平成二十四年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第四号

平成二十五年十月二十五日(金曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長植木こうじ君
副委員長上野 和彦君
副委員長高橋 信博君
舟坂ちかお君
北久保眞道君
西崎 光子君
河野ゆりえ君
今村 るか君
山田 忠昭君

欠席委員 なし

出席説明員
労働委員会事務局局長岳野 尚代君
環境局局長長谷川 明君
次長石野 利幸君
環境政策部長吉村 憲彦君
環境政策担当部長須藤  栄君
都市地球環境部長山本  明君
環境都市づくり担当部長谷上  裕君
都市エネルギー部長松下 隆弘君
都市エネルギー推進担当部長久原 京子君
都市エネルギー技術担当部長石川 裕通君
環境改善部長木村 尊彦君
環境改善技術担当部長島田 光正君
自動車公害対策部長山内 和久君
自然環境部長笹沼 正一君
緑施策推進担当部長臼井 郁夫君
廃棄物対策部長齊藤 和弥君
調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務山根 修一君

本日の会議に付した事件
平成二十四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
労働委員会事務局関係
・平成二十四年度東京都一般会計決算(質疑)
環境局関係
・平成二十四年度東京都一般会計決算(質疑)

○植木委員長 ただいまから平成二十四年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、労働委員会事務局及び環境局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより労働委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十四年度東京都一般会計決算中、労働委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○植木委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○植木委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で労働委員会事務局関係を終わります。

○植木委員長 これより環境局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十四年度東京都一般会計決算中、環境局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○吉村環境政策部長 去る十月十六日の当分科会でご要求いただきました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の平成二十四年度各会計決算特別委員会第三分科会資料をごらんください。
 表紙をおめくり願います。右側の目次のとおり、六項目でございます。
 まず、一ページをお開き願います。1、都内の二酸化炭素排出量の部門別推移過去五年分でございます。
 平成十九年度から二十三年度までの各年度における産業、家庭、業務、運輸及びその他の各部門の二酸化炭素排出量を記載しております。
 二ページをお開き願います。2、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の環境基準達成状況の推移でございます。
 (1)の二酸化窒素及び(2)の浮遊粒子状物質、それぞれの表におきまして、上段が一般環境大気測定局、下段が自動車排出ガス測定局でございまして、平成二十年度から二十四年度までの各年度における測定局数、環境基準達成局数及び達成率の状況を記載しております。
 三ページをお開き願います。3、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質濃度の全国上位十局の推移でございます。
 (1)、二酸化窒素につきまして、平成十九年度から二十三年度までの各年度における全国の測定局の年平均値上位十局の推移を記載しております。
 四ページをお開き願います。(2)、浮遊粒子状物質につきまして同様に記載しております。
 五ページをお開き願います。4、緑地保全地域における公有化予算、決算額、面積及び管理予算の推移でございます。
 平成十五年度から二十四年度までの各年度における公有化の予算額、決算額及び面積並びに管理費予算額を記載しております。
 六ページをお開き願います。5、都内の土壌汚染対策法における要措置区域等の指定件数の推移でございます。
 平成十五年度から二十四年度までの各年度における指定区域等の件数を記載しております。
 なお、土壌汚染対策法の改正に伴い、区域指定の区分が変更となったため、表を分けて記載しております。
 七ページをお開き願います。6、屋上緑化対策の届け出提出状況でございます。
 平成十五年度から二十四年度までの各年度における緑化計画書届け出件数と、そのうち屋上緑化の対象となった件数を記載しております。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○植木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○舟坂委員 それでは、よろしくお願いいたします。私からは、四点にわたって質問をしたいと思います。
 初めに、土壌汚染対策についてお伺いをいたします。
 有害物質を取り扱う工場や事業者を廃止する際には、土壌汚染対策法及び環境確保条例に基づいて土壌汚染の調査を行い、汚染の状況に応じた対策が必要となります。こうした土壌の調査や対策の実施には専門的な知識と高額な費用を必要とし、特に中小事業者にとっては、大きな負担となっております。
 私の地元であります葛飾区には、メッキ業などの中小事業者も多く、実際に事業者から、土壌汚染対策といっても何をどこまでしたらいいのかよくわからないといった声がよく聞こえます。
 これまで我が党は、土壌汚染対策における中小事業者支援の重要性を訴えてきております。環境局ではこれに応えて、土壌汚染対策の手順や対策方法をわかりやすく情報提供するため、フォーラムやセミナーの開催、ガイドラインの作成、配布などを行い、中小事業者の支援に努めております。
 これらに加え、平成二十三年度からは個々の中小事業者のもとに土壌汚染対策の専門家を派遣し、土壌調査や対策の助言を行う土壌汚染対策アドバイザー派遣制度を開始したようです。さらに、平成二十四年度にはこの制度を充実したと聞いております。
 そこで、質問をさせていただきます。この土壌汚染対策アドバイザー派遣制度の内容と、これまでの派遣の実績をお伺いいたします。

○島田環境改善技術担当部長 土壌汚染対策アドバイザー派遣制度は、豊富な実務経験と国家資格等を有する専門家が中小事業者の工場等を実際に訪問し、作業内容等を把握した上で、どのような調査が必要なのか、どういった対策工法が適用できるのかなどの具体的なアドバイスを行う制度でございます。
 平成二十三年度は、法令の対象となる工場廃止後の事業者を対象として助言を行ってまいりました。
 さらに、操業中から計画的に土壌汚染対策に対応すれば、対策に要する期間や費用の面で有利となることから、平成二十四年度には操業中から利用できるよう制度を拡充し、土壌汚染の未然防止や早期発見、操業中に実施可能な対策等の助言を開始いたしました。
 これまでの派遣実績ですが、工場等を廃止する事業者への派遣は、平成二十三年度は、制度を開始した平成二十四年一月から三月までの三カ月間に二件、平成二十四年度は通年で十二件でございました。操業中の事業者への派遣数は、制度を拡充した平成二十五年一月から三月までの三カ月間に四件でございました。

○舟坂委員 平成二十四年度には、事業者による利用が若干ふえているようですが、アドバイザーの助言により法令の手続を円滑に進められるようになるほか、土壌汚染の調査、対策のスピードアップ、コスト削減につながることが期待され、中小事業者にとっては大きなメリットがあるものと考えられます。
 アドバイザー制度が真に効果を発揮するためには、利用者である中小事業者の声に十分耳を傾け、事業者のニーズをしっかり捉えていくことが必要と考えます。
 そこで、この制度を利用した中小事業者の反応と、それを踏まえた今後の進め方をどのように考えているかお聞かせをお願いいたします。

○島田環境改善技術担当部長 アドバイザー制度を利用した事業者からは、知識を得たことで調査機関から提示された調査内容が妥当であることが理解できた、また、対策工法の選択肢や概算のコストを具体的に提案され、参考になったなどの意見をいただいております。
 中立的な立場のアドバイザーが実際に現場を見ながら、事業者の心配事に合わせたきめ細かい助言を無料で行うことにより、事業者が納得して円滑に対策を検討できるものと考えております。
 今後は、制度利用者の声をリーフレットに記載して、都や区市の窓口で配布するとともに、業界団体が実施する会合に出向いて紹介するなど積極的に制度の普及に努め、さらなる利用促進につなげてまいります。

○舟坂委員 アドバイザー制度そのものについては、高く評価をいたします。引き続き事業者のニーズを十分に踏まえながら、柔軟できめ細かな対応に努めるとともに、アドバイザー制度の利用拡大に向けて、大いにPRに努めていただきたいと思います。
 しかし、メッキ事業者の多くは、法律や条例の規制が行われる前から仕事をしてきております。地元の事業者からは、廃業時に調査や事業の経費が負担できず、土地も売却することができない、経費が負担できないので、マンション事業者等に安い価格で土地を売却せざるを得ない場合もある、結局、買いたたかれてしまうなどの切実な声も聞こえております。
 そこで、このような中小事業者に対し、アドバイザー制度の充実など、さらなる支援の強化が必要と考えますがいかがですか。

○島田環境改善技術担当部長 各事業者のもとに派遣されたアドバイザーは、工場等を廃止する段階や土壌調査の実施段階など、それぞれの場面で個々の事業者の疑問に応じて、法や条例の手続や有害物質の調査方法などの技術的助言を行っております。
 対策の検討段階では、高額な費用を要する掘削除去にかえて、封じ込めや原位置浄化など、低コストで健康リスクを回避できる合理的な対策を行いたいという事業者のニーズを踏まえた技術的な助言も行っております。
 アドバイザー制度につきましては、アドバイス事例や利用者の声を取りまとめ、その内容をアドバイザーにフィードバックするなど、派遣実績や効果検証を踏まえて、さらなる改善を図ってまいります。
 このほか、中小事業者に対して、引き続きフォーラムやセミナーの開催、ガイドラインの活用により合理的な土壌汚染対策に関する情報を広く周知してまいります。
 このような取り組みを進めることにより、各事業者の個別の状況に応じた合理的な土壌汚染対策に関するきめ細かい技術支援を強化してまいります。

○舟坂委員 土壌汚染については、法律と条例の両方の手続が複雑かつ重複していて、手続上の負担感も大きいという事業者の声もあります。制度のあり方について、今後、国との調整を十分に行ってほしいと考えます。
 環境局には、地域の環境保全や土地の有効利用を促進し、活気のあるまちづくりに貢献するという広い視点とともに、地域で生活する事業者の視点も認識しながら、土壌汚染対策に関し、腰を据えて一歩踏み込んだ支援策の検討にも取り組んでいただけるよう要望をいたします。
 次に、ポリ塩化ビフェニル対策についてお伺いをいたします。
 昭和四十三年に、カネミ油症事件で社会問題化したPCBは、昭和四十七年に製造が中止されました。長期にわたり処理の方法が決まらず、処理施設の整備が立ちおくれたため、いまだにPCB廃棄物の処理が完了しておらず、中小事業者は、PCBを含むトランスやコンデンサーを保管し続けざるを得ない状況にあります。
 PCB廃棄物には、高濃度のPCBを含むもののほかに、トランスなどの絶縁油をリサイクルする過程などで意図せずに微量のPCBが混入したものがあり、こうした微量PCBについては、メーカーでもその含んでいる有無がわからないということであります。
 この古いトランス等の処分の際には、まず、絶縁油の分析を行い、微量PCBの含む量が判明した場合、PCBが空気中に広がらないように、PCB廃棄物として適正な処理をする必要があります。
 しかしながら、微量のPCBの分析や処理については、中小事業者にとって経費的に大きな負担となることから、平成二十二年の第四回定例会における我が党の代表質問で、中小事業者の処理が円滑に進むよう都の後押しを強く求めてきました。
 これを受けて、都では平成二十三年七月、微量PCB廃棄物の処理について、全国に先駆け、中小事業者に向け、微量PCB廃棄物の分析に加え、処理費用の支援事業を創設していただきました。
 そこで、質問をさせていただきます。この支援事業の仕組みと昨年度の実績についてお伺いをいたしました。
 また、微量PCB廃棄物の適正処理等の推進については、都も改めて事業者に対する周知や指導などの責務を認識し、これを徹底していくべきと考えますが、その点についてもあわせてお伺いをいたします。

○山根調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 都の微量PCB廃棄物処理支援事業は、中小事業者を対象に、微量PCB廃棄物の分析費用や処理費用の一部の助成を行うもので、事業期間は平成二十三年度から二十七年度までの五カ年間となっております。
 分析費用については、一台当たり一万二千五百円を上限として、分析費用の二分の一の助成を行っております。また、運搬費を含めた処理費については、一台当たり十二万円を上限として、PCBを含まない場合との差額の二分の一助成を行っております。
 平成二十四年度の実績は、分析費用助成が八十二件、三百七十三台で、このうち二百七十七台はPCBが含まれていないことが証明され、通常の産業廃棄物などとして処理されました。残りの九十六台は、微量のPCBが含まれていることが判明しました。こうしたもののうち二十一件、七十六台については、処理費助成を行いました。
 微量PCBの適正処理を進めるためには、分析の重要性や都の支援事業について十分に周知をしていくことが必要でございます。このため、引き続きパンフレットの配布、PCB廃棄物を保管している事業者などへ向け講習会の開催のほか、電気設備を管理している業界団体を通じた説明を行ってまいります。

○舟坂委員 分析を行ったことにより、三百七十三台中二百七十七台についてはPCBなしと判明し、PCBとしての保管や処理の負担がなくなったということですが、これは大変に重要であります。分析にはこのような効果があることから、まず、分析を進めるよう一段とPRをお願いしたいと思います。
 ところで、東京都内には微量PCBに汚染されたトランスやコンデンサーが約十万台と推計をされており、このうち、中小事業者分は一万五千台程度あるとのことであります。この数から考えますと、微量PCB処理の支援事業は、残念ながら順調に進捗しているとはいえないのかなとも思います。
 そこで、これには処理施設の整備のおくれも影響しているとも考えられますが、今回の決算年度である平成二十四年度における処理施設の整備状況について、局としてどのように捉えていらっしゃるのかお伺いをいたします。

○山根調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 微量PCBを処理できる施設には、PCBが含まれている絶縁油のみを処理する施設と、トランスなどの本体である筐体に付着した絶縁油もあわせて処理できる施設の二種類がございます。
 トランスなどを保管している事業者は、中身のPCBが含まれた絶縁油のみが処理されても、筐体の処理ができないとその保管の負担が変わらないため、筐体も同時に処理する施設が必要でございます。
 微量PCBの処理施設は、平成二十四年度当初では全国に六カ所、そのうちトランスなどの筐体処理もできる施設は、北九州市、岡山県、愛媛県の三カ所しかなく、支援事業創設時の想定と比べ整備がおくれておりました。東京近県には筐体の処理ができる施設がなく、運搬費を含めた処理費用が高額となることから、処理をためらう事業者も多かったと思われます。
 このような状況であったことから、微量PCBの処理が思うように進まなかったと認識しております。

○舟坂委員 処理施設の整備が当初の想定よりおくれており、運搬費を含めた処理費用が高いということのようですが、どのくらいかお伺いをしたいと思います。

○山根調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 北九州市の処理施設まで運ぶ場合ですと、平均で処理費用が四十万円程度、運搬費が三十万円程度と聞いております。

○舟坂委員 平成二十四年度については、処理施設の整備が進まなかったため、処理費用が補助の上限より相当高くなったとの実態があるようです。これが、処理が進まなかった要因の一つとも思います。
 そこで、今後の処理施設整備の見込みについてお伺いをいたします。

○山根調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 都は、国に対して筐体の処理もできる処理施設の整備拡充を強く要望してまいりました。その結果、平成二十五年九月末現在、処理施設は十一カ所、このうち筐体処理もできる施設は五カ所となりました。また、現在申請中の施設がすべて稼働すると、処理施設は十五カ所、筐体処理もできる施設は七カ所となる見込みでございます。
 現在、東京近郊に絶縁油とあわせて筐体処理もできる施設が申請中であり、稼働すれば、運搬費も含めた処理費用の負担も軽減されると思われます。

○舟坂委員 近い場所に処理施設ができることにより、処理が進むと期待ができます。中小事業者にも処理施設の最新の整備状況が伝わるよう、ぜひいま一度PRの強化などを進めていただき、一層適正処理につなげていただきたいと思います。
 加えて、処理費用の低減も期待できるとはいえ、中小企業者にとって大きな負担であることには変わりはありません。処理費用の実態に合わせた支援の充実も必要ではないか、また、少し先の話となりますが、平成二十七年度までとなっている支援制度の延長も検討すべきと考えます。今回は要望にとどめますが、ぜひ局として努力をお願いいたたします。
 続いて、大規模事業者に対しCO2排出量の総量削減義務を課すキャップ・アンド・トレード制度についてお伺いをいたします。
 二〇二〇年に待望のオリンピック・パラリンピックが東京で開催されることになりました。大変喜ばしいことであります。七年後の東京には海外から多くの観光客が訪れ、東京の魅力がメディアにより発信される機会も格段とふえてくるのは確実であります。オリンピック開催が決定した今、都は、世界に誇れる環境都市としてアピールすべきと考えます。
 オリンピックの開催が東京に決定した九月、地球温暖化の専門家から成る国際機関であるIPCCは、人間活動が温暖化をもたらした可能性は九五%以上だと指摘をいたしました。また、今世紀末には極端な洪水がより多くなり、また頻繁となる可能性が非常に高いとしております。
 先日の台風二十六号は、大島に強烈な雨と土砂崩れを引き起こし、多くのとうとい命が失われました。現在、台風二十七、二十八号が接近しており、予断を許さない状況が続いておりますが、これは温暖化が都民生活に甚大な影響を与えた一例ではないかとも思います。都は、エネルギーを大量消費する大都市の責任として、これまで以上に率先して気候変動対策に取り組む必要があると考えます。
 そこで、その代表的な取り組みとしてキャップ・アンド・トレード制度がありますが、最新の削減実績は平均二三%で、削減義務率以上に削減をしている事業所が全体の九割以上に達していると聞いております。なぜこのように大幅な削減が可能になったのかお伺いいたします。

○山本都市地球環境部長 昨年度、大規模事業所から提出された計画書によりますと、二〇一一年度は、基準排出量に対して平均二三%の削減となってございます。これは、二〇一〇年度から始まる第一計画期間の削減義務率であります八%ないし六%を大幅に上回るものでございます。二〇一一年度は、震災による電気の使用制限がありましたが、大規模事業所では、これまでの地球温暖化対策の経験を生かしまして、比較的無理なく大幅な削減を実現してきております。
 例えば、これまでテナントビルでは、テナントの入居者の協力を得にくいという課題がございましたが、本制度でテナントがビルオーナーに協力することを義務づけていましたため、ビルオーナーから、テナントとの協力体制が既にあり、円滑に対策が実施できたという声をいただいております。また、既に照明などの設備状況をリスト化し、実施可能な対策を把握していたため、早い段階から節電に取り組むことができたという声もいただいております。
 こうした結果、都内の大規模オフィスビルでは、床面積当たりのCO2排出量の平均が従来に比べ約二五%低くなり、中には従来の平均に対して五〇%程度も低い排出レベルのカーボンハウスビルともいえるものが登場してきてございます。

○舟坂委員 都は昨年度、二〇一五年度から開始をする第二期の削減義務率とともに、我が党の緊急要望も受け、中小企業者等が所有する大規模事業所に対する配慮も行う旨公表をいたしました。現に二三%の大幅削減が実現をしており、その背景には、今答弁にもありましたテナントの取り組みが進んでいることもあるように思います。こうした事業者の努力に光を当てることも重要ではないかと考えます。
 そこで、都が発表した第二期の主要事項の中で、テナントの取り組みを評価、公表することとしているようですが、この仕組みはどのような考えで導入することになったのか、考えをお伺いいたします。

○山本都市地球環境部長 都内の大規模テナントビルには、五千平米以上の床面積を使用するなどの大規模なテナント事業者が八百近く入居してございます。平均で二三%削減となりました要因の一つに、ビルオーナーとテナント事業者との協力が挙げられますが、テナント事業者の中には、特に目覚ましい取り組みをしている事業者もあらわれてきていることから、大規模テナント事業者が提出します計画書等に基づき、すぐれた取り組みを行っている事業者を評価、公表することとしたものでございます。
 この仕組みによって、積極的に取り組むテナント事業者が社会的に評価されることで、他のテナント事業者にも、その取り組みが拡大していくことをねらいとしてございます。

○舟坂委員 ことしの九月、都のキャップ・アンド・トレード制度の取り組みは先進的かつ大幅な削減が実行されているとして、気候変動対策に積極的に取り組む世界の大都市で構成されるC40から表彰されたと聞いております。国際的にも評価されている本制度について、今後も着実に推進するとともに、成果を都内にとどめず、世界でも共有してほしいと考えます。
 その表彰にも関連いたしますが、最後に、国際環境協力についてお伺いいたします。
 環境局は、環境における国際連携の推進として、都の施策を世界に発信し、積極的に国際協力に取り組んでいることを、見受けることができます。私の地元の葛飾区でも、ウィーンのフルリズドルフ区及び北京市豊台区と友好都市関係を結び、文化交流を中心に交流を進めております。
 お互いの文化を知ることも重要でありますが、お互いの持つ政策や技術などの交流も大切と考えます。特に環境問題は、地球規模で議論されることも多いと思います。
 そこで、国際会議などにおいて、気候変動対策など都の先駆的な施策の発信についてどのような取り組みを行ったか、二十四年度の実績をお伺いいたします。

○谷上環境都市づくり担当部長 都は、世界の環境政策に貢献することを目指して、都の先駆的な環境政策と都内企業のすぐれた環境技術を世界に発信するなど、国際環境協力を進めています。
 昨年六月に、ブラジルのリオデジャネイロで開催された国連持続可能な開発会議、いわゆるリオプラス20では、台頭するローカル・キャップ・アンド・トレードをテーマとして、都は自治体単独で被災した唯一のワークショップを開催しました。
 このほか、昨年度、気候変動対策に関し、国際グリーンビルディング会議など十七件の国際会議等に参加し、キャップ・アンド・トレード制度などの都の気候変動対策や民間の省エネ建築技術等を紹介しました。
 また、生物多様性国際自治体会議への参加やアジアの諸都市を中心とした廃棄物処理及び大気汚染の技術交流を行うなど、幅広く国際環境協力を展開しました。

○舟坂委員 大変力強い答弁だと感じました。都は、これまで国際会議などで東京都の取り組みを積極的に発信してきていると確認をさせていただきました。
 今後は、これを東京の環境関連企業のビジネスチャンスにつなげていくことが重要だと考えます。例えば、東京の企業が最先端技術を有するグリーンビルの海外都市における普及などが考えられます。
 そこで、そのためには、都が国際環境協力を進める中で都内のすぐれた環境技術を有する企業を紹介していく必要があると考えますが、都はどのように取り組みを進めていかれますか。

○谷上環境都市づくり担当部長 都は、気候変動対策としてキャップ・アンド・トレード制度や建築物環境計画書制度などの施策により、グリーンビルに関する産業の施策を促してきました。
 特に、気候変動対策に取り組む先進的都市が参加する世界大都市気候先導グループ、いわゆるC40において、都は、民間セクター建築物省エネルギーネットワークでニューヨークやシドニーなどとともに中心的な役割を果たしています。昨年二月には、スイスのバーゼルで開かれた低炭素開発に関する国際会議で、民間の建設会社とともに東京セッションを開催しました。
 また、ことし七月には、タイのバンコクと東京でワークショップを実施した際、都内のすぐれたグリーンビルの視察を実施するなど、民間の取り組みを積極的に紹介しています。
 都は、来年度に、建築物の省エネ分野について東京の先進的な取り組みを伝え、大都市同士の連携を深めるため、C40東京ワークショップを開催することをことし春に表明しました。こうした場において、都内の環境関連企業の最先端技術を紹介したいと考えています。

○舟坂委員 近年のオリンピックは、そのコンセプトとして、環境に配慮した大会とすることが今や常識となっております。世界に誇る東京の環境技術を、オリンピックを契機に広く国内外に示し、オリンピックの成功とともに地球環境に貢献していくことを期待して、私の質問を終わります。

○上野委員 十月十六日に関東地方を襲った台風二十六号、伊豆大島では、気象庁での観測史上最高となる二十四時間雨量八百二十四ミリを記録し、想定を超えた大規模な土砂災害が発生いたしました。まことに残念なことに、多くのとうとい命が失われました。深く哀悼の意を表する次第でございます。
 今も台風二十七号が接近しております。少し東へ方向を変えておりますけれども、秋雨前線を刺激しているということでは、総降水量がふえて、崖崩れなどの災害というのが懸念されるわけでございますので、十分に警戒し災害に備えなければなりません。
 さて、台風といえば、防災研究者で有名な群馬大学の片田教授、その方の話を聞いて本当に目が覚めるような思いがしたんですけれども、被害ということで、今、首都直下地震とか南海トラフ地震とか、地震の災害ということに対して対策を今とっているけれども、災害の頻度から見るならば、地震の災害頻度と台風の災害頻度を比べてみると圧倒的に台風の災害頻度の方が多いんですよとデータで見せていただきました。
 地球温暖化が今どう影響しているのかというのを、例えば台風という視点で見たときに、私たちは若いときから、台風というのは赤道直下で発生しているという思いがあるわけですけれども、片田教授の話を聞いて、それが違っていたということがわかりました。
 地球温暖化の中で上空もこれは気温が高くなってきていると。したがって、海水温と上空の温度差というのが縮まって上昇気流が起きない。いわゆる赤道直下は、今安定している、その海水の温度というのが、だんだんだんだん、気温が上がっていくと、上流というか北緯に、上の方に上がってきて日本に近づいてきて、初めて日本近海のところで上空の気温が下がっているものだから、そこで上昇気流というのが生まれて台風が発生しているんですよと。
 確かに、この気象図面を見ていきますと、やはり日本近海で発生しているわけでございます。今の台風というのが日本直下で起きているということで、教授はいっていましたけれども、日本直下型台風なんだと。その近海で発生したかと思ったら、短時間のうちに太平洋の水分をしっかり吸収して大型化していると。巨大台風というのが今発生しているんですよと。水分を多く含んで、すぐもう日本に近いですから、わあっと上陸してくると大雨が降るんだと。この洪水対策というのが非常に大事ですよと。
 平成二十三年の夏に日本を襲った台風十二号というのがありました。記憶にも新しいと思いますけれども、西日本から北日本にかけて広い範囲で記録的な大雨をもたらしました。特に紀伊半島では、降り始めからの総降水量が、多いところでは何と千八百ミリを超えているわけでありまして、東京の年間の総雨量が平均で千四百といわれていますけれども、本当にすごい雨が降って、恐らくこういったものが私たちの関東あるいは関東の上流側を襲ったならば、大規模水害が発生するのではないかというふうな不安もあるわけでございます。
 また、海外では、ニューヨークのハリケーン、サンディのような異常気象が頻発し、都市機能の甚大な被害が大々的に報じられるなど、地球温暖化による影響と考えられる気象の異変は、深刻の度を増しているわけでございます。そうした意味での不安を抱いている都民の方が多いということも事実です。
 都民の生命と財産を守るという都政に課せられた責務を考えれば、今後の気候変動がもたらす影響を踏まえ、できる限り気候の変動対策というのも全力で講じていかなければならないと、こう考えております。
 そこで、環境局は、これまで気候変動に関する調査や知見の収集を行ってきましたが、東京の将来の気候が今後どのように変化すると予測しているのか所見を伺います。

○須藤環境政策担当部長 環境局では、平成二十一年度から二十四年度にかけて、東京における気候変動による影響について、国や研究機関等と連携して調査し、関係局に情報提供を行ってまいりました。
 将来の気候予測につきましては、多くの前提を仮定した不確実性のもとでの予測ではございますが、年平均気温は、二〇七五年から二〇九九年には、一九七九年から二〇〇三年と比較して、二から四度程度の上昇が見込まれるという結果が出ております。
 また、年降水量は微増傾向で推移することが予測され、時間降雨量は、弱い雨の頻度が減る一方、強い雨の頻度がふえる傾向にあるとの結果が出ております。

○上野委員 こうした情報は、気候変動への対応策を考える上で重要な情報ですから、引き続き豪雨や高潮対策などを所管する関係局との情報共有、情報交換を密に行うなど、各局における気候変動対策のてこ入れをしていただきたいと思います。
 気候変動がもたらす影響については、国際機関や国においても、さまざまな研究や検討が行われております。直近の取り組み状況はどうなっているのかお尋ねします。

○須藤環境政策担当部長 国際機関といたしましては、IPCC、気候変動に関する政府間パネルが本年九月に、地球温暖化に関する自然科学的根拠の最新の知見を取りまとめたところでございます。その中で、地球温暖化は疑う余地がないこと、二〇八一年から二一〇〇年には、一九八六年から二〇〇五年と比較して、最も気温が高くなるシナリオで二・六から四・八度上昇する可能性があるとされております。
 また、国の関係でございますが、現在、中央環境審議会において、気候変動の影響及びリスク評価、今後の課題等について検討しており、平成二十七年夏に政府全体の総合的、計画的な取り組みとして適応計画を策定する予定とのことでございます。

○上野委員 今の答弁をお聞きしても、この東京の気候、国際機関の予測結果とほぼ同様、地球温暖化が加速することが予測されているんだと。今後、さらなる異常気象や被害の拡大という事態に直面する可能性が否定できないということがよくわかったわけでございます。
 さて、リーマンショック以降、どちらかというと経済の再生が優先されて、世界的に地球温暖化に対する危機感というのが薄れてきているような感があります。事態は確実に悪化しております。こうした間にも、本当に刻々と地球温暖化は進んでいるということです。改めて、この地球温暖化対策の重要性を社会に問うていくべきときに来ている、このように考えているわけでございます。
 京都議定書の次の国際的な対策の枠組みづくりが進まない中、ようやく本年十一月には、ポーランドのワルシャワで国連気候変動枠組条約第十九回締約国会議、すなわちCOP19が開催され、地球温暖化対策のルールづくりが議論されようとしています。国家間における地球温暖化対策の実施に向けた枠組みづくりが難航する中、多くの人口が集中する都市の役割は極めて重要になっていると思います。
 そこで、大都市東京の環境政策を担う環境局として、気候変動に対する取り組みについて所見を求めます。

○須藤環境政策担当部長 環境局が気候変動対策の一環として平成二十二年から実施をいたしました世界初の都市型のキャップ・アンド・トレード制度は、他に例のない世界に先駆けた施策として、海外の国家政府、地方政府からも評価をされているところでございます。
 世界人口の半数が都市に居住し、また、都市全体で世界の温室効果ガスの七割を排出しているとされる中、世界有数の大都市東京の先駆的な取り組みは、国際的にも大きな影響を与え得るものと考えております。
 今後とも、大規模事業所や中小規模事業所における温室効果ガス削減対策を推進するとともに、環境に係る専門部署として、国の動向等を踏まえながら気候変動に関する最新の知見を集積し、豪雨、高潮対策などを所管する関係局とも緊密に連携しながら取り組んでまいります。

○上野委員 今の答弁で、都の気候変動対策の取り組みの方向性については理解できたわけですが、気候変動がもたらす影響への適応については、既存の豪雨、高潮などの災害対策などと密接に関連していると考えられ、「二〇二〇年の東京」のアクションプログラムにも、さまざまな取り組みが掲載されておるわけでございます。今後ともハード、ソフト両面からさらに一層充実させるべきと考えております。
 国においても、気候変動への適応に向けた取り組みはまだ検討段階とのことですが、環境局としても常に最新の知見を集積するとともに、各局へのきめ細かな情報提供、注意喚起などを積極的に行うことにより、東京都全体として、できる限りの気候変動対策をやっていただきたいと思います。
 環境局には、気候変動対策の所管としても、そのリーダーシップを発揮していただくことを期待するところでございます。
 次に、これまでの気候変動対策の蓄積を生かし、エネルギーマネジメントに取り組むことも重要でございます。
 エネルギーの安定供給を図るためには、いかに需要を賢く制御するかも重要であり、特にピーク時の使用をどのように抑えるかが、鍵となってくるわけでございます。エネルギーマネジメントにより、電力を利用する時間帯を分散して変動をなくせば、究極的には効率の悪い発電所を稼働させずに済みます。
 また、エネルギーマネジメントを家庭やオフィスビルなどにおいて単体で推進するのみならず、広域的に展開し、複数の需要家を一体的に制御することで電力使用の平準化が可能となり、効果を一層高めることができるわけであります。
 そこで、都は昨年度、オフィスビルの集積地を対象に、地域のエネルギーマネジメントシステムの構築に向けた調査を実施しましたが、調査のねらいについてお尋ねいたします。

○松下都市エネルギー部長 本調査は、オフィスの集積地でございます大手町・丸の内・有楽町、これの大規模な再開発予定地区をモデル地区といたしまして、電力や排熱等のエネルギー源の多様化によるエネルギー利用の効率化、あるいは防災力の強化、低炭素化、これらを実現する地域のエネルギーマネジメントシステムの実現可能性を検証するものでございました。
 具体的には、建築対象面積五十万平米相当、最大需要電力三万四千キロワット、このエネルギー需要の想定に対しまして、防災性、環境性のバランスを考慮した高効率なコージェネレーションシステムを導入し、モデル街区に電気、熱を一体的に供給する検証を行ったものでございます。
 また、CO2の削減や、夏の時期などの電力需要が集中する時間帯に経済的インセンティブなどを付し電力需要を調整する、いわゆるデマンドレスポンス機能、これを活用した省エネ導入可能性の検討などを行っております。

○上野委員 今の答弁をお聞きいたしました。コージェネレーションシステムを導入するとのことでありますが、これは電気と排熱の両方を効率的に活用して、いかに総合効率を高めるかが課題となります。
 そこで、調査ではこの点をいかに考慮して検討を行ったのか、調査結果とあわせてお尋ねします。

○松下都市エネルギー部長 コージェネレーションシステムにつきましては、お話にありましたように、排熱をいかに活用するか、これが効率性の観点から非常に重要でございます。モデル街区におきましては、総需要に応じて排熱を最大限有効利用することで、総合効率は実際高まりました。経済性のみならず、環境性も高めることができると、こういうことが確認できたところでございます。
 さらに、こうした点に災害時の事業継続性等の観点を加えまして、コージェネレーションシステムの容量の検討を行ったところ、最大電力需要の三五%程度、これが適切であるとの結果となりました。
 また、CO2削減の観点に立ちますと、地域外から再生可能エネルギーを調達することでCO2排出量を三割程度削減できる、こういった可能性が明らかとなっております。

○上野委員 調査結果からは、一定の条件のもとでは、エネルギーの多様化による防災性の向上と低炭素化、エネルギーの効率化、最適化が可能であることが明らかになったわけでございます。
 そこで、こうした取り組みを民間都市開発などでどのように普及させていくのかお尋ねします。

○松下都市エネルギー部長 今年度におきましても、日本橋街区を想定いたしまして、新築ビルのみならず、既存ビルを含めた地域全体のエネルギーマネジメントの実現可能性につきまして調査を行っております。
 この結果とあわせまして、低炭素を考慮した、いわゆる面的な開発におけるエネルギーの有効活用や、あるいは災害時のエネルギー供給能力を備えた地域エネルギーマネジメントの事業モデルを構築していくこととしております。
 今後、実際の都市開発にこれが反映されるよう、シンポジウム等を活用しながら、民間事業者などに事業モデルの普及拡大を図っていくものでございます。

○上野委員 いうまでもなく、事業所、ビルなどの業務部門というのは、大都市東京のエネルギーの四割を占めております。
 そこで、先ほど答弁にもありましたように、このようなオフィスビルにおける面的な取り組みは、エネルギーの効率化や最適化を進める上で大変重要であります。ぜひとも着実に推進していただきたい、このように期待しております。
 こうした取り組みを進めることにより、需要の増加に応じて供給力の確保に力点を置いてきた従来の仕組みを改め、需要の変動を効率的に制御する仕組みを構築していくことが必要であります。
 そこで、分散型電源の確保など供給面の取り組みだけではなくて、家庭や企業で無理なく需要を抑制するなど、スマートエネルギー都市の実現に向けて取り組んでいくべきであると、このように考えておりますけれども、今後、都はどのように進めていくのか見解を求めます。

○松下都市エネルギー部長 家庭あるいは企業、こういったあらゆる主体におきましてエネルギー使用の見える化を図りまして、需給の最適制御により、省エネやピークカットを促すと。こうした仕組みを普及拡大するため、今年度より補助事業を開始しておるところでございます。
 具体的には、燃料電池や蓄電池あるいは太陽光発電を活用した、いわゆるスマートハウスの導入などを推進するものでございます。また、今年度から大規模なテナントビル等を対象にしました電力デマンドレスポンス実証事業を実施しております。
 今後ともこれまでの事業の成果を踏まえつつ、技術開発や市場動向にも注視しながら、さまざまな施策を展開することでエネルギー利用の効率化あるいは最適化を促し、スマートエネルギー都市の実現に取り組んでまいります。

○上野委員 エネルギーのスマート化は、人々の生活を一段と便利にし、快適な住まいづくりにつながります。また、多くの企業が市場に参入することで、競い合いを通じて価格の低下とサービスの向上を促し、さらなる普及拡大となり、ひいては東京の経済のみならず、日本経済全体の活性化に発展する可能性を秘めているわけであります。
 特に、我が党が第三回定例会代表質問でも提案いたしましたが、住宅ストックの約七割を占めるマンションなどの集合住宅のエネルギーマネジメントの推進というのは重要であります。我が党としても力を入れて取り組んでいるところであり、ぜひ都としても推進していくことを要望いたします。
 次に、私の地元江戸川区小松川、この小松川の方々は、身近にいるものですから、どうしても今回の決算特別委員会でも環境局に聞いてもらいたい、こういわれている関心事があります。恐らくわかると思いますけれども、六価クロムです。六価クロム鉱滓対策についてなんです。このことについて、ちょっと質問をしてまいりたいと思います。
 昨年十一月の報道によりますと、小松川の船堀橋下の歩道の表面に六価クロムを含む水がしみ出していたとのことであります。また、ことしの三月には、同じ場所にある集水ますから基準を超える六価クロムが検出されたという報道がありました。
 都は、適正にそれに対して対応しているということは間違いないと思ってはいるんですけれども、報道などを見る限り、それが十分に伝わってこない。いわゆる、私のところにそうした不安の声が来るということは、その住民の方々にそういった情報が伝わっていないということなんですね。そういった意味では、本日は、その住民の方の不安を払拭する答弁を期待いたします。
 そこで、改めてこの場所における六価クロム対策をこれまでどのようにしてきたのか、都民の方がわかるように丁寧にお答えください。

○島田環境改善技術担当部長 江戸川区小松川の船堀下の歩道で平成二十三年二月に、都職員が歩道上に六価クロムを含む浸出水を確認いたしました。速やかに還元処理を実施した上で、道路管理者である建設局が同年四月から五月にかけて、歩道下の六価クロム汚染土壌の掘削除去及び再舗装工事を実施いたしました。これらの経緯が昨年十一月の報道となったものでございます。平成二十三年二月の地表への六価クロムの浸出原因は、この歩道下の汚染土壌であると推定しております。
 また、本年三月に報道された集水ますにおける六価クロムの検出につきましては、原因は特定できておりませんが、ますの中に汚染された泥土が残っていたと想定されます。この泥土につきましては、本年六月に特別管理産業廃棄物と同様の方法で適切に無害化処理いたしました。

○上野委員 船堀橋下の浸出水や、ますの泥土の対策は、今のご答弁で特別管理産業廃棄物と同様の方法で適切に無害化処理したと、こういわれたわけでございまして、そうした方法で処理したということがあればですよ、これは適正に行われているということになるわけでございますが、改めて、都民の健康に問題が生じる状況にはないと判断していいんですか。
 もう一度確認の意味でお答えしていただきたいのでありますが、都がこれまで適切な措置を講じてきているということであれば、東京都はそのことをわかりやすく都民に伝えて、住民に安心感を与える必要があるわけです。そのことを踏まえまして、本日の委員会でさらに明快にお答えしていただきたい。

○島田環境改善技術担当部長 汚染土壌が問題になるのは、土壌に含まれる有害物質が人の体に入る経路が存在する場合であり、摂取経路が遮断されていれば健康には影響がなく、問題はございません。
 恒久処理地は、アスファルトのふたや覆土がされており、大気等のモニタリングでも問題がないことを確認していることから、周辺住民に健康被害を及ぼすおそれはありません。
 なお、恒久処理地以外の場所で仮に浸出が発生した場合には、先ほどお答えしたように速やかに対応しております。
 これら亀戸・大島・小松川再開発地区における六価クロム鉱滓対策や個別事案への対応につきましては、都のホームページを工夫し、わかりやすく情報提供してまいります。

○上野委員 やはり正しい情報を都民にしっかり提供していくということが大切なんです。情報がないと、住民の方々、本当に不安なんですね。そしてまた、そうした住民の不安が重なっていって、その不安を持っていくような、間違ったうわさばかりがまことしやか流されていってしまいます。そうした不安を、都は早く取り除いていかなければならないわけであります。
 その意味で、本日は本委員会で、健康被害を及ぼすおそれはない、問題はないということを明快に答弁していただきましたので、このことを住民にもしっかりと私は伝えていきます。住民の方は安心されると思います。
 どうか都は、これからも都民の安全・安心を確保するために、引き続きモニタリングにより問題がないことを確認していくとともに、何か異常があった場合には、施設管理者と連携して地域住民の健康に影響を及ぼすことがないように迅速かつ適切に対応して、六価クロム対策に万全を期していただきたいことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○河野委員 私は、環境改善費の今ありました六価クロム問題、それから廃棄物対策費のうちポリ塩化ビフェニル、PCB廃棄物の対策について質問をいたします。
 初めに、六価クロムについて伺うんですが、昨年十一月、そしてことし三月、続けて江戸川区小松川の地域で六価クロムが歩道上や集水ますから出たことが報道されました。小松川一丁目の集水ますは、基準値の三千倍だったと報道されました。
 江戸川区は、一九七三年まで日本化学工業の小松川工場が操業しておりまして、六価クロム鉱滓を工場内や周辺に大量に埋め立てました。当時、都営地下鉄新宿線の建設で東京都が土地を買収し、亀戸・大島・小松川の市街地再開発事業が行われることで問題が発覚した経過があります。
 私は、江戸川区に住んでおりますから、日本化学工業で働いていた人が鼻中隔せん孔、そして肺がんなどにかかって命を早めなくてはならなかった、そういう方々を何人も見てまいりました。
 ですから、昨年からことしにかけて小松川地域や、あるいは江東区側でも六価クロムが浸出したという報道を受けて、地域住民の安全がどうしても確保されなくてはならない、そのことを強く感じているために、質問をさせていただきます。
 初めに伺います。日本化学工業から出た六価クロム鉱滓の量、これは大量だといわれているんですが、東京都公害局が中心になって、当時恒久処理を行いました。この大量の六価クロムの恒久処理が行われた時期、量、場所、そして封じ込めと呼ばれている恒久処理の方法などについて、ご説明を求めておきます。

○島田環境改善技術担当部長 昭和四十八年に発覚しました六価クロム鉱滓による土壌汚染問題につきまして、昭和五十五年から平成十三年にかけて、亀戸・大島・小松川地区の再開発事業の進捗に合わせて、原因者である日本化学工業株式会社の費用負担により、合計約四十二万立方メートルの鉱滓の恒久処理を実施いたしました。亀戸・大島・小松川再開発地区内五カ所に恒久処理地を設置しておりまして、その内訳は、江戸川区小松川に二カ所、江東区大島に二カ所、江東区亀戸に一カ所でございます。
 恒久処理地の構造は、五カ所のうち二カ所につきましては、側面を鋼矢板で囲み、底面に還元剤を散布し、上面を粘土層と遅効性の還元剤で覆って、その上部に良質土を盛り土しております。残る三カ所につきましては、地面の下に、側面及び底面がコンクリート等でつくられた封じ込め層を設け、上面をアスファルト等でふたをして、その上部を良質土により覆土しております。これらの恒久処理地の中に、化学的に安定な三価クロムに還元処理した鉱滓を封じ込めています。

○河野委員 この地域ですね、都営新宿線の東大島駅を中心とした亀戸・大島・小松川地域は亀・大・小と呼ばれて、防災拠点として東京都が再開発事業を行ったまちです。ここにですね、今お話にあったように六価クロムが恒久処理されたということで、大量に地下に入っている、このために住民の不安は消えておりません。
 恒久処理がされてから三十年以上になりますが、今でも六価クロムが先ほどのように歩道や集水ますに出てきている、こういう原因は何が考えられるのでしょうか。この点は、ご説明を本当に詳しくしていただきたいと思います。

○島田環境改善技術担当部長 先ほども答弁させていただきましたが、江戸川区小松川の船堀橋下の歩道で、平成二十三年二月に都職員が歩道上に六価クロムを含む浸出水を確認しました。速やかに還元処理を実施した上で、道路管理者である建設局が同年四月から五月にかけて、歩道下の六価クロム汚染土壌の掘削除去及び再舗装工事を実施いたしました。
 平成二十三年二月の地表への六価クロムの浸出の原因は、この歩道下の汚染土壌であると推定しております。
 また、本年三月に報道されました集水ますにおける六価クロムの検出につきましては、原因は特定できておりませんが、ますの中に汚染された泥土が残っていたと想定されております。

○河野委員 恒久処理で固めて、とにかく安全にしてあるということなんですけれども、お話にあったように、歩道の下の土壌から六価クロムが出てきているということがあったというふうに、私は今のご説明聞いて受けとめてしまいます。
 今、地域では、雨が降ると旧中川は水の色が黄色に変わっているという住民の声が聞かれます。それで、釣りを楽しんでおられる方も、やはり同じように、旧中の水は黄色いのが気になるという声があるんですね。
 それから、土壌にまじった六価クロムが粉じんとして大気中に浮遊している、そういう可能性が絶対にないとはいえないと指摘する研究者もいます。地域住民が六価クロムにさらされる、そういうことになれば健康被害が起こってまいります。
 小松川地域などに存在することが、いろんな研究者の人や住民の人たちが心配されているように大気中に漂っていく、そういう問題については、これの不安を払拭するための大気中の六価クロムの状況について、環境局として定点観測を行う必要があるのではないかと考えます。
 健康への影響調査は万全の対策が講じられるべきですけれども、大気について継続的な定点観測の実施をぜひ行っていただきたいと求めますがいかがでしょうか。

○島田環境改善技術担当部長 これまで恒久処理地におきまして、環境モニタリングを実施してまいりました。亀戸・大島・小松川再開発地区におきましては、現在七地点で毎月一回、北端の一地点で二カ月に一回、大気中の総粉じん量、六価クロム含有量及び全クロム量を測定しております。大気中から六価クロムは検出されておらず、問題がないことを確認しております。

○河野委員 私が申し上げているのは、常時定点で観測しているということでいろいろな場所でその時々にスポット的にやるということではないので、その辺は誤解のないように受けとめていただきたいと思いますが、定点観測について、きちんとした対応が必要だということはいわれておりますので、改めて要望しておきます。
 そして、ことしの春に小松川一丁目の集水ます内の泥土にあった六価クロム化合物、一リットル当たり二十ミリグラム検出されたと報道されました。土壌汚染対策基本法の基準値は一リットル当たり〇・〇五ミリグラムですから、新聞報道のように基準値の約三千倍ということになります。
 環境局のホームページ、見せていただきました。ここには、特別管理産業廃棄物の判定基準一リットル当たり一・五ミリグラムとの比較ということで出していて、これも基準値を超えているので、適切な、先ほどのお話にありました特別管理産業廃棄物の処理の方法に基づいて安全にしたということでありますが、環境基準値からしますと三千倍ということは大変な値だと思うんです。
 環境局は、住民に不安を与えないようにということで、小松川一丁目のところでは集水ますを柵で囲いまして、鉄板を敷いています。こんなに大量の六価クロムが出てきているのに、心配がないというふうにいっていていいのかと、私も含めてですが、地域の人たちが本当に生活の中で感じていることを、皆さんにもご承知をしていただきたいと思って、改めてこのことはお伝えをしておきます。
 次の質問に移りますが、恒久処理の方法を先ほど説明していただきました。小松川の風の広場では、地下十メートルに鋼矢板を入れて、六価クロム鉱滓を還元剤とまぜて埋めるという工法がとられたということです。名前のとおりですね、この処理方法が恒久的に安全といえるのか、これは、疑問があるというのは、ここに当時かかわった多くの人たちがいっております。
 特に、一昨年の東日本大震災の大きな揺れの中で、埋め立てた場所も地中での変化が起きている、その可能性があるということの中で、専門の研究者は、今、東京都が安全を確認する上でも地下のボーリング調査を行って、不透水層などの下の地下水も調べるべきではないかと見解を出しています。
 封じ込めの囲いに使ったアスファルトなどがひび割れをして、雨水が六価クロムを含んで地下水にしみ込んでいる、その可能性を想定すべきではないでしょうか。正確な状況を把握するためにボーリング調査の実施、これは研究者の人たちや運動団体の人たちもいっておりますので、この点での東京都の見解をお尋ねしておきます。

○島田環境改善技術担当部長 現在行っている環境モニタリングにつきましては、十分状況を把握できるものと考えております。土壌汚染が問題になるのは、土壌に含まれる有害物質が人の体に入る経路が存在する場合であり、摂取経路が遮断されていれば、健康には影響なく問題はございません。
 先ほども述べたように、江戸川区小松川の船堀橋下の六価クロムの浸出は、東日本大震災前の平成二十三年二月に確認されたものであり、歩道下にあった汚染土壌が原因と推定され、恒久処理地とは無関係であると考えられます。
 この地域では液状化は起きておらず、地盤の隆起などの変化も確認されていないことを踏まえますと、地下に設けられた堅牢な構造物からクロムが漏れ出すことは、まずないものと考えております。
 恒久処理地は、アスファルトのふたや覆土がなされており、大気等のモニタリングでも問題ないことを確認していることから、周辺住民に健康被害を及ぼすおそれはなく、土壌の調査は必要ないと考えております。

○河野委員 三月二十七日のNHKの番組で、東京農工大学の尾崎宏和特任助教が、小松川のクロム浸出について、四十年間にわたって地下を汚染した可能性があり、東京都の処理が不十分だったと考えられる、詳しく調査するとともに住民にも情報を公開して注意を促す必要があると語っているんです。
 それから、同じ三月二十七日の朝日新聞、ここでは土壌汚染に詳しい畑日本環境学会前会長が、六価クロムが未処理のままなら、地下水を通じて次々と汚染している可能性が高く、造成工事で砂ぼこりを吸い込むなど健康への影響も懸念される、都はこのことを放置しないで、根本的な原因を究明すべきだと述べています。
 東京都自身も三月二十八日の毎日新聞、ここでは、飲用水ではないので直ちに影響はないが、基準値の三千倍が本当ということであれば放置ができない、汚染源を特定する必要もあるということで、これからの調査の結果も見て対応を検討したいといっているわけですね。すなわち、汚染源の特定を調査する必要も、東京都自身もこの当時は認めるような高濃度の六価クロムが出ているわけです。
 専門の研究者たちがそろって、原因をはっきりさせる調査の必要をいっていることに、都は耳を真摯に傾けるべきではないでしょうか。
 私は、今のご答弁、体内に入ってくる経路、そういうもので摂取の可能性が低いとか、当時恒久処理をしたときに、還元剤をまいてクロムをきちんと安全にしてあるとかというお話、いろいろ今聞きましたけれども、還元剤自身が、やはり耐用年数じゃないんですけれども、その有効な還元剤の耐用年数にも限界があるといわれているんですね。既に埋め立てて三十年もたっている中で、還元したその還元剤の効果がないということもあるので、私は、こういう健康に不安を抱いている人たち、住まいの地域の安全を求める人たちの声に応えて、やはりきちんとした要求として出されているボーリング調査などについてやっていただきたいということを改めてもう一度求めておきますがいかがでしょうか。

○島田環境改善技術担当部長 繰り返しになりますが、土壌汚染が問題になるのは、土壌に含まれる有害物質が人の体に入る経路が存在する場合であり、摂取経路が遮断されていれば健康に影響がなく、問題はございません。
 さきにお答えしましたとおり、処理地以外での浸出水の発生等につきましては速やかに対応しております。恒久処理地は、アスファルトのふたや覆土がなされており、大気や河川水のモニタリングでも問題ないことを確認しております。周辺住民に健康被害を及ぼすおそれはないことから、土壌の調査は必要ないと考えております。

○河野委員 実際に浸出してきているわけですから、摂取経路が断たれているとかということを断定できないというふうに思います。私は、きょうの質問は、地域の住民の人たちの不安をあおるためにしているのではなくて、健康と安全を守るために皆さんに申し上げておりますので、その点でそのことを受けとめていただきまして、地域の住民の人たちが東京都に対して、健康への影響相談の体制をとってほしいとか、こういう要望もありますし、正確な調査と住民への情報公開ですね、こういうことを行って、本当に安心をもたらしてほしいということを強く要望されておりますので、東京都環境局がぜひその方向で力を注いでいただくように求めまして、次の質問に移ります。
 PCBの問題です。
 ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理法が平成十三年に制定されまして、平成二十八年までにPCBを処理していくということが国の方針として決められました。平成二十八年は、もう三年後に迫っています。二十八年までの時限立法だったと私自身も記憶しておりますが、このPCB処理法が、昨年法改正があって、処理の期間の延長が決められたということです。この法改正の背景には何があったのでしょうか。
 それから、処理期間はいつまで延長されるのか、そして、これまでの処理方法については、この法改正のもとで何か変更が起こるのかご説明を求めます。

○山根調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 平成二十四年十二月にPCB特別措置法施行令が改正されまして、当初、平成二十八年七月までであったPCB処理期限が、三十九年三月までに延長されました。これは、PCBの処理がおくれていることが原因であるというふうに聞いております。
 JESCO東京事業所の処理期間等、PCB特別措置法に基づいて、現在、国がPCB処理基本計画の改定中でございます。現在、国で検討が行われている最中でございます。

○河野委員 期間の延長はわかったんですが、これからの問題では、JESCOと国とが共同して方針を決めていくということでいいのかどうか、後でご確認のご答弁をお願いします。
 平成十三年につくられた法律に基づいて、国が一〇〇%出資して日本環境安全事業株式会社、JESCOが設立されました。この法律によって、全国で五カ所の処理施設が設けられて、その一つが中央防波堤内側埋立地に東京事業所として設置されました。
 東京のJESCOの処理施設が処分する予定だったPCBの目標量、これは当時どのくらい見込んでいたのでしょうか。また、処理はどのように進んできたのでしょうか。法改正による期間延長によって、今後の東京事業所が引き受けるべき処分の量などについてはどのような数が示されているのかお答えいただけますか。

○山根調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 平成二十四年九月現在のJESCO東京事業所における処理すべき機器の登録数量は、トランス類四千二百五十一台、コンデンサー類七万一千八百七十八台でございます。操業開始から平成二十四年度末までの累計の処理量は、トランス類一千九百八十七台、コンデンサー類二万二千七百八十六台でございます。
 差し引きいたしますと、JESCO東京事業所が今後処理すべき量は、トランス類二千二百六十四台、コンデンサー類四万九千九十二台となる見込みでございます。

○河野委員 なかなか処理が進まなかったということは先ほどもご答弁がありましたが、この東京事業所の取り組んできた処理量についても、まだまだこの先、大きな、長い時間がかかるということが今のご答弁でわかりました。
 JESCOについてなんですが、JESCOは操業直後の二〇〇六年に、PCB汚染水の漏えい事故を二回連続して起こしています。事故のとき、都議会環境・建設委員会でJESCOに調査、視察に行きまして、安全性確保のために委員会としても国への意見書も提出しました。
 都議会視察のときに、各委員から、国策として設立した会社がずさんな運営をしているので驚いたと指摘があり、改善を求める意見が出されました。
 最近、JESCOで処理作業を行っていた労働者の話を私は直接聞く機会がありました。この方は、この会社は、設備をつくってから実験をするような状態で始まったのではないかと、労働に携わる中で率直に感じたということを述べておられました。
 PCBの無害化は極めて難しい。ゆえに、PCBを含んだ廃棄物は何十年も厳重な保管がされてきました。化学分解が困難なPCB処理施設の立地にオーケーを出すに当たって、東京都は、当時のJESCOの技術の到達度、会社運営の能力、いわゆる企業のコンプライアンスということも含めて十分に承知されていたのかどうか、あのときからずっと疑問が残っているわけなんですが、東京都のご判断はどうだったのでしょうか。

○山根調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 JESCOは、旧環境事業団からPCB廃棄物処理事業を継承し、一〇〇%国の出資により設立されたものでございます。同社は、全国五カ所の事業所で一体となってPCB処理を行う会社で、旧環境事業団が具体的に進めていたPCB処理技術の研究や施設の計画、建設などを引き継いでおり、PCBの化学的処理についてノウハウを有しているものと考えております。
 また、JESCO東京事業所で採用されている処理技術方式である水熱酸化分解方式は、国の審査機関の認定を受け、また、メーカーが実証プラントで処理の確認を行っていることから、都としては、操業開始当初から確立した処理方法であると考えております。

○河野委員 確立した処理方法だったかどうかというのは、当時の委員会などではいろいろな議論があったことを申し上げておきます。
 二〇〇六年の事故のときに、東京都は、三度目の事故は絶対に起こさない、そのために第三者機関を活用させながら安全な操業に努める旨の考えを明らかにされました。
 第三者機関、あのときからどのような役割を果たしたのでしょうか。また、危険物を扱う処理施設があるということで、地域の皆さん、いろんな不安を抱えているわけなんですが、こうした地元住民の疑問や不安に応えることが都としても大事ですが、地域への正確な情報を伝えていく恒常的な仕組み、この問題についてもどんな取り組みがされてきたのか。東京都が重ねられてきた努力ですね、こういうものについてお聞きしておきます。

○山根調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 JESCO東京事業所では、第三者機関による指摘を受け、環境安全のための設備面、操業面での多重の対策を行いました。その後は、安定した操業を続けております。
 また、地元区住民代表、学識経験者が参加した環境安全委員会は、毎年二回から三回、公開で開催されております。設備の稼働状況、点検や排気、排水、周辺環境モニタリングなどの結果について、この委員会で報告されるとともに、その資料については、JESCO東京事業所のホームページで公表されております。

○河野委員 私も、この環境安全委員会の議事録とか、公開されているということなので、見てみたいと思っていろいろアクセスしたんですが、なかなかつながらないんですね。デジタルデバイスじゃないですけれども、やっぱりIT関連でわからないことってたくさんあって、こういうホームページで公開しているということだけじゃなくて、あらゆる努力を尽くして地域への情報公開、住民の皆さんの安心のためにもしていただきたい。近隣住民の方は、引き続きそういう点では都のいろんな努力を求めておられるので、このことをお伝えしておきます。
 法律改正で、処理施設が十三年を超えて稼働延期ということになりました。有害性が強く、化学分解が難しい六価クロムの処理施設の耐用年数、これはどのくらいあるのでしょうか。
 例えば原発の問題でいえば、耐用年数四十年といわれておりますし、汚染水いっぱいたまっていますが、あの貯水タンクも、鋼でつくった耐用年数十年といわれています。
 PCBの処理施設も、当然耐用年数があるわけですけれども、もともと十年の時限立法のもとでつくられた施設でありますから、これからの施設の安全性が心配であります。また、施設内で働いている労働者がPCBの暴露を受けないような労働環境は保障されているのか、この点も危険物を扱う施設ですから、都が十分に把握されているか、そのことについて現状をお答えいただきたいと思います。

○山根調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 JESCOによりますと、東京事業所において基幹となる水熱酸化分解を行っている設備については、適切なメンテナンスを行うことにより、今後数十年の使用が可能であると聞いております。JESCO東京事業所は、日々の点検、補修のほか、年に一度大規模な定期補修を行い、適切な予防保全に努めております。
 従業員の健康管理は、JESCOみずからが行うべきものでございますが、環境安全委員会の報告書によると、JESCO東京事業所では、職員の血中PCB濃度の測定など定期的に健康診断を行い、その結果に応じて必要な措置を行っているとされております。

○河野委員 最後に伺っておきます。
 操業が長期に延期される、このことが法律で決められた今、東京都として施設の安全管理、労働者や地域住民の安全を守っていく、このために最大の努力を注いでいただきたいんです。これは地域の皆さんの要望でもあります。
 環境局は、都民の健康と安全にかかわる多くの事業に取り組んでいるんですが、その責務を果たされるように、改めて環境局としての取り組みを強めていただく、この立場からのご答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○山根調整担当部長スーパーエコタウン担当部長兼務 都は、JESCO東京事業所が安全総点検や安全教育の徹底などの取り組みにより、万全の安全管理を行うことが重要と考えております。設備の稼働状況、点検や排気、排水、周辺環境モニタリングなどの結果については、毎月都に報告されており、都はその報告の都度、内容の確認と必要な指導を行っております。また、適宜現場へ立ち入り、操業状況や安全面について必要な指導を行っております。
 都は、今後もJESCO東京事業所の安全な操業が維持されるよう、引き続き適切な指導を行ってまいります。

○今村委員 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催が決定し、今後、外国人を初め観光客の増加が予想されます。そうした国内外の観光客に、多摩・島しょの魅力を感じてもらうことは大変意義深いものがあります。
 多摩・島しょの魅力は、何といっても、まず、緑豊かな環境であります。環境局においてもさまざまな緑施策を行っていますが、次の二点について質疑をいたします。
 まず、森林再生事業です。
 森林は、木材生産、土砂の流出防止や雨水の貯留機能、生物多様性の維持、レクリエーション、保養など、さまざまな機能を有しています。このような機能を発揮させるためには手入れが重要でありますが、木材価格の低迷、所有者の高齢化などにより、林業経営の対象である杉、ヒノキの人工林では、手入れが滞りがちであるといわれています。
 環境局では、このような多摩地域の杉、ヒノキの人工林を対象として森林再生事業を行っていますが、事業の概要とこれまでの実績について伺います。

○臼井緑施策推進担当部長 間伐や枝打ちなど手入れのされていない杉、ヒノキの人工林では、地面に光が当たらず下草なども生えなくなるため、土砂の流出や水源涵養機能の低下を招くなど、森林の公益的機能が衰えてまいります。環境局は、このような杉、ヒノキの人工林において、環境保全という観点から都の負担による間伐を行うことで、森林の公益的機能を回復させる森林再生事業を実施しております。
 本事業の実施に当たりましては、都と森林所有者との間で、開発の禁止などを条件とした二十五年間の協定を締結しておりますが、協定締結の交渉や間伐の実施に当たりましては、地域の実情を熟知した地元市町村に委託して効率的に実施しております。
 平成十四年度からこれまでに、七市町村におきまして六千三百ヘクタールの間伐を実施してきております。

○今村委員 事業を行うに当たり、東京都と森林所有者との間で、開発の禁止などを条件とした二十五年の協定を結ぶとのことです。所有者の方々からすると、二十五年後の子供や孫のことを考えると、協定締結をちゅうちょする事例があると聞いております。森林所有者の理解を得ることはご苦労なこともあると思われますが、都のこれまでの取り組みと、事業の推進役となる市町村との連携が不可欠と考えますので、その取り組みを伺い、あわせて今後の決意も伺います。

○臼井緑施策推進担当部長 事業の円滑な推進に当たりましては、森林所有者の理解と協力が重要であることから、森林の現状を正しく認識し、森林再生事業への理解を深めてもらうためのダイレクトメールを送付するとともに、市町村のイベント等に積極的に出向いてPRや相談対応の場を設置しております。
 市町村との連携につきましては、市町村ごとに行っております森林所有者との交渉方法などを取りまとめた事例集を作成、配布いたしまして、円滑な交渉に役立ててもらうとともに、毎月の進捗状況の報告や四半期ごとの市町村担当者との会議開催等により、事業の執行状況を把握し、適切なアドバイスを実施しております。今後とも地元市町村と密接に連携し、森林所有者の理解を得ながら森林再生事業を推進してまいります。

○今村委員 本事業を通じて、手入れの滞っている森林の公益的機能回復に努められるよう要望し、多摩の魅力アップをしていただきたいというふうに思います。
 次に、小笠原諸島の世界遺産の保全事業について質疑をいたします。
 小笠原諸島は、この地域にしかいない多種多様のカタツムリを初め、固有の鳥類、昆虫類、植物などが多く存在し、進化の過程を認識できる特異な生態系を有していることが世界遺産委員会に高く評価をされ、二〇一一年六月、世界遺産に登録をされました。
 また、小笠原諸島が大陸から遠く離れている上、遺産登録地域のすぐそばで多くの島民の方々が日常生活を営んでいる特徴を有することから、地域住民の参画とその利益の維持が、自然遺産を管理する上で重要な要素であると、世界遺産委員会が指摘していたと記憶をしております。
 そこで、このような特徴を有する小笠原諸島の世界自然遺産の保全について、どのような体制で進めているのか伺います。

○臼井緑施策推進担当部長 世界自然遺産の価値を守るため、都は、環境省、林野庁、小笠原村とともに科学委員会を設置し、鳥類や植物、昆虫など、小笠原諸島の生物や生態系に詳しい科学者から助言を得ながら保全事業に取り組んでいるところであります。
 また、こうした都や国、村といった行政機関に加え、小笠原村の経済団体や観光団体、NPOとともに地域連絡会議を設置し、地域を挙げて保全事業に連携、協力していく体制を築いております。

○今村委員 世界自然遺産を保全するための体制がしっかりと整っていることを確認できました。引き続きこの体制を充実させながら、世界自然遺産の価値を、着実に保全を進めていただきたいと思います。
 しかし、保全といっても自然が相手である以上、簡単なことではなく、特に外来種対策が最大の課題といわれております。過去には私も質問を行ったことがありますけれども、都もその重要性から、二〇一二年度には、四億五千万円余りの予算をかけて対策に取り組んでいます。
 そこで、これまでの取り組みとその成果について伺います。

○臼井緑施策推進担当部長 外来種対策につきましては、野ヤギが唯一残る父島でその排除事業を継続するとともに、野ヤギ排除が完了した島々におきましては、植生を回復させる事業をこれまで実施してきております。
 また、野ヤギの減少に伴い増殖してまいりましたモクマオウやギンネムなどの外来植物につきましても、その排除作業を強化しております。
 さらに、国や村、NPOなど島民の方々や東京都獣医師会と協力し、貴重な鳥類の生存を脅かしております野猫の捕獲及び内地搬送を継続的に行っております。
 こうした取り組みの結果、野ヤギが完全排除された兄島では、消滅したと思われていた小笠原固有の菊の仲間でございますコヘラナレンなどの貴重な植物が回復しつつあります。また、父島、母島における野猫対策の進展により、貴重な鳥類であるアカガシラカラスバトの確認数が増加するなど、その成果が確実にあらわれております。

○今村委員 東京都の保全事業が着実に前進していることを確認できました。
 ところで、世界自然遺産登録により、小笠原諸島を訪れる観光客が増加をして喜ばしい反面、自然への負荷が高まり、新たな課題が生じているのではないかと心配をいたします。
 そこで、観光と自然保護を両立させるための東京都の取り組みについて伺います。

○臼井緑施策推進担当部長 世界自然遺産登録に伴う観光客の増加により、ごみ捨てなどのマナー違反、動植物の持ち去りなどの違法行為、不用意な外来生物の持ち込み行為などがふえ、自然を損なうおそれが高まっていると認識しております。
 そこで、平成二十四年度から東京都レンジャーの配置数を六名から七名に増員し、観光利用のマナー向上や違法行為の早期発見など、外来生物の侵入、拡散防止策の強化を図っております。
 また、観光客が集中する南島などでは、地元の協力を得ながら、東京都版エコツーリズムで定めました人数制限などの利用ルールの徹底を図るとともに、ガイド講習を継続して観光客への自然解説員の水準向上を図り、観光客の意識啓発に努めております。

○今村委員 「おがさわら丸」の新船の話も進んで、ますます注目される小笠原諸島の保全と魅力ある観光資源としての共存を着実に進めていただくとともに、さきに質疑をした森林再生を初め緑施策全般を進め、地球温暖化防止に貢献しつつ、子供の環境学習やフィールドワーク、高齢者の健康増進、多摩産材による経済活性化などなど、魅力ある多摩・島しょの地域の発展に寄与するよう、他局ともよく連携し、事業のさらなる推進を図られるよう要望して、次の質問に移ります。
 次に、二〇一二年度事業のうち、地球温暖化対策の推進について伺います。
 都は、温室効果ガスの排出状況を把握するため調査を行っておりますが、この調査で、都はどのように温室効果ガスの排出量を算定しているのか、また、どのような特徴があるのかなどお伺いをいたします。

○山本都市地球環境部長 都は、都内の温室効果ガスの排出量を毎年度調査し、その結果をホームページ等で公表してございます。排出量の算定に当たりましては、販売電力量や販売ガス量とともに、建物の延べ床面積や家庭の世帯数、都内の交通量や自動車燃費等を調査し、産業、業務、家庭、運輸の部門別に二酸化炭素排出量を算定してございます。
 都内の排出量の特徴といたしましては、業務部門からの排出割合が約三五%、家庭部門からの排出割合が約三〇%ということが挙げられます。一方で、全国では業務部門が二〇%、家庭部門が一五%と、都内の排出割合より小さくなってございます。逆に、産業部門につきましては、都内が一〇%に対し、全国では三五%と多くなっております。

○今村委員 今の答弁から、都の二酸化炭素排出量の特徴として、改めて業務、家庭部門の比率が高いことがわかりました。これまで、都はこうした特徴を踏まえ、大規模事業所に対するいわゆるキャップ・アンド・トレード制度などの施策を講じてきたことが理解できます。
 そこで、二〇一二年度の業務部門対策として、大規模事業所、中小規模事業所にどのような施策を講じたか伺います。

○山本都市地球環境部長 昨年度は、大規模事業所対策として、キャップ・アンド・トレード制度の第一期の円滑な削減義務の履行に向けまして、事業所への支援を総合的に行ってまいりました。具体的には、病院やデータセンターなどの業種別省エネセミナーを開催するとともに、設備の保有状況を入力すると省エネ値が把握できる点検表を作成いたしまして、事業所の対策を支援してまいりました。
 また、トップレベル事業所の事例発表会やテナントセミナーなどを開催し、すぐれた取り組みを行っている事業者の紹介を行ってまいりました。
 中小規模事業所対策といたしましては、CO2排出量を把握して、省エネ対策の取り組み状況を報告する地球温暖化対策報告書制度を実施しております。この制度によりまして、昨年度は三万四千を超える事業所から報告書の提出がございました。
 このほか、無料の省エネ診断や、省エネ設備導入に伴い事業税を減免する省エネ促進税制により、中小規模事業者の対策を支援してまいりました。

○今村委員 業務部門については、対策が着実に進むよう取り組みが実施されていることがわかりました。
 それでは、家庭部門の事業については、企業、団体と連携した家庭部門省エネ・節電行動の推進という事業が行われているようです。家庭部門への対策については、省エネ、節電の意識も高まってきたと思いますが、昨年度はどのように取り組んだのか伺います。

○山本都市地球環境部長 昨年度は、家庭部門対策といたしまして、節電アドバイザー事業を実施いたしました。本事業は、都が認定した団体のスタッフが節電アドバイザーとして家庭を訪問して、節電、省エネに関するアドバイスを行うものでございます。
 都が認定する団体は、団体の業務として、法令に基づく点検や契約に基づくサービスの提供のため、家庭を直接訪問する機会を有するとともに、省エネに関するノウハウを持つ団体であり、昨年度、都は、エネルギー供給会社等の七団体を認定いたしました。昨年度は、この七団体から、都の研修を受講した約五千四百名のアドバイザーが約十七万軒の家庭を訪問するとともに、区市町村及び町会等のイベントなどで、二万五千人を対象に節電、省エネ対策の提案を行ったところでございます。

○今村委員 決算書によりますと、地球温暖化対策の推進費を含む都市地球環境費の執行率は八三・四%となっております。その多くが事業推進の実績残とのことです。大規模な事業は別として、CO2排出量の多い家庭部門は、少ない予算でも、都の特徴にあらわれているとおり、その数が集まれば大きな効果につながります。大切な予算を着実に執行し、都内における省エネ、節電の定着とともに、さらなるCO2削減に向け地球環境に貢献されるよう、一言申し添えておきます。
 次に、自動車公害監察員の管理運営について質疑をいたします。
 ディーゼル車規制は、規制開始から十年が経過し、SPMの環境基準を全測定局で達成するなど東京の大気環境を大幅に改善し、世界にも誇れるような大きな成果を上げています。近ごろは、中国の大気汚染問題が深刻化し、たびたびメディアでも取り上げられており、猪瀬知事のいう、都の協力が成果を上げることを期待しております。
 さて、話を戻し、これまでの成果は、自動車Gメンなどによる取り締まりが、規制の実効性を担保する上で重要な役割を果たしてきたものと評価をしていますが、二〇一二年度の決算を見ると、今も約七千万円の費用を要しています。
 SPMの環境基準は、都内全測定局で達成しているという現状を踏まえるならば、規制の継続はともかく、多額の費用をかけて自動車Gメンなどによる取り締まりを継続する必要性は薄れてきているのではないかとも考えますが、都の見解を伺います。

○山内自動車公害対策部長 自動車Gメンは、環境確保条例に基づき、事業者がディーゼル車規制に着実に対応することを目的として、規制開始前の平成十三年度から設置しているものであり、事業所の立入指導のほか、多くのトラックやバスなどが走行する幹線道路や主要な観光地、トラックターミナル内などにおいて取り締まりを実施しております。
 一都三県では、平成十五年十月からほぼ同じ内容の規制を一斉に開始し、広域的に取り組むとともに、厳しい経営環境の中、PM減少装置の装着などについて、都内の多くの事業者の協力を得て、規制への対応は着実に進んでおります。
 一方、一都三県以外の地域--外側になりますが、地域につきましては、自動車NOx・PM法の欠陥により、排ガス性能の悪い古いディーゼル車であっても車検の登録が可能となっていることから、いまだにそうした地域から違反車両が都内へ流入してくる状況になっております。
 そうした車両のうち、悪質な者に対しては注意書等を発行しており、規制開始当初に比べると減少しているものの、いまだ年間約一千台程度あることから、取り締まりを継続していく必要があると考えております。
 なお、取り締まりの体制については、取り締まり対象車両の減少を踏まえ、より効率的な体制となるよう見直しを行ってきております。

○今村委員 排ガス性能の大変悪い車両がまだまだ一都三県の外から流入してきているということで取り締まりを継続するとの都の考え方は、一定の理解ができました。
 また、取り締まり対象車両の減少に応じて効率的な体制に見直してきていることは評価をいたします。
 こうした見直しは、費用対効果の点から大切と考えますが、その具体的な内容について伺います。

○山内自動車公害対策部長 自動車Gメンによる事業所指導や取り締まりについては、規制開始直前の平成十四年度には約五十名体制としておりましたが、取り締まり対象車両の減少とともに体制の見直しを図っております。
 また、遠方から都内へ流入してくる車両の状況を撮影する首都高速道路に設置した固定カメラや一般幹線道路の状況を撮影する移動カメラなどの活用により、さらに効率的な取り締まり体制を構築することで、平成二十四年度には約三十名体制としております。

○今村委員 当分の間、規制や取り締まりを継続する意義は理解をいたしました。二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの東京開催も決まり、今後は、世界の大都市の中でも最も大気環境のきれいな東京を世界に示していく取り組みが求められています。
 こうした状況の中では、ディーゼル車規制と取り締まりといった規制的な手法ばかりではなく、もう一つの課題であるCO2対策にも配慮した環境負荷の少ない自動車利用の推進へと事業者を指導、誘導していくような施策を今後展開していくことが重要と考えますが見解を伺います。

○山内自動車公害対策部長 さらに大気環境の改善を進めていくためには、事業者に単に規制を守ってもらうだけでなく、事業者がより環境負荷の少ない自動車利用にみずから進んで取り組んでもらうことが重要と考えております。
 都では、これまで事業者に対してディーゼル車規制への対応を求めるとともに、エコドライブの推進や低公害で低燃費な車の普及などを進めることで、CO2削減とあわせた、より排ガスの少ない自動車の利用を促してまいりました。
 平成十三年度に開始した自動車環境管理計画書制度では、都内で三十台以上の自動車を保有する事業者を対象にするものでございますが、当初、ディーゼル車規制対象車両の買いかえやPM減少装置の装着などの計画策定により規制対応を求めてきましたが、平成十八年度に制度の見直しを行い、エコドライブの推進や共同配送の導入などについて事業者みずからの計画的な取り組みを求めることで、CO2削減とともに、PMやNOx、窒素酸化物の排出量の削減を促してまいりました。
 また、都は今年度から、都内の運送事業者のみならず、都内に荷物を輸送する都外の事業者も対象として、貨物輸送評価制度を本格実施しております。この制度は、運送事業者が行うエコドライブなどの自主的なCO2削減努力を定量的に評価するもので、事業者にとって評価を得ることがインセンティブとなるような仕組みとすることで、事業者による積極的な取り組みを促してきております。
 今後ともディーゼル車規制や取り締まりに着実に取り組むとともに、環境負荷の少ない自動車利用の積極的な取り組みを誘導することにより、世界に誇れる環境都市の実現を目指してまいります。

○今村委員 都は、環境負荷の少ないEV、PHVなどに補助をしておりますが、年間何十万、何百万キロといわれる大型トラックなどは、燃費のよい排ガスのきれいな車にすることの効果は大きいのですが、小型車などはCO2の排出がガソリンより少ないクリーンディーゼル車にかえれば、それもまた大きな効果になります。既に欧州などは、多くの小型車がクリーンディーゼルです。
 また、価格の高いニッケル水素バッテリーを積載するEVやPHVに補助を税金で出す効果も理解はできますけれども、構造がよりシンプルで自重も少ないクリーンディーゼルは、いずれ燃料電池に移行する過渡期の対策としては、費用対効果が高いといえます。都のこれまでのディーゼル車対策の取り組みを評価しつつ、少々悪者のレッテルを張られてしまったような印象を受けるディーゼルのよさを、少ない予算でも可能な啓発を行うなど、今後の都の取り組みを期待して、質疑を終わります。

○西崎委員 私からは、まず初めに、官民インフラファンドについて伺いたいと思います。
 経済産業省から発表されました再生可能エネルギー発電設備の導入状況によれば、本年六月時点で、十キロワット以上のいわゆる業務用の太陽光発電設備の導入状況は、認定出力約二千万キロワットの一割程度、メガソーラーに至っては、認定出力約千三百万キロワットのわずか四%程度にとどまっております。運転の開始のおくれについては、新聞報道によりますと、需要が急増しているパネルの調達に時間がかかることや所有権のない土地で認定を取得し、権利だけを転売するケースなどもあり、事業化が円滑に進んでいないといわれております。
 特に、銀行からの資金調達が非常に難しい現状がありまして、太陽発電設備への投資環境はまだまだ整っておらず、活発な投融資も期待しにくい状況ではないかと思います。
 一方で、このような状況があっても、都の官民連携インフラファンドは、複数のメガソーラー発電事業所等への投融資を進めているようですけれども、そこで実績と取り組みのポイントについてお伺いいたします。

○松下都市エネルギー部長 都の官民連携インフラファンド、これは電力安定供給やいわゆる新電力育成への貢献、それから再生可能エネルギーによる発電事業の早期実施を目的に創設したものでございます。
 このファンドでは、民間主導によりファンド運営事業者の専門性やネットワークを活用するという特徴を持っております。例えばファンド運営事業者が、資材を調達するノウハウを有する企業、あるいは信用力の高い企業、こういったところと共同で事業化したり、あるいは自治体所有の未利用地の活用で連携すると、こうした取り組みを行ってきたものでございます。
 この結果、これまで十件、約二十七万キロワットの発電事業に対しまして投融資を行い、そのうちメガソーラー発電事業につきましても七件、約五万キロワットへの投融資を行っているところでございます。

○西崎委員 こうした取り組みによって、これまで十件、約二十七万キロワットに投融資が行われているということで、そのうちメガソーラー発電事業では七件、約五万キロワットへの投融資を行っているという実績は伺いました。
 しかし、一般的にファンドは多くの民間投資家が参加し、民間の手続となっております。すべての情報を公開することは、ファンドの組合契約上なじまないと思うんですけれども、官民連携インフラファンドは東京都が三十億円出資しており、これは都民の出資でもあるため、できる限りの情報公開を行っていくべきだと考えます。
 情報公開にも、こうした一定の制約があることを考えますと、都の専門的な監視が重要であると思います。ファンドへの出資は元本が保証されておらず、ファンドの投融資先の破綻などによって元本が戻らないなどというリスクが発生する場合があると思います。このリスクを極力避けるために、都はファンド運営をどのように監視していくのか、その取り組みについてお聞かせください。

○松下都市エネルギー部長 都の官民連携インフラファンドは、電力安定供給等に資する事業者に対して投融資を行うものでございます。そういった投融資であるため、社会経済情勢等により一定程度のリスクを負うことになる、これは事実でございます。しかしながら、そのリスクを極力小さくするようなさまざまな工夫を施して本事業を進めてまいりました。
 具体的には、ファンドの状況を継続的に監視するため、東京都専門委員である公認会計士の助言をいただきながら、さらにそれに加えまして、法律、会計、投資業務等の専門家により構成されました東京都投資評価委員会、これの検証や確認を受けてございます。さらに、ファンド運営事業者が意思決定を行う機関にオブザーバーとして参加いたしまして、情報収集や意見表明を通じても、さらに監視を行っているところでございます。
 今後ともこうしたファンドの運営状況の監視について万全を期してまいります。

○西崎委員 ファンドの状況を継続的に監視するために、東京都投資評価委員会の評価、検証を受けているということですけれども、今後も運営状況については、しっかりと東京都も監視していっていただきたいと思います。
 次に、住宅用太陽光発電について伺います。
 官民連携インフラファンドによって、最近は大規模な太陽光発電の導入も進んでいることもわかりましたが、太陽光発電は、従来、小規模な住宅用を中心に普及が進んできました。特に、ここ数年で全国的に太陽光発電の導入は拡大しておりまして、これは都の取り組みも大変貢献しているのではないかと思っております。
 都は、この四年間、一キロワット当たり十万円という全国でも最高水準の設備補助を行ってきましたが、まず、都が補助事業を開始した経緯及び都の取り組みが全国に与えた影響について伺います。

○石川都市エネルギー技術担当部長 かつて世界一を誇りました日本の太陽光発電市場が、国の補助打ち切りに伴い低迷状態に陥ったことに危機感を覚え、都は、当時最大の課題であった設置コストの低減に向け、平成二十年八月に総額九十億円に上る予算を発表し、平成二十一年度から太陽エネルギー機器の導入補助事業を開始いたしました。
 全国的には、都の取り組み発表後、平成二十一年一月に国の補助が三年ぶりに復活するとともに、十一月には、現在の固定価格買い取り制度のいわば前身である余剰電力の買い取り制度が導入されました。このように都が打ち出した施策は、国の支援策を誘導することで太陽光発電の全国的な普及拡大にも貢献してきたと考えております。

○西崎委員 今のお話で、都の先駆的な取り組みが国の政策にも影響を与え、近年の日本の太陽光発電市場の復活において大きな役割を果たしたことはわかりました。
 次に、この四年間の取り組みで、補助事業の対象となる都内の住宅における太陽光発電の導入がどの程度進み、当時最大の課題でありました設置コストがどの程度低減されたのか、また、その成果を踏まえ、今後どのように太陽光発電のさらなる普及拡大を図るのか所見を伺います。

○石川都市エネルギー技術担当部長 都内の住宅用太陽光発電の導入量は、補助開始前の平成二十年度が五千キロワット程度だったのに対しまして、補助最終年度である平成二十四年度は八万キロワット程度に上ると見込んでおります。
 一キロワット当たりの設置コストは、全国平均で平成二十年度が七十万円台であったのに対しまして、平成二十四年度は四十万円台と四割近く低減しております。
 昨年七月に固定価格買い取り制度が開始されるなど、再生可能エネルギーをめぐる状況は近年大きく変化しており、これまでの補助事業の成果を踏まえ、都は現在、太陽光発電の自立的な市場拡大に向け、金融機関や販売店など、事業者との連携による屋根ぢからプロジェクトを展開しているところでございます。

○西崎委員 状況変化にも的確に対応しながら、太陽光発電のさらなる普及拡大に取り組んでいることはわかりました。
 都は、昨年度までの補助事業によって、太陽光発電だけではなく、蓄電池や燃料電池などの新しい技術の利用促進にも着手しています。
 さらに今年度からは、蓄電池や燃料電池に加えて、エネルギー使用量の見える化を図るHEMSなども組み合わせた新たな補助事業を展開しています。この事業は、家庭においてエネルギーを効率的につくる、ためる、賢く使う取り組みを促進する意味で非常に重要であり、これまでの太陽光発電同様、大きな成果を上げることを期待しております。
 最後に、家庭における省エネ、節電の取り組みについて伺います。
 東日本大震災以降、エネルギーを大切に使おうという意識は、多くの人たちの中に根づいてきていると思います。しかし、都におけます温室効果ガス排出量の約三割は家庭部門が占めており、家庭での省エネ、節電の取り組みも非常に重要であります。
 都は、家庭向けの省エネ、節電対策として、平成二十三年度以降、各家庭への節電アドバイザー事業を実施していますが、この事業の実施主体である総括団体はどんな役割を担っているのか伺います。

○山本都市地球環境部長 節電アドバイザー事業は、都が認定した団体のスタッフである節電のアドバイザーが家庭への戸別訪問のほか、各種講座やイベント等で節電、省エネ対策をわかりやすくアドバイスする事業でございます。
 節電アドバイザーを統括する団体といたしましては、東京ガス、東京電力、生活協同組合パルシステム東京など七団体を認定しており、統括団体は、節電アドバイザー事業に携わる人材の確保及び教育から事業計画の策定、アドバイザーの派遣、実施報告などの役割を担ってございます。

○西崎委員 本事業によりまして、幅広く都民の省エネ、節電への取り組みを支援しているようであり、家庭部門においても取り組みが進んでいるものと考えます。
 都は、家庭における取り組みの現状をどのように捉えて、今後どのような取り組みを推進していくのか、都の見解をお聞かせください。

○山本都市地球環境部長 都が昨年度実施いたしました夏の節電行動に関するアンケート調査によりますと、事業所や家庭で、照明の明るさの見直しなど無理のない賢い節電、省エネ対策が定着してきております。また、多くの家庭から、今後も節電、省エネの取り組みを継続実施するとの回答をいただいております。
 一方で、都が作成いたしましたパンフレットで推奨しておりますテレビの省エネモードの設定などの、一回の設定で継続して省エネ効果が得られる取り組みの実施率が低い状況にございます。
 このため、このような実施率の低い取り組みを中心に、ツイッター等も活用して、わかりやすい節電、省エネ対策の情報提供を実施しているところでございます。

○西崎委員 私も、テレビの省エネモードや冷蔵庫の小まめな温度設定など、毎日の生活の中でいろいろ心がけることによって節電、省エネが行えると実行しております。
 今後も都民に対する情報提供を行うことによって、家庭における省エネ、節電対策の取り組みを進めていっていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。

○遠藤委員 では、私からは、東日本大震災の被災地で発生をいたしました災害廃棄物の処理支援、この一点について質問させていただきたいこのように思っております。
 この災害廃棄物の処理支援、東京都の事業でありますけれども、後で詳しい説明があると思いますけれども、前提として、被災地すなわち岩手県と宮城県、ここと東京都及び公益財団法人の東京都環境公社が災害廃棄物の処理に関する協定を締結して、この被災地の災害廃棄物を都内に運搬、そして都内の自治体や民間事業者が協力、協調して、その廃棄物の破砕または焼却等を行うと、これが大きい事業の概要でございます。
 これについて、平成二十四年度の歳入歳出決算ということで、先般いただいた資料にありますけれども、まず、歳入については百三億四千八百万円余の収入済額ということで書いておられます。収入率一〇〇%ということでありますけれども、ここは災害等廃棄物処理事業資金ということで、今冒頭お話ししたとおりの、いわゆる公益財団の東京都環境公社に対する東京都の、いってみれば貸付金が行ってこいで戻ってきた、そのお金が百三億円何がしと、こういうことであると理解をしております。
 一方、歳出については、この説明書の四六ページに書いてありますけれども、百四億九千百六十七万円何がしと、この支出があるということであります。
 百四億円が支出をされて、百三億円が収入をしたということで、間の二億がどうなのかということで事前に確認をしたところ、この二億については、公社の職員の方が現地に行かれて、その作業が滞りなく行われるようにするための人件費ですとか事務経費等、安全確保のために二億円を昨年度使った、こういう事前の話でありました。
 そこで、この具体の取り組みを聞かせていただきたいと思いますけれども、被災地で復旧、復興の歩みを阻んでいたともいわれている災害廃棄物の処理ですけれども、岩手県では既に七五%、そして宮城県では八八%の処理が進んでいると、このように事前に聞いております。
 そこで、都は昨年度までに、どの地域から、どれぐらいの災害廃棄物を受け入れてきたのか、また、その量は、東京都も含めた広域処理による全国の受け入れ量の全体のどれぐらいに当たるのか、まずお伺いしたいと思います。

○齊藤廃棄物対策部長 都は、平成二十三年九月に岩手県と、十一月に宮城県と災害廃棄物の処理基本協定を締結しまして、都内区市町村や民間処理業者との連携、協力のもと、本年三月までに、岩手県で申しますと宮古市、大槌町から合計で三万八千八百五十三トンを、宮城県で申しますと女川町、石巻市から合計で六万一千八百三十九トンを受け入れました。
 平成二十四年度までの広域処理による災害廃棄物の受け入れ量は、全国で約三十二万トン、東北地方を除くと約十六万トンとなっております。このうち、都の受け入れ量は約十万トンとなっております。これは全体の約三割、東北地方を除けば約六割を受け入れたことになります。

○遠藤委員 全国で三十二万トン、東北地方がかなり、隣県ということで十六万トン受け入れておりますけれども、都の受け入れは十万トンで三割を占めているということであります。全体の広域処理に占める都の受け入れ量がどれぐらい多いかということが、また、東京都がいかにこの処理について貢献しているかということは、今の答弁で明らかになったと思います。
 そういった意味では、いろんな声がありましたけれども、前知事が、とにかく東京が受け入れるんだと、こう決断をして、その決断に基づいて、現場の環境局さんを含めた職員の皆さんが尽力をしていただいたということは、大きな成果になっているんだろうと、このように思います。
 このように、都が全国の自治体の先導役となって災害廃棄物の処理を進めた結果、被災地では、かなり復旧、復興がそれによって進んでいると、このように聞いております。
 そこで、その成果と今後の処理支援の取り組みについて、あわせてご報告をいただきたいと思います。

○齊藤廃棄物対策部長 都の広域処理によって、宮城県で申しますと、石巻市では、仮置き場で広い場所を占めていた廃畳が処理されたことによりまして、近くに仮設焼却炉が五基設置されました。このことにより他地域からの災害廃棄物の受け入れが始まり、県内での処理が加速しております。同じように、女川町では本年七月に災害廃棄物処理が終了し、仮置き場が撤去された後に水産冷凍冷蔵庫が再建され、水産加工団地の造成や河川の護岸整備工事など、復興のためのまちづくりが始まっております。
 宮城県では、昨年度末で広域処理が終了しておりますが、災害廃棄物処理も今年度で終了する予定となっております。
 岩手県で申しますと、宮古市では、災害廃棄物の仮置き場が撤去された後に、選別処理施設が整備され、市内での処理を加速させております。
 平成二十五年度について申し上げますと、都は、四月から岩手県の釜石市、陸前高田市、七月から山田町の災害廃棄物を受け入れておりまして、九月末までに合計四万四千百八十トンを受け入れております。今月から大船渡市からの受け入れも開始しましたので、平成二十六年一月までに、さらに約三万一千トンを受け入れてまいります。これによりまして、岩手県でも今年度中に災害廃棄物処理が終了する予定となっております。

○遠藤委員 本当に、今答弁ありましたとおり、宮城の石巻市または女川町、そして岩手の宮古市等々で、東京都を中心とするこういう取り組みが進むことによって、確実に現地での復旧、復興が進んでいると。仮設の焼却炉が新たに設置をされたり、または水産冷凍冷蔵庫がその場所にできたり、さらには廃棄物の選別の処理施設ができているところもあると。また、具体にまちづくりが進んでいるという、こういうことで本当にこの東京都の災害廃棄物の受け入れというのは、目に見えて成果を上げているんだなということが、今の答弁でわかりました。
 あわせて、今は二十四年度の決算ですけれども、あえてお伺いしたところ答えていただきましたが、二十五年度についても、いろんな数字が出てきたので、足し算すると平成二十五年度については約七万五千トン、で、二十三、二十四でおおむね十万トンと、二十五年度末までで七万五千トン、トータル、概算で十七万五千トン、これが三カ年で東京都が処理をした災害廃棄物の総量、こういう理解でいいですね。そういうことだと思います。
 この災害廃棄物の受け入れに当たっては、当時、平成二十三年の十一月でありましたけれども、都民の一部に不安の声も聞かれました。そうした声もありましたので、私も、この第一陣となりました岩手県の宮古市の現場に足を踏み入れて、その状況についても、つぶさに確認をさせていただきました。本当に現場の作業の皆さんが測定器を持って、またその測定器で逐次データをとりながら、東京への受け入れ態勢を現場で組んでいたわけであります。
 しかし、残念なことに、我々都議の同僚の中にも、あたかもこの廃棄物が放射能濃度が高いものであるかのように、不安をあおるかのようなですね、こうした行動をとった残念な仲間もいたということは、皆さん方周知の事実だと思います。
 こうしたことがございまして、我が党が提案をして、DVDをぜひ活用して住民説明会を開くべきであると、こういう提案をして、都もそれに応えてくれました。
 さらに、最も大事な点でありますけれども、被災地からの搬出時、または都内の受け入れ施設での本当に細かな放射能の測定、そしてその測定結果に基づくホームページでの公開、公表、こうした取り組みがありまして、都民の理解を増進すること、これに努めた結果、受け入れが順調に進んできたのだろうと、このように思います。
 国の計画では、岩手県及び宮城県の災害廃棄物の処理終了目標は今年度末と。福島県については、いうまでもなく国が直轄で処理をするということでありますけれども、この両県の災害廃棄物の処理目途は今年度いっぱいということになっております。
 先ほどの答弁で、被災地の復旧、復興に大きく貢献をされたということがわかりましたけれども、残るあと五カ月ですね、くれぐれも現場の職員の皆さん、事故なくこの大切な職務を全うしていただきたいと、このように切に願うものであります。
 あわせて、ぜひ私、これだけ多くの、三カ年かけて東京都の事業が成果を上げたわけですので、私も含めて、あのときは本当にマスコミも寄ってたかってこの件を報道しましたけれども、やはりこの二年半の間、東京都がどういう取り組みをして、そしてどういう成果が上がって、それが被災地にどう貢献しているのかということ、また、もっといえば放射線のいわゆる数値も今も継続してはかっているし、これからもはかっていくんだろうと思いますけれども、こういったものを一回、事業の総括、また成果、結果というものも広く都民の皆さんに公開をしていただいて、公表していただいて、なるほどと、東京都の事業はこういう成果が上がっているんだということを大いに周知をするべきであると思いますし、それが都民の東京都行政に対する、また環境局に対する事業の評価にもつながると思いますので、ぜひこれはですね、度末で結構でございますので、しっかりと事業が終わったときにはやってもらいたいと、このように要望をいたします。
 それで、最後に大島町の災害廃棄物、これについて一言だけ要望したいと思います。
 私も、被災直後の十七日の日に現地に足を運びました。私は、大島町とは少なからぬ縁がありまして、都議に就任して以来、何度も何度もこの島を訪ねております。ふだんは、本当に、三原山をバックに緑豊かな風光明媚な、穏やかな、元町地域を中心にですね、そうした地域が本当に一夜のうちに凄惨な被災現場に変わっている。ただただ、私は現地に立って愕然といたしました。
 そうした中で、今、まさにこのときに二十七号も接近していると。また、大変残念ながら、まだ安否不明者、行方不明者の方がたくさんいらっしゃるわけであります。現地では人命救助、捜索、これを最優先にして二十七号の到来に備えているという状況であるわけでありますけれども、時間を追って大量の災害廃棄物、これも出ておりました。この処理というものも、復旧に向けては大きな仕事になってくるんであろうと、このように思います。
 これについては、町が主導として、その処理方針というものを近い将来、策定をするんだろうと思います。しかし、限られた予算と限られた人員、また、復旧のためには大変な時間との勝負という、こういう観点もあろうかと思います。ぜひこの処理方針というものが大島町でつくられた暁には、大島町からのリクエスト、オファーを待つまでもなく、東京都としてしっかりとその処理に対して、より具体的な助言、または技術的な指導、また場合によっては都内で受け入れますと、そういう表明をして、その表明をするに当たって、あらかじめ事前に都内の各一組だとか事業者等々の事前調整もしておいていただく。その備えをしっかりしていただきたい。このことを強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○植木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○植木委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境局関係を終わります。
 これをもちまして、本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時三十分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る