平成二十四年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第四号

平成二十五年十月二十五日(金曜日)
第十一委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長秋田 一郎君
副委員長大場やすのぶ君
副委員長島田 幸成君
加藤 雅之君
松田やすまさ君
西沢けいた君
田中 朝子君
大松あきら君
徳留 道信君
堀  宏道君

欠席委員 なし

出席説明員
選挙管理委員会事務局局長森 祐二郎君
人事委員会事務局局長真田 正義君
任用公平部長石井  玲君
試験部長芦田 真吾君
審査担当部長小澤 達郎君
財務局局長中井 敬三君
経理部長奥田 信之君
契約調整担当部長松永 哲郎君
主計部長潮田  勉君
財産運用部長岩瀬 和春君
利活用調整担当部長菊地 俊夫君
建築保全部長室木 眞則君
技術管理担当部長山田 雅史君
庁舎運営担当部長間庭  修君

本日の会議に付した事件
平成二十四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
選挙管理委員会事務局関係
・平成二十四年度東京都一般会計決算(質疑)
人事委員会事務局関係
・平成二十四年度東京都一般会計決算(質疑)
財務局関係
・平成二十四年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十四年度東京都用地会計決算(質疑)
・平成二十四年度東京都公債費会計決算(質疑)

○秋田委員長 ただいまから平成二十四年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、選挙管理委員会事務局、人事委員会事務局及び財務局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十四年度東京都一般会計決算中、選挙管理委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○秋田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○秋田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○秋田委員長 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十四年度東京都一般会計決算中、人事委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○秋田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○秋田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○秋田委員長 これより財務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十四年度東京都一般会計決算中、財務局所管分、平成二十四年度東京都用地会計決算及び平成二十四年度東京都公債費会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○奥田経理部長 それでは、先日の分科会におきまして要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元に配布してございます平成二十四年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をごらんください。
 最初に、表紙をおめくりください。
 今回、要求のございました資料は、目次に記載してございますとおり三件でございます。
 一枚おめくりいただきまして、要求資料第1号をごらんください。
 こちらは、平成二十四年度までに公契約条例を制定した全国の自治体名、条例の適用範囲、施行日をお示ししたものでございます。
 一枚ページをお開き願います。要求資料第2号でございます。
 平成二十年度から二十四年度までの五年間における、財務局において契約した工事件数と、そのうちの低入札となった件数をお示ししたものでございます。
 一枚ページをおめくりください。要求資料第3号です。
 平成二十年度から二十四年度までの五年間における財務局所管普通財産のうち、福祉施設建設のために売却または一時貸付を行った実績をお示ししたものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○秋田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○松田委員 私からは、都債についてお伺いをさせていただきます。
 平成二十四年度は、五年ぶりに都税収入が増加に転じたとはいえ、いまだリーマンショック直後の水準でございます。東京都は、石原前都知事の就任後、財政再建に取り組み、都債発行についても抑制に努めてきたと思いますが、リーマンショックを受け、都税収入が一兆円も減収となる中では、抑制にも限度があったと思われます。
 これまでの都債発行額の推移に関して、発行抑制の取り組みとリーマンショックによる影響について、まずお伺いをいたします。

○潮田主計部長 一般会計におきます都債の発行額の推移を見ますと、バブル経済の崩壊後の平成四年度以降、都税収入が減少する中、国の経済対策に協調した投資的経費の増加によりまして発行水準が増大し、平成十一年度までの八年間は、平均で約七千六百億円に上る都債の大量発行を行っておりました。
 平成十二年度以降は、二次にわたる財政再建推進プランの取り組みによりまして、新規発行の抑制を図り、二十年度までの九年間は、平均で約三千百億円にとどめまして、それまでの四割程度の低い水準に抑えたところであります。
 平成二十一年度以降、リーマンショックの影響などによりまして、都税収入が再び大きく落ち込んだところでありますが、財政再建により培った財政の対応力を生かし、基金を適切に活用するとともに、将来の財政負担を考慮しながら、都債を計画的に発行してまいりました。二十四年度までの四年間は、平均で約三千八百億円の発行規模となっておりまして、十二年度から二十年度までの水準に比べますとやや増加しているものの、引き続き低い水準を維持しております。

○松田委員 わかりやすいご説明、ありがとうございました。
 リーマンショック前に比べればふえているとはいえ、かつての大量発行の轍を踏むことなく、将来の負担を見据え、計画的な活用に努めているというご説明をいただきましたが、この都債において国やほかの地方と比べたときに、起債への依存度や、起債残高の面についてはどのようなことがいえるのかをお伺いいたします。

○潮田主計部長 まず、起債依存度でございますが、国などと比較するため、当初予算の数値となってしまいますが、平成二十五年度は、都は七・二%、国は四六・三%、また、地方の平均値といえます地方財政計画でいいますと、一三・六%となってございます。リーマンショック以降のこの五年間の推移を見ましても、都は五%から七%程度、国は四〇%台、先ほど申しました地方財政計画、地方の方は一〇%台半ばでございまして、現状とおおむね同じような水準で推移をしております。
 次に、起債残高でございますが、平成二十五年度末で見ますと、都は六・五兆円で税収の一・五倍、国は七百五十兆円で税収の十七・四倍、地方は二百一兆円で税収の五・九倍となるという見込みになっております。同様に、この五年間の推移を見ますと、都と地方はほぼ横ばいとなっておりますけれども、国は一・四倍近くに増加をしているところであります。
 このように、起債依存度、起債残高のいずれの面でも、都は国や地方に比べまして大幅に低い水準となっておりまして、高い健全性を維持しているところであります。

○松田委員 大きな経済変動があった中でも、起債依存度は低い水準を維持して、残高も安定的に推移しているという、今、ご説明をいただきました。国では、歳入歳出の乖離がワニ口とやゆされるように、どんどんどんどん広がっていってしまっている中で、収入の半分近くを借金で賄うという財政運営により、国債残高の累積傾向に歯どめをかけられずにいるのとは対照的であるといえます。
 しかし、今後も、オリンピックなどを控え、都市インフラの整備や更新のために投資が必要であり、その財源として、都債の計画的な活用ということが重要になってまいります。先般公表された年次財務報告書では、平成二十五年度予算と同規模の年四千五百億円ペースでの発行を継続した場合、今後、都債残高は増加に転じる見込みということでございます。
 そこで、お伺いをいたしたいのですが、都債残高の増加が認められるというのは、どのような理由によるものなのか、また、国債との比較も交えながらご答弁をいただきたいと思います。

○潮田主計部長 まず、最初にご説明をさせていただきますと、そもそも都債の残高は、その年度の発行額が償還額より少なければ減少いたしまして、逆に償還額が発行額より少なければ増加をするというところであります。
 このため、都債残高の動向は、今後どれだけ新発債を発行するかだけではなくて、過去に発行いたしました都債の償還額が今後どのように推移していくか、そういったことにも左右をされるところであります。
 都では、これまで発行額の抑制に努める一方、過去の大量発行の影響等によりまして償還額が高い水準にあったため、都債残高はおおむね横ばいで推移をしてきております。こうした中、お話の推計におきまして、平成二十年代の後半以降、都債残高の増加を見込んでいるのは、これまでの発行抑制の効果によりまして償還額が減少することが大きな要因でございます。仮に新発債の発行額を二十五年度予算と同程度の低い水準に抑えたとしましても、結果としまして償還額が発行額を下回るため、残高が増加をするところであります。
 一方、国の場合は、先ほどご説明をさせていただきましたとおり、四〇%を超えます高い起債依存度が象徴しますように、償還額を大幅に上回る国債発行を続けた当然の結果としまして、残高の累増を招いているところであります。
 このように、都債と国債の状況は全く異なっておりまして、お話の都債残高の増加は、あくまで過去の発行抑制の努力が、償還額の減少という形でタイムラグをもって反映された結果でございまして、その事実のみをもって、財政規律への懸念が何か生じるというところではないというふうに考えております。

○松田委員 非常にわかりやすいご説明、ありがとうございます。
 都債残高の動向は、その時々の発行額と償還額のバランスによって決まる。そして、今後、償還額が減少していく中では、残高を飛躍的に減少させるのは限界がある。そして、その結果として、現在の発行水準を維持したとしても、都債残高が増加に転じてしまうということはよくわかりました。
 また、国債とは現在置かれている状況が、そもそも全く異なっていることが確認できました。とはいっても、都債残高が増加すれば、当然その分、金利負担が重くなることから、利払いに影響を与える金利の動向も気になるところでございます。
 そこで、お伺いをいたします。
 都債の主力商品であります十年債の発行利率は、近年どのように推移をしてきており、今後はどのような見通しになるのかをお伺いいたします。

○潮田主計部長 十年債の発行利率は、平成十八年度には、一時、二%を超える水準にございましたが、二十年のリーマンショック以降は上下に振れながらも、大きな流れとしましては緩やかな低下傾向にございました。特に、平成二十四年度以降は一貫して一%未満の水準で推移しておりまして、ことしの四月の、日銀のいわゆる異次元緩和策が打ち出されました直後の発行利率は〇・六〇%を記録しまして、直近の十月十一日に条件決定したものも〇・七〇%という低い水準となってございます。
 今後の見通しとしましては、当面は日銀の国債の大量購入によりまして金利上昇が抑えられる展開が続くというふうに見込まれておりますけれども、経済が好転し、物価が上昇すれば、基本的には金利の上昇要因になってまいります。
 また、アメリカにおきまして、先般、現在実施している国債等の買い入れの規模が縮小されるとの観測が市場に広がった際には、金利が大きく上昇した事実がございまして、そうしたことから考えますと、今後、日本におきましても同様に、現在の金融緩和策を終える、あるいは縮小する局面になった場合には、急激に金利が上昇する可能性もございます。
 このように、世界的に先行き不透明な経済情勢のもと、今後の金利の動きにつきましては、さまざまな要因が複雑に絡み合っているため、見方はさまざまでございまして、引き続き市場環境を注視していく必要がございますが、いずれにしましても、中長期的に見れば、現状の金利水準が既に相当低いことから、いずれは上昇に向かうのではないかという向きが大勢を占めているところであります。

○松田委員 現在は、歴史的に見ても非常に低い金利の状態にありまして、今後、いずれは上昇に向かう時期が来るというふうに見るべきであると思います。また、経済のグローバル化の進展によりまして、海外の経済情勢に大きな変動が生じれば、その影響は即座に日本の経済、ひいては公債市場にも波及をしてまいります。ヨーロッパ、アメリカ、新興国のいずれを見ても先行き不透明な情勢にあり、いつ何どき大きな変動が起こる可能性はあります。そうしたことを踏まえれば、東京都としては、引き続き都債について、発行方法の工夫や残高管理の適正化などを進めていく必要があるのではないかと思います。
 最後に、これまでの議論を踏まえて、今後の都債運営について、局長の考えをお伺いいたします。

○中井財務局長 都債運営で肝要なことは、世代間の負担の均衡や収入の年度間調整を図るという都債の基本的機能を踏まえつつ、税収動向や基金残高といったその時々の財政状況や、後年度の財政負担などを勘案しながら、中長期的な視点に立って計画的に活用を図っていくということでございます。
 そのためには、委員からもお話のございました金利の将来動向などに加えまして、人口構造の変化や社会資本ストックの更新需要の増加など、財政状況を取り巻く環境が、今後どう変化していくかといったことなども視野に入れた多様な角度からの検証が必要であると考えているところでございます。
 現在の都債の発行規模やその残高は、財政の健全性を損なわない水準にあると申し上げてよろしいかと思いますが、今後とも気を緩めることなく、都債残高を過度に増加させない、あるいは公債費負担の軽減を図るといったことに、引き続き努めていくことが必要であると認識しているところでございます。
 また、都債運営の別の側面といたしまして、いかに有利かつ安定的に都債発行をし、資金調達を行っていくかということがあるわけでございますが、この点では、投資家からの信頼を維持していく、このことを不断の努力をもって行っていくことが必要でございます。
 二〇二〇年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されることが決まったことにより、都に対する投資家の関心はさらに高まっているという感がございます。こうしたことから、都財政の健全性や、これを保っていくための都の努力について、投資家の方々により一層理解していただけるようしっかりとアピールし、都債に対する安心感をさらに高めていくことが、これまでにも増して重要になっていると考えているところでございます。
 今後とも、都債の計画的で、かつ適切な活用により、中長期的な視点に立った堅実な財政運営を行い、強固な財政基盤を引き続き堅持していくことに全力で努めてまいります。

○松田委員 ありがとうございます。都債をいかに計画的に運営していくかが、財政の信頼性を確保する面で非常に大切なこととなってまいります。いたずらに都民、国民が不安を覚えることのないよう、しっかりと考え方や将来の姿を説明する透明性の確保も重要でございます。
 東京も、二〇二〇年には人口減少を迎え、社会経済状況の基礎の部分から大きく変わっていくことも見込まれております。そうした中長期的な変化をしっかりと見据え、責任を持って財政の健全化を維持していただくようにお願いをいたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。

○加藤委員 初めに、土地信託、両国シティコアについて何点か伺います。
 昨年、平成二十四年の第一回定例会、当時、私は財政委員会に所属をしておりました。その年の夏に信託契約の満了を迎える両国シティコアの契約満了後の対応策につきまして、単なる不動産の運用という視点だけでなく、居住の安定やまちづくりの視点から何点か確認させていただきました。
 この土地信託は、契約満了時には借入金の残高が三十億円も残ってしまうという異例な案件でありましたが、都は土地を手放すことなく、都民住宅にお住まいの方々も安心して住み続けることのできるよう、数々の課題をさまざまな工夫を凝らして考えていただいた対応策であったと記憶をしております。
 まず、都民住宅についてでありますが、当時、住宅は都に戻し、公共住宅として適切に管理していくとのことでしたが、現在、その住宅はどうなっているのか伺います。

○菊地利活用調整担当部長 平成二十四年七月の信託契約満了をもちまして、都民住宅部分については土地信託のスキームから切り離し、財務局へ返還の後、速やかに都市整備局へ移管いたしました。現在も特別会計の中で、他の公共住宅と一体的に適切に管理しております。

○加藤委員 次に、住宅部分を都市整備局に移管した十三億円、これを財源に三十億円の負債を一部精算し、残りの約十七億円を銀行の努力により五年間で返済していく計画でありました。
 現在、住宅棟を除く信託ビルの入居率はどうなっていますでしょうか。

○菊地利活用調整担当部長 本年九月末現在、両国シティコアの入居率は一〇〇%となっております。

○加藤委員 当時、入居率はたしか九三%であったと記憶をしております。不動産市況がやや上向きとなってきたとはいえ、現在の入居率一〇〇%という状況を聞いて、大変安心をいたしました。
 それでは、当時、五年間で十七億円を返済していくとした収入、支出の見通しについて、改めて確認したいと思います。

○菊地利活用調整担当部長 両国エリアのオフィス賃貸事例や需要供給などの不動産市況を踏まえまして、当時のテナントの入居状況や賃料水準をベースに賃料収入を見積もるとともに、想定されます修繕工事の精査、管理経費のさらなる縮減などを考慮の上、五年間で確実に返済可能となるよう試算いたしました。

○加藤委員 では、平成二十四年七月の信託期間を延長した時点の負債、約十七億円は、平成二十四年度の決算ではどのくらい残っていますでしょうか。

○菊地利活用調整担当部長 平成二十四年度の事業実績報告によりますと、借入金残高は約九億七千万円となってございます。

○加藤委員 そうしますと、約半年で七億円を超える返済を実行したことになります。このペースでいけば、五年を待たずに借入金の返済は十分に可能であると考えますが、この点につきましていかがでしょうか。

○菊地利活用調整担当部長 先ほど答弁させていただいたとおり、テナント入居率は一〇〇%を維持しながら、安定的な収入を確保している状態でございます。今後も引き続きテナントの確保に努めるとともに、修繕工事の精査、管理経費のさらなる縮減など、信託銀行を初め関係者とも連携しまして、一日も早く負債を解消し、信託配当の確保に向けて全力を挙げてまいります。

○加藤委員 当初の約束どおり、五年以内の負債の解消は十分に達成できるということがわかりました。
 不動産市況の状況は、やや回復の兆しはあるものの、この両国地域を含め、今後も目まぐるしく変動していくことも想定されます。
 ただ、先ほど局長も答弁ありましたとおり、オリンピックの開催が決定し、少なくとも今後七年間はいい状態が続くと思います。地元墨田区も、両国地域のまちづくりについて、グランドデザイン協議会で活性化を図ろうとして力を入れております。
 今後も、引き続き関係者と力を合わせ、居住の安定はもちろんのこと、安定した収入を確保していくための取り組みをさらに進められ、一刻も早い負債の解消に向けて頑張っていただきたいとエールを送りまして、この問題につきましては終わらせていただきます。
 次に、都有施設の温暖化対策、ヒートアイランド対策について伺います。
 九月上旬、国連の気候変動に関する政府間パネル、IPCCは、世界各国地域の環境政策の前提となる報告書を六年ぶりに公表いたしました。人為的な要因で温暖化が進んでおり、世界各地で熱波や豪雨、竜巻などの極端な気象が頻発していると警告し、世界各国に対応を促しております。
 台風が今、大変多く発生しておりますけれども、この台風の十月の日本への接近数は、二十七号で五個、ちょっと二十八号がどうかわかりませんけれども、観測史上最多、今夏の酷暑に象徴される異常気象が秋台風多発の背景にあると専門家は分析をしております。
 そこで、この地球温暖化防止対策というのは喫緊の課題であります。都では、平成十九年度に省エネ東京仕様二〇〇七を策定し、また、平成二十三年度にはこれを改正して、省エネ・再エネ東京仕様を策定していますが、今回、平成二十四年度決算ということで、平成二十四年度以降、この仕様を適用して整備に取り組んでいる施設にはどのようなものがあるか伺います。

○山田技術管理担当部長 お話の省エネ・再エネ東京仕様は、平成二十四年度から都有施設の整備に全面適用しており、現在設計中の案件では、墨田都税事務所、都立板橋高等学校、東村山福祉園などがございます。また、現在施工中の足立都税事務所は、平成二十三年度に策定した省エネ・再エネ東京仕様を先行導入しており、今年度中に竣工する見込みでございます。

○加藤委員 都有施設の整備に当たっては、省エネ仕様に基づいて行っていると思いますが、その状況について分析をし、実際にエネルギー使用量が削減できているということを確認することが大切であります。省エネ仕様を適用した施設につきまして、省エネルギー効果の分析は行っているのか伺います。

○山田技術管理担当部長 平成十九年度に策定いたしました省エネ東京仕様二〇〇七を適用し、改築を行いました都有施設におけますエネルギーの使用状況につきまして、平成二十四年度に実態調査を実施いたしました。
 その結果、改築前と比べて、電力などのエネルギー消費量において約三割の省エネルギー効果が出ております。また、完成した都有施設に、平成二十三年度に策定しました省エネ・再エネ東京仕様を適用した場合の省エネルギーの効果につきましても、あわせて分析しております。

○加藤委員 省エネ効果があったとのことでありますが、分析した結果を踏まえ、都はこれをどのように評価しているんでしょうか。また、地球温暖化防止に向けて、都は今後、施設整備に対してどのように取り組んでいくのか伺います。

○山田技術管理担当部長 先ほどの調査結果に基づきまして、都は、これまで取り組んできた省エネ仕様の有効性を改めて確認するとともに、平成二十三年度に策定した省エネ・再エネ東京仕様を適用すれば、さらなる省エネルギー効果が見込めるものと分析、評価しております。
 このため、今後の施設整備においては、省エネ・再エネ東京仕様を全面適用しまして、都有施設におけるエネルギー使用量の削減に取り組んでまいります。

○加藤委員 全面適用、よろしくお願いしたいと思います。
 そして、気象庁から、この夏の都市部の気温が郊外に比べて大変高く、ヒートアイランド現象が、この五年間におきまして最も高かったと発表されました。このことを見ますと、都市特有のヒートアイランド対策に、都としても今後、しっかりと取り組んでいかなければなりません。
 そこで、財務局では、都有施設の整備において、ヒートアイランド対策にどう取り組んできたのか伺います。

○山田技術管理担当部長 ヒートアイランドの対策として、財務局では主に都立建築物の屋上緑化に積極的に取り組んでおり、昨年度完成した施設では、例えば都立志村学園で約千六百平方メートル、都立第五商業高等学校で約七百平方メートルの屋上緑化を実施したほか、北療育医療センター城北分園などでも実施しております。このうち、都立志村学園では、屋上緑化だけでなく壁面緑化も実施しております。また、建物の色につきましても、太陽光を反射するような淡い色を採用するなど、さまざまな工夫をしてございます。

○加藤委員 今、ご答弁で、このヒートアイランド対策の取り組みの中で、屋上緑化、壁面緑化、そうしたことを実施したというふうにありましたけれども、これは非常に効果はすばらしいんですけれども、コスト面や重さといった面では課題があると思います。
 そして、後段の建物の色について、太陽光を反射するような淡い色を採用していると。これは、私はとても大事なことだと思っております。建物の建材そのものの色に注意をして使っていく。また、熱を遮る遮熱塗料というのがあって、建材の上にこの遮熱塗料を塗って、太陽光を反射させるという技術も進んでいるようです。
 私は、平成二十四年度予算の財政委員会所管分の意見開陳で、都民サービスを適切に提供するために、都有施設の維持更新を確実に進めること、また、整備に当たっては、技術革新の動向に十分注意し、省エネ・再エネ東京仕様を適宜見直し、環境負荷の少ない都市の実現に向けた取り組みを一層進めることと述べました。
 局としては、この遮熱技術などのさまざまな技術革新の動向に十分注視し、省エネ・再エネ東京仕様を適宜見直し、ヒートアイランド現象の緩和についても考慮して、環境負荷の少ない都市の実現に向けた取り組みを一層進めていくことが大事だと思いますが、見解を伺います。

○山田技術管理担当部長 平成十九年度に省エネ東京仕様二〇〇七を策定し、平成二十三年度には、これに最新の省エネ設備や多様な再生可能エネルギー設備を盛り込みまして、現仕様の省エネ・再エネ東京仕様を策定しております。
 今後におきましても、最新の省エネ技術など技術革新の動向を十分注視しながら、省エネ・再エネ東京仕様を充実させ、環境負荷の少ない都市の実現に貢献してまいります。

○加藤委員 ヒートアイランド現象の緩和には、建物を遮熱して、建物から熱を放出しないようにすることも大切であります。そのための方策として、屋上緑化のみならず、遮熱性能のある反射率の高い塗料の活用も有効であると聞いております。
 環境対策に先進的に取り組む都は、遮熱の有効性をモデルケースで検証するなどして、ヒートアイランド対策にしっかりと取り組むことを要望いたしまして、質問を終わります。

○徳留委員 私からは、公共工事の入札不調の問題について質問をいたします。
 平成二十四年度の公共工事の契約については、既決案件においても低価格入札が多く見受けられました。
 一方で、不調により落札者が決定できない案件もふえつつあると、マスコミなどでも報道されております。
 平成二十四年度の発注工事における入札の不調の割合はどのようになっているのかについてご報告をいただいた上で、こうした状況について、都はどのように見ているのかについてお伺いしたいと思います。

○松永契約調整担当部長 平成二十四年度の不調の割合は五・四%でございました。平成二十五年八月三十一日時点における不調の割合は、昨年度と同様、五・四%になっております。不調の状況については、個々の工事案件の規模や特性、民間における工事発注の状況など、さまざまな影響があり、業種ごとに状況は異なっているというふうに認識しております。
 今後とも、発注工事の入札の状況を注視してまいりたいと思います。

○徳留委員 発注公共工事の入札不調には、現状では目立った増加は見られないということですが、今後、オリンピック開催に伴う競技施設やインフラなど関連工事の増加、さらに建設資材の高騰、また、建設労働者の不足などから、公共工事の入札不調を心配する報道も一部にあります。例えば東京では、武蔵野の森総合スポーツ施設は、全参加者が辞退をして、予定価格を増加した上で再公募している状況だと聞いております。場合によっては、建設費の高騰や、都民にとって切実な福祉や介護などの施設工事のおくれなどは、都民生活にも大きな影響があるのではないかと大変心配になります。
 都として、建設工事の労務、資材単価の動向について、公共民間工事の現場の実態を把握するとともに、不調の原因となるような行き過ぎたコスト削減、あるいは建設資材の高騰を反映しない価格算定をきちんと改めて、上昇分については適切に反映させた発注価格にすること、また、設計変更に当たっては適正な価格を保障することなどを徹底していくことが大事だと思います。
 都としては、こうしたことも念頭に置いて対策を検討すべきだと考えますが、どういう対策を現在検討されているんでしょうか。答弁をお願いいたします。

○松永契約調整担当部長 ことし、国の平成二十五年度公共工事設計労務単価が三月末に決定されまして、都では速やかに、この新しい労務単価を工事の積算に用いる単価に反映して、四月中旬以降発注する工事から適用しているところでございます。
 先ほど答弁申し上げましたとおり、不調の状況につきましては、個々の工事案件の規模や特性、民間による工事発注の状況など、さまざまな影響がございまして、業種ごとに異なっているというふうに認識しております。私どもとすると、今後とも発注工事の入札の状況を注視し、社会経済状況の変化を踏まえ、入札契約制度を引き続き適切に運用してまいりたいと思います。

○徳留委員 さまざまな影響がある、業種ごとに状況は異なっているとのことですけれども、現実には、入札不調が一部に生まれているわけです。
 低入札による下請代金の未払いの問題についても、私も相談をいただいております。きょういただいた財務局の資料では、工事契約件数の中での低入札件数として減少傾向にあるとはいえ、約一割程度の低入札の案件は依然として生まれております。
 公共工事における下請業者への代金未払いは、当事者の業者にとっても、そこで働く労働者にとっても、大変深刻な事態だと思います。私の地元の板橋では、五千人からの建設労働者が加入する団体から、建設産業の構造的不況のもとで工事代金の不払いが多発している、不払いに関して、もっと都の担当部門から許可業者への指導を強化してほしいとか、建設業法十九条に罰則の規定を設けることはできないのか、一挙にできなくても、行政は法令に書いてあることが忠実に実施されるように何とかしてもらいたい、また、国交省は下請ホットラインを開設して、不払い事案の窓口をつくって対応しているけれども、東京都も独自の体制をつくって対応できないのか、こんな声が寄せられています。
 こうした未払いの問題の解決が大きな社会問題になる中で、荒川区や江戸川区など一部に、下請契約の適正化や公平化に向けた要綱や公共調達基本条例を制定して、独自の対応に乗り出している自治体もあります。荒川などでは罰則の規定も設けているようであります。
 都は、こうした低入札の問題については、これまでもさまざまな対応をしてこられたと思いますが、この問題の解決に向けてどのように対応しているんでしょうか。さらに改善に向けた努力が必要だと思いますけれども、何か検討されていることがあればお答えいただきたいと思います。

○松永契約調整担当部長 特にしわ寄せが懸念される低価格での入札に関しましては、低入札価格調査におきまして、第一次下請の予定業者及び予定下請金額等を調査項目の一つといたしております。具体的には、工事内容が明確になっているか、それから労務単価が著しく低いものになっていないか、さらに、積算内容が正しく反映されているか、社会保険に加入しているかどうか等々について調査して、確認をしております。
 また、調査対象者には、全ての下請が法令を遵守するように確認指導を行うことについての誓約書の提出を義務づけるなど、下請代金を含めまして、工事における法令の遵守の徹底を図っているところでございます。

○徳留委員 下請代金の未払い問題は、建設業法やその遵守のためのガイドライン、通知があるもとで起きている問題であります。関係部局と連携して、対策をより一層検討していただくように求めておきたいと思います。
 こうした公契約の適正化を図るために、都内の自治体の中でも、既に多摩市や渋谷区、国分寺市、さらには最近、足立区でも公契約条例を制定するなど、その内容には、それぞれの自治体ごとに独自の内容があります。低入札を解決して、下請業者、現場の労働者を守るために、さまざまな努力がやられているのではないかと考えています。
 中小業者、労働者からの切実な要望と運動の積み重ねの中で、制定の動きや条例の内容には各自治体ごとの特徴もあり、内容の発展もあるようです。こうした取り組みは、自治体として何とか低入札問題を解決できないのか、受注業者の営業を守りたい、労働者の低賃金や劣悪な労働条件を改善したい、公共事業の質を確保したい、こういう問題意識の中で、公契約の適正化に向けて、各会派の一致のもとで条例の制定に至っているものと受けとめております。
 このような努力、制定の動きを、都としてはどのように考えておられるのか、お聞きしたいと思います。

○松永契約調整担当部長 都はこれまでも、我が国の法制度に基づきまして、契約に当たって最低賃金法や労働基準法などの法令遵守を受託者の方に義務づけるなど、労働環境の確保を図ってまいりました。また、契約約款におきましても、受注者に法令遵守を義務づけているところでございます。
 都においては、公契約条例につきまして、労働法制との整合性や入札契約制度の前提である公正性、競争性の確保などの面から整理すべき課題があると認識しております。
 今後とも、現行法令のもと、入札、契約制度の適切な実施に努めてまいります。

○徳留委員 都としても、二〇一三年度の労務単価の上昇分が法定福利費についても適切に契約価格に反映されて、下請企業の技能労働者の処遇改善につながるよう、引き続き建設業界にしっかり要請をしてほしいと思います。また、ダンピング受注による下請企業の賃金水準の低下や社会保険未加入問題が改善されるよう、工事施工に必要とされる原価に満たない金額での契約が行われないよう、入札や契約制度の一層の改善を要望しておきたいと思います。
 最後に、答弁は結構でございますが、都有地の活用に係って地元から上がっている要望について発言して、質問を終わらせてもらいます。
 第三回定例議会でも取り上げられた未活用の都有地の活用問題です。
 都は、未活用の都有地を公表して、福祉関係の施設や都政の喫緊の問題解決のために最大限有効活用していくという方向での答弁がありました。既に、都内各地で公表された都有地の活用をめぐって、問い合わせや検討の声が寄せられていると聞いております。歓迎したいと思っております。
 その中で、私の地元の板橋の都立養育院跡地での板橋キャンパスの活用問題も、第三回定例都議会では取り上げられました。広大な板橋キャンパスについては、地元でも期待が大きく、さまざまな意見もあるようであります。板橋区や区議会では、この問題について、東京都の板橋キャンパス再編基本計画を土台にして、東京都とも相談しながら継続的に議論していると聞いております。
 跡地については、高齢者の福祉施設等のゾーン及び緑化広場ゾーンとして活用する方向に、地元からも強い期待が寄せられています。この地域は、周辺が住宅密集地域ということもあって、震災の際の避難場所、避難施設としての活用、また、福祉団体や障害者団体などからは、福祉施設の建設を求める陳情も継続的に寄せられています。
 ぜひ、基本計画の考え方、地域のさまざまな福祉のニーズを踏まえての活用を検討していただくよう強く要望して、質問を終わらせていただきます。

○西沢委員 私からも質問させていただきます。
 先般公表されました年次財務報告書を見ますと、二十四年度の決算における投資的経費というのが七千三百八十六億円となっておりますが、主な使い道の一つであります主要施設十カ年維持更新計画、それから都庁舎の改修計画についてお伺いをしていきます。
 まず最初に、主要施設十カ年維持更新計画の現在の進捗状況についてお伺いをいたします。

○室木建築保全部長 お尋ねの十カ年維持更新計画でございますけれども、この計画の計画期間は、平成二十一年度から三十年度までの十カ年でございます。その間におきます概算事業費につきましては、約八千三百億円を予定しているものでございます。
 実施状況につきまして、予算ベースで見た場合には、平成二十一年度から二十三年度までの第一期については、予定が二千七百億円に対しまして予算が二千五百億円と、約九割が予算化されております。また、平成二十四年度から二十六年度までの二期について見た場合、まだ期間の途中ではございますけれども、予定が約三千億円に対し、千七百億円が予算化されております。
 したがいまして、一期、二期合わせて、全ての概算事業費の約八千三百億円のうち約四千二百億円、すなわち約五割が予算化されておりまして、おおむね順調に進捗していると認識しているところでございます。

○西沢委員 十カ年計画のうちで、今、五年がたちまして、五割が予算化して、おおむね順調だということでございました。十年のうち半分ですから、予定どおりなのかなという気が確かにいたしますが、ここに来て状況が変わったものがあります。それが、オリンピック・パラリンピックの招致が成功いたしまして、二〇二〇年にこれが実現するわけでありますが、このことによって、オリンピック・パラリンピック開催に向けて整備の優先順位というものが変わるのかどうかお伺いをいたします。

○室木建築保全部長 二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催都市決定を受けまして、今後、さまざまな情勢の変化が生じると考えているところでございます。こうした状況の変化に応じまして、関係局と緊密に連携し、適切に対応してまいりたいと考えているところでございます。

○西沢委員 優先順位が変わるのかということの質問に対しては、関係局と連携して適切に対応しますということでありました。現状で踏み込んだ答弁がないわけですけれども、確かにこの維持更新計画というのは、都立学校であったり、それから能力開発センター、しごとセンターであったり、公園であったり、こうしたさまざまな施設になりますから、所管局がばらばらになるものであります。
 ですから、一概に財務局の判断だけでこうする、ああするということは、なかなかいいづらいんだろうと思います。いいづらいんだろうと思いますが、所管局に聞いても、この維持更新計画については、これは財務局が音頭をとっているからという話で--質疑の際に、私、何度もいいますけれども、関係局同士で、嫌な意味で縦割りになってしまってはいけないんだというように思います。
 特に、この計画が、二〇二〇年のオリンピックの前には当然終わるわけではありますけれども、オリンピックの年の前ぐらいからは、やはり日本、そして東京に海外からいらっしゃる方であったりとか、もしくは都有施設を使われるという方が多くなってくると思います。そうした状況において、優先順位、例えば葛西臨海水族園とか日比谷公会堂であるとかは、まだ整備されていないわけですよね。いろいろと状況が、調整というものがあろうかと思いますが、これまでの計画で決まったものだけを進めていくんだということではなくて、先ほど答弁ありましたが、柔軟に連携して進めていただきたいと思います。特に、オリンピック・パラリンピック招致が決まったわけですから、その整備計画なんかについても、やはり状況が変わってくるところがあろうかと思いますから、ぜひ連携していただきたいというように思います。
 それで、東京都では、もう一つの大型プロジェクトとして、この都庁舎自身の改修も進んでいるところでございますが、現在、都議会議事堂において、平成二十四年度から改修工事を実施しているわけでございますが、この都庁舎の改修は、都議会議事堂と一庁と二庁の改修工事だということであります。この改修の目的と全体事業費、そして現在の進捗状況についてお伺いをいたします。

○間庭庁舎運営担当部長 都庁舎改修プロジェクトは、本格的な更新時期を迎えている設備更新を行うとともに、この更新により都庁舎のCO2排出量を削減し、低炭素型都市の実現を先導していくこと、さらに、東日本大震災の教訓を踏まえ、長周期地震動対策などにも対応し、都庁舎の防災拠点としての機能を強化するものでございます。
 また、本年二月に公表いたしましたプロジェクトの計画期間は、平成二十一年度から三十二年度でございまして、総事業費の見込みは約七百六十二億円でございます。
 進捗状況といたしましては、平成二十四年度までの契約済額は約二百十一億円で、その内訳の主なものは、都議会議事堂の改修などの本体工事費が約六十九億円、昇降機設備工事が約八十億円でございます。都議会議事堂の改修工事は、既に平成二十四年度から本格的に実施しており、平成二十八年度までを予定しております。第一、第二本庁舎の改修工事につきましては、現在契約手続中で、平成三十二年度までを予定しているところでございます。

○西沢委員 この改修工事につきましては、今月初めの方には東京新聞でも取り上げられました。巨額七百億円という見出しで、六十億円削減するという方針なんかも報道では出ているようでございますが、一般的に私なんかも、巨額という報道があるように、高いな、大きなお金をかけるんだなというようなイメージがあります。この辺について見ていきたいんですが、この建設費から改修費用というのを見ていこうと思います。
 都庁舎の改修というのは、一千五百億円かけてつくった建物を、半額ぐらい、七百六十二億円使うという話でございますが、マイホームで例えると、例えば土地を持っている人が二千万円で建物を建てるというときに、二十年たったら半分の一千万円をかけて更新しなければいけないと考えると、割高なイメージがありますよね。一般的な都民感情がそういうふうになるというのは、やはりこういった身近なことで例えるとわかりやすいと思うので、都民感情的には割高感が否めないところがあると思います。
 ただ、当然、マイホームと比較されては困るというようなこともあろうかと思いますので、近くのビルで比較をしてみたいと思います。
 例えば、近くのビル、隣にあります新宿三井ビルというのは、一九七二年に着工いたしまして、総工費二百億円かけたと。これは当時の朝日新聞の報道で出ておりますが、当時のお金で二百億円をかけてつくられたビルだそうです。この三井ビルは、一九九六年に改修工事に着手しまして、四年間で三百億円をかけてリニューアルをしたというようなこと、これは三井ビルのホームページからとれるものであります。
 この当時、物価の指標というのは、さまざまあるわけでありますけれども、わかりやすく大卒の初任給の例をもって見ますと、新宿三井ビルの着工された一九七二年の大卒の初任給が五万二千七百円、改修を始めた一九九六年が十九万三千二百円ということで、四倍近くになろうかと思います。総工費二百億円の四倍、単純に八百億円とすると、そのうちの三百億円、三七%ぐらいのお金をかけて、つくったものに対してそれぐらいのリニューアル費をかけたというようなことを見ることもできます。
 別の指標で見てみると、都税収入ベースで見ると、一九七二年の都税収入というのは、普通会計で一・二兆円。平成二十四年度で、今ですね、今は四・二兆円でございますから、三・五倍、四倍弱ぐらいですから、これも同じように、そういったさまざまな指標からとってみても、三倍後半から四倍ぐらいのお金と換算しても、そうすると、やはり都庁舎の改修工事というのは、民間のビルと比較しても、少し割高感が否めないんじゃないかなというように思います。
 特に、三井ビルというのは商業ビルですから、ビルそのものが資産価値を持つものです。ビルそのものにテナントが入って、飲食店であったり、そういった店舗を活用するものでありますから、このリニューアルというのはなくてはならないものでありますから、いわゆる役所で使うような庁舎で考えても、資産価値として活用されるものではない都庁舎の方が、やはり安くなるものなんじゃないかなと、そのように考えられるんじゃないかなと思うわけであります。だから、こうした、高いんじゃないかという声があるわけであります。
 ただ、単純に価格だけ見て、その根拠があろうかと思いますので、その辺を聞いていきたいと思います。
 工事費用の見積もりに当たっては、この工事で使用される天井や壁材などの個々の資材等、これらを詳細に調査、積算し、工事費用の節減に努めるべきでございますが、具体的な積算方法についてお伺いをいたします。

○間庭庁舎運営担当部長 工事の積算につきましては、都が定めた積算基準に基づきまして、材料費、労務費、諸経費などを積み上げて算定しております。例えば、材料、労務費では、工事エリアごとに天井、壁材などの工事資材の種類別に使用量を算定し、市場の実勢価格などを参考にした単価を乗じて算出したところでございます。
 また、経費縮減の方策につきましては、標準仕様や汎用製品の採用や、既存設備などの再利用を積極的に進めております。具体的には、衛生陶磁器を標準仕様とし、執務室天井は一般的なオフィスビルで採用されている汎用製品とするとともに、配管類などの再利用を図っておるところでございます。

○西沢委員 市場の実勢価格を参考に単価を設定するということでございました。
 少し細かく見ていきたいと思いますが、直接工事費の細目別内訳というものをちょっと見せていただきますと、例えば、わかりやすく壁の布クロス、普通に壁にこうやって張るクロスのことでございますけれども、これの価格が、都議会議事堂は一平米当たり三千三百五十円というようなところがございます。話を聞きますと、都議会議事堂、特に議員の方が来客などで使ったりするところについて使われているということでございますが、一般的にこの壁クロスがどれくらいなのかなというところを聞いてみますと、今使っているのが一平米当たり三千三百五十円、布クロスということでございますが、材質にこだわらなければ、一平米当たり千円ぐらいでやっているところがあります。うちの地元の中野区のシルバー人材センターなどは、一平米当たり千円からやってもらえるんですね。別に中野のシルバーを使ってほしいといっているわけではないんですけれども、この価格から見ても、ちょっとこれは高いんじゃないのかなと思うんです。
 さらに、例えばこの価格というのは、もっと安いところを見つけると、一平米当たり八百円ぐらいからありますから、その価格がどういったところなのかというと、ワンルームマンションなどの空き部屋の張りかえ、こうしたところでの相場というものが、大体、三十平米とか四十平米ぐらいのものをやるに当たって、一メートル当たり千円からやってくれるわけであります。
 都庁の場合は、この布クロスというものを見てみますと、四千六百三十二メートル、三百二十七メートル、二百三十八メートル、二千百八十八メートルと、同じ製品を使ったこの壁クロスを合計で七千三百八十五メートル使っているわけです。当たり前ですけれども、普通のワンルームに比べれば随分たくさん使うわけですよね。つまり、スケールメリットを生かせていないんじゃないかと、いわざるを得ないんじゃないかなと、こう思うわけであります。
 そうしたことから、価格については、大分安くできる要素が見込まれるんじゃないかと思うわけであります。この価格というのが、壁クロス、布クロスを使っている部分だけ考えても二千四百七十三万円かかっているわけでありますが、頑張れば三分の一とか四分の一ぐらいにできる要素が十二分にあるんじゃないかと思います。相場的にこれは高額と考えますが、見解をお伺いいたします。

○間庭庁舎運営担当部長 改修工事の仕様につきましては、現状の建物機能を維持することを基本としておりまして、クロスの張りかえについても、議会棟につきましては国内外からの賓客の来訪も多いところといった利用実態を勘案いたしまして、改修前と同一の仕様の布クロスを採用してございます。
 布クロスの価格は、市場の実勢価格の動向を反映いたしまして、具体的には専門工事業者三社から見積書を提出いただいております。その際、全体の工事規模を示すことによりまして、その見積価格には、規模に応じた見積もり、スケールメリットを生かした見積もりが提出されたものと考えてございますが、その中の最低価格を参考といたしまして、価格を設定したところでございます。また、この価格につきましては、材料費に加えて労務費を含んだ単価でございまして、高いものとは考えてございません。

○西沢委員 三社から見積もりをとった最低価格を参考にしているし、労務費を含んでいるから、つまり材料費だけではなくて、やってもらえる価格も含んでいるから妥当だという話でございました。
 ただ、さっきの中野のシルバーの話で恐縮なんですけれども、一メートル当たり千円というのは、これは労務費込みの値段です。大体それぐらい、つまり、材料費というのも、随分安くできるのは--私がネットでちょっと調べてみたら、同じものを二千二百五十二円で売っていました。これは私が買えます。カートに入れて買えるという状況があります。そうしたことから、本当にこの専門工事業者三社の見積もりをとっているのかというのは、ちょっとこれは、きょうはそこまでは詰めませんけれども、ある程度、もう少し安くいける要素があるんだというように私は考えるわけであります。それだけでも、材料費、三分の二ぐらいになってくるわけであります。それに、やはりスケールメリットを生かせば、労務費がかなり安く抑えられますから、十分にできるということだと思います。
 そして、その使っているものというのが、やはり来客が多いものに関してはそれなりにいいものを使わなければいけないというのは、私もそのとおりだと思います。特に、安かろう悪かろうでありますから、これからオリンピック・パラリンピックに合わせて人がたくさん来るという状況の中で、エントランス部分はやはりそれなりのものを使うというのは、これは当然だと思うわけでありますが、その一方で、例えばここにもありますが、トイレの改修工事なんかについては、五階、私たちがいるところについては既に改修が終わっています。この四階については、すぐそこのところはまだ改修が終わっていないですよね。ぜひ、ちょっと終わった後でもトイレを使っていただいたときに見ればわかるんですけれども、本当に改修の必要があるのかなというように感じるわけであります。
 つまり、二十年の使用感はあるものの、十分に清掃も行き届いていると思いますし、大理石の立派な高級感もあります。議会棟にふさわしいものを使っているんじゃないかなと私も思いますから、あえてそこの部分を改修する必要が本当にあるのかというような疑問があります。二〇〇八年には水道管が破裂して、議会棟が大分水浸しになってしまったということがあったようですから、その設備についての更新というのは当然必要だと思いますが、パネルの部分であったり、鏡の部分であったり、そうした部分まで本当に改修が全て必要なのかというところが、私は疑問に思うわけであります。
 今のクロスも含めて、やらなくてもいい改修というものがあるのではないかと。そもそも改修が必要なのかどうかというのは、どのように判断をしているのかお伺いいたします。

○間庭庁舎運営担当部長 改修工事の範囲につきましては、個々の設備等の劣化状況を確認し、改修範囲を考え、また、そうした際には、可能な限り再利用することを基本としております。例えば、執務室内の壁面収納、OA床などの内装、当然、委員からもご質問の中で発言がございましたが、既存配管類ですとか、こういうようなものの再利用を積極的に図るということがございます。
 また、先ほどもクロスの再利用の話もございましたけれども、クロス等については、都庁舎は竣工後二十年以上経過して、剥がれ、汚れが生じていると。こういうようなものについては更新をしていくと。
 また、先ほどいろいろなトイレのお話もございましたけれども、建築工事、電気、給排水等の工事施工、こういった意味では、壁面だとか、そういうところも関連をする。工事に関連して、改修をしなければいけないものも当然ございます。こうしたものも含めて、工事範囲というものの判断をしてございます。

○西沢委員 確かに、クロスを二十年張りかえないというのは、それは張りかえた方がいいに決まっている部分もあります。これは、今までの話は都議会議事堂の話でございますが、今後実施されていきます第一庁舎、それから第二庁舎の改修工事について、これからの話ですから、どのような工事内容の精査を行ったのかお伺いいたします。

○間庭庁舎運営担当部長 都庁舎改修プロジェクト全体の遂行に当たりましては、委員からもご指摘をいただいておりますように、経費の縮減は重要な課題と認識してございます。
 第一、第二本庁舎の改修工事の遂行におきましても、既存配管類の再利用などにより経費縮減を図るとともに、制震装置を設備更新の機会に合わせて設置することといたしまして、効率的な工事を実施してまいります。

○西沢委員 こうした大規模改修を行うには、これまでも話してきましたとおり、不断のコストの削減というものは当然必要だと思います。
 今、話をしていた中で、第三者の目を取り入れる仕組みというものがあるのかどうか。第三者委員会というもので計画の確認を行うということや、その検討内容をわかりやすく公表していきながら進めるべきだと、こういうふうに考えますが、見解をお伺いいたします。

○間庭庁舎運営担当部長 工事費用の積算につきましては、積算基準に基づき、定期的に市場動向を反映させた単価によりまして適正に行っております。
 さらに、民間専門家の知見の活用につきましては、このプロジェクトの主要工事である空調工事において、学識経験者で構成いたします仕様等検討委員会を設置し、更新範囲や最適な空調方式などの検討を行い、その意見を反映いたしました高効率機器である大温度差空調システムを導入することといたしました。また、長周期地震動対策につきましても同様に、学識経験者で構成いたします耐震安全性調査委員会を設置し、その意見を反映させたものでございます。
 また、こうした公表につきましては、平成二十一年二月と平成二十五年二月の二回にわたりまして、都庁舎改修の取り組み内容をホームページに掲載する中で、こうした民間知見を活用したこともあわせ、記載をしてございます。こうした中で、周知に努めているところでございます。

○西沢委員 この主な工事でもあります空調工事について、学識経験者で、第三者による委員会でやっているという話がございました。
 確かに、空調であったりとか、最適な温度調整というものは素人である私なんかには当然わからないところが多くあろうかと思うんですけれども、今お話をした、例えばトイレだったり、壁クロスであったり、張りかえであったりとかというところ、細かいところかもしれませんが、本来であれば議会がそういったチェックを全て果たさなきゃいけないと思いますが、全て果たすのはなかなか厳しい中で、そうした部分についても第三者の目を取り入れるべきではないかと私は思いますが、その辺はなぜやらないのかお伺いいたします。

○間庭庁舎運営担当部長 トイレを含みます設備関係の改修でございますが、これらは主に配管類に関する工事でございます。こうしたことから、その劣化度の調査に当たりましては、外部調査機関を活用いたしまして、超音波やエックス線等の調査、こうしたことでその健全性の調査を行い、その結果を反映し、既存配管類の再利用を進める、こうしたところで配管類の劣化が進んでいるところについては、あわせて便器等の改修も必要である、こうしたことから、民間の意見も取り入れながら改修工事を進めているところでございます。

○西沢委員 わかりました。
 引き続き、この精査をして進めていきたいと思います。
 東日本大震災を踏まえてですけれども、先ほどの答弁で、長周期地震動対策に取り組むということはわかりましたが、東京都の防災力をグレードアップして、都庁舎の防災拠点の強化として、そのほかのきめ細かな取り組みについてお伺いをいたします。

○間庭庁舎運営担当部長 大空間や高天井において、天井等の落下防止に万全を期するため、天井資材の仕様強化と周辺壁面とのすき間、クリアランスを確保するなど、耐震性を考慮した仕様を導入しております。
 また、地震の揺れによるスプリンクラーヘッドの損傷を防止するため、天井材の変異や衝撃に追随できますように、配管に柔軟性を持たせるフレキシブル化を施しております。さらに、火災時以外でスプリンクラーが開放したときには、真空ポンプが起動して空気を吸い込むことで放水を抑える負圧湿式予作動式スプリンクラーを導入し、配管類の損傷による水損被害の防止対策も図ってまいります。

○西沢委員 東日本大震災後に、やはり不安になる声に応えて、こうした配管であったりとかスプリンクラーを導入するという話がございました。当然、計画段階で決まっているから変えられないということではなくて、来年以降は--今まで都議会議事堂の改修が二百十一億円という話がございました。残り五百億円以上のお金で、第一庁舎、第二本庁舎についても、これからそれこそ柔軟に、必要なものに取り組んでいただきたいというように思います。
 それで、この改修プロジェクトの最終年度というのが、これは二〇二〇年ということでございますが、この年はオリンピック・パラリンピックの開催年と重なるわけでございます。このオリンピック・パラリンピックの開催によっては、やはり多くの来庁者が見られるというように思います。既に、二〇二〇年のホテルの予約がもう始まっているようであります。そういった意味からも、特にこのぐらいの年になってくると多くの方がいらっしゃると思いますが、改修工事はそれまでに当然終えている必要があると思いますが、見解をお伺いいたします。

○間庭庁舎運営担当部長 来訪者が最も多く訪れます展望室や、一、二階のエントランスホールにつきましては、工事最終年度の一年前の平成三十一年度、二〇一九年度でございますが、これまでに改修を終了する予定でございます。
 また、都庁舎改修プロジェクトにおきましては、平成三十二年度までに工事を終了する予定としており、最終年度に実施する工事は少ないものと見込んでおりまして、来訪者への影響は生じないものと考えております。

○西沢委員 影響はないものということでございますので安心しましたが、私から心配するのは、二〇二〇年もしくは一年ぐらい前、二年ぐらい前に東京に来て来庁した際には、今みたいにエレベーターに養生テープで、お気をつけくださいとか、工事をやっているとか、ビニールシートが張ってあって、工事中です、すみませんというところが、少なくともエントランス部分についてはないようにしていただく必要があろうかと思います。特に、展望台であったりとか、そうした本当に観光として多く訪れるときに、一番多く来ているときに、なぜそこの工事を今やっているんだということがないようにすると、今、答弁がありましたから安心はしておりますが、改めて、そこを気をつけてやっていただきたいということを要望させていただきたいと思います。
 ここまで、主要施設十カ年の計画と都庁舎の改修という二つのプロジェクトを確認してまいりましたが、大規模改修を初めとする施設整備における取り組みの視点についてお伺いをしていきたいと思います。
 コスト縮減を行う一方で、超高齢化社会を目の前にした現在、東京が福祉先進国としてユニバーサルデザインの強化及びバリアフリー化の徹底など、障害者や高齢者などに対するおもてなしのできる環境づくりが大切だと思います。都有施設や都庁舎はどのようになっているのかお伺いをいたします。

○室木建築保全部長 都庁舎の改修におきましては、年齢、性別、個人の能力などにかかわらず、誰もが安全で快適に利用できるように配慮いたしましたユニバーサルデザインの考え方に基づき、充実を図っているところでございます。
 具体的に申し上げますと、多目的シート、ベビーチェア、オストメイト対応水洗器具を増設するとともに、サインにつきましてはカラーユニバーサルデザインを導入するなどいたしまして、さまざまな取り組みを行っております。
 同様に、他の都有施設につきましても、東京都福祉のまちづくり条例などに基づきまして、高齢者や障害者を初め、すべての方が利用可能なユニバーサルデザインの理念に立って、施設整備に努めているところでございます。

○西沢委員 オリンピック・パラリンピックの開催なども踏まえて、国際化という観点から、障害者のための国際シンボルマークについても対応が必要でございますが、施設整備における都の取り組み状況をお伺いいたします。

○室木建築保全部長 施設整備に当たりまして、障害を持つ方のためのサインにつきましては、東京都福祉のまちづくり条例に基づきます施設整備マニュアルの基準によって設置しているところでございます。
 例えば、ご質問のありました、障害者のための国際シンボルマークにつきましては、比較的小規模な一部施設を除きまして、車椅子使用者用駐車施設を設置した場合には、その駐車場の進入口に標識を設置するほか、実際の駐車スペースの床面に表示と、その付近に標識を設けることとなっております。
   〔委員長退席、大場副委員長着席〕

○西沢委員 私がいいたいのは、ここについて、施設整備マニュアルの基準によって設置していると、条例に基づいて設置しているということでありましたが、何度もいいますが、外国から多くの方がいらっしゃった中で--この都有施設において、今、例えばそこの施設のセンター長なり所長さんなりの裁量が大きいわけですよね。こういった整備を、マークをつける位置であったりとか、その数であったりとかというところにばらつきがないように指導していかなければ、この施設についてはわかりやすい表示があるというようなことがあって、こっちの施設はわかりにくいというようなことがないようにしていただきたいということでございます。
 十カ年計画の策定以降は、社会情勢の変化がございまして、施設整備にかかわる基準類もさまざまな改正が進んでいるということがうかがえます。こうした状況を踏まえて、十カ年計画を変更した上で着実に行っていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○室木建築保全部長 ご指摘のとおり、計画を策定して既に五年が経過しておりまして、その間にさまざまな社会情勢の変化がありました。
   〔大場副委員長退席、委員長着席〕
 こうした変化に伴いまして、基準類の改正ですとか、あるいは新たな行政需要が発生した場合には、個々の事業を推進する中で柔軟に対応してきたところでございます。また、このことについては、今後とも柔軟に対応していこうと考えているところでございます。
 十カ年維持更新計画の柱であります安全・安心の確保ですとか、あるいは環境負荷の低減など、基本的な考え方の部分に変わりはございません。そうした意味で、計画そのものを見直すには当たらないものと考えているところでございます。
 今後とも、各施設の劣化状況のみならず、必要となる新たな行政需要なども反映いたしまして、施設の維持更新を行ってまいります。

○西沢委員 柔軟にやっていくというご答弁がございましたので、ぜひ進めていただきたいというように思います。
 それでは、今は都庁舎の改修と都有施設の整備についての質疑を繰り返してまいりましたが、都庁全体の事業というところについて質疑をしたいと思いますが、東京都の事務事業評価の仕組みについて、大枠を私の方から質疑をさせていただきたいと思います。
 平成二十四年度決算における都税収入は、企業収益が持ち直したことによって、五年ぶりに増収に転じました。明るい兆しが見えてきたように思いますが、都の歳入の大半を占める都税収入は、これまで景気の影響を受けて激しい変動を繰り返しておりまして、都財政を取り巻く状況は依然として厳しいものがあると考えます。
 もちろん、景気回復の動きは確かなものになっていくことが期待されますが、東京都は、こうした状況であっても都民の期待に応えていかなければなりません。
 急速に進む少子高齢化社会への対応や社会資本ストックの老朽化対策、さらにはオリンピック・パラリンピックの開催に向けた施設の整備など、必要な施策を着実に推し進めていくためには、都みずからが改革していくことが必要であります。
 そこで、都における自己改革の代表例ともいえる、平成十八年度に導入した事業評価についてお伺いをしていきます。
 まず、これまでの事業評価の取り組み状況と成果についてお伺いをいたします。

○潮田主計部長 事業評価は、二次にわたる財政再建推進プランに基づき集中的に実施した事業見直しの成果を踏まえ、財政再建を達成した後も自己改革を継続していくための仕組みとして再構築をしたものでございます。
 具体的には、予算編成の一環として、各局と連携しながら事業の成果や決算状況などを厳しく検証した上で、各事業について、見直し、再構築、あるいは拡大、充実などの方向づけを行い、その結果を予算等に的確に反映しております。
 平成二十五年度の予算編成におきましては、新たな取り組みとして、監査結果に基づく見直し内容を評価しまして、迅速かつ的確に予算へ反映する仕組みを導入するなど、評価の取り組みについて一段の底上げを図りまして、約二百三十億円の財源確保につなげているところであります。

○西沢委員 財政再建期における集中的な見直しにより蓄積されましたノウハウを、無駄にすることなく事業評価に生かしているということは、高く評価をするものであります。
 また、予算編成の一環として実施して、予算への反映と厳しく検証する仕組みを構築するとともに、公会計の手法を積極的に活用するなど、評価の実施に当たってさまざまな努力をしているというようなことも評価できると思います。
 しかし、自己改革というものは、短期的なものではなくて、継続的に実施していくことによって高い効果が発揮できるものでございます。
 そこで、今後も事業評価を実施して、都庁全体に定着させる必要があると思いますが、その必要性についてお伺いをいたします。

○潮田主計部長 事業の効率性や実効性を高めていくために、事業を実施する各局が主体的に一つ一つの施策を検証し、評価していく体制を構築していくことが不可欠であります。
 このため、財務局は、各局が事業評価、分析をするに当たりましてのポイントを示すとともに、研修を実施して職員の意識改革を図るなど、事業評価の取り組みを都庁全体に浸透させていくように努めております。
 こうした取り組みを通じまして、各局の問題意識を高め、効果的な事業実施に結びつけてまいります。

○西沢委員 事業評価を都庁全体に根づかせていくということは重要でございまして、事業の検証等を通じて、自己改革力を都庁内部に着実に浸透させていっていただきたいと思います。
 一方、東京都としての取り組みとその成果をより多くの都民に理解してもらって、都民に対する説明責任を果たしていくということも重要ではないかと思います。
 私は、事業仕分けについては何度もこの議会で取り上げをしたわけでございますが、その話はもうこれ以上しませんけれども、要するに、外部の方に見ていただくというところが非常に重要なんだということを思っているわけでございます。
 そこで、都民にわかりやすく説明していくということが重要だと思うが、どのように公表しているのかお伺いをいたします。

○潮田主計部長 事業評価の結果は、都民に対する説明責任を果たすという観点から、毎年ホームページに掲載し、公表しております。
 公表に当たりましては、評価結果だけではなく、事業の背景や目的、これまでの取り組みや成果、今後の事業のあり方等につきまして、事業所管局の評価と財務局の最終的な評価の両方を掲載し、その評価に至るまでの考え方や視点を明らかにするように努めているところであります。
 今後とも、都民に対しまして、事業評価の内容をよりわかりやすく公表していくように取り組んでまいります。

○西沢委員 都の予算編成の一環として行われている事業評価は、施策の見直し、再構築、拡充を図るといった機能に加えて、住民にわかりやすく公表して、住民の意見をしっかりと聞き入れるということが重要だと思います。制度の導入から七年がたった現在も、制度疲労を起こすことなく進化し続けていることも、これは評価できるわけであります。
 この事業評価については、一般社団法人日本経済団体連合会が国に向けて、二〇一三年五月二十七日に、財政健全化と効率的な財政運営に向けてというものを出しておりますが、この中で、予算から決算に至るPDCAの改善というものを経団連が国に要望しています。
 この中で、東京都が事例として出されているわけでございますが、例えば東京都では、日々仕訳の会計システムを導入し、複式簿記・発生主義に基づく財務書類を作成することで、事業評価の質の改善や、財政状況の的確な把握、決算プロセスの早期化などに役立てていると、こういう形で書いてあるわけでございます。これにより、毎年度の予算編成の時期には、前年度決算を都議会に報告し、次年度の予算編成に活用することが可能となるなど、実効性の高いPDCAサイクルが確立されていると、こういった形で、もうべた褒めなわけです。これは主計部の方が書いたんじゃないかと思うぐらいのことで書いてあるわけでございます。
 そういった意味では、全国に先駆けてやっているところはすごく評価するところでございますが、一方では、予算をつくる側と検証する側が同じというところが、本当に権限が集中しているところが多くあるんじゃないのかなというように思うわけであります。
 それがどういうことになるのかというと、先ほどの答弁でもありましたが、財務局は、事業評価を予算編成の一環としてやっている。さらに、分析するに当たってのポイントを各局に示しているわけですから、実際に予算ができて、予算が通過した段階では、財務局主計部の皆さんが手を加えたものが通っているということになります。
 そうした中で、決算のタイミングになってくると、それを指摘する側として見てみれば、自分たちが精査をしてつくってもらったものを議会で承認しているわけでありますから、決算の時期になると、少しそういった部分について、財務局側からいうことが、いいづらくなってしまうんじゃないかなというように思います。
 そうした視点はあるものの、取り組み自体は大変高く評価できますから、当然続けてほしいと思いますけれども、きょうの質疑を通して、外部の目を入れるというようなことの重要性を改めて進めていかなければいけないんだということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

○田中委員 私からは、財政運営、財産活用、基金、主要施設十カ年維持更新計画などについて、総括的にお聞きをいたします。
 まず、財政運営についてですけれども、東京都の財源構造は、区市町村などの基礎的自治体とは異なって、経済情勢や景気、税制改正などに大きく影響される性格を持っています。
 しかし、都財政においては、当該年度、平成二十四年を含め、財政調整基金や社会資本整備基金、減債基金などの基金を確保して、かつ起債残高を減少させ、結果として実質収支の黒字を継続していることは、流動的な経済環境にあって非常に評価すべきものと思います。
 とりわけ当該年度は、法人二税などを中心に、都税収入が対前年度比で一千億程度回復していることは歓迎すべきものであると思います。
 現在、政府が進める金融緩和、また、成長戦略の中で、外国投資家が牽引したとはいえ、株価が上昇するとともに為替相場も円安に振れるなど、日本経済や市場を取り巻く環境は、一年前と比較して大きく変動して、景気好転への期待が膨らんでいると受けとめている方が多いのではないかと思います。
 しかし、その期待と効果は、現時点では企業活動を中心に限定的なものであり、個人の所得環境や家計における生活実感は、いまだ明るい展望を持てるまでには至っていないのが現状であるかと思います。
 また、国においては、年金や介護、医療など社会保障制度改革が議論されていますけれども、給付水準や施設の利用制限、また、受診時の自己負担のあり方など、国民にとって将来に向けた不安がまだ払拭できない中で、来年四月からは消費税が増税されるなど、暮らしに対する国民の先行き不透明感は、依然として大きいものといえると思います。
 こうした中で、都政においては、超高齢社会における社会保障費への負担や公共施設の更新等に要するコストなど、歳出増への圧力も大きくなってくると思います。また、オリンピック・パラリンピック開催後の都市のあり方を見据えつつ、国際的な一大イベントへの開催に向け、都市機能を充実、拡大するためのコストも看過できないものであると考えています。
 東京に集まる人、物、金などの貴重な資源を有効に活用して、都民生活の利便性を高め、質の高い暮らしと都市機能を次世代に引き継ぐための施策を実践していくことにより、首都東京が名実ともに日本を牽引していかなければならないと思います。
 こうした取り組みに当たり、重要な財政基盤を担い、その強化を図るのが財務局の役割だと認識しておりますが、そこで質問をいたします。
 まず、当該年度の決算における財政規模や歳入、経常収支比率などについて、最近の数年間の決算の傾向、また、当該年度の決算をどのように評価し、その特徴をどのように捉えているかを最初にお尋ねいたします。

○潮田主計部長 平成二十四年度決算におきまして、都税収入は、復興需要等で企業収益が持ち直したことによります法人二税の増収などによりまして、五年ぶりに増加に転じました。
 一方、歳出面では、社会保障に係る補助費等が増加する中で、職員給の減や退職手当の制度見直しなどの内部努力に取り組んだ結果、歳出規模は六兆四百十八億円で、経常収支比率は、前年度から二・五ポイント改善しまして、九二・七%となったところであります。
 また、実質収支につきましては、都税収入の増収等を活用しまして、基金の取り崩しを抑制することなどによりまして、五年連続でほぼ均衡しております。
 このように、二十四年度決算では、我が国の成長を牽引する施策や都政の重要課題への対応など、都がなすべき役割をしっかりと果たすとともに、将来の経済変動や財政需要に備えて、財政基盤の強化を図ることができたものと考えております。

○田中委員 非常に堅実な財政運営をなさっていること、評価をいたしたいと思います。
 その上でお聞きいたしますけれども、東京都では毎年度、事業評価を実施して、事業や施策におけるコストや実施効果、課題などを検証しながら予算編成に反映されているものと思いますけれども、事業評価や決算状況を踏まえ、それをどのように予算に反映させているのか、手順とか実施方法など基本的考え方をまずお聞きいたします。
 また、当該年度において、事業評価との関係で廃止や縮小、あるいは拡大、もしくは実施方法を修正したものなどありましたら、代表的なもので結構ですので概要をお聞かせください。

○潮田主計部長 都の事業評価は、予算編成の一環として、各局と財務局が連携して事業の成果や決算状況などを検証した上で、各事業について、今お話にありましたとおり、見直し、再構築、あるいは拡大、充実などの方向づけを行いまして、その結果を予算等に的確に反映する取り組みでございます。
 これまで、関係部局と連携した取り組みや新たな公会計手法の活用などを通じまして、より多面的な検証を行う取り組みとして着実に実績を積み重ねまして、平成二十四年度は四百二十五件の評価結果を公表しております。この内訳は、見直し、再構築二百三十一件、拡大、充実百十四件、その他、事業継続等が八十件となっております。
 見直し、再構築の具体例としましては、重複します委託内容は共通化すべきであるというような監査報告を活用しまして、委託契約の見直しを行った事例が挙げられます。これは、二つの海底トンネルで別々に行ってきました自家用の受変電設備の保守点検につきまして、委託内容が同種のものであったということから、それらを一本化し、使用する機器の効率化を行うことで、約一千三百万円の経費縮減を図ったものであります。

○田中委員 今後とも、客観的かつ適正な事業評価に努めて、時代の変化や行政需要に的確に対応できる施策展開を期待しております。
 次に、基金についてお聞きします。
 東京都には三十もの基金が設置されておりますけれども、中でも、財政運営の調整弁ともいえる財政調整基金や社会資本整備基金などの、いわゆる財源として活用可能な基金について、きょうは一括してお尋ねをいたします。
 こうした基金は、当初予算への繰り入れに始まり、決算剰余金における基金への繰り戻しなどを通じて、極力、財政負担の平準化や計画的なインフラ整備のための財源として、また、都債償還の原資として、それぞれ目的と役割に応じて、毎年度活用されているものと思います。
 機械的に行えるものではないことは十分承知をしておりますし、また、いろいろな状況の中でご苦労もあるかと思いますが、貴重な税を原資としている以上、その運用や活用に当たっては合理性が必要だと思います。
 そこで、財源として活用可能な基金について、過去三年間の基金残高の推移、また、積み立てや活用についての基本的な考え方、方針があればお聞かせください。

○潮田主計部長 財源として活用可能な基金の残高は、平成二十二年度末が一兆二千百二十億円、二十三年度末が一兆一千二十八億円、二十四年度末が一兆一千五百八億円となっております。
 景気変動の影響を受けやすい歳入構造という都財政の構造的特徴を前提としまして、安定的に行政サービスを提供していくために基金の果たしている役割は、大きいものと認識をしております。
 このため、都税の増収時には、将来を見据えて基金を積み立てまして、税収が大きく落ち込んだ際には、それを取り崩して財源として活用するなど、中長期的な視点に立って財政の対応力の堅持に努めております。

○田中委員 ありがとうございます。
 持続可能な都政運営ができるよう、慎重かつ適正な基金の確保に、今後とも努めていただきたいと思っております。
 次は、起債についてお聞きをいたします。
 まず、過去三年間の起債残高の推移と今後の償還計画についてお聞きをいたします。

○潮田主計部長 一般会計における都債残高は、平成二十二年度末で六兆三千三百八十三億円、二十三年度末で六兆五千二百三十七億円、二十四年度末では六兆五千七百二十億円となっております。
 また、借換債を除きました償還額は、平成二十五年度予算では五千七十二億円としておりまして、その後の見通しとしましては、二十六年度には五千億円強、二十七年度には四千億円強を現時点では見込んでおります。

○田中委員 ありがとうございます。
 起債残高については、今の世代のうちに確実に減少させていく努力をしていくとともに、今後の行政需要によっては、計画的に起債をして将来世代との負担を分かち合うことも求められてくると思いますが、次に、その観点からではない起債のことをちょっとお伺いいたします。
 最近、政府の成長戦略の一環として、貯蓄から投資へとマスコミでも頻繁に取り上げられて、中でも、証券優遇税制の年内での廃止に伴って、新たな少額投資非課税制度、いわゆるNISAと呼ばれるものですね、今、いろいろなところで広告をやっていますけれども、これが来年一月から開始されます。
 証券会社、信託銀行などでも積極的に広告をしているのを多く目にしますし、国民の投資マインドも、これから成長戦略で好景気になっていくという背景、決して小さくはない状況だと思います。
 こうした社会的状況を背景に、先日、私、一般質問でもオリンピック開催と参加型の寄附について質問させていただきましたけれども、ここで同様に、住民の参加意識の高揚を図るために、今後の起債に当たっては--オリンピック・パラリンピック、これは七年後にあります。その経費に充当していくための住民参加型市場公募債、例えば東京オリンピック・パラリンピック開催記念東京都債とか、こういう名前の発行も、都民が参加できるという意味で非常に喜ばれる手段かと思いますけれども、いかがでしょうか。見解をお伺いいたします。

○潮田主計部長 住民参加型市場公募債につきましては、都民に都政への参加意識をより高く持っていただくという目的のもと、平成十四年度から東京再生都債として発行しておりまして、今年度は二百億円を発行する予定でございます。
 現在、調達する資金の充当対象は、発行規模も考慮しながら、都民の関心が高く、かつ都政の重要課題である防災関連事業としております。
 お話のオリンピック・パラリンピックの経費に充当するための住民参加型市場公募債についてでございますが、地方財政法等により規定されました、起債の対象とし得る経費の規模がどの程度に上るのかということや、これまで積み立ててきた開催準備基金との兼ね合い、さらには現在発行している東京再生都債との関係など、幾つかの論点もあることから、今後の研究課題の一つとしていきたいと思っております。
 なお、オリンピック・パラリンピックのための財源を国民、都民から広く募り、機運を盛り上げる取り組みとしましては、東京オリンピック・パラリンピックの協賛くじと位置づけた全国宝くじを販売することとしておりまして、二〇一七年から二〇二〇年までの四年間で、総額百億円の収益金を見込んでいるところであります。

○田中委員 宝くじの取り組みも非常に有効だと思いますけれども、ぜひ、今、投資マインドが上がってきているというところで、この記念東京都債のようなこともお考えいただきたいと思います。
 税制改正が目の前に迫る中、経済情勢の動向などを見きわめつつ、また、基金と起債残高とのバランス、年度間の一定の均衡を保ちながら、健全な財政運営を求めていきたいと思います。
 財政問題の最後に、新たな長期ビジョンの策定や行政課題を踏まえ、財務局としては、今後どのように財政運営のかじ取りをしていこうとしていらっしゃるのか。歳入見通しや歳出の見直しなど、財務局の総括的な見解と決意を最後にお聞きいたします。

○潮田主計部長 先ほど申し上げましたが、都税収入は、二十四年度決算におきまして五年ぶりの増収に転じたものの、その水準は、依然としてリーマンショック直後の水準にとどまっております。
 こうした中、今後策定される新たな長期ビジョンの描く将来像の実現はもとより、都政が抱えるさまざまな課題に的確に対処していくためには、その施策展開を支える強固な財政基盤を今後とも堅持していくことが不可欠であるというふうに考えております。
 こうした基本認識に立ちまして、事業評価のさらなる進化を図るなど、自己改革の取り組みをたゆみなく進めるとともに、中長期的な視点に立ちまして基金や都債をバランスよく活用するなど、堅実な財政運営を行ってまいります。

○田中委員 どうもありがとうございます。
 次に、具体的な問題として、都で保有する財産、特に、普通財産とその活用についてお聞きをいたします。
 まず、公有財産については、行政目的以外の財産を普通財産として、財務局の方々が管理なさっていると思いますけれども、当該年度末時点における普通財産の保有状況の概要と、特に、二十三区内の未利用地について、件数、面積などについてお聞かせください。

○岩瀬財産運用部長 平成二十五年四月一日現在で、財務局が所管している普通財産の都有地は二千二百七十一件、約四百八十七ヘクタールでございます。この中には、利活用が困難な、明治、大正時代から借地権等が設定されている長期の貸し付け財産、あるいは無人離島や緑地保全地が含まれ、こうしたものを除いた普通財産は三百三十五件、約百九十四ヘクタール、このうち二十三区分は二百二十二件、約四十ヘクタールでございます。
 また、三百三十五件の中には、仮設庁舎や資材置き場などの暫定利用をしている都有地、あるいは都や区市町村での今後の利用が予定されている都有地が含まれております。
 こうした暫定利用の都有地などのほか、需要が見込まれない五百平方メートル未満の狭小な都有地を除いた実質的な未利用都有地は五十五件、約十五ヘクタール、このうち二十三区分は二十五件、約三・八ヘクタールでございます。

○田中委員 全体像を聞かせていただき、ありがとうございます。
 この二十三区内の未利用地のうち、最近五年間で、自治体に売却、または貸し付け等を通じて東京都が提供した件数はどのぐらいあるのか、累計でも結構ですのでお聞かせください。また、そのうち福祉施設の設置を目的とする割合はどの程度あったのか、あわせてお伺いをいたします。

○岩瀬財産運用部長 平成二十年度から二十四年度までの過去五年間におけます二十三区等への売却実績は、三十二件でございます。うち、福祉目的のものは五件、割合は一五・六%でございます。その他の二十七件は、道路、公園、区民会館、図書館、駐輪場、体育館の整備などでございます。
 このほか、区への直接貸し付けではございませんが、福祉保健局と連携し、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業を実施してございます。これは、区市町村の意見を踏まえ、福祉施設を整備する民間事業者へ都有地を貸し付けるものでございまして、平成二十年度から二十四年度までの二十三区内における契約実績は、二十二施設でございます。

○田中委員 区市町村とか、特に二十三区内では、保育園の待機児、また、特養施設への入所待機者の解消の問題が、今、非常に喫緊の課題となっています。また、保育や特養以外でも路上生活者を対象として、区長会でも都有地の提供について、再三、都の施策及び予算要望事項として要請しているものであります。施設に応じて客観的条件や利用者の要望等が異なるとはいえ、自治体の限られた区域の中で用地を手当てするのは、コストや施設の立地条件、有効面積の確保など、対応が困難な状況であることは明らかです。
 こうした、区などが抱える課題については、未利用地を提供すれば解決できるほど単純な問題ではありませんけれども、単一の自治体のみでの対応にも限界があることも事実です。財政支援はもとより、資産活用の面からも、可能な限り積極的な支援と協力が欠かせないものと考えます。
 そこで、普通財産の売却、定期借地、交換など、さまざまな工夫を講じ、基礎的自治体が福祉基盤の整備に取り組めるよう、改めて都の支援に対する考え方や姿勢をお聞かせください。

○岩瀬財産運用部長 都として利用予定のない都有地は、区市町村の行政需要に応えるため、民間への売却よりも区市町村への売却を優先してございます。
 土地価格の高い都内の状況に配慮し、区市町村の利用目的が公用または公共用の目的の場合には減額措置をし、区市町村の財政負担を軽減しております。
 また、財産の利活用に当たりまして、施策連動型の財産利活用を推進していく方針でございまして、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業では、民間事業者への貸付料も同様に減額措置を行い、都施策推進の観点から、不足している保育所や高齢者施設の整備促進に貢献しております。
 今後とも、関係各局、区市町村と連携協力し、福祉施策はもとより、その他の重要施策の推進にも資するよう、都有地の利活用を進めてまいります。

○田中委員 どうもありがとうございます。
 次は、主要施設十カ年維持更新計画についてお聞きをいたします。
 平成二十一年に、この計画として、老朽化等に伴う施設の改修や保全のための計画を策定していらっしゃいます。また、この間、十月十日付の日経新聞では、会計検査院の調査結果の公表として、公共施設の耐震化率が報道されていました。
 そこで、都民の安心・安全を確保する観点から、当該計画に関連して質問をいたします。
 まず、公共施設の耐震化については、各自治体において以前から取り組んできておりますけれども、自治体によっては、財政難から必ずしも計画どおりに進んでいない状況もあるかと思います。
 これから首都直下型地震が確実に起こるであろうことを考えれば、発災後の復旧、復興はもとより、震災が避けられない以上、どのように都市機能を残すのかといった視点に立って税を投入することが重要と考えます。
 そこで、都の公共施設における耐震化率について、一、福祉、医療施設、二、都立学校、三、公共公益施設などその他の建築物、この三つの区分でどの程度耐震化が終了しているのかをお聞きいたします。

○山田技術管理担当部長 都は、平成十九年度に策定しました耐震化整備プログラムに基づき、防災上重要な公共建築物の耐震化率を、平成二十七年度末までに一〇〇%とすることを目標としまして耐震化に取り組んでおり、平成二十五年三月末時点の耐震化率は、既に九六・八%となっております。
 お尋ねの三区分に応じた耐震化率につきましては、平成二十五年三月末時点で、耐震化整備プログラムの区分の福祉、医療施設では約九二%、都立学校では一〇〇%、公共公益施設などその他の建築物では約九五・五%となっております。
 なお、耐震化が完了していない公共建築物につきましては、引き続き耐震化に向けた条件の整備に努めまして、耐震化を推進させてまいります。

○田中委員 東京都では耐震化率が非常に進んでいると思います。都民の方々も安心していらっしゃると思いますけれども、この主要施設十カ年維持更新計画によれば、総額で八千三百億円程度を想定して、施設の経過年数や規模などに応じて一定の基準により実施されているようですけれども、具体的な対象となり得る施設の総数、選定の優先度、また、現時点での計画の進捗度など、全体的な取り組みの概要について、確認の意味でお聞かせいただきたいと思います。

○室木建築保全部長 十カ年維持更新計画につきましては、平成二十一年度から三十年度までの主な都有施設の維持更新計画をまとめたものであります。
 計画期間の概算事業費でございますけれども、十年間で約八千三百億円を予定し、八百五十二棟を対象としているものであります。
 次に、選定の考え方でございますけれども、おおむね築三十五年を経過している延べ床面積三千平方メートル以上の施設、おおむね築十年を経過しております延べ床面積一万平方メートル以上の施設、耐震化整備プログラムにおいて位置づけのある施設を中心といたしまして、計画の熟度、あるいは施設の老朽度、緊急度による改築、改修の必要性などを考慮して選定したものでございます。
 さらに、現時点におきます実施状況でございますが、予算ベース状況で見た場合、平成二十一年度から二十五年度までの五年間でございますけれども、約四千二百億円、すなわち、全体の概算事業費の約五割が予算計上されておりまして、おおむね順調に進捗していると認識しております。

○田中委員 進捗状況も順調だということですけれども、この施設の更新に当たっては、もちろん非常に多額のお金を要するということになりますけれども、耐震化、また、建てかえと同時に、今、これからエネルギーの効率化というのを図るための技術的な工夫や設備なども進んでおります。
 こういったことも導入していかれるものと思いますけれども、これに関してはどのような方針で臨んでおられるのか、見解をお聞きいたします。

○山田技術管理担当部長 都は、世界で最も環境負荷の少ない都市を実現するため、さまざまな施策を展開してきたところでございます。
 その一環といたしまして、建物の断熱性能の向上による熱負荷抑制や高効率の設備機器の導入を中心とした世界最高水準の省エネ仕様である、省エネ東京仕様二〇〇七を平成十九年五月に策定し、都立施設の整備に当たりまして全面的に適用することにより、さらなるCO2削減を図ることとしました。
 さらに、平成二十三年七月には、現行仕様で整備しました施設の検証を踏まえまして、これを改正し、最新の省エネ設備のほか、太陽熱利用設備や自然換気などの多様な再生可能エネルギー設備を盛り込んだ、省エネ・再エネ東京仕様を策定いたしました。現在、この仕様を全面的に適用し、都有施設の整備に当たっているところでございます。
 これを施設整備の目標水準といたしますと、東京都建築物環境計画書制度におけます、建物の熱負荷抑制、設備システムの効率化、再生可能エネルギーの活用の三つの項目で、いずれも最高評価の段階三相当の水準となっております。

○田中委員 ありがとうございます。
 世界最高水準の省エネ仕様ということで、非常にそういった取り組みにも評価をいたしたいと思います。
 最後になりますけれども、公共施設については、自治体においても、その維持更新に要する財源や施設配置のあり方などが喫緊の課題となっています。今、私の地元の杉並区などでも施設再編計画を進めるところでございますけれども、都においても、利用者の利便性を確保しつつ、経常的な維持管理コストを縮減していくためにも、必要に応じて施設の整理統合などの再編に取り組むことも必要ではないかと思いますけれども、財務局としての見解をお聞きして、私からの質問を終わらせていただきます。

○岩瀬財産運用部長 財務局では、平成十九年に今後の財産利活用の指針を策定し、既存ストックの有効活用や都民サービス向上の観点から、既存施設の建てかえに際し、複数の出先機関を合同庁舎に集約していくことを推進するとしております。
 現在、立川合同庁舎、府中合同庁舎が実施中でございまして、また、世田谷都税事務所では、国や区施設との合築で整備を進めています。
 今後とも、都民から負託された貴重な財産である都有地や、その上に整備される施設について、利用者の利便性や整備コスト等の縮減に留意しながら、引き続き、その価値が最大限発揮できるよう検討してまいります。

○島田委員 きょう最後になりましたけれども、私の方からは、先ほど来、都有地の活用の話が出ましたが、施策連動型の都有地活用についてお伺いをしたいというふうに思います。
 二十四年度の決算書を見ますと、都有地の売却や貸し付けによる収入は四十九億円となっております。もちろん、税収に比べれば決して多い金額ではありませんが、税収を補完し、都施策を推進するための貴重な財源であるということは間違いありません。
 ただ、都有地は、都民の安心・安全な生活を支えるインフラ基盤や施設を整備するための基本であり、利用してこそ真の価値が生まれるものであります。無理やり土地を売却し、収入を上げればいいというものでもありません。
 土地は有限の資源であり、こうした貴重なものであるからこそ、都有地はしっかりと利活用を図って、都民にその価値を還元していく必要があると考えております。
 東京都では、平成十九年に都有財産利活用の指針を策定し、都有地などの財産の利活用を進めているということでありますが、まずは、指針に示した財産の利活用に当たっての基本的な考え方について確認をいたします。

○岩瀬財産運用部長 都有地は、都民から負託された貴重な財産であり、都政の喫緊の課題解決のために最大限有効活用していく必要があると認識してございます。
 財務局では、各局で利用されていた行政財産が用途廃止された場合、その財産を普通産として引き継ぎますが、その利活用の検討に当たりましては、第一に、庁内各局での利用、次に、区市町村での利用を検討いたします。その上で、いずれも利用の見込みがない場合には、民間への競争入札による売却処分を検討することとし、行政目的での利活用を優先することを基本としております。
 そうした基本的な考え方を踏まえた上で、平成十九年に策定した今後の財産利活用の指針では、社会情勢の変化や公会計制度の導入を契機として、まず一つ目といたしまして、民間の力を生かした施策連動型の財産利活用、二つ目といたしまして、コスト感覚を持った各局の主体的な財産利活用、三つ目といたしまして、財産価値の保全と向上、以上三つの視点から都有財産を活用することといたしました。
 また、都心や中心市街地の貴重な用地を売却した場合、将来、行政需要が生じた際に再度取得することが困難であることから、売却はせず、定期借地制度を活用し、都が保有したまま利活用する方針としております。

○島田委員 ありがとうございます。
 都有地は公用地であり、公共目的での利用を最優先していくという、利活用に関する基本的な考え方は適切であると考えております。その時点ではすぐに利活用する予定のない土地でも、社会情勢の変化によって、将来、土地が必要となることは十分にあり得るわけであります。
 そういった面から、貸付期間が終了すれば必ず土地が返還される定期借地制度を活用して、土地を保有しながら利活用する取り組みは結構なことと考えております。
 利活用の指針では、公共目的での利活用における新たな取り組みの一つとして、民間の力を生かした施策連動型の財産利活用を挙げておりますが、どのような取り組みであるのかお伺いいたします。

○岩瀬財産運用部長 施策連動型の都有地活用は、都施策を推進するに当たって、都みずからが都有地を使って事業を実施するのではなく、民間事業者が都施策に沿った事業を実施する場合に、定期借地制度などを活用して都有地を貸し付ける仕組みでございます。
 具体的には、福祉施設の整備促進を目的とした、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業、また、防災都市づくりの推進を目的とした防災耐震化事業、さらには、民間の力を活用してまちづくりを先導していく都市再生ステップアップ・プロジェクトなどを実施してございます。

○島田委員 今ご答弁にありましたが、定期借地制度を活用して、さまざまな行政分野で取り組みを進めているようであります。
 特に、福祉インフラ整備事業は、少子高齢化を迎えている中で、都政における喫緊の課題であり、時宜を得た取り組みであるということで評価をしたいというふうに思います。
 今、答弁いただいた中に、まちづくり施策を目標として実施している都有地の活用事業がありましたが、どのような内容なのかお伺いいたします。

○岩瀬財産運用部長 財務局では、都市整備局と連携し、都市再生ステップアップ・プロジェクトを実施しております。これは、更新時期を迎える都施設が集積する地区におきまして、民間活力を活用し、複数の都有地の総合的活用を図ることにより、周辺の民間都市開発等を誘発し、地域の魅力を向上させることで、東京の魅力を享受できるまちづくりを推進するものでございます。
 都有地のある地域の地域的特性を踏まえたまちづくりに関するガイドラインをあらかじめ設定した上で、公募により民間事業者からまちづくりの提案を募集し、審査を経て決定した民間事業者に対して都有地を定期借地で貸し付けるもので、現在、竹芝地区、渋谷の宮下町地区で事業を実施しております。

○島田委員 今ご答弁にありましたが、都心地域で都有地を活用していくため、都有地の貸し付けを、単なる価格競争だけではなく、まちづくりの内容をプロポーザル方式で提案させる、民間の力を生かす取り組みは、日本を牽引する東京の再生のためには必要であり、重要なことだと考えております。
 ただ、一方で、東京には多摩地域もあります。区部とは環境や土地柄が異なっており、区部と全く同じことを行う必要があるとは思いませんが、多摩地域の実情を踏まえた都有地の活用があると考えます。
 多摩地域における都有地の利活用の現状についてお伺いいたします。

○岩瀬財産運用部長 多摩・島しょ地域は、豊かな自然に恵まれており、財務局の普通財産の一部は、そうした環境を保全するため、緑地や無人離島などを保有目的の都有地として保有、管理しております。そうした保有目的の都有地を除いた、利活用の対象となる都有地につきましては、市街地の比較的小規模なものは、都有地活用による地域福祉インフラ整備事業として、保育園や高齢者施設の整備などで利活用を進めております。
 一方で、市街地の比較的大規模な都有地でありましても、都市計画で定められた用途地域によりましては業務利用に制限がかかるため、そうした都有地の利活用に当たりましては、地元市町村と連携協力しながら、まちづくりの開発を進めていくことが重要となってございます。

○島田委員 私の地元でありますが、西多摩地域にあります都有地の一つとして、旧秋川高等学校があります。これは、三宅島の噴火の際には三宅島の方々が訪れたり、今は校舎などが既に解体されまして、ことしの多摩国体では馬術の会場として利用され、多くの方が訪れたわけでありますが、今年度中には仮設施設を撤去し、国体の会場としての利用は終了する予定と聞いております。
 この都有地は、十一ヘクタールという広大な面積を有しまして、圏央道の日の出インターからすぐ近くにあるという、地域の活性化を目的としたまちづくりの種地として絶好の条件を備えております。地元にとっては大変に貴重な土地であります。
 現在は、用途地域が市街化調整地域で、まちづくり開発を進めていくには、地元市で都市計画に関する幾つかの法的な手続を進めていかなくてはならないようで、もう少し時間がかかるようであります。
 地元市が都市計画等の手続を進め、まちづくり計画を策定していく際には、この土地の特性や市における位置づけなどを十分に考慮し、施策連動型の都有地活用の一環として、財務局は庁内の関係各局と連携して、東京都全体として積極的に協力していくことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○秋田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○秋田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時十三分散会

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