平成二十四年度各会計決算特別委員会第三分科会速記録第三号

平成二十五年十月二十三日(水曜日)
第九委員会室
午後一時開議
出席委員 十名
委員長植木こうじ君
副委員長上野 和彦君
副委員長高橋 信博君
舟坂ちかお君
遠藤  守君
北久保眞道君
西崎 光子君
河野ゆりえ君
今村 るか君
山田 忠昭君

欠席委員 なし

出席説明員
港湾局局長多羅尾光睦君
技監前田  宏君
総務部長岡崎 義隆君
企画担当部長古谷ひろみ君
港湾経営部長笹川 文夫君
港湾経営改革担当部長藏居  淳君
臨海開発部長石原 清志君
開発調整担当部長小野 恭一君
営業担当部長山口 祐一君
港湾整備部長石山 明久君
計画調整担当部長宮地  豊君
離島港湾部長大和田 元君
島しょ・小笠原空港整備担当部長小幡 和輝君
都市整備局東京都技監都市整備局長技監兼務藤井 寛行君
次長中嶋 正宏君
技監安井 順一君
理事櫻井  務君
理事佐野 克彦君
総務部長浅川 英夫君
都市づくり政策部長永島 恵子君
住宅政策推進部長細渕 順一君
都市基盤部長西倉 鉄也君
市街地整備部長鈴木 昭利君
市街地建築部長久保田浩二君
都営住宅経営部長上野 雄一君
企画担当部長福田  至君
連絡調整担当部長黒川  亨君
景観・プロジェクト担当部長小野 幹雄君
まちづくり推進担当部長佐藤  匡君
住宅政策担当部長加藤  永君
民間住宅施策推進担当部長山崎 弘人君
地下鉄改革担当部長牧野 和宏君
航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務山下 幸俊君
防災都市づくり担当部長佐藤 伸朗君
多摩ニュータウン事業担当部長太田 誠一君
耐震化推進担当部長佐藤 千佳君
経営改革担当部長桜井 政人君
再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務小野寺弘樹君
営繕担当部長妹尾 高行君

本日の会議に付した事件
平成二十四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
港湾局関係
・平成二十四年度東京都一般会計決算(質疑)
都市整備局関係
・平成二十四年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成二十四年度東京都都営住宅等事業会計決算(質疑)
・平成二十四年度東京都都営住宅等保証金会計決算(質疑)
・平成二十四年度東京都都市開発資金会計決算(質疑)
・平成二十四年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算(質疑)

○植木委員長 ただいまから平成二十四年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別質疑を行ってまいります。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局及び都市整備局関係の決算に対する質疑を行います。
 これより港湾局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十四年度東京都一般会計決算中、港湾局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○岡崎総務部長 十月十六日開催の当分科会でご要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の平成二十四年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらん願います。
 要求のございました資料は、表紙をおめくりいただきまして、目次に記載の五項目でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。東京港における耐震強化岸壁の整備状況でございます。
 二つの区分に分けておりまして、一つは、緊急物資の輸送に対応した施設、これは下の注2に記載しましたとおり、大規模地震発生時に緊急救援物資等の輸送を行うための岸壁でございます。それと二つ目は、国際海上コンテナ輸送に対応した施設ということで、これは注3に記載しましたとおり、大規模地震発生時においても首都圏の経済活動を停滞させないよう、物流機能を維持するための岸壁ですが、これらの区分で分けまして、おのおのの全体計画、整備状況を示したものでございます。
 二ページをお開き願います。平成二十四年の世界主要港と国内主要港のコンテナ貨物取扱量でございます。
 コンテナ貨物取扱量の多い順に、世界主要港と国内主要港の順位、港名、取扱量を万TEU単位でお示ししてございます。TEUとは、注1に記載いたしましたとおり、二十フィートコンテナに換算した個数のことでございます。
 三ページをお開き願います。東京港における主要取扱貨物の輸出、輸入別の推移でございます。
 主要取扱貨物について、平成十五年から二十四年までの各年における取扱量が多い順に、五つの品種を輸出、輸入別に千トン単位でお示ししてございます。
 次のページ、四ページをお開き願います。平成二十四年度決算での港湾整備費におけるふ頭の新規整備の事業費でございます。
 港湾整備費を、ふ頭の新規整備分とその他に区分し、百万円単位でお示ししたものでございます。
 五ページをお開き願います。島しょ等港湾整備費における翌年度繰越額及び不用額の推移でございます。
 平成十五年度から二十四年度までの十年間の予算現額、支出済額と、それが予算現額に占める率、翌年度繰越額及び不用額につきまして、百万円単位で記載してございます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○植木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山田委員 それでは、まず初めに、質問に入る前に、先般の台風二十六号により亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 また、このたび決算の質疑に当たりまして、当局の皆様方にお願いをいたしまして、現地の視察をさせていただきました。その際、大変丁寧にご対応していただき、ご説明いただきましたことを心からお礼を申し上げたいと思います。
 それでは、質問に入らせていただきます。大項目、二項目について質問をさせていただきます。
 一つは、東京港利用促進コンテナ貨物補助についてであります。
 平成二十四年度一般会計決算説明書には、三港連携事業の実施として約二億一千二百万円の支出が計上されております。この中には、東京港の利用を促進するための東京港利用促進コンテナ貨物補助が含まれていると聞いております。これは、第一回定例会の経済・港湾委員会におきましても、我が党からこの貨物集荷補助について質問を行ったところであります。
 東京港につきましては、まさに首都圏四千万人の生活と産業を支える重要な物流機能を担っている拠点であり、住民生活の安定や産業の活性化のために必要不可欠なインフラであります。
 しかしながら、近年、アジア諸港の躍進が目覚ましく、日本の港湾の相対的地位の低下が進んでおります。このような状況は東京港も例外ではなく、万が一、東京港がアメリカやヨーロッパから主要な輸出、輸入品を輸送する国際基幹航路から外れた場合、輸送日数の増加、あるいは物流コストの増大により物価の上昇、このようなことによって、住民生活への悪影響が懸念されるところであります。
 以上のことから、我が党が以前から主張しているところでありますけれども、東京港が港の振興を図り、国際貿易港としての地位を堅持していくためのポイントはどういうことなのか、まず基本的なことについてお伺いをいたしたいと思います。

○藏居港湾経営改革担当部長 東京港が首都圏四千万人の生活と産業を支える重要な物流拠点としての機能を果たすための重要なポイントは、欧米と日本を結ぶ国際基幹航路を維持することでございます。
 基幹航路は国際物流の大動脈であり、国内の荷主にとっては、基幹航路を利用して海外と直接輸出入することができれば、海外の港での積みかえが発生しないため、輸送日数の面でもコストの面でも大きなメリットがございます。
 しかし、近年、国際基幹航路を運航する船会社は、物流効率化を図るため船舶の大型化を進めており、より一層輸送コストを削減し、輸送日数を短縮するため、貨物量の多い港を選んで寄港する傾向を強めております。その結果、上海や釜山港などアジアの他港が急激に取扱貨物量を増加させている中で、相対的に貨物量の少ない日本と欧米を結ぶ基幹航路は減少しております。
 こうしたことから、東京港は、より多くのコンテナ貨物を集める貨物集荷活動により、大型コンテナ船の寄港を促進し、国際基幹航路を維持する必要がございます。

○山田委員 今ご説明いただきましたけれども、国際基幹航路のシェアは、世界の工場ともいわれる中国を発着する貨物が増大をし、日本を発着する国際基幹航路のシェアは相対的に低下をしている状況にあるということであります。
 このまま大型コンテナ船が日本を素通りしてしまうようなことになってしまっては、日本の港は、アジアの港の支線と化してしまいます。海外の主要港での積みかえの発生などによる物流コストの増大を招き、せっかく軌道に乗ろうとしております政府の成長戦略にとっても痛手となりかねないと思います。
 これを阻止するためのコンテナ貨物集荷策の一環として、船会社に対してコンテナ貨物補助を実施することは、国際基幹航路を維持し、日本の産業を活性化する上で極めて有効な取り組みと考えるものであります。
 そこで、東京港の産業振興策として取り組んでおられますコンテナ貨物補助の意義、そして開始時期、概要、実績についてお伺いをいたします。

○藏居港湾経営改革担当部長 コンテナ貨物補助は、東京港の振興策の一つとして、貨物の増加に直接補助することにより、東京港と海外とを結ぶ国際航路を運航する船会社の東京港への貨物集荷意欲を向上させるため、実施しているものでございます。この補助を呼び水として、主に東日本を中心とする地域からの貨物の集中を図るものであります。
 平成二十三年十二月に開始し、平成二十四年度も引き続き実施している制度であり、二十四年度は、船会社十五社に補助を実施し、制度全体の実績は約一億八千六百万円でございます。
 制度の基本は、東日本太平洋側の港湾を利用して輸出入される貨物について、東京港経由の場合と、ライバルでございます釜山港などを経由する場合のコスト差を、官民連携して縮減するための一環として、船会社の東京港におけるコンテナ貨物取扱増加分に対して、四十フィートコンテナ貨物一本当たり五千円を補助することでございます。
 また、一社当たりの補助上限を原則として八百万円と設定しておりますが、船会社の集荷意欲を高めるため、上限を超えても、その増加比率に応じて補助を上乗せする制度としてございます。
 補助対象であります船会社十五社の平成二十四年度のコンテナ取扱本数は、前年度比約六万四千本の増加となりまして、約百二十二万本、約五%の増加となっております。

○山田委員 今ご説明いただきましたけれども、貨物集荷補助制度については、平成二十三年度から開始した制度であるにもかかわりませず、二年目としての平成二十四年度におきましては、その補助対象の船会社十五社のコンテナは五%の増加があり、その要因として、貨物集荷補助により船会社の集荷意欲を高めているということはわかりました。
 こうした取り組みが、十五年連続で日本一を誇る東京港のコンテナ取扱量を積み上げる上での一助となったものと考えるものでありますが、この事業の初年度となる平成二十三年度の貨物集荷補助制度について、利用者であります船会社からどのような意見を聞いていらっしゃるか、あるいはどのような評価があるのか、評価されているのか、その点についてお伺いいたしたいと思います。

○藏居港湾経営改革担当部長 船会社からは、本補助制度を有効に活用して、荷主向けの値下げキャンペーンを実施するなど、東京港における貨物量の増加や寄港数の増加を図るための後押しとなっているとの好意的な評価をいただいております。
 その一方で、輸出入コンテナ貨物の増加量全体に満遍なく補助するだけではなく、船会社が国内輸送船を利用して貨物集荷する場合には手厚く支援するなど、さらにきめ細かく制度を運用した方が、より効果的な貨物集荷につながるのではないかとの意見もいただいております。

○山田委員 都が利用者ヒアリングを行い、現場の声を反映するということに努めていることについては、よくわかりました。
 こうした利用促進策は、ただ毎年同じ制度を続けるよりも、やはりそういう利用者の声を聞いて、実績を評価しながら、そして制度の手直しに努めていくということは大切なことだと思います。
 先ほど、事業者から集荷効果の高い特定航路の貨物集荷を促進すべきではないかとの要望があることを伺ったわけでありますが、平成二十四年度につきましては、そうした利用者の声を反映して何か制度の改善といいますか、そういうことを図ったのかどうかお聞かせいただきたいと思います。

○藏居港湾経営改革担当部長 平成二十四年度の制度改正点として、従来から実施している国際航路の補助に加えまして、国内輸送船によるコンテナ取扱本数増加分に対して別途補助を実施することとしております。これは、船会社が海外との輸出入を行う際には、東京港を中継点とする国内輸送船によります東日本の港からの輸送を行っていることが多くございますが、こうした船会社の活動は、東京港が東日本からの広域的な貨物集荷を図る上で効果が高いためであります。
 具体的には、本補助制度の対象となる船会社が、東北地方の拠点港であります八戸港または仙台塩釜港と東京港との間で国内輸送船を利用する場合には、取扱本数増加分に対しまして、別途五千円を補助するよう制度を手直ししたものでございます。

○山田委員 都が、本補助制度をより効果的なものにするために、制度の改善に努めていることについてはわかりました。
 しかしながら、補助制度により、一旦貨物がふえたといたしましても、制度の終了と同時に、もとの取扱量に戻ってしまっては、十分な効果は上がらないのではないかと心配する声もございます。
 こういう補助制度の実施によって、やっぱりその目的というのが大事だと思いますし、その目的、どういう点を目標点としているのか、考えているのか、今後の見通しについてお伺いいたしたいと思います。

○藏居港湾経営改革担当部長 この制度の目的は、この補助を呼び水としまして、東京港への集荷を促進し、貨物の集中によるスケールメリットを発揮することで、コンテナ貨物一個当たりの取扱コストを下げ、国内外の他港と比較したコスト面での優位を確保することでございます。
 したがって、本補助制度はこの仕組みを効果的に運用することで、最終的には補助がなくとも東京港に貨物が集中する流れをつくり出すことを目的として実施しているものでございます。

○山田委員 都の狙いとして、この補助制度を呼び水として、東京港への貨物集荷を集中的に進めることであることはよくわかりました。
 また、この補助制度を活用して、より多くの貨物を集めるためにも、しっかりとした着眼点を持って効果的に制度を運用する必要があると考えるものであります。
 それでは、先ほどご説明ございましたけれども、東北地方の港湾から八戸港と仙台塩釜港の二つの拠点港を選んで制度を変更したということでありますが、その狙いは何かをお聞かせいただきたいと思います。

○藏居港湾経営改革担当部長 東北地方の拠点港であります八戸港と仙台塩釜港の背後には、有力な製造業が多く立地しておりまして、東京港はこれまでも、平成二十一年六月には八戸港と、平成二十三年一月には仙台塩釜港との連携協定を締結し、東北地方太平洋側の貨物集荷に取り組んできました。
 平成二十四年の統計では、八戸港のコンテナ貨物取扱本数は、四十フィートコンテナに換算しまして約一万三千本でありますが、そのうち、東京港との国内輸送船による輸送貨物量は約六百本、五%であり、仙台塩釜港の場合は、コンテナ貨物取扱本数六万一千本のうち約一万八千本と、約三〇%であります。
 国内各地と東京港との国内輸送船の利用割合は十分高いとはいえませんが、東北地方には、釜山港など韓国、中国の港を経由して海外への輸出入を行っている荷主がまだ多数ございます。船会社からのヒアリングによりますれば、東京港を経由する輸出入は、韓国、中国の港湾に比べ、輸送日数では優位に立つものの、いまだコスト面では割高な状況になっているケースが多い状況でございます。
 しかし、この補助制度によりまして五千円のコスト差を補えば、もう一押しで東京港に利用転換する可能性が高いため、この地域を重点エリアとして東京港の利用促進を図ってまいります。

○山田委員 東京港として、国内貨物の輸出入の中継点としての機能を果たすために、東北地方の荷主の貨物を積極的に取り込もうとしていることが、こうした荷主が東京港に利用転換するためには、一層の努力が必要ということがよくわかりました。
 制度変更の狙いはよくわかりましたけれども、新しい制度の実績がどうであったのか、どのようになったのかについてお尋ねしたいと思います。

○藏居港湾経営改革担当部長 補助対象船会社は五社、実績額は約二千七百万円でございます。平成二十四年度実績では、八戸港及び仙台塩釜港と東京港とを結ぶ国内輸送船によるコンテナ貨物は、四十フィートコンテナに換算しまして約一万八千本であり、平成二十三年度のコンテナ輸送実績である一万五千本に比較しまして、全体では三千本増加しております。
 船会社からは、東北地方の貨物を国内輸送船で東京港に集荷するに当たり、この補助が役立ったとの声を聞いております。制度変更は、さらに広域的な貨物集荷に効果があったものと考えております。

○山田委員 東北地方には、確かに多数の製造業が立地をし、日本経済の成長を牽引する上で重要なエリアであると思います。こうした東北地方の荷主を初めとする東日本の荷主にとって、輸送日数の短縮を図る、あるいはコスト面でも低廉な国際基幹航路を利用できることは、今後の事業拡大を考える上で極めて重要であると考えます。
 その点から考えてみましても、海外の主要港と充実した国際海上輸送ネットワークで結ばれている東京港が、東北地方の主要港であります八戸港あるいは仙台塩釜港とのきずなをより強く深めることは、これから大変大事な主要なことだと思います。
 また、平成二十三年の三月に発生しました東日本大震災では、東北地方の多くの荷主の方々が被災をいたしました。私もたびたび被災地を視察いたしてまいりましたけれども、こうした取り組みはこれから、被災をした荷主の復興にも大きく寄与すると考えるところであります。
 その意味でも、東京港への貨物集荷を進めるべきと考えますけれども、こうした船会社への貨物補助に加えて、荷主に直接訪問して、東京港の利便性をアピールするということも大変重要なことではないかと思います。
 以上を踏まえまして、平成二十五年度の制度改善点や、あるいは荷主への営業活動を含めて、今後の貨物集荷の取り組みについてお伺いいたしたいと思います。

○藏居港湾経営改革担当部長 平成二十五年度のコンテナ貨物集荷補助は、平成二十四年度に改善した広域貨物集荷の取り組みをさらに見直し、従来、八戸港及び仙台塩釜港と東京港間のみだった国内輸送船による輸送への補助を全ての国内港に広げ、国内輸送船による輸送の活性化を図っております。
 また、東京港埠頭株式会社と都が連携して、荷主への直接訪問など営業活動も強化しております。営業活動を行った荷主企業は、輸出企業を中心に平成二十三年度以降の累計で二百七十社を超えており、こうした営業活動の成果として、宮城県に輸送先を有する精密機械などを取り扱う荷主が、東京港と仙台塩釜港の間の国内輸送船による輸送を新たに開始いたしました。
 また、国内輸送船を運航する複数の船会社が船舶の大型化の取り組みを進めており、国内輸送船の輸送活性化への機運は高まっております。
 今後も、コンテナ貨物補助制度を有効に活用しながら、東北地方内陸部に拠点を有する企業など、釜山港から東京港に転換する可能性のある荷主をターゲットとして営業活動を強化してまいります。こうした取り組みを通じまして、我が国の輸出入産業の競争力を維持する上で重要な欧米と日本を結びます国際基幹航路の維持強化に取り組んでまいります。

○山田委員 都が東京港を利用する利用者ニーズを把握し、それに基づいて貨物補助制度の改善に努めていることはよくわかりました。
 一方で、民間企業の経済活動に公的機関が直接補助をするという難しさもあります。制度の設計は、さまざまな面を考慮して、常に効果的なものであり続けるよう努めなければならないと思います。
 この貨物集荷補助は、現状では非常に的を射たものとなっておりますが、今後も荷主の動向や物流ニーズを常に把握することが大切であると考えます。こうした活動を通して、新たな利用者の獲得に努め、東京港に貨物を集中する流れをつくり、首都圏の物流にとって重要な役割を担う東京港のさらなる振興を図っていくことを切望するものであります。
 これでコンテナ貨物についての質疑は終わりますが、次に、東京港における地震、津波、高潮対策についてお尋ねをいたします。
 東京の沿岸部には、広範囲に地盤の低い地域が広がっております。港湾局の資料、東京港の防災事業では、我が国に甚大な被害をもたらした昭和三十四年の伊勢湾台風による高潮の高さより低い場所は二十三区の約四割、満潮面以下、いわゆるゼロメートル地帯は約二割の面積に及ぶとされております。
 現在は、防潮堤や水門で守られておりますが、大規模地震等で防潮堤が崩れた場合、こうした地域が浸水をし、インフラの寸断等により都市機能が麻痺をして、首都東京全体が甚大な被害を受けることは必須であります。このため、東京の沿岸部を水害から守る東京港の防災対策は極めて重要であると考えます。
 我が党は、平成二十五年第三回定例都議会で、より確実に地震、津波、高潮対策を実施して、高度な防災都市を実現し、東京の安全性を世界に示していかなければならないと訴えたところであります。
 そこで、お伺いいたしますけれども、災害に対して強い都市をつくる上で、水門や防潮堤等の整備推進は重要と考えますけれども、東日本大震災を踏まえ、どのような取り組みを行ったのかをお伺いいたします。

○石山港湾整備部長 東日本大震災を踏まえ、東京都防災会議が平成二十四年四月に東京の被害想定を見直しました。この新たな被害想定では、対象地震の規模が従前より大きくなり、最大震度七の地域が出るとともに、震度六強の地域が大幅に拡大いたしました。
 こうした最新の知見を踏まえ、最大級の地震が発生した場合でも津波による浸水を防ぐよう、海岸保全施設の耐震性強化などを図ることとし、これまでの整備計画を見直し、昨年十二月に、今後十年間を計画期間とする東京港海岸保全施設整備計画を策定いたしました。

○山田委員 海岸保全施設整備計画を策定したということでありますけれども、この十年間の新たな整備計画について、施設整備の内容と全体事業費についてお聞かせいただきたいと思います。

○石山港湾整備部長 新たな整備計画では、防潮堤約十七キロメートル、内部護岸約二十六キロメートル及び水門、排水機場十四施設の耐震対策や、高潮対策センターの二拠点化などの事業を実施してまいります。
 十年間の概算総事業費は約千五百億円を見込んでおります。

○山田委員 将来発生する可能性があります最大級の地震に備えて、新たな整備計画を策定したことは、一定の評価をいたしたいと思います。今後は、この計画に基づき、しっかりと実施をしていただくことが重要であると考えます。
 そこで、まず初めに、平成二十四年度に取り組んだ具体的な実施内容とその事業費についてお尋ねをいたします。

○石山港湾整備部長 平成二十四年度については、水門の遠隔操作を行う高潮対策センターを二拠点化するため、センターの建設に必要な調査、設計、二拠点化に対応するためのシステムの設計を実施いたしました。また、防潮堤整備では中央地区の晴海四丁目など、また、内部護岸整備では江東地区の平久運河など複数の箇所で工事を実施いたしました。
 さらに、中央地区の浜崎水門、港地区の古川水門では、水門の電気機械設備が浸水によりその機能を失わないよう耐水対策を実施いたしました。昨年度は、これらを含め海岸保全施設建設事業として約八十二億円の事業を実施したところでございます。

○山田委員 先ほどご答弁いただいた中で、十年間で約千五百億円の事業を実施する見込みであるということでございましたけれども、昨年度の決算額は、今ご説明されたように約八十二億円であります。もっと早急に事業を推進していく必要があるのではないかと思いますがいかがでしょうか。

○石山港湾整備部長 平成二十四年度の事業費は約八十二億円でしたが、今年度は、新たな整備計画に基づき事業を推進していくため、前年度比一・五倍の約百二十四億円の予算を確保いたしました。今後とも、必要な予算を確保し、着実に事業を推進してまいります。
 また、整備の本格化により増大する工事を効率的に執行していく必要もございます。そのための工夫として、例えば柔軟な発注が可能となる債務負担行為について、工事だけでなく設計についても取り入れ、通年で業務ができるようにすることなどにより工期短縮を図り、着実に事業を進めてまいります。

○山田委員 都は、これまでも高度防災都市を目指すとしてきておりますけれども、その中の重要な施策の一つとして、東京港の防災対策が着実に進められていることがわかりました。
 こうした中で、先般、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定をいたしました。オリンピック開催までには、地震、津波、高潮対策を強力に推進し、東京が安全であることを世界に示していかなければならないと思います。そのために、オリンピック・パラリンピック開催までにどのように施設整備を進めていくのかをお尋ねいたしたいと思います。

○石山港湾整備部長 東京を津波、高潮から守るためには、沿岸部の第一線で防護する防潮堤や水門の対策を行う必要がございます。これらの海岸保全施設を整備することにより、広域的に広がる低地帯への海水の浸入を防ぎ、その地域に暮らす人々や首都東京の中枢機能を守ることができることになります。
 このため、二〇二〇年までには、最大級の地震にも対応できるよう防潮堤及び水門の耐震対策等を実施し、沿岸部の防潮ラインの連続性を確保し、安全性を高めてまいります。また、水門の遠隔操作のバックアップ機能を強化するため、高潮対策センターについては二拠点化を図り、二〇一五年度に稼働する予定でございます。

○山田委員 答弁にもありましたけれども、東京の沿岸部を水害から守る対策は、低地帯に暮らす人々、あるいは首都東京の中枢機能を守るという非常に重要な取り組みであります。東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機として、従来にも増して一層強力に推進していかなければならないと考えるところであります。
 そこで、最後に、今後の東京港の地震、津波、高潮対策について、局長の所見をお聞かせいただきたいと思います。

○多羅尾港湾局長 一般的には余り意識されていないことかもしれませんけれども、東京という都市が面している海岸線というのは、その出入りが大変複雑で、大変長いものになっております。総延長は約二百キロメートルにも及びます。東京という都市は、津波、高潮に十分な警戒を要する大都市でございます。
 ただ、東京港では、戦前から高潮対策に取り組んでおりまして、昭和二十四年のキティ台風以降は、東京港において大きな高潮による被害は発生しておりません。また、今日まで首都直下型地震等に備えて水門等の耐震性の確保を図ってきたところでございます。
 しかしながら、今般の東日本大震災後、これまで想定をしていなかった大規模地震発生の可能性が指摘され、その対策が急務となっております。万が一、東京沿岸部が津波、高潮によって浸水した場合には、生活をしている約三百万人の都民の方々の生命と財産が危険にさらされることはもとより、非常に高度に業務機能が集積している地域でございますので、東京、ひいては日本全体の経済活動等にも大きな支障を及ぼすおそれがございます。
 また、二〇二〇年には東京五輪が開催され、今後世界からますます多くの方たちが東京を訪れるということになると思いますが、とりわけ、自然条件から地震の少ない地域からいらっしゃる方々は、東京での地震や津波に対する不安が大変強いとも聞いております。
 港湾局といたしましては、新たに策定した東京港海岸保全施設整備計画により、地震、津波、高潮対策をさらに強化し、東京の防災力の一層の充実を図り、東京を世界に誇れる安全な都市とすることに尽力してまいりたいと思っております。

○山田委員 日本経済に回復の兆しが見えつつある中、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定いたしたところであります。こうしたチャンスを生かして、我が党の、東京を世界で一番の都市にという政策を着実かつ速やかに実現することが、私は肝要であると考えております。
 快適、安全・安心の東京をつくるためには、何よりもまず、災害に強い安全な東京を実現していかなければならないと思います。日本は地震大国といわれ、これまでも歴史的体験を教訓として災害対応力を強化してまいりましたけれども、こうした取り組みを継続、発展をさせていくことが重要であると考えます。
 東京港の地震、津波、高潮対策の取り組みについて、本日は先ほど確認をさせていただきましたけれども、東京港における防災力の強化は、首都東京を高度な防災都市とすることに直結する取り組みであり、しっかりとした対策を推進し、万全を期してほしいと願うところであります。
 以上申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

○上野委員 私からは、いろんな港湾局さんの施設がございますけれども、そうした中での維持管理を中心に質問してまいりたいと思っております。
 高度経済成長期、東京オリンピックが昭和三十九年にありましたけれども、そうしたときに集中的に社会資本のストック、特に東京におきましても整備が進んでまいりました。港湾局におきましても、恐らくその当時からもすさまじい勢いで整備が進んでいったと思います。そうした中で、五十年という年数が来たわけでございますけれども、老朽化ということが非常に重要な課題になっているわけでございます。
 そうした中で、私たち公明党は、防災・減災ニューディール政策というものを訴えてまいりました。とにかく施設そのものが莫大に多いものですから、これを更新していこうというと、もう非常に費用がかかってしようがない。少しでも延命をしながら、そしてコストも下げながら、しっかりとこれからのいろんな災害にも備えていけるような、そうした施設整備をしていこうじゃないかという中での防災・減災ニューディール政策というのを訴えてきたわけでございます。戦略的な維持管理、更新を行う課題というのが非常に大事になったわけでございます。
 この状況というのは、世界屈指のコンテナふ頭を備えた一大物流拠点として重要な機能を担っている東京港も全く同様でございます。主力となっている大井コンテナふ頭は、既に供用後四十年程度を経過していると、このように聞いております。東京港においても、こうした供用年数を経た施設が増加して、維持管理費の増加が見込まれている中で、今後も引き続き発展していくためには、老朽化が進む港湾施設を適切に維持管理、更新し、長く有効活用していくことが極めて重要であるわけでございます。
 そのため、東京港では、従来型の対症療法型維持管理から、予防保全型維持管理へと転換していると聞いておりますので、東京港の予防保全型維持管理について何点か質問してまいりたいと思います。
 まず初めに、そもそも東京港における予防保全型維持管理とはどのような取り組みであるのか、改めて伺います。

○石山港湾整備部長 東京港における予防保全型維持管理は、港湾施設を常に点検し、適切な時期に最適な補修、補強を行うことにより、施設が経年劣化で損壊し、突然に機能を失う事態を予防することとともに、対象施設全体の健全性を高め、長寿命化とライフサイクルコストの縮減を目指すものでございます。
 具体的には、護岸などに用いている鋼材の腐食が拡大する前に防食等の対応を図ったり、桟橋床板の鉄筋コンクリートが塩害で壊れる前にコンクリートを増強するなどして、施設の弱点部分を事前に補強、補修しております。
 このような予防保全型維持管理を行うことにより、対症療法型維持管理と比較して、ライフサイクルコストは、今後五十年間で約三分の一に抑制できると試算しております。

○上野委員 老朽化に伴う施設の弱点を先見的に見つけ出して、そして前もって補修、補強をするということで施設の寿命を延ばしていくことができると。さらには、そのことによりまして、トータル的にコストを低減させることもできるというふうなことだと思います。そうした港湾局の取り組みというものに対して、私は高く評価しているところでございますので、しっかりと取り組んでもらいたいと思います。
 では、そのために具体的にどのような取り組みをしていかれるのか、お尋ねします。

○石山港湾整備部長 港湾施設の特徴は、鋼構造物の腐食、コンクリートの鉄筋腐食など、沿岸部特有の塩害に伴う構造物の経年劣化が進行することが挙げられます。これまでの施設補修は、多くの場合、施設の機能に支障が顕著にあらわれてから対策を講じる対症療法型の維持管理を行っていました。こうした手法の維持管理では、例えば鉄筋コンクリートの場合では、鉄筋が腐食し、ひび割れが発生してから大規模な補修を行っておりました。
 一方、予防保全型維持管理では、施設機能に支障が生じる前に詳細な点検を行い、鉄筋の腐食状況をあらかじめ予測した上で、腐食が進行することがないように防食を施すことで、施設の長寿命化を図るとともに、ライフサイクルコストを縮減するものであります。
 東京港では、港湾施設のこうした詳細な点検等を平成十七年度から開始し、平成二十三年度には、東京港の全施設を対象とした予防保全計画を策定しております。現在は、策定した予防保全計画に基づき定期点検等を行い、施設の適切な維持管理に努めているところでございます。

○上野委員 まさに今の答弁にありましたように、防災・減災ニューディールの中では総点検をするということが大事でありまして、そうした中で社会資本の維持管理の重要性に早くから注目し、そして適切な対応を行っているということで、本当に安心したところでございます。
 そこで、平成二十四年度には、予防保全計画に基づきどのような補修、補強を行ったのか、お尋ねします。

○石山港湾整備部長 平成二十四年度は、予防保全計画に基づき、経年劣化が比較的進行している施設を優先して補修、補強工事を進めております。
 岸壁においては、大井食品ふ頭、大井水産物ふ頭などで塩害防止の桟橋補強を行う実施設計に着手いたしました。道路では、青海縦貫道路、大井縦貫道路において、コンテナトレーラーなどの重車両が円滑に通行できるよう、舗装の打ちかえを行っております。また、海岸保全施設では、朝潮水門の門扉交換などを実施いたしました。

○上野委員 話は変わっていきますけれども、最近、都内においてインフラ施設の老朽化に伴う事故というのが増加している、このように思います。記憶に新しいところでは、北区において、道路の空洞化に伴う陥没により歩行者が転倒する事故がありました。
 インフラ施設の更新、維持管理では、事故に直結するような事態を見落とすことがあってはなりません。東京港においても、岸壁や道路の空洞化を見落とし、物流機能が停止するようなことになってしまえば、首都圏住民の生活、また経済活動を支える国際貿易港としての役割、これを果たせなくなるわけであります。
 最近では、インフラ施設の点検技術の向上に資するさまざまな検査手法というのが開発されております。一つの例としては、地中レーダーを用いた路面下の空洞調査を行うことで、路面陥没の原因となる空洞を効率的に確認して、事前対策を行うといった成果を上げているわけであります。
 東京港においても、老朽化した岸壁背後、重要な臨海道路において、こうした地中レーダーを用いた空洞化調査を実施していく旨、我が党が確認しているところでございますけれども、そこで改めて、東京港での空洞化調査の実施状況とその評価について、港湾局の見解を求めます。

○石山港湾整備部長 岸壁背後や道路の陥没は、地盤の沈下や埋設物の破損などで生じた空洞が原因で発生いたします。このため、これまで港湾局では、定期点検時の目視調査等で施設に沈下等の変状が認められた場合には、ボーリング調査で空洞化の確認を行い、必要な対策を講じることで陥没の未然防止に努めてまいりました。
 加えて、昨年度より、老朽化した岸壁背後、重要な臨港道路において、試験的に地中レーダーによる空洞化調査を導入いたしました。空洞化調査の導入に当たっては、あらかじめ目視により変状が見られた十号地その二、西側岸壁において、ボーリング調査にかえて地中レーダーで状況を確認いたしました。その結果、岸壁の水際線のすぐ近くで空洞化を確認いたしました。
 空洞化の原因は、船舶の離接岸に伴うスクリューの撹拌により土砂が流出したためでありましたが、これについては既に補修を終えております。
 また、重要な臨港道路である青海縦貫線及び有明南縦貫線におきましては、目視での変状は見られませんでしたが、試験的に空洞化調査を実施いたしました。その結果、ここでは陥没の原因となるような異常は見られませんでした。
 このように、地中レーダーによる調査は、従来の調査方法と同様に、施設下の空洞化の有無を補助的に確認するには有効な調査方法であることが確認できました。このため、これまでの定期点検とともに、必要に応じて空洞化を確認する地中レーダー調査を組み入れて点検を行うことといたしました。

○上野委員 今のご答弁でも明らかになりましたように、事前に地中レーダーによって事故を防ぐことができたといった内容もありました。本当にうれしい限りでございます。
 港湾局が、こうした予防保全型維持管理、これについて一層、精度向上、効率化のために新たな検査手法、これを取り入れて、そしてまた点検、調査をこれからもやっていくということだと思いますので、そうした取り組むということについても、重ねて港湾局の取り組みについて、私は評価しているところでございます。しっかりやっていただきたいと思います。
 それでは、今年度の空洞化調査の予定箇所はどうなっているのか、お聞きいたします。

○石山港湾整備部長 今年度の空洞化調査につきましては、必要に応じて、これまでの目視点検調査に加えて実施していくこととしております。岸壁では、品川ふ頭、大井食品ふ頭を予定しており、重要な臨港道路では、引き続き緊急輸送道路を選定して実施することを検討してまいります。

○上野委員 オリンピック、二〇二〇年、世界が注目する一大イベントであります。維持管理に万全を尽くしてもらいたいと思うわけでございます。
 ところで、港湾施設、これは長期間にわたりまして使用されるインフラ施設であるということがあるわけでございます。その都度見直しを図る必要があるものと考えておりますけれども、予防保全計画の更新というのはどのように行っているのか、お尋ねいたします。

○石山港湾整備部長 予防保全計画は、計画期間が五十年間の長期にわたる維持管理について定めたものであり、より実効性の高い計画とするため、計画の更新は必要となります。具体的には、おおむね五年ごとに更新を予定しております。
 あわせて、新たに施設が整備された場合や、廃止、再編等がなされた場合及び点検診断調査の結果と想定した劣化進行状況に乖離があった場合などに、計画の更新を行うこととしております。

○上野委員 大事な話でございます。港湾局が、老朽化した岸壁背後、緊急輸送道路に選定されている重要な臨港道路について、空洞化調査を予定していることもよくわかりましたし、今の話もよくわかりました。
 ところで、平成二十四年に修正された東京都地域防災計画の震災編、こちらにも、日常的な巡回点検に加えまして、路面下空洞調査などにより、道路の維持管理を着実に行っていくと、こう記載されているわけであります。
 また、七年後には東京でオリンピックが開催されることが決まりました。東京港の臨海部には数多くの競技施設が今後整備され、今まで以上に、人、物の流れが増加することが予想されるわけであります。臨海部の重要性はさらに高まることになりますので、道路の維持管理も重要となります。
 そこで、効率的に臨海部の道路の維持管理を行っていくため、港湾局はどのように取り組んでいくのか、お尋ねいたします。

○石山港湾整備部長 港湾局では、昨年度より、重要な臨港道路において、通常の目視点検に加え、地中レーダーによる空洞化調査を実施しております。重要な臨港道路は、おおむね五カ年で一巡するよう詳細調査を行っておりますので、今後五カ年の調査の中で、地中レーダーなども組み入れた調査を実施し、道路の維持管理に万全を期してまいります。

○上野委員 本当に、一つ一つ聞きながら、確認しながら、安心してきたわけでございますけれども、首都東京の経済活動、都民生活を支えるためには、限られた財源の中で、新たな需要に対する港湾施設を整備することに加えまして、既存の港湾施設の維持補修を行い、保持すべき機能を保つ、こういったバランスをとりながら東京港を発展させることが重要と考えております。
 今年度は、太田国土交通大臣もいっておりました社会資本メンテナンス元年ということで提唱し、位置づけられておりますので、東京港にあっても、インフラの維持管理を適切に行い、首都東京の経済活動、都民生活を支えていただくよう要望いたしまして、私の質問を終わります。

○河野委員 質問の初めに、さきの台風二十六号で犠牲になられた方々、被災された方々に、心からの哀悼の意とお見舞いを申し上げたいと思います。
 それで、質問に入らせていただきます。
 平成二十四年度港湾局の決算に関連して、東京港で働く労働者が安全に職務を果たせる環境をつくる、その立場から幾つか質問をいたします。
 資料をお願いいたしましたが、東京港の貨物の取扱量は、内外貿合計で平成二十四年度四百七十五万TEUとなっています。国内の港では最も大きい取扱量であるわけです。
 そこで、お伺いしますが、この四百七十五万TEUのコンテナ量のうち、外国からの入荷、外貿の数はどのくらいなのでしょうか。

○笹川港湾経営部長 平成二十四年の実績で、外貿コンテナ貨物取扱個数が四百二十四万TEUとなっております。

○河野委員 入ってくる多くが外国からの入荷コンテナであることが、約九割という数字で、そういう状況を占めていることがわかりました。
 この受け入れ量は、東京港のコンテナ処理能力と見合ったものなのでしょうか、この点もお答えください。

○笹川港湾経営部長 東京港のコンテナターミナルの取扱容量は、国が示しました算定式により試算をいたしますと、三百四十万TEUとなっております。この数値を見ますと、平成二十四年の実績が四百二十四万TEUでございますので、東京港のコンテナ処理容量を超えていることになりますが、東京港では、ハード、ソフト両面からさまざまな対策を行いまして、基本的には円滑にコンテナの搬出入が行われている状況にございます。

○河野委員 この貨物の受け入れ量、本当に多いということで私も認識を新たにしているんです。東京港の受け入れ貨物量が多いことで、東京港近隣の町の様子や労働者に影響が及ぶ、このような状況が生まれています。
 この数年、東京港で最も解決が急がれるのは、港湾労働者からも出されておりますが、強い要望として、交通渋滞を改善してほしいということだといわれています。港に大量に入ってくるコンテナを運送する貨物自動車が、大井や青海のふ頭周辺に列をなしているこの状況を、港湾局は当然ご存じだと思います。
 一般車両の走行にも影響が及んでいるといわれているんですけれども、港湾周辺の渋滞解消について、局はどのような対策を講じてこられたでしょうか。

○笹川港湾経営部長 東京港では、季節や時間帯により状況は異なりますが、一部のコンテナターミナル周辺におきまして、渋滞が発生している場合もございます。渋滞の解消に向けまして、中央防波堤外側コンテナターミナルの整備を推進するなど、東京港としてのコンテナ貨物の処理能力を高める取り組みを行っております。

○河野委員 私が聞くところによりますと、例えば大井ふ頭あたりでは、四、五時間渋滞に巻き込まれる、こういうことはざらにあると聞いています。渋滞に巻き込まれると、車を離れるわけにはいきませんから、ドライバーの人たちは、トイレに行くこともままならなくなります。近ごろは女性ドライバーもふえているそうでありまして、お手洗いに行くのを我慢して膀胱炎を起こしてしまった人がいるという話も聞きました。適切な場所にトイレが欲しい、これは働く人としての当然の要望だと思います。
 この渋滞が著しい大井ふ頭は、港そのものが大型ですから、トイレだけでなくて、食堂、郵便局などの施設も必要だと要望されています。ところが、大井ふ頭の中にあった食堂が移転してしまいまして、労働者は大変不便を感じています。
 東京港で働く労働者の福利厚生の要望について、以前に東京都は、コンビニエンスストアがふえてきたから、これを利用してもらえれば何とかなる、改善されているというような見解も示されておられましたけれども、駐車スペースが狭いコンビニ、休む場所もないコンビニ、これでは労働者にとって、改善されたといっても、望ましい労働環境が提供されているとはいえません。これらの問題について、改善策を講じていただくことを私は強く求めたいのですが、いかがでしょうか。

○笹川港湾経営部長 まず、渋滞解消に向けまして、中央防波堤外側コンテナターミナルの整備に加えまして、コンテナターミナルの開門時間を早める早朝ゲートオープンの取り組みを引き続き実施してまいります。
 また、昨年十二月には、中央防波堤外側に新たな車両待機場を整備いたしましたが、この待機場にはトイレや自動販売機も併設しているところでございます。今後も渋滞の解消や利用者の利便性の向上に取り組んでまいります。

○河野委員 改善に努めておられる、それは大変結構なことだと思います。
 しかし、港湾労働者のスポーツ施設でありますポートグラウンドとか、あるいは食堂が入っている大井サービスセンターが、シャシー置き場が不足している、こうした港の実情のもとで、その用地の提供のために、なくなるかもしれないという話も聞いております。労働者の健康や安全にかかわる施設については、なくすという方向ではなくて、これまで積み重ねてきた努力にも基づいて拡充を目指すように強く要望しておきたいと思います。
 次に、港湾の耐震化について質問をいたします。
 東京港の施設は、埋立地に立地しています。決して強固な地盤とはいえないと思います。昨年度、港湾局は海岸保全施設整備計画で、防潮堤、内部護岸、水門などの耐震化を、十年間の期間を目標にして取り組んでいくことを明らかにいたしました。大きな地震や台風などに備える上で大変貴重な取り組みだと思います。
 資料で、東京港における耐震強化岸壁の整備状況を出していただきましたが、港湾施設全体の耐震化についてはどのような取り組みをされてきたのか、伺っておきたいと思います。これまでの実績、目標などについてお示しください。

○石山港湾整備部長 これまで都は、海岸保全施設だけでなく、港湾施設におきましても耐震化に取り組んできておりまして、既に一定の耐震性は確保しているところでございます。
 現在は、さらに災害時における緊急救援物資や国際海上コンテナの輸送などを確保するため、震災直後にも使用可能となる耐震強化岸壁の整備に取り組んでおりまして、これまでに十五バースの整備を完了しております。今後とも整備推進に努めていく所存でございます。

○河野委員 次に、液状化について伺います。
 東日本大震災のとき、東京港の施設での液状化がどうだったのか、これはみんなの関心を集めています。東日本大震災の後に、東京都土木技術育成センターが調査し、最近発表しました予測図を見ますと、有明、青海、大井ふ頭などで液状化が発生する可能性が高い、このようにされた場所が幾つもあります。東京湾北部地震など近い震源で地震が起きた場合を想定しますと、東京港の液状化対策については、十分な調査と対策が必要だと思います。
 今、検討を深めていくべきを迎えていると思いますが、液状化対策についてはいかがでしょうか。

○石山港湾整備部長 港湾施設につきましては、岸壁の改修事業や耐震強化岸壁の整備等に合わせて、液状化対策を進めております。また、先ほどお話のあった東京の液状化予測の図面ですけれども、この液状化予測図は、現状の地盤の土質調査に基づくものでございます。港湾のエリアにおきましては、施設を整備するときに、ボーリング調査に基づいて地盤改良等の液状化対策を実施して、港湾施設をつくっているということでございます。

○河野委員 確かにホームページなどで見ますと、そういうことも書かれておりますけれども、一般都民の目線に立ってみますと、やはり港湾部で液状化が起こる確率は非常に高いということを、印がついて地図に落とされているわけですから、そういう意味では、心配がないのであれば、港湾局も、液状化問題についてこういう状況にありますということを、都民にぜひ情報発信していただきたいということを要望しておきます。
 液状化とあわせまして、もう一点伺います。
 大地震が起きたときに、埋立地では、液状化に伴って側方流動という現象が起きることが、土木学者などの研究で明らかになっています。大地震のときに、液状化に伴い、地盤が水平方向に大きく変位してしまうという現象なんですけれども、一九九五年の阪神・淡路大震災の後、このことが一層重視されるようになっています。
 阪神・淡路大震災では、埋立地が百五十メートルから三百メートルの範囲で地盤が水平に移動したといわれています。大井や青海ふ頭、中央防波堤などの港湾部で側方流動が起きると、港の機能は大変心配なことになります。中央防波堤の中には、PCB処理施設などのいろいろな廃棄物の処理施設なども立地しておりますから、この点でも心配な問題があります。
 港湾の耐震化を進める上で、今、側方流動についても東京都が責任を持って調査したり、検討したり、あるいは必要であれば対応する、そのことが求められていると思うのですが、いかがでしょうか。

○石山港湾整備部長 大規模な地震により、岸壁の崩壊等地盤の液状化がともに発生しますと、岸壁による押さえを失って、背後の強度を失った地盤が水平方向に動き、側方流動が発生いたします。
 このため、都では、岸壁の耐震化や液状化対策を行い、岸壁が崩壊しないように取り組んできております。お話のあった中央防波堤外側地区等におきましては、耐震強化岸壁として整備を進めていく予定でございますので、そういう面も配慮した構造としていきます。

○河野委員 幾つか伺ってまいりましたけれど、東京港は、首都圏全体の物流や経済活動に欠かせない大事な施設です。きょう質問をいたしました交通渋滞の問題、労働者の安全、健康の問題、それから耐震化問題、地震対策ですね、こういう問題は、いずれも関係者から寄せられている大事な要望であります。こうした都民要望に応えて港湾局が努力をされるように求めまして、私の質問を終わらせていただきます。

○今村委員 初めに、台風二十六号による甚大な被害を受けた大島などでお亡くなりになった方々のご冥福をお祈りし、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。また、今もなお不自由な生活をされている方々の生活再建、被害を受けた島々の一日も早い復旧を、東京都を初め、今も現場で働く関係者の皆様、島民の皆様とともに、都議会民主党も全力を尽くしてまいります。
 さて、東京の魅力は、都心部はもちろん、最近では高尾山に象徴される緑豊かな多摩地域と、海洋と緑の自然あふれる島しょにもあり、これは都民の大きな財産となっています。
 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催時には、全世界から東京を訪れる方々にも東京の魅力の奥深さを実感してもらうためにも、初めて訪れるときに必ず利用される空港や港湾の充実、利便性は大変重要です。二〇二〇年に向け、港湾局のさらなる充実と魅力ある計画作成を期待し、離島交通アクセスの利便性向上について質疑をいたします。
 島しょへの観光客数は年々減少しており、伊豆諸島の各島への訪島者数は、二〇〇三年に約五十八万人だったものが、二〇一二年には約五十万人と減少してきています。多くの方々に、もっと島を訪れ、そのよさを十分に知ってもらうため、観光客をふやすためには、港湾や空港の整備を着実に実施することが重要です。都も、離島振興計画をもとに事業を実施されていると理解をしています。
 私は、毎年、伊豆諸島を家族、友人と訪れ、ことしの夏も調布飛行場を利用いたしました。ことしはターミナルビルが新築され、広々として明るくなっており、とても快適でした。旅行者に快適な時間、空間を提供し、飛行場を安全に利用できるよう整備することは、観光客数増加に寄与するものと考えます。
 そこで、まず、今回利用した調布飛行場からは、大島、新島、神津島に定期便が飛んでいます。決算説明書によると、調布飛行場を初め、これらの空港の二〇一二年度の空港整備費の支出額は約八億四千万円となっていますが、具体的にはどのような整備を行ったのか伺います。

○小幡島しょ・小笠原空港整備担当部長 平成二十四年度には、調布飛行場ではターミナルビルの整備のほか、滑走路補修工事などを実施いたしました。このうち、新ターミナルビルは本年四月から供用を開始しており、広い待ち合いロビーと展望デッキ、さらには授乳室や多目的に利用できるユーティリティースペースを設け、地域コミュニティの場としても活用できるものといたしました。
 また、大島空港では、空港ターミナル地区の、のり面緑化改良を行い、新島空港では、老朽化した電源施設の更新を実施いたしました。さらに、神津島空港では、空港アクセス道路の改良工事などを実施いたしました。
 調布と伊豆諸島をつなぐ重要な交通アクセスの拠点である各空港が安全で快適に利用できるよう、これからも必要な施設整備を着実に進め、島民の生活を守るとともに、観光振興にも寄与するよう努めてまいります。

○今村委員 調布飛行場の新ターミナルビルを初め、必要な整備が着実に実施されていることが確認できました。
 調布飛行場では、ターミナルビルの新設とあわせ、本年度から計器飛行方式が開始されたと聞いています。このことにより、天候の悪いときは計器飛行方式で離島航空便が運航されるようになり、欠航することが少なくなっていると考えられます。
 そこで、計器飛行方式の導入により、どのように利便性が高まったのかを伺います。

○小幡島しょ・小笠原空港整備担当部長 調布飛行場における計器飛行方式は、本年六月十八日から運用を開始いたしましたが、これまでの調布飛行場における計器飛行方式による飛行回数は、開始から九月末までの三カ月半で九十七回ございました。
 ちなみに、七月については実績が五十回で、当月の就航率は八六・四%でしたが、計器飛行方式が導入されていなければ、七八・六%にとどまっていたところでした。計器飛行方式の導入で、約八ポイント向上の効果があったことになり、より安定した運航を確保することができるようになったところでございます。

○今村委員 計器飛行方式により就航率が向上すると、安定した公共交通として観光客も安心して利用できるので、観光客の増加につながると考えます。来年度からは、調布飛行場から三宅島航空路線も開設される予定と聞いています。飛行場設備の重要性は増しており、今後とも着実に施設整備を進めていってもらいたいと考えます。
 ところで、島しょへのもう一つの重要な交通アクセスとして、船舶があります。調布飛行場からの航空路線も充実しておりますけれども、まだまだ船舶が島民や観光客などにとって、主たる島への交通手段となっています。
 島しょの港湾は、厳しい自然環境条件の中で暮らしている島民の生活を支える、なくてはならない生命線とも呼べるインフラ施設であります。定期船の安定的な就航は、島民生活の安定につながるとともに、観光客が島を訪れる際の判断材料の一つとなります。
 このため、都では、計画的に港湾施設の整備を進め、就航率等の向上に努めておりますが、まだ十分とはいえない状況ではないでしょうか。就航率向上に向け、二〇一二年度はどのような港湾施設の整備を実施したのか、お伺いをいたします。

○大和田離島港湾部長 離島は、気象、海象条件が厳しいため、強風や波浪の影響を考慮し、港湾施設の整備を進めております。
 具体的には、船舶の就航率を向上させるため、風向きに応じて定期船が着岸できるよう、大島、八丈島のような大きな島では、一つの島に二つの港を整備する方式により、また利島、御蔵島のような小さな島では、一つの港に二つの岸壁を整備する方式により、計画的に港湾施設の整備を進めております。
 この方針のもと、平成二十四年度は、大島の元町港で岸壁の改良、利島港、新島港、神津島港で防波堤の建設などを実施いたしました。今後とも、岸壁や防波堤などの港湾施設の整備に着実に取り組むことで就航率を高め、島民生活の安定や観光客などの利便性の向上に寄与するよう努めてまいります。

○今村委員 海の玄関口である港においては、島への定期船の就航率を向上させるために、それぞれ島に合った方針のもと、整備が進められていることが理解できました。
 さらに、島への観光客がさまざまな交通手段を選択できるようになれば、観光地としての島の魅力が一層高まることになります。小笠原航路においては、新船の計画が進んでいると聞き、大変うれしく思っています。空路、海路それぞれの玄関口を着実に整備することで、利便性、多様性を高め、島の活性化、魅力アップに貢献していただけるよう要望し、質疑を終了いたします。

○西崎委員 私は、海の森事業についてお伺いしたいと思います。
 都は、東京港に、皇居の面積とほぼ同じぐらいの約九十ヘクタールの緑の島を出現させる海の森事業を進めてきており、一部開園の時期も決まり、着々と整備が進んでいると聞いております。
 海の森事業は、ごみの山を美しい森に変えるプロジェクトとして話題性が高い事業であるとともに、市民の手によりドングリから苗木をつくり、その苗木を市民参加で植えていく参加型事業の見本として、内外に誇れる事業なのではないかと思います。
 そこで、市民参加による海の森事業について何点か伺います。
 一般会計決算説明書の四三ページによりますと、海の森事業には国費も活用しながら、約四億七千万円の支出がなされているようですが、まず、一部開園に向けた平成二十四年度の整備規模と、現在の海の森の整備状況についてお聞かせください。

○石原臨海開発部長 計画面積八十八ヘクタールの海の森は、平成二十八年度中に、森のエリアのうち、整備を完了した四十七ヘクタールを一部開園する予定でございます。平成十九年度から整備に着手しまして、平成二十四年度は、六ヘクタールの基盤造成と過年度の造成地も対象とした七ヘクタールのエリアに植樹を行いました。
 これによりまして、昨年度末までに合計二十六ヘクタールの造成と二十二ヘクタールの植樹を完了しており、整備当初に植樹したエリアでは、膝の高さ程度だった苗木が、既に二メートルを超えている樹木も見られるほどに成長している状況にございます。

○西崎委員 二メーターにも達する樹木が出ているということで、大変、先が楽しみだと思うんですけれども、海の森事業では、協働、協力して働くということが大きな特徴だと考えています。
 ここでは、苗木づくり一つとっても、小学校や企業がそれぞれの敷地でドングリから苗木づくりをしていたり、あるいは海の森の苗木を育てる場所に通って苗木のお世話をするボランティアなど、さまざまな人たちが参加して支えているのではないでしょうか。
 また、ここでは緑地を管理するような造園業会と協定を結び、リサイクルの堆肥を製造するなどの取り組みを行っていると聞いております。多くの都民が都政の事業に参加して、海の森事業を進めていくことは大変有意義だと考え、より多くの人々にこうした事業にかかわっていただきたいと思います。
 そこで、苗木づくりや植樹へのこれまでの参加者数をお聞かせください。

○石原臨海開発部長 海の森の現地における整備事業は、平成十九年度から開始しておりますが、これに先立ちまして、苗木づくりにつきましては平成十六年度から開始し、これまでに、小学校は延べ二十八校、企業等は延べ六十六団体、個人は延べ百七十三名の方に参加していただいております。
 植樹につきましては、平成二十年度以降、公募による都民の皆さんや緑の東京募金にご協力いただいた企業の皆さんなど、これまでに一万三千人を超える方の参加をいただきました。

○西崎委員 海の森は、決して行きやすい場所ではないと思いますけれども、それにもかかわらず、たくさんの方が参加されているということで、すばらしいと思います。
 私、特に子供たち、例えば小学生ぐらいの子供たちが海の森にかかわることはよいことだと思います。苗木はまだ小さいけれども、これから子供たちがともにすくすくと育っていき、今小学生の子供たちが大人になったときに、樹木も恐らく二メーターから十メーターぐらいまで超える立派な木に育っていることと思います。そうした立派な森になったときに、かつての小学生たちが次世代の子供たちを連れてくる、そうしたことは、親が子に環境問題を教えるすばらしい体験になるのではないでしょうか。
 私、実は先日、近くにあります葛西臨海公園の埋立地に緑を植えられたところを視察いたしました。ここは、既にもう三十年以上経過しておりまして、大変木々は大きく育ち、昆虫や野鳥が生息する豊かな自然公園になっているのに大変感動いたしました。
 そこで、ただ苗木づくりや植樹を行うのではなく、自分が育てた、あるいは植えた苗木がいかに育っていくのか、そのようなことを考える機会を、今この時期に提供していくべきではないかと考えます。子供たちに、海の森事業について考え、かかわれる機会の拡大に関する取り組みについてお聞かせください。

○石原臨海開発部長 これまで植樹や苗木づくりについて、小学校やボーイスカウトなどの青少年の育成を図る団体に協力してもらうなどしてまいりました。また、昨年度から植樹まつりや特別公開の時期に合わせ、海の森について学ぶ紙芝居やリサイクル材で工作を楽しめるあおぞら工房、あるいは親子で海の森の環境学習を行う親子探検ツアーなどのイベントを開催しまして、子供たちを対象とした海の森事業について普及啓発する取り組みを実施しているところでございます。
 こうした取り組みは、保護者からも子供たちからも好評でありましたので、今後も機会を捉え実施するなどし、より多くの子供たちに海の森を知ってもらい、来てもらう機会の拡大に取り組んでまいります。

○西崎委員 ぜひそのような企画を充実させていただいて、次世代を担う子供たちに、一人でも多く海の森にかかわってもらうよう今後も取り組んでいっていただきたいと思います。
 臨海部に新しい緑を創出することは、風の道をつくり、都市のヒートアイランド化を緩和する効果も期待できると思います。
 また、二〇二〇年のオリンピック開催時には、この場所、海の森の一部も会場として予定されています。世界からいろいろな方々がこの場所を訪れることとなりますので、ぜひ今後の事業にも期待しておりますので、努力していっていただくことを要望して、私の質問を終わります。

○植木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○植木委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。

○植木委員長 これより都市整備局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成二十四年度東京都一般会計決算中、都市整備局所管分、平成二十四年度東京都都営住宅等事業会計決算、平成二十四年度東京都都営住宅等保証金会計決算、平成二十四年度東京都都市開発資金会計決算及び平成二十四年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○浅川総務部長 十月十六日の当分科会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元に配布してあります当局の平成二十四年度各会計決算特別委員会第三分科会資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。
 資料は、1の都営住宅建設事業に係る中小企業への工事発注実績から、7の周辺区部における都施行土地区画整理事業の状況までの七件でございます。
 それでは、まず一ページをお開き願います。1、都営住宅建設事業に係る中小企業への工事発注実績でございます。
 都営住宅建設事業に係る工事発注実績及びそのうちの中小企業への発注実績につきまして、件数並びに金額を年度別、財務局契約及び都市整備局契約別に記載してございます。
 次に、二ページをごらんください。都営住宅建替えによる型別供給実績でございます。
 都営住宅建てかえによる型別供給の実績を年度別に記載してございます。
 続いて、三ページをお開き願います。三ページから四ページにかけまして、3、都営住宅の応募状況を記載してございます。
 (1)では世帯向けに実施した抽せん方式による募集、(2)では単身者向けに実施した抽せん方式による募集、(3)ではポイント方式による募集について、過去五年間の応募状況を年度別に記載してございます。
 次に、五ページをお開き願います。既設都営住宅のエレベーター設置状況でございます。
 既設の都営住宅について、過去五年間のエレベーター設置の状況を年度別に記載してございます。
 続いて、六ページをごらんください。高さ百メートル以上の大規模ビルの建設状況でございます。
 六ページから一〇ページにかけまして、平成十二年度から平成二十六年度までに竣工または竣工予定の高さ百メートル以上の大規模ビルについて、その名称、高さ及び延べ面積を年度別に記載してございます。
 次に、一一ページをお開き願います。6、首都高速道路に対する出資金・貸付金の推移でございます。
 首都高速道路に対する出資金及び貸付金について、平成五年度から平成二十四年度まで、過去二十年分を年度別に記載してございます。
 最後に、一二ページをごらんください。7、周辺区部における都施行土地区画整理事業の状況でございます。
 周辺区部における都施行土地区画整理事業につきまして、施行面積、平均減歩率、減歩緩和用地面積、権利者数、総事業費、平成二十四年度事業費及び進捗率を地区ごとに記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○植木委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○北久保委員 二十四年度予算は、二十三年三月の東日本大震災を踏まえ、二十三年十一月に我が党が提出した防災対策強化に向けての提言を受け、高度防災都市づくりに向けて、都市東京の防災力強化にさらに大きく踏み出した予算ともいうべきものです。
 我が党は、提言の中で、地震に強いまちづくりのさらなる推進として、木造住宅密集地域対策の充実強化や交通ネットワークの耐震性向上として、沿道建築物の耐震化を強力に進めるよう求めてきました。
 そこで、この提言も踏まえつつ、二十四年度において都市整備局では、高度防災都市づくりに向けた取り組みがどのように進められてきたかという観点から、まず、木密地域不燃化十年プロジェクトを取り上げたいと思います。
 都は、平成二十四年一月に実施方針を策定し、この中で、市街地の不燃化を促進する不燃化特区制度、延焼遮断帯となる主要な都市計画道路を整備する特定整備路線、地域における防災まちづくりの機運醸成を図る意識啓発活動の三本柱を位置づけていると認識しています。
 実施方針を受け、二十四年二月には地域密着型集会を行っているとのことですが、昨年度の実績についてお伺いいたします。

○鈴木市街地整備部長 地域密着型集会についてでございますが、昨年度は十地区で開催し、防災の専門家による講演や行政の取り組みについての報告、個別相談会等を行いました。
 集会の中で参加者の皆様から、地区内には高齢者の方が多く、建てかえ資金を工面できない方へ細やかな対策を行ってほしいといったご意見を伺い、その声を受け、戸建て建てかえへの助成等を先行実施地区の整備プログラムに組み入れました。
 また、これら十地区のうち、葛飾区四つ木一、二丁目地区、北区十条駅西地区などの四地区は、不燃化特区制度の先行実施地区として既に指定しており、今年度から本格的に不燃化の取り組みを開始しております。
 今後も、いただいた声を、指定を予定している地区の対策に生かしてまいります。

○北久保委員 地域密着型集会は、木密地域に住む住民の防災意識を高める上で重要であり、今後も開催していただきたいと思います。
 続いて、特定整備路線の昨年度の取り組みを伺います。

○鈴木市街地整備部長 昨年選定いたしました特定整備路線二十八区間のうち、都市整備局では、道路の計画線内に商店街があり、沿道のまちづくりに向けての機運が高まっている五区間を所管しております。例えば、板橋区の補助二六号線大山地区では、沿道と一体となったまちづくりについて、区と連携しながら、地元と共同して検討を進めてまいりました。
 現在、これら五区間において関係権利者への説明会を開始しております。また、個別の意向調査なども予定しておりまして、早期の事業化に向け全力で取り組んでまいります。

○北久保委員 次に、不燃化特区について伺います。
 昨年、都は、今年度から着手する不燃化特区として先行実施地区を募集し、三地区程度を選定するとしていましたが、我が党は昨年八月に、応募のあった区の意欲をそぐことなく、十二地区全てを先行実施地区とすべきだと要望し、十二地区で不燃化特区をスタートしました。このことは、多様な不燃化の取り組みを他の区に示すこととなり、各区の応募意識、意欲を高め、不燃化特区を拡大する意味でも効果があったと考えます。
 そこで、応募を受けてから地区の選定まで、区とどのように取り組まれたのかといった角度から伺いたいと思います。
 そもそも不燃化特区制度は、先行地区のプログラムを策定しながらつくるとしてきました。制度創設に当たって、区からの意見はどのように取り入れてきたのか伺います。

○佐藤防災都市づくり担当部長 区からの意見につきましては、昨年度、主に次の三つの取り組みの中で取り入れてまいりました。
 まず、二十四年度当初より各区から新たな施策への要望を聞くため、アンケートや意見交換を実施し、その際の区の意見に基づき、弁護士や用地折衝に必要な専門家の派遣などを支援策に取り入れました。
 次に、先行する十二地区での対策を幅広く進めていくための支援策となるよう、昨年九月から年度末にかけて、十二地区おのおのに対し、月二回の頻度で区との会議を開催し、整備プログラムの策定とあわせて制度を構築いたしました。
 最後に、先行実施地区に応募していない区からも意見を聞くため、特別区長会を初め、関係部長会や課長会の場で直接区の考えを聞き、都市計画事業以外の不燃化の働きかけもコア事業と認めるなど、区の意見を取り入れてまいりました。

○北久保委員 さまざまな場面を通じて意見を聞いてきたということだと思います。何事にも現場の声を聞いて、制度に生かすことが重要だと思います。
 では、先行する十二地区の整備プログラムについて、都はどのような助言を行ったのか伺います。

○佐藤防災都市づくり担当部長 目標年次である平成三十二年度までに着実に効果を上げるためには、特区内のそれぞれの街区ごとに取り組むべき支援策を選定していく必要がございます。例えば、未接道敷地が多く存在している場合や高齢者世帯が集中している場合など、街区ごとにさまざまな課題がございます。
 このため、区に対しては、特区内の課題を明らかにした上で、街区ごとの支援策や体制を検討するよう助言し、それを踏まえ整備プログラムが策定されております。

○北久保委員 特区は新しい取り組みです。都は、整備プログラムの進捗状況をきちんと管理し、着実な効果を上げられるよう、引き続き区への助言などを行うべきだと考えます。
 これまでの答弁のように、都と区の連携の中で不燃化特区制度ができたわけですが、改めて、不燃化特区制度の特徴と木密地域の解消に向けた今後の都の取り組みを伺います。

○佐藤防災都市づくり担当部長 不燃化特区制度は、準耐火建築物以上の建物に建てかえていくための規制を導入する一方で、支援策として、税制優遇や建てかえ補助、区が独自で取り組んできた助成なども組み入れた、地区の地域特性に応じた取り組みがしやすい制度でございます。従来の木密対策を着実に進めることに加え、特区を導入することで、より高い効果が期待できます。
 このことから、住民が抱えている課題を明らかにし、きめ細かく対応していくため、都としては必要な財政的支援や技術的助言など、区の取り組みを後押ししてまいります。
 さらに、民間団体との連携を強め、着実な建てかえや住みかえを促し、不燃化を進めてまいります。

○北久保委員 実際の取り組みは、今年度始まったばかりです。取り組みを進めていけば、制度上の新たな課題も出てきます。現場の声に適切に対応し、効果を生む制度となるよう、適宜適切な見直しも行い、安全・安心のまちを一刻も早く実現することを望みます。
 次に、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化について伺います。
 緊急輸送道路は、震災時に救急活動や物資輸送などの機能を担う道路であることから、沿道建築物の耐震化は極めて重要な課題だと認識しています。
 都は、平成二十三年三月十一日、くしくも東日本大震災の発災日当日に、全国初となる耐震化推進条例を制定し、平成二十四年四月一日には、特定緊急輸送道路沿道建築物に対する診断実施の義務づけが施行されました。
 そこで、初めに、都のこれまでの取り組みと診断義務化元年である平成二十四年度における耐震診断の進捗状況について伺います。

○佐藤耐震化推進担当部長 都は、条例制定後、建物所有者が速やかに耐震診断に取り組めますよう、原則自己負担なしの耐震診断の助成制度を立ち上げますとともに、診断義務化対象の約五千棟につきまして個別訪問や説明会を開催し、耐震診断の実施を積極的に働きかけてまいりました。
 また、区市町村や建築士団体とも連携をして、建物所有者を訪問し、個々の建物所有者の事情に応じた具体的な相談にも丁寧に対応してまいりました。
 こうした取り組みの結果、耐震診断助成につきましては、平成二十三年度の九十九件から、昨年平成二十四年度は千三百六十四件と助成件数が大幅に伸びております。今年度につきましても、建物所有者への働きかけを継続して実施しており、本年九月末時点で、対象建築物の七割以上が耐震診断に着手しております。

○北久保委員 一昨年の東日本大震災の発災を踏まえた耐震化への関心の高まりと、都民の熱心な取り組みはもとより、建物所有者への個別訪問による働きかけや、区市町村、関係団体等との連携など、耐震化の機運を捉えた都の取り組みによって、助成申請件数が大きく増加し、耐震が着実に進捗していることを評価します。
 耐震診断については、既に約七割を超える建築物が着手しているとのことですが、今後は、耐震性が不足することが判明した建築物について、耐震化への的確なフォローを実施し、改修工事や建てかえなど、次のステップに進めていくことが重要です。我が党はこれまでも、建設業など関係団体との協議を精力的に進めるなど、行政と民間が連携して耐震化の進捗にしっかりと取り組むことが重要だと訴えてきました。
 そこで、特定沿道建築物の耐震化について、都はどのように進めているのかお伺いいたします。

○佐藤耐震化推進担当部長 対象建築物の多くで耐震診断が実施されまして、その後、その診断の結果を受けて、積極的に耐震改修の準備を進める所有者もふえてきております。
 一方で、診断義務化以降、今後の進め方がわからない、相談できる専門家がいないといった所有者の声もありましたことから、耐震化に向けた相談に応じる専門家を無料で派遣する制度を創設し、診断後の個別の悩みへの対応を開始しております。
 また、昨年七月には、一般社団法人東京建設業協会と協定を締結し、改修工事に関する具体的な相談に応じる体制も整えました。
 都といたしましては、区市町村や関係団体と緊密に連携して支援策の充実を図り、特定沿道建築物の耐震化に向けて積極的に取り組んでまいります。

○北久保委員 震災から都民の生命と財産を守るとともに、首都東京の防災力を高めるため、区市町村や関係団体と緊密に連携し、建物所有者の事情に応じたきめ細かな対応を引き続き実施するようお願いし、私の質疑を終了します。

○上野委員 私からは、都営住宅に関する内容について質問いたします。
 いうまでもなく都営住宅は、住宅セーフティーネットの柱であります。都民の居住の安定確保に大きな役割を果たしております。特に、都営住宅には高齢者が多くお住まいになっております。こうした方を含めた多様な居住者が、安心して快適に生活できる都営住宅の建設、管理というのが極めて重要であります。
 そこで、平成二十四年度決算に関しまして、これまでの都営住宅事業について都の取り組みを確認し、さらにその一層の充実に期待する視点から、何点かお尋ねいたします。
 まず、既存住棟へのエレベーター設置の推進についてでありますが、都営住宅の居住者の高齢化は急速に進んでおります。階段の上りおりに苦労されている高齢者の方々も多く、また、緊急時の搬送などの課題もあり、日々の暮らしに欠かすことのできないエレベーターの一日も早い設置を望む切実な声が数多く寄せられております。
 このような状況を踏まえ、都は、平成三年度から既存住棟へのエレベーター設置の取り組みを始め、これまでの二十二年間で約千三百基、平均いたしますと毎年約六十基のペースでエレベーターの整備を進めてまいりました。
 しかし、ここ数年の設置実績を見てみますと、例えば平成二十三年度は三十四基、二十四年度は三十三基と、そのペースが鈍っております。これまで設置を進めてきた住棟に比べ、近年設置を検討する住棟は、さまざまな面で困難が増しているということもお聞きいたしますが、都営住宅全体のバリアフリー化の早期実現に向けて、さらに取り組みを強化すべきであると考えております。
 そこで、まず、エレベーターの設置に際しどのような点が課題となっているのか、改めてお尋ねいたします。

○妹尾営繕担当部長 既存住棟へのエレベーター設置に際しての主な課題でございますが、日影規制に既存不適格であるなど法令上の制約や、設置スペースがない、建物の構造上設置が困難であるなど、物理的な制約がある住棟がございます。また、耐震改修とあわせて進める必要があることから、調整に時間を要する住棟もございます。
 さらに、エレベーターの設置後に使用料や共益費が増加すること等について、居住者全員の同意が得られない場合もございます。

○上野委員 ただいまの答弁にもありましたように、既存の住棟にエレベーターを設置するに当たっては、物理的な制約により設置が困難なもの、また、さまざまな調整に時間を要する案件があることが改めて確認できたわけでございます。
 こうした制約によりまして、エレベーターの設置がなかなか進みにくい状況にある中、居住者からの要望も一層強まっていることも理解できるわけであります。そうした要望を踏まえまして、日影規制など法令の適合性については、できる限り柔軟な対応についても関係機関と鋭意調整を重ねていただきたいと思っております。
 一方で、エレベーターの設置を拡大していくためには、設置の対象を拡大することも有効であると考えますが、都は、この点についてどのような取り組みを行っていったのか、お尋ねいたします。

○妹尾営繕担当部長 平成三年度に事業を開始した当時は、九人乗りのエレベーターの設置を前提に、四階から五階建てで二十四戸以上の廊下型住棟を対象としておりました。さらに、平成十二年度からは、五階建てで三十戸以上の階段室型の住棟を対象に追加いたしました。
 その後、それまで採用が困難であった小型の四人乗りエレベーターにつきまして、住宅部品の認定機関やエレベーターメーカーとともに、技術、コストの両面から導入に向け検討を実施してまいりました。
 その結果、平成二十二年度からは、廊下型については三階から五階建てで十戸以上、階段室型については、五階建てで十戸以上の住棟を新たに対象とするなど、設置の裾野を拡大してまいりました。
 また、平成二十三年度には、従来、居住者の全員同意を必要としてきた要件を弾力的に運用し、一人未同意の場合でも設置を検討することといたしております。

○上野委員 ご答弁のとおり、都はこれまで、ハード、ソフトの両面からエレベーターの設置拡大に向けた取り組みを行っており、私は大いに評価しているところであります。
 また、全員同意の要件の緩和につきましては、都は、未同意の居住者が反対する理由や、エレベーターの維持管理の確実性などについて十分に検討していると聞いております。これは、設置後のエレベーターの円滑な運行を確保する観点からも非常に重要なことと思っている次第であります。
 このように、全員同意の原則を保持しつつも弾力的な運用を図ることは、既存住棟へのエレベーター設置の隘路の打開策の一つとなり得ると考えます。
 そこで、全員同意の要件を弾力的に運用することで、これまでにどのような成果があったのかお尋ねいたします。

○妹尾営繕担当部長 同意要件の弾力的運用につきましては、居住者向けの広報紙である「すまいのひろば」に掲載するなど、自治会や居住者に周知を図っております。
 この結果、従来は、エレベーターに反対する居住者の存在により、設置の要望を諦めていた自治会からも、要望が出されるようになっております。これまで要望があった住棟のうち、平成二十四年度末までに新たに十棟についてエレベーターの設置を進めることとなり、そのうち五棟については、既に工事中でございます。

○上野委員 一部の居住者の反対が壁となってエレベーターの設置が進まなかった住棟のうち、都の英断により、これまで既に十棟もの住棟において念願のエレベーターの設置が進んでいるとのことであり、大変喜ばしいことだと思っております。
 エレベーターについては、現在建てかえを行っている都営住宅においては標準的に設置されております。今後の高齢化社会の進展を踏まえれば、既存住棟においても、バリアフリー化を促進するためのエレベーターの設置の拡大というのは不可欠であります。
 都は、この取り組みにおける課題も踏まえながら、より一層強力に取り組みを進めていただくことを要望いたします。
 次に、都営住宅の管理について質問します。
 入居者の高齢化が進む中、都営住宅の管理者には安全確保の視点が常に求められます。平成二十四年三月に立川市で孤立死が発生したことを受けまして、都営住宅の指定管理者である住宅供給公社は、速やかな安否確認に力を入れていると聞いているところでありますが、迅速な安否確認のためには、公社が地元区市の福祉部門と十分連携をとっておくことが大切であると、このように思っております。
 そこで、住宅供給公社は、地元区市とどのような形で連携強化を図っているのかお尋ねいたします。

○桜井経営改革担当部長 立川市で孤立死が発生したことを受けまして、東京都住宅供給公社は平成二十四年度に、入居者の緊急時の安否確認の取り組みとして、区市のケースワーカーやケアマネジャー等との連携強化のため、緊急時の情報共有、連絡体制の構築、現地調査の手順など、区市との協力に関する協定の締結に取り組んでまいりました。
 その結果、平成二十四年度末時点におきまして十一区市と協定を締結しており、その後も各区市に対し働きかけを行っております。現在では、十二の区市と協定を締結しております。

○上野委員 高齢者の安否確認に対しまして、公社の積極的な取り組みを望むものでございます。安全・安心の確保には、居住者と公社との良好なコミュニケーションも必要です。公社は、入居者との連絡窓口として、お客様センター、いわゆるコールセンターを設置し、入居者に対するワンストップサービスを提供しておりますが、土日などの休日は、お客様センターに電話がなかなかつながらないという苦情、こういったものが私のところにも来ております。
 そこで、公社のお客様センターにおけるこれまでの取り組み及び今後の方向性についてお尋ねいたします。

○桜井経営改革担当部長 公社は、都営住宅居住者の利便性を高めるため、それまで各窓口センターに分かれていた問い合わせ先を一本化いたしまして、平成二十年にコールセンターとしてのお客様センターを設置し、緊急修繕、事故、火災及び入居者の安否確認要請などの緊急の受け付けについて、三百六十五日二十四時間対応する体制を構築いたしました。
 その後も、曜日や時間帯に応じオペレーターを適正に配置するなどの措置を逐次行っておりまして、こうした取り組みにつきましては、公社が平成二十四年度に実施をした居住者アンケートなどにおいて、サービス内容に関し高い評価をいただいております。
 しかし、お話のとおり、休日、特に昼休みの時間帯に電話がつながりにくい場合があったということは認識をしております。このため、休日の昼休み時間帯につきましては、本年九月よりオペレーターのシフト体制を見直し、入居者からの電話を確実に受けられるよう体制を整備したところでございます。
 今後とも、居住者からの電話への対応業務が一層円滑に行われるよう、公社に対し適切に指導をしてまいります。

○上野委員 お客様センターは、居住者と公社をつなぐ大切な役割を持っておりますので、ぜひとも休日の受け付け体制も含めまして、今後ともしっかり取り組んでいただきたいことを望みます。
 次に、都営住宅における良好な居住者コミュニティの維持に関して質問します。
 都営住宅では、団地自治会などによる共助の取り組みが大きな役割を果たすことはいうまでもありません。すなわち、居住者の快適な暮らし、安全・安心のみならず、団地管理一般にも非常に貢献しているわけであります。
 ところが、その役割を担う居住者が高齢化している、共助の取り組みに支障が来ているというのが今の現状です。居住者の高齢化がこのまま進行すれば、自治会活動の担い手不足により、コミュニティ活動は困難に陥り、ひいては住宅セーフティーネットという都営住宅の役割にも影響を与えかねないと危惧しております。
 そこで、団地の活性化を図る上でも、少子化への対応を図る上でも、家族世帯、とりわけ若い子育て世帯の入居を促進することが重要と考えておりますが、都の見解及び取り組み状況についてお尋ねいたします。

○桜井経営改革担当部長 少子高齢化が進行する中、都営住宅において、子育て世帯など若い世代の入居を図るとともに、コミュニティの活性化を図ることが重要と認識をしております。
 都営住宅では、既に入居者の募集に当たって、子育て世帯の当せん倍率の優遇制度や、若年ファミリー世帯向けの期限つき入居を実施し、若い世代の入居促進をしてまいりました。若年ファミリー世帯向けの期限つき入居につきましては、平成二十四年度に千四百五十戸の募集を行ったところでございます。
 さらに、今年度から、事業全体についてこれまで以上に工夫を行い、子育て世帯の募集枠の拡大を図りまして、若い世代の入居を促進しているところでございます。

○上野委員 子育て世帯など若い世代の入居を進め、都営住宅の活性化を図ることは、都営住宅事業にとって待ったなしの課題であると、このように思っております。
 都は、若い世代の入居を促進するため、引き続き子育て世帯向けへの募集の拡大を図りながら、都営住宅における少子高齢化対策とコミュニティの活性化に積極的に取り組んでいただくよう重ね重ね要望してまいります。
 次に、都営住宅の耐震化について質問します。
 都営住宅は、都民の住宅セーフティーネットの柱として重要な役割を担っており、居住者の安全・安心を確保するためには、早期に耐震化を推進することが必要であります。
 東日本大震災の惨禍を踏まえ、都は我が党の要望を受けまして、平成二十四年七月に都営住宅耐震化整備プログラムを改定し、従来の平成二十七年度までに耐震化率九〇%以上とする目標に加えて、平成三十二年度に耐震化率一〇〇%とする新たな目標を掲げました。他の住宅に先駆けて、都みずからが都営住宅について耐震化の完了までの道筋を明らかにしたことは、私は高く評価しているところでございます。
 平成二十三年度末時点では、都営住宅の耐震化率は約六九%でしたから、二十六万戸の都営住宅全体について耐震化の目標を達成するためには、これはもう相当量の耐震改修が必要になってくるわけであります。したがって、今後計画に基づき着実に推進していかなければなりません。
 そこで、プログラム改定後の進捗も含め、これまでの都営住宅の耐震化の状況についてお尋ねします。

○妹尾営繕担当部長 平成二十四年七月、都は、都営住宅の耐震化の完了までの計画を明確にして、着実に耐震化を進めるため、都営住宅耐震化整備プログラムの改定を行いました。
 このプログラムに基づき、平成二十四年度においては、建てかえ事業とあわせて一万戸以上の耐震化を完了しております。この結果、平成二十四年度末時点で、都営住宅約二十六万二千戸のうち約十九万戸が耐震性を有することとなり、耐震化率は約七三%となっております。
 また、平成二十四年度における耐震改修の着手戸数は、二十三年度の約二倍に当たる一万三千戸余りでございます。

○上野委員 ただいまの答弁にありましたように、都営住宅については、平成二十四年度だけでも一万戸以上の耐震化を完了するなど、平成二十七年度までに九〇%以上、さらには平成三十二年度に耐震化率一〇〇%達成するという目標に向けて、着実に取り組みを進めているということがわかりました。大いに評価いたします。
 都営住宅の耐震化は、居住者の安全・安心の確保はもちろん、民間建築物の耐震化をリードすべき立場にあります。都みずからが管理する建築物として、民間に耐震化の手本を示すという点からも重要な意味があると、このように思っております。ぜひ目標の達成に向けまして、力強い取り組みを進めていただくよう要望いたします。
 防災に関連しまして、私の地元の江戸川区を含めた既に六区において、大規模な水害時に都営住宅を緊急避難先とする覚書が、先般、都と区の間で締結されたことについて言及しておきたいと思います。
 東日本大震災を受けまして、海抜が低く高台のない区部東部地区においては、水害時の避難について、都営住宅居住者を初め地域住民の関心は極めて高まっております。その点、この覚書は、大規模な水害時に時間的余裕がない場合の緊急の避難について都と区の間で確認したもので、都営住宅の居住者や地域住民の日ごろの不安に対応したものとして、まさに時期にかなったものと、このように思っております。これについては、都営住宅が、その居住者を初め地域住民の安全・安心に大きな役割を新たに果たすことが期待できるものとして評価しております。
 都営住宅は、住宅に困窮する都民の住宅セーフティーネットの柱であります。都の住宅政策の中心として、大変重要な役割を果たしております。また、防災やまちづくりなどの観点からも、地域社会に大変貢献しているわけであります。
 さまざまな、いろんな、大島の火山爆発のときもそうでしたし、三宅もそうですし、都営住宅、そしてまた東日本大震災のときもそうですし、本当にそういった意味で都営住宅の役割というのが、大いに貢献できたわけでございます。
 私は、もう忘れられない出来事がありました。三・一一です。まさかと思いましたけれども、その夜に自宅に電話が来て、江戸川区で液状化して、数年しかたっていない建物が傾いて沈んだと、助けてくださいという電話が入って、すぐさま飛んでいったわけでございます。
 何の面識もありません。電気も暗くなっているから、いらっしゃらないかもわからないなと思いながら、チャイムを押しました。ご主人が出てこられました。私は、申しわけない、こういう立場の者ですけれども、何かございますかと聞いた。そうしたら中に入れといわれました。大変な状況だから私は遠慮したんです。
 ところが、入って体感してもらいたいといわれたんです。傾いたうちはどういうところかと。上がっていきました。二階に上がってください、二階が私たちの生活の場なんですということで階段を上がっていかれましたので、ついて上がっていこうとしたら、階段を一歩、二歩上がった途端に、後ろに倒れそうになった。私たちは、通常平らなところで生活しているから、少しでも傾いたら、全くそういう平衡感覚がなくなって、階段も上がれないんだなということが実感されました。
 ご主人がその二階でいわれた。夜、目が覚めてトイレへ行こうと思って立った途端に、目まいですよ、吐き気ですよ、頭痛です、家族はと。何とかしてください、都営住宅に入れさせてください、平らなところに住まないと大変なことになると、こういわれた。わかりましたと。
 そして、うちを出ようとしたときに、そこの奥さんと五歳の娘さんが見送ってくれた。まさに帰ろうとしたときに、その五歳のお子さんが、おじちゃんと声をかけてきたわけです。おじちゃん、あすこの塀は真っすぐ、斜めと。びっくりしました、何を聞いているんだろうと。
 そうしたらお母さんが突然泣かれました。この五歳の娘は、真っすぐか斜めかというのがわからなくなっているんですと。きのう、幼稚園から電話が来た、幼稚園の先生から。おかしいですよ、おたくの娘さんと。みんなと一緒に廊下を歩いていた。何のつまずくものがないにもかかわらず、おたくの娘さんだけ何度も何度も倒れる、おかしい、病院に連れていった方がいいですよと電話が来たので、飛んでいったと。そして、我が子を病院に連れていった。
 先生からいわれたのは、斜めのうちに住んでいるということで、脳がやられている可能性がある、MRIをかけなきゃなりませんねといわれた。上野さん、こんな五歳の子にMRI、かけたことありますか。怖いですよ、あの音は。かけられませんと泣かれたんです。
 私は、絶対にこれはもう都営住宅に入れないと大変なことになると。そして、都市整備局に当たりました。最初の言葉は、液状化で都営住宅に入るという要綱はありませんという話でしたよ。火災と書いてあった。火災等と書いてあったから、等と書いてあるじゃないですか、だから液状化も災害も入るんじゃないですかと。ああ、そうともとれますね。
 しかし、次のページ開かれて、家賃取りますといわれたんですよ。書いてあるんです、家賃が。この近辺では幾らぐらいですか、十万以上になりますというんですよ。まだ建てて数年、ローンを大きく抱えている中で、十万以上も払いながら都営住宅に入ることは不可能ですよ。何とかしてもらいたいといったときに動いてくれたのが、当時の、名前をいっていいのかな、瀧本さんですよ。瀧本都営住宅経営部長が、佐藤副知事と一緒になって動いてくれた。そうした中で、特例的に東日本大震災の被災者という捉え方の中で都営住宅に入れていきましょうという形で、即動いてくれたわけです。ありがたいと思いましたね。
 そして、住宅供給公社も一緒になって、何とか近くで都営住宅のあいているところを探してくれて、数軒のお宅が移れたんです。それによって、その人たちは、その期間中に建物は直しましたし、先日、その五歳のお子さん、今は小学一年生、お会いしました。元気でしたね。
 そのときいわれていましたよ、お母さんが。先生がいうには、五歳よりも下、小さいお子さんほど順応力がすごいらしいです、脳の。したがって、斜めのうちで長く住んでいると、それが正常に思って、平らなところに住めなくなるという、こういった後遺症が起こるところだった。
 だけれども、いち早くそうした意味で東京都が動いて、住宅供給公社が動いてくれたからこそ都営住宅に住めて、何の後遺症もなく終わったわけであります。これは、一つに本当にうれしい話でありますし、また、身近な話でいえば、住宅供給公社の新小岩、事務所がありますけれども、江戸川区で火災が今年度何件かあったんです、都営住宅で。ほかにもありましたけれども、そこにいち早くわざわざ、神奈川に住んでいる、土日なんかうちに帰っているでしょう。急いで飛んできて、そして現場に行って対応しているのがそこの所長ですよ。何回もそれがあると。私は、本当に頭が下がりました。そこの都営住宅の方々が、今までこんなことなかったと。そうやって本当に私たちのために、自分の生活をなげうってでもすぐ飛んできて手を打ってくれた。もう感謝しております。
 こういったお話を聞いて、本当に私もうれしくなりましたし、そういったことでは、都営住宅経営部を初めとした都市整備局、そしてまた住宅供給公社の皆様のこうした努力、ご苦労に対しまして心から敬意と感謝というものをきょうは述べさせていただきたいと思います。
 どうか今後とも、都におきましては、都営住宅をめぐるさまざまな課題にさらに積極的に取り組んで、都営住宅事業のさらなる発展を図っていただきますよう期待いたしまして、私の質問を終わります。

○植木委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分休憩いたします。
   午後三時十一分休憩

   午後三時二十四分開議

○植木委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○河野委員 質問します。
 初めに、決算説明書四八ページの都市基盤調査費の中にある総合治水対策事業について伺います。
 まず、この事業の中の豪雨災害に対する取り組みですが、執行率三六・五%となっています。この事業が具体的にどのようなものか、そして、執行率がこの状況なのはどういうことなのか、ご説明をいただきたいと思います。

○西倉都市基盤部長 雨水流出抑制事業は、豪雨対策基本方針の中で対策促進流域としている神田川など七流域におきまして個人住宅への浸透ますなどの設置を促進するものでございまして、流域対策をより一層進めるために重要な事業でございます。
 この事業では、個人住宅を対象に浸透施設の設置に対しまして助成を行っている区市に対し、一件当たり十一万円を限度に補助を行っております。平成二十三年度からは、既存の個人住宅に関し、五百平米未満に限定していた規模要件を廃止するなど、制度の改善を行っております。しかしながら、個人住宅の所有者からの申し出が基本であり、助成制度を持たない、あるいは必要な予算が確保できない区市もあるため、結果として平成二十四年度の執行率は三六・五%となっております。
 今後とも区市と連携しながら必要な予算の確保などに努めるとともに、総合治水対策協議会のホームページや各区市での広報誌、パンフレットを通じて、雨水流出抑制事業の重要性を訴えることなどにより、設置促進に努めてまいります。

○河野委員 東京都の豪雨対策基本方針で、雨水ますは暫定計画の流域では一時間当たり二ミリから四ミリの降雨をカットする効果が発揮されていると考えられると書いてあります。ですから、東京都も区市と協力して普及に努力されているのだと思いますけれども、ぜひこれは効果も確認されていることでありますので、今後引き続き執行率が上がるように努力されるようお願いをしておきます。
 次に伺います。
 東京都が力を注がなくてはならない、この大きな課題の一つに地下街対策があると思います。地下街等浸水対策計画策定費補助、これも執行率二〇・八%となっていますが、地下街の浸水対策についての取り組みはどのように進められてきたのか。そして、現状についても示していただく。そして、今後の地下街の浸水防止の検討内容などについてお示しをいただきたいと思います。

○西倉都市基盤部長 都は、平成二十二年度に、浸水被害の危険性が高い地域で迅速かつ集中的に実施すべき施策を緊急豪雨対策として取りまとめ、この中で都内九カ所の大規模地下街におきまして止水板による浸水防止や避難誘導対策などをまとめた浸水対策計画の策定を推進することとしております。
 都は、各地下街の計画策定に当たりまして、地下街管理者が設置する協議会に参画するなどし、技術支援や情報提供を行うとともに、二十四年度から管理者に対して計画を策定する調査費の一部を補助する制度を設けております。
 平成二十二年度に策定いたしました八重洲地下街に引き続き、平成二十四年度には、計画策定の補助制度を活用した歌舞伎町地下街、渋谷地下街を含む四地下街が計画の策定を完了しております。残る四地下街につきましても、現在計画策定に向けた作業が進められております。

○河野委員 地下街については、主要なところの浸水対策の計画策定が、ほぼ終了見込みがついているということですが、問題は、策定されたその計画が実施される、これが大事だと思います。全庁的な連携も強めて計画が実施されるような取り組みを求めていきたいと私は思います。
 それから、近年、ゲリラ豪雨と呼ばれる想定外の降雨量が本当にびっくりするほど記録されています。雨水浸透ますの設置補助事業などは、七河川の流域、二十八自治体ですか、ここに限られているとのことですが、実は私が住んでおります江戸川区なども大雨のたびごとに床下浸水が発生しています。豪雨対策を進めるためにも雨水ますなどの補助対象を拡大すること、こうしたことを初めとして、今の気候変動の状況を踏まえて、これまでの降雨、五十ミリ対応から七十五ミリ対応などへの見直しも都として早急に検討されることが必要だと思いますので、このこともこの機会に改めて要望させていただきます。
 次に、都営住宅の問題について伺います。
 都営住宅については、多くの都民の皆さんから本当に切実で多様な要望が寄せられています。私が伺っている中で、先ほどご質問されました上野委員の質問と重なるものもたくさんありますが、切実な要望でありますので、今回テーマが重なったものも含めまして、幾つかの問題についてご質問をいたします。
 最初に、都営住宅の管理戸数二十六万戸といわれています。都営住宅居住者から共通に出されているのが先ほどもありました居住者の高齢化問題です。何年か前になりますけれども、都営住宅居住者について新宿の百人町の都営アパートの居住者調査を行った中で、本当に限界集落といえるような高齢化が進んでいることが話題になりました。私が住んでいる江戸川区内の都営アパートでも深刻な高齢化が進んでいます。団地内の清掃、草むしりの活動に出てくるのが無理になっている高齢者の方、そして、支えている自治会活動の役員の人も高齢者の人。そういう点では本当に皆さんご努力されておりますが、大変であります。
 ある自治会長さんは、近い将来、自治会の運営機能が失われる危機感を持っているといっています。居住者の高齢化対策に今都が対応していかないと、都営住宅の運営がもっと困難な状況になってしまうことは明らかではないでしょうか。高齢者の現状について、今、都営住宅についてどういう認識をお持ちか、そして居住者の年齢構成なども踏まえて、どのような方向性を持っていかれるのか、この点で現状をお示しいただきたいと思います。

○桜井経営改革担当部長 都営住宅の名義人につきまして、六十五歳以上の世帯割合は平成二十四年度末現在では約六一%でございます。この五年間で約六ポイント上昇していると認識をしております。

○河野委員 五年間で六ポイント上昇ということで、本当にどんどんと高齢化が進んでいっているのが今の実態であると受けとめました。
 私たちは、今までも、都営アパートの居住者についてバランスがとれた年齢、世帯構成になるように都に改善を求めてきました。いわゆるソーシャルミックスであります。団地全体の居住者の構成をバランスがとれた状況にしていくような仕組み、これが求められているのではないでしょうか。若年世帯向けの期限つき入居、あるいは先ほどもご答弁にありました倍率を緩やかにしていく、そういう配慮なども実施はされていますけれども、例えば、期限つき入居の問題では、十年たつと、こういう若年世帯の人たちは都営住宅を退去しなくてはなりません。今制度ができて十年が過ぎて、次々と新しい住まいを求めなくてはならない世帯も発生しています。子育ての途中で都営アパートを出る人たちもご苦労大変だと思いますが、高齢化を食いとめていく、この問題についても影響が及んでくるのではないでしょうか。
 私は、期限つき入居などの現行の制度に限らないで、子育て世帯、若年世帯の入居や多様な世帯が入居できるように新たな募集方法を検討し実施すべき、東京都はそのときを迎えているのではないかと考えるのですが、どうでしょうか。

○桜井経営改革担当部長 都営住宅におきましては、子育て世帯を支援する観点から、子育て世帯に対する当選倍率の優遇制度や若年ファミリー世帯向けの期限つき入居を実施しております。
 少子化が進行する中で、子育て世帯向けに十年間の期限つきで都営住宅を供給することは、都営住宅の利用機会の公平を確保しつつ、子育て世帯の居住支援に有効であると考えております。

○河野委員 子育て世帯の居住支援に本当に子育て応援という点で有効だとは思うんですが、期限が限られているとか、まだまだ解決されなくてはならない問題があります。
 私たち、直接聞きますけれども、結婚したての若い夫婦がこれから子供をつくって家庭を営んでいく上でぜひ都営住宅に入りたいという声もたくさん寄せられますし、高齢化している都営住宅の居住者の人たちからも、本当に何で若い人たちの入居をもっとふやせないのか東京都に聞いてきてくださいってしょっちゅういわれますので、この点は本当にご検討いただきたいというふうに改めて強く申し上げておきます。
 次ですが、高齢化が進む中で、都営アパートのエレベーターの設置、これも先ほど質問がありましたが、本当に強い要望となっています。足や体の衰えで生活に困難を来す高齢者がふえているからです。
 資料では、二十四年度の実績で二十団地三十三基となっています。この四年間は、年間三十基程度で推移しているわけですが、私が知る限り、以前は年間七十から八十基ぐらい設置されていたんですけれども、ずっと減少の傾向をたどっています。その理由について、もう一度詳しくご説明をいただければと思います。

○妹尾営繕担当部長 既存住棟へのエレベーター設置に当たりましては、日影規制に既存不適格であるなど法令上の制約や、設置スペースがない、建物の構造上設置が困難など、物理的な制約がある住棟もあるなど幾つかの課題がございます。そのような課題があることが理由として考えられます。

○河野委員 東京都はこの間、自治会からの要望なども踏まえたと思うんですが、エレベーターを設置していくという方針で、平成二十二年の七月に、ここに「すまいのひろば」のコピー持ってきましたけれど、中層都営住宅のエレベーター設置について要件を緩和していくという方針を示しました。この緩和については、どのようなご判断のもとで打ち出されたのか、このことについてもご説明をお願いいたします。

○妹尾営繕担当部長 平成二十二年、都は既存住棟のエレベーター設置の裾野の拡大を図るため、技術、コストの両面からの検討を踏まえ、それまで採用が困難であった小型の四人乗りエレベーターにつきまして、廊下型については三階から五階建てで十戸以上、階段室型については五階建てで十戸以上の住棟を対象として導入を図ることといたしました。

○河野委員 それはここに書いてあるのでわかるんですけれども、その背景を伺ったんですけれども、そういうできるだけエレベーターを設置していこうという都の方針は歓迎いたしますので、今、技術、コスト両面の検討を踏まえてということでお話がありましたが、さらに検討を深められて、ぜひこの問題では、中層住宅ですか、そこに要望をかなえてあげていただきたいと思います。
 もう一つ私、問題意識を持っているんですが、こういう方針が出されても、設置されていない中層都営アパートが私が知る限りでも区内で幾つも残されています。例えば、江戸川区内の南小岩とか平井の都営アパートは残っています。南小岩の都営アパートは、二丁目ですけれども、自治会が要望されてかなり時間がたっているといわれています。平井の方も四棟ある都営住宅の二棟は廊下型で、しばらく前にエレベーターが設置されたんですが、同じ自治会の中に存在する階段型の二棟は、これは同じ五階建てなんですけれども、まだつかないと。
 こういう階段型の居住者が、廊下型の人がついたのになぜうちの方はつかないのということで、ぜひこちらにも設置してほしいと切望されている状況があります。ここも長い間要望されているわけです。階段型、廊下型、いずれも要望があるところには、ぜひ早期に皆さんの要望を受けとめて、技術、コスト、技術が進化しているんだと私はこの文章というか答弁を見て思ったんですが、早期に設置していただく、そのご努力を東京都に改めて求めるものなんですが、どうでしょうか。

○妹尾営繕担当部長 ただいまお尋ねのありました個別の団地のお問い合わせでございますので、状況を確認いたします。

○河野委員 個別の団地というよりも、そういうところが幾つも残されているという実態を都内全域調査していただいて、要望のあるところは速やかにつけていただく、そのことが必要であるという趣旨で私は申し上げておりますので、これはあくまでも例示ですから、この二カ所に限らずに、ぜひご調査をいただきたいと思います。ご努力を求めます。
 次に、これも重なりますが、コールセンターの問題です。
 二〇〇八年から、居住者の相談に対しまして、コールセンターのオペレーターが相談に対応するということになって既に五年がたっております。今いろいろいわれているのは、なかなか電話がつながらない、つながっても問いかけていることにすぐに答えてもらえないと、こうした実情が寄せられております。
 先日、都営アパートで火災が発生しましたが、自治会の役員の方が、大家さんだから東京都にすぐいわなくちゃいけないって、こういう判断のもとでコールセンターに電話をされたそうです。でもオペレーターの返答はお待ちくださいということで、その自治会の役員さんは十五分たってもオペレーターの方から何の応答もないので、結果として電話を切らなくてはならなかった、こういうことがいわれています。居住者に何か異変があったときに大家さんである東京都に直ちに報告したい、これは自治会の役員の人たちが当然持っている声でありますけれども、今の方法では、いざというときの危機管理の役割を果たしてもらえないというのが皆さんのご意見です。身近にある供給公社の窓口センター、あるいは公社の本社に自治会の役員などから直接電話つながるように、いろんな連絡が直ちに入るように、危機管理の観点からも、このコールセンターの問題については改善、そしてそうした危機管理のルートの確保をすることが大事じゃないかと思うんですけれども、東京都はどうご認識されておられますか。

○桜井経営改革担当部長 東京都住宅供給公社のコールセンター、いわゆるお客様センターでございますが、都営住宅居住者の利便性を高めるため、それまで各窓口センターに分かれておりました問い合わせ先を平成二十年に一本化をいたしまして、緊急修繕、事故、火災及び入居者の安否確認要請など緊急の受け付けについて三百六十五日二十四時間対応する体制を構築したものでございます。
 お客様センターにつきましては、これまでも、曜日や時間帯に応じオペレーターを適正に配置するなどの措置を逐次行っておりまして、さらに本年九月からは、休日の昼休み時間帯についてもオペレーターのシフト体制を見直し、入居者からの電話を確実に受けられる体制を整備したところでございまして、緊急の問い合わせに関し、現在の連絡体制を変更する考えはございません。

○河野委員 何かちょっと居住者の人たちにとってみると、なかなか納得のいかないご答弁を局はされておりますが、何かあったときにすぐに応えてもらえるというのが大事な仕組みづくりだと思います。オペレーターの方々が必ずしも全分野にわたって、かかってきた電話に相談が対応できるようなノウハウを持っているかどうか、これもいろんな教育活動とかされていると思いますけれども、今の時点ではまだまだ不十分だという声がありますので、私がきょう申し上げたことは、ぜひ改めて局の方で検討していただくように求めておきます。
 次に、使用承継問題について伺います。
 使用承継制度が改悪されて以後、居住者の困難が増しています。直近の件数でお示ししていただきたいのですが、都立病院、公社病院の診断書で病弱者として承継が認められた件数、これは何件くらいあるのでしょうか。

○桜井経営改革担当部長 平成二十四年度に使用承継事由が発生した使用承継許可のうち、病弱者として認められた件数は七十二件でございます。

○河野委員 年間七十二件ということで、この背景のバックにはこの使用承継制度が変わってから都営住宅を出なくてはならなかった人がどれくらいいるのかなって私は想像してしまいます。
 私たちのところにも制度が変わってから本当に相談がふえているんです。ことしだけでも十指に余る人たちから、親が亡くなったんだけれども住めないといわれて、どうしたらいいかということで相談が来ています。
 江戸川区の三十代の男性は、大変ひどいアトピー性皮膚炎で就職もできないで、そして同居していた父親の介護をしながら生活していたんです。そのお父さんが病気で亡くなりまして、承継が認められないで都営住宅を出ることになりました。働けない、仕事につけない、そういう中で収入がないわけですから、病気が改善するまで居住を希望して何回も都立病院に足を運んで診断書をお願いしました。環境が変わると病状も悪化する、そういう判断で診断書のお願いに行ったんですけれども、結果的には都立病院では書いてもらえませんでした。考えてみるとってその方がいうんですが、都立病院のお医者さんとしても、よく患者を知らない、だから書けない、そういう点は自分自身は理解できると。だけど、お話をしていて、都立病院、公社病院の医師の診断書、これが必要だという制度がお医者さん自身よく理解されていないんじゃないかということも感じたというんです。
 そういう意味で、都市整備局と病院経営本部が、この制度についてどのように連携が徹底されているのかも疑問なんですが、私はきょう要望したいのは、医師の診断書、これはかかりつけ医から書いてもらうようにするのが、病を持っている人の身になって考えても当たり前じゃないかと思います。公社病院、都立病院のお医者さんの診断書じゃなきゃだめだよという、この硬直的ともいえる考え方、改めていただきたいということを求めるものなんですが、どうでしょうか。

○桜井経営改革担当部長 病弱者につきましては、難病患者や公害病認定患者など以外につきましては、病名だけでは使用承継の対象であるところの特別な事情にあるかどうかを判断することができません。このため、承継の判定に当たりましては、都が設置した都立病院、または都が中心となり設立した東京都保健医療公社が設置した病院の医師が的確に判断をして、その医師の診断書を踏まえて行うこととしております。

○河野委員 今のご答弁は私も知ってますから大丈夫なんですが、もうちょっと血の通ったご答弁が来るかなと思いましたけど、なかなか東京都も冷たいなと改めて思っています。
 使用承継については、六十歳の年齢制限の問題とか、配偶者に限る、一親等ですね、そういう制限の問題、幾つも設けられているので、皆さんはこういう年齢制限の問題も含めて東京都がもっと住宅に困難を抱えている都民の立場に立った制度にしてほしいということがいわれておりますので、どうぞご検討ください。
 それでは、次に平成二十四年度の都営住宅の応募倍率について伺います。
 一般募集、若年ファミリー世帯向け募集など、それぞれ倍率お示しください。

○桜井経営改革担当部長 平成二十四年度における世帯向けの一般募集は約二十八倍、単身向けは約五十二倍でございます。

○河野委員 今の倍率でかなり高いこと、ずっと続いていることが改めてわかりました。
 平成二十三年度の数字なんですが、全国の公営住宅の応募倍率、調べてみました。大きな都市で比較しますと、東京都は今おっしゃったような二十四年度が二十八倍ですか、この二十三年度は二十四・五倍となっています。大阪府十七・三倍、神奈川十三・四倍、愛知十・一倍で東京都が断トツ高い倍率なんです。世界の公営住宅の応募倍率に比べても、東京は高いということがいわれております。こうした状況がなぜ続いているのか、この問題について東京都としての見解を伺っておきます。

○桜井経営改革担当部長 都営住宅の募集は、公募を原則といたしまして、これに加えて、高齢者世帯や子育て世帯など、特に居住の安定を図る必要がある都民に対し優先入居を実施するなど、真に住宅に困窮する都民に都営住宅を公平かつ適切、的確に供給するよう努めております。

○河野委員 私の知人で、申し込みを四十七回して、ようやく当たった人がいます。この人は江戸川区にずっと、もう本当に何十年も住んでいた方なんですが、区内の都営住宅は、なかなか当たらなかったんです。それで仕方がなくて、ようやく四十七回目に当たった足立区に引っ越しをされました。住みなれたふるさと、江戸川から出ていかざるを得なかった、その原因は本当に区内の都営住宅の応募倍率が相当高かったということがあります。応募倍率が極めて高いこと、何十回も申し込んでも当たらない。その原因は、都営住宅の新規の建設を東京都はこの十四年間ストップさせてきたことにあるのではないかって、私は本当に思います。
 都は民間の空き家ストックの活用をといい続けておりますけれども、所得が少ない人や年金生活の高齢者にとっては、民間住宅の家賃は生活を維持していく上では大変重い負担となっております。都民の切実な住宅要望に応えるために、今ずっと長くゼロの状態が続いている新規募集、この都営住宅の新規の建設を今こそ再開するべきではないかって考えるんですが、いかがですか。

○加藤住宅政策担当部長 都営住宅につきましては、これまでも既存ストックの有効活用を図りまして、適切な供給や管理の適正化に努めてまいりました。今後とも、社会経済情勢が変化する中で重要な役割を果たしている都営住宅につきましては、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。

○河野委員 本当に入居を希望している人が相当多数存在しているということは、倍率を見ただけでも明らかな事実ではないかと思います。新規募集の建設を都がやめて二十六万戸に限り、その戸数もふえるどころか、建てかえによって減っていくなんていう状況も続いているわけですので、なかなか入れないのは当たり前。加えて、使用承継制度の改悪や入居収入基準の引き下げなどで、都民要望から東京都の都営住宅政策がかけ離れた方向に向かっている、そのことを痛感します。
 経済不況のもとで都民の生活は困難です。住宅難も深刻です。この生活実態に向き合った事業が東京都として展開をされるように強く求めまして、私のきょうの質問を終わらせていただきます。

○今村委員 それでは、私の方からも、都営住宅について改めて確認の意味も込めて質問をさせていただきたいというふうに思います。
 都営住宅は都民の重要な財産であり、住宅セーフティーネットの根幹部分として、多様な世帯の入居によりコミュニティを活性化させ、地域のソーシャルミックスに貢献すべきと考えます。
 一方で、近年都営住宅の居住者の高齢化が一層進んでいると聞いています。都営住宅はそもそも賃貸住宅であり、余りにも高齢化が進展することは居住者にも地域にも影響が大きくなります。
 そこで、まず二〇一二年度までの五年間では、都営住宅の居住者、名義人ベースで結構ですけれども、高齢化がどのような趨勢にあるのかを改めて伺います。

○桜井経営改革担当部長 都営住宅の名義人につきまして、六十五歳以上の世帯割合は、平成二十四年度末現在では約六一%でございます。五年前の平成十九年度末現在では約五五%でありまして、この五年間で約六ポイント上昇をしております

○今村委員 都営住宅の高齢化の実態が理解できましたが、高齢単身の世帯ばかりではなく、より若い世代の入居を促進し、年齢構成のバランスをとる必要があると考えます。
 今もありましたけれども、都営住宅は平均約三十倍の応募倍率がある都民共通の財産であります。そのような住宅に入居期限なしで住み続けられることは、入居できた者とできなかった者の公平性の観点からも、さまざまな意見があると承知をしております。
 真に住宅に困窮する都民は、必ずしも高齢者だけではなく、均衡ある供給が望まれています。その点、若年の子育て世代について見ると、家賃負担や必要な間取りなどを考えても、低廉で良質な民間賃貸住宅の確保が困難な時期がある一方で、将来の所得増があった場合などに自力で分譲住宅または民間賃貸住宅への転出も可能です。この点を踏まえると、都が二〇〇一年度から開始をした若年ファミリー向けなどの期限つき入居は有効な制度と考えられます。この期限つき入居の応募実績及び促進策について、都の取り組みをもう一度お聞きをします。

○桜井経営改革担当部長 若年ファミリー向けなどの期限つき入居の募集戸数は、平成十三年度において三十七戸でありましたが、対象となる住宅や地域の拡大などにより、募集戸数を順次ふやしまして、平成二十四年度は千四百五十戸でございます。
 都といたしましては、他の応募者にも配慮しつつ、期限つき入居募集について平成二十一年度からの十年間で約一万五千戸程度を供給することを目途に取り組むこととしております。

○今村委員 また、地域における高齢者や若年子育て世帯の支援、地域内のソーシャルミックスの実現という点では、都が行っている都営住宅の建てかえにより創出される用地を活用し、高齢者や子育て世帯を支援するための公共施設の整備は大変に有効と考えます。
 そこで、都営住宅の建てかえ事業における最近の取り組み状況と今後の進め方について伺います。

○小野寺再編利活用推進担当部長建設推進担当部長兼務 都営住宅の建てかえに当たりましては、これまでも建てかえにより創出される用地などを活用いたしまして各種施設の整備を促進しております。
 創出用地などを活用した平成二十年度から二十四年度までの最近五年間の具体的な施設整備の取り組みといたしましては、保育所や学童クラブ等の子育て支援施設が十八施設、認知症高齢者グループホーム等の高齢者福祉施設が七施設などが開設されております。
 今後とも、関係局や地元の区市町と連携しながら、地域の特性やニーズを踏まえまして、こうした取り組みを進めてまいります。

○今村委員 大切な公共施設の建設などに貢献をしていただいておりますので、ぜひ引き続き事業推進をしていただきたいというふうに思います。
 また、私は、これまでも都営住宅の建てかえ事業などについて取り上げ、管理戸数の削減などについても議論を取り交わしてまいりました。都民の大切な財産であるという共通認識のもと、都営住宅事業において改めて地元自治体、住民ニーズに応えつつ、東京の空き家対策など全庁的な議論の中で民間の活用、連携なども進めていただけるよう要望しておきます。
 次に、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催決定を受けて、ますます整備が望まれている都市インフラのうち、都市計画道路、高速道路、料金体系、そしてまた鉄道路線について質疑をいたします。
 まず、都市計画道路の整備について伺います。
 これまで都や多摩地域の市町村で都市計画道路の整備に取り組んできた結果、整備率は約六割に達しておりますけれども、依然として交通渋滞が発生するなどの課題が残っています。都市計画道路は都市活動を支える重要な都市基盤であり、さらなる整備が必要であります。特に多摩地域では、南北道路の整備が大きな課題となっております。二〇一五年度に策定予定の新たな都市計画道路整備方針の検討に着手するとの予算がありましたけれども、昨年度から現在にかけての取り組みと今後の方針について、まずお伺いいたします。

○西倉都市基盤部長 都は、現在第三次事業化計画に基づきまして道路整備に努めておりますが、現計画は平成二十七年度に終了することから、次期事業化計画の検討を進めております。平成二十四年度は、ボトルネック箇所や混雑区間に関する現状把握などを行ったところでございます。今年度は、区部と多摩地域それぞれの地元自治体による検討会や庁内検討会などを設置し、将来道路網の検証など平成二十八年度以降の新たな整備方針の策定に向けた検討を進めております。今後とも関係区市町と連携し、着実に取り組んでまいります。

○今村委員 二〇二〇年オリンピック・パラリンピック開催に向け、観光地として、またキャンプ地にもなる可能性のある多摩地域と都心部をつなぐ主要幹線道路の利便性向上や多摩地域、多摩地区、そして区部、それぞれの課題解決に向け、さらなる整備が進むよう要望をしておきます。
 次に、高速道路網は首都東京における経済活動に必要不可欠であり、さらに都民の生活の利便性向上にも重要な役割を果たしています。そこで、この高速道路の料金体系について伺います。
 首都圏の高速道路料金は、高速道路の運営主体や料金体系が異なる現状で、乗り継ぎによる割高感があり、利用者にとって使いやすい料金体系とはなっていません。二〇一二年一月一日より首都高速道路においては、東京線、神奈川線、埼玉線の料金圏が撤廃された上、上限のある対距離料金制へ移行しており、一定の評価ができるものの、まだ十分とはいえません。
 そこで、東京都では圏央道内側エリアにおける一体的で利用しやすい料金体系の実現を目指しており、また、国では昨年より高速道路の料金制度について検討が行われていると聞いています。都では、首都圏での一体的で利用しやすいシームレスな料金体系の実現に向け、昨年度よりどのように取り組んできたのか。あわせて今後の方針について伺います。

○山下航空政策担当部長外かく環状道路担当部長兼務 首都圏の高速道路につきましては、圏央道など三環状道路の整備が進められ、二〇一五年度末には整備率が八五%に達する見込みでございます。しかし、これらの高速道路の利用に当たりましては、複数の高速道路会社により運営されていることなどから、乗り継ぎに伴い割高感がございます。都では、三環状道路の整備効果を最大限発揮させるため、昨年度、国への提案要求などの機会に、一体的で利用しやすい料金体系の構築を要望してまいりました。
 国におきましては、昨年度設置されました社会資本整備審議会の部会におきまして、大都市圏の料金施策の検討が行われ、本年六月の中間答申でシームレスな料金体系の実現や都心部の通過交通の抑制などの方向性が示されてございます。
 今後も、都は圏央道の完成を見据え、国や高速道路会社に対しまして新たな料金体系の実現を強く求めてまいります。

○今村委員 圏央道の料金体系はもちろんですが、東名高速から首都高への乗り継ぎの割引はいまだにされておりません。同じ多摩地域の方々が利用する中央道においては、さきに申し上げた料金体系で割引制度が実施をされております。今後の早期の実現と、ぜひより一層の活動を要望しておきます。
 最後に、鉄道路線についてお伺いをいたします。
 多摩地域の活力の維持向上を図るためには、地域を支える鉄道インフラの整備が求められます。
 踏切対策は、都民生活の安全・安心や道路交通の円滑化の視点から重要です。二〇〇四年に踏切対策基本方針が作成されてからことしで九年が経過をいたします。多摩都市モノレールの延伸や道路整備などの交通インフラ整備とあわせ、鉄道立体化による踏切対策についても着実に進めていく必要があると考えます。
 鉄道立体化の検討対象区域に抽出された二十区間について、これまでの進捗状況及び今後の立体化に向けた取り組みについて伺います。

○西倉都市基盤部長 都は平成十六年度に踏切対策基本方針を策定し、鉄道立体化の可能性を検討する鉄道立体化の検討対象区間二十区間を選定いたしました。鉄道立体化の検討対象区間のうち、西武新宿線中井駅から野方駅間及び東武伊勢崎線竹ノ塚駅付近につきましては、現在事業中でございます。また、西武新宿線東村山駅付近及び京王線笹塚駅から仙川駅間につきましては、昨年十月に都市計画決定を行いました。
 道路と鉄道の立体化につきましては、地域におけるまちづくりと連動することから、地元区市が主体となり、道路と鉄道のあり方やまちづくりを検討することが必要でございます。
 鉄道立体化の検討対象区間につきましては、交差する都市計画道路の整備計画の具体化や地元区市によるまちづくりの取り組みの状況などを十分に踏まえ、関係局とも連携しながら適切に対応してまいります。

○今村委員 間もなく基本方針策定から十年を迎えるに当たり、見直しを行う必要性があるのではないかと考えます。特に私の地元であります町田市を走る小田急線や田園都市線、横浜線などは、都心部を始発とする鉄道において、一度都外、神奈川県などを走り、もう一度町田市内に入ってまいります。都市整備局においては、こうした現状があることを含め、九都県市などでも連携し、さらに取り組みを進めていただきますよう要望して、質疑を終わります。

○西崎委員 私からは、空き家の活用について伺いたいと思います。
 近年、東京都内でも空き家の問題が顕在化しまして、将来東京の居住環境の悪化や防災機能の低下が懸念されることから、有効な対策が求められております。
 これまで生活者ネットワークは、空き家を活用して地域の高齢者や子供など多世代の交流の場や住まいなどに転換できるような政策を実現できるように提案してまいりました。
 現在、各自治体では条例を制定し、放置された空き家の管理及び撤去について定めています。しかし、空き家を不用なものとせず、地域にある資源と捉え活用することが重要だと思っております。
 民間の中古市場でも、リノベーションで新たな需要を掘り起こす取り組みが進んでおり、活用事例がふえてまいりました。
 都は昨年度空き家活用モデル事業を実施しましたが、その内容について伺います。

○加藤住宅政策担当部長 昨年度実施いたしました空き家活用モデル事業でございますけれども、これは空き家の利活用方策の可能性を検証するというために行ったものでございます。
 具体的な内容でございますが、国の空き家活用事業の補助を受けて改修工事を行おうとするもののうち、木造住宅密集地域内の従前居住者の転居先として、あるいは高齢者等が共同で居住いたしますグループリビング用として活用する、こういったものに対しまして都が補助金を加算する、こういう事業でございます。

○西崎委員 モデル事業としては大変画期的な取り組みだと思うんですけれども、まだまだなかなか実現には至っておりませんが、このモデル事業について昨年度相談はあったものの応募には至らなかったと聞いております。具体的にどのような相談があったのか、お聞かせください。

○加藤住宅政策担当部長 相談内容についてのお尋ねでございますけれども、一例をご紹介させていただきますと、ご自身が所有する空き家をひとり親世帯十世帯程度のグループリビング用に活用したいというようなご相談をいただきました。この事例では、グループリビングを運営する事業者もおおむね調整がつき決まっていたというものでございました。しかしながら、この対象物件がいわゆる旧耐震基準の物件ということでございまして、耐震診断の期間を要すること、あるいは改修のための新たな費用負担の懸念があるといったようなことから、残念ながら応募には至りませんでした。
 ほかにも、高齢者のグループリビングを計画している事業者からのご相談もございましたけれども、適当な物件が見つからず、結果的に応募に至らなかったものなどがございます。

○西崎委員 今のお話ですと、空き家をひとり親世帯のグループリビング用に活用したいとか、あるいは高齢者のグループリビングとして計画している事業者からの相談があったということですけれども、残念ながら実現していないということなんですけれども、今年度も引き続きこのモデル事業を実施していますが、昨年度からどのように改善して取り組んでいるのか、お聞かせください。

○加藤住宅政策担当部長 今年度の取り組みでございますけれども、昨年度の相談内容を踏まえまして、いわゆる物件を探すための期間、あるいは耐震診断に要する時間を考慮いたしまして、募集の開始時期を早めました。さらに、旧耐震基準の建物の相談が多いことから、耐震改修工事を行う場合の補助限度額を引き上げさせていただきました。また、新たに戸建て住宅の多世代同居、子育て世帯向け用の改修工事を補助対象に加えるなど、メニューを拡充いたしました。
 さらに、本モデル事業をより幅広く周知するために、不動産関係団体に加え、地主家主協会や住宅メーカーの関係団体などへの案内も行っております。

○西崎委員 ぜひこのモデル事業を多くの人たちが活用して、今後の地域の住まいの拠点として整備が進むよう、都もPRしていただきたいと思います。
 これまで地域で空き家の活用までに至らなかった理由としては、今お話ございましたけれども、古いものが多いために活用したくても耐震性の点で問題があるとか、またグループリビングをつくる場合、都の助成はハード事業ですけれども、ソフトも重要で、運営事業者と物件とのマッチングをどう進めるかも課題になります。こうした課題に対応できるよう地域の意見を聞きながら積極的に進めていっていただきたいと思います。
 世田谷でも、私地元が世田谷なんですが、すぐ家のそばで空き家をシェアハウスにするよう新しい取り組みが建築家グループやNPOによって始まっております。少子高齢化時代の住まい方、都営住宅を活用することもありますけれども、また新しい時代の住まいの整備も、その時代に合わせてさまざまなものが求められていくのではないかと思います。
 都は民間住宅のストックが十分として、先ほどお話がありましたけれども、都営住宅をふやさない方針をとっています。しかし、都営住宅への入居希望者は多く、数が足りないために入居できない人たちもおり、都が住宅を建てないとすれば、そのかわりに民間住宅への家賃補助に切りかえていくことも、生活者ネットワークはかねてから主張してまいりました。
 現在実施しているモデル事業をきっかけに、都民の住居確保につながるよう住宅ストックとしての空き家活用へ広げていただくことを要望しておきます。
 次に、緑の保全の取り組みについて伺います。
 昨年の決算委員会でも伺いましたが、都市の緑は都市生活に潤いと安らぎを与えるとともに、災害時の避難場所として、さらにはヒートアイランド現象の緩和など重要な役割を担っております。都は「十年後の東京」計画における、水と緑の回廊で包まれた美しいまち東京を復活させる目標実現に向けて、特に減少傾向にある民有地の既存の緑やあらゆる都市空間への緑地等の課題に対して、都と区市町村が連携し、計画的に東京の緑を確保していくことを目標として、二〇一〇年五月に緑確保の総合的な方針を策定しました。その中で重点的に取り組むプロジェクトとして、既存の緑を一層確保するために、崖線の緑の保全が挙げられております。
 崖線の緑は、緑のネットワークの形成や地域の景観形成上重要な役割を担っており、広域的な視点からの取り組みが必要だと思います。昨年の三月には、多摩川由来の崖線の緑の保全に向けてのガイドラインを策定したと聞いておりますけれども、その後の崖線の緑の保全の取り組み内容について伺います。

○永島都市づくり政策部長 崖線の緑は、市街地の中に連続して残る貴重な緑でございます。これを保全するには、行政界を超えた一体的な取り組みが必要でございます。このため、都は平成二十一年度に青梅市から調布市に至る多摩川由来の崖線に関係する八市と協議会を設立いたしました。この協議会での取り組みを踏まえ、平成二十三年度にガイドラインを策定するとともに、崖線の緑の重要性に関する普及啓発活動を毎年継続して行うなど、連携して緑の保全に取り組んでおります。
 平成二十四年度は、昭島市と福生市が中心となり、都市の緑と生き物をテーマとしたシンポジウムや地元の崖線を歩くウオーキングラリーを開催し、延べ二百名を超える都民の参加を得て、崖線の緑に対する関心、認識を高めたところでございます。
 今後とも、このような取り組みを進めるなど、関係自治体と協力しながら、崖線の貴重な緑の保全に努めてまいります。

○西崎委員 世田谷も国分寺崖線が大変大きな緑になっているんですけれども、今後は市だけではなく、区市あわせて広域的な取り組みをぜひ広げていっていただきたいと思います。
 緑の保全には、行政の取り組みだけでは限界があり、市民、企業との協働も大切であり、その意味ではNPOや市民グループ等の活動への支援を行うことも重要だと考えております。
 都は平成二十二年の二月にセブンイレブン記念財団と協定を締結し、市民による緑の保全活動を支援する、東京の緑を守ろうプロジェクト助成を行っていると聞いております。この助成による支援の取り組み内容についてお聞かせください。

○永島都市づくり政策部長 都は、緑の保全に実績のある一般財団法人セブンイレブン記念財団と協定を締結し、東京の緑を守ろうプロジェクト助成を平成二十三年度から実施しております。
 これは、都の方針に沿った緑の保全活動を行うNPOや市民団体などに対しまして、セブンイレブン記念財団が五年間で総額四千四百万円の活動費を助成するものでございます。
 この助成により、さまざまな活動を行う都内各地の団体を支援することで、東京に残る樹林地の維持保全や子供たちが緑や自然に親しむ場の提供などを進めております。
 助成団体数は、平成二十三年度に十五団体でございましたが、平成二十四年度には前年度からの継続団体も含めて三十三団体となるなど、着実に実績を伸ばしております。
 今後とも、区市町村の協力を得ながら、この助成制度の周知を図り、NPOや市民団体などによる緑の保全活動を支援してまいります。

○西崎委員 今のお話ですと、二十四年度では三十三団体と着実にふえてきているということで、今後もこういった活動を広げていっていただきたいと思います。
 最近では、多くの企業がこのような緑の保全や環境保護などを目的とした活動に支援を行っております。また、環境にかかわるNPOや市民団体もふえてきていると思います。今後もこのような活動を市民、行政が協働して取り組んでいけるよう働きかけていただくことを要望しまして、私の質問を終わります。

○植木委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○植木委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時二十三分散会

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