進協議会のもと、平成二十三年五月に改定部会を設置し、具体的な検討を進めるとともに、医療関係団体や区市町村への意見照会や都民向けのパブリックコメントを実施いたしました。都では、これらを踏まえ、計画案を東京都医療審議会へ諮問し、答申を経た後、平成二十五年三月に計画改定を行ったところでございます。
 今回の改定では、高齢化の急速な進展や社会状況等の変化などを踏まえ、精神疾患医療、災害医療及び在宅療養を重点的に取り組む課題として位置づけております。
 精神疾患医療につきましては、近年の患者数の増加等を踏まえ、新たにこれまでの四疾病五事業に追加し、精神疾患患者に対する医療提供体制や認知症対策の充実を図っているところでございます。

○松村委員 提出いただいた資料を見ますと、今回の改定で区西北部医療圏は、基準病床数が一万四千二百十八床となり、四月一日との差で三百八十一床ふやすことが可能となりました。それでは、練馬区は何床ふえることになったのでしょうか。

○小林医療政策部長 区西北部保健医療圏では、平成二十五年九月に三百八十一床を配分しております。そのうち、練馬区で病院の整備を希望する事業者に対しまして六十七床を配分しているところでございます。

○松村委員 今回の二次医療圏の改定に際して、区議会から意見書や要望書も都に提出され、私も地元区議団と昨年、医療政策部に区の計画に見合う増床を要請し、ことしの三月には都知事宛てに、病床規制見直し、練馬区の増床に特別対策をと、そういう申し入れ書を提出いたしました。これらの意見をどう受けとめたのでしょうか。

○小林医療政策部長 一般の入院医療は、基本的には医療法に基づく二次保健医療圏を単位に確保することとなっており、保健医療計画では、圏域ごとに一般病床に関する必要病床数を定めております。都としましては、保健医療圏の基準病床数の範囲内で公平な病床配分を行っているところでございます。

○松村委員 練馬区は、二〇〇八年から二〇一四年度の中期計画で、これは区の中期計画ですけれども、練馬区の病床数は人口十万人当たり約二百九十九床で、二十三区平均八百三十六床の約四分の一と極端に不足していますと。また、二〇〇八年度には三つの病院が救急医療を休止し、うち二つの病院が閉鎖するなど、深刻な状況に陥っています、このように述べて、病床確保を図ることにより、入院医療体制の充実を図る計画を明らかにしました。
 二〇一四年、来年までに、現在の二十三区平均三分の一から二分の一となることを目指しています。そのもとで、練馬区は二〇一〇年十一月に五病院構想を公表し、新たに二カ所の新病院を整備するとしました。一つは、救急医療や高度医療を行える五百床規模の病院、もう一つは、一般救急、回復期リハビリ、療養型を兼ね備えた二百床規模の病院を整備するものです。
 そこで伺いますが、病床の確保は、本来東京都の役割とされています。当然、今回、平成二十四年度医療審議会その他で審議されてきたというふうに思うんですけれども、練馬区の区民に示したこの病院計画が実現できるよう、都としてどういう支援をなされるんでしょうか。

○小林医療政策部長 都は、区市町村の区域を超えて専門的かつ広域的な視点で医療施策を展開することを役割としております。住民に身近な地域医療の確保は区市町村の役割としておりまして、都は、こうした区市町村の主体的な取り組みに対して支援を行うこととしております。
 都としては、保健医療圏の基準病床数の範囲内で公平な病床の配分を行うとともに、病院から申請があれば、救急医療や災害医療などの個々の行政医療に必要な施設整備について支援を行ってまいります。

○松村委員 本決算年度で、医療審議会を含めて、先ほどの経過もありました。病床を確保し配分するのは東京都の責任、役割ですよね。国が一定の基準病床数を設定し、それをどう各行政区や、今いった医療圏に配分するのかと。
 練馬の実態を先ほども述べましたけれども、練馬区内に病院が極端に少ない、これはもう厳然たる事実です。練馬区は人口七十一万ですが、人口が同規模の全国の市の病院の配置状況どうなっているかということで、練馬区の地域医療計画にも参考資料が載っております。私、これを見て、本当に改めて愕然とする思いです。
 例えば、岡山市、大体練馬と同じ人口のところと、岡山市は七十万一千九百六十五人ですけれども、五十七病院あるんですね。六百床以上は三病院もある。県立とか国立とか済生会とかですね。これは前に私も都議会本会議の一般質問で取り上げました。
 そういう市の違いを超えても、東京の、例えば大田区、足立区、江戸川区と大体、練馬は人口は匹敵しますけれども、大田区でも二十八病院、足立は四十七病院、江戸川は二十一病院ですけれども、練馬は十七病院なんですが、そのうち、十七のうち十三病院が九十九床以下なんですよ。四百床以上五百床未満が一病院、三百から四百までが一病院、二百から三百までが一病院、百から二百までが一病院という、そういう事態に置かれているからこそ、練馬区も、それから練馬区が行う区民調査においても、私たちが取り組んだ医療アンケートにおいても、もう切実、緊急、これはもう党派とか政党を超えた、やはり命にかかわる問題があるんですよ。
 私は、きょうはこれを一つずつ挙げませんけれども、例えばこの四月にも、妊婦さんが二十週で破水して、結局、近くに受け入れ病院が見つからずに一時間も搬送先が決まらないで、運ばれた先は荒川区西尾久の東京女子医大だと。手厚いあれを受けたけど、何でもっと近く--時間との勝負だったというんですね。命は救われましたけれども、おなかの赤ちゃんは亡くなっていたという、そういう訴えも私も見ましたし、また私の知り合いで、大けがをしたとか、または風呂場で事故が起きて亡くなったとか、そういう事例が、本当に枚挙にいとまがないんです。
 そういう点で、だからこそ練馬区挙げて、今後、高度救急医療や五百ベッドの計画、それからまたリハビリとか療養型とかそういう病院二百ベッド、これを中期計画や地域医療計画にのせて区民に公表しているんですよ。
 しかし、この実現の見通しというのは東京都にかかっているんですよ。だって、東京都がその病院配分の、しなければできない。ただ一般的にその枠の中でやるということでは、期待に応えられないというふうに思いますけれども、もう一度、今練馬区が計画している病院を建設または誘致するためにどうしたらいいのか、ぜひお知恵をおかしください。

○小林医療政策部長 初めに、現在都が採用しております配分方法についてのご質問がございましたけれども、現在、都が採用している方法は、公平に病床を配分する方法でございまして、恣意的な介入とかそういうものを排除できますし、迅速かつ公正であるということで、最も的確な方法であると考えております。
 先ほども申し上げましたけれども、東京都の役割としては、区市町村の区域を超えて専門的かつ広域的な視点で医療施策を展開することを役割としております。

○松村委員 理解していながらお答えをいただかないのは、結局、東京都が--都道府県なんですよね、医療法に基づいて医療圏を設定し、その人口に見合う病床配分というのは。練馬は極端に従来から、何も今に始まったことじゃないんです。医療法が成立する直前から、今区内平均の、行政区で見れば三分の一以下ということの事態が続いているんです。
 練馬区は、人口が多くて極端に病院が少なくても、結局、西北部医療圏ということで豊島区と板橋区、北区--豊島区や板橋区や北区には大学病院、都立病院、多くあるわけです。だから、その医療圏を設定した東京都に、やはり今の練馬の実態をどう認識してもらうか、または見ているのか。だから、今の医療圏の中で基準病床数が決まれば、もうそれは公平公正に、先ほども質問で伺いました三百八十一、西北部医療圏は病床増することができるけど、しかしほかから手を挙げれば、練馬がそういう計画を持って、この間何回も東京都に要請し、今度の平成二十四年度に行われた医療計画の見直しが大きな機会だからということで、要請していたにもかかわらず、公正公平な配分だと。
 そういう区挙げての、また区議会も全会一致の意見書を出しているんですよ。じゃ、そういうことが来ても何ら受けとめないんですか。それはもうそういう仕組みになっているから、手が挙がったところに公正公平に分けるといえば、練馬は二百ベッドの計画を立てて、今用地を確保したり、練馬区に誘致する病院と一体となって土地を確保して、いざ二百ベッド、区民に約束してやろうと思っても、配分されたのが先ほどいった六十七床と。新たに練馬区は二百ベッドじゃなくて五百ベッドも、近い将来つくらなければ、練馬の区民の命が守れないと必死の努力をしている。
 その見通しを持つためには何が必要かといったら、やはり皆様方の都が決めるべき医療圏の設定、例えばこれまでにも区からも要請していますけれども、医療圏の見直し、練馬区を、もう七十一万超えているんですから単独にするとか、またはどこかの区と、適正合理的になる医療圏にするとか、やり方はいろいろあるのではないでしょうか。
 そこで、私、最後に、この問題については、もうこれまでにも私のみならず、練馬区選出の議員も強く要望しております。そのことは皆さん方も受けとめられているというふうに思うんです。
 私自身、一九九六年の三月十五日の予算特別委員会で、この練馬の実態を取り上げて明らかにしたときに、当時の青島知事は、今日の人口の高齢化や出生率の低下、あるいは交通網の整備など、都民の保健医療を取り巻く環境は、刻々と変化していることも事実でございますと。都といたしましては、こうした状況の変化に的確に対応し、保健医療施策をより充実強化するために、保健医療圏の設定や必要病床数の算定のほか、健康づくりからの疾病予防、治療及びリハビリテーションに至る施策体系など、保健医療計画全般につきまして、今後の改定に向けまして、検討し直すべきだろうと思っていますと、こういう発言をされているんです。この知事の発言をどう受けとめられて、これまで検討なされてきたのでしょうか。

○小林医療政策部長 保健医療計画は、平成八年以降、平成十年に第二次改定、平成十四年に第三次改定、平成二十年に第四次改定、平成二十五年に第五次改定を行ってまいりました。保健医療計画の改定に当たりましては、これまで二次保健医療圏別の人口や患者の流出、流入状況などについて、保健医療計画推進協議会において検討してきたところでございます。
 その結果、圏域を変更するほどの大きな変化が見られないことや、現行の圏域を単位とした保健医療サービスを提供する広範な仕組みづくりが進んでいることから、見直しはしておりません。

○松村委員 今回の平成二十四年度の改定に当たっても、やはり国も指針出しているんですよね。受療動向や生活圏だとか交通だとか、その医療圏の設定がふさわしいのかどうかということ。この状況というのは、練馬は依然として変わっていないんです。例えば交通状況も、ここに交通不便地域というか、当時、青島知事がなぜこういう答弁をしたかといったら、例えば私が示した二次医療圏で、豊島区とか板橋区とか北区、練馬区民は利用すればいいといっても、こういう交通不便地域からバス停に出るまで時間がかかり、バスに乗って西武線の各駅に乗って池袋まで出て、池袋周辺には病院が少ないと。また電車に乗り継いで行かなければならないというようなこの事態は、当時ともほとんど変わっていないわけです。そういうもとで、練馬区のその当時の病院や入院ベッド、病床数よりもさらに少なくなっている事態があるんです。
 先ほど、皆さん方は人口の流出、流入というのを全体に見て、練馬区がそういうふうに置かれていて、この医療圏の実態に合わないといっても、今まで積み重ねてきた医療サービスの提供が違ってくるからと。ただ皆さん方の、失礼ながら行政の立場から、一旦決めたものは、また変えるようなことになったら、練馬区の状況がそうであったって、他に支障を来すと。一言でいえば、そういう立場でしょう。
 でも、それを真摯というか、私は青島知事、本当にこのときに受けとめていただけたと思いますよ。恐らく知事は、当初の原稿、私がいただいていたのよりも、違う受けとめ方をしていただいて、応えようと、今後検討をし直すべきと。やはりその知事の発言というのは、私たち本当に喜びましたし、練馬区民は、やっぱり重く受けとめて、真摯にやっていただきたいと思いますし、そのときにも練馬は過少病床だったんです、圧倒的に。
 ところが、その当時も、改定された、前回、前々回ですか、二次医療圏の改定においては、練馬というか、西北部が大幅にふやせる状況を、今の制度や仕組みの中でも、医療圏は変えていただけませんでしたけれども、ふやしていただく知恵も働かせていただいたというふうに思います。当時も私、医療審議会に入りました。医療審議会で、今のような練馬の状況をやったら、みんなとにかく練馬を何とかしてやってほしいという、そういう医療審議会の本当に状況だったんです。
   〔発言する者あり〕

○小磯委員長 時間ですね。まとめましょう。

○松村委員 ぜひきょうの私の質疑も、練馬七十一万区民の今置かれている医療、命にかかわる問題として訴えさせていただいているということは、本当に過言ではないと思いますし、私も今度再び都議会に送っていただいた、その練馬区民の声も率直に皆さん方にお伝えさせていただきました。ぜひ今後の前向きの取り組み、練馬区を応援していただくことをお願いいたしまして、終わります。

○小磯委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十七分休憩

   午後三時十三分開議

○小磯委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○小山委員 私から、三件についてお伺いをしたいと思います。
 まず一件目として、福祉のまちづくりの推進についてであります。
 東京都における高齢者は急激に増加をしておりまして、二〇二〇年の平成三十二年には、東京に住む四人に一人が高齢者となることが見込まれております。さらに、東京都の高齢者のうち七十五歳以上の人口を見てみますと、平成二十二年度で既に百二十二万人に達しておりまして、高齢者全体の約四六%を占めております。
 高齢者の増加は、人口減少を迎える二〇二〇年以降も続く見込みでありまして、東京における高齢者の人口比率は年々増加をし続けます。また、同年二〇二〇年には、東京でパラリンピックが開催をされます。高齢者や障害者を含め、全ての人にとって住みやすい、訪れやすい町東京としていくためには、ユニバーサルデザインの視点に立った福祉のまちづくりをより一層推進していくことが重要です。
 そこで、まず初めに、都は、福祉のまちづくりをこれまでどのように進めてきたのか、お伺いをいたします。

○高原生活福祉部長 都におきましては、平成七年三月に東京都福祉のまちづくり条例を制定し、全ての人が安全、安心、快適に暮らし、訪れることのできる都市の実現を目指して、ユニバーサルデザインの視点に立った福祉のまちづくりを推進してまいりました。
 具体的には、条例に基づいて、不特定かつ多数の人が利用する建築物、道路、公園、公共交通施設などのうち、特定の種類や規模の施設について整備基準を定め、整備を促進してまいりました。さらに、福祉のまちづくりに関する施策を総合的、計画的に推進するための基本計画として、東京都福祉のまちづくり推進計画を策定し、施策の推進に努めてきたところでございます。

○小山委員 東京都福祉のまちづくり条例は、平成二十一年に、このユニバーサルデザインの理念に基づく条例として改正、施行されまして、その条例に基づき、平成二十一年度から二十五年度までの五カ年を計画期間として東京都福祉のまちづくり推進計画を策定され、施策の推進を図ってこられました。
 この東京都福祉のまちづくり推進計画は、各局にわたる百十二事業を体系的に捉えられまして、平成二十五年度末の具体的な目標を示されております。本計画は、このユニバーサルデザインの視点のもと、各事業を総合的かつ計画的に、ご答弁にありましたように進めてこられました。
 この本計画の中にも載っておりますが、高齢者や障害者、乳幼児連れの方など、全ての人が安心して安全かつ円滑に移動できるバリアフリー環境を整備するためには、東京における高齢化の急速な進展やパラリンピックの開催を踏まえ、駅へのエレベーター設置や路線バスのノンステップ化を早期に整備することが必要であります。
 そこで、本計画の最終年度であります平成二十五年度において、平成二十四年度段階の各事業の進捗状況をお伺いしたいと思います。
 まず、公共交通機関の整備についてでありますが、鉄道駅エレベーター等整備事業補助と、だれにも乗り降りしやすいバス整備事業の事業概要と平成二十四年度の補助実績、あわせて都内の整備状況についてお伺いしたいと思います。

○高原生活福祉部長 まず、鉄道駅エレベーター等整備事業についてでございますけれども、本事業は、区市町村が車椅子対応エレベーター等を設置する鉄道事業者に対して補助を行う場合に、都として支援を行う事業でございまして、全ての都民が円滑に社会参加できる環境を創出することを目的としてございます。
 平成二十四年度におきましては、JR西国分寺駅など五駅における整備に対して補助を行ったところでございます。累計では、エレベーター等の設置により出入り口からホームまでの移動が円滑化された駅は、平成二十四年度末現在、都内の全駅七百七十一駅中六百八十四駅、整備率は八八・七%でございます。
 また、だれにも乗り降りしやすいバス整備事業は、民営バス事業者がノンステップバスを購入する場合に補助を行う事業で、平成二十四年度においては六十両の整備に対して補助を行いました。平成二十四年度末現在で、都営バスも含め都内全車両五千五百二十四両のうち、ノンステップ化されている車両は四千八百八十三両、整備率は八八・四%となってございます。

○小山委員 ただいまご答弁いただきましたように、どちらも全体の整備率ともに九割近くと高いものになっておりまして、これは、これまでの取り組みの成果があらわれているんだろうと思います。
 都営バスにつきましては、平成二十四年度末に全ての車両のノンステップ化を完了しておりまして、まさしく各局の取り組みを、この計画に基づいて多面的に支援してこられた福祉保健局の取り組みを評価をしたいというふうに思います。
 そして、ここでぜひ申し上げておきたいのでございますが、都内の各鉄道駅の車椅子対応エレベーター、エスカレーターの設置状況を見ますと、全体では、先ほどご答弁にもありましたが八八・七%でございますが、その中でJRや私鉄においては九一・六%、そして都交通局においては九三・一%。それに対して、東京メトロでは七三・五%であるということ。さらに、これらの数値はあくまで一ルート以上の確保であるということがあります。今後の災害対応であるとか、あるいは先ほど申し上げましたようなことも含めて、鉄道駅のエレベーター等整備事業については、一層の取り組みと拡充を求めておきたいと思います。
 次に、公共交通機関などをバリアフリー化することに加えて、駅を拠点として駅前広場や周辺の公共施設や商店街など、それらを結びつける道路なども一体的に整備を進めていくことが重要であります。この面的整備によって、町全体が、誰もが安全かつ円滑に移動できるユニバーサルデザインの町とすることができます。
 そこで、ユニバーサルデザイン福祉のまちづくり事業について、事業概要と平成二十四年度の補助実績、また、これまでの累計の実績をお伺いしたいと思います。

○高原生活福祉部長 ユニバーサルデザイン福祉のまちづくり事業は、駅前広場、商店街、公共施設等の集中している特定の地域におきまして、都民、事業者、行政が協働して、案内サインの設置や段差の解消など連続性のある一体的、面的な整備を行うなど、先駆的に取り組む区市町村を支援することにより、全ての人が地域で生き生きと暮らし、社会参加できる都市の実現を目指す事業でございます。
 平成二十四年度におきましては、世田谷区千歳烏山駅周辺地区など四区五地区の整備に対して補助を行い、結果、事業開始した平成十六年度からの累計では、十五区市二十地区においての整備を図ってまいったところでございます。

○小山委員 ただいまご答弁いただきましたように、面的な整備を進めてこられているということはよくわかりました。
 先ほど申し上げました鉄道駅などのエレベーター等整備事業で、駅にエレベーターを設置しておられることはよくわかるんですが、その接道部分である、やはり駅前広場であるとか、あるいはペデストリアンデッキ、さらには歩道橋なども接道されているところがございます。そういったところに、実は段差がいまだ残っていることによって、面的なバリアフリーが完成し切れていないというところも見受けられます。
 ぜひ、こういった三つの具体的な事業について、これまでの実績などをお伺いしてまいりましたが、今後とも、駅やバスなどの公共交通機関のバリアフリー化は進めていただくとともに、駅やそれにつながる建築物、道路などを結びつける面的、一体的な整備を促進していただくことを求めておきたいと思います。
 先日のスポーツ振興局の決算質疑におきまして、史上最高のパラリンピック大会を開催したといわれておりますロンドンでは、市や中心部での駅のエレベーター設置が未整備であることなどが課題として挙げられておりました。
 そこで、東京では二〇二〇年にオリンピック・パラリンピックが開催されることも踏まえまして、開催会場だけでなく、東京全体の福祉のまちづくりを一層推進していくことが必要だと考えます。そこで、都は今後どのように取り組み推進していくのか、お伺いをいたします

○高原生活福祉部長 平成二十五年度が計画の最終年度となります東京都福祉のまちづくり推進計画につきましては、改定に向けて、昨年度、都民、事業者、学識経験者等から成る福祉のまちづくり推進協議会を設置し、今後の課題や施策の方向性について審議を行い、本年七月に意見具申をいただいたところでございます。
 現在、意見具申されました計画改定の基本的な考え方等を踏まえて、今後五年間を見据えて取り組むべき施策を計画として取りまとめており、今後新たな推進計画に基づいて、ユニバーサルデザインの視点に立った福祉のまちづくりを一層推進してまいります。

○小山委員 ご答弁ありがとうございました。この計画を現在、改定をされるということで今取り組んでおられる最中ということでございますが、ぜひともこれまで取り組んでこられましたさまざまな施策をさらに充実させていただくとともに、新たな長期ビジョンに位置づけられる二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催も踏まえた推進計画としていただきまして、二〇二〇年に間に合うようスピードを上げて、東京における福祉のまちづくりを一層推進していただくことを求めて、次の質問に移らせていただきます。
 二件目は、都の保健所行政についてお伺いをいたします。
 都は、平成十六年四月、多摩地域の十二保健所を七カ所に再編をし、その後平成十九年に八王子市が、平成二十三年に町田市が保健所政令市となりまして、それぞれ保健所が移管され、現在は五カ所となっております。
 保健所の再編は、母子保健事業の市町村への移管や介護保険制度の開始、精神保健福祉事業の市町村への一部移譲など、地方分権の進展を背景に、基本的に住民に身近な市町村が対人保健サービスを提供する体制を整備するという流れの中で、市町村との協議、合意を経て実施されたことは理解をしておりますが、さまざまな課題もあると考えております。
 そこで、保健所の再編について、一保健所当たりの所管区域が広域化し、市町村との物理的距離も遠くなるなどの課題に対してどのように対応されたのか、また、再編によってどのような成果があったのか、確認の意味でお伺いをしたいと思います。

○松浦地域保健担当部長 委員のお話にもございましたが、母子保健事業の市町村移管など地方分権が進み、住民に身近な市町村で基本的な対人保健サービスを提供できる体制が整備され、都保健所の役割は、市町村等を支援し連携することへと変化する一方、感染症や食品の安全問題など、より広域的、専門的な対応を必要とする健康危機という新たな課題が生じておりました。
 このような状況の変化に的確に対応し、都の保健所の果たすべき機能を効率的、効果的に発揮できるよう、二次保健医療圏における総合的な保健医療施策の拠点として、平成十六年に再編整備したものでございます。
 再編後の保健所では、新型インフルエンザ等の発生に対応する感染症対策係の設置や、食品に起因する重大な健康被害等に対し重点的、機動的な監視指導体制などの組織整備を行ってまいりました。
 さらに、市町村、医療機関、警察、消防等の関係機関で構成する健康危機管理対策協議会を設置し、健康危機管理計画の策定や実践的な訓練の実施など、市町村関係部署との連携強化を図ってまいりました。
 こうした取り組みは、平成二十一年の新型インフルエンザの世界的流行時に、住民からのさまざまな相談を受ける市町村に対する最新情報の提供や連携した対応、また、保健所における相談センターの設置や、感染者、接触者の疫学的調査の実施等への迅速な対応に生かされたものと認識しております。

○小山委員 今ご答弁いただいた中にありましたように、再編によりまして、その対応にさまざまな工夫や努力をされ、成果を上げてこられたことは理解をさせていただきます。
 しかしながら、再編後十年近くなりまして、残る五カ所の保健所区域において、地域の事業者や、あるいは関係団体の皆さんからよくお聞きする声として、地域事情に精通した職員が少なくなっており、顔の見える関係構築が非常に難しくなったという声も聞かれます。
 そこで、地域との連携協力体制の構築を十分に図るべきと考えますが、都はどのような取り組みをしているのか、お伺いをさせていただきます。

○松浦地域保健担当部長 保健所では、所管区域の自治体や関係機関、関係団体等で構成する地域保健医療協議会を設置し、地域特性に応じた地域保健医療推進プランの策定や、地域課題に対応した取り組みを進めております。
 また、保健所は、市町村や地域における食品衛生、環境衛生関係の事業者団体等が開催いたします講習会や研修への講師派遣や、各種会議、関係団体の行事への参加など、日常的な活動を通じて、顔の見える関係の構築に努めているところでございます。今後とも、地域の関係団体との連携協力体制の充実に努めてまいります。

○小山委員 いろいろな取り組みと、そして最後に、ぜひしっかり努めていかれるということでありますので、その答弁を承りたいと思います。
 先ほど申し上げましたけれども、残念なことに、やはり地域からそういった連携協力関係に若干のそごが生じているということも聞かれております。ぜひ職員の皆さんの異動時に、地域の実情を適切に後任の方に引き継いでいただきまして、地域との連携関係、地域の関係者との信頼関係をしっかり築いていただきまして、保健所行政の充実と密接な連携協力体制を構築していただくことを要望しておきたいと思います。
 次に、三件目としまして、府中療育センターの改築についてでございます。
 府中療育センターは、開設から四十年以上が経過をいたしまして、施設が老朽化、狭隘化していることから、利用者、家族会からの早期の改築が強く望まれているところであります。
 都では、平成二十三年六月に都立府中療育センターの改築に向けた基本計画を策定されまして、改築に向け、鋭意準備を進めているところであります。そこで、府中療育センターの改築について、平成二十四年度の取り組み及び現在の進捗状況についてお伺いをさせていただきます。

○山岸障害者施策推進部長 平成二十四年度は、二十五年度の基本設計着手に向けまして、病棟、外来、通所といった各部門の配置など、設計に当たっての条件を整理するための調査委託や改築後の敷地を確定するための測量などを行いました。
 今年度は、財務局設計等業務プロポーザル技術審査委員会の審査により、基本設計を行う設計事務所を選定し、十月に契約を締結したところでございます。

○小山委員 これまでもこの府中療育センターには何度も足を運び、現場の状況を確認するとともに、各会派の皆さんとともに家族会の切実な要望を伺ってまいりました。家族会の総会での各会派の代表者の方からのご挨拶は、所在地である地元議員としても非常に心強く、感謝をしたいというふうに思っています。
 そこで、現状では平成三十一年度の竣工を見込んでいると聞いておりますが、改築後の府中療育センターが、より充実した施設となるよう、都は今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをさせていただきます。

○山岸障害者施策推進部長 平成二十三年六月に策定した都立府中療育センターの改築に向けた基本計画では、入所施設として質の高い療育を提供するとともに、在宅療育の拠点として、地域で暮らす重症心身障害児者への支援をより一層充実することとしております。
 また、昨年度実施した調査委託の中では、基本計画で示した利用者の良好な生活環境の確保などの基本的な考え方を踏まえまして、利用者の特性に配慮し、各部門に必要な面積や機能等について整理したところでございます。今年度実施する基本設計には、これらの内容を反映させてまいります。
 改築後の府中療育医療センターは、都の療育の拠点となる施設であり、利用者のご家族へのヒアリングなど関係者のご意見を聞きながら、全国に模範となるセンターとなるよう取り組んでまいりたいと考えております。

○小山委員 ただいまのご答弁を評価をしたいというふうに思います。これまで府中療育センターは、全国に誇るべき重症心身障害児者の施設であったというふうに思っております。今の答弁の中にもありましたように、その充実をより深めるために、関係者の意見を十分ヒアリングをされて、それを反映されているということでもありますし、ぜひこの新センターにおきましても、都の療育の拠点として全国に範となるべきセンターとしていただき、すばらしい施設ができますよう、要望をしておきたいと思います。
 また、家族会を初め利用者の方々から切なる願いであります短期入所につきましても、一つでも多く増床をしていただきますよう強く求めさせていただきまして、私の質疑を終わらせていただきます。

○おときた委員 私からは、大きく二点、まずは少子社会対策費の中から、病児保育関連についてお伺いをいたします。
 喫緊の課題である待機児童問題ですが、特に病児保育に関しては、ニーズの高まりに対して、まだまだ受け入れ体制が整っておらず、全国的にも、病児を受け入れ可能な施設は、平成二十四年度時点で千百カ所程度にとどまっています。さきに鈴木委員からの質問への答弁で、東京都の病児保育施設は、目標に対しては順調に推移しているということではございましたが、それでもまだ百四十施設であり、病児保育のさらなる充実のためには、不断の努力が欠かせません。
 東京都が独自に行っているアクションプログラム事業の中に、病児保育に関連するものがあるかと思いますが、では、平成二十四年度に実施された事業について、具体的に教えてください。

○浜少子社会対策部長 都は独自に、病児保育施設を中核に施設職員の派遣や看護師の巡回を組み合わせてネットワークを構築する病児・病後児保育ネットワーク事業や、病児、病後児保育施設から保育所等に対して病児ケアの情報提供、相談支援を行う病児・病後児ケア相談支援事業を実施しております。さらに、平成二十四年度から三カ年のモデル事業として、保護者が送り迎えしやすい駅前で病児保育施設の整備が進むよう、建物賃借料の補助や保育所職員が駅前の病児保育施設に児童を送迎する場合等に補助を行う駅前型病児保育事業を開始しております。

○おときた委員 ご答弁いただきまして、病児保育拡充のために都がさまざまな施策を試みていることがわかりました。
 それでは、それぞれの事業について、平成二十四年度の予算執行率及び実績についても教えてください。

○浜少子社会対策部長 病児・病後児保育ネットワーク事業は二区二カ所、病児・病後児ケア相談支援事業は五区市九カ所で実施しております。駅前型病児保育事業につきましては、現在実施している区市町村はございません。
 なお、病児・病後児保育ネットワーク事業と病児・病後児ケア相談支援事業でございますが、これらは、ほかの事業とともに包括補助事業で実施しております。包括補助事業は、各区市町村が地域の実情に応じて主体的に実施する事業を支援するものでございまして、個々の事業ごとに予算額を定めて、執行率を算出するものではございません。

○おときた委員 ご答弁の中で、包括補助事業なので個別の執行率は算出していないとのことでしたが、やはりそれぞれ異なる事業においておのおのの執行率が見られないと、事後的に行政効果を評価することが難しくなりますので、ここは少し気になるところです。今後は、検証しやすいような予算編成がなされるように要望しておきます。
 さて、病児保育支援事業に話を戻しますと、それぞれに特色のあるすばらしい取り組みだと思いますが、実施状況を見ますと、残念ながら現段階では十分に活用されていない面も感じます。特に、モデル事業でもあります駅前型病児保育事業は、まだ実施に至っていないということで、この理由について見解をお伺いいたします。

○浜少子社会対策部長 駅前型病児保育事業は、保育所職員が病児保育施設に病児の送迎を行うものであるため、保育所職員に病状が急変した際の対応が求められることや、送迎に要する時間は保育所職員が一人減となることなどが、実施に向けての課題と聞いております。

○おときた委員 新しい事業に困難はつきものですので、新たな施策に挑戦していることは高く評価したいと思います。送迎における課題を認識されているとのことですので、より使いやすい制度に向けて、市区町村や現場とも協議を重ねて、より一層制度や利用状況が改善されていくことを期待いたします。
 一方で、事業者側ではなく、利用者側を助成するという考えがあります。先日行われました第一回東京都子供・子育て会議でも、委員の方より、従来型の施設での対応では、特に病児保育についての拡充は望めない、渋谷区や足立区が先駆的に行っている利用者補助の仕組みを東京都が全国に先駆けて行うべきであるとの意見書が提出されました。
 立地に依存する施設型ではなく、今後は訪問型の取り組みも支援していく必要があり、利用者助成は、そのために有効な手だての一つです。病児保育の関連事業の予算が完全には使用されていない中で、確実に利用される仕組みとして一考に値するかと思いますが、今後の病児保育の拡充に向けての展望も含めて、見解をお伺いいたします。

○浜少子社会対策部長 病児保育は、保育と看護双方の専門知識と技術が求められることから、都は、施設や職員配置の基準を遵守した事業者に対して運営費を補助することで、安心・安全の確保と利用者の負担軽減を図っております。
 この補助は、施設型だけでなく、平成二十三年度からは区市町村が定めた研修を修了した看護師、保育士等が児童の自宅で実施する非施設型も対象としております。今後とも、区市町村に対し、地域の実情にあわせて病児・病後児保育事業を拡充していくよう働きかけを行ってまいります。
 なお、保育サービスにおける個人への利用費助成につきましては、在宅で子育てをしている一つの受益と負担の公平という観点も含めまして、現在の施設に対する補助、児童手当制度との調整、低所得者に配慮した利用方法などについて、多くの課題があると認識しております。

○おときた委員 ご答弁いただきまして、確かに保育の質の問題等、課題が多いことも確かです。特に、病児保育という繊細な分野に関しては、慎重な対応を要することは理解ができます。しかしながら、高まるニーズや昨今の民間保育の質の向上も鑑みて、継続的な制度の見直しは不可欠です。
 また、特に現状では全く実績がない非施設型、訪問型の補助についても、今後は東京都がリーダーシップをとって先進的に広げていく努力が望まれます。今後も市区町村や現場の声を反映した利用されやすい制度設計、利用者補助も含めたあらゆる選択肢を検討し、病児保育の充実のためにご尽力いただければと思います。
 次に、児童相談所費の中から、児童相談、特に虐待相談対応についてお伺いいたします。
 東京都における虐待相談の件数は右肩上がりにふえ続けており、その相談件数は、全国でも一、二を争うといわれています。まず、この虐待相談件数の直近五年間の推移を教えてください。

○浜少子社会対策部長 都内十一カ所の児童相談所が虐待の疑いで相談を受理して対応した件数は、平成二十年度が三千二百二十九件、二十一年度が三千三百三十九件、二十二年度が四千四百五十件、二十三年度が四千五百五十九件、二十四年度が四千七百八十八件となっております。

○おときた委員 直近だけでも、千件単位で相談件数が激増していることがわかります。こうなると心配されるのが、これに対応する人員の体制ですが、平成二十四年度はどのような人員体制の見直しが行われたのかをお伺いいたします。

○浜少子社会対策部長 平成二十四年度は、児童心理司の定数を十一名増員し六十五名としたほか、警察官のOBである虐待対応強化専門員や、保健師の資格を有する医療連携専門員を新たに配置するなど、児童相談所の体制強化を図りました。

○おときた委員 厳しい状況をしっかりと認識されて対応していることがわかります。
 それでも、ふえ続け深刻化する問題に対しては十分ではないとの指摘もあります。児童の虐待は、子供、子育てにかかわる部分でもありますから、さきに行われました第一回東京都子供・子育て会議でも、委員から、東京都は児童相談所機能を特別区に移管し、より大規模かつ網羅的な虐待対応体制を整備するべきであるとの意見が提出され、また、特別区の側からもそのような要請があった歴史的な経緯もあります。こうした意見に対する現時点での見解と、児童相談所機能を東京都が所管する意義についてお伺いいたします。

○浜少子社会対策部長 児童相談所は、虐待を初め非行や障害相談など、ゼロ歳から十八歳までの児童に関するあらゆる相談に対応しております。相談を受けた後は、一時保護や施設入所、里親委託等の法的対応を初め、虐待で傷つき情緒的な問題を抱えた子供たちへのケア、親子関係を修復し家庭へ復帰させる取り組みなど、専門性を発揮しながら広域的で一貫した対応を行っております。
 一方、区市町村は、児童家庭相談の第一義的な窓口として相談支援や訪問、在宅サービスの提供、地域の関係機関のネットワーク構築など、身近な地域での支援の役割を担っております。
 現在の特別区は、人口五万人の区から八十万人の区までさまざまでございますが、仮に全ての区へ児童相談所機能を移管するとなれば、各区に一時保護所を整備するとともに、児童福祉司や児童心理司を初め、保健師、医師、弁護士といった専門人材をそれぞれの区で確保、育成する必要がございます。また、重篤な児童虐待など緊急を要する困難事例にも対処できるよう相談対応力の強化が必要であり、さらに児童養護施設や児童自立支援施設等の入所調整など、新たに特別区相互、あるいは都と特別区との間で連携協力が必要となるなど、多くの課題があると認識しております。

○おときた委員 ご答弁いただきまして、広域的な対応等、広域自治体である東京都が請け負うべき側面と、そしてさまざまな課題をご認識されていることがわかりました。
 しかし、そうなりますと心配になるのが基礎自治体との連携です。区市町村と児童相談所が役割分担をして対応するに当たり、両者の連携が不可欠であると考えますが、その対応についてお伺いいたします。

○浜少子社会対策部長 都では、区市町村の子供家庭支援センターが虐待ケースの援助方針の検討や関係機関の情報共有、調整機能を適切に果たすことができるよう、虐待対策コーディネーターを配置した区市町村への支援を平成二十三年度から行っております。さらに、児童相談所と区市町村が児童虐待等に適切に対応するために、円滑な連絡調整のルールを定めており、平成十九年度より運用をしております。
 なお、平成二十五年度は、児童相談所と子供家庭支援センターが今後より一層緊密な連携、共同を図り、双方の対応力を高めることができるよう共有のガイドラインを策定するため、都と区市町村で検討を進めているところでございます。

○おときた委員 平成二十五年度からは、共通のガイドラインの作成にまさに取り組んでいるとのことで、具体的な動きが出ていることを評価したいと思います。
 しかしながら、こういった対応体制の改善に終わりはありません。今後も増加が予想される虐待相談対応に万全の体制がとれるよう、特別区への機能移管などのあらゆる選択肢を排除しない継続的な改善の検討を続けられることを期待いたします。
 最後に、さきの質問に関連しまして、養子縁組の取り組みについてお伺いいたします。
 望まない妊娠による出産で養育できないなど保護者の意向が明確な場合には、特別養子縁組を前提とした里親委託の方法がございます。望まぬ環境下での子育てが続くと、さきの児童虐待につながるケースもあります。東京都では、平成二十四年度どのような取り組みをされたのか、実施の件数とあわせて教えてください。

○廣瀬事業推進担当部長 平成二十四年度からは、全ての児童相談所で里親に対する専門的知識や子育て相談業務の経験を有する民間団体を活用し、専門的な助言による心理的負担の軽減を図る取り組みなど、里親に対する支援を一層推進してきました。
 また、里親が安心して子供を迎えられるよう、乳幼児期の心身の特性や、実際に養子縁組をした人からの実体験に基づく子供との接し方など、養育に関する知識や技術を習得するための研修を実施しております。
 一方、養子縁組里親の登録家庭数ですが、平成二十四年度は百七十八家庭となっており、平成二十年度の百三十五家庭から四十三家庭の増加となっております。養子縁組里親に委託された児童数につきましては、二十人から三十人で推移しているところでございます。

○おときた委員 東京都としてもさまざまな取り組みを行い、また登録件数も増加傾向にあることがわかりました。
 しかしながら、こちらもさきに行われた東京都子供・子育て会議の中で、委員からは、特別養子縁組について、人員不足から東京都の対応が後手に回っているのではないかとの指摘もありました。この点につきましての見解と、今後の制度運用についての展望をお伺いいたします。

○廣瀬事業推進担当部長 養育が困難などの理由で特別養子縁組を希望する相談があった場合、児童福祉司や児童心理司が面接や家庭訪問などを通じて、実親の意思確認や養育力、環境などをきめ細かく確認した上で、乳児院入所や養育家庭委託などさまざまな援助内容から、特別養子縁組の必要性を判断しているところでございます。
 調査の結果、特別養子縁組が適当であると判断した場合は、登録家庭の中から児童にとって適切な家庭を選定し、さらに養子縁組成立までの間も面接や家庭訪問などを重ねるなど、慎重に確認しながら適切に対応を進めているところでございます。
 今後とも、児童の福祉を第一に考えながら、社会的養護を必要とする児童に対して適切に対応してまいります。

○おときた委員 親権の移動を伴うのが養子縁組ですから、非常に慎重に対応されていることがわかりました。養子縁組を希望する里親から養子縁組へ結びつける取り組みは、子供に安定した親子関係を用意できる方法として大変重要なものです。この取り組みの改善、よりよい運用のための努力も終わりのないものだと思いますが、民間NPO等々も活動しております。今後も都民からの要望に少しでも多く応えられるよう、東京都としてもご尽力いただきたく要望いたしまして、私からの質問を終わります。

○小磯委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。

○小磯委員長 これより病院経営本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十四年度東京都一般会計決算中、病院経営本部所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○吉住委員 私からは、公社活性化プランⅢについて質疑をさせていただきます。
 公社病院は、地域の実情に応じて、診療所と病院、また病院間での機能分担や専門化を進め、円滑な連携を図ることによって、都民が身近な地域で適切な医療を受けられるようにすることを目的に、二次医療圏における救急医療も含めた対応をする病院として運営されています。
 そうした中で、この計画では、医療で地域を支えるを公社の基本理念に掲げまして、超高齢社会の到来に伴う地域の医療ニーズに的確に対応し、地域の中核病院として、住民の期待に応えていくものとされております。地域に貢献する十年後の公社のあるべき姿を見据えながら、平成二十四年度から二十八年度までの五カ年計画における事業運営の方向性とその実現に向けた道筋を示した中期経営計画と位置づけられています。
 さて、この計画の中では、患者中心の温かい医療の提供、地域医療ニーズを踏まえた特色ある医療の提供、質の高い人材育成・確保、財政基盤の確立と自律的経営の促進といった四つの視点を掲げ、具体的な取り組み内容とその方向性を示しております。
 そこで、計画の初年度に当たる平成二十四年度における具体的な取り組み状況について伺います。

○和賀井経営企画部長 四つの視点のうち、まず、一番の患者中心の温かい医療の提供につきましては、全ての公社病院で薬剤師の病棟常駐を実施するなどチーム医療を推進するとともに、診療実績や手術件数など医療の質をあらわすクリニカルインディケーターを病院のホームページにわかりやすく掲載し、患者から選ばれる病院づくりを目指しております。
 二点目の地域の医療ニーズを踏まえた特色ある医療の提供につきましては、荏原病院で認知症疾患医療センターを開設するとともに、大久保病院と荏原病院では大腸がん、豊島病院では胃がんで東京都がん診療連携協力病院の認定を取得し、がん医療の充実強化を図っております。
 三点目の質の高い人材の育成につきましては、認定看護師資格の取得支援を行うとともに、豊島病院では医事業務の一部直営化に取り組んでいるところでございます。
 最後に、四つ目の財政基盤の確立と自律的経営の促進につきましては、全ての公社病院においてDPC分析の強化を図るとともに、診療報酬に係る加算を新たに取得するなど、経営改善策に積極的に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、より一層経営力を強化し、地域医療のさらなる充実に貢献していくため、公社活性化プランⅢの着実な推進に取り組んでまいります。

○吉住委員 ただいまの答弁で、東京都保健医療公社が公社活性化プランⅢに着実に取り組んでいることがわかりました。
 その取り組みの中で、財政基盤の確立と自律的経営を促進するため、さまざまな経営改善策に取り組んでいると説明がありました。
 そこで、公社病院の医業収支比率及び一般会計から支出されている運営費補助金の状況につきまして、平成二十三年度と比較してどのような状況になっているか伺います。

○和賀井経営企画部長 医業収支の状況でございますが、東京都保健医療公社は、平成二十四年度に公益財団法人に移行したことから、若干会計処理の変更がございました。
 そこで、平成二十三年度決算値を平成二十四年度の会計基準に組みかえて比較しております。その結果、医業収入は総額で約四百三億二千万円でございまして、平成二十三年度と比べ二十八億円の増となってございます。医業費用は総額で約四百四十五億三千万円でありまして、平成二十三年度と比べ約十億九千万円の増となっております。この結果、平成二十四年度の医業収支比率は九〇・五%でありまして、平成二十三年度の八六・四%と比べ四・一ポイントの増と改善をしております。
 なお、一般会計から支出しております運営費補助金の額は四十八億一千万円で、平成二十三年度と比べ十一億三千万円の減となっております。

○吉住委員 ただいま公社病院の収支状況が改善しているとの答弁がありました。具体的には、どのような経営努力によって改善されているのか伺います。

○和賀井経営企画部長 医業収入の主な増要因は、各病院が救急患者の積極的な受け入れなどによりまして患者増に努めたことで、約一億八千万円の収益増となっております。また、各病院が病棟への薬剤師配置や看護夜勤体制を充実することで、新たに診療報酬に係る病棟薬剤業務実施加算、看護職員夜勤配置加算などの取得に努めたことなどによりまして、約二十四億八千万円の収益増となっております。
 次に、医業支出の主な増減理由ですが、医師、看護師の充足等による給与費の増が約五億九千万円、医業収入の増に伴います薬剤費等の材料費、経費の増が約五億七千万円でございましたが、委託料や修繕料等の経費を約六千万円縮減した結果、全体として医業費用は十億九千万円の増加に抑えることができました。
 この結果、各病院の経営努力によります収益増が、給与費、材料費等の費用の増加を大幅に上回ったことから、二十三年度に比べ良好な決算に結びついたものでございます。

○吉住委員 ただいまの答弁により、各公社病院が経営改善に取り組み、その成果が実を結んだと理解できました。引き続き、経営改善に取り組んでいただきたいと思います。
 さて、先ほどの答弁の中で、荏原病院において認知症疾患医療センターを開設したとありました。そこで、何点か伺います。
 まず、認知症疾患医療センターとは、地域における認知症疾患の保健医療水準の向上を図るため、認知症の患者さんとその家族が、住みなれた地域で安心して生活していくための支援策の一つとして二次保健医療圏ごとに指定されているもので、都におきましては、現在十二の二次保健医療圏で指定され、運営をされています。
 そこで、まずは認知症疾患医療センターの具体的な役割について伺います。

○和賀井経営企画部長 認知症疾患医療センターでは、三つの役割を担っております。
 まず、認知症に係ります専門医療機関としての役割でございまして、多様な相談に応じる専門医療相談や、鑑別診断、診断結果に基づく適切な医療の提供や、地域の医療機関、介護福祉施設との連携、また身体合併症や周辺症状の治療などに取り組むことでございます。
 次に、認知症に係る地域連携の推進機関としての役割でございます。地域の医療機関、区市町村、家族介護者の会等により構成されます連携協議会の運営や、症例検討会、意見交換会を通じた地域連携の強化に取り組むことでございます。
 最後に、認知症に係る人材育成機関としての役割として、センターにおいて医師や看護師等に対する専門研修や、かかりつけ医等の地域の医療従事者に対する研修等に取り組むことでございます。

○吉住委員 ただいまの説明で、認知症疾患医療センターは専門医療機関としての役割、地域連携の推進機関としての役割、そして人材育成機関としての役割という三つの役割があり、認知症の患者さんと家族が住みなれた町で安心して生活できるよう支援していく重要な役割を担っていることがわかりました。
 そこで、荏原病院の平成二十四年度の具体的な取り組み状況と、取り組みを通して明らかになってきた課題について伺います。

○和賀井経営企画部長 主な実績といたしましては、認知症外来受診者の数が延べ八百八人、認知症の鑑別診断件数が四百三十一件でございます。また、電話、面接等による専門医療相談件数は二千四百七十七件、地域包括支援センターとの情報交換を百五十一回実施したことなどでございます。
 一方、取り組みを通した課題についてでございますが、地域包括支援センターとの情報交換の中で、認知症の自覚がないなど、医療機関を受診しないため認知症状が悪化したケースですとか、独居老人への対応が大きな課題となっております。このため、地域のかかりつけ医、地域包括支援センター、介護従事者等との連携を強化するとともに、早期診断、早期治療に結びつけるため、研修などを通じまして、地域全体の認知症対応能力の向上を図っていくことが重要であると考えております。今後とも、認知症疾患医療センターの役割を踏まえまして、地域の医療機関等と連携し、より一層の充実強化を図ってまいります。

○吉住委員 平成二十四年度の取り組み状況、そして課題について説明がありました。単一年度の中でも大変多くの方からの相談を受け、診断をし、大変ご苦労されたことと思います。
 高齢化の急速な進展により、認知症患者は都内で現在の約三十二万から、平成三十七年には約五十二万人に増加することや、高齢者の夫婦のみの世帯や独居世帯も増加していくことが見込まれています。また、若年性認知症や本人が症状を自覚できない、もしくは状況を受けとめ切れずに、診察や治療を受けられずに症状が悪化し、家族が疲労しているという相談もふえてきております。こうした状況を踏まえ、認知症疾患医療センターを中心として、地域のかかりつけ医や介護従事者等、地域全体で支援していくことが大変重要であると思います。
 このため、認知症疾患医療センターは、地域における認知症対応能力の向上のための人材育成を着実に行うとともに、認知症患者やその家族を在宅や施設などで支えていくために、地域の医療機関、介護施設、区市町村、家族介護者の会などとのネットワークを早急に構築し、対応していくことを要望し、発言を終わります。

○栗林委員 初めに、多摩南部地域病院の医師、看護師の確保状況について質問をさせていただきます。
 この問題は、我が党の小磯委員長が以前より機会があるごとに取り上げており、この地域は住宅もふえ、住民にとっては医療の充実が求められているところでもあります。これまで平成二十一年の各会計決算特別委員会や、平成二十二年の厚生委員会におきましても、公社事務局や病院における医師、看護師の確保のための取り組み内容や確保状況についてお伺いをし、積極的に対応されているという確認をさせていただいたところであります。
 多摩南部地域病院は、地域の中核病院として住民の期待は大きく、地域住民の安心・安全を守る医療機関としての役割を担っていると思っております。
 そこで、平成二十四年度までの医師、看護師確保のための取り組み内容と、平成二十二年度から現在までの医師、看護師の職員数の推移についてお伺いします。

○和賀井経営企画部長 まず、医師確保の取り組みでございますが、大学医局への粘り強い働きかけを継続的に行うとともに、都立多摩総合医療センターとの連携を強化いたしまして医師の人事交流を行うなど、積極的に取り組んでいるところでございます。
 また、看護師確保につきましては、看護学校への訪問、インターンシップの導入のほか、認定看護師有資格者に対する手当の支給、認定看護師の資格取得支援や技術向上支援など処遇改善を行いまして、看護師の確保、定着に取り組んでいるところでございます。
 その結果、多摩南部地域病院の平成二十二年度から現在までの医師、看護師の職員数の推移でございますけれども、医師につきましては、平成二十二年度は三十七名、二十三年度と二十四年度は四十一名、二十五年度は四十五名となっております。一方、看護師につきましては、平成二十二年度百七十九名、二十三年度は二百五名、二十四年度は二百十一名、二十五年度は二百二十七名となっており、医師、看護師ともいずれも増加をしております。
 今後とも、地域の中核病院として地域の医療ニーズに適切に対応し、地域の住民に適切な医療を提供する役割を果たしていくため、医師、看護師の確保に積極的に取り組んでまいります。

○栗林委員 安心できる医療体制の構築に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、公社病院における電子カルテシステムの導入について伺います。
 東京都保健医療公社では、平成二十二年度に次期電子カルテシステムの導入計画を策定し、まず第一期病院として、平成二十三年度に多摩南部地域病院、多摩北部医療センターに導入をし、既に稼働をしていると聞いております。また、平成二十四年度には第二期病院として、荏原病院、大久保病院が平成二十五年度導入に向けて作業を開始したと聞いております。
 そこで、この電子カルテシステムの具体的な効果について伺います。

○和賀井経営企画部長 電子カルテシステムの具体的な効果といたしましては、さまざまな職種の医療従事者が記載する内容をリアルタイムで一つのカルテに反映することで、全ての情報を時系列で確認できるようになりまして、診療情報の共有化とともに、チーム医療の推進と医療の質の向上につながっているところでございます。
 また、バーコードによる患者認証機能を実現いたしまして、診療行為の全ての段階で患者認証チェックが可能となり、患者の取り違い、処方や処置の誤認等の医療事故の未然防止が図られております。
 さらに、カルテの標準化を実現し、医師から患者への診療目的や診療内容などの説明をわかりやすく行うことができ、患者が理解し納得した上で治療が受けられますインフォームド・コンセントが充実され、患者サービスの向上が図られているところでございます。

○栗林委員 電子カルテシステムの導入は、医療の質の向上、また医療事故の未然防止、患者サービスの向上などの効果があったとのお話でした。今後導入を予定している病院においても、その効果を期待したいと思います。
 次に、平成二十三年度から多摩南部地域病院や多摩北部医療センターに電子カルテシステムを実際に導入し、運用を行っているところですが、導入や運用を通して明らかになった課題があったと思います。この課題等を改善し、今後導入を予定している荏原病院や大久保病院も含め、よりよい電子カルテシステムを導入していくことが必要と思います。
 そこで、電子カルテシステムの導入や運用を通して明らかになった課題と、その対応について伺います。

○和賀井経営企画部長 実際に電子カルテシステムを運用して、例えばアレルギー項目の追加表示、同姓同名の患者さんのアラート機能、それから操作機能の向上等の要望がございまして、今後導入予定の電子カルテシステムを含めまして、これらの機能を追加していく予定でございます。
 また、導入当初において病院職員の操作のふなれから診療時間が長くなるというケースが生じたことから、今後の導入病院におきましては、委託事業者による導入スケジュールを適切に管理し、病院職員に対する電子カルテの操作研修の徹底を図ってまいります。
 今後とも、電子カルテシステムの有効活用を図り、より一層の医療の質の向上や医療安全の充実、患者サービスの向上を図ってまいります。

○栗林委員 安全が第一だと思います。今後の電子カルテの導入に当たっては、これまでの課題や経験を踏まえ、より一層の円滑な導入に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 電子カルテの導入で、患者サービスの向上などさまざまな効果が得られるよう、システムの改善を的確に行い、公社病院が地域の住民の期待に応える病院として、さらなる医療の充実を実現していただくことを期待し、質問を終わります。

○松村委員 よろしくお願いします。
 近年の社会状況のさまざまな影響が絡み合って、母体、お母さんのおなかの状態が悪くなっているとの話を産科医から聞きました。生まれる赤ちゃんの平均体重が五百グラムぐらい下がっていると。二千グラムが平均になっていて、非常にリスクが高い赤ちゃんがたくさん生まれている。まさに赤ちゃんは貴重児扱いで、産科の先生もNICUに頼るということで、どんどんNICUに送り込んでくるというか、需要が高まっているというような話をしていらっしゃいました。
 そこで、確かにNICU、すごい技術の進歩で、本当に生きて、救われる、この世に生を受けた方々がいるということは本当にすばらしいことで、医療関係者も目をみはっておりましたけれども、しかしNICUには、たくさんの人手とお金もかかるということも現実であります。
 そこで、都におけるNICUの現況と、また今後の整備目標というものを初めにちょっと聞いておきたいというふうに思います。平成二十四年度も、高まるそういう需要に対していろいろな努力がなされたと思いますけれども、必ずしも十分なものにまだ到達していないんじゃないかというふうに思いますけれども、今の現況と今後の整備目標について伺います。

○和賀井経営企画部長 平成二十五年七月一日現在の都内のNICU整備状況でございますが、区部で二百三十一床、多摩で六十三床、合計二百九十四床を整備してございます。また、福祉保健局作成の東京都保健医療計画では、平成二十六年度末までに都内のNICUを三百二十床整備することを目標としております。

○松村委員 来年度末までにあと二十六床を目標としているという、こういう大きな課題になっているというふうに思います。
 そこで、豊島病院はかつてNICUがありました。残念ながら二〇〇七年ですか、九月に休止を余儀なくされているというふうに思いますけれども、改めて--その前年度にも、私、ちょっと資料をいただいているんですけれども、やはり多くの患者さんが利用なさっていたというということなので、改めて豊島病院のNICUの休止の時期と、その休止に至った理由について伺います。

○和賀井経営企画部長 豊島病院のNICUにつきましては、全国的な新生児科ドクターの不足によりまして、平成十九年十月から休止をしております。

○松村委員 本決算でも我が党から、やはり貴重な医療資源で--休止ということですから、その設備もあると。その一日も早い再開をということで、病院側もやはり一番肝心な新生児医師、小児医師を初め人材確保に努め--当時は努めていくというご答弁をいただいたというふうに思います。
 私も改めて、きょうの午前中だったんですけれども、急遽豊島病院を訪れて、院長の山口先生にお話を聞き、そしてそのNICU、それからGCUの部屋、現場を見せていただきました。本当に立派な、百坪以上ありますかね、その部屋がまだそのまま確保されていて、器械設備もありました。
 その手前で、既に当時は豊島病院はNICUは六床と、それからGCUは十九床、産科がその後再開されというか、今現在ではGCUは四床ということで、きょう見たときにはGCUに二人の赤ちゃんが看護を受けて、その場面を見て、私も感動というか、本当にここで生を受けているんだなという思いがしました。
 そういう意味では、これからあと来年二十六年度末に二十六床ということでは、やはり設備や、もちろん人材は第一ですけれども、私は、豊島病院におけるNICUの再開が最も合理的というか、それに寄与するんではないかという思いを新たにしてきました。
 確かに、院長先生のお話も聞き、責任ある対応がどうしても必要だと、かなりの人数が要るんだと。努力していても、なかなか今、やはり確保は困難だということと、当院としてはそれでも努力していると。それから、今のこの状況ではどうしてもリスクが高いから、人の集中だとかそういうことの方が、やはりよりリスクが少なくなるし、そういう医師も、または看護師も、そういうところに集約されているという率直なお話も伺わせていただきました。
 豊島病院は、いろいろ地域においての周産期医療は、どう本当に役割を果たしているか。連携病院を大塚とやって、そういう取り組みのご努力や成果というものも十分伺ってきました。
 私、特に、また練馬の問題を出すと怒られるかもしれませんけれども、練馬の実態というのは、例えば出生数、NICUの必要数は出生数千人に対して二・五から三床とされておりますけれども、練馬区の出生数は約六千人であることから、十五から十八床程度が必要なんですね。それに対して、今練馬区内には施設基準を満たすNICUは設置されていないんです。連携病院となった順天堂にNICUが一床ですか、ありますけれども、実際にはないに等しいと。
 そしてまた、区の人口十万人当たりの産婦人科や産科を標榜しているそういうところは、都平均に比べても、分娩できる施設は七施設なんですね。そういう意味では、区民の六割以上が区外の医療機関で出産するというような、こういう厳しい状況がある。
 今まで私も、練馬区内で頑張っておられます小児科や産科のお医者さんに聞きますと、これまでには、やはり豊島病院、それから都立清瀬小児病院、いざとなればそういうNICUが我々のよりどころで頑張ってきたと。それが、都立清瀬小児病院からもNICUがなくなったということで、本当に今危機意識を持っていらっしゃるということで、そういう意味では、都内全体でもふやしていくというふうになれば、私たちの練馬区にはなくても、近隣のところでの整備というのを、どうしても練馬区民としても期待するというか、待ち望んでいるという立場からも、豊島病院で何とか医療人材を確保しながらも、再開できないのかなという、そういう思いを強くしているところでございます。
 そしてまた、もう要望にとどめますけれども、三定の一般質問でも、多摩が厳しいということで、多摩北部の病院にも何とかそういうNICUをと。そうなってくると、少しは練馬も助かると思うんですよね。
 そして、もう一つつけ加えて要望すれば、先ほども厳しい今の病院の実態をるる皆様方に訴えたというか、質問したんですけれども、豊島病院は同じ西北部医療圏です。ぜひ練馬に、それなら可能なんですよね、分院。都心部には多く病院、医療ストックがあります。人口が今もう七十万を超え、八十万人に、私は今恐らく向かっているというふうに思うんです。そういうときに、ぜひ公社の豊島病院が練馬に分院を出していただくようなことも含めての検討といいますか、今後の課題として受けとめていただければという思いを述べて、質問を終わります。

○小磯委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小磯委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。
 以上をもちまして第二分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第二分科会を閉会いたします。
   午後四時二十四分散会

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