平成二十四年度各会計決算特別委員会第一分科会速記録第三号

平成二十五年十月二十三日(水曜日)
第十一委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長秋田 一郎君
副委員長大場やすのぶ君
副委員長島田 幸成君
加藤 雅之君
松田やすまさ君
西沢けいた君
田中 朝子君
大松あきら君
徳留 道信君
堀  宏道君

欠席委員 なし

出席説明員
会計管理局局長松田 芳和君
管理部長土渕  裕君
警察・消防出納部長吉田 公己君
会計制度担当部長副島  建君
収用委員会事務局局長目黒 克昭君
監査事務局局長松井多美雄君
監査担当部長仁田山芳範君
知事本局局長中村  靖君
儀典長伊藤 秀樹君
次長武市  敬君
理事遠藤 雅彦君
理事猪熊 純子君
総務部長河内  豊君
調整担当部長小室 一人君
自治制度改革推進担当部長奥田 知子君
外務部長櫻井 和博君
国際共同事業担当部長小菅 政治君
基地対策部長新美 大作君
横田基地共用化推進担当部長筧   直君
政策部長池田 俊明君
尖閣諸島調整・政策担当部長福崎 宏志君
計画調整部長小池  潔君
総合特区推進部長瀬口 芳広君

本日の会議に付した事件
 平成二十四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
会計管理局関係
・平成二十四年度東京都一般会計決算(質疑)
収用委員会事務局関係
・平成二十四年度東京都一般会計決算(質疑)
監査事務局関係
・平成二十四年度東京都一般会計決算(質疑)
知事本局関係
・平成二十四年度東京都一般会計決算(質疑)

○秋田委員長 ただいまから平成二十四年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する質疑を行ってまいります。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、会計管理局、収用委員会事務局、監査事務局及び知事本局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより会計管理局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十四年度東京都一般会計決算中、会計管理局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○田中委員 私からは、指定金融機関、資金管理計画などについて質問させていただきます。
 まず、先般、東京都を初め多くの自治体の指定金融機関であるみずほ銀行において不祥事が明らかになりました。当該年度も、当然のことながら、みずほ銀行は東京都の指定金融機関であったわけですけれども、公金を取り扱う金融機関として社会的信用を著しく損なう事件であったと思います。
 都としても、全容解明と信頼回復策について一定の申し入れをしたようですけれども、事実関係の全貌が明らかになった段階で、金融庁における対応とは別に、都として何らかの措置を講じる考えはあるのかを、初めにお聞きいたします。

○土渕管理部長 みずほ銀行は、現在、第三者委員会を設置して、事態を解明するため調査を進めており、金融庁もみずほ銀行に改めて報告を求めているところでございます。当面は、みずほ銀行からの報告聴取や情報収集を行い、状況の把握に努めてまいります。

○田中委員 どうもありがとうございます。了解いたしました。
 今後、みずほ銀行が誠実に対応されて、社会的責任を全うされるように、私たちも注視していきたいと思っております。
 次に、資金管理計画についてお聞きをいたします。
 会計管理局の事業概要によれば、平成十四年に策定した資金管理方針にのっとり、毎年度、資金管理計画を策定して、歳計現金や基金等を運用しているとのことです。資金管理計画の策定に当たっては、政府の月例経済報告とか基調判断などを踏まえ、経済環境の変化と推移に留意していることと思います。
 ところで、当該年度、平成二十四年は、十二月に安倍政権が発足して、大胆な金融緩和策を講じるとともに、二%のインフレターゲットを採用するなど、この一年は年度を越えて大きく経済環境が変動した期間でもあると思います。
 そこで、資金管理を担う会計管理局としては、平成二十四年度当初から今日までの金融や経済環境の推移についてどのように捉えているか、まず基本的な認識をお伺いいたします。

○土渕管理部長 平成二十四年度当初は、東日本大震災の影響等により厳しい経済環境にありましたが、復興需要に加え、円安や株高を背景とした消費拡大もあり、その後、景気は緩やかに回復しつつあります。金融情勢では、本年四月の異次元緩和といわれる日銀の金融政策の公表以降、長期金利が大きく変動しましたが、その後、落ちつきを取り戻しております。
 しかしながら、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクがあるなど、先行きはいまだ不透明であります。今後とも、金融政策や景気の先行き等に細心の注意を払いつつ、適切な運用に努めてまいります。

○田中委員 どうもありがとうございます。
 今後とも、低金利がまだ見込まれる中、債券市場の動向など、引き続き金融環境の変化を注視していただきたいと思っております。
 次に、ポートフォリオと公金管理委員会についてのお尋ねをいたします。
 東京都が採用するラダー型ポートフォリオは、いわゆる買い待ちを原則として、常に組み入れ債券の満期償還によるキャッシュ・フローを長期債に投資することができて、また、必ずしも金利予測の必要がなく、売買回数を抑制しつつ、市場における平均的投資収益を上げることができる手法だと思います。
 一方で、外部の有識者で構成をする公金管理委員会では、金融情勢等に応じた的確な判断と対応を行うということですけれども、第三者委員会の存在自体は、運用の客観性、また、透明性を確保する意味で非常に重要と考えます。
 そこで、ちょっとお尋ねしますけれども、リスクを抑え、平均的投資収益を目指したポートフォリオを構築している現状において、具体的に公金管理委員会ではどういう議論がなされて、ポートフォリオや商品購入等に関して、議論がどのように反映をされたのか、当該年度に限らず、概略と事例などがあればお聞かせいただきたいと思います。

○土渕管理部長 まず、この公金管理委員会についてご説明をさせていただきますと、公金管理委員会は、公金の管理につきまして、金融分野の専門家等の経験、識見を活用して、金融情勢等に応じた的確な判断、対応を行うことを目的に設置している専門家会議でございます。
 この委員会では、公金の安全性を確保するというリスク管理の観点から、公金管理の基本方針や、金融機関及び運用商品の選定基準の決定等に当たり、各委員が持つ専門的な見地からご議論をいただき、ご意見を頂戴しています。具体的には、毎年度策定する資金管理計画につきまして、預金と債券との運用配分や、ラダー型ポートフォリオの構築等に関してご議論をいただいています。また、財投機関債、これは公庫や公団等の各政府関係機関がみずからの信用力に基づいて発行する債券のことでございますが、この財投機関債などを運用商品に加えた際には、商品の構造や発行主体のリスク等について、公金管理委員会からご意見を頂戴したところでございます。

○田中委員 どうもありがとうございます。
 資金管理は地道な努力が必要であり、公金の安全かつ適正な管理を通じて歳入確保に資するものでもあると思います。今後とも、総体的に高い利回りを目指したポートフォリオを目指し、慎重な運用を期待しております。
 最後に、公会計制度についてお聞きをいたします。
 この公会計制度については、前都知事も非常にこだわっていた問題であったわけですけれども、現在では東京都方式が、むしろ標準モデルとして定着しつつあるものと思います。
 しかし、公会計制度というのは、つくることが目的化するのではなくて、職員の方たちが読めて、そして、次の施策に生かされるようにしていかなければ、公会計制度に変えた意味がないと思います。こうした会計手法を本当に意義あるものにしていくためには、職員の方々の知識や意識の向上、また、経営感覚を養っていくことなどが重要だと考えます。
 そこで、こういったための職員研修について、内容や頻度、対象者の範囲など、どのように実施しているのかをお伺いいたします。

○副島会計制度担当部長 新公会計制度を行政運営に生かしていくためには、各職員が制度の意義や内容を正しく理解した上で、それぞれの部署において実務に反映させていくことが非常に重要であります。そのため、会計管理局では、各局の新任の会計担当者を対象に、年四回の会計実務研修を実施いたしまして、毎年数百名の受講者に複式簿記・発生主義会計の基礎知識や都の新公会計制度について学ばせているところでございます。
 また、年間約五十カ所の事業所等に対しまして、複式直接検査を実施しておりまして、適正な会計処理の確認と同時に、複式簿記や新公会計制度についての個別指導を実施しております。さらに、各職員が使用しているパソコンから、複式簿記や新公会計制度に関する詳しい情報を見られるようにしているところでございます。
 今後とも、職員の新公会計制度に関する知識や意識の向上に向け、着実に取り組みを進めてまいります。

○田中委員 ありがとうございました。
 ぜひ、今後とも先駆的な自治体経営を実践していくために、ご努力をお願いしたいと思います。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。

○秋田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○秋田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で会計管理局関係を終わります。

○秋田委員長 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十四年度東京都一般会計決算中、収用委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○秋田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○秋田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○秋田委員長 これより監査事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十四年度東京都一般会計決算中、監査事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○秋田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○秋田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○秋田委員長 これより知事本局関係に入ります。
 初めに、過日の分科会で紹介できませんでした幹部職員について、知事本局長から紹介があります。

○中村知事本局長 公務のため、過日の分科会を欠席いたしました幹部職員を紹介させていただきます。
 報道担当理事の遠藤雅彦でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者挨拶〕

○秋田委員長 紹介は終わりました。

○秋田委員長 これより決算の審査を行います。
 平成二十四年度東京都一般会計決算中、知事本局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○大場委員 我が党は、石原前知事が都政においてなし遂げた大きな功績の一つに、都市外交の推進が挙げられると考えております。中でも、アジア大都市ネットワーク21は大変意義のあるものであると認識しています。
 世界人口の半数が都市で生活する現代においては、国家間の外交に加えて、都市同士が連携し合うことが、地球規模的な課題を解決する上でも重要だからです。
 そこでまず、発足から十年以上の年月を経過したアジア大都市ネットワーク21のこれまでの成果について伺います。

○小菅国際共同事業担当部長 アジア大都市ネットワーク21は、設立以来、産業振興、危機管理、感染症対策、環境問題など幅広い分野で、各会員都市が協力しながら、アジアの大都市に共通する課題の解決に取り組んでまいりました。
 例えば、危機管理の分野では、災害や感染症への対処事例の共有、産業振興の面では、経済交流を促進する取り組みの開始、さらには環境や水、交通などの分野における専門研修を通じた行政職員の実務能力向上など、個々の共同事業において成果を上げております。

○大場委員 昨年度で、アジア大都市ネットワーク21の総会の開催都市もほぼ一巡をしまして、第十一回総会がシンガポールで開催されていると聞いております。
 では、この総会では、具体的にどのような成果があったのか伺います。

○小菅国際共同事業担当部長 昨年、成長を続けるシンガポールを舞台に開催されました第十一回総会では、都市の経済成長と環境政策の両立をテーマに政策対話を行いました。東京からは、先駆的な気候変動対策としてのキャップ・アンド・トレードについての発表をいたしました。各都市からは、成長戦略や独自の環境施策、交通対策などについて発表があり、今後の持続可能な都市づくりに向けて、知見や経験、技術を共有していくことが合意されております。
 また、この総会において、トムスクとウランバートルが加入し、アジア大都市ネットワーク21の会員が十三都市となりました。新規加入は、ネットワーク設立後初めてであり、アジアの経済発展が広がりを見せ、アジア内陸部の重要性が増したことに対応し、ネットワークを拡充したものでございます。
 なお、トムスクとウランバートルが、二十四年度の水道事業研修に参加するなど、新規会員都市も既に具体的な活動を開始しております。

○大場委員 アジア大都市ネットワーク21が拡充をしつつ、都を初めとする会員都市の重要課題にさまざまな分野で連携して取り組んできたことを確認することができました。
 総会のようにトップ同士が集まる場も意義がありますが、共通課題の解決に向けた大都市の連携という点では、実務担当者同士の密な協力関係が基礎になると考えます。トムスクとウランバートルが、都の水道研修に参加したとのことですが、そういった取り組みは大切で、今後も進めていただきたいと思います。
 このほかにも、都は他都市に誇れる先進的な面を多数有しています。こういった点を、アジアネットを通じて実務者レベルで、積極的に他都市と共有したらよいと考えます。
 そこで、アジアネットでは、ほかにどのような研修事業を実施しているのか伺います。

○小菅国際共同事業担当部長 アジア大都市ネットワーク21では、職員能力向上プログラムといたしまして、環境、上下水道、都市計画、感染症など幅広い政策分野におきまして、アジア諸都市の行政職員や専門家を東京に受け入れ、東京の持つすぐれた技術やノウハウを共有する研修プログラムを実施しております。また、緊急性の高い行政課題につきましては、タイムリー研修として各都市のニーズに応じた研修プログラムを、その都度、企画、実施しております。
 例えば、東日本大震災の後においては、都の得た教訓、知見を他の会員都市と積極的に共有するため、大規模災害対応に特化した研修を集中的に実施いたしました。

○大場委員 都のすぐれた取り組みが他都市に広がるのは、一定の意義があります。各都市の課題解決につながるだけでなく、例えば都の施策に利用されている都内企業の先端技術が他都市に導入される可能性も含んでいますし、アジアにおける東京の存在感を高めることにもつながります。
 しかし、そのためには研修の内容が重要であり、研修生が真剣に学び、各都市に成果を持ち帰ることが必要です。物見遊山的なプログラムや友好親善だけでは、都が研修を実施する意味がそれではありません。
 そこで、昨年度は具体的にどの程度の規模で研修を実施し、研修生からどのような評価を得ているのか伺います。

○小菅国際共同事業担当部長 平成二十四年度は、都の実施する七コースの研修に、八都市から合計百十三名が参加しました。いずれも意欲的な受講者を得て、活気のある研修となりました。
 例えば、タイムリー研修として実施いたしました洪水高潮津波研修では、バンコクとソウルから参加があり、特に地下調整池など、アジアでも例の少ない水害対策手法について大変活発な質疑応答が交わされ、研修終了後は、自分の都市への導入を検討したいとの発言もありました。
 また、東京消防庁の実施する救助技術研修におきましては、バンコクの合計四十六名を指導いたしましたが、研修終了後のコメントとして、実際に救助隊員の技術向上が見られた、学んだ技術を他の地域にも普及したいとのことでした。総じて、自分の都市にはない取り組みや技術を学べる点について、高い評価を得ております。
 どの研修も、会員各都市からの研修生の要望をきめ細かく取り入れて、講義内容や視察先を企画しており、そのことが研修効果を高めていると認識しております。

○大場委員 ご答弁で高い評価を得ているということでございますので、今後も工夫を重ねていただき、実務担当者同士の顔の見える信頼関係を築き、真に各都市の課題解決に結びつく取り組みを進めていただきたいと思います。
 それでは最後に、研修事業にとどまらず、アジアネット全般について、これまでの取り組みをしっかりと検証しながら将来に生かしていくことが必要ですが、どのように考えているのか伺います。

○小菅国際共同事業担当部長 これまで、年一回の総会の開催とともに、先ほど申し上げました危機管理、感染症対策、環境問題以外にも、スポーツ振興や観光客誘致など、さまざまな分野において共同事業を進めてまいりました。実務者や専門家同士のネットワークを構築し、現場レベルで技術や知見を共有することを通じて、都市間の連携を確かなものとしております。
 今後も、過去の成果を継承するとともに、これまでの経験を生かして、会員都市から幅広い提案を募り、実効性のある新たな事業に積極的に取り組んでいきたいと考えております。ことし十一月のハノイ総会を、そのための起点にしてまいります。

○大場委員 ぜひとも積極的に取り組んでいただきたいことをお願い申し上げまして、以上で私の質問を終わります。

○加藤委員 私からは、経済連携協定、いわゆるEPAに基づくフィリピン及びインドネシアからの外国人看護師及び介護福祉士の受け入れについて伺います。
 外国人看護師及び介護福祉士の候補者は、法定の在留期間中に、日本語等の研修を受講後、病院や介護施設などの受け入れ施設で、就労しながら研修や試験勉強を行って国家試験を受験します。合格者は、看護師や介護福祉士として日本で就労ができますけれども、残念ながら多くの候補者は、在留期間中に合格できずに帰国をしております。
 この件に関しましては、平成二十四年の第一回定例会の都議会公明党の代表質問におきまして、EPAに基づく看護師、介護福祉士候補者に対して、東京都として先進的な支援を行うべきという質問に対しまして、合格率の推移や規制緩和の状況などを踏まえながら、都として先駆的な取り組みも検討していくとの答弁をいただいております。
 そして、都は、平成二十四年度から、アジアからの看護師、介護福祉士候補者への支援事業を開始しました。このEPAに基づく外国人看護師及び介護福祉士の受け入れ事業は、単なる看護、介護分野の労働力不足への対応として行うのではなくて、相手国からの強い要望に基づき、経済活動の連携強化の観点から、日本において一人でも多くの看護師、介護福祉士として就労させることが本来の目的であると考えます。
 そこでまず、EPAに基づき来日する候補者はどのような方なのか、伺います。

○池田政策部長 EPAに基づき来日する候補者についてでございますけれども、我が国では、インドネシア及びフィリピン両国との経済連携協定に基づき、インドネシアは平成二十年度から、フィリピンにつきましては平成二十一年度から、看護師及び介護福祉士候補者の受け入れを実施しているところでございます。
 看護師候補者につきましては、母国における看護師資格を有する者で、インドネシアは二年、フィリピンは三年の実務経験が必要とされております。また、介護福祉士候補者につきましては、母国における大学などを卒業し、かつ、政府の介護士認定を受けていること、もしくは看護学校などを卒業していることが要件となってございます。

○加藤委員 今、答弁がありましたように、このEPAの候補者は、母国における資格等を取得し、一定の技量を有する方々、優秀だというふうに思うんですけれども、この日本の看護師あるいは介護福祉士として就労しようという意欲ある人たちであります。
 しかし、現実には、先ほどもいいましたように、短期間に日本語に習熟することが困難なことや、医療福祉の専門用語の微妙なニュアンス、そして出身国との医療、福祉概念の違いなどから、日本の国家試験に合格していくためにはさまざまな困難があるのも事実です。こうしたEPA候補者に有効な支援をしていくことが必要と考えます。
 そこで、東京都はどのような支援をしてきたのか伺います。

○池田政策部長 国では、まずEPA候補者に対して、来日前及び来日後に合計一年間の日本語研修を実施してございます。そのうち、国家試験受験に向け全国の施設で就労研修中の看護師候補者に対しては年五回、介護福祉士候補者に対しては年四回の集合研修をそれぞれ実施しておりますけれども、実施回数が限られていることから、国家試験合格に向けた試験対策として十分なものとなっていない状況にございます。
 そのため、東京都では平成二十四年度から、看護師候補者及び介護福祉士候補者に対しまして、専門用語の解説などを取り入れた日本語教育や、国家試験科目を体系的に学習することのできる国家試験対策講義の二つの支援プログラムを立ち上げ、毎月約二回、継続的に実施しているところでございます。さらに、この講義は必要に応じて候補者のレベルに応じたクラス編成とするほか、自宅などで受講できるオンライン漢字学習支援を実施するなど、候補者の学習促進に向けたきめ細かな指導を実施しております。

○加藤委員 それぞれの現場で働いて学んでいるということも考えると、なかなか時間に行くということも難しい。そうしたこともあるので、今いった、このオンライン学習支援というのは非常に有効なことだというふうに思っております。
 こうした都の独自の支援結果として、EPA候補者の国家試験合格率、これがどのようになったのか伺います。

○池田政策部長 平成二十四年度の合格率は、看護師国家試験につきましては、全国EPA候補者の合格率九・六%に対しまして、都が支援した候補者の合格率は一八・二%でございました。また、介護福祉士国家試験につきましては、全国EPA候補者の合格率三九・八%に対し、都が支援した候補者の合格率は五一・四%となっております。全国のEPA候補者よりも、都が支援したEPA候補者の合格率が高い状況にございます。
 これらの結果から、東京都の支援プログラムは着実に成果が上がっているものと認識しております。

○加藤委員 都の支援によりまして、全国のEPA候補者よりも都が支援したEPA候補者の方が合格率が高いと。着実に成果が上がっているということを評価いたします。看護師については、今お話がありましたとおり、全国の候補者の倍近くとなっていることはすばらしいと思います。
 しかし、これが、日本人の看護師試験の合格率が八八・八%、介護福祉士試験の合格率が六四・四%ということを考えますと、これに比べますとEPA候補者の合格率が低いことは大きな課題だと思います。EPA候補者を、日本で看護師、介護福祉士として就労させるというEPA事業の趣旨を踏まえ、より多くの候補者を合格させる必要があると思いますが、都として今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。

○池田政策部長 ご指摘のとおり、東京都が支援したEPA候補者の合格率は、日本人看護師試験及び介護福祉士試験の合格率よりも低いという状況がございますので、今後、より一層指導の内容を充実していく必要があると認識しております。
 今後とも、アジアの将来を担う人材育成を進める観点から、国に対して引き続き受け入れ体制の充実を求めていくとともに、昨年度の国家試験の分析や、これまでの講義経験を踏まえた不得意分野の指導強化など、EPA候補者へのきめ細かな支援に取り組んでまいりたいと思っております。

○加藤委員 やはり、試験に受かるということは、不得意をいかに克服するかということがすごく大切だと思いますので、そこをしっかりときめ細かく対応してくださる、分析してくださるということは、すごく重要なことだと思っておりますので、頑張っていただきたいと思います。
 このグローバル化が進行する中で、前途ある若者を育て、広く医療機関、福祉施設で活躍してもらうことは、アジアと東京の社会経済の発展、貢献につながり、国際都市東京に求められていることだと考えます。アジアのヘッドクオーターとしての地位の確立を目指す東京として、積極的にアジアの将来を担う優秀な人材の育成に貢献していく役割があると思います。
 資格を得た外国人が、日本の現場でさらにスキルを磨いたり、また、発揮していただいたりしながら、ひいてはアジア全体の福祉の向上に貢献する体制を築いていくことが大事だというふうに考えます。これまで以上にきめ細かな対応により、より多くの優秀なアジアの人材が育成されるよう、引き続き支援をお願いして、質問を終わります。

○西沢委員 私からは、今、話もありましたアジアヘッドクオーターなどの特区の制度、それから国際戦略特区など、この特区制度について質疑をさせていただきたいと思います。
 これは、昨日も事務事業の質疑の中で大分議論になったと思いますが、あくまでも平成二十四年度の決算の審査という観点から、これまでの活動というものを中心にお伺いをしていきたいというように思います。
 まず最初に、アジアヘッドクオーター特区、この目標がどういうものなのかというのを改めて確認させていただいて、現状がどのようになっているのか、見解をお伺いいたします。

○瀬口総合特区推進部長 アジアヘッドクオーター特区では、五年間で外国企業五百社、特にアジア地域の業務統括拠点または研究開発拠点を設立する外国企業五十社を誘致することを目標といたしております。この目標達成に向け、平成二十四年度はウエブサイトや海外見本市等での情報発信を行うとともに、特区進出に関心を持つ外国企業にワンストップでさまざまな支援を行う、ビジネスコンシェルジュ東京の開設等を行っております。また、今年度からは、戦略的に誘致対象とする外国企業を絞り込み、これらの企業に対し東京進出を働きかける、外国企業発掘、誘致事業を開始しております。

○西沢委員 それでは、外国企業の誘致数などの個別の目標がございましたが、この後、成果、それから件数など具体的な数字も含めてお伺いをしたいと思います。
 特に、ビジネスコンシェルジュという、今、答弁がございましたが、ホームページなどを見ておりますけれども、こうした相談というものがつくりっ放しになっていたりするケースというのはよくある話なんですけれども、こうした件数がどうなっているかも含めて答弁をお願いいたしたいと思います。

○瀬口総合特区推進部長 今年度は、業務統括拠点または研究開発拠点となる外国企業十社の誘致を目指し、積極的な誘致活動を実施しているところでございます。
 その結果、七月に、研究開発拠点を設立する外国企業の初誘致案件が決定したほか、現在、複数社が拠点設立に向けた具体的な検討を行っております。また、昨年十月に開設いたしましたビジネスコンシェルジュ東京の相談対応実績は、昨年度は十月からの半年間で九十社、今年度は半年間で新規に百四十六社と増加傾向にあります。
 特区制度を活用した規制緩和といたしましても、都が認定する外国企業で働く外国人については、入国にかかる事務の簡素化や手続の迅速化が実現できることになるなど、一定の進展を見ております。

○西沢委員 成果が大分あらわれてきているという話がございました。私が今お話ししたビジネスコンシェルジュ東京というホームページがすごくわかりやすく書いてありましたが、では相談件数がどれくらいあるのかという話で、半年間で九十社、ことしの半年でも新規に百四十六社ということですから、大分これはふえてきているということがわかります。大分これは活用されてきているんじゃないのかなと思いますから、今後、その中身についてもきちんと対応していかなければいけないと思います、相談件数だけふやすということでは当然ありませんから。
 そうした中で、七月に、開発拠点を設立する企業の誘致が既に決まったと報道がございました。これは、既に出ているものですけれども、合弁会社として日本企業と一緒にやるような、太陽光の発電システムの施工会社というようなことであります。成果が出てきているということ、さらに複数の案件が既に動いているという話でありますから、この目標は達成していけるのかなというような認識を持ちますが、引き続き、これは続けて、油断をしないで進めていただきたいと思います。
 それで、このアジアヘッドクオーター特区の今後の目標や国家戦略特区というものが、今回、バージョンアップをして提案されているところでございますが、この見通しについてお伺いをいたします。

○瀬口総合特区推進部長 アジアヘッドクオーター特区におきましては、引き続き外国企業の誘致に積極的に取り組むとともに、必要な規制緩和や税制措置など制度の見直しを国に求め、ビジネス環境や生活環境の充実を図っていく必要があると考えております。
 一方、現行の総合特区制度は、その運用において、規制緩和の実現に時間がかかり、税制措置の適用要件が誘致企業の実情に合わないなど、外国企業誘致を進める上で制度活用の限界があることから、国家戦略特区によるアジアヘッドクオーター特区のバージョンアップを提案しているところでございます。
 国家戦略特区につきましては、現在、国において今臨時国会に関連法案を提出すべく検討が進められているところでございまして、都としても引き続き、制度全体の枠組みを含め、国に働きかけてまいります。

○西沢委員 今回の国の動きに合わせて、緊急提言なども行って働きかけていくという話でございましたが、東京都が、そうした意味では一枚岩になってやっていかなければいけないと思います。
 この特区の指定というものについては、知事本局が音頭をとっているというように思いますが、都市開発などについては、当然、都市整備局が絡んできますし、産業振興などについては産業労働局などが関係をしていると思います。一昨年、総合特区法案が衆議院を通過する直前での質疑の中においては、知事本局さん、特に緊急整備地域の総合特区法案と、それから都市再生の緊急整備の地域の特区などについては、私の感覚からすると、どうしても縦割り的な印象を受けたことがあります。
 というのは、ソフト面の総合特区と、それからハード面の都市整備の都市開発というところについて、どうしても部局が合わない。こちらに聞いても、わかりません、そっちの方です、こちらの方に聞いたら、違うところですというような、典型的ないわゆる縦割り行政というような印象がありますから、こうしたものはやはり解消しなければいけないと思います。
 もともと知事本局というのは、そういった横串を刺すような部局だと思いますから、そうした都庁内部の意思統一などの工夫というものはどういうふうにされているのか、お伺いをいたします。

○瀬口総合特区推進部長 特区制度を活用して外国企業の誘致を進めるに際しましては、国への規制緩和の提案や都独自の取り組みの検討などに当たりまして、庁内関連部局との連携が不可欠でございます。
 このため、総合特区地域の指定を受けて、知事本局に専管の事務局を設置し、国との協議の一元的な窓口となるとともに、個別の検討課題につきましては、所管部局と知事本局が連携して取り組みを進めているところでございます。

○西沢委員 この縦割り行政について、今はないんだというような話でございました。特に、知事本局に専管の事務局を設置して、所管部局と連携していますよという話でございました。
 ただ、これは前もいわれたことがあるんですね、同じように。前も、所管部局とちゃんと連携します、窓口になってという話がありますから、今後、いろんな事業に携わっていたりとか、分かれていたりするところは当然にあると思いますけれども、特に、今回、国際競争力を高めていこうという話でもある中で、庁内でそういった意思統一ができないことが大きく起因してしまっては本当にいけないと思いますから、今後、私も質疑をこれから重ねていくに当たって、そうしたことがないように、改めてお願いをさせていただきたいというように思います。
 そして、このことで、改めて海外の資本を呼び込むということですが、これは結構なことだと思います。逆に、日本企業の中で、日本企業に悪影響が出てしまうのではないかという懸念が少なからずあるのも事実でございます。日本と一緒に合弁企業としてやる会社にとっては、いい影響は当然出ようかと思いますけれども、外国資本の企業に優遇措置をすると、もともとやっていた日本企業、私たちはどうなんだという声があったり、また、感情的にそうした都民の声があるのも、私もうなずけるところではありますが、少なくとも税収がふえていくんですよといった変化であったり、それから経済効果など、こうしたものを算出して公開することで、ある程度説明ができていくんじゃないかと思いますが、その辺がどのようになっているのか、見解をお伺いいたします。

○瀬口総合特区推進部長 総合特区制度のもとにおきましては、地域として考える国際競争力強化のための取り組み及びその経済効果の提示を国から求められたところでございます。
 このため、都として、外国企業五百社誘致という目標が達成された場合の経済効果として、全国で約二・三兆円の生産誘発効果を算出いたしております。

○西沢委員 二・三兆円の経済効果がありますよというようなことであります。これは、協議会の方で出されている資料でもございますが、二兆三千五百三十六億円ということでございますが、試算の内訳について、雇用が、都内とそれ以外も含めれば八万二千人以上出ますよということでございます。こうした効果については、直接効果という表現を使っておられますが、オリンピックのときの効果費用に比べると、少し説明が薄いような気がするんです。
 というのも、もう少し具体的に、こういう効果があります、もしくは、税収のことについて話がありましたが、法人税だと減税をしたりとか優遇措置をするということは、その分、東京都に入っていくものではなかったりしますから、その辺が本当に、じゃ、税収がふえていくのか、そうしたところの説明なども、もう少し厚くしてもいいんじゃないのかなと思うわけであります。特に、これは国から求められていたものに対して出しましたよというようなものでしょうから、感情的に、反対ではないですけれども、おかしいんじゃないかという方に対して、もう少し説明できるものがあってもいいんじゃないかなというように思ったので、引き続き、そうした声、今はそんなに多くないと思いますけれども、そうした声があることを受けとめていただきたいというように思います。
 続いて、この特区に絡んで、カジノについてお伺いをしていきたいと思います。
 同じように国際競争力を高めていくということで、猪瀬知事もこの六月の所信表明の中で、大規模施設、大人の社交場としてのカジノなど観光施設を一体化した統合型リゾート施設の整備を検討してまいりますというように述べられました。そうした中で、やはり国がこれを認めないというような状況ではありますが、この整備推進などのカジノの導入については、国に対して知事本局、東京都は要望しております。
 意欲を持っている猪瀬知事もおりますので、これまでの取り組みと基本的な考え方を、まず最初にお伺いいたします。

○猪熊理事 カジノとホテルやエンターテインメント施設、ショッピングモールなどを一体的に整備した統合型リゾート、IRは有力な観光資源であり、東京の魅力をさらに高めるとともに、経済波及効果や雇用創出効果等が大いに期待できるものであると認識しております。
 カジノにつきましては、世界の多くの国々で合法化されておりますが、我が国では刑法の賭博及び富くじに関する罪で規制されており、これを実現するためには、何よりもまず国において法整備が必要でございます。このため、東京都では、平成十五年からカジノ実現のための法整備を国に対して提案要求してきたところでございます。
 また、本年の第二回定例会の所信表明で、先ほどお話もありましたが、知事は臨海副都心におけるIR整備について、今後検討していくことを表明いたしました。また、本年九月には、国に対する国家戦略特区の提案の中で、カジノに係る法整備と、臨海副都心をカジノ開設エリアとして指定することを盛り込んだところでございます。

○西沢委員 カジノは、国際競争力を高めるという面と、もう他国におくれてはいけないんだというようなところがあります。韓国や、マカオや、シンガポールであったり、もうほかが既に始めている中で、さらに成果も上げている中で、日本がカジノを、平成十五年からもう先駆けてこれをやるんだというところでありますが、既にそうしたところを実現している国々におくれをとってしまっているのではないかと思いますから、これは国に対して、当然ですけれども、要望を続けていくということは重要になろうかと思います。
 それで、この国に対しての要望、これはもう最後の質問ですけれども、カジノについて、超党派での国会議員で設立されました国際観光産業振興議員連盟、いわゆるIR議連などの動きでございますが、こうした議連だとかというのと東京都はどのように連携をしてきたのか、お伺いをいたします。

○猪熊理事 国においては、超党派の国会議員により平成二十二年に設立された国際観光産業振興議員連盟、いわゆるIR議連が、カジノを含むIRの実現に向けた法整備を検討しており、国会にIR推進法案を提出する動きがあると伺っております。
 都では、東京のさらなる国際競争力向上のためにはIRの整備が必要であると考え、IRの整備推進を、本年六月に行った国への提案要求の中で最重点事項として位置づけておりまして、国会議員に対して協力要請を行っているところです。

○西沢委員 こういった議連って、いつもいいところまで行くんですけれども、なぜか実現しないまま終わってしまうんですね。それは、政権がかわったり、選挙などが理由にされるんですけれども、少なくともこの議連は民主党政権のときにできて、その前からこうした動きが超党派で活動されています。
 それで、今回、政権が再び戻ってきてはおりますけれども、でも、うちの議員がちょっと少なくなっていますけれども、そうした動きがあるのは間違いありません。特に、国会議員の話を聞くと、東京都だけじゃなくて、ほかの自治体からも話が上がっていますけれども、東京都の状況はどうなっているのかといわれると、連携、つまり国会議員が直接は話ができていない状況にあるんです。東京都の職員の皆さん、頑張っていらっしゃる皆さんと、国会議員がツーカーでやれるような形が、私は望ましいんだと思うんですね。
 特に、これはやはり大都市、こうした制度といえば東京、これは間違いなく東京が手を挙げてやっていかなければいけないことになる中で、切っても切れない状況で、一自治体というよりは、これを進める中で東京はまさになくてはならないものであって、職員の皆さんがもうツーカーでやれるような形、これは議員立法としてやる話もありますから、そうしたところで連携がとれていくと、一気に進むんじゃないかなと私はすごく思うので、改めてそうした部分は、私たち都議会議員なんかもきっと協力できるところが多くあると思いますから、引き続きこうした工夫をして進めていただきたいということをお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

○田中委員 私からは、私からもというか、アジアヘッドクオーター特区についてご質問をいたします。
 みんなの党は、アジアヘッドクオーター特区推進というのを東京政策に入れておりますので、これからどんどん推進していくべきだという立場からのご質問をさせていただきます。
 二〇一一年十二月に、国際戦略総合特区の中で、東京都はアジアヘッドクオーター特区として認定をされました。東京都が提案したアジアヘッドクオーター特区は、グローバル企業のアジア業務統括拠点や研究開発拠点を東京に誘致して、日本の国内企業と誘致企業のビジネスマッチングを促進することで、アジアの中心拠点としての東京の地位の向上を目指すものだと思います。
 特区の目標として、東京都は五年間で外国企業五百社の誘致を目標にしていますけれども、この目標が達成された場合には、都内で約一兆円の生産誘発効果と、三万七千人以上の雇用誘発効果があると試算されておりますので、非常に大きな施策だと思います。まだ始まって一年半ほどですけれども、七年後には東京オリンピック・パラリンピック開催も決定した現在、ますます大きな重要施策として位置づけられなければならないのではないかと思います。
 まず、先ほどの西沢委員のご質問ともちょっと重なるところがあるんですけれども、当該年度である平成二十四年は、予算一億円ぐらいで始まりましたけれども、まずこれまでのアジアヘッドクオーター特区の施策の進捗状況と、成果、実績などをお聞きいたします。

○瀬口総合特区推進部長 平成二十四年度は、ウエブサイトや海外見本市等での情報発信や、ビジネスコンシェルジュ東京の開設などに取り組んだところでございます。今年度はそれらの成果を活用しながら、積極的に誘致活動を進めております。
 昨年六月に開設しました特区のウエブサイトのアクセス数は、日本語、英語を合わせて、平成二十四年度の約十カ月間で約二万二千件、今年度は半年間で約四万四千件と増加しております。
 また、先ほど西沢委員にもお答えいたしましたが、ビジネスコンシェルジュ東京の相談対応実績は、平成二十四年度は十月の開設から半年間で九十社、今年度は半年間で新規に百四十六社と増加傾向にございます。
 さらに、今年度から取り組んでおります業務統括拠点や研究開発拠点を設立する外国企業の発掘、誘致業務において、七月に研究開発拠点を設立する外国企業の初誘致案件が決定したところでございます。

○田中委員 ありがとうございます。
 アクセス数とか問い合わせ数もふえているということですので、これからもどんどんふやしていくようにしていただきたいと思います。
 昨年の十二月に政権が自民党にかわって、国家戦略特区が新たに創設をされました。今月十八日には、国家戦略特区の具体策も政府から発表されて、十一月に関連法案を閣議決定し、今臨時国会には提出をされる予定です。
 東京都は、現在、国家戦略特区の指定を目指していますけれども、これまでの国際戦略総合特区との違いは何か、お伺いをいたします。

○瀬口総合特区推進部長 総合特区制度は、地域が主体となって特区のエリアや取り組み内容、求める規制緩和などについて提案をし、その提案について包括的に国が採択後、具体の規制緩和措置について、国との協議を経て、地域が定めた計画に基づいて実施していくことになっております。
 一方、国家戦略特区は、地域からはあくまでアイデアを募集するだけであり、特区の対象地域、取り組み内容などは、国が独自に国家戦略として決定することを基本としておりますが、詳細につきましては、臨時国会への関連法案の提出に向けて、現在、国において検討中でございます。

○田中委員 また、先日、十月十六日には、都知事から国家戦略特区に関して緊急要望が出されていますけれども、その中にある税制、金融、財政等の特別措置というのは、具体的にどのようなものを指しているのでしょうか。
 あわせて、国家戦略特区の提案で、法人税率を二〇・二%以下とした理由もお伺いをいたします。

○瀬口総合特区推進部長 国際的なビジネス環境や、外国人にとって暮らしやすい生活環境を整備するためには、新聞等で現在報道されているような規制緩和措置だけではなく、法人実効税率の引き下げや、外国人向け医療や教育への財政支援など、税制、金融、財政等の特例措置を含めた総合的な取り組みをすることが必要であると考えております。
 都は、そうした観点から、国のアイデア募集に提案を行っており、先般も国に対し、同様の趣旨から緊急要望をしたところでございます。
 なお、二〇・二%という法人実効税率につきましては、沖縄に独自の制度としてございます特区において適用されております最大の所得控除率四〇%というものに、都税でございます法人事業税全額免除をあわせて適用することによって実現される水準でございます。

○田中委員 ありがとうございます。
 東京が、人材、企業、技術が集積する世界有数の潜在力を有する大都市であることは、もう疑いようもありませんけれども、実際には、海外企業はもとより国内大企業にも、今、日本離れが起きているのが実情です。二〇〇八年、ちょっと前になりますけれども、経済産業省が在日外資系企業に対して調査した結果によりますと、日本離れの理由としては、一、ビジネスコストの高さ、二、製品に対するユーザーの要求水準の高さ、三、人材確保の難しさ、四、日本市場の閉鎖性や特殊性、こういった四点が理由として集約をされています。
 今、アジア各国、各都市が都市間競争に勝ち抜くために、外国からの投資を積極的に取り込むための税制や規制緩和にまで踏み込んだ振興策をしている一方で、東京はビジネスを営むための障壁が非常に高く、グローバル企業からすれば拠点を置きたくなるような魅力のある都市ではないという認識に、いつの間にか変わってしまったように思います。東京が都市間競争で勝ち抜くためには、このような阻害要因をどれだけ取り除けるかが重要だと思いますけれども、こういった中で、今回、外国企業誘致に向けて、アジアヘッドクオーター特区の中で特に力を入れたい施策は何か、また、その理由もお伺いをいたします。

○瀬口総合特区推進部長 アジアヘッドクオーター特区においては、規制緩和、税制、金融、財政上の支援措置、災害に強いオフィスビルの提供など、さまざまな取り組みを総合的に実施しております。これらは、いずれも外国企業が日本でビジネスを展開しやすい環境づくりや、外国企業に従事する外国人やその家族の生活環境の整備を図る上で必要不可欠な取り組みであり、これらの施策を総合的に推進していくことが必要であると考えております。

○田中委員 こういった施策を進めていくためには、東京の外国企業の現状把握をしていくことも必要だと思いますけれども、現在、東京に立地する外国企業社数は幾つあるんでしょうか。また、そのうちアジア業務統括拠点、研究開発拠点となっている企業数はどのぐらいか、あわせてお伺いをいたします。

○瀬口総合特区推進部長 都内に立地する外国企業の状況を把握するため、東京都では独自に、平成二十四年度に外国企業に関する基礎調査を実施いたしました。この調査において、都内に立地する外資比率二〇%以上の外国企業、約三千社を対象としたアンケート調査を実施しました。
 その結果、特区内に立地する企業、六百三十七社からの回答を得ております。このうち、平成二十三年度末時点で、業務統括機能、研究開発機能を有すると回答した企業が七十三社でございました。

○田中委員 今、東京都での外国企業の取り込みというのは、本格稼働して大体半年ぐらいだと思いますけれども、最初のご答弁にあったように、この半年間で誘致実績は一社ということですけれども、まずこの実績をどう捉えていらっしゃるのでしょうか。
 また、まだ決定には至っていなくても、外国企業の相談などはあるということでしたけれども、誘致活動やビジネスコンシェルジュにおいて、相談に来る外国企業の反応はどのようなものがあるのかもお伺いします。

○瀬口総合特区推進部長 外国企業が海外に拠点を設立する意思決定を行うまでには、少なくとも数カ月から一年程度の時間を要し、かつ、海外における業務統括拠点や研究開発拠点の設立には、特に高度な経営判断が求められるといわれております。
 加えて、現行の総合特区制度は、税制の優遇措置の適用要件が非常に厳しい上、規制緩和協議に多くの時間と労力を要しており、本来、特区制度に期待されたメリットが十分活用できていない状況にあります。こうした状況のもと、七月に公表いたしました誘致案件は、外国企業のニーズに応じたきめ細かい支援を実施したことで誘致の成功に至ったものであり、都としましては、誘致企業の増加に向け、引き続き努力してまいります。
 次に、ビジネスコンシェルジュ東京に相談に来る外国企業の反応についてのご質問についてでございますが、ビジネス支援の相談の中で、税制優遇措置の適用要件の緩和などに対する意見や要望を受けることが多くございまして、都はそのような外国企業からの声をもとに、制度の改善に向けて国への提案などを行っております。

○田中委員 東京都もいろいろ、この半年間、これからもご努力をなさっていくと思いますけれども、自治体による外国企業の誘致という点では、横浜市が一九八八年からと比較的早期から取り組んでいて、そのため、外国企業誘致にかかわるノウハウが非常に豊富です。
 ご承知のように、横浜は百年前の開港以来、ほかの都市に比べて国際都市としての色彩が強く、インターナショナルスクールや外国人居住地、外国人クラブがあるなど、外国人が住みやすい都市づくりが当初から意識されています。また、東京の西側よりも羽田空港に非常に近いことから交通の便もよく、外国企業誘致の点で横浜は東京の最大のライバルといえるのではないでしょうか。
 横浜市は、一九八八年から外国企業に対するシティーセールスを始めています。また、九五年からは、インターネットのホームページ開設、そして「フォーチュン」という雑誌への資料請求できる広告掲載、アンケート等を実施するなど、これまでも積極的な活動をしていますし、また、今までの活動から得られた人脈を通した情報収集や発信、口コミによる紹介が、今、非常に大きな役割を果たすようになったということを聞いております。特に、横浜市は、誘致した外資系企業に対するアフターケアを重視しています。これは、ほかの都市では余りやられていないということですけれども、市内に立地した外資系企業に対するヒアリング、また、アンケート調査等を行って、企業の意見を収集し、適切な施策を講じるよう努めているということが非常に大きな特徴です。
 アジアヘッドクオーター特区でも、外国企業が活動しやすく、外国人が暮らしやすい環境を整えられるよう、要望に即し、適切で無駄のない施策を進めていくべきだと思いますけれども、東京都では、相談に来る外国企業や、既存の外国企業の要望や意見を反映できるアンケート調査やヒアリングなど、今まで実施しているのでしょうか。お伺いをいたします。

○瀬口総合特区推進部長 東京を外国企業にとって魅力ある都市とするためには、外国企業の要望や意見を把握することは重要であると考えております。
 そのため、特区のプロジェクトを構築する段階から、諸外国の在日商工会議所や、既に日本に進出している外国企業等との意見交換を通じ、東京のビジネス環境や生活環境についての意見や要望の把握に努めてまいりました。また、特区の取り組みを開始してからも、誘致対象となる外国企業との面談機会や、各国の在日大使館等を通じ、外国企業のさまざまなニーズの把握に努めております。

○田中委員 数年前になりますけれども、二〇〇七年に、神奈川県--これは横浜市ではなくて神奈川県ですけれども、神奈川県ではインベスト神奈川という外国企業誘致の取り組みがありますが、それに基づいた、神奈川県内で誘致した外国企業に対してヒアリングを行っています。質問項目としては、神奈川県に立地を決めた理由、また、立地に当たっての情報源、人材確保の状況、公的や民間の支援として求めるもの、こういったことが質問項目となっていますけれども、神奈川県に立地を決めた理由の多くは、アクセスがよく--これは新幹線の新横浜が非常に近いということですね。それから、羽田が近い。そして、東京より物価、賃金、家賃など立地コストが非常に安いということ。人材確保に関しては、これは要望ですけれども、日本での企業知名度が最初は低いので、英語ができて、専門的な人を探してくれる人材バンクを紹介してほしいということ。公的支援に関しては、神奈川県庁も横浜市役所も、本当に親身になって相談に応じてくれて感謝をしているという、こういったことがヒアリングから明らかになっています。
 この民間の支援というところでは、設立時にはコンサルのお世話になったという企業が非常に多いことから、今、東京都ではビジネスコンシェルジュ東京、これが行われておりますけれども、このコンサルティングサービスは非常に効果的で、評価できるといえるのではないかと思います。東京都も、これから誘致企業がふえていくと思いますけれども、アフターケアはもちろん、的確な要望や状況把握、また、今後の誘致活動に生かすためにも、継続的なアンケート調査、ヒアリング等を行うことは欠かせないと考えますので、ぜひこういったこともやっていただきたいと思います。
 ことしは、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックの開催も決定し、アジアヘッドクオーター特区の外国企業の誘致という点では、東京都には非常に追い風であると認識しています。現状の目標以上に実績を上げることも可能だと思いますけれども、今後どのような施策を進めていくのかをお伺いいたします。

○瀬口総合特区推進部長 海外からの投資促進に向けた都市間競争の中で、シンガポールや香港などのアジア諸都市は、大胆な支援措置を講じながら積極的な企業誘致活動を行っており、ビジネス拠点としての東京を取り巻く環境は厳しく、このような外部環境の中で現在掲げている目標は、極めて高い目標であると考えております。
 一方、ご指摘のように、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催決定により、東京という都市に対する関心は高まるものと期待しており、都はこうした状況を最大限生かし、目標達成に向けて努力してまいります。

○田中委員 ありがとうございます。
 国家戦略特区の指定を目指しているのは、東京だけではありません。これからは、外国企業誘致に関しては、アジアのほかの国、今おっしゃいましたようにシンガポールとか香港との競合はもちろんですけれども、これからは国内の都市間の誘致競争にもなってまいります。特に、先ほども申しましたように、国際都市として世界的に有名で、羽田にも東京にも近い横浜市は大きなライバルです。この十一月には、横浜市は早速、東京の丸ビルで市長との名刺交換もできるセミナーを開催するなど、トップセールスも含めた積極的な活動を行ってきています。
 先ほどの、二〇〇七年に行われた、神奈川県が誘致した外国企業へのヒアリングの回答の中には、東京も立地の対象として検討し、都庁にも相談に行ったが、神奈川県庁の方が対応がよかったので神奈川に決めたというお答えがありました。これは二〇〇七年のお答えですから、今そんなことはないと思いますけれども、これからアジアヘッドクオーター特区を進めていく上では、こういったことはないよう、今後、東京都も、五十社とはいわず、八十社でも百社でも誘致する意気込みで積極的に頑張っていただきたいと思います。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。

○秋田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○秋田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で知事本局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時十三分散会

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