平成二十四年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第五号

平成二十五年十月二十八日(月曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長植木こうじ君
副委員長上野 和彦君
副委員長高橋 信博君
舟坂ちかお君
遠藤  守君
北久保眞道君
西崎 光子君
河野ゆりえ君
今村 るか君
山田 忠昭君

欠席委員 なし

出席説明員
産業労働局局長塚田 祐次君
次長山本  隆君
総務部長澤   章君
産業企画担当部長加藤 英典君
商工部長十河 慎一君
金融部長寺崎 久明君
金融監理部長黒沼  靖君
金融支援担当部長片山  謙君
観光部長杉崎智恵子君
農林水産部長津国 保夫君
安全安心・地産地消推進担当部長武田 直克君
雇用就業部長矢田部裕文君
事業推進担当部長戸澤  互君

本日の会議に付した事件
平成二十四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
産業労働局関係
・平成二十四年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十四年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算(質疑)
・平成二十四年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算(質疑)
・平成二十四年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算(質疑)

○植木委員長 ただいまから平成二十四年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、産業労働局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより産業労働局関係に入ります。
 初めに、過日の分科会において紹介できませんでした幹部職員について、産業労働局長から紹介があります。

○塚田産業労働局長 過日の委員会を欠席いたしました当局の幹部職員を紹介させていただきます。
 観光部長の杉崎智恵子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○植木委員長 紹介は終わりました。

○植木委員長 これより決算の審査を行います。
 平成二十四年度東京都一般会計決算中、産業労働局所管分、平成二十四年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算、平成二十四年度東京都林業・木材産業改善資金助成会計決算及び平成二十四年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○澤総務部長 去る十月十八日、当分科会で要求のございました資料につきまして、ご説明を申し上げます。
 お手元の平成二十四年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらんください。
 表紙を一枚おめくりください。目次にありますとおり、要求のございました資料は、全部で四項目でございます。
 一ページをお開き願います。このページから三ページにかけまして、中小企業対策、農林水産対策、雇用就業対策の三項目につきまして、過去十年間の予算額、決算額の推移をそれぞれお示ししてございます。
 続いて四ページをお開きください。就職困難者緊急就職支援事業の平成二十一年度から二十四年度までの雇用形態別就業実績の推移をお示ししてございます。
 以上で資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いを申し上げます。

○植木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○北久保委員 それでは、産業労働局の事業は多岐にわたっております。本日は、産業振興、雇用対策など幅広い観点からの事業の実績、決算状況について質問したいと思います。
 まず中小企業の資金繰りに対する支援について伺います。
 昨年末の政権交代を一つの大きな契機として、アベノミクス効果により、我が国の経済は回復に向けて着実な歩みを進めていますが、リーマンショック以降ここに至るまでには、東日本大震災や歴史的な円高など、中小企業にとって極めて厳しい状況が続いてきました。
 特に、平成二十四年度は、欧州諸国の財政不安などを背景に世界経済が減速し、国内では、民主党政権のもとでの決められない政治といった要因もあり、景気は、年明けから一部に持ち直しの動きが出てきたものの、深刻な状況にあったのではないかと思います。
 都は、中小企業の資金繰りを支援するため、信用保証協会や金融機関と連携した制度融資を実施していますが、その利用動向には、中小企業を取り巻く状況が色濃く反映されているものと考えます。
 まず、制度融資の平成二十四年度の利用状況について伺います。

○寺崎金融部長 平成二十四年度の制度融資の利用実績は、約九万三千件、一兆二千七百九十九億円と、東日本大震災関連の緊急保証の利用が進んだ前年度に比べ、大きく減少いたしました。
 利用動向を見ますと、ご指摘のような厳しい経営環境を経験してきた中小企業が、経済の先行きに不安を抱き、前向きな事業展開よりも、まずは経営の安定を求めたことにより、新たな資金は借り控える傾向にあったものと考えられます。
 また、リーマンショック後の景気の急速な悪化に対応するため、多くの中小企業がセーフティーネット保証などを利用して手元資金を確保し、その返済がまだ進んでおらず借り入れ余力が乏しかったことも背景にあると考えております。

○北久保委員 平成二十四年度は、景気の先行きが不透明な中、中小企業の資金需要が大きく低迷したという実態がよくわかりました。
 こうした全体的な状況に加え、昨年度は電気料金の値上げ、セーフティーネット保証などの緊急対策の見直し、中小企業金融円滑化法の終了など中小企業の経営をさらに圧迫するような状況が次々と生じましたが、その都度、我が党は中小企業、中小零細事業者の切実な声を踏まえた対策を敏速に講じるよう求めてきました。
 中小企業の資金繰りを支えるため、都は、平成二十四年度に具体的にどのような対策を講じたのか伺います。

○寺崎金融部長 平成二十四年度の制度融資におきましては、中小企業を取り巻く厳しい経営環境を踏まえ、臨機応変に融資メニューの見直しを行いました。
 具体的には、電気料金改定により経営に影響を受ける中小企業が、経営支援融資を利用できるよう制度を見直すとともに、事業計画の策定や実行に前向きに取り組む中小企業を支援する経営力強化融資を創設いたしました。
 また、平成二十四年十一月には、それまで全業種を対象に実施されてきたセーフティーネット保証制度について、国が対象業種を見直し、約四割の業種に属する中小企業が融資対象から外れたことから、これらの中小企業の資金繰りを幅広く支援するため、経営支援融資の利用条件を緩和いたしました。
 加えまして、本年三月の中小企業金融円滑化法の終了に際しましては、既往の保証つき融資を一本化し、返済期間を最長十年まで延長することにより、中小企業の月々の返済負担の軽減を図る、特別借りかえ融資を年度内に前倒しして実施するなど、資金繰り支援の充実を図りました。

○北久保委員 次に、地域の金融機関と連携した新保証つき融資について伺います。
 この制度は、資金繰りに苦しむ中小企業にとって、資金調達の可能性を広げる手段として非常に意義のあるものだと思います。多くの中小企業の切実な資金ニーズに応えることができるよう、我が党はこれまでも制度の充実を求めてきました。
 そこで、新保証つき融資において、平成二十四年度に具体的にどのような取り組みを行い、その結果どれくらいの中小企業の利用につながったのか伺います。

○寺崎金融部長 地域の金融機関と連携した新保証つき融資制度につきましては、中小企業の多様な資金ニーズにきめ細かく対応することができるよう、利便性の向上に向けた取り組みを推進してまいりました。
 具体的には、国のセーフティーネット保証における全業種指定の絞り込みに先立ち、利用者の負担軽減を図るため、昨年十月から本年三月までの半年間、保証料率を引き下げる特別措置を実施いたしました。
 また、本年二月には、年度末などの資金需要が高まる時期に、中小企業が手元資金を確保できるよう借入金を毎月返済するのではなく、最長一年後の一括返済を選択できる新たな貸付方式を導入いたしました。さらに、本制度を取り扱う金融機関につきましては、新たに二行が加わり、年度末時点で二十一行にまで拡大しております。
 こうした取り組みにより、平成二十四年度の保証承諾実績は、対前年度比で約二割増しの一千百四十六件、約八十三億円となっております。

○北久保委員 制度融資や新保証つき融資を通じて、中小企業の厳しい状況に正面から向かい合い、さまざまな対策をしっかり講じていただいたことを評価したいと思います。
 制度融資の実績は減少していますが、今後、景気回復の効果が中小企業にまで及んでくれば再び増加してくることも考えられます。
 引き続き、融資原資となる預託金を十分に確保するなど、中小企業の資金繰りをしっかりと支えていくよう求めます。
 また、経済は生き物であり、刻一刻と状況が変化します。今後とも、その時々の中小企業の資金ニーズをしっかりと捉え、経営安定のための支援、成長を目指した事業展開への支援の両面から制度の充実を図るよう求めておきます。
 次に、成長戦略に向けた創業促進への取り組みについて伺います。
 安倍政権が打ち出す経済政策に呼応して、我が国の経済状況にも明るい兆しが見え始めています。現場を抱える都として、アベノミクスと連携しながら積極的な商工施策を展開することが重要です。
 東京には環境や医療といった今後成長が見込める産業分野を支える才能や知識、技術を持った人材が大勢集まっており、まさに人材の宝庫です。こうした方々の創業を強力に促進し、新たなビジネスを数多く生み出していく取り組みが不可欠です。また、女性や若者、高齢者もさらなる活躍の場を求めており、新たな産業を担う人材は、かつてないほど層が厚くなっているのではないかと感じています。
 都としては、こうした創業を目指す人たちに対して、それぞれのニーズに応じたきめ細かな支援を行う必要があります。また、創業後の事業を軌道に乗せていくための支援も欠かせません。
 そこで、都の平成二十四年度における創業支援の取り組み内容について伺います。

○十河商工部長 東京の産業が将来にわたり成長を実現していくためには、新たな担い手である創業者を数多く輩出し、その順調な成長を後押ししていくことが重要であります。
 そのため都は、中小企業振興公社において、創業希望者に対して専門家による無料相談を行っており、資金調達やマーケティングなど幅広いアドバイスを行うほか、助成金など各種施策を紹介しております。
 平成二十四年度は、八百五十二件の相談に応じております。また、創業入門者、女性起業家、シニア起業家など創業予定者の段階やニーズに応じたセミナーを開催し、三百三十九人が受講いたしました。
 さらに、学生が企画した優秀なプランについて、実際の創業をサポートする学生起業家育成支援事業を実施しており、平成二十四年度は百九十五件の応募の中から三件を優秀賞として選定し、事業化に向けた支援を行っております。
 また、創業間もない事業者に低廉な賃料でオフィスを提供するインキュベーション施設を設置し、七施設百八十五室を運営しております。
 今後とも、こうした取り組みを総合的に展開し、創業の促進を積極的に進め都内産業の成長につなげてまいります。

○北久保委員 成長戦略という点では、海外との取引拡大に向けた取り組みも重要です。
 最近、中小製造業の皆さんとお会いすると、海外展開を検討しているという話を時々聞くようになりました。しかし、これまで国内取引の経験しかない小さなものづくり企業にとって、海外取引は非常にハードルが高いものです。
 言葉の問題に加え、商習慣の違い、技術の登用など、知的財産面の不安から海外ビジネスを始めたいと思いながら、なかなか踏み切れないという企業の声も聞こえてきます。
 中小企業がスムーズに海外取引を行い、海外の需要を獲得することができるよう支援し、各企業の経営基盤の強化と都内経済の活性化を図ることは、行政の重要な役割であると考えます。
 そこで、都が平成二十四年度に実施した中小企業の海外展開に関する支援策と成果について伺います。

○十河商工部長 都内には、すぐれた技術や製品を持つ競争力の高い中小企業が数多く存在しており、こうした企業が、海外市場でその力を十分に発揮することができるよう適切な支援を行うことが重要であります。
 このため都は、中小企業振興公社において、海外展開に関する無料相談を実施し、輸出入の手続や注意点などについてアドバイスを行っており、平成二十四年度は七百七十七件の相談に対応いたしました。
 また、海外販路開拓支援事業において、平成二十四年度は二百一の製品を対象に、海外展示会への出展支援や専門商社を通じた現地企業とのマッチングなどを行い、きめ細かな支援を実施いたしました。
 さらに、海外における知的財産権の保護や活用を積極的に支援するため、知的財産総合センターにおいて、外国特許や商標などの出願費用に対する助成を実施しており、平成二十四年度は百三十八件の助成を行いました。
 今後も、海外展開に取り組む都内の中小企業を支援するため、積極的に事業を展開してまいります。

○北久保委員 次に、都市農業について伺います。
 私が住む東村山は、特産の梨を初め、野菜や花などさまざまな農産物が生産されており、農業が非常に盛んなところです。しかし、最近は農業者の高齢化が進んでおり、夏場の草取り作業や農産物の収穫作業など大変な時期だけでも手をかりたいという声が聞かれます。こうした状況は、都内の他の地域でも同様のことと思われます。
 東京の農地が減少する中、残された貴重な農地が次世代に確実に引き継がれていくためには、こうした農業者に対する都の支援が不可欠であると考えます。
 そこで、これまで都が実施してきた取り組みの実績について伺います。

○津国農林水産部長 高齢化などにより農作業が困難になった農業者を支援し、農業の継続を図ることは農地の保全にもつながることから重要でございます。
 このため都は、平成十九年度から農作業の支援を必要とする農業者とNPOなど農作業を請け負う組織とのマッチングを行う事業を実施しており、平成二十四年度の実績は受託件数など百二十六件、受託面積では約二十七ヘクタールとなっております。
 また、事業を開始した平成十九年度からの累計では、受託件数二百八十七件、面積は約六十五ヘクタールに及んでおり、本事業は、農地の遊休化を防止し保全につながる有効な取り組みと考えております。
 今後とも、こうした取り組みにより農業者を支援し農地保全を図ってまいります。

○北久保委員 次に、島しょ地域の水産業支援について伺います。
 伊豆諸島、小笠原諸島という東京の島々にとって重要な産業である漁業は、漁獲量の減少や魚価の低迷など厳しい状況が続いています。こうした中、近年、漁船用燃油の価格の上昇が続いており、新聞等でも日本各地の漁業者の休漁が報じられました。
 特に、東京の島しょの漁業者が購入する燃油は、海上輸送が必要なために割高となっており、漁業経済の厳しさは大変なものであると考えられます。
 こうした状況を踏まえ、先日、都議会自民党として知事に要望し、あわせて三宅正彦議員が第三回定例会で一般質問を行い、島しょ漁業者に対する燃油価格高騰対策の実現を求めました。
 これを受けて、都は、平成二十年から実施している島しょ地域まで漁船用燃油を輸送する経費の補填に加えて、燃油価格高騰時に価格差を補填する国の制度を活用し、補填金を上乗せする事業を今回新たに実施していただきました。厳しい経営環境に侵されている島の漁業者にとって、有効な対策と考え評価しております。
 さて、先日の台風二十六号により、大島は大変な被害を受けましたが、島しょ地域では、これまでも地震や噴火といった災害がたびたび発生しています。特に、地震によって漁業関係施設が被害を受けると、その後の漁業活動に大きな支障を来します。また、倒壊した施設や瓦れきが島外へ避難や物資の供給等の障害になる可能性があります。
 こうした施設の耐震性を高める対策等が必要であると考えますが、これまで都が取り組んできた事業の実績について伺います。

○津国農林水産部長 島しょ地域の漁業関連施設の中には、老朽化したものが少なからず存在し、このような施設が地震で倒壊などすると、漁業生産活動の維持や港や道路の機能確保に支障を来します。
 そこで都は、東日本大震災における被災地の状況を踏まえ、製氷冷蔵施設や漁船用燃油タンクを初めとしまして、各島の漁業関連施設の耐震化などを図るため、漁村地域防災力強化事業を平成二十三年度から開始いたしました。
 具体的には、竣工後十年以上が経過し各町村から要望があった施設の耐震診断と、その結果を踏まえて実施する改修や解体撤去に対して補助を行っております。
 平成二十四年度は、島しょ地域全体で耐震診断二十三件、改修十二件、解体撤去七件について補助を行いました。
 今後とも、各町村とも連携し、漁業関連施設の防災力強化に取り組んでまいります。

○北久保委員 次に、外国人旅行者の誘致について伺います。
 都は、平成十三年に観光を所管する部署を産業労働局に設置するなど、国に先駆けて観光振興に積極的に取り組んできました。その結果、この十年で東京を訪れる外国人旅行者数は二倍以上に増加し、平成二十二年には五百九十四万人と過去最多になりました。
 ところが、翌二十三年に東日本大震災が発生したことにより、国内外の旅行者が大幅に減少したことは、記憶に新しいことです。とりわけ外国人旅行者の減少は著しく、その回復のために、都も旅行者誘致に大変な努力をしたと聞いています。
 都の調査によれば、平成二十四年の訪都外国人旅行者数は五百五十六万人と、東日本大震災前とほぼ同じ水準に回復し安堵しましたが、旅行者を東京に取り戻すために、昨年度、都はどのようなPR活動に取り組んだのかお伺いいたします。

○杉崎観光部長 都は、海外での東京に関する記事の掲載を促進し、東京に対する関心を高めるため、海外メディアの招聘事業を行っております。
 平成二十四年度は三十五件、九十八名を招聘し、実際の東京を体験していただくとともに、東京の安全性や魅力を情報として提供することで、東京への旅行意欲を喚起する記事の掲載を働きかけました。
 また、IMF、世界銀行の年次総会など、東京で開催される国際会議等の開催にあわせて、東京の安全性や魅力を積極的にPRするなど、東京のイメージ回復に取り組み、旅行者誘致に努めたところでございます。

○北久保委員 外国人旅行者数は、都のこうした取り組みが功を奏して、震災による影響から回復してきたわけですが、オリンピック・パラリンピックの開催決定により、さらに世界の東京への注目が高まることから、この機会を逃すことなく、しっかりと外国人旅行者を取り込んでいただきたいと思います。
 多くの外国人旅行者を受け入れるためには、無料公衆無線LANの整備など旅行者の利便性や快適性を向上させ、満足度を高めていくことが重要です。
 都は、旅行者の満足度の向上につながる、そうした受け入れ環境の整備にも、より積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、観光による地域振興について伺います。
 昨年は、東京スカイツリーが開業するなど、新たな観光スポットとなる施設が相次いで誕生し、多くの観光客が東京を訪れています。地域を活性化するためには、こうした多くの観光客を、多摩地域を初め都内の各地域に呼び込む取り組みを支援することが重要です。
 そこで、昨年度、都が行った地域を支援する取り組みについて伺います。

○杉崎観光部長 より多くの旅行者を誘致するためには、地域みずからが主体となって魅力を高めていく取り組みが重要であります。
 都は、地域の観光振興に対する機運を高めるため、昨年度、五つの団体に対し観光分野の専門家を延べ四十四回派遣するとともに、先進的な取り組み事例の周知、浸透を図るためシンポジウムを開催いたしました。
 また、青梅市の御岳渓谷遊歩道や新島村の石山展望台などの施設整備、奥多摩町の外国語によるパンフレット作成などの魅力発信の取り組みや下町のものづくり現場を見学、体験するルート、東村山市のグルメを生かしたまち歩きルートの整備を支援するなど、地域の新たな観光資源の開発を促進いたしました。
 今後も引き続き、観光による地域振興に積極的に取り組み、地域の活性化を目指してまいります。

○北久保委員 次に、若者の就業支援について伺います。
 これまで、私自身が会社を経営してきた経験から申し上げると、企業の成長にとって大事なのは、やはり人材であると思います。とりわけ若者が中小企業に入って活躍することは、企業の活性化にもつながるものですが、優秀な若者の確保に苦労している中小企業も多いのが実態です。
 一方で、若者側に目を向けると、いまだに大企業志向が強く、中小企業に対する理解が進んでいない現状にあります。こうした雇用のミスマッチを解消し、若者が中小企業を支える人材として力を発揮できるよう、若者の就業支援策を効果的に行っていくことが重要です。
 そこで、若者を中小企業での就業に結びつけるため、都はどのような取り組みを行ってきたのか、その内容と実績について伺います。

○矢田部雇用就業部長 東京の中小企業が持続的に発展していく上で、意欲ある若者と人材を求める中小企業とを結びつける都の取り組みは重要でございます。
 このため平成二十四年度は、東京しごとセンターにおいて、キャリアカウンセリングやセミナー等のきめ細かい支援を実施し、五千七百五十三人が就職に結びついたほか、合同就職面接会を五回開催し、五千五百五十五人の若者に対して中小企業とのマッチングの機会を提供いたしました。
 また、就職が決まらないまま大学等を卒業した若者や非正規雇用の経験が一定以上ある若者を対象として、研修と企業での派遣就労を組み合わせた紹介予定派遣制度を活用した事業を実施いたしました。
 平成二十三年度の事業開始から二年間で二千百八人が派遣就労を体験し、このうち派遣就労先での最終的な正規雇用者数は、千五十一人となりました。
 今後とも、さまざまな施策を効果的に展開することにより、若者と中小企業とのマッチング促進など若年者就業支援の充実に努めてまいります。

○北久保委員 一人でも多くの意欲ある若者が、東京の産業を支える優秀な中小企業に就職できるよう背中を押す取り組みは重要であると考えます。今後とも創意工夫を重ねながら、さまざまな手法により、若年者就業支援をしっかりと行っていくよう要望します。
 次に、高齢者の就業支援について伺います。
 東京都では、五人に一人が六十五歳以上となるなど、少子高齢化が進展し生産年齢人口が減少する中で、働く意欲のある高齢者の方々が、これまで培ってきた能力や経験を生かし、生涯現役で活躍し続けられるような社会環境を整えていくことが重要です。
 私の地元である東村山市のシルバー人材センターでは、千人を超える高齢者の方々が会員となり地域で生き生きと働いています。このように、高齢者の方々が生きがいを持って社会参加することにより、健康維持、介護予防にもつながることが期待されるところであり、高齢者の活躍できる場を広げていくことが必要であると考えます。
 都として、高齢者の就業を支援するため、どのような取り組みを行ってきたのか伺います。

○矢田部雇用就業部長 少子高齢化の進展により、社会の支え手の減少が懸念される中で、高齢者の就業を促進していくことは重要でございます。
 このため都では、しごとセンターにおいて、五十五歳以上の方を対象に就業相談や職業紹介、業界団体と連携した就職支援講習など、きめ細かい就業支援に取り組んでおり、平成二十四年度は二千百七十八人の就職に結びついております。
 また、市区町村が地域の高齢者に対する就業相談や職業紹介を行うアクティブシニア就業支援センターを運営する場合に、その経費の一部を助成しております。
 さらに、就業ニーズの多様化も踏まえ、地域で臨時的、短期的な就業機会を提供する都内五十八カ所のシルバー人材センターに対して、市区町村を通じて事業運営に要する経費などの一部を助成しており、平成二十四年度は約六億六千万円を補助いたしました。
 今後とも、高齢者がその意欲と能力に応じて活躍できるよう支援に努めてまいります。

○北久保委員 都として高齢者の就業を促進するため、さまざまな取り組みを行っていることはわかりました。
 とりわけシルバー人材センターは、東京が発祥の地であり、全国へと発展していった事業です。都は、六億六千万円の補助を実施しているとのことでしたが、前政権による国の事業仕分けにより、シルバー人材センターに対する国の補助金は削減され、本年一月には、都議会自民党として、シルバー人材センターへの支援について要請を受けたところです。
 我が党としては、超高齢化社会を迎える中で、シルバー人材センターの果たす役割はますます重要になってきており、安定的な運営に向けた支援が不可欠であると考えます。
 今後とも、シルバー人材センターを初め高齢者に対する就業支援を強化するよう要望し、次の質問に移ります。
 次に、女性の就業支援について伺います。
 国の安倍政権においては、女性の活躍を成長戦略の中核に位置づけています。国の成長戦略に呼応し、女性が企業等の成長を支える人材として十分に力を発揮できるよう、都としても女性の就業を支援する取り組みを、より一層充実させていく必要があると考えます。
 これまで生かし切れていなかった女性の力を最大限発揮できるようにすることは、企業が人材を確保していく上で欠かすことのできないものであり、このことは、ひいては社会全体に活力をもたらすことになります。
 女性の働き方のニーズは多岐にわたっており、子供を産んでも働き続けたいと希望する女性がいる一方、子供が小さいときは子育てに専念し、その後、再就職を希望する女性もいるように、女性にはライフステージに応じた支援が必要と考えますが、都の取り組みを伺います。

○矢田部雇用就業部長 労働力人口の減少が見込まれている中、女性の活躍を推進するためには、働き続けられる環境整備や再就職を支援することが重要でございます。
 まず女性が働きやすい雇用環境づくりについて、都では、企業の取り組みを促すため、育児休業の取得促進など、職場を生き生きとさせるすぐれた取り組みを行う中小企業を東京ワークライフバランス認定企業として認定、公表し、社会的機運の醸成を図ってまいりました。
 平成二十四年度は十社を認定し、平成二十年度の事業開始からこれまでの認定企業の合計は、五十四社となっております。
 また、仕事と子育てなど家庭生活の両立に資する雇用環境の整備に取り組む企業に対し、その経費の一部を助成しております。
 さらに、女性の再就職を支援するため、東京しごとセンターにおいて専任のアドバイザーが相談に応じているほか、キャリアカウンセリング中心の支援のみでは就職に結びつきにくい方に対しては、講義と職場実習を組み合わせた女性再就職サポートプログラムを実施いたしました。
 平成二十四年度末の本プログラム修了者は二百六十九人であり、就職率は、ことし九月末現在で五八%となっております。
 今後とも、女性の意欲を生かし能力の活用を促すため、雇用環境の整備や再就職の支援に努めてまいります。

○北久保委員 女性の潜在力を引き出し、その活躍を促進することは重要であり、今後とも女性の多様な働き方のニーズに対応した支援をしていただけるよう要望し、私の質問を終わります。

○上野委員 私からは、外国人旅行者の誘致に絞って質問をいたします。
 訪日外国人旅行者数は、東日本大震災後、六百万人台まで落ち込んでおりました。しかし、昨年は八百三十五万八千人と、震災前の水準にほぼ回復いたしました。東京から距離的に遠く離れた欧米豪地域等、既に多くの旅行者が東京を訪れ、東京のさまざまな情報を入手しやすいアジア地域とでは、国や地域ごとに旅行者数の増加の傾向などは異なっていることと思います。
 そこで、まず初めに、日本を訪れた国別外国人旅行者数の平成二十四年の動向についてお尋ねします。

○杉崎観光部長 日本政府観光局の訪日外国人旅行者数の調査によりますと、平成二十四年は、アジア地域の中では、中国、台湾のほか東南アジアのタイ、マレーシア、インドネシアなどの国々からの旅行者数が、震災前の平成二十二年を上回り過去最高を記録いたしました。
 一方、欧州地域からの旅行者数は、同調査によりますと、放射能に関する風評被害等の影響を受けたとのことから、旅行者数の回復がおくれ、平成二十四年は七十八万人と震災前の平成二十二年の八十五万人を下回っております。

○上野委員 アジア地域では、中国、台湾のほか東南アジアからの旅行者が震災前の旅行者数を上回る回復を見せているという答弁でございますが、ヨーロッパでは、訪日旅行者数の回復はおくれていたということでございます。
 たしか東京都は、平成二十四年度、ヨーロッパで観光プロモーションを行っていると聞いております。そこでは、どのようなプロモーションを実施したのか、その実績についてお尋ねいたします。

○杉崎観光部長 都は平成二十四年度、訪日外国人旅行者数の回復がおくれていたドイツで観光プロモーションを行い、現地旅行事業者を対象とする商談会や観光セミナー等を開催して、東京への旅行商品の造成と市民の東京観光への意欲の促進に努めました。
 さらに、本プロモーションでは、メディア対策を強化するため、メディアとのセミナーや意見交換会を実施するなど、東京の安全性や魅力に関する情報を積極的に提供いたしましたところ、その内容が現地の新聞、雑誌等に四十七媒体で報道されたところでございます。

○上野委員 今の答弁を聞いておりましても、東京都としてはしっかり取り組んできたということがわかるわけでございます。そうした意味では、やはり大震災など、原発、そういったものの影響というのが欧州ではあったのかなということだと思います。
 しかしながら、これからも都が、東京の安全性を直接現地に赴いて、観光プロモーションを行うということは、集中的に東京の観光の魅力をPRできることから、東京観光の意欲を高める上で効果的であると思います。
 加えまして、プロモーションの実施後も、東京への関心を維持し、さらに高めていくためには、現地での旅行事業者やメディアに対する地道で継続的な情報提供やセールス活動、これは欠かせません。
 そこで、都は、欧米豪地域の十都市に各都市の旅行事情等に精通した現地在留日本人を東京観光レップとして設置しております。現地で東京旅行の促進に向けた活動を行っているとのことでありますが、この観光レップをどのように活用したのか。平成二十四年度の状況についてお尋ねいたします。

○杉崎観光部長 都は、観光レップを通じまして現地の旅行事業者等に対し、東京の最新スポットなどの観光情報をきめ細かく提供するとともに、個別のセールス活動を実施して、東京への旅行商品の造成を働きかけております。
 また、都は、海外の旅行事業者を東京へ招聘し、視察旅行及び東京の旅行関連事業者との商談会を実施しておりますが、実施に当たっては、観光レップから現地の情報を入手いたしまして、有力な旅行事業者を選定し招聘するとともに、観光レップが海外からの旅行者の視点から独自に設定した魅力的な観光ルートを視察に組み込むなど、レップの機能を効果的に活用いたしました。

○上野委員 今の答弁でもわかりますように、都は、欧米豪地域においては観光プロモーションを実施してきた、実施後も観光レップを活用して、引き続き東京への観光旅行の促進に取り組んでいるということですので、しっかりと取り組んでいただきたい、このように思います。
 その一方で、訪日旅行者数が増加傾向にあるアジアの国や地域においても、継続的に誘致活動に取り組んでいくことは大変重要であります。
 そこで、都は、アジア地域の旅行者を誘致するために、どのような取り組みを行ったのか、平成二十四年度の実績をお尋ねします。

○杉崎観光部長 アジア地域の旅行者誘致につきましては、現地の旅行事業者による旅行商品の造成を促進することに加えまして、既に多くの旅行者が東京を訪れていることから、リピーターの確保も視野に入れ、直接市民に訴える観光ルートなど、個人旅行者にも実用的な情報を発信しております。
 平成二十四年度は、震災後、訪日旅行者数の減少が続いた韓国、香港、シンガポールで、国際旅行博に出展するとともに、現地の雑誌に東京観光を促す記事広告を掲載いたしました。また、中国では、ウエブ広告や現地旅行事業者との共同広告を実施するなどの誘致活動を行いました。
 これらの取り組みにより、旅行事業者や市民に対し、東京の安全性と魅力のPRに努めたところでございます。

○上野委員 先週ですか、新聞報道でも取り上げられていましたけれども、日本政府観光局の発表によれば、本年九月の訪日外国人旅行者数は八十六万七千百人と、九月としては過去最高を記録したとのことでございます。
 また、対前年比でマイナスが続いておりました中国の旅行者数は、一年ぶりにプラスに転じたということでありました。震災後の訪日旅行が著しく落ち込んだ中で、欧米豪地域、アジア地域と世界のさまざまな国や地域において、それぞれの旅行者の傾向に合わせて、都が誘致活動を実施したことが、この旅行者数の増加に一定の効果を与えたことと思います。
 旅行者数の増加に向けて、これまで都は大変な努力をされてきたということが今の答弁からもよくわかります。そうした都の取り組みについて、私は高く評価しているところでございます。
 このように、訪日旅行者数が回復する中で、さらに二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの東京開催が決定しましたので、これをきっかけに世界の東京に対する注目がさらに高まってまいります。大勢の外国人旅行者が、これからも東京を訪れることが十分に見込まれるわけであります。
 外国人旅行者に東京の観光を十分に楽しんでいただくためには、東京を訪れた際に、まち歩きなど東京の観光に役立つ情報を手軽に入手できることが必要であります。
 そこで、東京観光情報センターなどの観光窓口では、旅行者が持ち歩けるガイドブックを配布しておりますけれども、平成二十四年度のその実績についてお尋ねします。

○杉崎観光部長 都では、都庁など都内三カ所の観光情報センターに加え、駅や区市町村、宿泊施設など都内百五十二カ所の観光案内窓口で、観光情報を記載したハンディーガイド等を配布しております。
 平成二十四年度は、ハンディーガイドやハンディーマップ等、合わせて約四百万部を無料で配布して、旅行者の東京観光に役立てていただきました。

○上野委員 ハンディーガイドなど旅行者の利便性を向上させる取り組みは、東京へのリピーターの獲得にもつながるため必要なことであります。
 ところで、この日本の観光顧客のナンバーワン、ナンバーツーというのは、もうご存じのとおり、やはり中国と韓国でありますが、これまでも尖閣諸島の問題とか、あるいは竹島問題ということで、この頭二つが激減しました。この激減する中で救っていったのが、実はインドネシア、マレーシアの観光客なんですね。
 円安も重なりましたので、さらに観光客もそうした東南アジア系の方がふえていった。ご存じのとおり、インドネシアの人口、二億数千万人いらっしゃいますが、その九割の方が、いわゆる二億人ですけれども、二億人の方がイスラム教徒です。すなわちムスリムの方であります。
 世界の人口の、そのイスラム教徒の方は二五%ですから、かなりの方がムスリムでいらっしゃって、その方々、このムスリムというと、どうも日本では、テレビ報道なんかでもムスリム同胞団とか、なかなか、いいイメージで捉えていない方が日本人は多いんです。
 しかし、このテロリストのイメージがあるといいますけれども、テロリストは、このムスリムの方々の、ほんのわずか〇・〇〇三%にすぎないということなんですね。もうほとんどの方が一般人なんだと。しかも、これは非常に、日本に対しては親しみを感じているという親日派の方が多いということであります。
 そうした中で、日本の魅力というのを、親しみたいという思いで観光客がぐっとふえました。そうした状況というのも政府、観光庁もしっかりつかんで、この東南アジア市場を成長させようということで、今年度初めて六億円という予算をつけまして、平成二十八年、一千八百万人目標、これの達成のエンジンにしていこうと力を入れてきたんです、観光庁はですね。東京都だって、やっぱり入れるべきなんですね。
 この観光庁では、こちらの方にありますように、ことし初めに出しました「JAPAN TRAVEL GUIDE」と、これはムスリムの観光客の旅行ガイドです。非常に目立つ、いい冊子だなと思いますけれども、この中を見ていくと、日本で食べられるムスリム用の食事、ハラールフードですけれども、全国で五十二カ所のレストランというのを紹介しております。
 その五十二カ所のレストランの中で、日本食はたった一カ所ですよ。京都の美濃吉、一カ所なんです。世界的に、この日本食ブームというのが今起きているわけです。そうした中で、日本に来て日本食を食べたい、こういう思いで観光客の方々は、外国人の方は来ていらっしゃる方が多いわけなんですね。
 先日の新聞報道、二十五日ですか、土曜日の読売新聞でも見ましたけれども、ユネスコの無形文化遺産に推薦していた和食、ユネスコの補助機関が登録を勧告したということを発表したわけであります。
 このユネスコの補助機関が登録を勧告したものは、すべて、これは登録が今までは決まっているんですね。そうした意味で、この新聞報道でも、十二月にアゼルバイジャンで開かれる政府間委員会で正式に登録が決まる見通しということで一斉に報じたわけでございまして、本当に、東京オリンピック・パラリンピック以来の衝撃的なニュースであったわけでございます。
 こうしたことがしっかりと登録が決まれば、ますます和食人気というのは高まってまいります。そうした中で、恐らくこれからのムスリム旅行者の増加に伴いまして、ここ東京でも、このムスリム用のハラールフードというのもふえていくのではないかと、このように思っております。
 今後、そうした情報をしっかりと東京ではキャッチして、東京を訪れる旅行者にも案内できるような情報提供のツールというのを検討する必要があると思います。
 私は、第三回定例会におきましても、今後増加が見込まれるムスリムの旅行者に対する理解を広げ受け入れ環境を整備すべきだと、こういった質問をしました。これに対しまして、産業労働局長、ここにもいらっしゃいますけれども、この異文化への理解を深めるための普及啓発などに取り組むことを検討するという、非常に前向きな答弁をしていただきました。そうですよね、局長ね。取り組みますよね--うんと返事されていますので、質問はしませんけれども。
 ムスリムは、一日五回の礼拝やハラールフードという戒律に従って、用意されたムスリム用の食事が必要でありますが、ハラール認証を取得するだけではなく、フレンドリーな対応をすることで旅行者の満足度を高めることができますので、今後、東京都はムスリム旅行者の東京での滞在に役立つ、例えば旅行ガイドブックの作成など、ぜひ取り組んでいただくよう、局長、よろしくお願いします。このように要望いたしまして、私の質問を終わります。

○河野委員 私は、伝統工芸と農業について質問します。
 初めに、伝統工芸について伺います。
 伝統工芸は、地域の風土の中で長い時間をかけて育まれた文化、技術であり、大事な地域産業です。伝統工芸の品々は、生活に役立つすぐれた機能性を持っています。大量生産の画一化した品とは違った趣があります。地域の特色を生かした地場産業として、地域経済の力になるとともに、地域の文化も担っています。
 東京都の伝統工芸は、現在四十一品目が指定されています。江戸時代から続くすぐれた技術を未来に伝える大切な産業であり、東京都の支援が求められているところだと思います。
 初めに質問します。伝統工芸品産業の振興について、東京都はどのように認識をされているでしょうか。

○十河商工部長 都内の伝統工芸品産業におけるものづくりのすぐれた蓄積を将来に継承していくことは、重要であると認識しております。

○河野委員 そういう重要であると認識していただいているということは、かかわっている方も心強いと思います。
 伝統工芸の品々は、一点一点が手づくりで材料をそろえることから、作業、仕上げ、そういうところが分業化されて、多くの工程と時間がかかります。ですから、作品の価格も消費者がすぐに購入しようと思うような価格のものばかりではありません。
 伝統工芸士さんの多くは、手づくりの作品のよさを知ってもらおうということで、比較的値段の安いストラップとかハンカチ、ブックカバーなども考案して、少しでも収入面でも成り立つような努力をしています。安定した収入が保障されるとともに、品物のよさ、価値が多くの人たちに理解されることが、今後につながっていくと思います。
 伝統工芸の分野での、こうした状況を改善するためには販路を広げていく、このことが大変大事です。
 そこで、お伺いしたいのですが、東京都が伝統工芸品の販路拡大に向けて行ってきた支援というのは、どのようなものがありますか。

○十河商工部長 都では毎年度、東京都伝統工芸品展を開催するなど、伝統工芸品の販路開拓を支援しているところでございます。

○河野委員 その東京都伝統工芸品展、これですね、平成二十四年度の取り組み状況についてはどうでしたか。

○十河商工部長 平成二十四年度は、平成二十五年一月に六日間にわたり都内百貨店で開催いたしまして、伝統工芸の団体等と協力して、四十品目を超える伝統工芸品の展示販売等を実施したところでございます。

○河野委員 東京は広いわけです。この広い東京で伝統工芸展が年に六日間、一回だけという、これに終わらせるのではなくて、都として、これから拡充の検討をしていただきたい、このことをこの機会に要望しておきます。
 また、伝統工芸の予算についても、ものづくりのデザイナーなどが協働してパリの展示会などで作品が発表されることによって、国際的にも知られていき販路が拡大したという経験が各地で生まれています。この取り組みにも学んで、都として総意を持って努力されることを提案しておきます。
 次に、伝統工芸の各種団体、組合などと協働で取り組みをされている、そういうことが進められているということも伺っておりますが、これは望ましいと思います。
 初めに述べた東京都指定の伝統工芸四十一品目が、ホームページに紹介されています。品目はあるんですけれども、そこをクリックしますと、それに携わっておられる伝統工芸士さんの名前が全く載っていない、空白になっているところがあります。これは技術の継承者が減っている、そういうことが推測できることじゃないかと思うんです。
 関係者、しばしばいろんな方にお聞きしますが、皆さんおっしゃるのは、せっかくの技術がこれからどうなっていくのか、継承が保証されるのか、これが最大の問題だということを述べられています。
 販路の拡大や各団体などの協働、連携の取り組みに加えて、後継者育成のことも今避けて通れない課題になっているのではないでしょうか。若い世代に確実に技術を継承し後世に伝えていくこと、ここに東京都の責務があると思うんですが、伝統工芸の後継者育成について、都はどのような努力、取り組みをしておられるでしょうかお答えください。

○十河商工部長 都は、平成二十三年度から伝統工芸の若い担い手を対象に、商品開発や販売戦略に関する講座などを実施しているところでございます。

○河野委員 すごく簡単なご答弁なので、ちょっとびっくりしておりますが、とにかく、そういういろんな商品開発のところとか、いろいろな努力はされてきたということなんですが、私はその努力に加えて、都が持っています産業技術センター、あるいは都内の学校や研究施設などと連携した人材育成などの取り組みも研究して、技術の継承が絶えない、このことに引き続き支援を強められるよう要望しておきます。
 伝統工芸に携わる職人さんたちの生活と営業を支援できるように売り上げを伸ばすこと、将来職人を目指すような若い世代をふやすためには、何よりもまず伝統工芸品のすばらしさや職人の方々の技術の高さを多くの人に知ってもらう、関心を持ってもらうことが大切だと思います。
 伝統工芸品の魅力を多くの都民に知ってもらう、このことについての東京都の今の取り組みをご説明ください。

○十河商工部長 都は、伝統工芸品の魅力を伝えるため、パンフレットの配布やホームページによる広報を実施しております。
 また、東京都伝統工芸品展において、実演や制作体験を行うなどの取り組みも実施しているところでございます。

○河野委員 江戸川区なども取り組んでおりますし、いろいろな地域でやっていますけれども、持っている公共施設などに積極的に展示して、伝統工芸品はいろいろな種類があるし、いろいろな魅力があるんだということを積極的に知らせていくところがたくさんあります。
 東京都も公共施設などにも積極的に展示して、都民に広く伝統工芸品の魅力を伝えて暮らしに生かしてもらう、その取り組みをしていただけるように、これはあわせて提案をしておきます。
 伝統工芸の技術者、職人さんたちは誇りを持って仕事に励んでいます。小学生や中学生の体験学習なども無償で受け入れるボランティアも積極的に行っています。子供たちに伝統工芸を知ってもらう、技術や伝統、歴史を学び興味を持ってもらうことが大切、そういう認識で皆さん取り組んでおられます。
 一つだけご紹介しますが、これは日本手拭いです。これを染めるには本当に単純な色、柄だと皆さんお思いになるんでしょうが、これをつくるには十三工程もの人たちの手がかかっているんですね。それを今、私たち江戸川区にもありますけれども、こういう注染をやっている事業者の人たちは、自分の事業所の作業の工程をとめて、子供たちに実技を見せて体験もさせている、このような取り組みをしています。
 ぜひこうした努力を都も受けとめていただいて、今行われている子供たちへのこういう伝統工芸を教えていくということを、いわばボランティア活動に依存している、このような現状を都はしっかり認識していただいて、どのようなことができるか、これは検討課題でありますが、財政的な支援などについても、積極的に応援の道が開かれるように要望しておきたいと思います。
 手づくりの本物のよさは、長くその品を使う中で生きてまいります。本物は修理ができて、修理が一つの仕事にもなります。地域の中で培われた伝統工芸か大事にされて、大切な産業として育成されるように、産業労働局としてのさらなる努力を求めて、次の質問に移らせていただきます。
 農林水産の問題の中の農業費に関連して質問いたします。
 昨年三月に産業労働局は、東京農業振興プラン、このパンフレットですね、これを発表しました。このプランを見ると、東京の農業の現状は、この二十年で総農家数は一九九〇年に二万八千六百八十二件あったのが、二十年後の二〇一〇年には一万三千九十九件と約四六%まで減っています。
 農業者の平均年齢は、十年間で四・六歳高くなって、今、平均年齢六十三・八歳という状況です。一方、農業を守る努力が重ねられる中で、認定農業者が、この十年で二・五倍に増加しているなどの前向きな変化も見られることが、このプランの中でわかってまいりました。
 東京の食と産業を支える農業に対しての東京都の支援について、私はこの場で幾つか質問いたします。
 まず初めに、農地の保全についてです。
 詳しい数字は申し上げませんが、東京の農地の減少はずっと続いています。振興プランに出ていますけれども、二〇〇九年の都政モニターアンケートで、東京に農地を残したい、このように答えた人は八四・六%いるということが示されています。圧倒的多くの都民が望んでいるにもかかわらず、農地の減少に歯どめがかかっていない、これは本当に残念な事態だと思います。
 農地が減っていくのは、さまざまな原因があると思います。農地保全については、税制や生産緑地の問題などの改善が、農業者から要望されているところですけれども、これらは国にかかわる問題ではありますが、東京都もその要望を把握されていると思います。
 都は、貴重な農地の減少に歯どめをかけていく、そのためにこの間どのような努力をされてきたでしょうか。

○津国農林水産部長 都は、国に対しまして生産緑地指定の面積要件の引き下げや、相続税納税猶予制度の農業用施設用地等への適用拡大など、制度改善等について要望してまいりました。

○河野委員 農地は、農業生産の機能に加えて、環境保全、防災機能、景観形成、教育機能など多面的な役割を果たしている、このことはこのパンフレットにも、もっともっとたくさん、詳しく書いてあります。
 そして、こうしたいろいろな社会的な動きを受けて、最近は、国も、国土交通省、農林省ともに、都市農地の多面的機能を積極的に評価していこうとする検討を進めてきています。
 答弁にありました生産緑地制度については、都の振興プランでも、生産緑地指定の面積要件は、緑地としての機能の観点からだけでなくて、農業経営上の必要性などを考慮して引き下げる必要があると明記していますので、さらに具体的な前進が図られるように求めておきます。
 あわせて、農業を営むのに欠かせない農機具の置き場、堆肥小屋などの農業用施設用地、これは相続税の納税猶予制度の対象になっておりません。税制の改正などについて、さらに引き続いて国に働きかけを強めていただくように、農地保全の立場から要望しておきます。
 次の質問です。
 農業者は、良質な農産物を消費者に届けたいと努力しています。江戸川区の農業者の方のお話では、特に土づくりに精力を注いでいるといわれました。農薬や化学肥料を減らす、そのために江戸川から遠い多摩のあきる野市まで堆肥を買いに行っている、こんな努力をされているそうです。先祖代々、数百年間守ってきた田畑を、まさに心血を注いで守っているわけです。
 東京都は、農業者の土づくり支援に対して、今どのような取り組みをされているのか、そして、その効果について、どんな状況にあるのかお答えをいただきたいと思います。

○武田安全安心・地産地消推進担当部長 都は、平成二十一年三月に東京都環境保全型農業推進基本方針を定め、都内の農業者に対して、化学農薬、化学肥料を減らし環境負荷の軽減に配慮した持続的な農業に取り組むことを働きかけてまいりました。
 その結果、土づくりを実践し、環境に負荷をかけない生産方法に取り組む農業者がふえております。

○河野委員 そういう農業者がふえているということは好ましいことなので、ぜひ引き続きご努力をお願いしたい。あわせまして、有機農業、これは若い世代も関心が高くて消費者との結びつきも強まっております。
 有機栽培は専門知識が必要とされて、農産物の競争力も高まっていく、そういうことがいわれているわけなんですが、都の支援をお願いしておきます。
 冒頭にお話ししましたように、東京の農業の担い手は、年ごとに高齢化しています。平均年齢は、約六十四歳ということでありますけれども、基幹的農業者、この方々の年齢構成がこの農業振興プランにグラフであらわされています。
 難しい言葉なんですが、基幹的農業者というのは、農業に主として従事してきた十六歳以上の世帯員のうち、ふだんの主な仕事が、農業という位置づけになっているようですが、この基幹的農業者の人数が、七十歳以上の方が圧倒的多数の比率を占めています。
 計算しますと、平成二十二年度で、この基幹的農業者数、総数一万六百八十六人ですが、七十歳以上は四割を超えています。逆に、三十九歳以下の年齢層の人は七%弱という状態です。
 東京の農業の未来を考えると、担い手づくりの対策に都が区市町村とも協力して、急いで力を注がなくてはならない状況に至っていると感じます。都は担い手づくりについて、どのような支援を行ってきたのか。そして、今後の展望についてはどのような方向をお持ちなのかお答えをください。

○津国農林水産部長 農作業を行うことが困難な農業者等を支援し農業の継続を図るため、平成十九年度から農作業を請け負う組織と農作業の委託を希望する農業者とのマッチングを行う事業を実施しております。

○河野委員 そして、そういう事業を行った中で、マッチングして、いろんなところと頑張ってやってきたんですけれども、そういう方々の農地の受託面積については、どんな状況があるのか、お答えをいただきたいし、国では新規の就農者確保事業として、研修期間、就農直後の給付制度も立ち上げてきています。
 こうした事業を東京都も拡大することが必要じゃないかと思って、私は国の事業も見つめておりますが、先ほどご答弁がありました農地の受託面積ですね、これはどういう方向になっていますか。

○津国農林水産部長 農地の受託面積でございますけれども、平成二十四年度といたしましては、一年間で二十七ヘクタールでございます。
 また、十九年度の事業開始からの累積になりますと、六十五ヘクタールになっております。

○河野委員 少しずつふえているということですが、農地の面積の総数に比べますと、徐々にふえているという印象かなと思うので、さらに積極的な取り組みを求めておきたいと思います。
 最後に、地産地消の問題で伺っておきます。
 東京では、例えば江戸川区のコマツナ、江東区の亀戸大根、足立区の千住ネギ、台東区の谷中ショウガ、こうした野菜が江戸伝統野菜、あるいは江戸東京野菜とも呼ばれているようですが、栽培されています。
 振興プランによると、二十二品目が指定されているとのことです。江戸時代から農業者が代々にわたって栽培に励んできた野菜です。この貴重な東京ブランドとも呼ばれている野菜は、例えば亀戸大根のように地元の飲食店で名物として有名になっているものもあります。
 私は、都内の農業者が工夫を凝らして栽培している江戸東京野菜などが、地産地消の上でもっと都民の食卓に届くようになる、こうすると農業者の励みにもなると考えます。
 安全・安心の生産物について、地産地消の取り組みを推進するための東京都の取り組みについて、具体的にお答えをいただきたいと思います。

○武田安全安心・地産地消推進担当部長 都は、都内産農林水産物をアピールし、地産地消を拡大するため、平成二十二年度から都内産食材を積極的に使用する飲食店を登録しPRする制度を実施しております。

○河野委員 飲食店で江戸野菜を主たる食材として提供しているという和食店とか、いろいろなものが宣伝されているのは、私も知っています。そういうことがもっと広がり、都民の食生活が安全で豊かになることを求めているというか、望んでいます。
 江戸川でとれるコマツナについて申し上げておきますと、例えばコマツナまんじゅう、コマツナうどん、コマツナ焼酎、こういうものが考え出されておりますし、緑色ですから、コマツナを染料にした染物にもしていきたいということで、商品化を試みられている人もいます。
 地産地消の取り組みを農業や工業、商業の各分野が連携して、地域特産物を支援するなどの工夫が進む、そのために農業者と地域が連携できる、そういう意味でも、東京都としての創意ある施策の検討が必要なんじゃないかと感じています。
 最後に申し上げますが、日本の、そして東京の大地からとれたもので食の安全をという消費者の願いに応えて、農業を東京の基幹産業と位置づけて振興に努力していただくこと、そして、あわせて、我が国の農業と食の安全に重大な影響を与えるTPP、環太平洋連携協定参加に向けての交渉は、今取りやめていくことが農業者の要望となっておりますので、東京の農業を守る大事な課題である、このことを述べて質問を終わらせていただきます。
 以上です。

○今村委員 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催が決定し、今後、全世界から東京を訪れる方々がふえると予測されます。
 東京の魅力は、競技会場の中心となる都心部はもちろん、最近では、高尾山などに象徴される多摩地域の緑豊かな環境も都民の大きな財産となっています。この緑、森林は、都の全面積の四割にも及ぶ広大なものです。
 森林は、木材の供給を初め、水源の涵養や二酸化炭素の吸収などの多面的な機能を有しています。さらに、レクリエーションの場としても多くの都民から親しまれています。この貴重な多摩の森林を、将来にわたり保全していくためには、伐採、利用、植栽、育成という森林の循環を保持させることが重要です。
 こうした観点から、都もさまざまな事業を実施しており、二〇〇六年度からは、スギ花粉発生源対策事業に着手をし、伐採時期を迎えた森林の更新に取り組み、多くの木材を生産し森林の整備を進めています。
 しかし、森林の循環を守るには、木材の利用拡大に対する取り組みが不可欠です。そこで、二〇一二年度における多摩産材の公共利用実績についてお伺いいたします。

○津国農林水産部長 多摩地域の森林を持続的に整備していくには、林道などの基盤整備や森林施業の効率化等に加え、多摩産材の利用拡大も必要でございます。
 そこでまず、庁内利用を推進するため、平成十八年度に多摩産材利用推進方針を策定し、公共事業などにおける積極的な利用を推進してまいりました。
 さらに、区市町村における多摩産材の利用などの推進を図るため、平成二十三年度にはこの方針を改定し、多摩産材を積極的に利用するよう区市町村に働きかけております。
 こうした取り組みにより、平成二十四年度の公共利用の実績は、約二千七百立方メートルとなっております。

○今村委員 都のこれまでの取り組みは、着実に成果を上げていると評価をいたします。
 しかし、森林の循環は、五十年、百年といった長い時間が費やされ、繰り返されるものです。多摩産材の利用についても、山から順次伐採される木材を継続的に利用していくことが大切です。
 先ほどの答弁でもありました都や区市町村が積極的に利用することは、多摩産材の安定的な需要につながるものです。国の公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律では、市区町村には指針の策定を求めておりませんが、東京都においても、指針があるからこそ東京都全体での意思統一ができるのではないでしょうか。都下、全市区町村で指針や準ずるものが明確にされることで、一層の利用促進につながるものと考えますので、都の今後の取り組みを要望しておきます。
 一方で、民間利用の拡大を図る取り組みも重要です。ことし建てかえをした町田市内の民間保育園でも、建てかえを機に木を多用し、構造部材の一部にも利用し、それらを見えるようにし、以前は二階建てだったものを平屋にして、温かみのある園舎を建設いたしました。
 そこで、二〇一二年度の都の取り組み実績とあわせて、多摩産材の利用拡大に向けた取り組みへの意気込みについて伺います。

○津国農林水産部長 民間利用を推進する取り組みとしては、新たな多摩産材の需要を喚起するため、家具や什器など新製品の開発を支援しており、平成二十四年度には五件の製品開発に対し補助を行いました。
 また、森林整備や多摩産材利用の誘導策として、企業や都民の森づくりへの参加や多摩産材の住宅、什器を使用することによる二酸化炭素の固定量等を数値化して認証する制度を実施しており、平成二十四年には五十六件を認証いたしました。
 今後とも、これらの取り組みなどを通じて、多摩産材の公共利用、民間利用の拡大を進めてまいります。

○今村委員 国の公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律で求められている指針で、東京都も公共建築物の建築等に当たっては、施設の特性を踏まえて積極的に多摩産材を使用し、建築物の木造化、木質化を図るとしています。
 ただいま部長からも、今後も公共、民間ともに利用拡大を進めるとの答弁をいただきましたが、積極的な取り組みを期待するものですが、特に公共施設の木造化は、まだ少ない印象です。子供や高齢者の施設を初め、低層が向いている施設はたくさんあります。こうした施設は、木質化はもちろん木造化しやすいと考えますので、特に木造化への一層の取り組みを改めて求めて次の質疑に移ります。
 シルバー人材センターについて伺います。
 急速に高齢化が進展する中で、元気で意欲のある高齢者の方々に社会で活躍していただくことが大変重要です。ことし四月から改正高年齢者雇用安定法が施行され、企業には段階的に、六十五歳までの希望者全員の継続雇用制度の導入などが義務づけられましたが、高齢期になると、健康、体力面で個人差が大きくなり、また介護など家庭の事情などを抱える方も多くなることから、身近な地域で高齢者の多様な就業ニーズに応じた就業機会を提供しているシルバー人材センターの果たす役割は、ますます大きくなります。
 そこで、まず二〇一二年度のシルバー人材センターの会員数、契約金額の現状について、十年前との比較もあわせて伺います。

○矢田部雇用就業部長 シルバー人材センターは、現在、都内五十八市区町村に設置され、高齢者に地域に密着した臨時的かつ短期的な就業、または軽易な業務に係る就業の機会を提供しております。
 平成二十四年度末時点の会員数は、八万五千百二十三人で、平成十四年度末と比較して一五・一%増、また、平成二十四年度の契約金額は約三百二十六億円で、平成十四年度と比較して一二・六%増となっております。

○今村委員 会員数も契約金額も、ここ十年でふえていることがわかりました。
 しかし、昨年から団塊の世代が六十五歳に到達し始めており、地域で何らかの形で働きたいというニーズは、さらにふえるのではないかと考えます。
 こういった声に応えるためには、シルバー人材センターとして新たな就業機会を拡大していく必要があると考えますが、都として、二〇一二年度を含めた最近の支援内容と実績、また、その具体的な内容について伺います。

○矢田部雇用就業部長 都では、シルバー人材センターの就業機会の拡大を図るため、創意工夫にあふれる意欲的な事業を提案し実施するシルバー人材センターに対し、市区町村を通じて、その経費の二分の一を補助しております。
 補助件数としては、平成二十二年度は九件、平成二十三年度及び平成二十四年度は、それぞれ十三件の事業を支援いたしました。
 補助事業の内容としては、就業開拓員を配置し、民間契約の拡大に向けた取り組みを行うものや、パソコン教室、会員手づくり作品の販売、リサイクル事業など多岐にわたっております。
 事業を実施したシルバー人材センターでは、当該事業の売り上げの増加や新たな契約に結びつくなど、成果を上げております。

○今村委員 今後、元気な高齢者はますますふえていくことが予想される中で、シルバー人材センターで提供できる仕事をふやしていくことが非常に大事であります。
 しかし、シルバー人材センターが事業を行うときに、同じような業種の民間事業者からクレームが自治体に寄せられることがあるというふうに聞いております。特に、仕事が拡大していく上で、民間事業者との理解と協働が大変重要になります。
 都は、こうした民間事業者の理解が進むような広報などの取り組みを初め、引き続きシルバー人材センターの就業機会の拡大に向けた支援、環境づくりを実施していただくよう要望して、質疑を終わります。

○西崎委員 私からは、創業支援、それから女性、若者の雇用支援、さらには農業についてお伺いしたいんですけれども、ほかの委員と多少質問がかぶっている部分もございますけれども、生活者ネットワークは、これまでも長い間施策に掲げ追ってきたテーマでもありますので、あえて質問をさせていただきます。
 まず初めに、創業支援について伺います。
 最近の若者などは、安定志向が強いといわれていますが、やりがいを求めて起業する人もふえてまいりました。しかし、新しく会社を立ち上げようとする人にとっては、法人登記や従業員の雇用など、あらゆることが手探りの状態です。
 行政は、こうした創業を目指す人をしっかりとサポートすることが大切です。まずは、企業に必要な知識やノウハウを提供する講座などを充実することが必要と考えますけれども、昨年度の取り組み内容と実績について伺います。

○十河商工部長 都では、中小企業振興公社において創業希望者のニーズに応じたセミナーを開催し、創業時の基礎的知識の習得やビジネスプランの策定などのための支援を行っております。
 平成二十四年度は、三百三十九名が受講いたしました。

○西崎委員 最近、大学に在籍している間にIT関係の会社を立ち上げ、将来成功している人などの事例もありますが、都内での創業を活発にしていくためには、学生のうちから起業に対する積極的な意識を育てていくことも重要です。
 大学の教育のカリキュラムの中では、学生にとって起業することを身近に感じる機会は少ないのではないかと感じています。
 そうした意味で、学生を対象として、すぐれたビジネスプランを競う都の学生起業家選手権は、学生の起業への意欲を引き出す上で、とても効果的と考えますが、その実績を伺います。

○十河商工部長 都では、起業意欲のある学生を支援するため、平成十四年度より学生起業家選手権を実施しており、学生から募集したビジネスプランを公開のプレゼンテーションなどを経て審査し、すぐれたプランを表彰しております。
 平成二十四年度は百九十五件の応募があり、三組が優秀賞を、七組が奨励賞を受賞いたしました。
 これまで、この選手権において優秀賞を受賞した学生が、留学生などを対象にしたハウスシェアリングを仲介する会社や、伝統工芸の技術を生かした子供向け商品の開発、販売を行う会社などを立ち上げているところでございます。

○西崎委員 学生起業家選手権は、育成支援を得た優秀賞受賞者が、株式会社等を設立する場合には、再度、賞金を贈呈することになっています。学生から優秀なベンチャー企業を生み出すチャンスとなっていると思います。今後も、若者、女性などの創業支援を行っていただくことを要望しておきます。
 次に、知的財産の取り組みの支援について伺います。
 海外においては、日本の工業製品、ファッションが高い評価を受けており、最近では、伝統工芸や日本の食品などに対して大変人気が出てまいりました。先日もテレビを見ておりましたら、イタリアのシェフが、日本の包丁のすばらしさにほれ込んで、わざわざ来日して数多く購入している話などが放映されておりました。
 私も数年前、国際展示場でありました産業交流展を見学し、中小企業の高い技術力について、よくわかりました。最近では、中小企業みずから英語でホームページを作成し、海外と直接取引を行っている企業もふえています。こうした高い評価を受けている日本のブランド力を生かせば、中小企業が海外でさまざまな形のビジネス展開を図っていくことができると思います。
 しかし、一方で、例えば日本で商標登録したブランド名が、中国においてそっくりそのまま第三者に登録されて使えなくなってしまったというケースもあります。
 そこで、都は知的財産総合センターにおいて、海外でビジネスを展開する中小企業が、商標を取得するためのサポートを行っていますが、その実績についてお聞かせください。

○十河商工部長 企業の海外展開において、近年、現地の会社などに自社の商標を登録されるトラブルが発生していることから、知的財産総合センターでは、専門家による相談のほか各種セミナーの開催やマニュアルの作成などを通じて、中小企業の円滑な商標の取得を支援しております。
 平成二十四年度に、知的財産総合センターに寄せられた相談は、全体で五千五百件を超えておりますが、そのうち約二割は商標に関するものとなっております。
 また、外国における商標出願費用の助成を実施しており、平成二十四年度は、三十三件の助成を行ったところでございます。

○西崎委員 日本のそういった中小企業が、海外で高い評価を受ければ受けるほど、こういった問題も発生してくると思いますので、今後も引き続き支援をしていっていただきたいと思います。
 次に、ワークライフバランスの推進について伺います。
 先週二十五日、世界経済フォーラムが発表されました男女格差報告二〇一三年版では、日本は対象の百三十六カ国中百五位で、昨年よりも四つ順位を下げ、過去最低の順位となっています。
 経済分野でも、企業幹部の女性の割合が一割となっており、百四位と大変低い状況です。教育レベルは高いのに、女性が十分活躍できないと指摘されております。
 安倍政権では、女性が活躍できる社会の実現がいわれており、政府は来年の夏にも、女性や退職したシニア層らに特化した塾を設ける方針を示し、成長戦略で開業率を英米並みの一〇%程度に高める目標を掲げました。
 しかし、日本の社会では、民間企業の中で管理職や経営者はまだまだ少なく、本人に意欲があっても、家事や育児、介護に追われ、仕事と家庭の両立をあきらめ仕事をやめてしまう女性は少なくありません。
 これからの少子高齢社会においては、労働人口が減少することもあって、女性が存分に力を発揮することができる社会の環境整備が求められています。このためには、育児など家庭生活との両立を初めとしたワークライフバランスを積極的に進めていく必要があります。
 国でも、女性の社会での活躍推進に向けた取り組みを行っていますが、まだまだ不十分であり、都としても仕事と生活との調和が図られ、女性が働き続けられる社会の実現に向けて、積極的な取り組みを行うべきだと思います。
 昨年の決算委員会でも、私はこの問題を取り上げましたが、改めてワークライフバランスの推進について、都の取り組み内容について伺います。

○矢田部雇用就業部長 都は、女性が働き続けられる雇用環境を整備するため、仕事と家庭の両立について、すぐれた取り組みを行う中小企業を認定し公表しております。
 平成二十四年度は十社を認定し、その取り組み内容をワークライフバランスフェスタで紹介するなど広く発信し、ワークライフバランス推進に向けた社会的機運の醸成を図ってまいりました。
 また、社内での意識啓発やルールづくりなど、仕事と育児の両立体制の整備に取り組む企業に対し、その経費の一部を助成するとともに、両立支援アドバイザーにより助言を行い、企業の取り組みを支援いたしました。

○西崎委員 都がワークライフバランスフェスタなどのイベントを通じまして、ワークライフバランスの機運を高めていることは評価しています。
 しかし、中小企業の経営者の中には、女性の活躍が会社の経営にプラスになるとは考えていない経営者もおります。妊娠している女性に対する嫌がらせ、マタニティーハラスメントも多いことが先日報道されていましたが、まだまだワークライフバランスへの理解が不足していることも聞いております。
 社会の意識を変えていくには、なかなか時間がかかるものだと思います。この取り組みの積み重ねが、いつかは大きな成果につながると信じておりますので、積極的に今後も継続して、都から働きかけていただくことを要望しておきます。
 次に、若者の就業支援について伺います。
 三人に一人が非正規雇用といわれる中、女性の問題であった非正規雇用が若者にまで広がり、働き方の格差が社会問題となりました。女性の活躍を支援する取り組みに加えて、さらに若者に対する支援も求められています。
 特に、非正規雇用など不安定な就労を余儀なくされている若者については、安定した仕事につくことができるように支援することが重要であると思います。
 都では、紹介予定派遣制度を活用して、若者の正規雇用化に向けた支援を行っていますが、その内容と実績について伺います。

○矢田部雇用就業部長 若者を取り巻く厳しい雇用環境を踏まえ、都は平成二十三年度より、研修と企業への派遣就労を通じて正規雇用化に結びつける紹介予定派遣制度を活用した就業支援事業に取り組んでおります。
 平成二十四年度は、未就職卒業者を対象とした事業に加え、非正規雇用の経験が一定以上ある若者を対象として、都内中小企業への就業を支援するプログラムと、成長産業分野への就業を支援するプログラムを実施いたしました。
 事業開始から昨年度までの実績は二千百八人が派遣就労を体験し、このうち派遣就労先での最終的な正規雇用者数は、千五十一人となっております。

○西崎委員 今のお子供ですと、事業を開始して以来、昨年度末までの実績は二千百八人と、派遣就労を体験して、千五十一人が正規雇用になっているということですけれども、半分の方が、こういった正規雇用についているということで、ぜひ今後もこのような支援を継続していっていただきたいと思います。
 若者の就労については、これまでもブラック企業の問題などあったと思います。サービス残業などを強いられても、なかなか自分から訴えることもできない状況もあると聞きました。今後は、若者の雇用環境の改善に向け、さらに取り組まれることを望んでおきます。
 最後に、都市農業について伺いたいと思います。
 農業、農地との触れ合いは、生活に安らぎや潤いをもたらすものであり、近年では余暇を利用し、身近な場所で農業を体験してみたいという都民のニーズがふえています。各地域にある市民農園は人気があり、高い倍率になっています。また、都内には農家の指導を受けながら、栽培する農業体験農園が開設されています。
 プロに教えてもらうため、素人でも品質のいい立派な農産物が収穫できます。利用している人からは、新鮮な野菜が収穫できるだけではなく、農作業やイベントを通して、農園仲間との触れ合いや子供の食育の場にもなっているなど、大変好評だと聞いています。
 そこで、こうした体験農園の整備を積極的に進めるべきと考えますが、これまでの都の取り組みについて伺います。

○津国農林水産部長 農業体験農園は、農業者みずからが経営の一環として開設する農園であり、利用する都民の農業への理解を深められるとともに、農業者の安定的な収入も確保できるなど農業経営に有効でございます。
 そのため都は、都市農業経営パワーアップ事業などによって、農業体験農園の開設に当たり、休憩所や農業用水施設など必要な施設の整備を支援してまいりました。

○西崎委員 東京の農地は、安全・安心な農産物を生産する場ですが、ほかにも都市の緑地やオープンスペースとして、環境保全や防災、教育など多面的機能があり都民の財産ともいえます。
 しかし、都内の農地は年々減少している状況です。都市の中の農地を残していくためには、都市空間の中で、農業、農地が市民生活と共存する取り組みを、地域の住民とともに進め、相互理解を深めることが重要です。
 私の地元、世田谷区でも、今年度から都が実施する農業・農地を活かしたまちづくり事業を開始したところです。
 そこで、これまでの事業の取り組み状況についてお聞かせください。

○津国農林水産部長 都は、平成二十一年度から農業、農地を生かしたまちづくりに取り組む区市に対して、ソフト、ハード両面から支援しており、これまでに練馬区を初め八区市でモデル事業を実施しております。
 具体的には、都民の交流拠点となるファーマーズセンターなどの整備や農業体験イベントの開催などの支援を行っております。

○西崎委員 この事業の特色は、例えば生産と加工、販売や体験、人々の交流など幾つかのメニューを展開して、それによって地域の中で面的な広がりができることにあると思います。
 まちづくりという視点で農地を保全するためにも、今後とも積極的に進めていっていただくことを要望しまして、私の質問を終わります。

○植木委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はいずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○植木委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時四十三分散会

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